04月1週
【推移】

30日(月):

土曜の日経では「株乱高下、縮む強気」の見出し。「ドル高、日本株高シナリオの終焉」とも観測される。ただ、125円程度までは異常な円高水準の修正。ここからの一方通行の円安が程よいのかどうかは疑問が残るところ。機関投資家の期初の利益確定への先回りの売り。これも説得力はあるが、そのウリがアムロやSBIから出るのかどうかは疑問。週末金曜に225先物を一番多く売りこしたのはSBIだった。
もう一つ解せないのは、松井証券経由の信用取引評価損率。売り方は木曜にマイナス9.632%→金曜12.694%。日経平均が下落したのに評価損は拡大した。一方買い方の評価損率は木曜マイナス5.706%→金曜5.687%と好転。
日経平均・TOPIX・日経400が下落して売り方の損が増え、買い方の損が減る。どう考えてもおかしい。もっともマザーズ指数がプラスではあった。マーケット面では「株、当面は調整色強く」。市場関係者への取材では「一時的に18000円まで下げる可能性がある」との見方もある。猫の目のように変わる市場関係者が多いが、これは聞き方にも問題があろう。「下値のメドはどれくらいでしょう」と聞かれれば、ソレくらいの答えにはなろう。しかし18000円台を一人歩きさせるのはマスコミの仕業。求める水準の答えが聞ければシメタものなのかも知れない。が、答えるほうにも節制は必要な気がしないでもない。
日経平均株価は125円高の19411円と3日ぶりの反発。レナウン、FPGが上昇、gumi、江守が下落。

31日(火):

日経ヴェリタスの報道。株価指数などに連動する上場投資信託(ETF)市場が拡大。国内で上場するETF(上場投資証券ETNむ)は今年3に200本を超えた。株高や日銀の買い入れによる知名度向上受け、国内外の運用会社がETFの新規上場を加速している。2011年に100本の大台に乗り、2015年3月末時点で209本になった。純資産も15年1月末時点で11兆円に達し、11年末比4倍に膨らんだ。
春の麗の青空に綺麗に映える満開のサクラに囲まれながら今期という1年が終わろうとしている。日々移ろう相場に接していると、時間軸がなくなったようになり気が付いてみればもう1年経過。
消費増税の影響は否めず、昨年元旦の「空恐ろしさから豊かさへ」の日経1面トップ見出しをそのまま行ったような1年。明日からは昨年来高値も年初来高値に戻る。今年の日経元旦の1面トップ見出し「変えるのはあなた」の時代になるのだろうか。もう一つの元旦日経の見出しは「稼ぐ」でしたから「買えるのはあなた」とでも読み替えてみたいもの。それにしても2014年3月31日の日経平均は14827円。1年で約5000円の上昇幅。9月30日16173円→12月30日=17450円。振り返れば、ギリシャや中国、あるいはアメリカの金利動向にも惑わされたりしたが順調な右肩上がりを続けてきた。因みに月足陽線基準=18826円。3ヵ月連続での月足陽線。今のところ実は負けなしの2015年。3月期末の権利配当落ち埋め基準は19471円。終値で埋めて完成したいところ。
日経平均株価は204円安の19206円と反落。市光工、日特建が上昇、インプレス、OLCが下落。

1日(水):

アジア投資銀行(AIIB)に入らない日本とアメリカの株下落。前日は上海もイギリスも下落だったからそんな解釈はないが首肯できなくはない。
ルー米財務長官のコメント「高いガバナンス基準が確保され、既存機関の補完となり得るかぎり歓迎する用意がある」。
所詮アメリカが入らないことで、評価や格付けは低いだろうという傲慢チックさ満載。でも、アメリカの得意なモンローチックな動きが受容されるのかどうか。中国抜きのTPPと中国中華のアジア経済圏指向。まさに「同盟漂流」といったところ。米国の属国化した日本という構図だけは、見ていて滑稽さすら感じる。ここは金融三国志の幕開けなのかも知れない。コルレス銀行は中国銀行になる可能性大。基軸通貨としてのドルとユーロの争いが南欧の停滞を招いたようなのが歴史。ここに人民元基軸通貨構想なんてものが登場するとさらにややこしくなる。まさに通貨三国志。片田舎の通貨の円にとっては無縁の世界ではある。
日経平均株価は172円安の19034円と続落。一時19000円を割り込む場面もあった。弱かった日銀短観を嫌気したとの解釈も聞かれる。ユニオンツ、エスクリが上昇、Pビッツ、ナブテスコが下落。トウショウ1ブノ売買代金は2兆9765億円と増加。

