[4559]ゼリア新薬工業
[03月15日更新]

ゼリア新薬工業は調整一巡、24年3月期は上振れの可能性、25年3月期も収益拡大基調

ゼリア新薬工業<4559>(東証プライム)は消化器分野が中心の医療用医薬品事業、および一般用医薬品のコンシューマーヘルスケア事業を展開している。第11次中期経営計画では、好調な欧州事業に加えてアジア地域での事業展開も推進する方針としている。また国内では医療用医薬品市場におけるプレゼンスの確保や、コンシューマーヘルスケア事業の拡大を推進している。24年3月期は増収増益予想としている。医療用医薬品事業、コンシューマーヘルスケア事業とも伸長し、費用増加を吸収する見込みだ。第3四半期累計の各利益が通期利益予想を超過達成していることなどを勘案すれば通期会社予想は上振れの可能性が高く、さらに25年3月期も積極的な事業展開で収益拡大基調だろう。株価は戻り高値圏から反落の形となったが調整一巡感を強めている。出直りを期待したい。
 
■医療用医薬品事業とコンシューマーヘルスケア事業を展開
 
 消化器分野が中心の医療用医薬品事業、および一般用医薬品のコンシューマーヘルスケア事業を展開している。収益面では薬価改定、ライセンス収入・ロイヤリティ収入、研究開発費、広告宣伝費などの影響を受けやすい。
 
 23年3月期のセグメント別売上高は医療用医薬品事業が431億45百万円、コンシューマーヘルスケア事業が250億85百万円、その他(保険代理業・不動産賃貸収入)が1億52百万円だった。地域別裏下高構成比は日本が53%、イギリスが11%、欧州が29%、その他が7%だった。
 
■医療用医薬品事業は潰瘍性大腸炎治療剤アサコールなどが主力
 
 医療用医薬品事業は、潰瘍性大腸炎治療剤アサコールを主力として、炎症性腸疾患治療剤Entocort(エントコート、国内販売名ゼンタコート)や、機能性ディスペプシア治療剤アコファイドなども拡大している。20年9月に国内で販売開始した鉄欠乏性貧血治療剤フェインジェクトについては、消化器科・産婦人科を中心に市場構築を推進している。
 
 また、アステラス製薬の英国子会社が欧州を中心に販売しているクロストリジウム・ディフィシル感染症治療剤ディフィクリア錠(英名DIFICLIR)については、20年11月に欧州、中東、アフリカおよび独立国家共同体(CIS)における製造販売承認を承継する資産譲渡契約を締結し、21年6月に欧州テリトリーでの製造販売権承継をほぼ完了した。残る地域についても順次承継予定である。
 
 23年4月には、アステラス製薬が日本において製造販売しているクロストリジウム・ディフィシルによる感染性腸炎治療剤「ダフクリア錠200mg」(一般名:フィダキソマイシン、以下:ダフクリア)について製造販売承認を継承した。
 
 23年3月期の主要製品の売上高は、アサコールが22年3月期比11.6%増の195億11百万円、ディフィクリアが60.2%増の83億45百万円、エントコートが27.0%増の56億88百万円、アコファイドが1.4%減の31億08百万円、その他が2.9%減の64億91百万円だった。アコファイドについては、アステラス製薬<4503>との日本での共同販促を21年3月で終了し、21年4月以降は単独プロモーションに切り替えている。
 
 海外展開については、アサコールは欧州を中心に高用量製剤の販売国数を拡大中である。競合する高用量製剤の処方獲得を目指してプロモーションを展開している。またイタリアのMenariniグループの中国現地法人に独占的販売権を供与して、中国で21年5月販売開始した。
 
 アコファイドについては、Meiji Seika ファルマとタイおよびインドネシアにおける独占的開発・販売ライセンス契約、スペインのFAES社とラテンアメリカにおける独占的開発・販売ライセンス契約を締結している。
 
 子会社のTillotts Pharma(ティロッツ社、スイス)は、アストラゼネカ社からエントコートの米国を除く全世界における権利を取得(国内ではゼンタコートカプセルとして販売)し、アサコールとともに海外での拡販を推進している。また20年11月に、アステラス製薬の英国子会社からクロストリジウム・ディフィシル感染症治療剤ディフィクリア錠(英名DIFICLIR)の欧州、中東、アフリカおよび独立国家共同体(CIS)における製造販売承認を承継し、販売を拡大している。
 
■コンシューマーヘルスケア事業はヘパリーゼ群などが主力
 
 コンシューマーヘルスケア事業はヘパリーゼ群、コンドロイチン群、ウィズワン群を主力として、日本で初めて月経前症候群の効能を取得した西洋ハーブ・ダイレクトOTC医薬品プレフェミン、連結子会社イオナ インターナショナルの「イオナ」ブランド化粧品なども全国の薬局・薬店・ドラッグストアなどに販売している。
 
 23年3月期の主要製品の売上高はヘパリーゼ群が22年3月期比26.7%増の98億48百万円、コンドロイチン群が5.6%増の54億21百万円、ウィズワン群が6.8%減の12億66百万円、その他(殺菌消毒薬など)が5.5%増の85億48百万円だった。
 
 事業拡大に向けて、西洋ハーブ群の開発・育成、ヘパリーゼ群およびコンドロイチン群に続く新規主力製品の開発・育成、既存製品(OTC医薬品プレバリン群、オーラルケアのマスデント群やイオナ化粧品など)の育成を推進している。20年4月にはヘパリーゼ群の主原料である肝臓加水分解物の安定調達とコンシューマーヘルスケア事業拡大を目的として、日水製薬<4550>から日水製薬医薬品販売の全株式を譲り受けて子会社化(現社名:健創製薬)した。
 
 西洋ハーブ関連では21年12月に、軽度の静脈還流障害による足のむくみを改善する内服薬「ベルフェミン」(要指導医薬品)を発売した。欧州において下肢の静脈疾患(慢性静脈不全症)の治療に伝統的に使用されてきたセイヨウトチノキ種子の乾燥エキスを主成分としている。
 
 22年3月には過敏性腸症候群(IBS)改善薬「コルペルミン」(要指導医薬品)を発売した。ペパーミントのオイルを有効成分とする医薬品である。ティロッツ社が開発し、1981年の英国での発売以降、スイスやドイツをはじめ十数ヶ国でIBSの諸症状を改善する一般用医薬品として販売されている。国内で実施された過敏性腸症候群患者を対象とした臨床試験において有効性と安全性が確認された。
 
 23年11月には、湿疹・皮膚炎に優れた効果を示すアンテドラッグステロイドを配合した「プレバリンαクイック」シリーズ(指定第2類医薬品)を、全国の薬局およびドラッグストアにて発売開始した。
 
■消化器分野を最重点領域として新薬開発を推進
 
 消化器分野を最重点領域と位置付けて新薬開発を推進している。新薬パイプラインの状況(24年2月1日現在)は以下の通りである。
 
 高カリウム血症を適応症とするZG−801(ビフォーファーマ社から導入、パチロマーソルビテクスカルシウム)については、日本において承認申請中である。米国では15年12月販売開始し、欧州では17年7月EMA(欧州医薬品庁)から承認取得している。
 
 Z−338(自社品、一般名アコチアミド)は、日本では小児機能性ディスペプシアを適応症として第3相段階、低活動膀胱を適応症(開発コードZG−802)として第2相段階、食道胃接合部通過障害を適応症として第2相(九州大学で医師主導治験)段階、欧州では機能性ディスペプシアを適応症として第3相段階である。なお九州大学における医師主導治験は日本医療研究開発機構(AMED)の助成事業に採択されている。
 
 Z−338の海外導出では、Faes Farmaが機能性ディスペプシアを適応症としてメキシコで23年10月に発売開始、ホンジュラス、ドミニカ共和国、エクアドル、チリ、エルサルバドル、ペルーで承認取得、コロンビア、コスタリカ、グアテマラ、パナマ、ニカラグアにおいて承認申請中である。また、Meiji Seikaファルマが機能性ディスペプシアを適応症としてタイで承認取得、Pharmaceutical Joint Stock Company of February 3rdが機能性ディスペプシアを適応症としてベトナムにおいて承認申請中である。
 
 なお23年7月には、子会社のTillotts Pharmaが世界的ベンチャーキャピタル大手TVMと共同で、潰瘍性大腸炎に対する経口抗体療法開発を目的として、米国のバイオベンチャーMage Bioに対して最大28百万USドル出資した。
 
■好調な欧州事業に加えてアジア地域での事業展開も推進
 
 第11次中期経営計画(24年3月期〜26年3月期)では経営目標値に、最終年度26年3月期連結売上高900億円、海外売上比率50%以上を掲げている。
 
 重点戦略としては、欧州地域における継続的な市場形成(アサコール、ディフィクリア)に加えて、アジア地域への展開(ゼリア新薬工業の輸出拡大、ベトナムFTファーマの新工場建設や東南アジア近隣諸国への輸出拡大)を推進する。また国内の医療用医薬品事業では、自社創薬品であるアコファイド、フェインジェクト、ダフクリアの拡販に加えて、第11次中期経営計画中に上市が見込まれる高カリウム血症治療剤ZG−801の投入などにより、国内医療用医薬品市場におけるプレゼンスを確保する。コンシューマーヘルスケア事業では、コンドロイチン群やヘパリーゼ群などの主力製品群に加えて、ローヤルゼリー群、西洋ハーブ群、化粧品群など多くの製品群において市場拡大を図る。
 
■上場維持基準適合に向けた計画書
 
 なお23年3月31日時点で流通株式比率がプライム市場の上場維持基準に適合しない状況となったため、23年6月29日付で上場維持基準への適合に向けた計画を策定・公表した。
 
 基本方針としてステークホルダーの期待に応えて持続的な企業価値の向上を図るとともに、流通株式比率を引き上げるために株主との対話による保有目的の確認や資本政策(自己株式消却など)など各種取組を総合的に検討し、25年3月末までに上場維持基準の適合を目指すとしている。
 
■24年3月期3Q累計大幅増益で通期利益予想を超過達成
 
 24年3月期の連結業績予想は売上高が23年3月期比6.8%増の730億円、営業利益が0.9%増の91億円、経常利益が18.7%増の90億円、親会社株主帰属当期純利益が13.0%増の70億円としている。配当予想は23年3月期比4円増配の44円(第2四半期末22円、期末22円)としている。連続増配で予想配当性向は27.7%となる。
 
 第3四半期累計は、売上高が前年同期比12.0%増の579億19百万円、営業利益が11.0%増の94億90百万円、経常利益が35.7%増の94億44百万円、親会社株主帰属四半期純利益が40.8%増の84億23百万円だった。
 
 大幅増収増益だった。医療用医薬品事業、コンシューマーヘルスケア事業とも伸長し、費用増加を吸収した。営業外費用では為替差損が14億85百万円減少した。前年同期は急激なスイスフラン高の影響で為替差損を16億28百万円計上したが、当期は期中の為替変動が緩やかだったため為替差損の計上が比較的少額だった。また特別利益には契約解除損失引当金戻入額9億55百万円を計上した。
 
 医療用医薬品事業は売上高が15.8%増の375億48百万円で、営業利益(全社費用等調整前)が11.4%増の89億52百万円だった。潰瘍性大腸炎治療剤アサコールは国内が薬価改定の影響で苦戦したが、海外市場において高用量製剤アサコール1600mgを中心に伸長した。クロストリジウム・ディフィシル感染症治療剤ディフィクリアは、海外市場において営業リソースを積極投入して売上拡大した。国内においても23年4月にアステラス製薬から製造販売承認を承継(国内販売名ダフクリア)し、製品普及を推進している。炎症性腸疾患(IBD)治療剤エントコート(国内販売名ゼンタコート)は、海外の一部の国における後発医薬品の上市の影響を受けて苦戦した。フェインジェクトについては産婦人科・消化器科領域を中心に市場構築を推進している。
 
 主要製品の売上高は、アサコールが8.0%増の158億82百万円、ディフィクリアが63.4%増の100億92百万円、エントコートが8.3%減の39億10百万円、アコファイドが0.5%増の23億84百万円、その他が7.4%増の52億78百万円だった。
 
 コンシューマーヘルスケア事業は売上高が5.6%増の202億55百万円で、営業利益が4.4%増の41億84百万円だった。行動規制緩和や人流回復により医薬品ヘパリーゼ群・コンビニエンスストア向けヘパリーゼW群とも売上が拡大した。コンドロイチン群も積極的な広告宣伝投資の効果で好調だった。23年4月に第2類医薬品に移行した月経前症候群(PMS)治療薬プレフェミンをはじめとする西洋ハープ群、歯周病・口臭対策用薬用歯みがきマスデント群も伸長した。
 
 主要製品の売上高は、ヘパリーゼ群が13.0%増の87億73百万円、コンドロイチン群が5.8%増の44億52百万円、ウィズワン群が1.0%増の9億72百万円、その他が3.0%減の60億56百万円だった。
 
 その他(保険代理業・不動産賃貸収入)は、売上高が2.3%増の1億15百万円で、営業利益が5.2%増の1億88百万円だった。
 
 全社ベースの業績を四半期別に見ると、第1四半期は売上高183億04百万円、営業利益29億70百万円、経常利益33億55百万円、第2四半期は売上高183億74百万円、営業利益23億57百万円、経常利益21億40百万円、第3四半期は売上高212億41百万円、営業利益41億63百万円、経常利益39億49百万円だった。第3四半期は売上高、営業利益、経常利益とも大幅伸長した。
 
 通期の連結業績予想は据え置いている。医療用医薬品事業は海外市場におけるアサコールやディフィクリアの伸長で増収、コンシューマーヘルスケア事業はヘパリーゼ群やコンドロイチンの売上増加などで増収を見込んでいる。利益面は営業利益が研究開発費の増加などを考慮して微増益、経常利益と親会社株主帰属当期純利益が2桁増益予想としている。
 
 第3四半期累計の進捗率は売上高79%、営業利益104%、経常利益105%、親会社株主帰属当期純利益120%で、各利益は通期予想を超過達成している。不透明感を考慮して通期会社予想を据え置いているが上振れの可能性が高く、さらに25年3月期も積極的な事業展開で収益拡大基調だろう。
 
■株主優待は年2回、9月末と3月末の株主対象
 
 株主優待制度は毎年9月末および3月末現在の株主を対象として、保有株式数に応じて自社グループ商品を贈呈(詳細は会社HP参照)している。なお23年9月末対象より株主優待品コース内容を変更した。
 
■株価は調整一巡
 
 株価は戻り高値圏から反落の形となったが調整一巡感を強めている。出直りを期待したい。3月14日の終値は2124円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS158円80銭で算出)は約13倍、今期予想配当利回り(会社予想の44円で算出)は約2.1%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS1484円79銭で算出)は約1.4倍、そして時価総額は約1128億円である。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media−IR
 
[02月26日更新]

ゼリア新薬工業は上値試す、24年3月期3Q累計大幅増益で通期上振れの可能性

 ゼリア新薬工業<4559>(東証プライム)は消化器分野が中心の医療用医薬品事業、および一般用医薬品のコンシューマーヘルスケア事業を展開している。第11次中期経営計画では、好調な欧州事業に加えてアジア地域での事業展開も推進する方針としている。また国内では医療用医薬品市場におけるプレゼンスの確保や、コンシューマーヘルスケア事業の拡大を推進している。24年3月期第3四半期累計は大幅増収増益だった。医療用医薬品事業、コンシューマーヘルスケア事業とも伸長し、費用増加を吸収した。営業外での為替差損減少なども寄与した。そして通期利益予想を超過達成した。不透明感を考慮して通期会社予想を据え置いているが上振れの可能性が高く、積極的な事業展開で収益拡大基調だろう。株価は戻り一服の形だが、大きく下押す動きも見られず下値を順調に切り上げている。調整一巡して上値を試す展開を期待したい。

■医療用医薬品事業とコンシューマーヘルスケア事業を展開

 消化器分野が中心の医療用医薬品事業、および一般用医薬品のコンシューマーヘルスケア事業を展開している。収益面では薬価改定、ライセンス収入・ロイヤリティ収入、研究開発費、広告宣伝費などの影響を受けやすい。

 23年3月期のセグメント別売上高は医療用医薬品事業が431億45百万円、コンシューマーヘルスケア事業が250億85百万円、その他(保険代理業・不動産賃貸収入)が1億52百万円だった。地域別裏下高構成比は日本が53%、イギリスが11%、欧州が29%、その他が7%だった。

■医療用医薬品事業は潰瘍性大腸炎治療剤アサコールなどが主力

 医療用医薬品事業は、潰瘍性大腸炎治療剤アサコールを主力として、炎症性腸疾患治療剤Entocort(エントコート、国内販売名ゼンタコート)や、機能性ディスペプシア治療剤アコファイドなども拡大している。20年9月に国内で販売開始した鉄欠乏性貧血治療剤フェインジェクトについては、消化器科・産婦人科を中心に市場構築を推進している。

 また、アステラス製薬の英国子会社が欧州を中心に販売しているクロストリジウム・ディフィシル感染症治療剤ディフィクリア錠(英名DIFICLIR)については、20年11月に欧州、中東、アフリカおよび独立国家共同体(CIS)における製造販売承認を承継する資産譲渡契約を締結し、21年6月に欧州テリトリーでの製造販売権承継をほぼ完了した。残る地域についても順次承継予定である。

 23年4月には、アステラス製薬が日本において製造販売しているクロストリジウム・ディフィシルによる感染性腸炎治療剤「ダフクリア錠200mg」(一般名:フィダキソマイシン、以下:ダフクリア)について製造販売承認を継承した。

 23年3月期の主要製品の売上高は、アサコールが22年3月期比11.6%増の195億11百万円、ディフィクリアが60.2%増の83億45百万円、エントコートが27.0%増の56億88百万円、アコファイドが1.4%減の31億08百万円、その他が2.9%減の64億91百万円だった。アコファイドについては、アステラス製薬<4503>との日本での共同販促を21年3月で終了し、21年4月以降は単独プロモーションに切り替えている。

 海外展開については、アサコールは欧州を中心に高用量製剤の販売国数を拡大中である。競合する高用量製剤の処方獲得を目指してプロモーションを展開している。またイタリアのMenariniグループの中国現地法人に独占的販売権を供与して、中国で21年5月販売開始した。

 アコファイドについては、Meiji Seika ファルマとタイおよびインドネシアにおける独占的開発・販売ライセンス契約、スペインのFAES社とラテンアメリカにおける独占的開発・販売ライセンス契約を締結している。

 子会社のTillotts Pharma(ティロッツ社、スイス)は、アストラゼネカ社からエントコートの米国を除く全世界における権利を取得(国内ではゼンタコートカプセルとして販売)し、アサコールとともに海外での拡販を推進している。また20年11月に、アステラス製薬の英国子会社からクロストリジウム・ディフィシル感染症治療剤ディフィクリア錠(英名DIFICLIR)の欧州、中東、アフリカおよび独立国家共同体(CIS)における製造販売承認を承継し、販売を拡大している。

■コンシューマーヘルスケア事業はヘパリーゼ群などが主力

 コンシューマーヘルスケア事業はヘパリーゼ群、コンドロイチン群、ウィズワン群を主力として、日本で初めて月経前症候群の効能を取得した西洋ハーブ・ダイレクトOTC医薬品プレフェミン、連結子会社イオナ インターナショナルの「イオナ」ブランド化粧品なども全国の薬局・薬店・ドラッグストアなどに販売している。

 23年3月期の主要製品の売上高はヘパリーゼ群が22年3月期比26.7%増の98億48百万円、コンドロイチン群が5.6%増の54億21百万円、ウィズワン群が6.8%減の12億66百万円、その他(殺菌消毒薬など)が5.5%増の85億48百万円だった。

 事業拡大に向けて、西洋ハーブ群の開発・育成、ヘパリーゼ群およびコンドロイチン群に続く新規主力製品の開発・育成、既存製品(OTC医薬品プレバリン群、オーラルケアのマスデント群やイオナ化粧品など)の育成を推進している。20年4月にはヘパリーゼ群の主原料である肝臓加水分解物の安定調達とコンシューマーヘルスケア事業拡大を目的として、日水製薬<4550>から日水製薬医薬品販売の全株式を譲り受けて子会社化(現社名:健創製薬)した。

 西洋ハーブ関連では21年12月に、軽度の静脈還流障害による足のむくみを改善する内服薬「ベルフェミン」(要指導医薬品)を発売した。欧州において下肢の静脈疾患(慢性静脈不全症)の治療に伝統的に使用されてきたセイヨウトチノキ種子の乾燥エキスを主成分としている。

 22年3月には過敏性腸症候群(IBS)改善薬「コルペルミン」(要指導医薬品)を発売した。ペパーミントのオイルを有効成分とする医薬品である。ティロッツ社が開発し、1981年の英国での発売以降、スイスやドイツをはじめ十数ヶ国でIBSの諸症状を改善する一般用医薬品として販売されている。国内で実施された過敏性腸症候群患者を対象とした臨床試験において有効性と安全性が確認された。

 23年11月には、湿疹・皮膚炎に優れた効果を示すアンテドラッグステロイドを配合した「プレバリンαクイック」シリーズ(指定第2類医薬品)を、全国の薬局およびドラッグストアにて発売開始した。

■消化器分野を最重点領域として新薬開発を推進

 消化器分野を最重点領域と位置付けて新薬開発を推進している。新薬パイプラインの状況(24年2月1日現在)は以下の通りである。

 高カリウム血症を適応症とするZG−801(ビフォーファーマ社から導入、パチロマーソルビテクスカルシウム)については、日本において承認申請中である。米国では15年12月販売開始し、欧州では17年7月EMA(欧州医薬品庁)から承認取得している。

 Z−338(自社品、一般名アコチアミド)は、日本では小児機能性ディスペプシアを適応症として第3相段階、低活動膀胱を適応症(開発コードZG−802)として第2相段階、食道胃接合部通過障害を適応症として第2相(九州大学で医師主導治験)段階、欧州では機能性ディスペプシアを適応症として第3相段階である。なお九州大学における医師主導治験は日本医療研究開発機構(AMED)の助成事業に採択されている。

 Z−338の海外導出では、Faes Farmaが機能性ディスペプシアを適応症としてメキシコで23年10月に発売開始、ホンジュラス、ドミニカ共和国、エクアドル、チリ、エルサルバドル、ペルーで承認取得、コロンビア、コスタリカ、グアテマラ、パナマ、ニカラグアにおいて承認申請中である。また、Meiji Seikaファルマが機能性ディスペプシアを適応症としてタイで承認取得、Pharmaceutical Joint Stock Company of February 3rdが機能性ディスペプシアを適応症としてベトナムにおいて承認申請中である。

 なお23年7月には、子会社のTillotts Pharmaが世界的ベンチャーキャピタル大手TVMと共同で、潰瘍性大腸炎に対する経口抗体療法開発を目的として、米国のバイオベンチャーMage Bioに対して最大28百万USドル出資した。

■好調な欧州事業に加えてアジア地域での事業展開も推進

 第11次中期経営計画(24年3月期〜26年3月期)では経営目標値に、最終年度26年3月期連結売上高900億円、海外売上比率50%以上を掲げている。

 重点戦略としては、欧州地域における継続的な市場形成(アサコール、ディフィクリア)に加えて、アジア地域への展開(ゼリア新薬工業の輸出拡大、ベトナムFTファーマの新工場建設や東南アジア近隣諸国への輸出拡大)を推進する。また国内の医療用医薬品事業では、自社創薬品であるアコファイド、フェインジェクト、ダフクリアの拡販に加えて、第11次中期経営計画中に上市が見込まれる高カリウム血症治療剤ZG−801の投入などにより、国内医療用医薬品市場におけるプレゼンスを確保する。コンシューマーヘルスケア事業では、コンドロイチン群やヘパリーゼ群などの主力製品群に加えて、ローヤルゼリー群、西洋ハーブ群、化粧品群など多くの製品群において市場拡大を図る。

■上場維持基準適合に向けた計画書

 なお23年3月31日時点で流通株式比率がプライム市場の上場維持基準に適合しない状況となったため、23年6月29日付で上場維持基準への適合に向けた計画を策定・公表した。

 基本方針としてステークホルダーの期待に応えて持続的な企業価値の向上を図るとともに、流通株式比率を引き上げるために株主との対話による保有目的の確認や資本政策(自己株式消却など)など各種取組を総合的に検討し、25年3月末までに上場維持基準の適合を目指すとしている。

■24年3月期3Q累計大幅増益で通期利益予想を超過達成

 24年3月期の連結業績予想は売上高が23年3月期比6.8%増の730億円、営業利益が0.9%増の91億円、経常利益が18.7%増の90億円、親会社株主帰属当期純利益が13.0%増の70億円としている。配当予想は23年3月期比4円増配の44円(第2四半期末22円、期末22円)としている。連続増配で予想配当性向は27.7%となる。

 第3四半期累計は、売上高が前年同期比12.0%増の579億19百万円、営業利益が11.0%増の94億90百万円、経常利益が35.7%増の94億44百万円、親会社株主帰属四半期純利益が40.8%増の84億23百万円だった。

 大幅増収増益だった。医療用医薬品事業、コンシューマーヘルスケア事業とも伸長し、費用増加を吸収した。営業外費用では為替差損が14億85百万円減少した。前年同期は急激なスイスフラン高の影響で為替差損を16億28百万円計上したが、当期は期中の為替変動が緩やかだったため為替差損の計上が比較的少額だった。また特別利益には契約解除損失引当金戻入額9億55百万円を計上した。

 医療用医薬品事業は売上高が15.8%増の375億48百万円で、営業利益(全社費用等調整前)が11.4%増の89億52百万円だった。潰瘍性大腸炎治療剤アサコールは国内が薬価改定の影響で苦戦したが、海外市場において高用量製剤アサコール1600mgを中心に伸長した。クロストリジウム・ディフィシル感染症治療剤ディフィクリアは、海外市場において営業リソースを積極投入して売上拡大した。国内においても23年4月にアステラス製薬から製造販売承認を承継(国内販売名ダフクリア)し、製品普及を推進している。炎症性腸疾患(IBD)治療剤エントコート(国内販売名ゼンタコート)は、海外の一部の国における後発医薬品の上市の影響を受けて苦戦した。フェインジェクトについては産婦人科・消化器科領域を中心に市場構築を推進している。

 主要製品の売上高は、アサコールが8.0%増の158億82百万円、ディフィクリアが63.4%増の100億92百万円、エントコートが8.3%減の39億10百万円、アコファイドが0.5%増の23億84百万円、その他が7.4%増の52億78百万円だった。

 コンシューマーヘルスケア事業は売上高が5.6%増の202億55百万円で、営業利益が4.4%増の41億84百万円だった。行動規制緩和や人流回復により医薬品ヘパリーゼ群・コンビニエンスストア向けヘパリーゼW群とも売上が拡大した。コンドロイチン群も積極的な広告宣伝投資の効果で好調だった。23年4月に第2類医薬品に移行した月経前症候群(PMS)治療薬プレフェミンをはじめとする西洋ハープ群、歯周病・口臭対策用薬用歯みがきマスデント群も伸長した。

 主要製品の売上高は、ヘパリーゼ群が13.0%増の87億73百万円、コンドロイチン群が5.8%増の44億52百万円、ウィズワン群が1.0%増の9億72百万円、その他が3.0%減の60億56百万円だった。

 その他(保険代理業・不動産賃貸収入)は、売上高が2.3%増の1億15百万円で、営業利益が5.2%増の1億88百万円だった。

 全社ベースの業績を四半期別に見ると、第1四半期は売上高183億04百万円、営業利益29億70百万円、経常利益33億55百万円、第2四半期は売上高183億74百万円、営業利益23億57百万円、経常利益21億40百万円、第3四半期は売上高212億41百万円、営業利益41億63百万円、経常利益39億49百万円だった。第3四半期は売上高、営業利益、経常利益とも大幅伸長した。

 通期の連結業績予想は据え置いている。医療用医薬品事業は海外市場におけるアサコールやディフィクリアの伸長で増収、コンシューマーヘルスケア事業はヘパリーゼ群やコンドロイチンの売上増加などで増収を見込んでいる。利益面は営業利益が研究開発費の増加などを考慮して微増益、経常利益と親会社株主帰属当期純利益が2桁増益予想としている。

 第3四半期累計の進捗率は売上高79%、営業利益104%、経常利益105%、親会社株主帰属当期純利益120%で、各利益は通期予想を超過達成している。不透明感を考慮して通期会社予想を据え置いているが上振れの可能性が高く、積極的な事業展開で収益拡大基調だろう。

■株主優待は年2回、9月末と3月末の株主対象

 株主優待制度は毎年9月末および3月末現在の株主を対象として、保有株式数に応じて自社グループ商品を贈呈(詳細は会社HP参照)している。なお23年9月末対象より株主優待品コース内容を変更した。

■株価は戻り試す

 株価は戻り一服の形だが、大きく下押す動きも見られず下値を順調に切り上げている。調整一巡して上値を試す展開を期待したい。2月22日の終値は2149円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS158円80銭で算出)は約14倍、今期予想配当利回り(会社予想の44円で算出)は約2.0%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS1484円79銭で算出)は約1.4倍、時価総額は約1142億円である。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media−IR
[01月26日更新]

ゼリア新薬工業は戻り試す、24年3月期は上振れの可能性

 ゼリア新薬工業<4559>(東証プライム)は消化器分野が中心の医療用医薬品事業、および一般用医薬品のコンシューマーヘルスケア事業を展開している。第11次中期経営計画では、好調な欧州事業に加えて、アジア地域での事業展開も推進する方針としている。また国内では、医療用医薬品市場におけるプレゼンスの確保や、コンシューマーヘルスケア事業の拡大を推進している。24年3月期は増収増益予想としている。第2四半期累計の利益進捗率が高水準であることなどを勘案すれば、通期会社予想は上振れの可能性があり、積極的な事業展開で収益拡大基調だろう。株価は23年11月の昨年来安値圏をボトムとして下値を切り上げている。調整一巡して戻りを試す展開を期待したい。

■医療用医薬品事業とコンシューマーヘルスケア事業を展開

 消化器分野が中心の医療用医薬品事業、および一般用医薬品のコンシューマーヘルスケア事業を展開している。収益面では薬価改定、ライセンス収入・ロイヤリティ収入、研究開発費、広告宣伝費などの影響を受けやすい。

 23年3月期は医療用医薬品事業の売上高が22年3月期比16.6%増の431億45百万円で営業利益(全社費用等調整前)が26.2%増の87億21百万円、コンシューマーヘルスケア事業の売上高が12.1%増の250億85百万円で営業利益が23.1%増の49億70百万円、その他(保険代理業・不動産賃貸収入)の売上高が2.8%減の1億52百万円で営業利益が7.2%減の2億42百万円だった。地域別売上高は日本53%、イギリス11%、欧州29%、その他7%だった。

■医療用医薬品事業は潰瘍性大腸炎治療剤アサコールなどが主力

 医療用医薬品事業は、潰瘍性大腸炎治療剤アサコールを主力として、炎症性腸疾患治療剤Entocort(エントコート、国内販売名ゼンタコート)や、機能性ディスペプシア治療剤アコファイドなども拡大している。20年9月に国内で販売開始した鉄欠乏性貧血治療剤フェインジェクトについては、消化器科・産婦人科を中心に市場構築を推進している。

 また、アステラス製薬の英国子会社が欧州を中心に販売しているクロストリジウム・ディフィシル感染症治療剤ディフィクリア錠(英名DIFICLIR)については、20年11月に欧州、中東、アフリカおよび独立国家共同体(CIS)における製造販売承認を承継する資産譲渡契約を締結し、21年6月に欧州テリトリーでの製造販売権承継をほぼ完了した。残る地域についても順次承継予定である。

 23年4月には、アステラス製薬が日本において製造販売しているクロストリジウム・ディフィシルによる感染性腸炎治療剤「ダフクリア錠200mg」(一般名:フィダキソマイシン、以下:ダフクリア)について製造販売承認を継承した。

 23年3月期の主要製品の売上高は、アサコールが22年3月期比11.6%増の195億11百万円、ディフィクリアが60.2%増の83億45百万円、エントコートが27.0%増の56億88百万円、アコファイドが1.4%減の31億08百万円、その他が2.9%減の64億91百万円だった。アコファイドについては、アステラス製薬<4503>との日本での共同販促を21年3月で終了し、21年4月以降は単独プロモーションに切り替えている。

 海外展開については、アサコールは欧州を中心に高用量製剤の販売国数を拡大中である。競合する高用量製剤の処方獲得を目指してプロモーションを展開している。またイタリアのMenariniグループの中国現地法人に独占的販売権を供与して、中国で21年5月販売開始した。

 アコファイドについては、Meiji Seika ファルマとタイおよびインドネシアにおける独占的開発・販売ライセンス契約、スペインのFAES社とラテンアメリカにおける独占的開発・販売ライセンス契約を締結している。

 子会社のTillotts Pharma(ティロッツ社、スイス)は、アストラゼネカ社からエントコートの米国を除く全世界における権利を取得(国内ではゼンタコートカプセルとして販売)し、アサコールとともに海外での拡販を推進している。また20年11月に、アステラス製薬の英国子会社からクロストリジウム・ディフィシル感染症治療剤ディフィクリア錠(英名DIFICLIR)の欧州、中東、アフリカおよび独立国家共同体(CIS)における製造販売承認を承継し、販売を拡大している。

■コンシューマーヘルスケア事業はヘパリーゼ群などが主力

 コンシューマーヘルスケア事業はヘパリーゼ群、コンドロイチン群、ウィズワン群を主力として、日本で初めて月経前症候群の効能を取得した西洋ハーブ・ダイレクトOTC医薬品プレフェミン、連結子会社イオナ インターナショナルの「イオナ」ブランド化粧品なども全国の薬局・薬店・ドラッグストアなどに販売している。

 23年3月期の主要製品の売上高はヘパリーゼ群が22年3月期比26.7%増の98億48百万円、コンドロイチン群が5.6%増の54億21百万円、ウィズワン群が6.8%減の12億66百万円、その他(殺菌消毒薬など)が5.5%増の85億48百万円だった。

 事業拡大に向けて、西洋ハーブ群の開発・育成、ヘパリーゼ群およびコンドロイチン群に続く新規主力製品の開発・育成、既存製品(OTC医薬品プレバリン群、オーラルケアのマスデント群やイオナ化粧品など)の育成を推進している。20年4月にはヘパリーゼ群の主原料である肝臓加水分解物の安定調達とコンシューマーヘルスケア事業拡大を目的として、日水製薬<4550>から日水製薬医薬品販売の全株式を譲り受けて子会社化(現社名:健創製薬)した。

 西洋ハーブ関連では21年12月に、軽度の静脈還流障害による足のむくみを改善する内服薬「ベルフェミン」(要指導医薬品)を発売した。欧州において下肢の静脈疾患(慢性静脈不全症)の治療に伝統的に使用されてきたセイヨウトチノキ種子の乾燥エキスを主成分としている。

 22年3月には過敏性腸症候群(IBS)改善薬「コルペルミン」(要指導医薬品)を発売した。ペパーミントのオイルを有効成分とする医薬品である。ティロッツ社が開発し、1981年の英国での発売以降、スイスやドイツをはじめ十数ヶ国でIBSの諸症状を改善する一般用医薬品として販売されている。国内で実施された過敏性腸症候群患者を対象とした臨床試験において有効性と安全性が確認された。

 23年11月には、湿疹・皮膚炎に優れた効果を示すアンテドラッグステロイドを配合した「プレバリンαクイック」シリーズ(指定第2類医薬品)を、全国の薬局およびドラッグストアにて発売開始した。

■消化器分野を最重点領域として新薬開発を推進

 消化器分野を最重点領域と位置付けて新薬開発を推進している。新薬パイプラインの状況(23年11月1日現在)は以下の通りである。

 高カリウム血症を適応症とするZG−801(ビフォーファーマ社から導入、パチロマーソルビテクスカルシウム)については、日本において承認申請中である。米国では15年12月販売開始し、欧州では17年7月EMA(欧州医薬品庁)から承認取得している。

 Z−338(自社品、一般名アコチアミド)は、日本では小児機能性ディスペプシアを適応症として第3相段階、低活動膀胱を適応症(開発コードZG−802)として第2相段階、食道胃接合部通過障害を適応症として第2相(九州大学で医師主導治験)段階、欧州では機能性ディスペプシアを適応症として第3相段階である。なお九州大学における医師主導治験は日本医療研究開発機構(AMED)の助成事業に採択されている。

 Z−338の海外導出では、Faes Farmaが機能性ディスペプシアを適応症として23年10月にメキシコで発売開始、ホンジュラス、ドミニカ共和国、エクアドル、チリ、エルサルバドル、ペルーで承認取得、コロンビア、コスタリカ、グアテマラ、パナマ、ニカラグアにおいて承認申請中である。また、Meiji Seikaファルマが機能性ディスペプシアを適応症としてタイで承認取得し、Pharmaceutical Joint Stock Company of February 3rdが機能性ディスペプシアを適応症としてベトナムにおいて承認申請中である。

 なお23年7月には、子会社のTillotts Pharmaが世界的ベンチャーキャピタル大手TVMと共同で、潰瘍性大腸炎に対する経口抗体療法開発を目的として、米国のバイオベンチャーMage Bioに対して最大28百万USドル出資した。

■好調な欧州事業に加えてアジア地域での事業展開も推進

 第11次中期経営計画(24年3月期〜26年3月期)では経営目標値に、最終年度26年3月期連結売上高900億円、海外売上比率50%以上を掲げている。

 重点戦略としては、欧州地域における継続的な市場形成(アサコール、ディフィクリア)に加えて、アジア地域への展開(ゼリア新薬工業の輸出拡大、ベトナムFTファーマの新工場建設や東南アジア近隣諸国への輸出拡大)を推進する。また国内の医療用医薬品事業では、自社創薬品であるアコファイド、フェインジェクト、ダフクリアの拡販に加えて、第11次中期経営計画中に上市が見込まれる高カリウム血症治療剤ZG−801の投入などにより、国内医療用医薬品市場におけるプレゼンスを確保する。コンシューマーヘルスケア事業では、コンドロイチン群やヘパリーゼ群などの主力製品群に加えて、ローヤルゼリー群、西洋ハーブ群、化粧品群など多くの製品群において市場拡大を図る。

■上場維持基準適合に向けた計画書

 なお23年3月31日時点で流通株式比率がプライム市場の上場維持基準に適合しない状況となったため、23年6月29日付で上場維持基準への適合に向けた計画を策定・公表した。

 基本方針としてステークホルダーの期待に応えて持続的な企業価値の向上を図るとともに、流通株式比率を引き上げるために株主との対話による保有目的の確認や資本政策(自己株式消却など)など各種取組を総合的に検討し、25年3月末までに上場維持基準の適合を目指すとしている。

■24年3月期増収増益予想、さらに上振れの可能性

 24年3月期の連結業績予想は売上高が23年3月期比6.8%増の730億円、営業利益が0.9%増の91億円、経常利益が18.7%増の90億円、親会社株主帰属当期純利益が13.0%増の70億円としている。配当予想は23年3月期比4円増配の44円(第2四半期末22円、期末22円)としている。連続増配で予想配当性向は27.7%となる。

 第2四半期累計は売上高が前年同期比8.8%増の366億78百万円、営業利益が9.6%減の53億27百万円、経常利益が6.1%増の54億95百万円、親会社株主帰属四半期純利益が35.0%増の53億96百万円だった。

 売上面は医療用医薬品事業の海外の好調が牽引し、コンシューマーヘルスケア事業も回復基調となって増収だった。営業利益はイギリスの医薬品価格規制制度の一部見直しによる経費の増加に加えて、販売促進費や減価償却費などの増加の影響により減益だった。経常利益は営業外における為替差損益の改善(前年同期は急激なスイスフラン高の影響で為替差損7億48百万円計上、当期は為替差益1百万円計上)により増益だった。親会社株主帰属四半期純利益は特別利益(契約解除損失引当金戻入額9億23百万円)の計上も寄与して大幅増益だった。

 医療用医薬品事業は、売上高が11.1%増の239億円、営業利益(全社費用等調整前)が10.4%減の52億57百万円だった。売上面は、潰瘍性大腸炎治療剤アサコールは国内が薬価改定の影響で苦戦したが、海外市場において高用量製剤アサコール1600mgを中心に伸長した。クロストリジウム・ディフィシル感染症治療剤ディフィクリアは海外市場において営業リソースを積極投入して売上拡大した。国内においても23年4月にアステラス製薬から製造販売承認を承継(国内販売名ダフクリア)し、製品普及を推進している。炎症性腸疾患(IBD)治療剤エントコート(国内販売名ゼンタコート)は、海外の一部の国における後発医薬品の上市の影響を受けて苦戦した。フェインジェクトについては産婦人科・消化器科領域を中心に市場構築を推進している。

 主要製品の売上高は、アサコールが2.2%増の100億97百万円、ディフィクリアが68.0%増の65億45百万円、エントコートが16.6%減の24億47百万円、アコファイドが1.3%減の15億22百万円、その他が1.1%増の32億87百万円だった。

 コンシューマーヘルスケア事業は、売上高が4.7%増の127億円、営業利益が2.9%増の25億26百万円だった。コロナ禍の影響が和らいでヘパリーゼ群の売上が医薬品ヘパリーゼ群・コンビニエンスストア向けヘパリーゼW群とも回復基調となり、コンドロイチン群も積極的な広告宣伝投資の効果で好調だった。23年4月に第2類医薬品に移行した月経前症候群(PMS)治療薬プレフェミンをはじめとする西洋ハープ群、歯周病・口臭対策用薬用歯みがきマスデント群も伸長した。

 主要製品の売上高は、ヘパリーゼ群が10.5%増の51億90百万円、コンドロイチン群が8.7%増の28億62百万円、ウィズワン群が1.3%減の6億12百万円、その他が3.4%減の40億34百万円だった。

 その他(保険代理業・不動産賃貸収入)は売上高が1.9%増の77百万円、営業利益が6.6%増の1億24百万円だった。

 四半期別に見ると、第1四半期は売上高183億04百万円、営業利益29億70百万円、経常利益33億55百万円、第2四半期は売上高183億74百万円、営業利益23億57百万円、経常利益21億40百万円だった。

 通期の連結業績予想は据え置いている。医療用医薬品事業は海外市場におけるアサコールやディフィクリアの伸長で増収、コンシューマーヘルスケア事業はヘパリーゼ群やコンドロイチンの売上増加などで増収を見込んでいる。利益面は、研究開発費の増加などを考慮して営業利益が微増益だが、経常利益と親会社株主帰属当期純利益は2桁増益予想としている。

 第2四半期累計の進捗率は売上高50%、営業利益59%、経常利益61%、親会社株主帰属当期純利益77%である。不透明感を考慮して通期会社予想を据え置いているが、第2四半期累計の利益進捗率が高水準であることなどを勘案すれば、通期会社予想は上振れの可能性があり、積極的な事業展開で収益拡大基調だろう。

■株主優待は年2回、9月末と3月末の株主対象

 株主優待制度は毎年9月末および3月末現在の株主を対象として、保有株式数に応じて自社グループ商品を贈呈(詳細は会社HP参照)している。なお23年9月末対象より株主優待品コース内容を変更した。

■株価は戻り試す

 株価は23年11月の昨年来安値圏をボトムとして下値を切り上げている。週足チャートで見ると13週移動平均線が上向きに転じてきた。底打ちを確認した形だ。調整一巡して戻りを試す展開を期待したい。1月25日の終値は2033円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS158円80銭で算出)は約13倍、今期予想配当利回り(会社予想の44円で算出)は約2.2%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS1484円79銭で算出)は約1.4倍、そして時価総額は約1080億円である。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media−IR
[01月04日更新]

ゼリア新薬工業は反発の動き、24年3月期は上振れの可能性

 ゼリア新薬工業<4559>(東証プライム)は消化器分野が中心の医療用医薬品事業、および一般用医薬品のコンシューマーヘルスケア事業を展開している。第11次中期経営計画では、好調な欧州事業に加えて、アジア地域での事業展開も推進する方針としている。また国内では、医療用医薬品市場におけるプレゼンスの確保や、コンシューマーヘルスケア事業の拡大を推進している。24年3月期は増収増益予想としている。第2四半期累計の利益進捗率が高水準であることなどを勘案すれば、通期会社予想は上振れの可能性があり、積極的な事業展開で収益拡大基調だろう。株価は11月の安値圏から下値を切り上げて反発の動きを強めている。週足チャートで見ると13週移動平均線を回復した。出直りを期待したい。

■医療用医薬品事業とコンシューマーヘルスケア事業を展開

 消化器分野が中心の医療用医薬品事業、および一般用医薬品のコンシューマーヘルスケア事業を展開している。収益面では薬価改定、ライセンス収入・ロイヤリティ収入、研究開発費、広告宣伝費などの影響を受けやすい。

 23年3月期は医療用医薬品事業の売上高が22年3月期比16.6%増の431億45百万円で営業利益(全社費用等調整前)が26.2%増の87億21百万円、コンシューマーヘルスケア事業の売上高が12.1%増の250億85百万円で営業利益が23.1%増の49億70百万円、その他(保険代理業・不動産賃貸収入)の売上高が2.8%減の1億52百万円で営業利益が7.2%減の2億42百万円だった。地域別売上高は日本53%、イギリス11%、欧州29%、その他7%だった。

■医療用医薬品事業は潰瘍性大腸炎治療剤アサコールなどが主力

 医療用医薬品事業は、潰瘍性大腸炎治療剤アサコールを主力として、炎症性腸疾患治療剤Entocort(エントコート、国内販売名ゼンタコート)や、機能性ディスペプシア治療剤アコファイドなども拡大している。20年9月に国内で販売開始した鉄欠乏性貧血治療剤フェインジェクトについては、消化器科・産婦人科を中心に市場構築を推進している。

 また、アステラス製薬の英国子会社が欧州を中心に販売しているクロストリジウム・ディフィシル感染症治療剤ディフィクリア錠(英名DIFICLIR)については、20年11月に欧州、中東、アフリカおよび独立国家共同体(CIS)における製造販売承認を承継する資産譲渡契約を締結し、21年6月に欧州テリトリーでの製造販売権承継をほぼ完了した。残る地域についても順次承継予定である。

 23年4月には、アステラス製薬が日本において製造販売しているクロストリジウム・ディフィシルによる感染性腸炎治療剤「ダフクリア錠200mg」(一般名:フィダキソマイシン、以下:ダフクリア)について製造販売承認を継承した。

 23年3月期の主要製品の売上高は、アサコールが22年3月期比11.6%増の195億11百万円、ディフィクリアが60.2%増の83億45百万円、エントコートが27.0%増の56億88百万円、アコファイドが1.4%減の31億08百万円、その他が2.9%減の64億91百万円だった。アコファイドについては、アステラス製薬<4503>との日本での共同販促を21年3月で終了し、21年4月以降は単独プロモーションに切り替えている。

 海外展開については、アサコールは欧州を中心に高用量製剤の販売国数を拡大中である。競合する高用量製剤の処方獲得を目指してプロモーションを展開している。またイタリアのMenariniグループの中国現地法人に独占的販売権を供与して、中国で21年5月販売開始した。

 アコファイドについては、Meiji Seika ファルマとタイおよびインドネシアにおける独占的開発・販売ライセンス契約、スペインのFAES社とラテンアメリカにおける独占的開発・販売ライセンス契約を締結している。

 子会社のTillotts Pharma(ティロッツ社、スイス)は、アストラゼネカ社からエントコートの米国を除く全世界における権利を取得(国内ではゼンタコートカプセルとして販売)し、アサコールとともに海外での拡販を推進している。また20年11月に、アステラス製薬の英国子会社からクロストリジウム・ディフィシル感染症治療剤ディフィクリア錠(英名DIFICLIR)の欧州、中東、アフリカおよび独立国家共同体(CIS)における製造販売承認を承継し、販売を拡大している。

■コンシューマーヘルスケア事業はヘパリーゼ群などが主力

 コンシューマーヘルスケア事業はヘパリーゼ群、コンドロイチン群、ウィズワン群を主力として、日本で初めて月経前症候群の効能を取得した西洋ハーブ・ダイレクトOTC医薬品プレフェミン、連結子会社イオナ インターナショナルの「イオナ」ブランド化粧品なども全国の薬局・薬店・ドラッグストアなどに販売している。

 23年3月期の主要製品の売上高はヘパリーゼ群が22年3月期比26.7%増の98億48百万円、コンドロイチン群が5.6%増の54億21百万円、ウィズワン群が6.8%減の12億66百万円、その他(殺菌消毒薬など)が5.5%増の85億48百万円だった。

 事業拡大に向けて、西洋ハーブ群の開発・育成、ヘパリーゼ群およびコンドロイチン群に続く新規主力製品の開発・育成、既存製品(OTC医薬品プレバリン群、オーラルケアのマスデント群やイオナ化粧品など)の育成を推進している。20年4月にはヘパリーゼ群の主原料である肝臓加水分解物の安定調達とコンシューマーヘルスケア事業拡大を目的として、日水製薬<4550>から日水製薬医薬品販売の全株式を譲り受けて子会社化(現社名:健創製薬)した。

 西洋ハーブ関連では21年12月に、軽度の静脈還流障害による足のむくみを改善する内服薬「ベルフェミン」(要指導医薬品)を発売した。欧州において下肢の静脈疾患(慢性静脈不全症)の治療に伝統的に使用されてきたセイヨウトチノキ種子の乾燥エキスを主成分としている。

 22年3月には過敏性腸症候群(IBS)改善薬「コルペルミン」(要指導医薬品)を発売した。ペパーミントのオイルを有効成分とする医薬品である。ティロッツ社が開発し、1981年の英国での発売以降、スイスやドイツをはじめ十数ヶ国でIBSの諸症状を改善する一般用医薬品として販売されている。国内で実施された過敏性腸症候群患者を対象とした臨床試験において有効性と安全性が確認された。

 23年11月には、湿疹・皮膚炎に優れた効果を示すアンテドラッグステロイドを配合した「プレバリンαクイック」シリーズ(指定第2類医薬品)を、全国の薬局およびドラッグストアにて発売開始した。

■消化器分野を最重点領域として新薬開発を推進

 消化器分野を最重点領域と位置付けて新薬開発を推進している。新薬パイプラインの状況(23年11月1日現在)は以下の通りである。

 高カリウム血症を適応症とするZG−801(ビフォーファーマ社から導入、パチロマーソルビテクスカルシウム)については、日本において承認申請中である。米国では15年12月販売開始し、欧州では17年7月EMA(欧州医薬品庁)から承認取得している。

 Z−338(自社品、一般名アコチアミド)は、日本では小児機能性ディスペプシアを適応症として第3相段階、低活動膀胱を適応症(開発コードZG−802)として第2相段階、食道胃接合部通過障害を適応症として第2相(九州大学で医師主導治験)段階、欧州では機能性ディスペプシアを適応症として第3相段階である。なお九州大学における医師主導治験は日本医療研究開発機構(AMED)の助成事業に採択されている。

 Z−338の海外導出では、Faes Farmaが機能性ディスペプシアを適応症として23年10月にメキシコで発売開始、ホンジュラス、ドミニカ共和国、エクアドル、チリ、エルサルバドル、ペルーで承認取得、コロンビア、コスタリカ、グアテマラ、パナマ、ニカラグアにおいて承認申請中である。また、Meiji Seikaファルマが機能性ディスペプシアを適応症としてタイで承認取得し、Pharmaceutical Joint Stock Company of February 3rdが機能性ディスペプシアを適応症としてベトナムにおいて承認申請中である。

 なお23年7月には、子会社のTillotts Pharmaが世界的ベンチャーキャピタル大手TVMと共同で、潰瘍性大腸炎に対する経口抗体療法開発を目的として、米国のバイオベンチャーMage Bioに対して最大28百万USドル出資した。

■好調な欧州事業に加えてアジア地域での事業展開も推進

 第11次中期経営計画(24年3月期〜26年3月期)では経営目標値に、最終年度26年3月期連結売上高900億円、海外売上比率50%以上を掲げている。

 重点戦略としては、欧州地域における継続的な市場形成(アサコール、ディフィクリア)に加えて、アジア地域への展開(ゼリア新薬工業の輸出拡大、ベトナムFTファーマの新工場建設や東南アジア近隣諸国への輸出拡大)を推進する。また国内の医療用医薬品事業では、自社創薬品であるアコファイド、フェインジェクト、ダフクリアの拡販に加えて、第11次中期経営計画中に上市が見込まれる高カリウム血症治療剤ZG−801の投入などにより、国内医療用医薬品市場におけるプレゼンスを確保する。コンシューマーヘルスケア事業では、コンドロイチン群やヘパリーゼ群などの主力製品群に加えて、ローヤルゼリー群、西洋ハーブ群、化粧品群など多くの製品群において市場拡大を図る。

■上場維持基準適合に向けた計画書

 なお23年3月31日時点で流通株式比率がプライム市場の上場維持基準に適合しない状況となったため、23年6月29日付で上場維持基準への適合に向けた計画を策定・公表した。

 基本方針としてステークホルダーの期待に応えて持続的な企業価値の向上を図るとともに、流通株式比率を引き上げるために株主との対話による保有目的の確認や資本政策(自己株式消却など)など各種取組を総合的に検討し、25年3月末までに上場維持基準の適合を目指すとしている。

■24年3月期増収増益予想、さらに上振れの可能性

 24年3月期の連結業績予想は売上高が23年3月期比6.8%増の730億円、営業利益が0.9%増の91億円、経常利益が18.7%増の90億円、親会社株主帰属当期純利益が13.0%増の70億円としている。配当予想は23年3月期比4円増配の44円(第2四半期末22円、期末22円)としている。連続増配で予想配当性向は27.7%となる。

 第2四半期累計は売上高が前年同期比8.8%増の366億78百万円、営業利益が9.6%減の53億27百万円、経常利益が6.1%増の54億95百万円、親会社株主帰属四半期純利益が35.0%増の53億96百万円だった。

 売上面は医療用医薬品事業の海外の好調が牽引し、コンシューマーヘルスケア事業も回復基調となって増収だった。営業利益はイギリスの医薬品価格規制制度の一部見直しによる経費の増加に加えて、販売促進費や減価償却費などの増加の影響により減益だった。経常利益は営業外における為替差損益の改善(前年同期は急激なスイスフラン高の影響で為替差損7億48百万円計上、当期は為替差益1百万円計上)により増益だった。親会社株主帰属四半期純利益は特別利益(契約解除損失引当金戻入額9億23百万円)の計上も寄与して大幅増益だった。

 医療用医薬品事業は、売上高が11.1%増の239億円、営業利益(全社費用等調整前)が10.4%減の52億57百万円だった。売上面は、潰瘍性大腸炎治療剤アサコールは国内が薬価改定の影響で苦戦したが、海外市場において高用量製剤アサコール1600mgを中心に伸長した。クロストリジウム・ディフィシル感染症治療剤ディフィクリアは海外市場において営業リソースを積極投入して売上拡大した。国内においても23年4月にアステラス製薬から製造販売承認を承継(国内販売名ダフクリア)し、製品普及を推進している。炎症性腸疾患(IBD)治療剤エントコート(国内販売名ゼンタコート)は、海外の一部の国における後発医薬品の上市の影響を受けて苦戦した。フェインジェクトについては産婦人科・消化器科領域を中心に市場構築を推進している。

 主要製品の売上高は、アサコールが2.2%増の100億97百万円、ディフィクリアが68.0%増の65億45百万円、エントコートが16.6%減の24億47百万円、アコファイドが1.3%減の15億22百万円、その他が1.1%増の32億87百万円だった。

 コンシューマーヘルスケア事業は、売上高が4.7%増の127億円、営業利益が2.9%増の25億26百万円だった。コロナ禍の影響が和らいでヘパリーゼ群の売上が医薬品ヘパリーゼ群・コンビニエンスストア向けヘパリーゼW群とも回復基調となり、コンドロイチン群も積極的な広告宣伝投資の効果で好調だった。23年4月に第2類医薬品に移行した月経前症候群(PMS)治療薬プレフェミンをはじめとする西洋ハープ群、歯周病・口臭対策用薬用歯みがきマスデント群も伸長した。

 主要製品の売上高は、ヘパリーゼ群が10.5%増の51億90百万円、コンドロイチン群が8.7%増の28億62百万円、ウィズワン群が1.3%減の6億12百万円、その他が3.4%減の40億34百万円だった。

 その他(保険代理業・不動産賃貸収入)は売上高が1.9%増の77百万円、営業利益が6.6%増の1億24百万円だった。

 四半期別に見ると、第1四半期は売上高183億04百万円、営業利益29億70百万円、経常利益33億55百万円、第2四半期は売上高183億74百万円、営業利益23億57百万円、経常利益21億40百万円だった。

 通期の連結業績予想は据え置いている。医療用医薬品事業は海外市場におけるアサコールやディフィクリアの伸長で増収、コンシューマーヘルスケア事業はヘパリーゼ群やコンドロイチンの売上増加などで増収を見込んでいる。利益面は、研究開発費の増加などを考慮して営業利益が微増益だが、経常利益と親会社株主帰属当期純利益は2桁増益予想としている。

 第2四半期累計の進捗率は売上高50%、営業利益59%、経常利益61%、親会社株主帰属当期純利益77%である。不透明感を考慮して通期会社予想を据え置いているが、第2四半期累計の利益進捗率が高水準であることなどを勘案すれば、通期会社予想は上振れの可能性があり、積極的な事業展開で収益拡大基調だろう。

■株主優待は年2回、9月末と3月末の株主対象

 株主優待制度は毎年9月末および3月末現在の株主を対象として、保有株式数に応じて自社グループ商品を贈呈(詳細は会社HP参照)している。なお23年9月末対象より株主優待品コース内容を変更した。

■株価は反発の動き

 株価は11月の安値圏から下値を切り上げて反発の動きを強めている。週足チャートで見ると13週移動平均線を回復した。出直りを期待したい。12月29日の終値は2017円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS158円80銭で算出)は約13倍、今期予想配当利回り(会社予想の44円で算出)は約2.2%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS1484円79銭で算出)は約1.4倍、そして時価総額は約1071億円である。情報提供:日本インタビュ新聞社=Media−IR
[12月19日更新]

ゼリア新薬工業は調整一巡、24年3月期は上振れの可能性

 ゼリア新薬工業<4559>(東証プライム)は消化器分野が中心の医療用医薬品事業、および一般用医薬品のコンシューマーヘルスケア事業を展開している。第11次中期経営計画では、好調な欧州事業に加えて、アジア地域での事業展開も推進する方針としている。24年3月期は増収増益予想としている。第2四半期累計は営業利益が販売促進費や減価償却費の増加などで減益だったが、経常利益が為替差損益の改善で増益、親会社株主帰属四半期純利益が特別利益計上も寄与して大幅増益だった。第2四半期累計の利益進捗率が高水準であることなどを勘案すれば、通期会社予想は上振れの可能性があり、積極的な事業展開で収益拡大基調だろう。株価は地合いも影響して戻り一服の形となったが、調整一巡して出直りを期待したい。

■医療用医薬品事業とコンシューマーヘルスケア事業を展開

 消化器分野が中心の医療用医薬品事業、および一般用医薬品のコンシューマーヘルスケア事業を展開している。収益面では薬価改定、ライセンス収入・ロイヤリティ収入、研究開発費、広告宣伝費などの影響を受けやすい。

 23年3月期は医療用医薬品事業の売上高が22年3月期比16.6%増の431億45百万円で営業利益(全社費用等調整前)が26.2%増の87億21百万円、コンシューマーヘルスケア事業の売上高が12.1%増の250億85百万円で営業利益が23.1%増の49億70百万円、その他(保険代理業・不動産賃貸収入)の売上高が2.8%減の1億52百万円で営業利益が7.2%減の2億42百万円だった。地域別売上高は日本53%、イギリス11%、欧州29%、その他7%だった。

■医療用医薬品事業は潰瘍性大腸炎治療剤アサコールなどが主力

 医療用医薬品事業は、潰瘍性大腸炎治療剤アサコールを主力として、炎症性腸疾患治療剤Entocort(エントコート、国内販売名ゼンタコート)や、機能性ディスペプシア治療剤アコファイドなども拡大している。20年9月に国内で販売開始した鉄欠乏性貧血治療剤フェインジェクトについては、消化器科・産婦人科を中心に市場構築を推進している。

 また、アステラス製薬の英国子会社が欧州を中心に販売しているクロストリジウム・ディフィシル感染症治療剤ディフィクリア錠(英名DIFICLIR)については、20年11月に欧州、中東、アフリカおよび独立国家共同体(CIS)における製造販売承認を承継する資産譲渡契約を締結し、21年6月に欧州テリトリーでの製造販売権承継をほぼ完了した。残る地域についても順次承継予定である。

 23年4月には、アステラス製薬が日本において製造販売しているクロストリジウム・ディフィシルによる感染性腸炎治療剤「ダフクリア錠200mg」(一般名:フィダキソマイシン、以下:ダフクリア)について製造販売承認を継承した。

 23年3月期の主要製品の売上高は、アサコールが22年3月期比11.6%増の195億11百万円、ディフィクリアが60.2%増の83億45百万円、エントコートが27.0%増の56億88百万円、アコファイドが1.4%減の31億08百万円、その他が2.9%減の64億91百万円だった。アコファイドについては、アステラス製薬<4503>との日本での共同販促を21年3月で終了し、21年4月以降は単独プロモーションに切り替えている。

 海外展開については、アサコールは欧州を中心に高用量製剤の販売国数を拡大中である。競合する高用量製剤の処方獲得を目指してプロモーションを展開している。またイタリアのMenariniグループの中国現地法人に独占的販売権を供与して、中国で21年5月販売開始した。

 アコファイドについては、Meiji Seika ファルマとタイおよびインドネシアにおける独占的開発・販売ライセンス契約、スペインのFAES社とラテンアメリカにおける独占的開発・販売ライセンス契約を締結している。

 子会社のTillotts Pharma(ティロッツ社、スイス)は、アストラゼネカ社からエントコートの米国を除く全世界における権利を取得(国内ではゼンタコートカプセルとして販売)し、アサコールとともに海外での拡販を推進している。また20年11月に、アステラス製薬の英国子会社からクロストリジウム・ディフィシル感染症治療剤ディフィクリア錠(英名DIFICLIR)の欧州、中東、アフリカおよび独立国家共同体(CIS)における製造販売承認を承継し、販売を拡大している。

■コンシューマーヘルスケア事業はヘパリーゼ群などが主力

 コンシューマーヘルスケア事業はヘパリーゼ群、コンドロイチン群、ウィズワン群を主力として、日本で初めて月経前症候群の効能を取得した西洋ハーブ・ダイレクトOTC医薬品プレフェミン、連結子会社イオナ インターナショナルの「イオナ」ブランド化粧品なども全国の薬局・薬店・ドラッグストアなどに販売している。

 23年3月期の主要製品の売上高はヘパリーゼ群が22年3月期比26.7%増の98億48百万円、コンドロイチン群が5.6%増の54億21百万円、ウィズワン群が6.8%減の12億66百万円、その他(殺菌消毒薬など)が5.5%増の85億48百万円だった。

 事業拡大に向けて、西洋ハーブ群の開発・育成、ヘパリーゼ群およびコンドロイチン群に続く新規主力製品の開発・育成、既存製品(OTC医薬品プレバリン群、オーラルケアのマスデント群やイオナ化粧品など)の育成を推進している。20年4月にはヘパリーゼ群の主原料である肝臓加水分解物の安定調達とコンシューマーヘルスケア事業拡大を目的として、日水製薬<4550>から日水製薬医薬品販売の全株式を譲り受けて子会社化(現社名:健創製薬)した。

 西洋ハーブ関連では21年12月に、軽度の静脈還流障害による足のむくみを改善する内服薬「ベルフェミン」(要指導医薬品)を発売した。欧州において下肢の静脈疾患(慢性静脈不全症)の治療に伝統的に使用されてきたセイヨウトチノキ種子の乾燥エキスを主成分としている。

 22年3月には過敏性腸症候群(IBS)改善薬「コルペルミン」(要指導医薬品)を発売した。ペパーミントのオイルを有効成分とする医薬品である。ティロッツ社が開発し、1981年の英国での発売以降、スイスやドイツをはじめ十数ヶ国でIBSの諸症状を改善する一般用医薬品として販売されている。国内で実施された過敏性腸症候群患者を対象とした臨床試験において有効性と安全性が確認された。

 23年11月には、湿疹・皮膚炎に優れた効果を示すアンテドラッグステロイドを配合した「プレバリンαクイック」シリーズ(指定第2類医薬品)を、全国の薬局およびドラッグストアにて発売開始した。

■消化器分野を最重点領域として新薬開発を推進

 消化器分野を最重点領域と位置付けて新薬開発を推進している。新薬パイプラインの状況(23年11月1日現在)は以下の通りである。

 高カリウム血症を適応症とするZG−801(ビフォーファーマ社から導入、パチロマーソルビテクスカルシウム)については、日本において承認申請中である。米国では15年12月販売開始し、欧州では17年7月EMA(欧州医薬品庁)から承認取得している。

 Z−338(自社品、一般名アコチアミド)は、日本では小児機能性ディスペプシアを適応症として第3相段階、低活動膀胱を適応症(開発コードZG−802)として第2相段階、食道胃接合部通過障害を適応症として第2相(九州大学で医師主導治験)段階、欧州では機能性ディスペプシアを適応症として第3相段階である。なお九州大学における医師主導治験は日本医療研究開発機構(AMED)の助成事業に採択されている。

 Z−338の海外導出では、Faes Farmaが機能性ディスペプシアを適応症として23年10月にメキシコで発売開始、ホンジュラス、ドミニカ共和国、エクアドル、チリ、エルサルバドル、ペルーで承認取得、コロンビア、コスタリカ、グアテマラ、パナマ、ニカラグアにおいて承認申請中である。また、Meiji Seikaファルマが機能性ディスペプシアを適応症としてタイで承認取得し、Pharmaceutical Joint Stock Company of February 3rdが機能性ディスペプシアを適応症としてベトナムにおいて承認申請中である。

 なお23年7月には、子会社のTillotts Pharmaが世界的ベンチャーキャピタル大手TVMと共同で、潰瘍性大腸炎に対する経口抗体療法開発を目的として、米国のバイオベンチャーMage Bioに対して最大28百万USドル出資した。

■好調な欧州事業に加えてアジア地域での事業展開も推進

 第11次中期経営計画(24年3月期〜26年3月期)では経営目標値に、最終年度26年3月期連結売上高900億円、海外売上比率50%以上を掲げている。

 重点戦略としては、欧州地域における継続的な市場形成(アサコール、ディフィクリア)に加えて、アジア地域への展開(ゼリア新薬工業の輸出拡大、ベトナムFTファーマの新工場建設や東南アジア近隣諸国への輸出拡大)を推進する。また国内の医療用医薬品事業では、自社創薬品であるアコファイド、フェインジェクト、ダフクリアの拡販に加えて、第11次中期経営計画中に上市が見込まれる高カリウム血症治療剤ZG−801の投入などにより、国内医療用医薬品市場におけるプレゼンスを確保する。コンシューマーヘルスケア事業では、コンドロイチン群やヘパリーゼ群などの主力製品群に加えて、ローヤルゼリー群、西洋ハーブ群、化粧品群など多くの製品群において市場拡大を図る。

■上場維持基準適合に向けた計画書

 なお23年3月31日時点で流通株式比率がプライム市場の上場維持基準に適合しない状況となったため、23年6月29日付で上場維持基準への適合に向けた計画を策定・公表した。

 基本方針としてステークホルダーの期待に応えて持続的な企業価値の向上を図るとともに、流通株式比率を引き上げるために株主との対話による保有目的の確認や資本政策(自己株式消却など)など各種取組を総合的に検討し、25年3月末までに上場維持基準の適合を目指すとしている。

■24年3月期増収増益予想、さらに上振れの可能性

 24年3月期の連結業績予想は売上高が23年3月期比6.8%増の730億円、営業利益が0.9%増の91億円、経常利益が18.7%増の90億円、親会社株主帰属当期純利益が13.0%増の70億円としている。配当予想は23年3月期比4円増配の44円(第2四半期末22円、期末22円)としている。連続増配で予想配当性向は27.7%となる。

 第2四半期累計は売上高が前年同期比8.8%増の366億78百万円、営業利益が9.6%減の53億27百万円、経常利益が6.1%増の54億95百万円、親会社株主帰属四半期純利益が35.0%増の53億96百万円だった。

 売上面は医療用医薬品事業の海外の好調が牽引し、コンシューマーヘルスケア事業も回復基調となって増収だった。営業利益はイギリスの医薬品価格規制制度の一部見直しによる経費の増加に加えて、販売促進費や減価償却費などの増加の影響により減益だった。経常利益は営業外における為替差損益の改善(前年同期は急激なスイスフラン高の影響で為替差損7億48百万円計上、当期は為替差益1百万円計上)により増益だった。親会社株主帰属四半期純利益は特別利益(契約解除損失引当金戻入額9億23百万円)の計上も寄与して大幅増益だった。

 医療用医薬品事業は、売上高が11.1%増の239億円、営業利益(全社費用等調整前)が10.4%減の52億57百万円だった。売上面は、潰瘍性大腸炎治療剤アサコールは国内が薬価改定の影響で苦戦したが、海外市場において高用量製剤アサコール1600mgを中心に伸長した。クロストリジウム・ディフィシル感染症治療剤ディフィクリアは海外市場において営業リソースを積極投入して売上拡大した。国内においても23年4月にアステラス製薬から製造販売承認を承継(国内販売名ダフクリア)し、製品普及を推進している。炎症性腸疾患(IBD)治療剤エントコート(国内販売名ゼンタコート)は、海外の一部の国における後発医薬品の上市の影響を受けて苦戦した。フェインジェクトについては産婦人科・消化器科領域を中心に市場構築を推進している。

 主要製品の売上高は、アサコールが2.2%増の100億97百万円、ディフィクリアが68.0%増の65億45百万円、エントコートが16.6%減の24億47百万円、アコファイドが1.3%減の15億22百万円、その他が1.1%増の32億87百万円だった。

 コンシューマーヘルスケア事業は、売上高が4.7%増の127億円、営業利益が2.9%増の25億26百万円だった。コロナ禍の影響が和らいでヘパリーゼ群の売上が医薬品ヘパリーゼ群・コンビニエンスストア向けヘパリーゼW群とも回復基調となり、コンドロイチン群も積極的な広告宣伝投資の効果で好調だった。23年4月に第2類医薬品に移行した月経前症候群(PMS)治療薬プレフェミンをはじめとする西洋ハープ群、歯周病・口臭対策用薬用歯みがきマスデント群も伸長した。

 主要製品の売上高は、ヘパリーゼ群が10.5%増の51億90百万円、コンドロイチン群が8.7%増の28億62百万円、ウィズワン群が1.3%減の6億12百万円、その他が3.4%減の40億34百万円だった。

 その他(保険代理業・不動産賃貸収入)は売上高が1.9%増の77百万円、営業利益が6.6%増の1億24百万円だった。

 四半期別に見ると、第1四半期は売上高183億04百万円、営業利益29億70百万円、経常利益33億55百万円、第2四半期は売上高183億74百万円、営業利益23億57百万円、経常利益21億40百万円だった。

 通期の連結業績予想は据え置いている。医療用医薬品事業は海外市場におけるアサコールやディフィクリアの伸長で増収、コンシューマーヘルスケア事業はヘパリーゼ群やコンドロイチンの売上増加などで増収を見込んでいる。利益面は、研究開発費の増加などを考慮して営業利益が微増益だが、経常利益と親会社株主帰属当期純利益は2桁増益予想としている。

 第2四半期累計の進捗率は売上高50%、営業利益59%、経常利益61%、親会社株主帰属当期純利益77%である。不透明感を考慮して通期会社予想を据え置いているが、第2四半期累計の利益進捗率が高水準であることなどを勘案すれば、通期会社予想は上振れの可能性があり、積極的な事業展開で収益拡大基調だろう。

■株主優待は年2回、9月末と3月末の株主対象

 株主優待制度は毎年9月末および3月末現在の株主を対象として、保有株式数に応じて自社グループ商品を贈呈(詳細は会社HP参照)している。なお9月4日付で株主優待品コース内容の変更を発表し、23年9月末対象から実施した。

■株価は調整一巡

 株価は地合いも影響して戻り一服の形となったが、ほぼ底値圏だろう。出直りを期待したい。12月18日の終値は1944円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS158円80銭で算出)は約12倍、今期予想配当利回り(会社予想の44円で算出)は約2.3%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS1484円79銭で算出)は約1.3倍、そして時価総額は約1033億円である。情報提供:日本インタビュ新聞社=Media−IR
[11月24日更新]

ゼリア新薬工業は売り一巡、24年3月期2Q累計最終大幅増益で通期上振れの可能性

 ゼリア新薬工業<4559>(東証プライム)は消化器分野が中心の医療用医薬品事業、および一般用医薬品のコンシューマーヘルスケア事業を展開している。第11次中期経営計画では、好調な欧州事業に加えて、アジア地域での事業展開も推進する方針としている。24年3月期第2四半期累計は、売上高が医療用医薬品事業の海外の好調などで増収、営業利益が販売促進費や減価償却費の増加などで減益、経常利益が為替差損益の改善で増益、親会社株主帰属四半期純利益が特別利益計上も寄与して大幅増益だった。そして通期の増収増益予想を据え置いた。第2四半期累計の利益進捗率が高水準であることなどを勘案すれば、通期会社予想は上振れの可能性があり、積極的な事業展開で収益拡大基調だろう。株価は年初来安値を更新する軟調展開だったが売り一巡感を強めている。出直りを期待したい。

■医療用医薬品事業とコンシューマーヘルスケア事業を展開

 消化器分野が中心の医療用医薬品事業、および一般用医薬品のコンシューマーヘルスケア事業を展開している。収益面では薬価改定、ライセンス収入・ロイヤリティ収入、研究開発費、広告宣伝費などの影響を受けやすい。

 23年3月期は医療用医薬品事業の売上高が22年3月期比16.6%増の431億45百万円で営業利益(全社費用等調整前)が26.2%増の87億21百万円、コンシューマーヘルスケア事業の売上高が12.1%増の250億85百万円で営業利益が23.1%増の49億70百万円、その他(保険代理業・不動産賃貸収入)の売上高が2.8%減の1億52百万円で営業利益が7.2%減の2億42百万円だった。地域別売上高は日本53%、イギリス11%、欧州29%、その他7%だった。

■医療用医薬品事業は潰瘍性大腸炎治療剤アサコールなどが主力

 医療用医薬品事業は、潰瘍性大腸炎治療剤アサコールを主力として、炎症性腸疾患治療剤Entocort(エントコート、国内販売名ゼンタコート)や、機能性ディスペプシア治療剤アコファイドなども拡大している。20年9月に国内で販売開始した鉄欠乏性貧血治療剤フェインジェクトについては、消化器科・産婦人科を中心に市場構築を推進している。

 また、アステラス製薬の英国子会社が欧州を中心に販売しているクロストリジウム・ディフィシル感染症治療剤ディフィクリア錠(英名DIFICLIR)については、20年11月に欧州、中東、アフリカおよび独立国家共同体(CIS)における製造販売承認を承継する資産譲渡契約を締結し、21年6月に欧州テリトリーでの製造販売権承継をほぼ完了した。残る地域についても順次承継予定である。

 23年4月には、アステラス製薬が日本において製造販売しているクロストリジウム・ディフィシルによる感染性腸炎治療剤「ダフクリア錠200mg」(一般名:フィダキソマイシン、以下:ダフクリア)について製造販売承認を継承した。

 23年3月期の主要製品の売上高は、アサコールが22年3月期比11.6%増の195億11百万円、ディフィクリアが60.2%増の83億45百万円、エントコートが27.0%増の56億88百万円、アコファイドが1.4%減の31億08百万円、その他が2.9%減の64億91百万円だった。アコファイドについては、アステラス製薬<4503>との日本での共同販促を21年3月で終了し、21年4月以降は単独プロモーションに切り替えている。

 海外展開については、アサコールは欧州を中心に高用量製剤の販売国数を拡大中である。競合する高用量製剤の処方獲得を目指してプロモーションを展開している。またイタリアのMenariniグループの中国現地法人に独占的販売権を供与して、中国で21年5月販売開始した。

 アコファイドについては、Meiji Seika ファルマとタイおよびインドネシアにおける独占的開発・販売ライセンス契約、スペインのFAES社とラテンアメリカにおける独占的開発・販売ライセンス契約を締結している。

 子会社のTillotts Pharma(ティロッツ社、スイス)は、アストラゼネカ社からエントコートの米国を除く全世界における権利を取得(国内ではゼンタコートカプセルとして販売)し、アサコールとともに海外での拡販を推進している。また20年11月に、アステラス製薬の英国子会社からクロストリジウム・ディフィシル感染症治療剤ディフィクリア錠(英名DIFICLIR)の欧州、中東、アフリカおよび独立国家共同体(CIS)における製造販売承認を承継し、販売を拡大している。

■コンシューマーヘルスケア事業はヘパリーゼ群などが主力

 コンシューマーヘルスケア事業はヘパリーゼ群、コンドロイチン群、ウィズワン群を主力として、日本で初めて月経前症候群の効能を取得した西洋ハーブ・ダイレクトOTC医薬品プレフェミン、連結子会社イオナ インターナショナルの「イオナ」ブランド化粧品なども全国の薬局・薬店・ドラッグストアなどに販売している。

 23年3月期の主要製品の売上高はヘパリーゼ群が22年3月期比26.7%増の98億48百万円、コンドロイチン群が5.6%増の54億21百万円、ウィズワン群が6.8%減の12億66百万円、その他(殺菌消毒薬など)が5.5%増の85億48百万円だった。

 事業拡大に向けて、西洋ハーブ群の開発・育成、ヘパリーゼ群およびコンドロイチン群に続く新規主力製品の開発・育成、既存製品(OTC医薬品プレバリン群、オーラルケアのマスデント群やイオナ化粧品など)の育成を推進している。20年4月にはヘパリーゼ群の主原料である肝臓加水分解物の安定調達とコンシューマーヘルスケア事業拡大を目的として、日水製薬<4550>から日水製薬医薬品販売の全株式を譲り受けて子会社化(現社名:健創製薬)した。

 西洋ハーブ関連では21年12月に、軽度の静脈還流障害による足のむくみを改善する内服薬「ベルフェミン」(要指導医薬品)を発売した。欧州において下肢の静脈疾患(慢性静脈不全症)の治療に伝統的に使用されてきたセイヨウトチノキ種子の乾燥エキスを主成分としている。

 22年3月には過敏性腸症候群(IBS)改善薬「コルペルミン」(要指導医薬品)を発売した。ペパーミントのオイルを有効成分とする医薬品である。ティロッツ社が開発し、1981年の英国での発売以降、スイスやドイツをはじめ十数ヶ国でIBSの諸症状を改善する一般用医薬品として販売されている。国内で実施された過敏性腸症候群患者を対象とした臨床試験において有効性と安全性が確認された。

 23年11月には、湿疹・皮膚炎に優れた効果を示すアンテドラッグステロイドを配合した「プレバリンαクイック」シリーズ(指定第2類医薬品)を、全国の薬局およびドラッグストアにて発売開始した。

■消化器分野を最重点領域として新薬開発を推進

 消化器分野を最重点領域と位置付けて新薬開発を推進している。新薬パイプラインの状況(23年11月1日現在)は以下の通りである。

 高カリウム血症を適応症とするZG−801(ビフォーファーマ社から導入、パチロマーソルビテクスカルシウム)については、日本において承認申請中である。米国では15年12月販売開始し、欧州では17年7月EMA(欧州医薬品庁)から承認取得している。

 Z−338(自社品、一般名アコチアミド)は、日本では小児機能性ディスペプシアを適応症として第3相段階、低活動膀胱を適応症(開発コードZG−802)として第2相段階、食道胃接合部通過障害を適応症として第2相(九州大学で医師主導治験)段階、欧州では機能性ディスペプシアを適応症として第3相段階である。なお九州大学における医師主導治験は日本医療研究開発機構(AMED)の助成事業に採択されている。

 Z−338の海外導出では、Faes Farmaが機能性ディスペプシアを適応症として23年10月にメキシコで発売開始、ホンジュラス、ドミニカ共和国、エクアドル、チリ、エルサルバドル、ペルーで承認取得、コロンビア、コスタリカ、グアテマラ、パナマ、ニカラグアにおいて承認申請中である。また、Meiji Seikaファルマが機能性ディスペプシアを適応症としてタイで承認取得し、Pharmaceutical Joint Stock Company of February 3rdが機能性ディスペプシアを適応症としてベトナムにおいて承認申請中である。

 なお23年7月には、子会社のTillotts Pharmaが世界的ベンチャーキャピタル大手TVMと共同で、潰瘍性大腸炎に対する経口抗体療法開発を目的として、米国のバイオベンチャーMage Bioに対して最大28百万USドル出資した。

■好調な欧州事業に加えてアジア地域での事業展開も推進

 第11次中期経営計画(24年3月期〜26年3月期)では経営目標値に、最終年度26年3月期連結売上高900億円、海外売上比率50%以上を掲げている。

 重点戦略としては、欧州地域における継続的な市場形成(アサコール、ディフィクリア)に加えて、アジア地域への展開(ゼリア新薬工業の輸出拡大、ベトナムFTファーマの新工場建設や東南アジア近隣諸国への輸出拡大)を推進する。また国内の医療用医薬品事業では、自社創薬品であるアコファイド、フェインジェクト、ダフクリアの拡販に加えて、第11次中期経営計画中に上市が見込まれる高カリウム血症治療剤ZG−801の投入などにより、国内医療用医薬品市場におけるプレゼンスを確保する。コンシューマーヘルスケア事業では、コンドロイチン群やヘパリーゼ群などの主力製品群に加えて、ローヤルゼリー群、西洋ハーブ群、化粧品群など多くの製品群において市場拡大を図る。

■上場維持基準適合に向けた計画書

 なお23年3月31日時点で流通株式比率がプライム市場の上場維持基準に適合しない状況となったため、23年6月29日付で上場維持基準への適合に向けた計画を策定・公表した。

 基本方針としてステークホルダーの期待に応えて持続的な企業価値の向上を図るとともに、流通株式比率を引き上げるために株主との対話による保有目的の確認や資本政策(自己株式消却など)など各種取組を総合的に検討し、25年3月末までに上場維持基準の適合を目指すとしている。

■24年3月期2Q累計最終大幅増益、通期上振れの可能性

 24年3月期の連結業績予想は売上高が23年3月期比6.8%増の730億円、営業利益が0.9%増の91億円、経常利益が18.7%増の90億円、親会社株主帰属当期純利益が13.0%増の70億円としている。配当予想は23年3月期比4円増配の44円(第2四半期末22円、期末22円)としている。連続増配で予想配当性向は27.7%となる。

 第2四半期累計は売上高が前年同期比8.8%増の366億78百万円、営業利益が9.6%減の53億27百万円、経常利益が6.1%増の54億95百万円、親会社株主帰属四半期純利益が35.0%増の53億96百万円だった。

 売上面は医療用医薬品事業の海外の好調が牽引し、コンシューマーヘルスケア事業も回復基調となって増収だった。営業利益はイギリスの医薬品価格規制制度の一部見直しによる経費の増加に加えて、販売促進費や減価償却費などの増加の影響により減益だった。経常利益は営業外における為替差損益の改善(前年同期は急激なスイスフラン高の影響で為替差損7億48百万円計上、当期は為替差益1百万円計上)により増益だった。親会社株主帰属四半期純利益は特別利益(契約解除損失引当金戻入額9億23百万円)の計上も寄与して大幅増益だった。

 医療用医薬品事業は、売上高が11.1%増の239億円、営業利益(全社費用等調整前)が10.4%減の52億57百万円だった。売上面は、潰瘍性大腸炎治療剤アサコールは国内が薬価改定の影響で苦戦したが、海外市場において高用量製剤アサコール1600mgを中心に伸長した。クロストリジウム・ディフィシル感染症治療剤ディフィクリアは海外市場において営業リソースを積極投入して売上拡大した。国内においても23年4月にアステラス製薬から製造販売承認を承継(国内販売名ダフクリア)し、製品普及を推進している。炎症性腸疾患(IBD)治療剤エントコート(国内販売名ゼンタコート)は、海外の一部の国における後発医薬品の上市の影響を受けて苦戦した。フェインジェクトについては産婦人科・消化器科領域を中心に市場構築を推進している。

 主要製品の売上高は、アサコールが2.2%増の100億97百万円、ディフィクリアが68.0%増の65億45百万円、エントコートが16.6%減の24億47百万円、アコファイドが1.3%減の15億22百万円、その他が1.1%増の32億87百万円だった。

 コンシューマーヘルスケア事業は、売上高が4.7%増の127億円、営業利益が2.9%増の25億26百万円だった。コロナ禍の影響が和らいでヘパリーゼ群の売上が医薬品ヘパリーゼ群・コンビニエンスストア向けヘパリーゼW群とも回復基調となり、コンドロイチン群も積極的な広告宣伝投資の効果で好調だった。23年4月に第2類医薬品に移行した月経前症候群(PMS)治療薬プレフェミンをはじめとする西洋ハープ群、歯周病・口臭対策用薬用歯みがきマスデント群も伸長した。

 主要製品の売上高は、ヘパリーゼ群が10.5%増の51億90百万円、コンドロイチン群が8.7%増の28億62百万円、ウィズワン群が1.3%減の6億12百万円、その他が3.4%減の40億34百万円だった。

 その他(保険代理業・不動産賃貸収入)は売上高が1.9%増の77百万円、営業利益が6.6%増の1億24百万円だった。

 四半期別に見ると、第1四半期は売上高183億04百万円、営業利益29億70百万円、経常利益33億55百万円、第2四半期は売上高183億74百万円、営業利益23億57百万円、経常利益21億40百万円だった。

 通期の連結業績予想は据え置いている。医療用医薬品事業は海外市場におけるアサコールやディフィクリアの伸長で増収、コンシューマーヘルスケア事業はヘパリーゼ群やコンドロイチンの売上増加などで増収を見込んでいる。利益面は、研究開発費の増加などを考慮して営業利益が微増益だが、経常利益と親会社株主帰属当期純利益は2桁増益予想としている。

 第2四半期累計の進捗率は売上高50%、営業利益59%、経常利益61%、親会社株主帰属当期純利益77%である。不透明感を考慮して通期会社予想を据え置いているが、第2四半期累計の利益進捗率が高水準であることなどを勘案すれば、通期会社予想は上振れの可能性があり、積極的な事業展開で収益拡大基調だろう。

■株主優待は年2回、9月末と3月末の株主対象

 株主優待制度は毎年9月末および3月末現在の株主を対象として、保有株式数に応じて自社グループ商品を贈呈(詳細は会社HP参照)している。なお9月4日付で株主優待品コース内容の変更を発表し、23年9月末対象から実施した。

■株価は売り一巡

 株価はほぼ一本調子に水準を切り下げて年初来安値を更新する軟調展開だったが売り一巡感を強めている。出直りを期待したい。11月22日の終値は1953円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS158円80銭で算出)は約12倍、今期予想配当利回り(会社予想の44円で算出)は約2.3%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS1484円79銭で算出)は約1.3倍、時価総額は約1037億円である。情報提供:日本インタビュ新聞社=Media−IR
[10月27日更新]

ゼリア新薬工業は売られ過ぎ感、24年3月期経常・最終2桁増益予想、さらに上振れの可能性

 ゼリア新薬工業<4559>(東証プライム)は消化器分野が中心の医療用医薬品事業、および一般用医薬品のコンシューマーヘルスケア事業を展開している。第11次中期経営計画では、好調な欧州事業に加えて、アジア地域での事業展開も推進する方針としている。24年3月期は海外の好調が牽引して営業小幅増益、経常・最終2桁増益予想としている。第1四半期の利益進捗率が高水準だったことを勘案すれば、通期会社予想は上振れの可能性が高く、積極的な事業展開で収益拡大基調だろう。株価は地合い悪化の影響で年初来安値を更新する形となったが売られ過ぎ感を強めている。目先的な売りが一巡して出直りを期待したい。

■医療用医薬品事業とコンシューマーヘルスケア事業を展開

 消化器分野が中心の医療用医薬品事業、および一般用医薬品のコンシューマーヘルスケア事業を展開している。収益面では薬価改定、ライセンス収入・ロイヤリティ収入、研究開発費、広告宣伝費などの影響を受けやすい。

 23年3月期は医療用医薬品事業の売上高が22年3月期比16.6%増の431億45百万円で営業利益(全社費用等調整前)が26.2%増の87億21百万円、コンシューマーヘルスケア事業の売上高が12.1%増の250億85百万円で営業利益が23.1%増の49億70百万円、その他(保険代理業・不動産賃貸収入)の売上高が2.8%減の1億52百万円で営業利益が7.2%減の2億42百万円だった。地域別売上高は日本53%、イギリス11%、欧州29%、その他7%だった。

■医療用医薬品事業は潰瘍性大腸炎治療剤アサコールなどが主力

 医療用医薬品事業は、潰瘍性大腸炎治療剤アサコールを主力として、炎症性腸疾患治療剤Entocort(エントコート、国内販売名ゼンタコート)や、機能性ディスペプシア治療剤アコファイドなども拡大している。20年9月に国内で販売開始した鉄欠乏性貧血治療剤フェインジェクトについては、消化器科・産婦人科を中心に市場構築を推進している。

 また、アステラス製薬の英国子会社が欧州を中心に販売しているクロストリジウム・ディフィシル感染症治療剤ディフィクリア錠(英名DIFICLIR)については、20年11月に欧州、中東、アフリカおよび独立国家共同体(CIS)における製造販売承認を承継する資産譲渡契約を締結し、21年6月に欧州テリトリーでの製造販売権承継をほぼ完了した。残る地域についても順次承継予定である。

 23年4月には、アステラス製薬が日本において製造販売しているクロストリジウム・ディフィシルによる感染性腸炎治療剤「ダフクリア錠200mg」(一般名:フィダキソマイシン、以下:ダフクリア)について製造販売承認を継承した。

 23年3月期の主要製品の売上高は、アサコールが22年3月期比11.6%増の195億11百万円、ディフィクリアが60.2%増の83億45百万円、エントコートが27.0%増の56億88百万円、アコファイドが1.4%減の31億08百万円、その他が2.9%減の64億91百万円だった。アコファイドについては、アステラス製薬<4503>との日本での共同販促を21年3月で終了し、21年4月以降は単独プロモーションに切り替えている。

 海外展開については、アサコールは欧州を中心に高用量製剤の販売国数を拡大中である。競合する高用量製剤の処方獲得を目指してプロモーションを展開している。またイタリアのMenariniグループの中国現地法人に独占的販売権を供与して、中国で21年5月販売開始した。

 アコファイドについては、Meiji Seika ファルマとタイおよびインドネシアにおける独占的開発・販売ライセンス契約、スペインのFAES社とラテンアメリカにおける独占的開発・販売ライセンス契約を締結している。

 子会社のTillotts Pharma(ティロッツ社、スイス)は、アストラゼネカ社からエントコートの米国を除く全世界における権利を取得(国内ではゼンタコートカプセルとして販売)し、アサコールとともに海外での拡販を推進している。また20年11月に、アステラス製薬の英国子会社からクロストリジウム・ディフィシル感染症治療剤ディフィクリア錠(英名DIFICLIR)の欧州、中東、アフリカおよび独立国家共同体(CIS)における製造販売承認を承継し、販売を拡大している。

■コンシューマーヘルスケア事業はヘパリーゼ群などが主力

 コンシューマーヘルスケア事業はヘパリーゼ群、コンドロイチン群、ウィズワン群を主力として、日本で初めて月経前症候群の効能を取得した西洋ハーブ・ダイレクトOTC医薬品プレフェミン、連結子会社イオナ インターナショナルの「イオナ」ブランド化粧品なども全国の薬局・薬店・ドラッグストアなどに販売している。

 23年3月期の主要製品の売上高はヘパリーゼ群が22年3月期比26.7%増の98億48百万円、コンドロイチン群が5.6%増の54億21百万円、ウィズワン群が6.8%減の12億66百万円、その他(殺菌消毒薬など)が5.5%増の85億48百万円だった。

 事業拡大に向けて、西洋ハーブ群の開発・育成、ヘパリーゼ群およびコンドロイチン群に続く新規主力製品の開発・育成、既存製品(OTC医薬品プレバリン群、オーラルケアのマスデント群やイオナ化粧品など)の育成を推進している。20年4月にはヘパリーゼ群の主原料である肝臓加水分解物の安定調達とコンシューマーヘルスケア事業拡大を目的として、日水製薬<4550>から日水製薬医薬品販売の全株式を譲り受けて子会社化(現社名:健創製薬)した。

 西洋ハーブ関連では21年12月に、軽度の静脈還流障害による足のむくみを改善する内服薬「ベルフェミン」(要指導医薬品)を発売した。欧州において下肢の静脈疾患(慢性静脈不全症)の治療に伝統的に使用されてきたセイヨウトチノキ種子の乾燥エキスを主成分としている。22年3月には、過敏性腸症候群(IBS)改善薬「コルペルミン」(要指導医薬品)を発売した。ペパーミントのオイルを有効成分とする医薬品である。ティロッツ社によって開発され、1981年に英国で発売されて以降、スイスやドイツをはじめ十数ヶ国でIBSの諸症状を改善する一般用医薬品として販売されている。国内で実施された過敏性腸症候群患者を対象とした臨床試験において有効性と安全性が確認された。

■消化器分野を最重点領域として新薬開発を推進

 消化器分野を最重点領域と位置付けて新薬開発を推進している。新薬パイプラインの状況(23年8月3日現在)は以下の通りである。

 Z−338(自社品、一般名アコチアミド)は、日本では小児機能性ディスペプシアを適応症として第3相段階、低活動膀胱を適応症(開発コードZG−802)として第2相段階、食道胃接合部通過障害を適応症として第2相(九州大学で医師主導治験)段階、欧州では機能性ディスペプシアを適応症として第3相段階である。なお九州大学における医師主導治験は日本医療研究開発機構(AMED)の助成事業に採択されている。

 Z−338の海外導出では、Faes Farmaが機能性ディスペプシアを適応症としてメキシコ、ホンジュラス、ドミニカ共和国、エクアドル、チリで承認を取得し、コロンビア、ペルー、コスタリカ、グアテマラ、パナマ、ニカラグア、エルサルバドルにおいて承認申請中である。またMeiji Seikaファルマが機能性ディスペプシアを適応症としてタイにおいて承認取得、インドネシアにおいて承認申請中である。さらにPharmaceutical Joint Stock Company of February 3rdが機能性ディスペプシアを適応症としてベトナムにおいて承認申請中である。

 高カリウム血症を適応症とするZG−801(ビフォーファーマ社から導入、パチロマーソルビテクスカルシウム)については、日本において申請準備中である。米国では15年12月販売開始し、欧州では17年7月EMA(欧州医薬品庁)から承認取得している。

 なお23年7月には、子会社のTillotts Pharmaが世界的ベンチャーキャピタル大手TVMと共同で、潰瘍性大腸炎に対する経口抗体療法開発を目的として、米国のバイオベンチャーMage Bioに対して最大28百万USドル出資した。

■好調な欧州事業に加えてアジア地域での事業展開も推進

 第11次中期経営計画(24年3月期〜26年3月期)では経営目標値に、最終年度26年3月期連結売上高900億円、海外売上比率50%以上を掲げている。

 重点戦略としては、欧州地域における継続的な市場形成(アサコール、ディフィクリア)に加えて、アジア地域への展開(ゼリア新薬工業の輸出拡大、ベトナムFTファーマの新工場建設や東南アジア近隣諸国への輸出拡大)を推進する。また国内の医療用医薬品事業では、自社創薬品であるアコファイド、フェインジェクト、ダフクリアの拡販に加えて、第11次中期経営計画中に上市が見込まれる高カリウム血症治療剤ZG−801の投入などにより、国内医療用医薬品市場におけるプレゼンスを確保する。コンシューマーヘルスケア事業では、コンドロイチン群やヘパリーゼ群などの主力製品群に加えて、ローヤルゼリー群、西洋ハーブ群、化粧品群など多くの製品群において市場拡大を図る。

■上場維持基準適合に向けた計画書

 なお23年3月31日時点で流通株式比率がプライム市場の上場維持基準に適合しない状況となったため、23年6月29日付で上場維持基準への適合に向けた計画を策定・公表した。

 基本方針としてステークホルダーの期待に応えて持続的な企業価値の向上を図るとともに、流通株式比率を引き上げるために株主との対話による保有目的の確認や資本政策(自己株式消却など)など各種取組を総合的に検討し、25年3月末までに上場維持基準の適合を目指すとしている。

■24年3月期経常・最終2桁増益予想、さらに上振れの可能性

 24年3月期の連結業績予想は売上高が23年3月期比6.8%増の730億円、営業利益が0.9%増の91億円、経常利益が18.7%増の90億円、親会社株主帰属当期純利益が13.0%増の70億円としている。配当予想は23年3月期比4円増配の44円(第2四半期末22円、期末22円)としている。連続増配で予想配当性向は27.7%となる。

 第1四半期は、売上高が前年同期比12.3%増の183億04百万円、営業利益が0.2%減の29億70百万円、経常利益が12.8%増の33億55百万円、親会社株主帰属四半期純利益が12.1%増の29億15百万円だった。

 売上面は医療用医薬品事業の海外の好調が牽引し、コンシューマーヘルスケア事業も回復基調となって2桁増収だった。営業利益は販売促進費、研究開発費、減価償却費の増加などで微減益だったが、営業外における為替差損益の改善(前年同期はスイスフラン高の影響で為替差損1億03百万円計上、当期は為替差益1億64百万円計上)により、経常利益と親会社株主帰属四半期純利益は2桁増益だった。

 医療用医薬品事業は売上高が16.2%増の119億47百万円、セグメント利益(全社費用等調整前営業利益)が1.5%増の28億74百万円だった。潰瘍性大腸炎治療剤アサコールは国内が薬価改定の影響で苦戦したが、海外市場において高用量製剤アサコール1600mgを中心に伸長した。クロストリジウム・ディフィシル感染症治療剤ディフィクリアは海外市場において営業リソースを積極投入して売上拡大した。炎症性腸疾患(IBD)治療剤エントコート(国内販売名ゼンタコート)は、海外の一部の国における後発医薬品の上市の影響を受けて苦戦した。なお23年4月にアステラス製薬から製造販売承認を承継したダフクリアの販売を開始した。

 主要製品の売上高は、アサコールが7.4%増の51億89百万円、ディフィクリアが113.8%増の32億38百万円、エントコートが29.3%減の10億92百万円、アコファイドが0.4%減の7億70百万円、その他が2.6%増の16億56百万円だった。

 コンシューマーヘルスケア事業は売上高が5.5%増の63億17百万円、利益が1.5%増の13億67百万円だった。コロナ禍の影響が和らいでヘパリーゼ群、医薬品ヘパリーゼ群、コンビニエンスストア向けヘパリーゼW群が回復基調となった。コンドロイチン群も積極的な広告宣伝投資の効果で堅調だった。22年10月に販売開始した滋養強壮保健剤ハイゼリー顆粒EXについては、認知度向上や拡販に努めている。

 主要製品の売上高は、ヘパリーゼ群が9.5%増の25億57百万円、コンドロイチン群が5.9%増の14億07百万円、ウィズワン群が1.1%減の2億93百万円、その他(殺菌消毒薬など)が1.7%増の20億59百万円だった。

 その他(保険代理業・不動産賃貸収入)は売上高が6.5%増の38百万円、利益が10.9%増の64百万円だった。

 通期の連結業績予想は据え置いている。医療用医薬品事業は海外市場におけるアサコールやディフィクリアの伸長で増収、コンシューマーヘルスケア事業はヘパリーゼ群やコンドロイチンの売上増加などで増収を見込んでいる。利益面は、研究開発費の増加などを考慮して営業利益が小幅増益だが、経常利益と純利益は2桁増益予想としている。

 第1四半期の進捗率は売上高が25%、営業利益が33%、経常利益が37%、親会社株主帰属当期純利益が42%だった。第1四半期の利益進捗率が高水準だったことを勘案すれば、通期会社予想は上振れの可能性が高く、積極的な事業展開で収益拡大基調だろう。

■株主優待は年2回、9月末と3月末の株主対象

 株主優待制度は毎年9月末および3月末現在の株主を対象として、保有株式数に応じて自社グループ商品を贈呈(詳細は会社HP参照)している。なお9月4日付で株主優待品コース内容の変更を発表している。23年9月末対象から実施する。

■株価は売られ過ぎ感

 株価は地合い悪化の影響で年初来安値を更新する形となったが売られ過ぎ感を強めている。売り一巡して出直りを期待したい。10月26日の終値は1963円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS158円80銭で算出)は約12倍、今期予想配当利回り(会社予想の44円で算出)は約2.2%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS1484円79銭で算出)は約1.3倍、時価総額は約1043億円である。 (情報提供:日本インタビュ新聞社=Media−IR
[10月05日更新]

ゼリア新薬工業は売られ過ぎ感、24年3月期経常・最終2桁増益予想

 ゼリア新薬工業<4559>(東証プライム)は消化器分野が中心の医療用医薬品事業、および一般用医薬品のコンシューマーヘルスケア事業を展開している。第11次中期経営計画では、好調な欧州事業に加えて、アジア地域での事業展開も推進する方針としている。24年3月期は海外の好調が牽引して営業小幅増益、経常・最終2桁増益予想としている。第1四半期の利益進捗率が高水準だったことを勘案すれば、通期会社予想は上振れの可能性がありそうだ。積極的な事業展開で収益拡大基調だろう。株価は9月の戻り高値圏から反落し、さらに地合い悪化も影響して水準を切り下げる形となったが、売られ過ぎ感を強めている。目先的な売りが一巡して出直りを期待したい。

■医療用医薬品事業とコンシューマーヘルスケア事業を展開

 消化器分野が中心の医療用医薬品事業、および一般用医薬品のコンシューマーヘルスケア事業を展開している。収益面では薬価改定、ライセンス収入・ロイヤリティ収入、研究開発費、広告宣伝費などの影響を受けやすい。

 23年3月期は医療用医薬品事業の売上高が22年3月期比16.6%増の431億45百万円で営業利益(全社費用等調整前)が26.2%増の87億21百万円、コンシューマーヘルスケア事業の売上高が12.1%増の250億85百万円で営業利益が23.1%増の49億70百万円、その他(保険代理業・不動産賃貸収入)の売上高が2.8%減の1億52百万円で営業利益が7.2%減の2億42百万円だった。地域別売上高は日本53%、イギリス11%、欧州29%、その他7%だった。

■医療用医薬品事業は潰瘍性大腸炎治療剤アサコールなどが主力

 医療用医薬品事業は、潰瘍性大腸炎治療剤アサコールを主力として、炎症性腸疾患治療剤Entocort(エントコート、国内販売名ゼンタコート)や、機能性ディスペプシア治療剤アコファイドなども拡大している。20年9月に国内で販売開始した鉄欠乏性貧血治療剤フェインジェクトについては、消化器科・産婦人科を中心に市場構築を推進している。

 また、アステラス製薬の英国子会社が欧州を中心に販売しているクロストリジウム・ディフィシル感染症治療剤ディフィクリア錠(英名DIFICLIR)については、20年11月に欧州、中東、アフリカおよび独立国家共同体(CIS)における製造販売承認を承継する資産譲渡契約を締結し、21年6月に欧州テリトリーでの製造販売権承継をほぼ完了した。残る地域についても順次承継予定である。

 23年4月には、アステラス製薬が日本において製造販売しているクロストリジウム・ディフィシルによる感染性腸炎治療剤「ダフクリア錠200mg」(一般名:フィダキソマイシン、以下:ダフクリア)について製造販売承認を継承した。

 23年3月期の主要製品の売上高は、アサコールが22年3月期比11.6%増の195億11百万円、ディフィクリアが60.2%増の83億45百万円、エントコートが27.0%増の56億88百万円、アコファイドが1.4%減の31億08百万円、その他が2.9%減の64億91百万円だった。アコファイドについては、アステラス製薬<4503>との日本での共同販促を21年3月で終了し、21年4月以降は単独プロモーションに切り替えている。

 海外展開については、アサコールは欧州を中心に高用量製剤の販売国数を拡大中である。競合する高用量製剤の処方獲得を目指してプロモーションを展開している。またイタリアのMenariniグループの中国現地法人に独占的販売権を供与して、中国で21年5月販売開始した。

 アコファイドについては、Meiji Seika ファルマとタイおよびインドネシアにおける独占的開発・販売ライセンス契約、スペインのFAES社とラテンアメリカにおける独占的開発・販売ライセンス契約を締結している。

 子会社のTillotts Pharma(ティロッツ社、スイス)は、アストラゼネカ社からエントコートの米国を除く全世界における権利を取得(国内ではゼンタコートカプセルとして販売)し、アサコールとともに海外での拡販を推進している。また20年11月に、アステラス製薬の英国子会社からクロストリジウム・ディフィシル感染症治療剤ディフィクリア錠(英名DIFICLIR)の欧州、中東、アフリカおよび独立国家共同体(CIS)における製造販売承認を承継し、販売を拡大している。

■コンシューマーヘルスケア事業はヘパリーゼ群などが主力

 コンシューマーヘルスケア事業はヘパリーゼ群、コンドロイチン群、ウィズワン群を主力として、日本で初めて月経前症候群の効能を取得した西洋ハーブ・ダイレクトOTC医薬品プレフェミン、連結子会社イオナ インターナショナルの「イオナ」ブランド化粧品なども全国の薬局・薬店・ドラッグストアなどに販売している。

 23年3月期の主要製品の売上高はヘパリーゼ群が22年3月期比26.7%増の98億48百万円、コンドロイチン群が5.6%増の54億21百万円、ウィズワン群が6.8%減の12億66百万円、その他(殺菌消毒薬など)が5.5%増の85億48百万円だった。

 事業拡大に向けて、西洋ハーブ群の開発・育成、ヘパリーゼ群およびコンドロイチン群に続く新規主力製品の開発・育成、既存製品(OTC医薬品プレバリン群、オーラルケアのマスデント群やイオナ化粧品など)の育成を推進している。20年4月にはヘパリーゼ群の主原料である肝臓加水分解物の安定調達とコンシューマーヘルスケア事業拡大を目的として、日水製薬<4550>から日水製薬医薬品販売の全株式を譲り受けて子会社化(現社名:健創製薬)した。

 西洋ハーブ関連では21年12月に、軽度の静脈還流障害による足のむくみを改善する内服薬「ベルフェミン」(要指導医薬品)を発売した。欧州において下肢の静脈疾患(慢性静脈不全症)の治療に伝統的に使用されてきたセイヨウトチノキ種子の乾燥エキスを主成分としている。22年3月には、過敏性腸症候群(IBS)改善薬「コルペルミン」(要指導医薬品)を発売した。ペパーミントのオイルを有効成分とする医薬品である。ティロッツ社によって開発され、1981年に英国で発売されて以降、スイスやドイツをはじめ十数ヶ国でIBSの諸症状を改善する一般用医薬品として販売されている。国内で実施された過敏性腸症候群患者を対象とした臨床試験において有効性と安全性が確認された。

 22年8月にはオールシーズン使用可能な多機能除菌スプレー「マジックバリア除菌スプレー」(雑貨)を発売、22年10月にはローヤルゼリーを有効成分として配合した滋養強壮保健剤「ハイゼリー顆粒EX」(第3類医薬品)を発売した。

■消化器分野を最重点領域として新薬開発を推進

 消化器分野を最重点領域と位置付けて新薬開発を推進している。新薬パイプラインの状況(23年8月3日現在)は以下の通りである。

 Z−338(自社品、一般名アコチアミド)は、日本では小児機能性ディスペプシアを適応症として第3相段階、低活動膀胱を適応症(開発コードZG−802)として第2相段階、食道胃接合部通過障害を適応症として第2相(九州大学で医師主導治験)段階、欧州では機能性ディスペプシアを適応症として第3相段階である。なお九州大学における医師主導治験は日本医療研究開発機構(AMED)の助成事業に採択されている。

 Z−338の海外導出では、Faes Farmaが機能性ディスペプシアを適応症としてメキシコ、ホンジュラス、ドミニカ共和国、エクアドル、チリで承認を取得し、コロンビア、ペルー、コスタリカ、グアテマラ、パナマ、ニカラグア、エルサルバドルにおいて承認申請中である。またMeiji Seikaファルマが機能性ディスペプシアを適応症としてタイにおいて承認取得、インドネシアにおいて承認申請中である。さらにPharmaceutical Joint Stock Company of February 3rdが機能性ディスペプシアを適応症としてベトナムにおいて承認申請中である。

 高カリウム血症を適応症とするZG−801(ビフォーファーマ社から導入、パチロマーソルビテクスカルシウム)については、日本において申請準備中である。米国では15年12月販売開始し、欧州では17年7月EMA(欧州医薬品庁)から承認取得している。

 なお23年7月には、子会社のTillotts Pharmaが世界的ベンチャーキャピタル大手TVMと共同で、潰瘍性大腸炎に対する経口抗体療法開発を目的として、米国のバイオベンチャーMage Bioに対して最大28百万USドル出資した。

■好調な欧州事業に加えてアジア地域での事業展開も推進

 第11次中期経営計画(24年3月期〜26年3月期)では経営目標値に、最終年度26年3月期連結売上高900億円、海外売上比率50%以上を掲げている。

 重点戦略としては、欧州地域における継続的な市場形成(アサコール、ディフィクリア)に加えて、アジア地域への展開(ゼリア新薬工業の輸出拡大、ベトナムFTファーマの新工場建設や東南アジア近隣諸国への輸出拡大)を推進する。また国内の医療用医薬品事業では、自社創薬品であるアコファイド、フェインジェクト、ダフクリアの拡販に加えて、第11次中期経営計画中に上市が見込まれる高カリウム血症治療剤ZG−801の投入などにより、国内医療用医薬品市場におけるプレゼンスを確保する。コンシューマーヘルスケア事業では、コンドロイチン群やヘパリーゼ群などの主力製品群に加えて、ローヤルゼリー群、西洋ハーブ群、化粧品群など多くの製品群において市場拡大を図る。

■上場維持基準適合に向けた計画書

 なお23年3月31日時点で流通株式比率がプライム市場の上場維持基準に適合しない状況となったため、23年6月29日付で上場維持基準への適合に向けた計画を策定・公表した。

 基本方針としてステークホルダーの期待に応えて持続的な企業価値の向上を図るとともに、流通株式比率を引き上げるために株主との対話による保有目的の確認や資本政策(自己株式消却など)など各種取組を総合的に検討し、25年3月末までに上場維持基準の適合を目指すとしている。

■24年3月期経常・最終2桁増益予想、さらに上振れの可能性

 24年3月期の連結業績予想は売上高が23年3月期比6.8%増の730億円、営業利益が0.9%増の91億円、経常利益が18.7%増の90億円、親会社株主帰属当期純利益が13.0%増の70億円としている。配当予想は23年3月期比4円増配の44円(第2四半期末22円、期末22円)としている。連続増配で予想配当性向は27.7%となる。

 第1四半期は、売上高が前年同期比12.3%増の183億04百万円、営業利益が0.2%減の29億70百万円、経常利益が12.8%増の33億55百万円、親会社株主帰属四半期純利益が12.1%増の29億15百万円だった。

 売上面は医療用医薬品事業の海外の好調が牽引し、コンシューマーヘルスケア事業も回復基調となって2桁増収だった。営業利益は販売促進費、研究開発費、減価償却費の増加などで微減益だったが、営業外における為替差損益の改善(前年同期はスイスフラン高の影響で為替差損1億03百万円計上、当期は為替差益1億64百万円計上)により、経常利益と親会社株主帰属四半期純利益は2桁増益だった。

 医療用医薬品事業は売上高が16.2%増の119億47百万円、セグメント利益(全社費用等調整前営業利益)が1.5%増の28億74百万円だった。潰瘍性大腸炎治療剤アサコールは国内が薬価改定の影響で苦戦したが、海外市場において高用量製剤アサコール1600mgを中心に伸長した。クロストリジウム・ディフィシル感染症治療剤ディフィクリアは海外市場において営業リソースを積極投入して売上拡大した。炎症性腸疾患(IBD)治療剤エントコート(国内販売名ゼンタコート)は、海外の一部の国における後発医薬品の上市の影響を受けて苦戦した。なお23年4月にアステラス製薬から製造販売承認を承継したダフクリアの販売を開始した。

 主要製品の売上高は、アサコールが7.4%増の51億89百万円、ディフィクリアが113.8%増の32億38百万円、エントコートが29.3%減の10億92百万円、アコファイドが0.4%減の7億70百万円、その他が2.6%増の16億56百万円だった。

 コンシューマーヘルスケア事業は売上高が5.5%増の63億17百万円、利益が1.5%増の13億67百万円だった。コロナ禍の影響が和らいでヘパリーゼ群、医薬品ヘパリーゼ群、コンビニエンスストア向けヘパリーゼW群が回復基調となった。コンドロイチン群も積極的な広告宣伝投資の効果で堅調だった。22年10月に販売開始した滋養強壮保健剤ハイゼリー顆粒EXについては、認知度向上や拡販に努めている。

 主要製品の売上高は、ヘパリーゼ群が9.5%増の25億57百万円、コンドロイチン群が5.9%増の14億07百万円、ウィズワン群が1.1%減の2億93百万円、その他(殺菌消毒薬など)が1.7%増の20億59百万円だった。

 その他(保険代理業・不動産賃貸収入)は売上高が6.5%増の38百万円、利益が10.9%増の64百万円だった。

 通期の連結業績予想は、医療用医薬品事業は海外市場におけるアサコールやディフィクリアの伸長で増収、コンシューマーヘルスケア事業はヘパリーゼ群やコンドロイチンの売上増加などで増収を見込んでいる。利益面は、研究開発費の増加などを考慮して営業利益が小幅増益だが、経常利益と純利益は2桁増益予想としている。

 第1四半期の進捗率は売上高が25%、営業利益が33%、経常利益が37%、親会社株主帰属当期純利益が42%だった。第1四半期の利益進捗率が高水準だったことを勘案すれば、通期会社予想は上振れの可能性がありそうだ。積極的な事業展開で収益拡大基調だろう。

■株主優待は年2回、9月末と3月末の株主対象

 株主優待制度は毎年9月末および3月末現在の株主を対象として、保有株式数に応じて自社グループ商品を贈呈(詳細は会社HP参照)している。なお9月4日付で株主優待品コース内容の変更を発表している。23年9月末対象から実施する。

■株価は売られ過ぎ感

 株価は9月の戻り高値圏から反落し、さらに地合い悪化も影響して水準を切り下げる形となったが、売られ過ぎ感を強めている。目先的な売りが一巡して出直りを期待したい。10月4日の終値は2101円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS158円80銭で算出)は約13倍、今期予想配当利回り(会社予想の44円で算出)は約2.1%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS1484円79銭で算出)は約1.4倍、そして時価総額は約1116億円である。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media−IR
[09月15日更新]

ゼリア新薬工業は上値試す、24年3月期経常・最終2桁増益予想、さらに上振れの可能性

 ゼリア新薬工業<4559>(東証プライム)は消化器分野が中心の医療用医薬品事業、および一般用医薬品のコンシューマーヘルスケア事業を展開している。第11次中期経営計画では、好調な欧州事業に加えて、アジア地域での事業展開も推進する方針としている。24年3月期は海外の好調が牽引して営業小幅増益、経常・最終2桁増益予想としている。第1四半期の利益進捗率が高水準だったことを勘案すれば、通期会社予想は上振れの可能性がありそうだ。積極的な事業展開で収益拡大基調だろう。株価は上げ一服の形となったが、一方では下値を順調に切り上げている。利益確定売りをこなしながら上値を試す展開を期待したい。

■医療用医薬品事業とコンシューマーヘルスケア事業を展開

 消化器分野が中心の医療用医薬品事業、および一般用医薬品のコンシューマーヘルスケア事業を展開している。収益面では薬価改定、ライセンス収入・ロイヤリティ収入、研究開発費、広告宣伝費などの影響を受けやすい。

 23年3月期は医療用医薬品事業の売上高が22年3月期比16.6%増の431億45百万円で営業利益(全社費用等調整前)が26.2%増の87億21百万円、コンシューマーヘルスケア事業の売上高が12.1%増の250億85百万円で営業利益が23.1%増の49億70百万円、その他(保険代理業・不動産賃貸収入)の売上高が2.8%減の1億52百万円で営業利益が7.2%減の2億42百万円だった。地域別売上高は日本53%、イギリス11%、欧州29%、その他7%だった。

■医療用医薬品事業は潰瘍性大腸炎治療剤アサコールなどが主力

 医療用医薬品事業は、潰瘍性大腸炎治療剤アサコールを主力として、炎症性腸疾患治療剤Entocort(エントコート、国内販売名ゼンタコート)や、機能性ディスペプシア治療剤アコファイドなども拡大している。20年9月に国内で販売開始した鉄欠乏性貧血治療剤フェインジェクトについては、消化器科・産婦人科を中心に市場構築を推進している。

 また、アステラス製薬の英国子会社が欧州を中心に販売しているクロストリジウム・ディフィシル感染症治療剤ディフィクリア錠(英名DIFICLIR)については、20年11月に欧州、中東、アフリカおよび独立国家共同体(CIS)における製造販売承認を承継する資産譲渡契約を締結し、21年6月に欧州テリトリーでの製造販売権承継をほぼ完了した。残る地域についても順次承継予定である。

 23年4月には、アステラス製薬が日本において製造販売しているクロストリジウム・ディフィシルによる感染性腸炎治療剤「ダフクリア錠200mg」(一般名:フィダキソマイシン、以下:ダフクリア)について製造販売承認を継承した。

 23年3月期の主要製品の売上高は、アサコールが22年3月期比11.6%増の195億11百万円、ディフィクリアが60.2%増の83億45百万円、エントコートが27.0%増の56億88百万円、アコファイドが1.4%減の31億08百万円、その他が2.9%減の64億91百万円だった。アコファイドについては、アステラス製薬<4503>との日本での共同販促を21年3月で終了し、21年4月以降は単独プロモーションに切り替えている。

 海外展開については、アサコールは欧州を中心に高用量製剤の販売国数を拡大中である。競合する高用量製剤の処方獲得を目指してプロモーションを展開している。またイタリアのMenariniグループの中国現地法人に独占的販売権を供与して、中国で21年5月販売開始した。

 アコファイドについては、Meiji Seika ファルマとタイおよびインドネシアにおける独占的開発・販売ライセンス契約、スペインのFAES社とラテンアメリカにおける独占的開発・販売ライセンス契約を締結している。

 子会社のTillotts Pharma(ティロッツ社、スイス)は、アストラゼネカ社からエントコートの米国を除く全世界における権利を取得(国内ではゼンタコートカプセルとして販売)し、アサコールとともに海外での拡販を推進している。また20年11月に、アステラス製薬の英国子会社からクロストリジウム・ディフィシル感染症治療剤ディフィクリア錠(英名DIFICLIR)の欧州、中東、アフリカおよび独立国家共同体(CIS)における製造販売承認を承継し、販売を拡大している。

■コンシューマーヘルスケア事業はヘパリーゼ群などが主力

 コンシューマーヘルスケア事業はヘパリーゼ群、コンドロイチン群、ウィズワン群を主力として、日本で初めて月経前症候群の効能を取得した西洋ハーブ・ダイレクトOTC医薬品プレフェミン、連結子会社イオナ インターナショナルの「イオナ」ブランド化粧品なども全国の薬局・薬店・ドラッグストアなどに販売している。

 23年3月期の主要製品の売上高はヘパリーゼ群が22年3月期比26.7%増の98億48百万円、コンドロイチン群が5.6%増の54億21百万円、ウィズワン群が6.8%減の12億66百万円、その他(殺菌消毒薬など)が5.5%増の85億48百万円だった。

 事業拡大に向けて、西洋ハーブ群の開発・育成、ヘパリーゼ群およびコンドロイチン群に続く新規主力製品の開発・育成、既存製品(OTC医薬品プレバリン群、オーラルケアのマスデント群やイオナ化粧品など)の育成を推進している。20年4月にはヘパリーゼ群の主原料である肝臓加水分解物の安定調達とコンシューマーヘルスケア事業拡大を目的として、日水製薬<4550>から日水製薬医薬品販売の全株式を譲り受けて子会社化(現社名:健創製薬)した。

 西洋ハーブ関連では21年12月に、軽度の静脈還流障害による足のむくみを改善する内服薬「ベルフェミン」(要指導医薬品)を発売した。欧州において下肢の静脈疾患(慢性静脈不全症)の治療に伝統的に使用されてきたセイヨウトチノキ種子の乾燥エキスを主成分としている。22年3月には、過敏性腸症候群(IBS)改善薬「コルペルミン」(要指導医薬品)を発売した。ペパーミントのオイルを有効成分とする医薬品である。ティロッツ社によって開発され、1981年に英国で発売されて以降、スイスやドイツをはじめ十数ヶ国でIBSの諸症状を改善する一般用医薬品として販売されている。国内で実施された過敏性腸症候群患者を対象とした臨床試験において有効性と安全性が確認された。

 22年8月にはオールシーズン使用可能な多機能除菌スプレー「マジックバリア除菌スプレー」(雑貨)を発売、22年10月にはローヤルゼリーを有効成分として配合した滋養強壮保健剤「ハイゼリー顆粒EX」(第3類医薬品)を発売した。

■消化器分野を最重点領域として新薬開発を推進

 消化器分野を最重点領域と位置付けて新薬開発を推進している。新薬パイプラインの状況(23年8月3日現在)は以下の通りである。

 Z−338(自社品、一般名アコチアミド)は、日本では小児機能性ディスペプシアを適応症として第3相段階、低活動膀胱を適応症(開発コードZG−802)として第2相段階、食道胃接合部通過障害を適応症として第2相(九州大学で医師主導治験)段階、欧州では機能性ディスペプシアを適応症として第3相段階である。なお九州大学における医師主導治験は日本医療研究開発機構(AMED)の助成事業に採択されている。

 Z−338の海外導出では、Faes Farmaが機能性ディスペプシアを適応症としてメキシコ、ホンジュラス、ドミニカ共和国、エクアドル、チリで承認を取得し、コロンビア、ペルー、コスタリカ、グアテマラ、パナマ、ニカラグア、エルサルバドルにおいて承認申請中である。またMeiji Seikaファルマが機能性ディスペプシアを適応症としてタイにおいて承認取得、インドネシアにおいて承認申請中である。さらにPharmaceutical Joint Stock Company of February 3rdが機能性ディスペプシアを適応症としてベトナムにおいて承認申請中である。

 高カリウム血症を適応症とするZG−801(ビフォーファーマ社から導入、パチロマーソルビテクスカルシウム)については、日本において申請準備中である。米国では15年12月販売開始し、欧州では17年7月EMA(欧州医薬品庁)から承認取得している。

 なお23年7月には、子会社のTillotts Pharmaが世界的ベンチャーキャピタル大手TVMと共同で、潰瘍性大腸炎に対する経口抗体療法開発を目的として、米国のバイオベンチャーMage Bioに対して最大28百万USドル出資すると発表した。

■好調な欧州事業に加えてアジア地域での事業展開も推進

 第11次中期経営計画(24年3月期〜26年3月期)では経営目標値に、最終年度26年3月期連結売上高900億円、海外売上比率50%以上を掲げている。

 重点戦略としては、欧州地域における継続的な市場形成(アサコール、ディフィクリア)に加えて、アジア地域への展開(ゼリア新薬工業の輸出拡大、ベトナムFTファーマの新工場建設や東南アジア近隣諸国への輸出拡大)を推進する。また国内の医療用医薬品事業では、自社創薬品であるアコファイド、フェインジェクト、ダフクリアの拡販に加えて、第11次中期経営計画中に上市が見込まれる高カリウム血症治療剤ZG−801の投入などにより、国内医療用医薬品市場におけるプレゼンスを確保する。コンシューマーヘルスケア事業では、コンドロイチン群やヘパリーゼ群などの主力製品群に加えて、ローヤルゼリー群、西洋ハーブ群、化粧品群など多くの製品群において市場拡大を図る。

■上場維持基準適合に向けた計画書

 なお23年3月31日時点で流通株式比率がプライム市場の上場維持基準に適合しない状況となったため、23年6月29日付で上場維持基準への適合に向けた計画を策定・公表した。

 基本方針としてステークホルダーの期待に応えて持続的な企業価値の向上を図るとともに、流通株式比率を引き上げるために株主との対話による保有目的の確認や資本政策(自己株式消却など)など各種取組を総合的に検討し、25年3月末までに上場維持基準の適合を目指すとしている。

■24年3月期経常・最終2桁増益予想、さらに上振れの可能性

 24年3月期の連結業績予想は売上高が23年3月期比6.8%増の730億円、営業利益が0.9%増の91億円、経常利益が18.7%増の90億円、親会社株主帰属当期純利益が13.0%増の70億円としている。配当予想は23年3月期比4円増配の44円(第2四半期末22円、期末22円)としている。連続増配で予想配当性向は27.7%となる。

 第1四半期は、売上高が前年同期比12.3%増の183億04百万円、営業利益が0.2%減の29億70百万円、経常利益が12.8%増の33億55百万円、親会社株主帰属四半期純利益が12.1%増の29億15百万円だった。

 売上面は医療用医薬品事業の海外の好調が牽引し、コンシューマーヘルスケア事業も回復基調となって2桁増収だった。営業利益は販売促進費、研究開発費、減価償却費の増加などで微減益だったが、営業外における為替差損益の改善(前年同期はスイスフラン高の影響で為替差損1億03百万円計上、当期は為替差益1億64百万円計上)により、経常利益と親会社株主帰属四半期純利益は2桁増益だった。

 医療用医薬品事業は売上高が16.2%増の119億47百万円、セグメント利益(全社費用等調整前営業利益)が1.5%増の28億74百万円だった。潰瘍性大腸炎治療剤アサコールは国内が薬価改定の影響で苦戦したが、海外市場において高用量製剤アサコール1600mgを中心に伸長した。クロストリジウム・ディフィシル感染症治療剤ディフィクリアは海外市場において営業リソースを積極投入して売上拡大した。炎症性腸疾患(IBD)治療剤エントコート(国内販売名ゼンタコート)は、海外の一部の国における後発医薬品の上市の影響を受けて苦戦した。なお23年4月にアステラス製薬から製造販売承認を承継したダフクリアの販売を開始した。

 主要製品の売上高は、アサコールが7.4%増の51億89百万円、ディフィクリアが113.8%増の32億38百万円、エントコートが29.3%減の10億92百万円、アコファイドが0.4%減の7億70百万円、その他が2.6%増の16億56百万円だった。

 コンシューマーヘルスケア事業は売上高が5.5%増の63億17百万円、利益が1.5%増の13億67百万円だった。コロナ禍の影響が和らいでヘパリーゼ群、医薬品ヘパリーゼ群、コンビニエンスストア向けヘパリーゼW群が回復基調となった。コンドロイチン群も積極的な広告宣伝投資の効果で堅調だった。22年10月に販売開始した滋養強壮保健剤ハイゼリー顆粒EXについては、認知度向上や拡販に努めている。

 主要製品の売上高は、ヘパリーゼ群が9.5%増の25億57百万円、コンドロイチン群が5.9%増の14億07百万円、ウィズワン群が1.1%減の2億93百万円、その他(殺菌消毒薬など)が1.7%増の20億59百万円だった。

 その他(保険代理業・不動産賃貸収入)は売上高が6.5%増の38百万円、利益が10.9%増の64百万円だった。

 通期の連結業績予想は据え置いている。医療用医薬品事業は海外市場におけるアサコールやディフィクリアの伸長で増収、コンシューマーヘルスケア事業はヘパリーゼ群やコンドロイチンの売上増加などで増収を見込んでいる。利益面は、研究開発費の増加などを考慮して営業利益が微増益だが、経常利益と純利益は2桁増益予想としている。

 第1四半期の進捗率は売上高が25%、営業利益が33%、経常利益が37%、親会社株主帰属当期純利益が42%だった。第1四半期の利益進捗率が高水準だったことを勘案すれば、通期会社予想は上振れの可能性がありそうだ。積極的な事業展開で収益拡大基調だろう。

■株主優待は年2回、9月末と3月末の株主対象

 株主優待制度は毎年9月末および3月末現在の株主を対象として、保有株式数に応じて自社グループ商品を贈呈(詳細は会社HP参照)している。なお9月4日付で株主優待品コース内容の変更を発表している。23年9月末対象から実施する。

■株価は上値試す

 株価は上げ一服の形となったが、一方では下値を順調に切り上げている。利益確定売りをこなしながら上値を試す展開を期待したい。9月14日の終値は2397円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS158円80銭で算出)は約15倍、今期予想配当利回り(会社予想の44円で算出)は約1.8%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS1484円79銭で算出)は約1.6倍、時価総額は約1273億円である。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media−IR
[08月21日更新]

ゼリア新薬工業は上値試す、24年3月期経常・最終2桁増益予想、さらに上振れの可能性

 ゼリア新薬工業<4559>(東証プライム)は消化器分野が中心の医療用医薬品事業、および一般用医薬品のコンシューマーヘルスケア事業を展開している。第11次中期経営計画(24年3月期〜26年3月期)では、好調な欧州事業に加えて、アジア地域での事業展開も推進する方針としている。24年3月期第1四半期は医療用医薬品事業の海外の好調が牽引して2桁増収、研究開発費の増加などで営業微減益、為替差損益の改善で経常・最終2桁増益だった。不透明感を考慮して通期予想を据え置いたが、第1四半期の利益進捗率が高水準であり、上振れの可能性がありそうだ。積極的な事業展開で収益拡大基調だろう。株価は地合い悪化の影響で戻り高値圏から反落の形となったが、自律調整を交えながら上値を試す展開を期待したい。

■医療用医薬品事業とコンシューマーヘルスケア事業を展開

 消化器分野が中心の医療用医薬品事業、および一般用医薬品のコンシューマーヘルスケア事業を展開している。収益面では薬価改定、ライセンス収入・ロイヤリティ収入、研究開発費、広告宣伝費などの影響を受けやすい。

 23年3月期は医療用医薬品事業の売上高が22年3月期比16.6%増の431億45百万円で営業利益(全社費用等調整前)が26.2%増の87億21百万円、コンシューマーヘルスケア事業の売上高が12.1%増の250億85百万円で営業利益が23.1%増の49億70百万円、その他(保険代理業・不動産賃貸収入)の売上高が2.8%減の1億52百万円で営業利益が7.2%減の2億42百万円だった。地域別売上高は日本53%、イギリス11%、欧州29%、その他7%だった。

■医療用医薬品事業は潰瘍性大腸炎治療剤アサコールなどが主力

 医療用医薬品事業は、潰瘍性大腸炎治療剤アサコールを主力として、炎症性腸疾患治療剤Entocort(エントコート、国内販売名ゼンタコート)や、機能性ディスペプシア治療剤アコファイドなども拡大している。20年9月に国内で販売開始した鉄欠乏性貧血治療剤フェインジェクトについては、消化器科・産婦人科を中心に市場構築を推進している。

 また、アステラス製薬の英国子会社が欧州を中心に販売しているクロストリジウム・ディフィシル感染症治療剤ディフィクリア錠(英名DIFICLIR)については、20年11月に欧州、中東、アフリカおよび独立国家共同体(CIS)における製造販売承認を承継する資産譲渡契約を締結し、21年6月に欧州テリトリーでの製造販売権承継をほぼ完了した。残る地域についても順次承継予定である。

 23年4月には、アステラス製薬が日本において製造販売しているクロストリジウム・ディフィシルによる感染性腸炎治療剤「ダフクリア錠200mg」(一般名:フィダキソマイシン、以下:ダフクリア)について製造販売承認を継承した。

 23年3月期の主要製品の売上高は、アサコールが22年3月期比11.6%増の195億11百万円、ディフィクリアが60.2%増の83億45百万円、エントコートが27.0%増の56億88百万円、アコファイドが1.4%減の31億08百万円、その他が2.9%減の64億91百万円だった。アコファイドについては、アステラス製薬<4503>との日本での共同販促を21年3月で終了し、21年4月以降は単独プロモーションに切り替えている。

 海外展開については、アサコールは欧州を中心に高用量製剤の販売国数を拡大中である。競合する高用量製剤の処方獲得を目指してプロモーションを展開している。またイタリアのMenariniグループの中国現地法人に独占的販売権を供与して、中国で21年5月販売開始した。

 アコファイドについては、Meiji Seika ファルマとタイおよびインドネシアにおける独占的開発・販売ライセンス契約、スペインのFAES社とラテンアメリカにおける独占的開発・販売ライセンス契約を締結している。

 子会社のTillotts Pharma(ティロッツ社、スイス)は、アストラゼネカ社からエントコートの米国を除く全世界における権利を取得(国内ではゼンタコートカプセルとして販売)し、アサコールとともに海外での拡販を推進している。また20年11月に、アステラス製薬の英国子会社からクロストリジウム・ディフィシル感染症治療剤ディフィクリア錠(英名DIFICLIR)の欧州、中東、アフリカおよび独立国家共同体(CIS)における製造販売承認を承継し、販売を拡大している。

