18日午前の日経平均株価は続落し、午前終値は前日比891円35銭安の4万9432円56銭だった。
きょう前場は主力ハイテク株をはじめ広範囲に売りが広がった。日経平均は大幅続落となり、一時下げ幅は1200円を超え、その後は下げ渋ったものの前引け時点で900円近い下げで5万円大台を大きく下回っている。前日の米国株市場ではハイテク株を中心にリスクオフの地合いだったことから、これを引き継ぐ格好となった。ここ国内10年債利回りが急ピッチの上昇を示しており、金利上昇を警戒する形で買いが手控えられている
東京エレクトロンやアドバンテストなどの半導体関連のほか、フジクラや住友電工、古河電工などの人工知能(AI)関連が軒並み下落した。半面、医薬品など業績が景気変動の影響を相対的に受けにくいディフェンシブ関連の一角に資金を移す動きもみられ、相場を支えた。
17日のNYダウ工業株30種平均は前週末比557ドル(1.18%)安の4万6590ドルだった。ナスダック総合株価指数も0.84%下落した。米連邦準備理事会(FRB)高官の追加利下げに慎重な発言が続き、投資家心理の重荷となった。19日には米エヌビディアの四半期決算の発表が控える。発表を前に東京株式市場でも関連株に持ち高調整の売りを出す動きが出た。
前日に続き、インバウンド関連銘柄の下げも目立った。高市早苗首相の台湾有事を巡る発言を受け、中国政府が自国民に日本への渡航を自粛するよう注意喚起したため、訪日客消費の落ち込みが引き続き警戒された。資生堂や三越伊勢丹などが下げた。
市場関係者は日本が尖閣諸島を国有化した2012年と比べて訪日客数や日本での消費額が増えているとして「日本経済や企業業績への影響は当時とは比べ物にならない大きさだ」と指摘。中国での日本製品の不買運動や、日本企業との取引を停止すれば「対中エクスポージャー(投融資残高)が高い業種・企業への影響も避けられない」とみる。負の影響を受けやすいセクターとして、百貨店やドラッグストア、化粧品、ホテル、陸運、空運などを挙げた。
日経平均は下げ渋る場面もあった。市場では「27年3月期(来期)の企業業績の改善期待から日本株の先高観は強い。買い遅れた投資家の押し目買いも入りやすい」との見方があった。
後場の日経平均株価は、現状では下落基調を維持しそうだ。為替が1ドル=155円台の円安水準で推移している点は輸出関連には支援材料であるが、米国市場の先行き懸念や国内需給のひ弱さを背景に上値を取りにくい状況が続くと見られよう。テクニカル面では4万9200円近辺の支持が意識される一方で、50000円台回復に向けた明確な材料が乏しいため、売りが優先される可能性が意識されよう。
東証株価指数(TOPIX)は続落した。前引けは49.57ポイント(1.48%)安の3297.96だった。JPXプライム150指数も続落し、24.78ポイント(1.70%)安の1435.96で前場を終えた。
前引け時点の東証プライムの売買代金は概算で2兆7976億円、売買高は10億8928万株だった。東証プライムの値下がり銘柄数は1211。値上がりは332、横ばいは69だった。
業種別株価指数(33業種)は非鉄金属、情報・通信業、機械、電気機器の下落率が大きかった。上昇は陸運業のみ。
個別では、前日に続き売買代金トップとなっているキオクシアホールディングスが安く、ソフトバンクグループ、フジクラなどの下げも目立つ。レーザーテック、ディスコ、日東電工や信越化学が売られ、三井海洋開発、日立製作所なども下落した。Link-Uグループ、グローバル・リンク・マネジメントが急落、JX金属も大きく下値を探る展開になった。
半面、ここ大きく売り込まれていたサンリオが底堅さを発揮、住友ファーマは連日の上値追い。塩野義や第一三共、アステラスといった医薬品株が軒並み高となった。荏原も堅調。ラックランドが急騰、ニチコン、第一稀元素化学工業、アルゴグラフィックスも値を飛ばした。
東証スタンダード市場は米半導体大手エヌビディアの決算発表を前に買いが控えられ、日経平均株価の下落幅は一時1200円を超えた。特に人工知能(AI)や半導体関連株が弱かった。スタンダード市場でも投資家心理の悪化を映した売りが優勢だった。
スタンダードTOP20は反落。出来高は2億8011万株。
値上がり銘柄数355、値下がり銘柄数998と、値下がりが優勢だった。
個別ではアール・エス・シーが一時ストップ高と値を飛ばした。コスモ・バイオ、テクノマセマティカル、アサカ理研、那須電機鉄工、サンコールなど21銘柄は年初来高値を更新。安永、ウィルソン・ラーニング ワールドワイド、倉元製作所、robot home、スターシーズが買われた。
一方、Bitcoin Japanがストップ安。福留ハム、イメージ ワン、ガーデン、和弘食品、UNIVA・Oakホールディングスなど17銘柄は年初来安値を更新。プラコー、メタプラネット、アドバネクス、サン電子、夢みつけ隊が売られた。