2日(木):

ホンダのS660に注文殺到で納車まで3ヶ月待ち。サントリーのレモンジーナが発売2日で注文が想定を越えて一時販売中止。ホテルは、安いアジア層よりも単価の高い国内向けをターゲットに稼働率低下も需要。デイズニーランドは過去最高の入場者を更新。
局部的な動向に過ぎないが、要は欲しいものを提供すれば売れるという現実。逆に言えば、欲しいものを提供できていないから景気が悪いとも言える。業績は人や世間のせいではなく、商品やサービスを提供できない企業の責任。そう考えた方がスッキリ感。決算短信では冒頭の決まり文句で「世界経済は」とか「わが国の景気は」とかが登場。そうでなくて、まずは「今期の当社は」の方がこれもスッキリする。
一方で5日続落のトヨタ。日経では、北米の不振を払拭するために秋に発売するセダンはマツダのデミオ。顔を少しだけトヨタ風にしたものだという。他社の力を借りて若者層を取り込もうという努力はすさまじい。ただ「デザインの退屈さ」での不人気は、拭い難いもの。長期的には、マツダに軍配があがるのだろうか。
日経平均株価は277円高の19312円と3日ぶりの反発。ゆうちょ銀行の積極的投資方針を好感との解釈。エムアップ、レナウンが上昇。オリンパス、ラウンドワンが下落。

3日(金):

安倍首相が水曜の夜、元代々木のピザの店「エンボカ東京」で3時間余り過ごした。 一緒だったのは「友人」という記事。
久々に外で飲んでいるから株は高いかなと思ったら案の定大幅高。という訳ではなかろうが、郵貯銀行の資金運用を頼りにしたとの解釈での株高。
ゆうちょ銀行は今後3年間で株式を含むリスク資産を14兆円増やす計画。時価総額11兆円のETFにこれがなだれ込むとすれば悪くはない。そして前日午後発表されたGPIFのアクティブ運用へのシフトの方向。特に「ESG」に注目した投資を重視するという。この「ESG」は既に2011年には言及していたシロモノ。これは環境に配慮し、社会に優しくしっかりした統制がされているかどうかの視点となる。
日経では「公的資金、株買い越し最大」の見出し。サブは「年金・日銀・かんぽ、昨年度5兆円」外国人投資家による日本株買い越し額は2.6兆円。外国人頼みの世界ではなく、自分のお金で自分の資産を買いあがる相場だった。逆に言えば、海外に頼らずとも自立して自分で上げられる日本株は自給自足状態。「これだけ買っているのに買わないの」と海外に迫ってもなんらおかしくはない。
08年のPKO的買いは2.7兆円。今回は初めての積極的姿勢で5兆円。PKOではない。PLO(Price Lifting Operation)だろう。
そして日銀が昨年買ったETFは1.7兆円、今年はその約2倍の3兆円を買う予定
。昨年度の信託銀の買い越しが3.5兆円、外国人が2.6兆円、事業法人が1兆円。あわせて7兆円。一方で個人の売り越しが6.5兆円。次のステップはこの6.5兆円がいつ戻ってくるのかだろう。結局この需給の構図が株価形成の大きな要因ということになる。あれこれ外資系の手口を類推する意味の少なさに早く気が付くべきだと思う。今目の前で起きていることに目をつむり、孫の手で他人の背中を掻いているようなもの。
日経平均株価は122円高の19435円と高値引けで続伸。ただ米雇用統計とグッドフライデー休場を控えて商いは盛り上がらず東証1部の売買代金は1兆9898億円と低下。キューピー、任天堂、ソニーが上昇。ネオス、Jマテが下落。

(2) 欧米動向

欧米のESG投資基準が国内でも言われ始めた。
資本市場において、責任投資の考え方が関心を集めているということ。
財務情報だけではなく、E(環境)、S(社会)、G(統治)の各情報が統合されての投資判断の重要性。
やはり、ESGはメインストリームになりそうな気配。
因みに「ESG格付け」。
E=environment(環境)
S=society(顧客、株主、従業員、取引先など)
G=governance(統治)
これらが配慮された経営がされているかどうかが投資のポイントとなるという説。
放射能を撒き散らせば環境には優しくい。
新本社用地から水銀が検出されるのも同様。
建築談合などもっての他。
巨額のM&A関連アドバイザリーフィーはガバナンスが疑問。
無担保での経営者の借り入れも同様。
確かにポジではなくネガ銘柄を検索するには持って来いの指標に思える。
再び注目される環境・社会貢献・企業統治という意味で「非財務情報に対する投資家ニーズは根強い」。
2010年末のESG投資残高は欧州が約500兆円、米国が240兆円。
一方日本は8000億円程度と規模が小さい。
日本証券アナリスト協会が実施したサーベイの結果での「ESG要因を重視する理由」
・財務諸表に表れないリスクの発見
・長期的な成長
・顧客からの要請
・優れた経営の表れ
・バリュエーションとの関係など。

