07月3週
今週の相場感
7日(月)
土曜の日経は「ジャスダック、7年ぶ り高値」の見出し。07年2月以来の水準まで回復した。主体 は「値動きの軽い銘柄に集まる個人マネー」と「ハイパフォー マンス指向」の海外投資家。「このところの上昇でイブの銘柄 には過熱感がある。ジャスダック市場の予想平均PERは16 倍台後半と東証1部に比べてやや高い」との指摘。しかし、成 熟産業と成長産業には当然視点の違いがなければならない筈。 どこまでも突っ走るのが株式市場特色でもある。一方で警鐘的 なのは「世界株に広がる過信」とのコラム。IMFの予想では 2014年の世界のGDPは77兆ドル弱。これに対し世界の 株式の時価総額は70兆ドルまで増加。GDPに対する株式時 価総額比率は90%を上回る。ITバブル期の99年に120 %、米住宅バブルの07年に110%に達したが、その後相場 は下落。世界だけでなく日本に当てはめても、GDPは500 兆円弱、時価総額は470兆円弱。本来は山より大きなイノシ シは出ない。しかしバブル時などの過去には600兆円まで行 き過ぎたのも歴史。時価総額がほぼGDPに匹敵した、と見る か。東証1部の単純平均株価はまだ300円、と見るか。数字 の用い方で相場観は容易に変わることがある。海外投資家が喜 びそうなのが、「年金日本株に2500億円」の記事。日本株 を3月に買い越した金額が2500億円。4〜6月の信託経由 の買い越しは8675億円。これで国内株の比率は16%。ゴ ールドマンの試算では6月末に17%まで上昇しているという 。一方で国内債券の比率は3月末で53%。償還と利金を年金 原資にしている構図。年金は忠実にグレートローテーションの 波に乗っているように見える。興味深いのは昨年どのGPIF の収益の黒字化。GPIFが自主運用を始めた2001年度か らの収益は合計35兆4415億円。そのうちの約6割は安倍 政権発足以降のここ2年で稼いだ収益。気がつくのが遅すぎた のか、時期が尚早だったのかは不明。少なくとも株高宰相と言 えなくはない。日経平均株価は57円安の15379円と反落 。ソフトブレイン、チノーが上昇。アイフル、イオンが下落。

8日(火)
休み明けのNYはモタモタとして4日 ぶりの反落。ダウの17000ドル台乗せでの一服感なのだろ うか。そのダウの17000ドル台乗せをけん引したのが、キ ャタピラー、インテル、メルク、 J&J、ディズニー、シス コシステムズ、マイクロソフトとの声。
一方、足を引っ張ったのがボーイング、GS、GE、ウォール マート、ビザとの指摘。アンワインドに期待するのが良いのか 、相場の継続性に期待するのが良いのか複雑な局面。アリババ 上場に際しての換金売りの可能性を考えれば、アンワインドの 可能性の方が高いのかも知れない。どんなに良い銘柄でも、必 要に応じて売られることがあるのも株式市場。これも重要なフ ァクター。投資家さんも営業マンもどういう訳か、必要に応じ て売らざるを得ない時は利食い玉から売る傾向がある。利食い を残して引かれ玉を整理するなんて格言にはあっても実際には なかなか難しいもの。ただこの方式の方がパフォーマンスは良 い筈。日経平均株価は65円安の15314円と続落。沖電線 、イワキが上昇、。愛三工、東京個別が下落。

9日(水)
本来はSQ週の荒れる水曜日。加えて TOPIX型運用の配当の再投資の日。この綱引きだった。東 証2部株指数は前日まで7日続伸。株式経済新聞が「異彩の強 さ見せる東証2部」と特集したのは7月1日。最近上昇してい る2部株は直近新興市場からの指定替えではなく、長期2部銘 柄が多い。 安定した歴史と堅実な経営と言う点で新興市場よ りも安心感は高いのかも知れない。そして、玄人好みの銘柄群 も多い。日経平均株価は5月14日〜19日以来の3日続落。 「今回のPKO戻り相場が始まった5月後半以来始めて」との 指摘。「変調」と見るか「調整」と見るか。値下がり銘柄数は 1333銘柄と多かったが日経平均の下げ幅は限定的。ソフト バンクやファストリ、ファナックといった値がさ株が大引けに かけてプラスに転換。25日線をターバイゾーンとしてのPK O的動きは継続していると見たいところ。騰落レシオは120 .44%。空売り比率が31.2%まで上昇したのが気に食わ ないがサイコロは50%。裁定買い残は金額は41億円増加し 3兆553億円になったが株数は3550万株減少。 25日 線(15208円)からの乖離はタッタの0.6%。信用取引 の評価損率はマイナス6.10%まで低下(前週はマイナス8 .53%)。松井証券経由では売り方マイナス10.9%、買 い方マイナス4,8%。日経平均株価は11円安の15302 円と3日続落。パル、乃村工藝、マニーが上昇。SI、オーバ ルが下落。

