02月3週
【推移】

13日(月):
週末のNY市場で主要指数は過去最高値を更新。背景は原油高を好感したエネルギーセクターの上昇とトランプ米大統領の経済政策に対する楽観的な見方との解釈。再び焦点は減税に戻り減税による1株利益の押し上げ効果が注目された」との声が聞こえる。
また金融規制を担当するFRBのタルーロ理事が退任するとの発表も好感された。輸入物価指数が前月比0.4%上昇。予想の0.2%上昇を上回りインフレ高進の可能性が高まったことから10年債利回りは小幅上昇。日米首脳会談は特に過不足なく通過したという印象。

週末の東京株式はSQを通過し大幅高。新高値は153銘柄まで増加した。週間では460円上昇。週足では陽線。一目均衡表では雲の上に浮上し、転換線、基準線を上回った。13週線の攻防の継続。10〜12月期GDPはプラス1.2%で着地し4四半期連続プラス。「ここ十数年のGDP成長率の推移を見ると4期以上連続でプラス成長となるケースは珍しい。
(04年、05年、10年、13年)。4期連続プラス成長が発表された頃から株価が1〜2ヵ月程度堅調に推移するパターンが見られる」と大和のレポート。

日経平均株価は80円22銭高の19459円15銭と反発。JX、富士重工、Vテクが上昇。ソフトバンク、石原産、エムアップが下落。

14日(火):
週明けのNYダウは3日続伸し連日の史上最高値更新。S&P500も史上最高値を更新。時価総額は初めて20兆ドル(約2280兆円)を超えた。NASDAQ総合株価指数は5日続伸で連日の史上最高値更新。
トランプ大統領が先週「驚くような税制改革」と発言して以来経済政策や金融規制緩和への期待が拡大。景気刺激策への期待から景気敏感セクター中心に上昇継続。主要3指数揃っての最高値更新トリプルクラウンは週明けも継続した。
個別ではアップルが52週高値を更新。2015年4月の分割後高値をうかがう動き。「アイフォン8」へのAR技術に期待した買いという声も聞かれる。
大統領就任100日間の蜜月という言葉が市場に戻ってきたような印象。

週明けの日経平均株価は続伸。
月曜は2連勝となった。前引けの日経平均株価は220円17銭安の19238円98銭と3日ぶりの反落。イエレンFRB議長の議会証言を控えての様子見モード。加えて東芝の決算遅延が投資心理を冷やした格好。

昨年来高値(19594円)に接近したことも警戒感につながったとの解釈も聞かれる。東証1部の売買代金は2兆4041億円。朝高→下落→後場下落幅拡大の動きだった。ブリヂストン、住友鉱、中部電、東ガス、東エレ、JALが上昇。塩野義、大塚HD、ダイキン、三菱重、コンコルディ、NTTが下落。

15日(水):
NY株式市場は主要3指数が過去最高値を更新しトリプルクラウン4日継続。NYダウは4日続伸。NASDAQとS&P500は6日続伸。朝方は軟調展開からスタート。ただPPIの前月比上昇率が4年4カ月ぶりの大幅な伸びを示したことで風景は変化。
イエレンFRB議長の議会証言。「緩和措置の解除を待ち過ぎることは賢明ではない」とコメントしたのも好感。
元の経済状況では早めの利上げが好ましいという方向を打ち出したことから銀行セクターが上昇。またアップルが過去最高値を更新したことも指数の史上最高値更新に貢献した。同社株は昨年上期につけた安値から50%上昇。年初来では16%の上昇となった。株価収益率(PER)は14.3倍で2015年4月以来の高水準。過去5年の平均である12倍も上回った。
イエレン証言を受けて10年国債利回りは一時2.5%まで上昇。3月利上げ予想確率は前日の13%から18%、6月利上げ確率は65%から71%に上昇。2017年中の利上げが最低3回となる確率は13日の33%から41%に高まった。同時にドル高トレンドとなりドル円は一時2週間ぶり高値の114.47円。

東京で昨夕に材料視されたフリン米大統領補佐官(国家安全保障問題担当)の辞任。トランプ政権の経済政策運営にも悪影響を及ぼす懸念もあったが徐々に消えた。売り方の掲げる悪材料もマーケットの大きなトレンドには逆らえない印象。ムチューチン財務長官の就任で登場し始めた「税の国境調整」。トランプ政策の一貫性の数歩前進となろうか。

東京で起こったネガシナリオはNYで消滅し主要指数の過去最高値更新継続だけが残った格好。所詮「下落の火曜日は下落継続」の範疇で市場が動いていたということ。残念ながらバレンタインは株高のアノマリーは崩れた。
「勝手雲」は17日に黒くねじれ22日に再度白くねじれている。このリズムは覚えておくべきかも知れない。ドル換算の日経平均は昨日171.845とザラバ高値を更新。これも一つの変化になろうか。

