[7776]セルシード
[05月29日更新]

セルシードは戻り歩調

 セルシード<7776>(JQ)は細胞シート再生医療製品の開発・事業化、および世界普及を目指すバイオベンチャーである。食道再生上皮シートの早期の承認申請を目指している。なお5月25日には第18回新株予約権の行使が全て完了したと発表している。株価は3月の上場来安値から水準を切り上げて戻り歩調だ。出直りを期待したい。

■細胞シート再生医療製品の事業化、世界普及を目指すバイオベンチャー

 温度応答性ポリマーを用いた細胞シート工学という日本発の革新的再生医療技術を基盤技術として、細胞シート再生医療製品の開発・事業化、および世界普及を目指すバイオベンチャーである。

 事業区分は、細胞シート再生医療事業(細胞シート再生医療製品および応用製品の研究開発・製造・販売)、再生医療支援事業(細胞シート再生医療の基盤ツールである温度応答性細胞培養器材および応用製品の製造・販売)としている。子会社のCellSeed Sweden AB(スウェーデン)は、欧州で細胞シート再生医療製品の研究開発を行っている。

■細胞シート再生医療とは

 細胞シートは患者自身の組織から採取した細胞をシート状に培養したものである。細胞シート工学は、生体組織・臓器の基本単位となる細胞シートを生体外で人工的に作製する再生医療基盤技術で、東京女子医科大学先端生命医科学研究所の岡野光夫氏が世界で初めて創唱した。

 温度応答性ポリマーで表面加工した細胞培養皿を用いて、患者自身の組織から採取した細胞をシート状に培養する。培養した細胞シートを患部に貼る(移植する)だけで、細胞が生着(移植した細胞が患部に定着)する。

 細胞シート再生医療には患者自身の細胞を用いるため免疫拒絶反応が起こらない、身体のどの部位の細胞からも作製できる、施術としては比較的簡単な治療法である、細胞が生体組織に速やかに生着する、残存機能を損なわずに根治を目指すことも可能であるなどのメリットがあり、新たな再生医療技術として注目されている。

■中期経営計画

 中期経営計画(20年12月期〜22年12月期)では事業戦略として、食道再生上皮シートの早期の製造販売承認申請、自己軟骨再生シートの早期の治験開始、同種軟骨再生シートの早期の治験開始、食道再生上皮シートおよび軟骨再生シートに続く第三品目の歯根膜再生シートの開発着手、日本発の細胞シート工学の世界展開のための事業提携推進、台湾MetaTech社および台湾合弁会社との協業による収益機会の獲得、器材の新製品開発、生産能力の確保、受託製造・コンサルティングによる収益機会の獲得を推進し、収益拡大を目指すとしている。

 19年8月には第三品目の開発案件として、東京医科歯科大学と歯根膜細胞シート開発に向けた協議を開始した。

■食道再生上皮シートは早期の承認申請を目指す

 食道再生上皮シートは、食道がん再生治療法(食道創傷治癒・狭窄予防)として、東京女子医科大学先端生命医科学研究所が開発した治療法である。患者の口腔粘膜から採取した細胞から、温度応答性細胞培養皿を用いて細胞シートを作製し、食道がん切除内視鏡手術後の食道潰瘍面に移植する。

 東京女子医科大学と食道再生上皮細胞シート開発基本合意書を締結し、16年8月国立がん研究センター中央病院、国立がん研究センター東病院、東京女子医科大学病院で治験開始した。17年2月には「口腔粘膜由来食道細胞シート」が厚生労働省から再生医療等製品の先駆け審査指定制度の対象品目指定を受け、18年4月までに症例登録を終了した。

 なお19年2月に食道再生上皮シート臨床試験に係る治験結果を発表したが、主要評価項目の「ESD後8週目の狭窄予防効果」において統計的な優位性が証明されなかった。このため追加臨床試験を実施すべく、独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)と協議を続け、早期の製造販売承認申請を目指すとしている。

■軟骨再生シートは早期の治験開始を目指す

 軟骨再生シート(自己細胞由来軟骨再生シート、同種細胞由来軟骨再生シート)は17年2月に東海大学と、軟骨再生シート臨床研究の実用化開発、治験、製造販売承認申請に向けて協力体制を推進することを目的とした基本合意書を締結し、軟骨欠損および変形性膝関節症を適応症として共同研究を進めている。細胞シートを積層化した3次元複合体の積層化軟骨細胞シートを患部に移植し、軟骨の修復・再生に寄与する。

 自己細胞由来軟骨再生シートは東海大学が先進医療申請し、19年1月厚生労働省第71回先進医療会議で承認された。今後は東海大学から厚生労働省へ第2種再生医療等提供計画の申請を以って、最終的な承認手続に進む。本件が実施に至った際には当社が細胞シート受託加工予定である。また先進医療の状況を見据えて治験を実施する方針だ。

 同種細胞由来軟骨再生シートは17年2月東海大学整形学科の佐藤正人教授が、世界初の同種軟骨細胞シートの移植手術(多指症患者軟骨組織を採取し、同種細胞シートとして移植)を実施した。臨床研究は10名の患者に移植予定で、18年第2四半期までに3例を実施した。これに対応して、レギュラトリーサイエンス戦略相談・レギュラトリーサイエンス総合相談および治験準備を進めている。そして早期の治験開始を目指す。なお19年11月には移植用「軟骨再生シート」が米国で基本特許を取得した。

■海外は台湾で事業提携

 海外は17年4月台湾MetaTech社に対して、台湾における細胞シート再生医療事業(食道再生上皮シートおよび軟骨再生シート)の独占的開発・製造・販売権を付与している。マイルストーン収入、開発製造関連データ料、開発サポート料を受領し、上市時には売上高に応じたロイヤルティ収入を得る。

 台湾MetaTech社は食道再生上皮シート治験届提出に向けて準備中である。19年12月には、台湾MetaTech社の提携先病院である義大医療財団法人義大病院が申請した自己軟骨細胞移植が、台湾衛生福利部(日本の厚生労働省に相当)から細胞治療技術施行計画として承認された。

 19年8月には台湾MetaTech社と台湾での合弁会社設立に関する基本合意書を締結し、さらに19年9月には新たな出資者を加えた合弁契約の4者間での締結を発表した。日本および台湾における細胞シート再生医療の研究開発・事業化(20年1月合弁会社設立手続完了、20年4月事業開始予定)を進める。

 今後の世界展開に向けては、台湾MetaTech社の支援を推進しつつ、アジア諸国・欧米をターゲットに海外事業提携先を探索している。

■再生医療支援事業

 再生医療支援事業は、主要顧客である大学・研究機関向けなどに、細胞シート回収用温度応答性細胞培養器材UpCellを中心とした器材を開発・販売する。

 市販製品(研究開発用途に限定)については、大日本印刷<7912>に製造を委託している。またテルモ<4543>の「ハートシート」の温度応答性細胞培養器材について、市販製品とは異なる特別仕様製品を供給している。18年10月には再生医療等製品製造業許可を取得し、18年11月再生医療受託サービスに関する第1号案件を東京女子医科大学から受注した。同大学は今回受託製造する当該細胞シートを用いて医師主導治験を実施する。

■21年12月期収益化目標

 20年12月期第1四半期は、売上高が31百万円で、営業利益が1億82百万円の赤字だった。

 中期経営計画(20年12月期〜22年12月期)では、目標値を20年12月期売上高3億10百万円、各利益10億20百万円の赤字、21年12月期売上高3億60百万円、各利益10億30百万円の赤字、22年12月期売上高14億円、営業利益と経常利益10百万円の黒字、純利益8百万円の黒字としている。

 自己細胞由来軟骨再生シートで20年上期以降、共同研究先である東海大学から先進医療(今後5年間で最大20症例を移植予定)に係る製造を受託する。

■株価は戻り歩調

 株価は3月の上場来安値から水準を切り上げて戻り歩調だ。出直りを期待したい。5月28日の終値は432円、時価総額は約58億円である。(情報提供:日 本インタビュ新聞社=Media−IR)

[04月14日更新]

セルシードは反発の動き

 セルシード<7776>(JQ)は細胞シート再生医療製品の開発・事業化、および世界普及を目指すバイオベンチャーである。食道再生上皮シートの早期の承認申請を目指している。株価は3月の安値圏から反発の動きを強めている。出直りを期待したい。

■細胞シート再生医療製品の事業化、世界普及を目指すバイオベンチャー

 温度応答性ポリマーを用いた細胞シート工学という日本発の革新的再生医療技術を基盤技術として、細胞シート再生医療製品の開発・事業化、および世界普及を目指すバイオベンチャーである。

 事業区分は、細胞シート再生医療事業(細胞シート再生医療製品および応用製品の研究開発・製造・販売)、再生医療支援事業(細胞シート再生医療の基盤ツールである温度応答性細胞培養器材および応用製品の製造・販売)としている。子会社のCellSeed Sweden AB(スウェーデン)は、欧州で細胞シート再生医療製品の研究開発を行っている。

■細胞シート再生医療とは

 細胞シートは患者自身の組織から採取した細胞をシート状に培養したものである。細胞シート工学は、生体組織・臓器の基本単位となる細胞シートを生体外で人工的に作製する再生医療基盤技術で、東京女子医科大学先端生命医科学研究所の岡野光夫氏が世界で初めて創唱した。

 温度応答性ポリマーで表面加工した細胞培養皿を用いて、患者自身の組織から採取した細胞をシート状に培養する。培養した細胞シートを患部に貼る(移植する)だけで、細胞が生着(移植した細胞が患部に定着)する。

 細胞シート再生医療には患者自身の細胞を用いるため免疫拒絶反応が起こらない、身体のどの部位の細胞からも作製できる、施術としては比較的簡単な治療法である、細胞が生体組織に速やかに生着する、残存機能を損なわずに根治を目指すことも可能であるなどのメリットがあり、新たな再生医療技術として注目されている。

■中期経営計画

 中期経営計画(20年12月期〜22年12月期)では事業戦略として、食道再生上皮シートの早期の製造販売承認申請、自己軟骨再生シートの早期の治験開始、同種軟骨再生シートの早期の治験開始、食道再生上皮シートおよび軟骨再生シートに続く第三品目の歯根膜再生シートの開発着手、日本発の細胞シート工学の世界展開のための事業提携推進、台湾MetaTech社および台湾合弁会社との協業による収益機会の獲得、器材の新製品開発、生産能力の確保、受託製造・コンサルティングによる収益機会の獲得を推進し、収益拡大を目指すとしている。

 19年8月には第三品目の開発案件として、東京医科歯科大学と歯根膜細胞シート開発に向けた協議を開始した。

■食道再生上皮シートは早期の承認申請を目指す

 食道再生上皮シートは、食道がん再生治療法(食道創傷治癒・狭窄予防)として、東京女子医科大学先端生命医科学研究所が開発した治療法である。患者の口腔粘膜から採取した細胞から、温度応答性細胞培養皿を用いて細胞シートを作製し、食道がん切除内視鏡手術後の食道潰瘍面に移植する。

 東京女子医科大学と食道再生上皮細胞シート開発基本合意書を締結し、16年8月国立がん研究センター中央病院、国立がん研究センター東病院、東京女子医科大学病院で治験開始した。17年2月には「口腔粘膜由来食道細胞シート」が厚生労働省から再生医療等製品の先駆け審査指定制度の対象品目指定を受け、18年4月までに症例登録を終了した。

 なお19年2月に食道再生上皮シート臨床試験に係る治験結果を発表したが、主要評価項目の「ESD後8週目の狭窄予防効果」において統計的な優位性が証明されなかった。このため追加臨床試験を実施すべく、独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)と協議を続け、早期の製造販売承認申請を目指すとしている。

■軟骨再生シートは早期の治験開始を目指す

 軟骨再生シート(自己細胞由来軟骨再生シート、同種細胞由来軟骨再生シート)は17年2月に東海大学と、軟骨再生シート臨床研究の実用化開発、治験、製造販売承認申請に向けて協力体制を推進することを目的とした基本合意書を締結し、軟骨欠損および変形性膝関節症を適応症として共同研究を進めている。細胞シートを積層化した3次元複合体の積層化軟骨細胞シートを患部に移植し、軟骨の修復・再生に寄与する。

 自己細胞由来軟骨再生シートは東海大学が先進医療申請し、19年1月厚生労働省第71回先進医療会議で承認された。今後は東海大学から厚生労働省へ第2種再生医療等提供計画の申請を以って、最終的な承認手続に進む。本件が実施に至った際には当社が細胞シート受託加工予定である。また先進医療の状況を見据えて治験を実施する方針だ。

 同種細胞由来軟骨再生シートは17年2月東海大学整形学科の佐藤正人教授が、世界初の同種軟骨細胞シートの移植手術(多指症患者軟骨組織を採取し、同種細胞シートとして移植)を実施した。臨床研究は10名の患者に移植予定で、18年第2四半期までに3例を実施した。これに対応して、レギュラトリーサイエンス戦略相談・レギュラトリーサイエンス総合相談および治験準備を進めている。そして早期の治験開始を目指す。なお19年11月には移植用「軟骨再生シート」が米国で基本特許を取得した。

■海外は台湾で事業提携

 海外は17年4月台湾MetaTech社に対して、台湾における細胞シート再生医療事業(食道再生上皮シートおよび軟骨再生シート)の独占的開発・製造・販売権を付与している。マイルストーン収入、開発製造関連データ料、開発サポート料を受領し、上市時には売上高に応じたロイヤルティ収入を得る。

 台湾MetaTech社は食道再生上皮シート治験届提出に向けて準備中である。19年12月には、台湾MetaTech社の提携先病院である義大医療財団法人義大病院が申請した自己軟骨細胞移植が、台湾衛生福利部(日本の厚生労働省に相当)から細胞治療技術施行計画として承認された。

 19年8月には台湾MetaTech社と台湾での合弁会社設立に関する基本合意書を締結し、さらに19年9月には新たな出資者を加えた合弁契約の4者間での締結を発表した。日本および台湾における細胞シート再生医療の研究開発・事業化(20年1月合弁会社設立手続完了、20年4月事業開始予定)を進める。

 今後の世界展開に向けては、台湾MetaTech社の支援を推進しつつ、アジア諸国・欧米をターゲットに海外事業提携先を探索している。

■再生医療支援事業

 再生医療支援事業は、主要顧客である大学・研究機関向けなどに、細胞シート回収用温度応答性細胞培養器材UpCellを中心とした器材を開発・販売する。

 市販製品(研究開発用途に限定)については、大日本印刷<7912>に製造を委託している。またテルモ<4543>の「ハートシート」の温度応答性細胞培養器材について、市販製品とは異なる特別仕様製品を供給している。18年10月には再生医療等製品製造業許可を取得し、18年11月再生医療受託サービスに関する第1号案件を東京女子医科大学から受注した。同大学は今回受託製造する当該細胞シートを用いて医師主導治験を実施する。

■21年12月期収益化目標

 中期経営計画(20年12月期〜22年12月期)では、目標値を20年12月期売上高3億10百万円、各利益10億20百万円の赤字、21年12月期売上高3億60百万円、各利益10億30百万円の赤字、22年12月期売上高14億円、営業利益と経常利益10百万円の黒字、純利益8百万円の黒字としている。

 なお自己細胞由来軟骨再生シートで20年上期以降、共同研究先である東海大学から先進医療(今後5年間で最大20症例を移植予定)に係る製造を受託する。

■株価は反発の動き

 株価は3月の安値圏から反発の動きを強めている。出直りを期待したい。4月13日の終値は340円、時価総額は約46億円である。(情報提供:日 本インタビュ新聞社=Media−IR)

[03月24日更新]

セルシードは反発の動き、食道再生上皮シートの早期の承認申請目指す

 セルシード<7776>(JQ)は細胞シート再生医療製品の開発・事業化、および世界普及を目指すバイオベンチャーである。食道再生上皮シートの早期の承認申請を目指している。株価は地合い悪化で上場来安値を更新したが、売り一巡して反発の動きを強めている。出直りを期待したい。

■細胞シート再生医療製品の事業化、世界普及を目指すバイオベンチャー

 温度応答性ポリマーを用いた細胞シート工学という日本発の革新的再生医療技術を基盤技術として、この技術に基づいて作製される細胞シート再生医療製品の開発・事業化、および世界普及を目指すバイオベンチャーである。

 事業区分は、細胞シート再生医療事業(細胞シート再生医療製品および応用製品の研究開発・製造・販売)、および再生医療支援事業(細胞シート再生医療の基盤ツールである温度応答性細胞培養器材および応用製品の製造・販売)としている。子会社のCellSeed Sweden AB(スウェーデン)は、欧州で細胞シート再生医療製品の研究開発を行っている。

■細胞シート再生医療とは

 細胞シートは患者自身の組織から採取した細胞をシート状に培養したものである。細胞シート工学は、生体組織・臓器の基本単位となる細胞シートを生体外で人工的に作製する再生医療基盤技術で、東京女子医科大学先端生命医科学研究所の岡野光夫氏が世界で初めて創唱した。

 温度応答性ポリマーで表面加工した細胞培養皿を用いて、患者自身の組織から採取した細胞をシート状に培養する。培養した細胞シートを患部に貼る(移植する)だけで、細胞が生着(移植した細胞が患部に定着)する。

 細胞シート再生医療には患者自身の細胞を用いるため免疫拒絶反応が起こらない、身体のどの部位の細胞からも作製できる、施術としては比較的簡単な治療法である、細胞が生体組織に速やかに生着する、残存機能を損なわずに根治を目指すことも可能であるなどのメリットがあり、新たな再生医療技術として注目されている。

■中期経営計画

 中期経営計画(20年12月期〜22年12月期)では事業戦略として、食道再生上皮シートの早期の製造販売承認申請、自己軟骨再生シートの早期の治験開始、同種軟骨再生シートの早期の治験開始、食道再生上皮シートおよび軟骨再生シートに続く第三品目の歯根膜再生シートの開発着手、日本発の細胞シート工学の世界展開のための事業提携推進、台湾MetaTech社および台湾合弁会社との協業による収益機会の獲得、器材の新製品開発、生産能力の確保、受託製造・コンサルティングによる収益機会の獲得を推進し、収益拡大を目指すとしている。

 19年8月には第三品目の開発案件として、東京医科歯科大学と歯根膜細胞シート開発に向けた協議を開始すると発表している。

■食道再生上皮シートは早期の承認申請を目指す

 食道再生上皮シートは、食道がん再生治療法(食道創傷治癒・狭窄予防)として、東京女子医科大学先端生命医科学研究所が開発した治療法である。患者の口腔粘膜から採取した細胞から、温度応答性細胞培養皿を用いて細胞シートを作製し、食道がん切除内視鏡手術後の食道潰瘍面に移植する。

 東京女子医科大学と食道再生上皮細胞シート開発基本合意書を締結し、16年8月国立がん研究センター中央病院、国立がん研究センター東病院、東京女子医科大学病院において治験を開始した。17年2月「口腔粘膜由来食道細胞シート」が厚生労働省から再生医療等製品の先駆け審査指定制度の対象品目指定を受け、18年4月までに症例登録を終了した。

 なお19年2月に食道再生上皮シート臨床試験に係る治験結果を発表したが、主要評価項目の「ESD後8週目の狭窄予防効果」において統計的な優位性が証明されなかった。このため追加臨床試験を実施すべく、独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)と協議を続け、早期の製造販売承認申請を目指すとしている。

■軟骨再生シートは早期の治験開始を目指す

 軟骨再生シート(自己細胞由来軟骨再生シート、同種細胞由来軟骨再生シート)は17年2月に東海大学と、軟骨再生シート臨床研究の実用化開発、治験、製造販売承認申請に向けて協力体制を推進することを目的とした基本合意書を締結し、軟骨欠損および変形性膝関節症を適応症として共同研究を進めている。細胞シートを積層化した3次元複合体の積層化軟骨細胞シートを患部に移植し、軟骨の修復・再生に寄与する。

 自己細胞由来軟骨再生シートは東海大学が先進医療申請、18年10月自己細胞由来シートによる軟骨再生医療が厚生労働省第76回先進医療技術審査部会の審査を通過、19年1月厚生労働省第71回先進医療会議で承認された。今後は再生医療等安全性確保の定めに則って、東海大学で実施される特定認定再生医療等委員会での審議を経て、東海大学から厚生労働省へ第2種再生医療等提供計画の申請を以って、最終的な承認手続に進む。本件が実施に至った際には当社が細胞シート受託加工予定である。また先進医療の状況を見据えて治験を実施する方針だ。

 同種細胞由来軟骨再生シートは17年2月東海大学整形学科の佐藤正人教授が、世界初の同種軟骨細胞シートの移植手術(多指症患者軟骨組織を採取し、同種細胞シートとして移植)を実施した。臨床研究は10名の患者に移植予定で、18年第2四半期までに3例を実施した。これに対応して、レギュラトリーサイエンス戦略相談・レギュラトリーサイエンス総合相談および治験準備を進めている。そして早期の治験開始を目指す。なお19年11月には移植用「軟骨再生シート」が米国で基本特許を取得した。

■海外は台湾で事業提携

 海外は17年4月台湾MetaTech社と、台湾における細胞シート再生医療事業(食道再生上皮シートおよび軟骨再生シート)の事業提携契約を締結して、独占的開発・製造・販売権を付与している。マイルストーン収入、開発製造関連データ料、開発サポート料を最大12億50百万円受領予定である。上市時には売上高に応じたロイヤルティ収入を得る。

 台湾MetaTech社は18年中の食道再生上皮シート治験届提出に向けて準備中である。当社からの一部開発データ提供は完了した。19年12月には、台湾MetaTech社の提携先病院である義大医療財団法人義大病院が申請した自己軟骨細胞移植が、台湾衛生福利部(日本の厚生労働省に相当)から細胞治療技術施行計画として承認された。

 19年8月には台湾MetaTech社と台湾での合弁会社設立に関する基本合意書を締結し、さらに19年9月には新たな出資者を加えた合弁契約の4者間での締結を発表した。日本および台湾における細胞シート再生医療の研究開発・事業化を進める。20年1月合弁会社設立手続が完了(20年4月事業開始予定)した。

 今後の世界展開に向けては、台湾MetaTech社の支援を推進しつつ、アジア諸国・欧米をターゲットに海外事業提携先を探索している。

■再生医療支援事業では再生医療受託サービスに関する第1号案件を受注

 再生医療支援事業は、主要顧客である大学・研究機関向けなどに、細胞シート回収用温度応答性細胞培養器材UpCellを中心とした器材を開発・販売する。

 市販製品(研究開発用途に限定)については、大日本印刷<7912>に製造を委託している。またテルモ<4543>の「ハートシート」の温度応答性細胞培養器材について、市販製品とは異なる特別仕様製品を供給している。18年10月には再生医療等製品製造業許可を取得し、18年11月再生医療受託サービスに関する第1号案件を東京女子医科大学から受注した。同大学は今回受託製造する当該細胞シートを用いて医師主導治験を実施する。

■21年12月期収益本格化目標

 中期経営計画(20年12月期〜22年12月期)では、目標値を20年12月期売上高3億10百万円、各利益10億20百万円の赤字、21年12月期売上高3億60百万円、各利益10億30百万円の赤字、22年12月期売上高14億円、営業利益と経常利益10百万円の黒字、純利益8百万円の黒字としている。

 なお自己細胞由来軟骨再生シートで20年上期以降、共同研究先である東海大学から先進医療(今後5年間で最大20症例を移植予定)に係る製造を受託する。

■株価は反発の動き

 株価は地合い悪化で上場来安値を更新したが、売り一巡して反発の動きを強めている。出直りを期待したい。3月23日の終値は275円、時価総額は約37億円である。(情報提供:日 本インタビュ新聞社=Media−IR)

[02月28日更新]

セルシードは底値圏、食道再生上皮シートの早期の承認申請目指す

 セルシード<7776>(JQ)は細胞シート再生医療製品の開発・事業化、および世界普及を目指すバイオベンチャーである。食道再生上皮シートの早期の承認申請を目指している。株価は地合い悪も影響して上場来安値を更新したが、ほぼ底値圏だろう。

■細胞シート再生医療製品の事業化、世界普及を目指すバイオベンチャー

 温度応答性ポリマーを用いた細胞シート工学という日本発の革新的再生医療技術を基盤技術として、この技術に基づいて作製される細胞シート再生医療製品の開発・事業化、および世界普及を目指すバイオベンチャーである。

 事業区分は、細胞シート再生医療事業(細胞シート再生医療製品および応用製品の研究開発・製造・販売)、および再生医療支援事業(細胞シート再生医療の基盤ツールである温度応答性細胞培養器材および応用製品の製造・販売)としている。子会社のCellSeed Sweden AB(スウェーデン)は、欧州で細胞シート再生医療製品の研究開発を行っている。

■細胞シート再生医療とは

 細胞シートは患者自身の組織から採取した細胞をシート状に培養したものである。細胞シート工学は、生体組織・臓器の基本単位となる細胞シートを生体外で人工的に作製する再生医療基盤技術で、東京女子医科大学先端生命医科学研究所の岡野光夫氏が世界で初めて創唱した。

 温度応答性ポリマーで表面加工した細胞培養皿を用いて、患者自身の組織から採取した細胞をシート状に培養する。培養した細胞シートを患部に貼る(移植する)だけで、細胞が生着(移植した細胞が患部に定着)する。

 細胞シート再生医療には患者自身の細胞を用いるため免疫拒絶反応が起こらない、身体のどの部位の細胞からも作製できる、施術としては比較的簡単な治療法である、細胞が生体組織に速やかに生着する、残存機能を損なわずに根治を目指すことも可能であるなどのメリットがあり、新たな再生医療技術として注目されている。

■中期経営計画

 中期経営計画(20年12月期〜22年12月期)では事業戦略として、食道再生上皮シートの早期の製造販売承認申請、自己軟骨再生シートの早期の治験開始、同種軟骨再生シートの早期の治験開始、食道再生上皮シートおよび軟骨再生シートに続く第三品目の歯根膜再生シートの開発着手、日本発の細胞シート工学の世界展開のための事業提携推進、台湾MetaTech社および台湾合弁会社との協業による収益機会の獲得、器材の新製品開発、生産能力の確保、受託製造・コンサルティングによる収益機会の獲得を推進し、収益拡大を目指すとしている。

 なお19年8月には第三品目の開発案件として、東京医科歯科大学と歯根膜細胞シート開発に向けた協議を開始すると発表している。

■食道再生上皮シートは早期の承認申請を目指す

 食道再生上皮シートは、食道がん再生治療法(食道創傷治癒・狭窄予防)として、東京女子医科大学先端生命医科学研究所が開発した治療法である。患者の口腔粘膜から採取した細胞から、温度応答性細胞培養皿を用いて細胞シートを作製し、食道がん切除内視鏡手術後の食道潰瘍面に移植する。

 東京女子医科大学と食道再生上皮細胞シート開発基本合意書を締結し、16年8月国立がん研究センター中央病院、国立がん研究センター東病院、東京女子医科大学病院において治験を開始した。17年2月「口腔粘膜由来食道細胞シート」が厚生労働省から再生医療等製品の先駆け審査指定制度の対象品目指定を受け、18年4月までに症例登録を終了した。

 なお19年2月に食道再生上皮シート臨床試験に係る治験結果を発表した。安全性は確認できたものの、主要評価項目の「ESD後8週目の狭窄予防効果」において統計的な優位性が証明されなかった。このため追加臨床試験を実施すべく独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)と協議を続け、早期の製造販売承認申請を目指すとしている。

■軟骨再生シートは早期の治験開始を目指す

 軟骨再生シート(自己細胞由来軟骨再生シート、同種細胞由来軟骨再生シート)は17年2月に東海大学と、軟骨再生シート臨床研究の実用化開発、治験、製造販売承認申請に向けて協力体制を推進することを目的とした基本合意書を締結し、軟骨欠損および変形性膝関節症を適応症として共同研究を進めている。細胞シートを積層化した3次元複合体の積層化軟骨細胞シートを患部に移植し、軟骨の修復・再生に寄与する。

 自己細胞由来軟骨再生シートは東海大学が先進医療申請、18年10月自己細胞由来シートによる軟骨再生医療が厚生労働省第76回先進医療技術審査部会の審査を通過、19年1月厚生労働省第71回先進医療会議で承認された。今後は再生医療等安全性確保の定めに則って、東海大学で実施される特定認定再生医療等委員会での審議を経て、東海大学から厚生労働省へ第2種再生医療等提供計画の申請を以って、最終的な承認手続に進む。本件が実施に至った際には当社が細胞シート受託加工予定である。また先進医療の状況を見据えて治験を実施する方針だ。

 同種細胞由来軟骨再生シートは17年2月東海大学整形学科の佐藤正人教授が、世界初の同種軟骨細胞シートの移植手術(多指症患者軟骨組織を採取し、同種細胞シートとして移植)を実施した。臨床研究は10名の患者に移植予定で、18年第2四半期までに3例を実施した。これに対応して、レギュラトリーサイエンス戦略相談・レギュラトリーサイエンス総合相談および治験準備を進めている。そして早期の治験開始を目指す。なお19年11月には移植用「軟骨再生シート」が米国で基本特許を取得した。

■海外は台湾で事業提携

 海外は17年4月台湾MetaTech社と、台湾における細胞シート再生医療事業(食道再生上皮シートおよび軟骨再生シート)の事業提携契約を締結して、独占的開発・製造・販売権を付与している。マイルストーン収入、開発製造関連データ料、開発サポート料を最大12億50百万円受領予定である。上市時には売上高に応じたロイヤルティ収入を得る。

 台湾MetaTech社は18年中の食道再生上皮シート治験届提出に向けて準備中である。当社からの一部開発データ提供は完了した。なお19年12月には、台湾MetaTech社の提携先病院である義大医療財団法人義大病院が申請した自己軟骨細胞移植が、台湾衛生福利部(日本の厚生労働省に相当)から細胞治療技術施行計画として承認された。

 19年8月には台湾MetaTech社と台湾での合弁会社設立に関する基本合意書を締結し、さらに19年9月には新たな出資者を加えた合弁契約の4者間での締結を発表した。日本および台湾における細胞シート再生医療の研究開発・事業化を進める。20年1月合弁会社設立手続が完了した。そして20年4月、合弁会社の事業開始予定としている。

 今後の世界展開に向けては、台湾MetaTech社の支援を推進しつつ、アジア諸国・欧米をターゲットに海外事業提携先を探索している。

■再生医療支援事業では再生医療受託サービスに関する第1号案件を受注

 再生医療支援事業は、主要顧客である大学・研究機関向けなどに、細胞シート回収用温度応答性細胞培養器材UpCellを中心とした器材を開発・販売する。

 14年4月大日本印刷<7912>と細胞培養器材製造委託基本契約を締結し、市販製品(研究開発用途に限定)について大日本印刷に製造を委託している。16年3月テルモ<4543>と細胞培養器材に関する取引基本契約を締結し、テルモが再生医療等製品に係る保険適用決定を受けた「ハートシート」に含まれる当社製品(温度応答性細胞培養器材)について、市販製品とは異なる特別仕様製品を供給している。

 また18年10月再生医療等製品製造業許可を取得し、18年11月再生医療受託サービスに関する第1号案件を東京女子医科大学から受注した。同大学は今回受託製造する当該細胞シートを用いて医師主導治験を実施する。

■21年12月期収益本格化目標

 中期経営計画(20年12月期〜22年12月期)では、目標値を20年12月期売上高3億10百万円、各利益10億20百万円の赤字、21年12月期売上高3億60百万円、各利益10億30百万円の赤字、22年12月期売上高14億円、営業利益と経常利益10百万円の黒字、純利益8百万円の黒字としている。

 なお自己細胞由来軟骨再生シートで20年上期以降、共同研究先である東海大学から先進医療(今後5年間で最大20症例を移植予定)に係る製造を受託する。

■株価は底値圏

 株価は地合い悪も影響して上場来安値を更新したが、ほぼ底値圏だろう。2月27日の終値は355円、時価総額は約46億円である。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media−IR)
[01月28日更新]