■コンシューマーヘルスケア事業はヘパリーゼ群などが主力

 コンシューマーヘルスケア事業はヘパリーゼ群、コンドロイチン群、ウィズワン群を主力として、日本で初めて月経前症候群の効能を取得した西洋ハーブ・ダイレクトOTC医薬品プレフェミン、連結子会社イオナ インターナショナルの「イオナ」ブランド化粧品なども全国の薬局・薬店・ドラッグストアなどに販売している。

 23年3月期の主要製品の売上高はヘパリーゼ群が22年3月期比26.7%増の98億48百万円、コンドロイチン群が5.6%増の54億21百万円、ウィズワン群が6.8%減の12億66百万円、その他(殺菌消毒薬など)が5.5%増の85億48百万円だった。

 事業拡大に向けて、西洋ハーブ群の開発・育成、ヘパリーゼ群およびコンドロイチン群に続く新規主力製品の開発・育成、既存製品(OTC医薬品プレバリン群、オーラルケアのマスデント群やイオナ化粧品など)の育成を推進している。20年4月にはヘパリーゼ群の主原料である肝臓加水分解物の安定調達とコンシューマーヘルスケア事業拡大を目的として、日水製薬<4550>から日水製薬医薬品販売の全株式を譲り受けて子会社化(現社名:健創製薬)した。

 西洋ハーブ関連では21年12月に、軽度の静脈還流障害による足のむくみを改善する内服薬「ベルフェミン」(要指導医薬品)を発売した。欧州において下肢の静脈疾患(慢性静脈不全症)の治療に伝統的に使用されてきたセイヨウトチノキ種子の乾燥エキスを主成分としている。22年3月には、過敏性腸症候群(IBS)改善薬「コルペルミン」(要指導医薬品)を発売した。ペパーミントのオイルを有効成分とする医薬品である。ティロッツ社によって開発され、1981年に英国で発売されて以降、スイスやドイツをはじめ十数ヶ国でIBSの諸症状を改善する一般用医薬品として販売されている。国内で実施された過敏性腸症候群患者を対象とした臨床試験において有効性と安全性が確認された。

 22年8月にはオールシーズン使用可能な多機能除菌スプレー「マジックバリア除菌スプレー」(雑貨)を発売、22年10月にはローヤルゼリーを有効成分として配合した滋養強壮保健剤「ハイゼリー顆粒EX」(第3類医薬品)を発売した。

■消化器分野を最重点領域として新薬開発を推進

 消化器分野を最重点領域と位置付けて新薬開発を推進している。新薬パイプラインの状況(23年8月3日現在)は以下の通りである。

 Z−338(自社品、一般名アコチアミド)は、日本では小児機能性ディスペプシアを適応症として第3相段階、低活動膀胱を適応症(開発コードZG−802)として第2相段階、食道胃接合部通過障害を適応症として第2相(九州大学で医師主導治験)段階、欧州では機能性ディスペプシアを適応症として第3相段階である。なお九州大学における医師主導治験は日本医療研究開発機構(AMED)の助成事業に採択されている。

 Z−338の海外導出では、Faes Farmaが機能性ディスペプシアを適応症としてメキシコ、ホンジュラス、ドミニカ共和国、エクアドル、チリで承認を取得し、コロンビア、ペルー、コスタリカ、グアテマラ、パナマ、ニカラグア、エルサルバドルにおいて承認申請中である。またMeiji Seikaファルマが機能性ディスペプシアを適応症としてタイにおいて承認取得、インドネシアにおいて承認申請中である。さらにPharmaceutical Joint Stock Company of February 3rdが機能性ディスペプシアを適応症としてベトナムにおいて承認申請中である。

 高カリウム血症を適応症とするZG−801(ビフォーファーマ社から導入、パチロマーソルビテクスカルシウム)については、日本において申請準備中である。米国では15年12月販売開始し、欧州では17年7月EMA(欧州医薬品庁)から承認取得している。

 なお23年7月には、子会社のTillotts Pharmaが世界的ベンチャーキャピタル大手TVMと共同で、潰瘍性大腸炎に対する経口抗体療法開発を目的として、米国のバイオベンチャーMage Bioに対して最大28百万USドル出資すると発表した。

■好調な欧州事業に加えてアジア地域での事業展開も推進

 第11次中期経営計画(24年3月期〜26年3月期)では経営目標値に、最終年度26年3月期連結売上高900億円、海外売上比率50%以上を掲げている。

 重点戦略としては、欧州地域における継続的な市場形成(アサコール、ディフィクリア)に加えて、アジア地域への展開(ゼリア新薬工業の輸出拡大、ベトナムFTファーマの新工場建設や東南アジア近隣諸国への輸出拡大)を推進する。また国内の医療用医薬品事業では、自社創薬品であるアコファイド、フェインジェクト、ダフクリアの拡販に加えて、第11次中期経営計画中に上市が見込まれる高カリウム血症治療剤ZG−801の投入などにより、国内医療用医薬品市場におけるプレゼンスを確保する。コンシューマーヘルスケア事業では、コンドロイチン群やヘパリーゼ群などの主力製品群に加えて、ローヤルゼリー群、西洋ハーブ群、化粧品群など多くの製品群において市場拡大を図る。

■上場維持基準適合に向けた計画書

 なお23年3月31日時点で流通株式比率がプライム市場の上場維持基準に適合しない状況となったため、23年6月29日付で上場維持基準への適合に向けた計画を策定・公表した。

 基本方針としてステークホルダーの期待に応えて持続的な企業価値の向上を図るとともに、流通株式比率を引き上げるために株主との対話による保有目的の確認や資本政策(自己株式消却など)など各種取組を総合的に検討し、25年3月末までに上場維持基準の適合を目指すとしている。

■24年3月期1Q営業微減益だが経常2桁増益、通期上振れの可能性

 24年3月期の連結業績予想は売上高が23年3月期比6.8%増の730億円、営業利益が0.9%増の91億円、経常利益が18.7%増の90億円、そして親会社株主帰属当期純利益が13.0%増の70億円としている。配当予想は23年3月期比4円増配の44円(第2四半期末22円、期末22円)としている。連続増配で予想配当性向は27.7%となる。

 第1四半期は、売上高が前年同期比12.3%増の183億04百万円、営業利益が0.2%減の29億70百万円、経常利益が12.8%増の33億55百万円、親会社株主帰属四半期純利益が12.1%増の29億15百万円だった。

 売上面は医療用医薬品事業の海外の好調が牽引し、コンシューマーヘルスケア事業も回復基調となって2桁増収だった。営業利益は販売促進費、研究開発費、減価償却費の増加などで微減益だったが、営業外における為替差損益の改善(前年同期はスイスフラン高の影響で為替差損1億03百万円計上、当期は為替差益1億64百万円計上)により、経常利益と親会社株主帰属四半期純利益は2桁増益だった。

 医療用医薬品事業は売上高が16.2%増の119億47百万円、セグメント利益(全社費用等調整前営業利益)が1.5%増の28億74百万円だった。潰瘍性大腸炎治療剤アサコールは国内が薬価改定の影響で苦戦したが、海外市場において高用量製剤アサコール1600mgを中心に伸長した。クロストリジウム・ディフィシル感染症治療剤ディフィクリアは海外市場において営業リソースを積極投入して売上拡大した。炎症性腸疾患(IBD)治療剤エントコート(国内販売名ゼンタコート)は、海外の一部の国における後発医薬品の上市の影響を受けて苦戦した。なお23年4月にアステラス製薬から製造販売承認を承継したダフクリアの販売を開始した。

 主要製品の売上高は、アサコールが7.4%増の51億89百万円、ディフィクリアが113.8%増の32億38百万円、エントコートが29.3%減の10億92百万円、アコファイドが0.4%減の7億70百万円、その他が2.6%増の16億56百万円だった。

 コンシューマーヘルスケア事業は売上高が5.5%増の63億17百万円、利益が1.5%増の13億67百万円だった。コロナ禍の影響が和らいでヘパリーゼ群、医薬品ヘパリーゼ群、コンビニエンスストア向けヘパリーゼW群が回復基調となった。コンドロイチン群も積極的な広告宣伝投資の効果で堅調だった。22年10月に販売開始した滋養強壮保健剤ハイゼリー顆粒EXについては、認知度向上や拡販に努めている。

 主要製品の売上高は、ヘパリーゼ群が9.5%増の25億57百万円、コンドロイチン群が5.9%増の14億07百万円、ウィズワン群が1.1%減の2億93百万円、その他(殺菌消毒薬など)が1.7%増の20億59百万円だった。

 その他(保険代理業・不動産賃貸収入)は売上高が6.5%増の38百万円、利益が10.9%増の64百万円だった。

 通期の連結業績予想は据え置いている。医療用医薬品事業は海外市場におけるアサコールやディフィクリアの伸長で増収、コンシューマーヘルスケア事業はヘパリーゼ群やコンドロイチンの売上増加などで増収を見込んでいる。利益面は、研究開発費の増加などを考慮して営業利益が微増益だが、経常利益と純利益は2桁増益予想としている。

 第1四半期の進捗率は売上高が25%、営業利益が33%、経常利益が37%、親会社株主帰属当期純利益が42%で、利益進捗率が高水準だった。不透明感を考慮して通期予想を据え置いたが上振れの可能性がありそうだ。積極的な事業展開で収益拡大基調だろう。

■株主優待は年2回、9月末と3月末の株主対象

 株主優待制度は毎年9月末および3月末現在の株主を対象として、保有株式数に応じて自社グループ商品を贈呈(詳細は会社HP参照)している。

■株価は反発の動き

 株価は地合い悪化の影響で戻り高値圏から反落の形となったが、自律調整を交えながら上値を試す展開を期待したい。8月18日の終値は2337円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS158円80銭で算出)は約15倍、今期予想配当利回り(会社予想の44円で算出)は約1.9%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS1484円79銭で算出)は約1.6倍、そして時価総額は約1241億円である。 (情報提供:日本インタビュ新聞社=Media−IR
[08月04日更新]

ゼリア新薬工業は24年3月期1Q営業微減益だが経常・最終2桁増益、通期上振れの可能性

 ゼリア新薬工業<4559>(東証プライム)は8月3日の取引時間終了後に24年3月期第1四半期連結業績を発表した。医療用医薬品事業の海外の好調が牽引して2桁増収、研究開発費の増加などで営業微減益、為替差損益の改善で経常・最終2桁増益だった。不透明感を考慮して通期予想を据え置いたが、第1四半期の利益進捗率が高水準であり、上振れの可能性がありそうだ。積極的な事業展開で収益拡大基調だろう。株価は6月の年初来高値圏から急反落したが、調整一巡して切り返しの動きを強めている。第1四半期の利益高進捗率を評価して上値を試す展開を期待したい。

■24年3月期1Q営業微減益だが経常・最終2桁増益、通期上振れの可能性

 24年3月期第1四半期の連結業績は売上高が前年同期比12.3%増の183億04百万円、営業利益が0.2%減の29億70百万円、経常利益が12.8%増の33億55百万円、親会社株主帰属四半期純利益が12.1%増の29億15百万円だった。

 売上面は医療用医薬品事業の海外の好調が牽引し、コンシューマーヘルスケア事業も回復基調となって2桁増収だった。営業利益は販売促進費、研究開発費、減価償却費の増加などで微減益だったが、営業外における為替差損益の改善(前年同期はスイスフラン高の影響で為替差損1億03百万円計上、当期は為替差益1億64百万円計上)により、経常利益と親会社株主帰属四半期純利益は2桁増益だった。

 医療用医薬品事業は売上高が16.2%増の119億47百万円、セグメント利益(全社費用等調整前営業利益)が1.5%増の28億74百万円だった。潰瘍性大腸炎治療剤アサコールは国内が薬価改定の影響で苦戦したが、海外市場において高用量製剤アサコール1600mgを中心に伸長した。クロストリジウム・ディフィシル感染症治療剤ディフィクリアは海外市場において営業リソースを積極投入して売上拡大した。炎症性腸疾患(IBD)治療剤エントコート(国内販売名ゼンタコート)は、海外の一部の国における後発医薬品の上市の影響を受けて苦戦した。なお23年4月にアステラス製薬から製造販売承認を承継したダフクリアの販売を開始した。

 コンシューマーヘルスケア事業は売上高が5.5%増の63億17百万円、利益が1.5%増の13億67百万円だった。コロナ禍の影響が和らいでヘパリーゼ群、医薬品ヘパリーゼ群、コンビニエンスストア向けヘパリーゼW群が回復基調となった。コンドロイチン群も積極的な広告宣伝投資の効果で堅調だった。22年10月に販売開始した滋養強壮保健剤ハイゼリー顆粒EXについては、認知度向上や拡販に努めている。

 その他(保険代理業・不動産賃貸収入)は売上高が6.5%増の38百万円、利益が10.9%増の64百万円だった。

 通期の連結業績予想は据え置いて、売上高が23年3月期比6.8%増の730億円、営業利益が0.9%増の91億円、経常利益が18.7%増の90億円、親会社株主帰属当期純利益が13.0%増の70億円としている。配当予想は23年3月期比4円増配の44円(第2四半期末22円、期末22円)としている。予想配当性向は27.7%となる。

 医療用医薬品事業は海外市場におけるアサコールやディフィクリアの伸長で増収、コンシューマーヘルスケア事業はヘパリーゼ群やコンドロイチンの売上増加などで増収を見込んでいる。利益面は、研究開発費の増加などを考慮して営業利益が微増益だが、経常利益と純利益は2桁増益予想としている。

 第1四半期の進捗率は売上高が25%、営業利益が33%、経常利益が37%、親会社株主帰属当期純利益が42%で、利益進捗率が高水準だった。不透明感を考慮して通期予想を据え置いたが上振れの可能性がありそうだ。積極的な事業展開で収益拡大基調だろう。

■株価は上値試す

 株価は6月の年初来高値圏から急反落したが、調整一巡して反発の動きを強めている。第1四半期の利益高進捗率を評価して上値を試す展開を期待したい。8月3日の終値は2360円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS158円80銭で算出)は約15倍、今期予想配当利回り(会社予想の44円で算出)は約1.9%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS1484円79銭で算出)は約1.6倍、そして時価総額は約1254億円である。 (情報提供:日本インタビュ新聞社=Media−IR
[07月26日更新]

ゼリア新薬工業は反発の動き、24年3月期経常・最終2桁増益予想

 ゼリア新薬工業<4559>(東証プライム)は消化器分野が中心の医療用医薬品事業、および一般用医薬品のコンシューマーヘルスケア事業を展開している。第11次中期経営計画(24年3月期〜26年3月期)では、好調な欧州事業に加えて、アジア地域での事業展開も推進する方針としている。24年3月期は研究開発費増加などを考慮して営業利益が微増益にとどまるが、経常利益と純利益は2桁増益予想としている。配当は連続増配予想としている。積極的な事業展開で収益拡大基調だろう。株価は6月の年初来高値圏から急反落の形となったが、利益確定売り一巡して反発の動きを強めている。週足チャートで見ると26週移動平均線がサポートラインの形となった。戻りを試す展開を期待したい。

■医療用医薬品事業とコンシューマーヘルスケア事業を展開

 消化器分野が中心の医療用医薬品事業、および一般用医薬品のコンシューマーヘルスケア事業を展開している。収益面では薬価改定、ライセンス収入・ロイヤリティ収入、研究開発費、広告宣伝費などの影響を受けやすい。

 23年3月期は医療用医薬品事業の売上高が22年3月期比16.6%増の431億45百万円で営業利益(全社費用等調整前)が26.2%増の87億21百万円、コンシューマーヘルスケア事業の売上高が12.1%増の250億85百万円で営業利益が23.1%増の49億70百万円、その他(保険代理業・不動産賃貸収入)の売上高が2.8%減の1億52百万円で営業利益が7.2%減の2億42百万円だった。地域別売上高は日本53%、イギリス11%、欧州29%、その他7%だった。

■医療用医薬品事業は潰瘍性大腸炎治療剤アサコールなどが主力

 医療用医薬品事業は、潰瘍性大腸炎治療剤アサコールを主力として、炎症性腸疾患治療剤Entocort(エントコート、国内販売名ゼンタコート)や、機能性ディスペプシア治療剤アコファイドなども拡大している。20年9月に国内で販売開始した鉄欠乏性貧血治療剤フェインジェクトについては、消化器科・産婦人科を中心に市場構築を推進している。

 また、アステラス製薬の英国子会社が欧州を中心に販売しているクロストリジウム・ディフィシル感染症治療剤ディフィクリア錠(英名DIFICLIR)については、20年11月に欧州、中東、アフリカおよび独立国家共同体(CIS)における製造販売承認を承継する資産譲渡契約を締結し、21年6月に欧州テリトリーでの製造販売権承継をほぼ完了した。残る地域についても順次承継予定である。

 23年4月には、アステラス製薬が日本において製造販売しているクロストリジウム・ディフィシルによる感染性腸炎治療剤「ダフクリア錠200mg」(一般名:フィダキソマイシン、以下:ダフクリア)について製造販売承認を継承した。

 23年3月期の主要製品の売上高は、アサコールが22年3月期比11.6%増の195億11百万円、ディフィクリアが60.2%増の83億45百万円、エントコートが27.0%増の56億88百万円、アコファイドが1.4%減の31億08百万円、その他が2.9%減の64億91百万円だった。アコファイドについては、アステラス製薬<4503>との日本での共同販促を21年3月で終了し、21年4月以降は単独プロモーションに切り替えている。

 海外展開については、アサコールは欧州を中心に高用量製剤の販売国数を拡大中である。競合する高用量製剤の処方獲得を目指してプロモーションを展開している。またイタリアのMenariniグループの中国現地法人に独占的販売権を供与して、中国で21年5月販売開始した。

 アコファイドについては、Meiji Seika ファルマとタイおよびインドネシアにおける独占的開発・販売ライセンス契約、スペインのFAES社とラテンアメリカにおける独占的開発・販売ライセンス契約を締結している。

 子会社のTillotts Pharma(ティロッツ社、スイス)は、アストラゼネカ社からエントコートの米国を除く全世界における権利を取得(国内ではゼンタコートカプセルとして販売)し、アサコールとともに海外での拡販を推進している。また20年11月に、アステラス製薬の英国子会社からクロストリジウム・ディフィシル感染症治療剤ディフィクリア錠(英名DIFICLIR)の欧州、中東、アフリカおよび独立国家共同体(CIS)における製造販売承認を承継し、販売を拡大している。

■コンシューマーヘルスケア事業はヘパリーゼ群などが主力

 コンシューマーヘルスケア事業はヘパリーゼ群、コンドロイチン群、ウィズワン群を主力として、日本で初めて月経前症候群の効能を取得した西洋ハーブ・ダイレクトOTC医薬品プレフェミン、連結子会社イオナ インターナショナルの「イオナ」ブランド化粧品なども全国の薬局・薬店・ドラッグストアなどに販売している。

 23年3月期の主要製品の売上高はヘパリーゼ群が22年3月期比26.7%増の98億48百万円、コンドロイチン群が5.6%増の54億21百万円、ウィズワン群が6.8%減の12億66百万円、その他(殺菌消毒薬など)が5.5%増の85億48百万円だった。

 事業拡大に向けて、西洋ハーブ群の開発・育成、ヘパリーゼ群およびコンドロイチン群に続く新規主力製品の開発・育成、既存製品(OTC医薬品プレバリン群、オーラルケアのマスデント群やイオナ化粧品など)の育成を推進している。20年4月にはヘパリーゼ群の主原料である肝臓加水分解物の安定調達とコンシューマーヘルスケア事業拡大を目的として、日水製薬<4550>から日水製薬医薬品販売の全株式を譲り受けて子会社化(現社名:健創製薬)した。

 西洋ハーブ関連では21年12月に、軽度の静脈還流障害による足のむくみを改善する内服薬「ベルフェミン」(要指導医薬品)を発売した。欧州において下肢の静脈疾患(慢性静脈不全症)の治療に伝統的に使用されてきたセイヨウトチノキ種子の乾燥エキスを主成分としている。22年3月には、過敏性腸症候群(IBS)改善薬「コルペルミン」(要指導医薬品)を発売した。ペパーミントのオイルを有効成分とする医薬品である。ティロッツ社によって開発され、1981年に英国で発売されて以降、スイスやドイツをはじめ十数ヶ国でIBSの諸症状を改善する一般用医薬品として販売されている。国内で実施された過敏性腸症候群患者を対象とした臨床試験において有効性と安全性が確認された。

 22年3月には11種類の美容液成分を配合した高機能オールインワンジェル「イオナ スパ&ミネラル エッセンス ジェルEX」を発売、22年4月には11種類の有効成分を配合したOTC点眼薬「ビュークリアHi40アクティブ」(第3類医薬品)を発売、22年8月にはオールシーズン使用可能な多機能除菌スプレー「マジックバリア除菌スプレー」(雑貨)を発売、22年10月にはローヤルゼリーを有効成分として配合した滋養強壮保健剤「ハイゼリー顆粒EX」(第3類医薬品)を発売した。

■消化器分野を最重点領域として新薬開発を推進

 消化器分野を最重点領域と位置付けて新薬開発を推進している。新薬パイプラインの状況(23年5月11日現在)は以下の通りである。

 Z−338(自社品、一般名アコチアミド)は、日本では小児機能性ディスペプシア患者を適応症として第3相段階、新たに低活動膀胱を適応症とする開発コードZG−802として第2相段階、食道胃接合部通過障害を適応症として第2相(九州大学で医師主導治験)段階、欧州では機能性ディスペプシアを適応症として第3相段階である。なお九州大学における医師主導治験は日本医療研究開発機構(AMED)の助成事業に採択されている。

 Z−338の海外導出では、Faes Farmaが機能性ディスペプシアを適応症としてメキシコ、ホンジュラス、ドミニカ共和国、エクアドル、チリで承認を取得した。さらにFaes Farmaが機能性ディスペプシアを適応症としてコロンビア、ペルー、コスタリカ、グアテマラ、パナマ、ニカラグア、エルサルバドルにおいて承認申請中である。またMeiji Seikaファルマが機能性ディスペプシアを適応症としてタイおよびインドネシアにおいて承認申請中である。

 高カリウム血症を適応症とするZG−801(ビフォーファーマ社から導入、パチロマーソルビテクスカルシウム)については、日本において申請準備中である。米国では15年12月販売開始し、欧州では17年7月EMA(欧州医薬品庁)から承認取得している。

■好調な欧州事業に加えてアジア地域での事業展開も推進

 第11次中期経営計画(24年3月期〜26年3月期)では経営目標値に、最終年度26年3月期連結売上高900億円、海外売上比率50%以上を掲げている。

 重点戦略としては、欧州地域における継続的な市場形成(アサコール、ディフィクリア)に加えて、アジア地域への展開(ゼリア新薬工業の輸出拡大、ベトナムFTファーマの新工場建設や東南アジア近隣諸国への輸出拡大)を推進する。また国内の医療用医薬品事業では、自社創薬品であるアコファイド、フェインジェクト、ダフクリアの拡販に加えて、第11次中期経営計画中に上市が見込まれる高カリウム血症治療剤ZG−801の投入などにより、国内医療用医薬品市場におけるプレゼンスを確保する。コンシューマーヘルスケア事業では、コンドロイチン群やヘパリーゼ群などの主力製品群に加えて、ローヤルゼリー群、西洋ハーブ群、化粧品群など多くの製品群において市場拡大を図る。

■上場維持基準適合に向けた計画書

 なお23年3月31日時点で流通株式比率がプライム市場の上場維持基準に適合しない状況となったため、23年6月29日付で上場維持基準への適合に向けた計画を策定・公表した。

 基本方針としてステークホルダーの期待に応えて持続的な企業価値の向上を図るとともに、流通株式比率を引き上げるために株主との対話による保有目的の確認や資本政策(自己株式消却など)など各種取組を総合的に検討し、25年3月末までに上場維持基準の適合を目指すとしている。

■24年3月期経常・最終2桁増益予想

 24年3月期の連結業績予想は売上高が23年3月期比6.8%増の730億円、営業利益が0.9%増の91億円、経常利益が18.7%増の90億円、そして親会社株主帰属当期純利益が13.0%増の70億円としている。配当予想は23年3月期比4円増配の44円(第2四半期末22円、期末22円)としている。連続増配で予想配当性向は27.7%となる。

 医療用医薬品事業は海外市場におけるアサコールやディフィクリアの伸長で増収、コンシューマーヘルスケア事業はヘパリーゼ群やコンドロイチンの売上増加などで増収を見込んでいる。利益面は、研究開発費の増加などを考慮して営業利益が微増益にとどまるが、経常利益と純利益は2桁増益予想としている。そして配当も連続増配予想としている。積極的な事業展開で収益拡大基調だろう。

■株主優待は年2回、9月末と3月末の株主対象

 株主優待制度は毎年9月末および3月末現在の株主を対象として、保有株式数に応じて自社グループ商品を贈呈(詳細は会社HP参照)している。

■株価は反発の動き

 株価は6月の年初来高値圏から急反落の形となったが、利益確定売り一巡して反発の動きを強めている。週足チャートで見ると26週移動平均線がサポートラインの形となった。戻りを試す展開を期待したい。7月25日の終値は2340円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS158円80銭で算出)は約15倍、今期予想配当利回り(会社予想の44円で算出)は約1.9%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS1484円79銭で算出)は約1.6倍、そして時価総額は約1243億円である。 (情報提供:日本インタビュ新聞社=Media−IR
[06月30日更新]

ゼリア新薬工業は上値試す、24年3月期経常・最終2桁増益予想

 ゼリア新薬工業<4559>(東証プライム)は消化器分野が中心の医療用医薬品事業、および一般用医薬品のコンシューマーヘルスケア事業を展開している。医療用医薬品事業ではアサコール高用量製剤の海外販売国拡大、フェインジェクトやエントコートの市場浸透、ティロッツ社(スイス)の営業体制強化、コンシューマーヘルスケア事業では既存主力製品に次ぐ製品群の育成、西洋ハーブ剤など特徴ある製品群の事業拡大などを推進している。なお23年3月31日時点で流通株式比率がプライム市場の上場維持基準に適合しない状況となったため、6月29日付で上場維持基準への適合に向けた計画を策定・公表した。24年3月期は研究開発費増加などを考慮して営業利益が微増益にとどまるが、経常利益と純利益は2桁増益予想としている。配当は連続増配予想としている。積極的な事業展開で収益拡大基調だろう。株価は年初来高値圏で上げ一服となったが、週足チャートで見ると13週移動平均線がサポートラインの形であり、自律調整を交えながら上値を試す展開を期待したい。

■医療用医薬品事業とコンシューマーヘルスケア事業を展開

 消化器分野が中心の医療用医薬品事業、および一般用医薬品のコンシューマーヘルスケア事業を展開している。収益面では薬価改定、ライセンス収入・ロイヤリティ収入、研究開発費、広告宣伝費などの影響を受けやすい。

 23年3月期は医療用医薬品事業の売上高が22年3月期比16.6%増の431億45百万円で営業利益(全社費用等調整前)が26.2%増の87億21百万円、コンシューマーヘルスケア事業の売上高が12.1%増の250億85百万円で営業利益が23.1%増の49億70百万円、その他(保険代理業・不動産賃貸収入)の売上高が2.8%減の1億52百万円で営業利益が7.2%減の2億42百万円だった。地域別売上高は日本53%、イギリス11%、欧州29%、その他7%だった。

■医療用医薬品事業は潰瘍性大腸炎治療剤アサコールなどが主力

 医療用医薬品事業は、潰瘍性大腸炎治療剤アサコールを主力として、炎症性腸疾患治療剤Entocort(エントコート、国内販売名ゼンタコート)や、機能性ディスペプシア治療剤アコファイドなども拡大している。20年9月に国内で販売開始した鉄欠乏性貧血治療剤フェインジェクトについては、消化器科・産婦人科を中心に市場構築を推進している。

 また、アステラス製薬の英国子会社が欧州を中心に販売しているクロストリジウム・ディフィシル感染症治療剤ディフィクリア錠(英名DIFICLIR)については、20年11月に欧州、中東、アフリカおよび独立国家共同体(CIS)における製造販売承認を承継する資産譲渡契約を締結し、21年6月に欧州テリトリーでの製造販売権承継をほぼ完了した。残る地域についても順次承継予定である。

 23年4月には、アステラス製薬が日本において製造販売しているクロストリジウム・ディフィシルによる感染性腸炎治療剤「ダフクリア錠200mg」(一般名:フィダキソマイシン、以下:ダフクリア)について製造販売承認を継承した。

 23年3月期の主要製品の売上高は、アサコールが22年3月期比11.6%増の195億11百万円、ディフィクリアが60.2%増の83億45百万円、エントコートが27.0%増の56億88百万円、アコファイドが1.4%減の31億08百万円、その他が2.9%減の64億91百万円だった。アコファイドについては、アステラス製薬<4503>との日本での共同販促を21年3月で終了し、21年4月以降は単独プロモーションに切り替えている。

 海外展開については、アサコールは欧州を中心に高用量製剤の販売国数を拡大中である。競合する高用量製剤の処方獲得を目指してプロモーションを展開している。またイタリアのMenariniグループの中国現地法人に独占的販売権を供与して、中国で21年5月販売開始した。

 アコファイドについては、Meiji Seika ファルマとタイおよびインドネシアにおける独占的開発・販売ライセンス契約、スペインのFAES社とラテンアメリカにおける独占的開発・販売ライセンス契約を締結している。

 子会社のTillotts Pharma(ティロッツ社、スイス)は、アストラゼネカ社からエントコートの米国を除く全世界における権利を取得(国内ではゼンタコートカプセルとして販売)し、アサコールとともに海外での拡販を推進している。また20年11月に、アステラス製薬の英国子会社からクロストリジウム・ディフィシル感染症治療剤ディフィクリア錠(英名DIFICLIR)の欧州、中東、アフリカおよび独立国家共同体(CIS)における製造販売承認を承継し、販売を拡大している。

■コンシューマーヘルスケア事業はヘパリーゼ群などが主力

 コンシューマーヘルスケア事業はヘパリーゼ群、コンドロイチン群、ウィズワン群を主力として、日本で初めて月経前症候群の効能を取得した西洋ハーブ・ダイレクトOTC医薬品プレフェミン、連結子会社イオナ インターナショナルの「イオナ」ブランド化粧品なども全国の薬局・薬店・ドラッグストアなどに販売している。

 23年3月期の主要製品の売上高はヘパリーゼ群が22年3月期比26.7%増の98億48百万円、コンドロイチン群が5.6%増の54億21百万円、ウィズワン群が6.8%減の12億66百万円、その他(殺菌消毒薬など)が5.5%増の85億48百万円だった。

 事業拡大に向けて、西洋ハーブ群の開発・育成、ヘパリーゼ群およびコンドロイチン群に続く新規主力製品の開発・育成、既存製品(OTC医薬品プレバリン群、オーラルケアのマスデント群やイオナ化粧品など)の育成を推進している。20年4月にはヘパリーゼ群の主原料である肝臓加水分解物の安定調達とコンシューマーヘルスケア事業拡大を目的として、日水製薬<4550>から日水製薬医薬品販売の全株式を譲り受けて子会社化(現社名:健創製薬)した。

 西洋ハーブ関連では21年12月に、軽度の静脈還流障害による足のむくみを改善する内服薬「ベルフェミン」(要指導医薬品)を発売した。欧州において下肢の静脈疾患(慢性静脈不全症)の治療に伝統的に使用されてきたセイヨウトチノキ種子の乾燥エキスを主成分としている。22年3月には、過敏性腸症候群(IBS)改善薬「コルペルミン」(要指導医薬品)を発売した。ペパーミントのオイルを有効成分とする医薬品である。ティロッツ社によって開発され、1981年に英国で発売されて以降、スイスやドイツをはじめ十数ヶ国でIBSの諸症状を改善する一般用医薬品として販売されている。国内で実施された過敏性腸症候群患者を対象とした臨床試験において有効性と安全性が確認された。

 22年3月には11種類の美容液成分を配合した高機能オールインワンジェル「イオナ スパ&ミネラル エッセンス ジェルEX」を発売、22年4月には11種類の有効成分を配合したOTC点眼薬「ビュークリアHi40アクティブ」(第3類医薬品)を発売、22年8月にはオールシーズン使用可能な多機能除菌スプレー「マジックバリア除菌スプレー」(雑貨)を発売、22年10月にはローヤルゼリーを有効成分として配合した滋養強壮保健剤「ハイゼリー顆粒EX」(第3類医薬品)を発売した。

■消化器分野を最重点領域として新薬開発を推進

 消化器分野を最重点領域と位置付けて新薬開発を推進している。新薬パイプラインの状況(23年5月11日現在)は以下の通りである。

 Z−338(自社品、一般名アコチアミド)は、日本では小児機能性ディスペプシア患者を適応症として第3相段階、新たに低活動膀胱を適応症とする開発コードZG−802として第2相段階、食道胃接合部通過障害を適応症として第2相(九州大学で医師主導治験)段階、欧州では機能性ディスペプシアを適応症として第3相段階である。なお九州大学における医師主導治験は日本医療研究開発機構(AMED)の助成事業に採択されている。

 Z−338の海外導出では、Faes Farmaが機能性ディスペプシアを適応症としてメキシコ、ホンジュラス、ドミニカ共和国、エクアドル、チリで承認を取得した。さらにFaes Farmaが機能性ディスペプシアを適応症としてコロンビア、ペルー、コスタリカ、グアテマラ、パナマ、ニカラグア、エルサルバドルにおいて承認申請中である。またMeiji Seikaファルマが機能性ディスペプシアを適応症としてタイおよびインドネシアにおいて承認申請中である。

 高カリウム血症を適応症とするZG−801(ビフォーファーマ社から導入、パチロマーソルビテクスカルシウム)については、日本において申請準備中である。米国では15年12月販売開始し、欧州では17年7月EMA(欧州医薬品庁)から承認取得している。

■アサコールやエントコートの拡大などを推進

 収益拡大に向けた重点施策として、医療用医薬品事業ではアサコール高用量製剤の海外販売国拡大、フェインジェクトやエントコートの市場浸透、ティロッツ社の営業体制強化、コンシューマーヘルスケア事業では既存の主力製品に次ぐ製品群の育成、西洋ハーブ剤など特徴ある製品群の市場認知度向上による事業拡大を推進している。

 また持続的成長に向けて、消化器領域および既存事業との親和性の高い領域の薬剤導入、M&A、自社製品の海外導出を推進する方針としている。

■上場維持基準適合に向けた計画書

 なお23年3月31日時点で流通株式比率がプライム市場の上場維持基準に適合しない状況となったため、6月29日付で上場維持基準への適合に向けた計画を策定・公表した。

 基本方針としてステークホルダーの期待に応えて持続的な企業価値の向上を図るとともに、流通株式比率を引き上げるために株主との対話による保有目的の確認や資本政策(自己株式消却など)など各種取組を総合的に検討し、25年3月末までに上場維持基準の適合を目指すとしている。

■24年3月期経常・最終2桁増益予想

 24年3月期の連結業績予想は売上高が23年3月期比6.8%増の730億円、営業利益が0.9%増の91億円、経常利益が18.7%増の90億円、そして親会社株主帰属当期純利益が13.0%増の70億円としている。配当予想は23年3月期比4円増配の44円(第2四半期末22円、期末22円)としている。連続増配で予想配当性向は27.7%となる。

 医療用医薬品事業は海外市場におけるアサコールやディフィクリアの伸長で増収、コンシューマーヘルスケア事業はヘパリーゼ群やコンドロイチンの売上増加などで増収を見込んでいる。利益面は、研究開発費の増加などを考慮して営業利益が微増益にとどまるが、経常利益と純利益は2桁増益予想としている。そして配当も連続増配予想としている。積極的な事業展開で収益拡大基調だろう。

■株主優待は年2回、9月末と3月末の株主対象

 株主優待制度は毎年9月末および3月末現在の株主を対象として、保有株式数に応じて自社グループ商品を贈呈(詳細は会社HP参照)している。

■株価は上値試す

 株価は年初来高値圏で上げ一服となったが、週足チャートで見ると13週移動平均線がサポートラインとなって上昇トレンドの形であり、好業績を評価して自律調整を交えながら上値を試す展開を期待したい。6月29日の終値は2452円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS158円80銭で算出)は約15倍、今期予想配当利回り(会社予想の44円で算出)は約1.8%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS1484円79銭で算出)は約1.7倍、そして時価総額は約1302億円である。 (情報提供:日本インタビュ新聞社=Media−IR
[06月19日更新]

ゼリア新薬工業は18年の高値に接近、24年3月期経常・最終2桁増益で連続増配予想

 ゼリア新薬工業<4559>(東証プライム)は消化器分野が中心の医療用医薬品事業、および一般用医薬品のコンシューマーヘルスケア事業を展開している。医療用医薬品事業ではアサコール高用量製剤の海外販売国拡大、フェインジェクトやエントコートの市場浸透、ティロッツ社(スイス)の営業体制強化、コンシューマーヘルスケア事業では既存主力製品に次ぐ製品群の育成、西洋ハーブ剤など特徴ある製品群の事業拡大などを推進している。24年3月期は研究開発費増加などを考慮して営業利益が微増益だが、経常利益と純利益は2桁増益予想としている。そして配当も連続増配予想としている。積極的な事業展開で収益拡大基調だろう。株価は年初来高値更新の展開だ。そして18年の高値に接近している。好業績や連続増配を評価して上値を試す展開を期待したい。

■医療用医薬品事業とコンシューマーヘルスケア事業を展開

 消化器分野が中心の医療用医薬品事業、および一般用医薬品のコンシューマーヘルスケア事業を展開している。収益面では薬価改定、ライセンス収入・ロイヤリティ収入、研究開発費、広告宣伝費などの影響を受けやすい。

 23年3月期は医療用医薬品事業の売上高が22年3月期比16.6%増の431億45百万円で営業利益(全社費用等調整前)が26.2%増の87億21百万円、コンシューマーヘルスケア事業の売上高が12.1%増の250億85百万円で営業利益が23.1%増の49億70百万円、その他(保険代理業・不動産賃貸収入)の売上高が2.8%減の1億52百万円で営業利益が7.2%減の2億42百万円だった。地域別売上高は日本53%、イギリス11%、欧州29%、その他7%だった。

■医療用医薬品事業は潰瘍性大腸炎治療剤アサコールなどが主力

 医療用医薬品事業は、潰瘍性大腸炎治療剤アサコールを主力として、炎症性腸疾患治療剤Entocort(エントコート、国内販売名ゼンタコート)や、機能性ディスペプシア治療剤アコファイドなども拡大している。20年9月に国内で販売開始した鉄欠乏性貧血治療剤フェインジェクトについては、消化器科・産婦人科を中心に市場構築を推進している。

 また、アステラス製薬の英国子会社が欧州を中心に販売しているクロストリジウム・ディフィシル感染症治療剤ディフィクリア錠(英名DIFICLIR)については、20年11月に欧州、中東、アフリカおよび独立国家共同体(CIS)における製造販売承認を承継する資産譲渡契約を締結し、21年6月に欧州テリトリーでの製造販売権承継をほぼ完了した。残る地域についても順次承継予定である。

 23年4月には、アステラス製薬が日本において製造販売しているクロストリジウム・ディフィシルによる感染性腸炎治療剤「ダフクリア錠200mg」(一般名:フィダキソマイシン、以下:ダフクリア)について製造販売承認を継承した。

 23年3月期の主要製品の売上高は、アサコールが22年3月期比11.6%増の195億11百万円、ディフィクリアが60.2%増の83億45百万円、エントコートが27.0%増の56億88百万円、アコファイドが1.4%減の31億08百万円、その他が2.9%減の64億91百万円だった。アコファイドについては、アステラス製薬<4503>との日本での共同販促を21年3月で終了し、21年4月以降は単独プロモーションに切り替えている。

 海外展開については、アサコールは欧州を中心に高用量製剤の販売国数を拡大中である。競合する高用量製剤の処方獲得を目指してプロモーションを展開している。またイタリアのMenariniグループの中国現地法人に独占的販売権を供与して、中国で21年5月販売開始した。

 アコファイドについては、Meiji Seika ファルマとタイおよびインドネシアにおける独占的開発・販売ライセンス契約、スペインのFAES社とラテンアメリカにおける独占的開発・販売ライセンス契約を締結している。

 子会社のTillotts Pharma(ティロッツ社、スイス)は、アストラゼネカ社からエントコートの米国を除く全世界における権利を取得(国内ではゼンタコートカプセルとして販売)し、アサコールとともに海外での拡販を推進している。また20年11月に、アステラス製薬の英国子会社からクロストリジウム・ディフィシル感染症治療剤ディフィクリア錠(英名DIFICLIR)の欧州、中東、アフリカおよび独立国家共同体(CIS)における製造販売承認を承継し、販売を拡大している。

■コンシューマーヘルスケア事業はヘパリーゼ群などが主力

 コンシューマーヘルスケア事業はヘパリーゼ群、コンドロイチン群、ウィズワン群を主力として、日本で初めて月経前症候群の効能を取得した西洋ハーブ・ダイレクトOTC医薬品プレフェミン、連結子会社イオナ インターナショナルの「イオナ」ブランド化粧品なども全国の薬局・薬店・ドラッグストアなどに販売している。

 23年3月期の主要製品の売上高はヘパリーゼ群が22年3月期比26.7%増の98億48百万円、コンドロイチン群が5.6%増の54億21百万円、ウィズワン群が6.8%減の12億66百万円、その他(殺菌消毒薬など)が5.5%増の85億48百万円だった。

 事業拡大に向けて、西洋ハーブ群の開発・育成、ヘパリーゼ群およびコンドロイチン群に続く新規主力製品の開発・育成、既存製品(OTC医薬品プレバリン群、オーラルケアのマスデント群やイオナ化粧品など)の育成を推進している。20年4月にはヘパリーゼ群の主原料である肝臓加水分解物の安定調達とコンシューマーヘルスケア事業拡大を目的として、日水製薬<4550>から日水製薬医薬品販売の全株式を譲り受けて子会社化(現社名:健創製薬)した。

 西洋ハーブ関連では21年12月に、軽度の静脈還流障害による足のむくみを改善する内服薬「ベルフェミン」(要指導医薬品)を発売した。欧州において下肢の静脈疾患(慢性静脈不全症)の治療に伝統的に使用されてきたセイヨウトチノキ種子の乾燥エキスを主成分としている。22年3月には、過敏性腸症候群(IBS)改善薬「コルペルミン」(要指導医薬品)を発売した。ペパーミントのオイルを有効成分とする医薬品である。ティロッツ社によって開発され、1981年に英国で発売されて以降、スイスやドイツをはじめ十数ヶ国でIBSの諸症状を改善する一般用医薬品として販売されている。国内で実施された過敏性腸症候群患者を対象とした臨床試験において有効性と安全性が確認された。

 22年3月には11種類の美容液成分を配合した高機能オールインワンジェル「イオナ スパ&ミネラル エッセンス ジェルEX」を発売、22年4月には11種類の有効成分を配合したOTC点眼薬「ビュークリアHi40アクティブ」(第3類医薬品)を発売、22年8月にはオールシーズン使用可能な多機能除菌スプレー「マジックバリア除菌スプレー」(雑貨)を発売、22年10月にはローヤルゼリーを有効成分として配合した滋養強壮保健剤「ハイゼリー顆粒EX」(第3類医薬品)を発売した。

■消化器分野を最重点領域として新薬開発を推進

 消化器分野を最重点領域と位置付けて新薬開発を推進している。新薬パイプラインの状況(23年5月11日現在)は以下の通りである。

 Z−338(自社品、一般名アコチアミド)は、日本では小児機能性ディスペプシア患者を適応症として第3相段階、新たに低活動膀胱を適応症とする開発コードZG−802として第2相段階、食道胃接合部通過障害を適応症として第2相(九州大学で医師主導治験)段階、欧州では機能性ディスペプシアを適応症として第3相段階である。なお九州大学における医師主導治験は日本医療研究開発機構(AMED)の助成事業に採択されている。

 Z−338の海外導出では、Faes Farmaが機能性ディスペプシアを適応症としてメキシコ、ホンジュラス、ドミニカ共和国、エクアドル、チリで承認を取得した。さらにFaes Farmaが機能性ディスペプシアを適応症としてコロンビア、ペルー、コスタリカ、グアテマラ、パナマ、ニカラグア、エルサルバドルにおいて承認申請中である。またMeiji Seikaファルマが機能性ディスペプシアを適応症としてタイおよびインドネシアにおいて承認申請中である。

 高カリウム血症を適応症とするZG−801(ビフォーファーマ社から導入、パチロマーソルビテクスカルシウム)については、日本において申請準備中である。米国では15年12月販売開始し、欧州では17年7月EMA(欧州医薬品庁)から承認取得している。

■アサコールやエントコートの拡大などを推進

 収益拡大に向けた重点施策として、医療用医薬品事業ではアサコール高用量製剤の海外販売国拡大、フェインジェクトやエントコートの市場浸透、ティロッツ社の営業体制強化、コンシューマーヘルスケア事業では既存の主力製品に次ぐ製品群の育成、西洋ハーブ剤など特徴ある製品群の市場認知度向上による事業拡大を推進している。

 また持続的成長に向けて、消化器領域および既存事業との親和性の高い領域の薬剤導入、M&A、自社製品の海外導出を推進する方針としている。

■24年3月期経常・最終2桁増益予想

 24年3月期の連結業績予想は売上高が23年3月期比6.8%増の730億円、営業利益が0.9%増の91億円、経常利益が18.7%増の90億円、そして親会社株主帰属当期純利益が13.0%増の70億円としている。配当予想は23年3月期比4円増配の44円(第2四半期末22円、期末22円)としている。連続増配で予想配当性向は27.7%となる。

 医療用医薬品事業は海外市場におけるアサコールやディフィクリアの伸長で増収、コンシューマーヘルスケア事業はヘパリーゼ群やコンドロイチンの売上増加などで増収を見込んでいる。利益面は、研究開発費の増加などを考慮して営業利益が微増益だが、経常利益と純利益は2桁増益予想としている。そして配当も連続増配予想としている。積極的な事業展開で収益拡大基調だろう。

■株主優待は年2回、9月末と3月末の株主対象

 株主優待制度は毎年9月末および3月末現在の株主を対象として、保有株式数に応じて自社グループ商品を贈呈(詳細は会社HP参照)している。

■株価は18年の高値に接近

 株価は年初来高値更新の展開だ。そして18年の高値に接近している。好業績や連続増配を評価して上値を試す展開を期待したい。6月16日の終値は2555円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS158円80銭で算出)は約16倍、今期予想配当利回り(会社予想の44円で算出)は約1.7%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS1484円79銭で算出)は約1.7倍、時価総額は約1357億円である。 (情報提供:日本インタビュ新聞社=Media−IR
[05月22日更新]

ゼリア新薬工業は上値試す、24年3月期経常・最終2桁増益で連続増配予想

 ゼリア新薬工業<4559>(東証プライム)は消化器分野が中心の医療用医薬品事業、および一般用医薬品のコンシューマーヘルスケア事業を展開している。医療用医薬品事業ではアサコール高用量製剤の海外販売国拡大、フェインジェクトやエントコートの市場浸透、ティロッツ社(スイス)の営業体制強化、コンシューマーヘルスケア事業では既存主力製品に次ぐ製品群の育成、西洋ハーブ剤など特徴ある製品群の事業拡大などを推進している。23年3月期は大幅増収増益だった。医療用医薬品事業の海外の好調が牽引し、コンシューマーヘルスケア事業も回復基調だった。24年3月期は研究開発費増加などを考慮して営業利益が微増益だが、経常利益と純利益は2桁増益予想としている。そして配当も連続増配予想としている。積極的な事業展開で収益拡大基調だろう。株価は順調に水準を切り上げて18年以来の高値圏だ。好業績や連続増配を評価して上値を試す展開を期待したい。

■医療用医薬品事業とコンシューマーヘルスケア事業を展開

 消化器分野が中心の医療用医薬品事業、および一般用医薬品のコンシューマーヘルスケア事業を展開している。収益面では薬価改定、ライセンス収入・ロイヤリティ収入、研究開発費、広告宣伝費などの影響を受けやすい。

 23年3月期は医療用医薬品事業の売上高が22年3月期比16.6%増の431億45百万円で営業利益(全社費用等調整前)が26.2%増の87億21百万円、コンシューマーヘルスケア事業の売上高が12.1%増の250億85百万円で営業利益が23.1%増の49億70百万円、その他(保険代理業・不動産賃貸収入)の売上高が2.8%減の1億52百万円で営業利益が7.2%減の2億42百万円だった。地域別売上高は日本53%、イギリス11%、欧州29%、その他7%だった。

■医療用医薬品事業は潰瘍性大腸炎治療剤アサコールなどが主力

 医療用医薬品事業は、潰瘍性大腸炎治療剤アサコールを主力として、炎症性腸疾患治療剤Entocort(エントコート、国内販売名ゼンタコート)や、機能性ディスペプシア治療剤アコファイドなども拡大している。20年9月に国内で販売開始した鉄欠乏性貧血治療剤フェインジェクトについては、消化器科・産婦人科を中心に市場構築を推進している。

 また、アステラス製薬の英国子会社が欧州を中心に販売しているクロストリジウム・ディフィシル感染症治療剤ディフィクリア錠(英名DIFICLIR)については、20年11月に欧州、中東、アフリカおよび独立国家共同体(CIS)における製造販売承認を承継する資産譲渡契約を締結し、21年6月に欧州テリトリーでの製造販売権承継をほぼ完了した。残る地域についても順次承継予定である。

 23年4月には、アステラス製薬が日本において製造販売しているクロストリジウム・ディフィシルによる感染性腸炎治療剤「ダフクリア錠200mg」(一般名:フィダキソマイシン、以下:ダフクリア)について製造販売承認を継承した。

 23年3月期の主要製品の売上高は、アサコールが22年3月期比11.6%増の195億11百万円、ディフィクリアが60.2%増の83億45百万円、エントコートが27.0%増の56億88百万円、アコファイドが1.4%減の31億08百万円、その他が2.9%減の64億91百万円だった。アコファイドについては、アステラス製薬<4503>との日本での共同販促を21年3月で終了し、21年4月以降は単独プロモーションに切り替えている。

 海外展開については、アサコールは欧州を中心に高用量製剤の販売国数を拡大中である。競合する高用量製剤の処方獲得を目指してプロモーションを展開している。またイタリアのMenariniグループの中国現地法人に独占的販売権を供与して、中国で21年5月販売開始した。

 アコファイドについては、Meiji Seika ファルマとタイおよびインドネシアにおける独占的開発・販売ライセンス契約、スペインのFAES社とラテンアメリカにおける独占的開発・販売ライセンス契約を締結している。

 子会社のTillotts Pharma(ティロッツ社、スイス)は、アストラゼネカ社からエントコートの米国を除く全世界における権利を取得(国内ではゼンタコートカプセルとして販売)し、アサコールとともに海外での拡販を推進している。また20年11月に、アステラス製薬の英国子会社からクロストリジウム・ディフィシル感染症治療剤ディフィクリア錠(英名DIFICLIR)の欧州、中東、アフリカおよび独立国家共同体(CIS)における製造販売承認を承継し、販売を拡大している。

■コンシューマーヘルスケア事業はヘパリーゼ群などが主力

 コンシューマーヘルスケア事業はヘパリーゼ群、コンドロイチン群、ウィズワン群を主力として、日本で初めて月経前症候群の効能を取得した西洋ハーブ・ダイレクトOTC医薬品プレフェミン、連結子会社イオナ インターナショナルの「イオナ」ブランド化粧品なども全国の薬局・薬店・ドラッグストアなどに販売している。

 23年3月期の主要製品の売上高はヘパリーゼ群が22年3月期比26.7%増の98億48百万円、コンドロイチン群が5.6%増の54億21百万円、ウィズワン群が6.8%減の12億66百万円、その他(殺菌消毒薬など)が5.5%増の85億48百万円だった。

 事業拡大に向けて、西洋ハーブ群の開発・育成、ヘパリーゼ群およびコンドロイチン群に続く新規主力製品の開発・育成、既存製品(OTC医薬品プレバリン群、オーラルケアのマスデント群やイオナ化粧品など)の育成を推進している。20年4月にはヘパリーゼ群の主原料である肝臓加水分解物の安定調達とコンシューマーヘルスケア事業拡大を目的として、日水製薬<4550>から日水製薬医薬品販売の全株式を譲り受けて子会社化(現社名:健創製薬)した。

 西洋ハーブ関連では21年12月に、軽度の静脈還流障害による足のむくみを改善する内服薬「ベルフェミン」(要指導医薬品)を発売した。欧州において下肢の静脈疾患(慢性静脈不全症)の治療に伝統的に使用されてきたセイヨウトチノキ種子の乾燥エキスを主成分としている。22年3月には、過敏性腸症候群(IBS)改善薬「コルペルミン」(要指導医薬品)を発売した。ペパーミントのオイルを有効成分とする医薬品である。ティロッツ社によって開発され、1981年に英国で発売されて以降、スイスやドイツをはじめ十数ヶ国でIBSの諸症状を改善する一般用医薬品として販売されている。国内で実施された過敏性腸症候群患者を対象とした臨床試験において有効性と安全性が確認された。

 22年3月には11種類の美容液成分を配合した高機能オールインワンジェル「イオナ スパ&ミネラル エッセンス ジェルEX」を発売、22年4月には11種類の有効成分を配合したOTC点眼薬「ビュークリアHi40アクティブ」(第3類医薬品)を発売、22年8月にはオールシーズン使用可能な多機能除菌スプレー「マジックバリア除菌スプレー」(雑貨)を発売、22年10月にはローヤルゼリーを有効成分として配合した滋養強壮保健剤「ハイゼリー顆粒EX」(第3類医薬品)を発売した。

■消化器分野を最重点領域として新薬開発を推進

 消化器分野を最重点領域と位置付けて新薬開発を推進している。新薬パイプラインの状況(23年5月11日現在)は以下の通りである。

 Z−338(自社品、一般名アコチアミド)は、日本では小児機能性ディスペプシア患者を適応症として第3相段階、新たに低活動膀胱を適応症とする開発コードZG−802として第2相段階、食道胃接合部通過障害を適応症として第2相(九州大学で医師主導治験)段階、欧州では機能性ディスペプシアを適応症として第3相段階である。なお九州大学における医師主導治験は日本医療研究開発機構(AMED)の助成事業に採択されている。

 Z−338の海外導出では、Faes Farmaが機能性ディスペプシアを適応症としてメキシコ、ホンジュラス、ドミニカ共和国、エクアドル、チリで承認を取得した。さらにFaes Farmaが機能性ディスペプシアを適応症としてコロンビア、ペルー、コスタリカ、グアテマラ、パナマ、ニカラグア、エルサルバドルにおいて承認申請中である。またMeiji Seikaファルマが機能性ディスペプシアを適応症としてタイおよびインドネシアにおいて承認申請中である。

 高カリウム血症を適応症とするZG−801(ビフォーファーマ社から導入、パチロマーソルビテクスカルシウム)については、日本において申請準備中である。米国では15年12月販売開始し、欧州では17年7月EMA(欧州医薬品庁)から承認取得している。

■アサコールやエントコートの拡大などを推進

 収益拡大に向けた重点施策として、医療用医薬品事業ではアサコール高用量製剤の海外販売国拡大、フェインジェクトやエントコートの市場浸透、ティロッツ社の営業体制強化、コンシューマーヘルスケア事業では既存の主力製品に次ぐ製品群の育成、西洋ハーブ剤など特徴ある製品群の市場認知度向上による事業拡大を推進している。

 また持続的成長に向けて、消化器領域および既存事業との親和性の高い領域の薬剤導入、M&A、自社製品の海外導出を推進する方針としている。

■23年3月期大幅増益着地、24年3月期経常・最終2桁増益予想

 23年3月期の連結業績は売上高が22年3月期比14.9%増の683億83百万円、営業利益が41.6%増の90億14百万円、経常利益が27.7%増の75億79百万円、そして親会社株主帰属当期純利益が56.4%増の61億95百万円だった。配当は、22年3月期比5円増配の40円(第2四半期末18円、期末22円)とした。配当性向は28.5%となる。

 大幅増収増益だった。医療用医薬品事業の海外の好調が牽引し、コンシューマーヘルスケア事業も回復基調だった。なおスイスフラン高の影響で営業外の為替差損益が悪化(22年3月期は為替差損3億29百万円、23年3月期は為替差損14億16百万円)した。

 医療用医薬品事業は売上高が16.6%増の431億45百万円、セグメント利益(全社費用等調整前営業利益)が26.2%増の87億21百万円だった。潰瘍性大腸炎治療剤アサコールは、国内では薬価改定や競合品の影響で苦戦したが、海外市場において高用量製剤アサコール1600mgを中心に伸長した。炎症性腸疾患(IBD)治療剤エントコート(国内販売名ゼンタコート)は、海外市場のカナダやイタリアなどで大幅に伸長した。クロストリジウム・ディフィシル感染症治療剤ディフィクリアは、欧州の感染症診療ガイドラインで第一選択薬として推奨され、営業リソースの積極投入も寄与して売上が大幅に拡大した。

 コンシューマーヘルスケア事業は売上高が12.1%増の250億85百万円、利益が23.1%増の49億70百万円だった。ヘパリーゼ群についてはコロナ禍やインバウンド需要減少の影響を受けたが、医薬品ヘパリーゼ群やコンビニエンスストア向けヘパリーゼW群が回復基調だった。コンドロイチン群も積極的な広告宣伝投資の効果で堅調だった。植物性便秘薬ウィズワン群は競合品の影響などで苦戦した。

 その他(保険代理業・不動産賃貸収入)は売上高が2.8%減の1億52百万円、利益が7.2%減の2億42百万円だった。

 なお四半期別に見ると、第1四半期は売上高163億05百万円、営業利益29億77百万円、経常利益29億74百万円、第2四半期は売上高174億07百万円、営業利益29億17百万円、経常利益22億08百万円、第3四半期は売上高180億17百万円、営業利益26億56百万円、経常利益17億75百万円、第4四半期は売上高166億54百万円、営業利益4億64百万円、経常利益6億22百万円だった。

 24年3月期の連結業績予想は売上高が23年3月期比6.8%増の730億円、営業利益が0.9%増の91億円、経常利益が18.7%増の90億円、そして親会社株主帰属当期純利益が13.0%増の70億円としている。配当予想は23年3月期比4円増配の44円(第2四半期末22円、期末22円)としている。連続増配で予想配当性向は27.7%となる。

 医療用医薬品事業は海外市場におけるアサコールやディフィクリアの伸長で増収、コンシューマーヘルスケア事業はヘパリーゼ群やコンドロイチンの売上増加などで増収を見込んでいる。利益面は、研究開発費の増加などを考慮して営業利益が微増益だが、経常利益と純利益は2桁増益予想としている。そして配当も連続増配予想としている。積極的な事業展開で収益拡大基調だろう。

■株主優待は年2回、9月末と3月末の株主対象

 株主優待制度は毎年9月末および3月末現在の株主を対象として、保有株式数に応じて自社グループ商品を贈呈(詳細は会社HP参照)している。

■株価は上値試す

 株価は順調に水準を切り上げて18年以来の高値圏だ。好業績や連続増配を評価して上値を試す展開を期待したい。5月19日の終値は2507円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS158円80銭で算出)は約16倍、今期予想配当利回り(会社予想の44円で算出)は約1.8%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS1484円79銭で算出)は約1.7倍、そして時価総額は約1332億円である。 (情報提供:日本インタビュ新聞社=Media−IR
[05月12日更新]

ゼリア新薬工業は24年3月期営業微増益だが、経常・最終2桁増益で連続増配予想

 ゼリア新薬工業<4559>(東証プライム)は、5月11日の取引時間終了後に23年3月期連結業績を発表した。大幅増収増益だった。医療用医薬品事業の海外の好調が牽引し、コンシューマーヘルスケア事業も回復基調だった。24年3月期は研究開発費の増加などを考慮して営業利益が微増益だが、経常利益と純利益は2桁増益予想としている。配当も連続増配予想としている。積極的な事業展開で収益拡大基調だろう。株価は年初来高値圏だ。そして18年の高値に接近している。好業績や連続増配を評価して上値を試す展開を期待したい。

■23年3月期大幅増益、24年3月期経常・最終2桁増益予想

 23年3月期の連結業績は売上高が22年3月期比14.9%増の683億83百万円、営業利益が41.6%増の90億14百万円、経常利益が27.7%増の75億79百万円、そして親会社株主帰属当期純利益が56.4%増の61億95百万円だった。配当は、22年3月期比5円増配の40円(第2四半期末18円、期末22円)とした。配当性向は28.5%となる。

 大幅増収増益だった。医療用医薬品事業の海外の好調が牽引し、コンシューマーヘルスケア事業も回復基調だった。なおスイスフラン高の影響で営業外の為替差損益が悪化(22年3月期は為替差損3億29百万円、23年3月期は為替差損14億16百万円)した。

 医療用医薬品事業は売上高が16.6%増の431億45百万円、セグメント利益(全社費用等調整前営業利益)が26.2%増の87億21百万円だった。潰瘍性大腸炎治療剤アサコールは、国内では薬価改定や競合品の影響で苦戦したが、海外市場において高用量製剤アサコール1600mgを中心に伸長した。炎症性腸疾患(IBD)治療剤エントコート(国内販売名ゼンタコート)は、海外市場のカナダやイタリアなどで大幅に伸長した。クロストリジウム・ディフィシル感染症治療剤ディフィクリアは、欧州の感染症診療ガイドラインで第一選択薬として推奨され、営業リソースの積極投入も寄与して売上が大幅に拡大した。

 コンシューマーヘルスケア事業は売上高が12.1%増の250億85百万円、利益が23.1%増の49億70百万円だった。ヘパリーゼ群についてはコロナ禍やインバウンド需要減少の影響を受けたが、医薬品ヘパリーゼ群やコンビニエンスストア向けヘパリーゼW群が回復基調だった。コンドロイチン群も積極的な広告宣伝投資の効果で堅調だった。植物性便秘薬ウィズワン群は競合品の影響などで苦戦した。

 その他(保険代理業・不動産賃貸収入)は売上高が2.8%減の1億52百万円、利益が7.2%減の2億42百万円だった。

 なお四半期別に見ると、第1四半期は売上高163億05百万円、営業利益29億77百万円、経常利益29億74百万円、第2四半期は売上高174億07百万円、営業利益29億17百万円、経常利益22億08百万円、第3四半期は売上高180億17百万円、営業利益26億56百万円、経常利益17億75百万円、第4四半期は売上高166億54百万円、営業利益4億64百万円、経常利益6億22百万円だった。

 24年3月期の連結業績予想は売上高が23年3月期比6.8%増の730億円、営業利益が0.9%増の91億円、経常利益が18.7%増の90億円、そして親会社株主帰属当期純利益が13.0%増の70億円としている。配当予想は23年3月期比4円増配の44円(第2四半期末22円、期末22円)としている。予想配当性向は27.7%となる。

 医療用医薬品事業は海外市場におけるアサコールやディフィクリアの伸長で増収、コンシューマーヘルスケア事業はヘパリーゼ群やコンドロイチンの売上増加などで増収を見込んでいる。利益面は、研究開発費の増加などを考慮して営業利益が微増益だが、経常利益と純利益は2桁増益予想としている。積極的な事業展開で収益拡大基調だろう。

■株価は上値試す

 株価は年初来高値圏だ。そして18年の高値に接近している。好業績や連続増配を評価して上値を試す展開を期待したい。5月11日の終値は2414円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS158円80銭で算出)は約15倍、今期予想配当利回り(会社予想の44円で算出)は約1.8%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS1484円79銭で算出)は約1.6倍、そして時価総額は約1282億円である。 (情報提供:日本インタビュ新聞社=Media−IR
[04月06日更新]

ゼリア新薬工業は急反発して戻り高値圏、24年3月期も収益拡大基調

 ゼリア新薬工業<4559>(東証プライム)は消化器分野が中心の医療用医薬品事業、および一般用医薬品のコンシューマーヘルスケア事業を展開している。医療用医薬品事業ではアサコール高用量製剤の海外販売国拡大、フェインジェクトやエントコートの市場浸透、ティロッツ社(スイス)の営業体制強化、コンシューマーヘルスケア事業では既存主力製品に次ぐ製品群の育成、西洋ハーブ剤など特徴ある製品群の市場認知度向上による事業拡大を推進している。23年3月期は医療用医薬品事業の海外の好調やコンシューマーヘルスケア事業の回復基調などで2桁増収増益予想としている。第3四半期累計の営業利益と純利益が通期予想を超過達成していることを勘案すれば23年3月期会社予想は上振れの可能性が高く、さらに24年3月期も積極的な事業展開で収益拡大基調だろう。株価は地合い悪化の影響を受ける場面があったが、3月の直近安値圏から急反発して戻り高値圏だ。好業績を評価して上値を試す展開を期待したい。

■医療用医薬品事業とコンシューマーヘルスケア事業を展開

 消化器分野が中心の医療用医薬品事業、および一般用医薬品のコンシューマーヘルスケア事業を展開している。収益面では薬価改定、ライセンス収入・ロイヤリティ収入、研究開発費、広告宣伝費などの影響を受けやすい。

 22年3月期のセグメント別売上高構成比は医療用医薬品事業62%、コンシューマーヘルスケア事業38%、その他0%、利益(全社費用等調整前営業利益)構成比は医療用医薬品事業62%、コンシューマーヘルスケア事業36%、その他2%だった。地域別売上比率は日本59%、欧州35%、その他6%だった。

■医療用医薬品事業は潰瘍性大腸炎治療剤アサコールなどが主力

 医療用医薬品事業は、潰瘍性大腸炎治療剤アサコールを主力として、炎症性腸疾患治療剤Entocort(エントコート、国内販売名ゼンタコート)や、機能性ディスペプシア治療剤アコファイドなども拡大している。20年9月に国内で販売開始した鉄欠乏性貧血治療剤フェインジェクトについては、消化器科・産婦人科を中心に市場構築を推進している。

 また、アステラス製薬の英国子会社が欧州を中心に販売しているクロストリジウム・ディフィシル感染症治療剤ディフィクリア錠(英名DIFICLIR)については、20年11月に欧州、中東、アフリカおよび独立国家共同体(CIS)における製造販売承認を承継する資産譲渡契約を締結し、21年6月に欧州テリトリーでの製造販売権承継をほぼ完了した。残る地域についても順次承継予定である。

 23年2月には、アステラス製薬が日本において製造販売しているクロストリジウム・ディフィシルによる感染性腸炎治療剤「ダフクリア錠200mg」(一般名:フィダキソマイシン、以下:ダフクリア)について、23年4月3日に製造販売承認を継承すると発表した。

 22年3月期の売上高はアサコールが21年3月期比5.9%増の174億76百万円、ディフィクリアが52億11百万円(21年3月期は2億59百万円)、エントコートが7.0%減の44億80百万円、アコファイドが89.2%増の31億54百万円、その他が0.2%減の66億84百万円だった。なおアコファイドについては、アステラス製薬<4503>との日本での共同販促を21年3月で終了し、21年4月以降は単独プロモーションに切り替えている。

 海外展開については、アサコールは、欧州を中心に高用量製剤の販売国数を拡大中(21年12月時点でドイツ、フランスをはじめとする19ヶ国で販売中)である。競合する高用量製剤の処方獲得を目指してプロモーションを展開している。またイタリアのMenariniグループの中国現地法人に独占的販売権を供与して、中国で21年5月販売開始した。

 アコファイドについては、Meiji Seika ファルマとタイおよびインドネシアにおける独占的開発・販売ライセンス契約、スペインのFAES社とラテンアメリカにおける独占的開発・販売ライセンス契約を締結している。

 子会社のTillotts Pharma(ティロッツ社、スイス)は、アストラゼネカ社からエントコートの米国を除く全世界における権利を取得(国内ではゼンタコートカプセルとして販売)し、アサコールとともに海外での拡販を推進している。また20年11月に、アステラス製薬の英国子会社からクロストリジウム・ディフィシル感染症治療剤ディフィクリア錠(英名DIFICLIR)の欧州、中東、アフリカおよび独立国家共同体(CIS)における製造販売承認を承継し、販売を拡大している。

■コンシューマーヘルスケア事業はヘパリーゼ群などが主力

 コンシューマーヘルスケア事業はヘパリーゼ群、コンドロイチン群、ウィズワン群を主力として、日本で初めて月経前症候群の効能を取得した西洋ハーブ・ダイレクトOTC医薬品プレフェミン、連結子会社イオナ インターナショナルの「イオナ」ブランド化粧品なども全国の薬局・薬店・ドラッグストアなどに販売している。

 なお22年3月期の売上高は、ヘパリーゼ群が21年3月期比17.5%増の77億70百万円(医薬品が18.9%増の43億45百万円、清涼飲料水・栄養補助食品が15.7%増の34億25百万円)で、コンドロイチン群が4.6%減の51億35百万円、ウィズワン群が5.9%減の13億59百万円、その他(殺菌消毒薬など)が12.0%減の81億04百万円だった。

 事業拡大に向けて、西洋ハーブ群の開発・育成、ヘパリーゼ群およびコンドロイチン群に続く新規主力製品の開発・育成、既存製品(OTC医薬品プレバリン群、オーラルケアのマスデント群やイオナ化粧品など)の育成を推進している。20年4月にはヘパリーゼ群の主原料である肝臓加水分解物の安定調達とコンシューマーヘルスケア事業拡大を目的として、日水製薬<4550>から日水製薬医薬品販売の全株式を譲り受けて子会社化(現社名:健創製薬)した。

 西洋ハーブ関連では21年12月に、軽度の静脈還流障害による足のむくみを改善する内服薬「ベルフェミン」(要指導医薬品)を発売した。欧州において下肢の静脈疾患(慢性静脈不全症)の治療に伝統的に使用されてきたセイヨウトチノキ種子の乾燥エキスを主成分としている。22年3月には、過敏性腸症候群(IBS)改善薬「コルペルミン」(要指導医薬品)を発売した。ペパーミントのオイルを有効成分とする医薬品である。ティロッツ社によって開発され、1981年に英国で発売されて以降、スイスやドイツをはじめ十数ヶ国でIBSの諸症状を改善する一般用医薬品として販売されている。国内で実施された過敏性腸症候群患者を対象とした臨床試験において有効性と安全性が確認された。

 22年3月には11種類の美容液成分を配合した高機能オールインワンジェル「イオナ スパ&ミネラル エッセンス ジェルEX」を発売、22年4月には11種類の有効成分を配合したOTC点眼薬「ビュークリアHi40アクティブ」(第3類医薬品)を発売、22年8月にはオールシーズン使用可能な多機能除菌スプレー「マジックバリア除菌スプレー」(雑貨)を発売、22年10月にはローヤルゼリーを有効成分として配合した滋養強壮保健剤「ハイゼリー顆粒EX」(第3類医薬品)を発売した。

■消化器分野を最重点領域として新薬開発を推進

 消化器分野を最重点領域と位置付けて新薬開発を推進している。新薬パイプラインの状況(23年2月2日現在)は以下の通りである。

 Z−338(自社品、一般名アコチアミド)は、日本では小児機能性ディスペプシア患者を適応症として第3相段階、新たに低活動膀胱を適応症とする開発コードZG−802として第2相段階、食道胃接合部通過障害を適応症として第2相(九州大学で医師主導治験)段階、欧州では機能性ディスペプシアを適応症として第3相段階である。なお九州大学における医師主導治験は日本医療研究開発機構(AMED)の助成事業に採択されている。

 Z−338の海外導出では、Faes Farmaが機能性ディスペプシアを適応症としてメキシコ、ホンジュラスおよびドミニカ共和国で承認を取得した。さらにFaes Farmaが機能性ディスペプシアを適応症としてチリ、コロンビア、ペルー、エクアドル、コスタリカ、グアテマラ、パナマ、ニカラグアおよびエルサルバドルにおいて承認申請中である。またMeiji Seikaファルマが機能性ディスペプシアを適応症としてタイおよびインドネシアにおいて承認申請中である。

 高カリウム血症を適応症とするZG−801(ビフォーファーマ社から導入、パチロマーソルビテクスカルシウム)については、日本において申請準備中である。米国では15年12月販売開始し、欧州では17年7月EMA(欧州医薬品庁)から承認取得している。

■アサコールやエントコートの拡大などを推進

 収益拡大に向けた重点施策として、医療用医薬品事業ではアサコール高用量製剤の海外販売国拡大、フェインジェクトやエントコートの市場浸透、ティロッツ社の営業体制強化、コンシューマーヘルスケア事業では既存の主力製品に次ぐ製品群の育成、西洋ハーブ剤など特徴ある製品群の市場認知度向上による事業拡大を推進している。

 また持続的成長に向けて、消化器領域および既存事業との親和性の高い領域の薬剤導入、M&A、自社製品の海外導出を推進する方針としている。

■23年3月期2桁増収増益予想、24年3月期も収益拡大基調

 23年3月期の連結業績予想は、売上高が22年3月期比10.9%増の660億円、営業利益が10.0%増の70億円、経常利益が17.9%増の70億円、親会社株主帰属当期純利益が41.4%増の56億円としている。配当予想(2月2日付で期末2円上方修正)は22年3月期比3円増配の38円(第2四半期末18円、期末20円)としている。連続増配予想で予想配当性向は30.0%となる。

 第3四半期累計は、売上高が前年同期比14.7%増の517億29百万円、営業利益が55.6%増の85億50百万円、経常利益が24.0%増の69億57百万円、親会社株主帰属四半期純利益が47.9%増の59億80百万円だった。

 大幅増収増益だった。医療用医薬品事業の海外の好調が牽引し、コンシューマーヘルスケア事業も回復基調だった。なおスイスフラン高の影響で営業外の為替差損益が悪化(前年同期は為替差益1億31百万円計上、今期は為替差損16億28百万円計上)した。特別損失には契約解除損失引当金繰入額2億35百万円を計上した。

 医療用医薬品事業は売上高が17.8%増の324億34百万円、セグメント利益(全社費用等調整前営業利益)が45.0%増の80億36百万円だった。潰瘍性大腸炎治療剤アサコールは、海外市場において高用量製剤アサコール1600mgを中心に伸長した。炎症性腸疾患(IBD)治療剤エントコート(国内販売名ゼンタコート)は、海外市場のカナダ、北欧、イタリアなどで伸長した。クロストリジウム・ディフィシル感染症治療剤ディフィクリアは、欧州の感染症診療ガイドラインで第一選択薬として推奨され、営業リソースの積極投入も寄与して売上が大幅に拡大した。

 コンシューマーヘルスケア事業は売上高が9.9%増の191億81百万円、利益が14.2%増の40億06百万円だった。ヘパリーゼ群についてはコロナ禍やインバウンド需要減少の影響が残っているものの、医薬品ヘパリーゼ群やコンビニエンスストア向けヘパリーゼW群が回復基調だった。コンドロイチン群は積極的な広告宣伝投資の効果で堅調だった。植物性便秘薬ウィズワン群は競合品の影響などで減収だった。

 四半期別に見ると、第1四半期は売上高が163億05百万円、営業利益が29億77百万円、経常利益が29億74百万円、第2四半期は売上高が174億07百万円、営業利益が29億17百万円、経常利益が22億08百万円、第3四半期は売上高が180億17百万円、営業利益26億56百万円、経常利益17億75百万円だった。第2四半期と第3四半期は営業外の為替差損益が悪化した。

 通期連結業績予想は据え置いている。主力製品が堅調に推移し、研究開発費や広告宣伝費の増加を吸収する見込みだ。医療用医薬品事業は海外市場においてディフィクリアやアサコールの伸長、国内市場においてアコファイドや20年9月に販売開始した鉄欠乏性貧血治療剤フェインジェクトの伸長、コンシューマーヘルスケア事業はヘパリーゼ群をはじめとする主力品の回復を見込み、全体として2桁増収増益予想としている。なお、第3四半期累計は海外の医療用医薬品事業が計画以上に伸長しているが、為替影響や経費面の精査が必要なため通期予想を据え置いたとしている。

 第3四半期累計の進捗率は売上高が78.4%、営業利益が122.1%、経常利益が99.4%、親会社株主帰属当期純利益が106.8%だった。第3四半期累計の営業利益と純利益が通期予想を超過達成していることを勘案すれば23年3月期会社予想は上振れの可能性が高く、さらに24年3月期も積極的な事業展開で収益拡大基調だろう。

■株主優待は年2回、9月末と3月末の株主対象

 株主優待制度は毎年9月末および3月末現在の株主を対象として、保有株式数に応じて自社グループ商品を贈呈(詳細は会社HP参照)している。

■株価は戻り高値圏

 なお22年5月11日に発表した自己株式取得(上限80万株・18億円、取得期間22年5月16日〜22年11月4日)については、22年11月2日に取得期間を23年5月12日まで延長すると発表している。

 株価は地合い悪化の影響を受ける場面があったが、3月の直近安値圏から急反発して戻り高値圏だ。好業績を評価して上値を試す展開を期待したい。4月5日の終値は2243円、前期推定連結PER(会社予想の連結EPS126円74銭で算出)は約18倍、前期推定配当利回り(会社予想の38円で算出)は約1.7%、前々期実績連結PBR(前々期実績の連結BPS1236円09銭で算出)は約1.8倍、時価総額は約1191億円である。 (情報提供:日本インタビュ新聞社=Media−IR
[03月22日更新]

ゼリア新薬工業は目先的な売り一巡、23年3月期2桁増収増益予想、24年3月期も収益拡大基調

 ゼリア新薬工業<4559>(東証プライム)は消化器分野が中心の医療用医薬品事業、および一般用医薬品のコンシューマーヘルスケア事業を展開している。医療用医薬品事業ではアサコール高用量製剤の海外販売国拡大、フェインジェクトやエントコートの市場浸透、ティロッツ社(スイス)の営業体制強化、コンシューマーヘルスケア事業では既存主力製品に次ぐ製品群の育成、西洋ハーブ剤など特徴ある製品群の市場認知度向上による事業拡大を推進している。23年3月期は医療用医薬品事業の海外の好調やコンシューマーヘルスケア事業の回復基調などで2桁増収増益予想としている。第3四半期累計の営業利益と純利益が通期予想を超過達成していることを勘案すれば23年3月期会社予想は上振れの可能性が高く、さらに24年3月期も積極的な事業展開で収益拡大基調だろう。株価は地合い悪化の影響で戻り高値圏から反落の形となったが、目先的な売りが一巡して戻りを試す展開を期待したい。

■医療用医薬品事業とコンシューマーヘルスケア事業を展開

 消化器分野が中心の医療用医薬品事業、および一般用医薬品のコンシューマーヘルスケア事業を展開している。収益面では薬価改定、ライセンス収入・ロイヤリティ収入、研究開発費、広告宣伝費などの影響を受けやすい。

 22年3月期のセグメント別売上高構成比は医療用医薬品事業62%、コンシューマーヘルスケア事業38%、その他0%、利益(全社費用等調整前営業利益)構成比は医療用医薬品事業62%、コンシューマーヘルスケア事業36%、その他2%だった。地域別売上比率は日本59%、欧州35%、その他6%だった。

■医療用医薬品事業は潰瘍性大腸炎治療剤アサコールなどが主力

 医療用医薬品事業は、潰瘍性大腸炎治療剤アサコールを主力として、炎症性腸疾患治療剤Entocort(エントコート、国内販売名ゼンタコート)や、機能性ディスペプシア治療剤アコファイドなども拡大している。20年9月に国内で販売開始した鉄欠乏性貧血治療剤フェインジェクトについては、消化器科・産婦人科を中心に市場構築を推進している。

 また、アステラス製薬の英国子会社が欧州を中心に販売しているクロストリジウム・ディフィシル感染症治療剤ディフィクリア錠(英名DIFICLIR)については、20年11月に欧州、中東、アフリカおよび独立国家共同体(CIS)における製造販売承認を承継する資産譲渡契約を締結し、21年6月に欧州テリトリーでの製造販売権承継をほぼ完了した。残る地域についても順次承継予定である。

 23年2月には、アステラス製薬が日本において製造販売しているクロストリジウム・ディフィシルによる感染性腸炎治療剤「ダフクリア錠200mg」(一般名:フィダキソマイシン、以下:ダフクリア)について、23年4月3日に製造販売承認を継承すると発表した。

 22年3月期の売上高はアサコールが21年3月期比5.9%増の174億76百万円、ディフィクリアが52億11百万円(21年3月期は2億59百万円)、エントコートが7.0%減の44億80百万円、アコファイドが89.2%増の31億54百万円、その他が0.2%減の66億84百万円だった。なおアコファイドについては、アステラス製薬<4503>との日本での共同販促を21年3月で終了し、21年4月以降は単独プロモーションに切り替えている。

 海外展開については、アサコールは、欧州を中心に高用量製剤の販売国数を拡大中(21年12月時点でドイツ、フランスをはじめとする19ヶ国で販売中)である。競合する高用量製剤の処方獲得を目指してプロモーションを展開している。またイタリアのMenariniグループの中国現地法人に独占的販売権を供与して、中国で21年5月販売開始した。

 アコファイドについては、Meiji Seika ファルマとタイおよびインドネシアにおける独占的開発・販売ライセンス契約、スペインのFAES社とラテンアメリカにおける独占的開発・販売ライセンス契約を締結している。

 子会社のTillotts Pharma(ティロッツ社、スイス)は、アストラゼネカ社からエントコートの米国を除く全世界における権利を取得(国内ではゼンタコートカプセルとして販売)し、アサコールとともに海外での拡販を推進している。また20年11月に、アステラス製薬の英国子会社からクロストリジウム・ディフィシル感染症治療剤ディフィクリア錠(英名DIFICLIR)の欧州、中東、アフリカおよび独立国家共同体(CIS)における製造販売承認を承継し、販売を拡大している。

■コンシューマーヘルスケア事業はヘパリーゼ群などが主力

 コンシューマーヘルスケア事業はヘパリーゼ群、コンドロイチン群、ウィズワン群を主力として、日本で初めて月経前症候群の効能を取得した西洋ハーブ・ダイレクトOTC医薬品プレフェミン、連結子会社イオナ インターナショナルの「イオナ」ブランド化粧品なども全国の薬局・薬店・ドラッグストアなどに販売している。

 なお22年3月期の売上高は、ヘパリーゼ群が21年3月期比17.5%増の77億70百万円(医薬品が18.9%増の43億45百万円、清涼飲料水・栄養補助食品が15.7%増の34億25百万円)で、コンドロイチン群が4.6%減の51億35百万円、ウィズワン群が5.9%減の13億59百万円、その他(殺菌消毒薬など)が12.0%減の81億04百万円だった。

 事業拡大に向けて、西洋ハーブ群の開発・育成、ヘパリーゼ群およびコンドロイチン群に続く新規主力製品の開発・育成、既存製品(OTC医薬品プレバリン群、オーラルケアのマスデント群やイオナ化粧品など)の育成を推進している。20年4月にはヘパリーゼ群の主原料である肝臓加水分解物の安定調達とコンシューマーヘルスケア事業拡大を目的として、日水製薬<4550>から日水製薬医薬品販売の全株式を譲り受けて子会社化(現社名:健創製薬)した。

 西洋ハーブ関連では21年12月に、軽度の静脈還流障害による足のむくみを改善する内服薬「ベルフェミン」(要指導医薬品)を発売した。欧州において下肢の静脈疾患(慢性静脈不全症)の治療に伝統的に使用されてきたセイヨウトチノキ種子の乾燥エキスを主成分としている。22年3月には、過敏性腸症候群(IBS)改善薬「コルペルミン」(要指導医薬品)を発売した。ペパーミントのオイルを有効成分とする医薬品である。ティロッツ社によって開発され、1981年に英国で発売されて以降、スイスやドイツをはじめ十数ヶ国でIBSの諸症状を改善する一般用医薬品として販売されている。国内で実施された過敏性腸症候群患者を対象とした臨床試験において有効性と安全性が確認された。

 22年3月には11種類の美容液成分を配合した高機能オールインワンジェル「イオナ スパ&ミネラル エッセンス ジェルEX」を発売、22年4月には11種類の有効成分を配合したOTC点眼薬「ビュークリアHi40アクティブ」(第3類医薬品)を発売、22年8月にはオールシーズン使用可能な多機能除菌スプレー「マジックバリア除菌スプレー」(雑貨)を発売、22年10月にはローヤルゼリーを有効成分として配合した滋養強壮保健剤「ハイゼリー顆粒EX」(第3類医薬品)を発売した。

■消化器分野を最重点領域として新薬開発を推進

 消化器分野を最重点領域と位置付けて新薬開発を推進している。新薬パイプラインの状況(23年2月2日現在)は以下の通りである。

 Z−338(自社品、一般名アコチアミド)は、日本では小児機能性ディスペプシア患者を適応症として第3相段階、新たに低活動膀胱を適応症とする開発コードZG−802として第2相段階、食道胃接合部通過障害を適応症として第2相(九州大学で医師主導治験)段階、欧州では機能性ディスペプシアを適応症として第3相段階である。なお九州大学における医師主導治験は日本医療研究開発機構(AMED)の助成事業に採択されている。

 Z−338の海外導出では、Faes Farmaが機能性ディスペプシアを適応症としてメキシコ、ホンジュラスおよびドミニカ共和国で承認を取得した。さらにFaes Farmaが機能性ディスペプシアを適応症としてチリ、コロンビア、ペルー、エクアドル、コスタリカ、グアテマラ、パナマ、ニカラグアおよびエルサルバドルにおいて承認申請中である。またMeiji Seikaファルマが機能性ディスペプシアを適応症としてタイおよびインドネシアにおいて承認申請中である。

 高カリウム血症を適応症とするZG−801(ビフォーファーマ社から導入、パチロマーソルビテクスカルシウム)については、日本において申請準備中である。米国では15年12月販売開始し、欧州では17年7月EMA(欧州医薬品庁)から承認取得している。

■アサコールやエントコートの拡大などを推進

 収益拡大に向けた重点施策として、医療用医薬品事業ではアサコール高用量製剤の海外販売国拡大、フェインジェクトやエントコートの市場浸透、ティロッツ社の営業体制強化、コンシューマーヘルスケア事業では既存の主力製品に次ぐ製品群の育成、西洋ハーブ剤など特徴ある製品群の市場認知度向上による事業拡大を推進している。

 また持続的成長に向けて、消化器領域および既存事業との親和性の高い領域の薬剤導入、M&A、自社製品の海外導出を推進する方針としている。

■23年3月期2桁増収増益予想、3Q累計営業・純利益は通期予想超過達成

 23年3月期の連結業績予想は、売上高が22年3月期比10.9%増の660億円、営業利益が10.0%増の70億円、経常利益が17.9%増の70億円、親会社株主帰属当期純利益が41.4%増の56億円としている。配当予想(2月2日付で期末2円上方修正)は22年3月期比3円増配の38円(第2四半期末18円、期末20円)としている。連続増配予想で予想配当性向は30.0%となる。

 第3四半期累計は、売上高が前年同期比14.7%増の517億29百万円、営業利益が55.6%増の85億50百万円、経常利益が24.0%増の69億57百万円、親会社株主帰属四半期純利益が47.9%増の59億80百万円だった。

 大幅増収増益だった。医療用医薬品事業の海外の好調が牽引し、コンシューマーヘルスケア事業も回復基調だった。なおスイスフラン高の影響で営業外の為替差損益が悪化(前年同期は為替差益1億31百万円計上、今期は為替差損16億28百万円計上)した。特別損失には契約解除損失引当金繰入額2億35百万円を計上した。

 医療用医薬品事業は売上高が17.8%増の324億34百万円、セグメント利益(全社費用等調整前営業利益)が45.0%増の80億36百万円だった。潰瘍性大腸炎治療剤アサコールは、海外市場において高用量製剤アサコール1600mgを中心に伸長した。炎症性腸疾患(IBD)治療剤エントコート(国内販売名ゼンタコート)は、海外市場のカナダ、北欧、イタリアなどで伸長した。クロストリジウム・ディフィシル感染症治療剤ディフィクリアは、欧州の感染症診療ガイドラインで第一選択薬として推奨され、営業リソースの積極投入も寄与して売上が大幅に拡大した。

 コンシューマーヘルスケア事業は売上高が9.9%増の191億81百万円、利益が14.2%増の40億06百万円だった。ヘパリーゼ群についてはコロナ禍やインバウンド需要減少の影響が残っているものの、医薬品ヘパリーゼ群やコンビニエンスストア向けヘパリーゼW群が回復基調だった。コンドロイチン群は積極的な広告宣伝投資の効果で堅調だった。植物性便秘薬ウィズワン群は競合品の影響などで減収だった。

 四半期別に見ると、第1四半期は売上高が163億05百万円、営業利益が29億77百万円、経常利益が29億74百万円、第2四半期は売上高が174億07百万円、営業利益が29億17百万円、経常利益が22億08百万円、第3四半期は売上高が180億17百万円、営業利益26億56百万円、経常利益17億75百万円だった。第2四半期と第3四半期は営業外の為替差損益が悪化した。

 通期連結業績予想は据え置いている。主力製品が堅調に推移し、研究開発費や広告宣伝費の増加を吸収する見込みだ。医療用医薬品事業は海外市場においてディフィクリアやアサコールの伸長、国内市場においてアコファイドや20年9月に販売開始した鉄欠乏性貧血治療剤フェインジェクトの伸長、コンシューマーヘルスケア事業はヘパリーゼ群をはじめとする主力品の回復を見込み、全体として2桁増収増益予想としている。なお、第3四半期累計は海外の医療用医薬品事業が計画以上に伸長しているが、為替影響や経費面の精査が必要なため通期予想を据え置いたとしている。

 第3四半期累計の進捗率は売上高が78.4%、営業利益が122.1%、経常利益が99.4%、親会社株主帰属当期純利益が106.8%だった。第3四半期累計の営業利益と純利益が通期予想を超過達成していることを勘案すれば23年3月期会社予想は上振れの可能性が高く、さらに24年3月期も積極的な事業展開で収益拡大基調だろう。

■株主優待は年2回、9月末と3月末の株主対象

 株主優待制度は毎年9月末および3月末現在の株主を対象として、保有株式数に応じて自社グループ商品を贈呈している。なお22年3月末対象から、株主優待品コース内容を変更(旧Dコースのコンドロイチン配合夜間集中美容液を、新Dコースとしてスパ発想のオールインワン化粧品に変更、詳細は会社HP参照)した。

■株価は戻り試す

 なお22年5月11日に発表した自己株式取得(上限80万株・18億円、取得期間22年5月16日〜22年11月4日)については、22年11月2日に取得期間を23年5月12日まで延長すると発表している。

 株価は地合い悪化の影響で戻り高値圏から反落の形となったが、目先的な売りが一巡して戻りを試す展開を期待したい。3月20日の終値は2093円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS126円74銭で算出)は約17倍、今期予想配当利回り(会社予想の38円で算出)は約1.8%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS1236円09銭で算出)は約1.7倍、そして時価総額は約1112億円である。 (情報提供:日本インタビュ新聞社=Media−IR
[01月31日更新]

ゼリア新薬工業は利益確定売り一巡、23年3月期2桁増収増益予想、さらに上振れの可能性

 ゼリア新薬工業<4559>(東証プライム)は消化器分野が中心の医療用医薬品事業、および一般用医薬品のコンシューマーヘルスケア事業を展開している。医療用医薬品事業ではアサコール高用量製剤の海外販売国拡大、フェインジェクトやエントコートの市場浸透、ティロッツ社の営業体制強化、コンシューマーヘルスケア事業では既存主力製品に次ぐ製品群の育成、西洋ハーブ剤など特徴ある製品群の市場認知度向上による事業拡大を推進している。23年3月期は2桁増収増益予想としている。第2四半期累計が計画を上回る大幅増収増益だったことを勘案すれば、通期会社予想も上振れの可能性が高く、積極的な事業展開で収益拡大基調だろう。株価は地合い悪化も影響して22年12月の昨年来高値圏から反落したが、利益確定売りが一巡して反発の動きを強めている。好業績を評価して上値を試す展開を期待したい。

■医療用医薬品事業とコンシューマーヘルスケア事業を展開

 消化器分野が中心の医療用医薬品事業、および一般用医薬品のコンシューマーヘルスケア事業を展開している。収益面では薬価改定、ライセンス収入・ロイヤリティ収入、研究開発費、広告宣伝費などの影響を受けやすい。

 22年3月期のセグメント別売上高構成比は医療用医薬品事業62%、コンシューマーヘルスケア事業38%、その他0%、利益(全社費用等調整前営業利益)構成比は医療用医薬品事業62%、コンシューマーヘルスケア事業36%、その他2%だった。地域別売上比率は日本59%、欧州35%、その他6%だった。

■医療用医薬品事業は潰瘍性大腸炎治療剤アサコールなどが主力

 医療用医薬品事業は、潰瘍性大腸炎治療剤アサコールを主力として、炎症性腸疾患治療剤Entocort(エントコート、国内販売名ゼンタコート)や、機能性ディスペプシア治療剤アコファイドなども拡大している。20年9月に国内で販売開始した鉄欠乏性貧血治療剤フェインジェクトについては、消化器科・産婦人科を中心に市場構築を推進している。また、アステラス製薬の英国子会社が欧州を中心に販売しているクロストリジウム・ディフィシル感染症治療剤ディフィクリア錠(英名DIFICLIR)については、20年11月に欧州、中東、アフリカおよび独立国家共同体(CIS)における製造販売承認を承継する資産譲渡契約を締結し、21年6月に欧州テリトリーでの製造販売権承継をほぼ完了した。残る地域についても順次承継予定である。

 22年3月期の売上高はアサコールが21年3月期比5.9%増の174億76百万円、ディフィクリアが52億11百万円(21年3月期は2億59百万円)、エントコートが7.0%減の44億80百万円、アコファイドが89.2%増の31億54百万円、その他が0.2%減の66億84百万円だった。なおアコファイドについては、アステラス製薬<4503>との日本での共同販促を21年3月で終了し、21年4月以降は単独プロモーションに切り替えている。

 海外展開については、アサコールは、欧州を中心に高用量製剤の販売国数を拡大中(21年12月時点でドイツ、フランスをはじめとする19ヶ国で販売中)である。競合する高用量製剤の処方獲得を目指してプロモーションを展開している。またイタリアのMenariniグループの中国現地法人に独占的販売権を供与して、中国で21年5月販売開始した。

 アコファイドについては、Meiji Seika ファルマとタイおよびインドネシアにおける独占的開発・販売ライセンス契約、スペインのFAES社とラテンアメリカにおける独占的開発・販売ライセンス契約を締結している。

 子会社のTillotts Pharma(ティロッツ社、スイス)は、アストラゼネカ社からエントコートの米国を除く全世界における権利を取得(国内ではゼンタコートカプセルとして販売)し、アサコールとともに海外での拡販を推進している。

■コンシューマーヘルスケア事業はヘパリーゼ群などが主力

 コンシューマーヘルスケア事業はヘパリーゼ群、コンドロイチン群、ウィズワン群を主力として、日本で初めて月経前症候群の効能を取得した西洋ハーブ・ダイレクトOTC医薬品プレフェミン、連結子会社イオナ インターナショナルの「イオナ」ブランド化粧品なども全国の薬局・薬店・ドラッグストアなどに販売している。

 なお22年3月期の売上高は、ヘパリーゼ群が21年3月期比17.5%増の77億70百万円(医薬品が18.9%増の43億45百万円、清涼飲料水・栄養補助食品が15.7%増の34億25百万円)で、コンドロイチン群が4.6%減の51億35百万円、ウィズワン群が5.9%減の13億59百万円、その他(殺菌消毒薬など)が12.0%減の81億04百万円だった。

 事業拡大に向けて、西洋ハーブ群の開発・育成、ヘパリーゼ群およびコンドロイチン群に続く新規主力製品の開発・育成、既存製品(OTC医薬品プレバリン群、オーラルケアのマスデント群やイオナ化粧品など)の育成を推進している。20年4月にはヘパリーゼ群の主原料である肝臓加水分解物の安定調達とコンシューマーヘルスケア事業拡大を目的として、日水製薬<4550>から日水製薬医薬品販売の全株式を譲り受けて子会社化(現社名:健創製薬)した。

 西洋ハーブ関連では21年12月に、軽度の静脈還流障害による足のむくみを改善する内服薬「ベルフェミン」(要指導医薬品)を発売した。欧州において下肢の静脈疾患(慢性静脈不全症)の治療に伝統的に使用されてきたセイヨウトチノキ種子の乾燥エキスを主成分としている。22年3月には、過敏性腸症候群(IBS)改善薬「コルペルミン」(要指導医薬品)を発売した。ペパーミントのオイルを有効成分とする医薬品である。ティロッツ社によって開発され、1981年に英国で発売されて以降、スイスやドイツをはじめ十数ヶ国でIBSの諸症状を改善する一般用医薬品として販売されている。国内で実施された過敏性腸症候群患者を対象とした臨床試験において有効性と安全性が確認された。

 22年3月には11種類の美容液成分を配合した高機能オールインワンジェル「イオナ スパ&ミネラル エッセンス ジェルEX」を発売、22年4月には11種類の有効成分を配合したOTC点眼薬「ビュークリアHi40アクティブ」(第3類医薬品)を発売、22年8月にはオールシーズン使用可能な多機能除菌スプレー「マジックバリア除菌スプレー」(雑貨)を発売、22年10月にはローヤルゼリーを有効成分として配合した滋養強壮保健剤「ハイゼリー顆粒EX」(第3類医薬品)を発売した。

■消化器分野を最重点領域として新薬開発を推進

 消化器分野を最重点領域と位置付けて新薬開発を推進している。新薬パイプラインの状況(22年11月2日現在)は以下の通りである。

 Z−338(自社品、一般名アコチアミド)は、日本では小児機能性ディスペプシア患者を適応症として第3相段階、食道胃接合部通過障害を適応症として第2相(九州大学で医師主導治験)段階、欧州では機能性ディスペプシアを適応症として第3相段階である。なお九州大学における医師主導治験は、日本医療研究開発機構(AMED)の助成事業に採択されている。

 Z−338の導出では、Faes Farmaが機能性ディスペプシアを適応症としてメキシコおよびホンジュラスで承認取得した。またFaes Farmaが機能性ディスペプシアを適応症としてチリ、コロンビア、ペルー、エクアドル、ドミニカ共和国、コスタリカ、グアテマラ、パナマにおいて承認申請中、Meiji Seikaファルマが機能性ディスペプシアを適応症としてタイ、インドネシアにおいて承認申請中である。

 高カリウム血症を適応症とするZG−801(ビフォーファーマ社から導入)は第3相段階である。米国では15年12月販売開始し、欧州では17年7月EMA(欧州医薬品庁)から承認取得している。

■アサコールやエントコートの拡大などを推進

 収益拡大に向けた重点施策として、医療用医薬品事業ではアサコール高用量製剤の海外販売国拡大、フェインジェクトやエントコートの市場浸透、ティロッツ社の営業体制強化、コンシューマーヘルスケア事業では既存の主力製品に次ぐ製品群の育成、西洋ハーブ剤など特徴ある製品群の市場認知度向上による事業拡大を推進している。

 また持続的成長に向けて、消化器領域および既存事業との親和性の高い領域の薬剤導入、M&A、自社製品の海外導出を推進する方針としている。

■23年3月期2桁増収増益予想、さらに上振れの可能性

 23年3月期の連結業績予想は、売上高が22年3月期比10.9%増の660億円、営業利益が10.0%増の70億円、経常利益が17.9%増の70億円、親会社株主帰属当期純利益が41.4%増の56億円としている。配当予想は22年3月期比1円増配の36円(第2四半期末18円、期末18円)としている。連続増配予想である。

 第2四半期累計は売上高が前年同期比17.9%増の337億12百万円、営業利益が120.6%増の58億94百万円、経常利益が66.3%増の51億82百万円、親会社株主帰属四半期純利益が89.0%増の39億98百万円だった。

 期初予想(売上高330億円、営業利益35億円、経常利益35億円、親会社株主帰属四半期純利益28億円)を上回る大幅増収増益だった。医療用医薬品事業の海外の好調が牽引し、コンシューマーヘルスケア事業も回復基調となった。なお営業外では為替差損益が悪化(前年同期は為替差益4億17百万円計上、今期は為替差損7億48百万円計上)した。

 医療用医薬品事業は売上高が19.5%増の215億05百万円で、セグメント利益(全社費用等調整前営業利益)が90.4%増の58億67百万円だった。海外市場において、潰瘍性大腸炎治療剤アサコールが高用量製剤アサコール1600mgを中心に好調に推移した。炎症性腸疾患(IBD)治療剤エントコート(国内販売名ゼンタコート)も伸長した。クロストリジウム・ディフィシル感染症治療剤ディフィクリアも営業リソースの積極投入で売上拡大した。主要製品の売上高は、アサコールが16.2%増の98億81百万円、ディフィクリアが70.9%増の38億95百万円、エントコートが30.7%増の29億35百万円、アコファイドが2.4%減の15億41百万円だった。

 コンシューマーヘルスケア事業は売上高が15.2%増の121億31百万円で、利益が24.2%増の24億54百万円だった。ヘパリーゼ群についてはコロナ禍の影響が残っているものの、医薬品ヘパリーゼ群やコンビニエンスストア向けヘパリーゼW群が大幅に伸長した。コンドロイチン群は積極的な広告宣伝投資の効果で堅調だった。植物性便秘薬ウィズワン群は競合品の影響などで減収だった。主要製品の売上高はヘパリーゼ群が45.1%増の46億98百万円、コンドロイチン群が1.5%増の26億34百万円、ウィズワン群が4.1%減の6億20百万円だった。

 なお四半期別に見ると、第1四半期売上高が163億05百万円、営業利益が29億77百万円、経常利益が29億74百万円、第2四半期は売上高が174億07百万円、営業利益が29億17百万円、経常利益が22億08百万円だった。第2四半期は営業外費用で為替差損が拡大した。

 通期の連結業績予想は据え置いて2桁増収増益予想としている。主力製品が堅調に推移し、研究開発費(4.4%増の50億円)や広告宣伝費(47.7%増の29億円)の増加を吸収する見込みだ。医療用医薬品事業は海外市場においてディフィクリアやアサコールの伸長、国内市場においてアコファイドや20年9月に販売開始した鉄欠乏性貧血治療剤フェインジェクトの伸長を見込み、コンシューマーヘルスケア事業はヘパリーゼ群をはじめとする主力品の回復を見込んでいる。

 第2四半期累計の進捗率は売上高が51.1%、営業利益が84.2%、経常利益が74.0%、親会社株主帰属当期純利益が71.4%となる。コロナ禍影響や為替動向の不透明感を考慮して通期予想を据え置いているが、第2四半期累計が計画を上回る大幅増収増益だったことを勘案すれば、通期会社予想も上振れの可能性が高く、積極的な事業展開で収益拡大基調だろう。

■株主優待は年2回、9月末と3月末の株主対象

 株主優待制度は毎年9月末および3月末現在の株主を対象として、保有株式数に応じて自社グループ商品を贈呈している。なお22年3月末対象から、株主優待品コース内容を変更(旧Dコースのコンドロイチン配合夜間集中美容液を、新Dコースとしてスパ発想のオールインワン化粧品に変更、詳細は会社HP参照)した。

■株価は利益確定売り一巡

 なお5月11日に発表した自己株式取得(上限80万株・18億円、取得期間22年5月16日〜22年11月4日)については、11月2日に取得期間を23年5月12日まで延長すると発表している。

 株価は地合い悪化も影響して22年12月の昨年来高値圏から反落したが、利益確定売りが一巡して反発の動きを強めている。好業績を評価して上値を試す展開を期待したい。1月30日の終値は2145円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS126円73銭で算出)は約17倍、今期予想配当利回り(会社予想の36円で算出)は約1.7%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS1236円09銭で算出)は約1.7倍、そして時価総額は約1139億円である。(情報提供:日 本インタビュ新聞社=Media−IR)
[01月19日更新]

ゼリア新薬工業は反発の動き、23年3月期2桁増収増益予想、さらに上振れの可能性

 ゼリア新薬工業<4559>(東証プライム)は消化器分野が中心の医療用医薬品事業、および一般用医薬品のコンシューマーヘルスケア事業を展開している。医療用医薬品事業ではアサコール高用量製剤の海外販売国拡大、フェインジェクトやエントコートの市場浸透、ティロッツ社の営業体制強化、コンシューマーヘルスケア事業では既存主力製品に次ぐ製品群の育成、西洋ハーブ剤など特徴ある製品群の市場認知度向上による事業拡大を推進している。23年3月期は2桁増収増益予想としている。第2四半期累計が計画を上回る大幅増収増益だったことを勘案すれば、通期会社予想も上振れの可能性が高く、積極的な事業展開で収益拡大基調だろう。株価は年初に昨年来高値圏から急反落の形となったが、目先的な売りが一巡して反発の動きを強めている。上値を試す展開を期待したい。

■医療用医薬品事業とコンシューマーヘルスケア事業を展開

 消化器分野が中心の医療用医薬品事業、および一般用医薬品のコンシューマーヘルスケア事業を展開している。収益面では薬価改定、ライセンス収入・ロイヤリティ収入、研究開発費、広告宣伝費などの影響を受けやすい。

 22年3月期のセグメント別売上高構成比は医療用医薬品事業62%、コンシューマーヘルスケア事業38%、その他0%、利益(全社費用等調整前営業利益)構成比は医療用医薬品事業62%、コンシューマーヘルスケア事業36%、その他2%だった。地域別売上比率は日本59%、欧州35%、その他6%だった。

■医療用医薬品事業は潰瘍性大腸炎治療剤アサコールなどが主力

 医療用医薬品事業は、潰瘍性大腸炎治療剤アサコールを主力として、炎症性腸疾患治療剤Entocort(エントコート、国内販売名ゼンタコート)や、機能性ディスペプシア治療剤アコファイドなども拡大している。20年9月に国内で販売開始した鉄欠乏性貧血治療剤フェインジェクトについては、消化器科・産婦人科を中心に市場構築を推進している。また、アステラス製薬の英国子会社が欧州を中心に販売しているクロストリジウム・ディフィシル感染症治療剤ディフィクリア錠(英名DIFICLIR)については、20年11月に欧州、中東、アフリカおよび独立国家共同体(CIS)における製造販売承認を承継する資産譲渡契約を締結し、21年6月に欧州テリトリーでの製造販売権承継をほぼ完了した。残る地域についても順次承継予定である。

 22年3月期の売上高はアサコールが21年3月期比5.9%増の174億76百万円、ディフィクリアが52億11百万円(21年3月期は2億59百万円)、エントコートが7.0%減の44億80百万円、アコファイドが89.2%増の31億54百万円、その他が0.2%減の66億84百万円だった。なおアコファイドについては、アステラス製薬<4503>との日本での共同販促を21年3月で終了し、21年4月以降は単独プロモーションに切り替えている。

 海外展開については、アサコールは、欧州を中心に高用量製剤の販売国数を拡大中(21年12月時点でドイツ、フランスをはじめとする19ヶ国で販売中)である。競合する高用量製剤の処方獲得を目指してプロモーションを展開している。またイタリアのMenariniグループの中国現地法人に独占的販売権を供与して、中国で21年5月販売開始した。

 アコファイドについては、Meiji Seika ファルマとタイおよびインドネシアにおける独占的開発・販売ライセンス契約、スペインのFAES社とラテンアメリカにおける独占的開発・販売ライセンス契約を締結している。

 子会社のTillotts Pharma(ティロッツ社、スイス)は、アストラゼネカ社からエントコートの米国を除く全世界における権利を取得(国内ではゼンタコートカプセルとして販売)し、アサコールとともに海外での拡販を推進している。

■コンシューマーヘルスケア事業はヘパリーゼ群などが主力

 コンシューマーヘルスケア事業はヘパリーゼ群、コンドロイチン群、ウィズワン群を主力として、日本で初めて月経前症候群の効能を取得した西洋ハーブ・ダイレクトOTC医薬品プレフェミン、連結子会社イオナ インターナショナルの「イオナ」ブランド化粧品なども全国の薬局・薬店・ドラッグストアなどに販売している。

 なお22年3月期の売上高は、ヘパリーゼ群が21年3月期比17.5%増の77億70百万円(医薬品が18.9%増の43億45百万円、清涼飲料水・栄養補助食品が15.7%増の34億25百万円)で、コンドロイチン群が4.6%減の51億35百万円、ウィズワン群が5.9%減の13億59百万円、その他(殺菌消毒薬など)が12.0%減の81億04百万円だった。

 事業拡大に向けて、西洋ハーブ群の開発・育成、ヘパリーゼ群およびコンドロイチン群に続く新規主力製品の開発・育成、既存製品(OTC医薬品プレバリン群、オーラルケアのマスデント群やイオナ化粧品など)の育成を推進している。20年4月にはヘパリーゼ群の主原料である肝臓加水分解物の安定調達とコンシューマーヘルスケア事業拡大を目的として、日水製薬<4550>から日水製薬医薬品販売の全株式を譲り受けて子会社化(現社名:健創製薬)した。

 西洋ハーブ関連では21年12月に、軽度の静脈還流障害による足のむくみを改善する内服薬「ベルフェミン」(要指導医薬品)を発売した。欧州において下肢の静脈疾患(慢性静脈不全症)の治療に伝統的に使用されてきたセイヨウトチノキ種子の乾燥エキスを主成分としている。22年3月には、過敏性腸症候群(IBS)改善薬「コルペルミン」(要指導医薬品)を発売した。ペパーミントのオイルを有効成分とする医薬品である。ティロッツ社によって開発され、1981年に英国で発売されて以降、スイスやドイツをはじめ十数ヶ国でIBSの諸症状を改善する一般用医薬品として販売されている。国内で実施された過敏性腸症候群患者を対象とした臨床試験において有効性と安全性が確認された。

 22年3月には11種類の美容液成分を配合した高機能オールインワンジェル「イオナ スパ&ミネラル エッセンス ジェルEX」を発売、22年4月には11種類の有効成分を配合したOTC点眼薬「ビュークリアHi40アクティブ」(第3類医薬品)を発売、22年8月にはオールシーズン使用可能な多機能除菌スプレー「マジックバリア除菌スプレー」(雑貨)を発売、22年10月にはローヤルゼリーを有効成分として配合した滋養強壮保健剤「ハイゼリー顆粒EX」(第3類医薬品)を発売した。

■消化器分野を最重点領域として新薬開発を推進

 消化器分野を最重点領域と位置付けて新薬開発を推進している。新薬パイプラインの状況(22年11月2日現在)は以下の通りである。

 Z−338(自社品、一般名アコチアミド)は、日本では小児機能性ディスペプシア患者を適応症として第3相段階、食道胃接合部通過障害を適応症として第2相(九州大学で医師主導治験)段階、欧州では機能性ディスペプシアを適応症として第3相段階である。なお九州大学における医師主導治験は、日本医療研究開発機構(AMED)の助成事業に採択されている。

 Z−338の導出では、Faes Farmaが機能性ディスペプシアを適応症としてメキシコおよびホンジュラスで承認取得した。またFaes Farmaが機能性ディスペプシアを適応症としてチリ、コロンビア、ペルー、エクアドル、ドミニカ共和国、コスタリカ、グアテマラ、パナマにおいて承認申請中、Meiji Seikaファルマが機能性ディスペプシアを適応症としてタイ、インドネシアにおいて承認申請中である。

 高カリウム血症を適応症とするZG−801(ビフォーファーマ社から導入)は第3相段階である。米国では15年12月販売開始し、欧州では17年7月EMA(欧州医薬品庁)から承認取得している。

■アサコールやエントコートの拡大などを推進

 収益拡大に向けた重点施策として、医療用医薬品事業ではアサコール高用量製剤の海外販売国拡大、フェインジェクトやエントコートの市場浸透、ティロッツ社の営業体制強化、コンシューマーヘルスケア事業では既存の主力製品に次ぐ製品群の育成、西洋ハーブ剤など特徴ある製品群の市場認知度向上による事業拡大を推進している。

 また持続的成長に向けて、消化器領域および既存事業との親和性の高い領域の薬剤導入、M&A、自社製品の海外導出を推進する方針としている。

■23年3月期2桁増収増益予想、さらに上振れの可能性

 23年3月期の連結業績予想は、売上高が22年3月期比10.9%増の660億円、営業利益が10.0%増の70億円、経常利益が17.9%増の70億円、親会社株主帰属当期純利益が41.4%増の56億円としている。配当予想は22年3月期比1円増配の36円(第2四半期末18円、期末18円)としている。連続増配予想である。

 第2四半期累計は売上高が前年同期比17.9%増の337億12百万円、営業利益が120.6%増の58億94百万円、経常利益が66.3%増の51億82百万円、親会社株主帰属四半期純利益が89.0%増の39億98百万円だった。

 期初予想(売上高330億円、営業利益35億円、経常利益35億円、親会社株主帰属四半期純利益28億円)を上回る大幅増収増益だった。医療用医薬品事業の海外の好調が牽引し、コンシューマーヘルスケア事業も回復基調となった。なお営業外では為替差損益が悪化(前年同期は為替差益4億17百万円計上、今期は為替差損7億48百万円計上)した。

 医療用医薬品事業は売上高が19.5%増の215億05百万円で、セグメント利益(全社費用等調整前営業利益)が90.4%増の58億67百万円だった。海外市場において、潰瘍性大腸炎治療剤アサコールが高用量製剤アサコール1600mgを中心に好調に推移した。炎症性腸疾患(IBD)治療剤エントコート(国内販売名ゼンタコート)も伸長した。クロストリジウム・ディフィシル感染症治療剤ディフィクリアも営業リソースの積極投入で売上拡大した。主要製品の売上高は、アサコールが16.2%増の98億81百万円、ディフィクリアが70.9%増の38億95百万円、エントコートが30.7%増の29億35百万円、アコファイドが2.4%減の15億41百万円だった。

 コンシューマーヘルスケア事業は売上高が15.2%増の121億31百万円で、利益が24.2%増の24億54百万円だった。ヘパリーゼ群についてはコロナ禍の影響が残っているものの、医薬品ヘパリーゼ群やコンビニエンスストア向けヘパリーゼW群が大幅に伸長した。コンドロイチン群は積極的な広告宣伝投資の効果で堅調だった。植物性便秘薬ウィズワン群は競合品の影響などで減収だった。主要製品の売上高はヘパリーゼ群が45.1%増の46億98百万円、コンドロイチン群が1.5%増の26億34百万円、ウィズワン群が4.1%減の6億20百万円だった。

 なお四半期別に見ると、第1四半期売上高が163億05百万円、営業利益が29億77百万円、経常利益が29億74百万円、第2四半期は売上高が174億07百万円、営業利益が29億17百万円、経常利益が22億08百万円だった。第2四半期は営業外費用で為替差損が拡大した。

 通期の連結業績予想は据え置いて2桁増収増益予想としている。主力製品が堅調に推移し、研究開発費(4.4%増の50億円)や広告宣伝費(47.7%増の29億円)の増加を吸収する見込みだ。医療用医薬品事業は海外市場においてディフィクリアやアサコールの伸長、国内市場においてアコファイドや20年9月に販売開始した鉄欠乏性貧血治療剤フェインジェクトの伸長を見込み、コンシューマーヘルスケア事業はヘパリーゼ群をはじめとする主力品の回復を見込んでいる。

 第2四半期累計の進捗率は売上高が51.1%、営業利益が84.2%、経常利益が74.0%、親会社株主帰属当期純利益が71.4%となる。コロナ禍影響や為替動向の不透明感を考慮して通期予想を据え置いているが、第2四半期累計が計画を上回る大幅増収増益だったことを勘案すれば、通期会社予想も上振れの可能性が高く、積極的な事業展開で収益拡大基調だろう。

■株主優待は年2回、9月末と3月末の株主対象

 株主優待制度は毎年9月末および3月末現在の株主を対象として、保有株式数に応じて自社グループ商品を贈呈している。なお22年3月末対象から、株主優待品コース内容を変更(旧Dコースのコンドロイチン配合夜間集中美容液を、新Dコースとしてスパ発想のオールインワン化粧品に変更、詳細は会社HP参照)した。

■株価は上年初来高値圏で堅調

 なお5月11日に発表した自己株式取得(上限80万株・18億円、取得期間22年5月16日〜22年11月4日)については、11月2日に取得期間を23年5月12日まで延長すると発表している。

 株価は年初に昨年来高値圏から急反落の形となったが、目先的な売りが一巡して反発の動きを強めている。上値を試す展開を期待したい。1月18日の終値は2136円で、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS126円73銭で算出)は約17倍、今期予想配当利回り(会社予想の36円で算出)は約1.7%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS1236円09銭で算出)は約1.7倍、そして時価総額は約1135億円である。(情報提供:日 本インタビュ新聞社=Media−IR)
[12月28日更新]

ゼリア新薬工業は年初来高値圏で堅調、23年3月期2桁増収増益予想、さらに上振れの可能性

 ゼリア新薬工業<4559>(東証プライム)は消化器分野が中心の医療用医薬品事業、および一般用医薬品のコンシューマーヘルスケア事業を展開している。医療用医薬品事業ではアサコール高用量製剤の海外販売国拡大、フェインジェクトやエントコートの市場浸透、ティロッツ社の営業体制強化、コンシューマーヘルスケア事業では既存主力製品に次ぐ製品群の育成、西洋ハーブ剤など特徴ある製品群の市場認知度向上による事業拡大を推進している。23年3月期は2桁増収増益予想としている。さらに上振れの可能性が高く、積極的な事業展開で収益拡大基調だろう。株価は地合い悪化の影響で上げ一服の形となったが、大きく下押す動きも見られず年初来高値圏で堅調に推移している。好業績を評価し、利益確定売りをこなしながら上値を試す展開を期待したい。

■医療用医薬品事業とコンシューマーヘルスケア事業を展開

 消化器分野が中心の医療用医薬品事業、および一般用医薬品のコンシューマーヘルスケア事業を展開している。収益面では薬価改定、ライセンス収入・ロイヤリティ収入、研究開発費、広告宣伝費などの影響を受けやすい。

 22年3月期のセグメント別売上高構成比は医療用医薬品事業62%、コンシューマーヘルスケア事業38%、その他0%、利益(全社費用等調整前営業利益)構成比は医療用医薬品事業62%、コンシューマーヘルスケア事業36%、その他2%だった。地域別売上比率は日本59%、欧州35%、その他6%だった。

■医療用医薬品事業は潰瘍性大腸炎治療剤アサコールなどが主力

 医療用医薬品事業は、潰瘍性大腸炎治療剤アサコールを主力として、炎症性腸疾患治療剤Entocort(エントコート、国内販売名ゼンタコート)や、機能性ディスペプシア治療剤アコファイドなども拡大している。20年9月に国内で販売開始した鉄欠乏性貧血治療剤フェインジェクトについては、消化器科・産婦人科を中心に市場構築を推進している。また、アステラス製薬の英国子会社が欧州を中心に販売しているクロストリジウム・ディフィシル感染症治療剤ディフィクリア錠(英名DIFICLIR)については、20年11月に欧州、中東、アフリカおよび独立国家共同体(CIS)における製造販売承認を承継する資産譲渡契約を締結し、21年6月に欧州テリトリーでの製造販売権承継をほぼ完了した。残る地域についても順次承継予定である。

 22年3月期の売上高はアサコールが21年3月期比5.9%増の174億76百万円、ディフィクリアが52億11百万円(21年3月期は2億59百万円)、エントコートが7.0%減の44億80百万円、アコファイドが89.2%増の31億54百万円、その他が0.2%減の66億84百万円だった。なおアコファイドについては、アステラス製薬<4503>との日本での共同販促を21年3月で終了し、21年4月以降は単独プロモーションに切り替えている。

 海外展開については、アサコールは、欧州を中心に高用量製剤の販売国数を拡大中(21年12月時点でドイツ、フランスをはじめとする19ヶ国で販売中)である。競合する高用量製剤の処方獲得を目指してプロモーションを展開している。またイタリアのMenariniグループの中国現地法人に独占的販売権を供与して、中国で21年5月販売開始した。

 アコファイドについては、Meiji Seika ファルマとタイおよびインドネシアにおける独占的開発・販売ライセンス契約、スペインのFAES社とラテンアメリカにおける独占的開発・販売ライセンス契約を締結している。

 子会社のTillotts Pharma(ティロッツ社、スイス)は、アストラゼネカ社からエントコートの米国を除く全世界における権利を取得(国内ではゼンタコートカプセルとして販売)し、アサコールとともに海外での拡販を推進している。

■コンシューマーヘルスケア事業はヘパリーゼ群などが主力

 コンシューマーヘルスケア事業はヘパリーゼ群、コンドロイチン群、ウィズワン群を主力として、日本で初めて月経前症候群の効能を取得した西洋ハーブ・ダイレクトOTC医薬品プレフェミン、連結子会社イオナ インターナショナルの「イオナ」ブランド化粧品なども全国の薬局・薬店・ドラッグストアなどに販売している。

 なお22年3月期の売上高は、ヘパリーゼ群が21年3月期比17.5%増の77億70百万円(医薬品が18.9%増の43億45百万円、清涼飲料水・栄養補助食品が15.7%増の34億25百万円)で、コンドロイチン群が4.6%減の51億35百万円、ウィズワン群が5.9%減の13億59百万円、その他(殺菌消毒薬など)が12.0%減の81億04百万円だった。

 事業拡大に向けて、西洋ハーブ群の開発・育成、ヘパリーゼ群およびコンドロイチン群に続く新規主力製品の開発・育成、既存製品(OTC医薬品プレバリン群、オーラルケアのマスデント群やイオナ化粧品など)の育成を推進している。20年4月にはヘパリーゼ群の主原料である肝臓加水分解物の安定調達とコンシューマーヘルスケア事業拡大を目的として、日水製薬<4550>から日水製薬医薬品販売の全株式を譲り受けて子会社化(現社名:健創製薬)した。

 西洋ハーブ関連では21年12月に、軽度の静脈還流障害による足のむくみを改善する内服薬「ベルフェミン」(要指導医薬品)を発売した。欧州において下肢の静脈疾患(慢性静脈不全症)の治療に伝統的に使用されてきたセイヨウトチノキ種子の乾燥エキスを主成分としている。22年3月には、過敏性腸症候群(IBS)改善薬「コルペルミン」(要指導医薬品)を発売した。ペパーミントのオイルを有効成分とする医薬品である。ティロッツ社によって開発され、1981年に英国で発売されて以降、スイスやドイツをはじめ十数ヶ国でIBSの諸症状を改善する一般用医薬品として販売されている。国内で実施された過敏性腸症候群患者を対象とした臨床試験において有効性と安全性が確認された。

 22年3月には11種類の美容液成分を配合した高機能オールインワンジェル「イオナ スパ&ミネラル エッセンス ジェルEX」を発売、22年4月には11種類の有効成分を配合したOTC点眼薬「ビュークリアHi40アクティブ」(第3類医薬品)を発売、22年8月にはオールシーズン使用可能な多機能除菌スプレー「マジックバリア除菌スプレー」(雑貨)を発売、22年10月にはローヤルゼリーを有効成分として配合した滋養強壮保健剤「ハイゼリー顆粒EX」(第3類医薬品)を発売した。

■消化器分野を最重点領域として新薬開発を推進

 消化器分野を最重点領域と位置付けて新薬開発を推進している。新薬パイプラインの状況(22年11月2日現在)は以下の通りである。

 Z−338(自社品、一般名アコチアミド)は、日本では小児機能性ディスペプシア患者を適応症として第3相段階、食道胃接合部通過障害を適応症として第2相(九州大学で医師主導治験)段階、欧州では機能性ディスペプシアを適応症として第3相段階である。なお九州大学における医師主導治験は、日本医療研究開発機構(AMED)の助成事業に採択されている。

 Z−338の導出では、Faes Farmaが機能性ディスペプシアを適応症としてメキシコおよびホンジュラスで承認取得した。またFaes Farmaが機能性ディスペプシアを適応症としてチリ、コロンビア、ペルー、エクアドル、ドミニカ共和国、コスタリカ、グアテマラ、パナマにおいて承認申請中、Meiji Seikaファルマが機能性ディスペプシアを適応症としてタイ、インドネシアにおいて承認申請中である。

 高カリウム血症を適応症とするZG−801(ビフォーファーマ社から導入)は第3相段階である。米国では15年12月販売開始し、欧州では17年7月EMA(欧州医薬品庁)から承認取得している。

■アサコールやエントコートの拡大などを推進

 収益拡大に向けた重点施策として、医療用医薬品事業ではアサコール高用量製剤の海外販売国拡大、フェインジェクトやエントコートの市場浸透、ティロッツ社の営業体制強化、コンシューマーヘルスケア事業では既存の主力製品に次ぐ製品群の育成、西洋ハーブ剤など特徴ある製品群の市場認知度向上による事業拡大を推進している。

 また持続的成長に向けて、消化器領域および既存事業との親和性の高い領域の薬剤導入、M&A、自社製品の海外導出を推進する方針としている。

■23年3月期2桁増収増益予想、さらに上振れの可能性

 23年3月期の連結業績予想は、売上高が22年3月期比10.9%増の660億円、営業利益が10.0%増の70億円、経常利益が17.9%増の70億円、親会社株主帰属当期純利益が41.4%増の56億円としている。配当予想は22年3月期比1円増配の36円(第2四半期末18円、期末18円)としている。連続増配予想である。

 第2四半期累計は売上高が前年同期比17.9%増の337億12百万円、営業利益が120.6%増の58億94百万円、経常利益が66.3%増の51億82百万円、親会社株主帰属四半期純利益が89.0%増の39億98百万円だった。

 期初予想(売上高330億円、営業利益35億円、経常利益35億円、親会社株主帰属四半期純利益28億円)を上回る大幅増収増益だった。医療用医薬品事業の海外の好調が牽引し、コンシューマーヘルスケア事業も回復基調となった。なお営業外では為替差損益が悪化(前年同期は為替差益4億17百万円計上、今期は為替差損7億48百万円計上)した。

 医療用医薬品事業は売上高が19.5%増の215億05百万円で、セグメント利益(全社費用等調整前営業利益)が90.4%増の58億67百万円だった。海外市場において、潰瘍性大腸炎治療剤アサコールが高用量製剤アサコール1600mgを中心に好調に推移した。炎症性腸疾患(IBD)治療剤エントコート(国内販売名ゼンタコート)も伸長した。クロストリジウム・ディフィシル感染症治療剤ディフィクリアも営業リソースの積極投入で売上拡大した。主要製品の売上高は、アサコールが16.2%増の98億81百万円、ディフィクリアが70.9%増の38億95百万円、エントコートが30.7%増の29億35百万円、アコファイドが2.4%減の15億41百万円だった。

 コンシューマーヘルスケア事業は売上高が15.2%増の121億31百万円で、利益が24.2%増の24億54百万円だった。ヘパリーゼ群についてはコロナ禍の影響が残っているものの、医薬品ヘパリーゼ群やコンビニエンスストア向けヘパリーゼW群が大幅に伸長した。コンドロイチン群は積極的な広告宣伝投資の効果で堅調だった。植物性便秘薬ウィズワン群は競合品の影響などで減収だった。主要製品の売上高はヘパリーゼ群が45.1%増の46億98百万円、コンドロイチン群が1.5%増の26億34百万円、ウィズワン群が4.1%減の6億20百万円だった。

 なお四半期別に見ると、第1四半期売上高が163億05百万円、営業利益が29億77百万円、経常利益が29億74百万円、第2四半期は売上高が174億07百万円、営業利益が29億17百万円、経常利益が22億08百万円だった。第2四半期は営業外費用で為替差損が拡大した。

 通期の連結業績予想は据え置いて2桁増収増益予想としている。主力製品が堅調に推移し、研究開発費(4.4%増の50億円)や広告宣伝費(47.7%増の29億円)の増加を吸収する見込みだ。医療用医薬品事業は海外市場においてディフィクリアやアサコールの伸長、国内市場においてアコファイドや20年9月に販売開始した鉄欠乏性貧血治療剤フェインジェクトの伸長を見込み、コンシューマーヘルスケア事業はヘパリーゼ群をはじめとする主力品の回復を見込んでいる。

 第2四半期累計の進捗率は売上高が51.1%、営業利益が84.2%、経常利益が74.0%、親会社株主帰属当期純利益が71.4%となる。コロナ禍影響や為替動向の不透明感を考慮して通期予想を据え置いているが、第2四半期累計が計画を上回る大幅増収増益だったことを勘案すれば、通期会社予想も上振れの可能性が高く、積極的な事業展開で収益拡大基調だろう。

■株主優待は年2回、9月末と3月末の株主対象

 株主優待制度は毎年9月末および3月末現在の株主を対象として、保有株式数に応じて自社グループ商品を贈呈している。なお22年3月末対象から、株主優待品コース内容を変更(旧Dコースのコンドロイチン配合夜間集中美容液を、新Dコースとしてスパ発想のオールインワン化粧品に変更、詳細は会社HP参照)した。

■株価は上年初来高値圏で堅調

 なお5月11日に発表した自己株式取得(上限80万株・18億円、取得期間22年5月16日〜22年11月4日)については、11月2日に取得期間を23年5月12日まで延長すると発表した。

 株価は地合い悪化の影響で上げ一服の形となったが、大きく下押す動きも見られず年初来高値圏で堅調に推移している。好業績を評価し、利益確定売りをこなしながら上値を試す展開を期待したい。12月27日の終値は2246円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS126円73銭で算出)は約18倍、今期予想配当利回り(会社予想の36円で算出)は約1.6%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS1236円09銭で算出)は約1.8倍、そして時価総額は約1193億円である。(情報提供:日 本インタビュ新聞社=Media−IR)
[12月09日更新]

ゼリア新薬工業は上値試す、23年3月期2桁増収増益予想、さらに上振れの可能性

 ゼリア新薬工業<4559>(東証プライム)は消化器分野が中心の医療用医薬品事業、および一般用医薬品のコンシューマーヘルスケア事業を展開している。医療用医薬品事業ではアサコール高用量製剤の海外販売国拡大、フェインジェクトやエントコートの市場浸透、ティロッツ社の営業体制強化、コンシューマーヘルスケア事業では既存主力製品に次ぐ製品群の育成、西洋ハーブ剤など特徴ある製品群の市場認知度向上による事業拡大を推進している。23年3月期は2桁増収増益予想としている。第2四半期累計が計画を上回る大幅増収増益だったことを勘案すれば、通期会社予想も上振れの可能性が高く、積極的な事業展開で収益拡大基調だろう。株価は11月の年初来高値圏から利益確定売りで一旦反落したが、素早く切り返しの動きを強めている。好業績を評価して上値を試す展開を期待したい。

■医療用医薬品事業とコンシューマーヘルスケア事業を展開

 消化器分野が中心の医療用医薬品事業、および一般用医薬品のコンシューマーヘルスケア事業を展開している。収益面では薬価改定、ライセンス収入・ロイヤリティ収入、研究開発費、広告宣伝費などの影響を受けやすい。

 22年3月期のセグメント別売上高構成比は医療用医薬品事業62%、コンシューマーヘルスケア事業38%、その他0%、利益(全社費用等調整前営業利益)構成比は医療用医薬品事業62%、コンシューマーヘルスケア事業36%、その他2%だった。地域別売上比率は日本59%、欧州35%、その他6%だった。

■医療用医薬品事業は潰瘍性大腸炎治療剤アサコールなどが主力

 医療用医薬品事業は、潰瘍性大腸炎治療剤アサコールを主力として、炎症性腸疾患治療剤Entocort(エントコート、国内販売名ゼンタコート)や、機能性ディスペプシア治療剤アコファイドなども拡大している。20年9月に国内で販売開始した鉄欠乏性貧血治療剤フェインジェクトについては、消化器科・産婦人科を中心に市場構築を推進している。また、アステラス製薬の英国子会社が欧州を中心に販売しているクロストリジウム・ディフィシル感染症治療剤ディフィクリア錠(英名DIFICLIR)については、20年11月に欧州、中東、アフリカおよび独立国家共同体(CIS)における製造販売承認を承継する資産譲渡契約を締結し、21年6月に欧州テリトリーでの製造販売権承継をほぼ完了した。残る地域についても順次承継予定である。

 22年3月期の売上高はアサコールが21年3月期比5.9%増の174億76百万円、ディフィクリアが52億11百万円(21年3月期は2億59百万円)、エントコートが7.0%減の44億80百万円、アコファイドが89.2%増の31億54百万円、その他が0.2%減の66億84百万円だった。なおアコファイドについては、アステラス製薬<4503>との日本での共同販促を21年3月で終了し、21年4月以降は単独プロモーションに切り替えている。

 海外展開については、アサコールは、欧州を中心に高用量製剤の販売国数を拡大中(21年12月時点でドイツ、フランスをはじめとする19ヶ国で販売中)である。競合する高用量製剤の処方獲得を目指してプロモーションを展開している。またイタリアのMenariniグループの中国現地法人に独占的販売権を供与して、中国で21年5月販売開始した。

 アコファイドについては、Meiji Seika ファルマとタイおよびインドネシアにおける独占的開発・販売ライセンス契約、スペインのFAES社とラテンアメリカにおける独占的開発・販売ライセンス契約を締結している。

