[4548]生化学工業
[02月26日更新]

生化学工業は調整一巡、24年3月期営業・経常減益予想据え置きだが再上振れ余地

 生化学工業<4548>(東証プライム)は関節機能改善剤アルツなど糖質科学分野を主力とする医薬品メーカーである。成長戦略として独自の創薬技術を活かした研究開発を加速させている。24年3月期第3四半期累計は売上原価率の上昇や海外子会社における販管費の増加などで減益だった。そして通期営業・経常減益予想(23年11月8日付で上方修正)を据え置いた。第3四半期累計の利益は通期予想を超過達成の形となっているが、腰椎椎間板ヘルニア治療剤SI−6603の承認申請に向けた費用が第4四半期に集中する見込みとしている。ただし会社予想は保守的な印象が強く再上振れ余地がありそうだ。収益拡大を期待したい。株価は反発力が鈍く昨年来安値圏だが、高配当利回りや1倍割れの低PBRも評価材料であり、調整一巡して出直りを期待したい。

■関節機能改善剤アルツなど糖質科学分野が主力の医薬品メーカー

 糖質科学分野が主力の医薬品メーカーで、国内医薬品(関節機能改善剤アルツ、白内障手術補助剤オペガン、内視鏡用粘膜下注入材ムコアップ)、海外医薬品(米国向け単回投与関節機能改善剤Gel−One、米国向け3回投与関節機能改善剤VISCO−3、米国向け5回投与関節機能改善剤SUPARTZ−FX、中国向けアルツ)、医薬品原体(ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸)、LAL事業(エンドトキシン測定用試薬関連)を展開している。

 23年3月期のセグメント別売上高構成比は、医薬品事業が68%(国内医薬品が34%、海外医薬品が26%、医薬品原体・医薬品受託製造が9%、ロイヤリティーが0%)でLAL事業が32%だった。営業利益構成比は、医薬品事業が▲7%で、LAL事業が107%だった。

■海外展開を強化

 海外展開強化に向けて、20年3月にカナダのダルトン社を子会社化した。なおダルトン社を買収する際に中間持株会社として設立したSEC社、および買収目的会社として設立したSAC社が特定子会社に該当することになったため、ダルトン社とSAC社が現地法に基づく新設合併を行い、新設された新ダルトン社が旧ダルトン社から商号および事業を引き継いだ。

 20年8月には、ダルトン社がサスカチュワン大学の研究機関であるVIDO−InterVacと、VIDO−InterVacがカナダ政府およびサスカチュワン州から支援を受けて開発を進めているCOVID−19ワクチンの製造に関して、業務提携に合意した。ダルトン社は本提携により、COVID−19ワクチンの初期段階の臨床試験で投与される治験薬の調合、充填、製剤化を担う。

 21年4月にはLAL事業の海外子会社である米ACC社が、遺伝子組み換えエンドトキシン測定用試薬「パイロスマート ネクストジェン」の販売を開始した。21年8月には単回投与の関節機能改善剤ハイリンクについて、台湾のTCM社を通じて台湾における販売を開始した。

 22年1月にはダルトン社の100%出資子会社として、カナダに現地法人SEIKAGAKU NORTH AMERICA CORPORATIONを設立した。北米に開発拠点を有することで、現地の医療環境に即したプランの立案、FDA(米国食品医薬品局)や治験施設との円滑なコミュニケーション実現など、医薬品・医療機器開発および承認取得の加速を目指す。

■新薬開発は糖質科学分野に焦点

 研究開発は糖質科学分野(糖鎖や複合糖質を研究する科学分野)に焦点を絞っている。24年3月期第3四半期末時点の開発パイプラインとしては、腰椎椎間板ヘルニア治療剤SI−6603(米国、コンドリアーゼ)、ドライアイ治療剤SI−614(米国、修飾ヒアルロン酸)、変形性膝関節症改善剤SI−613(米国、ジクロフェナク結合ヒアルロン酸)、腱・靱帯付着部症を適応症とするSI−613−ETP(日本、ジクロフェナク結合ヒアルロン酸)、間質性膀胱炎を適応症とするSI−722(米国、ステロイド結合コンドロイチン硫酸)、外科手術で使用される癒着防止材SI−449(日本・米国、コンドロイチン硫酸架橋体)がある。

 SI−6603は日本では18年3月製造販売承認を取得し、科研製薬<4521>が18年8月販売開始(腰椎椎間板ヘルニア治療剤ヘルニコア)した。またスイスのフェリング社と日本を除く全世界におけるライセンス契約を締結している。マイルストーン型ロイヤリティーの総額は最大95百万米ドル(うち契約一時金5百万米ドル)である。米国では22年3月に第3相追加臨床試験被験者組み入れが完了した。そして23年5月には、米国における第3相追加臨床試験において良好な結果を得たと発表している。本試験結果を受け、早期の承認申請に向けた準備を進めている。

 SI−613は小野薬品工業<4528>と日本における共同開発・販売提携に関する契約を締結し、21年3月に変形性関節症治療剤ONO−5704/SI−613(ジョイクル関節注30mg)が変形性関節症(膝関節、股関節)の効能または効果で国内製造販売承認を取得し、21年5月に小野薬品工業が販売開始した。マイルストーン型ロイヤリティーの総額は最大120億円(うち契約一時金20億円)である。20年9月にはエーザイ<4523>と韓国における販売提携に関する契約を締結した。エーザイの韓国子会社が韓国におけるSI−613独占的販売権を取得して製造販売申請を行い、承認取得後は製品をエーザイに供給する。契約一時金と販売マイルストーンを受け取る。エーザイとは20年4月に中国における共同開発および販売提携に関する契約を締結しており、2ヶ国目の提携となる。

 なお、ジョイクル投与後にショック、アナフィラキーの発現が複数報告されたため21年6月1日付で安全性速報(ブルーレター)を発出し、小野薬品工業と連携して副作用報告等の情報収集や安全性に関する情報提供に努めている。また原因究明に向けて医師主導の臨床研究を開始している。今後の方針としては、米国・中国・韓国におけるSI−613(変形性膝関節症)の開発方針を検討中で、日本におけるSI−613−ETP(腱・靭帯付着部症、小野薬品工業とのSI−613の契約に含む)の開発を22年2月に中断している。ジョイクルのショック、アナフィラキー発現に関する原因究明を優先する。

 SI−614は22年5月に米国で第3相臨床試験を開始したが、主要評価項目において統計学的に有意な改善効果が認められなかったため、取得したデータの解析を進めるとともに、今後の開発方針について検討している。

 SI−722は19年11月米国における第1・2相臨床試験を開始、20年3月被験者投与を開始、21年1月被験者組み入れが完了した。主目的である忍容性を確認し、次相試験を検討中である。

 SI−449は日本で20年5月に国内ピボタル試験(消化器外科領域)を開始、22年9月に被験者組み入れが完了した。また、21年11月に国内パイロット試験(婦人科領域)を開始し、22年5月に被験者組み入れが完了した。そして23年7月に消化器外科領域の国内ピボタル試験で良好な結果を得たため、早期の承認申請に向けた準備を進めている。また婦人科領域におけるパイロット試験でも操作性、安全性について確認が完了した。SI−449についてはグローバル展開を視野に入れて開発を推進する方針としている。

■中期経営計画

 中期経営計画(23年3月期〜26年3月期)の目標数値には、最終年度26年3月期の売上高400億円、営業利益70億円を掲げている。23年3月期からの4年間を「成長を実現する期間」として、最終年度26年3月期に過去最高の業績達成を目指すとしている。前提条件としては、腰椎椎間板ヘルニア治療剤SI−6603の米国上市、国内関節機能改善剤の収益拡大、海外医薬品およびLAL事業の拡大、研究開発費の対売上高比率(ロイヤリティー除く)25%目途、為替レート1米ドル=135円としている。

 利益還元については、1株当たり年間配当金26円を基本として、業績動向および財務状況を勘案して増配を検討する。また、今後の事業展開や総還元性向を考慮しながら、自己株式取得を適宜検討するとしている。

 重点施策としては、独自の創薬技術を活かした研究開発の加速、腰椎椎間板ヘルニア治療剤SI−6603の製品価値最大化、関節機能改善剤の事業価値維持・向上、グローバル生産体制の構築、遺伝子組み換え技術によるLAL事業の拡大を掲げ、社員エンゲージメント向上や人材育成、経営基盤の強化、サステナビリティ経営の強化も推進する方針としている。

 なお中期経営計画の期間中に、腰椎椎間板ヘルニア治療剤SI−6603の米国における承認取得および上市、ドライアイ治療剤SI−614の米国第3相臨床試験の終了、癒着防止材SI−449の国内での承認取得および米国での臨床試験開始を目指すとしている。

■24年3月期3Q累計減益、通期営業・経常予想据え置きだが再上振れ余地

 24年3月期の連結業績予想(23年11月8日付で上方修正)は売上高が23年3月期比7.9%増の361億円、営業利益が38.5%減の13億円、経常利益が26.7%減の22億50百万円、親会社株主帰属当期純利益が16.2%増の26億円としている。配当予想は23年3月期と同額の26円(第2四半期末13円、期末13円)としている。予想配当性向は54.6%となる。

 セグメント別売上高計画は、医薬品事業が13.5%増の258億円(国内医薬品が9.1%増の123億円、海外医薬品が13.1%増の96億50百万円、医薬品原体・医薬品受託製造が8.0%増の31億50百万円、ロイヤリティーが6億98百万円増加の7億円)で、LAL事業が4.0%減の103億円としている。研究開発費の計画は23年3月期比4.9%増の75億50百万円としている。

 第3四半期累計は売上高が前年同期比4.7%増の273億84百万円、営業利益が31.6%減の23億28百万円、経常利益が27.7%減の30億49百万円、親会社株主帰属四半期純利益が25.6%減の27億01百万円だった。

 売上面は、医薬品事業における米国の単回投与関節機能改善剤ジェル・ワンの販売数量減少、LAL事業における新型コロナウイルス感染症関連特需の収束がマイナス要因だったが、一方で国内医薬品や中国向けアルツの出荷数量増加、ロイヤリティーの増加、円安効果などにより増収だった。利益面は、売上原価率の上昇、円安に伴う海外子会社における販管費の増加などにより減益だった。研究開発費は4.8%減の50億98百万円だった。営業外収益では為替差益が減少(前年同期は3億96百万円、当期は2億36百万円)した。

 医薬品事業は売上高が9.9%増の197億27百万円、営業利益が10.6%増の15億43百万円だった。売上高の内訳は国内医薬品が1.9%増の90億20百万円、海外医薬品が8.8%増の75億33百万円、医薬品原体・医薬品受託製造が13.6%増の24億74百万円、ロイヤリティーが6億99百万円(前年同期は2百万円)だった。

 国内医薬品では、薬価引き下げの影響があったものの、関節機能改善剤アルツや眼科手術補助剤オペガン類の出荷数量が増加した。海外医薬品では、米国の単回投与関節機能改善剤ジェル・ワンが22年7月の保険償還制度変更の影響で減少、5回投与関節機能改善剤スパルツFXが出荷時期の調整や円安効果で増収、中国向けアルツが前年第1四半期の包装資材変更に伴って出荷がなかった反動で大幅増収だった。医薬品原体・医薬品受託製造では、海外子会社ダルトン社の医薬品受託製造が円安も寄与して増収だった。また第1四半期にロイヤリティー収入6億99百万円を計上した。

 LAL事業は売上高が6.7%減の76億57百万円、営業利益が61.0%減の7億85百万円だった。海外子会社ACC社における新型コロナウイルス感染症関連特需の収束により減収減益だった。

 全社ベースの業績を四半期別に見ると、第1四半期は売上高が96億61百万円、営業利益が12億98百万円、経常利益が19億59百万円、第2四半期は売上高が84億00百万円、営業利益が1億84百万円、経常利益が3億68百万円、第3四半期は売上高が93億23百万円、営業利益が8億46百万円、経常利益が7億22百万円だった。第1四半期にロイヤリティー収入6億99百万円を計上している。

 通期予想は据え置いている。第3四半期累計の利益は通期予想を超過達成の形となっているが、腰椎椎間板ヘルニア治療剤SI−6603の承認申請に向けた費用が第4四半期に集中する見込みとしている。ただし会社予想は保守的な印象が強く再上振れ余地がありそうだ。収益拡大を期待したい。

■株価は調整一巡

 株価は反発力が鈍く昨年来安値圏だが、高配当利回りや1倍割れの低PBRも評価材料であり、調整一巡して出直りを期待したい。2月22日の終値は748円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS47円66銭で算出)は約16倍、今期予想配当利回り(会社予想の26円で算出)は約3.5%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS1232円41銭で算出)は約0.6倍、そして時価総額は約425億円である。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media−IR
[01月22日更新]

生化学工業は反発の動き、24年3月期最終増益予想、さらに再上振れの可能性

 生化学工業<4548>(東証プライム)は関節機能改善剤アルツなど糖質科学分野を主力とする医薬品メーカーである。成長戦略として独自の創薬技術を活かした研究開発を加速させている。24年3月期連結業績予想は上方修正し、前回予想に対して営業・経常利益は減益幅が縮小、純利益は増益に転じる見込みとしている。中国向けアルツや国内医薬品の売上が想定を上回る見込みだ。なお第2四半期累計の営業・経常利益は修正後の通期予想を超過達成の形となっているが、腰椎椎間板ヘルニア治療剤SI−6603の承認申請に向けた費用が第3四半期以降に集中する見込みとしている。ただし会社予想は保守的な印象が強く再上振れの可能性がありそうだ。積極的な事業展開で収益拡大を期待したい。株価は23年12月の昨年来安値圏から反発の動きを強めている。高配当利回りや1倍割れの低PBRも評価して出直りを期待したい。

■関節機能改善剤アルツなど糖質科学分野が主力の医薬品メーカー

 糖質科学分野が主力の医薬品メーカーで、国内医薬品(関節機能改善剤アルツ、白内障手術補助剤オペガン、内視鏡用粘膜下注入材ムコアップ)、海外医薬品(米国向け単回投与関節機能改善剤Gel−One、米国向け3回投与関節機能改善剤VISCO−3、米国向け5回投与関節機能改善剤SUPARTZ−FX、中国向けアルツ)、医薬品原体(ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸)、LAL事業(エンドトキシン測定用試薬関連)を展開している。

 23年3月期のセグメント別売上高構成比は、医薬品事業が68%(国内医薬品が34%、海外医薬品が26%、医薬品原体・医薬品受託製造が9%、ロイヤリティーが0%)でLAL事業が32%だった。営業利益構成比は、医薬品事業が▲7%で、LAL事業が107%だった。

■海外展開を強化

 海外展開強化に向けて、20年3月にカナダのダルトン社を子会社化した。なおダルトン社を買収する際に中間持株会社として設立したSEC社、および買収目的会社として設立したSAC社が特定子会社に該当することになったため、ダルトン社とSAC社が現地法に基づく新設合併を行い、新設された新ダルトン社が旧ダルトン社から商号および事業を引き継いだ。

 20年8月には、ダルトン社がサスカチュワン大学の研究機関であるVIDO−InterVacと、VIDO−InterVacがカナダ政府およびサスカチュワン州から支援を受けて開発を進めているCOVID−19ワクチンの製造に関して、業務提携に合意した。ダルトン社は本提携により、COVID−19ワクチンの初期段階の臨床試験で投与される治験薬の調合、充填、製剤化を担う。

 21年4月にはLAL事業の海外子会社である米ACC社が、遺伝子組み換えエンドトキシン測定用試薬「パイロスマート ネクストジェン」の販売を開始した。21年8月には単回投与の関節機能改善剤ハイリンクについて、台湾のTCM社を通じて台湾における販売を開始した。

 22年1月にはダルトン社の100%出資子会社として、カナダに現地法人SEIKAGAKU NORTH AMERICA CORPORATIONを設立した。北米に開発拠点を有することで、現地の医療環境に即したプランの立案、FDA(米国食品医薬品局)や治験施設との円滑なコミュニケーション実現など、医薬品・医療機器開発および承認取得の加速を目指す。

■新薬開発は糖質科学分野に焦点

 研究開発は糖質科学分野(糖鎖や複合糖質を研究する科学分野)に焦点を絞っている。24年3月期第2四半期末時点の開発パイプラインとしては、腰椎椎間板ヘルニア治療剤SI−6603(米国、コンドリアーゼ)、ドライアイ治療剤SI−614(米国、修飾ヒアルロン酸)、変形性膝関節症改善剤SI−613(米国、ジクロフェナク結合ヒアルロン酸)、腱・靱帯付着部症を適応症とするSI−613−ETP(日本、ジクロフェナク結合ヒアルロン酸)、間質性膀胱炎を適応症とするSI−722(米国、ステロイド結合コンドロイチン硫酸)、外科手術で使用される癒着防止材SI−449(日本・米国、コンドロイチン硫酸架橋体)がある。

 SI−6603は日本では18年3月製造販売承認を取得し、科研製薬<4521>が18年8月販売開始(腰椎椎間板ヘルニア治療剤ヘルニコア)した。またスイスのフェリング社と日本を除く全世界におけるライセンス契約を締結している。マイルストーン型ロイヤリティーの総額は最大95百万米ドル(うち契約一時金5百万米ドル)である。米国では22年3月に第3相追加臨床試験被験者組み入れが完了した。そして23年5月には、米国における第3相追加臨床試験において良好な結果を得たと発表している。本試験結果を受け、早期の承認申請に向けた準備を進めている。

 SI−613は小野薬品工業<4528>と日本における共同開発・販売提携に関する契約を締結し、21年3月に変形性関節症治療剤ONO−5704/SI−613(ジョイクル関節注30mg)が変形性関節症(膝関節、股関節)の効能または効果で国内製造販売承認を取得し、21年5月に小野薬品工業が販売開始した。マイルストーン型ロイヤリティーの総額は最大120億円(うち契約一時金20億円)である。20年9月にはエーザイ<4523>と韓国における販売提携に関する契約を締結した。エーザイの韓国子会社が韓国におけるSI−613独占的販売権を取得して製造販売申請を行い、承認取得後は製品をエーザイに供給する。契約一時金と販売マイルストーンを受け取る。エーザイとは20年4月に中国における共同開発および販売提携に関する契約を締結しており、2ヶ国目の提携となる。

 なお、ジョイクル投与後にショック、アナフィラキーの発現が複数報告されたため21年6月1日付で安全性速報(ブルーレター)を発出し、小野薬品工業と連携して副作用報告等の情報収集や安全性に関する情報提供に努めている。また原因究明に向けて医師主導の臨床研究を開始している。今後の方針としては、米国・中国・韓国におけるSI−613(変形性膝関節症)の開発方針を検討中で、日本におけるSI−613−ETP(腱・靭帯付着部症、小野薬品工業とのSI−613の契約に含む)の開発を22年2月に中断している。ジョイクルのショック、アナフィラキー発現に関する原因究明を優先する。

 SI−614は22年5月に米国で第3相臨床試験を開始したが、主要評価項目において統計学的に有意な改善効果が認められなかったため、取得したデータの解析を進めるとともに、今後の開発方針について検討している。

 SI−722は19年11月米国における第1・2相臨床試験を開始、20年3月被験者投与を開始、21年1月被験者組み入れが完了した。主目的である忍容性を確認し、次相試験を検討中である。

 SI−449は日本で20年5月に国内ピボタル試験(消化器外科領域)を開始、22年9月に被験者組み入れが完了した。また、21年11月に国内パイロット試験(婦人科領域)を開始し、22年5月に被験者組み入れが完了した。そして23年7月に消化器外科領域の国内ピボタル試験で良好な結果を得たため、早期の承認申請に向けた準備を進めている。また婦人科領域におけるパイロット試験でも操作性、安全性について確認が完了した。SI−449についてはグローバル展開を視野に入れて開発を推進する方針としている。

■中期経営計画

 中期経営計画(23年3月期〜26年3月期)の目標数値には、最終年度26年3月期の売上高400億円、営業利益70億円を掲げている。23年3月期からの4年間を「成長を実現する期間」として、最終年度26年3月期に過去最高の業績達成を目指すとしている。前提条件としては、腰椎椎間板ヘルニア治療剤SI−6603の米国上市、国内関節機能改善剤の収益拡大、海外医薬品およびLAL事業の拡大、研究開発費の対売上高比率(ロイヤリティー除く)25%目途、為替レート1米ドル=135円としている。

 利益還元については、1株当たり年間配当金26円を基本として、業績動向および財務状況を勘案して増配を検討する。また、今後の事業展開や総還元性向を考慮しながら、自己株式取得を適宜検討するとしている。

 重点施策としては、独自の創薬技術を活かした研究開発の加速、腰椎椎間板ヘルニア治療剤SI−6603の製品価値最大化、関節機能改善剤の事業価値維持・向上、グローバル生産体制の構築、遺伝子組み換え技術によるLAL事業の拡大を掲げ、社員エンゲージメント向上や人材育成、経営基盤の強化、サステナビリティ経営の強化も推進する方針としている。

 なお中期経営計画の期間中に、腰椎椎間板ヘルニア治療剤SI−6603の米国における承認取得および上市、ドライアイ治療剤SI−614の米国第3相臨床試験の終了、癒着防止材SI−449の国内での承認取得および米国での臨床試験開始を目指すとしている。

■24年3月期最終増益予想、さらに再上振れの可能性

 24年3月期の連結業績予想(23年11月8日付で上方修正)は売上高が23年3月期比7.9%増の361億円、営業利益が38.5%減の13億円、経常利益が26.7%減の22億50百万円、親会社株主帰属当期純利益が16.2%増の26億円としている。配当予想は23年3月期と同額の26円(第2四半期末13円、期末13円)としている。予想配当性向は54.6%となる。

 第2四半期累計は売上高が前年同期比4.7%増の180億61百万円、営業利益が43.2%減の14億82百万円、経常利益が35.4%減の23億27百万円、親会社株主帰属四半期純利益が33.1%減の21億02百万円だった。

 売上面は、医薬品事業における米国の単回投与関節機能改善剤ジェル・ワンの販売数量減少、LAL事業における前年同期の大型装置の反動減や新型コロナウイルス感染症関連特需の収束がマイナス要因だったが、一方で国内医薬品や中国向けアルツの出荷数量増加、ロイヤリティーの増加、円安効果などにより増収で着地した。利益面は、売上構成変化や燃料費高騰による売上原価率の上昇、円安に伴う海外子会社等の販管費の増加などにより減益だった。なお研究開発費は0.1%増の34億10百万円だった。営業外収益では為替差益が減少(前年同期は7億73百万円、当期は5億82百万円)した。

 医薬品事業は売上高が12.0%増の130億91百万円、営業利益が8.9%減の10億62百万円だった。売上高の内訳は国内医薬品が10.2%増の64億02百万円、海外医薬品が0.4%減の43億67百万円、医薬品原体・医薬品受託製造が8.3%増の16億22百万円、ロイヤリティーが6億99百万円(前年同期は1百万円)だった。

 国内医薬品では、関節機能改善剤アルツや眼科手術補助剤オペガン類の出荷数量が増加した。海外医薬品では、米国の単回投与関節機能改善剤ジェル・ワンが22年7月の保険償還制度変更の影響で減少、5回投与関節機能改善剤スパルツFXが出荷時期の調整や円安効果で増収、中国向けアルツが前年第1四半期の包装資材変更に伴って出荷がなかった反動で大幅増収だった。医薬品原体・医薬品受託製造では、海外子会社ダルトン社の医薬品受託製造が円安も寄与して増収だった。また第1四半期にロイヤリティー収入6億99百万円を計上した。

 LAL事業は売上高が10.7%減の49億70百万円、営業利益が70.9%減の4億20百万円だった。国内における前年同期の大型装置販売の反動、海外子会社ACC社における新型コロナウイルス感染症関連特需の収束により減収減益だった。

 四半期別に見ると、第1四半期は売上高96億61百万円、営業利益12億98百万円、経常利益19億59百万円、第2四半期は売上高84億00百万円、営業利益1億84百万円、経常利益3億68百万円だった。第1四半期にロイヤリティー収入6億99百万円を計上している。

 通期連結業績予想については、第2四半期累計の実績および下期の状況を鑑みて、前回予想に対して売上高を35億50百万円、営業利益を12億円、経常利益を7億円、親会社株主帰属当期純利益を11億50百万円、それぞれ上方修正し、売上高は一転増収、営業利益と経常利益は減益幅縮小、親会社株主帰属当期純利益は一転増益の見込みとした。期中平均為替レートについては、期初時点の1USドル=130円から第3四半期1USドル=145円に変更した。研究開発費については前回予想から3億50百万円増額して23年3月期比4.9%増の75億50百万円とした。親会社株主帰属当期純利益については海外子会社の利益減少による法人税等の減少も寄与する見込みだ。

 修正後の通期セグメント別売上高計画は、医薬品事業が13.5%増の258億円(国内医薬品が9.1%増の123億円、海外医薬品が13.1%増の96億50百万円、医薬品原体・医薬品受託製造が8.0%増の31億50百万円、ロイヤリティーが6億98百万円増加の7億円)で、LAL事業が4.0%減の103億円としている。

 なお第2四半期累計の営業・経常利益は修正後の通期予想を超過達成の形となっているが、腰椎椎間板ヘルニア治療剤SI−6603の承認申請に向けた費用が第3四半期以降に集中する見込みとしている。ただし会社予想は保守的な印象が強く再上振れの可能性がありそうだ。積極的な事業展開で収益拡大を期待したい。

■株価は反発の動き

 株価は23年12月の昨年来安値圏から反発の動きを強めている。高配当利回りや1倍割れの低PBRも評価して出直りを期待したい。1月19日の終値は763円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS47円66銭で算出)は約16倍、今期予想配当利回り(会社予想の26円で算出)は約3.4%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS1232円41銭で算出)は約0.6倍、時価総額は約433億円である。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media−IR
[12月28日更新]

生化学工業は売られ過ぎ感、24年3月期最終増益予想、さらに再上振れの可能性

 生化学工業<4548>(東証プライム)は関節機能改善剤アルツなど糖質科学分野を主力とする医薬品メーカーである。成長戦略として独自の創薬技術を活かした研究開発を加速させている。24年3月期連結業績予想は上方修正し、前回予想に対して営業・経常利益は減益幅が縮小、純利益は増益に転じる見込みとした。中国向けアルツや国内医薬品の売上が想定を上回る見込みだ。なお第2四半期累計の営業・経常利益は修正後の通期予想を超過達成の形となっているが、腰椎椎間板ヘルニア治療剤SI−6603の承認申請に向けた費用が第3四半期以降に集中する見込みとしている。ただし会社予想は依然として保守的な印象が強く、再上振れの可能性がありそうだ。積極的な事業展開で収益拡大を期待したい。株価は安値圏だが売られ過ぎ感を強めている。高配当利回りや1倍割れの低PBRも評価材料であり、売り一巡して出直りを期待したい。

■関節機能改善剤アルツなど糖質科学分野が主力の医薬品メーカー

 糖質科学分野が主力の医薬品メーカーで、国内医薬品(関節機能改善剤アルツ、白内障手術補助剤オペガン、内視鏡用粘膜下注入材ムコアップ)、海外医薬品(米国向け単回投与関節機能改善剤Gel−One、米国向け3回投与関節機能改善剤VISCO−3、米国向け5回投与関節機能改善剤SUPARTZ−FX、中国向けアルツ)、医薬品原体(ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸)、LAL事業(エンドトキシン測定用試薬関連)を展開している。

 23年3月期のセグメント別売上高構成比は、医薬品事業が68%(国内医薬品が34%、海外医薬品が26%、医薬品原体・医薬品受託製造が9%、ロイヤリティーが0%)でLAL事業が32%だった。営業利益構成比は、医薬品事業が▲7%で、LAL事業が107%だった。

■海外展開を強化

 海外展開強化に向けて、20年3月にカナダのダルトン社を子会社化した。なおダルトン社を買収する際に中間持株会社として設立したSEC社、および買収目的会社として設立したSAC社が特定子会社に該当することになったため、ダルトン社とSAC社が現地法に基づく新設合併を行い、新設された新ダルトン社が旧ダルトン社から商号および事業を引き継いだ。

 20年8月には、ダルトン社がサスカチュワン大学の研究機関であるVIDO−InterVacと、VIDO−InterVacがカナダ政府およびサスカチュワン州から支援を受けて開発を進めているCOVID−19ワクチンの製造に関して、業務提携に合意した。ダルトン社は本提携により、COVID−19ワクチンの初期段階の臨床試験で投与される治験薬の調合、充填、製剤化を担う。

 21年4月にはLAL事業の海外子会社である米ACC社が、遺伝子組み換えエンドトキシン測定用試薬「パイロスマート ネクストジェン」の販売を開始した。21年8月には単回投与の関節機能改善剤ハイリンクについて、台湾のTCM社を通じて台湾における販売を開始した。

 21年11月には海外子会社のACC社が、遺伝子組み換えエンドトキシン測定用試薬「パイロスマート ネクストジェン」について、Pharma Manufacturing 2021 Innovation Awardを受賞した。

 22年1月にはダルトン社の100%出資子会社として、カナダに現地法人SEIKAGAKU NORTH AMERICA CORPORATIONを設立した。北米に開発拠点を有することで、現地の医療環境に即したプランの立案、FDA(米国食品医薬品局)や治験施設との円滑なコミュニケーション実現など、医薬品・医療機器開発および承認取得の加速を目指す。

■新薬開発は糖質科学分野に焦点

 研究開発は糖質科学分野(糖鎖や複合糖質を研究する科学分野)に焦点を絞っている。24年3月期第2四半期末時点の開発パイプラインとしては、腰椎椎間板ヘルニア治療剤SI−6603(米国、コンドリアーゼ)、ドライアイ治療剤SI−614(米国、修飾ヒアルロン酸)、変形性膝関節症改善剤SI−613(米国、ジクロフェナク結合ヒアルロン酸)、腱・靱帯付着部症を適応症とするSI−613−ETP(日本、ジクロフェナク結合ヒアルロン酸)、間質性膀胱炎を適応症とするSI−722(米国、ステロイド結合コンドロイチン硫酸)、外科手術で使用される癒着防止材SI−449(日本・米国、コンドロイチン硫酸架橋体)がある。

 SI−6603は日本では18年3月製造販売承認を取得し、科研製薬<4521>が18年8月販売開始(腰椎椎間板ヘルニア治療剤ヘルニコア)した。またスイスのフェリング社と日本を除く全世界におけるライセンス契約を締結している。マイルストーン型ロイヤリティーの総額は最大95百万米ドル(うち契約一時金5百万米ドル)である。米国では22年3月に第3相追加臨床試験被験者組み入れが完了した。そして23年5月には、米国における第3相追加臨床試験において良好な結果を得たと発表している。本試験結果を受け、早期の承認申請に向けた準備を進めている。

 SI−613は小野薬品工業<4528>と日本における共同開発・販売提携に関する契約を締結し、21年3月に変形性関節症治療剤ONO−5704/SI−613(ジョイクル関節注30mg)が変形性関節症(膝関節、股関節)の効能または効果で国内製造販売承認を取得し、21年5月に小野薬品工業が販売開始した。マイルストーン型ロイヤリティーの総額は最大120億円(うち契約一時金20億円)である。20年9月にはエーザイ<4523>と韓国における販売提携に関する契約を締結した。エーザイの韓国子会社が韓国におけるSI−613独占的販売権を取得して製造販売申請を行い、承認取得後は製品をエーザイに供給する。契約一時金と販売マイルストーンを受け取る。エーザイとは20年4月に中国における共同開発および販売提携に関する契約を締結しており、2ヶ国目の提携となる。

 なお、ジョイクル投与後にショック、アナフィラキーの発現が複数報告されたため21年6月1日付で安全性速報(ブルーレター)を発出し、小野薬品工業と連携して副作用報告等の情報収集や安全性に関する情報提供に努めている。また原因究明に向けて医師主導の臨床研究を開始している。今後の方針としては、米国・中国・韓国におけるSI−613(変形性膝関節症)の開発方針を検討中で、日本におけるSI−613−ETP(腱・靭帯付着部症、小野薬品工業とのSI−613の契約に含む)の開発を22年2月に中断している。ジョイクルのショック、アナフィラキー発現に関する原因究明を優先する。

 SI−614は22年5月に米国で第3相臨床試験を開始したが、主要評価項目において統計学的に有意な改善効果が認められなかったため、取得したデータの解析を進めるとともに、今後の開発方針について検討している。

 SI−722は19年11月米国における第1・2相臨床試験を開始、20年3月被験者投与を開始、21年1月被験者組み入れが完了した。主目的である忍容性を確認し、次相試験を検討中である。

 SI−449は日本で20年5月に国内ピボタル試験(消化器外科領域)を開始、22年9月に被験者組み入れが完了した。また、21年11月に国内パイロット試験(婦人科領域)を開始し、22年5月に被験者組み入れが完了した。そして23年7月に消化器外科領域の国内ピボタル試験で良好な結果を得たため、早期の承認申請に向けた準備を進めている。また婦人科領域におけるパイロット試験でも操作性、安全性について確認が完了した。SI−449についてはグローバル展開を視野に入れて開発を推進する方針としている。

■中期経営計画

 中期経営計画(23年3月期〜26年3月期)の目標数値には、最終年度26年3月期の売上高400億円、営業利益70億円を掲げている。23年3月期からの4年間を「成長を実現する期間」として、最終年度26年3月期に過去最高の業績達成を目指すとしている。前提条件としては、腰椎椎間板ヘルニア治療剤SI−6603の米国上市、国内関節機能改善剤の収益拡大、海外医薬品およびLAL事業の拡大、研究開発費の対売上高比率(ロイヤリティー除く)25%目途、為替レート1米ドル=135円としている。

 利益還元については、1株当たり年間配当金26円を基本として、業績動向および財務状況を勘案して増配を検討する。また、今後の事業展開や総還元性向を考慮しながら、自己株式取得を適宜検討するとしている。

 重点施策としては、独自の創薬技術を活かした研究開発の加速、腰椎椎間板ヘルニア治療剤SI−6603の製品価値最大化、関節機能改善剤の事業価値維持・向上、グローバル生産体制の構築、遺伝子組み換え技術によるLAL事業の拡大を掲げ、社員エンゲージメント向上や人材育成、経営基盤の強化、サステナビリティ経営の強化も推進する方針としている。

 なお中期経営計画の期間中に、腰椎椎間板ヘルニア治療剤SI−6603の米国における承認取得および上市、ドライアイ治療剤SI−614の米国第3相臨床試験の終了、癒着防止材SI−449の国内での承認取得および米国での臨床試験開始を目指すとしている。

■24年3月期最終増益予想、さらに再上振れの可能性

 24年3月期の連結業績予想(11月8日付で売上高、各利益とも上方修正)は、売上高が23年3月期比7.9%増の361億円、営業利益が38.5%減の13億円、経常利益が26.7%減の22億50百万円、そして親会社株主帰属当期純利益が16.2%増の26億円としている。配当予想は据え置いて23年3月期と同額の26円(第2四半期末13円、期末13円)としている。予想配当性向は54.6%となる。

 第2四半期累計は売上高が前年同期比4.7%増の180億61百万円、営業利益が43.2%減の14億82百万円、経常利益が35.4%減の23億27百万円、親会社株主帰属四半期純利益が33.1%減の21億02百万円だった。

 売上面は、医薬品事業における米国の単回投与関節機能改善剤ジェル・ワンの販売数量減少、LAL事業における前年同期の大型装置の反動減や新型コロナウイルス感染症関連特需の収束がマイナス要因だったが、一方で国内医薬品や中国向けアルツの出荷数量増加、ロイヤリティーの増加、円安効果などにより増収で着地した。利益面は、売上構成変化や燃料費高騰による売上原価率の上昇、円安に伴う海外子会社等の販管費の増加などにより減益だった。なお研究開発費は0.1%増の34億10百万円だった。営業外収益では為替差益が減少(前年同期は7億73百万円、当期は5億82百万円)した。

 医薬品事業は売上高が12.0%増の130億91百万円、営業利益が8.9%減の10億62百万円だった。売上高の内訳は国内医薬品が10.2%増の64億02百万円、海外医薬品が0.4%減の43億67百万円、医薬品原体・医薬品受託製造が8.3%増の16億22百万円、ロイヤリティーが6億99百万円(前年同期は1百万円)だった。

 国内医薬品では、関節機能改善剤アルツや眼科手術補助剤オペガン類の出荷数量が増加した。海外医薬品では、米国の単回投与関節機能改善剤ジェル・ワンが22年7月の保険償還制度変更の影響で減少、5回投与関節機能改善剤スパルツFXが出荷時期の調整や円安効果で増収、中国向けアルツが前年第1四半期の包装資材変更に伴って出荷がなかった反動で大幅増収だった。医薬品原体・医薬品受託製造では、海外子会社ダルトン社の医薬品受託製造が円安も寄与して増収だった。また第1四半期にロイヤリティー収入6億99百万円を計上した。

 LAL事業は売上高が10.7%減の49億70百万円、営業利益が70.9%減の4億20百万円だった。国内における前年同期の大型装置販売の反動、海外子会社ACC社における新型コロナウイルス感染症関連特需の収束により減収減益だった。

 四半期別に見ると、第1四半期は売上高96億61百万円、営業利益12億98百万円、経常利益19億59百万円、第2四半期は売上高84億00百万円、営業利益1億84百万円、経常利益3億68百万円だった。第1四半期にロイヤリティー収入6億99百万円を計上している。

 通期連結業績予想については、第2四半期累計の実績および下期の状況を鑑みて、前回予想に対して売上高を35億50百万円、営業利益を12億円、経常利益を7億円、親会社株主帰属当期純利益を11億50百万円、それぞれ上方修正し、売上高は一転増収、営業利益と経常利益は減益幅縮小、親会社株主帰属当期純利益は一転増益の見込みとした。期中平均為替レートについては、期初時点の1USドル=130円から第3四半期1USドル=145円に変更した。研究開発費については前回予想から3億50百万円増額して23年3月期比4.9%増の75億50百万円とした。親会社株主帰属当期純利益については海外子会社の利益減少による法人税等の減少も寄与する見込みだ。

 修正後の通期セグメント別売上高計画は、医薬品事業が13.5%増の258億円(国内医薬品が9.1%増の123億円、海外医薬品が13.1%増の96億50百万円、医薬品原体・医薬品受託製造が8.0%増の31億50百万円、ロイヤリティーが6億98百万円増加の7億円)で、LAL事業が4.0%減の103億円としている。

 なお第2四半期累計の営業・経常利益は修正後の通期予想を超過達成の形となっているが、腰椎椎間板ヘルニア治療剤SI−6603の承認申請に向けた費用が第3四半期以降に集中する見込みとしている。ただし会社予想は依然として保守的な印象が強く再上振れの可能性がありそうだ。積極的な事業展開で収益拡大を期待したい。

■株価は売られ過ぎ感

 株価は安値圏だが売られ過ぎ感を強めている。高配当利回りや1倍割れの低PBRも評価材料であり、売り一巡して出直りを期待したい。12月27日の終値は743円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS47円66銭で算出)は約16倍、今期予想配当利回り(会社予想の26円で算出)は約3.5%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS1232円41銭で算出)は約0.6倍、そして時価総額は約422億円である。情報提供:日本インタビュ新聞社=Media−IR
[12月18日更新]

生化学工業は底値圏、24年3月期最終増益予想、さらに再上振れの可能性

 生化学工業<4548>(東証プライム)は関節機能改善剤アルツなど糖質科学分野を主力とする医薬品メーカーである。成長戦略として独自の創薬技術を活かした研究開発を加速させている。24年3月期連結業績予想は上方修正し、前回予想に対して営業・経常利益は減益幅が縮小、純利益は増益に転じる見込みとした。中国向けアルツや国内医薬品の売上が想定を上回る見込みだ。なお第2四半期累計の営業・経常利益は修正後の通期予想を超過達成の形となっているが、腰椎椎間板ヘルニア治療剤SI−6603の承認申請に向けた費用が第3四半期以降に集中する見込みとしている。ただし会社予想は依然として保守的な印象が強く、再上振れの可能性がありそうだ。積極的な事業展開で収益拡大を期待したい。株価は7月の年初来安値に接近して軟調だがほぼ底値圏だろう。高配当利回りや1倍割れの低PBRも評価材料であり、調整一巡して出直りを期待したい。

■関節機能改善剤アルツなど糖質科学分野が主力の医薬品メーカー

 糖質科学分野が主力の医薬品メーカーで、国内医薬品(関節機能改善剤アルツ、白内障手術補助剤オペガン、内視鏡用粘膜下注入材ムコアップ)、海外医薬品(米国向け単回投与関節機能改善剤Gel−One、米国向け3回投与関節機能改善剤VISCO−3、米国向け5回投与関節機能改善剤SUPARTZ−FX、中国向けアルツ)、医薬品原体(ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸)、LAL事業(エンドトキシン測定用試薬関連)を展開している。

 23年3月期のセグメント別売上高構成比は、医薬品事業が68%(国内医薬品が34%、海外医薬品が26%、医薬品原体・医薬品受託製造が9%、ロイヤリティーが0%)でLAL事業が32%だった。営業利益構成比は、医薬品事業が▲7%で、LAL事業が107%だった。

■海外展開を強化

 海外展開強化に向けて、20年3月にカナダのダルトン社を子会社化した。なおダルトン社を買収する際に中間持株会社として設立したSEC社、および買収目的会社として設立したSAC社が特定子会社に該当することになったため、ダルトン社とSAC社が現地法に基づく新設合併を行い、新設された新ダルトン社が旧ダルトン社から商号および事業を引き継いだ。

 20年8月には、ダルトン社がサスカチュワン大学の研究機関であるVIDO−InterVacと、VIDO−InterVacがカナダ政府およびサスカチュワン州から支援を受けて開発を進めているCOVID−19ワクチンの製造に関して、業務提携に合意した。ダルトン社は本提携により、COVID−19ワクチンの初期段階の臨床試験で投与される治験薬の調合、充填、製剤化を担う。

 21年4月にはLAL事業の海外子会社である米ACC社が、遺伝子組み換えエンドトキシン測定用試薬「パイロスマート ネクストジェン」の販売を開始した。21年8月には単回投与の関節機能改善剤ハイリンクについて、台湾のTCM社を通じて台湾における販売を開始した。

 21年11月には海外子会社のACC社が、遺伝子組み換えエンドトキシン測定用試薬「パイロスマート ネクストジェン」について、Pharma Manufacturing 2021 Innovation Awardを受賞した。

 22年1月にはダルトン社の100%出資子会社として、カナダに現地法人SEIKAGAKU NORTH AMERICA CORPORATIONを設立した。北米に開発拠点を有することで、現地の医療環境に即したプランの立案、FDA(米国食品医薬品局)や治験施設との円滑なコミュニケーション実現など、医薬品・医療機器開発および承認取得の加速を目指す。

■新薬開発は糖質科学分野に焦点

 研究開発は糖質科学分野(糖鎖や複合糖質を研究する科学分野)に焦点を絞っている。24年3月期第2四半期末時点の開発パイプラインとしては、腰椎椎間板ヘルニア治療剤SI−6603(米国、コンドリアーゼ)、ドライアイ治療剤SI−614(米国、修飾ヒアルロン酸)、変形性膝関節症改善剤SI−613(米国、ジクロフェナク結合ヒアルロン酸)、腱・靱帯付着部症を適応症とするSI−613−ETP(日本、ジクロフェナク結合ヒアルロン酸)、間質性膀胱炎を適応症とするSI−722(米国、ステロイド結合コンドロイチン硫酸)、外科手術で使用される癒着防止材SI−449(日本・米国、コンドロイチン硫酸架橋体)がある。

 SI−6603は日本では18年3月製造販売承認を取得し、科研製薬<4521>が18年8月販売開始(腰椎椎間板ヘルニア治療剤ヘルニコア)した。またスイスのフェリング社と日本を除く全世界におけるライセンス契約を締結している。マイルストーン型ロイヤリティーの総額は最大95百万米ドル(うち契約一時金5百万米ドル)である。米国では22年3月に第3相追加臨床試験被験者組み入れが完了した。そして23年5月には、米国における第3相追加臨床試験において良好な結果を得たと発表している。本試験結果を受け、早期の承認申請に向けた準備を進めている。

 SI−613は小野薬品工業<4528>と日本における共同開発・販売提携に関する契約を締結し、21年3月に変形性関節症治療剤ONO−5704/SI−613(ジョイクル関節注30mg)が変形性関節症(膝関節、股関節)の効能または効果で国内製造販売承認を取得し、21年5月に小野薬品工業が販売開始した。マイルストーン型ロイヤリティーの総額は最大120億円(うち契約一時金20億円)である。20年9月にはエーザイ<4523>と韓国における販売提携に関する契約を締結した。エーザイの韓国子会社が韓国におけるSI−613独占的販売権を取得して製造販売申請を行い、承認取得後は製品をエーザイに供給する。契約一時金と販売マイルストーンを受け取る。エーザイとは20年4月に中国における共同開発および販売提携に関する契約を締結しており、2ヶ国目の提携となる。

 なお、ジョイクル投与後にショック、アナフィラキーの発現が複数報告されたため21年6月1日付で安全性速報(ブルーレター)を発出し、小野薬品工業と連携して副作用報告等の情報収集や安全性に関する情報提供に努めている。また原因究明に向けて医師主導の臨床研究を開始している。今後の方針としては、米国・中国・韓国におけるSI−613(変形性膝関節症)の開発方針を検討中で、日本におけるSI−613−ETP(腱・靭帯付着部症、小野薬品工業とのSI−613の契約に含む)の開発を22年2月に中断している。ジョイクルのショック、アナフィラキー発現に関する原因究明を優先する。

 SI−614は22年5月に米国で第3相臨床試験を開始したが、主要評価項目において統計学的に有意な改善効果が認められなかったため、取得したデータの解析を進めるとともに、今後の開発方針について検討している。

 SI−722は19年11月米国における第1・2相臨床試験を開始、20年3月被験者投与を開始、21年1月被験者組み入れが完了した。主目的である忍容性を確認し、次相試験を検討中である。

 SI−449は日本で20年5月に国内ピボタル試験(消化器外科領域)を開始、22年9月に被験者組み入れが完了した。また、21年11月に国内パイロット試験(婦人科領域)を開始し、22年5月に被験者組み入れが完了した。そして23年7月に消化器外科領域の国内ピボタル試験で良好な結果を得たため、早期の承認申請に向けた準備を進めている。また婦人科領域におけるパイロット試験でも操作性、安全性について確認が完了した。SI−449についてはグローバル展開を視野に入れて開発を推進する方針としている。

■中期経営計画

 中期経営計画(23年3月期〜26年3月期)の目標数値には、最終年度26年3月期の売上高400億円、営業利益70億円を掲げている。23年3月期からの4年間を「成長を実現する期間」として、最終年度26年3月期に過去最高の業績達成を目指すとしている。前提条件としては、腰椎椎間板ヘルニア治療剤SI−6603の米国上市、国内関節機能改善剤の収益拡大、海外医薬品およびLAL事業の拡大、研究開発費の対売上高比率(ロイヤリティー除く)25%目途、為替レート1米ドル=135円としている。

 利益還元については、1株当たり年間配当金26円を基本として、業績動向および財務状況を勘案して増配を検討する。また、今後の事業展開や総還元性向を考慮しながら、自己株式取得を適宜検討するとしている。

 重点施策としては、独自の創薬技術を活かした研究開発の加速、腰椎椎間板ヘルニア治療剤SI−6603の製品価値最大化、関節機能改善剤の事業価値維持・向上、グローバル生産体制の構築、遺伝子組み換え技術によるLAL事業の拡大を掲げ、社員エンゲージメント向上や人材育成、経営基盤の強化、サステナビリティ経営の強化も推進する方針としている。

 なお中期経営計画の期間中に、腰椎椎間板ヘルニア治療剤SI−6603の米国における承認取得および上市、ドライアイ治療剤SI−614の米国第3相臨床試験の終了、癒着防止材SI−449の国内での承認取得および米国での臨床試験開始を目指すとしている。

■24年3月期最終増益予想、さらに再上振れの可能性

 24年3月期の連結業績予想(11月8日付で売上高、各利益とも上方修正)は、売上高が23年3月期比7.9%増の361億円、営業利益が38.5%減の13億円、経常利益が26.7%減の22億50百万円、そして親会社株主帰属当期純利益が16.2%増の26億円としている。配当予想は据え置いて23年3月期と同額の26円(第2四半期末13円、期末13円)としている。予想配当性向は54.6%となる。

 第2四半期累計は売上高が前年同期比4.7%増の180億61百万円、営業利益が43.2%減の14億82百万円、経常利益が35.4%減の23億27百万円、親会社株主帰属四半期純利益が33.1%減の21億02百万円だった。

 売上面は、医薬品事業における米国の単回投与関節機能改善剤ジェル・ワンの販売数量減少、LAL事業における前年同期の大型装置の反動減や新型コロナウイルス感染症関連特需の収束がマイナス要因だったが、一方で国内医薬品や中国向けアルツの出荷数量増加、ロイヤリティーの増加、円安効果などにより増収で着地した。利益面は、売上構成変化や燃料費高騰による売上原価率の上昇、円安に伴う海外子会社等の販管費の増加などにより減益だった。なお研究開発費は0.1%増の34億10百万円だった。営業外収益では為替差益が減少(前年同期は7億73百万円、当期は5億82百万円)した。

 医薬品事業は売上高が12.0%増の130億91百万円、営業利益が8.9%減の10億62百万円だった。売上高の内訳は国内医薬品が10.2%増の64億02百万円、海外医薬品が0.4%減の43億67百万円、医薬品原体・医薬品受託製造が8.3%増の16億22百万円、ロイヤリティーが6億99百万円(前年同期は1百万円)だった。

 国内医薬品では、関節機能改善剤アルツや眼科手術補助剤オペガン類の出荷数量が増加した。海外医薬品では、米国の単回投与関節機能改善剤ジェル・ワンが22年7月の保険償還制度変更の影響で減少、5回投与関節機能改善剤スパルツFXが出荷時期の調整や円安効果で増収、中国向けアルツが前年第1四半期の包装資材変更に伴って出荷がなかった反動で大幅増収だった。医薬品原体・医薬品受託製造では、海外子会社ダルトン社の医薬品受託製造が円安も寄与して増収だった。また第1四半期にロイヤリティー収入6億99百万円を計上した。

 LAL事業は売上高が10.7%減の49億70百万円、営業利益が70.9%減の4億20百万円だった。国内における前年同期の大型装置販売の反動、海外子会社ACC社における新型コロナウイルス感染症関連特需の収束により減収減益だった。

 四半期別に見ると、第1四半期は売上高96億61百万円、営業利益12億98百万円、経常利益19億59百万円、第2四半期は売上高84億00百万円、営業利益1億84百万円、経常利益3億68百万円だった。第1四半期にロイヤリティー収入6億99百万円を計上している。

 通期連結業績予想については、第2四半期累計の実績および下期の状況を鑑みて、前回予想に対して売上高を35億50百万円、営業利益を12億円、経常利益を7億円、親会社株主帰属当期純利益を11億50百万円、それぞれ上方修正した。売上高は一転増収、営業利益と経常利益は減益幅縮小、親会社株主帰属当期純利益は一転増益の見込みとした。期中平均為替レートについては、期初時点の1USドル=130円から第3四半期1USドル=145円に変更した。研究開発費については前回予想から3億50百万円増額して23年3月期比4.9%増の75億50百万円とした。親会社株主帰属当期純利益については海外子会社の利益減少による法人税等の減少も寄与する見込みだ。

 修正後の通期セグメント別売上高計画は、医薬品事業が13.5%増の258億円(国内医薬品が9.1%増の123億円、海外医薬品が13.1%増の96億50百万円、医薬品原体・医薬品受託製造が8.0%増の31億50百万円、ロイヤリティーが6億98百万円増加の7億円)で、LAL事業が4.0%減の103億円としている。

 なお第2四半期累計の営業・経常利益は修正後の通期予想を超過達成の形となっているが、腰椎椎間板ヘルニア治療剤SI−6603の承認申請に向けた費用が第3四半期以降に集中する見込みとしている。ただし会社予想は依然として保守的な印象が強く再上振れの可能性がありそうだ。積極的な事業展開で収益拡大を期待したい。

■株価は底値圏

 株価は7月の年初来安値に接近して軟調だがほぼ底値圏だろう。高配当利回りや1倍割れの低PBRも評価材料であり、調整一巡して出直りを期待したい。12月15日の終値は741円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS47円66銭で算出)は約16倍、今期予想配当利回り(会社予想の26円で算出)は約3.5%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS1232円41銭で算出)は約0.6倍、時価総額は約421億円である。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media−IR
[11月22日更新]

生化学工業は調整一巡、24年3月期通期予想を上方修正して営業・経常利益減益幅縮小、純利益は増益転換

 生化学工業<4548>(東証プライム)は関節機能改善剤アルツなど糖質科学分野を主力とする医薬品メーカーである。成長戦略として独自の創薬技術を活かした研究開発を加速させている。24年3月期第2四半期累計は売上原価率上昇や販管費増加で減益だったが、通期予想を上方修正し、前回予想に対して営業・経常利益は減益幅が縮小、純利益は増益に転じる見込みとした。中国向けアルツや国内医薬品の売上が想定を上回る見込みだ。なお第2四半期累計の営業・経常利益は修正後の通期予想を超過達成の形となっているが、腰椎椎間板ヘルニア治療剤SI−6603の承認申請に向けた費用が第3四半期以降に集中する見込みとしている。ただし会社予想は依然として保守的な印象が強く、再上振れの可能性がありそうだ。積極的な事業展開で収益拡大を期待したい。株価は年初来安値圏に回帰して軟調だが、高配当利回りや1倍割れの低PBRも評価材料であり、調整一巡して出直りを期待したい。

■関節機能改善剤アルツなど糖質科学分野が主力の医薬品メーカー

 糖質科学分野が主力の医薬品メーカーで、国内医薬品(関節機能改善剤アルツ、白内障手術補助剤オペガン、内視鏡用粘膜下注入材ムコアップ)、海外医薬品(米国向け単回投与関節機能改善剤Gel−One、米国向け3回投与関節機能改善剤VISCO−3、米国向け5回投与関節機能改善剤SUPARTZ−FX、中国向けアルツ)、医薬品原体(ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸)、LAL事業(エンドトキシン測定用試薬関連)を展開している。

 23年3月期のセグメント別売上高構成比は、医薬品事業が68%(国内医薬品が34%、海外医薬品が26%、医薬品原体・医薬品受託製造が9%、ロイヤリティーが0%)でLAL事業が32%だった。営業利益構成比は、医薬品事業が▲7%で、LAL事業が107%だった。

■海外展開を強化

 海外展開強化に向けて、20年3月にカナダのダルトン社を子会社化した。なおダルトン社を買収する際に中間持株会社として設立したSEC社、および買収目的会社として設立したSAC社が特定子会社に該当することになったため、ダルトン社とSAC社が現地法に基づく新設合併を行い、新設された新ダルトン社が旧ダルトン社から商号および事業を引き継いだ。

 20年8月には、ダルトン社がサスカチュワン大学の研究機関であるVIDO−InterVacと、VIDO−InterVacがカナダ政府およびサスカチュワン州から支援を受けて開発を進めているCOVID−19ワクチンの製造に関して、業務提携に合意した。ダルトン社は本提携により、COVID−19ワクチンの初期段階の臨床試験で投与される治験薬の調合、充填、製剤化を担う。

 21年4月にはLAL事業の海外子会社である米ACC社が、遺伝子組み換えエンドトキシン測定用試薬「パイロスマート ネクストジェン」の販売を開始した。21年8月には単回投与の関節機能改善剤ハイリンクについて、台湾のTCM社を通じて台湾における販売を開始した。

 21年11月には海外子会社のACC社が、遺伝子組み換えエンドトキシン測定用試薬「パイロスマート ネクストジェン」について、Pharma Manufacturing 2021 Innovation Awardを受賞した。

 22年1月にはダルトン社の100%出資子会社として、カナダに現地法人SEIKAGAKU NORTH AMERICA CORPORATIONを設立した。北米に開発拠点を有することで、現地の医療環境に即したプランの立案、FDA(米国食品医薬品局)や治験施設との円滑なコミュニケーション実現など、医薬品・医療機器開発および承認取得の加速を目指す。

■新薬開発は糖質科学分野に焦点

 研究開発は糖質科学分野(糖鎖や複合糖質を研究する科学分野)に焦点を絞っている。24年3月期第2四半期末時点の開発パイプラインとしては、腰椎椎間板ヘルニア治療剤SI−6603(米国、コンドリアーゼ)、ドライアイ治療剤SI−614(米国、修飾ヒアルロン酸)、変形性膝関節症改善剤SI−613(米国、ジクロフェナク結合ヒアルロン酸)、腱・靱帯付着部症を適応症とするSI−613−ETP(日本、ジクロフェナク結合ヒアルロン酸)、間質性膀胱炎を適応症とするSI−722(米国、ステロイド結合コンドロイチン硫酸)、外科手術で使用される癒着防止材SI−449(日本・米国、コンドロイチン硫酸架橋体)がある。

 SI−6603は日本では18年3月製造販売承認を取得し、科研製薬<4521>が18年8月販売開始(腰椎椎間板ヘルニア治療剤ヘルニコア)した。またスイスのフェリング社と日本を除く全世界におけるライセンス契約を締結している。マイルストーン型ロイヤリティーの総額は最大95百万米ドル(うち契約一時金5百万米ドル)である。米国では22年3月に第3相追加臨床試験被験者組み入れが完了した。そして23年5月には、米国における第3相追加臨床試験において良好な結果を得たと発表している。本試験結果を受け、早期の承認申請に向けた準備を進めている。

 SI−613は小野薬品工業<4528>と日本における共同開発・販売提携に関する契約を締結し、21年3月に変形性関節症治療剤ONO−5704/SI−613(ジョイクル関節注30mg)が変形性関節症(膝関節、股関節)の効能または効果で国内製造販売承認を取得し、21年5月に小野薬品工業が販売開始した。マイルストーン型ロイヤリティーの総額は最大120億円(うち契約一時金20億円)である。20年9月にはエーザイ<4523>と韓国における販売提携に関する契約を締結した。エーザイの韓国子会社が韓国におけるSI−613独占的販売権を取得して製造販売申請を行い、承認取得後は製品をエーザイに供給する。契約一時金と販売マイルストーンを受け取る。エーザイとは20年4月に中国における共同開発および販売提携に関する契約を締結しており、2ヶ国目の提携となる。

 なお、ジョイクル投与後にショック、アナフィラキーの発現が複数報告されたため21年6月1日付で安全性速報(ブルーレター)を発出し、小野薬品工業と連携して副作用報告等の情報収集や安全性に関する情報提供に努めている。また原因究明に向けて医師主導の臨床研究を開始している。今後の方針としては、米国・中国・韓国におけるSI−613(変形性膝関節症)の開発方針を検討中で、日本におけるSI−613−ETP(腱・靭帯付着部症、小野薬品工業とのSI−613の契約に含む)の開発を22年2月に中断している。ジョイクルのショック、アナフィラキー発現に関する原因究明を優先する。

 SI−614は22年5月に米国で第3相臨床試験を開始したが、主要評価項目において統計学的に有意な改善効果が認められなかったため、取得したデータの解析を進めるとともに、今後の開発方針について検討している。

 SI−722は19年11月米国における第1・2相臨床試験を開始、20年3月被験者投与を開始、21年1月被験者組み入れが完了した。主目的である忍容性を確認し、次相試験を検討中である。

 SI−449は日本で20年5月に国内ピボタル試験(消化器外科領域)を開始、22年9月に被験者組み入れが完了した。また、21年11月に国内パイロット試験(婦人科領域)を開始し、22年5月に被験者組み入れが完了した。そして23年7月に消化器外科領域の国内ピボタル試験で良好な結果を得たため、早期の承認申請に向けた準備を進めている。また婦人科領域におけるパイロット試験でも操作性、安全性について確認が完了した。SI−449についてはグローバル展開を視野に入れて開発を推進する方針としている。

■中期経営計画

 中期経営計画(23年3月期〜26年3月期)の目標数値には、最終年度26年3月期の売上高400億円、営業利益70億円を掲げている。23年3月期からの4年間を「成長を実現する期間」として、最終年度26年3月期に過去最高の業績達成を目指すとしている。前提条件としては、腰椎椎間板ヘルニア治療剤SI−6603の米国上市、国内関節機能改善剤の収益拡大、海外医薬品およびLAL事業の拡大、研究開発費の対売上高比率(ロイヤリティー除く)25%目途、為替レート1米ドル=135円としている。

 利益還元については、1株当たり年間配当金26円を基本として、業績動向および財務状況を勘案して増配を検討する。また、今後の事業展開や総還元性向を考慮しながら、自己株式取得を適宜検討するとしている。

 重点施策としては、独自の創薬技術を活かした研究開発の加速、腰椎椎間板ヘルニア治療剤SI−6603の製品価値最大化、関節機能改善剤の事業価値維持・向上、グローバル生産体制の構築、遺伝子組み換え技術によるLAL事業の拡大を掲げ、社員エンゲージメント向上や人材育成、経営基盤の強化、サステナビリティ経営の強化も推進する方針としている。

 なお中期経営計画の期間中に、腰椎椎間板ヘルニア治療剤SI−6603の米国における承認取得および上市、ドライアイ治療剤SI−614の米国第3相臨床試験の終了、癒着防止材SI−449の国内での承認取得および米国での臨床試験開始を目指すとしている。

■24年3月期通期予想を上方修正、さらに再上振れの可能性

 24年3月期の連結業績予想(11月8日付で売上高、各利益とも上方修正)は、売上高が23年3月期比7.9%増の361億円、営業利益が38.5%減の13億円、経常利益が26.7%減の22億50百万円、そして親会社株主帰属当期純利益が16.2%増の26億円としている。配当予想は据え置いて23年3月期と同額の26円(第2四半期末13円、期末13円)としている。予想配当性向は54.6%となる。

 第2四半期累計は売上高が前年同期比4.7%増の180億61百万円、営業利益が43.2%減の14億82百万円、経常利益が35.4%減の23億27百万円、親会社株主帰属四半期純利益が33.1%減の21億02百万円だった。

 売上面は、医薬品事業における米国の単回投与関節機能改善剤ジェル・ワンの販売数量減少、LAL事業における前年同期の大型装置の反動減や新型コロナウイルス感染症関連特需の収束がマイナス要因だったが、一方で国内医薬品や中国向けアルツの出荷数量増加、ロイヤリティーの増加、円安効果などにより増収で着地した。利益面は、売上構成変化や燃料費高騰による売上原価率の上昇、円安に伴う海外子会社等の販管費の増加などにより減益だった。なお研究開発費は0.1%増の34億10百万円だった。営業外収益では為替差益が減少(前年同期は7億73百万円、当期は5億82百万円)した。

 医薬品事業は売上高が12.0%増の130億91百万円、営業利益が8.9%減の10億62百万円だった。売上高の内訳は国内医薬品が10.2%増の64億02百万円、海外医薬品が0.4%減の43億67百万円、医薬品原体・医薬品受託製造が8.3%増の16億22百万円、ロイヤリティーが6億99百万円(前年同期は1百万円)だった。

 国内医薬品では、関節機能改善剤アルツや眼科手術補助剤オペガン類の出荷数量が増加した。海外医薬品では、米国の単回投与関節機能改善剤ジェル・ワンが22年7月の保険償還制度変更の影響で減少、5回投与関節機能改善剤スパルツFXが出荷時期の調整や円安効果で増収、中国向けアルツが前年第1四半期の包装資材変更に伴って出荷がなかった反動で大幅増収だった。医薬品原体・医薬品受託製造では、海外子会社ダルトン社の医薬品受託製造が円安も寄与して増収だった。また第1四半期にロイヤリティー収入6億99百万円を計上した。

 LAL事業は売上高が10.7%減の49億70百万円、営業利益が70.9%減の4億20百万円だった。国内における前年同期の大型装置販売の反動、海外子会社ACC社における新型コロナウイルス感染症関連特需の収束により減収減益だった。

 四半期別に見ると、第1四半期は売上高96億61百万円、営業利益12億98百万円、経常利益19億59百万円、第2四半期は売上高84億00百万円、営業利益1億84百万円、経常利益3億68百万円だった。第1四半期にロイヤリティー収入6億99百万円を計上している。

 通期連結業績予想については、第2四半期累計の実績および下期の状況を鑑みて、前回予想に対して売上高を35億50百万円、営業利益を12億円、経常利益を7億円、親会社株主帰属当期純利益を11億50百万円、それぞれ上方修正した。売上高は一転増収、営業利益と経常利益は減益幅縮小、親会社株主帰属当期純利益は一転増益の見込みとした。期中平均為替レートについては、期初時点の1USドル=130円から第3四半期1USドル=145円に変更した。研究開発費については前回予想から3億50百万円増額して23年3月期比4.9%増の75億50百万円とした。親会社株主帰属当期純利益については海外子会社の利益減少による法人税等の減少も寄与する見込みだ。

 修正後の通期セグメント別売上高計画は、医薬品事業が13.5%増の258億円(国内医薬品が9.1%増の123億円、海外医薬品が13.1%増の96億50百万円、医薬品原体・医薬品受託製造が8.0%増の31億50百万円、ロイヤリティーが6億98百万円増加の7億円)で、LAL事業が4.0%減の103億円としている。

 なお第2四半期累計の営業・経常利益は修正後の通期予想を超過達成の形となっているが、腰椎椎間板ヘルニア治療剤SI−6603の承認申請に向けた費用が第3四半期以降に集中する見込みとしている。ただし会社予想は依然として保守的な印象が強く再上振れの可能性がありそうだ。積極的な事業展開で収益拡大を期待したい。

■株価は調整一巡

 株価は年初来安値圏に回帰して軟調だが、高配当利回りや1倍割れの低PBRも評価材料であり、調整一巡して出直りを期待したい。11月21日の終値は761円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS47円66銭で算出)は約16倍、今期予想配当利回り(会社予想の26円で算出)は約3.4%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS1232円41銭で算出)は約0.6倍、時価総額は約432億円である。情報提供:日本インタビュ新聞社=Media−IR
[11月10日更新]

生化学工業は24年3月期通期予想を上方修正、営業・経常利益は減益幅縮小して純利益は増益転換

 生化学工業<4548>(東証プライム)は11月8日の取引時間終了後に24年3月期第2四半期累計連結業績を発表した。売上原価率の上昇や販管費の増加で減益だった。ただし通期予想を上方修正し、前回予想に対して営業・経常利益は減益幅が縮小、純利益は増益に転じる見込みとした。中国向けアルツや国内医薬品の売上が想定を上回る見込みだ。なお第2四半期累計の営業・経常利益は修正後の通期予想を超過達成の形となっているが、腰椎椎間板ヘルニア治療剤SI−6603の承認申請に向けた費用が第3四半期以降に集中する見込みとしている。ただし会社予想は依然として保守的な印象が強く、再上振れの可能性がありそうだ。収益拡大を期待したい。株価は地合い悪化も影響して上値を切り下げる形だ。上方修正に対して反応薄だったが、高配当利回りや1倍割れの低PBRも評価材料であり、調整一巡して出直りを期待したい。

■24年3月期2Q累計減益、通期予想は上方修正

 24年3月期第2四半期累計の連結業績は売上高が前年同期比4.7%増の180億61百万円、営業利益が43.2%減の14億82百万円、経常利益が35.4%減の23億27百万円、親会社株主帰属四半期純利益が33.1%減の21億02百万円だった。

 売上面は、医薬品事業における米国の単回投与関節機能改善剤ジェル・ワンの販売数量減少、LAL事業における前年同期の大型装置の反動減や新型コロナウイルス感染症関連特需の収束がマイナス要因だったが、一方で国内医薬品や中国向けアルツの出荷数量増加、ロイヤリティーの増加、円安効果などにより増収で着地した。利益面は、売上原価率の上昇、円安に伴う海外子会社等の販管費の増加などにより減益だった。なお研究開発費は0.1%増の34億10百万円だった。営業外収益では為替差益が減少(前年同期は7億73百万円、当期は5億82百万円)した。

 医薬品事業は売上高が12.0%増の130億91百万円、営業利益が8.9%減の10億62百万円だった。売上高の内訳は国内医薬品が10.2%増の64億02百万円、海外医薬品が0.4%減の43億67百万円、医薬品原体・医薬品受託製造が8.3%増の16億22百万円、ロイヤリティーが6億99百万円(前年同期は1百万円)だった。

 国内医薬品では、関節機能改善剤アルツや眼科手術補助剤オペガン類の出荷数量が増加した。海外医薬品では、米国の単回投与関節機能改善剤ジェル・ワンが22年7月の保険償還制度変更の影響で減少、5回投与関節機能改善剤スパルツFXが出荷時期の調整や円安効果で増収、中国向けアルツが前年第1四半期の包装資材変更に伴って出荷がなかった反動で大幅増収だった。医薬品原体・医薬品受託製造では、海外子会社ダルトン社の医薬品受託製造が円安も寄与して増収だった。また第1四半期にロイヤリティー収入6億99百万円を計上した。

 LAL事業は売上高が10.7%減の49億70百万円、営業利益が70.9%減の4億20百万円だった。国内における前年同期の大型装置販売の反動、海外子会社ACC社における新型コロナウイルス感染症関連特需の収束により減収減益だった。

 四半期別に見ると、第1四半期は売上高96億61百万円、営業利益12億98百万円、経常利益19億59百万円、第2四半期は売上高84億00百万円、営業利益1億84百万円、経常利益3億68百万円だった。第1四半期にロイヤリティー収入6億99百万円を計上している。

 通期の連結業績予想(11月8日付で売上高、各利益とも上方修正)は、売上高が23年3月期比7.9%増の361億円、営業利益が38.5%減の13億円、経常利益が26.7%減の22億50百万円、親会社株主帰属当期純利益が16.2%増の26億円としている。配当予想は据え置いて23年3月期と同額の26円(第2四半期末13円、期末13円)としている。予想配当性向は54.6%となる。

 第2四半期累計の実績および下期の状況を鑑みて、前回予想に対して売上高を35億50百万円、営業利益を12億円、経常利益を7億円、親会社株主帰属当期純利益を11億50百万円、それぞれ上方修正した。売上高は一転増収、営業利益と経常利益は減益幅縮小、親会社株主帰属当期純利益は一転増益の見込みとした。期中平均為替レートについては、期初時点の1USドル=130円から第3四半期1USドル=145円に変更した。研究開発費については前回予想から3億50百万円増額して、23年3月期比4.9%増の75億50百万円とした。親会社株主帰属当期純利益については海外子会社の利益減少による法人税等の減少も寄与する見込みだ。

 修正後の通期セグメント別売上高計画は、医薬品事業が13.5%増の258億円(国内医薬品が9.1%増の123億円、海外医薬品が13.1%増の96億50百万円、医薬品原体・医薬品受託製造が8.0%増の31億50百万円、ロイヤリティーが6億98百万円増加の7億円)で、LAL事業が4.0%減の103億円としている。

 なお第2四半期累計の営業・経常利益は修正後の通期予想を超過達成の形となっているが、腰椎椎間板ヘルニア治療剤SI−6603の承認申請に向けた費用が第3四半期以降に集中する見込みとしている。ただし会社予想は依然として保守的な印象が強く、再上振れの可能性がありそうだ。収益拡大を期待したい。

■株価は調整一巡

 株価は地合い悪化も影響して上値を切り下げる形だ。上方修正に対して反応薄だったが、高配当利回りや1倍割れの低PBRも評価材料であり、調整一巡して出直りを期待したい。11月9日の終値は779円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS47円66銭で算出)は約16倍、今期予想配当利回り(会社予想の26円で算出)は約3.3%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS1232円41銭で算出)は約0.6倍、そして時価総額は約443億円である。情報提供:日本インタビュ新聞社=Media−IR
[10月25日更新]

生化学工業は調整一巡、24年3月期減益予想だが上振れの可能性

 生化学工業<4548>(東証プライム)は関節機能改善剤アルツなど糖質科学分野を主力とする医薬品メーカーである。成長戦略として独自の創薬技術を活かした研究開発を加速させている。24年3月期は減益予想としている。第1四半期の各利益は大幅増益で通期予想を超過達成したが、第2四半期以降に腰椎椎間板ヘルニア治療剤SI−6603の承認申請に向けた費用も見込まれるとしている。ただし会社予想は保守的な印象が強く上振れの可能性がありそうだ。収益拡大を期待したい。株価は地合い悪化の影響で9月の戻り高値圏から反落して安値圏に回帰の形となったが、高配当利回りや1倍割れの低PBRも評価材料であり、調整一巡して出直りを期待したい。なお11月8日に24年3月期第2四半期決算発表を予定している。

■関節機能改善剤アルツなど糖質科学分野が主力の医薬品メーカー

 糖質科学分野が主力の医薬品メーカーで、国内医薬品(関節機能改善剤アルツ、白内障手術補助剤オペガン、内視鏡用粘膜下注入材ムコアップ)、海外医薬品(米国向け単回投与関節機能改善剤Gel−One、米国向け3回投与関節機能改善剤VISCO−3、米国向け5回投与関節機能改善剤SUPARTZ−FX、中国向けアルツ)、医薬品原体(ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸)、LAL事業(エンドトキシン測定用試薬関連)を展開している。

 23年3月期のセグメント別売上高構成比は、医薬品事業が68%(国内医薬品が34%、海外医薬品が26%、医薬品原体・医薬品受託製造が9%、ロイヤリティーが0%)でLAL事業が32%だった。営業利益構成比は、医薬品事業が▲7%で、LAL事業が107%だった。

■海外展開を強化

 海外展開強化に向けて、20年3月にカナダのダルトン社を子会社化した。なおダルトン社を買収する際に中間持株会社として設立したSEC社、および買収目的会社として設立したSAC社が特定子会社に該当することになったため、ダルトン社とSAC社が現地法に基づく新設合併を行い、新設された新ダルトン社が旧ダルトン社から商号および事業を引き継いだ。

 20年8月には、ダルトン社がサスカチュワン大学の研究機関であるVIDO−InterVacと、VIDO−InterVacがカナダ政府およびサスカチュワン州から支援を受けて開発を進めているCOVID−19ワクチンの製造に関して、業務提携に合意した。ダルトン社は本提携により、COVID−19ワクチンの初期段階の臨床試験で投与される治験薬の調合、充填、製剤化を担う。

 21年4月にはLAL事業の海外子会社である米ACC社が、遺伝子組み換えエンドトキシン測定用試薬「パイロスマート ネクストジェン」の販売を開始した。21年8月には単回投与の関節機能改善剤ハイリンクについて、台湾のTCM社を通じて台湾における販売を開始した。

 21年11月には海外子会社のACC社が、遺伝子組み換えエンドトキシン測定用試薬「パイロスマート ネクストジェン」について、Pharma Manufacturing 2021 Innovation Awardを受賞した。

 22年1月にはダルトン社の100%出資子会社として、カナダに現地法人SEIKAGAKU NORTH AMERICA CORPORATIONを設立した。北米に開発拠点を有することで、現地の医療環境に即したプランの立案、FDA(米国食品医薬品局)や治験施設との円滑なコミュニケーション実現など、医薬品・医療機器開発および承認取得の加速を目指す。

■新薬開発は糖質科学分野に焦点

 研究開発は糖質科学分野(糖鎖や複合糖質を研究する科学分野)に焦点を絞っている。24年3月期第1四半期末時点の開発パイプラインとしては、腰椎椎間板ヘルニア治療剤SI−6603(米国、コンドリアーゼ)、ドライアイ治療剤SI−614(米国、修飾ヒアルロン酸)、変形性膝関節症改善剤SI−613(米国、ジクロフェナク結合ヒアルロン酸)、腱・靱帯付着部症を適応症とするSI−613−ETP(日本、ジクロフェナク結合ヒアルロン酸)、間質性膀胱炎を適応症とするSI−722(米国、ステロイド結合コンドロイチン硫酸)、外科手術で使用される癒着防止材SI−449(日本・米国、コンドロイチン硫酸架橋体)がある。

 SI−6603は日本では18年3月製造販売承認を取得し、科研製薬<4521>が18年8月販売開始(腰椎椎間板ヘルニア治療剤ヘルニコア)した。またスイスのフェリング社と日本を除く全世界におけるライセンス契約を締結している。マイルストーン型ロイヤリティーの総額は最大95百万米ドル(うち契約一時金5百万米ドル)である。米国では22年3月に第3相追加臨床試験被験者組み入れが完了した。そして23年5月には、米国における第3相追加臨床試験において良好な結果を得たと発表している。本試験結果を受け、早期の承認申請に向けた準備を進めている。

 SI−613は小野薬品工業<4528>と日本における共同開発・販売提携に関する契約を締結し、21年3月に変形性関節症治療剤ONO−5704/SI−613(ジョイクル関節注30mg)が変形性関節症(膝関節、股関節)の効能または効果で国内製造販売承認を取得し、21年5月に小野薬品工業が販売開始した。マイルストーン型ロイヤリティーの総額は最大120億円(うち契約一時金20億円)である。20年9月にはエーザイ<4523>と韓国における販売提携に関する契約を締結した。エーザイの韓国子会社が韓国におけるSI−613独占的販売権を取得して製造販売申請を行い、承認取得後は製品をエーザイに供給する。契約一時金と販売マイルストーンを受け取る。エーザイとは20年4月に中国における共同開発および販売提携に関する契約を締結しており、2ヶ国目の提携となる。

 なお、ジョイクル投与後にショック、アナフィラキーの発現が複数報告されたため21年6月1日付で安全性速報(ブルーレター)を発出し、小野薬品工業と連携して副作用報告等の情報収集や安全性に関する情報提供に努めている。また原因究明に向けて医師主導の臨床研究を開始している。今後の方針としては、米国・中国・韓国におけるSI−613(変形性膝関節症)の開発方針を検討中で、日本におけるSI−613−ETP(腱・靭帯付着部症、小野薬品工業とのSI−613の契約に含む)の開発を22年2月に中断している。ジョイクルのショック、アナフィラキー発現に関する原因究明を優先する。

 SI−614は22年5月に米国で第3相臨床試験を開始した。そして23年6月に経過観察が終了し、データ解析中である。

 SI−722は19年11月米国における第1・2相臨床試験を開始、20年3月被験者投与を開始、21年1月被験者組み入れが完了した。主目的である忍容性を確認し、次相試験を検討中である。

 SI−449は日本で20年5月に国内ピボタル試験(消化器外科領域)を開始、22年9月に被験者組み入れが完了した。また、21年11月に国内パイロット試験(婦人科領域)を開始し、22年5月に被験者組み入れが完了した。米国では試験開始を検討している。そして7月21日には、癒着防止材SI−449の国内における消化器外科領域のピボタル試験で良好な結果を得たとリリースしている。また婦人科領域におけるパイロット試験でも大きな問題は認められなかった。両試験の結果を受けて早期の承認申請に向けた準備を進めるとしている。

■中期経営計画

 中期経営計画(23年3月期〜26年3月期)の目標数値には、最終年度26年3月期の売上高400億円、営業利益70億円を掲げている。23年3月期からの4年間を「成長を実現する期間」として、最終年度26年3月期に過去最高の業績達成を目指すとしている。前提条件としては、腰椎椎間板ヘルニア治療剤SI−6603の米国上市、国内関節機能改善剤の収益拡大、海外医薬品およびLAL事業の拡大、研究開発費の対売上高比率(ロイヤリティー除く)25%目途、為替レート1米ドル=135円としている。

 利益還元については、1株当たり年間配当金26円を基本として、業績動向および財務状況を勘案して増配を検討する。また、今後の事業展開や総還元性向を考慮しながら、自己株式取得を適宜検討するとしている。

 重点施策としては、独自の創薬技術を活かした研究開発の加速、腰椎椎間板ヘルニア治療剤SI−6603の製品価値最大化、関節機能改善剤の事業価値維持・向上、グローバル生産体制の構築、遺伝子組み換え技術によるLAL事業の拡大を掲げ、社員エンゲージメント向上や人材育成、経営基盤の強化、サステナビリティ経営の強化も推進する方針としている。

 なお中期経営計画の期間中に、腰椎椎間板ヘルニア治療剤SI−6603の米国における承認取得および上市、ドライアイ治療剤SI−614の米国第3相臨床試験の終了、癒着防止材SI−449の国内での承認取得および米国での臨床試験開始を目指すとしている。

■24年3月期減益予想だが上振れの可能性

 24年3月期の連結業績予想は売上高が23年3月期比2.7%減の325億50百万円、営業利益が95.3%減の1億円、経常利益が49.5%減の15億50百万円、親会社株主帰属当期純利益が35.2%減の14億50百万円としている。配当予想は23年3月期と同額の26円(第2四半期末13円、期末13円)としている。予想配当性向は97.8%となる。

 セグメント別売上高計画は、医薬品事業が0.8%減の225億50百万円(国内医薬品が6.0%増の119億50百万円、海外医薬品が14.5%減の73億円、医薬品原体・医薬品受託製造が9.1%減の26億50百万円、ロイヤリティーが6億48百万円増加の6億50百万円)で、LAL事業が6.8%減の100億円としている。

 第1四半期は、売上高が前年同期比16.3%増の96億61百万円、営業利益が15.3%増の12億98百万円、経常利益が14.3%増の19億59百万円、親会社株主帰属四半期純利益が26.4%増の18億87百万円だった。

 米国における単回投与の関節機能改善剤ジェル・ワンの販売数量減少、LAL事業における新型コロナウイルス感染症関連の特需収束がマイナス要因だったが、ロイヤリティーの増加、中国向けアルツや国内医薬品の販売数量増加などにより大幅増収増益だった。なお研究開発費は3.0%増の17億38百万円だった。

 医薬品事業は売上高が30.7%増の71億72百万円、営業利益が4.3倍の9億71百万円だった。売上高の内訳は、国内医薬品が11.7%増の33億12百万円、海外医薬品が30.0%増の23億24百万円、医薬品原体・医薬品受託製造が14.0%増の8億35百万円、ロイヤリティーが6億99百万円(前年同期は1百万円)だった。

 国内医薬品は、関節機能改善剤アルツや眼科手術補助剤オペガン類が出荷数量増加で増収だった。海外医薬品は、米国における単回投与の関節機能改善剤ジェル・ワンが22年7月の保険償還制度変更の影響で減少したが、5回投与の関節機能改善剤スパルツFXが出荷時期の調整や円安効果により増収、中国向けアルツが前年同期の包装資材変更に伴って出荷がなかった反動で大幅増収だった。医薬品原体・医薬品受託製造は、海外子会社ダルトン社の医薬品受託製造が円安も寄与して増収だった。

 LAL事業は売上高が11.7%減の24億88百万円、営業利益が63.6%減の3億27百万円だった。国内販売は前年同期並みだったが、海外子会社ACC社において新型コロナウイルス感染症関連の特需が収束した。

 通期の連結業績予想は据え置いている。売上面は、国内医薬品の数量増加やロイヤリティー増加を見込むが、海外医薬品が現地販売数量減少や製品出荷時期の影響で減収、医薬品原体・医薬品受託製造が前期の円安効果の反動で減収、LAL事業が新型コロナ特需の収束や前期の円安効果の反動で減収を見込み、利益面は燃料費高騰や増産体制整備に伴う一時的な原価率悪化などを見込んでいる。なお研究開発費は9.5%減の72億円の見込みとしている。また営業外損益では有価証券売却益の増加を見込んでいる。第2四半期以降の想定為替レートは1米ドル=130円としている。

 第1四半期の各利益は大幅増益で通期予想を超過達成したが、第2四半期以降に腰椎椎間板ヘルニア治療剤SI−6603の承認申請に向けた費用も見込まれるとしている。ただし会社予想は保守的な印象が強く上振れの可能性がありそうだ。収益拡大を期待したい。

■株価は調整一巡

 株価は地合い悪化の影響で9月の戻り高値圏から反落して安値圏に回帰の形となったが、高配当利回りや1倍割れの低PBRも評価材料であり、調整一巡して出直りを期待したい。10月24日の終値は780円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS26円59銭で算出)は約29倍、今期予想配当利回り(会社予想の26円で算出)は約3.3%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS1232円41銭で算出)は約0.6倍、そして時価総額は約443億円である。情報提供:日本インタビュ新聞社=Media−IR
[09月29日更新]

生化学工業は上値試す、24年3月期減益予想だが上振れの可能性

 生化学工業<4548>(東証プライム)は関節機能改善剤アルツなど糖質科学分野を主力とする医薬品メーカーである。成長戦略として独自の創薬技術を活かした研究開発を加速させている。24年3月期は減益予想としている。第1四半期の各利益は大幅増益で通期予想を超過達成したが、第2四半期以降に腰椎椎間板ヘルニア治療剤SI−6603の承認申請に向けた費用も見込まれるとしている。ただし会社予想は保守的な印象が強く上振れの可能性がありそうだ。収益拡大を期待したい。株価は7月の年初来安値圏で底打ちの形となり水準を切り上げている。高配当利回りや1倍割れの低PBRも評価材料であり、自律調整を交えながら上値を試す展開を期待したい。 ■関節機能改善剤アルツなど糖質科学分野が主力の医薬品メーカー  糖質科学分野が主力の医薬品メーカーで、国内医薬品(関節機能改善剤アルツ、白内障手術補助剤オペガン、内視鏡用粘膜下注入材ムコアップ)、海外医薬品(米国向け単回投与関節機能改善剤Gel−One、米国向け3回投与関節機能改善剤VISCO−3、米国向け5回投与関節機能改善剤SUPARTZ−FX、中国向けアルツ)、医薬品原体(ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸)、LAL事業(エンドトキシン測定用試薬関連)を展開している。  23年3月期のセグメント別売上高構成比は、医薬品事業が68%(国内医薬品が34%、海外医薬品が26%、医薬品原体・医薬品受託製造が9%、ロイヤリティーが0%)でLAL事業が32%だった。営業利益構成比は、医薬品事業が▲7%で、LAL事業が107%だった。 ■海外展開を強化  海外展開強化に向けて、20年3月にカナダのダルトン社を子会社化した。なおダルトン社を買収する際に中間持株会社として設立したSEC社、および買収目的会社として設立したSAC社が特定子会社に該当することになったため、ダルトン社とSAC社が現地法に基づく新設合併を行い、新設された新ダルトン社が旧ダルトン社から商号および事業を引き継いだ。  20年8月には、ダルトン社がサスカチュワン大学の研究機関であるVIDO−InterVacと、VIDO−InterVacがカナダ政府およびサスカチュワン州から支援を受けて開発を進めているCOVID−19ワクチンの製造に関して、業務提携に合意した。ダルトン社は本提携により、COVID−19ワクチンの初期段階の臨床試験で投与される治験薬の調合、充填、製剤化を担う。  21年4月にはLAL事業の海外子会社である米ACC社が、遺伝子組み換えエンドトキシン測定用試薬「パイロスマート ネクストジェン」の販売を開始した。21年8月には単回投与の関節機能改善剤ハイリンクについて、台湾のTCM社を通じて台湾における販売を開始した。  21年11月には海外子会社のACC社が、遺伝子組み換えエンドトキシン測定用試薬「パイロスマート ネクストジェン」について、Pharma Manufacturing 2021 Innovation Awardを受賞した。  22年1月にはダルトン社の100%出資子会社として、カナダに現地法人SEIKAGAKU NORTH AMERICA CORPORATIONを設立した。北米に開発拠点を有することで、現地の医療環境に即したプランの立案、FDA(米国食品医薬品局)や治験施設との円滑なコミュニケーション実現など、医薬品・医療機器開発および承認取得の加速を目指す。 ■新薬開発は糖質科学分野に焦点  研究開発は糖質科学分野(糖鎖や複合糖質を研究する科学分野)に焦点を絞っている。24年3月期第1四半期末時点の開発パイプラインとしては、腰椎椎間板ヘルニア治療剤SI−6603(米国、コンドリアーゼ)、ドライアイ治療剤SI−614(米国、修飾ヒアルロン酸)、変形性膝関節症改善剤SI−613(米国、ジクロフェナク結合ヒアルロン酸)、腱・靱帯付着部症を適応症とするSI−613−ETP(日本、ジクロフェナク結合ヒアルロン酸)、間質性膀胱炎を適応症とするSI−722(米国、ステロイド結合コンドロイチン硫酸)、外科手術で使用される癒着防止材SI−449(日本・米国、コンドロイチン硫酸架橋体)がある。  SI−6603は日本では18年3月製造販売承認を取得し、科研製薬<4521>が18年8月販売開始(腰椎椎間板ヘルニア治療剤ヘルニコア)した。またスイスのフェリング社と日本を除く全世界におけるライセンス契約を締結している。マイルストーン型ロイヤリティーの総額は最大95百万米ドル(うち契約一時金5百万米ドル)である。米国では22年3月に第3相追加臨床試験被験者組み入れが完了した。そして23年5月には、米国における第3相追加臨床試験において良好な結果を得たと発表している。本試験結果を受け、早期の承認申請に向けた準備を進めている。  SI−613は小野薬品工業<4528>と日本における共同開発・販売提携に関する契約を締結し、21年3月に変形性関節症治療剤ONO−5704/SI−613(ジョイクル関節注30mg)が変形性関節症(膝関節、股関節)の効能または効果で国内製造販売承認を取得し、21年5月に小野薬品工業が販売開始した。マイルストーン型ロイヤリティーの総額は最大120億円(うち契約一時金20億円)である。20年9月にはエーザイ<4523>と韓国における販売提携に関する契約を締結した。エーザイの韓国子会社が韓国におけるSI−613独占的販売権を取得して製造販売申請を行い、承認取得後は製品をエーザイに供給する。契約一時金と販売マイルストーンを受け取る。エーザイとは20年4月に中国における共同開発および販売提携に関する契約を締結しており、2ヶ国目の提携となる。  なお、ジョイクル投与後にショック、アナフィラキーの発現が複数報告されたため21年6月1日付で安全性速報(ブルーレター)を発出し、小野薬品工業と連携して副作用報告等の情報収集や安全性に関する情報提供に努めている。また原因究明に向けて医師主導の臨床研究を開始している。今後の方針としては、米国・中国・韓国におけるSI−613(変形性膝関節症)の開発方針を検討中で、日本におけるSI−613−ETP(腱・靭帯付着部症、小野薬品工業とのSI−613の契約に含む)の開発を22年2月に中断している。ジョイクルのショック、アナフィラキー発現に関する原因究明を優先する。  SI−614は22年5月に米国で第3相臨床試験を開始した。そして23年6月に経過観察が終了し、データ解析中である。  SI−722は19年11月米国における第1・2相臨床試験を開始、20年3月被験者投与を開始、21年1月被験者組み入れが完了した。主目的である忍容性を確認し、次相試験を検討中である。  SI−449は日本で20年5月に国内ピボタル試験(消化器外科領域)を開始、22年9月に被験者組み入れが完了した。また、21年11月に国内パイロット試験(婦人科領域)を開始し、22年5月に被験者組み入れが完了した。米国では試験開始を検討している。そして7月21日には、癒着防止材SI−449の国内における消化器外科領域のピボタル試験で良好な結果を得たとリリースしている。また婦人科領域におけるパイロット試験でも大きな問題は認められなかった。両試験の結果を受けて早期の承認申請に向けた準備を進めるとしている。 ■中期経営計画  中期経営計画(23年3月期〜26年3月期)の目標数値には、最終年度26年3月期の売上高400億円、営業利益70億円を掲げている。23年3月期からの4年間を「成長を実現する期間」として、最終年度26年3月期に過去最高の業績達成を目指すとしている。前提条件としては、腰椎椎間板ヘルニア治療剤SI−6603の米国上市、国内関節機能改善剤の収益拡大、海外医薬品およびLAL事業の拡大、研究開発費の対売上高比率(ロイヤリティー除く)25%目途、為替レート1米ドル=135円としている。  利益還元については、1株当たり年間配当金26円を基本として、業績動向および財務状況を勘案して増配を検討する。また、今後の事業展開や総還元性向を考慮しながら、自己株式取得を適宜検討するとしている。  重点施策としては、独自の創薬技術を活かした研究開発の加速、腰椎椎間板ヘルニア治療剤SI−6603の製品価値最大化、関節機能改善剤の事業価値維持・向上、グローバル生産体制の構築、遺伝子組み換え技術によるLAL事業の拡大を掲げ、社員エンゲージメント向上や人材育成、経営基盤の強化、サステナビリティ経営の強化も推進する方針としている。  なお中期経営計画の期間中に、腰椎椎間板ヘルニア治療剤SI−6603の米国における承認取得および上市、ドライアイ治療剤SI−614の米国第3相臨床試験の終了、癒着防止材SI−449の国内での承認取得および米国での臨床試験開始を目指すとしている。 ■24年3月期減益予想だが上振れの可能性  24年3月期の連結業績予想は売上高が23年3月期比2.7%減の325億50百万円、営業利益が95.3%減の1億円、経常利益が49.5%減の15億50百万円、親会社株主帰属当期純利益が35.2%減の14億50百万円としている。配当予想は23年3月期と同額の26円(第2四半期末13円、期末13円)としている。予想配当性向は97.8%となる。  セグメント別売上高計画は、医薬品事業が0.8%減の225億50百万円(国内医薬品が6.0%増の119億50百万円、海外医薬品が14.5%減の73億円、医薬品原体・医薬品受託製造が9.1%減の26億50百万円、ロイヤリティーが6億48百万円増加の6億50百万円)で、LAL事業が6.8%減の100億円としている。  第1四半期は、売上高が前年同期比16.3%増の96億61百万円、営業利益が15.3%増の12億98百万円、経常利益が14.3%増の19億59百万円、親会社株主帰属四半期純利益が26.4%増の18億87百万円だった。  米国における単回投与の関節機能改善剤ジェル・ワンの販売数量減少、LAL事業における新型コロナウイルス感染症関連の特需収束がマイナス要因だったが、ロイヤリティーの増加、中国向けアルツや国内医薬品の販売数量増加などにより大幅増収増益だった。なお研究開発費は3.0%増の17億38百万円だった。  医薬品事業は売上高が30.7%増の71億72百万円、営業利益が4.3倍の9億71百万円だった。売上高の内訳は、国内医薬品が11.7%増の33億12百万円、海外医薬品が30.0%増の23億24百万円、医薬品原体・医薬品受託製造が14.0%増の8億35百万円、ロイヤリティーが6億99百万円(前年同期は1百万円)だった。  国内医薬品は、関節機能改善剤アルツや眼科手術補助剤オペガン類が出荷数量増加で増収だった。海外医薬品は、米国における単回投与の関節機能改善剤ジェル・ワンが22年7月の保険償還制度変更の影響で減少したが、5回投与の関節機能改善剤スパルツFXが出荷時期の調整や円安効果により増収、中国向けアルツが前年同期の包装資材変更に伴って出荷がなかった反動で大幅増収だった。医薬品原体・医薬品受託製造は、海外子会社ダルトン社の医薬品受託製造が円安も寄与して増収だった。  LAL事業は売上高が11.7%減の24億88百万円、営業利益が63.6%減の3億27百万円だった。国内販売は前年同期並みだったが、海外子会社ACC社において新型コロナウイルス感染症関連の特需が収束した。  通期の連結業績予想は据え置いている。売上面は、国内医薬品の数量増加やロイヤリティー増加を見込むが、海外医薬品が現地販売数量減少や製品出荷時期の影響で減収、医薬品原体・医薬品受託製造が前期の円安効果の反動で減収、LAL事業が新型コロナ特需の収束や前期の円安効果の反動で減収を見込み、利益面は燃料費高騰や増産体制整備に伴う一時的な原価率悪化などを見込んでいる。なお研究開発費は9.5%減の72億円の見込みとしている。また営業外損益では有価証券売却益の増加を見込んでいる。第2四半期以降の想定為替レートは1米ドル=130円としている。  第1四半期の各利益は大幅増益で通期予想を超過達成したが、第2四半期以降に腰椎椎間板ヘルニア治療剤SI−6603の承認申請に向けた費用も見込まれるとしている。ただし会社予想は保守的な印象が強く上振れの可能性がありそうだ。収益拡大を期待したい。 ■株価は上値試す  株価は7月の年初来安値圏で底打ちの形となり水準を切り上げている。高配当利回りや1倍割れの低PBRも評価材料であり、自律調整を交えながら上値を試す展開を期待したい。9月28日の終値は816円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS26円59銭で算出)は約31倍、今期予想配当利回り(会社予想の26円で算出)は約3.2%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS1232円41銭で算出)は約0.7倍、そして時価総額は約464億円である。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media−IR
[09月12日更新]

生化学工業は戻り歩調、24年3月期大幅減益予想だが上振れの可能性

 生化学工業<4548>(東証プライム)は関節機能改善剤アルツなど糖質科学分野を主力とする医薬品メーカーである。成長戦略として独自の創薬技術を活かした研究開発を加速させている。24年3月期は大幅減益予想としている。第1四半期の各利益は大幅増益で通期予想を超過達成したが、第2四半期以降に腰椎椎間板ヘルニア治療剤SI−6603の承認申請に向けた費用も見込まれるとしている。ただし会社予想は保守的な印象が強く上振れの可能性がありそうだ。収益拡大を期待したい。株価は7月の安値圏から切り返して戻り歩調の形だ。高配当利回りや1倍割れの低PBRも評価材料であり、上値を試す展開を期待したい。

■関節機能改善剤アルツなど糖質科学分野が主力の医薬品メーカー

 糖質科学分野が主力の医薬品メーカーで、国内医薬品(関節機能改善剤アルツ、白内障手術補助剤オペガン、内視鏡用粘膜下注入材ムコアップ)、海外医薬品(米国向け単回投与関節機能改善剤Gel−One、米国向け3回投与関節機能改善剤VISCO−3、米国向け5回投与関節機能改善剤SUPARTZ−FX、中国向けアルツ)、医薬品原体(ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸)、LAL事業(エンドトキシン測定用試薬関連)を展開している。

 23年3月期のセグメント別売上高構成比は、医薬品事業が68%(国内医薬品が34%、海外医薬品が26%、医薬品原体・医薬品受託製造が9%、ロイヤリティーが0%)でLAL事業が32%だった。営業利益構成比は、医薬品事業が▲7%で、LAL事業が107%だった。

■海外展開を強化

 海外展開を強化している。20年3月には海外製造拠点としてカナダのダルトン社を子会社化した。なおダルトン社を買収する際に中間持株会社として設立したSEC社、および買収目的会社として設立したSAC社が特定子会社に該当することになったため、ダルトン社とSAC社が現地法に基づく新設合併を行い、新設された新ダルトン社が旧ダルトン社から商号および事業を引き継いだ。

 20年8月には、ダルトン社がサスカチュワン大学の研究機関であるVIDO−InterVacと、VIDO−InterVacがカナダ政府およびサスカチュワン州から支援を受けて開発を進めているCOVID−19ワクチンの製造に関して、業務提携に合意した。ダルトン社は本提携により、COVID−19ワクチンの初期段階の臨床試験で投与される治験薬の調合、充填、製剤化を担う。

 21年4月にはLAL事業の海外子会社である米ACC社が、遺伝子組み換えエンドトキシン測定用試薬「パイロスマート ネクストジェン」の販売を開始した。21年8月には単回投与の関節機能改善剤ハイリンクについて、台湾のTCM社を通じて台湾における販売を開始した。

 21年11月には海外子会社のACC社が、遺伝子組み換えエンドトキシン測定用試薬「パイロスマート ネクストジェン」について、Pharma Manufacturing 2021 Innovation Awardを受賞した。

 22年1月にはダルトン社の100%出資子会社として、カナダに現地法人SEIKAGAKU NORTH AMERICA CORPORATIONを設立した。北米に開発拠点を有することで、現地の医療環境に即したプランの立案、FDA(米国食品医薬品局)や治験施設との円滑なコミュニケーション実現など、医薬品・医療機器開発および承認取得の加速を目指す。

■中期経営計画

 中期経営計画(23年3月期〜26年3月期)の目標数値には、最終年度26年3月期の売上高400億円、営業利益70億円を掲げている。23年3月期からの4年間を「成長を実現する期間」として、最終年度26年3月期に過去最高の業績達成を目指すとしている。前提条件としては、腰椎椎間板ヘルニア治療剤SI−6603の米国上市、国内関節機能改善剤の収益拡大、海外医薬品およびLAL事業の拡大、研究開発費の対売上高比率(ロイヤリティー除く)25%目途、為替レート1米ドル=135円としている。

 利益還元については、1株当たり年間配当金26円を基本として、業績動向および財務状況を勘案して増配を検討する。また、今後の事業展開や総還元性向を考慮しながら、自己株式取得を適宜検討するとしている。

 重点施策としては、独自の創薬技術を活かした研究開発の加速、腰椎椎間板ヘルニア治療剤SI−6603の製品価値最大化、関節機能改善剤の事業価値維持・向上、グローバル生産体制の構築、遺伝子組み換え技術によるLAL事業の拡大を掲げ、社員エンゲージメント向上や人材育成、経営基盤の強化、サステナビリティ経営の強化も推進する方針としている。

■新薬開発は糖質科学分野に焦点

 研究開発は糖質科学分野(糖鎖や複合糖質を研究する科学分野)に焦点を絞っている。24年3月期第1四半期末時点の開発パイプラインとしては、腰椎椎間板ヘルニア治療剤SI−6603(米国、コンドリアーゼ)、ドライアイ治療剤SI−614(米国、修飾ヒアルロン酸)、変形性膝関節症改善剤SI−613(米国、ジクロフェナク結合ヒアルロン酸)、腱・靱帯付着部症を適応症とするSI−613−ETP(日本、ジクロフェナク結合ヒアルロン酸)、間質性膀胱炎を適応症とするSI−722(米国、ステロイド結合コンドロイチン硫酸)、外科手術で使用される癒着防止材SI−449(日本・米国、コンドロイチン硫酸架橋体)がある。

 SI−6603は日本では18年3月製造販売承認を取得し、科研製薬<4521>が18年8月販売開始(腰椎椎間板ヘルニア治療剤ヘルニコア)した。またスイスのフェリング社と日本を除く全世界におけるライセンス契約を締結している。マイルストーン型ロイヤリティーの総額は最大95百万米ドル(うち契約一時金5百万米ドル)である。米国では22年3月に第3相追加臨床試験被験者組み入れが完了した。そして23年5月には、米国における第3相追加臨床試験において良好な結果を得たと発表している。本試験結果を受け、早期の承認申請に向けた準備を進めている。

 SI−613は小野薬品工業<4528>と日本における共同開発・販売提携に関する契約を締結し、21年3月に変形性関節症治療剤ONO−5704/SI−613(ジョイクル関節注30mg)が変形性関節症(膝関節、股関節)の効能または効果で国内製造販売承認を取得し、21年5月に小野薬品工業が販売開始した。マイルストーン型ロイヤリティーの総額は最大120億円(うち契約一時金20億円)である。20年9月にはエーザイ<4523>と韓国における販売提携に関する契約を締結した。エーザイの韓国子会社が韓国におけるSI−613独占的販売権を取得して製造販売申請を行い、承認取得後は製品をエーザイに供給する。契約一時金と販売マイルストーンを受け取る。エーザイとは20年4月に中国における共同開発および販売提携に関する契約を締結しており、2ヶ国目の提携となる。

 なお、ジョイクル投与後にショック、アナフィラキーの発現が複数報告されたため21年6月1日付で安全性速報(ブルーレター)を発出し、小野薬品工業と連携して副作用報告等の情報収集や安全性に関する情報提供に努めている。また原因究明に向けて医師主導の臨床研究を開始している。今後の方針としては、米国・中国・韓国におけるSI−613(変形性膝関節症)の開発方針を検討中で、日本におけるSI−613−ETP(腱・靭帯付着部症、小野薬品工業とのSI−613の契約に含む)の開発を22年2月に中断している。ジョイクルのショック、アナフィラキー発現に関する原因究明を優先する。

 SI−614は22年5月に米国で第3相臨床試験を開始した。そして23年6月に経過観察が終了し、データ解析中である。

 SI−722は19年11月米国における第1・2相臨床試験を開始、20年3月被験者投与を開始、21年1月被験者組み入れが完了した。主目的である忍容性を確認し、次相試験を検討中である。

 SI−449は日本で20年5月に国内ピボタル試験(消化器外科領域)を開始、22年9月に被験者組み入れが完了した。また、21年11月に国内パイロット試験(婦人科領域)を開始し、22年5月に被験者組み入れが完了した。米国では試験開始を検討している。そして7月21日には、癒着防止材SI−449の国内における消化器外科領域のピボタル試験で良好な結果を得たとリリースしている。また婦人科領域におけるパイロット試験でも大きな問題は認められなかった。両試験の結果を受けて早期の承認申請に向けた準備を進めるとしている。

 なお中期経営計画の期間中に、腰椎椎間板ヘルニア治療剤SI−6603の米国における承認取得および上市、ドライアイ治療剤SI−614の米国第3相臨床試験の終了、癒着防止材SI−449の国内での承認取得および米国での臨床試験開始を目指すとしている。

■24年3月期大幅減益予想だが上振れの可能性

 24年3月期の連結業績予想は売上高が23年3月期比2.7%減の325億50百万円、営業利益が95.3%減の1億円、経常利益が49.5%減の15億50百万円、親会社株主帰属当期純利益が35.2%減の14億50百万円としている。配当予想は23年3月期と同額の26円(第2四半期末13円、期末13円)としている。予想配当性向は97.8%となる。

 セグメント別売上高計画は、医薬品事業が0.8%減の225億50百万円(国内医薬品が6.0%増の119億50百万円、海外医薬品が14.5%減の73億円、医薬品原体・医薬品受託製造が9.1%減の26億50百万円、ロイヤリティーが6億48百万円増加の6億50百万円)で、LAL事業が6.8%減の100億円としている。

 第1四半期は、売上高が前年同期比16.3%増の96億61百万円、営業利益が15.3%増の12億98百万円、経常利益が14.3%増の19億59百万円、親会社株主帰属四半期純利益が26.4%増の18億87百万円だった。

 米国における単回投与の関節機能改善剤ジェル・ワンの販売数量減少、LAL事業における新型コロナウイルス感染症関連の特需収束がマイナス要因だったが、ロイヤリティーの増加、中国向けアルツや国内医薬品の販売数量増加などにより大幅増収増益だった。なお研究開発費は3.0%増の17億38百万円だった。

 医薬品事業は売上高が30.7%増の71億72百万円、営業利益が4.3倍の9億71百万円だった。売上高の内訳は、国内医薬品が11.7%増の33億12百万円、海外医薬品が30.0%増の23億24百万円、医薬品原体・医薬品受託製造が14.0%増の8億35百万円、ロイヤリティーが6億99百万円(前年同期は1百万円)だった。

 国内医薬品は、関節機能改善剤アルツや眼科手術補助剤オペガン類が出荷数量増加で増収だった。海外医薬品は、米国における単回投与の関節機能改善剤ジェル・ワンが22年7月の保険償還制度変更の影響で減少したが、5回投与の関節機能改善剤スパルツFXが出荷時期の調整や円安効果により増収、中国向けアルツが前年同期の包装資材変更に伴って出荷がなかった反動で大幅増収だった。医薬品原体・医薬品受託製造は、海外子会社ダルトン社の医薬品受託製造が円安も寄与して増収だった。

 LAL事業は売上高が11.7%減の24億88百万円、営業利益が63.6%減の3億27百万円だった。国内販売は前年同期並みだったが、海外子会社ACC社において新型コロナウイルス感染症関連の特需が収束した。

 通期の連結業績予想は据え置いている。売上面は、国内医薬品の数量増加やロイヤリティー増加を見込むが、海外医薬品が現地販売数量減少や製品出荷時期の影響で減収、医薬品原体・医薬品受託製造が前期の円安効果の反動で減収、LAL事業が新型コロナ特需の収束や前期の円安効果の反動で減収を見込み、利益面は燃料費高騰や増産体制整備に伴う一時的な原価率悪化などを見込んでいる。なお研究開発費は9.5%減の72億円の見込みとしている。また営業外損益では有価証券売却益の増加を見込んでいる。第2四半期以降の想定為替レートは1米ドル=130円としている。

 第1四半期の各利益は大幅増益で通期予想を超過達成したが、第2四半期以降に腰椎椎間板ヘルニア治療剤SI−6603の承認申請に向けた費用も見込まれるとしている。ただし会社予想は保守的な印象が強く上振れの可能性がありそうだ。収益拡大を期待したい。

■株価は戻り歩調

 株価は7月の安値圏から切り返して戻り歩調の形だ。高配当利回りや1倍割れの低PBRも評価材料であり、上値を試す展開を期待したい。9月11日の終値は823円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS26円59銭で算出)は約31倍、今期予想配当利回り(会社予想の26円で算出)は約3.2%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS1232円41銭で算出)は約0.7倍、そして時価総額は約468億円である。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media−IR
[08月23日更新]

生化学工業は反発の動き、24年3月期1Q大幅増収増益、通期上振れの可能性

 生化学工業<4548>(東証プライム)は関節機能改善剤アルツなど糖質科学分野を主力とする医薬品メーカーである。成長戦略として独自の創薬技術を活かした研究開発を加速させている。24年3月期第1四半期はロイヤリティーの増加、中国向けアルツや国内医薬品の販売数量増加などで大幅増収増益だった。通期減収減益予想は据え置いた。海外製品出荷時期の影響、医薬品原体・医薬品受託製造およびLAL事業の前期の反動、燃料費高騰、増産体制整備に伴う一時的な原価率悪化などを見込んでいる。第1四半期の各利益は通期予想を超過達成したが、第2四半期以降に腰椎椎間板ヘルニア治療剤SI−6603の承認申請に向けた費用も見込まれるとしている。ただし会社予想は保守的な印象が強く上振れの可能性がありそうだ。収益拡大を期待したい。株価は7月の安値圏から切り返して反発の動きを強めている。高配当利回りや1倍割れの低PBRも評価材料であり、出直りを期待したい。

■関節機能改善剤アルツなど糖質科学分野が主力の医薬品メーカー

 糖質科学分野が主力の医薬品メーカーで、国内医薬品(関節機能改善剤アルツ、白内障手術補助剤オペガン、内視鏡用粘膜下注入材ムコアップ)、海外医薬品(米国向け単回投与関節機能改善剤Gel−One、米国向け3回投与関節機能改善剤VISCO−3、米国向け5回投与関節機能改善剤SUPARTZ−FX、中国向けアルツ)、医薬品原体(ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸)、LAL事業(エンドトキシン測定用試薬関連)を展開している。

 23年3月期のセグメント別売上高構成比は、医薬品事業が68%(国内医薬品が34%、海外医薬品が26%、医薬品原体・医薬品受託製造が9%、ロイヤリティーが0%)でLAL事業が32%だった。営業利益構成比は、医薬品事業が▲7%で、LAL事業が107%だった。

■海外展開を強化

 海外展開を強化している。20年3月には海外製造拠点としてカナダのダルトン社を子会社化した。なおダルトン社を買収する際に中間持株会社として設立したSEC社、および買収目的会社として設立したSAC社が特定子会社に該当することになったため、ダルトン社とSAC社が現地法に基づく新設合併を行い、新設された新ダルトン社が旧ダルトン社から商号および事業を引き継いだ。

 20年8月には、ダルトン社がサスカチュワン大学の研究機関であるVIDO−InterVacと、VIDO−InterVacがカナダ政府およびサスカチュワン州から支援を受けて開発を進めているCOVID−19ワクチンの製造に関して、業務提携に合意した。ダルトン社は本提携により、COVID−19ワクチンの初期段階の臨床試験で投与される治験薬の調合、充填、製剤化を担う。

 21年4月にはLAL事業の海外子会社である米ACC社が、遺伝子組み換えエンドトキシン測定用試薬「パイロスマート ネクストジェン」の販売を開始した。21年8月には単回投与の関節機能改善剤ハイリンクについて、台湾のTCM社を通じて台湾における販売を開始した。

 21年11月には海外子会社のACC社が、遺伝子組み換えエンドトキシン測定用試薬「パイロスマート ネクストジェン」について、Pharma Manufacturing 2021 Innovation Awardを受賞した。

 22年1月にはダルトン社の100%出資子会社として、カナダに現地法人SEIKAGAKU NORTH AMERICA CORPORATIONを設立した。北米に開発拠点を有することで、現地の医療環境に即したプランの立案、FDA(米国食品医薬品局)や治験施設との円滑なコミュニケーション実現など、医薬品・医療機器開発および承認取得の加速を目指す。

■中期経営計画

 中期経営計画(23年3月期〜26年3月期)の目標数値には、最終年度26年3月期の売上高400億円、営業利益70億円を掲げている。23年3月期からの4年間を「成長を実現する期間」として、最終年度26年3月期に過去最高の業績達成を目指すとしている。前提条件としては、腰椎椎間板ヘルニア治療剤SI−6603の米国上市、国内関節機能改善剤の収益拡大、海外医薬品およびLAL事業の拡大、研究開発費の対売上高比率(ロイヤリティー除く)25%目途、為替レート1米ドル=135円としている。

 利益還元については、1株当たり年間配当金26円を基本として、業績動向および財務状況を勘案して増配を検討する。また、今後の事業展開や総還元性向を考慮しながら、自己株式取得を適宜検討するとしている。

 重点施策としては、独自の創薬技術を活かした研究開発の加速、腰椎椎間板ヘルニア治療剤SI−6603の製品価値最大化、関節機能改善剤の事業価値維持・向上、グローバル生産体制の構築、遺伝子組み換え技術によるLAL事業の拡大を掲げ、社員エンゲージメント向上や人材育成、経営基盤の強化、サステナビリティ経営の強化も推進する方針としている。

■新薬開発は糖質科学分野に焦点

 研究開発は糖質科学分野(糖鎖や複合糖質を研究する科学分野)に焦点を絞っている。24年3月期第1四半期末時点の開発パイプラインとしては、腰椎椎間板ヘルニア治療剤SI−6603(米国、コンドリアーゼ)、ドライアイ治療剤SI−614(米国、修飾ヒアルロン酸)、変形性膝関節症改善剤SI−613(米国、ジクロフェナク結合ヒアルロン酸)、腱・靱帯付着部症を適応症とするSI−613−ETP(日本、ジクロフェナク結合ヒアルロン酸)、間質性膀胱炎を適応症とするSI−722(米国、ステロイド結合コンドロイチン硫酸)、外科手術で使用される癒着防止材SI−449(日本・米国、コンドロイチン硫酸架橋体)がある。

 SI−6603は日本では18年3月製造販売承認を取得し、科研製薬<4521>が18年8月販売開始(腰椎椎間板ヘルニア治療剤ヘルニコア)した。またスイスのフェリング社と日本を除く全世界におけるライセンス契約を締結している。マイルストーン型ロイヤリティーの総額は最大95百万米ドル(うち契約一時金5百万米ドル)である。米国では22年3月に第3相追加臨床試験被験者組み入れが完了した。そして23年5月には、米国における第3相追加臨床試験において良好な結果を得たと発表している。本試験結果を受け、早期の承認申請に向けた準備を進めている。

 SI−613は小野薬品工業<4528>と日本における共同開発・販売提携に関する契約を締結し、21年3月に変形性関節症治療剤ONO−5704/SI−613(ジョイクル関節注30mg)が変形性関節症(膝関節、股関節)の効能または効果で国内製造販売承認を取得し、21年5月に小野薬品工業が販売開始した。マイルストーン型ロイヤリティーの総額は最大120億円(うち契約一時金20億円)である。20年9月にはエーザイ<4523>と韓国における販売提携に関する契約を締結した。エーザイの韓国子会社が韓国におけるSI−613独占的販売権を取得して製造販売申請を行い、承認取得後は製品をエーザイに供給する。契約一時金と販売マイルストーンを受け取る。エーザイとは20年4月に中国における共同開発および販売提携に関する契約を締結しており、2ヶ国目の提携となる。

 なお、ジョイクル投与後にショック、アナフィラキーの発現が複数報告されたため21年6月1日付で安全性速報(ブルーレター)を発出し、小野薬品工業と連携して副作用報告等の情報収集や安全性に関する情報提供に努めている。また原因究明に向けて医師主導の臨床研究を開始している。今後の方針としては、米国・中国・韓国におけるSI−613(変形性膝関節症)の開発方針を検討中で、日本におけるSI−613−ETP(腱・靭帯付着部症、小野薬品工業とのSI−613の契約に含む)の開発を22年2月に中断している。ジョイクルのショック、アナフィラキー発現に関する原因究明を優先する。

 SI−614は22年5月に米国で第3相臨床試験を開始した。そして23年6月に経過観察が終了し、データ解析中である。

 SI−722は19年11月米国における第1・2相臨床試験を開始、20年3月被験者投与を開始、21年1月被験者組み入れが完了した。主目的である忍容性を確認し、次相試験を検討中である。

 SI−449は日本で20年5月に国内ピボタル試験(消化器外科領域)を開始、22年9月に被験者組み入れが完了した。また、21年11月に国内パイロット試験(婦人科領域)を開始し、22年5月に被験者組み入れが完了した。米国では試験開始を検討している。そして7月21日には、癒着防止材SI−449の国内における消化器外科領域のピボタル試験で良好な結果を得たとリリースしている。また婦人科領域におけるパイロット試験でも大きな問題は認められなかった。両試験の結果を受けて早期の承認申請に向けた準備を進めるとしている。

 なお中期経営計画の期間中に、腰椎椎間板ヘルニア治療剤SI−6603の米国における承認取得および上市、ドライアイ治療剤SI−614の米国第3相臨床試験の終了、癒着防止材SI−449の国内での承認取得および米国での臨床試験開始を目指すとしている。

■24年3月期1Q大幅増収増益、通期減収減益予想だが上振れの可能性

 24年3月期の連結業績予想は売上高が23年3月期比2.7%減の325億50百万円、営業利益が95.3%減の1億円、経常利益が49.5%減の15億50百万円、親会社株主帰属当期純利益が35.2%減の14億50百万円としている。配当予想は23年3月期と同額の26円(第2四半期末13円、期末13円)としている。予想配当性向は97.8%となる。

 セグメント別売上高計画は、医薬品事業が0.8%減の225億50百万円(国内医薬品が6.0%増の119億50百万円、海外医薬品が14.5%減の73億円、医薬品原体・医薬品受託製造が9.1%減の26億50百万円、ロイヤリティーが6億48百万円増加の6億50百万円)で、LAL事業が6.8%減の100億円としている。

 第1四半期は、売上高が前年同期比16.3%増の96億61百万円、営業利益が15.3%増の12億98百万円、経常利益が14.3%増の19億59百万円、親会社株主帰属四半期純利益が26.4%増の18億87百万円だった。

 米国における単回投与の関節機能改善剤ジェル・ワンの販売数量減少、LAL事業における新型コロナウイルス感染症関連の特需収束がマイナス要因だったが、ロイヤリティーの増加、中国向けアルツや国内医薬品の販売数量増加などにより大幅増収増益だった。なお研究開発費は3.0%増の17億38百万円だった。

 医薬品事業は売上高が30.7%増の71億72百万円、営業利益が4.3倍の9億71百万円だった。売上高の内訳は、国内医薬品が11.7%増の33億12百万円、海外医薬品が30.0%増の23億24百万円、医薬品原体・医薬品受託製造が14.0%増の8億35百万円、ロイヤリティーが6億99百万円(前年同期は1百万円)だった。

 国内医薬品は、関節機能改善剤アルツや眼科手術補助剤オペガン類が出荷数量増加で増収だった。海外医薬品は、米国における単回投与の関節機能改善剤ジェル・ワンが22年7月の保険償還制度変更の影響で減少したが、5回投与の関節機能改善剤スパルツFXが出荷時期の調整や円安効果により増収、中国向けアルツが前年同期の包装資材変更に伴って出荷がなかった反動で大幅増収だった。医薬品原体・医薬品受託製造は、海外子会社ダルトン社の医薬品受託製造が円安も寄与して増収だった。

 LAL事業は売上高が11.7%減の24億88百万円、営業利益が63.6%減の3億27百万円だった。国内販売は前年同期並みだったが、海外子会社ACC社において新型コロナウイルス感染症関連の特需が収束した。

 通期の連結業績予想は据え置いている。売上面は、国内医薬品の数量増加やロイヤリティー増加を見込むが、海外医薬品が現地販売数量減少や製品出荷時期の影響で減収、医薬品原体・医薬品受託製造が前期の円安効果の反動で減収、LAL事業が新型コロナ特需の収束や前期の円安効果の反動で減収を見込み、利益面は燃料費高騰や増産体制整備に伴う一時的な原価率悪化などを見込んでいる。なお研究開発費は9.5%減の72億円の見込みとしている。また営業外損益では有価証券売却益の増加を見込んでいる。

 なお第1四半期の各利益は通期予想を超過達成したが、第2四半期以降に腰椎椎間板ヘルニア治療剤SI−6603の承認申請に向けた費用も見込まれるとしている。また第2四半期以降の想定為替レートは1米ドル=130円としている。ただし会社予想は保守的な印象が強く上振れの可能性がありそうだ。収益拡大を期待したい。

■株価は反発の動き

 株価は7月の安値圏から切り返して反発の動きを強めている。高配当利回りや1倍割れの低PBRも評価材料であり、出直りを期待したい。8月22日の終値は794円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS26円59銭で算出)は約30倍、今期予想配当利回り(会社予想の26円で算出)は約3.3%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS1232円41銭で算出)は約0.6倍、そして時価総額は約451億円である。 (情報提供:日本インタビュ新聞社=Media−IR
[07月25日更新]

生化学工業は売り一巡、24年3月期減収減益予想だが保守的

 生化学工業<4548>(東証プライム)は関節機能改善剤アルツなど糖質科学分野を主力とする医薬品メーカーである。成長戦略として独自の創薬技術を活かした研究開発を加速させている。7月21日には、外科手術で使用される癒着防止材SI−449の国内における消化器外科領域のピボタル試験で良好な結果を得たとリリースしている。24年3月期は減収減益予想としている。ロイヤリティーが増加するが、海外製品出荷時期の影響、医薬品原体・医薬品受託製造およびLAL事業の前期の反動、燃料費高騰、増産体制整備に伴う一時的な原価率悪化などを見込んでいる。ただし保守的な印象が強い。積極的な事業展開で収益回復を期待したい。株価は年初来安値圏で軟調だが売り一巡感を強めている。高配当利回りや1倍割れの低PBRも評価材料であり、出直りを期待したい。なお8月4日に24年3月期第1四半期決算発表を予定している。

■関節機能改善剤アルツなど糖質科学分野が主力の医薬品メーカー

 糖質科学分野が主力の医薬品メーカーで、国内医薬品(関節機能改善剤アルツ、白内障手術補助剤オペガン、内視鏡用粘膜下注入材ムコアップ)、海外医薬品(米国向け単回投与関節機能改善剤Gel−One、米国向け3回投与関節機能改善剤VISCO−3、米国向け5回投与関節機能改善剤SUPARTZ−FX、中国向けアルツ)、医薬品原体(ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸)、LAL事業(エンドトキシン測定用試薬関連)を展開している。

 23年3月期のセグメント別売上高構成比は、医薬品事業が68%(国内医薬品が34%、海外医薬品が26%、医薬品原体・医薬品受託製造が9%、ロイヤリティーが0%)でLAL事業が32%だった。営業利益構成比は、医薬品事業が▲7%で、LAL事業が107%だった。

■海外展開を強化

 海外展開を強化している。20年3月には海外製造拠点としてカナダのダルトン社を子会社化した。なおダルトン社を買収する際に中間持株会社として設立したSEC社、および買収目的会社として設立したSAC社が特定子会社に該当することになったため、ダルトン社とSAC社が現地法に基づく新設合併を行い、新設された新ダルトン社が旧ダルトン社から商号および事業を引き継いだ。

 20年8月には、ダルトン社がサスカチュワン大学の研究機関であるVIDO−InterVacと、VIDO−InterVacがカナダ政府およびサスカチュワン州から支援を受けて開発を進めているCOVID−19ワクチンの製造に関して、業務提携に合意した。ダルトン社は本提携により、COVID−19ワクチンの初期段階の臨床試験で投与される治験薬の調合、充填、製剤化を担う。

 21年4月にはLAL事業の海外子会社である米ACC社が、遺伝子組み換えエンドトキシン測定用試薬「パイロスマート ネクストジェン」の販売を開始した。21年8月には単回投与の関節機能改善剤ハイリンクについて、台湾のTCM社を通じて台湾における販売を開始した。

 21年11月には海外子会社のACC社が、遺伝子組み換えエンドトキシン測定用試薬「パイロスマート ネクストジェン」について、Pharma Manufacturing 2021 Innovation Awardを受賞した。

 22年1月にはダルトン社の100%出資子会社として、カナダに現地法人SEIKAGAKU NORTH AMERICA CORPORATIONを設立した。北米に開発拠点を有することで、現地の医療環境に即したプランの立案、FDA(米国食品医薬品局)や治験施設との円滑なコミュニケーション実現など、医薬品・医療機器開発および承認取得の加速を目指す。

■中期経営計画

 中期経営計画(23年3月期〜26年3月期)の目標数値には、最終年度26年3月期の売上高400億円、営業利益70億円を掲げている。23年3月期からの4年間を「成長を実現する期間」として、最終年度26年3月期に過去最高の業績達成を目指すとしている。前提条件としては、腰椎椎間板ヘルニア治療剤SI−6603の米国上市、国内関節機能改善剤の収益拡大、海外医薬品およびLAL事業の拡大、研究開発費の対売上高比率(ロイヤリティー除く)25%目途、為替レート1米ドル=135円としている。

 利益還元については、1株当たり年間配当金26円を基本として、業績動向および財務状況を勘案して増配を検討する。また、今後の事業展開や総還元性向を考慮しながら、自己株式取得を適宜検討するとしている。

 重点施策としては、独自の創薬技術を活かした研究開発の加速、腰椎椎間板ヘルニア治療剤SI−6603の製品価値最大化、関節機能改善剤の事業価値維持・向上、グローバル生産体制の構築、遺伝子組み換え技術によるLAL事業の拡大を掲げ、社員エンゲージメント向上や人材育成、経営基盤の強化、サステナビリティ経営の強化も推進する方針としている。

■新薬開発は糖質科学分野に焦点

 研究開発は糖質科学分野(糖鎖や複合糖質を研究する科学分野)に焦点を絞っている。23年3月期第2四半期末時点の開発パイプラインとしては、腰椎椎間板ヘルニア治療剤SI−6603(米国、コンドリアーゼ)、ドライアイ治療剤SI−614(米国、修飾ヒアルロン酸)、変形性膝関節症改善剤SI−613(米国、ジクロフェナク結合ヒアルロン酸)、腱・靱帯付着部症を適応症とするSI−613−ETP(日本、ジクロフェナク結合ヒアルロン酸)、間質性膀胱炎を適応症とするSI−722(米国、ステロイド結合コンドロイチン硫酸)、外科手術で使用される癒着防止材SI−449(日本・米国、コンドロイチン硫酸架橋体)がある。