セルシードは底値圏、食道再生上皮シートの22年承認申請目指す

 セルシード<7776>(JQ)は細胞シート再生医療製品の開発・事業化、および世界普及を目指すバイオベンチャーである。食道再生上皮シートは日本で22年承認申請、同種細胞由来軟骨再生シートは21年企業治験開始を目指している。株価は軟調展開だが、ほぼ底値圏だろう。

■細胞シート再生医療製品の事業化、世界普及を目指すバイオベンチャー

 温度応答性ポリマーを用いた細胞シート工学という日本発の革新的再生医療技術を基盤技術として、この技術に基づいて作製される細胞シート再生医療製品の開発・事業化、および世界普及を目指すバイオベンチャーである。

■細胞シート再生医療とは

 細胞シートは患者自身の組織から採取した細胞をシート状に培養したものである。細胞シート工学は、生体組織・臓器の基本単位となる細胞シートを生体外で人工的に作製する再生医療基盤技術で、東京女子医科大学先端生命医科学研究所の岡野光夫氏が世界で初めて創唱した。

 温度応答性ポリマーで表面加工した細胞培養皿を用いて、患者自身の組織から採取した細胞をシート状に培養する。培養した細胞シートを患部に貼る(移植する)だけで、細胞が生着(移植した細胞が患部に定着)する。

 細胞シート再生医療には患者自身の細胞を用いるため免疫拒絶反応が起こらない、身体のどの部位の細胞からも作製できる、施術としては比較的簡単な治療法である、細胞が生体組織に速やかに生着する、残存機能を損なわずに根治を目指すことも可能であるなどのメリットがあり、新たな再生医療技術として注目されている。

■中期経営計画

 中期経営計画(19年12月期〜21年12月期)概要は、日本で22年の食道再生上皮シートの製造販売承認申請を目指す、軟骨再生シートの21年治験開始に向けた開発を加速する、食道再生上皮シートおよび軟骨再生シートに続く次期品目の開発に着手する、細胞シート再生医療および支援製品の組織・インフラ体制を構築する、再生医療支援製品の新製品開発および受託製造を推進して更なる収益機会獲得を目指す、日本発の細胞シート工学の世界展開のために事業提携を積極推進して収益拡大を目指すとしている。

 19年8月には第三品目の開発案件として、東京医科歯科大学と歯根膜細胞シート開発に向けた協議を開始すると発表した。

 なお事業区分は、細胞シート再生医療事業(細胞シート再生医療製品および応用製品の研究開発・製造・販売)、および再生医療支援事業(細胞シート再生医療の基盤ツールである温度応答性細胞培養器材および応用製品の製造・販売)としている。子会社のCellSeed Sweden AB(スウェーデン)は、欧州で細胞シート再生医療製品の研究開発を行っている。

■食道再生上皮シートは日本で22年承認申請目指す

 食道再生上皮シートは、食道がん再生治療法(食道創傷治癒・狭窄予防)として、東京女子医科大学先端生命医科学研究所が開発した治療法である。患者の口腔粘膜から採取した細胞から、温度応答性細胞培養皿を用いて細胞シートを作製し、食道がん切除内視鏡手術後の食道潰瘍面に移植する。

 東京女子医科大学と食道再生上皮細胞シート開発基本合意書を締結し、16年8月国立がん研究センター中央病院、国立がん研究センター東病院、東京女子医科大学病院において治験を開始した。17年2月「口腔粘膜由来食道細胞シート」が厚生労働省から再生医療等製品の先駆け審査指定制度の対象品目指定を受け、18年4月までに症例登録を終了した。

 なお19年2月に食道再生上皮シート臨床試験に係る治験結果を発表した。安全性は確認できたものの、主要評価項目の「ESD後8週目の狭窄予防効果」において統計的な優位性が証明されなかった。このため追加臨床試験を実施すべく独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)と協議を続け、日本で22年製造販売承認申請を目指す。

■軟骨再生シートは同種細胞由来の21年企業治験開始目指す

 軟骨再生シート(自己細胞由来軟骨再生シート、同種細胞由来軟骨再生シート)は17年2月に東海大学と、軟骨再生シート臨床研究の実用化開発、治験、製造販売承認申請に向けて協力体制を推進することを目的とした基本合意書を締結し、軟骨欠損および変形性膝関節症を適応症として共同研究を進めている。細胞シートを積層化した3次元複合体の積層化軟骨細胞シートを患部に移植し、軟骨の修復・再生に寄与する。

 自己細胞由来軟骨再生シートは東海大学が先進医療申請、18年10月自己細胞由来シートによる軟骨再生医療が厚生労働省第76回先進医療技術審査部会の審査を通過、19年1月厚生労働省第71回先進医療会議で承認された。今後は再生医療等安全性確保の定めに則って、東海大学で実施される特定認定再生医療等委員会での審議を経て、東海大学から厚生労働省へ第2種再生医療等提供計画の申請を以って、最終的な承認手続に進む。本件が実施に至った際には当社が細胞シート受託加工予定である。また先進医療の状況を見据えて治験を実施する方針だ。

 同種細胞由来軟骨再生シートは17年2月東海大学整形学科の佐藤正人教授が、世界初の同種軟骨細胞シートの移植手術(多指症患者軟骨組織を採取し、同種細胞シートとして移植)を実施した。臨床研究は10名の患者に移植予定で、18年第2四半期までに3例を実施した。これに対応して、レギュラトリーサイエンス戦略相談・レギュラトリーサイエンス総合相談および治験準備を進めている。そして21年企業治験開始を目指す。なお19年11月には移植用「軟骨再生シート」が米国で基本特許を取得した。

■海外は台湾で事業提携

 海外は17年4月台湾MetaTech社と、台湾における細胞シート再生医療事業(食道再生上皮シートおよび軟骨再生シート)の事業提携契約を締結して、独占的開発・製造・販売権を付与している。マイルストーン収入、開発製造関連データ料、開発サポート料を最大12億50百万円受領予定である。上市時には売上高に応じたロイヤルティ収入を得る。

 台湾MetaTech社は18年中の食道再生上皮シート治験届提出に向けて準備中である。当社からの一部開発データ提供は完了した。なお19年12月には、台湾MetaTech社の提携先病院である義大医療財団法人義大病院が申請した自己軟骨細胞移植が、台湾衛生福利部(日本の厚生労働省に相当)から細胞治療技術施行計画として承認された。

 19年8月には台湾MetaTech社と台湾での合弁会社設立に関する基本合意書を締結し、さらに19年9月には新たな出資者を加えた合弁契約の4者間での締結を発表した。日本および台湾における細胞シート再生医療の研究開発・事業化を進める。20年4月事業開始予定としている。

 今後の世界展開に向けては、台湾MetaTech社の支援を推進しつつ、アジア諸国・欧米をターゲットに海外事業提携先を探索している。

■再生医療支援事業では再生医療受託サービスに関する第1号案件を受注

 再生医療支援事業は、主要顧客である大学・研究機関向けなどに、細胞シート回収用温度応答性細胞培養器材UpCellを中心とした器材を開発・販売する。

 14年4月大日本印刷<7912>と細胞培養器材製造委託基本契約を締結し、市販製品(研究開発用途に限定)について大日本印刷に製造を委託している。16年3月テルモ<4543>と細胞培養器材に関する取引基本契約を締結し、テルモが再生医療等製品に係る保険適用決定を受けた「ハートシート」に含まれる当社製品(温度応答性細胞培養器材)について、市販製品とは異なる特別仕様製品を供給している。

 また18年10月再生医療等製品製造業許可を取得し、18年11月再生医療受託サービスに関する第1号案件を東京女子医科大学から受注した。同大学は今回受託製造する当該細胞シートを用いて医師主導治験を実施する。

■21年12月期収益本格化目標

 中期経営計画(19年12月期〜21年12月期)では、目標値を19年12月期売上高3億円、各利益11億円の赤字、20年12月期売上高3億50百万円、各利益13億円の赤字、21年12月期売上高20億円、営業利益と経常利益3億円の黒字、純利益2億25百万円の黒字としている。

 なお自己細胞由来軟骨再生シートで19年下期以降、共同研究先である東海大学から先進医療(今後5年間で最大20症例を移植予定)に係る製造を受託する。

■株価は底値圏

 株価は軟調展開だが、ほぼ底値圏だろう。1月27日の終値は473円、時価総額は約61億円である。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media−IR)
[12月25日更新]

セルシードは底固め完了、食道再生上皮シートの22年承認申請目指す

 セルシード<7776>(JQ)は、細胞シート再生医療製品の開発・事業化、および世界普及を目指すバイオベンチャーである。食道再生上皮シートは日本で22年承認申請を目指し、同種細胞由来軟骨再生シートは21年企業治験開始に向けて開発を加速する。株価は反発力の鈍い展開だが、底固め完了感を強めている。出直りを期待したい。

■細胞シート再生医療製品の事業化、世界普及を目指すバイオベンチャー

 温度応答性ポリマーを用いた細胞シート工学という日本発の革新的再生医療技術を基盤技術として、この技術に基づいて作製される細胞シート再生医療製品の開発・事業化、および世界普及を目指すバイオベンチャーである。

■細胞シート再生医療とは

 細胞シートは患者自身の組織から採取した細胞をシート状に培養したものである。細胞シート工学は、生体組織・臓器の基本単位となる細胞シートを生体外で人工的に作製する再生医療基盤技術で、東京女子医科大学先端生命医科学研究所の岡野光夫氏が世界で初めて創唱した。

 温度応答性ポリマーで表面加工した細胞培養皿を用いて、患者自身の組織から採取した細胞をシート状に培養する。培養した細胞シートを患部に貼る(移植する)だけで、細胞が生着(移植した細胞が患部に定着)する。

 細胞シート再生医療には患者自身の細胞を用いるため免疫拒絶反応が起こらない、身体のどの部位の細胞からも作製できる、施術としては比較的簡単な治療法である、細胞が生体組織に速やかに生着する、残存機能を損なわずに根治を目指すことも可能であるなどのメリットがあり、新たな再生医療技術として注目されている。

■中期経営計画

 中期経営計画(19年12月期〜21年12月期)概要は、日本で22年の食道再生上皮シートの製造販売承認申請を目指す、軟骨再生シートの21年治験開始に向けた開発を加速する、食道再生上皮シートおよび軟骨再生シートに続く次期品目の開発に着手する、細胞シート再生医療および支援製品の組織・インフラ体制を構築する、再生医療支援製品の新製品開発および受託製造を推進して更なる収益機会獲得を目指す、日本発の細胞シート工学の世界展開のために事業提携を積極推進して収益拡大を目指すとしている。

 19年8月には第三品目の開発案件として、東京医科歯科大学と歯根膜細胞シート開発に向けた協議を開始すると発表した。

 なお事業区分は、細胞シート再生医療事業(細胞シート再生医療製品および応用製品の研究開発・製造・販売)、および再生医療支援事業(細胞シート再生医療の基盤ツールである温度応答性細胞培養器材および応用製品の製造・販売)としている。子会社のCellSeed Sweden AB(スウェーデン)は、欧州で細胞シート再生医療製品の研究開発を行っている。

■食道再生上皮シートは日本で22年承認申請目指す

 食道再生上皮シートは、食道がん再生治療法(食道創傷治癒・狭窄予防)として、東京女子医科大学先端生命医科学研究所が開発した治療法である。患者の口腔粘膜から採取した細胞から、温度応答性細胞培養皿を用いて細胞シートを作製し、食道がん切除内視鏡手術後の食道潰瘍面に移植する。

 東京女子医科大学と食道再生上皮細胞シート開発基本合意書を締結し、16年8月国立がん研究センター中央病院、国立がん研究センター東病院、東京女子医科大学病院において治験を開始した。17年2月「口腔粘膜由来食道細胞シート」が厚生労働省から再生医療等製品の先駆け審査指定制度の対象品目指定を受け、18年4月までに症例登録を終了した。

 なお19年2月に食道再生上皮シート臨床試験に係る治験結果を発表した。安全性は確認できたものの、主要評価項目の「ESD後8週目の狭窄予防効果」において統計的な優位性が証明されなかった。このため追加臨床試験を実施すべく独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)と協議を続け、日本で22年製造販売承認申請を目指す。

■軟骨再生シートは同種細胞由来の21年企業治験開始目指す

 軟骨再生シート(自己細胞由来軟骨再生シート、同種細胞由来軟骨再生シート)は17年2月に東海大学と、軟骨再生シート臨床研究の実用化開発、治験、製造販売承認申請に向けて協力体制を推進することを目的とした基本合意書を締結し、軟骨欠損および変形性膝関節症を適応症として共同研究を進めている。細胞シートを積層化した3次元複合体の積層化軟骨細胞シートを患部に移植し、軟骨の修復・再生に寄与する。

 自己細胞由来軟骨再生シートは東海大学が先進医療申請、18年10月自己細胞由来シートによる軟骨再生医療が厚生労働省第76回先進医療技術審査部会の審査を通過、19年1月厚生労働省第71回先進医療会議で承認された。今後は再生医療等安全性確保の定めに則って、東海大学で実施される特定認定再生医療等委員会での審議を経て、東海大学から厚生労働省へ第2種再生医療等提供計画の申請を以って、最終的な承認手続に進む。本件が実施に至った際には当社が細胞シート受託加工予定である。また先進医療の状況を見据えて治験を実施する方針だ。

 同種細胞由来軟骨再生シートは17年2月東海大学整形学科の佐藤正人教授が、世界初の同種軟骨細胞シートの移植手術(多指症患者軟骨組織を採取し、同種細胞シートとして移植)を実施した。臨床研究は10名の患者に移植予定で、18年第2四半期までに3例を実施した。これに対応して、レギュラトリーサイエンス戦略相談・レギュラトリーサイエンス総合相談および治験準備を進めている。そして21年企業治験開始を目指す。

 18年9月には、国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)が公募した補助事業である平成30年度「再生医療の産業化に向けた評価基盤技術開発事業(再生医療シーズ開発加速支援)」に、当社が提案した研究開発課題「同種軟骨細胞シート(CLS2901C)の製品化に向けた製造方法の確立」が採択された。19年11月には移植用「軟骨再生シート」が米国で基本特許を取得した。

■海外は台湾で事業提携

 海外は17年4月台湾MetaTech社と、台湾における細胞シート再生医療事業(食道再生上皮シートおよび軟骨再生シート)の事業提携契約を締結して、独占的開発・製造・販売権を付与した。マイルストーン収入、開発製造関連データ料、開発サポート料を最大12億50百万円受領予定である。上市時には売上高に応じたロイヤルティ収入を得る。

 台湾MetaTech社は18年中の食道再生上皮シート治験届提出に向けて準備中である。当社からの一部開発データ提供は完了した。なお12月23日には、台湾MetaTech社の提携先病院である義大医療財団法人義大病院が申請した自己軟骨細胞移植が、12月18日付で台湾衛生福利部(日本の厚生労働省に相当)から、細胞治療技術施行計画として承認されたと発表している。

 19年8月には台湾MetaTech社と台湾での合弁会社設立に関する基本合意書を締結し、さらに19年9月には新たな出資者を加えた合弁契約の4者間での締結を発表した。日本および台湾における細胞シート再生医療の研究開発・事業化を進める。20年4月事業開始予定としている。

 今後の世界展開に向けては、台湾MetaTech社の支援を推進しつつ、アジア諸国・欧米をターゲットに海外事業提携先を探索している。

■再生医療支援事業では再生医療受託サービスに関する第1号案件を受注

 再生医療支援事業は、主要顧客である大学・研究機関向けなどに、細胞シート回収用温度応答性細胞培養器材UpCellを中心とした器材を開発・販売する。

 14年4月大日本印刷<7912>と細胞培養器材製造委託基本契約を締結し、市販製品(研究開発用途に限定)について大日本印刷に製造を委託している。16年3月テルモ<4543>と細胞培養器材に関する取引基本契約を締結し、テルモが再生医療等製品に係る保険適用決定を受けた「ハートシート」に含まれる当社製品(温度応答性細胞培養器材)について、市販製品とは異なる特別仕様製品を供給している。

 また18年10月再生医療等製品製造業許可を取得し、18年11月再生医療受託サービスに関する第1号案件を東京女子医科大学から受注した。同大学は今回受託製造する当該細胞シートを用いて医師主導治験を実施する。

■21年12月期収益本格化目標

 中期経営計画(19年12月期〜21年12月期)では、目標値を19年12月期売上高3億円、各利益11億円の赤字、20年12月期売上高3億50百万円、各利益13億円の赤字、21年12月期売上高20億円、営業利益と経常利益3億円の黒字、純利益2億25百万円の黒字としている。

 なお自己細胞由来軟骨再生シートで19年下期以降、共同研究先である東海大学から先進医療(今後5年間で最大20症例を移植予定)に係る製造を受託する。

■株価は底固め完了

 株価は反発力の鈍い展開だが、底固め完了感を強めている。出直りを期待したい。12月24日の終値は504円、時価総額は約62億円である。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media−IR)
[11月27日更新]

セルシードは底打ち、食道再生上皮シートの22年承認申請目指す

 セルシード<7776>(JQ)は細胞シート再生医療製品の開発・事業化、および世界普及を目指すバイオベンチャーである。食道再生上皮シートは日本で22年承認申請を目指し、同種細胞由来軟骨再生シートは21年企業治験開始に向けて開発を加速する。株価は8月の安値で底打ちして反発の動きを強めている。出直りを期待したい。

■細胞シート再生医療製品の事業化、世界普及を目指すバイオベンチャー

 温度応答性ポリマーを用いた細胞シート工学という日本発の革新的再生医療技術を基盤技術として、この技術に基づいて作製される細胞シート再生医療製品の開発・事業化、および世界普及を目指すバイオベンチャーである。

■細胞シート再生医療とは

 細胞シートは患者自身の組織から採取した細胞をシート状に培養したものである。細胞シート工学は、生体組織・臓器の基本単位となる細胞シートを生体外で人工的に作製する再生医療基盤技術で、東京女子医科大学先端生命医科学研究所の岡野光夫氏が世界で初めて創唱した。

 温度応答性ポリマーで表面加工した細胞培養皿を用いて、患者自身の組織から採取した細胞をシート状に培養する。培養した細胞シートを患部に貼る(移植する)だけで、細胞が生着(移植した細胞が患部に定着)する。

 細胞シート再生医療には患者自身の細胞を用いるため免疫拒絶反応が起こらない、身体のどの部位の細胞からも作製できる、施術としては比較的簡単な治療法である、細胞が生体組織に速やかに生着する、残存機能を損なわずに根治を目指すことも可能であるなどのメリットがあり、新たな再生医療技術として注目されている。

■中期経営計画

 中期経営計画(19年12月期〜21年12月期)概要は、日本で22年の食道再生上皮シートの製造販売承認申請を目指す、軟骨再生シートの21年治験開始に向けた開発を加速する、食道再生上皮シートおよび軟骨再生シートに続く次期品目の開発に着手する、細胞シート再生医療および支援製品の組織・インフラ体制を構築する、再生医療支援製品の新製品開発および受託製造を推進して更なる収益機会獲得を目指す、日本発の細胞シート工学の世界展開のために事業提携を積極推進して収益拡大を目指すとしている。

 19年8月には第三品目の開発案件として、東京医科歯科大学と歯根膜細胞シート開発に向けた協議を開始すると発表した。

 なお事業区分は、細胞シート再生医療事業(細胞シート再生医療製品および応用製品の研究開発・製造・販売)、および再生医療支援事業(細胞シート再生医療の基盤ツールである温度応答性細胞培養器材および応用製品の製造・販売)としている。子会社のCellSeed Sweden AB(スウェーデン)は、欧州で細胞シート再生医療製品の研究開発を行っている。

■食道再生上皮シートは日本で22年承認申請目指す

 食道再生上皮シートは、食道がん再生治療法(食道創傷治癒・狭窄予防)として、東京女子医科大学先端生命医科学研究所が開発した治療法である。患者の口腔粘膜から採取した細胞から、温度応答性細胞培養皿を用いて細胞シートを作製し、食道がん切除内視鏡手術後の食道潰瘍面に移植する。

 東京女子医科大学と食道再生上皮細胞シート開発基本合意書を締結し、16年8月国立がん研究センター中央病院、国立がん研究センター東病院、東京女子医科大学病院において治験を開始した。17年2月「口腔粘膜由来食道細胞シート」が厚生労働省から再生医療等製品の先駆け審査指定制度の対象品目指定を受け、18年4月までに症例登録を終了した。

 なお19年2月に食道再生上皮シート臨床試験に係る治験結果を発表した。安全性は確認できたものの、主要評価項目の「ESD後8週目の狭窄予防効果」において統計的な優位性が証明されなかった。このため追加臨床試験を実施すべく独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)と協議を続け、日本で22年製造販売承認申請を目指す。

■軟骨再生シートは同種細胞由来の21年企業治験開始目指す

 軟骨再生シート(自己細胞由来軟骨再生シート、同種細胞由来軟骨再生シート)は17年2月に東海大学と、軟骨再生シート臨床研究の実用化開発、治験、製造販売承認申請に向けて協力体制を推進することを目的とした基本合意書を締結し、軟骨欠損および変形性膝関節症を適応症として共同研究を進めている。細胞シートを積層化した3次元複合体の積層化軟骨細胞シートを患部に移植し、軟骨の修復・再生に寄与する。

 自己細胞由来軟骨再生シートは東海大学が先進医療申請、18年10月自己細胞由来シートによる軟骨再生医療が厚生労働省第76回先進医療技術審査部会の審査を通過、19年1月厚生労働省第71回先進医療会議で承認された。今後は再生医療等安全性確保の定めに則って、東海大学で実施される特定認定再生医療等委員会での審議を経て、東海大学から厚生労働省へ第2種再生医療等提供計画の申請を以って、最終的な承認手続に進む。本件が実施に至った際には当社が細胞シート受託加工予定である。また先進医療の状況を見据えて治験を実施する方針だ。

 同種細胞由来軟骨再生シートは17年2月東海大学整形学科の佐藤正人教授が、世界初の同種軟骨細胞シートの移植手術(多指症患者軟骨組織を採取し、同種細胞シートとして移植)を実施した。臨床研究は10名の患者に移植予定で、18年第2四半期までに3例を実施した。これに対応して、レギュラトリーサイエンス戦略相談・レギュラトリーサイエンス総合相談および治験準備を進めている。そして21年企業治験開始を目指す。

 18年9月には、国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)が公募した補助事業である平成30年度「再生医療の産業化に向けた評価基盤技術開発事業(再生医療シーズ開発加速支援)」に、当社が提案した研究開発課題「同種軟骨細胞シート(CLS2901C)の製品化に向けた製造方法の確立」が採択された。

 なお11月20日には、移植用「軟骨再生シート」が米国で基本特許を取得したと発表している。

■海外は台湾で事業提携

 海外は17年4月台湾MetaTech社と、台湾における細胞シート再生医療事業(食道再生上皮シートおよび軟骨再生シート)の事業提携契約を締結して、独占的開発・製造・販売権を付与した。マイルストーン収入、開発製造関連データ料、開発サポート料を最大12億50百万円受領予定である。上市時には売上高に応じたロイヤルティ収入を得る。

 台湾MetaTech社は18年中の食道再生上皮シート治験届提出に向けて準備中である。当社からの一部開発データ提供は完了した。なお台湾では18年9月に細胞治療関連法が改正され、台湾版「先進医療」対象に軟骨再生シートが含まれる可能性もあるとしている。

 19年8月には台湾MetaTech社と台湾での合弁会社設立に関する基本合意書を締結し、さらに19年9月には新たな出資者を加えた合弁契約の4者間での締結を発表した。日本および台湾における細胞シート再生医療の研究開発・事業化を進める。20年4月事業開始予定としている。

 今後の世界展開に向けては、台湾MetaTech社の支援を推進しつつ、アジア諸国・欧米をターゲットに海外事業提携先を探索している。

■再生医療支援事業では再生医療受託サービスに関する第1号案件を受注

 再生医療支援事業は、主要顧客である大学・研究機関向けなどに、細胞シート回収用温度応答性細胞培養器材UpCellを中心とした器材を開発・販売する。

 14年4月大日本印刷<7912>と細胞培養器材製造委託基本契約を締結し、市販製品(研究開発用途に限定)について大日本印刷に製造を委託している。16年3月テルモ<4543>と細胞培養器材に関する取引基本契約を締結し、テルモが再生医療等製品に係る保険適用決定を受けた「ハートシート」に含まれる当社製品(温度応答性細胞培養器材)について、市販製品とは異なる特別仕様製品を供給している。

 また18年10月再生医療等製品製造業許可を取得し、18年11月再生医療受託サービスに関する第1号案件を東京女子医科大学から受注した。同大学は今回受託製造する当該細胞シートを用いて医師主導治験を実施する。

■21年12月期収益本格化目標

 中期経営計画(19年12月期〜21年12月期)では、目標値を19年12月期売上高3億円、各利益11億円の赤字、20年12月期売上高3億50百万円、各利益13億円の赤字、21年12月期売上高20億円、営業利益と経常利益3億円の黒字、純利益2億25百万円の黒字としている。自己細胞由来軟骨再生シートで19年下期以降、共同研究先である東海大学から先進医療(今後5年間で最大20症例を移植予定)に係る製造を受託する。

 なお19年12月期第3四半期累計は、売上高が2億10百万円、営業利益が5億54百万円の赤字、経常利益が5億58百万円の赤字、純利益が5億57百万円の赤字だった。

■株価は底値圏

 株価は8月の年初来安値で底打ちして反発の動きを強めている。出直りを期待したい。11月26日の終値は542円、時価総額は約64億円である。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media−IR)
[10月29日更新]

セルシードは底値圏、食道再生上皮シートの22年承認申請目指す

 セルシード<7776>(JQ)は細胞シート再生医療製品の開発・事業化、および世界普及を目指すバイオベンチャーである。食道再生上皮シートは日本で22年承認申請を目指し、同種細胞由来軟骨再生シートは21年企業治験開始に向けて開発を加速する計画だ。株価は17年12月の安値に接近しているが、ほぼ底値圏だろう。出直りを期待したい。

■細胞シート再生医療製品の事業化、世界普及を目指すバイオベンチャー

 温度応答性ポリマーを用いた細胞シート工学という日本発の革新的再生医療技術を基盤技術として、この技術に基づいて作製される細胞シート再生医療製品の開発・事業化、および世界普及を目指すバイオベンチャーである。

■細胞シート再生医療とは

 細胞シートは患者自身の組織から採取した細胞をシート状に培養したものである。細胞シート工学は、生体組織・臓器の基本単位となる細胞シートを生体外で人工的に作製する再生医療基盤技術で、東京女子医科大学先端生命医科学研究所の岡野光夫氏が世界で初めて創唱した。

 温度応答性ポリマーで表面加工した細胞培養皿を用いて、患者自身の組織から採取した細胞をシート状に培養する。培養した細胞シートを患部に貼る(移植する)だけで、細胞が生着(移植した細胞が患部に定着)する。

 細胞シート再生医療には患者自身の細胞を用いるため免疫拒絶反応が起こらない、身体のどの部位の細胞からも作製できる、施術としては比較的簡単な治療法である、細胞が生体組織に速やかに生着する、残存機能を損なわずに根治を目指すことも可能であるなどのメリットがあり、新たな再生医療技術として注目されている。

■中期経営計画

 中期経営計画(19年12月期〜21年12月期)概要は、日本で22年の食道再生上皮シートの製造販売承認申請を目指す、軟骨再生シートの21年治験開始に向けた開発を加速する、食道再生上皮シートおよび軟骨再生シートに続く次期品目の開発に着手する、細胞シート再生医療および支援製品の組織・インフラ体制を構築する、再生医療支援製品の新製品開発および受託製造を推進して更なる収益機会獲得を目指す、日本発の細胞シート工学の世界展開のために事業提携を積極推進して収益拡大を目指すとしている。

 19年8月には第三品目の開発案件として、東京医科歯科大学と歯根膜細胞シート開発に向けた協議を開始すると発表した。

 なお事業区分は、細胞シート再生医療事業(細胞シート再生医療製品および応用製品の研究開発・製造・販売)、および再生医療支援事業(細胞シート再生医療の基盤ツールである温度応答性細胞培養器材および応用製品の製造・販売)としている。子会社のCellSeed Sweden AB(スウェーデン)は、欧州で細胞シート再生医療製品の研究開発を行っている。

■食道再生上皮シートは日本で22年承認申請目指す

 食道再生上皮シートは、食道がん再生治療法(食道創傷治癒・狭窄予防)として、東京女子医科大学先端生命医科学研究所が開発した治療法である。患者の口腔粘膜から採取した細胞から、温度応答性細胞培養皿を用いて細胞シートを作製し、食道がん切除内視鏡手術後の食道潰瘍面に移植する。

 東京女子医科大学と食道再生上皮細胞シート開発基本合意書を締結し、16年8月国立がん研究センター中央病院、国立がん研究センター東病院、東京女子医科大学病院において治験を開始した。17年2月「口腔粘膜由来食道細胞シート」が厚生労働省から再生医療等製品の先駆け審査指定制度の対象品目指定を受け、18年4月までに症例登録を終了した。

 なお19年2月に食道再生上皮シート臨床試験に係る治験結果を発表した。安全性は確認できたものの、主要評価項目の「ESD後8週目の狭窄予防効果」において統計的な優位性が証明されなかった。このため追加臨床試験を実施すべく独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)と協議を続け、日本で22年製造販売承認申請を目指す。

■軟骨再生シートは同種細胞由来の21年企業治験開始目指す

 軟骨再生シート(自己細胞由来軟骨再生シート、同種細胞由来軟骨再生シート)は17年2月に東海大学と、軟骨再生シート臨床研究の実用化開発、治験、製造販売承認申請に向けて協力体制を推進することを目的とした基本合意書を締結し、軟骨欠損および変形性膝関節症を適応症として共同研究を進めている。細胞シートを積層化した3次元複合体の積層化軟骨細胞シートを患部に移植し、軟骨の修復・再生に寄与する。

 自己細胞由来軟骨再生シートは東海大学が先進医療申請、18年10月自己細胞由来シートによる軟骨再生医療が厚生労働省第76回先進医療技術審査部会の審査を通過、19年1月厚生労働省第71回先進医療会議で承認された。今後は再生医療等安全性確保の定めに則って、東海大学で実施される特定認定再生医療等委員会での審議を経て、東海大学から厚生労働省へ第2種再生医療等提供計画の申請を以って、最終的な承認手続に進む。本件が実施に至った際には当社が細胞シート受託加工予定である。また先進医療の状況を見据えて治験を実施する方針だ。

 同種細胞由来軟骨再生シートは17年2月東海大学整形学科の佐藤正人教授が、世界初の同種軟骨細胞シートの移植手術(多指症患者軟骨組織を採取し、同種細胞シートとして移植)を実施した。臨床研究は10名の患者に移植予定で、18年第2四半期までに3例を実施した。これに対応して、レギュラトリーサイエンス戦略相談・レギュラトリーサイエンス総合相談および治験準備を進めている。そして21年企業治験開始を目指す。

 18年9月には、国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)が公募した補助事業である平成30年度「再生医療の産業化に向けた評価基盤技術開発事業(再生医療シーズ開発加速支援)」に、当社が提案した研究開発課題「同種軟骨細胞シート(CLS2901C)の製品化に向けた製造方法の確立」が採択された。

■海外は台湾で事業提携

 海外は17年4月台湾MetaTech社と、台湾における細胞シート再生医療事業(食道再生上皮シートおよび軟骨再生シート)の事業提携契約を締結して、独占的開発・製造・販売権を付与した。マイルストーン収入、開発製造関連データ料、開発サポート料を最大12億50百万円受領予定である。上市時には売上高に応じたロイヤルティ収入を得る。

 台湾MetaTech社は18年中の食道再生上皮シート治験届提出に向けて準備中である。当社からの一部開発データ提供は完了した。なお台湾では18年9月に細胞治療関連法が改正され、台湾版「先進医療」対象に軟骨再生シートが含まれる可能性もあるとしている。

 19年8月には台湾MetaTech社と台湾での合弁会社設立に関する基本合意書を締結し、さらに19年9月には新たな出資者を加えた合弁契約の4者間での締結を発表した。日本および台湾における細胞シート再生医療の研究開発・事業化を進める。20年4月事業開始予定としている。