2月月足陽線基準19148円。SQ値19272円。これを上回っていることがポイントだ。全体の99.9%が通過した第3四半期決算。第3四半期売上高は4.9%減、経常利益は5.1%減、純利益は0.4%減。通期売上高は3.3%減、経常利益は0.6%減、純利益は10.5%増。
これで通期2ケタ増益は確定。「昭和電工純利益11倍の110億円」とか「山パン純利益23年ぶり最高」。そんな見出しが目立っている。

大引けの日経平均株価は199円高の19437円98銭と反発。ただ戻り待ちの売りもあり高値圏での膠着となり昨日の下落幅220円は埋められなかった。日中値幅は75円と12月26日以来の狭さ。ジャンプの前の竦みとも考えたいところ。
東証一部の売買代金は2兆2945億円。トヨタ、ソフトバンク、三菱商事が上昇。東芝、任天堂、シマノ、大塚HDが下落。JPX400とTOPIXはザラ場の昨年来高値を更新。

16日(木):
NY株式市場で主要3指数は連日の過去最高値を更新。NYダウは5日続伸。S&P500とNASDAQは7日続伸。S&P500の史上最高値更新は5日連続、2013年9月以来で最長となった。トランプ米大統領が減税の実施をあらためて約束したことや堅調な経済指標を好感した。

1月の消費者物価指数(CPI)は前月比で0.6%上昇。2013年2月以来、3年11カ月ぶりの大幅な伸び。前年同月比は2.5%上昇で12年3月以来の大きな伸び。市場予想は、前月比が0.3%上昇、前年同月比が2.4%上昇だった。

1月の小売売上高は前月比0.4%増で市場予想の0.1%を上回って増加。前年比では5.6%増。自動車が低調だったものの電子機器などの売り上げが伸びた。「内需の継続的な拡大が確認された。年が明けて、米経済にはかなりの勢いがある」との声が聞こえる。

日経平均株価は水曜の日経平均株価は反発したが前日のマイナス分を消せずの展開。日中値幅75円、後場値幅32円で「寄ったら終い」の動意薄。上を買う主体不在がありありと見えた印象。「外部環境が追い風のうちに19500円台を値固め。1月4日の高値19615円を上回ることができるかが課題」という声。
NYの連日の史上最高値更新やロンドンの高値水準を目にしている割には東京の弱さが目立っている。景気や業績関連の悪材料がある訳ではない。「ひとえに投資心理のビビリ」という指摘は間違っていないだろう。
日経平均株価は90円45銭安の19347円53銭。東証1部の売買代金は2兆2549億円。三菱UFJ、任天堂、東洋ゴムが上昇。ユニチャーム、楽天、アスクルが下落。

17日(金):
NY株式市場はマチマチの動き。NYダウは6日連続で過去最高値を更新。S&P500はエネルギーセクターの下落から8日ぶりの反落となったが序盤に過去最高値を更新した。「企業決算発表がほぼ終了。トランプ米大統領の経済政策に関する具体的な進展が見えない限り、さらなる相場上昇は正当化できない」という声が聞こえ始めた。

またイエレンFRB議長の15日の議会証言は「3月14〜15日のFOMCで利上げに踏み切るかどうかについて明確な手掛かりは示さなかった」との解釈。もともと3月利上げの可能性は薄かったが、とばっちりの解釈みたいな印象。フィラデルフィア地区連銀業況指数は43.3と、前月の23.6から上昇。市場予想の18.0を大きく上回り1984年1月以来の高水準。住宅着工件数は減少、一方失業保険申請者数は増加した。

「NYダウの最近の上昇はテクニカル的にはボリンジャーの+2σのラインに押し上げられつつ+3σのラインと一緒に上値を伸ばしいる」との指摘。通常は+2σが限界で+3σを追い越していくと「行き過ぎ」。だが現在は「適度な上昇」なのかも知れない。首相官邸で開催された未来投資会議。中身は自動走行がメイン。

日経平均株価は112円91銭安の19234円62銭と続落。東芝の下落が響いた格好が継続した。東証一部の売買代金は2兆121億円。トレンドマイクロ、信越化学、JTが上昇。アサヒ、三菱ケミが下落。東証2部指数は3日続伸。金曜日の上昇記録は「5」で止まった。


(2) 欧米動向
イエレンFRB議長は前日の上院に続き下院金融サービス委員会で証言。
特に目新しいコメントはなかったが「利上げの軌道にある」という方向に変化はなし。
JPモルガンは、次回の利上げ予想時期を6月から5月に前倒し。
ゴールドマンは3月の利上げ確率を20%から30%に引き挙げ。
6月までの利上げ1回以上の確率を85%から90%に引き上げた。
市場が織り込む3月利上げ確率は27%。
欧州ではロンドン株式市場が反発。
FT100指数は1カ月ぶりの高値水準となった。
中型株中心のFT250とFTSE小型株指数はともに過去最高値を更新。

珍しく頑張った印象なのが麻生財務相の衆院財務金融委員会での発言。
「まだ120円にいたっていない。円安といわれる覚えはない」。
リーマンショック前の1ドル120円が脳裏にあるとの解釈。
120円が限界と見るか、120円容認と見るか。
いずれにしてもまだ1ドル114円。