 子会社のTillotts Pharma(ティロッツ社、スイス)は、アストラゼネカ社からエントコートの米国を除く全世界における権利を取得(国内ではゼンタコートカプセルとして販売)し、アサコールとともに海外での拡販を推進している。

■コンシューマーヘルスケア事業はヘパリーゼ群などが主力

 コンシューマーヘルスケア事業はヘパリーゼ群、コンドロイチン群、ウィズワン群を主力として、日本で初めて月経前症候群の効能を取得した西洋ハーブ・ダイレクトOTC医薬品プレフェミン、連結子会社イオナ インターナショナルの「イオナ」ブランド化粧品なども全国の薬局・薬店・ドラッグストアなどに販売している。

 なお22年3月期の売上高は、ヘパリーゼ群が21年3月期比17.5%増の77億70百万円(医薬品が18.9%増の43億45百万円、清涼飲料水・栄養補助食品が15.7%増の34億25百万円)で、コンドロイチン群が4.6%減の51億35百万円、ウィズワン群が5.9%減の13億59百万円、その他(殺菌消毒薬など)が12.0%減の81億04百万円だった。

 事業拡大に向けて、西洋ハーブ群の開発・育成、ヘパリーゼ群およびコンドロイチン群に続く新規主力製品の開発・育成、既存製品(OTC医薬品プレバリン群、オーラルケアのマスデント群やイオナ化粧品など)の育成を推進している。20年4月にはヘパリーゼ群の主原料である肝臓加水分解物の安定調達とコンシューマーヘルスケア事業拡大を目的として、日水製薬<4550>から日水製薬医薬品販売の全株式を譲り受けて子会社化(現社名:健創製薬)した。

 西洋ハーブ関連では21年12月に、軽度の静脈還流障害による足のむくみを改善する内服薬「ベルフェミン」(要指導医薬品)を発売した。欧州において下肢の静脈疾患(慢性静脈不全症)の治療に伝統的に使用されてきたセイヨウトチノキ種子の乾燥エキスを主成分としている。22年3月には、過敏性腸症候群(IBS)改善薬「コルペルミン」(要指導医薬品)を発売した。ペパーミントのオイルを有効成分とする医薬品である。ティロッツ社によって開発され、1981年に英国で発売されて以降、スイスやドイツをはじめ十数ヶ国でIBSの諸症状を改善する一般用医薬品として販売されている。国内で実施された過敏性腸症候群患者を対象とした臨床試験において有効性と安全性が確認された。

 22年3月には11種類の美容液成分を配合した高機能オールインワンジェル「イオナ スパ&ミネラル エッセンス ジェルEX」を発売、22年4月には11種類の有効成分を配合したOTC点眼薬「ビュークリアHi40アクティブ」(第3類医薬品)を発売、22年8月にはオールシーズン使用可能な多機能除菌スプレー「マジックバリア除菌スプレー」(雑貨)を発売、22年10月にはローヤルゼリーを有効成分として配合した滋養強壮保健剤「ハイゼリー顆粒EX」(第3類医薬品)を発売した。

■消化器分野を最重点領域として新薬開発を推進

 消化器分野を最重点領域と位置付けて新薬開発を推進している。新薬パイプラインの状況(22年11月2日現在)は以下の通りである。

 Z−338(自社品、一般名アコチアミド)は、日本では小児機能性ディスペプシア患者を適応症として第3相段階、食道胃接合部通過障害を適応症として第2相(九州大学で医師主導治験)段階、欧州では機能性ディスペプシアを適応症として第3相段階である。なお九州大学における医師主導治験は、日本医療研究開発機構(AMED)の助成事業に採択されている。

 Z−338の導出では、Faes Farmaが機能性ディスペプシアを適応症としてメキシコおよびホンジュラスで承認取得した。またFaes Farmaが機能性ディスペプシアを適応症としてチリ、コロンビア、ペルー、エクアドル、ドミニカ共和国、コスタリカ、グアテマラ、パナマにおいて承認申請中、Meiji Seikaファルマが機能性ディスペプシアを適応症としてタイ、インドネシアにおいて承認申請中である。

 高カリウム血症を適応症とするZG−801(ビフォーファーマ社から導入)は第3相段階である。米国では15年12月販売開始し、欧州では17年7月EMA(欧州医薬品庁)から承認取得している。

■アサコールやエントコートの拡大などを推進

 収益拡大に向けた重点施策として、医療用医薬品事業ではアサコール高用量製剤の海外販売国拡大、フェインジェクトやエントコートの市場浸透、ティロッツ社の営業体制強化、コンシューマーヘルスケア事業では既存の主力製品に次ぐ製品群の育成、西洋ハーブ剤など特徴ある製品群の市場認知度向上による事業拡大を推進している。

 また持続的成長に向けて、消化器領域および既存事業との親和性の高い領域の薬剤導入、M&A、自社製品の海外導出を推進する方針としている。

■23年3月期2桁増収増益予想、さらに上振れの可能性

 23年3月期の連結業績予想は、売上高が22年3月期比10.9%増の660億円、営業利益が10.0%増の70億円、経常利益が17.9%増の70億円、親会社株主帰属当期純利益が41.4%増の56億円としている。配当予想は22年3月期比1円増配の36円(第2四半期末18円、期末18円)としている。連続増配予想である。

 第2四半期累計は売上高が前年同期比17.9%増の337億12百万円、営業利益が120.6%増の58億94百万円、経常利益が66.3%増の51億82百万円、親会社株主帰属四半期純利益が89.0%増の39億98百万円だった。

 期初予想(売上高330億円、営業利益35億円、経常利益35億円、親会社株主帰属四半期純利益28億円)を上回る大幅増収増益だった。医療用医薬品事業の海外の好調が牽引し、コンシューマーヘルスケア事業も回復基調となった。なお営業外では為替差損益が悪化(前年同期は為替差益4億17百万円計上、今期は為替差損7億48百万円計上)した。

 医療用医薬品事業は売上高が19.5%増の215億05百万円で、セグメント利益(全社費用等調整前営業利益)が90.4%増の58億67百万円だった。海外市場において、潰瘍性大腸炎治療剤アサコールが高用量製剤アサコール1600mgを中心に好調に推移した。炎症性腸疾患(IBD)治療剤エントコート(国内販売名ゼンタコート)も伸長した。クロストリジウム・ディフィシル感染症治療剤ディフィクリアも営業リソースの積極投入で売上拡大した。主要製品の売上高は、アサコールが16.2%増の98億81百万円、ディフィクリアが70.9%増の38億95百万円、エントコートが30.7%増の29億35百万円、アコファイドが2.4%減の15億41百万円だった。

 コンシューマーヘルスケア事業は売上高が15.2%増の121億31百万円で、利益が24.2%増の24億54百万円だった。ヘパリーゼ群についてはコロナ禍の影響が残っているものの、医薬品ヘパリーゼ群やコンビニエンスストア向けヘパリーゼW群が大幅に伸長した。コンドロイチン群は積極的な広告宣伝投資の効果で堅調だった。植物性便秘薬ウィズワン群は競合品の影響などで減収だった。主要製品の売上高はヘパリーゼ群が45.1%増の46億98百万円、コンドロイチン群が1.5%増の26億34百万円、ウィズワン群が4.1%減の6億20百万円だった。

 なお四半期別に見ると、第1四半期売上高が163億05百万円、営業利益が29億77百万円、経常利益が29億74百万円、第2四半期は売上高が174億07百万円、営業利益が29億17百万円、経常利益が22億08百万円だった。第2四半期は営業外費用で為替差損が拡大した。

 通期の連結業績予想は据え置いて2桁増収増益予想としている。主力製品が堅調に推移し、研究開発費(4.4%増の50億円)や広告宣伝費(47.7%増の29億円)の増加を吸収する見込みだ。医療用医薬品事業は海外市場においてディフィクリアやアサコールの伸長、国内市場においてアコファイドや20年9月に販売開始した鉄欠乏性貧血治療剤フェインジェクトの伸長、コンシューマーヘルスケア事業はヘパリーゼ群をはじめとする主力品の回復を見込み2桁増益予想としている。

 第2四半期累計の進捗率は売上高が51.1%、営業利益が84.2%、経常利益が74.0%、親会社株主帰属当期純利益が71.4%となる。コロナ禍影響や為替動向の不透明感を考慮して通期予想を据え置いているが、第2四半期累計が計画を上回る大幅増収増益だったことを勘案すれば、通期会社予想も上振れの可能性が高く、積極的な事業展開で収益拡大基調だろう。

■株主優待は年2回、9月末と3月末の株主対象

 株主優待制度は毎年9月末および3月末現在の株主を対象として、保有株式数に応じて自社グループ商品を贈呈している。なお22年3月末対象から、株主優待品コース内容を変更(旧Dコースのコンドロイチン配合夜間集中美容液を、新Dコースとしてスパ発想のオールインワン化粧品に変更、詳細は会社HP参照)した。

■株価は上値試す

 なお5月11日に発表した自己株式取得(上限80万株・18億円、取得期間22年5月16日〜22年11月4日)については、11月2日に取得期間を23年5月12日まで延長すると発表した。

 株価は11月の年初来高値圏から利益確定売りで一旦反落したが、素早く切り返しの動きを強めている。好業績を評価して上値を試す展開を期待したい。12月8日の終値は2243円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS126円73銭で算出)は約18倍、今期予想配当利回り(会社予想の36円で算出)は約1.6%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS1236円09銭で算出)は約1.8倍、そして時価総額は約1191億円である。(情報提供:日 本インタビュ新聞社=Media−IR)
[11月24日更新]

ゼリア新薬工業は上値試す、23年3月期2Q累計大幅増収増益で通期上振れの可能性

 ゼリア新薬工業<4559>(東証プライム)は消化器分野が中心の医療用医薬品事業、および一般用医薬品のコンシューマーヘルスケア事業を展開している。医療用医薬品事業ではアサコール高用量製剤の海外販売国拡大、フェインジェクトやエントコートの市場浸透、ティロッツ社の営業体制強化、コンシューマーヘルスケア事業では既存主力製品に次ぐ製品群の育成、西洋ハーブ剤など特徴ある製品群の市場認知度向上による事業拡大を推進している。23年3月期第2四半期累計は期初予想を上回る大幅増収増益だった。医療用医薬品事業の海外の好調が牽引し、コンシューマーヘルスケア事業も回復基調となった。通期は期初予想を据え置いて2桁増収増益予想としている。第2四半期累計の好調を勘案すれば、通期会社予想は上振れの可能性が高く、積極的な事業展開で収益拡大基調だろう。株価は水準を切り上げて7月の年初来高値に接近している。利益確定売りをこなしながら上値を試す展開を期待したい。

■医療用医薬品事業とコンシューマーヘルスケア事業を展開

 消化器分野が中心の医療用医薬品事業、および一般用医薬品のコンシューマーヘルスケア事業を展開している。収益面では薬価改定、ライセンス収入・ロイヤリティ収入、研究開発費、広告宣伝費などの影響を受けやすい。

 22年3月期のセグメント別売上高構成比は医療用医薬品事業62%、コンシューマーヘルスケア事業38%、その他0%、利益(全社費用等調整前営業利益)構成比は医療用医薬品事業62%、コンシューマーヘルスケア事業36%、その他2%だった。地域別売上比率は日本59%、欧州35%、その他6%だった。

■医療用医薬品事業は潰瘍性大腸炎治療剤アサコールなどが主力

 医療用医薬品事業は、潰瘍性大腸炎治療剤アサコールを主力として、炎症性腸疾患治療剤Entocort(エントコート、国内販売名ゼンタコート)や、機能性ディスペプシア治療剤アコファイドなども拡大している。20年9月に国内で販売開始した鉄欠乏性貧血治療剤フェインジェクトについては、消化器科・産婦人科を中心に市場構築を推進している。また、アステラス製薬の英国子会社が欧州を中心に販売しているクロストリジウム・ディフィシル感染症治療剤ディフィクリア錠(英名DIFICLIR)については、20年11月に欧州、中東、アフリカおよび独立国家共同体(CIS)における製造販売承認を承継する資産譲渡契約を締結し、21年6月に欧州テリトリーでの製造販売権承継をほぼ完了した。残る地域についても順次承継予定である。

 22年3月期の売上高はアサコールが21年3月期比5.9%増の174億76百万円、ディフィクリアが52億11百万円(21年3月期は2億59百万円)、エントコートが7.0%減の44億80百万円、アコファイドが89.2%増の31億54百万円、その他が0.2%減の66億84百万円だった。なおアコファイドについては、アステラス製薬<4503>との日本での共同販促を21年3月で終了し、21年4月以降は単独プロモーションに切り替えている。

 海外展開については、アサコールは、欧州を中心に高用量製剤の販売国数を拡大中(21年12月時点でドイツ、フランスをはじめとする19ヶ国で販売中)である。競合する高用量製剤の処方獲得を目指してプロモーションを展開している。またイタリアのMenariniグループの中国現地法人に独占的販売権を供与して、中国で21年5月販売開始した。

 アコファイドについては、Meiji Seika ファルマとタイおよびインドネシアにおける独占的開発・販売ライセンス契約、スペインのFAES社とラテンアメリカにおける独占的開発・販売ライセンス契約を締結している。

 子会社のTillotts Pharma(ティロッツ社、スイス)は、アストラゼネカ社からエントコートの米国を除く全世界における権利を取得(国内ではゼンタコートカプセルとして販売)し、アサコールとともに海外での拡販を推進している。

■コンシューマーヘルスケア事業はヘパリーゼ群などが主力

 コンシューマーヘルスケア事業はヘパリーゼ群、コンドロイチン群、ウィズワン群を主力として、日本で初めて月経前症候群の効能を取得した西洋ハーブ・ダイレクトOTC医薬品プレフェミン、連結子会社イオナ インターナショナルの「イオナ」ブランド化粧品なども全国の薬局・薬店・ドラッグストアなどに販売している。

 なお22年3月期の売上高は、ヘパリーゼ群が21年3月期比17.5%増の77億70百万円(医薬品が18.9%増の43億45百万円、清涼飲料水・栄養補助食品が15.7%増の34億25百万円)で、コンドロイチン群が4.6%減の51億35百万円、ウィズワン群が5.9%減の13億59百万円、その他(殺菌消毒薬など)が12.0%減の81億04百万円だった。

 事業拡大に向けて、西洋ハーブ群の開発・育成、ヘパリーゼ群およびコンドロイチン群に続く新規主力製品の開発・育成、既存製品(OTC医薬品プレバリン群、オーラルケアのマスデント群やイオナ化粧品など)の育成を推進している。20年4月にはヘパリーゼ群の主原料である肝臓加水分解物の安定調達とコンシューマーヘルスケア事業拡大を目的として、日水製薬<4550>から日水製薬医薬品販売の全株式を譲り受けて子会社化(現社名:健創製薬)した。

 西洋ハーブ関連では21年12月に、軽度の静脈還流障害による足のむくみを改善する内服薬「ベルフェミン」(要指導医薬品)を発売した。欧州において下肢の静脈疾患(慢性静脈不全症)の治療に伝統的に使用されてきたセイヨウトチノキ種子の乾燥エキスを主成分としている。22年3月には、過敏性腸症候群(IBS)改善薬「コルペルミン」(要指導医薬品)を発売した。ペパーミントのオイルを有効成分とする医薬品である。ティロッツ社によって開発され、1981年に英国で発売されて以降、スイスやドイツをはじめ十数ヶ国でIBSの諸症状を改善する一般用医薬品として販売されている。国内で実施された過敏性腸症候群患者を対象とした臨床試験において有効性と安全性が確認された。

 22年3月には11種類の美容液成分を配合した高機能オールインワンジェル「イオナ スパ&ミネラル エッセンス ジェルEX」を発売、22年4月には11種類の有効成分を配合したOTC点眼薬「ビュークリアHi40アクティブ」(第3類医薬品)を発売、22年8月にはオールシーズン使用可能な多機能除菌スプレー「マジックバリア除菌スプレー」(雑貨)を発売、22年10月にはローヤルゼリーを有効成分として配合した滋養強壮保健剤「ハイゼリー顆粒EX」(第3類医薬品)を発売した。

■消化器分野を最重点領域として新薬開発を推進

 消化器分野を最重点領域と位置付けて新薬開発を推進している。新薬パイプラインの状況(22年11月2日現在)は以下の通りである。

 Z−338(自社品、一般名アコチアミド)は、日本では小児機能性ディスペプシア患者を適応症として第3相段階、食道胃接合部通過障害を適応症として第2相(九州大学で医師主導治験)段階、欧州では機能性ディスペプシアを適応症として第3相段階である。なお九州大学における医師主導治験は、日本医療研究開発機構(AMED)の助成事業に採択されている。

 Z−338の導出では、Faes Farmaが機能性ディスペプシアを適応症としてメキシコおよびホンジュラスで承認取得した。またFaes Farmaが機能性ディスペプシアを適応症としてチリ、コロンビア、ペルー、エクアドル、ドミニカ共和国、コスタリカ、グアテマラ、パナマにおいて承認申請中、Meiji Seikaファルマが機能性ディスペプシアを適応症としてタイ、インドネシアにおいて承認申請中である。

 高カリウム血症を適応症とするZG−801(ビフォーファーマ社から導入)は第3相段階である。米国では15年12月販売開始し、欧州では17年7月EMA(欧州医薬品庁)から承認取得している。

■アサコールやエントコートの拡大などを推進

 収益拡大に向けた重点施策として、医療用医薬品事業ではアサコール高用量製剤の海外販売国拡大、フェインジェクトやエントコートの市場浸透、ティロッツ社の営業体制強化、コンシューマーヘルスケア事業では既存の主力製品に次ぐ製品群の育成、西洋ハーブ剤など特徴ある製品群の市場認知度向上による事業拡大を推進している。

 また持続的成長に向けて、消化器領域および既存事業との親和性の高い領域の薬剤導入、M&A、自社製品の海外導出を推進する方針としている。

■23年3月期2Q累計大幅増収増益、通期上振れの可能性

 23年3月期の連結業績予想は、売上高が22年3月期比10.9%増の660億円、営業利益が10.0%増の70億円、経常利益が17.9%増の70億円、親会社株主帰属当期純利益が41.4%増の56億円としている。配当予想は22年3月期比1円増配の36円(第2四半期末18円、期末18円)としている。連続増配予想である。

 第2四半期累計(10月31日付で上方修正)は、売上高が前年同期比17.9%増の337億12百万円、営業利益が120.6%増の58億94百万円、経常利益が66.3%増の51億82百万円、親会社株主帰属四半期純利益が89.0%増の39億98百万円だった。

 期初予想(売上高330億円、営業利益35億円、経常利益35億円、親会社株主帰属四半期純利益28億円)を上回る大幅増収増益だった。医療用医薬品事業の海外の好調が牽引し、コンシューマーヘルスケア事業も回復基調となった。なお営業外では為替差損益が悪化(前年同期は為替差益4億17百万円計上、今期は為替差損7億48百万円計上)した。

 医療用医薬品事業は売上高が19.5%増の215億05百万円で、セグメント利益(全社費用等調整前営業利益)が90.4%増の58億67百万円だった。海外市場において、潰瘍性大腸炎治療剤アサコールが高用量製剤アサコール1600mgを中心に好調に推移した。炎症性腸疾患(IBD)治療剤エントコート(国内販売名ゼンタコート)も伸長した。クロストリジウム・ディフィシル感染症治療剤ディフィクリアも営業リソースの積極投入で売上拡大した。主要製品の売上高は、アサコールが16.2%増の98億81百万円、ディフィクリアが70.9%増の38億95百万円、エントコートが30.7%増の29億35百万円、アコファイドが2.4%減の15億41百万円だった。

 コンシューマーヘルスケア事業は売上高が15.2%増の121億31百万円で、利益が24.2%増の24億54百万円だった。ヘパリーゼ群についてはコロナ禍の影響が残っているものの、医薬品ヘパリーゼ群やコンビニエンスストア向けヘパリーゼW群が大幅に伸長した。コンドロイチン群は積極的な広告宣伝投資の効果で堅調だった。植物性便秘薬ウィズワン群は競合品の影響などで減収だった。主要製品の売上高はヘパリーゼ群が45.1%増の46億98百万円、コンドロイチン群が1.5%増の26億34百万円、ウィズワン群が4.1%減の6億20百万円だった。

 なお四半期別に見ると、第1四半期売上高が163億05百万円、営業利益が29億77百万円、経常利益が29億74百万円、第2四半期は売上高が174億07百万円、営業利益が29億17百万円、経常利益が22億08百万円だった。第2四半期は営業外費用で為替差損が拡大した。

 通期の連結業績予想は据え置いて2桁増収増益予想としている。主力製品が堅調に推移し、研究開発費(4.4%増の50億円)や広告宣伝費(47.7%増の29億円)の増加を吸収する見込みだ。医療用医薬品事業は海外市場においてディフィクリアやアサコールの伸長、国内市場においてアコファイドや20年9月に販売開始した鉄欠乏性貧血治療剤フェインジェクトの伸長、コンシューマーヘルスケア事業はヘパリーゼ群をはじめとする主力品の回復を見込み2桁増益予想としている。

 第2四半期累計の進捗率は売上高が51.1%、営業利益が84.2%、経常利益が74.0%、親会社株主帰属当期純利益が71.4%となる。コロナ禍影響や為替動向の不透明感を考慮して通期予想を据え置いているが、第2四半期累計の好調を勘案すれば通期会社予想は上振れの可能性が高く、積極的な事業展開で収益拡大基調だろう。

■株主優待は年2回、9月末と3月末の株主対象

 株主優待制度は毎年9月末および3月末現在の株主を対象として、保有株式数に応じて自社グループ商品を贈呈している。なお22年3月末対象から、株主優待品コース内容を変更(旧Dコースのコンドロイチン配合夜間集中美容液を、新Dコースとしてスパ発想のオールインワン化粧品に変更、詳細は会社HP参照)した。

■株価は上値試す

 なお5月11日に発表した自己株式取得(上限80万株・18億円、取得期間22年5月16日〜22年11月4日)については11月2日に、取得期間を23年5月12日まで延長すると発表した。

 株価は水準を切り上げて7月の年初来高値に接近している。利益確定売りをこなしながら上値を試す展開を期待したい。11月22日の終値は2263円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS126円73銭で算出)は約18倍、今期予想配当利回り(会社予想の36円で算出)は約1.6%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS1236円09銭で算出)は約1.8倍、そして時価総額は約1202億円である。(情報提供:日 本インタビュ新聞社=Media−IR)
[11月01日更新]

ゼリア新薬工業は23年3月期2Q累計予想を上方修正、通期も上振れの可能性

 ゼリア新薬工業<4559>(東証プライム)は10月31日の取引時間中に23年3月期第2四半期累計連結業績予想の上方修正を発表した。医療用医薬品事業の海外市場における好調推移、コンシューマーヘルスケア事業の回復基調などにより、期初計画を上回る大幅増収増益となった。通期予想(2桁増収増益予想)は据え置いているが、第2四半期累計の上方修正を勘案すれば通期予想も上振れの可能性が高く、積極的な事業展開で収益拡大基調だろう。株価は上方修正を好感して続伸の動きとなり、7月の年初来高値に接近している。好業績を評価して上値を試す展開を期待したい。

■23年3月期2Q累計予想を上方修正、通期も上振れの可能性

 23年3月期第2四半期累計連結業績予想を10月31日付で上方修正し、売上高が前年同期比17.8%増の337億10百万円、営業利益が120.1%増の58億80百万円、経常利益が65.6%増の51億60百万円、そして親会社株主帰属四半期純利益が88.7%増の39億90百万円とした。

 医療用医薬品事業の海外市場における好調推移、コンシューマーヘルスケア事業の回復基調などにより、前回予想(5月11日公表、売上高330億円、営業利益35億円、経常利益35億円、親会社株主帰属四半期純利益28億円)に対して、売上高は7億10百万円、営業利益は23億80百万円、経常利益は16億60百万円、親会社株主帰属四半期純利益は11億90百万円それぞれ上回り、大幅増収増益となった。営業外で為替差損益が悪化したため、経常利益と親会社株主帰属四半期純利益の上方修正幅は、営業利益の上方修正幅に比べて小幅だった。

 なお第1四半期は、売上高が前年同期比20.3%増の163億05百万円、営業利益が137.8%増の29億77百万円、経常利益が42.9%増の29億74百万円、親会社株主帰属四半期純利益が84.6%増の26億01百万円だった。医療用医薬品事業の海外の好調などが牽引して大幅増収増益だった。営業外では為替差損益が悪化(前年同期は為替差益7億31百万円、今期は為替差損1億03百万円)した。

 医療用医薬品事業は売上高が24.5%増の102億80百万円で、セグメント利益(全社費用等調整前営業利益)が83.1%増の28億31百万円だった。国内では潰瘍性大腸炎治療剤アサコールが薬価改定の影響を受け、炎症性腸疾患(IBD)治療剤エントコート(国内販売名ゼンタコート)も前年並みにとどまったが、海外市場においてアサコールが好調に推移し、クロストリジウム・ディフィシル感染症治療剤ディフィクリアも営業リソースの積極投入で売上拡大した。

 コンシューマーヘルスケア事業は売上高が14.0%増の59億88百万円で、利益が36.6%増の13億46百万円だった。ヘパリーゼ群についてはコロナ禍の影響が残っているものの、医薬品ヘパリーゼ群やコンビニエンスストア向けヘパリーゼW群が大幅に伸長した。コンドロイチン群は積極的な広告宣伝投資の効果で堅調だった。ウィズワン群、および殺菌消毒薬などの衛生用品は競合品の影響などで減収だった。

 通期連結業績予想は据え置いて、売上高が22年3月期比10.9%増の660億円、営業利益が10.0%増の70億円、経常利益が17.9%増の70億円、親会社株主帰属当期純利益が41.4%増の56億円としている。配当予想は22年3月期比1円増配の36円(第2四半期末18円、期末18円)としている。

 医療用医薬品事業は海外市場においてディフィクリアやアサコールの伸長、国内市場においてアコファイドや20年9月に販売開始した鉄欠乏性貧血治療剤フェインジェクトの伸長、コンシューマーヘルスケア事業はヘパリーゼ群をはじめとする主力品の回復を見込み2桁増益予想としている。

 修正後の第2四半期累計の進捗率は売上高が51.1%、営業利益が84.0%、経常利益が73.7%、親会社株主帰属当期純利益が71.3%となる。コロナ禍影響や為替動向の不透明感を考慮して通期予想を据え置いているが、第2四半期累計の上方修正を勘案すれば通期予想も上振れの可能性が高く、積極的な事業展開で収益拡大基調だろう。

■株価は上値試す

 株価は上方修正を好感して続伸の動きとなり、7月の年初来高値に接近している。好業績を評価して上値を試す展開を期待したい。10月31日の終値は2217円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS126円72銭で算出)は約17倍、今期予想配当利回り(会社予想の36円で算出)は約1.6%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS1236円09銭で算出)は約1.8倍、時価総額は約1178億円である。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media−IR
[10月28日更新]

ゼリア新薬工業は戻り歩調、23年3月期2桁増収増益予想、さらに上振れの可能性

 ゼリア新薬工業<4559>(東証プライム)は消化器分野が中心の医療用医薬品事業、および一般用医薬品のコンシューマーヘルスケア事業を展開している。医療用医薬品事業ではアサコール高用量製剤の海外販売国拡大、フェインジェクトやエントコートの市場浸透、ティロッツ社の営業体制強化、コンシューマーヘルスケア事業では既存主力製品に次ぐ製品群の育成、西洋ハーブ剤など特徴ある製品群の市場認知度向上による事業拡大を推進している。23年3月期は医療用医薬品事業の海外の好調などが牽引して2桁増収増益予想としている。第1四半期の利益進捗率が高水準であることを勘案すれば、通期会社予想は上振れの可能性が高く、積極的な事業展開で収益拡大基調だろう。株価は9月の直近安値圏から急反発し、その後は順調に水準を切り上げている。戻り歩調だ。自律調整を交えながら上値を試す展開を期待したい。

■医療用医薬品事業とコンシューマーヘルスケア事業を展開

 消化器分野が中心の医療用医薬品事業、および一般用医薬品のコンシューマーヘルスケア事業を展開している。収益面では薬価改定、ライセンス収入・ロイヤリティ収入、研究開発費、広告宣伝費などの影響を受けやすい。

 22年3月期のセグメント別売上高構成比は医療用医薬品事業62%、コンシューマーヘルスケア事業38%、その他0%、利益(全社費用等調整前営業利益)構成比は医療用医薬品事業62%、コンシューマーヘルスケア事業36%、その他2%だった。地域別売上比率は日本59%、欧州35%、その他6%だった。

■医療用医薬品事業は潰瘍性大腸炎治療剤アサコールなどが主力

 医療用医薬品事業は、潰瘍性大腸炎治療剤アサコールを主力として、炎症性腸疾患治療剤Entocort(エントコート、国内販売名ゼンタコート)や、機能性ディスペプシア治療剤アコファイドなども拡大している。20年9月に国内で販売開始した鉄欠乏性貧血治療剤フェインジェクトについては、消化器科・産婦人科を中心に市場構築を推進している。また、アステラス製薬の英国子会社が欧州を中心に販売しているクロストリジウム・ディフィシル感染症治療剤ディフィクリア錠(英名DIFICLIR)については、20年11月に欧州、中東、アフリカおよび独立国家共同体(CIS)における製造販売承認を承継する資産譲渡契約を締結し、21年6月に欧州テリトリーでの製造販売権承継をほぼ完了した。残る地域についても順次承継予定である。

 22年3月期の売上高はアサコールが21年3月期比5.9%増の174億76百万円、ディフィクリアが52億11百万円(21年3月期は2億59百万円)、エントコートが7.0%減の44億80百万円、アコファイドが89.2%増の31億54百万円、その他が0.2%減の66億84百万円だった。なおアコファイドについては、アステラス製薬<4503>との日本での共同販促を21年3月で終了し、21年4月以降は単独プロモーションに切り替えている。

 海外展開については、アサコールは、欧州を中心に高用量製剤の販売国数を拡大中(21年12月時点でドイツ、フランスをはじめとする19ヶ国で販売中)である。競合する高用量製剤の処方獲得を目指してプロモーションを展開している。またイタリアのMenariniグループの中国現地法人に独占的販売権を供与して、中国で21年5月販売開始した。

 アコファイドについては、Meiji Seika ファルマとタイおよびインドネシアにおける独占的開発・販売ライセンス契約、スペインのFAES社とラテンアメリカにおける独占的開発・販売ライセンス契約を締結している。

 子会社のTillotts Pharma(ティロッツ社、スイス)は、アストラゼネカ社からエントコートの米国を除く全世界における権利を取得(国内ではゼンタコートカプセルとして販売)し、アサコールとともに海外での拡販を推進している。

■コンシューマーヘルスケア事業はヘパリーゼ群などが主力

 コンシューマーヘルスケア事業はヘパリーゼ群、コンドロイチン群、ウィズワン群を主力として、日本で初めて月経前症候群の効能を取得した西洋ハーブ・ダイレクトOTC医薬品プレフェミン、連結子会社イオナ インターナショナルの「イオナ」ブランド化粧品なども全国の薬局・薬店・ドラッグストアなどに販売している。

 なお22年3月期の売上高は、ヘパリーゼ群が21年3月期比17.5%増の77億70百万円(医薬品が18.9%増の43億45百万円、清涼飲料水・栄養補助食品が15.7%増の34億25百万円)で、コンドロイチン群が4.6%減の51億35百万円、ウィズワン群が5.9%減の13億59百万円、その他(殺菌消毒薬など)が12.0%減の81億04百万円だった。

 事業拡大に向けて、西洋ハーブ群の開発・育成、ヘパリーゼ群およびコンドロイチン群に続く新規主力製品の開発・育成、既存製品(OTC医薬品プレバリン群、オーラルケアのマスデント群やイオナ化粧品など)の育成を推進している。20年4月にはヘパリーゼ群の主原料である肝臓加水分解物の安定調達とコンシューマーヘルスケア事業拡大を目的として、日水製薬<4550>から日水製薬医薬品販売の全株式を譲り受けて子会社化(現社名:健創製薬)した。

 西洋ハーブ関連では21年12月に、軽度の静脈還流障害による足のむくみを改善する内服薬「ベルフェミン」(要指導医薬品)を発売した。欧州において下肢の静脈疾患(慢性静脈不全症)の治療に伝統的に使用されてきたセイヨウトチノキ種子の乾燥エキスを主成分としている。22年3月には、過敏性腸症候群(IBS)改善薬「コルペルミン」(要指導医薬品)を発売した。ペパーミントのオイルを有効成分とする医薬品である。ティロッツ社によって開発され、1981年に英国で発売されて以降、スイスやドイツをはじめ十数ヶ国でIBSの諸症状を改善する一般用医薬品として販売されている。国内で実施された過敏性腸症候群患者を対象とした臨床試験において有効性と安全性が確認された。

 22年3月には11種類の美容液成分を配合した高機能オールインワンジェル「イオナ スパ&ミネラル エッセンス ジェルEX」を発売、22年4月には11種類の有効成分を配合したOTC点眼薬「ビュークリアHi40アクティブ」(第3類医薬品)を発売、22年8月にはオールシーズン使用可能な多機能除菌スプレー「マジックバリア除菌スプレー」(雑貨)を発売、22年10月にはローヤルゼリーを有効成分として配合した滋養強壮保健剤「ハイゼリー顆粒EX」(第3類医薬品)を発売した。

■消化器分野を最重点領域として新薬開発を推進

 消化器分野を最重点領域と位置付けて新薬開発を推進している。新薬パイプラインの状況(22年8月4日現在)は以下の通りである。

 Z−338(自社品、一般名アコチアミド)は、日本では小児機能性ディスペプシア患者を適応症として第3相段階、食道胃接合部通過障害を適応症として第2相(九州大学で医師主導治験)段階、欧州では機能性ディスペプシアを適応症として第3相段階である。なお導出では、メキシコで機能性ディスペプシアを適応症として承認となり、チリ、コロンビア、ペルー、エクアドル、ドミニカ共和国、タイ、インドネシアで、それぞれ導出先が機能性ディスペプシアを適応症として承認申請中である。

 高カリウム血症を適応症とするZG−801(ビフォーファーマ社から導入)は第3相段階である。米国では15年12月販売開始し、欧州では17年7月EMA(欧州医薬品庁)から承認取得している。

■アサコールやエントコートの拡大などを推進

 収益拡大に向けた重点施策として、医療用医薬品事業ではアサコール高用量製剤の海外販売国拡大、フェインジェクトやエントコートの市場浸透、ティロッツ社の営業体制強化、コンシューマーヘルスケア事業では既存の主力製品に次ぐ製品群の育成、西洋ハーブ剤など特徴ある製品群の市場認知度向上による事業拡大を推進している。

 また持続的成長に向けて、消化器領域および既存事業との親和性の高い領域の薬剤導入、M&A、自社製品の海外導出を推進する方針としている。

■23年3月期2桁増収増益予想、さらに上振れの可能性

 23年3月期の連結業績予想は、売上高が22年3月期比10.9%増の660億円、営業利益が10.0%増の70億円、経常利益が17.9%増の70億円、親会社株主帰属当期純利益が41.4%増の56億円としている。配当予想は22年3月期比1円増配の36円(第2四半期末18円、期末18円)としている。連続増配予想である。

 2桁増収増益予想としている。主力製品が堅調に推移し、研究開発費(4.4%増の50億円)や広告宣伝費(47.7%増の29億円)の増加を吸収する見込みだ。医療用医薬品事業は、国内ではアサコールが薬価改定の影響を受けるが、アコファイドや20年9月に販売開始した鉄欠乏性貧血治療剤フェインジェクトの伸長、海外市場ではアサコールとディフィクリアの伸長、エントコートの在庫調整からの回復などを見込んでいる。コンシューマーヘルスケア事業は、積極的なプロモーション活動などでヘパリーゼ群やコンドロイチン群の伸長を見込んでいる。

 第1四半期は売上高が前年同期比20.3%増の163億05百万円、営業利益が137.8%増の29億77百万円、経常利益が42.9%増の29億74百万円、親会社株主帰属四半期純利益が84.6%増の26億01百万円だった。医療用医薬品事業の海外の好調などが牽引して大幅増収増益だった。なお営業外では為替差損益が悪化(前年同期は為替差益7億31百万円計上、今期は為替差損1億03百万円計上)した。

 医療用医薬品事業は売上高が24.5%増の102億80百万円で、セグメント利益(全社費用等調整前営業利益)が83.1%増の28億31百万円だった。国内では潰瘍性大腸炎治療剤アサコールが薬価改定の影響を受け、炎症性腸疾患(IBD)治療剤エントコート(国内販売名ゼンタコート)も前年並みにとどまったが、海外市場においてアサコールが好調に推移し、クロストリジウム・ディフィシル感染症治療剤ディフィクリアも営業リソースの積極投入で売上拡大した。

 コンシューマーヘルスケア事業は売上高が14.0%増の59億88百万円で、利益が36.6%増の13億46百万円だった。ヘパリーゼ群についてはコロナ禍の影響が残っているものの、医薬品ヘパリーゼ群やコンビニエンスストア向けヘパリーゼW群が大幅に伸長した。コンドロイチン群は積極的な広告宣伝投資の効果で堅調だった。ウィズワン群、および殺菌消毒薬などの衛生用品は競合品の影響などで減収だった。

 通期予想は据え置いている。ただし通期予想に対する第1四半期の進捗率は売上高が24.7%、営業利益が42.5%、経常利益が42.5%、親会社株主帰属当期純利益が46.4%だった。コロナ禍影響や為替動向の不透明感を考慮して通期予想を据え置いているが、第1四半期の利益進捗率が高水準であることを勘案すれば、通期会社予想は上振れの可能性が高く、積極的な事業展開で収益拡大基調だろう。

■株主優待は年2回、9月末と3月末の株主対象

 株主優待制度は毎年9月末および3月末現在の株主を対象として、保有株式数に応じて自社グループ商品を贈呈している。なお22年3月末対象から、株主優待品コース内容を変更(旧Dコースのコンドロイチン配合夜間集中美容液を、新Dコースとしてスパ発想のオールインワン化粧品に変更、詳細は会社HP参照)した。

■株価は戻り歩調

 なお5月11日に自己株式取得を発表している。上限80万株・18億円で、取得期間は22年5月16日〜22年11月4日としている。

 株価は9月の直近安値圏から急反発し、その後は順調に水準を切り上げている。戻り歩調だ。自律調整を交えながら上値を試す展開を期待したい。10月27日の終値は2175円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS126円72銭で算出)は約17倍、今期予想配当利回り(会社予想の36円で算出)は約1.7%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS1236円09銭で算出)は約1.8倍、時価総額は約1155億円である。(情報提供:日 本インタビュ新聞社=Media−IR)
[10月14日更新]

ゼリア新薬工業は反発の動き、23年3月期2桁増収増益予想、さらに上振れの可能性

 ゼリア新薬工業<4559>(東証プライム)は消化器分野が中心の医療用医薬品事業、および一般用医薬品のコンシューマーヘルスケア事業を展開している。医療用医薬品事業ではアサコール高用量製剤の海外販売国拡大、フェインジェクトやエントコートの市場浸透、ティロッツ社の営業体制強化、コンシューマーヘルスケア事業では既存主力製品に次ぐ製品群の育成、西洋ハーブ剤など特徴ある製品群の市場認知度向上による事業拡大を推進している。23年3月期は医療用医薬品事業の海外の好調などが牽引して2桁増収増益予想としている。第1四半期の利益進捗率が高水準であることを勘案すれば、通期会社予想は上振れの可能性が高く、積極的な事業展開で収益拡大基調だろう。株価は7月の年初来高値圏から反落して上値を切り下げる形だったが、9月の直近安値圏から切り返して反発の動きを強めている。基調転換して戻りを試す展開を期待したい。

■医療用医薬品事業とコンシューマーヘルスケア事業を展開

 消化器分野が中心の医療用医薬品事業、および一般用医薬品のコンシューマーヘルスケア事業を展開している。収益面では薬価改定、ライセンス収入・ロイヤリティ収入、研究開発費、広告宣伝費などの影響を受けやすい。

 22年3月期のセグメント別売上高構成比は医療用医薬品事業62%、コンシューマーヘルスケア事業38%、その他0%、利益(全社費用等調整前営業利益)構成比は医療用医薬品事業62%、コンシューマーヘルスケア事業36%、その他2%だった。地域別売上比率は日本59%、欧州35%、その他6%だった。

■医療用医薬品事業は潰瘍性大腸炎治療剤アサコールなどが主力

 医療用医薬品事業は、潰瘍性大腸炎治療剤アサコールを主力として、炎症性腸疾患治療剤Entocort(エントコート、国内販売名ゼンタコート)や、機能性ディスペプシア治療剤アコファイドなども拡大している。20年9月に国内で販売開始した鉄欠乏性貧血治療剤フェインジェクトについては、消化器科・産婦人科を中心に市場構築を推進している。また、アステラス製薬の英国子会社が欧州を中心に販売しているクロストリジウム・ディフィシル感染症治療剤ディフィクリア錠(英名DIFICLIR)については、20年11月に欧州、中東、アフリカおよび独立国家共同体(CIS)における製造販売承認を承継する資産譲渡契約を締結し、21年6月に欧州テリトリーでの製造販売権承継をほぼ完了した。残る地域についても順次承継予定である。

 22年3月期の売上高はアサコールが21年3月期比5.9%増の174億76百万円、ディフィクリアが52億11百万円(21年3月期は2億59百万円)、エントコートが7.0%減の44億80百万円、アコファイドが89.2%増の31億54百万円、その他が0.2%減の66億84百万円だった。なおアコファイドについては、アステラス製薬<4503>との日本での共同販促を21年3月で終了し、21年4月以降は単独プロモーションに切り替えている。

 海外展開については、アサコールは、欧州を中心に高用量製剤の販売国数を拡大中(21年12月時点でドイツ、フランスをはじめとする19ヶ国で販売中)である。競合する高用量製剤の処方獲得を目指してプロモーションを展開している。またイタリアのMenariniグループの中国現地法人に独占的販売権を供与して、中国で21年5月販売開始した。

 アコファイドについては、Meiji Seika ファルマとタイおよびインドネシアにおける独占的開発・販売ライセンス契約、スペインのFAES社とラテンアメリカにおける独占的開発・販売ライセンス契約を締結している。

 子会社のTillotts Pharma(ティロッツ社、スイス)は、アストラゼネカ社からエントコートの米国を除く全世界における権利を取得(国内ではゼンタコートカプセルとして販売)し、アサコールとともに海外での拡販を推進している。

■コンシューマーヘルスケア事業はヘパリーゼ群などが主力

 コンシューマーヘルスケア事業はヘパリーゼ群、コンドロイチン群、ウィズワン群を主力として、日本で初めて月経前症候群の効能を取得した西洋ハーブ・ダイレクトOTC医薬品プレフェミン、連結子会社イオナ インターナショナルの「イオナ」ブランド化粧品なども全国の薬局・薬店・ドラッグストアなどに販売している。

 なお22年3月期の売上高は、ヘパリーゼ群が21年3月期比17.5%増の77億70百万円(医薬品が18.9%増の43億45百万円、清涼飲料水・栄養補助食品が15.7%増の34億25百万円)で、コンドロイチン群が4.6%減の51億35百万円、ウィズワン群が5.9%減の13億59百万円、その他(殺菌消毒薬など)が12.0%減の81億04百万円だった。

 事業拡大に向けて、西洋ハーブ群の開発・育成、ヘパリーゼ群およびコンドロイチン群に続く新規主力製品の開発・育成、既存製品(OTC医薬品プレバリン群、オーラルケアのマスデント群やイオナ化粧品など)の育成を推進している。20年4月にはヘパリーゼ群の主原料である肝臓加水分解物の安定調達とコンシューマーヘルスケア事業拡大を目的として、日水製薬<4550>から日水製薬医薬品販売の全株式を譲り受けて子会社化(現社名:健創製薬)した。

 西洋ハーブ関連では21年12月に、軽度の静脈還流障害による足のむくみを改善する内服薬「ベルフェミン」(要指導医薬品)を発売した。欧州において下肢の静脈疾患(慢性静脈不全症)の治療に伝統的に使用されてきたセイヨウトチノキ種子の乾燥エキスを主成分としている。22年3月には、過敏性腸症候群(IBS)改善薬「コルペルミン」(要指導医薬品)を発売した。ペパーミントのオイルを有効成分とする医薬品である。ティロッツ社によって開発され、1981年に英国で発売されて以降、スイスやドイツをはじめ十数ヶ国でIBSの諸症状を改善する一般用医薬品として販売されている。国内で実施された過敏性腸症候群患者を対象とした臨床試験において有効性と安全性が確認された。

 22年3月には11種類の美容液成分を配合した高機能オールインワンジェル「イオナ スパ&ミネラル エッセンス ジェルEX」を発売、22年4月には11種類の有効成分を配合したOTC点眼薬「ビュークリアHi40アクティブ」(第3類医薬品)を発売、22年8月にはオールシーズン使用可能な多機能除菌スプレー「マジックバリア除菌スプレー」(雑貨)を発売した。そして22年10月にはローヤルゼリーを有効成分として配合した滋養強壮保健剤「ハイゼリー顆粒EX」(第3類医薬品)を発売した。

■消化器分野を最重点領域として新薬開発を推進

 消化器分野を最重点領域と位置付けて新薬開発を推進している。新薬パイプラインの状況(22年8月4日現在)は以下の通りである。

 Z−338(自社品、一般名アコチアミド)は、日本では小児機能性ディスペプシア患者を適応症として第3相段階、食道胃接合部通過障害を適応症として第2相(九州大学で医師主導治験)段階、欧州では機能性ディスペプシアを適応症として第3相段階である。なお導出では、メキシコで機能性ディスペプシアを適応症として承認となり、チリ、コロンビア、ペルー、エクアドル、ドミニカ共和国、タイ、インドネシアで、それぞれ導出先が機能性ディスペプシアを適応症として承認申請中である。

 高カリウム血症を適応症とするZG−801(ビフォーファーマ社から導入)は第3相段階である。米国では15年12月販売開始し、欧州では17年7月EMA(欧州医薬品庁)から承認取得している。

■アサコールやエントコートの拡大などを推進

 収益拡大に向けた重点施策として、医療用医薬品事業ではアサコール高用量製剤の海外販売国拡大、フェインジェクトやエントコートの市場浸透、ティロッツ社の営業体制強化、コンシューマーヘルスケア事業では既存の主力製品に次ぐ製品群の育成、西洋ハーブ剤など特徴ある製品群の市場認知度向上による事業拡大を推進している。

 また持続的成長に向けて、消化器領域および既存事業との親和性の高い領域の薬剤導入、M&A、自社製品の海外導出を推進する方針としている。

■23年3月期2桁増収増益予想、さらに上振れの可能性

 23年3月期の連結業績予想は、売上高が22年3月期比10.9%増の660億円、営業利益が10.0%増の70億円、経常利益が17.9%増の70億円、親会社株主帰属当期純利益が41.4%増の56億円としている。配当予想は22年3月期比1円増配の36円(第2四半期末18円、期末18円)としている。連続増配予想である。

 2桁増収増益予想としている。主力製品が堅調に推移し、研究開発費(4.4%増の50億円)や広告宣伝費(47.7%増の29億円)の増加を吸収する見込みだ。医療用医薬品事業は、国内ではアサコールが薬価改定の影響を受けるが、アコファイドや20年9月に販売開始した鉄欠乏性貧血治療剤フェインジェクトの伸長、海外市場ではアサコールとディフィクリアの伸長、エントコートの在庫調整からの回復などを見込んでいる。コンシューマーヘルスケア事業は、積極的なプロモーション活動などでヘパリーゼ群やコンドロイチン群の伸長を見込んでいる。

 第1四半期は売上高が前年同期比20.3%増の163億05百万円、営業利益が137.8%増の29億77百万円、経常利益が42.9%増の29億74百万円、親会社株主帰属四半期純利益が84.6%増の26億01百万円だった。医療用医薬品事業の海外の好調などが牽引して大幅増収増益だった。なお営業外では為替差損益が悪化(前年同期は為替差益7億31百万円計上、今期は為替差損1億03百万円計上)した。

 医療用医薬品事業は売上高が24.5%増の102億80百万円で、セグメント利益(全社費用等調整前営業利益)が83.1%増の28億31百万円だった。国内では潰瘍性大腸炎治療剤アサコールが薬価改定の影響を受け、炎症性腸疾患(IBD)治療剤エントコート(国内販売名ゼンタコート)も前年並みにとどまったが、海外市場においてアサコールが好調に推移し、クロストリジウム・ディフィシル感染症治療剤ディフィクリアも営業リソースの積極投入で売上拡大した。

 コンシューマーヘルスケア事業は売上高が14.0%増の59億88百万円で、利益が36.6%増の13億46百万円だった。ヘパリーゼ群についてはコロナ禍の影響が残っているものの、医薬品ヘパリーゼ群やコンビニエンスストア向けヘパリーゼW群が大幅に伸長した。コンドロイチン群は積極的な広告宣伝投資の効果で堅調だった。ウィズワン群、および殺菌消毒薬などの衛生用品は競合品の影響などで減収だった。

 通期予想は据え置いている。ただし通期予想に対する第1四半期の進捗率は売上高が24.7%、営業利益が42.5%、経常利益が42.5%、親会社株主帰属当期純利益が46.4%だった。コロナ禍影響や為替動向の不透明感を考慮して通期予想を据え置いているが、第1四半期の利益進捗率が高水準であることを勘案すれば、通期会社予想は上振れの可能性が高く、積極的な事業展開で収益拡大基調だろう。

■株主優待は年2回、9月末と3月末の株主対象

 株主優待制度は毎年9月末および3月末現在の株主を対象として、保有株式数に応じて自社グループ商品を贈呈している。なお22年3月末対象から、株主優待品コース内容を変更(旧Dコースのコンドロイチン配合夜間集中美容液を、新Dコースとしてスパ発想のオールインワン化粧品に変更、詳細は会社HP参照)した。

■株価は反発の動き

 なお5月11日に自己株式取得を発表している。上限80万株・18億円で、取得期間は22年5月16日〜22年11月4日としている。

 株価は7月の年初来高値圏から反落して上値を切り下げる形だったが、9月の直近安値圏から切り返して反発の動きを強めている。基調転換して戻りを試す展開を期待したい。10月13日の終値は2106円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS126円72銭で算出)は約17倍、今期予想配当利回り(会社予想の36円で算出)は約1.7%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS1236円09銭で算出)は約1.7倍、そして時価総額は約1119億円である。(情報提供:日 本インタビュ新聞社=Media−IR)
[09月26日更新]

ゼリア新薬工業は売られ過ぎ感、23年3月期2桁増収増益予想、さらに上振れの可能性

 ゼリア新薬工業<4559>(東証プライム)は消化器分野が中心の医療用医薬品事業、および一般用医薬品のコンシューマーヘルスケア事業を展開している。医療用医薬品事業ではアサコール高用量製剤の海外販売国拡大、フェインジェクトやエントコートの市場浸透、ティロッツ社の営業体制強化、コンシューマーヘルスケア事業では既存主力製品に次ぐ製品群の育成、西洋ハーブ剤など特徴ある製品群の市場認知度向上による事業拡大を推進している。23年3月期は医療用医薬品事業の海外の好調などが牽引して2桁増収増益予想としている。第1四半期の利益進捗率が高水準であることを勘案すれば、通期会社予想は上振れの可能性が高く、積極的な事業展開で収益拡大基調だろう。株価は水準を切り下げる形となって軟調な展開だが売られ過ぎ感を強めている。調整一巡して出直りを期待したい。

■医療用医薬品事業とコンシューマーヘルスケア事業を展開

 消化器分野が中心の医療用医薬品事業、および一般用医薬品のコンシューマーヘルスケア事業を展開している。収益面では薬価改定、ライセンス収入・ロイヤリティ収入、研究開発費、広告宣伝費などの影響を受けやすい。

 22年3月期のセグメント別売上高構成比は医療用医薬品事業62%、コンシューマーヘルスケア事業38%、その他0%、利益(全社費用等調整前営業利益)構成比は医療用医薬品事業62%、コンシューマーヘルスケア事業36%、その他2%だった。地域別売上比率は日本59%、欧州35%、その他6%だった。

■医療用医薬品事業は潰瘍性大腸炎治療剤アサコールなどが主力

 医療用医薬品事業は、潰瘍性大腸炎治療剤アサコールを主力として、炎症性腸疾患治療剤Entocort(エントコート、国内販売名ゼンタコート)や、機能性ディスペプシア治療剤アコファイドなども拡大している。20年9月に国内で販売開始した鉄欠乏性貧血治療剤フェインジェクトについては、消化器科・産婦人科を中心に市場構築を推進している。また、アステラス製薬の英国子会社が欧州を中心に販売しているクロストリジウム・ディフィシル感染症治療剤ディフィクリア錠(英名DIFICLIR)については、20年11月に欧州、中東、アフリカおよび独立国家共同体(CIS)における製造販売承認を承継する資産譲渡契約を締結し、21年6月に欧州テリトリーでの製造販売権承継をほぼ完了した。残る地域についても順次承継予定である。

 22年3月期の売上高はアサコールが21年3月期比5.9%増の174億76百万円、ディフィクリアが52億11百万円(21年3月期は2億59百万円)、エントコートが7.0%減の44億80百万円、アコファイドが89.2%増の31億54百万円、その他が0.2%減の66億84百万円だった。なおアコファイドについては、アステラス製薬<4503>との日本での共同販促を21年3月で終了し、21年4月以降は単独プロモーションに切り替えている。

 海外展開については、アサコールは、欧州を中心に高用量製剤の販売国数を拡大中(21年12月時点でドイツ、フランスをはじめとする19ヶ国で販売中)である。競合する高用量製剤の処方獲得を目指してプロモーションを展開している。またイタリアのMenariniグループの中国現地法人に独占的販売権を供与して、中国で21年5月販売開始した。

 アコファイドについては、Meiji Seika ファルマとタイおよびインドネシアにおける独占的開発・販売ライセンス契約、スペインのFAES社とラテンアメリカにおける独占的開発・販売ライセンス契約を締結している。

 子会社のTillotts Pharma(ティロッツ社、スイス)は、アストラゼネカ社からエントコートの米国を除く全世界における権利を取得(国内ではゼンタコートカプセルとして販売)し、アサコールとともに海外での拡販を推進している。

■コンシューマーヘルスケア事業はヘパリーゼ群などが主力

 コンシューマーヘルスケア事業はヘパリーゼ群、コンドロイチン群、ウィズワン群を主力として、日本で初めて月経前症候群の効能を取得した西洋ハーブ・ダイレクトOTC医薬品プレフェミン、連結子会社イオナ インターナショナルの「イオナ」ブランド化粧品なども全国の薬局・薬店・ドラッグストアなどに販売している。

 なお22年3月期の売上高は、ヘパリーゼ群が21年3月期比17.5%増の77億70百万円(医薬品が18.9%増の43億45百万円、清涼飲料水・栄養補助食品が15.7%増の34億25百万円)で、コンドロイチン群が4.6%減の51億35百万円、ウィズワン群が5.9%減の13億59百万円、その他(殺菌消毒薬など)が12.0%減の81億04百万円だった。

 事業拡大に向けて、西洋ハーブ群の開発・育成、ヘパリーゼ群およびコンドロイチン群に続く新規主力製品の開発・育成、既存製品(OTC医薬品プレバリン群、オーラルケアのマスデント群やイオナ化粧品など)の育成を推進している。20年4月にはヘパリーゼ群の主原料である肝臓加水分解物の安定調達とコンシューマーヘルスケア事業拡大を目的として、日水製薬<4550>から日水製薬医薬品販売の全株式を譲り受けて子会社化(現社名:健創製薬)した。

 西洋ハーブ関連では21年12月に、軽度の静脈還流障害による足のむくみを改善する内服薬「ベルフェミン」(要指導医薬品)を発売した。欧州において下肢の静脈疾患(慢性静脈不全症)の治療に伝統的に使用されてきたセイヨウトチノキ種子の乾燥エキスを主成分としている。22年3月には、過敏性腸症候群(IBS)改善薬「コルペルミン」(要指導医薬品)を発売した。ペパーミントのオイルを有効成分とする医薬品である。ティロッツ社によって開発され、1981年に英国で発売されて以降、スイスやドイツをはじめ十数ヶ国でIBSの諸症状を改善する一般用医薬品として販売されている。国内で実施された過敏性腸症候群患者を対象とした臨床試験において有効性と安全性が確認された。

 22年3月には11種類の美容液成分を配合した高機能オールインワンジェル「イオナ スパ&ミネラル エッセンス ジェルEX」を発売、22年4月には11種類の有効成分を配合したOTC点眼薬「ビュークリアHi40アクティブ」(第3類医薬品)を発売、22年8月にはオールシーズン使用可能な多機能除菌スプレー「マジックバリア除菌スプレー」(雑貨)を発売した。

■消化器分野を最重点領域として新薬開発を推進

 消化器分野を最重点領域と位置付けて新薬開発を推進している。新薬パイプラインの状況(22年8月4日現在)は以下の通りである。

 Z−338(自社品、一般名アコチアミド)は、日本では小児機能性ディスペプシア患者を適応症として第3相段階、食道胃接合部通過障害を適応症として第2相(九州大学で医師主導治験)段階、欧州では機能性ディスペプシアを適応症として第3相段階である。なお導出では、メキシコで機能性ディスペプシアを適応症として承認となり、チリ、コロンビア、ペルー、エクアドル、ドミニカ共和国、タイ、インドネシアで、それぞれ導出先が機能性ディスペプシアを適応症として承認申請中である。

 高カリウム血症を適応症とするZG−801(ビフォーファーマ社から導入)は第3相段階である。米国では15年12月販売開始し、欧州では17年7月EMA(欧州医薬品庁)から承認取得している。

■アサコールやエントコートの拡大などを推進

 収益拡大に向けた重点施策として、医療用医薬品事業ではアサコール高用量製剤の海外販売国拡大、フェインジェクトやエントコートの市場浸透、ティロッツ社の営業体制強化、コンシューマーヘルスケア事業では既存の主力製品に次ぐ製品群の育成、西洋ハーブ剤など特徴ある製品群の市場認知度向上による事業拡大を推進している。

 また持続的成長に向けて、消化器領域および既存事業との親和性の高い領域の薬剤導入、M&A、自社製品の海外導出を推進する方針としている。

■23年3月期2桁増収増益予想、さらに上振れの可能性

 23年3月期の連結業績予想は、売上高が22年3月期比10.9%増の660億円、営業利益が10.0%増の70億円、経常利益が17.9%増の70億円、親会社株主帰属当期純利益が41.4%増の56億円としている。配当予想は22年3月期比1円増配の36円(第2四半期末18円、期末18円)としている。連続増配予想である。

 2桁増収増益予想としている。主力製品が堅調に推移し、研究開発費(4.4%増の50億円)や広告宣伝費(47.7%増の29億円)の増加を吸収する見込みだ。医療用医薬品事業は、国内ではアサコールが薬価改定の影響を受けるが、アコファイドや20年9月に販売開始した鉄欠乏性貧血治療剤フェインジェクトの伸長、海外市場ではアサコールとディフィクリアの伸長、エントコートの在庫調整からの回復などを見込んでいる。コンシューマーヘルスケア事業は、積極的なプロモーション活動などでヘパリーゼ群やコンドロイチン群の伸長を見込んでいる。

 第1四半期は売上高が前年同期比20.3%増の163億05百万円、営業利益が137.8%増の29億77百万円、経常利益が42.9%増の29億74百万円、親会社株主帰属四半期純利益が84.6%増の26億01百万円だった。医療用医薬品事業の海外の好調などが牽引して大幅増収増益だった。なお営業外では為替差損益が悪化(前年同期は為替差益7億31百万円計上、今期は為替差損1億03百万円計上)した。

 医療用医薬品事業は売上高が24.5%増の102億80百万円で、セグメント利益(全社費用等調整前営業利益)が83.1%増の28億31百万円だった。国内では潰瘍性大腸炎治療剤アサコールが薬価改定の影響を受け、炎症性腸疾患(IBD)治療剤エントコート(国内販売名ゼンタコート)も前年並みにとどまったが、海外市場においてアサコールが好調に推移し、クロストリジウム・ディフィシル感染症治療剤ディフィクリアも営業リソースの積極投入で売上拡大した。

 コンシューマーヘルスケア事業は売上高が14.0%増の59億88百万円で、利益が36.6%増の13億46百万円だった。ヘパリーゼ群についてはコロナ禍の影響が残っているものの、医薬品ヘパリーゼ群やコンビニエンスストア向けヘパリーゼW群が大幅に伸長した。コンドロイチン群は積極的な広告宣伝投資の効果で堅調だった。ウィズワン群、および殺菌消毒薬などの衛生用品は競合品の影響などで減収だった。

 通期予想は据え置いている。ただし通期予想に対する第1四半期の進捗率は売上高が24.7%、営業利益が42.5%、経常利益が42.5%、親会社株主帰属当期純利益が46.4%だった。コロナ禍影響や為替動向の不透明感を考慮して通期予想を据え置いているが、第1四半期の利益進捗率が高水準であることを勘案すれば、通期会社予想は上振れの可能性が高く、積極的な事業展開で収益拡大基調だろう。

■株主優待は年2回、9月末と3月末の株主対象

 株主優待制度は毎年9月末および3月末現在の株主を対象として、保有株式数に応じて自社グループ商品を贈呈している。なお22年3月末対象から、株主優待品コース内容を変更(旧Dコースのコンドロイチン配合夜間集中美容液を、新Dコースとしてスパ発想のオールインワン化粧品に変更、詳細は会社HP参照)した。

■株価は売られ過ぎ感

 なお5月11日に自己株式取得を発表している。上限80万株・18億円で、取得期間は22年5月16日〜22年11月4日としている。

 株価は水準を切り下げる形となって軟調な展開だが売られ過ぎ感を強めている。調整一巡して出直りを期待したい。9月22日の終値は2003円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS126円72銭で算出)は約16倍、今期予想配当利回り(会社予想の36円で算出)は約1.8%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS1236円09銭で算出)は約1.6倍、そして時価総額は約1064億円である。(情報提供:日 本インタビュ新聞社=Media−IR)
[08月22日更新]

ゼリア新薬工業は上値試す、23年3月期2桁増収増益予想、1Qが高進捗率で通期上振れの可能性

 ゼリア新薬工業<4559>(東証プライム)は消化器分野が中心の医療用医薬品事業、および一般用医薬品のコンシューマーヘルスケア事業を展開している。医療用医薬品事業ではアサコール高用量製剤の海外販売国拡大、フェインジェクトやエントコートの市場浸透、ティロッツ社の営業体制強化、コンシューマーヘルスケア事業では既存主力製品に次ぐ製品群の育成、西洋ハーブ剤など特徴ある製品群の市場認知度向上による事業拡大を推進している。23年3月期第1四半期は医療用医薬品事業の海外の好調などが牽引して大幅増収増益だった。通期予想は据え置いて2桁増収増益予想としている。第1四半期の利益進捗率が高水準であることを勘案すれば、通期会社予想は上振れの可能性が高く、積極的な事業展開で収益拡大基調だろう。株価は年初来高値圏から反落したが大きく下押す動きは見られない。利益確定売りをこなしながら上値を試す展開を期待したい。

■医療用医薬品事業とコンシューマーヘルスケア事業を展開

 消化器分野が中心の医療用医薬品事業、および一般用医薬品のコンシューマーヘルスケア事業を展開している。収益面では薬価改定、ライセンス収入・ロイヤリティ収入、研究開発費、広告宣伝費などの影響を受けやすい。

 22年3月期のセグメント別売上高構成比は医療用医薬品事業62%、コンシューマーヘルスケア事業38%、その他0%、利益(全社費用等調整前営業利益)構成比は医療用医薬品事業62%、コンシューマーヘルスケア事業36%、その他2%だった。地域別売上比率は日本59%、欧州35%、その他6%だった。

■医療用医薬品事業は潰瘍性大腸炎治療剤アサコールなどが主力

 医療用医薬品事業は、潰瘍性大腸炎治療剤アサコールを主力として、炎症性腸疾患治療剤Entocort(エントコート、国内販売名ゼンタコート)や、機能性ディスペプシア治療剤アコファイドなども拡大している。20年9月に国内で販売開始した鉄欠乏性貧血治療剤フェインジェクトについては、消化器科・産婦人科を中心に市場構築を推進している。なお20年11月には、アステラス製薬の英国子会社が欧州を中心に販売しているクロストリジウム・ディフィシル感染症治療剤ディフィクリア錠(英名DIFICLIR)について、欧州、中東、アフリカおよび独立国家共同体(CIS)における製造販売承認を承継する資産譲渡契約を締結した。そして21年6月には欧州テリトリーでの製造販売権承継をほぼ完了した。残る地域についても順次承継予定である。

 22年3月期の売上高はアサコールが21年3月期比5.9%増の174億76百万円、ディフィクリアが52億11百万円(21年3月期は2億59百万円)、エントコートが7.0%減の44億80百万円、アコファイドが89.2%増の31億54百万円、その他が0.2%減の66億84百万円だった。エントコートは海外での在庫調整の影響で減少した。アコファイドは単独プロモーションへの切り替え(アステラス製薬<4503>との日本での共同販促を21年3月で終了し、21年4月以降は単独で販促活動)に伴う在庫調整の影響が一巡した。

 海外展開については、アサコールは、欧州を中心に高用量製剤の販売国数を拡大中(21年12月時点でドイツ、フランスをはじめとする19ヶ国で販売中)である。競合する高用量製剤の処方獲得を目指してプロモーションを展開している。またイタリアのMenariniグループの中国現地法人に独占的販売権を供与して、中国で21年5月販売開始した。

 アコファイドについては、Meiji Seika ファルマとタイおよびインドネシアにおける独占的開発・販売ライセンス契約、スペインのFAES社とラテンアメリカにおける独占的開発・販売ライセンス契約を締結している。

 子会社のTillotts Pharma(ティロッツ社、スイス)は、アストラゼネカ社からエントコートの米国を除く全世界における権利を取得(国内ではゼンタコートカプセルとして販売)し、アサコールとともに海外での拡販を推進している。

■コンシューマーヘルスケア事業はヘパリーゼ群などが主力

 コンシューマーヘルスケア事業はヘパリーゼ群、コンドロイチン群、ウィズワン群を主力として、日本で初めて月経前症候群の効能を取得した西洋ハーブ・ダイレクトOTC医薬品プレフェミン、連結子会社イオナ インターナショナルの「イオナ」ブランド化粧品なども全国の薬局・薬店・ドラッグストアなどに販売している。

 なお22年3月期の売上高は、ヘパリーゼ群が21年3月期比17.5%増の77億70百万円(医薬品が18.9%増の43億45百万円、清涼飲料水・栄養補助食品が15.7%増の34億25百万円)で、コンドロイチン群が4.6%減の51億35百万円、ウィズワン群が5.9%減の13億59百万円、その他が12.0%減の81億04百万円だった。コンドロイチン群、ウィズワン群が競合の影響、その他の殺菌消毒薬がコロナ需要の一巡で減少した。

 事業拡大に向けて、西洋ハーブ群の開発・育成、ヘパリーゼ群およびコンドロイチン群に続く新規主力製品の開発・育成、既存製品(OTC医薬品プレバリン群、オーラルケアのマスデント群やイオナ化粧品など)の育成を推進している。

 20年4月にはヘパリーゼ群の主原料である肝臓加水分解物の安定調達とコンシューマーヘルスケア事業拡大を目的として、日水製薬<4550>から日水製薬医薬品販売の全株式を譲り受けて子会社化(現社名:健創製薬)した。

 西洋ハーブ関連では21年12月に、軽度の静脈還流障害による足のむくみを改善する内服薬「ベルフェミン」(要指導医薬品)を発売した。欧州において下肢の静脈疾患(慢性静脈不全症)の治療に伝統的に使用されてきたセイヨウトチノキ種子の乾燥エキスを主成分としている。22年3月には、過敏性腸症候群(IBS)改善薬「コルペルミン」(要指導医薬品)を発売した。ペパーミントのオイルを有効成分とする医薬品である。ティロッツ社によって開発され、1981年に英国で発売されて以降、スイスやドイツをはじめ十数ヶ国でIBSの諸症状を改善する一般用医薬品として販売されている。国内で実施された過敏性腸症候群患者を対象とした臨床試験において有効性と安全性が確認された。

 22年3月には11種類の美容液成分を配合した高機能オールインワンジェル「イオナ スパ&ミネラル エッセンス ジェルEX」を発売、22年4月には11種類の有効成分を配合したOTC点眼薬「ビュークリアHi40アクティブ」(第3類医薬品)を発売、22年8月にはオールシーズン使用可能な多機能除菌スプレー「マジックバリア除菌スプレー」(雑貨)を発売した。

■消化器分野を最重点領域として新薬開発を推進

 消化器分野を最重点領域と位置付けて新薬開発を推進している。新薬パイプラインの状況(22年8月4日現在)は以下の通りである。

 Z−338(自社品、一般名アコチアミド)は、日本では小児機能性ディスペプシア患者を適応症として第3相段階、食道胃接合部通過障害を適応症として第2相(九州大学で医師主導治験)段階、欧州では機能性ディスペプシアを適応症として第3相段階である。なお導出では、メキシコで機能性ディスペプシアを適応症として承認となり、チリ、コロンビア、ペルー、エクアドル、ドミニカ共和国、タイ、インドネシアで、それぞれ導出先が機能性ディスペプシアを適応症として承認申請中である。

 高カリウム血症を適応症とするZG−801(ビフォーファーマ社から導入)は第3相段階である。米国では15年12月販売開始し、欧州では17年7月EMA(欧州医薬品庁)から承認取得している。

■アサコールやエントコートの拡大などを推進

 収益拡大に向けた重点施策として、医療用医薬品事業ではアサコール高用量製剤の海外販売国拡大、フェインジェクトやエントコートの市場浸透、ティロッツ社の営業体制強化、コンシューマーヘルスケア事業では既存の主力製品に次ぐ製品群の育成、西洋ハーブ剤など特徴ある製品群の市場認知度向上による事業拡大を推進している。

 また持続的成長に向けて、消化器領域および既存事業との親和性の高い領域の薬剤導入、M&A、自社製品の海外導出を推進する方針としている。

■23年3月期2桁増収増益予想、1Qが高進捗率で通期上振れの可能性

 23年3月期の連結業績予想は、売上高が22年3月期比10.9%増の660億円、営業利益が10.0%増の70億円、経常利益が17.9%増の70億円、親会社株主帰属当期純利益が41.4%増の56億円としている。配当予想は22年3月期比1円増配の36円(第2四半期末18円、期末18円)としている。連続増配予想である。

 2桁増収増益予想としている。主力製品が堅調に推移し、研究開発費(4.4%増の50億円)や広告宣伝費(47.7%増の29億円)の増加を吸収する見込みだ。医療用医薬品事業は、国内ではアサコールが薬価改定の影響を受けるが、アコファイドや20年9月に販売開始した鉄欠乏性貧血治療剤フェインジェクトの伸長、海外市場ではアサコールとディフィクリアの伸長、エントコートの在庫調整からの回復などを見込んでいる。コンシューマーヘルスケア事業は、積極的なプロモーション活動などでヘパリーゼ群やコンドロイチン群の伸長を見込んでいる。

 第1四半期は売上高が前年同期比20.3%増の163億05百万円、営業利益が137.8%増の29億77百万円、経常利益が42.9%増の29億74百万円、親会社株主帰属四半期純利益が84.6%増の26億01百万円だった。医療用医薬品事業の海外の好調などが牽引して大幅増収増益だった。なお営業外では為替差損益が悪化(前年同期は為替差益7億31百万円計上、今期は為替差損1億03百万円計上)した。

 医療用医薬品事業は売上高が24.5%増の102億80百万円で、セグメント利益(全社費用等調整前営業利益)が83.1%増の28億31百万円だった。国内では潰瘍性大腸炎治療剤アサコールが薬価改定の影響を受け、炎症性腸疾患(IBD)治療剤エントコート(国内販売名ゼンタコート)も前年並みにとどまったが、海外市場においてアサコールが好調に推移し、クロストリジウム・ディフィシル感染症治療剤ディフィクリアも営業リソースの積極投入で売上拡大した。

 コンシューマーヘルスケア事業は売上高が14.0%増の59億88百万円で、利益が36.6%増の13億46百万円だった。ヘパリーゼ群についてはコロナ禍の影響が残っているものの、医薬品ヘパリーゼ群やコンビニエンスストア向けヘパリーゼW群が大幅に伸長した。コンドロイチン群は積極的な広告宣伝投資の効果で堅調だった。ウィズワン群、および殺菌消毒薬などの衛生用品は競合品の影響などで減収だった。

 通期予想は据え置いている。ただし通期予想に対する第1四半期の進捗率は、売上高が24.7%、営業利益が42.5%、経常利益が42.5%、親会社株主帰属当期純利益が46.4%だった。コロナ禍影響や為替動向の不透明感を考慮して通期予想を据え置いているが、第1四半期の利益進捗率が高水準であることを勘案すれば、通期会社予想は上振れの可能性が高く、積極的な事業展開で収益拡大基調だろう。

■株主優待は年2回、9月末と3月末の株主対象

 株主優待制度は毎年9月末および3月末現在の株主を対象として、保有株式数に応じて自社グループ商品を贈呈している。なお22年3月末対象から、株主優待品コース内容を変更(旧Dコースのコンドロイチン配合夜間集中美容液を、新Dコースとしてスパ発想のオールインワン化粧品に変更、詳細は会社HP参照)した。

■株価は上値試す

 なお5月11日に自己株式取得を発表している。上限80万株・18億円で、取得期間は22年5月16日〜22年11月4日としている。

 株価は年初来高値圏から反落したが大きく下押す動きは見られない。利益確定売りをこなしながら上値を試す展開を期待したい。8月19日の終値は2147円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS126円72銭で算出)は約17倍、今期予想配当利回り(会社予想の36円で算出)は約1.7%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS1236円09銭で算出)は約1.7倍、時価総額は約1140億円である。(情報提供:日 本インタビュ新聞社=Media−IR)
[08月05日更新]

ゼリア新薬工業は23年3月期1Q大幅増益、通期上振れの可能性

 ゼリア新薬工業<4559>(東証プライム)は8月4日の取引時間終了後に23年3月期第1四半期連結業績を発表した。医療用医薬品事業の海外の好調などが牽引して大幅増収増益だった。通期予想は据え置いて2桁増収増益予想としている。第1四半期の利益進捗率が高水準であることを勘案すれば、通期会社予想は上振れの可能性が高く、積極的な事業展開で収益拡大基調だろう。株価は7月の年初来高値圏から急反落の形となったが、目先的な売りが一巡し、好業績を評価して上値を試す展開を期待したい。

■23年3月期1Q大幅増益、高進捗率で通期上振れの可能性

 23年3月期第1四半期の連結業績は売上高が前年同期比20.3%増の163億05百万円、営業利益が137.8%増の29億77百万円、経常利益が42.9%増の29億74百万円、親会社株主帰属四半期純利益が84.6%増の26億01百万円だった。医療用医薬品事業の海外の好調などが牽引して大幅増収増益だった。なお営業外では為替差損益が悪化(前年同期は為替差益7億31百万円、今期は為替差損1億03百万円)した。

 医療用医薬品事業は売上高が24.5%増の102億80百万円で、セグメント利益(全社費用等調整前営業利益)が83.1%増の28億31百万円だった。国内では潰瘍性大腸炎治療剤アサコールが薬価改定の影響を受け、炎症性腸疾患(IBD)治療剤エントコート(国内販売名ゼンタコート)も前年並みにとどまったが、海外市場においてアサコールが好調に推移し、クロストリジウム・ディフィシル感染症治療剤ディフィクリアも営業リソースの積極投入で売上拡大した。

 コンシューマーヘルスケア事業は売上高が14.0%増の59億88百万円で、利益が36.6%増の13億46百万円だった。ヘパリーゼ群についてはコロナ禍の影響が残っているものの、医薬品ヘパリーゼ群やコンビニエンスストア向けヘパリーゼW群が大幅に伸長した。コンドロイチン群は積極的な広告宣伝投資の効果で堅調だった。ウィズワン群、および殺菌消毒薬などの衛生用品は競合品の影響などで減収だった。

 通期の連結業績予想は据え置いて、売上高が22年3月期比10.9%増の660億円、営業利益が10.0%増の70億円、経常利益が17.9%増の70億円、親会社株主帰属当期純利益が41.4%増の56億円としている。配当予想は22年3月期比1円増配の36円(第2四半期末18円、期末18円)としている。

 医療用医薬品事業は海外市場においてディフィクリアやアサコールの伸長、国内市場においてアコファイドや20年9月に販売開始した鉄欠乏性貧血治療剤フェインジェクトの伸長、コンシューマーヘルスケア事業はヘパリーゼ群をはじめとする主力品の回復を見込み2桁増益予想としている。

 第1四半期の進捗率は、売上高が24.7%、営業利益が42.5%、経常利益が42.5%、親会社株主帰属当期純利益が46.4%だった。コロナ禍影響や為替動向の不透明感を考慮して通期予想を据え置いたが、第1四半期の利益進捗率が高水準であることを勘案すれば、通期会社予想は上振れの可能性が高く、積極的な事業展開で収益拡大基調だろう。

■株価は上値試す

 株価は7月の年初来高値圏から急反落の形となったが、目先的な売りが一巡し、好業績を評価して上値を試す展開を期待したい。8月4日の終値は2080円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS126円72銭で算出)は約16倍、今期予想配当利回り(会社予想の36円で算出)は約1.7%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS1236円09銭で算出)は約1.7倍、時価総額は約1105億円である。 (情報提供:日本インタビュ新聞社=Media−IR
[07月13日更新]

ゼリア新薬工業は上値試す、23年3月期2桁増収増益・連続増配予想

 ゼリア新薬工業<4559>(東証プライム)は消化器分野が中心の医療用医薬品事業、および一般用医薬品のコンシューマーヘルスケア事業を展開している。医療用医薬品事業ではアサコール高用量製剤の海外販売国拡大、フェインジェクトやエントコートの市場浸透、ティロッツ社の営業体制強化、コンシューマーヘルスケア事業では既存主力製品に次ぐ製品群の育成、西洋ハーブ剤など特徴ある製品群の市場認知度向上による事業拡大を推進している。23年3月期は2桁増収増益・連続増配予想としている。主力製品が堅調に推移し、研究開発費や広告宣伝費の増加を吸収する見込みだ。積極的な事業展開で収益拡大基調だろう。株価は順調に水準を切り上げて年初来高値更新の展開だ。自律調整を交えながら上値を試す展開を期待したい。

■医療用医薬品事業とコンシューマーヘルスケア事業を展開

 消化器分野が中心の医療用医薬品事業、および一般用医薬品のコンシューマーヘルスケア事業を展開している。収益面では薬価改定、ライセンス収入・ロイヤリティ収入、研究開発費、広告宣伝費などの影響を受けやすい。

 22年3月期のセグメント別売上高構成比は医療用医薬品事業62%、コンシューマーヘルスケア事業38%、その他0%、利益(全社費用等調整前営業利益)構成比は医療用医薬品事業62%、コンシューマーヘルスケア事業36%、その他2%だった。地域別売上比率は日本59%、欧州35%、その他6%だった。

■医療用医薬品事業は潰瘍性大腸炎治療剤アサコールなどが主力

 医療用医薬品事業は、潰瘍性大腸炎治療剤アサコールを主力として、炎症性腸疾患治療剤Entocort(エントコート、国内販売名ゼンタコート)や、機能性ディスペプシア治療剤アコファイドなども拡大している。20年9月に国内で販売開始した鉄欠乏性貧血治療剤フェインジェクトについては、消化器科・産婦人科を中心に市場構築を推進している。なお20年11月には、アステラス製薬の英国子会社が欧州を中心に販売しているクロストリジウム・ディフィシル感染症治療剤ディフィクリア錠(英名DIFICLIR)について、欧州、中東、アフリカおよび独立国家共同体(CIS)における製造販売承認を承継する資産譲渡契約を締結した。そして21年6月には欧州テリトリーでの製造販売権承継をほぼ完了した。残る地域についても順次承継予定である。

 22年3月期の売上高はアサコールが21年3月期比5.9%増の174億76百万円、ディフィクリアが52億11百万円(21年3月期は2億59百万円)、エントコートが7.0%減の44億80百万円、アコファイドが89.2%増の31億54百万円、その他が0.2%減の66億84百万円だった。エントコートは海外での在庫調整の影響で減少した。アコファイドは単独プロモーションへの切り替え(アステラス製薬<4503>との日本での共同販促を21年3月で終了し、21年4月以降は単独で販促活動)に伴う在庫調整の影響が一巡した。

 海外展開については、アサコールは、欧州を中心に高用量製剤の販売国数を拡大中(21年12月時点でドイツ、フランスをはじめとする19ヶ国で販売中)である。競合する高用量製剤の処方獲得を目指してプロモーションを展開している。また21年5月にはMenariniを通じて中国でアサコールの販売を開始した。

 アコファイドについては、Meiji Seika ファルマとタイおよびインドネシアにおける独占的開発・販売ライセンス契約、スペインのFAES社とラテンアメリカにおける独占的開発・販売ライセンス契約を締結している。

 子会社のTillotts Pharma(ティロッツ社、スイス)は、アストラゼネカ社からエントコートの米国を除く全世界における権利を取得(国内ではゼンタコートカプセルとして販売)し、アサコールとともに海外での拡販を推進している。

■コンシューマーヘルスケア事業はヘパリーゼ群などが主力

 コンシューマーヘルスケア事業はヘパリーゼ群、コンドロイチン群、ウィズワン群を主力として、日本で初めて月経前症候群の効能を取得した西洋ハーブ・ダイレクトOTC医薬品プレフェミン、連結子会社イオナ インターナショナルの「イオナ」ブランド化粧品なども全国の薬局・薬店・ドラッグストアなどに販売している。

 なお22年3月期の売上高は、ヘパリーゼ群が21年3月期比17.5%増の77億70百万円(医薬品が18.9%増の43億45百万円、清涼飲料水・栄養補助食品が15.7%増の34億25百万円)で、コンドロイチン群が4.6%減の51億35百万円、ウィズワン群が5.9%減の13億59百万円、その他が12.0%減の81億04百万円だった。コンドロイチン群、ウィズワン群が競合の影響、その他の殺菌消毒薬がコロナ需要の一巡で減少した。

 事業拡大に向けて、西洋ハーブ群の開発・育成、ヘパリーゼ群およびコンドロイチン群に続く新規主力製品の開発・育成、既存製品(OTC医薬品プレバリン群、オーラルケアのマスデント群やイオナ化粧品など)の育成を推進している。

 20年4月にはヘパリーゼ群の主原料である肝臓加水分解物の安定調達とコンシューマーヘルスケア事業拡大を目的として、日水製薬<4550>から日水製薬医薬品販売の全株式を譲り受けて子会社化(現社名:健創製薬)した。

 西洋ハーブ関連では21年12月に、軽度の静脈還流障害による足のむくみを改善する内服薬「ベルフェミン」(要指導医薬品)を発売した。欧州において下肢の静脈疾患(慢性静脈不全症)の治療に伝統的に使用されてきたセイヨウトチノキ種子の乾燥エキスを主成分としている。22年3月には、過敏性腸症候群(IBS)改善薬「コルペルミン」(要指導医薬品)を発売した。ペパーミントのオイルを有効成分とする医薬品である。ティロッツ社によって開発され、1981年に英国で発売されて以降、スイスやドイツをはじめ十数ヶ国でIBSの諸症状を改善する一般用医薬品として販売されている。国内で実施された過敏性腸症候群患者を対象とした臨床試験において有効性と安全性が確認された。

 22年3月には11種類の美容液成分を配合した高機能オールインワンジェル「イオナ スパ&ミネラル エッセンス ジェルEX」を発売、22年4月には11種類の有効成分を配合したOTC点眼薬「ビュークリアHi40アクティブ」(第3類医薬品)を発売した。

■消化器分野を最重点領域として新薬開発を推進

 消化器分野を最重点領域と位置付けて新薬開発を推進している。新薬パイプラインの状況(22年5月11日現在)は以下の通りである。

 潰瘍性大腸炎を適応症とするZ−206(自社グループ品、アサコール)は、イタリアのMenariniグループの中国現地法人に独占的販売権を供与して、中国で21年5月販売開始した。

 Z−338(自社品、アコファイド)は、日本では小児機能性ディスペプシア患者を対象として第3相段階、食道胃接合部通過障害を適応症として第2相(九州大学で医師主導治験)段階、欧州では機能性ディスペプシアを適応症として第3相段階である。なお導出では、メキシコで機能性ディスペプシアを適応症として承認となり、チリ、コロンビア、ペルー、エクアドル、タイ、インドネシアで、それぞれ導出先が機能性ディスペプシアを適応症として承認申請中である。

 高カリウム血症を適応症とするZG−801(ビフォーファーマ社から導入)は第3相段階である。米国では15年12月販売開始し、欧州では17年7月EMA(欧州医薬品庁)から承認取得している。

■アサコールやエントコートの拡大などを推進

 収益拡大に向けた重点施策として、医療用医薬品事業ではアサコール高用量製剤の海外販売国拡大、フェインジェクトやエントコートの市場浸透、ティロッツ社の営業体制強化、コンシューマーヘルスケア事業では既存の主力製品に次ぐ製品群の育成、西洋ハーブ剤など特徴ある製品群の市場認知度向上による事業拡大を推進している。

 また持続的成長に向けて、消化器領域および既存事業との親和性の高い領域の薬剤導入、M&A、自社製品の海外導出を推進する方針としている。

■23年3月期2桁増収増益で連続増配予想

 23年3月期の連結業績予想は、売上高が22年3月期比10.9%増の660億円、営業利益が10.0%増の70億円、経常利益が17.9%増の70億円、親会社株主帰属当期純利益が41.4%増の56億円としている。配当予想は22年3月期比1円増配の36円(第2四半期末18円、期末18円)としている。連続増配予想である。

 2桁増収増益予想としている。主力製品が堅調に推移し、研究開発費(4.4%増の50億円)や広告宣伝費(47.7%増の29億円)の増加を吸収する見込みだ。医療用医薬品事業は、国内ではアサコールが薬価改定の影響を受けるが、アコファイドやフェインジェクトの伸長、海外市場ではアサコールとディフィクリアの伸長、エントコートの在庫調整からの回復などを見込んでいる。コンシューマーヘルスケア事業は、積極的なプロモーション活動などでヘパリーゼ群やコンドロイチン群の伸長を見込んでいる。積極的な事業展開で収益拡大基調だろう。

■株主優待は年2回、9月末と3月末の株主対象

 株主優待制度は毎年9月末および3月末現在の株主を対象として、保有株式数に応じて自社グループ商品を贈呈している。なお22年3月末対象から、株主優待品コース内容を変更(旧Dコースのコンドロイチン配合夜間集中美容液を、新Dコースとしてスパ発想のオールインワン化粧品に変更、詳細は会社HP参照)した。

■株価は上値試す

 なお5月11日に自己株式取得を発表している。上限80万株・18億円で、取得期間は22年5月16日〜22年11月4日としている。

 株価はやや小動きだが順調に水準を切り上げて年初来高値更新の展開だ。自律調整を交えながら上値を試す展開を期待したい。7月12日の終値は2220円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS126円10銭で算出)は約18倍、今期予想配当利回り(会社予想の36円で算出)は約1.6%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS1236円09銭で算出)は約1.8倍、時価総額は約1179億円である。(情報提供:日 本インタビュ新聞社=Media−IR)
[06月27日更新]

ゼリア新薬工業は上値試す、23年3月期2桁増収増益で連続増配予想

 ゼリア新薬工業<4559>(東証プライム)は消化器分野が中心の医療用医薬品事業、および一般用医薬品のコンシューマーヘルスケア事業を展開している。重点施策として、医療用医薬品事業ではアサコール高用量製剤の海外販売国拡大、フェインジェクトやエントコートの市場浸透、ティロッツ社の営業体制強化、コンシューマーヘルスケア事業では既存主力製品に次ぐ製品群の育成、西洋ハーブ剤など特徴ある製品群の市場認知度向上による事業拡大を推進している。23年3月期は2桁増収増益で連続増配予想としている。積極的な事業展開で収益拡大基調だろう。株価はやや小動きだが、順調に水準を切り上げて年初来高値圏だ。自律調整を交えながら上値を試す展開を期待したい。

■医療用医薬品事業とコンシューマーヘルスケア事業を展開

 消化器分野が中心の医療用医薬品事業、および一般用医薬品のコンシューマーヘルスケア事業を展開している。収益面では薬価改定、ライセンス収入・ロイヤリティ収入、研究開発費、広告宣伝費などの影響を受けやすい。

 22年3月期のセグメント別売上高構成比は医療用医薬品事業62%、コンシューマーヘルスケア事業38%、その他0%、利益(全社費用等調整前営業利益)構成比は医療用医薬品事業62%、コンシューマーヘルスケア事業36%、その他2%だった。地域別売上比率は日本59%、欧州35%、その他6%だった。

■医療用医薬品事業は潰瘍性大腸炎治療剤アサコールなどが主力

 医療用医薬品事業は、潰瘍性大腸炎治療剤アサコールを主力として、炎症性腸疾患治療剤Entocort(エントコート、国内販売名ゼンタコート)や、機能性ディスペプシア治療剤アコファイドなども拡大している。20年9月に国内で販売開始した鉄欠乏性貧血治療剤フェインジェクトについては、消化器科・産婦人科を中心に市場構築を推進している。なお20年11月には、アステラス製薬の英国子会社が欧州を中心に販売しているクロストリジウム・ディフィシル感染症治療剤ディフィクリア錠(英名DIFICLIR)について、欧州、中東、アフリカおよび独立国家共同体(CIS)における製造販売承認を承継する資産譲渡契約を締結した。そして21年6月には欧州テリトリーでの製造販売権承継をほぼ完了した。残る地域についても順次承継予定である。

 22年3月期の売上高はアサコールが21年3月期比5.9%増の174億76百万円、ディフィクリアが52億11百万円(21年3月期は2億59百万円)、エントコートが7.0%減の44億80百万円、アコファイドが89.2%増の31億54百万円、その他が0.2%減の66億84百万円だった。エントコートは海外での在庫調整の影響で減少した。アコファイドは単独プロモーションへの切り替え(アステラス製薬<4503>との日本での共同販促を21年3月で終了し、21年4月以降は単独で販促活動)に伴う在庫調整の影響が一巡した。

 海外展開については、アサコールは、欧州を中心に高用量製剤の販売国数を拡大中(21年12月時点でドイツ、フランスをはじめとする19ヶ国で販売中)である。競合する高用量製剤の処方獲得を目指してプロモーションを展開している。また21年5月にはMenariniを通じて中国でアサコールの販売を開始した。

 アコファイドについては、Meiji Seika ファルマとタイおよびインドネシアにおける独占的開発・販売ライセンス契約、スペインのFAES社とラテンアメリカにおける独占的開発・販売ライセンス契約を締結している。

 子会社のTillotts Pharma(ティロッツ社、スイス)は、アストラゼネカ社からエントコートの米国を除く全世界における権利を取得(国内ではゼンタコートカプセルとして販売)し、アサコールとともに海外での拡販を推進している。

■コンシューマーヘルスケア事業はヘパリーゼ群などが主力

 コンシューマーヘルスケア事業はヘパリーゼ群、コンドロイチン群、ウィズワン群を主力として、日本で初めて月経前症候群の効能を取得した西洋ハーブ・ダイレクトOTC医薬品プレフェミン、連結子会社イオナ インターナショナルの「イオナ」ブランド化粧品なども全国の薬局・薬店・ドラッグストアなどに販売している。

 なお22年3月期の売上高は、ヘパリーゼ群が21年3月期比17.5%増の77億70百万円(医薬品が18.9%増の43億45百万円、清涼飲料水・栄養補助食品が15.7%増の34億25百万円)で、コンドロイチン群が4.6%減の51億35百万円、ウィズワン群が5.9%減の13億59百万円、その他が12.0%減の81億04百万円だった。コンドロイチン群、ウィズワン群が競合の影響、その他の殺菌消毒薬がコロナ需要の一巡で減少した。

 事業拡大に向けて、西洋ハーブ群の開発・育成、ヘパリーゼ群およびコンドロイチン群に続く新規主力製品の開発・育成、既存製品(OTC医薬品プレバリン群、オーラルケアのマスデント群やイオナ化粧品など)の育成を推進している。

 20年4月にはヘパリーゼ群の主原料である肝臓加水分解物の安定調達とコンシューマーヘルスケア事業拡大を目的として、日水製薬<4550>から日水製薬医薬品販売の全株式を譲り受けて子会社化(現社名:健創製薬)した。

 西洋ハーブ関連では21年12月に、軽度の静脈還流障害による足のむくみを改善する内服薬「ベルフェミン」(要指導医薬品)を発売した。欧州において下肢の静脈疾患(慢性静脈不全症)の治療に伝統的に使用されてきたセイヨウトチノキ種子の乾燥エキスを主成分としている。22年3月には、過敏性腸症候群(IBS)改善薬「コルペルミン」(要指導医薬品)を発売した。ペパーミントのオイルを有効成分とする医薬品である。ティロッツ社によって開発され、1981年に英国で発売されて以降、スイスやドイツをはじめ十数ヶ国でIBSの諸症状を改善する一般用医薬品として販売されている。国内で実施された過敏性腸症候群患者を対象とした臨床試験において有効性と安全性が確認された。

 また22年3月には、11種類の美容液成分を配合した高機能オールインワンジェル「イオナ スパ&ミネラル エッセンス ジェルEX」を発売した。さらに22年4月にはOTC点眼薬「ビュークリアHi40アクティブ」(第3類医薬品)を発売した。11種類の有効成分を配合し、年齢・目の乾きによる眼疲労や目のかすみに効果を発揮する。

■消化器分野を最重点領域として新薬開発を推進

 消化器分野を最重点領域と位置付けて新薬開発を推進している。新薬パイプラインの状況(22年5月11日現在)は以下の通りである。

 潰瘍性大腸炎を適応症とするZ−206(自社グループ品、アサコール)は、イタリアのMenariniグループの中国現地法人に独占的販売権を供与して、中国で21年5月販売開始した。

 Z−338(自社品、アコファイド)は、日本では小児機能性ディスペプシア患者を対象として第3相段階、食道胃接合部通過障害を適応症として第2相(九州大学で医師主導治験)段階、欧州では機能性ディスペプシアを適応症として第3相段階である。なお導出では、メキシコで機能性ディスペプシアを適応症として承認となり、チリ、コロンビア、ペルー、エクアドル、タイ、インドネシアで、それぞれ導出先が機能性ディスペプシアを適応症として承認申請中である。

 高カリウム血症を適応症とするZG−801(ビフォーファーマ社から導入)は第3相段階である。米国では15年12月販売開始し、欧州では17年7月EMA(欧州医薬品庁)から承認取得している。

■アサコールやエントコートの拡大などを推進

 収益拡大に向けた重点施策として、医療用医薬品事業ではアサコール高用量製剤の海外販売国拡大、フェインジェクトやエントコートの市場浸透、ティロッツ社の営業体制強化、コンシューマーヘルスケア事業では既存の主力製品に次ぐ製品群の育成、西洋ハーブ剤など特徴ある製品群の市場認知度向上による事業拡大を推進している。

 また持続的成長に向けて、消化器領域および既存事業との親和性の高い領域の薬剤導入、M&A、自社製品の海外導出を推進する方針としている。

■23年3月期2桁増収増益で連続増配予想

 23年3月期の連結業績予想は、売上高が22年3月期比10.9%増の660億円、営業利益が10.0%増の70億円、経常利益が17.9%増の70億円、親会社株主帰属当期純利益が41.4%増の56億円としている。配当予想は22年3月期比1円増配の36円(第2四半期末18円、期末18円)としている。連続増配となる。

 2桁増収増益予想としている。主力製品が堅調に推移し、研究開発費(4.4%増の50億円)や広告宣伝費(47.7%増の29億円)の増加を吸収する見込みだ。医療用医薬品事業は、国内ではアサコールが薬価改定の影響を受けるが、アコファイドやフェインジェクトの伸長、海外市場ではアサコールとディフィクリアの伸長、エントコートの在庫調整からの回復などを見込んでいる。コンシューマーヘルスケア事業は、積極的なプロモーション活動などでヘパリーゼ群やコンドロイチン群の伸長を見込んでいる。積極的な事業展開で収益拡大基調だろう。

■株主優待は年2回、9月末と3月末の株主対象

 株主優待制度は毎年9月末および3月末現在の株主を対象として、保有株式数に応じて自社グループ商品を贈呈している。なお22年3月末対象から、株主優待品コース内容を変更(旧Dコースのコンドロイチン配合夜間集中美容液を、新Dコースとしてスパ発想のオールインワン化粧品に変更、詳細は会社HP参照)している。

■株価は上値試す

 なお5月11日に自己株式取得を発表している。上限80万株・18億円で、取得期間は22年5月16日〜22年11月4日としている。

 株価はやや小動きだが、順調に水準を切り上げて年初来高値圏だ。自律調整を交えながら上値を試す展開を期待したい。6月24日の終値は2105円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS126円10銭で算出)は約17倍、今期予想配当利回り(会社予想の36円で算出)は約1.7%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS1236円09銭で算出)は約1.7倍、そして時価総額は約1118億円である。(情報提供:日 本インタビュ新聞社=Media−IR)
[05月30日更新]

ゼリア新薬工業は戻り試す、23年3月期も2桁増益で連続増配予想

 ゼリア新薬工業<4559>(東証プライム)は消化器分野が中心の医療用医薬品事業、および一般用医薬品のコンシューマーヘルスケア事業を展開している。22年3月期は医療用医薬品事業の好調が牽引して前回予想を上回る大幅増益となり、配当を上方修正して増配とした。そして23年3月期も2桁増益で連続増配予想としている。積極的な事業展開で収益拡大基調だろう。なお自己株式取得も発表している。株価は小動きだが下値固め完了して徐々に水準を切り上げている。戻りを試す展開を期待したい。

■医療用医薬品事業とコンシューマーヘルスケア事業を展開

 消化器分野が中心の医療用医薬品事業、および一般用医薬品のコンシューマーヘルスケア事業を展開している。収益面では薬価改定、ライセンス収入・ロイヤリティ収入、研究開発費、広告宣伝費などの影響を受けやすい。

 22年3月期のセグメント別売上高構成比は医療用医薬品事業62%、コンシューマーヘルスケア事業38%、その他0%、利益(全社費用等調整前営業利益)構成比は医療用医薬品事業62%、コンシューマーヘルスケア事業36%、その他2%だった。地域別売上比率は日本59%、欧州35%、その他6%だった。

■医療用医薬品事業は潰瘍性大腸炎治療剤アサコールなどが主力

 医療用医薬品事業は、潰瘍性大腸炎治療剤アサコールを主力として、炎症性腸疾患治療剤Entocort(エントコート、国内販売名ゼンタコート)や、機能性ディスペプシア治療剤アコファイドなども拡大している。20年9月に国内で販売開始した鉄欠乏性貧血治療剤フェインジェクトについては、消化器科・産婦人科を中心に市場構築を推進している。なお20年11月には、アステラス製薬の英国子会社が欧州を中心に販売しているクロストリジウム・ディフィシル感染症治療剤ディフィクリア錠(英名DIFICLIR)について、欧州、中東、アフリカおよび独立国家共同体(CIS)における製造販売承認を承継する資産譲渡契約を締結した。そして21年6月には欧州テリトリーでの製造販売権承継をほぼ完了した。残る地域についても順次承継予定である。

 22年3月期の売上高はアサコールが21年3月期比5.9%増の174億76百万円、ディフィクリアが52億11百万円(21年3月期は2億59百万円)、エントコートが7.0%減の44億80百万円、アコファイドが89.2%増の31億54百万円、その他が0.2%減の66億84百万円だった。エントコートは海外での在庫調整の影響で減少した。アコファイドは単独プロモーションへの切り替え(アステラス製薬<4503>との日本での共同販促を21年3月で終了し、21年4月以降は単独で販促活動)に伴う在庫調整の影響が一巡した。

 海外展開については、アサコールは、欧州を中心に高用量製剤の販売国数を拡大中(21年9月時点でドイツ、フランスをはじめとする18ヶ国で販売中)である。競合する高用量製剤の処方獲得を目指してプロモーションを展開している。また21年7月にはMenariniを通じて中国でアサコールの販売を開始した。

 アコファイドについては、Meiji Seika ファルマとタイおよびインドネシアにおける独占的開発・販売ライセンス契約、スペインのFAES社とラテンアメリカにおける独占的開発・販売ライセンス契約を締結している。

 子会社のTillotts Pharma(ティロッツ社、スイス)は、アストラゼネカ社からエントコートの米国を除く全世界における権利を取得(国内ではゼンタコートカプセルとして販売)し、アサコールとともに海外での拡販を推進している。

■コンシューマーヘルスケア事業はヘパリーゼ群などが主力

 コンシューマーヘルスケア事業はヘパリーゼ群、コンドロイチン群、ウィズワン群を主力として、日本で初めて月経前症候群の効能を取得した西洋ハーブ・ダイレクトOTC医薬品プレフェミン、連結子会社イオナ インターナショナルの「イオナ」ブランド化粧品なども全国の薬局・薬店・ドラッグストアなどに販売している。

 なお22年3月期の売上高は、ヘパリーゼ群が21年3月期比17.5%増の77億70百万円(医薬品が18.9%増の43億45百万円、清涼飲料水・栄養補助食品が15.7%増の34億25百万円)で、コンドロイチン群が4.6%減の51億35百万円、ウィズワン群が5.9%減の13億59百万円、その他が12.0%減の81億04百万円だった。コンドロイチン群、ウィズワン群が競合の影響、その他の殺菌消毒薬がコロナ需要の一巡で減少した。

 事業拡大に向けて、西洋ハーブ群の開発・育成、ヘパリーゼ群およびコンドロイチン群に続く新規主力製品の開発・育成、既存製品(OTC医薬品プレバリン群、オーラルケアのマスデント群やイオナ化粧品など)の育成を推進している。

 20年4月にはヘパリーゼ群の主原料である肝臓加水分解物の安定調達とコンシューマーヘルスケア事業拡大を目的として、日水製薬<4550>から日水製薬医薬品販売の全株式を譲り受けて子会社化(現社名:健創製薬)した。

 西洋ハーブ関連では21年12月に、軽度の静脈還流障害による足のむくみを改善する内服薬「ベルフェミン」(要指導医薬品)を発売した。欧州において下肢の静脈疾患(慢性静脈不全症)の治療に伝統的に使用されてきたセイヨウトチノキ種子の乾燥エキスを主成分としている。

 22年3月には11種類の美容液成分を配合した高機能オールインワンジェル「イオナ スパ&ミネラル エッセンス ジェルEX」を発売した。また過敏性腸症候群(IBS)改善薬「コルペルミン」(要指導医薬品)を発売した。ペパーミントのオイルを有効成分とする医薬品である。ティロッツ社によって開発され、1981年に英国で発売されて以降、スイスやドイツをはじめ十数ヶ国でIBSの諸症状を改善する一般用医薬品として販売されている。国内で実施された過敏性腸症候群患者を対象とした臨床試験において有効性と安全性が確認された。

 22年4月にはOTC点眼薬「ビュークリアHi40アクティブ」(第3類医薬品)を発売した。11種類の有効成分を配合し、年齢・目の乾きによる眼疲労や目のかすみに効果を発揮する。

■消化器分野を最重点領域として新薬開発を推進

 消化器分野を最重点領域と位置付けて新薬開発を推進している。新薬パイプラインの状況(22年5月11日現在)は以下の通りである。

 潰瘍性大腸炎を適応症とするZ−206(自社グループ品、アサコール)は、イタリアのMenariniグループの中国現地法人に独占的販売権を供与して、中国で21年5月販売開始した。

 Z−338(自社品、アコファイド)は、日本では小児機能性ディスペプシア患者を対象として第3相段階、食道胃接合部通過障害を適応症として第2相(九州大学で医師主導治験)段階、欧州では機能性ディスペプシアを適応症として第3相段階である。なお導出では、メキシコで機能性ディスペプシアを適応症として承認となり、チリ、コロンビア、ペルー、エクアドル、タイ、インドネシアで、それぞれ導出先が機能性ディスペプシアを適応症として承認申請中である。

 高カリウム血症を適応症とするZG−801(ビフォーファーマ社から導入)は第3相段階である。米国では15年12月販売開始し、欧州では17年7月EMA(欧州医薬品庁)から承認取得している。

■アサコールやエントコートの拡大などを推進

 収益拡大に向けた重点施策として、医療用医薬品事業ではアサコール高用量製剤の海外販売国拡大、フェインジェクトやエントコートの市場浸透、ティロッツ社の営業体制強化、コンシューマーヘルスケア事業では主力製品に次ぐ製品群の育成、西洋ハーブ剤など特徴ある製品群の市場認知度向上による事業拡大を推進している。

 また持続的成長に向けて、消化器領域および既存事業との親和性の高い領域の薬剤導入、M&A、自社製品の海外導出を推進する方針としている。

■22年3月期は大幅増益で増配、23年3月期も2桁増益で連続増配予想

 22年3月期の連結業績は収益認識会計基準を遡及適用した前期実績との比較で、売上高が12.8%増の595億32百万円、営業利益が83.2%増の63億66百万円、経常利益が85.0%増の59億35百万円、親会社株主帰属当期純利益が26.0%増の39億61百万円だった。配当は期末1円上方修正して21年3月期比1円増配の35円(第2四半期末17円、期末18円)とした。

 医療用医薬品事業が牽引して、前回予想(売上高600億円、営業利益53億円、経常利益52億円、親会社株主帰属当期純利益37億円)を上回る大幅増収増益だった。なお特別利益では投資有価証券売却益が減少(前期3億75百万円、今期14百万円)し、前期計上の債務取崩益6億81百万円が剥落した。

 医療用医薬品事業は売上高が23.6%増の370億06百万円で、セグメント利益(全社費用等調整前営業利益)が97.7%増の69億11百万円だった。潰瘍性大腸炎治療剤アサコールは国内が薬価改定の影響を受けたが海外が伸長した。欧州主要国での製造販売権を承継したクロストリジウム・ディフィシル感染症治療剤ディフィクリアや、アステラス製薬との共同販促終了に伴う在庫調整が完了した機能性ディスペプシア治療剤アコファイドも増収に貢献した。炎症性腸疾患(IBD)治療剤エントコートはカナダやスペインなど一部地域における在庫調整の影響を受けた。

 コンシューマーヘルスケア事業は売上高が1.2%減の223億70百万円で、利益が14.0%減の40億38百万円だった。ヘパリーゼ群が増収だったが、コンドロイチン群、ウィズワン群が競合品の影響を受け、殺菌消毒薬などの衛生用品がコロナ需要の一巡で減少した。

 なお四半期別に見ると、第1四半期は売上高135億48百万円、営業利益12億51百万円、経常利益20億81百万円、第2四半期は売上高150億58百万円、営業利益14億21百万円、経常利益10億35百万円、第3四半期は売上高164億98百万円、営業利益28億23百万円、経常利益24億97百万円、第4四半期は売上高144億28百万円、営業利益8億71百万円、経常利益3億22百万円だった。

 23年3月期の連結業績予想は、売上高が22年3月期比10.9%増の660億円、営業利益が10.0%増の70億円、経常利益が17.9%増の70億円、親会社株主帰属当期純利益が41.4%増の56億円としている。配当予想は22年3月期比1円増配の36円(第2四半期末18円、期末18円)としている。連続増配となる。

 2桁増収増益予想としている。主力製品が堅調に推移し、研究開発費(4.4%増の50億円)や広告宣伝費(47.7%増の29億円)の増加を吸収する見込みだ。医療用医薬品事業は、国内ではアサコールが薬価改定の影響を受けるが、アコファイドやフェインジェクトの伸長、海外市場ではアサコールとディフィクリアの伸長、やアサコールの伸長、エントコートの在庫調整からの回復を見込んでいる。コンシューマーヘルスケア事業は、積極的なプロモーション活動などでヘパリーゼ群やコンドロイチン群の伸長を見込んでいる。積極的な事業展開で収益拡大基調だろう。

■株主優待は年2回、9月末と3月末の株主対象

 株主優待制度は毎年9月末および3月末現在の株主を対象として、保有株式数に応じて自社グループ商品を贈呈している。なお22年3月末対象から、株主優待品コース内容を変更(旧Dコースのコンドロイチン配合夜間集中美容液を、新Dコースとしてスパ発想のオールインワン化粧品に変更、詳細は会社HP参照)している。

■株価は戻り試す

 なお5月11日に自己株式取得を発表した。上限80万株・18億円で、取得期間は22年5月16日〜22年11月4日としている。

 株価は小動きだが下値固め完了して徐々に水準を切り上げている。週足チャートで見ると13週移動平均線が26週移動平均線を上抜いて基調転換した可能性があり、戻りを試す展開を期待したい。5月27日の終値は1982円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS126円10銭で算出)は約16倍、今期予想配当利回り(会社予想の36円で算出)は約1.8%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS1236円09銭で算出)は約1.6倍、時価総額は約1053億円である。(情報提供:日 本インタビュ新聞社=Media−IR)
[05月12日更新]

ゼリア新薬工業は23年3月期も2桁増益で連続増配予想、自己株式取得も発表

 ゼリア新薬工業<4559>(東証プライム)は、5月11日の取引時間終了後に22年3月期連結業績を発表した。医療用医薬品事業の好調が牽引して前回予想を上回る大幅増益となり、配当を上方修正して増配とした。そして23年3月期も2桁増益で連続増配予想としている。積極的な事業展開で収益拡大基調だろう。なお自己株式取得も発表した。株価は下値固め完了して反発の動きを強めている。好業績や自己株式取得を評価して出直りを期待したい。

■22年3月期は大幅増益で増配、23年3月期も2桁増益で連続増配予想

 22年3月期の連結業績は収益認識会計基準を遡及適用した前期実績との比較で、売上高が12.8%増の595億32百万円、営業利益が83.2%増の63億66百万円、経常利益が85.0%増の59億35百万円、親会社株主帰属当期純利益が26.0%増の39億61百万円だった。配当は期末1円上方修正して21年3月期比1円増配の35円(第2四半期末17円、期末18円)とした。

 医療用医薬品事業が牽引して、前回予想(売上高600億円、営業利益53億円、経常利益52億円、親会社株主帰属当期純利益37億円)を上回る大幅増収増益だった。なお特別利益では投資有価証券売却益が減少(前期3億75百万円、今期14百万円)し、前期計上の債務取崩益6億81百万円が剥落した。

 医療用医薬品事業は売上高が23.6%増の370億06百万円で、セグメント利益(全社費用等調整前営業利益)が97.7%増の69億11百万円だった。潰瘍性大腸炎治療剤アサコールは国内が薬価改定の影響を受けたが海外が伸長した。欧州主要国での製造販売権を承継したクロストリジウム・ディフィシル感染症治療剤ディフィクリアや、アステラス製薬との共同販促終了に伴う在庫調整が完了した機能性ディスペプシア治療剤アコファイドも増収に貢献した。炎症性腸疾患(IBD)治療剤エントコートはカナダやスペインなど一部地域で苦戦した。

 コンシューマーヘルスケア事業は売上高が1.2%減の223億70百万円で、利益が14.0%減の40億38百万円だった。ヘパリーゼ群が増収だったが、コンドロイチン群、ウィズワン群、および殺菌消毒薬などの衛生用品が競合品の影響などで減収だった。

 なお四半期別に見ると、第1四半期は売上高135億48百万円、営業利益12億51百万円、経常利益20億81百万円、第2四半期は売上高150億58百万円、営業利益14億21百万円、経常利益10億35百万円、第3四半期は売上高164億98百万円、営業利益28億23百万円、経常利益24億97百万円、第4四半期は売上高144億28百万円、営業利益8億71百万円、経常利益3億22百万円だった。

 23年3月期の連結業績予想は、売上高が22年3月期比10.9%増の660億円、営業利益が10.0%増の70億円、経常利益が17.9%増の70億円、親会社株主帰属当期純利益が41.4%増の56億円としている。配当予想は22年3月期比1円増配の36円(第2四半期末18円、期末18円)としている。なお自己株式取得(上限80万株・18億円、取得期間22年5月16日〜22年11月4日)も発表した。

 医療用医薬品事業は海外市場においてディフィクリアやアサコールの伸長、国内市場においてアコファイドや20年9月に販売開始した鉄欠乏性貧血治療剤フェインジェクトの伸長、コンシューマーヘルスケア事業はヘパリーゼ群をはじめとする主力品の回復を見込み2桁増益予想としている。積極的な事業展開で収益拡大基調だろう。

■株価は反発の動き

 株価は下値固め完了して反発の動きを強めている。好業績や自己株式取得を評価して出直りを期待したい。5月11日の終値は1971円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS126円10銭で算出)は約16倍、時価総額は約1047億円である。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media−IR
[04月26日更新]

ゼリア新薬工業は下値固め完了、23年3月期も収益拡大基調

 ゼリア新薬工業<4559>(東証プライム)は消化器分野が中心の医療用医薬品事業、および一般用医薬品のコンシューマーヘルスケア事業を展開している。22年3月期は大幅増益予想としている。海外市場において潰瘍性大腸炎治療剤アサコールが好調に推移し、欧州主要国での製造販売権の承継が完了したクロストリジウム・ディフィシル感染症治療剤ディフィクリアも寄与する。さらに23年3月期も積極的な事業展開で収益拡大基調だろう。株価は地合い悪化の影響で反発力の鈍い展開だが、一方では大きく下押す動きも見られず下値固め完了感を強めている。戻りを試す展開を期待したい。

■医療用医薬品事業とコンシューマーヘルスケア事業を展開

 消化器分野が中心の医療用医薬品事業、および一般用医薬品のコンシューマーヘルスケア事業を展開している。収益面では薬価改定、ライセンス収入・ロイヤリティ収入、研究開発費、広告宣伝費などの影響を受けやすい。

 21年3月期のセグメント別売上高構成比は医療用医薬品事業54%、コンシューマーヘルスケア事業46%、その他0%、営業利益構成比(調整前)は医療用医薬品事業42%、コンシューマーヘルスケア事業55%、その他3%だった。地域別売上比率は日本66%、欧州27%、その他7%だった。

■医療用医薬品事業は潰瘍性大腸炎治療剤アサコールなどが主力

 医療用医薬品事業は、潰瘍性大腸炎治療剤アサコール(協和キリンとの販売提携を終了して20年4月から単独販売)を主力として、炎症性腸疾患治療剤Entocort(エントコート、国内販売名ゼンタコート)や、機能性ディスペプシア治療剤アコファイドなども拡大している。20年9月には鉄欠乏性貧血治療剤フェインジェクト(開発コードZ−213、ビフォーファーマ社から導入、静注鉄剤)の販売を開始した。

 21年3月期の売上高はアサコールが165億42百万円、エントコートが48億17百万円、アコファイドが16億67百万円、その他が69億95百万円だった。

 アサコールの海外展開は、欧州を中心に高用量製剤の販売国数を拡大中(21年9月時点でドイツ、フランスをはじめとする18ヶ国で販売中)である。競合する高用量製剤の処方獲得を目指してプロモーションを展開している。また21年7月にはMenariniを通じて中国でアサコールの販売を開始した。

 アコファイドについては、Meiji Seika ファルマとタイおよびインドネシアにおける独占的開発・販売ライセンス契約、スペインのFAES社とラテンアメリカにおける独占的開発・販売ライセンス契約を締結している。なおアステラス製薬<4503>と日本で行っている共同販促を21年3月で終了し、21年4月以降は単独で販促活動を行っている。

 子会社のティロッツ社(スイス)は、アストラゼネカ社からエントコートの米国を除く全世界における権利を取得(国内ではゼンタコートカプセルとして販売)し、アサコールとともに海外での拡販を推進している。

 また20年11月に、アステラス製薬の英国子会社が欧州を中心に販売しているクロストリジウム・ディフィシル感染症治療剤ディフィクリア錠(英名DIFICLIR)について、欧州、中東、アフリカ、および独立国家共同体(CIS)における製造販売承認を承継する資産譲渡契約(取得額109百万ユーロ)を締結し、21年6月には欧州テリトリーでの製造販売権承継をほぼ完了した。残る地域についても順次承継予定である。

■コンシューマーヘルスケア事業はヘパリーゼ群などが主力

 コンシューマーヘルスケア事業はヘパリーゼ群、コンドロイチン群、ウィズワン群を主力として、日本で初めて月経前症候群の効能を取得した西洋ハーブ・ダイレクトOTC医薬品プレフェミン、連結子会社イオナ インターナショナルの「イオナ」ブランド化粧品なども全国の薬局・薬店・ドラッグストアなどに販売している。

 21年3月期の売上高は、ヘパリーゼ群が75億46百万円、コンドロイチン群が60億79百万円、ウィズワン群が16億35百万円、その他が100億円だった。

 事業拡大に向けて、西洋ハーブ群の開発・育成、ヘパリーゼ群およびコンドロイチン群に続く新規主力製品の開発・育成、既存製品(OTC医薬品プレバリン群、オーラルケアのマスデント群やイオナ化粧品など)の育成を推進している。

 20年4月にはヘパリーゼ群の主原料である肝臓加水分解物の安定調達とコンシューマーヘルスケア事業拡大を目的として、日水製薬<4550>から日水製薬医薬品販売の全株式を譲り受けて子会社化(現社名:健創製薬)した。

 西洋ハーブ関連では21年12月に、軽度の静脈還流障害による足のむくみを改善する内服薬「ベルフェミン」(要指導医薬品)を発売した。欧州において下肢の静脈疾患(慢性静脈不全症)の治療に伝統的に使用されてきたセイヨウトチノキ種子の乾燥エキスを主成分としている。

 22年3月には11種類の美容液成分を配合した高機能オールインワンジェル「イオナ スパ&ミネラル エッセンス ジェルEX」の発売を開始した。また過敏性腸症候群(IBS)改善薬「コルペルミン」(要指導医薬品)の発売を開始した。ペパーミントのオイルを有効成分とする医薬品である。ティロッツ社(スイス)によって開発され、1981年に英国で発売されて以降、スイスやドイツをはじめ十数ヶ国でIBSの諸症状を改善する一般用医薬品として販売されている。国内で実施された過敏性腸症候群患者を対象とした臨床試験において有効性と安全性が確認された。

 4月1日にはOTC点眼薬「ビュークリアHi40アクティブ」(第3類医薬品)の発売を発表した。11種類の有効成分を配合し、年齢・目の乾きによる眼疲労や目のかすみに効果を発揮する。

■消化器分野を最重点領域として新薬開発を推進

 消化器分野を最重点領域と位置付けて新薬開発を推進している。新薬パイプラインの状況(22年2月2日現在)は以下の通りである。

 潰瘍性大腸炎を適応症とするZ−206(自社グループ品、アサコール)は中国で21年7月販売開始(開発主体であるTillotts Pharma AGが、イタリアのMenariniグループの中国現地法人に独占的販売権供与)した。

 Z−338(自社品、アコファイド)は、日本では小児機能性ディスペプシア患者を対象として第3相段階、欧州では機能性ディスペプシアを適応症として第3相段階である。

 高カリウム血症を適応症とするZG−801(ビフォーファーマ社から導入)は第3相段階である。米国では15年12月販売開始し、欧州では17年7月EMA(欧州医薬品庁)から承認取得している。

■アサコールやエントコートの拡大などを推進

 収益拡大に向けた重点施策として、医療用医薬品事業ではアサコール高用量製剤の海外販売国拡大、フェインジェクトやエントコートの市場浸透、ティロッツ社の営業体制強化、コンシューマーヘルスケア事業では主力製品に次ぐ製品群の育成、西洋ハーブ剤など特徴ある製品群の市場認知度向上による事業拡大を推進している。

 また持続的成長に向けて、消化器領域および既存事業との親和性の高い領域の薬剤導入、M&A、自社製品の海外導出を推進する方針としている。

■22年3月期大幅増益予想、23年3月期も収益拡大基調

 22年3月期の連結業績予想(21年11月1日に利益を上方修正、収益認識会計基準適用のため増減率は収益認識会計基準を遡及適用した21年3月期実績値との比較)は、売上高が21年3月期比13.7%増の600億円、営業利益が52.5%増の53億円、経常利益が62.1%増の52億円、そして親会社株主帰属当期純利益が17.7%増の37億円としている。配当予想は、21年3月期と同額の34円(第2四半期末17円、期末17円)としている。

 第3四半期累計は収益認識基準を遡及適用した前年同期実績との比較で、売上高が11.7%増の451億04百万円、営業利益が41.6%増の54億95百万円、経常利益が57.6%増の56億13百万円、そして親会社株主帰属四半期純利益が9.2%増の40億43百万円だった。

 医療用医薬品事業が牽引して大幅増収増益だった。なお営業外では為替差損益が好転(前期は為替差損4億25百万円、今期は為替差益1億31百万円)した。特別利益では投資有価証券売却益が減少(前期は3億75百万円、今期は14百万円)し、前期計上の債務取崩益6億78百万円が剥落した。

 医療用医薬品事業は売上高が22.6%増の275億29百万円で、セグメント利益(全社費用等調整前営業利益)が62.6%増の55億43百万円だった。炎症性腸疾患(IBD)治療剤エントコートはカナダやスペインなど一部地域で苦戦したため減収だったが、主力の潰瘍性大腸炎治療剤アサコールが海外市場で好調に推移し、欧州主要国での製造販売権の承継が完了したクロストリジウム・ディフィシル感染症治療剤ディフィクリアも増収に貢献した。

 コンシューマーヘルスケア事業は売上高が1.9%減の174億55百万円で、利益が13.2%減の35億09百万円だった。ヘパリーゼ群が増収だったが、コンドロイチン群、ウィズワン群、および殺菌消毒薬などの衛生用品が競合の影響などで減収だった。

 なお四半期別に見ると、第1四半期は売上高135億48百万円、営業利益12億51百万円、経常利益20億81百万円、第2四半期は売上高150億58百万円、営業利益14億21百万円、経常利益10億35百万円、第3四半期は売上高164億98百万円、営業利益28億23百万円、経常利益24億97百万円だった。

 第3四半期累計の進捗率は、売上高が75.2%、営業利益が103.7%、経常利益が107.9%、親会社株主帰属当期純利益が109.3%となり、各利益は通期予想を超過達成している。新型コロナウイルス感染再拡大の影響や為替相場など不透明感を考慮して通期予想を据え置いたが、海外市場における潰瘍性大腸炎治療剤アサコールの好調が牽引し、欧州主要国での製造販売権の承継が完了したクロストリジウム・ディフィシル感染症治療剤ディフィクリアも寄与して利益は再上振れの可能性が高いだろう。さらに23年3月期も積極的な事業展開で収益拡大基調だろう。

■株主優待は年2回、9月末と3月末の株主対象

 株主優待制度は毎年9月末および3月末現在の株主を対象として、保有株式数に応じて自社グループ商品を贈呈している。なお3月4日に株主優待品コース内容変更をリリース(22年3月末基準日から実施、旧Dコースのコンドロイチン配合夜間集中美容液を、新Dコースとしてスパ発想のオールインワン化粧品に変更、詳細は会社HP参照)している。

■株価は下値固め完了

 なお21年11月4日に自己株式取得(上限80万株・18億円、取得期間21年11月5日〜22年5月13日)を発表している。

 株価は地合い悪化の影響で反発力の鈍い展開だが、一方では大きく下押す動きも見られず下値固め完了感を強めている。戻りを試す展開を期待したい。4月25日の終値は1927円、前期推定連結PER(会社予想の連結EPS81円84銭で算出)は約24倍、前期推定配当利回り(会社予想の34円で算出)は約1.8%、前々期実績連結PBR(前々期実績の連結BPS1225円69銭で算出)は約1.6倍、そして時価総額は約1024億円である。(情報提供:日 本インタビュ新聞社=Media−IR)
[03月31日更新]

ゼリア新薬工業は下値切り上げ、22年3月期大幅増益予想、23年3月期も収益拡大基調

 ゼリア新薬工業<4559>(東1、新市場区分プライム)は消化器分野が中心の医療用医薬品事業、および一般用医薬品のコンシューマーヘルスケア事業を展開している。3月24日には過敏性腸症候群(IBS)改善薬「コルペルミン」(要指導医薬品)の発売を発表している。22年3月期は大幅増益予想としている。海外市場における潰瘍性大腸炎治療剤アサコールの好調が牽引し、欧州主要国での製造販売権の承継が完了したクロストリジウム・ディフィシル感染症治療剤ディフィクリアも寄与して利益は再上振れの可能性が高いだろう。さらに積極的な事業展開で23年3月期も収益拡大基調だろう。株価は地合い悪化の影響を受ける場面があったが、調整一巡して徐々に下値切り上げている。戻りを試す展開を期待したい。

■医療用医薬品事業とコンシューマーヘルスケア事業を展開

 消化器分野が中心の医療用医薬品事業、および一般用医薬品のコンシューマーヘルスケア事業を展開している。収益面では薬価改定、ライセンス収入・ロイヤリティ収入、研究開発費、広告宣伝費などの影響を受けやすい。

 21年3月期のセグメント別売上高構成比は医療用医薬品事業54%、コンシューマーヘルスケア事業46%、その他0%、営業利益構成比(調整前)は医療用医薬品事業42%、コンシューマーヘルスケア事業55%、その他3%だった。地域別売上比率は日本66%、欧州27%、その他7%だった。

■医療用医薬品事業は潰瘍性大腸炎治療剤アサコールなどが主力

 医療用医薬品事業は、潰瘍性大腸炎治療剤アサコール(協和キリンとの販売提携を終了して20年4月から単独販売)を主力として、炎症性腸疾患治療剤Entocort(エントコート、国内販売名ゼンタコート)や、機能性ディスペプシア治療剤アコファイドなども拡大している。20年9月には鉄欠乏性貧血治療剤フェインジェクト(開発コードZ−213、ビフォーファーマ社から導入、静注鉄剤)の販売を開始した。

 21年3月期の売上高はアサコールが165億42百万円、エントコートが48億17百万円、アコファイドが16億67百万円、その他が69億95百万円だった。

 アサコールの海外展開は、欧州を中心に高用量製剤の販売国数を拡大中(21年9月時点でドイツ、フランスをはじめとする18ヶ国で販売中)である。競合する高用量製剤の処方獲得を目指してプロモーションを展開している。また21年7月にはMenariniを通じて中国での販売を開始した。

 アコファイドについては、Meiji Seika ファルマとタイおよびインドネシアにおける独占的開発・販売ライセンス契約、スペインのFAES社とラテンアメリカにおける独占的開発・販売ライセンス契約を締結している。なおアステラス製薬<4503>と日本で行っている共同販促を21年3月で終了し、21年4月以降は単独で販促活動を行っている。

 子会社のティロッツ社(スイス)は、アストラゼネカ社からエントコートの米国を除く全世界における権利を取得(国内ではゼンタコートカプセルとして販売)し、アサコールとともに海外での拡販を推進している。

 また20年11月に、アステラス製薬の英国子会社が欧州を中心に販売しているクロストリジウム・ディフィシル感染症治療剤ディフィクリア錠(英名DIFICLIR)について、欧州、中東、アフリカ、および独立国家共同体(CIS)における製造販売承認を承継する資産譲渡契約(取得額109百万ユーロ)を締結し、21年6月には欧州テリトリーでの製造販売権承継をほぼ完了した。残る地域についても順次承継予定である。

■コンシューマーヘルスケア事業はヘパリーゼ群などが主力

 コンシューマーヘルスケア事業はヘパリーゼ群、コンドロイチン群、ウィズワン群を主力として、日本で初めて月経前症候群の効能を取得した西洋ハーブ・ダイレクトOTC医薬品プレフェミン、連結子会社イオナ インターナショナルの「イオナ」ブランド化粧品なども全国の薬局・薬店・ドラッグストアなどに販売している。

 21年3月期の売上高は、ヘパリーゼ群が75億46百万円、コンドロイチン群が60億79百万円、ウィズワン群が16億35百万円、その他が100億円だった。

 事業拡大に向けて、西洋ハーブ群の開発・育成、ヘパリーゼ群およびコンドロイチン群に続く新規主力製品の開発・育成、既存製品(OTC医薬品プレバリン群、オーラルケアのマスデント群やイオナ化粧品など)の育成を推進している。

 20年4月にはヘパリーゼ群の主原料である肝臓加水分解物の安定調達とコンシューマーヘルスケア事業拡大を目的として、日水製薬<4550>から日水製薬医薬品販売の全株式を譲り受けて子会社化(現社名:健創製薬)した。

 西洋ハーブ関連では21年12月に、軽度の静脈還流障害による足のむくみを改善する内服薬「ベルフェミン」(OTC医薬品)を発売した。欧州において下肢の静脈疾患(慢性静脈不全症)の治療に伝統的に使用されてきたセイヨウトチノキ種子の乾燥エキスを主成分としている。また過敏性腸症候群を適応症とするコルペルミンの発売も予定している。

 22年3月には11種類の美容液成分を配合した高機能オールインワンジェル「イオナ スパ&ミネラル エッセンス ジェルEX」を発売した。


 3月24日には過敏性腸症候群(IBS)改善薬「コルペルミン」(要指導医薬品)の発売を発表している。ペパーミントのオイルを有効成分とする医薬品である。ティロッツ社(スイス)によって開発され、1981年に英国で発売されて以降、スイスやドイツをはじめ十数ヶ国IBSの諸症状を改善する一般用医薬品として販売されている。国内で実施された過敏性腸症候群患者を対象とした臨床試験において有効性と安全性が確認された。

■消化器分野を最重点領域として新薬開発を推進

 消化器分野を最重点領域と位置付けて新薬開発を推進している。新薬パイプラインの状況(21年11月4日現在)は以下の通りである。

 潰瘍性大腸炎を適応症とするZ−206(自社グループ品、アサコール)は中国で21年7月販売開始(開発主体であるTillotts Pharma AGが、イタリアのMenariniグループの中国現地法人に独占的販売権供与)した。

 Z−338(自社品、アコファイド)は、日本では小児機能性ディスペプシア患者を対象として第3相段階、欧州では機能性ディスペプシアを適応症として第3相段階である。

 高カリウム血症を適応症とするZG−801(ビフォーファーマ社から導入)は第3相段階である。米国では15年12月販売開始し、欧州では17年7月EMA(欧州医薬品庁)から承認取得している。

■アサコールやエントコートの拡大などを推進

 収益拡大に向けた重点施策として、医療用医薬品事業ではアサコール高用量製剤の海外販売国拡大、フェインジェクトやエントコートの市場浸透、ティロッツ社の営業体制強化、コンシューマーヘルスケア事業では主力製品に次ぐ製品群の育成、西洋ハーブ剤など特徴ある製品群の市場認知度向上による事業拡大を推進している。

 また持続的成長に向けて、消化器領域および既存事業との親和性の高い領域の薬剤導入、M&A、自社製品の海外導出を推進する方針としている。

■22年3月期大幅増益予想で再上振れの可能性

 22年3月期の連結業績予想(21年11月1日に利益を上方修正、収益認識会計基準適用のため増減率は収益認識会計基準を遡及適用した21年3月期実績値との比較)は、売上高が21年3月期比13.7%増の600億円、営業利益が52.5%増の53億円、経常利益が62.1%増の52億円、そして親会社株主帰属当期純利益が17.7%増の37億円としている。配当予想は、21年3月期と同額の34円(第2四半期末17円、期末17円)としている。

 第3四半期累計は収益認識基準を遡及適用した前年同期実績との比較で、売上高が11.7%増の451億04百万円、営業利益が41.6%増の54億95百万円、経常利益が57.6%増の56億13百万円、そして親会社株主帰属四半期純利益が9.2%増の40億43百万円だった。

 医療用医薬品事業が牽引して大幅増収増益だった。なお営業外では為替差損益が好転(前期は為替差損4億25百万円、今期は為替差益1億31百万円)した。特別利益では投資有価証券売却益が減少(前期は3億75百万円、今期は14百万円)し、前期計上の債務取崩益6億78百万円が剥落した。

 医療用医薬品事業は売上高が22.6%増の275億29百万円で、セグメント利益(全社費用等調整前営業利益)が62.6%増の55億43百万円だった。炎症性腸疾患(IBD)治療剤エントコートはカナダやスペインなど一部地域で苦戦したため減収だったが、主力の潰瘍性大腸炎治療剤アサコールが海外市場で好調に推移し、欧州主要国での製造販売権の承継が完了したクロストリジウム・ディフィシル感染症治療剤ディフィクリアも増収に貢献した。

 コンシューマーヘルスケア事業は売上高が1.9%減の174億55百万円で、利益が13.2%減の35億09百万円だった。ヘパリーゼ群が増収だったが、コンドロイチン群、ウィズワン群、および殺菌消毒薬などの衛生用品が競合の影響などで減収だった。

 なお四半期別に見ると、第1四半期は売上高135億48百万円、営業利益12億51百万円、経常利益20億81百万円、第2四半期は売上高150億58百万円、営業利益14億21百万円、経常利益10億35百万円、第3四半期は売上高164億98百万円、営業利益28億23百万円、経常利益24億97百万円だった。