 今後の世界展開に向けては、台湾MetaTech社の支援を推進しつつ、アジア諸国・欧米をターゲットに海外事業提携先を探索している。

■再生医療支援事業では再生医療受託サービスに関する第1号案件を受注

 再生医療支援事業は、主要顧客である大学・研究機関向けなどに、細胞シート回収用温度応答性細胞培養器材UpCellを中心とした器材を開発・販売する。

 14年4月大日本印刷<7912>と細胞培養器材製造委託基本契約を締結し、市販製品(研究開発用途に限定)について大日本印刷に製造を委託している。16年3月テルモ<4543>と細胞培養器材に関する取引基本契約を締結し、テルモが再生医療等製品に係る保険適用決定を受けた「ハートシート」に含まれる当社製品(温度応答性細胞培養器材)について、市販製品とは異なる特別仕様製品を供給している。

 また18年10月再生医療等製品製造業許可を取得し、18年11月再生医療受託サービスに関する第1号案件を東京女子医科大学から受注した。同大学は今回受託製造する当該細胞シートを用いて医師主導治験を実施する。

■21年12月期収益本格化目標

 中期経営計画(19年12月期〜21年12月期)では、目標値を19年12月期売上高3億円、各利益11億円の赤字、20年12月期売上高3億50百万円、各利益13億円の赤字、21年12月期売上高20億円、営業利益と経常利益3億円の黒字、純利益2億25百万円の黒字としている。自己細胞由来軟骨再生シートで19年下期以降、共同研究先である東海大学から先進医療(今後5年間で最大20症例を移植予定)に係る製造を受託する。

 なお19年12月期第2四半期累計は、売上高が1億62百万円、営業利益が3億21百万円の赤字、経常利益が3億20百万円の赤字、純利益が3億19百万円の赤字だった。再生医療支援事業では東京女子医科大学から受注した再生医療受託サービスの1〜3症例目分を売上計上した。細胞シート再生医療事業では台湾MetaTech社向け売上を計上した。

■株価は底値圏

 株価は17年12月の安値に接近しているが、ほぼ底値圏だろう。出直りを期待したい。10月28日の終値は489円、時価総額は約56億円である。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media−IR)
[09月30日更新]

セルシードは底値圏、食道再生上皮シートの22年承認申請目指す

 セルシード<7776>(JQ)は細胞シート再生医療製品の開発・事業化、および世界普及を目指すバイオベンチャーである。食道再生上皮シートは日本で22年承認申請を目指し、同種細胞由来軟骨再生シートは21年企業治験開始に向けて開発を加速する計画だ。また第三品目の開発案件として東京医科歯科大学と歯根膜細胞シート開発に向けた協議を開始する。株価は反発力が鈍く軟調展開だが、ほぼ底値圏だろう。出直りを期待したい。

■細胞シート再生医療製品の事業化、世界普及を目指すバイオベンチャー

 温度応答性ポリマーを用いた細胞シート工学という日本発の革新的再生医療技術を基盤技術として、この技術に基づいて作製される細胞シート再生医療製品の開発・事業化、および世界普及を目指すバイオベンチャーである。

■細胞シート再生医療とは

 細胞シートは患者自身の組織から採取した細胞をシート状に培養したものである。細胞シート工学は、生体組織・臓器の基本単位となる細胞シートを生体外で人工的に作製する再生医療基盤技術で、東京女子医科大学先端生命医科学研究所の岡野光夫氏が世界で初めて創唱した。

 温度応答性ポリマーで表面加工した細胞培養皿を用いて、患者自身の組織から採取した細胞をシート状に培養する。培養した細胞シートを患部に貼る(移植する)だけで、細胞が生着(移植した細胞が患部に定着)する。

 細胞シート再生医療には患者自身の細胞を用いるため免疫拒絶反応が起こらない、身体のどの部位の細胞からも作製できる、施術としては比較的簡単な治療法である、細胞が生体組織に速やかに生着する、残存機能を損なわずに根治を目指すことも可能であるなどのメリットがあり、新たな再生医療技術として注目されている。

■中期経営計画

 中期経営計画(19年12月期〜21年12月期)概要は、日本で22年の食道再生上皮シートの製造販売承認申請を目指す、軟骨再生シートの21年治験開始に向けた開発を加速する、食道再生上皮シートおよび軟骨再生シートに続く次期品目の開発に着手する、細胞シート再生医療および支援製品の組織・インフラ体制を構築する、再生医療支援製品の新製品開発および受託製造を推進して更なる収益機会獲得を目指す、日本発の細胞シート工学の世界展開のために事業提携を積極推進して収益拡大を目指すとしている。

 19年8月には第三品目の開発案件として、東京医科歯科大学と歯根膜細胞シート開発に向けた協議を開始すると発表した。

 なお事業区分は、細胞シート再生医療事業(細胞シート再生医療製品および応用製品の研究開発・製造・販売)、および再生医療支援事業(細胞シート再生医療の基盤ツールである温度応答性細胞培養器材および応用製品の製造・販売)としている。子会社のCellSeed Sweden AB(スウェーデン)は、欧州で細胞シート再生医療製品の研究開発を行っている。

■食道再生上皮シートは日本で22年承認申請目指す

 食道再生上皮シートは、食道がん再生治療法(食道創傷治癒・狭窄予防)として、東京女子医科大学先端生命医科学研究所が開発した治療法である。患者の口腔粘膜から採取した細胞から、温度応答性細胞培養皿を用いて細胞シートを作製し、食道がん切除内視鏡手術後の食道潰瘍面に移植する。

 東京女子医科大学と食道再生上皮細胞シート開発基本合意書を締結し、16年8月国立がん研究センター中央病院、国立がん研究センター東病院、東京女子医科大学病院において治験を開始した。17年2月「口腔粘膜由来食道細胞シート」が厚生労働省から再生医療等製品の先駆け審査指定制度の対象品目指定を受け、18年4月までに症例登録を終了した。

 なお19年2月に食道再生上皮シート臨床試験に係る治験結果を発表した。安全性は確認できたものの、主要評価項目の「ESD後8週目の狭窄予防効果」において統計的な優位性が証明されなかった。このため追加臨床試験を実施すべく独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)と協議を続け、日本で22年製造販売承認申請を目指す。

■軟骨再生シートは同種細胞由来の21年企業治験開始目指す

 軟骨再生シート(自己細胞由来軟骨再生シート、同種細胞由来軟骨再生シート)は17年2月に東海大学と、軟骨再生シート臨床研究の実用化開発、治験、製造販売承認申請に向けて協力体制を推進することを目的とした基本合意書を締結し、軟骨欠損および変形性膝関節症を適応症として共同研究を進めている。細胞シートを積層化した3次元複合体の積層化軟骨細胞シートを患部に移植し、軟骨の修復・再生に寄与する。

 自己細胞由来軟骨再生シートは東海大学が先進医療申請、18年10月自己細胞由来シートによる軟骨再生医療が厚生労働省第76回先進医療技術審査部会の審査を通過、19年1月厚生労働省第71回先進医療会議で承認された。今後は再生医療等安全性確保の定めに則って、東海大学で実施される特定認定再生医療等委員会での審議を経て、東海大学から厚生労働省へ第2種再生医療等提供計画の申請を以って、最終的な承認手続に進む。本件が実施に至った際には当社が細胞シート受託加工予定である。また先進医療の状況を見据えて治験を実施する方針だ。

 同種細胞由来軟骨再生シートは17年2月東海大学整形学科の佐藤正人教授が、世界初の同種軟骨細胞シートの移植手術(多指症患者軟骨組織を採取し、同種細胞シートとして移植)を実施した。臨床研究は10名の患者に移植予定で、18年第2四半期までに3例を実施した。これに対応して、レギュラトリーサイエンス戦略相談・レギュラトリーサイエンス総合相談および治験準備を進めている。そして21年企業治験開始を目指す。

 なお18年9月には、国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)が公募した補助事業である平成30年度「再生医療の産業化に向けた評価基盤技術開発事業(再生医療シーズ開発加速支援)」に、当社が提案した研究開発課題「同種軟骨細胞シート(CLS2901C)の製品化に向けた製造方法の確立」が採択された。

■海外は台湾で事業提携

 海外は17年4月台湾MetaTech社と、台湾における細胞シート再生医療事業(食道再生上皮シートおよび軟骨再生シート)の事業提携契約を締結して、独占的開発・製造・販売権を付与した。マイルストーン収入、開発製造関連データ料、開発サポート料を最大12億50百万円受領予定である。上市時には売上高に応じたロイヤルティ収入を得る。

 台湾MetaTech社は18年中の食道再生上皮シート治験届提出に向けて準備中である。当社からの一部開発データ提供は完了した。なお台湾では18年9月に細胞治療関連法が改正され、台湾版「先進医療」対象に軟骨再生シートが含まれる可能性もあるとしている。

 19年8月に台湾MetaTech社との台湾での合弁会社設立に関する基本合意書を締結し、さらに19年9月には新たな出資者を加えた合弁契約の4者間での締結を発表した。日本および台湾における細胞シート再生医療の研究開発・事業化を進める。20年4月事業開始予定としている。

 今後の世界展開に向けては、台湾MetaTech社の支援を推進しつつ、アジア諸国・欧米をターゲットに海外事業提携先を探索している。

■再生医療支援事業では再生医療受託サービスに関する第1号案件を受注

 再生医療支援事業は、主要顧客である大学・研究機関向けなどに、細胞シート回収用温度応答性細胞培養器材UpCellを中心とした器材を開発・販売する。

 14年4月大日本印刷<7912>と細胞培養器材製造委託基本契約を締結し、市販製品(研究開発用途に限定)について大日本印刷に製造を委託している。16年3月テルモ<4543>と細胞培養器材に関する取引基本契約を締結し、テルモが再生医療等製品に係る保険適用決定を受けた「ハートシート」に含まれる当社製品(温度応答性細胞培養器材)について、市販製品とは異なる特別仕様製品を供給している。

 また18年10月再生医療等製品製造業許可を取得し、18年11月再生医療受託サービスに関する第1号案件を東京女子医科大学から受注した。同大学は今回受託製造する当該細胞シートを用いて医師主導治験を実施する。

■21年12月期収益本格化目標

 中期経営計画(19年12月期〜21年12月期)では、目標値を19年12月期売上高3億円、各利益11億円の赤字、20年12月期売上高3億50百万円、各利益13億円の赤字、21年12月期売上高20億円、営業利益と経常利益3億円の黒字、純利益2億25百万円の黒字としている。自己細胞由来軟骨再生シートで19年下期以降、共同研究先である東海大学から先進医療(今後5年間で最大20症例を移植予定)に係る製造を受託する。

 なお19年12月期第2四半期累計は、売上高が1億62百万円、営業利益が3億21百万円の赤字、経常利益が3億20百万円の赤字、純利益が3億19百万円の赤字だった。再生医療支援事業では東京女子医科大学から受注した再生医療受託サービスの1〜3症例目分を売上計上した。細胞シート再生医療事業では台湾MetaTech社向け売上を計上した。

■株価は底値圏

 なお19年8月14日に第三者割当による第18回新株予約権の発行およびコミットメント条項付第三者割当契約締結を発表している。

 株価は反発力が鈍く軟調展開だが、ほぼ底値圏だろう。出直りを期待したい。9月27日の終値は501円、時価総額は約57億円である。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media−IR)
[08月28日更新]

セルシードは底値圏、食道再生上皮シートの22年承認申請目指す

 セルシード<7776>(JQ)は細胞シート再生医療製品の開発・事業化、および世界普及を目指すバイオベンチャーである。食道再生上皮シートは日本で22年承認申請を目指し、同種細胞由来軟骨再生シートは21年企業治験開始に向けて開発を加速する計画だ。また第三品目の開発案件として東京医科歯科大学と歯根膜細胞シート開発に向けた協議を開始する。株価は年初来安値を更新して軟調展開だが、ほぼ底値圏だろう。

■細胞シート再生医療製品の事業化、世界普及を目指すバイオベンチャー

 温度応答性ポリマーを用いた細胞シート工学という日本発の革新的再生医療技術を基盤技術として、この技術に基づいて作製される細胞シート再生医療製品の開発・事業化、および世界普及を目指すバイオベンチャーである。

■細胞シート再生医療とは

 細胞シートは患者自身の組織から採取した細胞をシート状に培養したものである。細胞シート工学は、生体組織・臓器の基本単位となる細胞シートを生体外で人工的に作製する再生医療基盤技術で、東京女子医科大学先端生命医科学研究所の岡野光夫氏が世界で初めて創唱した。

 温度応答性ポリマーで表面加工した細胞培養皿を用いて、患者自身の組織から採取した細胞をシート状に培養する。培養した細胞シートを患部に貼る(移植する)だけで、細胞が生着(移植した細胞が患部に定着)する。

 細胞シート再生医療には患者自身の細胞を用いるため免疫拒絶反応が起こらない、身体のどの部位の細胞からも作製できる、施術としては比較的簡単な治療法である、細胞が生体組織に速やかに生着する、残存機能を損なわずに根治を目指すことも可能であるなどのメリットがあり、新たな再生医療技術として注目されている。

■中期経営計画

 中期経営計画(19年12月期〜21年12月期)概要は、日本で22年の食道再生上皮シートの製造販売承認申請を目指す、軟骨再生シートの21年治験開始に向けた開発を加速する、食道再生上皮シートおよび軟骨再生シートに続く次期品目の開発に着手する、細胞シート再生医療および支援製品の組織・インフラ体制を構築する、再生医療支援製品の新製品開発および受託製造を推進して更なる収益機会獲得を目指す、日本発の細胞シート工学の世界展開のために事業提携を積極推進して収益拡大を目指すとしている。

 8月14日には第三品目の開発案件として東京医科歯科大学と歯根膜細胞シート開発に向けた協議を開始すると発表した。

 なお事業区分は、細胞シート再生医療事業(細胞シート再生医療製品および応用製品の研究開発・製造・販売)、および再生医療支援事業(細胞シート再生医療の基盤ツールである温度応答性細胞培養器材および応用製品の製造・販売)としている。子会社のCellSeed Sweden AB(スウェーデン)は、欧州で細胞シート再生医療製品の研究開発を行っている。

■食道再生上皮シートは日本で22年承認申請目指す

 食道再生上皮シートは、食道がん再生治療法(食道創傷治癒・狭窄予防)として、東京女子医科大学先端生命医科学研究所が開発した治療法である。患者の口腔粘膜から採取した細胞から、温度応答性細胞培養皿を用いて細胞シートを作製し、食道がん切除内視鏡手術後の食道潰瘍面に移植する。

 東京女子医科大学と食道再生上皮細胞シート開発基本合意書を締結し、16年8月国立がん研究センター中央病院、国立がん研究センター東病院、東京女子医科大学病院において治験を開始した。17年2月「口腔粘膜由来食道細胞シート」が厚生労働省から再生医療等製品の先駆け審査指定制度の対象品目指定を受け、18年4月までに症例登録を終了した。

 なお19年2月に食道再生上皮シート臨床試験に係る治験結果を発表した。安全性は確認できたものの、主要評価項目の「ESD後8週目の狭窄予防効果」において統計的な優位性が証明されなかった。このため追加臨床試験を実施すべく独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)と協議を続け、日本で22年製造販売承認申請を目指す。

■軟骨再生シートは同種細胞由来の21年企業治験開始目指す

 軟骨再生シート(自己細胞由来軟骨再生シート、同種細胞由来軟骨再生シート)は17年2月に東海大学と、軟骨再生シート臨床研究の実用化開発、治験、製造販売承認申請に向けて協力体制を推進することを目的とした基本合意書を締結し、軟骨欠損および変形性膝関節症を適応症として共同研究を進めている。細胞シートを積層化した3次元複合体の積層化軟骨細胞シートを患部に移植し、軟骨の修復・再生に寄与する。

 自己細胞由来軟骨再生シートは東海大学が先進医療申請、18年10月自己細胞由来シートによる軟骨再生医療が厚生労働省第76回先進医療技術審査部会の審査を通過、19年1月厚生労働省第71回先進医療会議で承認された。今後は再生医療等安全性確保の定めに則って、東海大学で実施される特定認定再生医療等委員会での審議を経て、東海大学から厚生労働省へ第2種再生医療等提供計画の申請を以って、最終的な承認手続に進む。本件が実施に至った際には当社が細胞シート受託加工予定である。また先進医療の状況を見据えて治験を実施する方針だ。

 同種細胞由来軟骨再生シートは17年2月東海大学整形学科の佐藤正人教授が、世界初の同種軟骨細胞シートの移植手術(多指症患者軟骨組織を採取し、同種細胞シートとして移植)を実施した。臨床研究は10名の患者に移植予定で、18年第2四半期までに3例を実施した。これに対応して、レギュラトリーサイエンス戦略相談・レギュラトリーサイエンス総合相談および治験準備を進めている。そして21年企業治験開始を目指す。

 なお18年9月には、国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)が公募した補助事業である平成30年度「再生医療の産業化に向けた評価基盤技術開発事業(再生医療シーズ開発加速支援)」に、当社が提案した研究開発課題「同種軟骨細胞シート(CLS2901C)の製品化に向けた製造方法の確立」が採択された。

■海外は台湾で事業提携

 海外は17年4月台湾MetaTech社と、台湾における細胞シート再生医療事業(食道再生上皮シートおよび軟骨再生シート)の事業提携契約を締結して、独占的開発・製造・販売権を付与した。マイルストーン収入、開発製造関連データ料、開発サポート料を最大12億50百万円受領予定である。上市時には売上高に応じたロイヤルティ収入を得る。

 台湾MetaTech社は18年中の食道再生上皮シート治験届提出に向けて準備中である。当社からの一部開発データ提供は完了した。なお台湾では18年9月に細胞治療関連法が改正され、台湾版「先進医療」対象に軟骨再生シートが含まれる可能性もあるとしている。

 8月14日には台湾MetaTech社と、台湾での合弁会社設立に関する基本合意書締結を発表した。日本および台湾における細胞シート再生医療の研究開発・事業化を進める。20年4月事業開始予定としている。

 今後の世界展開に向けて、既契約先である台湾MetaTech社の支援を推進しつつ、アジア諸国・欧米をターゲットに海外事業提携先を探索している。

■再生医療支援事業では再生医療受託サービスに関する第1号案件を受注

 再生医療支援事業は、主要顧客である大学・研究機関向けなどに、細胞シート回収用温度応答性細胞培養器材UpCellを中心とした器材を開発・販売する。

 14年4月大日本印刷<7912>と細胞培養器材製造委託基本契約を締結し、市販製品(研究開発用途に限定)について大日本印刷に製造を委託している。16年3月テルモ<4543>と細胞培養器材に関する取引基本契約を締結し、テルモが再生医療等製品に係る保険適用決定を受けた「ハートシート」に含まれる当社製品(温度応答性細胞培養器材)について、市販製品とは異なる特別仕様製品を供給している。

 また18年10月再生医療等製品製造業許可を取得し、18年11月再生医療受託サービスに関する第1号案件を東京女子医科大学から受注した。同大学は今回受託製造する当該細胞シートを用いて医師主導治験を実施する。

■21年12月期収益本格化目標

 中期経営計画(19年12月期〜21年12月期)では、目標値を19年12月期売上高3億円、各利益11億円の赤字、20年12月期売上高3億50百万円、各利益13億円の赤字、21年12月期売上高20億円、営業利益と経常利益3億円の黒字、純利益2億25百万円の黒字としている。自己細胞由来軟骨再生シートで19年下期以降、共同研究先である東海大学から先進医療(今後5年間で最大20症例を移植予定)に係る製造を受託する。

 なお19年12月期第2四半期累計は、売上高が1億62百万円、営業利益が3億21百万円の赤字、経常利益が3億20百万円の赤字、純利益が3億19百万円の赤字だった。再生医療支援事業では東京女子医科大学から受注した再生医療受託サービスの1〜3症例目分を売上計上した。細胞シート再生医療事業では台湾MetaTech社向け売上を計上した。

■株価は底値圏

 なお8月14日に第三者割当による第18回新株予約権の発行およびコミットメント条項付第三者割当契約締結を発表した。

 株価は年初来安値を更新して軟調展開だが、ほぼ底値圏だろう。8月27日の終値は502円、時価総額は約58億円である。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media−IR)
[07月25日更新]

セルシードは底値圏、食道再生上皮シートの22年承認申請目指す

 セルシード<7776>(JQ)は細胞シート再生医療製品の開発・事業化、および世界普及を目指すバイオベンチャーである。食道再生上皮シートは日本で22年承認申請を目指し、同種細胞由来軟骨再生シートは21年企業治験開始に向けて開発を加速する。株価は軟調展開だが、ほぼ底値圏だろう。

■細胞シート再生医療製品の事業化、世界普及を目指すバイオベンチャー

 温度応答性ポリマーを用いた細胞シート工学という日本発の革新的再生医療技術を基盤技術として、この技術に基づいて作製される細胞シート再生医療製品の開発・事業化、および世界普及を目指すバイオベンチャーである。

■細胞シート再生医療とは

 細胞シートは患者自身の組織から採取した細胞をシート状に培養したものである。細胞シート工学は、生体組織・臓器の基本単位となる細胞シートを生体外で人工的に作製する再生医療基盤技術で、東京女子医科大学先端生命医科学研究所の岡野光夫氏が世界で初めて創唱した。

 温度応答性ポリマーで表面加工した細胞培養皿を用いて、患者自身の組織から採取した細胞をシート状に培養する。培養した細胞シートを患部に貼る(移植する)だけで、細胞が生着(移植した細胞が患部に定着)する。

 細胞シート再生医療には患者自身の細胞を用いるため免疫拒絶反応が起こらない、身体のどの部位の細胞からも作製できる、施術としては比較的簡単な治療法である、細胞が生体組織に速やかに生着する、残存機能を損なわずに根治を目指すことも可能であるなどのメリットがあり、新たな再生医療技術として注目されている。

■中期経営計画

 中期経営計画(19年12月期〜21年12月期)概要は、日本で22年の食道再生上皮シートの製造販売承認申請を目指す、軟骨再生シートの21年治験開始に向けた開発を加速する、食道再生上皮シートおよび軟骨再生シートに続く次期品目の開発に着手する、細胞シート再生医療および支援製品の組織・インフラ体制を構築する、再生医療支援製品の新製品開発および受託製造を推進して更なる収益機会獲得を目指す、日本発の細胞シート工学の世界展開のために事業提携を積極推進して収益拡大を目指すとしている。

 事業区分は、細胞シート再生医療事業(細胞シート再生医療製品および応用製品の研究開発・製造・販売)、および再生医療支援事業(細胞シート再生医療の基盤ツールである温度応答性細胞培養器材および応用製品の製造・販売)としている。子会社のCellSeed Sweden AB(スウェーデン)は、欧州で細胞シート再生医療製品の研究開発を行っている。

■食道再生上皮シートは日本で22年承認申請目指す

 食道再生上皮シートは、食道がん再生治療法(食道創傷治癒・狭窄予防)として、東京女子医科大学先端生命医科学研究所が開発した治療法である。患者の口腔粘膜から採取した細胞から、温度応答性細胞培養皿を用いて細胞シートを作製し、食道がん切除内視鏡手術後の食道潰瘍面に移植する。

 東京女子医科大学と食道再生上皮細胞シート開発基本合意書を締結し、16年8月国立がん研究センター中央病院、国立がん研究センター東病院、東京女子医科大学病院において治験を開始した。17年2月「口腔粘膜由来食道細胞シート」が厚生労働省から再生医療等製品の先駆け審査指定制度の対象品目指定を受け、18年4月までに症例登録を終了した。

 なお19年2月に食道再生上皮シート臨床試験に係る治験結果を発表した。安全性は確認できたものの、主要評価項目の「ESD後8週目の狭窄予防効果」において統計的な優位性が証明されなかった。このため追加臨床試験を実施すべく独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)と協議を続け、日本で22年製造販売承認申請を目指す。

■軟骨再生シートは同種細胞由来の21年企業治験開始目指す

 軟骨再生シート(自己細胞由来軟骨再生シート、同種細胞由来軟骨再生シート)は17年2月に東海大学と、軟骨再生シート臨床研究の実用化開発、治験、製造販売承認申請に向けて協力体制を推進することを目的とした基本合意書を締結し、軟骨欠損および変形性膝関節症を適応症として共同研究を進めている。細胞シートを積層化した3次元複合体の積層化軟骨細胞シートを患部に移植し、軟骨の修復・再生に寄与する。

 自己細胞由来軟骨再生シートは東海大学が先進医療申請、18年10月自己細胞由来シートによる軟骨再生医療が厚生労働省第76回先進医療技術審査部会の審査を通過、19年1月厚生労働省第71回先進医療会議で承認された。今後は再生医療等安全性確保の定めに則って、東海大学で実施される特定認定再生医療等委員会での審議を経て、東海大学から厚生労働省へ第2種再生医療等提供計画の申請を以って、最終的な承認手続に進む。本件が実施に至った際には当社が細胞シート受託加工予定である。また先進医療の状況を見据えて治験を実施する方針だ。

 同種細胞由来軟骨再生シートは17年2月東海大学整形学科の佐藤正人教授が、世界初の同種軟骨細胞シートの移植手術(多指症患者軟骨組織を採取し、同種細胞シートとして移植)を実施した。臨床研究は10名の患者に移植予定で、18年第2四半期までに3例を実施した。これに対応して、レギュラトリーサイエンス戦略相談・レギュラトリーサイエンス総合相談および治験準備を進めている。そして21年企業治験開始を目指す。

 なお18年9月には、国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)が公募した補助事業である平成30年度「再生医療の産業化に向けた評価基盤技術開発事業(再生医療シーズ開発加速支援)」に、当社が提案した研究開発課題「同種軟骨細胞シート(CLS2901C)の製品化に向けた製造方法の確立」が採択された。

■海外は台湾で事業提携

 海外は17年4月台湾MetaTech社と、台湾における細胞シート再生医療事業(食道再生上皮シートおよび軟骨再生シート)の事業提携契約を締結して、独占的開発・製造・販売権を付与した。マイルストーン収入、開発製造関連データ料、開発サポート料を最大12億50百万円受領予定である。上市時には売上高に応じたロイヤルティ収入を得る。

 台湾MetaTech社は18年中の食道再生上皮シート治験届提出に向けて準備中である。当社からの一部開発データ提供は完了した。なお台湾では18年9月に細胞治療関連法が改正され、台湾版「先進医療」対象に軟骨再生シートが含まれる可能性もあるとしている。

 今後の世界展開に向けて、既契約先である台湾MetaTech社の支援を推進しつつ、アジア諸国・欧米をターゲットに海外事業提携先を探索している。

■再生医療支援事業では再生医療受託サービスに関する第1号案件を受注

 再生医療支援事業は、主要顧客である大学・研究機関向けなどに、細胞シート回収用温度応答性細胞培養器材UpCellを中心とした器材を開発・販売する。

 14年4月大日本印刷<7912>と細胞培養器材製造委託基本契約を締結し、市販製品(研究開発用途に限定)について大日本印刷に製造を委託している。16年3月テルモ<4543>と細胞培養器材に関する取引基本契約を締結し、テルモが再生医療等製品に係る保険適用決定を受けた「ハートシート」に含まれる当社製品(温度応答性細胞培養器材)について、市販製品とは異なる特別仕様製品を供給している。

 また18年10月再生医療等製品製造業許可を取得し、18年11月再生医療受託サービスに関する第1号案件を東京女子医科大学から受注した。同大学は今回受託製造する当該細胞シートを用いて医師主導治験を実施する。

■21年12月期収益本格化目標

 中期経営計画(19年12月期〜21年12月期)では、目標値を19年12月期売上高3億円、各利益11億円の赤字、20年12月期売上高3億50百万円、各利益13億円の赤字、21年12月期売上高20億円、営業利益と経常利益3億円の黒字、純利益2億25百万円の黒字としている。自己細胞由来軟骨再生シートで19年下期以降、共同研究先である東海大学から先進医療(今後5年間で最大20症例を移植予定)に係る製造を受託する。

 なお19年12月期第1四半期は売上高が1億17百万円、営業利益が1億54百万円の赤字、経常利益が1億54百万円の赤字、純利益が1億52百万円の赤字だった。再生医療支援事業では、東京女子医科大学から受注した再生医療受託サービス第1号案件の1症例目分を売上計上した。細胞シート再生医療事業では、台湾MetaTech社向け一部開発データ提供の対価を売上計上した。

■株価は底値圏

 株価は軟調展開だが、ほぼ底値圏だろう。7月24日の終値は604円、時価総額は約69億円である。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media−IR)
[06月28日更新]

セルシードは食道再生上皮シートの22年承認申請目指す

 セルシード<7776>(JQ)は細胞シート再生医療製品の開発・事業化、および世界普及を目指すバイオベンチャーである。食道再生上皮シートは日本で22年承認申請を目指し、同種細胞由来軟骨再生シートは21年企業治験開始に向けて開発を加速する。株価は下値固め完了して出直りを期待したい。

■細胞シート再生医療製品の事業化、世界普及を目指すバイオベンチャー

 温度応答性ポリマーを用いた細胞シート工学という日本発の革新的再生医療技術を基盤技術として、この技術に基づいて作製される細胞シート再生医療製品の開発・事業化、および世界普及を目指すバイオベンチャーである。

■細胞シート再生医療とは

 細胞シートは患者自身の組織から採取した細胞をシート状に培養したものである。細胞シート工学は、生体組織・臓器の基本単位となる細胞シートを生体外で人工的に作製する再生医療基盤技術で、東京女子医科大学先端生命医科学研究所の岡野光夫氏が世界で初めて創唱した。

 温度応答性ポリマーで表面加工した細胞培養皿を用いて、患者自身の組織から採取した細胞をシート状に培養する。培養した細胞シートを患部に貼る(移植する)だけで、細胞が生着(移植した細胞が患部に定着)する。

 細胞シート再生医療には患者自身の細胞を用いるため免疫拒絶反応が起こらない、身体のどの部位の細胞からも作製できる、施術としては比較的簡単な治療法である、細胞が生体組織に速やかに生着する、残存機能を損なわずに根治を目指すことも可能であるなどのメリットがあり、新たな再生医療技術として注目されている。

■新中期経営計画

 中期経営計画(19年12月期〜21年12月期)概要は、日本で22年の食道再生上皮シートの製造販売承認申請を目指す、軟骨再生シートの21年治験開始に向けた開発を加速する、食道再生上皮シートおよび軟骨再生シートに続く次期品目の開発に着手する、細胞シート再生医療および支援製品の組織・インフラ体制を構築する、再生医療支援製品の新製品開発および受託製造を推進して更なる収益機会獲得を目指す、日本発の細胞シート工学の世界展開のために事業提携を積極推進して収益拡大を目指すとしている。

 事業区分は、細胞シート再生医療事業(細胞シート再生医療製品および応用製品の研究開発・製造・販売)、および再生医療支援事業(細胞シート再生医療の基盤ツールである温度応答性細胞培養器材および応用製品の製造・販売)としている。子会社のCellSeed Sweden AB(スウェーデン)は、欧州で細胞シート再生医療製品の研究開発を行っている。

■食道再生上皮シートは日本で22年承認申請目指す

 食道再生上皮シートは、食道がん再生治療法(食道創傷治癒・狭窄予防)として、東京女子医科大学先端生命医科学研究所が開発した治療法である。患者の口腔粘膜から採取した細胞から、温度応答性細胞培養皿を用いて細胞シートを作製し、食道がん切除内視鏡手術後の食道潰瘍面に移植する。

 東京女子医科大学と食道再生上皮細胞シート開発基本合意書を締結し、16年8月国立がん研究センター中央病院、国立がん研究センター東病院、東京女子医科大学病院において治験を開始した。17年2月「口腔粘膜由来食道細胞シート」が厚生労働省から再生医療等製品の先駆け審査指定制度の対象品目指定を受け、18年4月までに症例登録を終了した。

