1月3週
今週の相場感
(2) 欧米動向
久々に目にしたNY大学のルービニ教授。 「議会は『財政の崖』に転落することを避けた。 しかし2ヶ月後には1100億ドルの税制カットが開始される。 つまりわずかの時間稼ぎをしただけ。 小さな政府を志向する共和党と、医療福祉予算維持にこだわる民主党。 税制改革の議論は付加価値税を増税するか、所得税率をあげるか、なお決着を見ていない。 オバマ政権は向こう10年で6億ドル削減を主張しているだけ。 当初の財政削減目標は10年で1.4兆ドルの話の筈」。 間違ってはいないが、相場のトレンドが変わったことで、あまり話題にはならないもの。

今週号のバロンズは「財政の崖は歴史の彼方に追いやられたような感じ。 しかし実はこれから2ヶ月の間に政治家がやるべきことは多い。 しかし株式市場には2ヶ月間は心配しなくていい雰囲気が満ちている」。 少し前ならばルービニ氏のコメントはありがたがられるご宣託であったろうに・・・。

バイロン・ウィーン氏のびっくり10大予想。

1..イランがウラン濃縮に成功し核兵器の製造が可能になったと発表。 国際原子力機関(IAEA)も確認する。 米国をはじめ制裁や外交でイランの原子爆弾製造の抑止に努めるが、選択肢は限定的に。

2.S&P500が1300ポイント割れへ。 世界経済鈍化で国際競争力が増し企業は価格決定力を失う。

3.2012年の上昇から一転し金融株は難局入り。 商業銀行部門と投資銀行部門共に競争が激化。 出来高減少で利益率が縮小し、人員削減が進み賃金も低下へ。 規制強化と訴訟がセクターの重しに。

4.民主党主導で2020年より以前に中東への原油依存からの脱却を図り原油は70ドル割れ。 一方で国内でのシェールガス生産に注力するため米国での水圧破砕の規制を緩和。 エネルギーをはじめ住宅やインフラでの雇用が拡大。

5.2016年大統領選でのヒスパニック票田獲得を狙い、共和党が従来路線から180度転換。 条件を満たす不法移民の市民権付与に尽力。

6.中国の新たな指導者は不正根絶を徹底化するほか、成長率7%で安定成長路線を維持し。 かつ医療保険制度と退職制度の改善に努める。 2012年にインドをはじめとした新興国に抜かれた上海総合は上昇しA株は2%高へ。

7.天候不順が不作をもたらし食料品価格は急伸.生活費は高騰。 エマージング国の生活水準が上がるとともに食料需要も拡大し価格上昇を後押し。 投資家はコモディティへ資金を流入させコーンは1ブッシェル8ドル、小麦は9ドル、 牛肉は1ポンド1.5ドルへ。

8.インフレは抑制的ながら金は1900ドル超えへ。 各国中銀による自国通貨安誘導で金融市場がゆがむため。

9.日本経済は低迷を続け、対ドルで100円まで円安が加速。 日経225は円安と輸出改善を手掛かりに2012年11月からの上昇気流を保ち 1万2000円を突破へ。 世界第3位の経済大国へ投資家が回帰する。

10.欧州の構造改革は概して根本的な解決を生ま 2012年からの緩やかな景気後退が継続。 大規模な財政赤字を抱える国で財政健全化の導入が進むため市民による抗議活動は続く一方で、 ギリシャは無駄な歳出縮小と脱税市民からの税金取立てを通じ赤字削減に成功する。 ただし欧州株は米株につれ、10%下落へ。

日銀が発表した12月の資金供給量(マネタリーベース)は131兆9837億円。 前年同月比11.8%%増で前年実績を上回るのは8カ月連続。 しかも2カ月ぶりに過去最高を更新。 当座預金残高は36.55%増の43兆5567億円で2カ月ぶりに過去最高を更新。

紙幣発行高は2.8%増と11年9月(2.9%)以来の高い伸び率。 貨幣流通高は0.5%増で08年11月(0.5%)以来の高い伸び。 マネーの供給が滞っていない限り、株式市場には追い風のはず。 ここを市場は全く解釈していない様子。

