[4563]アンジェス
[01月04日更新]

アンジェスは急動意、HGF遺伝子治療薬(重症虚血肢)の承認申請を発表

 アンジェス<4563>(東マ)は、遺伝子治療薬、核酸医薬、DNAワクチンの開発を推進している。重症虚血肢を対象とするHGF遺伝子治療薬について1月22日、厚生労働省に対する再生医療等製品としての製造販売承認申請を発表した。これを好感して株価は急動意の展開だ。また17年12月期連結業績予想の修正も発表している。決算発表は2月2日の予定である。
 
■HGF遺伝子治療薬(重症虚血肢)などの開発を重点推進
 
 重点的に推進する開発プロジェクトは、重症虚血肢を対象とするHGF遺伝子治療薬、椎間板性腰痛症を対象とするNF−kBデコイオリゴDNA、高血圧を対象とするDNAワクチンとしている。
 
 重症虚血肢を対象とするHGF遺伝子治療薬は1月22日、厚生労働省に対する再生医療等製品としての製造販売承認申請を発表した。承認を得た場合、国内初の遺伝子治療薬となる。販売に関しては田辺三菱製薬と、国内および米国における独占的販売契約を締結している。17年12月には、米スタンフォード大学に研究拠点を設置し、HGFの臨床開発をはじめ、将来事業に向けて協業を拡大すると発表している。
 
 椎間板性腰痛症を対象とするNF−kBデコイオリゴDNAは、17年4月に米食品医薬品局(FDA)から新薬臨床試験開始届け(IND)の承認を取得した。カリフォルニア州立大学サンディエゴ校など、米国数ヶ所の施設において第1b相臨床試験を実施する予定で、17年後半の投与開始を目指している。
 
 17年9月には、尋常性乾癬(かんせん)を対象としたNF−kBデコイオリゴDNAに関する特許が欧州特許庁において登録されたと発表した。日本では既に12年5月に登録されている。
 
 高血圧を対象としたDNAワクチンは、第1・2相臨床試験開始に向けて17年7月、オーストラリアの規制当局である薬品・医薬品行政局(TGA)に臨床試験届け(CTN)を提出した。その後TGAから事務的な手続に関する追加要求を受けたため、要求事項について対応を続けており、治験開始は18年となる見込みだ。
 
 なお17年12月には、DNAワクチン技術を用いたエボラ出血熱抗血清製剤の開発に関して、マウスを使った動物試験の中間報告で良好な結果が得られたと発表している。早期実用化に向けて開発を進める。
 
■17年12月期は赤字縮小予想
 
 17年12月期の連結業績予想は1月22日に修正を発表した。売上高は据え置いて3億60百万円、営業利益は1億円増額して33億円の赤字、経常利益は1億円増額して33億円の赤字、純利益は3億60百万円減額して37億60百万円の赤字としている。前期との比較で赤字が縮小する見込みだ。特別利益には投資有価証券売却益および新株予約権戻入益、特別損失には投資有価証券評価損および固定資産減損損失を計上した。
 
 資金調達については、17年9月に第31回新株予約権(リーディング証券に対する第三者割当方式、行使価額修正条項付、総数12万個=1200万株)を発行している。17年11月末時点の未行使数は11万個(=1100万株)である。
 
■株価は急動意
 
 1月22日の株価はHGF遺伝子治療薬承認申請発表を好感してストップ高水準の769円まで急伸した。急動意の展開だ。1月22日の終値は769円、時価総額は約613億円である。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media−IR) 
[12月27日更新]
 
アンジェスはHGF遺伝子治療薬(重症虚血肢)を承認申請予定                       
 アンジェス<4563>(東マ)は、遺伝子治療薬、核酸医薬、DNAワクチンの開発を推進している。重症虚血肢を対象とするHGF遺伝子治療薬は準備でき次第、再生医療等製品の製造販売承認申請を行う予定だ。
 
■HGF遺伝子治療薬(重症虚血肢)などの開発を重点推進
 
 重点的に推進する開発プロジェクトは、重症虚血肢を対象とするHGF遺伝子治療薬、椎間板性腰痛症を対象とするNF−kBデコイオリゴDNA、高血圧を対象とするDNAワクチンとしている。
 
 重症虚血肢を対象とするHGF遺伝子治療薬は、大阪大学医学部附属病院の主導による先進医療B制度の下で実施された医師主導型臨床研究において、申請が可能となる結果を得ることができたため、準備でき次第、厚生労働省に対して再生医療等製品の製造販売承認申請を行う予定だ。販売に関しては、田辺三菱製薬と国内および米国における独占的販売契約を締結している。
 
 なお12月4日には米スタンフォード大学に研究拠点を設置し、HGFの臨床開発をはじめ、将来事業に向けて協業を拡大すると発表した。
 
 椎間板性腰痛症を対象とするNF−kBデコイオリゴDNAは、17年4月に米食品医薬品局(FDA)から新薬臨床試験開始届け(IND)の承認を取得した。カリフォルニア州立大学サンディエゴ校など、米国数ヶ所の施設において第1b相臨床試験を実施する予定で、17年後半の投与開始を目指している。
 
 17年9月には、尋常性乾癬(かんせん)を対象としたNF−kBデコイオリゴDNAに関する特許が欧州特許庁において登録されたと発表した。日本では既に12年5月に登録されている。
 
 高血圧を対象としたDNAワクチンは、第1・2相臨床試験開始に向けて17年7月、オーストラリアの規制当局である薬品・医薬品行政局(TGA)に臨床試験届け(CTN)を提出した。その後TGAから事務的な手続に関する追加要求を受けたため、要求事項について対応を続けており、治験開始は18年となる見込みだ。
 
 なお12月5日には、DNAワクチン技術を用いたエボラ出血熱抗血清製剤の開発に関して、マウスを使った動物試験の中間報告で良好な結果が得られたと発表している。早期実用化に向けて開発を進める。
 
■17年12月期は赤字縮小予想
 
 17年12月期の連結業績予想は、売上高が3億60百万円、営業利益が34億円の赤字、経常利益が34億円の赤字、純利益が34億円の赤字としている。前期との比較で赤字が縮小する見込みだ。なお12月13日に、特別利益に投資有価証券売却益および新株予約権戻入益の計上を発表している。
 
 資金調達については、17年9月に第31回新株予約権(リーディング証券に対する第三者割当方式、行使価額修正条項付、総数12万個=1200万株)を発行している。11月末時点の未行使数は11万個(=1100万株)である。
 
■株価は調整一巡感
 
 株価は600円近辺でモミ合う形だが調整一巡感を強めている。12月26日の終値は598円、時価総額は約471億円である。週足チャートで見ると26週移動平均線を割り込んだが、徐々に下値を切り上げている。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media−IR)
[11月29日更新]

アンジェスはHGF遺伝子治療薬(重症虚血肢)を準備でき次第製造販売承認申請の予定
 
アンジェス<4563>(東マ)(アンジェスMGが7月1日付で商号変更)は、遺伝子治療薬、核酸医薬、DNAワクチンの開発を推進している。11月24日に開発プロジェクトの進捗状況をリリースした。重症虚血肢を対象とするHGF遺伝子治療薬は準備でき次第、再生医療等製品の製造販売承認申請を行う予定だ。株価は調整一巡して反発の動きを強めている。
 
■HGF遺伝子治療薬(重症虚血肢)などの開発を重点推進
 
 重点的に推進する開発プロジェクトは、重症虚血肢を対象とするHGF遺伝子治療薬、椎間板性腰痛症を対象とするNF−kBデコイオリゴDNA、高血圧を対象とするDNAワクチンとしている。
 
 重症虚血肢を対象とするHGF遺伝子治療薬は、大阪大学医学部附属病院の主導による先進医療B制度の下で実施された医師主導型臨床研究において、申請が可能となる結果を得ることができたため、準備でき次第、厚生労働省に対して再生医療等製品の製造販売承認申請を行う予定だ。なお販売に関しては、田辺三菱製薬と国内および米国における独占的販売契約を締結している。
 
 椎間板性腰痛症を対象とするNF−kBデコイオリゴDNAは、17年4月に米食品医薬品局(FDA)から新薬臨床試験開始届け(IND)の承認を取得した。カリフォルニア州立大学サンディエゴ校など、米国数ヶ所の施設において第1b相臨床試験を実施する予定で、17年後半の投与開始を目指している。
 
 なお17年9月には、尋常性乾癬(かんせん)を対象としたNF−kBデコイオリゴDNAに関する特許が欧州特許庁において登録されたと発表している。日本では既に12年5月に登録されている。
 
 高血圧を対象としたDNAワクチンは、第1・2相臨床試験開始に向けて17年7月、オーストラリアの規制当局である薬品・医薬品行政局(TGA)に臨床試験届け(CTN)を提出した。その後TGAから事務的な手続に関する追加要求を受けたため、要求事項について対応を続けており、治験開始は18年となる見込みだ。
 
■17年12月期は赤字縮小予想
 
 今期(17年12月期)の連結業績予想は、売上高が3億60百万円、営業利益が34億円の赤字、経常利益が34億円の赤字、純利益が34億円の赤字としている。前期との比較で赤字が縮小する見込みだ。
 
 第3四半期累計は売上高が2億55百万円、営業利益が27億43百万円の赤字、経常利益が27億57百万円の赤字、純利益が33億59百万円の赤字だった。
 
 なお資金調達については、17年9月に第31回新株予約権(リーディング証券に対する第三者割当方式、行使価額修正条項付、総数12万個=1200万株)を発行している。
 
■株価は調整一巡して反発期待
 
 株価は7月の年初来高値884円から反落して上値を切り下げたが、11月22日の直近安値500円から反発の動きを強めている。11月28日には688円まで上伸する場面があった。
 
 11月28日の終値は629円、時価総額は約495億円である。週足チャートで見ると26週移動平均線を回復する動きを強めている。調整一巡して反発が期待される。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media−IR)
 [10月30日更新]

アンジェスは調整一巡して反発期待、HGF遺伝子治療薬(重症虚血肢)の年内承認申請目指す  
 アンジェス<4563>(東マ)(アンジェスMGが7月1日付で商号変更)は、遺伝子治療薬、核酸医薬、DNAワクチンの開発を推進している。重症虚血肢を対象とするHGF遺伝子治療薬は国内で年内の承認申請を目指している。株価は7月の年初来高値から反落して上値を切り下げたが、調整一巡して反発が期待される。なお10月30日に第3四半期決算発表を予定している。
 
■HGF遺伝子治療薬(重症虚血肢)などの開発を重点推進
 
 重点的に推進する開発プロジェクトは、重症虚血肢を対象とするHGF遺伝子治療薬、椎間板性腰痛症を対象とするNF−kBデコイオリゴDNA、高血圧を対象とするDNAワクチンとしている。
 
 重症虚血肢を対象とするHGF遺伝子治療薬は、医師主導型臨床研究で予定していた6例の症例登録が17年5月完了した。そして17年8月には6例目の被験者の投与後の観察期間が終了した。今後データの解析・評価を行い、国内で再生医療等製品として17年秋の国内承認申請を目指すとしている。
 
 椎間板性腰痛症を対象とするNF−kBデコイオリゴDNAは、17年4月に米食品医薬品局(FDA)から新薬臨床試験開始届け(IND)の承認を取得した。カリフォルニア州立大学サンディエゴ校など、米国数ヶ所の施設において第1b相臨床試験を実施する予定で、17年後半の投与開始を目指している。
 
 なお17年9月には、尋常性乾癬(かんせん)を対象としたNF−kBデコイオリゴDNAに関する特許が欧州特許庁において登録されたと発表している。日本では既に12年5月に登録されている。
 
 高血圧を対象としたDNAワクチンは、第1・2相臨床試験開始に向けて17年7月、オーストラリアの規制当局である薬品・医薬品行政局(TGA)に臨床試験届け(CTN)を提出した。17年後半の投与開始を目指している。
 
■17年12月期は赤字縮小予想
 
 今期(17年12月期)の連結業績予想は、売上高が3億60百万円、営業利益が34億円の赤字、経常利益が34億円の赤字、純利益が34億円の赤字としている。前期との比較で赤字が縮小する見込みだ。
 
 なお資金調達については、17年9月に第31回新株予約権(リーディング証券に対する第三者割当方式、行使価額修正条項付、総数12万個=1200万株)を発行している。
 
■株価は調整一巡して反発期待
 
 株価は7月の年初来高値884円から反落して上値を切り下げたが、600円近辺で推移して調整一巡感を強めている。10月26日の終値は600円、時価総額は約472億円である。週足チャートで見ると26週移動平均線が接近して下げ渋る動きだ。調整一巡して反発が期待される。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media−IR)
[09月29日更新]

アンジェスはHGF遺伝子治療薬(重症虚血肢)の年内承認申請目指す

 アンジェス<4563>(東マ)(アンジェスMGが7月1日付で商号変更)は、遺伝子治療薬、核酸医薬、DNAワクチンの開発を推進している。重症虚血肢を対象とするHGF遺伝子治療薬は、国内で年内の承認申請を目指している。株価は日柄調整完了して上値を試す展開が期待される。
 
■HGF遺伝子治療薬(重症虚血肢)などの開発を重点推進
 
 重点的に推進する開発プロジェクトは、重症虚血肢を対象とするHGF遺伝子治療薬、椎間板性腰痛症を対象とするNF−kBデコイオリゴDNA、高血圧を対象とするDNAワクチンとしている。
 
 重症虚血肢を対象とするHGF遺伝子治療薬は、医師主導型臨床研究で予定していた6例の症例登録が17年5月完了した。そして17年8月には6例目の被験者の投与後の観察期間が終了した。今後データの解析・評価を行い、国内で再生医療等製品として17年秋の国内承認申請を目指すとしている。
 
 椎間板性腰痛症を対象とするNF−kBデコイオリゴDNAは、17年4月に米食品医薬品局(FDA)から新薬臨床試験開始届け(IND)の承認を取得した。カリフォルニア州立大学サンディエゴ校など、米国数ヶ所の施設において第1b相臨床試験を実施する予定で、17年後半の投与開始を目指している。
 
 なお9月15日には、尋常性乾癬(かんせん)を対象としたNF−kBデコイオリゴDNAに関する特許が欧州特許庁において登録されたと発表している。日本では既に12年5月に登録されている。
 
 高血圧を対象としたDNAワクチンは、第1・2相臨床試験開始に向けて17年7月、オーストラリアの規制当局である薬品・医薬品行政局(TGA)に臨床試験届け(CTN)を提出した。17年後半の投与開始を目指している。
 
■17年12月期は赤字縮小予想
 
 今期(17年12月期)の連結業績予想は、売上高が3億60百万円、営業利益が34億円の赤字、経常利益が34億円の赤字、純利益が34億円の赤字としている。前期との比較で赤字が縮小する見込みだ。
 
■株価は日柄調整一巡して上値試す
 
 なお8月28日発表した第31回新株予約権(リーディング証券に対する第三者割当方式、行使価額修正条項付、総数12万個=1200万株)について、9月13日に発行価額の総額(61百万円)の払込が完了したと発表している。
 
 株価は600円近辺で推移し、急伸後の日柄調整完了感を強めている。9月28日の終値は645円、時価総額は約507億円である。週足チャートで見ると13週移動平均線を割り込んだが、26週移動平均線がサポートラインとなりそうだ。日柄調整完了して上値を試す展開が期待される。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media−IR)
[08月31日更新]

アンジェスは日柄調整一巡感、HGF遺伝子治療薬(重症虚血肢)の年内承認申請目指す  
 アンジェス<4563>(東マ)(アンジェスMGが7月1日付で商号変更)は、遺伝子治療薬、核酸医薬、DNAワクチンの開発を推進している。重症虚血肢を対象とするHGF遺伝子治療薬は6例目の観察期間が終了し、国内で年内の承認申請を目指している。株価は日柄調整一巡して上値を試す展開が期待される。
 
■HGF遺伝子治療薬(重症虚血肢)などの開発を重点推進
 
 7月31日に開発プロジェクトの位置付けを発表した。重点的に推進するプロジェクトは、重症虚血肢を対象とするHGF遺伝子治療薬、椎間板性腰痛症を対象とするNF−kBデコイオリゴDNA、高血圧を対象とするDNAワクチンとした。一方で中止・中断するプロジェクトは、リンパ浮腫を対象とするHGF遺伝子治療薬、固形がんを対象とするアロベクチンとした。
 
 重症虚血肢を対象とするHGF遺伝子治療薬は、医師主導型臨床研究で予定していた6例の症例登録が17年5月完了した。そして8月1日には、6例目の被験者の投与後の観察期間が終了したと発表している。今後データの解析・評価を行い、国内で再生医療等製品として17年秋の国内承認申請を目指すとしている。
 
 椎間板性腰痛症を対象とするNF−kBデコイオリゴDNAは、17年4月に米食品医薬品局(FDA)から新薬臨床試験開始届け(IND)の承認を取得した。カリフォルニア州立大学サンディエゴ校など、米国数ヶ所の施設において第1b相臨床試験を実施する予定で、17年後半の投与開始を目指している。
 
 高血圧を対象としたDNAワクチンは、第1・2相臨床試験開始に向けて17年7月、オーストラリアの規制当局である薬品・医薬品行政局(TGA)に臨床試験届け(CTN)を提出した。17年後半の投与開始を目指している。
 
■17年12月期は赤字縮小予想
 
 今期(17年12月期)第2四半期累計(1〜6月)連結業績は売上高が1億69百万円、営業利益が17億02百万円の赤字、経常利益が16億98百万円の赤字、純利益が22億99百万円の赤字だった。前年同期との比較で赤字が縮小した。
 
 通期の連結業績予想は売上高が3億60百万円、営業利益が34億円の赤字、経常利益が34億円の赤字、純利益が34億円の赤字としている。前期との比較で赤字が縮小する見込みだ。
 
■株価は日柄調整一巡して上値試す
 
 なお17年1月発行の第29回新株予約権(第三者割当、行使価額修正条項付、総数8万個=800万株)は6月13日をもって全新株予約権の権利行使が完了した。そして8月28日には第31回新株予約権(リーディング証券に対する第三者割当方式、行使価額修正条項付、総数12万個=1200万株)の発行を発表した。
 
 株価は7月26日高値884円から反落したが、8月9日の529円から切り返して8月28日には760円まで上伸した。8月30日の終値は644円、時価総額は約506億円である。週足チャートで見ると13週移動平均線が接近して過熱感が解消した。日柄調整一巡して上値を試す展開が期待される。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media−IR)
[07月27日更新]

アンジェスは16年高値に接近、HGF遺伝子治療薬の申請期待、高血圧DNAワクチンの臨床試験も注目
 アンジェス<4563>(東マ)(アンジェスMGが7月1日付で商号変更)は、遺伝子医薬の創薬バイオベンチャーで、遺伝子治療薬、核酸医薬、DNAワクチンの開発を推進している。HGF遺伝子治療薬の申請が期待され、オーストラリアで計画している高血圧DNAワクチンの臨床試験も注目される。株価は底放れの展開となって16年高値に接近している。上値を試す展開が期待される。

■遺伝子医薬のグローバルリーダー目指す創薬バイオベンチャー

 遺伝子医薬のグローバルリーダーを目指す大阪大学発の創薬バイオベンチャーである。HGF(肝細胞増殖因子)遺伝子治療薬、NF−kBデコイオリゴ核酸医薬、DNA治療ワクチンなど、遺伝子の働きを活用した遺伝子医薬分野で開発を推進している。

 自社開発品の販売権または開発販売権を製薬会社に供与し、契約に基づいて契約一時金収入、開発の進捗に対応したマイルストーン収入、上市後の売上に対する一定対価のロイヤリティ収入を得る。

 日本では14年11月施行の「医薬品医療機器等法(改正薬事法)」で新たに再生医療等製品が定義され、遺伝子治療を含む再生医療等製品に対する早期承認制度が導入された。これによって遺伝子治療を含む再生医療分野に関しては、日本が世界で最も早く製品承認を取得できることなり、再生医療・細胞医療の早期実用化の促進が期待されている。なお当社が開発を進めているHGF遺伝子治療薬は、承認取得すれば先進国2番目の遺伝子治療薬となる可能性がある。

■複数のプロジェクトを保有してリスク分散

 新薬開発は複数のプロジェクトを保有してリスク分散を図っている。重点プロジェクトの状況を整理すると以下のとおりとなる。

 (1)重症虚血肢を対象とするHGF遺伝子治療薬は、国内では先進医療B制度の下、医師主導臨床試験を実施中で、6症例の実施を目指している。そして17年5月佐賀大学医学部附属病院で、6例目の被験者への投与が開始された。条件および期限付承認制度によって17年の承認申請、18年の条件付承認獲得を目指す。

 海外は米国で新たな試験計画を策定中である。新試験の概要がまとまり次第、米食品医薬品局(FDA)との協議を開始する。16年12月には米スタンフォード大学と協業の覚書を締結した。HGF遺伝子治療薬の新開発戦略構築をはじめ、DNAワクチンなど将来の事業分野を対象に幅広く協力を進める。

 (2)原発性リンパ浮腫を対象とするHGF遺伝子治療薬は、国内で13年10月から第1・2相臨床試験を実施し、16年4月症例登録完了した。

 (3)椎間板性腰痛症を対象とするNF−kBデコイオリゴDNAは米国における第1・2相臨床試験を準備中である。17年3月には米食品医薬品局(FDA)に申請していた新薬臨床試験開始届(IND)が承認されている。17年半ばからカリフォルニア州立大学サンディエゴ校などで第1b相臨床試験を開始する予定だ。

 (4)次世代型デコイ核酸医薬キメラデコイの基盤技術開発を完了し、新たに開発を始めるデコイはキメラ型を主軸とする。STAT6とNF−kBという炎症に関わる2つの重要な因子を同時に抑制する働きをもった核酸医薬で、NF−kBのみをターゲットとした従来のデコイに比べて炎症を抑える効果が格段に高いことが期待される。

 (5)次世代遺伝子医薬DNA治療ワクチン事業は、遺伝子治療薬、核酸医薬に次ぐ第3の柱として推進する。16年8月米バイオ企業Vical社への出資比率引き上げと事業提携で基本合意、16年9月高血圧DNAワクチンに関する物質特許(大阪大学と共同出願)が米国で成立、16年10月動脈硬化症を対象としたDNAワクチンに関する日本国内の用途特許が成立、16年12月米Vical社と戦略的事業提携契約を締結、17年1月DNAワクチンに関する日本における物質特許(16年9月米国で成立した特許と同じ内容)が成立した。

 17年2月には、カナダのサスカチュワン大学と共同で進めているDNAワクチン技術を用いたエボラ出血熱抗血清製剤の開発に関して、良好な試験結果が得られたと発表した。次の段階として、当血清をエボラウイルスに感染した動物に投与して効果を確認する試験を、カナダで実施する計画としている。

 17年3月には、当社寄付講座である先端臨床医学開発講座の鈴木淳一特任准教授のもとで実施された高血圧DNAワクチンに関する論文が、科学雑誌Nature誌の関連誌に掲載され、高血圧DNAワクチンが心機能障害にも有効であることを示唆したと発表している。

 17年4月には米Vical社と慢性B型肝炎の治癒を目指した遺伝子治療薬の共同開発に関する契約を締結した。米Vical社が持つ遺伝子導入技術を使い、今後約1年をかけ、マウスを使った実験を共同で実施して効果を確認する。良い結果が得られた場合は次の段階に進むことを両社で協議する。また契約により、日本における開発・販売権を対象とした優先交渉権を獲得した。

 また17年4月には、当社寄付講座である先端臨床医学開発講座の若山幸示特任助教のもとで実施された高血圧ペプチドワクチンに関する論文が、著名な米国医学雑誌Strokeに掲載されたと発表している。高血圧DNAワクチンが虚血性脳梗塞(脳卒中)の予防・治療にも有効であることを示唆する内容である。

 7月20日には、オーストラリアで計画している高血圧DNAワクチンの臨床試験について、オーストラリアの規制当局である薬品・医薬品行政局(TGA)に臨床試験届け(CTN)を提出したと発表している。臨床試験を実施するための行政上の手続きが完了し、近く第1・2相試験を開始する予定だ。

 (6)子宮頸部前がん治療ワクチン(CIN治療ワクチン)の独占的開発・製造・販売権については、森下仁丹に再許諾するライセンス契約を16年10月締結した。対価として契約一時金および将来の商業化時におけるロイヤリティを受け取る。

■17年12月期は赤字縮小予想

 今期(17年12月期)の連結業績予想は、売上高が3億60百万円、営業利益が34億円の赤字、経常利益が34億円の赤字、純利益が34億円の赤字としている。16年12月期との比較で赤字が縮小する。提携企業からの契約一時金受領は見込まず、NF−kBアトピー性皮膚炎治療薬の国内臨床試験関連の費用が減少する。

■株価は16年高値に接近

 なお17年1月発行の第29回新株予約権(第三者割当、行使価額修正条項付、当初行使価額253円、総数8万個=800万株)は、6月13日をもって全新株予約権の権利行使が完了している。

 株価は6月上旬に動意づいて底放れの展開となった。そして7月26日には884円まで上伸して16年4月高値943円に接近してきた。

 7月26日の終値は864円で時価総額は647億円である。週足チャートで見るとやや過熱感を残しているが、中段保ち合いから上放れる動きだ。上値を試す展開が期待される。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media−IR)
[06月07日更新]

アンジェスMGは急動意で底放れの動き、HGF遺伝子治療薬の臨床研究進展期待

 アンジェス MG<4563>(東マ)(17年7月1日付でアンジェスに商号変更予定)は、遺伝子医薬の創薬バイオベンチャーで遺伝子治療薬、核酸医薬、DNAワクチンの開発を推進している。5月に6例目の被験者への投与を開始したHGF遺伝子治療薬の医師主導型臨床研究の進展が期待される。株価は6月6日に急動意の形となった。第29回新株予約権の行使も進展し、底放れから水準切り上げの展開が期待されそうだ。

■遺伝子医薬のグローバルリーダー目指す創薬バイオベンチャー

 遺伝子医薬のグローバルリーダーを目指す大阪大学発の創薬バイオベンチャーである。HGF(肝細胞増殖因子)遺伝子治療薬、NF−kBデコイオリゴ核酸医薬、DNA治療ワクチンなど、遺伝子の働きを活用した遺伝子医薬分野で開発を推進している。

 自社開発品の販売権または開発販売権を製薬会社に供与し、契約に基づいて契約一時金収入、開発の進捗に対応したマイルストーン収入、上市後の売上に対する一定対価のロイヤリティ収入を得る。

 日本では14年11月施行の「医薬品医療機器等法(改正薬事法)」で新たに再生医療等製品が定義され、遺伝子治療を含む再生医療等製品に対する早期承認制度が導入された。これによって遺伝子治療を含む再生医療分野に関しては、日本が世界で最も早く製品承認を取得できることなり、再生医療・細胞医療の早期実用化の促進が期待されている。なお当社が開発を進めているHGF遺伝子治療薬は、承認取得すれば先進国2番目の遺伝子治療薬となる可能性がある。

■複数のプロジェクトを保有してリスク分散

 新薬開発は複数のプロジェクトを保有してリスク分散を図っている。重点プロジェクトの状況を整理すると以下のとおりとなる。

 (1)重症虚血肢を対象とするHGF遺伝子治療薬は、国内では先進医療B制度の下、医師主導臨床試験を実施中である。6症例の実施を目指し、大阪大学医学部附属病院、徳島大学病院、愛媛大学医学部附属病院、神戸大学医学部附属病院に続いて、17年4月徳島大学病院で5例目、17年5月佐賀大学医学部附属病院で6例目の被験者への投与が開始された。条件および期限付承認制度によって17年半ばの申請、18年半ばの条件付承認獲得を目指す。

 海外は計画を変更して米国で新たな試験計画を策定中である。新試験の概要がまとまり次第、米食品医薬品局(FDA)との協議を開始する。なお16年12月には米スタンフォード大学と協業の覚書を締結した。HGF遺伝子治療薬の新開発戦略構築をはじめ、DNAワクチンなど将来の事業分野を対象に幅広く協力を進める。

 (2)原発性リンパ浮腫を対象とするHGF遺伝子治療薬は、国内で13年10月から第1・2相臨床試験を実施し、16年4月症例登録完了した。

 (3)椎間板性腰痛症を対象とするNF−kBデコイオリゴDNAは米国における第1・2相臨床試験を準備中である。17年3月には米食品医薬品局(FDA)に申請していた新薬臨床試験開始届(IND)が承認されている。17年半ばからカリフォルニア州立大学サンディエゴ校などで第1b相臨床試験を開始する予定だ。

 (4)次世代型デコイ核酸医薬キメラデコイの基盤技術開発を完了し、新たに開発を始めるデコイはキメラ型を主軸とする。STAT6とNF−kBという炎症に関わる2つの重要な因子を同時に抑制する働きをもった核酸医薬で、NF−kBのみをターゲットとした従来のデコイに比べて炎症を抑える効果が格段に高いことが期待される。

 16年10月にはNF−kB・STAT6キメラデコイオリゴ核酸の開発プロジェクトが「平成28年度おおさか地域創造ファンド重点プロジェクト事業助成金」に採択された。また17年3月には、NF−kBデコイオリゴDNAおよび次世代型デコイ核酸医薬キメラデコイに関して、共同研究を実施しているカリフォルニア州立大学サンディエゴ校研究チームが、専門学会ORS 2017 Annual Meetingにおいて研究成果を報告した。

 (5)次世代遺伝子医薬DNA治療ワクチン事業は、遺伝子治療薬、核酸医薬に次ぐ第3の柱として推進する。16年8月米バイオ企業Vical社への出資比率引き上げと事業提携で基本合意、16年9月高血圧DNAワクチンに関する物質特許(大阪大学と共同出願)が米国で成立、16年10月動脈硬化症を対象としたDNAワクチンに関する日本国内の用途特許が成立、16年12月米Vical社と戦略的事業提携契約を締結、17年1月DNAワクチンに関する日本における物質特許(16年9月米国で成立した特許と同じ内容)が成立した。また高血圧DNAワクチンの臨床試験を17年第1四半期からオーストラリアで開始する。

 17年2月には、カナダのサスカチュワン大学と共同で進めているDNAワクチン技術を用いたエボラ出血熱抗血清製剤の開発に関して、良好な試験結果が得られたと発表した。次の段階として、当血清をエボラウイルスに感染した動物に投与して効果を確認する試験を、カナダで実施する計画としている。

 17年3月には、当社寄付講座である先端臨床医学開発講座の鈴木淳一特任准教授のもとで実施された高血圧DNAワクチンに関する論文が、科学雑誌Nature誌の関連誌に掲載され、高血圧DNAワクチンが心機能障害にも有効であることを示唆したと発表している。

 17年4月には米Vical社と慢性B型肝炎の治癒を目指した遺伝子治療薬の共同開発に関する契約を締結した。米Vical社が持つ遺伝子導入技術を使い、今後約1年をかけ、マウスを使った実験を共同で実施して効果を確認する。良い結果が得られた場合は次の段階に進むことを両社で協議する。また契約により、日本における開発・販売権を対象とした優先交渉権を獲得した。

 また17年4月には、当社寄付講座である先端臨床医学開発講座の若山幸示特任助教のもとで実施された高血圧ペプチドワクチンに関する論文が、著名な米国医学雑誌Strokeに掲載されたと発表している。高血圧DNAワクチンが虚血性脳梗塞(脳卒中)の予防・治療にも有効であることを示唆する内容である。

 (6)子宮頸部前がん治療ワクチン(CIN治療ワクチン)の独占的開発・製造・販売権については、森下仁丹に再許諾するライセンス契約を16年10月締結した。対価として契約一時金および将来の商業化時におけるロイヤリティを受け取る。

■17年12月期は赤字縮小予想

 今期(17年12月期)の連結業績予想は、売上高が3億60百万円、営業利益が34億円の赤字、経常利益が34億円の赤字、純利益が34億円の赤字としている。16年12月期との比較で赤字が縮小する。提携企業からの契約一時金受領は見込まず、NF−kBアトピー性皮膚炎治療薬の国内臨床試験関連の費用が減少する。

 第1四半期(1月〜3月)は、売上高が83百万円、営業利益が10億35百万円の赤字、経常利益が10億30百万円の赤字、純利益が15億11百万円の赤字だった。特別損失に投資有価証券評価損4億76百万円を計上したため純利益は赤字が拡大したが、研究開発費が減少(8億75百万円で1億15百万円減少)して営業利益は赤字が縮小した。

■株価は底放れの動き

 なお17年1月発行の第29回新株予約権(第三者割当、行使価額修正条項付、当初行使価額253円、総数8万個=800万株)の月間行使状況に関するリリースによると、5月末時点における未行使個数は3万7500個(375万株)である。

 株価の動きを見ると、安値圏240円〜260円近辺でのモミ合い展開だったが、6月6日は急動意の形となり、前日比78円(31.57%)高の325円まで急伸する場面があった。特段の材料は見当たらないが、底放れの動きだ。6月6日の終値は299円で時価総額は約219億円である。

 週足チャートで見ると13週移動平均線、26週移動平均線、そして52週移動平均線を一気に突破した。第29回新株予約権の行使も進展し、底放れから水準切り上げの展開が期待されそうだ。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media−IR)
[05月11日更新]

アンジェスMGはHGF遺伝子治療薬の6例目の投与開始を発表

 アンジェスMG<4563>(東マ)(17年7月1日付でアンジェスに商号変更予定)は、遺伝子医薬の創薬バイオベンチャーで遺伝子治療薬、核酸医薬、DNAワクチンに経営資源を集中して開発を推進している。5月10日には重症虚血肢を対象とするHGF遺伝子治療薬の医師主導型臨床研究について、6例目の被験者への投与開始を発表した。株価は開発進展を評価して動意づきそうだ。

■遺伝子医薬のグローバルリーダー目指す創薬バイオベンチャー

 遺伝子医薬のグローバルリーダーを目指す大阪大学発の創薬バイオベンチャーである。HGF(肝細胞増殖因子)遺伝子治療薬、NF−kBデコイオリゴ核酸医薬、DNA治療ワクチンなど、遺伝子の働きを活用した遺伝子医薬分野で開発を推進している。