 なお19年2月に食道再生上皮シート臨床試験に係る治験結果を発表した。安全性は確認できたものの、主要評価項目の「ESD後8週目の狭窄予防効果」において統計的な優位性が証明されなかった。このため追加臨床試験を実施すべく独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)と協議を続け、日本で22年製造販売承認申請を目指す。

■軟骨再生シートは同種細胞由来の21年企業治験開始目指す

 軟骨再生シート(自己細胞由来軟骨再生シート、同種細胞由来軟骨再生シート)は17年2月に東海大学と、軟骨再生シート臨床研究の実用化開発、治験、製造販売承認申請に向けて協力体制を推進することを目的とした基本合意書を締結し、軟骨欠損および変形性膝関節症を適応症として共同研究を進めている。細胞シートを積層化した3次元複合体の積層化軟骨細胞シートを患部に移植し、軟骨の修復・再生に寄与する。

 自己細胞由来軟骨再生シートは東海大学が先進医療申請、18年10月自己細胞由来シートによる軟骨再生医療が厚生労働省第76回先進医療技術審査部会の審査を通過、19年1月厚生労働省第71回先進医療会議で承認された。今後は再生医療等安全性確保の定めに則って、東海大学で実施される特定認定再生医療等委員会での審議を経て、東海大学から厚生労働省へ第2種再生医療等提供計画の申請を以って、最終的な承認手続に進む。本件が実施に至った際には当社が細胞シート受託加工予定である。また先進医療の状況を見据えて治験を実施する方針だ。

 同種細胞由来軟骨再生シートは17年2月東海大学整形学科の佐藤正人教授が、世界初の同種軟骨細胞シートの移植手術(多指症患者軟骨組織を採取し、同種細胞シートとして移植)を実施した。臨床研究は10名の患者に移植予定で、18年第2四半期までに3例を実施した。これに対応して、レギュラトリーサイエンス戦略相談・レギュラトリーサイエンス総合相談および治験準備を進めている。そして21年企業治験開始を目指す。

 なお18年9月には、国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)が公募した補助事業である平成30年度「再生医療の産業化に向けた評価基盤技術開発事業(再生医療シーズ開発加速支援)」に、当社が提案した研究開発課題「同種軟骨細胞シート(CLS2901C)の製品化に向けた製造方法の確立」が採択された。

■海外は台湾で事業提携

 海外展開は17年4月台湾MetaTech社と、台湾における細胞シート再生医療事業(食道再生上皮シートおよび軟骨再生シート)の事業提携契約を締結して、独占的開発・製造・販売権を付与した。マイルストーン収入、開発製造関連データ料、開発サポート料を最大12億50百万円受領予定である。また上市時には売上高に応じたロイヤルティ収入を得る。

 台湾MetaTech社は18年中の食道再生上皮シート治験届提出に向けて準備中である。当社からの一部開発データ提供は当初想定を上回るペースで完了した。なお台湾では18年9月に細胞治療関連法が改正され、台湾版「先進医療」対象に軟骨再生シートが含まれる可能性もあるとしている。

 今後の世界展開に向けて、既契約先である台湾MetaTech社の支援を推進しつつ、アジア諸国・欧米をターゲットに海外事業提携先を探索している。

■再生医療支援事業では再生医療受託サービスに関する第1号案件を受注

 再生医療支援事業は、主要顧客である大学・研究機関向けなどに、細胞シート回収用温度応答性細胞培養器材UpCellを中心とした器材を開発・販売する。

 14年4月大日本印刷<7912>と細胞培養器材製造委託基本契約を締結し、市販製品(研究開発用途に限定)について大日本印刷に製造を委託している。16年3月テルモ<4543>と細胞培養器材に関する取引基本契約を締結し、テルモが再生医療等製品に係る保険適用決定を受けた「ハートシート」に含まれる当社製品(温度応答性細胞培養器材)について、市販製品とは異なる特別仕様製品を供給している。

 また18年10月再生医療等製品製造業許可を取得し、18年11月再生医療受託サービスに関する第1号案件を東京女子医科大学から受注した。同大学は今回受託製造する当該細胞シートを用いて医師主導治験を実施する。

■21年12月期収益本格化目標

 中期経営計画(19年12月期〜21年12月期)では、目標値を19年12月期売上高3億円、各利益11億円の赤字、20年12月期売上高3億50百万円、各利益13億円の赤字、21年12月期売上高20億円、営業利益と経常利益3億円の黒字、純利益2億25百万円の黒字としている。自己細胞由来軟骨再生シートで19年下期以降、共同研究先である東海大学から先進医療(今後5年間で最大20症例を移植予定)に係る製造を受託する。

 なお19年12月期第1四半期は売上高が1億17百万円、営業利益が1億54百万円の赤字、経常利益が1億54百万円の赤字、純利益が1億52百万円の赤字だった。再生医療支援事業では、東京女子医科大学から受注した再生医療受託サービス第1号案件の1症例目分を売上計上した。細胞シート再生医療事業では、台湾MetaTech社向け一部開発データ提供の対価を売上計上した。

■株価は下値固め完了

 株価は下値固め完了して出直りを期待したい。6月27日の終値は607円、時価総額は約70億円である。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media−IR)
[05月23日更新]

セルシードは食道再生上皮シートの22年承認申請目指す

 セルシード<7776>(JQ)は細胞シート再生医療製品の開発・事業化、および世界普及を目指すバイオベンチャーである。食道再生上皮シートは日本で22年承認申請を目指し、同種細胞由来軟骨再生シートは21年企業治験開始に向けて開発を加速する。株価は反発力の鈍い展開だが、ほぼ底値圏だろう。調整一巡して出直りを期待したい。

■細胞シート再生医療製品の事業化、世界普及を目指すバイオベンチャー

 温度応答性ポリマーを用いた細胞シート工学という日本発の革新的再生医療技術を基盤技術として、この技術に基づいて作製される細胞シート再生医療製品の開発・事業化、および世界普及を目指すバイオベンチャーである。

■細胞シート再生医療とは

 細胞シートは患者自身の組織から採取した細胞をシート状に培養したものである。細胞シート工学は、生体組織・臓器の基本単位となる細胞シートを生体外で人工的に作製する再生医療基盤技術で、東京女子医科大学先端生命医科学研究所の岡野光夫氏が世界で初めて創唱した。

 温度応答性ポリマーで表面加工した細胞培養皿を用いて、患者自身の組織から採取した細胞をシート状に培養する。培養した細胞シートを患部に貼る(移植する)だけで、細胞が生着(移植した細胞が患部に定着)する。細胞シートから分泌されたサイトカイン(細胞から放出されて細胞増殖や分化に影響する特定のたんぱく質の総称)が、患部の弱った細胞を活性化させると考えられている。

 また細胞シート再生医療には、患者自身の細胞を用いるため免疫拒絶反応が起こらない、身体のどの部位の細胞からも作製できる、施術としては比較的簡単な治療法である、細胞が生体組織に速やかに生着する、残存機能を損なわずに根治を目指すことも可能であるなどのメリットがあり、新たな再生医療技術として注目されている。

■新中期経営計画

 19年2月発表の新中期経営計画(19年12月期〜21年12月期)の概要は、日本で22年の食道再生上皮シートの製造販売承認申請を目指す、軟骨再生シートの21年治験開始に向けた開発を加速する、食道再生上皮シートおよび軟骨再生シートに続く次期品目の開発に着手する、細胞シート再生医療および支援製品の組織・インフラ体制を構築する、再生医療支援製品の新製品開発および受託製造を推進して更なる収益機会獲得を目指す、日本発の細胞シート工学の世界展開のために事業提携を積極推進して収益拡大を目指すとしている。

 事業区分は細胞シート再生医療事業および再生医療支援事業としている。細胞シート再生医療事業は細胞シート再生医療製品および応用製品の研究開発・製造・販売、再生医療支援事業は細胞シート再生医療の基盤ツールである温度応答性細胞培養器材および応用製品の研究開発・製造・販売である。子会社のCellSeed Sweden AB(スウェーデン)は、欧州で細胞シート再生医療製品の研究開発を行っている。

■食道再生上皮シートは日本で22年承認申請目指す

 食道再生上皮シートは、食道がん再生治療法(食道創傷治癒・狭窄予防)として、東京女子医科大学先端生命医科学研究所が開発した治療法である。患者の口腔粘膜から採取した細胞から、温度応答性細胞培養皿を用いて細胞シートを作製し、食道がん切除内視鏡手術後の食道潰瘍面に移植する。

 東京女子医科大学と食道再生上皮細胞シート開発基本合意書を締結し、16年8月国立がん研究センター中央病院、国立がん研究センター東病院、東京女子医科大学病院において治験を開始した。17年2月「口腔粘膜由来食道細胞シート」が厚生労働省から再生医療等製品の先駆け審査指定制度の対象品目指定を受け、18年4月までに症例登録を終了した。

 また18年10月再生医療等製品製造業許可を取得し、18年11月再生医療受託サービスに関する第1号案件を東京女子医科大学から受注した。同大学は今回受託製造する当該細胞シートを用いて医師主導治験を実施する。細胞シート受託加工の事業化に向けた動きが着実に進展している。

 なお19年2月に食道再生上皮シート臨床試験に係る治験結果を発表した。安全性は確認できたものの、主要評価項目の「ESD後8週目の狭窄予防効果」において統計的な優位性が証明されなかった。このため追加臨床試験を実施すべく独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)と協議を続け、日本で22年製造販売承認申請を目指す。

■軟骨再生シートは同種細胞由来の21年企業治験開始目指す

 軟骨再生シート(自己細胞由来軟骨再生シート、同種細胞由来軟骨再生シート)は17年2月に東海大学と、軟骨再生シート臨床研究の実用化開発、治験、製造販売承認申請に向けて協力体制を推進することを目的とした基本合意書を締結し、軟骨欠損および変形性膝関節症を適応症として共同研究を進めている。

 変形性膝関節症は高齢化により患者数の増加が予想されている。細胞シートを積層化した3次元複合体の積層化軟骨細胞シートを患部に移植し、軟骨の修復・再生に寄与する。

 自己細胞由来軟骨再生シートは東海大学が先進医療申請し、18年10月自己細胞由来シートによる軟骨再生医療が厚生労働省第76回先進医療技術審査部会の審査を通過し、19年1月厚生労働省第71回先進医療会議で承認された。今後は再生医療等安全性確保の定めに則って、東海大学で実施される特定認定再生医療等委員会での審議を経て、東海大学から厚生労働省へ第2種再生医療等提供計画の申請を以って、最終的な承認手続に進む。本件が実施に至った際には当社が細胞シート受託加工予定である。また先進医療の状況を見据えて治験を実施する方針だ。

 同種細胞由来軟骨再生シートは17年2月東海大学整形学科の佐藤正人教授が、世界初の同種軟骨細胞シートの移植手術(多指症患者軟骨組織を採取し、同種細胞シートとして移植)を実施した。臨床研究は10名の患者に移植予定で、18年第2四半期までに3例を実施した。これに対応して、レギュラトリーサイエンス戦略相談・レギュラトリーサイエンス総合相談および治験準備を進めている。そして21年企業治験開始を目指す。

 なお18年9月には、国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)が公募した補助事業である平成30年度「再生医療の産業化に向けた評価基盤技術開発事業(再生医療シーズ開発加速支援)」に、当社が提案した研究開発課題「同種軟骨細胞シート(CLS2901C)の製品化に向けた製造方法の確立」が採択された。

 また18年3月には、東海大学と共同出願している移植用軟骨再生シートに関する基本特許が成立する見込みとなったと発表している。登録国はドイツ、フランス、イギリスなど欧州10ヶ国である。

■海外は台湾で事業提携

 海外展開は17年4月台湾MetaTech社と、台湾における細胞シート再生医療事業(食道再生上皮シートおよび軟骨再生シート)の事業提携契約を締結して、独占的開発・製造・販売権を付与した。開発進捗に応じてマイルストーン収入、開発製造関連データ料、開発サポート料を最大12億50百万円受領予定である。また上市(販売)時には売上高に応じたロイヤルティ収入を得る。

 台湾MetaTech社は18年中の食道再生上皮シート治験届提出に向けて準備中である。当社からの一部開発データ提供は当初想定を上回るペースで完了した。なお台湾では18年9月に細胞治療関連法が改正され、台湾版「先進医療」対象に軟骨再生シートが含まれる可能性もあるとしている。

 今後の世界展開に向けて、既契約先である台湾MetaTech社の支援を推進しつつ、アジア諸国・欧米をターゲットに海外事業提携先を探索している。

■再生医療支援事業ではテルモに特別仕様製品を供給

 再生医療支援事業は、主要顧客である大学・研究機関向けなどに、細胞シート回収用温度応答性細胞培養器材UpCellを中心とした器材を開発・販売している。

 14年4月大日本印刷<7912>と細胞培養器材製造委託基本契約を締結し、市販製品(研究開発用途に限定)について大日本印刷に製造を委託している。16年3月テルモ<4543>と細胞培養器材に関する取引基本契約を締結し、テルモが再生医療等製品に係る保険適用決定を受けた「ハートシート」に含まれる当社製品(温度応答性細胞培養器材)について、市販製品とは異なる特別仕様製品を供給している。

 今後の戦略としては、研究用器材の新製品開発や臨床応用用途の製品開発など顧客ニーズに対応した製品ラインナップ拡充、新規販売代理店開拓などによる国内外の販売網強化、さらに製造コストの引き下げなどを推進する方針だ。

■21年12月期収益本格化目標

 新中期経営計画(19年12月期〜21年12月期)では、目標値を19年12月期売上高3億円、各利益11億円の赤字、20年12月期売上高3億50百万円、各利益13億円の赤字、21年12月期売上高20億円、営業利益と経常利益3億円の黒字、純利益2億25百万円の黒字としている。自己細胞由来軟骨再生シートで19年下期以降、共同研究先である東海大学から先進医療(今後5年間で最大20症例を移植予定)に係る製造を受託する。

 なお19年12月期第1四半期は売上高が1億17百万円、営業利益が1億54百万円の赤字、経常利益が1億54百万円の赤字、純利益が1億52百万円の赤字だった。再生医療支援事業では、東京女子医科大学から受注した再生医療受託サービス第1号案件の1症例目分を売上計上した。細胞シート再生医療事業では、台湾MetaTech社向け一部開発データ提供の対価を売上計上した。

■株価は底値圏

 株価は反発力の鈍い展開だが、ほぼ底値圏だろう。調整一巡して出直りを期待したい。5月22日の終値は641円、時価総額は約73億円である。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media−IR)
[04月25日更新]

セルシードは食道再生上皮シートの22年承認申請目指す

 セルシード<7776>(JQ)は細胞シート再生医療製品の開発・事業化、および世界普及を目指すバイオベンチャーである。食道再生上皮シートは日本で22年承認申請を目指し、同種細胞由来軟骨再生シートは21年企業治験開始に向けて開発を加速する。株価は安値圏だが下値固め完了感を強めている。出直りを期待したい。

■細胞シート再生医療製品の事業化、世界普及を目指すバイオベンチャー

 温度応答性ポリマーを用いた細胞シート工学という日本発の革新的再生医療技術を基盤技術として、この技術に基づいて作製される細胞シート再生医療製品の開発・事業化、および世界普及を目指すバイオベンチャーである。

■細胞シート再生医療とは

 細胞シートは患者自身の組織から採取した細胞をシート状に培養したものである。細胞シート工学は、生体組織・臓器の基本単位となる細胞シートを生体外で人工的に作製する再生医療基盤技術で、東京女子医科大学先端生命医科学研究所の岡野光夫氏が世界で初めて創唱した。

 温度応答性ポリマーで表面加工した細胞培養皿を用いて、患者自身の組織から採取した細胞をシート状に培養する。培養した細胞シートを患部に貼る(移植する)だけで、細胞が生着(移植した細胞が患部に定着)する。細胞シートから分泌されたサイトカイン(細胞から放出されて細胞増殖や分化に影響する特定のたんぱく質の総称)が、患部の弱った細胞を活性化させると考えられている。

 また細胞シート再生医療には、患者自身の細胞を用いるため免疫拒絶反応が起こらない、身体のどの部位の細胞からも作製できる、施術としては比較的簡単な治療法である、細胞が生体組織に速やかに生着する、残存機能を損なわずに根治を目指すことも可能であるなどのメリットがあり、新たな再生医療技術として注目されている。

■新中期経営計画

 19年2月発表の新中期経営計画(19年12月期〜21年12月期)の概要は、日本で22年の食道再生上皮シートの製造販売承認申請を目指す、軟骨再生シートの21年治験開始に向けた開発を加速する、食道再生上皮シートおよび軟骨再生シートに続く次期品目の開発に着手する、細胞シート再生医療および支援製品の組織・インフラ体制を構築する、再生医療支援製品の新製品開発および受託製造を推進して更なる収益機会獲得を目指す、日本発の細胞シート工学の世界展開のために事業提携を積極推進して収益拡大を目指すとしている。

 事業区分は細胞シート再生医療事業および再生医療支援事業としている。細胞シート再生医療事業は細胞シート再生医療製品および応用製品の研究開発・製造・販売、再生医療支援事業は細胞シート再生医療の基盤ツールである温度応答性細胞培養器材および応用製品の研究開発・製造・販売である。子会社のCellSeed Sweden AB(スウェーデン)は、欧州で細胞シート再生医療製品の研究開発を行っている。

■食道再生上皮シートは日本で22年承認申請目指す

 食道再生上皮シートは、食道がん再生治療法(食道創傷治癒・狭窄予防)として、東京女子医科大学先端生命医科学研究所が開発した治療法である。患者の口腔粘膜から採取した細胞から、温度応答性細胞培養皿を用いて細胞シートを作製し、食道がん切除内視鏡手術後の食道潰瘍面に移植する。

 東京女子医科大学と食道再生上皮細胞シート開発基本合意書を締結し、16年8月国立がん研究センター中央病院、国立がん研究センター東病院、東京女子医科大学病院において治験を開始した。17年2月「口腔粘膜由来食道細胞シート」が厚生労働省から再生医療等製品の先駆け審査指定制度の対象品目指定を受け、18年4月までに症例登録を終了した。

 また18年10月再生医療等製品製造業許可を取得し、18年11月再生医療受託サービスに関する第1号案件を東京女子医科大学から受注した。同大学は今回受託製造する当該細胞シートを用いて医師主導治験を実施する。細胞シート受託加工の事業化に向けた動きが着実に進展している。

 なお19年2月に食道再生上皮シート臨床試験に係る治験結果を発表した。安全性は確認できたものの、主要評価項目の「ESD後8週目の狭窄予防効果」において統計的な優位性が証明されなかった。このため追加臨床試験を実施すべく独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)と協議を続け、日本で22年製造販売承認申請を目指す。

■軟骨再生シートは同種細胞由来の21年企業治験開始目指す

 軟骨再生シート(自己細胞由来軟骨再生シート、同種細胞由来軟骨再生シート)は17年2月に東海大学と、軟骨再生シート臨床研究の実用化開発、治験、製造販売承認申請に向けて協力体制を推進することを目的とした基本合意書を締結し、軟骨欠損および変形性膝関節症を適応症として共同研究を進めている。

 変形性膝関節症は高齢化により患者数の増加が予想されている。細胞シートを積層化した3次元複合体の積層化軟骨細胞シートを患部に移植し、軟骨の修復・再生に寄与する。

 自己細胞由来軟骨再生シートは東海大学が先進医療申請し、18年10月自己細胞由来シートによる軟骨再生医療が厚生労働省第76回先進医療技術審査部会の審査を通過し、19年1月厚生労働省第71回先進医療会議で承認された。今後は再生医療等安全性確保の定めに則って、東海大学で実施される特定認定再生医療等委員会での審議を経て、東海大学から厚生労働省へ第2種再生医療等提供計画の申請を以って、最終的な承認手続に進む。本件が実施に至った際には当社が細胞シート受託加工予定である。また先進医療の状況を見据えて治験を実施する方針だ。

 同種細胞由来軟骨再生シートは17年2月東海大学整形学科の佐藤正人教授が、世界初の同種軟骨細胞シートの移植手術(多指症患者軟骨組織を採取し、同種細胞シートとして移植)を実施した。臨床研究は10名の患者に移植予定で、18年第2四半期までに3例を実施した。これに対応して、レギュラトリーサイエンス戦略相談・レギュラトリーサイエンス総合相談および治験準備を進めている。そして21年企業治験開始を目指す。

 なお18年9月には、国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)が公募した補助事業である平成30年度「再生医療の産業化に向けた評価基盤技術開発事業(再生医療シーズ開発加速支援)」に、当社が提案した研究開発課題「同種軟骨細胞シート(CLS2901C)の製品化に向けた製造方法の確立」が採択された。

 また18年3月には、東海大学と共同出願している移植用軟骨再生シートに関する基本特許が成立する見込みとなったと発表している。登録国はドイツ、フランス、イギリスなど欧州10ヶ国である。

■海外は台湾で事業提携

 海外展開は17年4月台湾MetaTech社と、台湾における細胞シート再生医療事業(食道再生上皮シートおよび軟骨再生シート)の事業提携契約を締結して、独占的開発・製造・販売権を付与した。開発進捗に応じてマイルストーン収入、開発製造関連データ料、開発サポート料を最大12億50百万円受領予定である。また上市(販売)時には売上高に応じたロイヤルティ収入を得る。

 台湾MetaTech社は18年中の食道再生上皮シート治験届提出に向けて準備中である。当社からの一部開発データ提供は当初想定を上回るペースで完了した。なお台湾では18年9月に細胞治療関連法が改正され、台湾版「先進医療」対象に軟骨再生シートが含まれる可能性もあるとしている。

 今後の世界展開に向けて、既契約先である台湾MetaTech社の支援を推進しつつ、アジア諸国・欧米をターゲットに海外事業提携先を探索している。

■再生医療支援事業ではテルモに特別仕様製品を供給

 再生医療支援事業は、主要顧客である大学・研究機関向けなどに、細胞シート回収用温度応答性細胞培養器材UpCellを中心とした器材を開発・販売している。

 14年4月大日本印刷<7912>と細胞培養器材製造委託基本契約を締結し、市販製品(研究開発用途に限定)について大日本印刷に製造を委託している。16年3月テルモ<4543>と細胞培養器材に関する取引基本契約を締結し、テルモが再生医療等製品に係る保険適用決定を受けた「ハートシート」に含まれる当社製品(温度応答性細胞培養器材)について、市販製品とは異なる特別仕様製品を供給している。

 今後の戦略としては、研究用器材の新製品開発や臨床応用用途の製品開発など顧客ニーズに対応した製品ラインナップ拡充、新規販売代理店開拓などによる国内外の販売網強化、さらに製造コストの引き下げなどを推進する方針だ。

■21年12月期収益本格化目標

 新中期経営計画(19年12月期〜21年12月期)では、目標値を19年12月期売上高3億円、各利益11億円の赤字、20年12月期売上高3億50百万円、各利益13億円の赤字、21年12月期売上高20億円、営業利益と経常利益3億円の黒字、純利益2億25百万円の黒字としている。自己細胞由来軟骨再生シートで19年下期以降、共同研究先である東海大学から先進医療(今後5年間で最大20症例を移植予定)に係る製造を受託する。

■株価は下値固め完了

 株価は安値圏だが下値固め完了感を強めている。出直りを期待したい。4月24日の終値は693円、時価総額は約79億円である。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media−IR)
[03月28日更新]

セルシードは下値固め完了して出直り期待、食道再生上皮シートの22年承認申請目指す

 セルシード<7776>(JQ)は細胞シート再生医療製品の開発・事業化、および世界普及を目指すバイオベンチャーである。食道再生上皮シートは日本で22年承認申請を目指し、同種細胞由来軟骨再生シートは21年企業治験開始に向けて開発を加速する。株価は安値圏だが、下値固め完了して出直りを期待したい。

■細胞シート再生医療製品の事業化、世界普及を目指すバイオベンチャー

 温度応答性ポリマーを用いた細胞シート工学という日本発の革新的再生医療技術を基盤技術として、この技術に基づいて作製される細胞シート再生医療製品の開発・事業化、および世界普及を目指すバイオベンチャーである。

■細胞シート再生医療とは

 細胞シートは患者自身の組織から採取した細胞をシート状に培養したものである。細胞シート工学は、生体組織・臓器の基本単位となる細胞シートを生体外で人工的に作製する再生医療基盤技術で、東京女子医科大学先端生命医科学研究所の岡野光夫氏が世界で初めて創唱した。

 温度応答性ポリマーで表面加工した細胞培養皿を用いて、患者自身の組織から採取した細胞をシート状に培養する。培養した細胞シートを患部に貼る(移植する)だけで、細胞が生着(移植した細胞が患部に定着)する。細胞シートから分泌されたサイトカイン(細胞から放出されて細胞増殖や分化に影響する特定のたんぱく質の総称)が、患部の弱った細胞を活性化させると考えられている。

 また細胞シート再生医療には、患者自身の細胞を用いるため免疫拒絶反応が起こらない、身体のどの部位の細胞からも作製できる、施術としては比較的簡単な治療法である、細胞が生体組織に速やかに生着する、残存機能を損なわずに根治を目指すことも可能であるなどのメリットがあり、新たな再生医療技術として注目されている。

■新中期経営計画

 19年2月に新中期経営計画(19年12月期〜21年12月期)を発表した。概要は、日本で22年の食道再生上皮シートの製造販売承認申請を目指す、軟骨再生シートの21年治験開始に向けた開発を加速する、食道再生上皮シートおよび軟骨再生シートに続く次期品目の開発に着手する、細胞シート再生医療および支援製品の組織・インフラ体制を構築する、再生医療支援製品の新製品開発および受託製造を推進して更なる収益機会獲得を目指す、日本発の細胞シート工学の世界展開のために事業提携を積極推進して収益拡大を目指すとしている。

 なお事業区分は細胞シート再生医療事業および再生医療支援事業としている。細胞シート再生医療事業は細胞シート再生医療製品および応用製品の研究開発・製造・販売、再生医療支援事業は細胞シート再生医療の基盤ツールである温度応答性細胞培養器材および応用製品の研究開発・製造・販売である。子会社のCellSeed Sweden AB(スウェーデン)は、欧州で細胞シート再生医療製品の研究開発を行っている。

■食道再生上皮シートは日本で22年承認申請目指す

 食道再生上皮シートは、食道がん再生治療法(食道創傷治癒・狭窄予防)として、東京女子医科大学先端生命医科学研究所が開発した治療法である。患者の口腔粘膜から採取した細胞から、温度応答性細胞培養皿を用いて細胞シートを作製し、食道がん切除内視鏡手術後の食道潰瘍面に移植する。

 東京女子医科大学と食道再生上皮細胞シート開発基本合意書を締結し、16年8月国立がん研究センター中央病院、国立がん研究センター東病院、東京女子医科大学病院において治験を開始した。17年2月「口腔粘膜由来食道細胞シート」が厚生労働省から再生医療等製品の先駆け審査指定制度の対象品目指定を受け、18年4月までに症例登録を終了した。

 また18年10月再生医療等製品製造業許可を取得し、18年11月再生医療受託サービスに関する第1号案件を東京女子医科大学から受注した。同大学は今回受託製造する当該細胞シートを用いて医師主導治験を実施する。細胞シート受託加工の事業化に向けた動きが着実に進展している。

 なお19年2月に食道再生上皮シート臨床試験に係る治験結果を発表した。安全性は確認できたものの、主要評価項目の「ESD後8週目の狭窄予防効果」において統計的な優位性が証明されなかった。このため追加臨床試験を実施すべく独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)と協議を続け、日本で22年製造販売承認申請を目指す。

■軟骨再生シートは同種細胞由来の21年企業治験開始目指す

 軟骨再生シート(自己細胞由来軟骨再生シート、同種細胞由来軟骨再生シート)は17年2月に東海大学と、軟骨再生シート臨床研究の実用化開発、治験、製造販売承認申請に向けて協力体制を推進することを目的とした基本合意書を締結し、軟骨欠損および変形性膝関節症を適応症として共同研究を進めている。

 変形性膝関節症は高齢化により患者数の増加が予想されている。細胞シートを積層化した3次元複合体の積層化軟骨細胞シートを患部に移植し、軟骨の修復・再生に寄与する。

 自己細胞由来軟骨再生シートは東海大学が先進医療申請し、18年10月自己細胞由来シートによる軟骨再生医療が厚生労働省第76回先進医療技術審査部会の審査を通過し、19年1月厚生労働省第71回先進医療会議で承認された。今後は再生医療等安全性確保の定めに則って、東海大学で実施される特定認定再生医療等委員会での審議を経て、東海大学から厚生労働省へ第2種再生医療等提供計画の申請を以って、最終的な承認手続に進む。本件が実施に至った際には当社が細胞シート受託加工予定である。また先進医療の状況を見据えて治験を実施する方針だ。

 同種細胞由来軟骨再生シートは17年2月東海大学整形学科の佐藤正人教授が、世界初の同種軟骨細胞シートの移植手術(多指症患者軟骨組織を採取し、同種細胞シートとして移植)を実施した。臨床研究は10名の患者に移植予定で、18年第2四半期までに3例を実施した。これに対応して、レギュラトリーサイエンス戦略相談・レギュラトリーサイエンス総合相談および治験準備を進めている。そして21年企業治験開始を目指す。

 なお18年9月には、国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)が公募した補助事業である平成30年度「再生医療の産業化に向けた評価基盤技術開発事業(再生医療シーズ開発加速支援)」に、当社が提案した研究開発課題「同種軟骨細胞シート(CLS2901C)の製品化に向けた製造方法の確立」が採択された。

 また18年3月には、東海大学と共同出願している移植用軟骨再生シートに関する基本特許が成立する見込みとなったと発表している。登録国はドイツ、フランス、イギリスなど欧州10ヶ国である。

■海外は台湾で事業提携

 海外展開は17年4月台湾MetaTech社と、台湾における細胞シート再生医療事業(食道再生上皮シートおよび軟骨再生シート)の事業提携契約を締結して、独占的開発・製造・販売権を付与した。開発進捗に応じてマイルストーン収入、開発製造関連データ料、開発サポート料を最大12億50百万円受領予定である。また上市(販売)時には売上高に応じたロイヤルティ収入を得る。

 台湾MetaTech社は18年中の食道再生上皮シート治験届提出に向けて準備中である。当社からの一部開発データ提供は当初想定を上回るペースで完了した。なお台湾では18年9月に細胞治療関連法が改正され、台湾版「先進医療」対象に軟骨再生シートが含まれる可能性もあるとしている。

 今後の世界展開に向けて、既契約先である台湾MetaTech社の支援を推進しつつ、アジア諸国・欧米をターゲットに海外事業提携先を探索している。

■再生医療支援事業ではテルモに特別仕様製品を供給

 再生医療支援事業は、主要顧客である大学・研究機関向けなどに、細胞シート回収用温度応答性細胞培養器材UpCellを中心とした器材を開発・販売している。

 14年4月大日本印刷<7912>と細胞培養器材製造委託基本契約を締結し、市販製品(研究開発用途に限定)について大日本印刷に製造を委託している。16年3月テルモ<4543>と細胞培養器材に関する取引基本契約を締結し、テルモが再生医療等製品に係る保険適用決定を受けた「ハートシート」に含まれる当社製品(温度応答性細胞培養器材)について、市販製品とは異なる特別仕様製品を供給している。

 今後の戦略としては、研究用器材の新製品開発や臨床応用用途の製品開発など顧客ニーズに対応した製品ラインナップ拡充、新規販売代理店開拓などによる国内外の販売網強化、さらに製造コストの引き下げなどを推進する方針だ。

■21年12月期収益本格化目標

 新中期経営計画(19年12月期〜21年12月期)では、目標値を19年12月期売上高3億円、各利益11億円の赤字、20年12月期売上高3億50百万円、各利益13億円の赤字、21年12月期売上高20億円、営業利益と経常利益3億円の黒字、純利益2億25百万円の黒字としている。自己細胞由来軟骨再生シートで19年下期以降、共同研究先である東海大学から先進医療(今後5年間で最大20症例を移植予定)に係る製造を受託する。