 第3四半期累計の進捗率は、売上高が75.2%、営業利益が103.7%、経常利益が107.9%、親会社株主帰属当期純利益が109.3%となり、各利益は通期予想を超過達成している。新型コロナウイルス感染再拡大の影響や為替相場など不透明感を考慮して通期予想を据え置いたが、海外市場における潰瘍性大腸炎治療剤アサコールの好調が牽引し、欧州主要国での製造販売権の承継が完了したクロストリジウム・ディフィシル感染症治療剤ディフィクリアも寄与して利益は再上振れの可能性が高いだろう。さらに積極的な事業展開で23年3月期も収益拡大基調だろう。

■株主優待は年2回、9月末と3月末の株主対象

 株主優待制度は毎年9月末および3月末現在の株主を対象として、保有株式数に応じて自社グループ商品を贈呈している。なお3月4日に株主優待品コース内容変更をリリース(22年3月末基準日から実施、旧Dコースのコンドロイチン配合夜間集中美容液を、新Dコースとしてスパ発想のオールインワン化粧品に変更、詳細は会社HP参照)している。

■株価は下値切り上げ

 なお21年11月4日に自己株式取得(上限80万株・18億円、取得期間21年11月5日〜22年5月13日)を発表している。

 株価は地合い悪化の影響を受ける場面があったが、調整一巡して徐々に下値切り上げている。戻りを試す展開を期待したい。3月30日の終値は1955円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS81円84銭で算出)は約24倍、今期予想配当利回り(会社予想の34円で算出)は約1.7%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS1225円69銭で算出)は約1.6倍、そして時価総額は約1038億円である。(情報提供:日 本インタビュ新聞社=Media−IR
[03月11日更新]

ゼリア新薬工業は急反発の動き、22年3月期大幅増益予想で再上振れの可能性

 ゼリア新薬工業<4559>(東1、新市場区分プライム)は消化器分野が中心の医療用医薬品事業、および一般用医薬品のコンシューマーヘルスケア事業を展開している。22年3月期は大幅増益予想としている。海外市場における潰瘍性大腸炎治療剤アサコールの好調が牽引し、欧州主要国での製造販売権の承継が完了したクロストリジウム・ディフィシル感染症治療剤ディフィクリアも寄与して利益は再上振れの可能性が高く、積極的な事業展開で収益拡大基調だろう。なお3月4日に株主優待品コース内容変更をリリース(22年3月末基準日から実施、詳細は会社HP参照)している。株価は地合い悪化の影響を受ける場面があったが、調整一巡して急反発の動きとなった。戻りを試す展開を期待したい。

■医療用医薬品事業とコンシューマーヘルスケア事業を展開

 消化器分野が中心の医療用医薬品事業、および一般用医薬品のコンシューマーヘルスケア事業を展開している。収益面では薬価改定、ライセンス収入・ロイヤリティ収入、研究開発費、広告宣伝費などの影響を受けやすい。

 21年3月期のセグメント別売上高構成比は医療用医薬品事業54%、コンシューマーヘルスケア事業46%、その他0%、営業利益構成比(調整前)は医療用医薬品事業42%、コンシューマーヘルスケア事業55%、その他3%だった。地域別売上比率は日本66%、欧州27%、その他7%だった。

■医療用医薬品事業は潰瘍性大腸炎治療剤アサコールなどが主力

 医療用医薬品事業は、潰瘍性大腸炎治療剤アサコール(協和キリンとの販売提携を終了して20年4月から単独販売)を主力として、炎症性腸疾患治療剤Entocort(エントコート、国内販売名ゼンタコート)や、機能性ディスペプシア治療剤アコファイドなども拡大している。20年9月には鉄欠乏性貧血治療剤フェインジェクト(開発コードZ−213、ビフォーファーマ社から導入、静注鉄剤)の販売を開始した。

 21年3月期の売上高はアサコールが165億42百万円、エントコートが48億17百万円、アコファイドが16億67百万円、その他が69億95百万円だった。

 アサコールの海外展開は、欧州を中心に高用量製剤の販売国数を拡大中(21年9月時点でドイツ、フランスをはじめとする18ヶ国で販売中)である。競合する高用量製剤の処方獲得を目指してプロモーションを展開している。また21年7月にはMenariniを通じて中国での販売を開始した。

 アコファイドについては、Meiji Seika ファルマとタイおよびインドネシアにおける独占的開発・販売ライセンス契約、スペインのFAES社とラテンアメリカにおける独占的開発・販売ライセンス契約を締結している。なおアステラス製薬<4503>と日本で行っている共同販促を21年3月で終了し、21年4月以降は単独で販促活動を行っている。

 子会社のティロッツ社(スイス)は、アストラゼネカ社からエントコートの米国を除く全世界における権利を取得(国内ではゼンタコートカプセルとして販売)し、アサコールとともに海外での拡販を推進している。

 また20年11月に、アステラス製薬の英国子会社が欧州を中心に販売しているクロストリジウム・ディフィシル感染症治療剤ディフィクリア錠(英名DIFICLIR)について、欧州、中東、アフリカ、および独立国家共同体(CIS)における製造販売承認を承継する資産譲渡契約(取得額109百万ユーロ)を締結し、21年6月には欧州テリトリーでの製造販売権承継をほぼ完了した。残る地域についても順次承継予定である。

■コンシューマーヘルスケア事業はヘパリーゼ群などが主力

 コンシューマーヘルスケア事業はヘパリーゼ群、コンドロイチン群、ウィズワン群を主力として、日本で初めて月経前症候群の効能を取得した西洋ハーブ・ダイレクトOTC医薬品プレフェミン、連結子会社イオナ インターナショナルの「イオナ」ブランド化粧品なども全国の薬局・薬店・ドラッグストアなどに販売している。

 21年3月期の売上高は、ヘパリーゼ群が75億46百万円、コンドロイチン群が60億79百万円、ウィズワン群が16億35百万円、その他が100億円だった。

 事業拡大に向けて、西洋ハーブ群の開発・育成、ヘパリーゼ群およびコンドロイチン群に続く新規主力製品の開発・育成、既存製品(OTC医薬品プレバリン群、オーラルケアのマスデント群やイオナ化粧品など)の育成を推進している。

 20年4月にはヘパリーゼ群の主原料である肝臓加水分解物の安定調達とコンシューマーヘルスケア事業拡大を目的として、日水製薬<4550>から日水製薬医薬品販売の全株式を譲り受けて子会社化(現社名:健創製薬)した。

 西洋ハーブ関連では21年12月に、軽度の静脈還流障害による足のむくみを改善する内服薬「ベルフェミン」(OTC医薬品)を発売した。欧州において下肢の静脈疾患(慢性静脈不全症)の治療に伝統的に使用されてきたセイヨウトチノキ種子の乾燥エキスを主成分としている。また過敏性腸症候群を適応症とするコルペルミンの発売も予定している。

 22年3月には11種類の美容液成分を配合した高機能オールインワンジェル「イオナ スパ&ミネラル エッセンス ジェルEX」を発売した。

■消化器分野を最重点領域として新薬開発を推進

 消化器分野を最重点領域と位置付けて新薬開発を推進している。新薬パイプラインの状況(21年11月4日現在)は以下の通りである。

 潰瘍性大腸炎を適応症とするZ−206(自社グループ品、アサコール)は中国で21年7月販売開始(開発主体であるTillotts Pharma AGが、イタリアのMenariniグループの中国現地法人に独占的販売権供与)した。

 Z−338(自社品、アコファイド)は、日本では小児機能性ディスペプシア患者を対象として第3相段階、欧州では機能性ディスペプシアを適応症として第3相段階である。

 高カリウム血症を適応症とするZG−801(ビフォーファーマ社から導入)は第3相段階である。米国では15年12月販売開始し、欧州では17年7月EMA(欧州医薬品庁)から承認取得している。

■アサコールやエントコートの拡大などを推進

 収益拡大に向けた重点施策として、医療用医薬品事業ではアサコール高用量製剤の海外販売国拡大、フェインジェクトやエントコートの市場浸透、ティロッツ社の営業体制強化、コンシューマーヘルスケア事業では主力製品に次ぐ製品群の育成、西洋ハーブ剤など特徴ある製品群の市場認知度向上による事業拡大を推進している。

 また持続的成長に向けて、消化器領域および既存事業との親和性の高い領域の薬剤導入、M&A、自社製品の海外導出を推進する方針としている。

■22年3月期大幅増益予想で再上振れの可能性

 22年3月期の連結業績予想(21年11月1日に利益を上方修正、収益認識会計基準適用のため増減率は収益認識会計基準を遡及適用した21年3月期実績値との比較)は、売上高が21年3月期比13.7%増の600億円、営業利益が52.5%増の53億円、経常利益が62.1%増の52億円、そして親会社株主帰属当期純利益が17.7%増の37億円としている。配当予想は、21年3月期と同額の34円(第2四半期末17円、期末17円)としている。

 第3四半期累計は収益認識基準を遡及適用した前年同期実績との比較で、売上高が11.7%増の451億04百万円、営業利益が41.6%増の54億95百万円、経常利益が57.6%増の56億13百万円、そして親会社株主帰属四半期純利益が9.2%増の40億43百万円だった。

 医療用医薬品事業が牽引して大幅増収増益だった。なお営業外では為替差損益が好転(前期は為替差損4億25百万円、今期は為替差益1億31百万円)した。特別利益では投資有価証券売却益が減少(前期は3億75百万円、今期は14百万円)し、前期計上の債務取崩益6億78百万円が剥落した。

 医療用医薬品事業は売上高が22.6%増の275億29百万円で、セグメント利益(全社費用等調整前営業利益)が62.6%増の55億43百万円だった。炎症性腸疾患(IBD)治療剤エントコートはカナダやスペインなど一部地域で苦戦したため減収だったが、主力の潰瘍性大腸炎治療剤アサコールが海外市場で好調に推移し、欧州主要国での製造販売権の承継が完了したクロストリジウム・ディフィシル感染症治療剤ディフィクリアも増収に貢献した。

 コンシューマーヘルスケア事業は売上高が1.9%減の174億55百万円で、利益が13.2%減の35億09百万円だった。ヘパリーゼ群が増収だったが、コンドロイチン群、ウィズワン群、および殺菌消毒薬などの衛生用品が競合の影響などで減収だった。

 なお四半期別に見ると、第1四半期は売上高135億48百万円、営業利益12億51百万円、経常利益20億81百万円、第2四半期は売上高150億58百万円、営業利益14億21百万円、経常利益10億35百万円、第3四半期は売上高164億98百万円、営業利益28億23百万円、経常利益24億97百万円だった。

 第3四半期累計の進捗率は、売上高が75.2%、営業利益が103.7%、経常利益が107.9%、親会社株主帰属当期純利益が109.3%となり、各利益は通期予想を超過達成している。新型コロナウイルス感染再拡大の影響や為替相場など不透明感を考慮して通期予想を据え置いたが、海外市場における潰瘍性大腸炎治療剤アサコールの好調が牽引し、欧州主要国での製造販売権の承継が完了したクロストリジウム・ディフィシル感染症治療剤ディフィクリアも寄与して利益は再上振れの可能性が高く、積極的な事業展開で収益拡大基調だろう。

■株主優待は年2回、9月末と3月末の株主対象

 株主優待制度は毎年9月末および3月末現在の株主を対象として、保有株式数に応じて自社グループ商品を贈呈している。なお3月4日に株主優待品コース内容変更をリリース(22年3月末基準日から実施、旧Dコースのコンドロイチン配合夜間集中美容液を、新Dコースとしてスパ発想のオールインワン化粧品に変更、詳細は会社HP参照)している。

■株価は急反発の動き

 なお21年11月4日に自己株式取得(上限80万株・18億円、取得期間21年11月5日〜22年5月13日)を発表している。

 株価は地合い悪化の影響を受ける場面があったが、調整一巡して急反発の動きとなった。戻りを試す展開を期待したい。3月10日の終値は2013円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS81円84銭で算出)は約25倍、今期予想配当利回り(会社予想の34円で算出)は約1.7%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS1225円69銭で算出)は約1.6倍、そして時価総額は約1069億円である。(情報提供:日 本インタビュ新聞社=Media−IR)
[02月21日更新]

ゼリア新薬工業は戻り試す、22年3月期大幅増収増益予想、さらに再上振れの可能性

 ゼリア新薬工業<4559>(東1)は消化器分野が中心の医療用医薬品事業、および一般用医薬品のコンシューマーヘルスケア事業を展開している。22年3月期は主力の潰瘍性大腸炎治療剤アサコールの好調などで大幅増収増益予想としている。第3四半期累計は大幅増益となり、通期利益予想を超過達成した。不透明感を考慮して通期予想を据え置いたが、海外市場におけるアサコールの好調が牽引し、欧州主要国での製造販売権の承継が完了したクロストリジウム・ディフィシル感染症治療剤ディフィクリアも寄与して利益は再上振れの可能性が高く、収益拡大基調だろう。株価は地合い悪化の影響で昨年来安値を更新する場面があったが、調整一巡して反発の動きを強めている。戻りを試す展開を期待したい。

■医療用医薬品事業とコンシューマーヘルスケア事業を展開

 消化器分野が中心の医療用医薬品事業、および一般用医薬品のコンシューマーヘルスケア事業を展開している。収益面では薬価改定、ライセンス収入・ロイヤリティ収入、研究開発費、広告宣伝費などの影響を受けやすい。

 21年3月期のセグメント別売上高構成比は医療用医薬品事業54%、コンシューマーヘルスケア事業46%、その他0%、営業利益構成比(調整前)は医療用医薬品事業42%、コンシューマーヘルスケア事業55%、その他3%だった。地域別売上比率は日本66%、欧州27%、その他7%だった。

■医療用医薬品事業は潰瘍性大腸炎治療剤アサコールなどが主力

 医療用医薬品事業は、潰瘍性大腸炎治療剤アサコール(協和キリンとの販売提携を終了して20年4月から単独販売)を主力として、炎症性腸疾患治療剤Entocort(エントコート、国内販売名ゼンタコート)や、機能性ディスペプシア治療剤アコファイドなども拡大している。20年9月には鉄欠乏性貧血治療剤フェインジェクト(開発コードZ−213、ビフォーファーマ社から導入、静注鉄剤)の販売を開始した。

 21年3月期の売上高はアサコールが165億42百万円、エントコートが48億17百万円、アコファイドが16億67百万円、その他が69億95百万円だった。

 アサコールの海外展開は、欧州を中心に高用量製剤の販売国数を拡大中(21年9月時点でドイツ、フランスをはじめとする18ヶ国で販売中)である。競合する高用量製剤の処方獲得を目指してプロモーションを展開している。また21年7月にはMenariniを通じて中国での販売を開始した。

 アコファイドについては、Meiji Seika ファルマとタイおよびインドネシアにおける独占的開発・販売ライセンス契約、スペインのFAES社とラテンアメリカにおける独占的開発・販売ライセンス契約を締結している。なおアステラス製薬<4503>と日本で行っている共同販促を21年3月で終了し、21年4月以降は単独で販促活動を行っている。

 子会社のティロッツ社(スイス)は、アストラゼネカ社からエントコートの米国を除く全世界における権利を取得(国内ではゼンタコートカプセルとして販売)し、アサコールとともに海外での拡販を推進している。

 また20年11月に、アステラス製薬の英国子会社が欧州を中心に販売しているクロストリジウム・ディフィシル感染症治療剤ディフィクリア錠(英名DIFICLIR)について、欧州、中東、アフリカ、および独立国家共同体(CIS)における製造販売承認を承継する資産譲渡契約(取得額109百万ユーロ)を締結し、21年6月には欧州テリトリーでの製造販売権承継をほぼ完了した。残る地域についても順次承継予定である。

■コンシューマーヘルスケア事業はヘパリーゼ群などが主力

 コンシューマーヘルスケア事業はヘパリーゼ群、コンドロイチン群、ウィズワン群を主力として、日本で初めて月経前症候群の効能を取得した西洋ハーブ・ダイレクトOTC医薬品プレフェミン、連結子会社イオナ インターナショナルの「イオナ」ブランド化粧品なども全国の薬局・薬店・ドラッグストアなどに販売している。

 21年3月期の売上高は、ヘパリーゼ群が75億46百万円、コンドロイチン群が60億79百万円、ウィズワン群が16億35百万円、その他が100億円だった。

 事業拡大に向けて、西洋ハーブ群の開発・育成、ヘパリーゼ群およびコンドロイチン群に続く新規主力製品の開発・育成、既存製品(OTC医薬品プレバリン群、オーラルケアのマスデント群やイオナ化粧品など)の育成を推進している。

 20年4月にはヘパリーゼ群の主原料である肝臓加水分解物の安定調達とコンシューマーヘルスケア事業拡大を目的として、日水製薬<4550>から日水製薬医薬品販売の全株式を譲り受けて子会社化(現社名:健創製薬)した。

 西洋ハーブ関連では21年12月に、軽度の静脈還流障害による足のむくみを改善する内服薬「ベルフェミン」(OTC医薬品)を発売した。欧州において下肢の静脈疾患(慢性静脈不全症)の治療に伝統的に使用されてきたセイヨウトチノキ種子の乾燥エキスを主成分としている。また過敏性腸症候群を適応症とするコルペルミンの発売も予定している。

■消化器分野を最重点領域として新薬開発を推進

 消化器分野を最重点領域と位置付けて新薬開発を推進している。新薬パイプラインの状況(21年11月4日現在)は以下の通りである。

 潰瘍性大腸炎を適応症とするZ−206(自社グループ品、アサコール)は中国で21年7月販売開始(開発主体であるTillotts Pharma AGが、イタリアのMenariniグループの中国現地法人に独占的販売権供与)した。

 Z−338(自社品、アコファイド)は、日本では小児機能性ディスペプシア患者を対象として第3相段階、欧州では機能性ディスペプシアを適応症として第3相段階である。

 高カリウム血症を適応症とするZG−801(ビフォーファーマ社から導入)は第3相段階である。米国では15年12月販売開始し、欧州では17年7月EMA(欧州医薬品庁)から承認取得している。

■アサコールやエントコートの拡大などを推進

 収益拡大に向けた重点施策として、医療用医薬品事業ではアサコール高用量製剤の海外販売国拡大、フェインジェクトやエントコートの市場浸透、ティロッツ社の営業体制強化、コンシューマーヘルスケア事業では主力製品に次ぐ製品群の育成、西洋ハーブ剤など特徴ある製品群の市場認知度向上による事業拡大を推進している。

 また持続的成長に向けて、消化器領域および既存事業との親和性の高い領域の薬剤導入、M&A、自社製品の海外導出を推進する方針としている。

■22年3月期3Q累計の利益は通期予想を超過達成

 22年3月期の連結業績予想(21年11月1日に利益を上方修正、収益認識会計基準適用のため増減率は収益認識会計基準を遡及適用した21年3月期実績値との比較)は、売上高が21年3月期比13.7%増の600億円、営業利益が52.5%増の53億円、経常利益が62.1%増の52億円、そして親会社株主帰属当期純利益が17.7%増の37億円としている。配当予想は、21年3月期と同額の34円(第2四半期末17円、期末17円)としている。

 第3四半期累計は収益認識基準を遡及適用した前年同期実績との比較で、売上高が11.7%増の451億04百万円、営業利益が41.6%増の54億95百万円、経常利益が57.6%増の56億13百万円、そして親会社株主帰属四半期純利益が9.2%増の40億43百万円だった。

 医療用医薬品事業が牽引して大幅増収増益だった。なお営業外では為替差損益が好転(前期は為替差損4億25百万円、今期は為替差益1億31百万円)した。特別利益では投資有価証券売却益が減少(前期は3億75百万円、今期は14百万円)し、前期計上の債務取崩益6億78百万円が剥落した。

 医療用医薬品事業は売上高が22.6%増の275億29百万円で、セグメント利益(全社費用等調整前営業利益)が62.6%増の55億43百万円だった。炎症性腸疾患(IBD)治療剤エントコートはカナダやスペインなど一部地域で苦戦したため減収だったが、主力の潰瘍性大腸炎治療剤アサコールが海外市場で好調に推移し、欧州主要国での製造販売権の承継が完了したクロストリジウム・ディフィシル感染症治療剤ディフィクリアも増収に貢献した。

 コンシューマーヘルスケア事業は売上高が1.9%減の174億55百万円で、利益が13.2%減の35億09百万円だった。ヘパリーゼ群が増収だったが、コンドロイチン群、ウィズワン群、および殺菌消毒薬などの衛生用品が競合の影響などで減収だった。

 なお四半期別に見ると、第1四半期は売上高135億48百万円、営業利益12億51百万円、経常利益20億81百万円、第2四半期は売上高150億58百万円、営業利益14億21百万円、経常利益10億35百万円、第3四半期は売上高164億98百万円、営業利益28億23百万円、経常利益24億97百万円だった。

 第3四半期累計の進捗率は、売上高が75.2%、営業利益が103.7%、経常利益が107.9%、親会社株主帰属当期純利益が109.3%となり、各利益は通期予想を超過達成している。新型コロナウイルス感染再拡大の影響や為替相場など不透明感を考慮して通期予想を据え置いたが、海外市場におけるアサコールの好調が牽引し、ディフィクリアも寄与して利益は再上振れの可能性が高く、収益拡大基調だろう。

■株主優待は年2回、9月末と3月末の株主対象

 株主優待制度は毎年9月末および3月末現在の株主を対象として、保有株式数に応じて自社グループ商品を贈呈する。なお3月1日に優待品コース内容変更(詳細は会社HP参照)を発表している。

■株価は戻り試す

 なお21年11月4日に自己株式取得(上限80万株・18億円、取得期間21年11月5日〜22年5月13日)を発表している。

 株価は地合い悪化の影響で昨年来安値を更新する場面があったが、調整一巡して反発の動きを強めている。戻りを試す展開を期待したい。2月18日の終値は1976円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS81円84銭で算出)は約24倍、今期予想配当利回り(会社予想の34円で算出)は約1.7%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS1225円69銭で算出)は約1.6倍、そして時価総額は約1050億円である。(情報提供:日 本インタビュ新聞社=Media−IR
[01月18日更新]

ゼリア新薬工業は反発の動き、22年3月期大幅増収増益予想、さらに再上振れの可能性

 ゼリア新薬工業<4559>(東1)は消化器分野が中心の医療用医薬品事業、および一般用医薬品のコンシューマーヘルスケア事業を展開している。22年3月期は潰瘍性大腸炎治療剤アサコールの拡販などで大幅増収増益予想としている。さらに再上振れの可能性が高いだろう。収益拡大を期待したい。株価は地合い悪化の影響を受ける場面があったが、調整一巡して反発の動きを強めている。出直りを期待したい。

■医療用医薬品事業とコンシューマーヘルスケア事業を展開

 消化器分野が中心の医療用医薬品事業、および一般用医薬品のコンシューマーヘルスケア事業を展開している。収益面では薬価改定、ライセンス収入・ロイヤリティ収入、研究開発費、広告宣伝費などの影響を受けやすい。

 21年3月期のセグメント別売上高構成比は医療用医薬品事業54%、コンシューマーヘルスケア事業46%、その他0%、営業利益構成比(調整前)は医療用医薬品事業42%、コンシューマーヘルスケア事業55%、その他3%だった。地域別売上比率は日本66%、欧州27%、その他7%だった。

■医療用医薬品事業は潰瘍性大腸炎治療剤アサコールなどが主力

 医療用医薬品事業は、潰瘍性大腸炎治療剤アサコール(協和キリンとの販売提携を終了して20年4月から単独販売)を主力として、炎症性腸疾患治療剤Entocort(エントコート、国内販売名ゼンタコート)や、機能性ディスペプシア治療剤アコファイドなども拡大している。20年9月には鉄欠乏性貧血治療剤フェインジェクト(開発コードZ−213、ビフォーファーマ社から導入、静注鉄剤)の販売を開始した。

 21年3月期の売上高はアサコールが165億42百万円、エントコートが48億17百万円、アコファイドが16億67百万円、その他が69億95百万円だった。

 アサコールの海外展開は、欧州を中心に高用量製剤の販売国数を拡大中(21年9月時点でドイツ、フランスをはじめとする18ヶ国で販売中)である。競合する高用量製剤の処方獲得を目指してプロモーションを展開している。また21年7月にはMenariniを通じて新たにアサコールの中国での販売を開始した。

 アコファイドについては、Meiji Seika ファルマとタイおよびインドネシアにおける独占的開発・販売ライセンス契約、スペインのFAES社とラテンアメリカにおける独占的開発・販売ライセンス契約を締結している。なおアステラス製薬<4503>と日本で行っている共同販促を21年3月で終了し、21年4月以降は単独で販促活動を行っている。

 子会社のティロッツ社(スイス)は、アストラゼネカ社からエントコートの米国を除く全世界における権利を取得(国内ではゼンタコートカプセルとして販売)し、アサコールとともに海外での拡販を推進している。

 また20年11月に、アステラス製薬の英国子会社が欧州を中心に販売しているクロストリジウム・ディフィシル感染症治療剤ディフィクリア錠(英名DIFICLIR)について、欧州、中東、アフリカ、および独立国家共同体(CIS)における製造販売承認を承継する資産譲渡契約(取得額109百万ユーロ)を締結し、21年6月には欧州テリトリーでの製造販売権承継をほぼ完了した。残る地域についても順次承継予定である。

■コンシューマーヘルスケア事業はヘパリーゼ群などが主力

 コンシューマーヘルスケア事業はヘパリーゼ群、コンドロイチン群、ウィズワン群を主力として、日本で初めて月経前症候群の効能を取得した西洋ハーブ・ダイレクトOTC医薬品プレフェミン、連結子会社イオナ インターナショナルの「イオナ」ブランド化粧品なども全国の薬局・薬店・ドラッグストアなどに販売している。

 21年3月期の売上高は、ヘパリーゼ群が75億46百万円、コンドロイチン群が60億79百万円、ウィズワン群が16億35百万円、その他が100億円だった。

 事業拡大に向けて、西洋ハーブ群の開発・育成、ヘパリーゼ群およびコンドロイチン群に続く新規主力製品の開発・育成、既存製品(OTC医薬品プレバリン群、オーラルケアのマスデント群やイオナ化粧品など)の育成を推進している。

 20年4月にはヘパリーゼ群の主原料である肝臓加水分解物の安定調達とコンシューマーヘルスケア事業拡大を目的として、日水製薬<4550>から日水製薬医薬品販売の全株式を譲り受けて子会社化(現社名:健創製薬)した。

 西洋ハーブ関連では21年12月に、軽度の静脈還流障害による足のむくみを改善する内服薬「ベルフェミン」(OTC医薬品)を発売した。欧州において下肢の静脈疾患(慢性静脈不全症)の治療に伝統的に使用されてきたセイヨウトチノキ種子の乾燥エキスを主成分としている。また過敏性腸症候群を適応症とするコルペルミンの発売も予定している。

■消化器分野を最重点領域として新薬開発を推進

 消化器分野を最重点領域と位置付けて新薬開発を推進している。新薬パイプラインの状況(21年11月4日現在)は以下の通りである。

 潰瘍性大腸炎を適応症とするZ−206(自社グループ品、アサコール)は中国で21年7月販売開始(開発主体であるTillotts Pharma AGが、イタリアのMenariniグループの中国現地法人に独占的販売権供与)した。

 Z−338(自社品、アコファイド)は、日本では小児機能性ディスペプシア患者を対象として第3相段階、欧州では機能性ディスペプシアを適応症として第3相段階である。

 高カリウム血症を適応症とするZG−801(ビフォーファーマ社から導入)は第3相段階である。米国では15年12月販売開始し、欧州では17年7月EMA(欧州医薬品庁)から承認取得している。

■アサコールやエントコートの拡大などを推進

 収益拡大に向けた重点施策として、医療用医薬品事業ではアサコール高用量製剤の海外販売国拡大、フェインジェクトやエントコートの市場浸透、ティロッツ社の営業体制強化、コンシューマーヘルスケア事業では主力製品に次ぐ製品群の育成、西洋ハーブ剤など特徴ある製品群の市場認知度向上による事業拡大を推進している。

 また持続的成長に向けて、消化器領域および既存事業との親和性の高い領域の薬剤導入、M&A、自社製品の海外導出を推進する方針としている。

■22年3月期大幅増収増益予想、さらに再上振れの可能性

 22年3月期連結業績予想(11月1日に利益を上方修正、収益認識基準適用のため増減率は収益認識基準を遡及適用した21年3月期実績値との比較)は、売上高が21年3月期比13.7%増の600億円、営業利益が52.5%増の53億円、経常利益が62.1%増の52億円、親会社株主帰属当期純利益が17.7%増の37億円としている。配当予想は21年3月期と同額の34円(第2四半期末17円、期末17円)としている。

 第2四半期累計(収益認識基準を遡及適用した前年同期実績値との比較)は、売上高が前年同期比12.1%増の286億06百万円、営業利益が67.2%増の26億72百万円、経常利益が138.4%増の31億16百万円、親会社株主帰属四半期純利益が52.4%増の21億15百万円だった。

 従来予想を上回る大幅増益だった。コンシューマーヘルスケア事業がコロナ禍の影響を受けたため売上高は従来予想を若干下回ったが、20年11月に製造販売権を承継したディフィクリアをはじめとして、欧州の医療用医薬品事業が想定以上に好調に推移した。さらに、英ポンドやユーロなどの欧州通貨に対するスイスフラン安の進行に伴って、営業外収益で為替差損益が大幅に改善(前期は4億25百万円の為替差損計上、今期は4億17百万円の為替差益計上)したことも寄与した。なお研究開発費は18.1%増の29億86百万円だった。

 セグメント別に見ると、医療用医薬品事業は売上高が24.4%増の179億97百万円で営業利益(調整前)が93.1%増の30億81百万円、コンシューマーヘルスケア事業は売上高が4.1%減の105億33百万円で営業利益が15.9%減の19億76百万円だった。

 医療用医薬品事業の売上高は、アサコールが6.7%増の85億06百万円、エントコートが18.4%増の22億45百万円、アコファイドが17.9%増の15億80百万円、その他が4.1%増の33億86百万円と伸長した。ディフィクリアの売上高は22億79百万円だった。海外の好調が牽引した。

 コンシューマーヘルスケア事業は、ヘパリーゼ群が11.9%増の32億37百万円、コンドロイチン群が5.2%増の25億95百万円、ウィズワン群が7.1%減の6億47百万円、その他が17.7%減の40億52百万円だった。医薬品ヘパリーゼやコンドロイチン群が回復傾向だが、ヘパリーゼのコンビニ流通品がコロナ禍の影響を受けた。また手指消毒薬の需要が一巡した。

 なお四半期別に見ると、第1四半期は売上高135億48百万円、営業利益12億51百万円、経常利益20億81百万円、第2四半期は売上高150億58百万円、営業利益14億21百万円、経常利益10億35百万円だった。

 通期ベースでも海外の医療用医薬品事業が牽引する見込みだ。医療用医薬品事業ではアサコールの海外売上拡大、エントコートの欧州の一部の国における薬価改定影響の一巡、アコファイドのアステラス製薬との共同販促終了と販売移管(21年4月)に伴う在庫調整影響一巡、フェインジェクトやディフィクリアの通期寄与などを見込み、コンシューマーヘルスケア事業では販促活動強化も寄与してヘパリーゼ群やコンドロイチン群の売上回復基調を見込んでいる。

 修正後の通期予想に対する第2四半期累計の進捗率は売上高47.7%、営業利益50.4%、経常利益59.9%、親会社株主帰属当期純利益57.2%と順調である。なお為替相場の先行きが不透明な状況として、通期ベースでは為替差損益の発生を見込んでいない。第2四半期累計が計画を上回る大幅増益であり、通期予想は再上振れの可能性が高いだろう。収益拡大を期待したい。

■株主優待は年2回、9月末と3月末の株主対象

 株主優待制度は毎年9月末および3月末現在の株主を対象として、保有株式数に応じて自社グループ商品を贈呈する。なお3月1日に優待品コース内容変更(詳細は会社HP参照)を発表している。

■株価は反発の動き

 なお11月4日に自己株式取得(上限80万株・18億円、取得期間21年11月5日〜22年5月13日)を発表している。

 株価は地合い悪化の影響を受ける場面があったが、調整一巡して反発の動きを強めている。出直りを期待したい。1月17日の終値は2002円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS81円80銭で算出)は約24倍、今期予想配当利回り(会社予想の34円で算出)は約1.7%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS1225円69銭で算出)は約1.6倍、時価総額は約1063億円である。(情報提供:日 本インタビュ新聞社=Media−IR
[12月21日更新]

ゼリア新薬工業は戻り試す、22年3月期は再上振れの可能性

 ゼリア新薬工業<4559>(東1)は消化器分野が中心の医療用医薬品事業、および一般用医薬品のコンシューマーヘルスケア事業を展開している。22年3月期は潰瘍性大腸炎治療剤アサコールの拡販などで大幅営業・経常増益予想としている。第2四半期累計が計画を上回る大幅増益であり、通期予想は再上振れの可能性が高いだろう。収益拡大を期待したい。なお12月20日に軽度の静脈還流障害による足のむくみを改善する西洋ハーブを有効成分とする内服薬「ベルフェミン」の新発売を発表している。株価は地合い悪化の影響で水準を切り下げたが大きく下押す動きも見られない。調整一巡して戻りを試す展開を期待したい。

■医療用医薬品事業とコンシューマーヘルスケア事業を展開

 消化器分野が中心の医療用医薬品事業、および一般用医薬品のコンシューマーヘルスケア事業を展開している。収益面では薬価改定、ライセンス収入・ロイヤリティ収入、研究開発費、広告宣伝費などの影響を受けやすい。

 21年3月期のセグメント別売上高構成比は医療用医薬品事業54%、コンシューマーヘルスケア事業46%、その他0%、営業利益構成比(調整前)は医療用医薬品事業42%、コンシューマーヘルスケア事業55%、その他3%だった。地域別売上比率は日本66%、欧州27%、その他7%だった。

■医療用医薬品事業は潰瘍性大腸炎治療剤アサコールなどが主力

 医療用医薬品事業は、潰瘍性大腸炎治療剤アサコール(協和キリンとの販売提携を終了して20年4月から単独販売)を主力として、炎症性腸疾患治療剤Entocort(エントコート、国内販売名ゼンタコート)や、機能性ディスペプシア治療剤アコファイドなども拡大している。20年9月には鉄欠乏性貧血治療剤フェインジェクト(開発コードZ−213、ビフォーファーマ社から導入、静注鉄剤)の販売を開始した。

 21年3月期の売上高はアサコールが165億42百万円、エントコートが48億17百万円、アコファイドが16億67百万円、その他が69億95百万円だった。

 アサコールの海外展開は、欧州を中心に高用量製剤の販売国数を拡大中(21年9月時点でドイツ、フランスをはじめとする18ヶ国で販売中)である。競合する高用量製剤の処方獲得を目指してプロモーションを展開している。また21年7月にはMenariniを通じて新たにアサコールの中国での販売を開始した。

 アコファイドについては、Meiji Seika ファルマとタイおよびインドネシアにおける独占的開発・販売ライセンス契約、スペインのFAES社とラテンアメリカにおける独占的開発・販売ライセンス契約を締結している。なおアステラス製薬<4503>と日本で行っている共同販促を21年3月で終了し、4月以降は単独で販促活動を行っている。

 子会社のティロッツ社(スイス)は、アストラゼネカ社からエントコートの米国を除く全世界における権利を取得(国内ではゼンタコートカプセルとして販売)し、アサコールとともに海外での拡販を推進している。

 また20年11月に、アステラス製薬の英国子会社が欧州を中心に販売しているクロストリジウム・ディフィシル感染症治療剤ディフィクリア錠(英名DIFICLIR)について、欧州、中東、アフリカ、および独立国家共同体(CIS)における製造販売承認を承継する資産譲渡契約(取得額109百万ユーロ)を締結し、21年6月には欧州テリトリーでの製造販売権承継をほぼ完了した。残る地域についても順次承継予定である。

■コンシューマーヘルスケア事業はヘパリーゼ群などが主力

 コンシューマーヘルスケア事業はヘパリーゼ群、コンドロイチン群、ウィズワン群を主力として、日本で初めて月経前症候群の効能を取得した西洋ハーブ・ダイレクトOTC医薬品プレフェミン、連結子会社イオナ インターナショナルの「イオナ」ブランド化粧品なども全国の薬局・薬店・ドラッグストアなどに販売している。

 21年3月期の売上高は、ヘパリーゼ群が75億46百万円、コンドロイチン群が60億79百万円、ウィズワン群が16億35百万円、その他が100億円だった。

 事業拡大に向けて、西洋ハーブ群の開発・育成、ヘパリーゼ群およびコンドロイチン群に続く新規主力製品の開発・育成、既存製品(OTC医薬品プレバリン群、オーラルケアのマスデント群やイオナ化粧品など)の育成を推進している。

 20年4月にはヘパリーゼ群の主原料である肝臓加水分解物の安定調達とコンシューマーヘルスケア事業拡大を目的として、日水製薬<4550>から日水製薬医薬品販売の全株式を譲り受けて子会社化(現社名:健創製薬)した。

 西洋ハーブ関連では、軽度の静脈還流障害による足のむくみを改善する内服薬「ベルフェミン」(OTC医薬品)の新発売を発表した。欧州において下肢の静脈疾患(慢性静脈不全症)の治療に伝統的に使用されてきたセイヨウトチノキ種子の乾燥エキスを主成分としている。また過敏性腸症候群を適応症とするコルペルミンの発売も予定している。

■消化器分野を最重点領域として新薬開発を推進

 消化器分野を最重点領域と位置付けて新薬開発を推進している。新薬パイプラインの状況(21年11月4日現在)は以下の通りである。

 潰瘍性大腸炎を適応症とするZ−206(自社グループ品、アサコール)は中国で21年7月販売開始(開発主体であるTillotts Pharma AGが、イタリアのMenariniグループの中国現地法人に独占的販売権供与)した。

 Z−338(自社品、アコファイド)は、日本では小児機能性ディスペプシア患者を対象として第3相段階、欧州では機能性ディスペプシアを適応症として第3相段階である。

 高カリウム血症を適応症とするZG−801(ビフォーファーマ社から導入)は第3相段階である。米国では15年12月販売開始し、欧州では17年7月EMA(欧州医薬品庁)から承認取得している。

■アサコールやエントコートの拡大などを推進

 収益拡大に向けた重点施策として、医療用医薬品事業ではアサコール高用量製剤の海外販売国拡大、フェインジェクトやエントコートの市場浸透、ティロッツ社の営業体制強化、コンシューマーヘルスケア事業では主力製品に次ぐ製品群の育成、西洋ハーブ剤など特徴ある製品群の市場認知度向上による事業拡大を推進している。

 また持続的成長に向けて、消化器領域および既存事業との親和性の高い領域の薬剤導入、M&A、自社製品の海外導出を推進する方針としている。

■22年3月期は再上振れの可能性

 22年3月期連結業績予想(11月1日に利益を上方修正、収益認識基準適用のため増減率は収益認識基準を遡及適用した21年3月期実績値との比較)は、売上高が21年3月期比13.7%増の600億円、営業利益が52.5%増の53億円、経常利益が62.1%増の52億円、親会社株主帰属当期純利益が17.7%増の37億円としている。配当予想は21年3月期と同額の34円(第2四半期末17円、期末17円)としている。

 第2四半期累計(収益認識基準を遡及適用した前年同期実績値との比較)は、売上高が前年同期比12.1%増の286億06百万円、営業利益が67.2%増の26億72百万円、経常利益が138.4%増の31億16百万円、親会社株主帰属四半期純利益が52.4%増の21億15百万円だった。

 従来予想を上回る大幅増益だった。コンシューマーヘルスケア事業がコロナ禍の影響を受けたため売上高は従来予想を若干下回ったが、20年11月に製造販売権を承継したディフィクリアをはじめとして、欧州の医療用医薬品事業が想定以上に好調に推移した。さらに、英ポンドやユーロなどの欧州通貨に対するスイスフラン安の進行に伴って、営業外収益で為替差損益が大幅に改善(前期は4億25百万円の為替差損計上、今期は4億17百万円の為替差益計上)したことも寄与した。なお研究開発費は18.1%増の29億86百万円だった。

 セグメント別に見ると、医療用医薬品事業は売上高が24.4%増の179億97百万円で営業利益(調整前)が93.1%増の30億81百万円、コンシューマーヘルスケア事業は売上高が4.1%減の105億33百万円で営業利益が15.9%減の19億76百万円だった。

 医療用医薬品事業の売上高は、アサコールが6.7%増の85億06百万円、エントコートが18.4%増の22億45百万円、アコファイドが17.9%増の15億80百万円、その他が4.1%増の33億86百万円と伸長した。ディフィクリアの売上高は22億79百万円だった。海外の好調が牽引した。

 コンシューマーヘルスケア事業は、ヘパリーゼ群が11.9%増の32億37百万円、コンドロイチン群が5.2%増の25億95百万円、ウィズワン群が7.1%減の6億47百万円、その他が17.7%減の40億52百万円だった。医薬品ヘパリーゼやコンドロイチン群が回復傾向だが、ヘパリーゼのコンビニ流通品がコロナ禍の影響を受けた。また手指消毒薬の需要が一巡した。

 なお四半期別に見ると、第1四半期は売上高135億48百万円、営業利益12億51百万円、経常利益20億81百万円、第2四半期は売上高150億58百万円、営業利益14億21百万円、経常利益10億35百万円だった。

 通期ベースでも海外の医療用医薬品事業が牽引する見込みだ。医療用医薬品事業ではアサコールの海外売上拡大、エントコートの欧州の一部の国における薬価改定影響の一巡、アコファイドのアステラス製薬との共同販促終了と販売移管(21年4月)に伴う在庫調整影響一巡、フェインジェクトやディフィクリアの通期寄与などを見込み、コンシューマーヘルスケア事業では販促活動強化も寄与してヘパリーゼ群やコンドロイチン群の売上回復基調を見込んでいる。

 修正後の通期予想に対する第2四半期累計の進捗率は売上高47.7%、営業利益50.4%、経常利益59.9%、親会社株主帰属当期純利益57.2%と順調である。なお為替相場の先行きが不透明な状況として、通期ベースでは為替差損益の発生を見込んでいない。第2四半期累計が計画を上回る大幅増益であり、通期予想は再上振れの可能性が高いだろう。収益拡大を期待したい。

■株主優待は年2回、9月末と3月末の株主対象

 株主優待制度は毎年9月末および3月末現在の株主を対象として、保有株式数に応じて自社グループ商品を贈呈する。なお3月1日に優待品コース内容変更(詳細は会社HP参照)を発表している。

■株価は戻り試す

 なお11月4日に自己株式取得(上限80万株・18億円、取得期間21年11月5日〜22年5月13日)を発表している。

 株価は地合い悪化の影響で水準を切り下げたが大きく下押す動きも見られない。調整一巡して戻りを試す展開を期待したい。12月20日の終値は1948円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS81円80銭で算出)は約24倍、今期予想配当利回り(会社予想の34円で算出)は約1.7%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS1225円69銭で算出)は約1.6倍、時価総額は約1035億円である。(情報提供:日 本インタビュ新聞社=Media−IR
[11月26日更新]

ゼリア新薬工業は調整一巡、22年3月期は再上振れの可能性

 ゼリア新薬工業<4559>(東1)は消化器分野が中心の医療用医薬品事業、および一般用医薬品のコンシューマーヘルスケア事業を展開している。22年3月期は潰瘍性大腸炎治療剤アサコールの拡販などで大幅営業・経常増益予想としている。第2四半期累計は欧州の医療用医薬品事業が好調に推移し、為替差益も寄与して計画を上回る大幅増益だった。通期は為替差益を見込んでいないため再上振れの可能性が高いだろう。収益拡大を期待したい。株価は反発力が鈍く上値を切り下げる形となったが、大きく下押す動きも見られない。調整一巡して出直りを期待したい。

■医療用医薬品事業とコンシューマーヘルスケア事業を展開

 消化器分野が中心の医療用医薬品事業、および一般用医薬品のコンシューマーヘルスケア事業を展開している。収益面では薬価改定、ライセンス収入・ロイヤリティ収入、研究開発費、広告宣伝費などの影響を受けやすい。

 21年3月期のセグメント別売上高構成比は医療用医薬品事業54%、コンシューマーヘルスケア事業46%、その他0%、営業利益構成比(調整前)は医療用医薬品事業42%、コンシューマーヘルスケア事業55%、その他3%だった。地域別売上比率は日本66%、欧州27%、その他7%だった。

■医療用医薬品事業は潰瘍性大腸炎治療剤アサコールなどが主力

 医療用医薬品事業は、潰瘍性大腸炎治療剤アサコール(協和キリンとの販売提携を終了して20年4月から単独販売)を主力として、炎症性腸疾患治療剤Entocort(エントコート、国内販売名ゼンタコート)や、機能性ディスペプシア治療剤アコファイドなども拡大している。また20年9月には鉄欠乏性貧血治療剤フェインジェクト(開発コードZ−213、ビフォーファーマ社から導入、静注鉄剤)の販売を開始した。

 21年3月期の売上高はアサコールが165億42百万円、エントコートが48億17百万円、アコファイドが16億67百万円、その他が69億95百万円だった。

 アサコールの海外展開については、欧州を中心に販売国数を拡大中(21年9月時点でドイツ、フランスをはじめとする18ヶ国で販売中)である。さらに競合する高用量製剤の処方獲得を目指してプロモーションを展開している。21年7月にはMenariniを通じて中国での販売を開始した。

 アコファイドについては、Meiji Seika ファルマとタイおよびインドネシアにおける独占的開発・販売ライセンス契約、スペインのFAES社とラテンアメリカにおける独占的開発・販売ライセンス契約を締結している。なおアステラス製薬<4503>と日本で行っている共同販促を21年3月で終了し、4月以降は単独で販促活動を行っている。

 子会社のティロッツ社(スイス)は、アストラゼネカ社からエントコートの米国を除く全世界における権利を取得(国内ではゼンタコートカプセルとして販売)し、アサコールとともに海外での拡販を推進している。

 また20年11月に、アステラス製薬の英国子会社が欧州を中心に販売しているクロストリジウム・ディフィシル感染症治療剤ディフィクリア錠(英名DIFICLIR)について、欧州、中東、アフリカ、および独立国家共同体(CIS)における製造販売承認を承継する資産譲渡契約(取得額109百万ユーロ)を締結し、21年6月には欧州テリトリーでの製造販売権承継をほぼ完了した。残る地域についても順次承継予定である。

■コンシューマーヘルスケア事業はヘパリーゼ群などが主力

 コンシューマーヘルスケア事業はヘパリーゼ群、コンドロイチン群、ウィズワン群を主力として、日本で初めて月経前症候群の効能を取得した西洋ハーブ・ダイレクトOTC医薬品プレフェミン、連結子会社イオナ インターナショナルの「イオナ」ブランド化粧品なども全国の薬局・薬店・ドラッグストアなどに販売している。

 21年3月期の売上高は、ヘパリーゼ群が75億46百万円、コンドロイチン群が60億79百万円、ウィズワン群が16億35百万円、その他が100億円だった。

 事業拡大に向けて、西洋ハーブ群の開発・育成、ヘパリーゼ群およびコンドロイチン群に続く新規主力製品の開発・育成、既存製品(OTC医薬品プレバリン群、オーラルケア・化粧品のマスデントやイオナ化粧品など)の育成を推進している。

 20年4月にはヘパリーゼ群の主原料である肝臓加水分解物の安定調達とコンシューマーヘルスケア事業拡大を目的として、日水製薬<4550>から日水製薬医薬品販売の全株式を譲り受けて子会社化(現社名:健創製薬)した。

 西洋ハーブ関連では21年度に、軽度の静脈還流障害による足のむくみ改善薬ベルフェミン(20年11月に製造販売承認取得、OTC医薬品)、および過敏性腸症候群を適応症とするコルペルミンの発売を予定している。

■消化器分野を最重点領域として新薬開発を推進

 消化器分野を最重点領域と位置付けて新薬開発を推進している。新薬パイプラインの状況(21年11月4日現在)は以下の通りである。

 潰瘍性大腸炎を適応症とするZ−206(自社グループ品、アサコール)は中国で20年4月承認取得、21年7月販売開始(開発主体であるTillotts Pharma AGが、イタリアのMenariniグループの中国現地法人に独占的販売権供与)した。

 Z−338(自社品、アコファイド)は、日本では小児機能性ディスペプシア患者を対象として第3相段階、欧州では機能性ディスペプシアを適応症として第3相段階である。

 高カリウム血症を適応症とするZG−801(ビフォーファーマ社から導入)は第3相段階である。米国では15年12月販売開始し、欧州では17年7月EMA(欧州医薬品庁)から承認取得している。

■アサコールやエントコートの拡大などを推進

 収益拡大に向けた重点施策として、医療用医薬品事業ではアサコール高用量製剤の海外販売国拡大、フェインジェクトやエントコートの市場浸透、ティロッツ社の営業体制強化、コンシューマーヘルスケア事業では主力製品に次ぐ製品群の育成、西洋ハーブ剤など特徴ある製品群の市場認知度向上による事業拡大を推進している。

 また持続的成長に向けて、消化器領域および既存事業との親和性の高い領域の薬剤導入、M&A、自社製品の海外導出を推進する方針としている。

■22年3月期2Q累計大幅増益、通期は再上振れの可能性

 22年3月期連結業績予想(11月1日に利益を上方修正、収益認識基準適用のため増減率は収益認識基準を遡及適用した21年3月期実績値との比較)は、売上高が21年3月期比13.7%増の600億円、営業利益が52.5%増の53億円、経常利益が62.1%増の52億円、親会社株主帰属当期純利益が17.7%増の37億円としている。配当予想は21年3月期と同額の34円(第2四半期末17円、期末17円)としている。

 第2四半期累計(収益認識基準を遡及適用した前年同期実績値との比較)は、売上高が前年同期比12.1%増の286億06百万円、営業利益が67.2%増の26億72百万円、経常利益が138.4%増の31億16百万円、親会社株主帰属四半期純利益が52.4%増の21億15百万円だった。

 従来予想を上回る大幅増益だった。コンシューマーヘルスケア事業がコロナ禍の影響を受けたため売上高は従来予想を若干下回ったが、20年11月に製造販売権を承継したディフィクリアをはじめとして、欧州の医療用医薬品事業が想定以上に好調に推移した。さらに、英ポンドやユーロなどの欧州通貨に対するスイスフラン安の進行に伴って、営業外収益で為替差損益が大幅に改善(前期は4億25百万円の為替差損計上、今期は4億17百万円の為替差益計上)したことも寄与した。なお研究開発費は18.1%増の29億86百万円だった。

 セグメント別に見ると、医療用医薬品事業は売上高が24.4%増の179億97百万円で営業利益(調整前)が93.1%増の30億81百万円、コンシューマーヘルスケア事業は売上高が4.1%減の105億33百万円で営業利益が15.9%減の19億76百万円だった。

 医療用医薬品事業の売上高は、アサコールが6.7%増の85億06百万円、エントコートが18.4%増の22億45百万円、アコファイドが17.9%増の15億80百万円、その他が4.1%増の33億86百万円と伸長した。ディフィクリアの売上高は22億79百万円だった。海外の好調が牽引した。

 コンシューマーヘルスケア事業は、ヘパリーゼ群が11.9%増の32億37百万円、コンドロイチン群が5.2%増の25億95百万円、ウォズワン群が7.1%減の6億47百万円、その他が17.7%減の40億52百万円だった。医薬品ヘパリーゼやコンドロイチン群が回復傾向だが、コンビニ流通品がコロナ禍の影響を受け、手指消毒薬の需要が一巡した。

 なお四半期別に見ると、第1四半期は売上高135億48百万円、営業利益12億51百万円、経常利益20億81百万円、第2四半期は売上高150億58百万円、営業利益14億21百万円、経常利益10億35百万円だった。

 通期ベースでも海外の医療用医薬品事業が牽引する見込みだ。医療用医薬品事業ではアサコールの海外売上拡大、エントコートの欧州の一部の国における薬価改定影響の一巡、アコファイドのアステラス製薬との共同販促終了と販売移管(21年4月)に伴う在庫調整影響一巡、フェインジェクトやディフィクリアの通期寄与などを見込み、コンシューマーヘルスケア事業では販促活動強化も寄与してヘパリーゼ群やコンドロイチン群の売上回復基調を見込んでいる。

 修正後の通期予想に対する第2四半期累計の進捗率は売上高47.7%、営業利益50.4%、経常利益59.9%、親会社株主帰属当期純利益57.2%と順調である。なお為替相場の先行きが不透明な状況として、通期ベースでは為替差損益の発生を見込んでいない。このため通期予想は再上振れの可能性が高いだろう。収益拡大を期待したい。

■株主優待は年2回、9月末と3月末の株主対象

 株主優待制度は毎年9月末および3月末現在の株主を対象として、保有株式数に応じて自社グループ商品を贈呈する。なお3月1日に優待品コース内容変更(詳細は会社HP参照)を発表している。

■株価は調整一巡

 なお11月4日に自己株式取得(上限80万株・18億円、取得期間21年11月5日〜22年5月13日)を発表している。

 株価は反発力が鈍く上値を切り下げる形となったが、大きく下押す動きも見られない。調整一巡して出直りを期待したい。11月25日の終値は2002円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS81円80銭で算出)は約24倍、今期予想配当利回り(会社予想の34円で算出)は約1.7%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS1225円69銭で算出)は約1.6倍、時価総額は約1063億円である。(情報提供:日 本インタビュ新聞社=Media−IR
[11月05日更新]

ゼリア新薬工業は22年3月期2Q累計大幅増益、自己株式取得も発表

 ゼリア新薬工業<4559>(東1)は11月4日の取引時間終了後に22年3月期第2四半期累計連結業績(11月1日に上方修正)を発表した。欧州の医療用医薬品事業が好調に推移し、為替差益も寄与して大幅増益だった。通期も大幅増益予想としている。為替差益を見込んでいないため再上振れの可能性が高いだろう。収益拡大を期待したい。なお自己株式取得(上限80万株・18億円)も発表した。株価は反発力の鈍い形だが、好業績や自己株式取得を評価して戻りを試す展開を期待したい。

■22年3月期2Q累計大幅増益、通期は再上振れの可能性

 22年3月期第2四半期累計連結業績(収益認識基準適用、11月1日に売上高を下方、利益を上方修正)は、収益認識基準を遡及適用した前年同期実績との比較で、売上高が12.1%増の286億06百万円、営業利益が67.2%増の26億72百万円、経常利益が138.4%増の31億16百万円、親会社株主帰属四半期純利益が52.4%増の21億15百万円だった。

 従来予想を上回る大幅増益だった。コロナ禍の影響でコンシューマーヘルスケア事業の低迷が続いたため、売上高は従来予想を若干下回ったが、20年11月に製造販売権を承継したディフィクリアをはじめとして、欧州の医療用医薬品事業が想定以上に好調に推移した。さらに、英ポンドやユーロなどの欧州通貨に対するスイスフラン安の進行に伴って、営業外収益で為替差損益が大幅に改善(前期は4億25百万円の為替差損計上、今期は4億17百万円の為替差益計上)したことも寄与した。

 セグメント別に見ると、医療用医薬品事業は売上高が24.4%増の179億97百万円で営業利益(調整前)が93.1%増の30億81百万円、コンシューマーヘルスケア事業は売上高が4.1%減の105億33百万円で営業利益が15.9%減の19億76百万円だった。

 四半期別に見ると、第1四半期は売上高135億48百万円、営業利益12億51百万円、経常利益20億81百万円、第2四半期は売上高150億58百万円、営業利益14億21百万円、経常利益10億35百万円だった。

 通期の連結業績予想(収益認識基準適用、11月1日に利益を上方修正)は、収益認識基準を遡及適用した前期実績との比較で、売上高が13.7%増の600億円、営業利益が52.5%増の53億円、経常利益が62.1%増の52億円、親会社株主帰属当期純利益が17.7%増の37億円としている。配当予想は21年3月期と同額の34円(第2四半期末17円、期末17円)としている。

 海外の医療用医薬品事業が下期も好調に推移する見込みだ。修正後の通期予想に対する第2四半期累計の進捗率は売上高が47.7%、営業利益が50.4%、経常利益が59.9%、親会社株主帰属当期純利益が57.2%と順調である。為替相場の先行きが不透明な状況として、通期ベースでは為替差損益の発生を見込んでいない。このため通期予想は再上振れの可能性が高いだろう。収益拡大を期待したい。

■株価は戻り試す

 なお11月4日に自己株式取得(上限80万株・18億円、取得期間21年11月5日〜22年5月13日)も発表している。

 株価は反発力の鈍い形だが、好業績や自己株式取得を評価して戻りを試す展開を期待したい。11月4日の終値は2010円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS81円80銭で算出)は約25倍、時価総額は約1068億円である。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media−IR
[10月15日更新]

ゼリア新薬工業は調整一巡、22年3月期大幅営業・経常増益予想

 ゼリア新薬工業<4559>(東1)は消化器分野が中心の医療用医薬品事業、および一般用医薬品のコンシューマーヘルスケア事業を展開している。22年3月期は主力の潰瘍性大腸炎治療剤アサコールの売上拡大などで大幅営業・経常増益予想としている。第1四半期が順調であり、通期ベースでも収益拡大を期待したい。株価は地合い悪化の影響で戻り高値圏から急反落の形となったが、調整一巡して出直りを期待したい。

■医療用医薬品事業とコンシューマーヘルスケア事業を展開

 消化器分野が中心の医療用医薬品事業、および一般用医薬品のコンシューマーヘルスケア事業を展開している。収益面では薬価改定、ライセンス収入・ロイヤリティ収入、研究開発費、広告宣伝費などの影響を受けやすい。

 21年3月期のセグメント別売上高構成比は医療用医薬品事業54%、コンシューマーヘルスケア事業46%、その他0%、営業利益構成比(調整前)は医療用医薬品事業42%、コンシューマーヘルスケア事業55%、その他3%だった。地域別売上比率は日本66%、欧州27%、その他7%だった。

■医療用医薬品事業は潰瘍性大腸炎治療剤アサコールなどが主力

 医療用医薬品事業は、潰瘍性大腸炎治療剤アサコール(協和キリンとの販売提携を終了して20年4月から単独販売)を主力として、炎症性腸疾患治療剤Entocort(エントコート、国内販売名ゼンタコート)や機能性ディスペプシア治療剤アコファイドなども拡大している。

 21年3月期の売上高はアサコールが165億42百万円、エントコートが48億17百万円、アコファイドが16億67百万円、その他が69億95百万円だった。

 アサコールについては、海外で既存製剤に加えて、高用量製剤の上市活動を推進している。アコファイドについては、Meiji Seika ファルマとタイおよびインドネシアにおける独占的開発・販売ライセンス契約、スペインのFAES社とラテンアメリカにおける独占的開発・販売ライセンス契約を締結している。なおアステラス製薬<4503>と日本で行っている共同販促を21年3月で終了し、4月以降は単独で販促活動を行っている。

 20年9月には、鉄欠乏性貧血治療剤フェインジェクト静注500mg(開発コードZ−213)の販売を開始した。日本の鉄製剤市場で販売されている注射剤は従来1剤のみで、治療選択肢が限られた状況となっていた。本剤は新たな選択肢として期待されている。

 子会社のティロッツ社(スイス)は、アストラゼネカ社からエントコートの米国を除く全世界における権利を取得した。国内ではゼンタコートカプセルとして販売している。また20年11月には、アステラス製薬の英国子会社が欧州を中心に販売しているクロストリジウム・ディフィシル感染症治療剤ディフィクリア錠(英名DIFICLIR)について、欧州、中東、アフリカおよび独立国家共同体(CIS)における製造販売承認を承継する資産譲渡契約(取得額109百万ユーロ)を締結した。

■コンシューマーヘルスケア事業はヘパリーゼ群などが主力

 コンシューマーヘルスケア事業はヘパリーゼ群、コンドロイチン群、ウィズワン群を主力として、日本で初めて月経前症候群の効能を取得した西洋ハーブ・ダイレクトOTC医薬品プレフェミン、連結子会社イオナ インターナショナルの「イオナ」ブランド化粧品なども全国の薬局・薬店・ドラッグストアなどに販売している。

 21年3月期の売上高は、ヘパリーゼ群が75億46百万円、コンドロイチン群が60億79百万円、ウィズワン群が16億35百万円、その他が100億円だった。

 20年4月にはヘパリーゼ群の主原料である肝臓加水分解物の安定調達とコンシューマーヘルスケア事業拡大を目的として、日水製薬<4550>から日水製薬医薬品販売の全株式を譲り受けて子会社化(現社名:健創製薬)した。

 21年9月には「ハイゼリーFE」(指定医薬部外品)を全国の薬局およびドラッグストアで販売開始した。21年10月には「イオナ スパ&ミネラル Wクレンジング」(化粧品)を全国の薬局およびドラッグストアで販売開始した。メイク落としと洗顔の機能を両立させたオールインワン洗顔剤である。

■消化器分野を最重点領域として新薬開発を推進

 消化器分野を最重点領域と位置付けて新薬開発を推進している。新薬パイプラインの状況(21年5月11日現在)は以下の通りである。

 鉄欠乏性貧血を適応症とするZ−213(ビフォーファーマ社から導入)は、19年3月鉄欠乏性貧血治療剤フェインジェクト静注500mgとして国内製造販売承認を取得、20年9月販売開始した。

 子宮頸癌を適応症とするZ−100(自社品)は第3相(日本を含むアジア共同治験)段階である。予定された患者登録をすべて終了している。第10次中期経営計画(20〜22年度)期間内の日本での製造販売承認申請を目標としている。

 Z−338(自社品、アコファイド)は、日本では小児機能性ディスペプシア患者を対象とする第3相段階、欧州では機能性ディスペプシアを適応症として第3相段階である。

 高カリウム血症を適応症とするZG−801(ビフォーファーマ社から導入)は第3相段階である。米国では15年12月販売開始し、欧州では17年7月EMA(欧州医薬品庁)から承認取得している。また高カリウム血症を伴う慢性心不全を適応症として国際共同治験に参加して第3相段階である。

 潰瘍性大腸炎を適応症とするZ−206(自社グループ品、アサコール)は中国で20年4月承認取得した。販売については、開発主体であるTillotts Pharma AGが、イタリアのMenariniグループの中国現地法人と独占的販売権供与に関する契約を締結している。

 なおベルフェミン(OTC医薬品、西洋ハーブ)について、20年11月に厚生労働省から、軽度の静脈還流障害(静脈の血流が滞ること)による足のむくみ改善薬の製造販売承認を取得した。

■アサコールやエントコートの拡大などを推進

 収益拡大に向けた重点施策として、医療用医薬品事業ではアサコール高用量製剤の海外販売国拡大、フェインジェクトやエントコートの市場浸透、ティロッツ社の営業体制強化、コンシューマーヘルスケア事業では主力製品に次ぐ製品群の育成、西洋ハーブ剤など特徴ある製品群の市場認知度向上による事業拡大を推進している。

 また持続的成長に向けて、消化器領域および既存事業との親和性の高い領域の薬剤導入やM&A、自社製品の海外導出も検討する方針としている。

■22年3月期大幅営業・経常増益予想

 22年3月期連結業績予想(第1四半期から収益認識に関する企業会計基準第29号適用のため、対前期比増減率は遡及修正後の21年3月期実績数値との比較)は、売上高が21年3月期比13.7%増の600億円、営業利益が38.1%増の48億円、経常利益が49.6%増の48億円、親会社株主帰属当期純利益が5.0%増の33億円としている。配当予想は21年3月期と同額の34円(第2四半期末17円、期末17円)としている。

 第1四半期は、売上高が前年同期比(遡及修正後)6.4%増の135億48百万円、営業利益が18.3%増の12億51百万円、経常利益が3.3倍の20億81百万円、親会社株主帰属四半期純利益が44.8%増の14億08百万円だった。営業外では為替差損益が大幅に改善(前年同期は為替差損5億73百万円を計上、今期は為替差益7億31百万円を計上)した。特別利益では前年同期に計上した債務取崩益6億74百万円が剥落した。

 セグメント別に見ると、医療用医薬品事業は売上高が9.4%増の82億59百万円で営業利益が29.2%増の15億46百万円だった。潰瘍性大腸炎治療剤アサコールと炎症性腸疾患(IBD)治療剤エントコートが薬価改定影響で伸び悩んだが、20年11月に欧州等での製造販売権を承継したクロストリジウム・ディフィシル感染症治療剤ディフィクリアなどが寄与して増収増益だった。

 コンシューマーヘルスケア事業は売上高が2.0%増の52億53百万円で営業利益が7.0%減の9億86百万円だった。新型コロナ影響が継続しているが、ヘパリーゼ群やコンドロイチン群の売上が回復基調としている。

 通期も大幅営業・経常増益予想としている。医療用医薬品事業ではアサコールの海外売上拡大、エントコートの欧州の一部の国における薬価改定影響の一巡、アコファイドのアステラス製薬との共同販促終了と販売移管(21年4月)に伴う在庫調整影響一巡、フェインジェクトやディフィクリアの通期寄与などを見込み、コンシューマーヘルスケア事業では販促活動強化も寄与してヘパリーゼ群やコンドロイチン群の売上回復基調を見込んでいる。

 第1四半期の進捗率は売上高22.6%、営業利益26.1%、経常利益43.4%と順調だった。通期ベースでも収益拡大を期待したい。

■株主優待は年2回、9月末と3月末の株主対象

 株主優待制度は毎年9月末および3月末現在の株主を対象として、保有株式数に応じて自社グループ商品を贈呈する。なお3月1日に優待品コース内容変更(詳細は会社HP参照)を発表している。

■株価は調整一巡

 なお5月11日に、自己株式取得(上限80万株・18億円、取得期間21年5月17日〜21年11月4日)を発表している。

 株価は地合い悪化の影響で戻り高値圏から急反落の形となったが、調整一巡して出直りを期待したい。10月14日の終値は2009円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS72円70銭で算出)は約28倍、今期予想配当利回り(会社予想の34円で算出)は約1.7%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS1225円69銭で算出)は約1.6倍、時価総額は約1067億円である。(情報提供:日 本インタビュ新聞社=Media−IR
[09月17日更新]

ゼリア新薬工業は年初来高値に接近、22年3月期大幅営業・経常増益予想

 ゼリア新薬工業<4559>(東1)は消化器分野が中心の医療用医薬品事業、および一般用医薬品のコンシューマーヘルスケア事業を展開している。22年3月期は主力の潰瘍性大腸炎治療剤アサコールの売上拡大などで大幅営業・経常増益予想としている。収益拡大を期待したい。株価は順調に水準を切り上げて3月の年初来高値に接近している。上値を試す展開を期待したい。

■医療用医薬品事業とコンシューマーヘルスケア事業を展開

 消化器分野が中心の医療用医薬品事業、および一般用医薬品のコンシューマーヘルスケア事業を展開している。収益面では薬価改定、ライセンス収入・ロイヤリティ収入、研究開発費、広告宣伝費などの影響を受けやすい。

 21年3月期のセグメント別売上高構成比は医療用医薬品事業54%、コンシューマーヘルスケア事業46%、その他0%、営業利益構成比(調整前)は医療用医薬品事業42%、コンシューマーヘルスケア事業55%、その他3%だった。地域別売上比率は日本66%、欧州27%、その他7%だった。

■医療用医薬品事業は潰瘍性大腸炎治療剤アサコールなどが主力

 医療用医薬品事業は、潰瘍性大腸炎治療剤アサコール(協和キリンとの販売提携を終了して20年4月から単独販売)を主力として、炎症性腸疾患治療剤Entocort(エントコート、国内販売名ゼンタコート)や機能性ディスペプシア治療剤アコファイドなども拡大している。

 21年3月期の売上高はアサコールが165億42百万円、エントコートが48億17百万円、アコファイドが16億67百万円、その他が69億95百万円だった。

 アサコールについては、海外で既存製剤に加えて、高用量製剤の上市活動を推進している。アコファイドについては、Meiji Seika ファルマとタイおよびインドネシアにおける独占的開発・販売ライセンス契約、スペインのFAES社とラテンアメリカにおける独占的開発・販売ライセンス契約を締結している。なおアステラス製薬<4503>と日本で行っている共同販促を21年3月で終了し、4月以降は単独で販促活動を行っている。

 20年9月には、鉄欠乏性貧血治療剤フェインジェクト静注500mg(開発コードZ−213)の販売を開始した。日本の鉄製剤市場で販売されている注射剤は従来1剤のみで、治療選択肢が限られた状況となっていた。本剤は新たな選択肢として期待されている。

 子会社のティロッツ社(スイス)は、アストラゼネカ社からエントコートの米国を除く全世界における権利を取得した。国内ではゼンタコートカプセルとして販売している。また20年11月には、アステラス製薬の英国子会社が欧州を中心に販売しているクロストリジウム・ディフィシル感染症治療剤ディフィクリア錠(英名DIFICLIR)について、欧州、中東、アフリカおよび独立国家共同体(CIS)における製造販売承認を承継する資産譲渡契約(取得額109百万ユーロ)を締結した。

■コンシューマーヘルスケア事業はヘパリーゼ群などが主力

 コンシューマーヘルスケア事業はヘパリーゼ群、コンドロイチン群、ウィズワン群を主力として、日本で初めて月経前症候群の効能を取得した西洋ハーブ・ダイレクトOTC医薬品プレフェミン、連結子会社イオナ インターナショナルの「イオナ」ブランド化粧品なども全国の薬局・薬店・ドラッグストアなどに販売している。

 21年3月期の売上高は、ヘパリーゼ群が75億46百万円、コンドロイチン群が60億79百万円、ウィズワン群が16億35百万円、その他が100億円だった。

 20年4月にはヘパリーゼ群の主原料である肝臓加水分解物の安定調達とコンシューマーヘルスケア事業拡大を目的として、日水製薬<4550>から日水製薬医薬品販売の全株式を譲り受けて子会社化(現社名:健創製薬)した。

 20年10月には、筋肉・骨・軟骨の構成成分を配合したビタミン含有保健剤「コンドロアミノCa錠」(指定医薬部外品)を発売した。21年9月には「ハイゼリーFE」(指定医薬部外品)を全国の薬局およびドラッグストアで販売開始した。

■消化器分野を最重点領域として新薬開発を推進

 消化器分野を最重点領域と位置付けて新薬開発を推進している。新薬パイプラインの状況(21年5月11日現在)は以下の通りである。

 鉄欠乏性貧血を適応症とするZ−213(ビフォーファーマ社から導入)は、19年3月鉄欠乏性貧血治療剤フェインジェクト静注500mgとして国内製造販売承認を取得、20年9月販売開始した。

 子宮頸癌を適応症とするZ−100(自社品)は第3相(日本を含むアジア共同治験)段階である。予定された患者登録をすべて終了している。第10次中期経営計画(20〜22年度)期間内の日本での製造販売承認申請を目標としている。

 Z−338(自社品、アコファイド)は、日本では小児機能性ディスペプシア患者を対象とする第3相段階、欧州では機能性ディスペプシアを適応症として第3相段階である。

 高カリウム血症を適応症とするZG−801(ビフォーファーマ社から導入)は第3相段階である。米国では15年12月販売開始し、欧州では17年7月EMA(欧州医薬品庁)から承認取得している。また高カリウム血症を伴う慢性心不全を適応症として国際共同治験に参加して第3相段階である。

 潰瘍性大腸炎を適応症とするZ−206(自社グループ品、アサコール)は中国で20年4月承認取得した。販売については、開発主体であるTillotts Pharma AGが、イタリアのMenariniグループの中国現地法人と独占的販売権供与に関する契約を締結している。

 なおベルフェミン(OTC医薬品、西洋ハーブ)について、20年11月に厚生労働省から、軽度の静脈還流障害(静脈の血流が滞ること)による足のむくみ改善薬の製造販売承認を取得した。

■アサコールやエントコートの拡大などを推進

 収益拡大に向けた重点施策として、医療用医薬品事業ではアサコール高用量製剤の海外販売国拡大、フェインジェクトやエントコートの市場浸透、ティロッツ社の営業体制強化、コンシューマーヘルスケア事業では主力製品に次ぐ製品群の育成、西洋ハーブ剤など特徴ある製品群の市場認知度向上による事業拡大を推進している。

 また持続的成長に向けて、消化器領域および既存事業との親和性の高い領域の薬剤導入やM&A、自社製品の海外導出も検討する方針としている。

■22年3月期大幅営業・経常増益予想

 22年3月期連結業績予想(第1四半期から収益認識に関する企業会計基準第29号適用のため、対前期比増減率は遡及修正後の21年3月期実績数値との比較)は、売上高が21年3月期比13.7%増の600億円、営業利益が38.1%増の48億円、経常利益が49.6%増の48億円、親会社株主帰属当期純利益が5.0%増の33億円としている。配当予想は21年3月期と同額の34円(第2四半期末17円、期末17円)としている。

 第1四半期は、売上高が前年同期比(遡及修正後)6.4%増の135億48百万円、営業利益が18.3%増の12億51百万円、経常利益が3.3倍の20億81百万円、親会社株主帰属四半期純利益が44.8%増の14億08百万円だった。営業外では為替差損益が大幅に改善(前年同期は為替差損5億73百万円を計上、今期は為替差益7億31百万円を計上)した。特別利益では前年同期に計上した債務取崩益6億74百万円が剥落した。

 セグメント別に見ると、医療用医薬品事業は売上高が9.4%増の82億59百万円で営業利益が29.2%増の15億46百万円だった。潰瘍性大腸炎治療剤アサコールと炎症性腸疾患(IBD)治療剤エントコートが薬価改定影響で伸び悩んだが、20年11月に欧州等での製造販売権を承継したクロストリジウム・ディフィシル感染症治療剤ディフィクリアなどが寄与して増収増益だった。

 コンシューマーヘルスケア事業は売上高が2.0%増の52億53百万円で営業利益が7.0%減の9億86百万円だった。新型コロナ影響が継続しているが、ヘパリーゼ群やコンドロイチン群の売上が回復基調としている。

 通期も大幅営業・経常増益予想としている。医療用医薬品事業ではアサコールの海外売上拡大、エントコートの欧州の一部の国における薬価改定影響の一巡、アコファイドのアステラス製薬との共同販促終了と販売移管(21年4月)に伴う在庫調整影響一巡、フェインジェクトやディフィクリアの通期寄与などを見込み、コンシューマーヘルスケア事業では販促活動強化も寄与してヘパリーゼ群やコンドロイチン群の売上回復基調を見込んでいる。

 第1四半期の進捗率は売上高22.6%、営業利益26.1%、経常利益43.4%と順調だった。通期ベースでも収益拡大を期待したい。

■株主優待は年2回、9月末と3月末の株主対象

 株主優待制度は毎年9月末および3月末現在の株主を対象として、保有株式数に応じて自社グループ商品を贈呈する。なお3月1日に優待品コース内容変更(詳細は会社HP参照)を発表している。

■株価は年初来高値に接近

 なお5月11日に、自己株式取得(上限80万株・18億円、取得期間21年5月17日〜21年11月4日)を発表している。

 株価は順調に水準を切り上げて3月の年初来高値に接近している。上値を試す展開を期待したい。9月16日の終値は2207円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS72円70銭で算出)は約30倍、今期予想配当利回り(会社予想の34円で算出)は約1.5%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS1225円69銭で算出)は約1.8倍、時価総額は約1172億円である。(情報提供:日 本インタビュ新聞社=Media−IR
[08月25日更新]

ゼリア新薬工業は上値試す、22年3月期大幅営業・経常増益予想で1Q順調

 ゼリア新薬工業<4559>(東1)は消化器分野が中心の医療用医薬品事業、および一般用医薬品のコンシューマーヘルスケア事業を展開している。22年3月期は主力の潰瘍性大腸炎治療剤アサコールの売上拡大などで大幅営業・経常増益予想としている。第1四半期は製造販売権を承継したディフィクリアも寄与して大幅増益と順調だった。通期ベースでも収益拡大を期待したい。株価は戻り高値圏でのモミ合いから上放れの動きを強めている。上値を試す展開を期待したい。

■医療用医薬品事業とコンシューマーヘルスケア事業を展開

 消化器分野が中心の医療用医薬品事業、および一般用医薬品のコンシューマーヘルスケア事業を展開している。収益面では薬価改定、ライセンス収入・ロイヤリティ収入、研究開発費、広告宣伝費などの影響を受けやすい。

 21年3月期のセグメント別売上高構成比は医療用医薬品事業54%、コンシューマーヘルスケア事業46%、その他0%、営業利益構成比(調整前)は医療用医薬品事業42%、コンシューマーヘルスケア事業55%、その他3%だった。地域別売上比率は日本66%、欧州27%、その他7%だった。

■医療用医薬品事業は潰瘍性大腸炎治療剤アサコールなどが主力

 医療用医薬品事業は、潰瘍性大腸炎治療剤アサコール(協和キリンとの販売提携を終了して20年4月から単独販売)を主力として、炎症性腸疾患治療剤Entocort(エントコート、国内販売名ゼンタコート)や機能性ディスペプシア治療剤アコファイドなども拡大している。

 21年3月期の売上高はアサコールが165億42百万円、エントコートが48億17百万円、アコファイドが16億67百万円、その他が69億95百万円だった。

 アサコールについては、海外未販売国(21年3月期末時点ではドイツやフランスなど海外15ヶ国で販売中)における上市活動を推進している。中国では販売間近としている。

 アコファイドについては、Meiji Seika ファルマとタイおよびインドネシアにおける独占的開発・販売ライセンス契約、スペインのFAES社とラテンアメリカにおける独占的開発・販売ライセンス契約を締結している。なおアステラス製薬<4503>と日本で行っている共同販促を21年3月で終了し、4月以降は単独で販促活動を行っている。

 20年9月には、鉄欠乏性貧血治療剤フェインジェクト静注500mg(開発コードZ−213)の販売を開始した。日本の鉄製剤市場で販売されている注射剤は現在1剤のみで、治療選択肢が限られた状況となっている。本剤は新たな選択肢として期待されている。

 子会社のティロッツ社(スイス)は、アストラゼネカ社からエントコートの米国を除く全世界における権利を取得した。国内ではゼンタコートカプセルとして販売している。また20年11月には、アステラス製薬の英国子会社が欧州を中心に販売しているクロストリジウム・ディフィシル感染症治療剤ディフィクリア錠(英名DIFICLIR)について、欧州、中東、アフリカおよび独立国家共同体(CIS)における製造販売承認を承継する資産譲渡契約(取得額109百万ユーロ)を締結した。

■コンシューマーヘルスケア事業はヘパリーゼ群などが主力

 コンシューマーヘルスケア事業はヘパリーゼ群、コンドロイチン群、ウィズワン群を主力として、日本で初めて月経前症候群の効能を取得した西洋ハーブ・ダイレクトOTC医薬品プレフェミン、連結子会社イオナ インターナショナルの「イオナ」ブランド化粧品なども全国の薬局・薬店・ドラッグストアなどに販売している。

 21年3月期の売上高は、ヘパリーゼ群が75億46百万円、コンドロイチン群が60億79百万円、ウィズワン群が16億35百万円、その他が100億円だった。

 20年4月にはヘパリーゼ群の主原料である肝臓加水分解物の安定調達とコンシューマーヘルスケア事業拡大を目的として、日水製薬<4550>から日水製薬医薬品販売の全株式を譲り受けて子会社化(現社名:健創製薬)した。20年10月には、筋肉・骨・軟骨の構成成分を配合したビタミン含有保健剤「コンドロアミノCa錠」(指定医薬部外品)を発売した。

■消化器分野を最重点領域として新薬開発を推進

 消化器分野を最重点領域と位置付けて新薬開発を推進している。新薬パイプラインの状況(21年5月11日現在)は以下の通りである。

 鉄欠乏性貧血を適応症とするZ−213(ビフォーファーマ社から導入)は、19年3月鉄欠乏性貧血治療剤フェインジェクト静注500mgとして国内製造販売承認を取得、20年9月販売開始した。

 子宮頸癌を適応症とするZ−100(自社品)は第3相(日本を含むアジア共同治験)段階である。予定された患者登録をすべて終了している。第10次中期経営計画(20〜22年度)期間内の日本での製造販売承認申請を目標としている。

 Z−338(自社品、アコファイド)は、日本では小児機能性ディスペプシア患者を対象とする第3相段階、欧州では機能性ディスペプシアを適応症として第3相段階である。

 高カリウム血症を適応症とするZG−801(ビフォーファーマ社から導入)は第3相段階である。米国では15年12月販売開始し、欧州では17年7月EMA(欧州医薬品庁)から承認取得している。また高カリウム血症を伴う慢性心不全を適応症として国際共同治験に参加して第3相段階である。

 潰瘍性大腸炎を適応症とするZ−206(自社グループ品、アサコール)は中国で20年4月承認取得した。販売については、開発主体であるTillotts Pharma AGが、イタリアのMenariniグループの中国現地法人と独占的販売権供与に関する契約を締結している。

 なおベルフェミン(OTC医薬品、西洋ハーブ)について、20年11月に厚生労働省から、軽度の静脈還流障害(静脈の血流が滞ること)による足のむくみ改善薬の製造販売承認を取得した。

■アサコールやエントコートの拡大などを推進

 収益拡大に向けた重点施策として、医療用医薬品事業ではアサコールの海外販売国拡大、フェインジェクトやエントコートの市場浸透、ティロッツ社の営業体制強化、コンシューマーヘルスケア事業では主力製品に次ぐ製品群の育成、日水製薬医薬品販売とのシナジーによる事業拡大を推進している。

 また持続的成長に向けて、消化器領域および既存事業との親和性の高い領域の薬剤導入やM&A、自社製品の海外導出も検討する方針としている。

■22年3月期大幅営業・経常増益予想で1Q順調

 22年3月期連結業績予想(第1四半期から収益認識に関する企業会計基準第29号適用のため、対前期比増減率は遡及修正後の21年3月期実績数値との比較)は、売上高が21年3月期比13.7%増の600億円、営業利益が38.1%増の48億円、経常利益が49.6%増の48億円、親会社株主帰属当期純利益が5.0%増の33億円としている。配当予想は21年3月期と同額の34円(第2四半期末17円、期末17円)としている。

 第1四半期は、売上高が前年同期比(遡及修正後)6.4%増の135億48百万円、営業利益が18.3%増の12億51百万円、経常利益が3.3倍の20億81百万円、親会社株主帰属四半期純利益が44.8%増の14億08百万円だった。営業外では為替差損益が大幅に改善(前年同期は為替差損5億73百万円を計上、今期は為替差益7億31百万円を計上)した。特別利益では前年同期に計上した債務取崩益6億74百万円が剥落した。

 セグメント別に見ると、医療用医薬品事業は売上高が9.4%増の82億59百万円で営業利益が29.2%増の15億46百万円だった。潰瘍性大腸炎治療剤アサコールと炎症性腸疾患(IBD)治療剤エントコートが薬価改定影響で伸び悩んだが、20年11月に欧州等での製造販売権を承継したクロストリジウム・ディフィシル感染症治療剤ディフィクリアなどが寄与して増収増益だった。

 コンシューマーヘルスケア事業は売上高が2.0%増の52億53百万円で営業利益が7.0%減の9億86百万円だった。新型コロナ影響が継続しているが、ヘパリーゼ群やコンドロイチン群の売上が回復基調としている。

 通期予想は据え置いた。医療用医薬品事業ではアサコールの海外売上拡大、エントコートの欧州の一部の国における薬価改定影響の一巡、アコファイドのアステラス製薬との共同販促終了と販売移管(21年4月)に伴う在庫調整影響一巡、フェインジェクトやディフィクリアの通期寄与などを見込み、コンシューマーヘルスケア事業では販促活動強化も寄与してヘパリーゼ群やコンドロイチン群の売上回復基調を見込んでいる。

 第1四半期の進捗率は売上高22.6%、営業利益26.1%、経常利益43.4%と順調だった。通期ベースでも収益拡大を期待したい。

■株主優待は年2回、9月末と3月末の株主対象

 株主優待制度は毎年9月末および3月末現在の株主を対象として、保有株式数に応じて自社グループ商品を贈呈する。なお3月1日に優待品コース内容変更(詳細は会社HP参照)を発表している。

■株価は上値試す

 なお5月11日に、自己株式取得(上限80万株・18億円、取得期間21年5月17日〜21年11月4日)を発表している。

 株価は戻り高値圏でのモミ合いから上放れの動きを強めている。上値を試す展開を期待したい。8月24日の終値は2184円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS72円70銭で算出)は約30倍、今期予想配当利回り(会社予想の34円で算出)は約1.6%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS1225円69銭で算出)は約1.8倍、時価総額は約1160億円である。(情報提供:日 本インタビュ新聞社=Media−IR
[07月26日更新]

ゼリア新薬工業は下値切り上げ、22年3月期大幅増益予想

 ゼリア新薬工業<4559>(東1)は消化器分野が中心の医療用医薬品事業、および一般用医薬品のコンシューマーヘルスケア事業を展開している。22年3月期は主力の潰瘍性大腸炎治療剤アサコールの売上拡大などで大幅増益予想としている。収益拡大を期待したい。株価はモミ合い展開だが徐々に下値を切り上げている。戻りを試す展開を期待したい。

■医療用医薬品事業とコンシューマーヘルスケア事業を展開

 消化器分野が中心の医療用医薬品事業、および一般用医薬品のコンシューマーヘルスケア事業を展開している。収益面では薬価改定、ライセンス収入・ロイヤリティ収入、研究開発費、広告宣伝費などの影響を受けやすい。

 21年3月期のセグメント別売上高構成比は医療用医薬品事業54%、コンシューマーヘルスケア事業46%、その他0%、営業利益構成比(調整前)は医療用医薬品事業42%、コンシューマーヘルスケア事業55%、その他3%だった。地域別売上比率は日本66%、欧州27%、その他7%だった。

■医療用医薬品事業は潰瘍性大腸炎治療剤アサコールなどが主力

 医療用医薬品事業は、潰瘍性大腸炎治療剤アサコール(協和キリンとの販売提携を終了して20年4月から単独販売)を主力として、炎症性腸疾患治療剤Entocort(エントコート、国内販売名ゼンタコート)や機能性ディスペプシア治療剤アコファイドなども拡大している。21年3月期の売上高はアサコールが165億42百万円、エントコートが48億17百万円、アコファイドが16億67百万円、その他が69億95百万円だった。

 子会社のティロッツ社(スイス)は、アストラゼネカ社からエントコートの米国を除く全世界における権利を取得した。国内ではゼンタコートカプセルとして販売している。また20年11月には、アステラス製薬の英国子会社が欧州を中心に販売しているクロストリジウム・ディフィシル感染症治療剤ディフィクリア錠(英名DIFICLIR)について、欧州、中東、アフリカおよび独立国家共同体(CIS)における製造販売承認を承継する資産譲渡契約(取得額109百万ユーロ)を締結した。

 アコファイドについては、Meiji Seika ファルマとタイおよびインドネシアにおける独占的開発・販売ライセンス契約、スペインのFAES社とラテンアメリカにおける独占的開発・販売ライセンス契約を締結している。なおアステラス製薬<4503>と日本で行っている共同販促を21年3月で終了し、4月以降は単独で販促活動を行っている。

 20年9月には、鉄欠乏性貧血治療剤フェインジェクト静注500mg(開発コードZ−213)の販売を開始した。日本の鉄製剤市場で販売されている注射剤は現在1剤のみで、治療選択肢が限られた状況となっている。本剤は新たな選択肢として期待されている。

■コンシューマーヘルスケア事業はヘパリーゼ群などが主力

 コンシューマーヘルスケア事業はヘパリーゼ群、コンドロイチン群、ウィズワン群を主力として、日本で初めて月経前症候群の効能を取得した西洋ハーブ・ダイレクトOTC医薬品プレフェミン、連結子会社イオナ インターナショナルの「イオナ」ブランド化粧品なども全国の薬局・薬店・ドラッグストアなどに販売している。21年3月期の売上高はヘパリーゼ群が75億46百万円、コンドロイチン群が60億79百万円、ウィズワン群が16億35百万円、その他が100億円だった。

 20年4月にはヘパリーゼ群の主原料である肝臓加水分解物の安定調達とコンシューマーヘルスケア事業拡大を目的として、日水製薬<4550>から日水製薬医薬品販売の全株式を譲り受けて子会社化(現社名:健創製薬)した。20年10月には、筋肉・骨・軟骨の構成成分を配合したビタミン含有保健剤「コンドロアミノCa錠」(指定医薬部外品)を発売した。

■消化器分野を最重点領域として新薬開発を推進

 消化器分野を最重点領域と位置付けて新薬開発を推進している。新薬パイプラインの状況(21年5月11日現在)は以下の通りである。

 鉄欠乏性貧血を適応症とするZ−213(ビフォーファーマ社から導入)は、19年3月鉄欠乏性貧血治療剤フェインジェクト静注500mgとして国内製造販売承認を取得、20年9月販売開始した。

 子宮頸癌を適応症とするZ−100(自社品)は第3相(日本を含むアジア共同治験)段階である。予定された患者登録をすべて終了している。第10次中期経営計画(20〜22年度)期間内の日本での製造販売承認申請を目標としている。

 Z−338(自社品、アコファイド)は、日本では小児機能性ディスペプシア患者を対象とする第3相段階、欧州では機能性ディスペプシアを適応症として第3相段階である。

 高カリウム血症を適応症とするZG−801(ビフォーファーマ社から導入)は第3相段階である。米国では15年12月販売開始し、欧州では17年7月EMA(欧州医薬品庁)から承認取得している。また高カリウム血症を伴う慢性心不全を適応症として国際共同治験に参加して第3相段階である。

 潰瘍性大腸炎を適応症とするZ−206(自社グループ品、アサコール)は中国で20年4月承認取得した。販売については、開発主体であるTillotts Pharma AGが、イタリアのMenariniグループの中国現地法人と独占的販売権供与に関する契約を締結している。

 なおベルフェミン(OTC医薬品、西洋ハーブ)について、20年11月に厚生労働省から、軽度の静脈還流障害(静脈の血流が滞ること)による足のむくみ改善薬の製造販売承認を取得した。

■アサコールやエントコートの拡大などを推進

 収益拡大に向けた重点施策として、医療用医薬品事業ではアサコールの海外販売国拡大(21年3月期末時点ではドイツやフランスなど15ヶ国で販売中)、フェインジェクトやエントコートの市場浸透、ティロッツ社の営業体制強化、コンシューマーヘルスケア事業では主力製品に次ぐ製品群の育成、日水製薬医薬品販売とのシナジーによる事業拡大を推進している。

 また持続的成長に向けて、消化器領域および既存事業との親和性の高い領域の薬剤導入やM&A、自社製品の海外導出も検討する方針としている。

■22年3月期大幅増益予想

 22年3月期の連結業績予想(収益認識に関する企業会計基準第29号を適用するため前期比増減率は非記載)は売上高が600億円、営業利益が48億円、経常利益が48億円、親会社株主帰属当期純利益が33億円としている。

 21年3月期実績との単純比較で売上高は8.2%増収、営業利益は39.5%増益、経常利益は51.2%増益、親会社株主帰属当期純利益は5.8%増益となる。配当予想は21年3月期と同額の34円(第2四半期末17円、期末17円)としている。

 アサコールの海外売上拡大、エントコートの欧州の一部の国における薬価改定影響の一巡、アコファイドのアステラス製薬との共同販促終了と販売移管(21年4月)に伴う在庫調整の影響一巡、20年9月販売開始したフェインジェクトの寄与、コンシューマー事業における新型コロナウイルスの影響緩和などで増収・大幅増益予想としている。

 アサコールについては未販売国における上市活動を推進する。中国では販売間近としている。20年11月に欧州等での製造販売権を承継したディフィクリアについては、年度内にすべての製造販売承認の承継を完了予定としている。コンシューマー事業は販売促進活動の強化などで増収を見込んでいる。収益拡大を期待したい。

■株主優待は年2回、9月末と3月末の株主対象

 株主優待制度は毎年9月末および3月末現在の株主を対象として、保有株式数に応じて自社グループ商品を贈呈する。なお3月1日に優待品コース内容変更(詳細は会社HP参照)を発表している。

■株価は下値切り上げ

 5月11日に自己株式取得を発表した。上限80万株・18億円、取得期間21年5月17日〜21年11月4日としている。

 株価はやや上値が重くモミ合い展開だが、徐々に下値を切り上げている。調整一巡して戻りを試す展開を期待したい。7月21日の終値は2095円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS72円21銭で算出)は約29倍、今期予想配当利回り(会社予想の34円で算出)は約1.6%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS1225円69銭で算出)は約1.7倍、時価総額は約1113億円である。
(情報提供:日 本インタビュ新聞社=Media−IR)
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[06月23日更新]

ゼリア新薬工業は戻り試す、22年3月期大幅増益予想

 ゼリア新薬工業<4559>(東1)は消化器分野が中心の医療用医薬品事業、および一般用医薬品のコンシューマーヘルスケア事業を展開している。22年3月期は新型コロナウイルスの影響が和らぎ、主力の潰瘍性大腸炎治療剤アサコールの伸長などで増収・大幅増益予想としている。収益拡大を期待したい。株価は反発の動きを強めている。戻りを試す展開を期待したい。

■医療用医薬品事業とコンシューマーヘルスケア事業を展開

 消化器分野が中心の医療用医薬品事業、および一般用医薬品のコンシューマーヘルスケア事業を展開している。収益面では薬価改定、ライセンス収入・ロイヤリティ収入、研究開発費、広告宣伝費などの影響を受けやすい。

 21年3月期のセグメント別売上高構成比は医療用医薬品事業54%、コンシューマーヘルスケア事業46%、その他0%、営業利益構成比(連結調整前)は医療用医薬品事業42%、コンシューマーヘルスケア事業55%、その他3%だった。地域別売上比率は日本66%、欧州27%、その他7%だった。

■医療用医薬品事業は潰瘍性大腸炎治療剤アサコールなどが主力

 医療用医薬品事業は、潰瘍性大腸炎治療剤アサコール(協和キリンとの販売提携を終了して20年4月から単独販売)を主力として、H2受容体拮抗剤アシノン、亜鉛含有胃潰瘍治療剤プロマック、機能性ディスペプシア治療剤アコファイドなども展開している。21年3月期の売上高内訳はアサコールが165億42百万円、エントコートが48億17百万円、アコファイドが16億67百万円、その他が69億95百万円だった。

 子会社ティロッツ社は、アストラゼネカ社から炎症性腸疾患(IBD)治療剤Entocortの米国を除く全世界における権利を取得し、国内ではゼンタコートカプセルとして販売している。

 20年11月にはティロッツ社が、アステラス製薬の英国子会社が販売しているクロストリジウム・ディフィシル感染症治療剤「ディフィクリア錠」(英名DIFICLIR)について、欧州、中東、アフリカおよび独立国家共同体(CIS)における製造販売承認を承継する資産譲渡契約(取得額109百万ユーロ)を締結した。

 アコファイドについては、Meiji Seika ファルマとタイおよびインドネシアにおける独占的開発・販売ライセンス契約、スペインのFAES社とラテンアメリカにおける独占的開発・販売ライセンス契約を締結している。なおアステラス製薬<4503>と日本で行っている共同販促を21年3月で終了し、4月以降は単独で販促活動を行っている。

 鉄欠乏性貧血治療剤フェインジェクト静注500mg(ビフォーファーマ社から導入、開発コードZ−213、19年3月国内製造販売承認取得)は、20年9月に販売開始した。日本では18年4月から1年間に鉄欠乏性貧血と診断された患者数が約490万人と推計され、約220万人が鉄製剤(経口・静注製剤)の処方・治療を受けているが、日本の鉄製剤市場で販売されている注射剤は現在1剤のみで、治療選択肢が限られた状況となっている。本剤は新たな選択肢として期待されている。

■コンシューマーヘルスケア事業はヘパリーゼ群などが主力

 コンシューマーヘルスケア事業はヘパリーゼ群、コンドロイチン群、ウィズワン群を主力として、日本で初めて月経前症候群の効能を取得した西洋ハーブ・ダイレクトOTC医薬品プレフェミン、連結子会社イオナ インターナショナルの「イオナ」ブランド化粧品なども、全国の薬局・薬店・ドラッグストアなどに販売している。21年3月期の売上高内訳はヘパリーゼ群が75億46百万円、コンドロイチン群が60億79百万円、ウィズワン群が16億35百万円、その他が100億円だった。

 20年4月にはヘパリーゼ群の主原料である肝臓加水分解物の安定調達とコンシューマーヘルスケア事業拡大を目的として、日水製薬<4550>から日水製薬医薬品販売の全株式を譲り受けて子会社化(現社名:健創製薬)した。20年10月には、筋肉・骨・軟骨の構成成分を配合したビタミン含有保健剤「コンドロアミノCa錠」(指定医薬部外品)を発売した。

■消化器分野を最重点領域として新薬開発を推進

 消化器分野を最重点領域と位置付けて新薬開発を推進している。新薬パイプラインの状況(21年5月11日現在)は以下の通りである。

 鉄欠乏性貧血を適応症とするZ−213(ビフォーファーマ社から導入)は、19年3月鉄欠乏性貧血治療剤フェインジェクト静注500mgとして国内製造販売承認を取得、20年9月販売開始した。

 子宮頸癌を適応症とするZ−100(自社品)は第3相(日本を含むアジア共同治験)段階である。予定された患者登録をすべて終了している。第10次中期経営計画(20〜22年度)期間内の日本での製造販売承認申請を目標としている。

 Z−338(自社品、アコファイド)は、日本では小児機能性ディスペプシア患者を対象とする第3相段階、欧州では機能性ディスペプシアを適応症として第3相段階である。

 高カリウム血症を適応症とするZG−801(ビフォーファーマ社から導入)は第3相段階である。米国では15年12月販売開始し、欧州では17年7月EMA(欧州医薬品庁)から承認取得している。また高カリウム血症を伴う慢性心不全を適応症として国際共同治験に参加して第3相段階である。

 潰瘍性大腸炎を適応症とするZ−206(自社グループ品)は中国で20年4月承認取得した。販売については、開発主体であるTillotts Pharma AGが、イタリアのMenariniグループの中国現地法人と独占的販売権供与に関する契約を締結している。

 なおベルフェミン(OTC医薬品、西洋ハーブ)について、20年11月に厚生労働省から、軽度の静脈還流障害(静脈の血流が滞ること)による足のむくみ改善薬の製造販売承認を取得した。

■海外におけるアサコールとEntocortの市場浸透などを推進

 収益拡大に向けた重点施策として、医療用医薬品事業では潰瘍性大腸炎治療剤アサコールの情報提供活動強化、鉄欠乏性貧血治療剤フェインジェクト静注500mgの市場構築、海外におけるアサコールと炎症性腸疾患(IBD)治療剤Entocortの市場浸透、コンシューマーヘルスケア事業では主力製品に次ぐ製品群の育成、日水製薬医薬品販売とのシナジーによる事業拡大を推進している。

 また持続的成長に向けて、消化器領域および既存事業との親和性の高い領域の薬剤導入やM&A、自社製品の海外導出も検討する方針としている。

■22年3月期大幅増益予想

 22年3月期の連結業績予想(収益認識に関する企業会計基準第29号を適用するため前期比増減率は非記載)は売上高が600億円、営業利益が48億円、経常利益が48億円、親会社株主帰属当期純利益が33億円としている。21年3月期実績との比較で売上高は8.2%増収、営業利益は39.5%増益、経常利益は51.2%増益、親会社株主帰属当期純利益は5.8%増益で、実質増収増益予想となる。配当予想は21年3月期と同額の34円(第2四半期末17円、期末17円)である。

 新型コロナウイルスの影響が和らいで増収・大幅増益予想としている。医療用医薬品事業では20年11月に欧州等での製造販売権を承継したディフィクリア錠の通期寄与、アサコールの伸長、フェインジェクト静注500mgやアコファイドの伸長を見込んでいる。コンシューマー事業は販売促進活動の強化で増収を見込んでいる。収益拡大を期待したい。

■株主優待は年2回、9月末と3月末の株主対象

 株主優待制度は毎年9月末および3月末現在の株主を対象として、保有株式数に応じて自社グループ商品を贈呈する。なお3月1日に優待品コース内容変更(詳細は会社HP参照)を発表している。

■株価は戻り試す

 5月11日に自己株式取得を発表した。上限80万株・18億円、取得期間21年5月17日〜21年11月4日としている。

 株価は反発の動きを強めている。戻りを試す展開を期待したい。6月22日の終値は2109円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS72円21銭で算出)は約29倍、今期予想配当利回り(会社予想の34円で算出)は約1.6%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS1225円69銭で算出)は約1.7倍、時価総額は約1120億円である。
(情報提供:日 本インタビュ新聞社=Media−IR)
http://media-ir.com/news/
[05月27日更新]

ゼリア新薬工業は反発の動き、22年3月期増収増益予想

 ゼリア新薬工業<4559>(東1)は消化器分野が中心の医療用医薬品事業、および一般用医薬品のコンシューマーヘルスケア事業を展開している。21年3月期は薬価改定や新型コロナ影響などで減収、営業・経常減益だった。22年3月期は増収増益予想としている。収益拡大を期待したい。また自己株式取得も発表している。株価は調整一巡して反発の動きを強めている。戻りを試す展開を期待したい。

■医療用医薬品事業とコンシューマーヘルスケア事業を展開

 消化器分野が中心の医療用医薬品事業、および一般用医薬品のコンシューマーヘルスケア事業を展開している。収益面では薬価改定、ライセンス収入・ロイヤリティ収入、研究開発費、広告宣伝費などの影響を受けやすい。

 21年3月期のセグメント別売上高構成比は医療用医薬品事業54%、コンシューマーヘルスケア事業46%、その他0%、営業利益構成比(連結調整前)は医療用医薬品事業42%、コンシューマーヘルスケア事業55%、その他3%だった。地域別売上比率は日本66%、欧州27%、その他7%だった。

■医療用医薬品事業は潰瘍性大腸炎治療剤アサコールなどが主力

 医療用医薬品事業は、潰瘍性大腸炎治療剤アサコール(協和キリンとの販売提携を終了して20年4月から単独販売)を主力として、H2受容体拮抗剤アシノン、亜鉛含有胃潰瘍治療剤プロマック、機能性ディスペプシア治療剤アコファイドなども展開している。21年3月期の売上高内訳はアサコールが165億42百万円、エントコートが48億17百万円、アコファイドが16億67百万円、その他が69億95百万円だった。

 子会社ティロッツ社は、アストラゼネカ社から炎症性腸疾患(IBD)治療剤Entocortの米国を除く全世界における権利を取得し、国内ではゼンタコートカプセルとして販売している。

 20年11月にはティロッツ社が、アステラス製薬の英国子会社が販売しているクロストリジウム・ディフィシル感染症治療剤「ディフィクリア錠」(英名DIFICLIR)について、欧州、中東、アフリカおよび独立国家共同体(CIS)における製造販売承認を承継する資産譲渡契約(取得額109百万ユーロ)を締結した。

 アコファイドについては、Meiji Seika ファルマとタイおよびインドネシアにおける独占的開発・販売ライセンス契約、スペインのFAES社とラテンアメリカにおける独占的開発・販売ライセンス契約を締結している。なおアステラス製薬<4503>と日本で行っている共同販促を21年3月で終了し、4月以降は単独で販促活動を行っている。

 鉄欠乏性貧血治療剤フェインジェクト静注500mg(ビフォーファーマ社から導入、開発コードZ−213、19年3月国内製造販売承認取得)は、20年9月に販売開始した。日本では18年4月から1年間に鉄欠乏性貧血と診断された患者数が約490万人と推計され、約220万人が鉄製剤(経口・静注製剤)の処方・治療を受けているが、日本の鉄製剤市場で販売されている注射剤は現在1剤のみで、治療選択肢が限られた状況となっている。本剤は新たな選択肢として期待されている。

■コンシューマーヘルスケア事業はヘパリーゼ群などが主力

 コンシューマーヘルスケア事業はヘパリーゼ群、コンドロイチン群、ウィズワン群を主力として、日本で初めて月経前症候群の効能を取得した西洋ハーブ・ダイレクトOTC医薬品プレフェミン、連結子会社イオナ インターナショナルの「イオナ」ブランド化粧品なども、全国の薬局・薬店・ドラッグストアなどに販売している。21年3月期の売上高内訳はヘパリーゼ群が75億46百万円、コンドロイチン群が60億79百万円、ウィズワン群が16億35百万円、その他が100億円だった。

 20年4月にはヘパリーゼ群の主原料である肝臓加水分解物の安定調達とコンシューマーヘルスケア事業拡大を目的として、日水製薬<4550>から日水製薬医薬品販売の全株式を譲り受けて子会社化(現社名:健創製薬)した。20年10月には、筋肉・骨・軟骨の構成成分を配合したビタミン含有保健剤「コンドロアミノCa錠」(指定医薬部外品)を発売した。

■消化器分野を最重点領域として新薬開発を推進

 消化器分野を最重点領域と位置付けて新薬開発を推進している。新薬パイプラインの状況(21年5月11日現在)は以下の通りである。

 鉄欠乏性貧血を適応症とするZ−213(ビフォーファーマ社から導入)は、19年3月鉄欠乏性貧血治療剤フェインジェクト静注500mgとして国内製造販売承認を取得、20年9月販売開始した。

 子宮頸癌を適応症とするZ−100(自社品)は第3相(日本を含むアジア共同治験)段階である。予定された患者登録をすべて終了している。第10次中期経営計画(20〜22年度)期間内の日本での製造販売承認申請を目標としている。

 Z−338(自社品、アコファイド)は、日本では小児機能性ディスペプシア患者を対象とする第3相段階、欧州では機能性ディスペプシアを適応症として第3相段階である。

 高カリウム血症を適応症とするZG−801(ビフォーファーマ社から導入)は第3相段階である。米国では15年12月販売開始し、欧州では17年7月EMA(欧州医薬品庁)から承認取得している。また高カリウム血症を伴う慢性心不全を適応症として国際共同治験に参加して第3相段階である。

 潰瘍性大腸炎を適応症とするZ−206(自社グループ品)は中国で20年4月承認取得した。販売については、開発主体であるTillotts Pharma AGが、イタリアのMenariniグループの中国現地法人と独占的販売権供与に関する契約を締結している。

 なおベルフェミン(OTC医薬品、西洋ハーブ)について、20年11月に厚生労働省から、軽度の静脈還流障害(静脈の血流が滞ること)による足のむくみ改善薬の製造販売承認を取得した。

■海外におけるアサコールとEntocortの市場浸透などを推進

 収益拡大に向けた重点施策として、医療用医薬品事業では潰瘍性大腸炎治療剤アサコールの情報提供活動強化、鉄欠乏性貧血治療剤フェインジェクト静注500mgの市場構築、海外におけるアサコールと炎症性腸疾患(IBD)治療剤Entocortの市場浸透、コンシューマーヘルスケア事業では主力製品に次ぐ製品群の育成、日水製薬医薬品販売とのシナジーによる事業拡大を推進している。

 また持続的成長に向けて、消化器領域および既存事業との親和性の高い領域の薬剤導入やM&A、自社製品の海外導出も検討する方針としている。

■21年3月期は減収、営業・経常減益、22年3月期は増収増益予想

 21年3月期の連結業績は、売上高が20年3月期比8.2%減の554億42百万円、営業利益が15.9%減の34億42百万円、経常利益が18.2%減の31億75百万円、親会社株主帰属当期純利益が6.6%増の31億19百万円だった。配当は20年3月期と同額の34円(第2四半期末17円、期末17円)とした。

 薬価改定や新型コロナ影響などで減収、営業・経常減益だった。なお研究開発費は14.7%減の54億11百万円だった。当期純利益は投資有価証券売却益3億75百万円、債務取崩益6億81百万円を特別利益に計上して増益だった。

 医療用医薬品事業は5.5%減収だった。潰瘍性大腸炎治療剤アサコールは伸長したが、炎症性腸疾患(IBD)治療剤Entocortはフランスでの薬価引き下げや出荷時期のズレ込みの影響で減収だった。機能性ディスペプシアアコファイドはアステラス製薬との共同販促終了・販売移管に伴う在庫調整などで大幅減収だった。コンシューマーヘルスケア事業は11.4%減収だった。手指消毒剤が好調だったが、新型コロナウイルスによる外出自粛の影響で特にヘパリーゼ群が落ち込んだ。

 なお四半期別に見ると、第1四半期は売上高133億31百万円で営業利益10億60百万円、第2四半期は売上高134億78百万円で営業利益5億38百万円、第3四半期は売上高155億65百万円で営業利益22億58百万円、第4四半期は売上高130億68百万円で営業利益4億14百万円の赤字だった。

 22年3月期の連結業績予想(収益認識に関する企業会計基準第29号を適用するため前期比増減率は非記載)は売上高が600億円、営業利益が48億円、経常利益が48億円、親会社株主帰属当期純利益が33億円としている。21年3月期実績との比較で売上高は8.2%増収、営業利益は39.5%増益、経常利益は51.2%増益、親会社株主帰属当期純利益は5.8%増益で、実質増収増益予想となる。配当予想は21年3月期と同額の34円(第2四半期末17円、期末17円)である。

 医療用医薬品事業では20年11月に欧州等での製造販売権を承継したディフィクリア錠の通期寄与、アサコールの伸長、フェインジェクト静注500mgやアコファイドの伸長を見込んでいる。コンシューマー事業は販売促進活動の強化で増収を見込んでいる。収益拡大を期待したい。

■株主優待は年2回、9月末と3月末の株主対象

 株主優待制度は毎年9月末および3月末現在の株主を対象として、保有株式数に応じて自社グループ商品を贈呈する。なお3月1日に優待品コース内容変更(詳細は会社HP参照)を発表している。

■株価は反発の動き

 5月11日に自己株式取得を発表した。上限80万株・18億円、取得期間21年5月17日〜21年11月4日としている。

 株価は3月の年初来高値圏から一旦反落したが、調整一巡して反発の動きを強めている。戻りを試す展開を期待したい。5月26日の終値は2080円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS72円21銭で算出)は約29倍、今期予想配当利回り(会社予想の34円で算出)は約1.6%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS1225円69銭で算出)は約1.7倍、そして時価総額は約1105億円である。(情報提供:日 本インタビュ新聞社=Media−IR)
[05月13日更新]

ゼリア新薬工業は22年3月期実質増収増益予想、自己株式取得も発表

 ゼリア新薬工業 <4559> は5月11日の取引時間終了後に21年3月期連結業績を発表した。薬価改定や新型コロナ影響などで減収、営業・経常減益だった。22年3月期は実質増収増益予想としている。収益拡大を期待したい。また自己株式取得(上限80万株・18億円)も発表した。株価は3月の年初来高値圏から反落したが、増収増益予想や自己株式取得を評価して戻りを試す展開を期待したい。

■21年3月期は減収、営業・経常減益、22年3月期は実質増収増益予想

21年3月期の連結業績は、売上高が20年3月期比8.2%減の554億42百万円、営業利益が15.9%減の34億42百万円、経常利益が18.2%減の31億75百万円、親会社株主帰属当期純利益が6.6%増の31億19百万円だった。配当は20年3月期と同額の34円(第2四半期末17円、期末17円)とした。

薬価改定や新型コロナ影響などで減収、営業・経常減益だった。なお特別利益に投資有価証券売却益3億75百万円、債務取崩益6億81百万円を計上して当期純利益は増益だった。

医療用医薬品事業は5.5%減収だった。潰瘍性大腸炎治療剤アサコール国内外で伸長した。炎症性腸疾患(IBD)治療剤Entocortはフランスでの価格改定や出荷時期のズレ込みの影響で減収だった。機能性ディスペプシアアコファイドは共同販促終了に伴う在庫調整や受診抑制の影響で減収だった。コンシューマーヘルスケア事業は11.4%減収だった。新型コロナウイルスによる外出自粛の影響などで全体として苦戦した。

なお四半期別に見ると、第1四半期は売上高133億31百万円で営業利益10億60百万円、第2四半期は売上高134億78百万円で営業利益5億38百万円、第3四半期は売上高155億65百万円で営業利益22億58百万円、第4四半期は売上高130億68百万円で営業利益4億14百万円の赤字だった。

22年3月期の連結業績予想は売上高が600億円、営業利益が48億円、経常利益が48億円、親会社株主帰属当期純利益が33億円とした。収益認識に関する企業会計基準第29号を適用するため前期比増減率は未記載だが、21年3月期実績との比較で売上高は8.2%増収、営業利益は39.5%増益、経常利益は51.2%増益、親会社株主帰属当期純利益は5.8%増益となる。実質増収増益予想である。配当予想は21年3月期と同額の34円(第2四半期末17円、期末17円)とした。

医療用医薬品事業では20年11月に欧州等での製造販売権を承継したディフィクリア錠の通期寄与、アサコールの伸長、フェインジェクト静注500mgやアコファイドの伸長を見込んでいる。コンシューマー事業は販売促進活動の強化で増収を見込んでいる。収益拡大を期待したい。

■株価は戻り試す

株価は3月の年初来高値圏から反落したが、増収増益予想や自己株式取得を評価して戻りを試す展開を期待したい。5月11日の終値は2000円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS72円21銭で算出)は約28倍、時価総額は約1062億円である。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media−IR)
[04月21日更新]

ゼリア新薬工業は調整一巡、22年3月期も収益拡大期待

 ゼリア新薬工業<4559>(東1)は消化器分野が中心の医療用医薬品事業、および一般用医薬品のコンシューマーヘルスケア事業を展開している。21年3月期増益予想としている。さらに上振れの可能性がありそうだ。22年3月期も収益拡大を期待したい。株価は3月の年初来来高値圏から利益確定売りや期末権利落ちで急反落の形となったが、調整一巡感を強めている。戻りを試す展開を期待したい。

■医療用医薬品事業とコンシューマーヘルスケア事業を展開

 消化器分野が中心の医療用医薬品事業、および一般用医薬品のコンシューマーヘルスケア事業を展開している。収益面では薬価改定、ライセンス収入・ロイヤリティ収入、研究開発費、広告宣伝費などの影響を受けやすい。

 20年3月期のセグメント別売上高構成比は医療用医薬品事業53%、コンシューマーヘルスケア事業47%、その他0%、営業利益構成比(連結調整前)は医療用医薬品事業28%、コンシューマーヘルスケア事業69%、その他3%だった。地域別売上比率は日本69%、欧州23%、その他8%だった。

■医療用医薬品事業は潰瘍性大腸炎治療剤アサコールなどが主力

 医療用医薬品事業は、潰瘍性大腸炎治療剤アサコール(協和キリンとの販売提携を終了して20年4月から単独販売)を主力として、H2受容体拮抗剤アシノン、亜鉛含有胃潰瘍治療剤プロマック、機能性ディスペプシア治療剤アコファイドなども展開している。

 子会社ティロッツ社は、アストラゼネカ社から炎症性腸疾患(IBD)治療剤Entocortの米国を除く全世界における権利を取得し、国内ではゼンタコートカプセルとして販売している。

 20年11月にはティロッツ社が、アステラス製薬の英国子会社が販売しているクロストリジウム・ディフィシル感染症治療剤「ディフィクリア錠」(英名DIFICLIR)について、欧州、中東、アフリカおよび独立国家共同体(CIS)における製造販売承認を承継する資産譲渡契約(取得額109百万ユーロ)を締結した。

 アコファイドについては、Meiji Seika ファルマとタイおよびインドネシアにおける独占的開発・販売ライセンス契約、スペインのFAES社とラテンアメリカにおける独占的開発・販売ライセンス契約を締結している。なおアステラス製薬<4503>と日本で行っている共同販促を21年3月31日で終了し、4月1日以降は単独で販促活動を行う。

 鉄欠乏性貧血治療剤フェインジェクト静注500mg(ビフォーファーマ社から導入、開発コードZ−213、19年3月国内製造販売承認取得)は、20年9月に販売開始した。日本では18年4月から1年間に鉄欠乏性貧血と診断された患者数が約490万人と推計され、約220万人が鉄製剤(経口・静注製剤)の処方・治療を受けているが、日本の鉄製剤市場で販売されている注射剤は現在1剤のみで、治療選択肢が限られた状況となっている。本剤は新たな選択肢として期待されている。

■コンシューマーヘルスケア事業はヘパリーゼ群などが主力

 コンシューマーヘルスケア事業は、ヘパリーゼ群、コンドロイチン群、ウィズワン群を主力として、日本で初めて月経前症候群の効能を取得した西洋ハーブ・ダイレクトOTC医薬品プレフェミン、連結子会社イオナ インターナショナルの「イオナ」ブランド化粧品なども、全国の薬局・薬店・ドラッグストアなどに販売している。

 20年4月にはヘパリーゼ群の主原料である肝臓加水分解物の安定調達とコンシューマーヘルスケア事業拡大を目的として、日水製薬<4550>から日水製薬医薬品販売の全株式を譲り受けて子会社化(現社名:健創製薬)した。20年10月には、筋肉・骨・軟骨の構成成分を配合したビタミン含有保健剤「コンドロアミノCa錠」(指定医薬部外品)を発売した。

■消化器分野を最重点領域として新薬開発を推進

 消化器分野を最重点領域と位置付けて新薬開発を推進している。新薬パイプラインの状況(21年2月5日現在)は以下の通りである。

 鉄欠乏性貧血を適応症とするZ−213(ビフォーファーマ社から導入)は、19年3月鉄欠乏性貧血治療剤フェインジェクト静注500mgとして国内製造販売承認を取得、20年9月販売開始した。

 子宮頸癌を適応症とするZ−100(自社品)は第3相(日本を含むアジア共同治験)段階である。予定された患者登録をすべて終了している。第10次中期経営計画(20〜22年度)期間内の日本での製造販売承認申請を目標としている。

 Z−338(自社品、アコファイド)は、日本では小児機能性ディスペプシア患者を対象とする第3相段階、欧州では機能性ディスペプシアを適応症として第3相段階である。

 高カリウム血症を適応症とするZG−801(ビフォーファーマ社から導入)は第2相段階である。米国では15年12月販売開始し、欧州では17年7月EMA(欧州医薬品庁)から承認取得している。

 潰瘍性大腸炎を適応症とするZ−206(自社グループ品)は中国で20年4月承認取得した。販売については、開発主体であるTillotts Pharma AGが、イタリアのMenariniグループの中国現地法人と独占的販売権供与に関する契約を締結している。

 なおベルフェミン(OTC医薬品、西洋ハーブ)について、20年11月に厚生労働省から、軽度の静脈還流障害(静脈の血流が滞ること)による足のむくみ改善薬の製造販売承認を取得した。

■海外におけるアサコールとEntocortの市場浸透などを推進

 収益拡大に向けた重点施策として、医療用医薬品事業では潰瘍性大腸炎治療剤アサコールの情報提供活動強化、鉄欠乏性貧血治療剤フェインジェクト静注500mgの市場構築、海外におけるアサコールと炎症性腸疾患(IBD)治療剤Entocortの市場浸透、コンシューマーヘルスケア事業では主力製品に次ぐ製品群の育成、日水製薬医薬品販売とのシナジーによる事業拡大を推進している。

 また持続的成長に向けて、消化器領域および既存事業との親和性の高い領域の薬剤導入やM&A、自社製品の海外導出も検討する方針としている。

■21年3月期増益予想、22年3月期も収益拡大期待

 21年3月期の連結業績予想(期初時点では未定、8月4日に公表、2月5日に売上高を下方修正、営業利益と経常利益を据え置き、当期純利益を上方修正)は、売上高が20年3月期比4.8%減の575億円、営業利益が5.0%増の43億円、経常利益が0.5%増の39億円、親会社株主帰属当期純利益が26.5%増の37億円としている。配当予想は20年3月期と同額の34円(第2四半期末17円、期末17円)である。

 第3四半期累計は売上高が前年同期比8.5%減の423億74百万円、営業利益が14.0%増の38億56百万円、経常利益が14.6%増の35億38百万円、四半期純利益が57.5%増の36億86百万円だった。

 新型コロナウイルスの影響などで減収だが、海外市場における主力製品の伸長や販管費の抑制などで2桁増益だった。営業外費用では為替差損が増加(前期2億59百万円、今期4億25百万円)し、特別利益では債務取崩益6億78百万円、投資有価証券売却益3億75百万円を計上した。

 医療用医薬品事業は4.8%減収だった。全体としては減収だったが、主力製品は伸長した。潰瘍性大腸炎治療剤アサコールは、薬価改定の影響を受けたが、協和キリンとの販売提携を終了して20年4月以降に単独販売となり、売上が増加した。海外売上も拡大した。炎症性腸疾患(IBD)治療剤Entocortは、海外市場で堅調に推移した。

 コンシューマーヘルスケア事業は12.5%減収だった。殺菌消毒薬などの衛生用品が伸長したが、新型コロナウイルスによる外出自粛の影響で、主力のヘパリーゼ群やコンドロイチン群が苦戦した。

 四半期別に見ると、第1四半期は売上高133億31百万円で営業利益10億60百万円、第2四半期は売上高134億78百万円で営業利益5億38百万円、第3四半期は売上高155億65百万円で営業利益22億58百万円だった。第3四半期は回復基調となった。

 通期については、国内のコンシューマーヘルスケア事業が新型コロナウイルスの影響で苦戦しているが、医療用医薬品事業で主力製品が伸長し、海外子会社の業績が堅調に推移している。当期純利益は投資有価証券売却益等の特別利益計上が寄与する。

 第3四半期累計の進捗率は売上高が73.7%、営業利益が89.7%、経常利益が90.7%、純利益が99.6%と高水準である。通期の営業・経常利益予想は上振れ(純利益予想は2回目の上振れ)の可能性が高いだろう。さらに22年3月期も収益拡大を期待したい。

■株主優待は年2回、9月末と3月末の株主対象

 株主優待制度は毎年9月末および3月末現在の株主を対象として、保有株式数に応じて自社グループ商品を贈呈する。なお3月1日に優待品コース内容変更(詳細は会社HP参照)を発表している。

■株価は調整一巡

 20年5月21日発表の自己株式取得(上限80万株・17億60百万円、取得期間20年5月22日〜20年11月5日)は、11月4日に取得期間延長(21年5月14日まで延長)を発表している。

 株価は3月の年初来来高値圏から利益確定売りや期末権利落ちで急反落の形となったが、調整一巡感を強めている。戻りを試す展開を期待したい。4月20日の終値は2015円、前期推定連結PER(会社予想の連結EPS80円23銭で算出)は約25倍、前期推定配当利回り(会社予想の34円で算出)は約1.7%、前々期実績連結PBR(前々期実績の連結BPS1134円30銭で算出)は約1.8倍、時価総額は約1070億円である。(情報提供:日 本インタビュ新聞社=Media−IR)
[03月12日更新]

ゼリア新薬工業は上値試す、21年3月期営業・経常利益上振れの可能性

 ゼリア新薬工業<4559>(東1)は消化器分野が中心の医療用医薬品事業、および一般用医薬品のコンシューマーヘルスケア事業を展開している。21年3月期は営業・経常増益予想としている。第3四半期累計の進捗率が高水準であり、通期の営業・経常利益予想は上振れ(純利益予想は2回目の上振れ)の可能性が高いだろう。収益拡大を期待したい。なお3月1日に株主優待制度の優待品コース内容変更を発表している。株価は昨年来高値に接近している。上値を試す展開を期待したい。

■医療用医薬品事業とコンシューマーヘルスケア事業を展開

 消化器分野が中心の医療用医薬品事業、および一般用医薬品のコンシューマーヘルスケア事業を展開している。収益面では薬価改定、ライセンス収入・ロイヤリティ収入、研究開発費、広告宣伝費などの影響を受けやすい。

 20年3月期のセグメント別売上高構成比は医療用医薬品事業53%、コンシューマーヘルスケア事業47%、その他0%、営業利益構成比(連結調整前)は医療用医薬品事業28%、コンシューマーヘルスケア事業69%、その他3%だった。地域別売上比率は日本69%、欧州23%、その他8%だった。

■医療用医薬品事業は潰瘍性大腸炎治療剤アサコールなどが主力

 医療用医薬品事業は、潰瘍性大腸炎治療剤アサコール(協和キリンとの販売提携を終了して20年4月から単独販売)を主力として、H2受容体拮抗剤アシノン、亜鉛含有胃潰瘍治療剤プロマック、機能性ディスペプシア治療剤アコファイドなども展開している。

 子会社ティロッツ社は、アストラゼネカ社から炎症性腸疾患(IBD)治療剤Entocortの米国を除く全世界における権利を取得し、国内ではゼンタコートカプセルとして販売している。

 20年11月にはティロッツ社が、アステラス製薬の英国子会社が販売しているクロストリジウム・ディフィシル感染症治療剤「ディフィクリア錠」(英名DIFICLIR)について、欧州、中東、アフリカおよび独立国家共同体(CIS)における製造販売承認を承継する資産譲渡契約(取得額109百万ユーロ)を締結した。

 アコファイドについては、Meiji Seika ファルマとタイおよびインドネシアにおける独占的開発・販売ライセンス契約、スペインのFAES社とラテンアメリカにおける独占的開発・販売ライセンス契約を締結している。なおアステラス製薬<4503>と日本で行っている共同販促を21年3月31日で終了し、4月1日以降は単独で販促活動を行う。

 鉄欠乏性貧血治療剤フェインジェクト静注500mg(ビフォーファーマ社から導入、開発コードZ−213、19年3月国内製造販売承認取得)は、20年9月に販売開始した。日本では18年4月から1年間に鉄欠乏性貧血と診断された患者数が約490万人と推計され、約220万人が鉄製剤(経口・静注製剤)の処方・治療を受けているが、日本の鉄製剤市場で販売されている注射剤は現在1剤のみで、治療選択肢が限られた状況となっている。本剤は新たな選択肢として期待されている。

■コンシューマーヘルスケア事業はヘパリーゼ群などが主力

 コンシューマーヘルスケア事業は、ヘパリーゼ群、コンドロイチン群、ウィズワン群を主力として、日本で初めて月経前症候群の効能を取得した西洋ハーブ・ダイレクトOTC医薬品プレフェミン、連結子会社イオナ インターナショナルの「イオナ」ブランド化粧品なども、全国の薬局・薬店・ドラッグストアなどに販売している。

 20年4月にはヘパリーゼ群の主原料である肝臓加水分解物の安定調達とコンシューマーヘルスケア事業拡大を目的として、日水製薬<4550>から日水製薬医薬品販売の全株式を譲り受けて子会社化(現社名:健創製薬)した。20年10月には、筋肉・骨・軟骨の構成成分を配合したビタミン含有保健剤「コンドロアミノCa錠」(指定医薬部外品)を発売した。

■消化器分野を最重点領域として新薬開発を推進

 消化器分野を最重点領域と位置付けて新薬開発を推進している。新薬パイプラインの状況(21年2月5日現在)は以下の通りである。

 鉄欠乏性貧血を適応症とするZ−213(ビフォーファーマ社から導入)は、19年3月鉄欠乏性貧血治療剤フェインジェクト静注500mgとして国内製造販売承認を取得、20年9月販売開始した。

 子宮頸癌を適応症とするZ−100(自社品)は第3相(日本を含むアジア共同治験)段階である。予定された患者登録をすべて終了している。第10次中期経営計画(20〜22年度)期間内の日本での製造販売承認申請を目標としている。

 Z−338(自社品、アコファイド)は、日本では小児機能性ディスペプシア患者を対象とする第3相段階、欧州では機能性ディスペプシアを適応症として第3相段階である。

 高カリウム血症を適応症とするZG−801(ビフォーファーマ社から導入)は第2相段階である。米国では15年12月販売開始し、欧州では17年7月EMA(欧州医薬品庁)から承認取得している。

 潰瘍性大腸炎を適応症とするZ−206(自社グループ品)は中国で20年4月承認取得した。販売については、開発主体であるTillotts Pharma AGが、イタリアのMenariniグループの中国現地法人と独占的販売権供与に関する契約を締結している。

 なおベルフェミン(OTC医薬品、西洋ハーブ)について、20年11月に厚生労働省から、軽度の静脈還流障害(静脈の血流が滞ること)による足のむくみ改善薬の製造販売承認を取得した。

■海外におけるアサコールとEntocortの市場浸透などを推進

 収益拡大に向けた重点施策として、医療用医薬品事業では潰瘍性大腸炎治療剤アサコールの情報提供活動強化、鉄欠乏性貧血治療剤フェインジェクト静注500mgの市場構築、海外におけるアサコールと炎症性腸疾患(IBD)治療剤Entocortの市場浸透、コンシューマーヘルスケア事業では主力製品に次ぐ製品群の育成、日水製薬医薬品販売とのシナジーによる事業拡大を推進している。

 また持続的成長に向けて、消化器領域および既存事業との親和性の高い領域の薬剤導入やM&A、自社製品の海外導出も検討する方針としている。

■21年3月期営業・経常利益上振れ(純利益は2回目の上振れ)の可能性

 21年3月期連結業績予想(期初時点では未定、8月4日に公表、2月5日に売上高を下方修正、営業利益と経常利益を据え置き、当期純利益を上方修正)は、売上高が20年3月期比4.8%減の575億円、営業利益が5.0%増の43億円、経常利益が0.5%増の39億円、当期純利益が26.5%増の37億円としている。配当予想は20年3月期と同額の34円(第2四半期末17円、期末17円)である。

 第3四半期累計は売上高が前年同期比8.5%減の423億74百万円、営業利益が14.0%増の38億56百万円、経常利益が14.6%増の35億38百万円、四半期純利益が57.5%増の36億86百万円だった。

 新型コロナウイルスの影響などで減収だが、海外市場における主力製品の伸長や販管費の抑制などで2桁増益だった。営業外費用では為替差損が増加(前期2億59百万円、今期4億25百万円)し、特別利益では債務取崩益6億78百万円、投資有価証券売却益3億75百万円を計上した。

 医療用医薬品事業は4.8%減収だった。全体としては減収だったが、主力製品は伸長した。潰瘍性大腸炎治療剤アサコールは、薬価改定の影響を受けたが、協和キリンとの販売提携を終了して20年4月以降に単独販売となり、売上が増加した。海外売上も拡大した。炎症性腸疾患(IBD)治療剤Entocortは、海外市場で堅調に推移した。

 コンシューマーヘルスケア事業は12.5%減収だった。殺菌消毒薬などの衛生用品が伸長したが、新型コロナウイルスによる外出自粛の影響で、主力のヘパリーゼ群やコンドロイチン群が苦戦した。

 四半期別に見ると、第1四半期は売上高133億31百万円で営業利益10億60百万円、第2四半期は売上高134億78百万円で営業利益5億38百万円、第3四半期は売上高155億65百万円で営業利益22億58百万円だった。第3四半期は回復基調となった。

 通期については、国内のコンシューマーヘルスケア事業が新型コロナウイルスの影響で苦戦しているが、医療用医薬品事業で主力製品が伸長し、海外子会社の業績が堅調に推移している。当期純利益は投資有価証券売却益等の特別利益計上が寄与する。

 修正後の通期予想に対する第3四半期累計の進捗率は売上高73.7%、営業利益89.7%、経常利益90.7%、純利益99.6%と高水準である。通期の営業・経常利益予想は上振れ(純利益予想は2回目の上振れ)の可能性が高いだろう。収益拡大を期待したい。

■株主優待は年2回、9月末と3月末の株主対象

 株主優待制度は毎年9月末および3月末現在の株主を対象として、保有株式数に応じて自社グループ商品を贈呈する。なお3月1日に優待品コース内容変更(詳細は会社HP参照)を発表している。

■株価は上値試す

 20年5月21日発表の自己株式取得(上限80万株・17億60百万円、取得期間20年5月22日〜20年11月5日)は、11月4日に取得期間延長(21年5月14日まで延長)を発表している。

 株価は昨年来高値に接近している。上値を試す展開を期待したい。3月11日の終値は2149円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS80円23銭で算出)は約27倍、今期予想配当利回り(会社予想の34円で算出)は約1.6%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS1134円30銭で算出)は約1.9倍、時価総額は約1142億円である。(情報提供:日 本インタビュ新聞社=Media−IR)
[02月19日更新]

ゼリア新薬工業は上値試す、21年3月期3Q累計2桁増益で通期純利益を上方修正

 ゼリア新薬工業<4559>(東1)は消化器分野が中心の医療用医薬品事業、および一般用医薬品のコンシューマーヘルスケア事業を展開している。21年3月期第3四半期累計は主力製品の伸長や販管費抑制などで2桁増益だった。通期予想は売上高を下方修正したが、特別利益計上で当期純利益を上方修正した。第3四半期累計の進捗率が高水準であり、通期営業・経常利益も上振れの可能性がありそうだ。収益拡大を期待したい。株価は急伸して昨年来高値に接近する場面があった。自律調整を交えながら上値を試す展開を期待したい。

■医療用医薬品事業とコンシューマーヘルスケア事業を展開

 消化器分野が中心の医療用医薬品事業、および一般用医薬品のコンシューマーヘルスケア事業を展開している。収益面では薬価改定、ライセンス収入・ロイヤリティ収入、研究開発費、広告宣伝費などの影響を受けやすい。