10日(木)
3日経では「長期金利15ヶ月ぶり 低水準」の見出し。10年国債利回りは0.54%と1年3ヶ 月ぶりの水準まで低下した。背景は日銀の毎月7兆円にも及ぶ 国債買い入れ。そして海外金利の低下で外債投資を増やす訳に はいかないこと。そして情けないのは企業の資金需要の低迷に 名を借りた銀行の消極的融資姿勢。6月の銀行貸し出しは41 3兆円で1年前より10兆円増加した。しかし預金は15兆円 増加している。預金から貸出金を引いた「余剰資金」は194 兆円と過去最高。上場企業の手元資金も90兆円余りと過去最 大。誰もがリスクを取らずにお金を溜め込む構図では成長性な どみじんもない。融資競争は厳しく5月の拝金貸し出し金利は 0.78%と過去最低。誰もが貸す様な相手先にしか貸さない からこうなるのだろうか。ベンチャーとか中小中堅企業への支 援なんて思考は銀行にはないのだろうか。お金を溜め込んで安 定を囲っても先行きが明るいとは思えない。日経平均株価は8 6円安の15216円と4日続落。沖電線、Vコマースが上昇 、ソフトバンク、Jマテリアルが下落。

11日(金)
日経では新連載小説「禁断のスカル ペル」がスタート。勤務医の女性医師が主人公。家庭崩壊、腎 臓移植手術、天災などが登場し葛藤する姿を描くという。課題 は「禁断」。「何が禁断かは、物語が進むうちにはっきりとし てきます」というのが前説。アイルケなみになるのかどうか。 あるいは甘苦上海なみになるのかどうか。静岡の波止場物語よ りはマーケットインパクトはありそう。7月SQ値は1508 4円。前回6月SQ値は14807円だったので277円の上 昇。ただ前日終値15216円からはマイナス132円。SQ 値は前回SQ値よりも上昇しているが、前日木曜の終値よりも 安い。この傾向は相変わらず継続。しかも下に幻のSQ値。ま た今月も初日上昇、月中軟調、月末高のパターンになりそうな 気配。因みに6月は13日から反発。5月は21日から反発し た。それにしてもアベノミクス後、初の5日続落。これまでは 4日続落すれば反発だったのが、崩れた。売買代金は8日連続 で2兆円割れ。おまけに25日線(15217円)も約2ヶ月 ぶりに下回っての推移。騰落レシオは107%。日経平均株価 は52円安の15164円と5日続落。沖電線、JIN、芦森 工が上昇。東洋電、津田駒が下落。

(2)欧米動向
NY市場では独立記念日が明けた7月第2週以降は小型株中心 に軟調な展開が多いというのが歴史。
NASDAQはここから「弱い4ヶ月」というのがアノマリー ともいえる。
そして8月に予定されているのがアリババの上場。
換金売りの可能性は覚えておいた方が良かろう。
一方で明るいアノマリーは「決算発表シーズンの株高」。
四半期決算発表のピーク4週間にS&P500はこのところ下 がっていない。
14年1〜3月決算ピークの4月14日〜5月19日の4週間 。
S&P500は3.5%上昇した。
13年7〜9月決算発表ピークの10月14日〜11月8日の 4週間。
S&P500は4.0%上昇した。
13年1〜3月期決算ピークの4月15日〜5月10日の4週 間。
S%P500は2.8%上昇した。
「だから今回も」というのは単なる願望に過ぎない。
月初高→調整→月中安→月末高の動きが生きているのなら それこそ押し目形成なのだろうが・・・。