東証グロース市場は日経平均株価が一時、1200円を超えて下落する中、新興株市場でも投資家心理の悪化を映した売りが優勢だった。
東証グロース市場250指数は続落した。前引けは前日比8.28ポイント(1.19%)安の690.25だった。グロース250とグロースCoreは続落。
グロース市場ではフリーやタイミーが下落した。一方、トライアルやSynsは上昇した。
値上がり銘柄数152、値下がり銘柄数407と、値下がりが優勢だった。
個別では免疫生物研究所がストップ高。クラウドワークスは一時ストップ高と値を飛ばした。WOLVES HAND、博展、技術承継機構、オンコリスバイオファーマ、日本動物高度医療センターなど7銘柄は年初来高値を更新。Finatextホールディングス、モンスターラボ、シルバーエッグ・テクノロジー、スマレジ、kubellが買われた。
一方、GVA TECHが一時ストップ安と急落した。ROXX、アスカネット、Schoo、TMH、インフォメティスなど39銘柄は年初来安値を更新。THECOO、ユーソナー、Aiロボティクス、PRISM BioLab、Birdmanが売られた。
【寄り付き概況】
18日の日経平均株価は続落で始まった。始値は前日比510円96銭安の4万9812円95銭。
前日の欧州株市場は全面安に近い状態だったほか、米国株市場でもNYダウが一時700ドルを超える下げとなるなどリスク回避ムードの強い地合いとなった。FRB高官に金融緩和に慎重な発言が相次ぐなか、12月のFOMCでの追加利下げ期待がひと頃より低下していることで、ハイテク株などを中心に相場の重荷となっている。
東京株式市場でも軟調な欧米株を引き継いで、機関投資家による持ち高調整の売り圧力が強い。日経平均は寄り付きで5万円大台を割り込んだ。外国為替市場では円安が進んでいるものの、高市政権下での財政拡張政策に対する警戒感が円売りの背景ともなっており、素直に好感されない可能性もあるだろう。
18日の東京株式市場は、弱い展開が続きそうだ。
日経平均株価の予想レンジは、4万9700円-5万300円を想定。(17日終値5万323円91銭)
米国株は下落。ダウ平均は557ドル安の46590ドルで取引を終えた。
現地17日の米国株安を受け、売り優勢スタートが見込まれ、売り一巡後は、消去法的に好業績銘柄への個別株物色が中心になるとみられる。
為替相場は、ドル・円が1ドル=155円台の前半(17日は154円67-69銭)、ユーロ・円が1ユーロ=180円前後(同179円63-67銭)と円安方向に振れている。
シカゴ日経平均先物の円建て清算値は、17日の大阪取引所清算値比485円安の4万9785円だった。
【好材料銘柄】
■クラウドワークス <3900>
バッファロー <6676> の牧寛之社長が17日付で大量保有報告書を提出。牧寛之氏のクラウドW株式保有比率は6.03%となり、新たに5%を超えたことが判明した。
■ビーマップ <4316>
イスラエルのロボティクス企業「Robotican」製品の国内取り扱いを開始。自律型防衛ドローンや地上ロボットなどを自衛隊・防衛装備庁、警察・消防、重要インフラ警備向けに展開する。
■アルゴグラフィックス <7595>
今期最終を2.5倍上方修正・最高益予想を上乗せ。
【主な経済指標・スケジュール】
18(火)
【国内】
10月訪日外客数(16:15)
【海外】
米10月輸出物価指数(22:30)
米10月輸入物価指数(22:30)
米10月鉱工業生産指数(23:15)
米10月設備稼働率(23:15)
米11月NAHB住宅市場指数(24:00)
米9月対米証券投資(11/19 6:00)
《米決算発表》
ホームデポ、メドトロニック
※株式スケジュールは予定の為、変更される場合があります。
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11月17日 NY株/欧州株概況
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【市況】557ドル安と大幅続落、巨額AI投資に警戒 |
・・・続き
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17日のNYダウ工業株30種平均は3日続落し、終値は前週末比557ドル24セント安の4万6590ドル24セントだった。
米連邦準備理事会(FRB)の追加利下げ観測が後退し、投資家心理の重荷となった。週内に控えるエヌビディアの決算発表を前に持ち高調整の売りが優勢になり、下げ幅は700ドル以上となる場面があった。
ダウは3営業日続落となり、下げ幅は計1600ドルを超えた。