(3)アジア新興国動向
中国の12月貿易統計は、輸出が前年同月比+14.1%(市場予想:同+5.0%)と7 ヵ月ぶりの高水準で着地。 ASEAN、香港向け輸出が同+27.8%、同+34.4%と好調であったことなどに加え、輸出のウェイトがもっとも大きいEU向け輸出(全体の約2 割)が11 月の▲18.0%から+2.3%へと急回復したことなどが背景。
【展望】
スケジュールを見てみると・・・。
11日(金):オプションSQ、12月景気ウォッチャー調査、米貿易収支、輸入物価
14日(月):東京市場休場(成人の日)
15日(火):機械受注統計、マネーストック、
16日(水):米消費者物価、鉱工業生産
17日(木):フォラデルフィア連銀景気指数
18日(金):米ミシガン大学消費者信頼感指数

孫に教育資金を贈与すれば一定額を非課税に。 にわかに登場した緊急経済対策に反応したマーケット。 学習塾関連銘柄が急騰した。 そして「スポーツ庁設置」の話からスポーツ関連も上昇。 アベノミクスに一喜一憂するマーケットの印象。 ただ、政策の中心で見え隠れするのは「官民ファンド」の言葉。 何でもかんでも「ファンド」での運用という姿勢が目につく。 あたかも「ファンド」という名詞を適用すればすべてがバラ色になるようなユーフォリア感。 必ずしも「ファンド」がすべてを解決してくれる訳ではなかろう。 そして「ファンド」が登場すると脳裏に浮かぶのはやはり小泉内閣時代。 ということはまた忍者の画策が当然ながら始まったということだろうか。 ある意味、「ファンド」という響きには市場至上主義が漂っている。 そして、「ファンド」が活躍する余地があるのなら、 優先されるべきターゲットは当然、信託銀行ということになる。 その方があれこれ類推するよりも手っ取り早いだろう。

とはいうものの、株式市場に対しての信託銀行の動向は売り越し基調。 12月最終週は2403億円の売り越し。 その前週は3245億円の売り越し。 個人の株式売買シェアが32.7%と3年ぶりの水準に上昇。 外国人投資家は月間1.5兆円の買い越しと7年ぶりの高水準。 1982年以降で6番目の月間買い越し額。 年間では2兆8264億円になった。 05年の10兆3218億円はまだまだ遥か上の水準ではあるがそれでも健闘。 そんな中での信託の売り越しは目立つ。 もっとも信託そのもの売りではなく委託している年金などの売りなのだろう。 個人と外国人が奮闘するなかで、後ろから槍が飛んできているのが現実。

市場ということで印象に残ったのは日経朝刊のマレーシアのマハティール首相の言。 見出しは「日本の失敗に学ぶ」。 「停滞の原因の一つは日本の価値観の変化。 かつて日本は政府と企業が緊密に連携して発展してきた。 これは悪だと連携を遮断した。 終身雇用制など成功の鍵を全面的に否定して米欧流の価値観を急激に移植し 混乱が深まった」。 市場至上主義と市場原理主義に犯されるか超越するか。 これからの課題に違いない。

「株式の配当利回りと国債の利回りが逆転するまでの株高継続の可能性」。 昨日頭の片隅で考えていた。 同じようなことを考える人はいるようで、今朝の日経では「債券から株式へのシフト進む」。 「東証1部の予想配当利回りは2.2%程度。 0.8%程度の長期金利との差は1.3%程度と約8ヶ月ぶりの低水準。 リスク回避の動きが強まった昨年は1.9%程度と異例の水準に広がる場面もあった。

金融市場が正常化しつつある証拠との声も聞こえる」との指摘。 債券よりもリスクが大きい株式の配当利回りが高いのが常識だが、どこまでいくのか。 債券利回りが上昇して逆転するか、あるいは株価が上昇して逆転するか。 ひとつのメルクマークにはなろうか。

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