 SI−6603は日本では18年3月製造販売承認を取得し、科研製薬<4521>が18年8月販売開始(腰椎椎間板ヘルニア治療剤ヘルニコア)した。またスイスのフェリング社と日本を除く全世界におけるライセンス契約を締結している。マイルストーン型ロイヤリティーの総額は最大95百万米ドル(うち契約一時金5百万米ドル)である。米国では22年3月に第3相追加臨床試験被験者組み入れが完了した。そして23年5月には、米国における第3相追加臨床試験において良好な結果を得たと発表している。本試験結果を受け、早期の承認申請に向けた準備を進める。

 SI−613は小野薬品工業<4528>と日本における共同開発・販売提携に関する契約を締結し、21年3月に変形性関節症治療剤ONO−5704/SI−613(ジョイクル関節注30mg)が変形性関節症(膝関節、股関節)の効能または効果で国内製造販売承認を取得し、21年5月に小野薬品工業が販売開始した。マイルストーン型ロイヤリティーの総額は最大120億円(うち契約一時金20億円)である。20年9月にはエーザイ<4523>と韓国における販売提携に関する契約を締結した。エーザイの韓国子会社が韓国におけるSI−613独占的販売権を取得して製造販売申請を行い、承認取得後は製品をエーザイに供給する。契約一時金と販売マイルストーンを受け取る。エーザイとは20年4月に中国における共同開発および販売提携に関する契約を締結しており、2ヶ国目の提携となる。

 なお、ジョイクル投与後にショック、アナフィラキーの発現が複数報告されたため21年6月1日付で安全性速報(ブルーレター)を発出し、小野薬品工業と連携して副作用報告等の情報収集や安全性に関する情報提供に努めている。また原因究明に向けて医師主導の臨床研究を開始している。今後の方針としては、米国・中国・韓国におけるSI−613(変形性膝関節症)の開発方針を検討中で、日本におけるSI−613−ETP(腱・靭帯付着部症、小野薬品工業とのSI−613の契約に含む)の開発を22年2月に中断している。ジョイクルのショック、アナフィラキー発現に関する原因究明を優先する。

 SI−614は22年5月に米国で第3相臨床試験を開始した。有効性、安全性の評価を行う。SI−722は19年11月米国における第1・2相臨床試験を開始、20年3月被験者投与を開始、21年1月被験者組み入れが完了した。主目的である忍容性を確認し、次相試験を検討中である。

 SI−449は日本で20年5月に国内ピボタル試験(消化器外科領域)を開始、22年9月に被験者組み入れが完了した。また、21年11月に国内パイロット試験(婦人科領域)を開始し、22年5月に被験者組み入れが完了した。米国では試験開始を検討している。そして7月21日には、癒着防止材SI−449の国内における消化器外科領域のピボタル試験で良好な結果を得たとリリースしている。また婦人科領域におけるパイロット試験でも大きな問題は認められなかった。両試験の結果を受けて早期の承認申請に向けた準備を進めるとしている。

 なお中期経営計画の期間中に、腰椎椎間板ヘルニア治療剤SI−6603の米国における承認取得および上市、ドライアイ治療剤SI−614の米国第3相臨床試験の終了、癒着防止材SI−449の国内での承認取得および米国での臨床試験開始を目指すとしている。

■24年3月期減収減益予想だが保守的

 24年3月期の連結業績予想は売上高が23年3月期比2.7%減の325億50百万円、営業利益が95.3%減の1億円、経常利益が49.5%減の15億50百万円、親会社株主帰属当期純利益が35.2%減の14億50百万円としている。配当予想は23年3月期と同額の26円(第2四半期末13円、期末13円)としている。予想配当性向は97.8%となる。

 セグメント別売上高計画は、医薬品事業が0.8%減の225億50百万円(国内医薬品が6.0%増の119億50百万円、海外医薬品が14.5%減の73億円、医薬品原体・医薬品受託製造が9.1%減の26億50百万円、ロイヤリティーが6億48百万円増加の6億50百万円)で、LAL事業が6.8%減の100億円としている。

 売上面は、国内医薬品の数量増加やロイヤリティー増加を見込むが、海外医薬品が現地販売数量減少や製品出荷時期の影響で減収、医薬品原体・医薬品受託製造が前期の円安効果の反動で減収、LAL事業が新型コロナ特需の収束や前期の円安効果の反動で減収を見込み、利益面は燃料費高騰や増産体制整備に伴う一時的な原価率悪化などを見込んでいる。なお研究開発費は9.5%減の72億円の見込みとしている。また営業外損益では有価証券売却益の増加を見込んでいる。24年3月期減収減益予想だが保守的な印象が強い。積極的な事業展開で収益回復を期待したい。

■株価は売り一巡

 株価は年初来安値圏で軟調だが売り一巡感を強めている。高配当利回りや1倍割れの低PBRも評価材料であり、出直りを期待したい。7月24日の終値は754円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS26円59銭で算出)は約28倍、今期予想配当利回り(会社予想の26円で算出)は約3.4%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS1232円41銭で算出)は約0.6倍、時価総額は約428億円である。 (情報提供:日本インタビュ新聞社=Media−IR
[06月27日更新]

生化学工業は売られすぎ感、24年3月期減収減益予想だが保守的

記事(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media−IR)
[06月06日更新]

生化学工業は売り一巡、24年3月期減収減益予想だが保守的

 生化学工業<4548>(東証プライム)は関節機能改善剤アルツなど糖質科学分野を主力とする医薬品メーカーである。成長戦略として、独自の創薬技術を活かした研究開発を加速させている。23年3月期は海外医薬品やLAL事業が伸長したが、国内における薬価引き下げの影響、ロイヤリティーの剥落などで減収減益だった。そして24年3月期も減収減益予想としている。ロイヤリティーが増加するが、海外製品出荷時期の影響、医薬品原体・医薬品受託製造およびLAL事業の前期の反動、燃料費高騰、増産体制整備に伴う一時的な原価率悪化などを見込んでいる。ただし保守的な印象が強い。積極的な事業展開で収益回復を期待したい。株価は24年3月期予想を嫌気する形で年初来安値を更新したが売り一巡感を強めている。1倍割れのPBRも評価して出直りを期待したい。

■関節機能改善剤アルツなど糖質科学分野が主力の医薬品メーカー

 糖質科学分野が主力の医薬品メーカーで、国内医薬品(関節機能改善剤アルツ、白内障手術補助剤オペガン、内視鏡用粘膜下注入材ムコアップ)、海外医薬品(米国向け単回投与関節機能改善剤Gel−One、米国向け3回投与関節機能改善剤VISCO−3、米国向け5回投与関節機能改善剤SUPARTZ−FX、中国向けアルツ)、医薬品原体(ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸)、LAL事業(エンドトキシン測定用試薬関連)を展開している。

 23年3月期のセグメント別売上高構成比は、医薬品事業が68%(国内医薬品が34%、海外医薬品が26%、医薬品原体・医薬品受託製造が9%、ロイヤリティーが0%)でLAL事業が32%だった。営業利益構成比は、医薬品事業が▲7%で、LAL事業が107%だった。

■海外展開を強化

 海外展開を強化している。20年3月には海外製造拠点としてカナダのダルトン社を子会社化した。なおダルトン社を買収する際に中間持株会社として設立したSEC社、および買収目的会社として設立したSAC社が特定子会社に該当することになったため、ダルトン社とSAC社が現地法に基づく新設合併を行い、新設された新ダルトン社が旧ダルトン社から商号および事業を引き継いだ。

 20年8月には、ダルトン社がサスカチュワン大学の研究機関であるVIDO−InterVacと、VIDO−InterVacがカナダ政府およびサスカチュワン州から支援を受けて開発を進めているCOVID−19ワクチンの製造に関して、業務提携に合意した。ダルトン社は本提携により、COVID−19ワクチンの初期段階の臨床試験で投与される治験薬の調合、充填、製剤化を担う。

 21年4月にはLAL事業の海外子会社である米ACC社が、遺伝子組み換えエンドトキシン測定用試薬「パイロスマート ネクストジェン」の販売を開始した。21年8月には単回投与の関節機能改善剤ハイリンクについて、台湾のTCM社を通じて台湾における販売を開始した。

 21年11月には海外子会社のACC社が、遺伝子組み換えエンドトキシン測定用試薬「パイロスマート ネクストジェン」について、Pharma Manufacturing 2021 Innovation Awardを受賞した。

 22年1月にはダルトン社の100%出資子会社として、カナダに現地法人SEIKAGAKU NORTH AMERICA CORPORATIONを設立した。北米に開発拠点を有することで、現地の医療環境に即したプランの立案、FDA(米国食品医薬品局)や治験施設との円滑なコミュニケーション実現など、医薬品・医療機器開発および承認取得の加速を目指す。

■中期経営計画

 中期経営計画(23年3月期〜26年3月期)の目標数値には、最終年度26年3月期の売上高400億円、営業利益70億円を掲げている。23年3月期からの4年間を「成長を実現する期間」として、最終年度26年3月期に過去最高の業績達成を目指すとしている。前提条件としては、腰椎椎間板ヘルニア治療剤SI−6603の米国上市、国内関節機能改善剤の収益拡大、海外医薬品およびLAL事業の拡大、研究開発費の対売上高比率(ロイヤリティー除く)25%目途、為替レート1米ドル=135円としている。

 利益還元については、1株当たり年間配当金26円を基本として、業績動向および財務状況を勘案して増配を検討する。また、今後の事業展開や総還元性向を考慮しながら、自己株式取得を適宜検討するとしている。

 重点施策としては、独自の創薬技術を活かした研究開発の加速、腰椎椎間板ヘルニア治療剤SI−6603の製品価値最大化、関節機能改善剤の事業価値維持・向上、グローバル生産体制の構築、遺伝子組み換え技術によるLAL事業の拡大を掲げ、社員エンゲージメント向上や人材育成、経営基盤の強化、サステナビリティ経営の強化も推進する方針としている。

■新薬開発は糖質科学分野に焦点

 研究開発は糖質科学分野(糖鎖や複合糖質を研究する科学分野)に焦点を絞っている。23年3月期第2四半期末時点の開発パイプラインとしては、腰椎椎間板ヘルニア治療剤SI−6603(米国、コンドリアーゼ)、ドライアイ治療剤SI−614(米国、修飾ヒアルロン酸)、変形性膝関節症改善剤SI−613(米国、ジクロフェナク結合ヒアルロン酸)、腱・靱帯付着部症を適応症とするSI−613−ETP(日本、ジクロフェナク結合ヒアルロン酸)、間質性膀胱炎を適応症とするSI−722(米国、ステロイド結合コンドロイチン硫酸)、癒着防止材SI−449(日本・米国、コンドロイチン硫酸架橋体)がある。

 SI−6603は日本では18年3月製造販売承認を取得し、科研製薬<4521>が18年8月販売開始(腰椎椎間板ヘルニア治療剤ヘルニコア)した。またスイスのフェリング社と日本を除く全世界におけるライセンス契約を締結している。マイルストーン型ロイヤリティーの総額は最大95百万米ドル(うち契約一時金5百万米ドル)である。米国では22年3月に第3相追加臨床試験被験者組み入れが完了した。そして23年5月には、米国における第3相追加臨床試験において良好な結果を得たと発表している。本試験結果を受け、早期の承認申請に向けた準備を進める。

 SI−613は小野薬品工業<4528>と日本における共同開発・販売提携に関する契約を締結し、21年3月に変形性関節症治療剤ONO−5704/SI−613(ジョイクル関節注30mg)が変形性関節症(膝関節、股関節)の効能または効果で国内製造販売承認を取得し、21年5月に小野薬品工業が販売開始した。マイルストーン型ロイヤリティーの総額は最大120億円(うち契約一時金20億円)である。20年9月にはエーザイ<4523>と韓国における販売提携に関する契約を締結した。エーザイの韓国子会社が韓国におけるSI−613独占的販売権を取得して製造販売申請を行い、承認取得後は製品をエーザイに供給する。契約一時金と販売マイルストーンを受け取る。エーザイとは20年4月に中国における共同開発および販売提携に関する契約を締結しており、2ヶ国目の提携となる。

 なお、ジョイクル投与後にショック、アナフィラキーの発現が複数報告されたため21年6月1日付で安全性速報(ブルーレター)を発出し、小野薬品工業と連携して副作用報告等の情報収集や安全性に関する情報提供に努めている。また原因究明に向けて医師主導の臨床研究を開始している。今後の方針としては、米国・中国・韓国におけるSI−613(変形性膝関節症)の開発方針を検討中で、日本におけるSI−613−ETP(腱・靭帯付着部症、小野薬品工業とのSI−613の契約に含む)の開発を22年2月に中断している。ジョイクルのショック、アナフィラキー発現に関する原因究明を優先する。

 SI−614は22年5月に米国で第3相臨床試験を開始した。有効性、安全性の評価を行う。SI−722は19年11月米国における第1・2相臨床試験を開始、20年3月被験者投与を開始、21年1月被験者組み入れが完了した。主目的である忍容性を確認し、次相試験を検討中である。

 SI−449は日本で20年5月に国内ピボタル試験(消化器外科領域)を開始、22年9月に被験者組み入れが完了した。また、21年11月に国内パイロット試験(婦人科領域)を開始し、22年5月に被験者組み入れが完了した。米国では試験開始を検討している。

 なお中期経営計画の期間中に、腰椎椎間板ヘルニア治療剤SI−6603の米国における承認取得および上市、ドライアイ治療剤SI−614の米国第3相臨床試験の終了、癒着防止材SI−449の国内での承認取得および米国での臨床試験開始を目指すとしている。

■24年3月期減収減益予想だが保守的

 23年3月期の連結業績は売上高が22年3月期比4.0%減の334億56百万円、営業利益が53.0%減の21億14百万円、経常利益が43.1%減の30億69百万円、そして親会社株主帰属当期純利益が40.1%減の22億36百万円だった。配当は22年3月期比4円減配の26円(第2四半期末13円、期末13円)とした。

 海外医薬品やLAL事業が伸長したが、国内における薬価引き下げの影響、前期計上のロイヤリティーの剥落などで減収減益だった。なおロイヤリティーを除く原価率は46.1%で0.3ポイント低下した。薬価引き下げや燃料費高騰の影響を売上構成比変化などで吸収した。販管費は0.8%減少した。為替換算を含む海外子会社の費用が増加したが、米国で実施中の腰椎椎間板ヘルニア治療剤SI―6603追加臨床試験の被験者組み入れが完了したため、研究開発費が減少(11.7%減の79億51百万円)した。

 医薬品事業は売上高が11.6%減の227億23百万円、営業利益が1億43百万円の赤字(22年3月期は22億13百万円の黒字)だった。売上高の内訳は国内医薬品が1.5%減の112億71百万円、海外医薬品が11.5%増の85億34百万円、医薬品原体・医薬品受託製造が11.9%増の29億16百万円、ロイヤリティーが1百万円(22年3月期は39億89百万円)だった。

 国内医薬品は、関節機能改善剤アルツが薬価引き下げの影響を受け、前期計上のロイヤリティーが剥落した。海外医薬品は、米国において単回投与の関節機能改善剤ジェル・ワンおよびが複数回投与の関節機能改善剤スパルツFXが、円安も寄与して増収だった。中国の複数回投与の関節機能改善剤ARTZは、包装資材変更に伴って7月まで出荷がなかったことに加えて、コロナ禍で現地販売が減少した。医薬品原体・医薬品受託製造は、海外子会社ダルトン社の医薬品受託製造が円安も寄与して増収だった。

 LAL事業は売上高が17.2%増の107億32百万円、営業利益が1.1%減の22億57百万円だった。海外子会社ACC社におけるエンドトキシン測定用試薬やグルカン測定体外診断用医薬品などが円安も寄与して堅調に推移し、国内販売も堅調だった。

 なお四半期別に見ると、第1四半期は売上高が83億07百万円、営業利益が11億26百万円、経常利益が17億14百万円、第2四半期は売上高が89億51百万円、営業利益が14億84百万円、経常利益が18億86百万円、第3四半期は売上高が89億04百万円、営業利益が7億97百万円、経常利益が6億18百万円、第4四半期は売上高が72億94百万円、営業利益が12億93百万円の赤字、経常利益が11億49百万円の赤字だった。

 24年3月期の連結業績予想は売上高が23年3月期比2.7%減の325億50百万円、営業利益が95.3%減の1億円、経常利益が49.5%減の15億50百万円、親会社株主帰属当期純利益が35.2%減の14億50百万円としている。配当予想は23年3月期と同額の26円(第2四半期末13円、期末13円)としている。予想配当性向は97.8%となる。

 セグメント別売上高計画は、医薬品事業が0.8%減の225億50百万円(国内医薬品が6.0%増の119億50百万円、海外医薬品が14.5%減の73億円、医薬品原体・医薬品受託製造が9.1%減の26億50百万円、ロイヤリティーが6億48百万円増加の6億50百万円)で、LAL事業が6.8%減の100億円としている。

 売上面は、国内医薬品の数量増加やロイヤリティー増加を見込むが、海外医薬品が現地販売数量減少や製品出荷時期の影響で減収、医薬品原体・医薬品受託製造が前期の円安効果の反動で減収、LAL事業が新型コロナ特需の収束や前期の円安効果の反動で減収を見込み、利益面は燃料費高騰や増産体制整備に伴う一時的な原価率悪化などを見込んでいる。なお研究開発費は9.5%減の72億円の見込みとしている。また営業外損益では有価証券売却益の増加を見込んでいる。24年3月期も減収減益予想だが保守的な印象が強い。積極的な事業展開で収益回復を期待したい。

■株価は売り一巡

 株価は24年3月期予想を嫌気する形で年初来安値を更新したが売り一巡感を強めている。1倍割れのPBRも評価して出直りを期待したい。6月5日の終値は759円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS26円59銭で算出)は約29倍、今期予想配当利回り(会社予想の26円で算出)は約3.4%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS1232円41銭で算出)は約0.6倍、そして時価総額は約431億円である。 (情報提供:日本インタビュ新聞社=Media−IR
[05月17日更新]

生化学工業は24年3月期減収減益予想だが保守的

 生化学工業<4548>(東証プライム)は5月12日の取引時間終了後に23年3月期連結業績を発表した。海外医薬品やLAL事業が伸長したが、国内における薬価引き下げの影響、ロイヤリティーの剥落などで減収減益だった。そして24年3月期も減収減益予想としている。ロイヤリティーが増加するが、海外製品出荷時期の影響、医薬品原体・医薬品受託製造およびLAL事業の前期の反動、燃料費高騰、増産体制整備に伴う一時的な原価率悪化などを見込んでいる。ただし保守的な印象が強く上振れを期待したい。株価は24年3月期減収減益予想を嫌気して年初来安値を更新したが、低PBRも評価材料であり、売り一巡して出直りを期待したい。

■23年3月期減収減益、24年3月期も減収減益予想だが保守的

 23年3月期の連結業績は売上高が22年3月期比4.0%減の334億56百万円、営業利益が53.0%減の21億14百万円、経常利益が43.1%減の30億69百万円、そして親会社株主帰属当期純利益が40.1%減の22億36百万円だった。配当は22年3月期比4円減配の26円(第2四半期末13円、期末13円)とした。

 海外医薬品やLAL事業が伸長したが、国内における薬価引き下げの影響、前期計上のロイヤリティーの剥落などで減収減益だった。なおロイヤリティーを除く原価率は46.1%で0.3ポイント低下した。薬価引き下げや燃料費高騰の影響を売上構成比変化などで吸収した。販管費は0.8%減少した。為替換算を含む海外子会社の費用が増加したが、米国で実施中の腰椎椎間板ヘルニア治療剤SI―6603追加臨床試験の被験者組み入れが完了したため、研究開発費が減少(11.7%減の79億51百万円)した。

 医薬品事業は売上高が11.6%減の227億23百万円、営業利益が1億43百万円の赤字(22年3月期は22億13百万円の黒字)だった。売上高の内訳は国内医薬品が1.5%減の112億71百万円、海外医薬品が11.5%増の85億34百万円、医薬品原体・医薬品受託製造が11.9%増の29億16百万円、ロイヤリティーが1百万円(22年3月期は39億89百万円)だった。

 国内医薬品は、関節機能改善剤アルツが薬価引き下げの影響を受け、前期計上のロイヤリティーが剥落した。海外医薬品は、米国において単回投与の関節機能改善剤ジェル・ワンおよびが複数回投与の関節機能改善剤スパルツFXが、円安も寄与して増収だった。中国の複数回投与の関節機能改善剤ARTZは、包装資材変更に伴って7月まで出荷がなかったことに加えて、コロナ禍で現地販売が減少した。医薬品原体・医薬品受託製造は、海外子会社ダルトン社の医薬品受託製造が円安も寄与して増収だった。

 LAL事業は売上高が17.2%増の107億32百万円、営業利益が1.1%減の22億57百万円だった。海外子会社ACC社におけるエンドトキシン測定用試薬やグルカン測定体外診断用医薬品などが円安も寄与して堅調に推移し、国内販売も堅調だった。

 なお四半期別に見ると、第1四半期は売上高が83億07百万円、営業利益が11億26百万円、経常利益が17億14百万円、第2四半期は売上高が89億51百万円、営業利益が14億84百万円、経常利益が18億86百万円、第3四半期は売上高が89億04百万円、営業利益が7億97百万円、経常利益が6億18百万円、第4四半期は売上高が72億94百万円、営業利益が12億93百万円の赤字、経常利益が11億49百万円の赤字だった。

 24年3月期の連結業績予想は売上高が23年3月期比2.7%減の325億50百万円、営業利益が95.3%減の1億円、経常利益が49.5%減の15億50百万円、親会社株主帰属当期純利益が35.2%減の14億50百万円としている。配当予想は23年3月期と同額の26円(第2四半期末13円、期末13円)としている。予想配当性向は97.8%となる。

 セグメント別売上高計画は、医薬品事業が0.8%減の225億50百万円(国内医薬品が6.0%増の119億50百万円、海外医薬品が14.5%減の73億円、医薬品原体・医薬品受託製造が9.1%減の26億50百万円、ロイヤリティーが6億48百万円増加の6億50百万円)で、LAL事業が6.8%減の100億円としている。

 売上面は、国内医薬品の数量増加やロイヤリティー増加を見込むが、海外医薬品が現地販売数量減少や製品出荷時期の影響で減収、医薬品原体・医薬品受託製造が前期の円安効果の反動で減収、LAL事業が新型コロナ特需の収束や前期の円安効果の反動で減収を見込み、利益面は燃料費高騰や増産体制整備に伴う一時的な原価率悪化などを見込んでいる。なお研究開発費は9.5%減の72億円の見込みとしている。また営業外損益では有価証券売却益の増加を見込んでいる。24年3月期も減収減益予想だが、保守的な印象が強く上振れを期待したい。

■株価は売り一巡

 株価は24年3月期減収減益予想を嫌気して年初来安値を更新したが、低PBRも評価材料であり、売り一巡して出直りを期待したい。5月16日の終値は787円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS26円59銭で算出)は約30倍、今期予想配当利回り(会社予想の26円で算出)は約3.3%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS1232円41銭で算出)は約0.6倍、時価総額は約447億円である。 (情報提供:日本インタビュ新聞社=Media−IR
[05月08日更新]

生化学工業は戻り試す、24年3月期収益回復期待

  生化学工業<4548>(東証プライム)は関節機能改善剤アルツなど糖質科学分野を主力とする医薬品メーカーである。23年3月期はロイヤリティー減少、国内薬価引き下げ、海外子会社の費用増加などで減収予想としている。第3四半期累計の利益は通期利益予想を超過達成の形だが、第4四半期に海外子会社における受託試験サービスの売上減少、研究開発費の集中発生、燃料費高騰に伴う費用の増加、半導体不足に伴って抑制していた工場定期メンテナンスの集中発生などを見込んでいる。ただし積極的な事業展開で24年3月期の収益回復を期待したい。株価は3月の年初来安値圏から反発して徐々に水準を切り上げている。低PBRも評価して戻りを試す展開を期待したい。なお5月12日に23年3月期決算発表を予定している。
 
■関節機能改善剤アルツなど糖質科学分野が主力の医薬品メーカー
 
 糖質科学分野が主力の医薬品メーカーで、国内医薬品(関節機能改善剤アルツ、白内障手術補助剤オペガン、内視鏡用粘膜下注入材ムコアップ)、海外医薬品(米国向け単回投与関節機能改善剤Gel−One、米国向け3回投与関節機能改善剤VISCO−3、米国向け5回投与関節機能改善剤SUPARTZ−FX、中国向けアルツ)、医薬品原体(ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸)、LAL事業(エンドトキシン測定用試薬関連)を展開している。
 
 22年3月期セグメント別構成比(22年3月期から受取ロイヤリティーを営業外収益から売上高に表示区分変更、販売手数料等を販管費計上から売上高控除に変更)は、売上高が医薬品事業74%(国内医薬品33%、海外医薬品22%、医薬品原体・医薬品受託製造7%、ロイヤリティー11%)でLAL事業26%、営業利益が医薬品事業49%、LAL事業51%だった。
 
■海外展開を強化
 
 海外展開を強化している。20年3月には海外製造拠点としてカナダのダルトン社を子会社化した。なおダルトン社を買収する際に中間持株会社として設立したSEC社、および買収目的会社として設立したSAC社が特定子会社に該当することになったため、ダルトン社とSAC社が現地法に基づく新設合併を行い、新設された新ダルトン社が旧ダルトン社から商号および事業を引き継いだ。
 
 20年8月には、ダルトン社がサスカチュワン大学の研究機関であるVIDO−InterVacと、VIDO−InterVacがカナダ政府およびサスカチュワン州から支援を受けて開発を進めているCOVID−19ワクチンの製造に関して、業務提携に合意した。ダルトン社は本提携により、COVID−19ワクチンの初期段階の臨床試験で投与される治験薬の調合、充填、製剤化を担う。
 
 21年4月にはLAL事業の海外子会社である米ACC社が、遺伝子組み換えエンドトキシン測定用試薬「パイロスマート ネクストジェン」の販売を開始した。21年8月には単回投与の関節機能改善剤ハイリンクについて、台湾のTCM社を通じて台湾における販売を開始した。
 
 21年11月には海外子会社のACC社が、遺伝子組み換えエンドトキシン測定用試薬「パイロスマート ネクストジェン」について、Pharma Manufacturing 2021 Innovation Awardを受賞した。
 
 22年1月にはダルトン社の100%出資子会社として、カナダに現地法人SEIKAGAKU NORTH AMERICA CORPORATIONを設立した。北米に開発拠点を有することで、現地の医療環境に即したプランの立案、FDA(米国食品医薬品局)や治験施設との円滑なコミュニケーション実現など、医薬品・医療機器開発および承認取得の加速を目指す。
 
■中期経営計画
 
 中期経営計画(23年3月期〜26年3月期)の目標数値には、最終年度26年3月期の売上高400億円、営業利益70億円を掲げている。23年3月期からの4年間を「成長を実現する期間」として、最終年度26年3月期に過去最高の業績達成を目指すとしている。前提条件としては、腰椎椎間板ヘルニア治療剤SI−6603の米国上市、国内関節機能改善剤の収益拡大、海外医薬品およびLAL事業の拡大、研究開発費の対売上高比率(ロイヤリティー除く)25%目途、為替レート1米ドル=135円としている。
 
 利益還元については、1株当たり年間配当金26円を基本として、業績動向および財務状況を勘案して増配を検討する。また、今後の事業展開や総還元性向を考慮しながら、自己株式取得を適宜検討するとしている。
 
 重点施策としては、独自の創薬技術を活かした研究開発の加速、腰椎椎間板ヘルニア治療剤SI−6603の製品価値最大化、関節機能改善剤の事業価値維持・向上、グローバル生産体制の構築、遺伝子組み換え技術によるLAL事業の拡大を掲げ、社員エンゲージメント向上や人材育成、経営基盤の強化、サステナビリティ経営の強化も推進する方針としている。
 
■新薬開発は糖質科学分野に焦点
 
 研究開発は糖質科学分野(糖鎖や複合糖質を研究する科学分野)に焦点を絞っている。23年3月期第2四半期末時点の開発パイプラインとしては、腰椎椎間板ヘルニア治療剤SI−6603(米国、コンドリアーゼ)、ドライアイ治療剤SI−614(米国、修飾ヒアルロン酸)、変形性膝関節症改善剤SI−613(米国、ジクロフェナク結合ヒアルロン酸)、腱・靱帯付着部症を適応症とするSI−613−ETP(日本、ジクロフェナク結合ヒアルロン酸)、間質性膀胱炎を適応症とするSI−722(米国、ステロイド結合コンドロイチン硫酸)、癒着防止材SI−449(日本・米国、コンドロイチン硫酸架橋体)がある。
 
 SI−6603は日本では18年3月製造販売承認を取得し、科研製薬<4521>が18年8月販売開始(腰椎椎間板ヘルニア治療剤ヘルニコア)した。またスイスのフェリング社と日本を除く全世界におけるライセンス契約を締結している。マイルストーン型ロイヤリティーの総額は最大95百万米ドル(うち契約一時金5百万米ドル)である。米国では22年3月に第3相追加臨床試験被験者組み入れが完了した。1年間の経過観察を実施後に承認申請・取得を目指す。
 
 SI−613は小野薬品工業<4528>と日本における共同開発・販売提携に関する契約を締結し、21年3月に変形性関節症治療剤ONO−5704/SI−613(ジョイクル関節注30mg)が変形性関節症(膝関節、股関節)の効能または効果で国内製造販売承認を取得し、21年5月に小野薬品工業が販売開始した。マイルストーン型ロイヤリティーの総額は最大120億円(うち契約一時金20億円)である。20年9月にはエーザイ<4523>と韓国における販売提携に関する契約を締結した。エーザイの韓国子会社が韓国におけるSI−613独占的販売権を取得して製造販売申請を行い、承認取得後は製品をエーザイに供給する。契約一時金と販売マイルストーンを受け取る。エーザイとは20年4月に中国における共同開発および販売提携に関する契約を締結しており、2ヶ国目の提携となる。
 
 なお、ジョイクル投与後にショック、アナフィラキーの発現が複数報告されたため21年6月1日付で安全性速報(ブルーレター)を発出し、小野薬品工業と連携して副作用報告等の情報収集や安全性に関する情報提供に努めている。また原因究明に向けて医師主導の臨床研究を開始している。今後の方針としては、米国・中国・韓国におけるSI−613(変形性膝関節症)の開発方針を検討中で、日本におけるSI−613−ETP(腱・靭帯付着部症、小野薬品工業とのSI−613の契約に含む)の開発を22年2月に中断している。ジョイクルのショック、アナフィラキー発現に関する原因究明を優先する。
 
 SI−614は22年5月に米国で第3相臨床試験を開始した。有効性、安全性の評価を行う。SI−722は19年11月米国における第1・2相臨床試験を開始、20年3月被験者投与を開始、21年1月被験者組み入れが完了した。主目的である忍容性を確認し、次相試験を検討中である。
 
 SI−449は日本で20年5月に国内ピボタル試験(消化器外科領域)を開始、22年9月に被験者組み入れが完了した。また、21年11月に国内パイロット試験(婦人科領域)を開始し、22年5月に被験者組み入れが完了した。米国では試験開始を検討している。
 
 なお中期経営計画の期間中に、腰椎椎間板ヘルニア治療剤SI−6603の米国における承認取得および上市、ドライアイ治療剤SI−614の米国第3相臨床試験の終了、癒着防止材SI−449の国内での承認取得および米国での臨床試験開始を目指すとしている。
 
■23年3月期減収減益予想だが24年3月期収益回復期待
 
 23年3月期の連結業績予想(関節機能改善剤ジョイクルのショック、アナフィラキーの発現に関する原因究明の進捗を見極める必要があるため未定としていたが22年11月8日付で公表)は、売上高が22年3月期比3.9%減の335億円、営業利益が62.2%減の17億円、経常利益が46.2%減の29億円、親会社株主帰属当期純利益が29,0%減の26億50百万円としている。配当予想(22年11月8日付で第2四半期末2円、期末2円、合計4円上方修正)は、22年3月期比4円減配の26円(第2四半期末13円、期末13円)としている。
 
 第3四半期累計は売上高が前年同期比7.0%減の261億62百万円、営業利益が45.4%減の34億07百万円、経常利益が38.9%減の42億18百万円、親会社株主帰属四半期純利益が32.4%減の36億28百万円だった。
 
 LAL事業が伸長したが、国内における薬価引き下げの影響、前期計上のロイヤリティーの剥落などで減収減益だった。なおロイヤリティーを除く原価率は44.2%で0.5ポイント低下した。薬価引き下げ影響を売上構成比変化で吸収した。販管費は2.7%増加した。米国で実施中の腰椎椎間板ヘルニア治療剤SI―6603追加臨床試験の被験者組み入れが完了したため研究開発費が減少(研究開発費は8.6%減の53億55百万円)したが、為替換算を含む海外子会社の費用が増加した。営業外収益では為替差益が増加(前年同期は1億85百万円、今期は3億96百万円)した。
 
 医薬品事業は売上高が16.2%減の179億53百万円、営業利益が68.2%減の13億95百万円だった。売上高の内訳は国内医薬品が3.5%減の88億50百万円、海外医薬品が2.7%増の69億22百万円、医薬品原体・医薬品受託製造が11.5%増の21億78百万円、ロイヤリティーが1百万円(前年同期は35億50百万円)だった。
 
 国内は、関節機能改善剤アルツが薬価引き下げの影響を受け、前期計上のロイヤリティーが剥落した。海外は、米国において単回投与の関節機能改善剤ジェル・ワンが円安も寄与して増収だが、複数回投与の関節機能改善剤スパルツFXが出荷時期の影響で前年同期並みだった。中国の複数回投与の関節機能改善剤ARTZは、包装資材変更に伴って第1四半期の出荷が無かったため減少(8月から出荷再開)した。医薬品原体・医薬品受託製造は、医薬品原体が前年並みだったが、海外子会社ダルトン社の医薬品受託製造が円安も寄与して増収だった。
 
 LAL事業は売上高が22.1%増の82億09百万円、営業利益が8.6%増の20億11百万円だった。海外子会社ACC社における円安効果に加えて、国内販売も堅調だった。
 
 なお四半期別に見ると、第1四半期は売上高が83億07百万円、営業利益が11億26百万円、経常利益が17億14百万円、第2四半期は売上高が89億51百万円、営業利益が14億84百万円、経常利益が18億86百万円、第3四半期は売上高が89億04百万円、営業利益が7億97百万円、経常利益が6億18百万円だった。
 
 通期も減益予想としている。売上面は、国内医薬品の数量増加や海外医薬品の円安効果を見込むが、ロイヤリティーの大幅減少や国内における薬価引き下げの影響で減収予想としている。利益面は、研究開発費の減少(通期ベースで11.2%減の80億円)を見込むが、減収影響や為替換算を含む海外子会社の費用の増加などで減益予想としている。なお営業外収益で外貨建資産の為替評価益を見込んでいる。下期の想定為替レートは1米ドル=140円としている。
 
 セグメント別売上高の計画は、医薬品事業が12.4%減の225億円(国内医薬品が5.2%減の108億50百万円、海外医薬品が13.0%増の86億50百万円、医薬品原体・医薬品受託製造が15.1%増の30億円、ロイヤリティーが39億88百万円減少の1百万円)で、LAL事業が20.2%増の110億円としている。
 
 なお第3四半期累計の利益は通期利益予想を超過達成の形となっているが、第4四半期に海外子会社における受託試験サービスの売上減少、研究開発費の集中発生、燃料費高騰に伴う費用の増加、半導体不足に伴って抑制していた工場定期メンテナンスの集中発生などを見込んでいる。ただし積極的な事業展開で24年3月期の収益回復を期待したい。
 
■株価は戻り試す
 
 株価は3月の年初来安値圏から反発して徐々に水準を切り上げている。低PBRも評価して戻りを試す展開を期待したい。5月2日の終値は841円、前期推定連結PER(会社予想の連結EPS48円12銭で算出)は約17倍、前期推定配当利回り(会社予想の26円で算出)は約3.1%、前々期実績連結PBR(前々期実績の連結BPS1179円46銭で算出)は約0.7倍、そして時価総額は約478億円である。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media−IR
[04月17日更新]

生化学工業は下値固め完了、24年3月期収益回復期待

 生化学工業<4548>(東証プライム)は関節機能改善剤アルツなど糖質科学分野を主力とする医薬品メーカーである。23年3月期はロイヤリティーの大幅減少、国内における薬価引き下げの影響、海外子会社の費用の増加などで減収予想としている。第3四半期累計の利益は通期利益予想を超過達成の形だが、第4四半期に海外子会社における受託試験サービスの売上減少、研究開発費の集中発生、燃料費高騰に伴う費用の増加、半導体不足に伴って抑制していた工場定期メンテナンスの集中発生などを見込んでいる。積極的な事業展開で24年3月期の収益回復を期待したい。株価は地合い悪化も影響して年初来安値圏だが下値固め完了感を強めている。出直りを期待したい。なお5月12日に23年3月期決算発表を予定している。

■関節機能改善剤アルツなど糖質科学分野が主力の医薬品メーカー

 糖質科学分野が主力の医薬品メーカーで、国内医薬品(関節機能改善剤アルツ、白内障手術補助剤オペガン、内視鏡用粘膜下注入材ムコアップ)、海外医薬品(米国向け単回投与関節機能改善剤Gel−One、米国向け3回投与関節機能改善剤VISCO−3、米国向け5回投与関節機能改善剤SUPARTZ−FX、中国向けアルツ)、医薬品原体(ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸)、LAL事業(エンドトキシン測定用試薬関連)を展開している。

 22年3月期セグメント別構成比(22年3月期から受取ロイヤリティーを営業外収益から売上高に表示区分変更、販売手数料等を販管費計上から売上高控除に変更)は、売上高が医薬品事業74%(国内医薬品33%、海外医薬品22%、医薬品原体・医薬品受託製造7%、ロイヤリティー11%)でLAL事業26%、営業利益が医薬品事業49%、LAL事業51%だった。

■海外展開を強化

 海外展開を強化している。20年3月には海外製造拠点としてカナダのダルトン社を子会社化した。なおダルトン社を買収する際に中間持株会社として設立したSEC社、および買収目的会社として設立したSAC社が特定子会社に該当することになったため、ダルトン社とSAC社が現地法に基づく新設合併を行い、新設された新ダルトン社が旧ダルトン社から商号および事業を引き継いだ。

 20年8月には、ダルトン社がサスカチュワン大学の研究機関であるVIDO−InterVacと、VIDO−InterVacがカナダ政府およびサスカチュワン州から支援を受けて開発を進めているCOVID−19ワクチンの製造に関して、業務提携に合意した。ダルトン社は本提携により、COVID−19ワクチンの初期段階の臨床試験で投与される治験薬の調合、充填、製剤化を担う。

 21年4月にはLAL事業の海外子会社である米ACC社が、遺伝子組み換えエンドトキシン測定用試薬「パイロスマート ネクストジェン」の販売を開始した。21年8月には単回投与の関節機能改善剤ハイリンクについて、台湾のTCM社を通じて台湾における販売を開始した。

 21年11月には海外子会社のACC社が、遺伝子組み換えエンドトキシン測定用試薬「パイロスマート ネクストジェン」について、Pharma Manufacturing 2021 Innovation Awardを受賞した。

 22年1月にはダルトン社の100%出資子会社として、カナダに現地法人SEIKAGAKU NORTH AMERICA CORPORATIONを設立した。北米に開発拠点を有することで、現地の医療環境に即したプランの立案、FDA(米国食品医薬品局)や治験施設との円滑なコミュニケーション実現など、医薬品・医療機器開発および承認取得の加速を目指す。

■中期経営計画

 中期経営計画(23年3月期〜26年3月期)の目標数値には、最終年度26年3月期の売上高400億円、営業利益70億円を掲げている。23年3月期からの4年間を「成長を実現する期間」として、最終年度26年3月期に過去最高の業績達成を目指すとしている。前提条件としては、腰椎椎間板ヘルニア治療剤SI−6603の米国上市、国内関節機能改善剤の収益拡大、海外医薬品およびLAL事業の拡大、研究開発費の対売上高比率(ロイヤリティー除く)25%目途、為替レート1米ドル=135円としている。

 利益還元については、1株当たり年間配当金26円を基本として、業績動向および財務状況を勘案して増配を検討する。また、今後の事業展開や総還元性向を考慮しながら、自己株式取得を適宜検討するとしている。

 重点施策としては、独自の創薬技術を活かした研究開発の加速、腰椎椎間板ヘルニア治療剤SI−6603の製品価値最大化、関節機能改善剤の事業価値維持・向上、グローバル生産体制の構築、遺伝子組み換え技術によるLAL事業の拡大を掲げ、社員エンゲージメント向上や人材育成、経営基盤の強化、サステナビリティ経営の強化も推進する方針としている。

■新薬開発は糖質科学分野に焦点

 研究開発は糖質科学分野(糖鎖や複合糖質を研究する科学分野)に焦点を絞っている。23年3月期第2四半期末時点の開発パイプラインとしては、腰椎椎間板ヘルニア治療剤SI−6603(米国、コンドリアーゼ)、ドライアイ治療剤SI−614(米国、修飾ヒアルロン酸)、変形性膝関節症改善剤SI−613(米国、ジクロフェナク結合ヒアルロン酸)、腱・靱帯付着部症を適応症とするSI−613−ETP(日本、ジクロフェナク結合ヒアルロン酸)、間質性膀胱炎を適応症とするSI−722(米国、ステロイド結合コンドロイチン硫酸)、癒着防止材SI−449(日本・米国、コンドロイチン硫酸架橋体)がある。

 SI−6603は日本では18年3月製造販売承認を取得し、科研製薬<4521>が18年8月販売開始(腰椎椎間板ヘルニア治療剤ヘルニコア)した。またスイスのフェリング社と日本を除く全世界におけるライセンス契約を締結している。マイルストーン型ロイヤリティーの総額は最大95百万米ドル(うち契約一時金5百万米ドル)である。米国では22年3月に第3相追加臨床試験被験者組み入れが完了した。1年間の経過観察を実施後に承認申請・取得を目指す。

 SI−613は小野薬品工業<4528>と日本における共同開発・販売提携に関する契約を締結し、21年3月に変形性関節症治療剤ONO−5704/SI−613(ジョイクル関節注30mg)が変形性関節症(膝関節、股関節)の効能または効果で国内製造販売承認を取得し、21年5月に小野薬品工業が販売開始した。マイルストーン型ロイヤリティーの総額は最大120億円(うち契約一時金20億円)である。20年9月にはエーザイ<4523>と韓国における販売提携に関する契約を締結した。エーザイの韓国子会社が韓国におけるSI−613独占的販売権を取得して製造販売申請を行い、承認取得後は製品をエーザイに供給する。契約一時金と販売マイルストーンを受け取る。エーザイとは20年4月に中国における共同開発および販売提携に関する契約を締結しており、2ヶ国目の提携となる。

 なお、ジョイクル投与後にショック、アナフィラキーの発現が複数報告されたため21年6月1日付で安全性速報(ブルーレター)を発出し、小野薬品工業と連携して副作用報告等の情報収集や安全性に関する情報提供に努めている。また原因究明に向けて医師主導の臨床研究を開始している。今後の方針としては、米国・中国・韓国におけるSI−613(変形性膝関節症)の開発方針を検討中で、日本におけるSI−613−ETP(腱・靭帯付着部症、小野薬品工業とのSI−613の契約に含む)の開発を22年2月に中断している。ジョイクルのショック、アナフィラキー発現に関する原因究明を優先する。

 SI−614は22年5月に米国で第3相臨床試験を開始した。有効性、安全性の評価を行う。SI−722は19年11月米国における第1・2相臨床試験を開始、20年3月被験者投与を開始、21年1月被験者組み入れが完了した。主目的である忍容性を確認し、次相試験を検討中である。

 SI−449は日本で20年5月に国内ピボタル試験(消化器外科領域)を開始、22年9月に被験者組み入れが完了した。また、21年11月に国内パイロット試験(婦人科領域)を開始し、22年5月に被験者組み入れが完了した。米国では試験開始を検討している。

 なお中期経営計画の期間中に、腰椎椎間板ヘルニア治療剤SI−6603の米国における承認取得および上市、ドライアイ治療剤SI−614の米国第3相臨床試験の終了、癒着防止材SI−449の国内での承認取得および米国での臨床試験開始を目指すとしている。

■23年3月期減収減益予想だが24年3月期収益回復期待

 23年3月期の連結業績予想(関節機能改善剤ジョイクルのショック、アナフィラキーの発現に関する原因究明の進捗を見極める必要があるため未定としていたが22年11月8日付で公表)は、売上高が22年3月期比3.9%減の335億円、営業利益が62.2%減の17億円、経常利益が46.2%減の29億円、親会社株主帰属当期純利益が29,0%減の26億50百万円としている。配当予想(22年11月8日付で第2四半期末2円、期末2円、合計4円上方修正)は、22年3月期比4円減配の26円(第2四半期末13円、期末13円)としている。

 第3四半期累計は売上高が前年同期比7.0%減の261億62百万円、営業利益が45.4%減の34億07百万円、経常利益が38.9%減の42億18百万円、親会社株主帰属四半期純利益が32.4%減の36億28百万円だった。

 LAL事業が伸長したが、国内における薬価引き下げの影響、前期計上のロイヤリティーの剥落などで減収減益だった。なおロイヤリティーを除く原価率は44.2%で0.5ポイント低下した。薬価引き下げ影響を売上構成比変化で吸収した。販管費は2.7%増加した。米国で実施中の腰椎椎間板ヘルニア治療剤SI―6603追加臨床試験の被験者組み入れが完了したため研究開発費が減少(研究開発費は8.6%減の53億55百万円)したが、為替換算を含む海外子会社の費用が増加した。営業外収益では為替差益が増加(前年同期は1億85百万円、今期は3億96百万円)した。

 医薬品事業は売上高が16.2%減の179億53百万円、営業利益が68.2%減の13億95百万円だった。売上高の内訳は国内医薬品が3.5%減の88億50百万円、海外医薬品が2.7%増の69億22百万円、医薬品原体・医薬品受託製造が11.5%増の21億78百万円、ロイヤリティーが1百万円(前年同期は35億50百万円)だった。

 国内は、関節機能改善剤アルツが薬価引き下げの影響を受け、前期計上のロイヤリティーが剥落した。海外は、米国において単回投与の関節機能改善剤ジェル・ワンが円安も寄与して増収だが、複数回投与の関節機能改善剤スパルツFXが出荷時期の影響で前年同期並みだった。中国の複数回投与の関節機能改善剤ARTZは、包装資材変更に伴って第1四半期の出荷が無かったため減少(8月から出荷再開)した。医薬品原体・医薬品受託製造は、医薬品原体が前年並みだったが、海外子会社ダルトン社の医薬品受託製造が円安も寄与して増収だった。

 LAL事業は売上高が22.1%増の82億09百万円、営業利益が8.6%増の20億11百万円だった。海外子会社ACC社における円安効果に加えて、国内販売も堅調だった。

 なお四半期別に見ると、第1四半期は売上高が83億07百万円、営業利益が11億26百万円、経常利益が17億14百万円、第2四半期は売上高が89億51百万円、営業利益が14億84百万円、経常利益が18億86百万円、第3四半期は売上高が89億04百万円、営業利益が7億97百万円、経常利益が6億18百万円だった。

 通期も減益予想としている。売上面は、国内医薬品の数量増加や海外医薬品の円安効果を見込むが、ロイヤリティーの大幅減少や国内における薬価引き下げの影響で減収予想としている。利益面は、研究開発費の減少(通期ベースで11.2%減の80億円)を見込むが、減収影響や為替換算を含む海外子会社の費用の増加などで減益予想としている。なお営業外収益で外貨建資産の為替評価益を見込んでいる。下期の想定為替レートは1米ドル=140円としている。

 セグメント別売上高の計画は、医薬品事業が12.4%減の225億円(国内医薬品が5.2%減の108億50百万円、海外医薬品が13.0%増の86億50百万円、医薬品原体・医薬品受託製造が15.1%増の30億円、ロイヤリティーが39億88百万円減少の1百万円)で、LAL事業が20.2%増の110億円としている。

 なお第3四半期累計の利益は通期利益予想を超過達成の形となっているが、第4四半期に海外子会社における受託試験サービスの売上減少、研究開発費の集中発生、燃料費高騰に伴う費用の増加、半導体不足に伴って抑制していた工場定期メンテナンスの集中発生などを見込んでいる。積極的な事業展開で24年3月期の収益回復を期待したい。

■株価は下値固め完了

 株価は地合い悪化も影響して年初来安値圏だが下値固め完了感を強めている。低PBRも評価して出直りを期待したい。4月14日の終値は832円、前期推定連結PER(会社予想の連結EPS48円12銭で算出)は約17倍、前期推定配当利回り(会社予想の26円で算出)は約3.1%、前々期実績連結PBR(前々期実績の連結BPS1179円46銭で算出)は約0.7倍、そして時価総額は約473億円である。 (情報提供:日本インタビュ新聞社=Media−IR
[03月08日更新]

生化学工業は下値固め完了、23年3月期減益予想だが24年3月期収益回復期待

 生化学工業<4548>(東証プライム)は関節機能改善剤アルツなど糖質科学分野を主力とする医薬品メーカーである。23年3月期はロイヤリティーの大幅減少、国内における薬価引き下げの影響、海外子会社の費用の増加などで減収予想としている。第3四半期累計の利益は通期利益予想を超過達成の形だが、第4四半期に海外子会社における受託試験サービスの売上減少、研究開発費の集中発生、燃料費高騰に伴う費用の増加、半導体不足に伴って抑制していた工場定期メンテナンスの集中発生などを見込んでいる。積極的な事業展開で24年3月期の収益回復を期待したい。株価は昨年来安値圏に回帰したが下値固め完了感を強めている。23年3月期減収減益予想は織り込み済みであり、調整一巡して出直りを期待したい。

■関節機能改善剤アルツなど糖質科学分野が主力の医薬品メーカー

 糖質科学分野が主力の医薬品メーカーで、国内医薬品(関節機能改善剤アルツ、白内障手術補助剤オペガン、内視鏡用粘膜下注入材ムコアップ)、海外医薬品(米国向け単回投与関節機能改善剤Gel−One、米国向け3回投与関節機能改善剤VISCO−3、米国向け5回投与関節機能改善剤SUPARTZ−FX、中国向けアルツ)、医薬品原体(ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸)、LAL事業(エンドトキシン測定用試薬関連)を展開している。

 22年3月期セグメント別構成比(22年3月期から受取ロイヤリティーを営業外収益から売上高に表示区分変更、販売手数料等を販管費計上から売上高控除に変更)は、売上高が医薬品事業74%(国内医薬品33%、海外医薬品22%、医薬品原体・医薬品受託製造7%、ロイヤリティー11%)でLAL事業26%、営業利益が医薬品事業49%、LAL事業51%だった。

■海外展開を強化

 海外展開を強化している。20年3月には海外製造拠点としてカナダのダルトン社を子会社化した。なおダルトン社を買収する際に中間持株会社として設立したSEC社、および買収目的会社として設立したSAC社が特定子会社に該当することになったため、ダルトン社とSAC社が現地法に基づく新設合併を行い、新設された新ダルトン社が旧ダルトン社から商号および事業を引き継いだ。

 20年8月には、ダルトン社がサスカチュワン大学の研究機関であるVIDO−InterVacと、VIDO−InterVacがカナダ政府およびサスカチュワン州から支援を受けて開発を進めているCOVID−19ワクチンの製造に関して、業務提携に合意した。ダルトン社は本提携により、COVID−19ワクチンの初期段階の臨床試験で投与される治験薬の調合、充填、製剤化を担う。

 21年4月にはLAL事業の海外子会社である米ACC社が、遺伝子組み換えエンドトキシン測定用試薬「パイロスマート ネクストジェン」の販売を開始した。21年8月には単回投与の関節機能改善剤ハイリンクについて、台湾のTCM社を通じて台湾における販売を開始した。

 21年11月には海外子会社のACC社が、遺伝子組み換えエンドトキシン測定用試薬「パイロスマート ネクストジェン」について、Pharma Manufacturing 2021 Innovation Awardを受賞した。

 22年1月にはダルトン社の100%出資子会社として、カナダに現地法人SEIKAGAKU NORTH AMERICA CORPORATIONを設立した。北米に開発拠点を有することで、現地の医療環境に即したプランの立案、FDA(米国食品医薬品局)や治験施設との円滑なコミュニケーション実現など、医薬品・医療機器開発および承認取得の加速を目指す。

■新中期経営計画

 新中期経営計画(23年3月期〜26年3月期)の目標数値には、最終年度26年3月期の売上高400億円、営業利益70億円を掲げている。23年3月期からの4年間を「成長を実現する期間」として、最終年度26年3月期に過去最高の業績達成を目指すとしている。前提条件としては、腰椎椎間板ヘルニア治療剤SI−6603の米国上市、国内関節機能改善剤の収益拡大、海外医薬品およびLAL事業の拡大、研究開発費の対売上高比率(ロイヤリティー除く)25%目途、為替レート1米ドル=135円としている。

 利益還元については、1株当たり年間配当金26円を基本として、業績動向および財務状況を勘案して増配を検討する。また、今後の事業展開や総還元性向を考慮しながら、自己株式取得を適宜検討するとしている。

 重点施策としては、独自の創薬技術を活かした研究開発の加速、腰椎椎間板ヘルニア治療剤SI−6603の製品価値最大化、関節機能改善剤の事業価値維持・向上、グローバル生産体制の構築、遺伝子組み換え技術によるLAL事業の拡大を掲げ、社員エンゲージメント向上や人材育成、経営基盤の強化、サステナビリティ経営の強化も推進する方針としている。

■新薬開発は糖質科学分野に焦点

 研究開発は糖質科学分野(糖鎖や複合糖質を研究する科学分野)に焦点を絞っている。23年3月期第2四半期末時点の開発パイプラインとしては、腰椎椎間板ヘルニア治療剤SI−6603(米国、コンドリアーゼ)、ドライアイ治療剤SI−614(米国、修飾ヒアルロン酸)、変形性膝関節症改善剤SI−613(米国、ジクロフェナク結合ヒアルロン酸)、腱・靱帯付着部症を適応症とするSI−613−ETP(日本、ジクロフェナク結合ヒアルロン酸)、間質性膀胱炎を適応症とするSI−722(米国、ステロイド結合コンドロイチン硫酸)、癒着防止材SI−449(日本・米国、コンドロイチン硫酸架橋体)がある。

 SI−6603は日本では18年3月製造販売承認を取得し、科研製薬<4521>が18年8月販売開始(腰椎椎間板ヘルニア治療剤ヘルニコア)した。またスイスのフェリング社と日本を除く全世界におけるライセンス契約を締結している。マイルストーン型ロイヤリティーの総額は最大95百万米ドル(うち契約一時金5百万米ドル)である。米国では22年3月に第3相追加臨床試験被験者組み入れが完了した。1年間の経過観察を実施後に承認申請・取得を目指す。

 SI−613は小野薬品工業<4528>と日本における共同開発・販売提携に関する契約を締結し、21年3月に変形性関節症治療剤ONO−5704/SI−613(ジョイクル関節注30mg)が変形性関節症(膝関節、股関節)の効能または効果で国内製造販売承認を取得し、21年5月に小野薬品工業が販売開始した。マイルストーン型ロイヤリティーの総額は最大120億円(うち契約一時金20億円)である。20年9月にはエーザイ<4523>と韓国における販売提携に関する契約を締結した。エーザイの韓国子会社が韓国におけるSI−613独占的販売権を取得して製造販売申請を行い、承認取得後は製品をエーザイに供給する。契約一時金と販売マイルストーンを受け取る。エーザイとは20年4月に中国における共同開発および販売提携に関する契約を締結しており、2ヶ国目の提携となる。

 なお、ジョイクル投与後にショック、アナフィラキーの発現が複数報告されたため21年6月1日付で安全性速報(ブルーレター)を発出し、小野薬品工業と連携して副作用報告等の情報収集や安全性に関する情報提供に努めている。また原因究明に向けて医師主導の臨床研究を開始している。今後の方針としては、米国・中国・韓国におけるSI−613(変形性膝関節症)の開発方針を検討中で、日本におけるSI−613−ETP(腱・靭帯付着部症、小野薬品工業とのSI−613の契約に含む)の開発を22年2月に中断している。ジョイクルのショック、アナフィラキー発現に関する原因究明を優先する。

 SI−614は22年5月に米国で第3相臨床試験を開始した。有効性、安全性の評価を行う。SI−722は19年11月米国における第1・2相臨床試験を開始、20年3月被験者投与を開始、21年1月被験者組み入れが完了した。主目的である忍容性を確認し、次相試験を検討中である。

 SI−449は日本で20年5月に国内ピボタル試験(消化器外科領域)を開始、22年9月に被験者組み入れが完了した。また、21年11月に国内パイロット試験(婦人科領域)を開始し、22年5月に被験者組み入れが完了した。米国では試験開始を検討している。

 なお新中期経営計画の期間中に、腰椎椎間板ヘルニア治療剤SI−6603の米国における承認取得および上市、ドライアイ治療剤SI−614の米国第3相臨床試験の終了、癒着防止材SI−449の国内での承認取得および米国での臨床試験開始を目指すとしている。

■23年3月期減収減益予想だが24年3月期収益回復期待

 23年3月期の連結業績予想(関節機能改善剤ジョイクルのショック、アナフィラキーの発現に関する原因究明の進捗を見極める必要があるため未定としていたが22年11月8日付で公表)は、売上高が22年3月期比3.9%減の335億円、営業利益が62.2%減の17億円、経常利益が46.2%減の29億円、親会社株主帰属当期純利益が29,0%減の26億50百万円としている。配当予想(22年11月8日付で第2四半期末2円、期末2円、合計4円上方修正)は、22年3月期比4円減配の26円(第2四半期末13円、期末13円)としている。

 第3四半期累計は売上高が前年同期比7.0%減の261億62百万円、営業利益が45.4%減の34億07百万円、経常利益が38.9%減の42億18百万円、親会社株主帰属四半期純利益が32.4%減の36億28百万円だった。

 LAL事業が伸長したが、国内における薬価引き下げの影響、前期計上のロイヤリティーの剥落などで減収減益だった。なおロイヤリティーを除く原価率は44.2%で0.5ポイント低下した。薬価引き下げ影響を売上構成比変化で吸収した。販管費は2.7%増加した。米国で実施中の腰椎椎間板ヘルニア治療剤SI―6603追加臨床試験の被験者組み入れが完了したため研究開発費が減少(研究開発費は8.6%減の53億55百万円)したが、為替換算を含む海外子会社の費用が増加した。営業外収益では為替差益が増加(前年同期は1億85百万円、今期は3億96百万円)した。

 医薬品事業は売上高が16.2%減の179億53百万円、営業利益が68.2%減の13億95百万円だった。売上高の内訳は国内医薬品が3.5%減の88億50百万円、海外医薬品が2.7%増の69億22百万円、医薬品原体・医薬品受託製造が11.5%増の21億78百万円、ロイヤリティーが1百万円(前年同期は35億50百万円)だった。

 国内は、関節機能改善剤アルツが薬価引き下げの影響を受け、前期計上のロイヤリティーが剥落した。海外は、米国において単回投与の関節機能改善剤ジェル・ワンが円安も寄与して増収だが、複数回投与の関節機能改善剤スパルツFXが出荷時期の影響で前年同期並みだった。中国の複数回投与の関節機能改善剤ARTZは、包装資材変更に伴って第1四半期の出荷が無かったため減少(8月から出荷再開)した。医薬品原体・医薬品受託製造は、医薬品原体が前年並みだったが、海外子会社ダルトン社の医薬品受託製造が円安も寄与して増収だった。

 LAL事業は売上高が22.1%増の82億09百万円、営業利益が8.6%増の20億11百万円だった。海外子会社ACC社における円安効果に加えて、国内販売も堅調だった。

 なお四半期別に見ると、第1四半期は売上高が83億07百万円、営業利益が11億26百万円、経常利益が17億14百万円、第2四半期は売上高が89億51百万円、営業利益が14億84百万円、経常利益が18億86百万円、第3四半期は売上高が89億04百万円、営業利益が7億97百万円、経常利益が6億18百万円だった。

 通期予想は据え置いている。売上面は、国内医薬品の数量増加や海外医薬品の円安効果を見込むが、ロイヤリティーの大幅減少や国内における薬価引き下げの影響で減収予想としている。利益面は、研究開発費の減少(通期ベースで11.2%減の80億円)を見込むが、減収影響や為替換算を含む海外子会社の費用の増加などで減益予想としている。なお営業外収益で外貨建資産の為替評価益を見込んでいる。下期の想定為替レートは1米ドル=140円としている。

 セグメント別売上高の計画は、医薬品事業が12.4%減の225億円(国内医薬品が5.2%減の108億50百万円、海外医薬品が13.0%増の86億50百万円、医薬品原体・医薬品受託製造が15.1%増の30億円、ロイヤリティーが39億88百万円減少の1百万円)で、LAL事業が20.2%増の110億円としている。

 なお第3四半期累計の利益は通期利益予想を超過達成の形となっているが、第4四半期に海外子会社における受託試験サービスの売上減少、研究開発費の集中発生、燃料費高騰に伴う費用の増加、半導体不足に伴って抑制していた工場定期メンテナンスの集中発生などを見込んでいる。積極的な事業展開で24年3月期の収益回復を期待したい。

■株価は下値固め完了

 株価は昨年来安値圏に回帰したが下値固め完了感を強めている。23年3月期減収減益予想は織り込み済みであり、調整一巡して出直りを期待したい。3月7日の終値は825円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS48円12銭で算出)は約17倍、今期予想配当利回り(会社予想の26円で算出)は約3.2%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS1179円46銭で算出)は約0.7倍、そして時価総額は約469億円である。 (情報提供:日本インタビュ新聞社=Media−IR
[02月21日更新]

生化学工業は調整一巡、23年3月期減益予想だが24年3月期収益回復期待

 生化学工業<4548>(東証プライム)は関節機能改善剤アルツなど糖質科学分野を主力とする医薬品メーカーである。23年3月期第3四半期累計はLAL事業が伸長したが、国内における薬価引き下げの影響や前期計上のロイヤリティーの剥落などで減収減益だった。そして通期も減収減益予想としている。第3四半期累計の利益は通期利益予想を超過達成の形だが、第4四半期に海外子会社における受託試験サービスの売上減少、研究開発費の集中発生、燃料費高騰に伴う費用の増加、半導体不足に伴って抑制していた工場定期メンテナンスの集中発生などを見込んでいる。積極的な事業展開で24年3月期の収益回復を期待したい。株価は昨年来安値圏に回帰してやや軟調だが、23年3月期減収減益予想は織り込み済みであり下値眼底的だろう。調整一巡して出直りを期待したい。

■関節機能改善剤アルツなど糖質科学分野が主力の医薬品メーカー

 糖質科学分野が主力の医薬品メーカーで、国内医薬品(関節機能改善剤アルツ、白内障手術補助剤オペガン、内視鏡用粘膜下注入材ムコアップ)、海外医薬品(米国向け単回投与関節機能改善剤Gel−One、米国向け3回投与関節機能改善剤VISCO−3、米国向け5回投与関節機能改善剤SUPARTZ−FX、中国向けアルツ)、医薬品原体(ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸)、LAL事業(エンドトキシン測定用試薬関連)を展開している。

 22年3月期セグメント別構成比(22年3月期から受取ロイヤリティーを営業外収益から売上高に表示区分変更、販売手数料等を販管費計上から売上高控除に変更)は、売上高が医薬品事業74%(国内医薬品33%、海外医薬品22%、医薬品原体・医薬品受託製造7%、ロイヤリティー11%)でLAL事業26%、営業利益が医薬品事業49%、LAL事業51%だった。

■海外展開を強化

 海外展開を強化している。20年3月には海外製造拠点としてカナダのダルトン社を子会社化した。なおダルトン社を買収する際に中間持株会社として設立したSEC社、および買収目的会社として設立したSAC社が特定子会社に該当することになったため、ダルトン社とSAC社が現地法に基づく新設合併を行い、新設された新ダルトン社が旧ダルトン社から商号および事業を引き継いだ。

 20年8月には、ダルトン社がサスカチュワン大学の研究機関であるVIDO−InterVacと、VIDO−InterVacがカナダ政府およびサスカチュワン州から支援を受けて開発を進めているCOVID−19ワクチンの製造に関して、業務提携に合意した。ダルトン社は本提携により、COVID−19ワクチンの初期段階の臨床試験で投与される治験薬の調合、充填、製剤化を担う。

 21年4月にはLAL事業の海外子会社である米ACC社が、遺伝子組み換えエンドトキシン測定用試薬「パイロスマート ネクストジェン」の販売を開始した。21年8月には単回投与の関節機能改善剤ハイリンクについて、台湾のTCM社を通じて台湾における販売を開始した。

 21年11月には海外子会社のACC社が、遺伝子組み換えエンドトキシン測定用試薬「パイロスマート ネクストジェン」について、Pharma Manufacturing 2021 Innovation Awardを受賞した。

 22年1月にはダルトン社の100%出資子会社として、カナダに現地法人SEIKAGAKU NORTH AMERICA CORPORATIONを設立した。北米に開発拠点を有することで、現地の医療環境に即したプランの立案、FDA(米国食品医薬品局)や治験施設との円滑なコミュニケーション実現など、医薬品・医療機器開発および承認取得の加速を目指す。

■新中期経営計画

 新中期経営計画(23年3月期〜26年3月期)の目標数値には、最終年度26年3月期の売上高400億円、営業利益70億円を掲げている。23年3月期からの4年間を「成長を実現する期間」として、最終年度26年3月期に過去最高の業績達成を目指すとしている。前提条件としては、腰椎椎間板ヘルニア治療剤SI−6603の米国上市、国内関節機能改善剤の収益拡大、海外医薬品およびLAL事業の拡大、研究開発費の対売上高比率(ロイヤリティー除く)25%目途、為替レート1米ドル=135円としている。

 利益還元については、1株当たり年間配当金26円を基本として、業績動向および財務状況を勘案して増配を検討する。また、今後の事業展開や総還元性向を考慮しながら、自己株式取得を適宜検討するとしている。

 重点施策としては、独自の創薬技術を活かした研究開発の加速、腰椎椎間板ヘルニア治療剤SI−6603の製品価値最大化、関節機能改善剤の事業価値維持・向上、グローバル生産体制の構築、遺伝子組み換え技術によるLAL事業の拡大を掲げ、社員エンゲージメント向上や人材育成、経営基盤の強化、サステナビリティ経営の強化も推進する方針としている。

■新薬開発は糖質科学分野に焦点

 研究開発は糖質科学分野(糖鎖や複合糖質を研究する科学分野)に焦点を絞っている。23年3月期第2四半期末時点の開発パイプラインとしては、腰椎椎間板ヘルニア治療剤SI−6603(米国、コンドリアーゼ)、ドライアイ治療剤SI−614(米国、修飾ヒアルロン酸)、変形性膝関節症改善剤SI−613(米国、ジクロフェナク結合ヒアルロン酸)、腱・靱帯付着部症を適応症とするSI−613−ETP(日本、ジクロフェナク結合ヒアルロン酸)、間質性膀胱炎を適応症とするSI−722(米国、ステロイド結合コンドロイチン硫酸)、癒着防止材SI−449(日本・米国、コンドロイチン硫酸架橋体)がある。

 SI−6603は日本では18年3月製造販売承認を取得し、科研製薬<4521>が18年8月販売開始(腰椎椎間板ヘルニア治療剤ヘルニコア)した。またスイスのフェリング社と日本を除く全世界におけるライセンス契約を締結している。マイルストーン型ロイヤリティーの総額は最大95百万米ドル(うち契約一時金5百万米ドル)である。米国では22年3月に第3相追加臨床試験被験者組み入れが完了した。1年間の経過観察を実施後に承認申請・取得を目指す。

 SI−613は小野薬品工業<4528>と日本における共同開発・販売提携に関する契約を締結し、21年3月に変形性関節症治療剤ONO−5704/SI−613(ジョイクル関節注30mg)が変形性関節症(膝関節、股関節)の効能または効果で国内製造販売承認を取得し、21年5月に小野薬品工業が販売開始した。マイルストーン型ロイヤリティーの総額は最大120億円(うち契約一時金20億円)である。20年9月にはエーザイ<4523>と韓国における販売提携に関する契約を締結した。エーザイの韓国子会社が韓国におけるSI−613独占的販売権を取得して製造販売申請を行い、承認取得後は製品をエーザイに供給する。契約一時金と販売マイルストーンを受け取る。エーザイとは20年4月に中国における共同開発および販売提携に関する契約を締結しており、2ヶ国目の提携となる。

 なお、ジョイクル投与後にショック、アナフィラキーの発現が複数報告されたため21年6月1日付で安全性速報(ブルーレター)を発出し、小野薬品工業と連携して副作用報告等の情報収集や安全性に関する情報提供に努めている。また原因究明に向けて医師主導の臨床研究を開始している。今後の方針としては、米国・中国・韓国におけるSI−613(変形性膝関節症)の開発方針を検討中で、日本におけるSI−613−ETP(腱・靭帯付着部症、小野薬品工業とのSI−613の契約に含む)の開発を22年2月に中断している。ジョイクルのショック、アナフィラキー発現に関する原因究明を優先する。

 SI−614は22年5月に米国で第3相臨床試験を開始した。有効性、安全性の評価を行う。SI−722は19年11月米国における第1・2相臨床試験を開始、20年3月被験者投与を開始、21年1月被験者組み入れが完了した。主目的である忍容性を確認し、次相試験を検討中である。

 SI−449は日本で20年5月に国内ピボタル試験(消化器外科領域)を開始、22年9月に被験者組み入れが完了した。また、21年11月に国内パイロット試験(婦人科領域)を開始し、22年5月に被験者組み入れが完了した。米国では試験開始を検討している。

 なお新中期経営計画の期間中に、腰椎椎間板ヘルニア治療剤SI−6603の米国における承認取得および上市、ドライアイ治療剤SI−614の米国第3相臨床試験の終了、癒着防止材SI−449の国内での承認取得および米国での臨床試験開始を目指すとしている。

■23年3月期減収減益予想だが24年3月期収益回復期待

 23年3月期の連結業績予想(関節機能改善剤ジョイクルのショック、アナフィラキーの発現に関する原因究明の進捗を見極める必要があるため未定としていたが22年11月8日付で公表)は、売上高が22年3月期比3.9%減の335億円、営業利益が62.2%減の17億円、経常利益が46.2%減の29億円、親会社株主帰属当期純利益が29,0%減の26億50百万円としている。配当予想(22年11月8日付で第2四半期末2円、期末2円、合計4円上方修正)は、22年3月期比4円減配の26円(第2四半期末13円、期末13円)としている。

 第3四半期累計は売上高が前年同期比7.0%減の261億62百万円、営業利益が45.4%減の34億07百万円、経常利益が38.9%減の42億18百万円、親会社株主帰属四半期純利益が32.4%減の36億28百万円だった。

 LAL事業が伸長したが、国内における薬価引き下げの影響、前期計上のロイヤリティーの剥落などで減収減益だった。なおロイヤリティーを除く原価率は44.2%で0.5ポイント低下した。薬価引き下げ影響を売上構成比変化で吸収した。販管費は2.7%増加した。米国で実施中の腰椎椎間板ヘルニア治療剤SI―6603追加臨床試験の被験者組み入れが完了したため研究開発費が減少(研究開発費は8.6%減の53億55百万円)したが、為替換算を含む海外子会社の費用が増加した。営業外収益では為替差益が増加(前年同期は1億85百万円、今期は3億96百万円)した。

 医薬品事業は売上高が16.2%減の179億53百万円、営業利益が68.2%減の13億95百万円だった。売上高の内訳は国内医薬品が3.5%減の88億50百万円、海外医薬品が2.7%増の69億22百万円、医薬品原体・医薬品受託製造が11.5%増の21億78百万円、ロイヤリティーが1百万円(前年同期は35億50百万円)だった。

 国内は、関節機能改善剤アルツが薬価引き下げの影響を受け、前期計上のロイヤリティーが剥落した。海外は、米国において単回投与の関節機能改善剤ジェル・ワンが円安も寄与して増収だが、複数回投与の関節機能改善剤スパルツFXが出荷時期の影響で前年同期並みだった。中国の複数回投与の関節機能改善剤ARTZは、包装資材変更に伴って第1四半期の出荷が無かったため減少(8月から出荷再開)した。医薬品原体・医薬品受託製造は、医薬品原体が前年並みだったが、海外子会社ダルトン社の医薬品受託製造が円安も寄与して増収だった。

 LAL事業は売上高が22.1%増の82億09百万円、営業利益が8.6%増の20億11百万円だった。海外子会社ACC社における円安効果に加えて、国内販売も堅調だった。

 なお四半期別に見ると、第1四半期は売上高が83億07百万円、営業利益が11億26百万円、経常利益が17億14百万円、第2四半期は売上高が89億51百万円、営業利益が14億84百万円、経常利益が18億86百万円、第3四半期は売上高が89億04百万円、営業利益が7億97百万円、経常利益が6億18百万円だった。

 通期予想は据え置いている。売上面は、国内医薬品の数量増加や海外医薬品の円安効果を見込むが、ロイヤリティーの大幅減少や国内における薬価引き下げの影響で減収予想としている。利益面は、研究開発費の減少(通期ベースで11.2%減の80億円)を見込むが、減収影響や為替換算を含む海外子会社の費用の増加などで減益予想としている。なお営業外収益で外貨建資産の為替評価益を見込んでいる。下期の想定為替レートは1米ドル=140円としている。

 セグメント別売上高の計画は、医薬品事業が12.4%減の225億円(国内医薬品が5.2%減の108億50百万円、海外医薬品が13.0%増の86億50百万円、医薬品原体・医薬品受託製造が15.1%増の30億円、ロイヤリティーが39億88百万円減少の1百万円)で、LAL事業が20.2%増の110億円としている。

 なお第3四半期累計の利益は通期利益予想を超過達成の形となっているが、第4四半期に海外子会社における受託試験サービスの売上減少、研究開発費の集中発生、燃料費高騰に伴う費用の増加、半導体不足に伴って抑制していた工場定期メンテナンスの集中発生などを見込んでいる。積極的な事業展開で24年3月期の収益回復を期待したい。

■株価は調整一巡

 株価は昨年来安値圏に回帰してやや軟調だが、23年3月期減収減益予想は織り込み済みであり下値眼底的だろう。調整一巡して出直りを期待したい。2月20日の終値は817円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS48円12銭で算出)は約17倍、今期予想配当利回り(会社予想の26円で算出)は約3.2%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS1179円46銭で算出)は約0.7倍、そして時価総額は約464億円である。(情報提供:日 本インタビュ新聞社=Media−IR)
[01月23日更新]

生化学工業は調整一巡、23年3月期減益予想だが24年3月期収益回復期待

 生化学工業<4548>(東証プライム)は、関節機能改善剤アルツなど糖質科学分野を主力とする医薬品メーカーである。23年3月期は国内における薬価引き下げの影響、関節機能改善剤ジョイクルの前年の反動減、前期計上のロイヤリティーの剥落などで減益予想としている。ただし中期経営計画では、23年3月期からの4年間を「成長を実現する期間」として、最終年度26年3月期に過去最高の業績達成を目指すとしている。積極的な事業展開で24年3月期の収益回復と中期成長を期待したい。株価は22年11月の戻り高値圏から反落し、地合い悪化も影響して安値圏に回帰の形となったが、調整一巡して出直りを期待したい。なお2月8日に23年3月期第3四半期決算発表を予定している。

■関節機能改善剤アルツなど糖質科学分野が主力の医薬品メーカー

 糖質科学分野が主力の医薬品メーカーで、国内医薬品(関節機能改善剤アルツ、白内障手術補助剤オペガン、内視鏡用粘膜下注入材ムコアップ)、海外医薬品(米国向け単回投与関節機能改善剤Gel−One、米国向け3回投与関節機能改善剤VISCO−3、米国向け5回投与関節機能改善剤SUPARTZ−FX、中国向けアルツ)、医薬品原体(ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸)、LAL事業(エンドトキシン測定用試薬関連)を展開している。

 22年3月期セグメント別構成比(22年3月期から受取ロイヤリティーを営業外収益から売上高に表示区分変更、販売手数料等を販管費計上から売上高控除に変更)は、売上高が医薬品事業74%(国内医薬品33%、海外医薬品22%、医薬品原体・医薬品受託製造7%、ロイヤリティー11%)でLAL事業26%、営業利益が医薬品事業49%、LAL事業51%だった。

■海外展開を強化

 海外展開を強化している。20年3月には海外製造拠点としてカナダのダルトン社を子会社化した。なおダルトン社を買収する際に中間持株会社として設立したSEC社、および買収目的会社として設立したSAC社が特定子会社に該当することになったため、ダルトン社とSAC社が現地法に基づく新設合併を行い、新設された新ダルトン社が旧ダルトン社から商号および事業を引き継いだ。

 20年8月には、ダルトン社がサスカチュワン大学の研究機関であるVIDO−InterVacと、VIDO−InterVacがカナダ政府およびサスカチュワン州から支援を受けて開発を進めているCOVID−19ワクチンの製造に関して、業務提携に合意した。ダルトン社は本提携により、COVID−19ワクチンの初期段階の臨床試験で投与される治験薬の調合、充填、製剤化を担う。

 21年4月にはLAL事業の海外子会社である米ACC社が、遺伝子組み換えエンドトキシン測定用試薬「パイロスマート ネクストジェン」の販売を開始した。21年8月には単回投与の関節機能改善剤ハイリンクについて、台湾のTCM社を通じて台湾における販売を開始した。

 21年11月には海外子会社のACC社が、遺伝子組み換えエンドトキシン測定用試薬「パイロスマート ネクストジェン」について、Pharma Manufacturing 2021 Innovation Awardを受賞した。

 22年1月にはダルトン社の100%出資子会社として、カナダに現地法人SEIKAGAKU NORTH AMERICA CORPORATIONを設立した。北米に開発拠点を有することで、現地の医療環境に即したプランの立案、FDA(米国食品医薬品局)や治験施設との円滑なコミュニケーション実現など、医薬品・医療機器開発および承認取得の加速を目指す。

■新中期経営計画

 新中期経営計画(23年3月期〜26年3月期)の目標数値には、最終年度26年3月期の売上高400億円、営業利益70億円を掲げている。23年3月期からの4年間を「成長を実現する期間」として、最終年度26年3月期に過去最高の業績達成を目指すとしている。前提条件としては、腰椎椎間板ヘルニア治療剤SI−6603の米国上市、国内関節機能改善剤の収益拡大、海外医薬品およびLAL事業の拡大、研究開発費の対売上高比率(ロイヤリティー除く)25%目途、為替レート1米ドル=135円としている。

 利益還元については、1株当たり年間配当金26円を基本として、業績動向および財務状況を勘案して増配を検討する。また、今後の事業展開や総還元性向を考慮しながら、自己株式取得を適宜検討するとしている。

 重点施策としては、独自の創薬技術を活かした研究開発の加速、腰椎椎間板ヘルニア治療剤SI−6603の製品価値最大化、関節機能改善剤の事業価値維持・向上、グローバル生産体制の構築、遺伝子組み換え技術によるLAL事業の拡大を掲げ、社員エンゲージメント向上や人材育成、経営基盤の強化、サステナビリティ経営の強化も推進する方針としている。

■新薬開発は糖質科学分野に焦点

 研究開発は糖質科学分野(糖鎖や複合糖質を研究する科学分野)に焦点を絞っている。23年3月期第2四半期末時点の開発パイプラインとしては、腰椎椎間板ヘルニア治療剤SI−6603(米国、コンドリアーゼ)、ドライアイ治療剤SI−614(米国、修飾ヒアルロン酸)、変形性膝関節症改善剤SI−613(米国、ジクロフェナク結合ヒアルロン酸)、腱・靱帯付着部症を適応症とするSI−613−ETP(日本、ジクロフェナク結合ヒアルロン酸)、間質性膀胱炎を適応症とするSI−722(米国、ステロイド結合コンドロイチン硫酸)、癒着防止材SI−449(日本・米国、コンドロイチン硫酸架橋体)がある。

 SI−6603は日本では18年3月製造販売承認を取得し、科研製薬<4521>が18年8月販売開始(腰椎椎間板ヘルニア治療剤ヘルニコア)した。またスイスのフェリング社と日本を除く全世界におけるライセンス契約を締結している。マイルストーン型ロイヤリティーの総額は最大95百万米ドル(うち契約一時金5百万米ドル)である。米国では22年3月に第3相追加臨床試験被験者組み入れが完了した。1年間の経過観察を実施後に承認申請・取得を目指す。

 SI−613は小野薬品工業<4528>と日本における共同開発・販売提携に関する契約を締結し、21年3月に変形性関節症治療剤ONO−5704/SI−613(ジョイクル関節注30mg)が変形性関節症(膝関節、股関節)の効能または効果で国内製造販売承認を取得し、21年5月に小野薬品工業が販売開始した。マイルストーン型ロイヤリティーの総額は最大120億円(うち契約一時金20億円)である。20年9月にはエーザイ<4523>と韓国における販売提携に関する契約を締結した。エーザイの韓国子会社が韓国におけるSI−613独占的販売権を取得して製造販売申請を行い、承認取得後は製品をエーザイに供給する。契約一時金と販売マイルストーンを受け取る。エーザイとは20年4月に中国における共同開発および販売提携に関する契約を締結しており、2ヶ国目の提携となる。

 なお、ジョイクル投与後にショック、アナフィラキーの発現が複数報告されたため21年6月1日付で安全性速報(ブルーレター)を発出し、小野薬品工業と連携して副作用報告等の情報収集や安全性に関する情報提供に努めている。また原因究明に向けて医師主導の臨床研究を開始している。今後の方針としては、米国・中国・韓国におけるSI−613(変形性膝関節症)の開発方針を検討中で、日本におけるSI−613−ETP(腱・靭帯付着部症、小野薬品工業とのSI−613の契約に含む)の開発を22年2月に中断している。ジョイクルのショック、アナフィラキー発現に関する原因究明を優先する。

 SI−614は22年5月に米国で第3相臨床試験を開始した。有効性、安全性の評価を行う。SI−722は19年11月米国における第1・2相臨床試験を開始、20年3月被験者投与を開始、21年1月被験者組み入れが完了した。主目的である忍容性を確認し、次相試験を検討中である。

 SI−449は日本で20年5月に国内ピボタル試験(消化器外科領域)を開始、22年9月に被験者組み入れが完了した。また、21年11月に国内パイロット試験(婦人科領域)を開始し、22年5月に被験者組み入れが完了した。米国では試験開始を検討している。

 なお新中期経営計画の期間中に、腰椎椎間板ヘルニア治療剤SI−6603の米国における承認取得および上市、ドライアイ治療剤SI−614の米国第3相臨床試験の終了、癒着防止材SI−449の国内での承認取得および米国での臨床試験開始を目指すとしている。

■23年3月期減収減益予想だが24年3月期収益回復期待

 23年3月期の連結業績予想(関節機能改善剤ジョイクルのショック、アナフィラキーの発現に関する原因究明の進捗を見極める必要があるため未定としていたが22年11月8日付で公表)は、売上高が22年3月期比3.9%減の335億円、営業利益が62.2%減の17億円、経常利益が46.2%減の29億円、親会社株主帰属当期純利益が29,0%減の26億50百万円としている。配当予想(22年11月8日付で第2四半期末2円、期末2円、合計4円上方修正)は、22年3月期比4円減配の26円(第2四半期末13円、期末13円)としている。

 第2四半期累計は売上高が前年同期比15.9%減の172億58百万円、営業利益が56.8%減の26億10百万円、経常利益が43.7%減の36億円、親会社株主帰属四半期純利益が37.4%減の31億41百万円だった。

 LAL事業が伸長したが、国内における薬価引き下げ影響、関節機能改善剤ジョイクルの前年の反動減、さらに前期計上のロイヤリティーの剥落などで大幅減収減益だった。研究開発費は10.4%減の34億07百万円だった。米国で実施中の腰椎椎間板ヘルニア治療剤SI―6603追加臨床試験の被験者組み入れが完了したため減少した。営業外収益では為替差益が増加(前年同期は37百万円、今期は7億73百万円)した。

 医薬品事業は売上高が27.5%減の116億92百万円、営業利益が76.4%減11億67百万円だった。売上高の内訳は国内医薬品が14.7%減の58億08百万円、海外医薬品が1.5%減の43億84百万円、医薬品原体・医薬品受託製造が12.6%増の14億97百万円、ロイヤリティーが1百万円(前年同期は35億50百万円)だった。

 国内は、関節機能改善剤アルツや眼科手術補助剤オペガン類が薬価引き下げの影響を受け、関節機能改善剤ジョイクルが前年の販売開始(21年5月発売)に伴う出荷集中の反動で減少した。また前期計上のロイヤリティーが剥落した。海外は、米国において単回投与の関節機能改善剤ジェル・ワンが為替の円安も寄与して増加したが、5回投与の関節機能改善剤スパルツFXが出荷タイミングの影響で減少した。中国では包装資材変更に伴って第1四半期の出荷が無かったため減少(8月から出荷再開)した。医薬品原体・医薬品受託製造は、医薬品原体が前年並みだったが、海外子会社ダルトン社の医薬品受託製造が円安効果で増加した。

 LAL事業は売上高が26.7%増の55億66百万円、営業利益が30.7%増の14億43百万円だった。海外子会社ACC社のエンドトキシン測定用試薬、グルカン測定体外診断用医薬品、受託試験サービスの受注が増加し、国内販売も堅調だった。

 なお四半期別に見ると、第1四半期は売上高が83億07百万円、営業利益が11億26百万円、経常利益が17億14百万円、第2四半期は売上高が89億51百万円、営業利益が14億84百万円、経常利益が18億86百万円だった。

 通期については、売上面は、国内医薬品の数量増加や海外医薬品の円安効果を見込むが、ロイヤリティーの大幅減少や国内における薬価引き下げの影響で減収予想としている。利益面は、研究開発費の減少(通期ベースで11.2%減の80億円)を見込むが、減収影響や為替換算を含む海外子会社の費用の増加などで減益予想としている。なお下期の想定為替レートは1米ドル=140円として、営業外収益では外貨建資産の為替評価益を見込んでいる。

 セグメント別売上高の計画は、医薬品事業が12.4%減の225億円(国内医薬品が5.2%減の108億50百万円、海外医薬品が13.0%増の86億50百万円、医薬品原体・医薬品受託製造が15.1%増の30億円、ロイヤリティーが39億88百万円減少の1百万円)で、LAL事業が20.2%増の110億円としている。

 なお第2四半期累計の利益が通期利益予想を超過達成の形だが、下期に海外子会社における受託試験サービスの売上減少、研究開発費の集中発生、燃料費高騰に伴う費用の増加、半導体不足に伴って抑制していた工場定期メンテナンスの集中発生などを見込んでいる。23年3月期は減収減益予想だが、積極的な事業展開で24年3月期の収益回復と中期成長を期待したい。

■株価は調整一巡

 株価は22年11月の戻り高値圏から反落し、地合い悪化も影響して安値圏に回帰の形となったが、調整一巡して出直りを期待したい。1月20日の終値は826円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS48円12銭で算出)は約17倍、今期予想配当利回り(会社予想の26円で算出)は約3.1%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS1179円46銭で算出)は約0.7倍、時価総額は約469億円である。(情報提供:日 本インタビュ新聞社=Media−IR)
[12月30日更新]

生化学工業は上値試す、23年3月期減収減益予想だが24年3月期収益回復期待

 生化学工業<4548>(東証プライム)は、関節機能改善剤アルツなど糖質科学分野を主力とする医薬品メーカーである。23年3月期は国内における薬価引き下げ影響、関節機能改善剤ジョイクルの前年の反動減、前期計上のロイヤリティーの剥落などで減収減益予想としている。ただし新中期経営計画では、23年3月期からの4年間を「成長を実現する期間」として、最終年度26年3月期に過去最高の業績達成を目指すとしている。積極的な事業展開で24年3月期の収益回復と中期成長を期待したい。株価は地合い悪化の影響で上げ一服の形となったが、調整一巡して上値を試す展開を期待したい。

■関節機能改善剤アルツなど糖質科学分野が主力の医薬品メーカー

 糖質科学分野が主力の医薬品メーカーで、国内医薬品(関節機能改善剤アルツ、白内障手術補助剤オペガン、内視鏡用粘膜下注入材ムコアップ)、海外医薬品(米国向け単回投与関節機能改善剤Gel−One、米国向け3回投与関節機能改善剤VISCO−3、米国向け5回投与関節機能改善剤SUPARTZ−FX、中国向けアルツ)、医薬品原体(ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸)、LAL事業(エンドトキシン測定用試薬関連)を展開している。

 22年3月期セグメント別構成比(22年3月期から受取ロイヤリティーを営業外収益から売上高に表示区分変更、販売手数料等を販管費計上から売上高控除に変更)は、売上高が医薬品事業74%(国内医薬品33%、海外医薬品22%、医薬品原体・医薬品受託製造7%、ロイヤリティー11%)でLAL事業26%、営業利益が医薬品事業49%、LAL事業51%だった。

■海外展開を強化

 海外展開を強化している。20年3月には海外製造拠点としてカナダのダルトン社を子会社化した。なおダルトン社を買収する際に中間持株会社として設立したSEC社、および買収目的会社として設立したSAC社が特定子会社に該当することになったため、ダルトン社とSAC社が現地法に基づく新設合併を行い、新設された新ダルトン社が旧ダルトン社から商号および事業を引き継いだ。

 20年8月には、ダルトン社がサスカチュワン大学の研究機関であるVIDO−InterVacと、VIDO−InterVacがカナダ政府およびサスカチュワン州から支援を受けて開発を進めているCOVID−19ワクチンの製造に関して、業務提携に合意した。ダルトン社は本提携により、COVID−19ワクチンの初期段階の臨床試験で投与される治験薬の調合、充填、製剤化を担う。

 21年4月にはLAL事業の海外子会社である米ACC社が、遺伝子組み換えエンドトキシン測定用試薬「パイロスマート ネクストジェン」の販売を開始した。21年8月には単回投与の関節機能改善剤ハイリンクについて、台湾のTCM社を通じて台湾における販売を開始した。

 21年11月には海外子会社のACC社が、遺伝子組み換えエンドトキシン測定用試薬「パイロスマート ネクストジェン」について、Pharma Manufacturing 2021 Innovation Awardを受賞した。

 22年1月にはダルトン社の100%出資子会社として、カナダに現地法人SEIKAGAKU NORTH AMERICA CORPORATIONを設立した。北米に開発拠点を有することで、現地の医療環境に即したプランの立案、FDA(米国食品医薬品局)や治験施設との円滑なコミュニケーション実現など、医薬品・医療機器開発および承認取得の加速を目指す。

■新中期経営計画

 新中期経営計画(23年3月期〜26年3月期)の目標数値には、最終年度26年3月期の売上高400億円、営業利益70億円を掲げている。23年3月期からの4年間を「成長を実現する期間」として、最終年度26年3月期に過去最高の業績達成を目指すとしている。前提条件としては、腰椎椎間板ヘルニア治療剤SI−6603の米国上市、国内関節機能改善剤の収益拡大、海外医薬品およびLAL事業の拡大、研究開発費の対売上高比率(ロイヤリティー除く)25%目途、為替レート1米ドル=135円としている。

 利益還元については、1株当たり年間配当金26円を基本として、業績動向および財務状況を勘案して増配を検討する。また、今後の事業展開や総還元性向を考慮しながら、自己株式取得を適宜検討するとしている。

 重点施策としては、独自の創薬技術を活かした研究開発の加速、腰椎椎間板ヘルニア治療剤SI−6603の製品価値最大化、関節機能改善剤の事業価値維持・向上、グローバル生産体制の構築、遺伝子組み換え技術によるLAL事業の拡大を掲げ、社員エンゲージメント向上や人材育成、経営基盤の強化、サステナビリティ経営の強化も推進する方針としている。

■新薬開発は糖質科学分野に焦点

 研究開発は糖質科学分野(糖鎖や複合糖質を研究する科学分野)に焦点を絞っている。23年3月期第2四半期末時点の開発パイプラインとしては、腰椎椎間板ヘルニア治療剤SI−6603(米国、コンドリアーゼ)、ドライアイ治療剤SI−614(米国、修飾ヒアルロン酸)、変形性膝関節症改善剤SI−613(米国、ジクロフェナク結合ヒアルロン酸)、腱・靱帯付着部症を適応症とするSI−613−ETP(日本、ジクロフェナク結合ヒアルロン酸)、間質性膀胱炎を適応症とするSI−722(米国、ステロイド結合コンドロイチン硫酸)、癒着防止材SI−449(日本・米国、コンドロイチン硫酸架橋体)がある。

 SI−6603は日本では18年3月製造販売承認を取得し、科研製薬<4521>が18年8月販売開始(腰椎椎間板ヘルニア治療剤ヘルニコア)した。またスイスのフェリング社と日本を除く全世界におけるライセンス契約を締結している。マイルストーン型ロイヤリティーの総額は最大95百万米ドル(うち契約一時金5百万米ドル)である。米国では22年3月に第3相追加臨床試験被験者組み入れが完了した。1年間の経過観察を実施後に承認申請・取得を目指す。

 SI−613は小野薬品工業<4528>と日本における共同開発・販売提携に関する契約を締結し、21年3月に変形性関節症治療剤ONO−5704/SI−613(ジョイクル関節注30mg)が変形性関節症(膝関節、股関節)の効能または効果で国内製造販売承認を取得し、21年5月に小野薬品工業が販売開始した。マイルストーン型ロイヤリティーの総額は最大120億円(うち契約一時金20億円)である。20年9月にはエーザイ<4523>と韓国における販売提携に関する契約を締結した。エーザイの韓国子会社が韓国におけるSI−613独占的販売権を取得して製造販売申請を行い、承認取得後は製品をエーザイに供給する。契約一時金と販売マイルストーンを受け取る。エーザイとは20年4月に中国における共同開発および販売提携に関する契約を締結しており、2ヶ国目の提携となる。

 なお、ジョイクル投与後にショック、アナフィラキーの発現が複数報告されたため21年6月1日付で安全性速報(ブルーレター)を発出し、小野薬品工業と連携して副作用報告等の情報収集や安全性に関する情報提供に努めている。また原因究明に向けて医師主導の臨床研究を開始している。今後の方針としては、米国・中国・韓国におけるSI−613(変形性膝関節症)の開発方針を検討中で、日本におけるSI−613−ETP(腱・靭帯付着部症、小野薬品工業とのSI−613の契約に含む)の開発を22年2月に中断している。ジョイクルのショック、アナフィラキー発現に関する原因究明を優先する。

 SI−614は22年5月に米国で第3相臨床試験を開始した。有効性、安全性の評価を行う。SI−722は19年11月米国における第1・2相臨床試験を開始、20年3月被験者投与を開始、21年1月被験者組み入れが完了した。主目的である忍容性を確認し、次相試験を検討中である。

 SI−449は日本で20年5月に国内ピボタル試験(消化器外科領域)を開始、22年9月に被験者組み入れが完了した。また、21年11月に国内パイロット試験(婦人科領域)を開始し、22年5月に被験者組み入れが完了した。米国では試験開始を検討している。

 なお新中期経営計画の期間中に、腰椎椎間板ヘルニア治療剤SI−6603の米国における承認取得および上市、ドライアイ治療剤SI−614の米国第3相臨床試験の終了、癒着防止材SI−449の国内での承認取得および米国での臨床試験開始を目指すとしている。

■23年3月期減収減益予想だが24年3月期収益回復期待

 23年3月期の連結業績予想(関節機能改善剤ジョイクルのショック、アナフィラキーの発現に関する原因究明の進捗を見極める必要があるため未定としていたが11月8日付で公表)は、売上高が22年3月期比3.9%減の335億円、営業利益が62.2%減の17億円、経常利益が46.2%減の29億円、親会社株主帰属当期純利益が29,0%減の26億50百万円としている。配当予想(11月8日付で第2四半期末2円、期末2円、合計4円上方修正)は、22年3月期比4円減配の26円(第2四半期末13円、期末13円)としている。

 第2四半期累計は売上高が前年同期比15.9%減の172億58百万円、営業利益が56.8%減の26億10百万円、経常利益が43.7%減の36億円、親会社株主帰属四半期純利益が37.4%減の31億41百万円だった。

 LAL事業が伸長したが、国内における薬価引き下げ影響、関節機能改善剤ジョイクルの前年の反動減、さらに前期計上のロイヤリティーの剥落などで大幅減収減益だった。研究開発費は10.4%減の34億07百万円だった。米国で実施中の腰椎椎間板ヘルニア治療剤SI―6603追加臨床試験の被験者組み入れが完了したため減少した。営業外収益では為替差益が増加(前年同期は37百万円、今期は7億73百万円)した。

 医薬品事業は売上高が27.5%減の116億92百万円、営業利益が76.4%減11億67百万円だった。売上高の内訳は国内医薬品が14.7%減の58億08百万円、海外医薬品が1.5%減の43億84百万円、医薬品原体・医薬品受託製造が12.6%増の14億97百万円、ロイヤリティーが1百万円(前年同期は35億50百万円)だった。

 国内は、関節機能改善剤アルツや眼科手術補助剤オペガン類が薬価引き下げの影響を受け、関節機能改善剤ジョイクルが前年の販売開始(21年5月発売)に伴う出荷集中の反動で減少した。また前期計上のロイヤリティーが剥落した。海外は、米国において単回投与の関節機能改善剤ジェル・ワンが為替の円安も寄与して増加したが、5回投与の関節機能改善剤スパルツFXが出荷タイミングの影響で減少した。中国では包装資材変更に伴って第1四半期の出荷が無かったため減少(8月から出荷再開)した。医薬品原体・医薬品受託製造は、医薬品原体が前年並みだったが、海外子会社ダルトン社の医薬品受託製造が円安効果で増加した。

 LAL事業は売上高が26.7%増の55億66百万円、営業利益が30.7%増の14億43百万円だった。海外子会社ACC社のエンドトキシン測定用試薬、グルカン測定体外診断用医薬品、受託試験サービスの受注が増加し、国内販売も堅調だった。

 なお四半期別に見ると、第1四半期は売上高が83億07百万円、営業利益が11億26百万円、経常利益が17億14百万円、第2四半期は売上高が89億51百万円、営業利益が14億84百万円、経常利益が18億86百万円だった。

 通期については、売上面は、国内医薬品の数量増加や海外医薬品の円安効果を見込むが、ロイヤリティーの大幅減少や国内における薬価引き下げの影響で減収予想としている。利益面は、研究開発費の減少(通期ベースで11.2%減の80億円)を見込むが、減収影響や為替換算を含む海外子会社の費用の増加などで減益予想としている。なお下期の想定為替レートは1米ドル=140円として、営業外収益では外貨建資産の為替評価益を見込んでいる。

 セグメント別売上高の計画は、医薬品事業が12.4%減の225億円(国内医薬品が5.2%減の108億50百万円、海外医薬品が13.0%増の86億50百万円、医薬品原体・医薬品受託製造が15.1%増の30億円、ロイヤリティーが39億88百万円減少の1百万円)で、LAL事業が20.2%増の110億円としている。

 なお第2四半期累計の利益が通期利益予想を超過達成の形だが、下期に海外子会社における受託試験サービスの売上減少、研究開発費の集中発生、燃料費高騰に伴う費用の増加、半導体不足に伴って抑制していた工場定期メンテナンスの集中発生などを見込んでいる。23年3月期は減収減益予想だが、積極的な事業展開で24年3月期の収益回復と中期成長を期待したい。

■株価は上値試す

 22年5月13日に発表した自己株式取得(上限200万株・15億円、取得期間22年5月16日〜22年12月30日)については、22年12月23日時点で終了(累計取得株式数172万5700株)した。

 株価は地合い悪化の影響で上げ一服の形となったが、調整一巡して上値を試す展開を期待したい。12月29日の終値は902円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS48円12銭で算出)は約19倍、今期予想配当利回り(会社予想の26円で算出)は約2.9%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS1179円46銭で算出)は約0.8倍、そして時価総額は約512億円である。(情報提供:日 本インタビュ新聞社=Media−IR)
[12月15日更新]

生化学工業は上値試す、23年3月期減益予想だが24年3月期収益回復期待

 生化学工業<4548>(東証プライム)は、関節機能改善剤アルツなど糖質科学分野を主力とする医薬品メーカーである。23年3月期は国内における薬価引き下げ影響、関節機能改善剤ジョイクルの前年の反動減、前期計上のロイヤリティーの剥落などで減益予想としている。ただし新中期経営計画を公表し、最終年度26年3月期に過去最高の業績達成を目指すとしている。積極的な事業展開で24年3月期の収益回復と中期成長を期待したい。株価は着実に水準を切り上げて戻り歩調だ。自律調整を交えながら上値を試す展開を期待したい。

■関節機能改善剤アルツなど糖質科学分野が主力の医薬品メーカー

 糖質科学分野が主力の医薬品メーカーで、国内医薬品(関節機能改善剤アルツ、白内障手術補助剤オペガン、内視鏡用粘膜下注入材ムコアップ)、海外医薬品(米国向け単回投与関節機能改善剤Gel−One、米国向け3回投与関節機能改善剤VISCO−3、米国向け5回投与関節機能改善剤SUPARTZ−FX、中国向けアルツ)、医薬品原体(ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸)、LAL事業(エンドトキシン測定用試薬関連)を展開している。

 22年3月期セグメント別構成比(22年3月期から受取ロイヤリティーを営業外収益から売上高に表示区分変更、販売手数料等を販管費計上から売上高控除に変更)は、売上高が医薬品事業74%(国内医薬品33%、海外医薬品22%、医薬品原体・医薬品受託製造7%、ロイヤリティー11%)でLAL事業26%、営業利益が医薬品事業49%、LAL事業51%だった。

■海外展開を強化

 海外展開を強化している。20年3月には海外製造拠点としてカナダのダルトン社を子会社化した。なおダルトン社を買収する際に中間持株会社として設立したSEC社、および買収目的会社として設立したSAC社が特定子会社に該当することになったため、ダルトン社とSAC社が現地法に基づく新設合併を行い、新設された新ダルトン社が旧ダルトン社から商号および事業を引き継いだ。

 20年8月には、ダルトン社がサスカチュワン大学の研究機関であるVIDO−InterVacと、VIDO−InterVacがカナダ政府およびサスカチュワン州から支援を受けて開発を進めているCOVID−19ワクチンの製造に関して、業務提携に合意した。ダルトン社は本提携により、COVID−19ワクチンの初期段階の臨床試験で投与される治験薬の調合、充填、製剤化を担う。

 21年4月にはLAL事業の海外子会社である米ACC社が、遺伝子組み換えエンドトキシン測定用試薬「パイロスマート ネクストジェン」の販売を開始した。21年8月には単回投与の関節機能改善剤ハイリンクについて、台湾のTCM社を通じて台湾における販売を開始した。

 21年11月には海外子会社のACC社が、遺伝子組み換えエンドトキシン測定用試薬「パイロスマート ネクストジェン」について、Pharma Manufacturing 2021 Innovation Awardを受賞した。

 22年1月にはダルトン社の100%出資子会社として、カナダに現地法人SEIKAGAKU NORTH AMERICA CORPORATIONを設立した。北米に開発拠点を有することで、現地の医療環境に即したプランの立案、FDA(米国食品医薬品局)や治験施設との円滑なコミュニケーション実現など、医薬品・医療機器開発および承認取得の加速を目指す。

 21年10月には海外子会社のACC社がカブトガニ保全活動において、この種の取り組みでは初めてとなるアメリカ産カブトガニ累計100万匹放流を達成した。また21年12月には会社HPにサステナビリティページを開設し、各種取組を紹介している。

■新中期経営計画

 新中期経営計画(23年3月期〜26年3月期)の目標数値には、最終年度26年3月期の売上高400億円、営業利益70億円を掲げている。23年3月期からの4年間を「成長を実現する期間」として、最終年度26年3月期に過去最高の業績達成を目指すとしている。前提条件としては、腰椎椎間板ヘルニア治療剤SI−6603の米国上市、国内関節機能改善剤の収益拡大、海外医薬品およびLAL事業の拡大、研究開発費の対売上高比率(ロイヤリティー除く)25%目途、為替レート1米ドル=135円としている。

 利益還元については、1株当たり年間配当金26円を基本として、業績動向および財務状況を勘案して増配を検討する。また、今後の事業展開や総還元性向を考慮しながら、自己株式取得を適宜検討するとしている。

 重点施策としては、独自の創薬技術を活かした研究開発の加速、腰椎椎間板ヘルニア治療剤SI−6603の製品価値最大化、関節機能改善剤の事業価値維持・向上、グローバル生産体制の構築、遺伝子組み換え技術によるLAL事業の拡大を掲げ、社員エンゲージメント向上や人材育成、経営基盤の強化、サステナビリティ経営の強化も推進する方針としている。

■新薬開発は糖質科学分野に焦点

 研究開発は糖質科学分野(糖鎖や複合糖質を研究する科学分野)に焦点を絞っている。23年3月期第2四半期末時点の開発パイプラインとしては、腰椎椎間板ヘルニア治療剤SI−6603(米国、コンドリアーゼ)、ドライアイ治療剤SI−614(米国、修飾ヒアルロン酸)、変形性膝関節症改善剤SI−613(米国、ジクロフェナク結合ヒアルロン酸)、腱・靱帯付着部症を適応症とするSI−613−ETP(日本、ジクロフェナク結合ヒアルロン酸)、間質性膀胱炎を適応症とするSI−722(米国、ステロイド結合コンドロイチン硫酸)、癒着防止材SI−449(日本・米国、コンドロイチン硫酸架橋体)がある。

 SI−6603は日本では18年3月製造販売承認を取得し、科研製薬<4521>が18年8月販売開始(腰椎椎間板ヘルニア治療剤ヘルニコア)した。またスイスのフェリング社と日本を除く全世界におけるライセンス契約を締結している。マイルストーン型ロイヤリティーの総額は最大95百万米ドル(うち契約一時金5百万米ドル)である。米国では22年3月に第3相追加臨床試験被験者組み入れが完了した。1年間の経過観察を実施後に承認申請・取得を目指す。

 SI−613は小野薬品工業<4528>と日本における共同開発・販売提携に関する契約を締結し、21年3月に変形性関節症治療剤ONO−5704/SI−613(ジョイクル関節注30mg)が変形性関節症(膝関節、股関節)の効能または効果で国内製造販売承認を取得し、21年5月に小野薬品工業が販売開始した。マイルストーン型ロイヤリティーの総額は最大120億円(うち契約一時金20億円)である。20年9月にはエーザイ<4523>と韓国における販売提携に関する契約を締結した。エーザイの韓国子会社が韓国におけるSI−613独占的販売権を取得して製造販売申請を行い、承認取得後は製品をエーザイに供給する。契約一時金と販売マイルストーンを受け取る。エーザイとは20年4月に中国における共同開発および販売提携に関する契約を締結しており、2ヶ国目の提携となる。

 なお、ジョイクル投与後にショック、アナフィラキーの発現が複数報告されたため21年6月1日付で安全性速報(ブルーレター)を発出し、小野薬品工業と連携して副作用報告等の情報収集や安全性に関する情報提供に努めている。また原因究明に向けて医師主導の臨床研究を開始している。今後の方針としては、米国・中国・韓国におけるSI−613(変形性膝関節症)の開発方針を検討中で、日本におけるSI−613−ETP(腱・靭帯付着部症、小野薬品工業とのSI−613の契約に含む)の開発を22年2月に中断している。ジョイクルのショック、アナフィラキー発現に関する原因究明を優先する。

 SI−614は22年5月に米国で第3相臨床試験を開始した。有効性、安全性の評価を行う。SI−722は19年11月米国における第1・2相臨床試験を開始、20年3月被験者投与を開始、21年1月被験者組み入れが完了した。主目的である忍容性を確認し、次相試験を検討中である。

 SI−449は日本で20年5月に国内ピボタル試験(消化器外科領域)を開始、22年9月に被験者組み入れが完了した。また、21年11月に国内パイロット試験(婦人科領域)を開始し、22年5月に被験者組み入れが完了した。米国では試験開始を検討している。

 なお新中期経営計画の期間中に、腰椎椎間板ヘルニア治療剤SI−6603の米国における承認取得および上市、ドライアイ治療剤SI−614の米国第3相臨床試験の終了、癒着防止材SI−449の国内での承認取得および米国での臨床試験開始を目指すとしている。

■23年3月期減益予想だが24年3月期収益回復期待

 23年3月期の連結業績予想(関節機能改善剤ジョイクルのショック、アナフィラキーの発現に関する原因究明の進捗を見極める必要があるため未定としていたが11月8日付で公表)は、売上高が22年3月期比3.9%減の335億円、営業利益が62.2%減の17億円、経常利益が46.2%減の29億円、親会社株主帰属当期純利益が29,0%減の26億50百万円としている。配当予想(11月8日付で第2四半期末2円、期末2円、合計4円上方修正)は、22年3月期比4円減配の26円(第2四半期末13円、期末13円)としている。

 第2四半期累計は売上高が前年同期比15.9%減の172億58百万円、営業利益が56.8%減の26億10百万円、経常利益が43.7%減の36億円、親会社株主帰属四半期純利益が37.4%減の31億41百万円だった。

 LAL事業が伸長したが、国内における薬価引き下げ影響、関節機能改善剤ジョイクルの前年の反動減、さらに前期計上のロイヤリティーの剥落などで大幅減収減益だった。研究開発費は10.4%減の34億07百万円だった。米国で実施中の腰椎椎間板ヘルニア治療剤SI―6603追加臨床試験の被験者組み入れが完了したため減少した。営業外収益では為替差益が増加(前年同期は37百万円、今期は7億73百万円)した。

 医薬品事業は売上高が27.5%減の116億92百万円、営業利益が76.4%減11億67百万円だった。売上高の内訳は国内医薬品が14.7%減の58億08百万円、海外医薬品が1.5%減の43億84百万円、医薬品原体・医薬品受託製造が12.6%増の14億97百万円、ロイヤリティーが1百万円(前年同期は35億50百万円)だった。

 国内は、関節機能改善剤アルツや眼科手術補助剤オペガン類が薬価引き下げの影響を受け、関節機能改善剤ジョイクルが前年の販売開始(21年5月発売)に伴う出荷集中の反動で減少した。また前期計上のロイヤリティーが剥落した。海外は、米国において単回投与の関節機能改善剤ジェル・ワンが為替の円安も寄与して増加したが、5回投与の関節機能改善剤スパルツFXが出荷タイミングの影響で減少した。中国では包装資材変更に伴って第1四半期の出荷が無かったため減少(8月から出荷再開)した。医薬品原体・医薬品受託製造は、医薬品原体が前年並みだったが、海外子会社ダルトン社の医薬品受託製造が円安効果で増加した。

 LAL事業は売上高が26.7%増の55億66百万円、営業利益が30.7%増の14億43百万円だった。海外子会社ACC社のエンドトキシン測定用試薬、グルカン測定体外診断用医薬品、受託試験サービスの受注が増加し、国内販売も堅調だった。

 なお四半期別に見ると、第1四半期は売上高が83億07百万円、営業利益が11億26百万円、経常利益が17億14百万円、第2四半期は売上高が89億51百万円、営業利益が14億84百万円、経常利益が18億86百万円だった。

 通期については、売上面は、国内医薬品の数量増加や海外医薬品の円安効果を見込むが、ロイヤリティーの大幅減少や国内における薬価引き下げの影響で減収予想とした。利益面は、研究開発費の減少(通期ベースで11.2%減の80億円)を見込むが、減収影響や為替換算を含む海外子会社の費用の増加などで減益予想とした。なお営業外収益で外貨建資産の為替評価益を見込んでいる。下期の想定為替レートは1米ドル=140円としている。

 セグメント別売上高の計画は、医薬品事業が12.4%減の225億円(国内医薬品が5.2%減の108億50百万円、海外医薬品が13.0%増の86億50百万円、医薬品原体・医薬品受託製造が15.1%増の30億円、ロイヤリティーが39億88百万円減少の1百万円)で、LAL事業が20.2%増の110億円としている。

 なお第2四半期累計の利益が通期利益予想を超過達成の形だが、下期に海外子会社における受託試験サービスの売上減少、研究開発費の集中発生、燃料費高騰に伴う費用の増加、半導体不足に伴って抑制していた工場定期メンテナンスの集中発生などを見込んでいる。23年3月期は減収減益予想だが、積極的な事業展開で24年3月期の収益回復と中期成長を期待したい。

■株価は上値試す

 22年5月13日に発表した自己株式取得(上限200万株・15億円、取得期間22年5月16日〜22年12月30日)については、22年11月30日時点の累計取得株式数が152万78600株となっている。

 株価は着実に水準を切り上げて戻り歩調だ。週足チャートで見ると26週移動平均線も上向きに転じている。上昇基調を確認した形だ。自律調整を交えながら上値を試す展開を期待したい。12月14日の終値は970円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS48円12銭で算出)は約20倍、今期予想配当利回り(会社予想の26円で算出)は約2.7%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS1179円46銭で算出)は約0.8倍、そして時価総額は約551億円である。(情報提供:日 本インタビュ新聞社=Media−IR)
[11月28日更新]

生化学工業は上値試す、23年3月期は減収減益予想だが24年3月期収益回復期待

 生化学工業<4548>(東証プライム)は、関節機能改善剤アルツなど糖質科学分野を主力とする医薬品メーカーである。23年3月期は国内における薬価引き下げ影響や関節機能改善剤ジョイクルの前年の反動減、さらに前期計上のロイヤリティーの剥落などで減収減益予想としている。ただし11月17日に新中期経営計画を公表し、最終年度26年3月期に過去最高の業績達成を目指すとしている。積極的な事業展開で24年3月期の収益回復と中期成長を期待したい。株価は水準を切り上げて戻り歩調の形だ。自律調整を交えながら上値を試す展開を期待したい。

■関節機能改善剤アルツなど糖質科学分野が主力の医薬品メーカー

 糖質科学分野が主力の医薬品メーカーで、国内医薬品(関節機能改善剤アルツ、白内障手術補助剤オペガン、内視鏡用粘膜下注入材ムコアップ)、海外医薬品(米国向け単回投与関節機能改善剤Gel−One、米国向け3回投与関節機能改善剤VISCO−3、米国向け5回投与関節機能改善剤SUPARTZ−FX、中国向けアルツ)、医薬品原体(ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸)、LAL事業(エンドトキシン測定用試薬関連)を展開している。

 22年3月期セグメント別構成比(22年3月期から受取ロイヤリティーを営業外収益から売上高に表示区分変更、販売手数料等を販管費計上から売上高控除に変更)は、売上高が医薬品事業74%(国内医薬品33%、海外医薬品22%、医薬品原体・医薬品受託製造7%、ロイヤリティー11%)でLAL事業26%、営業利益が医薬品事業49%、LAL事業51%だった。

■海外展開を強化

 海外展開を強化している。20年3月には海外製造拠点としてカナダのダルトン社を子会社化した。なおダルトン社を買収する際に中間持株会社として設立したSEC社、および買収目的会社として設立したSAC社が特定子会社に該当することになったため、ダルトン社とSAC社が現地法に基づく新設合併を行い、新設された新ダルトン社が旧ダルトン社から商号および事業を引き継いだ。

 20年8月には、ダルトン社がサスカチュワン大学の研究機関であるVIDO−InterVacと、VIDO−InterVacがカナダ政府およびサスカチュワン州から支援を受けて開発を進めているCOVID−19ワクチンの製造に関して、業務提携に合意した。ダルトン社は本提携により、COVID−19ワクチンの初期段階の臨床試験で投与される治験薬の調合、充填、製剤化を担う。

 21年4月にはLAL事業の海外子会社である米ACC社が、遺伝子組み換えエンドトキシン測定用試薬「パイロスマート ネクストジェン」の販売を開始した。21年8月には単回投与の関節機能改善剤ハイリンクについて、台湾のTCM社を通じて台湾における販売を開始した。

 21年11月には海外子会社のACC社が、遺伝子組み換えエンドトキシン測定用試薬「パイロスマート ネクストジェン」について、Pharma Manufacturing 2021 Innovation Awardを受賞した。

 22年1月にはダルトン社の100%出資子会社として、カナダに現地法人SEIKAGAKU NORTH AMERICA CORPORATIONを設立した。北米に開発拠点を有することで、現地の医療環境に即したプランの立案、FDA(米国食品医薬品局)や治験施設との円滑なコミュニケーション実現など、医薬品・医療機器開発および承認取得の加速を目指す。

 21年10月には海外子会社のACC社がカブトガニ保全活動において、この種の取り組みでは初めてとなるアメリカ産カブトガニ累計100万匹放流を達成した。また21年12月には会社HPにサステナビリティページを開設し、各種取組を紹介している。

■新中期経営計画

 11月17日に新中期経営計画(23年3月期〜26年3月期)を公表した。目標数値としては、最終年度26年3月期の売上高400億円、営業利益70億円を掲げた。23年3月期からの4年間を「成長を実現する期間」として、最終年度26年3月期に過去最高の業績達成を目指すとしている。前提条件は、腰椎椎間板ヘルニア治療剤SI−6603の米国上市、国内関節機能改善剤の収益拡大、海外医薬品およびLAL事業の拡大、研究開発費の対売上高比率(ロイヤリティー除く)25%目途、為替レート1米ドル=135円としている。

 利益還元については、1株当たり年間配当金26円を基本として、業績動向および財務状況を勘案して増配を検討する。また、今後の事業展開や総還元性向を考慮しながら、自己株式取得を適宜検討するとしている。

 重点施策としては、独自の創薬技術を活かした研究開発の加速、腰椎椎間板ヘルニア治療剤SI−6603の製品価値最大化、関節機能改善剤の事業価値維持・向上、グローバル生産体制の構築、遺伝子組み換え技術によるLAL事業の拡大を掲げ、社員エンゲージメント向上や人材育成、経営基盤の強化、サステナビリティ経営の強化も推進する方針としている。

■新薬開発は糖質科学分野に焦点

 研究開発は糖質科学分野(糖鎖や複合糖質を研究する科学分野)に焦点を絞っている。23年3月期第2四半期末時点の開発パイプラインとしては、腰椎椎間板ヘルニア治療剤SI−6603(米国、コンドリアーゼ)、ドライアイ治療剤SI−614(米国、修飾ヒアルロン酸)、変形性膝関節症改善剤SI−613(米国、ジクロフェナク結合ヒアルロン酸)、腱・靱帯付着部症を適応症とするSI−613−ETP(日本、ジクロフェナク結合ヒアルロン酸)、間質性膀胱炎を適応症とするSI−722(米国、ステロイド結合コンドロイチン硫酸)、癒着防止材SI−449(日本・米国、コンドロイチン硫酸架橋体)がある。

 SI−6603は日本では18年3月製造販売承認を取得し、科研製薬<4521>が18年8月販売開始(腰椎椎間板ヘルニア治療剤ヘルニコア)した。またスイスのフェリング社と日本を除く全世界におけるライセンス契約を締結している。マイルストーン型ロイヤリティーの総額は最大95百万米ドル(うち契約一時金5百万米ドル)である。米国では22年3月に第3相追加臨床試験被験者組み入れが完了した。1年間の経過観察を実施後に承認申請・取得を目指す。

 SI−613は小野薬品工業<4528>と日本における共同開発・販売提携に関する契約を締結し、21年3月に変形性関節症治療剤ONO−5704/SI−613(ジョイクル関節注30mg)が変形性関節症(膝関節、股関節)の効能または効果で国内製造販売承認を取得し、21年5月に小野薬品工業が販売開始した。マイルストーン型ロイヤリティーの総額は最大120億円(うち契約一時金20億円)である。20年9月にはエーザイ<4523>と韓国における販売提携に関する契約を締結した。エーザイの韓国子会社が韓国におけるSI−613独占的販売権を取得して製造販売申請を行い、承認取得後は製品をエーザイに供給する。契約一時金と販売マイルストーンを受け取る。エーザイとは20年4月に中国における共同開発および販売提携に関する契約を締結しており、2ヶ国目の提携となる。

 なお、ジョイクル投与後にショック、アナフィラキーの発現が複数報告されたため21年6月1日付で安全性速報(ブルーレター)を発出し、小野薬品工業と連携して副作用報告等の情報収集や安全性に関する情報提供に努めている。また原因究明に向けて医師主導の臨床研究を開始している。今後の方針としては、米国・中国・韓国におけるSI−613(変形性膝関節症)の開発方針を検討中で、日本におけるSI−613−ETP(腱・靭帯付着部症、小野薬品工業とのSI−613の契約に含む)の開発を22年2月に中断している。ジョイクルのショック、アナフィラキー発現に関する原因究明を優先する。

 SI−614は22年5月に米国で第3相臨床試験を開始した。有効性、安全性の評価を行う。SI−722は19年11月米国における第1・2相臨床試験を開始、20年3月被験者投与を開始、21年1月被験者組み入れが完了した。主目的である忍容性を確認し、次相試験を検討中である。

 SI−449は日本で20年5月に国内ピボタル試験(消化器外科領域)を開始、22年9月に被験者組み入れが完了した。また、21年11月に国内パイロット試験(婦人科領域)を開始し、22年5月に被験者組み入れが完了した。米国では試験開始を検討している。

 なお新中期経営計画の期間中に、腰椎椎間板ヘルニア治療剤SI−6603の米国における承認取得および上市、ドライアイ治療剤SI−614の米国第3相臨床試験の終了、癒着防止材SI−449の国内での承認取得および米国での臨床試験開始を目指すとしている。

■23年3月期減収減益予想

 23年3月期の連結業績予想(関節機能改善剤ジョイクルのショック、アナフィラキーの発現に関する原因究明の進捗を見極める必要があるため未定としていたが11月8日付で公表)は、売上高が22年3月期比3.9%減の335億円、営業利益が62.2%減の17億円、経常利益が46.2%減の29億円、親会社株主帰属当期純利益が29,0%減の26億50百万円としている。配当予想(11月8日付で第2四半期末2円、期末2円、合計4円上方修正)は、22年3月期比4円減配の26円(第2四半期末13円、期末13円)としている。

 第2四半期累計は売上高が前年同期比15.9%減の172億58百万円、営業利益が56.8%減の26億10百万円、経常利益が43.7%減の36億円、親会社株主帰属四半期純利益が37.4%減の31億41百万円だった。

 LAL事業が伸長したが、国内における薬価引き下げ影響や関節機能改善剤ジョイクルの前年の反動減、さらに前期計上のロイヤリティーの剥落などで大幅減収減益だった。研究開発費は10.4%減の34億07百万円だった。米国で実施中の腰椎椎間板ヘルニア治療剤SI―6603追加臨床試験の被験者組み入れが完了したため減少した。営業外収益では為替差益が増加(前年同期は37百万円、今期は7億73百万円)した。

 医薬品事業は売上高が27.5%減の116億92百万円、営業利益が76.4%減11億67百万円だった。売上高の内訳は国内医薬品が14.7%減の58億08百万円、海外医薬品が1.5%減の43億84百万円、医薬品原体・医薬品受託製造が12.6%増の14億97百万円、ロイヤリティーが1百万円(前年同期は35億50百万円)だった。

 国内は、関節機能改善剤アルツや眼科手術補助剤オペガン類が薬価引き下げの影響を受け、関節機能改善剤ジョイクルが前年の販売開始(21年5月発売)に伴う出荷集中の反動で減少した。また前期計上のロイヤリティーが剥落した。海外は、米国において単回投与の関節機能改善剤ジェル・ワンが為替の円安も寄与して増加したが、5回投与の関節機能改善剤スパルツFXが出荷タイミングの影響で減少した。中国では包装資材変更に伴って第1四半期の出荷が無かったため減少(8月から出荷再開)した。医薬品原体・医薬品受託製造は、医薬品原体が前年並みだったが、海外子会社ダルトン社の医薬品受託製造が円安効果で増加した。

 LAL事業は売上高が26.7%増の55億66百万円、営業利益が30.7%増の14億43百万円だった。海外子会社ACC社のエンドトキシン測定用試薬、グルカン測定体外診断用医薬品、受託試験サービスの受注が増加し、国内販売も堅調だった。

 なお四半期別に見ると、第1四半期は売上高が83億07百万円、営業利益が11億26百万円、経常利益が17億14百万円、第2四半期は売上高が89億51百万円、営業利益が14億84百万円、経常利益が18億86百万円だった。

 通期については、売上面は、国内医薬品の数量増加や海外医薬品の円安効果を見込むが、ロイヤリティーの大幅減少や国内における薬価引き下げの影響で減収予想とした。利益面は、研究開発費の減少(通期ベースで11.2%減の80億円)を見込むが、減収影響や為替換算を含む海外子会社の費用の増加などで減益予想とした。なお営業外収益で外貨建資産の為替評価益を見込んでいる。下期の想定為替レートは1米ドル=140円としている。

 セグメント別売上高の計画は、医薬品事業が12.4%減の225億円(国内医薬品が5.2%減の108億50百万円、海外医薬品が13.0%増の86億50百万円、医薬品原体・医薬品受託製造が15.1%増の30億円、ロイヤリティーが39億88百万円減少の1百万円)で、LAL事業が20.2%増の110億円としている。

 なお第2四半期累計の利益が通期利益予想を超過達成の形だが、下期に海外子会社における受託試験サービスの売上減少、研究開発費の集中発生、燃料費高騰に伴う費用の増加、半導体不足に伴って抑制していた工場定期メンテナンスの集中発生などを見込んでいる。23年3月期は減収減益予想だが、積極的な事業展開で24年3月期の収益回復と中期成長を期待したい。

■株価は上値試す

 22年5月13日に発表した自己株式取得(上限200万株・15億円、取得期間22年5月16日〜22年12月30日)については、22年10月31日時点の累計取得株式数が132万7800株となっている。

 株価は水準を切り上げて戻り歩調の形だ。自律調整を交えながら上値を試す展開を期待したい。11月25日の終値は956円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS48円12銭で算出)は約20倍、今期予想配当利回り(会社予想の26円で算出)は約2.7%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS1179円46銭で算出)は約0.8倍、そして時価総額は約543億円である。(情報提供:日 本インタビュ新聞社=Media−IR)
[11月09日更新]