 20年3月期のセグメント別売上高構成比は医療用医薬品事業53%、コンシューマーヘルスケア事業47%、その他0%、営業利益構成比(連結調整前)は医療用医薬品事業28%、コンシューマーヘルスケア事業69%、その他3%だった。地域別売上比率は日本69%、欧州23%、その他8%だった。

■医療用医薬品事業は潰瘍性大腸炎治療剤アサコールなどが主力

 医療用医薬品事業は、潰瘍性大腸炎治療剤アサコール(協和キリンとの販売提携を終了して20年4月から単独販売)を主力として、H2受容体拮抗剤アシノン、亜鉛含有胃潰瘍治療剤プロマック、機能性ディスペプシア治療剤アコファイドなども展開している。

 子会社ティロッツ社は、アストラゼネカ社から炎症性腸疾患(IBD)治療剤Entocortの米国を除く全世界における権利を取得し、国内ではゼンタコートカプセルとして販売している。

 20年11月にはティロッツ社が、アステラス製薬の英国子会社が販売しているクロストリジウム・ディフィシル感染症治療剤「ディフィクリア錠」(英名DIFICLIR)について、欧州、中東、アフリカおよび独立国家共同体(CIS)における製造販売承認を承継する資産譲渡契約(取得額109百万ユーロ)を締結した。

 アコファイドについては、Meiji Seika ファルマとタイおよびインドネシアにおける独占的開発・販売ライセンス契約、スペインのFAES社とラテンアメリカにおける独占的開発・販売ライセンス契約を締結している。なお21年1月には、アステラス製薬<4503>と日本で行っている共同販促を21年3月31日で終了し、4月1日以降は単独で販促活動を行うと発表した。

 鉄欠乏性貧血治療剤フェインジェクト静注500mg(ビフォーファーマ社から導入、開発コードZ−213、19年3月国内製造販売承認取得)は、20年9月に販売開始した。日本では18年4月から1年間に鉄欠乏性貧血と診断された患者数が約490万人と推計され、約220万人が鉄製剤(経口・静注製剤)の処方・治療を受けているが、日本の鉄製剤市場で販売されている注射剤は現在1剤のみで、治療選択肢が限られた状況となっている。本剤は新たな選択肢として期待されている。

■コンシューマーヘルスケア事業はヘパリーゼ群などが主力

 コンシューマーヘルスケア事業は、ヘパリーゼ群、コンドロイチン群、ウィズワン群を主力として、日本で初めて月経前症候群の効能を取得した西洋ハーブ・ダイレクトOTC医薬品プレフェミン、連結子会社イオナ インターナショナルの「イオナ」ブランド化粧品なども、全国の薬局・薬店・ドラッグストアなどに販売している。

 20年4月にはヘパリーゼ群の主原料である肝臓加水分解物の安定調達とコンシューマーヘルスケア事業拡大を目的として、日水製薬<4550>から日水製薬医薬品販売の全株式を譲り受けて子会社化(現社名:健創製薬)した。20年10月には、筋肉・骨・軟骨の構成成分を配合したビタミン含有保健剤「コンドロアミノCa錠」(指定医薬部外品)を発売した。

■消化器分野を最重点領域として新薬開発を推進

 消化器分野を最重点領域と位置付けて新薬開発を推進している。新薬パイプラインの状況(21年2月5日現在)は以下の通りである。

 鉄欠乏性貧血を適応症とするZ−213(ビフォーファーマ社から導入)は、19年3月鉄欠乏性貧血治療剤フェインジェクト静注500mgとして国内製造販売承認を取得、20年9月販売開始した。

 子宮頸癌を適応症とするZ−100(自社品)は第3相(日本を含むアジア共同治験)段階である。予定された患者登録をすべて終了している。第10次中期経営計画(20〜22年度)期間内の日本での製造販売承認申請を目標としている。

 Z−338(自社品、アコファイド)は、日本では小児機能性ディスペプシア患者を対象とする第3相段階、欧州では機能性ディスペプシアを適応症として第3相段階である。

 高カリウム血症を適応症とするZG−801(ビフォーファーマ社から導入)は第2相段階である。米国では15年12月販売開始し、欧州では17年7月EMA(欧州医薬品庁)から承認取得している。

 潰瘍性大腸炎を適応症とするZ−206(自社グループ品)は中国で20年4月承認取得した。販売については、開発主体であるTillotts Pharma AGが、イタリアのMenariniグループの中国現地法人と独占的販売権供与に関する契約を締結している。

 なおベルフェミン(OTC医薬品、西洋ハーブ)について、20年11月に厚生労働省から、軽度の静脈還流障害(静脈の血流が滞ること)による足のむくみ改善薬の製造販売承認を取得した。

■海外におけるアサコールとEntocortの市場浸透などを推進

 収益拡大に向けた重点施策として、医療用医薬品事業では潰瘍性大腸炎治療剤アサコールの情報提供活動強化、鉄欠乏性貧血治療剤フェインジェクト静注500mgの市場構築、海外におけるアサコールと炎症性腸疾患(IBD)治療剤Entocortの市場浸透、コンシューマーヘルスケア事業では主力製品に次ぐ製品群の育成、日水製薬医薬品販売とのシナジーによる事業拡大を推進する方針だ。

 また持続的成長に向けて、消化器領域および既存事業との親和性の高い領域の薬剤導入やM&A、自社製品の海外導出も検討する方針としている。

■21年3月期3Q累計2桁増益で通期純利益を上方修正

 21年3月期の連結業績予想(期初時点では未定、8月4日に公表、2月5日に売上高を下方修正、営業利益と経常利益を据え置き、当期純利益を上方修正)は、売上高が20年3月期比4.8%減の575億円、営業利益が5.0%増の43億円、経常利益が0.5%増の39億円、当期純利益が26.5%増の37億円としている。配当予想は20年3月期と同額の34円(第2四半期末17円、期末17円)としている。

 第3四半期累計は売上高が前年同期比8.5%減の423億74百万円、営業利益が14.0%増の38億56百万円、経常利益が14.6%増の35億38百万円、四半期純利益が57.5%増の36億86百万円だった。新型コロナウイルスの影響などで減収だったが、海外市場における主力製品の伸長や販管費の抑制などで2桁増益だった。なお営業外費用では為替差損が増加(前期2億59百万円、今期4億25百万円)し、特別利益では債務取崩益6億78百万円、投資有価証券売却益3億75百万円を計上した。

 医療用医薬品事業は4.8%減収だった。全体としては減収だったが、主力製品は伸長した。潰瘍性大腸炎治療剤アサコールは、薬価改定の影響を受けたが、協和キリンとの販売提携を終了して20年4月以降に単独販売となり、売上が増加した。海外売上も拡大した。炎症性腸疾患(IBD)治療剤Entocortは、海外市場で堅調に推移した。

 コンシューマーヘルスケア事業は12.5%減収だった。殺菌消毒薬などの衛生用品が伸長したが、新型コロナウイルスによる外出自粛の影響で、主力のヘパリーゼ群やコンドロイチン群が苦戦した。

 四半期別に見ると、第1四半期は売上高133億31百万円で営業利益10億60百万円、第2四半期は売上高134億78百万円で営業利益5億38百万円、第3四半期は売上高155億65百万円で営業利益22億58百万円だった。第3四半期は回復基調となった。

 通期予想については、国内のコンシューマーヘルスケア事業が新型コロナウイルスの影響で苦戦しているため売上高を下方修正したが、医療用医薬品事業で主力製品が伸長し、海外子会社の業績が堅調なため、営業利益と経常利益を据え置いた。当期純利益は投資有価証券売却益等の特別利益計上が寄与する。

 修正後の通期予想に対する第3四半期累計の進捗率は売上高73.7%、営業利益89.7%、経常利益90.7%、純利益99.6%と高水準である。通期営業・経常利益も上振れの可能性がありそうだ。収益拡大を期待したい。

■株主優待は年2回、9月末と3月末の株主対象

 株主優待制度は毎年9月末および3月末現在の株主を対象として、保有株式数に応じて自社グループ商品を贈呈(詳細は会社HP参照)する。

■株価は下値切り上げ

 20年5月21日発表の自己株式取得(上限80万株・17億60百万円、取得期間20年5月22日〜20年11月5日)は、11月4日に取得期間延長(21年5月14日まで延長)を発表している。

 株価は急伸して20年5月の昨年来高値に接近する場面があった。自律調整を交えながら上値を試す展開を期待したい。2月18日の終値は2027円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS80円23銭で算出)は約25倍、今期予想配当利回り(会社予想の34円で算出)は約1.7%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS1134円30銭で算出)は約1.8倍、そして時価総額は約1077億円である。(情報提供:日 本インタビュ新聞社=Media−IR)
[01月21日更新]

ゼリア新薬工業は下値切り上げ、21年3月期増収増益予想

 ゼリア新薬工業<4559>(東1)は消化器分野が中心の医療用医薬品事業、および一般用医薬品のコンシューマーヘルスケア事業を展開している。21年3月期は医療用医薬品事業の主力製品の伸長や新薬の上市などで増収増益予想としている。収益拡大を期待したい。株価は反発力が鈍くモミ合い展開だが徐々に下値を切り上げている。調整一巡してモミ合い上放れを期待したい。

■医療用医薬品事業とコンシューマーヘルスケア事業を展開

 消化器分野が中心の医療用医薬品事業、および一般用医薬品のコンシューマーヘルスケア事業を展開している。収益面では薬価改定、ライセンス収入・ロイヤリティ収入、研究開発費、広告宣伝費などの影響を受けやすい。

 20年3月期のセグメント別売上高構成比は医療用医薬品事業53%、コンシューマーヘルスケア事業47%、その他0%、営業利益構成比(連結調整前)は医療用医薬品事業28%、コンシューマーヘルスケア事業69%、その他3%だった。地域別売上比率は日本69%、欧州23%、その他8%だった。

■医療用医薬品事業は潰瘍性大腸炎治療剤アサコールなどが主力

 医療用医薬品事業は、潰瘍性大腸炎治療剤アサコール(協和キリンとの販売提携を終了して20年4月から単独販売)を主力として、H2受容体拮抗剤アシノン、亜鉛含有胃潰瘍治療剤プロマック、機能性ディスペプシア治療剤アコファイドなども展開している。

 子会社ティロッツ社は、アストラゼネカ社から炎症性腸疾患(IBD)治療剤Entocortの米国を除く全世界における権利を取得し、国内ではゼンタコートカプセルとして販売している。また20年11月には、アステラス製薬の英国子会社が販売しているクロストリジウム・ディフィシル感染症治療剤「ディフィクリア錠」(英名DIFICLIR)の欧州、中東、アフリカおよび独立国家共同体(CIS)における製造販売承認の承継で合意し、資産譲渡契約(取得額109百万ユーロ)を締結した。

 アコファイドについては、Meiji Seika ファルマとタイおよびインドネシアにおける独占的開発・販売ライセンス契約、スペインのFAES社とラテンアメリカにおける独占的開発・販売ライセンス契約を締結している。なお1月14日には、アステラス製薬<4503>と日本で行っている共同販促を21年3月31日終了し、4月1日以降は単独で販促活動を行うと発表した。

 鉄欠乏性貧血治療剤フェインジェクト静注500mg(ビフォーファーマ社から導入、開発コードZ−213、19年3月国内製造販売承認取得)は、20年9月に販売開始した。日本では18年4月から1年間に鉄欠乏性貧血と診断された患者数が約490万人と推計され、約220万人が鉄製剤(経口・静注製剤)の処方・治療を受けているが、日本の鉄製剤市場で販売されている注射剤は現在1剤のみで、治療選択肢が限られた状況となっている。本剤は新たな選択肢として期待されている。

■コンシューマーヘルスケア事業はヘパリーゼ群などが主力

 コンシューマーヘルスケア事業は、ヘパリーゼ群、コンドロイチン群、ウィズワン群を主力として、日本で初めて月経前症候群の効能を取得した西洋ハーブ・ダイレクトOTC医薬品プレフェミン、連結子会社イオナ インターナショナルの「イオナ」ブランド化粧品なども、全国の薬局・薬店・ドラッグストアなどに販売している。

 20年4月にはヘパリーゼ群の主原料である肝臓加水分解物の安定調達とコンシューマーヘルスケア事業拡大を目的として、日水製薬<4550>から日水製薬医薬品販売の全株式を譲り受けて子会社化(現社名:健創製薬)した。20年10月には、筋肉・骨・軟骨の構成成分を配合したビタミン含有保健剤「コンドロアミノCa錠」(指定医薬部外品)を発売した。

■消化器分野を最重点領域として新薬開発を推進

 消化器分野を最重点領域と位置付けて新薬開発を推進している。新薬パイプラインの状況(20年11月4日現在)は以下の通りである。

 鉄欠乏性貧血を適応症とするZ−213(ビフォーファーマ社から導入)は、19年3月鉄欠乏性貧血治療剤フェインジェクト静注500mgとして国内製造販売承認を取得、20年9月販売開始した。

 子宮頸癌を適応症とするZ−100(自社品)は第3相(日本を含むアジア共同治験)段階である。予定された患者登録をすべて終了している。第10次中期経営計画(20〜22年度)期間内の日本での製造販売承認申請を目標としている。

 Z−338(自社品、アコファイド)は、日本では小児機能性ディスペプシア患者を対象とする第3相段階、欧州では機能性ディスペプシアを適応症として第3相段階である。

 高カリウム血症を適応症とするZG−801(ビフォーファーマ社から導入)は第2相段階である。米国では15年12月販売開始し、欧州では17年7月EMA(欧州医薬品庁)から承認取得している。

 潰瘍性大腸炎を適応症とするZ−206(自社グループ品、アサコール)は中国で20年4月承認取得した。販売については、開発主体であるTillotts Pharma AGが、イタリアのMenariniグループの中国現地法人と独占的販売権供与に関する契約を締結している。

 なおベルフェミン(OTC医薬品、西洋ハーブ)について、20年11月に厚生労働省から、軽度の静脈還流障害(静脈の血流が滞ること)による足のむくみ改善薬の製造販売承認を取得した。

■海外におけるアサコールとEntocortの市場浸透などを推進

 収益拡大に向けた重点施策として、医療用医薬品事業では潰瘍性大腸炎治療剤アサコールの情報提供活動強化、鉄欠乏性貧血治療剤フェインジェクト静注500mgの市場構築、海外におけるアサコールと炎症性腸疾患(IBD)治療剤Entocortの市場浸透、コンシューマーヘルスケア事業では主力製品に次ぐ製品群の育成、日水製薬医薬品販売とのシナジーによる事業拡大を推進する方針だ。

 また持続的成長に向けて、消化器領域および既存事業との親和性の高い領域の薬剤導入やM&A、自社製品の海外導出も検討する方針だ。

■21年3月期増収増益予想

 21年3月期の連結業績予想(期初時点では未定、8月4日に公表)は、売上高が20年3月期比0.9%増の610億円、営業利益が5.0%増の43億円、経常利益が0.5%増の39億円、純利益が12.8%増の33億円としている。配当予想は20年3月期と同額の34円(第2四半期末17円、期末17円)としている。

 第2四半期累計は売上高が前年同期比11.6%減の268億09百万円、営業利益が8.1%減の15億98百万円、経常利益が19.7%減の13億07百万円、純利益が12.9%増の13億88百万円だった。特にコンシューマーヘルスケア事業が新型コロナウイルスの影響を受けた。またスイスフラン高で営業外費用の為替差損が拡大(前年同期は差損80百万円、今期は差損4億25百万円)した。特別利益では債務取崩益(6億71百万円)を計上した。

 医療用医薬品事業は7.6%減収だった。主力のアサコール(4.1%増収)は引き続き堅調だったが、Entocort(16.8%減収)が海外の一部で新型コロナウイルス影響による出荷遅延が発生した。アコファイド(8.8%減収)は新型コロナウイルスによる受診行動抑制が影響した。

 コンシューマーヘルスケア事業は15.9%減収だった。殺菌消毒薬など衛生用品は好調だったが、新型コロナウイルスによる外出自粛で特にコンビニエンスストア市場が影響を受けた。ヘパリーゼ群は46.8%減収、コンドロイチン群は19.8%減収と急減した。

 第2四半期累計は特にコンシューマーヘルスケア事業が新型コロナウイルス影響を受けて営業・経常減益だったが、通期は医療用医薬品事業の主力製品の伸長や新薬の上市(20年9月発売の鉄欠乏性貧血治療剤フェインジェクト)などで増収増益予想としている。Entocortは出荷遅延が解消して回復基調である。ヘパリーゼW群は年末年始の最需要期に向けて諸施策を強化する。

 なお子会社ティロッツ社が「ディフィクリア錠」の製造販売承認を承継したことによる21年3月期業績への影響は軽微としている。通期ベースで収益拡大を期待したい。

■株主優待は年2回、9月末と3月末の株主対象

 株主優待制度は毎年9月末および3月末現在の株主を対象として、保有株式数に応じて自社グループ商品を贈呈(詳細は会社HP参照)する。

■株価は下値切り上げ

 なお20年5月21日発表の自己株式取得(上限80万株・17億60百万円、取得期間20年5月22日〜20年11月5日)について、11月4日に取得期間延長(21年5月14日まで延長)を発表している。

 株価は反発力が鈍くモミ合い展開だが徐々に下値を切り上げている。調整一巡してモミ合い上放れを期待したい。1月20日の終値は1916円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS71円47銭で算出)は約27倍、今期予想配当利回り(会社予想の34円で算出)は約1.8%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS1134円30銭で算出)は約1.7倍、時価総額は約1018億円である。(情報提供:日 本インタビュ新聞社=Media−IR)
[12月18日更新]

ゼリア新薬工業は調整一巡、21年3月期増収増益予想

 ゼリア新薬工業<4559>(東1)は消化器分野が中心の医療用医薬品事業、および一般用医薬品のコンシューマーヘルスケア事業を展開している。21年3月期は医療用医薬品事業の主力製品の伸長や新薬の上市などで増収増益予想としている。収益拡大を期待したい。なお自己株式取得期間を延長している。株価は上値を切り下げる形だが、大きく下押す動きも見られない。調整一巡して出直りを期待したい。

■医療用医薬品事業とコンシューマーヘルスケア事業を展開

 消化器分野が中心の医療用医薬品事業、および一般用医薬品のコンシューマーヘルスケア事業を展開している。収益面では薬価改定、ライセンス収入・ロイヤリティ収入、研究開発費、広告宣伝費などの影響を受けやすい。

 20年3月期のセグメント別売上高構成比は医療用医薬品事業53%、コンシューマーヘルスケア事業47%、その他0%、営業利益構成比(連結調整前)は医療用医薬品事業28%、コンシューマーヘルスケア事業69%、その他3%だった。地域別売上比率は日本69%、欧州23%、その他8%だった。

■医療用医薬品事業は潰瘍性大腸炎治療剤アサコールなどが主力

 医療用医薬品事業は、潰瘍性大腸炎治療剤アサコール(協和キリンとの販売提携を終了して20年4月から単独販売)を主力として、H2受容体拮抗剤アシノン、亜鉛含有胃潰瘍治療剤プロマック、機能性ディスペプシア治療剤アコファイドなども展開している。

 子会社ティロッツ社は、アストラゼネカ社から炎症性腸疾患(IBD)治療剤Entocortの米国を除く全世界における権利を取得し、国内ではゼンタコートカプセルとして販売している。また20年11月には、アステラス製薬の英国子会社が販売しているクロストリジウム・ディフィシル感染症治療剤「ディフィクリア錠」(英名DIFICLIR)の欧州、中東、アフリカおよび独立国家共同体(CIS)における製造販売承認の承継で合意し、資産譲渡契約(取得額109百万ユーロ)を締結した。

 アコファイドについては、Meiji Seika ファルマとタイおよびインドネシアにおける独占的開発・販売ライセンス契約、スペインのFAES社とラテンアメリカにおける独占的開発・販売ライセンス契約を締結している。

 20年9月には鉄欠乏性貧血治療剤フェインジェクト静注500mg(ビフォーファーマ社から導入、開発コードZ−213、19年3月国内製造販売承認取得)を販売開始した。日本では18年4月から1年間に鉄欠乏性貧血と診断された患者数が約490万人と推計され、約220万人が鉄製剤(経口・静注製剤)の処方・治療を受けているが、日本の鉄製剤市場で販売されている注射剤は現在1剤のみで、治療選択肢が限られた状況となっている。本剤は新たな選択肢として期待されている。

■コンシューマーヘルスケア事業はヘパリーゼ群などが主力

 コンシューマーヘルスケア事業は、ヘパリーゼ群、コンドロイチン群、ウィズワン群を主力として、日本で初めて月経前症候群の効能を取得した西洋ハーブ・ダイレクトOTC医薬品プレフェミン、連結子会社イオナ インターナショナルの「イオナ」ブランド化粧品なども、全国の薬局・薬店・ドラッグストアなどに販売している。

 20年4月にはヘパリーゼ群の主原料である肝臓加水分解物の安定調達とコンシューマーヘルスケア事業拡大を目的として、日水製薬<4550>から日水製薬医薬品販売の全株式を譲り受けて子会社化(現社名:健創製薬)した。20年10月には、筋肉・骨・軟骨の構成成分を配合したビタミン含有保健剤「コンドロアミノCa錠」(指定医薬部外品)を発売した。

■消化器分野を最重点領域として新薬開発を推進

 消化器分野を最重点領域と位置付けて新薬開発を推進している。新薬パイプラインの状況(20年11月4日現在)は以下の通りである。

 鉄欠乏性貧血を適応症とするZ−213(ビフォーファーマ社から導入)は、19年3月鉄欠乏性貧血治療剤フェインジェクト静注500mgとして国内製造販売承認を取得、20年9月販売開始した。

 子宮頸癌を適応症とするZ−100(自社品)は第3相(日本を含むアジア共同治験)段階である。予定された患者登録をすべて終了している。第10次中期経営計画(20〜22年度)期間内の日本での製造販売承認申請を目標としている。

 Z−338(自社品、アコファイド)は、日本では小児機能性ディスペプシア患者を対象とする第3相段階、欧州では機能性ディスペプシアを適応症として第3相段階である。

 高カリウム血症を適応症とするZG−801(ビフォーファーマ社から導入)は第2相段階である。米国では15年12月販売開始し、欧州では17年7月EMA(欧州医薬品庁)から承認取得している。

 潰瘍性大腸炎を適応症とするZ−206(自社グループ品、アサコール)は中国で20年4月承認取得した。販売については、開発主体であるTillotts Pharma AGが、イタリアのMenariniグループの中国現地法人と独占的販売権供与に関する契約を締結している。

 なおベルフェミン(OTC医薬品、西洋ハーブ)について、20年11月に厚生労働省から、軽度の静脈還流障害(静脈の血流が滞ること)による足のむくみ改善薬の製造販売承認を取得した。

■海外におけるアサコールとEntocortの市場浸透などを推進

 収益拡大に向けた重点施策として、医療用医薬品事業では潰瘍性大腸炎治療剤アサコールの情報提供活動強化、鉄欠乏性貧血治療剤フェインジェクト静注500mgの市場構築、海外におけるアサコールと炎症性腸疾患(IBD)治療剤Entocortの市場浸透、コンシューマーヘルスケア事業では主力製品に次ぐ製品群の育成、日水製薬医薬品販売とのシナジーによる事業拡大を推進する方針だ。

 また持続的成長に向けて、消化器領域および既存事業との親和性の高い領域の薬剤導入やM&A、自社製品の海外導出も検討する方針だ。

■21年3月期増収増益予想

 21年3月期の連結業績予想(期初時点では未定、8月4日に公表)は、売上高が20年3月期比0.9%増の610億円、営業利益が5.0%増の43億円、経常利益が0.5%増の39億円、純利益が12.8%増の33億円としている。配当予想は20年3月期と同額の34円(第2四半期末17円、期末17円)としている。

 第2四半期累計は売上高が前年同期比11.6%減の268億09百万円、営業利益が8.1%減の15億98百万円、経常利益が19.7%減の13億07百万円、純利益が12.9%増の13億88百万円だった。特にコンシューマーヘルスケア事業が新型コロナウイルスの影響を受けた。なおスイスフラン高で営業外費用の為替差損が拡大(前年同期は差損80百万円、今期は差損4億25百万円)した。特別利益では債務取崩益(6億71百万円)を計上した。

 医療用医薬品事業は7.6%減収だった。主力のアサコール(4.1%増収)は引き続き堅調だったが、Entocort(16.8%減収)が海外の一部で新型コロナウイルス影響による出荷遅延が発生した。アコファイド(8.8%減収)は新型コロナウイルスによる受診行動抑制が影響した。

 コンシューマーヘルスケア事業は15.9%減収だった。殺菌消毒薬など衛生用品は好調だったが、新型コロナウイルスによる外出自粛で特にコンビニエンスストア市場が影響を受けた。ヘパリーゼ群は46.8%減収、コンドロイチン群は19.8%減収と急減した。

 第2四半期累計は特にコンシューマーヘルスケア事業が新型コロナウイルス影響を受けて営業・経常減益だったが、通期は医療用医薬品事業の主力製品の伸長や新薬の上市(20年9月発売の鉄欠乏性貧血治療剤フェインジェクト)などで増収増益予想としている。Entocortは出荷遅延が解消して回復基調である。ヘパリーゼW群は年末年始の最需要期に向けて諸施策を強化する。

 なお子会社ティロッツ社が「ディフィクリア錠」の製造販売承認を承継したことによる21年3月期業績への影響は軽微としている。通期ベースで収益拡大を期待したい。

■株主優待は年2回、9月末と3月末の株主対象

 株主優待制度は毎年9月末および3月末現在の株主を対象として、保有株式数に応じて自社グループ商品を贈呈(詳細は会社HP参照)する。

■株価は調整一巡

 なお20年5月21日発表の自己株式取得(上限80万株・17億60百万円、取得期間20年5月22日〜20年11月5日)について、11月4日に取得期間延長(21年5月14日まで延長)を発表している。

 株価は上値を切り下げる形だが、大きく下押す動きも見られない。調整一巡して出直りを期待したい。12月17日の終値は1901円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS71円47銭で算出)は約27倍、今期予想配当利回り(会社予想の34円で算出)は約1.8%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS1134円30銭で算出)は約1.7倍、時価総額は約1010億円である。(情報提供:日 本インタビュ新聞社=Media−IR)
[11月25日更新]

ゼリア新薬工業は調整一巡、21年3月期2Q累計営業・経常減益だが通期増収増益予想

 ゼリア新薬工業<4559>(東1)は消化器分野が中心の医療用医薬品事業、および一般用医薬品のコンシューマーヘルスケア事業を展開している。21年3月期第2四半期累計は特にコンシューマーヘルスケア事業が新型コロナウイルス影響を受けて営業・経常減益だったが、通期は医療用医薬品事業の主力製品の伸長や新薬の上市などで増収増益予想としている。収益拡大を期待したい。なお自己株式取得期間を延長している。株価は上値を切り下げる形だが、調整一巡して出直りを期待したい。

■医療用医薬品事業とコンシューマーヘルスケア事業を展開

 消化器分野が中心の医療用医薬品事業、および一般用医薬品のコンシューマーヘルスケア事業を展開している。収益面では薬価改定、ライセンス収入・ロイヤリティ収入、研究開発費、広告宣伝費などの影響を受けやすい。

 20年3月期のセグメント別売上高構成比は医療用医薬品事業53%、コンシューマーヘルスケア事業47%、その他0%、営業利益構成比(連結調整前)は医療用医薬品事業28%、コンシューマーヘルスケア事業69%、その他3%だった。地域別売上比率は日本69%、欧州23%、その他8%だった。

 医療用医薬品事業は、潰瘍性大腸炎治療剤アサコール(協和キリンとの販売提携を終了して20年4月から単独販売)を主力として、H2受容体拮抗剤アシノン、亜鉛含有胃潰瘍治療剤プロマック、機能性ディスペプシア治療剤アコファイドなども展開している。子会社ティロッツ社は、アストラゼネカ社から炎症性腸疾患(IBD)治療剤Entocortの米国を除く全世界における権利を取得し、国内ではゼンタコートカプセルとして販売している。

 アコファイドについては、Meiji Seika ファルマとタイおよびインドネシアにおける独占的開発・販売ライセンス契約、スペインのFAES社とラテンアメリカにおける独占的開発・販売ライセンス契約を締結している。

 20年9月には鉄欠乏性貧血治療剤フェインジェクト静注500mg(ビフォーファーマ社から導入、開発コードZ−213、19年3月国内製造販売承認取得)を販売開始した。日本では18年4月から1年間に鉄欠乏性貧血と診断された患者数が約490万人と推計され、約220万人が鉄製剤(経口・静注製剤)の処方・治療を受けているが、日本の鉄製剤市場で販売されている注射剤は現在1剤のみで、治療選択肢が限られた状況となっている。本剤は新たな選択肢として期待されている。

 コンシューマーヘルスケア事業は、ヘパリーゼ群、コンドロイチン群、ウィズワン群を主力として、日本で初めて月経前症候群の効能を取得した西洋ハーブ・ダイレクトOTC医薬品プレフェミン、連結子会社イオナ インターナショナルの「イオナ」ブランド化粧品なども、全国の薬局・薬店・ドラッグストアなどに販売している。

 20年4月にはヘパリーゼ群の主原料である肝臓加水分解物の安定調達とコンシューマーヘルスケア事業拡大を目的として、日水製薬<4550>から日水製薬医薬品販売の全株式を譲り受けて子会社化(現社名:健創製薬)した。20年10月には、筋肉・骨・軟骨の構成成分を配合したビタミン含有保健剤「コンドロアミノCa錠」(指定医薬部外品)を発売した。

■消化器分野を最重点領域として新薬開発を推進

 消化器分野を最重点領域と位置付けて新薬開発を推進している。新薬パイプラインの状況(20年11月4日現在)は以下の通りである。

 鉄欠乏性貧血を適応症とするZ−213(ビフォーファーマ社から導入)は、19年3月鉄欠乏性貧血治療剤フェインジェクト静注500mgとして国内製造販売承認を取得、20年9月販売開始した。

 子宮頸癌を適応症とするZ−100(自社品)は第3相(日本を含むアジア共同治験)段階である。予定された患者登録をすべて終了している。第10次中期経営計画(20〜22年度)期間内の日本での製造販売承認申請を目標としている。

 Z−338(自社品、アコファイド)は、日本では小児機能性ディスペプシア患者を対象とする第3相段階、欧州では機能性ディスペプシアを適応症として第3相段階である。

 高カリウム血症を適応症とするZG−801(ビフォーファーマ社から導入)は第2相段階である。米国では15年12月販売開始し、欧州では17年7月EMA(欧州医薬品庁)から承認取得している。

 潰瘍性大腸炎を適応症とするZ−206(自社グループ品、アサコール)は中国で20年4月承認取得した。販売については、開発主体であるTillotts Pharma AGが、イタリアのMenariniグループの中国現地法人と独占的販売権供与に関する契約を締結している。

 なおベルフェミン(OTC医薬品、西洋ハーブ)については、20年9月に厚生労働省薬事・食品衛生審議会要指導・一般用医薬品部会において要指導薬としての承認が了承された。近々に製造販売承認されることを期待している。

■海外におけるアサコールとEntocortの市場浸透などを推進

 収益拡大に向けた重点施策として、医療用医薬品事業では潰瘍性大腸炎治療剤アサコールの情報提供活動強化、鉄欠乏性貧血治療剤フェインジェクト静注500mgの市場構築、海外におけるアサコールと炎症性腸疾患(IBD)治療剤Entocortの市場浸透、コンシューマーヘルスケア事業では主力製品に次ぐ製品群の育成、日水製薬医薬品販売とのシナジーによる事業拡大を推進する方針だ。

 また持続的成長に向けて、消化器領域および既存事業との親和性の高い領域の薬剤導入やM&A、自社製品の海外導出も検討する方針だ。

■21年3月期2Q累計営業・経常減益だが通期増収増益予想

 21年3月期の連結業績予想(期初時点では未定、8月4日に公表)は、売上高が20年3月期比0.9%増の610億円、営業利益が5.0%増の43億円、経常利益が0.5%増の39億円、純利益が12.8%増の33億円としている。配当予想は20年3月期と同額の34円(第2四半期末17円、期末17円)としている。

 第2四半期累計は売上高が前年同期比11.6%減の268億09百万円、営業利益が8.1%減の15億98百万円、経常利益が19.7%減の13億07百万円、純利益が12.9%増の13億88百万円だった。特にコンシューマーヘルスケア事業が新型コロナウイルスの影響を受けた。なおスイスフラン高で営業外費用の為替差損が拡大(前年同期は差損80百万円、今期は差損4億25百万円)した。特別利益では債務取崩益(6億71百万円)を計上した。

 医療用医薬品事業は7.6%減収だった。主力のアサコール(4.1%増収)は引き続き堅調だったが、Entocort(16.8%減収)が海外の一部で新型コロナウイルスの影響による出荷遅延が発生した。アコファイド(8.8%減収)は新型コロナウイルスによる受診行動抑制が影響した。

 コンシューマーヘルスケア事業は15.9%減収だった。殺菌消毒薬など衛生用品は好調だったが、新型コロナウイルスによる外出自粛で特にコンビニエンスストア市場が影響を受けた。ヘパリーゼ群は46.8%減収、コンドロイチン群は19.8%減収と急減した。

 第2四半期累計は特にコンシューマーヘルスケア事業が新型コロナウイルスの影響を受けて営業・経常減益だったが、通期は医療用医薬品事業の主力製品の伸長や新薬の上市(20年9月発売の鉄欠乏性貧血治療剤フェインジェクト)などで増収増益予想としている。Entocortは出荷遅延が解消して回復基調である。ヘパリーゼW群は年末年始の最需要期に向けて諸施策を強化する。通期ベースで収益拡大を期待したい。

■株主優待は年2回、9月末と3月末の株主対象

 株主優待制度は毎年9月末および3月末現在の株主を対象として、保有株式数に応じて自社グループ商品を贈呈(詳細は会社HP参照)する。

■株価は調整一巡

 なお20年5月21日発表の自己株式取得(上限80万株・17億60百万円、取得期間20年5月22日〜20年11月5日)については、11月4日に取得期間延長(21年5月14日まで延長)を発表している。20年11月3日時点での累計取得株式数は15万4200株だった。

 株価は上値を切り下げる形だが、調整一巡して出直りを期待したい。11月24日の終値は1890円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS71円47銭で算出)は約26倍、今期予想配当利回り(会社予想の34円で算出)は約1.8%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS1134円30銭で算出)は約1.7倍、時価総額は約1004億円である。(情報提供:日 本インタビュ新聞社=Media−IR)
[11月05日更新]

ゼリア新薬工業は21年3月期通期増収増益予想据え置き
ゼリア新薬工業<4559>(東1)は11月4日の取引時間終了後に21年3月期第2四半期累計連結業績を発表した。新型コロナウイルスの影響などで減収減益だった。通期の増収増益予想を据え置いた。20年9月発売の鉄欠乏性貧血治療剤フェインジェクトも寄与する見込みだ。通期ベースで収益拡大を期待したい。なお自己株式取得期間を21年5月14日まで延長した。株価は戻り高値圏から反落したが、調整一巡して出直りを期待したい。通期予想据え置きも安心感につながりそうだ。

■21年3月期2Q累計減収減益だが通期増収増益予想を据え置き

21年3月期第2四半期累計連結業績は売上高が前年同期比11.6%減の268億09百万円、営業利益が20.2%減の13億88百万円、経常利益が32.6%減の10億97百万円、純利益が1.0%減の12億18百万円だった。

医療用医薬品事業(7.6%減収)は、潰瘍性大腸炎治療剤アサコールが協和キリンとの販売提携を終了して20年4月から単独販売となり増収だったが、海外で炎症性腸疾患(IBD)治療剤Entocortが苦戦した。コンシューマーヘルスケア事業(15.9%減収)は、新型コロナウイルスによる外出自粛の影響などで全体として苦戦した。なおスイスフラン高で営業外費用の為替差損が拡大し、特別利益には債務取崩益を計上した。

通期予想は据え置いて、売上高が20年3月期比0.9%増の610億円、営業利益が5.0%増の43億円、経常利益が0.5%増の39億円、純利益が12.8%増の33億円としている。

医療用医薬品事業では主力のアサコールなどが堅調に推移し、上期に苦戦したEntocortもカナダ向け出荷再開などで回復基調となっている。また20年9月発売の鉄欠乏性貧血治療剤フェインジェクトも寄与する見込みだ。コンシューマーヘルスケア事業も新製品投入で第3四半期以降の回復を見込んでいる。通期ベースで収益拡大を期待したい。

■株価は通期予想据え置きで安心感

株価は戻り高値圏から反落して水準を切り下げたが、調整一巡して出直りを期待したい。通期の増収増益予想据え置きも安心感につながりそうだ。11月4日の終値は1888円、時価総額は約1003億円である。
 (情報提供:日本インタビュ新聞社=Media−IR)
[10月26日更新]

ゼリア新薬工業は調整一巡、21年3月期増収増益予想

 ゼリア新薬工業<4559>(東1)は、消化器分野が中心の医療用医薬品事業、および一般用医薬品のコンシューマーヘルスケア事業を展開している。21年3月期は主力製品の伸長や新薬の上市などで増収増益予想としている。収益拡大を期待したい。株価は戻り高値圏から反落したが、調整一巡して出直りを期待したい。

■医療用医薬品事業とコンシューマーヘルスケア事業を展開

 消化器分野が中心の医療用医薬品事業、および一般用医薬品のコンシューマーヘルスケア事業を展開している。収益面では薬価改定、ライセンス収入・ロイヤリティ収入、研究開発費、広告宣伝費などの影響を受けやすい。

 20年3月期のセグメント別売上高構成比は医療用医薬品事業53%、コンシューマーヘルスケア事業47%、その他0%、営業利益構成比(連結調整前)は医療用医薬品事業28%、コンシューマーヘルスケア事業69%、その他3%だった。地域別売上比率は日本69%、欧州23%、その他8%だった。

 医療用医薬品事業は、潰瘍性大腸炎治療剤アサコール(協和キリンとの販売提携を終了して20年4月から単独販売)を主力として、H2受容体拮抗剤アシノン、亜鉛含有胃潰瘍治療剤プロマック、機能性ディスペプシア治療剤アコファイドなども展開している。子会社ティロッツ社は、アストラゼネカ社から炎症性腸疾患(IBD)治療剤Entocortの米国を除く全世界における権利を取得し、国内ではゼンタコートカプセルを販売している。

 アコファイドについては、Meiji Seika ファルマとタイおよびインドネシアにおける独占的開発・販売ライセンス契約、スペインのFAES社とラテンアメリカにおける独占的開発・販売ライセンス契約を締結している。

 20年9月には鉄欠乏性貧血治療剤フェインジェクト静注500mg(ビフォーファーマ社から導入、開発コードZ−213、19年3月国内製造販売承認取得)を販売開始した。日本では18年4月から1年間に鉄欠乏性貧血と診断された患者数が約490万人と推計され、約220万人が鉄製剤(経口・静注製剤)の処方・治療を受けているが、日本の鉄製剤市場で販売されている注射剤は現在1剤のみで、治療選択肢が限られた状況となっている。本剤は新たな選択肢として期待されている。

 コンシューマーヘルスケア事業は、ヘパリーゼ群、コンドロイチン群、ウィズワン群を主力として、日本で初めて月経前症候群の効能を取得した西洋ハーブ・ダイレクトOTC医薬品プレフェミン、連結子会社イオナ インターナショナルの「イオナ」ブランド化粧品なども、全国の薬局・薬店・ドラッグストアなどに販売している。

 20年4月にはヘパリーゼ群の主原料である肝臓加水分解物の安定調達とコンシューマーヘルスケア事業拡大を目的として、日水製薬<4550>から日水製薬医薬品販売の全株式を譲り受けて子会社化した。10月1日には、筋肉・骨・軟骨の構成成分を配合したビタミン含有保健剤「コンドロアミノCa錠」(指定医薬部外品)を発売した。

■消化器分野を最重点領域として新薬開発を推進

 消化器分野を最重点領域と位置付けて新薬開発を推進している。新薬パイプラインの状況(20年8月4日現在)は以下の通りである。

 鉄欠乏性貧血を適応症とするZ−213(ビフォーファーマ社から導入)は、19年3月鉄欠乏性貧血治療剤フェインジェクト静注500mgとして国内製造販売承認を取得した。そして20年8月に薬価収載、20年9月に販売開始した。

 子宮頸癌を適応症とするZ−100(自社品)は第3相(日本を含むアジア共同治験)段階である。予定された患者登録をすべて終了した。

 Z−338(自社品)は、日本では小児機能性ディスペプシア患者を対象とする第3相段階、欧州では機能性ディスペプシアを適応症として第3相段階である。

 高カリウム血症を適応症とするZG−801(ビフォーファーマ社から導入)は第2相段階である。米国では15年12月販売開始し、欧州では17年7月EMA(欧州医薬品庁)から承認取得している。

 潰瘍性大腸炎を適応症とするZ−206(自社グループ品)は中国で20年4月承認取得した。販売については、開発主体であるTillotts Pharma AGが、イタリアのMenariniグループの中国現地法人と独占的販売権供与に関する契約を締結している。

■海外におけるアサコールとEntocortの市場浸透などを推進

 収益拡大に向けた重点施策として、医療用医薬品事業では潰瘍性大腸炎治療剤アサコールの情報提供活動強化、鉄欠乏性貧血治療剤フェインジェクト静注500mgの市場構築、海外におけるアサコールと炎症性腸疾患(IBD)治療剤Entocortの市場浸透、コンシューマーヘルスケア事業では主力製品に次ぐ製品群の育成、日水製薬医薬品販売とのシナジーによる事業拡大を推進する方針だ。

■21年3月期増収増益予想

 21年3月期の連結業績予想(期初時点では未定、8月4日に公表)は、売上高が20年3月期比0.9%増の610億円、営業利益が5.0%増の43億円、経常利益が0.5%増の39億円、純利益が12.8%増の33億円としている。配当予想は20年3月期と同額の34円(第2四半期末17円、期末17円)としている。

 第1四半期は、売上高が前年同期比11.8%減の133億31百万円、営業利益が20.3%減の10億60百万円、経常利益が59.3%減の6億34百万円、純利益が15.0%減の9億74百万円だった。なお営業外ではスイスフラン高によって為替差損益が悪化(前年同期は差益1億36百万円、今期は差損5億73百万円)した。特別利益では債務取崩益(6億74百万円)を計上した。

 医療用医薬品事業(5.4%減収)は、IBD治療剤Entocort(国内はゼンタコート)が堅調だったが、主力の潰瘍性大腸炎治療剤アサコールが国内市場で薬価改定(19年10月と20年4月)の影響を受け、海外市場でもスイスフラン高の影響を受けて減収だった。コンシューマーヘルスケア事業(19.1%減収)は、殺菌消毒薬などの衛生用品が伸長したが、新型コロナウイルスによる外出自粛の影響や競争激化により、主力のヘパリーゼ群やコンドロイチン群が苦戦した。

 第1四半期が減収減益となった影響で第2四半期累計も減収減益予想だが、通期は増収増益予想としている。第2四半期以降の医療用医薬品事業での主力製品の伸長や新薬の上市、コンシューマーヘルスケア事業での複数の新製品投入によって挽回を見込んでいる。通期ベースで収益拡大を期待したい。

■株主優待は年2回、9月末と3月末の株主対象

 株主優待制度は毎年9月末および3月末現在の株主を対象として、保有株式数に応じて自社グループ商品を贈呈(詳細は会社HP参照)する。

■株価は調整一巡

 なお5月21日に自己株式取得(上限80万株・17億60百万円、取得期間20年5月22日〜20年11月5日)を発表している。

 株価は戻り高値圏から反落してやや軟調だが、調整一巡して出直りを期待したい。10月23日の終値は1840円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS71円47銭で算出)は約26倍、今期予想配当利回り(会社予想の34円で算出)は約1.8%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS1134円30銭で算出)は約1.6倍、時価総額は約977億円である。(情報提供:日 本インタビュ新聞社=Media−IR)
[09月24日更新]

ゼリア新薬工業は戻り試す、21年3月期増収増益予想

 ゼリア新薬工業<4559>(東1)は、消化器分野が中心の医療用医薬品事業、および一般用医薬品のコンシューマーヘルスケア事業を展開している。21年3月期は主力製品の伸長や新薬の上市などで増収増益予想としている。20年9月には鉄欠乏性貧血治療剤フェインジェクト静注500mgの販売を開始した。通期ベースで収益拡大を期待したい。株価は7〜8月の直近安値圏から反発して徐々に水準を切り上げている。戻りを試す展開を期待したい。

■医療用医薬品事業とコンシューマーヘルスケア事業を展開

 消化器分野が中心の医療用医薬品事業、および一般用医薬品のコンシューマーヘルスケア事業を展開している。収益面では薬価改定、ライセンス収入・ロイヤリティ収入、研究開発費、広告宣伝費などの影響を受けやすい。

 20年3月期のセグメント別売上高構成比は医療用医薬品事業53%、コンシューマーヘルスケア事業47%、その他0%、営業利益構成比(連結調整前)は医療用医薬品事業28%、コンシューマーヘルスケア事業69%、その他3%だった。地域別売上比率は日本69%、欧州23%、その他8%だった。

 医療用医薬品事業は、潰瘍性大腸炎治療剤アサコール(協和キリンとの販売提携を終了して20年4月から単独販売)を主力として、H2受容体拮抗剤アシノン、亜鉛含有胃潰瘍治療剤プロマック、機能性ディスペプシア治療剤アコファイドなども展開している。子会社ティロッツ社は、アストラゼネカ社から炎症性腸疾患(IBD)治療剤Entocortの米国を除く全世界における権利を取得し、国内ではゼンタコートカプセルを販売している。

 アコファイドについては、Meiji Seika ファルマとタイおよびインドネシアにおける独占的開発・販売ライセンス契約、スペインのFAES社とラテンアメリカにおける独占的開発・販売ライセンス契約を締結している。

 コンシューマーヘルスケア事業は、ヘパリーゼ群、コンドロイチン群、ウィズワン群を主力として、日本で初めて月経前症候群の効能を取得した西洋ハーブ・ダイレクトOTC医薬品プレフェミン、連結子会社イオナ インターナショナルの「イオナ」ブランド化粧品なども、全国の薬局・薬店・ドラッグストアなどに販売している。

 20年4月にはヘパリーゼ群の主原料である肝臓加水分解物の安定調達とコンシューマーヘルスケア事業拡大を目的として、日水製薬<4550>から日水製薬医薬品販売の全株式を譲り受けて子会社化した。

■消化器分野を最重点領域として新薬開発を推進

 消化器分野を最重点領域と位置付けて新薬開発を推進している。新薬パイプラインの状況(20年8月4日現在)は以下の通りである。

 鉄欠乏性貧血を適応症とするZ−213(ビフォーファーマ社から導入)は、19年3月鉄欠乏性貧血治療剤フェインジェクト静注500mgとして国内製造販売承認を取得、20年8月薬価収載、20年9月販売開始した。なお日本では18年4月から1年間に鉄欠乏性貧血と診断された患者数が約490万人と推計され、約220万人が鉄製剤(経口・静注製剤)の処方・治療を受けているが、日本の鉄製剤市場で販売されている注射剤は現在1剤のみで、治療選択肢が限られた状況となっている。本剤は新たな選択肢として期待されている。

 子宮頸癌を適応症とするZ−100(自社品)は第3相(日本を含むアジア共同治験)段階である。予定された患者登録をすべて終了した。

 Z−338(自社品)は、日本では小児機能性ディスペプシア患者を対象とする第3相段階、欧州では機能性ディスペプシアを適応症として第3相段階である。

 高カリウム血症を適応症とするZG−801(ビフォーファーマ社から導入)は第2相段階である。米国では15年12月販売開始し、欧州では17年7月EMA(欧州医薬品庁)から承認取得している。

 潰瘍性大腸炎を適応症とするZ−206(自社グループ品)は中国で20年4月承認取得した。販売については、開発主体であるTillotts Pharma AGが、イタリアのMenariniグループの中国現地法人と独占的販売権供与に関する契約を締結している。

■海外におけるアサコールとEntocortの市場浸透などを推進

 収益拡大に向けた重点施策として、医療用医薬品事業では潰瘍性大腸炎治療剤アサコールの情報提供活動強化、鉄欠乏性貧血治療剤フェインジェクト静注500mgの市場構築、海外におけるアサコールと炎症性腸疾患(IBD)治療剤Entocortの市場浸透、コンシューマーヘルスケア事業では主力製品に次ぐ製品群の育成、日水製薬医薬品販売とのシナジーによる事業拡大を推進する方針だ。

■21年3月期増収増益予想

 21年3月期の連結業績予想(期初時点では未定、8月4日に公表)は、売上高が20年3月期比0.9%増の610億円、営業利益が5.0%増の43億円、経常利益が0.5%増の39億円、純利益が12.8%増の33億円としている。配当予想は20年3月期と同額の34円(第2四半期末17円、期末17円)としている。

 第1四半期は、売上高が前年同期比11.8%減の133億31百万円、営業利益が20.3%減の10億60百万円、経常利益が59.3%減の6億34百万円、純利益が15.0%減の9億74百万円だった。なお営業外ではスイスフラン高によって為替差損益が悪化(前年同期は差益1億36百万円、今期は差損5億73百万円)した。特別利益では債務取崩益(6億74百万円)を計上した。

 医療用医薬品事業(5.4%減収)は、IBD治療剤Entocort(国内はゼンタコート)が堅調だったが、主力の潰瘍性大腸炎治療剤アサコールが国内市場で薬価改定(19年10月と20年4月)の影響を受け、海外市場でもスイスフラン高の影響を受けて減収だった。コンシューマーヘルスケア事業(19.1%減収)は、殺菌消毒薬などの衛生用品が伸長したが、新型コロナウイルスによる外出自粛の影響や競争激化により、主力のヘパリーゼ群やコンドロイチン群が苦戦した。

 第1四半期が減収減益となった影響で第2四半期累計も減収減益予想だが、通期は増収増益予想としている。第2四半期以降の医療用医薬品事業での主力製品の伸長や新薬の上市、コンシューマーヘルスケア事業での複数の新製品投入によって挽回を見込んでいる。通期ベースで収益拡大を期待したい。

■株主優待は年2回、9月末と3月末の株主対象

 株主優待制度は毎年9月末および3月末現在の株主を対象として、保有株式数に応じて自社グループ商品を贈呈(詳細は会社HP参照)する。

■株価は戻り試す

 なお5月21日に自己株式取得(上限80万株・17億60百万円、取得期間20年5月22日〜20年11月5日)を発表している。

 株価は7〜8月の直近安値圏から反発して徐々に水準を切り上げている。戻りを試す展開を期待したい。9月23日の終値は2063円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS71円47銭で算出)は約29倍、今期予想配当利回り(会社予想の34円で算出)は約1.6%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS1134円30銭で算出)は約1.8倍、時価総額は約1096億円である。(情報提供:日 本インタビュ新聞社=Media−IR)
[08月27日更新]

ゼリア新薬工業は21年3月期1Q減収減益だが通期増収増益予想

 ゼリア新薬工業<4559>(東1)は、消化器分野が中心の医療用医薬品事業、および一般用医薬品のコンシューマーヘルスケア事業を展開している。21年3月期第1四半期は薬価改定や為替などの影響で減収減益だったが、通期は主力製品の伸長などで増収増益予想としている。収益拡大を期待したい。株価は通期の増収増益予想を好感する形で反発の動きを強めている。出直りを期待したい。

■医療用医薬品事業とコンシューマーヘルスケア事業を展開

 消化器分野が中心の医療用医薬品事業、および一般用医薬品のコンシューマーヘルスケア事業を展開している。収益面では薬価改定、ライセンス収入・ロイヤリティ収入、研究開発費、広告宣伝費などの影響を受けやすい。

 20年3月期のセグメント別売上高構成比は医療用医薬品事業53%、コンシューマーヘルスケア事業47%、その他0%、営業利益構成比(連結調整前)は医療用医薬品事業28%、コンシューマーヘルスケア事業69%、その他3%だった。地域別売上比率は日本69%、欧州23%、その他8%だった。

 医療用医薬品事業は、潰瘍性大腸炎治療剤アサコール(協和キリンとの販売提携を終了して20年4月から単独販売)を主力として、H2受容体拮抗剤アシノン、亜鉛含有胃潰瘍治療剤プロマック、機能性ディスペプシア治療剤アコファイドなども展開している。子会社ティロッツ社は、アストラゼネカ社から炎症性腸疾患(IBD)治療剤Entocortの米国を除く全世界における権利を取得し、国内ではゼンタコートカプセルを販売している。

 アコファイドについては、Meiji Seika ファルマとタイおよびインドネシアにおける独占的開発・販売ライセンス契約、スペインのFAES社とラテンアメリカにおける独占的開発・販売ライセンス契約を締結している。

 コンシューマーヘルスケア事業は、ヘパリーゼ群、コンドロイチン群、ウィズワン群を主力として、日本で初めて月経前症候群の効能を取得した西洋ハーブ・ダイレクトOTC医薬品プレフェミン、連結子会社イオナ インターナショナルの「イオナ」ブランド化粧品なども、全国の薬局・薬店・ドラッグストアなどに販売している。

 20年4月にはヘパリーゼ群の主原料である肝臓加水分解物の安定調達とコンシューマーヘルスケア事業拡大を目的として、日水製薬<4550>から日水製薬医薬品販売の全株式を譲り受けて子会社化した。

■消化器分野を最重点領域として新薬開発を推進

 消化器分野を最重点領域と位置付けて新薬開発を推進している。新薬パイプラインの状況(20年8月4日現在)は以下の通りである。

 鉄欠乏性貧血を適応症とするZ−213(ビフォーファーマ社から導入)は、19年3月鉄欠乏性貧血治療剤フェインジェクト静注500mgとして国内製造販売承認を取得した。

 子宮頸癌を適応症とするZ−100(自社品)は第3相(日本を含むアジア共同治験)段階である。予定された患者登録をすべて終了した。

 Z−338(自社品)は、日本では小児機能性ディスペプシア患者を対象とする第3相段階、欧州では機能性ディスペプシアを適応症として第3相段階である。

 高カリウム血症を適応症とするZG−801(ビフォーファーマ社から導入)は第2相段階である。米国では15年12月販売開始し、欧州では17年7月EMA(欧州医薬品庁)から承認取得している。

 潰瘍性大腸炎を適応症とするZ−206(自社グループ品)は中国で20年4月承認取得した。販売については、開発主体であるTillotts Pharma AGが、イタリアのMenariniグループの中国現地法人と独占的販売権供与に関する契約を締結している。

■海外におけるアサコールとEntocortの市場浸透などを推進

 収益拡大に向けた重点施策として、医療用医薬品事業では潰瘍性大腸炎治療剤アサコールの情報提供活動強化、鉄欠乏性貧血治療剤フェインジェクト静注500mgの早期薬価収載と市場構築、海外におけるアサコールと炎症性腸疾患(IBD)治療剤Entocortの市場浸透、コンシューマーヘルスケア事業では主力製品に次ぐ製品群の育成、日水製薬医薬品販売とのシナジーによる事業拡大を推進する方針だ。

■21年3月期1Q減収減益だが通期増収増益予想

 21年3月期連結業績予想(期初時点では未定としていたが8月4日に公表)は、売上高が20年3月期比0.9%増の610億円、営業利益が5.0%増の43億円、経常利益が0.5%増の39億円、純利益が12.8%増の33億円としている。配当予想は20年3月期と同額の34円(第2四半期末17円、期末17円)としている。

 第1四半期は、売上高が前年同期比11.8%減の133億31百万円、営業利益が20.3%減の10億60百万円、経常利益が59.3%減の6億34百万円、純利益が15.0%減の9億74百万円だった。なお営業外ではスイスフラン高によって為替差損益が悪化(前年同期は差益1億36百万円、今期は差損5億73百万円)した。特別利益では債務取崩益(6億74百万円)を計上した。

 医療用医薬品事業(5.4%減収)は、IBD治療剤Entocort(国内はゼンタコート)が堅調だったが、主力の潰瘍性大腸炎治療剤アサコールが国内市場で薬価改定(19年10月と20年4月)の影響を受け、海外市場でもスイスフラン高の影響を受けて減収だった。コンシューマーヘルスケア事業(19.1%減収)は、殺菌消毒薬などの衛生用品が伸長したが、新型コロナウイルスによる外出自粛の影響や競争激化により、主力のヘパリーゼ群やコンドロイチン群が苦戦した。

 第1四半期が減収減益となり、第2四半期累計もコンシューマーヘルスケア事業での新型コロナウイルス影響で減収減益予想だが、通期は増収増益予想としている。第2四半期以降の医療用医薬品事業での主力製品の伸長や新薬の上市、コンシューマーヘルスケア事業での複数の新製品投入によって、期後半の挽回を見込んでいる。通期ベースで収益拡大を期待したい。

■株主優待は年2回、9月末と3月末の株主対象

 株主優待制度は毎年9月末および3月末現在の株主を対象として、保有株式数に応じて自社グループ商品を贈呈(詳細は会社HP参照)する。

■株価は反発の動き

 なお5月21日に自己株式取得(上限80万株・17億60百万円、取得期間20年5月22日〜20年11月5日)を発表している。

 株価は通期の増収増益予想を好感する形で反発の動きを強めている。出直りを期待したい。8月26日の終値は1946円、今期予想連結PER(会社予想連結EPS71円47銭で算出)は約27倍、今期予想配当利回り(会社予想34円で算出)は約1.7%、前期実績連結PBR(前期実績連結BPS1134円30銭で算出)は約1.7倍、時価総額は約1034億円である。(情報提供:日 本インタビュ新聞社=Media−IR)
[07月22日更新]

ゼリア新薬工業は反発の動き、新型コロナウイルスの影響限定的

 ゼリア新薬工業<4559>(東1)は、消化器分野が中心の医療用医薬品事業、および一般用医薬品のコンシューマーヘルスケア事業を展開している。21年3月期連結業績予想は新型コロナウイルスによる不透明感で未定としているが、影響は限定的だろう。収益拡大を期待したい。株価は上値を切り下げる形となったが、調整一巡して反発の動きを強めている。出直りを期待したい。

■医療用医薬品事業とコンシューマーヘルスケア事業を展開

 消化器分野が中心の医療用医薬品事業、および一般用医薬品のコンシューマーヘルスケア事業を展開している。収益面では薬価改定、ライセンス収入・ロイヤリティ収入、研究開発費、広告宣伝費などの影響を受けやすい。

 20年3月期のセグメント別売上高構成比は医療用医薬品事業53%、コンシューマーヘルスケア事業47%、その他0%、営業利益構成比(連結調整前)は医療用医薬品事業28%、コンシューマーヘルスケア事業69%、その他3%だった。地域別売上比率は日本69%、欧州23%、その他8%だった。

 医療用医薬品事業は、潰瘍性大腸炎治療剤アサコール(20年3月末に協和キリンとの販売提携を終了して20年4月から単独販売)を主力として、H2受容体拮抗剤アシノン、亜鉛含有胃潰瘍治療剤プロマック、機能性ディスペプシア治療剤アコファイドなども展開している。子会社ティロッツ社は、アストラゼネカ社から炎症性腸疾患(IBD)治療剤Entocortの米国を除く全世界における権利を取得し、国内でゼンタコートカプセルを販売している。

 アコファイドについては、Meiji Seika ファルマとタイおよびインドネシアにおける独占的開発・販売ライセンス契約、スペインのFAES社とラテンアメリカにおける独占的開発・販売ライセンス契約を締結している。

 コンシューマーヘルスケア事業は、ヘパリーゼ群、コンドロイチン群、ウィズワン群を主力として、日本で初めて月経前症候群の効能を取得した西洋ハーブ・ダイレクトOTC医薬品プレフェミン、連結子会社イオナ インターナショナルの「イオナ」ブランド化粧品なども、全国の薬局・薬店・ドラッグストアなどに販売している。

 20年4月にはヘパリーゼ群の主原料である肝臓加水分解物の安定調達とコンシューマーヘルスケア事業拡大を目的として、日水製薬<4550>から日水製薬医薬品販売の全株式を譲り受けて子会社化した。

■消化器分野を最重点領域として新薬開発を推進

 消化器分野を最重点領域と位置付けて新薬開発を推進している。新薬パイプラインの状況(20年5月21日現在)は以下の通りである。

 鉄欠乏性貧血を適応症とするZ−213(ビフォーファーマ社から導入)は、19年3月鉄欠乏性貧血治療剤フェインジェクト静注500mgとして国内製造販売承認を取得した。

 子宮頸癌を適応症とするZ−100(自社品)は第3相(日本を含むアジア共同治験)段階である。予定された患者登録をすべて終了した。

 Z−338(自社品)は、日本で小児機能性ディスペプシア患者を対象とする第3相に着手した。欧州では機能性ディスペプシアを適応症として第3相段階である。

 高カリウム血症を適応症とするZG−801(ビフォーファーマ社から導入)は第2相段階である。米国では15年12月販売開始し、欧州では17年7月EMA(欧州医薬品庁)から承認取得している。

 なお潰瘍性大腸炎を適応症とするZ−206(自社グループ品)は、中国で20年4月承認を取得した。販売については、開発主体であるTillotts Pharma AGが、イタリアのMenariniグループの中国現地法人と独占的販売権供与に関する契約を締結している。

■21年3月期連結業績予想は未定

 21年3月期の連結業績予想は、新型コロナウイルスによる不透明感で未定としている。配当予想は20年3月期と同額の34円(第2四半期末17円、期末17円)としている。

 医療用医薬品事業では潰瘍性大腸炎治療剤アサコールの情報提供活動強化、鉄欠乏性貧血治療剤フェインジェクト静注500mgの早期薬価収載と市場構築、海外におけるアサコールと炎症性腸疾患(IBD)治療剤Entocortの市場浸透、コンシューマーヘルスケア事業では主力製品に次ぐ製品群の育成、日水製薬医薬品販売とのシナジーによる事業拡大を推進する方針だ。新型コロナウイルスの影響は限定的だろう。収益拡大を期待したい。

■株主優待は年2回、9月末と3月末の株主対象

 株主優待制度は毎年9月末および3月末現在の株主を対象として、保有株式数に応じて自社グループ商品を贈呈(詳細は会社HP参照)する。

■株価は調整一巡

 なお5月21日に自己株式取得(上限80万株・17億60百万円、取得期間20年5月22日〜20年11月5日)を発表している。

 株価は上値を切り下げる形となったが、調整一巡して反発の動きを強めている。出直りを期待したい。7月21日の終値は1940円、今期予想配当利回り(会社予想34円で算出)は約1.8%、前期実績連結PBR(前期実績連結BPS1134円30銭で算出)は約1.7倍、時価総額は約1031億円である。(情報提供:日 本インタビュ新聞社=Media−IR)
[06月17日更新]

ゼリア新薬工業は調整一巡

 ゼリア新薬工業<4559>(東1)は、消化器分野が中心の医療用医薬品事業、および一般用医薬品のコンシューマーヘルスケア事業を展開している。21年3月期連結業績予想は新型コロナウイルスによる不透明感で未定としている。ただし影響は限定的だろう。収益拡大を期待したい。株価は上値が重く小幅レンジでモミ合う形だが、調整一巡してレンジ上放れを期待したい。

■医療用医薬品事業とコンシューマーヘルスケア事業を展開

 消化器分野が中心の医療用医薬品事業、および一般用医薬品のコンシューマーヘルスケア事業を展開している。収益面では薬価改定、ライセンス収入・ロイヤリティ収入、研究開発費、広告宣伝費などの影響を受けやすい。

 20年3月期のセグメント別売上高構成比は医療用医薬品事業53%、コンシューマーヘルスケア事業47%、その他0%、営業利益構成比(連結調整前)は医療用医薬品事業28%、コンシューマーヘルスケア事業69%、その他3%だった。地域別売上比率は日本69%、欧州23%、その他8%だった。

 医療用医薬品事業は、潰瘍性大腸炎治療剤アサコールを主力として、H2受容体拮抗剤アシノン、亜鉛含有胃潰瘍治療剤プロマック、機能性ディスペプシア治療剤アコファイドなども展開している。子会社ティロッツ社は、アストラゼネカ社から炎症性腸疾患(IBD)治療剤Entocortの米国を除く全世界における権利を取得し、国内でゼンタコートカプセルを販売している。

 アコファイドについては、Meiji Seika ファルマとタイおよびインドネシアにおける独占的開発・販売ライセンス契約、スペインのFAES社とラテンアメリカにおける独占的開発・販売ライセンス契約を締結している。

 コンシューマーヘルスケア事業は、ヘパリーゼ群、コンドロイチン群、ウィズワン群を主力として、日本で初めて月経前症候群の効能を取得した西洋ハーブ・ダイレクトOTC医薬品プレフェミン、連結子会社イオナ インターナショナルの「イオナ」ブランド化粧品なども、全国の薬局・薬店・ドラッグストアなどに販売している。

 20年4月にはヘパリーゼ群の主原料である肝臓加水分解物の安定調達とコンシューマーヘルスケア事業拡大を目的として、日水製薬<4550>から日水製薬医薬品販売の全株式を譲り受けて子会社化した。

■消化器分野を最重点領域として新薬開発を推進

 消化器分野を最重点領域と位置付けて新薬開発を推進している。新薬パイプラインの状況(20年5月21日現在)は以下の通りである。

 鉄欠乏性貧血を適応症とするZ−213(ビフォーファーマ社から導入)は、19年3月鉄欠乏性貧血治療剤フェインジェクト静注500mgとして国内製造販売承認を取得した。

 子宮頸癌を適応症とするZ−100(自社品)は第3相(日本を含むアジア共同治験)段階である。予定された患者登録をすべて終了した。

 Z−338(自社品)は、日本で小児機能性ディスペプシア患者を対象とする第3相に着手した。欧州では機能性ディスペプシアを適応症として第3相段階である。

 高カリウム血症を適応症とするZG−801(ビフォーファーマ社から導入)は第2相段階である。米国では15年12月販売開始し、欧州では17年7月EMA(欧州医薬品庁)から承認取得している。

 なお潰瘍性大腸炎を適応症とするZ−206(自社グループ品)は、中国で20年4月承認を取得した。販売については、開発主体であるTillotts Pharma AGが、イタリアのMenariniグループの中国現地法人と独占的販売権供与に関する契約を締結している。

■21年3月期連結業績予想は未定

 21年3月期の連結業績予想は、新型コロナウイルスによる不透明感で未定としている。ただし影響は限定的だろう。収益拡大を期待したい。配当予想は20年3月期と同額の34円(第2四半期末17円、期末17円)としている。

■株主優待は年2回、9月末と3月末の株主対象

 株主優待制度は毎年9月末および3月末現在の株主を対象として、保有株式数に応じて自社グループ商品を贈呈(詳細は会社HP参照)する。

■株価は調整一巡

 なお5月21日に自己株式取得(上限80万株・17億60百万円、取得期間20年5月22日〜20年11月5日)を発表している。

 株価は上値が重く小幅レンジでモミ合う形だが、調整一巡してレンジ上放れを期待したい。6月16日の終値は2042円、今期予想配当利回り(会社予想の34円で算出)は約1.7%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS1134円30銭で算出)は約1.8倍、時価総額は約1085億円である。(情報提供:日 本インタビュ新聞社=Media−IR)
[05月25日更新]

ゼリア新薬工業は上値試す

 ゼリア新薬工業<4559>(東1)は、消化器分野が中心の医療用医薬品事業、および一般用医薬品のコンシューマーヘルスケア事業を展開している。21年3月期の連結業績予想は新型コロナウイルスによる不透明感で未定としている。ただし影響は限定的だろう。収益拡大を期待したい。なお自己株式取得を発表している。株価は20年3月期が計画未達だったことを嫌気する形となったが、目先的な売り一巡して上値を試す展開を期待したい。

■医療用医薬品事業とコンシューマーヘルスケア事業を展開

 消化器分野が中心の医療用医薬品事業、および一般用医薬品のコンシューマーヘルスケア事業を展開している。収益面では薬価改定、ライセンス収入・ロイヤリティ収入、研究開発費、広告宣伝費などの影響を受けやすい。

 20年3月期のセグメント別売上高構成比は医療用医薬品事業53%、コンシューマーヘルスケア事業47%、その他0%、営業利益構成比(連結調整前)は医療用医薬品事業28%、コンシューマーヘルスケア事業69%、その他3%だった。地域別売上比率は日本69%、欧州23%、その他8%だった。

 医療用医薬品事業は、潰瘍性大腸炎治療剤アサコールを主力として、H2受容体拮抗剤アシノン、亜鉛含有胃潰瘍治療剤プロマック、機能性ディスペプシア治療剤アコファイドなども展開している。子会社ティロッツ社は、アストラゼネカ社から炎症性腸疾患(IBD)治療剤Entocortの米国を除く全世界における権利を取得し、国内でゼンタコートカプセルを販売している。

 アコファイドについては、Meiji Seika ファルマとタイおよびインドネシアにおける独占的開発・販売ライセンス契約、スペインのFAES社とラテンアメリカにおける独占的開発・販売ライセンス契約を締結している。

 コンシューマーヘルスケア事業は、ヘパリーゼ群、コンドロイチン群、ウィズワン群を主力として、日本で初めて月経前症候群の効能を取得した西洋ハーブ・ダイレクトOTC医薬品プレフェミン、連結子会社イオナ インターナショナルの「イオナ」ブランド化粧品なども、全国の薬局・薬店・ドラッグストアなどに販売している。

 20年4月にはヘパリーゼ群の主原料である肝臓加水分解物の安定調達とコンシューマーヘルスケア事業拡大を目的として、日水製薬<4550>から日水製薬医薬品販売の全株式を譲り受けて子会社化した。

■消化器分野を最重点領域として新薬開発を推進

 消化器分野を最重点領域と位置付けて新薬開発を推進している。新薬パイプラインの状況(20年5月21日現在)は以下の通りである。

 鉄欠乏性貧血を適応症とするZ−213(ビフォーファーマ社から導入)は、19年3月鉄欠乏性貧血治療剤フェインジェクト静注500mgとして国内製造販売承認を取得した。

 子宮頸癌を適応症とするZ−100(自社品)は第3相(日本を含むアジア共同治験)段階である。予定された患者登録をすべて終了した。

 Z−338(自社品)は、日本で小児機能性ディスペプシア患者を対象とする第3相に着手した。欧州では機能性ディスペプシアを適応症として第3相段階である。

 高カリウム血症を適応症とするZG−801(ビフォーファーマ社から導入)は第2相段階である。米国では15年12月販売開始し、欧州では17年7月EMA(欧州医薬品庁)から承認取得している。

 なお潰瘍性大腸炎を適応症とするZ−206(自社グループ品)は、中国で20年4月承認を取得した。販売については、開発主体であるTillotts Pharma AGが、イタリアのMenariniグループの中国現地法人と独占的販売権供与に関する契約を締結している。

■21年3月期連結業績予想は未定

 20年3月期の連結業績は、売上高が19年3月期比2.3%減の604億26百万円、営業利益が9.6%増の40億94百万円、経常利益が17.7%増の38億79百万円、純利益が15.3%減の29億25百万円だった。配当は19年3月期と同額の34円(第2四半期末17円、期末17円)とした。

 営業・経常増益だが計画を下回った。医療用医薬品は0.2%減収だった。アサコールが海外で順調だったが、Entocortの海外一部地域における在庫調整が影響した。コンシューマーヘルスケアは4.5%減収だった。ヘパリーゼ群がコンビニエンスストア市場における競争激化や、新型コロナウイルスによる外出自粛の影響などで第4四半期に大幅減少した。純利益は特別利益で前期計上した受取和解金が剥落して減益だった。

 21年3月期の連結業績予想は新型コロナウイルスによる不透明感で未定としている。ただし影響は限定的だろう。収益拡大を期待したい。なお配当予想は20年3月期と同額の34円(第2四半期末17円、期末17円)としている。

■株主優待は年2回、9月末と3月末の株主対象

 株主優待制度は毎年9月末および3月末現在の株主を対象として、保有株式数に応じて自社グループ商品を贈呈(詳細は会社HP参照)する。

■株価は上値試す

 なお5月21日に自己株式取得(上限80万株・17億60百万円、取得期間20年5月22日〜20年11月5日)を発表している。

 株価は20年3月期が計画未達だったことを嫌気する形となったが、目先的な売り一巡して上値を試す展開を期待したい。5月22日の終値は2062円、今期予想配当利回り(会社予想の34円で算出)は約1.6%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS1134円30銭で算出)は約1.8倍、時価総額は約1095億円である。(情報提供:日 本インタビュ新聞社=Media−IR)
[04月09日更新]

ゼリア新薬工業は戻り試す

 ゼリア新薬工業<4559>(東1)は、消化器分野が中心の医療用医薬品事業、および一般用医薬品のコンシューマーヘルスケア事業を展開している。20年3月期大幅増益予想である。21年3月期も収益拡大を期待したい。株価は地合い悪化で急落する場面があったが、その後は急反発している。戻りを試す展開を期待したい。

■医療用医薬品事業とコンシューマーヘルスケア事業を展開

 消化器分野が中心の医療用医薬品事業、および一般用医薬品のコンシューマーヘルスケア事業を展開している。収益面では薬価改定、ライセンス収入・ロイヤリティ収入、研究開発費、広告宣伝費などの影響を受けやすい。

 19年3月期のセグメント別売上高構成比は医療用医薬品事業51%、コンシューマーヘルスケア事業48%、その他0%、営業利益構成比(連結調整前)は医療用医薬品事業22%、コンシューマーヘルスケア事業75%、その他3%だった。地域別売上比率は日本71%、欧州21%、その他8%だった。

 医療用医薬品事業は、潰瘍性大腸炎治療剤アサコールを主力として、H2受容体拮抗剤アシノン、亜鉛含有胃潰瘍治療剤プロマック、機能性ディスペプシア治療剤アコファイドなども展開している。子会社ティロッツ社は、アストラゼネカ社から炎症性腸疾患(IBD)治療剤Entocortの米国を除く全世界における権利を取得し、国内でゼンタコートカプセルを販売している。

 なおアコファイドについては、Meiji Seika ファルマとタイおよびインドネシアにおける独占的開発・販売ライセンス契約、スペインのFAES社とラテンアメリカにおける独占的開発・販売ライセンス契約を締結している。

 コンシューマーヘルスケア事業は、ヘパリーゼ群、コンドロイチン群、ウィズワン群を主力として、日本で初めて月経前症候群の効能を取得した西洋ハーブ・ダイレクトOTC医薬品プレフェミン、連結子会社イオナ インターナショナルの「イオナ」ブランド化粧品なども、全国の薬局・薬店・ドラッグストアなどに販売している。

 20年1月にはヘパリーゼ群の主原料である肝臓加水分解物の安定調達とコンシューマーヘルスケア事業拡大を目的として、日水製薬<4550>から日水製薬医薬品販売の全株式を譲り受けて子会社化(20年4月予定)すると発表した。

■消化器分野を最重点領域として新薬開発を推進

 消化器分野を最重点領域と位置付けて新薬開発を推進している。新薬パイプラインの状況(20年2月4日現在)は以下の通りである。

 鉄欠乏性貧血を適応症とするZ−213(ビフォーファーマ社から導入)は、19年3月鉄欠乏性貧血治療剤フェインジェクト静注500mgとして国内製造販売承認を取得した。

 子宮頸癌を適応症とするZ−100(自社品)は第3相(日本を含むアジア共同治験)段階である。

 高カリウム血症を適応症とするZG−801(ビフォーファーマ社から導入)は第2相段階である。米国では15年12月販売開始し、欧州では17年7月EMA(欧州医薬品庁)から承認取得している。

 海外では、潰瘍性大腸炎を適応症とするZ−206(自社グループ品)を中国で承認申請中である。機能性ディスペプシアを適応症とするZ−338(自社品)は欧州で第3相段階である。

■20年3月期大幅増益予想

 20年3月期連結業績予想は、売上高が19年3月期比5.1%増の650億円、営業利益が33.8%増の50億円、経常利益が51.7%増の50億円、純利益が10.0%増の38億円としている。配当予想は19年3月期と同額の34円(第2四半期末17円、期末17円)である。

 第3四半期累計は売上高が前年同期比1.9%減の463億03百万円、営業利益が10.5%増の33億82百万円、経常利益が9.5%増の30億86百万円、純利益が19.3%減の23億39百万円だった。売上が伸び悩んだが、研究開発費の効率的運用で営業・経常増益だった。純利益は特別利益(受取和解金)の剥落が影響した。

 医療用医薬品は1.7%減収だった。アサコールが海外で順調だったが、Entocortの海外一部地域における在庫調整が影響した。コンシューマーヘルスケアは2.1%減収だった。子会社のサプリメント事業が低迷した。

 通期は医療用医薬品で海外市場におけるアサコールやEntocortの伸長、コンシューマーヘルスケアでヘパリーゼ群の拡大を見込んでいる。21年3月期も収益拡大を期待したい。

■株主優待は年2回、9月末と3月末の株主対象

 株主優待制度は毎年9月末および3月末現在の株主を対象として、保有株式数に応じて自社グループ商品を贈呈(詳細は会社HP参照)する。

■株価は戻り試す

 なお19年11月1日に自己株式取得(上限100万株・23億円、取得期間19年11月5日〜20年5月12日)を発表している。

 株価は地合い悪化で急落する場面があったが、その後は急反発している。戻りを試す展開を期待したい。4月8日の終値は2003円、前期推定連結PER(会社予想連結EPS81円34銭で算出)は約25倍、前期推定配当利回り(会社予想の34円で算出)は約1.7%、前々期実績連結PBR(前々期実績連結BPS1235円09銭で算出)は約1.6倍、時価総額は約1064億円である。(情報提供:日 本インタビュ新聞社=Media−IR)
[03月06日更新]

ゼリア新薬工業は売り一巡、20年3月期大幅増益予想

 ゼリア新薬工業<4559>(東1)は、消化器分野が中心の医療用医薬品事業、および一般用医薬品のコンシューマーヘルスケア事業を展開している。20年3月期大幅増益予想である。収益拡大を期待したい。株価は地合い悪で昨年来安値を更新したが、売り一巡して出直りを期待したい。

■医療用医薬品事業とコンシューマーヘルスケア事業を展開

 消化器分野が中心の医療用医薬品事業、および一般用医薬品のコンシューマーヘルスケア事業を展開している。収益面では薬価改定、ライセンス収入・ロイヤリティ収入、研究開発費、広告宣伝費などの影響を受けやすい。

 19年3月期のセグメント別売上高構成比は医療用医薬品事業51%、コンシューマーヘルスケア事業48%、その他0%、営業利益構成比(連結調整前)は医療用医薬品事業22%、コンシューマーヘルスケア事業75%、その他3%だった。地域別売上比率は日本71%、欧州21%、その他8%だった。

 医療用医薬品事業は、潰瘍性大腸炎治療剤アサコールを主力として、H2受容体拮抗剤アシノン、亜鉛含有胃潰瘍治療剤プロマック、機能性ディスペプシア治療剤アコファイドなども展開している。子会社ティロッツ社は、アストラゼネカ社から炎症性腸疾患(IBD)治療剤Entocortの米国を除く全世界における権利を取得し、国内でゼンタコートカプセルを販売している。

 なおアコファイドについては、Meiji Seika ファルマとタイおよびインドネシアにおける独占的開発・販売ライセンス契約、スペインのFAES社とラテンアメリカにおける独占的開発・販売ライセンス契約を締結している。また協和キリンと行っているアサコールの販売提携は20年3月末日をもって終了する。

 コンシューマーヘルスケア事業は、ヘパリーゼ群、コンドロイチン群、ウィズワン群を主力として、日本で初めて月経前症候群の効能を取得した西洋ハーブ・ダイレクトOTC医薬品プレフェミン、連結子会社イオナ インターナショナルの「イオナ」ブランド化粧品なども、全国の薬局・薬店・ドラッグストアなどに販売している。

 20年1月にはヘパリーゼ群の主原料である肝臓加水分解物の安定調達とコンシューマーヘルスケア事業拡大を目的として、日水製薬<4550>から日水製薬医薬品販売の全株式を譲り受けて子会社化(20年4月予定)すると発表した。

■消化器分野を最重点領域として新薬開発を推進

 消化器分野を最重点領域と位置付けて新薬開発を推進している。新薬パイプラインの状況(20年2月4日現在)は以下の通りである。

 鉄欠乏性貧血を適応症とするZ−213(ビフォーファーマ社から導入)は、19年3月鉄欠乏性貧血治療剤フェインジェクト静注500mgとして国内製造販売承認を取得した。

 子宮頸癌を適応症とするZ−100(自社品)は第3相(日本を含むアジア共同治験)段階である。

 高カリウム血症を適応症とするZG−801(ビフォーファーマ社から導入)は第2相段階である。米国では15年12月販売開始し、欧州では17年7月EMA(欧州医薬品庁)から承認取得している。

 海外では、潰瘍性大腸炎を適応症とするZ−206(自社グループ品)を中国で承認申請中である。機能性ディスペプシアを適応症とするZ−338(自社品)は欧州で第3相段階である。

■20年3月期大幅増益予想

 20年3月期連結業績予想は、売上高が19年3月期比5.1%増の650億円、営業利益が33.8%増の50億円、経常利益が51.7%増の50億円、純利益が10.0%増の38億円としている。配当予想は19年3月期と同額の34円(第2四半期末17円、期末17円)である。

 第3四半期累計は売上高が前年同期比1.9%減の463億03百万円、営業利益が10.5%増の33億82百万円、経常利益が9.5%増の30億86百万円、純利益が19.3%減の23億39百万円だった。売上が伸び悩んだが、研究開発費の効率的運用で営業・経常増益だった。純利益は特別利益(受取和解金)の剥落が影響した。

 医療用医薬品は1.7%減収だった。アサコールが海外で順調だったが、Entocortの海外一部地域における在庫調整が影響した。コンシューマーヘルスケアは2.1%減収だった。子会社のサプリメント事業が低迷した。

 通期は医療用医薬品で海外市場におけるアサコールやEntocortの伸長、コンシューマーヘルスケアでヘパリーゼ群の拡大を見込み、大幅増益予想である。第3四半期累計の進捗率は売上高71.2%、営業利益67.6%とやや低水準だが、通期ベースで収益拡大を期待したい。

■株主優待は年2回、9月末と3月末の株主対象

 株主優待制度は毎年9月末および3月末現在の株主に対して実施している。保有株式数に応じて自社グループ商品を贈呈する。

■株価は売り一巡

 なお19年11月1日に自己株式取得(上限100万株・23億円、取得期間19年11月5日〜20年5月12日)を発表している。

 株価は地合い悪で昨年来安値を更新したが、売り一巡して出直りを期待したい。3月5日の終値は1798円、今期予想連結PER(会社予想連結EPS81円34銭で算出)は約22倍、今期予想配当利回り(会社予想34円で算出)は約1.9%、前期実績連結PBR(前期実績連結BPS1235円09銭で算出)は約1.5倍、時価総額は約955億円である。(情報提供:日 本インタビュ新聞社=Media−IR)
[02月14日更新]

ゼリア新薬工業は調整一巡、20年3月期大幅増益予想

 ゼリア新薬工業<4559>(東1)は、消化器分野が中心の医療用医薬品事業、および一般用医薬品のコンシューマーヘルスケア事業を展開している。20年3月期大幅増益予想である。第3四半期累計の進捗率はやや低水準だが、通期ベースで収益拡大を期待したい。株価は上値の重い展開だが、調整一巡して出直りを期待したい。

■医療用医薬品事業とコンシューマーヘルスケア事業を展開

 消化器分野が中心の医療用医薬品事業、および一般用医薬品のコンシューマーヘルスケア事業を展開している。収益面では薬価改定、ライセンス収入・ロイヤリティ収入、研究開発費、広告宣伝費などの影響を受けやすい。

 19年3月期のセグメント別売上高構成比は医療用医薬品事業51%、コンシューマーヘルスケア事業48%、その他0%、営業利益構成比(連結調整前)は医療用医薬品事業22%、コンシューマーヘルスケア事業75%、その他3%だった。地域別売上比率は日本71%、欧州21%、その他8%だった。

 医療用医薬品事業は、潰瘍性大腸炎治療剤アサコールを主力として、H2受容体拮抗剤アシノン、亜鉛含有胃潰瘍治療剤プロマック、機能性ディスペプシア治療剤アコファイドなども展開している。子会社ティロッツ社は、アストラゼネカ社から炎症性腸疾患(IBD)治療剤Entocortの米国を除く全世界における権利を取得し、国内でゼンタコートカプセルを販売している。

 19年10月には、グループ会社のスイスTillottsがイタリアA.Menariniの中国子会社と、潰瘍性大腸炎治療剤ASACOL製品群の中国における流通・マーケティング契約を締結した。19年11月には、機能性ディスペプシア治療剤アコファイドについてMeiji Seika ファルマと、タイおよびインドネシアにおける独占的開発・販売に関するライセンス契約を締結した。

 2月3日には、協和キリンと行っているアサコールの販売提携について、20年3月末日をもって終了すると発表した。2月6日には、スペインのFAES社と、アコファイドのラテンアメリカにおける独占的開発権および販売権に関する契約締結を発表した。

 コンシューマーヘルスケア事業は、ヘパリーゼ群、コンドロイチン群、ウィズワン群を主力として、日本で初めて月経前症候群の効能を取得した西洋ハーブ・ダイレクトOTC医薬品プレフェミン、連結子会社イオナ インターナショナルの「イオナ」ブランド化粧品なども、全国の薬局・薬店・ドラッグストアなどに販売している。

 20年1月にはヘパリーゼ群の主原料である肝臓加水分解物の安定調達とコンシューマーヘルスケア事業拡大を目的として、日水製薬<4550>から日水製薬医薬品販売の全株式を譲り受けて子会社化(20年4月予定)すると発表した。

■消化器分野を最重点領域として新薬開発を推進

 消化器分野を最重点領域と位置付けて新薬開発を推進している。新薬パイプラインの状況(20年2月4日現在)は以下の通りである。

 鉄欠乏性貧血を適応症とするZ−213(ビフォーファーマ社から導入)は、19年3月鉄欠乏性貧血治療剤フェインジェクト静注500mgとして国内製造販売承認を取得した。

 子宮頸癌を適応症とするZ−100(自社品)は第3相(日本を含むアジア共同治験)段階である。

 高カリウム血症を適応症とするZG−801(ビフォーファーマ社から導入)は第2相段階である。米国では15年12月販売開始し、欧州では17年7月EMA(欧州医薬品庁)から承認取得している。

 海外では、潰瘍性大腸炎を適応症とするZ−206(自社グループ品)を中国で承認申請中である。機能性ディスペプシアを適応症とするZ−338(自社品)は欧州で第3相段階である。

■20年3月期大幅増益予想

 20年3月期連結業績予想は、売上高が19年3月期比5.1%増の650億円、営業利益が33.8%増の50億円、経常利益が51.7%増の50億円、純利益が10.0%増の38億円としている。配当予想は19年3月期と同額の34円(第2四半期末17円、期末17円)である。

 第3四半期累計は売上高が前年同期比1.9%減の463億03百万円、営業利益が10.5%増の33億82百万円、経常利益が9.5%増の30億86百万円、純利益が19.3%減の23億39百万円だった。売上が伸び悩んだが、研究開発費の効率的運用で営業・経常増益だった。純利益は特別利益(受取和解金)の剥落が影響した。

 医療用医薬品は1.7%減収だった。アサコールが海外で順調だったが、Entocortの海外一部地域における在庫調整が影響した。コンシューマーヘルスケアは2.1%減収だった。子会社のサプリメント事業が低迷した。

 通期は医療用医薬品で海外市場におけるアサコールやEntocortの伸長、コンシューマーヘルスケアでヘパリーゼ群の拡大を見込み、大幅増益予想である。第3四半期累計の進捗率は売上高71.2%、営業利益67.6%とやや低水準だが、通期ベースで収益拡大を期待したい。

■株主優待は年2回、9月末と3月末の株主対象

 株主優待制度は毎年9月末および3月末現在の株主に対して実施している。保有株式数に応じて自社グループ商品を贈呈する。

■株価は調整一巡

 なお19年11月1日に自己株式取得(上限100万株・23億円、取得期間19年11月5日〜20年5月12日)を発表している。

 株価は上値の重い展開だが、調整一巡して出直りを期待したい。2月13日の終値は2023円、今期予想連結PER(会社予想連結EPS81円34銭で算出)は約25倍、今期予想配当利回り(会社予想34円で算出)は約1.7%、前期実績連結PBR(前期実績連結BPS1235円09銭で算出)は約1.6倍、時価総額は約1075億円である。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media−IR)
[01月27日更新]

ゼリア新薬工業は調整一巡、20年3月期大幅増益予想

 ゼリア新薬工業<4559>(東1)は、消化器分野が中心の医療用医薬品事業、および一般用医薬品のコンシューマーヘルスケア事業を展開している。20年3月期大幅増益予想である。収益拡大を期待したい。株価は戻り高値圏から反落して上値の重い形だが、調整一巡して出直りを期待したい。

■医療用医薬品事業とコンシューマーヘルスケア事業を展開

 消化器分野が中心の医療用医薬品事業、および一般用医薬品のコンシューマーヘルスケア事業を展開している。収益面では薬価改定、ライセンス収入・ロイヤリティ収入、研究開発費、広告宣伝費などの影響を受けやすい。

 19年3月期のセグメント別売上高構成比は医療用医薬品事業51%、コンシューマーヘルスケア事業48%、その他0%、営業利益構成比(連結調整前)は医療用医薬品事業22%、コンシューマーヘルスケア事業75%、その他3%だった。地域別売上比率は日本71%、欧州21%、その他8%だった。

 医療用医薬品事業は、潰瘍性大腸炎治療剤アサコールを主力として、H2受容体拮抗剤アシノン、亜鉛含有胃潰瘍治療剤プロマック、機能性ディスペプシア治療剤アコファイドなども展開している。子会社ティロッツ社は、アストラゼネカ社から炎症性腸疾患(IBD)治療剤Entocortの米国を除く全世界における権利を取得し、国内でゼンタコートカプセルを販売している。

 19年10月には、グループ会社のスイスTillottsがイタリアA.Menariniの中国子会社と、潰瘍性大腸炎治療剤ASACOL製品群の中国における流通・マーケティング契約を締結した。19年11月には、機能性ディスペプシア治療剤アコファイドについてMeiji Seika ファルマと、タイおよびインドネシアにおける独占的開発・販売に関するライセンス契約を締結した。

 コンシューマーヘルスケア事業は、ヘパリーゼ群、コンドロイチン群、ウィズワン群を主力として、日本で初めて月経前症候群の効能を取得した西洋ハーブ・ダイレクトOTC医薬品プレフェミン、連結子会社イオナ インターナショナルの「イオナ」ブランド化粧品なども、全国の薬局・薬店・ドラッグストアなどに販売している。

 1月17日にはヘパリーゼ群の主原料である肝臓加水分解物の安定調達とコンシューマーヘルスケア事業拡大を目的として、日水製薬<4550>から日水製薬医薬品販売の全株式を譲り受けて子会社化(20年4月予定)すると発表した。

■消化器分野を最重点領域として新薬開発を推進

 消化器分野を最重点領域と位置付けて新薬開発を推進している。新薬パイプラインの状況(19年11月1日現在)は以下の通りである。

 鉄欠乏性貧血を適応症とするZ−213(ビフォーファーマ社からの導入品)は、19年3月鉄欠乏性貧血治療剤フェインジェクト静注500mgとして国内での製造販売承認を取得した。

 子宮頸癌を適応症とするZ−100(自社品)は第3相(日本を含むアジア共同治験)段階である。

 高カリウム血症を適応症とするZG−801(ビフォーファーマ社からの導入品)は第2相段階である。米国では15年12月販売開始し、欧州では17年7月EMA(欧州医薬品庁)から承認取得している。

 海外では、潰瘍性大腸炎を適応症とするZ−206(自社グループ品)を中国で承認申請中である。機能性ディスペプシアを適応症とするZ−338(自社品)は欧州で第3相段階である。なお潰瘍性大腸炎を適応症とするTP05(自社グループ品)は18年12月欧州で発売開始した。

■20年3月期大幅増益予想

 20年3月期連結業績予想は、売上高が19年3月期比5.1%増の650億円、営業利益が33.8%増の50億円、経常利益が51.7%増の50億円、純利益が10.0%増の38億円としている。配当予想は19年3月期と同額の34円(第2四半期末17円、期末17円)である。

 第2四半期累計は売上高が前年同期比0.5%減の303億17百万円、営業利益が16.0%減の17億38百万円、経常利益が15.0%減の16億28百万円、純利益が46.0%減の12億30百万円だった。全体として売上が伸び悩み、研究開発費の増加なども影響して減益だった。純利益は特別利益(受取和解金)の剥落も影響した。

 医療用医薬品は3.1%減収だった。アサコールが海外で順調だったが、Entocortの海外一部地域における在庫調整が影響した。コンシューマーヘルスケアは2.4%増収だった。ヘパリーゼ群やコンドロイチン群が拡大した。

 通期は医療用医薬品で海外市場におけるアサコールやEntocortの伸長、コンシューマーヘルスケアでヘパリーゼ群の拡大を見込み、大幅増益予想である。通期ベースで収益拡大を期待したい。

■株主優待は年2回、9月末と3月末の株主対象

 株主優待制度は毎年9月末および3月末現在の株主に対して実施している。保有株式数に応じて自社グループ商品を贈呈する。

■株価は調整一巡

 なお19年11月1日に自己株式取得(上限100万株・23億円、取得期間19年11月5日〜20年5月12日)を発表している。

 株価は12月の戻り高値圏から反落して上値の重い形だが、調整一巡して出直りを期待したい。1月24日の終値は2047円、今期予想連結PER(会社予想連結EPS81円34銭で算出)は約25倍、今期予想配当利回り(会社予想の34円で算出)は約1.7%、前期実績連結PBR(前期実績連結BPS1235円09銭で算出)は約1.7倍、時価総額は約1087億円である。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media−IR)
[12月11日更新]

ゼリア新薬工業は戻り高値圏、20年3月期大幅増益予想

 ゼリア新薬工業<4559>(東1)は、消化器分野が中心の医療用医薬品事業、および一般用医薬品のコンシューマーヘルスケア事業を展開している。20年3月期大幅増益予想である。収益拡大を期待したい。株価は戻り高値圏だ。自律調整を交えながら上値を試す展開を期待したい。

■医療用医薬品事業とコンシューマーヘルスケア事業を展開

 消化器分野が中心の医療用医薬品事業、および一般用医薬品のコンシューマーヘルスケア事業を展開している。収益面では薬価改定、ライセンス収入・ロイヤリティ収入、研究開発費、広告宣伝費などの影響を受けやすい。

 19年3月期のセグメント別売上高構成比は医療用医薬品事業51%、コンシューマーヘルスケア事業48%、その他0%、営業利益構成比(連結調整前)は医療用医薬品事業22%、コンシューマーヘルスケア事業75%、その他3%だった。地域別売上比率は日本71%、欧州21%、その他8%だった。

 医療用医薬品事業は、潰瘍性大腸炎治療剤アサコールを主力として、H2受容体拮抗剤アシノン、亜鉛含有胃潰瘍治療剤プロマック、機能性ディスペプシア治療剤アコファイドなども展開している。子会社ティロッツ社は、アストラゼネカ社から炎症性腸疾患(IBD)治療剤Entocortの米国を除く全世界における権利を取得し、国内でゼンタコートカプセルを販売している。

 19年10月には、グループ会社のスイスTillottsがイタリアA.Menariniの中国子会社と、潰瘍性大腸炎治療剤ASACOL製品群の中国における流通・マーケティング契約を締結した。19年11月には、機能性ディスペプシア治療剤アコファイドについてMeiji Seika ファルマと、タイおよびインドネシアにおける独占的開発・販売に関するライセンス契約を締結した。

 コンシューマーヘルスケア事業は、ヘパリーゼ群、コンドロイチン群、ウィズワン群を主力として、日本で初めて月経前症候群の効能を取得した西洋ハーブ・ダイレクトOTC医薬品プレフェミン、連結子会社イオナ インターナショナルの「イオナ」ブランド化粧品なども、全国の薬局・薬店・ドラッグストアなどに販売している。

■消化器分野を最重点領域として新薬開発を推進

 消化器分野を最重点領域と位置付けて新薬開発を推進している。新薬パイプラインの状況(19年11月1日現在)は以下の通りである。

 鉄欠乏性貧血を適応症とするZ−213(ビフォーファーマ社からの導入品)は、19年3月鉄欠乏性貧血治療剤フェインジェクト静注500mgとして国内での製造販売承認を取得した。

 子宮頸癌を適応症とするZ−100(自社品)は第3相(日本を含むアジア共同治験)段階である。

 高カリウム血症を適応症とするZG−801(ビフォーファーマ社からの導入品)は第2相段階である。米国では15年12月販売開始し、欧州では17年7月EMA(欧州医薬品庁)から承認取得している。

 海外では、潰瘍性大腸炎を適応症とするZ−206(自社グループ品)を中国で承認申請中である。機能性ディスペプシアを適応症とするZ−338(自社品)は欧州で第3相段階である。なお潰瘍性大腸炎を適応症とするTP05(自社グループ品)は18年12月欧州で発売開始した。

■20年3月期大幅増益予想

 20年3月期連結業績予想は、売上高が19年3月期比5.1%増の650億円、営業利益が33.8%増の50億円、経常利益が51.7%増の50億円、純利益が10.0%増の38億円としている。配当予想は19年3月期と同額の34円(第2四半期末17円、期末17円)である。

 第2四半期累計は売上高が前年同期比0.5%減の303億17百万円、営業利益が16.0%減の17億38百万円、経常利益が15.0%減の16億28百万円、純利益が46.0%減の12億30百万円だった。全体として売上が伸び悩み、研究開発費の増加なども影響して減益だった。純利益は特別利益(受取和解金)の剥落も影響した。

 医療用医薬品は3.1%減収だった。アサコールが海外で順調だったが、Entocortの海外一部地域における在庫調整が影響した。コンシューマーヘルスケアは2.4%増収だった。ヘパリーゼ群やコンドロイチン群が拡大した。

 通期は医療用医薬品で海外市場におけるアサコールやEntocortの伸長、コンシューマーヘルスケアでヘパリーゼ群の拡大を見込み、大幅増益予想である。第2四半期累計が減益となり、通期予想に対する進捗率も低水準だが、通期ベースで収益拡大を期待したい。

■株主優待は年2回、9月末と3月末の株主対象

 株主優待制度は毎年9月末および3月末現在の株主に対して実施している。保有株式数に応じて自社グループ商品を贈呈する。

■株価は戻り高値圏

 なお11月1日に自己株式取得(上限100万株・23億円、取得期間19年11月5日〜20年5月12日)を発表している。

 株価は戻り高値圏だ。自律調整を交えながら上値を試す展開を期待したい。12月10日の終値は2150円、今期予想連結PER(会社予想連結EPS81円34銭で算出)は約26倍、今期予想配当利回り(会社予想34円で算出)は約1.6%、前期実績連結PBR(前期実績連結BPS1235円09銭で算出)は約1.7倍、時価総額は約1142億円である。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media−IR)
[11月07日更新]

ゼリア新薬工業は戻り試す、20年3月期2Q累計減益だが通期大幅増益予想

 ゼリア新薬工業<4559>(東1)は、消化器分野が中心の医療用医薬品事業、および一般用医薬品のコンシューマーヘルスケア事業を展開している。20年3月期大幅増益予想である。第2四半期累計は減益だったが、通期ベースで収益拡大を期待したい。株価は自己株式取得を好感して水準を切り上げている。自律調整を交えながら戻りを試す展開を期待したい。

■医療用医薬品事業とコンシューマーヘルスケア事業を展開

 消化器分野が中心の医療用医薬品事業、および一般用医薬品のコンシューマーヘルスケア事業を展開している。収益面では薬価改定、ライセンス収入・ロイヤリティ収入、研究開発費、広告宣伝費などの影響を受けやすい。

 19年3月期のセグメント別売上高構成比は医療用医薬品事業51%、コンシューマーヘルスケア事業48%、その他0%、営業利益構成比(連結調整前)は医療用医薬品事業22%、コンシューマーヘルスケア事業75%、その他3%だった。地域別売上比率は日本71%、欧州21%、その他8%だった。

 医療用医薬品事業は、潰瘍性大腸炎治療剤アサコールを主力として、H2受容体拮抗剤アシノン、亜鉛含有胃潰瘍治療剤プロマック、機能性ディスペプシア治療剤アコファイドなども展開している。子会社ティロッツ社は、アストラゼネカ社から炎症性腸疾患(IBD)治療剤Entocortの米国を除く全世界における権利を取得し、国内でゼンタコートカプセルを販売している。

 なお11月1日には、機能性ディスペプシア治療剤アコファイドについてMeiji Seika ファルマと、タイおよびインドネシアにおける独占的開発・販売に関するライセンス契約を締結したと発表している。

 コンシューマーヘルスケア事業は、ヘパリーゼ群、コンドロイチン群、ウィズワン群を主力として、日本で初めて月経前症候群の効能を取得した西洋ハーブ・ダイレクトOTC医薬品プレフェミン、連結子会社イオナ インターナショナルの「イオナ」ブランド化粧品なども、全国の薬局・薬店・ドラッグストアなどに販売している。

■消化器分野を最重点領域として新薬開発を推進

 消化器分野を最重点領域と位置付けて新薬開発を推進している。新薬パイプラインの状況(19年11月1日現在)は以下の通りである。

 鉄欠乏性貧血を適応症とするZ−213(ビフォーファーマ社からの導入品)は、19年3月鉄欠乏性貧血治療剤フェインジェクト静注500mgとして国内での製造販売承認を取得した。

 子宮頸癌を適応症とするZ−100(自社品)は第3相(日本を含むアジア共同治験)段階である。

 高カリウム血症を適応症とするZG−801(ビフォーファーマ社からの導入品)は第2相段階である。米国では15年12月販売開始し、欧州では17年7月EMA(欧州医薬品庁)から承認取得している。

 海外では、潰瘍性大腸炎を適応症とするZ−206(自社グループ品)を中国で承認申請中である。機能性ディスペプシアを適応症とするZ−338(自社品)は欧州で第3相段階である。なお潰瘍性大腸炎を適応症とするTP05(自社グループ品)は18年12月欧州で発売開始した。

■20年3月期2Q累計減益だが通期大幅増益予想

 20年3月期連結業績予想は、売上高が19年3月期比5.1%増の650億円、営業利益が33.8%増の50億円、経常利益が51.7%増の50億円、純利益が10.0%増の38億円としている。配当予想は19年3月期と同額の34円(第2四半期末17円、期末17円)としている。

 第2四半期累計は、売上高が前年同期比0.5%減の303億17百万円、営業利益が16.0%減の17億38百万円、経常利益が15.0%減の16億28百万円、純利益が46.0%減の12億30百万円だった。全体として売上が伸び悩み、研究開発費の増加なども影響して減益だった。純利益は特別利益(受取和解金)の剥落も影響した。

 医療用医薬品は3.1%減収だった。アサコールが海外で順調だったが、Entocortの海外一部地域における在庫調整が影響した。コンシューマーヘルスケアは2.4%増収だった。ヘパリーゼ群やコンドロイチン群が拡大した。

 通期は医療用医薬品で海外市場におけるアサコールやEntocortの伸長、コンシューマーヘルスケアでヘパリーゼ群の拡大を見込み、大幅増益予想である。第2四半期累計が減益となり、通期予想に対する進捗率も低水準だが、通期ベースで収益拡大を期待したい。

■株主優待は年2回、9月末と3月末の株主対象

 株主優待制度は毎年9月末および3月末現在の株主に対して実施している。保有株式数に応じて自社グループ商品を贈呈する。

■株価は戻り試す

 なお11月1日に自己株式取得(上限100万株・23億円、取得期間19年11月5日〜20年5月12日)を発表している。

 株価は自己株式取得を好感して水準を切り上げている。自律調整を交えながら戻りを試す展開を期待したい。11月6日の終値は2106円、今期予想連結PER(会社予想連結EPS81円34銭で算出)は約26倍、今期予想配当利回り(会社予想34円で算出)は約1.6%、前期実績連結PBR(前期実績連結BPS1235円09銭で算出)は約1.7倍、時価総額は約1119億円である。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media−IR)
[10月10日更新]

ゼリア新薬工業は調整一巡、20年3月期大幅増益予想

 ゼリア新薬工業<4559>(東1)は、消化器分野が中心の医療用医薬品事業、一般用医薬品のコンシューマーヘルスケア事業を展開している。20年3月期大幅増益予想である。収益拡大を期待したい。株価は反発力が鈍く安値圏だが、調整一巡して出直りを期待したい。

■医療用医薬品事業とコンシューマーヘルスケア事業を展開

 消化器分野が中心の医療用医薬品事業、および一般用医薬品のコンシューマーヘルスケア事業を展開している。収益面では薬価改定、ライセンス収入・ロイヤリティ収入、研究開発費、広告宣伝費などの影響を受けやすい。

 19年3月期のセグメント別売上高構成比は医療用医薬品事業51%、コンシューマーヘルスケア事業48%、その他0%、営業利益構成比(連結調整前)は医療用医薬品事業22%、コンシューマーヘルスケア事業75%、その他3%だった。地域別売上比率は日本71%、欧州21%、その他8%だった。

 医療用医薬品事業は、潰瘍性大腸炎治療剤アサコールを主力として、H2受容体拮抗剤アシノン、亜鉛含有胃潰瘍治療剤プロマック、機能性ディスペプシア治療剤アコファイドなども展開している。子会社ティロッツ社は、アストラゼネカ社から炎症性腸疾患(IBD)治療剤Entocortの米国を除く全世界における権利を取得し、国内でゼンタコートカプセルを販売している。

 コンシューマーヘルスケア事業は、ヘパリーゼ群、コンドロイチン群、ウィズワン群を主力として、日本で初めて月経前症候群の効能を取得した西洋ハーブ・ダイレクトOTC医薬品プレフェミン、連結子会社イオナ インターナショナルの「イオナ」ブランド化粧品なども、全国の薬局・薬店・ドラッグストアなどに販売している。

■消化器分野を最重点領域として新薬開発を推進

 消化器分野を最重点領域と位置付けて新薬開発を推進している。新薬パイプラインの状況(19年8月2日現在)は以下の通りである。

 鉄欠乏性貧血を適応症とするZ−213(ビフォーファーマ社からの導入品)は、19年3月鉄欠乏性貧血治療剤フェインジェクト静注500mgとして国内での製造販売承認を取得した。

 子宮頸癌を適応症とするZ−100(自社品)は第3相(日本を含むアジア共同治験)段階である。

 高カリウム血症を適応症とするZG−801(ビフォーファーマ社からの導入品)は第2相段階である。米国では15年12月販売開始し、欧州では17年7月EMA(欧州医薬品庁)から承認取得している。

 海外では、潰瘍性大腸炎を適応症とするZ−206(自社グループ品)を中国で承認申請中である。機能性ディスペプシアを適応症とするZ−338(自社品)は欧州で第3相段階である。なお潰瘍性大腸炎を適応症とするTP05(自社グループ品)は18年12月欧州で発売開始した。

■20年3月期大幅増益予想

 20年3月期連結業績予想は、売上高が19年3月期比5.1%増の650億円、営業利益が33.8%増の50億円、経常利益が51.7%増の50億円、純利益が10.0%増の38億円としている。配当予想は、19年3月期と同額の年間34円(第2四半期末17円、期末17円)で、予想配当性向は42.9%となる。

 コスト面では研究開発費が増加するが、医療用医薬品では海外市場におけるアサコールやEntocortの伸長、コンシューマーヘルスケアではヘパリーゼ群の拡大を見込んでいる。

 第1四半期は、売上高が前年同期比1.0%減の151億13百万円、営業利益が18.6%減の13億29百万円、経常利益が10.6%減の15億56百万円、純利益が48.9%減の11億46百万円だった。

 医療用医薬品は1.7%減収、コンシューマーヘルスケアは0.2%減収だった。医療用医薬品はEntocortの海外一部地域における在庫調整が影響した。営業利益と経常利益は減収と研究開発費増加などで減益となり、純利益は特別利益(受取和解金)の剥落も影響して大幅減益だった。

 第1四半期は減益だが、営業利益の進捗率は第2四半期累計に対して73.8%、通期予想に対して26.6%と順調である。通期ベースで収益拡大を期待したい。

■株主優待は年2回、9月末と3月末の株主対象

 株主優待制度は毎年9月末および3月末現在の株主に対して実施している。保有株式数に応じて自社グループ商品を贈呈する。

■株価は調整一巡

 なお6月14日に自己株式取得(上限100万株・23億円、取得期間19年6月17日〜19年11月1日)を発表している。

 株価は反発力が鈍く安値圏だが、調整一巡して出直りを期待したい。10月9日の終値は1895円、今期予想連結PER(会社予想連結EPS80円75銭で算出)は約23倍、今期予想配当利回り(会社予想年間34円で算出)は約1.8%、前期実績連結PBR(前期実績連結BPS1235円09銭で算出)は約1.5倍、時価総額は約1007億円である。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media−IR)
[09月09日更新]

ゼリア新薬工業は調整一巡、20年3月期大幅増益予想

 ゼリア新薬工業<4559>(東1)は、消化器分野が中心の医療用医薬品事業、一般用医薬品のコンシューマーヘルスケア事業を展開している。20年3月期大幅増益予想である。収益拡大を期待したい。株価は1月の年初来安値に接近したが、調整一巡して出直りを期待したい。

■医療用医薬品事業とコンシューマーヘルスケア事業を展開

 消化器分野が中心の医療用医薬品事業、および一般用医薬品のコンシューマーヘルスケア事業を展開している。収益面では薬価改定、ライセンス収入・ロイヤリティ収入、研究開発費、広告宣伝費などの影響を受けやすい。

 19年3月期のセグメント別売上高構成比は医療用医薬品事業51%、コンシューマーヘルスケア事業48%、その他0%、営業利益構成比(連結調整前)は医療用医薬品事業22%、コンシューマーヘルスケア事業75%、その他3%だった。地域別売上比率は日本71%、欧州21%、その他8%だった。

 医療用医薬品事業は、潰瘍性大腸炎治療剤アサコールを主力として、H2受容体拮抗剤アシノン、亜鉛含有胃潰瘍治療剤プロマック、機能性ディスペプシア治療剤アコファイドなども展開している。子会社ティロッツ社は、アストラゼネカ社から炎症性腸疾患(IBD)治療剤Entocortの米国を除く全世界における権利を取得し、国内でゼンタコートカプセルを販売している。

 コンシューマーヘルスケア事業は、ヘパリーゼ群、コンドロイチン群、ウィズワン群を主力として、日本で初めて月経前症候群の効能を取得した西洋ハーブ・ダイレクトOTC医薬品プレフェミン、連結子会社イオナ インターナショナルの「イオナ」ブランド化粧品なども、全国の薬局・薬店・ドラッグストアなどに販売している。

■消化器分野を最重点領域として新薬開発を推進

 消化器分野を最重点領域と位置付けて新薬開発を推進している。新薬パイプラインの状況(19年8月2日現在)は以下の通りである。

 鉄欠乏性貧血を適応症とするZ−213(ビフォーファーマ社からの導入品)は、19年3月鉄欠乏性貧血治療剤フェインジェクト静注500mgとして国内での製造販売承認を取得した。

 子宮頸癌を適応症とするZ−100(自社品)は第3相(日本を含むアジア共同治験)段階である。

 高カリウム血症を適応症とするZG−801(ビフォーファーマ社からの導入品)は第2相段階である。米国では15年12月販売開始し、欧州では17年7月EMA(欧州医薬品庁)から承認取得している。

 海外では、潰瘍性大腸炎を適応症とするZ−206(自社グループ品)を中国で承認申請中である。機能性ディスペプシアを適応症とするZ−338(自社品)は欧州で第3相段階である。なお潰瘍性大腸炎を適応症とするTP05(自社グループ品)は18年12月欧州で発売開始した。

■20年3月期大幅増益予想

 20年3月期連結業績予想は、売上高が19年3月期比5.1%増の650億円、営業利益が33.8%増の50億円、経常利益が51.7%増の50億円、純利益が10.0%増の38億円としている。配当予想は年間34円(第2四半期末17円、期末17円)で、予想配当性向は42.9%となる。

 コスト面では研究開発費が増加するが、医療用医薬品では海外市場におけるアサコールやEntocortの伸長、コンシューマーヘルスケアではヘパリーゼ群の拡大を見込んでいる。

 第1四半期は、売上高が前年同期比1.0%減の151億13百万円、営業利益が18.6%減の13億29百万円、経常利益が10.6%減の15億56百万円、純利益が48.9%減の11億46百万円だった。

 医療用医薬品は1.7%減収、コンシューマーヘルスケアは0.2%減収だった。医療用医薬品はEntocortの海外一部地域における在庫調整が影響した。営業利益と経常利益は減収と研究開発費増加などで減益となり、純利益は特別利益(受取和解金)の剥落も影響して大幅減益だった。

 第1四半期減益だが、営業利益の進捗率は第2四半期累計に対して73.8%、通期予想に対して26.6%と順調である。通期ベースで収益拡大を期待したい。

■株主優待は年2回、9月末と3月末の株主対象

 株主優待制度は毎年9月末および3月末現在の株主に対して実施している。保有株式数に応じて自社グループ商品を贈呈する。

■株価は調整一巡

 なお6月14日に自己株式取得(上限100万株・23億円、取得期間19年6月17日〜19年11月1日)を発表している。

 株価は1月の年初来安値に接近したが、調整一巡して出直りを期待したい。9月6日の終値は1850円、今期予想連結PER(会社予想連結EPS80円75銭で算出)は約23倍、今期予想配当利回り(会社予想年間34円で算出)は約1.8%、前期実績連結PBR(前期実績連結BPS1235円09銭で算出)は約1.5倍、時価総額は約983億円である。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media−IR)
[08月06日更新]

ゼリア新薬工業は調整一巡、20年3月期大幅増益予想、1Q減益だが進捗率順調

 ゼリア新薬工業<4559>(東1)は、消化器分野が中心の医療用医薬品事業、一般用医薬品のコンシューマーヘルスケア事業を展開している。20年3月期大幅増益予想である。第1四半期は減益だったが、進捗率は順調である。通期ベースで収益拡大を期待したい。株価は6月の年初来高値から反落して水準を切り下げたが、調整一巡して出直りを期待したい。

■医療用医薬品事業とコンシューマーヘルスケア事業を展開

 消化器分野が中心の医療用医薬品事業、および一般用医薬品のコンシューマーヘルスケア事業を展開している。収益面では薬価改定、ライセンス収入・ロイヤリティ収入、研究開発費、広告宣伝費などの影響を受けやすい。

 19年3月期のセグメント別売上高構成比は医療用医薬品事業51%、コンシューマーヘルスケア事業48%、その他0%、営業利益構成比(連結調整前)は医療用医薬品事業22%、コンシューマーヘルスケア事業75%、その他3%だった。地域別売上比率は日本71%、欧州21%、その他8%だった。

 医療用医薬品事業は、潰瘍性大腸炎治療剤アサコールを主力として、H2受容体拮抗剤アシノン、亜鉛含有胃潰瘍治療剤プロマック、機能性ディスペプシア治療剤アコファイドなども展開している。子会社ティロッツ社は、アストラゼネカ社から炎症性腸疾患(IBD)治療剤Entocortの米国を除く全世界における権利を取得し、国内でゼンタコートカプセルを販売している。

 コンシューマーヘルスケア事業は、ヘパリーゼ群、コンドロイチン群、ウィズワン群を主力として、日本で初めて月経前症候群の効能を取得した西洋ハーブ・ダイレクトOTC医薬品プレフェミン、連結子会社イオナ インターナショナルの「イオナ」ブランド化粧品なども、全国の薬局・薬店・ドラッグストアなどに販売している。

■消化器分野を最重点領域として新薬開発を推進

 消化器分野を最重点領域と位置付けて新薬開発を推進している。新薬パイプラインの状況(19年8月2日現在)は以下の通りである。

 鉄欠乏性貧血を適応症とするZ−213(ビフォーファーマ社からの導入品)は、19年3月鉄欠乏性貧血治療剤フェインジェクト静注500mgとして国内での製造販売承認を取得した。

 子宮頸癌を適応症とするZ−100(自社品)は第3相(日本を含むアジア共同治験)段階である。

 高カリウム血症を適応症とするZG−801(ビフォーファーマ社からの導入品)は第2相段階である。米国では15年12月販売開始し、欧州では17年7月EMA(欧州医薬品庁)から承認取得している。

 海外では、潰瘍性大腸炎を適応症とするZ−206(自社グループ品)を中国で承認申請中である。機能性ディスペプシアを適応症とするZ−338(自社品)は欧州で第3相段階である。なお潰瘍性大腸炎を適応症とするTP05(自社グループ品)は18年12月欧州で発売開始した。

■20年3月期大幅増益予想、1Q減益だが進捗率順調

 20年3月期連結業績予想は、売上高が19年3月期比5.1%増の650億円、営業利益が33.8%増の50億円、経常利益が51.7%増の50億円、純利益が10.0%増の38億円としている。配当予想は年間34円(第2四半期末17円、期末17円)で、予想配当性向は42.9%となる。

 コスト面では研究開発費が増加するが、医療用医薬品では海外市場におけるアサコールやEntocortの伸長、コンシューマーヘルスケアではヘパリーゼ群の拡大を見込んでいる。好業績を期待したい。

 第1四半期は、売上高が前年同期比1.0%減の151億13百万円、営業利益が18.6%減の13億29百万円、経常利益が10.6%減の15億56百万円、純利益が48.9%減の11億46百万円だった。

 医療用医薬品は1.7%減収、コンシューマーヘルスケアは0.2%減収だった。医療用医薬品はEntocortの海外一部地域における在庫調整が影響した。営業利益と経常利益は減収と研究開発費増加などで減益となり、純利益は特別利益(受取和解金)の剥落も影響して大幅減益だった。

 第1四半期は減益だったが、進捗率は第2四半期累計に対して73.8%、通期予想に対して26.6%と順調である。通期ベースで収益拡大を期待したい。

■株主優待は年2回、9月末と3月末の株主対象

 株主優待制度は毎年9月末および3月末現在の株主に対して実施している。保有株式数に応じて自社グループ商品を贈呈する。

■株価は調整一巡

 なお6月14日に自己株式取得(上限100万株・23億円、取得期間19年6月17日〜19年11月1日)を発表している。

 株価は6月の年初来高値から反落して水準を切り下げたが、調整一巡して出直りを期待したい。8月5日の終値は1941円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS80円75銭で算出)は約24倍、今期予想配当利回り(会社予想年間34円で算出)は約1.8%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS1235円09銭で算出)は約1.6倍、時価総額は約1031億円である。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media−IR)
[07月05日更新]

ゼリア新薬工業は上値試す、20年3月期大幅増益予想

 ゼリア新薬工業<4559>(東1)は、消化器分野が中心の医療用医薬品事業、一般用医薬品のコンシューマーヘルスケア事業を展開している。20年3月期大幅増益予想である。株価は年初来高値圏で堅調に推移している。自律調整を交えながら上値を試す展開を期待したい。

■医療用医薬品事業とコンシューマーヘルスケア事業を展開

 消化器分野が中心の医療用医薬品事業、および一般用医薬品のコンシューマーヘルスケア事業を展開している。収益面では薬価改定、ライセンス収入・ロイヤリティ収入、研究開発費、広告宣伝費などの影響を受けやすい。

 19年3月期のセグメント別売上高構成比は医療用医薬品事業51%、コンシューマーヘルスケア事業48%、その他0%、営業利益構成比(連結調整前)は医療用医薬品事業22%、コンシューマーヘルスケア事業75%、その他3%だった。地域別売上比率は日本71%、欧州21%、その他8%だった。

 医療用医薬品事業は、潰瘍性大腸炎治療剤アサコールを主力として、H2受容体拮抗剤アシノン、亜鉛含有胃潰瘍治療剤プロマック、機能性ディスペプシア治療剤アコファイドなども展開している。子会社ティロッツ社は、アストラゼネカ社から炎症性腸疾患(IBD)治療剤Entocortの米国を除く全世界における権利を取得し、国内でゼンタコートカプセルを販売している。

 コンシューマーヘルスケア事業は、ヘパリーゼ群、コンドロイチン群、ウィズワン群を主力として、日本で初めて月経前症候群の効能を取得した西洋ハーブ・ダイレクトOTC医薬品プレフェミン、連結子会社イオナ インターナショナルの「イオナ」ブランド化粧品なども、全国の薬局・薬店・ドラッグストアなどに販売している。

■消化器分野を最重点領域として新薬開発を推進

 消化器分野を最重点領域と位置付けて新薬開発を推進している。新薬パイプラインの状況(19年5月10日現在)は以下の通りである。

 鉄欠乏性貧血を適応症とするZ−213(ビフォーファーマ社からの導入品)は、19年3月鉄欠乏性貧血治療剤フェインジェクト静注500mgとして国内での製造販売承認を取得した。本剤は世界75ヶ国で承認を取得している。

 子宮頸癌を適応症とするZ−100(自社品)は第3相(日本を含むアジア共同治験)段階である。

 高カリウム血症を適応症とするZG−801(ビフォーファーマ社からの導入品)は第2相段階である。米国では15年12月販売開始し、欧州では17年7月EMA(欧州医薬品庁)から承認取得している。

 海外では、潰瘍性大腸炎を適応症とするZ−206(自社グループ品)を中国で承認申請中である。機能性ディスペプシアを適応症とするZ−338(自社品)は欧州で第3相段階である。なお潰瘍性大腸炎を適応症とするTP05(自社グループ品)は18年12月欧州で発売開始した。

■20年3月期大幅増益予想

 20年3月期連結業績予想は、売上高が19年3月期比5.1%増の650億円、営業利益が33.8%増の50億円、経常利益が51.7%増の50億円、純利益が10.0%増の38億円としている。配当予想は年間34円(第2四半期末17円、期末17円)としている。予想配当性向は42.9%となる。

 コスト面では研究開発費が増加するが、医療用医薬品では海外市場におけるアサコールやEntocortの伸長、コンシューマーヘルスケアではヘパリーゼ群の拡大を見込んでいる。好業績を期待したい。

■株主優待は年2回、9月末と3月末の株主対象

 株主優待制度は毎年9月末および3月末現在の株主に対して実施している。保有株式数に応じて自社グループ商品を贈呈する。

■株価は上値試す

 6月14日に自己株式取得(上限100万株・23億円、取得期間19年6月17日〜19年11月1日)を発表した。

 株価は年初来高値圏で堅調に推移している。自律調整を交えながら上値を試す展開を期待したい。7月4日の終値は2177円、今期予想連結PER(会社予想連結EPS79円30銭で算出)は約27倍、今期予想配当利回り(会社予想年間34円で算出)は約1.6%、前期実績連結PBR(前期実績連結BPS1235円09銭で算出)は約1.8倍、時価総額は約1156億円である。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media−IR)
[06月19日更新]

ゼリア新薬工業は年初来高値更新、20年3月期大幅増益予想で新たな自己株式取得

 ゼリア新薬工業<4559>(東1)は、消化器分野が中心の医療用医薬品事業、一般用医薬品のコンシューマーヘルスケア事業を展開している。20年3月期大幅増益予想である。また6月14日には新たな自己株式取得を発表している。株価は年初来高値を更新して戻り歩調だ。上値を試す展開を期待したい。

■医療用医薬品事業とコンシューマーヘルスケア事業を展開

 消化器分野が中心の医療用医薬品事業、および一般用医薬品のコンシューマーヘルスケア事業を展開している。収益面では薬価改定、ライセンス収入・ロイヤリティ収入、研究開発費、広告宣伝費などの影響を受けやすい。

 19年3月期のセグメント別売上高構成比は医療用医薬品事業51%、コンシューマーヘルスケア事業48%、その他0%、営業利益構成比(連結調整前)は医療用医薬品事業22%、コンシューマーヘルスケア事業75%、その他3%だった。地域別売上比率は日本71%、欧州21%、その他8%だった。

 医療用医薬品事業は、潰瘍性大腸炎治療剤アサコールを主力として、H2受容体拮抗剤アシノン、亜鉛含有胃潰瘍治療剤プロマック、機能性ディスペプシア治療剤アコファイドなども展開している。子会社ティロッツ社は、アストラゼネカ社から炎症性腸疾患(IBD)治療剤Entocortの米国を除く全世界における権利を取得し、国内でゼンタコートカプセルを販売している。

 コンシューマーヘルスケア事業は、ヘパリーゼ群、コンドロイチン群、ウィズワン群を主力として、日本で初めて月経前症候群の効能を取得した西洋ハーブ・ダイレクトOTC医薬品プレフェミン、連結子会社イオナ インターナショナルの「イオナ」ブランド化粧品なども、全国の薬局・薬店・ドラッグストアなどに販売している。

■消化器分野を最重点領域として新薬開発を推進

 消化器分野を最重点領域と位置付けて新薬開発を推進している。新薬パイプラインの状況(19年5月10日現在)は以下の通りである。

 鉄欠乏性貧血を適応症とするZ−213(ビフォーファーマ社からの導入品)は、19年3月鉄欠乏性貧血治療剤フェインジェクト静注500mgとして国内での製造販売承認を取得した。本剤は世界75ヶ国で承認を取得している。

 子宮頸癌を適応症とするZ−100(自社品)は第3相(日本を含むアジア共同治験)段階である。

 高カリウム血症を適応症とするZG−801(ビフォーファーマ社からの導入品)は第2相段階である。米国では15年12月販売開始し、欧州では17年7月EMA(欧州医薬品庁)から承認取得している。

 海外では、潰瘍性大腸炎を適応症とするZ−206(自社グループ品)を中国で承認申請中である。機能性ディスペプシアを適応症とするZ−338(自社品)は欧州で第3相段階である。なお潰瘍性大腸炎を適応症とするTP05(自社グループ品)は18年12月欧州で発売開始した。

■20年3月期増収・大幅増益予想

 20年3月期の連結業績予想は、売上高が19年3月期比5.1%増の650億円で、営業利益が33.8%増の50億円、経常利益が51.7%増の50億円、純利益が10.0%増の38億円としている。配当予想は19年3月期と同額の年間34円(第2四半期末17円、期末17円)で、予想配当性向は42.9%となる。

 コスト面では研究開発費が増加するが、医療用医薬品では海外市場におけるアサコールやEntocortの伸長、コンシューマーヘルスケアではヘパリーゼ群の拡大を見込んでいる。好業績を期待したい。

■株主優待は年2回、9月末と3月末の株主対象

 株主優待制度は毎年9月末および3月末現在の株主に対して実施している。保有株式数に応じて自社グループ商品を贈呈する。

■株価は年初来高値更新

 前回の自己株式取得(19年5月10日に取得期間を延長、上限380万株・82億円、取得期間18年6月18日〜19年6月14日)は終了したが、6月14日に新たな自己株式取得(上限100万株・23億円、取得期間19年6月17日〜19年11月1日)を発表した。

 株価は年初来高値を更新して戻り歩調だ。上値を試す展開を期待したい。6月18日の終値は2192円、今期予想連結PER(会社予想連結EPS79円30銭で算出)は約28倍、今期予想配当利回り(会社予想年間34円で算出)は約1.6%、前期実績連結PBR(前期実績連結BPS1235円09銭で算出)は約1.8倍、時価総額は約1164億円である。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media−IR)
[05月28日更新]

ゼリア新薬工業は急反発して戻り歩調、20年3月期大幅増益予想

 ゼリア新薬工業<4559>(東1)は、消化器分野が中心の医療用医薬品事業、一般用医薬品のコンシューマーヘルスケア事業を展開している。19年3月期は減収減益だったが、20年3月期は増収・大幅増益予想としている。株価は急反発して戻り歩調だ。上値を試す展開を期待したい。

■医療用医薬品事業とコンシューマーヘルスケア事業を展開

 消化器分野が中心の医療用医薬品事業、および一般用医薬品のコンシューマーヘルスケア事業を展開している。収益面では薬価改定、ライセンス収入・ロイヤリティ収入、研究開発費、広告宣伝費などの影響を受けやすい。

 19年3月期のセグメント別売上高構成比は医療用医薬品事業51%、コンシューマーヘルスケア事業48%、その他0%、営業利益構成比(連結調整前)は医療用医薬品事業22%、コンシューマーヘルスケア事業75%、その他3%だった。地域別売上比率は日本71%、欧州21%、その他8%だった。

 医療用医薬品事業は、潰瘍性大腸炎治療剤アサコールを主力として、H2受容体拮抗剤アシノン、亜鉛含有胃潰瘍治療剤プロマック、機能性ディスペプシア治療剤アコファイドなども展開している。子会社ティロッツ社は15年7月アストラゼネカ社から炎症性腸疾患(IBD)治療剤Entocortの米国を除く全世界における権利を取得し、16年11月国内でゼンタコートカプセルを発売した。

 コンシューマーヘルスケア事業は、ヘパリーゼ群、コンドロイチン群、ウィズワン群を主力として、日本で初めて月経前症候群の効能を取得した西洋ハーブ・ダイレクトOTC医薬品プレフェミン、連結子会社イオナ インターナショナルの「イオナ」ブランド化粧品なども、全国の薬局・薬店・ドラッグストアなどに販売している。

■消化器分野を最重点領域として新薬開発を推進

 消化器分野を最重点領域と位置付けて新薬開発を推進している。新薬パイプラインの状況(19年5月10日現在)は以下の通りである。

 鉄欠乏性貧血を適応症とするZ−213(ビフォーファーマ社からの導入品)は、19年3月鉄欠乏性貧血治療剤フェインジェクト静注500mgとして国内での製造販売承認を取得した。本剤は世界75ヶ国で承認を取得している。

 子宮頸癌を適応症とするZ−100(自社品)は第3相(日本を含むアジア共同治験)段階である。

 高カリウム血症を適応症とするZG−801(ビフォーファーマ社からの導入品)は第2相段階である。米国では15年12月販売開始し、欧州では17年7月EMA(欧州医薬品庁)から承認取得している。

 海外では、潰瘍性大腸炎を適応症とするZ−206(自社グループ品)を中国で承認申請中である。機能性ディスペプシアを適応症とするZ−338(自社品)は欧州で第3相段階である。なお潰瘍性大腸炎を適応症とするTP05(自社グループ品)は18年12月欧州で発売開始した。

■20年3月期増収・大幅増益予想

 19年3月期の連結業績は、売上高が18年3月期比4.2%減の618億31百万円、営業利益が22.6%減の37億37百万円、経常利益が35.2%減の32億95百万円、純利益が16.9%減の34億54百万円だった。配当は18年3月期と同額の年間34円(第2四半期末17円、期末17円)で配当性向は48.9%となる。

 18年4月の想定以上の薬価引き下げ、競合品・後発品の影響などで減収となり、研究開発費や広告宣伝費の増加なども影響して大幅減益だった。営業外費用では為替差損益が悪化した。特別利益には受取和解金15億79百万円を計上した。

 医療用医薬品は売上高が8.0%減の318億30百万円で営業利益が26.4%減の18億95百万円だった。主力のアサコールが国内で薬価改定や競合品・後発品の影響で苦戦した。Entocort(国内販売名ゼンタコート)は国内、カナダ、北欧、ドイツを中心に拡大した。コンシューマーヘルスケアは売上高が0.0%増の298億41百万円で営業利益が8.9%減の65億11百万円だった。ヘパリーゼ群は製品ラインアップ強化も寄与して拡大したが、コンドロイチン群が競争激化で苦戦した。

 20年3月期の連結業績予想は、売上高が19年3月期比5.1%増の650億円で、営業利益が33.8%増の50億円、経常利益が51.7%増の50億円、純利益が10.0%増の38億円としている。配当予想は19年3月期と同額の年間34円(第2四半期末17円、期末17円)で、予想配当性向は42.9%となる。

 コスト面では研究開発費が増加するが、医療用医薬品では海外市場におけるアサコールやEntocortの伸長、コンシューマーヘルスケアではヘパリーゼ群の拡大を見込んでいる。好業績を期待したい。

■株主優待は年2回、9月末と3月末の株主対象

 株主優待制度は毎年9月末および3月末現在の株主に対して実施している。保有株式数に応じて自社グループ商品を贈呈する。

■株価は急反発して戻り歩調

 自己株式取得は19年5月10日に取得期間を延長して、上限380万株・82億円、取得期間18年6月18日〜19年6月14日とした。19年5月9日時点の累計取得株式数は274万3000株である。

 株価は急反発して戻り歩調だ。上値を試す展開を期待したい。5月27日の終値は2076円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS79円30銭で算出)は約26倍、今期予想配当利回り(会社予想の年間34円で算出)は約1.6%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS1235円09銭で算出)は約1.7倍、時価総額は約1103億円である。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media−IR)
[04月04日更新]

ゼリア新薬工業は反発の動き、19年3月期減益予想だが20年3月期収益改善期待

 ゼリア新薬工業<4559>(東1)は、消化器分野が中心の医療用医薬品事業、一般用医薬品のコンシューマーヘルスケア事業を展開している。なお3月26日には鉄欠乏性貧血治療剤フェインジェクト静注500mgの国内での製造販売承認を取得した。19年3月期減収減益予想だが、20年3月期の収益改善を期待したい。株価は下値固め完了して反発の動きを強めている。出直りを期待したい。