経済財政諮問会議に提出された内閣府の資料は「米国等の国際経済について」。

★日本の対米直接投資残高は着実に増加。
(2015年に4110億ドル)
英国に次いで2位。

★日本の対米直接投資残高(2015年)を業種別にみると・・・。
「卸売」(自動車・電機等の販売部門)29.6%。
「金融・保険」(銀行・証券等の米国法人)20.5%。
「輸送用機器」(自動車工場)10.8%が高い。

★米国における日系企業により雇用者数は83.9万人。
英国に次いで2位。

★日系企業による雇用者数はリーマンショック時にも安定的に推移。

★製造業分野での日系企業による米国での雇用者数は国別で1位(2014年38.3万人)、
業種別では輸送用機器(自動車等)、プラスチック及びゴム(タイヤ)が上位。
米国での過去5年(09年〜14年)の雇用者増加数は9.1万人で国別で1位。

★日系企業の米国における研究開発支出は2011年以降国別で2位(1位はスイス)。

★日本の輸入額(2016年66兆円(速報))の国別内訳は、米国の割合が第2位(11.1%)。
○日本の米国からの輸入割合のうち最大の品目
(1)食料品(穀物類、肉類等)(18.1%)、
(2)化学製品(医薬品等)(16.9%)、
(3)電気機器(半導体電子部品等)(15.5%)、
(4)一般機械(航空機用内燃機関等の原動機等)(15.0%)。
○品目別で米国のシェアが特に大きい輸入品目
航空機類(飛行機、同部品等)、
原動機(航空機用エンジン等の原動機等)、
食料品、化学製品(医薬品等)。

★EUのシェアが高い品目。
輸送機器。特に乗用車は8割がEUからの輸入。
○中国のシェアが高い品目。
電気機器(スマートフォン等の通信機、テレビ等の音響映像機器等)、
一般機械(パソコン等の電算機類、同部品等)、
原料別製品(鉄鋼製建設機材等の金属製品、織物用糸及び繊維製品等)。


(3)アジア・新興国動向

先週の世界の株式相場は主要25の株価指数のうち19指数が上昇。
上位1位ブラジル週間騰落率2.46%、2位香港1.95%、3位米国1.75%、4位ポーランド1.56%、
5位トルコ1.55%。
下位25位南アフリカ▲1.49%、24位メキシコ▲1.32%、23位ロシア▲1.03%、
22位日本▲0.74%、21位タイ▲0.47%。


【展望】

スケジュールを見てみると・・・

20日(月):貿易統計、コンビニ売上高
21日(火):全産業活動指数、米BBレシオ
22日(水):米中古住宅販売、独IFO景況感
23日(木):企業向けサービス価格指数、米シカゴ連銀活動指数、FHFA住宅指数
24日(金):プレミアムフライデー、米新築住宅販売、インド休場

【2月】

20日(月)NYプレジデンツデーで休場、変化日
23日(木)月内最終
24日(金)「プレミアフライデー」開始、株安の日L
26日(日)金環日食、新月、圏央道茨城区間開通、東京マラソン
27日(火)変化日


業績を通期で見ると見失いがちだが、第3四半期だけに絞ると復調が明確になる。
結論は前年同期比25%増での着地で6四半期ぶりの増益。
非製造業では44%の増益となっている。
けん引役は商社で2.4倍。
建設は31%増。
製造業は11%増益。
全体の17年通期は純利益が11%増で2期ぶりに過去最高更新の見通し。
キーワードは「円安と資源高」。
どこか違うような気もするが、今のところはそういう解釈。
いずれ国民生活に跳ね返ってきた時の消費減退という反動が考慮されていないところが面白い。


日経ジャスダック平均は1991年8月5日以来25年ぶりに高値を更新した。
「独自のビジネスモデルと技術を持つ企業が指数をけん引」との解釈。
面白いのは25年前の時価総額ランキング。
1位アムウェイ、2位THK、3位平和、4位JAFCO、5位カブトデコム。
バブルの残渣のようなカブトデコムは御愛嬌っぽいが、アムウェイ以外は1部上場企業。
当時は店頭市場と読んでいたが、この期ソフトバンクなどIT関連が登場した。
そしてITバブルの中核となった訳だが、それでも91年高値は抜けなかったのがバブル後遺症。
これをようやく払しょくできたという事実は大きい。
因みに昨日の時価総額上位。
1位マクドナルト、2位ユニバーサル、3位ハーモニック、4位セリア、5位エスケー化研究。
相変わらずアメリカ文化とパチンコが同居しているのは不思議な縁に映る。

先週の信用買い残は6週ぶりに減少。
76億円減って2兆3351億円。
一方信用売り残は2週ぶりに398億円増加して9352億円。
売り残が1兆円に乗ってくると結構面白い。
日経スクランブルで印象に残った言葉。
「どんな株主でも一人では企業を永続的に支えられない。
だからこそ多様な投資家が互いに株を売買しバトンを渡すように企業を支えている。
市場の成立条件は誰もが好きな時に売買できる流動性だ」。

(兜町カタリスト 櫻井英明)


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