11月第1週
【推移】
27日(月):
日経1面の左肩は「団塊75歳以上に。10万人定住へ病院が街つくる」。団塊世代が75歳を越える時代に対する国策としての「高齢者問題」はココにもある。 「2025年。日本は節目を迎える。それまでに団塊の世代がすべて75歳以上の後期高齢者となるのだ。このあたりから病気がちになる人は多い。医療費の爆発が懸念されると同時にどこに住めばじゅうぶんな医療があり安心できるかに人々の関心が集まりそうだ」。一見あまり関係なさそうな株式市場とREITがここでつながる気がする。興味深いのは日銀の動き。
マイナス金利での短期国債買い入れの問題は既に報じられた。もうひとつはETFの5割は日銀が保有。そしてREITの8月分の投資主体別売買状況。投信、銀行、生保・損保、その他金融機関がそろって買い越し。この5つの投資主体が軒並み買い越したのは、過去10年で4回。一方で売り手は個人。解釈は「各REITの日銀による保有比率は5%がその上限。保有枠に余裕がある銘柄を先回りして買っておき、最後は日銀に売却する段取り」と。 利に対する聡さであろうか。またETF市場でも高まる日銀の存在感。日銀のETF保有残高は簿価ベースで約3兆円。時価換算では約4.4兆円で指数連動型ETF全体の5割程度まで達した。ラストリゾート日銀という安心感が市場に漂っているのかも知れない。日経平均株価は97円高の15338円と続伸。売買代金は1兆6628億円と3日連続で2兆円を下回った。クボテック、東電が上昇、パスコ、カッパが下落。

28日(火):
日経朝刊では、「北米シェール戦略見直し」の見出し。英蘭ロイヤル・ダッチ・シェルはシェール鉱区を売却。英BPは米本土事業を分社化。苦戦の背景は「掘っても想定通りの原油やガスが出てこない」。90年代から優良な鉱区を抑えたアメリカ勢い。1周遅れのランナーとして参加した日本や欧州勢とは確率が違うということ。 当然無尽蔵にガスや油がある訳ではないだろう当たり外れは当たり前の世界。それでも事業計画書はバラ色に満ちていて、結局みんなで渡れば怖くない、の世界が登場していたことになる。シェールにしても相場にしても「みんなで渡って怖くない」ことは滅多にない。日経平均株価は58円安の15329円と3日ぶりに反落。エクセル、関東電化が上昇、ナカヨ、小森が下落。

29日(水):
半値戻しは15451円。13週移動平均が15496円レベル。そして15500円というのが紙芝居的シナリオなのだろうか。マドで考えてみると(1)10月9日〜10日:15461円〜15345円(2)10月7日〜8日:15755円〜15643円(3)10月1日〜2日:16081円〜15661円。まずは(1)のマド埋めからとなる。一方でNYダウ。イスラムのヒジュラ暦の新年の10月25日以降は負けなし。そして小売売上高まで持ち出して底を打ったのが10月15日。まさに月前半のファンドの売りでの下落、月後半のファンド売り消滅での反発の構図。 この単純な図式から考えればQE3の終焉懸念や欧州財政問題など所詮飾り物みたいなものかも知れない。日経平均株価はスルッと15500円越え。寄り前発表の鉱工業生産指数が市場予想を上回って着地したことを好感した格好。前月比2.7%上昇で市場予想2.2%上昇を上回った。9月出荷は前月比4.3%上昇で大幅に増加。在庫は0.8%低下で5ヶ月ぶりの低下。あれ?消費税の影響は?という声も聞かれる。経済産業省は生産の基調判断を1年ぶりに上方修正。コメントは「弱含みで推移している」から「一進一退にある」に引き上げ。「弱含み」と「一進一退」のどちらが前向きなのかは微妙でわかりにくい。市場のキッカケとしては最適だったのだろう。面白かったのは昨日前場の先物主導の上げに対する市場の解釈。「アルゴではない人間系ではないかと思われる先物への大口買い」。300枚とか700枚なんて買い物はアルゴではなく人の手によるものという解釈。アルゴに人間系が勝てた日でもあった。日経平均株価は244円高の15553円と反発。3週間ぶりに15500円台を回復した。ソニー、アイロムが上昇、ホンダ、エスクリが下落。

30日(木):
FOMCでのQE3終焉は規定路線。となれば今度は利上げへの道。となれば日米金利差拡大から円安トレンド。そして一時的株高。この程度のシナリオなら大袈裟にFOMCを待たなくたって誰でもわかるだろう。それでも「様子見」が絶えない世界と言うのは面白い。「見て待ってそれでも様子見株式市場」。本来の世相の反映の場である未来予想図という格好良い言葉とは裏腹な世界でもある。 大引けでTOPIXの定期リバランス。売り予測はファナック、物産、重工、クボタ、京セラなど。一方買い予測はソフトバンク、三菱UFJ,KDDI,みずほ、りそななど。日経平均株価は104円高の15658円と続伸。TOPIXリバランスの影響もあり東証1部の売買代金は2兆7740億円。戸田工、ソフトバンクが上昇、日合成、山パンが下落。