■株価は下値固め完了して出直り期待

 株価は2月の食道再生上皮シートに係る治験結果を嫌気して安値圏だが、下値固め完了して出直りを期待したい。3月27日の終値は700円、時価総額は約80億円である。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media−IR)
[02月28日更新]

セルシードは売り一巡して反発の動き、食道再生上皮シートの22年承認申請目指す

 セルシード<7776>(JQ)は細胞シート再生医療製品の開発・事業化、および世界普及を目指すバイオベンチャーである。食道再生上皮シートは日本で22年承認申請を目指し、同種細胞由来軟骨再生シートは21年企業治験開始に向けて開発を加速する。株価は2月15日発表した食道再生上皮シートに係る治験結果を嫌気して急落したが、12月安値まで下押すことなく売り一巡して反発の動きを強めている。出直りを期待したい。

■細胞シート再生医療製品の事業化、世界普及を目指すバイオベンチャー

 温度応答性ポリマーを用いた細胞シート工学という日本発の革新的再生医療技術を基盤技術として、この技術に基づいて作製される細胞シート再生医療製品の開発・事業化、および世界普及を目指すバイオベンチャーである。

■細胞シート再生医療とは

 細胞シートは患者自身の組織から採取した細胞をシート状に培養したものである。細胞シート工学は、生体組織・臓器の基本単位となる細胞シートを生体外で人工的に作製する再生医療基盤技術で、東京女子医科大学先端生命医科学研究所の岡野光夫氏が世界で初めて創唱した。

 温度応答性ポリマーで表面加工した細胞培養皿を用いて、患者自身の組織から採取した細胞をシート状に培養する。温度応答性ポリマーは37℃付近以上で疎水性に、それ以下の温度で親水性となる特性があるため、37℃で培養し、培養後に温度を室温程度(20℃〜25℃)に変えるだけで、細胞外マトリックスを保持したまま有機的に結合した細胞シートを培養皿から回収できる。

 細胞シート作製に必要な培養期間は、細胞の種類などによって異なるが概ね1〜2週間程度で、細胞シートのサイズも自由に設定できる。複数の細胞シートを積層させて細胞シート同士を接着させることもできる。

 培養した細胞シートを患部に貼る(移植する)だけで、細胞が生着(移植した細胞が患部に定着)し、細胞シートから分泌されたサイトカイン(細胞から放出されて細胞増殖や分化に影響する特定のたんぱく質の総称)が、患部の弱った細胞を活性化させると考えられている。

 また細胞シート再生医療には、患者自身の細胞を用いるため免疫拒絶反応が起こらない、身体のどの部位の細胞からも作製できる、施術としては比較的簡単な治療法である、細胞が生体組織に速やかに生着する、残存機能を損なわずに根治を目指すことも可能であるなどのメリットがあり、新たな再生医療技術として注目されている。

■新中期経営計画策定

 2月15日に新中期経営計画(19年12月期〜21年12月期)を発表した。概要は、日本で22年の食道再生上皮シートの製造販売承認申請を目指す、軟骨再生シートの21年治験開始に向けた開発を加速する、食道再生上皮シートおよび軟骨再生シートに続く次期品目の開発に着手する、細胞シート再生医療および支援製品の組織・インフラ体制を構築する、再生医療支援製品の新製品開発および受託製造を推進して更なる収益機会獲得を目指す、日本発の細胞シート工学の世界展開のために事業提携を積極推進して収益拡大を目指すとしている。

 なお事業区分は細胞シート再生医療事業および再生医療支援事業としている。細胞シート再生医療事業は細胞シート再生医療製品および応用製品の研究開発・製造・販売、再生医療支援事業は細胞シート再生医療の基盤ツールである温度応答性細胞培養器材および応用製品の研究開発・製造・販売である。子会社のCellSeed Sweden AB(スウェーデン)は、欧州で細胞シート再生医療製品の研究開発を行っている。

■食道再生上皮シートは日本で22年承認申請目指す

 食道再生上皮シートは、食道がん再生治療法(食道創傷治癒・狭窄予防)として、東京女子医科大学先端生命医科学研究所が開発した治療法である。患者の口腔粘膜から採取した細胞から、温度応答性細胞培養皿を用いて細胞シートを作製し、食道がん切除内視鏡手術後の食道潰瘍面に移植する。

 東京女子医科大学と食道再生上皮細胞シート開発基本合意書を締結し、16年8月国立がん研究センター中央病院、国立がん研究センター東病院、東京女子医科大学病院において治験を開始した。17年2月「口腔粘膜由来食道細胞シート」が厚生労働省から再生医療等製品の先駆け審査指定制度の対象品目指定を受け、18年4月までに症例登録を終了した。

 また18年10月再生医療等製品製造業許可を取得し、18年11月再生医療受託サービスに関する第1号案件を東京女子医科大学から受注した。同大学は今回受託製造する当該細胞シートを用いて医師主導治験を実施する。細胞シート受託加工の事業化に向けた動きが着実に進展している。

 なお2月15日に食道再生上皮シート臨床試験に係る治験結果を発表した。安全性は確認できたものの、主要評価項目の「ESD後8週目の狭窄予防効果」において統計的な優位性が証明されなかった。このため追加臨床試験を実施すべく独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)と協議を続け、日本で22年製造販売承認申請を目指す。

■軟骨再生シートは同種細胞由来の21年企業治験開始目指す

 軟骨再生シート(自己細胞由来軟骨再生シート、同種細胞由来軟骨再生シート)は17年2月に東海大学と、軟骨再生シート臨床研究の実用化開発、治験、製造販売承認申請に向けて協力体制を推進することを目的とした基本合意書を締結し、軟骨欠損および変形性膝関節症を適応症として共同研究を進めている。

 変形性膝関節症は、緩徐に進行する難治性の関節軟骨変性で、国内における患者数(40歳以上)は2530万人、そのうち有症病者は800万人と推定(東京大学医学部附属病院22世紀医療センター調査)され、高齢化により患者数の増加が予想されている。細胞シートを積層化した3次元複合体の積層化軟骨細胞シートを患部に移植し、軟骨の修復・再生に寄与する。

 自己細胞由来軟骨再生シートは東海大学が先進医療申請し、18年10月自己細胞由来シートによる軟骨再生医療が厚生労働省第76回先進医療技術審査部会の審査を通過し、19年1月厚生労働省第71回先進医療会議で承認された。今後は再生医療等安全性確保の定めに則って、東海大学で実施される特定認定再生医療等委員会での審議を経て、東海大学から厚生労働省へ第2種再生医療等提供計画の申請を以って、最終的な承認手続に進む。本件が実施に至った際には当社が細胞シート受託加工予定である。また先進医療の状況を見据えて治験を実施する方針だ。

 同種細胞由来軟骨再生シートは17年2月東海大学整形学科の佐藤正人教授が、世界初の同種軟骨細胞シートの移植手術(多指症患者軟骨組織を採取し、同種細胞シートとして移植)を実施した。臨床研究は10名の患者に移植予定で、18年第2四半期までに3例を実施した。これに対応して、レギュラトリーサイエンス戦略相談・レギュラトリーサイエンス総合相談および治験準備を進めている。そして21年企業治験開始を目指す。

 なお18年9月には、国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)が公募した補助事業である平成30年度「再生医療の産業化に向けた評価基盤技術開発事業(再生医療シーズ開発加速支援)」に、当社が提案した研究開発課題「同種軟骨細胞シート(CLS2901C)の製品化に向けた製造方法の確立」が採択された。

 また18年3月には、東海大学と共同出願している移植用軟骨再生シートに関する基本特許が成立する見込みとなったと発表している。登録国はドイツ、フランス、イギリスなど欧州10ヶ国である。

■海外は台湾で事業提携

 海外展開は17年4月台湾MetaTech社と、台湾における細胞シート再生医療事業(食道再生上皮シートおよび軟骨再生シート)の事業提携契約を締結して、独占的開発・製造・販売権を付与した。開発進捗に応じてマイルストーン収入、開発製造関連データ料、開発サポート料を最大12億50百万円受領予定である。また上市(販売)時には売上高に応じたロイヤルティ収入を得る。

 台湾MetaTech社は18年中の食道再生上皮シート治験届提出に向けて準備中である。当社からの一部開発データ提供は当初想定を上回るペースで完了した。なお台湾では18年9月に細胞治療関連法が改正され、台湾版「先進医療」対象に軟骨再生シートが含まれる可能性もあるとしている。

 さらに今後の世界展開に向けて、既契約先である台湾MetaTech社の支援を推進しつつ、アジア諸国・欧米をターゲットに海外事業提携先を探索している。

■再生医療支援事業ではテルモに特別仕様製品を供給

 再生医療支援事業は、主要顧客である大学・研究機関向けなどに、細胞シート回収用温度応答性細胞培養器材UpCellを中心とした器材を開発・販売している。

 14年4月大日本印刷<7912>と細胞培養器材製造委託基本契約を締結し、市販製品(研究開発用途に限定)について大日本印刷に製造を委託している。16年3月テルモ<4543>と細胞培養器材に関する取引基本契約を締結し、テルモが再生医療等製品に係る保険適用決定を受けた「ハートシート」に含まれる当社製品(温度応答性細胞培養器材)について、市販製品とは異なる特別仕様製品を供給している。

 今後の戦略としては、研究用器材の新製品開発や臨床応用用途の製品開発など顧客ニーズに対応した製品ラインナップ拡充、新規販売代理店開拓などによる国内外の販売網強化、さらに製造コストの引き下げなどを推進する方針だ。

■21年12月期収益本格化目標

 18年12月期の連結業績は、売上高が10億26百万円、営業利益が1億40百万円の黒字、経常利益が1億40百万円の黒字、純利益が1億29百万円の黒字だった。売上高は計画を下回ったが、台湾MetaTech社関連で9億60百万円を計上し、開発業務委託費用や細胞培養施設の維持費用などが想定を下回ったことも寄与して各利益は黒字となった。

 新中期経営計画(19年12月期〜21年12月期)では、目標値を19年12月期売上高3億円、各利益11億円の赤字、20年12月期売上高3億50百万円、各利益13億円の赤字、21年12月期売上高20億円、営業利益と経常利益3億円の黒字、純利益2億25百万円の黒字としている。自己細胞由来軟骨再生シートで19年下期以降、共同研究先である東海大学から先進医療(今後5年間で最大20症例を移植予定)に係る製造を受託する。

■株価は売り一巡して反発の動き

 株価は2月15日発表した食道再生上皮シートに係る治験結果を嫌気して急落したが、12月安値まで下押すことなく売り一巡して反発の動きを強めている。出直りを期待したい。2月27日の終値は784円、時価総額は約90億円である。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media−IR)
[02月18日更新]

セルシードの18年12月期決算は各利益とも黒字転換

■2019年12月期から3ヵ年の中期経営計画を発表

 セルシード<7776>(JQG)は15日に、18年12月期連結業績を修正、各利益とも黒字転換とし、また併せて中期経営計画を発表した。

 売上高は前回予想を1億44百万円下回る10億26百万円(前期比9億41百万円増)、営業損益は同1億20百万円上回る1億40百万円(前期は10億24百万円の赤字)、経常損益は同90百万円上回る1億40百万円(同9億64百万円の赤字)、最終損益は同89百万円上回る1億29百万円(同9億66百万円の赤字)へと修正した。

 売上高は、再生医療支援事業では17年12月期とほぼ同水準の推移だったが、細胞シート再生医療事業では、台湾企業 (MetaTech社)の他に契約締結に至った案件はなく一部業績予想を下回った。 また利益面では、開発業務委託費用や細胞培養施設の維持費用等の支出額が当初想定を下回ったことで業績予想を上回った。

 また、併せて中期経営計画(19年〜21年)を発表。事業展開として、食道再生上皮シートの日本での22年承認取得・販売開始、軟骨再生シートの21年治験開始に向けた開発を加速、食道再生上皮シートおよび軟骨再生シートに続く次期品目の開発に着手、細胞シート再生医療および支援製品の組織・インフラ体制を構築、再生医療支援製品の新製品開発推進・収益機会獲得、日本発細胞シート工学の世界展開のための事業提携の積極推進・収益拡大としている。

 今期19年12月期の業績予想(計画)は、売上高3億円、営業利益11億円の赤字、経常利益11億円の赤字、純利益11億円の赤字とし、今後の業績目標は、20年12月期の売上高3億50百万円、営業利益13億円の赤字、経常利益13億円の赤字、純利益13億円の赤字、そして21年12月期の売上高20億円、営業利益3億円、経常利益3億円、純利益2億25百万円としている。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media−IR)
[01月30日更新]

セルシードは急反発して戻り歩調、食道再生上皮シートの19年承認取得・販売開始目指す

 セルシード<7776>(JQ)は細胞シート再生医療製品の開発・事業化、および世界普及を目指すバイオベンチャーである。19年に食道がん再生治療の食道再生上皮シートの承認取得および販売開始を目指している。また19年1月には自己細胞シートによる軟骨再生医療が厚生労働省第71回先進医療会議で承認された。株価は急反発して戻り歩調だ。上値を試す展開を期待したい。

■細胞シート再生医療製品の事業化、世界普及を目指すバイオベンチャー

 温度応答性ポリマーを用いた細胞シート工学という日本発の革新的再生医療技術を基盤技術として、この技術に基づいて作製される細胞シート再生医療製品の開発・事業化を目指すバイオベンチャーである。

■細胞シート再生医療とは

 細胞シートは患者自身の組織から採取した細胞をシート状に培養したものである。細胞シート工学は、生体組織・臓器の基本単位となる細胞シートを生体外で人工的に作製する再生医療基盤技術で、東京女子医科大学先端生命医科学研究所の岡野光夫氏が世界で初めて創唱した。

 温度応答性ポリマーで表面加工した細胞培養皿を用いて、患者自身の組織から採取した細胞をシート状に培養する。温度応答性ポリマーは37℃付近以上で疎水性に、それ以下の温度で親水性となる特性があるため、37℃で培養し、培養後に温度を室温程度(20℃〜25℃)に変えるだけで、細胞外マトリックスを保持したまま有機的に結合した細胞シートを培養皿から回収できる。

 細胞シート作製に必要な培養期間は、細胞の種類などによって異なるが概ね1〜2週間程度で、細胞シートのサイズも自由に設定できる。複数の細胞シートを積層させて細胞シート同士を接着させることもできる。

 培養した細胞シートを患部に貼る(移植する)だけで、細胞が生着(移植した細胞が患部に定着)し、細胞シートから分泌されたサイトカイン(細胞から放出されて細胞増殖や分化に影響する特定のたんぱく質の総称)が、患部の弱った細胞を活性化させると考えられている。

 また細胞シート再生医療には、患者自身の細胞を用いるため免疫拒絶反応が起こらない、身体のどの部位の細胞からも作製できる、施術としては比較的簡単な治療法である、細胞が生体組織に速やかに生着する、残存機能を損なわずに根治を目指すことも可能であるなどのメリットがあり、新たな再生医療技術として注目されている。

■細胞シート再生医療事業および再生医療支援事業を展開

 事業区分は細胞シート再生医療事業および再生医療支援事業としている。細胞シート再生医療事業は、細胞シート再生医療製品および応用製品の研究開発・製造・販売を通じて細胞シート再生医療の普及を推進する。再生医療支援事業は、細胞シート再生医療の基盤ツールである温度応答性細胞培養器材および応用製品の研究開発・製造・販売を通じて再生医療の研究開発を支援する。

 子会社のCellSeed Sweden AB(スウェーデン)は、欧州で細胞シート再生医療製品の研究開発を行っている。

■食道再生上皮シートと軟骨再生シートの承認取得・事業化目指す

 細胞シート再生医療事業では、優先的に自社開発を推進するパイプラインとして、食道再生上皮シートおよび軟骨再生シートを設定し、当社における細胞シート再生医療第1号製品としての早期承認取得・事業化を目指している。

 事業化・収益化に向けた基本方針は、国内での細胞シート再生医療パイプラインの開発を自社主体で推進し、製造販売承認取得を目指す。そして細胞シート再生医療の世界普及を推進するため、製造・販売のサプライチェーン体制を構築して事業化を前進させつつ、海外展開は他社との提携も視野に入れて細胞シート再生医療事業の拡大を目指す方針だ。

■食道再生上皮シートは19年承認取得・販売開始目指す

 食道再生上皮シートは、食道がん再生治療法(食道創傷治癒・狭窄予防)として、東京女子医科大学先端生命医科学研究所が開発した治療法である。患者の口腔粘膜から採取した細胞を、温度応答性細胞培養皿を用いて細胞シートを作製し、食道がん切除内視鏡手術後の食道潰瘍面に移植する。

 東京女子医科大学と食道再生上皮細胞シート開発基本合意書を締結し、16年8月国立がん研究センター中央病院、国立がん研究センター東病院、東京女子医科大学病院において治験を開始した。17年2月には「口腔粘膜由来食道細胞シート」が厚生労働省から再生医療等製品の先駆け審査指定制度の対象品目指定を受け、18年12月期第2四半期には症例登録が終了した。

 今後の計画としては、日本で19年上期に「口腔粘膜由来食道細胞シート」の製造販売承認申請、19年中に製造販売承認取得および薬価収載後の販売開始、20年に販売本格化を目指している。

 なお18年10月再生医療等製品製造業許可を取得し、18年11月には再生医療受託サービスに関する第1号案件を東京女子医科大学から受注した。同大学は今回受託製造する当該細胞シートを用いて医師主導治験を実施する。細胞シート受託加工の事業化に向けた動きが着実に進展している。

 欧州では子会社CellSeed Sweden AB(スウェーデン)が、16年に欧州医薬品庁(EMA)と事前相談して治験準備中だが、今後は次期開発品目の候補品目の一つとして開発優先順位を検討する。

 食道再生上皮シート移植用デバイスも同時開発している。細胞シートと組み合わせて治験を実施し、欧州での治験でも使用できるように医療機器としての承認を取得する方針だ。

■軟骨再生シートは20年に企業治験開始目指す

 軟骨再生シート(自己軟骨再生シート、同種軟骨再生シート)については、17年2月に東海大学と、軟骨再生シート臨床研究の実用化開発、治験、製造販売承認申請に向けて協力体制を推進することを目的とした基本合意書を締結し、軟骨欠損および変形性膝関節症を適応症として共同研究を進めている。

 変形性膝関節症は、緩徐に進行する難治性の関節軟骨変性で、国内における患者数(40歳以上)は2530万人、そのうち有症病者は800万人と推定(東京大学医学部附属病院22世紀医療センター調査)され、高齢化により患者数の増加が予想されている。細胞シートを積層化した3次元複合体の積層化軟骨細胞シートを患部に移植し、軟骨の修復・再生に寄与する。

 自己細胞については東海大学が先進医療申請準備を進めている。18年10月には東海大学が申請した自己細胞シートによる軟骨再生医療が厚生労働省第76回先進医療技術審査部会の審査を通過した。また19年1月には厚生労働省第71回先進医療会議で承認された。

 今後は再生医療等安全性確保の定めに則って、東海大学で実施される特定認定再生医療等委員会での審議を経て、東海大学から厚生労働省へ第2種再生医療等提供計画の申請を以って、最終的な承認手続に進むことになる。なお本件が実施に至った際には、先進医療で使用される細胞シートの受託加工を当社が有償で実施予定である。

 同種細胞については17年2月に東海大学整形学科の佐藤正人教授が、世界初の同種軟骨細胞シートの移植手術(多指症患者軟骨組織を採取し、同種細胞シートとして移植)を実施した。臨床研究は10名の患者に移植予定で、18年第2四半期までに3例を実施した。これに対応して、レギュラトリーサイエンス戦略相談・レギュラトリーサイエンス総合相談および治験準備を進めている。そして20年に企業治験開始を目指している。

 なお18年3月には、東海大学と共同出願している移植用軟骨再生シートに関する基本特許が成立する見込みとなったと発表している。登録国はドイツ、フランス、イギリスなど欧州10ヶ国である。

 18年9月には、国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)が公募した補助事業である平成30年度「再生医療の産業化に向けた評価基盤技術開発事業(再生医療シーズ開発加速支援)」に、当社が提案した研究開発課題「同種軟骨細胞シート(CLS2901C)の製品化に向けた製造方法の確立」が採択された。

■海外は台湾で事業提携

 海外展開は17年4月台湾MetaTech社と、台湾における細胞シート再生医療事業(食道再生上皮シートおよび軟骨再生シート)の事業提携契約を締結して、独占的開発・製造・販売権を付与した。開発進捗に応じてマイルストーン収入、開発製造関連データ料、開発サポート料を最大12億50百万円受領予定である。また上市(販売)時には売上高に応じたロイヤルティ収入を得る。

 台湾MetaTech社は18年中の食道再生上皮シート治験届提出に向けて準備中である。当社からの一部開発データ提供は当初想定を上回るペースで完了した。なお台湾では18年9月に細胞治療関連法が改正され、台湾版「先進医療」対象に軟骨再生シートが含まれる可能性もあるとしている。

 さらに今後の世界展開に向けて、既契約先である台湾MetaTech社の支援を推進しつつ、アジア諸国・欧米をターゲットに海外事業提携先を探索している。

■再生医療支援事業ではテルモに特別仕様製品を供給

 再生医療支援事業は、主要顧客である大学・研究機関向けなどに、細胞シート回収用温度応答性細胞培養器材UpCellを中心とした器材を開発・販売している。

 14年4月大日本印刷<7912>と細胞培養器材製造委託基本契約を締結し、市販製品(研究開発用途に限定)について大日本印刷に製造を委託している。16年3月テルモ<4543>と細胞培養器材に関する取引基本契約を締結し、テルモが再生医療等製品に係る保険適用決定を受けた「ハートシート」に含まれる当社製品(温度応答性細胞培養器材)について、市販製品とは異なる特別仕様製品を供給している。

 今後の戦略としては、研究用器材の新製品開発や臨床応用用途の製品開発など顧客ニーズに対応した製品ラインナップ拡充、新規販売代理店開拓などによる国内外の販売網強化、さらに製造コストの引き下げなどを推進する方針だ。

■20年以降の食道再生上皮シート収益化期待

 中期経営計画(18年〜20年)では事業展開として、食道再生上皮シートの日本での19年承認取得・販売開始、同種軟骨再生シートの開発加速、次期品目の開発着手、細胞シート再生医療および支援製品のサプライチェーン体制構築、再生医療支援製品の新製品開発推進・収益機会獲得、日本発細胞シート工学の世界展開のための事業提携の積極推進、収益の拡大・黒字化を掲げている。

 目標数値は、18年12月期売上高11億70百万円、営業利益20百万円、経常利益40百万円、純利益40百万円、19年12月期売上高12億50百万円、営業利益20百万円、経常利益50百万円、純利益40百万円、そして20年12月期売上高14億50百万円、営業利益1億10百万円、経常利益1億10百万円、純利益1億円としている。

 細胞シート再生医療第1号製品となる見込みの食道再生上皮シートは19年製造販売承認取得・販売開始を目指している。20年12月期以降の収益化を期待したい。

■株価は急反発して戻り歩調

 株価は12月25日の安値583円から急反発している。戻り歩調だ。1月21日には1408円まで上伸した。その後は急反発の反動で上げ一服の形だが、上値を試す展開を期待したい。1月29日の終値は1093円、時価総額は約125億円である。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media−IR)
[12月26日更新]

セルシードは売られ過ぎ感、食道再生上皮シートの19年承認取得・販売開始目指す

 セルシード<7776>(JQ)は細胞シート再生医療製品の開発・事業化、および世界普及を目指すバイオベンチャーである。19年に食道がん再生治療の食道再生上皮シートの承認取得および販売開始を目指している。株価は地合い悪の影響で急落したが売られ過ぎ感を強めている。反発を期待したい。

■細胞シート再生医療製品の事業化、世界普及を目指すバイオベンチャー

 温度応答性ポリマーを用いた細胞シート工学という日本発の革新的再生医療技術を基盤技術として、この技術に基づいて作製される細胞シート再生医療製品の開発・事業化を目指すバイオベンチャーである。

■細胞シート再生医療とは

 細胞シートは患者自身の組織から採取した細胞をシート状に培養したものである。細胞シート工学は、生体組織・臓器の基本単位となる細胞シートを生体外で人工的に作製する再生医療基盤技術で、東京女子医科大学先端生命医科学研究所の岡野光夫氏が世界で初めて創唱した。

 温度応答性ポリマーで表面加工した細胞培養皿を用いて、患者自身の組織から採取した細胞をシート状に培養する。温度応答性ポリマーは37℃付近以上で疎水性に、それ以下の温度で親水性となる特性があるため、37℃で培養し、培養後に温度を室温程度(20℃〜25℃)に変えるだけで、細胞外マトリックスを保持したまま有機的に結合した細胞シートを培養皿から回収できる。

 細胞シート作製に必要な培養期間は、細胞の種類などによって異なるが概ね1〜2週間程度で、細胞シートのサイズも自由に設定できる。複数の細胞シートを積層させて細胞シート同士を接着させることもできる。

 培養した細胞シートを患部に貼る(移植する)だけで、細胞が生着(移植した細胞が患部に定着)し、細胞シートから分泌されたサイトカイン(細胞から放出されて細胞増殖や分化に影響する特定のたんぱく質の総称)が、患部の弱った細胞を活性化させると考えられている。

 また細胞シート再生医療には、患者自身の細胞を用いるため免疫拒絶反応が起こらない、身体のどの部位の細胞からも作製できる、施術としては比較的簡単な治療法である、細胞が生体組織に速やかに生着する、残存機能を損なわずに根治を目指すことも可能であるなどのメリットがあり、新たな再生医療技術として注目されている。

■細胞シート再生医療事業および再生医療支援事業を展開

 事業区分は細胞シート再生医療事業および再生医療支援事業としている。細胞シート再生医療事業は、細胞シート再生医療製品および応用製品の研究開発・製造・販売を通じて細胞シート再生医療の普及を推進する。再生医療支援事業は、細胞シート再生医療の基盤ツールである温度応答性細胞培養器材および応用製品の研究開発・製造・販売を通じて再生医療の研究開発を支援する。

 子会社のCellSeed Sweden AB(スウェーデン)は、欧州で細胞シート再生医療製品の研究開発を行っている。

■食道再生上皮シートと軟骨再生シートの承認取得・事業化目指す

 細胞シート再生医療事業では、優先的に自社開発を推進するパイプラインとして、食道再生上皮シートおよび軟骨再生シートを設定し、当社における細胞シート再生医療第1号製品としての早期承認取得・事業化を目指している。

 事業化・収益化に向けた基本方針は、国内での細胞シート再生医療パイプラインの開発を自社主体で推進し、製造販売承認取得を目指す。そして細胞シート再生医療の世界普及を推進するため、製造・販売のサプライチェーン体制を構築して事業化を前進させつつ、海外展開は他社との提携も視野に入れて細胞シート再生医療事業の拡大を目指す方針だ。

■食道再生上皮シートは19年承認取得・販売開始目指す

 食道再生上皮シートは、食道がん再生治療法(食道創傷治癒・狭窄予防)として、東京女子医科大学先端生命医科学研究所が開発した治療法である。患者の口腔粘膜から採取した細胞を、温度応答性細胞培養皿を用いて細胞シートを作製し、食道がん切除内視鏡手術後の食道潰瘍面に移植する。

 東京女子医科大学と食道再生上皮細胞シート開発基本合意書を締結し、16年8月国立がん研究センター中央病院、国立がん研究センター東病院、東京女子医科大学病院において治験を開始した。17年2月には「口腔粘膜由来食道細胞シート」が厚生労働省から再生医療等製品の先駆け審査指定制度の対象品目指定を受け、18年12月期第2四半期には症例登録が終了した。

 今後の計画としては、日本で19年上期に「口腔粘膜由来食道細胞シート」の製造販売承認申請、19年中に製造販売承認取得および薬価収載後の販売開始、20年に販売本格化を目指している。

 なお18年10月再生医療等製品製造業許可を取得し、18年11月には再生医療受託サービスに関する第1号案件を東京女子医科大学から受注した。同大学は今回受託製造する当該細胞シートを用いて医師主導治験を実施する。細胞シート受託加工の事業化に向けた動きが着実に進展している。

 欧州では子会社CellSeed Sweden AB(スウェーデン)が、16年に欧州医薬品庁(EMA)と事前相談して治験準備中だが、今後は次期開発品目の候補品目の一つとして開発優先順位を検討する。

 食道再生上皮シート移植用デバイスも同時開発している。細胞シートと組み合わせて治験を実施し、欧州での治験でも使用できるように医療機器としての承認を取得する方針だ。

■軟骨再生シートは20年に企業治験開始目指す

 軟骨再生シート(自己軟骨再生シート、同種軟骨再生シート)については、17年2月に東海大学と、軟骨再生シート臨床研究の実用化開発、治験、製造販売承認申請に向けて協力体制を推進することを目的とした基本合意書を締結し、軟骨欠損および変形性膝関節症を適応症として共同研究を進めている。

 変形性膝関節症は、緩徐に進行する難治性の関節軟骨変性で、国内における患者数(40歳以上)は2530万人、そのうち有症病者は800万人と推定(東京大学医学部附属病院22世紀医療センター調査)され、高齢化により患者数の増加が予想されている。細胞シートを積層化した3次元複合体の積層化軟骨細胞シートを患部に移植し、軟骨の修復・再生に寄与する。

 自己細胞については東海大学が先進医療申請準備を進め、18年10月には東海大学が申請した自己細胞シートによる軟骨再生医療が厚生労働省第76回先進医療技術審査部会の審査を通過した。今後開催される厚生労働省先進医療会議での審議を経て正式な手続きに進む予定としている。先進医療で使用される細胞シートの受託加工は当社が有償で実施予定である。

 同種細胞については17年2月に東海大学整形学科の佐藤正人教授が、世界初の同種軟骨細胞シートの移植手術(多指症患者軟骨組織を採取し、同種細胞シートとして移植)を実施した。臨床研究は10名の患者に移植予定で、18年第2四半期までに3例を実施した。これに対応して、レギュラトリーサイエンス戦略相談・レギュラトリーサイエンス総合相談および治験準備を進めている。そして20年に企業治験開始を目指している。

 なお18年3月には、東海大学と共同出願している移植用軟骨再生シートに関する基本特許が成立する見込みとなったと発表している。登録国はドイツ、フランス、イギリスなど欧州10ヶ国である。

 18年9月には、国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)が公募した補助事業である平成30年度「再生医療の産業化に向けた評価基盤技術開発事業(再生医療シーズ開発加速支援)」に、当社が提案した研究開発課題「同種軟骨細胞シート(CLS2901C)の製品化に向けた製造方法の確立」が採択された。

■海外は台湾で事業提携

 海外展開は17年4月台湾MetaTech社と、台湾における細胞シート再生医療事業(食道再生上皮シートおよび軟骨再生シート)の事業提携契約を締結して、独占的開発・製造・販売権を付与した。開発進捗に応じてマイルストーン収入、開発製造関連データ料、開発サポート料を最大12億50百万円受領予定である。また上市(販売)時には売上高に応じたロイヤルティ収入を得る。

 台湾MetaTech社は18年中の食道再生上皮シート治験届提出に向けて準備中である。当社からの一部開発データ提供は当初想定を上回るペースで完了した。なお台湾では18年9月に細胞治療関連法が改正され、台湾版「先進医療」対象に軟骨再生シートが含まれる可能性もあるとしている。

 さらに今後の世界展開に向けて、既契約先である台湾MetaTech社の支援を推進しつつ、アジア諸国・欧米をターゲットに海外事業提携先を探索している。

■再生医療支援事業ではテルモに特別仕様製品を供給

 再生医療支援事業は、主要顧客である大学・研究機関向けなどに、細胞シート回収用温度応答性細胞培養器材UpCellを中心とした器材を開発・販売している。

 14年4月大日本印刷<7912>と細胞培養器材製造委託基本契約を締結し、市販製品(研究開発用途に限定)について大日本印刷に製造を委託している。16年3月テルモ<4543>と細胞培養器材に関する取引基本契約を締結し、テルモが再生医療等製品に係る保険適用決定を受けた「ハートシート」に含まれる当社製品(温度応答性細胞培養器材)について、市販製品とは異なる特別仕様製品を供給している。