■医療用医薬品事業とコンシューマーヘルスケア事業を展開

 消化器分野が中心の医療用医薬品事業、および一般用医薬品のコンシューマーヘルスケア事業を展開している。収益面では薬価改定、ライセンス収入・ロイヤリティ収入、研究開発費、広告宣伝費などの影響を受けやすい。

 18年3月期のセグメント別売上高構成比は医療用医薬品事業54%、コンシューマーヘルスケア事業46%、その他0%、営業利益構成比(連結調整前)は医療用医薬品事業26%、コンシューマーヘルスケア事業72%、その他3%だった。海外売上比率は26%だった。

 医療用医薬品事業は、潰瘍性大腸炎治療剤アサコールを主力として、H2受容体拮抗剤アシノン、亜鉛含有胃潰瘍治療剤プロマック、機能性ディスペプシア治療剤アコファイドなども展開している。子会社ティロッツ社は15年7月アストラゼネカ社から炎症性腸疾患(IBD)治療剤Entocortの米国を除く全世界における権利を取得し、16年11月国内でゼンタコートカプセルを発売した。

 コンシューマーヘルスケア事業は、ヘパリーゼ群、コンドロイチン群、ウィズワン群を主力として、日本で初めて月経前症候群の効能を取得した西洋ハーブ・ダイレクトOTC医薬品プレフェミン、連結子会社イオナ インターナショナルの「イオナ」ブランド化粧品なども、全国の薬局・薬店・ドラッグストアなどに販売している。

■消化器分野を最重点領域として新薬開発を推進

 消化器分野を最重点領域と位置付けて新薬開発を推進している。新薬パイプラインの状況(19年2月5日現在)は以下の通りである。

 鉄欠乏性貧血を適応症とするZ−213(ビフォーファーマ社からの導入品)は、3月26日に鉄欠乏性貧血治療剤フェインジェクト静注500mgとして国内での製造販売承認を取得した。本剤は世界75ヶ国で承認を取得している。

 子宮頸癌を適応症とするZ−100(自社品)は第3相(日本を含むアジア共同治験)段階である。高カリウム血症を適応症とするZG−801(ビフォーファーマ社からの導入品)は第2相段階である。米国では15年12月販売開始し、欧州では17年7月EMA(欧州医薬品庁)から承認取得している。

 海外では、潰瘍性大腸炎を適応症とするZ−206(自社グループオリジナル品)を中国で承認申請中である。機能性ディスペプシアを適応症とするZ−338(自社品)は欧州で第3相段階である。なお潰瘍性大腸炎を適応症とするTP05(自社グループオリジナル品)は18年12月欧州で発売開始した。

■19年3月期減益予想だが20年3月期収益改善期待

 19年3月期連結業績予想(11月2日に売上高、利益とも下方修正)は、売上高が18年3月期比2.4%減の630億円、営業利益が11.0%減の43億円、経常利益が21.4%減の40億円、純利益が13.4%減の36億円としている。配当予想は18年3月期と同額の年間34円(第2四半期末17円、期末17円)で、予想配当性向は47.4%となる。

 第3四半期累計は売上高が前年同期比4.9%減の472億15百万円、営業利益が33.3%減の30億61百万円、経常利益が42.3%減の28億19百万円、純利益が26.7%減の29億円だった。

 18年4月の想定以上の薬価引き下げ、競合品・後発品の影響などで減収となり、研究開発費や広告宣伝費の増加なども影響して営業減益だった。営業外費用では為替差損益が悪化した。なお特別利益に受取和解金15億79百万円を計上している。

 医療用医薬品事業は9.8%減収だった。Entocort(国内販売名ゼンタコート)は国内、カナダ、北欧を中心に拡大したが、主力のアサコールの国内が薬価改定や競合品・後発品の影響で苦戦した。コンシューマーヘルスケア事業は0.8%増収だった。コンドロイチン群が競争激化で苦戦したが、ヘパリーゼ群が製品ラインアップ強化も寄与して拡大した。

 通期ベースでも薬価改定、後発品・競合品の影響で減収となり、研究開発費や広告宣伝費も高水準で推移するため減益予想としている。20年3月期の収益改善を期待したい。

■株主優待は年2回、9月末と3月末の株主対象

 株主優待制度は毎年9月末および3月末現在の株主に対して実施している。保有株式数に応じて自社グループ商品を贈呈する。

■株価は反発の動き

 自己株式取得(18年11月2日に取得枠を拡大、取得期間を延長して上限200万株・46億円、取得期間18年6月18日〜19年2月5日)については、2月5日付で取得枠を拡大(上限380万株・82億円)し、取得期間も延長(18年6月18日〜19年5月10日)した。

 株価は1800円台で下値固め完了して反発の動きを強めている。出直りを期待したい。4月3日の終値は1961円、前期推定連結PER(会社予想連結EPS72円37銭で算出)は約27倍、今期予想配当利回り(会社予想の年間34円で算出)は約1.7%、前々期実績連結PBR(前々期実績連結BPS1300円88銭で算出)は約1.5倍、時価総額は約1042億円である。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media−IR)
[03月06日更新]

ゼリア新薬工業は下値切り上げ、19年3月期減益予想だが20年3月期収益改善期待

 ゼリア新薬工業<4559>(東1)は、消化器分野が中心の医療用医薬品事業、一般用医薬品のコンシューマーヘルスケア事業を展開している。19年3月期減収減益予想だが、20年3月期の収益改善を期待したい。なお自己株式取得枠を拡大して取得期間も延長している。株価は1月安値から下値を切り上げている。出直りを期待したい。

■医療用医薬品事業とコンシューマーヘルスケア事業を展開

 消化器分野が中心の医療用医薬品事業、および一般用医薬品のコンシューマーヘルスケア事業を展開している。収益面では薬価改定、ライセンス収入・ロイヤリティ収入、研究開発費、広告宣伝費などの影響を受けやすい。

 18年3月期のセグメント別売上高構成比は医療用医薬品事業54%、コンシューマーヘルスケア事業46%、その他0%、営業利益構成比(連結調整前)は医療用医薬品事業26%、コンシューマーヘルスケア事業72%、その他3%だった。海外売上比率は26%だった。

 医療用医薬品事業は、潰瘍性大腸炎治療剤アサコールを主力として、H2受容体拮抗剤アシノン、亜鉛含有胃潰瘍治療剤プロマック、機能性ディスペプシア治療剤アコファイドなども展開している。子会社ティロッツ社は15年7月アストラゼネカ社から炎症性腸疾患(IBD)治療剤Entocortの米国を除く全世界における権利を取得し、16年11月国内でゼンタコートカプセルを発売した。

 コンシューマーヘルスケア事業は、ヘパリーゼ群、コンドロイチン群、ウィズワン群を主力として、日本で初めて月経前症候群の効能を取得した西洋ハーブ・ダイレクトOTC医薬品プレフェミン、連結子会社イオナ インターナショナルの「イオナ」ブランド化粧品なども、全国の薬局・薬店・ドラッグストアなどに販売している。

■消化器分野を最重点領域として新薬開発を推進

 消化器分野を最重点領域と位置付けて新薬開発を推進している。新薬パイプラインの状況(19年2月5日現在)は以下の通りである。

 国内では、鉄欠乏性貧血を適応症とするZ−213(ビフォーファーマ社からの導入品)を承認申請中(18年3月申請)である。本剤は世界75ヶ国で承認を取得している。子宮頸癌を適応症とするZ−100(自社品)は第3相(日本を含むアジア共同治験)段階である。高カリウム血症を適応症とするZG−801(ビフォーファーマ社からの導入品)は第2相段階である。米国では15年12月販売開始し、欧州では17年7月EMA(欧州医薬品庁)から承認取得している。

 海外では、潰瘍性大腸炎を適応症とするZ−206(自社グループオリジナル品)を中国で承認申請中である。機能性ディスペプシアを適応症とするZ−338(自社品)は欧州で第3相段階である。なお潰瘍性大腸炎を適応症とするTP05(自社グループオリジナル品)は18年12月欧州で発売開始した。

■19年3月期減益予想、20年3月期収益改善期待

 19年3月期連結業績予想(11月2日に売上高、利益とも下方修正)は、売上高が18年3月期比2.4%減の630億円、営業利益が11.0%減の43億円、経常利益が21.4%減の40億円、純利益が13.4%減の36億円としている。配当予想は18年3月期と同額の年間34円(第2四半期末17円、期末17円)で、予想配当性向は47.4%となる。

 第3四半期累計は売上高が前年同期比4.9%減の472億15百万円、営業利益が33.3%減の30億61百万円、経常利益が42.3%減の28億19百万円、純利益が26.7%減の29億円だった。

 18年4月の想定以上の薬価引き下げ、競合品・後発品の影響などで減収となり、研究開発費や広告宣伝費の増加なども影響して営業減益だった。営業外費用では為替差損益が悪化した。なお特別利益に受取和解金15億79百万円を計上している。

 医療用医薬品事業は9.8%減収だった。Entocort(国内販売名ゼンタコート)は国内、カナダ、北欧を中心に拡大したが、主力のアサコールの国内が薬価改定や競合品・後発品の影響で苦戦した。コンシューマーヘルスケア事業は0.8%増収だった。コンドロイチン群が競争激化で苦戦したが、ヘパリーゼ群が製品ラインアップ強化も寄与して拡大した。

 通期ベースでも薬価改定、後発品・競合品の影響で減収となり、研究開発費や広告宣伝費も高水準で推移するため減益予想としている。20年3月期の収益改善を期待したい。

■株主優待は年2回、9月末と3月末の株主対象

 株主優待制度は毎年9月末および3月末現在の株主に対して実施している。保有株式数に応じて自社グループ商品を贈呈する。

■株価は下値切り上げ

 自己株式取得(18年11月2日に取得枠を拡大、取得期間を延長して上限200万株・46億円、取得期間18年6月18日〜19年2月5日)については、2月5日付で取得枠を拡大(上限380万株・82億円)し、取得期間も延長(18年6月18日〜19年5月10日)した。19年2月4日現在の累計取得株式数は181万8400株である。

 株価は1月31日の安値1790円から下値を切り上げている。出直りを期待したい。3月5日の終値は1932円、今期予想連結PER(会社予想連結EPS72円37銭で算出)は約27倍、今期予想配当利回り(会社予想の年間34円で算出)は約1.8%、前期実績連結PBR(前期実績連結BPS1300円88銭で算出)は約1.5倍、時価総額は約1026億円である。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media−IR)
[02月08日更新]

ゼリア新薬工業は反発の動き、19年3月期減益予想だが20年3月期収益改善期待、自己株式取得枠拡大

 ゼリア新薬工業<4559>(東1)は、消化器分野が中心の医療用医薬品事業、一般用医薬品のコンシューマーヘルスケア事業を展開している。19年3月期減収減益予想で第3四半期累計は減収減益だった。20年3月期の収益改善を期待したい。なお自己株式取得枠を拡大し、取得期間も延長する。株価は安値圏から反発の動きを強めている。19年3月期減益予想は織り込み済みで、自己株式取得枠拡大を好感したようだ。出直りを期待したい。

■医療用医薬品事業とコンシューマーヘルスケア事業を展開

 消化器分野が中心の医療用医薬品事業、および一般用医薬品のコンシューマーヘルスケア事業を展開している。収益面では薬価改定、ライセンス収入・ロイヤリティ収入、研究開発費、広告宣伝費などの影響を受けやすい。

 18年3月期のセグメント別売上高構成比は医療用医薬品事業54%、コンシューマーヘルスケア事業46%、その他0%、営業利益構成比(連結調整前)は医療用医薬品事業26%、コンシューマーヘルスケア事業72%、その他3%だった。海外売上比率は26%だった。

 医療用医薬品事業は、潰瘍性大腸炎治療剤アサコールを主力として、H2受容体拮抗剤アシノン、亜鉛含有胃潰瘍治療剤プロマック、機能性ディスペプシア治療剤アコファイドなども展開している。子会社ティロッツ社は15年7月アストラゼネカ社から炎症性腸疾患(IBD)治療剤Entocortの米国を除く全世界における権利を取得し、16年11月国内でゼンタコートカプセルを発売した。

 コンシューマーヘルスケア事業は、ヘパリーゼ群、コンドロイチン群、ウィズワン群を主力として、日本で初めて月経前症候群の効能を取得した西洋ハーブ・ダイレクトOTC医薬品プレフェミン、連結子会社イオナ インターナショナルの「イオナ」ブランド化粧品なども、全国の薬局・薬店・ドラッグストアなどに販売している。

■消化器分野を最重点領域として新薬開発を推進

 消化器分野を最重点領域と位置付けて、新薬開発を推進している。ビフォーファーマ社から導入した鉄欠乏性貧血治療剤「Z−213」は国内で承認申請中である。本剤は世界75ヶ国で承認を取得している。

 膵臓癌を適応症とする「Z−360」は日本を含むアジア地域でフェーズ2国際共同治験中、子宮頸癌を適応症とする「Z−100」は日本を含むアジア地域でフェーズ3国際共同治験中である。

 高カリウム血症を適応症とする「ZG−801」(18年3月ビフォーファーマ社と日本国内における独占的開発・販売契約を締結した高カリウム血症治療薬Veltassa)は臨床準備中である。米国では15年12月から販売され、欧州では17年7月にEMA(欧州医薬品庁)から承認を取得している。

 なお海外は、中国で潰瘍性大腸炎を適応症とする「Z−206」を承認申請中、欧州で潰瘍性大腸炎を適応症とする「TP05」(ティロッツ開発品)を承認申請中である。また「Z−338」は欧州で機能性ディスペプシアを対象としたフェーズ3を実施中、北米でフェーズ2が終了している。

■19年3月期減益予想、20年3月期収益改善期待

 19年3月期連結業績予想(11月2日に売上高、利益とも下方修正)は、売上高が18年3月期比2.4%減の630億円、営業利益が11.0%減の43億円、経常利益が21.4%減の40億円、純利益が13.4%減の36億円としている。配当予想は18年3月期と同額の年間34円(第2四半期末17円、期末17円)で、予想配当性向は47.4%となる。

 第3四半期累計は売上高が前年同期比4.9%減の472億15百万円、営業利益が33.3%減の30億61百万円、経常利益が42.3%減の28億19百万円、純利益が26.7%減の29億円だった。

 18年4月の想定以上の薬価引き下げ、競合品・後発品の影響などで減収となり、研究開発費や広告宣伝費の増加なども影響して営業減益だった。営業外費用では為替差損益が悪化した。なお特別利益に受取和解金15億79百万円を計上している。

 医療用医薬品事業は9.8%減収だった。Entocort(国内販売名ゼンタコート)は国内、カナダ、北欧を中心に拡大したが、主力のアサコールの国内が薬価改定や競合品・後発品の影響で苦戦した。コンシューマーヘルスケア事業は0.8%増収だった。コンドロイチン群が競争激化で苦戦したが、ヘパリーゼ群が製品ラインアップ強化も寄与して拡大した。

 通期ベースでも薬価改定、後発品・競合品の影響で減収となり、研究開発費や広告宣伝費も高水準で推移するため減益予想としている。20年3月期の収益改善を期待したい。

■株主優待は年2回、9月末と3月末の株主対象

 株主優待制度は毎年9月末および3月末現在の株主に対して実施している。保有株式数に応じて自社グループ商品を贈呈する。

■株価は反発の動き

 自己株式取得(18年11月2日に取得枠を拡大、取得期間を延長して上限200万株・46億円、取得期間18年6月18日〜19年2月5日)については、2月5日付で取得枠を拡大(上限380万株・82億円)し、取得期間も延長(18年6月18日〜19年5月10日)した。19年2月4日現在の累計取得株式数は181万8400株である。

 株価は1月31日に昨年来安値1790円まで下押したが、その後は反発の動きを強めている。2月6日には2025円まで上伸した。19年3月期減益予想は織り込み済みで、自己株式取得枠拡大を好感したようだ。出直りを期待したい。2月7日の終値は1906円、今期予想連結PER(会社予想連結EPS72円37銭で算出)は約26倍、今期予想配当利回り(会社予想の年間34円で算出)は約1.8%、前期実績連結PBR(前期実績連結BPS1300円88銭で算出)は約1.5倍、時価総額は約1012億円である。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media−IR)
[01月10日更新]

ゼリア新薬工業は下値固め完了感、19年3月期減益予想だが20年3月期収益改善期待

 ゼリア新薬工業<4559>(東1)は、消化器分野が中心の医療用医薬品事業、一般用医薬品のコンシューマーヘルスケア事業を展開している。19年3月期減益予想だが、20年3月期の収益改善を期待したい。株価は地合い悪も影響して年初来安値圏だが下値固め完了感を強めている。出直りを期待したい。

■医療用医薬品事業とコンシューマーヘルスケア事業を展開

 消化器分野が中心の医療用医薬品事業、および一般用医薬品のコンシューマーヘルスケア事業を展開している。収益面では薬価改定、ライセンス収入・ロイヤリティ収入、研究開発費、広告宣伝費などの影響を受けやすい。

 18年3月期のセグメント別売上高構成比は医療用医薬品事業54%、コンシューマーヘルスケア事業46%、その他0%、営業利益構成比(連結調整前)は医療用医薬品事業26%、コンシューマーヘルスケア事業72%、その他3%だった。海外売上比率は26%だった。

 医療用医薬品事業は、潰瘍性大腸炎治療剤アサコールを主力として、H2受容体拮抗剤アシノン、亜鉛含有胃潰瘍治療剤プロマック、機能性ディスペプシア治療剤アコファイドなども展開している。子会社ティロッツ社は15年7月アストラゼネカ社から炎症性腸疾患(IBD)治療剤Entocortの米国を除く全世界における権利を取得し、16年11月国内でゼンタコートカプセルを発売した。

 コンシューマーヘルスケア事業は、ヘパリーゼ群、コンドロイチン群、ウィズワン群を主力として、日本で初めて月経前症候群の効能を取得した西洋ハーブ・ダイレクトOTC医薬品プレフェミン、連結子会社イオナ インターナショナルの「イオナ」ブランド化粧品なども、全国の薬局・薬店・ドラッグストアなどに販売している。

■消化器分野を最重点領域として新薬開発を推進

 消化器分野を最重点領域と位置付けて、新薬開発を推進している。ビフォーファーマ社から導入した鉄欠乏性貧血治療剤「Z−213」は国内で承認申請中である。本剤は世界75ヶ国で承認を取得している。

 膵臓癌を適応症とする「Z−360」は日本を含むアジア地域でフェーズ2国際共同治験中、子宮頸癌を適応症とする「Z−100」は日本を含むアジア地域でフェーズ3国際共同治験中である。

 高カリウム血症を適応症とする「ZG−801」(18年3月ビフォーファーマ社と日本国内における独占的開発・販売契約を締結した高カリウム血症治療薬Veltassa)は臨床準備中である。米国では15年12月から販売され、欧州では17年7月にEMA(欧州医薬品庁)から承認を取得している。

 なお海外は、中国で潰瘍性大腸炎を適応症とする「Z−206」を承認申請中、欧州で潰瘍性大腸炎を適応症とする「TP05」(ティロッツ開発品)を承認申請中である。また「Z−338」は欧州で機能性ディスペプシアを対象としたフェーズ3を実施中、北米でフェーズ2が終了している。

■19年3月期減益予想だが、20年3月期収益改善期待

 19年3月期連結業績予想(11月2日に売上高、利益とも下方修正)は、売上高が18年3月期比2.4%減の630億円、営業利益が11.0%減の43億円、経常利益が21.4%減の40億円、純利益が13.4%減の36億円としている。配当予想は据え置いて、18年3月期と同額の年間34円(第2四半期末17円、期末17円)としている。予想配当性向は47.4%となる。

 第2四半期累計は売上高が前年同期比6.0%減の304億83百万円、営業利益が13.5%減の20億69百万円、経常利益が24.5%減の19億14百万円、純利益が7.2%増の22億80百万円だった。

 国内の薬価改定、競合品・後発品の影響で売上高が計画未達で減収となり、研究開発費や広告宣伝費の増加なども影響して営業減益だった。営業外費用では為替差損益が悪化した。なお純利益は特別利益(受取和解金15億79百万円)を計上して増益だった。

 医療用医薬品事業は9.5%減収だった。Entocort(19.5%増収)は国内・海外とも拡大したが、アサコール(16.0%減収)が国内競合品・後発品の影響で苦戦した。アコファイド、プロマック、アシノンも減収だった。コンシューマーヘルスケア事業は1.6%減収だった。ヘパリーゼ群(1.3%増収)やウィズワン群(0.4%増収)は堅調だったが、コンドロイチン群(7.1%減収)が競争激化で苦戦した。ビューティケアは取扱店舗数、売上とも順調に増加した。

 通期ベースでも薬価改定、後発品、競合品の影響で減収となり、研究開発費や広告宣伝費も高水準で推移するため減益予想としている。20年3月期の収益改善を期待したい。

■株主優待は年2回、9月末と3月末の株主対象

 株主優待制度は毎年9月末および3月末現在の株主に対して実施している。保有株式数に応じて自社グループ商品を贈呈する。

■株価は下値固め完了感

 なお自己株式取得は11月2日に取得枠を拡大、取得期間を延長して、上限200万株・46億円、取得期間18年6月18日〜19年2月5日としている。

 株価は地合い悪も影響して12月25日に昨年来安値1859円まで下押す場面があったが、概ね1900円台で推移して下値固め完了感を強めている。出直りを期待したい。1月9日の終値は1956円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS71円75銭で算出)は約27倍、今期予想配当利回り(会社予想の年間34円で算出)は約1.7%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS1300円88銭で算出)は約1.5倍、時価総額は約1039億円である。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media−IR)
[12月13日更新]

ゼリア新薬工業は調整一巡期待、19年3月期減益予想だが20年3月期収益改善期待

 ゼリア新薬工業<4559>(東1)は、消化器分野が中心の医療用医薬品事業、一般用医薬品のコンシューマーヘルスケア事業を展開している。19年3月期は下方修正して減益予想だが、20年3月期の収益改善を期待したい。株価は年初来安値圏だが調整一巡して反発を期待したい。

■医療用医薬品事業とコンシューマーヘルスケア事業を展開

 消化器分野が中心の医療用医薬品事業、および一般用医薬品のコンシューマーヘルスケア事業を展開している。収益面では薬価改定、ライセンス収入・ロイヤリティ収入、研究開発費、広告宣伝費などの影響を受けやすい。

 18年3月期のセグメント別売上高構成比は医療用医薬品事業54%、コンシューマーヘルスケア事業46%、その他0%、営業利益構成比(連結調整前)は医療用医薬品事業26%、コンシューマーヘルスケア事業72%、その他3%だった。海外売上比率は26%だった。

 医療用医薬品事業は、潰瘍性大腸炎治療剤アサコールを主力として、H2受容体拮抗剤アシノン、亜鉛含有胃潰瘍治療剤プロマック、機能性ディスペプシア治療剤アコファイドなども展開している。子会社ティロッツ社は15年7月アストラゼネカ社から炎症性腸疾患(IBD)治療剤Entocortの米国を除く全世界における権利を取得し、16年11月国内でゼンタコートカプセルを発売した。

 コンシューマーヘルスケア事業は、ヘパリーゼ群、コンドロイチン群、ウィズワン群を主力として、日本で初めて月経前症候群の効能を取得した西洋ハーブ・ダイレクトOTC医薬品プレフェミン、連結子会社イオナ インターナショナルの「イオナ」ブランド化粧品なども、全国の薬局・薬店・ドラッグストアなどに販売している。

■消化器分野を最重点領域として新薬開発を推進

 消化器分野を最重点領域と位置付けて、新薬開発を推進している。ビフォーファーマ社から導入した鉄欠乏性貧血治療剤「Z−213」は国内で承認申請中である。本剤は世界75ヶ国で承認を取得している。

 膵臓癌を適応症とする「Z−360」は日本を含むアジア地域でフェーズ2国際共同治験中、子宮頸癌を適応症とする「Z−100」は日本を含むアジア地域でフェーズ3国際共同治験中である。

 高カリウム血症を適応症とする「ZG−801」(18年3月ビフォーファーマ社と日本国内における独占的開発・販売契約を締結した高カリウム血症治療薬Veltassa)は臨床準備中である。米国では15年12月から販売され、欧州では17年7月にEMA(欧州医薬品庁)から承認を取得している。

 なお海外は、中国で潰瘍性大腸炎を適応症とする「Z−206」を承認申請中、欧州で潰瘍性大腸炎を適応症とする「TP05」(ティロッツ開発品)を承認申請中である。また「Z−338」は欧州で機能性ディスペプシアを対象としたフェーズ3を実施中、北米でフェーズ2が終了している。

■19年3月期減益予想だが、20年3月期収益改善期待

 19年3月期連結業績予想(11月2日に売上高、利益とも下方修正)は、売上高が18年3月期比2.4%減の630億円、営業利益が11.0%減の43億円、経常利益が21.4%減の40億円、純利益が13.4%減の36億円としている。配当予想は据え置いて、18年3月期と同額の年間34円(第2四半期末17円、期末17円)としている。予想配当性向は47.4%となる。

 第2四半期累計は売上高が前年同期比6.0%減の304億83百万円、営業利益が13.5%減の20億69百万円、経常利益が24.5%減の19億14百万円、純利益が7.2%増の22億80百万円だった。

 国内の薬価改定、競合品・後発品の影響で売上高が計画未達で減収となり、研究開発費や広告宣伝費の増加なども影響して営業減益だった。営業外費用では為替差損益が悪化した。なお純利益は特別利益(受取和解金15億79百万円)を計上して増益だった。

 医療用医薬品事業は9.5%減収だった。Entocort(19.5%増収)は国内・海外とも拡大したが、アサコール(16.0%減収)が国内競合品・後発品の影響で苦戦した。アコファイド、プロマック、アシノンも減収だった。コンシューマーヘルスケア事業は1.6%減収だった。ヘパリーゼ群(1.3%増収)やウィズワン群(0.4%増収)は堅調だったが、コンドロイチン群(7.1%減収)が競争激化で苦戦した。ビューティケアは取扱店舗数、売上とも順調に増加した。

 通期ベースでも薬価改定、後発品、競合品の影響で減収となり、研究開発費や広告宣伝費も高水準で推移するため減益予想としている。20年3月期の収益改善を期待したい。

■株主優待は年2回、9月末と3月末の株主対象

 株主優待制度は毎年9月末および3月末現在の株主に対して実施している。保有株式数に応じて自社グループ商品を贈呈する。

■株価は調整一巡期待

 なお自己株式取得は11月2日に取得枠を拡大、取得期間を延長して、上限200万株・46億円、取得期間18年6月18日〜19年2月5日としている。

 株価は12月11日に1930円まで下押した。11月5日の年初来安値1926円に接近したが調整一巡して反発を期待したい。12月12日の終値は2020円、今期予想連結PER(会社予想連結EPS71円75銭で算出)は約28倍、今期予想配当利回り(会社予想の年間34円で算出)は約1.7%、前期実績連結PBR(前期実績連結BPS1300円88銭で算出)は約1.6倍、時価総額は約1073億円である。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media−IR)
[11月08日更新]

ゼリア新薬工業は19年3月期予想を下方修正だが、株価のネガティブ反応限定的

 ゼリア新薬工業<4559>(東1)は、消化器分野が中心の医療用医薬品事業、一般用医薬品のコンシューマーヘルスケア事業を展開している。19年3月期第2四半期累計が計画未達で減収・営業減益となり、通期予想も下方修正して減収減益予想となったが、株価のネガティブ反応は限定的のようだ。反発を期待したい。なお自己株式取得について、取得枠を拡大し、取得期間も延長した。

■医療用医薬品事業とコンシューマーヘルスケア事業を展開

 消化器分野が中心の医療用医薬品事業、および一般用医薬品のコンシューマーヘルスケア事業を展開している。収益面では薬価改定、ライセンス収入・ロイヤリティ収入、研究開発費、広告宣伝費などの影響を受けやすい。

 18年3月期のセグメント別売上高構成比は医療用医薬品事業54%、コンシューマーヘルスケア事業46%、その他0%、営業利益構成比(連結調整前)は医療用医薬品事業26%、コンシューマーヘルスケア事業72%、その他3%だった。海外売上比率は26%だった。

 医療用医薬品事業は、潰瘍性大腸炎治療剤アサコールを主力として、H2受容体拮抗剤アシノン、亜鉛含有胃潰瘍治療剤プロマック、機能性ディスペプシア治療剤アコファイドなども展開している。子会社ティロッツ社は15年7月アストラゼネカ社から炎症性腸疾患(IBD)治療剤Entocortの米国を除く全世界における権利を取得し、16年11月国内でゼンタコートカプセルを発売した。

 コンシューマーヘルスケア事業は、ヘパリーゼ群、コンドロイチン群、ウィズワン群を主力として、日本で初めて月経前症候群の効能を取得した西洋ハーブ・ダイレクトOTC医薬品プレフェミン、連結子会社イオナ インターナショナルの「イオナ」ブランド化粧品なども、全国の薬局・薬店・ドラッグストアなどに販売している。

■消化器分野を最重点領域として新薬開発を推進

 消化器分野を最重点領域と位置付けて、新薬開発を推進している。ビフォーファーマ社から導入した鉄欠乏性貧血治療剤「Z−213」は国内で承認申請中である。本剤は世界75ヶ国で承認を取得している。

 膵臓癌を適応症とする「Z−360」は日本を含むアジア地域でフェーズ2国際共同治験中、子宮頸癌を適応症とする「Z−100」は日本を含むアジア地域でフェーズ3国際共同治験中である。

 高カリウム血症を適応症とする「ZG−801」(18年3月ビフォーファーマ社と日本国内における独占的開発・販売契約を締結した高カリウム血症治療薬Veltassa)は臨床準備中である。米国では15年12月から販売され、欧州では17年7月にEMA(欧州医薬品庁)から承認を取得している。

 なお海外は、中国で潰瘍性大腸炎を適応症とする「Z−206」を承認申請中、欧州で潰瘍性大腸炎を適応症とする「TP05」(ティロッツ開発品)を承認申請中である。また「Z−338」は欧州で機能性ディスペプシアを対象としたフェーズ3を実施中、北米でフェーズ2が終了している。

■19年3月期増収増益予想

 19年3月期連結業績予想は11月2日に売上高、利益とも下方修正し、売上高が18年3月期比2.4%減の630億円、営業利益が11.0%減の43億円、経常利益が21.4%減の40億円、純利益が13.4%減の36億円とした。増収増益予想から一転して減収減益予想となった。なお配当予想は据え置いて、18年3月期と同額の年間34円(第2四半期末17円、期末17円)としている。予想配当性向は47.4%となる。

 第2四半期累計は売上高が前年同期比6.0%減の304億83百万円、営業利益が13.5%減の20億69百万円、経常利益が24.5%減の19億14百万円、純利益が7.2%増の22億80百万円だった。

 国内の薬価改定、競合品・後発品の影響で売上高が計画未達で減収となり、研究開発費や広告宣伝費の増加なども影響して営業減益だった。営業外費用では為替差損益が悪化した。なお純利益は特別利益に受取和解金(15億79百万円)を計上したため増益だった。

 医療用医薬品事業は9.5%減収だった。Entocort(19.5%増収)は国内・海外とも拡大したが、アサコール(16.0%減収)が国内競合品・後発品の影響で苦戦した。アコファイド、プロマック、アシノンも減収だった。コンシューマーヘルスケア事業は1.6%減収だった。ヘパリーゼ群(1.3%増収)やウィズワン群(0.4%増収)は堅調だったが、コンドロイチン群(7.1%減収)が競争激化で苦戦した。ビューティケアは取扱店舗数、売上とも順調に増加した。

 通期ベースでも薬価改定、後発品、競合品の影響で減収となり、研究開発費や広告宣伝費も高水準で推移するため減益予想としている。20年3月期の収益改善を期待したい。

■株主優待は毎年9月末と3月末の年2回

 株主優待制度は毎年9月末および3月末現在の株主に対して実施している。保有株式数に応じて自社グループ商品を贈呈する。

■株価は反発期待

 18年6月15日発表の自己株式取得(上限130万株・30億円、取得期間18年6月18日〜18年11月2日)については、11月2日に取得枠を拡大し、取得期間も延長した。変更後は上限200万株・46億円、取得期間18年6月18日〜19年2月5日とした。18年11月1日現在の累計取得株式数は43万3300株である。

 株価は11月5日に1926円まで下押す場面があったが、その後は2000円台を回復している。19年3月期業績予想下方修正に対するネガティブ反応は限定的のようだ。反発を期待したい。

 11月7日の終値は2027円、今期予想連結PER(会社予想連結EPS71円75銭で算出)は約28倍、今期予想配当利回り(会社予想の年間34円で算出)は約1.7%、前期実績連結PBR(前期実績連結BPS1300円88銭で算出)は約1.6倍、時価総額は約1077億円である。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media−IR)
[10月09日更新]

ゼリア新薬工業は自律調整一巡期待、19年3月期増収増益予想

 ゼリア新薬工業<4559>(東1)は、消化器分野が中心の医療用医薬品事業、および一般用医薬品のコンシューマーヘルスケア事業を展開している。19年3月期増収増益予想である。株価は自律調整一巡して8月の年初来高値を試す展開を期待したい。

■医療用医薬品事業とコンシューマーヘルスケア事業を展開

 消化器分野が中心の医療用医薬品事業、および一般用医薬品のコンシューマーヘルスケア事業を展開している。収益面では薬価改定、ライセンス収入・ロイヤリティ収入、研究開発費、広告宣伝費などの影響を受けやすい。

 18年3月期のセグメント別売上高構成比は医療用医薬品事業54%、コンシューマーヘルスケア事業46%、その他0%、営業利益構成比(連結調整前)は医療用医薬品事業26%、コンシューマーヘルスケア事業72%、その他3%だった。海外売上比率は26%だった。

 医療用医薬品事業は、潰瘍性大腸炎治療剤アサコールを主力として、H2受容体拮抗剤アシノン、亜鉛含有胃潰瘍治療剤プロマック、機能性ディスペプシア治療剤アコファイドなども展開している。子会社ティロッツ社は15年7月アストラゼネカ社から炎症性腸疾患(IBD)治療剤Entocortの米国を除く全世界における権利を取得し、16年11月国内でゼンタコートカプセルを発売した。17年5月には潰瘍性大腸炎治療剤アサコールの用法・用量を追加(開発番号Z−206、協和発酵キリンと共同開発)した。

 コンシューマーヘルスケア事業は、ヘパリーゼ群、コンドロイチン群、ウィズワン群を主力として、日本で初めて月経前症候群の効能を取得した西洋ハーブ・ダイレクトOTC医薬品プレフェミン、連結子会社イオナ インターナショナルの「イオナ」ブランド化粧品なども、全国の薬局・薬店・ドラッグストアなどに販売している。

■消化器分野を最重点領域として新薬開発を推進

 消化器分野を最重点領域と位置付けて、新薬開発を推進している。膵臓癌を適応症とする「Z−360」は日本を含むアジア地域でフェーズ2国際共同治験中、子宮頸癌を適応症とする「Z−100」は日本を含むアジア地域でフェーズ3国際共同治験中である。

 18年3月にはビフォーファーマ社との高カリウム血症治療薬Veltassaの日本国内における独占的開発・販売契約を締結した。米国では15年12月から販売され、欧州では17年7月にEMA(欧州医薬品庁)から承認を取得している。またビフォーファーマ社から導入した鉄欠乏性貧血治療剤「Z−213」の国内製造販売承認を申請した。本剤は世界75ヶ国で承認を取得している。

 海外は、中国で潰瘍性大腸炎を適応症として「Z−206」を承認申請中、欧州で潰瘍性大腸炎を適応症とする「TP05」を承認申請中である。自社開発「Z−338」は欧州で機能性ディスペプシアを対象としたフェーズ3を実施し、北米ではフェーズ2が終了している。

■19年3月期増収増益予想

 19年3月期連結業績予想は、売上高が18年3月期比5.3%増の680億円、営業利益が7.7%増の52億円、経常利益が2.2%増の52億円、そして純利益が3.4%増の43億円としている。配当予想は18年3月期と同額の年間34円(第2四半期末17円、期末17円)で、予想配当性向は39.8%となる。

 第1四半期は、売上高が前年同期比4.5%減の152億59百万円だが、営業利益が2.7倍の16億32百万円、経常利益が2.6倍の17億41百万円、純利益が3.4倍の22億44百万円だった。薬価改定影響などで減収だが、研究開発費の一部が第2四半期以降にずれ込んだことなどで大幅増益だった。

 医療用医薬品事業は、炎症性腸疾患(IBD)治療剤Entocortが拡大したが、潰瘍性大腸炎治療剤アサコールの薬価改定影響などで9.2%減収だった。コンシューマーヘルスケア事業は、コンドロイチン群が苦戦したが、ヘパリーゼ群やウィズワン群の拡大で1.7%増収だった。

 通期予想に対する第1四半期の進捗率は売上高22.4%、営業利益31.4%、経常利益33.5%、純利益52.2%である。通期ベースでは研究開発費増加などを増収効果で吸収する見込みだ。好業績を期待したい。

■株主優待は毎年9月末と3月末の年2回

 株主優待制度は毎年9月末および3月末現在の株主に対して実施している。保有株式数に応じて自社グループ商品を贈呈する。

■株価は自律調整一巡期待

 18年6月15日に自己株式取得(上限130万株・30億円、取得期間18年6月18日〜18年11月2日)を発表している。

 株価は9月25日の戻り高値2558円から反落して水準を切り下げる展開となったが、自律調整の範囲だろう。

 10月5日の終値は2354円、今期予想連結PER(会社予想連結EPS85円50銭で算出)は約28倍、今期予想配当利回り(会社予想の年間34円で算出)は約1.4%、前期実績連結PBR(前期実績連結BPS1300円88銭で算出)は約1.8倍、時価総額は約1250億円である。

 週足チャートで見ると26週移動平均線がサポートラインだ。自律調整一巡して8月の年初来高値2677円を試す展開を期待したい。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media−IR)
[09月13日更新]

ゼリア新薬工業は調整一巡感、19年3月期増収増益予想

 ゼリア新薬工業<4559>(東1)は、消化器分野が中心の医療用医薬品事業、および一般用医薬品のコンシューマーヘルスケア事業を展開している。19年3月期増収増益予想である。株価は8月の年初来高値から反落したが、調整一巡感を強めている。出直りを期待したい。

■医療用医薬品事業とコンシューマーヘルスケア事業を展開

 消化器分野が中心の医療用医薬品事業、および一般用医薬品のコンシューマーヘルスケア事業を展開している。収益面では薬価改定、ライセンス収入・ロイヤリティ収入、研究開発費、広告宣伝費などの影響を受けやすい。

 18年3月期のセグメント別売上高構成比は医療用医薬品事業54%、コンシューマーヘルスケア事業46%、その他0%、営業利益構成比(連結調整前)は医療用医薬品事業26%、コンシューマーヘルスケア事業72%、その他3%だった。海外売上比率は26%だった。

 医療用医薬品事業は、潰瘍性大腸炎治療剤アサコールを主力として、H2受容体拮抗剤アシノン、亜鉛含有胃潰瘍治療剤プロマック、機能性ディスペプシア治療剤アコファイドなども展開している。子会社ティロッツ社は15年7月アストラゼネカ社から炎症性腸疾患(IBD)治療剤Entocortの米国を除く全世界における権利を取得し、16年11月国内でゼンタコートカプセルを発売した。17年5月には潰瘍性大腸炎治療剤アサコールの用法・用量を追加(開発番号Z−206、協和発酵キリンと共同開発)した。

 コンシューマーヘルスケア事業は、ヘパリーゼ群、コンドロイチン群、ウィズワン群を主力として、日本で初めて月経前症候群の効能を取得した西洋ハーブ・ダイレクトOTC医薬品プレフェミン、連結子会社イオナ インターナショナルの「イオナ」ブランド化粧品なども、全国の薬局・薬店・ドラッグストアなどに販売している。

■消化器分野を最重点領域として新薬開発を推進

 消化器分野を最重点領域と位置付けて、新薬開発を推進している。膵臓癌を適応症とする「Z−360」は日本を含むアジア地域でフェーズ2国際共同治験中、子宮頸癌を適応症とする「Z−100」は日本を含むアジア地域でフェーズ3国際共同治験中である。

 18年3月にはビフォーファーマ社との高カリウム血症治療薬Veltassaの日本国内における独占的開発・販売契約を締結した。米国では15年12月から販売され、欧州では17年7月にEMA(欧州医薬品庁)から承認を取得している。またビフォーファーマ社から導入した鉄欠乏性貧血治療剤「Z−213」の国内製造販売承認を申請した。本剤は世界75ヶ国で承認を取得している。

 海外は、中国で潰瘍性大腸炎を適応症として「Z−206」を承認申請中、欧州で潰瘍性大腸炎を適応症とする「TP05」を承認申請中である。自社開発「Z−338」は欧州で機能性ディスペプシアを対象としたフェーズ3を実施し、北米ではフェーズ2が終了している。

■19年3月期増収増益予想

 19年3月期連結業績予想は、売上高が18年3月期比5.3%増の680億円、営業利益が7.7%増の52億円、経常利益が2.2%増の52億円、そして純利益が3.4%増の43億円としている。配当予想は18年3月期と同額の年間34円(第2四半期末17円、期末17円)で、予想配当性向は39.8%となる。

 第1四半期は、売上高が前年同期比4.5%減の152億59百万円だが、営業利益が2.7倍の16億32百万円、経常利益が2.6倍の17億41百万円、純利益が3.4倍の22億44百万円だった。薬価改定影響などで減収だが、研究開発費の一部が第2四半期以降にずれ込んだことなどで大幅増益だった。

 医療用医薬品事業は、炎症性腸疾患(IBD)治療剤Entocortが拡大したが、潰瘍性大腸炎治療剤アサコールの薬価改定影響などで9.2%減収だった。コンシューマーヘルスケア事業は、コンドロイチン群が苦戦したが、ヘパリーゼ群やウィズワン群の拡大で1.7%増収だった。

 通期予想に対する第1四半期の進捗率は売上高22.4%、営業利益31.4%、経常利益33.5%、純利益52.2%である。通期ベースでは研究開発費増加などを増収効果で吸収する見込みだ。好業績を期待したい。

■株主優待は毎年9月末と3月末の年2回

 株主優待制度は毎年9月末および3月末現在の株主に対して実施している。保有株式数に応じて自社グループ商品を贈呈する。

■株価は調整一巡感

 18年6月15日に自己株式取得(上限130万株・30億円、取得期間18年6月18日〜18年11月2日)を発表している。

 株価は8月6日の年初来高値2677円から反落したが、2300円〜2400円近辺で推移して調整一巡感を強めている。

 9月12日の終値は2329円、今期予想連結PER(会社予想連結EPS85円50銭で算出)は約27倍、今期予想配当利回り(会社予想の年間34円で算出)は約1.5%、前期実績連結PBR(前期実績連結BPS1300円88銭で算出)は約1.8倍、時価総額は約1237億円である。

 週足チャートで見ると26週移動平均線がサポートラインの形だ。出直りを期待したい。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media−IR)
[08月07日更新]

ゼリア新薬工業は年初来高値更新、19年3月期1Q大幅増益を好感

 ゼリア新薬工業<4559>(東1)は、消化器分野が中心の医療用医薬品事業、および一般用医薬品のコンシューマーヘルスケア事業を展開している。19年3月期第1四半期は大幅増益だった。通期も増収増益予想である。株価は第1四半期業績を好感する形で年初来高値更新の展開だ。自律調整を交えながら上値を試す展開が期待される。

■医療用医薬品事業とコンシューマーヘルスケア事業を展開

 消化器分野が中心の医療用医薬品事業、および一般用医薬品のコンシューマーヘルスケア事業を展開している。収益面では薬価改定、ライセンス収入・ロイヤリティ収入、研究開発費、広告宣伝費などの影響を受けやすい。

 18年3月期のセグメント別売上高構成比は医療用医薬品事業54%、コンシューマーヘルスケア事業46%、その他0%、営業利益構成比(連結調整前)は医療用医薬品事業26%、コンシューマーヘルスケア事業72%、その他3%だった。海外売上比率は26%である。

 医療用医薬品事業は、潰瘍性大腸炎治療剤アサコールを主力として、H2受容体拮抗剤アシノン、亜鉛含有胃潰瘍治療剤プロマック、機能性ディスペプシア治療剤アコファイドなども展開している。子会社ティロッツ社は15年7月アストラゼネカ社から炎症性腸疾患(IBD)治療剤Entocortの米国を除く全世界における権利を取得し、16年11月国内でゼンタコートカプセルを発売した。17年5月には潰瘍性大腸炎治療剤アサコールの用法・用量を追加(開発番号Z−206、協和発酵キリンと共同開発)した。

 コンシューマーヘルスケア事業は、ヘパリーゼ群、コンドロイチン群、ウィズワン群を主力として、日本で初めて月経前症候群の効能を取得した西洋ハーブ・ダイレクトOTC医薬品プレフェミン、連結子会社イオナ インターナショナルの「イオナ」ブランド化粧品なども、全国の薬局・薬店・ドラッグストアなどに販売している。

■消化器分野を最重点領域として新薬開発を推進

 消化器分野を最重点領域と位置付けて、新薬開発を推進している。膵臓癌を適応症とする「Z−360」は日本を含むアジア地域でフェーズ2国際共同治験中、子宮頸癌を適応症とする「Z−100」は日本を含むアジア地域でフェーズ3国際共同治験中である。

 18年3月にはビフォーファーマ社との高カリウム血症治療薬Veltassaの日本国内における独占的開発・販売契約を締結した。米国では15年12月から販売され、欧州では17年7月にEMA(欧州医薬品庁)から承認を取得している。またビフォーファーマ社から導入した鉄欠乏性貧血治療剤「Z−213」の国内製造販売承認を申請した。本剤は世界75ヶ国で承認を取得している。

 海外は、中国で潰瘍性大腸炎を適応症として「Z−206」を承認申請中、欧州で潰瘍性大腸炎を適応症とする「TP05」を承認申請中である。自社開発「Z−338」は欧州で機能性ディスペプシアを対象としたフェーズ3を実施し、北米ではフェーズ2が終了している。

■19年3月期増収増益予想

 19年3月期連結業績予想は、売上高が18年3月期比5.3%増の680億円、営業利益が7.7%増の52億円、経常利益が2.2%増の52億円、そして純利益が3.4%増の43億円としている。配当予想は18年3月期と同額の年間34円(第2四半期末17円、期末17円)で、予想配当性向は39.8%となる。

 第1四半期は、売上高が前年同期比4.5%減の152億59百万円だが、営業利益が2.7倍の16億32百万円、経常利益が2.6倍の17億41百万円、純利益が3.4倍の22億44百万円だった。薬価改定影響などで減収だったが、研究開発費の一部が第2四半期以降にずれ込んだことなどで大幅増益だった。

 医療用医薬品事業は、炎症性腸疾患(IBD)治療剤Entocortが拡大したが、潰瘍性大腸炎治療剤アサコールの薬価改定影響などで9.2%減収だった。コンシューマーヘルスケア事業は、コンドロイチン群が苦戦したが、ヘパリーゼ群やウィズワン群の拡大で1.7%増収だった。

 通期予想に対する第1四半期の進捗率は売上高22.4%、営業利益31.4%、経常利益33.5%、純利益52.2%である。通期ベースでは研究開発費増加などを増収効果で吸収する見込みだ。好業績を期待したい。

■株主優待は毎年9月末と3月末の年2回実施

 株主優待制度は毎年9月末および3月末現在の株主に対して実施している。保有株式数に応じて自社グループ商品を贈呈する。

■株価は年初来高値更新

 18年6月15日に自己株式取得(上限130万株・30億円、取得期間18年6月18日〜18年11月2日)を発表している。

 株価は8月6日に2677円まで急伸した。第1四半期業績を好感する形で年初来高値更新の展開だ。

 8月6日の終値は2632円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS85円50銭で算出)は約31倍、今期予想配当利回り(会社予想の年間34円で算出)は約1.3%、前期実績連結PBR(前期実績連結BPS1300円88銭で算出)は約2.0倍、時価総額は約1398億円である。

 週足チャートで見ると13週移動平均線がサポートラインだ。自律調整を交えながら上値を試す展開が期待される。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media−IR)
[7月2日更新]

ゼリア新薬工業は年初来高値圏、19年3月期増収増益予想

 ゼリア新薬工業<4559>(東1)は、消化器分野が中心の医療用医薬品事業、および一般用医薬品のコンシューマーヘルスケア事業を展開している。19年3月期増収増益予想である。なお6月15日に新たな自己株式取得を発表している。株価は年初来高値圏だ。自律調整を交えながら上値を試す展開が期待される。

■医療用医薬品事業とコンシューマーヘルスケア事業を展開

 消化器分野が中心の医療用医薬品事業、および一般用医薬品のコンシューマーヘルスケア事業を展開している。収益面では薬価改定、ライセンス収入・ロイヤリティ収入、研究開発費、広告宣伝費などの影響を受けやすい。

 18年3月期のセグメント別売上高構成比は医療用医薬品事業54%、コンシューマーヘルスケア事業46%、その他0%、営業利益構成比(連結調整前)は医療用医薬品事業26%、コンシューマーヘルスケア事業72%、その他3%だった。海外売上比率は26%である。

 医療用医薬品事業は、潰瘍性大腸炎治療剤アサコールを主力として、H2受容体拮抗剤アシノン、亜鉛含有胃潰瘍治療剤プロマック、機能性ディスペプシア治療剤アコファイドなども展開している。子会社ティロッツ社は15年7月アストラゼネカ社から炎症性腸疾患(IBD)治療剤Entocortの米国を除く全世界における権利を取得し、16年11月国内でゼンタコートカプセルを発売した。17年5月には潰瘍性大腸炎治療剤アサコールの用法・用量を追加(開発番号Z−206、協和発酵キリンと共同開発)した。

 コンシューマーヘルスケア事業は、ヘパリーゼ群、コンドロイチン群、ウィズワン群を主力として、日本で初めて月経前症候群の効能を取得した西洋ハーブ・ダイレクトOTC医薬品プレフェミン、連結子会社イオナ インターナショナルの「イオナ」ブランド化粧品なども、全国の薬局・薬店・ドラッグストアなどに販売している。

■消化器分野を最重点領域として新薬開発を推進

 消化器分野を最重点領域と位置付けて、新薬開発を推進している。膵臓癌を適応症とする「Z−360」は日本を含むアジア地域でフェーズ2国際共同治験中、子宮頸癌を適応症とする「Z−100」は日本を含むアジア地域でフェーズ3国際共同治験中である。

 18年3月にはビフォーファーマ社との高カリウム血症治療薬Veltassaの日本国内における独占的開発・販売契約を締結した。米国では15年12月から販売され、欧州では17年7月にEMA(欧州医薬品庁)から承認を取得している。またビフォーファーマ社から導入した鉄欠乏性貧血治療剤「Z−213」の国内製造販売承認を申請した。本剤は世界75ヶ国で承認を取得している。

 海外は、中国で潰瘍性大腸炎を適応症として「Z−206」を承認申請中、欧州で潰瘍性大腸炎を適応症とする「TP05」を承認申請中である。自社開発「Z−338」は欧州で機能性ディスペプシアを対象としたフェーズ3を実施し、北米ではフェーズ2が終了している。

■19年3月期増収増益予想

 19年3月期連結業績予想は、売上高が18年3月期比5.3%増の680億円、営業利益が7.7%増の52億円、経常利益が2.2%増の52億円、そして純利益が3.4%増の43億円としている。研究開発費の増加などを増収効果で吸収する見込みだ。好業績を期待したい。

 19年3月期の配当予想は18年3月期と同額の年間34円(第2四半期末17円、期末17円)としている。予想配当性向は39.8%となる。

■株主優待は毎年9月末と3月末の年2回実施

 株主優待制度は毎年9月末および3月末現在の株主に対して実施している。保有株式数に応じて自社グループ商品を贈呈する。

■株価は高値圏

 17年6月16日発表の自己株式取得は18年6月15日に終了した。そして6月15日に新たな自己株式取得(上限130万株・30億円、取得期間18年6月18日〜18年11月2日)を発表している。

 株価は6月18日に年初来高値となる2478円まで上伸した。その後も高値圏で堅調に推移している。

 6月29日の終値2397円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS85円36銭で算出)は約28倍、今期予想配当利回り(会社予想の年間34円で算出)は約1.4%、前期実績連結PBR(前期実績連結BPS1300円88銭で算出)は約1.8倍である。時価総額は約1273億円である。

 週足チャートで見ると13週移動平均線がサポートラインだ。自律調整を交えながら上値を試す展開が期待される。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media−IR)
[6月06日更新]

ゼリア新薬工業は高値圏、19年3月期増収増益予想

 ゼリア新薬工業<4559>(東1)は、消化器分野が中心の医療用医薬品事業、および一般用医薬品のコンシューマーヘルスケア事業を展開している。19年3月期増収増益予想である。なお自己株式取得期間を6月15日まで延長している。株価は5月高値から一旦反落したが自律調整の範囲だろう。上値を試す展開が期待される。

■医療用医薬品事業とコンシューマーヘルスケア事業を展開

 消化器分野が中心の医療用医薬品事業、および一般用医薬品のコンシューマーヘルスケア事業を展開している。収益面では薬価改定、ライセンス収入・ロイヤリティ収入、研究開発費、広告宣伝費などの影響を受けやすい。

 18年3月期のセグメント別売上高構成比は医療用医薬品事業54%、コンシューマーヘルスケア事業46%、その他0%、営業利益構成比(連結調整前)は医療用医薬品事業26%、コンシューマーヘルスケア事業72%、その他3%だった。海外売上比率は26%である。

 医療用医薬品事業は、潰瘍性大腸炎治療剤アサコールを主力として、H2受容体拮抗剤アシノン、亜鉛含有胃潰瘍治療剤プロマック、機能性ディスペプシア治療剤アコファイドなども展開している。子会社ティロッツ社は15年7月アストラゼネカ社から炎症性腸疾患(IBD)治療剤Entocortの米国を除く全世界における権利を取得し、16年11月国内でゼンタコートカプセルを発売した。17年5月には潰瘍性大腸炎治療剤アサコールの用法・用量を追加(開発番号Z−206、協和発酵キリンと共同開発)した。

 コンシューマーヘルスケア事業は、ヘパリーゼ群、コンドロイチン群、ウィズワン群を主力として、日本で初めて月経前症候群の効能を取得した西洋ハーブ・ダイレクトOTC医薬品プレフェミン、連結子会社イオナ インターナショナルの「イオナ」ブランド化粧品なども、全国の薬局・薬店・ドラッグストアなどに販売している。

■消化器分野を最重点領域として新薬開発を推進

 消化器分野を最重点領域と位置付けて、新薬開発を推進している。膵臓癌を適応症とする「Z−360」は日本を含むアジア地域でフェーズ2国際共同治験中、子宮頸癌を適応症とする「Z−100」は日本を含むアジア地域でフェーズ3国際共同治験中である。

 18年3月にはビフォーファーマ社との高カリウム血症治療薬Veltassaの日本国内における独占的開発・販売契約を締結した。米国では15年12月から販売され、欧州では17年7月にEMA(欧州医薬品庁)から承認を取得している。またビフォーファーマ社から導入した鉄欠乏性貧血治療剤「Z−213」の国内製造販売承認を申請した。本剤は世界75ヶ国で承認を取得している。

 海外は、中国で潰瘍性大腸炎を適応症として「Z−206」を承認申請中、欧州で潰瘍性大腸炎を適応症とする「TP05」を承認申請中である。自社開発「Z−338」は欧州で機能性ディスペプシアを対象としたフェーズ3を実施し、北米ではフェーズ2が終了している。

■19年3月期増収増益予想

 19年3月期連結業績予想は、売上高が18年3月期比5.3%増の680億円、営業利益が7.7%増の52億円、経常利益が2.2%増の52億円、そして純利益が3.4%増の43億円としている。研究開発費の増加などを増収効果で吸収する見込みだ。好業績を期待したい。

 19年3月期の配当予想は18年3月期と同額の年間34円(第2四半期末17円、期末17円)としている。予想配当性向は39.8%となる。

■株主優待は毎年9月末と3月末の年2回実施

 株主優待制度は毎年9月末および3月末現在の株主に対して実施している。保有株式数に応じて自社グループ商品を贈呈する。

■株価は高値圏

 17年6月16日発表の自己株式取得は、17年8月4日取得枠拡大を発表、17年11月2日取得期間延長を発表、18年2月6日取得期間延長を発表、18年5月11日取得期間延長を発表し、取得株式総数の上限360万株、取得価額総額の上限72億円、取得期間17年6月19日〜18年6月15日としている。なお5月11日時点の累計取得株式数は278万3300株である。

 株価は高値圏だ。5月17日高値2396円から一旦反落したが、2200円近辺から切り返している。自律調整の範囲だろう。

 6月5日の終値2308円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想連結EPS85円36銭で算出)は約27倍、今期予想配当利回り(会社予想の年間34円で算出)は約1.6%、前期実績連結PBR(前期実績連結BPS1300円88銭で算出)は約1.8倍である。時価総額は約1226億円である。

 週足チャートで見ると、13週移動平均線が26週移動平均線を上抜いて先高観を強めている。上値を試す展開が期待される。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media−IR)
[5月16日更新]

ゼリア新薬工業は高値更新、19年3月期増益予想で自己株式取得期間を再延長

 ゼリア新薬工業<4559>(東1)は、消化器分野が中心の医療用医薬品事業、および一般用医薬品のコンシューマーヘルスケア事業を展開している。18年3月期は増益・増配だった。19年3月期も増益予想である。なお自己株式取得期間を再延長した。これを好感して株価は高値更新の展開だ。

■医療用医薬品事業とコンシューマーヘルスケア事業を展開

 消化器分野が中心の医療用医薬品事業、および一般用医薬品のコンシューマーヘルスケア事業を展開している。収益面では薬価改定、ライセンス収入・ロイヤリティ収入、研究開発費、広告宣伝費などの影響を受けやすい。

 18年3月期のセグメント別売上高構成比は医療用医薬品事業54%、コンシューマーヘルスケア事業46%、その他0%、営業利益構成比(連結調整前)は医療用医薬品事業26%、コンシューマーヘルスケア事業72%、その他3%だった。海外売上比率は26%である。

 医療用医薬品事業は、潰瘍性大腸炎治療剤アサコールを主力として、H2受容体拮抗剤アシノン、亜鉛含有胃潰瘍治療剤プロマック、機能性ディスペプシア治療剤アコファイドなども展開している。子会社ティロッツ社は15年7月アストラゼネカ社から炎症性腸疾患(IBD)治療剤Entocortの米国を除く全世界における権利を取得し、16年11月国内でゼンタコートカプセルを発売した。17年5月には潰瘍性大腸炎治療剤アサコールの用法・用量を追加(開発番号Z−206、協和発酵キリンと共同開発)した。

 コンシューマーヘルスケア事業は、ヘパリーゼ群、コンドロイチン群、ウィズワン群を主力として、日本で初めて月経前症候群の効能を取得した西洋ハーブ・ダイレクトOTC医薬品プレフェミン、連結子会社イオナ インターナショナルの「イオナ」ブランド化粧品なども、全国の薬局・薬店・ドラッグストアなどに販売している。

■消化器分野を最重点領域として新薬開発を推進

 消化器分野を最重点領域と位置付けて、新薬開発を推進している。膵臓癌を適応症とする「Z−360」は日本を含むアジア地域でフェーズ2国際共同治験中、子宮頸癌を適応症とする「Z−100」は日本を含むアジア地域でフェーズ3国際共同治験中である。

 18年3月にはビフォーファーマ社との高カリウム血症治療薬Veltassaの日本国内における独占的開発・販売契約を締結した。米国では15年12月から販売され、欧州では17年7月にEMA(欧州医薬品庁)から承認を取得している。またビフォーファーマ社から導入した鉄欠乏性貧血治療剤「Z−213」の国内製造販売承認を申請した。本剤は世界75ヶ国で承認を取得している。

 海外は、中国で潰瘍性大腸炎を適応症として「Z−206」を承認申請中、欧州で潰瘍性大腸炎を適応症とする「TP05」を承認申請中である。自社開発「Z−338」は欧州で機能性ディスペプシアを対象としたフェーズ3を実施し、北米ではフェーズ2が終了している。

■18年3月期は増益・増配、19年3月期も増益予想

 18年3月期の連結業績は、売上高が17年3月期比0.4%減の645億68百万円、営業利益が6.4%増の48億30百万円、経常利益が14.7%増の50億89百万円、純利益が17.3%増の41億57百万円だった。

 海外事業の好調や、研究開発費などの経費の効率的使用で増益だった。差引売上総利益率は71.6%で0.4ポイント低下、販管費比率は64.1%で0.9ポイント低下した。営業外では為替差損益が改善した。特別利益では投資有価証券売却益が減少した。

 セグメント別には、医療用医薬品事業は売上高が0.4%増の345億83百万円で営業利益(連結調整前)が50.0%増の25億75百万円だった。アサコールは国内では後発品や競合品の影響で苦戦したが、海外が好調だった。コンシューマーヘルスケア事業は売上高が1.5%減の298億31百万円で営業利益が10.4%減の71億50百万円だった。コンドロイチン群が競争激化でやや苦戦した。

 19年3月期連結業績予想は、売上高が18年3月期比5.3%増の680億円、営業利益が7.7%増の52億円、経常利益が2.2%増の52億円、そして純利益が3.4%増の43億円としている。研究開発費の増加などを増収効果で吸収する見込みだ。好業績を期待したい。

 18年3月期の配当は、17年3月期比2円増配の年間34円(第2四半期末17円、期末17円)とした。19年3月期の配当予想は18年3月期と同額の年間34円(第2四半期末17円、期末17円)で、予想配当性向は39.8%となる。

■株主優待は毎年9月末と3月末の年2回実施

 株主優待制度は毎年9月末および3月末現在の株主に対して実施している。保有株式数に応じて自社グループ商品を贈呈する。

■株価は高値更新

 17年6月16日発表の自己株式取得(8月4日取得枠拡大を発表、11月2日取得期間延長を発表、2月6日取得期間延長を発表、取得株式総数の上限360万株、取得価額総額の上限72億円、取得期間17年6月19日〜18年5月11日)について、5月11日に取得期間の再延長を発表した。18年6月15日まで延長する。なお5月11日時点の累計取得株式数は278万3300株である。

 株価は5月15日に2355円まで上伸し、1月高値2348円を突破した。自己株式取得期間再延長も好感して高値更新の展開だ。

 5月15日の終値2349円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS85円36銭で算出)は約28倍、今期予想配当利回り(会社予想の年間34円で算出)は約1.4%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS1300円88銭で算出)は約1.8倍である。時価総額は約1248億円である。

 週足チャートで見ると13週移動平均線が26週移動平均線を上抜くゴールデンクロスが接近している。上値を試す展開が期待される。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media−IR)
[04月04日更新]

ゼリア新薬工業は調整一巡して戻り歩調、18年3月期2桁増益・増配予想

 ゼリア新薬工業<4559>(東1)は、消化器分野が中心の医療用医薬品事業、および一般用医薬品のコンシューマーヘルスケア事業を展開している。18年3月期は2桁増益・増配予想である。なお3月27日にはビフォーファーマ社との高カリウム血症治療薬Veltassaの日本国内における独占的開発・販売契約締結、そして3月29日には鉄欠乏性貧血治療剤「Z−213」の国内製造販売承認申請を発表している。株価は調整一巡して戻り歩調だ。

■医療用医薬品事業とコンシューマーヘルスケア事業を展開

 消化器分野が中心の医療用医薬品事業、および一般用医薬品のコンシューマーヘルスケア事業を展開している。収益面では薬価改定、ライセンス収入・ロイヤリティ収入、研究開発費、広告宣伝費などの影響を受けやすい。

 17年3月期のセグメント別売上高構成比は医療用医薬品事業53%、コンシューマーヘルスケア事業47%、その他0%、営業利益構成比(連結調整前)は医療用医薬品事業17%、コンシューマーヘルスケア事業80%、その他2%だった。海外売上比率は24.6%だった。

 医療用医薬品事業は、潰瘍性大腸炎治療剤アサコールを主力として、H2受容体拮抗剤アシノン、亜鉛含有胃潰瘍治療剤プロマック、機能性ディスペプシア治療剤アコファイドなども展開している。子会社ティロッツ社は15年7月アストラゼネカ社から炎症性腸疾患(IBD)治療剤Entocortの米国を除く全世界における権利を取得し、16年11月国内でゼンタコートカプセルを発売した。

 17年5月には潰瘍性大腸炎治療剤アサコールの用法・用量を追加(開発番号Z−206、協和発酵キリンと共同開発)した。また17年9月には、日医工<4541>が製造販売承認を取得したバイオシミラー製剤『インフリキシマブBS点滴静注用100mg「日医工」』について、両社で共同プロモーションを行うと発表した。

 コンシューマーヘルスケア事業は、ヘパリーゼ群、コンドロイチン群、ウィズワン群を主力として、日本で初めて月経前症候群の効能を取得した西洋ハーブ・ダイレクトOTC医薬品プレフェミン、連結子会社イオナ インターナショナルの「イオナ」ブランド化粧品なども、全国の薬局・薬店・ドラッグストアなどに販売している。

■消化器分野を最重点領域として新薬開発を推進

 消化器分野を最重点領域と位置付けて、新薬開発を推進している。膵臓癌を適応症とする「Z−360」は日本を含むアジア地域でフェーズ2国際共同治験中、子宮頸癌を適応症とする「Z−100」は日本を含むアジア地域でフェーズ3国際共同治験中である。

 3月27日にはビフォーファーマ社との高カリウム血症治療薬Veltassaの日本国内における独占的開発・販売契約締結を発表した。米国では15年12月から販売され、欧州では17年7月にEMA(欧州医薬品庁)から承認を取得している。

 また3月29日には、ビフォーファーマ社から導入した鉄欠乏性貧血治療剤「Z−213」の国内製造販売承認申請を発表した。本剤は世界75ヶ国で承認を取得している。

 海外は、中国で潰瘍性大腸炎を適応症として「Z−206」を承認申請中、欧州で潰瘍性大腸炎を適応症とする「TP05」を承認申請中である。自社開発「Z−338」は欧州で機能性ディスペプシアを対象としたフェーズ3を実施し、北米ではフェーズ2が終了している。

■18年3月期2桁増益・増配予想

 18年3月期連結業績予想(2月6日に売上高を減額、営業利益を据え置き、経常利益を増額、純利益を増額)は、売上高が17年3月期比1.8%増の660億円、営業利益が10.1%増の50億円、経常利益が17.2%増の52億円、純利益が15.7%増の41億円としている。配当予想は2円増配の年間34円(第2四半期末17円、期末17円)で、予想配当性向は42.8%となる。

 第3四半期累計は売上高が前年同期比1.2%増の496億44百万円、営業利益が26.0%増の45億87百万円、経常利益が39.6%増の48億90百万円、純利益が37.6%増の39億55百万円だった。競争激化などで売上高が伸び悩んだが、販管費の減少で大幅増益だった。

 売上高は、医療用医薬品事業が3.2%増の266億54百万円、コンシューマーヘルスケア事業が1.0%減の228億73百万円、その他が8.9%増の1億16百万円だった。

 医療用医薬品事業では、主力のアサコールが国内で後発品および競合品の影響を受けたが、海外が好調に推移した。Entocort(国内販売名ゼンタコート)は国内・海外とも増収だった。アコファイドは市場構築が計画より遅れている。コンシューマーヘルスケア事業は競争激化で苦戦した。

 差引売上総利益率は71.6%で0.8ポイント低下、販管費比率は62.3%で2.7ポイント低下した。営業外では為替差損益が大幅改善した。

 通期会社予想に対する第3四半期累計の進捗率は売上高が75.2%、営業利益が91.7%、経常利益が94.0%、純利益が96.5%と高水準である。第4四半期に研究開発費の増加を見込んでいるが、通期ベースでも好業績が期待される。

■株主優待は毎年9月末と3月末の年2回実施

 株主優待制度は毎年9月末および3月末現在の株主に対して実施している。保有株式数に応じて自社グループ商品を贈呈する。

■株価は調整一巡感

 17年6月16日発表の自己株式取得(8月4日取得枠拡大を発表、11月2日取得期間延長を発表、2月6日取得期間延長を発表、取得株式総数の上限360万株、取得価額総額の上限72億円、取得期間17年6月19日〜18年5月11日)を実施している。2月6日時点の累計取得株式数は248万5100株だった。

 株価は1月高値2348円から反落したが、2000円近辺で調整一巡して戻り歩調だ。

 4月3日の終値2115円を指標面で見ると、前期推定連結PER(会社予想連結EPS79円53銭で算出)は約27倍、前期推定配当利回り(会社予想の年間34円で算出)は約1.6%、前々期実績連結PBR(前々期実績の連結BPS1192円73銭で算出)は約1.8倍である。時価総額は約1123億円である。

 週足チャートで見ると52週移動平均線近辺から切り返し、26週移動平均線突破の動きを強めている。戻りを試す展開が期待される。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media−IR)
[3月14日更新]

ゼリア新薬工業は調整一巡感、18年3月期2桁増益・増配予想
 
 ゼリア新薬工業<4559>(東1)は消化器分野が中心の医療用医薬品事業、および一般用医薬品のコンシューマーヘルスケア事業を展開している。18年3月期は2桁増益予想、そして増配予想である。株価は1月の昨年来高値圏から反落したが、調整一巡感を強めている。自己株式取得期間延長も評価材料だろう。出直りが期待される。
 
■医療用医薬品事業とコンシューマーヘルスケア事業を展開
 
 消化器分野が中心の医療用医薬品事業、および一般用医薬品のコンシューマーヘルスケア事業を展開している。収益面では薬価改定、ライセンス収入・ロイヤリティ収入、研究開発費、広告宣伝費などの影響を受けやすい。
 
 17年3月期のセグメント別売上高構成比は医療用医薬品事業53%、コンシューマーヘルスケア事業47%、その他0%、営業利益構成比(連結調整前)は医療用医薬品事業17%、コンシューマーヘルスケア事業80%、その他2%だった。海外売上比率は24.6%だった。
 
 医療用医薬品事業は、潰瘍性大腸炎治療剤アサコールを主力として、H2受容体拮抗剤アシノン、亜鉛含有胃潰瘍治療剤プロマック、機能性ディスペプシア治療剤アコファイドなども展開している。
 
 子会社ティロッツ社は15年7月、アストラゼネカ社から炎症性腸疾患(IBD)治療剤Entocortの米国を除く全世界における権利を取得した。IBDは潰瘍性大腸炎(UC)およびクローン病(CD)を含めて世界中に約500万人の患者が存在すると推定されている疾患である。CDを適応症とするEntocortの権利取得により、IBD治療においてUCの第1選択薬として用いられているアサコールを補完する。そして16年11月国内でCDを適応症するゼンタコートカプセルを発売した。
 
 17年5月には潰瘍性大腸炎治療剤アサコールの用法・用量を追加(開発番号Z−206、協和発酵キリンと共同開発)した。また17年9月には、日医工<4541>が製造販売承認を取得したバイオシミラー製剤『インフリキシマブBS点滴静注用100mg「日医工」』について、両社で共同プロモーションを行うと発表した。
 
 コンシューマーヘルスケア事業は、ヘパリーゼ群、コンドロイチン群、ウィズワン群を主力として、日本で初めて月経前症候群の効能を取得した西洋ハーブ・ダイレクトOTC医薬品プレフェミン、連結子会社イオナ インターナショナルの「イオナ」ブランド化粧品なども、全国の薬局・薬店・ドラッグストアなどに販売している。
 
■消化器分野を最重点領域として新薬開発を推進
 
 消化器分野を最重点領域と位置付けて、新薬開発を推進している。膵臓癌を適応症とする「Z−360」は日本を含むアジア地域でフェーズ2国際共同治験中、子宮頸癌を適応症とする「Z−100」は日本を含むアジア地域でフェーズ3国際共同治験中、ビフォーファーマ社から導入した鉄欠乏性貧血治療剤「Z−213」はフェーズ3段階である。
 
 海外は、中国で潰瘍性大腸炎を適応症として「Z−206」を承認申請中、欧州で潰瘍性大腸炎を適応症とする「TP05」を承認申請中である。自社開発「Z−338」は欧州で機能性ディスペプシアを対象としたフェーズ3を実施し、北米ではフェーズ2が終了している。
 
■18年3月期2桁増益・増配予想
 
 18年3月期連結業績予想(2月6日に売上高を減額、営業利益を据え置き、経常利益を増額、純利益を増額)は、売上高が17年3月期比1.8%増の660億円、営業利益が10.1%増の50億円、経常利益が17.2%増の52億円、純利益が15.7%増の41億円としている。配当予想は2円増配の年間34円(第2四半期末17円、期末17円)で、予想配当性向は42.8%となる。
 
 第3四半期累計は売上高が前年同期比1.2%増の496億44百万円、営業利益が26.0%増の45億87百万円、経常利益が39.6%増の48億90百万円、純利益が37.6%増の39億55百万円だった。競争激化などで売上高が伸び悩んだが、販管費の減少で大幅増益だった。
 
 売上高は、医療用医薬品事業が3.2%増の266億54百万円、コンシューマーヘルスケア事業が1.0%減の228億73百万円、その他が8.9%増の1億16百万円だった。
 
 医療用医薬品事業では、主力のアサコールが国内で後発品および競合品の影響を受けたが、海外が好調に推移した。Entocort(国内販売名ゼンタコート)は国内・海外とも増収だった。アコファイドは市場構築が計画より遅れている。コンシューマーヘルスケア事業は競争激化で苦戦した。
 
 差引売上総利益率は71.6%で0.8ポイント低下、販管費比率は62.3%で2.7ポイント低下した。営業外では為替差損益が大幅改善した。
 
 通期会社予想に対する第3四半期累計の進捗率は売上高が75.2%、営業利益が91.7%、経常利益が94.0%、純利益が96.5%と高水準である。第4四半期に研究開発費の増加を見込んでいるが、通期ベースでも好業績が期待される。
 
■株主優待は毎年9月末と3月末の年2回実施
 
 株主優待制度は毎年9月末および3月末現在の株主に対して実施している。保有株式数に応じて自社グループ商品を贈呈する。
 
■株価は調整一巡感
 
 17年6月16日発表の自己株式取得(8月4日取得枠拡大を発表、11月2日取得期間延長を発表、2月6日取得期間延長を発表、取得株式総数の上限360万株、取得価額総額の上限72億円、取得期間17年6月19日〜18年5月11日)を実施している。2月6日時点の累計取得株式数は248万5100株だった。
 
 株価は1月の昨年来高値2348円から反落したが、2000円近辺で推移して調整一巡感を強めている。
 
 3月13日の終値2087円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS79円53銭で算出)は26〜27倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間34円で算出)は1.6%近辺、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS1192円73銭で算出)は1.7倍近辺である。時価総額は約1109億円である。
 
 週足チャートで見ると52週移動平均線近辺から切り返してサポートラインを確認した形だ。自己株式取得期間延長も評価材料だろう。出直りが期待される。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media−IR)
[2月26日更新]

ゼリア新薬工業は調整一巡感、18年3月期3Q累計大幅増益で通期も2桁増益・増配予想

 ゼリア新薬工業<4559>(東1)は消化器分野が中心の医療用医薬品事業、および一般用医薬品のコンシューマーヘルスケア事業を展開している。18年3月期第3四半期累計は大幅増益だった。通期は経常利益と純利益を増額して2桁増益予想、そして増配予想である。なお自己株式取得期間を延長している。株価は1月の昨年来高値圏から反落したが調整一巡感を強めている。
 
■医療用医薬品事業とコンシューマーヘルスケア事業を展開
 
 消化器分野が中心の医療用医薬品事業、および一般用医薬品のコンシューマーヘルスケア事業を展開している。収益面では薬価改定、ライセンス収入・ロイヤリティ収入、研究開発費、広告宣伝費などの影響を受けやすい。
 
 17年3月期のセグメント別売上高構成比は医療用医薬品事業53%、コンシューマーヘルスケア事業47%、その他0%、営業利益構成比(連結調整前)は医療用医薬品事業17%、コンシューマーヘルスケア事業80%、その他2%だった。海外売上比率は24.6%だった。
 
 医療用医薬品事業は、潰瘍性大腸炎治療剤アサコールを主力として、H2受容体拮抗剤アシノン、亜鉛含有胃潰瘍治療剤プロマック、機能性ディスペプシア治療剤アコファイドなども展開している。
 
 子会社ティロッツ社は15年7月、アストラゼネカ社から炎症性腸疾患(IBD)治療剤Entocortの米国を除く全世界における権利を取得した。IBDは潰瘍性大腸炎(UC)およびクローン病(CD)を含めて世界中に約500万人の患者が存在すると推定されている疾患である。CDを適応症とするEntocortの権利取得により、IBD治療においてUCの第1選択薬として用いられているアサコールを補完する。そして16年11月国内でCDを適応症するゼンタコートカプセルを発売した。
 
 17年5月には潰瘍性大腸炎治療剤アサコールの用法・用量を追加(開発番号Z−206、協和発酵キリンと共同開発)した。また17年9月には、日医工<4541>が製造販売承認を取得したバイオシミラー製剤『インフリキシマブBS点滴静注用100mg「日医工」』について、両社で共同プロモーションを行うと発表した。
 
 コンシューマーヘルスケア事業は、ヘパリーゼ群、コンドロイチン群、ウィズワン群を主力として、日本で初めて月経前症候群の効能を取得した西洋ハーブ・ダイレクトOTC医薬品プレフェミン(要指導医薬品)や、連結子会社イオナ インターナショナルの「イオナ」ブランド化粧品なども、全国の薬局・薬店・ドラッグストアなどに販売している。
 
■消化器分野を最重点領域として新薬開発を推進
 
 消化器分野を最重点領域と位置付けて、新薬開発を推進している。膵臓癌を適応症とする「Z−360」は日本を含むアジア地域でフェーズ2国際共同治験中、子宮頸癌を適応症とする「Z−100」は日本を含むアジア地域でフェーズ3国際共同治験中、ビフォーファーマ社から導入した鉄欠乏性貧血治療剤「Z−213」はフェーズ3段階である。
 
 海外は、中国で潰瘍性大腸炎を適応症として「Z−206」を承認申請中、欧州で潰瘍性大腸炎を適応症とする「TP05」を承認申請中である。自社開発「Z−338」は欧州で機能性ディスペプシアを対象としたフェーズ3を実施し、北米ではフェーズ2が終了している。導入品で家族性大腸腺腫症を適応症とする「TP09」は欧州・米国でフェーズ3段階である。
 
■18年3月期3Q累計大幅増益、通期も2桁増益・増配予想
 
 今期(18年3月期)の連結業績予想(5月12日公表)は、2月6日に売上高を20億円減額、経常利益を2億円増額、純利益を3億円増額修正した。営業利益は据え置いた。
 
 修正後の連結業績予想は、売上高が前期(17年3月期)比1.8%増の660億円、営業利益が10.1%増の50億円、経常利益が17.2%増の52億円、純利益が15.7%増の41億円としている。配当予想は2円増配の年間34円(第2四半期末17円、期末17円)としている。予想配当性向は42.8%となる。
 
 第3四半期累計は売上高が前年同期比1.2%増の496億44百万円、営業利益が26.0%増の45億87百万円、経常利益が39.6%増の48億90百万円、純利益が37.6%増の39億55百万円だった。競争激化などで売上高が伸び悩んだが、販管費の減少で大幅増益だった。
 
 売上高は、医療用医薬品事業が3.2%増の266億54百万円、コンシューマーヘルスケア事業が1.0%減の228億73百万円、その他が8.9%増の1億16百万円だった。
 
 医療用医薬品事業では、主力のアサコールが国内で後発品および競合品の影響を受けたが、海外が好調に推移した。Entocort(国内販売名ゼンタコート)は国内・海外とも増収だった。アコファイドは市場構築が計画より遅れている。コンシューマーヘルスケア事業は競争激化で苦戦した。
 
 差引売上総利益率は71.6%で0.8ポイント低下、販管費比率は62.3%で2.7ポイント低下した。営業外では為替差損益が大幅改善した。
 
 修正後の通期会社予想に対する第3四半期累計の進捗率は売上高75.2%、営業利益91.7%、経常利益94.0%、純利益96.5%と高水準だが、第4四半期に研究開発費の増加などを見込んでいるため営業利益予想を据え置いた。
 
■株主優待は毎年9月末と3月末の年2回実施
 
 株主優待制度は毎年9月末および3月末現在の株主に対して実施している。保有株式数に応じて自社グループ商品を贈呈する。
 
■株価は調整一巡感
 
 なお2月6日に自己株式取得(17年6月16日発表、8月4日に取得枠拡大を発表、11月2日に取得期間延長を発表、取得株式総数の上限360万株、取得価額総額の上限72億円、取得期間17年6月19日〜18年2月6日)の期間を、18年5月11日まで延長すると発表している。2月6日現在の累計取得株式数は248万5100株である。
 
 株価は1月の昨年来高値2348円から反落し、地合い悪化も影響して水準を切り下げたが、2月6日の直近安値1982円から切り返して調整一巡感を強めている。
 
 2月23日の終値2108円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS79円53銭で算出)は26〜27倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間34円で算出)は1.6%近辺、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS1192円73銭で算出)は1.8倍近辺である。時価総額は約1120億円である。
 
 週足チャートで見ると26週移動平均線近辺で下げ渋り、サポートラインを確認した形だ。調整一巡して戻りを試す展開が期待される。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media−IR)
[01月09日更新]

ゼリア新薬工業は昨年来高値圏で堅調、18年3月期増収増益・増配予想

 ゼリア新薬工業<4559>(東1)は消化器分野が中心の医療用医薬品事業、および一般用医薬品のコンシューマーヘルスケア事業を展開している。18年3月期増収増益・増配予想である。また自己株式取得期間を延長している。株価は昨年来高値圏で堅調だ。上値を試す展開が期待される。
 
■医療用医薬品事業とコンシューマーヘルスケア事業を展開
 
 消化器分野が中心の医療用医薬品事業、および一般用医薬品のコンシューマーヘルスケア事業を展開している。収益面では薬価改定、ライセンス収入・ロイヤリティ収入、研究開発費、広告宣伝費などの影響を受けやすい。
 
 17年3月期のセグメント別売上高構成比は医療用医薬品事業53%、コンシューマーヘルスケア事業47%、その他0%、営業利益構成比(連結調整前)は医療用医薬品事業17%、コンシューマーヘルスケア事業80%、その他2%だった。海外売上比率は24.6%だった。
 
 医療用医薬品事業は、潰瘍性大腸炎治療剤アサコールを主力として、H2受容体拮抗剤アシノン、亜鉛含有胃潰瘍治療剤プロマック、機能性ディスペプシア治療剤アコファイドなども展開している。
 
 子会社ティロッツ社は15年7月、アストラゼネカ社から炎症性腸疾患(IBD)治療剤Entocortの米国を除く全世界における権利を取得した。IBDは潰瘍性大腸炎(UC)およびクローン病(CD)を含めて世界中に約500万人の患者が存在すると推定されている疾患である。CDを適応症とするEntocortの権利取得により、IBD治療においてUCの第1選択薬として用いられているアサコールを補完する。そして16年11月国内でCDを適応症するゼンタコートカプセルを発売した。
 
 17年5月には潰瘍性大腸炎治療剤アサコールの用法・用量を追加(開発番号Z−206、協和発酵キリンと共同開発)した。また17年9月には、日医工<4541>が製造販売承認を取得したバイオシミラー製剤『インフリキシマブBS点滴静注用100mg「日医工」』について、両社で共同プロモーションを行うと発表した。
 
 コンシューマーヘルスケア事業は、ヘパリーゼ群、コンドロイチン群、ウィズワン群を主力として、日本で初めて月経前症候群の効能を取得した西洋ハーブ・ダイレクトOTC医薬品プレフェミン(要指導医薬品)や、連結子会社イオナ インターナショナルの「イオナ」ブランド化粧品なども、全国の薬局・薬店・ドラッグストアなどに販売している。
 
■消化器分野を最重点領域として新薬開発を推進
 
 消化器分野を最重点領域と位置付けて、新薬開発を推進している。膵臓癌を適応症とする「Z−360」は日本を含むアジア地域でフェーズ2国際共同治験中、子宮頸癌を適応症とする「Z−100」は日本を含むアジア地域でフェーズ3国際共同治験中、ビフォーファーマ社から導入した鉄欠乏性貧血治療剤「Z−213」はフェーズ3段階である。
 
 海外は、中国で潰瘍性大腸炎を適応症として「Z−206」を承認申請中、欧州で潰瘍性大腸炎を適応症とする「TP05」を承認申請中である。自社開発「Z−338」は欧州で機能性ディスペプシアを対象としたフェーズ3を実施し、北米ではフェーズ2が終了している。導入品で家族性大腸腺腫症を適応症とする「TP09」は欧州・米国でフェーズ3段階である。
 
■18年3月期増収増益・増配予想
 
 今期(18年3月期)の連結業績予想(5月12日公表)は売上高が前期(17年3月期)比4.9%増の680億円、営業利益が10.1%増の50億円、経常利益が12.7%増の50億円、純利益が7.2%増の38億円としている。配当予想は2円増配の年間34円(第2四半期末17円、期末17円)としている。予想配当性向は47.0%となる。
 
 第2四半期累計は売上高が前年同期比0.3%増の324億12百万円、営業利益が24.0%減の23億93百万円、経常利益が17.8%減の25億34百万円、純利益が6.1%増の21億28百万円だった。
 
 売上高は計画を下回り横ばいにとどまった。医療用医薬品事業は0.6%増収、コンシューマーヘルスケア事業は0.1%減収だった。差引売上総利益率は70.8%で1.8ポイント低下、販管費比率は63.4%で0.6ポイント上昇した。営業利益と経常利益は研究開発増加などで減益だが、経費削減効果や営業外での為替差損益改善で計画を上回った。純利益は投資有価証券売却益の増加が寄与して増益だった。
 
 通期ベースでは、医療用医薬品事業は潰瘍性大腸炎治療剤アサコールが海外で伸長し、炎症性腸疾患(IBD)治療剤Entocortの寄与、機能性ディスペプシア治療剤アコファイドの市場構築などで増収を見込んでいる。コンシューマーヘルスケア事業では、ヘパリーゼ群などの主力製品の伸長を見込んでいる。
 
 通期会社予想に対する第2四半期累計の進捗率は売上高が47.7%、営業利益が47.9%、経常利益が50.7%、純利益が56.0%と順調である。通期ベースでは好業績が期待される。
 
■株主優待は毎年9月末と3月末の年2回実施
 
 株主優待制度は毎年9月末および3月末現在の株主に対して実施している。保有株式数に応じて自社グループ商品を贈呈する。
 
■株価は昨年来高値圏で堅調
 
 11月2日に自己株式取得(6月16日発表、8月4日に取得枠拡大を発表、取得株式総数の上限360万株、取得価額総額の上限72億円、取得期間17年6月19日〜17年11月2日)の期間を、18年2月6日まで延長すると発表している。
 
 株価は12月12日に年初来高値2254円まで上伸した。その後も高値圏で堅調に推移している。
 
 1月5日の終値2193円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS74円54銭で算出)は29〜30倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間34円で算出)は1.6%近辺、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS1192円73銭で算出)は1.8倍近辺である。なお時価総額は約1165億円である。
 
 週足チャートで見ると13週移動平均線がサポートラインだ。上値を試す展開が期待される。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media−IR)
[12月14日更新]

ゼリア新薬工業は年初来高値更新の展開、18年3月期増収増益・増配予想

 ゼリア新薬工業<4559>(東1)は消化器分野が中心の医療用医薬品事業、および一般用医薬品のコンシューマーヘルスケア事業を展開している。18年3月期増収増益・増配予想である。また自己株式取得期間を延長している。株価は年初来高値更新の展開だ。上値を試す展開が期待される。
 
■医療用医薬品事業とコンシューマーヘルスケア事業を展開
 
 消化器分野が中心の医療用医薬品事業、および一般用医薬品のコンシューマーヘルスケア事業を展開している。収益面では薬価改定、ライセンス収入・ロイヤリティ収入、研究開発費、広告宣伝費などの影響を受けやすい。
 
 17年3月期のセグメント別売上高構成比は医療用医薬品事業53%、コンシューマーヘルスケア事業47%、その他0%、営業利益構成比(連結調整前)は医療用医薬品事業17%、コンシューマーヘルスケア事業80%、その他2%だった。海外売上比率は24.6%だった。
 医療用医薬品事業は、潰瘍性大腸炎治療剤アサコールを主力として、H2受容体拮抗剤アシノン、亜鉛含有胃潰瘍治療剤プロマック、機能性ディスペプシア治療剤アコファイドなども展開している。
 
 子会社ティロッツ社は15年7月、アストラゼネカ社から炎症性腸疾患(IBD)治療剤Entocortの米国を除く全世界における権利を取得した。IBDは潰瘍性大腸炎(UC)およびクローン病(CD)を含めて世界中に約500万人の患者が存在すると推定されている疾患である。CDを適応症とするEntocortの権利取得により、IBD治療においてUCの第1選択薬として用いられているアサコールを補完する。そして16年11月国内でCDを適応症するゼンタコートカプセルを発売した。
 
 17年5月には潰瘍性大腸炎治療剤アサコールの用法・用量を追加(開発番号Z−206、協和発酵キリンと共同開発)した。また17年9月には、日医工<4541>が製造販売承認を取得したバイオシミラー製剤『インフリキシマブBS点滴静注用100mg「日医工」』について、両社で共同プロモーションを行うと発表した。
 
 コンシューマーヘルスケア事業は、ヘパリーゼ群、コンドロイチン群、ウィズワン群を主力として、日本で初めて月経前症候群の効能を取得した西洋ハーブ・ダイレクトOTC医薬品プレフェミン(要指導医薬品)や、連結子会社イオナ インターナショナルの「イオナ」ブランド化粧品なども、全国の薬局・薬店・ドラッグストアなどに販売している。
 
■消化器分野を最重点領域として新薬開発を推進
 
 消化器分野を最重点領域と位置付けて、新薬開発を推進している。膵臓癌を適応症とする「Z−360」は日本を含むアジア地域でフェーズ2国際共同治験中、子宮頸癌を適応症とする「Z−100」は日本を含むアジア地域でフェーズ3国際共同治験中、ビフォーファーマ社から導入した鉄欠乏性貧血治療剤「Z−213」はフェーズ3段階である。
 
 海外は、中国で潰瘍性大腸炎を適応症として「Z−206」を承認申請中、欧州で潰瘍性大腸炎を適応症とする「TP05」を承認申請中である。自社開発「Z−338」は欧州で機能性ディスペプシアを対象としたフェーズ3を実施し、北米ではフェーズ2が終了している。導入品で家族性大腸腺腫症を適応症とする「TP09」は欧州・米国でフェーズ3段階である。
 
■18年3月期増収増益・増配予想
 
 今期(18年3月期)の連結業績予想(5月12日公表)は売上高が前期(17年3月期)比4.9%増の680億円、営業利益が10.1%増の50億円、経常利益が12.7%増の50億円、純利益が7.2%増の38億円としている。配当予想は2円増配の年間34円(第2四半期末17円、期末17円)としている。予想配当性向は47.0%となる。
 
 第2四半期累計は売上高が前年同期比0.3%増の324億12百万円、営業利益が24.0%減の23億93百万円、経常利益が17.8%減の25億34百万円、純利益が6.1%増の21億28百万円だった。
 
 売上高は計画を下回り横ばいにとどまった。医療用医薬品事業は0.6%増収、コンシューマーヘルスケア事業は0.1%減収だった。差引売上総利益率は70.8%で1.8ポイント低下、販管費比率は63.4%で0.6ポイント上昇した。営業利益と経常利益は研究開発増加などで減益だが、経費削減効果や営業外での為替差損益改善で計画を上回った。純利益は投資有価証券売却益の増加が寄与して増益だった。
 
 通期ベースでは、医療用医薬品事業は潰瘍性大腸炎治療剤アサコールが海外で伸長し、炎症性腸疾患(IBD)治療剤Entocortの寄与、機能性ディスペプシア治療剤アコファイドの市場構築などで増収を見込んでいる。コンシューマーヘルスケア事業では、ヘパリーゼ群などの主力製品の伸長を見込んでいる。
 
 通期会社予想に対する第2四半期累計の進捗率は売上高が47.7%、営業利益が47.9%、経常利益が50.7%、純利益が56.0%と順調である。通期ベースでは好業績が期待される。
 
■株主優待は毎年9月末と3月末の年2回実施
 
 株主優待制度は毎年9月末および3月末現在の株主に対して実施している。保有株式数に応じて自社グループ商品を贈呈する。
 
■株価は年初来高値更新の展開
 
 11月2日に自己株式取得(6月16日発表、8月4日に取得枠拡大を発表、取得株式総数の上限360万株、取得価額総額の上限72億円、取得期間17年6月19日〜17年11月2日)の期間を、18年2月6日まで延長すると発表している。
 
 株価は12月12日に年初来高値2254円まで上伸した。高値圏2100円近辺での短期モミ合いから上放れる動きだ。
 
 12月13日の終値2203円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS74円54銭で算出)は29〜30倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間34円で算出)は1.5%近辺、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS1192円73銭で算出)は1.8倍近辺である。時価総額は約1170億円である。
 
 週足チャートで見ると13週移動平均線がサポートラインの形だ。上値を試す展開が期待される。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media−IR)
[11月16日更新]

ゼリア新薬工業は年初来高値更新、18年3月期2Q累計営業・経常減益だが通期は増収増益・増配予想、自己株式取得期間を延長
 
 ゼリア新薬工業<4559>(東1)は消化器分野が中心の医療用医薬品事業、および一般用医薬品のコンシューマーヘルスケア事業を展開している。18年3月期第2四半期累計は営業・経常減益だったが計画を上回った。そして通期は増収増益・増配予想である。また自己株式取得期間を延長した。株価はモミ合いから上放れて年初来高値を更新した。上値を試す展開が期待される。
 
■医療用医薬品事業とコンシューマーヘルスケア事業を展開
 
 消化器分野が中心の医療用医薬品事業、および一般用医薬品のコンシューマーヘルスケア事業を展開している。収益面では薬価改定、ライセンス収入・ロイヤリティ収入、研究開発費、広告宣伝費などの影響を受けやすい。
 
 17年3月期のセグメント別売上高構成比は医療用医薬品事業53%、コンシューマーヘルスケア事業47%、その他0%、営業利益構成比(連結調整前)は医療用医薬品事業17%、コンシューマーヘルスケア事業80%、その他2%だった。海外売上比率は24.6%だった。
 
 医療用医薬品事業は、潰瘍性大腸炎治療剤アサコールを主力として、H2受容体拮抗剤アシノン、亜鉛含有胃潰瘍治療剤プロマック、機能性ディスペプシア治療剤アコファイドなども展開している。
 
 子会社ティロッツ社は15年7月、アストラゼネカ社から炎症性腸疾患(IBD)治療剤Entocortの米国を除く全世界における権利を取得した。IBDは潰瘍性大腸炎(UC)およびクローン病(CD)を含めて世界中に約500万人の患者が存在すると推定されている疾患である。CDを適応症とするEntocortの権利取得により、IBD治療においてUCの第1選択薬として用いられているアサコールを補完する。そして16年11月国内でCDを適応症するゼンタコートカプセルを発売した。
 
 17年5月には潰瘍性大腸炎治療剤アサコールの用法・用量を追加(開発番号Z−206、協和発酵キリンと共同開発)した。また17年9月には、日医工<4541>が製造販売承認を取得したバイオシミラー製剤『インフリキシマブBS点滴静注用100mg「日医工」』について、両社で共同プロモーションを行うと発表した。
 
 コンシューマーヘルスケア事業は、ヘパリーゼ群、コンドロイチン群、ウィズワン群を主力として、日本で初めて月経前症候群の効能を取得した西洋ハーブ・ダイレクトOTC医薬品プレフェミン(要指導医薬品)や、連結子会社イオナ インターナショナルの「イオナ」ブランド化粧品なども、全国の薬局・薬店・ドラッグストアなどに販売している。
 
■消化器分野を最重点領域として新薬開発を推進
 
 消化器分野を最重点領域と位置付けて、新薬開発を推進している。膵臓癌を適応症とする「Z−360」は日本を含むアジア地域でフェーズ2国際共同治験中、子宮頸癌を適応症とする「Z−100」は日本を含むアジア地域でフェーズ3国際共同治験中、ビフォーファーマ社から導入した鉄欠乏性貧血治療剤「Z−213」はフェーズ3段階である。
 
 海外は、中国で潰瘍性大腸炎を適応症として「Z−206」を承認申請中、欧州で潰瘍性大腸炎を適応症とする「TP05」を承認申請中である。自社開発「Z−338」は欧州で機能性ディスペプシアを対象としたフェーズ3を実施し、北米ではフェーズ2が終了している。導入品で家族性大腸腺腫症を適応症とする「TP09」は欧州・米国でフェーズ3段階である。
 
■18年3月期2Q累計は営業・経常減益だが計画超
 
 11月2日発表した今期(18年3月期)第2四半期累計(4〜9月)の連結業績(10月20日に売上高を減額、利益を増額修正)は、売上高が前年同期比0.3%増の324億12百万円、営業利益が24.0%減の23億93百万円、経常利益が17.8%減の25億34百万円、純利益が6.1%増の21億28百万円だった。
 
 売上高は計画を下回り横ばいにとどまった。医療用医薬品事業は0.6%増収、コンシューマーヘルスケア事業は0.1%減収だった。差引売上総利益率は70.8%で1.8ポイント低下、販管費比率は63.4%で0.6ポイント上昇した。営業利益と経常利益は研究開発の増加などで減益だが、経費削減効果や営業外での為替差損益改善で計画を上回った。純利益は投資有価証券売却益の増加で計画を上回り増益だった。
 
■18年3月期増収増益・増配予想
 
 今期(18年3月期)の連結業績予想(5月12日公表)は売上高が前期(17年3月期)比4.9%増の680億円、営業利益が10.1%増の50億円、経常利益が12.7%増の50億円、純利益が7.2%増の38億円としている。配当予想は2円増配の年間34円(第2四半期末17円、期末17円)としている。予想配当性向は47.0%となる。
 
 医療用医薬品事業では、潰瘍性大腸炎治療剤アサコールが海外で伸長し、炎症性腸疾患(IBD)治療剤Entocortの寄与、機能性ディスペプシア治療剤アコファイドの市場構築などで増収を見込んでいる。コンシューマーヘルスケア事業では、ヘパリーゼ群などの主力製品の伸長を見込んでいる。
 
 通期会社予想に対する第2四半期累計の進捗率は売上高が47.7%、営業利益が47.9%、経常利益が50.7%、純利益が56.0%と順調である。通期ベースでは好業績が期待される。
 
■株主優待は毎年9月末と3月末の年2回実施
 
 株主優待制度は毎年9月末および3月末現在の株主に対して実施している。保有株式数に応じて自社グループ商品を贈呈する。
 
■株価はモミ合い上放れて年初来高値更新
 
 11月2日に自己株式取得(6月16日発表、8月4日に取得枠拡大を発表、取得株式総数の上限360万株、取得価額総額の上限72億円、取得期間17年6月19日〜17年11月2日)の期間を18年2月6日まで延長すると発表した。11月2日現在の累計取得株式総数は226万3100株である。
 
 株価は自己株式取得期間延長を好感する形で11月6日に2197円まで急伸し、2000円近辺でのモミ合いから上放れて年初来高値を更新した。
 
 11月15日の終値2104円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS72円34銭で算出)は29倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間34円で算出)は1.6%近辺、そして前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS1192円73銭で算出)は1.8倍近辺である。時価総額は約1118億円である。
 
 週足チャートで見ると13週移動平均線がサポートラインの形だ。上値を試す展開が期待される。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media−IR)
[10月17日更新]

ゼリア新薬工業は調整一巡して7月高値試す、18年3月期増収増益・増配予想

 ゼリア新薬工業<4559>(東1)は消化器分野が中心の医療用医薬品事業、および一般用医薬品のコンシューマーヘルスケア事業を展開している。18年3月期増収増益・増配予想である。株価は戻り高値圏でモミ合う形だが、調整一巡して7月高値を試す展開が期待される。
 
■医療用医薬品事業とコンシューマーヘルスケア事業を展開
 
 消化器分野が中心の医療用医薬品事業、および一般用医薬品のコンシューマーヘルスケア事業を展開している。収益面では薬価改定、ライセンス収入・ロイヤリティ収入、研究開発費、広告宣伝費などの影響を受けやすい。
 
 17年3月期のセグメント別売上高構成比は医療用医薬品事業53%、コンシューマーヘルスケア事業47%、その他0%、営業利益構成比(連結調整前)は医療用医薬品事業17%、コンシューマーヘルスケア事業80%、その他2%だった。海外売上比率は24.6%だった。
 
 医療用医薬品事業は、潰瘍性大腸炎治療剤アサコールを主力として、H2受容体拮抗剤アシノン、亜鉛含有胃潰瘍治療剤プロマック、機能性ディスペプシア治療剤アコファイドなども展開している。
 
 子会社ティロッツ社は15年7月、アストラゼネカ社から炎症性腸疾患(IBD)治療剤Entocortの米国を除く全世界における権利を取得した。IBDは潰瘍性大腸炎(UC)およびクローン病(CD)を含めて世界中に約500万人の患者が存在すると推定されている疾患である。CDを適応症とするEntocortの権利取得により、IBD治療においてUCの第1選択薬として用いられているアサコールを補完する。そして16年11月国内でCDを適応症するゼンタコートカプセルを発売した。
 
 17年5月には潰瘍性大腸炎治療剤アサコールの用法・用量を追加(開発番号Z−206、協和発酵キリンと共同開発)した。また17年9月には、日医工<4541>が製造販売承認を取得したバイオシミラー製剤『インフリキシマブBS点滴静注用100mg「日医工」』について、両社で共同プロモーションを行うと発表した。
 
 コンシューマーヘルスケア事業は、ヘパリーゼ群、コンドロイチン群、ウィズワン群を主力として、日本で初めて月経前症候群の効能を取得した西洋ハーブ・ダイレクトOTC医薬品プレフェミン(要指導医薬品)や、連結子会社イオナ インターナショナルの「イオナ」ブランド化粧品なども、全国の薬局・薬店・ドラッグストアなどに販売している。
 
■消化器分野を最重点領域として新薬開発を推進
 
 消化器分野を最重点領域と位置付けて、新薬開発を推進している。膵臓癌を適応症とする「Z−360」は日本を含むアジア地域でフェーズ2国際共同治験中、子宮頸癌を適応症とする「Z−100」は日本を含むアジア地域でフェーズ3国際共同治験中、ビフォーファーマ社から導入した鉄欠乏性貧血治療剤「Z−213」はフェーズ3段階である。
 
 海外は、中国で潰瘍性大腸炎を適応症として「Z−206」を承認申請中、欧州で潰瘍性大腸炎を適応症とする「TP05」を承認申請中である。自社開発「Z−338」は欧州で機能性ディスペプシアを対象としたフェーズ3を実施し、北米ではフェーズ2が終了している。導入品で家族性大腸腺腫症を適応症とする「TP09」は欧州・米国でフェーズ3段階である。
 
■18年3月期増収増益・増配予想
 
 今期(18年3月期)の連結業績予想(5月12日公表)は売上高が前期(17年3月期)比4.9%増の680億円、営業利益が10.1%増の50億円、経常利益が12.7%増の50億円、純利益が7.2%増の38億円としている。配当予想は2円増配の年間34円(第2四半期末17円、期末17円)としている。予想配当性向は47.0%となる。
 
 第1四半期(4〜6月)は、売上高が前年同期比3.1%減収となり、営業利益が65.3%減益、経常利益が63.8%減益、純利益が50.5%減益だった。医療用医薬品事業は後発医薬品使用促進の影響、コンシューマーヘルスケア事業は競争激化の影響で、いずれも減収となった。またEAファーマとの新規プロトンポンプ阻害剤(Z−215)ライセンス契約終了に伴って、清算に係る費用を研究開発費として計上したため大幅減益だった。特別利益では投資有価証券売却益が増加した。
 
 第1四半期は減益だったが、通期は増収増益・増配予想である。医療用医薬品事業では、潰瘍性大腸炎治療剤アサコールが海外で伸長し、炎症性腸疾患(IBD)治療剤Entocortの寄与、機能性ディスペプシア治療剤アコファイドの市場構築などで増収を見込んでいる。コンシューマーヘルスケア事業では、ヘパリーゼ群などの主力製品の伸長を見込んでいる。
 
■株主優待は毎年9月末と3月末の年2回実施
 
 株主優待制度は毎年9月末および3月末現在の株主に対して実施している。保有株式数に応じて自社グループ商品を贈呈する。
 
■株価は調整一巡感
 
 6月16日発表した自己株式取得に関しては、8月4日に拡大を発表し、取得株式総数の上限360万株、取得価額総額の上限72億円、取得期間17年6月19日〜17年11月2日としている。
 
 株価は戻り高値圏2000円近辺でモミ合う形だが、調整一巡感を強めている。
 
 10月16日の終値2015円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS72円34銭で算出)は27〜28倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間34円で算出)は1.7%近辺、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS1192円73銭で算出)は1.7倍近辺である。時価総額は約1070億円である。
 
 週足チャートで見ると13週移動平均線がサポートラインの形だ。調整一巡して7月の年初来高値2124円を試す展開が期待される。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media−IR)
[09月26日更新]

ゼリア新薬工業は自律調整一巡感、18年3月期増収増益・増配予想

 ゼリア新薬工業<4559>(東1)は消化器分野が中心の医療用医薬品事業、および一般用医薬品のコンシューマーヘルスケア事業を展開している。18年3月期増収増益・増配予想である。株価は7月高値後の自律調整一巡感を強めている。自己株式取得拡大も評価して上値を試す展開が期待される。
 
■医療用医薬品事業とコンシューマーヘルスケア事業を展開
 
 消化器分野が中心の医療用医薬品事業、および一般用医薬品のコンシューマーヘルスケア事業を展開している。収益面では薬価改定、ライセンス収入・ロイヤリティ収入、研究開発費、広告宣伝費などの影響を受けやすい。
 
 17年3月期のセグメント別売上高構成比は医療用医薬品事業53%、コンシューマーヘルスケア事業47%、その他0%、営業利益構成比(連結調整前)は医療用医薬品事業17%、コンシューマーヘルスケア事業80%、その他2%だった。海外売上比率は24.6%だった。
 
 医療用医薬品事業は、潰瘍性大腸炎治療剤アサコールを主力として、H2受容体拮抗剤アシノン、亜鉛含有胃潰瘍治療剤プロマック、機能性ディスペプシア治療剤アコファイドなども展開している。
 
 また子会社ティロッツ社が15年7月、アストラゼネカ社から炎症性腸疾患(IBD)治療剤Entocortの米国を除く全世界における権利を取得した。IBDは潰瘍性大腸炎(UC)およびクローン病(CD)を含めて世界中に約500万人の患者が存在すると推定されている疾患である。CDを適応症とするEntocortの権利取得により、IBD治療においてUCの第1選択薬として用いられているアサコールを補完する。そして16年11月国内でCDを適応症するゼンタコートカプセルを発売した。
 
 17年5月には潰瘍性大腸炎治療剤アサコールの用法・用量を追加(開発番号Z−206、協和発酵キリンと共同開発)した。
 
 コンシューマーヘルスケア事業は、ヘパリーゼ群、コンドロイチン群、ウィズワン群を主力として、日本で初めて月経前症候群の効能を取得した西洋ハーブ・ダイレクトOTC医薬品プレフェミン(要指導医薬品)や、連結子会社イオナ インターナショナルの「イオナ」ブランド化粧品なども、全国の薬局・薬店・ドラッグストアなどに販売している。
 
■消化器分野を最重点領域として新薬開発を推進
 
 消化器分野を最重点領域と位置付けて、新薬開発を推進している。膵臓癌を適応症とする「Z−360」は日本を含むアジア地域でフェーズ2国際共同治験中、子宮頸癌を適応症とする「Z−100」は日本を含むアジア地域でフェーズ3国際共同治験中、ビフォーファーマ社から導入した鉄欠乏性貧血治療剤「Z−213」はフェーズ3段階である。
 
 海外は、中国で潰瘍性大腸炎を適応症として「Z−206」を承認申請中、欧州で潰瘍性大腸炎を適応症とする「TP05」を承認申請中である。自社開発「Z−338」は欧州で機能性ディスペプシアを対象としたフェーズ3を実施し、北米ではフェーズ2が終了している。導入品で家族性大腸腺腫症を適応症とする「TP09」は欧州・米国でフェーズ3段階である。
 
■18年3月期増収増益・増配予想
 
 今期(18年3月期)の連結業績予想(5月12日公表)は売上高が前期(17年3月期)比4.9%増の680億円、営業利益が10.1%増の50億円、経常利益が12.7%増の50億円、純利益が7.2%増の38億円としている。配当予想は2円増配の年間34円(第2四半期末17円、期末17円)としている。予想配当性向は47.0%となる。
 
 第1四半期(4〜6月)連結業績は売上高が前年同期比3.1%減収、営業利益が65.3%減益、経常利益が63.8%減益、純利益が50.5%減益だった。医療用医薬品事業は後発医薬品使用促進の影響、コンシューマーヘルスケア事業は競争激化の影響で、いずれも減収となった。またEAファーマとの新規プロトンポンプ阻害剤(Z−215)ライセンス契約終了に伴って、清算に係る費用を研究開発費として計上したため大幅減益だった。特別利益では投資有価証券売却益が増加した。
 
 第1四半期は減益だったが、通期は増収増益・増配予想である。医療用医薬品事業では、潰瘍性大腸炎治療剤アサコールが海外で伸長し、炎症性腸疾患(IBD)治療剤Entocortの寄与、機能性ディスペプシア治療剤アコファイドの市場構築などで増収を見込んでいる。コンシューマーヘルスケア事業では、ヘパリーゼ群などの主力製品の伸長を見込んでいる。
 
■株主優待は毎年9月末と3月末の年2回実施
 
 株主優待制度は毎年9月末および3月末現在の株主に対して実施している。保有株式数に応じて自社グループ商品を贈呈する。
 
■株価は自律調整一巡感
 
 なお6月16日発表した自己株式取得に関して8月4日に拡大を発表し、取得株式総数の上限360万株(従来は180万株)、取得価額総額の上限72億円(同36億円)、取得期間17年6月19日〜17年11月2日(変更なし)とした。
 
 株価は7月の年初来高値2124円から反落し、その後は上げ一服の形だが、自律調整一巡感を強めている。
 
 9月25日の終値2026円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想連結EPS72円34銭で算出)は28倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間34円で算出)は1.7%近辺、前期実績連結PBR(前期実績連結BPS1192円73銭で算出)は1.7倍近辺である。時価総額は約1076億円である。
 
 週足チャートで見ると13週移動平均線がサポートラインの形だ。自律調整が一巡し、自己株式取得拡大も評価して上値を試す展開が期待される。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media−IR)
[08月21日更新]

ゼリア新薬工業は自律調整一巡して上値試す、18年3月期1Q大幅減益だが通期は増収増益・増配予想、自己株式取得拡大も評価

 ゼリア新薬工業<4559>(東1)は消化器分野が中心の医療用医薬品事業、および一般用医薬品のコンシューマーヘルスケア事業を展開している。18年3月期第1四半期は大幅減益だったが、通期は増収増益・増配予想である。株価は自律調整が一巡し、自己株式取得拡大も評価して上値を試す展開が期待される。
 
■医療用医薬品事業とコンシューマーヘルスケア事業を展開
 
 消化器分野が中心の医療用医薬品事業、および一般用医薬品のコンシューマーヘルスケア事業を展開している。収益面では薬価改定、ライセンス収入・ロイヤリティ収入、研究開発費、広告宣伝費などの影響を受けやすい。
 
 17年3月期のセグメント別売上高構成比は医療用医薬品事業53%、コンシューマーヘルスケア事業47%、その他0%、営業利益構成比(連結調整前)は医療用医薬品事業17%、コンシューマーヘルスケア事業80%、その他2%だった。海外売上比率は24.6%である。
 
 医療用医薬品事業は、潰瘍性大腸炎治療剤アサコールを主力として、H2受容体拮抗剤アシノン、亜鉛含有胃潰瘍治療剤プロマック、機能性ディスペプシア治療剤アコファイド、日本で初めて月経前症候群の効能を取得した西洋ハーブ・ダイレクトOTC医薬品プレフェミン(要指導医薬品)なども展開している。17年5月には潰瘍性大腸炎治療剤アサコールの用法・用量を追加(開発番号Z−206、協和発酵キリンと共同開発)した。
 
 コンシューマーヘルスケア事業は、ヘパリーゼ群、コンドロイチン群、ウィズワン群を主力としている。また連結子会社イオナ インターナショナルの「イオナ」ブランド化粧品を全国の薬局・薬店・ドラッグストアに販売している。
 
■グローバル展開を推進
 
 M&Aを活用してグローバル展開も推進している。08年10月基礎化粧品のイオナ、09年9月「アサコール」の開発会社ティロッツ社(スイス)、10年9月コンドロイチン原料のZPD社(デンマーク)を子会社化した。13年8月ビフォーファーマ社(スイス)と鉄欠乏症治療剤「Ferinject」の日本国内における独占的開発・販売契約締結、ZPD社の株式を追加取得して完全子会社化した。15年4月ベトナムの中堅医薬品製造販売会社F.T.Pharma社の株式49.0%を取得した。
 
 15年7月子会社ティロッツ社がアストラゼネカ社から炎症性腸疾患(IBD)治療剤Entocortの米国を除く全世界における権利を取得した。IBDは潰瘍性大腸炎(UC)およびクローン病(CD)を含めて世界中に約500万人の患者が存在すると推定されている疾患である。CDを適応症とするEntocortの権利取得により、IBD治療においてUCの第1選択薬として用いられているアサコールを補完する。そして16年11月国内でCDを適応症するゼンタコートカプセルを発売した。
 
■消化器分野を最重点領域として新薬開発を推進
 
 新薬開発は消化器分野を最重点領域と位置付けて、国際的に通用する新薬の創製を念頭に置き、自社オリジナル品の海外での臨床試験を積極的に推進するとともに、海外で実績のある薬剤を導入して国内での開発を進めている。
 
 膵臓癌を適応症とする「Z−360」は日本を含むアジア地域でフェーズ2国際共同治験中、子宮頸癌を適応症とする「Z−100」は日本を含むアジア地域でフェーズ3国際共同治験中、ビフォーファーマ社から導入した鉄欠乏性貧血治療剤「Z−213」はフェーズ3段階である。
 
 海外は、中国で潰瘍性大腸炎を適応症として「Z−206」を承認申請中、欧州で潰瘍性大腸炎を適応症とする「TP05」を承認申請中である。自社開発「Z−338」は欧州で機能性ディスペプシアを対象としたフェーズ3を実施し、北米ではフェーズ2が終了している。導入品で家族性大腸腺腫症を適応症とする「TP09」は欧州・米国でフェーズ3段階である。
 
■18年3月期1Qは大幅減益
 
 今期(18年3月期)第1四半期(4月〜6月)の連結業績は、売上高が前年同期比3.1%減の159億70百万円、営業利益が65.3%減の5億97百万円、経常利益が63.8%減の6億63百万円、純利益が50.5%減の6億57百万円だった。
 
 医療用医薬品事業は後発医薬品使用促進の影響、コンシューマーヘルスケア事業は競争激化の影響で、いずれも減収となった。またEAファーマとの新規プロトンポンプ阻害剤(Z−215)ライセンス契約終了に伴って、清算に係る費用を研究開発費として計上したため大幅減益だった。
 
 差引売上総利益は8.2%減少し、差引売上総利益率は70.2%で3.8ポイント低下した。販管費は1.2%増加し、販管費比率は66.4%で2.8ポイント上昇した。また特別利益では投資有価証券売却益が増加(前期2億16百万円、今期5億62百万円)した。
 
 医療用医薬品事業は売上高が4.8%減の89億58百万円で営業利益(連結調整前)が94.9%減の59百万円だった。潰瘍性大腸炎治療剤アサコールは堅調で、炎症性腸疾患(IBD)治療剤Entocortも順調に拡大したが、機能性ディスペプシア治療剤アコファイドは市場構築が計画に対して遅れ、H2受容体拮抗剤アシノンや亜鉛含有胃潰瘍治療剤プロマックは後発医薬品使用促進の影響で苦戦した。
 
 コンシューマーヘルスケア事業は売上高が0.9%増の69億75百万円で営業利益が6.7%減の17億65百万円だった。テレビCMなどの広告宣伝活動によってヘパリーゼW群が好調だったが、コンドロイチン群およびウィズワン群が競争激化で苦戦した。その他(保険代理業・不動産賃貸収入)は売上高が7.9%増の36百万円で営業利益が1.6%減の58百万円だった。
 
■18年3月期通期は増収増益・増配予想
 
 今期(18年3月期)の連結業績予想(5月12日公表)は売上高が前期(17年3月期)比4.9%増の680億円、営業利益が10.1%増の50億円、経常利益が12.7%増の50億円、純利益が7.2%増の38億円としている。配当予想は2円増配の年間34円(第2四半期末17円、期末17円)としている。予想配当性向は47.0%となる。
 
 医療用医薬品事業では、潰瘍性大腸炎治療剤アサコールが海外で伸長し、炎症性腸疾患(IBD)治療剤Entocortの寄与、機能性ディスペプシア治療剤アコファイドの市場構築などで増収を見込んでいる。コンシューマーヘルスケア事業では、ヘパリーゼ群などの主力製品の伸長を見込んでいる。研究開発費が高水準に推移して広告宣伝費も増加するが、増収効果で吸収して増益・増配予想である。
 
■株主優待は毎年9月末と3月末の年2回実施
 
 株主優待制度は毎年9月末および3月末現在の株主に対して、保有株式数に応じて自社グループ商品を贈呈する。
 
■株価は自律調整一巡して上値試す
 
 なお6月16日発表した自己株式取得に関して8月4日に拡大を発表し、取得株式総数の上限360万株(従来は180万株)、取得価額総額の上限72億円(同36億円)、取得期間17年6月19日〜17年11月2日(変更なし)とした。17年8月3日現在の累計で取得株式総数159万7100株、取得価額総額32億5345万3800円となっている。
 
 株価は6月16日発表の自己株式取得を好感して7月7日に年初来高値2124円まで上伸した。その後は利益確定売りで一旦反落したが、大きく下押す動きは見られない。自律調整の範囲だろう。
 
 8月18日の終値1951円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想連結EPS72円34銭で算出)は27倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間34円で算出)は1.7%近辺、前期実績連結PBR(前期実績連結BPS1192円73銭で算出)は1.6倍近辺である。時価総額は約1036億円である。
 
 週足チャートで見ると13週移動平均線が接近して切り返す動きだ。自律調整一巡して上値を試す展開が期待される。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media−IR)
[07月07日更新]

ゼリア新薬工業は年初来高値更新の展開、18年3月期増収増益・増配予想や自己株式取得を評価

 ゼリア新薬工業<4559>(東1)は、消化器分野が中心の医療用医薬品事業、および一般用医薬品のコンシューマーヘルスケア事業を展開し、18年3月期増収増益・増配予想である。株価は年初来高値更新の展開となった。自己株式取得も評価して上値を試す展開が期待される。

■医療用医薬品事業とコンシューマーヘルスケア事業を展開

 消化器分野が中心の医療用医薬品事業、および一般用医薬品のコンシューマーヘルスケア事業を展開している。

 医療用医薬品事業は潰瘍性大腸炎治療剤「アサコール」を主力として、H2受容体拮抗剤「アシノン」や機能性ディスペプシア治療剤「アコファイド」なども展開している。15年7月にはアストラゼネカ社から炎症性腸疾患(IBD)治療剤「Entocort」の米国を除く全世界における権利を取得した。コンシューマーヘルスケア事業はヘパリーゼ群、コンドロイチン群、ウィズワン群を主力としている。

■消化器分野を最重点領域として新薬開発を推進

 新薬開発は消化器分野を最重点領域と位置付けている。膵臓癌を適応症とする「Z−360」は日本を含むアジア地域でフェーズ2国際共同治験中、長時間作用型プロトンポンプ阻害剤「Z−215」は逆流性食道炎を適応症としてフェーズ2段階、子宮頸癌を適応症とする「Z−100」は日本を含むアジア地域でフェーズ3国際共同治験中、鉄欠乏性貧血治療剤「Z−213」はフェーズ3段階である。

■18年3月期増収増益・増配予想、主力製品が伸長

 今期(18年3月期)の連結業績予想(5月12日公表)は売上高が前期(17年3月期)比4.9%増の680億円、営業利益が同10.1%増の50億円、経常利益が同12.7%増の50億円、純利益が同7.2%増の38億円としている。配当予想は同2円増配の年間34円(第2四半期末17円、期末17円)で予想配当性向は47.5%となる。

 医療用医薬品事業では、潰瘍性大腸炎治療剤「アサコール」が海外で伸長し、炎症性腸疾患(IBD)治療剤「Entocort」の寄与、機能性ディスペプシア治療剤「アコファイド」の市場構築などを見込んでいる。コンシューマーヘルスケア事業では、ヘパリーゼ群などの主力製品の伸長を見込んでいる。研究開発費や広告宣伝費の増加を増収効果で吸収する。

■株価は年初来高値更新の展開

 自己株式取得は取得株式総数の上限180万株、取得価額総額の上限36億円、取得期間17年6月19日〜17年11月2日としている。株価は自己株式取得も好感して年初来高値更新の展開となった。7月6日には2123円円まで上伸した。

 7月6日の終値2103円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS71円54銭で算出)は29倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間34円で算出)は1.6%近辺、前期実績連結PBR(前期実績連結BPS1192円73銭で算出)は1.8倍近辺である。時価総額は約1117億円である。

 週足チャートで見ると窓を開けて急伸し、13週移動平均線が26週移動平均線を上抜いて先高感を強めている。上値を試す展開が期待される。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media−IR)
[06月21日更新]

ゼリア新薬工業は自己株式取得発表を好感して年初来高値更新

 ゼリア新薬工業<4559>(東1)は消化器分野が中心の医療用医薬品事業、および一般用医薬品のコンシューマーヘルスケア事業を展開している。18年3月期増収増益・増配予想である。株価は6月16日発表した自己株式取得を好感して年初来高値を更新した。上値を試す展開が期待される。

■医療用医薬品事業とコンシューマーヘルスケア事業を展開

 消化器分野が中心の医療用医薬品事業、および一般用医薬品のコンシューマーヘルスケア事業を展開している。17年3月期のセグメント別売上高構成比は医療用医薬品事業53%、コンシューマーヘルスケア事業47%、その他0%、営業利益構成比(連結調整前)は医療用医薬品事業17%、コンシューマーヘルスケア事業80%、その他2%である。海外売上比率は24.6%である。

 医療用医薬品事業は、潰瘍性大腸炎治療剤「アサコール」を主力として、H2受容体拮抗剤「アシノン」や亜鉛含有胃潰瘍治療剤「プロマック」なども展開している。13年6月には自社開発の機能性ディスペプシア治療剤「アコファイド」を発売し、アステラス製薬<4503>と共同で早期の市場浸透を目指している。14年9月には日本で初めて月経前症候群の効能を取得した西洋ハーブ・ダイレクトOTC医薬品「プレフェミン」(要指導医薬品)を販売開始した。
 コンシューマーヘルスケア事業は、ヘパリーゼ群、コンドロイチン群、ウィズワン群を主力としている。また連結子会社イオナ インターナショナルの「イオナ」ブランド化粧品の取り扱いを開始し、直販対象製品を全国の薬局・薬店・ドラッグストアに販売している。

 収益面では薬価改定、ライセンス収入・ロイヤリティ収入、研究開発費、広告宣伝費などの影響を受けやすい。

■グローバル展開を推進

 M&Aを活用してグローバル展開も推進している。08年10月基礎化粧品のイオナ、09年9月「アサコール」の開発会社ティロッツ社(スイス)、10年9月コンドロイチン原料のZPD社(デンマーク)を子会社化した。13年8月ビフォーファーマ社(スイス)と鉄欠乏症治療剤「Ferinject」の日本国内における独占的開発・販売契約締結、ZPD社の株式を追加取得して完全子会社化した。15年4月ベトナムの中堅医薬品製造販売会社F.T.Pharma社の株式49.0%を取得した。

■アストラゼネカのIBD治療剤の権利取得

 15年7月子会社ティロッツ社(スイス)がアストラゼネカ社から、炎症性腸疾患(IBD)治療剤「Entocort」(一般名:ブデソニド)の米国を除く全世界における権利を取得した。IBDは潰瘍性大腸炎(UC)およびクローン病(CD)を含めて世界中に約500万人の患者が存在すると推定されている疾患である。CDを適応症とする「Entocort」の権利取得により、IBD治療においてUCの第1選択薬として用いられている「アサコール」を補完する。

 そして16年9月CDを適応症する「ゼンタコートカプセル」として国内での製造販売承認を取得、16年11月発売開始した。

■消化器分野を最重点領域として新薬開発を推進

 新薬開発は消化器分野を最重点領域と位置付けて、国際的に通用する新薬の創製を念頭に置き、自社オリジナル品の海外での臨床試験を積極的に推進するとともに、海外で実績のある薬剤を導入して国内での開発を進めている。

 17年5月潰瘍性大腸炎治療剤「アサコール」に関して、厚生労働省から新用法・用量(Z−206、一般名メサラジン、協和発酵キリンと共同開発)の承認を取得した。

 膵臓癌を適応症とする「Z−360」は日本を含むアジア地域でフェーズ2国際共同治験中、エーザイから導入した長時間作用型プロトンポンプ阻害剤「Z−215」は逆流性食道炎を適応症としてフェーズ2段階、子宮頸癌を適応症とする「Z−100」は日本を含むアジア地域でフェーズ3国際共同治験中、ビフォーファーマ社から導入した鉄欠乏性貧血治療剤「Z−213」はフェーズ3段階である。

 なおエーザイ<4523>(その後16年4月にEAファーマがエーザオから契約上の地位を引き継ぎ)の新規化合物「E3710」(プロトンポンプ阻害剤:PPI)に関して14年8月ライセンス契約を締結したが、6月16日にライセンス契約終了を発表した。開発計画を再検討した結果、開発を中止することとなった。日本における独占的開発権、共同販促権、非独占的製造権をEAファーマに返却する。

 海外は、中国で潰瘍性大腸炎を適応症として「Z−206」(メサラジン)を承認申請中、潰瘍性大腸炎を適応症とする「TP05」(メサラジン)は欧州で承認申請中である。自社開発「Z−338」(アコチアミド)は欧州で機能性ディスペプシアを対象としたフェーズ3を実施し、北米ではフェーズ2が終了した。導入品で家族性大腸腺腫症を適応症とする「TP09」は欧州・米国でフェーズ3段階である。

■17年3月期は国内薬価改定で営業微減益

 前期(17年3月期)の連結業績は売上高が前々期(16年3月期)比3.8%増の648億49百万円、営業利益が同0.5%減の45億41百万円、経常利益が同0.3%減の44億38百万円、純利益が同0.9%増の35億44百万円だった。

 医療用医薬品事業、コンシューマーヘルスケア事業とも増収だったが、国内での潰瘍性大腸炎治療剤「アサコール」薬価改定の影響や、広告宣伝費の増加などで営業微減益だった。差引売上総利益は同4.8%増加し、差引売上総利益率は72.0%で同0.7ポイント上昇した。販管費は同5.4%増加し、販管費比率は65.0%で同1.0ポイント上昇した。研究開発費は84億58百万円で同1.4%減少した。

 特別利益では投資有価証券売却益が減少(前々期10億87百万円、前期8億07百万円)した。特別損失では前々期計上の投資有価証券評価損1億18百万円が一巡したが、減損損失が増加(前々期1億43百万円、前期3億18百万円)した。法人税等合計が減少して純利益は微増益だった。

 ROEは5.6%で同横ばい、自己資本比率は55.4%で同1.9ポイント上昇した。配当は同1円増配の年間32円(第2四半期末16円、期末16円)とした。配当性向は48.0%である。

 セグメント別には、医療用医薬品事業は売上高が同1.6%増の344億30百万円で営業利益(連結調整前)が同42.9%減の17億16百万円だった。潰瘍性大腸炎治療剤「アサコール」は、国内が薬価改定や後発品の影響で苦戦したが、海外が堅調に推移した。炎症性腸疾患(IBD)治療剤「Entocort」は順調に拡大した。機能性ディスペプシア治療剤「アコファイド」は市場構築が計画に対して遅れている。

 コンシューマーヘルスケア事業は売上高が同6.5%増の302億77百万円で営業利益が同20.3%増の79億81百万円だった。テレビCMなどの広告宣伝活動によって製品認知度が向上し、製品ラインナップ強化も奏功して特にコンビニ向けヘパリーゼW群が好調だった。コンドロイチン群も圧倒的な市場シェアを堅持した。その他(保険代理業・不動産賃貸収入)は売上高が同6.8%減の1億42百万円で営業利益が同2.3%増の2億46百万円だった。

 四半期別の業績推移を見ると、売上高は第1四半期164億88百万円、第2四半期158億25百万円、第3四半期167億30百万円、第4四半期158億06百万円、営業利益は17億20百万円、14億28百万円、4億93百万円、9億円だった。

■18年3月期増収増益・増配予想、主力製品が伸長

 今期(18年3月期)の連結業績予想(5月12日公表)は売上高が前期(17年3月期)比4.9%増の680億円、営業利益が同10.1%増の50億円、経常利益が同12.7%増の50億円、純利益が同7.2%増の38億円としている。配当予想は同2円増配の年間34円(第2四半期末17円、期末17円)で予想配当性向は47.5%となる。

 医療用医薬品事業では、潰瘍性大腸炎治療剤「アサコール」が海外で伸長し、炎症性腸疾患(IBD)治療剤「Entocort」の寄与、機能性ディスペプシア治療剤「アコファイド」の市場構築などで増収を見込んでいる。コンシューマーヘルスケア事業では、ヘパリーゼ群などの主力製品の伸長を見込んでいる。研究開発費が高水準に推移して広告宣伝費も増加するが、増収効果で吸収して増益・増配予想である。

■株主優待は毎年9月末と3月末の年2回実施

 株主優待制度は毎年9月末および3月末現在の株主に対して、保有株式数に応じて自社グループ商品を贈呈する。

■株価は調整一巡して戻り歩調

 6月16日に自己株式取得を発表した。取得株式総数の上限180万株(自己株式除く発行済株式総数に対する割合3.39%)で、取得価額総額の上限36億円、取得期間17年6月19日〜17年11月2日としている。

 株価の動きを見ると1700円台でモミ合う展開だったが、6月16日発表した自己株式取得を好感し、6月19日に1940円まで急伸して年初来高値を更新した。

 6月19日の終値1925円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS71円54銭で算出)は26〜27倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間34円で算出)は1.8%近辺、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS1192円73銭で算出)は1.6倍近辺である。時価総額は約1023億円である。

 週足チャートで見ると窓を開けて急伸し、26週移動平均線を突破した。上値を試す展開が期待される。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media−IR)
[05月19日更新]

ゼリア新薬工業は主力製品伸長して18年3月期増収増益・増配予想

 ゼリア新薬工業<4559>(東1)は消化器分野が中心の医療用医薬品事業、および一般用医薬品のコンシューマーヘルスケア事業を展開している。18年3月期増収増益・増配予想である。株価は4月の直近安値圏から切り返して戻り歩調だ。上値を試す展開が期待される。

■医療用医薬品事業とコンシューマーヘルスケア事業を展開

 消化器分野が中心の医療用医薬品事業、および一般用医薬品のコンシューマーヘルスケア事業を展開している。17年3月期のセグメント別売上高構成比は医療用医薬品事業53%、コンシューマーヘルスケア事業47%、その他0%、営業利益構成比(連結調整前)は医療用医薬品事業17%、コンシューマーヘルスケア事業80%、その他2%である。また海外売上比率は24.6%である。

 医療用医薬品事業は、潰瘍性大腸炎治療剤「アサコール」を主力として、H2受容体拮抗剤「アシノン」や亜鉛含有胃潰瘍治療剤「プロマック」なども展開している。13年6月には自社開発の機能性ディスペプシア治療剤「アコファイド」を発売し、アステラス製薬<4503>と共同で早期の市場浸透を目指している。14年9月には日本で初めて月経前症候群の効能を取得した西洋ハーブ・ダイレクトOTC医薬品「プレフェミン」(要指導医薬品)を販売開始した。
 コンシューマーヘルスケア事業は、ヘパリーゼ群、コンドロイチン群、ウィズワン群を主力としている。また連結子会社イオナ インターナショナルの「イオナ」ブランド化粧品の取り扱いを開始し、直販対象製品を全国の薬局・薬店・ドラッグストアに販売している。