生化学工業は23年3月期2Q累計減収減益、通期予想を公表して減収減益予想だが配当予想を上方修正

 生化学工業<4548>(東証プライム)は11月8日の取引時間終了後に23年3月期第2四半期累計連結業績を発表した。LAL事業が伸長したが、国内における薬価引き下げ影響や関節機能改善剤ジョイクルの前年の反動減、さらに前期計上のロイヤリティーの剥落などで大幅減収減益だった。なお通期の連結業績予想を公表して減収減益予想としたが、配当予想を上方修正した。積極的な事業展開で24年3月期の収益改善を期待したい。株価は9月の直近安値圏から反発して水準を切り上げている。通期連結業績予想の公表で不透明感が後退し、配当予想の上方修正も好感して戻りを試す展開を期待したい。

■23年3月期2Q累計減収減益、通期予想を公表して減収減益予想

 23年3月期第2四半期累計連結業績は売上高が前年同期比15.9%減の172億58百万円、営業利益が56.8%減の26億10百万円、経常利益が43.7%減の36億円、親会社株主帰属四半期純利益が37.4%減の31億41百万円だった。

 LAL事業が伸長したが、国内における薬価引き下げ影響や関節機能改善剤ジョイクルの前年の反動減、さらに前期計上のロイヤリティーの剥落などで大幅減収減益だった。研究開発費は10.4%減の34億07百万円だった。米国で実施中の腰椎椎間板ヘルニア治療剤SI―6603追加臨床試験の被験者組み入れが完了したため減少した。営業外収益では為替差益が増加(前年同期は37百万円、今期は7億73百万円)した。

 医薬品事業は売上高が27.5%減の116億92百万円、営業利益が76.4%減11億67百万円だった。売上高の内訳は国内医薬品が14.7%減の58億08百万円、海外医薬品が1.5%減の43億84百万円、医薬品原体・医薬品受託製造が12.6%増の14億97百万円、ロイヤリティーが1百万円(前年同期は35億50百万円)だった。

 国内は、関節機能改善剤アルツや眼科手術補助剤オペガン類が薬価引き下げの影響を受け、関節機能改善剤ジョイクルが前年の販売開始(21年5月発売)に伴う出荷集中の反動で減少した。また前期計上のロイヤリティーが剥落した。海外は、米国において単回投与の関節機能改善剤ジェル・ワンが為替の円安も寄与して増加したが、5回投与の関節機能改善剤スパルツFXが出荷タイミングの影響で減少した。中国では包装資材変更に伴って第1四半期の出荷が無かったため減少(8月から出荷再開)した。医薬品原体・医薬品受託製造は、医薬品原体が前年並みだったが、海外子会社ダルトン社の医薬品受託製造が円安効果で増加した。

 LAL事業は売上高が26.7%増の55億66百万円、営業利益が30.7%増の14億43百万円だった。海外子会社ACC社のエンドトキシン測定用試薬、グルカン測定体外診断用医薬品、受託試験サービスの受注が増加し、国内販売も堅調だった。

 なお四半期別に見ると、第1四半期は売上高が83億07百万円、営業利益が11億26百万円、経常利益が17億14百万円、第2四半期は売上高が89億51百万円、営業利益が14億84百万円、経常利益が18億86百万円だった。

 通期の連結業績予想については、関節機能改善剤ジョイクルのショック、アナフィラキーの発現に関する原因究明の進捗を見極める必要があるため未定としていたが、11月8日付で公表し、売上高が22年3月期比3.9%減の335億円、営業利益が62.2%減の17億円、経常利益が46.2%減の29億円、親会社株主帰属当期純利益が29,0%減の26億50百万円とした。配当予想については11月8日付で第2四半期末2円、期末2円、合計4円上方修正して、22年3月期比4円減配の26円(第2四半期末13円、期末13円)とした。

 売上面は、国内医薬品の数量増加や海外医薬品の円安効果を見込むが、ロイヤリティーの大幅減少や国内における薬価引き下げの影響で減収予想とした。利益面は、研究開発費の減少(通期ベースで11.2%減の80億円)を見込むが、減収影響や為替換算を含む海外子会社の費用の増加などで減益予想とした。なお営業外収益で外貨建資産の為替評価益を見込んでいる。下期の想定為替レートは1米ドル=140円としている。

 セグメント別売上高の計画は、医薬品事業が12.4%減の225億円(国内医薬品が5.2%減の108億50百万円、海外医薬品が13.0%増の86億50百万円、医薬品原体・医薬品受託製造が15.1%増の30億円、ロイヤリティーが39億88百万円減少の1百万円)で、LAL事業が20.2%増の110億円としている。

 なお第2四半期累計の利益が通期利益予想を超過達成の形となっているが、下期に海外子会社における受託試験サービスの売上減少、研究開発費の集中発生、燃料費高騰に伴う費用の増加、半導体不足に伴って抑制していた工場定期メンテナンスの集中発生などを見込んでいる。24年3月期の収益回復を期待したい。

■株価は戻り試す

 株価は9月の直近安値圏から反発して水準を切り上げている。通期連結業績予想の公表で不透明感が後退し、配当予想の上方修正も好感して戻りを試す展開を期待したい。11月8日の終値は903円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS48円12銭で算出)は約19倍、今期予想配当利回り(会社予想の26円で算出)は約2.9%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS1179円46銭で算出)は約0.8倍、そして時価総額は約513億円である。 (情報提供:日本インタビュ新聞社=Media−IR
[10月17日更新]

生化学工業は調整一巡、23年3月期連結業績予想は未定

 生化学工業<4548>(東証プライム)は、関節機能改善剤アルツなど糖質科学分野を主力とする医薬品メーカーである。成長戦略として海外展開も強化している。23年3月期の連結業績予想は、関節機能改善剤ジョイクルのショック、アナフィラキーの発現に関する原因究明の進捗を見極める必要があるため未定としている。株価は地合い悪化も影響して戻り一服の形となったが、一方では大きく下押す動きも見られない。調整一巡して出直りを期待したい。なお11月8日に23年3月期第2四半期決算発表を予定している。

■関節機能改善剤アルツなど糖質科学分野が主力の医薬品メーカー

 糖質科学分野が主力の医薬品メーカーで、国内医薬品(関節機能改善剤アルツ、白内障手術補助剤オペガン、内視鏡用粘膜下注入材ムコアップ)、海外医薬品(米国向け単回投与関節機能改善剤Gel−One、米国向け3回投与関節機能改善剤VISCO−3、米国向け5回投与関節機能改善剤SUPARTZ−FX、中国向けアルツ)、医薬品原体(ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸)、LAL事業(エンドトキシン測定用試薬関連)を展開している。

 22年3月期セグメント別構成比(22年3月期から受取ロイヤリティーを営業外収益から売上高に表示区分変更、販売手数料等を販管費計上から売上高控除に変更)は、売上高が医薬品事業74%(国内医薬品33%、海外医薬品22%、医薬品原体・医薬品受託製造7%、ロイヤリティー11%)でLAL事業26%、営業利益が医薬品事業49%、LAL事業51%だった。

 20年3月には海外製造拠点としてカナダのダルトン社を子会社化した。なおダルトン社を買収する際に中間持株会社として設立したSEC社、および買収目的会社として設立したSAC社が特定子会社に該当することになったため、ダルトン社とSAC社が現地法に基づく新設合併を行い、新設された新ダルトン社が旧ダルトン社から商号および事業を引き継いだ。

 20年8月には、ダルトン社がサスカチュワン大学の研究機関であるVIDO−InterVacと、VIDO−InterVacがカナダ政府およびサスカチュワン州から支援を受けて開発を進めているCOVID−19ワクチンの製造に関して、業務提携に合意した。ダルトン社は本提携により、COVID−19ワクチンの初期段階の臨床試験で投与される治験薬の調合、充填、製剤化を担う。

 21年4月にはLAL事業の海外子会社である米ACC社が、遺伝子組み換えエンドトキシン測定用試薬「パイロスマート ネクストジェン」の販売を開始した。21年8月には単回投与の関節機能改善剤ハイリンクについて、台湾のTCM社を通じて台湾における販売を開始した。

 21年11月には海外子会社のACC社が、遺伝子組み換えエンドトキシン測定用試薬「パイロスマート ネクストジェン」について、Pharma Manufacturing 2021 Innovation Awardを受賞した。

 22年1月にはダルトン社の100%出資子会社として、カナダに現地法人SEIKAGAKU NORTH AMERICA CORPORATIONを設立した。北米に開発拠点を有することで、現地の医療環境に即したプランの立案、FDA(米国食品医薬品局)や治験施設との円滑なコミュニケーション実現など、医薬品・医療機器開発および承認取得の加速を目指す。

 21年10月には海外子会社のACC社がカブトガニ保全活動において、この種の取り組みでは初めてとなるアメリカ産カブトガニ累計100万匹放流を達成した。また21年12月には会社HPにサステナビリティページを開設し、各種取組を紹介している。

■新薬開発は糖質科学分野に焦点

 研究開発は糖質科学分野(糖鎖や複合糖質を研究する科学分野)に焦点を絞っている。23年3月期第1四半期末時点の開発パイプラインには、腰椎椎間板ヘルニア治療剤SI−6603、変形性膝関節症改善剤SI−613、腱・靱帯付着部症を適応症とするSI−613−ETP、ドライアイ治療剤SI−614、間質性膀胱炎を適応症とするSI−722、癒着防止材SI−449がある。

 SI−6603は日本では18年3月製造販売承認を取得し、科研製薬<4521>が18年8月販売開始(腰椎椎間板ヘルニア治療剤ヘルニコア)した。またスイスのフェリング社と日本を除く全世界におけるライセンス契約を締結している。マイルストーン型ロイヤリティーの総額は最大95百万米ドル(うち契約一時金5百万米ドル)である。米国では第3相臨床の追加試験において、22年3月に被験者組み入れが完了した。1年間の経過観察を実施する。

 SI−613は小野薬品工業<4528>と日本における共同開発・販売提携に関する契約を締結し、21年3月に変形性関節症治療剤ONO−5704/SI−613(ジョイクル関節注30mg)が変形性関節症(膝関節、股関節)の効能または効果で国内製造販売承認を取得し、21年5月に小野薬品工業が販売開始した。マイルストーン型ロイヤリティーの総額は最大120億円(うち契約一時金20億円)である。20年9月にはエーザイ<4523>と韓国における販売提携に関する契約を締結した。エーザイの韓国子会社が韓国におけるSI−613独占的販売権を取得して製造販売申請を行い、承認取得後は製品をエーザイに供給する。契約一時金と販売マイルストーンを受け取る。エーザイとは20年4月に中国における共同開発および販売提携に関する契約を締結しており、2ヶ国目の提携となる。

 なお、ジョイクル投与後にショック、アナフィラキーの発現が複数報告されたため21年6月1日付で安全性速報(ブルーレター)を発出し、小野薬品工業と連携して副作用報告等の情報収集や安全性に関する情報提供に努めている。また原因究明に向けて医師主導の臨床研究を開始している。今後の方針としては、米国・中国・韓国におけるSI−613(変形性膝関節症)の開発方針を検討中で、日本におけるSI−613−ETP(腱・靭帯付着部症、小野薬品工業とのSI−613の契約に含む)の開発を22年2月に中断している。ジョイクルのショック、アナフィラキー発現に関する原因究明を優先する。

 SI−614は22年5月に米国で第3相臨床試験を開始した。有効性、安全性の評価を行う。SI−722は19年11月米国における第1・2相臨床試験を開始、20年3月被験者投与を開始、21年1月被験者組み入れが完了した。主目的である忍容性を確認し、次相試験を検討中である。SI−449は、20年5月に国内ピボタル試験(消化器外科領域)を開始した。そして21年11月に国内パイロット試験(婦人科領域)を開始し、22年5月に被験者組み入れが完了した。

■次期・中期経営計画は22年秋頃公表予定

 次期・中期経営計画については、ジョイクルのショック、アナフィラキー発現に関する原因究明の進捗や、腰椎椎間板ヘルニア治療剤SI−6603の動向により、経営計画や将来的な業績予想が大きく変動するため22年5月時点での公表を見送り、22年秋頃の公表を予定している。

■23年3月期連結業績予想は未定

 23年3月期第1四半期の連結業績は、売上高が前年同期比29.5%減の83億07百万円、営業利益が74.7%減の11億26百万円、経常利益が62.8%減の17億14百万円、親会社株主帰属四半期純利益が59.1%減の14億93百万円だった。

 海外はコロナ禍からの回復で好調だったが、国内における薬価引き下げや関節機能改善剤ジョイクルの前年の反動減、さらに前期計上のロイヤリティーの剥落などで大幅減収減益だった。研究開発費は2億48百万円減少の16億87百万円だった。米国で実施中の腰椎椎間板ヘルニア治療剤SI―6603追加臨床試験の被験者組み入れが完了した。営業外収益では為替差益4億15百万円を計上した。

 医薬品事業は売上高が43.5%減の54億88百万円、営業利益が94.2%減の2億27百万円だった。売上高の内訳は国内医薬品が22.9%減の29億65百万円、海外医薬品が12.5%増の17億88百万円、医薬品原体・医薬品受託製造が1.7%増の7億32百万円、ロイヤリティーが1百万円(前年同期は35億50百万円)だった。

 国内では、関節機能改善剤アルツや眼科手術補助剤オペガン類が薬価引き下げの影響を受け、関節機能改善剤ジョイクルが前年の販売開始に伴う出荷集中の反動で減少した。また前期計上のロイヤリティーが剥落した。海外は、米国においてコロナ禍影響から市場が概ね回復し、為替の円安も寄与した。中国ではコロナ禍に伴うロックダウンの影響で減少した。8月から出荷再開予定である。医薬品原体・医薬品受託製造は医薬品原体が増加したが、ダルトン社の医薬品受託製造が減少した。

 LAL事業は売上高が35.7%増の28億19百万円、営業利益が79.8%増の8億99百万円だった。ACC社におけるエンドトキシン測定用試薬、グルカン測定体外診断用医薬品、受託試験サービスが伸長した。

 通期連結業績予想については、関節機能改善剤ジョイクル(21年5月発売)のショック、アナフィラキーの発現に関する原因究明の進捗を見極める必要があるため、引き続き未定としている。配当予想は22年3月期比8円減配の22円(第2四半期末11円、期末11円)としている。

 なお期初時点の想定としては、22年4月以降の薬価引き下げ(国内医薬品全体の加重平均)が約▲11%(アルツは▲12.6%、オペガンは▲7%)で、ロイヤリティーが前期の一過性増加の反動で減少、研究開発費が米国で実施中の腰椎椎間板ヘルニア治療剤SI―6603追加臨床試験の被験者組み入れ完了で減少、コロナ禍の影響は22年3月期水準としている。

■株価は調整一巡

 22年5月13日に発表した自己株式取得(上限200万株・15億円、取得期間22年5月16日〜22年12月30日)については、22年9月30日時点の累計取得株式数が110万7800株となっている。

 株価は地合い悪化も影響して戻り一服の形となったが、一方では大きく下押す動きも見られない。調整一巡して出直りを期待したい。10月14日の終値は888円、今期予想配当利回り(会社予想の22円で算出)は約2.5%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS1179円46銭で算出)は約0.8倍、そして時価総額は約505億円である。(情報提供:日 本インタビュ新聞社=Media−IR)
[09月27日更新]

生化学工業は調整一巡し出直りに期待

 生化学工業<4548>(東証プライム)は、関節機能改善剤アルツなど糖質科学分野を主力とする医薬品メーカーで、海外展開も強化している。23年3月期の連結業績予想は、関節機能改善剤ジョイクルのショック、アナフィラキーの発現に関する原因究明の進捗を見極める必要があるため未定としている。株価は地合い悪化も影響して戻り一服の形となったが、調整一巡して出直りを期待したい。

■関節機能改善剤アルツなど糖質科学分野が主力の医薬品メーカー

 糖質科学分野が主力の医薬品メーカーで、国内医薬品(関節機能改善剤アルツ、白内障手術補助剤オペガン、内視鏡用粘膜下注入材ムコアップ)、海外医薬品(米国向け単回投与関節機能改善剤Gel−One、米国向け3回投与関節機能改善剤VISCO−3、米国向け5回投与関節機能改善剤SUPARTZ−FX、中国向けアルツ)、医薬品原体(ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸)、LAL事業(エンドトキシン測定用試薬関連)を展開している。

 22年3月期セグメント別構成比(22年3月期から受取ロイヤリティーを営業外収益から売上高に表示区分変更、販売手数料等を販管費計上から売上高控除に変更)は、売上高が医薬品事業74%(国内医薬品33%、海外医薬品22%、医薬品原体・医薬品受託製造7%、ロイヤリティー11%)でLAL事業26%、営業利益が医薬品事業49%、LAL事業51%だった。

 20年3月には海外製造拠点としてカナダのダルトン社を子会社化した。なおダルトン社を買収する際に中間持株会社として設立したSEC社、および買収目的会社として設立したSAC社が特定子会社に該当することになったため、ダルトン社とSAC社が現地法に基づく新設合併を行い、新設された新ダルトン社が旧ダルトン社から商号および事業を引き継いだ。

 20年8月には、ダルトン社がサスカチュワン大学の研究機関であるVIDO−InterVacと、VIDO−InterVacがカナダ政府およびサスカチュワン州から支援を受けて開発を進めているCOVID−19ワクチンの製造に関して、業務提携に合意した。ダルトン社は本提携により、COVID−19ワクチンの初期段階の臨床試験で投与される治験薬の調合、充填、製剤化を担う。

 21年4月にはLAL事業の海外子会社である米ACC社が、遺伝子組み換えエンドトキシン測定用試薬「パイロスマート ネクストジェン」の販売を開始した。21年8月には単回投与の関節機能改善剤ハイリンクについて、台湾のTCM社を通じて台湾における販売を開始した。

 21年11月には海外子会社のACC社が、遺伝子組み換えエンドトキシン測定用試薬「パイロスマート ネクストジェン」について、Pharma Manufacturing 2021 Innovation Awardを受賞した。

 22年1月にはダルトン社の100%出資子会社として、カナダに現地法人SEIKAGAKU NORTH AMERICA CORPORATIONを設立した。北米に開発拠点を有することで、現地の医療環境に即したプランの立案、FDA(米国食品医薬品局)や治験施設との円滑なコミュニケーション実現など、医薬品・医療機器開発および承認取得の加速を目指す。

 21年10月には海外子会社のACC社がカブトガニ保全活動において、この種の取り組みでは初めてとなるアメリカ産カブトガニ累計100万匹放流を達成した。また21年12月には会社HPにサステナビリティページを開設し、各種取組を紹介している。

■新薬開発は糖質科学分野に焦点

 研究開発は糖質科学分野(糖鎖や複合糖質を研究する科学分野)に焦点を絞っている。23年3月期第1四半期末時点の開発パイプラインには、腰椎椎間板ヘルニア治療剤SI−6603、変形性膝関節症改善剤SI−613、腱・靱帯付着部症を適応症とするSI−613−ETP、ドライアイ治療剤SI−614、間質性膀胱炎を適応症とするSI−722、癒着防止材SI−449がある。

 SI−6603は日本では18年3月製造販売承認を取得し、科研製薬<4521>が18年8月販売開始(腰椎椎間板ヘルニア治療剤ヘルニコア)した。またスイスのフェリング社と日本を除く全世界におけるライセンス契約を締結している。マイルストーン型ロイヤリティーの総額は最大95百万米ドル(うち契約一時金5百万米ドル)である。米国では第3相臨床の追加試験において、22年3月に被験者組み入れが完了した。1年間の経過観察を実施する。

 SI−613は小野薬品工業<4528>と日本における共同開発・販売提携に関する契約を締結し、21年3月に変形性関節症治療剤ONO−5704/SI−613(ジョイクル関節注30mg)が変形性関節症(膝関節、股関節)の効能または効果で国内製造販売承認を取得し、21年5月に小野薬品工業が販売開始した。マイルストーン型ロイヤリティーの総額は最大120億円(うち契約一時金20億円)である。20年9月にはエーザイ<4523>と韓国における販売提携に関する契約を締結した。エーザイの韓国子会社が韓国におけるSI−613独占的販売権を取得して製造販売申請を行い、承認取得後は製品をエーザイに供給する。契約一時金と販売マイルストーンを受け取る。エーザイとは20年4月に中国における共同開発および販売提携に関する契約を締結しており、2ヶ国目の提携となる。

 なお、その後、ジョイクル投与後にショック、アナフィラキーの発現が複数報告されたため、21年6月1日付で安全性速報(ブルーレター)を発出し、小野薬品工業と連携して副作用報告等の情報収集や安全性に関する情報提供に努めている。また原因究明に向けて医師主導の臨床研究を開始している。今後の方針としては、米国・中国・韓国におけるSI−613(変形性膝関節症)の開発方針を検討中で、日本におけるSI−613−ETP(腱・靭帯付着部症、小野薬品工業とのSI−613の契約に含む)の開発を22年2月に中断している。ジョイクルのショック、アナフィラキー発現に関する原因究明を優先する。

 SI−614は22年5月に米国で第3相臨床試験を開始した。有効性、安全性の評価を行う。SI−722は19年11月米国における第1・2相臨床試験を開始、20年3月被験者投与を開始、21年1月被験者組み入れが完了した。主目的である忍容性を確認し、次相試験を検討中である。SI−449は、20年5月に国内ピボタル試験(消化器外科領域)を開始した。そして21年11月に国内パイロット試験(婦人科領域)を開始し、22年5月に被験者組み入れが完了した。

■次期・中期経営計画は22年秋頃公表予定

 次期・中期経営計画については、ジョイクルのショック、アナフィラキー発現に関する原因究明の進捗や、腰椎椎間板ヘルニア治療剤SI−6603の動向により、経営計画や将来的な業績予想が大きく変動するため22年5月時点での公表を見送り、22年秋頃の公表を予定している。

■23年3月期予想は未定

 23年3月期第1四半期の連結業績は、売上高が前年同期比29.5%減の83億07百万円、営業利益が74.7%減の11億26百万円、経常利益が62.8%減の17億14百万円、親会社株主帰属四半期純利益が59.1%減の14億93百万円だった。

 海外はコロナ禍からの回復で好調だったが、国内における薬価引き下げや関節機能改善剤ジョイクルの前年の反動減、さらに前期計上のロイヤリティーの剥落などで大幅減収減益だった。研究開発費は2億48百万円減少の16億87百万円だった。米国で実施中の腰椎椎間板ヘルニア治療剤SI―6603追加臨床試験の被験者組み入れが完了した。営業外収益では為替差益4億15百万円を計上した。

 医薬品事業は売上高が43.5%減の54億88百万円、営業利益が94.2%減の2億27百万円だった。売上高の内訳は国内医薬品が22.9%減の29億65百万円、海外医薬品が12.5%増の17億88百万円、医薬品原体・医薬品受託製造が1.7%増の7億32百万円、ロイヤリティーが1百万円(前年同期は35億50百万円)だった。

 国内では、関節機能改善剤アルツや眼科手術補助剤オペガン類が薬価引き下げの影響を受け、関節機能改善剤ジョイクルが前年の販売開始に伴う出荷集中の反動で減少した。また前期計上のロイヤリティーが剥落した。海外は、米国においてコロナ禍影響から市場が概ね回復し、為替の円安も寄与した。中国ではコロナ禍に伴うロックダウンの影響で減少した。8月から出荷再開予定である。医薬品原体・医薬品受託製造は医薬品原体が増加したが、ダルトン社の医薬品受託製造が減少した。

 LAL事業は売上高が35.7%増の28億19百万円、営業利益が79.8%増の8億99百万円だった。ACC社におけるエンドトキシン測定用試薬、グルカン測定体外診断用医薬品、受託試験サービスが伸長した。

 通期連結業績予想については、関節機能改善剤ジョイクル(21年5月発売)のショック、アナフィラキーの発現に関する原因究明の進捗を見極める必要があるため、引き続き未定としている。配当予想は22年3月期比8円減配の22円(第2四半期末11円、期末11円)としている。

 なお期初時点の想定としては、22年4月以降の薬価引き下げ(国内医薬品全体の加重平均)が約▲11%(アルツは▲12.6%、オペガンは▲7%)で、ロイヤリティーが前期の一過性増加の反動で減少、研究開発費が米国で実施中の腰椎椎間板ヘルニア治療剤SI―6603追加臨床試験の被験者組み入れ完了で減少、コロナ禍の影響は22年3月期水準としている。

■株価は調整一巡

 22年5月13日に発表した自己株式取得(上限200万株・15億円、取得期間22年5月16日〜22年12月30日)については、22年8月31日時点の累計取得株式数が93万7000株となっている。

 株価は地合い悪化も影響して戻り一服の形となったが、調整一巡して出直りを期待したい。9月26日の終値は823円、今期予想配当利回り(会社予想の22円で算出)は約2.7%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS1179円46銭で算出)は約0.7倍、そして時価総額は約468億円である。(情報提供:日 本インタビュ新聞社=Media−IR)
[08月30日更新]

生化学工業は上値試す、23年3月期1Q大幅減益、通期予想は未定

 生化学工業<4548>(東証プライム)は、関節機能改善剤アルツなど糖質科学分野を主力とする医薬品メーカーで、海外展開も強化している。23年3月期第1四半期は海外がコロナ禍からの回復で好調だったが、国内における薬価引き下げや関節機能改善剤ジョイクルの前年の反動減、さらに前期計上のロイヤリティーの剥落などで大幅減収減益だった。通期の連結業績予想は、関節機能改善剤ジョイクルのショック、アナフィラキーの発現に関する原因究明の進捗を見極める必要があるため未定としている。株価は5月の安値圏で底打ちして戻り歩調だ。基調転換を確認した形であり、自律調整を交えながら上値を試す展開を期待したい。

■関節機能改善剤アルツなど糖質科学分野が主力の医薬品メーカー

 糖質科学分野が主力の医薬品メーカーで、国内医薬品(関節機能改善剤アルツ、白内障手術補助剤オペガン、内視鏡用粘膜下注入材ムコアップ)、海外医薬品(米国向け単回投与関節機能改善剤Gel−One、米国向け3回投与関節機能改善剤VISCO−3、米国向け5回投与関節機能改善剤SUPARTZ−FX、中国向けアルツ)、医薬品原体(ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸)、LAL事業(エンドトキシン測定用試薬関連)を展開している。

 22年3月期セグメント別構成比(22年3月期から受取ロイヤリティーを営業外収益から売上高に表示区分変更、販売手数料等を販管費計上から売上高控除に変更)は、売上高が医薬品事業74%(国内医薬品33%、海外医薬品22%、医薬品原体・医薬品受託製造7%、ロイヤリティー11%)でLAL事業26%、営業利益が医薬品事業49%、LAL事業51%だった。

 20年3月には海外製造拠点としてカナダのダルトン社を子会社化した。なおダルトン社を買収する際に中間持株会社として設立したSEC社、および買収目的会社として設立したSAC社が特定子会社に該当することになったため、ダルトン社とSAC社が現地法に基づく新設合併を行い、新設された新ダルトン社が旧ダルトン社から商号および事業を引き継いだ。

 20年8月には、ダルトン社がサスカチュワン大学の研究機関であるVIDO−InterVacと、VIDO−InterVacがカナダ政府およびサスカチュワン州から支援を受けて開発を進めているCOVID−19ワクチンの製造に関して、業務提携に合意した。ダルトン社は本提携により、COVID−19ワクチンの初期段階の臨床試験で投与される治験薬の調合、充填、製剤化を担う。

 21年4月にはLAL事業の海外子会社である米ACC社が、遺伝子組み換えエンドトキシン測定用試薬「パイロスマート ネクストジェン」の販売を開始した。21年8月には単回投与の関節機能改善剤ハイリンクについて、台湾のTCM社を通じて台湾における販売を開始した。

 21年11月には海外子会社のACC社が、遺伝子組み換えエンドトキシン測定用試薬「パイロスマート ネクストジェン」について、Pharma Manufacturing 2021 Innovation Awardを受賞した。

 21年1月にはダルトン社の100%出資子会社として、カナダに現地法人SEIKAGAKU NORTH AMERICA CORPORATIONを設立した。北米に開発拠点を有することで、現地の医療環境に即したプランの立案、FDA(米国食品医薬品局)や治験施設との円滑なコミュニケーション実現など、医薬品・医療機器開発および承認取得の加速を目指す。

 21年10月には海外子会社のACC社がカブトガニ保全活動において、この種の取り組みでは初めてとなるアメリカ産カブトガニ累計100万匹放流を達成した。また21年12月には会社HPにサステナビリティページを開設し、各種取組を紹介している。

■新薬開発は糖質科学分野に焦点

 研究開発は糖質科学分野(糖鎖や複合糖質を研究する科学分野)に焦点を絞っている。23年3月期第1四半期末時点の開発パイプラインには、腰椎椎間板ヘルニア治療剤SI−6603、変形性膝関節症改善剤SI−613、腱・靱帯付着部症を適応症とするSI−613−ETP、ドライアイ治療剤SI−614、間質性膀胱炎を適応症とするSI−722、癒着防止材SI−449がある。

 SI−6603は日本では18年3月製造販売承認を取得し、科研製薬<4521>が18年8月販売開始(腰椎椎間板ヘルニア治療剤ヘルニコア)した。またスイスのフェリング社と日本を除く全世界におけるライセンス契約を締結している。マイルストーン型ロイヤリティーの総額は最大95百万米ドル(うち契約一時金5百万米ドル)である。米国では第3相臨床の追加試験において、22年3月に被験者組み入れが完了した。1年間の経過観察を実施する。

 SI−613は小野薬品工業<4528>と日本における共同開発・販売提携に関する契約を締結し、21年3月に変形性関節症治療剤ONO−5704/SI−613(ジョイクル関節注30mg)が変形性関節症(膝関節、股関節)の効能または効果で国内製造販売承認を取得し、21年5月に小野薬品工業が販売開始した。マイルストーン型ロイヤリティーの総額は最大120億円(うち契約一時金20億円)である。20年9月にはエーザイ<4523>と韓国における販売提携に関する契約を締結した。エーザイの韓国子会社が韓国におけるSI−613独占的販売権を取得して製造販売申請を行い、承認取得後は製品をエーザイに供給する。契約一時金と販売マイルストーンを受け取る。エーザイとは20年4月に中国における共同開発および販売提携に関する契約を締結しており、2ヶ国目の提携となる。

 なお、その後、ジョイクル投与後にショック、アナフィラキーの発現が複数報告されたため、21年6月1日付で安全性速報(ブルーレター)を発出し、小野薬品工業と連携して副作用報告等の情報収集や安全性に関する情報提供に努めている。また原因究明に向けて医師主導の臨床研究を開始している。今後の方針としては、米国・中国・韓国におけるSI−613(変形性膝関節症)の開発方針を検討中で、日本におけるSI−613−ETP(腱・靭帯付着部症、小野薬品工業とのSI−613の契約に含む)の開発を22年2月に中断している。ジョイクルのショック、アナフィラキー発現に関する原因究明を優先する。

 SI−614は22年5月に米国で第3相臨床試験を開始した。有効性、安全性の評価を行う。SI−722は19年11月米国における第1・2相臨床試験を開始、20年3月被験者投与を開始、21年1月被験者組み入れが完了した。主目的である忍容性を確認し、次相試験を検討中である。SI−449は、20年5月に国内ピボタル試験(消化器外科領域)を開始した。そして21年11月に国内パイロット試験(婦人科領域)を開始し、22年5月に被験者組み入れが完了した。

■次期・中期経営計画は22年秋頃公表予定

 次期・中期経営計画については、ジョイクルのショック、アナフィラキー発現に関する原因究明の進捗や、腰椎椎間板ヘルニア治療剤SI−6603の動向により、経営計画や将来的な業績予想が大きく変動するため22年5月時点での公表を見送り、22年秋頃の公表を予定している。

■23年3月期1Qは前期の反動で大幅減益、通期予想は未定

 23年3月期第1四半期の連結業績は、売上高が前年同期比29.5%減の83億07百万円、営業利益が74.7%減の11億26百万円、経常利益が62.8%減の17億14百万円、親会社株主帰属四半期純利益が59.1%減の14億93百万円だった。

 海外はコロナ禍からの回復で好調だったが、国内における薬価引き下げや関節機能改善剤ジョイクルの前年の反動減、さらに前期計上のロイヤリティーの剥落などで大幅減収減益だった。研究開発費は2億48百万円減少の16億87百万円だった。米国で実施中の腰椎椎間板ヘルニア治療剤SI―6603追加臨床試験の被験者組み入れが完了した。営業外収益では為替差益4億15百万円を計上した。

 医薬品事業は売上高が43.5%減の54億88百万円、営業利益が94.2%減の2億27百万円だった。売上高の内訳は国内医薬品が22.9%減の29億65百万円、海外医薬品が12.5%増の17億88百万円、医薬品原体・医薬品受託製造が1.7%増の7億32百万円、ロイヤリティーが1百万円(前年同期は35億50百万円)だった。

 国内では、関節機能改善剤アルツや眼科手術補助剤オペガン類が薬価引き下げの影響を受け、関節機能改善剤ジョイクルが前年の販売開始に伴う出荷集中の反動で減少した。また前期計上のロイヤリティーが剥落した。海外は、米国においてコロナ禍影響から市場が概ね回復し、為替の円安も寄与した。中国ではコロナ禍に伴うロックダウンの影響で減少した。8月から出荷再開予定である。医薬品原体・医薬品受託製造は医薬品原体が増加したが、ダルトン社の医薬品受託製造が減少した。

 LAL事業は売上高が35.7%増の28億19百万円、営業利益が79.8%増の8億99百万円だった。ACC社におけるエンドトキシン測定用試薬、グルカン測定体外診断用医薬品、受託試験サービスが伸長した。

 通期連結業績予想については、関節機能改善剤ジョイクル(21年5月発売)のショック、アナフィラキーの発現に関する原因究明の進捗を見極める必要があるため、引き続き未定としている。配当予想は22年3月期比8円減配の22円(第2四半期末11円、期末11円)としている。

 なお期初時点の想定としては、22年4月以降の薬価引き下げ(国内医薬品全体の加重平均)が約▲11%(アルツは▲12.6%、オペガンは▲7%)で、ロイヤリティーが前期の一過性増加の反動で減少、研究開発費が米国で実施中の腰椎椎間板ヘルニア治療剤SI―6603追加臨床試験の被験者組み入れ完了で減少、コロナ禍の影響は22年3月期水準としている。

■株価は上値試す

 22年5月13日に発表した自己株式取得(上限200万株・15億円、取得期間22年5月16日〜22年12月30日)については、22年7月31日時点の累計取得株式数が68万5900株となっている。

 株価は5月の安値圏で底打ちして戻り歩調だ。週足チャートで見ると13週移動平均線が26週移動平均線を上抜いて基調転換を確認した形であり、自律調整を交えながら上値を試す展開を期待したい。8月29日の終値は871円、今期予想配当利回り(会社予想の22円で算出)は約2.5%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS1179円46銭で算出)は約0.7倍、そして時価総額は約495億円である。(情報提供:日 本インタビュ新聞社=Media−IR)
[07月27日更新]

生化学工業は戻り歩調、23年3月期連結業績予想は未定

 生化学工業<4548>(東証プライム)は、関節機能改善剤アルツなど糖質科学分野を主力とする医薬品メーカーで、海外展開も強化している。23年3月期の連結業績予想は、関節機能改善剤ジョイクルのショック、アナフィラキーの発現に関する原因究明の進捗を見極める必要があるため未定としている。期初時点での想定としては、薬価引き下げやロイヤリティーの反動減がマイナス要因だが、米国で実施中の腰椎椎間板ヘルニア治療剤SI―6603追加臨床試験の被験者組み入れ完了に伴う研究開発費の減少がプラス要因としている。株価は5月の安値圏で底打ちして戻り歩調だ。基調転換を確認して上値を試す展開を期待したい。なお8月5日に23年3月期第1四半期決算発表を予定している。

■関節機能改善剤アルツなど糖質科学分野が主力の医薬品メーカー

 糖質科学分野が主力の医薬品メーカーで、国内医薬品(関節機能改善剤アルツ、白内障手術補助剤オペガン、内視鏡用粘膜下注入材ムコアップ)、海外医薬品(米国向け単回投与関節機能改善剤Gel−One、米国向け3回投与関節機能改善剤VISCO−3、米国向け5回投与関節機能改善剤SUPARTZ−FX、中国向けアルツ)、医薬品原体(ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸)、LAL事業(エンドトキシン測定用試薬関連)を展開している。

 22年3月期セグメント別構成比(22年3月期から受取ロイヤリティーを営業外収益から売上高に表示区分変更、販売手数料等を販管費計上から売上高控除に変更)は、売上高が医薬品事業74%(国内医薬品33%、海外医薬品22%、医薬品原体・医薬品受託製造7%、ロイヤリティー11%)でLAL事業26%、営業利益が医薬品事業49%、LAL事業51%だった。

 20年3月には海外製造拠点としてカナダのダルトン社を子会社化した。なおダルトン社を買収する際に中間持株会社として設立したSEC社、および買収目的会社として設立したSAC社が特定子会社に該当することになったため、ダルトン社とSAC社が現地法に基づく新設合併を行い、新設された新ダルトン社が旧ダルトン社から商号および事業を引き継いだ。

 20年8月には、ダルトン社がサスカチュワン大学の研究機関であるVIDO−InterVacと、VIDO−InterVacがカナダ政府およびサスカチュワン州から支援を受けて開発を進めているCOVID−19ワクチンの製造に関して、業務提携に合意した。ダルトン社は本提携により、COVID−19ワクチンの初期段階の臨床試験で投与される治験薬の調合、充填、製剤化を担う。

 21年4月にはLAL事業の海外子会社である米ACC社が、遺伝子組み換えエンドトキシン測定用試薬「パイロスマート ネクストジェン」の販売を開始した。21年8月には単回投与の関節機能改善剤ハイリンクについて、台湾のTCM社を通じて台湾における販売を開始した。

 21年11月には海外子会社のACC社が、遺伝子組み換えエンドトキシン測定用試薬「パイロスマート ネクストジェン」について、Pharma Manufacturing 2021 Innovation Awardを受賞した。

 21年1月にはダルトン社の100%出資子会社として、カナダに現地法人SEIKAGAKU NORTH AMERICA CORPORATIONを設立した。北米に開発拠点を有することで、現地の医療環境に即したプランの立案、FDA(米国食品医薬品局)や治験施設との円滑なコミュニケーション実現など、医薬品・医療機器開発および承認取得の加速を目指す。

 21年10月には海外子会社のACC社がカブトガニ保全活動において、この種の取り組みでは初めてとなるアメリカ産カブトガニ累計100万匹放流を達成した。また21年12月には会社HPにサステナビリティページを開設し、各種取組を紹介している。

■新薬開発は糖質科学分野に焦点

 研究開発は糖質科学分野(糖鎖や複合糖質を研究する科学分野)に焦点を絞っている。開発パイプラインには、腰椎椎間板ヘルニア治療剤SI−6603、変形性膝関節症改善剤SI−613、腱・靱帯付着部症を適応症とするSI−613−ETP、ドライアイ治療剤SI−614、間質性膀胱炎を適応症とするSI−722、癒着防止材SI−449がある。

 SI−6603は日本では18年3月製造販売承認を取得し、科研製薬<4521>が18年8月販売開始(腰椎椎間板ヘルニア治療剤ヘルニコア)した。またスイスのフェリング社と日本を除く全世界におけるライセンス契約を締結している。マイルストーン型ロイヤリティーの総額は最大95百万米ドル(うち契約一時金5百万米ドル)である。米国では第3相臨床の追加試験において、22年3月に被験者組み入れが完了した。1年間の経過観察を実施する。

 SI−613は小野薬品工業<4528>と日本における共同開発・販売提携に関する契約を締結し、21年3月に変形性関節症治療剤ONO−5704/SI−613(ジョイクル関節注30mg)が変形性関節症(膝関節、股関節)の効能または効果で国内製造販売承認を取得し、21年5月に小野薬品工業が販売開始した。マイルストーン型ロイヤリティーの総額は最大120億円(うち契約一時金20億円)である。20年9月にはエーザイ<4523>と韓国における販売提携に関する契約を締結した。エーザイの韓国子会社が韓国におけるSI−613独占的販売権を取得して製造販売申請を行い、承認取得後は製品をエーザイに供給する。契約一時金と販売マイルストーンを受け取る。エーザイとは20年4月に中国における共同開発および販売提携に関する契約を締結しており、2ヶ国目の提携となる。

 なお、その後、ジョイクル投与後にショック、アナフィラキーの発現が複数報告されたため、21年6月1日付で安全性速報(ブルーレター)を発出し、小野薬品工業と連携して副作用報告等の情報収集や安全性に関する情報提供に努めている。また原因究明に向けて医師主導の臨床研究を開始している。今後の方針としては、米国・中国・韓国におけるSI−613(変形性膝関節症)の開発方針を検討中で、日本におけるSI−613−ETP(腱・靭帯付着部症、小野薬品工業とのSI−613の契約に含む)の開発を22年2月に中断している。ジョイクルのショック、アナフィラキー発現に関する原因究明を優先する。

 SI−614は22年5月に米国で第3相臨床試験を開始した。有効性、安全性の評価を行う。SI−722は19年11月米国における第1・2相臨床試験を開始、20年3月被験者投与を開始、21年1月被験者組み入れが完了した。主目的である忍容性を確認し、次相試験を検討中である。SI−449は、20年5月に国内ピボタル試験(消化器外科領域)を開始し、さらに21年11月には国内パイロット試験(婦人科領域)を開始した。適用範囲の拡大を目指す。

■次期・中期経営計画は22年秋頃公表予定

 次期・中期経営計画については、ジョイクルのショック、アナフィラキー発現に関する原因究明の進捗や、腰椎椎間板ヘルニア治療剤SI−6603の動向により、経営計画や将来的な業績予想が大きく変動するため22年5月時点での公表を見送り、22年秋頃の公表を予定している。

■23年3月期連結業績予想は未定

 23年3月期の連結業績予想については、関節機能改善剤ジョイクルのショック、アナフィラキーの発現に関する原因究明の進捗を見極める必要があるため未定としている。配当予想は22年3月期比8円減配の22円(第2四半期末11円、期末11円)としている。

 なお現時点での想定は、22年4月以降の薬価引き下げ(国内医薬品全体の加重平均)が約▲11%(アルツは▲12.6%、オペガンは▲7%)で、ロイヤリティーが前期の一過性増加の反動で減少、研究開発費が米国で実施中の腰椎椎間板ヘルニア治療剤SI―6603追加臨床試験の被験者組み入れ完了で減少、コロナ禍の影響は22年3月期水準としている。

■株価は戻り歩調

 22年5月13日に発表した自己株式取得(上限200万株・15億円、取得期間22年5月16日〜22年12月30日)については、22年6月30日時点の累計取得株式数が44万7400株となっている。

 株価は5月の安値圏で底打ちして戻り歩調だ。週足チャートで見ると13週移動平均線に続いて26週移動平均線を突破した。基調転換を確認して上値を試す展開を期待したい。7月26日の終値は877円、今期予想配当利回り(会社予想の22円で算出)は約2.5%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS1179円46銭で算出)は約0.7倍、そして時価総額は約498億円である。(情報提供:日 本インタビュ新聞社=Media−IR)
[07月07日更新]

生化学工業は戻り試す、23年3月期連結業績予想は未定

 生化学工業<4548>(東証プライム)は、関節機能改善剤アルツなど糖質科学分野を主力とする医薬品メーカーである。23年3月期の連結業績予想は、関節機能改善剤ジョイクルのショック、アナフィラキーの発現に関する原因究明の進捗を見極める必要があるため未定としている。株価は水準を切り下げる軟調展開だったが、6月の安値圏から反発して底打ち感を強めている。基調転換して戻りを試す展開を期待したい。なお8月5日に23年3月期第1四半期決算発表を予定している。

■関節機能改善剤アルツなど糖質科学分野が主力の医薬品メーカー

 糖質科学分野が主力の医薬品メーカーで、国内医薬品(関節機能改善剤アルツ、白内障手術補助剤オペガン、内視鏡用粘膜下注入材ムコアップ)、海外医薬品(米国向け単回投与関節機能改善剤Gel−One、米国向け3回投与関節機能改善剤VISCO−3、米国向け5回投与関節機能改善剤SUPARTZ−FX、中国向けアルツ)、医薬品原体(ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸)、LAL事業(エンドトキシン測定用試薬関連)を展開している。

 22年3月期セグメント別構成比(22年3月期から受取ロイヤリティーを営業外収益から売上高に表示区分変更、販売手数料等を販管費計上から売上高控除に変更)は、売上高が医薬品事業74%(国内医薬品33%、海外医薬品22%、医薬品原体・医薬品受託製造7%、ロイヤリティー11%)でLAL事業26%、営業利益が医薬品事業49%、LAL事業51%だった。

 20年3月には海外製造拠点としてカナダのダルトン社を子会社化した。なおダルトン社を買収する際に中間持株会社として設立したSEC社、および買収目的会社として設立したSAC社が特定子会社に該当することになったため、ダルトン社とSAC社が現地法に基づく新設合併を行い、新設された新ダルトン社が旧ダルトン社から商号および事業を引き継いだ。

 20年8月には、ダルトン社がサスカチュワン大学の研究機関であるVIDO−InterVacと、VIDO−InterVacがカナダ政府およびサスカチュワン州から支援を受けて開発を進めているCOVID−19ワクチンの製造に関して、業務提携に合意した。ダルトン社は本提携により、COVID−19ワクチンの初期段階の臨床試験で投与される治験薬の調合、充填、製剤化を担う。

 21年4月にはLAL事業の海外子会社である米ACC社が、遺伝子組み換えエンドトキシン測定用試薬「パイロスマート ネクストジェン」の販売を開始した。21年8月には単回投与の関節機能改善剤ハイリンクについて、台湾のTCM社を通じて台湾における販売を開始した。

 21年11月には海外子会社のACC社が、遺伝子組み換えエンドトキシン測定用試薬「パイロスマート ネクストジェン」について、Pharma Manufacturing 2021 Innovation Awardを受賞した。

 21年1月にはダルトン社の100%出資子会社として、カナダに現地法人SEIKAGAKU NORTH AMERICA CORPORATIONを設立した。北米に開発拠点を有することで、現地の医療環境に即したプランの立案、FDA(米国食品医薬品局)や治験施設との円滑なコミュニケーション実現など、医薬品・医療機器開発および承認取得の加速を目指す。

 21年10月には海外子会社のACC社がカブトガニ保全活動において、この種の取り組みでは初めてとなるアメリカ産カブトガニ累計100万匹放流を達成した。また21年12月には会社HPにサステナビリティページを開設し、各種取組を紹介している。

■新薬開発は糖質科学分野に焦点

 研究開発は糖質科学分野(糖鎖や複合糖質を研究する科学分野)に焦点を絞っている。開発パイプラインには、腰椎椎間板ヘルニア治療剤SI−6603、変形性膝関節症改善剤SI−613、腱・靱帯付着部症を適応症とするSI−613−ETP、ドライアイ治療剤SI−614、間質性膀胱炎を適応症とするSI−722、癒着防止材SI−449がある。

 SI−6603は日本では18年3月製造販売承認を取得し、科研製薬<4521>が18年8月販売開始(腰椎椎間板ヘルニア治療剤ヘルニコア)した。またスイスのフェリング社と日本を除く全世界におけるライセンス契約を締結している。マイルストーン型ロイヤリティーの総額は最大95百万米ドル(うち契約一時金5百万米ドル)である。米国では第3相臨床の追加試験において、22年3月に被験者組み入れが完了した。1年間の経過観察を実施する。

 SI−613は小野薬品工業<4528>と日本における共同開発・販売提携に関する契約を締結し、21年3月に変形性関節症治療剤ONO−5704/SI−613(ジョイクル関節注30mg)が変形性関節症(膝関節、股関節)の効能または効果で国内製造販売承認を取得し、21年5月に小野薬品工業が販売開始した。マイルストーン型ロイヤリティーの総額は最大120億円(うち契約一時金20億円)である。20年9月にはエーザイ<4523>と韓国における販売提携に関する契約を締結した。エーザイの韓国子会社が韓国におけるSI−613独占的販売権を取得して製造販売申請を行い、承認取得後は製品をエーザイに供給する。契約一時金と販売マイルストーンを受け取る。エーザイとは20年4月に中国における共同開発および販売提携に関する契約を締結しており、2ヶ国目の提携となる。

 なお、その後、ジョイクル投与後にショック、アナフィラキーの発現が複数報告されたため、21年6月1日付で安全性速報(ブルーレター)を発出し、小野薬品工業と連携して副作用報告等の情報収集や安全性に関する情報提供に努めている。また原因究明に向けて医師主導の臨床研究を開始している。今後の方針としては、米国・中国・韓国におけるSI−613(変形性膝関節症)の開発方針を検討中で、日本におけるSI−613−ETP(腱・靭帯付着部症、小野薬品工業とのSI−613の契約に含む)の開発を22年2月に中断している。ジョイクルのショック、アナフィラキー発現に関する原因究明を優先する。

 SI−614は22年5月に米国で第3相臨床試験を開始した。有効性、安全性の評価を行う。SI−722は19年11月米国における第1・2相臨床試験を開始、20年3月被験者投与を開始、21年1月被験者組み入れが完了した。主目的である忍容性を確認し、次相試験を検討中である。SI−449は、20年5月に国内ピボタル試験(消化器外科領域)を開始し、さらに21年11月には国内パイロット試験(婦人科領域)を開始した。適用範囲の拡大を目指す。

■次期・中期経営計画は22年秋頃公表予定

 次期・中期経営計画については、ジョイクルのショック、アナフィラキー発現に関する原因究明の進捗や、腰椎椎間板ヘルニア治療剤SI−6603の動向により、経営計画や将来的な業績予想が大きく変動するため22年5月時点での公表を見送り、22年秋頃の公表を予定している。

■23年3月期連結業績予想は未定

 23年3月期の連結業績予想については、関節機能改善剤ジョイクルのショック、アナフィラキーの発現に関する原因究明の進捗を見極める必要があるため未定としている。配当予想は22年3月期比8円減配の22円(第2四半期末11円、期末11円)としている。

 なお現時点での想定は、22年4月以降の薬価引き下げ(国内医薬品全体の加重平均)が約▲11%(アルツは▲12.6%、オペガンは▲7%)で、ロイヤリティーが前期の一過性増加の反動で減少、研究開発費が米国で実施中の腰椎椎間板ヘルニア治療剤SI―6603追加臨床試験の被験者組み入れ完了で減少、コロナ禍の影響は22年3月期水準としている。

■株価は戻り試す

 22年5月13日に発表した自己株式取得(上限200万株・15億円、取得期間22年5月16日〜22年12月30日)については、22年6月30日時点の累計取得株式数が44万7400株となっている。

 株価は水準を切り下げる軟調展開が続いたが、6月の安値圏から反発して底打ち感を強めている。基調転換して戻りを試す展開を期待したい。7月6日の終値は823円、今期予想配当利回り(会社予想の22円で算出)は約2.7%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS1179円46銭で算出)は約0.7倍、そして時価総額は約468億円である。(情報提供:日 本インタビュ新聞社=Media−IR
[06月23日更新]

生化学工業は底打ちの可能性、23年3月期連結業績予想は未定

 生化学工業<4548>(東証プライム)は、関節機能改善剤アルツなど糖質科学分野を主力とする医薬品メーカーである。23年3月期の連結業績予想は未定としている。関節機能改善剤ジョイクルのショック、アナフィラキーの発現に関する原因究明の進捗を見極める必要があるためとしている。株価は地合い悪化も影響して安値を更新する展開だったが、売り一巡して反発の動きを強めている。底打ちした可能性があり、出直りを期待したい。

■関節機能改善剤アルツなど糖質科学分野が主力の医薬品メーカー

 糖質科学分野が主力の医薬品メーカーで、国内医薬品(関節機能改善剤アルツ、白内障手術補助剤オペガン、内視鏡用粘膜下注入材ムコアップ)、海外医薬品(米国向け単回投与関節機能改善剤Gel−One、米国向け3回投与関節機能改善剤VISCO−3、米国向け5回投与関節機能改善剤SUPARTZ−FX、中国向けアルツ)、医薬品原体(ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸)、LAL事業(エンドトキシン測定用試薬関連)を展開している。

 22年3月期セグメント別構成比(22年3月期から受取ロイヤリティーを営業外収益から売上高に表示区分変更、販売手数料等を販管費計上から売上高控除に変更)は、売上高が医薬品事業74%(国内医薬品33%、海外医薬品22%、医薬品原体・医薬品受託製造7%、ロイヤリティー11%)でLAL事業26%、営業利益が医薬品事業49%、LAL事業51%だった。

 20年3月には海外製造拠点としてカナダのダルトン社を子会社化した。なおダルトン社を買収する際に中間持株会社として設立したSEC社、および買収目的会社として設立したSAC社が特定子会社に該当することになったため、ダルトン社とSAC社が現地法に基づく新設合併を行い、新設された新ダルトン社が旧ダルトン社から商号および事業を引き継いだ。

 20年8月には、ダルトン社がサスカチュワン大学の研究機関であるVIDO−InterVacと、VIDO−InterVacがカナダ政府およびサスカチュワン州から支援を受けて開発を進めているCOVID−19ワクチンの製造に関して、業務提携に合意した。ダルトン社は本提携により、COVID−19ワクチンの初期段階の臨床試験で投与される治験薬の調合、充填、製剤化を担う。

 21年4月にはLAL事業の海外子会社である米ACC社が、遺伝子組み換えエンドトキシン測定用試薬「パイロスマート ネクストジェン」の販売を開始した。21年8月には単回投与の関節機能改善剤ハイリンクについて、台湾のTCM社を通じて台湾における販売を開始した。

 21年11月には海外子会社のACC社が、遺伝子組み換えエンドトキシン測定用試薬「パイロスマート ネクストジェン」について、Pharma Manufacturing 2021 Innovation Awardを受賞した。

 21年1月にはダルトン社の100%出資子会社として、カナダに現地法人SEIKAGAKU NORTH AMERICA CORPORATIONを設立した。北米に開発拠点を有することで、現地の医療環境に即したプランの立案、FDA(米国食品医薬品局)や治験施設との円滑なコミュニケーション実現など、医薬品・医療機器開発および承認取得の加速を目指す。

 21年10月には海外子会社のACC社がカブトガニ保全活動において、この種の取り組みでは初めてとなるアメリカ産カブトガニ累計100万匹放流を達成した。また21年12月には会社HPにサステナビリティページを開設し、各種取組を紹介している。

■新薬開発は糖質科学分野に焦点

 研究開発は糖質科学分野(糖鎖や複合糖質を研究する科学分野)に焦点を絞っている。開発パイプラインには、腰椎椎間板ヘルニア治療剤SI−6603、変形性膝関節症改善剤SI−613、腱・靱帯付着部症を適応症とするSI−613−ETP、ドライアイ治療剤SI−614、間質性膀胱炎を適応症とするSI−722、癒着防止材SI−449がある。

 SI−6603は日本では18年3月製造販売承認を取得し、科研製薬<4521>が18年8月販売開始(腰椎椎間板ヘルニア治療剤ヘルニコア)した。またスイスのフェリング社と日本を除く全世界におけるライセンス契約を締結している。マイルストーン型ロイヤリティーの総額は最大95百万米ドル(うち契約一時金5百万米ドル)である。米国では第3相臨床の追加試験において、22年3月に被験者組み入れが完了した。1年間の経過観察を実施する。

 SI−613は小野薬品工業<4528>と日本における共同開発・販売提携に関する契約を締結し、21年3月に変形性関節症治療剤ONO−5704/SI−613(ジョイクル関節注30mg)が変形性関節症(膝関節、股関節)の効能または効果で国内製造販売承認を取得し、21年5月に小野薬品工業が販売開始した。マイルストーン型ロイヤリティーの総額は最大120億円(うち契約一時金20億円)である。また20年9月にエーザイ<4523>と韓国における販売提携に関する契約を締結した。エーザイの韓国子会社が韓国におけるSI−613独占的販売権を取得して製造販売申請を行う。承認取得後は製品をエーザイに供給する。契約一時金と販売マイルストーンを受け取る。エーザイとは20年4月に中国における共同開発および販売提携に関する契約を締結しており、2ヶ国目の提携となる。

 その後、ジョイクル投与後にショック、アナフィラキーの発現が複数報告されたため、21年6月1日付で安全性速報(ブルーレター)を発出し、小野薬品工業と連携して副作用報告等の情報収集や安全性に関する情報提供に努めている。また原因究明に向けて医師主導の臨床研究を開始した。

 今後の方針としては、米国・中国・韓国におけるSI−613(変形性膝関節症)の開発方針を検討中で、日本におけるSI−613−ETP(腱・靭帯付着部症、小野薬品工業とのSI−613の契約に含む)の開発を22年2月に中断している。ジョイクルのショック、アナフィラキー発現に関する原因究明を優先する。

 SI−614は22年5月に米国で第3相臨床試験を開始した。有効性、安全性の評価を行う。SI−722は19年11月米国における第1・2相臨床試験を開始、20年3月被験者投与を開始、21年1月被験者組み入れが完了した。主目的である忍容性を確認し、次相試験を検討中である。SI−449は、20年5月に国内ピボタル試験(消化器外科領域)を開始し、さらに21年11月には国内パイロット試験(婦人科領域)を開始した。適用範囲の拡大を目指す。

■次期・中期経営計画は22年秋頃公表予定

 次期・中期経営計画については、ジョイクルのショック、アナフィラキー発現に関する原因究明の進捗や、腰椎椎間板ヘルニア治療剤SI−6603の動向により、経営計画や将来的な業績予想が大きく変動するため22年5月時点での公表を見送り、22年秋頃の公表を予定している。

■23年3月期連結業績予想は未定

 23年3月期の連結業績予想については、関節機能改善剤ジョイクルのショック、アナフィラキーの発現に関する原因究明の進捗を見極める必要があるため未定としている。配当予想は22年3月期比8円減配の22円(第2四半期末11円、期末11円)としている。

 現時点での想定は、22年4月以降の薬価引き下げ(国内医薬品全体の加重平均)が約▲11%(アルツは▲12.6%、オペガンは▲7%)で、ロイヤリティーが前期の一過性増加の反動で減少、研究開発費が米国で実施中の腰椎椎間板ヘルニア治療剤SI―6603追加臨床試験の被験者組み入れ完了で減少、コロナ禍の影響は22年3月期水準としている。

■株価は底打ちの可能性

 22年5月13日に発表した自己株式取得(上限200万株・15億円、取得期間22年5月16日〜22年12月30日)については、22年5月31日時点の累計取得株式数が20万1300株となっている。

 株価は地合い悪化も影響して安値を更新する展開だったが、売り一巡して反発の動きを強めている。底打ちした可能性があり、出直りを期待したい。6月22日の終値は814円、今期予想配当利回り(会社予想の22円で算出)は約2.7%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS1179円46銭で算出)は約0.7倍、そして時価総額は約462億円である。(情報提供:日 本インタビュ新聞社=Media−IR)
[05月26日更新]

生化学工業は売られ過ぎ感、23年3月期予想は未定

 生化学工業<4548>(東証プライム)は、関節機能改善剤アルツなど糖質科学分野を主力とする医薬品メーカーである。22年3月期はコロナ禍影響からの需要回復、海外医薬品の前倒し出荷、医薬品受託製造の増加、受取ロイヤリティーの増加で大幅増収増益だった。23年3月期連結業績予想は、関節機能改善剤ジョイクルのショック、アナフィラキーの発現に関する原因究明の進捗を見極める必要があるため未定としている。なお自己株式取得を発表している。株価は23年3月期業績予想未定を嫌気し、さらに地合い悪化も影響して年初来安値を更新する展開だが、売られ過ぎ感を強めている。自己株式取得も評価して反発を期待したい。

■関節機能改善剤アルツなど糖質科学分野が主力の医薬品メーカー

 糖質科学分野が主力の医薬品メーカーで、国内医薬品(関節機能改善剤アルツ、白内障手術補助剤オペガン、内視鏡用粘膜下注入材ムコアップ)、海外医薬品(米国向け単回投与関節機能改善剤Gel−One、米国向け3回投与関節機能改善剤VISCO−3、米国向け5回投与関節機能改善剤SUPARTZ−FX、中国向けアルツ)、医薬品原体(ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸)、LAL事業(エンドトキシン測定用試薬関連)を展開している。

 22年3月期セグメント別構成比(22年3月期から受取ロイヤリティーを営業外収益から売上高に表示区分変更、販売手数料等を販管費計上から売上高控除に変更)は、売上高が医薬品事業74%(国内医薬品33%、海外医薬品22%、医薬品原体・医薬品受託製造7%、ロイヤリティー11%)でLAL事業26%、営業利益が医薬品事業49%、LAL事業51%だった。

 20年3月には海外製造拠点としてカナダのダルトン社を子会社化した。なおダルトン社を買収する際に中間持株会社として設立したSEC社、および買収目的会社として設立したSAC社が特定子会社に該当することになったため、ダルトン社とSAC社が現地法に基づく新設合併を行い、新設された新ダルトン社が旧ダルトン社から商号および事業を引き継いだ。

 20年8月には、ダルトン社がサスカチュワン大学の研究機関であるVIDO−InterVacと、VIDO−InterVacがカナダ政府およびサスカチュワン州から支援を受けて開発を進めているCOVID−19ワクチンの製造に関して、業務提携に合意した。ダルトン社は本提携により、COVID−19ワクチンの初期段階の臨床試験で投与される治験薬の調合、充填、製剤化を担う。

 21年4月にはLAL事業の海外子会社である米ACC社が、遺伝子組み換えエンドトキシン測定用試薬「パイロスマート ネクストジェン」の販売を開始した。21年8月には単回投与の関節機能改善剤ハイリンクについて、台湾のTCM社を通じて台湾における販売を開始した。

 21年11月には海外子会社のACC社が、遺伝子組み換えエンドトキシン測定用試薬「パイロスマート ネクストジェン」について、Pharma Manufacturing 2021 Innovation Awardを受賞した。

 21年1月にはダルトン社の100%出資子会社として、カナダに現地法人SEIKAGAKU NORTH AMERICA CORPORATIONを設立した。北米に開発拠点を有することで、現地の医療環境に即したプランの立案、FDA(米国食品医薬品局)や治験施設との円滑なコミュニケーション実現など、医薬品・医療機器開発および承認取得の加速を目指す。

 21年10月には海外子会社のACC社がカブトガニ保全活動において、この種の取り組みでは初めてとなるアメリカ産カブトガニ累計100万匹放流を達成した。また21年12月には会社HPにサステナビリティページを開設し、各種取組を紹介している。

■新薬開発は糖質科学分野に焦点

 研究開発は糖質科学分野(糖鎖や複合糖質を研究する科学分野)に焦点を絞っている。開発パイプラインには、腰椎椎間板ヘルニア治療剤SI−6603、変形性膝関節症改善剤SI−613、腱・靱帯付着部症を適応症とするSI−613−ETP、ドライアイ治療剤SI−614、間質性膀胱炎を適応症とするSI−722、癒着防止材SI−449がある。

 SI−6603は日本では18年3月製造販売承認を取得し、科研製薬<4521>が18年8月販売開始(腰椎椎間板ヘルニア治療剤ヘルニコア)した。またスイスのフェリング社と日本を除く全世界におけるライセンス契約を締結している。マイルストーン型ロイヤリティーの総額は最大95百万米ドル(うち契約一時金5百万米ドル)である。米国では第3相臨床の追加試験において、22年3月に被験者組み入れが完了した。1年間の経過観察を実施する。

 SI−613は小野薬品工業<4528>と日本における共同開発・販売提携に関する契約を締結し、21年3月に変形性関節症治療剤ONO−5704/SI−613(ジョイクル関節注30mg)が変形性関節症(膝関節、股関節)の効能または効果で国内製造販売承認を取得し、21年5月に小野薬品工業が販売開始した。マイルストーン型ロイヤリティーの総額は最大120億円(うち契約一時金20億円)である。また20年9月にエーザイ<4523>と韓国における販売提携に関する契約を締結した。エーザイの韓国子会社が韓国におけるSI−613独占的販売権を取得して製造販売申請を行う。承認取得後は製品をエーザイに供給する。契約一時金と販売マイルストーンを受け取る。エーザイとは20年4月に中国における共同開発および販売提携に関する契約を締結しており、2ヶ国目の提携となる。

 その後、ジョイクル投与後にショック、アナフィラキーの発現が複数報告されたため、21年6月1日付で安全性速報(ブルーレター)を発出し、小野薬品工業と連携して副作用報告等の情報収集や安全性に関する情報提供に努めている。また原因究明に向けて医師主導の臨床研究を開始した。

 今後の方針としては、米国・中国・韓国におけるSI−613(変形性膝関節症)の開発方針を検討中で、日本におけるSI−613−ETP(腱・靭帯付着部症、小野薬品工業とのSI−613の契約に含む)の開発を22年2月に中断している。ジョイクルのショック、アナフィラキー発現に関する原因究明を優先する。

 SI−614は22年5月に米国で第3相臨床試験を開始した。有効性、安全性の評価を行う。SI−722は19年11月米国における第1・2相臨床試験を開始、20年3月被験者投与を開始、21年1月被験者組み入れが完了した。主目的である忍容性を確認し、次相試験を検討中である。SI−449は、20年5月に国内ピボタル試験(消化器外科領域)を開始し、さらに21年11月には国内パイロット試験(婦人科領域)を開始した。適用範囲の拡大を目指す。

■次期・中期経営計画は22年秋頃公表予定

 前・中期経営計画の目標は、22年3月期(想定為替レート1米ドル=105円)の売上高283億円、経常利益45億円、SKK EBITDA(営業利益に減価償却費、受取ロイヤリティーを加えた利益指標)50億円、海外売上高比率50.0%を掲げていた。そして22年3月期実績は、全ての指標で目標を達成した。

 次期・中期経営計画については、ジョイクルのショック、アナフィラキー発現に関する原因究明の進捗や、腰椎椎間板ヘルニア治療剤SI−6603の動向により、経営計画や将来的な業績予想が大きく変動するため22年5月時点での公表を見送り、22年秋頃の公表を予定している。

■22年3月期大幅営業・経常増益、23年3月期予想は未定

 22年3月期の連結業績(収益認識会計基準適用で前年も遡及適用、利益への影響なし、受取ロイヤリティーの表示区分を従来の営業外収益から売上高に変更)は、売上高が21年3月期比25.7%増の348億51百万円、営業利益が99.9%増の44億95百万円、経常利益が78.4%増の53億95百万円、親会社株主帰属当期純利益が前期の繰延税金資産計上の反動で12.4%減の37億33百万円だった。配当は21年3月期比6円増配の30円(第2四半期末15円、期末15円、いずれも普通配当15円+特別配当5円)とした。

 コロナ禍影響からの需要回復、海外医薬品の販売好調と前倒し出荷、医薬品受託製造の増加、受取ロイヤリティーの増加などで大幅営業・経常増益だった。米国で実施中の腰椎椎間板ヘルニア治療剤SI―6603追加臨床試験の進捗などで研究開発費が増加(24.9%増の90億05百万円)したが、増収効果などで吸収した。営業外収益では為替差益が増加した。

 医薬品事業は売上高が23.6%増の256億96百万円、営業利益が2.0倍の22億13百万円だった。売上高の内訳は国内医薬品が0.0%減の114億47百万円、海外医薬品が12.9%増の76億52百万円、医薬品原体・医薬品受託製造が41.2%増の26億07百万円、受取ロイヤリティーが5.6倍の39億89百万円だった。

 国内は主力の関節機能改善剤アルツの薬価引き下げなどで微減収だった。なお関節機能改善剤ジョイクル(21年5月発売)は、本剤投与後にショック、アナフィラキーの発現が複数報告されたため安全性速報(ブルーレター)を発出した。海外は米国においてコロナ禍影響から市場がほぼ回復し、流通リスク回避に向けた前倒し出荷も寄与して好調だった。中国向けも現地販売本数が増加し、包装資材変更に伴う前倒し出荷も寄与した。医薬品原体・医薬品受託製造は医薬品原体が減少したが、ダルトン社の医薬品受託製造が増加した。

 LAL事業は売上高が31.9%増の91億55百万円で、営業利益が95.6%増の22億81百万円だった。ACC社におけるエンドトキシン測定用試薬、グルカン測定体外診断用医薬品、受託試験サービスが伸長した。

 なお四半期別に見ると、第1四半期は売上高117億84百万円で営業利益44億46百万円、第2四半期は売上高87億46百万円で営業利益15億92百万円、第3四半期は売上高76億15百万円で営業利益1億96百万円、第4四半期は売上高67億06百万円で営業利益17億39百万円の赤字だった。第1四半期に受取ロイヤリティー35億50百万円を計上し、第3四半期以降は研究開発費が増加した。

 23年3月期連結業績予想については、関節機能改善剤ジョイクルのショック、アナフィラキーの発現に関する原因究明の進捗を見極める必要があるため未定としている。配当予想は8円減配の22円(第2四半期末11円、期末11円)としている。

 現時点での想定は、22年4月以降の薬価引き下げ(国内医薬品全体の加重平均)が約▲11%(アルツは▲12.6%、オペガンは▲7%)で、ロイヤリティーが前期の一過性増加の反動で減少、研究開発費が米国で実施中の腰椎椎間板ヘルニア治療剤SI―6603追加臨床試験の被験者組み入れ完了で減少、コロナ禍の影響は22年3月期水準としている。

■株価は売られ過ぎ感

 5月13日に自己株式取得を発表した。上限200万株・15億円で、取得期間は22年5月16日〜22年12月30日としている。

 株価は23年3月期業績予想未定を嫌気し、さらに地合い悪化も影響して年初来安値を更新する展開だが、売られ過ぎ感を強めている。自己株式取得も評価して反発を期待したい。5月25日の終値は764円、今期予想配当利回り(会社予想の22円で算出)は約2.9%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS1179円46銭で算出)は約0.6倍、時価総額は約434億円である。(情報提供:日 本インタビュ新聞社=Media−IR)
[05月18日更新]

生化学工業は22年3月期大幅営業・経常増益、23年3月期予想は未定

 生化学工業<4548>(東証プライム)は5月13日に22年3月期連結業績を発表した。コロナ禍影響からの需要回復、海外医薬品の前倒し出荷、医薬品受託製造の増加、受取ロイヤリティーの増加などで大幅増収増益だった。23年3月期の連結業績予想は、関節機能改善剤ジョイクルのショック、アナフィラキーの発現に関する原因究明の進捗を見極める必要があるため未定としている。株価は23年3月期の不透明感も嫌気して年初来安値を更新する展開だが、売られ過ぎ感を強めている。売り一巡して出直りを期待したい。

■22年3月期大幅営業・経常増益、23年3月期予想は未定

 22年3月期の連結業績(収益認識会計基準適用で前年も遡及適用、利益への影響なし、受取ロイヤリティーの表示区分を従来の営業外収益から売上高に変更)は、売上高が21年3月期比25.7%増の348億51、営業利益が99.9%増の44億95百万円、経常利益が78.4%増の53億95百万円、親会社株主帰属当期純利益が前期の繰延税金資産計上の反動で12.4%減の37億33百万円だった。配当は21年3月期比6円増配の30円(第2四半期末15円、期末15円、いずれも普通配当15円+特別配当5円)とした。

 コロナ禍影響からの需要回復、海外医薬品の販売好調と前倒し出荷、医薬品受託製造の増加、受取ロイヤリティーの増加などで大幅営業・経常増益だった。米国で実施中の腰椎椎間板ヘルニア治療剤SI―6603追加臨床試験の進捗などで研究開発費が増加(24.9%増の90億05百万円)したが、増収効果などで吸収した。営業外収益では為替差益が増加した。

 医薬品事業は売上高が23.6%増の256億96百万円、営業利益が2.0倍の22億13百万円だった。売上高の内訳は国内医薬品が0.0%減の114億47百万円、海外医薬品が12.9%増の76億52百万円、医薬品原体・医薬品受託製造が41.2%増の26億07百万円、受取ロイヤリティーが5.6倍の39億89百万円だった。

 国内は主力の関節機能改善剤アルツの薬価引き下げなどで微減収だった。なお関節機能改善剤ジョイクル(21年5月発売)は、本剤投与後にショック、アナフィラキーの発現が複数報告されたため安全性速報(ブルーレター)を発出した。海外は、米国においてコロナ禍影響から市場がほぼ回復し、流通リスク回避に向けた前倒し出荷も寄与して好調だった。中国向けも現地販売本数が増加し、包装資材変更に伴う前倒し出荷も寄与した。医薬品原体・医薬品受託製造は医薬品原体が減少したが、ダルトン社の医薬品受託製造が増加した。

 LAL事業は売上高が31.9%増の91億55百万円で、営業利益が95.6%増の22億81百万円だった。ACC社におけるエンドトキシン測定用試薬、グルカン測定体外診断用医薬品、受託試験サービスが伸長した。

 なお四半期別に見ると、第1四半期は売上高117億84百万円で営業利益44億46百万円、第2四半期は売上高87億46百万円で営業利益15億92百万円、第3四半期は売上高76億15百万円で営業利益1億96百万円、第4四半期は売上高67億06百万円で営業利益17億39百万円の赤字だった。第1四半期に受取ロイヤリティー35億50百万円を計上し、第3四半期以降は研究開発費が増加した。

 23年3月期の連結業績予想については、関節機能改善剤ジョイクルのショック、アナフィラキーの発現に関する原因究明の進捗を見極める必要があるため未定としている。現時点での想定は、22年4月以降の薬価引き下げ(国内医薬品全体の加重平均)が約▲11%(アルツは▲12.6%、オペガンは▲7%)で、ロイヤリティーが前期の一過性増加の反動で減少、研究開発費が米国で実施中の腰椎椎間板ヘルニア治療剤SI―6603追加臨床試験の被験者組み入れ完了で減少、コロナ禍の影響は22年3月期水準としている。なお配当予想は8円減配の22円(第2四半期末11円、期末11円)としている。

■株価は売られ過ぎ感

 株価は23年3月期の不透明感も嫌気して年初来安値を更新する展開だが、売られ過ぎ感を強めている。売り一巡して出直りを期待したい。5月17日の終値は805円、時価総額は約457億円である。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media−IR
[04月13日更新]

生化学工業は売られ過ぎ感、23年3月期も収益拡大基調

 生化学工業<4548>(東証プライム)は関節機能改善剤アルツなど糖質科学分野を主力とする医薬品メーカーである。成長戦略として新たな収益の柱となる新薬開発の加速、製品の市場拡大による収益基盤強化、生産性向上のための改革を推進している。22年3月期はコロナ禍からの市場回復、医薬品受託製造の増加、受取ロイヤリティーの大幅増加などで大幅増収増益予想としている。さらに23年3月期も積極的な事業展開で収益拡大基調だろう。株価は地合い悪化も影響して年初来安値を更新したが売られ過ぎ感を強めている。調整一巡して出直りを期待したい。なお5月13日に22年3月期決算発表を予定している。

■関節機能改善剤アルツなど糖質科学分野が主力の医薬品メーカー

 糖質科学分野が主力の医薬品メーカーで、国内医薬品(関節機能改善剤アルツ、白内障手術補助剤オペガン、内視鏡用粘膜下注入材ムコアップ)、海外医薬品(米国向け単回投与関節機能改善剤Gel−One、米国向け3回投与関節機能改善剤VISCO−3、米国向け5回投与関節機能改善剤SUPARTZ−FX、中国向けアルツ)、医薬品原体(ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸)、LAL事業(エンドトキシン測定用試薬関連)を展開している。

 21年3月期のセグメント別の構成比は、売上高が医薬品事業75%(国内医薬品43%、海外医薬品25%、医薬品原体・医薬品受託製造7%)、LAL事業25%、営業利益が医薬品事業24%、LAL事業76%だった。

 20年3月には海外製造拠点としてカナダのダルトン社を子会社化した。なおダルトン社を買収する際に中間持株会社として設立したSEC社、および買収目的会社として設立したSAC社が特定子会社に該当することになったため、ダルトン社とSAC社が現地法に基づく新設合併を行い、新設された新ダルトン社が旧ダルトン社から商号および事業を引き継いだ。

 20年8月には、ダルトン社がサスカチュワン大学の研究機関であるVIDO−InterVacと、VIDO−InterVacがカナダ政府およびサスカチュワン州から支援を受けて開発を進めているCOVID−19ワクチンの製造に関して、業務提携に合意した。ダルトン社は本提携により、COVID−19ワクチンの初期段階の臨床試験で投与される治験薬の調合、充填、製剤化を担う。

 21年4月にはLAL事業の海外子会社である米ACC社が、遺伝子組み換えエンドトキシン測定用試薬「パイロスマート ネクストジェン」の販売を開始した。21年8月には単回投与の関節機能改善剤ハイリンクについて、台湾のTCM社を通じて台湾における販売を開始した。

 21年11月には海外子会社のACC社が、遺伝子組み換えエンドトキシン測定用試薬「パイロスマート ネクストジェン」について、Pharma Manufacturing 2021 Innovation Awardを受賞した。

 21年1月にはダルトン社の100%出資子会社として、カナダに現地法人SEIKAGAKU NORTH AMERICA CORPORATIONを設立した。北米に開発拠点を有することで、現地の医療環境に即したプランの立案、FDA(米国食品医薬品局)や治験施設との円滑なコミュニケーション実現など、医薬品・医療機器開発および承認取得の加速を目指す。

■新薬開発は糖質科学分野に焦点

 研究開発は糖質科学分野(糖鎖や複合糖質を研究する科学分野)に焦点を絞っている。開発パイプラインには、腰椎椎間板ヘルニア治療剤SI−6603、変形性膝関節症改善剤SI−613、腱・靱帯付着部症を適応症とするSI−613−ETP、ドライアイ治療剤SI−614、間質性膀胱炎を適応症とするSI−722、癒着防止材SI−449がある。

 SI−6603は日本では18年3月製造販売承認を取得し、科研製薬<4521>が18年8月販売開始(腰椎椎間板ヘルニア治療剤ヘルニコア)した。またスイスのフェリング社と日本を除く全世界におけるライセンス契約を締結している。マイルストーン型ロイヤリティーの総額は最大95百万米ドル(うち契約一時金5百万米ドル)である。米国では第3相臨床の追加試験が22年11月経過観察終了予定だが、新型コロナウイルスの影響で進捗が遅れているため、被験者増加や治験施設増加など各種施策を実行して組み入れを促進している。

 SI−613は、小野薬品工業<4528>と日本における共同開発・販売提携に関する契約を締結し、21年3月に変形性関節症治療剤ONO−5704/SI−613(ジョイクル関節注30mg)について、変形性関節症(膝関節、股関節)の効能または効果で国内製造販売承認を取得(21年5月に小野薬品工業が販売開始)した。マイルストーン型ロイヤリティーの総額は最大120億円(うち契約一時金20億円)である。米国では第2相臨床試験結果の解析が終了し、第3相臨床試験の検討と並行して提携先の選定を進めている。SI−613−ETP(小野薬品工業とのSI−613の契約に含む)は後期第2相臨床試験の解析が終了し、次のアクションを検討中である。

 なおSI−613について、20年9月にエーザイ<4523>と韓国における販売提携に関する契約を締結した。エーザイの韓国子会社が韓国におけるSI−613の独占的販売権を取得し、製造販売申請を行う。承認取得後は製品をエーザイに供給する。契約一時金と販売マイルストーンを受け取る。エーザイとは20年4月に中国における共同開発および販売提携に関する契約を締結しており、2ヶ国目の提携となる。

 SI−614は米国で第2・3相試験が終了し、販売提携先を選定中である。SI−722は、19年11月米国における第1・2相臨床試験を開始、20年3月被験者投与を開始した。コロナ禍の影響で計画遅れの状況だが、治験施設の稼働を再開している。SI−449は18年5月開始した日本でのパイロット試験で良好な結果が確認され、20年5月に国内ピボタル試験を開始した。コロナ禍の影響で遅延が生じているが、リモート下での治験対応策を実施している。

■新薬開発や収益基盤強化を推進

 中期経営計画の目標には、22年3月期(想定為替レート1米ドル=105円)の売上高283億円、経常利益45億円、SKK EBITDA(営業利益に減価償却費、受取ロイヤリティーを加えた利益指標)50億円、海外売上高比率50.0%を掲げている。研究開発費は売上比25〜30%である。利益配分は配当性向50%を目指す。

 重点施策としては、新たな収益の柱となる新薬開発の加速、製品の市場拡大による収益基盤強化、生産性向上のための改革を推進している。

 なお21年10月には、海外子会社のACC社がカブトガニ保全活動において、この種の取り組みでは初めてとなるアメリカ産カブトガニ累計100万匹放流を達成した。また21年12月には会社HPにサステナビリティページを開設し、各種取組を紹介している。

■22年3月期大幅営業・経常増益予想、23年3月期も収益拡大基調

 22年3月期の連結業績予想(収益認識会計基準適用のため21年3月期を新基準に遡及適用して前期比増減率算出、利益への影響はなし)は、売上高が21年3月期比16.1%増の322億円、営業利益が2.0倍の45億50百万円、経常利益が53.7%増の46億50百万円、親会社株主帰属当期純利益が14.4%減の36億50百万円としている。なお受取ロイヤリティーを営業外収益から売上高に表示区分変更するとともに、販売手数料等を販管費計上から売上高控除に変更する。配当予想は6円増配の30円(第2四半期末15円、期末15円)(普通配当20円+ジョイクル発売特別配当10円)としている。

 売上面は国内薬価引き下げが減収要因となるが、受取ロイヤリティーの増加、新製品の変形性関節症治療剤ジョイクル関節注30mg(開発コードONO−5704/SI−613)の発売、医薬品原体・医薬品受託製造の伸長などで2桁増収見込みとしている。

 セグメント別売上高計画は、医薬品事業が21.0%増の251億50百万円(内訳は国内医薬品が1.3%増の116億円、海外医薬品が1.8%増の69億円、医薬品原体・医薬品受託製造が27.3%増の23億50百万円、受取ロイヤリティーが6.0倍の43億円)、LAL事業が1.6%増の70億50百万円としている。

 利益面は、研究開発費が増加(9.6%増の79億円)し、減価償却費や営業関連費も増加するが、増収効果で吸収して大幅営業・経常増益予想としている。親会社株主帰属当期純利益は前期の法人税等調整額のマイナス計上の反動で減益予想としている。

 第3四半期累計は、売上高が前年同期比37.0%増の281億45百万円、営業利益が3.8倍の62億34百万円、経常利益が3.3倍の69億05百万円、親会社株主帰属四半期純利益が2.9倍の53億64百万円だった。

 コロナ禍影響からの市場回復、海外医薬品の販売好調と前倒し出荷、医薬品受託製造の増加、受取ロイヤリティーの大幅増加などで大幅増収増益だった。米国で実施中の腰椎椎間板ヘルニア治療剤SI―6603追加臨床試験進展などで研究開発費が増加(8.8%増の58億55百万円)したが、増収効果や売上構成変化による原価率低下などで吸収した。

 医薬品事業は売上高が37.4%増の214億20百万円、営業利益が4.9倍の43億81百万円だった。売上高の内訳は、国内医薬品が0.2%減の91億73百万円、海外医薬品が44.6%増の67億43百万円、医薬品原体・医薬品受託製造が27.2%増の19億52百万円、受取ロイヤリティーが35億50百万円(前年同期は1億96百万円)だった。

 国内は主力の関節機能改善剤アルツが好調に推移し、薬価引き下げの影響を数量増でカバーした。なお関節機能改善剤ジョイクル(21年5月発売)は、ブルーレター発出に伴って出荷期限を迎える製品の売上マイナス計上を第3四半期に実施した。海外は、米国において新型コロナ影響から市場がほぼ回復し、販売提携先による競合品からの切り替え施策も寄与して好調だった。流通リスク回避に向けた前倒し出荷も寄与して大幅増収だった。中国向けも現地販売本数が増加し、第3四半期までに出荷が集中したことも寄与した。医薬品原体・医薬品受託製造は医薬品原体が減少したが、ダルトン社の医薬品受託製造が増加した。

 LAL事業は売上高が35.6%増の67億25百万円で、営業利益が2.5倍の18億52百万円だった。海外子会社においてエンドトキシン測定用試薬、グルカン測定体外診断用医薬品、受託試験サービスが好調だった。

 四半期別に見ると、第1四半期は売上高117億84百万円で営業利益44億46百万円、第2四半期は売上高87億46百万円で営業利益15億92百万円、第3四半期は売上高76億15百万円で営業利益1億96百万円だった。第1四半期に受取ロイヤリティー35億50百万円を計上した。第3四半期は研究開発費が増加した。

 通期予想は据え置いている。第4四半期には、米国で実施中の腰椎椎間板ヘルニア治療剤SI―6603追加臨床試験における追加費用の発生で研究開発費の増加を見込み、ブルーレター発出によるジョイクルの販売への影響も考慮している。ただし第3四半期累計の各利益は通期予想を超過達成しており、通期上振れの可能性がありそうだ。さらに23年3月期も積極的な事業展開で収益拡大基調だろう。

■株価は売られ過ぎ感

 株価は地合い悪化も影響して年初来安値を更新したが売られ過ぎ感を強めている。調整一巡して出直りを期待したい。4月12日の終値は853円で、前期推定連結PER(会社予想の連結EPS64円83銭で算出)は約13倍、前期推定配当利回り(会社予想30円で算出)は約3.5%、前々期実績連結PBR(前々期実績の連結BPS1127円14銭で算出)は約0.8倍、そして時価総額は約485億円である。(情報提供:日 本インタビュ新聞社=Media−IR)
[03月16日更新]

生化学工業は売り一巡、22年3月期大幅営業・経常増益予想

 生化学工業<4548>(東1、新市場区分プライム)は関節機能改善剤アルツなど糖質科学分野を主力とする医薬品メーカーである。22年3月期はコロナ禍影響からの市場回復、医薬品受託製造の増加、受取ロイヤリティーの大幅増加などで大幅増収増益予想としている。第4四半期に研究開発費の増額を見込んでいるが、第3四半期累計の各利益は通期予想を超過達成しており、通期上振れの可能性がありそうだ。収益拡大基調を期待したい。株価は地合い悪化も影響して昨年来安値を更新する展開だったが、売り一巡感を強めている。出直りを期待したい。

■関節機能改善剤アルツなど糖質科学分野が主力の医薬品メーカー

 糖質科学分野が主力の医薬品メーカーで、国内医薬品(関節機能改善剤アルツ、白内障手術補助剤オペガン、内視鏡用粘膜下注入材ムコアップ)、海外医薬品(米国向け単回投与関節機能改善剤Gel−One、米国向け3回投与関節機能改善剤VISCO−3、米国向け5回投与関節機能改善剤SUPARTZ−FX、中国向けアルツ)、医薬品原体(ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸)、LAL事業(エンドトキシン測定用試薬関連)を展開している。

 21年3月期のセグメント別の構成比は、売上高が医薬品事業75%(国内医薬品43%、海外医薬品25%、医薬品原体・医薬品受託製造7%)、LAL事業25%、営業利益が医薬品事業24%、LAL事業76%だった。

 20年3月には海外製造拠点としてカナダのダルトン社を子会社化した。なおダルトン社を買収する際に中間持株会社として設立したSEC社、および買収目的会社として設立したSAC社が特定子会社に該当することになったため、ダルトン社とSAC社が現地法に基づく新設合併を行い、新設された新ダルトン社が旧ダルトン社から商号および事業を引き継いだ。

 20年8月には、ダルトン社がサスカチュワン大学の研究機関であるVIDO−InterVacと、VIDO−InterVacがカナダ政府およびサスカチュワン州から支援を受けて開発を進めているCOVID−19ワクチンの製造に関して、業務提携に合意した。ダルトン社は本提携により、COVID−19ワクチンの初期段階の臨床試験で投与される治験薬の調合、充填、製剤化を担う。

 21年4月にはLAL事業の海外子会社である米ACC社が、遺伝子組み換えエンドトキシン測定用試薬「パイロスマート ネクストジェン」の販売を開始した。21年8月には単回投与の関節機能改善剤ハイリンクについて、台湾のTCM社を通じて台湾における販売を開始した。

 21年11月には海外子会社のACC社が、遺伝子組み換えエンドトキシン測定用試薬「パイロスマート ネクストジェン」について、Pharma Manufacturing 2021 Innovation Awardを受賞した。

 21年1月にはダルトン社の100%出資子会社として、カナダに現地法人SEIKAGAKU NORTH AMERICA CORPORATIONを設立した。北米に開発拠点を有することで、現地の医療環境に即したプランの立案、FDA(米国食品医薬品局)や治験施設との円滑なコミュニケーション実現など、医薬品・医療機器開発および承認取得の加速を目指す。

■新薬開発は糖質科学分野に焦点

 研究開発は糖質科学分野(糖鎖や複合糖質を研究する科学分野)に焦点を絞っている。開発パイプラインには、腰椎椎間板ヘルニア治療剤SI−6603、変形性膝関節症改善剤SI−613、腱・靱帯付着部症を適応症とするSI−613−ETP、ドライアイ治療剤SI−614、間質性膀胱炎を適応症とするSI−722、癒着防止材SI−449がある。

 SI−6603は日本では18年3月製造販売承認を取得し、科研製薬<4521>が18年8月販売開始(腰椎椎間板ヘルニア治療剤ヘルニコア)した。またスイスのフェリング社と日本を除く全世界におけるライセンス契約を締結している。マイルストーン型ロイヤリティーの総額は最大95百万米ドル(うち契約一時金5百万米ドル)である。米国では第3相臨床の追加試験が22年11月経過観察終了予定だが、新型コロナウイルスの影響で進捗が遅れているため、被験者増加や治験施設増加など各種施策を実行して組み入れを促進している。

 SI−613は、小野薬品工業<4528>と日本における共同開発・販売提携に関する契約を締結し、21年3月に変形性関節症治療剤ONO−5704/SI−613(ジョイクル関節注30mg)について、変形性関節症(膝関節、股関節)の効能または効果で国内製造販売承認を取得(21年5月に小野薬品工業が販売開始)した。マイルストーン型ロイヤリティーの総額は最大120億円(うち契約一時金20億円)である。米国では第2相臨床試験結果の解析が終了し、第3相臨床試験の検討と並行して提携先の選定を進めている。SI−613−ETP(小野薬品工業とのSI−613の契約に含む)は後期第2相臨床試験の解析が終了し、次のアクションを検討中である。

 なおSI−613について、20年9月にエーザイ<4523>と韓国における販売提携に関する契約を締結した。エーザイの韓国子会社が韓国におけるSI−613の独占的販売権を取得し、製造販売申請を行う。承認取得後は製品をエーザイに供給する。契約一時金と販売マイルストーンを受け取る。エーザイとは20年4月に中国における共同開発および販売提携に関する契約を締結しており、2ヶ国目の提携となる。

 SI−614は米国で第2・3相試験が終了し、販売提携先を選定中である。SI−722は、19年11月米国における第1・2相臨床試験を開始、20年3月被験者投与を開始した。コロナ禍の影響で計画遅れの状況だが、治験施設の稼働を再開している。SI−449は18年5月開始した日本でのパイロット試験で良好な結果が確認され、20年5月に国内ピボタル試験を開始した。コロナ禍の影響で遅延が生じているが、リモート下での治験対応策を実施している。

■新薬開発や収益基盤強化を推進

 中期経営計画の目標には、22年3月期(想定為替レート1米ドル=105円)の売上高283億円、経常利益45億円、SKK EBITDA(営業利益に減価償却費、受取ロイヤリティーを加えた利益指標)50億円、海外売上高比率50.0%を掲げている。研究開発費は売上比25〜30%である。利益配分は配当性向50%を目指す。

 重点施策としては、新たな収益の柱となる新薬開発の加速、製品の市場拡大による収益基盤強化、生産性向上のための改革を推進する。

 なお21年10月には、海外子会社のACC社がカブトガニ保全活動において、この種の取り組みでは初めてとなるアメリカ産カブトガニ累計100万匹放流を達成した。また21年12月には会社HPにサステナビリティページを開設し、各種取組を紹介している。

■22年3月期大幅営業・経常増益予想

 22年3月期の連結業績予想(収益認識会計基準適用のため21年3月期を新基準に遡及適用して前期比増減率算出、利益への影響はなし)は、売上高が21年3月期比16.1%増の322億円、営業利益が2.0倍の45億50百万円、経常利益が53.7%増の46億50百万円、親会社株主帰属当期純利益が14.4%減の36億50百万円としている。なお受取ロイヤリティーを営業外収益から売上高に表示区分変更するとともに、販売手数料等を販管費計上から売上高控除に変更する。配当予想は6円増配の30円(第2四半期末15円、期末15円)(普通配当20円+ジョイクル発売特別配当10円)としている。

 売上面は国内薬価引き下げが減収要因となるが、受取ロイヤリティーの増加、新製品の変形性関節症治療剤ジョイクル関節注30mg(開発コードONO−5704/SI−613)の発売、医薬品原体・医薬品受託製造の伸長などで2桁増収見込みとしている。

 セグメント別売上高計画は、医薬品事業が21.0%増の251億50百万円(内訳は国内医薬品が1.3%増の116億円、海外医薬品が1.8%増の69億円、医薬品原体・医薬品受託製造が27.3%増の23億50百万円、受取ロイヤリティーが6.0倍の43億円)、LAL事業が1.6%増の70億50百万円としている。

 利益面は、研究開発費が増加(9.6%増の79億円)し、減価償却費や営業関連費も増加するが、増収効果で吸収して大幅営業・経常増益予想としている。親会社株主帰属当期純利益は前期の法人税等調整額のマイナス計上の反動で減益予想としている。

 第3四半期累計は、売上高が前年同期比37.0%増の281億45百万円、営業利益が3.8倍の62億34百万円、経常利益が3.3倍の69億05百万円、親会社株主帰属四半期純利益が2.9倍の53億64百万円だった。

 コロナ禍影響からの市場回復、海外医薬品の販売好調と前倒し出荷、医薬品受託製造の増加、受取ロイヤリティーの大幅増加などで大幅増収増益だった。米国で実施中の腰椎椎間板ヘルニア治療剤SI―6603追加臨床試験進展などで研究開発費が増加(8.8%増の58億55百万円)したが、増収効果や売上構成変化による原価率低下などで吸収した。

 医薬品事業は売上高が37.4%増の214億20百万円、営業利益が4.9倍の43億81百万円だった。売上高の内訳は、国内医薬品が0.2%減の91億73百万円、海外医薬品が44.6%増の67億43百万円、医薬品原体・医薬品受託製造が27.2%増の19億52百万円、受取ロイヤリティーが35億50百万円(前年同期は1億96百万円)だった。

 国内は主力の関節機能改善剤アルツが好調に推移し、薬価引き下げの影響を数量増でカバーした。なお関節機能改善剤ジョイクル(21年5月発売)は、ブルーレター発出に伴って出荷期限を迎える製品の売上マイナス計上を第3四半期に実施した。海外は、米国において新型コロナ影響から市場がほぼ回復し、販売提携先による競合品からの切り替え施策も寄与して好調だった。流通リスク回避に向けた前倒し出荷も寄与して大幅増収だった。中国向けも現地販売本数が増加し、第3四半期までに出荷が集中したことも寄与した。医薬品原体・医薬品受託製造は医薬品原体が減少したが、ダルトン社の医薬品受託製造が増加した。

 LAL事業は売上高が35.6%増の67億25百万円で、営業利益が2.5倍の18億52百万円だった。海外子会社においてエンドトキシン測定用試薬、グルカン測定体外診断用医薬品、受託試験サービスが好調だった。

 四半期別に見ると、第1四半期は売上高117億84百万円で営業利益44億46百万円、第2四半期は売上高87億46百万円で営業利益15億92百万円、第3四半期は売上高76億15百万円で営業利益1億96百万円だった。第1四半期に受取ロイヤリティー35億50百万円を計上した。第3四半期は研究開発費が増加した。

 通期予想は据え置いている。第4四半期には、米国で実施中の腰椎椎間板ヘルニア治療剤SI―6603追加臨床試験における追加費用の発生で研究開発費の増加を見込み、ブルーレター発出によるジョイクルの販売への影響も考慮している。ただし第3四半期累計の各利益は通期予想を超過達成しており、通期上振れの可能性がありそうだ。収益拡大基調を期待したい。

■株価は売り一巡

 株価は地合い悪化も影響してほぼ一本調子に昨年来安値を更新する展開だったが、売り一巡感を強めている。出直りを期待したい。3月15日の終値は891円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS64円83銭で算出)は約14倍、今期予想配当利回り(会社予想30円で算出)は約3.4%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS1127円14銭で算出)は約0.8倍、そして時価総額は約506億円である。(情報提供:日 本インタビュ新聞社=Media−IR
[02月22日更新]

生化学工業は調整一巡、22年3月期大幅営業・経常増益予想で3Q累計順調

 生化学工業<4548>(東1、新市場区分プライム)は関節機能改善剤アルツなど糖質科学分野を主力とする医薬品メーカーである。22年3月期第3四半期累計はコロナ禍影響からの市場回復、海外医薬品の前倒し出荷、医薬品受託製造の増加、受取ロイヤリティーの大幅増加などで大幅増収増益と順調だった。通期予想は据え置いている。第3四半期累計の各利益は通期予想を超過達成したが、第4四半期に研究開発費の増額を見込んでいる。ただし大幅営業・経常増益予想である。収益拡大を期待したい。株価は地合い悪化も影響して昨年来安値を更新したが、調整一巡して出直りを期待したい。

■関節機能改善剤アルツなど糖質科学分野が主力の医薬品メーカー

 糖質科学分野が主力の医薬品メーカーで、国内医薬品(関節機能改善剤アルツ、白内障手術補助剤オペガン、内視鏡用粘膜下注入材ムコアップ)、海外医薬品(米国向け単回投与関節機能改善剤Gel−One、米国向け3回投与関節機能改善剤VISCO−3、米国向け5回投与関節機能改善剤SUPARTZ−FX、中国向けアルツ)、医薬品原体(ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸)、LAL事業(エンドトキシン測定用試薬関連)を展開している。

 21年3月期のセグメント別の構成比は、売上高が医薬品事業75%(国内医薬品43%、海外医薬品25%、医薬品原体・医薬品受託製造7%)、LAL事業25%、営業利益が医薬品事業24%、LAL事業76%だった。

 20年3月には海外製造拠点としてカナダのダルトン社を子会社化した。なおダルトン社を買収する際に中間持株会社として設立したSEC社、および買収目的会社として設立したSAC社が特定子会社に該当することになったため、ダルトン社とSAC社が現地法に基づく新設合併を行い、新設された新ダルトン社が旧ダルトン社から商号および事業を引き継いだ。

 20年8月には、ダルトン社がサスカチュワン大学の研究機関であるVIDO−InterVacと、VIDO−InterVacがカナダ政府およびサスカチュワン州から支援を受けて開発を進めているCOVID−19ワクチンの製造に関して、業務提携に合意した。ダルトン社は本提携により、COVID−19ワクチンの初期段階の臨床試験で投与される治験薬の調合、充填、製剤化を担う。

 21年4月にはLAL事業の海外子会社である米ACC社が、遺伝子組み換えエンドトキシン測定用試薬「パイロスマート ネクストジェン」の販売を開始した。21年8月には単回投与の関節機能改善剤ハイリンクについて、台湾のTCM社を通じて台湾における販売を開始した。

 21年11月には海外子会社のACC社が、遺伝子組み換えエンドトキシン測定用試薬「パイロスマート ネクストジェン」について、Pharma Manufacturing 2021 Innovation Awardを受賞した。

 21年1月にはダルトン社の100%出資子会社として、カナダに現地法人SEIKAGAKU NORTH AMERICA CORPORATIONを設立した。北米に開発拠点を有することで、現地の医療環境に即したプランの立案、FDA(米国食品医薬品局)や治験施設との円滑なコミュニケーション実現など、医薬品・医療機器開発および承認取得の加速を目指す。

■新薬開発は糖質科学分野に焦点

 研究開発は糖質科学分野(糖鎖や複合糖質を研究する科学分野)に焦点を絞っている。開発パイプラインには、腰椎椎間板ヘルニア治療剤SI−6603、変形性膝関節症改善剤SI−613、腱・靱帯付着部症を適応症とするSI−613−ETP、ドライアイ治療剤SI−614、間質性膀胱炎を適応症とするSI−722、癒着防止材SI−449がある。

 SI−6603は日本では18年3月製造販売承認を取得し、科研製薬<4521>が18年8月販売開始(腰椎椎間板ヘルニア治療剤ヘルニコア)した。またスイスのフェリング社と日本を除く全世界におけるライセンス契約を締結している。マイルストーン型ロイヤリティーの総額は最大95百万米ドル(うち契約一時金5百万米ドル)である。米国では第3相臨床の追加試験が22年11月経過観察終了予定だが、新型コロナウイルスの影響で進捗が遅れているため、被験者増加や治験施設増加など各種施策を実行して組み入れを促進している。

 SI−613は、小野薬品工業<4528>と日本における共同開発・販売提携に関する契約を締結し、21年3月に変形性関節症治療剤ONO−5704/SI−613(ジョイクル関節注30mg)について、変形性関節症(膝関節、股関節)の効能または効果で国内製造販売承認を取得(21年5月に小野薬品工業が販売開始)した。マイルストーン型ロイヤリティーの総額は最大120億円(うち契約一時金20億円)である。米国では第2相臨床試験結果の解析が終了し、第3相臨床試験の検討と並行して提携先の選定を進めている。SI−613−ETP(小野薬品工業とのSI−613の契約に含む)は後期第2相臨床試験の解析が終了し、次のアクションを検討中である。

 なおSI−613について、20年9月にエーザイ<4523>と韓国における販売提携に関する契約を締結した。エーザイの韓国子会社が韓国におけるSI−613の独占的販売権を取得し、製造販売申請を行う。承認取得後は製品をエーザイに供給する。契約一時金と販売マイルストーンを受け取る。エーザイとは20年4月に中国における共同開発および販売提携に関する契約を締結しており、2ヶ国目の提携となる。

 SI−614は米国で第2・3相試験が終了し、販売提携先を選定中である。SI−722は、19年11月米国における第1・2相臨床試験を開始、20年3月被験者投与を開始した。コロナ禍の影響で計画遅れの状況だが、治験施設の稼働を再開している。SI−449は18年5月開始した日本でのパイロット試験で良好な結果が確認され、20年5月に国内ピボタル試験を開始した。コロナ禍の影響で遅延が生じているが、リモート下での治験対応策を実施している。

■新薬開発や収益基盤強化を推進

 中期経営計画の目標には、22年3月期(想定為替レート1米ドル=105円)の売上高283億円、経常利益45億円、SKK EBITDA(営業利益に減価償却費、受取ロイヤリティーを加えた利益指標)50億円、海外売上高比率50.0%を掲げている。研究開発費は売上比25〜30%である。利益配分は配当性向50%を目指す。

 重点施策としては、新たな収益の柱となる新薬開発の加速、製品の市場拡大による収益基盤強化、生産性向上のための改革を推進する。

 なお21年10月には、海外子会社のACC社がカブトガニ保全活動において、この種の取り組みでは初めてとなるアメリカ産カブトガニ累計100万匹放流を達成した。また21年12月には会社HPにサステナビリティページを開設し、各種取組を紹介している。

■22年3月期大幅営業・経常増益予想で3Q累計順調

 22年3月期の連結業績予想(収益認識会計基準適用のため21年3月期を新基準に遡及適用して前期比増減率算出、利益への影響はない)は、売上高が21年3月期比16.1%増の322億円、営業利益が2.0倍の45億50百万円、経常利益が53.7%増の46億50百万円、親会社株主帰属当期純利益が14.4%減の36億50百万円としている。なお受取ロイヤリティーを営業外収益から売上高に表示区分変更するとともに、販売手数料等を販管費計上から売上高控除に変更する。配当予想は6円増配の30円(第2四半期末15円、期末15円)(普通配当20円+ジョイクル発売特別配当10円)としている。

 売上面は国内薬価引き下げが減収要因となるが、受取ロイヤリティーの増加、新製品の変形性関節症治療剤ジョイクル関節注30mg(開発コードONO−5704/SI−613)の発売、医薬品原体・医薬品受託製造の伸長などで2桁増収見込みとしている。

 セグメント別売上高計画は、医薬品事業が21.0%増の251億50百万円(内訳は国内医薬品が1.3%増の116億円、海外医薬品が1.8%増の69億円、医薬品原体・医薬品受託製造が27.3%増の23億50百万円、受取ロイヤリティーが6.0倍の43億円)、LAL事業が1.6%増の70億50百万円としている。

 利益面は、研究開発費が増加(9.6%増の79億円)し、減価償却費や営業関連費も増加するが、増収効果で吸収して大幅営業・経常増益予想としている。親会社株主帰属当期純利益は前期の法人税等調整額のマイナス計上の反動で減益予想としている。

 第3四半期累計は、売上高が前年同期比37.0%増の281億45百万円、営業利益が3.8倍の62億34百万円、経常利益が3.3倍の69億05百万円、親会社株主帰属四半期純利益が2.9倍の53億64百万円だった。

 コロナ禍影響からの市場回復、海外医薬品の販売好調と前倒し出荷、医薬品受託製造の増加、受取ロイヤリティーの大幅増加などで大幅増収増益だった。米国で実施中の腰椎椎間板ヘルニア治療剤SI―6603追加臨床試験進展などで研究開発費が増加(8.8%増の58億55百万円)したが、増収効果や売上構成変化による原価率低下などで吸収した。

 医薬品事業は売上高が37.4%増の214億20百万円、営業利益が4.9倍の43億81百万円だった。売上高の内訳は、国内医薬品が0.2%減の91億73百万円、海外医薬品が44.6%増の67億43百万円、医薬品原体・医薬品受託製造が27.2%増の19億52百万円、受取ロイヤリティーが35億50百万円(前年同期は1億96百万円)だった。

 国内は主力の関節機能改善剤アルツが好調に推移し、薬価引き下げの影響を数量増でカバーした。なお関節機能改善剤ジョイクル(21年5月発売)は、ブルーレター発出に伴って出荷期限を迎える製品の売上マイナス計上を第3四半期に実施した。海外は、米国において新型コロナ影響から市場がほぼ回復し、販売提携先による競合品からの切り替え施策も寄与して好調だった。流通リスク回避に向けた前倒し出荷も寄与して大幅増収だった。中国向けも現地販売本数が増加し、第3四半期までに出荷が集中したことも寄与した。医薬品原体・医薬品受託製造は医薬品原体が減少したが、ダルトン社の医薬品受託製造が増加した。

 LAL事業は売上高が35.6%増の67億25百万円で、営業利益が2.5倍の18億52百万円だった。海外子会社においてエンドトキシン測定用試薬、グルカン測定体外診断用医薬品、受託試験サービスが好調だった。

 四半期別に見ると、第1四半期は売上高117億84百万円で営業利益44億46百万円、第2四半期は売上高87億46百万円で営業利益15億92百万円、第3四半期は売上高76億15百万円で営業利益1億96百万円だった。第1四半期に受取ロイヤリティー35億50百万円を計上した。第3四半期は研究開発費が増加した。

 通期予想は据え置いている。第3四半期累計の各利益は通期予想を超過達成しているが、第3四半期までにロイヤリティーの受領や海外医薬品の前倒し出荷などの売上増加要因が集中したためであり、第4四半期には、米国で実施中の腰椎椎間板ヘルニア治療剤SI―6603追加臨床試験における追加費用の発生で研究開発費の増加を見込み、ブルーレター発出によるジョイクルの販売への影響も考慮している。ただし大幅営業・経常増益予想である。収益拡大を期待したい。

■株価は調整一巡

 株価は地合い悪化も影響して昨年来安値を更新したが、調整一巡して出直りを期待したい。2月21日の終値は897円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS64円83銭で算出)は約14倍、今期予想配当利回り(会社予想30円で算出)は約3.3%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS1127円14銭で算出)は約0.8倍、時価総額は約510億円である。(情報提供:日 本インタビュ新聞社=Media−IR
[01月28日更新]

生化学工業は調整一巡、22年3月期大幅営業・経常増益予想

 生化学工業<4548>(東1、新市場区分プライム)は関節機能改善剤アルツなど糖質科学分野を主力とする医薬品メーカーである。1月26日にはカナダに現地法人を設立したと発表している。22年3月期は大幅営業・経常増益予想としている。第3四半期以降に研究開発費の増加が見込まれるが、需要回復基調であり、通期予想に上振れの可能性がありそうだ。収益拡大を期待したい。4月4日移行予定の新市場区分についてはプライム市場に移行する。株価は地合い悪化も影響して昨年来安値を更新したが、調整一巡して出直りを期待したい。なお2月8日に22年3月期第3四半期決算発表を予定している。

■関節機能改善剤アルツなど糖質科学分野が主力の医薬品メーカー

 糖質科学分野が主力の医薬品メーカーで、国内医薬品(関節機能改善剤アルツ、白内障手術補助剤オペガン、内視鏡用粘膜下注入材ムコアップ)、海外医薬品(米国向け単回投与関節機能改善剤Gel−One、米国向け3回投与関節機能改善剤VISCO−3、米国向け5回投与関節機能改善剤SUPARTZ−FX、中国向けアルツ)、医薬品原体(ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸)、LAL事業(エンドトキシン測定用試薬関連)を展開している。

 21年3月期のセグメント別の構成比は、売上高が医薬品事業75%(国内医薬品43%、海外医薬品25%、医薬品原体・医薬品受託製造7%)、LAL事業25%、営業利益が医薬品事業24%、LAL事業76%だった。

 20年3月には海外製造拠点としてカナダのダルトン社を子会社化した。なおダルトン社を買収する際に中間持株会社として設立したSEC社、および買収目的会社として設立したSAC社が特定子会社に該当することになったため、ダルトン社とSAC社が現地法に基づく新設合併を行い、新設された新ダルトン社が旧ダルトン社から商号および事業を引き継いだ。

 20年8月には、ダルトン社がサスカチュワン大学の研究機関であるVIDO−InterVacと、VIDO−InterVacがカナダ政府およびサスカチュワン州から支援を受けて開発を進めているCOVID−19ワクチンの製造に関して、業務提携に合意した。ダルトン社は本提携により、COVID−19ワクチンの初期段階の臨床試験で投与される治験薬の調合、充填、製剤化を担う。

 21年4月にはLAL事業の海外子会社である米ACC社が、遺伝子組み換えエンドトキシン測定用試薬「パイロスマート ネクストジェン」の販売を開始した。21年8月には単回投与の関節機能改善剤ハイリンクについて、台湾のTCM社を通じて台湾における販売を開始した。

 21年11月には海外子会社のACC社が、遺伝子組み換えエンドトキシン測定用試薬「パイロスマート ネクストジェン」について、Pharma Manufacturing 2021 Innovation Awardを受賞した。

 1月26日には、ダルトン社の100%出資子会社として、カナダに現地法人SEIKAGAKU NORTH AMERICA CORPORATIONを設立したと発表している。北米に開発拠点を有することで、現地の医療環境に即したプランの立案、FDA(米国食品医薬品局)や治験施設との円滑なコミュニケーション実現など、医薬品・医療機器開発および承認取得の加速を目指す。

■新薬開発は糖質科学分野に焦点

 研究開発は糖質科学分野(糖鎖や複合糖質を研究する科学分野)に焦点を絞っている。開発パイプラインには、腰椎椎間板ヘルニア治療剤SI−6603、変形性膝関節症改善剤SI−613、腱・靱帯付着部症を適応症とするSI−613−ETP、ドライアイ治療剤SI−614、間質性膀胱炎を適応症とするSI−722、癒着防止材SI−449がある。

 SI−6603は日本では18年3月製造販売承認を取得し、科研製薬<4521>が18年8月販売開始(腰椎椎間板ヘルニア治療剤ヘルニコア)した。またスイスのフェリング社と日本を除く全世界におけるライセンス契約を締結している。マイルストーン型ロイヤリティーの総額は最大95百万米ドル(うち契約一時金5百万米ドル)である。米国では第3相臨床の追加試験が22年11月経過観察終了予定だが、新型コロナウイルスの影響で進捗が遅れているため、被験者増加や治験施設増加など各種施策を実行して組み入れを促進している。

 SI−613は、小野薬品工業<4528>と日本における共同開発・販売提携に関する契約を締結し、21年3月に変形性関節症治療剤ONO−5704/SI−613(ジョイクル関節注30mg)について、変形性関節症(膝関節、股関節)の効能または効果で国内製造販売承認を取得(21年5月に小野薬品工業が販売開始)した。マイルストーン型ロイヤリティーの総額は最大120億円(うち契約一時金20億円)である。米国では第2相臨床試験結果の解析が終了し、第3相臨床試験の検討と並行して提携先の選定を進めている。SI−613−ETP(小野薬品工業とのSI−613の契約に含む)は後期第2相臨床試験の解析が終了し、次のアクションを検討中である。

 なおSI−613について、20年9月にエーザイ<4523>と韓国における販売提携に関する契約を締結した。エーザイの韓国子会社が韓国におけるSI−613の独占的販売権を取得し、製造販売申請を行う。承認取得後は製品をエーザイに供給する。契約一時金と販売マイルストーンを受け取る。エーザイとは20年4月に中国における共同開発および販売提携に関する契約を締結しており、2ヶ国目の提携となる。

 SI−614は米国で第2・3相試験が終了し、販売提携先を選定中である。SI−722は、19年11月米国における第1・2相臨床試験を開始、20年3月被験者投与を開始した。コロナ禍の影響で計画遅れの状況だが、治験施設の稼働を再開している。SI−449は18年5月開始した日本でのパイロット試験で良好な結果が確認され、20年5月に国内ピボタル試験を開始した。コロナ禍の影響で遅延が生じているが、リモート下での治験対応策を実施している。

■新薬開発や収益基盤強化を推進

 中期経営計画の目標には、22年3月期(想定為替レート1米ドル=105円)の売上高283億円、経常利益45億円、SKK EBITDA(営業利益に減価償却費、受取ロイヤリティーを加えた利益指標)50億円、海外売上高比率50.0%を掲げている。研究開発費は売上比25〜30%である。利益配分は配当性向50%を目指す。

 重点施策としては、新たな収益の柱となる新薬開発の加速、製品の市場拡大による収益基盤強化、生産性向上のための改革を推進する。

 なお21年10月には、海外子会社のACC社がカブトガニ保全活動において、この種の取り組みでは初めてとなるアメリカ産カブトガニ累計100万匹放流を達成した。また21年12月には会社HPにサステナビリティページを開設し、各種取組を紹介している。

■22年3月期大幅営業・経常増益予想、さらに上振れの可能性

 22年3月期連結業績予想(収益認識基準適用のため21年3月期を新基準に遡及適用して増減率算出)は、売上高が21年3月期比16.1%増の322億円、営業利益が2.0倍の45億50百万円、経常利益が53.7%増の46億50百万円、親会社株主帰属当期純利益が14.4%減の36億50百万円としている。なお、受取ロイヤリティーを営業外収益から売上高に表示区分変更するとともに、販売手数料等を販管費計上から売上高控除に変更する。配当予想は6円増配の30円(第2四半期末15円、期末15円)(普通配当20円+ジョイクル発売特別配当10円)としている。

 売上面は国内薬価引き下げが減収要因となるが、受取ロイヤリティーの増加、新製品の変形性関節症治療剤ジョイクル関節注30mg(開発コードONO−5704/SI−613)の発売、医薬品原体・医薬品受託製造の伸長などで2桁増収見込みとしている。

 セグメント別売上高計画は、医薬品事業が21.0%増の251億50百万円(国内医薬品が1.3%増の116億円、海外医薬品が1.8%増の69億円、医薬品原体・医薬品受託製造が27.3%増の23億50百万円、ロイヤリティーが6.0倍の43億円)で、LAL事業が1.6%増の70億50百万円としている。

 利益面は、研究開発費が増加(9.6%増の79億円)し、減価償却費や営業関連費も増加するが、増収効果で吸収して大幅営業・経常増益予想としている。親会社株主帰属当期純利益は前期の法人税等調整額のマイナス計上の反動で減益予想としている。

 第2四半期累計(収益認識基準適用で前年も遡及適用、利益への影響なし、受取ロイヤリティーの表示区分を従来の営業外収益から売上高に変更)は、売上高が前年同期比54.6%増の205億30百万円、営業利益が7.7倍の60億38百万円、経常利益が5.9倍の63億93百万円、親会社株主帰属四半期純利益が5.2倍の50億19百万円だった。

 コロナ禍の影響からの需要回復、M&A効果、受取ロイヤリティーの増加、関節機能改善剤ジョイクルの販売開始などで大幅増収増益だった。国内で薬価引き下げの影響があり、米国で実施中の腰椎椎間板ヘルニア治療剤SI―6603追加臨床試験進展で研究開発費(7.5%増の38億02百万円)が増加したが、増収効果などで吸収した。なお受取ロイヤリティーを除くベースでの売上原価率は、売上構成比変化などで3.1ポイント低下した。

 医薬品事業は売上高が61.7%増の161億36百万円で、営業利益が12.5倍の49億34百万円だった。売上高の内訳は、国内がコロナ禍の影響からの回復、関節機能改善剤アルツのシェア上昇、関節機能改善剤ジョイクルの販売開始(21年5月)などで14.2%増の68億05百万円、海外医薬品が米国におけるコロナ禍の影響からの回復、販売提携先による競合品からの切り替え施策、中国向けアルツの処方促進活動積極化などで49.5%増の44億49百万円、医薬品原体・医薬品受託製造がダルトン社(21年2月期第2四半期から連結)も寄与して40.3%増の13億30百万円だった。さらに受取ロイヤリティー35億50百万円を計上(前年同期は90百万円)した。

 LAL事業は売上高が33.2%増の43億94百万円で、営業利益が2.8倍の11億04百万円だった。海外子会社においてエンドトキシン測定用試薬、グルカン測定体外診断用医薬品、受託試験サービスが増加した。

 四半期別に見ると、第1四半期は売上高が117億84百万円で営業利益が44億46百万円、第2四半期は売上高が87億46百万円で営業利益が15億92百万円だった。第1四半期に受取ロイヤリティー35億50百万円を計上した。

 通期予想は据え置いている。各利益は第2四半期累計時点で通期予想を超過達成(第2四半期累計の進捗率は、売上高が63.8%、営業利益が132.7%、経常利益が137.5%、親会社株主帰属当期純利益が137.5%)したが、受取ロイヤリティーや海外医薬品前倒し出荷など売上増加要因が集中したためであり、第3四半期以降にSI―6603追加臨床試験進展に伴って研究開発費の増加が見込まれることや、21年6月に発出した安全性速報(ブルーレター)によるジョイクルの販売への影響を考慮したとしている。

 ただし保守的だろう。コロナ禍からの回復で需要回復基調であり、通期予想に上振れの可能性がありそうだ。収益拡大を期待したい。

■株価は調整一巡

 株価は地合い悪化も影響して昨年来安値を更新したが、調整一巡して出直りを期待したい。1月27日の終値は915円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS64円83銭で算出)は約14倍、今期予想配当利回り(会社予想30円で算出)は約3.3%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS1127円14銭で算出)は約0.8倍、時価総額は約520億円である。(情報提供:日 本インタビュ新聞社=Media−IR
[01月11日更新]

生化学工業は下値固め完了、22年3月期大幅営業・経常増益予想

 生化学工業<4548>(東1)は関節機能改善剤アルツなど糖質科学分野を主力とする医薬品メーカーである。22年3月期大幅営業・経常増益予想としている。第3四半期以降に研究開発費の増加が見込まれるが、需要回復基調であり、通期予想に上振れの可能性がありそうだ。収益拡大を期待したい。株価は地合い悪化も影響して昨年来安値圏だが下値固め完了感を強めている。出直りを期待したい。なお2月8日に22年3月期第3四半期決算発表を予定している。

■関節機能改善剤アルツなど糖質科学分野が主力の医薬品メーカー

 糖質科学分野が主力の医薬品メーカーで、国内医薬品(関節機能改善剤アルツ、白内障手術補助剤オペガン、内視鏡用粘膜下注入材ムコアップ)、海外医薬品(米国向け単回投与関節機能改善剤Gel−One、米国向け3回投与関節機能改善剤VISCO−3、米国向け5回投与関節機能改善剤SUPARTZ−FX、中国向けアルツ)、医薬品原体(ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸)、LAL事業(エンドトキシン測定用試薬関連)を展開している。

 21年3月期のセグメント別の構成比は、売上高が医薬品事業75%(国内医薬品43%、海外医薬品25%、医薬品原体・医薬品受託製造7%)、LAL事業25%、営業利益が医薬品事業24%、LAL事業76%だった。

 20年3月には海外製造拠点としてカナダのダルトン社を子会社化した。なおダルトン社を買収する際に中間持株会社として設立したSEC社、および買収目的会社として設立したSAC社が特定子会社に該当することになったため、ダルトン社とSAC社が現地法に基づく新設合併を行い、新設された新ダルトン社が旧ダルトン社から商号および事業を引き継いだ。

 20年8月には、ダルトン社がサスカチュワン大学の研究機関であるVIDO−InterVacと、VIDO−InterVacがカナダ政府およびサスカチュワン州から支援を受けて開発を進めているCOVID−19ワクチンの製造に関して、業務提携に合意した。ダルトン社は本提携により、COVID−19ワクチンの初期段階の臨床試験で投与される治験薬の調合、充填、製剤化を担う。

 21年4月にはLAL事業の海外子会社である米ACC社が、遺伝子組み換えエンドトキシン測定用試薬「パイロスマート ネクストジェン」の販売を開始した。21年8月には単回投与の関節機能改善剤ハイリンクについて、台湾のTCM社を通じて台湾における販売を開始した。

 21年11月には海外子会社のACC社が、遺伝子組み換えエンドトキシン測定用試薬「パイロスマート ネクストジェン」について、Pharma Manufacturing 2021 Innovation Awardを受賞した。

■新薬開発は糖質科学分野に焦点

 研究開発は糖質科学分野(糖鎖や複合糖質を研究する科学分野)に焦点を絞っている。開発パイプラインには、腰椎椎間板ヘルニア治療剤SI−6603、変形性膝関節症改善剤SI−613、腱・靱帯付着部症を適応症とするSI−613−ETP、ドライアイ治療剤SI−614、間質性膀胱炎を適応症とするSI−722、癒着防止材SI−449がある。

 SI−6603は日本では18年3月製造販売承認を取得し、科研製薬<4521>が18年8月販売開始(腰椎椎間板ヘルニア治療剤ヘルニコア)した。またスイスのフェリング社と日本を除く全世界におけるライセンス契約を締結している。マイルストーン型ロイヤリティーの総額は最大95百万米ドル(うち契約一時金5百万米ドル)である。米国では第3相臨床の追加試験が22年11月経過観察終了予定だが、新型コロナウイルスの影響で進捗が遅れているため、被験者増加や治験施設増加など各種施策を実行して組み入れを促進している。

 SI−613は、小野薬品工業<4528>と日本における共同開発・販売提携に関する契約を締結し、21年3月に変形性関節症治療剤ONO−5704/SI−613(ジョイクル関節注30mg)について、変形性関節症(膝関節、股関節)の効能または効果で国内製造販売承認を取得(21年5月に小野薬品工業が販売開始)した。マイルストーン型ロイヤリティーの総額は最大120億円(うち契約一時金20億円)である。米国では第2相臨床試験結果の解析が終了し、第3相臨床試験の検討と並行して提携先の選定を進めている。SI−613−ETP(小野薬品工業とのSI−613の契約に含む)は後期第2相臨床試験の解析が終了し、次のアクションを検討中である。

 なおSI−613について、20年9月にエーザイ<4523>と韓国における販売提携に関する契約を締結した。エーザイの韓国子会社が韓国におけるSI−613の独占的販売権を取得し、製造販売申請を行う。承認取得後は製品をエーザイに供給する。契約一時金と販売マイルストーンを受け取る。エーザイとは20年4月に中国における共同開発および販売提携に関する契約を締結しており、2ヶ国目の提携となる。

 SI−614は米国で第2・3相試験が終了し、販売提携先を選定中である。SI−722は、19年11月米国における第1・2相臨床試験を開始、20年3月被験者投与を開始した。コロナ禍の影響で計画遅れの状況だが、治験施設の稼働を再開している。SI−449は18年5月開始した日本でのパイロット試験で良好な結果が確認され、20年5月に国内ピボタル試験を開始した。コロナ禍の影響で遅延が生じているが、リモート下での治験対応策を実施している。

■新薬開発や収益基盤強化を推進

 中期経営計画の目標には、22年3月期(想定為替レート1米ドル=105円)の売上高283億円、経常利益45億円、SKK EBITDA(営業利益に減価償却費、受取ロイヤリティーを加えた利益指標)50億円、海外売上高比率50.0%を掲げている。研究開発費は売上比25〜30%である。利益配分は配当性向50%を目指す。

 重点施策としては、新たな収益の柱となる新薬開発の加速、製品の市場拡大による収益基盤強化、生産性向上のための改革を推進する。

 なお21年10月には、海外子会社のACC社がカブトガニ保全活動において、この種の取り組みでは初めてとなるアメリカ産カブトガニ累計100万匹放流を達成した。また21年12月には会社HPにサステナビリティページを開設し、各種取組を紹介している。

■22年3月期大幅営業・経常増益予想、さらに上振れの可能性

 22年3月期連結業績予想(収益認識基準適用のため21年3月期を新基準に遡及適用して増減率算出)は、売上高が21年3月期比16.1%増の322億円、営業利益が2.0倍の45億50百万円、経常利益が53.7%増の46億50百万円、親会社株主帰属当期純利益が14.4%減の36億50百万円としている。なお、受取ロイヤリティーを営業外収益から売上高に表示区分変更するとともに、販売手数料等を販管費計上から売上高控除に変更する。配当予想は6円増配の30円(第2四半期末15円、期末15円)(普通配当20円+ジョイクル発売特別配当10円)としている。

 売上面は国内薬価引き下げが減収要因となるが、受取ロイヤリティーの増加、新製品の変形性関節症治療剤ジョイクル関節注30mg(開発コードONO−5704/SI−613)の発売、医薬品原体・医薬品受託製造の伸長などで2桁増収見込みとしている。