 自社開発品の販売権または開発販売権を製薬会社に供与し、契約に基づいて契約一時金収入、開発の進捗に対応したマイルストーン収入、および上市後の売上に対する一定対価のロイヤリティ収入を得る。

 日本では13年5月公布「再生医療推進法」の理念のもと、14年11月施行の「医薬品医療機器等法(改正薬事法)」で新たに再生医療等製品が定義され、遺伝子治療を含む再生医療等製品に対する早期承認制度が導入された。これによって遺伝子治療を含む再生医療分野に関しては、日本が世界で最も早く製品承認を取得できることなり、再生医療・細胞医療の早期実用化の促進が期待されている。なお当社が開発を進めているHGF遺伝子治療薬は、承認取得すれば先進国2番目の遺伝子治療薬となる可能性がある。

■複数のプロジェクトを保有してリスク分散

 新薬開発プロジェクトは、複数のプロジェクトを保有してリスク分散を図っている。重点プロジェクトごとの状況を整理すると以下のとおりとなる。

(1)重症虚血肢を対象とするHGF遺伝子治療薬は、国内では先進医療B制度の下、医師主導臨床試験を実施中である。6症例の実施を目指し、大阪大学医学部附属病院、徳島大学病院、愛媛大学医学部附属病院、神戸大学医学部附属病院、そして4月17日に徳島大学病院において5例目、5月10日に佐賀大学医学部附属病院において6例目の被験者への投与が開始されたと発表している。条件および期限付承認制度によって17年半ばの申請、18年半ばの条件付承認獲得を目指す。

 海外は計画を変更して米国で新たな試験計画を策定中である。新試験の概要がまとまり次第、米食品医薬品局(FDA)との協議を開始する。なお16年12月には米スタンフォード大学と協業の覚書を締結した。HGF遺伝子治療薬の新開発戦略構築をはじめ、DNAワクチンなど将来の事業分野を対象に幅広く協力を進める。

(2)原発性リンパ浮腫を対象とするHGF遺伝子治療薬は、国内で13年10月から第1・2相臨床試験を実施し、16年4月症例登録完了した。

(3)椎間板性腰痛症を対象とするNF−kBデコイオリゴDNAは、米国における第1・2相臨床試験を準備中である。そして4月25日、現地時間3月23日付で米食品医薬品局(FDA)に申請していた新薬臨床試験開始届(IND)が承認されたと発表している。17年半ばからカリフォルニア州立大学サンディエゴ校などで第1b相臨床試験を開始する予定としている。

(4)次世代型デコイ核酸医薬キメラデコイの基盤技術開発を完了し、新たに開発を始めるデコイはキメラ型を主軸とする。STAT6とNF−kBという炎症に関わる2つの重要な因子を同時に抑制する働きをもった核酸医薬で、NF−kBのみをターゲットとした従来のデコイに比べて炎症を抑える効果が格段に高いことが期待される。16年10月NF−kB・STAT6キメラデコイオリゴ核酸の開発プロジェクトが「平成28年度おおさか地域創造ファンド重点プロジェクト事業助成金」に採択された。

 17年3月には、NF−kBデコイオリゴDNAおよび次世代型デコイ核酸医薬キメラデコイに関して、共同研究を実施しているカリフォルニア州立大学サンディエゴ校研究チームが、専門学会ORS 2017 Annual Meetingにおいて研究成果を報告したと発表している。

(5)次世代遺伝子医薬DNA治療ワクチン事業は、遺伝子治療薬、核酸医薬に次ぐ第3の柱として推進する。16年8月米バイオ企業Vical社への出資比率引き上げと事業提携で基本合意した。16年9月高血圧DNAワクチンに関する物質特許(大阪大学と共同出願)が米国で成立した。16年10月動脈硬化症を対象としたDNAワクチンに関する日本国内の用途特許が成立した。16年12月米Vical社と戦略的事業提携契約を締結した。17年1月DNAワクチンに関する日本における物質特許(16年9月米国で成立した特許と同じ内容)が成立した。また高血圧DNAワクチンの臨床試験を17年第1四半期からオーストラリアで開始する。

 17年2月には、カナダのサスカチュワン大学と共同で進めているDNAワクチン技術を用いたエボラ出血熱抗血清製剤の開発に関して、良好な試験結果が得られたと発表した。次の段階として、当血清をエボラウイルスに感染した動物に投与して効果を確認する試験を、カナダで実施する計画としている。

 17年3月には、当社寄付講座である先端臨床医学開発講座の鈴木淳一特任准教授のもとで実施された高血圧DNAワクチンに関する論文が、科学雑誌Nature誌の関連誌に掲載され、高血圧DNAワクチンが心機能障害にも有効であることを示唆したと発表している。

 4月4日には米Vical社と慢性B型肝炎の治癒を目指した遺伝子治療薬の共同開発に関する契約締結を発表した。米Vical社が持つ遺伝子導入技術を使い、今後約1年をかけ、マウスを使った実験を共同で実施して効果を確認する。良い結果が得られた場合は次の段階に進むことを両社で協議する。また契約により、日本における開発・販売権を対象とした優先交渉権を獲得した。

 また4月28日には、当社寄付講座である先端臨床医学開発講座の若山幸示特任助教のもとで実施された高血圧ペプチドワクチンに関する論文が、著名な米国医学雑誌Strokeに掲載されたと発表している。高血圧DNAワクチンが虚血性脳梗塞(脳卒中)の予防・治療にも有効であることを示唆する内容である。

(6)子宮頸部前がん治療ワクチン(CIN治療ワクチン)の独占的開発・製造・販売権について、森下仁丹に再許諾するライセンス契約を16年10月締結した。対価として契約一時金および将来の商業化時におけるロイヤリティを受け取る。

■17年12月期は赤字縮小予想

 今期(17年12月期)連結業績予想は、売上高が3億60百万円、営業利益が34億円の赤字、経常利益が34億円の赤字、純利益が34億円の赤字としている。16年12月期との比較で減収だが、赤字が縮小する。提携企業からの契約一時金の受領は見込まず、NF−kBアトピー性皮膚炎治療薬の国内臨床試験関連の費用が減少する。

 第1四半期(1月〜3月)の連結業績は、売上高が前年同期比83百万円、営業利益が10億35百万円の赤字、経常利益が10億30百万円の赤字、純利益が15億11百万円の赤字だった。特別損失に投資有価証券評価損4億76百万円を計上したため純利益は赤字が拡大したが、研究開発費が減少(8億75百万円で1億15百万円減少)して営業利益は赤字が縮小した。

■株価は開発進展を評価

 なお17年1月発行の第29回新株予約権(第三者割当、行使価額修正条項付、当初行使価額253円、総数8万個=800万株)の月間行使状況に関するリリースによると、4月末時点における未行使個数は5万5000個(550万株)である。

 株価の動きを見ると、地合い悪化の影響で4月13日に225円まで調整する場面があったが、その後は切り返しの動きを強めている。5月10日の終値は264円で時価総額は約192億円である。週足チャートで見ると26週移動平均線回復の動きを強めている。開発進展を評価して動意づきそうだ。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media−IR)
[04月28日更新]

アンジェスMGは遺伝子治療薬、核酸医薬、DNAワクチンの開発を推進

 アンジェスMG<4563>(東マ)(17年7月1日付でアンジェスに商号変更予定)は、遺伝子医薬の創薬バイオベンチャーで遺伝子治療薬、核酸医薬、DNAワクチンに経営資源を集中して開発を推進している。4月17日には重症虚血肢を対象とするHGF遺伝子治療薬の医師主導型臨床研究について、5例目の被験者への投与開始を発表した。さらに4月25日には椎間板性腰痛症を対象とするNF−kBデコイオリゴDNAについて、米FDAに申請していた新薬臨床試験開始届が承認されたと発表している。株価は直近安値圏から切り返している。開発進展を見直す動きが期待される。

■遺伝子医薬のグローバルリーダー目指す創薬バイオベンチャー

 遺伝子医薬のグローバルリーダーを目指す大阪大学発の創薬バイオベンチャーである。HGF(肝細胞増殖因子)遺伝子治療薬、NF−kBデコイオリゴ核酸医薬、DNA治療ワクチンなど、遺伝子の働きを活用した遺伝子医薬分野で開発を推進している。

 自社開発品の販売権または開発販売権を製薬会社に供与し、契約に基づいて契約一時金収入、開発の進捗に対応したマイルストーン収入、および上市後の売上に対する一定対価のロイヤリティ収入を得る。

 日本では13年5月公布「再生医療推進法」の理念のもと、14年11月施行の「医薬品医療機器等法(改正薬事法)」で新たに再生医療等製品が定義され、遺伝子治療を含む再生医療等製品に対する早期承認制度が導入された。これによって遺伝子治療を含む再生医療分野に関しては、日本が世界で最も早く製品承認を取得できることなり、再生医療・細胞医療の早期実用化の促進が期待されている。なお当社が開発を進めているHGF遺伝子治療薬は、承認取得すれば先進国2番目の遺伝子治療薬となる可能性がある。

■複数のプロジェクトを保有してリスク分散

 新薬開発プロジェクトは、複数のプロジェクトを保有してリスク分散を図っている。重点プロジェクトごとの状況を整理すると以下のとおりとなる。

(1)重症虚血肢を対象とするHGF遺伝子治療薬は、国内では先進医療B制度の下、医師主導臨床試験を実施中である。6症例の実施を目指し、大阪大学医学部附属病院、徳島大学病院、愛媛大学医学部附属病院に続いて、16年9月神戸大学医学部附属病院において4症例目の投与が開始された。そして4月17日には徳島大学病院において5例目の被験者への投与が開始されたと発表した。条件および期限付承認制度によって17年半ばの申請、18年半ばの条件付承認獲得を目指す。

 海外は計画を変更して米国で新たな試験計画を策定中である。新試験の概要がまとまり次第、米食品医薬品局(FDA)との協議を開始する。なお16年12月には米スタンフォード大学と協業の覚書を締結した。HGF遺伝子治療薬の新開発戦略構築をはじめ、DNAワクチンなど将来の事業分野を対象に幅広く協力を進める。

(2)原発性リンパ浮腫を対象とするHGF遺伝子治療薬は、国内で13年10月から第1・2相臨床試験を実施し、16年4月症例登録完了した。

(3)椎間板性腰痛症を対象とするNF−kBデコイオリゴDNAは、米国における第1・2相臨床試験を準備中である。そして4月25日、現地時間3月23日付で米食品医薬品局(FDA)に申請していた新薬臨床試験開始届(IND)が承認されたと発表している。17年半ばからカリフォルニア州立大学サンディエゴ校などで第1b相臨床試験を開始する予定としている。

(4)次世代型デコイ核酸医薬キメラデコイの基盤技術開発を完了し、新たに開発を始めるデコイはキメラ型を主軸とする。STAT6とNF−kBという炎症に関わる2つの重要な因子を同時に抑制する働きをもった核酸医薬で、NF−kBのみをターゲットとした従来のデコイに比べて炎症を抑える効果が格段に高いことが期待される。16年10月NF−kB・STAT6キメラデコイオリゴ核酸の開発プロジェクトが「平成28年度おおさか地域創造ファンド重点プロジェクト事業助成金」に採択された。

 17年3月には、NF−kBデコイオリゴDNAおよび次世代型デコイ核酸医薬キメラデコイに関して、共同研究を実施しているカリフォルニア州立大学サンディエゴ校研究チームが、専門学会ORS 2017 Annual Meetingにおいて研究成果を報告したと発表している。

(5)次世代遺伝子医薬DNA治療ワクチン事業は、遺伝子治療薬、核酸医薬に次ぐ第3の柱として推進する。16年8月米バイオ企業Vical社への出資比率引き上げと事業提携で基本合意した。16年9月高血圧DNAワクチンに関する物質特許(大阪大学と共同出願)が米国で成立した。16年10月動脈硬化症を対象としたDNAワクチンに関する日本国内の用途特許が成立した。16年12月米Vical社と戦略的事業提携契約を締結した。17年1月DNAワクチンに関する日本における物質特許(16年9月米国で成立した特許と同じ内容)が成立した。また高血圧DNAワクチンの臨床試験を17年第1四半期からオーストラリアで開始する。

 17年2月には、カナダのサスカチュワン大学と共同で進めているDNAワクチン技術を用いたエボラ出血熱抗血清製剤の開発に関して、良好な試験結果が得られたと発表した。次の段階として、当血清をエボラウイルスに感染した動物に投与して効果を確認する試験を、カナダで実施する計画としている。

 17年3月には、当社寄付講座である先端臨床医学開発講座の鈴木淳一特任准教授のもとで実施された高血圧DNAワクチンに関する論文が、科学雑誌Nature誌の関連誌に掲載され、高血圧DNAワクチンが心機能障害にも有効であることを示唆したと発表している。

 4月4日には米Vical社と慢性B型肝炎の治癒を目指した遺伝子治療薬の共同開発に関する契約締結を発表した。米Vical社が持つ遺伝子導入技術を使い、今後約1年をかけ、マウスを使った実験を共同で実施して効果を確認する。良い結果が得られた場合は次の段階に進むことを両社で協議する。また契約により、日本における開発・販売権を対象とした優先交渉権を獲得した。

(6)子宮頸部前がん治療ワクチン(CIN治療ワクチン)の独占的開発・製造・販売権について、森下仁丹に再許諾するライセンス契約を16年10月締結した。対価として契約一時金および将来の商業化時におけるロイヤリティを受け取る。

■17年12月期は赤字縮小予想

 今期(17年12月期)連結業績予想は、売上高が3億60百万円、営業利益が34億円の赤字、経常利益が34億円の赤字、純利益が34億円の赤字としている。16年12月期との比較で減収だが、赤字が縮小する。提携企業からの契約一時金の受領は見込まず、NF−kBアトピー性皮膚炎治療薬の国内臨床試験関連の費用が減少する。

 4月24日発表した第1四半期(1月〜3月)の連結業績は、売上高が前年同期比83百万円、営業利益が10億35百万円の赤字、経常利益が10億30百万円の赤字、純利益が15億11百万円の赤字だった。特別損失に投資有価証券評価損4億76百万円を計上したため純利益は赤字が拡大したが、研究開発費が減少(8億75百万円で1億15百万円減少)して営業利益は赤字が縮小した。

■株価は直近安値から切り返し、開発進展を見直す動き期待

 なお17年1月発行の第29回新株予約権(第三者割当、行使価額修正条項付、当初行使価額253円、総数8万個=800万株)の月間行使状況に関するリリースによると、3月末時点における未行使個数は5万9000個(590万株)である。

 株価の動きを見ると、2月20日の戻り高値303円から反落して水準を切り下げたが、4月13日の安値225円から切り返しの動きを強めている。4月27日の終値は254円で時価総額は約184億円である。週足チャートで見ると26週移動平均線回復の動きを強めている。開発進展を見直す動きが期待される。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media−IR)
[04月03日更新]

アンジェスMGは遺伝子治療薬、核酸医薬、DNAワクチンの開発を推進

 アンジェスMG<4563>(東マ)(17年7月1日付でアンジェスに商号変更予定)は、遺伝子医薬の創薬バイオベンチャーで、遺伝子治療薬、核酸医薬、DNAワクチンに経営資源を集中して開発を推進している。3月24日には、椎間板性腰痛症を対象とするNF−kBデコイオリゴDNAについて、米FDAに新薬臨床試験開始届を申請したと発表している。株価は下値固めが完了し、きっかけ次第で動意づく可能性があるだろう。

■遺伝子医薬のグローバルリーダー目指す創薬バイオベンチャー

 遺伝子医薬のグローバルリーダーを目指す大阪大学発の創薬バイオベンチャーである。HGF(肝細胞増殖因子)遺伝子治療薬、NF−kBデコイオリゴ核酸医薬、DNA治療ワクチンなど、遺伝子の働きを活用した遺伝子医薬分野で開発を推進している。

 自社開発品の販売権または開発販売権を製薬会社に供与し、契約に基づいて契約一時金収入、開発の進捗に対応したマイルストーン収入、および上市後の売上に対する一定対価のロイヤリティ収入を得る。

 日本では13年5月公布「再生医療推進法」の理念のもと、14年11月施行の「医薬品医療機器等法(改正薬事法)」で新たに再生医療等製品が定義され、遺伝子治療を含む再生医療等製品に対する早期承認制度が導入された。これによって遺伝子治療を含む再生医療分野に関しては、日本が世界で最も早く製品承認を取得できることなり、再生医療・細胞医療の早期実用化の促進が期待されている。なお当社が開発を進めているHGF遺伝子治療薬は、承認取得すれば先進国2番目の遺伝子治療薬となる可能性がある。

■複数のプロジェクトを保有してリスク分散

 新薬開発プロジェクトは、複数のプロジェクトを保有してリスク分散を図っている。重点プロジェクトごとの状況を整理すると以下のとおりとなる。

(1)重症虚血肢を対象とするHGF遺伝子治療薬は、国内では先進医療B制度の下、医師主導臨床試験を実施中である。6症例の実施を目指し、大阪大学医学部附属病院、徳島大学病院、愛媛大学医学部附属病院に続いて、16年9月神戸大学医学部附属病院において4症例目の投与が開始された。条件および期限付承認制度によって17年半ばの申請、18年半ばの条件付承認獲得を目指す。

 海外は計画を変更して米国で新たな試験計画を策定中である。新試験の概要がまとまり次第、米食品医薬品局(FDA)との協議を開始する。なお16年12月には米スタンフォード大学と協業の覚書を締結した。HGF遺伝子治療薬の新開発戦略構築をはじめ、DNAワクチンなど将来の事業分野を対象に幅広く協力を進める。

(2)原発性リンパ浮腫を対象とするHGF遺伝子治療薬は、国内で13年10月から第1・2相臨床試験を実施し、16年4月症例登録完了した。

(3)椎間板性腰痛症を対象とするNF−kBデコイオリゴDNAは、米国における第1・2相臨床試験を準備中である。そして3月24日、米食品医薬品局(FDA)に新薬臨床試験開始届(IND)を申請(現地時間3月23日付)したと発表している。本申請後30日以内にFDAから通知が無ければ臨床試験実施が承認されたことになり、17年半ばからカリフォルニア州立大学サンディエゴ校などで第1b相臨床試験を開始する予定としている。

(4)次世代型デコイ核酸医薬キメラデコイの基盤技術開発を完了し、新たに開発を始めるデコイはキメラ型を主軸とする。STAT6とNF−kBという炎症に関わる2つの重要な因子を同時に抑制する働きをもった核酸医薬で、NF−kBのみをターゲットとした従来のデコイに比べて炎症を抑える効果が格段に高いことが期待される。16年10月NF−kB・STAT6キメラデコイオリゴ核酸の開発プロジェクトが「平成28年度おおさか地域創造ファンド重点プロジェクト事業助成金」に採択された。

 なお3月27日には、NF−kBデコイオリゴDNAおよび次世代型デコイ核酸医薬キメラデコイに関して、共同研究を実施しているカリフォルニア州立大学サンディエゴ校研究チームが、専門学会ORS 2017 Annual Meetingにおいて研究成果を報告したと発表している。

(5)次世代遺伝子医薬DNA治療ワクチン事業は、遺伝子治療薬、核酸医薬に次ぐ第3の柱として推進する。16年8月米バイオ企業Vical社への出資比率引き上げと事業提携で基本合意した。16年9月高血圧DNAワクチンに関する物質特許(大阪大学と共同出願)が米国で成立した。16年10月動脈硬化症を対象としたDNAワクチンに関する日本国内の用途特許が成立した。16年12月米Vical社と戦略的事業提携契約を締結した。17年1月DNAワクチンに関する日本における物質特許(16年9月米国で成立した特許と同じ内容)が成立した。また高血圧DNAワクチンの臨床試験を17年第1四半期からオーストラリアで開始する。

 2月28日には、カナダのサスカチュワン大学と共同で進めているDNAワクチン技術を用いたエボラ出血熱抗血清製剤の開発に関して、良好な試験結果が得られたと発表した。次の段階として、当血清をエボラウイルスに感染した動物に投与して効果を確認する試験を、カナダで実施する計画としている。

 なお3月28日には、当社寄付講座である先端臨床医学開発講座の鈴木淳一特任准教授のもとで実施された高血圧DNAワクチンに関する論文が、科学雑誌Nature誌の関連誌に掲載され、高血圧DNAワクチンが心機能障害にも有効であることを示唆したと発表している。

(6)子宮頸部前がん治療ワクチン(CIN治療ワクチン)の独占的開発・製造・販売権について、森下仁丹に再許諾するライセンス契約を16年10月締結した。対価として契約一時金および将来の商業化時におけるロイヤリティを受け取る。

■17年12月期は赤字縮小

 今期(17年12月期)連結業績予想は、売上高が3億60百万円、営業利益が34億円の赤字、経常利益が34億円の赤字、純利益が34億円の赤字としている。16年12月期との比較で減収だが、赤字が縮小する。提携企業からの契約一時金の受領は見込まず、NF−kBアトピー性皮膚炎治療薬の国内臨床試験関連の費用が減少する。

■株価は下値固め完了、きっかけ次第で動意の可能性

 なお17年1月発行の第29回新株予約権(第三者割当、行使価額修正条項付、当初行使価額253円、総数8万個=800万株)の月間行使状況に関するリリースによると、2月末時点における未行使個数は6万個(600万株)である。

 株価の動きを見ると、2月20日に303円、3月1日に300円まで上伸する場面があったが、買いが続かず反落し、250円近辺でモミ合う展開だ。ただし下値は徐々に切り上げている。3月30日の終値は250円だった。下値固めが完了し、きっかけ次第で動意づく可能性があるだろう。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media−IR)
[01月31日更新]

アンジェスMGは遺伝子治療薬、核酸医薬、DNAワクチンの開発を推進

 アンジェスMG<4563>(東マ)は遺伝子医薬の創薬バイオベンチャーで、遺伝子治療薬、核酸医薬、DNAワクチンの開発を推進している。株価は安値圏でモミ合う形だが、きっかけ次第で動意づく可能性がありそうだ。

■遺伝子医薬のグローバルリーダー目指す創薬バイオベンチャー

 遺伝子医薬のグローバルリーダーを目指す大阪大学発の創薬バイオベンチャーである。HGF(肝細胞増殖因子)遺伝子治療薬、NF−kBデコイオリゴ核酸医薬、DNA治療ワクチンなど、遺伝子の働きを活用した遺伝子医薬分野で開発を推進している。

 自社開発品の販売権または開発販売権を製薬会社に供与し、契約に基づいて契約一時金収入、開発の進捗に対応したマイルストーン収入、および上市後の売上に対する一定対価のロイヤリティ収入を得る。

 日本では13年5月公布「再生医療推進法」の理念のもと、14年11月施行の「医薬品医療機器等法(改正薬事法)」で新たに再生医療等製品が定義され、遺伝子治療を含む再生医療等製品に対する早期承認制度が導入された。これによって遺伝子治療を含む再生医療分野に関しては、日本が世界で最も早く製品承認を取得できることなり、再生医療・細胞医療の早期実用化の促進が期待されている。なお当社が開発を進めているHGF遺伝子治療薬は、承認取得すれば先進国2番目の遺伝子治療薬となる可能性がある。

■複数のプロジェクトを保有してリスク分散

 新薬開発プロジェクトは、複数のプロジェクトを保有してリスク分散を図っている。重点プロジェクトごとの状況を整理すると以下のとおりとなる。

(1)重症虚血肢を対象とするHGF遺伝子治療薬は、国内では先進医療B制度の下、医師主導臨床試験を実施中である。6症例の実施を目指し、大阪大学医学部附属病院、徳島大学病院、愛媛大学医学部附属病院に続いて、16年9月神戸大学医学部附属病院において4症例目の投与が開始された。海外は計画を変更して米国で新たな試験計画を策定中だが、16年12月に米スタンフォード大学との協業の覚書を締結した。HGF遺伝子治療薬の新開発戦略の構築をはじめ、DNAワクチンなど将来の事業分野を対象に幅広く協力を進める。

(2)原発性リンパ浮腫を対象とするHGF遺伝子治療薬は、国内で13年10月から第1・2相臨床試験を実施し、16年4月症例登録完了した。

(3)顔面アトピー性皮膚炎を対象とするNF−kBデコイオリゴ軟膏製剤は、国内第3相臨床試験結果(速報)で有意差が示されなかったため、今後の方針を検討中である。

(4)椎間板性腰痛症を対象とするNF−kBデコイオリゴ核酸医薬は、米国で第1・2相臨床試験を準備中である。

(5)透析シャント用NF−kBデコイオリゴ薬剤塗布型PTAバルーンカテーテルについては16年12月、メディキットとの間で締結していた共同開発契約を終了した。治験の結果、統計的有意差が得られなかったため、製造販売承認の申請を断念し、契約を終了することで合意した。契約終了により現行のNF−kBデコイオリゴを使ったPTAバルーンカテーテルの開発を中止する。

(6)次世代型デコイ核酸医薬「キメラデコイ」の基盤技術開発を完了し、新たに開発を始めるデコイはキメラ型を主軸としている。STAT6とNF−kBという炎症に関わる2つの重要な因子を同時に抑制する働きをもった核酸医薬で、NF−kBのみをターゲットとした従来のデコイに比べて炎症を抑える効果が格段に高いことが期待される。16年10月NF−kB・STAT6キメラデコイオリゴ核酸の開発プロジェクトが「平成28年度おおさか地域創造ファンド重点プロジェクト事業助成金」に採択された。

(7)次世代遺伝子医薬DNA治療ワクチン事業は、遺伝子治療薬、核酸医薬に次ぐ第3の柱として推進する。16年8月米バイオ企業Vical社への出資比率引き上げと事業提携で基本合意した。16年9月高血圧DNAワクチンに関する物質特許(大阪大学と共同出願)が米国で成立した。16年10月動脈硬化症を対象としたDNAワクチンに関する日本国内の用途特許が成立した。16年12月米Vical社と戦略的事業提携契約を締結した。17年1月DNAワクチンに関する日本における物質特許(16年9月米国で成立した特許と同じ内容)が成立した。また高血圧DNAワクチンの臨床試験を17年第1四半期からオーストラリアで開始する。

(8)子宮頸部前がん治療ワクチン(CIN治療ワクチン)の独占的開発・製造・販売権について、森下仁丹に再許諾するライセンス契約を16年10月締結した。対価として契約一時金および将来の商業化時におけるロイヤリティを受け取る。

■16年12月期は期初計画比で赤字縮小

 今期(16年12月期)通期の連結業績予想は12月6日に修正を発表し、売上高が5億円、営業利益が52億円の赤字、経常利益が52億円の赤字、純利益が52億円の赤字としている。売上高は森下仁丹からの契約一時金の発生および研究開発事業収益の減少を見込み、利益については重症虚血肢を対象とするHGF遺伝子治療薬の海外開発計画変更などで研究開発費用が当初予想を下回るため、各利益の赤字が計画比縮小する。

 なお12月21日に投資有価証券売却益44百万円の発生、1月18日にストック・オプション権利保有者の失権に伴う戻入益42百万円の計上を発表しているが、16年12月期業績予想を据え置いている。

■株価はきっかけ次第で動意の可能性

 なお17年1月発行の第29回新株予約権(クレディ・スイス証券に対する第三者割当、行使価額修正条項付、当初行使価額253円、総数8万個=800万株)の権利行使状況に関するリリースによると、1月17日時点における未行使個数は6万個(600万株)となった。

 株価の動きを見ると、1月17日に296円まで急伸する場面があったが、買いが続かず大勢として240円〜250円近辺でモミ合う展開だ。ただし大きく下押す動きは見られず下値固め完了感を強めている。1月30日の終値は248円だった。きっかけ次第で動意づく可能性がありそうだ。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media−IR)
[9月20日更新]

アンジェスMGは核酸含有PLGAナノ粒子技術を用いた経口DDS製剤の国内特許成立

 アンジェスMG<4563>(東マ)は遺伝子医薬の創薬バイオベンチャーである。重症虚血肢を対象とするHGF遺伝子治療薬の16年中の承認申請を目指している。9月15日には核酸含有PLGAナノ粒子技術を用いた経口DDS製剤の国内における特許成立を発表した。これを好感して株価が急伸する場面があった。なお16年8月発行の第28回新株予約権については9月15日時点で約3分の2が行使されている。

■遺伝子医薬のグローバルリーダー目指す創薬バイオベンチャー

 遺伝子医薬のグローバルリーダーを目指す大阪大学発の創薬バイオベンチャーである。HGF(肝細胞増殖因子)遺伝子治療薬、NF−kBデコイオリゴ核酸医薬、DNA治療ワクチンなど、遺伝子の働きを活用した遺伝子医薬分野で開発を推進している。

 自社開発品の販売権または開発販売権を製薬会社に供与し、契約に基づいて契約一時金収入、開発の進捗に対応したマイルストーン収入、および上市後の売上に対する一定対価のロイヤリティ収入を得る。

 日本では13年5月公布「再生医療推進法」の理念のもと、14年11月施行の「医薬品医療機器等法(改正薬事法)」で新たに再生医療等製品が定義され、遺伝子治療を含む再生医療等製品に対する早期承認制度が導入された。これによって遺伝子治療を含む再生医療分野に関しては、日本が世界で最も早く製品承認を取得できることなり、再生医療・細胞医療の早期実用化の促進が期待されている。なお当社が開発を進めているHGF遺伝子治療薬は、承認取得すれば先進国2番目の遺伝子治療薬となる可能性がある。

■新薬開発プロジェクト状況

 新薬開発プロジェクトは、自社開発品では、HGF遺伝子治療薬(重症虚血肢などの末梢性血管疾患分野、狭心症や心筋梗塞などの虚血性心疾患分野、および原発性リンパ浮腫分野)、およびNF−kBデコイオリゴ核酸医薬(アトピー性皮膚炎などの皮膚疾患分野、椎間板性腰痛症などの腰痛疾患分野)を中心に進めている。また導入開発品では、子宮頸部前がん治療ワクチン(CIN治療ワクチン)、がん治療薬、DNAワクチンを用いたエボラ出血熱抗血清製剤などの開発も進めている。DNAワクチン事業を第3の柱に据える方針も打ち出している。

 16年6月、森下仁丹<4524>と子宮頸部前がん治療ワクチン(CIN治療ワクチン)の独占的開発・製造・販売権の再許諾に関する基本合意を発表した。当社は韓国バイオリーダース社から日本、米国、中国および英国における当治療ワクチンの独占的開発・製造・販売権の許諾を受け、東京大学医学部附属病院において医師主導臨床研究を行っている。今回の基本合意は当社が許諾を受けているCIN治療ワクチンの権利を森下仁丹に独占的に再許諾するもので、早期の正式契約締結を目指す。

 16年6月、重症虚血肢を対象としたHGF遺伝子治療薬について、開発にかかる期間と費用の削減および早期実用化を目的として、海外における開発戦略の変更を発表した。14年10月から北米中心に国際共同第3相臨床試験を実施しているが、試験完遂に当初計画より長い期間と多くの費用が必要であることが判明したため、現行の国際共同第3相臨床試験を終了し、新たな開発戦略として比較的短期間での完遂が可能な試験設計に変更する。当初計画から申請時期を遅らせることなく、試験費用を削減することを目指し、新たな試験計画について米FDAと協議する。なお条件・期限付承認の獲得を目指している国内における開発は、今回の海外開発戦略の変更とは関係なく予定通り実施する。

 16年7月、中等症以上の顔面アトピー性皮膚炎を対象としたNF−kBデコイオリゴ軟膏製剤の国内第3相臨床試験の結果(速報)を発表し、NF−kBデコイオリゴDNA投与群とプラセボ投与群の間で統計学的な有意差は示されなかった。試験の詳細な結果が得られ次第、解析を行って今後の方針を検討する。

 16年7月、HGF遺伝子治療薬およびNF−kBデコイオリゴ核酸医薬に次ぐ第3の柱として、次世代遺伝子医薬であるDNA治療ワクチン事業への本格進出を発表した。大阪大学と共同で高血圧治療を対象としたDNAワクチンの開発を進めてきたが、動物モデルで有効性を確認し、各種非臨床試験の完了に目途がついたため、最初の開発品として高血圧DNAワクチンの臨床試験を17年第1四半期からオーストラリアで開始する。がんやアレルギー疾患などにも応用できる可能性がある。

 16年7月、次世代型デコイ核酸医薬「キメラデコイ」の基盤技術開発完了を発表した。STAT6とNF−kBという炎症に関わる2つの重要な因子を同時に抑制する働きをもった核酸医薬で、NF−kBのみをターゲットとした従来のデコイに比べて炎症を抑える効果が格段に高いことが期待される。椎間板性腰痛症を対象とするNF−kBデコイオリゴ核酸医薬は従来型の開発を継続するが、新たに開発を始めるデコイは基本的にキメラ型を主軸とする。喘息、慢性関節リウマチ、変形性関節症、クローン病(炎症性腸疾患)など炎症性疾患に対する治療薬の開発を目指し、臨床試験の実施に必要な前臨床試験を開始する。複数のターゲットを同時に抑制できるキメラデコイの製品開発に着手するのは世界初となる。

 16年7月、大阪大学との新たなドラッグデリバリーシステム(DDS)技術に関する共同研究契約締結を発表した。DDSは必要な量の薬物を目標とする細胞に効率的に送達するための技術である。次世代型デコイ核酸医薬「キメラデコイ」に新規DDSを組み合わせて動物試験(関節リウマチモデル)を行った結果、顕著な効果が示されたため「キメラデコイ」の炎症性疾患向け治療薬への応用を検討する。

 16年8月、DNAワクチン事業の基盤強化を目的として米バイオ企業Vical社への出資比率を引き上げ、米Vical社とのDNAワクチン分野を対象とした事業提携で基本合意した。正式契約締結に向けて協議を続ける。

 また16年8月、重症虚血肢を対象とするHGF遺伝子治療薬の医師主導型臨床研究に関して3例目の投与開始を発表した。大阪大学医学部附属病院、徳島大学病院に続き、愛媛大学医学部附属病院において被験者への投与が開始された。

