02月1週
【推移】

2日(月):
月曜日経では「信用組合もリスクマネー」の見出し。零細企業への投資増加に加え、普通株の取得なども開始の方向。メガバンクの臆病さと比較すると対応は早いというか、国策に沿った方向性を素直に遵守している格好。そして国土交通省は夏にも不動産のネット取引解禁の方向。楽天やエスクローの動向が気になってこようか。土曜の日経朝刊では「『値動き2倍』ETF活況の見出し」。日経レバの1月の月間売買代金は2兆6614億円。4ヶ月連続で過去最高を更新した。売買代金ランキングでも4ヶ月連続での首位。この間の日中値幅は約204円と大きい。純資産残高は3176億円。レバレッジ型としては世界最大のETFとなった。月間倍場代金は日経レバが2兆6614億円。2位のトヨタが1兆4421億円。3位のソフトバンクが1兆2040億円。米国ではレバレッジ型のETFが売買代金ランキングに入ることは滅多にないという。 短期資金で乱舞の日経レバ。中長期資産形成主流の米国ETF。どちらが良いのかはわからない。少なくとも上海の投機熱を批判できる立場にはないような気がする。というか、世界から見るとこの短期指向は同列に映るのかも知れない。これを未成熟とすると、米国市場は成熟となる。これが良いのかどうかは微妙。ただ米国でもWTI原油先物連動のETFに昨年12月から2500億円が流入したという。日本でも2倍の値動きをする原油連動ETNに資金が流入。投資口数は昨年11月比で58倍になったというからETF・ETN市場の成長性は高い。ポテンシャルの大きな東京株式市場という評価も出来る。そもそもETFの時価総額は約10兆円。日銀が今年1年でETFを買う予定額は3兆円。ETF全体の3割を買い占めようとする中央銀行の存在は日本以外にはないだろう。

3日(火):
NY離れで世界の中で独歩安では洒落にもならない。前日の日経平均株価は25日移動平均(17356円)を割り込んだ。
ヒゲの安値の17271円は一目均衡の雲の上限17267円でピッタリ止まった。計ったかのような止まり方には興趣を覚えるが・・・。勝手雲さえ6日に白くねじれている。後場に下落幅を拡大した解釈は2つ聞かれる。一つはオーストラリア準備銀行の政策金利引き下げ。過去最低の年2.25%にするとの発表を材料視し多少円高が進んだこと。というよりは、ビックリして売られたというところ。もう一つは日本国債の入札不調から国債利回りが上昇したこと。面白い解釈は「リスク回避の動きに拍車をかけた」。「リスク回避で債券が売られた」という解釈は表面上理解できないでもないが笑える。 支離滅裂な解釈でも活字になると独立独歩。証券報道の限界なのだろうか。因みに10年国債利回り。1月20日に0.195%と過去最低を記録。前日は一時0.365%まで上昇した。債券が売られて株も下落。どちらかが間違っていたから、世界で孤立した東京株式市場だったのかも知れない。因みにREIT指数は7日続落で東証REIT指数は1812ポイントまで下落してきた。高値からの下落率は約9%。予想分配金利回りは3.165%。スプレッドは2.8%。もう少しで3%になるのだが・・・。

4日(水):
夜明けのNY株式は大幅反発。6日連続での日中値幅200ドル超えとボラ高い動きとなっている。2日大幅安のあとの反騰だが、結局は同じ場所の往来。上値が重いから一度下げないと儲からない。だから下げて、そして上げて。このリズムは何度も体験してきた。それでも無理矢理上げ下げの理由を探すから余計にややこしくなる。全体の39%が通過した第3四半期決算。第3四半期売上高はプラス5.3%、経常利益はプラス8.4%、純利益はプラス13.6%。今通期見通しは売上高プラス4.3%、経常利益プラス5.4%、純利益プラス9.7%。内閣府がまとめる経済財政の中長期資産。2015年度の基礎的財政収支の赤字はGDPの3.3%。2010年度比半減。消費再増税見送りでも財政赤字半減の目標は達成できるという。ということはやはり「消費増税しないと大変」は財務省の一人芝居であったのだろうか。