 今後の戦略としては、研究用器材の新製品開発や臨床応用用途の製品開発など顧客ニーズに対応した製品ラインナップ拡充、新規販売代理店開拓などによる国内外の販売網強化、さらに製造コストの引き下げなどを推進する方針だ。

■20年以降の食道再生上皮シート収益化期待

 中期経営計画(18年〜20年)では事業展開として、食道再生上皮シートの日本での19年承認取得・販売開始、同種軟骨再生シートの開発加速、次期品目の開発着手、細胞シート再生医療および支援製品のサプライチェーン体制構築、再生医療支援製品の新製品開発推進・収益機会獲得、日本発細胞シート工学の世界展開のための事業提携の積極推進、収益の拡大・黒字化を掲げている。

 目標数値は、18年12月期売上高11億70百万円、営業利益20百万円、経常利益40百万円、純利益40百万円、19年12月期売上高12億50百万円、営業利益20百万円、経常利益50百万円、純利益40百万円、そして20年12月期売上高14億50百万円、営業利益1億10百万円、経常利益1億10百万円、純利益1億円としている。

 細胞シート再生医療第1号製品となる見込みの食道再生上皮シートは19年製造販売承認取得・販売開始を目指している。20年12月期以降の収益化を期待したい。

■株価は売られ過ぎ感

 株価は12月25日に583円まで下押した。地合い悪の影響で急落したが、25日移動平均線に対するマイナス乖離率が約27%まで拡大して売られ過ぎ感を強めている。反発を期待したい。12月25日の終値は594円、時価総額は約68億円である。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media−IR)
[11月29日更新]

セルシードは調整一巡して反発期待、食道再生上皮シートの19年承認取得・販売開始目指す

 セルシード<7776>(JQ)は細胞シート再生医療製品の開発・事業化、および世界普及を目指すバイオベンチャーである。19年に食道がん再生治療の食道再生上皮シートの承認取得および販売開始を目指している。11月26日には再生医療受託サービスに関する第1号案件を東京女子医科大学から受注したと発表している。株価は安値圏だが、調整一巡して反発を期待したい。

■細胞シート再生医療製品の事業化、世界普及を目指すバイオベンチャー

 温度応答性ポリマーを用いた細胞シート工学という日本発の革新的再生医療技術を基盤技術として、この技術に基づいて作製される細胞シート再生医療製品の開発・事業化を目指すバイオベンチャーである。

■細胞シート再生医療とは

 細胞シートは患者自身の組織から採取した細胞をシート状に培養したものである。細胞シート工学は、生体組織・臓器の基本単位となる細胞シートを生体外で人工的に作製する再生医療基盤技術で、東京女子医科大学先端生命医科学研究所の岡野光夫氏が世界で初めて創唱した。

 温度応答性ポリマーで表面加工した細胞培養皿を用いて、患者自身の組織から採取した細胞をシート状に培養する。温度応答性ポリマーは37℃付近以上で疎水性に、それ以下の温度で親水性となる特性があるため、37℃で培養し、培養後に温度を室温程度(20℃〜25℃)に変えるだけで、細胞外マトリックスを保持したまま有機的に結合した細胞シートを培養皿から回収できる。

 細胞シート作製に必要な培養期間は、細胞の種類などによって異なるが概ね1〜2週間程度で、細胞シートのサイズも自由に設定できる。複数の細胞シートを積層させて細胞シート同士を接着させることもできる。

 培養した細胞シートを患部に貼る(移植する)だけで、細胞が生着(移植した細胞が患部に定着)し、細胞シートから分泌されたサイトカイン(細胞から放出されて細胞増殖や分化に影響する特定のたんぱく質の総称)が、患部の弱った細胞を活性化させると考えられている。

 また細胞シート再生医療には、患者自身の細胞を用いるため免疫拒絶反応が起こらない、身体のどの部位の細胞からも作製できる、施術としては比較的簡単な治療法である、細胞が生体組織に速やかに生着する、残存機能を損なわずに根治を目指すことも可能であるなどのメリットがあり、新たな再生医療技術として注目されている。

■細胞シート再生医療事業および再生医療支援事業を展開

 事業区分は細胞シート再生医療事業および再生医療支援事業としている。細胞シート再生医療事業は、細胞シート再生医療製品および応用製品の研究開発・製造・販売を通じて細胞シート再生医療の普及を推進する。再生医療支援事業は、細胞シート再生医療の基盤ツールである温度応答性細胞培養器材および応用製品の研究開発・製造・販売を通じて再生医療の研究開発を支援する。

 子会社のCellSeed Sweden AB(スウェーデン)は、欧州で細胞シート再生医療製品の研究開発を行っている。

■食道再生上皮シートと軟骨再生シートの承認取得・事業化目指す

 細胞シート再生医療事業では、優先的に自社開発を推進するパイプラインとして、食道再生上皮シートおよび軟骨再生シートを設定し、当社における細胞シート再生医療第1号製品としての早期承認取得・事業化を目指している。

 事業化・収益化に向けた基本方針は、国内での細胞シート再生医療パイプラインの開発を自社主体で推進し、製造販売承認取得を目指す。そして細胞シート再生医療の世界普及を推進するため、製造・販売のサプライチェーン体制を構築して事業化を前進させつつ、海外展開は他社との提携も視野に入れて細胞シート再生医療事業の拡大を目指す方針だ。

■食道再生上皮シートは19年承認取得・販売開始目指す

 食道再生上皮シートは、食道がん再生治療法(食道創傷治癒・狭窄予防)として、東京女子医科大学先端生命医科学研究所が開発した治療法である。患者の口腔粘膜から採取した細胞を、温度応答性細胞培養皿を用いて細胞シートを作製し、食道がん切除内視鏡手術後の食道潰瘍面に移植する。

 東京女子医科大学と食道再生上皮細胞シート開発基本合意書を締結し、16年8月国立がん研究センター中央病院、国立がん研究センター東病院、東京女子医科大学病院において治験を開始した。17年2月には「口腔粘膜由来食道細胞シート」が厚生労働省から再生医療等製品の先駆け審査指定制度の対象品目指定を受け、18年12月期第2四半期には症例登録が終了した。

 今後の計画としては、日本で19年上期に「口腔粘膜由来食道細胞シート」の製造販売承認申請、19年中に製造販売承認取得および薬価収載後の販売開始、20年に販売本格化を目指している。

 なお18年10月再生医療等製品製造業許可を取得し、11月26日には再生医療受託サービスに関する第1号案件を東京女子医科大学から受注したと発表している。同大学は今回受託製造する当該細胞シートを用いて医師主導治験を実施する。細胞シート受託加工の事業化に向けた動きが着実に進展している。

 欧州では子会社CellSeed Sweden AB(スウェーデン)が、16年に欧州医薬品庁(EMA)と事前相談して治験準備中だが、今後は次期開発品目の候補品目の一つとして開発優先順位を検討する。

 食道再生上皮シート移植用デバイスも同時開発している。細胞シートと組み合わせて治験を実施し、欧州での治験でも使用できるように医療機器としての承認を取得する方針だ。

■軟骨再生シートは20年に企業治験開始目指す

 軟骨再生シート(自己軟骨再生シート、同種軟骨再生シート)については、17年2月に東海大学と、軟骨再生シート臨床研究の実用化開発、治験、製造販売承認申請に向けて協力体制を推進することを目的とした基本合意書を締結し、軟骨欠損および変形性膝関節症を適応症として共同研究を進めている。

 変形性膝関節症は、緩徐に進行する難治性の関節軟骨変性で、国内における患者数(40歳以上)は2530万人、そのうち有症病者は800万人と推定(東京大学医学部附属病院22世紀医療センター調査)され、高齢化により患者数の増加が予想されている。細胞シートを積層化した3次元複合体の積層化軟骨細胞シートを患部に移植し、軟骨の修復・再生に寄与する。

 自己細胞については東海大学が先進医療申請準備を進め、18年10月には東海大学が申請した自己細胞シートによる軟骨再生医療が厚生労働省第76回先進医療技術審査部会の審査を通過した。今後開催される厚生労働省先進医療会議での審議を経て正式な手続きに進む予定としている。先進医療で使用される細胞シートの受託加工は当社が有償で実施予定である。

 同種細胞については17年2月に東海大学整形学科の佐藤正人教授が、世界初の同種軟骨細胞シートの移植手術(多指症患者軟骨組織を採取し、同種細胞シートとして移植)を実施した。臨床研究は10名の患者に移植予定で、18年第2四半期までに3例を実施した。これに対応して、レギュラトリーサイエンス戦略相談・レギュラトリーサイエンス総合相談および治験準備を進めている。そして20年に企業治験開始を目指している。

 なお18年3月には、東海大学と共同出願している移植用軟骨再生シートに関する基本特許が成立する見込みとなったと発表している。登録国はドイツ、フランス、イギリスなど欧州10ヶ国である。

 18年9月には、国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)が公募した補助事業である平成30年度「再生医療の産業化に向けた評価基盤技術開発事業(再生医療シーズ開発加速支援)」に、当社が提案した研究開発課題「同種軟骨細胞シート(CLS2901C)の製品化に向けた製造方法の確立」が採択された。

■海外は台湾で事業提携

 海外展開は17年4月台湾MetaTech社と、台湾における細胞シート再生医療事業(食道再生上皮シートおよび軟骨再生シート)の事業提携契約を締結して、独占的開発・製造・販売権を付与した。開発進捗に応じてマイルストーン収入、開発製造関連データ料、開発サポート料を最大12億50百万円受領予定である。また上市(販売)時には売上高に応じたロイヤルティ収入を得る。

 台湾MetaTech社は18年中の食道再生上皮シート治験届提出に向けて準備中である。当社からの一部開発データ提供は当初想定を上回るペースで完了した。なお台湾では18年9月に細胞治療関連法が改正され、台湾版「先進医療」対象に軟骨再生シートが含まれる可能性もあるとしている。

 さらに今後の世界展開に向けて、既契約先である台湾MetaTech社の支援を推進しつつ、アジア諸国・欧米をターゲットに海外事業提携先を探索している。

■再生医療支援事業ではテルモに特別仕様製品を供給

 再生医療支援事業は、主要顧客である大学・研究機関向けなどに、細胞シート回収用温度応答性細胞培養器材UpCellを中心とした器材を開発・販売している。

 14年4月大日本印刷<7912>と細胞培養器材製造委託基本契約を締結し、市販製品(研究開発用途に限定)について大日本印刷に製造を委託している。16年3月テルモ<4543>と細胞培養器材に関する取引基本契約を締結し、テルモが再生医療等製品に係る保険適用決定を受けた「ハートシート」に含まれる当社製品(温度応答性細胞培養器材)について、市販製品とは異なる特別仕様製品を供給している。

 今後の戦略としては、研究用器材の新製品開発や臨床応用用途の製品開発など顧客ニーズに対応した製品ラインナップ拡充、新規販売代理店開拓などによる国内外の販売網強化、さらに製造コストの引き下げなどを推進する方針だ。

■18年12月期黒字化予想、20年以降の食道再生上皮シート収益化期待

 中期経営計画(18年〜20年)では事業展開として、食道再生上皮シートの日本での19年承認取得・販売開始、同種軟骨再生シートの開発加速、次期品目の開発着手、細胞シート再生医療および支援製品のサプライチェーン体制構築、再生医療支援製品の新製品開発推進・収益機会獲得、日本発細胞シート工学の世界展開のための事業提携の積極推進、収益の拡大・黒字化を掲げている。

 目標数値は、18年12月期売上高11億70百万円、営業利益20百万円、経常利益40百万円、純利益40百万円、19年12月期売上高12億50百万円、営業利益20百万円、経常利益50百万円、純利益40百万円、そして20年12月期売上高14億50百万円、営業利益1億10百万円、経常利益1億10百万円、純利益1億円としている。

 18年12月期第3四半期累計は売上高が5億43百万円、営業利益が94百万円の赤字だった。売上面では台湾MetaTech社向け開発データ提供を計上し、利益面では赤字が縮小した。

 細胞シート再生医療第1号製品となる見込みの食道再生上皮シートは19年製造販売承認取得・販売開始を目指している。20年12月期以降の収益化を期待したい。

■株価は調整一巡して反発期待

 株価は水準を切り下げて安値圏だが、800円近辺で下げ渋る動きだ。調整一巡して反発を期待したい。11月28日の終値は827円で、時価総額は約95億円である。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media−IR)
[10月19日更新]

セルシードは調整一巡して反発の動き、食道再生上皮シートの19年承認取得・販売開始目指す

 セルシード<7776>(JQ)は細胞シート再生医療製品の開発・事業化、および世界普及を目指すバイオベンチャーである。19年に食道がん再生治療の食道再生上皮シートの承認取得および販売開始を目指している。株価は調整一巡して反発の動きを強めている。出直りを期待したい。

■細胞シート再生医療製品の事業化、世界普及を目指すバイオベンチャー

 温度応答性ポリマーを用いた細胞シート工学という日本発の革新的再生医療技術を基盤技術として、この技術に基づいて作製される細胞シート再生医療製品の開発・事業化を目指すバイオベンチャーである。

■細胞シート再生医療とは

 細胞シートは患者自身の組織から採取した細胞をシート状に培養したものである。細胞シート工学は、生体組織・臓器の基本単位となる細胞シートを生体外で人工的に作製する再生医療基盤技術で、東京女子医科大学先端生命医科学研究所の岡野光夫氏が世界で初めて創唱した。

 温度応答性ポリマーで表面加工した細胞培養皿を用いて、患者自身の組織から採取した細胞をシート状に培養する。温度応答性ポリマーは37℃付近以上で疎水性に、それ以下の温度で親水性となる特性があるため、37℃で培養し、培養後に温度を室温程度(20℃〜25℃)に変えるだけで、細胞外マトリックスを保持したまま有機的に結合した細胞シートを培養皿から回収できる。

 細胞シート作製に必要な培養期間は、細胞の種類などによって異なるが概ね1〜2週間程度で、細胞シートのサイズも自由に設定できる。複数の細胞シートを積層させて細胞シート同士を接着させることもできる。

 培養した細胞シートを患部に貼る(移植する)だけで、細胞が生着(移植した細胞が患部に定着)し、細胞シートから分泌されたサイトカイン(細胞から放出されて細胞増殖や分化に影響する特定のたんぱく質の総称)が、患部の弱った細胞を活性化させると考えられている。

 また細胞シート再生医療には、患者自身の細胞を用いるため免疫拒絶反応が起こらない、身体のどの部位の細胞からも作製できる、施術としては比較的簡単な治療法である、細胞が生体組織に速やかに生着する、残存機能を損なわずに根治を目指すことも可能であるなどのメリットがあり、新たな再生医療技術として注目されている。

■細胞シート再生医療事業および再生医療支援事業を展開

 事業区分は細胞シート再生医療事業および再生医療支援事業としている。細胞シート再生医療事業は、細胞シート再生医療製品および応用製品の研究開発・製造・販売を通じて細胞シート再生医療の普及を推進する。再生医療支援事業は、細胞シート再生医療の基盤ツールである温度応答性細胞培養器材および応用製品の研究開発・製造・販売を通じて再生医療の研究開発を支援する。

 子会社のCellSeed Sweden AB(スウェーデン)は、欧州で細胞シート再生医療製品の研究開発を行っている。

■食道再生上皮シートと軟骨再生シートの承認取得・事業化目指す

 細胞シート再生医療事業では、優先的に自社開発を推進するパイプラインとして、食道再生上皮シートおよび軟骨再生シートを設定し、当社における細胞シート再生医療第1号製品としての早期承認取得・事業化を目指している。

 事業化・収益化に向けた基本方針は、国内での細胞シート再生医療パイプラインの開発を自社主体で推進し、製造販売承認取得を目指す。そして細胞シート再生医療の世界普及を推進するため、製造・販売のサプライチェーン体制を構築して事業化を前進させつつ、海外展開は他社との提携も視野に入れて細胞シート再生医療事業の拡大を目指す方針だ。

■食道再生上皮シートは19年承認取得・販売開始目指す

 食道再生上皮シートは、食道がん再生治療法(食道創傷治癒・狭窄予防)として、東京女子医科大学先端生命医科学研究所が開発した治療法である。患者の口腔粘膜から採取した細胞を、温度応答性細胞培養皿を用いて細胞シートを作製し、食道がん切除内視鏡手術後の食道潰瘍面に移植する。

 東京女子医科大学と食道再生上皮細胞シート開発基本合意書を締結し、16年8月国立がん研究センター中央病院、国立がん研究センター東病院、東京女子医科大学病院において治験を開始した。17年2月には「口腔粘膜由来食道細胞シート」が厚生労働省から再生医療等製品の先駆け審査指定制度の対象品目指定を受け、18年12月期第2四半期には症例登録が終了した。

 今後の計画としては、日本で19年上期に「口腔粘膜由来食道細胞シート」の製造販売承認申請、19年中に製造販売承認取得および薬価収載後の販売開始、20年に販売本格化を目指している。なお10月11日には再生医療等製品製造業許可の取得を発表した。細胞シート受託加工の事業化に向けた動きが着実に進展している。

 欧州では子会社CellSeed Sweden AB(スウェーデン)が、16年に欧州医薬品庁(EMA)と事前相談して治験準備中だが、今後は次期開発品目の候補品目の一つとして開発優先順位を検討する。

 食道再生上皮シート移植用デバイスも同時開発している。細胞シートと組み合わせて治験を実施し、欧州での治験でも使用できるように医療機器としての承認を取得する方針だ。

■軟骨再生シートは20年に企業治験開始目指す

 軟骨再生シート(自己軟骨再生シート、同種軟骨再生シート)については、17年2月に東海大学と、軟骨再生シート臨床研究の実用化開発、治験、製造販売承認申請に向けて協力体制を推進することを目的とした基本合意書を締結し、軟骨欠損および変形性膝関節症を適応症として共同研究を進めている。

 変形性膝関節症は、緩徐に進行する難治性の関節軟骨変性で、国内における患者数(40歳以上)は2530万人、そのうち有症病者は800万人と推定(東京大学医学部附属病院22世紀医療センター調査)され、高齢化により患者数の増加が予想されている。細胞シートを積層化した3次元複合体の積層化軟骨細胞シートを患部に移植し、軟骨の修復・再生に寄与する。

 自己細胞については、東海大学が18年上期に厚生労働省医政局専門官との相談を踏まえて先進医療申請準備を進めた。今後の計画として18年下期に、申請後に実施される厚生労働省先進医療会議での審査に向けた準備を進める予定としている。先進医療で使用される細胞シートの受託加工を当社が有償で実施予定である。

 同種細胞については17年2月に東海大学整形学科の佐藤正人教授が、世界初の同種軟骨細胞シートの移植手術(多指症患者軟骨組織を採取し、同種細胞シートとして移植)を実施した。臨床研究は10名の患者に移植予定で、18年第2四半期までに3例を実施した。これに対応して、レギュラトリーサイエンス戦略相談・レギュラトリーサイエンス総合相談および治験準備を進めている。そして20年に企業治験開始を目指している。

 なお18年3月には、東海大学と共同出願している移植用軟骨再生シートに関する基本特許が成立する見込みとなったと発表している。登録国はドイツ、フランス、イギリスなど欧州10ヶ国である。

 18年9月には、国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)が公募した補助事業である平成30年度「再生医療の産業化に向けた評価基盤技術開発事業(再生医療シーズ開発加速支援)」に、当社が提案した研究開発課題「同種軟骨細胞シート(CLS2901C)の製品化に向けた製造方法の確立」が採択された。

■海外は台湾で事業提携

 海外展開は17年4月台湾MetaTech社と、台湾における細胞シート再生医療事業(食道再生上皮シートおよび軟骨再生シート)の事業提携契約を締結して、独占的開発・製造・販売権を付与した。開発進捗に応じてマイルストーン収入、開発製造関連データ料、開発サポート料を最大12億50百万円受領予定である。また上市(販売)時には売上高に応じたロイヤルティ収入を得る。

 台湾MetaTech社は18年中の食道再生上皮シート治験届提出に向けて準備中である。当社からの一部開発データ提供は当初想定を上回るペースで完了した。なお台湾では18年9月に細胞治療関連法が改正され、台湾版「先進医療」対象に軟骨再生シートが含まれる可能性もあるとしている。

 さらに今後の世界展開に向けて、既契約先である台湾MetaTech社の支援を推進しつつ、アジア諸国・欧米をターゲットに海外事業提携先を探索している。

■再生医療支援事業ではテルモに特別仕様製品を供給

 再生医療支援事業は、主要顧客である大学・研究機関向けなどに、細胞シート回収用温度応答性細胞培養器材UpCellを中心とした器材を開発・販売している。

 14年4月大日本印刷<7912>と細胞培養器材製造委託基本契約を締結し、市販製品(研究開発用途に限定)について大日本印刷に製造を委託している。16年3月テルモ<4543>と細胞培養器材に関する取引基本契約を締結し、テルモが再生医療等製品に係る保険適用決定を受けた「ハートシート」に含まれる当社製品(温度応答性細胞培養器材)について、市販製品とは異なる特別仕様製品を供給している。

 今後の戦略としては、研究用器材の新製品開発や臨床応用用途の製品開発など顧客ニーズに対応した製品ラインナップ拡充、新規販売代理店開拓などによる国内外の販売網強化、さらに製造コストの引き下げなどを推進する方針だ。

■18年12月期黒字化予想、20年以降の食道再生上皮シート収益化期待

 中期経営計画(18年〜20年)では事業展開として、食道再生上皮シートの日本での19年承認取得・販売開始、同種軟骨再生シートの開発加速、次期品目の開発着手、細胞シート再生医療および支援製品のサプライチェーン体制構築、再生医療支援製品の新製品開発推進・収益機会獲得、日本発細胞シート工学の世界展開のための事業提携の積極推進、収益の拡大・黒字化を掲げている。

 目標数値は、18年12月期売上高11億70百万円、営業利益20百万円、経常利益40百万円、純利益40百万円、19年12月期売上高12億50百万円、営業利益20百万円、経常利益50百万円、純利益40百万円、そして20年12月期売上高14億50百万円、営業利益1億10百万円、経常利益1億10百万円、純利益1億円としている。

 18年12月期第2四半期累計は売上高が3億47百万円、営業利益が40百万円の赤字だった。売上面では台湾MetaTech社向け開発データ提供を計上し、利益面では赤字が縮小した。

 細胞シート再生医療第1号製品となる見込みの食道再生上皮シートは19年製造販売承認取得・販売開始を目指している。20年12月期以降の収益化を期待したい。

■株価は調整一巡して反発の動き

 株価は9月の戻り高値1173円から反落したが、調整一巡して反発の動きを強めている。地合い悪化も影響した10月11日の直近安値820円から切り返し、10月18日には955円まで上伸した。10月18日の終値は949円、時価総額は約108億円である。週足チャートで見ると52週移動平均線が下値を支える形だ。出直りを期待したい。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media−IR)
[09月27日更新]

セルシードは調整一巡して戻り試す、食道再生上皮シートの19年承認取得・販売開始目指す

 セルシード<7776>(JQ)は細胞シート再生医療製品の開発・事業化、および世界普及を目指すバイオベンチャーである。19年に食道がん再生治療の食道再生上皮シートの承認取得および販売開始を目指している。株価は調整一巡して戻りを試す展開が期待される。

■細胞シート再生医療製品の事業化、世界普及を目指すバイオベンチャー

 温度応答性ポリマーを用いた細胞シート工学という日本発の革新的再生医療技術を基盤技術として、この技術に基づいて作製される細胞シート再生医療製品の開発・事業化を目指すバイオベンチャーである。

■細胞シート再生医療とは

 細胞シートは患者自身の組織から採取した細胞をシート状に培養したものである。細胞シート工学は、生体組織・臓器の基本単位となる細胞シートを生体外で人工的に作製する再生医療基盤技術で、東京女子医科大学先端生命医科学研究所の岡野光夫氏が世界で初めて創唱した。

 温度応答性ポリマーで表面加工した細胞培養皿を用いて、患者自身の組織から採取した細胞をシート状に培養する。温度応答性ポリマーは37℃付近以上で疎水性に、それ以下の温度で親水性となる特性があるため、37℃で培養し、培養後に温度を室温程度(20℃〜25℃)に変えるだけで、細胞外マトリックスを保持したまま有機的に結合した細胞シートを培養皿から回収できる。

 細胞シート作製に必要な培養期間は、細胞の種類などによって異なるが概ね1〜2週間程度で、細胞シートのサイズも自由に設定できる。複数の細胞シートを積層させて細胞シート同士を接着させることもできる。

 培養した細胞シートを患部に貼る(移植する)だけで、細胞が生着(移植した細胞が患部に定着)し、細胞シートから分泌されたサイトカイン(細胞から放出されて細胞増殖や分化に影響する特定のたんぱく質の総称)が、患部の弱った細胞を活性化させると考えられている。

 また細胞シート再生医療には、患者自身の細胞を用いるため免疫拒絶反応が起こらない、身体のどの部位の細胞からも作製できる、施術としては比較的簡単な治療法である、細胞が生体組織に速やかに生着する、残存機能を損なわずに根治を目指すことも可能であるなどのメリットがあり、新たな再生医療技術として注目されている。

■細胞シート再生医療事業および再生医療支援事業を展開

 事業区分は細胞シート再生医療事業および再生医療支援事業としている。細胞シート再生医療事業は、細胞シート再生医療製品および応用製品の研究開発・製造・販売を通じて細胞シート再生医療の普及を推進する。再生医療支援事業は、細胞シート再生医療の基盤ツールである温度応答性細胞培養器材および応用製品の研究開発・製造・販売を通じて再生医療の研究開発を支援する。

 子会社のCellSeed Sweden AB(スウェーデン)は、欧州で細胞シート再生医療製品の研究開発を行っている。

■食道再生上皮シートと軟骨再生シートの承認取得・事業化目指す

 細胞シート再生医療事業では、優先的に自社開発を推進するパイプラインとして、食道再生上皮シートおよび軟骨再生シートを設定し、当社における細胞シート再生医療第1号製品としての早期承認取得・事業化を目指している。

 事業化・収益化に向けた基本方針は、国内での細胞シート再生医療パイプラインの開発を自社主体で推進し、製造販売承認取得を目指す。そして細胞シート再生医療の世界普及を推進するため、製造・販売のサプライチェーン体制を構築して事業化を前進させつつ、海外展開は他社との提携も視野に入れて細胞シート再生医療事業の拡大を目指す方針だ。

■食道再生上皮シートは19年承認取得・販売開始目指す

 食道再生上皮シートは、食道がん再生治療法(食道創傷治癒・狭窄予防)として、東京女子医科大学先端生命医科学研究所が開発した治療法である。患者の口腔粘膜から採取した細胞を、温度応答性細胞培養皿を用いて細胞シートを作製し、食道がん切除内視鏡手術後の食道潰瘍面に移植する。

 東京女子医科大学と食道再生上皮細胞シート開発基本合意書を締結し、16年8月国立がん研究センター中央病院、国立がん研究センター東病院、東京女子医科大学病院において治験を開始した。17年2月には厚生労働省から再生医療等製品の先駆け審査指定制度の対象品目指定を受け、18年12月期第2四半期には症例登録が終了した。

 今後の計画としては、日本で19年上期に製造販売承認申請、19年中に製造販売承認取得および薬価収載後の販売開始、20年に販売本格化を目指している。また並行してサプライチェーン体制を構築する。

 欧州では子会社CellSeed Sweden AB(スウェーデン)が、16年に欧州医薬品庁(EMA)と事前相談して治験準備中だが、今後は次期開発品目の候補品目の一つとして開発優先順位を検討する。

 食道再生上皮シート移植用デバイスも同時開発している。細胞シートと組み合わせて治験を実施し、欧州での治験でも使用できるように医療機器としての承認を取得する方針だ。

■軟骨再生シートは20年に企業治験開始目指す

 軟骨再生シート(自己軟骨再生シート、同種軟骨再生シート)については、17年2月に東海大学と、軟骨再生シート臨床研究の実用化開発、治験、製造販売承認申請に向けて協力体制を推進することを目的とした基本合意書を締結し、軟骨欠損および変形性膝関節症を適応症として共同研究を進めている。

 変形性膝関節症は、緩徐に進行する難治性の関節軟骨変性で、国内における患者数(40歳以上)は2530万人、そのうち有症病者は800万人と推定(東京大学医学部附属病院22世紀医療センター調査)され、高齢化により患者数の増加が予想されている。細胞シートを積層化した3次元複合体の積層化軟骨細胞シートを患部に移植し、軟骨の修復・再生に寄与する。

 自己細胞については、東海大学が18年上期に厚生労働省医政局専門官との相談を踏まえて先進医療申請準備を進めた。今後の計画として18年下期に、申請後に実施される厚生労働省先進医療会議での審査に向けた準備を進める予定としている。先進医療で使用される細胞シートの受託加工を当社が有償で実施予定である。

 同種細胞については17年2月に東海大学整形学科の佐藤正人教授が、世界初の同種軟骨細胞シートの移植手術(多指症患者軟骨組織を採取し、同種細胞シートとして移植)を実施した。臨床研究は10名の患者に移植予定で、18年第2四半期までに3例を実施した。これに対応して、レギュラトリーサイエンス戦略相談・レギュラトリーサイエンス総合相談および治験準備を進めている。そして20年に企業治験開始を目指している。

 なお18年3月には、東海大学と共同出願している移植用軟骨再生シートに関する基本特許が成立する見込みとなったと発表している。登録国はドイツ、フランス、イギリスなど欧州10ヶ国である。

 9月10日には、国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)が公募した補助事業である平成30年度「再生医療の産業化に向けた評価基盤技術開発事業(再生医療シーズ開発加速支援)」に、当社が提案した研究開発課題「同種軟骨細胞シート(CLS2901C)の製品化に向けた製造方法の確立」が採択されたと発表している。

■海外は台湾で事業提携

 海外展開は17年4月台湾MetaTech社と、台湾における細胞シート再生医療事業(食道再生上皮シートおよび軟骨再生シート)の事業提携契約を締結して、独占的開発・製造・販売権を付与した。開発進捗に応じてマイルストーン収入、開発製造関連データ料、開発サポート料を最大12億50百万円受領予定である。また上市(販売)時には売上高に応じたロイヤルティ収入を得る。

 台湾MetaTech社は18年中の食道再生上皮シート治験届提出に向けて準備中である。当社からの一部開発データ提供は当初想定を上回るペースで完了した。なお台湾では18年9月に細胞治療関連法が改正された。台湾版「先進医療」対象に軟骨再生シートが含まれる可能性もあるとしている。

 さらに今後の世界展開に向けて、既契約先である台湾MetaTech社の支援を推進しつつ、アジア諸国・欧米をターゲットに海外事業提携先を探索している。

■再生医療支援事業ではテルモに特別仕様製品を供給

 再生医療支援事業は、主要顧客である大学・研究機関向けなどに、細胞シート回収用温度応答性細胞培養器材UpCellを中心とした器材を開発・販売している。

 14年4月大日本印刷<7912>と細胞培養器材製造委託基本契約を締結し、市販製品(研究開発用途に限定)について大日本印刷に製造を委託している。16年3月テルモ<4543>と細胞培養器材に関する取引基本契約を締結し、テルモが再生医療等製品に係る保険適用決定を受けた「ハートシート」に含まれる当社製品(温度応答性細胞培養器材)について、市販製品とは異なる特別仕様製品を供給している。

 今後の戦略としては、研究用器材の新製品開発や臨床応用用途の製品開発など顧客ニーズに対応した製品ラインナップ拡充、新規販売代理店開拓などによる国内外の販売網強化、さらに製造コストの引き下げなどを推進する方針だ。

■18年12月期黒字化予想、20年以降の食道再生上皮シート収益化期待

 中期経営計画(18年〜20年)では事業展開として、食道再生上皮シートの日本での19年承認取得・販売開始、同種軟骨再生シートの開発加速、次期品目の開発着手、細胞シート再生医療および支援製品のサプライチェーン体制構築、再生医療支援製品の新製品開発推進・収益機会獲得、日本発細胞シート工学の世界展開のための事業提携の積極推進、収益の拡大・黒字化を掲げている。