 9月15日、ホソカワミクロン、森下仁丹、および大阪大学大学院医学系研究科と実施した産学共同開発プロジェクトの成果の一つである「核酸含有PLGAナノ粒子技術を用いた経口DDS製剤」の国内における特許成立を発表した。核酸医薬であるNF−kBデコイオリゴを、ホソカワミクロンが開発したPLGAナノ粒子に含有させ、さらに森下仁丹の持つ「腸溶性シームレスカプセル」に内包した経口製剤で、難治性炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎・クローン病)の根治治療として期待される技術である。

■複数のプロジェクトを保有してリスク分散

 複数のプロジェクトを保有してリスク分散を図っている。重点プロジェクトごとの状況を整理すると以下のとおりとなる。

 (1)重症虚血肢を対象とするHGF遺伝子治療薬は、国内では医師主導臨床試験を実施中である。6症例の実施を目指し、大阪大学医学部附属病院、徳島大学病院に続き、16年8月愛媛大学医学部附属病院において3症例目の投与が開始された。条件・期限付早期承認制度を活用し、3例の結果をもって16年内の承認申請の可能性がある。また海外は計画を変更して米国で新たな試験計画を策定中だが、8月5日には日経産業新聞で米スタンフォード大学との提携が報道された。

 (2)原発性リンパ浮腫を対象とするHGF遺伝子治療薬は、国内で13年10月から第1・2相臨床試験を実施し、16年4月症例登録完了した。

 (3)顔面アトピー性皮膚炎を対象とするNF−kBデコイオリゴ軟膏製剤は、国内第3相臨床試験結果(速報)で有意差が示されなかったため、今後の方針を検討中である。

 (4)椎間板性腰痛症を対象とするNF−kBデコイオリゴ核酸医薬は、米国で第1・2相臨床試験を準備中である。

(5)透析シャント用NF−kBデコイオリゴ薬剤塗布型PTAバルーンカテーテルは、国内における全被験者の観察期間が終了して16年半ば以降の承認申請を目指している。

 (6)次世代型デコイ核酸医薬「キメラデコイ」の基盤技術開発を完了した。新たに開発を始めるデコイはキメラ型を主軸とする。

 (7)次世代遺伝子医薬であるDNA治療ワクチン事業へ本格進出し、高血圧DNAワクチンの臨床試験を17年第1四半期からオーストラリアで開始する。さらに16年8月、米バイオ企業Vical社への出資比率引き上げるとともに、DNAワクチン分野を対象とした事業提携で基本合意した。同社の持つDNAプラスミド(DNAワクチンの本体)製造設備や、同社が蓄積してきた米食品医薬品局(FDA)との対応・折衝の経験・ノウハウを活用できる。

 (8)子宮頸部前がん治療ワクチン(CIN治療ワクチン)の独占的開発・製造・販売権については、16年6月森下仁丹に再許諾することで基本合意した。早期の正式契約締結を目指す。

■16年12月期は海外開発計画変更で計画比赤字縮小の可能性

 今期(16年12月期)通期の連結業績予想(2月5日公表)は研究開発費の増加で赤字が拡大する見込みだ。ただし重症虚血肢を対象とするHGF遺伝子治療薬の海外開発計画変更で、赤字が計画比縮小する可能性があるだろう。

 なお16年8月、第三者割当による第28回新株予約権(行使価額修正条項付)の募集を行い、払い込みが完了している。割当先は三田証券、発行新株予約権数は7万6500個(1個当たり100株で潜在株式数765万株)で、行使も概ね順調に進んでいる。

■株価はきっかけ次第で急反発の可能性

 株価の動きを見ると、NF−kBデコイオリゴ軟膏製剤の国内第3相臨床試験結果(速報)や第28回新株予約権発行などを嫌気する形で水準を切り下げた。ただし9月15日には核酸含有PLGAナノ粒子技術を用いた経口DDS製剤の国内における特許成立発表を好感し、売買高を伴って前日比41円(17.68%)高の273円まで急伸する場面があった。日足チャートで見ると25日移動平均線が戻りを押さえる形だが、きっかけ次第で急反発の可能性がありそうだ。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media−IR)
[8月17日更新]

アンジェス MGはHGF遺伝子治療薬の国内3例目の投与開始、年内承認申請期待

 アンジェスMG<4563>(東マ)は遺伝子医薬の創薬バイオベンチャーである。8月15日、HGF遺伝子治療薬の国内開発(医師主導型臨床研究)に関して3例目の投与開始を発表した。条件・期限付早期承認制度を活用し、3例の結果をもって16年内の承認申請の可能性があり、期待が高まる。また開発計画を変更した海外に関しても、米スタンフォード大学との提携が一部で報道されるなど、新たな開発計画への期待が高まっている。

■遺伝子医薬のグローバルリーダー目指す創薬バイオベンチャー

 遺伝子医薬のグローバルリーダーを目指す大阪大学発の創薬バイオベンチャーである。HGF(肝細胞増殖因子)遺伝子治療薬、NF−kBデコイオリゴ核酸医薬、DNA治療ワクチンなど、遺伝子の働きを活用した遺伝子医薬分野で開発を推進している。

 自社開発品の販売権または開発販売権を製薬会社に供与し、契約に基づいて契約一時金収入、開発の進捗に対応したマイルストーン収入、および上市後の売上に対する一定対価のロイヤリティ収入を得る。

 日本では13年5月公布「再生医療推進法」の理念のもと、14年11月施行の「医薬品医療機器等法(改正薬事法)」で新たに再生医療等製品が定義され、遺伝子治療を含む再生医療等製品に対する早期承認制度が導入された。これによって遺伝子治療を含む再生医療分野に関しては、日本が世界で最も早く製品承認を取得できることなり、再生医療・細胞医療の早期実用化の促進が期待されている。なお当社が開発を進めているHGF遺伝子治療薬は、承認取得すれば先進国2番目の遺伝子治療薬となる可能性がある。

■新薬開発プロジェクト状況

 新薬開発プロジェクトは、自社開発品では、HGF遺伝子治療薬(重症虚血肢などの末梢性血管疾患分野、狭心症や心筋梗塞などの虚血性心疾患分野、および原発性リンパ浮腫分野)、およびNF−kBデコイオリゴ核酸医薬(アトピー性皮膚炎などの皮膚疾患分野、椎間板性腰痛症などの腰痛疾患分野)を中心に進めている。また導入開発品では、子宮頸部前がん治療ワクチン(CIN治療ワクチン)、がん治療薬、DNAワクチンを用いたエボラ出血熱抗血清製剤などの開発も進めている。DNAワクチン事業を第3の柱に据える方針も打ち出している。

 16年6月、森下仁丹<4524>と子宮頸部前がん治療ワクチン(CIN治療ワクチン)の独占的開発・製造・販売権の再許諾に関する基本合意を発表した。当社は韓国バイオリーダース社から日本、米国、中国および英国における当治療ワクチンの独占的開発・製造・販売権の許諾を受け、東京大学医学部附属病院において医師主導臨床研究を行っている。今回の基本合意は当社が許諾を受けているCIN治療ワクチンの権利を森下仁丹に独占的に再許諾するもので、早期の正式契約締結を目指す。

 16年6月、重症虚血肢を対象としたHGF遺伝子治療薬について、開発にかかる期間と費用の削減および早期実用化を目的として、海外における開発戦略の変更を発表した。14年10月から北米中心に国際共同第3相臨床試験を実施しているが、試験完遂に当初計画より長い期間と多くの費用が必要であることが判明したため、現行の国際共同第3相臨床試験を終了し、新たな開発戦略として比較的短期間での完遂が可能な試験設計に変更する。当初計画から申請時期を遅らせることなく、試験費用を削減することを目指し、新たな試験計画について米FDAと協議する。なお条件・期限付承認の獲得を目指している国内における開発は、今回の海外開発戦略の変更とは関係なく予定通り実施する。

 16年7月、中等症以上の顔面アトピー性皮膚炎を対象としたNF−kBデコイオリゴ軟膏製剤の国内第3相臨床試験の結果(速報)を発表した。NF−kBデコイオリゴDNA投与群とプラセボ投与群の間で統計学的な有意差は示されなかった。試験の詳細な結果が得られ次第、解析を行って今後の方針を検討する。

 16年7月、HGF遺伝子治療薬およびNF−kBデコイオリゴ核酸医薬に次ぐ第3の柱として、次世代遺伝子医薬であるDNA治療ワクチン事業への本格進出を発表した。大阪大学と共同で高血圧治療を対象としたDNAワクチンの開発を進めてきたが、動物モデルで有効性を確認し、各種非臨床試験の完了に目途がついたため、最初の開発品として高血圧DNAワクチンの臨床試験を17年第1四半期からオーストラリアで開始する。がんやアレルギー疾患などにも応用できる可能性がある。

 16年7月、次世代型デコイ核酸医薬「キメラデコイ」の基盤技術開発完了を発表した。STAT6とNF−kBという炎症に関わる2つの重要な因子を同時に抑制する働きをもった核酸医薬で、NF−kBのみをターゲットとした従来のデコイに比べて炎症を抑える効果が格段に高いことが期待される。椎間板性腰痛症を対象とするNF−kBデコイオリゴ核酸医薬は従来型の開発を継続するが、新たに開発を始めるデコイは基本的にキメラ型を主軸とする。喘息、慢性関節リウマチ、変形性関節症、クローン病(炎症性腸疾患)など炎症性疾患に対する治療薬の開発を目指し、臨床試験の実施に必要な前臨床試験を開始する。複数のターゲットを同時に抑制できるキメラデコイの製品開発に着手するのは世界初となる。

 16年7月、大阪大学との新たなドラッグデリバリーシステム(DDS)技術に関する共同研究契約締結を発表した。DDSは必要な量の薬物を目標とする細胞に効率的に送達するための技術である。次世代型デコイ核酸医薬「キメラデコイ」に新規DDSを組み合わせて動物試験(関節リウマチモデル)を行った結果、顕著な効果が示されたため「キメラデコイ」の炎症性疾患向け治療薬への応用を検討する。

 8月1日、第3の柱に据えるDNAワクチン事業の基盤強化を目的として、米バイオ企業Vical社への出資比率引き上げ(2.4%から18.6%へ)を発表した。そして8月5日には、米Vical社とのDNAワクチン分野を対象とした事業提携の基本合意を発表した。正式契約締結に向けて協議を続ける。

 8月15日、重症虚血肢を対象とするHGF遺伝子治療薬の医師主導型臨床研究に関して3例目の投与開始を発表した。大阪大学医学部附属病院、徳島大学病院に続き、愛媛大学医学部附属病院において被験者への投与が開始された。

■複数のプロジェクトを保有してリスク分散

 複数のプロジェクトを保有してリスク分散を図っている。重点プロジェクトごとの状況を整理すると以下のとおりとなる。

(1)重症虚血肢を対象とするHGF遺伝子治療薬は、国内では医師主導臨床試験を実施中である。6症例の実施を目指し、大阪大学医学部附属病院、徳島大学病院に続き、16年8月愛媛大学医学部附属病院において3症例目の投与が開始された。条件・期限付早期承認制度を活用し、3例の結果をもって16年内の承認申請の可能性がある。また海外は計画を変更して米国で新たな試験計画を策定中だが、8月5日には日経産業新聞で米スタンフォード大学との提携が報道された。

(2)原発性リンパ浮腫を対象とするHGF遺伝子治療薬は、国内で13年10月から第1・2相臨床試験を実施し、16年4月症例登録完了した。

(3)顔面アトピー性皮膚炎を対象とするNF−kBデコイオリゴ軟膏製剤は、国内第3相臨床試験結果(速報)で有意差が示されなかったため、今後の方針を検討中である。

(4)椎間板性腰痛症を対象とするNF−kBデコイオリゴ核酸医薬は、米国で第1・2相臨床試験を準備中である。

(5)透析シャント用NF−kBデコイオリゴ薬剤塗布型PTAバルーンカテーテルは、国内における全被験者の観察期間が終了して16年半ば以降の承認申請を目指している。

(6)次世代型デコイ核酸医薬「キメラデコイ」の基盤技術開発を完了した。新たに開発を始めるデコイはキメラ型を主軸とする。

(7)次世代遺伝子医薬であるDNA治療ワクチン事業へ本格進出し、高血圧DNAワクチンの臨床試験を17年第1四半期からオーストラリアで開始する。さらに16年8月、米バイオ企業Vical社への出資比率引き上げるとともに、DNAワクチン分野を対象とした事業提携で基本合意した。同社の持つDNAプラスミド(DNAワクチンの本体)製造設備や、同社が蓄積してきた米食品医薬品局(FDA)との対応・折衝の経験・ノウハウを活用できる。

(8)子宮頸部前がん治療ワクチン(CIN治療ワクチン)の独占的開発・製造・販売権については、16年6月森下仁丹に再許諾することで基本合意した。早期の正式契約締結を目指す。

■16年12月期は海外開発計画変更で計画比赤字縮小の可能性

 今期(16年12月期)通期の連結業績予想(2月5日公表)は研究開発費の増加で赤字が拡大する見込みだ。ただし重症虚血肢を対象とするHGF遺伝子治療薬の海外開発計画変更で、赤字が計画比縮小する可能性があるだろう。

 なお8月5日、第三者割当による第28回新株予約権(行使価額修正条項付)の募集を発表した。割当先は三田証券、発行新株予約権数は7万6500個(1個当たり100株で潜在株式数765万株)である。

■株価は下値固め完了して反発期待

 株価の動きを見ると、NF−kBデコイオリゴ軟膏製剤の国内第3相臨床試験結果(速報)などを嫌気して水準を切り下げたが、7月中旬以降は300円近辺で下げ渋る動きだ。8月15日の終値は300円で、時価総額は約189億円である。下値固め完了して反発が期待される。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media−IR)
[7月29日更新]

アンジェスMGは下値固め完了して反発のタイミング、HGF遺伝子治療薬の国内開発予定通りでDNA治療ワクチンも注目

 アンジェスMG<4563>(東マ)は遺伝子医薬のグローバルリーダーを目指す創薬バイオベンチャーである。株価はNF−kBデコイオリゴ軟膏製剤の国内第3相臨床試験結果などを嫌気したが、300円近辺で下値固め完了感を強めている。複数のプロジェクトを保有してリスク分散を図っており、HGF遺伝子治療薬の国内開発は予定通りである。DNA治療ワクチンへの本格進出も注目点となる。下値固め完了して反発のタイミングだろう。なお8月1日に16年12月期第2四半期累計の業績発表を予定している。

■遺伝子医薬のグローバルリーダー目指す創薬バイオベンチャー

 遺伝子医薬のグローバルリーダーを目指す大阪大学発の創薬バイオベンチャーである。HGF(肝細胞増殖因子)遺伝子治療薬、NF−kBデコイオリゴ核酸医薬、DNA治療ワクチンなど、遺伝子の働きを活用した遺伝子医薬分野で開発を推進している。

 自社開発品の販売権または開発販売権を製薬会社に供与し、契約に基づいて契約一時金収入、開発の進捗に対応したマイルストーン収入、および上市後の売上に対する一定対価のロイヤリティ収入を得る。

 日本では13年5月公布「再生医療推進法」の理念のもと、14年11月施行の「医薬品医療機器等法(改正薬事法)」で新たに再生医療等製品が定義され、遺伝子治療を含む再生医療等製品に対する早期承認制度が導入された。

 これによって遺伝子治療を含む再生医療分野に関しては、日本が世界で最も早く製品承認を取得できることなり、再生医療・細胞医療の早期実用化の促進が期待されている。なお当社が開発を進めているHGF遺伝子治療薬は、承認取得すれば先進国2番目の遺伝子治療薬となる可能性がある。

■新薬開発プロジェクト状況

 新薬開発プロジェクトは、自社開発品では、HGF遺伝子治療薬(重症虚血肢などの末梢性血管疾患分野、狭心症や心筋梗塞などの虚血性心疾患分野、および原発性リンパ浮腫分野)、NF−kBデコイオリゴ核酸医薬(アトピー性皮膚炎などの皮膚疾患分野、椎間板性腰痛症などの腰痛疾患分野)を中心に開発を進めている。また導入開発品では、子宮頸部前がん治療ワクチン(CIN治療ワクチン)、がん治療薬、DNAワクチンを用いたエボラ出血熱抗血清製剤などの開発も進めている。

 16年6月、森下仁丹<4524>と子宮頸部前がん治療ワクチン(CIN治療ワクチン)の独占的開発・製造・販売権の再許諾に関する基本合意を発表した。当社は韓国バイオリーダース社から日本、米国、中国および英国における当治療ワクチンの独占的開発・製造・販売権の許諾を受け、東京大学医学部附属病院において医師主導臨床研究を行っている。今回の基本合意は当社が許諾を受けているCIN治療ワクチンの権利を森下仁丹に独占的に再許諾するもので、早期の正式契約締結を目指す。

 16年6月、重症虚血肢を対象としたHGF遺伝子治療薬について、開発にかかる期間と費用の削減および早期実用化を目的として、海外における開発戦略の変更を発表した。14年10月から北米中心に国際共同第3相臨床試験を実施しているが、試験完遂に当初計画より長い期間と多くの費用が必要であることが判明したため、現行の国際共同第3相臨床試験を終了し、新たな開発戦略として比較的短期間での完遂が可能な試験設計に変更する。当初計画から申請時期を遅らせることなく、試験費用を削減することを目指し、新たな試験計画について米FDAと協議する。なお条件・期限付承認の獲得を目指している国内における開発は、今回の海外開発戦略の変更とは関係なく予定通り実施する。

 16年7月、中等症以上の顔面アトピー性皮膚炎を対象としたNF−kBデコイオリゴ軟膏製剤の国内第3相臨床試験の結果(速報)を発表した。NF−kBデコイオリゴDNA投与群とプラセボ投与群の間で統計学的な有意差は示されなかった。試験の詳細な結果が得られ次第、解析を行って今後の方針を検討する。

 16年7月、HGF遺伝子治療薬およびNF−kBデコイオリゴ核酸医薬に次ぐ第3の柱として、次世代遺伝子医薬であるDNA治療ワクチン事業への本格進出を発表した。大阪大学と共同で高血圧治療を対象としたDNAワクチンの開発を進めてきたが、動物モデルで有効性を確認し、各種非臨床試験の完了に目途がついたため、最初の開発品として高血圧DNAワクチンの臨床試験を17年第1四半期からオーストラリアで開始する。がんやアレルギー疾患などにも応用できる可能性がある。

 16年7月、次世代型デコイ核酸医薬「キメラデコイ」の基盤技術開発完了を発表した。STAT6とNF−kBという炎症に関わる2つの重要な因子を同時に抑制する働きをもった核酸医薬で、NF−kBのみをターゲットとした従来のデコイに比べて炎症を抑える効果が格段に高いことが期待される。椎間板性腰痛症を対象とするNF−kBデコイオリゴ核酸医薬は従来型の開発を継続するが、新たに開発を始めるデコイは基本的にキメラ型を主軸とする。喘息、慢性関節リウマチ、変形性関節症、クローン病(炎症性腸疾患)など炎症性疾患に対する治療薬の開発を目指し、臨床試験の実施に必要な前臨床試験を開始する。複数のターゲットを同時に抑制できるキメラデコイの製品開発に着手するのは世界初となる。

 16年7月、大阪大学との新たなドラッグデリバリーシステム(DDS)技術に関する共同研究契約締結を発表した。DDSは必要な量の薬物を目標とする細胞に効率的に送達するための技術である。次世代型デコイ核酸医薬「キメラデコイ」に新規DDSを組み合わせて動物試験(関節リウマチモデル)を行った結果、顕著な効果が示されたため「キメラデコイ」の炎症性疾患向け治療薬への応用を検討する。

■複数のプロジェクトを保有してリスク分散

 中等症以上の顔面アトピー性皮膚炎を対象としたNF−kBデコイオリゴ軟膏製剤は、国内第3相臨床試験結果(速報)で統計学的な有意差は示されなかったが、これ以外に複数のプロジェクトを保有してリスク分散を図っている。

 重点プロジェクトを整理すると、(1)重症虚血肢を対象とするHGF遺伝子治療薬は、国内では医師主導臨床試験を実施中である。条件・期限付早期承認制度を活用して16年後半の承認申請を目指している。海外は米国で新たな試験計画を策定中である。(2)原発性リンパ浮腫を対象とするHGF遺伝子治療薬は、国内で13年10月から第1・2相臨床試験を実施し、16年4月症例登録完了した。

(3)顔面アトピー性皮膚炎を対象とするNF−kBデコイオリゴ軟膏製剤は、国内第3相臨床試験結果(速報)で有意差が示されなかったため、今後の方針を検討中である。(4)椎間板性腰痛症を対象とするNF−kBデコイオリゴ核酸医薬は、米国で第1・2相臨床試験を準備中である。(5)透析シャント用NF−kBデコイオリゴ薬剤塗布型PTAバルーンカテーテルは、国内における全被験者の観察期間が終了して16年半ば以降の承認申請を目指している。

(6)次世代型デコイ核酸医薬「キメラデコイ」の基盤技術開発を完了した。新たに開発を始めるデコイはキメラ型を主軸とする。(7)次世代遺伝子医薬であるDNA治療ワクチン事業へ本格進出し、高血圧DNAワクチンの臨床試験を17年第1四半期からオーストラリアで開始する。(8)子宮頸部前がん治療ワクチン(CIN治療ワクチン)の独占的開発・製造・販売権については、森下仁丹に再許諾することで基本合意した。早期の正式契約締結を目指す。

■16年12月期は赤字拡大予想だが、ライセンス契約などで修正の可能性も

 今期(16年12月期)通期の連結業績予想(2月5日公表)は、研究開発費の増加で赤字が拡大する見込みだ。ただし新規ライセンス契約締結による契約金や、開発進捗に伴うマイルストーン等の発生が一定の確度をもって見込まれた場合、あるいは開発進捗に伴って研究開発費の見込み額が変更になった場合など、業績予想の修正が必要と判断された場合は速やかに公表するとしている。

■株価は下値固め完了して反発のタイミング

 株価の動きを見ると、NF−kBデコイオリゴ軟膏製剤の国内第3相臨床試験結果(速報)などを嫌気して水準を切り下げたが、7月中旬以降は300円近辺で下げ渋る動きだ。7月28日の終値は305円で、時価総額は約192億円である。日足チャートで見ると25日移動平均線に対するマイナス乖離率が17%程度と売られ過ぎの水準だ。下値固め完了して反発のタイミングだろう。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media−IR)
[7月20日更新]

アンジェスMGはHGF遺伝子治療薬の国内開発は予定通り、条件・期限付承認獲得目指す

 アンジェスMG<4563>(東マ)は遺伝子医薬のグローバルリーダーを目指す創薬バイオベンチャーである。株価はHGF遺伝子治療薬の海外開発戦略変更や、NF−kBデコイオリゴ軟膏製剤の国内第3相臨床試験結果(速報)を嫌気したが、HGF遺伝子治療薬の国内開発は予定通りで条件・期限付承認獲得を目指している。DNA治療ワクチン事業への本格進出、次世代型デコイ核酸医薬「キメラデコイ」の基盤技術開発完了も発表した。売り一巡して再動意の可能性があるだろう。

■遺伝子医薬のグローバルリーダー目指す創薬バイオベンチャー

 遺伝子医薬のグローバルリーダーを目指す大阪大学発の創薬バイオベンチャーである。HGF(肝細胞増殖因子)遺伝子治療薬、NF−kBデコイオリゴ核酸医薬、DNA治療ワクチンなど、遺伝子の働きを活用した遺伝子医薬分野で開発を推進している。

 自社開発品の販売権または開発販売権を製薬会社に供与し、契約に基づいて契約一時金収入、開発の進捗に対応したマイルストーン収入、および上市後の売上に対する一定対価のロイヤリティ収入を得る。

■日本では「条件および期限付承認制度」が導入されて早期実用化が可能

 日本では13年5月公布「再生医療推進法」の理念のもと、14年11月施行の「医薬品医療機器等法(改正薬事法)」で新たに再生医療等製品が定義され、遺伝子治療を含む再生医療等製品に対する早期承認制度が導入された。

 これによって遺伝子治療を含む再生医療分野に関しては、日本が世界で最も早く製品承認を取得できることなり、再生医療・細胞医療の早期実用化の促進が期待されている。なお当社が開発を進めているHGF遺伝子治療薬は、承認取得すれば先進国2番目の遺伝子治療薬となる可能性がある。

■新薬開発プロジェクト状況

 新薬開発プロジェクトは、自社開発品では、HGF遺伝子治療薬(重症虚血肢などの末梢性血管疾患分野、狭心症や心筋梗塞などの虚血性心疾患分野、および原発性リンパ浮腫分野)、NF−kBデコイオリゴ核酸医薬(アトピー性皮膚炎などの皮膚疾患分野、椎間板性腰痛症などの腰痛疾患分野)を中心に開発を進めている。また導入開発品では、子宮頸部前がん治療ワクチン(CIN治療ワクチン)、がん治療薬、DNAワクチンを用いたエボラ出血熱抗血清製剤などの開発も進めている。

 6月16日、森下仁丹<4524>と子宮頸部前がん治療ワクチン(CIN治療ワクチン)の独占的開発・製造・販売権の再許諾に関する基本合意を発表した。当社は韓国バイオリーダース社から日本、米国、中国および英国における当治療ワクチンの独占的開発・製造・販売権の許諾を受け、東京大学医学部附属病院において医師主導臨床研究を行っている。今回の基本合意は当社が許諾を受けているCIN治療ワクチンの権利を森下仁丹に独占的に再許諾するもので、早期の正式契約締結を目指す。

 6月20日、重症虚血肢を対象としたHGF遺伝子治療薬について、開発にかかる期間と費用の削減および早期実用化を目的として、海外における開発戦略の変更を発表した。14年10月から北米中心に国際共同第3相臨床試験を実施しているが、試験完遂に当初計画より長い期間と多くの費用が必要であることが判明したため、現行の国際共同第3相臨床試験を終了し、新たな開発戦略として比較的短期間での完遂が可能な試験設計に変更する。当初計画から申請時期を遅らせることなく、試験費用を削減することを目指し、新たな試験計画について米FDAと協議する。なお条件・期限付承認の獲得を目指している国内における開発は、今回の海外開発戦略の変更とは関係なく予定通り実施する。

 7月5日、中等症以上の顔面アトピー性皮膚炎を対象としたNF−kBデコイオリゴ軟膏製剤の国内第3相臨床試験の結果(速報)を発表した。本試験の解析速報では、NF−kBデコイオリゴDNA投与群とプラセボ投与群の間で統計学的な有意差は示されなかった。試験の詳細な結果が得られ次第、解析を行って今後の方針を検討する。

 7月8日、HGF遺伝子治療薬およびNF−kBデコイオリゴ核酸医薬に次ぐ第3の柱として、次世代遺伝子医薬であるDNA治療ワクチン事業への本格進出を発表した。大阪大学と共同で高血圧治療を対象としたDNAワクチンの開発を進めてきたが、動物モデルで有効性を確認し、各種非臨床試験の完了に目途がついたため、最初の開発品として高血圧DNAワクチンの臨床試験を17年第1四半期からオーストラリアで開始する。がんやアレルギー疾患などにも応用できる可能性がある。

 7月12日、次世代型デコイ核酸医薬「キメラデコイ」の基盤技術開発完了を発表した。STAT6とNF−kBという炎症に関わる2つの重要な因子を同時に抑制する働きをもった核酸医薬で、NF−kBのみをターゲットとした従来のデコイに比べて炎症を抑える効果が格段に高いことが期待される。椎間板性腰痛症を対象とするNF−kBデコイオリゴ核酸医薬は従来型の開発を継続するが、新たに開発を始めるデコイは基本的にキメラ型を主軸とする。喘息、慢性関節リウマチ、変形性関節症、クローン病(炎症性腸疾患)など炎症性疾患に対する治療薬の開発を目指し、臨床試験の実施に必要な前臨床試験を開始する。複数のターゲットを同時に抑制できるキメラデコイの製品開発に着手するのは世界初となる。

 7月13日、大阪大学との新たなドラッグデリバリーシステム(DDS)技術に関する共同研究契約締結を発表した。DDSは必要な量の薬物を目標とする細胞に効率的に送達するための技術である。次世代型デコイ核酸医薬「キメラデコイ」に新規DDSを組み合わせて動物試験(関節リウマチモデル)を行った結果、顕著な効果が示されたため「キメラデコイ」の炎症性疾患向け治療薬への応用を検討する。

■複数のプロジェクトを保有してリスク分散

 中等症以上の顔面アトピー性皮膚炎を対象としたNF−kBデコイオリゴ軟膏製剤は、国内第3相臨床試験結果(速報)で統計学的な有意差は示されなかったが、複数のプロジェクトを保有してリスク分散を図っている。

 重点プロジェクトを整理すると、(1)重症虚血肢を対象とするHGF遺伝子治療薬は、国内では医師主導臨床試験を実施中である。条件・期限付早期承認制度を活用して16年後半の承認申請を目指している。海外は米国で新たな試験計画を策定中である。(2)原発性リンパ浮腫を対象とするHGF遺伝子治療薬は、国内で13年10月から第1・2相臨床試験を実施し、16年4月症例登録完了した。

 (3)顔面アトピー性皮膚炎を対象とするNF−kBデコイオリゴ軟膏製剤は、国内第3相臨床試験結果(速報)で有意差が示されなかったため、今後の方針を検討中である。(4)椎間板性腰痛症を対象とするNF−kBデコイオリゴ核酸医薬は、米国で第1・2相臨床試験を準備中である。(5)透析シャント用NF−kBデコイオリゴ薬剤塗布型PTAバルーンカテーテルは、国内における全被験者の観察期間が終了して16年半ば以降の承認申請を目指している。

 (6)次世代型デコイ核酸医薬「キメラデコイ」の基盤技術開発を完了した。新たに開発を始めるデコイはキメラ型を主軸とする。(7)次世代遺伝子医薬であるDNA治療ワクチン事業へ本格進出し、高血圧DNAワクチンの臨床試験を17年第1四半期からオーストラリアで開始する。(8)子宮頸部前がん治療ワクチン(CIN治療ワクチン)の独占的開発・製造・販売権について、森下仁丹に再許諾することで基本合意した。

■16年12月期は赤字拡大予想だが、ライセンス契約などで修正の可能性も

 今期(16年12月期)通期の連結業績予想(2月5日公表)は、研究開発費の増加で赤字が拡大する見込みだ。ただし新規ライセンス契約締結による契約金や、開発進捗に伴うマイルストーン等の発生が一定の確度をもって見込まれた場合、あるいは開発進捗に伴って研究開発費の見込み額が変更になった場合など、業績予想の修正が必要と判断された場合は速やかに公表するとしている。

■株価は売り一巡して再動意の可能性

 株価の動きを見ると、HGF遺伝子治療薬の海外における開発戦略変更や、NF−kBデコイオリゴ軟膏製剤の国内第3相臨床試験結果(速報)を嫌気して水準を切り下げた。7月15日の終値は314円で、時価総額は約198億円である。週足チャートで見ると26週移動平均線を割り込んだ。ただし52週移動平均線近辺で下げ渋る動きだ。サポートラインを確認した形であり、売り一巡して再動意の可能性があるだろう。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media−IR)
[5月31日更新]

アンジェスMGは調整一巡して再動意の可能性、重要プロジェクトの承認申請が視野

 アンジェスMG<4563>(東マ)はHGF遺伝子治療薬およびNF−kBデコイオリゴ核酸医薬を中心に、次世代バイオ医薬品の開発を目指す創薬ベンチャーである。16年12月期は研究開発費の増加で赤字拡大だが、重要プロジェクトの承認申請が視野に入り、19年の営業黒字化を目指している。株価は4月高値から利益確定売りで反落したが、調整が一巡して再動意の可能性があるだろう。

■大阪大学発の創薬バイオベンチャー

 遺伝子医薬のグローバルリーダーを目指す大阪大学発の創薬バイオベンチャーである。99年12月大阪大学医学部の研究成果をもとに設立(04年現社名に商号変更)し、02年9月東証マザーズに新規上場した。産学連携の創薬バイオベンチャーとして初の株式上場企業である。

 生命が長い時間をかけて獲得した遺伝子の働きを活用し、難治性疾患や治療法がない疾患に対する画期的な遺伝子医薬・バイオ医薬を開発・実用化することで、人々の健康と希望にあふれた暮らしの実現に貢献することを企業理念に掲げている。

■遺伝子医薬・バイオ医薬分野に特化して開発推進

 HGF(肝細胞増殖因子)遺伝子治療薬、NF−kBデコイオリゴ核酸医薬、高血圧DNA治療ワクチンなど、遺伝子の働きを活用した遺伝子医薬・バイオ医薬分野に特化して開発事業を推進している。

 自社開発品の販売権または開発販売権を製薬会社に供与し、契約に基づいて契約一時金収入、開発の進捗に対応したマイルストーン収入、および上市後の売上に対する一定対価のロイヤリティ収入を得る。

 また当社の事業方針と合致するプロジェクトの導入開発も行っている。導入品では難病のムコ多糖症VI型治療薬「ナグラザイム」について、米バイオマリン社から日本国内における開発販売権を06年12月に取得し、08年4月に国内での販売を開始している。

■遺伝子治療の世界的動向は「遺伝子治療の実用化時代到来」として脚光

 遺伝子治療の歴史を見ると、90年に先天的な免疫不全症であるADA欠損症を対象として米国において世界初の遺伝子治療が実施された。そして95年には日本で初めて、北海道大学においてADA欠損症を対象とする遺伝子治療が実施された。

 その後ウイルスベクターに由来する重篤な副作用が報告されたため、世界的に遺伝子治療実用化の動きが停滞したが、12年にLPL欠損症を対象とした蘭uniQure社のGlyberaが欧州で承認され、先進国初の遺伝子治療薬となった。そして世界の大手製薬メーカーの参入も相次ぎ、実用化時代が到来したとして遺伝子治療が再び脚光を浴びている。

■日本では「条件および期限付承認制度」が導入されて早期実用化が可能

 日本では13年5月公布「再生医療推進法」の理念のもと、14年11月施行の「医薬品医療機器等法(改正薬事法)」で新たに再生医療等製品が定義され、遺伝子治療を含む再生医療等製品に対する早期承認制度が導入された。

