11月5週
【推移】
25日(火):
土曜の日経1面は「アベノミクス争点」の記事。2年前との比較ではGDPは514兆円→522兆円と8兆円増えた。しかし東証1部の時価総額は約250兆円増えた。こちらの方が評価は高いだろう。
ただ個人消費は307兆円→306兆円と横ばい。
消費者物価指数はマイナス0.2%→1%と道半ば。
日経平均は7000円上昇。
為替は1ドル32円も円安になった。
一方で国の債務残高は997兆円→1038兆円と増加。
百貨店売上高は相変わらずの減少。
それでも、選挙の投票先は自民党35%、民主党9%。アベノミクス評価せずが、51%もいても野党への期待感は薄い。投票先未定は30%。
師走に600〜700億円もかけて選挙をして「問う」割には関心が薄い。
この無関心、無感動も市場展開とまったく一緒のような気がする。
日経平均株価は中国の利下げを好感した格好で50円高の17407円と3日続伸。
サニックス、九電工が上昇、コスモス薬品、グリーが下落。

26日(水):
日経平均の18000円。NYダウの18000ドル。
中身は違うがどちらも18000円。意味のない競争をしても仕方がないとは思うものの、気にはかかる。特にNYでは18000ドルに対する期待感が高い。
例えばNYダウ平均株価採用30銘柄に対する主要アナアリストの18ヶ月目標株価、30銘柄のうち13銘柄が予想を下回っている。これら13銘柄がアナリスト予想の平均値に到達すると18345ドルまで上昇するという話。
アナリスト予想は必ずしも正しいわけではないが、なんとなく説得力があるから不思議である。因みにJPモルガン、GE、ユナイテッドテクノロジー、ディズニー、アメックス、そしてベライゾンが7〜10%目標株価を下回っている。メルク・ホームデポ、エクソン、IBMが5〜7%程度下回っているという。
加えて、NYダウが前回17000ドルを超えたのが7月3日。かかった日数は224日。その前に16000ドルに達したのは昨年11月21日。かかった日数は198日。
15000ドルまでは2119日かかったが、1000ドルから11000ドルは35日。ITバブルの99年の話だが日数的には問題なくなってきている。
NASDAQの5000ドルとどちらが早いかの競争でもあろうか。
因みにNYダウは月曜に今年29回目の最高値更新。S&P500は45回目の最高値更新。年初来ではなく、史上最高値だから強烈である。加えればS&P500が5日移動平均を27日連続で上回ったのは過去最長の記録。
そしてアノマリーは「感謝祭からの株ラリー」。国内では11月最終週の株高(過去14年負けナシ)。
そして解散総選挙の株高アノマリー。こう重なるとどれかが崩れそうな気もしないでもない。日経平均株価は24円安の17383円と4日ぶりの反落。東証1部の売買代金は2兆2994億円。19営業日連続で2兆円超。売買エネルギーは夏よりも厚い傾向は続いている。
松井証券信用評価損益率速報。売り方はマイナス13.064%(前日はマイナス13.028%)。買い方はマイナス4.916%(前日はマイナス5.128%)。
指数はマイナス展開ながら短期指標の信用評価損率は好転。
チグハグながら悪くはない。
日エンター、神戸物産が上昇、タカタ、ニトリが下落。

27日(木):
10月の米新築1戸建て住宅販売件数。季節調整済みの年率換算で前月比0.7%増の45万8000戸で5月以来の高水準。 増加は3カ月連続。10月の耐久財新規受注。企業の設備投資の先行指標とされる航空機除く非国防資本財(コア資本財)。前月比1.3%減。前月の1.3%減に続き2カ月連続のマイナス。しかし全体の耐久財受注は0.4%増加し、3カ月ぶりのプラス。輸送機器を除くベースでは前月比0.9%減で昨年12月以来の大幅な落ち込み。チグハグな経済指標にはNYも振り回されなくなったのかも知れない。
日経の見出しは「信用買い残5週ぶり増。個人が押し目買い」。21日申し込み時点の買い残は2兆7511億円と前週比953億円の増加。「
17日の500円超の下落で積極的に押し目買いを入れたようだ」との指摘。
今回も正解だった。そして「17000円割れで個人は買いに動き、17500円に近づくと買い残を解消」との指摘大きな流れでも小さな流れでも「2・5・8の法則」は生きているような気がする。170→172→175→178→180。これが目先のレンジ。12000→15000→18000→20000。
これが少し長い時間軸のレンジ。2と5と8を大小からませながら相場は進んでいる。
空売り比率も27.7%と前日の30%台から低下。
ここが続けばメデタシとなろうか。日経平均株価は135円安の17248円と続落。
マーベラス、ヘリオスが上昇、アイロム、サクサが下落。

