《マーケットストラテジーメモ》05月04週

【推移】

21日(月):
週末のNY株式はマチマチの動き。NYダウは小幅高、S&P500とNASDAQは続落した。「銀行と半導体セクターの売りが膨らみ相場全体を圧迫した」との解釈だ。週足では主要株価3指数はそろって下落。背景は通商協議の方向性の不透明さと原油相場を巡る懸念の台頭だ。週末の日経平均は続伸ながら前日比91円高と小幅な値動き。ドル円は一時111円まであった。

しかし「円安だけじゃ」いう声が聞こえる。日経平均の週足は8週連続陽線。SQ値22621円に対しては6連勝。
日経平均は72円高の23002円と3日続伸し終値ベースでも2月2日以来の23000円台回復となった。TOPIXは反落。米中貿易戦争の懸念が後退したとの解釈が支配的だが23000円台を復活したことで利益確定売り押され上値は重かった。東海カ、ファナック、マネが上昇。鹿島、任天堂、東エレが下落。

22日(火):
週明けのNY株式は大幅反発。NYダウは298ドル高の25013ドルと約2カ月ぶりに2万5000ドル台を回復した。ムニューシン米財務長官は「中国からの輸入品1500億ドル相当への関税適用を見合わせる」と表明。中国も「米国製品500億ドル相当への報復関税を実施しない」と発表。米中貿易戦争回避の方向を好感した。「米中が歩み寄る姿勢を見せたことで通商問題での対立が世界経済に悪影響を与えるとの警戒感が和らいだ」との解釈だ。

日経平均株価は42円の22960円と4日ぶりの反落。朝鮮半島情勢や国内政治の不透明感を嫌ったとの解釈。方向感に乏しく日中値幅は78円と今年の最低を記録した。東証1部の売買代金は2兆1437億円。武田、ファナック、村田が上昇。任天堂、マネ、ソニーが下落。

23日(水):
NY株式市場は反落。トランプ米大統領は「米中通商協議に満足していない」とコメント。制裁を科している中国通信機器大手のZTEについて中国側との合意はまだないとした。また6月12日に予定された米朝会談の破談の可能性も懸念されての下落。ぬか喜びと現実のかい離による株価の上昇下落に大統領の気まぐれが重なった一日という印象だ。

5月18日時点の信用買残は前週比544億円減の3兆3086億円。減少は5週連続。約4ヶ月ぶりの低水準ではあるが絶対水準は高い。信用売残は97億円増の8232億円。

日経平均株価は270円安の22689円と続落。下落幅は3月28日(286円)以来の大きさ。MSCIの構成銘柄入れ替えで日本株から3000億円程度資金流出が5月31日に見込まれることからの先回り売りとの指摘もあった。225先物の売買枚数は5万枚超と拡大。SUBARU、リクルート、鹿島、IHIが上昇。ファストリ、ソフトバンク、ガイシ、国際石開帝石が下落。

24日(木):
NY株式市場で主要3指数は反発。5月のFOMC議事要旨で「インフレ上昇が必ずしも米利上げぺースの加速につながらない」とされたことを好感。「インフレ率が2%をやや上回っても必ずしも利上げの加速を意味しないと分かった。
市場では恐らくやや安心感が広がったのだろう」という見方だ。

マークイットが公表した5月の製造業購買担当者景気指数(PMI)速報値は56.6。2014年9月以来の高水準。4月の56.5から上昇した。ISM製造業景気指数に換算した数値は56.2と4月の55.7から上昇。6カ月連続で改善し14年9月以来の高水準だ。「買ってもダメなら売ってみな」の格言もあるが日経平均は下落基調。5日線(22884円)を明確に割り込んだ。

5月18日現在のQuick調査の信用評価損率はマイナス8.15%と改善。5月18日現在の裁定買い残は2070億円増の2兆6895億円(6週連続増)。裁定売り残は107億円減の6511億円。

25日(金):
NY株式市場は小幅安の展開。米朝首脳会談の中止や自動車輸入に関する通商拡大法232条による調査開始が不透明感を高めたとの解釈。ただポンペオ米国務長官は北朝鮮と核開発プログラムの放棄を巡る交渉再開に期待感を表明。「最終的な決定は、金正恩朝鮮労働党委員長次第」とコメント。

日経平均株価は13円高の22450円と4日ぶりに反発。朝方は一時100超下落した場面もあったが米朝首脳会談実施に向けての交渉は継続するのではないかとの見方から警戒感は緩んだ格好。
2日間で500円以上下落していたことから押し目買いの動きも見られた。TOPIXは5日続落。セブンアイ、JR東海、資生堂が上昇。野村、三菱商事が下落。