 医薬品や医療機器とは別個に、人の細胞に培養等の加工を施したもの、又は遺伝子治療を目的として人の細胞に導入して使用するものを再生医療等製品として新たに定義した。そして再生医療等製品については品質が不均一であり、有効性の予測が困難な場合があるという特性を有しているため、有効性が推定されて安全性が確認されれば条件および期限付きで特別に早期に承認できる仕組みを導入した。その場合、承認後に有効性・安全性をあらためて検証する。

 これによって遺伝子治療を含む再生医療分野に関しては、日本が世界で最も早く製品承認を取得できることなり、再生医療・細胞医療の早期実用化の促進が期待されている。なお当社が開発を進めているHGF遺伝子治療薬は、承認取得すれば先進国2番目の遺伝子治療薬となる可能性がある。

■新薬開発プロジェクトの状況

 新薬開発プロジェクトは、自社開発品では、HGF遺伝子治療薬(重症虚血肢などの末梢性血管疾患分野、狭心症や心筋梗塞などの虚血性心疾患分野、およびリンパ浮腫分野)、核酸医薬NF−kBデコイオリゴを用いた治療薬(アトピー性皮膚炎などの皮膚疾患分野、椎間板性腰痛症などの腰痛疾患分野)を中心に開発を進めている。導入開発品ではCIN(子宮頸がん前がん病変)治療薬、がん治療薬、エボラ出血熱治療薬などの分野における開発を進めている。

 HGF遺伝子治療薬は重症虚血肢を適応症として、国内においては条件および期限付早期承認制度を活用し、再生医療等製品として16年後半の承認申請を目指し、海外においては国際共同第3相臨床試験を実施中である。NF−kBデコイオリゴ軟膏は中等症以上の顔面アトピー性皮膚炎を適応症として、国内において第3相臨床試験を実施中である。医療機器である透析シャント用NF−kBデコイオリゴ薬剤塗布型PTAバルーンカテーテルは、国内における全被験者の観察期間が終了して16年半ば以降の承認申請を目指している。

■HGF遺伝子治療薬

 HGF(肝細胞増殖因子)は84年に日本で発見された成長因子である。最も再生能力の高い臓器である肝臓で最初に発見されたため、肝細胞増殖因子と呼ばれている。肝臓のみならず、血管、リンパ管、神経など生体のさまざまな臓器・組織の形成・再生において主要な役割を果たしていることが分かった。

 当社が実用化を目指すHGF遺伝子治療薬は、ヒトHGF遺伝子をコードしたDNAプラスミド製剤(注射剤)で、非ウイルスベクター型の遺伝子治療薬である。重症虚血肢(CLI)などの末梢性血管疾患分野、狭心症や心筋梗塞などの虚血性心疾患分野、およびリンパ浮腫分野において開発を進めている。

■HGF遺伝子治療薬 〜自社開発 適応症:重症虚血肢 日本および海外〜

 重症虚血肢を適応症とするHGF遺伝子治療薬は、HGFの血管新生作用によって重症虚血肢の虚血部位の血流を回復させる。重症虚血肢は重症の末梢性血管疾患であり、下肢切断を余儀なくされることもある重篤な病態である。

 HGF遺伝子治療薬に関しては国内において「条件および期限付早期承認制度」による承認申請を目指している。国内第3相臨床試験を終了し、08年3月に重症虚血肢を有する閉塞性動脈硬化症およびバージャー病を適応症として承認申請したが、承認取得にはさらなる臨床データの集積が必要との結論に至ったため、10年9月に申請を取り下げた。

 現在は大阪大学医学部附属病院が主導して、先進医療B制度を活用した医師主導型臨床研究を実施中である。14年8月の先進医療会議において了承され14年10月に1例目の投与を開始した。15年6月には神戸大学医学部附属病院、佐賀大学医学部附属病院の2施設、15年9月には新潟大学医歯学総合病院、徳島大学病院、愛媛大学医学部附属病院の3施設が新たに協力医療機関として当局から認められた。この医師主導型臨床研究の結果も合わせ、条件および期限付早期承認制度を活用して、16年後半の承認申請を目指している。

 なお16年3には先進医療B制度を活用した医師主導型臨床研究について、徳島大学病院において被験者への投与が開始された。14年10月の1例目に続く2例目の投与である。その他の施設でも順次候補患者の選定が進められている。

 海外では重症虚血肢を適応症として国際共同第3相臨床試験を実施中である。北米、欧州、南米において約500例の重症虚血肢患者を対象に、HGF遺伝子治療薬の有効性と安全性を確認する予定で、米国において14年10月に1例目の患者を登録し、14年11月に投与を開始した。15年8月には欧州(ハンガリー)においても投与を開始した。今後欧州の他国および南米においても順次、被験者登録および投与を開始する。

 HGF遺伝子治療薬の販売権供与に関しては、第一三共と締結した末梢性血管疾患および虚血性心疾患を対象とした米国および欧州における独占的販売契約を09年2月に終了、日本国内における独占的販売契約を15年2月に終了した。そして新たに田辺三菱製薬と、米国における末梢性血管疾患を対象とした独占的販売権許諾契約を12年10月に、日本国内における末梢性血管疾患を対象とした独占的販売権許諾契約を15年6月に締結している。

 なお重症虚血肢を適応症とするHGF遺伝子治療薬の市場規模については、米国における重症虚血肢患者数(新規、年間)が約50万人と推定され、有効な治療法が開発された場合に創出される市場規模は、アイ・エム・エスジャパンの調査によると約50億米ドルと推定されている。

■HGF遺伝子治療薬 〜自社開発 適応症:リンパ浮腫 日本〜

 HGF遺伝子治療薬の新たな薬理作用として「リンパ管の新生」が発見され、リンパ浮腫(リンパ管の障害によってリンパ流が停滞して発生する浮腫)に対する、初めての根治療法となることが期待されている。原発性リンパ浮腫を対象として13年10月から日本で第1・2相臨床試験を実施中である。

 HGF遺伝子によるリンパ管新生促進剤を対象とした特許を世界主要地域で出願しているが、15年12月には欧州における特許が成立した。本特許はHGF遺伝子によるリンパ浮腫の治療法を多面的に保護するものであり、日本ではすでに登録されている。

 16年4月には、国内で13年10月から実施している原発性リンパ浮腫を対象とする第1・2相臨床試験について症例登録が完了した。約20例の原発性リンパ浮腫患者を対象として、HGF遺伝子治療薬の安全性と有効性を探索的に検討するための試験である。リンパ浮腫によって腫脹した被験者の脚部にHGF遺伝子治療薬を投与し、その後1年間にわたって浮腫の体積変化やQOL(生活の質)等を経時的に評価する。

■NF−kBデコイオリゴ

 NF−kBは細胞が炎症反応や免疫反応を惹起させるため活性化する主要な転写因子で、NF−kBの活性化はアトピー性皮膚炎や関節リウマチなど異常な炎症や免疫関連の疾患を引き起こし、病態を悪化させることが指摘されている。デコイオリゴは、染色体DNAの転写因子結合部位と同じDNA配列を含む二重鎖の短い核酸で、体内に投与すると転写因子が染色体DNAに結合することを阻害して遺伝子の働きを抑える。

 そしてNF−kBデコイオリゴは、核酸合成機で作成される比較的短い人工核酸によって遺伝子の働きを制御する医薬品「核酸医薬」の一種である。NF−kB結合部位のDNA配列を持つデコイオリゴで、転写因子を標的として、細胞内においてゲノムの「おとり」として特定の転写因子と結合するため、その転写因子NF−kBがゲノムに結合できず、結果としてその遺伝子の発現が抑制される。治療薬として優位性があると考えられている。

 このNF−kBデコイオリゴによる治療法は95年に大阪大学大学院の森下竜一博士によって発明された。そしてNF−kBの活性化による過剰な免疫・炎症反応を原因とする疾患の治療薬として、転写因子NF−kBに対する特異的な阻害剤として設計し、アトピー性皮膚炎、椎間板性腰痛症、血管再狭窄予防(医療機器の薬剤塗布型PTAバルーンカテーテル)の分野を中心に開発を進めている。関節リウマチ、変形性関節症、炎症性腸疾患、喘息などへの適応も考えられている。

■NF−kBデコイオリゴ 〜自社開発 適応症:アトピー性皮膚炎 日本〜

 中等症以上の顔面アトピー性皮膚炎を適応症とするNF−kBデコイオリゴ核酸医薬(軟膏製剤)については、日本において15年3月から第3相臨床試験を実施している。顔面に中等症以上の皮疹を有するアトピー性皮膚炎患者約200例を対象として有効性と安全性を確認し、国内で承認申請するためのデータを獲得する。

 そして16年1月にNF−kBデコイオリゴを用いたアトピー性皮膚炎治療薬の国内第3相臨床試験の症例登録完了を発表し、16年2月には第3相臨床試験における最後の症例の観察期間(投与後に症状の変化を観察する期間)が終了し、試験が実質的に終了した。今後は各症例のデータを回収して解析を行い、良好な結果が得られた場合には、国内で16年中に承認申請を行う予定だ。

 なおライセンス契約に関してはアルフレッサファーマとの契約を08年11月に解消し、新たに塩野義製薬と10年12月、アトピー性皮膚炎を含む皮膚疾患を適応症とするNF−kBデコイオリゴ外用剤全般について、共同開発および全世界における独占的販売権許諾に関してライセンス契約した。その後、アトピー性皮膚炎を適応症とするNF−kBデコイオリゴの開発方針の見直しを行った結果、開発については当社が主体となって行うことを14年5月に決定した。塩野義製薬との提携は継続している。

 アトピー性皮膚炎の日本国内の市場規模に関しては、厚生労働省が実施した平成25年国民生活基礎調査によると患者数約130万人と報告されている。特に顔面のアトピー性皮膚炎に関しては、皮膚刺激性や局所副作用などの安全性の観点から医療ニーズを満たした治療薬がなく、新しい治療法の開発が切望されている疾患領域である。

■NF−kBデコイオリゴ 〜自社開発 適応症:椎間板性腰痛症 日本〜

 NF−kBデコイオリゴの新たな適用疾患として、米国において椎間板性腰痛症を適応症とする第1・2相臨床試験を準備中である。米食品医薬品局(FDA)から臨床試験開始許可取得後、米国カリフォルニア大学サンディエゴ校を治験実施施設として16年に第1・2相臨床試験を開始する予定だ。

 なお椎間板性腰痛症を含む腰痛疾患を適応症として、日本臓器製薬と13年3月に日本における独占的開発販売権許諾契約を締結したが、日本臓器製薬における開発方針の見直しを受けて14年12月に契約を解消した。当社の開発戦略も変更し、米国における第1・2相臨床試験終了後に、提携先を確保するためのライセンス活動を行う計画としている。

 椎間板性腰痛症の市場規模に関しては日本では潜在患者数が200万人以上とされ、このうち実際に医療機関で受療している受療患者数は、厚生労働省平成23年患者調査によると43万人との報告があり、その数は増加傾向にある。椎間板変性などが原因の腰痛症に対する治療法としては消炎鎮痛剤などを用いる対症療法しかなく、椎間板変性の進行抑制や修復を促す根治的な治療薬の開発が望まれている。

■NF−kBデコイオリゴ 〜自社開発 適応症:血管再狭窄予防医療機器 日本〜

 血管再狭窄予防医療機器の透析シャント用NF−kBデコイオリゴ薬剤塗布型PTAバルーンカテーテルは、NF−kBデコイオリゴをホソカワミクロンのPLGAナノ粒子に封入し、メディキットのPTAバルーンカテーテルの外表面に塗布した新規医療機器である。

 バルーン拡張によって引き起こされる血管炎症の抑制、血管の再狭窄までの期間延長、および外科的手術の回避が期待され、12年1月にメディキットと国内における共同開発および製造販売に関する契約を締結し、世界で初めての抗炎症薬塗布型PTAバルーンカテーテルを目指している。

 透析シャント静脈狭窄病変を有する患者を対象とした国内治験を14年9月から実施して、15年9月に全被験者の観察期間が終了した。今後各被験者のデータを回収し、統計解析を行って良好な結果が得られた場合には、16年半ば以降に国内の製造販売承認申請を行う見込みとしている。

 16年1月には、ホソカワミクロンおよびメディキットと3社共同で出願していた薬剤溶出型カテーテルおよび製造法に関する特許が米国で成立した。本特許と同様の特許は日本においては14年8月に成立し、欧州、中国、韓国においても出願審査中である。

 人工透析の透析シャントや動脈硬化症などの末梢血管内治療法で使用される現在のPTAバルーンカテーテルは再狭窄率が高く、医療現場においては再狭窄予防が期待できるPTAバルーンカテーテルの開発が強く望まれている。

■CIN治療ワクチン 〜導入開発 適応症:子宮頸がん前がん病変 日本〜

 各国で発売済の子宮頸がん予防ワクチンはHPV(子宮頸がんの原因ウイルス)感染予防を目的とする注射剤だが、当社のCIN(子宮頸がん前がん病変)治療ワクチンは韓国バイオリーダース社から日米英中における独占的開発販売権を取得し、子宮頸がん前がん病変の中・高度異形成(CIN2・3)領域に対する治療薬として開発を進めている。子宮頸がん前がん状態の組織を退縮させ、子宮頸がんへの移行・円錐切除手術を回避する。乳酸菌L.caseiをベースとした経口投与の治療薬である。

 子宮頸がん前がん病変を適応症として東京大学医学部附属病院において医師主導型探索的臨床研究を実施中である。これまでに実施された臨床研究の結果として、投与した全17例において薬剤に由来すると考えられる有害事象の発生は認められなかった。また至適用量を服用した被験者の70%で投与開始後9週目の時点で前がん病変の明らかな退縮が確認された。現在さらなる臨床研究が同病院において実施されており、この試験の経費については厚生労働省科学研究費補助金(医療技術実用化総合研究事業)が使用されている。

 WHOによるとHPVは全世界で感染者(キャリア)3億人と推定されている。当社のCIN治療ワクチンは治療薬の開発が求められている中・高度異形成(CIN2・3)領域1000万人を対象としている。

■高血圧DNAワクチン

 高血圧DNAワクチンの基礎技術は大阪大学の研究グループによって開発され、高血圧または心不全の治療薬として実用化を目指している。特に心不全の治療薬としては、慢性心不全の症状軽減を目的とした従来の薬剤に比べて、1回の投薬による作用の持続、すなわち安定した循環機能を維持する有用性が期待されている。

 そして15年10月、DSファーマアニマルヘルス(大阪市、大日本住友製薬の動物薬事業部門が会社分割で独立して10年7月設立)と、高血圧DNAワクチンの犬慢心性不全への応用を目指した動物用医薬品に関する共同開発契約を締結した。なお当社はヒトを対象とした開発も計画している。

 なお5月17日には、第5回臨床高血圧フォーラム(5月14日〜15日開催)において、大阪大学の研究グループが「次世代バイオロジクスとしての高血圧ワクチンの臨床応用」と題して、高血圧DNAワクチンの研究成果を発表したと紹介している。

■DNAワクチン抗血清製剤 〜導入開発 適応症:エボラ出血熱 日本〜

 15年1月に遺伝子治療技術を応用して、エボラ出血熱対策医薬品として抗血清製剤の開発を国内で開始した。予備的な試験を開始して今後の開発計画については詳細が確定次第公表するとしていたが、15年6月にはウマにDNAワクチンを投与した試験において、ウイルスタンパク質に対する抗体価が有意に上昇したことを確認したと発表している。

 開発を計画する抗血清製剤は、感染予防効果を得るのに時間を要するワクチン療法と異なり、すでにウイルスに感染した患者の病態の悪化を抑制するもので、エボラ出血熱ウイルスのタンパク質をコードするDNAワクチンをウマに接種して得られるウイルスタンパク質に対する抗体を精製して製造する。DNAワクチン技術を用いることで、病原ウイルス自体を取り扱わないため安全かつ短期間で製造できる。

 当該抗血清製剤の開発については、DNAワクチン技術を有する米バイカル社から日本国内における独占的開発販売権を取得した。当該抗血清製剤を開発するためのDNAワクチンは米バイカル社が製造する。

 また16年4月にはDNAワクチンを用いたエボラ出血熱抗血清製剤開発に関して提携を発表した。ワクチンと感染症の研究開発では世界でも有数の施設であるカナダのサスカチュワン大学と共同で、抗血清製剤の特性、製造および品質向上の検討を進める。

■アロベクチン 〜導入開発 適応症:がん アジア〜

 がん疾患を適応症とするアロベクチンについては、導入元の米バイカル社が13年8月、転移性メラノーマ(悪性黒色腫)を対象としたアロベクチンの第3相臨床試験の結果、有意な改善効果が示されなかったため同プロジェクトの中止を発表した。

 当社はアロベクチンに関するアジア地域における独占的開発販売権を有しているため、メラノーマ以外のがん疾患への適用を検討している。

■長期ビジョン「2025年ビジョン」

 10年後の当社のあるべき姿として長期ビジョン「2025年ビジョン」を策定し、目標として遺伝子医薬のグローバルリーダー、新市場の創出、売上高500億円以上を掲げた。

 重症虚血肢を適応症とするHGF遺伝子治療薬の日本における承認申請(16年後半目標)が視野に入り、中等症以上の顔面アトピー性皮膚炎を適応症とするNF−kBデコイオリゴ軟膏の第3相臨床試験開始により、国内の成長ドライバープロジェクトが最終段階に入った。また重症虚血肢を適応症とするHGF遺伝子治療薬の国際共同第3相臨床試験開始により、最重要プロジェクトが始動した。

 重要プロジェクトが進展して、研究・開発ステージから商業化ステージに移行する。また今後の取り組みとして、国内外の提携先拡大に向けたライセンス活動を強化するとともに、必要に応じて開発資金を調達する方針だ。

 収益面で見れば当面は開発投資増加に伴って赤字が継続するが、商業化ステージの第1段階として19年12月期の営業黒字化を目指している。重症虚血肢を適応症とするHGF遺伝子治療薬の国際共同第3相臨床試験進展に伴うマイルストーン収入増加が牽引する。

 さらに25年には売上高500億円以上を目指している。重症虚血肢を適応症とするHGF遺伝子治療薬の日本・米国・欧州での販売、中等症以上の顔面アトピー性皮膚炎を適応症とするNF−kBデコイオリゴ軟膏の日本での販売が本格寄与する。営業利益は300億円以上を想定しているようだ。

■16年12月期は研究開発費増加で赤字拡大予想

 今期(16年12月期)第1四半期(1月〜3月)の連結業績は、売上高が前年同期比1.6%増の83百万円で、営業利益が11億83百万円の赤字(前年同期は9億60百万円の赤字)、経常利益が12億30百万円の赤字(同8億80百万円の赤字)、純利益が12億30百万円の赤字(同8億83百万円の赤字)だった。

 重症虚血肢を適応症とするHGF遺伝子治療薬の国際共同第3相臨床試験、およびアトピー性皮膚炎を適応症とするNF−kBデコイオリゴ核酸医薬の国内第3相臨床試験にかかる研究開発費が大幅に増加して各利益とも赤字が拡大した。研究開発費は同30.4%増加の9億91百万円だった。なお営業外では前期計上の補助金収入69百万円が一巡した。また為替差損益が悪化(前期は差益18百万円計上、今期は差損29百万円計上)した。営業外費用では株式交付費が増加(前期8百万円計上、今期18百万円計上)した。特別利益では新株予約権戻入益7百万円を計上した。

 今期(16年12月期)通期の連結業績予想(2月5日公表)は、売上高が4億円(前期は4億30百万円)で、営業利益が64億円の赤字(同41億71百万円の赤字)、経常利益が64億円の赤字(同40億89百万円の赤字)、純利益が64億円の赤字(同41億43百万円の赤字)としている。

 重症虚血肢を適応症とするHGF遺伝子治療薬の国際共同第3相臨床試験、およびアトピー性皮膚炎を適応症とするNF−kBデコイオリゴ核酸医薬の国内第3相臨床試験にかかる研究開発費が大幅に増加して赤字が拡大する見込みだ。なお新規ライセンス契約締結による契約金や、開発進捗に伴うマイルストーン等の発生が一定の確度をもって見込まれた場合、あるいは開発進捗に伴って研究開発費の見込み額が変更になった場合など、業績予想の修正が必要と判断された場合は速やかに公表するとしている。

■資金調達

 16年3月に第27回新株予約権(第三者割当)(行使価格修正条項付)募集を発表し、三田証券を割当先として6万4367個(643万6700株)を発行(4月11日)した。調達額約28億15百万円(行使価格修正などで増加または減少)はNF−kBデコイオリゴ核酸医薬の開発資金に充当する。

 なお第27回新株予約権の大量行使について、4月12日に2万個、13日に3万個、14日に6544個、18日に7823個の大量行使を発表している。この結果、全ての権利行使が完了し、当面の研究開発資金への懸念が後退した。

■株主優待制度は6月末と12月末に実施

 株主優待制度は毎年6月30日および12月31日現在の1単元(100株)以上保有株主に対して実施している。優待内容は、当社が指定する商品を特別価格で購入できる専用申込書(商品購入優待券)を、所有株式数に応じて贈呈する。

■株価は調整一巡して再動意の可能性

 株価の動きを見ると、急伸した4月20日の年初来高値943円から利益確定売りで反落したが、600円近辺で下げ渋る動きだ。調整が一巡したようだ。

 5月27日の終値は600円で、時価総額は約339億円である。週足チャートで見ると13週移動平均線近辺で下げ渋る動きだ。サポートラインを確認した形であり、調整が一巡して再動意の可能性があるだろう。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media−IR)
[4月27日更新]

アンジェスMGは重要プロジェクトの承認申請視野、エボラ出血熱抗血清製剤開発の提携も発表

 アンジェスMG<4563>(東マ)はHGF遺伝子治療薬およびNF−kBデコイオリゴ核酸医薬を中心に、次世代バイオ医薬品の開発を目指す創薬ベンチャーである。4月26日にはDNAワクチンを用いたエボラ出血熱抗血清製剤開発に関する提携を発表した。4月発行の新株予約権(第三者割当)の行使が完了して開発資金に対する懸念も後退している。16年12月期は研究開発費の増加で赤字拡大だが、重要プロジェクトの承認申請が視野に入り19年の営業黒字化を目指している。株価は乱高下する場面もあるが13年5月の戻り高値を目指す流れに変化はないだろう。

■大阪大学発の創薬バイオベンチャー

 遺伝子医薬のグローバルリーダーを目指す大阪大学発の創薬バイオベンチャーである。99年12月大阪大学医学部の研究成果をもとに設立(04年現社名に商号変更)し、02年9月東証マザーズに新規上場した。産学連携の創薬バイオベンチャーとして初の株式上場企業である。

 生命が長い時間をかけて獲得した遺伝子の働きを活用し、難治性疾患や治療法がない疾患に対する画期的な遺伝子医薬・バイオ医薬を開発・実用化することで、人々の健康と希望にあふれた暮らしの実現に貢献することを企業理念に掲げている。

■遺伝子医薬・バイオ医薬分野に特化して開発推進

 HGF(肝細胞増殖因子)遺伝子治療薬、NF−kBデコイオリゴ核酸医薬、高血圧DNA治療ワクチンなど、遺伝子の働きを活用した遺伝子医薬・バイオ医薬分野に特化して開発事業を推進している。

 自社開発品の販売権または開発販売権を製薬会社に供与し、契約に基づいて契約一時金収入、開発の進捗に対応したマイルストーン収入、および上市後の売上に対する一定対価のロイヤリティ収入を得る。

 また当社の事業方針と合致するプロジェクトの導入開発も行っている。導入品では難病のムコ多糖症VI型治療薬「ナグラザイム」について、米バイオマリン社から日本国内における開発販売権を06年12月に取得し、08年4月に国内での販売を開始している。

■遺伝子治療の世界的動向は「遺伝子治療の実用化時代到来」として脚光

 遺伝子治療の歴史を見ると、90年に先天的な免疫不全症であるADA欠損症を対象として米国において世界初の遺伝子治療が実施された。そして95年には日本で初めて、北海道大学においてADA欠損症を対象とする遺伝子治療が実施された。

 その後ウイルスベクターに由来する重篤な副作用が報告されたため、世界的に遺伝子治療実用化の動きが停滞したが、12年にLPL欠損症を対象とした蘭uniQure社のGlyberaが欧州で承認され、先進国初の遺伝子治療薬となった。そして世界の大手製薬メーカーの参入も相次ぎ、実用化時代が到来したとして遺伝子治療が再び脚光を浴びている。

■日本では「条件および期限付承認制度」が導入されて早期実用化が可能

 日本では13年5月公布「再生医療推進法」の理念のもと、14年11月施行の「医薬品医療機器等法(改正薬事法)」で新たに再生医療等製品が定義され、遺伝子治療を含む再生医療等製品に対する早期承認制度が導入された。

 医薬品や医療機器とは別個に、人の細胞に培養等の加工を施したもの、又は遺伝子治療を目的として人の細胞に導入して使用するものを再生医療等製品として新たに定義した。そして再生医療等製品については品質が不均一であり、有効性の予測が困難な場合があるという特性を有しているため、有効性が推定されて安全性が確認されれば条件および期限付きで特別に早期に承認できる仕組みを導入した。その場合、承認後に有効性・安全性をあらためて検証する。

 これによって遺伝子治療を含む再生医療分野に関しては、日本が世界で最も早く製品承認を取得できることなり、再生医療・細胞医療の早期実用化の促進が期待されている。なお当社が開発を進めているHGF遺伝子治療薬は、承認取得すれば先進国2番目の遺伝子治療薬となる可能性がある。

■新薬開発プロジェクトの状況

 新薬開発プロジェクトは、自社開発品では、HGF遺伝子治療薬(重症虚血肢などの末梢性血管疾患分野、狭心症や心筋梗塞などの虚血性心疾患分野、およびリンパ浮腫分野)、核酸医薬NF−kBデコイオリゴを用いた治療薬(アトピー性皮膚炎などの皮膚疾患分野、椎間板性腰痛症などの腰痛疾患分野)を中心に開発を進めている。導入開発品ではCIN(子宮頸がん前がん病変)治療薬、がん治療薬、エボラ出血熱治療薬などの分野における開発を進めている。

 HGF遺伝子治療薬は重症虚血肢を適応症として、国内においては条件および期限付早期承認制度を活用し、再生医療等製品として16年後半の承認申請を目指し、海外においては国際共同第3相臨床試験を実施中である。NF−kBデコイオリゴ軟膏は中等症以上の顔面アトピー性皮膚炎を適応症として、国内において第3相臨床試験を実施中である。医療機器である透析シャント用NF−kBデコイオリゴ薬剤塗布型PTAバルーンカテーテルは、国内における全被験者の観察期間が終了して16年半ば以降の承認申請を目指している。

■HGF遺伝子治療薬

 HGF(肝細胞増殖因子)は84年に日本で発見された成長因子である。最も再生能力の高い臓器である肝臓で最初に発見されたため、肝細胞増殖因子と呼ばれている。肝臓のみならず、血管、リンパ管、神経など生体のさまざまな臓器・組織の形成・再生において主要な役割を果たしていることが分かった。

 当社が実用化を目指すHGF遺伝子治療薬は、ヒトHGF遺伝子をコードしたDNAプラスミド製剤(注射剤)で、非ウイルスベクター型の遺伝子治療薬である。重症虚血肢(CLI)などの末梢性血管疾患分野、狭心症や心筋梗塞などの虚血性心疾患分野、およびリンパ浮腫分野において開発を進めている。

■HGF遺伝子治療薬 〜自社開発 適応症:重症虚血肢 日本および海外〜

 重症虚血肢を適応症とするHGF遺伝子治療薬は、HGFの血管新生作用によって重症虚血肢の虚血部位の血流を回復させる。重症虚血肢は重症の末梢性血管疾患であり、下肢切断を余儀なくされることもある重篤な病態である。

 HGF遺伝子治療薬に関しては国内において「条件および期限付早期承認制度」による承認申請を目指している。国内第3相臨床試験を終了し、08年3月に重症虚血肢を有する閉塞性動脈硬化症およびバージャー病を適応症として承認申請したが、承認取得にはさらなる臨床データの集積が必要との結論に至ったため、10年9月に申請を取り下げた。

 現在は大阪大学医学部附属病院が主導して、先進医療B制度を活用した医師主導型臨床研究を実施中である。14年8月の先進医療会議において了承され14年10月に1例目の投与を開始した。15年6月には神戸大学医学部附属病院、佐賀大学医学部附属病院の2施設、15年9月には新潟大学医歯学総合病院、徳島大学病院、愛媛大学医学部附属病院の3施設が新たに協力医療機関として当局から認められた。この医師主導型臨床研究の結果も合わせ、条件および期限付早期承認制度を活用して、16年後半の承認申請を目指している。

 なお16年3には先進医療B制度を活用した医師主導型臨床研究について、徳島大学病院において被験者への投与が開始された。14年10月の1例目に続く2例目の投与である。その他の施設でも順次候補患者の選定が進められているとしている。

 海外では重症虚血肢を適応症として国際共同第3相臨床試験を実施中である。北米、欧州、南米において約500例の重症虚血肢患者を対象に、HGF遺伝子治療薬の有効性と安全性を確認する予定で、米国において14年10月に1例目の患者を登録し、14年11月に投与を開始した。15年8月には欧州(ハンガリー)においても投与を開始した。今後欧州の他国および南米においても順次、被験者登録および投与を開始する。

 HGF遺伝子治療薬の販売権供与に関しては、第一三共と締結した末梢性血管疾患および虚血性心疾患を対象とした米国および欧州における独占的販売契約を09年2月に終了、日本国内における独占的販売契約を15年2月に終了した。そして新たに田辺三菱製薬と、米国における末梢性血管疾患を対象とした独占的販売権許諾契約を12年10月に、日本国内における末梢性血管疾患を対象とした独占的販売権許諾契約を15年6月に締結している。

 なお重症虚血肢を適応症とするHGF遺伝子治療薬の市場規模については、米国における重症虚血肢患者数(新規、年間)が約50万人と推定され、有効な治療法が開発された場合に創出される市場規模は、アイ・エム・エスジャパンの調査によると約50億米ドルと推定されている。

■HGF遺伝子治療薬 〜自社開発 適応症:リンパ浮腫 日本〜

 HGF遺伝子治療薬の新たな薬理作用として「リンパ管の新生」が発見され、リンパ浮腫(リンパ管の障害によってリンパ流が停滞して発生する浮腫)に対する、初めての根治療法となることが期待されている。原発性リンパ浮腫を対象として13年10月から日本で第1・2相臨床試験を実施中である。

 HGF遺伝子によるリンパ管新生促進剤を対象とした特許を世界主要地域で出願しているが、15年12月には欧州における特許が成立した。本特許はHGF遺伝子によるリンパ浮腫の治療法を多面的に保護するものであり、日本ではすでに登録されている。

 4月15日には、国内で13年10月から実施している原発性リンパ浮腫を対象とする第1・2相臨床試験について、症例登録完了を発表している。約20例の原発性リンパ浮腫患者を対象として、HGF遺伝子治療薬の安全性と有効性を探索的に検討するための試験である。リンパ浮腫によって腫脹した被験者の脚部にHGF遺伝子治療薬を投与し、その後1年間にわたって浮腫の体積変化やQOL(生活の質)等を経時的に評価する。

■NF−kBデコイオリゴ

 NF−kBは細胞が炎症反応や免疫反応を惹起させるため活性化する主要な転写因子で、NF−kBの活性化はアトピー性皮膚炎や関節リウマチなど異常な炎症や免疫関連の疾患を引き起こし、病態を悪化させることが指摘されている。デコイオリゴは、染色体DNAの転写因子結合部位と同じDNA配列を含む二重鎖の短い核酸で、体内に投与すると転写因子が染色体DNAに結合することを阻害して遺伝子の働きを抑える。

 そしてNF−kBデコイオリゴは、核酸合成機で作成される比較的短い人工核酸によって遺伝子の働きを制御する医薬品「核酸医薬」の一種である。NF−kB結合部位のDNA配列を持つデコイオリゴで、転写因子を標的として、細胞内においてゲノムの「おとり」として特定の転写因子と結合するため、その転写因子NF−kBがゲノムに結合できず、結果としてその遺伝子の発現が抑制される。治療薬として優位性があると考えられている。

 このNF−kBデコイオリゴによる治療法は95年に大阪大学大学院の森下竜一博士によって発明された。そしてNF−kBの活性化による過剰な免疫・炎症反応を原因とする疾患の治療薬として、転写因子NF−kBに対する特異的な阻害剤として設計し、アトピー性皮膚炎、椎間板性腰痛症、血管再狭窄予防(医療機器の薬剤塗布型PTAバルーンカテーテル)の分野を中心に開発を進めている。関節リウマチ、変形性関節症、炎症性腸疾患、喘息などへの適応も考えられている。

■NF−kBデコイオリゴ 〜自社開発 適応症:アトピー性皮膚炎 日本〜

 中等症以上の顔面アトピー性皮膚炎を適応症とするNF−kBデコイオリゴ核酸医薬(軟膏製剤)については、日本において15年3月から第3相臨床試験を実施している。顔面に中等症以上の皮疹を有するアトピー性皮膚炎患者約200例を対象として有効性と安全性を確認し、国内で承認申請するためのデータを獲得する。

 そして16年1月にNF−kBデコイオリゴを用いたアトピー性皮膚炎治療薬の国内第3相臨床試験の症例登録完了を発表し、16年2月には第3相臨床試験における最後の症例の観察期間(投与後に症状の変化を観察する期間)が終了し、試験が実質的に終了したと発表した。今後は各症例のデータを回収して解析を行い、良好な結果が得られた場合には、国内で16年中に承認申請を行う予定だ。

 なおライセンス契約に関してはアルフレッサファーマとの契約を08年11月に解消し、新たに塩野義製薬と10年12月、アトピー性皮膚炎を含む皮膚疾患を適応症とするNF−kBデコイオリゴ外用剤全般について、共同開発および全世界における独占的販売権許諾に関してライセンス契約した。その後、アトピー性皮膚炎を適応症とするNF−kBデコイオリゴの開発方針の見直しを行った結果、開発については当社が主体となって行うことを14年5月に決定した。塩野義製薬との提携は継続している。

