《マーケットストラテジーメモ》02月03週

【推移】

13日(火):
週末のNY株式は乱高下の末の反発。一応右肩上がりに上昇して週を終えたことで「市場に一定の安心感が広がっている」との見方だ。1000ドル超の下落に2度遭遇した週となった。「ボラティリティーが非常に高い状態と。
市場はファンダメンタルズ(をまったく無視している」という指摘もある。 国債価格は上昇し利回りは2.81%台とやや低下。週明けのNY株式は続伸。NYダウの上昇幅は一時570ドルを超える場面があった。

週末の日経平均は反落。ただSQ値21190円を上回っていたことは救いだった。これで対SQ値1勝。前週は500円超の下落が3回。週足は、5週連続で陰線。典型的な火曜の後場の暗転。「米株にとってドル安はサポート材料。米株高でも円高なら日本株は敬遠という展開」というところだ。

日経平均株価は137円安の21244円と続落。週明けのNY株高を背景に前場は300円近く反発。ただ後場は伸び悩みの展開で下落幅を拡大。黒田日銀総裁続投の可能性も消化不良だった。東証一部の売買代金は3兆7126億円。ソフトバンク、資生堂、東レが上昇。NTT、トヨタ、JTが下落。

14日(水):
NY株式は週末を挟んで3日続伸。明日発表予定のCPIと小売売上高の動向に興味が移った格好。「景気が良ければ金利上昇→インフレと株安」という逆スタグフレーションのような展開だ。「マイナス圏で寄り付いた後にプラス圏に戻したことは良い兆候。しかし市場が再び安定すると見込むには時期尚早」という曖昧な声が聞こえる。
リスク選好に戻りつつあるのにドル安/円高の流れは継続。「9月9日まで3日間、水面下に沈んだあとの浮上が11月の連騰記録へとつながった」。そんな明るい指摘もある。前回はじり安、今回は3週間で2500円の急落。

NYの4日続伸を受けてようやく4日ぶりの反発となった日経平均。「ようやく追随高の動き」となった。「3日下げて4日目に反発、よくあるパターン」という冷めた声もある。しかし4日ぶりの日足陽線は歓迎したい。「春一番が吹いた翌日の株高」というアノマリーまで聞こえてきた。その差はある。
日経平均株価は90円安の21154円と3日続落。バレンタインデーの株高はならなかった。朝方は米株高を好感して100円あまり上昇。後場は106円台の円高を嫌気して300円近く下落した場面もあった。かろうじて200日線は上回った格好だ。東証1部の売買代金は3兆4450億円。

15日(木):
NY株式市場は4日続伸。にわかにクローズアップされた1月のCPIは前月比0.5%上昇。市場予想の0.3%上昇を上回って着地。今回の株価下落の端緒となったのは金利上昇。10年国債利回りは、一時2.919%と4年ぶりの高水準を付けた。しかしネガな反応はせず株高。「需給と罫線で株価や為替が決定され、材料は後付け」の典型のような動きとなった。

騰落レシオは反発圏とされる70%にほぼ接近し71.81%。空売り比率は46.5%と47%まであと一歩の水準。水曜まで14日連続40%超と記録を更新している。
日経平均採用銘柄のEPSは1651.38円と増加しPERは12.81倍まで低下した。

4〜12月期決算集計状況(全体の99.9%が通過)。第3四半期売上高9.0%増、同経常利益19.5%増、同純利益35.0%増。通期売上高6.9%増、同経常利益12.7%増、同純利益30.0%増。

日経平均株価は310円81銭高の21464円と4日ぶりの反発。1週間ぶりの高値水準を回復した。上昇幅は一時424円まで拡大した場面もあった。5日移動平均(21427円)を上回ったことも明るい形だ。東証1部の売買代金は2兆9682億円と約半月ぶりに3兆円を下回った。東エレク、アドテスト、リクルートが上昇。クボタ、エーザイ、MS&ADが下落。

16日(金):
NY株式市場は5日続伸。バークシャー・ハザウェイが買い増したアップルやシスコシステムズなどハイテク株が上昇。主要株価指数を押し上げた。等々「株価急落を招いたインフレ懸念は、投資家の間で重視されなくなっている」との声まで聞こえ始めた。好調な企業決算と新たな減税効果での業績拡大に注目するという本来の姿勢が戻ってきたようだ。