 セグメント別売上高計画は、医薬品事業が21.0%増の251億50百万円(国内医薬品が1.3%増の116億円、海外医薬品が1.8%増の69億円、医薬品原体・医薬品受託製造が27.3%増の23億50百万円、ロイヤリティーが6.0倍の43億円)で、LAL事業が1.6%増の70億50百万円としている。

 利益面は、研究開発費が増加(9.6%増の79億円)し、減価償却費や営業関連費も増加するが、増収効果で吸収して大幅営業・経常増益予想としている。親会社株主帰属当期純利益は前期の法人税等調整額のマイナス計上の反動で減益予想としている。

 第2四半期累計(収益認識基準適用で前年も遡及適用、利益への影響なし、受取ロイヤリティーの表示区分を従来の営業外収益から売上高に変更)は、売上高が前年同期比54.6%増の205億30百万円、営業利益が7.7倍の60億38百万円、経常利益が5.9倍の63億93百万円、親会社株主帰属四半期純利益が5.2倍の50億19百万円だった。

 コロナ禍の影響からの需要回復、M&A効果、受取ロイヤリティーの増加、関節機能改善剤ジョイクルの販売開始などで大幅増収増益だった。国内で薬価引き下げの影響があり、米国で実施中の腰椎椎間板ヘルニア治療剤SI―6603追加臨床試験進展で研究開発費(7.5%増の38億02百万円)が増加したが、増収効果などで吸収した。なお受取ロイヤリティーを除くベースでの売上原価率は、売上構成比変化などで3.1ポイント低下した。

 医薬品事業は売上高が61.7%増の161億36百万円で、営業利益が12.5倍の49億34百万円だった。売上高の内訳は、国内がコロナ禍の影響からの回復、関節機能改善剤アルツのシェア上昇、関節機能改善剤ジョイクルの販売開始(21年5月)などで14.2%増の68億05百万円、海外医薬品が米国におけるコロナ禍の影響からの回復、販売提携先による競合品からの切り替え施策、中国向けアルツの処方促進活動積極化などで49.5%増の44億49百万円、医薬品原体・医薬品受託製造がダルトン社(21年2月期第2四半期から連結)も寄与して40.3%増の13億30百万円だった。さらに受取ロイヤリティー35億50百万円を計上(前年同期は90百万円)した。

 LAL事業は売上高が33.2%増の43億94百万円で、営業利益が2.8倍の11億04百万円だった。海外子会社においてエンドトキシン測定用試薬、グルカン測定体外診断用医薬品、受託試験サービスが増加した。

 四半期別に見ると、第1四半期は売上高が117億84百万円で営業利益が44億46百万円、第2四半期は売上高が87億46百万円で営業利益が15億92百万円だった。第1四半期に受取ロイヤリティー35億50百万円を計上した。

 通期予想は据え置いている。各利益は第2四半期累計時点で通期予想を超過達成(第2四半期累計の進捗率は、売上高が63.8%、営業利益が132.7%、経常利益が137.5%、親会社株主帰属当期純利益が137.5%)したが、受取ロイヤリティーや海外医薬品前倒し出荷など売上増加要因が集中したためであり、第3四半期以降にSI―6603追加臨床試験進展に伴って研究開発費の増加が見込まれることや、21年6月に発出した安全性速報(ブルーレター)によるジョイクルの販売への影響を考慮したとしている。

 ただし保守的だろう。コロナ禍からの回復で需要回復基調であり、通期予想に上振れの可能性がありそうだ。収益拡大を期待したい。

■株価は下値固め完了

 22年4月4日移行予定の新市場区分については、新市場区分における上場維持基準への適合状況に関する一次判定結果でプライム市場適合を確認し、21年11月9日開催の取締役会においてプライム市場選択申請を決議した。所定のスケジュールに基づいて手続を進める。

 株価は地合い悪化も影響して昨年来安値圏だが下値固め完了感を強めている。出直りを期待したい。1月7日の終値は954円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS64円83銭で算出)は約15倍、今期予想配当利回り(会社予想の30円で算出)は約3.1%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS1127円14銭で算出)は約0.8倍、時価総額は約542億円である。(情報提供:日 本インタビュ新聞社=Media−IR
[12月16日更新]

生化学工業は反発の動き、22年3月期大幅営業・経常増益予想、さらに上振れの可能性

 生化学工業<4548>(東1)は関節機能改善剤アルツなど糖質科学分野を主力とする医薬品メーカーである。22年3月期は大幅営業・経常増益予想としている。第3四半期以降に研究開発費の増加が見込まれるが、コロナ禍からの回復で需要回復基調であり、通期予想に上振れの可能性がありそうだ。収益拡大を期待したい。株価は地合い悪化も影響して年初来安値を更新する展開だったが、調整一巡して反発の動きを強めている。出直りを期待したい。

■関節機能改善剤アルツなど糖質科学分野が主力の医薬品メーカー

 糖質科学分野が主力の医薬品メーカーで、国内医薬品(関節機能改善剤アルツ、白内障手術補助剤オペガン、内視鏡用粘膜下注入材ムコアップ)、海外医薬品(米国向け単回投与関節機能改善剤Gel−One、米国向け3回投与関節機能改善剤VISCO−3、米国向け5回投与関節機能改善剤SUPARTZ−FX、中国向けアルツ)、医薬品原体(ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸)、LAL事業(エンドトキシン測定用試薬関連)を展開している。

 21年3月期のセグメント別の構成比は、売上高が医薬品事業75%(国内医薬品43%、海外医薬品25%、医薬品原体・医薬品受託製造7%)、LAL事業25%、営業利益が医薬品事業24%、LAL事業76%だった。

 20年3月には海外製造拠点としてカナダのダルトン社を子会社化した。なおダルトン社を買収する際に中間持株会社として設立したSEC社、および買収目的会社として設立したSAC社が特定子会社に該当することになったため、ダルトン社とSAC社が現地法に基づく新設合併を行い、新設された新ダルトン社が旧ダルトン社から商号および事業を引き継いだ。

 20年8月には、ダルトン社がサスカチュワン大学の研究機関であるVIDO−InterVacと、VIDO−InterVacがカナダ政府およびサスカチュワン州から支援を受けて開発を進めているCOVID−19ワクチンの製造に関して、業務提携に合意した。ダルトン社は本提携により、COVID−19ワクチンの初期段階の臨床試験で投与される治験薬の調合、充填、製剤化を担う。

 21年4月にはLAL事業の海外子会社である米ACC社が、遺伝子組み換えエンドトキシン測定用試薬「パイロスマート ネクストジェン」の販売を開始した。21年8月には単回投与の関節機能改善剤ハイリンクについて、台湾のTCM社を通じて台湾における販売を開始した。

 21年10月には、海外子会社のACC社がカブトガニ保全活動において、この種の取り組みでは初めてとなるアメリカ産カブトガニ累計100万匹放流を達成した。また21年11月には、海外子会社のACC社が、遺伝子組み換えエンドトキシン測定用試薬「パイロスマート ネクストジェン」について、Pharma Manufacturing 2021 Innovation Awardを受賞した。

■新薬開発は糖質科学分野に焦点

 研究開発は糖質科学分野(糖鎖や複合糖質を研究する科学分野)に焦点を絞っている。開発パイプラインには、腰椎椎間板ヘルニア治療剤SI−6603、変形性膝関節症改善剤SI−613、腱・靱帯付着部症を適応症とするSI−613−ETP、ドライアイ治療剤SI−614、間質性膀胱炎を適応症とするSI−722、癒着防止材SI−449がある。

 SI−6603は日本では18年3月製造販売承認を取得し、科研製薬<4521>が18年8月販売開始(腰椎椎間板ヘルニア治療剤ヘルニコア)した。またスイスのフェリング社と日本を除く全世界におけるライセンス契約を締結している。マイルストーン型ロイヤリティーの総額は最大95百万米ドル(うち契約一時金5百万米ドル)である。米国では第3相臨床の追加試験が22年11月経過観察終了予定だが、新型コロナウイルスの影響で進捗が遅れているため、被験者増加や治験施設増加など各種施策を実行して組み入れを促進している。

 SI−613は、小野薬品工業<4528>と日本における共同開発・販売提携に関する契約を締結し、21年3月に変形性関節症治療剤ONO−5704/SI−613(ジョイクル関節注30mg)について、変形性関節症(膝関節、股関節)の効能または効果で国内製造販売承認を取得(21年5月に小野薬品工業が販売開始)した。マイルストーン型ロイヤリティーの総額は最大120億円(うち契約一時金20億円)である。米国では第2相臨床試験結果の解析が終了し、第3相臨床試験の検討と並行して提携先の選定を進めている。SI−613−ETP(小野薬品工業とのSI−613の契約に含む)は後期第2相臨床試験の解析が終了し、次のアクションを検討中である。

 なおSI−613について、20年9月にエーザイ<4523>と韓国における販売提携に関する契約を締結した。エーザイの韓国子会社が韓国におけるSI−613の独占的販売権を取得し、製造販売申請を行う。承認取得後は製品をエーザイに供給する。契約一時金と販売マイルストーンを受け取る。エーザイとは20年4月に中国における共同開発および販売提携に関する契約を締結しており、2ヶ国目の提携となる。

 SI−614は米国で第2・3相試験が終了し、販売提携先を選定中である。SI−722は、19年11月米国における第1・2相臨床試験を開始、20年3月被験者投与を開始した。コロナ禍の影響で計画遅れの状況だが、治験施設の稼働を再開している。SI−449は18年5月開始した日本でのパイロット試験で良好な結果が確認され、20年5月に国内ピボタル試験を開始した。コロナ禍の影響で遅延が生じているが、リモート下での治験対応策を実施している。

■新薬開発や収益基盤強化を推進

 中期経営計画の目標には、22年3月期(想定為替レート1米ドル=105円)の売上高283億円、経常利益45億円、SKK EBITDA(営業利益に減価償却費、受取ロイヤリティーを加えた利益指標)50億円、海外売上高比率50.0%を掲げている。研究開発費は売上比25〜30%である。利益配分は配当性向50%を目指す。

 重点施策としては、新たな収益の柱となる新薬開発の加速、製品の市場拡大による収益基盤強化、生産性向上のための改革を推進する。

■22年3月期大幅営業・経常増益予想、さらに上振れの可能性

 22年3月期連結業績予想(収益認識基準適用のため21年3月期を新基準に遡及適用して増減率算出)は、売上高が21年3月期比16.1%増の322億円、営業利益が2.0倍の45億50百万円、経常利益が53.7%増の46億50百万円、親会社株主帰属当期純利益が14.4%減の36億50百万円としている。受取ロイヤリティーを営業外収益から売上高に表示区分変更し、販売手数料等を販管費計上から売上高控除に変更する。配当予想は6円増配の30円(第2四半期末15円、期末15円)(普通配当20円+ジョイクル発売特別配当10円)としている。

 売上面は国内薬価引き下げが減収要因となるが、受取ロイヤリティーの増加、新製品の変形性関節症治療剤ジョイクル関節注30mg(開発コードONO−5704/SI−613)の発売、医薬品原体・医薬品受託製造の伸長などで2桁増収見込みとしている。

 セグメント別売上高計画は、医薬品事業が21.0%増の251億50百万円(国内医薬品が1.3%増の116億円、海外医薬品が1.8%増の69億円、医薬品原体・医薬品受託製造が27.3%増の23億50百万円、ロイヤリティーが6.0倍の43億円)で、LAL事業が1.6%増の70億50百万円としている。

 利益面は、研究開発費が増加(9.6%増の79億円)し、減価償却費や営業関連費も増加するが、増収効果で吸収して大幅営業・経常増益予想としている。当期純利益は前期の法人税等調整額のマイナス計上の反動で減益予想としている。

 第2四半期累計(収益認識基準適用で前年も遡及適用、利益への影響なし、受取ロイヤリティーの表示区分を従来の営業外収益から売上高に変更)は、売上高が前年同期比54.6%増の205億30百万円、営業利益が7.7倍の60億38百万円、経常利益が5.9倍の63億93百万円、親会社株主帰属四半期純利益が5.2倍の50億19百万円だった。

 コロナ禍の影響からの回復、M&A効果、受取ロイヤリティーの増加、関節機能改善剤ジョイクルの販売開始などで大幅増収増益だった。国内で薬価引き下げの影響があり、米国で実施中の腰椎椎間板ヘルニア治療剤SI―6603追加臨床試験進展で研究開発費(7.5%増の38億02百万円)が増加したが、増収効果などで吸収した。なお受取ロイヤリティーを除くベースでの売上原価率は、売上構成比変化などで3.1ポイント低下した。

 医薬品事業は売上高が61.7%増の161億36百万円で、営業利益が12.5倍の49億34百万円だった。売上高の内訳は、国内がコロナ禍の影響からの回復、関節機能改善剤アルツのシェア上昇、関節機能改善剤ジョイクルの販売開始(21年5月)などで14.2%増の68億05百万円、海外医薬品が米国におけるコロナ禍の影響からの回復、販売提携先による競合品からの切り替え施策、中国向けアルツの処方促進活動積極化などで49.5%増の44億49百万円、医薬品原体・医薬品受託製造がダルトン社(21年2月期第2四半期から連結)も寄与して40.3%増の13億30百万円だった。さらに受取ロイヤリティー35億50百万円を計上(前年同期は90百万円)した。

 LAL事業は売上高が33.2%増の43億94百万円で、営業利益が2.8倍の11億04百万円だった。海外子会社においてエンドトキシン測定用試薬、グルカン測定体外診断用医薬品、受託試験サービスが増加した。

 四半期別に見ると、第1四半期は売上高が117億84百万円で営業利益が44億46百万円、第2四半期は売上高が87億46百万円で営業利益が15億92百万円だった。第1四半期に受取ロイヤリティー35億50百万円を計上した。

 通期予想は据え置いている。各利益は第2四半期累計時点で通期予想を超過達成(第2四半期累計の進捗率は、売上高が63.8%、営業利益が132.7%、経常利益が137.5%、親会社株主帰属当期純利益が137.5%)したが、ロイヤリティーの受領や海外医薬品の前倒し出荷など売上増加要因が集中したためであり、第3四半期以降にSI―6603追加臨床試験進展に伴って研究開発費の増加が見込まれることや、6月1日に発出した安全性速報(ブルーレター)によるジョイクルの販売への影響を考慮したとしている。

 ただし保守的だろう。コロナ禍からの回復で需要回復基調であり、通期予想に上振れの可能性がありそうだ。収益拡大を期待したい。

■株価は反発の動き

 22年4月4日移行予定の新市場区分については、新市場区分における上場維持基準への適合状況に関する一次判定結果でプライム市場適合を確認し、21年11月9日開催の取締役会においてプライム市場選択申請を決議した。所定のスケジュールに基づいて手続を進める。

 株価は地合い悪化も影響して年初来安値を更新する展開だったが、調整一巡して反発の動きを強めている。出直りを期待したい。12月15日の終値は963円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS64円83銭で算出)は約15倍、今期予想配当利回り(会社予想の30円で算出)は約3.1%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS1127円14銭で算出)は約0.9倍、時価総額は約547億円である。(情報提供:日 本インタビュ新聞社=Media−IR
[11月22日更新]

生化学工業は売られ過ぎ感、22年3月期2Q累計大幅増収増益で通期上振れの可能性

 生化学工業<4548>(東1)は関節機能改善剤アルツなど糖質科学分野を主力とする医薬品メーカーである。22年3月期は大幅営業・経常増益予想としている。第2四半期累計はコロナ禍の影響からの回復や受取ロイヤリティーの増加などで大幅増収増益だった。第3四半期以降に研究開発費の増加が見込まれることなどを考慮して通期予想を据え置いたが、上振れの可能性がありそうだ。収益拡大を期待したい。株価は年初来安値を更新して軟調だが、売られ過ぎ感を強めている。調整一巡して出直りを期待したい。

■関節機能改善剤アルツなど糖質科学分野が主力の医薬品メーカー

 糖質科学分野が主力の医薬品メーカーで、国内医薬品(関節機能改善剤アルツ、白内障手術補助剤オペガン、内視鏡用粘膜下注入材ムコアップ)、海外医薬品(米国向け単回投与関節機能改善剤Gel−One、米国向け3回投与関節機能改善剤VISCO−3、米国向け5回投与関節機能改善剤SUPARTZ−FX、中国向けアルツ)、医薬品原体(ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸)、LAL事業(エンドトキシン測定用試薬関連)を展開している。

 21年3月期のセグメント別の構成比は、売上高が医薬品事業75%(国内医薬品43%、海外医薬品25%、医薬品原体・医薬品受託製造7%)、LAL事業25%、営業利益が医薬品事業24%、LAL事業76%だった。

 20年3月には海外製造拠点としてカナダのダルトン社を子会社化した。なおダルトン社を買収する際に中間持株会社として設立したSEC社、および買収目的会社として設立したSAC社が特定子会社に該当することになったため、ダルトン社とSAC社が現地法に基づく新設合併を行い、新設された新ダルトン社が旧ダルトン社から商号および事業を引き継いだ。

 20年8月には、ダルトン社がサスカチュワン大学の研究機関であるVIDO−InterVacと、VIDO−InterVacがカナダ政府およびサスカチュワン州から支援を受けて開発を進めているCOVID−19ワクチンの製造に関して、業務提携に合意した。ダルトン社は本提携により、COVID−19ワクチンの初期段階の臨床試験で投与される治験薬の調合、充填、製剤化を担う。

 21年4月にはLAL事業の海外子会社である米ACC社が、遺伝子組み換えエンドトキシン測定用試薬「パイロスマート ネクストジェン」の販売を開始した。21年8月には単回投与の関節機能改善剤ハイリンクについて、台湾のTCM社を通じて台湾における販売を開始した。

 11月10日には海外子会社のACC社がカブトガニ保全活動において、この種の取り組みでは初めてとなるアメリカ産カブトガニ累計100万匹放流を21年10月に達成したと発表している。また11月16日には海外子会社のACC社が遺伝子組み換えエンドトキシン測定用試薬「パイロスマート ネクストジェン」について、Pharma Manufacturing 2021 Innovation Awardを受賞したと発表している。

■新薬開発は糖質科学分野に焦点

 研究開発は糖質科学分野(糖鎖や複合糖質を研究する科学分野)に焦点を絞っている。開発パイプラインには、腰椎椎間板ヘルニア治療剤SI−6603、変形性膝関節症改善剤SI−613、腱・靱帯付着部症を適応症とするSI−613−ETP、ドライアイ治療剤SI−614、間質性膀胱炎を適応症とするSI−722、癒着防止材SI−449がある。

 SI−6603は日本では18年3月製造販売承認を取得し、科研製薬<4521>が18年8月販売開始(腰椎椎間板ヘルニア治療剤ヘルニコア)した。またスイスのフェリング社と日本を除く全世界におけるライセンス契約を締結している。マイルストーン型ロイヤリティーの総額は最大95百万米ドル(うち契約一時金5百万米ドル)である。米国では第3相臨床の追加試験が22年11月経過観察終了予定だが、新型コロナウイルスの影響で進捗が遅れているため、被験者増加や治験施設増加など各種施策を実行して組み入れを促進している。

 SI−613は、小野薬品工業<4528>と日本における共同開発・販売提携に関する契約を締結し、21年3月に変形性関節症治療剤ONO−5704/SI−613(ジョイクル関節注30mg)について、変形性関節症(膝関節、股関節)の効能または効果で国内製造販売承認を取得(21年5月に小野薬品工業が販売開始)した。マイルストーン型ロイヤリティーの総額は最大120億円(うち契約一時金20億円)である。米国では第2相臨床試験結果の解析が終了し、第3相臨床試験の検討と並行して提携先の選定を進めている。SI−613−ETP(小野薬品工業とのSI−613の契約に含む)は後期第2相臨床試験の解析が終了し、次のアクションを検討中である。

 なおSI−613について、20年9月にエーザイ<4523>と韓国における販売提携に関する契約を締結した。エーザイの韓国子会社が韓国におけるSI−613の独占的販売権を取得し、製造販売申請を行う。承認取得後は製品をエーザイに供給する。契約一時金と販売マイルストーンを受け取る。エーザイとは20年4月に中国における共同開発および販売提携に関する契約を締結しており、2ヶ国目の提携となる。

 SI−614は米国で第2・3相試験が終了し、販売提携先を選定中である。SI−722は、19年11月米国における第1・2相臨床試験を開始、20年3月被験者投与を開始した。コロナ禍の影響で計画遅れの状況だが、治験施設の稼働を再開している。SI−449は18年5月開始した日本でのパイロット試験で良好な結果が確認され、20年5月に国内ピボタル試験を開始した。コロナ禍の影響で遅延が生じているが、リモート下での治験対応策を実施している。

■新薬開発や収益基盤強化を推進

 中期経営計画の目標には、22年3月期(想定為替レート1米ドル=105円)の売上高283億円、経常利益45億円、SKK EBITDA(営業利益に減価償却費、受取ロイヤリティーを加えた利益指標)50億円、海外売上高比率50.0%を掲げている。研究開発費は売上比25〜30%である。利益配分は配当性向50%を目指す。

 重点施策としては、新たな収益の柱となる新薬開発の加速、製品の市場拡大による収益基盤強化、生産性向上のための改革を推進する。

■22年3月期2Q累計大幅増収増益で通期上振れの可能性

 22年3月期連結業績予想(収益認識基準適用のため21年3月期を新基準に遡及適用して増減率算出)は、売上高が21年3月期比16.1%増の322億円、営業利益が2.0倍の45億50百万円、経常利益が53.7%増の46億50百万円、親会社株主帰属当期純利益が14.4%減の36億50百万円としている。受取ロイヤリティーを営業外収益から売上高に表示区分変更し、販売手数料等を販管費計上から売上高控除に変更する。配当予想は6円増配の30円(第2四半期末15円、期末15円)(普通配当20円+ジョイクル発売特別配当10円)としている。

 売上面は国内薬価引き下げが減収要因となるが、受取ロイヤリティーの増加、新製品の変形性関節症治療剤ジョイクル関節注30mg(開発コードONO−5704/SI−613)の発売、医薬品原体・医薬品受託製造の伸長などで2桁増収見込みとしている。

 セグメント別売上高計画は、医薬品事業が21.0%増の251億50百万円(国内医薬品が1.3%増の116億円、海外医薬品が1.8%増の69億円、医薬品原体・医薬品受託製造が27.3%増の23億50百万円、ロイヤリティーが6.0倍の43億円)で、LAL事業が1.6%増の70億50百万円としている。

 利益面は、研究開発費が増加(9.6%増の79億円)し、減価償却費や営業関連費も増加するが、増収効果で吸収して大幅営業・経常増益予想としている。当期純利益は前期の法人税等調整額のマイナス計上の反動で減益予想としている。

 第2四半期累計(収益認識基準適用で前年も遡及適用、利益への影響なし、受取ロイヤリティーの表示区分を従来の営業外収益から売上高に変更)は、売上高が前年同期比54.6%増の205億30百万円、営業利益が7.7倍の60億38百万円、経常利益が5.9倍の63億93百万円、親会社株主帰属四半期純利益が5.2倍の50億19百万円だった。

 コロナ禍の影響からの回復、M&A効果、受取ロイヤリティーの増加、関節機能改善剤ジョイクルの販売開始などで大幅増収増益だった。国内で薬価引き下げの影響があり、米国で実施中の腰椎椎間板ヘルニア治療剤SI―6603追加臨床試験進展で研究開発費(7.5%増の38億02百万円)が増加したが、増収効果などで吸収した。なお受取ロイヤリティーを除くベースでの売上原価率は、売上構成比変化などで3.1ポイント低下した。

 医薬品事業は売上高が61.7%増の161億36百万円で、営業利益が12.5倍の49億34百万円だった。売上高の内訳は、国内がコロナ禍の影響からの回復、関節機能改善剤アルツのシェア上昇、関節機能改善剤ジョイクルの販売開始(21年5月)などで14.2%増の68億05百万円、海外医薬品が米国におけるコロナ禍の影響からの回復、販売提携先による競合品からの切り替え施策、中国向けアルツの処方促進活動積極化などで49.5%増の44億49百万円、医薬品原体・医薬品受託製造がダルトン社(21年2月期第2四半期から連結)も寄与して40.3%増の13億30百万円だった。さらに受取ロイヤリティー35億50百万円を計上(前年同期は90百万円)した。

 LAL事業は売上高が33.2%増の43億94百万円で、営業利益が2.8倍の11億04百万円だった。海外子会社においてエンドトキシン測定用試薬、グルカン測定体外診断用医薬品、受託試験サービスが増加した。

 四半期別に見ると、第1四半期は売上高が117億84百万円で営業利益が44億46百万円、第2四半期は売上高が87億46百万円で営業利益が15億92百万円だった。第1四半期に受取ロイヤリティー35億50百万円を計上した。

 通期予想は据え置いた。各利益は第2四半期累計時点で通期予想を超過達成(第2四半期累計の進捗率は、売上高が63.8%、営業利益が132.7%、経常利益が137.5%、親会社株主帰属当期純利益が137.5%)しているが、ロイヤリティーの受領や海外医薬品の前倒し出荷など売上増加要因が集中したためであり、第3四半期以降にSI―6603追加臨床試験進展に伴って研究開発費の増加が見込まれることや、6月1日に発出した安全性速報(ブルーレター)によるジョイクルの販売への影響を考慮したとしている。ただし保守的だろう。需要が回復基調であり、通期予想は上振れの可能性がありそうだ。収益拡大を期待したい。

■株価は売られ過ぎ感

 22年4月4日移行予定の新市場区分については、新市場区分における上場維持基準への適合状況に関する一次判定結果でプライム市場適合を確認し、21年11月9日開催の取締役会においてプライム市場選択申請を決議した。所定のスケジュールに基づいて手続を進める。

 株価は年初来安値を更新して軟調だが、売られ過ぎ感を強めている。調整一巡して出直りを期待したい。11月19日の終値は977円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS64円83銭で算出)は約15倍、今期予想配当利回り(会社予想の30円で算出)は約3.1%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS1127円14銭で算出)は約0.9倍、時価総額は約555億円である。(情報提供:日 本インタビュ新聞社=Media−IR
[10月12日更新]

生化学工業は調整一巡、22年3月期上振れの可能性

 生化学工業<4548>(東1)は関節機能改善剤アルツなど糖質科学分野を主力とする医薬品メーカーである。22年3月期は大幅営業・経常増益予想としている。コロナ禍からの回復などで通期予想は上振れの可能性が高いだろう。収益拡大を期待したい。株価は地合い悪化も影響して戻り高値圏から急反落の形となったが、調整一巡して戻りを試す展開を期待したい。なお11月9日に22年3月期第2四半期決算発表を予定している。

■関節機能改善剤アルツなど糖質科学分野が主力の医薬品メーカー

 糖質科学分野が主力の医薬品メーカーで、国内医薬品(関節機能改善剤アルツ、白内障手術補助剤オペガン、内視鏡用粘膜下注入材ムコアップ)、海外医薬品(米国向け単回投与関節機能改善剤Gel−One、米国向け3回投与関節機能改善剤VISCO−3、米国向け5回投与関節機能改善剤SUPARTZ−FX、中国向けアルツ)、医薬品原体(ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸)、LAL事業(エンドトキシン測定用試薬関連)を展開している。

 21年3月期のセグメント別の構成比は、売上高が医薬品事業75%(国内医薬品43%、海外医薬品25%、医薬品原体・医薬品受託製造7%)、LAL事業25%、営業利益が医薬品事業24%、LAL事業76%だった。

 20年3月には海外製造拠点としてカナダのダルトン社を子会社化した。なおダルトン社を買収する際に中間持株会社として設立したSEC社、および買収目的会社として設立したSAC社が特定子会社に該当することになったため、ダルトン社とSAC社が現地法に基づく新設合併を行い、新設された新ダルトン社が旧ダルトン社から商号および事業を引き継いだ。

 20年8月には、ダルトン社がサスカチュワン大学の研究機関であるVIDO−InterVacと、VIDO−InterVacがカナダ政府およびサスカチュワン州から支援を受けて開発を進めているCOVID−19ワクチンの製造に関して、業務提携に合意した。ダルトン社は本提携により、COVID−19ワクチンの初期段階の臨床試験で投与される治験薬の調合、充填、製剤化を担う。

 21年4月にはLAL事業の海外子会社である米ACC社が、遺伝子組み換えエンドトキシン測定用試薬「パイロスマート ネクストジェン」の販売を開始した。21年8月には単回投与の関節機能改善剤ハイリンクについて、台湾のTCM社を通じて台湾における販売を開始した。

■新薬開発は糖質科学分野に焦点

 研究開発は糖質科学分野(糖鎖や複合糖質を研究する科学分野)に焦点を絞っている。開発パイプラインには、腰椎椎間板ヘルニア治療剤SI−6603、変形性膝関節症改善剤SI−613、腱・靱帯付着部症を適応症とするSI−613−ETP、ドライアイ治療剤SI−614、間質性膀胱炎を適応症とするSI−722、癒着防止材SI−449がある。

 SI−6603は日本では18年3月製造販売承認を取得し、科研製薬<4521>が18年8月販売開始(腰椎椎間板ヘルニア治療剤ヘルニコア)した。またスイスのフェリング社と日本を除く全世界におけるライセンス契約を締結している。マイルストーン型ロイヤリティーの総額は最大95百万米ドル(うち契約一時金5百万米ドル)である。米国では第3相臨床の追加試験が22年11月経過観察終了予定だが、新型コロナウイルスの影響で進捗が遅れているため、被験者増加や治験施設増加など各種施策を実行して組み入れを促進している。

 SI−613は、小野薬品工業<4528>と日本における共同開発・販売提携に関する契約を締結し、21年3月に変形性関節症治療剤ONO−5704/SI−613(ジョイクル関節注30mg)について、変形性関節症(膝関節、股関節)の効能または効果で国内製造販売承認を取得(21年5月に小野薬品工業が販売開始)した。マイルストーン型ロイヤリティーの総額は最大120億円(うち契約一時金20億円)である。米国では第2相臨床試験結果の解析が終了し、第3相臨床試験の検討と並行して提携先の選定を進めている。SI−613−ETP(小野薬品工業とのSI−613の契約に含む)は後期第2相臨床試験の解析が終了し、次のアクションを検討中である。

 なおSI−613について、20年9月にエーザイ<4523>と韓国における販売提携に関する契約を締結した。エーザイの韓国子会社が韓国におけるSI−613の独占的販売権を取得し、製造販売申請を行う。承認取得後は製品をエーザイに供給する。契約一時金と販売マイルストーンを受け取る。エーザイとは20年4月に中国における共同開発および販売提携に関する契約を締結しており、2ヶ国目の提携となる。

 SI−614は米国で第2・3相試験が終了し、販売提携先を選定中である。SI−722は、19年11月米国における第1・2相臨床試験を開始、20年3月被験者投与を開始した。新型コロナウイルスの影響で計画遅れの状況だが、治験施設の稼働を再開している。SI−449は18年5月開始した日本でのパイロット試験で良好な結果が確認され、20年5月に国内ピボタル試験を開始した。新型コロナウイルスの影響で遅延が生じているが、リモート下での治験対応策を実施している。

■新薬開発や収益基盤強化を推進

 中期経営計画の目標には、22年3月期(想定為替レート1米ドル=105円)の売上高283億円、経常利益45億円、SKK EBITDA(営業利益に減価償却費、受取ロイヤリティーを加えた利益指標)50億円、海外売上高比率50.0%を掲げている。研究開発費は売上比25〜30%である。利益配分は配当性向50%を目指す。

 重点施策としては、新たな収益の柱となる新薬開発の加速、製品の市場拡大による収益基盤強化、生産性向上のための改革を推進する。

■22年3月期大幅営業・経常増益予想、さらに上振れの可能性

 22年3月期の連結業績予想は、売上高が21年3月期比16.1%増の322億円、営業利益が2.0倍の45億50百万円、経常利益が53.7%増の46億50百万円、親会社株主帰属当期純利益が14.4%減の36億50百万円としている。なお受取ロイヤリティーを営業外収益から売上高に表示区分変更し、販売手数料等を販管費計上から売上高控除に変更する。配当予想は6円増配の30円(第2四半期末15円、期末15円)(普通配当20円+特別配当10円)としている。

 売上面は国内薬価引き下げが減収要因となるが、受取ロイヤリティーの増加、新製品の変形性関節症治療剤ジョイクル関節注30mg(開発コードONO−5704/SI−613)の発売、医薬品原体・医薬品受託製造の伸長などで2桁増収見込みとしている。

 セグメント別売上高計画は、医薬品事業が21.0%増の251億50百万円(国内医薬品が1.3%増の116億円、海外医薬品が1.8%増の69億円、医薬品原体・医薬品受託製造が27.3%増の23億50百万円、ロイヤリティーが6.0倍の43億円)で、LAL事業が1.6%増の70億50百万円としている。

 利益面は、研究開発費が増加(9.6%増の79億円)し、減価償却費や営業関連費も増加するが、増収効果で吸収して大幅営業・経常増益予想としている。当期純利益は前期の法人税等調整額のマイナス計上の反動で減益予想としている。

 第1四半期は、売上高が前年同期比71.6%増の117億84百万円、営業利益が11.2倍の44億46百万円、経常利益が7.6倍の46億13百万円、親会社株主帰属四半期純利益が6.9倍の36億52百万円だった。新型コロナ影響からの回復、M&A効果、受取ロイヤリティー計上などで大幅増収増益だった。

 医薬品事業の売上高は93.3%増の97億07百万円だった。新型コロナ影響からの回復で国内医薬品は9.8%増の38億47百万円、海外医薬品は40.6%増の15億89百万円だった。医薬品原体・医薬品受託製造はダルトン社の連結も寄与して2.4倍の7億20百万円と大幅伸長した。さらに受取ロイヤリティー(表示区分を従来の営業外収益から売上高に変更)35億50百万円を計上した。LAL事業も海外子会社におけるエンドトキシン測定用試薬などが好調に推移して12.6%増の20億76百万円と伸長した。利益面は研究開発費が増加(19億36百万円で3億20百万円増加)したが、増収効果や売上構成変化による原価率の低下(6.4ポイント低下)で大幅増益だった。

 通期予想を据え置いたが、第1四半期の進捗率は売上高が36.6%、営業利益が97.7%、経常利益が99.2%、当期純利益が100.1%だった。コロナ禍からの回復などで通期予想は上振れの可能性が高いだろう。収益拡大を期待したい。

■株価は調整一巡

 株価は地合い悪化も影響して戻り高値圏から急反落の形となったが、調整一巡して戻りを試す展開を期待したい。10月11日終値は1048円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS64円83銭で算出)は約16倍、今期予想配当利回り(会社予想の30円で算出)は約2.9%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS1127円14銭で算出)は約0.9倍、時価総額は約595億円である。(情報提供:日 本インタビュ新聞社=Media−IR
[09月09日更新]

生化学工業は22年3月期大幅営業・経常増益予想、さらに上振れの可能性

 生化学工業<4548>(東1)は関節機能改善剤アルツなど糖質科学分野を主力とする医薬品メーカーである。22年3月期は大幅営業・経常増益予想としている。第1四半期は新型コロナ影響からの回復などで大幅増収増益だった。通期予想を据え置いたが上振れの可能性が高いだろう。収益拡大を期待したい。株価は徐々に下値を切り上げている。好業績を評価して戻りを試す展開を期待したい。

■関節機能改善剤アルツなど糖質科学分野が主力の医薬品メーカー

 糖質科学分野が主力の医薬品メーカーで、国内医薬品(関節機能改善剤アルツ、白内障手術補助剤オペガン、内視鏡用粘膜下注入材ムコアップ)、海外医薬品(米国向け単回投与関節機能改善剤Gel−One、米国向け3回投与関節機能改善剤VISCO−3、米国向け5回投与関節機能改善剤SUPARTZ−FX、中国向けアルツ)、医薬品原体(ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸)、LAL事業(エンドトキシン測定用試薬関連)を展開している。

 21年3月期のセグメント別の構成比は、売上高が医薬品事業75%(国内医薬品43%、海外医薬品25%、医薬品原体・医薬品受託製造7%)、LAL事業25%、営業利益が医薬品事業24%、LAL事業76%だった。

 20年3月には海外製造拠点としてカナダのダルトン社を子会社化した。なおダルトン社を買収する際に中間持株会社として設立したSEC社、および買収目的会社として設立したSAC社が特定子会社に該当することになったため、ダルトン社とSAC社が現地法に基づく新設合併を行い、新設された新ダルトン社が旧ダルトン社から商号および事業を引き継いだ。

 20年8月には、ダルトン社がサスカチュワン大学の研究機関であるVIDO−InterVacと、VIDO−InterVacがカナダ政府およびサスカチュワン州から支援を受けて開発を進めているCOVID−19ワクチンの製造に関して、業務提携に合意した。ダルトン社は本提携により、COVID−19ワクチンの初期段階の臨床試験で投与される治験薬の調合、充填、製剤化を担う。

 21年4月にはLAL事業の海外子会社である米ACC社が、遺伝子組み換えエンドトキシン測定用試薬「パイロスマート ネクストジェン」の販売を開始した。21年8月には単回投与の関節機能改善剤ハイリンクについて、台湾のTCM社を通じて台湾における販売を開始した。

■新薬開発は糖質科学分野に焦点

 研究開発は糖質科学分野(糖鎖や複合糖質を研究する科学分野)に焦点を絞っている。開発パイプラインには、腰椎椎間板ヘルニア治療剤SI−6603、変形性膝関節症改善剤SI−613、腱・靱帯付着部症を適応症とするSI−613−ETP、ドライアイ治療剤SI−614、間質性膀胱炎を適応症とするSI−722、癒着防止材SI−449がある。

 SI−6603は日本では18年3月製造販売承認を取得し、科研製薬<4521>が18年8月販売開始(腰椎椎間板ヘルニア治療剤ヘルニコア)した。またスイスのフェリング社と日本を除く全世界におけるライセンス契約を締結している。マイルストーン型ロイヤリティーの総額は最大95百万米ドル(うち契約一時金5百万米ドル)である。米国では第3相臨床の追加試験が22年11月経過観察終了予定だが、新型コロナウイルスの影響で進捗が遅れているため、被験者増加や治験施設増加など各種施策を実行して組み入れを促進している。

 SI−613は、小野薬品工業<4528>と日本における共同開発・販売提携に関する契約を締結し、21年3月に変形性関節症治療剤ONO−5704/SI−613(ジョイクル関節注30mg)について、変形性関節症(膝関節、股関節)の効能または効果で国内製造販売承認を取得(21年5月に小野薬品工業が販売開始)した。マイルストーン型ロイヤリティーの総額は最大120億円(うち契約一時金20億円)である。米国では第2相臨床試験結果の解析が終了し、第3相臨床試験の検討と並行して提携先の選定を進めている。SI−613−ETP(小野薬品工業とのSI−613の契約に含む)は後期第2相臨床試験の解析が終了し、次のアクションを検討中である。

 なおSI−613について、20年9月にエーザイ<4523>と韓国における販売提携に関する契約を締結した。エーザイの韓国子会社が韓国におけるSI−613の独占的販売権を取得し、製造販売申請を行う。承認取得後は製品をエーザイに供給する。契約一時金と販売マイルストーンを受け取る。エーザイとは20年4月に中国における共同開発および販売提携に関する契約を締結しており、2ヶ国目の提携となる。

 SI−614は米国で第2・3相試験が終了し、販売提携先を選定中である。SI−722は、19年11月米国における第1・2相臨床試験を開始、20年3月被験者投与を開始した。新型コロナウイルスの影響で計画遅れの状況だが、治験施設の稼働を再開している。SI−449は18年5月開始した日本でのパイロット試験で良好な結果が確認され、20年5月に国内ピボタル試験を開始した。新型コロナウイルスの影響で遅延が生じているが、リモート下での治験対応策を実施している。

■新薬開発や収益基盤強化を推進

 中期経営計画の目標には、22年3月期(想定為替レート1米ドル=105円)の売上高283億円、経常利益45億円、SKK EBITDA(営業利益に減価償却費、受取ロイヤリティーを加えた利益指標)50億円、海外売上高比率50.0%を掲げている。研究開発費は売上比25〜30%である。利益配分は配当性向50%を目指す。

 重点施策としては、新たな収益の柱となる新薬開発の加速、製品の市場拡大による収益基盤強化、生産性向上のための改革を推進する。

■22年3月期大幅営業・経常増益予想、さらに上振れの可能性

 22年3月期の連結業績予想は、売上高が21年3月期比16.1%増の322億円、営業利益が2.0倍の45億50百万円、経常利益が53.7%増の46億50百万円、親会社株主帰属当期純利益が14.4%減の36億50百万円としている。なお受取ロイヤリティーを営業外収益から売上高に表示区分変更し、販売手数料等を販管費計上から売上高控除に変更する。配当予想は6円増配の30円(第2四半期末15円、期末15円)(普通配当20円+特別配当10円)としている。

 売上面は国内薬価引き下げが減収要因となるが、受取ロイヤリティーの増加、新製品の変形性関節症治療剤ジョイクル関節注30mg(開発コードONO−5704/SI−613)の発売、医薬品原体・医薬品受託製造の伸長などで2桁増収見込みとしている。

 セグメント別売上高計画は、医薬品事業が21.0%増の251億50百万円(国内医薬品が1.3%増の116億円、海外医薬品が1.8%増の69億円、医薬品原体・医薬品受託製造が27.3%増の23億50百万円、ロイヤリティーが6.0倍の43億円)で、LAL事業が1.6%増の70億50百万円としている。

 利益面は、研究開発費が増加(9.6%増の79億円)し、減価償却費や営業関連費も増加するが、増収効果で吸収して大幅営業・経常増益予想としている。当期純利益は前期の法人税等調整額のマイナス計上の反動で減益予想としている。

 第1四半期は、売上高が前年同期比71.6%増の117億84百万円、営業利益が11.2倍の44億46百万円、経常利益が7.6倍の46億13百万円、親会社株主帰属四半期純利益が6.9倍の36億52百万円だった。新型コロナ影響からの回復、M&A効果、受取ロイヤリティー計上などで大幅増収増益だった。

 医薬品事業の売上高は93.3%増の97億07百万円だった。新型コロナ影響からの回復で国内医薬品は9.8%増の38億47百万円、海外医薬品は40.6%増の15億89百万円だった。医薬品原体・医薬品受託製造はダルトン社の連結も寄与して2.4倍の7億20百万円と大幅伸長した。さらに受取ロイヤリティー(表示区分を従来の営業外収益から売上高に変更)35億50百万円を計上した。LAL事業も海外子会社におけるエンドトキシン測定用試薬などが好調に推移して12.6%増の20億76百万円と伸長した。利益面は研究開発費が増加(19億36百万円で3億20百万円増加)したが、増収効果や売上構成変化による原価率の低下(6.4ポイント低下)で大幅増益だった。

 通期予想を据え置いたが、第1四半期の進捗率は売上高が36.6%、営業利益が97.7%、経常利益が99.2%、当期純利益が100.1%と高水準である。通期予想は上振れの可能性が高いだろう。収益拡大を期待したい。

■株価は下値切り上げ

 株価は徐々に下値を切り上げている。好業績を評価して戻りを試す展開を期待したい。9月8日の終値は1115円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS64円83銭で算出)は約17倍、今期予想配当利回り(会社予想の30円で算出)は約2.7%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS1127円14銭で算出)は約1.0倍、時価総額は約633億円である。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media−IR
[08月12日更新]

生化学工業は戻り試す、22年3月期1Q大幅増収増益で通期上振れの可能性

 生化学工業<4548>(東1)は関節機能改善剤アルツなど糖質科学分野を主力とする医薬品メーカーである。22年3月期大幅営業・経常増益予想としている。第1四半期は新型コロナ影響からの回復、M&A効果、受取ロイヤリティーの増加などで大幅増収増益だった。通期予想を据え置いたが上振れの可能性が高いだろう。収益拡大を期待したい。株価徐々に下値を切り上げている。好業績を評価して戻りを試す展開を期待したい。

■関節機能改善剤アルツなど糖質科学分野が主力の医薬品メーカー

 糖質科学分野が主力の医薬品メーカーで、国内医薬品(関節機能改善剤アルツ、白内障手術補助剤オペガン、内視鏡用粘膜下注入材ムコアップ)、海外医薬品(米国向け単回投与関節機能改善剤Gel−One、米国向け3回投与関節機能改善剤VISCO−3、米国向け5回投与関節機能改善剤SUPARTZ−FX、中国向けアルツ)、医薬品原体(ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸)、LAL事業(エンドトキシン測定用試薬関連)を展開している。

 21年3月期のセグメント別の構成比は、売上高が医薬品事業75%(国内医薬品43%、海外医薬品25%、医薬品原体・医薬品受託製造7%)、LAL事業25%、営業利益が医薬品事業24%、LAL事業76%だった。

 20年3月には海外製造拠点としてカナダのダルトン社を子会社化した。なおダルトン社を買収する際に中間持株会社として設立したSEC社、および買収目的会社として設立したSAC社が特定子会社に該当することになったため、ダルトン社とSAC社が現地法に基づく新設合併を行い、新設された新ダルトン社が旧ダルトン社から商号および事業を引き継いだ。

 20年8月には、ダルトン社がサスカチュワン大学の研究機関であるVIDO−InterVacと、VIDO−InterVacがカナダ政府およびサスカチュワン州から支援を受けて開発を進めているCOVID−19ワクチンの製造に関して、業務提携に合意した。ダルトン社は本提携により、COVID−19ワクチンの初期段階の臨床試験で投与される治験薬の調合、充填、製剤化を担う。

 21年4月には、LAL事業の海外子会社である米ACC社が、遺伝子組み換えエンドトキシン測定用試薬「パイロスマート ネクストジェン」の販売を開始した。8月2日には、単回投与の関節機能改善剤ハイリンクについて、台湾のTCM社を通じて台湾における販売を開始した。

■新薬開発は糖質科学分野に焦点

 研究開発は糖質科学分野(糖鎖や複合糖質を研究する科学分野)に焦点を絞っている。開発パイプラインには、腰椎椎間板ヘルニア治療剤SI−6603、変形性膝関節症改善剤SI−613、腱・靱帯付着部症を適応症とするSI−613−ETP、ドライアイ治療剤SI−614、間質性膀胱炎を適応症とするSI−722、癒着防止材SI−449がある。

 SI−6603は日本では18年3月製造販売承認を取得し、科研製薬<4521>が18年8月販売開始(腰椎椎間板ヘルニア治療剤ヘルニコア)した。またスイスのフェリング社と日本を除く全世界におけるライセンス契約を締結している。マイルストーン型ロイヤリティーの総額は最大95百万米ドル(うち契約一時金5百万米ドル)である。米国では第3相臨床の追加試験が22年11月経過観察終了予定だが、新型コロナウイルスの影響で進捗が遅れているため、被験者増加や治験施設増加など各種施策を実行して組み入れを促進している。

 SI−613は、小野薬品工業<4528>と日本における共同開発・販売提携に関する契約を締結し、21年3月に変形性関節症治療剤ONO−5704/SI−613(ジョイクル関節注30mg)について、変形性関節症(膝関節、股関節)の効能または効果で国内製造販売承認を取得(21年5月に小野薬品工業が販売開始)した。マイルストーン型ロイヤリティーの総額は最大120億円(うち契約一時金20億円)である。米国では第2相臨床試験結果の解析が終了し、第3相臨床試験の検討と並行して提携先の選定を進めている。SI−613−ETP(小野薬品工業とのSI−613の契約に含む)は後期第2相臨床試験の解析が終了し、次のアクションを検討中である。

 なおSI−613について、20年9月にエーザイ<4523>と韓国における販売提携に関する契約を締結した。エーザイの韓国子会社が韓国におけるSI−613の独占的販売権を取得し、製造販売申請を行う。承認取得後は製品をエーザイに供給する。契約一時金と販売マイルストーンを受け取る。エーザイとは20年4月に中国における共同開発および販売提携に関する契約を締結しており、2ヶ国目の提携となる。

 SI−614は米国で第2・3相試験が終了し、販売提携先を選定中である。SI−722は、19年11月米国における第1・2相臨床試験を開始、20年3月被験者投与を開始した。新型コロナウイルスの影響で計画遅れの状況だが、治験施設の稼働を再開している。SI−449は18年5月開始した日本でのパイロット試験で良好な結果が確認され、20年5月に国内ピボタル試験を開始した。新型コロナウイルスの影響で遅延が生じているが、リモート下での治験対応策を実施している。

■新薬開発や収益基盤強化を推進

 中期経営計画の目標には、22年3月期(想定為替レート1米ドル=105円)の売上高283億円、経常利益45億円、SKK EBITDA(営業利益に減価償却費、受取ロイヤリティーを加えた利益指標)50億円、海外売上高比率50.0%を掲げている。研究開発費は売上比25〜30%である。利益配分は配当性向50%を目指す。

 重点施策としては、新たな収益の柱となる新薬開発の加速、製品の市場拡大による収益基盤強化、生産性向上のための改革を推進する。

■22年3月期大幅営業・経常増益予想、1Q大幅増益で通期上振れの可能性

 22年3月期の連結業績予想は、売上高が21年3月期比16.1%増の322億円、営業利益が2.0倍の45億50百万円、経常利益が53.7%増の46億50百万円、親会社株主帰属当期純利益が14.4%減の36億50百万円としている。なお受取ロイヤリティーを営業外収益から売上高に表示区分変更し、販売手数料等を販管費計上から売上高控除に変更する。配当予想は6円増配の30円(第2四半期末15円、期末15円)(普通配当20円+特別配当10円)としている。

 売上面は国内薬価引き下げが減収要因となるが、受取ロイヤリティーの増加、新製品の変形性関節症治療剤ジョイクル関節注30mg(開発コードONO−5704/SI−613)の発売、医薬品原体・医薬品受託製造の伸長などで2桁増収見込みとしている。

 セグメント別売上高計画は、医薬品事業が21.0%増の251億50百万円(国内医薬品が1.3%増の116億円、海外医薬品が1.8%増の69億円、医薬品原体・医薬品受託製造が27.3%増の23億50百万円、ロイヤリティーが6.0倍の43億円)で、LAL事業が1.6%増の70億50百万円としている。

 利益面は、研究開発費が増加(9.6%増の79億円)し、減価償却費や営業関連費も増加するが、増収効果で大幅営業・経常増益予想としている。当期純利益は前期の法人税等調整額のマイナス計上の反動で減益予想としている。

 第1四半期は、売上高が前年同期比71.6%増の117億84百万円、営業利益が11.2倍の44億46百万円、経常利益が7.6倍の46億13百万円、親会社株主帰属四半期純利益が6.9倍の36億52百万円だった。

 新型コロナ影響からの回復、M&A効果、ロイヤリティー計上などで大幅増収増益だった。医薬品事業は93.3%増収だった。新型コロナ影響からの回復で国内医薬品が9.8%増収、海外医薬品が40.6%増収となり、医薬品原体・医薬品受託製造がダルトン社の連結も寄与して144.0%増収と大幅伸長した。さらに受取ロイヤリティー(表示区分を従来の営業外収益から売上高に変更)35億50百万円を計上した。LAL事業も海外子会社におけるエンドトキシン測定用試薬などが好調に推移して12.6%増収と伸長した。利益面は研究開発費が増加(19億36百万円で3億20百万円増加)したが、増収効果や売上構成変化による原価率の低下(6.4ポイント低下)で大幅増益だった。

 通期予想を据え置いたが、第1四半期の進捗率は売上高が36.6%、営業利益が97.7%、経常利益が99.2%、当期純利益が100.1%と高水準である。通期予想は上振れの可能性が高いだろう。収益拡大を期待したい。

■株価は戻り試す

 株価はやや上値の重い形だが、一方では徐々に下値を切り上げている。好業績を評価して戻りを試す展開を期待したい。8月11日の終値は1124円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS64円83銭で算出)は約17倍、今期予想配当利回り(会社予想の30円で算出)は約2.7%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS1127円14銭で算出)は約1.0倍、時価総額は約639億円である。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media−IR
[07月07日更新]

生化学工業は戻り試す、22年3月期大幅営業・経常増益予想

 生化学工業<4548>(東1)は関節機能改善剤アルツなど糖質科学分野を主力とする医薬品メーカーである。22年3月期は受取ロイヤリティー増加や新製品発売も寄与して大幅営業・経常増益予想としている。収益拡大を期待したい。株価は5月の年初来高値圏から反落したが、調整一巡して切り返しの動きを強めている。戻りを試す展開を期待したい。

■関節機能改善剤アルツなど糖質科学分野が主力の医薬品メーカー

 糖質科学分野が主力の医薬品メーカーで、国内医薬品(関節機能改善剤アルツ、白内障手術補助剤オペガン、内視鏡用粘膜下注入材ムコアップ)、海外医薬品(米国向け単回投与関節機能改善剤Gel−One、米国向け3回投与関節機能改善剤VISCO−3、米国向け5回投与関節機能改善剤SUPARTZ−FX、中国向けアルツ)、医薬品原体(ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸)、LAL事業(エンドトキシン測定用試薬関連)を展開している。

 21年3月期のセグメント別の構成比は、売上高が医薬品事業75%(国内医薬品43%、海外医薬品25%、医薬品原体・医薬品受託製造7%)、LAL事業25%、営業利益が医薬品事業24%、LAL事業76%だった。

 20年3月には海外製造拠点としてカナダのダルトン社を子会社化した。なおダルトン社を買収する際に中間持株会社として設立したSEC社、および買収目的会社として設立したSAC社が特定子会社に該当することになったため、ダルトン社とSAC社が現地法に基づく新設合併を行い、新設された新ダルトン社が旧ダルトン社から商号および事業を引き継いだ。

 20年8月には、ダルトン社がサスカチュワン大学の研究機関であるVIDO−InterVacと、VIDO−InterVacがカナダ政府およびサスカチュワン州から支援を受けて開発を進めているCOVID−19ワクチンの製造に関して、業務提携に合意した。ダルトン社は本提携により、COVID−19ワクチンの初期段階の臨床試験で投与される治験薬の調合、充填、製剤化を担う。

 21年4月には、LAL事業の海外子会社である米ACC社が、遺伝子組み換えエンドトキシン測定用試薬「パイロスマート ネクストジェン」の販売を開始した。

■新薬開発は糖質科学分野に焦点

 研究開発は糖質科学分野(糖鎖や複合糖質を研究する科学分野)に焦点を絞っている。開発パイプラインには、腰椎椎間板ヘルニア治療剤SI−6603、変形性膝関節症改善剤SI−613、腱・靱帯付着部症を適応症とするSI−613−ETP、ドライアイ治療剤SI−614、間質性膀胱炎を適応症とするSI−722、癒着防止材SI−449がある。

 SI−6603は日本では18年3月製造販売承認を取得し、科研製薬<4521>が18年8月販売開始(腰椎椎間板ヘルニア治療剤ヘルニコア)した。またスイスのフェリング社と日本を除く全世界におけるライセンス契約を締結している。マイルストーン型ロイヤリティーの総額は最大95百万米ドル(うち契約一時金5百万米ドル)である。米国では第3相臨床の追加試験が22年11月経過観察終了予定だが、新型コロナウイルスの影響で進捗が遅れているため、被験者増加や治験施設増加など各種施策を実行して組み入れを促進している。

 SI−613は、小野薬品工業<4528>と日本における共同開発・販売提携に関する契約を締結し、21年3月に変形性関節症治療剤ONO−5704/SI−613(ジョイクル関節注30mg)について、変形性関節症(膝関節、股関節)の効能または効果で国内製造販売承認を取得(21年5月に小野薬品工業が販売開始)した。マイルストーン型ロイヤリティーの総額は最大120億円(うち契約一時金20億円)である。米国では第2相臨床試験結果の解析が終了し、第3相臨床試験の検討と並行して提携先の選定を進めている。SI−613−ETP(小野薬品工業とのSI−613の契約に含む)は後期第2相臨床試験の解析が終了し、次のアクションを検討中である。

 なおSI−613について、20年9月にエーザイ<4523>と韓国における販売提携に関する契約を締結した。エーザイの韓国子会社が韓国におけるSI−613の独占的販売権を取得し、製造販売申請を行う。承認取得後は製品をエーザイに供給する。契約一時金と販売マイルストーンを受け取る。エーザイとは20年4月に中国における共同開発および販売提携に関する契約を締結しており、2ヶ国目の提携となる。

 SI−614は米国で第2・3相試験が終了し、販売提携先を選定中である。SI−722は、19年11月米国における第1・2相臨床試験を開始、20年3月被験者投与を開始した。新型コロナウイルスの影響で計画遅れの状況だが、治験施設の稼働を再開している。SI−449は18年5月開始した日本でのパイロット試験で良好な結果が確認され、20年5月に国内ピボタル試験を開始した。新型コロナウイルスの影響で遅延が生じているが、リモート下での治験対応策を実施している。

■新薬開発や収益基盤強化を推進

 中期経営計画の目標には、22年3月期(想定為替レート1米ドル=105円)の売上高283億円、経常利益45億円、SKK EBITDA(営業利益に減価償却費、受取ロイヤリティーを加えた利益指標)50億円、海外売上高比率50.0%を掲げている。研究開発費は売上比25〜30%である。利益配分は配当性向50%を目指す。

 重点施策としては、新たな収益の柱となる新薬開発の加速、製品の市場拡大による収益基盤強化、生産性向上のための改革を推進する。

■22年3月期大幅営業・経常増益予想

 22年3月期の連結業績予想は、売上高が21年3月期比16.1%増の322億円、営業利益が2.0倍の45億50百万円、経常利益が53.7%増の46億50百万円、親会社株主帰属当期純利益が14.4%減の36億50百万円としている。なお受取ロイヤリティーを営業外収益から売上高に表示区分変更し、販売手数料等を販管費計上から売上高控除に変更する。配当予想は6円増配の30円(第2四半期末15円、期末15円)(普通配当20円+特別配当10円)である。

 売上面は国内薬価引き下げが減収要因となるが、受取ロイヤリティーの増加、新製品の変形性関節症治療剤ジョイクル関節注30mg(開発コードONO−5704/SI−613)の発売、医薬品原体・医薬品受託製造の伸長などで2桁増収見込みとしている。

 セグメント別売上高計画は、医薬品事業が21.0%増の251億50百万円(国内医薬品が1.3%増の116億円、海外医薬品が1.8%増の69億円、医薬品原体・医薬品受託製造が27.3%増の23億50百万円、ロイヤリティーが6.0倍の43億円)で、LAL事業が1.6%増の70億50百万円としている。

 利益面は、研究開発費が増加(9.6%増の79億円)し、減価償却費や営業関連費も増加するが、増収効果で大幅営業・経常増益予想としている。収益拡大を期待したい。なお当期純利益は前期の法人税等調整額のマイナス計上の反動で減益予想としている。

■株価は反発の動き

 5月13日に自己株式取得を発表している。上限20万株・2億40百万円で、取得期間は21年7月1日〜21年8月12日としている。

 株価は5月の年初来高値圏から反落したが、調整一巡して切り返しの動きを強めている。戻りを試す展開を期待したい。7月6日の終値は1104円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS64円68銭で算出)は約17倍、今期予想配当利回り(会社予想30円で算出)は約2.7%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS1127円14銭で算出)は約1.0倍、時価総額は約627億円である。
(情報提供:日 本インタビュ新聞社=Media−IR)
http://media-ir.com/news/
[06月15日更新]

生化学工業は反発の動き、22年3月期大幅営業・経常増益予想

 生化学工業<4548>(東1)は関節機能改善剤アルツなど糖質科学分野を主力とする医薬品メーカーである。22年3月期は受取ロイヤリティー増加や新製品発売も寄与して大幅営業・経常増益予想、そして増配予想としている。収益拡大を期待したい。株価は5月の年初来高値圏から反落してボックスレンジ回帰の形となったが、目先的な売り一巡して反発の動きを強めている。上値を試す展開を期待したい。

■関節機能改善剤アルツなど糖質科学分野が主力の医薬品メーカー

 糖質科学分野が主力の医薬品メーカーで、国内医薬品(関節機能改善剤アルツ、白内障手術補助剤オペガン、内視鏡用粘膜下注入材ムコアップ)、海外医薬品(米国向け単回投与関節機能改善剤Gel−One、米国向け3回投与関節機能改善剤VISCO−3、米国向け5回投与関節機能改善剤SUPARTZ−FX、中国向けアルツ)、医薬品原体(ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸)、LAL事業(エンドトキシン測定用試薬関連)を展開している。

 21年3月期のセグメント別の構成比は、売上高が医薬品事業75%(国内医薬品43%、海外医薬品25%、医薬品原体・医薬品受託製造7%)、LAL事業25%、営業利益が医薬品事業24%、LAL事業76%だった。

 20年3月には海外製造拠点としてカナダのダルトン社を子会社化した。なおダルトン社を買収する際に中間持株会社として設立したSEC社、および買収目的会社として設立したSAC社が特定子会社に該当することになったため、ダルトン社とSAC社が現地法に基づく新設合併を行い、新設された新ダルトン社が旧ダルトン社から商号および事業を引き継いだ。

 20年8月には、ダルトン社がサスカチュワン大学の研究機関であるVIDO−InterVacと、VIDO−InterVacがカナダ政府およびサスカチュワン州から支援を受けて開発を進めているCOVID−19ワクチンの製造に関して、業務提携に合意した。ダルトン社は本提携により、COVID−19ワクチンの初期段階の臨床試験で投与される治験薬の調合、充填、製剤化を担う。

 21年4月には、LAL事業の海外子会社である米ACC社が、遺伝子組み換えエンドトキシン測定用試薬「パイロスマート ネクストジェン」の販売を開始した。

■新薬開発は糖質科学分野に焦点

 研究開発は糖質科学分野(糖鎖や複合糖質を研究する科学分野)に焦点を絞っている。開発パイプラインには、腰椎椎間板ヘルニア治療剤SI−6603、変形性膝関節症改善剤SI−613、腱・靱帯付着部症を適応症とするSI−613−ETP、ドライアイ治療剤SI−614、間質性膀胱炎を適応症とするSI−722、癒着防止材SI−449がある。

 SI−6603は日本では18年3月製造販売承認を取得し、科研製薬<4521>が18年8月販売開始(腰椎椎間板ヘルニア治療剤ヘルニコア)した。またスイスのフェリング社と日本を除く全世界におけるライセンス契約を締結している。マイルストーン型ロイヤリティーの総額は最大95百万米ドル(うち契約一時金5百万米ドル)である。米国では第3相臨床の追加試験が22年11月経過観察終了予定だが、新型コロナウイルスの影響で進捗が遅れているため、被験者増加や治験施設増加など各種施策を実行して組み入れを促進している。

 SI−613は、小野薬品工業<4528>と日本における共同開発・販売提携に関する契約を締結し、21年3月に変形性関節症治療剤ONO−5704/SI−613(ジョイクル関節注30mg)について、変形性関節症(膝関節、股関節)の効能または効果で国内製造販売承認を取得(21年5月に小野薬品工業が販売開始)した。マイルストーン型ロイヤリティーの総額は最大120億円(うち契約一時金20億円)である。米国では第2相臨床試験結果の解析が終了し、第3相臨床試験の検討と並行して提携先の選定を進めている。SI−613−ETP(小野薬品工業とのSI−613の契約に含む)は後期第2相臨床試験の解析が終了し、次のアクションを検討中である。

 なおSI−613について、20年9月にエーザイ<4523>と韓国における販売提携に関する契約を締結した。エーザイの韓国子会社が韓国におけるSI−613の独占的販売権を取得し、製造販売申請を行う。承認取得後は製品をエーザイに供給する。契約一時金と販売マイルストーンを受け取る。エーザイとは20年4月に中国における共同開発および販売提携に関する契約を締結しており、2ヶ国目の提携となる。

 SI−614は米国で第2・3相試験が終了し、販売提携先を選定中である。SI−722は、19年11月米国における第1・2相臨床試験を開始、20年3月被験者投与を開始した。新型コロナウイルスの影響で計画遅れの状況だが、治験施設の稼働を再開している。SI−449は18年5月開始した日本でのパイロット試験で良好な結果が確認され、20年5月に国内ピボタル試験を開始した。新型コロナウイルスの影響で遅延が生じているが、リモート下での治験対応策を実施している。

■22年3月期経常利益45億円目標

 中期経営計画の目標には、22年3月期(想定為替レート1米ドル=105円)の売上高283億円、経常利益45億円、SKK EBITDA(営業利益に減価償却費、受取ロイヤリティーを加えた利益指標)50億円、海外売上高比率50.0%を掲げている。研究開発費は売上比25〜30%である。利益配分は配当性向50%を目指す。

 重点施策としては、新たな収益の柱となる新薬開発の加速、製品の市場拡大による収益基盤強化、生産性向上のための改革を推進する。

■22年3月期大幅営業・経常増益予想

 22年3月期の連結業績予想は、売上高が21年3月期比16.1%増の322億円、営業利益が2.0倍の45億50百万円、経常利益が53.7%増の46億50百万円、親会社株主帰属当期純利益が14.4%減の36億50百万円としている。なお受取ロイヤリティーを営業外収益から売上高に表示区分変更し、販売手数料等を販管費計上から売上高控除に変更する。配当予想は6円増配の30円(第2四半期末15円、期末15円)(普通配当20円+特別配当10円)である。

 売上面は国内薬価引き下げが減収要因となるが、受取ロイヤリティーの増加、新製品の変形性関節症治療剤ジョイクル関節注30mg(開発コードONO−5704/SI−613)の発売、医薬品原体・医薬品受託製造の伸長などで2桁増収見込みとしている。

 セグメント別売上高計画は、医薬品事業が21.0%増の251億50百万円(国内医薬品が1.3%増の116億円、海外医薬品が1.8%増の69億円、医薬品原体・医薬品受託製造が27.3%増の23億50百万円、ロイヤリティーが6.0倍の43億円)で、LAL事業が1.6%増の70億50百万円としている。

 利益面は、研究開発費が増加(9.6%増の79億円)し、減価償却費や営業関連費も増加するが、増収効果で大幅営業・経常増益予想としている。収益拡大を期待したい。なお当期純利益は前期の法人税等調整額のマイナス計上の反動で減益予想としている。

■株価は反発の動き

 なお自己株式取得を発表している。上限20万株・2億40百万円で、取得期間は21年7月1日〜21年8月12日としている。

 株価は5月の年初来高値圏から反落してボックスレンジ回帰の形となったが、目先的な売り一巡して反発の動きを強めている。上値を試す展開を期待したい。6月14日の終値は1102円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS64円68銭で算出)は約17倍、今期予想配当利回り(会社予想30円で算出)は約2.7%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS1127円14銭で算出)は約1.0倍、時価総額は約626億円である。
(情報提供:日 本インタビュ新聞社=Media−IR)
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[05月25日更新]

生化学工業はボックス上放れ、22年3月期大幅営業・経常増益予想で増配・自己株式取得

 生化学工業<4548>(東1)は関節機能改善剤アルツなど糖質科学分野を主力とする医薬品メーカーである。21年3月期は新型コロナウイルス影響や研究開発費増加などで営業・経常減益だったが、従来予想に対して減益幅が縮小した。当期純利益は特別損失が一巡して黒字化した。22年3月期は大幅営業・経常増益予想、増配予想としている。収益拡大も期待したい。なお自己株式取得(上限20万株)も発表している。株価は急反発してボックスレンジ上放れの形となった。自律調整を交えながら上値を試す展開を期待したい。

■関節機能改善剤アルツなど糖質科学分野が主力の医薬品メーカー

 糖質科学分野が主力の医薬品メーカーで、国内医薬品(関節機能改善剤アルツ、白内障手術補助剤オペガン、内視鏡用粘膜下注入材ムコアップ)、海外医薬品(米国向け単回投与関節機能改善剤Gel−One、米国向け3回投与関節機能改善剤VISCO−3、米国向け5回投与関節機能改善剤SUPARTZ−FX、中国向けアルツ)、医薬品原体(ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸)、LAL事業(エンドトキシン測定用試薬関連)を展開している。

 21年3月期のセグメント別の構成比は、売上高が医薬品事業75%(国内医薬品43%、海外医薬品25%、医薬品原体・医薬品受託製造7%)、LAL事業25%、営業利益が医薬品事業24%、LAL事業76%だった。

 20年3月には海外製造拠点としてカナダのダルトン社を子会社化した。なおダルトン社を買収する際に中間持株会社として設立したSEC社、および買収目的会社として設立したSAC社が特定子会社に該当することになったため、ダルトン社とSAC社が現地法に基づく新設合併を行い、新設された新ダルトン社が旧ダルトン社から商号および事業を引き継いだ。

 20年8月には、ダルトン社がサスカチュワン大学の研究機関であるVIDO−InterVacと、VIDO−InterVacがカナダ政府およびサスカチュワン州から支援を受けて開発を進めているCOVID−19ワクチンの製造に関して、業務提携に合意した。ダルトン社は本提携により、COVID−19ワクチンの初期段階の臨床試験で投与される治験薬の調合、充填、製剤化を担う。

 21年4月には、LAL事業の海外子会社である米ACC社が、遺伝子組み換えエンドトキシン測定用試薬「パイロスマート ネクストジェン」の販売を開始した。

■新薬開発は糖質科学分野に焦点

 研究開発は糖質科学分野(糖鎖や複合糖質を研究する科学分野)に焦点を絞っている。開発パイプラインには、腰椎椎間板ヘルニア治療剤SI−6603、変形性膝関節症改善剤SI−613、腱・靱帯付着部症を適応症とするSI−613−ETP、ドライアイ治療剤SI−614、間質性膀胱炎を適応症とするSI−722、癒着防止材SI−449がある。

 SI−6603は日本では18年3月製造販売承認を取得し、科研製薬<4521>が18年8月販売開始(腰椎椎間板ヘルニア治療剤ヘルニコア)した。またスイスのフェリング社と日本を除く全世界におけるライセンス契約を締結している。マイルストーン型ロイヤリティーの総額は最大95百万米ドル(うち契約一時金5百万米ドル)である。米国では第3相臨床の追加試験が22年11月経過観察終了予定だが、新型コロナウイルスの影響で進捗が遅れているため、被験者増加や治験施設増加など各種施策を実行して組み入れを促進している。

 SI−613は、小野薬品工業<4528>と日本における共同開発・販売提携に関する契約を締結し、21年3月に変形性関節症治療剤ONO−5704/SI−613(ジョイクル関節注30mg)について、変形性関節症(膝関節、股関節)の効能または効果で国内製造販売承認を取得(21年5月に小野薬品工業が販売開始)した。マイルストーン型ロイヤリティーの総額は最大120億円(うち契約一時金20億円)である。米国では第2相臨床試験結果の解析が終了し、第3相臨床試験の検討と並行して提携先の選定を進めている。SI−613−ETP(小野薬品工業とのSI−613の契約に含む)は後期第2相臨床試験の解析が終了し、次のアクションを検討中である。

 なおSI−613について、20年9月にエーザイ<4523>と韓国における販売提携に関する契約を締結した。エーザイの韓国子会社が韓国におけるSI−613の独占的販売権を取得し、製造販売申請を行う。承認取得後は製品をエーザイに供給する。契約一時金と販売マイルストーンを受け取る。エーザイとは20年4月に中国における共同開発および販売提携に関する契約を締結しており、2ヶ国目の提携となる。

 SI−614は米国で第2・3相試験が終了し、販売提携先を選定中である。SI−722は、19年11月米国における第1・2相臨床試験を開始、20年3月被験者投与を開始した。新型コロナウイルスの影響で計画遅れの状況だが、治験施設の稼働を再開している。SI−449は18年5月開始した日本でのパイロット試験で良好な結果が確認され、20年5月に国内ピボタル試験を開始した。新型コロナウイルスの影響で遅延が生じているが、リモート下での治験対応策を実施している。

■22年3月期経常利益45億円目標

 中期経営計画の目標には、22年3月期(想定為替レート1米ドル=105円)の売上高283億円、経常利益45億円、SKK EBITDA(営業利益に減価償却費、受取ロイヤリティーを加えた利益指標)50億円、海外売上高比率50.0%を掲げている。研究開発費は売上比25〜30%である。利益配分は配当性向50%を目指す。

 重点施策としては、新たな収益の柱となる新薬開発の加速、製品の市場拡大による収益基盤強化、生産性向上のための改革を推進する。

■21年3月期は営業・経常減益、22年3月期は大幅営業・経常増益予想

 21年3月期の連結業績は、売上高が20年3月期比3.4%減の276億62百万円、営業利益が21.9%減の15億30百万円、経常利益が24.0%減の30億24百万円、親会社株主帰属当期純利益が42億62百万円の黒字(20年3月期は108億39百万円の赤字)だった。配当は期末4円上方修正(新製品ジョイクル承認記念配当4円)して、20年3月期比2円減配の24円(第2四半期末10円、期末14円)とした。

 新型コロナウイルスによる外来受診の減少、国内の薬価引き下げ、研究開発費の増加などで減収、営業・経常減益だったが、従来予想に対して減益幅が縮小した。研究開発費の増加(4.8%増加)が想定を下回り、営業外収益での為替差損益が想定よりも改善した。なお営業外では受取ロイヤリティーが12億18百万円減少した。当期純利益は前期計上の減損損失135億24百万円が一巡して黒字化した。

 医薬品事業は6.5%減収だった。医薬品原体・医薬品受託製造がダルトン社の新規連結で81.0%増収と伸長したが、国内医薬品が12.1%減収、海外医薬品が8.2%減収だった。LAL事業は新型コロナウイルスの影響が限定的で7.2%増収と伸長した。全体の海外売上高は6.3%増の137億21百万円で、海外売上比率は4.5ポイント上昇して49.6%となった。

 22年3月期の連結業績予想は、売上高が21年3月期比16.1%増の322億円、営業利益が2.0倍の45億50百万円、経常利益が53.7%増の46億50百万円、親会社株主帰属当期純利益が14.4%減の36億50百万円としている。配当予想は6円増配の30円(第2四半期末15円、期末15円)(普通配当20円+特別配当10円)である。

 22年3月期から受取ロイヤリティーを営業外収益から売上高に表示区分変更し、販売手数料等を販管費計上から売上高控除に変更する。売上面は国内薬価引き下げが減収要因となるが、受取ロイヤリティーの増加、新製品ジョイクルの発売、医薬品原体・医薬品受託製造の伸長などで2桁増収見込みとしている。

 セグメント別売上高計画は、医薬品事業が21.0%増の251億50百万円(国内医薬品が1.3%増の116億円、海外医薬品が1.8%増の69億円、医薬品原体・医薬品受託製造が27.3%増の23億50百万円、ロイヤリティーが6.0倍の43億円)で、LAL事業が1.6%増の70億50百万円としている。

 利益面は、研究開発費が増加(9.6%増の79億円)し、減価償却費や営業関連費も増加するが、増収効果で大幅営業・経常増益予想としている。収益拡大を期待したい。なお当期純利益は前期の法人税等調整額のマイナス計上の反動で減益予想としている。

■株価はボックス上放れ

 なお自己株式取得を発表した。上限20万株・2億40百万円で、取得期間は21年7月1日〜21年8月12日としている。

 株価は急反発してボックスレンジ上放れの形となった。年初来高値も更新した。自律調整を交えながら上値を試す展開を期待したい。5月24日の終値は1195円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS64円68銭で算出)は約18倍、今期予想配当利回り(会社予想の30円で算出)は約2.5%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS1127円14銭で算出)は約1.1倍、時価総額は約679億円である。(情報提供:日 本インタビュ新聞社=Media−IR)
[04月23日更新]

生化学工業は調整一巡、22年3月期収益拡大期待

 生化学工業<4548>(東1)は関節機能改善剤アルツなど糖質科学分野を主力とする医薬品メーカーである。21年3月期は新型コロナウイルス影響や研究開発費増加で営業・経常減益予想だが、利益は再上振れの可能性がありそうだ。売上が回復基調であり、22年3月期の収益拡大も期待したい。株価は上値が重くボックスレンジ下限に回帰したが、調整一巡して出直りを期待したい。なお5月13日に21年3月期決算発表を予定している。

■関節機能改善剤アルツなど糖質科学分野が主力の医薬品メーカー

 糖質科学分野が主力の医薬品メーカーで、国内医薬品(関節機能改善剤アルツ、白内障手術補助剤オペガン、内視鏡用粘膜下注入材ムコアップ)、海外医薬品(米国向け単回投与関節機能改善剤Gel−One、米国向け3回投与関節機能改善剤VISCO−3、米国向け5回投与関節機能改善剤SUPARTZ−FX、中国向けアルツ)、医薬品原体(ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸)、LAL事業(エンドトキシン測定用試薬関連)を展開している。

 20年3月期の事業別売上構成比は、医薬品事業が77%(国内医薬品48%、海外医薬品26%、医薬品原体が4%)で、LAL事業が23%だった。

 20年3月には海外製造拠点としてカナダのダルトン社を子会社化した。なおダルトン社を買収する際に中間持株会社として設立したSEC社、および買収目的会社として設立したSAC社が特定子会社に該当することになったため、ダルトン社とSAC社が現地法に基づく新設合併を行い、新設された新ダルトン社が旧ダルトン社から商号および事業を引き継いだ。

 20年8月には、ダルトン社がサスカチュワン大学の研究機関であるVIDO−InterVacと、VIDO−InterVacがカナダ政府およびサスカチュワン州から支援を受けて開発を進めているCOVID−19ワクチンの製造に関して、業務提携に合意した。ダルトン社は本提携により、COVID−19ワクチンの初期段階の臨床試験で投与される治験薬の調合、充填、製剤化を担う。

■新薬開発は糖質科学分野に焦点

 研究開発は糖質科学分野(糖鎖や複合糖質を研究する科学分野)に焦点を絞っている。開発パイプラインには、腰椎椎間板ヘルニア治療剤SI−6603、変形性膝関節症改善剤SI−613、腱・靱帯付着部症を適応症とするSI−613−ETP、ドライアイ治療剤SI−614、間質性膀胱炎を適応症とするSI−722、癒着防止材SI−449がある。

 SI−6603は日本では18年3月製造販売承認を取得し、科研製薬<4521>が18年8月販売開始(腰椎椎間板ヘルニア治療剤ヘルニコア)した。またスイスのフェリング社と日本を除く全世界におけるライセンス契約を締結している。マイルストーン型ロイヤリティーの総額は最大95百万米ドル(うち契約一時金5百万米ドル)である。米国では第3相臨床の追加試験が22年11月経過観察終了予定だが、新型コロナウイルスの影響で進捗が遅れているため、被験者増加や治験施設増加など各種施策を実行して組み入れを促進している。

 SI−613は小野薬品工業<4528>と日本における共同開発・販売提携に関する契約を締結し、21年3月に変形性関節症治療剤ONO−5704/SI−613(ジョイクル関節注30mg)について、変形性関節症(膝関節、股関節)の効能または効果で国内製造販売承認を取得した。マイルストーン型ロイヤリティーの総額は最大120億円(うち契約一時金20億円)である。米国では第2相臨床試験結果の解析が終了し、第3相臨床試験の検討と並行して提携先の選定を進めている。SI−613−ETP(小野薬品工業とのSI−613の契約に含む)は後期第2相臨床試験の解析が終了し、次のアクションを検討中である。

 なおSI−613について、20年9月にエーザイ<4523>と韓国における販売提携に関する契約を締結した。エーザイの韓国子会社が韓国におけるSI−613の独占的販売権を取得し、製造販売申請を行う。承認取得後は製品をエーザイに供給する。契約一時金と販売マイルストーンを受け取る。エーザイとは20年4月に中国における共同開発および販売提携に関する契約を締結しており、2ヶ国目の提携となる。

 SI−614は米国で第2・3相試験が終了し、販売提携先を選定中である。SI−722は、19年11月米国における第1・2相臨床試験を開始、20年3月被験者投与を開始した。新型コロナウイルスの影響で計画遅れの状況だが、治験施設の稼働を再開している。SI−449は18年5月開始した日本でのパイロット試験で良好な結果が確認され、20年5月に国内ピボタル試験を開始した。新型コロナウイルスの影響で遅延が生じているが、リモート下での治験対応策を実施している。

■22年3月期経常利益45億円目標

 中期経営計画の目標には、22年3月期(想定為替レート1米ドル=105円)の売上高283億円、経常利益45億円、SKK EBITDA(営業利益に減価償却費、受取ロイヤリティーを加えた利益指標)50億円、海外売上高比率50.0%を掲げている。研究開発費は売上比25〜30%である。利益配分は配当性向50%を目指す。

 重点施策としては、新たな収益の柱となる新薬開発の加速、製品の市場拡大による収益基盤強化、生産性向上のための改革を推進する。

■21年3月期利益は再上振れの可能性、22年3月期収益拡大期待

 21年3月期連結業績予想(期初時点は未定、9月24日に公表、2月5日に上方修正)は、売上高が20年3月期比4.0%減の275億円、営業利益が56.6%減の8億50百万円、経常利益が48.5%減の20億50百万円、そして当期純利益が17億円(20年3月期は108億39百万円の赤字)としている。配当予想は6円減配の20円(第2四半期末10円、期末10円)である。

 第3四半期累計は、売上高が前年同期比10.4%減の208億13百万円、営業利益が55.3%減の14億59百万円、経常利益が45.4%減の21億13百万円、四半期純利益が18億79百万円の黒字(前年同期は97億81百万円の赤字)だった。営業外収益では海外製品に関連する受取ロイヤリティー1億95百万円を計上し、特別損失では前期計上の固定資産減損損失124億41百万円が一巡した。

 新型コロナウイルスによる外来受診や手術件数の減少、国内の薬価引き下げ、研究開発費の増加などで減収、営業・経常減益だった。医薬品事業は13.6%減収だった。医薬品原体・医薬品受託製造がダルトン社の新規連結で84.6%増収と大幅伸長したが、国内医薬品が16.2%減収、海外医薬品が22.3%減収だった。LAL事業は新型コロナウイルスの影響が限定的で1.4%増収と堅調だった。コスト面では国内薬価引き下げや売上構成比変化で原価率が0.9ポイント上昇し、研究開発費が20.7%増加した。

 四半期別に見ると、第1四半期は売上高69億72百万円で経常利益6億10百万円、第2四半期は売上高65億61百万円で経常利益3億80百万円、第3四半期は売上高72億80百万円で経常利益10億15百万円だった。

 通期は従来予想に比べて減収幅、営業・経常減益幅が縮小する見込としている。海外医薬品およびLAL事業の海外販売における新型コロナウイルスの影響が想定より軽微となり、売上高が従来予想を上回る。コスト面では、米国で実施中の腰椎椎間板ヘルニア治療剤SI−6603追加臨床試験の被験者組み入れ促進策で研究開発費が従来予想を上回るが、増収効果でカバーする。経常利益と純利益は海外製品に関連する受取ロイヤリティーも寄与する見込みだ。

 第3四半期累計の各利益は修正後の通期利益予想を上回っている。通期利益は再上振れの可能性がありそうだ。売上が回復基調であり、22年3月期の収益拡大も期待したい。

■株価は調整一巡

 株価は上値が重くボックスレンジ下限に回帰したが、調整一巡して出直りを期待したい。4月22日の終値は1020円、前期推定連結PER(会社予想の連結EPS30円13銭で算出)は約34倍、前期推定配当利回り(会社予想の20円で算出)は約2.0%、前々期実績連結PBR(前々期実績の連結BPS1059円40銭で算出)は約1.0倍、時価総額は約580億円である。(情報提供:日 本インタビュ新聞社=Media−IR)
[03月25日更新]

生化学工業は下値固め完了、21年3月期は再上振れの可能性、ジョイクルの国内製造販売承認取得

 生化学工業<4548>(東1)は関節機能改善剤アルツなど糖質科学分野を主力とする医薬品メーカーである。3月23日には変形性関節症治療剤ONO−5704/SI−613(ジョイクル)について、変形性関節症(膝関節、股関節)の効能または効果で国内製造販売承認を取得したと発表している。21年3月期は新型コロナウイルス影響や研究開発費増加で営業・経常予想だが、売上が回復基調であり、第3四半期累計の各利益は修正後の通期利益予想を上回っている。通期利益は再上振れの可能性がありそうだ。株価は下値固め完了して反発の動きを強めている。出直りを期待したい。

■関節機能改善剤アルツなど糖質科学分野が主力の医薬品メーカー

 糖質科学分野が主力の医薬品メーカーで、国内医薬品(関節機能改善剤アルツ、白内障手術補助剤オペガン、内視鏡用粘膜下注入材ムコアップ)、海外医薬品(米国向け単回投与関節機能改善剤Gel−One、米国向け3回投与関節機能改善剤VISCO−3、米国向け5回投与関節機能改善剤SUPARTZ−FX、中国向けアルツ)、医薬品原体(ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸)、LAL事業(エンドトキシン測定用試薬関連)を展開している。

 20年3月期の事業別売上構成比は、医薬品事業が77%(国内医薬品48%、海外医薬品26%、医薬品原体が4%)で、LAL事業が23%だった。

 20年3月には海外製造拠点としてカナダのダルトン社を子会社化した。なおダルトン社を買収する際に中間持株会社として設立したSEC社、および買収目的会社として設立したSAC社が特定子会社に該当することになったため、ダルトン社とSAC社が現地法に基づく新設合併を行い、新設された新ダルトン社が旧ダルトン社から商号および事業を引き継いだ。

 20年8月には、ダルトン社がサスカチュワン大学の研究機関であるVIDO−InterVacと、VIDO−InterVacがカナダ政府およびサスカチュワン州から支援を受けて開発を進めているCOVID−19ワクチンの製造に関して、業務提携に合意した。ダルトン社は本提携により、COVID−19ワクチンの初期段階の臨床試験で投与される治験薬の調合、充填、製剤化を担う。

■新薬開発は糖質科学分野に焦点

 研究開発は糖質科学分野(糖鎖や複合糖質を研究する科学分野)に焦点を絞っている。開発パイプラインには、腰椎椎間板ヘルニア治療剤SI−6603、変形性膝関節症改善剤SI−613、腱・靱帯付着部症を適応症とするSI−613−ETP、ドライアイ治療剤SI−614、間質性膀胱炎を適応症とするSI−722、癒着防止材SI−449がある。

 SI−6603は日本では18年3月製造販売承認を取得し、科研製薬<4521>が18年8月販売開始(腰椎椎間板ヘルニア治療剤ヘルニコア)した。またスイスのフェリング社と日本を除く全世界におけるライセンス契約を締結している。マイルストーン型ロイヤリティーの総額は最大95百万米ドル(うち契約一時金5百万米ドル)である。米国では第3相臨床の追加試験が22年11月経過観察終了予定だが、新型コロナウイルスの影響で進捗が遅れているため、被験者増加や治験施設増加など各種施策を実行して組み入れを促進している。

 SI−613は小野薬品工業<4528>と日本における共同開発・販売提携に関する契約を締結している。21年3月23日に変形性関節症治療剤ONO−5704/SI−613(ジョイクル関節注30mg)について、変形性関節症(膝関節、股関節)の効能または効果で国内製造販売承認を取得したと発表している。マイルストーン型ロイヤリティーの総額は最大120億円(うち契約一時金20億円)である。米国では第2相臨床試験結果の解析が終了し、第3相臨床試験の検討と並行して提携先の選定を進めている。SI−613−ETP(小野薬品工業とのSI−613の契約に含む)は後期第2相臨床試験の解析が終了し、次のアクションを検討中である。

 なおSI−613について、20年9月にエーザイ<4523>と韓国における販売提携に関する契約を締結した。エーザイの韓国子会社が韓国におけるSI−613の独占的販売権を取得し、製造販売申請を行う。承認取得後は製品をエーザイに供給する。契約一時金と販売マイルストーンを受け取る。エーザイとは20年4月に中国における共同開発および販売提携に関する契約を締結しており、2ヶ国目の提携となる。

 SI−614は米国で第2・3相試験が終了し、販売提携先を選定中である。SI−722は、19年11月米国における第1・2相臨床試験を開始、20年3月被験者投与を開始した。新型コロナウイルスの影響で計画遅れの状況だが、治験施設の稼働を再開している。SI−449は18年5月開始した日本でのパイロット試験で良好な結果が確認され、20年5月に国内ピボタル試験を開始した。新型コロナウイルスの影響で遅延が生じているが、リモート下での治験対応策を実施している。

■22年3月期経常利益45億円目標

 中期経営計画の目標には、22年3月期(想定為替レート1米ドル=105円)の売上高283億円、経常利益45億円、SKK EBITDA(営業利益に減価償却費、受取ロイヤリティーを加えた利益指標)50億円、海外売上高比率50.0%を掲げている。研究開発費は売上比25〜30%である。利益配分は配当性向50%を目指す。

 重点施策としては、新たな収益の柱となる新薬開発の加速、製品の市場拡大による収益基盤強化、生産性向上のための改革を推進する。

■21年3月期営業・経常減益予想だが再上振れの可能性

 21年3月期連結業績予想(期初時点は未定、9月24日に公表、2月5日に上方修正)は、売上高が20年3月期比4.0%減の275億円、営業利益が56.6%減の8億50百万円、経常利益が48.5%減の20億50百万円、そして当期純利益が17億円(20年3月期は108億39百万円の赤字)としている。配当予想は6円減配の20円(第2四半期末10円、期末10円)である。

 第3四半期累計は、売上高が前年同期比10.4%減の208億13百万円、営業利益が55.3%減の14億59百万円、経常利益が45.4%減の21億13百万円、四半期純利益が18億79百万円の黒字(前年同期は97億81百万円の赤字)だった。営業外収益では海外製品に関連する受取ロイヤリティー1億95百万円を計上し、特別損失では前期計上の固定資産減損損失124億41百万円が一巡した。

 新型コロナウイルスによる外来受診や手術件数の減少、国内の薬価引き下げ、研究開発費の増加などで減収、営業・経常減益だった。医薬品事業は13.6%減収だった。医薬品原体・医薬品受託製造がダルトン社の新規連結で84.6%増収と大幅伸長したが、国内医薬品が16.2%減収、海外医薬品が22.3%減収だった。LAL事業は新型コロナウイルスの影響が限定的で1.4%増収と堅調だった。コスト面では国内薬価引き下げや売上構成比変化で原価率が0.9ポイント上昇し、研究開発費が20.7%増加した。

 四半期別に見ると、第1四半期は売上高69億72百万円で経常利益6億10百万円、第2四半期は売上高65億61百万円で経常利益3億80百万円、第3四半期は売上高72億80百万円で経常利益10億15百万円だった。

 通期は従来予想に比べて減収幅、営業・経常減益幅が縮小する見込としている。海外医薬品およびLAL事業の海外販売における新型コロナウイルスの影響が想定より軽微となり、売上高が従来予想を上回る。コスト面では、米国で実施中の腰椎椎間板ヘルニア治療剤SI−6603追加臨床試験の被験者組み入れ促進策で研究開発費が従来予想を上回るが、増収効果でカバーする。経常利益と純利益は海外製品に関連する受取ロイヤリティーも寄与する見込みだ。

 売上が回復基調であり、第3四半期累計の各利益は修正後の通期利益予想を上回っている。通期利益は再上振れの可能性がありそうだ。

■株価は下値固め完了

 株価は下値固め完了して反発の動きを強めている。出直りを期待したい。3月24日の終値は1064円、今期予想連結PER(会社予想連結EPS30円13銭で算出)は約35倍、今期予想配当利回り(会社予想20円で算出)は約1.9%、前期実績連結PBR(前期実績連結BPS1059円40銭で算出)は約1.0倍、時価総額は約605億円である。(情報提供:日 本インタビュ新聞社=Media−IR)
[03月11日更新]

生化学工業は下値固め完了、21年3月期営業・経常減益予想だが再上振れの可能性

 生化学工業<4548>(東1)は関節機能改善剤アルツなど糖質科学分野を主力とする医薬品メーカーである。21年3月期(2月5日に上方修正)は新型コロナウイルスの影響や研究開発費の増加で営業・経常予想だが、売上が回復基調であり、第3四半期累計の各利益は修正後の通期利益予想を上回っている。通期利益は再上振れの可能性がありそうだ。株価は反発力が鈍く上値を切り下げる形だが、一方では下値固め完了感を強めている。出直りを期待したい。

■関節機能改善剤アルツなど糖質科学分野が主力の医薬品メーカー

 糖質科学分野が主力の医薬品メーカーで、国内医薬品(関節機能改善剤アルツ、白内障手術補助剤オペガン、内視鏡用粘膜下注入材ムコアップ)、海外医薬品(米国向け単回投与関節機能改善剤Gel−One、米国向け3回投与関節機能改善剤VISCO−3、米国向け5回投与関節機能改善剤SUPARTZ−FX、中国向けアルツ)、医薬品原体(ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸)、LAL事業(エンドトキシン測定用試薬関連)を展開している。

 20年3月期の事業別売上構成比は、医薬品事業が77%(国内医薬品48%、海外医薬品26%、医薬品原体が4%)で、LAL事業が23%だった。

 20年3月には海外製造拠点としてカナダのダルトン社を子会社化した。なおダルトン社を買収する際に中間持株会社として設立したSEC社、および買収目的会社として設立したSAC社が特定子会社に該当することになったため、ダルトン社とSAC社が現地法に基づく新設合併を行い、新設された新ダルトン社が旧ダルトン社から商号および事業を引き継いだ。

 20年8月には、ダルトン社がサスカチュワン大学の研究機関であるVIDO−InterVacと、VIDO−InterVacがカナダ政府およびサスカチュワン州から支援を受けて開発を進めているCOVID−19ワクチンの製造に関して、業務提携に合意した。ダルトン社は本提携により、COVID−19ワクチンの初期段階の臨床試験で投与される治験薬の調合、充填、製剤化を担う。

■新薬開発は糖質科学分野に焦点

 研究開発は糖質科学分野(糖鎖や複合糖質を研究する科学分野)に焦点を絞っている。開発パイプラインには、腰椎椎間板ヘルニア治療剤SI−6603、変形性膝関節症改善剤SI−613、腱・靱帯付着部症を適応症とするSI−613−ETP、ドライアイ治療剤SI−614、間質性膀胱炎を適応症とするSI−722、癒着防止材SI−449がある。

 SI−6603は日本では18年3月製造販売承認を取得し、科研製薬<4521>が18年8月販売開始(腰椎椎間板ヘルニア治療剤ヘルニコア)した。またスイスのフェリング社と日本を除く全世界におけるライセンス契約を締結している。マイルストーン型ロイヤリティーの総額は最大95百万米ドル(うち契約一時金5百万米ドル)である。米国では第3相臨床の追加試験が22年11月経過観察終了予定だが、新型コロナウイルスの影響で進捗が遅れているため、被験者増加や治験施設増加など各種施策を実行して組み入れを促進している。

 SI−613は、小野薬品工業<4528>と日本における共同開発・販売提携に関する契約を締結し、20年1月変形性関節症治療剤ONO−5704/SI−613の国内製造販売承認申請を行った。マイルストーン型ロイヤリティーの総額は最大120億円(うち契約一時金20億円)である。米国では第2相臨床試験結果の解析が終了し、第3相臨床試験の検討と並行して提携先の選定を進めている。SI−613−ETP(小野薬品工業とのSI−613の契約に含む)は後期第2相臨床試験の解析が終了し、次のアクションを検討中である。

 なおSI−613について、20年9月にエーザイ<4523>と韓国における販売提携に関する契約を締結した。エーザイの韓国子会社が韓国におけるSI−613の独占的販売権を取得し、製造販売申請を行う。承認取得後は製品をエーザイに供給する。契約一時金と販売マイルストーンを受け取る。エーザイとは20年4月に中国における共同開発および販売提携に関する契約を締結しており、2ヶ国目の提携となる。

 SI−614は米国で第2・3相試験が終了し、販売提携先を選定中である。SI−722は、19年11月米国における第1・2相臨床試験を開始、20年3月被験者投与を開始した。新型コロナウイルスの影響で計画遅れの状況だが、治験施設の稼働を再開している。SI−449は18年5月開始した日本でのパイロット試験で良好な結果が確認され、20年5月に国内ピボタル試験を開始した。新型コロナウイルスの影響で遅延が生じているが、リモート下での治験対応策を実施している。

■22年3月期経常利益45億円目標

 中期経営計画の目標には、22年3月期(想定為替レート1米ドル=105円)の売上高283億円、経常利益45億円、SKK EBITDA(営業利益に減価償却費、受取ロイヤリティーを加えた利益指標)50億円、海外売上高比率50.0%を掲げている。研究開発費は売上比25〜30%である。利益配分は配当性向50%を目指す。

 重点施策としては、新たな収益の柱となる新薬開発の加速、製品の市場拡大による収益基盤強化、生産性向上のための改革を推進する。

■21年3月期営業・経常減益予想だが再上振れの可能性

 21年3月期連結業績予想(期初時点は未定、9月24日に公表、2月5日に上方修正)は、売上高が20年3月期比4.0%減の275億円、営業利益が56.6%減の8億50百万円、経常利益が48.5%減の20億50百万円、そして当期純利益が17億円(20年3月期は108億39百万円の赤字)としている。配当予想は6円減配の20円(第2四半期末10円、期末10円)である。

 第3四半期累計は、売上高が前年同期比10.4%減の208億13百万円、営業利益が55.3%減の14億59百万円、経常利益が45.4%減の21億13百万円、四半期純利益が18億79百万円の黒字(前年同期は97億81百万円の赤字)だった。営業外収益では海外製品に関連する受取ロイヤリティー1億95百万円を計上し、特別損失では前期計上の固定資産減損損失124億41百万円が一巡した。

 新型コロナウイルスによる外来受診や手術件数の減少、国内の薬価引き下げ、研究開発費の増加などで減収、営業・経常減益だった。医薬品事業は13.6%減収だった。医薬品原体・医薬品受託製造がダルトン社の新規連結で84.6%増収と大幅伸長したが、国内医薬品が16.2%減収、海外医薬品が22.3%減収だった。LAL事業は新型コロナウイルスの影響が限定的で1.4%増収と堅調だった。コスト面では国内薬価引き下げや売上構成比変化で原価率が0.9ポイント上昇し、研究開発費が20.7%増加した。

 四半期別に見ると、第1四半期は売上高69億72百万円で経常利益6億10百万円、第2四半期は売上高65億61百万円で経常利益3億80百万円、第3四半期は売上高72億80百万円で経常利益10億15百万円だった。

 通期は従来予想に比べて減収幅、営業・経常減益幅が縮小する見込としている。海外医薬品およびLAL事業の海外販売における新型コロナウイルスの影響が想定より軽微となり、売上高が従来予想を上回る。コスト面では、米国で実施中の腰椎椎間板ヘルニア治療剤SI−6603追加臨床試験の被験者組み入れ促進策で研究開発費が従来予想を上回るが、増収効果でカバーする。経常利益と純利益は海外製品に関連する受取ロイヤリティーも寄与する見込みだ。

 売上が回復基調であり、第3四半期累計の各利益は修正後の通期利益予想を上回っている。通期利益は再上振れの可能性がありそうだ。

■株価は下値固め完了

 株価は反発力が鈍く上値を切り下げる形だが、一方では下値固め完了感を強めている。出直りを期待したい。3月10日の終値は1050円、今期予想連結PER(会社予想連結EPS30円13銭で算出)は約35倍、今期予想配当利回り(会社予想20円で算出)は約1.9%、前期実績連結PBR(前期実績連結BPS1059円40銭で算出)は約1.0倍、時価総額は約597億円である。(情報提供:日 本インタビュ新聞社=Media−IR)
[02月18日更新]

生化学工業は反発の動き、21年3月期通期予想を上方修正して営業・減益幅縮小

 生化学工業<4548>(東1)は糖質科学分野が主力の医薬品メーカーで、関節機能改善剤アルツなどを展開している。21年3月期第3四半期累計は新型コロナウイルス影響や研究開発費増加で営業・経常減益だったが、通期は売上が従来予想を上回り、受取ロイヤリティーも寄与して、従来予想に比べて営業・経常減益幅が縮小する見込みだ。第3四半期累計の各利益は修正後の通期利益予想を上回っている。通期利益再上振れを期待したい。株価は下値固め完了して反発の動きを強めている。出直りを期待したい。

■関節機能改善剤アルツなど糖質科学分野が主力の医薬品メーカー

 糖質科学分野が主力の医薬品メーカーで、国内医薬品(関節機能改善剤アルツ、白内障手術補助剤オペガン、内視鏡用粘膜下注入材ムコアップ)、海外医薬品(米国向け単回投与関節機能改善剤Gel−One、米国向け3回投与関節機能改善剤VISCO−3、米国向け5回投与関節機能改善剤SUPARTZ−FX、中国向けアルツ)、医薬品原体(ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸)、LAL事業(エンドトキシン測定用試薬関連)を展開している。

 20年3月期の事業別売上構成比は、医薬品事業が77%(国内医薬品48%、海外医薬品26%、医薬品原体が4%)で、LAL事業が23%だった。

 20年3月には海外製造拠点としてカナダのダルトン社を子会社化した。なおダルトン社を買収する際に中間持株会社として設立したSEC社、および買収目的会社として設立したSAC社が特定子会社に該当することになったため、ダルトン社とSAC社が現地法に基づく新設合併を行い、新設された新ダルトン社が旧ダルトン社から商号および事業を引き継いだ。

 20年8月には、ダルトン社がサスカチュワン大学の研究機関であるVIDO−InterVacと、VIDO−InterVacがカナダ政府およびサスカチュワン州から支援を受けて開発を進めているCOVID−19ワクチンの製造に関して、業務提携に合意した。ダルトン社は本提携により、COVID−19ワクチンの初期段階の臨床試験で投与される治験薬の調合、充填、製剤化を担う。

■新薬開発は糖質科学分野に焦点

 研究開発は糖質科学分野(糖鎖や複合糖質を研究する科学分野)に焦点を絞っている。開発パイプラインには、腰椎椎間板ヘルニア治療剤SI−6603、変形性膝関節症改善剤SI−613、腱・靱帯付着部症を適応症とするSI−613−ETP、ドライアイ治療剤SI−614、間質性膀胱炎を適応症とするSI−722、癒着防止材SI−449がある。

 SI−6603は日本では18年3月製造販売承認を取得し、科研製薬<4521>が18年8月販売開始(腰椎椎間板ヘルニア治療剤ヘルニコア)した。またスイスのフェリング社と日本を除く全世界におけるライセンス契約を締結している。マイルストーン型ロイヤリティーの総額は最大95百万米ドル(うち契約一時金5百万米ドル)である。米国では第3相臨床の追加試験が22年11月経過観察終了予定だが、新型コロナウイルスの影響で進捗が遅れているため、被験者増加や治験施設増加など各種施策を実行して組み入れを促進している。

 SI−613は、小野薬品工業<4528>と日本における共同開発・販売提携に関する契約を締結し、20年1月変形性関節症治療剤ONO−5704/SI−613の国内製造販売承認申請を行った。マイルストーン型ロイヤリティーの総額は最大120億円(うち契約一時金20億円)である。米国では第2相臨床試験結果の解析が終了し、第3相臨床試験の検討と並行して提携先の選定を進めている。SI−613−ETP(小野薬品工業とのSI−613の契約に含む)は後期第2相臨床試験の解析が終了し、次のアクションを検討中である。

 なおSI−613について、20年9月にエーザイ<4523>と韓国における販売提携に関する契約を締結した。エーザイの韓国子会社が韓国におけるSI−613の独占的販売権を取得し、製造販売申請を行う。承認取得後は製品をエーザイに供給する。契約一時金と販売マイルストーンを受け取る。エーザイとは20年4月に中国における共同開発および販売提携に関する契約を締結しており、2ヶ国目の提携となる。

 SI−614は米国で第2・3相試験が終了し、販売提携先を選定中である。SI−722は、19年11月米国における第1・2相臨床試験を開始、20年3月被験者投与を開始した。新型コロナウイルスの影響で計画遅れの状況だが、治験施設の稼働を再開している。SI−449は18年5月開始した日本でのパイロット試験で良好な結果が確認され、20年5月に国内ピボタル試験を開始した。新型コロナウイルスの影響で遅延が生じているが、リモート下での治験対応策を実施している。

■22年3月期経常利益45億円目標

 中期経営計画の目標には、22年3月期(想定為替レート1米ドル=105円)の売上高283億円、経常利益45億円、SKK EBITDA(営業利益に減価償却費、受取ロイヤリティーを加えた利益指標)50億円、海外売上高比率50.0%を掲げている。研究開発費は売上比25〜30%である。利益配分は配当性向50%を目指す。

 重点施策としては、新たな収益の柱となる新薬開発の加速、製品の市場拡大による収益基盤強化、生産性向上のための改革を推進する。

■21年3月期通期予想を上方修正して営業・減益幅縮小

 21年3月期連結業績予想(期初時点は未定、9月24日に公表、2月5日に上方修正)は、売上高が20年3月期比4.0%減の275億円、営業利益が56.6%減の8億50百万円、経常利益が48.5%減の20億50百万円、そして当期純利益が17億円(20年3月期は108億39百万円の赤字)としている。配当予想は6円減配の20円(第2四半期末10円、期末10円)である。

 第3四半期累計は、売上高が前年同期比10.4%減の208億13百万円、営業利益が55.3%減の14億59百万円、経常利益が45.4%減の21億13百万円、四半期純利益が18億79百万円の黒字(前年同期は97億81百万円の赤字)だった。営業外収益では海外製品に関連する受取ロイヤリティー1億95百万円を計上し、特別損失では前期計上の固定資産減損損失124億41百万円が一巡した。

 新型コロナウイルスによる外来受診や手術件数の減少、国内の薬価引き下げ、研究開発費の増加などで減収、営業・経常減益だった。医薬品事業は13.6%減収だった。医薬品原体・医薬品受託製造がダルトン社の新規連結で84.6%増収と大幅伸長したが、国内医薬品が16.2%減収、海外医薬品が22.3%減収だった。LAL事業は新型コロナウイルスの影響が限定的で1.4%増収と堅調だった。コスト面では国内薬価引き下げや売上構成比変化で原価率が0.9ポイント上昇し、研究開発費が20.7%増加した。

 四半期別に見ると、第1四半期は売上高69億72百万円で経常利益6億10百万円、第2四半期は売上高65億61百万円で経常利益3億80百万円、第3四半期は売上高72億80百万円で経常利益10億15百万円だった。

 通期予想は上方修正した。従来予想に比べて減収幅、営業・経常減益幅が縮小する見込みだ。海外医薬品およびLAL事業の海外販売における新型コロナウイルスの影響が想定より軽微となり、売上高が従来予想を上回る。コスト面では、米国で実施中の腰椎椎間板ヘルニア治療剤SI−6603追加臨床試験の被験者組み入れ促進策で研究開発費が従来予想を上回るが、増収効果でカバーする。経常利益と純利益は海外製品に関連する受取ロイヤリティーも寄与する見込みだ。

 なお第3四半期累計の各利益は修正後の通期利益予想を上回っている。通期利益再上振れを期待したい。

■株価は下値固め完了感

 株価は下値固め完了して反発の動きを強めている。出直りを期待したい。2月17日の終値は1090円、今期予想連結PER(会社予想連結EPS30円13銭で算出)は約36倍、今期予想配当利回り(会社予想20円で算出)は約1.8%、前期実績連結PBR(前期実績連結BPS1059円40銭で算出)は約1.0倍、時価総額は約619億円である。(情報提供:日 本インタビュ新聞社=Media−IR)
[01月12日更新]

生化学工業は下値固め完了感、21年3月期は後半回復期待

 生化学工業<4548>(東1)は糖質科学分野が主力の医薬品メーカーで、関節機能改善剤アルツなどを展開している。21年3月期は国内薬価引き下げ、新型コロナウイルス影響による外来受診減少、売上構成変化、研究開発費増加で大幅営業・経常減益予想だが、後半の需要回復を期待したい。株価は反発力の鈍い展開だが、一方では下値固め完了感を強めている。出直りを期待したい。なお2月5日に21年3月期第3四半期決算発表を予定している。

■関節機能改善剤アルツなど糖質科学分野が主力の医薬品メーカー

 糖質科学分野が主力の医薬品メーカーで、国内医薬品(関節機能改善剤アルツ、白内障手術補助剤オペガン、内視鏡用粘膜下注入材ムコアップ)、海外医薬品(米国向け単回投与関節機能改善剤Gel−One、米国向け3回投与関節機能改善剤VISCO−3、米国向け5回投与関節機能改善剤SUPARTZ−FX、中国向けアルツ)、医薬品原体(ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸)、LAL事業(エンドトキシン測定用試薬関連)を展開している。

 20年3月期の事業別売上構成比は、医薬品事業が77%(国内医薬品48%、海外医薬品26%、医薬品原体が4%)で、LAL事業が23%だった。

 20年3月には海外製造拠点としてカナダのダルトン社を子会社化した。なおダルトン社を買収する際に中間持株会社として設立したSEC社、および買収目的会社として設立したSAC社が特定子会社に該当することになったため、ダルトン社とSAC社が現地法に基づく新設合併を行い、新設された新ダルトン社が旧ダルトン社から商号および事業を引き継いだ。

 20年8月には、ダルトン社がサスカチュワン大学の研究機関であるVIDO−InterVacと、VIDO−InterVacがカナダ政府およびサスカチュワン州から支援を受けて開発を進めているCOVID−19ワクチンの製造に関して、業務提携に合意した。ダルトン社は本提携により、COVID−19ワクチンの初期段階の臨床試験で投与される治験薬の調合、充填、製剤化を担う。VIDO−InterVacは20年10月から12月頃に臨床試験開始を目指している。

■新薬開発は糖質科学分野に焦点

 研究開発は糖質科学分野(糖鎖や複合糖質を研究する科学分野)に焦点を絞っている。開発パイプラインには、腰椎椎間板ヘルニア治療剤SI−6603、変形性膝関節症改善剤SI−613、腱・靱帯付着部症を適応症とするSI−613−ETP、ドライアイ治療剤SI−614、間質性膀胱炎を適応症とするSI−722、癒着防止材SI−449がある。

 SI−6603は日本では18年3月製造販売承認を取得し、科研製薬<4521>が18年8月販売開始(腰椎椎間板ヘルニア治療剤ヘルニコア)した。またスイスのフェリング社と日本を除く全世界におけるライセンス契約を締結している。マイルストーン型ロイヤリティーの総額は最大95百万米ドル(うち契約一時金5百万米ドル)である。米国では第3相臨床の追加試験が22年11月経過観察終了予定だが、新型コロナウイルスの影響で進捗が遅れているため、被験者増加や治験施設増加など各種施策を実行して組み入れを促進している。

 SI−613は、小野薬品工業<4528>と日本における共同開発・販売提携に関する契約を締結し、20年1月変形性関節症治療剤ONO−5704/SI−613の国内製造販売承認申請を行った。マイルストーン型ロイヤリティーの総額は最大120億円(うち契約一時金20億円)である。米国では第2相臨床試験結果の解析が終了し、第3相臨床試験の検討と並行して提携先の選定を進めている。SI−613−ETP(小野薬品工業とのSI−613の契約に含む)は後期第2相臨床試験の解析が終了し、次のアクションを検討中である。

 なおSI−613について、20年9月にエーザイ<4523>と韓国における販売提携に関する契約を締結した。エーザイの韓国子会社が韓国におけるSI−613の独占的販売権を取得し、製造販売申請を行う。承認取得後は製品をエーザイに供給する。契約一時金と販売マイルストーンを受け取る。エーザイとは20年4月に中国における共同開発および販売提携に関する契約を締結しており、2ヶ国目の提携となる。

 SI−614は米国で第2・3相試験が終了し、販売提携先を選定中である。SI−722は、19年11月米国における第1・2相臨床試験を開始、20年3月被験者投与を開始した。新型コロナウイルスの影響で計画遅れの状況だが、治験施設の稼働を再開している。SI−449は18年5月開始した日本でのパイロット試験で良好な結果が確認され、20年5月に国内ピボタル試験を開始した。新型コロナウイルスの影響で遅延が生じているが、リモート下での治験対応策を実施している。

■22年3月期経常利益45億円目標

 中期経営計画の目標には、22年3月期(想定為替レート1米ドル=105円)の売上高283億円、経常利益45億円、SKK EBITDA(営業利益に減価償却費、受取ロイヤリティーを加えた利益指標)50億円、海外売上高比率50.0%を掲げている。研究開発費は売上比25〜30%である。利益配分は配当性向50%を目指す。

 重点施策としては、新たな収益の柱となる新薬開発の加速、製品の市場拡大による収益基盤強化、生産性向上のための改革を推進する。

■21年3月期は新型コロナウイルス影響だが後半回復期待

 21年3月期連結業績予想(期初時点は未定、9月24日公表)は、売上高が20年3月期比7.0%減の266億50百万円、営業利益が71.9%減の5億50百万円、経常利益が64.8%減の14億円、純利益が11億50百万円(20年3月期は108億39百万円の赤字)としている。配当予想は6円減配の20円(第2四半期末10円、期末10円)である。

 第2四半期累計は、売上高が前年同期比13.0%減の135億33百万円、営業利益が66.6%減の7億18百万円、経常利益が55.6%減の10億98百万円だった。純利益は前期計上の固定資産減損損失が一巡して9億76百万円の黒字(前年同期は107億66百万円の赤字)だった。

 LAL事業は0.6%減収にとどまり比較的堅調だったが、国内医薬品の薬価引き下げ、新型コロナウイルス影響による外来受診減少や医療措置延期などで、医薬品事業が16.4%減収(国内医薬品が13.5%減収、海外医薬品が32.3%減収、医薬品原体・医薬品受託製造が77.1%増収)となり、売上構成変化や研究開発費増加も影響して大幅営業・経常減益だった。

 通期も医薬品原体・医薬品受託製造が大幅増収だが、新型コロナウイルス影響による外来受診抑制や医療処置実施時期延期などで国内外での販売が減少し、国内の薬価引き下げなども影響して、全体として減収予想としている。

 売上高の計画は医薬品事業が8.6%減収(国内医薬品が11.5%減収、海外医薬品が15.6%減収、医薬品原体・医薬品受託製造が81.4%増収)で、LAL事業が1.2%減収としている。

 コスト面では前期実施の減損処理で減価償却費が減少し、販促活動見直しで営業費も減少するが、売上減少・売上構成変化に加えて、米国で実施中の腰椎椎間板ヘルニア治療剤SI−6603追加臨床試験の被験者組み入れ促進策に係る費用の増加、営業外収益での受取ロイヤリティーの減少などで大幅営業・経常減益予想としている。研究開発費は7.6%増の74億円の計画である。純利益は前期計上した固定資産減損損失が一巡して黒字予想である。

 当面は新型コロナウイルス感染再拡大の影響も意識されるが、後半の慈需要回復を期待したい。

■株価は下値固め完了感

 株価は反発力の鈍い展開だが、一方では下値固め完了感を強めている。調整一巡して出直りを期待したい。1月8日の終値は1044円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS20円38銭で算出)は約51倍、今期予想配当利回り(会社予想の20円で算出)は約1.9%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS1059円40銭で算出)は約1.0倍、時価総額は約593億円である。(情報提供:日 本インタビュ新聞社=Media−IR)
[12月16日更新]

生化学工業は下値切り上げ、21年3月期は新型コロナ影響だが後半回復期待

 生化学工業<4548>(東1)は関節機能改善剤アルツが主力の医薬品メーカーである。21年3月期は国内薬価引き下げ、新型コロナウイルス影響による外来受診減少、売上構成変化、研究開発費増加で大幅営業・経常減益予想だが、後半の回復を期待したい。株価は安値圏だが徐々に下値を切り上げている。調整一巡して出直りを期待したい。

■関節機能改善剤アルツなど糖質科学分野が主力の医薬品メーカー

 糖質科学分野が主力の医薬品メーカーで、国内医薬品(関節機能改善剤アルツ、白内障手術補助剤オペガン、内視鏡用粘膜下注入材ムコアップ)、海外医薬品(米国向け単回投与関節機能改善剤Gel−One、米国向け3回投与関節機能改善剤VISCO−3、米国向け5回投与関節機能改善剤SUPARTZ−FX、中国向けアルツ)、医薬品原体(ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸)、LAL事業(エンドトキシン測定用試薬関連)を展開している。

 20年3月期の事業別売上構成比は、医薬品事業が77%(国内医薬品48%、海外医薬品26%、医薬品原体が4%)で、LAL事業が23%だった。

 20年3月には海外製造拠点としてカナダのダルトン社を子会社化した。なおダルトン社を買収する際に中間持株会社として設立したSEC社、および買収目的会社として設立したSAC社が特定子会社に該当することになったため、ダルトン社とSAC社が現地法に基づく新設合併を行い、新設された新ダルトン社が旧ダルトン社から商号および事業を引き継いだ。

 20年8月には、ダルトン社がサスカチュワン大学の研究機関であるVIDO−InterVacと、VIDO−InterVacがカナダ政府およびサスカチュワン州から支援を受けて開発を進めているCOVID−19ワクチンの製造に関して、業務提携に合意した。ダルトン社は本提携により、COVID−19ワクチンの初期段階の臨床試験で投与される治験薬の調合、充填、製剤化を担う。VIDO−InterVacは20年10月から12月頃に臨床試験開始を目指している。

■新薬開発は糖質科学分野に焦点

 研究開発は糖質科学分野(糖鎖や複合糖質を研究する科学分野)に焦点を絞っている。開発パイプラインには、腰椎椎間板ヘルニア治療剤SI−6603、変形性膝関節症改善剤SI−613、腱・靱帯付着部症を適応症とするSI−613−ETP、ドライアイ治療剤SI−614、間質性膀胱炎を適応症とするSI−722、癒着防止材SI−449がある。

 SI−6603は日本では18年3月製造販売承認を取得し、科研製薬<4521>が18年8月販売開始(腰椎椎間板ヘルニア治療剤ヘルニコア)した。またスイスのフェリング社と日本を除く全世界におけるライセンス契約を締結している。マイルストーン型ロイヤリティーの総額は最大95百万米ドル(うち契約一時金5百万米ドル)である。米国では第3相臨床の追加試験が22年11月経過観察終了予定だが、新型コロナウイルスの影響で進捗が遅れているため、被験者増加や治験施設増加など各種施策を実行して組み入れを促進している。

 SI−613は、小野薬品工業<4528>と日本における共同開発・販売提携に関する契約を締結し、20年1月変形性関節症治療剤ONO−5704/SI−613の国内製造販売承認申請を行った。マイルストーン型ロイヤリティーの総額は最大120億円(うち契約一時金20億円)である。米国では第2相臨床試験結果の解析が終了し、第3相臨床試験の検討と並行して提携先の選定を進めている。SI−613−ETP(小野薬品工業とのSI−613の契約に含む)は後期第2相臨床試験の解析が終了し、次のアクションを検討中である。

 なおSI−613について、20年9月にエーザイ<4523>と韓国における販売提携に関する契約を締結した。エーザイの韓国子会社が韓国におけるSI−613の独占的販売権を取得し、製造販売申請を行う。承認取得後は製品をエーザイに供給する。契約一時金と販売マイルストーンを受け取る。エーザイとは20年4月に中国における共同開発および販売提携に関する契約を締結しており、2ヶ国目の提携となる。

 SI−614は米国で第2・3相試験が終了し、販売提携先を選定中である。SI−722は、19年11月米国における第1・2相臨床試験を開始、20年3月被験者投与を開始した。新型コロナウイルスの影響で計画遅れの状況だが、治験施設の稼働を再開している。SI−449は18年5月開始した日本でのパイロット試験で良好な結果が確認され、20年5月に国内ピボタル試験を開始した。新型コロナウイルスの影響で遅延が生じているが、リモート下での治験対応策を実施している。

■22年3月期経常利益45億円目標

 中期経営計画の目標には、22年3月期(想定為替レート1米ドル=105円)の売上高283億円、経常利益45億円、SKK EBITDA(営業利益に減価償却費、受取ロイヤリティーを加えた利益指標)50億円、海外売上高比率50.0%を掲げている。研究開発費は売上比25〜30%である。利益配分は配当性向50%を目指す。

 重点施策としては、新たな収益の柱となる新薬開発の加速、製品の市場拡大による収益基盤強化、生産性向上のための改革を推進する。

■21年3月期は新型コロナウイルス影響だが後半回復期待

 21年3月期の連結業績予想(期初時点では未定、9月24日公表)は、売上高が7.0%減の266億50百万円、営業利益が71.9%減の5億50百万円、経常利益が64.8%減の14億円、純利益が11億50百万円(20年3月期は108億39百万円の赤字)としている。配当予想は6円減配の20円(第2四半期末10円、期末10円)である。

 第2四半期累計は売上高が前年同期比13.0%減の135億33百万円、営業利益が66.6%減の7億18百万円、経常利益が55.6%減の10億98百万円だった。純利益は前期計上の固定資産減損損失が一巡して9億76百万円の黒字(前年同期は107億66百万円の赤字)だった。

 LAL事業は0.6%減収にとどまり比較的堅調だったが、国内医薬品の薬価引き下げ、新型コロナウイルス影響による外来受診減少や医療措置延期などで、医薬品事業が16.4%減収(国内医薬品が13.5%減収、海外医薬品が32.3%減収、医薬品原体・医薬品受託製造が77.1%増収)となり、売上構成変化や研究開発費増加も影響して大幅営業・経常減益だった。

 通期も医薬品原体・医薬品受託製造が大幅増収だが、新型コロナウイルス影響による外来受診抑制や医療処置実施時期延期などで国内外での販売が減少し、国内の薬価引き下げなども影響して、全体として減収予想としている。

 売上高の計画は医薬品事業が8.6%減収(国内医薬品が11.5%減収、海外医薬品が15.6%減収、医薬品原体・医薬品受託製造が81.4%増収)で、LAL事業が1.2%減収としている。

 コスト面では前期実施の減損処理で減価償却費が減少し、販促活動見直しで営業費も減少するが、売上減少・売上構成変化に加えて、米国で実施中の腰椎椎間板ヘルニア治療剤SI−6603追加臨床試験の被験者組み入れ促進策に係る費用の増加、営業外収益での受取ロイヤリティーの減少などで大幅営業・経常減益予想としている。研究開発費は7.6%増の74億円の計画である。純利益は前期計上した固定資産減損損失が一巡して黒字予想である。

 当面は新型コロナウイルスの影響が意識されるが、後半の回復を期待したい。

■株価は下値切り上げ

 株価は反発力が鈍く安値圏でモミ合う形だが徐々に下値を切り上げている。調整一巡して出直りを期待したい。12月15日の終値は1048円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS20円38銭で算出)は約51倍、今期予想配当利回り(会社予想の20円で算出)は約1.9%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS1059円40銭で算出)は約1.0倍、時価総額は約595億円である。(情報提供:日 本インタビュ新聞社=Media−IR)
[11月26日更新]

生化学工業は調整一巡、21年3月期は新型コロナ影響だが下期回復期待

 生化学工業<4548>(東1)は関節機能改善剤アルツが主力の医薬品メーカーである。21年3月期第2四半期累計は国内薬価引き下げ、新型コロナウイルスによる外来受診減少、研究開発費増加で大幅営業・経常減益だった。通期も大幅営業・経常減益予想だが、下期の回復を期待したい。株価は安値圏でモミ合う形だが、調整一巡して出直りを期待したい。

■関節機能改善剤アルツなど糖質科学分野が主力の医薬品メーカー

 糖質科学分野が主力の医薬品メーカーで、国内医薬品(関節機能改善剤アルツ、白内障手術補助剤オペガン、内視鏡用粘膜下注入材ムコアップ)、海外医薬品(米国向け単回投与関節機能改善剤Gel−One、米国向け3回投与関節機能改善剤VISCO−3、米国向け5回投与関節機能改善剤SUPARTZ−FX、中国向けアルツ)、医薬品原体(ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸)、LAL事業(エンドトキシン測定用試薬関連)を展開している。

 20年3月期の事業別売上構成比は、医薬品事業が77%(国内医薬品48%、海外医薬品26%、医薬品原体が4%)で、LAL事業が23%だった。

 20年3月には海外製造拠点としてカナダのダルトン社を子会社化した。なおダルトン社を買収する際に中間持株会社として設立したSEC社、および買収目的会社として設立したSAC社が特定子会社に該当することになったため、ダルトン社とSAC社が現地法に基づく新設合併を行い、新設された新ダルトン社が旧ダルトン社から商号および事業を引き継いだ。

 20年8月には、ダルトン社がサスカチュワン大学の研究機関であるVIDO−InterVacと、VIDO−InterVacがカナダ政府およびサスカチュワン州から支援を受けて開発を進めているCOVID−19ワクチンの製造に関して、業務提携に合意した。ダルトン社は本提携により、COVID−19ワクチンの初期段階の臨床試験で投与される治験薬の調合、充填、製剤化を担う。VIDO−InterVacは20年10月から12月頃に臨床試験開始を目指している。

■新薬開発は糖質科学分野に焦点

 研究開発は糖質科学分野(糖鎖や複合糖質を研究する科学分野)に焦点を絞っている。開発パイプラインには、腰椎椎間板ヘルニア治療剤SI−6603、変形性膝関節症改善剤SI−613、腱・靱帯付着部症を適応症とするSI−613−ETP、ドライアイ治療剤SI−614、間質性膀胱炎を適応症とするSI−722、癒着防止材SI−449がある。

 SI−6603は日本では18年3月製造販売承認を取得し、科研製薬<4521>が18年8月販売開始(腰椎椎間板ヘルニア治療剤ヘルニコア)した。またスイスのフェリング社と日本を除く全世界におけるライセンス契約を締結している。マイルストーン型ロイヤリティーの総額は最大95百万米ドル(うち契約一時金5百万米ドル)である。米国では第3相臨床の追加試験が22年11月経過観察終了予定だが、新型コロナウイルスの影響で進捗が遅れているため、被験者増加や治験施設増加など各種施策を実行して組み入れを促進している。

 SI−613は、小野薬品工業<4528>と日本における共同開発・販売提携に関する契約を締結し、20年1月変形性関節症治療剤ONO−5704/SI−613の国内製造販売承認申請を行った。マイルストーン型ロイヤリティーの総額は最大120億円(うち契約一時金20億円)である。米国では第2相臨床試験結果の解析が終了し、第3相臨床試験の検討と並行して提携先の選定を進めている。SI−613−ETP(小野薬品工業とのSI−613の契約に含む)は後期第2相臨床試験の解析が終了し、次のアクションを検討中である。

 なおSI−613について、20年9月にエーザイ<4523>と韓国における販売提携に関する契約を締結した。エーザイの韓国子会社が韓国におけるSI−613の独占的販売権を取得し、製造販売申請を行う。承認取得後は製品をエーザイに供給する。契約一時金と販売マイルストーンを受け取る。エーザイとは20年4月に中国における共同開発および販売提携に関する契約を締結しており、2ヶ国目の提携となる。