 アトピー性皮膚炎の日本国内の市場規模に関しては、厚生労働省が実施した平成25年国民生活基礎調査によると患者数約130万人と報告されている。特に顔面のアトピー性皮膚炎に関しては、皮膚刺激性や局所副作用などの安全性の観点から医療ニーズを満たした治療薬がなく、新しい治療法の開発が切望されている疾患領域である。

■NF−kBデコイオリゴ 〜自社開発 適応症:椎間板性腰痛症 日本〜

 NF−kBデコイオリゴの新たな適用疾患として、米国において椎間板性腰痛症を適応症とする第1・2相臨床試験を準備中である。米食品医薬品局(FDA)から臨床試験開始許可取得後、米国カリフォルニア大学サンディエゴ校を治験実施施設として16年に第1・2相臨床試験を開始する予定だ。

 なお椎間板性腰痛症を含む腰痛疾患を適応症として、日本臓器製薬と13年3月に日本における独占的開発販売権許諾契約を締結したが、日本臓器製薬における開発方針の見直しを受けて14年12月に契約を解消した。当社の開発戦略も変更し、米国における第1・2相臨床試験終了後に、提携先を確保するためのライセンス活動を行う計画としている。

 椎間板性腰痛症の市場規模に関しては日本では潜在患者数が200万人以上とされ、このうち実際に医療機関で受療している受療患者数は、厚生労働省平成23年患者調査によると43万人との報告があり、その数は増加傾向にある。椎間板変性などが原因の腰痛症に対する治療法としては消炎鎮痛剤などを用いる対症療法しかなく、椎間板変性の進行抑制や修復を促す根治的な治療薬の開発が望まれている。

■NF−kBデコイオリゴ 〜自社開発 適応症:血管再狭窄予防医療機器 日本〜

 血管再狭窄予防医療機器の透析シャント用NF−kBデコイオリゴ薬剤塗布型PTAバルーンカテーテルは、NF−kBデコイオリゴをホソカワミクロンのPLGAナノ粒子に封入し、メディキットのPTAバルーンカテーテルの外表面に塗布した新規医療機器である。

 バルーン拡張によって引き起こされる血管炎症の抑制、血管の再狭窄までの期間延長、および外科的手術の回避が期待され、12年1月にメディキットと国内における共同開発および製造販売に関する契約を締結し、世界で初めての抗炎症薬塗布型PTAバルーンカテーテルを目指している。

 透析シャント静脈狭窄病変を有する患者を対象とした国内治験を14年9月から実施して、15年9月に全被験者の観察期間が終了した。今後各被験者のデータを回収し、統計解析を行って良好な結果が得られた場合には、16年半ば以降に国内の製造販売承認申請を行う見込みとしている。

 16年1月には、ホソカワミクロンおよびメディキットと3社共同で出願していた薬剤溶出型カテーテルおよび製造法に関する特許が米国で成立した。本特許と同様の特許は日本においては14年8月に成立し、欧州、中国、韓国においても出願審査中である。

 人工透析の透析シャントや動脈硬化症などの末梢血管内治療法で使用される現在のPTAバルーンカテーテルは再狭窄率が高く、医療現場においては再狭窄予防が期待できるPTAバルーンカテーテルの開発が強く望まれている。

■CIN治療ワクチン 〜導入開発 適応症:子宮頸がん前がん病変 日本〜

 各国で発売済の子宮頸がん予防ワクチンはHPV(子宮頸がんの原因ウイルス)感染予防を目的とする注射剤だが、当社のCIN(子宮頸がん前がん病変)治療ワクチンは韓国バイオリーダース社から日米英中における独占的開発販売権を取得し、子宮頸がん前がん病変の中・高度異形成(CIN2・3)領域に対する治療薬として開発を進めている。子宮頸がん前がん状態の組織を退縮させ、子宮頸がんへの移行・円錐切除手術を回避する。乳酸菌L.caseiをベースとした経口投与の治療薬である。

 子宮頸がん前がん病変を適応症として東京大学医学部附属病院において医師主導型探索的臨床研究を実施中である。これまでに実施された臨床研究の結果として、投与した全17例において薬剤に由来すると考えられる有害事象の発生は認められなかった。また至適用量を服用した被験者の70%で投与開始後9週目の時点で前がん病変の明らかな退縮が確認された。現在さらなる臨床研究が同病院において実施されており、この試験の経費については厚生労働省科学研究費補助金(医療技術実用化総合研究事業)が使用されている。

 WHOによるとHPVは全世界で感染者(キャリア)3億人と推定されている。当社のCIN治療ワクチンは治療薬の開発が求められている中・高度異形成(CIN2・3)領域1000万人を対象としている。

■高血圧DNAワクチン

 高血圧DNAワクチンの基礎技術は大阪大学の研究グループによって開発され、高血圧または心不全の治療薬として実用化を目指している。特に心不全の治療薬としては、慢性心不全の症状軽減を目的とした従来の薬剤に比べて、1回の投薬による作用の持続、すなわち安定した循環機能を維持する有用性が期待されている。

 そして15年10月、DSファーマアニマルヘルス(大阪市、大日本住友製薬の動物薬事業部門が会社分割で独立して10年7月設立)と、高血圧DNAワクチンの犬慢心性不全への応用を目指した動物用医薬品に関する共同開発契約を締結した。なお当社はヒトを対象とした開発も計画している。

■DNAワクチン抗血清製剤 〜導入開発 適応症:エボラ出血熱 日本〜

 15年1月に遺伝子治療技術を応用して、エボラ出血熱対策医薬品として抗血清製剤の開発を国内で開始すると発表した。予備的な試験を開始して今後の開発計画については詳細が確定次第公表するとしていたが、15年6月にウマにDNAワクチンを投与した試験において、ウイルスタンパク質に対する抗体価が有意に上昇したことを確認したと発表している。

 開発を計画する抗血清製剤は、感染予防効果を得るのに時間を要するワクチン療法と異なり、すでにウイルスに感染した患者の病態の悪化を抑制するもので、エボラ出血熱ウイルスのタンパク質をコードするDNAワクチンをウマに接種して得られるウイルスタンパク質に対する抗体を精製して製造する。DNAワクチン技術を用いることで、病原ウイルス自体を取り扱わないため安全かつ短期間で製造できる。

 当該抗血清製剤の開発については、DNAワクチン技術を有する米バイカル社から日本国内における独占的開発販売権を取得した。当該抗血清製剤を開発するためのDNAワクチンは米バイカル社が製造する。

 また4月26日にはDNAワクチンを用いたエボラ出血熱抗血清製剤開発に関して提携を発表した。ワクチンと感染症の研究開発では世界でも有数の施設であるカナダのサスカチュワン大学と共同で、抗血清製剤の特性、製造および品質向上の検討を進める。

■アロベクチン 〜導入開発 適応症:がん アジア〜

 がん疾患を適応症とするアロベクチンについては、導入元の米バイカル社が13年8月、転移性メラノーマ(悪性黒色腫)を対象としたアロベクチンの第3相臨床試験の結果、有意な改善効果が示されなかったため同プロジェクトの中止を発表した。

 当社はアロベクチンに関するアジア地域における独占的開発販売権を有しているため、メラノーマ以外のがん疾患への適用を検討している。

■長期ビジョン「2025年ビジョン」

 10年後の当社のあるべき姿として長期ビジョン「2025年ビジョン」を策定し、目標として遺伝子医薬のグローバルリーダー、新市場の創出、売上高500億円以上を掲げた。

 重症虚血肢を適応症とするHGF遺伝子治療薬の日本における承認申請(16年後半目標)が視野に入り、中等症以上の顔面アトピー性皮膚炎を適応症とするNF−kBデコイオリゴ軟膏の第3相臨床試験開始により、国内の成長ドライバープロジェクトが最終段階に入った。また重症虚血肢を適応症とするHGF遺伝子治療薬の国際共同第3相臨床試験開始により、最重要プロジェクトが始動した。

 重要プロジェクトが進展して、研究・開発ステージから商業化ステージに移行する。また今後の取り組みとして、国内外の提携先拡大に向けたライセンス活動を強化するとともに、必要に応じて開発資金を調達する方針だ。

 収益面で見れば当面は開発投資増加に伴って赤字が継続するが、商業化ステージの第1段階として19年12月期の営業黒字化を目指している。重症虚血肢を適応症とするHGF遺伝子治療薬の国際共同第3相臨床試験進展に伴うマイルストーン収入増加が牽引する。

 さらに25年には売上高500億円以上を目指している。重症虚血肢を適応症とするHGF遺伝子治療薬の日本・米国・欧州での販売、中等症以上の顔面アトピー性皮膚炎を適応症とするNF−kBデコイオリゴ軟膏の日本での販売が本格寄与する。営業利益は300億円以上を想定しているようだ。

■15年12月期は減収で赤字拡大

 前期(15年12月期)連結業績は売上高が前々期(14年12月期)比52.7%減の4億30百万円、営業利益が41億71百万円の赤字(前々期は22億73百万円の赤字)、経常利益が40億89百万円の赤字(同23億95百万円の赤字)、純利益が41億43百万円の赤字(同23億69百万円の赤字)だった。

 提携企業からの契約一時金収入が減少し、重症虚血肢を適応症とするHGF遺伝子治療薬の国際共同第3相臨床試験、およびアトピー性皮膚炎を適応症とするNF−kBデコイオリゴ核酸医薬の国内第3相臨床試験で、研究開発費が大幅に増加して各利益とも赤字が拡大した。

■16年12月期は研究開発費増加で赤字拡大予想

 4月25日発表した今期(16年12月期)第1四半期(1月〜3月)の連結業績は、売上高が前年同期比1.6%増の83百万円、営業利益が11億83百万円の赤字(前年同期は9億60百万円の赤字)、経常利益が12億30百万円の赤字(同8億80百万円の赤字)、純利益が12億30百万円の赤字(同8億83百万円の赤字)だった。

 重症虚血肢を適応症とするHGF遺伝子治療薬の国際共同第3相臨床試験、およびアトピー性皮膚炎を適応症とするNF−kBデコイオリゴ核酸医薬の国内第3相臨床試験にかかる研究開発費が大幅に増加して各利益とも赤字が拡大した。研究開発費は同30.4%増加の9億91百万円だった。なお営業外では前期計上の補助金収入69百万円が一巡し、為替差損益が悪化(前期は差益18百万円計上、今期は差損29百万円計上)した。また営業外費用では株式交付費が増加(前期8百万円計上、今期18百万円計上)した。特別利益では新株予約権戻入益7百万円を計上した。

 今期(16年12月期)通期の連結業績予想は前回予想(2月5日公表)を据え置いて、売上高が4億円(前期は4億30百万円、営業利益が64億円の赤字(同41億71百万円の赤字)、経常利益が64億円の赤字(同40億89百万円の赤字)、純利益が64億円の赤字(同41億43百万円の赤字)としている。

 重症虚血肢を適応症とするHGF遺伝子治療薬の国際共同第3相臨床試験、およびアトピー性皮膚炎を適応症とするNF−kBデコイオリゴ核酸医薬の国内第3相臨床試験にかかる研究開発費が大幅に増加して赤字が拡大する見込みだ。なお新規ライセンス契約締結による契約金や、開発進捗に伴うマイルストーン等の発生が一定の確度をもって見込まれた場合、あるいは開発進捗に伴って研究開発費の見込み額が変更になった場合など、業績予想の修正が必要と判断された場合は速やかに公表するとしている。

■資金調達

 15年3月に株式発行プログラム設定契約締結および第三者割当による新株式発行の実施によって約29億円の資金調達を計画したが、その後の株式下落により結果として当該プログラムに基づく差引手取額が約7億16百万円にとどまった。

 また15年9月発表した国内および海外の機関投資家を対象とする新株式発行および株式売出しについては10月に中止を発表した。アトピー性皮膚炎および椎間板性腰痛症を適応症としたNF−kBデコイオリゴ核酸医薬開発費用に充当することを目的として決議したが、多くの投資家から当社の開発プロジェクトがさらに進展した段階で投資を行いたいとの意見があり、中止を決議した。

 そして16年3月に第27回新株予約権(第三者割当)(行使価格修正条項付)の募集を発表した。三田証券を割当先として6万4367個(643万6700株)を発行(4月11日)する。当初行使価格は435円である。調達額約28億15百万円(行使価格修正などで増加または減少)はNF−kBデコイオリゴ核酸医薬の開発資金に充当する。

 なお第27回新株予約権の大量行使について、4月12日に2万個、13日に3万個、14日に6544個、18日に7823個の大量行使を発表している。この結果、全ての権利行使が完了した。

■株主優待制度は6月末と12月末に実施

 株主優待制度は毎年6月30日および12月31日現在の1単元(100株)以上保有株主に対して実施している。優待内容は、当社が指定する商品を特別価格で購入できる専用申込書(商品購入優待券)を、所有株式数に応じて贈呈する。

■株価は乱高下だが、13年5月の戻り高値目指す流れに変化なし

 株価の動きを見ると、3月の400円〜500円近辺での短期モミ合いから上放れて上げ足を速めた。4月20日には943円まで上伸する場面があった。その後は利益確定売りで一旦反落したが、目先的な過熱感が解消した。

 4月26日の終値は701円で時価総額は約396億円である。日足チャートで見るとサポートラインの25日移動平均線が接近して目先的な過熱感が解消した。乱高下する場面もあるが、13年5月の戻り高値1081円を目指す流れに変化はないだろう。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media−IR)
[3月31日更新]

アンジェスMGは重要プロジェクトの承認申請視野、新株予約権で開発資金に対する懸念後退

 アンジェスMG<4563>(東マ)はHGF遺伝子治療薬およびNF−kBデコイオリゴ核酸医薬を中心に、次世代バイオ医薬品の開発を進める創薬ベンチャーである。重要プロジェクトの承認申請が視野に入り19年の営業黒字化を目指している。3月25日には第三者割当による新株予約権の募集を発表した。NF−kBデコイオリゴ核酸医薬の開発資金を調達し、開発資金に対する懸念が後退する。株価は大底圏を脱する動きを鮮明にしている。新株予約権募集に対するネガティブ反応は限定的であり、13年5月の戻り高値を目指す展開だろう。

■大阪大学発の創薬バイオベンチャー

 遺伝子医薬のグローバルリーダーを目指す大阪大学発の創薬バイオベンチャーである。99年12月大阪大学医学部の研究成果をもとに設立(04年現社名に商号変更)し、02年9月東証マザーズに新規上場した。産学連携の創薬バイオベンチャーとして初の株式上場企業である。

 生命が長い時間をかけて獲得した遺伝子の働きを活用し、難治性疾患や治療法がない疾患に対する画期的な遺伝子医薬・バイオ医薬を開発・実用化することで、人々の健康と希望にあふれた暮らしの実現に貢献することを企業理念に掲げている。

■遺伝子医薬・バイオ医薬分野に特化して開発推進

 HGF(肝細胞増殖因子)遺伝子治療薬、NF−kBデコイオリゴ核酸医薬、高血圧DNA治療ワクチンなど、遺伝子の働きを活用した遺伝子医薬・バイオ医薬分野に特化して開発事業を推進している。

 自社開発品の販売権または開発販売権を製薬会社に供与し、契約に基づいて契約一時金収入、開発の進捗に対応したマイルストーン収入、および上市後の売上に対する一定対価のロイヤリティ収入を得る。

 また当社の事業方針と合致するプロジェクトの導入開発も行っている。導入品(商品)では、難病のムコ多糖症VI型治療薬「ナグラザイム」について、米バイオマリン社から日本国内における開発販売権を06年12月に取得し、08年4月に国内での販売を開始している。

■遺伝子治療の世界的動向は「遺伝子治療の実用化時代到来」として脚光

 遺伝子治療の歴史を見ると、90年に先天的な免疫不全症であるADA欠損症を対象として、米国において世界初の遺伝子治療が実施された。そして95年には日本で初めて、北海道大学においてADA欠損症を対象とする遺伝子治療が実施された。

 その後ウイルスベクターに由来する重篤な副作用が報告されたため、世界的に遺伝子治療実用化の動きが停滞したが、12年にLPL欠損症を対象とした蘭uniQure社のGlyberaが欧州で承認され、先進国初の遺伝子治療薬となった。そして世界の大手製薬メーカーの参入も相次ぎ、実用化時代が到来したとして遺伝子治療が再び脚光を浴びている。

■日本では「条件および期限付承認制度」が導入されて早期実用化が可能

 日本では13年5月公布「再生医療推進法」の理念のもと、14年11月施行の「医薬品医療機器等法(改正薬事法)」で、新たに再生医療等製品が定義され、遺伝子治療を含む再生医療等製品に対する早期承認制度が導入された。

 医薬品や医療機器とは別個に、人の細胞に培養等の加工を施したもの、又は遺伝子治療を目的として人の細胞に導入して使用するものを再生医療等製品として新たに定義した。そして再生医療等製品については品質が不均一であり、有効性の予測が困難な場合があるという特性を有しているため、有効性が推定されて安全性が確認されれば条件および期限付きで特別に早期に承認できる仕組みを導入した。その場合、承認後に有効性・安全性をあらためて検証する。

 これによって遺伝子治療を含む再生医療分野に関しては、日本が世界で最も早く製品承認を取得できることなり、再生医療・細胞医療の早期実用化の促進が期待されている。なお当社が開発を進めているHGF遺伝子治療薬は、承認取得すれば先進国2番目の遺伝子治療薬となる可能性がある。

■新薬開発プロジェクトの状況

 新薬開発プロジェクトは、自社開発品では、HGF遺伝子治療薬(重症虚血肢などの末梢性血管疾患分野、狭心症や心筋梗塞などの虚血性心疾患分野、およびリンパ浮腫分野)、核酸医薬NF−kBデコイオリゴを用いた治療薬(アトピー性皮膚炎などの皮膚疾患分野、椎間板性腰痛症などの腰痛疾患分野)を中心に開発を進めている。導入開発品ではCIN(子宮頸がん前がん病変)治療薬、がん治療薬、エボラ出血熱治療薬などの分野における開発を進めている。

 HGF遺伝子治療薬は重症虚血肢を適応症として、国内においては条件および期限付早期承認制度を活用し、再生医療等製品として16年後半の承認申請を目指し、海外においては国際共同第3相臨床試験を実施中である。NF−kBデコイオリゴ軟膏は中等症以上の顔面アトピー性皮膚炎を適応症として、国内において第3相臨床試験を実施中である。医療機器である透析シャント用NF−kBデコイオリゴ薬剤塗布型PTAバルーンカテーテルは、国内における全被験者の観察期間が終了して16年半ば以降の承認申請を目指している。

■HGF遺伝子治療薬

 HGF(肝細胞増殖因子)は84年に日本で発見された成長因子である。最も再生能力の高い臓器である肝臓で最初に発見されたため肝細胞増殖因子と呼ばれている。肝臓のみならず、血管、リンパ管、神経など生体のさまざまな臓器・組織の形成・再生において主要な役割を果たしていることが分かった。

 当社が実用化を目指すHGF遺伝子治療薬は、ヒトHGF遺伝子をコードしたDNAプラスミド製剤(注射剤)で、非ウイルスベクター型の遺伝子治療薬である。重症虚血肢(CLI)などの末梢性血管疾患分野、狭心症や心筋梗塞などの虚血性心疾患分野、およびリンパ浮腫分野において開発を進めている。

■HGF遺伝子治療薬 〜自社開発 適応症:重症虚血肢 日本および海外〜

 重症虚血肢を適応症とするHGF遺伝子治療薬は、HGFの血管新生作用によって重症虚血肢の虚血部位の血流を回復させる。重症虚血肢は重症の末梢性血管疾患であり、下肢切断を余儀なくされることもある重篤な病態である。

 HGF遺伝子治療薬に関しては、国内において「条件および期限付早期承認制度」による承認申請を目指している。国内第3相臨床試験を終了し、08年3月に重症虚血肢を有する閉塞性動脈硬化症およびバージャー病を適応症として承認申請したが、承認取得にはさらなる臨床データの集積が必要との結論に至ったため、10年9月に申請を取り下げた。

 その後、大阪大学医学部附属病院が主導して、先進医療B制度を活用した医師主導型臨床研究を実施中である。14年8月の先進医療会議において了承され14年10月に1例目の投与を開始した。15年6月には神戸大学医学部附属病院、佐賀大学医学部附属病院の2施設、15年9月には新潟大学医歯学総合病院、徳島大学病院、愛媛大学医学部附属病院の3施設が新たに協力医療機関として当局から認められた。この医師主導型臨床研究の結果も合わせ、条件および期限付早期承認制度を活用して、16年後半の承認申請を目指している。

 なお3月9日には、先進医療B制度を活用した医師主導型臨床研究について、徳島大学病院において被験者への投与が開始されたと発表している。また、その他の施設でも順次候補患者の選定が進められているとしている。

 海外では重症虚血肢を適応症として、国際共同第3相臨床試験を実施中である。北米、欧州、南米において約500例の重症虚血肢患者を対象に、HGF遺伝子治療薬の有効性と安全性を確認する予定で、米国において14年10月に1例目の患者を登録し、14年11月に投与を開始した。15年8月には欧州(ハンガリー)においても投与を開始した。今後欧州の他国および南米においても順次、被験者登録および投与を開始する。

 HGF遺伝子治療薬の販売権供与に関しては、第一三共と締結していた末梢性血管疾患および虚血性心疾患を対象とした米国および欧州における独占的販売契約を09年2月、日本国内における独占的販売契約を15年2月に終了した。そして新たに田辺三菱製薬と米国における末梢性血管疾患を対象とした独占的販売権許諾契約を12年10月に、日本国内における末梢性血管疾患を対象とした独占的販売権許諾契約を15年6月に締結している。

 なお重症虚血肢を適応症とするHGF遺伝子治療薬の市場規模については、米国における重症虚血肢患者数(新規、年間)が約50万人と推定され、有効な治療法が開発された場合に創出される市場規模は、アイ・エム・エスジャパンの調査によると約50億米ドルと推定されている。

■HGF遺伝子治療薬 〜自社開発 適応症:リンパ浮腫 日本〜

 HGF遺伝子治療薬の新たな薬理作用として「リンパ管の新生」が発見されたため、リンパ浮腫(リンパ管の障害によってリンパ流が停滞して発生する浮腫)に対する初めての根治療法となることが期待されている。原発性リンパ浮腫を対象として13年10月から日本で第1・2相臨床試験を実施中である。

 なお15年12月には、HGF遺伝子によるリンパ管新生促進剤を対象とした特許を世界主要地域で出願しているが、欧州における特許が成立したと発表している。本特許はHGF遺伝子によるリンパ浮腫の治療法を多面的に保護するものであり、日本ではすでに登録されている。

■NF−kBデコイオリゴ

 NF−kBは、細胞が炎症反応や免疫反応を惹起させるため活性化する主要な転写因子で、NF−kBの活性化はアトピー性皮膚炎や関節リウマチなど異常な炎症や免疫関連の疾患を引き起こし、病態を悪化させることが指摘されている。デコイオリゴは、染色体DNAの転写因子結合部位と同じDNA配列を含む二重鎖の短い核酸で、体内に投与すると転写因子が染色体DNAに結合することを阻害して遺伝子の働きを抑える。

 そしてNF−kBデコイオリゴは、核酸合成機で作成される比較的短い人工核酸によって遺伝子の働きを制御する医薬品「核酸医薬」の一種である。NF−kB結合部位のDNA配列を持つデコイオリゴで、転写因子を標的として、細胞内においてゲノムの「おとり」として特定の転写因子と結合するため、その転写因子NF−kBがゲノムに結合できず、結果としてその遺伝子の発現が抑制される。治療薬として優位性があると考えられている。

 このNF−kBデコイオリゴによる治療法は、95年に大阪大学大学院の森下竜一博士によって発明された。そしてNF−kBの活性化による過剰な免疫・炎症反応を原因とする疾患の治療薬として、転写因子NF−kBに対する特異的な阻害剤として設計し、アトピー性皮膚炎、椎間板性腰痛症、血管再狭窄予防(医療機器の薬剤塗布型PTAバルーンカテーテル)の分野を中心に開発を進めている。関節リウマチ、変形性関節症、炎症性腸疾患、喘息などへの適応も考えられている。

■NF−kBデコイオリゴ 〜自社開発 適応症:アトピー性皮膚炎 日本〜

 中等症以上の顔面アトピー性皮膚炎を適応症とするNF−kBデコイオリゴ核酸医薬(軟膏製剤)については、日本において15年3月から第3相臨床試験を実施している。

 当該第3相臨床試験は、顔面に中等症以上の皮疹を有するアトピー性皮膚炎患者約200例を対象として、有効性と安全性を確認し、国内で承認申請するためのデータを獲得する。

 そして16年1月にNF−kBデコイオリゴを用いたアトピー性皮膚炎治療薬の国内第3相臨床試験の症例登録完了を発表し、16年2月には第3相臨床試験における最後の症例の観察期間(投与後に症状の変化を観察する期間)が終了し、試験が実質的に終了したと発表した。今後は各症例のデータを回収して解析を行い、良好な結果が得られた場合には、国内で16年中に承認申請を行う予定だ。

 なおライセンス契約に関してはアルフレッサファーマとの契約を08年11月に解消し、新たに塩野義製薬と10年12月、アトピー性皮膚炎を含む皮膚疾患を適応症とするNF−kBデコイオリゴ外用剤全般について、共同開発および全世界における独占的販売権許諾に関してライセンス契約した。その後、アトピー性皮膚炎を適応症とするNF−kBデコイオリゴの開発方針の見直しを行った結果、開発については当社が主体となって行うことを14年5月に決定した。塩野義製薬との提携は継続している。

 アトピー性皮膚炎の日本国内の市場規模に関しては、厚生労働省が実施した平成25年国民生活基礎調査によると、患者数約130万人と報告されている。特に顔面のアトピー性皮膚炎に関しては、皮膚刺激性や局所副作用などの安全性の観点から医療ニーズを満たした治療薬がなく、新しい治療法の開発が切望されている疾患領域である。

■NF−kBデコイオリゴ 〜自社開発 適応症:椎間板性腰痛症 日本〜

 NF−kBデコイオリゴの新たな適用疾患として、米国において椎間板性腰痛症を適応症とする第1・2相臨床試験を準備中である。米食品医薬品局(FDA)から臨床試験開始許可取得後、米国カリフォルニア大学サンディエゴ校を治験実施施設として16年に第1・2相臨床試験を開始する予定だ。

 なお椎間板性腰痛症を含む腰痛疾患を適応症として、日本臓器製薬と13年3月に日本における独占的開発販売権許諾契約を締結したが、日本臓器製薬における開発方針の見直しを受けて14年12月に契約を解消した。当社の開発戦略も変更し、米国における第1・2相臨床試験終了後に、提携先を確保するためのライセンス活動を行う計画としている。

 椎間板性腰痛症の市場規模に関しては、日本では潜在患者数が200万人以上とされ、このうち実際に医療機関で受療している受療患者数は、厚生労働省平成23年患者調査によると43万人との報告があり、その数は増加傾向にある。椎間板変性などが原因の腰痛症に対する治療法としては消炎鎮痛剤などを用いる対症療法しかなく、椎間板変性の進行抑制や修復を促す根治的な治療薬の開発が望まれている。

■NF−kBデコイオリゴ 〜自社開発 適応症:血管再狭窄予防医療機器 日本〜

 血管再狭窄予防医療機器の透析シャント用NF−kBデコイオリゴ薬剤塗布型PTAバルーンカテーテルは、NF−kBデコイオリゴをホソカワミクロンのPLGAナノ粒子に封入し、メディキットのPTAバルーンカテーテルの外表面に塗布した新規医療機器である。

 バルーン拡張によって引き起こされる血管炎症の抑制、血管の再狭窄までの期間延長、および外科的手術の回避が期待され、12年1月にメディキットと国内における共同開発および製造販売に関する契約を締結し、世界で初めての抗炎症薬塗布型PTAバルーンカテーテルを目指している。

 透析シャント静脈狭窄病変を有する患者を対象とした国内治験を14年9月から実施して、15年9月に全被験者の観察期間が終了した。今後各被験者のデータを回収し、統計解析を行って良好な結果が得られた場合には、16年半ば以降に国内の製造販売承認申請を行う見込みとしている。

 16年1月には、ホソカワミクロンおよびメディキットと3社共同で出願していた薬剤溶出型カテーテルおよび製造法に関する特許が米国で成立したと発表している。なお本特許と同様の特許は日本においては14年8月に成立し、欧州、中国、韓国においても出願審査中である。

 人工透析の透析シャントや動脈硬化症などの末梢血管内治療法で使用される現在のPTAバルーンカテーテルは再狭窄率が高く、医療現場においては再狭窄予防が期待できるPTAバルーンカテーテルの開発が強く望まれている。

CIN治療ワクチン・他

■CIN治療ワクチン 〜導入開発 適応症:子宮頸がん前がん病変 日本〜

 各国で発売済の子宮頸がん予防ワクチンはHPV(子宮頸がんの原因ウイルス)感染予防を目的とする注射剤だが、当社のCIN(子宮頸がん前がん病変)治療ワクチンは韓国バイオリーダース社から日米英中における独占的開発販売権を取得し、子宮頸がん前がん病変の中・高度異形成(CIN2・3)領域に対する治療薬として開発を進めている。子宮頸がん前がん状態の組織を退縮させ、子宮頸がんへの移行・円錐切除手術を回避する。乳酸菌L.caseiをベースとした経口投与の治療薬である。

 子宮頸がん前がん病変を適応症として、東京大学医学部附属病院において医師主導型探索的臨床研究を実施中である。これまでに実施された臨床研究の結果として、投与した全17例において薬剤に由来すると考えられる有害事象の発生は認められなかった。また至適用量を服用した被験者の70%で、投与開始後9週目の時点で前がん病変の明らかな退縮が確認された。現在さらなる臨床研究が同病院において実施されており、この試験の経費については厚生労働省科学研究費補助金(医療技術実用化総合研究事業)が使用されている。

 WHOによるとHPVは全世界で感染者(キャリア)3億人と推定されている。当社のCIN治療ワクチンは、治療薬の開発が求められている中・高度異形成(CIN2・3)領域1000万人を対象としている。

■高血圧DNAワクチン

 高血圧DNAワクチンの基礎技術は大阪大学の研究グループによって開発された。高血圧または心不全の治療薬として実用化を目指している。特に心不全の治療薬としては、慢性心不全の症状軽減を目的とした従来の薬剤に比べて、1回の投薬による作用の持続、すなわち安定した循環機能を維持する有用性が期待されている。

 そして15年10月、DSファーマアニマルヘルス(大阪市、大日本住友製薬の動物薬事業部門が会社分割で独立して10年7月設立)と、高血圧DNAワクチンの犬慢心性不全への応用を目指した動物用医薬品に関する共同開発契約を締結した。なお当社はヒトを対象とした開発も計画している。

■DNAワクチン抗血清製剤 〜導入開発 適応症:エボラ出血熱 日本〜

 15年1月に遺伝子治療技術を応用して、エボラ出血熱対策医薬品として抗血清製剤の開発を国内で開始すると発表した。予備的な試験を開始して今後の開発計画については詳細が確定次第公表するとしていたが、15年6月にウマにDNAワクチンを投与した試験において、ウイルスタンパク質に対する抗体価が有意に上昇したことを確認したと発表している。

 開発を計画する抗血清製剤は、感染予防効果を得るのに時間を要するワクチン療法と異なり、すでにウイルスに感染した患者の病態の悪化を抑制するもので、エボラ出血熱ウイルスのタンパク質をコードするDNAワクチンをウマに接種して得られるウイルスタンパク質に対する抗体を精製して製造する。DNAワクチン技術を用いることで、病原ウイルス自体を取り扱わないため安全かつ短期間で製造できる。

 当該抗血清製剤の開発については、DNAワクチン技術を有する米バイカル社から日本国内における独占的開発販売権を取得した。当該抗血清製剤を開発するためのDNAワクチンは米バイカル社が製造する。

■アロベクチン 〜導入開発 適応症:がん アジア〜

 がん疾患を適応症とするアロベクチンについては、導入元の米バイカル社が13年8月、転移性メラノーマ(悪性黒色腫)を対象としたアロベクチンの第3相臨床試験の結果、有意な改善効果が示されなかったため、同プロジェクトの中止を発表した。

 当社はアロベクチンに関するアジア地域における独占的開発販売権を有しているため、メラノーマ以外のがん疾患への適用を検討している。

■長期ビジョン「2025年ビジョン」

 10年後の当社のあるべき姿として長期ビジョン「2025年ビジョン」を策定し、目標として遺伝子医薬のグローバルリーダー、新市場の創出、売上高500億円以上を掲げた。

 重症虚血肢を適応症とするHGF遺伝子治療薬の日本国内における承認申請(16年後半目標)が視野に入り、中等症以上の顔面アトピー性皮膚炎を適応症とするNF−kBデコイオリゴ軟膏の第3相臨床試験開始により、国内の成長ドライバープロジェクトが最終段階に入った。また重症虚血肢を適応症とするHGF遺伝子治療薬の国際共同第3相臨床試験開始により、最重要プロジェクトが始動した。

 重要プロジェクトが進展して研究・開発ステージから商業化ステージに移行する。また今後の取り組みとして、国内外の提携先拡大に向けたライセンス活動を強化するとともに、必要に応じて開発資金を調達する方針だ。

 収益面で見れば当面は開発投資増加に伴って赤字が継続するが、商業化ステージの第1段階として19年12月期の営業黒字化を目指している。重症虚血肢を適応症とするHGF遺伝子治療薬の国際共同第3相臨床試験進展に伴うマイルストーン収入増加が牽引する。

 さらに25年には売上高500億円以上を目指している。重症虚血肢を適応症とするHGF遺伝子治療薬の日本・米国・欧州での販売、中等症以上の顔面アトピー性皮膚炎を適応症とするNF−kBデコイオリゴ軟膏の日本での販売が本格寄与する。営業利益は300億円以上を想定しているようだ。