31日(金):
GPIFは国内債券を35%に引き下げ海外株25%、国内株25%に引上げる方向。遅れていた材料がやってきた。そして「米3.5%成長」。市場予想の3%を上回り2期連続でのプラス成長。足元米国景気は悪くないという認識は間違っていない。そして1面トップは「心不全の心臓再生、テルモ実用化へ申請」。11月からスタートの「改正薬事法での再生医療等製品」で申請されるという。これも言って見ればスケジュールとの見合いの記事なのだろう。小さな記事では「iPSから心筋細胞培養、タカラバイオや京大」の記事は企業面。あちらもこちらも改正薬事法めがけてやってくる印象。一方で「米国勢、中小型株狙う」の記事。「数年間の雌伏を経て日本株投資を復活。海外年金など長期マネーが再びファンドに戻り始めたのが理由」。とうとう指数の合成の誤謬に気が付いて、個別重視の姿勢になったのだろうか。「日本株のリターンをさらに追求するには変化率の大きい小型株に目を向けざるを得ない」。外資系投信会社のコメントである。後場14時前に日銀は10〜20兆円の追加金融緩和を決定。上場投資信託(ETF)と不動産投資信託(REIT)の保有残高は、ともにこれまでの3倍に増やし、それぞれ買い入れペースを年間約3兆円と年間約900億円に増やす。ETFの買い入れ対象には新たにJPX日経400に連動するETFを加える。コレを受けて日経平均株価は755円高の16413円と続伸。上昇幅は08年10月30日以来の大きさ。年初来高値を更新し07年11月2日以来7年ぶりの高値となった。東証1部の売買代金は4兆1982億円。為替は一時1ドル111円まで下落した。ソフトバンク、ファーストリテが上昇、富士通、カシオが下落。

(2) 欧米動向
経済指標というのはそう間違ってはいない筈。
しかし解釈が理路整然と間違うから誤魔化される。
報じる方や市場関係者の解説というフィルターが邪魔なだけ。
昨日米商務省が発表した第3四半期の個人の住宅所有率(季節調整済)は64.3%。
前四半期の64.8%から低下し1994年第4四半期以来20年ぶりの低水準を記録。
背景は賃貸住宅に転向する人が増えたため。
住宅所有率はピーク時の2004年は69.4%。
一方賃貸住宅の空家率は0.1%ポイント低下し7.4%。
こちらは1995年第1四半期以来の低水準。
そして住宅関連ではケース・シラー米住宅価格指数の発表。
最近はベージュブック同様にほとんど話題にもならない。
経済指標に流行り廃りがあるという不可解な世界でもある。
20都市圏指数の伸びは前年比5.6%で2012年11月以降で最小。
市場予想の5.8%も下回った。
興味深いのはその解説。
「住宅価格の伸び鈍化は継続しており前年比の数字は弱まっているものの、
全体的には依然上昇している」。
これも興味深い説となっている。
「伸びは鈍化しているが上昇しているから良い」と言いたいのだろうが釈然としない。

そして9月の耐久財受注。
航空機を除く非国防資本財が前月比1.7%減で1月以来8カ月ぶりの大幅減。
市場予想は0.6%増だったからネガティブサプライズ。
全体の耐久財受注は前月比1.3%減で2ヶ月連続のマイナス。
解説は「企業信頼感がここ数カ月間、底堅く推移しており、落ち込みは一時的」。
この「一時的」というのが結構曲者の言葉でもある。
これらの悪い経済指標はそれこそ見えないフリ。
わずかに良かったのが消費者信頼感指数の94,5。
市場予想の87.0を上回ったことを評価して、NYダウは17000ドル台復活。
恣意的に使える指標を用いるだけなら、FOMCなど待つ必要はなかろう。

(3)アジア・新興国動向
話題は欧米中心となりアジア・新興国はやや蚊帳の外。

【展望】
スケジュールを見てみると・・・
3日(月) 文化の日で休場、米ISM製造業、新車販売台数
4日(火)米中間選挙、貿易収支、製造業受注、ロシア・インド休場
5日(水)マネタリーベース、米ADP雇用統計、ISM非製造業、BOE金融政策委員会
6日(木)景気動向指数、都心オフィス空室率、ECB理事会、インド休場
7日(金)米10月雇用統計

霜月11月相場は4日新甫。
となると14日のSQは一番遠い。
11月、過去25年は15勝10敗で2位のパフォーマンス。
2日米サマータイム終了
4日米中間選挙
6日ECB理事会
7日満月ポイントの日
11日米ベテランズデーでNY為替市場休場
13日ポイントの日
14日SQ
17日海王星順行開始
19日ポイントの日
22日新月
26日ポイントの日
27日NY株式・為替休場サンクスギビングデー
28日NY市場半日立会いブラックフライデ

先週の海外投資家は257億円の買い越し(前週は4076億円の売り越し)。
売りが止まったということ。
信託銀行は1580億円の買い越しで3週連続1000億円超の買い越し。
年金関連の買い継続は容易に予測できる。
そして個人は約700億円の売り越し。
証券自己売買は1958億円の相変わらずの売り越しだが前週の4361億円からは半減した。
気になるのは昨日の空売り比率が36.6%まで上昇したこと。
また売り方のヤラレは増える可能性は高い。

セル・イン・メイで5月に株→債券へのシフトをしたとすると今年のNYダウは5月〜10月のワースト6マンスはプラス1.4%程度。昨年はワースト6がプラス4.7%、ベスト6マンスがプラス6.7%。
これからの半年は1.5%以上の上昇アノマリーとなるのだろうか。
もっとも痛いのはヘッジファンド。マクロ系のヘッジファンドは米金利上昇(債券安)、ドル高、株高シナリオで動いた。
しかしこのシナリオではパフォーマンスが悪かった。
運用資産150億ドルのディスカバリーは年初来で20%超のマイナスリターンという。
ムーアキャピタルは年初来5.4%のマイナスリターン。これでは巻き戻しに動かざるを得ない。
一方でニヤッとしているのはトレンドフォロー系のヘッジファンド。
あるファンドは年初来28%のプラスリターンとの話。
過去2年はマイナス2ケタのマイナスリターンだったというから一息だろう。
もっとも運用の下手なヘッジファンドの動向を論じて怯える東京市場も問題。

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