「シェアリング・エコノミー」が変える社会
ソーシャルメディアを活用した新たな経済「シェアリング・エコノミー」
シリコンバレー発のベンチャー企業が次々と空いた資産を活用できるサービスを急ピッチで世界展開し、ソーシャルネットワークサービス(SNS)の浸透と共に急速な成長を遂げている。

最近よく耳にしますが、“シェア”というものがあります。個人や企業が所有する遊休資産、例えば「乗り物・スペース・モノ・ヒト・カネ」などを不特定多数の人々とインターネットを介して共有する「シェアリング・エコノミー」です。

日本でもこの考え方が徐々に浸透し、独自の市場が形成されている。
自動車から住宅、衣服、さらには家事のようなサービス等。

従来のように普通に買うのではなく、一定期間だけ借りたり、リユース品で必要を満たす「シェアリング」と呼ばれる動きが活発になっている。
それ自体は古くから存在する習慣で、仲介手段としてネットが使われることで爆発的な需要成長を引き起こしているのは、皆さんもご存知だろう。

シェアリング・エコノミーとは
「シェアリング・エコノミー」とは、典型的には個人が保有する遊休資産(スキルのような無形のものも含む)の貸出しを仲介するサービスであり、貸主は遊休資産の活用による収入、借主は所有することなく利用ができるというメリットがある。

総務省の「平成27年版 情報通信白書」では、
貸し借りが成立するためには信頼関係の担保が必要であるが、そのためにソーシャルメディアの特性である情報交換に基づく緩やかなコミュニティの機能を活用することができる。 シェアリング・エコノミーはシリコンバレーを起点にグローバルに成長してきた。PwCによると、2013年に約150億ドルの市場規模が2025年には約3,350億ドル規模に成長する見込みである。

参照:総務省 平成27年版 情報通信白書シェアリング・エコノミーとは

シェアリング・エコノミーの市場規模について

(出典)PwC「The sharing economy - sizing the revenue opportunity」

「シェアリング・エコノミー」の市場規模が伸びる要因は、高齢者、特に後期高齢者の増加だろう。
国立社会保障・人口問題研究所(以下、社人研)の将来推計(2012年1月時点)によると、これから約20年後の2035年には、全人口の3人に1人が65歳以上の高齢者、さらに5人に1人は75歳以上の後期高齢者となる見込み、高齢化に伴ってクルマの運転が困難となり買い物、通院など日常生活に支障が生じる世帯が急増することが予想される。

その結果、次第に生活圏は自宅周辺の狭い範囲に限定されることになるだろう。行動範囲が縮小することで不便さを感じる人が続出すると思われる。

また、内閣府が2014年2月に公表した「目指すべき日本の未来の姿について」のデータでは、日本の65歳以上の高齢化率は、12年、3,079万人(前年2,975万人)の24.1%だった。2060年は、3,464万人へと増加、総人口に占める割合は39.9%に達し、国民の約2.5人に1人が65歳以上の高齢者となる社会が到来、単身高齢者の数も激増する見通しになっている。

こうした予測データからも、単身者あるいは高齢者夫婦のみ世帯の増加により、消費ニーズの変化に伴い、自動車を「愛車」所有するのではなく、シェアできるものはシェアして使うという意識が強まるものと考えられる。

世界各国で波乱を巻き起こしているUber
皆さん、「Uber(ウーバー)」は、ご存知だろうか?
米シリコンバレーの新たなスターと言えば、新手のタクシー配車を手がける「Uber(ウーバー)」。世界各国で波乱を巻き起こしている。
2009年にアメリカで生まれた、スマートフォンの専用アプリを活用し、タクシーを呼ぶという単純なサービスだが、瞬く間に利用者数が拡大している。

Uberのサービスイメージ
特長は、携帯のGPS機能を使って、ドライバー探してくれる。タクシーの配車(呼び出し)から料金の支払いまで、全てアプリ上で完結できる。

(出典)総務省「社会課題解決のための新たなICTサービス・技術への人々の意識に関する調査研究」(平成27年)

東京のハイヤー・タクシー大手。
大和自動車交通<9082.T>
「ドライバーサービス」は、顧客の車両を充分な経験を積んだ専任ドライバー(2種免許取得)が運行するサービスです。ハイヤーの専属利用の新しいカタチ。