29日(金):
日経では「長期金利0.42%に低下」の見出し。日銀による過去最大の国債買い入れの影響で長期金利は依然低下傾向にある。
11月に日銀が買った長期国債は総額11兆1696億円。日銀が保有する長期国債の残高は193.4兆円。11月の新規国債発行額は約10兆円。日銀はこれ以上の国債を買っているということになる。というか構図としては国の借金ある国債をそのまま日銀が買っている格好。異常に映るのは気のせいではないだろう。問題は、国債を日銀に売って資金供給を受けた金融機関の姿勢。キャッシュを貸し出しに回すのであれば問題ないが、そうでもない。だから、意に反してお金が回らず景気の向上になかなかつながらない。
これはアメリカのQEでも同様だった。リスクマネーへの意向が求められるは個人ではなく、むしろ金融機関。
しかし笛吹けど踊らずどころか、上げ膳据え膳を待っているかの同行。旧態依然のノンリスク体制では救われない気がする。
日経平均株価は原油安を好感した格好で211円高の17459円と3日ぶりの反発。
TOPIXは1410.34ポイントで年初来高値を更新。
Jマテ、コンベヤが上昇、国際帝石、千代建が下落。

(2) 欧米動向

OECD(経済協力開発機構)の経済見通し。
2014年は1.2%→0.4%。
2015年も1.2%→0.8%に下方修正。
個人消費の落ち込みが主因との解説。
おまけは「足元で経済が回復していない状況を考えると消費増税先送りはやむ終えない判断」。
というのがOECD経済局のコメント。
ココについては白旗といった印象が残った。
低成長ながらの株高ということには全く関係がないらしい。

興味深いのは米国で公的年金のヘッジファンド離れが進んでいること。
高い手数料が運用実績に見合わないとの見方が拡大。
米最大規模のカリフォルニア州職員退職年金(カルパース)が完全撤退表明した。
他州でも追随する年金相次いでいるという。
「やらずぶったくり」の高手数料もパファオーマンスが上がらなければ画餅。
ようやくアメリカの年金運用もマトモになってきたような気がする。
因みに日本の年金。
GPIFの7〜9月の運用は3.6兆円の黒字。
運用資産学は130兆8846円まで拡大した。
9月末の国内株の運用比率は17.8%。 
国内債券は48.4%と初めて5割を下回った。
日経で紹介されていたのはGSの試算。
国内株6.5兆円、外国株7.3兆円の買い余力だという。
だからTOPIXの1年後の目標を1650に引上げた訳ではなかろうが・・・。

(3)アジア・新興国動向
中国は来年の成長率目標を7%前後に引き下げる見通し。金利低下とともに世界経済牽引力低下との指摘も聞かれる。


【展望】
スケジュールを見てみると・・・

1日(月) 法人企業統計、新車販売台数、米ISM製造業PMI、中国製造業PMI
2日(火)マネタリーベース、衆院選告示、米新車販売台数
3日(水)米ADP雇用統計、ISM非製造業PMI、ユーロ圏GDP改定値
4日(木)ECB定期理事会
5日(金)景気動向指数、米雇用統計、貿易収支、消費者信用残高

12月。
過去25年は16勝9敗でトップの成績。
過去東京は6連勝、NYは5連勝
1日(月)サイバーマンデー
5日(金)ポイントの日
6日8(土)満月
10日(水)木星逆行開始
11日(木)ポイントの日
12日(金)メジャーSQ
16日(火)FOMC
19日(金)米メジャーSQ
22日(月)新月、ポイントの日
23日(火)天王星順行開始
24日(水)NY、ロンドン半日立会い
25日(木)NY休場
26日(金)ロンドン休場
30日(火)大納会

アベノミクスを争う選挙。
アベノミクスの信を問う選挙。
選挙そのものを論じる気はない。
ただアベノミクスの真髄というのは余り伝えられていない印象。
市場チックに個人的観点からすると、その真髄は3本の矢とは少し違う気がする。
解釈してみると・・・。
ひとつは民間資金によるインフラの整備という側面があろう。
これはREITの中にヘルスケアリートが登場したように、
民間資金の活用によるインフラ整備。
税収の大幅な伸びに期待はできない上に、社会保障費は刻々増加する。
一方で国民の1600兆円に及ぶ金融資産はノンリスク資産が多く、大半は預貯金。
お金のない政府が年金や社会福祉まで面倒を見るのは当然限界がある。
だったら民間資金の活用でインフラを整備しようとするのは当然の流れ。
しかも・・・。
試算では夫婦二人での標準的年金はつき23万円程度。
ところが・・・。
これも試算だが満足なシニア生活を過ごすためには39万円程度の費用がかかるという。

この試算的15万円の逆ザヤはどうなるのだろうか。
いくらGPIFの運用が黒字になったとはいえ、到底全部はまかない切れない。
そこで登場するのは「自己責任」という言葉。
投資における「自己責任」ではなくて、生活における自己責任という意味である。
老後は自分で自分の面倒を見るような仕組みがどうしても必要になってくる。
この二つの命題を満たす最短の買いは「株高」。
そして海外での運用資産のプラスにするための「円安」。
だからこし株価の上昇はこの国の個人の未来にとって必要なことになってきている。
というか火急の責務でもあろうか。
極論すれば、これがアベノミクスの本質と言ってもいいかも知れない。
この側面をほったらかしにして、日ばかり商いにかまけていると、それこそアリとキリギリス。
大きな流れが市場に向かっていて、その大きな流れが市場の拡大を望んでいる。
しかしウリカイウリカイの超スピードの世界。
この乖離への反省というのがいつ見られるのかどうか。
大きな流れに逆らえはしないだろう。
もっとも世界マネーがこの独善的行動を認めてくれるかどうかは別の話。
キーワードは「民活と自己責任」。
全く同じコンセプトでのオバマケアは実行されてから予期せぬお化けが登場したが・・・。

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