週末発表の米雇用統計は市場予想を大きく下回る12,6万人増で着地。
米経済の停滞を材料にするのか、その停滞による金利上昇先延ばしを材料にするのか微妙なところ。


(3)アジア・新興国動向

週末の上海市場は3日続伸し7年ぶりの高値水準。IPO人気にみるように株式人気は継続している。

【展望】

スケジュールを見てみると・・・
6日(月)景気動向指数、米ISM非製造業PMI
7日(火)日銀金融政策決定会合、米消費者残高
8日(水)黒田日銀総裁会見、景気ウォッチャー調査、国際収支、成田第3ターミナル開業、米10年国債入札、アルコア決算、BOE金融政策委員会
9日(木)都心オフィス空室率、北朝鮮最高人民会議
10日(金)オプションSQ、米財政収支、中国生産者・消費者物価


いずれにしても平成26年度は終了した。
期末を越えた日経1面では「株、9年ぶり上昇幅」の見出し。
1年間の上昇幅は4379円で2005年以来9年ぶりの上げ幅。
外国人投資家による日本株買い越し額は2.6兆円と大したことはなかった。
メガバンク5行と大手生保4社の株式含み益は18.1兆円で増加率は8割。
事業法人の含み益は5割増加の約20兆円で過去最高。
まさに「空恐ろしさから豊かさ」は実現した。
問題は1年後の2016年3月。
「あなたが変える」が「あなたが買える」になっているのかどうか。
あるいは「稼ぐ」が実践できたかどうか。
また昨年度の売買代金トップは「日経レバ(1570)」で22.8兆円。
前々年比10.5兆円の増加となった。
ソフトバンクが18兆円、トヨタの14兆円を回って前々年の4位からトップ。
昨日の売買代金でも2200億円と圧倒的存在感。
2位のトヨタが871億円、3位のOLC636億円、4位ソフトバンクが577億円。
上か下かの丁半を宛てるバクチックな存在にも見えてくる。
しかしこの動きは「尾が犬を動かす」になって指数寄与度の高い銘柄の株価を左右している。
判断する材料が少ないだけに、市場の大衆化と言う点では投資しやすいのかも知れない。

バイナリーオプションなんて上下博打をやっていたFX層には受けいれやすいのだろう。
本来は大局観が求められる世界が極地戦の様相。
市場がつまらなくなってくるような気もする。
「所詮儲かるのならツ−ルはなんでも良い」の世界になってきている。
3月日銀短観の大企業製造業足元DIはプラス12で着地。
「追加緩和への期待」という何でも欲しがりの声も聞かれる。
大企業製造業足元DI先行きはプラス10。
大企業設備投資はマイナス1.2。
非製造業はプラス19(市場予想はプラス17)。

このごろ市場で起きている不思議なこと。
一つは裁定買い残と日経平均の相関度の低下だろう。
先週の裁定買い残は801億円の増加で3兆1993億円。
この間の日経平均は272円の下落だった。
月曜高値からの下落幅は約500円。
裁定解消売りではなかったということになる。
しかも3兆円台前半水準で足踏みしているのに日経平均は一時2万円手前まで上昇。
裁定の積み上げで指数が上昇した訳でもなく、裁定解消で指数が下落した訳でもない。

別のファクターでの上下変動ということになる。
もう一つは幾度も指摘されるが、レバレッジETFの活躍であろう。
昨日の日経レバ(1570)の売買代金は3300億円余り。
現物トップのトヨタが912億円だからその3倍。
先週27日の日経レバの売買代金も3000億円を越えていた。
因みに昨日の東証1部の売買代金は2兆9785億円。
その1割以上の売買を1570はしていたことになる。
30分ごとに先物のトレンドが変わるのはこいつのせいではなかろうか。
まるでミュータント(変化した生物)のような存在と化した印象。
因みに日本のETFの時価総額は約11兆円(209本)。
2011年末から4倍になった。
とはいえ世界のETF時価総額は約334兆円。
しかもそのうち7割は北米市場。
日本はまだ世界の3%に過ぎない。
ということはこのミュータントはまだまだ成長する可能性大ということになる。

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