5日(木):
所詮レンジ(16500円〜18000円)での商い。朝の日経でも「一進一退相場」との指摘。「往来相場」の理由をロングショート商いの海外投資家に求めていた。空売り比率の高さがその傍証。たしかにロングショートの作用は否定しない。でも市場関係者とか証券マスコミというのは何でもかんでも海外動向に押し付けたがる傾向がある。国内劣後、海外優先。幕末から、あるいは太古から連綿と続くこの心理は消えない。しかし前日の225先物動向を見てみれば買い越しのトップはSBI、以下野村、マネックス。売りはアムロ・ドイツ・クレディ・メリルだが次いでカブコム・松井。横文字ばかりを尊重していると、そのうちに大きなしっぺ返しを受けるかも知れない。 というか「戦うひとびと」は間違いなく東京市場にいる。一方で市場関係者と証券マスコミが「不戦敗」の心理では覚束ないという現実。と言う気がする。決算発表佳境の時期。明るいものもチラホラと。一番は前日発表されたトヨタの業績。日経1面では「トヨタ、最高益2.7兆円。円安や構造改革寄与」の見出し。第3四半期として2007年以来7年ぶりに最高益を更新した。通期の営業利益は、2.5兆円→2.7兆円に上方修正市場予想の2,7843億円はやや下回ったという声も聞かれる。しかし、現場で稼ぎもしないアナリスト連中の試算など「関係ねぇ」だろう。一方で少し光っているのが三菱UFJ。第3四半期の純利益が前年同期比18%増の9269億円。背景は海外での積極的なM&Aなどで3年ぶりに最高益を更新した。ただ、全体の44.8%が通過した第3四半期決算。売上高は4.7%増、経常利益は6.7%増、純利益は10.5%増。通期見通しは売上高3.6%増、経常利益4.5%増、純利益7.7%増。決算を消化するたびに低下してきたのが気にかかる。アメリカでの在庫の増加で48ドル台まで急落した原油先物。前日の54ドル台を好感していたが元の黙阿弥。そしてドンキホーテのような強気姿勢が目立っていたギリシャの姿勢の変化。ギリシャのバルファキス財務相のコメント。「債務問題に関する解決案を提示するのに、5月末までに時間的猶予を与えて欲しい。欧州のパートナーと提案について協議し夏にはギリシャと欧州諸国との間で新たな合意が得られる」。現実を目の前にすると、空理空論では立ち行かないことに気が付いたのだろうか。あるは単なる時間稼ぎかも知れない。一方でECBはギリシャ国際の担保受け入れ停止の報。「さて諸君」というところだろうか。

6日(金):
ともに上方修正のソニーと日立。ソニーは一時ストップ高で08年10月14日以来の大幅高。一方で日立は下落。3日付け日経朝刊1面右下の見出しは「日立1割増益・インフラ関連伸びる」。5日付け日経朝刊3面上の見出しは「ソニー、一転黒字に。テレビ・収益改善。スマホは1000人追加削減」。数字でいけばソニーの営業利益は通期400億円の赤字予想→200億円の黒字予想。日立は第3四半期の営業利益は前期1割増hの3200億円。どう考えても日立に分のある決算内容だが、市場は逆の反応。既知の良いものよりは未知の驚きを好む傍証でもあろう。そして金曜の日経では「ソニー時価総額パナソニック超え」。ソニーの時価総額が3兆5905円、パナが3兆1951億円。1年半ぶりの時価総額逆転が報じられている。ただ、株価上昇のタイミングで日立に2年遅れ、パナに1年遅れ。株式市場はゴールが永遠に訪れないレースである1年や2年の周回遅れは気にはならないだろう。一方で、マーケット面では「広がらぬソニー株高」。電機株は失速気味としての論陣となっている。「ソニー株高がひろがらないこの日の電機株からは日本株全体が上昇する正念場を迎えたことも読み取れる」。そんなに踊り場の正念場とは考えにくい。結論は「新たなソニーショックだったのかも知れない」。今日の大引け後もこのコメントは有効なのだろうか。もし、そうでないとしたら賞味期限が極端に短いコメントとなる。
日経平均株価は143円高の17646円と反発。東証1部の売買代金は10日連続で2兆円超。セブン銀、参天薬が上昇、スズキ、ニコンが下落。

(2) 欧米動向

1月の米雇用統計は非農業部門雇用者数が25.7万人増で着地。
11月分は35.3万人増→43万人増、12月も25.1万人増→32.9万人増と症状修正された。雇用統計だけは相変わらず力強い米国経済と印象。

相場の尺度というのはさまざま。
というか、その場その場で適宜都合の良いものが登場する。
PERやPBRは長生きしているが、EBIDAなどは風前の灯。
最近はROEオンパレードのような格好となった。
流行廃りや栄枯盛衰が株式投資の尺度なのかも知れない。
罫線を見ても、ある時は雲。
ある時はボリンジャー。
場面に応じて様々なものが登場する。
かつてアチコチで見られた五角形など今はあまり聞かれない。
面白かったのは、リーマンショック直後の長期移動平均線。
通常は1年、5年、10年、25年など区切りの良いものが登場する。
東証再開が1949年だったから2008年には55年移動平均までしかなかった。
ところが株価指数が55年移動平均を割り込んできて登場したのは58年移動平均線。
今では60年移動平均や65年移動平均がある。