(3)アジア・新興国動向
16日に発表予定の中国のGDPがポイント。ポルトガルの金 融問題は一過性か。

【展望】

スケジュールを見てみると・・・。

11日(金)
米財政収支
b>週末
サッカーワールドカップ決勝
14日(月)
日銀金融政策決定会合
15日(火)
黒田日銀総裁会見、首都圏新規マンション販売、米小売売上高 、 NY連銀製造業景気指数、独ZEW景況感
16日(水)
米鉱工業生産、ベージュブック、中国各種経済指標
17日(木)
米住宅着工件数、フォラデルフィア連銀景況感
18日(金)
BBレシオ、米ミシガン大学消費者信頼感、CB景気先行指数


市場ではまた「ジブリの法則」の蒸し返し。
アベノミクス相場で少し忘れられていたが、先週末は「ものの け姫」。
今週末は「となりのトトロ」。
来週末は「アリエッティ」と続きます。
ちなみに昨年は7月5日「耳をすませば」。
当日の日経平均は291円高で休み明けは200円安。
7月12日「平成狸合戦」。
当日の日経平均は33円高で休み明けは92円高。
7月19日「猫の恩返し」。
当日の日経平均は218円安で休み明けは68円高。
まちまちの株価で大した因果関係は当然ながらありません。
毎年夏の風物詩のようなものと思えばいいだけの話でしょう。
ちなみに昨年以降の「コナン」と「ルパン」の場合は 4月19日「コナン11人目のストライカー」。
当日の日経平均は96円高で休み明けは251円高。
11月15日「ルパン隠された空中都市」。
当日の日経平均は289円高で休み明けは1円安。
12月6日は「コナンVSコナン」。
当日の日経平均は122円高で休み明けは355円高。
今年2月7日は「コナン14番目の標的」。
当日の日経平均は307円高で休み明けは255円高。
3月28日は「ルパンVS複製人間」。
当日の日経平均は73円高で休み明けは131円高。
4月18非は「コナン絶海の探偵」。
当日の日経平均は98円高で休み明けは3円安。
どちらかというとジブリを警戒するよりもコナンとルパンに期 待というところでしょうか

少し長い目で相場を見てみると・・・。
日経平均株価の13週移動平均は26週移動平均を上抜きそう な気配。
短期線が長期線を上抜くのだからゴールデンクロスということ になる。
デッドクロスしたのが今年の4月だからようやくのゴールデン クロス。
因みに、前回ゴールデンクロスしたのは2012年12月。
アベノミクスの始まりとともに昨年12月の16000円台ま で株価は上昇した。
小手先に囚われなければ、こちらを信じたいところだが・・・ 。

一方でNY。
S&P500の予想PERは16.6倍。
昨年末以来の高水準まで上昇した。
その前にこの水準だったのは04年の話だから結構歴史的水準 ではある。
因みにMSのレポートでは今後1年間のS&P500の目標は 2050。
ここからの上昇余地は約3%でしかない。
今後株価の上昇のためにはPERに目をつぶるか、企業業績が 拡大するしかない。
ところで、この16.6倍を日経平均に当てはめると・・・。 日経平均採用銘柄のEPS1030円×16.6=17098 円。
計算だけはいかようにも出来る。

安倍首相のブレーンである本田悦郎内閣参与(静岡県立大学教 授)。
ロイターのインタビューは覚えておいて良いだろう。

景気や物価は今のところ日銀の物価安定目標の達成に向けてオ ントラック。
予想インフレ率の落ち込みがなければ日銀は追加緩和しないだ ろう。
2%の物価上昇率は、来年4〜6月にも達成できる。
日銀はテーパリングについて準備しておく必要はある。
しかしオープンに議論すると期待インフレ率が弱まる。
4月の落ち込みは想定内だったが、5月の消費や実質賃金の落 ち込みは少し想定外。
このまま落ち込めばデフレに戻ってしまうリスクすら感じてい る。
しかし7〜9月のどこかで必ず戻ってくる。

重要なのは以下の部分。

10%への消費増税の判断に関して今の段階ではわからない。
4月に増税して12月に次の増税の判断というのはあまりにも 短い。
3月まで遅らせてもいいのではないか。
4月に消費増税を行い財政規律への日本の姿勢を示しており、 すぐに国債の信認に傷がつくとは思えない。


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