 薬価改定、ライセンス収入・ロイヤリティ収入、研究開発費、広告宣伝費などの影響を受けやすい収益構造である。

■グローバル展開を推進

 M&Aを活用してグローバル展開も推進している。08年10月基礎化粧品のイオナ、09年9月「アサコール」の開発会社ティロッツ社(スイス)、10年9月コンドロイチン原料のZPD社(デンマーク)を子会社化した。13年8月ビフォーファーマ社(スイス)と鉄欠乏症治療剤「Ferinject」の日本国内における独占的開発・販売契約締結、ZPD社の株式を追加取得して完全子会社化した。15年4月ベトナムの中堅医薬品製造販売会社F.T.Pharma社の株式49.0%を取得した。

■アストラゼネカのIBD治療剤の権利取得

 15年7月子会社ティロッツ社(スイス)がアストラゼネカ社から、炎症性腸疾患(IBD)治療剤「Entocort」(一般名:ブデソニド)の米国を除く全世界における権利を取得した。IBDは潰瘍性大腸炎(UC)およびクローン病(CD)を含めて世界中に約500万人の患者が存在すると推定されている疾患である。CDを適応症とする「Entocort」の権利取得により、IBD治療においてUCの第1選択薬として用いられている「アサコール」を補完する。

 そして16年9月CDを適応症する「ゼンタコートカプセル」として国内での製造販売承認を取得、16年11月発売開始した。

■消化器分野を最重点領域として新薬開発を推進

 新薬開発は消化器分野を最重点領域と位置付けて、国際的に通用する新薬の創製を念頭に置き、自社オリジナル品の海外での臨床試験を積極的に推進するとともに、海外で実績のある薬剤を導入して国内での開発を進めている。

 14年8月エーザイ<4523>の新規化合物「E3710」(プロトンポンプ阻害剤:PPI)に関するライセンス契約を締結した。エーザイは当社に対して「E3710」の日本における独占的開発権、共同販促権、非独占的製造権を付与し、開発および製造販売承認は当社が行う。承認取得後は両社で共同販促を行う。

 5月18日には潰瘍性大腸炎治療剤「アサコール」に関して、厚生労働省から新用法・用量(Z−206、一般名メサラジン、協和発酵キリンと共同開発)の承認を取得したと発表している。

 膵臓癌を適応症とする「Z−360」は日本を含むアジア地域でフェーズ2国際共同治験中、エーザイから導入した長時間作用型プロトンポンプ阻害剤「Z−215」は逆流性食道炎を適応症としてフェーズ2段階、子宮頸癌を適応症とする「Z−100」は日本を含むアジア地域でフェーズ3国際共同治験中、ビフォーファーマ社から導入した鉄欠乏性貧血治療剤「Z−213」はフェーズ3段階である。

 海外は、中国で潰瘍性大腸炎を適応症として「Z−206」(メサラジン)を承認申請中、潰瘍性大腸炎を適応症とする「TP05」(メサラジン)は欧州で承認申請中である。自社開発「Z−338」(アコチアミド)は欧州で機能性ディスペプシアを対象としたフェーズ3を実施し、北米ではフェーズ2が終了した。導入品で家族性大腸腺腫症を適応症とする「TP09」は欧州・米国でフェーズ3段階である。

■17年3月期は国内薬価改定も影響して営業微減益

 5月12日発表した前期(17年3月期)の連結業績は、売上高が前々期(16年3月期)比3.8%増の648億49百万円、営業利益が同0.5%減の45億41百万円、経常利益が同0.3%減の44億38百万円、純利益が同0.9%増の35億44百万円だった。

 医療用医薬品事業、コンシューマーヘルスケア事業とも増収だったが、国内での潰瘍性大腸炎治療剤「アサコール」薬価改定の影響や、広告宣伝費の増加などで営業微減益だった。差引売上総利益は同4.8%増加し、差引売上総利益率は72.0%で同0.7ポイント上昇した。販管費は同5.4%増加し、販管費比率は65.0%で同1.0ポイント上昇した。研究開発費は84億58百万円で同1.4%減少した。

 また営業外では為替差損が減少(前々期1億36百万円、前期78百万円)した。特別利益では投資有価証券売却益が減少(前々期10億87百万円、前期8億07百万円)した。特別損失では前々期計上の投資有価証券評価損1億18百万円が一巡したが、減損損失が増加(前々期1億43百万円、前期3億18百万円)した。法人税等合計が減少して純利益は微増益だった。

 ROEは5.6%で同横ばい、自己資本比率は55.4%で同1.9ポイント上昇した。配当は同1円増配の年間32円(第2四半期末16円、期末16円)とした。配当性向は48.0%である。

 セグメント別には、医療用医薬品事業は売上高が同1.6%増の344億30百万円で営業利益(連結調整前)が同42.9%減の17億16百万円だった。潰瘍性大腸炎治療剤「アサコール」は、国内が薬価改定や後発品の影響で苦戦したが、海外が堅調に推移した。炎症性腸疾患(IBD)治療剤「Entocort」は順調に拡大した。機能性ディスペプシア治療剤「アコファイド」は市場構築が計画に対して遅れている。

 コンシューマーヘルスケア事業は売上高が同6.5%増の302億77百万円で営業利益が同20.3%増の79億81百万円だった。テレビCMなどの広告宣伝活動によって製品認知度が向上し、製品ラインナップ強化も奏功して特にコンビニ向けヘパリーゼW群が好調だった。コンドロイチン群も圧倒的な市場シェアを堅持した。その他(保険代理業・不動産賃貸収入)は売上高が同6.8%減の1億42百万円で営業利益が同2.3%増の2億46百万円だった。

 四半期別の業績推移を見ると、売上高は第1四半期164億88百万円、第2四半期158億25百万円、第3四半期167億30百万円、第4四半期158億06百万円、営業利益は17億20百万円、14億28百万円、4億93百万円、9億円だった。

■18年3月期増収増益・増配予想、主力製品が伸長

 今期(18年3月期)の連結業績予想(5月12日公表)は売上高が前期(17年3月期)比4.9%増の680億円、営業利益が同10.1%増の50億円、経常利益が同12.7%増の50億円、純利益が同7.2%増の38億円としている。配当予想は同2円増配の年間34円(第2四半期末17円、期末17円)で予想配当性向は47.5%となる。

 医療用医薬品事業では、潰瘍性大腸炎治療剤「アサコール」が海外で伸長し、炎症性腸疾患(IBD)治療剤「Entocort」の寄与、機能性ディスペプシア治療剤「アコファイド」の市場構築などで増収を見込んでいる。コンシューマーヘルスケア事業では、ヘパリーゼ群などの主力製品の伸長を見込んでいる。研究開発費が高水準に推移して広告宣伝費も増加するが、増収効果で吸収して増益・増配予想である。

■株主優待は毎年9月末と3月末の年2回実施

 株主優待制度は毎年9月末および3月末現在の株主に対して実施している。保有株式数に応じて自社グループ商品を贈呈する。

■株価は調整一巡して戻り歩調

 株価の動きを見ると、地合い悪化が影響した4月17日の直近安値1621円から切り返して戻り歩調だ。調整が一巡したようだ。

 5月18日の終値1759円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS71円54銭で算出)は24〜25倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間34円で算出)は1.9%近辺、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS1192円73銭で算出)は1.5倍近辺である。時価総額は約934億円である。

 週足チャートで見ると52週移動平均線近辺から切り返し、13週移動平均線に続いて26週移動平均線突破の動きを強めている。上値を試す展開が期待される。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media−IR)
[04月07日更新]

ゼリア新薬工業は17年3月期増益・増配予想で18年3月期も収益拡大期待

 ゼリア新薬工業<4559>(東1)は消化器分野が中心の医療用医薬品事業、および一般用医薬品のコンシューマーヘルスケア事業を展開している。17年3月期増収増益予想・増配予想で、18年3月期も収益拡大が期待される。株価は3月期末の配当・株主優待権利落ちも影響して反落したが、自律調整一巡して上値を試す展開が期待される。

■消化器分野が中心の医薬品メーカー

 消化器分野が中心の医療用医薬品事業、および一般用医薬品のコンシューマーヘルスケア事業を展開している。16年3月期のセグメント別売上高構成比は、医療用医薬品事業53.8%、コンシューマーヘルスケア事業46.0%、その他(保険代理業・不動産賃貸収入)0.3%だった。海外売上高比率は20.0%だった。

 医療用医薬品事業は潰瘍性大腸炎治療剤「アサコール」を主力として、H2受容体拮抗剤「アシノン」や亜鉛含有胃潰瘍治療剤「プロマック」なども展開している。13年6月には自社開発の機能性ディスペプシア治療剤「アコファイド」を発売し、アステラス製薬<4503>と共同で早期の市場浸透を目指している。14年9月には日本で初めて月経前症候群の効能を取得した西洋ハーブ・ダイレクトOTC医薬品「プレフェミン」(要指導医薬品)を販売開始した。

 コンシューマーヘルスケア事業はヘパリーゼ群、コンドロイチン群、ウィズワン群を主力としている。3月1日には「ヘパリーゼドリンクU(第3類医薬品)および「ヘパリーゼHiプラス(第2類医薬品)を発売した。

 また3月1日には美容液ベースのオールインワンジェル「イオナ スパ&ミネラル エッセンスジェル」(化粧品)を発売した。連結子会社のイオナ インターナショナルが16年10月から製造する「イオナ」ブランド化粧品の取り扱いを開始し、直販対象製品を全国の薬局・薬店・ドラッグストアに販売している。

■グローバル展開を推進

 M&Aを活用してグローバル展開も推進している。08年10月基礎化粧品のイオナ、09年9月「アサコール」の開発会社ティロッツ社(スイス)、10年9月コンドロイチン原料のZPD社(デンマーク)を子会社化した。13年8月ビフォーファーマ社(スイス)と鉄欠乏症治療剤「Ferinject」の日本国内における独占的開発・販売契約締結、ZPD社の株式を追加取得して完全子会社化した。15年4月ベトナムの中堅医薬品製造販売会社F.T.Pharma社の株式49.0%を取得した。当社グループのアジア展開の拠点とする。

■アストラゼネカのIBD治療剤の権利取得

 15年7月には子会社ティロッツ社(スイス)がアストラゼネカ社から、炎症性腸疾患(IBD)治療剤「Entocort」(一般名:ブデソニド)の米国を除く全世界における権利を取得した。

 炎症性腸疾患(IBD)は潰瘍性大腸炎(UC)およびクローン病(CD)を含めて、世界中に約500万人の患者が存在すると推定されている疾患である。米国を除く全世界40ヶ国以上でCDを適応として販売されているIBD治療剤「Entocort」の権利取得により、IBD治療においてUCの第1選択薬として用いられている「アサコール」を補完することが可能になる。

 15年10月クローン病を適応症として国内製造販売承認を申請し、16年9月国内でのクローン病治療剤「ゼンタコートカプセル」(IBD治療剤「Entocort」)の製造販売承認を取得、16年11月発売開始した。

■消化器分野を最重点領域として新薬開発を推進

 新薬開発は消化器分野を最重点領域と位置付けて、国際的に通用する新薬の創製を念頭に置き、自社オリジナル品の海外での臨床試験を積極的に推進するとともに、海外で実績のある薬剤を導入して国内での開発を進めている。

 14年8月エーザイ<4523>の新規化合物「E3710」(プロトンポンプ阻害剤:PPI)に関するライセンス契約を締結した。エーザイは当社に対して「E3710」の日本における独占的開発権、共同販促権、非独占的製造権を付与し、開発および製造販売承認は当社が行う。承認取得後は両社で共同販促を行う。

 潰瘍性大腸炎を適応症として「アサコール」の用法・用量を追加する「Z−206」(一般名メサラジン、協和発酵キリンとの共同開発)は承認申請中、膵臓癌を適応症とする「Z−360」は日本を含むアジア地域でフェーズ2国際共同治験中、エーザイから導入した長時間作用型プロトンポンプ阻害剤「Z−215」は逆流性食道炎を適応症としてフェーズ2段階、子宮頸癌を適応症とする「Z−100」は日本を含むアジア地域でフェーズ3国際共同治験中、ビフォーファーマ社から導入した鉄欠乏性貧血治療剤「Z−213」はフェーズ3段階である。

 海外は、中国で潰瘍性大腸炎を適応症として「Z−206」(メサラジン)を承認申請中、潰瘍性大腸炎を適応症とする「TP05」(メサラジン)は欧州・カナダでフェーズ3段階である。自社開発「Z−338」(アコファイド)は欧州で機能性ディスペプシアを対象としたフェーズ3を実施し、北米ではフェーズ2が終了した。導入品で家族性大腸腺腫症を適応症とする「TP09」は欧州・米国でフェーズ3段階である。

■収益改善基調

 四半期別業績推移を見ると、15年3月期は売上高が第1四半期147億15百万円、第2四半期154億21百万円、第3四半期156億46百万円、第4四半期152億30百万円、営業利益が8億58百万円、14億21百万円、10億61百万円、6億62百万円の赤字、16年3月期は売上高が147億25百万円、156億18百万円、167億11百万円、154億21百万円、営業利益が10億27百万円、10億87百万円、16億78百万円、7億73百万円だった。

 15年3月期はライセンス収入やロイヤリティ収入の減少、新規開発テーマ導入費用の発生、治験進捗による研究開発費の増加などで大幅減益だったが、16年3月期は研究開発費減少も寄与して医療用医薬品事業の損益が大幅に改善した。

 16年3月期の差引売上総利益は15年3月期比4.7%増加し、差引売上総利益率は71.3%で同1.6ポイント上昇した。販管費は同0.3%増加したが、販管費比率は64.0%で同1.3ポイント上低下した。研究開発費は同13.2%減少して85億79百万円だった。ROEは5.6%で同1.4ポイント上昇、自己資本比率は53.5%で同11.5ポイント低下した。配当は同1円増配の年間31円(第2四半期末15円、期末16円)で配当性向は46.9%だった。

 なお医療用医薬品事業は売上高が同0.5%減の335億80百万円で営業利益(連結調整前)が同56.5%増の30億24百万円、コンシューマーヘルスケア事業は売上高が同6.1%増の287億41百万円で営業利益が同13.4%増の66億16百万円、その他(保険代理業・不動産賃貸収入)は売上高が同3.4%減の1億52百万円で営業利益が同2.8%増の2億40百万円だった。

■17年3月期第3四半期累計は研究開発費増加で減益

 前期(17年3月期)第3四半期累計(4〜12月)の連結業績は、売上高が前年同期比4.2%増の490億43百万円、営業利益が同4.0%減の36億41百万円、経常利益が同7.0%減の35億02百万円、そして純利益が同13.8%減の28億73百万円だった。

 医療用医薬品事業、コンシューマーヘルスケア事業とも増収だったが、研究開発費などの経費が増加して減益だった。差引売上総利益は同5.9%増加し、差引売上総利益率は72.4%で同1.2ポイント上昇した。販管費は同7.2%増加し、販管費比率は65.0%で同1.8ポイント上昇した。営業外では為替差損が増加(前期億74百万円、今期1億94百万円)した。特別利益では投資有価証券売却益が減少(前期10億87百万円、今期7億74百万円)した。

 セグメント別には、医療用医薬品事業は売上高が同1.1%増の258億21百万円で営業利益(連結調整前)が同50.3%減の13億37百万円だった。潰瘍性大腸炎治療剤「アサコール」は国内が薬価改定や後発品の影響で苦戦したが、海外が堅調に推移した。アストラゼネカ社から権利取得した炎症性腸疾患(IBD)治療剤「Entocort」は順調に推移した。機能性ディスペプシア治療剤「アコファイド」も市場構築がやや遅れている。

 コンシューマーヘルスケア事業は売上高が同8.0%増の231億14百万円で営業利益が同24.5%増の61億27百万円だった。テレビCMなどの広告宣伝活動によって製品認知度が向上し、製品ラインナップ強化も奏功してコンビニ向けヘパリーゼW群が好調だった。コンドロイチン群も圧倒的な市場シェアを堅持した。その他(保険代理業・不動産賃貸収入)は売上高が同9.9%減の1億07百万円、営業利益が同3.4%増の1億87百万円だった。

 四半期別の業績推移を見ると、売上高は第1四半期164億88百万円、第2四半期158億25百万円、第3四半期167億30百万円、営業利益は17億20百万円、14億28百万円、4億93百万円だった。

■17年3月期通期は増収増益・増配予想

 前期(17年3月期)通期の連結業績予想(5月13日公表)は売上高が前々期(16年3月期)比5.6%増の660億円、営業利益が同5.1%増の48億円、経常利益が同3.4%増の46億円、純利益が同2.5%増の36億円としている。配当予想は同1円増配の年間32円(第2四半期末16円、期末16円)で予想配当性向は47.2%となる。

 医療用医薬品事業では、国内は薬価改定や後発品の影響を受けるが、潰瘍性大腸炎治療剤「アサコール」が海外で伸長し、炎症性腸疾患(IBD)治療剤「Entocort」の通期寄与、機能性ディスペプシア治療剤「アコファイド」の市場構築などで増収を見込んでいる。コンシューマーヘルスケア事業では、ヘパリーゼ群やコンドロイチン群が引き続き好調に推移する。研究開発費が高水準に推移して広告宣伝費も増加するが、増収効果で吸収して増益・増配予想である。

 通期会社予想に対する第3四半期累計の進捗率は売上高が74.3%、営業利益が75.9%、経常利益が76.1%、純利益が79.8%と順調な水準である。研究開発費や広告宣伝費が高水準で推移すること、炎症性腸疾患(IBD)治療剤「Entocort」の事業展開に積極投資を予定していること、為替相場が不透明であることなどを要因として通期予想を据え置いたが、増額余地がありそうだ。そして今期(18年3月期)も収益拡大が期待される。

■株主優待は毎年9月末と3月末の年2回実施、優待品を追加

 株主優待制度は毎年9月末および3月末現在の株主に対して自社グループ商品を贈呈している。5月13日に優待品の追加を発表した。1000株以上所有株主に対しては、従来はA〜Eの5コースの中から1コースを選択していたが、Fコースを追加して6コースの中から1コースを選択する。なお100株以上〜1000株未満所有株主に対しては、内容については従来から変更はなく、コース名をFコースからGコースに変更して贈呈する。

■株価は自律調整一巡して上値試す

 株価の動きを見ると、3月期末の配当・株主優待権利落ちも影響して戻り高値圏1800円台から反落したが、自律調整の範囲だろう。

 4月6日の終値1697円を指標面で見ると、前期推定連結PER(会社予想の連結EPS67円78銭で算出)は25倍近辺、前期推定配当利回り(会社予想の年間32円で算出)は1.9%近辺、前々期実績連結PBR(前々期実績の連結BPS1199円94銭で算出)は1.4倍近辺である。時価総額は約901億円である。

 週足チャートで見ると26週移動平均線を割り込んだが、52週移動平均線が席ンしてサポートラインとなりそうだ。自律調整が一巡して上値を試す展開が期待される。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media−IR)
[03月13日更新]

ゼリア新薬工業は自律調整一巡して戻り歩調、17年3月期増益・増配予想

 ゼリア新薬工業<4559>(東1)は消化器分野が中心の医療用医薬品事業、および一般用医薬品のコンシューマーヘルスケア事業を展開している。17年3月期増収増益予想・増配予想である。株価は自律調整が一巡して戻り歩調だ。上値を試す展開が期待される。

■消化器分野が中心の医薬品メーカー

 消化器分野が中心の医療用医薬品事業、および一般用医薬品のコンシューマーヘルスケア事業を展開している。16年3月期のセグメント別売上高構成比は、医療用医薬品事業53.8%、コンシューマーヘルスケア事業46.0%、その他(保険代理業・不動産賃貸収入)0.3%だった。海外売上高比率は20.0%だった。

 医療用医薬品事業は潰瘍性大腸炎治療剤「アサコール」を主力として、H2受容体拮抗剤「アシノン」や亜鉛含有胃潰瘍治療剤「プロマック」なども展開している。13年6月には自社開発の機能性ディスペプシア治療剤「アコファイド」を発売し、アステラス製薬<4503>と共同で早期の市場浸透を目指している。14年9月には日本で初めて月経前症候群の効能を取得した西洋ハーブ・ダイレクトOTC医薬品「プレフェミン」(要指導医薬品)を販売開始した。

 コンシューマーヘルスケア事業はヘパリーゼ群、コンドロイチン群、ウィズワン群を主力としている。3月1日には「ヘパリーゼドリンクU(第3類医薬品)および「ヘパリーゼHiプラス(第2類医薬品)を発売した。

 また3月1日には美容液ベースのオールインワンジェル「イオナ スパ&ミネラル エッセンスジェル」(化粧品)を発売した。連結子会社のイオナ インターナショナルが16年10月から製造する「イオナ」ブランド化粧品の取り扱いを開始し、直販対象製品を全国の薬局・薬店・ドラッグストアに販売している。

■グローバル展開を推進

 M&Aを活用してグローバル展開も推進している。08年10月基礎化粧品のイオナ、09年9月「アサコール」の開発会社ティロッツ社(スイス)、10年9月コンドロイチン原料のZPD社(デンマーク)を子会社化した。13年8月ビフォーファーマ社(スイス)と鉄欠乏症治療剤「Ferinject」の日本国内における独占的開発・販売契約締結、ZPD社の株式を追加取得して完全子会社化した。15年4月ベトナムの中堅医薬品製造販売会社F.T.Pharma社の株式49.0%を取得した。当社グループのアジア展開の拠点とする。

■アストラゼネカのIBD治療剤の権利取得

 15年7月には子会社ティロッツ社(スイス)がアストラゼネカ社から、炎症性腸疾患(IBD)治療剤「Entocort」(一般名:ブデソニド)の米国を除く全世界における権利を取得した。

 炎症性腸疾患(IBD)は潰瘍性大腸炎(UC)およびクローン病(CD)を含めて、世界中に約500万人の患者が存在すると推定されている疾患である。米国を除く全世界40ヶ国以上でCDを適応として販売されているIBD治療剤「Entocort」の権利取得により、IBD治療においてUCの第1選択薬として用いられている「アサコール」を補完することが可能になる。

 15年10月クローン病を適応症として国内製造販売承認を申請し、16年9月国内でのクローン病治療剤「ゼンタコートカプセル」(IBD治療剤「Entocort」)の製造販売承認を取得、16年11月発売開始した。

■消化器分野を最重点領域として新薬開発を推進

 新薬開発は消化器分野を最重点領域と位置付けて、国際的に通用する新薬の創製を念頭に置き、自社オリジナル品の海外での臨床試験を積極的に推進するとともに、海外で実績のある薬剤を導入して国内での開発を進めている。

 14年8月エーザイ<4523>の新規化合物「E3710」(プロトンポンプ阻害剤:PPI)に関するライセンス契約を締結した。エーザイは当社に対して「E3710」の日本における独占的開発権、共同販促権、非独占的製造権を付与し、開発および製造販売承認は当社が行う。承認取得後は両社で共同販促を行う。

 潰瘍性大腸炎を適応症として「アサコール」の用法・用量を追加する「Z−206」(一般名メサラジン、協和発酵キリンとの共同開発)は承認申請中、膵臓癌を適応症とする「Z−360」は日本を含むアジア地域でフェーズ2国際共同治験中、エーザイから導入した長時間作用型プロトンポンプ阻害剤「Z−215」は逆流性食道炎を適応症としてフェーズ2段階、子宮頸癌を適応症とする「Z−100」は日本を含むアジア地域でフェーズ3国際共同治験中、ビフォーファーマ社から導入した鉄欠乏性貧血治療剤「Z−213」はフェーズ3段階である。

 海外は、中国で潰瘍性大腸炎を適応症として「Z−206」(メサラジン)を承認申請中、潰瘍性大腸炎を適応症とする「TP05」(メサラジン)は欧州・カナダでフェーズ3段階である。自社開発「Z−338」(アコファイド)は欧州で機能性ディスペプシアを対象としたフェーズ3を実施し、北米ではフェーズ2が終了した。導入品で家族性大腸腺腫症を適応症とする「TP09」は欧州・米国でフェーズ3段階である。

■収益改善基調

 四半期別業績推移を見ると、15年3月期は売上高が第1四半期147億15百万円、第2四半期154億21百万円、第3四半期156億46百万円、第4四半期152億30百万円、営業利益が8億58百万円、14億21百万円、10億61百万円、6億62百万円の赤字、16年3月期は売上高が147億25百万円、156億18百万円、167億11百万円、154億21百万円、営業利益が10億27百万円、10億87百万円、16億78百万円、7億73百万円だった。

 15年3月期はライセンス収入やロイヤリティ収入の減少、新規開発テーマ導入費用の発生、治験進捗による研究開発費の増加などで大幅減益だったが、16年3月期は研究開発費減少も寄与して医療用医薬品事業の損益が大幅に改善した。

 16年3月期の差引売上総利益は15年3月期比4.7%増加し、差引売上総利益率は71.3%で同1.6ポイント上昇した。販管費は同0.3%増加したが、販管費比率は64.0%で同1.3ポイント上低下した。研究開発費は同13.2%減少して85億79百万円だった。ROEは5.6%で同1.4ポイント上昇、自己資本比率は53.5%で同11.5ポイント低下した。配当は同1円増配の年間31円(第2四半期末15円、期末16円)で配当性向は46.9%だった。

 なお医療用医薬品事業は売上高が同0.5%減の335億80百万円で営業利益(連結調整前)が同56.5%増の30億24百万円、コンシューマーヘルスケア事業は売上高が同6.1%増の287億41百万円で営業利益が同13.4%増の66億16百万円、その他(保険代理業・不動産賃貸収入)は売上高が同3.4%減の1億52百万円で営業利益が同2.8%増の2億40百万円だった。

■17年3月期第3四半期累計は研究開発費増加で減益

 今期(17年3月期)第3四半期累計(4〜12月)の連結業績は、売上高が前年同期比4.2%増の490億43百万円、営業利益が同4.0%減の36億41百万円、経常利益が同7.0%減の35億02百万円、そして純利益が同13.8%減の28億73百万円だった。

 医療用医薬品事業、コンシューマーヘルスケア事業とも増収だったが、研究開発費などの経費が増加して減益だった。差引売上総利益は同5.9%増加し、差引売上総利益率は72.4%で同1.2ポイント上昇した。販管費は同7.2%増加し、販管費比率は65.0%で同1.8ポイント上昇した。営業外では為替差損が増加(前期億74百万円、今期1億94百万円)した。特別利益では投資有価証券売却益が減少(前期10億87百万円、今期7億74百万円)した。

 セグメント別には、医療用医薬品事業は売上高が同1.1%増の258億21百万円で営業利益(連結調整前)が同50.3%減の13億37百万円だった。潰瘍性大腸炎治療剤「アサコール」は国内が薬価改定や後発品の影響で苦戦したが、海外が堅調に推移した。アストラゼネカ社から権利取得した炎症性腸疾患(IBD)治療剤「Entocort」は順調に推移した。機能性ディスペプシア治療剤「アコファイド」も市場構築がやや遅れている。

 コンシューマーヘルスケア事業は売上高が同8.0%増の231億14百万円で営業利益が同24.5%増の61億27百万円だった。テレビCMなどの広告宣伝活動によって製品認知度が向上し、製品ラインナップ強化も奏功してコンビニ向けヘパリーゼW群が好調だった。コンドロイチン群も圧倒的な市場シェアを堅持した。その他(保険代理業・不動産賃貸収入)は売上高が同9.9%減の1億07百万円、営業利益が同3.4%増の1億87百万円だった。

 四半期別の業績推移を見ると、売上高は第1四半期164億88百万円、第2四半期158億25百万円、第3四半期167億30百万円、営業利益は17億20百万円、14億28百万円、4億93百万円だった。

■17年3月期通期は増収増益・増配予想

 今期(17年3月期)通期の連結業績予想(5月13日公表)は、売上高が前期(16年3月期)比5.6%増の660億円、営業利益が同5.1%増の48億円、経常利益が同3.4%増の46億円、純利益が同2.5%増の36億円としている。配当予想は同1円増配の年間32円(第2四半期末16円、期末16円)で予想配当性向は47.2%となる。

 医療用医薬品事業では、国内は薬価改定や後発品の影響を受けるが、潰瘍性大腸炎治療剤「アサコール」が海外で伸長し、炎症性腸疾患(IBD)治療剤「Entocort」の通期寄与、機能性ディスペプシア治療剤「アコファイド」の市場構築などで増収を見込んでいる。コンシューマーヘルスケア事業では、ヘパリーゼ群やコンドロイチン群が引き続き好調に推移する。研究開発費が高水準に推移して広告宣伝費も増加するが、増収効果で吸収して増益・増配予想である。

 通期会社予想に対する第3四半期累計の進捗率は売上高が74.3%、営業利益が75.9%、経常利益が76.1%、純利益が79.8%と順調な水準である。研究開発費や広告宣伝費が高水準で推移すること、炎症性腸疾患(IBD)治療剤「Entocort」の事業展開に積極投資を予定していること、為替相場が不透明であることなどを要因として通期予想を据え置いたが、増額余地がありそうだ。

■株主優待は毎年9月末と3月末の年2回実施、優待品を追加

 株主優待制度は毎年9月末および3月末現在の株主に対して自社グループ商品を贈呈している。5月13日に優待品の追加を発表した。1000株以上所有株主に対しては、従来はA〜Eの5コースの中から1コースを選択していたが、Fコースを追加して6コースの中から1コースを選択する。なお100株以上〜1000株未満所有株主に対しては、内容については従来から変更はなく、コース名をFコースからGコースに変更して贈呈する。

■株価は自律調整一巡して戻り歩調

 株価の動きを見ると、16年12月の昨年来高値1874円から反落して調整局面だったが、2月9日の直近安値1671円から切り返して戻り歩調だ。3月2日には1817円まで上伸した。自律調整が一巡したようだ。

 3月9日の終値1789円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS67円78銭で算出)は26〜27倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間32円で算出)は1.8%近辺、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS1199円94銭で算出)は1.5倍近辺である。なお時価総額は約950億円である。

 週足チャートで見ると26週移動平均線近辺から切り返して13週移動平均線を回復した。上値を試す展開が期待される。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media−IR)
[02月14更新]

ゼリア新薬工業は17年3月期第3四半期累計減益だが通期は増益・増配予想

 ゼリア新薬工業<4559>(東1)は消化器分野が中心の医療用医薬品事業、および一般用医薬品のコンシューマーヘルスケア事業を展開している。2月8日発表した17年3月期第3四半期累計連結業績は研究開発費増加などで減益だったが、通期は増収増益予想・増配予想である。株価は第3四半期累計の減益を嫌気する形となったが、目先的な売りが一巡して戻りを試す展開が期待される。

■消化器分野が中心の医薬品メーカー

 消化器分野が中心の医療用医薬品事業、および一般用医薬品のコンシューマーヘルスケア事業を展開している。16年3月期のセグメント別売上高構成比は、医療用医薬品事業53.8%、コンシューマーヘルスケア事業46.0%、その他(保険代理業・不動産賃貸収入)0.3%だった。海外売上高比率は20.0%だった。

 医療用医薬品事業は潰瘍性大腸炎治療剤「アサコール」を主力として、H2受容体拮抗剤「アシノン」や亜鉛含有胃潰瘍治療剤「プロマック」なども展開している。13年6月には自社開発の機能性ディスペプシア治療剤「アコファイド」を発売し、アステラス製薬<4503>と共同で早期の市場浸透を目指している。14年9月には日本で初めて月経前症候群の効能を取得した西洋ハーブ・ダイレクトOTC医薬品「プレフェミン」(要指導医薬品)を販売開始した。

 コンシューマーヘルスケア事業はヘパリーゼ群、コンドロイチン群、ウィズワン群を主力としている。16年7月には化粧品分野でコンドロイチン、スクワラン、エーデルワイスエキス、浸透型アミノ酸、NMF(天然保湿因子)の5つの保湿成分を配合したリップクリーム「モレナ リッチリップ」を販売開始した。16年9月には坐薬タイプの便秘薬「ウィズワン坐剤」(第3類医薬品)を販売開始した。16年10月には薬局・ドラッグストア向けで第2類医薬品のミニドリンク剤「ヘパリーゼ・キングプラス」および「ヘパリーゼ・キングX」を販売開始した。

■グローバル展開を推進

 M&Aを活用してグローバル展開も推進している。08年10月基礎化粧品のイオナ、09年9月「アサコール」の開発会社ティロッツ社(スイス)、10年9月コンドロイチン原料のZPD社(デンマーク)を子会社化した。13年8月ビフォーファーマ社(スイス)と鉄欠乏症治療剤「Ferinject」の日本国内における独占的開発・販売契約締結、ZPD社の株式を追加取得して完全子会社化した。15年4月ベトナムの中堅医薬品製造販売会社F.T.Pharma社の株式49.0%を取得した。当社グループのアジア展開の拠点とする。

■アストラゼネカのIBD治療剤の権利取得

 15年7月には子会社ティロッツ社(スイス)がアストラゼネカ社から、炎症性腸疾患(IBD)治療剤「Entocort」(一般名:ブデソニド)の米国を除く全世界における権利を取得した。

 炎症性腸疾患(IBD)は潰瘍性大腸炎(UC)およびクローン病(CD)を含めて、世界中に約500万人の患者が存在すると推定されている疾患である。米国を除く全世界40ヶ国以上でCDを適応として販売されているIBD治療剤「Entocort」の権利取得により、IBD治療においてUCの第1選択薬として用いられている「アサコール」を補完することが可能になる。

 15年10月クローン病を適応症として国内製造販売承認を申請し、16年9月国内でのクローン病治療剤「ゼンタコートカプセル」(IBD治療剤「Entocort」)の製造販売承認を取得、16年11月発売開始した。

■消化器分野を最重点領域として新薬開発を推進

 新薬開発は消化器分野を最重点領域と位置付けて、国際的に通用する新薬の創製を念頭に置き、自社オリジナル品の海外での臨床試験を積極的に推進するとともに、海外で実績のある薬剤を導入して国内での開発を進めている。

 14年8月エーザイ<4523>の新規化合物「E3710」(プロトンポンプ阻害剤:PPI)に関するライセンス契約を締結した。エーザイは当社に対して「E3710」の日本における独占的開発権、共同販促権、非独占的製造権を付与し、開発および製造販売承認は当社が行う。承認取得後は両社で共同販促を行う。

 潰瘍性大腸炎を適応症として「アサコール」の用法・用量を追加する「Z−206」(一般名メサラジン、協和発酵キリンとの共同開発)は承認申請中、膵臓癌を適応症とする「Z−360」は日本を含むアジア地域でフェーズ2国際共同治験中、エーザイから導入した長時間作用型プロトンポンプ阻害剤「Z−215」は逆流性食道炎を適応症としてフェーズ2段階、子宮頸癌を適応症とする「Z−100」は日本を含むアジア地域でフェーズ3国際共同治験中、ビフォーファーマ社から導入した鉄欠乏性貧血治療剤「Z−213」はフェーズ3段階である。

 海外は、中国で潰瘍性大腸炎を適応症として「Z−206」(メサラジン)を承認申請中、潰瘍性大腸炎を適応症とする「TP05」(メサラジン)は欧州・カナダでフェーズ3段階である。自社開発「Z−338」(アコファイド)は欧州で機能性ディスペプシアを対象としたフェーズ3を実施し、北米ではフェーズ2が終了した。導入品で家族性大腸腺腫症を適応症とする「TP09」は欧州・米国でフェーズ3段階である。

■収益改善基調

 四半期別業績推移を見ると、15年3月期は売上高が第1四半期147億15百万円、第2四半期154億21百万円、第3四半期156億46百万円、第4四半期152億30百万円、営業利益が8億58百万円、14億21百万円、10億61百万円、6億62百万円の赤字、16年3月期は売上高が147億25百万円、156億18百万円、167億11百万円、154億21百万円、営業利益が10億27百万円、10億87百万円、16億78百万円、7億73百万円だった。

 15年3月期はライセンス収入やロイヤリティ収入の減少、新規開発テーマ導入費用の発生、治験進捗による研究開発費の増加などで大幅減益だったが、16年3月期は研究開発費減少も寄与して医療用医薬品事業の損益が大幅に改善した。

 16年3月期の差引売上総利益は15年3月期比4.7%増加し、差引売上総利益率は71.3%で同1.6ポイント上昇した。販管費は同0.3%増加したが、販管費比率は64.0%で同1.3ポイント上低下した。研究開発費は同13.2%減少して85億79百万円だった。ROEは5.6%で同1.4ポイント上昇、自己資本比率は53.5%で同11.5ポイント低下した。配当は同1円増配の年間31円(第2四半期末15円、期末16円)で配当性向は46.9%だった。

 なお医療用医薬品事業は売上高が同0.5%減の335億80百万円で営業利益(連結調整前)が同56.5%増の30億24百万円、コンシューマーヘルスケア事業は売上高が同6.1%増の287億41百万円で営業利益が同13.4%増の66億16百万円、その他(保険代理業・不動産賃貸収入)は売上高が同3.4%減の1億52百万円で営業利益が同2.8%増の2億40百万円だった。

■17年3月期第3四半期累計は減益

 2月8日発表した今期(17年3月期)第3四半期累計(4〜12月)の連結業績は売上高が前年同期比4.2%増の490億43百万円、営業利益が同4.0%減の36億41百万円、経常利益が同7.0%減の35億02百万円、そして純利益が同13.8%減の28億73百万円だった。

 医療用医薬品事業、コンシューマーヘルスケア事業とも増収だったが、研究開発費などの経費が増加して減益だった。差引売上総利益は同5.9%増加し、差引売上総利益率は72.4%で同1.2ポイント上昇した。販管費は同7.2%増加し、販管費比率は65.0%で同1.8ポイント上昇した。営業外では為替差損が増加(前期億74百万円、今期1億94百万円)した。特別利益では投資有価証券売却益が減少(前期10億87百万円、今期7億74百万円)した。

 セグメント別には、医療用医薬品事業は売上高が同1.1%増の258億21百万円で営業利益(連結調整前)が同50.3%減の13億37百万円だった。潰瘍性大腸炎治療剤「アサコール」は国内が薬価改定や後発品の影響で苦戦したが、海外が堅調に推移した。アストラゼネカ社から権利取得した炎症性腸疾患(IBD)治療剤「Entocort」は順調に推移した。機能性ディスペプシア治療剤「アコファイド」も市場構築がやや遅れている。

 コンシューマーヘルスケア事業は売上高が同8.0%増の231億14百万円で営業利益が同24.5%増の61億27百万円だった。テレビCMなどの広告宣伝活動によって製品認知度が向上し、製品ラインナップ強化も奏功してコンビニ向けヘパリーゼW群が好調だった。コンドロイチン群も圧倒的な市場シェアを堅持した。その他(保険代理業・不動産賃貸収入)は売上高が同9.9%減の1億07百万円、営業利益が同3.4%増の1億87百万円だった。

 四半期別の業績推移を見ると、売上高は第1四半期164億88百万円、第2四半期158億25百万円、第3四半期167億30百万円、営業利益は17億20百万円、14億28百万円、4億93百万円だった。

■17年3月期通期は増収増益・増配予想

 今期(17年3月期)通期の連結業績予想は、前回予想(5月13日公表)を据え置いて、売上高が前期(16年3月期)比5.6%増の660億円、営業利益が同5.1%増の48億円、経常利益が同3.4%増の46億円、純利益が同2.5%増の36億円としている。配当予想は同1円増配の年間32円(第2四半期末16円、期末16円)で予想配当性向は47.2%となる。

 医療用医薬品事業では、国内は薬価改定や後発品の影響を受けるが、潰瘍性大腸炎治療剤「アサコール」が海外で伸長し、炎症性腸疾患(IBD)治療剤「Entocort」の通期寄与、機能性ディスペプシア治療剤「アコファイド」の市場構築などで増収を見込んでいる。コンシューマーヘルスケア事業では、ヘパリーゼ群やコンドロイチン群が引き続き好調に推移する。研究開発費が高水準に推移して広告宣伝費も増加するが、増収効果で吸収して増益・増配予想である。

 通期会社予想に対する第3四半期累計の進捗率は売上高が74.3%、営業利益が75.9%、経常利益が76.1%、純利益が79.8%と順調な水準である。研究開発費や広告宣伝費が高水準で推移すること、炎症性腸疾患(IBD)治療剤「Entocort」の事業展開に積極投資を予定していること、為替相場が不透明であることなどを要因として通期予想を据え置いたが、増額余地がありそうだ。

■株主優待は毎年9月末と3月末の年2回実施、優待品を追加

 株主優待制度は毎年9月末および3月末現在の株主に対して自社グループ商品を贈呈している。5月13日に優待品の追加を発表した。1000株以上所有株主に対しては、従来はA〜Eの5コースの中から1コースを選択していたが、Fコースを追加して6コースの中から1コースを選択する。なお100株以上〜1000株未満所有株主に対しては、内容については従来から変更はなく、コース名をFコースからGコースに変更して贈呈する。

■株価は目先的な売り一巡して戻り試す

 株価の動きを見ると、第3四半期累計の減益を嫌気する形となり、1800円近辺のモミ合いから急落したが、1700円近辺で下げ渋る動きだ。目先的な売りが一巡したようだ。

 2月13日の終値1695円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS67円78銭で算出)は25倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間32円で算出)は1.9%近辺、そして前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS1199円94銭で算出)は1.4倍近辺である。時価総額は約900億円である。

 週足チャートで見ると26週移動平均線を割り込んだが、目先的な売りが一巡して戻りを試す展開が期待される。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media−IR)
[01月06日更新]

ゼリア新薬工業は自律調整一巡して上値試す、17年3月期増益・増配予想で増額余地

 ゼリア新薬工業<4559>(東1)は消化器分野が中心の医療用医薬品事業、および一般用医薬品のコンシューマーヘルスケア事業を展開している。17年3月期増収増益予想・増配予想で、さらに増額余地がありそうだ。株価は12月の昨年来高値から一旦反落したが、自律調整一巡して上値を試す展開が期待される。

■消化器分野が中心の医薬品メーカー

 消化器分野が中心の医療用医薬品事業、および一般用医薬品のコンシューマーヘルスケア事業を展開している。16年3月期のセグメント別売上高構成比は、医療用医薬品事業53.8%、コンシューマーヘルスケア事業46.0%、その他(保険代理業・不動産賃貸収入)0.3%だった。海外売上高比率は20.0%だった。

 医療用医薬品事業は潰瘍性大腸炎治療剤「アサコール」を主力として、H2受容体拮抗剤「アシノン」や亜鉛含有胃潰瘍治療剤「プロマック」なども展開している。13年6月には自社開発の機能性ディスペプシア治療剤「アコファイド」を発売し、アステラス製薬<4503>と共同で早期の市場浸透を目指している。14年9月には日本で初めて月経前症候群の効能を取得した西洋ハーブ・ダイレクトOTC医薬品「プレフェミン」(要指導医薬品)を販売開始した。

 コンシューマーヘルスケア事業はヘパリーゼ群、コンドロイチン群、ウィズワン群を主力としている。16年7月には化粧品分野でコンドロイチン、スクワラン、エーデルワイスエキス、浸透型アミノ酸、NMF(天然保湿因子)の5つの保湿成分を配合したリップクリーム「モレナ リッチリップ」を販売開始した。16年9月には坐薬タイプの便秘薬「ウィズワン坐剤」(第3類医薬品)を販売開始した。16年10月には薬局・ドラッグストア向けで第2類医薬品のミニドリンク剤「ヘパリーゼ・キングプラス」および「ヘパリーゼ・キングX」を販売開始した。

■グローバル展開を推進

 M&Aを活用してグローバル展開も推進している。08年10月基礎化粧品のイオナ、09年9月「アサコール」の開発会社ティロッツ社(スイス)、10年9月コンドロイチン原料のZPD社(デンマーク)を子会社化した。13年8月ビフォーファーマ社(スイス)と鉄欠乏症治療剤「Ferinject」の日本国内における独占的開発・販売契約締結、ZPD社の株式を追加取得して完全子会社化した。15年4月ベトナムの中堅医薬品製造販売会社F.T.Pharma社の株式49.0%を取得した。当社グループのアジア展開の拠点とする。

■アストラゼネカのIBD治療剤の権利取得

 15年7月には子会社ティロッツ社(スイス)がアストラゼネカ社から、炎症性腸疾患(IBD)治療剤「Entocort」(一般名:ブデソニド)の米国を除く全世界における権利を取得した。

 炎症性腸疾患(IBD)は潰瘍性大腸炎(UC)およびクローン病(CD)を含めて、世界中に約500万人の患者が存在すると推定されている疾患である。米国を除く全世界40ヶ国以上でCDを適応として販売されているIBD治療剤「Entocort」の権利取得により、IBD治療においてUCの第1選択薬として用いられている「アサコール」を補完することが可能になる。

 15年10月クローン病を適応症として国内製造販売承認を申請し、16年9月国内でのクローン病治療剤「ゼンタコートカプセル」(IBD治療剤「Entocort」)の製造販売承認を取得した。そして11月18日には「ゼンタコートカプセル」を11月29日に発売すると発表した。

■消化器分野を最重点領域として新薬開発を推進

 新薬開発は消化器分野を最重点領域と位置付けて、国際的に通用する新薬の創製を念頭に置き、自社オリジナル品の海外での臨床試験を積極的に推進するとともに、海外で実績のある薬剤を導入して国内での開発を進めている。

 14年8月エーザイ<4523>の新規化合物「E3710」(プロトンポンプ阻害剤:PPI)に関するライセンス契約を締結した。エーザイは当社に対して「E3710」の日本における独占的開発権、共同販促権、非独占的製造権を付与し、開発および製造販売承認は当社が行う。承認取得後は両社で共同販促を行う。

 潰瘍性大腸炎を適応症として「アサコール」の用法・用量を追加する「Z−206」(一般名メサラジン、協和発酵キリンとの共同開発)は承認申請中、膵臓癌を適応症とする「Z−360」は日本を含むアジア地域でフェーズ2国際共同治験中、エーザイから導入した長時間作用型プロトンポンプ阻害剤「Z−215」は逆流性食道炎を適応症としてフェーズ2段階、子宮頸癌を適応症とする「Z−100」は日本を含むアジア地域でフェーズ3国際共同治験中、ビフォーファーマ社から導入した鉄欠乏性貧血治療剤「Z−213」はフェーズ3段階である。

 海外は、中国で潰瘍性大腸炎を適応症として「Z−206」(メサラジン)を承認申請中、潰瘍性大腸炎を適応症とする「TP05」(メサラジン)は欧州・カナダでフェーズ3段階である。自社開発「Z−338」(アコファイド)は欧州で機能性ディスペプシアを対象としたフェーズ3を実施し、北米ではフェーズ2が終了した。導入品で家族性大腸腺腫症を適応症とする「TP09」は欧州・米国でフェーズ3段階である。

■収益改善基調

 四半期別業績推移を見ると、15年3月期は売上高が第1四半期147億15百万円、第2四半期154億21百万円、第3四半期156億46百万円、第4四半期152億30百万円、営業利益が8億58百万円、14億21百万円、10億61百万円、6億62百万円の赤字、16年3月期は売上高が147億25百万円、156億18百万円、167億11百万円、154億21百万円、営業利益が10億27百万円、10億87百万円、16億78百万円、7億73百万円だった。

 15年3月期はライセンス収入やロイヤリティ収入の減少、新規開発テーマ導入費用の発生、治験進捗による研究開発費の増加などで大幅減益だったが、16年3月期は研究開発費減少も寄与して医療用医薬品事業の損益が大幅に改善した。

 16年3月期の差引売上総利益は15年3月期比4.7%増加し、差引売上総利益率は71.3%で同1.6ポイント上昇した。販管費は同0.3%増加したが、販管費比率は64.0%で同1.3ポイント上低下した。研究開発費は同13.2%減少して85億79百万円だった。ROEは5.6%で同1.4ポイント上昇、自己資本比率は53.5%で同11.5ポイント低下した。配当は同1円増配の年間31円(第2四半期末15円、期末16円)で配当性向は46.9%だった。

 なお医療用医薬品事業は売上高が同0.5%減の335億80百万円で営業利益(連結調整前)が同56.5%増の30億24百万円、コンシューマーヘルスケア事業は売上高が同6.1%増の287億41百万円で営業利益が同13.4%増の66億16百万円、その他(保険代理業・不動産賃貸収入)は売上高が同3.4%減の1億52百万円で営業利益が同2.8%増の2億40百万円だった。

■17年3月期第2四半期累計は計画超の大幅増益

 今期(17年3月期)第2四半期累計(4〜9月)の連結業績は売上高が前年同期比6.5%増の323億13百万円、営業利益が同48.9%増の31億48百万円、経常利益が同94.6%増の30億83百万円、純利益が同24.1%増の20億06百万円だった。

 医療用医薬品事業、コンシューマーヘルスケア事業とも伸長し、利益率改善も寄与して計画超の大幅増益だった。差引売上総利益は同9.4%増加し、差引売上総利益率は72.6%で同2.0ポイント上昇した。販管費は同5.1%増加したが、販管費比率は62.8%で同0.8ポイント低下した。営業外では為替差損が減少(前期5億95百万円、今期1億06百万円)した。特別利益では投資有価証券売却益が減少(前期10億27百万円、今期2億16百万円)した。

 セグメント別には、医療用医薬品事業は売上高が同7.1%増の177億83百万円で営業利益(連結調整前)が同20.1%増の19億70百万円だった。潰瘍性大腸炎治療剤「アサコール」は国内が薬価改定などで苦戦し、機能性ディスペプシア治療剤「アコファイド」も市場構築がやや遅れているが、アストラゼネカ社から権利取得した炎症性腸疾患(IBD)治療剤「Entocort」が寄与した。

 コンシューマーヘルスケア事業は売上高が同5.9%増の144億59百万円で営業利益が同24.4%増の37億36百万円だった。テレビCMなどの広告宣伝活動によって製品認知度が向上し、製品ラインナップ強化も奏功してコンビニ向けヘパリーゼW群が好調だった。コンドロイチン群も圧倒的な市場シェアを堅持した。その他(保険代理業・不動産賃貸収入)は売上高が同11.6%減の69百万円、営業利益が同0.6%増の1億19百万円だった。

 四半期別の業績推移を見ると、売上高は第1四半期164億88百万円、第2四半期158億25百万円、営業利益は17億20百万円、14億28百万円だった。

■17年3月期も増収増益・増配予想、さらに増額余地

 今期(17年3月期)通期の連結業績予想(5月13日公表)は、売上高が前期(16年3月期)比5.6%増の660億円、営業利益が同5.1%増の48億円、経常利益が同3.4%増の46億円、そして純利益が同2.5%増の36億円としている。配当予想は同1円増配の年間32円(第2四半期末16円、期末16円)で予想配当性向は47.2%となる。

 医療用医薬品事業では、国内は薬価改定や後発品の影響を受けるが、潰瘍性大腸炎治療剤「アサコール」が海外で伸長し、炎症性腸疾患(IBD)治療剤「Entocort」の通期寄与、機能性ディスペプシア治療剤「アコファイド」の市場構築などで増収を見込んでいる。コンシューマーヘルスケア事業では、ヘパリーゼ群やコンドロイチン群が引き続き好調に推移する。研究開発費が高水準に推移して広告宣伝費も増加するが、増収効果で吸収して増益・増配予想である。

 通期会社予想に対する第2四半期累計の進捗率は売上高が49.0%、営業利益が65.6%、経常利益が67.0%、純利益が55.7%と高水準である。研究開発費や広告宣伝費が高水準で推移すること、炎症性腸疾患(IBD)治療剤「Entocort」の事業展開に積極投資を予定していること、為替相場が不透明であることなどを要因として通期予想を据え置いたが、増額余地がありそうだ。

■株主優待は毎年9月末と3月末の年2回実施、優待品を追加

 株主優待制度は毎年9月末および3月末現在の株主に対して自社グループ商品を贈呈している。5月13日に優待品の追加を発表した。1000株以上所有株主に対しては、従来はA〜Eの5コースの中から1コースを選択していたが、Fコースを追加して6コースの中から1コースを選択する。なお100株以上〜1000株未満所有株主に対しては、内容については従来から変更はなく、コース名をFコースからGコースに変更して贈呈する。

■株価は自律調整一巡して上値試す

 株価の動きを見ると、12月1日の昨年来高値1874円から利益確定売りで一旦反落したが、大きく下押す動きは見られず1800円近辺で堅調に推移している。そして自律調整一巡感を強めている。好業績を評価する流れに変化はないだろう。

 1月5日の終値1825円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS67円78銭で算出)は26〜27倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間32円で算出)は1.8%近辺、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS1199円94銭で算出)は1.5倍近辺である。時価総額は約969億円である。

 週足チャートで見ると13週移動平均線が接近して切り返す動きだ。サポートラインを確認した形だ。自律調整が一巡し、好業績を評価して上値を試す展開が期待される。
(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media−IR)
[12月14日更新]

ゼリア新薬工業は年初来高値更新の展開、17年3月期増益・増配予想

 ゼリア新薬工業<4559>(東1)は消化器分野が中心の医療用医薬品事業、および一般用医薬品のコンシューマーヘルスケア事業を展開している。17年3月期増収増益予想・増配予想で、さらに増額余地がありそうだ。株価は年初来高値更新の展開だ。好業績を評価して上値を試す展開だろう。

■消化器分野が中心の医薬品メーカー

 消化器分野が中心の医療用医薬品事業、および一般用医薬品のコンシューマーヘルスケア事業を展開している。16年3月期のセグメント別売上高構成比は、医療用医薬品事業53.8%、コンシューマーヘルスケア事業46.0%、その他(保険代理業・不動産賃貸収入)0.3%だった。海外売上高比率は20.0%だった。

 医療用医薬品事業は潰瘍性大腸炎治療剤「アサコール」を主力として、H2受容体拮抗剤「アシノン」や亜鉛含有胃潰瘍治療剤「プロマック」なども展開している。13年6月には自社開発の機能性ディスペプシア治療剤「アコファイド」を発売し、アステラス製薬<4503>と共同で早期の市場浸透を目指している。14年9月には日本で初めて月経前症候群の効能を取得した西洋ハーブ・ダイレクトOTC医薬品「プレフェミン」(要指導医薬品)を販売開始した。

 コンシューマーヘルスケア事業はヘパリーゼ群、コンドロイチン群、ウィズワン群を主力としている。16年7月には化粧品分野でコンドロイチン、スクワラン、エーデルワイスエキス、浸透型アミノ酸、NMF(天然保湿因子)の5つの保湿成分を配合したリップクリーム「モレナ リッチリップ」を販売開始した。16年9月には坐薬タイプの便秘薬「ウィズワン坐剤」(第3類医薬品)を販売開始した。16年10月には薬局・ドラッグストア向けで第2類医薬品のミニドリンク剤「ヘパリーゼ・キングプラス」および「ヘパリーゼ・キングX」を販売開始した。

■グローバル展開を推進

 M&Aを活用してグローバル展開も推進している。08年10月基礎化粧品のイオナ、09年9月「アサコール」の開発会社ティロッツ社(スイス)、10年9月コンドロイチン原料のZPD社(デンマーク)を子会社化した。13年8月ビフォーファーマ社(スイス)と鉄欠乏症治療剤「Ferinject」の日本国内における独占的開発・販売契約締結、ZPD社の株式を追加取得して完全子会社化した。15年4月ベトナムの中堅医薬品製造販売会社F.T.Pharma社の株式49.0%を取得した。当社グループのアジア展開の拠点とする。

■アストラゼネカのIBD治療剤の権利取得

 15年7月には子会社ティロッツ社(スイス)がアストラゼネカ社から、炎症性腸疾患(IBD)治療剤「Entocort」(一般名:ブデソニド)の米国を除く全世界における権利を取得した。

 炎症性腸疾患(IBD)は潰瘍性大腸炎(UC)およびクローン病(CD)を含めて、世界中に約500万人の患者が存在すると推定されている疾患である。米国を除く全世界40ヶ国以上でCDを適応として販売されているIBD治療剤「Entocort」の権利取得により、IBD治療においてUCの第1選択薬として用いられている「アサコール」を補完することが可能になる。

 15年10月クローン病を適応症として国内製造販売承認を申請し、16年9月国内でのクローン病治療剤「ゼンタコートカプセル」(IBD治療剤「Entocort」)の製造販売承認を取得した。そして11月18日には「ゼンタコートカプセル」を11月29日に発売すると発表した。

■消化器分野を最重点領域として新薬開発を推進

 新薬開発は消化器分野を最重点領域と位置付けて、国際的に通用する新薬の創製を念頭に置き、自社オリジナル品の海外での臨床試験を積極的に推進するとともに、海外で実績のある薬剤を導入して国内での開発を進めている。

 14年8月エーザイ<4523>の新規化合物「E3710」(プロトンポンプ阻害剤:PPI)に関するライセンス契約を締結した。エーザイは当社に対して「E3710」の日本における独占的開発権、共同販促権、非独占的製造権を付与し、開発および製造販売承認は当社が行う。承認取得後は両社で共同販促を行う。

 潰瘍性大腸炎を適応症として「アサコール」の用法・用量を追加する「Z−206」(一般名メサラジン、協和発酵キリンとの共同開発)は承認申請中、膵臓癌を適応症とする「Z−360」は日本を含むアジア地域でフェーズ2国際共同治験中、エーザイから導入した長時間作用型プロトンポンプ阻害剤「Z−215」は逆流性食道炎を適応症としてフェーズ2段階、子宮頸癌を適応症とする「Z−100」は日本を含むアジア地域でフェーズ3国際共同治験中、ビフォーファーマ社から導入した鉄欠乏性貧血治療剤「Z−213」はフェーズ3段階である。

 海外は、中国で潰瘍性大腸炎を適応症として「Z−206」(メサラジン)を承認申請中、潰瘍性大腸炎を適応症とする「TP05」(メサラジン)は欧州・カナダでフェーズ3段階である。自社開発「Z−338」(アコファイド)は欧州で機能性ディスペプシアを対象としたフェーズ3を実施し、北米ではフェーズ2が終了した。導入品で家族性大腸腺腫症を適応症とする「TP09」は欧州・米国でフェーズ3段階である。

■収益改善基調

 四半期別業績推移を見ると、15年3月期は売上高が第1四半期147億15百万円、第2四半期154億21百万円、第3四半期156億46百万円、第4四半期152億30百万円、営業利益が8億58百万円、14億21百万円、10億61百万円、6億62百万円の赤字、16年3月期は売上高が147億25百万円、156億18百万円、167億11百万円、154億21百万円、営業利益が10億27百万円、10億87百万円、16億78百万円、7億73百万円だった。

 15年3月期はライセンス収入やロイヤリティ収入の減少、新規開発テーマ導入費用の発生、治験進捗による研究開発費の増加などで大幅減益だったが、16年3月期は研究開発費減少も寄与して医療用医薬品事業の損益が大幅に改善した。

 16年3月期の差引売上総利益は15年3月期比4.7%増加し、差引売上総利益率は71.3%で同1.6ポイント上昇した。販管費は同0.3%増加したが、販管費比率は64.0%で同1.3ポイント上低下した。研究開発費は同13.2%減少して85億79百万円だった。ROEは5.6%で同1.4ポイント上昇、自己資本比率は53.5%で同11.5ポイント低下した。配当は同1円増配の年間31円(第2四半期末15円、期末16円)で配当性向は46.9%だった。

 なお医療用医薬品事業は売上高が同0.5%減の335億80百万円で営業利益(連結調整前)が同56.5%増の30億24百万円、コンシューマーヘルスケア事業は売上高が同6.1%増の287億41百万円で営業利益が同13.4%増の66億16百万円、その他(保険代理業・不動産賃貸収入)は売上高が同3.4%減の1億52百万円で営業利益が同2.8%増の2億40百万円だった。

■17年3月期第2四半期累計は計画超の大幅増益

 今期(17年3月期)第2四半期累計(4〜9月)の連結業績は売上高が前年同期比6.5%増の323億13百万円、営業利益が同48.9%増の31億48百万円、経常利益が同94.6%増の30億83百万円、純利益が同24.1%増の20億06百万円だった。

 医療用医薬品事業、コンシューマーヘルスケア事業とも伸長し、利益率改善も寄与して計画超の大幅増益だった。差引売上総利益は同9.4%増加し、差引売上総利益率は72.6%で同2.0ポイント上昇した。販管費は同5.1%増加したが、販管費比率は62.8%で同0.8ポイント低下した。営業外では為替差損が減少(前期5億95百万円、今期1億06百万円)した。特別利益では投資有価証券売却益が減少(前期10億27百万円、今期2億16百万円)した。

 セグメント別には、医療用医薬品事業は売上高が同7.1%増の177億83百万円で営業利益(連結調整前)が同20.1%増の19億70百万円だった。潰瘍性大腸炎治療剤「アサコール」は国内が薬価改定などで苦戦し、機能性ディスペプシア治療剤「アコファイド」も市場構築がやや遅れているが、アストラゼネカ社から権利取得した炎症性腸疾患(IBD)治療剤「Entocort」が寄与した。

 コンシューマーヘルスケア事業は売上高が同5.9%増の144億59百万円で営業利益が同24.4%増の37億36百万円だった。テレビCMなどの広告宣伝活動によって製品認知度が向上し、製品ラインナップ強化も奏功してコンビニ向けヘパリーゼW群が好調だった。コンドロイチン群も圧倒的な市場シェアを堅持した。その他(保険代理業・不動産賃貸収入)は売上高が同11.6%減の69百万円、営業利益が同0.6%増の1億19百万円だった。

 四半期別の業績推移を見ると、売上高は第1四半期164億88百万円、第2四半期158億25百万円、営業利益は17億20百万円、14億28百万円だった。

■17年3月期も増収増益・増配予想、さらに増額余地

 今期(17年3月期)通期の連結業績予想(5月13日公表)は、売上高が前期(16年3月期)比5.6%増の660億円、営業利益が同5.1%増の48億円、経常利益が同3.4%増の46億円、そして純利益が同2.5%増の36億円としている。配当予想は同1円増配の年間32円(第2四半期末16円、期末16円)で予想配当性向は47.2%となる。

 医療用医薬品事業では、国内は薬価改定や後発品の影響を受けるが、潰瘍性大腸炎治療剤「アサコール」が海外で伸長し、炎症性腸疾患(IBD)治療剤「Entocort」の通期寄与、機能性ディスペプシア治療剤「アコファイド」の市場構築などで増収を見込んでいる。コンシューマーヘルスケア事業では、ヘパリーゼ群やコンドロイチン群が引き続き好調に推移する。研究開発費が高水準に推移して広告宣伝費も増加するが、増収効果で吸収して増益・増配予想である。

 通期会社予想に対する第2四半期累計の進捗率は売上高が49.0%、営業利益が65.6%、経常利益が67.0%、純利益が55.7%と高水準である。研究開発費や広告宣伝費が高水準で推移すること、炎症性腸疾患(IBD)治療剤「Entocort」の事業展開に積極投資を予定していること、為替相場が不透明であることなどを要因として通期予想を据え置いたが、増額余地がありそうだ。

■株主優待は毎年9月末と3月末の年2回実施、優待品を追加

 株主優待制度は毎年9月末および3月末現在の株主に対して自社グループ商品を贈呈している。5月13日に優待品の追加を発表した。1000株以上所有株主に対しては、従来はA〜Eの5コースの中から1コースを選択していたが、Fコースを追加して6コースの中から1コースを選択する。なお100株以上〜1000株未満所有株主に対しては、内容については従来から変更はなく、コース名をFコースからGコースに変更して贈呈する。

■株価は年初来高値更新の展開

 株価の動きを見ると、年初来高値更新の展開だ。12月1日には1874円まで上伸した。好業績を評価する流れに変化はないだろう。

 12月13日の終値1865円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS67円78銭で算出)は27〜28倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間32円で算出)は1.7%近辺、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS1199円94銭で算出)は1.6倍近辺である。時価総額は約991億円である。

 週足チャートで見ると13週移動平均線がサポートラインとなって上昇トレンドだ。好業績を評価して上値を試す展開だろう。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media−IR)
[11月24日更新]

ゼリア新薬工業は年初来高値更新の展開、17年3月期第2四半期累計が計画超の増益で通期も増益・増配予想

 ゼリア新薬工業<4559>(東1)は消化器分野が中心の医療用医薬品事業、および一般用医薬品のコンシューマーヘルスケア事業を展開している。17年3月期第2四半期累計が計画超の大幅増益となり、通期も増収増益予想・増配予想である。さらに増額余地がありそうだ。株価は年初来高値更新の展開だ。好業績を評価して上値を試す展開だろう。

■消化器分野が中心の医薬品メーカー

 消化器分野が中心の医療用医薬品事業、および一般用医薬品のコンシューマーヘルスケア事業を展開している。16年3月期のセグメント別売上高構成比は、医療用医薬品事業53.8%、コンシューマーヘルスケア事業46.0%、その他(保険代理業・不動産賃貸収入)0.3%だった。海外売上高比率は20.0%だった。

 医療用医薬品事業は潰瘍性大腸炎治療剤「アサコール」を主力として、H2受容体拮抗剤「アシノン」や亜鉛含有胃潰瘍治療剤「プロマック」なども展開している。13年6月には自社開発の機能性ディスペプシア治療剤「アコファイド」を発売し、アステラス製薬<4503>と共同で早期の市場浸透を目指している。14年9月には日本で初めて月経前症候群の効能を取得した西洋ハーブ・ダイレクトOTC医薬品「プレフェミン」(要指導医薬品)を販売開始した。

 コンシューマーヘルスケア事業はヘパリーゼ群、コンドロイチン群、ウィズワン群を主力としている。16年7月には化粧品分野でコンドロイチン、スクワラン、エーデルワイスエキス、浸透型アミノ酸、NMF(天然保湿因子)の5つの保湿成分を配合したリップクリーム「モレナ リッチリップ」を販売開始した。16年9月には坐薬タイプの便秘薬「ウィズワン坐剤」(第3類医薬品)を販売開始した。16年10月には薬局・ドラッグストア向けで第2類医薬品のミニドリンク剤「ヘパリーゼ・キングプラス」および「ヘパリーゼ・キングX」を販売開始した。

■グローバル展開を推進

 M&Aを活用してグローバル展開も推進している。08年10月基礎化粧品のイオナ、09年9月「アサコール」の開発会社ティロッツ社(スイス)、10年9月コンドロイチン原料のZPD社(デンマーク)を子会社化した。13年8月ビフォーファーマ社(スイス)と鉄欠乏症治療剤「Ferinject」の日本国内における独占的開発・販売契約締結、ZPD社の株式を追加取得して完全子会社化した。15年4月ベトナムの中堅医薬品製造販売会社F.T.Pharma社の株式49.0%を取得した。当社グループのアジア展開の拠点とする。

■アストラゼネカのIBD治療剤の権利取得

 15年7月には子会社ティロッツ社(スイス)がアストラゼネカ社から、炎症性腸疾患(IBD)治療剤「Entocort」(一般名:ブデソニド)の米国を除く全世界における権利を取得した。

 炎症性腸疾患(IBD)は潰瘍性大腸炎(UC)およびクローン病(CD)を含めて、世界中に約500万人の患者が存在すると推定されている疾患である。米国を除く全世界40ヶ国以上でCDを適応として販売されているIBD治療剤「Entocort」の権利取得により、IBD治療においてUCの第1選択薬として用いられている「アサコール」を補完することが可能になる。

 15年10月クローン病を適応症として国内製造販売承認を申請し、16年9月国内でのクローン病治療剤「ゼンタコートカプセル」(IBD治療剤「Entocort」)の製造販売承認を取得した。そして11月18日には「ゼンタコートカプセル」を11月29日に発売すると発表した。

■消化器分野を最重点領域として新薬開発を推進

 新薬開発は消化器分野を最重点領域と位置付けて、国際的に通用する新薬の創製を念頭に置き、自社オリジナル品の海外での臨床試験を積極的に推進するとともに、海外で実績のある薬剤を導入して国内での開発を進めている。

 14年8月エーザイ<4523>の新規化合物「E3710」(プロトンポンプ阻害剤:PPI)に関するライセンス契約を締結した。エーザイは当社に対して「E3710」の日本における独占的開発権、共同販促権、非独占的製造権を付与し、開発および製造販売承認は当社が行う。承認取得後は両社で共同販促を行う。

 潰瘍性大腸炎を適応症として「アサコール」の用法・用量を追加する「Z−206」(一般名メサラジン、協和発酵キリンとの共同開発)は承認申請中、膵臓癌を適応症とする「Z−360」は日本を含むアジア地域でフェーズ2国際共同治験中、エーザイから導入した長時間作用型プロトンポンプ阻害剤「Z−215」は逆流性食道炎を適応症としてフェーズ2段階、子宮頸癌を適応症とする「Z−100」は日本を含むアジア地域でフェーズ3国際共同治験中、ビフォーファーマ社から導入した鉄欠乏性貧血治療剤「Z−213」はフェーズ3段階である。

 海外は、中国で潰瘍性大腸炎を適応症として「Z−206」(メサラジン)を承認申請中、潰瘍性大腸炎を適応症とする「TP05」(メサラジン)は欧州・カナダでフェーズ3段階である。自社開発「Z−338」(アコファイド)は欧州で機能性ディスペプシアを対象としたフェーズ3を実施し、北米ではフェーズ2が終了した。導入品で家族性大腸腺腫症を適応症とする「TP09」は欧州・米国でフェーズ3段階である。

■収益改善基調

 四半期別業績推移を見ると、15年3月期は売上高が第1四半期147億15百万円、第2四半期154億21百万円、第3四半期156億46百万円、第4四半期152億30百万円、営業利益が8億58百万円、14億21百万円、10億61百万円、6億62百万円の赤字、16年3月期は売上高が147億25百万円、156億18百万円、167億11百万円、154億21百万円、営業利益が10億27百万円、10億87百万円、16億78百万円、7億73百万円だった。

 15年3月期はライセンス収入やロイヤリティ収入の減少、新規開発テーマ導入費用の発生、治験進捗による研究開発費の増加などで大幅減益だったが、16年3月期は研究開発費減少も寄与して医療用医薬品事業の損益が大幅に改善した。

 16年3月期の差引売上総利益は15年3月期比4.7%増加し、差引売上総利益率は71.3%で同1.6ポイント上昇した。販管費は同0.3%増加したが、販管費比率は64.0%で同1.3ポイント上低下した。研究開発費は同13.2%減少して85億79百万円だった。ROEは5.6%で同1.4ポイント上昇、自己資本比率は53.5%で同11.5ポイント低下した。配当は同1円増配の年間31円(第2四半期末15円、期末16円)で配当性向は46.9%だった。

 なお医療用医薬品事業は売上高が同0.5%減の335億80百万円で営業利益(連結調整前)が同56.5%増の30億24百万円、コンシューマーヘルスケア事業は売上高が同6.1%増の287億41百万円で営業利益が同13.4%増の66億16百万円、その他(保険代理業・不動産賃貸収入)は売上高が同3.4%減の1億52百万円で営業利益が同2.8%増の2億40百万円だった。

■17年3月期第2四半期累計は計画超の大幅増益

 11月4日発表した今期(17年3月期)第2四半期累計(4〜9月)の連結業績(10月31日に増額修正)は、売上高が前年同期比6.5%増の323億13百万円、営業利益が同48.9%増の31億48百万円、経常利益が同94.6%増の30億83百万円、純利益が同24.1%増の20億06百万円だった。

 医療用医薬品事業、コンシューマーヘルスケア事業とも伸長し、利益率改善も寄与して計画超の大幅増益だった。差引売上総利益は同9.4%増加し、差引売上総利益率は72.6%で同2.0ポイント上昇した。販管費は同5.1%増加したが、販管費比率は62.8%で同0.8ポイント低下した。営業外では為替差損が減少(前期5億95百万円、今期1億06百万円)した。特別利益では投資有価証券売却益が減少(前期10億27百万円、今期2億16百万円)した。

 セグメント別には、医療用医薬品事業は売上高が同7.1%増の177億83百万円で営業利益(連結調整前)が同20.1%増の19億70百万円だった。潰瘍性大腸炎治療剤「アサコール」は国内が薬価改定などで苦戦し、機能性ディスペプシア治療剤「アコファイド」も市場構築がやや遅れているが、アストラゼネカ社から権利取得した炎症性腸疾患(IBD)治療剤「Entocort」が寄与した。

 コンシューマーヘルスケア事業は売上高が同5.9%増の144億59百万円で営業利益が同24.4%増の37億36百万円だった。テレビCMなどの広告宣伝活動によって製品認知度が向上し、製品ラインナップ強化も奏功してコンビニ向けヘパリーゼW群が好調だった。コンドロイチン群も圧倒的な市場シェアを堅持した。その他(保険代理業・不動産賃貸収入)は売上高が同11.6%減の69百万円、営業利益が同0.6%増の1億19百万円だった。

 四半期別の業績推移を見ると、売上高は第1四半期164億88百万円、第2四半期158億25百万円、営業利益は17億20百万円、14億28百万円だった。

■17年3月期も増収増益・増配予想、さらに増額余地

 今期(17年3月期)通期の連結業績予想については、前回予想(5月13日公表)を据え置いて売上高が前期(16年3月期)比5.6%増の660億円、営業利益が同5.1%増の48億円、経常利益が同3.4%増の46億円、そして純利益が同2.5%増の36億円としている。配当予想は同1円増配の年間32円(第2四半期末16円、期末16円)で予想配当性向は47.2%となる。

 医療用医薬品事業では、国内は薬価改定や後発品の影響を受けるが、潰瘍性大腸炎治療剤「アサコール」が海外で伸長し、炎症性腸疾患(IBD)治療剤「Entocort」の通期寄与、機能性ディスペプシア治療剤「アコファイド」の市場構築などで増収を見込んでいる。コンシューマーヘルスケア事業では、ヘパリーゼ群やコンドロイチン群が引き続き好調に推移する。研究開発費が高水準に推移して広告宣伝費も増加するが、増収効果で吸収して増益・増配予想である。

 通期会社予想に対する第2四半期累計の進捗率は売上高が49.0%、営業利益が65.6%、経常利益が67.0%、純利益が55.7%と高水準である。研究開発費や広告宣伝費が高水準で推移すること、炎症性腸疾患(IBD)治療剤「Entocort」の事業展開に積極投資を予定していること、為替相場が不透明であることなどを要因として通期予想を据え置いたが、増額余地がありそうだ。

■株主優待は毎年9月末と3月末の年2回実施、優待品を追加

 株主優待制度は毎年9月末および3月末現在の株主に対して自社グループ商品を贈呈している。5月13日に優待品の追加を発表した。1000株以上所有株主に対しては、従来はA〜Eの5コースの中から1コースを選択していたが、Fコースを追加して6コースの中から1コースを選択する。なお100株以上〜1000株未満所有株主に対しては、内容については従来から変更はなく、コース名をFコースからGコースに変更して贈呈する。

■株価は年初来高値更新の展開

 株価の動きを見ると、8月の直近安値1438円から切り返して年初来高値更新の展開となった。11月22日には1867円まで上伸した。

 11月22日の終値1860円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS67円78銭で算出)は27〜28倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間32円で算出)は1.7%近辺、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS1199円94銭で算出)は1.6倍近辺である。時価総額は約988億円である。

 週足チャートで見ると13週移動平均線がサポートラインとなって上昇トレンドだ。好業績を評価して上値を試す展開だろう。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media−IR)
[10月26日更新]

ゼリア新薬工業は年初来高値更新の展開、17年3月期増収増益・増配予想で上値試す

 ゼリア新薬工業<4559>(東1)は消化器分野が中心の医療用医薬品事業、および一般用医薬品のコンシューマーヘルスケア事業を展開している。17年3月期増収増益・増配予想で、さらに増額余地がありそうだ。株価は年初来高値更新の展開だ。好業績を評価して上値を試す展開だろう。

■消化器分野が中心の医薬品メーカー

 消化器分野が中心の医療用医薬品事業、および一般用医薬品のコンシューマーヘルスケア事業を展開している。16年3月期のセグメント別売上高構成比は、医療用医薬品事業53.8%、コンシューマーヘルスケア事業46.0%、その他(保険代理業・不動産賃貸収入)0.3%だった。海外売上高比率は20.0%だった。

 医療用医薬品事業は潰瘍性大腸炎治療剤「アサコール」を主力として、H2受容体拮抗剤「アシノン」や亜鉛含有胃潰瘍治療剤「プロマック」なども展開している。13年6月には自社開発の機能性ディスペプシア治療剤「アコファイド」を発売し、アステラス製薬<4503>と共同で早期の市場浸透を目指している。14年9月には日本で初めて月経前症候群の効能を取得した西洋ハーブ・ダイレクトOTC医薬品「プレフェミン」(要指導医薬品)を販売開始した。

 コンシューマーヘルスケア事業はヘパリーゼ群、コンドロイチン群、ウィズワン群を主力としている。16年7月には化粧品分野でコンドロイチン、スクワラン、エーデルワイスエキス、浸透型アミノ酸、NMF(天然保湿因子)の5つの保湿成分を配合したリップクリーム「モレナ リッチリップ」を販売開始した。16年9月には坐薬タイプの便秘薬「ウィズワン坐剤」(第3類医薬品)を販売開始した。16年10月には薬局・ドラッグストア向けで第2類医薬品のミニドリンク剤「ヘパリーゼ・キングプラス」および「ヘパリーゼ・キングX」を販売開始した。

■グローバル展開を推進

 M&Aを活用してグローバル展開も推進している。08年10月基礎化粧品のイオナ、09年9月「アサコール」の開発会社ティロッツ社(スイス)、10年9月コンドロイチン原料のZPD社(デンマーク)を子会社化した。13年8月ビフォーファーマ社(スイス)と鉄欠乏症治療剤「Ferinject」の日本国内における独占的開発・販売契約締結、ZPD社の株式を追加取得して完全子会社化した。15年4月ベトナムの中堅医薬品製造販売会社F.T.Pharma社の株式49.0%を取得した。当社グループのアジア展開の拠点とする。

■アストラゼネカのIBD治療剤の権利取得

 15年7月には子会社ティロッツ社(スイス)がアストラゼネカ社から、炎症性腸疾患(IBD)治療剤「Entocort」(一般名:ブデソニド)の米国を除く全世界における権利を取得し、クローン病を適応症として15年10月国内製造販売承認を申請した。販売名は「ゼンタコート」を予定している。

 炎症性腸疾患(IBD)は潰瘍性大腸炎(UC)およびクローン病(CD)を含めて、世界中に約500万人の患者が存在すると推定されている疾患である。米国を除く全世界40ヶ国以上でCDを適応として販売されているIBD治療剤「Entocort」の権利取得により、IBD治療においてUCの第1選択薬として用いられている「アサコール」を補完することが可能になる。

 16年9月には日本国内でのクローン病治療剤「ゼンタコートカプセル」(IBD治療剤「Entocort」)の製造販売承認取得を発表した。アストラゼネカ社から権利取得して15年10月製造販売承認申請していた。

■消化器分野を最重点領域として新薬開発を推進

 新薬開発は消化器分野を最重点領域と位置付けて、国際的に通用する新薬の創製を念頭に置き、自社オリジナル品の海外での臨床試験を積極的に推進するとともに、海外で実績のある薬剤を導入して国内での開発を進めている。

 14年8月エーザイ<4523>の新規化合物「E3710」(プロトンポンプ阻害剤:PPI)に関するライセンス契約を締結した。エーザイは当社に対して「E3710」の日本における独占的開発権、共同販促権、非独占的製造権を付与し、開発および製造販売承認は当社が行う。承認取得後は両社で共同販促を行う。

 潰瘍性大腸炎を適応症として「アサコール」の用法・用量を追加する「Z−206」(一般名メサラジン、協和発酵キリンとの共同開発)は承認申請中、膵臓癌を適応症とする「Z−360」は日本を含むアジア地域でフェーズ2国際共同治験中、エーザイから導入した長時間作用型プロトンポンプ阻害剤「Z−215」は逆流性食道炎を適応症としてフェーズ2段階、子宮頸癌を適応症とする「Z−100」は日本を含むアジア地域でフェーズ3国際共同治験中、ビフォーファーマ社から導入した鉄欠乏性貧血治療剤「Z−213」はフェーズ3段階である。

 海外は、中国で潰瘍性大腸炎を適応症として「Z−206」(メサラジン)を承認申請中、潰瘍性大腸炎を適応症とする「TP05」(メサラジン)は欧州・カナダでフェーズ3段階である。自社開発「Z−338」(アコファイド)は欧州で機能性ディスペプシアを対象としたフェーズ3を実施し、北米ではフェーズ2が終了した。導入品で家族性大腸腺腫症を適応症とする「TP09」は欧州・米国でフェーズ3段階である。

■収益改善基調

 四半期別業績推移を見ると、15年3月期は売上高が第1四半期147億15百万円、第2四半期154億21百万円、第3四半期156億46百万円、第4四半期152億30百万円、営業利益が8億58百万円、14億21百万円、10億61百万円、6億62百万円の赤字、16年3月期は売上高が147億25百万円、156億18百万円、167億11百万円、154億21百万円、営業利益が10億27百万円、10億87百万円、16億78百万円、7億73百万円だった。

 15年3月期はライセンス収入やロイヤリティ収入の減少、新規開発テーマ導入費用の発生、治験進捗による研究開発費の増加などで大幅減益だったが、16年3月期は研究開発費減少も寄与して医療用医薬品事業の損益が大幅に改善した。

 16年3月期の差引売上総利益は15年3月期比4.7%増加し、差引売上総利益率は71.3%で同1.6ポイント上昇した。販管費は同0.3%増加したが、販管費比率は64.0%で同1.3ポイント上低下した。研究開発費は同13.2%減少して85億79百万円だった。ROEは5.6%で同1.4ポイント上昇、自己資本比率は53.5%で同11.5ポイント低下した。配当は同1円増配の年間31円(第2四半期末15円、期末16円)で配当性向は46.9%だった。

 なお医療用医薬品事業は売上高が同0.5%減の335億80百万円で営業利益(連結調整前)が同56.5%増の30億24百万円、コンシューマーヘルスケア事業は売上高が同6.1%増の287億41百万円で営業利益が同13.4%増の66億16百万円、その他(保険代理業・不動産賃貸収入)は売上高が同3.4%減の1億52百万円で営業利益が同2.8%増の2億40百万円だった。

■17年3月期第1四半期は大幅増益

 今期(17年3月期)第1四半期(4〜6月)の連結業績は、売上高が前年同期比12.0%増の164億88百万円で、営業利益が同67.4%増の17億20百万円、経常利益が同3.1倍の18億32百万円、純利益が同49.0%増の13億28百万円だった。

 医療用医薬品事業、コンシューマーヘルスケア事業とも伸長し、利益率改善も寄与して大幅増益だった。差引売上総利益は同21.0%増加し、差引売上総利益率は74.0%で同5.5ポイント上昇した。販管費は同15.7%増加し、販管費比率は63.6%で同2.0ポイント上昇した。営業外では為替差損5億54百万円が一巡した。特別利益では投資有価証券売却益が減少(前期10億06百万円、今期2億16百万円)した。

 セグメント別には、医療用医薬品事業は売上高が同16.9%増の94億13百万円、営業利益(連結調整前)が同88.0%増の11億76百万円だった。潰瘍性大腸炎治療剤「アサコール」は国内が薬価改定などで苦戦したが、海外が堅調で全体として増収だった。15年7月アストラゼネカ社から権利取得した炎症性腸疾患(IBD)治療剤「Entocort」も寄与した。機能性ディスペプシア治療剤「アコファイド」は市場構築がやや遅れている。

 コンシューマーヘルスケア事業は売上高が同6.2%増の70億41百万円、営業利益が同8.6%増の18億91百万円だった。コンビニ向けヘパリーゼW群が製品ラインナップ強化などで好調だった。コンドロイチン群も圧倒的な市場シェアを堅持した。その他(保険代理業・不動産賃貸収入)は売上高が同18.0%減の33百万円、営業利益が同4.8%減の59百万円だった。

■17年3月期も増収増益・増配予想

 今期(17年3月期)通期の連結業績予想(5月13日公表)は、売上高が前期(16年3月期)比5.6%増の660億円、営業利益が同5.1%増の48億円、経常利益が同3.4%増の46億円、純利益が同2.5%増の36億円としている。配当予想は同1円増配の年間32円(第2四半期末16円、期末16円)で予想配当性向は47.2%となる。

 医療用医薬品事業では、国内は薬価改定や後発品の影響を受けるが、潰瘍性大腸炎治療剤「アサコール」が海外で伸長し、炎症性腸疾患(IBD)治療剤「Entocort」の通期寄与、機能性ディスペプシア治療剤「アコファイド」の市場構築などで増収を見込んでいる。コンシューマーヘルスケア事業では、ヘパリーゼ群やコンドロイチン群が引き続き好調に推移する。研究開発費が高水準に推移して広告宣伝費も増加するが、増収効果で吸収して増益・増配予想である。

 通期会社予想に対する第1四半期の進捗率は、売上高が25.0%、営業利益が35.8%、経常利益が39.8%、純利益が36.9%と高水準である。通期予想に増額余地がありそうだ。

■株主優待は毎年9月末と3月末の年2回実施、優待品を追加

 株主優待制度は毎年9月末および3月末現在の株主に対して自社グループ商品を贈呈している。5月13日に優待品の追加を発表した。1000株以上所有株主に対しては、従来はA〜Eの5コースの中から1コースを選択していたが、Fコースを追加して6コースの中から1コースを選択する。なお100株以上〜1000株未満所有株主に対しては、内容については従来から変更はなく、コース名をFコースからGコースに変更して贈呈する。

■株価は年初来高値更新の展開

 株価の動きを見ると、8月の直近安値1438円から切り返して年初来高値更新の展開となった。10月6日には1787円まで上伸した。

 10月25日の終値1741円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS67円78銭で算出)は25〜26倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間32円で算出)は1.8%近辺、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS1199円94銭で算出)は1.5倍近辺である。時価総額は約925億円である。

 日足チャートで見ると25日移動平均線、週足チャートで見ると13週移動平均線がサポートラインとなって上昇トレンドだ。好業績を評価して上値を試す展開だろう。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media−IR)
[9月09日更新]

ゼリア新薬工業は基調転換確認して戻り試す、17年3月期増収増益・増配予想、9月末の株主優待も注目

 ゼリア新薬工業<4559>(東1)は消化器分野が中心の医療用医薬品事業、および一般用医薬品のコンシューマーヘルスケア事業を展開している。17年3月期はアストラゼネカ社から権利取得した炎症性腸疾患(IBD)治療剤「Entocort」も寄与して増収増益・増配予想である。さらに増額余地がありそうだ。株価は基調転換を確認して戻りを試す展開だろう。9月末の株主優待も注目点だ。

■消化器分野が中心の医薬品メーカー

 消化器分野が中心の医療用医薬品事業、および一般用医薬品のコンシューマーヘルスケア事業を展開している。16年3月期のセグメント別売上高構成比は、医療用医薬品事業53.8%、コンシューマーヘルスケア事業46.0%、その他(保険代理業・不動産賃貸収入)0.3%だった。海外売上高比率は20.0%だった。

 医療用医薬品事業は潰瘍性大腸炎治療剤「アサコール」を主力として、H2受容体拮抗剤「アシノン」や亜鉛含有胃潰瘍治療剤「プロマック」なども展開している。13年6月には自社開発の機能性ディスペプシア治療剤「アコファイド」を発売し、アステラス製薬<4503>と共同で早期の市場浸透を目指している。

 コンシューマーヘルスケア事業はヘパリーゼ群、コンドロイチン群、ウィズワン群を主力としている。16年7月には化粧品分野でコンドロイチン、スクワラン、エーデルワイスエキス、浸透型アミノ酸、NMF(天然保湿因子)の5つの保湿成分を配合したリップクリーム「モレナ リッチリップ」を販売開始した。

 また9月1日には、坐薬タイプの便秘薬「ウィズワン坐剤」(第3類医薬品)を全国の薬局・ドラッグストアで販売すると発表した。

■グローバル展開を推進

 M&Aを活用してグローバル展開も推進している。08年10月基礎化粧品のイオナ、09年9月「アサコール」の開発会社ティロッツ社(スイス)、10年9月コンドロイチン原料のZPD社(デンマーク)を子会社化した。13年8月ビフォーファーマ社(スイス)と鉄欠乏症治療剤「Ferinject」の日本国内における独占的開発・販売契約締結、ZPD社の株式を追加取得して完全子会社化した。15年4月ベトナムの中堅医薬品製造販売会社F.T.Pharma社の株式49.0%を取得した。当社グループのアジア展開の拠点とする。

■アストラゼネカのIBD治療剤の権利取得

 15年7月には子会社ティロッツ社(スイス)がアストラゼネカ社から、炎症性腸疾患(IBD)治療剤「Entocort」(一般名:ブデソニド)の米国を除く全世界における権利を取得し、クローン病を適応症として15年10月国内製造販売承認を申請した。販売名は「ゼンタコート」を予定している。

 炎症性腸疾患(IBD)は、潰瘍性大腸炎(UC)およびクローン病(CD)を含めて、世界中に約500万人の患者が存在すると推定されている疾患である。米国を除く全世界40ヶ国以上でCDを適応として販売されているIBD治療剤「Entocort」の権利取得により、IBD治療においてUCの第1選択薬として用いられている「アサコール」を補完することが可能になる。

■消化器分野を最重点領域として新薬開発を推進

 新薬開発は消化器分野を最重点領域と位置付けて、国際的に通用する新薬の創製を念頭に置き、自社オリジナル品の海外での臨床試験を積極的に推進するとともに、海外で実績のある薬剤を導入して国内での開発を進めている。

 14年8月エーザイ<4523>の新規化合物「E3710」(プロトンポンプ阻害剤:PPI)に関するライセンス契約を締結した。エーザイは当社に対して「E3710」の日本における独占的開発権、共同販促権、非独占的製造権を付与し、開発および製造販売承認は当社が行う。承認取得後は両社で共同販促を行う。

 14年9月には日本で初めて月経前症候群の効能を取得した西洋ハーブ・ダイレクトOTC医薬品「プレフェミン」(要指導医薬品)を販売開始した。

 潰瘍性大腸炎を適応症として「アサコール」の用法・用量を追加する「Z−206」(一般名メサラジン、協和発酵キリンとの共同開発)は承認申請中、膵臓癌を適応症とする「Z−360」は日本を含むアジア地域でフェーズ2国際共同治験中、エーザイから導入した長時間作用型プロトンポンプ阻害剤「Z−215」は逆流性食道炎を適応症としてフェーズ2段階、子宮頸癌を適応症とする「Z−100」は日本を含むアジア地域でフェーズ3国際共同治験中、ビフォーファーマ社から導入した鉄欠乏性貧血治療剤「Z−213」はフェーズ3段階である。

 海外は、中国で潰瘍性大腸炎を適応症として「Z−206」(メサラジン)を承認申請中、潰瘍性大腸炎を適応症とする「TP05」(メサラジン)は欧州・カナダでフェーズ3段階である。自社開発「Z−338」(アコファイド)は欧州で機能性ディスペプシアを対象としたフェーズ3を実施し、北米ではフェーズ2が終了した。導入品で家族性大腸腺腫症を適応症とする「TP09」は欧州・米国でフェーズ3段階である。

■16年3月期は新規開発テーマ導入費用や研究開発費が減少して収益改善

 四半期別業績推移を見ると、15年3月期は売上高が第1四半期147億15百万円、第2四半期154億21百万円、第3四半期156億46百万円、第4四半期152億30百万円、営業利益が8億58百万円、14億21百万円、10億61百万円、6億62百万円の赤字、16年3月期は売上高が147億25百万円、156億18百万円、167億11百万円、154億21百万円、営業利益が10億27百万円、10億87百万円、16億78百万円、7億73百万円だった。

 15年3月期はライセンス収入やロイヤリティ収入の減少、新規開発テーマ導入費用の発生、治験進捗による研究開発費の増加などで大幅減益だったが、16年3月期は研究開発費減少も寄与して医療用医薬品事業の損益が大幅に改善した。

 16年3月期の差引売上総利益は15年3月期比4.7%増加し、差引売上総利益率は71.3%で同1.6ポイント上昇した。販管費は同0.3%増加したが、販管費比率は64.0%で同1.3ポイント上低下した。研究開発費は同13.2%減少して85億79百万円だった。ROEは5.6%で同1.4ポイント上昇、自己資本比率は53.5%で同11.5ポイント低下した。配当は同1円増配の年間31円(第2四半期末15円、期末16円)で配当性向は46.9%だった。

 セグメント別動向を見ると、医療用医薬品事業は売上高が同0.5%減の335億80百万円、営業利益(連結調整前)が同56.5%増の30億24百万円だった。潰瘍性大腸炎治療剤「アサコール」は国内が順調だったが、海外がスイスフラン高の影響を受けたため全体として横ばいだった。H2受容体拮抗剤「アシノン」や亜鉛含有胃潰瘍治療剤「プロマック」は後発医薬品使用促進の影響を受けて苦戦した。機能性ディスペプシア治療剤「アコファイド」は市場構築がやや遅れている。

 コンシューマーヘルスケア事業は売上高が同6.1%増の287億41百万円、営業利益が同13.4%増の66億16百万円だった。ヘパリーゼ群が製品認知度向上や製品ラインナップ充実などで好調に推移し、コンドロイチン群も圧倒的な市場シェアを堅持した。その他(保険代理業・不動産賃貸収入)は売上高が同3.4%減の1億52百万円、営業利益が同2.8%増の2億40百万円だった。

■17年3月期第1四半期は大幅増益

 今期(17年3月期)第1四半期(4〜6月)の連結業績は、売上高が前年同期比12.0%増の164億88百万円で、営業利益が同67.4%増の17億20百万円、経常利益が同3.1倍の18億32百万円、純利益が同49.0%増の13億28百万円だった。

 医療用医薬品事業、コンシューマーヘルスケア事業とも伸長し、利益率改善も寄与して大幅増益だった。差引売上総利益は同21.0%増加し、差引売上総利益率は74.0%で同5.5ポイント上昇した。販管費は同15.7%増加し、販管費比率は63.6%で同2.0ポイント上昇した。営業外では為替差損5億54百万円が一巡した。特別利益では投資有価証券売却益が減少(前期10億06百万円、今期2億16百万円)した。

 セグメント別には、医療用医薬品事業は売上高が同16.9%増の94億13百万円、営業利益(連結調整前)が同88.0%増の11億76百万円だった。潰瘍性大腸炎治療剤「アサコール」は国内が薬価改定などで苦戦したが、海外が堅調で全体として増収だった。15年7月アストラゼネカ社から権利取得した炎症性腸疾患(IBD)治療剤「Entocort」も寄与した。機能性ディスペプシア治療剤「アコファイド」は市場構築がやや遅れている。

 コンシューマーヘルスケア事業は売上高が同6.2%増の70億41百万円、営業利益が同8.6%増の18億91百万円だった。コンビニ向けヘパリーゼW群が製品ラインナップ強化などで好調だった。コンドロイチン群も圧倒的な市場シェアを堅持した。その他(保険代理業・不動産賃貸収入)は売上高が同18.0%減の33百万円、営業利益が同4.8%減の59百万円だった。

■17年3月期も増収増益・増配予想

 今期(17年3月期)通期の連結業績予想(5月13日公表)は、売上高が前期(16年3月期)比5.6%増の660億円、営業利益が同5.1%増の48億円、経常利益が同3.4%増の46億円、純利益が同2.5%増の36億円としている。配当予想は同1円増配の年間32円(第2四半期末16円、期末16円)で予想配当性向は47.2%となる。

 医療用医薬品事業では、国内は薬価改定や後発品の影響を受けるが、潰瘍性大腸炎治療剤「アサコール」が海外で伸長し、炎症性腸疾患(IBD)治療剤「Entocort」の通期寄与、機能性ディスペプシア治療剤「アコファイド」の市場構築などで増収を見込んでいる。コンシューマーヘルスケア事業では、ヘパリーゼ群やコンドロイチン群が引き続き好調に推移する。研究開発費が高水準に推移して広告宣伝費も増加するが、増収効果で吸収して増益・増配予想である。

 通期会社予想に対する第1四半期の進捗率は、売上高が25.0%、営業利益が35.8%、経常利益が39.8%、純利益が36.9%と高水準である。通期予想に増額余地がありそうだ。

■株主優待は毎年9月末と3月末の年2回実施、優待品を追加

 株主優待制度は毎年9月末および3月末現在の株主に対して自社グループ商品を贈呈している。5月13日に優待品の追加を発表した。1000株以上所有株主に対しては、従来はA〜Eの5コースの中から1コースを選択していたが、Fコースを追加して6コースの中から1コースを選択する。なお100株以上〜1000株未満所有株主に対しては、内容については従来から変更はなく、コース名をFコースからGコースに変更して贈呈する。

■株価は基調転換確認して戻り試す

 株価の動きを見ると、7月の年初来高値1690円から反落したが、8月31日の直近安値1438円から切り返している。そして9月8日には1551円まで戻した。

 9月8日の終値1547円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS67円78銭で算出)は22〜23倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間32円で算出)は2.1%近辺、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS1199円94銭で算出)は1.3倍近辺である。なお時価総額は約822億円である。

 週足チャートで見ると上向きに転じた26週移動平均線近辺から切り返しの動きを強めている。9月末の株主優待も注目点であり、基調転換確認して戻りを試す展開だろう。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media−IR)
[8月08日更新]

ゼリア新薬工業は17年3月期第1四半期大幅増益、通期も増収増益・増配予想で増額余地

 ゼリア新薬工業<4559>(東1)は消化器分野が中心の医療用医薬品事業、および一般用医薬品のコンシューマーヘルスケア事業を展開している。17年3月期第1四半期はアストラゼネカ社から権利取得した炎症性腸疾患(IBD)治療剤「Entocort」も寄与して大幅増益だった。通期も潰瘍性大腸炎治療剤「アサコール」やヘパリーゼ群が好調に推移して増収増益・増配予想であり、さらに増額余地がありそうだ。株価は強基調に転換した形だ。戻りを試す展開だろう。

■消化器分野が中心の医薬品メーカー

 消化器分野が中心の医療用医薬品事業、および一般用医薬品のコンシューマーヘルスケア事業を展開している。16年3月期のセグメント別売上高構成比は、医療用医薬品事業53.8%、コンシューマーヘルスケア事業46.0%、その他(保険代理業・不動産賃貸収入)0.3%だった。海外売上高比率は20.0%だった。

 医療用医薬品事業は潰瘍性大腸炎治療剤「アサコール」を主力として、H2受容体拮抗剤「アシノン」や亜鉛含有胃潰瘍治療剤「プロマック」なども展開している。13年6月には自社開発の機能性ディスペプシア治療剤「アコファイド」を発売し、アステラス製薬<4503>と共同で早期の市場浸透を目指している。

 コンシューマーヘルスケア事業はヘパリーゼ群、コンドロイチン群、ウィズワン群を主力としている。7月1日には化粧品分野でコンドロイチン、スクワラン、エーデルワイスエキス、浸透型アミノ酸、NMF(天然保湿因子)の5つの保湿成分を配合したリップクリーム「モレナ リッチリップ」を販売開始した。

■グローバル展開を推進

 M&Aを活用してグローバル展開も推進している。08年10月基礎化粧品のイオナ、09年9月「アサコール」の開発会社ティロッツ社(スイス)、10年9月コンドロイチン原料のZPD社(デンマーク)を子会社化した。13年8月ビフォーファーマ社(スイス)と鉄欠乏症治療剤「Ferinject」の日本国内における独占的開発・販売契約締結、ZPD社の株式を追加取得して完全子会社化した。15年4月ベトナムの中堅医薬品製造販売会社F.T.Pharma社の株式49.0%を取得した。当社グループのアジア展開の拠点とする。

■アストラゼネカのIBD治療剤の権利取得

 15年7月には子会社ティロッツ社(スイス)がアストラゼネカ社から、炎症性腸疾患(IBD)治療剤「Entocort」(一般名:ブデソニド)の米国を除く全世界における権利を取得し、クローン病を適応症として15年10月国内製造販売承認を申請した。販売名は「ゼンタコート」を予定している。

 炎症性腸疾患(IBD)は、潰瘍性大腸炎(UC)およびクローン病(CD)を含めて、世界中に約500万人の患者が存在すると推定されている疾患である。米国を除く全世界40ヶ国以上でCDを適応として販売されているIBD治療剤「Entocort」の権利取得により、IBD治療においてUCの第1選択薬として用いられている「アサコール」を補完することが可能になる。

■消化器分野を最重点領域として新薬開発を推進

 新薬開発は消化器分野を最重点領域と位置付けて、国際的に通用する新薬の創製を念頭に置き、自社オリジナル品の海外での臨床試験を積極的に推進するとともに、海外で実績のある薬剤を導入して国内での開発を進めている。

 14年8月エーザイ<4523>の新規化合物「E3710」(プロトンポンプ阻害剤:PPI)に関するライセンス契約を締結した。エーザイは当社に対して「E3710」の日本における独占的開発権、共同販促権、非独占的製造権を付与し、開発および製造販売承認は当社が行う。承認取得後は両社で共同販促を行う。

 14年9月には日本で初めて月経前症候群の効能を取得した西洋ハーブ・ダイレクトOTC医薬品「プレフェミン」(要指導医薬品)を販売開始した。

 潰瘍性大腸炎を適応症として「アサコール」の用法・用量を追加する「Z−206」(一般名メサラジン、協和発酵キリンとの共同開発)は承認申請中、膵臓癌を適応症とする「Z−360」は日本を含むアジア地域でフェーズ2国際共同治験中、エーザイから導入した長時間作用型プロトンポンプ阻害剤「Z−215」は逆流性食道炎を適応症としてフェーズ2段階、子宮頸癌を適応症とする「Z−100」は日本を含むアジア地域でフェーズ3国際共同治験中、ビフォーファーマ社から導入した鉄欠乏性貧血治療剤「Z−213」はフェーズ3段階である。

 海外は、中国で潰瘍性大腸炎を適応症として「Z−206」(メサラジン)を承認申請中、潰瘍性大腸炎を適応症とする「TP05」(メサラジン)は欧州・カナダでフェーズ3段階である。自社開発「Z−338」(アコファイド)は欧州で機能性ディスペプシアを対象としたフェーズ3を実施し、北米ではフェーズ2が終了した。導入品で家族性大腸腺腫症を適応症とする「TP09」は欧州・米国でフェーズ3段階である。

■16年3月期は新規開発テーマ導入費用や研究開発費が減少して収益改善

 四半期別業績推移を見ると、15年3月期は売上高が第1四半期147億15百万円、第2四半期154億21百万円、第3四半期156億46百万円、第4四半期152億30百万円、営業利益が8億58百万円、14億21百万円、10億61百万円、6億62百万円の赤字、16年3月期は売上高が147億25百万円、156億18百万円、167億11百万円、154億21百万円、営業利益が10億27百万円、10億87百万円、16億78百万円、7億73百万円だった。

 15年3月期はライセンス収入やロイヤリティ収入の減少、新規開発テーマ導入費用の発生、治験進捗による研究開発費の増加などで大幅減益だったが、16年3月期は研究開発費減少も寄与して医療用医薬品事業の損益が大幅に改善した。

 16年3月期の差引売上総利益は15年3月期比4.7%増加し、差引売上総利益率は71.3%で同1.6ポイント上昇した。販管費は同0.3%増加したが、販管費比率は64.0%で同1.3ポイント上低下した。研究開発費は同13.2%減少して85億79百万円だった。ROEは5.6%で同1.4ポイント上昇、自己資本比率は53.5%で同11.5ポイント低下した。配当は同1円増配の年間31円(第2四半期末15円、期末16円)で配当性向は46.9%だった。

 セグメント別動向を見ると、医療用医薬品事業は売上高が同0.5%減の335億80百万円、営業利益(連結調整前)が同56.5%増の30億24百万円だった。潰瘍性大腸炎治療剤「アサコール」は国内が順調だったが、海外がスイスフラン高の影響を受けたため全体として横ばいだった。H2受容体拮抗剤「アシノン」や亜鉛含有胃潰瘍治療剤「プロマック」は後発医薬品使用促進の影響を受けて苦戦した。機能性ディスペプシア治療剤「アコファイド」は市場構築がやや遅れている。

 コンシューマーヘルスケア事業は売上高が同6.1%増の287億41百万円、営業利益が同13.4%増の66億16百万円だった。ヘパリーゼ群が製品認知度向上や製品ラインナップ充実などで好調に推移し、コンドロイチン群も圧倒的な市場シェアを堅持した。その他(保険代理業・不動産賃貸収入)は売上高が同3.4%減の1億52百万円、営業利益が同2.8%増の2億40百万円だった。

■17年3月期第1四半期は大幅増益

 8月4日発表した今期(17年3月期)第1四半期(4〜6月)の連結業績は、売上高が前年同期比12.0%増の164億88百万円、営業利益が同67.4%増の17億20百万円、経常利益が同3.1倍の18億32百万円、そして純利益が同49.0%増の13億28百万円だった。

 医療用医薬品事業、コンシューマーヘルスケア事業とも伸長し、利益率改善も寄与して大幅増益だった。差引売上総利益は同21.0%増加し、差引売上総利益率は74.0%で同5.5ポイント上昇した。販管費は同15.7%増加し、販管費比率は63.6%で同2.0ポイント上昇した。営業外では為替差損5億54百万円が一巡した。特別利益では投資有価証券売却益が減少(前期10億06百万円、今期2億16百万円)した。

 セグメント別には、医療用医薬品事業は売上高が同16.9%増の94億13百万円、営業利益(連結調整前)が同88.0%増の11億76百万円だった。潰瘍性大腸炎治療剤「アサコール」は国内が薬価改定などで苦戦したが、海外が堅調で全体として増収だった。15年7月アストラゼネカ社から権利取得した炎症性腸疾患(IBD)治療剤「Entocort」も寄与した。機能性ディスペプシア治療剤「アコファイド」は市場構築がやや遅れている。

 コンシューマーヘルスケア事業は売上高が同6.2%増の70億41百万円、営業利益が同8.6%増の18億91百万円だった。コンビニ向けヘパリーゼW群が製品ラインナップ強化などで好調だった。コンドロイチン群も圧倒的な市場シェアを堅持した。その他(保険代理業・不動産賃貸収入)は売上高が同18.0%減の33百万円、営業利益が同4.8%減の59百万円だった。

■17年3月期も増収増益・増配予想

 今期(17年3月期)通期の連結業績予想については、前回予想(5月13日公表)を据え置いて売上高が前期(16年3月期)比5.6%増の660億円、営業利益が同5.1%増の48億円、経常利益が同3.4%増の46億円、そして純利益が同2.5%増の36億円としている。配当予想は同1円増配の年間32円(第2四半期末16円、期末16円)で予想配当性向は47.2%となる。

 医療用医薬品事業では、国内は薬価改定や後発品の影響を受けるが、潰瘍性大腸炎治療剤「アサコール」が海外で伸長し、炎症性腸疾患(IBD)治療剤「Entocort」の通期寄与、機能性ディスペプシア治療剤「アコファイド」の市場構築などで増収を見込んでいる。コンシューマーヘルスケア事業では、ヘパリーゼ群やコンドロイチン群が引き続き好調に推移する。研究開発費が高水準に推移して広告宣伝費も増加するが、増収効果で吸収して増益・増配予想である。

 通期会社予想に対する第1四半期の進捗率は、売上高が25.0%、営業利益が35.8%、経常利益が39.8%、純利益が36.9%と高水準である。通期予想に増額余地がありそうだ。

■株主優待は毎年9月末と3月末の年2回実施、優待品を追加

 株主優待制度は毎年9月末および3月末現在の株主に対して自社グループ商品を贈呈している。5月13日に優待品の追加を発表した。1000株以上所有株主に対しては、従来はA〜Eの5コースの中から1コースを選択していたが、Fコースを追加して6コースの中から1コースを選択する。なお100株以上〜1000株未満所有株主に対しては、内容については従来から変更はなく、コース名をFコースからGコースに変更して贈呈する。

■株価は強基調に転換した形、戻り試す

 株価の動きを見ると、安値圏1300円〜1500円近辺のボックスレンジから上放れ、7月20日には年初来高値となる1690円まで上伸した。

 8月5日の終値1609円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS67円78銭で算出)は23〜24倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間32円で算出)は2.0%近辺、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS1199円94銭で算出)は1.3倍近辺である。時価総額は約855億円である。

 週足チャートで見ると13週移動平均線に続いて26週移動平均線も上向きに転じてきた。強基調に転換した形だ。戻りを試す展開だろう。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media−IR)
[7月14日更新]

ゼリア新薬工業は強基調に転換して戻り歩調、17年3月期増収増益・増配予想

 ゼリア新薬工業<4559>(東1)は消化器分野が中心の医療用医薬品事業、および一般用医薬品のコンシューマーヘルスケア事業を展開している。潰瘍性大腸炎治療剤「アサコール」やヘパリーゼ群の好調で、17年3月期増収増益・増配予想である。株価は強基調に転換して戻り歩調だろう。

■消化器分野が中心の医薬品メーカー

 消化器分野が中心の医療用医薬品事業、および一般用医薬品のコンシューマーヘルスケア事業を展開している。16年3月期のセグメント別売上高構成比は、医療用医薬品事業53.8%、コンシューマーヘルスケア事業46.0%、その他(保険代理業・不動産賃貸収入)0.3%だった。海外売上高比率は20.0%だった。

 医療用医薬品事業は潰瘍性大腸炎治療剤「アサコール」を主力として、H2受容体拮抗剤「アシノン」や亜鉛含有胃潰瘍治療剤「プロマック」なども展開している。13年6月には自社開発の機能性ディスペプシア治療剤「アコファイド」を発売し、アステラス製薬<4503>と共同で早期の市場浸透を目指している。

 コンシューマーヘルスケア事業はヘパリーゼ群、コンドロイチン群、ウィズワン群を主力としている。7月1日には化粧品分野でコンドロイチン、スクワラン、エーデルワイスエキス、浸透型アミノ酸、NMF(天然保湿因子)の5つの保湿成分を配合したリップクリーム「モレナ リッチリップ」を販売開始した。

■グローバル展開を推進

 M&Aを活用してグローバル展開も推進している。08年10月基礎化粧品のイオナ、09年9月「アサコール」の開発会社ティロッツ社(スイス)、10年9月コンドロイチン原料のZPD社(デンマーク)を子会社化した。13年8月ビフォーファーマ社(スイス)と鉄欠乏症治療剤「Ferinject」の日本国内における独占的開発・販売契約締結、ZPD社の株式を追加取得して完全子会社化した。15年4月ベトナムの中堅医薬品製造販売会社F.T.Pharma社の株式49.0%を取得した。当社グループのアジア展開の拠点とする。

■アストラゼネカのIBD治療剤の権利取得

 15年7月には子会社ティロッツ社(スイス)がアストラゼネカ社から、炎症性腸疾患(IBD)治療剤「Entocort」(一般名:ブデソニド)の米国を除く全世界における権利を取得し、クローン病を適応症として15年10月国内製造販売承認を申請した。販売名は「ゼンタコート」を予定している。

 炎症性腸疾患(IBD)は、潰瘍性大腸炎(UC)およびクローン病(CD)を含めて、世界中に約500万人の患者が存在すると推定されている疾患である。米国を除く全世界40ヶ国以上でCDを適応として販売されているIBD治療剤「Entocort」の権利取得により、IBD治療においてUCの第1選択薬として用いられている「アサコール」を補完することが可能になる。

■消化器分野を最重点領域として新薬開発を推進

 新薬開発は消化器分野を最重点領域と位置付けて、国際的に通用する新薬の創製を念頭に置き、自社オリジナル品の海外での臨床試験を積極的に推進するとともに、海外で実績のある薬剤を導入して国内での開発を進めている。

 14年8月エーザイ<4523>の新規化合物「E3710」(プロトンポンプ阻害剤:PPI)に関するライセンス契約を締結した。エーザイは当社に対して「E3710」の日本における独占的開発権、共同販促権、非独占的製造権を付与し、開発および製造販売承認は当社が行う。承認取得後は両社で共同販促を行う。

 14年9月には日本で初めて月経前症候群の効能を取得した西洋ハーブ・ダイレクトOTC医薬品「プレフェミン」(要指導医薬品)を販売開始した。

 潰瘍性大腸炎を適応症として「アサコール」の用法・用量を追加する「Z−206」(一般名メサラジン、協和発酵キリンとの共同開発)はフェーズ3段階、膵臓癌を適応症とする「Z−360」は日本を含むアジア地域でフェーズ2国際共同治験中、エーザイから導入した長時間作用型プロトンポンプ阻害剤「Z−215」は逆流性食道炎を適応症としてフェーズ2段階、子宮頸癌を適応症とする「Z−100」は日本を含むアジア地域でフェーズ3国際共同治験中、ビフォーファーマ社から導入した鉄欠乏性貧血治療剤「Z−213」はフェーズ3段階である。

 海外は、中国で潰瘍性大腸炎を適応症として「Z−206」(メサラジン)を承認申請中、潰瘍性大腸炎を適応症とする「TP05」(メサラジン)は欧州・カナダでフェーズ3段階である。自社開発「Z−338」(アコファイド)は欧州で機能性ディスペプシアを対象としたフェーズ3を実施し、北米ではフェーズ2が終了した。導入品で家族性大腸腺腫症を適応症とする「TP09」は欧州・米国でフェーズ3段階である。

■16年3月期は新規開発テーマ導入費用や研究開発費が減少して収益改善

 四半期別業績推移を見ると、15年3月期は売上高が第1四半期147億15百万円、第2四半期154億21百万円、第3四半期156億46百万円、第4四半期152億30百万円、営業利益が8億58百万円、14億21百万円、10億61百万円、6億62百万円の赤字、16年3月期は売上高が147億25百万円、156億18百万円、167億11百万円、154億21百万円、営業利益が10億27百万円、10億87百万円、16億78百万円、7億73百万円だった。

 15年3月期はライセンス収入やロイヤリティ収入の減少、新規開発テーマ導入費用の発生、治験進捗による研究開発費の増加などで大幅減益だったが、16年3月期は研究開発費減少も寄与して医療用医薬品事業の損益が大幅に改善した。

 16年3月期の差引売上総利益は15年3月期比4.7%増加し、差引売上総利益率は71.3%で同1.6ポイント上昇した。販管費は同0.3%増加したが、販管費比率は64.0%で同1.3ポイント上低下した。研究開発費は同13.2%減少して85億79百万円だった。ROEは5.6%で同1.4ポイント上昇、自己資本比率は53.5%で同11.5ポイント低下した。配当は同1円増配の年間31円(第2四半期末15円、期末16円)で配当性向は46.9%だった。

 セグメント別動向を見ると、医療用医薬品事業は売上高が同0.5%減の335億80百万円、営業利益(連結調整前)が同56.5%増の30億24百万円だった。潰瘍性大腸炎治療剤「アサコール」は国内が順調だったが、海外がスイスフラン高の影響を受けたため全体として横ばいだった。H2受容体拮抗剤「アシノン」や亜鉛含有胃潰瘍治療剤「プロマック」は後発医薬品使用促進の影響を受けて苦戦した。機能性ディスペプシア治療剤「アコファイド」は市場構築がやや遅れている。

 コンシューマーヘルスケア事業は売上高が同6.1%増の287億41百万円、営業利益が同13.4%増の66億16百万円だった。ヘパリーゼ群が製品認知度向上や製品ラインナップ充実などで好調に推移し、コンドロイチン群も圧倒的な市場シェアを堅持した。その他(保険代理業・不動産賃貸収入)は売上高が同3.4%減の1億52百万円、営業利益が同2.8%増の2億40百万円だった。

■17年3月期も増収増益・増配予想

 今期(17年3月期)の連結業績予想(5月13日公表)については、売上高が前期(16年3月期)比5.6%増の660億円、営業利益が同5.1%増の48億円、経常利益が同3.4%増の46億円、純利益が同2.5%増の36億円としている。配当予想は同1円増配の年間32円(第2四半期末16円、期末16円)で予想配当性向は47.2%となる。

 医療用医薬品事業では、国内は薬価改定や後発品の影響を受けるが、潰瘍性大腸炎治療剤「アサコール」が海外で伸長し、炎症性腸疾患(IBD)治療剤「Entocort」の通期寄与、機能性ディスペプシア治療剤「アコファイド」の市場構築などで増収を見込んでいる。コンシューマーヘルスケア事業では、ヘパリーゼ群やコンドロイチン群が引き続き好調に推移する。研究開発費が高水準に推移して広告宣伝費も増加するが、増収効果で吸収して増益・増配予想である。

■株主優待は毎年9月末と3月末の年2回実施、優待品を追加

 株主優待制度は毎年9月末および3月末現在の株主に対して自社グループ商品を贈呈している。5月13日に優待品の追加を発表した。1000株以上所有株主に対しては、従来はA〜Eの5コースの中から1コースを選択していたが、Fコースを追加して6コースの中から1コースを選択する。なお100株以上〜1000株未満所有株主に対しては、内容については従来から変更はなく、コース名をFコースからGコースに変更して贈呈する。

■株価は強基調に転換して戻り歩調

 株価の動きを見ると、安値圏1300円〜1500円近辺のボックスレンジから上放れ、7月8日には年初来高値となる1640円まで上伸した。

 7月12日の終値1586円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS67円78銭で算出)は23〜24倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間32円で算出)は2.0%近辺、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS1199円94銭で算出)は1.3倍近辺である。時価総額は約842億円である。

 週足チャートで見ると52週移動平均線を突破し、13週移動平均線が26週移動平均線を上抜いた。強基調に転換して戻り歩調だろう。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media−IR)
[6月24日更新]

ゼリア新薬工業は下値固め完了して戻り歩調、17年3月期増収増益・増配予想

 ゼリア新薬工業<4559>(東1)は消化器分野が中心の医療用医薬品事業、および一般用医薬品のコンシューマーヘルスケア事業を展開している。潰瘍性大腸炎治療剤「アサコール」やヘパリーゼ群の好調で、17年3月期増収増益・増配予想である。株価は下値固めが完了して戻り歩調の展開だろう。

■消化器分野が中心の医薬品メーカー

 消化器分野が中心の医療用医薬品事業、および一般用医薬品のコンシューマーヘルスケア事業を展開している。16年3月期のセグメント別売上高構成比は、医療用医薬品事業53.8%、コンシューマーヘルスケア事業46.0%、その他(保険代理業・不動産賃貸収入)0.3%だった。海外売上高比率は20.0%だった。

 医療用医薬品事業は潰瘍性大腸炎治療剤「アサコール」を主力として、H2受容体拮抗剤「アシノン」や亜鉛含有胃潰瘍治療剤「プロマック」なども展開している。13年6月には自社開発の機能性ディスペプシア治療剤「アコファイド」を発売し、アステラス製薬<4503>と共同で早期の市場浸透を目指している。

 コンシューマーヘルスケア事業はヘパリーゼ群、コンドロイチン群、ウィズワン群を主力としている。16年3月にはコンビニエンスストア向け清涼飲料水「ヘパリーゼWプレミアム」を発売し、製品ラインアップを充実した。

■グローバル展開を推進

 M&Aを活用してグローバル展開も推進している。08年10月基礎化粧品のイオナ、09年9月「アサコール」の開発会社ティロッツ社(スイス)、10年9月コンドロイチン原料のZPD社(デンマーク)を子会社化、13年8月ビフォーファーマ社(スイス)と鉄欠乏症治療剤「Ferinject」の日本国内における独占的開発・販売契約締結、ZPD社の株式を追加取得して完全子会社化した。

 また15年4月にはベトナムの中堅医薬品製造販売会社F.T.Pharma社の株式49.0%を取得した。当社グループのアジア展開の拠点とする。

■アストラゼネカのIBD治療剤の権利取得

 15年7月には消化器領域に特化した子会社のティロッツ社(スイス)が、アストラゼネカ社が販売している炎症性腸疾患(IBD)治療剤「Entocort」(一般名:ブデソニド)の、米国を除く全世界における権利を取得する契約を締結した。

 炎症性腸疾患(IBD)は潰瘍性大腸炎(UC)およびクローン病(CD)を含めて、世界中に約500万人の患者が存在すると推定されている疾患である。米国を除く全世界40ヶ国以上でCDを適応として販売されているIBD治療剤「Entocort」の権利を取得することにより、IBD治療においてUCの第1選択薬として用いられている「アサコール」を補完することが可能になる。

■消化器分野を最重点領域として新薬開発を推進

 新薬開発は消化器分野を最重点領域と位置付けて、国際的に通用する新薬の創製を念頭に置き、自社オリジナル品の海外での臨床試験を積極的に推進するとともに、海外で実績のある薬剤を導入して国内での開発を進めている。

 14年8月にはエーザイ<4523>の新規化合物「E3710」(プロトンポンプ阻害剤:PPI)に関するライセンス契約を締結した。エーザイは当社に対して「E3710」の日本における独占的開発権、共同販促権、非独占的製造権を付与し、開発および製造販売承認は当社が行う。承認取得後は両社で共同販促を行う。14年9月には日本で初めて月経前症候群の効能を取得した西洋ハーブ・ダイレクトOTC医薬品「プレフェミン」(要指導医薬品)を販売開始した。

 アストラゼネカから導入したクローン病を適応症とする糖質コルチコイド「ブデソニド」(炎症性腸疾患治療剤「Entocort」)は、15年10月に国内製造販売承認申請を実施した。販売名は「ゼンタコート」の予定としている。

 潰瘍性大腸炎を適応症として「アサコール」の用法・用量を追加する「Z−206」(一般名メサラジン、協和発酵キリンとの共同開発)はフェーズ3段階である。膵臓癌を適応症とする「Z−360」は日本を含むアジア地域においてフェーズ2国際共同治験を実施している。エーザイから導入した長時間作用型プロトンポンプ阻害剤「Z−215」は逆流性食道炎を適応症としたフェーズ2を実施している。子宮頸癌を適応症とする「Z−100」は日本を含むアジア地域においてフェーズ3国際共同治験を実施している。ビフォーファーマ社から導入した鉄欠乏性貧血治療剤「Z−213」はフェーズ3を開始した。

 海外は中国で潰瘍性大腸炎を適応症として「Z−206」(メサラジン)を承認申請中である。潰瘍性大腸炎を適応症とする「TP05」(メサラジン)は欧州・カナダでフェーズ3を実施している。自社開発の「Z−338」(アコファイド)は欧州において機能性ディスペプシアを対象としたフェーズ3を実施し、北米ではフェーズ2が終了した。導入品で家族性大腸腺腫症を適応症とする「TP09」は欧州・米国でフェーズ3を実施している。

■15年3月期は新規開発テーマ導入費用や研究開発費を想定以上に投入

 15年3月期の四半期別業績推移を見ると、売上高は第1四半期147億15百万円、第2四半期154億21百万円、第3四半期156億46百万円、第4四半期152億30百万円、営業利益は第1四半期8億58百万円、第2四半期14億21百万円、第3四半期10億61百万円、第4四半期6億62百万円の赤字だった。

 15年3月期は薬価改定や後発品使用促進の影響、機能性ディスペプシア治療剤「アコファイド」の市場構築遅れ、ライセンス収入やロイヤリティ収入の減少、広告宣伝費の増加、当初予定していなかった新規開発テーマ導入費用の発生、欧州とアジア地域で実施している治験の進捗による研究開発費の想定以上の増加などで大幅減益だった。

 15年3月期の差引売上総利益率は69.7%で14年3月期比0.7ポイント低下、販管費比率は65.3%で同5.9ポイント上昇した。ROEは4.2%で同6.9ポイント低下、自己資本比率は65.0%で同6.0ポイント上昇した。配当性向は62.3%だった。

■16年3月期は研究開発費減少などで大幅増益・増配

 前期(16年3月期)の連結業績は前々期(15年3月期)比2.4%増収、同70.4%営業増益、同60.7%経常増益、同37.4%最終増益だった。コンシューマーヘルスケア事業が好調に推移し、研究開発費の減少も寄与して医療用医薬品事業の損益が大幅に改善した。差引売上総利益は同4.7%増加し、差引売上総利益率は71.3%で同1.6ポイント上昇した。販管費は同0.3%増加にとどまり、販管費比率は64.0%で同1.3ポイント上低下した。研究開発費は同13.2%減少して85億79百万円だった。

 営業外費用では為替差損益が悪化(前々期は差損6百万円、前期は差損1億36百万円)し、特別利益では投資有価証券売却益が減少(前々期15億07百万円、前期10億87百万円)した。特別損失では投資有価証券評価損1億18百万円を計上したが、減損損失が減少(前々期2億73百万円、前期1億43百万円)した。ROEは5.6%で同1.4ポイント上昇、自己資本比率は53.5%で同11.5ポイント低下した。配当は同1円増配の年間31円(第2四半期末15円、期末16円)で配当性向は46.9%だった。

 セグメント別動向を見ると、医療用医薬品事業は売上高が同0.5%減の335億80百万円、営業利益(連結調整前)が同56.5%増の30億24百万円だった。潰瘍性大腸炎治療剤「アサコール」は国内が順調だったが、海外がスイスフラン高の影響を受けたため全体として横ばいだった。H2受容体拮抗剤「アシノン」や亜鉛含有胃潰瘍治療剤「プロマック」は後発医薬品使用促進の影響を受けて苦戦した。機能性ディスペプシア治療剤「アコファイド」は、市場構築が計画に対して遅れている状況だが、医療機関における疾患および治療法などの認知度向上に努めている。

 コンシューマーヘルスケア事業は売上高が同6.1%増の287億41百万円、営業利益が同13.4%増の66億16百万円だった。ヘパリーゼ群が製品認知度向上や製品ラインナップ充実などで好調に推移し、コンドロイチン群も圧倒的な市場シェアを堅持した。その他(保険代理業・不動産賃貸収入)は売上高が同3.4%減の1億52百万円、営業利益が同2.8%増の2億40百万円だった。

 四半期別の推移を見ると、売上高は第1四半期147億25百万円、第2四半期156億18百万円、第3四半期167億11百万円、第4四半期154億21百万円、営業利益は第1四半期10億27百万円、第2四半期10億87百万円、第3四半期16億78百万円、第4四半期7億73百万円だった。

■17年3月期も増収増益・増配予想

 今期(17年3月期)の連結業績予想(5月13日公表)については、売上高が前期(16年3月期)比5.6%増の660億円、営業利益が同5.1%増の48億円、経常利益が同3.4%増の46億円、純利益が同2.5%増の36億円としている。配当予想は同1円増配の年間32円(第2四半期末16円、期末16円)で予想配当性向は47.2%となる。

 医療用医薬品事業では、国内は薬価改定や後発品の影響を受けるが、潰瘍性大腸炎治療剤「アサコール」が海外で伸長し、炎症性腸疾患(IBD)治療剤「Entocort」の通期寄与、機能性ディスペプシア治療剤「アコファイド」の市場構築などで増収を見込んでいる。コンシューマーヘルスケア事業では、ヘパリーゼ群やコンドロイチン群が引き続き好調に推移する。研究開発費が高水準に推移して広告宣伝費も増加するが、増収効果で吸収して増益・増配予想である。

■株主優待は毎年9月末と3月末の年2回実施、優待品を追加

 株主優待制度は毎年9月末および3月末現在の株主に対して自社グループ商品を贈呈している。5月13日に優待品の追加を発表した。1000株以上所有株主に対しては、従来はA〜Eの5コースの中から1コースを選択していたが、Fコースを追加して6コースの中から1コースを選択する。なお100株以上〜1000株未満所有株主に対しては、内容については従来から変更はなく、コース名をFコースからGコースに変更して贈呈する。

■株価は下値固め完了して戻り歩調

 株価の動きを見ると、安値圏1300円〜1500円近辺でのモミ合いから上放れの動きを強めている。下値固めが完了したようだ。

 6月23日の終値1524円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS67円78銭で算出)は22〜23倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間32円で算出)は2.1%近辺、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS1199円94銭で算出)は1.3倍近辺である。時価総額は約810億円である。

 週足チャートで見ると13週移動平均線に続いて26週移動平均線を突破した。下値固めが完了して戻り歩調の展開だろう。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media−IR)
[5月24日更新]

ゼリア新薬工業は調整一巡して出直り、17年3月期増収増益・増配予想

 ゼリア新薬工業<4559>(東1)は消化器分野が中心の医療用医薬品事業、および一般用医薬品のコンシューマーヘルスケア事業を展開している。医療用医薬品事業では潰瘍性大腸炎治療剤「アサコール」が伸長し、コンシューマーヘルスケア事業ではヘパリーゼ群が好調に推移している。16年3月期は大幅増益・増配だった。そして17年3月期も増収増益・増配予想である。株価は調整が一巡して出直り展開だろう。

■消化器分野が中心の医薬品メーカー

 消化器分野が中心の医療用医薬品事業、および一般用医薬品のコンシューマーヘルスケア事業を展開している。

 医療用医薬品事業では、潰瘍性大腸炎治療剤「アサコール」を主力として、H2受容体拮抗剤「アシノン」や亜鉛含有胃潰瘍治療剤「プロマック」なども展開している。13年6月には自社開発の機能性ディスペプシア治療剤「アコファイド」を発売し、アステラス製薬<4503>と共同で早期の市場浸透を目指している。

 コンシューマーヘルスケア事業では、ヘパリーゼ群、コンドロイチン群、ウィズワン群を主力としている。15年10月には肝臓水解物・イノシトール配合の滋養強壮保健剤「ヘパリーゼ・プラス2」(第3類医薬品)を全国の薬局・ドラッグストアにおいて発売開始した。さらに関節痛・腰痛治療薬「コンドロイチンZS錠」(第3類医薬品)の錠剤を小型化した製品の販売を開始した。また16年3月にはコンビニエンスストア向け清涼飲料水「ヘパリーゼWプレミアム」を発売開始し、製品ラインアップを充実した。

 なお16年3月期の事業別売上高構成比は、医療用医薬品事業が53.8%、コンシューマーヘルスケア事業が46.0%、その他(保険代理業・不動産賃貸収入)が0.3%だった。

■グローバル展開を推進

 M&Aを活用してグローバル展開も推進している。08年10月基礎化粧品のイオナ、09年9月「アサコール」の開発会社ティロッツ社(スイス)、10年9月コンドロイチン原料のZPD社(デンマーク)を子会社化した。

 13年8月にはビフォーファーマ社(スイス)と鉄欠乏症治療剤「Ferinject」の日本国内における独占的開発・販売契約を締結した。またZPD社の株式を追加取得して完全子会社化した。

 15年4月にはベトナムの中堅医薬品製造販売会社F.T.Pharma社の株式49.0%取得を発表した。当社グループのアジア地域における事業展開の拠点とする。

■アストラゼネカのIBD治療剤の権利を取得

 15年7月には消化器領域に特化した子会社のティロッツ社(スイス)が、アストラゼネカ社が販売している炎症性腸疾患(IBD)治療剤「Entocort」(一般名:ブデソニド)の、米国を除く全世界における権利を取得する契約を締結した。取得額は2億15百万米ドル(約265億円)である。

 炎症性腸疾患(IBD)は潰瘍性大腸炎(UC)およびクローン病(CD)を含めて、世界中に約500万人の患者が存在すると推定されている疾患である。米国を除く全世界40ヶ国以上でCDを適応として販売されているIBD治療剤「Entocort」の権利を取得することにより、IBD治療においてUCの第1選択薬として用いられている「アサコール」を補完することが可能になる。

■消化器分野を最重点領域として新薬開発を推進

 新薬開発は消化器分野を最重点領域と位置付けて、国際的に通用する新薬の創製を念頭に置き、自社オリジナル品の海外での臨床試験を積極的に推進するとともに、海外で実績のある薬剤を導入して国内での開発を進めている。

 14年8月にはエーザイの新規化合物「E3710」(プロトンポンプ阻害剤:PPI)に関するライセンス契約を締結した。エーザイは当社に対して「E3710」の日本における独占的開発権、共同販促権、非独占的製造権を付与し、開発および製造販売承認は当社が行う。承認取得後は両社で共同販促を行う。

 14年9月には、日本で初めて月経前症候群の効能を取得した西洋ハーブ・ダイレクトOTC医薬品「プレフェミン」(要指導医薬品)を販売開始した。

 アストラゼネカから導入したクローン病を適応症とする糖質コルチコイド「ブデソニド」(炎症性腸疾患治療剤「Entocort」)は、15年10月に国内製造販売承認申請を実施した。販売名は「ゼンタコート」の予定としている。

 国内消火器系分野の「Z−206」(一般名メサラジン、協和発酵キリンとの共同開発)は、フェーズ3段階である。潰瘍性大腸炎を適応症として「アサコール」の用法・用量を追加する。

 膵臓癌を適応症とする「Z−360」は、日本を含むアジア地域においてフェーズ2国際共同治験を実施している。エーザイ<4523>から導入した長時間作用型プロトンポンプ阻害剤「Z−215」は、逆流性食道炎を適応症としたフェーズ2を実施している。その他の分野では、子宮頸癌を適応症とする「Z−100」が、日本を含むアジア地域においてフェーズ3国際共同治験を実施している。ビフォーファーマ社から導入した鉄欠乏性貧血治療剤「Z−213」はフェーズ3を開始した。

