10月第2週
【推移】
6日(月):
雇用統計通過。非農業部門の雇用者数は前月比24.8万人増で着地。7月の改定値は14.3万人、8月は18万人に上方修正された。民間サービス部門の雇用者数は20.7万人増加。食品・飲料など小売りが堅調。情報通信・金融・レジャー関連は好調だった。既に百貨店のメーシーズが既にクリスマス商戦での8万人強の雇用を発表。やはり雇用は悪くない。結局、雇用が良くて金利上昇懸念という間違ったシナリオからは脱却できそう気配。あのチグハグが大手を振っていたことが異常だったのだろう。エボラ熱と雇用統計。株はアチコチ反応するもの。東証では空売り比率が36.4%(前日は36%)と拡大。日時のデータが残る08年秋以降では最高となった。売買代金の4割が空売りというのが正しいのかどうかはわからない。しかし、確信犯的な売り方シナリオに疑心暗鬼が乗っかる構図は変わらない。とはいえ、そこまでいけばNY株も反発での戻り。慌てず、騒がずを貫けばそんなに右往左往する必要もないだろう。因みに週末時点の松井証券の信用評価損益率速報。売り方はマイナス11.66%、買い方はマイナス9.13%。その差は接近してきたが逆転することなくスプレッドを広げてほしいところ。日経平均株価は182円高の15890円と続伸。雇用統計を一応は好感したNY高へのツレ高。ミタチ、JUKIが上昇、チヨダ、オンワードが下落。

7日(火):
NY市場のアノマリーは「月初の法則」。月初日の騰落と月間の騰落は60%以上の確率で一致するという。あるいは「四半期入りの最初の5日の騰落と四半期の騰落の方向性は70%の確率で一致」。ただし2011年10月は3日にS&P500が2.8%下落した。しかし週間では2.1%の上昇、月間では10.7%の上昇だった。苦しいアノマリーではある。東京では「12月高のアノマリー」とあるチャーチスト氏。過去6年間日経平均は12月に月間上昇となっている。NYは5年連続での12月上昇。「秋の落ち葉はクリスマスへの準備」とチャーチスト。日経平均株価は107円安の15783円と反落。前場はプラス展開となったが、108円台まで上昇した為替の円高傾向を嫌気した。エアーテック、オリジンが上昇、セ硝、トーセイが下落。

8日(水):
SQ週の荒れる水曜日。もっとも日経平均の日中値幅は6日連続で100円を超えておりボラの高さはフツーの傾向。6日以上の100円越えは8月5日〜13日以来。寄ったら終いが多いがザラバに暴れる相場になるのかどうかが課題。NYで持ち出してきた材料はドイツの鉱工業生産の悪化。欧州経済の軟調など今日始まったこともでもなかろう。言い古された安全資産への回帰で米国債は変われ10年国債利回りは2.3%台まで低下した。ドイツやIMFという解釈ばかりが聞かれる。だがロシアの通貨ルーブルの下落継続の方が肌寒い印象。史上最安値を更新しており、低迷しているロシア経済に追い討ちとの観測。経済制裁と原油価格の下落を背景に外貨は流出。
物価は上昇。「通貨の売られる国が栄える訳がない」の実証のような様相。一方でアメリカのルー財務長官は「強いドルは米国にとって良いこと」とのコメント。常識が常識でない世界への移行の一里塚となってくれるのだろうか。また「SQ週は負けの確率が高い」というアノマリーもある。今年は2勝7敗というのが結果。SQ週に上昇したのは9月と6月の2回。ということはメジャーSQ以外の週は負け続け。因みに今年のSQ週の騰落率。9月プラス1.78%、8月マイナス4.79%、7月マイナス1.76%、6月プラス0,13%、5月マイナス1.78%、4月マイナス7,32%、3月マイナス6.19%、2月マイナス1.03%、1月マイナス2.32%。日経平均株価は187円安の15595円と続落。橋本総業、スターツが上昇、富士急、飯田が下落。