 SI−614は米国で第2・3相試験が終了し、販売提携先を選定中である。SI−722は、19年11月米国における第1・2相臨床試験を開始、20年3月被験者投与を開始した。新型コロナウイルスの影響で計画遅れの状況だが、治験施設の稼働を再開している。SI−449は18年5月開始した日本でのパイロット試験で良好な結果が確認され、20年5月に国内ピボタル試験を開始した。新型コロナウイルスの影響で遅延が生じているが、リモート下での治験対応策を実施している。

■22年3月期経常利益45億円目標

 中期経営計画の目標には、22年3月期(想定為替レート1米ドル=105円)の売上高283億円、経常利益45億円、SKK EBITDA(営業利益に減価償却費、受取ロイヤリティーを加えた利益指標)50億円、海外売上高比率50.0%を掲げている。研究開発費は売上比25〜30%である。利益配分は配当性向50%を目指す。

 重点施策としては、新たな収益の柱となる新薬開発の加速、製品の市場拡大による収益基盤強化、生産性向上のための改革を推進する。

■21年3月期は新型コロナウイルス影響だが下期回復期待

 21年3月期の連結業績予想(期初時点では未定、9月24日公表)は、売上高が7.0%減の266億50百万円、営業利益が71.9%減の5億50百万円、経常利益が64.8%減の14億円、純利益が11億50百万円(20年3月期は108億39百万円の赤字)としている。配当予想は6円減配の20円(第2四半期末10円、期末10円)である。

 第2四半期累計は売上高が前年同期比13.0%減の135億33百万円、営業利益が66.6%減の7億18百万円、経常利益が55.6%減の10億98百万円だった。純利益は前期計上の固定資産減損損失が一巡して9億76百万円の黒字(前年同期は107億66百万円の赤字)だった。

 LAL事業は0.6%減収にとどまり比較的堅調だったが、国内医薬品の薬価引き下げ、新型コロナウイルスに伴う外来受診減少や医療措置延期などで、医薬品事業が16.4%減収(国内医薬品が13.5%減収、海外医薬品が32.3%減収、医薬品原体・医薬品受託製造が77.1%増収)となり、売上構成変化や研究開発費増加も影響して大幅営業・経常減益だった。

 通期も医薬品原体・医薬品受託製造が大幅増収だが、新型コロナウイルスによる外来受診抑制や医療処置実施時期延期などで国内外での販売が減少し、国内の薬価引き下げも影響して、全体として減収予想としている。

 売上高の計画は医薬品事業が8.6%減収(国内医薬品が11.5%減収、海外医薬品が15.6%減収、医薬品原体・医薬品受託製造が81.4%増収)で、LAL事業が1.2%減収としている。

 コスト面では前期実施の減損処理で減価償却費が減少し、販促活動見直しで営業費も減少するが、売上の減少に加えて、米国で実施中の腰椎椎間板ヘルニア治療剤SI−6603追加臨床試験の被験者組み入れ促進策に係る費用の増加、営業外収益での受取ロイヤリティーの減少などで大幅営業・経常減益予想としている。研究開発費は7.6%増の74億円の計画である。純利益は前期計上した固定資産減損損失が一巡して黒字予想である。

 当面は新型コロナウイルスの影響が意識されるが、下期の回復を期待したい。

■株価は調整一巡

 株価は安値圏でモミ合う形だが、営業・経常減益予想の織り込み完了しているだろう。調整一巡して出直りを期待したい。11月25日の終値は1004円で、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS20円38銭で算出)は約49倍、今期予想配当利回り(会社予想の20円で算出)は約2.0%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS1059円40銭で算出)は約0.9倍、時価総額は約570億円である。(情報提供:日 本インタビュ新聞社=Media−IR)
[11月13日更新]

生化学工業は21年3月期2Q累計大幅営業・経常減益、後半回復期待

 生化学工業 <4548> (東1)は11月11日の取引時間終了後に21年3月期第2四半期累計の連結業績を発表した。国内薬価引き下げ、新型コロナウイルスによる外来受診減少、研究開発費の増加で大幅営業・経常減益だった。通期も大幅営業・経常減益予想としている。後半の緩やかな回復を期待したい。株価は安値圏だ。業績悪化予想を織り込み済みと考えられる。目先的にはネガティブ反応となる可能性もあるが、下値限定的だろう。

■21年3月期2Q累計は大幅営業・経常減益、通期予想据え置き

 21年3月期第2四半期累計連結業績は、売上高が前年同期比13.0%減の135億33百万円、営業利益が66.6%減の7億18百万円、経常利益が55.6%減の10億98百万円、純利益は前期計上の固定資産減損損失が一巡して9億76百万円の黒字(前年同期は107億66百万円の赤字)だった。

 LAL事業は0.6%減収にとどまり比較的堅調だったが、国内医薬品の薬価引き下げ、新型コロナウイルスに伴う外来受診減少や医療措置延期などで、大幅減収(国内医薬品が13.5%減収、海外医薬品が32.3%減収)となり、コスト面で研究開発費の増加も影響して大幅営業・経常減益だった。

 通期の連結業績予想(期初時点では未定、9月24日公表)は据え置いて、売上高が20年3月期比7.0%減の266億50百万円、営業利益が71.9%減の5億50百万円、経常利益が64.8%減の14億円、純利益が11億50百万円の黒字(20年3月期は108億39百万円の赤字)としている。当面は新型コロナウイルスの影響が意識されるが、後半の緩やかな回復を期待したい。

■株価は下値限定的

 株価は上値を切り下げて安値圏だ。業績悪化予想を織り込み済みと考えられる。目先的にはネガティブ反応となる可能性もあるが、下値限定的だろう。11月11日の終値は1074円、時価総額は約610億円である。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media−IR)
[10月08日更新]

生化学工業は21年3月期営業・経常減益予想の織り込み完了

 生化学工業<4548>(東1)は関節機能改善剤アルツが主力の医薬品メーカーである。21年3月期は新型コロナウイルスの影響などで減収、営業・経常減益予想(9月24日公表)としているが、後半の回復を期待したい。株価は戻り高値圏から反落したが、営業・経常減益予想の織り込み完了して出直りを期待したい。なお11月11日に第2四半期決算発表を予定している。

■関節機能改善剤アルツなど糖質科学分野が主力の医薬品メーカー

 糖質科学分野が主力の医薬品メーカーで、国内医薬品(関節機能改善剤アルツ、白内障手術補助剤オペガン、内視鏡用粘膜下注入材ムコアップ)、海外医薬品(米国向け単回投与関節機能改善剤Gel−One、米国向け3回投与関節機能改善剤VISCO−3、米国向け5回投与関節機能改善剤SUPARTZ−FX、中国向けアルツ)、医薬品原体(ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸)、LAL事業(エンドトキシン測定用試薬関連)を展開している。

 20年3月期の事業別売上構成比は、医薬品事業が77%(国内医薬品48%、海外医薬品26%、医薬品原体が4%)で、LAL事業が23%だった。

 20年3月には海外製造拠点としてカナダのダルトン社を子会社化した。なおダルトン社を買収する際に中間持株会社として設立したSEC社、および買収目的会社として設立したSAC社が特定子会社に該当することになったため、ダルトン社とSAC社が現地法に基づく新設合併を行い、新設された新ダルトン社が旧ダルトン社から商号および事業を引き継いだ。

 20年8月には、ダルトン社がサスカチュワン大学の研究機関であるVIDO−InterVacと、VIDO−InterVacがカナダ政府およびサスカチュワン州から支援を受けて開発を進めているCOVID−19ワクチンの製造に関して、業務提携に合意した。ダルトン社は本提携により、COVID−19ワクチンの初期段階の臨床試験で投与される治験薬の調合、充填、製剤化を担う。VIDO−InterVacは20年10月から12月頃に臨床試験開始を目指している。

■新薬開発は糖質科学分野に焦点

 研究開発は糖質科学分野(糖鎖や複合糖質を研究する科学分野)に焦点を絞っている。開発パイプラインには、腰椎椎間板ヘルニア治療剤SI−6603、変形性膝関節症改善剤SI−613、腱・靱帯付着部症を適応症とするSI−613−ETP、ドライアイ治療剤SI−614、間質性膀胱炎を適応症とするSI−722、癒着防止材SI−449がある。

 SI−6603は日本では18年3月製造販売承認を取得し、科研製薬<4521>が18年8月販売開始(腰椎椎間板ヘルニア治療剤ヘルニコア)した。またスイスのフェリング社と日本を除く全世界におけるライセンス契約を締結している。マイルストーン型ロイヤリティーの総額は最大95百万米ドル(うち契約一時金5百万米ドル)である。米国では第3相臨床の追加試験が22年11月経過観察終了予定だが、新型コロナウイルスの影響で進捗が遅れているため、被験者増加や治験施設増加など各種施策を実行して組み入れを促進する。

 SI−613は、小野薬品工業<4528>と日本における共同開発・販売提携に関する契約を締結し、20年1月変形性関節症治療剤ONO−5704/SI−613の国内製造販売承認申請を行った。マイルストーン型ロイヤリティーの総額は最大120億円(うち契約一時金20億円)である。米国では第2相臨床試験結果の解析が終了し、第3相臨床試験の検討と並行して提携先の選定を進めている。SI−613−ETP(小野薬品工業とのSI−613の契約に含む)は後期第2相臨床試験の解析が終了し、次のアクションを検討中である。

 なおSI−613について、20年9月にエーザイ<4523>と韓国における販売提携に関する契約を締結した。エーザイの韓国子会社が韓国におけるSI−613の独占的販売権を取得し、製造販売申請を行う。承認取得後は製品をエーザイに供給する。契約一時金と販売マイルストーンを受け取る。エーザイとは20年4月に中国における共同開発および販売提携に関する契約を締結しており、2ヶ国目の提携となる。

 SI−614は米国で第2・3相試験が終了し、販売提携先を選定中である。SI−722は19年11月、米国における第1・2相臨床試験は新型コロナウイルスの影響で約4ヶ月の遅れを見込んでいる。治験施設の稼働は回復傾向である。SI−449は18年5月開始した日本でのパイロット試験で良好な結果が確認され、20年5月に国内ピボタル試験を開始した。

■22年3月期経常利益45億円目標

 中期経営計画の目標には、22年3月期(想定為替レート1米ドル=105円)の売上高283億円、経常利益45億円、SKK EBITDA(営業利益に減価償却費、受取ロイヤリティーを加えた利益指標)50億円、海外売上高比率50.0%を掲げている。研究開発費は売上比25〜30%である。利益配分は配当性向50%を目指す。

 重点施策としては、新たな収益の柱となる新薬開発の加速、製品の市場拡大による収益基盤強化、生産性向上のための改革を推進する。

■21年3月期は新型コロナウイルス影響で減収、営業・経常減益予想

 21年3月期の連結業績予想(期初時点では未定、9月24日公表)は、売上高が7.0%減の266億50百万円、営業利益が71.9%減の5億50百万円、経常利益が64.8%減の14億円、純利益が11億50百万円(20年3月期は108億39百万円の赤字)としている。配当予想は6円減配の20円(第2四半期末10円、期末10円)とした。

 新型コロナウイルスの影響により、外来受診の抑制や緊急を要さない医療処置の実施時期延期などで国内外での販売が減少し、国内医薬品の薬価引き下げも影響して減収予想とした。さらに、米国で実施中の腰椎椎間板ヘルニア治療剤SI−6603追加臨床試験の被験者組み入れ促進策に係る費用の増加、受取ロイヤリティーの減少などで営業・経常減益予想とした。研究開発費は7.6%増の74億円の計画である。純利益は前期計上した固定資産減損損失が一巡して黒字予想である。

 第1四半期は、売上高が前年同期比8.8%減の69億72百万円で、営業利益が68.3%減の3億05百万円、経常利益が51.2%減の6億10百万円、純利益が46.0%減の5億29百万円だった。医薬品事業は13.6%減収(国内がヘルニコアの寄与で0.1%増収、海外が41.8%減収、医薬品原体が1.7%増収)だった。LAL事業は新型コロナウイルスの影響が限定的で7.7%増収だった。

 当面は新型コロナウイルスの影響が意識されるが、後半の回復を期待したい。

■株価は21年3月期営業・経常減益予想の織り込み完了

 株価は戻り高値圏から反落したが、営業・経常減益予想の織り込み完了して出直りを期待したい。10月7日の終値は1061円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS20円38銭で算出)は約52倍、今期予想配当利回り(会社予想の20円で算出)は約1.9%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS1059円40銭で算出)は約1.0倍、時価総額は約603億円である。(情報提供:日 本インタビュ新聞社=Media−IR)
[09月02日更新]

生化学工業は下値切り上げ、カナダの子会社がCOVID−19ワクチン製造に関して業務提携

 生化学工業<4548>(東1)は関節機能改善剤アルツが主力の医薬品メーカーである。21年3月期の業績予想は新型コロナウイルスの影響が不透明なため未定としているが、8月27日にはカナダの子会社がCOVID−19ワクチンの製造に関する業務提携に合意したと発表している。収益寄与への期待が高まる。これを好感して株価は急伸する場面があった。そして徐々に下値を切り上げている。戻りを試す展開を期待したい。

■関節機能改善剤アルツなど糖質科学分野が主力の医薬品メーカー

 糖質科学分野が主力の医薬品メーカーで、国内医薬品(関節機能改善剤アルツ、白内障手術補助剤オペガン、内視鏡用粘膜下注入材ムコアップ)、海外医薬品(米国向け単回投与関節機能改善剤Gel−One、米国向け3回投与関節機能改善剤VISCO−3、米国向け5回投与関節機能改善剤SUPARTZ−FX、中国向けアルツ)、医薬品原体(ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸)、LAL事業(エンドトキシン測定用試薬関連)を展開している。

 20年3月期の事業別売上構成比は、医薬品事業が77%(国内医薬品48%、海外医薬品26%、医薬品原体が4%)で、LAL事業が23%だった。

 20年3月には海外製造拠点としてカナダのダルトン社を子会社化した。なおダルトン社を買収する際に中間持株会社として設立したSEC社、および買収目的会社として設立したSAC社が特定子会社に該当することになったため、ダルトン社とSAC社が現地法に基づく新設合併を行い、新設された新ダルトン社が旧ダルトン社から商号および事業を引き継いだ。

 8月27日には、ダルトン社がサスカチュワン大学の研究機関であるVIDO−InterVacと、VIDO−InterVacがカナダ政府およびサスカチュワン州から支援を受けて開発を進めているCOVID−19ワクチンの製造に関して、業務提携に合意したと発表している。ダルトン社は本提携により、COVID−19ワクチンの初期段階の臨床試験で投与される治験薬の調合、充填、製剤化を担う。なおVIDO−InterVacは、20年10月から12月頃に臨床試験を開始することを目指している。

■新薬開発は糖質科学分野に焦点

 研究開発は糖質科学分野(糖鎖や複合糖質を研究する科学分野)に焦点を絞り、開発パイプラインには腰椎椎間板ヘルニア治療剤SI−6603、変形性膝関節症改善剤SI−613、腱・靱帯付着部症を適応症とするSI−613−ETP、ドライアイ治療剤SI−614、間質性膀胱炎を適応症とするSI−722、癒着防止材SI−449がある。

 SI−6603は日本では18年3月製造販売承認を取得し、科研製薬<4521>が18年8月販売開始(腰椎椎間板ヘルニア治療剤ヘルニコア)した。またスイスのフェリング社と日本を除く全世界におけるライセンス契約を締結している。マイルストーン型ロイヤリティーの総額は最大95百万米ドル(うち契約一時金5百万米ドル)である。米国では第3相臨床の追加試験が22年11月経過観察終了予定だが、新型コロナウイルスの影響で進捗が遅れているため、被験者増加や治験施設増加など各種施策を実行して組み入れを促進する。

 SI−613は、小野薬品工業<4528>と日本における共同開発・販売提携に関する契約を締結し、20年1月変形性関節症治療剤ONO−5704/SI−613の国内製造販売承認申請を行った。マイルストーン型ロイヤリティーの総額は最大120億円(うち契約一時金20億円)である。米国では第2相臨床試験結果の解析が終了し、第3相臨床試験の検討と並行して提携先の選定を進めている。中国では、20年4月エーザイ<4523>と共同開発および販売提携に関する契約を締結し、臨床開発計画の策定を進めている。SI−613−ETP(小野薬品工業とのSI−613の契約に含む)は後期第2相臨床試験の解析が終了し、次のアクションを検討中である。

 SI−614は米国で第2・3相試験が終了し、販売提携先を選定中である。SI−722は19年11月、米国における第1・2相臨床試験は新型コロナウイルスの影響で約4ヶ月の遅れを見込んでいる。治験施設の稼働は回復傾向である。SI−449は18年5月開始した日本でのパイロット試験で良好な結果が確認され、20年5月に国内ピボタル試験を開始した。

■22年3月期経常利益45億円目標

 中期経営計画の目標には、22年3月期売上高283億円、経常利益45億円、SKK EBITDA(営業利益に減価償却費、受取ロイヤリティーを加えた利益指標)50億円、海外売上高比率50.0%を掲げている。想定為替レートは1米ドル=105円、研究開発費は売上比25〜30%である。利益配分は配当性向50%を目指す。

 重点施策としては、新たな収益の柱となる新薬開発の加速、製品の市場拡大による収益基盤強化、生産性向上のための改革を推進する。

■21年3月期は新型コロナウイルス影響で未定

 21年3月期連結業績・配当予想は新型コロナウイルスの影響が不透明なため未定としている。外来受診の抑制や緊急を要さない医療処置の実施時期延期などで、医療機関への納入本数の減少が見込まれるとしている。

 第1四半期は、売上高が前年同期比8.8%減の69億72百万円で、営業利益が68.3%減の3億05百万円、経常利益が51.2%減の6億10百万円、純利益が46.0%減の5億29百万円だった。

 新型コロナウイルスの影響で外来受診や手術件数が減少し、国内医薬品の薬価引き下げ、研究開発費の増加も影響した。医薬品事業は13.6%減収(国内がヘルニコアの寄与で0.1%増収、海外が41.8%減収、医薬品原体が1.7%増収)だった。LAL事業は新型コロナウイルスの影響が限定的で7.7%増収だった。営業外では投資有価証券売却益が減少したが、受取ロイヤリティーが増加し、為替差損が減少した。

 当面は新型コロナウイルスの影響が意識されるが、期後半からの緩やかな収益回復を期待したい。

■株価は下値切り上げ

 株価はCOVID−19ワクチンの製造に関する業務提携を好感して急伸する場面があった。そして徐々に下値を切り上げている。戻りを試す展開を期待したい。9月1日の終値は1084円、前期実績連結PBR(前期実績連結BPS1059円40銭で算出)は約1.0倍、時価総額は約616億円である。(情報提供:日 本インタビュ新聞社=Media−IR)
[08月17日更新]

生化学工業は調整一巡、21年3月期1Qは新型コロナ影響減益、通期予想未定

 生化学工業<4548>(東1)は関節機能改善剤アルツが主力の医薬品メーカーである。21年3月期第1四半期は新型コロナウイルスの影響や研究開発費の増加で減収減益だった。通期予想は未定としている。当面は新型コロナウイルスの影響が意識されるが、期後半からの緩やかな回復を期待したい。株価は反発力が鈍く上値を切り下げる形だが、業績悪化懸念の織り込みが完了して出直りを期待したい。

■関節機能改善剤アルツなど糖質科学分野が主力の医薬品メーカー

 糖質科学分野が主力の医薬品メーカーで、国内医薬品(関節機能改善剤アルツ、白内障手術補助剤オペガン、内視鏡用粘膜下注入材ムコアップ)、海外医薬品(米国向け単回投与関節機能改善剤Gel−One、米国向け3回投与関節機能改善剤VISCO−3、米国向け5回投与関節機能改善剤SUPARTZ−FX、中国向けアルツ)、医薬品原体(ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸)、LAL事業(エンドトキシン測定用試薬関連)を展開している。

 20年3月期の事業別売上構成比は、医薬品事業が77%(国内医薬品48%、海外医薬品26%、医薬品原体が4%)で、LAL事業が23%だった。

 20年3月には海外製造拠点としてカナダのダルトン社を子会社化した。なおダルトン社を買収する際に中間持株会社として設立したSEC社、および買収目的会社として設立したSAC社が特定子会社に該当することになったため、ダルトン社とSAC社が現地法に基づく新設合併を行い、新設された新ダルトン社が旧ダルトン社から商号および事業を引き継いだ。

■新薬開発は糖質科学分野に焦点

 研究開発は糖質科学分野(糖鎖や複合糖質を研究する科学分野)に焦点を絞り、開発パイプラインには腰椎椎間板ヘルニア治療剤SI−6603、変形性膝関節症改善剤SI−613、腱・靱帯付着部症を適応症とするSI−613−ETP、ドライアイ治療剤SI−614、間質性膀胱炎を適応症とするSI−722、癒着防止材SI−449がある。

 SI−6603は日本では18年3月製造販売承認を取得し、科研製薬<4521>が18年8月販売開始(腰椎椎間板ヘルニア治療剤ヘルニコア)した。またスイスのフェリング社と日本を除く全世界におけるライセンス契約を締結している。マイルストーン型ロイヤリティーの総額は最大95百万米ドル(うち契約一時金5百万米ドル)である。米国では第3相臨床の追加試験が22年11月経過観察終了予定だが、新型コロナウイルスの影響で進捗が遅れているため、被験者増加や治験施設増加など各種施策を実行して組み入れを促進する。

 SI−613は、小野薬品工業<4528>と日本における共同開発・販売提携に関する契約を締結し、20年1月変形性関節症治療剤ONO−5704/SI−613の国内製造販売承認申請を行った。マイルストーン型ロイヤリティーの総額は最大120億円(うち契約一時金20億円)である。米国では第2相臨床試験結果の解析が終了し、第3相臨床試験の検討と並行して提携先の選定を進めている。中国では、20年4月エーザイ<4523>と共同開発および販売提携に関する契約を締結し、臨床開発計画の策定を進めている。SI−613−ETP(小野薬品工業とのSI−613の契約に含む)は後期第2相臨床試験の解析が終了し、次のアクションを検討中である。

 SI−614は米国で第2・3相試験が終了し、販売提携先を選定中である。SI−722は19年11月、米国における第1・2相臨床試験は新型コロナウイルスの影響で約4ヶ月の遅れを見込んでいる。治験施設の稼働は回復傾向である。SI−449は18年5月開始した日本でのパイロット試験で良好な結果が確認され、20年5月に国内ピボタル試験を開始した。

■22年3月期経常利益45億円目標

 中期経営計画の目標には、22年3月期売上高283億円、経常利益45億円、SKK EBITDA(営業利益に減価償却費、受取ロイヤリティーを加えた利益指標)50億円、海外売上高比率50.0%を掲げている。想定為替レートは1米ドル=105円、研究開発費は売上比25〜30%である。利益配分は配当性向50%を目指す。

 重点施策としては、新たな収益の柱となる新薬開発の加速、製品の市場拡大による収益基盤強化、生産性向上のための改革を推進する。

■21年3月期1Q減益、通期予想は新型コロナウイルス影響で未定

 21年3月期連結業績・配当予想は新型コロナウイルスの影響を考慮して未定としている。外来受診の抑制や緊急を要さない医療処置の実施時期延期などで、医療機関への納入本数の減少が見込まれるとしている。

 第1四半期は、売上高が前年同期比8.8%減の69億72百万円で、営業利益が68.3%減の3億05百万円、経常利益が51.2%減の6億10百万円、純利益が46.0%減の5億29百万円だった。

 新型コロナウイルスの影響で外来受診や手術件数が減少し、国内医薬品の薬価引き下げ、研究開発費の増加も影響した。医薬品事業は13.6%減収(国内がヘルニコアの寄与で0.1%増収、海外が41.8%減収、医薬品原体が1.7%増収)だった。LAL事業は新型コロナウイルスの影響が限定的で7.7%増収だった。営業外では投資有価証券売却益が減少したが、受取ロイヤリティーが増加し、為替差損が減少した。

 当面は新型コロナウイルスの影響が意識されるが、期後半からの緩やかな回復を期待したい。

■株価は調整一巡

 株価は反発力が鈍く上値を切り下げる形だが、業績悪化懸念の織り込みが完了して出直りを期待したい。8月14日の終値は1054円、前期実績連結PBR(前期実績連結BPS1059円40銭で算出)は約1.0倍、時価総額は約599億円である。(情報提供:日 本インタビュ新聞社=Media−IR)
[07月06日更新]

生化学工業は調整一巡

 生化学工業<4548>(東1)は関節機能改善剤アルツが主力の医薬品メーカーである。21年3月期連結業績・配当予想は未定としている。当面は新型コロナウイルスの影響が意識されるが、中期的に収益拡大を期待したい。株価は戻り一服の形となったが、調整一巡して出直りを期待したい。なお7月31日に第1四半期決算発表を予定している。

■関節機能改善剤アルツなど糖質科学分野が主力の医薬品メーカー

 糖質科学分野が主力の医薬品メーカーで、国内医薬品(関節機能改善剤アルツ、白内障手術補助剤オペガン、内視鏡用粘膜下注入材ムコアップ)、海外医薬品(米国向け単回投与関節機能改善剤Gel−One、米国向け3回投与関節機能改善剤VISCO−3、米国向け5回投与関節機能改善剤SUPARTZ−FX、中国向けアルツ)、医薬品原体(ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸)、LAL事業(エンドトキシン測定用試薬関連)を展開している。

 20年3月期の事業別売上構成比は、医薬品事業が77%(国内医薬品48%、海外医薬品26%、医薬品原体が4%)で、LAL事業が23%だった。

 20年3月には海外製造拠点としてカナダのダルトン社を子会社化した。なおダルトン社を買収する際に中間持株会社として設立したSEC社、および買収目的会社として設立したSAC社が特定子会社に該当することになったため、ダルトン社とSAC社が現地法に基づく新設合併を行い、新設された新ダルトン社が旧ダルトン社から商号および事業を引き継いだ。

■新薬開発は糖質科学分野に焦点

 研究開発は糖質科学分野(糖鎖や複合糖質を研究する科学分野)に焦点を絞り、開発パイプラインには腰椎椎間板ヘルニア治療剤SI−6603、変形性膝関節症改善剤SI−613、腱・靱帯付着部症を適応症とするSI−613−ETP、ドライアイ治療剤SI−614、間質性膀胱炎を適応症とするSI−722、癒着防止材SI−449がある。

 SI−6603は日本では18年3月製造販売承認を取得し、科研製薬<4521>が18年8月販売開始(腰椎椎間板ヘルニア治療剤ヘルニコア)した。またスイスのフェリング社と日本を除く全世界におけるライセンス契約を締結している。マイルストーン型ロイヤリティーの総額は最大95百万米ドル(うち契約一時金5百万米ドル)である。米国では第3相臨床の追加試験が22年11月経過観察終了予定だが、新型コロナウイルスの影響で進捗が遅れているため、試験計画を再検討する。

 SI−613は、小野薬品工業<4528>と日本における共同開発・販売提携に関する契約を締結し、20年1月変形性関節症治療剤ONO−5704/SI−613の国内製造販売承認申請を行った。マイルストーン型ロイヤリティーの総額は最大120億円(うち契約一時金20億円)である。米国では第2相臨床試験結果の解析が終了し、第3相臨床試験の検討と並行して提携先の選定を進めている。SI−613−ETP(小野薬品工業とのSI−613の契約に含む)は後期第2相臨床試験の解析が終了し、次のアクションを検討中である。

 20年4月には変形性膝関節症改善剤SI−613について、エーザイ<4523>と中国における共同開発および販売提携に関する契約を締結した。

 SI−614は米国で第2・3相試験が終了し、販売提携先を選定中である。SI−722は19年11月、米国における第1・2相臨床試験を開始したが、新型コロナウイルスの影響で進捗が遅れているため、試験計画を再検討する。SI−449は18年5月開始した日本でのパイロット試験で良好な結果が確認され、20年5月には国内におけるピボタル試験を開始すると発表した。

■22年3月期経常利益45億円目標

 中期経営計画の目標には、22年3月期売上高283億円、経常利益45億円、SKK EBITDA(営業利益に減価償却費、受取ロイヤリティーを加えた利益指標)50億円、海外売上高比率50.0%を掲げている。想定為替レートは1米ドル=105円、研究開発費は売上比25〜30%である。利益配分は配当性向50%を目指す。

 重点施策としては、新たな収益の柱となる新薬開発の加速、製品の市場拡大による収益基盤強化、生産性向上のための改革を推進する。

■21年3月期連結業績予想は新型コロナウイルス影響で未定

 21年3月期連結業績・配当予想は新型コロナウイルスの影響を考慮して未定としている。外来受診の抑制や緊急を要さない医療処置の実施時期延期などで、医療機関への納入本数の減少が見込まれるとしている。当面は新型コロナウイルスの影響が意識されるが、中期的に収益拡大を期待したい。

■株価は調整一巡

 株価は戻り一服の形となったが、調整一巡して出直りを期待したい。7月3日の終値は1112円、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS1059円40銭で算出)は約1.0倍、時価総額は約632億円である。(情報提供:日 本インタビュ新聞社=Media−IR)
[06月09日更新]

生化学工業は戻り試す

 生化学工業<4548>(東1)は関節機能改善剤アルツが主力の医薬品メーカーである。21年3月期連結業績・配当予想は未定としている。当面は新型コロナウイルスの影響が意識されるが、中期的に収益拡大を期待したい。株価は小動きだが着実に下値を切り上げている。戻りを試す展開を期待したい。

■関節機能改善剤アルツなど糖質科学分野が主力の医薬品メーカー

 糖質科学分野が主力の医薬品メーカーで、国内医薬品(関節機能改善剤アルツ、白内障手術補助剤オペガン、内視鏡用粘膜下注入材ムコアップ)、海外医薬品(米国向け単回投与関節機能改善剤Gel−One、米国向け3回投与関節機能改善剤VISCO−3、米国向け5回投与関節機能改善剤SUPARTZ−FX、中国向けアルツ)、医薬品原体(ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸)、LAL事業(エンドトキシン測定用試薬関連)を展開している。

 20年3月期の事業別売上構成比は、医薬品事業が77%(国内医薬品48%、海外医薬品26%、医薬品原体が4%)で、LAL事業が23%だった。

 なお20年3月には海外製造拠点としてカナダのダルトン社を子会社化した。

■新薬開発は糖質科学分野に焦点

 研究開発は糖質科学分野(糖鎖や複合糖質を研究する科学分野)に焦点を絞り、開発パイプラインには腰椎椎間板ヘルニア治療剤SI−6603、変形性膝関節症改善剤SI−613、腱・靱帯付着部症を適応症とするSI−613−ETP、ドライアイ治療剤SI−614、間質性膀胱炎を適応症とするSI−722、癒着防止材SI−449がある。

 SI−6603は日本では18年3月製造販売承認を取得し、科研製薬<4521>が18年8月販売開始(腰椎椎間板ヘルニア治療剤ヘルニコア)した。またスイスのフェリング社と日本を除く全世界におけるライセンス契約を締結している。マイルストーン型ロイヤリティーの総額は最大95百万米ドル(うち契約一時金5百万米ドル)である。米国では第3相臨床の追加試験が22年11月経過観察終了予定だが、新型コロナウイルスの影響で進捗が遅れているため、試験計画を再検討する。

 SI−613は、小野薬品工業<4528>と日本における共同開発・販売提携に関する契約を締結し、20年1月変形性関節症治療剤ONO−5704/SI−613の国内製造販売承認申請を行った。マイルストーン型ロイヤリティーの総額は最大120億円(うち契約一時金20億円)である。米国では第2相臨床試験結果の解析が終了し、第3相臨床試験の検討と並行して提携先の選定を進めている。SI−613−ETP(小野薬品工業とのSI−613の契約に含む)は後期第2相臨床試験の解析が終了し、次のアクションを検討中である。

 20年4月には変形性膝関節症改善剤SI−613について、エーザイ<4523>と中国における共同開発および販売提携に関する契約を締結した。

 SI−614は米国で第2・3相試験が終了し、販売提携先を選定中である。SI−722は19年11月、米国における第1・2相臨床試験を開始したが、新型コロナウイルスの影響で進捗が遅れているため、試験計画を再検討する。SI−449は18年5月開始した日本でのパイロット試験で良好な結果が確認され、20年5月には国内におけるピボタル試験を開始すると発表した。

■22年3月期経常利益45億円目標

 中期経営計画の目標には、22年3月期売上高283億円、経常利益45億円、SKK EBITDA(営業利益に減価償却費、受取ロイヤリティーを加えた利益指標)50億円、海外売上高比率50.0%を掲げている。想定為替レートは1米ドル=105円、研究開発費は売上比25〜30%である。利益配分は配当性向50%を目指す。

 重点施策としては、新たな収益の柱となる新薬開発の加速、製品の市場拡大による収益基盤強化、生産性向上のための改革を推進する。

■21年3月期連結業績予想は新型コロナウイルス影響で未定

 21年3月期連結業績・配当予想は新型コロナウイルスの影響を考慮して未定としている。外来受診の抑制や緊急を要さない医療処置の実施時期延期などで、医療機関への納入本数の減少が見込まれるとしている。当面は新型コロナウイルスの影響が意識されるが、中期的に収益拡大を期待したい。

■株価は戻り試す

 株価は小動きだが着実に下値を切り上げている。戻りを試す展開を期待したい。6月8日の終値は1147円、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS1059円40銭で算出)は約1.1倍、時価総額は約652億円である。(情報提供:日 本インタビュ新聞社=Media−IR)
[05月22日更新]

生化学工業は下値切り上げ

 生化学工業<4548>(東1)は関節機能改善剤アルツが主力の医薬品メーカーである。21年3月期連結業績・配当予想は未定とした。当面は新型コロナウイルスの影響が懸念材料して意識されるが、中期的に収益拡大を期待したい。株価は反発力の鈍い展開だが徐々に下値を切り上げている。調整一巡して出直りを期待したい。

■関節機能改善剤アルツなど糖質科学分野が主力の医薬品メーカー

 糖質科学分野が主力の医薬品メーカーで、国内医薬品(関節機能改善剤アルツ、白内障手術補助剤オペガン、内視鏡用粘膜下注入材ムコアップ)、海外医薬品(米国向け単回投与関節機能改善剤Gel−One、米国向け3回投与関節機能改善剤VISCO−3、米国向け5回投与関節機能改善剤SUPARTZ−FX、中国向けアルツ)、医薬品原体(ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸)、LAL事業(エンドトキシン測定用試薬関連)を展開している。

 20年3月期の事業別売上構成比は、医薬品事業が77%(国内医薬品48%、海外医薬品26%、医薬品原体が4%)で、LAL事業が23%だった。

 なお20年3月には海外製造拠点としてカナダのダルトン社を子会社化した。

■新薬開発は糖質科学分野に焦点

 研究開発は糖質科学分野(糖鎖や複合糖質を研究する科学分野)に焦点を絞り、開発パイプラインには腰椎椎間板ヘルニア治療剤SI−6603、変形性膝関節症改善剤SI−613、腱・靱帯付着部症を適応症とするSI−613−ETP、ドライアイ治療剤SI−614、間質性膀胱炎を適応症とするSI−722、癒着防止材SI−449がある。

 SI−6603は日本では18年3月製造販売承認を取得し、科研製薬<4521>が18年8月販売開始(腰椎椎間板ヘルニア治療剤ヘルニコア)した。またスイスのフェリング社と日本を除く全世界におけるライセンス契約を締結している。マイルストーン型ロイヤリティーの総額は最大95百万米ドル(うち契約一時金5百万米ドル)である。米国では第3相臨床の追加試験が22年11月経過観察終了予定だが、新型コロナウイルスの影響で進捗が遅れているため、試験計画を再検討する。

 SI−613は、小野薬品工業<4528>と日本における共同開発・販売提携に関する契約を締結し、20年1月変形性関節症治療剤ONO−5704/SI−613の国内製造販売承認申請を行った。マイルストーン型ロイヤリティーの総額は最大120億円(うち契約一時金20億円)である。米国では第2相臨床試験結果の解析が終了し、第3相臨床試験の検討と並行して提携先の選定を進めている。SI−613−ETP(小野薬品工業とのSI−613の契約に含む)は後期第2相臨床試験の解析が終了し、次のアクションを検討中である。

 なお20年4月には変形性膝関節症改善剤SI−613について、エーザイ<4523>と中国における共同開発および販売提携に関する契約を締結した。

 SI−614は米国で第2・3相試験が終了し、販売提携先を選定中である。SI−722は19年11月、米国における第1・2相臨床試験を開始したが、新型コロナウイルスの影響で進捗が遅れているため、試験計画を再検討する。SI−449は18年5月開始した日本でのパイロット試験の被験者組入が19年4月完了し、経過観察中である。

■22年3月期経常利益45億円目標

 新中期経営計画の目標には、22年3月期売上高283億円、経常利益45億円、SKK EBITDA(営業利益に減価償却費、受取ロイヤリティーを加えた利益指標)50億円、海外売上高比率50.0%を掲げている。想定為替レートは1米ドル=105円、研究開発費は売上比25〜30%である。利益配分は配当性向50%を目指す。

 重点施策としては、新たな収益の柱となる新薬開発の加速、製品の市場拡大による収益基盤強化、生産性向上のための改革を推進する。

■21年3月期連結業績予想は新型コロナウイルス影響で未定

 20年3月期連結業績は、売上高が19年3月期比0.9%増の286億42百万円、営業利益が2.0倍の19億60百万円、経常利益が39.2%増の39億81百万円だった。純利益は特別損失に固定資産減損損失を計上したため108億39百万円の赤字(19年3月期は22億44百万円の黒字)だった。配当は19年3月期と同額の26円(第2四半期末13円、期末13円)とした。

 売上面は国内医薬品がアルツの薬価引き下げなども影響して3.4%減収だが、海外医薬品が米国の販売提携先による競合品からの切り替えなどの効果で14.7%増収と好調だった。利益面は固定資産減損に伴う減価償却費の減少、SI−613国内臨床試験完了による研究開発費の減少で大幅営業増益だった。営業外損益では受取ロイヤリティーが増加した。

 21年3月期連結業績・配当予想は新型コロナウイルスの影響を考慮して未定とした。外来受診の抑制や緊急を要さない医療処置の実施時期延期などで、医療機関への納入本数の減少が見込まれるとしている。当面は新型コロナウイルスの影響が懸念材料して意識されるが、中期的に収益拡大を期待したい。

■株価は下値切り上げ

 株価は反発力の鈍い展開だが徐々に下値を切り上げている。調整一巡して出直りを期待したい。5月21日の終値は1091円、前期実績連結PBR(前期実績連結BPS1059円40銭で算出)は約1.0倍、時価総額は約620億円である。(情報提供:日 本インタビュ新聞社=Media−IR)
[04月03日更新]

生化学工業は反発の動き、21年3月期も収益拡大期待

 生化学工業<4548>(東1)は関節機能改善剤アルツが主力の医薬品メーカーである。20年3月期大幅営業・経常増益(純利益は特別損失計上に伴い赤字)予想である。21年3月期も収益拡大を期待したい。4月1日には変形性膝関節症改善剤SI−613について、エーザイと中国における共同開発および販売提携に関する契約を締結したと発表している。株価は地合い悪化で急落する場面があったが、売り一巡して反発の動きを強めている。出直りを期待したい。なお5月12日に20年3月期決算発表を予定している。

■関節機能改善剤アルツなど糖質科学分野が主力の医薬品メーカー

 糖質科学分野が主力の医薬品メーカーで、国内医薬品(関節機能改善剤アルツ、白内障手術補助剤オペガン、内視鏡用粘膜下注入材ムコアップ)、海外医薬品(米国向け単回投与関節機能改善剤Gel−One、米国向け3回投与関節機能改善剤VISCO−3、米国向け5回投与関節機能改善剤SUPARTZ−FX、中国向けアルツ)、医薬品原体(ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸)、LAL事業(エンドトキシン測定用試薬関連)を展開している。

 19年3月期の事業別売上構成比は、医薬品事業が77%(国内医薬品50%、海外医薬品23%、医薬品原体が4%)で、LAL事業が23%だった。

 なお20年3月には海外製造拠点としてカナダのダルトン社を子会社化した。

■新薬開発は糖質科学分野に焦点

 研究開発は糖質科学分野(糖鎖や複合糖質を研究する科学分野)に焦点を絞り、開発パイプラインには腰椎椎間板ヘルニア治療剤SI−6603、変形性膝関節症改善剤SI−613、腱・靱帯付着部症を適応症とするSI−613−ETP、ドライアイ治療剤SI−614、間質性膀胱炎を適応症とするSI−722、癒着防止材SI−449がある。

 SI−6603は日本では18年3月製造販売承認を取得し、科研製薬<4521>が18年8月販売開始(腰椎椎間板ヘルニア治療剤ヘルニコア)した。またスイスのフェリング社と日本を除く全世界におけるライセンス契約を締結している。マイルストーン型ロイヤリティーの総額は最大95百万米ドル(うち契約一時金5百万米ドル)である。米国では18年2月第3相臨床の追加試験を開始し、22年11月経過観察終了を目指している。

 SI−613は、小野薬品工業<4528>と日本における共同開発・販売提携に関する契約を締結し、20年1月変形性関節症治療剤ONO−5704/SI−613の国内製造販売承認申請を行った。マイルストーン型ロイヤリティーの総額は最大120億円(うち契約一時金20億円)である。SI−613−ETP(小野薬品工業とのSI−613の契約に含む)は後期第2相臨床試験の解析が終了し、次のアクションを検討中である。米国では第2相臨床試験結果の解析が終了し、第3相臨床試験の検討と並行して提携先の選定を進めている。

 4月1日には変形性膝関節症改善剤SI−613について、エーザイ<4523>と中国における共同開発および販売提携に関する契約を締結したと発表している。

 SI−614は米国で第2・3相試験が終了し、販売提携先を選定中である。SI−722は19年11月、米国における第1・2相臨床試験を開始した。SI−449は18年5月、日本でパイロット試験を開始した。

■20年3月期大幅営業・経常増益予想、21年3月期も収益拡大期待

 20年3月期の連結業績予想(11月8日に売上高、営業利益、経常利益を上方修正、純利益を下方修正)は、売上高が19年3月期比0.8%増の286億円、営業利益が38.1%増の13億50百万円、経常利益が31.2%増の37億50百万円、純利益が110億円の赤字(19年3月期は22億44百万円の黒字)としている。配当予想は19年3月期と同額の26円(第2四半期末13円、期末13円)である。

 第3四半期累計は、売上高が前年同期比7.7%増の232億40百万円、営業利益が2.4倍の32億65百万円、経常利益が31.0%増の38億68百万円、純利益が97億81百万円の赤字(前年同期は22億53百万円の黒字)だった。

 国内医薬品が前年の販売提携先の在庫調整の影響一巡などで4.9%増収、海外医薬品が米国の販売提携先の拡販施策効果などで23.1%増収と好調だった。利益面は固定資産減損に伴う減価償却費の減少、SI−613国内臨床試験完了による研究開発費の減少で大幅営業増益だった。営業外損益では受取ロイヤリティーの計上がなく、投資有価証券売却益が減少した。純利益は特別損失に固定資産減損損失を計上したため赤字だった。

 なお第3四半期累計の営業利益は通期予想を大幅超過達成したが、第4四半期に研究開発費が集中する見込みのため、通期予想を据え置いている。21年3月期も収益拡大を期待したい。

■22年3月期経常利益45億円目標

 新中期経営計画の目標には、22年3月期売上高283億円、経常利益45億円、SKK EBITDA(営業利益に減価償却費、受取ロイヤリティーを加えた利益指標)50億円、海外売上高比率50.0%を掲げている。想定為替レートは1米ドル=105円、研究開発費は売上比25〜30%である。利益配分は配当性向50%を目指す。

 重点施策としては、新たな収益の柱となる新薬開発の加速、製品の市場拡大による収益基盤強化、生産性向上のための改革を推進する。

■株価は反発の動き

 株価は地合い悪化で急落する場面があったが、売り一巡して反発の動きを強めている。出直りを期待したい。4月2日の終値は1048円、前期推定配当利回り(会社予想の26円で算出)は約2.5%、前々期実績連結PBR(前々期実績連結BPS1294円88銭で算出)は約0.8倍、時価総額は約595億円である。(情報提供:日 本インタビュ新聞社=Media−IR)
[03月05日更新]

生化学工業は反発の動き、20年3月期大幅営業・経常増益予想

 生化学工業<4548>(東1)は関節機能改善剤アルツが主力の医薬品メーカーである。20年3月期大幅営業・経常増益(純利益は特別損失計上に伴い赤字)予想である。株価は地合い悪で昨年来安値を更新したが、売り一巡して反発の動きを強めている。出直りを期待したい。

■関節機能改善剤アルツなど糖質科学分野が主力の医薬品メーカー

 糖質科学分野が主力の医薬品メーカーで、国内医薬品(関節機能改善剤アルツ、白内障手術補助剤オペガン、内視鏡用粘膜下注入材ムコアップ)、海外医薬品(米国向け単回投与関節機能改善剤Gel−One、米国向け3回投与関節機能改善剤VISCO−3、米国向け5回投与関節機能改善剤SUPARTZ−FX、中国向けアルツ)、医薬品原体(ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸)、LAL事業(エンドトキシン測定用試薬関連)を展開している。

 19年3月期の事業別売上構成比は、医薬品事業が77%(国内医薬品50%、海外医薬品23%、医薬品原体が4%)で、LAL事業が23%だった。

■新薬開発は糖質科学分野に焦点

 研究開発は糖質科学分野(糖鎖や複合糖質を研究する科学分野)に焦点を絞り、開発パイプラインには腰椎椎間板ヘルニア治療剤SI−6603、変形性膝関節症改善剤SI−613、腱・靱帯付着部症を適応症とするSI−613−ETP、ドライアイ治療剤SI−614、間質性膀胱炎を適応症とするSI−722、癒着防止材SI−449がある。

 SI−6603は日本では18年3月製造販売承認を取得し、科研製薬<4521>が18年8月販売開始(腰椎椎間板ヘルニア治療剤ヘルニコア)した。またスイスのフェリング社と日本を除く全世界におけるライセンス契約を締結している。マイルストーン型ロイヤリティーの総額は最大95百万米ドル(うち契約一時金5百万米ドル)である。米国では18年2月第3相臨床の追加試験を開始し、22年11月経過観察終了を目指している。

 SI−613は、小野薬品工業<4528>と日本における共同開発・販売提携に関する契約を締結し、20年1月変形性関節症治療剤ONO−5704/SI−613の国内製造販売承認申請を行った。マイルストーン型ロイヤリティーの総額は最大120億円(うち契約一時金20億円)である。SI−613−ETP(小野薬品工業とのSI−613の契約に含む)は後期第2相臨床試験の解析が終了し、次のアクションを検討中である。米国では第2相臨床試験結果の解析が終了し、第3相臨床試験の検討と並行して提携先の選定を進めている。

 SI−614は米国で第2・3相試験が終了し、販売提携先を選定中である。SI−722は19年11月、米国における第1・2相臨床試験を開始した。SI−449は18年5月、日本でパイロット試験を開始した。

■20年3月期大幅営業・経常増益予想

 20年3月期の連結業績予想(11月8日に売上高、営業利益、経常利益を上方修正、純利益を下方修正)は、売上高が19年3月期比0.8%増の286億円、営業利益が38.1%増の13億50百万円、経常利益が31.2%増の37億50百万円、純利益が110億円の赤字(19年3月期は22億44百万円の黒字)としている。配当予想は19年3月期と同額の26円(第2四半期末13円、期末13円)である。

 第3四半期累計は、売上高が前年同期比7.7%増の232億40百万円、営業利益が2.4倍の32億65百万円、経常利益が31.0%増の38億68百万円、純利益が97億81百万円の赤字(前年同期は22億53百万円の黒字)だった。

 売上面は、国内医薬品が前年の販売提携先の在庫調整の影響一巡などで4.9%増収、海外医薬品が米国の販売提携先の拡販施策効果などで23.1%増収と好調だった。利益面は固定資産減損に伴う減価償却費の減少、SI−613国内臨床試験完了による研究開発費の減少で大幅営業増益だった。営業外損益では受取ロイヤリティーの計上がなく、投資有価証券売却益が減少した。純利益は特別損失に固定資産減損損失を計上したため赤字だった。

 なお第3四半期累計の営業利益は通期予想を大幅超過達成したが、第4四半期に研究開発費が集中する見込みのため、通期予想を据え置いている。

■22年3月期経常利益45億円目標

 新中期経営計画の目標には、22年3月期売上高283億円、経常利益45億円、SKK EBITDA(営業利益に減価償却費、受取ロイヤリティーを加えた利益指標)50億円、海外売上高比率50.0%を掲げている。想定為替レートは1米ドル=105円、研究開発費は売上比25〜30%である。利益配分は配当性向50%を目指す。

 重点施策としては、新たな収益の柱となる新薬開発の加速、製品の市場拡大による収益基盤強化、生産性向上のための改革を推進する。

■株価は反発の動き

 株価は地合い悪で昨年来安値を更新し、13年以来の安値圏だが、売り一巡して反発の動きを強めている。出直りを期待したい。3月4日の終値は1083円、今期予想配当利回り(会社予想26円で算出)は約2.4%、前期実績連結PBR(前期実績連結BPS1294円88銭で算出)は約0.8倍、時価総額は約615億円である。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media−IR)
[02月13日更新]

生化学工業は下値固め完了、20年3月期大幅営業・経常増益予想

 生化学工業<4548>(東1)は関節機能改善剤アルツが主力の医薬品メーカーである。20年3月期大幅営業・経常増益(純利益は特別損失計上に伴い赤字)予想である。第3四半期累計の営業利益は通期予想を大幅超過達成したが、第4四半期に研究開発費が集中する見込みのため、通期予想を据え置いている。株価は反発力の鈍い展開だが、下値固め完了して出直りを期待したい。

■関節機能改善剤アルツなど糖質科学分野が主力の医薬品メーカー

 糖質科学分野が主力の医薬品メーカーで、国内医薬品(関節機能改善剤アルツ、白内障手術補助剤オペガン、内視鏡用粘膜下注入材ムコアップ)、海外医薬品(米国向け単回投与関節機能改善剤Gel−One、米国向け3回投与関節機能改善剤VISCO−3、米国向け5回投与関節機能改善剤SUPARTZ−FX、中国向けアルツ)、医薬品原体(ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸)、LAL事業(エンドトキシン測定用試薬関連)を展開している。

 19年3月期の事業別売上構成比は、医薬品事業が77%(国内医薬品50%、海外医薬品23%、医薬品原体が4%)で、LAL事業が23%だった。

■新薬開発は糖質科学分野に焦点

 研究開発は糖質科学分野(糖鎖や複合糖質を研究する科学分野)に焦点を絞り、開発パイプラインには腰椎椎間板ヘルニア治療剤SI−6603、変形性膝関節症改善剤SI−613、腱・靱帯付着部症を適応症とするSI−613−ETP、ドライアイ治療剤SI−614、間質性膀胱炎を適応症とするSI−722、癒着防止材SI−449がある。

 SI−6603は日本では18年3月製造販売承認を取得し、科研製薬<4521>が18年8月販売開始(腰椎椎間板ヘルニア治療剤ヘルニコア)した。またスイスのフェリング社と日本を除く全世界におけるライセンス契約を締結している。マイルストーン型ロイヤリティーの総額は最大95百万米ドル(うち契約一時金5百万米ドル)である。米国では18年2月第3相臨床の追加試験を開始し、22年11月経過観察終了を目指している。

 SI−613は、小野薬品工業<4528>と日本における共同開発・販売提携に関する契約を締結し、20年1月変形性関節症治療剤ONO−5704/SI−613の国内製造販売承認申請を行った。マイルストーン型ロイヤリティーの総額は最大120億円(うち契約一時金20億円)である。SI−613−ETP(小野薬品工業とのSI−613の契約に含む)は後期第2相臨床試験の解析が終了し、次のアクションを検討中である。米国では第2相臨床試験結果の解析が終了し、第3相臨床試験の検討と並行して提携先の選定を進めている。

 SI−614は米国で第2・3相試験が終了し、販売提携先を選定中である。SI−722は19年11月、米国における第1・2相臨床試験を開始した。SI−449は18年5月、日本でパイロット試験を開始した。

■20年3月期大幅営業・経常増益予想

 20年3月期の連結業績予想(11月8日に売上高、営業利益、経常利益を上方修正、純利益を下方修正)は、売上高が19年3月期比0.8%増の286億円、営業利益が38.1%増の13億50百万円、経常利益が31.2%増の37億50百万円、純利益が110億円の赤字(19年3月期は22億44百万円の黒字)としている。配当予想は19年3月期と同額の26円(第2四半期末13円、期末13円)である。

 第3四半期累計は、売上高が前年同期比7.7%増の232億40百万円、営業利益が2.4倍の32億65百万円、経常利益が31.0%増の38億68百万円、純利益が97億81百万円の赤字(前年同期は22億53百万円の黒字)だった。

 売上面は、国内医薬品が前年の販売提携先の在庫調整の影響一巡などで4.9%増収、海外医薬品が米国の販売提携先の拡販施策効果などで23.1%増収と好調だった。利益面は固定資産減損に伴う減価償却費の減少、SI−613国内臨床試験完了による研究開発費の減少で大幅営業増益だった。営業外損益では受取ロイヤリティーの計上がなく、投資有価証券売却益が減少した。純利益は特別損失に固定資産減損損失を計上したため赤字だった。

 なお第3四半期累計の営業利益は通期予想を大幅超過達成したが、第4四半期に研究開発費が集中する見込みのため、通期予想を据え置いている。

■22年3月期経常利益45億円目標

 新中期経営計画の目標には、22年3月期売上高283億円、経常利益45億円、SKK EBITDA(営業利益に減価償却費、受取ロイヤリティーを加えた利益指標)50億円、海外売上高比率50.0%を掲げている。想定為替レートは1米ドル=105円、研究開発費は売上比25〜30%である。利益配分は配当性向50%を目指す。

 重点施策としては、新たな収益の柱となる新薬開発の加速、製品の市場拡大による収益基盤強化、生産性向上のための改革を推進する。

■株価は下値固め完了

 株価は反発力の鈍い展開だが、下値固め完了して出直りを期待したい。2月12日の終値は1238円、今期予想配当利回り(会社予想26円で算出)は約2.1%、前期実績連結PBR(前期実績連結BPS1294円88銭で算出)は約1.0倍、時価総額は約703億円である。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media−IR)
[01月17日更新]

生化学工業は調整一巡、20年3月期大幅営業・経常増益予想

 生化学工業<4548>(東1)は関節機能改善剤アルツが主力の医薬品メーカーである。1月6日には小野薬品工業と日本で共同開発中の変形性関節症治療剤ONO−5704/SI−613の国内製造販売承認申請を行った。20年3月期は大幅営業・経常増益(純利益は特別損失計上に伴い赤字)予想である。株価は反発力の鈍い展開だが、調整一巡して出直りを期待したい。なお2月4日に第3四半期決算発表を予定している。

■関節機能改善剤アルツなど糖質科学分野が主力の医薬品メーカー

 糖質科学分野が主力の医薬品メーカーで、国内医薬品(関節機能改善剤アルツ、白内障手術補助剤オペガン、内視鏡用粘膜下注入材ムコアップ)、海外医薬品(米国向け単回投与関節機能改善剤Gel−One、米国向け3回投与関節機能改善剤VISCO−3、米国向け5回投与関節機能改善剤SUPARTZ−FX、中国向けアルツ)、医薬品原体(ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸)、LAL事業(エンドトキシン測定用試薬関連)を展開している。

 19年3月期の事業別売上構成比は、医薬品事業が77%(国内医薬品50%、海外医薬品23%、医薬品原体が4%)で、LAL事業が23%だった。

■新薬開発は糖質科学分野に焦点

 研究開発は糖質科学分野(糖鎖や複合糖質を研究する科学分野)に焦点を絞り、開発パイプラインには腰椎椎間板ヘルニア治療剤SI−6603、変形性膝関節症改善剤SI−613、腱・靱帯付着部症を適応症とするSI−613−ETP、ドライアイ治療剤SI−614、癒着防止材SI−449、間質性膀胱炎を適応症とするSI−722がある。

 SI−6603は日本では18年3月製造販売承認を取得し、日本における独占的販売契約を締結している科研製薬<4521>が18年8月販売開始(腰椎椎間板ヘルニア治療剤ヘルニコア)した。また16年8月にはスイスのフェリング社とSI−6603の日本を除く全世界におけるライセンス契約を締結している。フェリング社から最大90百万米ドルのマイルストーン型ロイヤルティを受領する。

 米国で実施したSI−6603第3相臨床試験については、17年11月下肢痛軽減で統計学的に有意な改善効果が認められなかったと発表したが、18年2月第3相臨床の追加試験を開始し、22年11月経過観察終了を目指している。

 SI−613は日本で第3相臨床試験が完了し、20年3月期中の承認申請を目指している。米国では第2相臨床試験結果の解析が終了し、第3相臨床試験の検討と並行して提携先の選定を進めている。また17年9月には日本でSI−613−ETPの後期第2相臨床試験を開始した。

 SI−613は17年9月に小野薬品工業<4528>と日本における共同開発・販売提携に関する契約を締結している。小野薬品工業から契約締結一時金として20億円、最大で総額100億円のマイルストーン型ロイヤルティを受領する。1月6日には小野薬品工業と日本で共同開発中の変形性関節症治療剤ONO−5704/SI−613の国内製造販売承認申請を行った。

 SI−614は米国・欧州で15年1月第2・3相試験が終了し、次相試験について検討中である。SI−449は18年5月、日本でパイロット試験を開始した。

 19年11月には、間質性膀胱炎を適応症とするSI−722の米国における第1・2相臨床試験を開始した。

■20年3月期大幅営業・経常増益予想

 20年3月期の連結業績予想(11月8日に売上高、営業利益、経常利益を上方修正、純利益を下方修正)は、売上高が19年3月期比0.8%増の286億円、営業利益が38.1%増の13億50百万円、経常利益が31.2%増の37億50百万円、純利益が110億円の赤字(19年3月期は22億44百万円の黒字)としている。配当予想は19年3月期と同額の26円(第2四半期末13円、期末13円)である。

 第2四半期累計は、売上高が前年同期比9.1%増の155億55百万円、営業利益が2.2倍の21億50百万円、経常利益が0.2%減の24億71百万円、純利益が107億66百万円の赤字(前年同期は19億12百万円の黒字)だった。

 医薬品事業が11.9%増収(国内医薬品4.1%増収、海外医薬品29.5%増収、医薬品原体0.0%減収)、LAL事業が0.1%増収と堅調に推移した。利益面では、増産効果などで売上原価率が改善し、研究開発費の減少も寄与した。営業外損益では受取ロイヤリティーの計上がなく、投資有価証券売却益が減少した。また為替差損益が悪化した。特別損失には固定資産減損損失123億04百万円を計上した。

 通期は売上面で米国の単回投与関節機能改善剤Gel−Oneの増加を見込んでいる。コスト面では研究開発費が増加するが、営業利益は減損処理に伴う減価償却費の減少、経常利益は受取ロイヤリティーの増加が寄与して大幅営業・経常増益予想である。純利益は第2四半期の特別損失に固定資産減損損失123億04百万円を計上したため赤字予想としている。なお想定為替レートは1米ドル=105円である。

■22年3月期経常利益45億円目標

 新中期経営計画の目標には、22年3月期売上高283億円、経常利益45億円、SKK EBITDA(営業利益に減価償却費、受取ロイヤリティーを加えた利益指標)50億円、海外売上高比率50.0%を掲げている。想定為替レートは1米ドル=105円である。利益配分は配当性向50%を目指す。

 重点施策としては、新たな収益の柱となる新薬開発の加速、製品の市場拡大による収益基盤強化、生産性向上のための改革を推進する。

■株価は調整一巡

 株価は反発力の鈍い展開だが、調整一巡して出直りを期待したい。1月16日の終値は1222円、今期予想配当利回り(会社予想26円で算出)は約2.1%、前期実績連結PBR(前期実績連結BPS1294円88銭で算出)は約0.9倍、時価総額は約694億円である。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media−IR)
[12月19日更新]

生化学工業は戻り試す、20年3月期大幅営業・経常増益予想

 生化学工業<4548>(東1)は関節機能改善剤アルツが主力の医薬品メーカーである。20年3月期大幅営業・経常増益(純利益は特別損失計上に伴い赤字)予想としている。株価は徐々に下値を切り上げている。戻りを試す展開を期待したい。

■関節機能改善剤アルツなど糖質科学分野が主力の医薬品メーカー

 糖質科学分野が主力の医薬品メーカーで、国内医薬品(関節機能改善剤アルツ、白内障手術補助剤オペガン、内視鏡用粘膜下注入材ムコアップ)、海外医薬品(米国向け単回投与関節機能改善剤Gel−One、米国向け3回投与関節機能改善剤VISCO−3、米国向け5回投与関節機能改善剤SUPARTZ−FX、中国向けアルツ)、医薬品原体(ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸)、LAL事業(エンドトキシン測定用試薬関連)を展開している。

 19年3月期の事業別売上構成比は、医薬品事業が77%(国内医薬品50%、海外医薬品23%、医薬品原体が4%)で、LAL事業が23%だった。

■新薬開発は糖質科学分野に焦点

 研究開発は糖質科学分野(糖鎖や複合糖質を研究する科学分野)に焦点を絞り、開発パイプラインには腰椎椎間板ヘルニア治療剤SI−6603、変形性膝関節症改善剤SI−613、腱・靱帯付着部症を適応症とするSI−613−ETP、ドライアイ治療剤SI−614、癒着防止材SI−449、間質性膀胱炎を適応症とするSI−722がある。

 SI−6603は日本では18年3月製造販売承認を取得し、日本における独占的販売契約を締結している科研製薬<4521>が18年8月販売開始(腰椎椎間板ヘルニア治療剤ヘルニコア)した。また16年8月にはスイスのフェリング社とSI−6603の日本を除く全世界におけるライセンス契約を締結している。フェリング社から最大90百万米ドルのマイルストーン型ロイヤルティを受領する。

 米国で実施したSI−6603第3相臨床試験については、17年11月下肢痛軽減で統計学的に有意な改善効果が認められなかったと発表したが、18年2月第3相臨床の追加試験を開始し、22年11月経過観察終了を目指している。

 SI−613は日本で第3相臨床試験が完了し、20年3月期中の承認申請を目指している。米国では第2相臨床試験結果の解析が終了し、第3相臨床試験の検討と並行して提携先の選定を進めている。また17年9月には日本でSI−613−ETPの後期第2相臨床試験を開始した。

 SI−613は17年9月に小野薬品工業<4528>と日本における共同開発・販売提携に関する契約を締結している。小野薬品工業から契約締結一時金として20億円、最大で総額100億円のマイルストーン型ロイヤルティを受領する。19年2月には、小野薬品工業と日本で共同開発中の変形性膝関節症治療剤ONO−5704/SI−613の第3相臨床試験において、変形性膝関節症を対象とした検証的試験で良好な結果を得たと発表した。

 SI−614は米国・欧州で15年1月第2・3相試験が終了し、次相試験について検討中である。SI−449は18年5月、日本でパイロット試験を開始した。

 19年11月には、間質性膀胱炎を適応症とするSI−722の米国における第1・2相臨床試験を開始した。

■20年3月期大幅営業・経常増益予想

 20年3月期の連結業績予想(11月8日に売上高、営業利益、経常利益を上方修正、純利益を下方修正)は、売上高が19年3月期比0.8%増の286億円、営業利益が38.1%増の13億50百万円、経常利益が31.2%増の37億50百万円、純利益が110億円の赤字(19年3月期は22億44百万円の黒字)としている。配当予想は19年3月期と同額の26円(第2四半期末13円、期末13円)である。

 第2四半期累計は、売上高が前年同期比9.1%増の155億55百万円、営業利益が2.2倍の21億50百万円、経常利益が0.2%減の24億71百万円、純利益が107億66百万円の赤字(前年同期は19億12百万円の黒字)だった。

 医薬品事業が11.9%増収(国内医薬品4.1%増収、海外医薬品29.5%増収、医薬品原体0.0%減収)、LAL事業が0.1%増収と堅調に推移した。利益面では、増産効果などで売上原価率が改善し、研究開発費の減少も寄与した。営業外損益では受取ロイヤリティーの計上がなく、投資有価証券売却益が減少した。また為替差損益が悪化した。特別損失には固定資産減損損失123億04百万円を計上した。

 通期は売上面で米国の単回投与関節機能改善剤Gel−Oneの増加を見込んでいる。コスト面では研究開発費が増加するが、営業利益は減損処理に伴う減価償却費の減少、経常利益は受取ロイヤリティーの増加が寄与して大幅営業・経常増益予想である。純利益は第2四半期の特別損失に固定資産減損損失123億04百万円を計上したため赤字予想としている。なお想定為替レートは1米ドル=105円である。

■22年3月期経常利益45億円目標

 19年11月策定の新中期経営計画の目標には、22年3月期売上高283億円、経常利益45億円、SKK EBITDA(営業利益に減価償却費、受取ロイヤリティーを加えた利益指標)50億円、海外売上高比率50.0%を掲げている。想定為替レートは1米ドル=105円である。利益配分は配当性向50%を目指す。

 重点施策としては、新たな収益の柱となる新薬開発の加速、製品の市場拡大による収益基盤強化、生産性向上のための改革を推進する。

■株価は戻り試す

 株価は徐々に下値を切り上げている。戻りを試す展開を期待したい。12月18日の終値は1254円、今期予想配当利回り(会社予想26円で算出)は約2.1%、前期実績連結PBR(前期実績連結BPS1294円88銭で算出)は約1.0倍、時価総額は約712億円である。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media−IR)
[11月22日更新]

生化学工業は戻り試す、20年3月期大幅営業・経常増益予想

 生化学工業<4548>(東1)は関節機能改善剤アルツが主力の医薬品メーカーである。20年3月期は上方修正して大幅営業・経常増益予想(純利益は特別損失計上に伴い下方修正して赤字予想)としている。株価は8月の年初来安値から反発して下値を切り上げている。戻りを試す展開を期待したい。

■関節機能改善剤アルツなど糖質科学分野が主力の医薬品メーカー

 糖質科学分野が主力の医薬品メーカーで、国内医薬品(関節機能改善剤アルツ、白内障手術補助剤オペガン、内視鏡用粘膜下注入材ムコアップ)、海外医薬品(米国向け単回投与関節機能改善剤Gel−One、米国向け3回投与関節機能改善剤VISCO−3、米国向け5回投与関節機能改善剤SUPARTZ−FX、中国向けアルツ)、医薬品原体(ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸)、LAL事業(エンドトキシン測定用試薬関連)を展開している。

 19年3月期の事業別売上構成比は、医薬品事業が77%(国内医薬品50%、海外医薬品23%、医薬品原体が4%)で、LAL事業が23%だった。

■新薬開発は糖質科学分野に焦点

 研究開発は糖質科学分野(糖鎖や複合糖質を研究する科学分野)に焦点を絞り、開発パイプラインには腰椎椎間板ヘルニア治療剤SI−6603、変形性膝関節症改善剤SI−613、腱・靱帯付着部症を適応症とするSI−613−ETP、ドライアイ治療剤SI−614、癒着防止材SI−449、間質性膀胱炎を適応症とするSI−722がある。

 SI−6603は日本では18年3月製造販売承認を取得し、日本における独占的販売契約を締結している科研製薬<4521>が18年8月販売開始(腰椎椎間板ヘルニア治療剤ヘルニコア)した。また16年8月にはスイスのフェリング社とSI−6603の日本を除く全世界におけるライセンス契約を締結している。フェリング社から最大90百万米ドルのマイルストーン型ロイヤルティを受領する。

 なお米国で実施したSI−6603第3相臨床試験について、17年11月に下肢痛軽減において統計学的に有意な改善効果が認められなかったと発表したが、18年2月第3相臨床の追加試験を開始した。22年11月経過観察終了を目指している。

 SI−613は日本で第3相臨床試験が完了し、20年3月期中の承認申請を目指している。米国では第2相臨床試験結果の解析が終了し、第3相臨床試験の検討と並行して提携先の選定を進めている。また17年9月には日本でSI−613−ETPの後期第2相臨床試験を開始した。

 SI−613は17年9月に小野薬品工業<4528>と日本における共同開発・販売提携に関する契約を締結している。小野薬品工業から契約締結一時金として20億円、最大で総額100億円のマイルストーン型ロイヤルティを受領する。19年2月には、小野薬品工業と日本で共同開発中の変形性膝関節症治療剤ONO−5704/SI−613の第3相臨床試験において、変形性膝関節症を対象とした検証的試験で良好な結果を得たと発表した。

 SI−614は米国・欧州で15年1月第2・3相試験が終了し、次相試験について検討中である。SI−449は18年5月、日本でパイロット試験を開始した。

 19年11月には、間質性膀胱炎を適応症とするSI−722の米国における第1・2相臨床試験を開始した。

■20年3月期大幅営業・経常増益予想

 20年3月期の連結業績予想(11月8日に売上高、営業利益、経常利益を上方修正、純利益を下方修正)は、売上高が19年3月期比0.8%増の286億円、営業利益が38.1%増の13億50百万円、経常利益が31.2%増の37億50百万円、純利益が110億円の赤字(19年3月期は22億44百万円の黒字)としている。配当予想は19年3月期と同額の26円(第2四半期末13円、期末13円)である。

 売上面では米国における単回投与関節機能改善剤Gel−Oneの増加を見込んでいる。コスト面では研究開発費が増加するが、営業利益は減損処理に伴う減価償却費の減少、経常利益は受取ロイヤリティーの増加が寄与して大幅営業・経常増益予想である。純利益は第2四半期の特別損失に固定資産減損損失123億04百万円を計上したため赤字予想としている。なお想定為替レートは1米ドル=105円である。

 なお第2四半期累計は、売上高が前年同期比9.1%増の155億55百万円、営業利益が2.2倍の21億50百万円、経常利益が0.2%減の24億71百万円、純利益が107億66百万円の赤字(前年同期は19億12百万円の黒字)だった。

 売上面では、医薬品事業が11.9%増収(国内医薬品4.1%増収、海外医薬品29.5%増収、医薬品原体0.0%減収)、LAL事業が0.1%増収と堅調に推移した。利益面では、増産効果などで売上原価率が改善し、研究開発費の減少も寄与した。営業外損益では受取ロイヤリティーの計上がなく、投資有価証券売却益が減少した。また為替差損益が悪化した。特別損失には固定資産減損損失123億04百万円を計上した。

■22年3月期経常利益45億円目標

 19年11月策定の新中期経営計画の目標には、22年3月期売上高283億円、経常利益45億円、SKK EBITDA(営業利益に減価償却費、受取ロイヤリティーを加えた利益指標)50億円、海外売上高比率50.0%を掲げている。想定為替レートは1米ドル=105円である。利益配分は配当性向50%を目指す。

 重点施策としては、新たな収益の柱となる新薬開発の加速、製品の市場拡大による収益基盤強化、生産性向上のための改革を推進する。

■株価は戻り試す

 株価は8月の年初来安値から反発して下値を切り上げている。戻りを試す展開を期待したい。11月21日の終値は1251円、今期予想配当利回り(会社予想26円で算出)は約2.1%、前期実績連結PBR(前期実績連結BPS1294円88銭で算出)は約1.0倍、時価総額は約711億円である。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media−IR)
[10月02日更新]

生化学工業は反発の動き、20年3月期減益予想だが保守的

 生化学工業<4548>(東1)は関節機能改善剤アルツが主力の医薬品メーカーである。20年3月期は原価率上昇や基幹業務システム更新費用で減益予想だが、第1四半期は大幅営業増益と順調だった。通期予想は保守的だろう。19年11月には次期中期経営計画を公表予定としている。株価は年初来安値圏から反発の動きを強めている。調整一巡して出直りを期待したい。なお11月8日に第2四半期決算発表を予定している。

■関節機能改善剤アルツなど糖質科学分野が主力の医薬品メーカー

 糖質科学分野が主力の医薬品メーカーで、国内医薬品(関節機能改善剤アルツ、白内障手術補助剤オペガン、内視鏡用粘膜下注入材ムコアップ)、海外医薬品(米国向け単回投与関節機能改善剤Gel−One、米国向け3回投与関節機能改善剤VISCO−3、米国向け5回投与関節機能改善剤SUPARTZ−FX、中国向けアルツ)、医薬品原体(ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸)、LAL事業(エンドトキシン測定用試薬関連)を展開している。

 19年3月期の事業別売上構成比は、医薬品事業が77%(国内医薬品50%、海外医薬品23%、医薬品原体が4%)で、LAL事業が23%だった。

■新薬開発は糖質科学分野に焦点

 研究開発は糖質科学分野(糖鎖や複合糖質を研究する科学分野)に焦点を絞り、開発パイプラインには腰椎椎間板ヘルニア治療剤SI−6603、変形性膝関節症改善剤SI−613、腱・靱帯付着部症を対象としたSI−613−ETP、ドライアイ治療剤SI−614、癒着防止材SI−449がある。

 SI−6603は日本では18年3月製造販売承認を取得し、日本における独占的販売契約を締結している科研製薬<4521>が18年8月販売開始(腰椎椎間板ヘルニア治療剤ヘルニコア)した。また16年8月にはスイスのフェリング社とSI−6603の日本を除く全世界におけるライセンス契約を締結している。フェリング社から最大90百万米ドルのマイルストーン型ロイヤルティを受領する。

 なお米国で実施したSI−6603第3相臨床試験について、17年11月に下肢痛軽減において統計学的に有意な改善効果が認められなかったと発表したが、18年2月第3相臨床の追加試験を開始した。

 SI−613は17年2月日本で第3相臨床試験を開始、17年6月米国で第2相臨床試験を開始した。17年9月には小野薬品工業<4528>と日本における共同開発・販売提携に関する契約を締結している。小野薬品工業から契約締結一時金として20億円を受領するとともに、最大で総額100億円のマイルストーン型ロイヤルティを受領する。また17年9月には日本でSI−613−ETPの後期第2相臨床試験を開始した。

 19年2月には、小野薬品工業と日本で共同開発中の変形性膝関節症治療剤ONO−5704/SI−613の第3相臨床試験において、変形性膝関節症を対象とした検証的試験で良好な結果を得たと発表した。20年前半の承認申請を目指すとしている。

 SI−614は米国・欧州で15年1月第2・3相試験が終了し、次相試験について検討中である。SI−449は18年5月、日本でパイロット試験を開始した。

■20年3月期減益予想だが保守的

 20年3月期連結業績予想は売上高が19年3月期比0.5%減の282億50百万円、営業利益が59.1%減の4億円、経常利益が19.6%減の23億円、純利益が10.9%減の20億円としている。配当予想は19年3月期と同額の年間26円(第2四半期末13円、期末13円)で、予想配当性向は73.3%となる。

 事業別売上高の計画は、医薬品事業が1.3%減収(国内医薬品1.1%減収、海外医薬品2.1%増収、医薬品原体22.1%減収)で、LAL事業が2.4%増収としている。想定為替レートは1米ドル=105円で、為替感応度(1円変動時の影響額)は売上高で約1億10百万円、営業利益で約55百万円としている。

 SI―613臨床試費用減少などで研究開発費は減少(4.9%減の68億円)するが、薬価改定や為替影響などで微減収となり、売上原価率上昇、基幹業務システム更新費用やヘルコニア市販後調査費用など販管費増加で営業減益予想としている。なお営業外収益では受取ロイヤリティー、特別利益では投資有価証券売却益を見込んでいる。

 第1四半期は、売上高が前年同期比5.8%増の76億49百万円で、営業利益が81.7%増の9億64百万円、経常利益が19.5%減の12億51百万円、純利益が18.6%減の9億80百万円だった。

 医薬品事業が6.8%増収(国内医薬品が6.8%増収、海外医薬品が8.4%増収、医薬品原体が14.4%増収)、LAL事業が2.8%増収と堅調に推移した。コスト面では海外医薬品の販売単価下落で原価率が上昇したが、増収効果と研究開発費減少で大幅営業増益だった。ただし営業外収益で受取ロイヤリティーがなく、投資有価証券売却益も減少したため経常減益、最終減益だった。

 第1四半期の営業利益は通期予想を超過達成したが、通期では基幹業務システム更新費用やヘルコニア市販後調査費用など販管費の増加を見込み、通期減益予想を据え置いた。ただし第1四半期が順調であり、通期予想はやや保守的だろう。

■株価は反発の動き

 株価は9月の年初来安値圏から反発の動きを強めている。調整一巡して出直りを期待したい。10月1日の終値は1161円、今期予想連結PER(会社予想連結EPS35円46銭で算出)は約33倍、今期予想配当利回り(会社予想の年間26円で算出)は約2.2%、前期実績連結PBR(前期実績連結BPS1294円88銭で算出)は約0.9倍、時価総額は約660億円である。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media−IR)
[09月05日更新]

生化学工業は売り一巡

 生化学工業<4548>(東1)は、関節機能改善剤アルツが主力の医薬品メーカーである。20年3月期は原価率上昇や基幹業務システム更新費用などで減益予想だが、第1四半期は大幅営業増益と順調だった。通期予想は保守的だろう。19年11月には次期中期経営計画を公表予定としている。株価は年初来安値を更新したが、売り一巡して出直りを期待したい。

■関節機能改善剤アルツなど糖質科学分野が主力の医薬品メーカー

 糖質科学分野が主力の医薬品メーカーで、国内医薬品(関節機能改善剤アルツ、白内障手術補助剤オペガン、内視鏡用粘膜下注入材ムコアップ)、海外医薬品(米国向け単回投与関節機能改善剤Gel−One、米国向け3回投与関節機能改善剤VISCO−3、米国向け5回投与関節機能改善剤SUPARTZ−FX、中国向けアルツ)、医薬品原体(ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸)、LAL事業(エンドトキシン測定用試薬関連)を展開している。

 19年3月期の事業別売上構成比は、医薬品事業が77%(国内医薬品50%、海外医薬品23%、医薬品原体が4%)で、LAL事業が23%だった。

■新薬開発は糖質科学分野に焦点

 研究開発は糖質科学分野(糖鎖や複合糖質を研究する科学分野)に焦点を絞り、開発パイプラインには腰椎椎間板ヘルニア治療剤SI−6603、変形性膝関節症改善剤SI−613、腱・靱帯付着部症を対象としたSI−613−ETP、ドライアイ治療剤SI−614、癒着防止材SI−449がある。

 SI−6603は日本では18年3月製造販売承認を取得し、日本における独占的販売契約を締結している科研製薬<4521>が18年8月販売開始(腰椎椎間板ヘルニア治療剤ヘルニコア)した。また16年8月にはスイスのフェリング社とSI−6603の日本を除く全世界におけるライセンス契約を締結している。フェリング社から最大90百万米ドルのマイルストーン型ロイヤルティを受領する。

 なお米国で実施したSI−6603第3相臨床試験について、17年11月に下肢痛軽減において統計学的に有意な改善効果が認められなかったと発表したが、18年2月第3相臨床の追加試験を開始した。

 SI−613は17年2月日本で第3相臨床試験を開始、17年6月米国で第2相臨床試験を開始した。17年9月には小野薬品工業<4528>と日本における共同開発・販売提携に関する契約を締結している。小野薬品工業から契約締結一時金として20億円を受領するとともに、最大で総額100億円のマイルストーン型ロイヤルティを受領する。また17年9月には日本でSI−613−ETPの後期第2相臨床試験を開始した。

 19年2月には、小野薬品工業と日本で共同開発中の変形性膝関節症治療剤ONO−5704/SI−613の第3相臨床試験において、変形性膝関節症を対象とした検証的試験で良好な結果を得たと発表した。20年前半の承認申請を目指すとしている。

 SI−614は米国・欧州で15年1月第2・3相試験が終了し、次相試験について検討中である。SI−449は18年5月、日本でパイロット試験を開始した。

■20年3月期減益予想だが1Q大幅営業増益と順調

 20年3月期連結業績予想は売上高が19年3月期比0.5%減の282億50百万円、営業利益が59.1%減の4億円、経常利益が19.6%減の23億円、純利益が10.9%減の20億円としている。配当予想は19年3月期と同額の年間26円(第2四半期末13円、期末13円)で、予想配当性向は73.3%となる。

 事業別売上高の計画は、医薬品事業が1.3%減収(国内医薬品1.1%減収、海外医薬品2.1%増収、医薬品原体22.1%減収)で、LAL事業が2.4%増収としている。想定為替レートは1米ドル=105円で、為替感応度(1円変動時の影響額)は売上高で約1億10百万円、営業利益で約55百万円としている。

 SI―613臨床試費用減少などで研究開発費は減少(4.9%減の68億円)するが、薬価改定や為替影響などで微減収となり、売上原価率上昇、基幹業務システム更新費用やヘルコニア市販後調査費用など販管費増加で営業減益予想としている。なお営業外収益では受取ロイヤリティー、特別利益では投資有価証券売却益を見込んでいる。

 第1四半期は、売上高が前年同期比5.8%増の76億49百万円で、営業利益が81.7%増の9億64百万円、経常利益が19.5%減の12億51百万円、純利益が18.6%減の9億80百万円だった。

 医薬品事業が6.8%増収(国内医薬品が6.8%増収、海外医薬品が8.4%増収、医薬品原体が14.4%増収)、LAL事業が2.8%増収と堅調に推移した。コスト面では海外医薬品の販売単価下落で原価率が上昇したが、増収効果と研究開発費減少で大幅営業増益だった。ただし営業外収益で受取ロイヤリティーがなく、投資有価証券売却益も減少したため経常減益、最終減益だった。

 第1四半期の営業利益は通期予想を超過達成したが、通期では基幹業務システム更新費用やヘルコニア市販後調査費用など販管費の増加を見込み、通期減益予想を据え置いた。ただし第1四半期が順調であり、通期予想はやや保守的だろう。

■株価は売り一巡

 株価は年初来安値を更新したが、売り一巡して出直りを期待したい。9月4日の終値は1092円、今期予想連結PER(会社予想連結EPS35円46銭で算出)は約31倍、今期予想配当利回り(会社予想の年間26円で算出)は約2.4%、前期実績連結PBR(前期実績連結BPS1294円88銭で算出)は約0.8倍、時価総額は約620億円である。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media−IR)
[08月05日更新]

生化学工業は下値固め完了、20年3月期減益予想だが1Q大幅営業増益と順調

 生化学工業<4548>(東1)は、関節機能改善剤アルツが主力の医薬品メーカーである。20年3月期は原価率上昇や基幹業務システム更新費用などで減益予想だが、第1四半期は大幅営業増益と順調だった。通期予想はやや保守的だろう。19年11月には次期中期経営計画を公表予定としている。株価は下値固め完了感を強めている。出直りを期待したい。

■関節機能改善剤アルツなど糖質科学分野が主力の医薬品メーカー

 糖質科学分野が主力の医薬品メーカーで、国内医薬品(関節機能改善剤アルツ、白内障手術補助剤オペガン、内視鏡用粘膜下注入材ムコアップ)、海外医薬品(米国向け単回投与関節機能改善剤Gel−One、米国向け3回投与関節機能改善剤VISCO−3、米国向け5回投与関節機能改善剤SUPARTZ−FX、中国向けアルツ)、医薬品原体(ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸)、LAL事業(エンドトキシン測定用試薬関連)を展開している。

 19年3月期の事業別売上構成比は、医薬品事業が77%(国内医薬品50%、海外医薬品23%、医薬品原体が4%)で、LAL事業が23%だった。

 19年3月には単回投与の関節機能改善剤HyLinkを、伊MDM社を通じてイタリアで販売開始した。伊MDM社は複数回投与の関節機能改善剤SUPARTZも販売している。

■新薬開発は糖質科学分野に焦点

 研究開発は糖質科学分野(糖鎖や複合糖質を研究する科学分野)に焦点を絞り、開発パイプラインには腰椎椎間板ヘルニア治療剤SI−6603、変形性膝関節症改善剤SI−613、腱・靱帯付着部症を対象としたSI−613−ETP、ドライアイ治療剤SI−614、癒着防止材SI−449がある。

 SI−6603は日本では18年3月製造販売承認を取得し、日本における独占的販売契約を締結している科研製薬<4521>が18年8月販売開始(腰椎椎間板ヘルニア治療剤ヘルニコア)した。また16年8月にはスイスのフェリング社とSI−6603の日本を除く全世界におけるライセンス契約を締結している。フェリング社から最大90百万米ドルのマイルストーン型ロイヤルティを受領する。

 なお米国で実施したSI−6603第3相臨床試験について、17年11月に下肢痛軽減において統計学的に有意な改善効果が認められなかったと発表したが、18年2月第3相臨床の追加試験を開始した。

 SI−613は17年2月日本で第3相臨床試験を開始、17年6月米国で第2相臨床試験を開始した。17年9月には小野薬品工業<4528>と日本における共同開発・販売提携に関する契約を締結している。小野薬品工業から契約締結一時金として20億円を受領するとともに、最大で総額100億円のマイルストーン型ロイヤルティを受領する。また17年9月には日本でSI−613−ETPの後期第2相臨床試験を開始した。

 なお19年2月には、小野薬品工業と日本で共同開発中の変形性膝関節症治療剤ONO−5704/SI−613の第3相臨床試験において、変形性膝関節症を対象とした検証的試験で良好な結果を得たと発表した。20年前半の承認申請を目指すとしている。

 SI−614は米国・欧州で15年1月第2・3相試験が終了し、次相試験について検討中である。SI−449は18年5月、日本でパイロット試験を開始した。

■20年3月期減益予想だが1Q大幅営業増益と順調

 20年3月期連結業績予想は売上高が19年3月期比0.5%減の282億50百万円、営業利益が59.1%減の4億円、経常利益が19.6%減の23億円、純利益が10.9%減の20億円としている。配当予想は19年3月期と同額の年間26円(第2四半期末13円、期末13円)で、予想配当性向は73.3%となる。

 事業別売上高の計画は、医薬品事業が1.3%減収(国内医薬品1.1%減収、海外医薬品2.1%増収、医薬品原体22.1%減収)で、LAL事業が2.4%増収としている。想定為替レートは1米ドル=105円で、為替感応度(1円変動時の影響額)は売上高で約1億10百万円、営業利益で約55百万円としている。

 SI―613臨床試費用減少などで研究開発費は減少(4.9%減の68億円)するが、薬価改定や為替影響などで微減収となり、売上原価率上昇、基幹業務システム更新費用やヘルコニア市販後調査費用など販管費増加で営業減益予想としている。なお営業外収益では受取ロイヤリティー、特別利益では投資有価証券売却益を見込んでいる。

 第1四半期は、売上高が前年同期比5.8%増の76億49百万円で、営業利益が81.7%増の9億64百万円、経常利益が19.5%減の12億51百万円、純利益が18.6%減の9億80百万円だった。

 医薬品事業が6.8%増収(国内医薬品が6.8%増収、海外医薬品が8.4%増収、医薬品原体が14.4%増収)、LAL事業が2.8%増収と堅調に推移した。コスト面では海外医薬品の販売単価下落で原価率が上昇したが、増収効果と研究開発費減少で大幅営業増益だった。ただし営業外収益で受取ロイヤリティーがなく、投資有価証券売却益も減少したため経常減益、最終減益だった。

 第1四半期の営業利益は通期予想を超過達成したが、通期では基幹業務システム更新費用やヘルコニア市販後調査費用など販管費の増加を見込み、通期減益予想を据え置いた。ただし第1四半期が順調であり、通期予想はやや保守的だろう。

■株価は下値固め完了

 株価は反発力が鈍く安値圏だが、下値固め完了感を強めている。出直りを期待したい。8月2日の終値は1210円、今期予想連結PER(会社予想連結EPS35円46銭で算出)は約34倍、今期予想配当利回り(会社予想の年間26円で算出)は約2.1%、前期実績連結PBR(前期実績連結BPS1294円88銭で算出)は約0.9倍、時価総額は約687億円である。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media−IR)
[07月02日更新]

生化学工業は反発の動き、20年3月期減益予想だがやや保守的

 生化学工業<4548>(東1)は関節機能改善剤アルツが主力の医薬品メーカーである。20年3月期は原価率上昇や基幹業務システム更新費用などで減益予想としているが、やや保守的だろう。19年11月には次期中期経営計画および目標値を公表予定としている。株価は反発の動きを強めている。下値固め完了して出直りを期待したい。なお7月31日に第1四半期決算発表を予定している。

■関節機能改善剤アルツなど糖質科学分野が主力の医薬品メーカー

 糖質科学分野が主力の医薬品メーカーで、国内医薬品(関節機能改善剤アルツ、白内障手術補助剤オペガン、内視鏡用粘膜下注入材ムコアップ)、海外医薬品(米国向け単回投与関節機能改善剤Gel−One、米国向け3回投与関節機能改善剤VISCO−3、米国向け5回投与関節機能改善剤SUPARTZ−FX、中国向けアルツ)、医薬品原体(ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸)、LAL事業(エンドトキシン測定用試薬関連)を展開している。

 19年3月期の事業別売上構成比は、医薬品事業が77%(国内医薬品50%、海外医薬品23%、医薬品原体が4%)で、LAL事業が23%だった。

 19年3月には単回投与の関節機能改善剤HyLinkを、伊MDM社を通じてイタリアで販売開始した。伊MDM社は複数回投与の関節機能改善剤SUPARTZも販売している。

■新薬開発は糖質科学分野に焦点

 研究開発は糖質科学分野(糖鎖や複合糖質を研究する科学分野)に焦点を絞り、開発パイプラインには腰椎椎間板ヘルニア治療剤SI−6603(コンドリアーゼ)、変形性膝関節症改善剤SI−613(ジクロフェナク結合ヒアルロン酸)、腱・靱帯付着部症を対象としたSI−613−ETP、ドライアイ治療剤SI−614(修飾ヒアルロン酸)、癒着防止材SI−449(コンドロイチン硫酸架橋体)がある。

 腰椎椎間板ヘルニア治療剤SI−6603は、日本では18年3月製造販売承認を取得し、日本における独占的販売契約を締結している科研製薬<4521>が18年8月販売開始(腰椎椎間板ヘルニア治療剤ヘルニコア)した。また16年8月にはスイスのフェリング社とSI−6603の日本を除く全世界におけるライセンス契約を締結している。フェリング社から開発・販売等の進捗に応じて複数年にわたり、最大で90百万米ドルのマイルストーン型ロイヤルティを受領する。

 なお米国で実施したSI−6603第3相臨床試験について、17年11月に下肢痛軽減において統計学的に有意な改善効果が認められなかったと発表したが、18年2月には第3相臨床の追加試験を開始している。

 変形性膝関節症治療剤SI−613は、17年2月日本で第3相臨床試験を開始、17年6月米国で第2相臨床試験を開始した。17年9月には小野薬品工業<4528>と日本における共同開発・販売提携に関する契約を締結している。小野薬品工業から契約締結一時金として20億円を受領するとともに、最大で総額100億円のマイルストーン型ロイヤルティを受領する。日本では20年前半の承認申請を目指している。また17年9月には日本で、腱・靱帯付着部症を対象としたSI−613−ETPの後期第2相臨床試験を開始した。

 なお19年2月には、小野薬品工業と日本で共同開発中の変形性膝関節症治療剤ONO−5704/SI−613の第3相臨床試験において、変形性膝関節症を対象とした検証的試験で良好な結果を得たと発表した。そして20年前半の承認申請を目指すとしている。

 ドライアイ治療剤SI−614は、米国・欧州で15年1月第2・3相試験が終了し、次相試験について検討中である。癒着防止材SI−449は18年5月、日本でパイロット試験を開始した。

■20年3月期減益予想だがやや保守的

 20年3月期連結業績予想は売上高が19年3月期比0.5%減の282億50百万円、営業利益が59.1%減の4億円、経常利益が19.6%減の23億円、純利益が10.9%減の20億円としている。配当予想は19年3月期と同額の年間26円(第2四半期末13円、期末13円)で、予想配当性向は73.3%となる。

 SI―613臨床試費用減少などで研究開発費は減少(4.9%減の68億円)するが、薬価改定や為替影響などで微減収となり、売上原価率上昇、基幹業務システム更新費用やヘルコニア市販後調査費用など販管費増加で営業減益予想としている。

 事業別売上高の計画は、医薬品事業が1.3%減収(国内医薬品1.1%減収、海外医薬品2.1%増収、医薬品原体22.1%減収)で、LAL事業が2.4%増収としている。

 想定為替レートは1米ドル=105円、為替感応度(1円変動時の影響額)は売上高約1億10百万円、営業利益約55百万円としている。営業外収益では受取ロイヤリティー、特別利益では投資有価証券売却益を見込んでいる。全体として減益予想だが、やや保守的だろう。

■株価は下値固め完了

 株価は反発の動きを強めている。下値固め完了して出直りを期待したい。7月1日の終値は1292円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS35円46銭で算出)は約36倍、今期予想配当利回り(会社予想の年間26円で算出)は約2.0%、前期実績連結PBR(前期実績連結BPS1294円88銭で算出)は約1.0倍、時価総額は約734億円である。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media−IR)
[06月18日更新]

生化学工業は下値固め完了、20年3月期減益予想だがやや保守的

 生化学工業<4548>(東1)は関節機能改善剤アルツが主力の医薬品メーカーである。20年3月期は原価率上昇や基幹業務システム更新費用など販管費増加で減益予想としているが、やや保守的だろう。株価は安値圏だが下値固め完了感を強めている。反発を期待したい。

■関節機能改善剤アルツなど糖質科学分野が主力の医薬品メーカー

 糖質科学分野が主力の医薬品メーカーで、国内医薬品(関節機能改善剤アルツ、白内障手術補助剤オペガン、内視鏡用粘膜下注入材ムコアップ)、海外医薬品(米国向け単回投与関節機能改善剤Gel−One、米国向け3回投与関節機能改善剤VISCO−3、米国向け5回投与関節機能改善剤SUPARTZ−FX、中国向けアルツ)、医薬品原体(ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸)、LAL事業(エンドトキシン測定用試薬関連)を展開している。

 19年3月期の事業別売上構成比は、医薬品事業が77%(国内医薬品50%、海外医薬品23%、医薬品原体が4%)で、LAL事業が23%だった。

 19年3月には単回投与の関節機能改善剤HyLinkを、伊MDM社を通じてイタリアで販売開始した。伊MDM社は複数回投与の関節機能改善剤SUPARTZも販売している。

■新薬開発は糖質科学分野に焦点

 研究開発は糖質科学分野(糖鎖や複合糖質を研究する科学分野)に焦点を絞り、開発パイプラインには腰椎椎間板ヘルニア治療剤SI−6603(コンドリアーゼ)、変形性膝関節症改善剤SI−613(ジクロフェナク結合ヒアルロン酸)、腱・靱帯付着部症を対象としたSI−613−ETP、ドライアイ治療剤SI−614(修飾ヒアルロン酸)、癒着防止材SI−449(コンドロイチン硫酸架橋体)がある。

 腰椎椎間板ヘルニア治療剤SI−6603は、日本では18年3月製造販売承認を取得し、日本における独占的販売契約を締結している科研製薬<4521>が18年8月販売開始(腰椎椎間板ヘルニア治療剤ヘルニコア)した。また16年8月にはスイスのフェリング社とSI−6603の日本を除く全世界におけるライセンス契約を締結している。フェリング社から開発・販売等の進捗に応じて複数年にわたり、最大で90百万米ドルのマイルストーン型ロイヤルティを受領する。

 なお米国で実施したSI−6603第3相臨床試験について、17年11月に下肢痛軽減において統計学的に有意な改善効果が認められなかったと発表したが、18年2月には第3相臨床の追加試験を開始している。

 変形性膝関節症治療剤SI−613は、17年2月日本で第3相臨床試験を開始、17年6月米国で第2相臨床試験を開始した。17年9月には小野薬品工業<4528>と日本における共同開発・販売提携に関する契約を締結している。小野薬品工業から契約締結一時金として20億円を受領するとともに、最大で総額100億円のマイルストーン型ロイヤルティを受領する。日本では20年前半の承認申請を目指している。また17年9月には日本で、腱・靱帯付着部症を対象としたSI−613−ETPの後期第2相臨床試験を開始した。

 なお19年2月には、小野薬品工業と日本で共同開発中の変形性膝関節症治療剤ONO−5704/SI−613の第3相臨床試験において、変形性膝関節症を対象とした検証的試験で良好な結果を得たと発表した。そして20年前半の承認申請を目指すとしている。

 ドライアイ治療剤SI−614は、米国・欧州で15年1月第2・3相試験が終了し、次相試験について検討中である。癒着防止材SI−449は18年5月、日本でパイロット試験を開始した。

■20年3月期は原価率上昇や販管費増加で減益予想だがやや保守的

 20年3月期連結業績予想は売上高が19年3月期比0.5%減の282億50百万円、営業利益が59.1%減の4億円、経常利益が19.6%減の23億円、純利益が10.9%減の20億円としている。配当予想は19年3月期と同額の年間26円(第2四半期末13円、期末13円)で、予想配当性向は73.3%となる。

 SI―613臨床試費用減少などで研究開発費は減少(4.9%減の68億円)するが、薬価改定や為替影響などで微減収となり、売上原価率上昇、基幹業務システム更新費用やヘルコニア市販後調査費用など販管費増加で営業減益予想としている。

 事業別売上高の計画は、医薬品事業が1.3%減収(国内医薬品1.1%減収、海外医薬品2.1%増収、医薬品原体22.1%減収)で、LAL事業が2.4%増収としている。

 想定為替レートは1米ドル=105円、為替感応度(1円変動時の影響額)は売上高約1億10百万円、営業利益約55百万円としている。営業外収益では受取ロイヤリティー、特別利益では投資有価証券売却益を見込んでいる。全体として減益予想だが、やや保守的だろう。

■株価は下値固め完了

 株価は安値圏だが下値固め完了感を強めている。反発を期待したい。6月17日の終値は1226円、今期予想連結PER(会社予想連結EPS35円46銭で算出)は約35倍、今期予想配当利回り(会社予想の年間26円で算出)は約2.1%、前期実績連結PBR(前期実績連結BPS1294円88銭で算出)は約0.9倍、時価総額は約697億円である。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media−IR)
[05月28日更新]

生化学工業は20年3月期減益予想を織り込んで調整一巡期待

 生化学工業<4548>(東1)は関節機能改善剤アルツが主力の医薬品メーカーである。19年3月期は薬価改定影響や受取ロイヤリティー減少などで減益だった。20年3月期も薬価改定・為替影響などで売上高が微減収となり、原価率上昇や基幹業務システム更新費用など販管費増加で減益予想としている。株価は安値圏でモミ合う形だが、20年3月期減益予想を織り込んで調整一巡を期待したい。

■関節機能改善剤アルツなど糖質科学分野が主力の医薬品メーカー

 糖質科学分野が主力の医薬品メーカーで、国内医薬品(関節機能改善剤アルツ、白内障手術補助剤オペガン、内視鏡用粘膜下注入材ムコアップ)、海外医薬品(米国向け単回投与関節機能改善剤Gel−One、米国向け3回投与関節機能改善剤VISCO−3、米国向け5回投与関節機能改善剤SUPARTZ−FX、中国向けアルツ)、医薬品原体(ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸)、LAL事業(エンドトキシン測定用試薬関連)を展開している。

 19年3月期の事業別売上構成比は、医薬品事業が77%(国内医薬品50%、海外医薬品23%、医薬品原体が4%)で、LAL事業が23%だった。

 19年3月には単回投与の関節機能改善剤HyLinkを、伊MDM社を通じてイタリアで販売開始した。伊MDM社は複数回投与の関節機能改善剤SUPARTZも販売している。

■新薬開発は糖質科学分野に焦点

 研究開発は糖質科学分野(糖鎖や複合糖質を研究する科学分野)に焦点を絞り、開発パイプラインには腰椎椎間板ヘルニア治療剤SI−6603(コンドリアーゼ)、変形性膝関節症改善剤SI−613(ジクロフェナク結合ヒアルロン酸)、腱・靱帯付着部症を対象としたSI−613−ETP、ドライアイ治療剤SI−614(修飾ヒアルロン酸)、癒着防止材SI−449(コンドロイチン硫酸架橋体)がある。

 腰椎椎間板ヘルニア治療剤SI−6603は、日本では18年3月製造販売承認を取得し、日本における独占的販売契約を締結している科研製薬<4521>が18年8月販売開始(腰椎椎間板ヘルニア治療剤ヘルニコア)した。また16年8月にはスイスのフェリング社とSI−6603の日本を除く全世界におけるライセンス契約を締結している。フェリング社から開発・販売等の進捗に応じて複数年にわたり、最大で90百万米ドルのマイルストーン型ロイヤルティを受領する。

 なお米国で実施したSI−6603第3相臨床試験について、17年11月に下肢痛軽減において統計学的に有意な改善効果が認められなかったと発表したが、18年2月には第3相臨床の追加試験を開始している。

 変形性膝関節症治療剤SI−613は、17年2月日本で第3相臨床試験を開始、17年6月米国で第2相臨床試験を開始した。17年9月には小野薬品工業<4528>と日本における共同開発・販売提携に関する契約を締結している。小野薬品工業から契約締結一時金として20億円を受領するとともに、最大で総額100億円のマイルストーン型ロイヤルティを受領する。日本では20年前半の承認申請を目指している。また17年9月には日本で、腱・靱帯付着部症を対象としたSI−613−ETPの後期第2相臨床試験を開始した。

 なお19年2月には、小野薬品工業と日本で共同開発中の変形性膝関節症治療剤ONO−5704/SI−613の第3相臨床試験において、変形性膝関節症を対象とした検証的試験で良好な結果を得たと発表した。そして20年前半の承認申請を目指すとしている。

 ドライアイ治療剤SI−614は、米国・欧州で15年1月第2・3相試験が終了し、次相試験について検討中である。癒着防止材SI−449は18年5月、日本でパイロット試験を開始した。

■20年3月期は原価率上昇や販管費増加で減益予想

 19年3月期の連結業績は、売上高が18年3月期比5.9%減の283億84百万円、営業利益が31.3%減の9億77百万円、経常利益が46.3%減の28億59百万円、純利益が42.8%減の22億44百万円だった。配当は18年3月期と同額の年間26円(第2四半期末13円、期末13円)で、配当性向は65.4%となる。

 研究開発費は減少(15.0%減の71億48百万円)したが、薬価改定影響などで売上高が減少し、売上原価率も上昇して営業減益だった。経常利益と純利益は営業外収益における受取ロイヤリティーの減少(18年3月期は小野薬品から一時金20億円受領)も影響した。事業別売上高は、医薬品事業が9.7%減の218億93百万円(国内医薬品が12.2%減の141億61百万円、海外医薬品が8.5%減の65億11百万円、医薬品原体が21.4%増の12億20百万円)で、LAL事業がエンドトキシン測定用試薬の好調推移で9.4%増の64億91百万円だった。

 20年3月期連結業績予想は売上高が19年3月期比0.5%減の282億50百万円、営業利益が59.1%減の4億円、経常利益が19.6%減の23億円、純利益が10.9%減の20億円としている。配当予想は19年3月期と同額の年間26円(第2四半期末13円、期末13円)で、予想配当性向は73.3%となる。

 SI―613臨床試費用減少などで研究開発費は減少(4.9%減の68億円)するが、薬価改定・為替影響などで売上高が微減収となり、売上原価率の上昇、基幹業務システム更新費用やヘルコニア市販後調査費用など販管費増の加で減益予想としている。想定為替レートは1米ドル=105円、為替感応度(1円変動時の影響額)は売上高約1億10百万円、営業利益約55百万円としている。営業外収益では受取ロイヤリティー、特別利益では投資有価証券売却益を見込んでいる。

 事業別売上高の計画は、医薬品事業が1.3%減収(国内医薬品1.1%減収、海外医薬品2.1%増収、医薬品原体22.1%減収)で、LAL事業が2.4%増収としている。

■株価は調整一巡期待

 株価は安値圏でモミ合う形だが、20年3月期減益予想を織り込んで調整一巡を期待したい。5月27日の終値は1247円、今期予想連結PER(会社予想連結EPS35円46銭で算出)は約35倍、今期予想配当利回り(会社予想の年間26円で算出)は約2.1%、前期実績連結PBR(前期実績連結BPS1294円88銭で算出)は約1.0倍、時価総額は約708億円である。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media−IR)
[04月05日更新]

生化学工業は調整一巡期待、19年3月期減益予想だが20年3月期収益改善期待

 生化学工業<4548>(東1)は関節機能改善剤アルツが主力の医薬品メーカーである。19年3月期は薬価改定の影響や受取ロイヤリティーの減少などで減益予想だが、20年3月期の収益改善を期待したい。株価は反発力が鈍く安値圏だが、調整一巡して出直りを期待したい。なお5月10日に19年3月期決算発表を予定している。

■関節機能改善剤アルツなど糖質科学分野が主力の医薬品メーカー

 糖質科学分野が主力の医薬品メーカーで、国内医薬品(関節機能改善剤アルツ、白内障手術補助剤オペガン、内視鏡用粘膜下注入材ムコアップ)、海外医薬品(米国向け単回投与関節機能改善剤Gel−One、米国向け3回投与関節機能改善剤VISCO−3、米国向け5回投与関節機能改善剤SUPARTZ−FX、中国向けアルツ)、医薬品原体(ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸)、LAL事業(エンドトキシン測定用試薬関連)を展開している。

 19年3月には単回投与の関節機能改善剤HyLinkを、伊MDM社を通じてイタリアで販売開始した。伊MDM社は複数回投与の関節機能改善剤SUPARTZも販売している。

■新薬開発は糖質科学分野に焦点

 研究開発は糖質科学分野(糖鎖や複合糖質を研究する科学分野)に焦点を絞り、開発中の新薬には腰椎椎間板ヘルニア治療剤SI−6603(コンドリアーゼ)、変形性膝関節症改善剤SI−613(ジクロフェナク結合ヒアルロン酸)、腱・靱帯付着部症を対象としたSI−613−ETP、ドライアイ治療剤SI−614(修飾ヒアルロン酸)、癒着防止材SI−449(コンドロイチン硫酸架橋体)がある。

 腰椎椎間板ヘルニア治療剤SI−6603は、日本で18年3月製造販売承認を取得し、日本における独占的販売契約を締結している科研製薬<4521>が18年8月から販売開始した。適正使用を推進しながら段階的な普及を目指す。また16年8月にはスイスのフェリング社とSI−6603の日本を除く全世界におけるライセンス契約を締結している。フェリング社から開発・販売等の進捗に応じて複数年にわたり、最大で90百万米ドルのマイルストーン型ロイヤルティを受領する。

 なお米国で実施したSI−6603第3相臨床試験について、17年11月に下肢痛軽減において統計学的に有意な改善効果が認められなかったと発表したが、18年2月には第3相臨床の追加試験を開始している。

 変形性膝関節症治療剤SI−613は、17年2月日本で第3相臨床試験を開始、17年6月米国で第2相臨床試験を開始した。17年9月には小野薬品工業<4528>と日本における共同開発・販売提携に関する契約を締結した。小野薬品工業から契約締結一時金として20億円を受領するとともに、最大で総額100億円のマイルストーン型ロイヤルティを受領する。17年9月には日本で、腱・靱帯付着部症を対象としたSI−613−ETPの後期第2相臨床試験を開始した。

 なお19年2月には、小野薬品工業と日本で共同開発中の変形性膝関節症治療剤ONO−5704/SI−613の第3相臨床試験において、変形性膝関節症を対象とした検証的試験で良好な結果を得たと発表した。そして20年前半の承認申請を目指すとしている。

 ドライアイ治療剤SI−614は、米国・欧州で15年1月第2・3相試験が終了し、次相試験について検討中である。癒着防止材SI−449は18年5月、日本でパイロット試験を開始した。

■19年3月期は薬価改定などで減益予想、20年3月期収益改善期待

 19年3月期連結業績予想は、売上高が18年3月期比6.9%減の281億円、営業利益が71.9%減の4億円、経常利益が57.8%減の22億50百万円、純利益が56.7%減の17億円としている。想定為替レートは1米ドル=105円、為替感応度(1円変動時の影響額)は売上高で約1億10百万円、営業利益で約55百万円である。配当予想は18年3月期と同額の年間26円(第2四半期末13円、期末13円)で、予想配当性向は86.6%となる。

 事業別売上高の計画は、国内医薬品が9.8%減の145億50百万円、海外医薬品が7.2%減の66億円、医薬品原体が5.5%減の9億50百万円、LAL事業が1.2%増の60億円としている。

 コスト面で研究開発費が減少(16.2%減の70億50百万円)するが、国内薬価改定や円高影響で、減収および原価率上昇(3.8ポイント上昇の46.9%)を見込み営業減益予想である。経常利益と純利益は受取ロイヤリティーの減少(18年3月期は小野薬品から一時金20億円受領)も影響する。

 第3四半期累計は売上高が前年同期比7.8%減の215億86百万円、営業利益が56.8%減の13億51百万円、経常利益が49.9%減の29億53百万円、純利益が48.2%減の22億53百万円だった。

 売上面では、LAL事業がエンドトキシン測定用試薬の好調で14.8%増収だったが、国内医薬品がアルツの薬価引き下げの影響で15.1%減収、海外医薬品が米国Gel−One(単回投与)の現地販売価格低下や第4四半期への出荷時期ずれ、さらに米国SUPARTZ FXの競合激化や一部保険会社の償還厳格化の影響などで12.1%減収となり、全体として減収だった。

 利益面では販管費が2億42百万円減少したが、国内薬価引き下げの影響で原価率が4.5ポイント上昇した。また営業外では投資有価証券売却益が5億77百万円増加したが、受取ロイヤリティーが14億91百万円増加した。この結果、各利益は大幅減益だった。

 第3四半期累計の進捗率は売上高が76.8%、営業利益が337.9%、経常利益が131.3%、純利益が132.6%と高水準である。研究開発費が第4四半期に集中(通期計画70億50百万円に対して第3四半期累計実績49億92百万円)するため通期減益予想を据え置いたが、上振れ余地がありそうだ。そして20年3月期の収益改善を期待したい。

■株価は調整一巡期待

 株価は反発力が鈍く安値圏だが、調整一巡して出直りを期待したい。4月4日の終値は1215円、前期推定連結PER(会社予想連結EPS30円11銭で算出)は約40倍、前期推定配当利回り(会社予想の年間26円で算出)は約2.1%、前々期実績連結PBR(前々期実績連結BPS1306円37銭で算出)は約0.9倍、時価総額は約690億円である。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media−IR)
[03月13日更新]

生化学工業は下値切り上げ、19年3月期減益予想だが20年3月期収益改善期待

 生化学工業<4548>(東1)は関節機能改善剤アルツが主力の医薬品メーカーである。19年3月期は薬価改定の影響や受取ロイヤリティーの減少などで減益予想だが、20年3月期の収益改善を期待したい。株価は急伸した2月の戻り高値から反落したが下値を切り上げている。出直りを期待したい。

■関節機能改善剤アルツなど糖質科学分野が主力の医薬品メーカー

 糖質科学分野が主力の医薬品メーカーで、国内医薬品(関節機能改善剤アルツ、白内障手術補助剤オペガン、内視鏡用粘膜下注入材ムコアップ)、海外医薬品(米国向け単回投与関節機能改善剤Gel−One、米国向け3回投与関節機能改善剤VISCO−3、米国向け5回投与関節機能改善剤SUPARTZ−FX、中国向けアルツ)、医薬品原体(ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸)、LAL事業(エンドトキシン測定用試薬関連)を展開している。

■新薬開発は糖質科学分野に焦点

 研究開発は糖質科学分野(糖鎖や複合糖質を研究する科学分野)に焦点を絞り、開発中の新薬には腰椎椎間板ヘルニア治療剤SI−6603(コンドリアーゼ)、変形性膝関節症改善剤SI−613(ジクロフェナク結合ヒアルロン酸)、腱・靱帯付着部症を対象としたSI−613−ETP、ドライアイ治療剤SI−614(修飾ヒアルロン酸)、癒着防止材SI−449(コンドロイチン硫酸架橋体)がある。

 腰椎椎間板ヘルニア治療剤SI−6603は、日本で18年3月製造販売承認を取得し、日本における独占的販売契約を締結している科研製薬<4521>が18年8月から販売開始した。適正使用を推進しながら段階的な普及を目指す。また16年8月にはスイスのフェリング社とSI−6603の日本を除く全世界におけるライセンス契約を締結している。フェリング社から開発・販売等の進捗に応じて複数年にわたり、最大で90百万米ドルのマイルストーン型ロイヤルティを受領する。

 なお米国で実施したSI−6603第3相臨床試験について、17年11月に下肢痛軽減において統計学的に有意な改善効果が認められなかったと発表したが、18年2月には第3相臨床の追加試験を開始している。

 変形性膝関節症治療剤SI−613は、17年2月日本で第3相臨床試験を開始、17年6月米国で第2相臨床試験を開始した。17年9月には小野薬品工業<4528>と日本における共同開発・販売提携に関する契約を締結した。小野薬品工業から契約締結一時金として20億円を受領するとともに、最大で総額100億円のマイルストーン型ロイヤルティを受領する。17年9月には日本で、腱・靱帯付着部症を対象としたSI−613−ETPの後期第2相臨床試験を開始した。

 なお19年2月には、小野薬品工業と日本で共同開発中の変形性膝関節症治療剤ONO−5704/SI−613の第3相臨床試験において、変形性膝関節症を対象とした検証的試験で良好な結果を得たと発表した。そして20年前半の承認申請を目指すとしている。

 ドライアイ治療剤SI−614は、米国・欧州で15年1月第2・3相試験が終了し、次相試験について検討中である。癒着防止材SI−449は18年5月、日本でパイロット試験を開始した。

■19年3月期は薬価改定などで減益予想、20年3月期収益改善期待

 19年3月期連結業績予想は、売上高が18年3月期比6.9%減の281億円、営業利益が71.9%減の4億円、経常利益が57.8%減の22億50百万円、純利益が56.7%減の17億円としている。想定為替レートは1米ドル=105円、為替感応度(1円変動時の影響額)は売上高で約1億10百万円、営業利益で約55百万円である。配当予想は18年3月期と同額の年間26円(第2四半期末13円、期末13円)で、予想配当性向は86.6%となる。

 事業別売上高の計画は、国内医薬品が9.8%減の145億50百万円、海外医薬品が7.2%減の66億円、医薬品原体が5.5%減の9億50百万円、LAL事業が1.2%増の60億円としている。

 コスト面で研究開発費が減少(16.2%減の70億50百万円)するが、国内薬価改定や円高影響で、減収および原価率上昇(3.8ポイント上昇の46.9%)を見込み営業減益予想である。経常利益と純利益は受取ロイヤリティーの減少(18年3月期は小野薬品から一時金20億円受領)も影響する。

 第3四半期累計は売上高が前年同期比7.8%減の215億86百万円、営業利益が56.8%減の13億51百万円、経常利益が49.9%減の29億53百万円、純利益が48.2%減の22億53百万円だった。

 売上面では、LAL事業がエンドトキシン測定用試薬の好調で14.8%増収だったが、国内医薬品がアルツの薬価引き下げの影響で15.1%減収、海外医薬品が米国Gel−One(単回投与)の現地販売価格低下や第4四半期への出荷時期ずれ、さらに米国SUPARTZ FXの競合激化や一部保険会社の償還厳格化の影響などで12.1%減収となり、全体として減収だった。

 利益面では販管費が2億42百万円減少したが、国内薬価引き下げの影響で原価率が4.5ポイント上昇した。また営業外では投資有価証券売却益が5億77百万円増加したが、受取ロイヤリティーが14億91百万円増加した。この結果、各利益は大幅減益だった。

 第2四半期累計の進捗率は売上高が76.8%、営業利益が337.9%、経常利益が131.3%、純利益が132.6%と高水準である。研究開発費が第4四半期に集中(通期計画70億50百万円に対して第3四半期累計実績49億92百万円)するため通期減益予想を据え置いたが、上振れ余地がありそうだ。そして20年3月期の収益改善を期待したい。

■株価は下値切り上げ

 株価は急伸した2月の戻り高値1593円から反落したが下値を切り上げている。出直りを期待したい。3月12日の終値は1317円、今期予想連結PER(会社予想連結EPS30円11銭で算出)は約44倍、今期予想配当利回り(会社予想の年間26円で算出)は約2.0%、前期実績連結PBR(前期実績連結BPS1306円37銭で算出)は約1.0倍、時価総額は約748億円である。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media−IR)
[02月08日更新]

生化学工業は下値固め完了感、19年3月期減益予想だが20年3月期収益改善期待

 生化学工業<4548>(東1)は関節機能改善剤アルツが主力の医薬品メーカーである。19年3月期は薬価改定影響や受取ロイヤリティー減少で減益予想である。第3四半期累計は高進捗率だった。研究開発費が第4四半期に集中するが、通期予想に上振れ余地がありそうだ。そして20年3月期の収益改善を期待したい。株価は下値固め完了感を強めている。出直りを期待したい。

■関節機能改善剤アルツなど糖質科学分野が主力の医薬品メーカー

 糖質科学分野が主力の医薬品メーカーで、国内医薬品(関節機能改善剤アルツ、白内障手術補助剤オペガン、内視鏡用粘膜下注入材ムコアップ)、海外医薬品(米国向け単回投与関節機能改善剤Gel−One、米国向け3回投与関節機能改善剤VISCO−3、米国向け5回投与関節機能改善剤SUPARTZ−FX、中国向けアルツ)、医薬品原体(ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸)、LAL事業(エンドトキシン測定用試薬関連)を展開している。

■新薬開発は糖質科学分野に焦点

 研究開発は糖質科学分野(糖鎖や複合糖質を研究する科学分野)に焦点を絞り、開発中の新薬には腰椎椎間板ヘルニア治療剤SI−6603(コンドリアーゼ)、変形性膝関節症改善剤SI−613(ジクロフェナク結合ヒアルロン酸)、腱・靱帯付着部症を対象としたSI−613−ETP、ドライアイ治療剤SI−614(修飾ヒアルロン酸)、癒着防止材SI−449(コンドロイチン硫酸架橋体)がある。

 腰椎椎間板ヘルニア治療剤SI−6603は、日本で18年3月製造販売承認を取得し、日本における独占的販売契約を締結している科研製薬<4521>が18年8月から販売開始した。適正使用を推進しながら段階的な普及を目指す。また16年8月にはスイスのフェリング社とSI−6603の日本を除く全世界におけるライセンス契約を締結している。フェリング社から開発・販売等の進捗に応じて複数年にわたり、最大で90百万米ドルのマイルストーン型ロイヤルティを受領する。

 なお米国で実施したSI−6603第3相臨床試験について、17年11月に下肢痛軽減において統計学的に有意な改善効果が認められなかったと発表したが、18年2月には第3相臨床の追加試験を開始している。

 変形性膝関節症治療剤SI−613は、17年2月日本で第3相臨床試験を開始、17年6月米国で第2相臨床試験を開始した。17年9月には小野薬品工業<4528>と日本における共同開発・販売提携に関する契約を締結した。小野薬品から契約締結一時金として20億円を受領するとともに、最大で総額100億円のマイルストーン型ロイヤルティを受領する。また17年9月には日本で、腱・靱帯付着部症を対象としたSI−613−ETPの後期第2相臨床試験を開始した。

 ドライアイ治療剤SI−614は、米国・欧州で15年1月第2・3相試験が終了し、次相試験について検討中である。癒着防止材SI−449は18年5月、日本でパイロット試験を開始した。

■19年3月期は薬価改定などで減益予想、20年3月期収益改善期待

 19年3月期連結業績予想は、売上高が18年3月期比6.9%減の281億円、営業利益が71.9%減の4億円、経常利益が57.8%減の22億50百万円、純利益が56.7%減の17億円としている。想定為替レートは1米ドル=105円、為替感応度(1円変動時の影響額)は売上高で約1億10百万円、営業利益で約55百万円である。配当予想は18年3月期と同額の年間26円(第2四半期末13円、期末13円)で、予想配当性向は86.6%となる。

 事業別売上高の計画は、国内医薬品が9.8%減の145億50百万円、海外医薬品が7.2%減の66億円、医薬品原体が5.5%減の9億50百万円、LAL事業が1.2%増の60億円としている。

 コスト面で研究開発費が減少(16.2%減の70億50百万円)するが、国内薬価改定や円高影響で、減収および原価率上昇(3.8ポイント上昇の46.9%)を見込み営業減益予想である。経常利益と純利益は受取ロイヤリティーの減少(18年3月期は小野薬品から一時金20億円受領)も影響する。

 第3四半期累計は売上高が前年同期比7.8%減の215億86百万円、営業利益が56.8%減の13億51百万円、経常利益が49.9%減の29億53百万円、純利益が48.2%減の22億53百万円だった。

 売上面では、LAL事業がエンドトキシン測定用試薬の好調で14.8%増収だったが、国内医薬品がアルツの薬価引き下げの影響で15.1%減収、海外医薬品が米国Gel−One(単回投与)の現地販売価格低下や第4四半期への出荷時期ずれ、さらに米国SUPARTZ FXの競合激化や一部保険会社の償還厳格化の影響などで12.1%減収となり、全体として減収だった。

 利益面では販管費が2億42百万円減少したが、国内薬価引き下げの影響で原価率が4.5ポイント上昇した。また営業外では投資有価証券売却益が5億77百万円増加したが、受取ロイヤリティーが14億91百万円増加した。この結果、各利益は大幅減益だった。

 第2四半期累計の進捗率は売上高が76.8%、営業利益が337.9%、経常利益が131.3%、純利益が132.6%と高水準である。研究開発費が第4四半期に集中(通期計画70億50百万円に対して第3四半期累計実績49億92百万円)するため通期減益予想を据え置いたが、上振れ余地がありそうだ。そして20年3月期の収益改善を期待したい。

■株価は下値固め完了感

 株価は12月の昨年来安値1099円から切り返したが、その後はやや戻りの鈍い展開だ。ただし下値固め完了感を強めている。出直りを期待したい。2月7日の終値は1276円、今期予想連結PER(会社予想連結EPS30円11銭で算出)は約42倍、今期予想配当利回り(会社予想の年間26円で算出)は約2.0%、前期実績連結PBR(前期実績連結BPS1306円37銭で算出)は約1.0倍、時価総額は約725億円である。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media−IR)
[01月08日更新]

生化学工業は戻り歩調、19年3月期減益予想だが20年3月期収益改善期待

 生化学工業<4548>(東1)は関節機能改善剤アルツが主力の医薬品メーカーである。19年3月期は薬価改定影響や受取ロイヤリティー減少で減益予想だが、上振れ余地がありそうだ。そして20年3月期の収益改善を期待したい。株価は地合い悪の影響で急落したが、売り一巡して戻り歩調だ。出直りを期待したい。なお2月5日に第3四半期決算発表を予定している。

■関節機能改善剤アルツなど糖質科学分野が主力の医薬品メーカー

 糖質科学分野が主力の医薬品メーカーで、国内医薬品(関節機能改善剤アルツ、白内障手術補助剤オペガン、内視鏡用粘膜下注入材ムコアップ)、海外医薬品(米国向け単回投与関節機能改善剤Gel−One、米国向け3回投与関節機能改善剤VISCO−3、米国向け5回投与関節機能改善剤SUPARTZ−FX、中国向けアルツ)、医薬品原体(ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸)、LAL事業(エンドトキシン測定用試薬関連)を展開している。

■新薬開発は糖質科学分野に焦点

 研究開発は糖質科学分野(糖鎖や複合糖質を研究する科学分野)に焦点を絞り、開発中の新薬には腰椎椎間板ヘルニア治療剤SI−6603(コンドリアーゼ)、変形性膝関節症改善剤SI−613(ジクロフェナク結合ヒアルロン酸)、腱・靱帯付着部症を対象としたSI−613−ETP、ドライアイ治療剤SI−614(修飾ヒアルロン酸)、癒着防止材SI−449(コンドロイチン硫酸架橋体)がある。

 腰椎椎間板ヘルニア治療剤SI−6603は、日本で18年3月製造販売承認を取得し、日本における独占的販売契約を締結している科研製薬<4521>が18年8月から販売開始した。適正使用を推進しながら段階的な普及を目指す。また16年8月にはスイスのフェリング社とSI−6603の日本を除く全世界におけるライセンス契約を締結している。フェリング社から開発・販売等の進捗に応じて複数年にわたり、最大で90百万米ドルのマイルストーン型ロイヤルティを受領する。

 なお米国で実施したSI−6603第3相臨床試験について、17年11月に下肢痛軽減において統計学的に有意な改善効果が認められなかったと発表したが、18年2月には第3相臨床の追加試験を開始している。

 変形性膝関節症治療剤SI−613は、17年2月日本で第3相臨床試験を開始、17年6月米国で第2相臨床試験を開始した。17年9月には小野薬品工業<4528>と日本における共同開発・販売提携に関する契約を締結した。小野薬品から契約締結一時金として20億円を受領するとともに、最大で総額100億円のマイルストーン型ロイヤルティを受領する。また17年9月には日本で、腱・靱帯付着部症を対象としたSI−613−ETPの後期第2相臨床試験を開始した。

 ドライアイ治療剤SI−614は、米国・欧州で15年1月第2・3相試験が終了し、次相試験について検討中である。癒着防止材SI−449は18年5月、日本でパイロット試験を開始した。

■19年3月期は薬価改定などで減益予想、20年3月期収益改善期待

 19年3月期連結業績予想は、売上高が18年3月期比6.9%減の281億円、営業利益が71.9%減の4億円、経常利益が57.8%減の22億50百万円、純利益が56.7%減の17億円としている。想定為替レートは1米ドル=105円、為替感応度(1円変動時の影響額)は売上高で約1億10百万円、営業利益で約55百万円としている。配当予想は18年3月期と同額の年間26円(第2四半期末13円、期末13円)としている。予想配当性向は86.6%となる。

 事業別売上高の計画は、国内医薬品が9.8%減の145億50百万円、海外医薬品が7.2%減の66億円、医薬品原体が5.5%減の9億50百万円、LAL事業が1.2%増の60億円としている。

 コスト面で研究開発費が減少(16.2%減の70億50百万円)するが、国内薬価改定や円高影響で、減収および原価率上昇(3.8ポイント上昇の46.9%)を見込み営業減益予想である。経常利益と純利益は受取ロイヤリティーの減少(18年3月期は小野薬品から一時金20億円受領)も影響する。