■15年12月期は減収で赤字拡大

 前期(15年12月期)連結業績は売上高が前々期(14年12月期)比52.7%減の4億30百万円、営業利益が41億71百万円の赤字(前々期は22億73百万円の赤字)、経常利益が40億89百万円の赤字(同23億95百万円の赤字)、純利益が41億43百万円の赤字(同23億69百万円の赤字)だった。

 提携企業からの契約一時金収入が減少し、重症虚血肢を適応症とするHGF遺伝子治療薬の国際共同第3相臨床試験、およびアトピー性皮膚炎を適応症とするNF−kBデコイオリゴ核酸医薬の国内第3相臨床試験で、研究開発費が大幅に増加して各利益とも赤字が拡大した。

■16年12月期は研究開発費増加で赤字拡大予想

 今期(16年12月期)連結業績予想(2月5日公表)は、売上高が4億円(前期は4億30百万円、営業利益が64億円の赤字(同41億71百万円の赤字)、経常利益が64億円の赤字(同40億89百万円の赤字)、純利益が64億円の赤字(同41億43百万円の赤字)としている。

 原薬製造完了時期変更で今期にずれ込んだ研究開発費の発生、承認申請に向けた費用の増加などで赤字が拡大する見込みだ。なお新規ライセンス契約締結による契約金や、開発進捗に伴うマイルストーン等の発生が一定の確度をもって見込まれた場合、あるいは開発進捗に伴って研究開発費の見込み額が変更になった場合など、業績予想の修正が必要と判断された場合は速やかに公表するとしている。

■資金調達

 15年3月に株式発行プログラム設定契約締結および第三者割当による新株式発行の実施によって約29億円の資金調達を計画したが、その後の株式下落により結果として当該プログラムに基づく差引手取額が約7億16百万円にとどまった。

 また15年9月に発表した国内および海外の機関投資家を対象とする新株式発行および株式売出しについては10月に中止を発表した。アトピー性皮膚炎および椎間板性腰痛症を適応症としたNF−kBデコイオリゴ核酸医薬開発費用に充当することを目的として決議したが、多くの投資家から当社の開発プロジェクトがさらに進展した段階で投資を行いたいとの意見があり、中止を決議した。

 そして3月25日に第27回新株予約権(第三者割当)(行使価格修正条項付)の募集を発表した。三田証券を割当先として6万4367個(643万6700株)を発行する。当初行使価格は435円である。調達額約28億15百万円(行使価格修正などで増加または減少)はNF−kBデコイオリゴ核酸医薬の開発資金に充当する。

■株主優待制度は6月末と12月末に実施

 株主優待制度は、毎年6月30日および12月31日現在の1単元(100株)以上保有株主に対して実施している。優待内容は、当社が指定する商品を特別価格で購入できる専用申込書(商品購入優待券)を、所有株式数に応じて贈呈する。

■株価は大底圏から脱して13年5月の戻り高値目指す

 株価の動きを見ると、200円〜250円近辺のモミ合いから上放れて大底圏を脱する動きを鮮明にしている。3月8日には538円まで上伸し、その後も戻り高値圏で堅調に推移している。新株予約権募集に対するネガティブ反応は限定的のようだ。

 3月30日の終値は470円で時価総額は約266億円である。日足チャートで見ると25日移動平均線が接近して目先的な過熱感が解消した。また週足チャートで見ると26週移動平均線が52週移動平均線を上抜いた。上昇トレンドへの転換を確認した形だ。NF−kBデコイオリゴ核酸医薬の開発資金を調達し、開発資金に対する懸念が後退する。13年5月の戻り高値1081円を目指す展開だろう。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media−IR)
[3月01日更新]

アンジェスMGはアトピー性皮膚炎治療薬第3相試験終了、重要プロジェクトの承認申請が接近

 アンジェスMG<4563>(東マ)はHGF遺伝子治療薬、NF−kBデコイオリゴ核酸医薬を中心に開発を進める創薬ベンチャーである。重要プロジェクトの承認申請が視野に入り19年の営業黒字化を目指している。2月16日にはNF−kBデコイオリゴを用いたアトピー性皮膚炎治療薬の国内第3相臨床試験終了を発表した。重要プロジェクトの承認申請が接近したようだ。株価は乱高下する場面もあるが、大勢として大底圏を脱する流れに変化はないだろう。

■大阪大学発の創薬バイオベンチャー

 遺伝子医薬のグローバルリーダーを目指す大阪大学発の創薬バイオベンチャーである。99年12月大阪大学医学部の研究成果をもとに設立(04年現社名に商号変更)し、02年9月東証マザーズに新規上場した。産学連携の創薬バイオベンチャーとして初の株式上場企業である。

 生命が長い時間をかけて獲得した遺伝子の働きを活用し、難治性疾患や治療法がない疾患に対する画期的な遺伝子医薬・バイオ医薬を開発・実用化することで、人々の健康と希望にあふれた暮らしの実現に貢献することを企業理念に掲げている。

■遺伝子医薬・バイオ医薬分野に特化して開発推進

 HGF(肝細胞増殖因子)遺伝子治療薬、NF−kBデコイオリゴ核酸医薬、高血圧DNA治療ワクチンなど、遺伝子の働きを活用した遺伝子医薬・バイオ医薬分野に特化して開発事業を推進している。

 自社開発品の販売権または開発販売権を製薬会社に供与し、契約に基づいて契約一時金収入、開発の進捗に対応したマイルストーン収入、および上市後の売上に対する一定対価のロイヤリティ収入を得る。

 また当社の事業方針と合致するプロジェクトの導入開発も行っている。導入品(商品)では、難病のムコ多糖症VI型治療薬「ナグラザイム」について、米バイオマリン社から日本国内における開発販売権を06年12月に取得し、08年4月に国内での販売を開始している。

■遺伝子治療の世界的動向は「遺伝子治療の実用化時代到来」として脚光

 遺伝子治療の歴史を見ると、90年に先天的な免疫不全症であるADA欠損症を対象として、米国において世界初の遺伝子治療が実施された。そして95年には日本で初めて、北海道大学においてADA欠損症を対象とする遺伝子治療が実施された。

 その後ウイルスベクターに由来する重篤な副作用が報告されたため、世界的に遺伝子治療実用化の動きが停滞したが、12年にLPL欠損症を対象とした蘭uniQure社のGlyberaが欧州で承認され、先進国初の遺伝子治療薬となった。そして世界の大手製薬メーカーの参入も相次ぎ、実用化時代が到来したとして遺伝子治療が再び脚光を浴びている。

■日本では「条件および期限付承認制度」が導入されて早期実用化が可能

 日本では13年5月公布「再生医療推進法」の理念のもと、14年11月施行の「医薬品医療機器等法(改正薬事法)」で、新たに再生医療等製品が定義され、遺伝子治療を含む再生医療等製品に対する早期承認制度が導入された。

 医薬品や医療機器とは別個に、人の細胞に培養等の加工を施したもの、又は遺伝子治療を目的として人の細胞に導入して使用するものを再生医療等製品として新たに定義した。そして再生医療等製品については品質が不均一であり、有効性の予測が困難な場合があるという特性を有しているため、有効性が推定されて安全性が確認されれば条件および期限付きで特別に早期に承認できる仕組みを導入した。その場合、承認後に有効性・安全性をあらためて検証する。

 これによって遺伝子治療を含む再生医療分野に関しては、日本が世界で最も早く製品承認を取得できることなり、再生医療・細胞医療の早期実用化の促進が期待されている。なお当社が開発を進めているHGF遺伝子治療薬は、承認取得すれば先進国2番目の遺伝子治療薬となる可能性がある。

■新薬開発プロジェクトの状況

 新薬開発プロジェクトは、自社開発品では、HGF遺伝子治療薬(重症虚血肢などの末梢性血管疾患分野、狭心症や心筋梗塞などの虚血性心疾患分野、およびリンパ浮腫分野)、核酸医薬NF−kBデコイオリゴを用いた治療薬(アトピー性皮膚炎などの皮膚疾患分野、椎間板性腰痛症などの腰痛疾患分野)を中心に開発を進めている。導入開発品ではCIN(子宮頸がん前がん病変)治療薬、がん治療薬、エボラ出血熱治療薬などの分野における開発を進めている。

 HGF遺伝子治療薬は重症虚血肢を適応症として、国内においては条件および期限付早期承認制度を活用し、再生医療等製品として16年後半の承認申請を目指し、海外においては国際共同第3相臨床試験を実施中である。NF−kBデコイオリゴ軟膏は中等症以上の顔面アトピー性皮膚炎を適応症として、国内において第3相臨床試験を実施中である。医療機器である透析シャント用NF−kBデコイオリゴ薬剤塗布型PTAバルーンカテーテルは、国内における全被験者の観察期間が終了して16年半ば以降の承認申請を目指している。

■HGF遺伝子治療薬

 HGF(肝細胞増殖因子)は84年に日本で発見された成長因子である。最も再生能力の高い臓器である肝臓で最初に発見されたため肝細胞増殖因子と呼ばれている。肝臓のみならず、血管、リンパ管、神経など生体のさまざまな臓器・組織の形成・再生において主要な役割を果たしていることが分かった。

 当社が実用化を目指すHGF遺伝子治療薬は、ヒトHGF遺伝子をコードしたDNAプラスミド製剤(注射剤)で、非ウイルスベクター型の遺伝子治療薬である。重症虚血肢(CLI)などの末梢性血管疾患分野、狭心症や心筋梗塞などの虚血性心疾患分野、およびリンパ浮腫分野において開発を進めている。

■HGF遺伝子治療薬 〜自社開発 適応症:重症虚血肢 日本および海外〜

 重症虚血肢を適応症とするHGF遺伝子治療薬は、HGFの血管新生作用によって重症虚血肢の虚血部位の血流を回復させる。重症虚血肢は重症の末梢性血管疾患であり、下肢切断を余儀なくされることもある重篤な病態である。

 HGF遺伝子治療薬に関しては、国内において「条件および期限付早期承認制度」による承認申請を目指している。国内第3相臨床試験を終了し、08年3月に重症虚血肢を有する閉塞性動脈硬化症およびバージャー病を適応症として承認申請したが、承認取得にはさらなる臨床データの集積が必要との結論に至ったため、10年9月に申請を取り下げた。

 その後、大阪大学医学部附属病院が主導して、先進医療B制度を活用した医師主導型臨床研究を実施中である。14年8月の先進医療会議において了承され14年10月に1例目の投与を開始した。15年6月には神戸大学医学部附属病院、佐賀大学医学部附属病院の2施設、15年9月には新潟大学医歯学総合病院、徳島大学病院、愛媛大学医学部附属病院の3施設が新たに協力医療機関として当局から認められた。この医師主導型臨床研究の結果も合わせ、条件および期限付早期承認制度を活用して、16年後半の承認申請を目指している。

 海外では重症虚血肢を適応症として、国際共同第3相臨床試験を実施中である。北米、欧州、南米において約500例の重症虚血肢患者を対象に、HGF遺伝子治療薬の有効性と安全性を確認する予定で、米国において14年10月に1例目の患者を登録し、14年11月に投与を開始した。15年8月には欧州(ハンガリー)においても投与を開始した。今後欧州の他国および南米においても順次、被験者登録および投与を開始する。

 HGF遺伝子治療薬の販売権供与に関しては、第一三共と締結していた末梢性血管疾患および虚血性心疾患を対象とした米国および欧州における独占的販売契約を09年2月、日本国内における独占的販売契約を15年2月に終了した。そして新たに田辺三菱製薬と米国における末梢性血管疾患を対象とした独占的販売権許諾契約を12年10月に、日本国内における末梢性血管疾患を対象とした独占的販売権許諾契約を15年6月に締結している。

 なお重症虚血肢を適応症とするHGF遺伝子治療薬の市場規模については、米国における重症虚血肢患者数(新規、年間)が約50万人と推定され、有効な治療法が開発された場合に創出される市場規模は、アイ・エム・エスジャパンの調査によると約50億米ドルと推定されている。

■HGF遺伝子治療薬 〜自社開発 適応症:リンパ浮腫 日本〜

 HGF遺伝子治療薬の新たな薬理作用として「リンパ管の新生」が発見されたため、リンパ浮腫(リンパ管の障害によってリンパ流が停滞して発生する浮腫)に対する初めての根治療法となることが期待されている。原発性リンパ浮腫を対象として13年10月から日本で第1・2相臨床試験を実施中である。

 なお15年12月には、HGF遺伝子によるリンパ管新生促進剤を対象とした特許を世界主要地域で出願しているが、欧州における特許が成立したと発表している。本特許はHGF遺伝子によるリンパ浮腫の治療法を多面的に保護するものであり、日本ではすでに登録されている。

■NF−kBデコイオリゴ

 NF−kBは、細胞が炎症反応や免疫反応を惹起させるため活性化する主要な転写因子で、NF−kBの活性化はアトピー性皮膚炎や関節リウマチなど異常な炎症や免疫関連の疾患を引き起こし、病態を悪化させることが指摘されている。デコイオリゴは、染色体DNAの転写因子結合部位と同じDNA配列を含む二重鎖の短い核酸で、体内に投与すると転写因子が染色体DNAに結合することを阻害して遺伝子の働きを抑える。

 そしてNF−kBデコイオリゴは、核酸合成機で作成される比較的短い人工核酸によって遺伝子の働きを制御する医薬品「核酸医薬」の一種である。NF−kB結合部位のDNA配列を持つデコイオリゴで、転写因子を標的として、細胞内においてゲノムの「おとり」として特定の転写因子と結合するため、その転写因子NF−kBがゲノムに結合できず、結果としてその遺伝子の発現が抑制される。治療薬として優位性があると考えられている。

 このNF−kBデコイオリゴによる治療法は、95年に大阪大学大学院の森下竜一博士によって発明された。そしてNF−kBの活性化による過剰な免疫・炎症反応を原因とする疾患の治療薬として、転写因子NF−kBに対する特異的な阻害剤として設計し、アトピー性皮膚炎、椎間板性腰痛症、血管再狭窄予防(医療機器の薬剤塗布型PTAバルーンカテーテル)の分野を中心に開発を進めている。関節リウマチ、変形性関節症、炎症性腸疾患、喘息などへの適応も考えられている。

■NF−kBデコイオリゴ 〜自社開発 適応症:アトピー性皮膚炎 日本〜

 中等症以上の顔面アトピー性皮膚炎を適応症とするNF−kBデコイオリゴ核酸医薬(軟膏製剤)については、日本において15年3月から第3相臨床試験を実施している。

 当該第3相臨床試験は、顔面に中等症以上の皮疹を有するアトピー性皮膚炎患者約200例を対象として、有効性と安全性を確認し、国内で承認申請するためのデータを獲得する。

 そして1月19日にはNF−kBデコイオリゴを用いたアトピー性皮膚炎治療薬の国内第3相臨床試験の症例登録完了を発表し、2月16日には第3相臨床試験における最後の症例の観察期間(投与後に症状の変化を観察する期間)が終了し、試験が実質的に終了したと発表した。今後は各症例のデータを回収して解析を行い、良好な結果が得られた場合には、国内で16年中に承認申請を行う予定だ。

 なおライセンス契約に関してはアルフレッサファーマとの契約を08年11月に解消し、新たに塩野義製薬と10年12月、アトピー性皮膚炎を含む皮膚疾患を適応症とするNF−kBデコイオリゴ外用剤全般について、共同開発および全世界における独占的販売権許諾に関してライセンス契約した。その後、アトピー性皮膚炎を適応症とするNF−kBデコイオリゴの開発方針の見直しを行った結果、開発については当社が主体となって行うことを14年5月に決定した。塩野義製薬との提携は継続している。

 アトピー性皮膚炎の日本国内の市場規模に関しては、厚生労働省が実施した平成25年国民生活基礎調査によると、患者数約130万人と報告されている。特に顔面のアトピー性皮膚炎に関しては、皮膚刺激性や局所副作用などの安全性の観点から医療ニーズを満たした治療薬がなく、新しい治療法の開発が切望されている疾患領域である。

■NF−kBデコイオリゴ 〜自社開発 適応症:椎間板性腰痛症 日本〜

 NF−kBデコイオリゴの新たな適用疾患として、米国において椎間板性腰痛症を適応症とする第1・2相臨床試験を準備中である。米食品医薬品局(FDA)から臨床試験開始許可取得後、米国カリフォルニア大学サンディエゴ校を治験実施施設として16年に第1・2相臨床試験を開始する予定だ。

 なお椎間板性腰痛症を含む腰痛疾患を適応症として、日本臓器製薬と13年3月に日本における独占的開発販売権許諾契約を締結したが、日本臓器製薬における開発方針の見直しを受けて14年12月に契約を解消した。当社の開発戦略も変更し、米国における第1・2相臨床試験終了後に、提携先を確保するためのライセンス活動を行う計画としている。

 椎間板性腰痛症の市場規模に関しては、日本では潜在患者数が200万人以上とされ、このうち実際に医療機関で受療している受療患者数は、厚生労働省平成23年患者調査によると43万人との報告があり、その数は増加傾向にある。椎間板変性などが原因の腰痛症に対する治療法としては消炎鎮痛剤などを用いる対症療法しかなく、椎間板変性の進行抑制や修復を促す根治的な治療薬の開発が望まれている。

■NF−kBデコイオリゴ 〜自社開発 適応症:血管再狭窄予防医療機器 日本〜

 血管再狭窄予防医療機器の透析シャント用NF−kBデコイオリゴ薬剤塗布型PTAバルーンカテーテルは、NF−kBデコイオリゴをホソカワミクロンのPLGAナノ粒子に封入し、メディキットのPTAバルーンカテーテルの外表面に塗布した新規医療機器である。

 バルーン拡張によって引き起こされる血管炎症の抑制、血管の再狭窄までの期間延長、および外科的手術の回避が期待され、12年1月にメディキットと国内における共同開発および製造販売に関する契約を締結し、世界で初めての抗炎症薬塗布型PTAバルーンカテーテルを目指している。

 透析シャント静脈狭窄病変を有する患者を対象とした国内治験を14年9月から実施して、15年9月に全被験者の観察期間が終了した。今後各被験者のデータを回収し、統計解析を行って良好な結果が得られた場合には、16年半ば以降に国内の製造販売承認申請を行う見込みとしている。

 1月20日には、ホソカワミクロンおよびメディキットと3社共同で出願していた薬剤溶出型カテーテルおよび製造法に関する特許が米国で成立したと発表している。なお本特許と同様の特許は、日本においては14年8月に成立しており、さらに欧州、中国、韓国においても出願審査中である。

 人工透析の透析シャントや動脈硬化症などの末梢血管内治療法で使用される現在のPTAバルーンカテーテルは再狭窄率が高く、医療現場においては再狭窄予防が期待できるPTAバルーンカテーテルの開発が強く望まれている。

■CIN治療ワクチン・他

■CIN治療ワクチン 〜導入開発 適応症:子宮頸がん前がん病変 日本〜

 各国で発売済の子宮頸がん予防ワクチンはHPV(子宮頸がんの原因ウイルス)感染予防を目的とする注射剤だが、当社のCIN(子宮頸がん前がん病変)治療ワクチンは韓国バイオリーダース社から日米英中における独占的開発販売権を取得し、子宮頸がん前がん病変の中・高度異形成(CIN2・3)領域に対する治療薬として開発を進めている。子宮頸がん前がん状態の組織を退縮させ、子宮頸がんへの移行・円錐切除手術を回避する。乳酸菌L.caseiをベースとした経口投与の治療薬である。

 子宮頸がん前がん病変を適応症として、東京大学医学部附属病院において医師主導型探索的臨床研究を実施中である。これまでに実施された臨床研究の結果として、投与した全17例において薬剤に由来すると考えられる有害事象の発生は認められなかった。また至適用量を服用した被験者の70%で、投与開始後9週目の時点で前がん病変の明らかな退縮が確認された。現在さらなる臨床研究が同病院において実施されており、この試験の経費については厚生労働省科学研究費補助金(医療技術実用化総合研究事業)が使用されている。

 WHOによるとHPVは全世界で感染者(キャリア)3億人と推定されている。当社のCIN治療ワクチンは、治療薬の開発が求められている中・高度異形成(CIN2・3)領域1000万人を対象としている。

■高血圧DNAワクチン

 高血圧DNAワクチンの基礎技術は大阪大学の研究グループによって開発された。高血圧または心不全の治療薬として実用化を目指している。特に心不全の治療薬としては、慢性心不全の症状軽減を目的とした従来の薬剤に比べて、1回の投薬による作用の持続、すなわち安定した循環機能を維持する有用性が期待されている。

 そして15年10月、DSファーマアニマルヘルス(大阪市、大日本住友製薬の動物薬事業部門が会社分割で独立して10年7月設立)と、高血圧DNAワクチンの犬慢心性不全への応用を目指した動物用医薬品に関する共同開発契約を締結した。なお当社はヒトを対象とした開発も計画している。

■DNAワクチン抗血清製剤 〜導入開発 適応症:エボラ出血熱 日本〜

 15年1月に遺伝子治療技術を応用して、エボラ出血熱対策医薬品として抗血清製剤の開発を国内で開始すると発表した。予備的な試験を開始して今後の開発計画については詳細が確定次第公表するとしていたが、15年6月にウマにDNAワクチンを投与した試験において、ウイルスタンパク質に対する抗体価が有意に上昇したことを確認したと発表している。

 開発を計画する抗血清製剤は、感染予防効果を得るのに時間を要するワクチン療法と異なり、すでにウイルスに感染した患者の病態の悪化を抑制するもので、エボラ出血熱ウイルスのタンパク質をコードするDNAワクチンをウマに接種して得られるウイルスタンパク質に対する抗体を精製して製造する。DNAワクチン技術を用いることで、病原ウイルス自体を取り扱わないため安全かつ短期間で製造できる。

 当該抗血清製剤の開発については、DNAワクチン技術を有する米バイカル社から日本国内における独占的開発販売権を取得した。当該抗血清製剤を開発するためのDNAワクチンは米バイカル社が製造する。

■アロベクチン 〜導入開発 適応症:がん アジア〜

 がん疾患を適応症とするアロベクチンについては、導入元の米バイカル社が13年8月、転移性メラノーマ(悪性黒色腫)を対象としたアロベクチンの第3相臨床試験の結果、有意な改善効果が示されなかったため、同プロジェクトの中止を発表した。

 当社はアロベクチンに関するアジア地域における独占的開発販売権を有しているため、メラノーマ以外のがん疾患への適用を検討している。

■長期ビジョン「2025年ビジョン」

 10年後の当社のあるべき姿として長期ビジョン「2025年ビジョン」を策定し、目標として遺伝子医薬のグローバルリーダー、新市場の創出、売上高500億円以上を掲げた。

 重症虚血肢を適応症とするHGF遺伝子治療薬の日本国内における承認申請(16年後半目標)が視野に入り、中等症以上の顔面アトピー性皮膚炎を適応症とするNF−kBデコイオリゴ軟膏の第3相臨床試験開始により、国内の成長ドライバープロジェクトが最終段階に入った。また重症虚血肢を適応症とするHGF遺伝子治療薬の国際共同第3相臨床試験開始により、最重要プロジェクトが始動した。

 重要プロジェクトが進展して研究・開発ステージから商業化ステージに移行する。また今後の取り組みとして、国内外の提携先拡大に向けたライセンス活動を強化するとともに、必要に応じて開発資金を調達する方針だ。

 収益面で見れば当面は開発投資増加に伴って赤字が継続するが、商業化ステージの第1段階として19年12月期の営業黒字化を目指している。重症虚血肢を適応症とするHGF遺伝子治療薬の国際共同第3相臨床試験進展に伴うマイルストーン収入増加が牽引する。

 さらに25年には売上高500億円以上を目指している。重症虚血肢を適応症とするHGF遺伝子治療薬の日本・米国・欧州での販売、中等症以上の顔面アトピー性皮膚炎を適応症とするNF−kBデコイオリゴ軟膏の日本での販売が本格寄与する。営業利益は300億円以上を想定しているようだ。

■15年12月期は減収で赤字拡大

 前期(15年12月期)連結業績(10月30日に利益を増額)は、売上高が前々期(14年12月期)比52.7%減の4億30百万円で、営業利益が41億71百万円の赤字(前々期は22億73百万円の赤字)、経常利益が40億89百万円の赤字(同23億95百万円の赤字)、純利益が41億43百万円の赤字(同23億69百万円の赤字)だった。

 前々期との比較では提携企業からの契約一時金収入が減少し、重症虚血肢を適応症とするHGF遺伝子治療薬の国際共同第3相臨床試験、およびアトピー性皮膚炎を適応症とするNF−kBデコイオリゴ核酸医薬の国内第3相臨床試験で、研究開発費が大幅に増加して各利益とも赤字が拡大した。

 売上高の内訳は、ムコ多糖症VI型治療薬「ナグラザイム」の商品売上高が同41百万円(13.5%)増加の3億50百万円、研究開発事業収益が同5億21百万円(86.7%)減少の80百万円だった。

 事業費用は売上原価が「ナグラザイム」の増収に伴い同28百万円(19.0%)増加して1億79百万円、研究開発費が同11億93百万円(51.0%)増加して35億32百万円、販管費が同1億95百万円増加して8億89百万円となった。研究開発費用は一部が16年12月期以降にずれ込んだため期初計画を下回った。

 営業外収益では、為替差損益が改善(前々期は差損8百万円計上、前期は差益21百万円計上)し、補助金収入が増加(前々期は61百万円計上、前期は72百万円計上)した。営業外費用では株式交付費が減少(前々期はライツ・オファリング実施に伴って1億37百万円計上、前期は19百万円計上)し、投資事業組合運用損が縮小(前々期は39百万円計上、前期は1百万円計上)した。特別利益では新株予約権戻入益が増加(前々期は37百万円計上、今期は57百万円計上)した。特別損失では投資有価証券評価損92百万円を計上した。

 なお四半期別に見ると、売上高は第1四半期(1月〜3月)81百万円、第2四半期(4月〜6月)1億59百万円、第3四半期(7月〜9月)80百万円、第4四半期(10月〜12月)1億10百万円、営業利益は第1四半期9億60百万円の赤字、第2四半期10億45百万円の赤字、第3四半期10億20百万円の赤字、第4四半期11億46百万円の赤字だった。

■16年12月期は研究開発費増加で赤字拡大予想

 今期(16年12月期)連結業績予想(2月5日公表)は、売上高が4億円(前期は4億30百万円、営業利益が64億円の赤字(同41億71百万円の赤字)、経常利益が64億円の赤字(同40億89百万円の赤字)、純利益が64億円の赤字(同41億43百万円の赤字)としている。

 原薬製造完了時期変更で今期にずれ込んだ研究開発費の発生、承認申請に向けた費用の増加などで赤字が拡大する見込みだ。なお新規ライセンス契約締結による契約金や、開発進捗に伴うマイルストーン等の発生が一定の確度をもって見込まれた場合、あるいは開発進捗に伴って研究開発費の見込み額が変更になった場合など、業績予想の修正が必要と判断された場合は速やかに公表するとしている。

■資金調達

 15年3月に株式発行プログラム設定契約締結および第三者割当による新株式発行の実施によって約29億円の資金調達を計画したが、その後の株式下落により結果として当該プログラムに基づく差引手取額が約7億16百万円にとどまった。

 また15年9月に発表した国内および海外の機関投資家を対象とする新株式発行および株式売出しについては10月に中止を発表した。アトピー性皮膚炎および椎間板性腰痛症を適応症としたNF−kBデコイオリゴ核酸医薬開発費用に充当することを目的として決議したが、多くの投資家から当社の開発プロジェクトがさらに進展した段階で投資を行いたいとの意見があり、中止を決議した。

 開発を前進させることは当社の企業価値向上に不可欠であり、今後、時期・方法を含めて適切な資金調達策を講じるとしている。

■株主優待制度は6月末と12月末に実施

 株主優待制度は、毎年6月30日および12月31日現在の1単元(100株)以上保有株主に対して実施している。優待内容は、当社が指定する商品を特別価格で購入できる専用申込書(商品購入優待券)を、所有株式数に応じて贈呈する。

■株価は大底圏から脱する流れに変化なし

 株価の動きを見ると、2月上旬に動意づき、1月29日終値212円から2月3日の452円まで急伸した。その後利益確定売りで230円台まで一旦反落したが、その後は300円台に戻している。

 2月26日の終値は310円で時価総額は約175億円である。日足チャートで見ると25日移動平均線、週足チャートで見ると13週移動平均線がサポートラインとなって水準を切り上げている。乱高下する場面もあるが、大勢として大底圏を脱する流れに変化はないだろう。
[01月25日更新]

アンジェスMGは重要プロジェクトの承認申請が視野に入り19年営業黒字化目指す

 アンジェスMG<4563>(東マ)はHGF遺伝子治療薬、NF−kBデコイオリゴ核酸医薬を中心に開発を進める創薬ベンチャーである。重要プロジェクトの承認申請が視野に入り19年の営業黒字化を目指している。1月19日にはNF−kBデコイオリゴを用いたアトピー性皮膚炎治療薬の国内第3相臨床試験の症例登録完了、1月20日には薬剤溶出型カテーテルおよび製造法に関する特許の成立(米国)を発表した。株価は大底圏を脱する流れに変化はないだろう。なお2月5日に15年12月期の決算発表を予定している。

■大阪大学発の創薬バイオベンチャー

 遺伝子医薬のグローバルリーダーを目指す大阪大学発の創薬バイオベンチャーである。99年12月大阪大学医学部の研究成果をもとに設立(04年現社名に商号変更)し、02年9月東証マザーズに新規上場した。産学連携の創薬バイオベンチャーとして初の株式上場企業である。

 生命が長い時間をかけて獲得した遺伝子の働きを活用し、難治性疾患や治療法がない疾患に対する画期的な遺伝子医薬・バイオ医薬を開発・実用化することで、人々の健康と希望にあふれた暮らしの実現に貢献することを企業理念に掲げている。

■遺伝子医薬・バイオ医薬分野に特化して開発推進

 HGF(肝細胞増殖因子)遺伝子治療薬、NF−kBデコイオリゴ核酸医薬、高血圧DNA治療ワクチンなど、遺伝子の働きを活用した遺伝子医薬・バイオ医薬分野に特化して開発事業を推進している。

 自社開発品の販売権または開発販売権を製薬会社に供与し、契約に基づいて契約一時金収入、開発の進捗に対応したマイルストーン収入、および上市後の売上に対する一定対価のロイヤリティ収入を得る。

 また当社の事業方針と合致するプロジェクトの導入開発も行っている。導入品(商品)では、難病のムコ多糖症VI型治療薬「ナグラザイム」について、米バイオマリン社から日本国内における開発販売権を06年12月に取得し、08年4月に国内での販売を開始している。

■遺伝子治療の世界的動向は「遺伝子治療の実用化時代到来」として脚光

 遺伝子治療の歴史を見ると、90年に先天的な免疫不全症であるADA欠損症を対象として、米国において世界初の遺伝子治療が実施された。そして95年には日本で初めて、北海道大学においてADA欠損症を対象とする遺伝子治療が実施された。

 その後ウイルスベクターに由来する重篤な副作用が報告されたため、世界的に遺伝子治療実用化の動きが停滞したが、12年にLPL欠損症を対象とした蘭uniQure社のGlyberaが欧州で承認され、先進国初の遺伝子治療薬となった。そして世界の大手製薬メーカーの参入も相次ぎ、実用化時代が到来したとして遺伝子治療が再び脚光を浴びている。

■日本では「条件および期限付承認制度」が導入されて早期実用化が可能

 日本では13年5月公布「再生医療推進法」の理念のもと、14年11月施行の「医薬品医療機器等法(改正薬事法)」で、新たに再生医療等製品が定義され、遺伝子治療を含む再生医療等製品に対する早期承認制度が導入された。

 医薬品や医療機器とは別個に、人の細胞に培養等の加工を施したもの、又は遺伝子治療を目的として人の細胞に導入して使用するものを再生医療等製品として新たに定義した。そして再生医療等製品については品質が不均一であり、有効性の予測が困難な場合があるという特性を有しているため、有効性が推定されて安全性が確認されれば条件および期限付きで特別に早期に承認できる仕組みを導入した。その場合、承認後に有効性・安全性をあらためて検証する。

 これによって遺伝子治療を含む再生医療分野に関しては、日本が世界で最も早く製品承認を取得できることなり、再生医療・細胞医療の早期実用化の促進が期待されている。なお当社が開発を進めているHGF遺伝子治療薬は、承認取得すれば先進国2番目の遺伝子治療薬となる可能性がある。

■新薬開発プロジェクトの状況

 新薬開発プロジェクトは、自社開発品では、HGF遺伝子治療薬(重症虚血肢などの末梢性血管疾患分野、狭心症や心筋梗塞などの虚血性心疾患分野、およびリンパ浮腫分野)、核酸医薬NF−kBデコイオリゴを用いた治療薬(アトピー性皮膚炎などの皮膚疾患分野、椎間板性腰痛症などの腰痛疾患分野)を中心に開発を進めている。導入開発品ではCIN(子宮頸がん前がん病変)治療薬、がん治療薬、エボラ出血熱治療薬などの分野における開発を進めている。

 HGF遺伝子治療薬は重症虚血肢を適応症として、国内においては条件および期限付早期承認制度を活用し、再生医療等製品として16年後半の承認申請を目指し、海外においては国際共同第3相臨床試験を実施中である。NF−kBデコイオリゴ軟膏は中等症以上の顔面アトピー性皮膚炎を適応症として、国内において第3相臨床試験を実施中である。医療機器である透析シャント用NF−kBデコイオリゴ薬剤塗布型PTAバルーンカテーテルは、国内における全被験者の観察期間が終了して16年半ば以降の承認申請を目指している。

■HGF遺伝子治療薬

 HGF(肝細胞増殖因子)は84年に日本で発見された成長因子である。最も再生能力の高い臓器である肝臓で最初に発見されたため肝細胞増殖因子と呼ばれている。肝臓のみならず、血管、リンパ管、神経など生体のさまざまな臓器・組織の形成・再生において主要な役割を果たしていることが分かった。

