《マーケットストラテジーメモ》11月1週

【推移】


29日(月):
週末のNY株式市場は反落。ハイテクセクターの下落がきつくS&P500は5月初旬以来の安値。「NASDAQは再び調整局面入りが確認された」という見方だ。第3四半期GDP速報値は前期比3.5%増と市場予想の3.3%増を上回った。

しかし前日引け後に決算を発表したアマゾンは7.8%下落。1日の下落率としては2014年10月以来の大きさだった。アルファベットは一時5.6%下落。東京市場で懸念された決算失望売りがNYでも起きたということ。
週足ではNASDAQが3.8%下落し3月23日週以来の大幅な下落。NYダウは3%、S&Pは4%下落となった。
MSCI世界株価指数は5週連続で下落で2013年以降で最長。
TOPIXやマザーズ指数が年初来安値を更新。日経平均も7月の安値を下回った。

日経平均は週間では1347円の下落。週足は長い陰線。4週連続の週足陰線は2月の5週連続以来。日経平均株価は34円安の21149円と続落。138円高で寄り付き底打ち感も醸し出したが結局上海を見て失速。300円近く上昇する場面もあった。5日連続日足陰線となった。マザーズが4%、ジャスダック平均が2%近い下落でともに5日続落だ。信越、東電が上昇。トヨタ、キャノンが下落。

30日(火):
週明けのNY株式は荒れた展開。NYダウは245ドル安の24442ドルと続落。7月上旬以来の安値水準に沈んだ。前週に大きく下げた反動から買いが先行。NYダウは午前に352ドル高まで上昇した場面があった。
一方、米中摩擦への懸念から午後に下げに転じ、コンピュータ取引による売りが加速。一時566ドル安まで下落した場面もあった。日中値幅は918ドル。

11月の米中首脳会談で貿易交渉が進まない場合、トランプ米政権が12月初めまでに中国からの残りの全輸入品に約2750億ドルの追加関税を発動する方針との報道を嫌気。貿易摩擦の影響を受けやすいボーイングやキャタピラーなどが売られた。

日経株価は307円高の21547円と4日ぶりの反発。年金などの買い観測も聞かれた。東証一部の売買代金は4兆406億円。ファーストリテ、ファナックが上昇、日ハム、JR東海が下落。

31日(水):
NY株式市場で主要3指数は1%強の上昇で反発。また「安値拾い」という声が聞こえる。下落し全体の足を引っ張っていた半導体セクターが反発。SOX指数は4.2%高で3月以来の大幅な上昇率となった。インテルは5.2%高。投資判断の引き上げを手掛かりにエヌビディアが9.4%急伸。「中国への追加関税」の問題はどこへ行ったのかと不思議な展開だ。トランプ大統領の「中国と貿易に関して素晴らしい取引ができる」のコメントが奏功したとの解釈。

29日時点のGPIFの国内株式比率は23.9%。6月末時点は25.5%だった。25%に戻すには「1兆8300億円の日本株買い需要」という声もある。「前場に買うクジラ、後場に買う日銀」という棲み分けも興味深い。

日経平均株価は463円高の21920円と高値引けで続伸。TOPIXも高値引け。業績見通しを上方修正した銘柄を中心に買い優勢の展開。ドル円の113円台も好感された。
日経平均は10月に2199円(9.1%)下落。下落幅はリーマン・ショック直後の2008年10月以来、下落率は16年6月以来の大きさだった。ソニー、トヨタが上昇。千代建、マキタが下落。

1日(木):
NY株式市場は主要3指数が続伸。NYダウは一時462ドル上昇し終値は241ドル高。
NASDAQは一時200ポイント超の上昇場面があり終値では144ポイント高。2%超の上昇となった。NASDAQは2日で3.6%上昇。2日間の上昇率としては2016年6月以来の大きさだった。S&P500は2700ポイント台回復。「ハロウイン・ジャンプ!!」という声も聞かれた。
月間ではNYダウが5.1%、S&P500が6.9%下落。ナスダックは9.2%安で2008年11月以来の大幅下落。2008年11月以来の大幅な下落だった。「なんとか魔の10月は終了」という声が聞こえる。
結局、2018年3月月中平均21395.50円で止まったということだろうか。

10月26日時点の裁定買い残は3134億円減の1兆614億円。4週連続減少でスカスカ。裁定売り残は137億円増の3865億円。こちらは3週連続増だ。
日経平均株価は2332円安の21687円と3日ぶりの反落。ドコモの料金引き下げが影を落とし通信セクターが下落。全体は戻り待ちの売りで大引けにかけて下落幅を拡大した。「機関投資家の買い一巡」という声も聞こえる。コナミ、村田が上昇。日東電工、東エレが下落。