 第2四半期累計は、売上高が前年同期比8.0%減の142億56百万円、営業利益が56.6%減の9億63百万円、経常利益が48.4%増の24億75百万円、純利益が46.1%減の19億12百万円だった。

 売上面では、LAL事業がエンドトキシン測定用試薬の好調で13.0%増収だったが、国内医薬品がアルツの薬価引き下げの影響で17.5%減収、海外医薬品が米国向けSUPARTZ FXの前年同期の出荷増の反動で4.4%減収となり、全体として減収だった。利益面では、国内薬価引き下げの影響で原価率が3.6ポイント上昇し、受取ロイヤリティーの減少も影響して大幅減益だった。

 第2四半期累計の進捗率は売上高が50.7%、営業利益が241.0%、経常利益が110.0%、純利益が112.5%と高水準である。研究開発費が下期に増加(上期実績32億87百万円、下期計画37億63百万円)するため通期減益予想を据え置いたが、為替が想定より円安に推移していることもあり、上振れ余地がありそうだ。そして20年3月期の収益改善を期待したい。

■株価は戻り歩調

 株価は地合い悪の影響で急落したが、12月25日の昨年来安値1099円から反発の動きを強めている。1月7日には1317円まで上伸した。売り一巡して戻り歩調だ。出直りを期待したい。1月7日の終値は1280円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS30円11銭で算出)は約43倍、今期予想配当利回り(会社予想の年間26円で算出)は約2.0%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS1306円37銭で算出)は約1.0倍、時価総額は約727億円である。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media−IR)
[12月18日更新]

生化学工業は調整一巡感、19年3月期減益予想だが20年3月期収益改善期待

 生化学工業<4548>(東1)は関節機能改善剤アルツが主力の医薬品メーカーである。19年3月期は薬価改定影響や受取ロイヤリティー減少で減益予想だが、第2四半期累計の進捗率が高水準であり、通期予想に上振れ余地がありそうだ。そして20年3月期の収益改善を期待したい。株価は軟調展開だが、7月の年初来安値を割り込むことなく反発して調整一巡感を強めている。出直りを期待したい。

■関節機能改善剤アルツなど糖質科学分野が主力の医薬品メーカー

 糖質科学分野が主力の医薬品メーカーで、国内医薬品(関節機能改善剤アルツ、白内障手術補助剤オペガン、内視鏡用粘膜下注入材ムコアップ)、海外医薬品(米国向け単回投与関節機能改善剤Gel−One、米国向け3回投与関節機能改善剤VISCO−3、米国向け5回投与関節機能改善剤SUPARTZ−FX、中国向けアルツ)、医薬品原体(ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸)、LAL事業(エンドトキシン測定用試薬関連)を展開している。

■新薬開発は糖質科学分野に焦点

 研究開発は糖質科学分野(糖鎖や複合糖質を研究する科学分野)に焦点を絞り、開発中の新薬には腰椎椎間板ヘルニア治療剤SI−6603(コンドリアーゼ)、変形性膝関節症改善剤SI−613(ジクロフェナク結合ヒアルロン酸)、腱・靱帯付着部症を対象としたSI−613−ETP、ドライアイ治療剤SI−614(修飾ヒアルロン酸)、癒着防止材SI−449(コンドロイチン硫酸架橋体)がある。

 腰椎椎間板ヘルニア治療剤SI−6603は、日本で18年3月製造販売承認を取得し、日本における独占的販売契約を締結している科研製薬<4521>が18年8月から販売開始した。適正使用を推進しながら段階的な普及を目指す。また16年8月にはスイスのフェリング社とSI−6603の日本を除く全世界におけるライセンス契約を締結している。フェリング社から開発・販売等の進捗に応じて複数年にわたり、最大で90百万米ドルのマイルストーン型ロイヤルティを受領する。

 なお米国で実施したSI−6603第3相臨床試験について、17年11月に下肢痛軽減において統計学的に有意な改善効果が認められなかったと発表したが、18年2月には第3相臨床の追加試験を開始している。

 変形性膝関節症治療剤SI−613は、17年2月日本で第3相臨床試験を開始、17年6月米国で第2相臨床試験を開始した。17年9月には小野薬品工業<4528>と日本における共同開発・販売提携に関する契約を締結した。小野薬品から契約締結一時金として20億円を受領するとともに、最大で総額100億円のマイルストーン型ロイヤルティを受領する。また17年9月には日本で、腱・靱帯付着部症を対象としたSI−613−ETPの後期第2相臨床試験を開始した。

 ドライアイ治療剤SI−614は、米国・欧州で15年1月第2・3相試験が終了し、次相試験について検討中である。癒着防止材SI−449は18年5月、日本でパイロット試験を開始した。

■19年3月期は薬価改定などで減益予想、20年3月期収益改善期待

 19年3月期連結業績予想は、売上高が18年3月期比6.9%減の281億円、営業利益が71.9%減の4億円、経常利益が57.8%減の22億50百万円、純利益が56.7%減の17億円としている。想定為替レートは1米ドル=105円、為替感応度(1円変動時の影響額)は売上高で約1億10百万円、営業利益で約55百万円としている。配当予想は18年3月期と同額の年間26円(第2四半期末13円、期末13円)としている。予想配当性向は86.6%となる。

 事業別売上高の計画は、国内医薬品が9.8%減の145億50百万円、海外医薬品が7.2%減の66億円、医薬品原体が5.5%減の9億50百万円、LAL事業が1.2%増の60億円としている。

 コスト面で研究開発費が減少(16.2%減の70億50百万円)するが、国内薬価改定や円高影響で、減収および原価率上昇(3.8ポイント上昇の46.9%)を見込み営業減益予想である。経常利益と純利益は受取ロイヤリティーの減少(18年3月期は小野薬品から一時金20億円受領)も影響する。

 第2四半期累計は、売上高が前年同期比8.0%減の142億56百万円、営業利益が56.6%減の9億63百万円、経常利益が48.4%増の24億75百万円、純利益が46.1%減の19億12百万円だった。

 売上面では、LAL事業がエンドトキシン測定用試薬の好調で13.0%増収だったが、国内医薬品がアルツの薬価引き下げの影響で17.5%減収、海外医薬品が米国向けSUPARTZ FXの前年同期の出荷増の反動で4.4%減収となり、全体として減収だった。利益面では、国内薬価引き下げの影響で原価率が3.6ポイント上昇し、受取ロイヤリティーの減少も影響して大幅減益だった。

 第2四半期累計の進捗率は売上高が50.7%、営業利益が241.0%、経常利益が110.0%、純利益が112.5%と高水準である。研究開発費が下期に増加(上期実績32億87百万円、下期計画37億63百万円)するため通期減益予想を据え置いたが、為替が想定より円安に推移していることもあり、上振れ余地がありそうだ。

■株価は調整一巡感

 株価は水準を切り下げて軟調展開だが、7月の年初来安値1383円を割り込むことなく、12月11日の直近安値1404円から反発して調整一巡感を強めている。出直りを期待したい。12月17日の終値は1455円、今期予想連結PER(会社予想連結EPS30円11銭で算出)は約48倍、今期予想配当利回り(会社予想年間26円で算出)は約1.8%、前期実績連結PBR(前期実績連結BPS1306円37銭で算出)は約1.1倍、時価総額は約827億円である。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media−IR)
[11月19日更新]

生化学工業は調整一巡して出直り期待、19年3月期減益予想だが上振れ余地

 生化学工業<4548>(東1)は関節機能改善剤アルツが主力の医薬品メーカーである。19年3月期は国内での薬価改定の影響、円高の影響、受取ロイヤリティーの減少で減益予想だが、第2四半期累計の進捗率は高水準であり、通期予想に上振れ余地がありそうだ。株価は調整一巡感を強めている。出直りを期待したい。

■関節機能改善剤アルツなど糖質科学分野が主力の医薬品メーカー

 糖質科学分野が主力の医薬品メーカーで、国内医薬品(関節機能改善剤アルツ、白内障手術補助剤オペガン、内視鏡用粘膜下注入材ムコアップ)、海外医薬品(米国向け単回投与関節機能改善剤Gel−One、米国向け3回投与関節機能改善剤VISCO−3、米国向け5回投与関節機能改善剤SUPARTZ−FX、中国向けアルツ)、医薬品原体(ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸)、LAL事業(エンドトキシン測定用試薬関連)を展開している。

■新薬開発は糖質科学分野に焦点

 研究開発は糖質科学分野(糖鎖や複合糖質を研究する科学分野)に焦点を絞り、開発中の新薬には腰椎椎間板ヘルニア治療剤SI−6603(コンドリアーゼ)、変形性膝関節症改善剤SI−613(ジクロフェナク結合ヒアルロン酸)、腱・靱帯付着部症を対象としたSI−613−ETP、ドライアイ治療剤SI−614(修飾ヒアルロン酸)、癒着防止材SI−449(コンドロイチン硫酸架橋体)がある。

 腰椎椎間板ヘルニア治療剤SI−6603は、日本で18年3月製造販売承認を取得し、日本における独占的販売契約を締結している科研製薬<4521>が18年8月から販売開始した。適正使用を推進しながら段階的な普及を目指す。また16年8月にはスイスのフェリング社とSI−6603の日本を除く全世界におけるライセンス契約を締結している。フェリング社から開発・販売等の進捗に応じて複数年にわたり、最大で90百万米ドルのマイルストーン型ロイヤルティを受領する。

 なお米国で実施したSI−6603第3相臨床試験について、17年11月に下肢痛軽減において統計学的に有意な改善効果が認められなかったと発表したが、18年2月には第3相臨床の追加試験を開始している。

 変形性膝関節症治療剤SI−613は、17年2月日本で第3相臨床試験を開始、17年6月米国で第2相臨床試験を開始した。17年9月には小野薬品工業<4528>と日本における共同開発・販売提携に関する契約を締結した。小野薬品から契約締結一時金として20億円を受領するとともに、最大で総額100億円のマイルストーン型ロイヤルティを受領する。また17年9月には日本で、腱・靱帯付着部症を対象としたSI−613−ETPの後期第2相臨床試験を開始した。

 ドライアイ治療剤SI−614は、米国・欧州で15年1月第2・3相試験が終了し、次相試験について検討中である。また癒着防止材SI−449は18年5月、日本でパイロット試験を開始した。

■19年3月期は薬価改定などで減益予想だが上振れ余地

 19年3月期連結業績予想は、売上高が18年3月期比6.9%減の281億円、営業利益が71.9%減の4億円、経常利益が57.8%減の22億50百万円、純利益が56.7%減の17億円としている。想定為替レートは1米ドル=105円、為替感応度(1円変動時の影響額)は売上高で約1億10百万円、営業利益で約55百万円としている。配当予想は18年3月期と同額の年間26円(第2四半期末13円、期末13円)としている。予想配当性向は86.6%となる。

 事業別売上高の計画は、国内医薬品が9.8%減の145億50百万円、海外医薬品が7.2%減の66億円、医薬品原体が5.5%減の9億50百万円、LAL事業が1.2%増の60億円としている。

 コスト面で研究開発費が減少(16.2%減の70億50百万円)するが、国内薬価改定や円高影響で、減収および原価率上昇(3.8ポイント上昇の46.9%)を見込み営業減益予想である。経常利益と純利益は受取ロイヤリティーの減少(18年3月期は小野薬品から一時金20億円受領)も影響する。

 第2四半期累計は、売上高が前年同期比8.0%減の142億56百万円、営業利益が56.6%減の9億63百万円、経常利益が48.4%増の24億75百万円、純利益が46.1%減の19億12百万円だった。

 売上面では、LAL事業がエンドトキシン測定用試薬の好調で13.0%増収だったが、国内医薬品がアルツの薬価引き下げの影響で17.5%減収、海外医薬品が米国向けSUPARTZ FXの前年同期の出荷増の反動で4.4%減収となり、全体として減収だった。利益面では、国内薬価引き下げの影響で原価率が3.6ポイント上昇し、受取ロイヤリティーの減少も影響して大幅減益だった。

 第2四半期累計の進捗率は売上高が50.7%、営業利益が241.0%、経常利益が110.0%、純利益が112.5%と高水準である。研究開発費が下期に増加(上期実績32億87百万円、下期計画37億63百万円)するため通期減益予想を据え置いたが、為替が想定より円安に推移していることもあり、上振れ余地がありそうだ。

■株価は調整一巡して出直り期待

 株価は地合い悪化も影響して9月の戻り高値1786円から反落したが、1600円近辺で調整一巡感を強めている。出直りを期待したい。

 11月16日の終値は1565円、今期予想連結PER(会社予想連結EPS30円11銭で算出)は約52倍、今期予想配当利回り(会社予想の年間26円で算出)は約1.7%、前期実績連結PBR(前期実績連結BPS1306円37銭で算出)は約1.2倍、時価総額は約889億円である。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media−IR)
[10月04日更新]

生化学工業は戻り歩調で上値試す、19年3月期減益予想だが上振れ余地

 生化学工業<4548>(東1)は関節機能改善剤アルツが主力の医薬品メーカーである。19年3月期は国内での薬価改定の影響、円高の影響、受取ロイヤリティーの減少で減益予想だが、第1四半期の進捗率は高水準であり、通期予想に上振れ余地がありそうだ。株価は7月の年初来安値から下値を切り上げて戻り歩調だ。上値を試す展開が期待される。なお11月7日に第2四半期決算発表を予定している。

■関節機能改善剤アルツなど糖質科学分野が主力の医薬品メーカー

 糖質科学分野が主力の医薬品メーカーで、国内医薬品(関節機能改善剤アルツ、白内障手術補助剤オペガン、内視鏡用粘膜下注入材ムコアップ)、海外医薬品(米国向け単回投与関節機能改善剤Gel−One、米国向け3回投与関節機能改善剤VISCO−3、米国向け5回投与関節機能改善剤SUPARTZ−FX、中国向けアルツ)、医薬品原体(ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸)、LAL事業(エンドトキシン測定用試薬関連)を展開している。
■新薬開発は糖質科学分野に焦点

 研究開発は糖質科学分野(糖鎖や複合糖質を研究する科学分野)に焦点を絞り、開発中の新薬には腰椎椎間板ヘルニア治療剤SI−6603(コンドリアーゼ)、変形性膝関節症改善剤SI−613(NSAID結合ヒアルロン酸)、ドライアイ治療剤SI−614(修飾ヒアルロン酸)、癒着防止材SI−449がある。

 腰椎椎間板ヘルニア治療剤SI−6603は、日本で18年3月製造販売承認を取得し、日本における独占的販売契約を締結している科研製薬<4521>が18年8月から販売開始した。適正使用を推進しながら段階的な普及を目指す。また16年8月にはスイスのフェリング社とSI−6603の日本を除く全世界におけるライセンス契約を締結している。フェリング社から開発・販売等の進捗に応じて複数年にわたり、最大で90百万米ドルのマイルストーン型ロイヤルティを受領する。

 なお米国で実施したSI−6603第3相臨床試験について、17年11月に下肢痛軽減において統計学的に有意な改善効果が認められなかったと発表したが、18年2月には第3相臨床の追加試験を開始している。

 変形性膝関節症治療剤SI−613は、17年2月日本で第3相臨床試験を開始、17年6月米国で第2相臨床試験を開始した。17年9月には小野薬品工業<4528>と日本における共同開発・販売提携に関する契約を締結した。小野薬品から契約締結一時金として20億円を受領するとともに、最大で総額100億円のマイルストーン型ロイヤルティを受領する。また17年9月には日本で、腱・靱帯付着部症を対象とした後期第2相臨床試験(SI−613−ETP)を開始した。

 ドライアイ治療剤SI−614は、米国・欧州で15年1月第2・3相試験が終了し、次相試験について検討中である。また癒着防止材SI−449は18年5月、日本でパイロット試験を開始した。

■19年3月期は薬価改定などで減益予想だが上振れ余地

 19年3月期連結業績予想は、売上高が18年3月期比6.9%減の281億円、営業利益が71.9%減の4億円、経常利益が57.8%減の22億50百万円、純利益が56.7%減の17億円としている。想定為替レートは1米ドル=105円、為替感応度(1円変動時の影響額)は売上高で約1億10百万円、営業利益で約55百万円としている。配当予想は18年3月期と同額の年間26円(第2四半期末13円、期末13円)としている。予想配当性向は86.6%となる。

 事業別売上高の計画は、国内医薬品が9.8%減の145億50百万円、海外医薬品が7.2%減の66億円、医薬品原体が5.5%減の9億50百万円、LAL事業が1.2%増の60億円としている。

 コスト面で研究開発費が減少(16.2%減の70億50百万円)するが、国内薬価改定や円高影響で、減収および原価率上昇(3.8ポイント上昇の46.9%)を見込み営業減益予想である。経常利益と純利益は受取ロイヤリティーの減少(18年3月期は小野薬品から一時金20億円受領)も影響する。

 第1四半期は、売上高が前年同期比3.7%減の72億26百万円で、営業利益が39.3%減の5億30百万円、経常利益が23.7%増の15億54百万円、純利益が30.4%増の12億04百万円だった。

 国内医薬品がアルツの薬価引き下げ(14.3%)の影響などで15.0%減収となり、全体として減収だった。ただし海外医薬品は米国向けSUPARTZ−FXの出荷集中などで4.6%増収、医薬品原体はコンドロイチン硫酸の増加で15.9%増収、LAL事業はエンドトキシン測定用試薬の増加で15.3%増収だった。

 営業利益は減益だった。研究開発費が前年同期並みの15億63百万円だったが、国内薬価引き下げの影響で原価率が上昇し、海外子会社の販管費増加も影響した。経常利益と純利益は増益だった。営業外での投資有価証券売却益、および受取ロイヤリティーが増加した。

 第1四半期の進捗率は売上高が25.7%、営業利益が132.6%、経常利益が69.1%、純利益が70.8%と高水準である。通期減益予想だが、為替が想定より円安に推移していることもあり、上振れ余地がありそうだ。

■株価は戻り歩調

 株価は7月の年初来安値1383円から下値を切り上げて戻り歩調だ。9月26日には1786円まで上伸している。

 10月3日の終値は1712円、今期予想連結PER(会社予想連結EPS30円11銭で算出)は約57倍、今期予想配当利回り(会社予想の年間26円で算出)は約1.5%、前期実績連結PBR(前期実績連結BPS1306円37銭で算出)は約1.3倍、時価総額は約973億円である。

 週足チャートで見ると26週移動平均線を突破して基調転換を確認した形だ。上値を試す展開が期待される。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media−IR)
[09月04日更新]

生化学工業は戻り歩調、19年3月期減益予想だが1Qが高進捗率

 生化学工業<4548>(東1)は関節機能改善剤アルツが主力の医薬品メーカーである。19年3月期は国内での薬価改定の影響、円高の影響、受取ロイヤリティーの減少で減益予想だが、第1四半期の進捗率は高水準だった。通期予想に上振れ余地がありそうだ。株価は戻り歩調だ。

■関節機能改善剤アルツなど糖質科学分野が主力の医薬品メーカー

 糖質科学分野が主力の医薬品メーカーで、国内医薬品(関節機能改善剤アルツ、白内障手術補助剤オペガン、内視鏡用粘膜下注入材ムコアップ)、海外医薬品(米国向け単回投与関節機能改善剤Gel−One、米国向け3回投与関節機能改善剤VISCO−3、米国向け5回投与関節機能改善剤SUPARTZ−FX、中国向けアルツ)、医薬品原体(ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸)、LAL事業(エンドトキシン測定用試薬関連)を展開している。

■新薬開発は糖質科学分野に焦点

 研究開発は糖質科学分野(糖鎖や複合糖質を研究する科学分野)に焦点を絞り、開発中の新薬には腰椎椎間板ヘルニア治療剤SI−6603(コンドリアーゼ)、変形性膝関節症改善剤SI−613(NSAID結合ヒアルロン酸)、ドライアイ治療剤SI−614(修飾ヒアルロン酸)、癒着防止材SI−449がある。

 腰椎椎間板ヘルニア治療剤SI−6603は、日本で18年3月製造販売承認を取得し、日本における独占的販売契約を締結している科研製薬<4521>が18年8月から販売開始した。適正使用を推進しながら段階的な普及を目指す。

 また16年8月にはスイスのフェリング社と、SI−6603の日本を除く全世界におけるライセンス契約を締結した。フェリング社から今後の開発や販売等の進捗に応じて複数年にわたり、最大で90百万米ドルのマイルストーン型ロイヤルティを受領する。

 なお米国で実施したSI−6603第3相臨床試験について、17年11月に下肢痛軽減において統計学的に有意な改善効果が認められなかったと発表したが、18年2月には第3相臨床の追加試験を開始している。

 変形性膝関節症治療剤SI−613は、17年2月日本で第3相臨床試験を開始、17年6月米国で第2相臨床試験を開始した。17年9月には小野薬品工業<4528>と日本における共同開発・販売提携に関する契約を締結した。小野薬品から契約締結一時金として20億円を受領するとともに、最大で総額100億円のマイルストーン型ロイヤルティを受領する。また17年9月には日本で、腱・靱帯付着部症を対象とした後期第2相臨床試験(SI−613−ETP)を開始した。

 ドライアイ治療剤SI−614は、米国・欧州で15年1月第2・3相試験が終了し、次相試験について検討中である。また癒着防止材SI−449は18年5月、日本でパイロット試験を開始した。

■19年3月期は薬価改定などで減益予想だが1Qが高進捗率

 19年3月期連結業績予想は、売上高が18年3月期比6.9%減の281億円、営業利益が71.9%減の4億円、経常利益が57.8%減の22億50百万円、純利益が56.7%減の17億円としている。想定為替レートは1米ドル=105円、為替感応度(1円変動時の影響額)は売上高で約1億10百万円、営業利益で約55百万円としている。配当予想は18年3月期と同額の年間26円(第2四半期末13円、期末13円)としている。予想配当性向は86.6%となる。

 事業別売上高の計画は、国内医薬品が9.8%減の145億50百万円、海外医薬品が7.2%減の66億円、医薬品原体が5.5%減の9億50百万円、LAL事業が1.2%増の60億円としている。

 研究開発費は減少(16.2%減の70億50百万円)するが、国内薬価改定や円高影響で、減収および原価率上昇(3.8ポイント上昇の46.9%)を見込み、営業減益予想である。経常利益と純利益は受取ロイヤリティーの減少(18年3月期は小野薬品から一時金20億円受領)も影響する。

 第1四半期は、売上高が前年同期比3.7%減の72億26百万円で、営業利益が39.3%減の5億30百万円、経常利益が23.7%増の15億54百万円、純利益が30.4%増の12億04百万円だった。

 国内医薬品がアルツの薬価引き下げ(14.3%)の影響などで15.0%減収となり、全体として減収だった。ただし海外医薬品は米国向けSUPARTZ−FXの出荷集中などで4.6%増収、医薬品原体はコンドロイチン硫酸の増加で15.9%増収、LAL事業はエンドトキシン測定用試薬の増加で15.3%増収だった。

 営業利益は減益だった。研究開発費が前年同期並みの15億63百万円だったが、国内薬価引き下げの影響で原価率が上昇し、海外子会社の販管費増加も影響した。経常利益と純利益は増益だった。営業外での投資有価証券売却益、および受取ロイヤリティーが増加した。

 第1四半期の進捗率は売上高が25.7%、営業利益が132.6%、経常利益が69.1%、純利益が70.8%と高水準である。通期減益予想だが、為替が想定より円安に推移していることもあり、上振れ余地がありそうだ。

■株価は戻り歩調

 株価は8月の戻り高値1670円から一旦反落したが、7月の年初来安値1383円から下値を切り上げて戻り歩調だ。

 9月3日の終値は1565円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS30円11銭で算出)は約52倍、今期予想配当利回り(会社予想の年間26円で算出)は約1.7%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS1306円37銭で算出)は約1.2倍、時価総額は約889億円である。

 週足チャートで見ると13週移動平均線を突破した。出直りを期待したい。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media−IR)
[08月06日更新]

生化学工業は急反発して戻り歩調、19年3月期減益予想だが1Qが高進捗率

 生化学工業<4548>(東1)は関節機能改善剤アルツが主力の医薬品メーカーである。19年3月期は国内での薬価改定の影響、円高の影響、受取ロイヤリティーの減少で減益予想だが、第1四半期の進捗率は高水準だった。通期予想に上振れ余地がありそうだ。株価は急反発して戻り歩調だ。

■関節機能改善剤アルツなど糖質科学分野が主力の医薬品メーカー

 糖質科学分野が主力の医薬品メーカーで、国内医薬品(関節機能改善剤アルツ、白内障手術補助剤オペガン、内視鏡用粘膜下注入材ムコアップ)、海外医薬品(米国向け単回投与関節機能改善剤Gel−One、米国向け3回投与関節機能改善剤VISCO−3、米国向け5回投与関節機能改善剤SUPARTZ−FX、中国向けアルツ)、医薬品原体(ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸)、LAL事業(エンドトキシン測定用試薬関連)を展開している。

■新薬開発は糖質科学分野に焦点

 研究開発は糖質科学分野(糖鎖や複合糖質を研究する科学分野)に焦点を絞り、開発中の新薬には腰椎椎間板ヘルニア治療剤SI−6603(コンドリアーゼ)、変形性膝関節症改善剤SI−613(NSAID結合ヒアルロン酸)、ドライアイ治療剤SI−614(修飾ヒアルロン酸)がある。

 腰椎椎間板ヘルニア治療剤SI−6603は、日本で18年3月製造販売承認を取得し、日本における独占的販売契約を締結している科研製薬<4521>が8月1日から販売開始した。適正使用を推進しながら段階的な普及を目指す。

 また16年8月にはスイスのフェリング社と、SI−6603の日本を除く全世界におけるライセンス契約を締結している。フェリング社から今後の開発や販売等の進捗に応じて複数年にわたり、最大で90百万米ドルのマイルストーン型ロイヤルティを受領する。

 なお米国で実施したSI−6603第3相臨床試験について、17年11月に主要評価項目である投与後13週での下肢痛軽減において統計学的に有意な改善効果が認められなかったと発表したが、18年2月には第3相臨床試験(追加試験)を開始した。

 変形性膝関節症治療剤SI−613は、17年2月日本で第3相臨床試験を開始、17年6月米国で第2相臨床試験を開始した。17年9月には小野薬品工業<4528>と日本における共同開発・販売提携に関する契約を締結した。小野薬品から契約締結一時金として20億円を受領するとともに、最大で総額100億円のマイルストーン型ロイヤルティを受領する。また17年9月には日本で、腱・靱帯付着部症を対象とした後期第2相臨床試験(SI−613−ETP)を開始した。

 ドライアイ治療剤SI−614は、米国・欧州で15年1月第2・3相試験が終了し、次相試験について検討中である。また癒着防止材SI−449は18年5月、日本でパイロット試験を開始した。

■19年3月期は薬価改定などで減益予想だが1Qが高進捗率

 19年3月期連結業績予想は、売上高が18年3月期比6.9%減の281億円、営業利益が71.9%減の4億円、経常利益が57.8%減の22億50百万円、純利益が56.7%減の17億円としている。想定為替レートは1米ドル=105円、為替感応度(1円変動時の影響額)は売上高で約1億10百万円、営業利益で約55百万円としている。配当予想は18年3月期と同額の年間26円(第2四半期末13円、期末13円)で、予想配当性向は86.6%となる。

 事業別売上高の計画は、国内医薬品が9.8%減の145億50百万円、海外医薬品が7.2%減の66億円、医薬品原体が5.5%減の9億50百万円、LAL事業が1.2%増の60億円としている。

 研究開発費は減少(16.2%減の70億50百万円)するが、国内薬価改定や円高影響で、減収および原価率上昇(3.8ポイント上昇の46.9%)を見込み、営業減益予想である。経常利益と純利益は受取ロイヤリティーの減少(18年3月期は小野薬品から一時金20億円受領)も影響する。

 第1四半期は、売上高が前年同期比3.7%減の72億26百万円で、営業利益が39.3%減の5億30百万円、経常利益が23.7%増の15億54百万円、純利益が30.4%増の12億04百万円だった。

 国内医薬品がアルツの薬価引き下げ(14.3%)の影響などで15.0%減収となり、全体として減収だった。ただし海外医薬品は米国向けSUPARTZ−FXの出荷集中などで4.6%増収、医薬品原体はコンドロイチン硫酸の増加で15.9%増収、LAL事業はエンドトキシン測定用試薬の増加で15.3%増収だった。

 営業利益は減益だった。研究開発費が前年同期並みの15億63百万円だったが、国内薬価引き下げの影響で原価率が上昇し、海外子会社の販管費増加も影響した。経常利益と純利益は増益だった。営業外で投資有価証券売却益、および受取ロイヤリティーが増加した。

 第1四半期の進捗率は売上高が25.7%、営業利益が132.6%、経常利益が69.1%、純利益が70.8%と高水準である。通期減益予想で中期経営計画目標値(19年3月期売上高320億円、営業利益25億円、経常利益45億円)が計画未達となる見込みだが、為替が想定より円安に推移していることもあり、上振れ余地がありそうだ。

■株価は急反発して戻り歩調

 株価は7月6日の年初来安値1383円から急反発して戻り歩調だ。8月1日には1670円まで上伸した。

 8月3日の終値は1549円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS30円11銭で算出)は約51倍、今期予想配当利回り(会社予想の年間26円で算出)は約1.7%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS1306円37銭で算出)は約1.2倍、時価総額は約880億円である。

 週足チャートで見ると13週移動平均線突破の動きを強めている。出直りを期待したい。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media−IR)
[07月10日更新]

生化学工業は売り一巡して底打ち、19年3月期大幅減益予想だが上振れ余地

 生化学工業<4548>(東1)は関節機能改善剤アルツが主力の医薬品メーカーである。19年3月期は国内での薬価改定の影響、円高の影響、受取ロイヤリティーの減少で大幅減益予想としているが、為替が想定より円安に推移して上振れ余地がありそうだ。株価は売り一巡して底打ち感を強めている。反発を期待したい。なお7月31日に第1四半期決算発表を予定している。

■関節機能改善剤アルツなど糖質科学分野が主力の医薬品メーカー

 糖質科学分野が主力の医薬品メーカーで、国内医薬品(関節機能改善剤アルツ、白内障手術補助剤オペガン、内視鏡用粘膜下注入材ムコアップ)、海外医薬品(米国向け単回投与関節機能改善剤Gel−One、米国向け3回投与関節機能改善剤VISCO−3、米国向け5回投与関節機能改善剤SUPARTZ−FX、中国向けアルツ)、医薬品原体(ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸)、LAL事業(エンドトキシン測定用試薬関連)を展開している。

■新薬開発は糖質科学分野に焦点

 研究開発は糖質科学分野(糖鎖や複合糖質を研究する科学分野)に焦点を絞り、開発中の新薬には腰椎椎間板ヘルニア治療剤SI−6603(コンドリアーゼ)、変形性膝関節症改善剤SI−613(NSAID結合ヒアルロン酸)、ドライアイ治療剤SI−614(修飾ヒアルロン酸)がある。

 腰椎椎間板ヘルニア治療剤SI−6603は、日本で18年3月製造販売承認を取得した。日本における独占的販売契約を締結している科研製薬<4521>から18年8月発売予定である。

 また16年8月にはスイスのフェリング社と、SI−6603の日本を除く全世界におけるライセンス契約を締結している。フェリング社から今後の開発や販売等の進捗に応じて複数年にわたり、最大で90百万米ドルのマイルストーン型ロイヤルティを受領する。

 なお米国で実施したSI−6603第3相臨床試験について、17年11月に主要評価項目である投与後13週での下肢痛軽減において統計学的に有意な改善効果が認められなかったと発表したが、18年2月には米国における第3相臨床試験(追加試験)の開始を発表している。本追加試験における症例登録開始は19年3月期第1四半期を予定している。

 変形性膝関節症治療剤SI−613は米国を含めたグローバル展開を目指す製品と位置付けている。17年2月日本で第3相臨床試験を開始、17年6月米国で第2相臨床試験を開始した。また17年9月小野薬品工業<4528>と日本における共同開発・販売提携に関する契約を締結した。小野薬品から契約締結一時金として20億円を受領するとともに、今後の開発や販売等の進捗に応じて複数年にわたり最大で総額100億円のマイルストーン型ロイヤルティを受領する。

 また17年9月には日本で、SI−613の腱・靱帯付着部症を対象とした後期第2相臨床試験(SI−613−ETP)を開始している。

 ドライアイ治療剤SI−614は、米国・欧州で15年1月第2・3相試験が終了し、次相試験について検討中である。

■19年3月期は薬価改定や円高影響などで大幅減益予想

 19年3月期連結業績予想は、売上高が18年3月期比6.9%減の281億円、営業利益が71.9%減の4億円、経常利益が57.8%減の22億50百万円、純利益が56.7%減の17億円としている。想定為替レートは1米ドル=105円、為替感応度(1円変動時の影響額)は売上高で約1億10百万円、営業利益で約55百万円としている。

 事業別売上高の計画は、国内医薬品が9.8%減の145億50百万円、海外医薬品が7.2%減の66億円、医薬品原体が5.5%減の9億50百万円、LAL事業が1.2%増の60億円としている。

 研究開発費は減少(16.2%減の70億50百万円)するが、国内薬価改定や円高影響で、減収および原価率上昇(3.8ポイント上昇の46.9%)を見込み、大幅営業減益予想である。経常利益と純利益は受取ロイヤリティーの減少(18年3月期は小野薬品から一時金20億円受領)も影響する。

 なお中期経営計画の経営目標値(19年3月期売上高320億円、営業利益25億円、経常利益45億円)は計画未達となる見込みだ。ただし為替が想定より円安に推移して上振れ余地がありそうだ。

 配当予想は18年3月期と同額の年間26円(第2四半期末13円、期末13円)としている。予想配当性向は86.6%となる。なお6月14日発表の自己株式取得(上限20万株・4億円、取得期間18年6月15日〜18年7月20日)は、7月4日までに累計20万株を取得して終了した。

■株価は売り一巡して底打ち感

 株価は19年3月期大幅減益予想を嫌気して水準を切り下げたが、7月6日の直近安値1383円から切り返す動きだ。売り一巡して底打ち感を強めている。

 7月9日の終値1427円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想連結EPS30円03銭で算出)は約48倍、今期予想配当利回り(会社予想の年間26円で算出)は約1.8%、前期実績連結PBR(前期実績連結BPS1306円37銭で算出)は約1.1倍である。時価総額は約811億円である。

 週足チャートで見ると安値圏で陽線を立てた。反発を期待したい。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media−IR)
[06月14日更新]

生化学工業は19年3月期大幅減益予想だが売り一巡

 生化学工業<4548>(東1)は関節機能改善剤アルツが主力の医薬品メーカーである。19年3月期は国内での薬価改定の影響、円高の影響、受取ロイヤリティーの減少で大幅減益予想としている。株価は売り一巡感を強めている。底打ちして反発を期待したい。

■関節機能改善剤アルツなど糖質科学分野が主力の医薬品メーカー

 糖質科学分野が主力の医薬品メーカーで、国内医薬品(関節機能改善剤アルツ、白内障手術補助剤オペガン、内視鏡用粘膜下注入材ムコアップ)、海外医薬品(米国向け単回投与関節機能改善剤Gel−One、米国向け3回投与関節機能改善剤VISCO−3、米国向け5回投与関節機能改善剤SUPARTZ−FX、中国向けアルツ)、医薬品原体(ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸)、LAL事業(エンドトキシン測定用試薬関連)を展開している。

■新薬開発は糖質科学分野に焦点

 研究開発は糖質科学分野(糖鎖や複合糖質を研究する科学分野)に焦点を絞り、開発中の新薬には腰椎椎間板ヘルニア治療剤SI−6603(コンドリアーゼ)、変形性膝関節症改善剤SI−613(NSAID結合ヒアルロン酸)、ドライアイ治療剤SI−614(修飾ヒアルロン酸)がある。
 腰椎椎間板ヘルニア治療剤SI−6603は、日本で18年3月製造販売承認を取得した。日本における独占的販売契約を締結している科研製薬<4521>から18年8月発売予定である。

 また16年8月にはスイスのフェリング社と、SI−6603の日本を除く全世界におけるライセンス契約を締結している。フェリング社から今後の開発や販売等の進捗に応じて複数年にわたり、最大で90百万米ドルのマイルストーン型ロイヤルティを受領する。

 なお米国で実施したSI−6603第3相臨床試験について、17年11月に主要評価項目である投与後13週での下肢痛軽減において統計学的に有意な改善効果が認められなかったと発表したが、18年2月には米国における第3相臨床試験(追加試験)の開始を発表している。本追加試験における症例登録開始は19年3月期第1四半期を予定している。

 変形性膝関節症治療剤SI−613は米国を含めたグローバル展開を目指す製品と位置付けている。17年2月日本で第3相臨床試験を開始、17年6月米国で第2相臨床試験を開始した。また17年9月小野薬品工業<4528>と日本における共同開発・販売提携に関する契約を締結した。小野薬品から契約締結一時金として20億円を受領するとともに、今後の開発や販売等の進捗に応じて複数年にわたり最大で総額100億円のマイルストーン型ロイヤルティを受領する。

 なお17年9月に日本で、SI−613の腱・靱帯付着部症を対象とした後期第2相臨床試験(SI−613−ETP)を開始した。

 ドライアイ治療剤SI−614は、米国・欧州で15年1月第2・3相試験が終了し、次相試験について検討中である。

■19年3月期は薬価改定や円高影響などで大幅減益予想

 19年3月期連結業績予想は、売上高が18年3月期比6.9%減の281億円、営業利益が71.9%減の4億円、経常利益が57.8%減の22億50百万円、純利益が56.7%減の17億円としている。想定為替レートは1米ドル=105円、為替感応度(1円変動時の影響額)は売上高で約1億10百万円、営業利益で約55百万円としている。

 事業別売上高の計画は、国内医薬品が9.8%減の145億50百万円、海外医薬品が7.2%減の66億円、医薬品原体が5.5%減の9億50百万円、LAL事業が1.2%増の60億円としている。

 研究開発費は減少(16.2%減の70億50百万円)するが、国内薬価改定や円高影響で、減収および原価率上昇(3.8ポイント上昇の46.9%)を見込み、大幅営業減益予想である。経常利益と純利益は受取ロイヤリティーの減少(18年3月期は小野薬品から一時金20億円受領)も影響する。

 なお中期経営計画の経営目標値(19年3月期売上高320億円、営業利益25億円、経常利益45億円)は計画未達となる見込みだ。

 19年3月期の配当予想は、18年3月期と同額の年間26円(第2四半期末13円、期末13円)としている。予想配当性向は86.6%となる。

■株価は売り一巡して底打ち

 株価は19年3月期大幅減益予想を嫌気して急落したが、1500円近辺で売り一巡感を強めている。

 6月13日の終値1582円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS30円03銭で算出)は約53倍、今期予想配当利回り(会社予想の年間26円で算出)は約1.6%、前期実績連結PBR(前期実績連の結BPS1306円37銭で算出)は約1.2倍である。時価総額は約899億円である。

 週足チャートで見ると安値圏の下ヒゲで底打ち感を強めている。反発を期待したい。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media−IR)
[5月18日更新]

生化学工業は19年3月期大幅減益予想で急落したが、目先的な売り一巡感

 生化学工業<4548>(東1)は関節機能改善剤アルツが主力の医薬品メーカーである。19年3月期は国内での薬価改定の影響、円高の影響、受取ロイヤリティーの減少で大幅減益予想としている。株価は急落したが、目先的な売り一巡感を強めている。

■関節機能改善剤アルツなど糖質科学分野が主力の医薬品メーカー

 糖質科学分野が主力の医薬品メーカーで、国内医薬品(関節機能改善剤アルツ、白内障手術補助剤オペガン、内視鏡用粘膜下注入材ムコアップ)、海外医薬品(米国向け単回投与関節機能改善剤Gel−One、米国向け3回投与関節機能改善剤VISCO−3、米国向け5回投与関節機能改善剤SUPARTZ−FX、中国向けアルツ)、医薬品原体(ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸)、LAL事業(エンドトキシン測定用試薬関連)を展開している。

■新薬開発は糖質科学分野に焦点

 研究開発は糖質科学分野(糖鎖や複合糖質を研究する科学分野)に焦点を絞り、開発中の新薬には腰椎椎間板ヘルニア治療剤SI−6603(コンドリアーゼ)、変形性膝関節症改善剤SI−613(NSAID結合ヒアルロン酸)、ドライアイ治療剤SI−614(修飾ヒアルロン酸)がある。

 腰椎椎間板ヘルニア治療剤SI−6603は、日本で18年3月製造販売承認を取得した。日本における独占的販売契約は12年12月に科研製薬<4521>と締結している。

 また16年8月にスイスのフェリング社と、SI−6603の日本を除く全世界におけるライセンス契約を締結している。フェリング社から今後の開発や販売等の進捗に応じて複数年にわたり、最大で90百万米ドルのマイルストーン型ロイヤルティを受領する。

 なお米国で実施したSI−6603第3相臨床試験について、17年11月に主要評価項目である投与後13週での下肢痛軽減において統計学的に有意な改善効果が認められなかったと発表したが、18年2月には米国における第3相臨床試験(追加試験)の開始を発表している。本追加試験における症例登録開始は19年3月期第1四半期を予定している。

 変形性膝関節症治療剤SI−613は米国を含めたグローバル展開を目指す製品と位置付けている。17年2月日本で第3相臨床試験を開始、17年6月米国で第2相臨床試験を開始した。また17年9月小野薬品工業<4528>と日本における共同開発・販売提携に関する契約を締結した。小野薬品から契約締結一時金として20億円を受領するとともに、今後の開発や販売等の進捗に応じて複数年にわたり最大で総額100億円のマイルストーン型ロイヤルティを受領する。

 なお17年9月に日本で、SI−613の腱・靱帯付着部症を対象とした後期第2相臨床試験(SI−613−ETP)を開始した。

 ドライアイ治療剤SI−614は、米国・欧州で15年1月第2・3相試験が終了し、次相試験について検討中である。

■19年3月期大幅減益予想

 18年3月期連結業績は、売上高が17年3月期比2.0%増の301億75百万円、営業利益が10.9%増の14億21百万円、経常利益が2.2倍の53億27百万円、純利益が2.2倍の39億22百万円だった。

 売上面では、国内医薬品はアルツの18年4月からの薬価改定を控えた買い控えなどで想定を下回り0.4%増収にとどまったが、海外医薬品が5.0%増収、LAL事業が9.1%増収好調に推移した。

 利益面では、アルツ新容器投入に伴う生産効率改善なども寄与して、営業利益が2桁増益だった。売上総利益率は56.9%で1.7ポイント上昇した。研究開発費は7.3%増の84億08百万円だった。経常利益と純利益は受取ロイヤルティの増加(小野薬品からの一時金20億円受領などで24億52百万円増加)が寄与して大幅増益だった。

 19年3月期連結業績予想は、売上高が18年3月期比6.9%減の281億円、営業利益が71.9%減の4億円、経常利益が57.8%減の22億50百万円、純利益が56.7%減の17億円としている。研究開発費は反動減となるが、国内での薬価改定や円高の影響で減収、原価率上昇(3.8ポイント上昇)を見込み、受取ロイヤリティーも減少して大幅減益予想である。

 想定為替レートは1米ドル=105円で、為替感応度は(1円変動時の影響額)は売上高で約1億10百万円、営業利益で約55百万円である。事業別売上は国内医薬品が9.8%減収、海外医薬品が7.2%減収、医薬品原体が5.5%減収、LAL事業が1.2%増収の計画としている。研究開発費は16.2%減の70億50百万円の計画である。

 なお中期経営計画の経営目標値(19年3月期売上高320億円、営業利益25億円、経常利益45億円)は計画未達となる見込みだ。

 18年3月期の配当は、17年3月期から創立70周年記念配当5円を落として、5円減配の年間26円(第2四半期末13円、期末13円)とした。19年3月期の配当予想は18年3月期と同額の年間26円(第2四半期末13円、期末13円)としている。予想配当性向は86.6%となる。

■株価は目先的な売り一巡感

 株価は19年3月期大幅減益予想を嫌気して急落する場面があったが、1600円近辺で下げ渋り、目先的な売り一巡感を強めている。

 5月17日の終値1642円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS30円03銭で算出)は約55倍、今期予想配当利回り(会社予想の年間26円で算出)は約1.6%、前期実績連結PBR(前期実績連の結BPS1306円37銭で算出)は約1.3倍である。時価総額は約933億円である。

 週足チャートで見ると1600円近辺が下値支持線の形だ。目先的な失望売り一巡して反発を期待したい。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media−IR)
[04月03日更新]

生化学工業は調整一巡感、SI−6603の国内製造販売承認を取得、18年3月期大幅増益予想

 生化学工業<4548>(東1)は関節機能改善剤アルツが主力の医薬品メーカーである。3月23日には腰椎椎間板ヘルニア治療剤SI−6603の国内製造販売承認取得を発表した。また3月30日には18年3月期業績予想の修正を発表して大幅増益予想である。株価は急伸した2月高値から反落したが調整一巡感を強めている。なお5月11日に18年3月期決算発表を予定している。

■関節機能改善剤アルツなど糖質科学分野が主力の医薬品メーカー

 糖質科学分野が主力の医薬品メーカーで、国内医薬品(関節機能改善剤アルツ、白内障手術補助剤オペガン、内視鏡用粘膜下注入材ムコアップ)、海外医薬品(米国向け単回投与関節機能改善剤Gel−One、米国向け3回投与関節機能改善剤VISCO−3、米国向け5回投与関節機能改善剤SUPARTZ−FX、中国向けアルツ)、医薬品原体(ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸)、LAL事業(エンドトキシン測定用試薬関連)を展開している。

 中期経営計画(17年3月期〜19年3月期)の経営目標値は、19年3月期売上高320億円、営業利益25億円、経常利益45億円としている。

■新薬開発は糖質科学分野に焦点

 研究開発は糖質科学分野(糖鎖や複合糖質を研究する科学分野)に焦点を絞り、開発中の新薬には腰椎椎間板ヘルニア治療剤SI−6603(コンドリアーゼ)、変形性膝関節症改善剤SI−613(NSAID結合ヒアルロン酸)、ドライアイ治療剤SI−614(修飾ヒアルロン酸)がある。

 腰椎椎間板ヘルニア治療剤SI−6603は、日本で14年1月に製造販売承認申請し、3月23日に国内製造販売承認取得を発表した。日本における独占的販売契約は12年12月に科研製薬<4521>と締結している。
 
 また16年8月にスイスのフェリング社と、SI−6603の日本を除く全世界におけるライセンス契約を締結している。フェリング社から今後の開発や販売等の進捗に応じて複数年にわたり、最大で90百万米ドルのマイルストーン型ロイヤルティを受領する。

 なお米国で実施したSI−6603第3相臨床試験について、17年11月に主要評価項目である投与後13週での下肢痛軽減において統計学的に有意な改善効果が認められなかったと発表したが、18年2月には米国における第3相臨床試験(追加試験)の開始を発表している。本追加試験における症例登録開始は19年3月期第1四半期を予定している。

 変形性膝関節症治療剤SI−613は米国を含めたグローバル展開を目指す製品と位置付けている。17年2月日本で第3相臨床試験を開始、17年6月米国で第2相臨床試験を開始した。また17年9月小野薬品工業<4528>と日本における共同開発・販売提携に関する契約を締結した。小野薬品から契約締結一時金として20億円を受領するとともに、今後の開発や販売等の進捗に応じて複数年にわたり最大で総額100億円のマイルストーン型ロイヤルティを受領する。

 なお17年9月にSI−613の腱・靱帯付着部症を対象とした後期第2相臨床試験(SI−613−ETP)を開始した。

 ドライアイ治療剤SI−614は、米国・欧州で15年1月第2・3相試験が終了し、次相試験について検討中である。

■18年3月期大幅増益予想

 18年3月期連結業績予想は3月30日に修正した。国内医薬品が想定を下回り売上高を2億円、営業利益を1億円減額したが、受取ロイヤルティの発生で経常利益を15億円、純利益を11億円増額した。

 修正後は売上高が17年3月期比1.7%増の301億円、営業利益が9.2%増の14億円、経常利益が2.1倍の52億50百万円、純利益が2.1倍の38億円とした。配当予想は前期から記念配当5円を落として年間26円(第2四半期末13円、期末13円)としている。予想配当性向は38.7%となる。

■株価は急伸後の調整一巡感

 株価は急伸した2月高値2236円から反落したが、1900円近辺から切り返して調整一巡感を強めている。

 4月2日の終値1963円を指標面で見ると、前期推定連結PER(会社予想の連結EPS67円13銭で算出)は29〜30倍近辺、前期推定配当利回り(会社予想の年間26円で算出)は1.3%近辺、前々期実績連結PBR(前々期実績連の結BPS1248円07銭で算出)は1.6倍近辺である。時価総額は約1115億円である。

 週足チャートで見ると13週移動平均線近辺から切り返してサポートラインを確認した形だ。調整一巡して上値を試す展開が期待される。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media−IR)
[03月09日更新]

生化学工業は急伸後の自律調整一巡感、18年3月期大幅増益予想

 生化学工業<4548>(東1)は関節機能改善剤アルツが主力の医薬品メーカーである。18年3月期は海外の好調が牽引して大幅増益予想である。なお18年2月には腰椎椎間板ヘルニア治療剤SI−6603の米国における第3相臨床試験(追加試験)の開始を発表している。株価は2月中旬に動意づいて急伸した。その後一旦反落したが、急伸後の自律調整一巡感を強めている。
 
■関節機能改善剤アルツなど糖質科学分野が主力の医薬品メーカー
 
 糖質科学分野が主力の医薬品メーカーで、国内医薬品(関節機能改善剤アルツ、白内障手術補助剤オペガン、内視鏡用粘膜下注入材ムコアップ)、海外医薬品(米国向け単回投与関節機能改善剤Gel−One、米国向け3回投与関節機能改善剤VISCO−3、米国向け5回投与関節機能改善剤SUPARTZ−FX、中国向けアルツ)、医薬品原体(ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸)、LAL事業(エンドトキシン測定用試薬関連)を展開している。
 
 中期経営計画(17年3月期〜19年3月期)の経営目標値は、19年3月期売上高320億円、営業利益25億円、経常利益45億円としている。
 
■新薬開発は糖質科学分野に焦点
 
 研究開発は糖質科学分野(糖鎖や複合糖質を研究する科学分野)に焦点を絞り、開発中の新薬には腰椎椎間板ヘルニア治療剤SI−6603(コンドリアーゼ)、変形性膝関節症改善剤SI−613(NSAID結合ヒアルロン酸)、ドライアイ治療剤SI−614(修飾ヒアルロン酸)がある。
 
 腰椎椎間板ヘルニア治療剤SI−6603は、日本で14年1月に製造販売承認申請して審査継続中である。16年8月にはスイスのフェリング社とSI−6603の日本を除く全世界におけるライセンス契約を締結した。フェリング社から契約一時金5百万米ドル、および今後の開発や販売等の進捗に応じて複数年にわたり最大で90百万米ドルのマイルストーン型ロイヤルティを受領する。日本における独占的販売契約は12年12月に科研製薬<4521>と締結している。
 
 なお17年11月、米国で実施したSI−6603第3相臨床試験について、薬理効果が認められた一方で、主要評価項目である投与後13週での下肢痛軽減において統計学的に有意な改善効果が認められなかったと発表した。今後は米国食品医薬品局(FDA)やライセンス先であるフェリング社と協議しながら、最速で再試験を開始すべく準備を進めるとしている。そして18年2月には米国における第3相臨床試験(追加試験)の開始を発表している。本追加試験における症例登録開始は19年3月期第1四半期を予定している。
 
 変形性膝関節症治療剤SI−613は米国を含めたグローバル展開を目指す製品と位置付けている。17年2月日本で第3相臨床試験を開始、17年6月米国で第2相臨床試験を開始した。また17年9月小野薬品工業<4528>と日本における共同開発・販売提携に関する契約を締結した。小野薬品から契約締結一時金として20億円を受領するとともに、今後の開発や販売等の進捗に応じて複数年にわたり最大で総額100億円のマイルストーン型ロイヤルティを受領する。
 
 なお17年9月にSI−613の腱・靱帯付着部症を対象とした後期第2相臨床試験(SI−613−ETP)を開始した。
 
 ドライアイ治療剤SI−614は、米国・欧州で15年1月第2・3相試験が終了し、次相試験について検討中である。
 
■18年3月期は海外の好調が牽引して大幅増益予想
 
 18年3月期連結業績予想は、売上高が17年3月期比2.4%増の303億円、営業利益が17.0%増の15億円、経常利益が51.4%増の37億50百万円、純利益が51.0%増の27億円としている。配当予想は前期から記念配当5円を落として年間26円(第2四半期末13円、期末13円)としている。予想配当性向は54.6%となる。
 
 国内医薬品は前期並みだが、米国Gel−Oneの出荷増加、LAL事業の米国子会社ACC社の売上拡大が牽引して大幅増益予想である。想定為替レートは1米ドル=108円で、為替感応度(米ドル1円変動時の年間影響額)は売上高で約1億10百万円、営業利益で約45百万円としている。営業外収益ではロイヤリティーの増加を見込んでいる。
 
 第3四半期累計は売上高が前年同期比5.8%増の234億01百万円、営業利益が3.6倍の31億31百万円、経常利益が2.9倍の58億89百万円、純利益が2.9倍の43億50百万円だった。
 
 売上高は国内医薬品が4.7%増の128億81百万円、海外医薬品が13.3%増の55億84百万円と好調だった。国内アルツは医療機関納入本数が微減だが、出荷タイミング要因などで増加した。米国Gel−Oneは、一部大口顧客への価格対応で現地販売価格低下の影響を受けたが、現地販売数量が2割弱増加した。出荷数量増に円安も寄与した。米国SUPARTZ−FXは、現地販売が微減だったが、販売提携先の現地在庫積み増しで増加した。なお医薬品原体は12.0%減の6億92百万円、LAL事業は3.3%増の42億43百万円だった。
 
 利益面では、増収効果に加えて、アルツ新容器投入に伴って生産効率が進展したこと、研究開発費の一部が第4四半期にズレ込んだこと、米国におけるSI−6603オープン試験費用が減少したことも寄与した。売上総利益率は58.3%で4.0ポイント上昇、販管費比率は44.9%で5.4ポイント低下した。営業外では受取ロイヤリティーが増加し、為替差損益が改善した。
 通期会社予想に対する第3四半期累計の進捗率は売上高が77.2%、営業利益が208.7%、経常利益が157.1%、純利益が161.1%である。研究開発費が第4四半期に集中することを考慮しても、通期ベースで好業績が期待される。
 
■株価は急伸後の自律調整一巡感
 
 株価は2月中旬に動意づき、1700円近辺でのモミ合いから2月23日2236円まで急伸した。その後一旦反落したが、急伸後の自律調整一巡感を強めている。
 
 3月8日の終値1994円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS47円65銭で算出)は41〜42倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間26円で算出)は1.3%近辺、前期実績連結PBR(前期実績連の結BPS1248円07銭で算出)は1.6倍近辺である。時価総額は約1133億円である。
 
 週足チャートで見ると13週移動平均線が26週移動平均線を上抜くゴールデンクロスが接近している。自律調整一巡して上値を試す展開が期待される。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media−IR)
[02月14日更新]

生化学工業は戻り歩調、18年3月期3Q累計大幅増益で通期も大幅増益予想

 生化学工業<4548>(東1)は関節機能改善剤アルツが主力の医薬品メーカーである。18年3月期第3四半期累計は大幅増益だった。海外の好調が牽引して通期も大幅増益予想である。株価は下値を切り上げて戻り歩調だ。そして地合い悪化の影響も限定的のようだ。
 
■関節機能改善剤アルツなど糖質科学分野が主力の医薬品メーカー
 
 糖質科学分野が主力の医薬品メーカーで、国内医薬品(関節機能改善剤アルツ、白内障手術補助剤オペガン、内視鏡用粘膜下注入材ムコアップ)、海外医薬品(米国向け単回投与関節機能改善剤Gel−One、米国向け3回投与関節機能改善剤VISCO−3、米国向け5回投与関節機能改善剤SUPARTZ−FX、中国向けアルツ)、医薬品原体(ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸)、LAL事業(エンドトキシン測定用試薬関連)を展開している。
 
 中期経営計画(17年3月期〜19年3月期)の経営目標値は、19年3月期売上高320億円、営業利益25億円、経常利益45億円としている。
■新薬開発は糖質科学分野に焦点
 
 研究開発は糖質科学分野(糖鎖や複合糖質を研究する科学分野)に焦点を絞り、開発中の新薬には腰椎椎間板ヘルニア治療剤SI−6603(コンドリアーゼ)、変形性膝関節症改善剤SI−613(NSAID結合ヒアルロン酸)、ドライアイ治療剤SI−614(修飾ヒアルロン酸)がある。
 
 腰椎椎間板ヘルニア治療剤SI−6603は、日本で14年1月に製造販売承認申請して審査継続中である。16年8月にはスイスのフェリング社とSI−6603の日本を除く全世界におけるライセンス契約を締結した。フェリング社から契約一時金5百万米ドル、および今後の開発や販売等の進捗に応じて複数年にわたり最大で90百万米ドルのマイルストーン型ロイヤルティを受領する。日本における独占的販売契約は12年12月に科研製薬<4521>と締結している。
 
 なお17年11月、米国で実施したSI−6603第3相臨床試験について、薬理効果が認められた一方で、主要評価項目である投与後13週での下肢痛軽減において統計学的に有意な改善効果が認められなかったと発表した。今後は米国食品医薬品局(FDA)やライセンス先であるフェリング社と協議しながら、最速で再試験を開始すべく準備を進めるとしている。
 
 変形性膝関節症治療剤SI−613は米国を含めたグローバル展開を目指す製品と位置付けている。17年2月日本で第3相臨床試験を開始、17年6月米国で第2相臨床試験を開始した。また17年9月小野薬品工業<4528>と日本における共同開発・販売提携に関する契約を締結した。小野薬品から契約締結一時金として20億円を受領するとともに、今後の開発や販売等の進捗に応じて複数年にわたり最大で総額100億円のマイルストーン型ロイヤルティを受領する。
 
 なお17年9月にSI−613の腱・靱帯付着部症を対象とした後期第2相臨床試験(SI−613−ETP)を開始した。
 
 ドライアイ治療剤SI−614は、米国・欧州で15年1月第2・3相試験が終了し、次相試験について検討中である。
 
■18年3月期3Q累計は研究開発費の一部ズレ込みも寄与して大幅増益
 
 今期(18年3月期)第3四半期累計の連結業績は売上高が前年同期比5.8%増の234億01百万円、営業利益が3.6倍の31億31百万円、経常利益が2.9倍の58億89百万円、純利益が2.9倍の43億50百万円だった。
 
 売上高は国内医薬品が4.7%増の128億81百万円、海外医薬品が13.3%増の55億84百万円と好調だった。国内アルツは医療機関納入本数が微減だが、出荷タイミング要因などで増加した。米国Gel−Oneは、一部大口顧客への価格対応で現地販売価格低下の影響を受けたが、現地販売数量が2割弱増加した。出荷数量増に円安も寄与した。米国SUPARTZ−FXは、現地販売が微減だったが、販売提携先の現地在庫積み増しで増加した。なお医薬品原体は12.0%減の6億92百万円、LAL事業は3.3%増の42億43百万円だった。
 
 利益面では、増収効果に加えて、アルツ新容器投入に伴って生産効率が進展したこと、研究開発費の一部が第4四半期にズレ込んだこと、米国におけるSI−6603オープン試験費用が減少したことも寄与した。売上総利益率は58.3%で4.0ポイント上昇、販管費比率は44.9%で5.4ポイント低下した。営業外では受取ロイヤリティーが増加し、為替差損益が改善した。
 
■18年3月期大幅増益予想、海外が牽引
 
 今期(18年3月期)連結業績予想(5月12日公表)は、売上高が前期(17年3月期)比2.4%増の303億円、営業利益が17.0%増の15億円、経常利益が51.4%増の37億50百万円、純利益が51.0%増の27億円としている。配当予想は前期から記念配当5円を落として年間26円(第2四半期末13円、期末13円)としている。予想配当性向は54.6%となる。
 
 国内医薬品は前期並みだが、米国Gel−Oneの出荷増加、LAL事業の米国子会社ACC社の売上拡大が牽引して大幅増益予想である。想定為替レートは1米ドル=108円で、為替感応度(米ドル1円変動時の年間影響額)は売上高で約1億10百万円、営業利益で約45百万円としている。営業外収益ではロイヤリティーの増加を見込んでいる。
 
 通期会社予想に対する第3四半期累計の進捗率は売上高が77.2%、営業利益が208.7%、経常利益が157.1%、純利益が161.1%である。研究開発費が第4四半期に集中することを考慮しても、通期ベースで好業績が期待される。
 
■株価は戻り歩調、地合い悪化の影響限定的
 
 株価は17年11月安値1535円から徐々に下値を切り上げている。2月5日には1592円まで調整する場面があったが、素早く切り返している。米国SI−6603臨床結果に対する失望売りが一巡して戻り歩調だ。そして地合い悪化の影響も限定的のようだ。
 
 2月13日の終値1738円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS47円65銭で算出)は36〜37倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間26円で算出)は1.5%近辺、前期実績連結PBR(前期実績連結BPS1248円07銭で算出)は1.4倍近辺である。時価総額は約987億円である。
 
 週足チャートで見ると13週移動平均線が上向きに転じて先高観を強めている。出直りが期待される。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media−IR)
 
[1月12日更新]

生化学工業は戻り歩調、18年3月期大幅増益予想
 
 生化学工業<4548>(東1)は関節機能改善剤アルツが主力の医薬品メーカーである。海外の好調が牽引して18年3月期大幅増益予想である。株価は米国でのSI−6603臨床結果に対する売りが一巡して戻り歩調だ。なお2月2日に第3四半期決算発表を予定している。
 
■関節機能改善剤アルツなど糖質科学分野が主力の医薬品メーカー
 
 糖質科学分野が主力の医薬品メーカーで、国内医薬品(関節機能改善剤アルツ、白内障手術補助剤オペガン、内視鏡用粘膜下注入材ムコアップ)、海外医薬品(米国向け単回投与関節機能改善剤Gel−One、米国向け3回投与関節機能改善剤VISCO−3、米国向け5回投与関節機能改善剤SUPARTZ−FX、中国向けアルツ)、医薬品原体(ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸)、LAL事業(エンドトキシン測定用試薬関連)を展開している。
 
 中期経営計画(17年3月期〜19年3月期)の経営目標値は、19年3月期売上高320億円、営業利益25億円、経常利益45億円としている。
 
■新薬開発は糖質科学分野に焦点
 
 研究開発は糖質科学分野(糖鎖や複合糖質を研究する科学分野)に焦点を絞り、開発中の新薬には腰椎椎間板ヘルニア治療剤SI−6603(コンドリアーゼ)、変形性膝関節症改善剤SI−613(NSAID結合ヒアルロン酸)、ドライアイ治療剤SI−614(修飾ヒアルロン酸)がある。
 
 腰椎椎間板ヘルニア治療剤SI−6603は、日本で14年1月に製造販売承認申請して審査継続中である。16年8月にはスイスのフェリング社とSI−6603の日本を除く全世界におけるライセンス契約を締結した。フェリング社から契約一時金5百万米ドル、および今後の開発や販売等の進捗に応じて複数年にわたり最大で90百万米ドルのマイルストーン型ロイヤルティを受領する。日本における独占的販売契約は12年12月に科研製薬<4521>と締結している。
 
 なお17年11月、米国で実施したSI−6603第3相臨床試験について、薬理効果が認められた一方で、主要評価項目である投与後13週での下肢痛軽減において統計学的に有意な改善効果が認められなかったと発表した。今後は米国食品医薬品局(FDA)やライセンス先であるフェリング社と協議しながら、最速で再試験を開始すべく準備を進めるとしている。
 
 変形性膝関節症治療剤SI−613は米国を含めたグローバル展開を目指す製品と位置付けている。17年2月日本で第3相臨床試験を開始、17年6月米国で第2相臨床試験を開始した。また17年9月小野薬品工業<4528>と日本における共同開発・販売提携に関する契約を締結した。小野薬品から契約締結一時金として20億円を受領するとともに、今後の開発や販売等の進捗に応じて複数年にわたり最大で総額100億円のマイルストーン型ロイヤルティを受領する。
 
 なお17年9月にSI−613の腱・靱帯付着部症を対象とした後期第2相臨床試験(SI−613−ETP)を開始した。
 
 ドライアイ治療剤SI−614は、米国・欧州で15年1月第2・3相試験が終了し、次相試験について検討中である。
 
■18年3月期は海外が牽引して大幅増益予想
 
 今期(18年3月期)連結業績予想(5月12日公表)は、売上高が前期(17年3月期)比2.4%増の303億円、営業利益が17.0%増の15億円、経常利益が51.4%増の37億50百万円、純利益が51.0%増の27億円としている。配当予想は前期から記念配当5円を落として年間26円(第2四半期末13円、期末13円)としている。予想配当性向は54.6%となる。
 
 国内医薬品は前期並みだが、米国向けGel−Oneの出荷増加、LAL事業の米国子会社ACC社の売上拡大が牽引して大幅増益予想である。想定為替レートは1米ドル=108円で、為替感応度(米ドル1円変動時の年間影響額)は売上高で約1億10百万円、営業利益で約45百万円としている。営業外収益ではロイヤリティーの増加を見込んでいる。
 
 第2四半期累計は、売上高が前年同期比2.7%増の154億95百万円、営業利益が2.8倍の22億18百万円、経常利益が3.5倍の47億94百万円、純利益が3.5倍の35億50百万円だった。
 
 国内は0.8%減収だが、海外が11.1%増収と好調だった。為替の円安、研究開発費の減少、受取ロイヤリティーの増加も寄与して大幅増益だった。売上総利益率は57.9%で1.5ポイント上昇、販管費比率は43.6%で7.7ポイント低下した。営業外では受取ロイヤリティーが増加し、為替差損益が改善した。
 
 通期会社予想に対する第2四半期累計の進捗率は売上高が51.1%、営業利益が147.9%、経常利益が127.9%、純利益が131.5%である。各利益は通期会社予想を超過達成しているが、研究開発費が第3四半期(10〜12月)以降に集中するとしている。
 
■株価は売り一巡して戻り歩調
 
 株価は17年11月安値1535円から徐々に下値を切り上げている。米国でのSI−6603臨床結果に対する売りが一巡して戻り歩調だ。そして1月11日には1744円まで上伸した。
 
 1月11日の終値1740円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS47円65銭で算出)は36〜37倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間26円で算出)は1.5%近辺、前期実績連結PBR(前期実績連結BPS1248円07銭で算出)は1.4倍近辺である。時価総額は約989億円である。
 
 週足チャートで見ると13週移動平均線突破の動きを強めている。出直りが期待される。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media−IR)
[12月15日更新]

生化学工業は売り一巡して下値固め完了、18年3月期大幅増益予想

生化学工業<4548>(東1)は関節機能改善剤アルツが主力の医薬品メーカーである。海外の好調が牽引して18年3月期大幅増益予想である。株価は米国におけるSI−6603臨床結果を受けて年初来高値圏から急反落したが、売り一巡して下値固めが完了したようだ。

■関節機能改善剤アルツなど糖質科学分野が主力の医薬品メーカー

 糖質科学分野が主力の医薬品メーカーで、国内医薬品(関節機能改善剤アルツ、白内障手術補助剤オペガン、内視鏡用粘膜下注入材ムコアップ)、海外医薬品(米国向け単回投与関節機能改善剤Gel−One、米国向け3回投与関節機能改善剤VISCO−3、米国向け5回投与関節機能改善剤SUPARTZ−FX、中国向けアルツ)、医薬品原体(ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸)、LAL事業(エンドトキシン測定用試薬関連)を展開している。

 中期経営計画(17年3月期〜19年3月期)の経営目標値は、19年3月期売上高320億円、営業利益25億円、経常利益45億円としている。

■新薬開発は糖質科学分野に焦点

 研究開発は糖質科学分野(糖鎖や複合糖質を研究する科学分野)に焦点を絞り、開発中の新薬には腰椎椎間板ヘルニア治療剤SI−6603(コンドリアーゼ)、変形性膝関節症改善剤SI−613(NSAID結合ヒアルロン酸)、ドライアイ治療剤SI−614(修飾ヒアルロン酸)がある。

 腰椎椎間板ヘルニア治療剤SI−6603は、日本で14年1月に製造販売承認申請して審査継続中である。16年8月にはスイスのフェリング社とSI−6603の日本を除く全世界におけるライセンス契約を締結した。フェリング社から契約一時金5百万米ドル、および今後の開発や販売等の進捗に応じて複数年にわたり最大で90百万米ドルのマイルストーン型ロイヤルティを受領する。日本における独占的販売契約は12年12月に科研製薬<4521>と締結している。

 なお17年11月、米国で実施したSI−6603第3相臨床試験について、薬理効果が認められた一方で、主要評価項目である投与後13週での下肢痛軽減において統計学的に有意な改善効果が認められなかったと発表した。今後は米国食品医薬品局(FDA)やライセンス先であるフェリング社と協議しながら、最速で再試験を開始すべく準備を進めるとしている。

 変形性膝関節症治療剤SI−613は米国を含めたグローバル展開を目指す製品と位置付けている。17年2月日本で第3相臨床試験を開始、17年6月米国で第2相臨床試験を開始した。また17年9月小野薬品工業<4528>と日本における共同開発・販売提携に関する契約を締結した。小野薬品から契約締結一時金として20億円を受領するとともに、今後の開発や販売等の進捗に応じて複数年にわたり最大で総額100億円のマイルストーン型ロイヤルティを受領する。

 なお17年9月にSI−613の腱・靱帯付着部症を対象とした後期第2相臨床試験(SI−613−ETP)を開始した。

 ドライアイ治療剤SI−614は、米国・欧州で15年1月第2・3相試験が終了し、次相試験について検討中である。

■18年3月期は海外が牽引して大幅増益予想

 今期(18年3月期)連結業績予想(5月12日公表)は、売上高が前期(17年3月期)比2.4%増の303億円、営業利益が17.0%増の15億円、経常利益が51.4%増の37億50百万円、純利益が51.0%増の27億円としている。配当予想は前期から記念配当5円を落として年間26円(第2四半期末13円、期末13円)としている。予想配当性向は54.6%となる。

 国内医薬品は前期並みだが、米国向けGel−Oneの出荷増加、LAL事業の米国子会社ACC社の売上拡大が牽引して大幅増益予想である。想定為替レートは1米ドル=108円で、為替感応度(米ドル1円変動時の年間影響額)は売上高で約1億10百万円、営業利益で約45百万円としている。営業外収益ではロイヤリティーの増加を見込んでいる。

 第2四半期累計は、売上高が前年同期比2.7%増の154億95百万円、営業利益が2.8倍の22億18百万円、経常利益が3.5倍の47億94百万円、純利益が3.5倍の35億50百万円だった。

 国内は0.8%減収だが、海外が11.1%増収と好調だった。為替の円安、研究開発費の減少、受取ロイヤリティーの増加も寄与して大幅増益だった。売上総利益率は57.9%で1.5ポイント上昇、販管費比率は43.6%で7.7ポイント低下した。営業外では受取ロイヤリティーが増加し、為替差損益が改善した。

 通期会社予想に対する第2四半期累計の進捗率は売上高が51.1%、営業利益が147.9%、経常利益が127.9%、純利益が131.5%である。各利益は通期会社予想を超過達成しているが、研究開発費が第3四半期(10〜12月)以降に集中するとしている。

■株価は売り一巡して下値固め完了

 株価は、米国におけるSI−6603臨床結果を受けて年初来高値圏2000円台から急反落したが、11月8日安値1535円から徐々に水準を切り上げている。売り一巡して下値固めが完了したようだ。

 12月14日の終値1696円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS47円65銭で算出)は35〜36倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間26円で算出)は1.5%近辺、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS1248円07銭で算出)は1.4倍近辺である。時価総額は約964億円である。

 週足チャートで見ると、大陰線を引いて一気に52週移動平均線を割り込んだが、1600円近辺で下値固め完了感を強めている。
(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media−IR)
[11月14日更新]

生化学工業はSI−6603臨床結果に対する売り一巡感、18年3月期2Q累計大幅増益で通期も大幅増益予想  
 生化学工業<4548>(東1)は関節機能改善剤アルツが主力の医薬品メーカーである。海外の好調が牽引して18年3月期第2四半期累計は大幅増益だった。株価は米国におけるSI−6603臨床結果を受けて年初来高値圏から急反落したが、売り一巡感を強めている。
 
■関節機能改善剤アルツなど糖質科学分野が主力の医薬品メーカー
 
 糖質科学分野が主力の医薬品メーカーで、国内医薬品(関節機能改善剤アルツ、白内障手術補助剤オペガン、内視鏡用粘膜下注入材ムコアップ)、海外医薬品(米国向け単回投与関節機能改善剤Gel−One、米国向け3回投与関節機能改善剤VISCO−3、米国向け5回投与関節機能改善剤SUPARTZ−FX、中国向けアルツ)、医薬品原体(ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸)、LAL事業(エンドトキシン測定用試薬関連)を展開している。
 
 中期経営計画(17年3月期〜19年3月期)の経営目標値は、19年3月期売上高320億円、営業利益25億円、経常利益45億円としている。
 
■新薬開発は糖質科学分野に焦点
 
 研究開発は糖質科学分野(糖鎖や複合糖質を研究する科学分野)に焦点を絞り、開発中の新薬には腰椎椎間板ヘルニア治療剤SI−6603(コンドリアーゼ)、変形性膝関節症改善剤SI−613(NSAID結合ヒアルロン酸)、ドライアイ治療剤SI−614(修飾ヒアルロン酸)がある。
 
 腰椎椎間板ヘルニア治療剤SI−6603は、日本で14年1月に製造販売承認申請して審査継続中である。16年8月にはスイスのフェリング社とSI−6603の日本を除く全世界におけるライセンス契約を締結した。フェリング社から契約一時金5百万米ドル、および今後の開発や販売等の進捗に応じて複数年にわたり最大で90百万米ドルのマイルストーン型ロイヤルティを受領する。日本における独占的販売契約は12年12月に科研製薬 <4521> と締結している。
 
 なお11月7日、米国で実施したSI−6603第3相臨床試験について、薬理効果が認められた一方で、主要評価項目である投与後13週での下肢痛軽減において統計学的に有意な改善効果が認められなかったと発表した。今後は米国における第3相臨床試験の早期の最実施に向けて、米国食品医薬品局(FDA)やライセンス先であるフェリング社と協議しながら、検討・準備を進めるとしている。
 
 変形性膝関節症治療剤SI−613は米国を含めたグローバル展開を目指す製品と位置付けている。17年2月日本で第3相臨床試験を開始、17年6月米国で第2相臨床試験を開始した。また17年9月小野薬品工業 <4528> と日本における共同開発・販売提携に関する契約を締結した。小野薬品から契約締結一時金として20億円を受領するとともに、今後の開発や販売等の進捗に応じて複数年にわたり最大で総額100億円のマイルストーン型ロイヤルティを受領する。
 
 なお17年9月にSI−613の腱・靱帯付着部症を対象とした後期第2相臨床試験(SI−613−ETP)を開始した。
 
 ドライアイ治療剤SI−614は、米国・欧州で15年1月第2・3相試験が終了し、次相試験について検討中である。
 
■18年3月期2Q累計は海外の好調などで大幅増益
 
 11月7日発表した今期(18年3月期)第2四半期累計(4〜9月)の連結業績は、売上高が前年同期比2.7%増の154億95百万円、営業利益が2.8倍の22億18百万円、経常利益が3.5倍の47億94百万円、純利益が3.5倍の35億50百万円だった。
 
 国内医薬品は0.8%減収だったが、海外医薬品が11.1%増収と好調に推移した。為替の円安、研究開発費の減少、受取ロイヤリティーの増加も寄与して大幅増益だった。売上総利益は5.4%増加し、売上総利益率は57.9%で1.5ポイント上昇した。販管費は12.6%減少し、販管費比率は43.6%で7.7ポイント低下した。営業外では受取ロイヤリティーが増加し、為替差損益が改善した。
 
■18年3月期通期は海外が牽引して大幅増益予想
 
 今期(18年3月期)連結業績予想(5月12日公表)は、売上高が前期(17年3月期)比2.4%増の303億円、営業利益が17.0%増の15億円、経常利益が51.4%増の37億50百万円、純利益が51.0%増の27億円としている。配当予想は前期から記念配当5円を落として年間26円(第2四半期末13円、期末13円)としている。予想配当性向は54.6%となる。
 
 国内医薬品は前期並みだが、米国向けGel−Oneの出荷増加、LAL事業の米国子会社ACC社の売上拡大が牽引して大幅増益予想である。想定為替レートは1米ドル=108円で、為替感応度(米ドル1円変動時の年間影響額)は売上高で約1億10百万円、営業利益で約45百万円としている。営業外収益ではロイヤリティーの増加を見込んでいる。
 
 通期会社予想に対する第2四半期累計の進捗率は売上高が51.1%、営業利益が147.9%、経常利益が127.9%、純利益が131.5%である。各利益は通期会社予想を超過達成しているが、研究開発費が第3四半期(10〜12月)以降に集中するとしている。
 
■株価は売り一巡感
 
 株価は10月24日に年初来高値2109円まで上伸したが、米国におけるSI−6603臨床結果を受けて急反落した。ただし11月8日の年初来安値1535円から切り返して売り一巡感を強めている。
 
 11月13日の終値1661円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS47円65銭で算出)は34〜35倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間26円で算出)は1.6%近辺、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS1248円07銭で算出)は1.3倍近辺である。時価総額は約944億円である。
 
 週足チャートで見ると大陰線を引いて一気に52週移動平均線まで割り込んだ。ただし16年の安値圏まで下押すことなく、売り一巡感を強めている。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media−IR)
 [10月03日更新]

生化学工業は年初来高値更新してフシ突破、18年3月期大幅増益予想  
 生化学工業<4548>(東1)は関節機能改善剤アルツが主力の医薬品メーカーである。18年3月期は海外の好調が牽引して大幅増益予想である。9月28日にはSI−613の腱・靱帯付着部症を対象とした後期第2相臨床試験の開始を発表している。株価は年初来高値を更新して上値フシを突破した形だ。好業績を評価して上値を試す展開が期待される。なお11月7日に第2四半期決算発表を予定している。
 
■関節機能改善剤アルツなど糖質科学分野が主力の医薬品メーカー
 
 糖質科学分野が主力の医薬品メーカーで、国内医薬品(関節機能改善剤アルツ、白内障手術補助剤オペガン、内視鏡用粘膜下注入材ムコアップ)、海外医薬品(米国向け単回投与関節機能改善剤Gel−One、米国向け3回投与関節機能改善剤VISCO−3、米国向け5回投与関節機能改善剤SUPARTZ−FX、中国向けアルツ)、医薬品原体(ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸)、LAL事業(エンドトキシン測定用試薬関連)を展開している。
 
 中期経営計画(17年3月期〜19年3月期)の経営目標値は、19年3月期売上高320億円、営業利益25億円、経常利益45億円としている。
 
■新薬開発は糖質科学分野に焦点
 
 研究開発は糖質科学分野(糖鎖や複合糖質を研究する科学分野)に焦点を絞り、開発中の新薬には腰椎椎間板ヘルニア治療剤SI−6603(コンドリアーゼ)、変形性膝関節症改善剤SI−613(NSAID結合ヒアルロン酸)、ドライアイ治療剤SI−614(修飾ヒアルロン酸)がある。
 
 腰椎椎間板ヘルニア治療剤SI−6603は日本で14年1月に製造販売承認申請して審査継続中である。米国では第3相臨床試験段階として、二重盲検試験および安全性評価を主目的としたオープン試験が17年3月終了した。
 
 16年8月にはスイスのフェリング社とSI−6603の日本を除く全世界におけるライセンス契約を締結した。フェリング社から契約一時金5百万米ドル、および今後の開発や販売等の進捗に応じて複数年にわたり最大で90百万米ドルのマイルストーン型ロイヤルティを受領する。日本における独占的販売契約は12年12月に科研製薬<4521>と締結している。
 
 変形性膝関節症治療剤SI−613は米国を含めたグローバル展開を目指す製品と位置付けている。17年2月日本で第3相臨床試験を開始、17年6月米国で第2相臨床試験を開始した。また17年9月小野薬品工業<4528>と日本における共同開発・販売提携に関する契約を締結した。小野薬品から契約締結一時金として20億円を受領するとともに、今後の開発や販売等の進捗に応じて複数年にわたり最大で総額100億円のマイルストーン型ロイヤルティを受領する。
 
 なお9月28日にはSI−613の腱・靱帯付着部症を対象とした後期第2相臨床試験(SI−613−ETP)の開始を発表している。
 
 ドライアイ治療剤SI−614は、米国・欧州で15年1月第2・3相試験が終了し、次相試験について検討中である。
 
■18年3月期通期は海外が牽引して大幅増益予想
 
 今期(18年3月期)連結業績予想(5月12日公表)は、売上高が前期(17年3月期)比2.4%増の303億円、営業利益が17.0%増の15億円、経常利益が51.4%増の37億50百万円、純利益が51.0%増の27億円としている。配当予想は前期から記念配当5円を落として年間26円(第2四半期末13円、期末13円)としている。予想配当性向は54.6%となる。
 
 国内医薬品は前期並みだが、米国向けGel−Oneの出荷増加、LAL事業の米国子会社ACC社の売上拡大が牽引して大幅増益予想である。想定為替レートは1米ドル=108円で、為替感応度(米ドル1円変動時の年間影響額)は売上高で約1億10百万円、営業利益で約45百万円としている。営業外収益ではロイヤリティーの増加を見込んでいる。
 
 第1四半期(4〜6月)は売上高が前年同期比9.3%減収、営業利益が2.3倍増益、経常利益が3.1倍増益、純利益が3.2倍増益だった。国内アルツの前年同期における出荷集中の反動、一部の海外販売提携先における在庫調整の影響で減収だったが、研究開発費の一部が第2四半期(7〜9月)以降にずれ込んで大幅増益だった。通期予想に対する第1四半期の進捗率は売上高24.8%、営業利益58.3%、経常利益33.5%、純利益34.2%である。通期でも好業績が期待される。
 
■株価は年初来高値更新して上値フシ突破
 
 株価は9月29日に年初来高値となる2039円まで上伸した。2000円近辺のフシを突破した形だ。そして15年2月高値2396円に接近している。
 
 9月29日の終値2034円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS47円65銭で算出)は42〜43倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間26円で算出)は1.3%近辺、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS1248円07銭で算出)は1.6倍近辺である。時価総額は約1156億円である。
 
 週足チャートで見ると13週移動平均線がサポートラインの形だ。好業績を評価して上値を試す展開が期待される。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media−IR)
[09月06日更新]

生化学工業は年初来高値更新、18年3月期大幅増益予想

 生化学工業<4548>(東1)は関節機能改善剤アルツが主力の医薬品メーカーである。18年3月期は海外の好調が牽引して大幅増益予想である。株価は年初来高値を更新した。好業績を評価して上値を試す展開が期待される。
 
■関節機能改善剤アルツなど糖質科学分野が主力の医薬品メーカー
 
 糖質科学分野が主力の医薬品メーカーで、国内医薬品(関節機能改善剤アルツ、白内障手術補助剤オペガン、内視鏡用粘膜下注入材ムコアップ)、海外医薬品(米国向け単回投与関節機能改善剤Gel−One、米国向け3回投与関節機能改善剤VISCO−3、米国向け5回投与関節機能改善剤SUPARTZ−FX、中国向けアルツ)、医薬品原体(ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸)、LAL事業(エンドトキシン測定用試薬関連)を展開している。
 
 中期経営計画(17年3月期〜19年3月期)の経営目標値は、19年3月期売上高320億円、営業利益25億円、経常利益45億円としている。
 
■新薬開発は糖質科学分野に焦点
 
 研究開発は糖質科学分野(糖鎖や複合糖質を研究する科学分野)に焦点を絞り、開発中の新薬には腰椎椎間板ヘルニア治療剤SI−6603(コンドリアーゼ)、変形性膝関節症改善剤SI−613(NSAID結合ヒアルロン酸)、ドライアイ治療剤SI−614(修飾ヒアルロン酸)がある。
 
 腰椎椎間板ヘルニア治療剤SI−6603は日本で14年1月に製造販売承認申請して審査継続中である。米国では第3相臨床試験段階として、二重盲検試験および安全性評価を主目的としたオープン試験が17年3月終了した。
 
 16年8月にはスイスのフェリング社とSI−6603の日本を除く全世界におけるライセンス契約を締結した。フェリング社から契約一時金5百万米ドル、および今後の開発や販売等の進捗に応じて複数年にわたり最大で90百万米ドルのマイルストーン型ロイヤルティを受領する。日本における独占的販売契約は12年12月に科研製薬<4521>と締結している。
 
 変形性膝関節症治療剤SI−613は米国を含めたグローバル展開を目指す製品と位置付けている。17年2月日本で第3相臨床試験を開始、17年6月米国で第2相臨床試験を開始した。また17年5月小野薬品工業<4528>と日本における共同開発・販売提携に関する基本合意書を締結し、9月1日に契約締結を発表した。小野薬品から契約締結一時金として20億円を受領するとともに、今後の開発や販売等の進捗に応じて複数年にわたり最大で総額100億円のマイルストーン型ロイヤルティを受領する。
 
 ドライアイ治療剤SI−614は、米国・欧州で15年1月第2・3相試験が終了し、次相試験について検討中である。
 
■18年3月期通期は海外が牽引して大幅増益予想
 
 今期(18年3月期)連結業績予想(5月12日公表)は、売上高が前期(17年3月期)比2.4%増の303億円、営業利益が17.0%増の15億円、経常利益が51.4%増の37億50百万円、純利益が51.0%増の27億円としている。配当予想は前期から記念配当5円を落として年間26円(第2四半期末13円、期末13円)としている。予想配当性向は54.6%となる。
 
 国内医薬品は前期並みだが、米国向けGel−Oneの出荷増加、LAL事業の米国子会社ACC社の売上拡大が牽引して大幅増益予想である。想定為替レートは1米ドル=108円で、為替感応度(米ドル1円変動時の年間影響額)は売上高で約1億10百万円、営業利益で約45百万円としている。営業外収益ではロイヤリティーの増加を見込んでいる。
 
 第1四半期(4〜6月)は売上高が前年同期比9.3%減収、営業利益が2.3倍増益、経常利益が3.1倍増益、純利益が3.2倍増益だった。国内アルツの前年同期における出荷集中の反動、一部の海外販売提携先における在庫調整の影響で減収だったが、研究開発費の一部が第2四半期(7〜9月)以降にずれ込んで大幅増益だった。通期予想に対する第1四半期の進捗率は売上高24.8%、営業利益58.3%、経常利益33.5%、純利益34.2%である。通期でも好業績が期待される。
 
■株価は年初来高値更新
 
 株価は水準を切り上げて、9月1日に年初来高値となる1999円まで上伸する場面があった。
 
 9月5日の終値1902円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS47円65銭で算出)は40倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間26円で算出)は1.4%近辺、そして前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS1248円07銭で算出)は1.5倍近辺である。なお時価総額は約1081億円である。
 
 週足チャートで見ると26週移動平均線がサポートラインの形だ。好業績を評価して上値を試す展開が期待される。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media−IR)
[08月03日更新]

生化学工業は5月の年初来高値に接近、18年3月期第1四半期大幅増益で通期も大幅増益予想

 生化学工業 <4548> は関節機能改善剤アルツが主力の医薬品メーカーである。18年3月期第1四半期は大幅増益だった。通期も海外の好調が牽引して大幅増益予想である。株価は急伸して5月の年初来高値に接近している。好業績を評価して上値を試す展開が期待される。

■関節機能改善剤アルツなど糖質科学分野が主力の医薬品メーカー

 糖質科学分野が主力の医薬品メーカーで、国内医薬品(関節機能改善剤アルツ、白内障手術補助剤オペガン、内視鏡用粘膜下注入材ムコアップ)、海外医薬品(米国向け単回投与関節機能改善剤Gel−One、米国向け3回投与関節機能改善剤VISCO−3、米国向け5回投与関節機能改善剤SUPARTZ−FX、中国向けアルツ)、医薬品原体(ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸)、LAL事業(エンドトキシン測定用試薬関連)を展開している。

 17年3月期の売上構成比は、医薬品事業が82%(国内医薬品55%、海外医薬品23%、医薬品原体4%)で、LAL事業が18%だった。収益は販売数量、薬価改定、為替、研究開発費、受取ロイヤリティーなどが影響する。高齢者人口増加を背景に関節機能改善剤の需要拡大が期待される。

■新薬開発は糖質科学分野に焦点

 研究開発は糖質科学分野(糖鎖や複合糖質を研究する科学分野)に焦点を絞り、国際競争力を確立する「グローバル・カテゴリー・ファーマ」としての発展を目指している。

 開発中の新薬としては、腰椎椎間板ヘルニア治療剤SI−6603(コンドリアーゼ)、変形性膝関節症改善剤SI−613(NSAID結合ヒアルロン酸)、ドライアイ治療剤SI−614(修飾ヒアルロン酸)がある。

 腰椎椎間板ヘルニア治療剤SI−6603は日本で14年1月に製造販売承認申請して審査継続中である。品質管理に関する審査対応に時間を要している。米国では第3相臨床試験段階として、二重盲検試験および安全性評価を主目的としたオープン試験が17年3月終了した。

 16年8月にはスイスのフェリング社とSI−6603の海外におけるライセンス契約を締結した。フェリング社はSI−6603の日本を除く全世界を対象とした独占開発・販売権を取得し、当社はフェリング社から契約一時金5百万米ドル、および今後の開発や販売等の進捗に応じて複数年にわたり最大で90百万米ドルのマイルストーン型ロイヤリティーを受領する。日本における独占的販売契約については12年12月に科研製薬 <4521> と締結している。

 変形性膝関節症治療剤SI−613は米国を含めたグローバル展開を目指す製品と位置付けている。17年2月日本で第3相臨床試験を開始、17年5月小野薬品工業 <4528> と日本における共同開発・販売提携に関する基本合意書を締結した。また17年6月米国で第2相臨床試験を開始した。

 ドライアイ治療剤SI−614は、米国・欧州で15年1月第2・3相試験が終了し、次相試験について検討中である。

■重点地域の米国におけるプレゼンスを強化

 重点地域と位置付けている米国では、高齢化に伴って関節機能剤の市場拡大が予想されるため、単回投与製品Gel−One、3回投与製品VISCO−3、5回投与製品SUPARTZ−FXによってプレゼンス強化を図っている。

 16年11月には米ジンマー・バイオメット社と、3回投与の関節機能改善剤VISCO−3の米国における独占販売契約を締結した。米ジンマー・バイオメット社は12年から単回投与の関節機能改善剤Gel−Oneを米国で販売している。

■18年3月期第1四半期は大幅増益

 7月31日発表した今期(18年3月期)第1四半期(4月〜6月)連結業績は、売上高が前年同期比9.3%減の75億08百万円だが、営業利益が2.3倍の8億74百万円、経常利益が3.1倍の12億56百万円、純利益が3.2倍の9億23百万円だった。

 売上面では、国内アルツの前年同期における出荷集中の反動、一部の海外販売提携先における在庫調整の影響で減収だった。為替の円安影響は約40百万円の増収要因だった。利益面では研究開発費の一部が第2四半期(7月〜9月)以降にずれ込んだことで大幅増益だった。

 売上総利益は7.9%減少したが、売上総利益率は55.7%で0.8ポイント上昇した。販管費は20.5%減少し、販管費比率は44.1%で6.2ポイント低下した。研究開発費が15億58百万円で32.0%減少した。営業外収益では投資有価証券売却益1億59百万円を計上した。

 セグメント別売上高は、医薬品事業が10.5%減の60億62百万円(国内医薬品が11.6%減の41億17百万円、海外医薬品が5.9%減の17億25百万円、医薬品原体が20.6%減の2億19百万円)で、LAL事業が4.0%減の14億45百万円だった。海外売上高は2.6%減の29億11百万円だが、海外売上比率は38.8%で2.7ポイント上昇した。

 国内アルツの医療機関納入本数は、前年同期に新容器投入(16年4月プラスチックシリンジのルアーフィットタイプ)に伴う販売増があった反動で減少した。白内障手術補助剤オペガン類は、16年7月発売したシェルガンの販促活動で市場浸透が進み、医療機関納入本数および市場シェアが拡大した。

 米国向けGel−Oneは現地販売数量が約2割増加したが、前年同期に製品ラベル変更に伴って出荷が集中した反動で微増収にとどまった。米国向けSUPARTZ−FXは現地販売が微減だったが、販売提携先への出荷タイミング要因で増収となった。

■18年3月期通期は海外が牽引して大幅増益予想

 今期(18年3月期)連結業績予想(5月12日公表)は、売上高が前期(17年3月期)比2.4%増の303億円、営業利益が17.0%増の15億円、経常利益が51.4%増の37億50百万円、純利益が51.0%増の27億円としている。配当予想は前期から記念配当5円を落として年間26円(第2四半期末13円、期末13円)としている。予想配当性向は54.6%となる。

 国内医薬品は前期並みだが、米国向けGel−Oneの出荷増加、LAL事業の米国子会社ACC社の売上拡大が牽引して大幅増益予想である。想定為替レートは1米ドル=108円で、為替感応度(米ドル1円変動時の年間影響額)は売上高で約1億10百万円、営業利益で約45百万円としている。

 また売上総利益率は57.9%で2.7ポイント上昇、販管費比率は53.0%で2.1ポイント上昇、研究開発費は83億50百万円で6.6%増加の想定としている。営業外収益ではロイヤリティーの増加を見込んでいる。

 セグメント別売上高は、医薬品事業が1.6%増の245億50百万円(国内医薬品が0.5%増の163億50百万円、海外医薬品が6.3%増の72億円、医薬品原体が10.1%減の10億円)で、LAL事業が5.8%増の57億50百万円としている。海外売上高は7.9%増の119億円としている。

 通期予想に対する第1四半期の進捗率は売上高24.8%、営業利益58.3%、経常利益33.5%、純利益34.2%である。研究開発費の一部が第2四半期以降にずれ込んだため利益進捗率が高水準の形だが、通期でも好業績が期待される。

■新中期経営計画で19年3月期経常利益45億円目標

 16年5月策定の新中期経営計画(17年3月期〜19年3月期)では、重点戦略として、腰椎椎間板ヘルニア治療剤SI−6603の確実な進展、変形性膝関節症市場におけるリーディングカンパニーとしての進化、開発パイプラインの充実、最適な生産・品質管理体制の追求を掲げている。

 腰椎椎間板ヘルニア治療剤SI−6603については、日本での上市と拡販および潜在市場規模の大きい米国での事業化を目指す。変形性膝関節症市場におけるリーディングカンパニーとしての進化では、成長ドライバーであるGel−Oneの米国売上拡大と新規市場展開、製品改良による国内アルツの販売数量維持、次世代品となる関節機能改善剤SI−613の開発を推進する。

 開発パイプラインの充実では、糖質科学分野において他社を凌駕する基盤技術の保持、探査研究の加速、持続的な開発テーマの創製を推進する。最適な生産・品質管理体制の追求では、製品の安定供給、さらなる生産効率化の推進によって原価低減を実現する。

 経営目標値には19年3月期売上高320億円、営業利益25億円、経常利益45億円を掲げている。想定為替レートは1米ドル=110円で、海外事業の拡大(海外売上高比率45%)によって国内薬価改定による減収をカバーし、研究開発費は高水準(対売上高比率25%〜30%)で推移する。また各種受取ロイヤリティーを営業外収益として織り込んでいる。

■株価は5月の年初来高値に接近、好業績評価して上値試す

 株価は第1四半期業績を好感する形で急伸し、8月2日には1965円まで上伸した。そして5月の年初来高値1978円に接近している。

 8月2日の終値1935円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS47円65銭で算出)は40〜41倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間26円で算出)は1.3%近辺、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS1248円07銭で算出)は1.6倍近辺である。なお時価総額は約1099億円である。

 週足チャートで見ると26週移動平均線近辺から切り返してサポートラインを確認した形だ。好業績を評価して上値を試す展開が期待される。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media−IR)
[07月11日更新]

生化学工業は海外好調で18年3月期大幅増益予想

 生化学工業<4548>(東1)は関節機能改善剤アルツが主力の医薬品メーカーである。18年3月期は海外の好調が牽引して大幅増益予想である。株価は自律調整一巡して5月の年初来高値を試す展開が期待される。なお7月31日に第1四半期決算発表を予定している。

■関節機能改善剤アルツなど糖質科学分野が主力の医薬品メーカー

 糖質科学分野が主力の医薬品メーカーで、国内医薬品(関節機能改善剤アルツ、白内障手術補助剤オペガン、内視鏡用粘膜下注入材ムコアップ)、海外医薬品(米国向け単回投与関節機能改善剤Gel−One、米国向け3回投与関節機能改善剤VISCO−3、米国向け5回投与関節機能改善剤SUPARTZ−FX、中国向けアルツ)、医薬品原体(ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸)、LAL事業(エンドトキシン測定用試薬関連)を展開している。

 中期経営計画(17年3月期〜19年3月期)では、重点戦略に腰椎椎間板ヘルニア治療剤SI−6603の確実な進展などを掲げ、経営目標値は19年3月期売上高320億円、営業利益25億円、経常利益45億円としている。

 開発中の新薬としては、腰椎椎間板ヘルニア治療剤SI−6603(コンドリアーゼ)、変形性膝関節症改善剤SI−613(NSAID結合ヒアルロン酸)、ドライアイ治療剤SI−614(修飾ヒアルロン酸)がある。

 腰椎椎間板ヘルニア治療剤SI−6603は、日本で14年1月に製造販売承認申請して審査継続中である。変形性膝関節症治療剤SI−613は米国を含めたグローバル展開を目指す製品と位置付け、17年2月日本で第3相臨床試験を開始、17年6月米国における第2相臨床試験を開始した。

■18年3月期は海外が牽引して大幅増益予想

 今期(18年3月期)の連結業績予想(5月12日公表)は、売上高が前期(17年3月期)比2.4%増の303億円、営業利益が同17.0%増の15億円、経常利益が同51.4%増の37億50百万円、純利益が同51.0%増の27億円としている。

 国内医薬品は前期並みだが、米国向けGel−Oneの出荷増加、LAL事業の米国子会社ACC社の売上拡大が牽引して大幅増益予想である。想定為替レートは1米ドル=108円である。営業外収益ではロイヤリティーの増加を見込んでいる。

■株価は自律調整一巡して上値試す

 株価の動きを見ると、戻り高値圏1800円台でモミ合う展開だが、下値を着実に切り上げている。

 7月10日の終値1829円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS47円65銭で算出)は38〜39倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間26円で算出)は1.4%近辺、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS1248円07銭で算出)は1.5倍近辺である。時価総額は約1039億円である。

 週足チャートで見ると26週移動平均線がサポートラインの形だ。自律が調整一巡し、5月の年初来高値1978円を試す展開が期待される。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media−IR)
[06月21日更新]

生化学工業は自律調整一巡して上値試す、18年3月期大幅増益予想

 生化学工業<4548>(東1)は関節機能改善剤アルツが主力の医薬品メーカーである。6月16日には変形性膝関節症治療剤SI−613の米国における第2相臨床試験開始を発表している。18年3月期は海外の好調が牽引して大幅増益予想である。株価は5月の年初来高値から一旦反落したが、自律調整一巡して上値を試す展開が期待される。

■関節機能改善剤アルツなど糖質科学分野が主力の医薬品メーカー

 糖質科学分野が主力の医薬品メーカーで、国内医薬品(関節機能改善剤アルツ、白内障手術補助剤オペガン、内視鏡用粘膜下注入材ムコアップ)、海外医薬品(米国向け単回投与関節機能改善剤Gel−One、米国向け3回投与関節機能改善剤VISCO−3、米国向け5回投与関節機能改善剤SUPARTZ−FX、中国向けアルツ)、医薬品原体(ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸)、LAL事業(エンドトキシン測定用試薬関連)を展開している。

 17年3月期の売上構成比は、医薬品事業が82%(国内医薬品55%、海外医薬品23%、医薬品原体4%)で、LAL事業が18%である。収益は販売数量、薬価改定、為替、研究開発費、受取ロイヤリティーなどが影響する。高齢者人口増加を背景に関節機能改善剤の需要拡大が期待される。
■新薬開発は糖質科学分野に焦点

 研究開発は糖質科学分野(糖鎖や複合糖質を研究する科学分野)に焦点を絞り、国際競争力を確立する「グローバル・カテゴリー・ファーマ」としての発展を目指している。

 開発中の新薬としては、腰椎椎間板ヘルニア治療剤SI−6603(コンドリアーゼ)、変形性膝関節症改善剤SI−613(NSAID結合ヒアルロン酸)、ドライアイ治療剤SI−614(修飾ヒアルロン酸)がある。

 腰椎椎間板ヘルニア治療剤SI−6603は日本で14年1月に製造販売承認申請して審査継続中である。品質管理に関する審査対応に時間を要している。米国では第3相臨床試験段階として、二重盲検試験および安全性評価を主目的としたオープン試験が17年3月終了した。

 16年8月にはスイスのフェリング社とSI−6603の海外におけるライセンス契約を締結した。フェリング社はSI−6603の日本を除く全世界を対象とした独占開発・販売権を取得し、当社はフェリング社から契約一時金5百万米ドル、および今後の開発や販売等の進捗に応じて複数年にわたり最大で90百万米ドルのマイルストーン型ロイヤリティーを受領する。日本における独占的販売契約については12年12月に科研製薬<4521>と締結している。

 変形性膝関節症治療剤SI−613は、米国を含めたグローバル展開を目指す製品と位置付け、17年2月に日本で第3相臨床試験を開始した。そして17年5月には小野薬品工業<4528>とSI−613の日本における共同開発および販売提携に関する基本合意書締結を発表した。正式契約締結に向けて協議を進める。また6月16日には米国における第2相臨床試験を開始したと発表している。

 ドライアイ治療剤SI−614は、米国・欧州で15年1月第2・3相試験が終了し、次相試験について検討中である。

 なお16年2月にはジェネリック医薬品である眼科手術補助剤「シェルガン0.5眼粘弾剤」の製造販売承認を取得している。眼科手術補助剤オペガンと同様に参天製薬<4536>が販売する。

■重点地域の米国におけるプレゼンスを強化

 変形性膝関節症を適応症とする医療機器「VISCO−3」は、15年12月米国食品医薬局(FDA)の承認を取得した。ヒアルロン酸主成分とする関節機能改善剤で、1治療あたり3回投与の3本キット製品である。

 米国では高齢化に伴って関節機能剤の市場拡大が予想されるため、単回投与製品Gel−One、5回投与製品SUPARTZ−FX(15年10月SUPARTZからブランド名変更)に加えて、3回投与製品VISCO−3を新たに市場投入し、重点地域の米国に置いてプレゼンス強化を図っている。

 16年11月には米ジンマー・バイオメット社と、3回投与の関節機能改善剤VISCO−3の米国における独占販売契約を締結した。米ジンマー・バイオメット社は12年から単回投与の関節機能改善剤Gel−Oneを米国で販売している。

■17年3月期は薬価改定や円高影響で減収減益

 前期(17年3月期)連結業績は売上高が前々期(16年3月期)比4.4%減の295億89百万円、営業利益が同40.2%減の12億82百万円、経常利益が同29.2%減の24億77百万円、純利益が同30.7%減の17億87百万円だった。為替影響は12億40百万円の減収要因だった。

 アルツや米国向けGel−Oneの数量が増加したが、薬価改定や円高の影響で減収となり、アルツ新容器投入に伴う一過性要因も影響して減益だった。売上総利益は同9.7%減少し、売上総利益率は55.2%で同3.2ポイント低下した。販管費は同5.6%減少し、販管費比率は50.9%で同0.6ポイント低下した。研究開発費が78億34百万円で同9.6%減少した。

 営業外では受取ロイヤリティーが増加(前々期3億61百万円、前期6億78百万円)したが、投資有価証券売却益が減少(前々期4億46百万円、前期1億05百万円)した。ROEは2.5%で同1.2ポイント低下、自己資本比率は88.3%で同1.3ポイント上昇した。また配当は同5円増配の年間31円(第2四半期末13円、期末18円=普通配当13円+創立70周年記念配当5円)とした。配当性向は98.3%である。

 セグメント別売上高は、医薬品事業が同5.4%減の241億52百万円(国内医薬品が同3.9%減の162億68百万円、海外医薬品が同7.2%減の67億71百万円、医薬品原体が同13.7%減の11億11百万円)、LAL事業が同0.1%減の54億37百万円だった。なお海外売上高は同4.8%減の110億29百万円で、海外売上比率は同0.1ポイント低下の37.3%となった。

 国内医薬品では、アルツは新容器投入(16年4月プラスチックシリンジのルアーフィットタイプ)で数量増加したが、薬価引き下げ(マイナス7.2%)の影響で減収だった。白内障手術補助剤オペガン類は、16年7月発売したシェルガンの好調で薬価引き下げの影響をカバーした。

 海外医薬品では、米国向けGel−Oneは現地販売数量が3割弱増加したが、円高や現地販売価格下落の影響で微減収だった。米国向けSUPARTZ−FXは、現地販売が微減にとどまったが、円高影響で減収だった。

 四半期別の業績推移を見ると、売上高は第1四半期82億75百万円、第2四半期68億10百万円、第3四半期70億43百万円、第4四半期74億61百万円、営業利益は3億79百万円、4億04百万円、98百万円、4億01百万円だった。

■18年3月期は海外が牽引して大幅増益予想

 今期(18年3月期)の連結業績予想(5月12日公表)は、売上高が前期(17年3月期)比2.4%増の303億円、営業利益が同17.0%増の15億円、経常利益が同51.4%増の37億50百万円、純利益が同51.0%増の27億円としている。配当予想は前期から記念配当5円を落として年間26円(第2四半期末13円、期末13円)としている。予想配当性向は54.6%となる。

 国内医薬品は前期並みだが、米国向けGel−Oneの出荷増加、LAL事業の米国子会社ACC社の売上拡大が牽引して大幅増益予想である。想定為替レートは1米ドル=108円で、為替感応度(米ドル1円変動時の年間影響額)は売上高で約1億10百万円、営業利益で約45百万円としている。また売上総利益率は57.9%で同2.7ポイント上昇、販管費比率は53.0%で同2.1ポイント上昇、研究開発費は83億50百万円で同6.6%増加の想定としている。営業外収益ではロイヤリティーの増加を見込んでいる。

 セグメント別売上高は、医薬品事業が同1.6%増の245億50百万円(国内医薬品が同0.5%増の163億50百万円、海外医薬品が同6.3%増の72億円、医薬品原体が同10.1%減の10億円)、LAL事業が同5.8%増の57億50百万円としている。海外売上高は同7.9%増の119億円としている。

■新中期経営計画で19年3月期経常利益45億円目標

 16年5月策定の新中期経営計画(17年3月期〜19年3月期)では、重点戦略として、腰椎椎間板ヘルニア治療剤SI−6603の確実な進展、変形性膝関節症市場におけるリーディングカンパニーとしての進化、開発パイプラインの充実、最適な生産・品質管理体制の追求を掲げている。

 腰椎椎間板ヘルニア治療剤SI−6603については、日本での上市と拡販および潜在市場規模の大きい米国での事業化を目指す。変形性膝関節症市場におけるリーディングカンパニーとしての進化では、成長ドライバーであるGel−Oneの米国売上拡大と新規市場展開、製品改良による国内アルツの販売数量維持、次世代品となる関節機能改善剤SI−613の開発を推進する。開発パイプラインの充実では、糖質科学分野において他社を凌駕する基盤技術の保持、探査研究の加速、持続的な開発テーマの創製を推進する。最適な生産・品質管理体制の追求では、製品の安定供給、さらなる生産効率化の推進によって原価低減を実現する。

 経営目標値には19年3月期売上高320億円、営業利益25億円、経常利益45億円を掲げている。想定為替レートは1米ドル=110円で、海外事業の拡大(海外売上高比率45%)によって国内薬価改定による減収をカバーし、研究開発費は高水準(対売上高比率25%〜30%)で推移する。また各種受取ロイヤリティーを営業外収益として織り込んでいる。

■株価は自律調整一巡して上値試す

 株価の動きを見ると、5月の年初来高値1978円から一旦反落したが、4月の直近安値1677円まで下押すことなく切り返しの動きを強めている。

 6月19日の終値1832円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS47円65銭で算出)は38〜39倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間26円で算出)は1.4%近辺、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS1248円07銭で算出)は1.5倍近辺である。時価総額は約1041億円である。

 週足チャートで見ると26週移動平均線がサポートラインの形だ。自律調整一巡して上値を試す展開が期待される。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media−IR)
[05月18日更新]

生化学工業は18年3月期大幅増益予想、ボックス上放れて年初来高値更新

 生化学工業<4548>(東1)は関節機能改善剤アルツが主力の医薬品メーカーである。17年3月期は円高や国内薬価改定で減益だったが、18年3月期は海外の好調が牽引して大幅増益予想である。株価はボックスレンジから上放れて年初来高値更新の展開だ。

■関節機能改善剤アルツなど糖質科学分野が主力の医薬品メーカー

 糖質科学分野が主力の医薬品メーカーで、国内医薬品(関節機能改善剤アルツ、白内障手術補助剤オペガン、内視鏡用粘膜下注入材ムコアップ)、海外医薬品(米国向け単回投与関節機能改善剤Gel−One、米国向け3回投与関節機能改善剤VISCO−3、米国向け5回投与関節機能改善剤SUPARTZ−FX、中国向けアルツ)、医薬品原体(ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸)、LAL事業(エンドトキシン測定用試薬関連)を展開している。

 17年3月期の売上構成比は、医薬品事業が82%(国内医薬品55%、海外医薬品23%、医薬品原体4%)で、LAL事業が18%である。収益は販売数量、薬価改定、為替、研究開発費、受取ロイヤリティーなどが影響する。高齢者人口増加を背景に関節機能改善剤の需要拡大が期待される。

■新薬開発は糖質科学分野に焦点

 研究開発は糖質科学分野(糖鎖や複合糖質を研究する科学分野)に焦点を絞り、国際競争力を確立する「グローバル・カテゴリー・ファーマ」としての発展を目指している。

 開発中の新薬としては、腰椎椎間板ヘルニア治療剤SI−6603(コンドリアーゼ)、変形性膝関節症改善剤SI−613(NSAID結合ヒアルロン酸)、ドライアイ治療剤SI−614(修飾ヒアルロン酸)がある。

 腰椎椎間板ヘルニア治療剤SI−6603は日本で14年1月に製造販売承認申請して審査継続中である。品質管理に関する審査対応に時間を要している。米国では第3相臨床試験段階として、二重盲検試験および安全性評価を主目的としたオープン試験が17年3月終了した。

 なお16年8月には、スイスのフェリング社とSI−6603の海外におけるライセンス契約を締結した。フェリング社はSI−6603の日本を除く全世界を対象とした独占開発・販売権を取得し、当社はフェリング社から契約一時金5百万米ドル、および今後の開発や販売等の進捗に応じて複数年にわたり最大で90百万米ドルのマイルストーン型ロイヤリティーを受領する。日本における独占的販売契約については12年12月に科研製薬<4521>と締結している。

 変形性膝関節症治療剤SI−613は、米国を含めたグローバル展開を目指す製品と位置付け、17年2月に日本で第3相臨床試験を開始した。そして5月12日には小野薬品工業<4528>と、SI−613の日本における共同開発および販売提携に関する基本合意書締結を発表した。正式契約締結に向けて協議を進める。

 ドライアイ治療剤SI−614は、米国・欧州で15年1月第2・3相試験が終了し、次相試験について検討中である。

 なお16年2月にはジェネリック医薬品である眼科手術補助剤「シェルガン0.5眼粘弾剤」の製造販売承認を取得している。眼科手術補助剤オペガンと同様に参天製薬<4536>が販売する。

■重点地域の米国におけるプレゼンスを強化

 変形性膝関節症を適応症とする医療機器「VISCO−3」は、15年12月米国食品医薬局(FDA)の承認を取得した。ヒアルロン酸主成分とする関節機能改善剤で、1治療あたり3回投与の3本キット製品である。

 米国では高齢化に伴って関節機能剤の市場拡大が予想されるため、単回投与製品Gel−One、5回投与製品SUPARTZ−FX(15年10月SUPARTZからブランド名変更)に加えて、3回投与製品VISCO−3を新たに市場投入し、重点地域の米国に置いてプレゼンス強化を図っている。

 16年11月には米ジンマー・バイオメット社と、3回投与の関節機能改善剤VISCO−3の米国における独占販売契約を締結した。米ジンマー・バイオメット社は12年から単回投与の関節機能改善剤Gel−Oneを米国で販売している。

■17年3月期は薬価改定や円高影響で減収減益

 5月12日発表した前期(17年3月期)連結業績は、売上高が前々期(16年3月期)比4.4%減の295億89百万円、営業利益が同40.2%減の12億82百万円、経常利益が同29.2%減の24億77百万円、純利益が同30.7%減の17億87百万円だった。為替影響は12億40百万円の減収要因だった。

 アルツや米国向けGel−Oneの数量が増加したが、薬価改定や円高の影響で減収となり、アルツ新容器投入に伴う一過性要因も影響して減益だった。売上総利益は同9.7%減少し、売上総利益率は55.2%で同3.2ポイント低下した。販管費は同5.6%減少し、販管費比率は50.9%で同0.6ポイント低下した。研究開発費が78億34百万円で同9.6%減少した。

 営業外では受取ロイヤリティーが増加(前々期3億61百万円、前期6億78百万円)したが、投資有価証券売却益が減少(前々期4億46百万円、前期1億05百万円)し、為替差損が増加(前々期25百万円、前期1億16百万円)した。ROEは2.5%で同1.2ポイント低下、自己資本比率は88.3%で同1.3ポイント上昇した。配当は同5円増配の年間31円(第2四半期末13円、期末18円=普通配当13円+創立70周年記念配当5円)とした。配当性向は98.3%である。

 セグメント別売上高は、医薬品事業が同5.4%減の241億52百万円(国内医薬品が同3.9%減の162億68百万円、海外医薬品が同7.2%減の67億71百万円、医薬品原体が同13.7%減の11億11百万円)、LAL事業が同0.1%減の54億37百万円だった。なお海外売上高は同4.8%減の110億29百万円で、海外売上比率は同0.1ポイント低下の37.3%となった。

 国内医薬品では、アルツは新容器投入(16年4月プラスチックシリンジのルアーフィットタイプ)で数量増加したが、薬価引き下げ(マイナス7.2%)の影響で減収だった。白内障手術補助剤オペガン類は、16年7月発売したシェルガンの好調で薬価引き下げの影響をカバーした。

 海外医薬品では、米国向けGel−Oneは現地販売数量が3割弱増加したが、円高や現地販売価格下落の影響で微減収だった。米国向けSUPARTZ−FXは、現地販売が微減にとどまったが、円高影響で減収だった。

 四半期別の業績推移を見ると、売上高は第1四半期82億75百万円、第2四半期68億10百万円、第3四半期70億43百万円、第4四半期74億61百万円、営業利益は3億79百万円、4億04百万円、98百万円、4億01百万円だった。

■18年3月期は海外が牽引して大幅増益予想

 今期(18年3月期)の連結業績予想(5月12日公表)は、売上高が前期(17年3月期)比2.4%増の303億円、営業利益が同17.0%増の15億円、経常利益が同51.4%増の37億50百万円、純利益が同51.0%増の27億円としている。配当予想は前期から記念配当5円を落として年間26円(第2四半期末13円、期末13円)としている。予想配当性向は54.6%となる。

 国内医薬品は前期並みだが、米国向けGel−Oneの出荷増加、LAL事業の米国子会社ACC社の売上拡大が牽引して大幅増益予想である。想定為替レートは1米ドル=108円で、為替感応度(米ドル1円変動時の年間影響額)は売上高で約1億10百万円、営業利益で約45百万円としている。また売上総利益率は57.9%で同2.7ポイント上昇、販管費比率は53.0%で同2.1ポイント上昇、研究開発費は83億50百万円で同6.6%増加の想定としている。営業外収益ではロイヤリティーの増加を見込んでいる。

 セグメント別売上高は、医薬品事業が同1.6%増の245億50百万円(国内医薬品が同0.5%増の163億50百万円、海外医薬品が同6.3%増の72億円、医薬品原体が同10.1%減の10億円)、LAL事業が同5.8%増の57億50百万円としている。海外売上高は同7.9%増の119億円としている。

■新中期経営計画で19年3月期経常利益45億円目標

 16年5月策定の新中期経営計画(17年3月期〜19年3月期)では、重点戦略として、腰椎椎間板ヘルニア治療剤SI−6603の確実な進展、変形性膝関節症市場におけるリーディングカンパニーとしての進化、開発パイプラインの充実、最適な生産・品質管理体制の追求を掲げている。

 腰椎椎間板ヘルニア治療剤SI−6603については、日本での上市と拡販および潜在市場規模の大きい米国での事業化を目指す。変形性膝関節症市場におけるリーディングカンパニーとしての進化では、成長ドライバーであるGel−Oneの米国売上拡大と新規市場展開、製品改良による国内アルツの販売数量維持、次世代品となる関節機能改善剤SI−613の開発を推進する。開発パイプラインの充実では、糖質科学分野において他社を凌駕する基盤技術の保持、探査研究の加速、持続的な開発テーマの創製を推進する。最適な生産・品質管理体制の追求では、製品の安定供給、さらなる生産効率化の推進によって原価低減を実現する。

 経営目標値には19年3月期売上高320億円、営業利益25億円、経常利益45億円を掲げている。想定為替レートは1米ドル=110円で、海外事業の拡大(海外売上高比率45%)によって国内薬価改定による減収をカバーし、研究開発費は高水準(対売上高比率25%〜30%)で推移する。また各種受取ロイヤリティーを営業外収益として織り込んでいる。

■株価はボックスレンジ上放れて年初来高値更新の展開

 株価の動きを見ると、18年3月期大幅増益予想を好感し、3月高値1936円を突破して5月17日には1978円まで上伸した。1400円〜1800円近辺のボックスレンジから上放れて年初来高値更新の展開だ。

 5月17日の終値1946円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想連結EPS47円65銭で算出)は41倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間26円で算出)は1.3%近辺、前期実績連結PBR(前期実績連結BPS1248円07銭で算出)は1.6倍近辺である。時価総額は約1106億円である。

 週足チャートで見ると13週移動平均線と26週移動平均線がいずれも上向きに転じて先高感を務めている。上値を試す展開が期待される。上げ足を速める可能性もありそうだ。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media−IR)
[04月04日更新]

生化学工業はフシ突破してボックスレンジ上放れ、18年3月期収益改善期待

 生化学工業<4548>(東1)は関節機能改善剤アルツが主力の医薬品メーカーである。17年3月期は円高や国内薬価改定で減益予想だが、18年3月期はマイナス要因が一巡して収益改善が期待される。また中期的には高齢者人口増加を背景として、国内外で関節機能改善剤の需要拡大が期待される。株価はボックスレンジから上放れて年初来高値圏である。フシ突破して上げ足を速める可能性がありそうだ。

■関節機能改善剤アルツなど糖質科学分野が主力の医薬品メーカー

 糖質科学分野が主力の医薬品メーカーである。国内医薬品(関節機能改善剤アルツ、白内障手術補助剤オペガン、内視鏡用粘膜下注入材ムコアップ)、海外医薬品(米国向け単回投与関節機能改善剤Gel−One、米国向け3回投与関節機能改善剤VISCO−3、米国向け5回投与関節機能改善剤SUPARTZ−FX、中国向けアルツ)、医薬品原体(ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸)、LAL事業(エンドトキシン測定用試薬関連)を展開している。高齢者人口増加を背景に関節機能改善剤の需要拡大が期待される。

 内視鏡用粘膜下注入材ムコアップについては販売提携先を変更し、16年4月からボストン・サイエンティフィック・ジャパンと日本国内における独占販売契約を締結した。

■新薬開発は糖質科学分野に焦点

 09年3月策定の「生化学工業10年ビジョン」に基づいて、研究開発は糖質科学分野(糖鎖や複合糖質を研究する科学分野)に焦点を絞り、国際競争力を確立する「グローバル・カテゴリー・ファーマ」としての発展を目指している。

 開発中の新薬としては、腰椎椎間板ヘルニア治療剤SI−6603(コンドリアーゼ)、変形性膝関節症改善剤SI−613(NSAID結合ヒアルロン酸)、ドライアイ治療剤SI−614(修飾ヒアルロン酸)がある。

 腰椎椎間板ヘルニア治療剤SI−6603は日本で14年1月に製造販売承認申請して審査継続中である。17年3月期中の国内承認取得を目指しているが、品質管理に関する審査対応に時間を要しているため、17年3月期中の承認取得は厳しい状況にあるとしている。米国では第3相臨床試験段階として、二重盲検試験および安全性評価を主目的としたオープン試験を実施中である。

 16年8月にはスイスのフェリング社とSI−6603の海外におけるライセンス契約を締結した。フェリング社はSI−6603の日本を除く全世界を対象とした独占開発・販売権を取得し、当社はフェリング社から契約一時金5百万米ドル、および今後の開発や販売等の進捗に応じて複数年にわたり最大で90百万米ドルのマイルストーン型ロイヤリティーを受領する。日本における独占的販売契約については12年12月に科研製薬<4521>と締結している。

 変形性膝関節症治療剤SI−613は日本で16年1月第2相試験(反復投与)が終了した。そして17年2月、日本における第3相臨床試験開始を発表した。米国を含めたグローバル展開を目指す製品と位置付けている。

 ドライアイ治療剤SI−614は米国・欧州で15年1月第2・3相試験が終了し、次相試験について検討中である。

 16年2月にはジェネリック医薬品である眼科手術補助剤「シェルガン0.5眼粘弾剤」の製造販売承認を取得した。眼科手術補助剤オペガンと同様に参天製薬<4536>が販売する。

■品揃え充実で重点地域の米国におけるプレゼンスを強化

 変形性膝関節症を適応症とする医療機器「VISCO−3」は、15年12月米国食品医薬局(FDA)の承認を取得した。ヒアルロン酸主成分とする関節機能改善剤で、1治療あたり3回投与の3本キット製品である。

 米国では高齢化に伴って関節機能剤の市場拡大が予想されているため、単回投与製品Gel−One、5回投与製品SUPARTZ−FX(15年10月SUPARTZからブランド名変更)に加えて、3回投与製品VISCO−3を新たに市場投入し、重点地域の米国に置いてプレゼンス強化を図っている。

 16年11月には米ジンマー・バイオメット社と、3回投与の関節機能改善剤VISCO−3の米国における独占販売契約を締結したと発表した。米ジンマー・バイオメット社は12年から単回投与の関節機能改善剤Gel−Oneを米国で販売している。

■薬価改定、為替、研究開発費などが影響する収益構造

 収益は販売数量、薬価改定、為替、研究開発費、受取ロイヤリティーなどが影響する。16年3月期は米国向けGel−One数量増や円安などで増収だが、研究開発費が増加して減益だった。四半期別推移を見ると売上高は第1四半期77億62百万円、第2四半期81億92百万円、第3四半期74億83百万円、第4四半期75億25百万円、営業利益は8億83百万円、11億67百万円、6億93百万円、5億99百万円の赤字だった。

 売上総利益率は58.4%で15年3月期比0.5ポイント低下、販管費比率は51.5%で同0.7ポイント上昇した。減価償却費は同22.3%増の31億91百万円、研究開発費は同6.2%増の86億49百万円だった。営業外では受取ロイヤリティーが増加したが、為替差損益が悪化した。また一過性の税率低減要因(米国子会社有償減資に伴う税率減)が終了して税金費用が増加した。

 ROEは3.7%で同1.7ポイント低下、自己資本比率は87.0%で同横ばいだった。配当は15年3月期と同額の年間26円(第2四半期末13円、期末13円)で配当性向は57.3%だった。株主還元は超長期的な視点に立って安定的かつ継続的な配当を目指し、1株当たり年間26円を継続する方針としている。

 セグメント別売上高は、医薬品事業が同3.5%増の255億18百万円(国内医薬品が同0.2%増の169億28百万円、海外医薬品が同15.1%増の73億円、医薬品原体が同8.4%減の12億89百万円)、LAL事業が同11.7%増の54億44百万円だった。海外売上高は同15.8%増の115億81百万円、海外売上比率は同3.5ポイント上昇の37.4%となった。

■17年3月期第3四半期累計は円高、薬価改定、研究開発費増加で減収減益

 前期(17年3月期)第3四半期累計(4〜12月)連結業績は、売上高が前年同期比5.6%減の221億28百万円、営業利益が同67.9%減の8億81百万円、経常利益が同49.7%減の20億16百万円、純利益が同50.9%減の14億81百万円だった。

 米国向けGel−OneやLAL事業の販売数量が増加したが、円高や国内における薬価改定の影響で減収となり、アルツ新容器投入に伴う一過性要因による原価率上昇、米国における腰椎椎間板ヘルニア治療剤SI−6603オープン試験進展に伴う研究開発費の増加などで減益だった。為替の円高影響は売上高で10億60百万円のマイナス要因だった。

 売上総利益は同12.9%減少し、売上総利益率は54.3%で同4.6ポイント低下した。販管費は同0.7%増加し、販管費比率は50.3%で同3.1ポイント上昇した。研究開発費は57億66百万円で同2.4%増加した。営業外収益では受取ロイヤリティーが増加(前期3億61百万円、今期6億78百万円)したが、投資有価証券売却益が減少(前期4億33百万円、今期1億06百万円)した。

 セグメント別売上高は医薬品事業が同6.7%減の180億20百万円(国内医薬品が同5.5%減の123億05百万円、海外医薬品が同7.7%減の49億28百万円、医薬品原体が同17.2%減の7億86百万円)、LAL事業が同0.5%減の41億08百万円だった。なお海外売上高は同5.5%減の81億18百万円だった。

 国内アルツは市場全体が横ばいで推移する状況だが、新容器投入(16年4月プラスチックシリンジのルアーフィットタイプ)や販売提携先の拡販努力によって医療機関納入本数は増加(同2.6%増)した。白内障手術補助剤オペガン類は、16年7月発売したシェルガンが好調で、医療機関納入本数が増加(同7.9%増)した。米国向けGel−Oneは営業体制拡充効果などで現地販売が増加した。米国向けSUPARTZ−FXは競合環境が厳しく現地販売が微減だった。