 当社が実用化を目指すHGF遺伝子治療薬は、ヒトHGF遺伝子をコードしたDNAプラスミド製剤(注射剤)で、非ウイルスベクター型の遺伝子治療薬である。重症虚血肢(CLI)などの末梢性血管疾患分野、狭心症や心筋梗塞などの虚血性心疾患分野、およびリンパ浮腫分野において開発を進めている。

■HGF遺伝子治療薬 〜自社開発 適応症:重症虚血肢 日本および海外〜

 重症虚血肢を適応症とするHGF遺伝子治療薬は、HGFの血管新生作用によって重症虚血肢の虚血部位の血流を回復させる。重症虚血肢は重症の末梢性血管疾患であり、下肢切断を余儀なくされることもある重篤な病態である。

 HGF遺伝子治療薬に関しては、国内において「条件および期限付早期承認制度」による承認申請を目指している。国内第3相臨床試験を終了し、08年3月に重症虚血肢を有する閉塞性動脈硬化症およびバージャー病を適応症として承認申請したが、承認取得にはさらなる臨床データの集積が必要との結論に至ったため、10年9月に申請を取り下げた。

 その後、大阪大学医学部附属病院が主導して、先進医療B制度を活用した医師主導型臨床研究を実施中である。14年8月の先進医療会議において了承され14年10月に1例目の投与を開始した。15年6月には神戸大学医学部附属病院、佐賀大学医学部附属病院の2施設、15年9月には新潟大学医歯学総合病院、徳島大学病院、愛媛大学医学部附属病院の3施設が新たに協力医療機関として当局から認められた。この医師主導型臨床研究の結果も合わせ、条件および期限付早期承認制度を活用して、16年後半の承認申請を目指している。

 海外では重症虚血肢を適応症として、国際共同第3相臨床試験を実施中である。北米、欧州、南米において約500例の重症虚血肢患者を対象に、HGF遺伝子治療薬の有効性と安全性を確認する予定で、米国において14年10月に1例目の患者を登録し、14年11月に投与を開始した。15年8月には欧州(ハンガリー)においても投与を開始した。今後欧州の他国および南米においても順次、被験者登録および投与を開始する。

 HGF遺伝子治療薬の販売権供与に関しては、第一三共と締結していた末梢性血管疾患および虚血性心疾患を対象とした米国および欧州における独占的販売契約を09年2月、日本国内における独占的販売契約を15年2月に終了した。そして新たに田辺三菱製薬と米国における末梢性血管疾患を対象とした独占的販売権許諾契約を12年10月に、日本国内における末梢性血管疾患を対象とした独占的販売権許諾契約を15年6月に締結している。

 なお重症虚血肢を適応症とするHGF遺伝子治療薬の市場規模については、米国における重症虚血肢患者数(新規、年間)が約50万人と推定され、有効な治療法が開発された場合に創出される市場規模は、アイ・エム・エスジャパンの調査によると約50億米ドルと推定されている。

■HGF遺伝子治療薬 〜自社開発 適応症:リンパ浮腫 日本〜

 HGF遺伝子治療薬の新たな薬理作用として「リンパ管の新生」が発見されたため、リンパ浮腫(リンパ管の障害によってリンパ流が停滞して発生する浮腫)に対する初めての根治療法となることが期待されている。原発性リンパ浮腫を対象として13年10月から日本で第1・2相臨床試験を実施中である。

 なお15年12月には、HGF遺伝子によるリンパ管新生促進剤を対象とした特許を世界主要地域で出願しているが、欧州における特許が成立したと発表している。本特許はHGF遺伝子によるリンパ浮腫の治療法を多面的に保護するものであり、日本ではすでに登録されている。

■NF−kBデコイオリゴ

 NF−kBは、細胞が炎症反応や免疫反応を惹起させるため活性化する主要な転写因子で、NF−kBの活性化はアトピー性皮膚炎や関節リウマチなど異常な炎症や免疫関連の疾患を引き起こし、病態を悪化させることが指摘されている。デコイオリゴは、染色体DNAの転写因子結合部位と同じDNA配列を含む二重鎖の短い核酸で、体内に投与すると転写因子が染色体DNAに結合することを阻害して遺伝子の働きを抑える。

 そしてNF−kBデコイオリゴは、核酸合成機で作成される比較的短い人工核酸によって遺伝子の働きを制御する医薬品「核酸医薬」の一種である。NF−kB結合部位のDNA配列を持つデコイオリゴで、転写因子を標的として、細胞内においてゲノムの「おとり」として特定の転写因子と結合するため、その転写因子NF−kBがゲノムに結合できず、結果としてその遺伝子の発現が抑制される。治療薬として優位性があると考えられている。

 このNF−kBデコイオリゴによる治療法は、95年に大阪大学大学院の森下竜一博士によって発明された。そしてNF−kBの活性化による過剰な免疫・炎症反応を原因とする疾患の治療薬として、転写因子NF−kBに対する特異的な阻害剤として設計し、アトピー性皮膚炎、椎間板性腰痛症、血管再狭窄予防(医療機器の薬剤塗布型PTAバルーンカテーテル)の分野を中心に開発を進めている。関節リウマチ、変形性関節症、炎症性腸疾患、喘息などへの適応も考えられている。

■NF−kBデコイオリゴ 〜自社開発 適応症:アトピー性皮膚炎 日本〜

 中等症以上の顔面アトピー性皮膚炎を適応症とするNF−kBデコイオリゴ核酸医薬(軟膏製剤)については、日本において第3相臨床試験を実施中である。15年3月に1例目の被験者への投与を開始した。

 当該第3相臨床試験は、顔面に中等症以上の皮疹を有するアトピー性皮膚炎患者約200例を対象として、有効性と安全性を確認し、国内で承認申請するためのデータを獲得する。最初の被験者の投与開始から最後の被験者の観察期間終了までの期間は1年強を予定し、良好な結果が得られた場合には国内で承認申請を行う。

 そして1月19日には、NF−kBデコイオリゴを用いたアトピー性皮膚炎治療薬の国内第3相臨床試験の症例登録完了を発表した。15年3月から被験者への投与を実施し、最後の被験者への投与が開始された。観察期間終了後にデータ解析を行い、良好な結果が得られた場合、国内で承認申請を行う予定だ。

 なおライセンス契約に関してはアルフレッサファーマとの契約を08年11月に解消し、新たに塩野義製薬と10年12月、アトピー性皮膚炎を含む皮膚疾患を適応症とするNF−kBデコイオリゴ外用剤全般について、共同開発および全世界における独占的販売権許諾に関してライセンス契約した。その後、アトピー性皮膚炎を適応症とするNF−kBデコイオリゴの開発方針の見直しを行った結果、開発については当社が主体となって行うことを14年5月に決定した。塩野義製薬との提携は継続している。

 アトピー性皮膚炎の日本国内の市場規模に関しては、厚生労働省が実施した平成25年国民生活基礎調査によると、患者数約130万人と報告されている。特に顔面のアトピー性皮膚炎に関しては、皮膚刺激性や局所副作用などの安全性の観点から医療ニーズを満たした治療薬がなく、新しい治療法の開発が切望されている疾患領域である。

■NF−kBデコイオリゴ 〜自社開発 適応症:椎間板性腰痛症 日本〜

 NF−kBデコイオリゴの新たな適用疾患として、米国において椎間板性腰痛症を適応症とする第1・2相臨床試験を準備中である。米食品医薬品局(FDA)から臨床試験開始許可取得後、米国カリフォルニア大学サンディエゴ校を治験実施施設として16年に第1・2相臨床試験を開始する予定だ。

 なお椎間板性腰痛症を含む腰痛疾患を適応症として、日本臓器製薬と13年3月に日本における独占的開発販売権許諾契約を締結したが、日本臓器製薬における開発方針の見直しを受けて14年12月に契約を解消した。当社の開発戦略も変更し、米国における第1・2相臨床試験終了後に、提携先を確保するためのライセンス活動を行う計画としている。

 椎間板性腰痛症の市場規模に関しては、日本では潜在患者数が200万人以上とされ、このうち実際に医療機関で受療している受療患者数は、厚生労働省平成23年患者調査によると43万人との報告があり、その数は増加傾向にある。椎間板変性などが原因の腰痛症に対する治療法としては消炎鎮痛剤などを用いる対症療法しかなく、椎間板変性の進行抑制や修復を促す根治的な治療薬の開発が望まれている。

■NF−kBデコイオリゴ 〜自社開発 適応症:血管再狭窄予防医療機器 日本〜

 血管再狭窄予防医療機器の透析シャント用NF−kBデコイオリゴ薬剤塗布型PTAバルーンカテーテルは、NF−kBデコイオリゴをホソカワミクロンのPLGAナノ粒子に封入し、メディキットのPTAバルーンカテーテルの外表面に塗布した新規医療機器である。

 バルーン拡張によって引き起こされる血管炎症の抑制、血管の再狭窄までの期間延長、および外科的手術の回避が期待され、12年1月にメディキットと国内における共同開発および製造販売に関する契約を締結し、世界で初めての抗炎症薬塗布型PTAバルーンカテーテルを目指している。

 透析シャント静脈狭窄病変を有する患者を対象とした国内治験を14年9月から実施して、15年9月に全被験者の観察期間が終了した。今後各被験者のデータを回収し、統計解析を行って良好な結果が得られた場合には、16年半ば以降に国内の製造販売承認申請を行う見込みとしている。

 1月20日には、ホソカワミクロンおよびメディキットと3社共同で出願していた薬剤溶出型カテーテルおよび製造法に関する特許が米国で成立したと発表している。なお本特許と同様の特許は、日本においては14年8月に成立しており、さらに欧州、中国、韓国においても出願審査中である。

 人工透析の透析シャントや動脈硬化症などの末梢血管内治療法で使用される現在のPTAバルーンカテーテルは再狭窄率が高く、医療現場においては再狭窄予防が期待できるPTAバルーンカテーテルの開発が強く望まれている。

■CIN治療ワクチン 〜導入開発 適応症:子宮頸がん前がん病変 日本〜

 各国で発売済の子宮頸がん予防ワクチンはHPV(子宮頸がんの原因ウイルス)感染予防を目的とする注射剤だが、当社のCIN(子宮頸がん前がん病変)治療ワクチンは韓国バイオリーダース社から日米英中における独占的開発販売権を取得し、子宮頸がん前がん病変の中・高度異形成(CIN2・3)領域に対する治療薬として開発を進めている。子宮頸がん前がん状態の組織を退縮させ、子宮頸がんへの移行・円錐切除手術を回避する。乳酸菌L.caseiをベースとした経口投与の治療薬である。

 子宮頸がん前がん病変を適応症として、東京大学医学部附属病院において医師主導型探索的臨床研究を実施中である。これまでに実施された臨床研究の結果として、投与した全17例において薬剤に由来すると考えられる有害事象の発生は認められなかった。また至適用量を服用した被験者の70%で、投与開始後9週目の時点で前がん病変の明らかな退縮が確認された。現在さらなる臨床研究が同病院において実施されており、この試験の経費については厚生労働省科学研究費補助金(医療技術実用化総合研究事業)が使用されている。

 WHOによるとHPVは全世界で感染者(キャリア)3億人と推定されている。当社のCIN治療ワクチンは、治療薬の開発が求められている中・高度異形成(CIN2・3)領域1000万人を対象としている。

■高血圧DNAワクチン

 高血圧DNAワクチンの基礎技術は大阪大学の研究グループによって開発された。高血圧または心不全の治療薬として実用化を目指している。特に心不全の治療薬としては、慢性心不全の症状軽減を目的とした従来の薬剤に比べて、1回の投薬による作用の持続、すなわち安定した循環機能を維持する有用性が期待されている。

 そして15年10月、DSファーマアニマルヘルス(大阪市、大日本住友製薬の動物薬事業部門が会社分割で独立して10年7月設立)と、高血圧DNAワクチンの犬慢心性不全への応用を目指した動物用医薬品に関する共同開発契約を締結した。なお当社はヒトを対象とした開発も計画している。

■DNAワクチン抗血清製剤 〜導入開発 適応症:エボラ出血熱 日本〜

 15年1月に遺伝子治療技術を応用して、エボラ出血熱対策医薬品として抗血清製剤の開発を国内で開始すると発表した。予備的な試験を開始して今後の開発計画については詳細が確定次第公表するとしていたが、15年6月にウマにDNAワクチンを投与した試験において、ウイルスタンパク質に対する抗体価が有意に上昇したことを確認したと発表している。

 開発を計画する抗血清製剤は、感染予防効果を得るのに時間を要するワクチン療法と異なり、すでにウイルスに感染した患者の病態の悪化を抑制するもので、エボラ出血熱ウイルスのタンパク質をコードするDNAワクチンをウマに接種して得られるウイルスタンパク質に対する抗体を精製して製造する。DNAワクチン技術を用いることで、病原ウイルス自体を取り扱わないため安全かつ短期間で製造できる。

 当該抗血清製剤の開発については、DNAワクチン技術を有する米バイカル社から日本国内における独占的開発販売権を取得した。当該抗血清製剤を開発するためのDNAワクチンは米バイカル社が製造する。

■アロベクチン 〜導入開発 適応症:がん アジア〜

 がん疾患を適応症とするアロベクチンについては、導入元の米バイカル社が13年8月、転移性メラノーマ(悪性黒色腫)を対象としたアロベクチンの第3相臨床試験の結果、有意な改善効果が示されなかったため、同プロジェクトの中止を発表した。

 当社はアロベクチンに関するアジア地域における独占的開発販売権を有しているため、メラノーマ以外のがん疾患への適用を検討している。

■長期ビジョン「2025年ビジョン」

 10年後の当社のあるべき姿として長期ビジョン「2025年ビジョン」を策定し、目標として遺伝子医薬のグローバルリーダー、新市場の創出、売上高500億円以上を掲げた。

 重症虚血肢を適応症とするHGF遺伝子治療薬の日本国内における承認申請(16年後半目標)が視野に入り、中等症以上の顔面アトピー性皮膚炎を適応症とするNF−kBデコイオリゴ軟膏の第3相臨床試験開始により、国内の成長ドライバープロジェクトが最終段階に入った。また重症虚血肢を適応症とするHGF遺伝子治療薬の国際共同第3相臨床試験開始により、最重要プロジェクトが始動した。

 重要プロジェクトが進展して研究・開発ステージから商業化ステージに移行する。また今後の取り組みとして、国内外の提携先拡大に向けたライセンス活動を強化するとともに、必要に応じて開発資金を調達する方針だ。

 収益面で見れば当面は開発投資増加に伴って赤字が継続するが、商業化ステージの第1段階として19年12月期の営業黒字化を目指している。重症虚血肢を適応症とするHGF遺伝子治療薬の国際共同第3相臨床試験進展に伴うマイルストーン収入増加が牽引する。

 さらに25年には売上高500億円以上を目指している。重症虚血肢を適応症とするHGF遺伝子治療薬の日本・米国・欧州での販売、中等症以上の顔面アトピー性皮膚炎を適応症とするNF−kBデコイオリゴ軟膏の日本での販売が本格寄与する。営業利益は300億円以上を想定しているようだ。

■15年12月期利益予想を増額修正、期初計画に対して赤字幅縮小

 今期(15年12月期)連結業績予想(10月30日に利益を増額)は、売上高が4億50百万円(前期9億09百万円)、営業利益が43億円の赤字(同22億73百万円の赤字)、経常利益が42億50百万円の赤字(同23億95百万円の赤字)、純利益が43億円の赤字(同23億69百万円の赤字)としている。期初計画に対しては赤字幅が縮小する見込みだ。

 前期との比較では契約一時金収入が減少し、重症虚血肢を適応症とするHGF遺伝子治療薬の国際共同第3相臨床試験、およびアトピー性皮膚炎を適応症とするNF−kBデコイオリゴ核酸医薬の国内第3相臨床試験で、研究開発費が大幅に増加して各利益とも赤字が拡大する。ただし、臨床試験および非臨床試験に使用するHGF遺伝子治療薬およびNF−kBデコイオリゴ核酸医薬の原薬製造の完了時期が来期(16年12月期)に変更になり、またCROなど外部委託機関への支払の一部に来期以降への変更が生じたため、研究開発費用が期初計画に比べて減少する見込みだ。

 第3四半期累計(1月〜9月)の連結業績は、売上高が前年同期比13.6%増の3億20百万円、営業利益が30億25百万円の赤字(前年同期は20億48百万円の赤字)、経常利益が29億54百万円の赤字(同21億21百万円の赤字)、純利益が30億07百万円の赤字(同20億90百万円の赤字)だった。

 売上高の内訳は、ムコ多糖症VI型治療薬「ナグラザイム」の商品売上高が同28百万円(12.9%)増加の2億50百万円、田辺三菱製薬からの契約一時金など研究開発事業収益が同9百万円(15.9%)増加の69百万円だった。

 売上原価は「ナグラザイム」の増収に伴い同19百万円(17.8%)増加して1億27百万円となった。研究開発費は同8億74百万円(51.2%)増加して25億84百万円となった。HGF遺伝子治療薬の国際共同第3相臨床試験、NF−kBデコイオリゴ核酸医薬の第3相臨床試験に係る費用で外注費が8億35百万円増加した。また人員増強で給料および手当が1億19百万円増加した。販管費は寄付講座への支出増加、支払手数料の増加、人員増強による給料および手当の増加などで、同1億21百万円(23.6%)増加して6億33百万円となった。

 営業外収益では、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の「平成25年度イノベーション実用化ベンチャー支援事業」に採択された「HGFプラスミドを用いたリンパ浮腫治療薬の臨床開発」に対する助成金69百万円を計上した。為替差損益は前年同期の為替差損13百万円計上に対して、今期は為替差益11百万円を計上した。営業外費用では、前年同期にライツ・オファリング実施に伴う株式交付費1億18百万を円計上したが、今期は19百万円に減少した。またストックオプション権利保有者の失権(退職)に伴い、第3四半期の特別利益に新株予約権戻入益49百万円を計上した。

 なお四半期別に見ると、売上高は第1四半期(1月〜3月)81百万円、第2四半期(4月〜6月)1億59百万円、第3四半期(7月〜9月)80百万円、営業利益は第1四半期9億60百万円の赤字、第2四半期10億45百万円の赤字、第3四半期10億20百万円の赤字だった。

■資金調達

 15年3月に株式発行プログラム設定契約締結および第三者割当による新株式発行の実施によって約29億円の資金調達を計画したが、その後の株式下落により結果として当該プログラムに基づく差引手取額が約7億16百万円にとどまった。

 また15年9月に発表した国内および海外の機関投資家を対象とする新株式発行および株式売出しについては10月に中止を発表した。アトピー性皮膚炎および椎間板性腰痛症を適応症としたNF−kBデコイオリゴ核酸医薬開発費用に充当することを目的として決議したが、多くの投資家から当社の開発プロジェクトがさらに進展した段階で投資を行いたいとの意見があり、今回の募集期間中に当社の成長性を理解されるに至らないと判断して中止を決議した。

 ただし16年3月期第3四半期末時点で現預金は33億78百万円あり、当面の研究開発に対する支障はないとしている。

■株価は大底圏から脱する流れに変化なし

 株価の動きを見ると、12月8日の戻り高値269円から反落し、その後の地合い悪化の影響で戻り一服の形だが、15年8月の上場来安値186円まで下押すことなく200円台を維持している。

 1月22日の終値は224円で時価総額は約127億円である。週足チャートで見ると上向きに転じた13週移動平均線が下値を支える形だ。そして13週移動平均線が26週移動平均線を上抜くゴールデンクロスが接近している。大底圏を脱する流れに変化はなく水準切り上げの展開だろう。

(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media−IR)
[12月25日更新]

アンジェスMGは研究・開発ステージから商業化ステージに移行して19年営業黒字化目指す

 アンジェスMG<4563>(東マ)はHGF遺伝子治療薬、NF−kBデコイオリゴ核酸医薬を中心に開発を進める大阪大学発創薬ベンチャーである。12月7日にはHGF遺伝子によるリンパ管新生促進剤を対象とした特許が欧州で成立したと発表している。重要プロジェクトの承認申請が視野に入り、研究・開発ステージから商業化ステージに移行して19年の営業黒字化を目指している。大底圏を脱する流れに変化はないだろう。

■大阪大学発の創薬バイオベンチャー

 遺伝子医薬のグローバルリーダーを目指す大阪大学発創薬バイオベンチャーである。99年12月大阪大学医学部の研究成果をもとに設立(04年現社名に商号変更)し、02年9月東証マザーズに新規上場した。産学連携の創薬バイオベンチャーとして初の株式上場企業である。

 生命が長い時間をかけて獲得した遺伝子の働きを活用し、難治性疾患や治療法がない疾患に対する画期的な遺伝子医薬・バイオ医薬を開発・実用化することで、人々の健康と希望にあふれた暮らしの実現に貢献することを企業理念に掲げている。

■遺伝子医薬・バイオ医薬分野に特化して開発推進

 HGF(肝細胞増殖因子)遺伝子治療薬、NF−kBデコイオリゴ核酸医薬、高血圧DNA治療ワクチンなど、遺伝子の働きを活用した遺伝子医薬・バイオ医薬分野に特化して開発事業を推進している。

 自社開発品の販売権または開発販売権を製薬会社に供与して、契約に基づいて契約一時金収入、開発の進捗に対応したマイルストーン収入、および上市後の売上に対する一定対価のロイヤリティ収入を得る。

 また当社の事業方針と合致するプロジェクトの導入開発も行っている。導入品(商品)では、難病のムコ多糖症VI型治療薬「ナグラザイム」について、米バイオマリン社から日本国内における開発販売権を06年12月に取得し、08年4月に国内での販売を開始している。

■遺伝子治療の世界的動向は「遺伝子治療の実用化時代到来」として脚光

 遺伝子治療の歴史を見ると、90年に先天的な免疫不全症であるADA欠損症を対象として、米国において世界初の遺伝子治療が実施された。そして95年には日本で初めて、北海道大学においてADA欠損症を対象とする遺伝子治療が実施された。

 その後ウイルスベクターに由来する重篤な副作用が報告されたため、世界的に遺伝子治療実用化の動きが停滞したが、12年にLPL欠損症を対象とした蘭uniQure社のGlyberaが欧州で承認され、先進国初の遺伝子治療薬となった。そして世界の大手製薬メーカーの参入も相次ぎ、実用化時代が到来したとして遺伝子治療が再び脚光を浴びている。

■日本では「条件および期限付承認制度」が導入されて早期実用化が可能

 日本では13年5月公布「再生医療推進法」の理念のもと、14年11月施行の「医薬品医療機器等法(改正薬事法)」で、新たに再生医療等製品が定義され、遺伝子治療を含む再生医療等製品に対する早期承認制度が導入された。

 医薬品や医療機器とは別個に、人の細胞に培養等の加工を施したもの、又は遺伝子治療を目的として人の細胞に導入して使用するものを再生医療等製品として新たに定義した。そして再生医療等製品については品質が不均一であり、有効性の予測が困難な場合があるという特性を有しているため、有効性が推定されて安全性が確認されれば条件および期限付きで特別に早期に承認できる仕組みを導入した。その場合、承認後に有効性・安全性をあらためて検証する。

 これによって遺伝子治療を含む再生医療分野に関しては、日本が世界で最も早く製品承認を取得できることなり、再生医療・細胞医療の早期実用化の促進が期待されている。なお当社が開発を進めているHGF遺伝子治療薬は、承認取得すれば先進国2番目の遺伝子治療薬となる可能性がある。

■新薬開発プロジェクトの状況

 新薬開発プロジェクトは、自社開発品では、HGF遺伝子治療薬(重症虚血肢などの末梢性血管疾患分野、狭心症や心筋梗塞などの虚血性心疾患分野、およびリンパ浮腫分野)、核酸医薬NF−kBデコイオリゴを用いた治療薬(アトピー性皮膚炎などの皮膚疾患分野、椎間板性腰痛症などの腰痛疾患分野)を中心に開発を進めている。導入開発品ではCIN(子宮頸がん前がん病変)治療薬、がん治療薬、エボラ出血熱治療薬などの分野における開発を進めている。

 HGF遺伝子治療薬は重症虚血肢を適応症として、国内においては条件および期限付早期承認制度を活用し、再生医療等製品として16年後半の承認申請を目指し、海外においては国際共同第3相臨床試験を実施中である。NF−kBデコイオリゴ軟膏は中等症以上の顔面アトピー性皮膚炎を適応症として、国内において第3相臨床試験を実施中である。医療機器である透析シャント用NF−kBデコイオリゴ薬剤塗布型PTAバルーンカテーテルは、国内における全被験者の観察期間が終了して16年半ば以降の承認申請を目指している。

■HGF遺伝子治療薬

 HGF(肝細胞増殖因子)は84年に日本で発見された成長因子である。最も再生能力の高い臓器である肝臓で最初に発見されたため肝細胞増殖因子と呼ばれている。肝臓のみならず、血管、リンパ管、神経など生体のさまざまな臓器・組織の形成・再生において主要な役割を果たしていることが分かった。

 当社が実用化を目指すHGF遺伝子治療薬は、ヒトHGF遺伝子をコードしたDNAプラスミド製剤(注射剤)で、非ウイルスベクター型の遺伝子治療薬である。重症虚血肢(CLI)などの末梢性血管疾患分野、狭心症や心筋梗塞などの虚血性心疾患分野、およびリンパ浮腫分野において開発を進めている。

■HGF遺伝子治療薬 〜自社開発 適応症:重症虚血肢 日本および海外〜

 重症虚血肢を適応症とするHGF遺伝子治療薬は、HGFの血管新生作用によって重症虚血肢の虚血部位の血流を回復させる。重症虚血肢は重症の末梢性血管疾患であり、下肢切断を余儀なくされることもある重篤な病態である。

 HGF遺伝子治療薬に関しては、国内において「条件および期限付早期承認制度」による承認申請を目指している。国内においては第3相臨床試験を終了し、08年3月に重症虚血肢を有する閉塞性動脈硬化症およびバージャー病を適応症として承認申請したが、承認取得にはさらなる臨床データの集積が必要との結論に至ったため、10年9月に申請を取り下げた。

 その後、大阪大学医学部附属病院が主導して、先進医療B制度を活用した医師主導型臨床研究を実施中である。14年8月の先進医療会議において了承され14年10月に1例目の投与を開始した。15年6月には神戸大学医学部附属病院、佐賀大学医学部附属病院の2施設、15年9月には新潟大学医歯学総合病院、徳島大学病院、愛媛大学医学部附属病院の3施設が新たに協力医療機関として当局から認められた。この医師主導型臨床研究の結果も合わせ、条件および期限付早期承認制度を活用して16年後半の承認申請を目指している。

 海外においては、重症虚血肢を適応症として国際共同第3相臨床試験を実施中である。北米、欧州、南米において約500例の重症虚血肢患者を対象に、HGF遺伝子治療薬の有効性と安全性を確認する予定で、米国において14年10月に1例目の患者を登録し、14年11月に投与を開始した。15年8月には欧州(ハンガリー)においても投与を開始した。今後欧州の他国および南米においても順次、被験者登録および投与を開始する。

 HGF遺伝子治療薬の販売権供与に関しては、第一三共と締結していた末梢性血管疾患および虚血性心疾患を対象とした米国および欧州における独占的販売契約を09年2月、日本国内における独占的販売契約を15年2月に終了した。そして新たに田辺三菱製薬と、米国における末梢性血管疾患を対象とした独占的販売権許諾契約を12年10月、日本国内における末梢性血管疾患を対象とした独占的販売権許諾契約を15年6月に締結している。

 なお重症虚血肢を適応症とするHGF遺伝子治療薬の市場規模については、米国における重症虚血肢患者数(新規、年間)が約50万人と推定され、有効な治療法が開発された場合に創出される市場規模は、アイ・エム・エスジャパンの調査によると約50億米ドルと推定されている。

■HGF遺伝子治療薬 〜自社開発 適応症:リンパ浮腫 日本〜

 HGF遺伝子治療薬の新たな薬理作用として「リンパ管の新生」が発見されたため、リンパ浮腫(リンパ管の障害によってリンパ流が停滞して発生する浮腫)に対する初めての根治療法となることが期待されている。原発性リンパ浮腫を対象として13年10月から日本で第1・2相臨床試験を実施中である。

 なお12月7日には、HGF遺伝子によるリンパ管新生促進剤を対象とした特許を世界主要地域で出願しているが、欧州における特許が成立したと発表している。本特許はHGF遺伝子によるリンパ浮腫の治療法を多面的に保護するものであり、日本ではすでに登録されている。

■NF−kBデコイオリゴ

 NF−kBは、細胞が炎症反応や免疫反応を惹起させるため活性化する主要な転写因子で、NF−kBの活性化はアトピー性皮膚炎や関節リウマチなど異常な炎症や免疫関連の疾患を引き起こし、病態を悪化させることが指摘されている。デコイオリゴは、染色体DNAの転写因子結合部位と同じDNA配列を含む二重鎖の短い核酸で、体内に投与すると転写因子が染色体DNAに結合することを阻害して遺伝子の働きを抑える。

 そしてNF−kBデコイオリゴは、核酸合成機で作成される比較的短い人工核酸によって遺伝子の働きを制御する医薬品「核酸医薬」の一種である。NF−kB結合部位のDNA配列を持つデコイオリゴで、転写因子を標的として、細胞内においてゲノムの「おとり」として特定の転写因子と結合するため、その転写因子NF−kBがゲノムに結合できず、結果としてその遺伝子の発現が抑制される。治療薬として優位性があると考えられている。

 このNF−kBデコイオリゴによる治療法は、95年に大阪大学大学院の森下竜一博士によって発明された。そしてNF−kBの活性化による過剰な免疫・炎症反応を原因とする疾患の治療薬として、転写因子NF−kBに対する特異的な阻害剤として設計し、アトピー性皮膚炎、椎間板性腰痛症、血管再狭窄予防(医療機器の薬剤塗布型PTAバルーンカテーテル)の分野を中心に開発を進めている。関節リウマチ、変形性関節症、炎症性腸疾患、喘息などへの適応も考えられている。

■NF−kBデコイオリゴ 〜自社開発 適応症:アトピー性皮膚炎 日本〜

 中等症以上の顔面アトピー性皮膚炎を適応症とするNF−kBデコイオリゴ核酸医薬(軟膏)については、日本において第3相臨床試験を実施中である。15年3月に1例目の被験者への投与を開始した。

 当該第3相臨床試験は、顔面に中等症以上の皮疹を有するアトピー性皮膚炎患者約200例を対象として、有効性と安全性を確認し、国内で承認申請するためのデータを獲得する。最初の被験者の投与開始から最後の被験者の観察期間終了までの期間は1年強を予定し、良好な結果が得られた場合には国内で承認申請を行う。

 なおライセンス契約に関してはアルフレッサファーマとの契約を08年11月に解消し、新たに塩野義製薬と10年12月、アトピー性皮膚炎を含む皮膚疾患を適応症とするNF−kBデコイオリゴ外用剤全般について、共同開発および全世界における独占的販売権許諾に関してライセンス契約した。その後、アトピー性皮膚炎を適応症とするNF−kBデコイオリゴの開発方針の見直しを行った結果、開発については当社が主体となって行うことを14年5月に決定した。塩野義製薬との提携は継続している。

 アトピー性皮膚炎の日本国内の市場規模に関しては、厚生労働省が実施した平成25年国民生活基礎調査によると患者数約130万人と報告されている。特に顔面のアトピー性皮膚炎に関しては、皮膚刺激性や局所副作用などの安全性の観点から医療ニーズを満たした治療薬がなく、新しい治療法の開発が切望されている疾患領域である。

■NF−kBデコイオリゴ 〜自社開発 適応症:椎間板性腰痛症 日本〜

 NF−kBデコイオリゴの新たな適用疾患として、米国において椎間板性腰痛症を適応症とする第1・2相臨床試験を準備中である。米食品医薬品局(FDA)から臨床試験開始許可取得後、米国カリフォルニア大学サンディエゴ校を治験実施施設として16年に第1・2相臨床試験を開始する予定だ。

 なお椎間板性腰痛症を含む腰痛疾患を適応症として、日本臓器製薬と13年3月に日本における独占的開発販売権許諾契約を締結したが、日本臓器製薬における開発方針の見直しを受けて14年12月に契約を解消した。当社の開発戦略も変更し、米国における第1・2相臨床試験終了後に、提携先を確保するためのライセンス活動を行う計画としている。

 椎間板性腰痛症の市場規模に関しては、日本では潜在患者数が200万人以上とされ、このうち実際に医療機関で受療している受療患者数は、厚生労働省平成23年患者調査によると43万人との報告があり、その数は増加傾向にある。椎間板変性などが原因の腰痛症に対する治療法としては、消炎鎮痛剤などを用いる対症療法しかなく、椎間板変性の進行抑制や修復を促す根治的な治療薬の開発が望まれている。

■NF−kBデコイオリゴ 〜自社開発 適応症:血管再狭窄予防医療機器 日本〜

 血管再狭窄予防医療機器の透析シャント用NF−kBデコイオリゴ薬剤塗布型PTAバルーンカテーテルは、NF−kBデコイオリゴをホソカワミクロンのPLGAナノ粒子に封入し、メディキットのPTAバルーンカテーテルの外表面に塗布した新規医療機器である。

 バルーン拡張によって引き起こされる血管炎症の抑制、血管の再狭窄までの期間延長、および外科的手術の回避が期待され、12年1月にメディキットと国内における共同開発および製造販売に関する契約を締結し、世界で初めての抗炎症薬塗布型PTAバルーンカテーテルを目指している。

 透析シャント静脈狭窄病変を有する患者を対象とした国内治験を14年9月から実施し、15年9月に全被験者の観察期間が終了した。今後各被験者のデータを回収し、統計解析を行って良好な結果が得られた場合には、16年半ば以降に国内の製造販売承認申請を行う見込みとしている。

 人工透析の透析シャントや動脈硬化症などの末梢血管内治療法で使用される現在のPTAバルーンカテーテルは再狭窄率が高く、医療現場においては再狭窄予防が期待できるPTAバルーンカテーテルの開発が強く望まれている。