9日(木):
ドイツの景気悪化やIMFの経済見通しの下方修正。ロシア通貨のルーブル安や中国不動産動向への懸念。持ち出される材料は大半が米国外の出来事。それでもNY株価の下落の要因として解釈されるから見えなくなる。大幅下落の翌日の大幅高。解釈はFOMC議事録でFRBは「経済が耐えられるようになるまで利上げなし」の姿勢。つまりFOMC議事録控えでの警戒感で下げ、通過で戻した格好。右往左往してアチコチ下落の材料を探し回り、警戒感を増長させるのが市場関係者。しかしその言に乗って右往左往するとロクなことはない。もっともNY市場の値幅の振幅は大きくなってきた。NYダウは272ドル安の後の274ドル高。10月になって200ドルを超える日中値幅は4回目。1日238ドル安、3日208ドル高、7日272ドル安、8日274ドル高。QE3の終焉に向けてのFRBの姿勢に対する解釈の変化での強弱感の対立。そう考えれば、地球儀をひっくり返す必要もなかろう。因みにNYダウが200ドル超の下落が2日あったのは昨年6月。背景は当時のバーナンキFRB議長の発言に端を発した量的緩和の早期終了観測。この警戒感が振幅を激しくさせた。下げの材料は常に米国内にあるのだが、目くらま的の米国外の材料が登場するのが市場。この目くらましに引っかかるから、相場が見えなくなるのだろう。そして警戒感なんて余計なものを背負い込むに違いない。日経平均株価は117円安の15478円と3日続落。NY高を好感して前場は100円超の上昇となったが、為替の円高傾向を嫌気しての下げ。東洋エンジ、ABCなどが上昇、Vテク、クラリオンが下落。

10日(金):
NYダウは10月の7営業日のうち5日は200ドル超の上げ下げ。200ドルでは事足らず昨日は300ドル以上の下げとなった。東京では日中値幅が前日まで8日連続で100円超。「ボラ高く株冷える秋」では洒落にもならない。SQ値は15296.36円。IMFはおせっかいにも「金融緩和の長期化が過度にリスクを取る動きにつながった」。おまけに「投資家の解約が急増した際に金融危機が国際的に連鎖する事態を懸念」。あるいは「流動性リスクに市場の懸念にこたえるために現金や換金性の高い金融商品を積み増すことが必要だ」とも。結論は「生産・労働市場の構造改革を進める必要がある」というチグハグな論調。しかし、このIMFのアリバイ作りのような恫喝が秋の日の釣瓶落としの背景と読める。 ファンド資本主義の弊害でもある。SQ値は15296.36円で通過。日経平均株価は178円安の15300円と4日続落。東証1部の売買代金は2兆6877億円。NYダウが334ドル安と今年最大の下落幅となったことを嫌気した格好。ファーストリテ、グリーが逆行高、値下がり銘柄数は1664でトヨタ、ファナックなどが下落。木曜段階で騰落レシオは84%まで低下。日経平均採用銘柄のPERは15.01倍まで低下。JPX400は14.99倍と15倍台割れ。日経平均採用銘柄のPBRは1.27倍まで低下。東証1部の単純平均株価は286円まで低下。25日線は15921円で1.78%のマイナス乖離。マイナス4%乖離で15284円、マイナス5%乖離で15124円。200日線が15122円だからここが死命線だろう。

(2) 欧米動向
ドルベースの日経平均を外国人投資家が気にするのかどうかは議論の余地のあるところ。
しかし7月末に153ポイントだったものが8月8日に145ポイントまで下落。
直近は144ポイント水準で推移している。
要は上がっていないというか8月8日水準からも下落している。
ドルベース日経平均の年初来高値は1月6日の154.83。
年初来安値は4月11日の136.50。
昨日が144.26。
4月11日からの日経平均の上昇率は12.3%。
ドルベースでは5.6%。
パフォーマンスは日経平均の半分だった。
一方で日経平均は、7月末は15759円、8月8日に14753円まで下げた
その後16374円まで上昇したものの昨日は15595円。
8月8日と比較すると842円上昇しているし、5.7%上昇している。
そもそも通貨が売られる国の株式を真剣に買うかどうかと言えば、たぶん買わない筈。
通貨も買われるという読みがあって初めて株式を買うのではなかろうか。
日本から海外の株式を買おうとすればこれがセオリーであろう。
この視点が外国人買いへの期待から欠落しているような気がする。