 四半期別の業績推移を見ると、売上高は第1四半期82億75百万円、第2四半期68億10百万円、第3四半期70億43百万円、営業利益は3億79百万円、4億04百万円、98百万円だった。

■17年3月期通期も円高や薬価改定で減益予想、18年3月期収益改善期待

 前期(17年3月期)通期の連結業績予想(11月8日に売上高と営業利益を増額、経常利益と純利益を減額修正)は、売上高が前々期(16年3月期)比4.2%減の296億50百万円、営業利益が同41.7%減の12億50百万円、経常利益が同24.3%減の26億50百万円、純利益が同22.4%減の20億円としている。配当予想は前期と同額の年間26円(第2四半期末13円、期末13円)としている。予想配当性向は73.7%となる。

 円高や薬価改定の影響で減収減益予想である。下期の想定為替レートは1米ドル=103円で、売上総利益率は56.2%、販管費比率は51.9%、研究開発費は78億50百万円の想定としている。

 セグメント別売上高の計画は、医薬品事業が同4.0%減の245億円(国内医薬品が同4.0%減の162億50百万円、海外医薬品が同2.7%減の71億円、医薬品原体が同10.8%減の11億50百万円)、LAL事業が同5.4%減の51億50百万円、海外売上高は同5.0%減の110億円としている。

 通期会社予想に対する第3四半期累計の進捗率は売上高が74.6%、営業利益が70.5%、経常利益が76.1%、純利益が74.1%と概ね順調な水準である。円安傾向を考慮すれば増額余地がありそうだ。また来期(18年3月期)はマイナス要因が一巡して収益改善が期待される。

■新中期経営計画で19年3月期経常利益45億円目標

 16年5月策定の新中期経営計画(17年3月期〜19年3月期)では、重点戦略として、腰椎椎間板ヘルニア治療剤SI−6603の確実な進展、変形性膝関節症市場におけるリーディングカンパニーとしての進化、開発パイプラインの充実、最適な生産・品質管理体制の追求を掲げている。

 腰椎椎間板ヘルニア治療剤SI−6603については日本での上市と拡販、および潜在市場規模の大きい米国での事業化を目指す。変形性膝関節症市場におけるリーディングカンパニーとしての進化では、成長ドライバーであるジェル・ワンの米国売上拡大と新規市場展開、製品改良による国内アルツの販売数量維持、次世代品となる関節機能改善剤SI−613の開発を推進する。開発パイプラインの充実では、糖質科学分野において他社を凌駕する基盤技術の保持、探査研究の加速、持続的な開発テーマの創製を推進する。最適な生産・品質管理体制の追求では、製品の安定供給、さらなる生産効率化の推進によって原価低減を実現する。

 経営目標値には、19年3月期売上高320億円、営業利益25億円、経常利益45億円を掲げた。想定為替レートは1米ドル=110円で、海外事業の拡大(海外売上高比率45%)によって国内薬価改定による減収をカバーし、研究開発費は高水準(対売上高比率25%〜30%)で推移する。また各種受取ロイヤリティーを営業外収益として織り込んでいる。

■株価はボックスレンジ上放れ、フシ突破して上げ足速める可能性

 株価の動きを見ると、16年1月の1865円を突破し、3月28日には年初来高値となる1936円まで上伸した。1400円〜1800円近辺のボックスレンジから上放れた形だ。

 4月3日の終値1865円を指標面で見ると、前期推定連結PER(会社予想の連結EPS35円30銭で算出)は53倍近辺、前期推定配当利回り(会社予想の年間26円で算出)は1.4%近辺、そして前前々期実績連結PBR(前々期実績の連結BPS1229円05銭で算出)は1.5倍近辺である。時価総額は約1060億円である。

 週足チャートで見ると1800円近辺のフシを突破した。さらに13週移動平均線、26週移動平均線、52週移動平均線とも上向きに転じて先高感を強めている。フシ突破して上げ足を速める可能性がありそうだ。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media−IR)
[03月02日更新]

生化学工業は昨年来高値に接近してレンジ上放れ期待、フシ突破すれば上げ足速める可能性

 生化学工業<4548>(東1)は関節機能改善剤アルツが主力の医薬品メーカーである。17年3月期は円高や国内薬価改定で減益予想だが、18年3月期はマイナス要因が一巡しそうだ。また中期的には高齢者人口増加を背景として、国内外で関節機能改善剤の需要拡大が期待される。株価は17年3月期減益予想を織り込んで、16年1月の昨年来高値に接近している。レンジ上放れの展開が期待され、フシを突破すれば上げ足を速める可能性がありそうだ。

■関節機能改善剤アルツなど糖質科学分野が主力の医薬品メーカー

 糖質科学分野が主力の医薬品メーカーである。国内医薬品(関節機能改善剤アルツ、白内障手術補助剤オペガン、内視鏡用粘膜下注入材ムコアップ)、海外医薬品(米国向け単回投与関節機能改善剤Gel−One、米国向け3回投与関節機能改善剤VISCO−3、米国向け5回投与関節機能改善剤SUPARTZ−FX、中国向けアルツ)、医薬品原体(ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸)、LAL事業(エンドトキシン測定用試薬関連)を展開している。高齢者人口増加を背景に関節機能改善剤の需要拡大が期待される。

 内視鏡用粘膜下注入材ムコアップについては販売提携先を変更し、16年4月からボストン・サイエンティフィック・ジャパンと日本国内における独占販売契約を締結した。

■新薬開発は糖質科学分野に焦点

 09年3月策定の「生化学工業10年ビジョン」に基づいて、研究開発は糖質科学分野(糖鎖や複合糖質を研究する科学分野)に焦点を絞り、国際競争力を確立する「グローバル・カテゴリー・ファーマ」としての発展を目指している。

 開発中の新薬としては、腰椎椎間板ヘルニア治療剤SI−6603(コンドリアーゼ)、変形性膝関節症改善剤SI−613(NSAID結合ヒアルロン酸)、ドライアイ治療剤SI−614(修飾ヒアルロン酸)がある。

 腰椎椎間板ヘルニア治療剤SI−6603は日本で14年1月に製造販売承認申請して審査継続中である。17年3月期中の国内承認取得を目指しているが、品質管理に関する審査対応に時間を要しているため、17年3月期中の承認取得は厳しい状況にあるとしている。米国では第3相臨床試験段階として、二重盲検試験および安全性評価を主目的としたオープン試験を実施中である。

 16年8月にはスイスのフェリング社とSI−6603の海外におけるライセンス契約を締結した。フェリング社はSI−6603の日本を除く全世界を対象とした独占開発・販売権を取得し、当社はフェリング社から契約一時金5百万米ドル、および今後の開発や販売等の進捗に応じて複数年にわたり最大で90百万米ドルのマイルストーン型ロイヤリティーを受領する。日本における独占的販売契約については12年12月に科研製薬<4521>と締結している。

 変形性膝関節症治療剤SI−613は日本で16年1月第2相試験(反復投与)が終了した。そして17年2月、日本における第3相臨床試験開始を発表した。米国を含めたグローバル展開を目指す製品と位置付けている。

 ドライアイ治療剤SI−614は米国・欧州で15年1月第2・3相試験が終了し、次相試験について検討中である。

 16年2月にはジェネリック医薬品である眼科手術補助剤「シェルガン0.5眼粘弾剤」の製造販売承認を取得した。眼科手術補助剤オペガンと同様に参天製薬<4536>が販売する。

■品揃え充実で重点地域の米国におけるプレゼンスを強化

 変形性膝関節症を適応症とする医療機器「VISCO−3」は、15年12月米国食品医薬局(FDA)の承認を取得した。ヒアルロン酸主成分とする関節機能改善剤で、1治療あたり3回投与の3本キット製品である。

 米国では高齢化に伴って関節機能剤の市場拡大が予想されているため、単回投与製品Gel−One、5回投与製品SUPARTZ−FX(15年10月SUPARTZからブランド名変更)に加えて、3回投与製品VISCO−3を新たに市場投入し、重点地域の米国に置いてプレゼンス強化を図っている。

 16年11月には米ジンマー・バイオメット社と、3回投与の関節機能改善剤VISCO−3の米国における独占販売契約を締結したと発表した。米ジンマー・バイオメット社は12年から単回投与の関節機能改善剤Gel−Oneを米国で販売している。

■薬価改定、為替、研究開発費などが影響する収益構造

 収益は販売数量、薬価改定、為替、研究開発費、受取ロイヤリティーなどが影響する。16年3月期は米国向けGel−One数量増や円安などで増収だが、研究開発費が増加して減益だった。四半期別推移を見ると売上高は第1四半期77億62百万円、第2四半期81億92百万円、第3四半期74億83百万円、第4四半期75億25百万円、営業利益は8億83百万円、11億67百万円、6億93百万円、5億99百万円の赤字だった。

 売上総利益率は58.4%で15年3月期比0.5ポイント低下、販管費比率は51.5%で同0.7ポイント上昇した。減価償却費は同22.3%増の31億91百万円、研究開発費は同6.2%増の86億49百万円だった。営業外では受取ロイヤリティーが増加したが、為替差損益が悪化した。また一過性の税率低減要因(米国子会社有償減資に伴う税率減)が終了して税金費用が増加した。

 ROEは3.7%で同1.7ポイント低下、自己資本比率は87.0%で同横ばいだった。配当は15年3月期と同額の年間26円(第2四半期末13円、期末13円)で配当性向は57.3%だった。株主還元は超長期的な視点に立って安定的かつ継続的な配当を目指し、1株当たり年間26円を継続する方針としている。

 セグメント別売上高は、医薬品事業が同3.5%増の255億18百万円(国内医薬品が同0.2%増の169億28百万円、海外医薬品が同15.1%増の73億円、医薬品原体が同8.4%減の12億89百万円)、LAL事業が同11.7%増の54億44百万円だった。海外売上高は同15.8%増の115億81百万円、海外売上比率は同3.5ポイント上昇の37.4%となった。

■17年3月期第3四半期累計は円高、薬価改定、研究開発費増加で減収減益

 今期(17年3月期)第3四半期累計(4〜12月)連結業績は、売上高が前年同期比5.6%減の221億28百万円、営業利益が同67.9%減の8億81百万円、経常利益が同49.7%減の20億16百万円、純利益が同50.9%減の14億81百万円だった。

 米国向けGel−OneやLAL事業の販売数量が増加したが、円高や国内における薬価改定の影響で減収となり、アルツ新容器投入に伴う一過性要因による原価率上昇、米国における腰椎椎間板ヘルニア治療剤SI−6603オープン試験進展に伴う研究開発費の増加などで減益だった。為替の円高影響は売上高で10億60百万円のマイナス要因だった。

 売上総利益は同12.9%減少し、売上総利益率は54.3%で同4.6ポイント低下した。販管費は同0.7%増加し、販管費比率は50.3%で同3.1ポイント上昇した。研究開発費は57億66百万円で同2.4%増加した。営業外収益では受取ロイヤリティーが増加(前期3億61百万円、今期6億78百万円)したが、投資有価証券売却益が減少(前期4億33百万円、今期1億06百万円)した。

 セグメント別売上高は医薬品事業が同6.7%減の180億20百万円(国内医薬品が同5.5%減の123億05百万円、海外医薬品が同7.7%減の49億28百万円、医薬品原体が同17.2%減の7億86百万円)、LAL事業が同0.5%減の41億08百万円だった。なお海外売上高は同5.5%減の81億18百万円だった。

 国内アルツは市場全体が横ばいで推移する状況だが、新容器投入(16年4月プラスチックシリンジのルアーフィットタイプ)や販売提携先の拡販努力によって医療機関納入本数は増加(同2.6%増)した。白内障手術補助剤オペガン類は、16年7月発売したシェルガンが好調で、医療機関納入本数が増加(同7.9%増)した。米国向けGel−Oneは営業体制拡充効果などで現地販売が増加した。米国向けSUPARTZ−FXは競合環境が厳しく現地販売が微減だった。

 四半期別の業績推移を見ると、売上高は第1四半期82億75百万円、第2四半期68億10百万円、第3四半期70億43百万円、営業利益は3億79百万円、4億04百万円、98百万円だった。

■17年3月期通期も円高や薬価改定で減収減益予想

 今期(17年3月期)通期の連結業績予想(11月8日に売上高と営業利益を増額、経常利益と純利益を減額修正)は、売上高が前期(16年3月期)比4.2%減の296億50百万円、営業利益が同41.7%減の12億50百万円、経常利益が同24.3%減の26億50百万円、そして純利益が同22.4%減の20億円としている。配当予想は前期と同額の年間26円(第2四半期末13円、期末13円)としている。予想配当性向は73.7%となる。

 円高や薬価改定の影響で減収減益予想である。下期の想定為替レートは1米ドル=103円で、売上総利益率は56.2%、販管費比率は51.9%、研究開発費は78億50百万円の想定としている。

 セグメント別売上高の計画は、医薬品事業が同4.0%減の245億円(国内医薬品が同4.0%減の162億50百万円、海外医薬品が同2.7%減の71億円、医薬品原体が同10.8%減の11億50百万円)、LAL事業が同5.4%減の51億50百万円、海外売上高は同5.0%減の110億円としている。

 通期会社予想に対する第3四半期累計の進捗率は売上高が74.6%、営業利益が70.5%、経常利益が76.1%、純利益が74.1%と概ね順調な水準である。円安傾向を考慮すれば増額余地がありそうだ。また来期(18年3月期)はマイナス要因が一巡しそうだ。

■新中期経営計画で19年3月期経常利益45億円目標

 16年5月策定の新中期経営計画(17年3月期〜19年3月期)では、重点戦略として、腰椎椎間板ヘルニア治療剤SI−6603の確実な進展、変形性膝関節症市場におけるリーディングカンパニーとしての進化、開発パイプラインの充実、最適な生産・品質管理体制の追求を掲げている。

 腰椎椎間板ヘルニア治療剤SI−6603については日本での上市と拡販、および潜在市場規模の大きい米国での事業化を目指す。変形性膝関節症市場におけるリーディングカンパニーとしての進化では、成長ドライバーであるジェル・ワンの米国売上拡大と新規市場展開、製品改良による国内アルツの販売数量維持、次世代品となる関節機能改善剤SI−613の開発を推進する。開発パイプラインの充実では、糖質科学分野において他社を凌駕する基盤技術の保持、探査研究の加速、持続的な開発テーマの創製を推進する。最適な生産・品質管理体制の追求では、製品の安定供給、さらなる生産効率化の推進によって原価低減を実現する。

 経営目標値には、19年3月期売上高320億円、営業利益25億円、経常利益45億円を掲げた。想定為替レートは1米ドル=110円で、海外事業の拡大(海外売上高比率45%)によって国内薬価改定による減収をカバーし、研究開発費は高水準(対売上高比率25%〜30%)で推移する。また各種受取ロイヤリティーを営業外収益として織り込んでいる。

■株価は昨年来高値に接近、フシ突破すれば上げ足速める可能性

 株価の動きを見ると、1400円〜1800円近辺のレンジでボックス展開の形だが、徐々に水準を切り上げて2月28日には1807円まで上伸した。そして16年1月の昨年来高値1865円に接近している。17年3月期減益予想の織り込みは完了しているようだ。

 3月1日の終値1793円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS35円30銭で算出)は51倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間26円で算出)は1.5%近辺、そして前期実績連結PBR(前期実績連結BPS1229円05銭で算出)は1.5倍近辺である。なお時価総額は約1019億円である。

 週足チャートで見ると13週移動平均線と26週移動平均線が上向きに転じてサポートラインの形となった。レンジ上放れの展開が期待される。1800円台のフシを突破すれば上げ足を速める可能性がありそうだ。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media−IR)
[02月07日更新]

生化学工業は変形性関節症治療剤SI−613の日本における第3相臨床試験開始

 生化学工業<4548>(東1)は関節機能改善剤アルツが主力の医薬品メーカーである。2月3日発表した17年3月期第3四半期累計連結業績は円高、国内薬価改定、研究開発費の増加で大幅減益となり、通期も減益予想だが、中期的には高齢者人口増加を背景として関節機能改善剤の需要拡大が期待される。なお変形性関節症治療剤SI−613の日本における第3相臨床試験開始を発表した。株価はボックス展開だが、17年3月期減益予想の織り込みが完了してレンジ上放れの展開が期待される。

■関節機能改善剤アルツなど糖質科学分野が主力の医薬品メーカー

 糖質科学分野が主力の医薬品メーカーである。国内医薬品(関節機能改善剤アルツ、白内障手術補助剤オペガン、内視鏡用粘膜下注入材ムコアップ)、海外医薬品(米国向け単回投与関節機能改善剤Gel−One、米国向け3回投与関節機能改善剤VISCO−3、米国向け5回投与関節機能改善剤SUPARTZ−FX、中国向けアルツ)、医薬品原体(ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸)、LAL事業(エンドトキシン測定用試薬関連)を展開している。高齢者人口増加を背景に関節機能改善剤の需要拡大が期待される。

 内視鏡用粘膜下注入材ムコアップについては販売提携先を変更し、16年4月からボストン・サイエンティフィック・ジャパンと日本国内における独占販売契約を締結した。

■新薬開発は糖質科学分野に焦点

 09年3月策定の「生化学工業10年ビジョン」に基づいて、研究開発は糖質科学分野(糖鎖や複合糖質を研究する科学分野)に焦点を絞り、国際競争力を確立する「グローバル・カテゴリー・ファーマ」としての発展を目指している。

 開発中の新薬としては、腰椎椎間板ヘルニア治療剤SI−6603(コンドリアーゼ)、変形性膝関節症改善剤SI−613(NSAID結合ヒアルロン酸)、ドライアイ治療剤SI−614(修飾ヒアルロン酸)がある。

 腰椎椎間板ヘルニア治療剤SI−6603は日本で14年1月に製造販売承認申請して審査継続中である。17年3月期中の国内承認取得を目指しているが、品質管理に関する審査対応に時間を要しているため、17年3月期中の承認取得は厳しい状況にあるとしている。米国では第3相臨床試験段階として、二重盲検試験および安全性評価を主目的としたオープン試験を実施中である。

 16年8月にはスイスのフェリング社とSI−6603の海外におけるライセンス契約を締結した。フェリング社はSI−6603の日本を除く全世界を対象とした独占開発・販売権を取得し、当社はフェリング社から契約一時金5百万米ドル、および今後の開発や販売等の進捗に応じて複数年にわたり最大で90百万米ドルのマイルストーン型ロイヤリティーを受領する。日本における独占的販売契約については12年12月に科研製薬<4521>と締結している。

 変形性膝関節症治療剤SI−613は日本で16年1月第2相試験(反復投与)が終了した。そして2月3日、日本における第3相臨床試験開始を発表した。米国を含めたグローバル展開を目指す製品と位置付けている。

 ドライアイ治療剤SI−614は米国・欧州で15年1月第2・3相試験が終了し、次相試験について検討中である。

 16年2月にはジェネリック医薬品である眼科手術補助剤「シェルガン0.5眼粘弾剤」の製造販売承認を取得した。眼科手術補助剤オペガンと同様に参天製薬<4536>が販売する。

■品揃え充実で重点地域の米国におけるプレゼンスを強化

 変形性膝関節症を適応症とする医療機器「VISCO−3」は、15年12月米国食品医薬局(FDA)の承認を取得した。ヒアルロン酸主成分とする関節機能改善剤で、1治療あたり3回投与の3本キット製品である。

 米国では高齢化に伴って関節機能剤の市場拡大が予想されているため、単回投与製品Gel−One、5回投与製品SUPARTZ−FX(15年10月SUPARTZからブランド名変更)に加えて、3回投与製品VISCO−3を新たに市場投入し、重点地域の米国に置いてプレゼンス強化を図っている。

 16年11月には米ジンマー・バイオメット社と、3回投与の関節機能改善剤VISCO−3の米国における独占販売契約を締結したと発表した。米ジンマー・バイオメット社は12年から単回投与の関節機能改善剤Gel−Oneを米国で販売している。

■薬価改定、為替、研究開発費などが影響する収益構造

 収益は販売数量、薬価改定、為替、研究開発費、受取ロイヤリティーなどが影響する。16年3月期は米国向けGel−One数量増や円安などで増収だが、研究開発費が増加して減益だった。四半期別推移を見ると売上高は第1四半期77億62百万円、第2四半期81億92百万円、第3四半期74億83百万円、第4四半期75億25百万円、営業利益は8億83百万円、11億67百万円、6億93百万円、5億99百万円の赤字だった。

 売上総利益率は58.4%で15年3月期比0.5ポイント低下、販管費比率は51.5%で同0.7ポイント上昇した。減価償却費は同22.3%増の31億91百万円、研究開発費は同6.2%増の86億49百万円だった。営業外では受取ロイヤリティーが増加したが、為替差損益が悪化した。また一過性の税率低減要因(米国子会社有償減資に伴う税率減)が終了して税金費用が増加した。

 ROEは3.7%で同1.7ポイント低下、自己資本比率は87.0%で同横ばいだった。配当は15年3月期と同額の年間26円(第2四半期末13円、期末13円)で配当性向は57.3%だった。株主還元は超長期的な視点に立って安定的かつ継続的な配当を目指し、1株当たり年間26円を継続する方針としている。

 セグメント別売上高は、医薬品事業が同3.5%増の255億18百万円(国内医薬品が同0.2%増の169億28百万円、海外医薬品が同15.1%増の73億円、医薬品原体が同8.4%減の12億89百万円)、LAL事業が同11.7%増の54億44百万円だった。海外売上高は同15.8%増の115億81百万円、海外売上比率は同3.5ポイント上昇の37.4%となった。

■17年3月期第3四半期累計は円高、薬価改定、研究開発費増加で減収減益

 2月3日発表した今期(17年3月期)第3四半期累計(4〜12月)連結業績は、売上高が前年同期比5.6%減の221億28百万円、営業利益が同67.9%減の8億81百万円、経常利益が同49.7%減の20億16百万円、そして純利益が同50.9%減の14億81百万円だった。

 米国向けGel−OneやLAL事業の販売数量が増加したが、円高や国内における薬価改定の影響で減収となり、アルツ新容器投入に伴う一過性要因による原価率上昇、米国における腰椎椎間板ヘルニア治療剤SI−6603オープン試験進展に伴う研究開発費の増加などで減益だった。為替の円高影響は売上高で10億60百万円のマイナス要因だった。

 売上総利益は同12.9%減少し、売上総利益率は54.3%で同4.6ポイント低下した。販管費は同0.7%増加し、販管費比率は50.3%で同3.1ポイント上昇した。研究開発費は57億66百万円で同2.4%増加した。営業外収益では受取ロイヤリティーが増加(前期3億61百万円、今期6億78百万円)したが、投資有価証券売却益が減少(前期4億33百万円、今期1億06百万円)した。

 セグメント別売上高は医薬品事業が同6.7%減の180億20百万円(国内医薬品が同5.5%減の123億05百万円、海外医薬品が同7.7%減の49億28百万円、医薬品原体が同17.2%減の7億86百万円)、LAL事業が同0.5%減の41億08百万円だった。なお海外売上高は同5.5%減の81億18百万円だった。

 国内アルツは市場全体が横ばいで推移する状況だが、新容器投入(16年4月プラスチックシリンジのルアーフィットタイプ)や販売提携先の拡販努力によって医療機関納入本数は増加(同2.6%増)した。白内障手術補助剤オペガン類は、16年7月発売したシェルガンが好調で、医療機関納入本数が増加(同7.9%増)した。米国向けGel−Oneは営業体制拡充効果などで現地販売が増加した。米国向けSUPARTZ−FXは競合環境が厳しく現地販売が微減だった。

 四半期別の業績推移を見ると、売上高は第1四半期82億75百万円、第2四半期68億10百万円、第3四半期70億43百万円、営業利益は3億79百万円、4億04百万円、98百万円だった。

■17年3月期通期も円高や薬価改定で減収減益予想

 今期(17年3月期)通期の連結業績予想は前回予想(11月8日に売上高と営業利益を増額、経常利益と純利益を減額修正)を据え置き、売上高が前期(16年3月期)比4.2%減の296億50百万円、営業利益が同41.7%減の12億50百万円、経常利益が同24.3%減の26億50百万円、純利益が同22.4%減の20億円としている。配当予想は据え置いて前期と同額の年間26円(第2四半期末13円、期末13円)としている。予想配当性向は73.7%となる。

 円高や薬価改定の影響で減収減益予想である。下期の想定為替レートは1米ドル=103円で、売上総利益率は56.2%、販管費比率は51.9%、研究開発費は78億50百万円の想定としている。

 セグメント別売上高の計画は、医薬品事業が同4.0%減の245億円(国内医薬品が同4.0%減の162億50百万円、海外医薬品が同2.7%減の71億円、医薬品原体が同10.8%減の11億50百万円)、LAL事業が同5.4%減の51億50百万円、海外売上高は同5.0%減の110億円としている。

 通期会社予想に対する第3四半期累計の進捗率は売上高が74.6%、営業利益が70.5%、経常利益が76.1%、純利益が74.1%と概ね順調な水準である。円安傾向を考慮すれば増額余地がありそうだ。

■新中期経営計画で19年3月期経常利益45億円目標

 16年5月策定の新中期経営計画(17年3月期〜19年3月期)では、重点戦略として、腰椎椎間板ヘルニア治療剤SI−6603の確実な進展、変形性膝関節症市場におけるリーディングカンパニーとしての進化、開発パイプラインの充実、最適な生産・品質管理体制の追求を掲げている。

 腰椎椎間板ヘルニア治療剤SI−6603については日本での上市と拡販、および潜在市場規模の大きい米国での事業化を目指す。変形性膝関節症市場におけるリーディングカンパニーとしての進化では、成長ドライバーであるジェル・ワンの米国売上拡大と新規市場展開、製品改良による国内アルツの販売数量維持、次世代品となる関節機能改善剤SI−613の開発を推進する。開発パイプラインの充実では、糖質科学分野において他社を凌駕する基盤技術の保持、探査研究の加速、持続的な開発テーマの創製を推進する。最適な生産・品質管理体制の追求では、製品の安定供給、さらなる生産効率化の推進によって原価低減を実現する。

 経営目標値には、19年3月期売上高320億円、営業利益25億円、経常利益45億円を掲げた。想定為替レートは1米ドル=110円で、海外事業の拡大(海外売上高比率45%)によって国内薬価改定による減収をカバーし、研究開発費は高水準(対売上高比率25%〜30%)で推移する。また各種受取ロイヤリティーを営業外収益として織り込んでいる。

■株価は17年3月期減益予想の織り込み完了してレンジ上放れ期待

 株価の動きを見ると、大勢として1400円〜1800円近辺のレンジでボックス展開が続いている。ただし徐々に下値を切り上げている。

 2月3日の終値1706円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS35円30銭で算出)は48倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間26円で算出)は1.5%近辺、そして前期実績連結PBR(前期実績連結BPS1229円05銭で算出)は1.4倍近辺である。時価総額は約969億円である。

 週足チャートで見ると13週移動平均線と26週移動平均線が上向きに転じてきた。17年3月期減益予想の織り込みが完了してレンジ上放れの展開が期待される。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media−IR)
[01月04日更新]

生化学工業は糖質科学分野に絞って「グローバル・カテゴリー・ファーマ」目指す

 生化学工業 <4548> は関節機能改善剤アルツが主力の医薬品メーカーである。10年ビジョンのもと、糖質科学分野に研究開発の焦点を絞り、国際競争力を確立する「グローバル・カテゴリー・ファーマ」を目指している。17年3月期は円高や薬価改定の影響で減益予想だが、中期的には高齢者人口増加を背景として関節機能改善剤の需要拡大が期待される。株価はボックスレンジ上限に接近している。17年3月期減益予想の織り込みが完了してレンジ上放れの展開が期待される。

■関節機能改善剤アルツなど糖質科学分野が主力の医薬品メーカー

 糖質科学分野が主力の医薬品メーカーである。国内医薬品(関節機能改善剤アルツ、白内障手術補助剤オペガン、内視鏡用粘膜下注入材ムコアップ)、海外医薬品(米国向け単回投与関節機能改善剤Gel−One、米国向け3回投与関節機能改善剤VISCO−3、米国向け5回投与関節機能改善剤SUPARTZ−FX、中国向けアルツ)、医薬品原体(ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸)、LAL事業(エンドトキシン測定用試薬関連)を展開している。高齢者人口増加を背景に関節機能改善剤の需要拡大が期待される。

 内視鏡用粘膜下注入材ムコアップについては販売提携先を変更し、16年4月からボストン・サイエンティフィック・ジャパンと日本国内における独占販売契約を締結した。

■新薬開発は糖質科学分野に焦点

 09年3月策定の「生化学工業10年ビジョン」に基づいて、研究開発は糖質科学分野(糖鎖や複合糖質を研究する科学分野)に焦点を絞り、国際競争力を確立する「グローバル・カテゴリー・ファーマ」としての発展を目指している。

 開発中の新薬としては、腰椎椎間板ヘルニア治療剤SI−6603(コンドリアーゼ)、変形性膝関節症改善剤SI−613(NSAID結合ヒアルロン酸)、ドライアイ治療剤SI−614(修飾ヒアルロン酸)がある。

 腰椎椎間板ヘルニア治療剤SI−6603は日本で14年1月に製造販売承認申請して審査継続中である。17年3月期中の国内承認取得を目指しているが、品質管理に関する審査対応に時間を要しているため、17年3月期中の承認取得は厳しい状況にあるとしている。米国ではフェーズ3臨床試験段階として、二重盲検試験および安全性評価を主目的としたオープン試験を実施中である。

 16年8月にはスイスのフェリング社とSI−6603の海外におけるライセンス契約を締結した。フェリング社はSI−6603の日本を除く全世界を対象とした独占開発・販売権を取得し、当社はフェリング社から契約一時金5百万米ドル、および今後の開発や販売等の進捗に応じて複数年にわたり最大で90百万米ドルのマイルストーン型ロイヤリティーを受領する。日本における独占的販売契約については12年12月に科研製薬 <4521> と締結している。

 変形性膝関節症改善剤SI−613は日本で16年1月フェーズ2試験(反復投与)が終了し、現在はデータ解析中である。ドライアイ治療剤SI−614は米国・欧州で15年1月フェーズ2・3試験が終了し、次相試験について検討中である。

 16年2月にはジェネリック医薬品である眼科手術補助剤「シェルガン0.5眼粘弾剤」の製造販売承認を取得した。眼科手術補助剤オペガンと同様に参天製薬 <4536> が販売する。

■品揃え充実で重点地域の米国におけるプレゼンスを強化

 変形性膝関節症を適応症とする医療機器「VISCO−3」は、15年12月米国食品医薬局(FDA)の承認を取得した。ヒアルロン酸主成分とする関節機能改善剤で、1治療あたり3回投与の3本キット製品である。

 米国では高齢化に伴って関節機能剤の市場拡大が予想されているため、単回投与製品Gel−One、5回投与製品SUPARTZ−FX(15年10月SUPARTZからブランド名変更)に加えて、3回投与製品VISCO−3を新たに市場投入し、重点地域の米国に置いてプレゼンス強化を図っている。

 16年11月には米ジンマー・バイオメット社と、3回投与の関節機能改善剤VISCO−3の米国における独占販売契約を締結したと発表した。米ジンマー・バイオメット社は12年から単回投与の関節機能改善剤Gel−Oneを米国で販売している。

■薬価改定、為替、研究開発費などが影響する収益構造

 収益は販売数量、薬価改定、為替、研究開発費、受取ロイヤリティーなどが影響する。16年3月期は米国向けGel−One数量増や円安などで増収だが、研究開発費が増加して減益だった。四半期別推移を見ると売上高は第1四半期77億62百万円、第2四半期81億92百万円、第3四半期74億83百万円、第4四半期75億25百万円、営業利益は8億83百万円、11億67百万円、6億93百万円、5億99百万円の赤字だった。

 売上総利益率は58.4%で15年3月期比0.5ポイント低下、販管費比率は51.5%で同0.7ポイント上昇した。減価償却費は同22.3%増の31億91百万円、研究開発費は同6.2%増の86億49百万円だった。営業外では受取ロイヤリティーが増加したが、為替差損益が悪化した。また一過性の税率低減要因(米国子会社有償減資に伴う税率減)が終了して税金費用が増加した。

 ROEは3.7%で同1.7ポイント低下、自己資本比率は87.0%で同横ばいだった。配当は15年3月期と同額の年間26円(第2四半期末13円、期末13円)で配当性向は57.3%だった。株主還元は超長期的な視点に立って安定的かつ継続的な配当を目指し、1株当たり年間26円を継続する方針としている。

 セグメント別売上高は、医薬品事業が同3.5%増の255億18百万円(国内医薬品が同0.2%増の169億28百万円、海外医薬品が同15.1%増の73億円、医薬品原体が同8.4%減の12億89百万円)、LAL事業が同11.7%増の54億44百万円だった。海外売上高は同15.8%増の115億81百万円、海外売上比率は同3.5ポイント上昇の37.4%となった。

■17年3月期第2四半期累計は円高や薬価改定で減収減益

 今期(17年3月期)第2四半期累計(4〜9月)の連結業績は、売上高が前年同期比5.4%減の150億85百万円、営業利益が同61.8%減の7億83百万円、経常利益が同46.5%減の13億76百万円、純利益が同47.8%減の10億13百万円だった。

 米国向けGel−Oneや国内医薬品の数量が増加したが、円高や薬価改定の影響、前年同期に米国向けSUPARTZ−FXの出荷が集中した反動で減収となり、原価率上昇、米国における腰椎椎間板ヘルニア治療剤SI−6603オープン試験進展による研究開発費の増加などで減益だった。為替の円高影響は売上高で7億10百万円のマイナス要因だった。

 売上総利益は同9.5%減少し、売上総利益率は56.4%で同2.6ポイント低下した。販管費は同5.1%増加し、販管費比率は51.3%で同5.2ポイント上昇した。研究開発費は41億09百万円で同9.6%増加した。営業外では為替差損益が悪化(前期差益80百万円、今期差損2億07百万円)し、前期計上の投資有価証券売却益2億71百万円が一巡した。

 セグメント別売上高は医薬品事業が同7.0%減の122億81百万円(国内医薬品が同2.2%減の85億18百万円、海外医薬品が同15.7%減の32億27百万円、医薬品原体が同18.9%減の5億36百万円)、LAL事業が同1.8%増の28億03百万円だった。また海外売上高は同10.1%減の54億08百万円だった。

 国内アルツは市場全体が横ばい(同0.4%増)で推移する状況だが、新容器投入(16年4月プラスチックシリンジのルアーフィットタイプ)や販売提携先の拡販努力によって医療機関納入本数は増加(同3.5%増)した。米国向けGel−Oneは営業体制拡充効果などで現地販売が約3割増加した。米国向けSUPARTZ−FXは競合環境が厳しく現地販売が微減だった。

 なお四半期別の業績推移を見ると、売上高は第1四半期82億75百万円、第2四半期68億10百万円、営業利益が3億79百万円、4億04百万円だった。

■17年3月期通期も円高や薬価改定の影響で減収減益予想

 今期(17年3月期)通期の連結業績予想(11月8日に売上高と営業利益を増額、経常利益と純利益を減額修正)は、売上高が前期(16年3月期)比4.2%減の296億50百万円、営業利益が同41.7%減の12億50百万円、経常利益が同24.3%減の26億50百万円、そして純利益が同22.4%減の20億円としている。配当予想は据え置いて前期と同額の年間26円(第2四半期末13円、期末13円)としている。予想配当性向は73.7%となる。

 円高や薬価改定の影響で減収減益予想だが、売上高は円高影響を国内医薬品の堅調推移で補い、研究開発費を中心とした経費見直しで営業利益を増額した。経常利益と純利益については、受取ロイヤリティーの減少や為替差損益の悪化が影響する。為替レートは前回予想1米ドル=110円から1米ドル=103円に修正、売上総利益率は58.0%から56.2%に修正、販管費比率は54.7%から51.9%に修正、研究開発費は84億円から78億50百万円に修正した。

 セグメント別売上高の計画は、医薬品事業が同4.0%減の245億円(国内医薬品が同4.0%減の162億50百万円、海外医薬品が同2.7%減の71億円、医薬品原体が同10.8%減の11億50百万円)、LAL事業が同5.4%減の51億50百万円とした。海外売上高は同5.0%減の110億円とした。

 なお通期予想に対する第2四半期累計の進捗率は、売上高が50.9%、営業利益が62.6%、経常利益が51.9%、純利益が50.7%である。

■新中期経営計画で19年3月期経常利益45億円目標

 16年5月策定の新中期経営計画(17年3月期〜19年3月期)では、重点戦略として、腰椎椎間板ヘルニア治療剤SI−6603の確実な進展、変形性膝関節症市場におけるリーディングカンパニーとしての進化、開発パイプラインの充実、最適な生産・品質管理体制の追求を掲げている。

 腰椎椎間板ヘルニア治療剤SI−6603については日本での上市と拡販、および潜在市場規模の大きい米国での事業化を目指す。変形性膝関節症市場におけるリーディングカンパニーとしての進化では、成長ドライバーであるジェル・ワンの米国売上拡大と新規市場展開、製品改良による国内アルツの販売数量維持、次世代品となる関節機能改善剤SI−613の開発を推進する。開発パイプラインの充実では、糖質科学分野において他社を凌駕する基盤技術の保持、探査研究の加速、持続的な開発テーマの創製を推進する。最適な生産・品質管理体制の追求では、製品の安定供給、さらなる生産効率化の推進によって原価低減を実現する。

 経営目標値には、19年3月期売上高320億円、営業利益25億円、経常利益45億円を掲げた。想定為替レートは1米ドル=110円で、海外事業の拡大(海外売上高比率45%)によって国内薬価改定による減収をカバーし、研究開発費は高水準(対売上高比率25%〜30%)で推移する。また各種受取ロイヤリティーを営業外収益として織り込んでいる。

■株価は17年3月期減益予想の織り込み完了してレンジ上放れ期待

 株価の動きを見ると、大勢として1400円〜1800円近辺のレンジでボックス展開だが、12月30日には1733円まで上伸してレンジ上限に接近している。

 12月30日の終値1732円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS35円30銭で算出)は49倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間26円で算出)は1.5%近辺、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS1229円05銭で算出)は1.4倍近辺である。時価総額は約984億円である。

 週足チャートで見ると26週移動平均線を素早く回復した。また13週移動平均線が上向きに転じた。17年3月期減益予想の織り込みが完了してレンジ上放れの展開が期待される。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media−IR)
[12月14日更新]

生化学工業は17年3月期減益予想の織り込み完了して出直り期待

 生化学工業<4548>(東1)は関節機能改善剤アルツが主力の医薬品メーカーである。薬価改定影響などで17年3月期減益予想だが、期初計画に対して営業利益を増額している。中期的には高齢者人口増加を背景として関節機能改善剤の需要拡大が期待される。株価はモミ合い展開だが、17年3月期減益予想の織り込みが完了し、出直りが期待される。

■関節機能改善剤アルツなど糖質科学分野が主力の医薬品メーカー

 糖質科学分野が主力の医薬品メーカーである。国内医薬品(関節機能改善剤アルツ、白内障手術補助剤オペガン、内視鏡用粘膜下注入材ムコアップ)、海外医薬品(米国向け単回投与関節機能改善剤Gel−One、米国向け3回投与関節機能改善剤VISCO−3、米国向け5回投与関節機能改善剤SUPARTZ−FX、中国向けアルツ)、医薬品原体(ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸)、LAL事業(エンドトキシン測定用試薬関連)を展開している。高齢者人口増加を背景に関節機能改善剤の需要拡大が期待される。

 内視鏡用粘膜下注入材ムコアップについては販売提携先を変更し、16年4月からボストン・サイエンティフィック・ジャパンと日本国内における独占販売契約を締結した。

■新薬開発は糖質科学分野に焦点

 09年3月策定の「生化学工業10年ビジョン」に基づいて、研究開発は糖質科学分野(糖鎖や複合糖質を研究する科学分野)に焦点を絞り、国際競争力を確立する「グローバル・カテゴリー・ファーマ」としての発展を目指している。開発中の新薬としては腰椎椎間板ヘルニア治療剤SI−6603(コンドリアーゼ)、変形性膝関節症改善剤SI−613(NSAID結合ヒアルロン酸)、ドライアイ治療剤SI−614(修飾ヒアルロン酸)がある。

 腰椎椎間板ヘルニア治療剤SI−6603は日本で14年1月に製造販売承認申請して審査継続中である。17年3月期中の国内承認取得を目指しているが、品質管理に関する審査対応に時間を要しているため、17年3月期中の承認取得は厳しい状況にあるとしている。米国ではフェーズ3臨床試験段階として、二重盲検試験および安全性評価を主目的としたオープン試験を実施中である。

 なお16年8月スイスのフェリング社とSI−6603の海外におけるライセンス契約を締結した。フェリング社はSI−6603の日本を除く全世界を対象とした独占開発・販売権を取得し、当社はフェリング社から契約一時金5百万米ドル、および今後の開発や販売等の進捗に応じて複数年にわたり最大で90百万米ドルのマイルストーン型ロイヤリティーを受領する。日本における独占的販売契約については12年12月に科研製薬<4521>と締結している。

 変形性膝関節症改善剤SI−613は日本で16年1月フェーズ2試験(反復投与)が終了し、現在はデータ解析中である。ドライアイ治療剤SI−614は米国・欧州で15年1月フェーズ2・3試験が終了し、次相試験について検討中である。

 16年2月にはジェネリック医薬品である眼科手術補助剤「シェルガン0.5眼粘弾剤」の製造販売承認を取得した。眼科手術補助剤オペガンと同様に参天製薬<4536>が販売する。

■品揃え充実で重点地域の米国におけるプレゼンスを強化

 変形性膝関節症を適応症とする医療機器「VISCO−3」は、15年12月米国食品医薬局(FDA)の承認を取得した。ヒアルロン酸主成分とする関節機能改善剤で、1治療あたり3回投与の3本キット製品である。

 米国では高齢化に伴って関節機能剤の市場拡大が予想されているため、単回投与製品Gel−One、5回投与製品SUPARTZ−FX(15年10月SUPARTZからブランド名変更)に加えて、3回投与製品VISCO−3を新たに市場投入し、重点地域の米国に置いてプレゼンス強化を図っている。

 11月8日には米ジンマー・バイオメット社と、3回投与の関節機能改善剤VISCO−3の米国における独占販売契約を締結したと発表した。米ジンマー・バイオメット社は12年から単回投与の関節機能改善剤Gel−Oneを米国で販売している。

■薬価改定、為替、研究開発費などが影響する収益構造

 収益は販売数量、薬価改定、為替、研究開発費、受取ロイヤリティーなどが影響する。16年3月期は米国向けGel−One数量増や円安などで増収だが、研究開発費が増加して減益だった。四半期別推移を見ると売上高は第1四半期77億62百万円、第2四半期81億92百万円、第3四半期74億83百万円、第4四半期75億25百万円、営業利益は8億83百万円、11億67百万円、6億93百万円、5億99百万円の赤字だった。

 売上総利益率は58.4%で15年3月期比0.5ポイント低下、販管費比率は51.5%で同0.7ポイント上昇した。減価償却費は同22.3%増の31億91百万円、研究開発費は同6.2%増の86億49百万円だった。営業外では受取ロイヤリティーが増加したが、為替差損益が悪化した。また一過性の税率低減要因(米国子会社有償減資に伴う税率減)が終了して税金費用が増加した。

 ROEは3.7%で同1.7ポイント低下、自己資本比率は87.0%で同横ばいだった。配当は15年3月期と同額の年間26円(第2四半期末13円、期末13円)で配当性向は57.3%だった。株主還元は超長期的な視点に立って安定的かつ継続的な配当を目指し、1株当たり年間26円を継続する方針としている。

 セグメント別売上高は、医薬品事業が同3.5%増の255億18百万円(国内医薬品が同0.2%増の169億28百万円、海外医薬品が同15.1%増の73億円、医薬品原体が同8.4%減の12億89百万円)、LAL事業が同11.7%増の54億44百万円だった。海外売上高は同15.8%増の115億81百万円、海外売上比率は同3.5ポイント上昇の37.4%となった。

■17年3月期第2四半期累計は円高や薬価改定で減収減益

 今期(17年3月期)第2四半期累計(4〜9月)の連結業績は、売上高が前年同期比5.4%減の150億85百万円、営業利益が同61.8%減の7億83百万円、経常利益が同46.5%減の13億76百万円、純利益が同47.8%減の10億13百万円だった。

 米国向けGel−Oneや国内医薬品の数量が増加したが、円高や薬価改定の影響、前年同期に米国向けSUPARTZ−FXの出荷が集中した反動で減収となり、原価率上昇、米国における腰椎椎間板ヘルニア治療剤SI−6603オープン試験進展による研究開発費の増加などで減益だった。為替の円高影響は売上高で7億10百万円のマイナス要因だった。

 売上総利益は同9.5%減少し、売上総利益率は56.4%で同2.6ポイント低下した。販管費は同5.1%増加し、販管費比率は51.3%で同5.2ポイント上昇した。研究開発費は41億09百万円で同9.6%増加した。営業外では為替差損益が悪化(前期差益80百万円、今期差損2億07百万円)し、前期計上の投資有価証券売却益2億71百万円が一巡した。

 セグメント別売上高は医薬品事業が同7.0%減の122億81百万円(国内医薬品が同2.2%減の85億18百万円、海外医薬品が同15.7%減の32億27百万円、医薬品原体が同18.9%減の5億36百万円)、LAL事業が同1.8%増の28億03百万円だった。また海外売上高は同10.1%減の54億08百万円だった。

 国内アルツは市場全体が横ばい(同0.4%増)で推移する状況だが、新容器投入(16年4月プラスチックシリンジのルアーフィットタイプ)や販売提携先の拡販努力によって医療機関納入本数は増加(同3.5%増)した。米国向けGel−Oneは営業体制拡充効果などで現地販売が約3割増加した。米国向けSUPARTZ−FXは競合環境が厳しく現地販売が微減だった。

 なお四半期別の業績推移を見ると、売上高は第1四半期82億75百万円、第2四半期68億10百万円、営業利益が3億79百万円、4億04百万円だった。

■17年3月期通期は薬価改定などで減収減益予想

 今期(17年3月期)通期の連結業績予想は11月8日、前回予想(5月12日公表)に対して、売上高を1億円増額、営業利益を2億50百万円増額、経常利益を7億円減額、純利益を5億50百万円減額した。修正後は、売上高が前期(16年3月期)比4.2%減の296億50百万円、営業利益が同41.7%減の12億50百万円、経常利益が同24.3%減の26億50百万円、純利益が同22.4%減の20億円とした。配当予想は据え置いて前期と同額の年間26円(第2四半期末13円、期末13円)としている。予想配当性向は73.7%となる。

 円高や薬価改定の影響で減収減益予想だが、売上高は円高影響を国内医薬品の堅調推移で補い、研究開発費を中心とした経費見直しで営業利益を増額した。経常利益と純利益については、受取ロイヤリティーの減少や為替差損益の悪化が影響する。為替レートは前回予想1米ドル=110円から1米ドル=103円に修正、売上総利益率は58.0%から56.2%に修正、販管費比率は54.7%から51.9%に修正、研究開発費は84億円から78億50百万円に修正した。

 セグメント別売上高の計画は、医薬品事業が同4.0%減の245億円(国内医薬品が同4.0%減の162億50百万円、海外医薬品が同2.7%減の71億円、医薬品原体が同10.8%減の11億50百万円)、LAL事業が同5.4%減の51億50百万円とした。海外売上高は同5.0%減の110億円とした。

 なお通期予想に対する第2四半期累計の進捗率は、売上高が50.9%、営業利益が62.6%、経常利益が51.9%、純利益が50.7%である。

■新中期経営計画で19年3月期経常利益45億円目標

 16年5月策定の新中期経営計画(17年3月期〜19年3月期)では、重点戦略として、腰椎椎間板ヘルニア治療剤SI−6603の確実な進展、変形性膝関節症市場におけるリーディングカンパニーとしての進化、開発パイプラインの充実、最適な生産・品質管理体制の追求を掲げている。

 腰椎椎間板ヘルニア治療剤SI−6603については日本での上市と拡販、および潜在市場規模の大きい米国での事業化を目指す。変形性膝関節症市場におけるリーディングカンパニーとしての進化では、成長ドライバーであるジェル・ワンの米国売上拡大と新規市場展開、製品改良による国内アルツの販売数量維持、次世代品となる関節機能改善剤SI−613の開発を推進する。開発パイプラインの充実では、糖質科学分野において他社を凌駕する基盤技術の保持、探査研究の加速、持続的な開発テーマの創製を推進する。最適な生産・品質管理体制の追求では、製品の安定供給、さらなる生産効率化の推進によって原価低減を実現する。

 経営目標値には、19年3月期売上高320億円、営業利益25億円、経常利益45億円を掲げた。想定為替レートは1米ドル=110円で、海外事業の拡大(海外売上高比率45%)によって国内薬価改定による減収をカバーし、研究開発費は高水準(対売上高比率25%〜30%)で推移する。また各種受取ロイヤリティーを営業外収益として織り込んでいる。

■株価は17年3月期減益予想の織り込み完了して出直り期待

 株価の動きを見ると、大勢として1400円〜1800円近辺のレンジでモミ合う展開が続いている。上値は重いが下値固めも完了しているようだ。

 12月13日の終値1655円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS35円30銭で算出)は46〜47倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間26円で算出)は1.6%近辺、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS1229円05銭で算出)は1.3倍近辺である。時価総額は約940億円である。

 週足チャートで見ると26週移動平均線を割り込んだが、17年3月期減益予想の織り込みが完了し、出直りが期待される。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media−IR)
[11月11日更新]

生化学工業は17年3月期通期予想の経常利益と純利益を減額だが営業利益を増額

 生化学工業<4548>(東1)は関節機能改善剤アルツが主力の医薬品メーカーである。11月8日発表した17年3月期第2四半期累計は薬価改定や円高の影響で減収減益だった。なお通期も減収減益予想で経常利益と純利益を減額したが、売上高と営業利益は増額した。中期的には高齢者人口増加を背景として関節機能改善剤の需要拡大が期待される。株価は悪地合いも影響して9日に急落したが、10日には素早く切り返している。17年3月期純利益減額を織り込んで反発が期待される。

■関節機能改善剤アルツなど糖質科学分野が主力の医薬品メーカー

 糖質科学分野が主力の医薬品メーカーである。国内医薬品(関節機能改善剤アルツ、白内障手術補助剤オペガン、内視鏡用粘膜下注入材ムコアップ)、海外医薬品(米国向け単回投与関節機能改善剤Gel−One、米国向け3回投与関節機能改善剤VISCO−3、米国向け5回投与関節機能改善剤SUPARTZ−FX、中国向けアルツ)、医薬品原体(ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸)、LAL事業(エンドトキシン測定用試薬関連)を展開している。高齢者人口増加を背景に関節機能改善剤の需要拡大が期待される。

 内視鏡用粘膜下注入材ムコアップについては販売提携先を変更し、16年4月からボストン・サイエンティフィック・ジャパンと日本国内における独占販売契約を締結した。

■新薬開発は糖質科学分野に焦点

 09年3月策定の「生化学工業10年ビジョン」に基づいて、研究開発は糖質科学分野(糖鎖や複合糖質を研究する科学分野)に焦点を絞り、国際競争力を確立する「グローバル・カテゴリー・ファーマ」としての発展を目指している。開発中の新薬としては腰椎椎間板ヘルニア治療剤SI−6603(コンドリアーゼ)、変形性膝関節症改善剤SI−613(NSAID結合ヒアルロン酸)、ドライアイ治療剤SI−614(修飾ヒアルロン酸)がある。

 腰椎椎間板ヘルニア治療剤SI−6603は日本で14年1月に製造販売承認申請して審査継続中である。17年3月期中の国内承認取得を目指しているが、品質管理に関する審査対応に時間を要しているため、17年3月期中の承認取得は厳しい状況にあるとしている。米国ではフェーズ3臨床試験段階として、二重盲検試験および安全性評価を主目的としたオープン試験を実施中である。

 なお16年8月スイスのフェリング社とSI−6603の海外におけるライセンス契約を締結した。フェリング社はSI−6603の日本を除く全世界を対象とした独占開発・販売権を取得し、当社はフェリング社から契約一時金5百万米ドル、および今後の開発や販売等の進捗に応じて複数年にわたり最大で90百万米ドルのマイルストーン型ロイヤリティーを受領する。日本における独占的販売契約については12年12月に科研製薬<4521>と締結している。

 変形性膝関節症改善剤SI−613は日本で16年1月フェーズ2試験(反復投与)が終了し、現在はデータ解析中である。ドライアイ治療剤SI−614は米国・欧州で15年1月フェーズ2・3試験が終了し、次相試験について検討中である。

 16年2月にはジェネリック医薬品である眼科手術補助剤「シェルガン0.5眼粘弾剤」の製造販売承認を取得した。眼科手術補助剤オペガンと同様に参天製薬<4536>が販売する。

■品揃え充実で重点地域の米国におけるプレゼンスを強化

 変形性膝関節症を適応症とする医療機器「VISCO−3」は、15年12月米国食品医薬局(FDA)の承認を取得した。ヒアルロン酸主成分とする関節機能改善剤で、1治療あたり3回投与の3本キット製品である。

 米国では高齢化に伴って関節機能剤の市場拡大が予想されているため、単回投与製品Gel−One、5回投与製品SUPARTZ−FX(15年10月SUPARTZからブランド名変更)に加えて、3回投与製品VISCO−3を新たに市場投入し、重点地域の米国に置いてプレゼンス強化を図っている。

 11月8日には米ジンマー・バイオメット社と、3回投与の関節機能改善剤VISCO−3の米国における独占販売契約を締結したと発表した。米ジンマー・バイオメット社は12年から単回投与の関節機能改善剤Gel−Oneを米国で販売している。

■薬価改定、為替、研究開発費などが影響する収益構造

 収益は販売数量、薬価改定、為替、研究開発費、受取ロイヤリティーなどが影響する。16年3月期は米国向けGel−One数量増や円安などで増収だが、研究開発費が増加して減益だった。四半期別推移を見ると売上高は第1四半期77億62百万円、第2四半期81億92百万円、第3四半期74億83百万円、第4四半期75億25百万円、営業利益は8億83百万円、11億67百万円、6億93百万円、5億99百万円の赤字だった。

 売上総利益率は58.4%で15年3月期比0.5ポイント低下、販管費比率は51.5%で同0.7ポイント上昇した。減価償却費は同22.3%増の31億91百万円、研究開発費は同6.2%増の86億49百万円だった。営業外では受取ロイヤリティーが増加したが、為替差損益が悪化した。また一過性の税率低減要因(米国子会社有償減資に伴う税率減)が終了して税金費用が増加した。

 ROEは3.7%で同1.7ポイント低下、自己資本比率は87.0%で同横ばいだった。配当は15年3月期と同額の年間26円(第2四半期末13円、期末13円)で配当性向は57.3%だった。株主還元は超長期的な視点に立って安定的かつ継続的な配当を目指し、1株当たり年間26円を継続する方針としている。

 セグメント別売上高は、医薬品事業が同3.5%増の255億18百万円(国内医薬品が同0.2%増の169億28百万円、海外医薬品が同15.1%増の73億円、医薬品原体が同8.4%減の12億89百万円)、LAL事業が同11.7%増の54億44百万円だった。海外売上高は同15.8%増の115億81百万円、海外売上比率は同3.5ポイント上昇の37.4%となった。

■17年3月期第2四半期累計は円高や薬価改定で減収減益

 11月8日発表した今期(17年3月期)第2四半期累計(4〜9月)連結業績は売上高が前年同期比5.4%減の150億85百万円、営業利益が同61.8%減の7億83百万円、経常利益が同46.5%減の13億76百万円、そして純利益が同47.8%減の10億13百万円だった。

 米国向けGel−Oneや国内医薬品の数量が増加したが、円高や薬価改定の影響、前年同期に米国向けSUPARTZ−FXの出荷が集中した反動で減収となり、原価率上昇、米国における腰椎椎間板ヘルニア治療剤SI−6603オープン試験進展による研究開発費の増加などで減益だった。為替の円高影響は売上高で7億10百万円のマイナス要因だった。

 売上総利益は同9.5%減少し、売上総利益率は56.4%で同2.6ポイント低下した。販管費は同5.1%増加し、販管費比率は51.3%で同5.2ポイント上昇した。研究開発費は41億09百万円で同9.6%増加した。営業外では為替差損益が悪化(前期差益80百万円、今期差損2億07百万円)し、前期計上の投資有価証券売却益2億71百万円が一巡した。

 セグメント別売上高は医薬品事業が同7.0%減の122億81百万円(国内医薬品が同2.2%減の85億18百万円、海外医薬品が同15.7%減の32億27百万円、医薬品原体が同18.9%減の5億36百万円)、LAL事業が同1.8%増の28億03百万円だった。また海外売上高は同10.1%減の54億08百万円だった。

 国内アルツは市場全体が横ばい(同0.4%増)で推移する状況だが、新容器投入(16年4月プラスチックシリンジのルアーフィットタイプ)や販売提携先の拡販努力によって医療機関納入本数は増加(同3.5%増)した。米国向けGel−Oneは営業体制拡充効果などで現地販売が約3割増加した。米国向けSUPARTZ−FXは競合環境が厳しく現地販売が微減だった。

 なお四半期別の業績推移を見ると、売上高は第1四半期82億75百万円、第2四半期68億10百万円、営業利益が3億79百万円、4億04百万円だった。

■17年3月期通期は薬価改定などで減収減益予想

 今期(17年3月期)通期の連結業績予想は11月8日、前回予想(5月12日公表)に対して、売上高を1億円増額、営業利益を2億50百万円増額、経常利益を7億円減額、純利益を5億50百万円減額した。修正後は、売上高が前期(16年3月期)比4.2%減の296億50百万円、営業利益が同41.7%減の12億50百万円、経常利益が同24.3%減の26億50百万円、純利益が同22.4%減の20億円とした。配当予想は据え置いて前期と同額の年間26円(第2四半期末13円、期末13円)としている。予想配当性向は73.7%となる。

 円高や薬価改定の影響で減収減益予想だが、売上高は円高影響を国内医薬品の堅調推移で補い、研究開発費を中心とした経費見直しで営業利益を増額した。経常利益と純利益については、受取ロイヤリティーの減少や為替差損益の悪化が影響する。為替レートは前回予想1米ドル=110円から1米ドル=103円に修正、売上総利益率は58.0%から56.2%に修正、販管費比率は54.7%から51.9%に修正、研究開発費は84億円から78億50百万円に修正した。

 セグメント別売上高の計画は、医薬品事業が同4.0%減の245億円(国内医薬品が同4.0%減の162億50百万円、海外医薬品が同2.7%減の71億円、医薬品原体が同10.8%減の11億50百万円)、LAL事業が同5.4%減の51億50百万円とした。海外売上高は同5.0%減の110億円とした。

 なお通期予想に対する第2四半期累計の進捗率は、売上高が50.9%、営業利益が62.6%、経常利益が51.9%、純利益が50.7%である。

■新中期経営計画で19年3月期経常利益45億円目標

 16年5月策定の新中期経営計画(17年3月期〜19年3月期)では、重点戦略として、腰椎椎間板ヘルニア治療剤SI−6603の確実な進展、変形性膝関節症市場におけるリーディングカンパニーとしての進化、開発パイプラインの充実、最適な生産・品質管理体制の追求を掲げている。

 腰椎椎間板ヘルニア治療剤SI−6603については日本での上市と拡販、および潜在市場規模の大きい米国での事業化を目指す。変形性膝関節症市場におけるリーディングカンパニーとしての進化では、成長ドライバーであるジェル・ワンの米国売上拡大と新規市場展開、製品改良による国内アルツの販売数量維持、次世代品となる関節機能改善剤SI−613の開発を推進する。開発パイプラインの充実では、糖質科学分野において他社を凌駕する基盤技術の保持、探査研究の加速、持続的な開発テーマの創製を推進する。最適な生産・品質管理体制の追求では、製品の安定供給、さらなる生産効率化の推進によって原価低減を実現する。

 経営目標値には、19年3月期売上高320億円、営業利益25億円、経常利益45億円を掲げた。想定為替レートは1米ドル=110円で、海外事業の拡大(海外売上高比率45%)によって国内薬価改定による減収をカバーし、研究開発費は高水準(対売上高比率25%〜30%)で推移する。また各種受取ロイヤリティーを営業外収益として織り込んでいる。

■株価はボックスレンジ下限で下ヒゲ、17年3月期純利益減額を織り込んで反発期待

 株価の動きを見ると、悪地合いも影響して9日に1411円まで急落する場面があったが、10日には終値で1534円まで切り返している。17年3月期純利益減額を嫌気した売りが一巡した可能性もありそうだ。

 11月10日の終値1534円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS35円30銭で算出)は43倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間26円で算出)は1.7%近辺、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS1229円05銭で算出)は1.2倍近辺である。時価総額は約872億円である。

 週足チャートで見ると26週移動平均線を割り込んだが、1400円〜1800円近辺のボックスレンジ下限で下ヒゲをつけた形だ。17年3月期純利益減額を織り込んで反発が期待される。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media−IR)
[10月06日更新]

生化学工業は戻り歩調で年初来高値に接近、17年3月期減益予想だが中期的に需要拡大

 生化学工業<4548>(東1)は関節機能改善剤アルツが主力の医薬品メーカーである。17年3月期は薬価改定や円高の影響で減収減益予想だが、高齢者人口増加を背景として中期的に関節機能改善剤の需要拡大が期待される。株価は戻り歩調で1月の年初来高値に接近している。上値を試す展開だろう。なお11月8日に第2四半期累計業績発表を予定している。

■関節機能改善剤アルツなど糖質科学分野が主力の医薬品メーカー

 糖質科学分野が主力の医薬品メーカーで、国内医薬品(関節機能改善剤アルツ、白内障手術補助剤オペガン、内視鏡用粘膜下注入材ムコアップ)、海外医薬品(米国向け関節機能改善剤スパルツ、米国向け単回投与関節機能改善剤ジェル・ワン、中国向けアルツ)、医薬品原体(ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸)、LAL事業(エンドトキシン測定用試薬関連)を展開している。高齢者人口増加を背景に関節機能改善剤の需要拡大が期待される。

 内視鏡用粘膜下注入材ムコアップについては販売提携先を変更し、16年4月からボストン・サイエンティフィック・ジャパンと日本国内における独占販売契約を締結した。

■新薬開発は糖質科学分野に焦点

 09年3月策定の「生化学工業10年ビジョン」に基づいて、研究開発は糖質科学分野(糖鎖や複合糖質を研究する科学分野)に焦点を絞り、国際競争力を確立する「グローバル・カテゴリー・ファーマ」としての発展を目指している。開発中の新薬としては腰椎椎間板ヘルニア治療剤SI−6603(コンドリアーゼ)、変形性膝関節症改善剤SI−613(NSAID結合ヒアルロン酸)、ドライアイ治療剤SI−614(修飾ヒアルロン酸)がある。

 腰椎椎間板ヘルニア治療剤SI−6603は日本で14年1月に製造販売承認申請して審査継続中である。米国ではフェーズ3臨床試験段階として、二重盲検試験および安全性評価を主目的としたオープン試験を実施中である。

 なお16年8月スイスのフェリング社とSI−6603の海外におけるライセンス契約を締結した。フェリング社はSI−6603の日本を除く全世界を対象とした独占開発・販売権を取得し、当社はフェリング社から契約一時金5百万米ドル、および今後の開発や販売等の進捗に応じて複数年にわたり最大で90百万米ドルのマイルストーン型ロイヤリティーを受領する。日本における独占的販売契約については12年12月に科研製薬<4521>と締結している。

 変形性膝関節症改善剤SI−613は日本で16年1月フェーズ2試験(反復投与)が終了し、現在はデータ解析中である。ドライアイ治療剤SI−614は米国・欧州で15年1月フェーズ2・3試験が終了し、次相試験について検討中である。

 16年2月にはジェネリック医薬品である眼科手術補助剤「シェルガン0.5眼粘弾剤」の製造販売承認を取得した。眼科手術補助剤オペガンと同様に参天製薬<4536>が販売する。

■品揃え充実で重点地域の米国におけるプレゼンスを強化

 変形性膝関節症を適応症とする医療機器「VISCO−3」は、15年12月米国食品医薬局(FDA)の承認を取得した。ヒアルロン酸主成分とする関節機能改善剤で、1治療あたり3回投与の3本キット製品である。

 米国では高齢化に伴って関節機能剤の市場拡大が予想されているため、単回投与製品「Gel−One」、5回投与製品「SUPARTZ FX」(15年10月SUPARTZからブランド名変更)に加えて、3回投与製品「VISCO−3」を新たに市場投入し、重点地域の米国に置いてプレゼンス強化を図っている。

■薬価改定、為替、研究開発費などが影響する収益構造

 収益は販売数量、薬価改定、為替、研究開発費、受取ロイヤリティーなどが影響する。16年3月期はジェル・ワン数量増や円安などで増収だが、研究開発費が想定以上に増加して減益だった。四半期別推移を見ると売上高は第1四半期77億62百万円、第2四半期81億92百万円、第3四半期74億83百万円、第4四半期75億25百万円、営業利益は8億83百万円、11億67百万円、6億93百万円、5億99百万円の赤字だった。

 売上総利益率は58.4%で15年3月期比0.5ポイント低下、販管費比率は51.5%で同0.7ポイント上昇した。減価償却費は同22.3%増の31億91百万円、研究開発費は同6.2%増の86億49百万円だった。営業外では受取ロイヤリティーが増加したが、為替差損益が悪化した。また一過性の税率低減要因(米国子会社有償減資に伴う税率減)が終了して税金費用が増加した。

 ROEは3.7%で同1.7ポイント低下、自己資本比率は87.0%で同横ばいだった。配当は15年3月期と同額の年間26円(第2四半期末13円、期末13円)で配当性向は57.3%だった。株主還元は超長期的な視点に立って安定的かつ継続的な配当を目指し、1株当たり年間26円を継続する方針としている。

 セグメント別売上高は、医薬品事業が同3.5%増の255億18百万円(国内医薬品が同0.2%増の169億28百万円、海外医薬品が同15.1%増の73億円、医薬品原体が同8.4%減の12億89百万円)、LAL事業が同11.7%増の54億44百万円だった。海外売上高は同15.8%増の115億81百万円、海外売上比率は同3.5ポイント上昇の37.4%となった。

■17年3月期第1四半期は増収減益

 今期(17年3月期)第1四半期(4〜6月)の連結業績は売上高が前年同期比6.6%増の82億75百万円、営業利益が同57.0%減の3億79百万円、経常利益が同70.2%減の4億10百万円、純利益が同72.2%減の2億87百万円だった。海外医薬品の数量増や国内医薬品の前倒し出荷などで増収だが、円高や薬価改定による原価率上昇、米国SI−6603オープン試験進展による研究開発費の増加などで減益だった。為替の円高影響は売上高で3億円のマイナス要因だった。

 売上総利益は同1.9%増加したが、売上総利益率は54.9%で同2.6ポイント低下した。販管費は同16.5%増加し、販管費比率は50.4%で同4.3ポイント上昇した。研究開発費は22億92百万円で同28.9%増加した。営業外では為替差損益が悪化(前期は差益1億02百万円、今期は差損1億44百万円)し、前期計上の投資有価証券売却益2億72百万円が一巡した。

 セグメント別売上高は、医薬品事業が同7.2%増の67億70百万円(国内医薬品が同6.2%増の46億59百万円、海外医薬品が同14.1%増の18億34百万円、医薬品原体が同14.3%減の2億75百万円)、LAL事業が同4.1%増の15億05百万円だった。海外売上高は同9.2%増の29億89百万円、海外売上比率は36.1%で同0.8ポイント上昇した。

 国内アルツは市場全体が微増(前年同期比1.3%増)で推移する状況だが、新容器投入や販売提携先の拡販努力によって医療機関納入本数が増加(同2.8%増)した。また薬価引き下げの影響を受けたが、前倒し出荷も寄与して増収だった。米国向け単回投与関節機能改善剤ジェル・ワンは営業体制拡充効果などで現地販売が約3割増加した。米国向け関節機能改善剤スパルツFXは競合環境が厳しく現地販売が微減だった。中国向けアルツは政府の価格抑制策の影響で減収だった。

■17年3月期通期は薬価改定などで減収減益予想

 今期(17年3月期)通期の連結業績予想(5月12日公表)は、売上高が前期(16年3月期)比4.6%減の295億50百万円、営業利益が同53.4%減の10億円、経常利益が同4.3%減の33億50百万円、純利益が同1.1%減の25億50百万円としている。

 国内薬価改定やドル安・円高の影響で減収減益予想としている。想定為替レートは1米ドル=110円、為替感応度(1米ドル1円変動時の年間影響額)は売上高で約1億円、営業利益で約40百万円である。配当予想は前期と同額の年間26円(第2四半期末13円、期末13円)で予想配当性向は57.9%となる。

 セグメント別売上高の計画は、医薬品事業が同4.8%減の243億円(国内医薬品が同6.1%減の159億円、海外医薬品が同0.7%増の73億50百万円、医薬品原体が同18.5%減の10億50百万円)、LAL事業が同3.6%減の52億50百万円としている。海外売上高は同1.6%減の114億円としている。ドル安・円高の影響額は約10億60百万円を見込んでいる。

 国内医薬品は薬価引き下げの影響で減収見込みだが、関節機能改善剤アルツの新容器(16年4月プラスチックシリンジのルアーフィットタイプ)投入による営業強化、眼科手術補助材の新製品シェルガンの市場投入(16年7月)、ムコアップの販売提携先変更(16年4月)などの効果で数量ベースは微増を見込んでいる。SI−6603の売上は織り込んでいない。海外医薬品は競争激化で米国スパルツFXの現地販売が減少し、ドル安・円高も影響するが、米国ジェル・ワンの数量増効果で前期並みを見込んでいる。

 コスト面では減価償却費や研究開発費が減少するが、薬価改定、ドル安・円高、米国関連費用の増加などで大幅営業減益見込みだ。売上総利益率は同0.4ポイント低下の58.0%、販管費比率は同3.2ポイント上昇の54.7%、減価償却費は同6.0%減の30億円、研究開発費は同2.9%減の84億円の計画である。経常利益と純利益は、営業外で受取ロイヤリティーが大幅に増加するため、ほぼ前期並みの見込みとしている。なおスイスのフェリング社とのSI−6603海外ライセンス契約による17年3月期業績への影響は織り込み済みとしている。

 通期会社予想に対する第1四半期の進捗率は、売上高が28.0%、営業利益が38.0%、経常利益が12.3%、純利益が11.3%である。経常利益と純利益は低水準の形だが、受取ロイヤリティーが大幅に増加する見込みであることを考慮すればネガティブ要因とはならない。

■新中期経営計画で19年3月期経常利益45億円目標

 16年5月策定の新中期経営計画(17年3月期〜19年3月期)では、重点戦略として、腰椎椎間板ヘルニア治療剤SI−6603の確実な進展、変形性膝関節症市場におけるリーディングカンパニーとしての進化、開発パイプラインの充実、最適な生産・品質管理体制の追求を掲げている。

 腰椎椎間板ヘルニア治療剤SI−6603については日本での上市と拡販、および潜在市場規模の大きい米国での事業化を目指す。変形性膝関節症市場におけるリーディングカンパニーとしての進化では、成長ドライバーであるジェル・ワンの米国売上拡大と新規市場展開、製品改良による国内アルツの販売数量維持、次世代品となる関節機能改善剤SI−613の開発を推進する。開発パイプラインの充実では、糖質科学分野において他社を凌駕する基盤技術の保持、探査研究の加速、持続的な開発テーマの創製を推進する。最適な生産・品質管理体制の追求では、製品の安定供給、さらなる生産効率化の推進によって原価低減を実現する。

 経営目標値には、19年3月期売上高320億円、営業利益25億円、経常利益45億円を掲げた。想定為替レートは1米ドル=110円で、海外事業の拡大(海外売上高比率45%)によって国内薬価改定による減収をカバーし、研究開発費は高水準(対売上高比率25%〜30%)で推移する。また各種受取ロイヤリティーを営業外収益として織り込んでいる。

■株価は戻り歩調で1月の年初来高値に接近

 株価の動きを見ると、8月下旬〜9月上旬の直近安値圏1400円台から切り返して戻り歩調となった。そして10月5日には1717円まで上伸し、1月の年初来高値1865円に接近してきた。

 10月5日の終値1697円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS45円00銭で算出)は37〜38倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間26円で算出)は1.5%近辺、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS1229円05銭で算出)は1.4倍近辺である。時価総額は約964億円である。

 週足チャートで見ると13週移動平均線、26週移動平均線、52週移動平均線を一気に突破して基調転換した形だ。上値を試す展開だろう。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media−IR)
[9月13日更新]

生化学工業は調整一巡して切り返し、17年3月期減益予想だが中期的に需要拡大期待

 生化学工業<4548>(東1)は関節機能改善剤アルツが主力の医薬品メーカーである。8月29日にはスイスのフェリング社に対するSI−6603の海外ライセンス契約締結を発表している。17年3月期は薬価改定や円高の影響で減収減益予想だが、高齢者人口増加を背景として中期的に関節機能改善剤の需要拡大が期待される。株価は調整一巡して切り返しの動きを強めている。戻り歩調となりそうだ。

■関節機能改善剤アルツなど糖質科学分野が主力の医薬品メーカー

 糖質科学分野が主力の医薬品メーカーで、国内医薬品(関節機能改善剤アルツ、白内障手術補助剤オペガン、内視鏡用粘膜下注入材ムコアップ)、海外医薬品(米国向け関節機能改善剤スパルツ、米国向け単回投与関節機能改善剤ジェル・ワン、中国向けアルツ)、医薬品原体(ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸)、LAL事業(エンドトキシン測定用試薬関連)を展開している。高齢者人口増加を背景に関節機能改善剤の需要拡大が期待される。

 内視鏡用粘膜下注入材ムコアップについては販売提携先を変更し、16年4月からボストン・サイエンティフィック・ジャパンと日本国内における独占販売契約を締結した。

■新薬開発は糖質科学分野に焦点

 09年3月策定の「生化学工業10年ビジョン」に基づいて、研究開発は糖質科学分野(糖鎖や複合糖質を研究する科学分野)に焦点を絞り、国際競争力を確立する「グローバル・カテゴリー・ファーマ」としての発展を目指している。開発中の新薬としては腰椎椎間板ヘルニア治療剤SI−6603(コンドリアーゼ)、変形性膝関節症改善剤SI−613(NSAID結合ヒアルロン酸)、ドライアイ治療剤SI−614(修飾ヒアルロン酸)がある。

 腰椎椎間板ヘルニア治療剤SI−6603は日本で14年1月に製造販売承認申請して審査継続中である。米国ではフェーズ3臨床試験段階として、二重盲検試験および安全性評価を主目的としたオープン試験を実施中である。

 なお16年6月スイスのフェリング社とSI−6603の海外におけるライセンスに関する基本合意書を締結し、8月29日に契約締結を発表した。フェリング社はSI−6603の日本を除く全世界を対象とした独占開発・販売権を取得し、当社はフェリング社から契約一時金5百万米ドル、および今後の開発や販売等の進捗に応じて複数年にわたり最大で90百万米ドルのマイルストーン型ロイヤリティーを受領する。日本における独占的販売契約については12年12月に科研製薬<4521>と締結している。

 変形性膝関節症改善剤SI−613は日本で16年1月フェーズ2試験(反復投与)が終了し、現在はデータ解析中である。ドライアイ治療剤SI−614は米国・欧州で15年1月フェーズ2・3試験が終了し、次相試験について検討中である。

 16年2月にはジェネリック医薬品である眼科手術補助剤「シェルガン0.5眼粘弾剤」の製造販売承認を取得した。眼科手術補助剤オペガンと同様に参天製薬<4536>が販売する。

■品揃え充実で重点地域の米国におけるプレゼンスを強化

 変形性膝関節症を適応症とする医療機器「VISCO−3」は、15年12月米国食品医薬局(FDA)の承認を取得した。ヒアルロン酸主成分とする関節機能改善剤で、1治療あたり3回投与の3本キット製品である。

 米国では高齢化に伴って関節機能剤の市場拡大が予想されているため、単回投与製品「Gel−One」、5回投与製品「SUPARTZ FX」(15年10月SUPARTZからブランド名変更)に加えて、3回投与製品「VISCO−3」を新たに市場投入し、重点地域の米国に置いてプレゼンス強化を図っている。

■薬価改定、為替、研究開発費などが影響する収益構造

 収益は販売数量、薬価改定、為替、研究開発費、受取ロイヤリティーなどが影響する。16年3月期はジェル・ワン数量増や円安などで増収だが、研究開発費が想定以上に増加して減益だった。

 売上総利益率は58.4%で15年3月期比0.5ポイント低下、販管費比率は51.5%で同0.7ポイント上昇した。減価償却費は同22.3%増の31億91百万円、研究開発費は同6.2%増の86億49百万円だった。営業外収益では受取ロイヤリティーが増加したが、為替差損益が悪化した。また一過性の税率低減要因(米国子会社有償減資に伴う税率減)が終了して税金費用が増加した。

 ROEは3.7%で同1.7ポイント低下、自己資本比率は87.0%で同横ばいだった。配当は15年3月期と同額の年間26円(第2四半期末13円、期末13円)で配当性向は57.3%だった。株主還元は超長期的な視点に立って安定的かつ継続的な配当を目指し、1株当たり年間26円を継続する方針としている。

 セグメント別売上高は、医薬品事業が同3.5%増の255億18百万円(国内医薬品が同0.2%増の169億28百万円、海外医薬品が同15.1%増の73億円、医薬品原体が同8.4%減の12億89百万円)、LAL事業が同11.7%増の54億44百万円だった。海外売上高は同15.8%増の115億81百万円、海外売上比率は同3.5ポイント上昇の37.4%となった。

 国内は関節機能改善剤アルツが後発品使用促進の影響を受けたが、拡販努力などで微増収だった。海外は米国向け単回投与関節機能改善剤ジェル・ワンが現地販売増加に円安も寄与して増収だった。米国向け関節機能改善剤スパルツFXは3回投与の競合品が伸長する中で、拡販努力によって現地販売が前年同期並みを維持し、円安効果で換算売上が増加した。米国VISCO−3は販売提携先を選定中である。中国向けアルツは政府主導による公定価格制度廃止の影響で現地販売が減少したが、販売提携先が在庫水準を高めたことと円安効果で増収だった。

 16年3月期の四半期別推移を見ると、売上高は第1四半期77億62百万円、第2四半期81億92百万円、第3四半期74億83百万円、第4四半期75億25百万円、営業利益は8億83百万円、11億67百万円、6億93百万円、5億99百万円の赤字だった。

■17年3月期第1四半期は増収減益

 今期(17年3月期)第1四半期(4〜6月)の連結業績は売上高が前年同期比6.6%増の82億75百万円、営業利益が同57.0%減の3億79百万円、経常利益が同70.2%減の4億10百万円、純利益が同72.2%減の2億87百万円だった。海外医薬品の数量増や国内医薬品の前倒し出荷などで増収だが、円高や薬価改定による原価率上昇、米国SI−6603オープン試験進展による研究開発費の増加などで減益だった。為替の円高影響は売上高で3億円のマイナス要因だった。

 売上総利益は同1.9%増加したが、売上総利益率は54.9%で同2.6ポイント低下した。販管費は同16.5%増加し、販管費比率は50.4%で同4.3ポイント上昇した。研究開発費は22億92百万円で同28.9%増加した。営業外では為替差損益が悪化(前期は差益1億02百万円、今期は差損1億44百万円)し、前期計上の投資有価証券売却益2億72百万円が一巡した。

 セグメント別売上高は、医薬品事業が同7.2%増の67億70百万円(国内医薬品が同6.2%増の46億59百万円、海外医薬品が同14.1%増の18億34百万円、医薬品原体が同14.3%減の2億75百万円)、LAL事業が同4.1%増の15億05百万円だった。海外売上高は同9.2%増の29億89百万円、海外売上比率は36.1%で同0.8ポイント上昇した。

 国内アルツは市場全体が微増(前年同期比1.3%増)で推移する状況だが、新容器投入や販売提携先の拡販努力によって医療機関納入本数が増加(同2.8%増)した。また薬価引き下げの影響を受けたが、前倒し出荷も寄与して増収だった。米国向け単回投与関節機能改善剤ジェル・ワンは営業体制拡充効果などで現地販売が約3割増加した。米国向け関節機能改善剤スパルツFXは競合環境が厳しく現地販売が微減だった。中国向けアルツは政府の価格抑制策の影響で減収だった。

■17年3月期通期は薬価改定などで減収減益予想

 今期(17年3月期)通期の連結業績予想(5月12日公表)は、売上高が前期(16年3月期)比4.6%減の295億50百万円、営業利益が同53.4%減の10億円、経常利益が同4.3%減の33億50百万円、純利益が同1.1%減の25億50百万円としている。

 国内薬価改定やドル安・円高の影響で減収減益予想としている。想定為替レートは1米ドル=110円、為替感応度(1米ドル1円変動時の年間影響額)は売上高で約1億円、営業利益で約40百万円である。配当予想は前期と同額の年間26円(第2四半期末13円、期末13円)で予想配当性向は57.9%となる。

 セグメント別売上高の計画は、医薬品事業が同4.8%減の243億円(国内医薬品が同6.1%減の159億円、海外医薬品が同0.7%増の73億50百万円、医薬品原体が同18.5%減の10億50百万円)、LAL事業が同3.6%減の52億50百万円としている。海外売上高は同1.6%減の114億円としている。ドル安・円高の影響額は約10億60百万円を見込んでいる。

 国内医薬品は薬価引き下げの影響で減収見込みだが、関節機能改善剤アルツの新容器(16年4月プラスチックシリンジのルアーフィットタイプ)投入による営業強化、眼科手術補助材の新製品シェルガンの市場投入(16年7月)、ムコアップの販売提携先変更(16年4月)などの効果で数量ベースは微増を見込んでいる。SI−6603の売上は織り込んでいない。海外医薬品は競争激化で米国スパルツFXの現地販売が減少し、ドル安・円高も影響するが、米国ジェル・ワンの数量増効果で前期並みを見込んでいる。

 コスト面では減価償却費や研究開発費が減少するが、薬価改定、ドル安・円高、米国関連費用の増加などで大幅営業減益見込みだ。売上総利益率は同0.4ポイント低下の58.0%、販管費比率は同3.2ポイント上昇の54.7%、減価償却費は同6.0%減の30億円、研究開発費は同2.9%減の84億円の計画である。経常利益と純利益は、営業外で受取ロイヤリティーが大幅に増加するため、ほぼ前期並みの見込みとしている。なおスイスのフェリング社とのSI−6603海外ライセンス契約による17年3月期業績への影響は織り込み済みとしている。

 通期会社予想に対する第1四半期の進捗率は、売上高が28.0%、営業利益が38.0%、経常利益が12.3%、純利益が11.3%である。経常利益と純利益は低水準の形だが、受取ロイヤリティーが大幅に増加する見込みであることを考慮すればネガティブ要因とはならない。

■新中期経営計画で19年3月期経常利益45億円目標

 16年5月策定の新中期経営計画(17年3月期〜19年3月期)では、重点戦略として、腰椎椎間板ヘルニア治療剤SI−6603の確実な進展、変形性膝関節症市場におけるリーディングカンパニーとしての進化、開発パイプラインの充実、最適な生産・品質管理体制の追求を掲げている。

 腰椎椎間板ヘルニア治療剤SI−6603については日本での上市と拡販、および潜在市場規模の大きい米国での事業化を目指す。変形性膝関節症市場におけるリーディングカンパニーとしての進化では、成長ドライバーであるジェル・ワンの米国売上拡大と新規市場展開、製品改良による国内アルツの販売数量維持、次世代品となる関節機能改善剤SI−613の開発を推進する。開発パイプラインの充実では、糖質科学分野において他社を凌駕する基盤技術の保持、探査研究の加速、持続的な開発テーマの創製を推進する。最適な生産・品質管理体制の追求では、製品の安定供給、さらなる生産効率化の推進によって原価低減を実現する。

 経営目標値には、19年3月期売上高320億円、営業利益25億円、経常利益45億円を掲げた。想定為替レートは1米ドル=110円で、海外事業の拡大(海外売上高比率45%)によって国内薬価改定による減収をカバーし、研究開発費は高水準(対売上高比率25%〜30%)で推移する。また各種受取ロイヤリティーを営業外収益として織り込んでいる。

■株価は調整一巡して切り返し

 株価の動きを見ると、7月の戻り高値圏1700円台から反落したが、8月下旬〜9月上旬の直近安値圏1400円台から切り返しの動きを強めている。調整が一巡したようだ。

 9月9日の終値1555円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS45円00銭で算出)は34〜35倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間26円で算出)は1.7%近辺、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS1229円05銭で算出)は1.3倍近辺である。なお時価総額は約883億円である。

 週足チャートで見ると1400円近辺が下値支持線の形となり、13週移動平均線と26週移動平均線突破の動きを強めている。戻り歩調となりそうだ。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media−IR)
[8月04日更新]

生化学工業は17年3月期第1四半期減益だが中期的に需要拡大期待

 生化学工業<4548>(東1)は関節機能改善剤アルツが主力の医薬品メーカーである。17年3月期第1四半期は薬価改定や円高の影響で減益だった。通期も減収減益予想だが、高齢者人口増加を背景として中期的に関節機能改善剤の需要拡大が期待される。株価は6月の直近安値圏から切り返して戻り歩調だ。

■関節機能改善剤アルツなど糖質科学分野が主力の医薬品メーカー

 糖質科学分野が主力の医薬品メーカーで、国内医薬品(関節機能改善剤アルツ、白内障手術補助剤オペガン、内視鏡用粘膜下注入材ムコアップ)、海外医薬品(米国向け関節機能改善剤スパルツ、米国向け単回投与関節機能改善剤ジェル・ワン、中国向けアルツ)、医薬品原体(ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸)、LAL事業(エンドトキシン測定用試薬関連)を展開している。高齢者人口増加を背景に関節機能改善剤の需要拡大が期待される。

 内視鏡用粘膜下注入材ムコアップについては販売提携先を変更し、16年4月からボストン・サイエンティフィック・ジャパンと日本国内における独占販売契約を締結した。

■新薬開発は糖質科学分野に焦点

 09年3月策定の「生化学工業10年ビジョン」に基づいて、研究開発は糖質科学分野(糖鎖や複合糖質を研究する科学分野)に焦点を絞り、国際競争力を確立する「グローバル・カテゴリー・ファーマ」としての発展を目指している。開発中の新薬としては腰椎椎間板ヘルニア治療剤SI−6603(コンドリアーゼ)、変形性膝関節症改善剤SI−613(NSAID結合ヒアルロン酸)、ドライアイ治療剤SI−614(修飾ヒアルロン酸)がある。

 腰椎椎間板ヘルニア治療剤SI−6603は、日本で14年1月に製造販売承認申請して審査継続中である。米国・欧州では15年7月フェーズ3試験の症例登録を完了し、現在は経過観察中である。また16年6月スイスのフェリング社とSI−6603の海外におけるライセンスに関する基本合意書を締結した。正式契約は17年3月期上期中を予定している。日本における独占的販売契約については12年12月に科研製薬<4521>と締結している。

 変形性膝関節症改善剤SI−613は日本で16年1月フェーズ2試験(反復投与)が終了し、現在はデータ解析中である。ドライアイ治療剤SI−614は米国・欧州で15年1月フェーズ2・3試験が終了し、次相試験について検討中である。

 16年2月にはジェネリック医薬品である眼科手術補助剤「シェルガン0.5眼粘弾剤」の製造販売承認を取得した。眼科手術補助剤オペガンと同様に参天製薬<4536>が販売する。

■品揃え充実で重点地域の米国におけるプレゼンスを強化

 変形性膝関節症を適応症とする医療機器「VISCO−3」は、15年12月米国食品医薬局(FDA)の承認を取得した。ヒアルロン酸主成分とする関節機能改善剤で、1治療あたり3回投与の3本キット製品である。

 米国では高齢化に伴って関節機能剤の市場拡大が予想されているため、単回投与製品「Gel−One」、5回投与製品「SUPARTZ FX」(15年10月SUPARTZからブランド名変更)に加えて、3回投与製品「VISCO−3」を新たに市場投入し、重点地域の米国に置いてプレゼンス強化を図っている。

■薬価改定、為替、研究開発費などが影響する収益構造

 収益は販売数量、薬価改定、為替、研究開発費、受取ロイヤリティーなどが影響する。16年3月期はジェル・ワン数量増や円安などで増収だが、研究開発費が想定以上に増加して減益だった。

 売上総利益率は58.4%で15年3月期比0.5ポイント低下、販管費比率は51.5%で同0.7ポイント上昇した。減価償却費は同22.3%増の31億91百万円、研究開発費は同6.2%増の86億49百万円だった。営業外収益では受取ロイヤリティーが増加したが、為替差損益が悪化した。また一過性の税率低減要因(米国子会社有償減資に伴う税率減)が終了して税金費用が増加した。

 ROEは3.7%で同1.7ポイント低下、自己資本比率は87.0%で同横ばいだった。配当は15年3月期と同額の年間26円(第2四半期末13円、期末13円)で配当性向は57.3%だった。株主還元は超長期的な視点に立って安定的かつ継続的な配当を目指し、1株当たり年間26円を継続する方針としている。

 セグメント別売上高は、医薬品事業が同3.5%増の255億18百万円(国内医薬品が同0.2%増の169億28百万円、海外医薬品が同15.1%増の73億円、医薬品原体が同8.4%減の12億89百万円)、LAL事業が同11.7%増の54億44百万円だった。海外売上高は同15.8%増の115億81百万円、海外売上比率は同3.5ポイント上昇の37.4%となった。

 国内は関節機能改善剤アルツが後発品使用促進の影響を受けたが、拡販努力などで微増収だった。海外は米国向け単回投与関節機能改善剤ジェル・ワンが現地販売増加に円安も寄与して増収だった。米国向け関節機能改善剤スパルツFXは3回投与の競合品が伸長する中で、拡販努力によって現地販売が前年同期並みを維持し、円安効果で換算売上が増加した。米国VISCO−3は販売提携先を選定中である。中国向けアルツは政府主導による公定価格制度廃止の影響で現地販売が減少したが、販売提携先が在庫水準を高めたことと円安効果で増収だった。

 16年3月期の四半期別推移を見ると、売上高は第1四半期77億62百万円、第2四半期81億92百万円、第3四半期74億83百万円、第4四半期75億25百万円、営業利益は8億83百万円、11億67百万円、6億93百万円、5億99百万円の赤字だった。

■17年3月期第1四半期は増収減益

 7月28日発表した今期(17年3月期)第1四半期(4〜6月)連結業績は、売上高が前年同期比6.6%増の82億75百万円、営業利益が同57.0%減の3億79百万円、経常利益が同70.2%減の4億10百万円、純利益が同72.2%減の2億87百万円だった。海外医薬品の数量増や国内医薬品の前倒し出荷などで増収だが、円高や薬価改定による原価率上昇、米国SI−6603オープン試験進展による研究開発費の増加などで減益だった。為替の円高影響は売上高で3億円のマイナス要因だった。

 売上総利益は同1.9%増加したが、売上総利益率は54.9%で同2.6ポイント低下した。販管費は同16.5%増加し、販管費比率は50.4%で同4.3ポイント上昇した。研究開発費は22億92百万円で同28.9%増加した。営業外では為替差損益が悪化(前期は差益1億02百万円、今期は差損1億44百万円)し、前期計上の投資有価証券売却益2億72百万円が一巡した。

 セグメント別売上高は、医薬品事業が同7.2%増の67億70百万円(国内医薬品が同6.2%増の46億59百万円、海外医薬品が同14.1%増の18億34百万円、医薬品原体が同14.3%減の2億75百万円)、LAL事業が同4.1%増の15億05百万円だった。海外売上高は同9.2%増の29億89百万円、海外売上比率は36.1%で同0.8ポイント上昇した。

 国内アルツは市場全体が微増(前年同期比1.3%増)で推移する状況だが、新容器投入や販売提携先の拡販努力によって医療機関納入本数が増加(同2.8%増)した。また薬価引き下げの影響を受けたが、前倒し出荷も寄与して増収だった。米国向け単回投与関節機能改善剤ジェル・ワンは営業体制拡充効果などで現地販売が約3割増加した。米国向け関節機能改善剤スパルツFXは競合環境が厳しく現地販売が微減だった。中国向けアルツは政府の価格抑制策の影響で減収だった。

■17年3月期通期は薬価改定などで減収減益予想

 今期(17年3月期)通期の連結業績予想は前回予想(5月12日公表)を据え置いて売上高が前期(16年3月期)比4.6%減の295億50百万円、営業利益が同53.4%減の10億円、経常利益が同4.3%減の33億50百万円、純利益が同1.1%減の25億50百万円としている。

 国内薬価改定やドル安・円高の影響で減収減益予想としている。想定為替レートは1米ドル=110円、為替感応度(1米ドル1円変動時の年間影響額)は売上高で約1億円、営業利益で約40百万円である。配当予想は前期と同額の年間26円(第2四半期末13円、期末13円)で予想配当性向は57.9%となる。

 セグメント別売上高の計画は、医薬品事業が同4.8%減の243億円(国内医薬品が同6.1%減の159億円、海外医薬品が同0.7%増の73億50百万円、医薬品原体が同18.5%減の10億50百万円)、LAL事業が同3.6%減の52億50百万円としている。海外売上高は同1.6%減の114億円としている。ドル安・円高の影響額は約10億60百万円を見込んでいる。

 国内医薬品は薬価引き下げの影響で減収見込みだが、関節機能改善剤アルツの新容器(16年4月プラスチックシリンジのルアーフィットタイプ)投入による営業強化、眼科手術補助材の新製品シェルガンの市場投入(16年7月)、ムコアップの販売提携先変更(16年4月)などの効果で数量ベースは微増を見込んでいる。SI−6603の売上は織り込んでいない。海外医薬品は競争激化で米国スパルツFXの現地販売が減少し、ドル安・円高も影響するが、米国ジェル・ワンの数量増効果で前期並みを見込んでいる。

 コスト面では減価償却費や研究開発費が減少するが、薬価改定、ドル安・円高、米国関連費用の増加などで大幅営業減益見込みだ。売上総利益率は同0.4ポイント低下の58.0%、販管費比率は同3.2ポイント上昇の54.7%、減価償却費は同6.0%減の30億円、研究開発費は同2.9%減の84億円の計画である。経常利益と純利益は、営業外で受取ロイヤリティーが大幅に増加するため、ほぼ前期並みの見込みとしている。

 スイスのフェリング社とのSI−6603海外ライセンス基本合意書締結に関しては、正式契約によって契約締結一時金5百万米ドルを受け取り、開発や販売等の進捗に応じて今後も複数年にわたりマイルストーン型ロイヤリティーを受け取る予定だが、本件による17年3月期業績への影響は織り込み済みとしている。

 なお通期会社予想に対する第1四半期の進捗率は、売上高が28.0%、営業利益が38.0%、経常利益が12.3%、純利益が11.3%である。経常利益と純利益は低水準の形だが、受取ロイヤリティーが大幅に増加する見込みであることを考慮すればネガティブ要因とはならない。

■新中期経営計画で19年3月期経常利益45億円目標

 16年5月策定の新中期経営計画(17年3月期〜19年3月期)では、重点戦略として、腰椎椎間板ヘルニア治療剤SI−6603の確実な進展、変形性膝関節症市場におけるリーディングカンパニーとしての進化、開発パイプラインの充実、最適な生産・品質管理体制の追求を掲げている。

 腰椎椎間板ヘルニア治療剤SI−6603については日本での上市と拡販、および潜在市場規模の大きい米国での事業化を目指す。変形性膝関節症市場におけるリーディングカンパニーとしての進化では、成長ドライバーであるジェル・ワンの米国売上拡大と新規市場展開、製品改良による国内アルツの販売数量維持、次世代品となる関節機能改善剤SI−613の開発を推進する。開発パイプラインの充実では、糖質科学分野において他社を凌駕する基盤技術の保持、探査研究の加速、持続的な開発テーマの創製を推進する。最適な生産・品質管理体制の追求では、製品の安定供給、さらなる生産効率化の推進によって原価低減を実現する。

 経営目標値には、19年3月期売上高320億円、営業利益25億円、経常利益45億円を掲げた。想定為替レートは1米ドル=110円で、海外事業の拡大(海外売上高比率45%)によって国内薬価改定による減収をカバーし、研究開発費は高水準(対売上高比率25%〜30%)で推移する。また各種受取ロイヤリティーを営業外収益として織り込んでいる。

■自己株式取得は終了

 6月15日発表の自己株式取得(取得株式総数の上限20万株、取得価額総額の上限4億円、取得期間16年7月1日〜16年7月29日)については、7月29日時点で取得株式総数20万株、取得価額総額3億3295万5900円となって終了した。

■株価は戻り歩調

 株価の動きを見ると、6月の直近安値1350円から切り返している。8月2日には1732円まで上伸した。第1四半期の大幅減益に対するネガティブ反応は限定的だった。

 8月3日の終値1574円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想連結EPS45円00銭で算出)は35倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間26円で算出)は1.7%近辺、前期実績連結PBR(前期実績連結BPS1229円05銭で算出)は1.3倍近辺である。時価総額は約894億円である。

 週足チャートで見ると26週移動平均線を突破し、13週移動平均線がサポートラインの形だ。戻り歩調だろう。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media−IR)
[7月12日更新]

生化学工業は薬価改定で17年3月期減収減益予想だが、自己株式取得も評価して出直り

 生化学工業<4548>(東1)は関節機能改善剤アルツが主力の医薬品メーカーである。17年3月期は薬価改定や円高の影響で減収減益予想だが、高齢者人口増加を背景として中期的に関節機能改善剤の需要拡大が期待される。株価は地合い悪化の影響を受ける場面があったが切り返しの動きを強めている。自己株式取得も評価して出直り展開だろう。なお7月28日に第1四半期の業績発表を予定している。

■関節機能改善剤アルツなど糖質科学分野が主力の医薬品メーカー

 糖質科学分野が主力の医薬品メーカーで、国内医薬品(関節機能改善剤アルツ、白内障手術補助剤オペガン、内視鏡用粘膜下注入材ムコアップ)、海外医薬品(米国向け関節機能改善剤スパルツ、米国向け単回投与関節機能改善剤ジェル・ワン、中国向けアルツ)、医薬品原体(ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸)、LAL事業(エンドトキシン測定用試薬関連)を展開している。高齢者人口増加を背景に関節機能改善剤の需要拡大が期待される。

 内視鏡用粘膜下注入材ムコアップについては販売提携先を変更し、16年4月からボストン・サイエンティフィック・ジャパンと日本国内における独占販売契約を締結した。ボストン・サイエンティフィックのエンドスコピー事業は、消化器疾患ならびに肺疾患治療用機器の世界的リーダーである。

■新薬開発は糖質科学分野に焦点

 09年3月策定の「生化学工業10年ビジョン」に基づいて、研究開発は糖質科学分野(糖鎖や複合糖質を研究する科学分野)に焦点を絞り、国際競争力を確立する「グローバル・カテゴリー・ファーマ」としての発展を目指している。開発中の新薬としては腰椎椎間板ヘルニア治療剤SI−6603(コンドリアーゼ)、変形性膝関節症改善剤SI−613(NSAID結合ヒアルロン酸)、ドライアイ治療剤SI−614(修飾ヒアルロン酸)がある。

 腰椎椎間板ヘルニア治療剤SI−6603は、日本で14年1月に製造販売承認申請して審査継続中である。米国・欧州では15年7月フェーズ3試験の症例登録を完了し、現在は経過観察中である。また16年6月スイスのフェリング社とSI−6603の海外におけるライセンスに関する基本合意書を締結した。正式契約は17年3月期上期中を予定している。日本における独占的販売契約については12年12月に科研製薬<4521>と締結している。

 変形性膝関節症改善剤SI−613は、日本で16年1月フェーズ2試験(反復投与)が終了した。現在はデータ解析中である。ドライアイ治療剤SI−614は、米国・欧州で15年1月フェーズ2・3試験が終了した。次相試験について検討中である。

 16年2月にはジェネリック医薬品である眼科手術補助剤「シェルガン0.5眼粘弾剤」の製造販売承認を取得した。眼科手術補助剤オペガンと同様に参天製薬<4536>が販売する。

■品揃え充実で重点地域の米国におけるプレゼンスを強化

 変形性膝関節症を適応症とする医療機器「VISCO−3」は、15年12月米国食品医薬局(FDA)の承認を取得した。ヒアルロン酸主成分とする関節機能改善剤で、1治療あたり3回投与の3本キット製品である。

 米国では高齢化に伴って関節機能剤の市場拡大が予想されているため、単回投与製品「Gel−One」、5回投与製品「SUPARTZ FX」(15年10月SUPARTZからブランド名変更)に加えて、3回投与製品「VISCO−3」を新たに市場投入し、重点地域の米国に置いてプレゼンス強化を図っている。

■薬価改定、為替、研究開発費などが影響する収益構造

 収益は販売数量、薬価改定、為替、研究開発費、受取ロイヤリティーなどが影響する。16年3月期連結業績は15年3月期比4.9%増収、10.0%営業減益、12.7%経常減益、29.4%最終減益だった。ジェル・ワン数量増や円安などで増収だが、研究開発費が想定以上に増加した。

 売上総利益率は58.4%で同0.5ポイント低下、販管費比率は51.5%で同0.7ポイント上昇した。減価償却費は同22.3%増の31億91百万円、研究開発費は同6.2%増の86億49百万円だった。営業外収益では受取ロイヤリティーが増加(15年3月期2億41百万円、16年3月期3億61百万円)したが、為替差損益が悪化(15年3月期は差益5億46百万円、16年3月期は差損25百万円)した。なお一過性の税率低減要因(米国子会社有償減資に伴う税率減)が終了したため16年3月期は税金費用が増加した。

 ROEは3.7%で同1.7ポイント低下、自己資本比率は87.0%で同横ばいだった。配当は15年3月期と同額の年間26円(第2四半期末13円、期末13円)で配当性向は57.3%だった。株主還元については超長期的な視点に立って安定的かつ継続的な配当を目指し、1株当たり年間26円を継続する方針としている。

 セグメント別売上高は、医薬品事業が同3.5%増の255億18百万円(国内医薬品が同0.2%増の169億28百万円、海外医薬品が同15.1%増の73億円、医薬品原体が同8.4%減の12億89百万円)、LAL事業が同11.7%増の54億44百万円だった。海外売上高は同15.8%増の115億81百万円、海外売上比率は同3.5ポイント上昇の37.4%となった。

 国内は関節機能改善剤アルツが後発品使用促進の影響を受けたが、拡販努力などで微増収だった。海外は米国向け単回投与関節機能改善剤ジェル・ワンが現地販売増加に円安も寄与して増収だった。米国向け関節機能改善剤スパルツFXは3回投与の競合品が伸長する中で、拡販努力によって現地販売が前年同期並みを維持し、円安効果で換算売上が増加した。米国VISCO−3は販売提携先を選定中である。中国向けアルツは政府主導による公定価格制度廃止の影響で現地販売が減少したが、販売提携先が在庫水準を高めたことと円安効果で増収だった。

 16年3月期の四半期別推移を見ると、売上高は第1四半期77億62百万円、第2四半期81億92百万円、第3四半期74億83百万円、第4四半期75億25百万円、営業利益は第1四半期8億83百万円、第2四半期11億67百万円、第3四半期6億93百万円、第4四半期5億99百万円の赤字だった。

■17年3月期は薬価改定などで減収減益予想

 今期(17年3月期)の連結業績予想(5月12日公表)については、売上高が前期(16年3月期)比4.6%減の295億50百万円、営業利益が同53.4%減の10億円、経常利益が同4.3%減の33億50百万円、純利益が同1.1%減の25億50百万円としている。

 国内薬価改定やドル安・円高の影響で減収減益予想としている。想定為替レートは1米ドル=110円、為替感応度(1米ドル1円変動時の年間影響額)は売上高で約1億円、営業利益で約40百万円である。配当予想は前期と同額の年間26円(第2四半期末13円、期末13円)で予想配当性向は57.9%となる。

 セグメント別売上高の計画は、医薬品事業が同4.8%減の243億円(国内医薬品が同6.1%減の159億円、海外医薬品が同0.7%増の73億50百万円、医薬品原体が同18.5%減の10億50百万円)、LAL事業が同3.6%減の52億50百万円としている。海外売上高は同1.6%減の114億円としている。ドル安・円高の影響額は約10億60百万円を見込んでいる。

 国内医薬品は薬価引き下げの影響で減収見込みだが、関節機能改善剤アルツの新容器(16年4月プラスチックシリンジのルアーフィットタイプ)投入による営業強化、眼科手術補助材の新製品シェルガンの市場投入(16年7月)、ムコアップの販売提携先変更(16年4月)などの効果で数量ベースは微増を見込んでいる。SI−6603の売上は織り込んでいない。海外医薬品は競争激化で米国スパルツFXの現地販売が減少し、ドル安・円高も影響するが、米国ジェル・ワンの数量増効果で前期並みを見込んでいる。

 コスト面では減価償却費や研究開発費が減少するが、薬価改定、ドル安・円高、米国関連費用の増加などで大幅営業減益見込みだ。売上総利益率は同0.4ポイント低下の58.0%、販管費比率は同3.2ポイント上昇の54.7%、減価償却費は同6.0%減の30億円、研究開発費は同2.9%減の84億円の計画である。経常利益と純利益は、営業外で受取ロイヤリティーが大幅に増加するため、ほぼ前期並みの見込みとしている。

 なおスイスのフェリング社とのSI−6603海外ライセンス基本合意書締結に関しては、正式契約によって契約締結一時金5百万米ドルを受け取り、開発や販売等の進捗に応じて今後も複数年にわたりマイルストーン型ロイヤリティーを受け取る予定だが、本件による17年3月期業績への影響は織り込み済みとしている。

■新中期経営計画を策定

 16年5月策定の新中期経営計画(17年3月期〜19年3月期)では、重点戦略として、腰椎椎間板ヘルニア治療剤SI−6603の確実な進展、変形性膝関節症市場におけるリーディングカンパニーとしての進化、開発パイプラインの充実、最適な生産・品質管理体制の追求を掲げている。

 腰椎椎間板ヘルニア治療剤SI−6603については日本での上市と拡販、および潜在市場規模の大きい米国での事業化を目指す。変形性膝関節症市場におけるリーディングカンパニーとしての進化では、成長ドライバーであるジェル・ワンの米国売上拡大と新規市場展開、製品改良による国内アルツの販売数量維持、次世代品となる関節機能改善剤SI−613の開発を推進する。開発パイプラインの充実では、糖質科学分野において他社を凌駕する基盤技術の保持、探査研究の加速、持続的な開発テーマの創製を推進する。最適な生産・品質管理体制の追求では、製品の安定供給、さらなる生産効率化の推進によって原価低減を実現する。

 経営目標値には、19年3月期売上高320億円、営業利益25億円、経常利益45億円を掲げた。想定為替レートは1米ドル=110円で、海外事業の拡大(海外売上高比率45%)によって国内薬価改定による減収をカバーし、研究開発費は高水準(対売上高比率25%〜30%)で推移する。また各種受取ロイヤリティーを営業外収益として織り込んでいる。

■6月15日に自己株式取得を発表

 16年5月31日付で自己株式177万株(消却前発行済株式総数に対する割合3.02%)を消却した。

 また6月15日に自己株式取得を発表した。取得株式総数の上限20万株(自己株式除く発行済株式総数に対する割合0.35%>、取得価額総額の上限4億円、取得期間16年7月1日〜16年7月29日としている。

■株価は自己株式取得も評価して出直り

 株価の動きを見ると、地合い悪化の影響で6月24日に1350円まで急落する場面があったが、素早く切り返しの動きを強めている。

 7月7日の終値1622円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS44円89銭で算出)は36〜37倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間26円で算出)は1.6%近辺、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS1229円05銭で算出)は1.3倍近辺である。時価総額は約922億円である。

 週足チャートで見ると26週移動平均線突破の動きを強めている。自己株式取得も評価して出直り展開だろう。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media−IR)
[6月16日更新]

生化学工業は自己株式取得とSI−6603の海外ライセンス基本合意を発表

 生化学工業<4548>(東1)は関節機能改善剤アルツが主力の医薬品メーカーである。15日に自己株式取得とSI−6603の海外ライセンス基本合意を発表した。17年3月期は薬価改定や円高の影響で減収減益予想だが、高齢者人口増加を背景として中期的に関節機能改善剤の需要拡大が期待される。株価は地合い悪化も影響して戻り一服の形だが、自己株式取得も好感して出直り展開が期待される。

■関節機能改善剤アルツなど糖質科学分野が主力の医薬品メーカー

 糖質科学分野が主力の医薬品メーカーで、国内医薬品(関節機能改善剤アルツ、白内障手術補助剤オペガン、内視鏡用粘膜下注入材ムコアップ)、海外医薬品(米国向け関節機能改善剤スパルツ、米国向け単回投与関節機能改善剤ジェル・ワン、中国向けアルツ)、医薬品原体(ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸)、LAL事業(エンドトキシン測定用試薬関連)を展開している。高齢者人口増加を背景に関節機能改善剤の需要拡大が期待される。

 内視鏡用粘膜下注入材ムコアップについては販売提携先を変更し、16年4月から新たにボストン・サイエンティフィック・ジャパンと日本国内における独占販売契約を締結した。ボストン・サイエンティフィックのエンドスコピー事業は、消化器疾患ならびに肺疾患治療用機器の世界的リーダーである。

 海外は重点地域の米国での事業展開加速に向けて、14年10月の米国駐在員事務所開設に続き、15年5月に北米戦略室を新設した。製品認知度向上策や製品価値向上策で販促を強化し、LAL事業の拡大も推進する。

■新薬開発は糖質科学分野に焦点

 09年3月策定の「生化学工業10年ビジョン」に基づいて、研究開発は糖質科学分野(糖鎖や複合糖質を研究する科学分野)に焦点を絞り、国際競争力を確立する「グローバル・カテゴリー・ファーマ」としての発展を目指している。開発中の新薬としては、腰椎椎間板ヘルニア治療剤SI−6603(コンドリアーゼ)、変形性膝関節症改善剤SI−613(NSAID結合ヒアルロン酸)、ドライアイ治療剤SI−614(修飾ヒアルロン酸)がある。

 腰椎椎間板ヘルニア治療剤SI−6603は、日本で14年1月に製造販売承認申請して審査継続中である。米国・欧州では15年4月に安全性評価を主目的としたオープン試験を開始し、15年7月にフェーズ3試験の症例登録を完了した。現在は経過観察中である。

 6月15日にはスイスのフェリング社と、腰椎椎間板ヘルニア治療剤SI−6603の海外におけるライセンスに関する基本合意書の締結を発表した。米国を中心とした海外での独占的販売等のライセンス契約を締結することを前提としたもので、正式契約は17年3月期上期中を予定している。なお日本における独占的販売契約については、12年12月に科研製薬<4521>と締結している。

 変形性膝関節症改善剤SI−613は、日本で14年10月フェーズ2試験(反復投与)の治験届を提出し、15年7月症例登録が完了、16年1月フェーズ2試験(反復投与)が終了した。現在は取得したデータの解析を実施中である。ドライアイ治療剤SI−614は、米国・欧州で15年1月フェーズ2・3試験が終了した。次相試験について検討中である。

 16年2月にはジェネリック医薬品である眼科手術補助剤「シェルガン0.5眼粘弾剤」の製造販売承認を取得した。当社製品である眼科手術補助剤オペガンと同様に参天製薬<4536>が販売し、16年6月の薬価基準収載後の発売に向けて準備を進める。

■品揃え充実で重点地域の米国におけるプレゼンスを強化

 15年12月には、変形性膝関節症を適応症とする医療機器「VISCO−3」について、米国食品医薬局(FDA)の承認取得を発表した。ヒアルロン酸主成分とする関節機能改善剤で、1治療あたり3回投与の3本キット製品である。14年3月から3回投与の競合製品との非劣性臨床試験を実施して、FDAの承認を新たに取得した。

 米国では高齢化に伴って関節機能剤の市場拡大が予想されているため、単回投与製品「Gel−One」、5回投与製品「SUPARTZ FX」(15年10月にSUPARTZからブランド名変更)に加えて、3回投与製品「VISCO−3」を新たに市場投入し、成長戦略における重点地域である米国に置いてプレゼンス強化を図っている。

■薬価改定、為替、研究開発費などが影響する収益構造

 収益は販売数量、薬価改定、為替、研究開発費、受取ロイヤリティーなどが影響する。16年3月期連結業績は15年3月期比4.9%増収、10.0%営業減益、12.7%経常減益、29.4%最終減益だった。ジェル・ワン数量増などで増収だが、米国SI−6603オープン試験組み入れが想定よりも進展して研究開発費が想定以上に増加した。平均為替レートは1ドル=120円14銭(10円20銭のドル高・円安)で売上高への影響額は約11億円だった。

 売上総利益率は58.4%で同0.5ポイント低下、販管費比率は51.5%で同0.7ポイント上昇した。減価償却費は同22.3%増の31億91百万円、研究開発費は同6.2%増の86億49百万円だった。営業外収益では受取ロイヤリティーが増加(15年3月期2億41百万円計上、16年3月期3億61百万円計上)したが、為替差損益が悪化(15年3月期は差益5億46百万円計上、16年3月期は差損25百万円計上)した。なお一過性の税率低減要因(米国子会社有償減資に伴う税率減)が終了したため16年3月期は税金費用が増加した。ROEは3.7%で同1.7ポイント低下、自己資本比率は87.0%で同横ばいだった。

 配当は15年3月期と同額の年間26円(第2四半期末13円、期末13円)で配当性向は57.3%だった。株主還元については、超長期的な視点に立って安定的かつ継続的な配当を目指し、1株当たり年間26円を継続する方針としている。また今後の事業展開や総還元性向を勘案しながら、自己株式の取得を適宜検討するとしている。

 セグメント別売上高は、医薬品事業が同3.5%増の255億18百万円(国内医薬品が同0.2%増の169億28百万円、海外医薬品が同15.1%増の73億円、医薬品原体が同8.4%減の12億89百万円)、LAL事業が同11.7%増の54億44百万円だった。海外売上高は同15.8%増の115億81百万円、海外売上比率は同3.5ポイント上昇の37.4%となった。

 国内医薬品では、関節機能改善剤アルツが後発品使用促進の影響を受けたが、販売提携先の拡販努力などで微増収だった。海外医薬品では、米国向け単回投与関節機能改善剤ジェル・ワンが現地販売の増加に円安も寄与して増収だった。米国向け関節機能改善剤スパルツFX(15年10月スパルツFXにブランド名変更)は3回投与の競合品が伸長する中で、販売提携先の拡販努力によって現地販売が前年同期並みを維持し、円安効果で換算売上が増加した。米国VISCO−3は販売提携先を選定中である。中国向けアルツは政府主導による公定価格制度廃止の影響で現地販売が減少したが、販売提携先が在庫水準を高めたことと円安効果で増収だった。

 なお16年3月期の四半期別の推移を見ると、売上高は第1四半期(4〜6月)77億62百万円、第2四半期(7〜9月)81億92百万円、第3四半期(10〜12月)74億83百万円、第4四半期(1〜3月)75億25百万円、営業利益は第1四半期8億83百万円、第2四半期11億67百万円、第3四半期6億93百万円、第4四半期5億99百万円の赤字だった。

■17年3月期は減収減益予想

 今期(17年3月期)の連結業績予想(5月12日公表)については、売上高が前期(16年3月期)比4.6%減の295億50百万円、営業利益が同53.4%減の10億円、経常利益が同4.3%減の33億50百万円、純利益が同1.1%減の25億50百万円としている。配当予想は前期と同額の年間26円(第2四半期末13円、期末13円)で予想配当性向は57.9%となる。国内における薬価改定やドル安・円高の影響で減収減益予想としている。想定為替レートは1米ドル=110円、為替感応度(1米ドル1円変動時の年間影響額)は売上高で約1億円、営業利益で約40百万円である。

 セグメント別売上高の計画は、医薬品事業が同4.8%減の243億円(国内医薬品が同6.1%減の159億円、海外医薬品が同0.7%増の73億50百万円、医薬品原体が同18.5%減の10億50百万円)、LAL事業が同3.6%減の52億50百万円としている。海外売上高は同1.6%減の114億円としている。ドル安・円高の影響額は約10億60百万円を見込んでいる。

 国内医薬品は、薬価引き下げの影響で減収を見込んでいる。ただし関節機能改善剤アルツの新容器(16年4月プラスチックシリンジのルアーフィットタイプ)投入による営業強化、眼科手術補助材の新製品シェルガンの市場投入(16年7月)、ムコアップの販売提携先変更(16年4月)などの効果で数量ベースは微増を見込んでいる。SI−6603の売上は織り込んでいない。海外医薬品は競争激化で米国スパルツFXの現地販売が減少し、ドル安・円高も影響するが、米国ジェル・ワンの数量増効果で前期並みを見込んでいる。

 コスト面では減価償却費や研究開発費が減少するが、薬価改定、ドル安・円高、米国関連費用の増加などで大幅営業減益見込みだ。売上総利益率は同0.4ポイント低下の58.0%、販管費比率は同3.2ポイント上昇の54.7%、減価償却費は同6.0%減の30億円、研究開発費は同2.9%減の84億円の計画である。経常利益と純利益は、営業外で受取ロイヤリティーが大幅に増加するため、ほぼ前期並みの見込みとしている。

 なお6月15日発表したスイスのフェリング社とのSI−6603海外ライセンス基本合意書締結に関しては、正式契約(17年3月期上期中に締結予定)によってフェリング社から契約締結一時金5百万米ドルを受け取り、開発や販売等の進捗に応じて今後も複数年にわたりマイルストーン型ロイヤリティーを受け取る予定だが、本件による17年3月期業績への影響は織り込み済みとしている。

■新中期経営計画を策定

 16年5月策定の新中期経営計画(17年3月期〜19年3月期)では、4つの重点戦略として、腰椎椎間板ヘルニア治療剤SI−6603の確実な進展、変形性ひざ関節症市場におけるリーディングカンパニーとしての進化、開発パイプラインの充実、最適な生産・品質管理体制の追求を掲げている。

 腰椎椎間板ヘルニア治療剤SI−6603の確実な進展では、日本での上市と拡販、および潜在市場規模の大きい米国での事業化を目指す。変形性ひざ関節症市場におけるリーディングカンパニーとしての進化では、成長ドライバーであるジェル・ワンの米国売上拡大と新規市場展開、製品改良による国内アルツの販売数量維持、次世代品となる関節機能改善剤SI−613の開発を推進する。開発パイプラインの充実では、糖質科学分野において他社を凌駕する基盤技術の保持、探査研究の加速、持続的な開発テーマの創製を推進する。最適な生産・品質管理体制の追求では、製品の安定供給、さらなる生産効率化の推進によって原価低減を実現する。

 経営目標値には、19年3月期売上高320億円、営業利益25億円、経常利益45億円を掲げた。想定為替レートは1米ドル=110円で、海外事業の拡大(海外売上高比率45%)によって国内薬価改定による減収をカバーし、研究開発費は高水準(対売上高比率25%〜30%)で推移する。また各種受取ロイヤリティーを営業外収益として織り込んでいる。

■6月15日に自己株式取得を発表

 16年5月31日付で自己株式177万株(消却前発行済株式総数に対する割合3.02%)を消却した。

 また6月15日に自己株式取得を発表した。取得株式総数の上限20万株(自己株式除く発行済株式総数に対する割合0.35%>、取得価額総額の上限4億円、取得期間16年7月1日〜16年7月29日としている。

■株価は地合い悪化も影響して戻り一服だが、自己株式取得も好感して出直り

 株価の動きを見ると、地合い悪化も影響して戻り一服の形だが、17年3月期の減収減益予想を嫌気した売りは一巡しているようだ。

 6月15日の終値1510円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS44円89銭で算出)は33〜34倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間26円で算出)は1.7%近辺、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS1229円05銭で算出)は1.2倍近辺である。時価総額は約858億円である。週足チャートで見ると26週移動平均線を割り込んだが、自己株式取得も好感して出直り展開が期待される。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media−IR)
[5月24日更新]

生化学工業は17年3月期減収減益予想を嫌気した売り一巡、5月31日付で自己株式消却

 生化学工業<4548>(東1)は糖質科学分野に焦点を絞り、関節機能改善剤アルツが主力の医薬品メーカーである。17年3月期は国内薬価改定や円高の影響で減収減益予想だが、高齢者人口増加を背景として中期的に関節機能改善剤の需要拡大が期待される。なお16年5月31日付で自己株式177万株を消却する。株価は戻り高値圏から反落したが、17年3月期減収減益予想を嫌気した売りが一巡して出直り展開だろう。

■関節機能改善剤アルツなど糖質科学分野が主力の医薬品メーカー

 糖質科学分野が主力の医薬品メーカーで、国内医薬品(関節機能改善剤アルツ、白内障手術補助剤オペガン、内視鏡用粘膜下注入材ムコアップ)、海外医薬品(米国向け関節機能改善剤スパルツ、米国向け単回投与関節機能改善剤ジェル・ワン、中国向けアルツ)、医薬品原体(ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸)、LAL事業(エンドトキシン測定用試薬関連)を展開している。高齢者人口増加を背景に関節機能改善剤の需要拡大が期待される。

 なお内視鏡用粘膜下注入材ムコアップの販売提携先を変更した。ジョンソン・エンド・ジョンソンのメディカルカンパニー(東京都)との独占販売契約を契約期間満了により16年3月31日に終了し、16年4月1日から新たにボストン・サイエンティフィック・ジャパン(東京都)と日本国内における独占販売契約を締結した。ボストン・サイエンティフィックのエンドスコピー事業は、消化器疾患ならびに肺疾患治療用機器の世界的リーダーである。

 生産面では15年1月にアルツディスポ新製剤設備(高萩工場第5製剤棟)が稼働した。第5製剤棟および第4製剤棟にアルツディスポの生産を集約することで効率化を推進するとともに、アルツディスポの中長期的な安定供給を図る。

 海外は重点地域の米国での事業展開加速に向けて、14年10月の米国駐在員事務所開設に続き、15年5月に北米戦略室を新設した。製品認知度向上策や製品価値向上策で販促を強化し、LAL事業の拡大も推進する。

■新薬開発は糖質科学分野に焦点

 09年3月策定の「生化学工業10年ビジョン」に基づいて、研究開発は糖質科学分野(糖鎖や複合糖質を研究する科学分野)に焦点を絞り、国際競争力を確立する「グローバル・カテゴリー・ファーマ」としての発展を目指している。

 開発中の新薬としては、腰椎椎間板ヘルニア治療剤SI−6603(コンドリアーゼ)、変形性膝関節症改善剤SI−613(NSAID結合ヒアルロン酸)、ドライアイ治療剤SI−614(修飾ヒアルロン酸)がある。

 腰椎椎間板ヘルニア治療剤SI−6603は、日本で14年1月に製造販売承認申請して審査継続中である。米国・欧州では15年4月に安全性評価を主目的としたオープン試験を開始し、15年7月にフェーズ3試験の症例登録を完了した。現在は経過観察中である。

 変形性膝関節症改善剤SI−613は、日本で14年10月フェーズ2試験(反復投与)の治験届を提出し、15年7月症例登録が完了、16年1月フェーズ2試験(反復投与)が終了した。現在は取得したデータの解析を実施中である。ドライアイ治療剤SI−614は、米国・欧州で15年1月フェーズ2・3試験が終了した。次相試験について検討中である。

 アルツの腱・靭帯付着部症の国内適応症追加SI−657(ヒアルロン酸)については開発を中止したが、引き続きアルツの製品付加価値向上に取り組むとともに、糖質科学に研究開発の焦点を合わせ、GAG(グリコサミノグリカン)を対象物質として、運動器疾患、眼科領域疾患、免疫・アレルギー疾患などを対象に効率的な新薬開発を進めるとしている。

 16年2月にはジェネリック医薬品である眼科手術補助剤「シェルガン0.5眼粘弾剤」の製造販売承認を取得した。当社製品である眼科手術補助剤オペガンと同様に参天製薬<4536>が販売し、16年6月の薬価基準収載後の発売に向けて準備を進める。

■品揃え充実で重点地域の米国におけるプレゼンスを強化

 15年12月には、変形性膝関節症を適応症とする医療機器「VISCO−3」について、米国食品医薬局(FDA)の承認取得を発表した。ヒアルロン酸主成分とする関節機能改善剤で、1治療あたり3回投与の3本キット製品である。14年3月から3回投与の競合製品との非劣性臨床試験を実施して、FDAの承認を新たに取得した。

 なお「SUPARTZ」は、15年3月に再投与の安全性に関する承認をFDAから取得したことに伴う添付文書改訂に合わせて、15年10月にブランド名を「SUPARTZ FX」に変更した。

 米国では人口の高齢化に伴って関節機能剤の市場拡大が予想されているため、単回投与製品「Gel−One」、5回投与製品「SUPARTZ FX」に加えて、3回投与製品「VISCO−3」を新たに市場投入し、成長戦略における重点地域である米国に置いてプレゼンス強化を図る方針だ。

■薬価改定、為替、研究開発費などが影響する収益構造

 15年3月期の四半期別業績推移を見ると、売上高は第1四半期(4月〜6月)75億77百万円、第2四半期(7月〜9月)66億70百万円、第3四半期(10月〜12月)78億28百万円、第4四半期(1月〜3月)74億47百万円、営業利益は第1四半期11億87百万円、第2四半期3億77百万円、第3四半期7億09百万円、第4四半期1億10百万円だった。

 薬価改定、為替、研究開発費、受取ロイヤリティーなどが影響する収益構造だ。15年3月期の売上総利益率は58.9%で14年3月期比3.2ポイント低下、販管費比率は50.8%で同5.4ポイント上昇、ROEは5.4%で同2.1ポイント低下、自己資本比率は87.0%で同0.8ポイント低下した。

 配当性向は40.5%だった。株主還元については、超長期的な視点に立って安定的かつ継続的な配当を目指し、1株当たり年間26円を継続する方針としている。また今後の事業展開や総還元性向を勘案しながら、自己株式の取得を適宜検討するとしている。