VIX(恐怖)指数は19.46。昨年9月22日のマイナス10.00%以来の水準。ドルベースの日経平均は201.49と200ドル台回復。裁定買い残は4619億円減少し1兆7398億円と5週連続の減少。

裁定売り残は340億円減少し4918億円。裁定残の減少が株安の主役だったことがまた焙り出された。日経平均採用銘柄のEPSは1675.64円(前日1651円)と増加しPERは12.81倍。全体的には中途半端ながら日経平均採用銘柄のEPSと裁定買い残の大幅な減少、空売り比率の15日連続40%台を鑑みればほぼ底打ちモードとなってきた。

日経平均株価は255円高の21720円と続伸。一時400円近く上昇した場面があった。「出遅れ修正」という解釈が一般的だ。ドル円の105円台は見えないふりで影響薄。「中国の春節休暇の間の代替的売買での日本株高アノマリー」という声も聞こえる。2月14日の20950円から本日高値21866円まで3日で916円上昇。16営業日で13.2%下落した反動ということになろう。

これで日足陽線2本。週足も6週間ぶりの陽線で今年2度目。先週のSQ値21190円に対しては4勝1敗。東証1部の売買代金は2兆7149億円。
東証1部の値上がり銘柄数は1708と全体の82%。値下がり 銘柄は298銘柄。住友化、JXTG、トヨタ、安川電、東エレ、生化学が上昇。楽天、キーエンス、SUMCO、日電産が下落。


(2) 欧米動向
つなぎ予算を盛り込んだ予算案が成立。
歳出の増加見通しから、市場では「将来的に国債価格の重石」との見方だ。
「向こう2年間の債務に対する影響は税制改革よりも今回成立した予算案の方が格段に大きい」という声もある
JPモルガンはつなぎ予算を盛り込んだ予算法案が成立したことを受け、2018年と19年の米経済成長見通しを上方修正。
「米経済成長率の18年は、2.2%→2.6%、19年は1.6%→1.9%と予想。
FRBの利上げ回数については、18年は4回、19年も4回との見通し」。

IMFのラガルド専務理事のコメント。
「税制改革により短期的に米経済成長は押し上げられる。
しかし中期的には赤字や債務などの面でマイナスの影響が出る可能性がある。
第1に赤字復活の結果として債務が増大。
第2に税制改革により賃金が上昇すると予想されインフレが高進する」。
「S&P500採用銘柄の2018年のEPSは18.9%増」とのアナリスト予想。
足元を信じたいものだ。

(3)アジア・新興国動向
先週の世界の株式相場は主要25株価指数のうち全指数が上昇。
上位1位週間騰落率ロシア6.53%、2位南アフリカ5.73%、3位ベトナム5.56%
4位香港5.45%、6位米国4.25%。
下位25位インド0.01%、24位台湾0.48%、23位ポーランド1.01%、
22位マレーシア1.01%、17位日本1.58%。



【展望】

スケジュールを見てみると・・・

19日(月):貿易統計、NY休場
20日(火):コンビニ売上高、独ZEW景況感
21日(水):全産業活動指数、米中古住宅販売、FOMC議事録
22日(木):米CB景気先行指数、独IFO景況感
23日(金):消費者物価指数、企業向けサービス価格指数

日銀の黒田総裁の続投方向。
再任され6年以上総裁の座を維持したのは7人。
最後は1964年の山際正道氏だったから半世紀ぶりになる。
最長任期は1946年〜54年の8年半の一万田尚登氏。
「日銀の法王」とも呼ばれた。
もっとも当時はGHQの統治下だから歴史の彼方だ。
年齢的には1998年就任の速水優総裁が72歳だった。
黒田氏は73歳だから最高齢。
「人生100年時代の希望の星」という声も聞こえる。
以下は黒田総裁の市場変化(2013年3月19日〜先週末時点)。
●日経平均:12468円→212382円(△71.5%)。
●ドル円:95.47円→109.15円(12.5%円安)。
●長期金利:0.595%→0.070%(0.525%上昇)。
物価目標の2%は全く達成されていない。

(兜町カタリスト 櫻井英明)


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