クレディスイスが米国の小口マーケットメーク業務から撤退すると発表した。
進行中の投資銀行事業見直しの一環という。
因みに小口マーケットメークとは・・・。
リテールの証券会社からの株式注文を自己勘定で受けながら気配値の差から利益を稼ぐ事業。
リテール証券会社にとってはマーケットメーカーからの手数料は魅力的な収益源になる。
別に変な取引でもない。
しかし・・・
米金融規制当局は証券会社が顧客の最良価格執行のためでなく
自分たちの儲けのマーケットメーカーに注文を回している疑いがあると調査中という。
別に調査があるから撤退するのではなく、他のマーケットメーカーに勝てなかった。
と言うのが市場の解釈だが・・・。

(3)アジア・新興国動向
中国は人民元建ての原油先物を外国人投資家に開放する方向を打ち出した。人民元の決済通貨への拡大が裏側にはあろうか。

【展望】
スケジュールを見てみると・・・

9日(月)景気ウォッチャー調査、G20財務相・中央銀行総裁会議(〜10日イスタンブール)
10日(火)マネーストック、第三次産業活動指数、米3年国債入札、中国消費者物価
11日(水)建国記念の日で休場、米財政収支、10年国債入札
12日(木)機械受注、企業物価指数、都心オフィス空室率、米小売売上高、シカゴ自動車ショー、EU首脳会議、
13日(金)オプションSQ、米輸入物価指数、ミシガン大学消費者信頼感、ユーロ圏GDP、ドイツGDP

以前のように内憂外患ではなくなってきた。
もちろん外患はあまたある。
例えば米国の10〜12月GDP。
市場予想は3.2%だったが着地は2.6%。
2%程度の巡航速度を保ってはいるが、市場の期待感には届かず。
ドル高の影響を指摘する声も聞かれる。
あるいは日曜に発表された中国の製造業PMI。
前月比マイナス0,3の49.8.
2年4ヶ月ぶりの50ポイント割れで景況感は悪化。
ロシアは利下げでルーブル安を招き迷走飛行。
ギリシャのチプラス首相は「恐喝」と言われるほどのやんちゃくちゃ。
国債利回りは急上昇したうえに資金繰りは悪化。
ギリシャ悲劇なのだが、どうもギリシャ喜劇に見えてならない。
洋の東西を問わずに不安満載の世界景気といったところだろうか。
一方で・・・。
足元日本企業の業績見通しは、相当好転してきた。
第3四半期の決算発表前半戦を通過しての結果は「経常増益3社に2社」。
日経の解釈は「円安を追い風に輸出産業を中心に稼ぐ力が増している。
訪日外国人客の需要を取り込む企業のほか、値上げで利益を増やす企業もある」。
全体の3割が決算発表を終えて経常利益は第3四半期で16%増。
通期では10%強の増益見通し。
その証拠に、日経平均採用銘柄のEPSは前期1030円→今期予想1036円と1割増益。
足元も来期もおそらく悪くない。
そしてGDPは「前期比4%増)という民間予測。
消費増税の影響で過去2四半期マイナスだった反動とはいえ悪くはない。
悪材料を楽観視し、好材料を悲観視するのがマーケットの不思議な修正。
2004年の日銀金融政策決定会合議事録が公開された。
「原油高の1面だけ見て物価が上がった、出口戦略=金融緩和だという議論はいけない」。
というのが、当時の日銀総裁のコメント。
原油高で苦悩したことも忘れて、今、原油安を悩む意味がわからない。

市場には「押し目買い」という言葉がある。
上昇相場の下落局面を押し目というからそこで買うという意味。
下落相場での下落を押し目という市場関係者もいるがこれは間違い。
難しいのは、押し目なのか下落反転なのかの判断。
反転ならば下げ続けとなり押し目買いではなくなる。
しかし今はどちらかというと「つけろ買い」だろうか。
相手が売るだけいくらでも買うことを「つけろ買い」という。
もともとは立会場で場立ちの人が両手をパッと開くサインを出すことで表現していたという。
「売るだけ買うぜ」というサインには売り方もたじろいだに違いない。
営業現場でいえば青伝票(売り)でなく赤伝票(買い)の活躍だろうか。
古い言葉では「閂(かんぬき)が入った」。
「誰が見てもそれ以下の水準に下落することは考えられない」という意味。
水準の問題ではなく、下値を固めた状態。
「上げ相場の下値」と言う意味となる。
それこそ「「閂(かんぬき)が入った」となって欲しい2月。

2月如月2日新甫はマイナスからのスタート。
上海ショックの2007年2月S&P500は月間マイナス2.18%。
ベア・スターンズショックの2008年2月は月間マイナス3.4%。
リーマンショック後の2009年2月は月間マイナス10.9%。
でも最近は「過去5年はベアキラーの2月」との指摘。
2010年はプラス2.85%。
2011年はプラス3.19%。
2012年はプラス4.05%。
2013年はプラス1.10%。
昨年はプラス4.31%。
所詮海の向こうの話。
それでは東京市場はというと・・・。
昨年の日経平均株価は陽線。
2013年陽線。
2012年陽線。
2011年陽線。
2010年陰線。
2009年陰線。
2008年陽線。
2007年陽線。
2006年陰線。
2005年陽線。

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