自分で運転するのが不安な人などがサービスを活用している。一方で自分の車を使わない時に使いたい人に貸し出すライドシェアを利用する人が増える可能性がある。

24時間無人時間貸駐車場「タイムズ」を全国展開。パーク24<4666.T>

画像:公式HPから

2009年にカーシェアリングサービスをスタートさせ、5年目の14年10月期には営業損益段階で黒字化を達成している。

決算短信では、今期の16年10月期のカーシェアリング車両台数は、1万6000台(前期比21.7%増)に増加すると見込む。レンタカーとのサービス一体化を通じ顧客の囲い込みを図るほか、規模拡大、収益力強化、販売チャネルの多様化、サービスレベルの向上を目指している。

Airbnb
Airbnbは宿泊施設・民宿を貸し出す人向けのウェブサイト。
空き部屋や不動産等の貸借をマッチングするオンラインプラットフォームである。個人・法人を問わずに利用でき、共用スペースから戸建て住宅、アパート、個室から個人が所有する島まで幅広い物件が登録されている。

Airbnbのサービスイメージ

(出典)総務省「社会課題解決のための新たなICTサービス・技術への人々の意識に関する調査研究」(平成27年)

シェアリングビジネスで注目の「民泊」
シェアリングビジネスとして、最近注目を集めているのが「民泊」だろう。
ホテル不足解決策として、一般家庭やマンションの空き部屋などを宿泊施設として提供・利用する。
昨年来、海外から日本を訪れる観光客が急激に増えており、宿泊施設の空室不足が深刻化しています。政府全体としては観光立国に向けて民泊を積極的に検討している。
今後の日本経済にプラスの効果をもたらすことが期待される。

関連銘柄としては「民泊」および「短期・中期」賃貸事業に参入し、従来の賃貸物件に加え、中期賃貸、短期賃貸といった物件情報を検索できるサイトをリリースしているアパマンショップホールディングス<8889.T>、都内中心に賃貸住宅を借り上げサブリースするAMBITION<3300.T>は、管理物件「セジョリ池上」が25日に事業認定を受けたと発表した。

筆頭株主のシノケングループ<8909.T>と共同で、民泊プロジェクトを立ち上げているプロパスト<3236.T>など注目だろう。

モノのシェアにも注目 Mercari(メルカリ)
モバイルフリーマーケットアプリ。ユーザーはスマートフォンのカメラで商品を撮影し、説明や価格を添えて販売したい商品を出品する。クレジットカード、コンビニや銀行ATMで支払いが可能となっており、購入者はメルカリを通して代金を支払う形になっている。

画像:公式HPから

メルカリは3月2日、第三者割当増資の実施を発表した。調達した金額は総額で約84億円。引受先となったのは既存株主のグロービス・キャピタル・パートナーズ、World Innovation Lab(WiL)、グローバル・ブレイン、メルカリ経営陣に加え、新たに三井物産、日本政策投資銀行、ジャパン・コインベスト投資事業有限責任組合が今回の調達ラウンド(D種優先株式)に参加している。今回の出資により、同社が2013年2月の創業時から調達した資金総額は126億円に到達した。

ダウンロード数が日米合わせて3200万件(内訳は日本が2500万件、米国が700万件)に到達し、国内の月間の流通額が100億円を超えたことも公表している。

三井物産は、「シェアリング・エコノミー分野で事業投資を行うのは総合商社としては初めての取り組みで、メルカリのグローバル展開を支援していく予定」とプレスリリースしている。

家電、家具、雑貨等を首都圏で総合リサイクルショップを展開 トレジャー・ファクトリー<3093.T>
証券系アナリストレポートでは、17年2月期は低単価の品揃えも拡充し、客数増を図る方針と指摘。
シェアリング・エコノミーの広がりにより、リユース品の需要拡大が続くだろう。出店による成長が続くと予想される。インターネット経由の売買の強化などを進め、本業のもうけを示す営業利益段階で連続最高益更新が予想されるとコメントしている。

共有するのは、モノだけでなく、空間、時間、体験、能力なども含まれる。

そこから所有するものや能力、知識など多岐にわたるあらゆる領域で“シェア”をする新たなライフスタイルが誕生している。

シェアリング・エコノミーは、人と人がつながることで、新しい価値観や満足感が生まれ、物を所有独占する時代から共有する時代に変わってきている。

事業展開しやすい環境が整ってきており、今後、あらゆる分野でシェアリングビジネスが誕生・拡大する可能性があるだろう。
大きなうねりとなって社会を変えていくことに期待したい。

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