 目標数値は、18年12月期売上高11億70百万円、営業利益20百万円、経常利益40百万円、純利益40百万円、19年12月期売上高12億50百万円、営業利益20百万円、経常利益50百万円、純利益40百万円、そして20年12月期売上高14億50百万円、営業利益1億10百万円、経常利益1億10百万円、純利益1億円としている。

 18年12月期第2四半期累計は売上高が3億47百万円、営業利益が40百万円の赤字だった。売上面では台湾MetaTech社向け開発データ提供を計上し、利益面では赤字が縮小した。

 細胞シート再生医療第1号製品となる見込みの食道再生上皮シートは19年製造販売承認取得・販売開始を目指している。20年12月期以降の収益化を期待したい。

■株価は調整一巡して戻り試す

 株価は9月4日の戻り高値1173円から反落したが、9月20日の942円から切り返しの動きを強めている。調整一巡して戻りを試す展開が期待される。9月26日の終値は1050円、時価総額は約120億円である。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media−IR)
[08月21日更新]

セルシードは急反発して調整一巡感、食道再生上皮シートの19年承認取得・販売開始目指す

 セルシード<7776>(JQ)は細胞シート再生医療製品の開発・事業化、および世界普及を目指すバイオベンチャーである。19年に食道がん再生治療の食道再生上皮シートの承認取得および販売開始を目指している。株価は急反発して調整一巡感を強めている。

■細胞シート再生医療製品の事業化、世界普及を目指すバイオベンチャー

 温度応答性ポリマーを用いた細胞シート工学という日本発の革新的再生医療技術を基盤技術として、この技術に基づいて作製される細胞シート再生医療製品の開発・事業化を目指すバイオベンチャーである。

■細胞シート再生医療とは

 細胞シートは患者自身の組織から採取した細胞をシート状に培養したものである。細胞シート工学は、生体組織・臓器の基本単位となる細胞シートを生体外で人工的に作製する再生医療基盤技術で、東京女子医科大学先端生命医科学研究所の岡野光夫氏が世界で初めて創唱した。

 温度応答性ポリマーで表面加工した細胞培養皿を用いて、患者自身の組織から採取した細胞をシート状に培養する。温度応答性ポリマーは37℃付近以上で疎水性に、それ以下の温度で親水性となる特性があるため、37℃で培養し、培養後に温度を室温程度(20℃〜25℃)に変えるだけで、細胞外マトリックスを保持したまま有機的に結合した細胞シートを培養皿から回収できる。

 細胞シート作製に必要な培養期間は、細胞の種類などによって異なるが概ね1〜2週間程度で、細胞シートのサイズも自由に設定できる。複数の細胞シートを積層させて細胞シート同士を接着させることもできる。

 培養した細胞シートを患部に貼る(移植する)だけで、細胞が生着(移植した細胞が患部に定着)し、細胞シートから分泌されたサイトカイン(細胞から放出されて細胞増殖や分化に影響する特定のたんぱく質の総称)が、患部の弱った細胞を活性化させると考えられている。

 また細胞シート再生医療には、患者自身の細胞を用いるため免疫拒絶反応が起こらない、身体のどの部位の細胞からも作製できる、施術としては比較的簡単な治療法である、細胞が生体組織に速やかに生着する、残存機能を損なわずに根治を目指すことも可能であるなどのメリットがあり、新たな再生医療技術として注目されている。

■細胞シート再生医療事業および再生医療支援事業を展開

 事業区分は細胞シート再生医療事業および再生医療支援事業としている。細胞シート再生医療事業は、細胞シート再生医療製品および応用製品の研究開発・製造・販売を通じて細胞シート再生医療の普及を推進する。再生医療支援事業は、細胞シート再生医療の基盤ツールである温度応答性細胞培養器材および応用製品の研究開発・製造・販売を通じて再生医療の研究開発を支援する。

 子会社のCellSeed Sweden AB(スウェーデン)は、欧州で細胞シート再生医療製品の研究開発を行っている。

■食道再生上皮シートと軟骨再生シートの承認取得・事業化目指す

 細胞シート再生医療事業では、優先的に自社開発を推進するパイプラインとして、食道再生上皮シートおよび軟骨再生シートを設定し、当社における細胞シート再生医療第1号製品としての早期承認取得・事業化を目指している。

 事業化・収益化に向けた基本方針は、国内での細胞シート再生医療パイプラインの開発を自社主体で推進し、製造販売承認取得を目指す。そして細胞シート再生医療の世界普及を推進するため、製造・販売のサプライチェーン体制を構築して事業化を前進させつつ、海外展開は他社との提携も視野に入れて細胞シート再生医療事業の拡大を目指す方針だ。

■食道再生上皮シートは19年承認取得目指す

 食道再生上皮シートは、食道がん再生治療法(食道創傷治癒・狭窄予防)として、東京女子医科大学先端生命医科学研究所が開発した治療法である。患者の口腔粘膜から採取した細胞を、温度応答性細胞培養皿を用いて細胞シートを作製し、食道がん切除内視鏡手術後の食道潰瘍面に移植する。

 東京女子医科大学と食道再生上皮細胞シート開発基本合意書を締結し、16年8月国立がん研究センター中央病院、国立がん研究センター東病院、東京女子医科大学病院において治験を開始した。17年2月には厚生労働省から再生医療等製品の先駆け審査指定制度の対象品目指定を受けた。

 今後の計画としては、日本で18年第4四半期〜19年第1四半期に製造販売承認申請、19年に製造販売承認取得および販売開始、20年に販売本格化を目指している。

 欧州では子会社CellSeed Sweden AB(スウェーデン)が、16年に欧州医薬品庁(EMA)と事前相談して治験準備中だが、今後は次期開発品目の候補品目の一つとして開発優先順位を検討する。

 食道再生上皮シート移植用デバイスも同時開発している。細胞シートと組み合わせて治験を実施し、欧州での治験でも使用できるように医療機器としての承認を取得する方針だ。

■軟骨再生シートは20年に企業治験開始目標

 軟骨再生シートは東海大学と、軟骨欠損および変形性膝関節症を適応症として共同研究を進めている。

 変形性膝関節症は、緩徐に進行する難治性の関節軟骨変性で、国内における患者数(40歳以上)は2530万人、そのうち有症病者は800万人と推定(東京大学医学部附属病院22世紀医療センター調査)され、高齢化により患者数の増加が予想されている。

 細胞シートを積層化した3次元複合体の積層化軟骨細胞シートを患部に移植し、軟骨の修復・再生に寄与する。17年2月には東海大学整形学科の佐藤正人教授が、世界初の同種軟骨細胞シートの移植手術(多指症患者軟骨組織を採取し、同種細胞シートとして移植)を実施した。

 17年2月東海大学と、軟骨再生シート臨床研究の実用化開発、治験、製造販売承認申請に向けて協力体制を推進することを目的とした基本合意書を締結した。細胞シートの製造は当社で実施する。

 今後の計画は、自己細胞について18年前半に共同研究先の東海大学が先進医療を申請予定である。先進医療の状況を見据えて企業治験を実施する。同種細胞は18年〜19年に東海大学で臨床研究を実施中である。それに対応してレギュラトリーサイエンス戦略相談・レギュラトリーサイエンス総合相談および治験準備を実施する。そして20年に企業治験を開始する方針だ。

 18年3月には、東海大学と共同出願している移植用軟骨再生シートに関する基本特許が成立する見込みとなったと発表している。登録国はドイツ、フランス、イギリスなど欧州10ヶ国である。

■海外は台湾で事業提携

 海外展開は17年4月台湾MetaTech社と、台湾における細胞シート再生医療事業(食道再生上皮シートおよび軟骨再生シート)の事業提携契約を締結して、独占的開発・製造・販売権を付与した。開発進捗に応じてマイルストーン収入、開発製造関連データ料、開発サポート料を最大12億50百万円受領予定である。また上市(販売)時には売上高に応じたロイヤルティ収入を得る。

■再生医療支援事業ではテルモに特別仕様製品を供給

 再生医療支援事業は、主要顧客である大学・研究機関向けなどに、細胞シート回収用温度応答性細胞培養器材UpCellを中心とした器材を開発・販売している。

 14年4月大日本印刷<7912>と細胞培養器材製造委託基本契約を締結し、市販製品(研究開発用途に限定)について大日本印刷に製造を委託している。また16年3月テルモ<4543>と細胞培養器材に関する取引基本契約を締結した。テルモが再生医療等製品に係る保険適用決定を受けた「ハートシート」に含まれる当社製品(温度応答性細胞培養器材)について、市販製品とは異なる特別仕様製品を供給する。

 今後の戦略としては、研究用器材の新製品開発や臨床応用用途の製品開発など顧客ニーズに対応した製品ラインナップ拡充、新規販売代理店開拓などによる国内外の販売網強化、さらに製造コストの引き下げなどを推進する方針だ。

■18年12月期黒字化予想、20年以降の食道再生上皮シート収益化期待

 中期経営計画(18年〜20年)では事業展開として、食道再生上皮シートの日本での19年承認取得・販売開始、同種軟骨再生シートの開発加速、次期品目の開発着手、細胞シート再生医療および支援製品のサプライチェーン体制構築、再生医療支援製品の新製品開発推進・収益機会獲得、日本発細胞シート工学の世界展開のための事業提携の積極推進、収益の拡大・黒字化を掲げている。

 目標数値は、18年12月期売上高11億70百万円、営業利益20百万円、経常利益40百万円、純利益40百万円、19年12月期売上高12億50百万円、営業利益20百万円、経常利益50百万円、純利益40百万円、そして20年12月期売上高14億50百万円、営業利益1億10百万円、経常利益1億10百万円、純利益1億円としている。

 18年12月期第2四半期累計は投資の後ずれで赤字が縮小した。通期は再生医療支援事業におけるサービス拡張に加えて、細胞シート再生医療事業における台湾MetaTech社からの収入を得る。

 細胞シート再生医療第1号製品となる見込みの食道再生上皮シートは、19年製造販売承認取得を目指している。20年12月期以降の収益化を期待したい。

■株価は急反発して調整一巡感

 株価は8月13日の直近安値763円から急反発して調整一巡感を強めている。8月20日の終値は930円、時価総額は約106億円である。週足チャートで見ると52週移動平均線近辺から反発し、13週移動平均線突破の動きを強めている。出直りを期待したい(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media−IR)
[7月6日更新]

セルシードは売られ過ぎ感、食道再生上皮シートの19年承認取得・販売開始目指す

 セルシード<7776>(JQ)は、細胞シート再生医療製品の開発・事業化、および世界普及を目指すバイオベンチャーである。19年に食道がん再生治療の食道再生上皮シートの承認取得および販売開始を目指している。株価は水準を切り下げる展開だが売られ過ぎ感を強めている。

■細胞シート再生医療製品の事業化、世界普及を目指すバイオベンチャー

 温度応答性ポリマーを用いた細胞シート工学という日本発の革新的再生医療技術を基盤技術として、この技術に基づいて作製される細胞シート再生医療製品の開発・事業化を目指すバイオベンチャーである。

■細胞シート再生医療とは

 細胞シートは患者自身の組織から採取した細胞をシート状に培養したものである。細胞シート工学は、生体組織・臓器の基本単位となる細胞シートを生体外で人工的に作製する再生医療基盤技術で、東京女子医科大学先端生命医科学研究所の岡野光夫氏が世界で初めて創唱した。

 温度応答性ポリマーで表面加工した細胞培養皿を用いて、患者自身の組織から採取した細胞をシート状に培養する。温度応答性ポリマーは37℃付近以上で疎水性に、それ以下の温度で親水性となる特性があるため、37℃で培養し、培養後に温度を室温程度(20℃〜25℃)に変えるだけで、細胞外マトリックスを保持したまま有機的に結合した細胞シートを培養皿から回収できる。

 細胞シート作製に必要な培養期間は、細胞の種類などによって異なるが概ね1〜2週間程度で、細胞シートのサイズも自由に設定できる。複数の細胞シートを積層させて細胞シート同士を接着させることもできる。

 培養した細胞シートを患部に貼る(移植する)だけで、細胞が生着(移植した細胞が患部に定着)し、細胞シートから分泌されたサイトカイン(細胞から放出されて細胞増殖や分化に影響する特定のたんぱく質の総称)が、患部の弱った細胞を活性化させると考えられている。

 また細胞シート再生医療には、患者自身の細胞を用いるため免疫拒絶反応が起こらない、身体のどの部位の細胞からも作製できる、施術としては比較的簡単な治療法である、細胞が生体組織に速やかに生着する、残存機能を損なわずに根治を目指すことも可能である、などのメリットがある。これまで治療が難しかった病気の症状改善、機能回復、治癒が期待され、新たな再生医療技術として注目されている。

■細胞シート再生医療事業および再生医療支援事業を展開

 事業区分は細胞シート再生医療事業および再生医療支援事業としている。細胞シート再生医療事業は、細胞シート再生医療製品および応用製品の研究開発・製造・販売を通じて細胞シート再生医療の普及を推進する。再生医療支援事業は、細胞シート再生医療の基盤ツールである温度応答性細胞培養器材および応用製品の研究開発・製造・販売を通じて再生医療の研究開発を支援する。

 子会社のCellSeed Sweden AB(スウェーデン)は、欧州で細胞シート再生医療製品の研究開発を行っている。

■食道再生上皮シートと軟骨再生シートの承認取得・事業化目指す

 細胞シート再生医療事業では、優先的に自社開発を推進するパイプラインとして、食道再生上皮シートおよび軟骨再生シートを設定し、当社における細胞シート再生医療第1号製品としての早期承認取得・事業化を目指している。

 事業化・収益化に向けた基本方針は、国内での細胞シート再生医療パイプラインの開発を自社主体で推進し、製造販売承認取得を目指す。そして細胞シート再生医療の世界普及を推進するため、製造・販売のサプライチェーン体制を構築して事業化を前進させつつ、海外展開は他社との提携も視野に入れて細胞シート再生医療事業の拡大を目指す方針だ。

■食道再生上皮シートは19年承認取得目指す

 食道再生上皮シートは、食道がん再生治療法(食道創傷治癒・狭窄予防)として、東京女子医科大学先端生命医科学研究所が開発した治療法である。患者の口腔粘膜から採取した細胞を、温度応答性細胞培養皿を用いて細胞シートを作製し、食道がん切除内視鏡手術後の食道潰瘍面に移植する。

 東京女子医科大学と食道再生上皮細胞シート開発基本合意書を締結し、16年8月国立がん研究センター中央病院、国立がん研究センター東病院、東京女子医科大学病院において治験を開始した。そして17年2月には厚生労働省から再生医療等製品の先駆け審査指定制度の対象品目指定を受けた。

 今後の計画としては、日本で18年第4四半期〜19年第1四半期に製造販売承認申請、19年に製造販売承認取得および販売開始、20年に販売本格化を目指している。

 欧州では子会社CellSeed Sweden AB(スウェーデン)が、16年に欧州医薬品庁(EMA)と事前相談して治験準備中だが、今後は次期開発品目の候補品目の一つとして開発優先順位を検討する。

 食道再生上皮シート移植用デバイスも同時開発している。細胞シートと組み合わせて治験を実施し、欧州での治験でも使用できるように医療機器としての承認を取得する方針だ。

■軟骨再生シートは20年に企業治験開始目標

 軟骨再生シートは東海大学と、軟骨欠損および変形性膝関節症を適応症として共同研究を進めている。

 変形性膝関節症は、緩徐に進行する難治性の関節軟骨変性で、国内における患者数(40歳以上)は2530万人、そのうち有症病者は800万人と推定(東京大学医学部附属病院22世紀医療センター調査)されている。高齢化により患者数の増加が予想され、国民健康寿命・介護費・医療費の観点から喫緊に対処すべき疾患である。

 細胞シートを積層化した3次元複合体の積層化軟骨細胞シートを患部に移植し、軟骨の修復・再生に寄与する。17年2月には東海大学整形学科の佐藤正人教授が、世界初の同種軟骨細胞シートの移植手術(多指症患者軟骨組織を採取し、同種細胞シートとして移植)を実施した。

 17年2月東海大学と、軟骨再生シート臨床研究の実用化開発、治験、製造販売承認申請に向けて協力体制を推進することを目的とした基本合意書を締結した。細胞シートの製造は当社で実施する。

 今後の計画は、自己細胞について18年前半に共同研究先の東海大学が先進医療を申請予定である。先進医療の状況を見据えて企業治験を実施する。同種細胞は18年〜19年に東海大学で臨床研究を実施中である。それに対応してレギュラトリーサイエンス戦略相談・レギュラトリーサイエンス総合相談および治験準備を実施する。そして20年に企業治験を開始する方針だ。

 18年3月には、東海大学と共同出願している移植用軟骨再生シートに関する基本特許が成立する見込みとなったと発表している。登録国はドイツ、フランス、イギリスなど欧州10ヶ国である。

■海外は台湾で事業提携

 海外展開は17年4月台湾MetaTech社と、台湾における細胞シート再生医療事業(食道再生上皮シートおよび軟骨再生シート)の事業提携契約を締結して、独占的開発・製造・販売権を付与した。開発進捗に応じてマイルストーン収入、開発製造関連データ料、開発サポート料を最大12億50百万円受領予定である。また上市(販売)時には売上高に応じたロイヤルティ収入を得る。

■再生医療支援事業ではテルモに特別仕様製品を供給

 再生医療支援事業は、主要顧客である大学・研究機関向けなどに、細胞シート回収用温度応答性細胞培養器材UpCellを中心とした器材を開発・販売している。

 14年4月大日本印刷<7912>と細胞培養器材製造委託基本契約を締結し、市販製品(研究開発用途に限定)について大日本印刷に製造を委託している。また16年3月テルモ<4543>と細胞培養器材に関する取引基本契約を締結した。テルモが再生医療等製品に係る保険適用決定を受けた「ハートシート」に含まれる当社製品(温度応答性細胞培養器材)について、市販製品とは異なる特別仕様製品を供給する。

 今後の戦略としては、研究用器材の新製品開発や臨床応用用途の製品開発など顧客ニーズに対応した製品ラインナップ拡充、新規販売代理店開拓などによる国内外の販売網強化、さらに製造コストの引き下げなどを推進する方針だ。

■18年12月期黒字化予想、20年以降の食道再生上皮シート収益化期待

 中期経営計画(18年〜20年)では事業展開として、食道再生上皮シートの日本での19年承認取得・販売開始、同種軟骨再生シートの開発加速、次期品目の開発着手、細胞シート再生医療および支援製品のサプライチェーン体制構築、再生医療支援製品の新製品開発推進・収益機会獲得、日本発細胞シート工学の世界展開のための事業提携の積極推進、収益の拡大・黒字化を掲げている。

 目標数値は、18年12月期売上高11億70百万円、営業利益20百万円、経常利益40百万円、純利益40百万円、19年12月期売上高12億50百万円、営業利益20百万円、経常利益50百万円、純利益40百万円、そして20年12月期売上高14億50百万円、営業利益1億10百万円、経常利益1億10百万円、純利益1億円としている。

 18年12月期は、再生医療支援事業におけるサービス拡張に加えて、細胞シート再生医療事業における台湾MetaTech社からの収入を得る。細胞シート再生医療第1号製品となる見込みの食道再生上皮シートは19年製造販売承認取得を目指している。20年12月期以降の収益化が期待される。

■株価は売られ過ぎ感

 株価は4月高値2020円から反落して水準を切り下げる展開だが、日足チャートで見ると25日移動平均線に対するマイナス乖離率が20%程度まで拡大して売られ過ぎ感を強めている。反発を期待したい。なお7月5日の終値は831円、時価総額は約95億円である。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media−IR)
[06月12日更新]

セルシードは調整一巡感、食道再生上皮シートの19年承認取得・販売開始目指す

 セルシード<7776>(JQ)は、細胞シート再生医療製品の開発・事業化、および世界普及を目指すバイオベンチャーである。19年に食道がん再生治療の食道再生上皮シートの承認取得および販売開始を目指している。株価は調整一巡感を強めている。

■細胞シート再生医療製品の事業化、世界普及を目指すバイオベンチャー

 温度応答性ポリマーを用いた細胞シート工学という日本発の革新的再生医療技術を基盤技術として、この技術に基づいて作製される細胞シート再生医療製品の開発・事業化を目指すバイオベンチャーである。

■細胞シート再生医療とは

 細胞シートは患者自身の組織から採取した細胞をシート状に培養したものである。細胞シート工学は、生体組織・臓器の基本単位となる細胞シートを生体外で人工的に作製する再生医療基盤技術で、東京女子医科大学先端生命医科学研究所の岡野光夫氏が世界で初めて創唱した。

 温度応答性ポリマーで表面加工した細胞培養皿を用いて、患者自身の組織から採取した細胞をシート状に培養する。温度応答性ポリマーは37℃付近以上で疎水性に、それ以下の温度で親水性となる特性があるため、37℃で培養し、培養後に温度を室温程度(20℃〜25℃)に変えるだけで、細胞外マトリックスを保持したまま有機的に結合した細胞シートを培養皿から回収できる。

 細胞シート作製に必要な培養期間は、細胞の種類などによって異なるが概ね1〜2週間程度で、細胞シートのサイズも自由に設定できる。複数の細胞シートを積層させて、細胞シート同士を接着させることもできる。

 培養した細胞シートを患部に貼る(移植する)だけで、細胞が生着(移植した細胞が患部に定着)し、細胞シートから分泌されたサイトカイン(細胞から放出されて細胞増殖や分化に影響する特定のたんぱく質の総称)が、患部の弱った細胞を活性化させると考えられている。

 また細胞シート再生医療には、患者自身の細胞を用いるため免疫拒絶反応が起こらない、身体のどの部位の細胞からも作製できる、施術としては比較的簡単な治療法である、細胞が生体組織に速やかに生着する、残存機能を損なわずに根治を目指すことも可能である、などのメリットがある。

 細胞シート再生医療は既に、さまざまな組織の再生に関する臨床研究が実施され、ヒト患者治療における基本的な安全性・有効性を示唆する科学的エビデンスが示されている。これまで治療が難しかった病気の症状改善、機能回復、治癒が期待され、新たな再生医療技術として注目されている。

■細胞シート再生医療事業および再生医療支援事業を展開

 事業区分は細胞シート再生医療事業および再生医療支援事業としている。細胞シート再生医療事業は、細胞シート再生医療製品および応用製品の研究開発・製造・販売を通じて細胞シート再生医療の普及を推進する。再生医療支援事業は、細胞シート再生医療の基盤ツールである温度応答性細胞培養器材および応用製品の研究開発・製造・販売を通じて再生医療の研究開発を支援する。

 子会社のCellSeed Sweden AB(スウェーデン)は、欧州で細胞シート再生医療製品の研究開発を行っている。

■食道再生上皮シートと軟骨再生シートの承認取得・事業化目指す

 細胞シート再生医療事業では、優先的に自社開発を推進するパイプラインとして、食道再生上皮シートおよび軟骨再生シートを設定し、当社における細胞シート再生医療第1号製品としての早期承認取得・事業化を目指している。

 事業化・収益化に向けた基本方針は、国内での細胞シート再生医療パイプラインの開発を自社主体で推進し、製造販売承認取得を目指すとしている。そして細胞シート再生医療の世界普及を推進するため、製造・販売のサプライチェーン体制を構築して事業化を前進させつつ、海外展開は他社との提携も視野に入れて細胞シート再生医療事業の拡大を目指す方針だ。

■食道再生上皮シートは19年承認取得目指す

 食道再生上皮シートは、食道がん再生治療法(食道創傷治癒・狭窄予防)として、東京女子医科大学先端生命医科学研究所が開発した治療法である。患者の口腔粘膜から採取した細胞を、温度応答性細胞培養皿を用いて細胞シートを作製し、食道がん切除内視鏡手術後の食道潰瘍面に移植する。

 東京女子医科大学と食道再生上皮細胞シート開発基本合意書を締結し、16年8月国立がん研究センター中央病院、国立がん研究センター東病院、東京女子医科大学病院において治験を開始した。そして17年2月には厚生労働省から再生医療等製品の先駆け審査指定制度の対象品目指定を受けた。

 今後の計画としては、日本で18年第4四半期〜19年第1四半期に製造販売承認申請、19年に製造販売承認取得および販売開始、20年に販売本格化を目指している。

 欧州では子会社CellSeed Sweden AB(スウェーデン)が、16年に欧州医薬品庁(EMA)と事前相談して治験準備中だが、今後は次期開発品目の候補品目の一つとして開発優先順位を検討する。

 食道再生上皮シート移植用デバイスも同時開発している。細胞シートと組み合わせて治験を実施し、欧州での治験でも使用できるように医療機器としての承認を取得する方針だ。

■軟骨再生シートは20年に企業治験開始目標

 軟骨再生シートは東海大学と、軟骨欠損および変形性膝関節症を適応症として共同研究を進めている。

 変形性膝関節症は、緩徐に進行する難治性の関節軟骨変性で、国内における患者数(40歳以上)は2530万人、そのうち有症病者は800万人と推定(東京大学医学部附属病院22世紀医療センター調査)されている。高齢化により患者数の増加が予想され、国民健康寿命・介護費・医療費の観点から喫緊に対処すべき疾患である。

 細胞シートを積層化した3次元複合体の積層化軟骨細胞シートを患部に移植し、軟骨の修復・再生に寄与する。17年2月には東海大学整形学科の佐藤正人教授が、世界初の同種軟骨細胞シートの移植手術(多指症患者軟骨組織を採取し、同種細胞シートとして移植)を実施した。

 17年2月東海大学と、軟骨再生シート臨床研究の実用化開発、治験、製造販売承認申請に向けて協力体制を推進することを目的とした基本合意書を締結した。細胞シートの製造は当社で実施する。

 今後の計画は、自己細胞について18年前半に共同研究先の東海大学が先進医療を申請予定である。先進医療の状況を見据えて企業治験を実施する。同種細胞は18年〜19年に東海大学で臨床研究を実施中である。それに対応してレギュラトリーサイエンス戦略相談・レギュラトリーサイエンス総合相談および治験準備を実施する。そして20年に企業治験を開始する方針だ。

 18年3月には、東海大学と共同出願している移植用軟骨再生シートに関する基本特許が成立する見込みとなったと発表している。登録国はドイツ、フランス、イギリスなど欧州10ヶ国である。

■海外は台湾で事業提携

 海外展開は台湾MetaTech社と、台湾における細胞シート再生医療事業(食道再生上皮シートおよび軟骨再生シート)の事業提携契約を締結(17年4月契約調印式)し、独占的開発・製造・販売権を付与した。開発進捗に応じてマイルストーン収入、開発製造関連データ料、開発サポート料を最大12億50百万円受領予定である。また上市(販売)時には売上高に応じたロイヤルティ収入を得る。

■再生医療支援事業ではテルモに特別仕様製品を供給

 再生医療支援事業は、主要顧客である大学・研究機関向けなどに、細胞シート回収用温度応答性細胞培養器材UpCellを中心とした器材を開発・販売している。

 14年4月大日本印刷<7912>と細胞培養器材製造委託基本契約を締結し、市販製品(研究開発用途に限定)について大日本印刷に製造を委託している。また16年3月テルモ<4543>と細胞培養器材に関する取引基本契約を締結した。テルモが再生医療等製品に係る保険適用決定を受けた「ハートシート」に含まれる当社製品(温度応答性細胞培養器材)について、市販製品とは異なる特別仕様製品を供給する。

 今後の戦略としては、研究用器材の新製品開発や臨床応用用途の製品開発など顧客ニーズに対応した製品ラインナップ拡充、新規販売代理店開拓などによる国内外の販売網強化、さらに製造コストの引き下げなどを推進する方針だ。

■18年12月期黒字化予想、20年以降の食道再生上皮シート収益化期待

 中期経営計画(18年〜20年)では事業展開として、食道再生上皮シートの日本での19年承認取得・販売開始、同種軟骨再生シートの開発加速、次期品目の開発着手、細胞シート再生医療および支援製品のサプライチェーン体制構築、再生医療支援製品の新製品開発推進・収益機会獲得、日本発細胞シート工学の世界展開のための事業提携の積極推進、収益の拡大・黒字化を掲げている。

 目標数値は、18年12月期売上高11億70百万円、営業利益20百万円、経常利益40百万円、純利益40百万円、19年12月期売上高12億50百万円、営業利益20百万円、経常利益50百万円、純利益40百万円、そして20年12月期売上高14億50百万円、営業利益1億10百万円、経常利益1億10百万円、純利益1億円としている。

 18年12月期第1四半期は大幅増収となり、各利益は赤字が縮小した。通期は黒字化予想としている。再生医療支援事業におけるサービス拡張に加えて、細胞シート再生医療事業における台湾MetaTech社からの収入(複数年にわたり最大12億50百万円)を得る。

 細胞シート再生医療第1号製品となる見込みの食道再生上皮シートは19年製造販売承認取得を目指している。20年12月期以降の収益化が期待される。

■株価は調整一巡感

 株価は4月高値2020円から反落して水準を切り下げたが、1000円近辺で調整一巡感を強めている。週足チャートで見ると26週移動平均線近辺から切り返す形だ。6月11日の終値は1086円、時価総額は約124億円である。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media−IR)
[05月08日更新]

セルシードは目先的に売られ過ぎ感、食道再生上皮シートの19年承認取得・販売開始目指す

 セルシード<7776>(JQ)は、細胞シート再生医療製品の開発・事業化、および世界普及を目指すバイオベンチャーである。19年に食道がん再生治療の食道再生上皮シートの承認取得および販売開始を目指している。株価は4月高値から反落したが目先的に売られ過ぎ感を強めている。なお5月15日に第1四半期決算発表を予定している。

■細胞シート再生医療製品の事業化、世界普及を目指すバイオベンチャー

 温度応答性ポリマーを用いた細胞シート工学という日本発の革新的再生医療技術を基盤技術として、この技術に基づいて作製される細胞シート再生医療製品の開発・事業化を目指すバイオベンチャーである。これまで治療が難しかった疾患や障害を治癒する治療法として、細胞シート再生医療の世界普及を目指している。

■細胞シート再生医療とは

 細胞シートは患者自身の組織から採取した細胞をシート状に培養したものである。細胞シート工学は、生体組織・臓器の基本単位となる細胞シートを生体外で人工的に作製する再生医療基盤技術で、東京女子医科大学先端生命医科学研究所の岡野光夫氏が世界で初めて創唱した。

 温度応答性ポリマーで表面加工した細胞培養皿を用いて、患者自身の組織から採取した細胞をシート状に培養する。温度応答性ポリマーは37℃付近以上で疎水性に、それ以下の温度で親水性となる特性があるため、37℃で培養し、培養後に温度を室温程度(20℃〜25℃)に変えるだけで、細胞外マトリックスを保持したまま有機的に結合した細胞シートを培養皿から回収できる。

 細胞シート作製に必要な培養期間は、細胞の種類などによって異なるが概ね1〜2週間程度で、細胞シートのサイズも自由に設定できる。複数の細胞シートを積層させて、細胞シート同士を接着させることもできる。

 培養した細胞シートを患部に貼る(移植する)だけで、細胞が生着(移植した細胞が患部に定着)し、細胞シートから分泌されたサイトカイン(細胞から放出されて細胞増殖や分化に影響する特定のたんぱく質の総称)が、患部の弱った細胞を活性化させると考えられている。

 また細胞シート再生医療には、患者自身の細胞を用いるため免疫拒絶反応が起こらない、身体のどの部位の細胞からも作製できる、施術としては比較的簡単な治療法である、細胞が生体組織に速やかに生着する、残存機能を損なわずに根治を目指すことも可能である、などのメリットがある。

 細胞シート再生医療は既に、さまざまな組織の再生に関する臨床研究が実施され、ヒト患者治療における基本的な安全性・有効性を示唆する科学的エビデンスが示されている。これまで治療が難しかった病気の症状改善、機能回復、治癒が期待され、新たな再生医療技術として注目されている。