 海外は、中国で潰瘍性大腸炎を適応症として「Z−206」(メサラジン)を承認申請中である。潰瘍性大腸炎を適応症とする「TP05」(メサラジン)は欧州・カナダでフェーズ3を実施している。自社開発の「Z−338」(アコファイド)は、欧州において機能性ディスペプシアを対象としたフェーズ3を実施し、北米ではフェーズ2が終了した。導入品で家族性大腸腺腫症を適応症とする「TP09」は欧州・米国でフェーズ3を実施している。

■15年3月期は新規開発テーマ導入費用や研究開発費を想定以上に投入

 なお15年3月期の四半期別業績推移を見ると、売上高は第1四半期(4月〜6月)147億15百万円、第2四半期(7月〜9月)154億21百万円、第3四半期(10月〜12月)156億46百万円、第4四半期(1月〜3月)152億30百万円、営業利益は第1四半期8億58百万円、第2四半期14億21百万円、第3四半期10億61百万円、第4四半期6億62百万円の赤字だった。

 15年3月期は、薬価改定や後発品使用促進の影響、機能性ディスペプシア治療剤「アコファイド」の市場構築遅れ、ライセンス収入やロイヤリティ収入の減少、広告宣伝費の増加、成長戦略に欠かせない新薬パイプラインの充実を図るため当初予定していなかった新規開発テーマの導入費用の発生、ヨーロッパとアジア地域で実施している治験の進捗による研究開発費の想定以上の増加などで大幅減益だった。

 15年3月期の差引売上総利益率は69.7%で14年3月期比0.7ポイント低下、販管費比率は65.3%で同5.9ポイント上昇した。ROEは4.2%で同6.9ポイント低下、自己資本比率は65.0%で同6.0ポイント上昇した。配当性向は62.3%だった。

■16年3月期は研究開発費の減少も寄与して大幅増益・増配

 5月13日発表した前期(16年3月期)の連結業績は、売上高が前々期(15年3月期)比2.4%増の624億75百万円、営業利益が同70.4%増の45億65百万円、経常利益が同60.7%増の44億50百万円、純利益が同37.4%増の35億13百万円だった。

 売上高は計画をやや下回ったが、各利益は計画超の大幅増益だった。コンシューマーヘルスケア事業が好調に推移し、研究開発費の減少も寄与して医療用医薬品事業の損益が大幅に改善した。なお海外売上高比率は20.0%で同2.8ポイント上昇した。

 差引売上総利益は同4.7%増加し、差引売上総利益率は71.3%で同1.6ポイント上昇した。販管費は同0.3%増加にとどまり、販管費比率は64.0%で同1.3ポイント上低下した。研究開発費は同13.2%減少して85億79百万円だった。営業外費用では為替差損益が悪化(前々期は差損6百万円計上、前期は差損1億36百万円計上)した。特別利益では投資有価証券売却益が減少(前々期15億07百万円計上、前期10億87百万円計上)した。特別損失では投資有価証券評価損1億18百万円を計上したが、減損損失が減少(前々期2億73百万円計上、前期1億43百万円計上)した。また前々期計上した買収調査費用95百万円が一巡した。

 配当については5月13日に期末1円増額を発表して、同1円増配の年間31円(第2四半期末15円、期末16円)とした。配当性向は46.9%となる。ROEは5.6%で同1.4ポイント上昇、自己資本比率は53.5%で同11.5ポイント低下した。

 セグメント別動向を見ると、医療用医薬品事業は売上高が同0.5%減の335億80百万円、営業利益(連結調整前)が同56.5%増の30億24百万円だった。売上面では、潰瘍性大腸炎治療剤「アサコール」は国内が順調だったが、海外がスイスフラン高の影響を受けたため、全体として横ばいだった。H2受容体拮抗剤「アシノン」や亜鉛含有胃潰瘍治療剤「プロマック」は、後発医薬品使用促進の影響を受けて苦戦した。機能性ディスペプシア治療剤「アコファイド」は、市場構築が計画に対して遅れている状況だが、医療機関における疾患および治療法などの認知度向上に努めている。

 コンシューマーヘルスケア事業は売上高が同6.1%増の287億41百万円、営業利益が同13.4%増の66億16百万円だった。主力のヘパリーゼ群が製品認知度向上効果や製品ラインナップ充実効果などで好調だった。コンドロイチン群も圧倒的な市場シェアを堅持した。その他(保険代理業・不動産賃貸収入)は売上高が同3.4%減の1億52百万円、営業利益が同2.8%増の2億40百万円だった。

 なお四半期別の業績推移を見ると、売上高は第1四半期(4月〜6月)147億25百万円、第2四半期(7月〜9月)156億18百万円、第3四半期(10月〜12月)167億11百万円、第4四半期(1月〜3月)154億21百万円、営業利益は第1四半期10億27百万円、第2四半期10億87百万円、第3四半期16億78百万円、第4四半期7億73百万円だった。

■17年3月期も増収増益・増配予想

 今期(17年3月期)の連結業績予想(5月13日公表)については、売上高が前期(16年3月期)比5.6%増の660億円、営業利益が同5.1%増の48億円、経常利益が同3.4%増の46億円、純利益が同2.5%増の36億円としている。配当予想は同1円増配の年間32円(第2四半期末16円、期末16円)としている。予想配当性向は47.2%となる。

 医療用医薬品事業では、国内は薬価改定や後発品の影響を受けるが、潰瘍性大腸炎治療剤「アサコール」が海外で伸長し、炎症性腸疾患(IBD)治療剤「Entocort」の通期寄与、機能性ディスペプシア治療剤「アコファイド」の市場構築などで増収を見込んでいる。コンシューマーヘルスケア事業では、ヘパリーゼ群やコンドロイチン群が引き続き好調に推移する。研究開発費が高水準で推移し、広告宣伝費も増加するが、増収効果で吸収して増益・増配予想である。

■株主優待は毎年9月末と3月末の年2回実施、優待品を追加

 株主優待制度については、毎年9月末および3月末現在の株主に対して自社グループ商品を贈呈している。

 5月13日に優待品の追加を発表した。1000株以上所有株主に対しては、従来はA〜Eの5コースの中から1コースを選択していたが、Fコースを追加して6コースの中から1コースを選択する。なお100株以上〜1000株未満所有株主に対しては、内容については従来から変更はなく、コース名をFコースからGコースに変更して贈呈する。

■株価は調整一巡して出直り

 株価の動きを見ると、直近安値圏1300円台から切り返して調整一巡感を強めている。17年3月期増収増益・増配予想も好感したようだ。

 5月23日の終値1454円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS67円78銭で算出)は21〜22倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間32円で算出)は2.2%近辺、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS1199円94銭で算出)は1.2倍近辺である。時価総額は約772億円である。

 週足チャートで見ると13週移動平均線を回復し、戻りを押さえている26週移動平均線突破の動きを強めている。調整が一巡して出直り展開だろう。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media−IR)
[4月18日更新]

ゼリア新薬工業は16年3月期大幅増益予想、17年3月期も増収増益基調期待

 ゼリア新薬工業<4559>(東1)は消化器分野が中心の医療用医薬品事業と、一般用医薬品のコンシューマーヘルスケア事業を展開している。医療用医薬品事業では潰瘍性大腸炎治療剤「アサコール」が国内外で伸長し、コンシューマーヘルスケア事業ではヘパリーゼ群が好調に推移している。16年3月期は大幅増益予想で増額余地がありそうだ。さらに17年3月期も増収増益基調が期待される。株価は調整が一巡して出直り展開だろう。

■消化器分野が中心の医薬品メーカー

 消化器分野が中心の医療用医薬品事業と、一般用医薬品のコンシューマーヘルスケア事業を展開している。

 医療用医薬品事業では、潰瘍性大腸炎治療剤「アサコール」を主力として、H2受容体拮抗剤「アシノン」や亜鉛含有胃潰瘍治療剤「プロマック」なども展開している。そして13年6月には自社開発の機能性ディスペプシア治療剤「アコファイド」を発売し、アステラス製薬<4503>と共同で早期の市場浸透を目指している。

 コンシューマーヘルスケア事業では、ヘパリーゼ群、コンドロイチン群、およびウィズワン群を主力としている。15年10月には肝臓水解物・イノシトール配合の滋養強壮保健剤「ヘパリーゼ・プラス2」(第3類医薬品)を全国の薬局・ドラッグストアにおいて発売開始した。さらに関節痛・腰痛治療薬「コンドロイチンZS錠」(第3類医薬品)の錠剤を小型化した製品の販売を開始した。また16年3月にはコンビニエンスストア向け清涼飲料水「ヘパリーゼWプレミアム」を発売開始した。肝臓エキス配合量を増量した「ヘパリーゼWプレミアム」を投入して製品ラインアップを充実した。

■グローバル展開を推進

 M&Aを活用してグローバル展開も推進している。08年10月基礎化粧品のイオナ、09年9月「アサコール」の開発会社ティロッツ社(スイス)、10年9月コンドロイチン原料のZPD社(デンマーク)を子会社化した。

 13年8月にはビフォーファーマ社(スイス)と鉄欠乏症治療剤「Ferinject」の日本国内における独占的開発・販売契約を締結した。またZPD社の株式を追加取得して完全子会社化した。

 15年4月にはベトナムの中堅医薬品製造販売会社F.T.Pharma社の株式49.0%取得を発表した。当社グループのアジア地域における事業展開の拠点とする。

■アストラゼネカのIBD治療剤の権利を取得

 15年7月には消化器領域に特化した子会社のティロッツ社(スイス)が、アストラゼネカ社が販売している炎症性腸疾患(IBD)治療剤「Entocort」(一般名:ブデソニド)の、米国を除く全世界における権利を取得する契約を締結した。取得額は2億15百万米ドル(約265億円)である。

 炎症性腸疾患(IBD)は潰瘍性大腸炎(UC)およびクローン病(CD)を含めて、世界中に約500万人の患者が存在すると推定されている疾患である。米国を除く全世界40ヶ国以上でCDを適応として販売されているIBD治療剤「Entocort」の権利を取得することにより、IBD治療においてUCの第1選択薬として用いられている「アサコール」を補完することが可能になる。

■消化器分野を最重点領域として新薬開発を推進

 新薬開発は消化器分野を最重点領域と位置付けて、国際的に通用する新薬の創製を念頭に置き、自社オリジナル品の海外での臨床試験を積極的に推進するとともに、海外で実績のある薬剤を導入して国内での開発を進めている。

 14年8月にはエーザイの新規化合物「E3710」(プロトンポンプ阻害剤:PPI)に関するライセンス契約を締結した。エーザイは当社に対して「E3710」の日本における独占的開発権、共同販促権、非独占的製造権を付与し、開発および製造販売承認は当社が行う。承認取得後は両社で共同販促を行う。

 14年9月には、日本で初めて月経前症候群の効能を取得した西洋ハーブ・ダイレクトOTC医薬品「プレフェミン」(要指導医薬品)を販売開始した。

 アストラゼネカから導入したクローン病を適応症とする糖質コルチコイド「ブデソニド」は承認申請中である。販売名は「ゼンタコート」の予定としている。

 国内消火器系分野の「Z−206」(一般名メサラジン、協和発酵キリンとの共同開発)は、潰瘍性大腸炎を適応症として「アサコール」の用法・用量を追加するフェーズ3段階である。

 膵臓癌を適応症とする「Z−360」は日本を含むアジア地域における国際共同フェーズ2段階である。エーザイ<4523>から導入した長時間作用型プロトンポンプ阻害剤「Z−215」は酸分泌関連疾患を適応症としてフェーズ2段階である。その他の分野では、子宮頸癌を適応症とする「Z−100」が日本を含むアジア地域における国際共同フェーズ3段階である。ビフォーファーマ社から導入した鉄欠乏性貧血治療剤「Z−213」はフェーズ1b段階である。

 海外は、中国で潰瘍性大腸炎を適応症として「Z−206」(メサラジン)を承認申請中である。また潰瘍性大腸炎を適応症として「TP05」(メサラジン)は欧州・カナダでフェーズ3段階である。機能性ディスペプシアを適応症とする「Z−338」は欧州でフェーズ3を実施し、北米ではフェーズ2が終了した。導入品で家族性大腸腺腫症を適応症とする「TP09」は欧州・米国でフェーズ3段階である。

■15年3月期は新規開発テーマ導入費用や研究開発費を想定以上に投入

 15年3月期の四半期別推移を見ると、売上高は第1四半期(4月〜6月)147億15百万円、第2四半期(7月〜9月)154億21百万円、第3四半期(10月〜12月)156億46百万円、第4四半期(1月〜3月)152億30百万円、営業利益は第1四半期8億58百万円、第2四半期14億21百万円、第3四半期10億61百万円、第4四半期6億62百万円の赤字だった。

 15年3月期は薬価改定や後発品使用促進の影響、機能性ディスペプシア治療剤「アコファイド」の市場構築遅れ、ライセンス収入やロイヤリティ収入の減少、広告宣伝費の増加、成長戦略に欠かせない新薬パイプラインの充実を図るため当初予定していなかった新規開発テーマの導入費用の発生、ヨーロッパとアジア地域で実施している治験の進捗による研究開発費の想定以上の増加などで大幅減益だった。

 15年3月期の差引売上総利益率は69.7%で14年3月期比0.7ポイント低下、販管費比率は65.3%で同5.9ポイント上昇、ROEは4.2%で同6.9ポイント低下、自己資本比率は65.0%で同6.0ポイント上昇した。配当性向は62.3%だった。

■16年3月期第3四半期累計は2桁営業増益

 前期(16年3月期)第3四半期累計(4月〜12月)の連結業績は、売上高が前年同期比2.8%増の470億54百万円、営業利益が同13.5%増の37億92百万円、経常利益が同13.0%増の37億66百万円、純利益が同%5.5%増の33億35百万円だった。

 コンシューマーヘルスケア事業のヘパリーゼ群が好調に推移した。差引売上総利益率は71.2%で同1.6ポイント上昇、販管費比率は63.2%で同0.9ポイント上昇した。営業外費用では為替差損が縮小(前期1億10百万円計上、今期74百万円計上)した。特別利益では投資有価証券売却益が減少(前期13億88百万円計上、今期10億87百万円計上)した。特別損失では前期計上の買収調査費用95百万円が一巡した。

 セグメント別に見ると、医療用医薬品事業は売上高が同1.6%増の253億73百万円、営業利益(連結調整前)が同1.7%増の27億23百万円だった。潰瘍性大腸炎治療剤「アサコール」は、海外ではスイスフラン高の影響を受けたが、国内が順調だった。H2受容体拮抗剤「アシノン」や亜鉛含有胃潰瘍治療剤「プロマック」は後発医薬品の使用促進の影響を受けて苦戦した。機能性ディスペプシア治療剤「アコファイド」は市場構築が計画に対して遅れているが、医療機関における疾患および治療法などの認知度向上に努めている。

 コンシューマーヘルスケア事業は、売上高が同4.3%増の215億61百万円、営業利益が同13.9%増の48億88百万円だった。主力のヘパリーゼ群が製品認知度向上効果や製品ラインナップ充実効果などで好調だった。コンドロイチン群も圧倒的な市場シェアを堅持した。その他(保険代理業・不動産賃貸収入)は売上高が同0.4%減の1億18百万円、営業利益が同1.9%減の1億81百万円だった。

 なお四半期別業績推移を見ると、売上高は第1四半期(4月〜6月)147億25百万円、第2四半期(7月〜9月)156億18百万円、第3四半期(10月〜12月)167億11百万円、営業利益は第1四半期10億27百万円、第2四半期10億87百万円、第3四半期16億78百万円だった。

■16年3月期大幅増益予想、17年3月期も増収増益基調期待

 前期(16年3月期)通期連結業績予想(10月28日に利益を増額)は、売上高が前々期(15年3月期)比6.5%増の650億円、営業利益が同68.0%増の45億円、経常利益が同48.0%増の41億円、純利益が同29.0%増の33億円としている。配当予想(5月8日公表)は前々期と同額の年間30円(第2四半期末15円、期末15円)としている。予想配当性向は48.3%となる。

 医療用医薬品事業では潰瘍性大腸炎治療剤「アサコール」が国内外で伸長し、コンシューマーヘルスケア事業も引き続き好調に推移する。15年7月に権利取得した炎症性腸疾患(IBD)治療剤「Entocort」も寄与する。研究開発費や広告宣伝費が増加するが、増収効果で吸収して大幅増益予想だ。

 通期会社予想に対する第3四半期累計の進捗率は売上高が72.4%、営業利益が84.3%、経常利益が91.9%、純利益が101.1%と高水準である。為替相場の不透明感や16年4月実施の薬価改定の影響などを考慮して通期会社予想を据え置いたが、増額余地がありそうだ。機能性ディスペプシア治療剤「アコファイド」の市場浸透進展や、炎症性腸疾患(IBD)治療剤「Entocort」の寄与も期待され、16年3月期の収益は改善基調だろう。さらに17年3月期も増収増益基調が期待される。

■株主優待は毎年9月末と3月末の年2回実施

 株主優待制度については、毎年9月末および3月末現在の株主に対して自社グループ商品を贈呈している。

 1000株以上所有株主に対してはA・B・C・D・Eコースの中からいずれか1コース選択、100株以上〜1000株未満所有株主に対してはFコースを贈呈する。

■株価は調整一巡して出直り展開

 株価の動きを見ると、3月23日の戻り高値1548円から一旦反落したが、1月安値1281円まで下押すことなく、4月6日の直近安値1302円から切り返している。調整が一巡したようだ。

 4月15日の終値1431円を指標面で見ると、前期推定連結PER(会社予想の連結EPS62円13銭で算出)は23倍近辺、前期推定配当利回り(会社予想の年間30円で算出)は2.1%近辺、前々期実績連結PBR(前々期実績の連結BPS1178円00銭で算出)は1.2倍近辺である。時価総額は約760億円である。

 週足チャートで見ると26週移動平均線が戻りを押さえる形となって反落したが、2月安値まで下押すことなく13週移動平均線を素早く回復した。調整が一巡して出直り展開だろう。

(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media−IR)
[3月24日更新]

ゼリア新薬工業は16年3月期業績予想に増額余地、3月期末の株主優待も注目

 ゼリア新薬工業<4559>(東1)は消化器分野が中心の医療用医薬品事業と、一般用医薬品のコンシューマーヘルスケア事業を展開している。16年3月期は大幅増益予想で増額余地がありそうだ。医療用医薬品事業では潰瘍性大腸炎治療剤「アサコール」が国内外で伸長し、コンシューマーヘルスケア事業ではヘパリーゼ群が好調に推移している。株価は調整が一巡して戻り歩調の展開だ。3月期末の株主優待も注目点となる。

■消化器分野が中心の医薬品メーカー

 消化器分野が中心の医療用医薬品事業と、一般用医薬品のコンシューマーヘルスケア事業を展開している。

 医療用医薬品事業では、潰瘍性大腸炎治療剤「アサコール」を主力として、H2受容体拮抗剤「アシノン」や亜鉛含有胃潰瘍治療剤「プロマック」なども展開している。そして13年6月には自社開発の機能性ディスペプシア治療剤「アコファイド」を発売し、アステラス製薬<4503>と共同で早期の市場浸透を目指している。

 コンシューマーヘルスケア事業では、ヘパリーゼ群、コンドロイチン群、およびウィズワン群を主力としている。15年10月には、肝臓水解物・イノシトール配合の滋養強壮保健剤「ヘパリーゼ・プラス2」(第3類医薬品)を、全国の薬局・ドラッグストアにおいて発売開始した。さらに関節痛・腰痛治療薬「コンドロイチンZS錠」(第3類医薬品)の錠剤を小型化した製品の販売を開始した。

 3月14日にはコンビニエンスストア向け清涼飲料水「ヘパリーゼWプレミアム」を3月21日から発売すると発表した。肝臓エキス配合量を増量した「ヘパリーゼWプレミアム」を投入して製品ラインアップを充実する。

■グローバル展開を推進

 M&Aを活用してグローバル展開も推進している。08年10月基礎化粧品のイオナ、09年9月「アサコール」の開発会社ティロッツ社(スイス)、10年9月コンドロイチン原料のZPD社(デンマーク)を子会社化した。

 13年8月にはビフォーファーマ社(スイス)と鉄欠乏症治療剤「Ferinject」の日本国内における独占的開発・販売契約を締結した。またZPD社の株式を追加取得して完全子会社化した。

 15年4月にはベトナムの中堅医薬品製造販売会社F.T.Pharma社の株式49.0%取得を発表した。当社グループのアジア地域における事業展開の拠点とする。

■アストラゼネカのIBD治療剤の権利を取得

 15年7月には消化器領域に特化した子会社のティロッツ社(スイス)が、アストラゼネカ社が販売している炎症性腸疾患(IBD)治療剤「Entocort」(一般名:ブデソニド)の、米国を除く全世界における権利を取得する契約を締結した。取得額は2億15百万米ドル(約265億円)である。

 炎症性腸疾患(IBD)は潰瘍性大腸炎(UC)およびクローン病(CD)を含めて、世界中に約500万人の患者が存在すると推定されている疾患である。米国を除く全世界40ヶ国以上でCDを適応として販売されているIBD治療剤「Entocort」の権利を取得することにより、IBD治療においてUCの第1選択薬として用いられている「アサコール」を補完することが可能になる。

■消化器分野を最重点領域として新薬開発を推進

 新薬開発は消化器分野を最重点領域と位置付けて、国際的に通用する新薬の創製を念頭に置き、自社オリジナル品の海外での臨床試験を積極的に推進するとともに、海外で実績のある薬剤を導入して国内での開発を進めている。

 14年8月にはエーザイの新規化合物「E3710」(プロトンポンプ阻害剤:PPI)に関するライセンス契約を締結した。エーザイは当社に対して「E3710」の日本における独占的開発権、共同販促権、非独占的製造権を付与し、開発および製造販売承認は当社が行う。承認取得後は両社で共同販促を行う。

 14年9月には、日本で初めて月経前症候群の効能を取得した西洋ハーブ・ダイレクトOTC医薬品「プレフェミン」(要指導医薬品)を販売開始した。

 アストラゼネカから導入したクローン病を適応症とする糖質コルチコイド「ブデソニド」は承認申請中である。販売名は「ゼンタコート」の予定としている。

 国内消火器系分野の「Z−206」(一般名メサラジン、協和発酵キリンとの共同開発)は、潰瘍性大腸炎を適応症として「アサコール」の用法・用量を追加するフェーズ3段階である。

 膵臓癌を適応症とする「Z−360」は日本を含むアジア地域における国際共同フェーズ2段階である。エーザイ<4523>から導入した長時間作用型プロトンポンプ阻害剤「Z−215」は酸分泌関連疾患を適応症としてフェーズ2段階である。その他の分野では、子宮頸癌を適応症とする「Z−100」が日本を含むアジア地域における国際共同フェーズ3段階である。ビフォーファーマ社から導入した鉄欠乏性貧血治療剤「Z−213」はフェーズ1b段階である。

 海外は、中国で潰瘍性大腸炎を適応症として「Z−206」(メサラジン)を承認申請中である。また潰瘍性大腸炎を適応症として「TP05」(メサラジン)は欧州・カナダでフェーズ3段階である。機能性ディスペプシアを適応症とする「Z−338」は欧州でフェーズ3を実施し、北米ではフェーズ2が終了した。導入品で家族性大腸腺腫症を適応症とする「TP09」は欧州・米国でフェーズ3段階である。

■15年3月期は新規開発テーマ導入費用や研究開発費を想定以上に投入

 15年3月期の四半期別推移を見ると、売上高は第1四半期(4月〜6月)147億15百万円、第2四半期(7月〜9月)154億21百万円、第3四半期(10月〜12月)156億46百万円、第4四半期(1月〜3月)152億30百万円、営業利益は第1四半期8億58百万円、第2四半期14億21百万円、第3四半期10億61百万円、第4四半期6億62百万円の赤字だった。

 15年3月期は薬価改定や後発品使用促進の影響、機能性ディスペプシア治療剤「アコファイド」の市場構築遅れ、ライセンス収入やロイヤリティ収入の減少、広告宣伝費の増加、成長戦略に欠かせない新薬パイプラインの充実を図るため当初予定していなかった新規開発テーマの導入費用の発生、ヨーロッパとアジア地域で実施している治験の進捗による研究開発費の想定以上の増加などで大幅減益だった。

 15年3月期の差引売上総利益率は69.7%で14年3月期比0.7ポイント低下、販管費比率は65.3%で同5.9ポイント上昇、ROEは4.2%で同6.9ポイント低下、自己資本比率は65.0%で同6.0ポイント上昇した。配当性向は62.3%だった。

■16年3月期第3四半期累計は2桁営業増益

 今期(16年3月期)第3四半期累計(4月〜12月)の連結業績は、売上高が前年同期比2.8%増の470億54百万円、営業利益が同13.5%増の37億92百万円、経常利益が同13.0%増の37億66百万円、純利益が同%5.5%増の33億35百万円だった。

 コンシューマーヘルスケア事業のヘパリーゼ群が好調に推移した。差引売上総利益率は71.2%で同1.6ポイント上昇、販管費比率は63.2%で同0.9ポイント上昇した。営業外費用では為替差損が縮小(前期1億10百万円計上、今期74百万円計上)した。特別利益では投資有価証券売却益が減少(前期13億88百万円計上、今期10億87百万円計上)した。特別損失では前期計上の買収調査費用95百万円が一巡した。

 セグメント別に見ると、医療用医薬品事業は売上高が同1.6%増の253億73百万円、営業利益(連結調整前)が同1.7%増の27億23百万円だった。潰瘍性大腸炎治療剤「アサコール」は、海外ではスイスフラン高の影響を受けたが、国内が順調だった。H2受容体拮抗剤「アシノン」や亜鉛含有胃潰瘍治療剤「プロマック」は後発医薬品の使用促進の影響を受けて苦戦した。機能性ディスペプシア治療剤「アコファイド」は市場構築が計画に対して遅れているが、医療機関における疾患および治療法などの認知度向上に努めている。

 コンシューマーヘルスケア事業は、売上高が同4.3%増の215億61百万円、営業利益が同13.9%増の48億88百万円だった。主力のヘパリーゼ群が製品認知度向上効果や製品ラインナップ充実効果などで好調だった。コンドロイチン群も圧倒的な市場シェアを堅持した。その他(保険代理業・不動産賃貸収入)は売上高が同0.4%減の1億18百万円、営業利益が同1.9%減の1億81百万円だった。

 なお四半期別業績推移を見ると、売上高は第1四半期(4月〜6月)147億25百万円、第2四半期(7月〜9月)156億18百万円、第3四半期(10月〜12月)167億11百万円、営業利益は第1四半期10億27百万円、第2四半期10億87百万円、第3四半期16億78百万円だった。

■16年3月期通期は大幅増益予想で増額余地

 今期(16年3月期)通期連結業績予想(10月28日に利益を増額)は、売上高が前期(15年3月期)比6.5%増の650億円で、営業利益が同68.0%増の45億円、経常利益が同48.0%増の41億円、純利益が同29.0%増の33億円としている。配当予想(5月8日公表)は前期と同額の年間30円(第2四半期末15円、期末15円)としている。予想配当性向は48.3%となる。

 医療用医薬品事業では潰瘍性大腸炎治療剤「アサコール」が国内外で伸長し、コンシューマーヘルスケア事業も引き続き好調に推移する。15年7月に権利取得した炎症性腸疾患(IBD)治療剤「Entocort」も寄与する。研究開発費や広告宣伝費が増加するが、増収効果で吸収して大幅増益予想だ。

 通期会社予想に対する第3四半期累計の進捗率は売上高が72.4%、営業利益が84.3%、経常利益が91.9%、純利益が101.1%と高水準である。為替相場の不透明感や16年4月実施の薬価改定の影響などを考慮して通期会社予想を据え置いたが、増額余地がありそうだ。機能性ディスペプシア治療剤「アコファイド」の市場浸透進展や、炎症性腸疾患(IBD)治療剤「Entocort」の寄与も期待され、16年3月期の収益は改善基調だろう。

■株主優待は毎年9月末と3月末の年2回実施

 株主優待制度については、毎年9月末および3月末現在の株主に対して自社グループ商品を贈呈している。

 1000株以上所有株主に対してはA・B・C・D・Eコースの中からいずれか1コース選択、100株以上〜1000株未満所有株主に対してはFコースを贈呈する。

■株価は調整一巡して戻り歩調

 株価の動きを見ると、2月12日の直近安値1282円から切り返して戻り歩調の展開だ。3月23日には1548円まで上伸した。調整が一巡したようだ。

 3月23日の終値1521円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS62円13銭で算出)は24〜25倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間30円で算出)は2.0%近辺、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS1178円00銭で算出)は1.3倍近辺である。なお時価総額は約808億円である。

 日足チャートで見ると25日移動平均線を突破し、25日移動平均線が上向きに転じた。また週足チャートで見ると13週移動平均線を突破し、続いて26週移動平均線突破の動きを強めている。出直りの動きが本格化しそうだ。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media−IR)
[2月26日更新]

ゼリア新薬工業は16年3月期第3四半期累計の進捗率高水準、大幅増益の通期予想に増額余地

 ゼリア新薬工業<4559>(東1)は、消化器分野が中心の医療用医薬品事業と、一般用医薬品のコンシューマーヘルスケア事業を展開している。16年3月期第3四半期累計は2桁営業増益となり通期会社予想に対する進捗率も高水準だった。大幅増益予想の通期会社予想に増額余地がありそうだ。株価は地合い悪化の影響で安値圏だが下値固め完了感を強めている。反発展開だろう。

■消化器分野が中心の医薬品メーカー

 消化器分野が中心の医療用医薬品事業と、一般用医薬品のコンシューマーヘルスケア事業を展開している。

 医療用医薬品事業では、潰瘍性大腸炎治療剤「アサコール」を主力として、H2受容体拮抗剤「アシノン」や亜鉛含有胃潰瘍治療剤「プロマック」なども展開している。そして13年6月には自社開発の機能性ディスペプシア治療剤「アコファイド」を発売し、アステラス製薬<4503>と共同で早期の市場浸透を目指している。

 コンシューマーヘルスケア事業では、ヘパリーゼ群、コンドロイチン群、およびウィズワン群を主力としている。15年10月には、肝臓水解物・イノシトール配合の滋養強壮保健剤「ヘパリーゼ・プラス2」(第3類医薬品)を、全国の薬局・ドラッグストアにおいて発売開始した。さらに関節痛・腰痛治療薬「コンドロイチンZS錠」(第3類医薬品)の錠剤を小型化した製品の販売を開始した。

■グローバル展開を推進

 M&Aを活用してグローバル展開も推進している。08年10月基礎化粧品のイオナ、09年9月「アサコール」の開発会社ティロッツ社(スイス)、10年9月コンドロイチン原料のZPD社(デンマーク)を子会社化した。

 13年8月にはビフォーファーマ社(スイス)と鉄欠乏症治療剤「Ferinject」の日本国内における独占的開発・販売契約を締結した。またZPD社の株式を追加取得して完全子会社化した。

 15年4月にはベトナムの中堅医薬品製造販売会社F.T.Pharma社の株式49.0%取得を発表した。当社グループのアジア地域における事業展開の拠点とする。

■アストラゼネカのIBD治療剤の権利を取得

 15年7月には消化器領域に特化した子会社のティロッツ社(スイス)が、アストラゼネカ社が販売している炎症性腸疾患(IBD)治療剤「Entocort」(一般名:ブデソニド)の、米国を除く全世界における権利を取得する契約を締結した。取得額は2億15百万米ドル(約265億円)である。

 炎症性腸疾患(IBD)は潰瘍性大腸炎(UC)およびクローン病(CD)を含めて、世界中に約500万人の患者が存在すると推定されている疾患である。米国を除く全世界40ヶ国以上でCDを適応として販売されているIBD治療剤「Entocort」の権利を取得することにより、IBD治療においてUCの第1選択薬として用いられている「アサコール」を補完することが可能になる。

■消化器分野を最重点領域として新薬開発を推進

 新薬開発は消化器分野を最重点領域と位置付けて、国際的に通用する新薬の創製を念頭に置き、自社オリジナル品の海外での臨床試験を積極的に推進するとともに、海外で実績のある薬剤を導入して国内での開発を進めている。

 14年8月にはエーザイの新規化合物「E3710」(プロトンポンプ阻害剤:PPI)に関するライセンス契約を締結した。エーザイは当社に対して「E3710」の日本における独占的開発権、共同販促権、非独占的製造権を付与し、開発および製造販売承認は当社が行う。承認取得後は両社で共同販促を行う。

 14年9月には、日本で初めて月経前症候群の効能を取得した西洋ハーブ・ダイレクトOTC医薬品「プレフェミン」(要指導医薬品)を販売開始した。

 アストラゼネカから導入したクローン病を適応症とする糖質コルチコイド「ブデソニド」は承認申請中である。販売名は「ゼンタコート」の予定としている。

 国内消火器系分野の「Z−206」(一般名メサラジン、協和発酵キリンとの共同開発)は、潰瘍性大腸炎を適応症として「アサコール」の用法・用量を追加するフェーズ3段階である。

 膵臓癌を適応症とする「Z−360」は日本を含むアジア地域における国際共同フェーズ2段階である。エーザイ<4523>から導入した長時間作用型プロトンポンプ阻害剤「Z−215」は酸分泌関連疾患を適応症としてフェーズ2段階である。その他の分野では、子宮頸癌を適応症とする「Z−100」が日本を含むアジア地域における国際共同フェーズ3段階である。ビフォーファーマ社から導入した鉄欠乏性貧血治療剤「Z−213」はフェーズ1b段階である。

 海外は、中国で潰瘍性大腸炎を適応症として「Z−206」(メサラジン)を承認申請中である。また潰瘍性大腸炎を適応症として「TP05」(メサラジン)は欧州・カナダでフェーズ3段階である。機能性ディスペプシアを適応症とする「Z−338」は欧州でフェーズ3を実施し、北米ではフェーズ2が終了した。導入品で家族性大腸腺腫症を適応症とする「TP09」は欧州・米国でフェーズ3段階である。


■15年3月期は新規開発テーマ導入費用や研究開発費を想定以上に投入

 15年3月期の四半期別推移を見ると、売上高は第1四半期(4月〜6月)147億15百万円、第2四半期(7月〜9月)154億21百万円、第3四半期(10月〜12月)156億46百万円、第4四半期(1月〜3月)152億30百万円、営業利益は第1四半期8億58百万円、第2四半期14億21百万円、第3四半期10億61百万円、第4四半期6億62百万円の赤字だった。

 15年3月期は薬価改定や後発品使用促進の影響、機能性ディスペプシア治療剤「アコファイド」の市場構築遅れ、ライセンス収入やロイヤリティ収入の減少、広告宣伝費の増加、成長戦略に欠かせない新薬パイプラインの充実を図るため当初予定していなかった新規開発テーマの導入費用の発生、ヨーロッパとアジア地域で実施している治験の進捗による研究開発費の想定以上の増加などで大幅減益だった。

 15年3月期の差引売上総利益率は69.7%で14年3月期比0.7ポイント低下、販管費比率は65.3%で同5.9ポイント上昇、ROEは4.2%で同6.9ポイント低下、自己資本比率は65.0%で同6.0ポイント上昇した。配当性向は62.3%だった。

■16年3月期第3四半期累計は2桁営業増益

 2月4日発表した今期(16年3月期)第3四半期累計(4月〜12月)連結業績は、売上高が前年同期比2.8%増の470億54百万円、営業利益が同13.5%増の37億92百万円、経常利益が同13.0%増の37億66百万円、純利益が同%5.5%増の33億35百万円だった。

 コンシューマーヘルスケア事業のヘパリーゼ群が好調に推移した。差引売上総利益率は71.2%で同1.6ポイント上昇、販管費比率は63.2%で同0.9ポイント上昇した。営業外費用では為替差損が縮小(前期1億10百万円計上、今期74百万円計上)した。特別利益では投資有価証券売却益が減少(前期13億88百万円計上、今期10億87百万円計上)した。特別損失では前期計上の買収調査費用95百万円が一巡した。

 セグメント別に見ると、医療用医薬品事業は売上高が同1.6%増の253億73百万円、営業利益(連結調整前)が同1.7%増の27億23百万円だった。潰瘍性大腸炎治療剤「アサコール」は、海外ではスイスフラン高の影響を受けたが、国内が順調だった。H2受容体拮抗剤「アシノン」や亜鉛含有胃潰瘍治療剤「プロマック」は後発医薬品の使用促進の影響を受けて苦戦した。機能性ディスペプシア治療剤「アコファイド」は市場構築が計画に対して遅れているが、医療機関における疾患および治療法などの認知度向上に努めている。

 コンシューマーヘルスケア事業は、売上高が同4.3%増の215億61百万円、営業利益が同13.9%増の48億88百万円だった。主力のヘパリーゼ群が製品認知度向上効果や製品ラインナップ充実効果などで好調だった。コンドロイチン群も圧倒的な市場シェアを堅持した。その他(保険代理業・不動産賃貸収入)は売上高が同0.4%減の1億18百万円、営業利益が同1.9%減の1億81百万円だった。

 なお四半期別業績推移を見ると、売上高は第1四半期(4月〜6月)147億25百万円、第2四半期(7月〜9月)156億18百万円、第3四半期(10月〜12月)167億11百万円、営業利益は第1四半期10億27百万円、第2四半期10億87百万円、第3四半期16億78百万円だった。

■16年3月期通期は大幅増益予想で増額余地

 今期(16年3月期)通期連結業績予想は前回予想(10月28日に利益を増額)を据え置いて、売上高が前期比6.5%増の650億円、営業利益が同68.0%増の45億円、経常利益が同48.0%増の41億円、純利益が同29.0%増の33億円としている。配当予想(5月8日公表)は前期と同額の年間30円(第2四半期末15円、期末15円)としている。予想配当性向は48.3%となる。

 医療用医薬品事業では潰瘍性大腸炎治療剤「アサコール」が国内外で伸長し、コンシューマーヘルスケア事業も引き続き好調に推移する。15年7月に権利取得した炎症性腸疾患(IBD)治療剤「Entocort」も寄与する。研究開発費や広告宣伝費が増加するが、増収効果で吸収して大幅増益予想だ。

 通期会社予想に対する第3四半期累計の進捗率は売上高が72.4%、営業利益が84.3%、経常利益が91.9%、純利益が101.1%と高水準である。為替相場の不透明感や16年4月実施の薬価改定の影響などを考慮して通期会社予想をすおいたが、増額余地がありそうだ。機能性ディスペプシア治療剤「アコファイド」の市場浸透進展や、炎症性腸疾患(IBD)治療剤「Entocort」の寄与も期待され、16年3月期の収益は改善基調だろう。

■株主優待は毎年9月末と3月末の年2回実施

 株主優待制度については、毎年9月末および3月末現在の株主に対して自社グループ商品を贈呈している。

 1000株以上所有株主に対してはA・B・C・D・Eコースの中からいずれか1コース選択、100株以上〜1000株未満所有株主に対してはFコースを贈呈する。

■株価は下値固め完了感

 株価の動きを見ると、地合い悪化も影響して安値圏推移だが、2月12日の直近安値1282円が1月21日の昨年来安値1281円を割り込まず、下値固め完了感を強めている。

 2月25日の終値1412円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS62円13銭で算出)は22〜23倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間30円で算出)は2.1%近辺、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS1178円00銭で算出)は1.2倍近辺である。なお時価総額は約750億円である。

 週足チャートで見ると13週移動平均線が戻りを押さえる形だが、日足チャートで見ると25日移動平均線突破の動きを強めている。下値固めが完了して反発展開だろう。
[01月21日更新]

ゼリア新薬工業の16年3月期は収益改善基調

 ゼリア新薬工業<4559>(東1)は、消化器分野が中心の医療用医薬品事業と、一般用医薬品のコンシューマーヘルスケア事業を展開している。16年3月期は利益予想を増額して収益改善基調である。株価は地合い悪化も影響して軟調展開だが、売られ過ぎ感を強めて反発のタイミングだろう。

■消化器分野が中心の医薬品メーカー

 消化器分野が中心の医療用医薬品事業と、一般用医薬品のコンシューマーヘルスケア事業を展開している。

 医療用医薬品事業では、潰瘍性大腸炎治療剤「アサコール」を主力として、H2受容体拮抗剤「アシノン」や亜鉛含有胃潰瘍治療剤「プロマック」なども展開している。そして13年6月には自社開発の機能性ディスペプシア治療剤「アコファイド」を発売し、アステラス製薬<4503>と共同で早期の市場浸透を目指している。

 コンシューマーヘルスケア事業では、ヘパリーゼ群、コンドロイチン群、およびウィズワン群を主力としている。15年10月には、肝臓水解物・イノシトール配合の滋養強壮保健剤「ヘパリーゼ・プラス2」(第3類医薬品)を、全国の薬局・ドラッグストアにおいて発売開始した。さらに関節痛・腰痛治療薬「コンドロイチンZS錠」(第3類医薬品)の錠剤を小型化した製品の販売を開始した。

■グローバル展開を推進

 M&Aを活用してグローバル展開も推進している。08年10月基礎化粧品のイオナ、09年9月「アサコール」の開発会社ティロッツ社(スイス)、10年9月コンドロイチン原料のZPD社(デンマーク)を子会社化した。

 13年8月にはビフォーファーマ社(スイス)と鉄欠乏症治療剤「Ferinject」の日本国内における独占的開発・販売契約を締結した。またZPD社の株式を追加取得して完全子会社化した。

 15年4月にはベトナムの中堅医薬品製造販売会社F.T.Pharma社の株式49.0%取得を発表した。当社グループのアジア地域における事業展開の拠点とする。

■消化器分野を最重点領域として新薬開発を推進

 新薬開発は消化器分野を最重点領域と位置付けて、国際的に通用する新薬の創製を念頭に置き、自社オリジナル品の海外での臨床試験を積極的に推進するとともに、海外で実績のある薬剤を導入して国内での開発を進めている。

 国内消火器系分野の「Z−206」は協和発酵キリンとの共同開発で、潰瘍性大腸炎を適応症として「アサコール」の用法・用量を追加するフェーズ3、膵臓癌を適応症とする「Z−360」は日本を含むアジア地域における国際共同フェーズ2、エーザイ<4523>から導入した長時間作用型プロトンポンプ阻害剤「Z−215」は酸分泌関連疾患を適応症としてフェーズ2を実施している。

 その他の分野では、子宮頸癌を適応症とする「Z−100」は日本を含むアジア地域における国際共同フェーズ3、ビフォーファーマ社から導入した鉄欠乏性貧血治療剤「Z−213」はフェーズ1bを実施している。

 海外は、中国で潰瘍性大腸炎を適応症として「Z−206」を承認申請中である。また機能性ディスペプシアを適応症とする「Z−338」は欧州でフェーズ3を実施し、北米ではフェーズ2が終了した。

 14年8月にはエーザイの新規化合物「E3710」(プロトンポンプ阻害剤:PPI)に関するライセンス契約を締結した。エーザイは当社に対して「E3710」の日本における独占的開発権、共同販促権、非独占的製造権を付与し、開発および製造販売承認は当社が行う。承認取得後は両社で共同販促を行う。

 14年9月には、日本で初めて月経前症候群の効能を取得した西洋ハーブ・ダイレクトOTC医薬品「プレフェミン」(要指導医薬品)を販売開始した。

■アストラゼネカのIBD治療剤の権利を取得

 15年7月には消化器領域に特化した子会社のティロッツ社(スイス)が、アストラゼネカ社が販売している炎症性腸疾患(IBD)治療剤「Entocort」(一般名:ブデソニド)の、米国を除く全世界における権利を取得する契約を締結した。取得額は2億15百万米ドル(約265億円)である。

 炎症性腸疾患(IBD)は潰瘍性大腸炎(UC)およびクローン病(CD)を含めて、世界中に約500万人の患者が存在すると推定されている疾患である。米国を除く全世界40ヶ国以上でCDを適応として販売されているIBD治療剤「Entocort」の権利を取得することにより、IBD治療においてUCの第1選択薬として用いられている「アサコール」を補完することが可能になる。

■15年3月期は新規開発テーマ導入費用や研究開発費を想定以上に投入

 15年3月期の四半期別推移を見ると、売上高は第1四半期(4月〜6月)147億15百万円、第2四半期(7月〜9月)154億21百万円、第3四半期(10月〜12月)156億46百万円、第4四半期(1月〜3月)152億30百万円、営業利益は第1四半期8億58百万円、第2四半期14億21百万円、第3四半期10億61百万円、第4四半期6億62百万円の赤字だった。

 15年3月期は薬価改定や後発品使用促進の影響、機能性ディスペプシア治療剤「アコファイド」の市場構築遅れ、ライセンス収入やロイヤリティ収入の減少、広告宣伝費の増加、成長戦略に欠かせない新薬パイプラインの充実を図るため当初予定していなかった新規開発テーマの導入費用の発生、ヨーロッパとアジア地域で実施している治験の進捗による研究開発費の想定以上の増加などで大幅減益だった。

 15年3月期の差引売上総利益率は69.7%で14年3月期比0.7ポイント低下、販管費比率は65.3%で同5.9ポイント上昇、ROEは4.2%で同6.9ポイント低下、自己資本比率は65.0%で同6.0ポイント上昇した。配当性向は62.3%だった。

■16年3月期第2四半期累計は減益だが利益計画超で減益幅縮小

 今期(16年3月期)第2四半期累計(4月〜9月)の連結業績は、売上高が前年同期比0.7%増の303億43百万円、営業利益が同7.2%減の21億14百万円、経常利益が同29.3%減の15億84百万円、純利益が同23.6%減の16億16百万円だった。

 前回予想(8月5日に利益を増額修正)との比較では、医療用医薬品事業において機能性ディスペプシア治療剤「アコファイド」の市場構築が遅れ、海外で「アサコール」がスイスフラン高の影響を受けたことで売上高が前回予想を下回った。利益面では研究開発費など一部経費の発生が第3四半期(10月〜12月)以降にズレ込んだため前回予想を上回った。

 前年同期との比較では研究開発費の増加、スイスフラン高に伴うグループ会社における為替差損の計上などで減益だった。差引売上総利益率は70.6%で同1.9ポイント上昇したが、販管費比率は63.7%で同2.5ポイント上昇した。また営業外費用で為替差損5億95百万円(前年同期は1億17百万円)を計上し、特別利益で投資有価証券売却益10億27百万円(同9億75百万円)を計上した。

 セグメント別に見ると、医療用医薬品事業は潰瘍性大腸炎治療剤「アサコール」が好調だが、スイスフラン高も影響して売上高が同1.8%減の166億06百万円、営業利益(連結調整前)が同18.5%減の16億40百万円だった。コンシューマーヘルスケア事業は、製品認知度が一段と向上して、売上高が同3.9%増の136億58百万円、営業利益が同13.9%増の30億04百万円だった。その他は売上高が同0.9%減の78百万円、営業利益が同3.7%減の1億18百万円だった。

 主要製品別の売上高は、医療用医薬品事業の潰瘍性大腸炎治療剤「アサコール」が同4.3%増の94億24百万円、コンシューマーヘルスケア事業のヘパリーゼ群が同11.8%増の48億67百万円、コンドロイチン群が同3.8%増の35億96百万円だった。

 なお四半期別の推移を見ると、売上高は第1四半期(4月〜6月)147億25百万円、第2四半期(7月〜9月)156億18百万円、営業利益は第1四半期10億27百万円、第2四半期10億87百万円だった。

■16年3月期の利益予想を増額して収益改善基調

 今期(16年3月期)通期の連結業績予想(10月28日に利益を増額)は、売上高が前期比6.5%増の650億円、営業利益が同68.0%増の45億円、経常利益が同48.0%増の41億円、純利益が同29.0%増の33億円としている。

 医療用医薬品事業では潰瘍性大腸炎治療剤「アサコール」が国内外で伸長し、コンシューマーヘルスケア事業も引き続き好調に推移する。研究開発費や広告宣伝費が増加するが、増収効果で吸収して大幅増益予想だ。

 前回予想(5月8日公表)との比較では売上高を据え置き、利益は営業利益を5億円、経常利益を6億円、純利益を3億円、それぞれ増額修正した。第2四半期累計の修正に加えて、15年7月に権利取得した炎症性腸疾患(IBD)治療剤「Entocort」の寄与を織り込んだ。

 配当予想(5月8日公表)は前期と同額の年間30円(第2四半期末15円、期末15円)としている。予想配当性向は48.3%となる。

 通期会社予想に対する第2四半期累計の進捗率は売上高が46.7%、営業利益が47.0%、経常利益が38.6%、純利益が49.0%である。為替差損の計上で経常利益がイレギュラーな形だが、営業利益の進捗率は概ね順調な水準である。機能性ディスペプシア治療剤「アコファイド」の市場浸透進展、炎症性腸疾患(IBD)治療剤「Entocort」の寄与も期待され、16年3月期の収益は改善基調だろう。

■株主優待は毎年9月末と3月末の年2回実施

 株主優待制度については、毎年9月末および3月末現在の株主に対して自社グループ商品を贈呈している。

 1000株以上所有株主に対してはA・B・C・D・Eコースの中からいずれか1コース選択、100株以上〜1000株未満所有株主に対してはFコースを贈呈する。

■株価は売られ過ぎ感を強めて反発のタイミング

 株価の動きを見ると、地合い悪化も影響して軟調展開だ。1月20日には1350円まで下押した。15年9月1423円を割り込み、13年7月1336円以来の安値水準だ。ただし売られ過ぎ感を強めている。調整の最終局面だろう。

 1月20日の終値1351円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS62円13銭で算出)は21〜22倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間30円で算出)は2.2%近辺、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS1178円00銭で算出)は1.1倍近辺である。なお時価総額は約718億円である。

 週足チャートで見ると13週移動平均線が戻りを押さえる形になったが、日足チャートで見ると25日移動平均線に対するマイナス乖離率が10%を超えて売られ過ぎ感を強めている。反発のタイミングだろう。
[11月20日更新]

ゼリア新薬工業は調整一巡して戻り歩調、16年3月期大幅増益予想

 ゼリア新薬工業<4559>(東1)は、消化器分野が中心の医療用医薬品事業と、一般用医薬品のコンシューマーヘルスケア事業を展開している。株価は9月安値から反発して戻り歩調だ。16年3月期利益を増額して大幅増益予想であり、収益改善基調を評価して出直りの動きを強めそうだ。

■消化器分野が中心の医薬品メーカー

 消化器分野が中心の医療用医薬品事業と、一般用医薬品のコンシューマーヘルスケア事業を展開している。

 医療用医薬品事業では、潰瘍性大腸炎治療剤「アサコール」を主力として、H2受容体拮抗剤「アシノン」や亜鉛含有胃潰瘍治療剤「プロマック」なども展開している。そして13年6月には自社開発の機能性ディスペプシア治療剤「アコファイド」を発売し、アステラス製薬<4503>と共同で早期の市場浸透を目指している。

 コンシューマーヘルスケア事業では、ヘパリーゼ群、コンドロイチン群、およびウィズワン群を主力としている。15年10月には、肝臓水解物・イノシトール配合の滋養強壮保健剤「ヘパリーゼ・プラス2」(第3類医薬品)を、全国の薬局・ドラッグストアにおいて発売開始した。さらに関節痛・腰痛治療薬「コンドロイチンZS錠」(第3類医薬品)の錠剤を小型化した製品の販売を開始した。

■グローバル展開を推進

 M&Aを活用してグローバル展開も推進し、08年10月基礎化粧品のイオナ、09年9月「アサコール」の開発会社ティロッツ社(スイス)、10年9月コンドロイチン原料のZPD社(デンマーク)を子会社化した。13年8月にはビフォーファーマ社(スイス)と鉄欠乏症治療剤「Ferinject」の日本国内における独占的開発・販売契約を締結した。またZPD社の株式を追加取得して完全子会社化した。

 15年4月にはベトナムの中堅医薬品製造販売会社F.T.Pharma社の株式49.0%取得を発表した。当社グループのアジア地域における事業展開の拠点とする。

■消化器分野を最重点領域として新薬開発を推進

 新薬開発は消化器分野を最重点領域と位置付けて、国際的に通用する新薬の創製を念頭に置き、自社オリジナル品の海外での臨床試験を積極的に推進するとともに、海外で実績のある薬剤を導入して国内での開発を進めている。

 国内消火器系分野の「Z−206」は協和発酵キリンとの共同開発で、潰瘍性大腸炎を適応症として「アサコール」の用法・用量を追加するフェーズ3、膵臓癌を適応症とする「Z−360」は日本を含むアジア地域における国際共同フェーズ2、エーザイ<4523>から導入した長時間作用型プロトンポンプ阻害剤「Z−215」は酸分泌関連疾患を適応症としてフェーズ2を実施している。

 その他の分野では、子宮頸癌を適応症とする「Z−100」は日本を含むアジア地域における国際共同フェーズ3、ビフォーファーマ社から導入した鉄欠乏性貧血治療剤「Z−213」はフェーズ1bを実施している。

 海外は、中国で潰瘍性大腸炎を適応症として「Z−206」を承認申請中である。また機能性ディスペプシアを適応症とする「Z−338」は欧州でフェーズ3を実施し、北米ではフェーズ2が終了した。

 14年8月にはエーザイの新規化合物「E3710」(プロトンポンプ阻害剤:PPI)に関するライセンス契約を締結した。エーザイは当社に対して「E3710」の日本における独占的開発権、共同販促権、非独占的製造権を付与し、開発および製造販売承認は当社が行う。承認取得後は両社で共同販促を行う。

 14年9月には、日本で初めて月経前症候群の効能を取得した西洋ハーブ・ダイレクトOTC医薬品「プレフェミン」(要指導医薬品)を販売開始した。

■アストラゼネカのIBD治療剤の権利を取得

 15年7月には消化器領域に特化した子会社のティロッツ社(スイス)が、アストラゼネカ社が販売している炎症性腸疾患(IBD)治療剤「Entocort」(一般名:ブデソニド)の、米国を除く全世界における権利を取得する契約を締結した。取得額は2億15百万米ドル(約265億円)である。

 炎症性腸疾患(IBD)は潰瘍性大腸炎(UC)およびクローン病(CD)を含めて、世界中に約500万人の患者が存在すると推定されている疾患である。米国を除く全世界40ヶ国以上でCDを適応として販売されているIBD治療剤「Entocort」の権利を取得することにより、IBD治療においてUCの第1選択薬として用いられている「アサコール」を補完することが可能になる。

■15年3月期は新規開発テーマ導入費用や研究開発費を想定以上に投入

 なお15年3月期の四半期別推移を見ると、売上高は第1四半期(4月〜6月)147億15百万円、第2四半期(7月〜9月)154億21百万円、第3四半期(10月〜12月)156億46百万円、第4四半期(1月〜3月)152億30百万円、営業利益は第1四半期8億58百万円、第2四半期14億21百万円、第3四半期10億61百万円、第4四半期6億62百万円の赤字だった。

 15年3月期は薬価改定や後発品使用促進の影響、機能性ディスペプシア治療剤「アコファイド」の市場構築遅れ、ライセンス収入やロイヤリティ収入の減少、広告宣伝費の増加、成長戦略に欠かせない新薬パイプラインの充実を図るため当初予定していなかった新規開発テーマの導入費用の発生、ヨーロッパとアジア地域で実施している治験の進捗による研究開発費の想定以上の増加などで大幅減益だった。

 また15年3月期の配当性向は62.3%だった。ROEは14年3月期比6.9ポイント低下して4.2%、自己資本比率は同6.0ポイント上昇して65.0%となった。

■16年3月期の利益予想を増額、収益改善基調

 10月28日に今期(16年3月期)業績予想の修正を発表した。第2四半期累計(4月〜9月)については、前回予想(8月5日に利益を増額修正)に対して売上高を7億円減額、営業利益を5億円増額、経常利益を4億50百万円増額、純利益を5億円増額修正した。通期については前回予想(5月8日公表)に対して売上高を据え置き、営業利益を5億円、経常利益を6億円、純利益を3億円増額修正した。

 第2四半期累計については、医療用医薬品事業において機能性ディスペプシア治療剤「アコファイド」の市場構築が遅れたこと、および海外での「アサコール」がスイスフラン高の影響を受けたことで売上高が前回予想を下回った。利益面では研究開発費など一部の経費の発生が第3四半期(10月〜12月)以降にズレ込んだため前回予想を上回った。また通期については、第2四半期累計の修正に加えて、15年7月に権利取得した炎症性腸疾患(IBD)治療剤「Entocort」の寄与を織り込んだ。

 そして11月4日に発表した第2四半期累計連結業績は、売上高が前年同期比0.7%増の303億43百万円、営業利益が同7.2%減の21億14百万円、経常利益が同29.3%減の15億84百万円、純利益が同23.6%減の16億16百万円だった。

 研究開発の増加や、スイスフラン高に伴うグループ会社における為替差損の計上などで減益だった。なお差引売上総利益率は70.6%で同1.9ポイント上昇したが、販管費比率は63.7%で同2.5ポイント上昇した。また営業外費用で為替差損5億95百万円(前年同期は1億17百万円)を計上し、特別利益で投資有価証券売却益10億27百万円(同9億75百万円)を計上した。

 セグメント別に見ると、医療用医薬品事業は潰瘍性大腸炎治療剤「アサコール」が好調だが、スイスフラン高も影響して売上高が同1.8%減の166億06百万円、営業利益(連結調整前)が同18.5%減の16億40百万円だった。コンシューマーヘルスケア事業は、製品認知度が一段と向上して、売上高が同3.9%増の136億58百万円、営業利益が同13.9%増の30億04百万円だった。その他は売上高が同0.9%減の78百万円、営業利益が同3.7%減の1億18百万円だった。

 また主要製品別の売上高は、医療用医薬品事業の潰瘍性大腸炎治療剤「アサコール」が同4.3%増の94億24百万円、コンシューマーヘルスケア事業のヘパリーゼ群が同11.8%増の48億67百万円、コンドロイチン群が同3.8%増の35億96百万円だった。

 なお四半期別の推移を見ると、売上高は第1四半期(4月〜6月)147億25百万円、第2四半期(7月〜9月)156億18百万円、営業利益は第1四半期10億27百万円、第2四半期10億87百万円だった。

 修正後の通期連結業績予想は、売上高が前期比6.5%増の650億円、営業利益が同68.0%増の45億円、経常利益が同48.0%増の41億円、純利益が同29.0%増の33億円としている。配当予想は前回予想(5月8日公表)を据え置いて、前期と同額の年間30円(第2四半期末15円、期末15円)としている。予想配当性向は48.3%となる。

 医療用医薬品事業においては潰瘍性大腸炎治療剤「アサコール」が国内外で伸長し、コンシューマーヘルスケア事業も引き続き好調に推移する。研究開発費や広告宣伝費が増加するが、増収効果で吸収して大幅増益予想だ。

 通期会社予想に対する第2四半期累計の進捗率は売上高が46.7%、営業利益が47.0%、経常利益が38.6%、純利益が49.0%である。為替差損の計上で経常利益がイレギュラーな形だが、営業利益の進捗率は概ね順調な水準である。機能性ディスペプシア治療剤「アコファイド」の市場浸透進展や、炎症性腸疾患(IBD)治療剤「Entocort」の寄与も期待され、16年3月期の収益は改善基調だろう。

■株価は調整一巡して戻り歩調

 株主優待については毎年9月末および3月末現在の株主に対して自社グループ商品を贈呈している。1000株以上所有株主に対してはA・B・C・D・Eコースの中からいずれか1コース選択、100株以上〜1000株未満所有株主に対してはFコースを贈呈する。

 株価の動きを見ると、9月末の配当・株主優待権利落ちも影響した9月29日の年初来安値1423円から反発し、10月30日には1826円まで上伸する場面があった。調整が一巡して戻り歩調の展開だ。

 11月19日の終値1755円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS62円13銭で算出)は28〜29倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間30円で算出)は1.7%近辺、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS1178円00銭で算出)は1.5倍近辺である。時価総額は約932億円である。

 日足チャートで見ると25日移動平均線がサポートラインとなった。また週足チャートで見ると13週移動平均線に続いて26週移動平均線突破の動きを強めている。強基調への転換を確認する形だ。16年3月期利益を増額して大幅増益予想であり、収益改善基調を評価して出直りの動きを強めそうだ。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media−IR)
[10月14日更新]

ゼリア新薬工業は9月安値から反発して調整一巡感、16年3月期営業利益増額期待

 ゼリア新薬工業[4559](東1)は消化器分野を中心に展開する医薬品メーカーである。株価は9月末の配当・株主優待権利落ちも影響した9月29日の年初来安値から反発して調整一巡感を強めている。16年3月期営業利益増額期待で出直り展開だろう。

■消化器分野が中心の医薬品メーカー

 消化器分野が中心の医療用医薬品事業と、一般用医薬品のコンシューマーヘルスケア事業を展開している。

 医療用医薬品事業では、潰瘍性大腸炎治療剤「アサコール」、H2受容体拮抗剤「アシノン」、亜鉛含有胃潰瘍治療剤「プロマック」を主力としている。13年6月には自社開発の機能性ディスペプシア治療剤「アコファイド」を発売し、アステラス製薬<4503>と共同で早期の市場浸透を目指している。

 コンシューマーヘルスケア事業では「ヘパリーゼ群」「コンドロイチン群」および「ウィズワン群」を主力としている。

 10月6日には、肝臓水解物・イノシトール配合の滋養強壮保健剤「ヘパリーゼ・プラス2」(第3類医薬品)を10月6日から全国の薬局・ドラッグストアにおいて、また薬局・薬店・ドラッグストアおよびコンビニエンスストア以外の販売チャネル向け(スーパーマーケット・飲食店・カラオケ店など)のヘパリーゼ・ブランドのドリンクとして、肝臓エキス・ウコンエキス配合ドリンク「ヘパリーゼ・スーパー」(清涼飲料水)を10月13日から発売すると発表した。

■新薬開発やグローバル展開を推進

 M&Aを活用してグローバル展開も推進し、08年10月基礎化粧品のイオナ、09年9月「アサコール」の開発会社ティロッツ社(スイス)、10年9月コンドロイチン原料のZPD社(デンマーク)を子会社化した。13年8月にはビフォーファーマ社(スイス)と鉄欠乏症治療剤「Ferinject」の日本国内における独占的開発・販売契約を締結した。またZPD社の株式を追加取得して完全子会社化した。

 新薬開発は消化器分野を最重点領域と位置付けて、国際的に通用する新薬の創製を念頭に置き、自社オリジナル品の海外での臨床試験を積極的に推進するとともに、海外で実績のある薬剤を導入して国内での開発を進めている。

 消火器分野の「Z−206(アサコール)」は協和発酵キリンと共同で、潰瘍性大腸炎を対象に用法・用量を追加するフェーズ3を実施している。中国での開発はフェーズ3を終了して13年5月に承認申請済みだ。自社オリジナル品の「Z−338(アコファイド)」は欧州において機能性ディスペプシアを対象としたフェーズ3を実施している。

 エーザイ<4523>から導入した長時間作用型プロトンポンプ阻害剤「Z−215」は逆流性食道炎を対象としたフェーズ2を開始、子宮頸癌を対象とする「Z−100」は日本を含むアジア地域におけるフェーズ3国際共同治験を開始、膵臓癌を対象とする「Z−360」は日本を含むアジア地域におけるフェーズ2国際共同治験を開始、ビフォーファーマ社から導入した鉄欠乏性貧血治療剤「Z−213」はフェーズ1bを開始している。

 14年8月にはエーザイの新規化合物「E3710」(プロトンポンプ阻害剤:PPI)に関するライセンス契約を締結した。エーザイは当社に対して「E3710」の日本における独占的開発権、共同販促権、非独占的製造権を付与し、開発および製造販売承認は当社が行う。承認取得後は両社で共同販促を行う。

 14年9月には、日本で初めて月経前症候群の効能を取得した西洋ハーブ・ダイレクトOTC医薬品「プレフェミン」(要指導医薬品)を販売開始した。

 15年4月にはベトナムの中堅医薬品製造販売会社F.T.Pharma社の株式49.0%取得を発表した。当社グループのアジア地域における事業展開の拠点とする。

■アストラゼネカのIBD治療剤の権利を取得

 15年7月には消化器領域に特化した子会社のティロッツ社(スイス)が、アストラゼネカ社が販売している炎症性腸疾患(IBD)治療剤「Entocort」(一般名:ブデソニド)の、米国を除く全世界における権利を取得する契約を締結した。取得額は2億15百万米ドル(約265億円)である。

 炎症性腸疾患(IBD)は潰瘍性大腸炎(UC)およびクローン病(CD)を含めて、世界中に約500万人の患者が存在すると推定されている疾患である。米国を除く全世界40ヶ国以上でCDを適応として販売されているIBD治療剤「Entocort」の権利を取得することにより、IBD治療においてUCの第1選択薬として用いられている「アサコール」を補完することが可能になる。16年3月期連結業績に対する影響については精査中としている。

■15年3月期は新規開発テーマ導入費用や研究開発費を想定以上に投入

 なお15年3月期の四半期別推移を見ると、売上高は第1四半期(4月〜6月)147億15百万円、第2四半期(7月〜9月)154億21百万円、第3四半期(10月〜12月)156億46百万円、第4四半期(1月〜3月)152億30百万円、営業利益は第1四半期8億58百万円、第2四半期14億21百万円、第3四半期10億61百万円、第4四半期6億62百万円の赤字だった。

 15年3月期は薬価改定や後発品使用促進の影響、機能性ディスペプシア治療剤「アコファイド」の市場構築遅れ、ライセンス収入やロイヤリティ収入の減少、広告宣伝費の増加、成長戦略に欠かせない新薬パイプラインの充実を図るため当初予定していなかった新規開発テーマの導入費用の発生、ヨーロッパとアジア地域で実施している治験の進捗による研究開発費の想定以上の増加などで大幅減益だった。

 また15年3月期の配当性向は62.3%だった。ROEは14年3月期比6.9ポイント低下して4.2%、自己資本比率は同6.0ポイント上昇して65.0%となった。

■16年3月期収益改善基調で増額期待

 今期(16年3月期)の連結業績予想(5月8日公表)は、売上高が前期比6.5%増の650億円、営業利益が同49.3%増の40億円、経常利益が同26.3%増の35億円、純利益が同17.3%増の30億円としている。配当予想は前期と同額の年間30円(第2四半期末15円、期末15円)で予想配当性向は53.1%となる。

 コンシューマーヘルスケア事業が引き続き好調に推移し、医療用医薬品事業では潰瘍性大腸炎治療剤「アサコール」の国内外での伸長、機能性ディスペプシア治療剤「アコファイド」の市場浸透を見込んでいる。研究開発費や広告宣伝費が増加するが、増収効果で吸収して大幅増益予想だ。

 第1四半期(4月〜6月)は売上高が前年同期比0.1%増の147億25百万円となり、営業利益が同19.7%増の10億27百万円、経常利益が同36.9%減の5億94百万円、純利益が同15.0%減の8億91百万円だった。

 15年1月のスイス中央銀行によるスイスフランの対ユーロ為替上限レート撤廃に伴い、グループ会社において為替差損(5億54百万円)を計上したため経常利益と純利益は減益だったが、収益性の高い主力製品の好調が牽引して営業増益だった。営業損益は改善基調だ。なお特別利益に有価証券売却益10億06百万円を計上(前年同期は7億71百万円計上)した。

 なお8月5日に第2四半期累計(4月〜9月)の利益予想を増額修正している。前回予想(5月8日公表)に対して売上高は概ね想定水準として据え置き前年同期比2.9%増の310億円、営業利益は1億円増額して同29.8%減の16億円、経常利益は1億円増額して同50.9%減の11億円、純利益は3億円増額して同48.0%減の11億円としている。

 収益性の高い主力製品の伸長や経費の効率的使用により、各利益は減益幅が縮小する見込みとなった。純利益は第1四半期に計上した投資有価証券売却益も寄与する。

 通期会社予想に対する第1四半期の進捗率は売上高が22.7%、営業利益が25.7%、経常利益が17.0%、純利益が29.7%である。営業外費用での為替差損の計上、特別利益での有価証券売却益の計上で、経常利益と純利益はイレギュラーな形だが、営業利益の進捗率は順調な水準だ。

 期初時点で下期偏重の計画であり、第2四半期累計に続いて、通期営業利益についても増額期待が高まる。IBD治療剤「Entocort」も寄与して16年3月期の収益は改善基調だろう。

■株価は9月の年初来安値から反発して調整一巡感

 株主優待については毎年9月末および3月末現在の株主に対して自社グループ商品を贈呈している。1000株以上所有株主に対してはA・B・C・D・Eコースの中からいずれか1コース選択、100株以上〜1000株未満所有株主に対してはFコースを贈呈する。

 株価の動きを見ると、9月末の配当・株主優待権利落ちも影響した9月29日の年初来安値1423円から反発して調整一巡感を強めている。10月13日には1630円まで上伸した。

 10月13日の終値1629円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS56円48銭で算出)は28〜29倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間30円で算出)は1.9%近辺、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS1178円00銭で算出)は1.4倍近辺である。なお時価総額は約865億円である。

 日足チャートで見ると25日移動平均線を突破した。そして週足チャートで13週移動平均線を突破すれば強基調へ転換となりそうだ。16年3月期営業利益増額期待で出直り展開だろう。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media−IR)
[09月24日更新]

ゼリア新薬工業は8月安値で底打ちの可能性、16年3月期営業利益増額期待、9月末株主優待

 ゼリア新薬工業[4559](東1)は消化器分野を中心に展開する医薬品メーカーである。株価は悪地合いの影響で水準を切り下げたが、8月の年初来安値で底打ちした可能性がありそうだ。16年3月期営業利益増額期待で反発展開だろう。9月末の株主優待権利取りも注目点だ。

■消化器分野が中心の医薬品メーカー

 消化器分野が中心の医療用医薬品事業と、一般用医薬品のコンシューマーヘルスケア事業を展開している。

 医療用医薬品事業では、潰瘍性大腸炎治療剤「アサコール」、H2受容体拮抗剤「アシノン」、亜鉛含有胃潰瘍治療剤「プロマック」を主力としている。13年6月には自社開発の機能性ディスペプシア治療剤「アコファイド」を発売し、アステラス製薬<4503>と共同で早期の市場浸透を目指している。

 コンシューマーヘルスケア事業では「ヘパリーゼ群」「コンドロイチン群」および「ウィズワン群」を主力としている。

■新薬開発やグローバル展開を推進

 M&Aを活用してグローバル展開も推進し、08年10月基礎化粧品のイオナ、09年9月「アサコール」の開発会社ティロッツ社(スイス)、10年9月コンドロイチン原料のZPD社(デンマーク)を子会社化した。13年8月には、ビフォーファーマ社(スイス)と鉄欠乏症治療剤「Ferinject」の日本国内における独占的開発・販売契約を締結し、ZPD社の株式を追加取得して完全子会社化した。

 新薬開発は消化器分野を最重点領域と位置付けて、国際的に通用する新薬の創製を念頭に置き、自社オリジナル品の海外での臨床試験を積極的に推進するとともに、海外で実績のある薬剤を導入して国内での開発を進めている。

 消火器分野の「Z−206(アサコール)」は協和発酵キリンと共同で、潰瘍性大腸炎を対象に用法・用量を追加するフェーズ3を実施している。中国での開発はフェーズ3を終了して13年5月に承認申請済みだ。自社オリジナル品の「Z−338(アコファイド)」は欧州において機能性ディスペプシアを対象としたフェーズ3を実施している。

 エーザイ<4523>から導入した長時間作用型プロトンポンプ阻害剤「Z−215」は逆流性食道炎を対象としたフェーズ2を開始、子宮頸癌を対象とする「Z−100」は日本を含むアジア地域におけるフェーズ3国際共同治験を開始、膵臓癌を対象とする「Z−360」は日本を含むアジア地域におけるフェーズ2国際共同治験を開始、ビフォーファーマ社から導入した鉄欠乏性貧血治療剤「Z−213」はフェーズ1bを開始している。

 14年8月にはエーザイの新規化合物「E3710」(プロトンポンプ阻害剤:PPI)に関するライセンス契約を締結した。エーザイは当社に対して「E3710」の日本における独占的開発権、共同販促権、非独占的製造権を付与し、開発および製造販売承認は当社が行う。承認取得後は両社で共同販促を行う。

 14年9月には、日本で初めて月経前症候群の効能を取得した西洋ハーブ・ダイレクトOTC医薬品「プレフェミン」(要指導医薬品)を販売開始した。

 15年3月にはコンビニエンスストア向け滋養強壮ミニドリンク剤「ヘパリーゼ・アミノ」を販売開始した。疲労回復のための栄養補給を訴求した「ヘパリーゼ」ブランド初の指定医薬部外品である。6月には「ヘパリーゼW」シリーズの新製品として、炭酸飲料「ヘパリーゼWスパークリング」を全国のコンビニエンスストアで販売開始した。

 15年4月にはベトナムの中堅医薬品製造販売会社F.T.Pharma社の株式49.0%取得を発表した。当社グループのアジア地域における事業展開の拠点とする。

■アストラゼネカのIBD治療剤の権利を取得

 15年7月には消化器領域に特化した子会社のティロッツ社(スイス)が、アストラゼネカ社が販売している炎症性腸疾患(IBD)治療剤「Entocort」(一般名:ブデソニド)の、米国を除く全世界における権利を取得する契約を締結した。取得額は2億15百万米ドル(約265億円)である。

 炎症性腸疾患(IBD)は潰瘍性大腸炎(UC)およびクローン病(CD)を含めて、世界中に約500万人の患者が存在すると推定されている疾患である。米国を除く全世界40ヶ国以上でCDを適応として販売されているIBD治療剤「Entocort」の権利を取得することにより、IBD治療においてUCの第1選択薬として用いられている「アサコール」を補完することが可能になる。16年3月期連結業績に対する影響については精査中としている。

■16年3月期第2四半期累計の利益予想を増額修正

 なお15年3月期の四半期別推移を見ると、売上高は第1四半期(4月〜6月)147億15百万円、第2四半期(7月〜9月)154億21百万円、第3四半期(10月〜12月)156億46百万円、第4四半期(1月〜3月)152億30百万円、営業利益は第1四半期8億58百万円、第2四半期14億21百万円、第3四半期10億61百万円、第4四半期6億62百万円の赤字だった。

 また15年3月期の配当性向は62.3%だった。ROEは14年3月期比6.9ポイント低下して4.2%、自己資本比率は同6.0ポイント上昇して65.0%となった。

 今期(16年3月期)の連結業績予想(5月8日公表)は、売上高が前期比6.5%増の650億円、営業利益が同49.3%増の40億円、経常利益が同26.3%増の35億円、純利益が同17.3%増の30億円としている。配当予想は前期と同額の年間30円(第2四半期末15円、期末15円)で予想配当性向は53.1%となる。

 コンシューマーヘルスケア事業が引き続き好調に推移し、医療用医薬品事業では潰瘍性大腸炎治療剤「アサコール」の国内外での伸長、機能性ディスペプシア治療剤「アコファイド」の市場浸透を見込んでいる。研究開発費や広告宣伝費が増加するが、増収効果で吸収して大幅増益見込みだ。

 第1四半期(4月〜6月)は売上高が前年同期比0.1%増の147億25百万円となり、営業利益が同19.7%増の10億27百万円、経常利益が同36.9%減の5億94百万円、純利益が同15.0%減の8億91百万円だった。

 15年1月のスイス中央銀行によるスイスフランの対ユーロ為替上限レート撤廃に伴い、グループ会社において為替差損(5億54百万円)を計上したため経常利益と純利益は減益だったが、収益性の高い主力製品の好調が牽引して営業増益だった。営業損益は改善基調だ。なお特別利益に有価証券売却益10億06百万円を計上(前年同期は7億71百万円計上)した。

 そして8月5日に第2四半期累計(4月〜9月)利益予想を増額修正した。前回予想(5月8日公表)に対して、売上高は据え置いて前年同期比2.9%増の310億円、営業利益は1億円増額して同29.8%減の16億円、経常利益は1億円増額して同50.9%減の11億円、純利益は3億円増額して同48.0%減の11億円とした。

 売上高は概ね想定水準だが、収益性の高い主力製品の伸長や経費の効率的使用により、各利益は減益幅が縮小する見込みとなった。純利益は第1四半期に計上した投資有価証券売却益も寄与する。

 通期会社予想に対する第1四半期の進捗率は売上高が22.7%、営業利益が25.7%、経常利益が17.0%、純利益が29.7%である。営業外費用での為替差損の計上、特別利益での有価証券売却益の計上で、経常利益と純利益はイレギュラーな形だが、営業利益の進捗率は順調な水準だ。第2四半期累計に続いて、通期営業利益についても増額期待が高まる。

 15年3月期は薬価改定や後発品使用促進の影響、機能性ディスペプシア治療剤「アコファイド」の市場構築遅れ、ライセンス収入やロイヤリティ収入の減少、広告宣伝費の増加、成長戦略に欠かせない新薬パイプラインの充実を図るため当初予定していなかった新規開発テーマの導入費用の発生、ヨーロッパとアジア地域で実施している治験の進捗による研究開発費の想定以上の増加などで大幅減益だったが、16年3月期の収益は改善基調だろう。IBD治療剤「Entocort」の寄与も期待される。

■株価は8月安値で底打ちの可能性

 株主優待については毎年9月末および3月末現在の株主に対して自社グループ商品を贈呈している。1000株以上所有株主に対してはA・B・C・D・Eコースの中からいずれか1コース選択、100株以上〜1000株未満所有株主に対してはFコースを贈呈する。

 株価の動きを見ると、悪地合いの影響で1800円〜1900円近辺でのモミ合いから下放れ、8月25日の年初来安値1497円まで調整した。ただしその後は1600円近辺で推移して売り一巡感を強めている。

 9月18日の終値1591円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS56円48銭で算出)は28〜29倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間30円で算出)は1.9%近辺、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS1178円00銭で算出)は1.4倍近辺である。なお時価総額は約845億円である。

 週足チャートで見ると26週移動平均線が戻りを押さえる形となって水準を切り下げたが、8月の年初来安値で下ヒゲをつけ、その後は下げ渋る形だ。底打ちした可能性があり、16年3月期営業利益増額期待で反発展開だろう。9月末の株主優待権利取りも注目点だ。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media−IR)
[8月06日更新]

ゼリア新薬工業は第2四半期累計を増額修正、株価は底打ち確認して出直り本格化

 ゼリア新薬工業[4559](東1)は消化器分野を中心に展開する医薬品メーカーである。8月5日に第1四半期(4月〜6月)連結業績を発表し、第2四半期累計(4月〜9月)の利益予想を増額修正した。株価はアストラゼネカ社の炎症性腸疾患(IBD)治療剤「Entocort」の権利取得を評価して底打ち感を強めている。増額修正も好感して出直りの動きが本格化しそうだ。

■消化器分野が中心の医薬品メーカー

 消化器分野が中心の医療用医薬品事業、および一般用医薬品のコンシューマーヘルスケア事業を展開している。

 医療用医薬品事業では、潰瘍性大腸炎治療剤「アサコール」、H2受容体拮抗剤「アシノン」、亜鉛含有胃潰瘍治療剤「プロマック」を主力としている。13年6月には自社開発の機能性ディスペプシア治療剤「アコファイド」を発売し、アステラス製薬<4503>と共同で早期の市場浸透を目指している。

 コンシューマーヘルスケア事業では「ヘパリーゼ群」「コンドロイチン群」および「ウィズワン群」を主力としている。

■新薬開発やグローバル展開を推進

 M&Aを活用してグローバル展開も推進し、08年10月基礎化粧品のイオナ、09年9月「アサコール」の開発会社ティロッツ社(スイス)、10年9月コンドロイチン原料のZPD社(デンマーク)を子会社化した。13年8月には、ビフォーファーマ社(スイス)と鉄欠乏症治療剤「Ferinject」の日本国内における独占的開発・販売契約を締結し、ZPD社の株式を追加取得して完全子会社化した。

 新薬開発は消化器分野を最重点領域と位置付けて、国際的に通用する新薬の創製を念頭に置き、自社オリジナル品の海外での臨床試験を積極的に推進するとともに、海外で実績のある薬剤を導入して国内での開発を進めている。

 消火器分野の「Z−206(アサコール)」は協和発酵キリンと共同で、潰瘍性大腸炎を対象に用法・用量を追加するフェーズ3を実施している。中国での開発はフェーズ3を終了して13年5月に承認申請済みだ。自社オリジナル品の「Z−338(アコファイド)」は欧州において機能性ディスペプシアを対象としたフェーズ3を実施している。

 エーザイ<4523>から導入した長時間作用型プロトンポンプ阻害剤「Z−215」は逆流性食道炎を対象としたフェーズ2を開始、子宮頸癌を対象とする「Z−100」は日本を含むアジア地域におけるフェーズ3国際共同治験を開始、膵臓癌を対象とする「Z−360」は日本を含むアジア地域におけるフェーズ2国際共同治験を開始、ビフォーファーマ社から導入した鉄欠乏性貧血治療剤「Z−213」はフェーズ1bを開始している。

 14年8月にはエーザイの新規化合物「E3710」(プロトンポンプ阻害剤:PPI)に関するライセンス契約を締結した。エーザイは当社に対して「E3710」の日本における独占的開発権、共同販促権、非独占的製造権を付与し、開発および製造販売承認は当社が行う。承認取得後は両社で共同販促を行う。

 14年9月には、日本で初めて月経前症候群の効能を取得した西洋ハーブ・ダイレクトOTC医薬品「プレフェミン」(要指導医薬品)を販売開始した。

 15年3月にはコンビニエンスストア向け滋養強壮ミニドリンク剤「ヘパリーゼ・アミノ」を販売開始した。疲労回復のための栄養補給を訴求した「ヘパリーゼ」ブランド初の指定医薬部外品である。6月には「ヘパリーゼW」シリーズの新製品として、炭酸飲料「ヘパリーゼWスパークリング」を全国のコンビニエンスストアで販売すると発表した。

 15年4月にはベトナムの中堅医薬品製造販売会社F.T.Pharma社の株式49.0%取得を発表した。当社グループのアジア地域における事業展開の拠点とする。

■アストラゼネカのIBD治療剤の権利を取得

 7月9日には、消化器領域に特化した子会社のティロッツ社(スイス)が、アストラゼネカ社が販売している炎症性腸疾患(IBD)治療剤「Entocort」(一般名:ブデソニド)の、米国を除く全世界における権利を取得する契約を締結したと発表した。取得額は2億15百万米ドル(約265億円)である。

 炎症性腸疾患(IBD)は潰瘍性大腸炎(UC)およびクローン病(CD)を含めて、世界中に約500万人の患者が存在すると推定されている疾患である。米国を除く全世界40ヶ国以上でCDを適応として販売されているIBD治療剤「Entocort」の権利を取得することにより、IBD治療においてUCの第1選択薬として用いられている「アサコール」を補完することが可能になる。なお16年3月期連結業績に対する影響については現在精査中としている。

■16年3月期第2四半期累計の利益予想を増額修正

 なお15年3月期の四半期別推移を見ると、売上高は第1四半期(4月〜6月)147億15百万円、第2四半期(7月〜9月)154億21百万円、第3四半期(10月〜12月)156億46百万円、第4四半期(1月〜3月)152億30百万円、営業利益は第1四半期8億58百万円、第2四半期14億21百万円、第3四半期10億61百万円、第4四半期6億62百万円の赤字だった。

 また15年3月期の配当性向は62.3%だった。ROEは14年3月期比6.9ポイント低下して4.2%、自己資本比率は同6.0ポイント上昇して65.0%となった。

 8月5日に発表した今期(16年3月期)第1四半期(4月〜6月)の連結業績は、売上高が前年同期比0.1%増の147億25百万円、営業利益が同19.7%増の10億27百万円、経常利益が同36.9%減の5億94百万円、純利益が同15.0%減の8億91百万円だった。

 15年1月のスイス中央銀行によるスイスフランの対ユーロ為替上限レート撤廃に伴い、グループ会社において為替差損(5億54百万円)を計上したため経常利益と純利益は減益だったが、収益性の高い主力製品の好調が牽引して営業増益だった。営業損益は改善基調だ。なお特別利益に有価証券売却益10億06百万円を計上(前年同期は7億71百万円計上)した。

 主要セグメントの売上高を見ると、医療用医薬品事業は同2.7%減の80億54百万円だった。潰瘍性大腸炎治療剤「アサコール」が海外でスイスフラン高の影響を受けたが、国内は順調に伸長した。コンシューマーヘルスケア事業は同3.6%増の66億30百万円だった。主力の「ヘパリーゼ群」「コンドロイチン群」が順調に伸長した。

 8月5日に第2四半期累計(4月〜9月)の利益予想を増額修正した。前回予想(5月8日公表)に対して、売上高は据え置いて前年同期比2.9%増の310億円、営業利益は1億円増額して同29.8%減の16億円、経常利益は1億円増額して同50.9%減の11億円、そして純利益は3億円増額して同48.0%減の11億円とした。

 売上高は概ね想定水準だが、収益性の高い主力製品の伸長や経費の効率的使用により、各利益は減益幅が縮小する見込みだ。純利益は第1四半期に計上した投資有価証券売却益も寄与する。

 通期連結業績予想については前回予想(5月8日公表)を据え置いて売上高が前期比6.5%増の650億円、営業利益が同49.3%増の40億円、経常利益が同26.3%増の35億円、純利益が同17.3%増の30億円としている。配当予想は前期と同額の年間30円(第2四半期末15円、期末15円)で予想配当性向は53.1%となる。

 コンシューマーヘルスケア事業が引き続き好調に推移し、医療用医薬品事業では潰瘍性大腸炎治療剤「アサコール」の国内外での伸長、機能性ディスペプシア治療剤「アコファイド」の市場浸透を見込んでいる。研究開発費や広告宣伝費が増加するが、増収効果で吸収して大幅増益見込みだ。

 なお通期予想に対する第1四半期の進捗率は、売上高が22.7%、営業利益が25.7%、経常利益が17.0%、純利益が29.7%である。営業外費用での為替差損の計上、特別利益での有価証券売却益の計上で、経常利益と純利益はややイレギュラーな形だが、営業利益の進捗率は順調な水準だ。

 15年3月期は薬価改定や後発品使用促進の影響、機能性ディスペプシア治療剤「アコファイド」の市場構築遅れ、ライセンス収入やロイヤリティ収入の減少、広告宣伝費の増加、成長戦略に欠かせない新薬パイプラインの充実を図るため当初予定していなかった新規開発テーマの導入費用の発生、ヨーロッパとアジア地域で実施している治験の進捗による研究開発費の想定以上の増加などで大幅減益だったが、16年3月期の収益は改善基調だろう。IBD治療剤「Entocort」の寄与も期待される。

■株価は底打ち確認、第2四半期累計利益増額修正も好感して出直り本格化

 株主優待については毎年9月末および3月末現在の株主に対して自社グループ商品を贈呈している。1000株以上所有株主に対してはA・B・C・D・Eコースの中からいずれか1コース選択、100株以上〜1000株未満所有株主に対してはFコースを贈呈する。

 株価の動きを見ると、地合い悪化も影響して7月9日の年初来安値1656円まで調整したが、アストラゼネカ社の炎症性腸疾患(IBD)治療剤「Entocort」の権利取得を評価して切り返し、8月5日には1878円まで上伸した。7月9日安値で底打ちした形だ。

 8月5日の終値1874円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS56円48銭で算出)は33〜34倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間30円で算出)は1.6%近辺、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS1178円00銭で算出)は1.6倍近辺である。

 日足チャートで見ると25日移動平均線、週足チャートで見ると13週移動平均線を突破した。底打ちを確認して強基調に転換する動きだ。第2四半期累計の利益増額修正も好感して出直りの動きが本格化しそうだ。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media−IR)
[07月10日更新]

ゼリア新薬工業はアストラゼネカのIBD治療剤の権利取得を発表

 ゼリア新薬工業<4559>(東1)は消化器分野を中心に展開する医薬品メーカーである。7月9日、アストラゼネカ社の炎症性腸疾患(IBD)治療剤の米国を除く全世界における権利取得を発表した。

■消化器分野が中心の医薬品メーカー

 消化器分野が中心の医療用医薬品事業、および一般用医薬品のコンシューマーヘルスケア事業を展開している。

 医療用医薬品事業では、潰瘍性大腸炎治療剤「アサコール」、H2受容体拮抗剤「アシノン」、亜鉛含有胃潰瘍治療剤「プロマック」を主力としている。13年6月には自社開発の機能性ディスペプシア治療剤「アコファイド」を発売し、アステラス製薬 <4503> と共同で早期の市場浸透を目指している。

 コンシューマーヘルスケア事業では「コンドロイチン群」「ヘパリーゼ群」および「ウィズワン群」を主力としている。

■新薬開発やグローバル展開を推進

 M&Aを活用してグローバル展開も推進し、08年10月基礎化粧品のイオナ、09年9月「アサコール」の開発会社ティロッツ社(スイス)、10年9月コンドロイチン原料のZPD社(デンマーク)を子会社化した。13年8月には、ビフォーファーマ社(スイス)と鉄欠乏症治療剤「Ferinject」の日本国内における独占的開発・販売契約を締結し、ZPD社の株式を追加取得して完全子会社化した。

 新薬開発は消化器分野を最重点領域と位置付けて、国際的に通用する新薬の創製を念頭に置き、自社オリジナル品の海外での臨床試験を積極的に推進するとともに、海外で実績のある薬剤を導入して国内での開発を進めている。

 消火器分野の「Z−206(アサコール)」は協和発酵キリンと共同で、潰瘍性大腸炎を対象に用法・用量を追加するフェーズ3を実施している。中国での開発はフェーズ3を終了して13年5月に承認申請済みだ。自社オリジナル品の「Z−338(アコファイド)」は欧州において機能性ディスペプシアを対象としたフェーズ3を実施している。

 エーザイ <4523> から導入した長時間作用型プロトンポンプ阻害剤「Z−215」は逆流性食道炎を対象としたフェーズ2を開始、子宮頸癌を対象とする「Z−100」は日本を含むアジア地域におけるフェーズ3国際共同治験を開始、膵臓癌を対象とする「Z−360」は日本を含むアジア地域におけるフェーズ2国際共同治験を開始、ビフォーファーマ社から導入した鉄欠乏性貧血治療剤「Z−213」はフェーズ1bを開始した。

 14年8月にはエーザイの新規化合物「E3710」(プロトンポンプ阻害剤:PPI)に関するライセンス契約を締結した。エーザイは当社に対して「E3710」の日本における独占的開発権、共同販促権、非独占的製造権を付与し、開発および製造販売承認は当社が行う。承認取得後は両社で共同販促を行う。

 14年9月には、日本で初めて月経前症候群の効能を取得した西洋ハーブ・ダイレクトOTC医薬品「プレフェミン」(要指導医薬品)を販売開始した。

 15年3月にはコンビニエンスストア向け滋養強壮ミニドリンク剤「ヘパリーゼ・アミノ」を販売開始した。疲労回復のための栄養補給を訴求した「ヘパリーゼ」ブランド初の指定医薬部外品である。6月には「ヘパリーゼW」シリーズの新製品として、炭酸飲料「ヘパリーゼWスパークリング」を全国のコンビニエンスストアで販売すると発表した。

 また15年4月にはベトナムの中堅医薬品製造販売会社F.T.Pharma社の株式49.0%取得を発表した。当社グループのアジア地域における事業展開の際の一つの拠点とする。

■アストラゼネカのIBD治療剤の権利を取得

 7月9日には、消化器領域に特化した子会社のティロッツ社(スイス)が、アストラゼネカ社が販売している炎症性腸疾患(IBD)治療剤「Entocort」(一般名:ブデソニド)の、米国を除く全世界における権利を取得する契約を締結したと発表した。取得額は215百万米ドル(約265億円)である。

 IBDは潰瘍性大腸炎(UC)およびクローン病(CD)を含めて世界中に約500万人の患者が存在すると推定されている疾患である。米国を除く全世界40ヶ国以上でCDを適応として販売されているIBD治療剤「Entocort」の権利を取得することにより、IBD治療においてUCの第1選択薬として用いられている「アサコール」を補完することが可能になる。なお16年3月期連結業績に対する影響については現在精査中としている。

■16年3月期は大幅増益予想で収益改善基調

 なお15年3月期の四半期別推移を見ると、売上高は第1四半期(4月〜6月)147億15百万円、第2四半期(7月〜9月)154億21百万円、第3四半期(10月〜12月)156億46百万円、第4四半期(1月〜3月)152億30百万円、営業利益は第1四半期8億58百万円、第2四半期14億21百万円、第3四半期10億61百万円、第4四半期6億62百万円の赤字だった。

 15年3月期の配当性向は62.3%、ROEは14年3月期比6.9ポイント低下して4.2%、自己資本比率は同6.0ポイント上昇して65.0%となった。

 今期(16年3月期)の連結業績予想(5月8日公表)は、売上高が前期比6.5%増の650億円、営業利益が同49.3%増の40億円、経常利益が同26.3%増の35億円、純利益が同17.3%増の30億円としている。配当予想は前期と同額の年間30円(第2四半期末15円、期末15円)で、予想配当性向は53.1%となる。

 コンシューマーヘルスケア事業が引き続き好調に推移し、医療用医薬品事業では潰瘍性大腸炎治療剤「アサコール」の国内外での伸長、機能性ディスペプシア治療剤「アコファイド」の市場浸透を見込んでいる。研究開発費や広告宣伝費が増加するが、増収効果で吸収して大幅増益見込みだ。

 前期は薬価改定や後発品使用促進の影響、機能性ディスペプシア治療剤「アコファイド」の市場構築遅れ、ライセンス収入やロイヤリティ収入の減少、広告宣伝費の増加、成長戦略に欠かせない新薬パイプラインの充実を図るため当初予定していなかった新規開発テーマの導入費用の発生、ヨーロッパとアジア地域で実施している治験の進捗による研究開発費の想定以上の増加などで大幅減益だったが、収益は改善基調だろう。IBD治療剤「Entocort」の寄与も期待される。

■株価は調整局面だったが反発期待

 株主優待については毎年9月末および3月末現在の株主に対して自社グループ商品を贈呈している。1000株以上所有株主に対してはA・B・C・D・Eコースの中からいずれか1コース選択、100株以上〜1000株未満所有株主に対してはFコースを贈呈する。

 株価の動きを見ると、水準を切り下げて調整局面が続いている。7月9日には全般地合い悪化も影響して年初来安値となる1656円まで下押す場面があった。ただし収益改善基調を評価すれば売られ過ぎ感も強めている。

 7月9日の終値1682円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS56円48銭で算出)は30倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間30円で算出)は1.8%近辺、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS1178円00銭で算出)は1.4倍近辺である。

 日足チャートで見ると25日移動平均線、週足チャートで見ると13週移動平均線が戻りを押さえる形で水準を切り下げたが、売られ過ぎ感を強めて調整のほぼ最終局面だろう。IBD治療剤「Entocort」の権利取得や16年3月期の収益改善基調を評価して反発展開が期待される。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media−IR)
[06月30日更新]

ゼリア新薬工業は調整の最終局面、16年3月期は大幅増益予想で収益改善基調
 ゼリア新薬工業<4559>(東1)は消化器分野を中心に展開する医薬品メーカーである。株価は水準を切り下げて調整局面が続いているが、調整のほぼ最終局面だろう。16年3月期の大幅増益予想を評価して一旦は反発展開が期待される。

■消化器分野が中心の医薬品メーカー

 消化器分野が中心の医療用医薬品事業、および一般用医薬品のコンシューマーヘルスケア事業を展開している。

 医療用医薬品事業では、潰瘍性大腸炎治療剤「アサコール」、H2受容体拮抗剤「アシノン」、亜鉛含有胃潰瘍治療剤「プロマック」を主力としている。13年6月には自社開発の機能性ディスペプシア治療剤「アコファイド」を発売し、アステラス製薬<4503>と共同で早期の市場浸透を目指している。

 コンシューマーヘルスケア事業は「コンドロイチン群」「ヘパリーゼ群」「ウィズワン群」を主力としている。

 M&Aを活用してグローバル展開も推進し、08年10月基礎化粧品のイオナ、09年9月「アサコール」の開発会社ティロッツ社(スイス)、10年9月コンドロイチン原料のZPD社(デンマーク)を子会社化した。13年8月には、ビフォーファーマ社(スイス)と鉄欠乏症治療剤「Ferinject」の日本国内における独占的開発・販売契約を締結し、ZPD社の株式を追加取得して完全子会社化した。

 新薬開発は消化器分野を最重点領域と位置付けて、国際的に通用する新薬の創製を念頭に置き、自社オリジナル品の海外での臨床試験を積極的に推進するとともに、海外で実績のある薬剤を導入して国内での開発を進めている。

 消火器分野の「Z−206(アサコール)」は協和発酵キリンと共同で、潰瘍性大腸炎を対象に用法・用量を追加するフェーズ3を実施している。中国での開発はフェーズ3を終了して13年5月に承認申請済みだ。自社オリジナル品の「Z−338(アコファイド)」は欧州において機能性ディスペプシアを対象としたフェーズ3を実施している。

 エーザイ<4523>から導入した長時間作用型プロトンポンプ阻害剤「Z−215」は逆流性食道炎を対象としたフェーズ2を開始、子宮頸癌を対象とする「Z−100」は日本を含むアジア地域におけるフェーズ3国際共同治験を開始、膵臓癌を対象とする「Z−360」は日本を含むアジア地域におけるフェーズ2国際共同治験を開始、ビフォーファーマ社から導入した鉄欠乏性貧血治療剤「Z−213」はフェーズ1bを開始した。

 14年8月にはエーザイの新規化合物「E3710」(プロトンポンプ阻害剤:PPI)に関するライセンス契約を締結した。エーザイは当社に対して「E3710」の日本における独占的開発権、共同販促権、非独占的製造権を付与し、開発および製造販売承認は当社が行う。承認取得後は両社で共同販促を行う。

 14年9月には、日本で初めて月経前症候群の効能を取得した西洋ハーブ・ダイレクトOTC医薬品「プレフェミン」(要指導医薬品)を販売開始した。

 15年3月にはコンビニエンスストア向け滋養強壮ミニドリンク剤「ヘパリーゼ・アミノ」を販売開始した。疲労回復のための栄養補給を訴求した「ヘパリーゼ」ブランド初の指定医薬部外品である。6月には「ヘパリーゼW」シリーズの新製品として、炭酸飲料「ヘパリーゼWスパークリング」を全国のコンビニエンスストアで販売すると発表した。

 15年4月にはベトナムの中堅医薬品製造販売会社F.T.Pharma社の株式49.0%取得を発表した。当社グループのアジア地域における事業展開の際の一つの拠点とする。

■16年3月期は大幅増益予想で収益改善基調

 なお15年3月期の四半期別推移を見ると、売上高は第1四半期(4月〜6月)147億15百万円、第2四半期(7月〜9月)154億21百万円、第3四半期(10月〜12月)156億46百万円、第4四半期(1月〜3月)152億30百万円、営業利益は第1四半期8億58百万円、第2四半期14億21百万円、第3四半期10億61百万円、第4四半期6億62百万円の赤字だった。

 15年3月期の配当性向は62.3%、ROEは14年3月期比6.9ポイント低下して4.2%、自己資本比率は同6.0ポイント上昇して65.0%となった。

 今期(16年3月期)の連結業績予想(5月8日公表)は、売上高が前期比6.5%増の650億円、営業利益が同49.3%増の40億円、経常利益が同26.3%増の35億円、純利益が同17.3%増の30億円としている。配当予想は前期と同額の年間30円(第2四半期末15円、期末15円)で予想配当性向は53.1%となる。

 コンシューマーヘルスケア事業が引き続き好調に推移し、医療用医薬品事業では潰瘍性大腸炎治療剤「アサコール」の国内外での伸長、機能性ディスペプシア治療剤「アコファイド」の市場浸透を見込んでいる。研究開発費や広告宣伝費が増加するが、増収効果で吸収して大幅増益見込みだ。

 前期は薬価改定や後発品使用促進の影響、機能性ディスペプシア治療剤「アコファイド」の市場構築遅れ、ライセンス収入やロイヤリティ収入の減少、広告宣伝費の増加、成長戦略に欠かせない新薬パイプラインの充実を図るため当初予定していなかった新規開発テーマの導入費用の発生、ヨーロッパとアジア地域で実施している治験の進捗による研究開発費の想定以上の増加などで大幅減益だったが、収益は改善基調だろう。

■株価は調整の最終局面

 株主優待については毎年9月末および3月末現在の株主に対して自社グループ商品を贈呈している。1000株以上所有株主に対してはA・B・C・D・Eコースの中からいずれか1コース選択、100株以上〜1000株未満所有株主に対してはFコースを贈呈する。

 株価の動きを見ると、水準を切り下げて調整局面が続いている。6月29日には全般地合い悪化も影響して年初来安値となる1777円まで下押した。ただし調整のほぼ最終局面だろう。

 6月29日の終値1777円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS56円48銭で算出)は31〜32倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間30円で算出)は1.7%近辺、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS1178円00銭で算出)は1.5倍近辺である。

 日足チャートで見ると25日移動平均線、週足チャートで見ると13週移動平均線が戻りを押さえる形で水準を切り下げたが、リズム的には調整のほぼ最終局面だろう。16年3月期の大幅増益予想を評価して一旦は反発展開が期待される。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media−IR)
[5月29日更新]

ゼリア新薬工業は16年3月期は大幅増益予想
 ゼリア新薬工業<4559>(東1)は消化器分野を中心に展開する製薬会社である。株価は3月の戻り高値圏から反落して水準を切り下げたが、調整の最終局面だろう。16年3月期の大幅増益予想を評価して反発展開が期待される。

 消化器分野が中心の医療用医薬品事業、および一般用医薬品のコンシューマーヘルスケア事業を展開している。

 医療用医薬品事業では潰瘍性大腸炎治療剤「アサコール」、H2受容体拮抗剤「アシノン」、亜鉛含有胃潰瘍治療剤「プロマック」を主力としている。13年6月には自社開発の機能性ディスペプシア治療剤「アコファイド」を発売し、アステラス製薬<4503>と共同で早期の市場浸透を目指している。コンシューマーヘルスケア事業は「コンドロイチン群」「ヘパリーゼ群」「ウィズワン群」を主力としている。

 M&Aを活用してグローバル展開も推進し、08年10月基礎化粧品のイオナ、09年9月「アサコール」の開発会社ティロッツ社(スイス)、10年9月コンドロイチン原料のZPD社(デンマーク)を子会社化した。13年8月には、ビフォーファーマ社(スイス)と鉄欠乏症治療剤「Ferinject」の日本国内における独占的開発・販売契約を締結し、ZPD社の株式を追加取得して完全子会社化した。

 新薬開発は消化器分野を最重点領域と位置付けて、国際的に通用する新薬の創製を念頭に置き、自社オリジナル品の海外での臨床試験を積極的に推進するとともに、海外で実績のある薬剤を導入して国内での開発を進めている。

 消火器分野の「Z−206(アサコール)」は協和発酵キリンと共同で、潰瘍性大腸炎を対象に用法・用量を追加するフェーズVを実施している。中国での開発はフェーズVを終了して13年5月に承認申請済みである。自社オリジナル品の「Z−338(アコファイド)」は、欧州において機能性ディスペプシアを対象としたフェーズVを実施している。

 エーザイ<4523>から導入した長時間作用型プロトンポンプ阻害剤「Z−215」については、逆流性食道炎を対象としたフェーズUを開始した。子宮頸癌を対象とする「Z−100」は日本を含むアジア地域におけるフェーズV国際共同治験を開始、膵臓癌を対象とする「Z−360」は日本を含むアジア地域におけるフェーズU国際共同治験を開始、ビフォーファーマ社から導入した鉄欠乏性貧血治療剤「Z−213」はフェーズTbを開始した。

 14年8月にはエーザイの新規化合物「E3710」(プロトンポンプ阻害剤:PPI)に関するライセンス契約を締結した。エーザイは当社に対して「E3710」の日本における独占的開発権、共同販促権、非独占的製造権を付与し、開発および製造販売承認は当社が行う。承認取得後は両社で共同販促を行う。

 14年9月には、日本で初めて月経前症候群の効能を取得した西洋ハーブ・ダイレクトOTC医薬品「プレフェミン」(要指導医薬品)を販売開始した。

 15年3月にはコンビニエンスストア向け滋養強壮ミニドリンク剤「ヘパリーゼ・アミノ」を販売開始した。清涼飲料水「ヘパリーゼW」「ヘパリーゼWハイパー」および栄養補助食品「ヘパリーゼW粒タイプ」を販売しているが、滋養強壮ミニドリンク剤「ヘパリーゼ・アミノ」は疲労回復のための栄養補給を訴求した「ヘパリーゼ」ブランド初の指定医薬部外品である。

 また15年4月には、ベトナムの中堅医薬品製造販売会社F.T.Pharma社の株式49.0%取得を発表した。当社グループのアジア地域における事業展開の際の一つの拠点とする。

 5月8日に発表した前期(15年3月期)の連結業績(4月28日に2回目の減額修正)は、売上高が前々期比1.6%減の610億12百万円、営業利益が同60.6%減の26億78百万円、経常利益が同59.3%減の27億70百万円、純利益が同51.5%減の25億57百万円だった。

 配当予想は年間30円(第2四半期末15円、期末15円)とした。13年10月1日付の株式分割(1株を1.1株に分割)を考慮すると実質的に前期比2円50銭増配で、配当性向は62.3%となる。ROEは同6.9ポイント低下して4.2%、自己資本比率は同6.0ポイント上昇して65.0%となった。

 売上面では、コンシューマーヘルスケア事業が堅調だったが、医療用医薬品事業の長期収載品が薬価改定や後発品使用促進の影響を受けて想定以上に苦戦した。また13年6月に販売開始した機能性ディスペプシア治療剤「アコファイド」も、市場構築が計画に対して遅れた。

 利益面では、ライセンス収入やロイヤリティ収入の減少、広告宣伝費の増加に加えて、成長戦略に欠かせない新薬パイプラインの充実を図るため当初予定していなかった新規開発テーマの導入費用が発生し、ヨーロッパとアジア地域で実施している治験の進捗などで研究開発費が予想を上回った。研究開発費は同32.4%増の98億82百万円だった。

 セグメント別売上高は、医療用医薬品事業が同7.3%減の337億59百万円、コンシューマーヘルスケア事業が同6.7%増の270億95百万円、その他事業が同10.6%減の1億57百万円だった。

 四半期別の推移を見ると、売上高は第1四半期(4月〜6月)147億15百万円、第2四半期(7月〜9月)154億21百万円、第3四半期(10月〜12月)156億46百万円、第4四半期(1月〜3月)152億30百万円、営業利益は第1四半期8億58百万円、第2四半期14億21百万円、第3四半期10億61百万円、第4四半期は6億62百万円の赤字だった。

 今期(16年3月期)の連結業績予想(5月8日公表)は、売上高が前期比6.5%増の650億円、営業利益が同49.3%増の40億円、経常利益が同26.3%増の35億円、純利益が同17.3%増の30億円、配当予想が前期と同額の年間30円(第2四半期末15円、期末15円)としている。

 コンシューマーヘルスケア事業が引き続き好調に推移し、医療用医薬品事業では潰瘍性大腸炎治療剤「アサコール」の国内外での伸長、機能性ディスペプシア治療剤「アコファイド」の市場浸透を見込んでいる。研究開発費や広告宣伝費が増加するが、増収効果で吸収して大幅増益見込みだ。収益は改善基調だろう。

 株主優待については毎年9月末および3月末現在の株主に対して自社グループ商品を贈呈している。1000株以上所有株主に対してはA・B・C・D・Eコースの中からいずれか1コース選択、100株以上〜1000株未満所有株主に対してはFコースを贈呈する。

 株価の動きを見ると、3月の戻り高値2146円から反落して水準を切り下げた。5月18日には年初来安値となる1842円まで下押した。ただし調整の最終局面だろう。

 5月28日の終値1853円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS56円48銭で算出)は33倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間30円で算出)は1.6%近辺、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS1178円00銭で算出)は1.6倍近辺である。

 週足チャートで見ると、再び13週移動平均線と26週移動平均線を割り込んで安値圏に回帰したが、調整の最終局面だろう。16年3月期の大幅増益予想を評価して反発展開が期待される。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media−IR)
[4月23日更新]

ゼリア新薬工業は16年3月期の収益改善期待で出直り

 ゼリア新薬工業[4559](東1)の株価は安値圏でモミ合う展開だが、1900円近辺で下げ渋り感を強めている。調整の最終局面であり、16年3月期の収益改善期待で出直り展開だろう。

 消化器分野が中心の医療用医薬品事業、および一般用医薬品のコンシューマーヘルスケア事業を展開している。

 医療用医薬品事業では潰瘍性大腸炎治療剤「アサコール」、H2受容体拮抗剤「アシノン」、亜鉛含有胃潰瘍治療剤「プロマック」を主力としている。13年6月には自社開発の機能性ディスペプシア治療剤「アコファイド」を発売し、アステラス製薬<4503>と共同で早期の市場浸透を目指している。コンシューマーヘルスケア事業は「コンドロイチン群」「ヘパリーゼ群」「ウィズワン群」を主力としている。

 M&Aを活用してグローバル展開も推進し、08年10月基礎化粧品のイオナ、09年9月「アサコール」の開発会社ティロッツ社(スイス)、10年9月コンドロイチン原料のZPD社(デンマーク)を子会社化した。13年8月には、ビフォーファーマ社(スイス)と鉄欠乏症治療剤「Ferinject」の日本国内における独占的開発・販売契約を締結し、ZPD社の株式を追加取得して完全子会社化した。

 新薬開発は消化器分野を最重点領域と位置付けて、国際的に通用する新薬の創製を念頭に置き、自社オリジナル品の海外での臨床試験を積極的に推進するとともに、海外で実績のある薬剤を導入して国内での開発を進めている。

 14年8月にはエーザイ<4523>の新規化合物「E3710」(プロトンポンプ阻害剤:PPI)に関するライセンス契約を締結した。エーザイは当社に対して「E3710」の日本における独占的開発権、共同販促権、非独占的製造権を付与し、開発および製造販売承認は当社が行う。承認取得後は両社で共同販促を行う。

 14年9月には、日本で初めて月経前症候群の効能を取得した西洋ハーブ・ダイレクトOTC医薬品「プレフェミン」(要指導医薬品)を販売開始した。

 15年3月にはコンビニエンスストア向け滋養強壮ミニドリンク剤「ヘパリーゼ・アミノ」を販売開始した。清涼飲料水「ヘパリーゼW」「ヘパリーゼWハイパー」および栄養補助食品「ヘパリーゼW粒タイプ」を販売しているが、滋養強壮ミニドリンク剤「ヘパリーゼ・アミノ」は疲労回復のための栄養補給を訴求した「ヘパリーゼ」ブランド初の指定医薬部外品である。

 4月17日にはベトナムの中堅医薬品製造販売会社F.T.Pharma社の株式49.0%取得を発表した。当社グループのアジア地域における事業展開の際の一つの拠点とする。連結業績への影響については精査中としている。

 前期(15年3月期)の連結業績見通し(10月31日に減額修正)は、売上高が前々期比3.2%増の640億円、営業利益が同26.4%減の50億円、経常利益が同26.5%減の50億円、純利益が同18.5%減の43億円としている。

 配当予想(5月13日公表)は年間30円(第2四半期末15円、期末15円)としている。13年10月1日付の株式分割(1株を1.1株に分割)を考慮すると実質的に前期比2円50銭増配となる。

 第3四半期累計(4月〜12月)は前年同期比2.1%減収、44.0%営業減益、45.1%経常減益、30.9%最終減益で、通期見通しに対する進捗率は売上高71.5%、営業利益66.8%、経常利益66.7%、純利益73.5%だった。

 四半期別の推移を見ると、売上高は第1四半期(4月〜6月)147億15百万円、第2四半期(7月〜9月)154億21百万円、第3四半期(10月〜12月)156億46百万円、営業利益は第1四半期8億58百万円、第2四半期14億21百万円、第3四半期10億61百万円である。

 通期ベースでも、医療用医薬品事業が薬価改定も影響してやや低調となり、ライセンス収入やロイヤリティ収入の減少、研究開発費や広告宣伝費の増加も影響する。ただしコンシューマーヘルスケア事業はコンビニエンスストア向け「ヘパリーゼ群」が好調のようだ。

 今期(16年3月期)については、コンシューマーヘルスケア事業が引き続き好調に推移し、医療用医薬品事業も消費増税の反動影響や薬価改定の影響が一巡し、機能性ディスペプシア治療剤「アコファイド」の市場浸透も寄与して収益改善基調だろう。

 株主優待については毎年9月末および3月末現在の株主に対して自社グループ商品を贈呈している。1000株以上所有株主に対してはA・B・C・D・Eコースの中からいずれか1コース選択、100株以上〜1000株未満所有株主に対してはFコースを贈呈する。

 株価の動きを見ると、3月の戻り高値2146円から反落して安値圏でモミ合う展開だ。ただし1月安値1876円、2月安値1877円まで下押すことなく、1900円近辺で下げ渋り感を強めている。調整の最終局面だろう。

 4月22日の終値1951円を指標面で見ると、前期推定連結PER(会社予想の連結EPS80円95銭で算出)は24倍近辺、前期推定配当利回り(会社予想の年間30円で算出)は1.5%近辺、前々期実績PBR(前々期実績の連結BPS1105円78銭で算出)は1.8倍近辺である。

 日足チャートで見ると25日移動平均線を割り込んだが、週足チャートで見ると26週移動平均線突破の動きを強めている。調整の最終局面であり、16年3月期の収益改善期待で出直り展開だろう。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media−IR)
[3月26日更新]

ゼリア新薬工業は下値固め完了、16年3月期の収益改善期待で出直り本格化

 ゼリア新薬工業[4559](東1)の株価は、下値固めが完了して切り返しの動きを強めている。15年3月期の減益見通しの織り込みが完了して強基調に転換した形であり、16年3月期の収益改善期待で出直りの動きが本格化しそうだ。

 消化器分野が中心の医療用医薬品事業、および一般用医薬品のコンシューマーヘルスケア事業を展開している。医療用医薬品事業では潰瘍性大腸炎治療剤「アサコール」、H2受容体拮抗剤「アシノン」、亜鉛含有胃潰瘍治療剤「プロマック」を主力としている。13年6月には自社開発新薬の機能性ディスペプシア治療剤「アコファイド」を発売し、アステラス製薬<4503>と共同で早期の市場浸透を目指している。コンシューマーヘルスケア事業は「コンドロイチン群」「ヘパリーゼ群」「ウィズワン群」を主力としている。

 M&Aを活用してグローバル展開も推進し、08年10月基礎化粧品のイオナ、09年9月「アサコール」の開発会社ティロッツ社(スイス)、10年9月コンドロイチン原料のZPD社(デンマーク)を子会社化した。13年8月には、ビフォーファーマ社(スイス)と鉄欠乏症治療剤「Ferinject」の日本国内における独占的開発・販売契約を締結し、ZPD社の株式を追加取得して完全子会社化した。

 新薬開発は消化器分野を最重点領域と位置付けて、国際的に通用する新薬の創製を念頭に置き、自社オリジナル品の海外での臨床試験を積極的に推進するとともに、海外で実績のある薬剤を導入して国内での開発を進めている。

 14年8月にはエーザイ<4523>の新規化合物「E3710」(プロトンポンプ阻害剤:PPI)に関するライセンス契約を締結した。エーザイは当社に対して「E3710」の日本における独占的開発権、共同販促権、非独占的製造権を付与し、開発および製造販売承認は当社が行う。承認取得後は両社で共同販促を行う。

 14年9月には、日本で初めて月経前症候群の効能を取得した西洋ハーブ・ダイレクトOTC医薬品「プレフェミン」(要指導医薬品)を、全国の薬局・薬店・ドラッグストアで販売開始した。

 3月23日にはコンビニエンスストア向け滋養強壮ミニドリンク剤「ヘパリーゼ・アミノ」の販売開始を発表した。清涼飲料水「ヘパリーゼW」「ヘパリーゼWハイパー」および栄養補助食品「ヘパリーゼW粒タイプ」を販売しているが、滋養強壮ミニドリンク剤「ヘパリーゼ・アミノ」は疲労回復のための栄養補給を訴求した「ヘパリーゼ」ブランド初の指定医薬部外品である。

 今期(15年3月期)の連結業績見通し(10月31日に減額修正)は売上高が前期比3.2%増の640億円、営業利益が同26.4%減の50億円、経常利益が同26.5%減の50億円、純利益が同18.5%減の43億円としている。

 配当予想(5月13日公表)は年間30円(第2四半期末15円、期末15円)としている。13年10月1日付の株式分割(1株を1.1株に分割)を考慮すると実質的に前期比2円50銭増配となる。

 第3四半期累計(4月〜12月)は前年同期比2.1%減収、同44.0%営業減益、同45.1%経常減益、同30.9%最終減益だった。医療用医薬品事業が消費増税の反動影響、薬価改定の影響、後発医薬品の使用促進の影響などで同10.8%減収と低調だった。ライセンス収入やロイヤリティ収入の減少、研究開発費や広告宣伝費の増加も影響して大幅減益だった。ただしコンシューマーヘルスケア事業はコンビニエンスストア向け「ヘパリーゼ群」が牽引して同11.1%増収と好調に推移している。

 四半期別の推移を見ると、売上高は第1四半期(4月〜6月)147億15百万円、第2四半期(7月〜9月)154億21百万円、第3四半期(10月〜12月)156億46百万円で、営業利益は第1四半期8億58百万円、第2四半期14億21百万円、第3四半期10億61百万円である。

 通期見通しに対する第3四半期累計の進捗率は売上高が71.5%、営業利益が66.8%、経常利益が66.7%、純利益が73.5%である。やや低水準だが、コンシューマーヘルスケア事業の好調などで第4四半期(1月〜3月)の挽回が期待される。

 来期(16年3月期)については、コンシューマーヘルスケア事業が引き続き好調に推移し、医療用医薬品事業も消費増税の反動影響や薬価改定の影響が一巡し、機能性ディスペプシア治療剤「アコファイド」の市場浸透も寄与して収益改善基調だろう。

 株主優待については毎年9月末および3月末現在の株主に対して自社グループ商品を贈呈している。1000株以上所有株主に対してはA・B・C・D・Eコースの中からいずれか1コース選択、100株以上〜1000株未満所有株主に対してはFコースを贈呈する。

 株価の動きを見ると、直近安値圏1900円近辺で下値固めが完了して切り返しの動きを強めている。3月23日には2146円まで上伸する場面があった。15年3月期の減益見通しの織り込みが完了したようだ。

 3月25日の終値2093円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS80円95銭で算出)は25〜26倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間30円で算出)は1.4%近辺、前期実績PBR(前期実績の連結BPS1105円78銭で算出)は1.9倍近辺である。

 週足チャートで見ると13週移動平均線に続いて26週移動平均線を突破した。強基調への転換を確認した形だ。16年3月期の収益改善期待で出直りの動きが本格化しそうだ。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media−IR)
[2月24日更新]

ゼリア新薬工業は今期減益見通しを織り込んで調整一巡の可能性、出直り期待

 ゼリア新薬工業[4559](東1)の第3四半期累計(4月〜12月)連結業績は減収減益となりましたが、株価のネガティブ反応は限定的で1900円近辺で下げ渋る動きです。今期(15年3月期)減益見通しを織り込んで調整が一巡した可能性があり、出直り展開が期待されます。

 消化器分野が中心の医療用医薬品事業、および一般用医薬品のコンシューマーヘルスケア事業を展開しています。医療用医薬品事業では潰瘍性大腸炎治療剤「アサコール」、H2受容体拮抗剤「アシノン」、亜鉛含有胃潰瘍治療剤「プロマック」を主力としています。13年6月には自社開発新薬の機能性ディスペプシア治療剤「アコファイド」を発売し、アステラス製薬<4503>と共同で早期の市場浸透を目指しています。コンシューマーヘルスケア事業は「コンドロイチン群」「ヘパリーゼ群」「ウィズワン群」を主力としています。

 M&Aを活用してグローバル展開も推進し、08年10月基礎化粧品のイオナ、09年9月「アサコール」の開発会社ティロッツ社(スイス)、10年9月コンドロイチン原料のZPD社(デンマーク)を子会社化しました。13年8月には、ビフォーファーマ社(スイス)と鉄欠乏症治療剤「Ferinject」の日本国内における独占的開発・販売契約を締結し、ZPD社の株式を追加取得して完全子会社化しました。

 新薬開発は消化器分野を最重点領域と位置付けて、国際的に通用する新薬の創製を念頭に置き、自社オリジナル品の海外での臨床試験を積極的に推進するとともに、海外で実績のある薬剤を導入して国内での開発を進めています。

 14年8月にはエーザイ<4523>の新規化合物「E3710」(プロトンポンプ阻害剤:PPI)に関するライセンス契約を締結しました。エーザイは当社に対して「E3710」の日本における独占的開発権、共同販促権、非独占的製造権を付与し、開発および製造販売承認は当社が行います。そして承認取得後は両社で共同販促を行います。

 14年9月には、日本で初めて月経前症候群の効能を取得した西洋ハーブ・ダイレクトOTC医薬品「プレフェミン」(要指導医薬品)を、全国の薬局・薬店・ドラッグストアで販売開始しました。

 2月5日に発表した今期(15年3月期)第3四半期累計(4月〜12月)の連結業績は、売上高が前年同期比2.1%減の457億82百万円、営業利益が同44.0%減の33億40百万円、経常利益が同45.1%減の33億33百万円、純利益が同30.9%減の31億60百万円となりました。

 コンシューマーヘルスケア事業は、製品認知度が向上したコンビニエンスストア向け「ヘパリーゼ群」の売上が拡大して、同11.1%増収と好調に推移しましたが、医療用医薬品事業は消費増税の反動影響、薬価改定の影響、後発医薬品の使用促進の影響などで同10.8%減収と苦戦しました。利益面ではライセンス収入およびロイヤリティ収入の減少、研究開発費や広告宣伝費の増加も影響して大幅減益となりました。

 四半期別の推移を見ると、売上高は第1四半期(4月〜6月)147億15百万円、第2四半期(7月〜9月)154億21百万円、第3四半期(10月〜12月)156億46百万円で、営業利益は第1四半期8億58百万円、第2四半期14億21百万円、第3四半期10億61百万円です。

 通期の連結業績見通しは前回予想(10月31日に減額修正)を据え置いて売上高が前期比3.2%増の640億円、営業利益が同26.4%減の50億円、経常利益が同26.5%減の50億円、純利益が同18.5%減の43億円としています。

 配当予想(5月13日公表)は年間30円(第2四半期末15円、期末15円)としています。13年10月1日付の株式分割(1株を1.1株に分割)を考慮すると実質的に前期比2円50銭増配となります。

 通期見通しに対する第3四半期累計の進捗率は売上高が71.5%、営業利益が66.8%、経常利益が66.7%、純利益が73.5%とやや低水準ですが、第4四半期(1月〜3月)以降は消費増税や天候不順の影響一巡、機能性ディスペプシア治療剤「アコファイド」の市場浸透などで挽回が期待されます。

 株主優待については毎年9月末および3月末現在の株主に対して自社グループ商品を贈呈しています。1000株以上所有株主に対してはA・B・C・D・Eコースの中からいずれか1コース選択、100株以上〜1000株未満所有株主に対してはFコースを贈呈します。

 株価の動きを見ると、今期業績見通しの減額修正を嫌気して安値圏での展開が続いています。1月23日には13年9月以来の安値水準となる1876円まで調整しました。ただしその後は1900円近辺で下げ渋る動きです。第3四半期累計の大幅減益に対するネガティブ反応も限定的のようです。今期減益見通しを織り込んで調整が一巡した可能性があるでしょう。

 2月23日の終値1929円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS80円95銭で算出)は23〜24倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間30円で算出)は1.6%近辺、前期実績PBR(前期実績の連結BPS1105円78銭で算出)は1.7倍近辺です。

 週足チャートで見ると13週移動平均線が抵抗線の形ですが、日足チャートで見ると25日移動平均線を突破しました。今期減益見通しを織り込んで出直り展開が期待されます。
(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media−IR)
[1月27日更新]

ゼリア新薬工業は調整一巡、今期減益見通しを織り込んで反発局面

 ゼリア新薬工業[4559](東1)の株価は安値圏での展開が続き、1月23日には13年9月以来の安値水準となる1876円まで調整した。ただし26日は前日比75円高の1959円まで反発した。今期(15年3月期)減益見通しは織り込み済みであり、調整が一巡して反発局面だろう。

 消化器分野が中心の医療用医薬品事業と、一般用医薬品のコンシューマーヘルスケア事業を展開している。医療用医薬品事業では潰瘍性大腸炎治療剤「アサコール」、H2受容体拮抗剤「アシノン」、亜鉛含有胃潰瘍治療剤「プロマック」を主力としている。13年6月には自社開発新薬の機能性ディスペプシア治療剤「アコファイド」を発売し、アステラス製薬<4503>と共同で早期の市場浸透を目指している。コンシューマーヘルスケア事業では「コンドロイチン群」「ヘパリーゼ群」「ウィズワン群」を主力としている。

 M&Aを活用してグローバル展開も推進し、08年10月基礎化粧品のイオナ、09年9月「アサコール」の開発会社ティロッツ社(スイス)、10年9月コンドロイチン原料のZPD社(デンマーク)を子会社化した。13年8月には、ビフォーファーマ社(スイス)と鉄欠乏症治療剤「Ferinject」の日本国内における独占的開発・販売契約を締結し、ZPD社の株式を追加取得して完全子会社化した。

 新薬開発は消化器分野を最重点領域と位置付けて、国際的に通用する新薬の創製を念頭に、自社オリジナル品の海外での臨床試験を積極的に推進するとともに、海外で実績のある薬剤を導入して国内での開発を進めている。

 14年8月にはエーザイ<4523>の新規化合物「E3710」(プロトンポンプ阻害剤:PPI)に関するライセンス契約を締結した。エーザイは当社に対して「E3710」の日本における独占的開発権、共同販促権、非独占的製造権を付与する。開発は当社が行い、製造販売承認も当社が取得する。承認取得後は両社で共同販促を行う。

 14年9月には、日本で初めて月経前症候群の効能を取得した西洋ハーブ・ダイレクトOTC医薬品「プレフェミン」(要指導医薬品)を、全国の薬局・薬店・ドラッグストアで販売開始した。

 今期(15年3月期)の連結業績見通し(10月31日に減額修正)は売上高が前期比3.2%増の640億円、営業利益が同26.4%減の50億円、経常利益が同26.5%減の50億円、純利益が同18.5%減の43億円としている。

 配当予想(5月13日公表)は年間30円(第2四半期末15円、期末15円)としている。13年10月1日付の株式分割(1株を1.1株に分割)を考慮すると、実質的に前期比2円50銭増配となる。

 第2四半期累計(4月〜9月)は前年同期比0.1%増収、同43.9%営業減益、同46.9%経常減益、同36.6%最終減益だった。医療用医薬品事業は薬価改定や消費増税の影響、ロイヤリティ収入の減少などで同9.1%減収と低調だった。コンシューマーヘルスケア事業は同15.2%増収だったが、天候不順の影響などで計画を下回った。

 第2四半期累計が計画を下回ったことに加えて、今後の研究開発費や広告宣伝費などの増加を考慮して通期見通しも減額修正した。ただし下期は消費増税や天候不順の影響一巡、機能性ディスペプシア治療剤「アコファイド」の市場浸透などで収益改善が期待される。

 株主優待については毎年9月末および3月末現在の株主に対して自社グループ商品を贈呈している。1000株以上所有株主に対してはA・B・C・D・Eコースの中からいずれか1コース選択、100株以上〜1000株未満所有株主に対してはFコースを贈呈する。

 株価の動きを見ると、今期業績見通しの減額修正を嫌気して安値圏での展開が続いている。1月23日には13年9月以来の安値水準となる1876円まで調整した。ただし26日は前日比75円(3.98%)高の1959円まで反発した。調整のほぼ最終局面だろう。

 1月26日の終値1957円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS80円95銭で算出)は24倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間30円で算出)は1.5%近辺、前期実績PBR(前期実績の連結BPS1105円78銭で算出)は1.8倍近辺である。

 週足チャートで見ると抵抗線の13週移動平均線突破の動きを強めている。今期減益見通しは織り込み済みであり、調整が一巡して反発局面だろう。
(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media−IR)
[12月15日更新]

ゼリア新薬工業は15年3月期減益見通しを織り込んで反発局面

 ゼリア新薬工業[4559](東1)の株価は、今期(15年3月期)業績の減額修正も嫌気して軟調展開となり、11月27日の年初来安値1920円まで調整したが、その後は下げ渋る動きだ。今期大幅減益見通しを織り込み、調整が一巡して反発局面だろう。

 消化器分野が中心の医療用医薬品事業と、一般用医薬品のコンシューマーヘルスケア事業を展開している。医療用医薬品事業では潰瘍性大腸炎治療剤「アサコール」、H2受容体拮抗剤「アシノン」、亜鉛含有胃潰瘍治療剤「プロマック」を主力としている。13年6月には自社開発新薬の機能性ディスペプシア治療剤「アコファイド」を発売し、アステラス製薬<4503>と共同で早期の市場浸透を目指している。コンシューマーヘルスケア事業では「コンドロイチン群」「ヘパリーゼ群」「ウィズワン群」を主力としている。

 M&Aを活用してグローバル展開も推進し、08年10月基礎化粧品のイオナ、09年9月「アサコール」の開発会社ティロッツ社(スイス)、10年9月コンドロイチン原料のZPD社(デンマーク)を子会社化した。13年8月には、ビフォーファーマ社(スイス)と鉄欠乏症治療剤「Ferinject」の日本国内における独占的開発・販売契約を締結し、ZPD社の株式を追加取得して完全子会社化した。

 新薬開発は消化器分野を最重点領域と位置付けて、国際的に通用する新薬の創製を念頭に、自社オリジナル品の海外での臨床試験を積極的に推進するとともに、海外で実績のある薬剤を導入して国内での開発を進めている。

 14年8月にはエーザイ<4523>の新規化合物「E3710」(プロトンポンプ阻害剤:PPI)に関するライセンス契約を締結した。エーザイは当社に対して「E3710」の日本における独占的開発権、共同販促権、非独占的製造権を付与する。開発は当社が行い、製造販売承認も当社が取得する。承認取得後は両社で共同販促を行う。

 また14年9月には、日本で初めて月経前症候群の効能を取得した西洋ハーブ・ダイレクトOTC医薬品「プレフェミン」(要指導医薬品)を、全国の薬局・薬店・ドラッグストアで販売開始した。

 今期(15年3月期)の連結業績見通し(10月31日に減額修正)は売上高が前期比3.2%増の640億円、営業利益が同26.4%減の50億円、経常利益が同26.5%減の50億円、純利益が同18.5%減の43億円、そして配当予想は13年10月1日付の株式分割を考慮すると、実質的に前期比2円50銭増配の年間30円(第2四半期末15円、期末15円)としている。

 第2四半期累計(4月〜9月)は計画を下回り前年同期比0.1%増収、同43.9%営業減益、同46.9%経常減益、同36.6%最終減益だった。コンシューマーヘルスケア事業は同15.2%増収だったが天候不順の影響などで計画を下回り、医療用医薬品事業は薬価改定や消費増税などが影響して同9.1%減収と低調だった。

 医療用医薬品事業は、国内で潰瘍性大腸炎治療剤「アサコール」が消費増税前駆け込み需要の反動減で伸び悩み、H2受容体拮抗剤「アシノン」および亜鉛含有胃潰瘍治療剤「プロマック」は4月の薬価改定などの影響を受けて苦戦した。機能性ディスペプシア治療剤「アコファイド」の市場浸透も遅れているようだ。またライセンスおよびロイヤリティ収入の減少、研究開発費や広告宣伝費の増加で大幅減益となった。

 第2四半期累計が計画を下回ったことに加えて、今後の研究開発費や広告宣伝費などの増加を考慮して通期見通しも減額修正した。また通期見通しに対する第2四半期累計の進捗率は売上高が47.1%、営業利益が45.6%、経常利益が44.8%、純利益が49.2%とやや低水準だ。ただし下期は消費増税や天候不順の影響一巡などで挽回可能だろう。

 なお株主優待については毎年9月末および3月末現在の株主に対して自社グループ商品を贈呈している。1000株以上所有株主に対してはA・B・C・D・Eコースの中からいずれか1コース選択、100株以上〜1000株未満所有株主に対してはFコースを贈呈する。

 株価の動きを見ると、10月31日発表の今期業績見通しの減額修正も嫌気して軟調展開となり、11月27日の年初来安値1920円まで調整したが、その後は下げ渋る動きだ。調整のほぼ最終局面だろう。

 12月14日の終値1978円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS80円95銭で算出)は24〜25倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間30円で算出)は1.5%近辺、前期実績PBR(前期実績の連結BPS1105円78銭で算出)は1.8倍近辺である。

 週足チャートで見ると13週移動平均線が戻りを押さえる形となって調整局面だが、日足チャートで見ると25日移動平均線突破の動きを強めている。今期大幅減益見通しを織り込み、調整が一巡して反発局面だろう。
(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media−IR)

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