《マーケットストラテジーメモ》03月02週

【推移】

5日(月):
週末のNY株式はマチマチの展開。トランプ米大統領が示した鉄鋼とアルミニウムの関税方針は現時点で貿易摩擦につながるかどうかは定かではないとの声。視点は9日発表の2月の米雇用統計。市場は実は同じことを繰り返しているに過ぎない。
今回の下落の主役が表面上の米金利上昇とか保護貿易の問題であるならば反転タイミング。ただ海外投資家の執拗な売りの背景の主因主役が別であるならばこの限りではなくなる。パリバショックから本尊のリーマンショックまでの時間が1年だった。

日経平均株価は139円安の21042円と4日続落。一時下落幅が200円を越えた場面もあった。サポートだった200日移動平均も下回っての展開。東証一部の売買代金は2兆7617億円。東証一部の値上がり銘柄数は482。値下がり銘柄数は1532で全体の7割超。ファーストリテ、JR東海、小野薬が上昇。資生堂、ファナック、日立が下落。

6日(火):
週明けのNYダウは5日ぶりの反発。「カナダ、メキシコと公正な通商関係で合意できれば、2国に対し鉄鋼・アルミニウムの輸入制限で交渉の余地がある」。
このトランプ発言を好感したとの解釈だ。貿易摩擦が激化するとの警戒感がやや後退。2月14日安値(20950円)を割り込み、昨年9月8日以来の200日線(21154円)割れ。「昨年9月に200日線を割れ込んだ時は2日だけ」という指摘に期待だろう。ドイツ・イタリアの欧州西部戦線は通過。雇用統計を控えたトランプ動向とアベノミクスの行方が気にかかることになる。

日経平均株価は375円高の21417円と5日ぶりに反発。国際貿易や世界景気の拡大によって恩恵を受ける機械株や資源株、自動車株、電機株など幅広い銘柄が買い物優勢の展開。日経平均の上げ幅は一時500円を超える場面があった。日経平均は21500円を上回る水準では上値が重く相場は上昇幅を縮めた。東証1部の売買代金は2兆5175億円。東証1部の値上がり銘柄数は任天堂、ヤクルト、トヨタが上昇。JT、大東建、クボタは下落。

7日(水):
NY株式は小動き。貿易戦争への不透明感と警戒感の多少の増加が上値を重くした格好だ。もっとも「ナンセンス」という見方がない訳ではない。コーン国家経済会議委員長辞任の方向は嫌気されるに違いない。北朝鮮が非核化に向け米国と対話する意向を表明したとの報道は好感した。

3月2日現在の信用買い残は1699億円増加し3兆6162億円。2007年9月以来10年半ぶりの高水準。押し目買いに動きた個人の結果だ。信用売残は3週ぶりに減少。1604億円減の7916億円。売り方がリグった結果だ。

日経平均株価は165円安の21252円と反落。米国家経済会議(NEC)のコーン委員長が辞任を表。米政権が保護主義に傾斜するとの懸念が強まり円高進行もあって日本株は売り優勢。東証1部の売買代金は2兆7361億円。東証1部の値下がり銘柄数は1368、値上がり617。変わらず85だった。菱地所、ヤマトHD、資生堂が上昇。東エレク。ファナック、コマツ、富士通が下落。

9日(木):
NY株式はダウとS&P500が続落。NASDAQが反発とマチマチの動き。コーン委員長辞任は株価的には東京市場ほどネガティブな評価ではなかった。「結局中間選挙や補選をにらんだ飴」というのが市場の見方だ。中小型のラッセル2000指数は大型株指数をアウトパフォームした。ADP全米雇用レポートで民間部門雇用者数は23.5万人増で着地。市場予想の19.5万人増を上回り依然堅調。

3月2日時点の裁定取引買い残は2週ぶりに減少。前週比22855億円減の1兆4000億円。昨年9月8日(1兆3742億円)以来、ほぼ半年ぶりの低水準となった。つまり半年ごとのメジャーSQ前に裁定買い残が減少。その後積み増すことで株価が上昇しているとも考えられる。

日経平均株価は115円高の2万1368円と反発。「貿易摩擦への警戒感が一服。値がさのハイテク株を中心に買い戻しが入った」との解釈だ。東証1部の売買代金は2兆5017億円。東証1部の値上がり銘柄数は全体の45%にあたる938、値下がりは1042。東エレク、キーエンス、村田製、エーザイ、任天堂、ソフトバンクが上昇。花王、資生堂、コマツ、ファストリが下落。

9日(金):
NY株式市場は主要3指数がいずれも上昇。「市場の重石となっていた貿易戦争への懸念が和らいだ」との解釈。ECBは「必要なら債券買い入れ規模を拡大する」と決定。これも好感された。新規失業保険申請件数(季節調整済み)は前週比2.1万件増の23.1万件。市場予想は22万件だった。前週の約48年ぶりの低水準からは増加したものの「労働市場は引き締まっている」と解釈された。