(2) 欧米動向

海外のヘッジファンドなどの日本進出が相次いでいるという報道。
香港のヘッジファンド、英国のフィンテック企業などが拠点を設けたという。
背景は「埋もれている日本の有望企業を発掘する好機」。
あるいは「個人金融資産だけで1800兆円」。
「政策面の追い風」など。
海外主要都市の相談窓口や日本進出時の費用の一部負担など手厚い。
世界に先駆けて法整備と行った「仮想通貨先進国」でもある。
税率面や情報面で負けた香港やシンガポールに対する巻き返しでの捲土重来。
国際金融都市東京なんて言葉は廃語になっていたが当に復活するのかも知れない。



(3)アジア・新興国動向

先週の世界の株式相場は主要25の株価指数のうち6指数が上昇。

上位1位インドネシア週間騰落率3.33%、2位台湾1.03%、3位トルコ0.77%、
4位インド0.22%、5位米国0.15%。
下位25位ベトナム▲7.37%、24位ブラジル▲5.04%、23位イタリア▲4.48%、
22位マレーシア▲3.08%、21位日本▲2.09%。


【展望】

スケジュールを見てみると・・・


28日(月):企業向けサービス価格指数、米休場
29日(火):失業率・有効求人倍率、米CS住宅価格、CB消費者信頼感
30日(水):消費動向調査、米ADP雇用レポート、ベージュブック、GDP改定値
31日(木):鉱工業生産、米個人所得、シカゴ購買部協会景気指数、中国製造業PMI、G7財務相・中央銀行総裁会合「成長への投資」(カナダ)
 1日(金):法人企業統計、米雇用統計、ISM製造業景況指数、アジア安全保障会議(シンガポール)


【5月】

29日(水)満月
28日(月)NY、ロンドン休場(メモリアルデー、スプリング・バンク・ホリデー)、変化日
30日(水)米ベージュブック
31日(木)MSCI定期見直し(半期)リバランス



【6月】

1日(金)アジア安全保障会議(シンガポール)
5日(火)台北国際電脳展、変化日
8日(金)メジャーSQ、G7首脳会議(カナダ・シャルボア〜9日)
11日(月)欧州最大のIT見本市「CeBIT」(独ハノーバー〜15日)
12日(火)FOMC(〜13日)、世界最大のゲーム見本市「E3」(ロス〜14日)
13日(水)韓国統一地方選
14日(木)日銀金融政策決定会合(〜15日)、ECB理事会、ラマダン終了、変化日、サッカーワールドカップ開幕(ロシア)、ゴルフ全米オープン
15日(金)民泊法施行
19日(火)海王星逆行開始
20日(水)変化日、FTSE定期見直しのりバランス実施
21日(木)上げの特異日
22日(金)OPEC定時総会(ウィーン)
24日(日)ユネスコ世界遺産委員会
26日(火)世界原子力展示会(パリ〜28日)、変化日
27日(水)ECB理事会
28日(木)ECB理事会、火星逆行開始
29日(金)上げの特異日
探査機「はやぶさ」が小惑星「リュウオウ」に到着
次期エネルギー基本計画を閣議決定

バフェット指標というのがある。
「その国の名目GDPと上場株式の時価総額の総和を比べるもの」だ。
日本のバフェット指数は1989年のバブルの頃は140%を超えていた。
リーマンショック前の2006年から2007年かけて100%超。
2015年のチャイナショック前も100%を超えていた。
今年の2月も東証1部の時価総額は700兆円を超えバフェット指標は100%を超えていた。
ココが一部の警戒感と上昇への疑念の背景だったことは記憶に新しいところ。
直近の2018年1〜3月の名目GDPは547.9兆円。
東証1部の時価総額は682兆5198億円。
バフェット指標は124.57%だ。
2017年10〜12月の名目GDPは550兆円。
1月末の東証1部時価総額は690.68兆円。
バフェット指標は125.57%とほぼ今と一緒だ。
ココを超えてバブルの頃の140%まで行ければ767兆円まで行けると計算可能。
因みに767兆円になった時の日経平均は25770円。
150%ならば27610円。
ココを限界と見るか、限界の先に期待するかは自由だ。
因みにGDPが600兆円になればバフェット指標の150%は時価総額900兆円。
日経平均は37665円。
アベノミクスの「未来戦略」が見えてくれば日経平均はバブル最高値(終値ベース38915円)に接近する。
そういう計算は可能だ。

(兜町カタリスト 櫻井英明)


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