FRBのジェファーソン副議長は17日の講演で「政策金利は景気を熱しも冷ましもしない中立的な水準に近づいている」と述べた。そのうえで「リスクバランスは変化し続けている」として追加利下げを慎重に進める必要があるとの認識を示した。米短期金利先物市場ではFRBが12月に政策金利を据え置く確率が17日午後時点で55%となった。追加利下げ観測が後退し、株には売りが優勢になった。
米連邦政府機関の一部閉鎖の解除に伴い、公表が延期されていた9月の米雇用統計が20日に発表される。もっとも米政府閉鎖が長期化したため経済指標の集計などに影響する可能性が出ている。データ不足などを理由に、FRB高官から利下げに慎重な意見が増えれば、株式相場を下押しするとの警戒も重荷となった。
AI投資を巡っては、収益向上に関する懐疑的な見方や、人員削減につながるとの懸念がくすぶる。企業の財務悪化リスクも相まって、ハイテク株がけん引してきた相場に逆風が吹き付けている。エヌビディアやIBMなどAI関連株の売りが相場を押し下げた。
AI相場にブレーキがかかる中、ダウ平均の構成銘柄のエヌビディアの8~10月期決算に注目が集まる。業績が市場予想を上回り、投資家心理の冷え込みに歯止めがかかるかどうかが焦点。相場が息を吹き返すには「強気の業績見通し」(市場参加者)が欠かせないとの声も聞かれる。
ダウ平均の構成銘柄では、アメリカン・エキスプレス(アメックス)やIBM、セールスフォースの下げが目立った。ゴールドマン・サックスやJPモルガン・チェースなど金融株にも売りが出た。シェブロンやアップルも安い。一方、ジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J)とアムジェンが上昇した。
S&P500種株価指数は3日続落した。終値は前週末比61.70ポイント(0.91%)安の6672.41と、中期的な基調を示す50日移動平均を下回った。終値で50日移動平均を下回るのは4月以来約7カ月ぶり。チャート分析上で重要な下値メドとして意識される水準を割り込んだのも売りに拍車を掛けた。
ナスダック総合株価指数は反落した。終値は前週末比192.514ポイント(0.84%)安の2万2708.075(速報値)だった。アドバンスト・マイクロ・デバイス(AMD)やクアルコム、インテルが下落した。一方、著名投資家ウォーレン・バフェット氏が率いるバークシャー・ハザウェイが7〜9月期に新たに株式を取得していたことが判明したアルファベットは上昇した。
【シカゴ日本株先物概況】
17日のシカゴ日経平均先物は下落した。12月物は前週末比645円安の4万9785円で終えた。この日は日米の株式相場がともに下落し、シカゴ市場の日経平均先物にも売りが広がった。
シカゴ日経225先物 (円建て)
49785 ( -485 )
シカゴ日経225先物 (ドル建て)
49830 ( -440 )
( )は大阪取引所終値比
【欧州株式市場】
■イギリス・ロンドン株価指数
17日の英FTSE100種総合株価指数は3日続落し、前週末比22.94ポイント(0.23%)安の9675.43で終えた。米経済統計などの材料不足から米金融政策の先行きを予想しづらく、投資家が慎重姿勢を強めた。
米政府閉鎖の影響で遅れている政府統計の発表が再開されるため、徐々に公表される米経済指標の内容を確認したいと様子見の雰囲気もある。日中関係の悪化懸念が、高級ブランドの英バーバリー・グループや空運株の重荷になったとの指摘が聞かれた。
FTSEの構成銘柄では、高級衣料のバーバリーが6.62%安、小売り大手JDスポーツ・ファッションが4.73%安、産金大手エンデバー・マイニングが3.51%安と下げを主導。一方、広告大手WPPは11.03%高と急伸、フランスの同業などがWPP買収に関心を示していると伝わり、材料視された。投資持ち株会社パーシングスクエア・ホールディングスは2.63%高、たばこ大手ブリティッシュ・アメリカン・タバコも2.14%高と買われた。
■ドイツ・フランクフルト株価指数
17日のドイツ株価指数(DAX)は3日続落し、前週末比286.03ポイント(1.19%)安の2万3590.52で終えた。米国で連邦政府機関の一部閉鎖が解除され、遅れていた米政府統計の発表が徐々に再開される。米経済指標の内容を改めて確認したいと、投資家が慎重姿勢に傾いた。17日の米国株相場が下げ幅を広げる場面があり、欧州株の重荷となった面もある。
個別では、一部金融機関が目標株価を引き上げた医療機器のシーメンス・ヘルシニアーズが4.76%安、通販大手ザランドが3.36%安、ドイツ銀行が3.31%安と下落。半面、エネルギー大手シーメンス・エナジーは3.39%高、セメント大手ハイデルベルク・マテリアルズは1.20%高、不動産大手ボノビアは0.35%高となった。
■フランス・パリ株価指数
欧州株式市場で、フランスの株価指数CAC40は3日続落し、前週末比0.62%安で終えた。