債券市場は雇用統計控えで小動き。予想では非農業部門雇用者数は前月比20万人増。失業率は0.1%ポイント低下し4.0%と2000年12月以来の水準に改善する見込み。木曜の日経平均は3ケタの上昇ながら下落銘柄が上場銘柄を下回る展開。週を通して方向感が定まっていない印象。ただ終値ベースで5日線(21252円)を上回ったことから形は整った。「小型株の中には高値圏で堅調さを保ち寝たふり銘柄が少なくない」と市場関係者。

日経平均株価は101円高の21419円。一時500円以上上昇した場面もあったが後場は10円程度下落した場面もあった。SQ値は終値ベースでは幻。日銀金融政策決定会合は現状維持で通過したか影響は限定的。東証一部の売買代金は3兆5584億円。値上がり1097銘柄、値下がり886銘柄。積水ハウス、ソフトバンクソニーが上昇。武田、JFEが下落。

(2) 欧米動向

米議会上院は銀行規制を緩和する法案の本会議審議入りを賛成67、反対32で承認した。
金融規制改革法(ドッド・フランク法)修正第1弾となる法案。
中小金融機関の規制順守負担軽減などが盛り込まれている。
金融規制の緩和は株高への伏線と読みたいところだ。

米国家経済会議(NEC)のコーン委員長の辞任表明の報道。
市場ではコーンショックとまで言われた。
「トランプ政権のポピュリズム(大衆迎合主義)の色合いが強くなる。
ゴールドマン・サックスのプラグマティズム(実用主義)よりも優位になっている」との解釈。
そのGS出身のエコノミストのコメント。
「理屈の通じないボス(トランプ大統領)の下でよく1年耐えたと思います。
鉄鋼・アルミの関税を巡って説得できなかったことで辞任となった訳ですが、
今後、トランプ政権のインフラ策を議会で通すことなどを考えれば、
経済政策の担い手が居なくなるわけです、
痛いですね。
元ゴールドマンのムニューシン財務長官も一緒に辞任しなければ良いのですが」。
そもそもGS出身ならばマーケットタイミングというのを少しは知っているだろう。

(3)アジア・新興国動向


米国では「FANG」。
これが中国では「BATJ」になるという。
百度(バイドゥ)、アリババ、騰訊控股(テンセント)、京東集団(JDドットコム)。
頭文字で「BATJ」。
日本ではどうなるのだろうか。
というより、世界ではソフトバンクのSくらいしか思い浮かべられないのかも知れない。
主役になれないのは残念なことでもある。

先週の世界の株式相場は主要25の株価指数のうち20指数が上昇。

上位1位イタリア週間騰落率3.80%、2位ドイツ3.63%、3位スイス3.52%、
4位米国3.25%、5位南アフリカ3.00%、14位日本1.36%。
下位25位インドネシア▲2.26%、24位インド▲2.17%、23位タイ▲2.02%、
22位フィリピン▲1.02%、21位マレーシア▲0.65%。

【展望】

スケジュールを見てみると・・・

12日(月):法人企業景気予測調査、米財政収支
13日(火):企業物価指数、第3次産業活動指数、米消費者物価
14日(水):機械受注、米小売売上高、中国鉱工業生産、小売売上高等
15日(木):首都圏マンション販売、米輸出入物価、NY連銀製造業景気指数、フィラデルフィア連銀製造業景況感、NAHB住宅指数
16日(金):米住宅着工、鉱工業生産、ミシガン大学消費者信頼感、トリプルウィッチング


【3月】

12日(月)変化日
14日(水)春季労使交渉集中回答日
16日(金)米メジャーSQ、変化日、FTSE定期見直しのリバランス実施
17日(土)新月
18日(日)ロシア大統領選
20日(火)FOMC(〜21日)、上げの特異日、変化日
21日(水)春分の日で休場
22日(木)EU首脳会議、ECB理事会
23日(金)水星逆行開始
25日(日)自民党大会、欧州サマータイム開始、変化日
27日(火〉JR九州のななつぼしが大幅ルート変更
29日(木)東京ミッドタウン日比谷開業、英国のEU離脱まで1年
30日(金)NY・ロンドン市場休場〈グッド・フライデー)、中国全人代開催、スポーツ庁がスニーカー通勤を奨励


ゲインラインを突破することが相場上昇の必要十分条件。
これに異論はないだろう。
足りないのはターゲットゾーンの設定と時間軸のような気がする。
「何月にいくらまで上昇」というシナリオはゴ−ルの設定だ。
それが戦略だろう。
板がどうだとか、需給はああだとか、罫線がどう動くのかの読み。
これは戦術と言っても良いかも知れない。
ゴ−ルを定めて、そこから逆算して行動する作業はほとんど行われない。
しかしこれこそが必要な作業だ。
もしもこれができるようになれば右往左往することはなくなる。
ゴールさえ確実に決めているのなら、下落局面で、ほくそ笑むことも可能になろう。
「ヘルシーな調整」というふざけた言葉もひょっとすると意味を持ってくるかも知れない。
本来、先は見えない、のだが見えるような気もしてこようか。

(兜町カタリスト 櫻井英明)


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