NYダウは10月の7営業日のうち5日は200ドル超の上げ下げ。
200ドルでは事足らず昨日は300ドル以上の下げとなった。
東京では日中値幅が昨日まで8日連続で100円超。
「ボラ高く株冷える秋」では洒落にもならない。

(3)アジア・新興国動向
一部調査機関によると中国企業の売上高の伸びは7.9%、EPSの伸びは10%。
予想PERは8.5倍。
香港企業の売上高は8.8%の伸びでEPSはマイナス3%、予想PERは13.9倍。
少し差が出てきている。

【展望】
スケジュールを見てみると・・・
13日(月) 体育の日で休場、中国9月貿易収支    
14日(火)マネーストック、国内企業物価指数、独ZEW景況感
15日(水)首都圏マンション販売、米小売売上高、NY連銀製造業景気指数、ベージュブック、中国生産者・消費者物価
16日(木)リクルート上場、米鉱工業生産、フィラデルフィア連銀製造業景況感、NAHB住宅価格指数
17日(金)黒田日銀総裁が全国信用組合大会で挨拶、米住宅着工件数、シガン大学消費者信頼感

OECD景気先行指数が発表された。
8月の加盟33カ国の景気先行指数は100.4と前月からほぼ変わらず。
同指数は2013年11月以降100.5近辺で推移。
「安定した成長の勢いが確認された」との解釈。
ドイツの先行指数は99.7と7月の100.1から低下。
英国の先行指数は100.7で、7月の100.8から小幅な低下。
日本は99.8から99.6に低下。
OECDのコメントは「一時的要因によるものと考えられる」。
消費増税が景気を悪くしたといえば良いだろう。

IMFの世界経済見通し。
今年の世界経済の成長率予想を3.3%、来年は3.8%にそれぞれ引き下げ。
7月時点の予想は今年が3.4%、来年は4%だった。
今年の日本の経済成長率予想は0.9%。
7月時点から0.7ポイント引き下げ先進国の中で最も大きな下方修正となった。
2015年の成長率予想についても0.2ポイント引き下げ、0.8%。
「物価上昇ペースが鈍ったり、経済成長率が予想を下振れた場合は一段の緩和が必要」。
そして「2015年10月予定の消費税率引き上げについては、予定通り実施するべき」。
おめでたいコメントは「4月の消費増税を背景とする第2四半期GDPの大幅減について、
短期的となる見込みで、その後は緩やかに回復する」。
何処に根拠があるのかは不明ながら緩やかな回復とのご宣託。
それでも経済成長率見通しは引き下げているのだからつじつまは合わない。
おまけに「日銀は2%の物価安定目標が達成可能かどうか判断する際に
利用する指標を明確にするなど、コミュニケーションの改善に一段と取り組むよう求めた」。
そして「こういった取り組みは、資産買い入れプログラムの調整や将来的な出口戦略の準備が必要となった場合に市場の期待を適切に導くのに役立つことになる」。
日銀が本当にコミュニケーション不足なのかどうかは疑問の残るところ。

市場というのはいろいろな解釈があって興味深い。
先日流れたのは「GPIFの基本ポートフォリオの発表は12月にずれ込む模様」。
政策研究大学院の伊藤敏隆教授へのインタビューでのコメント。
「新たな資産構成比率の発表は12月にずれ込む可能性がある」。
加えて「GPIFが保有資産の変更を発表前にしてしまうか、
発表後に実施するかを議論している」。
これは余計なコメントだったかも知れない。
そして「仮に・・・。
新資産構成の発表前に国内債券の売却と日本株式や外貨建て資産の買い増しをする場合、 発表は12月まで遅らせる必要がある」。
これに対して市場の読みは「すでにGPIFが動いている可能性がある」。
あるいは「すでに動いているから発表がずれこむ」。
想像力が豊かでないと、市場では生き抜くのが難しい。

先週の海外投資家は5週ぶりに1947億円の売り越し。
外国人が売ったから株安という解釈になるのかも知れない。
一方で信託の買い越しは年金関連の買いと読みたいし、個人は3542億円の買い越し。
しかし、悪役は7週連続売り越しの投信。
そして2112億円売り越しの自己部門。
投信と自己の売り越しは背中から刃物で切られたような印象。
獅子身中の虫としか思えない行動でもある。

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