■CIN治療ワクチン・他

■CIN治療ワクチン 〜導入開発 適応症:子宮頸がん前がん病変 日本〜

 各国で発売済の子宮頸がん予防ワクチンはHPV(子宮頸がんの原因ウイルス)感染予防を目的とする注射剤だが、当社のCIN(子宮頸がん前がん病変)治療ワクチンは韓国バイオリーダース社から日米英中における独占的開発販売権を取得し、子宮頸がん前がん病変の中・高度異形成(CIN2・3)領域に対する治療薬として開発を進めている。子宮頸がん前がん状態の組織を退縮させ、子宮頸がんへの移行・円錐切除手術を回避する。乳酸菌L.caseiをベースとした経口投与の治療薬である。

 子宮頸がん前がん病変を適応症として、東京大学医学部附属病院において医師主導型探索的臨床研究を実施中である。これまでに実施された臨床研究の結果として、投与した全17例において薬剤に由来すると考えられる有害事象の発生は認められなかった。また至適用量を服用した被験者の70%で、投与開始後9週目の時点で前がん病変の明らかな退縮が確認された。現在さらなる臨床研究が同病院において実施されており、この試験の経費については厚生労働省科学研究費補助金(医療技術実用化総合研究事業)が使用されている。

 WHOによると、HPVは全世界で感染者(キャリア)が3億人と推定されている。当社のCIN治療ワクチンは、治療薬の開発が求められている中・高度異形成(CIN2・3)領域1000万人を対象としている。

■高血圧DNAワクチン

 高血圧DNAワクチンの基礎技術は大阪大学の研究グループによって開発された。高血圧または心不全の治療薬として実用化を目指している。特に心不全の治療薬としては、慢性心不全の症状軽減を目的とした従来の薬剤に比べて、1回の投薬による作用の持続、すなわち安定した循環機能を維持する有用性が期待されている。

 そして15年10月、DSファーマアニマルヘルス(大阪市、大日本住友製薬の動物薬事業部門が会社分割で独立して10年7月設立)と、高血圧DNAワクチンの犬慢心性不全への応用を目指した動物用医薬品に関する共同開発契約を締結した。なお当社はヒトを対象とした開発も計画している。

■DNAワクチン抗血清製剤 〜導入開発 適応症:エボラ出血熱 日本〜

 15年1月に遺伝子治療技術を応用して、エボラ出血熱対策医薬品として抗血清製剤の開発を国内で開始すると発表した。予備的な試験を開始して今後の開発計画については詳細が確定次第公表するとしていたが、15年6月にウマにDNAワクチンを投与した試験において、ウイルスタンパク質に対する抗体価が有意に上昇したことを確認したと発表している。

 開発を計画する抗血清製剤は、感染予防効果を得るのに時間を要するワクチン療法と異なり、すでにウイルスに感染した患者の病態の悪化を抑制するもので、エボラ出血熱ウイルスのタンパク質をコードするDNAワクチンをウマに接種して得られるウイルスタンパク質に対する抗体を精製して製造する。DNAワクチン技術を用いることで、病原ウイルス自体を取り扱わないため安全かつ短期間で製造できる。

 当該抗血清製剤の開発については、DNAワクチン技術を有する米バイカル社から日本国内における独占的開発販売権を取得した。当該抗血清製剤を開発するためのDNAワクチンは米バイカル社が製造する。

■アロベクチン 〜導入開発 適応症:がん アジア〜

 がん疾患を適応症とするアロベクチンについては、導入元の米バイカル社が13年8月、転移性メラノーマ(悪性黒色腫)を対象としたアロベクチンの第3相臨床試験の結果、有意な改善効果が示されなかったため、同プロジェクトの中止を発表した。

 当社はアロベクチンに関するアジア地域における独占的開発販売権を有しているため、メラノーマ以外のがん疾患への適用を検討している。

■長期ビジョン「2025年ビジョン」

 10年後の当社のあるべき姿として長期ビジョン「2025年ビジョン」を策定し、遺伝子医薬のグローバルリーダー、新市場の創出、売上高500億円以上を掲げた。

 重症虚血肢を適応症とするHGF遺伝子治療薬の日本国内における承認申請(16年後半目標)が視野に入り、中等症以上の顔面アトピー性皮膚炎を適応症とするNF−kBデコイオリゴ軟膏の第3相臨床試験開始により、国内の成長ドライバープロジェクトが最終段階に入った。また重症虚血肢を適応症とするHGF遺伝子治療薬の国際共同第3相臨床試験開始により、最重要プロジェクトが始動した。

 重要プロジェクトが進展して研究・開発ステージから商業化ステージに移行する。また今後の取り組みとして、国内外の提携先拡大に向けたライセンス活動を強化するとともに、必要に応じて開発資金を調達する方針だ。

 収益面で見れば当面は開発投資増加に伴って赤字が継続するが、商業化ステージの第1段階として19年12月期の営業黒字化を目指している。重症虚血肢を適応症とするHGF遺伝子治療薬の国際共同第3相臨床試験進展に伴うマイルストーン収入増加が牽引する。

 さらに25年には売上高500億円以上を目指している。重症虚血肢を適応症とするHGF遺伝子治療薬の日本・米国・欧州での販売、中等症以上の顔面アトピー性皮膚炎を適応症とするNF−kBデコイオリゴ軟膏の日本での販売が本格寄与する。営業利益は300億円以上を想定しているようだ。

■15年12月期利益予想を増額修正、期初計画に対して赤字幅縮小

 今期(15年12月期)連結業績予想(10月30日に修正、売上高は据え置いて各利益を増額)は、売上高が4億50百万円(前期9億09百万円)、営業利益が43億円の赤字(同22億73百万円の赤字)、経常利益が42億50百万円の赤字(同23億95百万円の赤字)、純利益が43億円の赤字(同23億69百万円の赤字)としている。期初計画に対しては赤字幅が縮小する見込みだ。

 前期との比較では契約一時金収入が減少し、重症虚血肢を適応症とするHGF遺伝子治療薬の国際共同第3相臨床試験、およびアトピー性皮膚炎を適応症とするNF−kBデコイオリゴ核酸医薬の国内第3相臨床試験で、研究開発費が大幅に増加して各利益とも赤字が拡大する。ただし、臨床試験および非臨床試験に使用するHGF遺伝子治療薬およびNF−kBデコイオリゴ核酸医薬の原薬製造の完了時期が来期(16年12月期)に変更になり、またCROなど外部委託機関への支払の一部に来期以降への変更が生じたため、研究開発費用が期初計画に比べて減少する見込みとなった。

 第3四半期累計(1月〜9月)連結業績は、売上高が前年同期比13.6%増の3億20百万円、営業利益が30億25百万円の赤字(前年同期は20億48百万円の赤字)、経常利益が29億54百万円の赤字(同21億21百万円の赤字)、純利益が30億07百万円の赤字(同20億90百万円の赤字)だった。

 売上高の内訳は、ムコ多糖症VI型治療薬「ナグラザイム」の商品売上高が同28百万円(12.9%)増加の2億50百万円、田辺三菱製薬からの契約一時金など研究開発事業収益が同9百万円(15.9%)増加の69百万円だった。

 売上原価は「ナグラザイム」の増収に伴い同19百万円(17.8%)増加して1億27百万円となった。研究開発費は同8億74百万円(51.2%)増加して25億84百万円となった。HGF遺伝子治療薬の国際共同第3相臨床試験、NF−kBデコイオリゴ核酸医薬の第3相臨床試験に係る費用で外注費が8億35百万円増加した。また人員増強で給料および手当が1億19百万円増加した。販管費は寄付講座への支出増加、支払手数料の増加、人員増強による給料および手当の増加などで、同1億21百万円(23.6%)増加して6億33百万円となった。

 営業外収益では、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の「平成25年度イノベーション実用化ベンチャー支援事業」に採択された「HGFプラスミドを用いたリンパ浮腫治療薬の臨床開発」に対する助成金69百万円を計上した。為替差損益は前年同期の為替差損13百万円計上に対して、今期は為替差益11百万円を計上した。営業外費用では、前年同期にライツ・オファリング実施に伴う株式交付費1億18百万を円計上したが、今期は19百万円に減少した。またストックオプション権利保有者の失権(退職)に伴い、第3四半期の特別利益に新株予約権戻入益49百万円を計上した。

 なお四半期別に見ると、売上高は第1四半期(1月〜3月)81百万円、第2四半期(4月〜6月)1億59百万円、第3四半期(7月〜9月)80百万円、営業利益は第1四半期9億60百万円の赤字、第2四半期10億45百万円の赤字、第3四半期10億20百万円の赤字だった。

■資金調達

 15年3月に株式発行プログラム設定契約締結および第三者割当による新株式発行の実施によって約29億円の資金調達を計画したが、その後の株式下落により結果として当該プログラムに基づく差引手取額が約7億16百万円にとどまった。

 また15年9月に発表した国内および海外の機関投資家を対象とする新株式発行および株式売出しについては10月に中止を発表した。アトピー性皮膚炎および椎間板性腰痛症を適応症としたNF−kBデコイオリゴ核酸医薬開発費用に充当することを目的として決議したが、多くの投資家から当社の開発プロジェクトがさらに進展した段階で投資を行いたいとの意見があり、今回の募集期間中に当社の成長性を理解されるに至らないと判断して中止を決議した。

 ただし16年3月期第3四半期末時点で現預金は33億78百万円あり、当面の研究開発に対する支障はないとしている。

■株価は大底圏から脱する流れ

 株価の動きを見ると、15年8月の上場来安値186円まで下押したが、その後は切り返しの動きを強めている。12月8日にはHGF遺伝子によるリンパ管新生促進剤を対象とする欧州での特許成立を好感して269円まで上伸する場面があった。大底圏から脱する動きだ。

 12月24日の終値は215円で時価総額は約122億円である。全般地合い悪化も影響して水準を切り下げたが、重要プロジェクトの承認申請が視野に入り、研究・開発ステージから商業化ステージに移行する見込みとなったことを考慮すれば、大底圏を脱する流れに変化はないだろう。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media−IR)
[11月24日更新]

アンジェスMGは研究・開発ステージから商業化ステージに移行、株価は大底圏の可能性

 アンジェスMG<4563>(東マ)はHGF(肝細胞増殖因子)遺伝子治療薬、NF−kBデコイオリゴ核酸医薬を中心に開発を進める大阪大学発創薬バイオベンチャーである。国内の成長ドライバープロジェクトが最終段階に入り、海外の最重要プロジェクトが始動したことを受けて、研究・開発ステージから商業化ステージに移行する。当面は研究開発費用の増加で赤字が継続するが、商業化ステージの第1段階として19年12月期の営業黒字化を目指している。さらに25年には売上高500億円以上、営業利益300億円以上を想定している。株価は大底圏の可能性が高く底値買いの好機となりそうだ。

■大阪大学発の創薬バイオベンチャー

 遺伝子医薬のグローバルリーダーを目指す大阪大学発創薬バイオベンチャーである。99年12月大阪大学医学部の研究成果をもとに設立(04年現社名に商号変更)し、02年9月東証マザーズに新規上場した。産学連携の創薬バイオベンチャーとして初の株式上場企業である。

 生命が長い時間をかけて獲得した遺伝子の働きを活用し、難治性疾患や治療法がない疾患に対する画期的な遺伝子医薬・バイオ医薬を開発・実用化することで、人々の健康と希望にあふれた暮らしの実現に貢献することを企業理念に掲げている。

■遺伝子医薬・バイオ医薬分野に特化して開発推進

 HGF(肝細胞増殖因子)遺伝子治療薬、NF−kBデコイオリゴ核酸医薬、高血圧DNA治療ワクチンなど、遺伝子の働きを活用した遺伝子医薬・バイオ医薬分野に特化して開発事業を推進している。

 自社開発品の販売権または開発販売権を製薬会社に供与して、契約に基づいて契約一時金収入、開発の進捗に対応したマイルストーン収入、および上市後の売上に対する一定対価のロイヤリティ収入を得る。

 また当社の事業方針と合致するプロジェクトの導入開発も行っている。導入品(商品)では、難病のムコ多糖症VI型治療薬「ナグラザイム」について、米バイオマリン社から日本国内における開発販売権を06年12月に取得し、08年4月に国内での販売を開始している。

■遺伝子治療の世界的動向は「遺伝子治療の実用化時代到来」として脚光

 遺伝子治療の歴史を見ると、90年に先天的な免疫不全症であるADA欠損症を対象として、米国において世界初の遺伝子治療が実施された。そして95年には日本で初めて、北海道大学においてADA欠損症を対象とする遺伝子治療が実施された。

 その後ウイルスベクターに由来する重篤な副作用が報告されたため、世界的に遺伝子治療実用化の動きが停滞したが、12年にLPL欠損症を対象とした蘭uniQure社のGlyberaが欧州で承認され、先進国初の遺伝子治療薬となった。そして世界の大手製薬メーカーの参入も相次ぎ、実用化時代が到来したとして遺伝子治療が再び脚光を浴びている。

■日本では「条件および期限付承認制度」が導入されて早期実用化が可能

 日本では13年5月公布「再生医療推進法」の理念のもと、14年11月施行の「医薬品医療機器等法(改正薬事法)」で、新たに再生医療等製品が定義され、遺伝子治療を含む再生医療等製品に対する早期承認制度が導入された。

 医薬品や医療機器とは別個に、人の細胞に培養等の加工を施したもの、又は遺伝子治療を目的として人の細胞に導入して使用するものを再生医療等製品として新たに定義した。そして再生医療等製品については品質が不均一であり、有効性の予測が困難な場合があるという特性を有しているため、有効性が推定されて安全性が確認されれば条件および期限付きで特別に早期に承認できる仕組みを導入した。その場合、承認後に有効性・安全性をあらためて検証する。

 これによって遺伝子治療を含む再生医療分野に関しては、日本が世界で最も早く製品承認を取得できることなり、再生医療・細胞医療の早期実用化の促進が期待されている。なお当社が開発を進めているHGF遺伝子治療薬は、承認取得すれば先進国2番目の遺伝子治療薬となる可能性がある。

■新薬開発プロジェクトの状況

 新薬開発プロジェクトは、自社開発品では、HGF遺伝子治療薬(重症虚血肢などの末梢性血管疾患分野、狭心症や心筋梗塞などの虚血性心疾患分野、およびリンパ浮腫分野)、核酸医薬NF−kBデコイオリゴを用いた治療薬(アトピー性皮膚炎などの皮膚疾患分野、椎間板性腰痛症などの腰痛疾患分野)を中心に開発を進めている。導入開発品ではCIN(子宮頸がん前がん病変)治療薬、がん治療薬、エボラ出血熱治療薬などの分野における開発を進めている。

 HGF遺伝子治療薬は重症虚血肢を適応症として、国内においては条件および期限付早期承認制度を活用し、再生医療等製品として16年後半の承認申請を目指し、海外においては国際共同第3相臨床試験を実施中である。NF−kBデコイオリゴ軟膏は中等症以上の顔面アトピー性皮膚炎を適応症として、国内において第3相臨床試験を実施中である。医療機器である透析シャント用NF−kBデコイオリゴ薬剤塗布型PTAバルーンカテーテルは、国内における全被験者の観察期間が終了して16年半ば以降の承認申請を目指している。

■HGF遺伝子治療薬

 HGF(肝細胞増殖因子)は84年に日本で発見された成長因子である。最も再生能力の高い臓器である肝臓で最初に発見されたため肝細胞増殖因子と呼ばれている。肝臓のみならず、血管、リンパ管、神経など生体のさまざまな臓器・組織の形成・再生において主要な役割を果たしていることが分かった。

 当社が実用化を目指すHGF遺伝子治療薬は、ヒトHGF遺伝子をコードしたDNAプラスミド製剤(注射剤)で、非ウイルスベクター型の遺伝子治療薬である。重症虚血肢(CLI)などの末梢性血管疾患分野、狭心症や心筋梗塞などの虚血性心疾患分野、およびリンパ浮腫分野において開発を進めている。

■HGF遺伝子治療薬 〜自社開発 適応症:重症虚血肢 日本および海外〜

 重症虚血肢を適応症とするHGF遺伝子治療薬は、HGFの血管新生作用によって重症虚血肢の虚血部位の血流を回復させる。重症虚血肢は重症の末梢性血管疾患であり、下肢切断を余儀なくされることもある重篤な病態である。

 HGF遺伝子治療薬に関しては、国内において「条件および期限付早期承認制度」による承認申請を目指している。国内においては第3相臨床試験を終了し、08年3月に重症虚血肢を有する閉塞性動脈硬化症およびバージャー病を適応症として承認申請したが、承認取得にはさらなる臨床データの集積が必要との結論に至ったため、10年9月に申請を取り下げた。

 その後、大阪大学医学部附属病院が主導して、先進医療B制度を活用した医師主導型臨床研究を実施中である。14年8月の先進医療会議において了承され14年10月に1例目の投与を開始した。15年6月には神戸大学医学部附属病院、佐賀大学医学部附属病院の2施設、15年9月には新潟大学医歯学総合病院、徳島大学病院、愛媛大学医学部附属病院の3施設が新たに協力医療機関として当局から認められた。この医師主導型臨床研究の結果も合わせ、条件および期限付早期承認制度を活用して16年後半の承認申請を目指している。

 海外においては、重症虚血肢を適応症として国際共同第3相臨床試験を実施中である。北米、欧州、南米において約500例の重症虚血肢患者を対象に、HGF遺伝子治療薬の有効性と安全性を確認する予定で、米国において14年10月に1例目の患者を登録し、14年11月に投与を開始した。15年8月には欧州(ハンガリー)においても投与を開始した。今後欧州の他国および南米においても順次、被験者登録および投与を開始する。

 HGF遺伝子治療薬の販売権供与に関しては、第一三共と締結していた末梢性血管疾患および虚血性心疾患を対象とした米国および欧州における独占的販売契約を09年2月、日本国内における独占的販売契約を15年2月に終了した。そして新たに田辺三菱製薬と、米国における末梢性血管疾患を対象とした独占的販売権許諾契約を12年10月、日本国内における末梢性血管疾患を対象とした独占的販売権許諾契約を15年6月に締結している。

 なお重症虚血肢を適応症とするHGF遺伝子治療薬の市場規模については、米国における重症虚血肢患者数(新規、年間)が約50万人と推定され、有効な治療法が開発された場合に創出される市場規模は、アイ・エム・エスジャパンの調査によると約50億米ドルと推定されている。

■HGF遺伝子治療薬 〜自社開発 適応症:リンパ浮腫 日本〜

 HGF遺伝子治療薬の新たな薬理作用として「リンパ管の新生」が発見されたため、リンパ浮腫(リンパ管の障害によってリンパ流が停滞して発生する浮腫)に対する初めての根治療法となることが期待されている。原発性リンパ浮腫を対象として13年10月から日本で第1・2相臨床試験を実施中である。

■NF−kBデコイオリゴ

 NF−kBは、細胞が炎症反応や免疫反応を惹起させるため活性化する主要な転写因子で、NF−kBの活性化はアトピー性皮膚炎や関節リウマチなど異常な炎症や免疫関連の疾患を引き起こし、病態を悪化させることが指摘されている。デコイオリゴは、染色体DNAの転写因子結合部位と同じDNA配列を含む二重鎖の短い核酸で、体内に投与すると転写因子が染色体DNAに結合することを阻害して遺伝子の働きを抑える。

 そしてNF−kBデコイオリゴは、核酸合成機で作成される比較的短い人工核酸によって遺伝子の働きを制御する医薬品「核酸医薬」の一種である。NF−kB結合部位のDNA配列を持つデコイオリゴで、転写因子を標的として、細胞内においてゲノムの「おとり」として特定の転写因子と結合するため、その転写因子NF−kBがゲノムに結合できず、結果としてその遺伝子の発現が抑制される。治療薬として優位性があると考えられている。

 このNF−kBデコイオリゴによる治療法は、95年に大阪大学大学院の森下竜一博士によって発明された。そしてNF−kBの活性化による過剰な免疫・炎症反応を原因とする疾患の治療薬として、転写因子NF−kBに対する特異的な阻害剤として設計し、アトピー性皮膚炎、椎間板性腰痛症、血管再狭窄予防(医療機器の薬剤塗布型PTAバルーンカテーテル)の分野を中心に開発を進めている。関節リウマチ、変形性関節症、炎症性腸疾患、喘息などへの適応も考えられている。

■NF−kBデコイオリゴ 〜自社開発 適応症:アトピー性皮膚炎 日本〜

 中等症以上の顔面アトピー性皮膚炎を適応症とするNF−kBデコイオリゴ核酸医薬(軟膏)については、日本において第3相臨床試験を実施中である。15年3月に1例目の被験者への投与を開始した。

 当該第3相臨床試験は、顔面に中等症以上の皮疹を有するアトピー性皮膚炎患者約200例を対象として、有効性と安全性を確認し、国内で承認申請するためのデータを獲得する。最初の被験者の投与開始から最後の被験者の観察期間終了までの期間は1年強を予定し、良好な結果が得られた場合には国内で承認申請を行う。

 なおライセンス契約に関してはアルフレッサファーマとの契約を08年11月に解消し、新たに塩野義製薬と10年12月、アトピー性皮膚炎を含む皮膚疾患を適応症とするNF−kBデコイオリゴ外用剤全般について、共同開発および全世界における独占的販売権許諾に関してライセンス契約した。その後、アトピー性皮膚炎を適応症とするNF−kBデコイオリゴの開発方針の見直しを行った結果、開発については当社が主体となって行うことを14年5月に決定した。塩野義製薬との提携は継続している。

 アトピー性皮膚炎の日本国内の市場規模に関しては、厚生労働省が実施した平成25年国民生活基礎調査によると患者数約130万人と報告されている。特に顔面のアトピー性皮膚炎に関しては、皮膚刺激性や局所副作用などの安全性の観点から医療ニーズを満たした治療薬がなく、新しい治療法の開発が切望されている疾患領域である。

■NF−kBデコイオリゴ 〜自社開発 適応症:椎間板性腰痛症 日本〜

 NF−kBデコイオリゴの新たな適用疾患として、米国において椎間板性腰痛症を適応症とする第1・2相臨床試験を準備中である。米食品医薬品局(FDA)から臨床試験開始許可取得後、米国カリフォルニア大学サンディエゴ校を治験実施施設として16年に第1・2相臨床試験を開始する予定だ。

 なお椎間板性腰痛症を含む腰痛疾患を適応症として、日本臓器製薬と13年3月に日本における独占的開発販売権許諾契約を締結したが、日本臓器製薬における開発方針の見直しを受けて14年12月に契約を解消した。当社の開発戦略も変更し、米国における第1・2相臨床試験終了後に、提携先を確保するためのライセンス活動を行う計画としている。

 椎間板性腰痛症の市場規模に関しては、日本では潜在患者数が200万人以上とされ、このうち実際に医療機関で受療している受療患者数は、厚生労働省平成23年患者調査によると43万人との報告があり、その数は増加傾向にある。椎間板変性などが原因の腰痛症に対する治療法としては、消炎鎮痛剤などを用いる対症療法しかなく、椎間板変性の進行抑制や修復を促す根治的な治療薬の開発が望まれている。

■NF−kBデコイオリゴ 〜自社開発 適応症:血管再狭窄予防医療機器 日本〜

 血管再狭窄予防医療機器の透析シャント用NF−kBデコイオリゴ薬剤塗布型PTAバルーンカテーテルは、NF−kBデコイオリゴをホソカワミクロンのPLGAナノ粒子に封入し、メディキットのPTAバルーンカテーテルの外表面に塗布した新規医療機器である。

 バルーン拡張によって引き起こされる血管炎症の抑制、血管の再狭窄までの期間延長、および外科的手術の回避が期待され、12年1月にメディキットと国内における共同開発および製造販売に関する契約を締結し、世界で初めての抗炎症薬塗布型PTAバルーンカテーテルを目指している。

 透析シャント静脈狭窄病変を有する患者を対象とした国内治験を14年9月から実施し、15年9月に全被験者の観察期間が終了した。今後各被験者のデータを回収し、統計解析を行って良好な結果が得られた場合には、16年半ば以降に国内の製造販売承認申請を行う見込みとしている。

 人工透析の透析シャントや動脈硬化症などの末梢血管内治療法で使用される現在のPTAバルーンカテーテルは再狭窄率が高く、医療現場においては再狭窄予防が期待できるPTAバルーンカテーテルの開発が強く望まれている。

■CIN治療ワクチン・他

CIN治療ワクチン 〜導入開発 適応症:子宮頸がん前がん病変 日本〜

 各国で発売済の子宮頸がん予防ワクチンはHPV(子宮頸がんの原因ウイルス)感染予防を目的とする注射剤だが、当社のCIN(子宮頸がん前がん病変)治療ワクチンは韓国バイオリーダース社から日米英中における独占的開発販売権を取得し、子宮頸がん前がん病変の中・高度異形成(CIN2・3)領域に対する治療薬として開発を進めている。子宮頸がん前がん状態の組織を退縮させ、子宮頸がんへの移行・円錐切除手術を回避する。乳酸菌L.caseiをベースとした経口投与の治療薬である。

 子宮頸がん前がん病変を適応症として、東京大学医学部附属病院において医師主導型探索的臨床研究を実施中である。これまでに実施された臨床研究の結果として、投与した全17例において薬剤に由来すると考えられる有害事象の発生は認められなかった。また至適用量を服用した被験者の70%で、投与開始後9週目の時点で前がん病変の明らかな退縮が確認された。現在さらなる臨床研究が同病院において実施されており、この試験の経費については厚生労働省科学研究費補助金(医療技術実用化総合研究事業)が使用されている。

 WHOによると、HPVは全世界で感染者(キャリア)が3億人と推定されている。当社のCIN治療ワクチンは、治療薬の開発が求められている中・高度異形成(CIN2・3)領域1000万人を対象としている。

■高血圧DNAワクチン

 高血圧DNAワクチンの基礎技術は大阪大学の研究グループによって開発された。高血圧または心不全の治療薬として実用化を目指している。特に心不全の治療薬としては、慢性心不全の症状軽減を目的とした従来の薬剤に比べて、1回の投薬による作用の持続、すなわち安定した循環機能を維持する有用性が期待されている。

 そして15年10月、DSファーマアニマルヘルス(大阪市、大日本住友製薬の動物薬事業部門が会社分割で独立して10年7月設立)と、高血圧DNAワクチンの犬慢心性不全への応用を目指した動物用医薬品に関する共同開発契約を締結した。なお当社はヒトを対象とした開発も計画している。

■DNAワクチン抗血清製剤 〜導入開発 適応症:エボラ出血熱 日本〜

 15年1月に遺伝子治療技術を応用して、エボラ出血熱対策医薬品として抗血清製剤の開発を国内で開始すると発表した。予備的な試験を開始して今後の開発計画については詳細が確定次第公表するとしていたが、15年6月にウマにDNAワクチンを投与した試験において、ウイルスタンパク質に対する抗体価が有意に上昇したことを確認したと発表している。

 開発を計画する抗血清製剤は、感染予防効果を得るのに時間を要するワクチン療法と異なり、すでにウイルスに感染した患者の病態の悪化を抑制するもので、エボラ出血熱ウイルスのタンパク質をコードするDNAワクチンをウマに接種して得られるウイルスタンパク質に対する抗体を精製して製造する。DNAワクチン技術を用いることで、病原ウイルス自体を取り扱わないため安全かつ短期間で製造できる。

 当該抗血清製剤の開発については、DNAワクチン技術を有する米バイカル社から日本国内における独占的開発販売権を取得した。当該抗血清製剤を開発するためのDNAワクチンは米バイカル社が製造する。

■アロベクチン 〜導入開発 適応症:がん アジア〜

 がん疾患を適応症とするアロベクチンについては、導入元の米バイカル社が13年8月、転移性メラノーマ(悪性黒色腫)を対象としたアロベクチンの第3相臨床試験の結果、有意な改善効果が示されなかったため、同プロジェクトの中止を発表した。

 当社はアロベクチンに関するアジア地域における独占的開発販売権を有しているため、メラノーマ以外のがん疾患への適用を検討している。

■長期ビジョン「2025年ビジョン」

 10年後の当社のあるべき姿として長期ビジョン「2025年ビジョン」を策定し、遺伝子医薬のグローバルリーダー、新市場の創出、売上高500億円以上を掲げた。

 重症虚血肢を適応症とするHGF遺伝子治療薬の日本国内における承認申請(16年後半目標)が視野に入り、中等症以上の顔面アトピー性皮膚炎を適応症とするNF−kBデコイオリゴ軟膏の第3相臨床試験開始により、国内の成長ドライバープロジェクトが最終段階に入った。また重症虚血肢を適応症とするHGF遺伝子治療薬の国際共同第3相臨床試験開始により、最重要プロジェクトが始動した。

 重要プロジェクトが進展して研究・開発ステージから商業化ステージに移行する。また今後の取り組みとして、国内外の提携先拡大に向けたライセンス活動を強化するとともに、必要に応じて開発資金を調達する方針だ。

 収益面で見れば当面は開発投資増加に伴って赤字が継続するが、商業化ステージの第1段階として19年12月期の営業黒字化を目指している。重症虚血肢を適応症とするHGF遺伝子治療薬の国際共同第3相臨床試験進展に伴うマイルストーン収入増加が牽引する。

 さらに25年には売上高500億円以上を目指している。重症虚血肢を適応症とするHGF遺伝子治療薬の日本・米国・欧州での販売、中等症以上の顔面アトピー性皮膚炎を適応症とするNF−kBデコイオリゴ軟膏の日本での販売が本格寄与する。営業利益は300億円以上を想定しているようだ。

■15年12月期利益予想を増額修正、期初計画に対して赤字幅縮小

 今期(15年12月期)の連結業績予想について、10月30日に修正(売上高は据え置いて各利益を増額)を発表した。

 修正後の今期(15年12月期)連結業績予想は前回予想(2月6日公表)に対して、売上高は据え置いて4億50百万円(前期は9億09百万円)、営業利益は15億円増額して43億円の赤字(同22億73百万円の赤字)、経常利益は15億50百万円増額して42億50百万円の赤字(同23億95百万円の赤字)、純利益は15億円増額して43億円の赤字(同23億69百万円の赤字)とした。期初計画に対して赤字幅が縮小する見込みだ。

 前期との比較では契約一時金収入が減少し、重症虚血肢を適応症とするHGF遺伝子治療薬の国際共同第3相臨床試験、およびアトピー性皮膚炎を適応症とするNF−kBデコイオリゴ核酸医薬の国内第3相臨床試験で、研究開発費が大幅に増加して各利益とも赤字が拡大する。ただし、臨床試験および非臨床試験に使用するHGF遺伝子治療薬およびNF−kBデコイオリゴ核酸医薬の原薬製造の完了時期が来期(16年12月期)に変更になり、またCROなど外部委託機関への支払の一部に来期以降への変更が生じたため、研究開発費用が期初計画に比べて減少する見込みとなった。

 第3四半期累計(1月〜9月)連結業績は、売上高が前年同期比13.6%増の3億20百万円、営業利益が30億25百万円の赤字(前年同期は20億48百万円の赤字)、経常利益が29億54百万円の赤字(同21億21百万円の赤字)、純利益が30億07百万円の赤字(同20億90百万円の赤字)だった。

 売上高の内訳は、ムコ多糖症VI型治療薬「ナグラザイム」の商品売上高が同28百万円(12.9%)増加の2億50百万円、田辺三菱製薬からの契約一時金など研究開発事業収益が同9百万円(15.9%)増加の69百万円だった。

 売上原価は「ナグラザイム」の増収に伴い同19百万円(17.8%)増加して1億27百万円となった。研究開発費は同8億74百万円(51.2%)増加して25億84百万円となった。HGF遺伝子治療薬の国際共同第3相臨床試験、NF−kBデコイオリゴ核酸医薬の第3相臨床試験に係る費用で外注費が8億35百万円増加した。また人員増強で給料および手当が1億19百万円増加した。販管費は寄付講座への支出増加、支払手数料の増加、人員増強による給料および手当の増加などで、同1億21百万円(23.6%)増加して6億33百万円となった。

 営業外収益では、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の「平成25年度イノベーション実用化ベンチャー支援事業」に採択された「HGFプラスミドを用いたリンパ浮腫治療薬の臨床開発」に対する助成金69百万円を計上した。為替差損益は前年同期の為替差損13百万円計上に対して、今期は為替差益11百万円を計上した。営業外費用では、前年同期にライツ・オファリング実施に伴う株式交付費1億18百万を円計上したが、今期は19百万円に減少した。またストックオプション権利保有者の失権(退職)に伴い、第3四半期の特別利益に新株予約権戻入益49百万円を計上した。

 なお四半期別に見ると、売上高は第1四半期(1月〜3月)81百万円、第2四半期(4月〜6月)1億59百万円、第3四半期(7月〜9月)80百万円、営業利益は第1四半期9億60百万円の赤字、第2四半期10億45百万円の赤字、第3四半期10億20百万円の赤字だった。

■資金調達

 15年3月に株式発行プログラム設定契約締結および第三者割当による新株式発行の実施によって約29億円の資金調達を計画したが、その後の株式下落により結果として当該プログラムに基づく差引手取額が約7億16百万円にとどまった。

 また15年9月28日に発表した国内および海外の機関投資家を対象とする新株式発行および株式売出しについては、10月13日に中止を発表した。アトピー性皮膚炎および椎間板性腰痛症を適応症としたNF−kBデコイオリゴ核酸医薬開発費用に充当することを目的として決議したが、多くの投資家から当社の開発プロジェクトがさらに進展した段階で投資を行いたいとの意見があり、今回の募集期間中に当社の成長性を理解されるに至らないと判断して中止を決議した。

 ただし16年3月期第3四半期末時点で現預金は33億78百万円あり、当面の研究開発に対する支障はないとしている。

■株価は大底圏

 株価は15年8月の上場来安値186円まで下押したが、その後は200円〜220円近辺で推移している。11月20日の終値は216円だった。期待値は大幅に低下したが、重要プロジェクトの承認申請が視野に入り、研究・開発ステージから商業化ステージに移行する見込みとなったことを考慮すれば、大底圏の可能性が高いだろう。底値買いの好機となりそうだ。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media−IR)

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