2日(金):
米国株式市場は3日続伸。NYダウは3日連続の3ケタ上昇でほぼ高値圏での終値となった。背景はトランプ大統領の中国の習近平国家主席との対話。貿易や北朝鮮問題を巡り「非常に良好な」対話を持ったとツイートしたことから貿易摩擦懸念が後退した。

アルゼンチンで今月末に開催されるG20首脳会議で首脳会談を行う予定だという。ボーイングやキャタピラーなどが上昇をけん引。
「今週の株価上昇を受けて、買いの好機を逃すのではとの不安も若干出てきている」という声も聞こえる。アップル年末商戦を含む第1四半期(10〜12月)の売上高が890億〜930億ドルになるとの見通しを示した。市場予想は930億ドルだった。

日経平均株価は556円高の22243円大幅に反発。1月4日の741円に次ぐ今2番目の上げ幅。10月22日以来の水準を回復した。米日貿易摩擦懸念が後退。一時113円台への円安トレンドも追い風となり後場中頃から急速に上昇幅を拡大した。東証一部の売買代金は3兆5672億円。ファナック、コマツが上昇。トヨタ、ソニーが下落。

(2) 欧米動向

日経朝刊では「ヘッジファンド苦戦」の見出し。
株式ヘッジファンドの10月のパフォーマンスは▲5.8%。
11年8月の▲5.6%と同じレベルだ。
08年9月が▲8.6%、10月が▲10%だった。
世界のヘッジファンドは360兆円、そのうち株式ファンドは100兆円。
浮かぶのは「ヘッジファンドの解約懸念」というよりは「下手」ということ。
想定されるあらゆる分析を行いスピード取引を駆使した結果が▲5.6%。
「意図的売買」などと指摘され一部からは畏怖の念をもって崇拝されることもあるヘッジファンド。
決して完全無欠なわけではなく、見えない影に怯える必要もないということ。
ここは押さえておきたい。

ユーロ圏のGDPは年率換算0.6%成長に減速。
メルケル政権の行方は不透明。
ブレグジッドもどうなるか。
欧州に霧はかかり始めた。
とはいえ、一番の霧はトランプ氏の行方。
来週の中間選挙を通過することがまず必要なのだろう。
米中貿易摩擦は技術摩擦。
背景の「中国製造2015」は無理筋ながら中国が突き進んでいるのが強硬トランプの背景だ。
イギリスのデジタル課税も影を落とす。
闇を探れば限りない。

(3)アジア・新興国動向

先週の世界の株式相場は主要25の株価指数のうち24指数が上昇。
上位1位南アフリカ週間騰落率7.37%、2位香港7.16%、3位ポーランド5.52%、
4位日本5.00%、5位インド4.98%。
下位25位メキシコ▲0.78%、24位フィリピン1.08%、23位マレーシア1.83%、
22位インドネシア2.10%、20位米国2.36%。


【展望】

スケジュールを見てみると・・・

5日(月):米ISM非製造業景況感
6日(火):家計調査、米中間選挙、シンガポール・マレーシア休場
7日(水):勤労統計調査、景気動向指数、米FOMC(〜8日)、消費者信用残高、世界インターネット大会(中国)
8日(木):機械受注、都心オフィス空室率、景気ウォッチャー調査、中国貿易収支
9日(金):オプションSQ、マネーストック、米生産者物価、ミシガン大学消費者信頼感、中国消費者・生産者物価


11月アノマリーを見てみると・・・。
「転機になりやすい」。
12月のサンタクロースラリーに向けての前哨戦。
「ハロウィンに市場に戻って来い」の格言もある。
45日ルール(投信解約事前通告)の11月15日近辺は注意。
冬時間になるので、取引が1時間遅くなり、東京の朝の準備が忙しくなる。
ブラックフライデー(感謝祭翌日の金曜・今年は23日)。
翌月曜のサイバーマンデー(今年は26日)の売上は注目。

「米中間選挙頃から翌年前半にかけての米国株は特に堅調相場が期待できる時期。
中間選挙の年の10月末から翌年4月末までの半年間のNYダウは1942年以降の全てのケースで上昇。
平均上昇率も約15%と大きい」というのもアノマリー。

(兜町カタリスト 櫻井英明)


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