■16年3月期は増収減益

 5月12日発表した前期(16年3月期)の連結業績は、売上高が前々期(15年3月期)比4.9%増の309億62百万円、営業利益が同10.0%減の21億44百万円、経常利益が同12.7%減の35億円、純利益が同29.4%減の25億78百万円だった。

 売上面では国内が概ね想定どおり堅調に推移し、ジェル・ワンの数量増やLAL事業の好調で増収だったが、米国SI−6603のオープン試験の組み入れが想定よりも進展して研究開発費が想定以上に増加したため、営業利益は計画を下回り減益だった。平均為替レートは1ドル=120円14銭で同10円20銭のドル高・円安だった。売上高への影響額は約11億円だった。

 売上総利益は同4.0%増加したが、売上総利益率は58.4%で同0.5ポイント低下した。販管費は同6.3%増加し、販管費比率は51.5%で同0.7ポイント上昇した。減価償却費は同22.3%増の31億91百万円だった。高萩工場第5製剤棟関連で増加した。研究開発費は同6.2%増の86億49百万円だった。円安による米国子会社経費の換算額増加も影響した。

 営業外収益では、受取配当金が増加(前々期2億24百万円計上、前期2億61百万円計上)、受取ロイヤリティーが増加(前々期2億41百万円計上、前期3億61百万円計上)、投資有価証券売却益が増加(前々期3億88百万円計上、前期4億46百万円計上)したが、為替差損益が悪化(前々期は差益5億46百万円計上、前期は差損25百万円計上)した。なお前々期の一過性の税率低減要因(米国子会社有償減資に伴う税率減)が終了したため税金費用が増加した。

 配当は前々期と同額の年間26円(第2四半期末13円、期末13円)とした。配当性向は57.3%である。ROEは3.7%で同1.7ポイント低下、自己資本比率は87.0%で同横ばいだった。

 セグメント別売上高は、医薬品事業が同3.5%増の255億18百万円(国内医薬品が同0.2%増の169億28百万円、海外医薬品が同15.1%増の73億円、医薬品原体が同8.4%減の12億89百万円)、LAL事業が同11.7%増の54億44百万円だった。海外売上高は同15.8%増の115億81百万円、海外売上比率は同3.5ポイント上昇の37.4%となった。

 国内医薬品では、関節機能改善剤アルツは後発品使用促進の影響を受けたが、販売提携先の拡販努力などで微増収だった。眼科手術補助剤オペガンは競争激化で微減収だった。内視鏡用粘膜下注入材ムコアップは16年4月からの販売提携先変更に伴う出荷増が寄与して増収だった。

 海外医薬品では、米国向け単回投与関節機能改善剤ジェル・ワンは現地販売の増加に円安も寄与して増収だった。米国向け関節機能改善剤スパルツFX(15年10月スパルツFXにブランド名変更)は3回投与の競合品が伸長する中で、販売提携先の拡販努力によって現地販売が前年同期並みを維持し、円安効果で換算売上が増加した。米国VISCO−3は販売提携先を選定中である。中国向けアルツは政府主導による公定価格制度廃止の影響で現地販売が減少したが、販売提携先が在庫水準を高めたことと円安効果で増収だった。

 医薬品原体では、ヒアルロン酸の市場が低調だった。LAL事業は、海外におけるエンドドキシン測定用試薬などの数量増と円安効果が寄与して増収だった。

 四半期別の業績推移を見ると、売上高は第1四半期(4月〜6月)77億62百万円、第2四半期(7月〜9月)81億92百万円、第3四半期(10月〜12月)74億83百万円、第4四半期(1月〜3月)75億25百万円、営業利益は第1四半期8億83百万円、第2四半期11億67百万円、第3四半期6億93百万円、第4四半期5億99百万円の赤字だった。

■17年3月期は減収減益予想

 今期(17年3月期)の連結業績予想(5月12日公表)については、売上高が前期(16年3月期)比4.6%減の295億50百万円、営業利益が同53.4%減の10億円、経常利益が同4.3%減の33億50百万円、純利益が同1.1%減の25億50百万円としている。配当予想は前期と同額の年間26円(第2四半期末13円、期末13円)で、予想配当性向は57.9%となる。

 国内における薬価改定やドル安・円高の影響で減収減益予想としている。想定為替レートは1米ドル=110円、為替感応度(1米ドル1円変動時の年間影響額)は売上高で約1億円、営業利益で約40百万円としている。

 セグメント別売上高の計画は、医薬品事業が同4.8%減の243億円(国内医薬品が同6.1%減の159億円、海外医薬品が同0.7%増の73億50百万円、医薬品原体が同18.5%減の10億50百万円)、LAL事業が同3.6%減の52億50百万円としている。海外売上高は同1.6%減の114億円としている。ドル安・円高の影響額は約10億60百万円を見込んでいる。

 国内医薬品は、薬価引き下げの影響で減収を見込んでいる。ただし関節機能改善剤アルツの新容器(16年4月プラスチックシリンジのルアーフィットタイプ)投入による営業強化、眼科手術補助材の新製品シェルガンの市場投入(16年7月)、ムコアップの販売提携先変更(16年4月)などの効果で数量ベースは微増を見込んでいる。なおSI−6603の売上は織り込んでいない。

 海外医薬品は、競争激化で米国スパルツFXの現地販売が減少し、ドル安・円高も影響するが、米国ジェル・ワンの数量増効果で前期並みを見込んでいる。LAL事業は米国子会社の現地販売が増加するが、ドル安・円高影響で減収を見込んでいる。

 利益面では、減価償却費や研究開発費が減少するが、国内における薬価改定、ドル安・円高影響、米国関連費用の増加などで営業利益は大幅減益を見込んでいる。売上総利益率は同0.4ポイント低下の58.0%、販管費比率は同3.2ポイント上昇の54.7%を想定している。減価償却費は同6.0%減の30億円、研究開発費は同2.9%減の84億円の計画である。なお営業外で受取ロイヤリティーが大幅に増加するため、経常利益と純利益はほぼ前期並みの見込みとしている。

■新中期経営計画を策定

 5月12日に新中期経営計画(17年3月期〜19年3月期)を発表した。4つの重点戦略として、腰椎椎間板ヘルニア治療剤SI−6603の確実な進展、変形性ひざ関節症市場におけるリーディングカンパニーとしての進化、開発パイプラインの充実、最適な生産・品質管理体制の追求を掲げた。

 腰椎椎間板ヘルニア治療剤SI−6603の確実な進展では、日本での上市と拡販、および潜在市場規模の大きい米国での事業化を目指す。変形性ひざ関節症市場におけるリーディングカンパニーとしての進化では、成長ドライバーであるジェル・ワンの米国売上拡大と新規市場展開、製品改良による国内アルツの販売数量維持、次世代品となる関節機能改善剤SI−613の開発を推進する。開発パイプラインの充実では、糖質科学分野において他社を凌駕する基盤技術の保持、探査研究の加速、持続的な開発テーマの創製を推進する。最適な生産・品質管理体制の追求では、製品の安定供給、さらなる生産効率化の推進によって原価低減を実現する。

 経営目標値としては、19年3月期の売上高320億円、営業利益25億円、経常利益45億円を掲げた。なお想定為替レートは1米ドル=110円で、海外事業の拡大(海外売上高比率45%)で国内薬価改定による減収をカバーし、研究開発費は高水準(対売上高比率25%〜30%)で推移する。また各種受取ロイヤリティーを営業外収益として織り込んでいる。

 なお株主還元については、超長期的な視点に立って安定的かつ継続的な配当を目指し、1株当たり年間26円を継続する方針としている。また今後の事業展開や総還元性向を勘案しながら、自己株式取得を適宜検討するとしている。

■自己株式を消却

 なお5月12日に自己株式の消却を発表した。16年5月31日付で177万株(消却前の発行済株式総数に対する割合3.02%)を消却する。消却後の発行済株式総数は5681万4093株、自己株式数(見込み)は9510株となる。

■株価は17年3月期減収減益予想を嫌気した売り一巡

 株価の動きを見ると、17年3月期の減収減益予想を嫌気する形で戻り高値圏の1700円〜1800円近辺から反落したが、1500円近辺で売り一巡感を強めている。

 5月23日の終値1531円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS44円89銭で算出)は34〜35倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間26円で算出)は1.7%近辺、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS1229円05銭で算出)は1.41.2倍近辺である。時価総額は約897億円である。

 週足チャートで見ると13週移動平均線と26週移動平均線を割り込んだが、2月の年初来安値水準まで下押す動きは見られない。売り一巡して出直り展開だろう。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media−IR)
[4月13日更新]

生化学工業は出直りの動き本格化、17年3月期増収増益基調期待

 生化学工業<4548>(東1)は糖質科学分野に焦点を絞り、関節機能改善剤アルツが主力の医薬品メーカーである。高齢者人口増加を背景に関節機能改善剤の需要が拡大し、17年3月期増収増益基調が期待される。株価はアルツの適応症追加の開発中止も嫌気した2月安値から反発して出直りの動きが本格化している。15年12月の戻り高値を試す展開だろう。なお5月12日に16年3月期決算発表を予定している。

■関節機能改善剤アルツなど糖質科学分野が主力の医薬品メーカー

 糖質科学分野が主力の医薬品メーカーで、国内医薬品(関節機能改善剤アルツ、白内障手術補助剤オペガン、内視鏡用粘膜下注入材ムコアップ)、海外医薬品(米国向け関節機能改善剤スパルツ、米国向け単回投与関節機能改善剤ジェル・ワン、中国向けアルツ)、医薬品原体(ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸)、LAL事業(エンドトキシン測定用試薬関連)を展開している。高齢者人口増加を背景に関節機能改善剤の需要拡大が期待される。

 なお内視鏡用粘膜下注入材ムコアップの販売提携先を変更した。ジョンソン・エンド・ジョンソンのメディカルカンパニー(東京都)との独占販売契約を契約期間満了により16年3月31日に終了し、16年4月1日から新たにボストン・サイエンティフィック・ジャパン(東京都)と日本国内における独占販売契約を締結した。ボストン・サイエンティフィックのエンドスコピー事業は、消化器疾患ならびに肺疾患治療用機器の世界的リーダーである。

 生産面では15年1月にアルツディスポ新製剤設備(高萩工場第5製剤棟)が稼働した。第5製剤棟および第4製剤棟にアルツディスポの生産を集約することで効率化を推進するとともに、アルツディスポの中長期的な安定供給を図る。

 海外は重点地域の米国での事業展開加速に向けて、14年10月の米国駐在員事務所開設に続き、15年5月に北米戦略室を新設した。製品認知度向上策や製品価値向上策で販促を強化し、LAL事業の拡大も推進する。

■新薬開発は糖質科学分野に焦点

 09年3月策定の「生化学工業10年ビジョン」に基づいて、研究開発は糖質科学分野(糖鎖や複合糖質を研究する科学分野)に焦点を絞り、国際競争力を確立する「グローバル・カテゴリー・ファーマ」としての発展を目指している。

 開発中の新薬には、腰椎椎間板ヘルニア治療剤SI−6603(コンドリアーゼ)、変形性膝関節症改善剤SI−613(NSAID結合ヒアルロン酸)、ドライアイ治療剤SI−614(修飾ヒアルロン酸)がある。

 SI−6603は日本で14年1月に製造販売承認申請して審査継続中である。米国・欧州では15年4月に安全性評価を主目的としたオープン試験を開始し、15年7月にフェーズ3試験の症例登録を完了した。SI−613は日本で14年10月フェーズ2試験(反復投与)の治験届を提出し、15年7月症例登録が完了した。SI−614は米国・欧州で15年1月フェーズ2・3試験が終了した。次相試験について検討中である。

 アルツの腱・靭帯付着部症の国内適応症追加SI−657(ヒアルロン酸)については開発を中止したが、引き続きアルツの製品付加価値向上に取り組むとともに、糖質科学に研究開発の焦点を合わせ、GAG(グリコサミノグリカン)を対象物質として、運動器疾患、眼科領域疾患、免疫・アレルギー疾患などを対象に効率的な新薬開発を進めるとしている。

 16年2月にはジェネリック医薬品である眼科手術補助剤「シェルガン0.5眼粘弾剤」の製造販売承認を取得した。当社製品である眼科手術補助剤オペガンと同様に参天製薬<4536>が販売し、16年6月の薬価基準収載後の発売に向けて準備を進める。

■品揃え充実で重点地域の米国におけるプレゼンスを強化

 15年12月には、変形性膝関節症を適応症とする医療機器「VISCO−3」について、米国食品医薬局(FDA)の承認取得を発表した。ヒアルロン酸主成分とする関節機能改善剤で、1治療あたり3回投与の3本キット製品である。14年3月から3回投与の競合製品との非劣性臨床試験を実施して、FDAの承認を新たに取得した。

 なお「SUPARTZ」は、15年3月に再投与の安全性に関する承認をFDAから取得したことに伴う添付文書の改訂に合わせて、15年10月にブランド名を「SUPARTZ FX」に変更した。

 米国では人口の高齢化に伴って関節機能剤の市場拡大が予想されているため、単回投与製品「Gel−One」、5回投与製品「SUPARTZ FX」に加えて、3回投与製品「VISCO−3」を新たに市場投入し、成長戦略における重点地域である米国に置いてプレゼンス強化を図る方針だ。

■薬価改定、為替、研究開発費などが影響する収益構造

 15年3月期の四半期別の推移を見ると、売上高は第1四半期(4月〜6月)75億77百万円、第2四半期(7月〜9月)66億70百万円、第3四半期(10月〜12月)78億28百万円、第4四半期(1月〜3月)74億47百万円、営業利益は第1四半期11億87百万円、第2四半期3億77百万円、第3四半期7億09百万円、第4四半期1億10百万円だった。

 薬価改定、為替の動向、研究開発費の増減、受取ロイヤリティーの増減などが影響する収益構造だ。15年3月期の売上総利益率は58.9%で14年3月期比3.2ポイント低下、販管費比率は50.8%で同5.4ポイント上昇、ROEは5.4%で同2.1ポイント低下、自己資本比率は87.0%で同0.8ポイント低下した。配当性向は40.5%だった。

 利益配分に関しては、1株当たり年間26円を基本として、安定的かつ継続的な配当を目指し、資本効率の向上を目的として自己株式の取得等を適宜検討するとしている。

■16年3月期第3四半期累計は2桁営業増益

 前期(16年3月期)第3四半期累計(4月〜12月)の連結業績は、売上高が前年同期比6.2%増の234億37百万円、営業利益が同20.6%増の27億43百万円、経常利益が同5.8%増の40億06百万円、純利益が同0.8%減の30億17百万円だった。

 売上面では、国内アルツが前年同期並みにとどまったが、円安効果やジェル・ワンをはじめとする海外医薬品の効果で増収だった。為替レート(期中平均)は1ドル=121円70銭(前期比14円82銭のドル高・円安)で、円安による売上高への影響は約11億円だった。

 利益面では、高萩工場第5製剤棟関連の減価償却費が増加し、海外子会社を含む米国関連経費が円安も影響して増加したが、研究開発費が前年同期並みにとどまったことも寄与して2桁営業増益だった。売上総利益率は58.9%で同0.2ポイント低下、販管費比率は47.2%で同1.6ポイント低下、減価償却費は同30.9%増の23億79百万円、研究開発費は同1.1%減の56億34百万円だった。

 また営業外収益では、受取配当金が増加(前期1億86百万円計上、今期2億30百万円計上)、保有外貨建て資産に係る為替評価益が減少(前期5億85百万円計上、今期57百万円計上)、受取ロイヤリティーが増加(前期2億41百万円計上、今期3億61百万円計上)した。なお前期の一過性の税率低減要因が終了して税率が上昇したため純利益は減益だった。

 セグメント別の売上高は、医薬品事業が同4.7%増の193億06百万円(国内医薬品が同0.8%減の130億17百万円、海外医薬品が同24.1%増の53億39百万円、医薬品原体が同6.4%減の9億50百万円)だった。LAL事業は同13.4%増の41億30百万円だった。

 国内医薬品は、関節機能改善剤アルツが後発品使用促進の影響で前年同期並み(市場は0.5%増、アルツの医療機関納入本数は0.2%増)にとどまった。眼科手術補助剤オペガンは競争激化で微減、内視鏡用粘膜下注入材ムコアップは前年同期の出荷が高水準だった反動で減収だった。

 海外医薬品は、米国向け関節機能改善剤スパルツFX(15年10月スパルツFXにブランド名変更)が、3回投与の競合品が伸長する中で、販売提携先の拡販努力によって現地販売が前年同期並みを維持し、円安効果で換算売上が増加した。中国向けアルツは政府主導による公定価格制度廃止の影響で現地販売が減少したが、販売提携先が在庫水準を高めたことと円安効果で増収だった。米国向け単回投与関節機能改善剤ジェル・ワンは現地販売が増加し、円安効果も寄与した。

 医薬品原体はヒアルロン酸の市場が低調だった。LAL事業は海外におけるエンドドキシン測定用試薬などの数量増と円安効果で増収だった。

 なお四半期別業績推移を見ると、売上高は第1四半期(4月〜6月)77億62百万円、第2四半期(7月〜9月)81億92百万円、第3四半期(10月〜12月)74億83百万円、営業利益は第1四半期8億83百万円、第2四半期11億67百万円、第3四半期6億93百万円だった。

■16年3月期業績予想に増額余地

 前期(16年3月期)通期の連結業績予想(5月12日公表)は、売上高が前々期(15年3月期)比3.8%増の306億50百万円で、営業利益が同0.7%増の24億円、経常利益が同5.2%減の38億円、純利益が同20.6%減の29億円としている。配当予想は前々期と同額の年間26円(第2四半期末13円、期末13円)で、予想配当性向は50.9%となる。

 想定為替レート(期中平均)は1米ドル=118円で、為替感応度(1円変動による影響額)は売上高で約95百万円、営業利益で約35百万円としている。また売上総利益率は同0.7ポイント低下の58.2%、販管費比率は同0.4ポイント低下の50.4%、研究開発費は同3.6%減の78億50百万円の計画としている。

 セグメント別売上高の計画は、医薬品事業が同3.1%増の254億円(国内医薬品が同0.3%増の169億50百万円、海外医薬品が同12.0%増の71億円、医薬品原体が同4.1%減の13億50百万円)、LAL事業が同7.7%増の52億50百万円としている。

 国内は厳しい市場環境が継続するが営業強化で競合品からのシェア獲得を目指し、米国向けジェル・ワンと中国向けアルツの数量増加および円安効果で増収見込みだ。営業利益については、研究開発費が減少するが、高萩工場第5製剤棟稼働に伴う減価償却費の増加、ジェル・ワンなどの販売関連費用の増加で前期並みとしている。純利益については、受取ロイヤリティーが増加するが、為替評価益の減少、税負担の正常化などで減益見込みとしている。

 通期会社予想に対する第3四半期累計の進捗率は売上高が76.5%、営業利益が114.3%、経常利益が105.4%、純利益が104.0%で、利益は通期会社予想を超過達成している。米国における腰椎椎間板ヘルニア治療剤SI−6603を中心とした研究開発費の進捗を踏まえて通期会社予想を据え置いたが、増額余地があるだろう。そして17年3月期増収増益基調が期待される。

■株価は出直りの動きが本格化

 株価の動きを見ると、アルツの適応症追加の開発中止も嫌気した2月安値から反発して出直りの動きが本格化している。3月31日の戻り高値1754円から一旦反落したが、自律調整の範囲で戻り歩調に変化はないだろう。

 4月11日の終値1677円を指標面で見ると、前期推定連結PER(会社予想の連結EPS51円05銭で算出)は32〜33倍近辺、前期推定配当利回り(会社予想の年間26円で算出)は1.6%近辺、前々期実績連結PBR(前々期実績の連結BPS1239円51銭で算出)は1.4倍近辺である。時価総額は約982億円である。

 日足チャートで見ると25日移動平均線がサポートラインの形となった。また週足チャートで見ると13週移動平均線に続いて26週移動平均線を突破した。強基調への転換を確認した形だ。15年12月の戻り高値1873円を試す展開だろう。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media−IR)
[3月24日更新]

生化学工業は調整一巡して戻り歩調、16年3月期業績予想は増額余地

 生化学工業<4548>(東1)は糖質科学分野に焦点を絞り、関節機能改善剤アルツが主力の医薬品メーカーである。16年3月期業績予想には増額余地がありそうだ。株価はアルツの適応症追加の開発中止を嫌気する場面があったが、調整が一巡して下値を切り上げている。戻り歩調の展開だろう。

■関節機能改善剤アルツなど糖質科学分野が主力の医薬品メーカー

 糖質科学分野が主力の医薬品メーカーで、国内医薬品(関節機能改善剤アルツ、白内障手術補助剤オペガン、内視鏡用粘膜下注入材ムコアップ)、海外医薬品(米国向け関節機能改善剤スパルツ、米国向け単回投与関節機能改善剤ジェル・ワン、中国向けアルツ)、医薬品原体(ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸)、LAL事業(エンドトキシン測定用試薬関連)を展開している。高齢者人口増加を背景に関節機能改善剤の需要拡大が期待される。

 なお3月10日に内視鏡用粘膜下注入材ムコアップの販売提携先変更を発表した。ジョンソン・エンド・ジョンソンのメディカルカンパニー(東京都)との独占販売契約を、16年3月31日をもって契約期間満了により終了する。そして新たにボストン・サイエンティフィック・ジャパン(東京都)と日本国内における独占販売契約を16年4月1日に締結する。ボストン・サイエンティフィックのエンドスコピー事業は、消化器疾患ならびに肺疾患治療用機器の世界的リーダーである。

 生産面では15年1月にアルツディスポ新製剤設備(高萩工場第5製剤棟)が稼働した。第5製剤棟および第4製剤棟にアルツディスポの生産を集約することで効率化を推進するとともに、アルツディスポの中長期的な安定供給を図る。

 海外は重点地域の米国での事業展開加速に向けて、14年10月の米国駐在員事務所開設に続き、15年5月に北米戦略室を新設した。製品認知度向上策や製品価値向上策で販促を強化し、LAL事業の拡大も推進する。

■新薬開発は糖質科学分野に焦点

 09年3月策定の「生化学工業10年ビジョン」に基づいて、研究開発は糖質科学分野(糖鎖や複合糖質を研究する科学分野)に焦点を絞り、国際競争力を確立する「グローバル・カテゴリー・ファーマ」としての発展を目指している。

 開発中の新薬には、腰椎椎間板ヘルニア治療剤SI−6603(コンドリアーゼ)、変形性膝関節症改善剤SI−613(NSAID結合ヒアルロン酸)、ドライアイ治療剤SI−614(修飾ヒアルロン酸)がある。

 SI−6603は日本で14年1月に製造販売承認申請して審査継続中である。米国・欧州では15年4月に安全性評価を主目的としたオープン試験を開始し、15年7月にフェーズ3試験の症例登録を完了した。SI−613は日本で14年10月フェーズ2試験(反復投与)の治験届を提出し、15年7月症例登録が完了した。SI−614は米国・欧州で15年1月フェーズ2・3試験が終了した。次相試験について検討中である。

 なおアルツの腱・靭帯付着部症の国内適応症追加SI−657(ヒアルロン酸)については2月2日に開発中止を発表した。科研製薬<4521>と共同で開発を進めていたが、日本での第3相臨床試験結果において期待していた有効性を明確に見いだせなかったため中止を決定した。引き続きアルツの製品付加価値向上に取り組むとともに、糖質科学に研究開発の焦点を合わせ、GAG(グリコサミノグリカン)を対象物質として、運動器疾患、眼科領域疾患、免疫・アレルギー疾患などを対象に効率的な新薬開発を進めるとしている。

 2月15日にはジェネリック医薬品である眼科手術補助剤「シェルガン0.5眼粘弾剤」の製造販売承認取得を発表した。当社製品である眼科手術補助剤オペガンと同様に参天製薬<4536>が販売し、16年6月の薬価基準収載後の発売に向けて準備を進める。

■品揃え充実で重点地域の米国におけるプレゼンスを強化

 15年12月には、変形性膝関節症を適応症とする医療機器「VISCO−3」について、米国食品医薬局(FDA)の承認取得を発表した。ヒアルロン酸主成分とする関節機能改善剤で、1治療あたり3回投与の3本キット製品である。14年3月から3回投与の競合製品との非劣性臨床試験を実施して、FDAの承認を新たに取得した。

 なお「SUPARTZ」は、15年3月に再投与の安全性に関する承認をFDAから取得したことに伴う添付文書の改訂に合わせて、15年10月にブランド名を「SUPARTZ FX」に変更した。

 米国では人口の高齢化に伴って関節機能剤の市場拡大が予想されているため、単回投与製品「Gel−One」、5回投与製品「SUPARTZ FX」に加えて、3回投与製品「VISCO−3」を新たに市場投入し、成長戦略における重点地域である米国に置いてプレゼンス強化を図る方針だ。

■薬価改定、為替、研究開発費などが影響する収益構造

 15年3月期の四半期別の推移を見ると、売上高は第1四半期(4月〜6月)75億77百万円、第2四半期(7月〜9月)66億70百万円、第3四半期(10月〜12月)78億28百万円、第4四半期(1月〜3月)74億47百万円、営業利益は第1四半期11億87百万円、第2四半期3億77百万円、第3四半期7億09百万円、第4四半期1億10百万円だった。

 薬価改定、為替の動向、研究開発費の増減、受取ロイヤリティーの増減などが影響する収益構造だ。15年3月期の売上総利益率は58.9%で14年3月期比3.2ポイント低下、販管費比率は50.8%で同5.4ポイント上昇、ROEは5.4%で同2.1ポイント低下、自己資本比率は87.0%で同0.8ポイント低下した。配当性向は40.5%だった。

 利益配分に関しては、1株当たり年間26円を基本として、安定的かつ継続的な配当を目指し、資本効率の向上を目的として自己株式の取得等を適宜検討するとしている。

■16年3月期第3四半期累計は2桁営業増益

 今期(16年3月期)第3四半期累計(4月〜12月)の連結業績は、売上高が前年同期比6.2%増の234億37百万円、営業利益が同20.6%増の27億43百万円、経常利益が同5.8%増の40億06百万円、純利益が同0.8%減の30億17百万円だった。

 売上面では、国内アルツが前年同期並みにとどまったが、円安効果やジェル・ワンをはじめとする海外医薬品の効果で増収だった。為替レート(期中平均)は1ドル=121円70銭(前期比14円82銭のドル高・円安)で、円安による売上高への影響は約11億円だった。

 利益面では、高萩工場第5製剤棟関連の減価償却費が増加し、海外子会社を含む米国関連経費が円安も影響して増加したが、研究開発費が前年同期並みにとどまったことも寄与して2桁営業増益だった。売上総利益率は58.9%で同0.2ポイント低下、販管費比率は47.2%で同1.6ポイント低下、減価償却費は同30.9%増の23億79百万円、研究開発費は同1.1%減の56億34百万円だった。

 また営業外収益では、受取配当金が増加(前期1億86百万円計上、今期2億30百万円計上)、保有外貨建て資産に係る為替評価益が減少(前期5億85百万円計上、今期57百万円計上)、受取ロイヤリティーが増加(前期2億41百万円計上、今期3億61百万円計上)した。なお前期の一過性の税率低減要因が終了して税率が上昇したため純利益は減益だった。

 セグメント別の売上高は、医薬品事業が同4.7%増の193億06百万円(国内医薬品が同0.8%減の130億17百万円、海外医薬品が同24.1%増の53億39百万円、医薬品原体が同6.4%減の9億50百万円)だった。LAL事業は同13.4%増の41億30百万円だった。

 国内医薬品は、関節機能改善剤アルツが後発品使用促進の影響で前年同期並み(市場は0.5%増、アルツの医療機関納入本数は0.2%増)にとどまった。眼科手術補助剤オペガンは競争激化で微減、内視鏡用粘膜下注入材ムコアップは前年同期の出荷が高水準だった反動で減収だった。

 海外医薬品は、米国向け関節機能改善剤スパルツFX(15年10月スパルツFXにブランド名変更)が、3回投与の競合品が伸長する中で、販売提携先の拡販努力によって現地販売が前年同期並みを維持し、円安効果で換算売上が増加した。中国向けアルツは政府主導による公定価格制度廃止の影響で現地販売が減少したが、販売提携先が在庫水準を高めたことと円安効果で増収だった。米国向け単回投与関節機能改善剤ジェル・ワンは現地販売が増加し、円安効果も寄与した。

 医薬品原体はヒアルロン酸の市場が低調だった。LAL事業は海外におけるエンドドキシン測定用試薬などの数量増と円安効果で増収だった。

 なお四半期別業績推移を見ると、売上高は第1四半期(4月〜6月)77億62百万円、第2四半期(7月〜9月)81億92百万円、第3四半期(10月〜12月)74億83百万円、営業利益は第1四半期8億83百万円、第2四半期11億67百万円、第3四半期6億93百万円だった。

■16年3月期業績予想に増額余地

 今期(16年3月期)通期の連結業績予想(5月12日公表)は、売上高が前期比3.8%増の306億50百万円、営業利益が同0.7%増の24億円、経常利益が同5.2%減の38億円、純利益が同20.6%減の29億円としている。配当予想は前期と同額の年間26円(第2四半期末13円、期末13円)で、予想配当性向は50.9%となる。

 想定為替レート(期中平均)は1米ドル=118円で、為替感応度(1円変動による影響額)は売上高で約95百万円、営業利益で約35百万円としている。また売上総利益率は同0.7ポイント低下の58.2%、販管費比率は同0.4ポイント低下の50.4%、研究開発費は同3.6%減の78億50百万円の計画としている。

 セグメント別売上高の計画は、医薬品事業が同3.1%増の254億円(国内医薬品が同0.3%増の169億50百万円、海外医薬品が同12.0%増の71億円、医薬品原体が同4.1%減の13億50百万円)、LAL事業が同7.7%増の52億50百万円としている。

 国内は厳しい市場環境が継続するが営業強化で競合品からのシェア獲得を目指し、米国向けジェル・ワンと中国向けアルツの数量増加および円安効果で増収見込みだ。営業利益については、研究開発費が減少するが、高萩工場第5製剤棟稼働に伴う減価償却費の増加、ジェル・ワンなどの販売関連費用の増加で前期並みとしている。純利益については、受取ロイヤリティーが増加するが、為替評価益の減少、税負担の正常化などで減益見込みとしている。

 通期会社予想に対する第3四半期累計の進捗率は売上高が76.5%、営業利益が114.3%、経常利益が105.4%、純利益が104.0%で、利益は通期会社予想を超過達成している。米国における腰椎椎間板ヘルニア治療剤SI−6603を中心とした研究開発費の進捗を踏まえて通期会社予想を据え置いたが、増額余地があるだろう。

■株価は調整一巡して下値切り上げ

 株価の動きを見ると、アルツの適応症追加の開発中止を嫌気し、さらに地合い悪化も影響して2月12日の昨年来安値1166円まで急落したが、その後は下値を切り上げる動きだ。3月23日には1580円まで上伸する場面があった。調整が一巡したようだ。

 3月23日の終値1541円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS51円05銭で算出)は30倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間26円で算出)は1.7%近辺、そして前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS1239円51銭で算出)は1.2倍近辺である。なお時価総額は約903億円である。

 日足チャートで見ると25日移動平均線を突破し、25日移動平均線が上向きに転じた。また週足チャートで見ると、13週移動平均線および26週移動平均線突破の動きを強めている。調整が一巡して戻り歩調の展開だろう。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media−IR)
[2月26日更新]

生化学工業はアルツ適応症追加の開発を中止したが、眼科手術補助剤の承認取得

 生化学工業<4548>(東1)は糖質科学分野に焦点を絞り、関節機能改善剤アルツが主力の医薬品メーカーである。アルツの適応症追加の開発を中止したが、眼科手術補助剤シェルガン0.5眼粘弾剤の製造販売承認を取得した。16年3月期第3四半期累計の利益は通期会社予想を超過達成している。研究開発費の進捗などを踏まえて通期会社予想を据え置いたが増額余地がありそうだ。株価は調整が一巡して反発展開だろう。

■関節機能改善剤アルツなど糖質科学分野が主力の医薬品メーカー

 糖質科学分野が主力の医薬品メーカーで、国内医薬品(関節機能改善剤アルツ、白内障手術補助剤オペガン、内視鏡用粘膜下注入材ムコアップ)、海外医薬品(米国向け関節機能改善剤スパルツ、米国向け単回投与関節機能改善剤ジェル・ワン、中国向けアルツ)、医薬品原体(ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸)、LAL事業(エンドトキシン測定用試薬関連)を展開している。高齢者人口増加を背景に関節機能改善剤の需要拡大が期待される。

 生産面では15年1月にアルツディスポ新製剤設備(高萩工場第5製剤棟)が稼働した。第5製剤棟および第4製剤棟にアルツディスポの生産を集約することで効率化を推進するとともに、アルツディスポの中長期的な安定供給を図る。

 海外は重点地域の米国での事業展開加速に向けて、14年10月の米国駐在員事務所開設に続き、15年5月に北米戦略室を新設した。製品認知度向上策や製品価値向上策で販促を強化し、LAL事業の拡大も推進する。

■新薬開発は糖質科学分野に焦点

 09年3月策定の「生化学工業10年ビジョン」に基づいて、研究開発は糖質科学分野(糖鎖や複合糖質を研究する科学分野)に焦点を絞り、国際競争力を確立する「グローバル・カテゴリー・ファーマ」としての発展を目指している。

 開発中の新薬には、腰椎椎間板ヘルニア治療剤SI−6603(コンドリアーゼ)、変形性膝関節症改善剤SI−613(NSAID結合ヒアルロン酸)、ドライアイ治療剤SI−614(修飾ヒアルロン酸)がある。

 SI−6603は日本で14年1月に製造販売承認申請して審査継続中である。米国・欧州では15年4月に安全性評価を主目的としたオープン試験を開始し、15年7月にフェーズ3試験の症例登録を完了した。SI−613は日本で14年10月フェーズ2試験(反復投与)の治験届を提出し、15年7月症例登録が完了した。SI−614は米国・欧州で15年1月フェーズ2・3試験が終了した。次相試験について検討中である。

 なおアルツの腱・靭帯付着部症の国内適応症追加SI−657(ヒアルロン酸)については2月2日に開発中止を発表した。科研製薬<4521>と共同で開発を進めていたが、日本での第3相臨床試験結果において期待していた有効性を明確に見いだせなかったため中止を決定した。引き続きアルツの製品付加価値向上に取り組むとともに、糖質科学に研究開発の焦点を合わせ、GAG(グリコサミノグリカン)を対象物質として、運動器疾患、眼科領域疾患、免疫・アレルギー疾患などを対象に効率的な新薬開発を進めるとしている。

 2月15日にはジェネリック医薬品である眼科手術補助剤「シェルガン0.5眼粘弾剤」の製造販売承認取得を発表した。当社製品である眼科手術補助剤オペガンと同様に参天製薬<4536>が販売し、16年6月の薬価基準収載後の発売に向けて準備を進める。

■品揃え充実で重点地域の米国におけるプレゼンスを強化

 15年12月には、変形性膝関節症を適応症とする医療機器「VISCO−3」について、米国食品医薬局(FDA)の承認取得を発表した。ヒアルロン酸主成分とする関節機能改善剤で、1治療あたり3回投与の3本キット製品である。14年3月から3回投与の競合製品との非劣性臨床試験を実施して、FDAの承認を新たに取得した。

 なお「SUPARTZ」は、15年3月に再投与の安全性に関する承認をFDAから取得したことに伴う添付文書の改訂に合わせて、15年10月にブランド名を「SUPARTZ FX」に変更した。

 米国では人口の高齢化に伴って関節機能剤の市場拡大が予想されているため、単回投与製品「Gel−One」、5回投与製品「SUPARTZ FX」に加えて、3回投与製品「VISCO−3」を新たに市場投入し、成長戦略における重点地域である米国に置いてプレゼンス強化を図る方針だ。

■薬価改定、為替、研究開発費などが影響する収益構造

 15年3月期の四半期別の推移を見ると、売上高は第1四半期(4月〜6月)75億77百万円、第2四半期(7月〜9月)66億70百万円、第3四半期(10月〜12月)78億28百万円、第4四半期(1月〜3月)74億47百万円、営業利益は第1四半期11億87百万円、第2四半期3億77百万円、第3四半期7億09百万円、第4四半期1億10百万円だった。

 薬価改定、為替の動向、研究開発費の増減、受取ロイヤリティーの増減などが影響する収益構造だ。15年3月期の売上総利益率は58.9%で14年3月期比3.2ポイント低下、販管費比率は50.8%で同5.4ポイント上昇、ROEは5.4%で同2.1ポイント低下、自己資本比率は87.0%で同0.8ポイント低下した。配当性向は40.5%だった。

 利益配分に関しては、1株当たり年間26円を基本として、安定的かつ継続的な配当を目指し、資本効率の向上を目的として自己株式の取得等を適宜検討するとしている。

■16年3月期第3四半期累計は2桁営業増益

 2月2日に発表した今期(16年3月期)第3四半期累計(4月〜12月)の連結業績は、売上高が前年同期比6.2%増の234億37百万円となり、営業利益が同20.6%増の27億43百万円、経常利益が同5.8%増の40億06百万円、純利益が同0.8%減の30億17百万円だった。

 売上面では、国内アルツが前年同期並みにとどまったが、円安効果やジェル・ワンをはじめとする海外医薬品の効果で増収だった。為替レート(期中平均)は1ドル=121円70銭(前期比14円82銭のドル高・円安)で、円安による売上高への影響は約11億円だった。

 利益面では、高萩工場第5製剤棟関連の減価償却費が増加し、海外子会社を含む米国関連経費が円安も影響して増加したが、研究開発費が前年同期並みにとどまったことも寄与して2桁営業増益だった。売上総利益率は58.9%で同0.2ポイント低下、販管費比率は47.2%で同1.6ポイント低下、減価償却費は同30.9%増の23億79百万円、研究開発費は同1.1%減の56億34百万円だった。

 営業外収益では、受取配当金が増加(前期1億86百万円計上、今期2億30百万円計上)、保有外貨建て資産に係る為替評価益が減少(前期5億85百万円計上、今期57百万円計上)、受取ロイヤリティーが増加(前期2億41百万円計上、今期3億61百万円計上)した。なお前期の一過性の税率低減要因が終了して税率が上昇したため純利益は減益だった。

 セグメント別の売上高は、医薬品事業が同4.7%増の193億06百万円(国内医薬品が同0.8%減の130億17百万円、海外医薬品が同24.1%増の53億39百万円、医薬品原体が同6.4%減の9億50百万円)だった。LAL事業は同13.4%増の41億30百万円だった。

 国内医薬品は、関節機能改善剤アルツが後発品使用促進の影響で前年同期並み(市場は0.5%増、アルツの医療機関納入本数は0.2%増)にとどまった。眼科手術補助剤オペガンは競争激化で微減、内視鏡用粘膜下注入材ムコアップは前年同期の出荷が高水準だった反動で減収だった。

 海外医薬品は、米国向け関節機能改善剤スパルツFX(15年10月スパルツFXにブランド名変更)が、3回投与の競合品が伸長する中で、販売提携先の拡販努力によって現地販売が前年同期並みを維持し、円安効果で換算売上が増加した。中国向けアルツは政府主導による公定価格制度廃止の影響で現地販売が減少したが、販売提携先が在庫水準を高めたことと円安効果で増収だった。米国向け単回投与関節機能改善剤ジェル・ワンは現地販売が増加し、円安効果も寄与した。

 医薬品原体はヒアルロン酸の市場が低調だった。LAL事業は海外におけるエンドドキシン測定用試薬などの数量増と円安効果で増収だった。

 なお四半期別業績推移を見ると、売上高は第1四半期(4月〜6月)77億62百万円、第2四半期(7月〜9月)81億92百万円、第3四半期(10月〜12月)74億83百万円、営業利益は第1四半期8億83百万円、第2四半期11億67百万円、第3四半期6億93百万円だった。

■16年3月期業績予想に増額余地

 今期(16年3月期)通期の連結業績予想は前回予想(5月12日公表)を据え置いて、売上高が前期比3.8%増の306億50百万円、営業利益が同0.7%増の24億円、経常利益が同5.2%減の38億円、純利益が同20.6%減の29億円としている。配当予想は前期と同額の年間26円(第2四半期末13円、期末13円)で、予想配当性向は50.9%となる。

 想定為替レート(期中平均)は1米ドル=118円で、為替感応度(1円変動による影響額)は売上高で約95百万円、営業利益で約35百万円としている。また売上総利益率は同0.7ポイント低下の58.2%、販管費比率は同0.4ポイント低下の50.4%、研究開発費は同3.6%減の78億50百万円の計画としている。

 セグメント別売上高の計画は、医薬品事業が同3.1%増の254億円(国内医薬品が同0.3%増の169億50百万円、海外医薬品が同12.0%増の71億円、医薬品原体が同4.1%減の13億50百万円)、LAL事業が同7.7%増の52億50百万円としている。

 国内は厳しい市場環境が継続するが営業強化で競合品からのシェア獲得を目指し、米国向けジェル・ワンと中国向けアルツの数量増加および円安効果で増収見込みだ。営業利益については、研究開発費が減少するが、高萩工場第5製剤棟稼働に伴う減価償却費の増加、ジェル・ワンなどの販売関連費用の増加で前期並みとしている。純利益については、受取ロイヤリティーが増加するが、為替評価益の減少、税負担の正常化などで減益見込みとしている。

 通期会社予想に対する第3四半期累計の進捗率は売上高が76.5%、営業利益が114.3%、経常利益が105.4%、純利益が104.0%で、利益は通期会社予想を超過達成している。米国における腰椎椎間板ヘルニア治療剤SI−6603を中心とした研究開発費の進捗を踏まえて通期会社予想を据え置いたが、増額余地があるだろう。

■株価は調整一巡感

 株価の動きを見ると、アルツの適応症追加の開発中止を嫌気し、さらに地合い悪化も影響して2月12日の1166円まで急落したが、その後は1300円台で推移して調整一巡感を強めている。

 2月25日の終値1342円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS51円05銭で算出)は26〜27倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間26円で算出)は1.9%近辺、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS1239円51銭で算出)は1.1倍近辺である。なお時価総額は約786億円である。

 日足チャートで見ると25日移動平均線に対するマイナス乖離率が10%程度と売られ過ぎ感の強い水準だ。また週足チャートで見ると安値圏から切り返しの動きを強めている。調整が一巡して反発展開だろう。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media−IR)
[01月20日更新]

生化学工業は調整一巡して出直り、16年3月期業績予想に増額余地

 生化学工業<4548>(東1)は糖質科学分野に焦点を絞り、関節機能改善剤アルツが主力の医薬品メーカーである。米国向け単回投与関節機能改善剤ジェル・ワンの好調などで16年3月期業績予想に増額余地がありそうだ。株価は地合い悪化も影響して戻り一服の形だが、調整が一巡して出直り展開だろう。なお2月2日に第3四半期累計(4月〜12月)の業績発表を予定している。

■関節機能改善剤アルツなど糖質科学分野が主力の医薬品メーカー

 糖質科学分野が主力の医薬品メーカーで、国内医薬品(関節機能改善剤アルツ、白内障手術補助剤オペガン、内視鏡用粘膜下注入材ムコアップ)、海外医薬品(米国向け関節機能改善剤スパルツ、米国向け単回投与関節機能改善剤ジェル・ワン、中国向けアルツ)、医薬品原体(ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸)、LAL事業(エンドトキシン測定用試薬関連)を展開している。高齢者人口増加を背景に関節機能改善剤の需要拡大が期待される。

 生産面では15年1月にアルツディスポ新製剤設備(高萩工場第5製剤棟)が稼働した。第5製剤棟および第4製剤棟にアルツディスポの生産を集約することで効率化を推進するとともに、アルツディスポの中長期的な安定供給を図る。

 海外は重点地域の米国での事業展開加速に向けて、14年10月の米国駐在員事務所開設に続き、15年5月に北米戦略室を新設した。製品認知度向上策や製品価値向上策で販促を強化し、LAL事業の拡大も推進する。

■新薬開発は糖質科学分野に焦点

 09年3月策定の「生化学工業10年ビジョン」に基づいて、研究開発は糖質科学分野(糖鎖や複合糖質を研究する科学分野)に焦点を絞り、国際競争力を確立する「グローバル・カテゴリー・ファーマ」としての発展を目指している。

 開発中の新薬には、腰椎椎間板ヘルニア治療剤SI−6603(コンドリアーゼ)、アルツの腱・靭帯付着部症の国内適応症追加SI−657(ヒアルロン酸)、変形性膝関節症改善剤SI−613(NSAID結合ヒアルロン酸)、ドライアイ治療剤SI−614(修飾ヒアルロン酸)がある。

 SI−6603は、日本では14年1月に製造販売承認を申請し、審査継続中である。米国・欧州では15年4月に安全性評価を主目的としたオープン試験を開始し、15年7月にフェーズ3試験の症例登録を完了した。

 SI−657は日本で14年10月にフェーズ3試験を完了し、15年1月に経過観察を終了した。今後の開発方針を検討中である。SI−613は日本で14年10月フェーズ2試験(反復投与)の治験届を提出し、15年7月症例登録が完了した。SI−614は米国・欧州で15年1月フェーズ2・3試験が終了した。次相試験について検討中である。

 なお15年8月には、イスラエルのバイオベンチャーであるキャンファイト・バイオファーマ社と、低分子化合物アデノシンA3レセプターアゴニスト(開発コードSI−615)に関するライセンス契約の終了で合意した。06年9月に日本における炎症性疾患(眼科領域を除く)を適応とした本化合物の開発・製剤製造・販売権等を取得し、日本における第1相臨床試験を実施したが、関節リウマチ治療剤の製品戦略等を総合的に考慮した結果、当社においては開発を中止し、本ライセンス契約を終了するという結論に至った。

■品揃え充実で重点地域の米国におけるプレゼンスを強化

 12月25日には、変形性膝関節症を適応症とする医療機器「VISCO−3」について、米国食品医薬局(FDA)の承認取得を発表した。ヒアルロン酸主成分とする関節機能改善剤で、1治療あたり3回投与の3本キット製品である。14年3月から3回投与の競合製品との非劣性臨床試験を実施して、FDAの承認を新たに取得した。

 なお「SUPARTZ」は、15年3月に再投与の安全性に関する承認をFDAから取得したことに伴う添付文書の改訂に合わせて、15年10月にブランド名を「SUPARTZ FX」に変更した。

 米国では人口の高齢化に伴って関節機能剤の市場拡大が予想されているため、単回投与製品「Gel−One」、5回投与製品「SUPARTZ FX」に加えて、3回投与製品「VISCO−3」を新たに市場投入し、成長戦略における重点地域である米国に置いてプレゼンス強化を図る方針だ。

■薬価改定、為替、研究開発費などが影響する収益構造

 15年3月期の四半期別の推移を見ると、売上高は第1四半期(4月〜6月)75億77百万円、第2四半期(7月〜9月)66億70百万円、第3四半期(10月〜12月)78億28百万円、第4四半期(1月〜3月)74億47百万円、営業利益は第1四半期11億87百万円、第2四半期3億77百万円、第3四半期7億09百万円、第4四半期1億10百万円だった。

 薬価改定、為替の動向、研究開発費の増減、受取ロイヤリティーの増減などが影響する収益構造だ。15年3月期の配当性向は40.5%だった。ROEは5.4%で14年3月期比2.1ポイント低下、自己資本比率は87.0%で同0.8ポイント低下した。

 利益配分に関しては、1株当たり年間26円を基本として、安定的かつ継続的な配当を目指し、資本効率の向上を目的として自己株式の取得等を適宜検討するとしている。

■16年3月期第2四半期累計は計画超の増収増益

 今期(16年3月期)第2四半期累計(4月〜9月)の連結業績は、売上高が前年同期比12.0%増の159億54百万円、営業利益が同31.1%増の20億50百万円、経常利益が同22.1%増の25億75百万円、純利益が同15.0%増の19億41百万円だった。期初計画を上回る増収増益だった。

 売上面では、国内医薬品がアルツを中心に計画を下回ったが前年同期比増収を確保し、海外医薬品が円安効果や米国向けジェル・ワンの数量増加で計画を上回る大幅増収だった。為替レート(期中平均)は1ドル=121円80銭(前期比18円75銭のドル高・円安)で、円安による売上高への影響は約9億10百万円だった。

 利益面では、高萩工場第5製剤棟の減価償却費が増加し、米国SI−6603などの各開発テーマ進展で研究開発費が計画以上に増加したが、その他の販管費が減少して期初計画を上回る営業増益だった。売上総利益率は59.0%で同0.3ポイント上昇、販管費比率は46.1%で同1.6ポイント低下、研究開発費は同10.3%増の37億49百万円だった。

 営業外収益では、保有外貨建て資産の為替評価益が減少(前期は1億55百万円計上、今期は80百万円計上)したが計画を上回った。純利益は、老朽化した高萩工場第2製剤棟休止に伴う減損損失計上や、前期の一過性の税率低減要因の一巡が影響した。

 セグメント別の売上高は、医薬品事業が同12.2%増の132億01百万円(国内医薬品が同0.5%増の87億09百万円、海外医薬品が同56.4%増の38億30百万円、医薬品原体が同1.4%増の6億61百万円)だった。LAL事業は同10.9%増の27億53百万円だった。

 国内医薬品では、関節機能改善剤アルツは後発品使用促進の影響で前年同期並み、眼科手術補助剤オペガンは競争激化で微減、内視鏡用粘膜下注入材ムコアップは前年同期の出荷が高水準だった反動で減収だった。

 海外医薬品は、米国向け関節機能改善剤スパルツの現地販売が前期並みだったが、ブランド名変更(15年10月からスパルツFXに変更)に伴う新包装品の先行出荷や円安効果で増収だった。中国向けアルツは現地販売が横ばいだが、販社の在庫調整や円安効果で増収だった。米国向け単回投与関節機能改善剤ジェル・ワンは現地販売が増加した。

 医薬品原体は、ヒアルロン酸の減少をコンドロイチン硫酸の増加でカバーした。LAL事業は海外におけるエンドドキシン測定用試薬などの数量増と円安効果で増収だった。

 四半期別推移を見ると、売上高は第1四半期(4月〜6月)77億62百万円、第2四半期(7月〜9月)81億92百万円、営業利益は第1四半期8億83百万円、第2四半期11億67百万円だった。

■16年3月期業績予想に増額余地

 今期(16年3月期)通期の連結業績予想(5月12日公表)は、売上高が前期比3.8%増の306億50百万円、営業利益が同0.7%増の24億円、経常利益が同5.2%減の38億円、純利益が同20.6%減の29億円としている。配当予想は前期と同額の年間26円(第2四半期末13円、期末13円)で、予想配当性向は50.9%となる。

 想定為替レート(期中平均)は1米ドル=118円で、為替感応度(1円変動による影響額)は売上高で約95百万円、営業利益で約35百万円としている。また売上総利益率は同0.7ポイント低下の58.2%、販管費比率は同0.4ポイント低下の50.4%、研究開発費は同3.6%減の78億50百万円の計画としている。

 セグメント別売上高の計画は、医薬品事業が同3.1%増の254億円(国内医薬品が同0.3%増の169億50百万円、海外医薬品が同12.0%増の71億円、医薬品原体が同4.1%減の13億50百万円)、LAL事業が同7.7%増の52億50百万円としている。

 国内は厳しい市場環境が継続するが営業強化で競合品からのシェア獲得を目指し、米国向けジェル・ワンと中国向けアルツの数量増加および円安効果で増収見込みだ。営業利益については、研究開発費が減少するが、高萩工場第5製剤棟稼働に伴う減価償却費の増加、ジェル・ワンなどの販売関連費用の増加で前期並みとしている。純利益については、受取ロイヤリティーが増加するが、為替評価益の減少、税負担の正常化などで減益見込みとしている。

 通期会社予想に対する第2四半期累計の進捗率は売上高が52.1%、営業利益が85.4%、経常利益が67.8%、純利益が66.9%と高水準である。16年3月期営業利益横ばいで最終減益の会社予想だが、増額余地があるだろう。

■株価は地合い悪化も影響して戻り一服だが調整一巡感

 株価の動きを見ると、12月下旬〜1月上旬の戻り高値圏1800円台から反落した。地合い悪化も影響して戻り一服の形だ。ただし大きく下押すことなく、1600円近辺から切り返しの動きを強めている。調整が一巡したようだ。

 1月19日の終値1689円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS51円05銭で算出)は33倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間26円で算出)は1.5%近辺、そして前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS1239円51銭で算出)は1.4倍近辺である。時価総額は約989億円である。

 週足チャートで見ると13週移動平均線近辺から切り返す動きだ。サポートラインを確認したようだ。16年3月期業績予想の増額余地を評価して戻り歩調に変化はなく、調整が一巡して出直り展開だろう。
[12月22日更新]

生化学工業は戻り一服だがモミ合い煮詰まり感、16年3月期業績予想に増額余地

 生化学工業<4548>(東1)は糖質科学分野に焦点を絞り、関節機能改善剤アルツが主力の医薬品メーカーである。米国向け単回投与関節機能改善剤ジェル・ワンの好調などで16年3月期業績予想に増額余地がありそうだ。株価は戻り一服でモミ合う展開だが、煮詰まり感を強めて上放れが期待される。

■関節機能改善剤アルツなど糖質科学分野が主力の医薬品メーカー

 糖質科学分野が主力の医薬品メーカーである。国内医薬品(関節機能改善剤アルツ、白内障手術補助剤オペガン、内視鏡用粘膜下注入材ムコアップ)、海外医薬品(米国向け関節機能改善剤スパルツ、米国向け単回投与関節機能改善剤ジェル・ワン、中国向けアルツ)、医薬品原体(ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸)、LAL事業(エンドトキシン測定用試薬関連)を展開している。高齢者人口増加を背景に関節機能改善剤の需要拡大が期待される。

 生産面では15年1月にアルツディスポ新製剤設備(高萩工場第5製剤棟)が稼働した。第5製剤棟および第4製剤棟にアルツディスポの生産を集約することで効率化を推進するとともに、アルツディスポの中長期的な安定供給を図る。

 海外は重点地域の米国での事業展開加速に向けて、14年10月の米国駐在員事務所開設に続き、15年5月に北米戦略室を新設した。製品認知度向上策や製品価値向上策で販促を強化し、LAL事業の拡大も推進する。

■新薬開発は糖質科学分野に焦点

 09年3月策定の「生化学工業10年ビジョン」に基づいて、研究開発は糖質科学分野(糖鎖や複合糖質を研究する科学分野)に焦点を絞り、国際競争力を確立する「グローバル・カテゴリー・ファーマ」としての発展を目指している。

 開発中の新薬には、腰椎椎間板ヘルニア治療剤SI−6603(コンドリアーゼ)、アルツの腱・靭帯付着部症の国内適応症追加SI−657(ヒアルロン酸)、変形性膝関節症改善剤SI−613(NSAID結合ヒアルロン酸)、ドライアイ治療剤SI−614(修飾ヒアルロン酸)がある。

 SI−6603は、日本では14年1月に製造販売承認を申請し、審査継続中である。米国・欧州では15年4月に安全性評価を主目的としたオープン試験を開始し、15年7月にフェーズ3試験の症例登録を完了した。

 SI−657は日本で14年10月にフェーズ3試験を完了し、15年1月に経過観察を終了した。今後の開発方針を検討中である。SI−613は日本で14年10月フェーズ2試験(反復投与)の治験届を提出し、15年7月症例登録が完了した。SI−614は米国・欧州で15年1月フェーズ2・3試験が終了した。次相試験について検討中である。

 なお15年8月には、イスラエルのバイオベンチャーであるキャンファイト・バイオファーマ社と、低分子化合物アデノシンA3レセプターアゴニスト(開発コードSI−615)に関するライセンス契約の終了で合意した。06年9月に日本における炎症性疾患(眼科領域を除く)を適応とした本化合物の開発・製剤製造・販売権等を取得し、日本における第1相臨床試験を実施したが、関節リウマチ治療剤の製品戦略等を総合的に考慮した結果、当社においては開発を中止し、本ライセンス契約を終了するという結論に至った。

■薬価改定、為替、研究開発費などが影響する収益構造

 15年3月期の四半期別推移を見ると、売上高は第1四半期(4月〜6月)75億77百万円、第2四半期(7月〜9月)66億70百万円、第3四半期(10月〜12月)78億28百万円、第4四半期(1月〜3月)74億47百万円で、営業利益は第1四半期11億87百万円、第2四半期3億77百万円、第3四半期7億09百万円、第4四半期1億10百万円だった。

 薬価改定、為替の動向、研究開発費の増減、受取ロイヤリティーの増減などが影響する収益構造だ。15年3月期の配当性向は40.5%だった。ROEは14年3月期比2.1ポイント低下して5.4%、自己資本比率は同0.8ポイント低下して87.0%となった。

 利益配分に関しては、1株当たり年間26円を基本として安定的かつ継続的な配当を目指し、資本効率の向上を目的として自己株式の取得等を適宜検討するとしている。

■16年3月期第2四半期累計は計画超の増収増益

 今期(16年3月期)第2四半期累計(4月〜9月)の連結業績は、売上高が前年同期比12.0%増の159億54百万円、営業利益が同31.1%増の20億50百万円、経常利益が同22.1%増の25億75百万円、純利益が同15.0%増の19億41百万円だった。期初計画を上回る増収増益だった。

 売上面では、国内医薬品がアルツを中心に計画をやや下回ったが前年同期比で増収を確保し、海外医薬品が円安効果や米国向けジェル・ワンの数量増加で計画を上回る大幅増収だった。なお為替レート(期中平均)は1ドル=121円80銭(前期比18円75銭のドル高・円安)で、円安による売上高への影響は約9億10百万円だった。

 利益面では、高萩工場第5製剤棟の減価償却費が増加し、米国SI−6603などの各開発テーマ進展で研究開発費が計画以上に増加したが、その他の販管費が減少して期初計画を上回る営業増益だった。売上総利益率は59.0%で同0.3ポイント上昇、販管費比率は46.1%で同1.6ポイント低下、研究開発費は同10.3%増の37億49百万円だった。

 営業外収益では、保有外貨建て資産の為替評価益が減少(前期は1億55百万円計上、今期は80百万円計上)したが計画を上回った。純利益は、老朽化した高萩工場第2製剤棟休止に伴う減損損失計上や、前期の一過性の税率低減要因の一巡が影響した。

 セグメント別売上高は、医薬品事業が同12.2%増の132億01百万円(国内医薬品が同0.5%増の87億09百万円、海外医薬品が同56.4%増の38億30百万円、医薬品原体が同1.4%増の6億61百万円)で、LAL事業が同10.9%増の27億53百万円だった。

 国内医薬品では、関節機能改善剤アルツは後発品使用促進の影響で前年同期並み、眼科手術補助剤オペガンは競争激化で微減、内視鏡用粘膜下注入材ムコアップは前年同期の出荷が高水準だった反動で減収だった。

 海外医薬品では、米国向け関節機能改善剤スパルツは現地販売が前期並みだったが、ブランド名変更(15年10月からスパルツFXに変更)に伴う新包装品の先行出荷や円安効果で増収だった。中国向けアルツは現地販売が横ばいだが、販社の在庫調整や円安効果で増収だった。米国向け単回投与関節機能改善剤ジェル・ワンは現地販売が増加した。

 医薬品原体は、ヒアルロン酸の減少をコンドロイチン硫酸の増加でカバーした。LAL事業は海外におけるエンドドキシン測定用試薬などの数量増と円安効果で増収だった。

 四半期別の推移を見ると、売上高は第1四半期(4月〜6月)77億62百万円、第2四半期(7月〜9月)81億92百万円、営業利益は第1四半期8億83百万円、第2四半期11億67百万円だった。

■16年3月期業績予想に増額余地

 今期(16年3月期)通期の連結業績予想(5月12日公表)は売上高が前期比3.8%増の306億50百万円、営業利益が同0.7%増の24億円、経常利益が同5.2%減の38億円、純利益が同20.6%減の29億円としている。配当予想は前期と同額の年間26円(第2四半期末13円、期末13円)で予想配当性向は50.9%となる。

 想定為替レート(期中平均)は1米ドル=118円で、為替感応度(1円変動による影響額)は売上高で約95百万円、営業利益で約35百万円としている。また売上総利益率は同0.7ポイント低下の58.2%、販管費比率は同0.4ポイント低下の50.4%、研究開発費は同3.6%減の78億50百万円の計画としている。

 セグメント別売上高の計画は、医薬品事業が同3.1%増の254億円(国内医薬品が同0.3%増の169億50百万円、海外医薬品が同12.0%増の71億円、医薬品原体が同4.1%減の13億50百万円)、LAL事業が同7.7%増の52億50百万円としている。

 国内は厳しい市場環境が継続するが営業強化で競合品からのシェア獲得を目指し、米国向けジェル・ワンと中国向けアルツの数量増加および円安効果で増収見込みだ。営業利益については、研究開発費が減少するが、高萩工場第5製剤棟稼働に伴う減価償却費の増加、ジェル・ワンなどの販売関連費用の増加で前期並みとしている。純利益については、受取ロイヤリティーが増加するが、為替評価益の減少、税負担の正常化などで減益見込みとしている。

 通期会社予想に対する第2四半期累計の進捗率は売上高が52.1%、営業利益が85.4%、経常利益が67.8%、純利益が66.9%と高水準である。16年3月期営業利益横ばいで最終減益の会社予想だが、増額余地があるだろう。

■株価は戻り一服だが煮詰まり感

 株価の動きを見ると、9月の年初来安値1403円から切り返したが、11月以降は戻り一服となって1600円〜1800円近辺でモミ合う展開だ。ただしモミ合い煮詰まり感を強めている。

 12月21日の終値1689円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS51円05銭で算出)は33倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間26円で算出)は1.5%近辺、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS1239円51銭で算出)は1.4倍近辺である。時価総額は約989億円である。

 週足チャートで見ると26週移動平均線が戻りを押さえる形だが、一方では上向きに転じた13週移動平均線が下値を支えている。16年3月期業績予想の増額余地を評価して戻り歩調に変化はなく、煮詰まり感を強めてモミ合い上放れの展開が期待される。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media−IR)
[12月01日更新]

生化学工業の16年3月期第2四半期累計は計画超の大幅増益、通期も増額余地

 生化学工業<4548>(東1)は関節機能改善剤アルツが主力の医薬品メーカーである。16年3月期第2四半期累計は円安効果も寄与して計画超の大幅増益だった。株価は調整が一巡して戻り歩調の展開である。16年3月期業績予想の増額余地を評価して出直りの動きが本格化しそうだ。

■関節機能改善剤アルツなど糖質科学分野が主力の医薬品メーカー

 糖質科学分野が主力の医薬品メーカーである。国内医薬品(関節機能改善剤アルツ、白内障手術補助剤オペガン、内視鏡用粘膜下注入材ムコアップ)、海外医薬品(米国向け関節機能改善剤スパルツ、米国向け単回投与関節機能改善剤ジェル・ワン、中国向けアルツ)、医薬品原体(ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸)、LAL事業(エンドトキシン測定用試薬関連)を展開している。高齢者人口増加を背景に関節機能改善剤の需要拡大が期待される。

 生産面では15年1月にアルツディスポ新製剤設備(高萩工場第5製剤棟)が稼働した。第5製剤棟および第4製剤棟にアルツディスポの生産を集約することで効率化を推進するとともに、アルツディスポの中長期的な安定供給を図る。

 海外は重点地域の米国での事業展開加速に向けて、14年10月の米国駐在員事務所開設に続き、15年5月に北米戦略室を新設した。製品認知度向上策や製品価値向上策で販促を強化し、LAL事業の拡大も推進する。

■新薬開発は糖質科学分野に焦点

 09年3月策定の「生化学工業10年ビジョン」に基づいて研究開発は糖質科学分野(糖鎖や複合糖質を研究する科学分野)に焦点を絞っている。

 開発中の新薬には、腰椎椎間板ヘルニア治療剤SI−6603(コンドリアーゼ)、アルツの腱・靭帯付着部症の国内適応症追加SI−657(ヒアルロン酸)、変形性膝関節症改善剤SI−613(NSAID結合ヒアルロン酸)、ドライアイ治療剤SI−614(修飾ヒアルロン酸)がある。

 SI−6603は、日本では14年1月に製造販売承認を申請し、審査継続中である。米国・欧州では15年4月に安全性評価を主目的としたオープン試験を開始し、15年7月にフェーズ3試験の症例登録を完了した。

 SI−657は日本で14年10月にフェーズ3試験を完了し、15年1月に経過観察を終了した。今後の開発方針を検討中である。SI−613は日本で14年10月フェーズ2試験(反復投与)の治験届を提出し、15年7月症例登録が完了した。SI−614は米国・欧州で15年1月フェーズ2・3試験が終了した。次相試験について検討中である。

 なお15年8月には、イスラエルのバイオベンチャーであるキャンファイト・バイオファーマ社と、低分子化合物アデノシンA3レセプターアゴニスト(開発コードSI−615)に関するライセンス契約の終了で合意した。

 06年9月に日本における炎症性疾患(眼科領域を除く)を適応とした本化合物の開発・製剤製造・販売権等を取得し、日本における第1相臨床試験を実施したが、関節リウマチ治療剤の製品戦略等を総合的に考慮した結果、当社においては開発を中止し、本ライセンス契約を終了するという結論に至った。

■薬価改定、為替、研究開発費などが影響する収益構造

 15年3月期の四半期別推移を見ると、売上高は第1四半期(4月〜6月)75億77百万円、第2四半期(7月〜9月)66億70百万円、第3四半期(10月〜12月)78億28百万円、第4四半期(1月〜3月)74億47百万円で、営業利益は第1四半期11億87百万円、第2四半期3億77百万円、第3四半期7億09百万円、第4四半期1億10百万円だった。

 薬価改定、為替の動向、研究開発費の増減、受取ロイヤリティーの増減などが影響する収益構造だ。15年3月期の配当性向は40.5%だった。ROEは14年3月期比2.1ポイント低下して5.4%、自己資本比率は同0.8ポイント低下して87.0%となった。

 利益配分に関しては、1株当たり年間26円を基本として安定的かつ継続的な配当を目指し、資本効率の向上を目的として自己株式の取得等を適宜検討するとしている。

■16年3月期第2四半期累計は計画超の増収増益

 11月6日に発表した今期(16年3月期)第2四半期累計(4月〜9月)の連結業績は、売上高が前年同期比12.0%増の159億54百万円、営業利益が同31.1%増の20億50百万円、経常利益が同22.1%増の25億75百万円、純利益が同15.0%増の19億41百万円だった。期初計画を上回る増収増益だった。

 売上面では、国内医薬品がアルツを中心に計画をやや下回ったが前年同期比で増収を確保し、海外医薬品が円安効果や米国向けジェル・ワンの数量増加で計画を上回る大幅増収だった。なお為替レート(期中平均)は1ドル=121円80銭(前期比18円75銭のドル高・円安)で、円安による売上高への影響は約9億10百万円だった。

 利益面では、高萩工場第5製剤棟の減価償却費が増加し、米国SI−6603などの各開発テーマ進展で研究開発費が計画以上に増加したが、その他の販管費が減少して期初計画を上回る営業増益だった。売上総利益率は59.0%で同0.3ポイント上昇、販管費比率は46.1%で同1.6ポイント低下、研究開発費は同10.3%増の37億49百万円だった。

 営業外収益では、保有外貨建て資産の為替評価益が減少(前期は1億55百万円計上、今期は80百万円計上)したが計画を上回った。純利益は、老朽化した高萩工場第2製剤棟休止に伴う減損損失計上や、前期の一過性の税率低減要因の一巡が影響した。

 セグメント別売上高は、医薬品事業が同12.2%増の132億01百万円(国内医薬品が同0.5%増の87億09百万円、海外医薬品が同56.4%増の38億30百万円、医薬品原体が同1.4%増の6億61百万円)で、LAL事業が同10.9%増の27億53百万円だった。

 国内医薬品では、関節機能改善剤アルツは後発品使用促進の影響で前年同期並み、眼科手術補助剤オペガンは競争激化で微減、内視鏡用粘膜下注入材ムコアップは前年同期の出荷が高水準だった反動で減収だった。

 海外医薬品では、米国向け関節機能改善剤スパルツは現地販売が前期並みだったが、ブランド名変更(15年10月からスパルツFXに変更)に伴う新包装品の先行出荷や円安効果で増収だった。中国向けアルツは現地販売が横ばいだが、販社の在庫調整や円安効果で増収だった。米国向け単回投与関節機能改善剤ジェル・ワンは現地販売が増加した。

 医薬品原体は、ヒアルロン酸の減少をコンドロイチン硫酸の増加でカバーした。LAL事業は海外におけるエンドドキシン測定用試薬などの数量増と円安効果で増収だった。

 四半期別の推移を見ると、売上高は第1四半期(4月〜6月)77億62百万円、第2四半期(7月〜9月)81億92百万円、営業利益は第1四半期8億83百万円、第2四半期11億67百万円だった。

■16年3月期業績予想に増額余地

 通期の連結業績予想は前回予想(5月12日公表)を据え置いて売上高が前期比3.8%増の306億50百万円、営業利益が同0.7%増の24億円、経常利益が同5.2%減の38億円、純利益が同20.6%減の29億円としている。配当予想は前期と同額の年間26円(第2四半期末13円、期末13円)で予想配当性向は50.9%となる。

 想定為替レート(期中平均)は1米ドル=118円で、為替感応度(1円変動による影響額)は売上高で約95百万円、営業利益で約35百万円としている。また売上総利益率は同0.7ポイント低下の58.2%、販管費比率は同0.4ポイント低下の50.4%、研究開発費は同3.6%減の78億50百万円の計画としている。

 セグメント別売上高の計画は、医薬品事業が同3.1%増の254億円(国内医薬品が同0.3%増の169億50百万円、海外医薬品が同12.0%増の71億円、医薬品原体が同4.1%減の13億50百万円)、LAL事業が同7.7%増の52億50百万円としている。

 国内は厳しい市場環境が継続するが営業強化で競合品からのシェア獲得を目指し、米国向けジェル・ワンと中国向けアルツの数量増加および円安効果で増収見込みだ。営業利益については、研究開発費が減少するが、高萩工場第5製剤棟稼働に伴う減価償却費の増加、ジェル・ワンなどの販売関連費用の増加で前期並みとしている。純利益については、受取ロイヤリティーが増加するが、為替評価益の減少、税負担の正常化などで減益見込みとしている。

 通期会社予想に対する第2四半期累計の進捗率は売上高が52.1%、営業利益が85.4%、経常利益が67.8%、純利益が66.9%と高水準である。16年3月期営業利益横ばいで最終減益の会社予想だが、増額余地があるだろう。

■株価は調整一巡して戻り歩調

 株価の動きを見ると、9月29日の年初来安値1403円から切り返して、11月16日には1798円まで上伸する場面があった。調整が一巡して戻り歩調の展開だ。

 11月27日の終値1685円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS51円05銭で算出)は33倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間26円で算出)は1.6%近辺、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS1239円51銭で算出)は1.4倍近辺である。時価総額は約987億円である。

 日足チャートで見ると25日移動平均線がサポートラインの形となった。また週足チャートで見ると13週移動平均線を突破し、続いて26週移動平均線突破の動きも強めている。強基調に転換したようだ。16年3月期業績予想の増額余地を評価して出直りの動きが本格化しそうだ。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media−IR)
[09月28日更新]

生化学工業は年初来安値更新したが売られ過ぎ感

 生化学工業[4548](東1)は関節機能改善剤アルツが主力の医薬品メーカーである。株価は悪地合いも影響して9月25日に年初来安値1417円まで調整する場面があったが売られ過ぎ感を強めている。16年3月期営業利益横ばい、最終減益予想は織り込み済みであり、反発のタイミングだろう。

■関節機能改善剤アルツなど糖質科学分野が主力の医薬品メーカー

 国内医薬品(関節機能改善剤アルツ、白内障手術補助剤オペガン、内視鏡用粘膜下注入材ムコアップ)、海外医薬品(米国向け関節機能改善剤スパルツ、米国向け単回投与関節機能改善剤ジェル・ワン、中国向けアルツ)、医薬品原体(ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸)、およびLAL事業(エンドトキシン測定用試薬関連)を展開している。高齢者人口増加を背景に関節機能改善剤の需要拡大が期待される。

 生産面では15年1月にアルツディスポ新製剤設備(高萩工場第5製剤棟)が稼働した。第5製剤棟および第4製剤棟にアルツディスポの生産を集約することで効率化を推進するとともに、アルツディスポの中長期的な安定供給を図る。

 海外は重点地域の米国での事業展開加速に向けて、14年10月の米国駐在員事務所開設に続き、15年5月に北米戦略室を新設した。製品認知度向上策や製品価値向上策で販促を強化し、LAL事業の拡大も推進する。

■新薬開発は糖質科学分野に焦点

 09年3月策定の「生化学工業10年ビジョン」に基づいて研究開発は糖質科学分野(糖鎖や複合糖質を研究する科学分野)に焦点を絞っている。

 開発中の新薬には、腰椎椎間板ヘルニア治療剤SI−6603(コンドリアーゼ)、アルツの腱・靭帯付着部症の国内適応症追加SI−657(ヒアルロン酸)、変形性膝関節症改善剤SI−613(NSAID結合ヒアルロン酸)、ドライアイ治療剤SI−614(修飾ヒアルロン酸)などがある。

 SI−6603は14年1月に国内で製造販売承認申請し、米国では第3相臨床試験を実施中である。SI−657の国内第3相臨床試験は14年10月に完了した。SI−613は国内第2相臨床試験を実施中である。そしてSI−614は14年5月に米国で第2・3相臨床試験を開始した。

 なお8月28日に、イスラエルのバイオベンチャーであるキャンファイト・バイオファーマ社と、低分子化合物アデノシンA3レセプターアゴニスト(開発コードSI−615)に関するライセンス契約の終了合意を発表した。

 06年9月に日本における炎症性疾患(眼科領域を除く)を適応とした本化合物の開発・製剤製造・販売権等を取得し、日本における第1相臨床試験を実施したが、関節リウマチ治療剤の製品戦略等を総合的に考慮した結果、当社においては開発を中止し、本ライセンス契約を終了するという結論に至った。

■16年3月期は営業利益横ばいで最終減益予想だが増額期待

 15年3月期の四半期別推移を見ると、売上高は第1四半期(4月〜6月)75億77百万円、第2四半期(7月〜9月)66億70百万円、第3四半期(10月〜12月)78億28百万円、第4四半期(1月〜3月)74億47百万円で、営業利益は第1四半期11億87百万円、第2四半期3億77百万円、第3四半期7億09百万円、第4四半期1億10百万円だった。

 また15年3月期の配当性向は40.5%だった。ROEは14年3月期比2.1ポイント低下して5.4%、自己資本比率は同0.8ポイント低下して87.0%となった。利益配分に関しては、1株当たり年間26円を基本として安定的かつ継続的な配当を目指し、資本効率の向上を目的として自己株式の取得等を適宜検討するとしている。

 今期(16年3月期)の連結業績予想(5月12日公表)は売上高が前期比3.8%増の306億50百万円、営業利益が同0.7%増の24億円、経常利益が同5.2%減の38億円、純利益が同20.6%減の29億円としている。配当予想は前期と同額の年間26円(第2四半期末13円、期末13円)で予想配当性向は50.9%となる。

 想定為替レートは1米ドル=118円で、為替感応度(1円変動による影響額)は売上高で約95百万円、営業利益で約35百万円としている。研究開発費は同3.6%減の78億50百万円の計画だ。

 セグメント別売上高の計画は、医薬品事業が同3.1%増の254億円(国内医薬品が同0.3%増の169億50百万円、海外医薬品が同12.0%増の71億円、医薬品原体が同4.1%減の13億50百万円)、LAL事業が同7.7%増の52億50百万円としている。

 国内は厳しい市場環境が継続して前期並みだが、米国向けジェル・ワンと中国向けアルツの販売数量増加、および円安効果などで増収見込みだ。営業利益については、研究開発費が減少するが、新生産設備稼働に伴う減価償却費の増加、ジェル・ワンなどの販売関連費用の増加で前期並みとしている。純利益については、受取ロイヤリティーが増加するが、為替評価益の減少、税負担の正常化などで減益見込みとしている。

 第1四半期(4月〜6月)は売上高が前年同期比2.4%増の77億62百万円、営業利益が同25.5%減の8億83百万円、経常利益が同11.1%減の13億77百万円、純利益が同17.5%減の10億32百万円だった。

 売上面では、国内アルツが前年同期に出荷前倒しがあった反動で減収だったが、円安効果や米国向けジェル・ワンの数量増加でカバーして増収だった。円安効果は約4億円だった。

 利益面では、高萩工場第5製剤棟減価償却費の増加、米国SI−6603などの開発テーマ進展に伴う研究開発費の増加で営業減益だった。経常利益は営業外での円安に伴う保有外貨建て資産の為替評価益が寄与した。純利益は前期にあった一過性の税率低減要因(米国子会社有償減資)の終了も影響した。

 セグメント別売上高は、医薬品事業が同1.1%増の63億17百万円(国内医薬品が同3.8%減の43億88百万円、海外医薬品が同23.0%増の16億07百万円、医薬品原体が同15.2%減の3億21百万円)で、LAL事業が同8.6%増の14億45百万円だった。

 通期会社予想に対する第1四半期の進捗率は売上高が25.3%、営業利益が36.8%、経常利益が36.3%、純利益が35.6%である。各利益は期初時点で上期偏重の計画だが概ね順調のようだ。16年3月期営業利益横ばいで最終減益の会社予想だが、通期ベースでの増額期待が高まる。

■株価は売られ過ぎ感強めて反発のタイミング

 株価の動きを見ると、2000円近辺でのモミ合いから下放れ、悪地合いも影響して軟調展開だ。9月25日には年初来安値となる1417円まで調整する場面があった。ただし売られ過ぎ感を強めている。

 9月25日の終値1458円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS51円05銭で算出)は28〜29倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間26円で算出)は1.8%近辺、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS1239円51銭で算出)は1.2倍近辺である。なお時価総額は約854億円である。

 週足チャートで見るとモミ合いから下放れて調整局面だが、日足チャートで見ると25日移動平均線に対するマイナス乖離率が10%程度に拡大して売られ過ぎ感の強い水準だ。16年3月期営業利益横ばい、最終減益予想は織り込み済みであり、反発のタイミングだろう。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media−IR)
[8月26日更新]

生化学工業は地合い悪化で急落したが、売り一巡感

 生化学工業[4548](東1)は関節機能改善剤アルツが主力の医薬品メーカーである。株価は地合い悪化の影響で急落し、25日には年初来安値となる1480円まで急落する場面があった。ただし1680円まで戻す場面もあり、売り一巡感を強めている。切り返し展開だろう。

■関節機能改善剤アルツなど糖質科学分野が主力の医薬品メーカー

 国内医薬品(関節機能改善剤アルツ、白内障手術補助剤オペガン、内視鏡用粘膜下注入材ムコアップ)、海外医薬品(米国向け関節機能改善剤スパルツ、米国向け単回投与関節機能改善剤ジェル・ワン、中国向けアルツ)、医薬品原体(ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸)、およびLAL事業(エンドトキシン測定用試薬関連)を展開している。高齢者人口増加を背景に関節機能改善剤の需要拡大が期待される。

 09年3月策定の「生化学工業10年ビジョン」に基づいて研究開発は糖質科学分野(糖鎖や複合糖質を研究する科学分野)に焦点を絞っている。

 開発中の新薬には、腰椎椎間板ヘルニア治療剤SI−6603(コンドリアーゼ)、アルツの腱・靭帯付着部症の国内適応症追加SI−657(ヒアルロン酸)、変形性膝関節症改善剤SI−613(NSAID結合ヒアルロン酸)、ドライアイ治療剤SI−614(修飾ヒアルロン酸)、関節リウマチ治療剤SI−615(アデノシンA3レセプターアゴニスト)(導入品)などがある。

 SI−6603は14年1月に国内で製造販売承認申請し、米国では第V相臨床試験を実施中である。SI−657の国内第V相臨床試験は14年10月に完了した。SI−613は国内第U相臨床試験を実施中である。SI−614は14年5月に米国で第U・V相臨床試験を開始した。SI−615は国内第T相臨床試験を実施中である。

 生産面では15年1月にアルツディスポ新製剤設備(高萩工場第5製剤棟)が稼働した。第5製剤棟および第4製剤棟にアルツディスポの生産を集約することで効率化を推進するとともに、アルツディスポの中長期的な安定供給を図る。

 海外は重点地域の米国での事業展開加速に向けて、14年10月の米国駐在員事務所開設に続き、15年5月に北米戦略室を新設した。製品認知度向上策や製品価値向上策で販促を強化し、LAL事業の拡大も推進する。

■16年3月期は最終減益予想、第1四半期の進捗率は順調

 15年3月期の四半期別推移を見ると、売上高は第1四半期(4月〜6月)75億77百万円、第2四半期(7月〜9月)66億70百万円、第3四半期(10月〜12月)78億28百万円、第4四半期(1月〜3月)74億47百万円で、営業利益は第1四半期11億87百万円、第2四半期3億77百万円、第3四半期7億09百万円、第4四半期1億10百万円だった。

 また15年3月期の配当性向は40.5%だった。ROEは14年3月期比2.1ポイント低下して5.4%、自己資本比率は同0.8ポイント低下して87.0%となった。利益配分に関しては、1株当たり年間26円を基本として安定的かつ継続的な配当を目指し、資本効率の向上を目的として自己株式の取得等を適宜検討するとしている。

 7月31日に発表した今期(16年3月期)第1四半期(4月〜6月)の連結業績は、売上高が前年同期比2.4%増の77億62百万円、営業利益が同25.5%減の8億83百万円、経常利益が同11.1%減の13億77百万円、純利益が同17.5%減の10億32百万円だった。

 売上面では、国内アルツが前年同期に出荷前倒しがあった反動で減収だったが、円安効果や米国向けジェル・ワンの数量増加でカバーして増収だった。円安効果は約4億円だった。

 利益面では、高萩工場第5製剤棟減価償却費の増加、米国SI−6603などの開発テーマ進展に伴う研究開発費の増加で営業減益だった。経常利益は営業外での円安に伴う保有外貨建て資産の為替評価益が寄与した。純利益は前期にあった一過性の税率低減要因(米国子会社有償減資)の終了も影響した。

 セグメント別売上高は、医薬品事業が同1.1%増の63億17百万円(国内医薬品が同3.8%減の43億88百万円、海外医薬品が同23.0%増の16億07百万円、医薬品原体が同15.2%減の3億21百万円)で、LAL事業が同8.6%増の14億45百万円だった。

 通期の連結業績予想は前回予想(5月12日公表)を据え置いて売上高が前期比3.8%増の306億50百万円、営業利益が同0.7%増の24億円、経常利益が同5.2%減の38億円、純利益が同20.6%減の29億円としている。配当予想は前期と同額の年間26円(第2四半期末13円、期末13円)で予想配当性向は50.9%となる。

 想定為替レートは1米ドル=118円で、為替感応度(1円変動による影響額)は売上高で約95百万円、営業利益で約35百万円としている。研究開発費は同3.6%減の78億50百万円の計画だ。

 セグメント別売上高の計画は、医薬品事業が同3.1%増の254億円(国内医薬品が同0.3%増の169億50百万円、海外医薬品が同12.0%増の71億円、医薬品原体が同4.1%減の13億50百万円)、LAL事業が同7.7%増の52億50百万円としている。

 国内は厳しい市場環境が継続して前期並みだが、米国向けジェル・ワンと中国向けアルツの販売数量増加、および円安効果などで増収見込みだ。営業利益については、研究開発費が減少するが、新生産設備稼働に伴う減価償却費の増加、ジェル・ワンなどの販売関連費用の増加で前期並みとしている。純利益については、受取ロイヤリティーが増加するが、為替評価益の減少、税負担の正常化などで減益見込みとしている。

 通期会社予想に対する第1四半期の進捗率は売上高が25.3%、営業利益が36.8%、経常利益が36.3%、純利益が35.6%である。各利益は期初時点で上期偏重の計画だが、概ね順調のようだ。

■株価は地合い悪化の影響で急落したが売り一巡感

 株価の動きを見ると、地合い悪化の影響を受けて1900円〜2000円近辺でのモミ合いから下放れ、8月25日には年初来安値となる1480円まで急落する場面があった。ただし1680円まで戻す場面もあり、売り一巡感を強めている。

 8月25日の終値1558円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS51円05銭で算出)は30〜31倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間26円で算出)は1.7%近辺、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS1239円51銭で算出)は1.3倍近辺である。

 週足チャートで見ると13週移動平均線と26週移動平均線が戻りを押さえる形で急落したが、日足チャートで見ると25日移動平均線に対するマイナス乖離率が20%程度まで拡大して売られ過ぎ感を強めている。16年3月期最終減益予想は織り込み済みであり、目先的な売りが一巡して切り返し展開だろう。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media−IR)
[07月27日更新]

生化学工業はボックスレンジ下限から切り返し

 生化学工業<4548>(東1)は関節機能改善剤アルツが主力の医薬品メーカーである。株価は1900円〜2100円近辺のレンジでボックス展開のようだが、16年3月期最終減益予想は織り込み済みであり、ボックスレンジ下限から切り返し展開だろう。なお7月31日に第1四半期(4月〜6月)の業績発表を予定している。

■関節機能改善剤アルツなど糖質科学分野が主力の医薬品メーカー

 国内医薬品(関節機能改善剤アルツ、白内障手術補助剤オペガン、内視鏡用粘膜下注入材ムコアップ)、海外医薬品(米国向け関節機能改善剤スパルツ、米国向け単回投与関節機能改善剤ジェル・ワン、中国向けアルツ)、医薬品原体(ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸)、およびLAL事業(エンドトキシン測定用試薬関連)を展開している。高齢者人口増加を背景に関節機能改善剤の需要拡大が期待される。

 09年3月策定の「生化学工業10年ビジョン」に基づいて研究開発は糖質科学分野(糖鎖や複合糖質を研究する科学分野)に焦点を絞っている。

 開発中の新薬には、腰椎椎間板ヘルニア治療剤SI−6603(コンドリアーゼ)、アルツの腱・靭帯付着部症の国内適応症追加SI−657(ヒアルロン酸)、変形性膝関節症改善剤SI−613(NSAID結合ヒアルロン酸)、ドライアイ治療剤SI−614(修飾ヒアルロン酸)、関節リウマチ治療剤SI−615(アデノシンA3レセプターアゴニスト)(導入品)などがある。

 SI−6603は14年1月に国内で製造販売承認申請し、米国では第V相臨床試験を実施中である。SI−657の国内第V相臨床試験は14年10月に完了した。SI−613は国内第U相臨床試験を実施中である。SI−614は14年5月に米国で第U・V相臨床試験を開始した。SI−615は国内第T相臨床試験を実施中である。

 生産面では15年1月にアルツディスポ新製剤設備(高萩工場第5製剤棟)が稼働した。第5製剤棟および第4製剤棟にアルツディスポの生産を集約することで効率化を推進するとともに、アルツディスポの中長期的な安定供給を図る。

 海外は重点地域の米国での事業展開加速に向けて、14年10月の米国駐在員事務所開設に続き、15年5月に北米戦略室を新設した。製品認知度向上策や製品価値向上策で販促を強化し、LAL事業の拡大も推進する。

■16年3月期は営業利益横ばい、純利益は減益予想

 15年3月期の四半期別推移を見ると、売上高は第1四半期(4月〜6月)75億77百万円、第2四半期(7月〜9月)66億70百万円、第3四半期(10月〜12月)78億28百万円、第4四半期(1月〜3月)74億47百万円で、営業利益は第1四半期11億87百万円、第2四半期3億77百万円、第3四半期7億09百万円、第4四半期1億10百万円だった。

 また15年3月期の配当性向は40.5%だった。ROEは14年3月期比2.1ポイント低下して5.4%、自己資本比率は同0.8ポイント低下して87.0%となった。利益配分に関しては、1株当たり年間26円を基本として安定的かつ継続的な配当を目指し、資本効率の向上を目的として自己株式の取得等を適宜検討するとしている。

 今期(16年3月期)の連結業績予想(5月12日公表)は売上高が前期比3.8%増の306億50百万円、営業利益が同0.7%増の24億円、経常利益が同5.2%減の38億円、純利益が同20.6%減の29億円としている。配当予想は前期と同額の年間26円(第2四半期末13円、期末13円)で予想配当性向は50.9%となる。

 想定為替レートは1米ドル=118円で、為替感応度(1円変動による影響額)は売上高で約95百万円、営業利益で約35百万円としている。研究開発費は同3.6%減の78億50百万円の計画だ。

 セグメント別売上高の計画は、医薬品事業が同3.1%増の254億円(国内医薬品が同0.3%増の169億50百万円、海外医薬品が同12.0%増の71億円、医薬品原体が同4.1%減の13億50百万円)、LAL事業が同7.7%増の52億50百万円としている。

 国内は厳しい市場環境が継続して前期並みだが、米国向けジェル・ワンと中国向けアルツの販売数量増加、および円安効果などで増収見込みだ。営業利益については、研究開発費が減少するが、新生産設備稼働に伴う減価償却費の増加、ジェル・ワンなどの販売関連費用の増加で前期並みとしている。純利益については、受取ロイヤリティーが増加するが、為替評価益の減少、税負担の正常化などで減益見込みとしている。

■株価はボックスレンジ下限から切り返し

 株価の動きを見ると6月24日に2134円まで上伸する場面があったが、4月の戻り高値2322円に届かず反落した。概ね1900円〜2100円近辺のレンジでボックス展開のようだ。

 7月24日の終値1980円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS51円05銭で算出)は38〜39倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間26円で算出)は1.3%近辺、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS1239円51銭で算出)は1.6倍近辺である。

 週足チャートで見ると13週移動平均線と26週移動平均線が戻りを押さえる形となってボックス展開だ。ただし下値も限定的だ。16年3月期最終減益予想は織り込み済みであり、ボックスレンジ下限から切り返し展開だろう。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media−IR)
[6月25日更新]

生化学工業は調整一巡して切り返し、強基調に回帰して2月高値目指す

 生化学工業[4548](東1)は関節機能改善剤アルツが主力の製薬会社である。株価は調整が一巡し、直近安値圏1900円近辺から切り返しの動きを強めている。6月24日は2134円まで上伸する場面があった。16年3月期最終減益の織り込みが完了し、強基調に回帰して2月高値2396円を目指す展開だろう。

 国内医薬品(関節機能改善剤アルツ、白内障手術補助剤オペガン、内視鏡用粘膜下注入材ムコアップ)、海外医薬品(米国向け関節機能改善剤スパルツ、米国向け単回投与関節機能改善剤ジェル・ワン、中国向けアルツ)、医薬品原体(ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸)、およびLAL事業(エンドトキシン測定用試薬関連)を展開している。高齢者人口増加を背景に関節機能改善剤の需要拡大が期待される。

 09年3月策定の「生化学工業10年ビジョン」に基づいて研究開発は糖質科学分野に焦点を絞っている。開発中の新薬としては、腰椎椎間板ヘルニア治療剤SI−6603(コンドリアーゼ)、アルツの腱・靭帯付着部症の国内適応症追加SI−657(ヒアルロン酸)、変形性膝関節症改善剤SI−613(NSAID結合ヒアルロン酸)、ドライアイ治療剤SI−614(修飾ヒアルロン酸)、そして関節リウマチ治療剤SI−615(アデノシンA3レセプターアゴニスト)(導入品)などがある。

 SI−6603は14年1月に国内で製造販売承認申請し、米国では第V相臨床試験を実施中である。SI−657の国内第V相臨床試験は14年10月に完了した。SI−613は国内第U相臨床試験を実施中である。SI−614は14年5月に米国で第U・V相臨床試験を開始した。SI−615は国内第T相臨床試験を実施中である。

 生産面では15年1月にアルツディスポ新製剤設備(高萩工場第5製剤棟)が稼働した。第5製剤棟および第4製剤棟にアルツディスポの生産を集約することで効率化を推進するとともに、アルツディスポの中長期的な安定供給を図る。

 海外は重点地域の米国での事業展開加速に向けて、14年10月の米国駐在員事務所開設に続き、15年5月に北米戦略室を新設した。製品認知度向上策や製品価値向上策で販促を強化し、LAL事業の拡大も推進する。

 なお15年3月期の四半期別推移を見ると、売上高は第1四半期(4月〜6月)75億77百万円、第2四半期(7月〜9月)66億70百万円、第3四半期(10月〜12月)78億28百万円、第4四半期(1月〜3月)74億47百万円、営業利益は第1四半期11億87百万円、第2四半期3億77百万円、第3四半期7億09百万円、第4四半期1億10百万円だった。

 15年3月期の配当性向は40.5%、ROEは14年3月期比2.1ポイント低下して5.4%、自己資本比率は同0.8ポイント低下して87.0%となった。利益配分に関しては、1株当たり年間26円を基本として安定的かつ継続的な配当を目指し、資本効率の向上を目的として自己株式の取得等を適宜検討するとしている。

 今期(16年3月期)の連結業績予想(5月12日公表)は売上高が前期比3.8%増の306億50百万円、営業利益が同0.7%増の24億円、経常利益が同5.2%減の38億円、純利益が同20.6%減の29億円としている。配当予想は前期と同額の年間26円(第2四半期末13円、期末13円)で予想配当性向は50.9%となる。

 想定為替レートは1米ドル=118円で、為替感応度(1円変動による影響額)は売上高で約95百万円、営業利益で約35百万円としている。研究開発費は同3.6%減の78億50百万円の計画だ。

 セグメント別売上高の計画は、医薬品事業が同3.1%増の254億円(国内医薬品が同0.3%増の169億50百万円、海外医薬品が同12.0%増の71億円、医薬品原体が同4.1%減の13億50百万円)、LAL事業が同7.7%増の52億50百万円としている。

 国内は厳しい市場環境が継続して前期並みだが、米国向けジェル・ワンと中国向けアルツの販売数量増加、および円安効果などで増収見込みだ。営業利益については、研究開発費が減少するが、新生産設備稼働に伴う減価償却費の増加、ジェル・ワンなどの販売関連費用の増加で前期並みとしている。純利益については、受取ロイヤリティーが増加するが、為替評価益の減少、税負担の正常化などで減益見込みとしている。

 株価の動きを見ると、戻り高値圏2300円近辺から反落して調整局面だったが、5月と6月の直近安値圏1900円近辺から切り返しの動きを強めている。6月24日は2134円まで上伸する場面があった。

 6月24日の終値2124円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS51円05銭で算出)は42倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間26円で算出)は1.2%近辺、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS1239円51銭で算出)は1.7倍近辺である。

 日足チャートで見ると25日移動平均線を突破して上伸した。また週足チャートで見ると13週移動平均線と26週移動平均線を突破した。16年3月期最終減益の織り込みが完了し、強基調に回帰して2月高値2396円を目指す展開だろう。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media−IR)
[5月25日更新]

生化学工業は16年3月期は最終減益予想だが悪材料出尽くし感、強基調に回帰して高値圏目指す

 生化学工業[4548](東1)は関節機能改善剤アルツが主力の製薬会社である。株価は15日の直近安値1900円から切り返しの動きを強め、21日には2118円まで上伸する場面があった。16年3月期は営業微増益にとどまり最終減益の予想だが、悪材料出尽くし感で調整が一巡したようだ。強基調に回帰して高値圏を目指す展開だろう。

 国内医薬品(関節機能改善剤アルツ、白内障手術補助剤オペガン、内視鏡用粘膜下注入材ムコアップ)、海外医薬品(米国向け関節機能改善剤スパルツ、米国向け単回投与関節機能改善剤ジェル・ワン、中国向けアルツ)、医薬品原体(ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸)、およびLAL事業(エンドトキシン測定用試薬関連)を展開している。高齢者人口増加を背景に関節機能改善剤の需要拡大が期待される。

 09年3月策定の「生化学工業10年ビジョン」に基づいて、研究開発は糖質科学分野に焦点を絞っている。開発中の新薬としては、腰椎椎間板ヘルニア治療剤SI−6603(コンドリアーゼ)、アルツの腱・靭帯付着部症の国内適応症追加SI−657、変形性膝関節症改善剤SI−613、ドライアイ治療剤SI−614、関節リウマチ治療剤SI−615(導入品)などがある。

 SI−6603は14年1月に国内で製造販売承認申請し、米国では第V相臨床試験を実施中である。SI−657の国内第V相臨床試験は14年10月に完了した。SI−613は国内第U相臨床試験を実施中である。SI−614は14年5月に米国で第U・V相臨床試験を開始した。SI−615は国内第T相臨床試験を実施中である。

 生産面では15年1月にアルツディスポ新製剤設備(高萩工場第5製剤棟)が稼働した。第5製剤棟および第4製剤棟にアルツディスポの生産を集約することで効率化を推進するとともに、アルツディスポの中長期的な安定供給を図る。

 海外は重点地域の米国での事業展開加速に向けて、14年10月の米国駐在員事務所開設に続き、15年5月に北米戦略室を新設した。製品認知度向上策や製品価値向上策で販促を強化し、LAL事業の拡大も推進する。

 5月12日に発表した前期(15年3月期)連結業績は、売上高が前々期比0.3%減の295億22百万円、営業利益が同51.7%減の23億83百万円、経常利益が同31.8%減の40億08百万円、純利益が同23.1%減の36億50百万円だった。平均為替レートは1米ドル=109円94銭で同9円70銭の円安だった。

 配当予想は前々期と同額の年間26円(第2四半期末13円、期末13円)とした。配当性向は40.5%となる。なおROEは同2.1ポイント低下して5.4%、自己資本比率は同0.8ポイント低下して87.0%となった。

 国内での薬価引き下げの影響、前期高水準だった米国向けスパルツ出荷の反動減、新生産設備稼働に伴う減価償却費の増加、開発テーマ進展に伴う研究開発費の増加などで減収減益だった。

 セグメント別売上高は、医薬品事業が同2.7%減の246億46百万円(国内医薬品が同6.1%減の168億98百万円、海外医薬品が同10.9%増の63億39百万円、医薬品原体が同13.6%減の14億07百万円)、LAL事業が同14.2%増の48億76百万円だった。

 計画との比較で見ると、売上高はドル高・円安効果も寄与して計画をやや上回ったが、営業利益は米国SI−6603の進展などで研究開発費(前々期比23.7%増の81億46百万円)が想定以上に増加したため計画を下回った。純利益は受取ロイヤリティーが下振れたが、投資有価証券売却益、円安に伴う外貨建て資産為替評価益増加、高萩工場の優遇税制に関連した繰延税金資産計上、米国子会社有償減資に伴う税率低下が寄与して計画を上回った。

 四半期別推移を見ると、売上高は第1四半期(4月〜6月)75億77百万円、第2四半期(7月〜9月)66億70百万円、第3四半期(10月〜12月)78億28百万円、第4四半期(1月〜3月)74億47百万円、営業利益は第1四半期11億87百万円、第2四半期3億77百万円、第3四半期7億09百万円、第4四半期1億10百万円だった。

 今期(16年3月期)の連結業績予想(5月12日公表)は、売上高が前期比3.8%増の306億50百万円、営業利益が同0.7%増の24億円、経常利益が同5.2%減の38億円、純利益が同20.6%減の29億円、配当予想が前期と同額の年間26円(第2四半期末13円、期末13円)としている。

 想定為替レートは1米ドル=118円で、為替感応度(1円変動による影響額)は売上高で約95百万円、営業利益で約35百万円としている。研究開発費は同3.6%減の78億50百万円の計画だ。

 セグメント別売上高の計画は、医薬品事業が同3.1%増の254億円(国内医薬品が同0.3%増の169億50百万円、海外医薬品が同12.0%増の71億円、医薬品原体が同4.1%減の13億50百万円)、LAL事業が同7.7%増の52億50百万円としている。

 国内は厳しい市場環境が継続して前期並みだが、米国向けジェル・ワンと中国向けの販売数量増加、および円安効果などで増収見込みだ。営業利益については、研究開発費が減少するが、新生産設備稼働に伴う減価償却費の増加、ジェル・ワンなどの販売関連費用の増加で前期並みとしている。純利益については、受取ロイヤリティーが増加するが、為替評価益の減少、税負担の正常化などで減益見込みとしている。

 株価の動きを見ると、2月高値2396円から反落して調整局面だったが、5月15日の直近安値1900円から切り返しの動きを強めている。21日には2118円まで上伸する場面があった。16年3月期は営業微増益で最終減益の予想だが、悪材料出尽くし感で調整が一巡したようだ。

 5月22日の終値2077円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS51円05銭で算出)は41倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間26円で算出)は1.3%近辺、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS1239円51銭で算出)は1.7倍近辺である。

 週足チャートで見ると一旦割り込んだ13週移動平均線と26週移動平均線を素早く回復する動きだ。強基調に回帰して高値圏を目指す展開だろう。
(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media−IR)
[4月10日更新]

生化学工業は2月高値に接近、16年3月期の増収増益期待で上値試す

 関節機能改善剤アルツが主力の生化学工業[4548](東1)の株価は、自律調整が一巡して水準を切り上げている。9日は2322円まで上伸して2月高値2396円に接近してきた。16年3月期の増収増益期待で上値を試す展開だろう。

 国内医薬品(関節機能改善剤アルツ、白内障手術補助剤オペガン、内視鏡用粘膜下注入材ムコアップ)、海外医薬品(米国向け関節機能改善剤スパルツ、米国向け単回投与関節機能改善剤ジェル・ワン、中国向けアルツ)、医薬品原体(ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸)、およびLAL事業(エンドトキシン測定用試薬関連)を展開している。高齢者人口増加を背景に関節機能改善剤の需要拡大が期待される。

 09年3月策定の「生化学工業10年ビジョン」に基づいて、研究開発は糖質科学分野に焦点を絞っている。開発中の新薬としては、腰椎椎間板ヘルニア治療剤SI−6603(コンドリアーゼ)、アルツの腱・靭帯付着部症の国内適応症追加SI−657、変形性膝関節症改善剤SI−613、ドライアイ治療剤SI−614、関節リウマチ治療剤SI−615(導入品)などがある。

 SI−6603は14年1月に国内で製造販売承認申請し、米国では第V相臨床試験を実施中である。SI−657の国内第V相臨床試験は14年10月に完了した。SI−613は国内第U相臨床試験を実施中である。SI−614は14年5月に米国で第U・V相臨床試験を開始した。SI−615は国内第T相臨床試験を実施中である。

 14年10月には米国ニュージャージー州に駐在員事務所を開設した。ジェル・ワンおよびスパルツの拡販に向けて現地販売員への製品教育を推進し、米国市場に関する情報収集なども強化する。

 15年1月にはアルツディスポ新製剤設備(高萩工場第5製剤棟)が稼働した。第5製剤棟および第4製剤棟にアルツディスポの生産を集約することで効率化を推進するとともに、アルツディスポの中長期的な安定供給を図る。

 前期(15年3月期)連結業績見通し(5月13日公表)は売上高が前々期比1.6%減の291億50百万円、営業利益が同44.3%減の27億50百万円、経常利益が同28.5%減の42億円、そして純利益が同27.3%減の34億50百万円としている。想定為替レートは1米ドル=102円である。配当予想については前々期と同額の年間26円(第2四半期末13円、期末13円)としている。

 第3四半期累計(4月〜12月)は前年同期比4.5%減収、同54.3%営業減益、同33.8%経常減益、同34.6%最終減益だった。国内での薬価引き下げの影響、前期高水準だった米国向けスパルツ出荷の反動減、新生産設備稼働に伴う減価償却費の増加、開発テーマ進展に伴う研究開発費の増加などで減収減益だった。

 なお四半期別推移を見ると、売上高は第1四半期(4月〜6月)75億77百万円、第2四半期(7月〜9月)66億70百万円、第3四半期(10月〜12月)78億28百万円、営業利益は第1四半期11億87百万円、第2四半期3億77百万円、第3四半期7億09百万円である。

 通期ベースでも、売上面では国内が薬価引き下げの影響、米国向けスパルツが前期の販売提携先での在庫積み増しの反動影響を受け、利益面では減価償却費の増加や研究開発の増加も影響して減収減益見通しだ。

 ただし通期見通しに対する第3四半期累計の進捗率は売上高が75.7%、営業利益が82.7%、経常利益が90.2%、純利益が88.2%と高水準だった。今期(16年3月期)は米国向けスパルツ出荷の反動影響が一巡し、ドル高・円安進行メリットも寄与して増収増益が期待される。

 株価の動きを見ると、3月上旬〜中旬の2000円近辺から切り返しの展開となった。自律調整が一巡したようだ。そして4月9日は2322円まで上伸して2月高値2396円に接近してきた。

 4月9日の終値2301円を指標面で見ると、前期推定連結PER(会社予想の連結EPS60円73銭で算出)は38倍近辺、前期推定配当利回り(会社予想の年間26円で算出)は1.1%近辺、前々期実績PBR(前々期実績の連結BPS1140円48銭で算出)は2.0倍近辺である。

 日足チャートで見ると一旦割り込んだ25日移動平均線を突破して上伸し、週足チャートで見ると13週移動平均線がサポートラインの強基調の形となった。16年3月期の増収増益期待で2月高値2396円を試す展開だろう。
(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media−IR)
[3月19日更新]

生化学工業は自律調整一巡、今期利益増額の可能性を評価して2月高値試す

 関節機能改善剤アルツが主力の生化学工業[4548](東1)の株価は、2月高値2396円から利益確定売りで一旦反落したが、2000円近辺で自律調整一巡感を強めている。今期(15年3月期)利益増額の可能性や、来期(16年3月期)の収益改善を評価して2月高値を試す展開だろう。

 国内医薬品(関節機能改善剤アルツ、白内障手術補助剤オペガン、内視鏡用粘膜下注入材ムコアップ)、海外医薬品(米国向け関節機能改善剤スパルツ、米国向け単回投与関節機能改善剤ジェル・ワン、中国向けアルツ)、医薬品原体(ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸)、およびLAL事業(エンドトキシン測定用試薬関連)を展開している。高齢者人口増加を背景に関節機能改善剤の需要拡大が期待される。

 09年3月策定の「生化学工業10年ビジョン」に基づいて、研究開発は糖質科学分野に焦点を絞っている。開発中の新薬としては、腰椎椎間板ヘルニア治療剤SI−6603(コンドリアーゼ)、アルツの腱・靭帯付着部症の国内適応症追加SI−657、変形性膝関節症改善剤SI−613、ドライアイ治療剤SI−614、関節リウマチ治療剤SI−615(導入品)などがある。

 SI−6603は14年1月に国内で製造販売承認申請し、米国では第V相臨床試験を実施中である。SI−657の国内第V相臨床試験は14年10月に完了した。SI−613は国内第U相臨床試験を実施中である。SI−614は14年5月に米国で第U・V相臨床試験を開始した。SI−615は国内第T相臨床試験を実施中である。

 14年10月には米国ニュージャージー州に駐在員事務所を開設した。ジェル・ワンおよびスパルツの拡販に向けて現地販売員への製品教育を推進し、米国市場に関する情報収集なども強化する。

 また15年1月にはアルツディスポ新製剤設備(高萩工場第5製剤棟)が稼働した。第5製剤棟および第4製剤棟にアルツディスポの生産を集約することで効率化を推進するとともに、アルツディスポの中長期的な安定供給を図る。

 今期(15年3月期)連結業績見通し(5月13日公表)は売上高が前期比1.6%減の291億50百万円、営業利益が同44.3%減の27億50百万円、経常利益が同28.5%減の42億円、純利益が同27.3%減の34億50百万円、配当予想が前期と同額の年間26円(第2四半期末13円、期末13円)としている。想定為替レートは1米ドル=102円としている。

 第3四半期累計(4月〜12月)は前年同期比4.5%減収、同54.3%営業減益、同33.8%経常減益、同34.6%最終減益だった。国内での薬価引き下げの影響、前期高水準だった米国向けスパルツ出荷の反動減、新生産設備稼働に伴う減価償却費の増加、開発テーマ進展に伴う研究開発費の増加などで減収減益だった。

 なお四半期別推移を見ると、売上高は第1四半期(4月〜6月)75億77百万円、第2四半期(7月〜9月)66億70百万円、第3四半期(10月〜12月)78億28百万円で、営業利益は第1四半期11億87百万円、第2四半期3億77百万円、第3四半期7億09百万円である。

 通期ベースでも、売上面では国内が薬価引き下げの影響、米国向けスパルツが前期の販売提携先での在庫積み増しの反動影響を受け、利益面では減価償却費の増加や研究開発の増加も影響して減収減益見通しだ。

 ただし通期見通しに対する第3四半期累計の進捗率は売上高が75.7%、営業利益が82.7%、経常利益が90.2%、純利益が88.2%と高水準である。ドル高・円安進行メリットも寄与して通期利益見通しに増額の可能性があるだろう。さらに来期(16年3月期)は反動影響が一巡して収益改善が期待される。

 株価の動きを見ると、2月高値の2396円から利益確定売りで一旦反落したが、2000円近辺で下げ渋り、自律調整一巡感を強めている。

 3月18日の終値1992円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS60円73銭で算出)は32〜33倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間26円で算出)は1.3%近辺、前期実績PBR(前期実績の連結BPS1140円48銭で算出)は1.7倍近辺である。

 週足チャートで見ると13週移動平均線を割り込んだが、26週移動平均線が接近して切り返しのタイミングだろう。今期利益増額の可能性や来期の収益改善を評価して2月高値2396円を試す展開だろう。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media−IR)
[2月05日更新]

生化学工業は第3四半期累計は減収減益だが高進捗率、14年11月高値を試す

 関節機能改善剤アルツが主力の生化学工業[4548](東1)は2月3日に第3四半期累計(4月〜12月)業績を発表した。減収減益だったが通期見通しに対する進捗率は高水準だ。株価は12月の直近安値から切り返して戻り歩調の展開だ。今期(15年3月期)利益見通し増額の可能性を評価して14年11月高値2288円を試す展開だろう。

 国内医薬品(関節機能改善剤アルツ、白内障手術補助剤オペガン、内視鏡用粘膜下注入材ムコアップ)、海外医薬品(米国向け関節機能改善剤スパルツ、米国向け単回投与関節機能改善剤ジェル・ワン、中国向けアルツ)、医薬品原体(ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸)、およびLAL事業(エンドトキシン測定用試薬関連)を展開している。高齢者人口増加を背景に関節機能改善剤の需要拡大が期待される。

 09年3月策定の「生化学工業10年ビジョン」に基づいて、研究開発は糖質科学分野に焦点を絞っている。開発中の新薬としては、腰椎椎間板ヘルニア治療剤SI−6603(コンドリアーゼ)、アルツの腱・靭帯付着部症の国内適応症追加SI−657、変形性膝関節症改善剤SI−613、ドライアイ治療剤SI−614、関節リウマチ治療剤SI−615(導入品)などがある。

 SI−6603は14年1月に国内で製造販売承認申請し、米国では第V相臨床試験を実施中である。SI−657の国内第V相臨床試験は14年10月に完了した。SI−613は国内第U相臨床試験を実施中である。SI−614は14年5月に米国で第U・V相臨床試験を開始した。SI−615は国内第T相臨床試験を実施中である。

 14年10月には米国ニュージャージー州に駐在員事務所を開設した。ジェル・ワンおよびスパルツの拡販に向けて現地販売員への製品教育を推進し、米国市場に関する情報収集なども強化する。

 15年1月にはアルツディスポ新製剤設備(高萩工場第5製剤棟)が稼働した。第5製剤棟および第4製剤棟にアルツディスポの生産を集約することで効率化を推進するとともに、アルツディスポの中長期的な安定供給を図る。

 2月3日に発表した今期(15年3月期)第3四半期累計(4月〜12月)の連結業績は、売上高が前年同期比4.5%減の220億75百万円、営業利益が同54.3%減の22億73百万円、経常利益が同33.8%減の37億87百万円、純利益が同34.6%減の30億42百万円だった。

 国内でアルツの市場シェアが拡大し、中国向けも増加したが、国内での薬価引き下げの影響、前期高水準だった米国向けスパルツ出荷の反動減、新生産設備稼働に伴う減価償却費の増加、開発テーマ進展に伴う研究開発費の増加などで減収減益だった。研究開発費は同24.9%増の56億98百万円だった。

 セグメント別売上状況は、医薬品事業が同7.6%減収(国内が同7.0%減収、海外が同5.8%減収、医薬品原体が同20.5%減収)、LAL事業が同14.9%増収だった。

 なお四半期別にみると、売上高は第1四半期(4月〜6月)75億77百万円、第2四半期(7月〜9月)66億70百万円、第3四半期(10月〜12月)78億28百万円、営業利益は第1四半期11億87百万円、第2四半期3億77百万円、第3四半期7億09百万円である。

 通期の連結業績見通しは前回予想(5月13日公表)を据え置いて売上高が前期比1.6%減の291億50百万円、営業利益が同44.3%減の27億50百万円、経常利益が同28.5%減の42億円、純利益が同27.3%減の34億50百万円、配当予想が前期と同額の年間26円(第2四半期末13円、期末13円)としている。なお想定為替レートは1米ドル=102円としている。

 国内での薬価引き下げの影響に加えて、米国向けスパルツが競争激化や前期の販売提携先での在庫積み増しの反動影響を受け、さらに減価償却費の増加や研究開発の増加などによって減収減益見通しだ。ただし通期見通しに対する第3四半期累計の進捗率は売上高が75.7%、営業利益が82.7%、経常利益が90.2%、純利益が88.2%と高水準である。円安進行メリットも寄与して通期利益見通しに増額の可能性があるだろう。

 株価の動きを見ると、14年11月高値2288円から利益確定売りで一旦反落したが、12月の直近安値1873円から切り返して戻り歩調の展開だ。2月3日は戻り高値2130円を付ける場面があり、4日は終値で前日比41円高と反発した。

 2月4日の終値2076円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS60円73銭で算出)は34倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間26円で算出)は1.3%近辺、前期実績PBR(前期実績の連結BPS1140円48銭で算出)は1.8倍近辺である。

 日足チャートで見ると25日移動平均線、週足チャートで見ると13週移動平均線がサポートラインとなって強基調の形だ。今期利益見通し増額の可能性を評価して14年11月高値2288円を試す展開だろう。
(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media−IR)
[1月23日更新]

生化学工業は自律調整が一巡して14年11月高値を試す

 関節機能改善剤アルツが主力の生化学工業[4548](東1)の株価は、12月17日の1873円から切り返し、1月21日は2095円まで上伸した。今期(15年3月期)営業利益増額の可能性もあり、自律調整が一巡して14年11月高値2288円を試す展開だろう。なお2月3日に第3四半期累計(4月〜12月)の業績発表を予定している。

 国内医薬品(関節機能改善剤アルツ、白内障手術補助剤オペガン、内視鏡用粘膜下注入材ムコアップ)、海外医薬品(米国向け関節機能改善剤スパルツ、米国向け単回投与関節機能改善剤ジェル・ワン、中国向けアルツ)、医薬品原体(ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸)、およびLAL事業(エンドトキシン測定用試薬関連)を展開している。高齢者人口増加を背景に関節機能改善剤の需要拡大が期待される。

 09年3月策定の「生化学工業10年ビジョン」に基づいて、研究開発は糖質科学分野に焦点を絞っている。開発中の新薬としては、腰椎椎間板ヘルニア治療剤SI−6603(コンドリアーゼ)、アルツの腱・靭帯付着部症の国内適応症追加SI−657、変形性膝関節症改善剤SI−613、ドライアイ治療剤SI−614、関節リウマチ治療剤SI−615(導入品)などがある。

 SI−6603は14年1月に国内で製造販売承認申請し、米国では第V相臨床試験を実施中である。SI−657の国内第V相臨床試験は14年10月に完了した。SI−613は国内第U相臨床試験を実施中である。SI−614は14年5月に米国で第U・V相臨床試験を開始した。SI−615は国内第T相臨床試験を実施中である。

 14年10月には米国ニュージャージー州に駐在員事務所を開設した。ジェル・ワンおよびスパルツの拡販に向けて現地販売員への製品教育を推進し、米国市場に関する情報収集なども強化する。

 1月9日にはアルツディスポ新製剤設備(高萩工場第5製剤棟)が稼働開始した。既存設備老朽化への対応に加えて、アルツディスポの中長期的な安定供給を目的として、12年3月から建設を進めてきた。第5製剤棟および第4製剤棟にアルツディスポの生産を集約することで効率化を推進する。

 今期(15年3月期)の連結業績見通し(5月13日公表)は売上高が前期比1.6%減の291億50百万円、営業利益が同44.3%減の27億50百万円、経常利益が同28.5%減の42億円、そして純利益が同27.3%減の34億50百万円で、配当予想は前期と同額の年間26円(第2四半期末13円、期末13円)としている。なお想定為替レートは1米ドル=102円としている。

 国内のアルツが薬価改定の影響、米国向けスパルツが競争激化や前期の販売提携先での在庫積み増しの反動影響を受け、利益面では減価償却費や研究開発費の増加も影響する見通しだ。

 第2四半期累計(4月〜9月)は減収減益だったが、売上高、利益とも期初計画を上回った。円安進行に伴う保有外貨建て資産の為替評価益増加も寄与した。また通期見通しに対する第2四半期累計の進捗率は売上高が48.9%、営業利益が56.9%、経常利益が50.2%、純利益が48.9%となり、営業利益の進捗率は高水準である。下期には米国向けジェル・ワンの出荷が増加する見込みであり、拡販強化や円安進行メリットで通期営業利益増額の可能性もあるだろう。

 株価の動きを見ると、14年11月高値2288円から利益確定売りで一旦反落したが、12月17日の1873円から切り返し、1月21日は2095円まで上伸した。自律調整が一巡したようだ。

 1月21日の終値2088円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS60円73銭で算出)は34倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間26円で算出)は1.3%近辺、前期実績PBR(前期実績の連結BPS1140円48銭で算出)は1.8倍近辺である。

 日足チャートで見ると一旦割り込んだ25日移動平均線を回復し、週足チャートで見るとサポートラインの13週移動平均線近辺から切り返した。強基調を確認した形であり、自律調整が一巡して14年11月高値2288円を試す展開だろう。 (情報提供:日本インタビュ新聞社=Media−IR)
[12月24日更新]
生化学工業は自律調整が一巡して切り返し局面

 関節機能改善剤アルツが主力の生化学工業<4548>(東1)の株価は、11月26日の年初来高値2288円から利益確定売りで一旦反落し、12月17日の1873円まで調整した。全般地合い悪化も影響したようだ。ただし強基調の形であり、自律調整が一巡して切り返し局面だろう。

 国内医薬品(関節機能改善剤アルツ、白内障手術補助剤オペガン、内視鏡用粘膜下注入材ムコアップ)、海外医薬品(米国向け関節機能改善剤スパルツ、米国向け単回投与関節機能改善剤ジェル・ワン、中国向けアルツ)、医薬品原体(ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸)、およびLAL事業(エンドトキシン測定用試薬関連)を展開している。高齢者人口増加を背景に関節機能改善剤の需要拡大が期待される。

 09年3月策定の「生化学工業10年ビジョン」に基づいて、研究開発は糖質科学分野に焦点を絞っている。開発中の新薬としては、腰椎椎間板ヘルニア治療剤SI−6603(コンドリアーゼ)、アルツの腱・靭帯付着部症の国内適応症追加SI−657、変形性膝関節症改善剤SI−613、ドライアイ治療剤SI−614、関節リウマチ治療剤SI−615(導入品)などがある。

 SI−6603は14年1月に国内で製造販売承認申請し、米国では第V相臨床試験を実施中である。SI−657の国内第V相臨床試験は14年10月に完了した。SI−613は国内第U相臨床試験を実施中である。SI−614は14年5月に米国で第U・V相臨床試験を開始した。SI−615は国内第T相臨床試験を実施中である。

 14年10月には米国ニュージャージー州に駐在員事務所を開設した。ジェル・ワンおよびスパルツの拡販に向けて現地販売員への製品教育を推進し、米国市場に関する情報収集なども強化する。

 今期(15年3月期)の連結業績見通しについては前回予想(5月13日公表)を据え置いて、売上高が前期比1.6%減の291億50百万円、営業利益が同44.3%減の27億50百万円、経常利益が同28.5%減の42億円、純利益が同27.3%減の34億50百万円、配当予想は前期と同額の年間26円(第2四半期末13円、期末13円)としている。なお想定為替レートは1米ドル=102円としている。

 セグメント別売上高の計画は、医薬品が同2.9%減の246億円(国内医薬品が同3.9%減の173億円、海外医薬品が同1.4%増の58億円、医薬品原体が同8.0%減の15億円)で、LAL事業が同6.5%増の45億50百万円だ。国内のアルツが薬価改定の影響を受け、米国向けスパルツが競争激化や前期の販売提携先での在庫積み増しの反動影響を受けるため、全体として減収見通しとしている。

 第2四半期累計(4月〜9月)は前年同期比7.5%減収、同55.1%営業減益、同44.2%経常減益、同45.9%最終減益だった。国内医薬品は薬価引き下げの影響、海外医薬品は高水準だった前年同期の反動でいずれも減収となり、利益面では減価償却費や研究開発費の増加が影響した。ただし売上高、各利益とも期初計画を上回った。円安進行に伴う保有外貨建て資産の為替評価益増加も寄与した。

 通期見通しに対する第2四半期累計の進捗率は売上高が48.9%、営業利益が56.9%、経常利益が50.2%、純利益が48.9%と概ね順調な水準である。下期には米国向けジェル・ワンの出荷が増加する見込みであり、拡販強化や円安進行メリットで通期上振れの可能性もあるだろう。

 株価の動きを見ると、11月26日の年初来高値2288円から利益確定売りで一旦反落し、12月17日の1873円まで調整した。全般地合い悪化も影響したようだ。ただし1800円台では下げ渋り感を強めている。自律調整の範囲だろう。

 12月22日の終値1907円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS60円73銭で算出)は31〜32倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間26円で算出)は1.4%近辺、前期実績PBR(前期実績の連結BPS1140円48銭で算出)は1.7倍近辺である。週足チャートで見るとサポートラインの13週移動平均線が接近している。強基調の形であり、自律調整が一巡して切り返し局面だろう。
(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media−IR)
[11月21日更新]
生化学工業は調整が一巡して再動意、急騰した8月高値を突破して上値追い

 関節機能改善剤アルツが主力の生化学工業[4548](東1)の株価は、11月20日に2090円まで上伸する場面があり、腰椎椎間板ヘルニア治療薬を材料視して急騰した8月高値を突破した。調整が一巡して再動意の形であり上値追いの展開だろう。

 国内医薬品(関節機能改善剤アルツ、白内障手術補助剤オペガン、内視鏡用粘膜下注入材ムコアップ)、海外医薬品(米国向け関節機能改善剤スパルツ、米国向け単回投与関節機能改善剤ジェル・ワン、中国向けアルツ)、医薬品原体(ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸)、およびLAL事業(エンドトキシン測定用試薬関連)を展開している。高齢者人口増加を背景に関節機能改善剤の需要拡大が期待される。

 09年3月策定の「生化学工業10年ビジョン」に基づいて、研究開発は糖質科学分野に焦点を絞っている。開発中の新薬としては、腰椎椎間板ヘルニア治療剤SI−6603(コンドリアーゼ)、アルツの腱・靭帯付着部症の適応症追加SI−657、変形性膝関節症改善剤SI−613、ドライアイ治療剤SI−614、関節リウマチ治療剤SI−615などがある。SI−6603は14年1月に国内で製造販売承認申請し、米国では実施中の第V相臨床試験の進捗に注力している。SI−614は14年5月に米国で第U・V相臨床試験を開始している。

 なお14年10月、米国ニュージャージー州に駐在員事務所を開設した。ジェル・ワンおよびスパルツの拡販に向けて現地販売員への製品教育を推進し、米国市場に関する情報収集なども強化する。

 11月7日に発表した今期(15年3月期)第2四半期累計(4月〜9月)の連結業績は、売上高が前年同期比7.5%減の142億47百万円、営業利益が同55.1%減の15億64百万円、経常利益が同44.2%減の21億09百万円、純利益が同45.9%減の16億87百万円だった。

 前年同期との比較では減収大幅減益だった。国内医薬品は薬価引き下げの影響、海外医薬品は高水準だった前年同期の反動で、いずれも減収だった。利益面では減価償却費や研究開発費の増加が影響した。ただし売上高、各利益とも期初計画を上回った。売上面では海外医薬品が想定を上回り、利益面ではその他の販管費が減少し、円安進行に伴う保有外貨建て資産の為替評価益増加も寄与した。

 通期の連結業績見通しは前回予想(5月13日公表)を据え置いて売上高が前期比1.6%減の291億50百万円、営業利益が同44.3%減の27億50百万円、経常利益が同28.5%減の42億円、純利益が同27.3%減の34億50百万円、配当予想は前期と同額の年間26円(第2四半期末13円、期末13円)としている。想定為替レートは1米ドル=102円だ。

 売上面では、下期に米国向けジェル・ワンの出荷増加を見込むが、国内のアルツが薬価改定の影響を受け、米国向けスパルツが競争激化や前期の販売提携先での在庫積み増しの反動影響を受けるため、全体として減収見通しとしている。セグメント別売上高の計画は医薬品が同2.9%減の246億円(国内医薬品が同3.9%減の173億円、海外医薬品が同1.4%増の58億円、医薬品原体が同8.0%減の15億円)で、LAL事業が同6.5%増の45億50百万円だ。

 利益面では、新生産設備稼働に伴う減価償却費の増加、研究開発費の増加などで大幅減益見通しとしている。通期見通しに対する第2四半期累計の進捗率は売上高が48.9%、営業利益が56.9%、経常利益が50.2%、純利益が48.9%と概ね順調な水準である。国内でアルツの市場シェアが拡大しているもようであり、拡販強化や円安進行メリットで通期上振れの可能性もあるだろう。

 株価の動きを見ると、腰椎椎間板ヘルニア治療薬の15年販売開始を材料視して急騰した8月高値2054円から一旦反落したが、徐々に水準を切り上げて、11月18日に終値で前日比115円(6.24%)高の1958円まで急伸し、さらに11月20日には2090円まで上伸する場面があり8月高値を突破した。調整が一巡して再動意の形だ。

 11月20日の終値2048円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS60円73銭で算出)は34倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間26円で算出)は1.3%近辺、前期実績PBR(前期実績の連結BPS1140円48銭で算出)は1.8倍近辺である。日足チャートで見ると目先的な過熱感を強めたが、週足チャートで見ると13週移動平均線がサポートラインとなって高値を更新した。強基調の形であり上値追いの展開だろう。

(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media−IR)

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