■細胞シート再生医療事業および再生医療支援事業を展開

 事業区分は細胞シート再生医療事業および再生医療支援事業としている。細胞シート再生医療事業は、細胞シート再生医療製品および応用製品の研究開発・製造・販売を通じて細胞シート再生医療の普及を推進する。再生医療支援事業は、細胞シート再生医療の基盤ツールである温度応答性細胞培養器材および応用製品の研究開発・製造・販売を通じて再生医療の研究開発を支援する。

 子会社のCellSeed Sweden AB(スウェーデン)は、欧州で細胞シート再生医療製品の研究開発を行っている。

■食道再生上皮シートと軟骨再生シートの承認取得・事業化目指す

 細胞シート再生医療事業では、優先的に自社開発を推進するパイプラインとして、食道再生上皮シートおよび軟骨再生シートを設定し、当社における細胞シート再生医療第1号製品としての早期承認取得・事業化を目指して研究開発を推進している。

 事業化・収益化に向けた基本方針は、国内での細胞シート再生医療パイプラインの開発を自社主体で推進し、製造販売承認取得を目指すとしている。そして細胞シート再生医療の世界普及を推進するため、製造・販売のサプライチェーン体制を構築して事業化を前進させつつ、海外展開は他社との提携も視野に入れて細胞シート再生医療事業の拡大を目指す方針だ。

■食道再生上皮シートは19年承認取得目指す

 食道再生上皮シートは、食道がん再生治療法(食道創傷治癒・狭窄予防)として、東京女子医科大学先端生命医科学研究所が開発した治療法である。患者の口腔粘膜から採取した細胞を、温度応答性細胞培養皿を用いて細胞シートを作製し、食道がん切除内視鏡手術後の食道潰瘍面に移植する。

 東京女子医科大学と食道再生上皮細胞シート開発基本合意書を締結し、16年8月国立がん研究センター中央病院、国立がん研究センター東病院、東京女子医科大学病院において治験を開始した。そして17年2月には厚生労働省から再生医療等製品の先駆け審査指定制度の対象品目指定を受けた。

 今後の計画として、日本で17年は治験進行、18年第4四半期〜19年第1四半期に製造販売承認申請、19年に製造販売承認取得および販売開始、20年に販売本格化を目指している。

 欧州では子会社CellSeed Sweden AB(スウェーデン)が、16年に欧州医薬品庁(EMA)と事前相談して治験準備中だが、今後は次期開発品目の候補品目の一つとして開発優先順位を検討する。

 食道再生上皮シート移植用デバイスも同時開発している。細胞シートと組み合わせて治験を実施し、欧州での治験でも使用できるように医療機器としての承認を取得する方針だ。

■軟骨再生シートは20年に企業治験開始目標

 軟骨再生シートは東海大学と、軟骨欠損および変形性膝関節症を適応症として共同研究を進めている。

 変形性膝関節症は、緩徐に進行する難治性の関節軟骨変性で、国内における患者数(40歳以上)は2530万人、そのうち有症病者は800万人と推定(東京大学医学部附属病院22世紀医療センター調査)されている。高齢化により患者数の増加が予想され、国民健康寿命・介護費・医療費の観点から喫緊に対処すべき疾患である。

 細胞シートを積層化した3次元複合体の積層化軟骨細胞シートを患部に移植し、軟骨の修復・再生に寄与する。17年2月には東海大学整形学科の佐藤正人教授が、世界初の同種軟骨細胞シートの移植手術(多指症患者軟骨組織を採取し、同種細胞シートとして移植)を実施した。

 17年2月東海大学と、軟骨再生シート臨床研究の実用化開発、治験、製造販売承認申請に向けて協力体制を推進することを目的とした基本合意書を締結した。細胞シートの製造は当社で実施する。

 今後の計画は、自己細胞について18年前半に共同研究先の東海大学が先進医療を申請予定である。先進医療の状況を見据えて企業治験を実施する。同種細胞は18年〜19年に東海大学で臨床研究を実施中である。それに対応してレギュラトリーサイエンス戦略相談・レギュラトリーサイエンス総合相談および治験準備を実施する。そして20年に企業治験を開始する方針だ。

 18年3月には、東海大学と共同出願している移植用軟骨再生シートに関する基本特許が成立する見込みとなったと発表している。登録国はドイツ、フランス、イギリスなど欧州10ヶ国である。

■海外は台湾で事業提携

 海外展開は台湾MetaTech社と、台湾における細胞シート再生医療事業(食道再生上皮シートおよび軟骨再生シート)の事業提携契約を締結(17年4月契約調印式)し、独占的開発・製造・販売権を付与した。開発進捗に応じてマイルストーン収入、開発製造関連データ料、開発サポート料を最大12億50百万円受領予定である。また上市(販売)時には売上高に応じたロイヤルティ収入を得る。

■次期品目の開発に着手

 今後の戦略としては、パイプライン充実に向けて、食道再生上皮シートおよび軟骨再生シートに続く次期品目の開発に着手する方針だ。また細胞シート再生医療事業の海外展開につながる事業提携案件にも積極的に取り組む方針だ。

■再生医療支援事業ではテルモに特別仕様製品を供給

 再生医療支援事業は、主要顧客である大学・研究機関向けなどに、細胞シート回収用温度応答性細胞培養器材UpCellを中心とした器材を開発・販売している。

 14年4月大日本印刷<7912>と細胞培養器材製造委託基本契約を締結し、市販製品(研究開発用途に限定)について大日本印刷に製造を委託している。また16年3月テルモ<4543>と細胞培養器材に関する取引基本契約を締結した。テルモが再生医療等製品に係る保険適用決定を受けた「ハートシート」に含まれる当社製品(温度応答性細胞培養器材)について、市販製品とは異なる特別仕様製品を供給する。

 今後の戦略としては、研究用器材の新製品開発や臨床応用用途の製品開発など顧客ニーズに対応した製品ラインナップ拡充、新規販売代理店開拓などによる国内外の販売網強化、さらに製造コストの引き下げなどを推進する方針だ。

■18年12月期黒字化予想、20年以降の食道再生上皮シート収益化期待

 中期経営計画(18年〜20年)では事業展開として、食道再生上皮シートの日本での19年承認取得・販売開始、同種軟骨再生シートの開発加速、次期品目の開発着手、細胞シート再生医療および支援製品のサプライチェーン体制構築、再生医療支援製品の新製品開発推進・収益機会獲得、日本発細胞シート工学の世界展開のための事業提携の積極推進、収益の拡大・黒字化を掲げている。

 目標数値は、18年12月期売上高11億70百万円、営業利益20百万円、経常利益40百万円、純利益40百万円、19年12月期売上高12億50百万円、営業利益20百万円、経常利益50百万円、純利益40百万円、そして20年12月期売上高14億50百万円、営業利益1億10百万円、経常利益1億10百万円、純利益1億円としている。

 18年12月期は再生医療支援事業におけるサービス拡張、細胞シート再生医療事業における台湾MetaTech社からの収入(複数年にわたり最大12億50百万円)で、黒字化予想としている。細胞シート再生医療第1号製品となる見込みの食道再生上皮シートは19年製造販売承認取得を目指している。20年12月期以降の収益化が期待される。

■株価は目先的に売られ過ぎ感

 株価は急伸した4月2日高値2020円から反落して上値を切り下げたが、日足チャートで見ると25日移動平均線に対するマイナス乖離率が20%を超えて売られ過ぎ感を強めている。5月7日の終値は1153円で、時価総額は約132億円である。反発を期待したい。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media−IR)
[4月11日更新]

セルシードは目先的な過熱感解消して再動意、食道再生上皮シートの19年承認取得・販売開始目指す

 セルシード<7776>(JQ)は、細胞シート再生医療製品の開発・事業化、および世界普及を目指すバイオベンチャーである。18年12月期は台湾MetaTech社からの収入などで黒字化予想である。そして19年に食道がん再生治療の食道再生上皮シートの承認取得および販売開始を目指し、20年12月期からの収益化が期待される。株価は目先的な過熱感が解消して再動意の展開となりそうだ。

■細胞シート再生医療製品の事業化、世界普及を目指すバイオベンチャー

 温度応答性ポリマーを用いた細胞シート工学という日本発の革新的再生医療技術を基盤技術として、この技術に基づいて作製される細胞シート再生医療製品の開発・事業化を目指すバイオベンチャーである。これまで治療が難しかった疾患や障害を治癒する治療法として、細胞シート再生医療の世界普及を目指している。

■細胞シート再生医療とは

 細胞シートは患者自身の組織から採取した細胞をシート状に培養したものである。細胞シート工学は、生体組織・臓器の基本単位となる細胞シートを生体外で人工的に作製する再生医療基盤技術で、東京女子医科大学先端生命医科学研究所の岡野光夫氏が世界で初めて創唱した。

 温度応答性ポリマーで表面加工した細胞培養皿を用いて、患者自身の組織から採取した細胞をシート状に培養する。温度応答性ポリマーは37℃付近以上で疎水性に、それ以下の温度で親水性となる特性があるため、37℃で培養し、培養後に温度を室温程度(20℃〜25℃)に変えるだけで、細胞外マトリックスを保持したまま有機的に結合した細胞シートを培養皿から回収できる。

 細胞シート作製に必要な培養期間は、細胞の種類などによって異なるが概ね1〜2週間程度で、細胞シートのサイズも自由に設定できる。複数の細胞シートを積層させて、細胞シート同士を接着させることもできる。

 培養した細胞シートを患部に貼る(移植する)だけで、細胞が生着(移植した細胞が患部に定着)し、細胞シートから分泌されたサイトカイン(細胞から放出されて細胞増殖や分化に影響する特定のたんぱく質の総称)が、患部の弱った細胞を活性化させると考えられている。

 また細胞シート再生医療には、患者自身の細胞を用いるため免疫拒絶反応が起こらない、身体のどの部位の細胞からも作製できる、施術としては比較的簡単な治療法である、細胞が生体組織に速やかに生着する、残存機能を損なわずに根治を目指すことも可能である、などのメリットがある。

 細胞シート再生医療は既に、さまざまな組織の再生に関する臨床研究が実施され、ヒト患者治療における基本的な安全性・有効性を示唆する科学的エビデンスが示されている。これまで治療が難しかった病気の症状改善、機能回復、治癒が期待され、新たな再生医療技術として注目されている。

■細胞シート再生医療事業および再生医療支援事業を展開

 事業区分は細胞シート再生医療事業および再生医療支援事業としている。細胞シート再生医療事業は、細胞シート再生医療製品および応用製品の研究開発・製造・販売を通じて細胞シート再生医療の普及を推進する。再生医療支援事業は、細胞シート再生医療の基盤ツールである温度応答性細胞培養器材および応用製品の研究開発・製造・販売を通じて再生医療の研究開発を支援する。

 子会社のCellSeed Sweden AB(スウェーデン)は、欧州で細胞シート再生医療製品の研究開発を行っている。

■食道再生上皮シートと軟骨再生シートの承認取得・事業化目指す

 細胞シート再生医療事業では、優先的に自社開発を推進するパイプラインとして、食道再生上皮シートおよび軟骨再生シートを設定し、当社における細胞シート再生医療第1号製品としての早期承認取得・事業化を目指して研究開発を推進している。

 なお事業化・収益化に向けた基本方針は、まず国内での細胞シート再生医療パイプラインの開発を自社主体で推進し、製造販売承認取得を目指すとしている。そして細胞シート再生医療の世界普及を推進するため、製造・販売のサプライチェーン体制を構築して事業化を前進させつつ、海外展開は他社との提携も視野に入れて細胞シート再生医療事業の拡大を目指す方針だ。

■食道再生上皮シートは19年承認取得目指す

 食道再生上皮シートは、食道がん再生治療法(食道創傷治癒・狭窄予防)として、東京女子医科大学先端生命医科学研究所が開発した治療法である。患者の口腔粘膜から採取した細胞を、温度応答性細胞培養皿を用いて細胞シートを作製し、食道がん切除内視鏡手術後の食道潰瘍面に移植する。

 東京女子医科大学と食道再生上皮細胞シート開発基本合意書を締結し、16年8月国立がん研究センター中央病院、国立がん研究センター東病院、東京女子医科大学病院において治験を開始した。そして17年2月には厚生労働省から再生医療等製品の先駆け審査指定制度の対象品目指定を受けた。

 今後の計画として、日本で17年は治験進行、18年第4四半期〜19年第1四半期に製造販売承認申請、19年に製造販売承認取得および販売開始、20年に販売本格化を目指している。

 なお欧州では子会社のCellSeed Sweden AB(スウェーデン)が、16年に欧州医薬品庁(EMA)と事前相談して治験準備中だが、今後は次期開発品目の候補品目の一つとして開発優先順位を検討する。

 食道再生上皮シート移植用デバイスも同時開発している。細胞シートと組み合わせて治験を実施し、欧州での治験でも使用できるように医療機器としての承認を取得する方針だ。

 17年10月には、食道再生上皮シートに用いる細胞シート移植用デバイスについて、欧州に本デバイスを医療機器として輸出可能なCEマークの表示が可能となり、合わせて医療機器に特化した品質マネジメントシステムに関する国際規格「ISO13485」の認証を含む、本デバイスの欧州医療機器指令への適合のEC認証を取得した。

■軟骨再生シートは20年に企業治験開始目標

 軟骨再生シートは東海大学と、軟骨欠損および変形性膝関節症を適応症として共同研究を進めている。

 変形性膝関節症は、緩徐に進行する難治性の関節軟骨変性で、国内における患者数(40歳以上)は2530万人、そのうち有症病者は800万人と推定(東京大学医学部附属病院22世紀医療センター調査)されている。高齢化により患者数の増加が予想され、国民健康寿命・介護費・医療費の観点から喫緊に対処すべき疾患である。

 細胞シートを積層化した3次元複合体の積層化軟骨細胞シートを患部に移植し、軟骨の修復・再生に寄与する。17年2月には東海大学整形学科の佐藤正人教授が、世界初の同種軟骨細胞シートの移植手術(多指症患者軟骨組織を採取し、同種細胞シートとして移植)を実施した。

 17年2月東海大学と、軟骨再生シート臨床研究の実用化開発、治験、製造販売承認申請に向けて協力体制を推進することを目的とした基本合意書を締結した。細胞シートの製造は当社で実施する。

 今後の計画は、自己細胞について18年前半に共同研究先の東海大学が先進医療を申請予定である。先進医療の状況を見据えて企業治験を実施する。同種細胞は18年〜19年に東海大学で臨床研究を実施中である。それに対応してレギュラトリーサイエンス戦略相談・レギュラトリーサイエンス総合相談および治験準備を実施する。そして20年に企業治験を開始する方針だ。

 17年6月には、日本医療研究開発機構(AMED)が公募した平成29年度「再生医療の産業化に向けた評価基盤技術開発事業(再生医療等の産業化に向けた評価手法等の開発)」に、当社を代表機関として、東海大学およびDNAチップ研究所<2397>を分担機関とする研究開発項目が採択を受けた。事業課題名は「同種軟骨細胞シートのための有効性品質評価手法の開発」である。

 また3月27日には、東海大学と共同出願している移植用軟骨再生シートに関する基本特許が成立する見込みとなったと発表している。登録国はドイツ、フランス、イギリスなど欧州10ヶ国である。

■海外は台湾で事業提携

 海外展開は台湾MetaTech社と、台湾における細胞シート再生医療事業(食道再生上皮シートおよび軟骨再生シート)の事業提携契約を締結(17年4月契約調印式)し、独占的開発・製造・販売権を付与した。開発進捗に応じてマイルストーン収入、開発製造関連データ料、開発サポート料を最大12億50百万円受領予定である。また上市(販売)時には売上高に応じたロイヤルティ収入を得る。

■次期品目の開発に着手

 今後の戦略としては、パイプライン充実に向けて、食道再生上皮シートおよび軟骨再生シートに続く次期品目の開発に着手する方針だ。また細胞シート再生医療事業の海外展開につながる事業提携案件にも積極的に取り組む方針だ。

■再生医療支援事業ではテルモに特別仕様製品を供給

 再生医療支援事業は、主要顧客である大学・研究機関向けなどに、細胞シート回収用温度応答性細胞培養器材UpCellを中心とした器材を開発・販売している。

 14年4月大日本印刷<7912>と細胞培養器材製造委託基本契約を締結し、市販製品(研究開発用途に限定)について大日本印刷に製造を委託している。また16年3月にはテルモ<4543>と細胞培養器材に関する取引基本契約を締結した。テルモが再生医療等製品に係る保険適用決定を受けた「ハートシート」に含まれる当社製品(温度応答性細胞培養器材)について、市販製品とは異なる特別仕様製品を供給する。

 今後の戦略としては、研究用器材の新製品開発や臨床応用用途の製品開発など顧客ニーズに対応した製品ラインナップ拡充、新規販売代理店開拓などによる国内外の販売網強化、さらに製造コストの引き下げなどを推進する方針だ。

■18年12月期黒字化予想、20年以降の食道再生上皮シート収益化期待

 中期経営計画(18年〜20年)では事業展開として、食道再生上皮シートの日本での19年承認取得・販売開始、同種軟骨再生シートの開発加速、次期品目の開発着手、細胞シート再生医療および支援製品のサプライチェーン体制構築、再生医療支援製品の新製品開発推進・収益機会獲得、日本発細胞シート工学の世界展開のための事業提携の積極推進、収益の拡大・黒字化を掲げている。

 目標数値は、18年12月期の売上高11億70百万円、営業利益20百万円、経常利益40百万円、純利益40百万円、19年12月期の売上高12億50百万円、営業利益20百万円、経常利益50百万円、純利益40百万円、そして20年12月期の売上高14億50百万円、営業利益1億10百万円、経常利益1億10百万円、純利益1億円としている。

 18年12月期は再生医療支援事業におけるサービス拡張、細胞シート再生医療事業における台湾MetaTech社からの収入(複数年にわたり最大12億50百万円)で、黒字化予想としている。細胞シート再生医療第1号製品となる見込みの食道再生上皮シートは19年製造販売承認取得を目指している。20年12月期以降の収益化が期待される。

■株価は目先的な過熱感解消して再動意

 株価は4月2日高値2020円まで上伸し、その後一旦反落したが1600円近辺から切り返している。高値圏で乱高下する形だが、日足チャートで見ると25日移動平均線が接近して目先的な過熱感が解消した。再動意の展開となりそうだ。4月10日の終値は1740円、時価総額は約199億円である。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media−IR)
[3月20日更新]

セルシードは目先的な過熱感解消、食道再生上皮シートの19年承認取得・販売開始目指す

 セルシード<7776>(JQ)は、細胞シート再生医療製品の開発・事業化、および世界普及を目指すバイオベンチャーである。18年12月期は台湾MetaTech社からの収入などで黒字化予想である。そして19年に食道がん再生治療の食道再生上皮シートの承認取得および販売開始を目指し、20年12月期からの収益拡大本格化が期待される。株価は高値圏で乱高下する形だが、目先的な過熱感が解消して上値を試す展開が期待される。
 
■細胞シート再生医療製品の事業化、世界普及を目指すバイオベンチャー
 
 温度応答性ポリマーを用いた細胞シート工学という日本発の革新的再生医療技術を基盤技術として、この技術に基づいて作製される細胞シート再生医療製品の開発・事業化を目指すバイオベンチャーである。これまで治療が難しかった疾患や障害を治癒する治療法として、細胞シート再生医療の世界普及を目指している。
 
■細胞シート再生医療とは
 
 細胞シートは患者自身の組織から採取した細胞をシート状に培養したものである。細胞シート工学は、生体組織・臓器の基本単位となる細胞シートを生体外で人工的に作製する再生医療基盤技術で、東京女子医科大学先端生命医科学研究所の岡野光夫氏が世界で初めて創唱した。
 
 温度応答性ポリマーで表面加工した細胞培養皿を用いて、患者自身の組織から採取した細胞をシート状に培養する。温度応答性ポリマーは37℃付近以上で疎水性に、それ以下の温度で親水性となる特性があるため、37℃で培養し、培養後に温度を室温程度(20℃〜25℃)に変えるだけで、細胞外マトリックスを保持したまま有機的に結合した細胞シートを培養皿から回収できる。
 
 細胞シート作製に必要な培養期間は、細胞の種類などによって異なるが概ね1〜2週間程度で、細胞シートのサイズも自由に設定できる。複数の細胞シートを積層させて、細胞シート同士を接着させることもできる。
 
 培養した細胞シートを患部に貼る(移植する)だけで、細胞が生着(移植した細胞が患部に定着)し、細胞シートから分泌されたサイトカイン(細胞から放出されて細胞増殖や分化に影響する特定のたんぱく質の総称)が、患部の弱った細胞を活性化させると考えられている。
 
 また細胞シート再生医療には、患者自身の細胞を用いるため免疫拒絶反応が起こらない、身体のどの部位の細胞からも作製できる、施術としては比較的簡単な治療法である、細胞が生体組織に速やかに生着する、残存機能を損なわずに根治を目指すことも可能である、などのメリットがある。
 
 細胞シート再生医療は既に、さまざまな組織の再生に関する臨床研究が実施され、ヒト患者治療における基本的な安全性・有効性を示唆する科学的エビデンスが示されている。これまで治療が難しかった病気の症状改善、機能回復、治癒が期待され、新たな再生医療技術として注目されている。
 
■細胞シート再生医療事業および再生医療支援事業を展開
 
 事業区分は細胞シート再生医療事業および再生医療支援事業としている。細胞シート再生医療事業は、細胞シート再生医療製品および応用製品の研究開発・製造・販売を通じて細胞シート再生医療の普及を推進する。再生医療支援事業は、細胞シート再生医療の基盤ツールである温度応答性細胞培養器材および応用製品の研究開発・製造・販売を通じて再生医療の研究開発を支援する。
 
 子会社のCellSeed Sweden AB(スウェーデン)は、欧州で細胞シート再生医療製品の研究開発を行っている。
 
■食道再生上皮シートと軟骨再生シートの承認取得・事業化目指す
 
 細胞シート再生医療事業では、優先的に自社開発を推進するパイプラインとして、食道再生上皮シートおよび軟骨再生シートを設定し、当社における細胞シート再生医療第1号製品としての早期承認取得・事業化を目指して研究開発を推進している。
 
 なお事業化・収益化に向けた基本方針は、まず国内での細胞シート再生医療パイプラインの開発を自社主体で推進し、製造販売承認取得を目指すとしている。そして細胞シート再生医療の世界普及を推進するため、製造・販売のサプライチェーン体制を構築して事業化を前進させつつ、海外展開は他社との提携も視野に入れて細胞シート再生医療事業の拡大を目指す方針だ。
 
■食道再生上皮シートは19年承認取得目指す
 
 食道再生上皮シートは、食道がん再生治療法(食道創傷治癒・狭窄予防)として、東京女子医科大学先端生命医科学研究所が開発した治療法である。患者の口腔粘膜から採取した細胞を、温度応答性細胞培養皿を用いて細胞シートを作製し、食道がん切除内視鏡手術後の食道潰瘍面に移植する。
 
 東京女子医科大学と食道再生上皮細胞シート開発基本合意書を締結し、16年8月国立がん研究センター中央病院、国立がん研究センター東病院、東京女子医科大学病院において治験を開始した。そして17年2月には厚生労働省から再生医療等製品の先駆け審査指定制度の対象品目指定を受けた。
 
 今後の計画として、日本で17年は治験進行、18年第4四半期〜19年第1四半期に製造販売承認申請、19年に製造販売承認取得および販売開始、20年に販売本格化を目指している。
 
 なお欧州では子会社のCellSeed Sweden AB(スウェーデン)が、16年に欧州医薬品庁(EMA)と事前相談して治験準備中だが、今後は次期開発品目の候補品目の一つとして開発優先順位を検討する。
 
 食道再生上皮シート移植用デバイスも同時開発している。細胞シートと組み合わせて治験を実施し、欧州での治験でも使用できるように医療機器としての承認を取得する方針だ。
 
 17年10月には、食道再生上皮シートに用いる細胞シート移植用デバイスについて、欧州に本デバイスを医療機器として輸出可能なCEマークの表示が可能となり、合わせて医療機器に特化した品質マネジメントシステムに関する国際規格「ISO13485」の認証を含む、本デバイスの欧州医療機器指令への適合のEC認証を取得した。
 
■軟骨再生シートは20年に企業治験開始目標
 
 軟骨再生シートは東海大学と、軟骨欠損および変形性膝関節症を適応症として共同研究を進めている。
 
 変形性膝関節症は、緩徐に進行する難治性の関節軟骨変性で、国内における患者数(40歳以上)は2530万人、そのうち有症病者は800万人と推定(東京大学医学部附属病院22世紀医療センター調査)されている。高齢化により患者数の増加が予想され、国民健康寿命・介護費・医療費の観点から喫緊に対処すべき疾患である。
 
 細胞シートを積層化した3次元複合体の積層化軟骨細胞シートを患部に移植し、軟骨の修復・再生に寄与する。17年2月には東海大学整形学科の佐藤正人教授が、世界初の同種軟骨細胞シートの移植手術(多指症患者軟骨組織を採取し、同種細胞シートとして移植)を実施した。
 
 17年2月東海大学と、軟骨再生シート臨床研究の実用化開発、治験、製造販売承認申請に向けて協力体制を推進することを目的とした基本合意書を締結した。細胞シートの製造は当社で実施する。
 
 今後の計画は、自己細胞について18年前半に共同研究先の東海大学が先進医療を申請予定である。先進医療の状況を見据えて企業治験を実施する。同種細胞は18年〜19年に東海大学で臨床研究を実施中である。それに対応してレギュラトリーサイエンス戦略相談・レギュラトリーサイエンス総合相談および治験準備を実施する。そして20年に企業治験を開始する方針だ。
 
 17年6月には、日本医療研究開発機構(AMED)が公募した平成29年度「再生医療の産業化に向けた評価基盤技術開発事業(再生医療等の産業化に向けた評価手法等の開発)」に、当社を代表機関として、東海大学およびDNAチップ研究所<2397>を分担機関とする研究開発項目が採択を受けた。事業課題名は「同種軟骨細胞シートのための有効性品質評価手法の開発」である。
 
■海外は台湾で事業提携
 
 海外展開は台湾MetaTech社と、台湾における細胞シート再生医療事業(食道再生上皮シートおよび軟骨再生シート)の事業提携契約を締結(17年4月契約調印式)し、独占的開発・製造・販売権を付与した。開発進捗に応じてマイルストーン収入、開発製造関連データ料、開発サポート料を最大12億50百万円受領予定である。また上市(販売)時には売上高に応じたロイヤルティ収入を得る。
 
■次期品目の開発に着手
 
 今後の戦略としては、パイプライン充実に向けて、食道再生上皮シートおよび軟骨再生シートに続く次期品目の開発に着手する方針だ。また細胞シート再生医療事業の海外展開につながる事業提携案件にも積極的に取り組む方針だ。
 
■再生医療支援事業ではテルモに特別仕様製品を供給
 
 再生医療支援事業は、主要顧客である大学・研究機関向けなどに、細胞シート回収用温度応答性細胞培養器材UpCellを中心とした器材を開発・販売している。
 
 14年4月大日本印刷<7912>と細胞培養器材製造委託基本契約を締結し、市販製品(研究開発用途に限定)について大日本印刷に製造を委託している。また16年3月にはテルモ<4543>と細胞培養器材に関する取引基本契約を締結した。テルモが再生医療等製品に係る保険適用決定を受けた「ハートシート」に含まれる当社製品(温度応答性細胞培養器材)について、市販製品とは異なる特別仕様製品を供給する。
 
 17年12月には超低付着性細胞培養器材「HydroCell」の新製品としてフラスコタイプの販売を開始した。
 
 今後の戦略としては、研究用器材の新製品開発や臨床応用用途の製品開発など顧客ニーズに対応した製品ラインナップ拡充、新規販売代理店開拓などによる国内外の販売網強化、さらに製造コストの引き下げなどを推進する方針だ。
 
■18年12月期黒字化予想、20年以降の収益拡大本格化期待
 
 中期経営計画(18年〜20年)では事業展開として、食道再生上皮シートの日本での19年承認取得・販売開始、同種軟骨再生シートの開発加速、次期品目の開発着手、細胞シート再生医療および支援製品のサプライチェーン体制構築、再生医療支援製品の新製品開発推進・収益機会獲得、日本発細胞シート工学の世界展開のための事業提携の積極推進、収益の拡大・黒字化を掲げている。
 
 目標数値は、18年12月期の売上高11億70百万円、営業利益20百万円、経常利益40百万円、純利益40百万円、19年12月期の売上高12億50百万円、営業利益20百万円、経常利益50百万円、純利益40百万円、そして20年12月期の売上高14億50百万円、営業利益1億10百万円、経常利益1億10百万円、純利益1億円としている。
 
 18年12月期は再生医療支援事業におけるサービス拡張、細胞シート再生医療事業における台湾MetaTech社からの収入(複数年にわたり最大12億50百万円)で、黒字化予想としている。細胞シート再生医療第1号製品となる見込みの食道再生上皮シートは19年製造販売承認取得を目指し、20年12月期以降の収益拡大本格化が期待される。
 
■株価は目先的な過熱感解消して上値試す
 
 株価は18年12月期黒字化予想を好感して急動意の展開となった。3月12日には1619円まで上伸した。14年来の高値圏だ。その後はやや乱高下する形だが、日足チャートで見ると25日移動平均線が接近して目先的な過熱感が解消した。
 
 3月19日の終値は1296円、時価総額は約148億円である。目先的な過熱感が解消して上値を試す展開が期待される。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media−IR)
[3月02日更新]

セルシードは18年12月期黒字化予想を好感して急動意、食道再生上皮シートの19年承認取得・販売開始目指す

 セルシード<7776>(JQ)は、細胞シート再生医療製品の開発・事業化、および世界普及を目指すバイオベンチャーである。19年に食道がん再生治療の食道再生上皮シートの承認取得および販売開始を目指している。18年12月期は台湾MetaTech社からの収入などで黒字化予想である。そして20年12月期以降の収益拡大本格化が期待される。株価は急動意の展開だ。
 
■細胞シート再生医療製品の事業化、世界普及を目指すバイオベンチャー
 
 温度応答性ポリマーを用いた細胞シート工学という日本発の革新的再生医療技術を基盤技術として、この技術に基づいて作製される細胞シート再生医療製品の開発・事業化を目指すバイオベンチャーである。これまで治療が難しかった疾患や障害を治癒する治療法として、細胞シート再生医療の世界普及を目指している。
 
■細胞シート再生医療とは
 
 細胞シートは患者自身の組織から採取した細胞をシート状に培養したものである。細胞シート工学は、生体組織・臓器の基本単位となる細胞シートを生体外で人工的に作製する再生医療基盤技術で、東京女子医科大学先端生命医科学研究所の岡野光夫氏が世界で初めて創唱した。
 
 温度応答性ポリマーで表面加工した細胞培養皿を用いて、患者自身の組織から採取した細胞をシート状に培養する。温度応答性ポリマーは37℃付近以上で疎水性に、それ以下の温度で親水性となる特性があるため、37℃で培養し、培養後に温度を室温程度(20℃〜25℃)に変えるだけで、細胞外マトリックスを保持したまま有機的に結合した細胞シートを培養皿から回収できる。
 
 細胞シート作製に必要な培養期間は、細胞の種類などによって異なるが概ね1〜2週間程度で、細胞シートのサイズも自由に設定できる。複数の細胞シートを積層させて、細胞シート同士を接着させることもできる。
 
 培養した細胞シートを患部に貼る(移植する)だけで、細胞が生着(移植した細胞が患部に定着)し、細胞シートから分泌されたサイトカイン(細胞から放出されて細胞増殖や分化に影響する特定のたんぱく質の総称)が、患部の弱った細胞を活性化させると考えられている。
 
 また細胞シート再生医療には、患者自身の細胞を用いるため免疫拒絶反応が起こらない、身体のどの部位の細胞からも作製できる、施術としては比較的簡単な治療法である、細胞が生体組織に速やかに生着する、残存機能を損なわずに根治を目指すことも可能である、などのメリットがある。
 
 細胞シート再生医療は既に、さまざまな組織の再生に関する臨床研究が実施され、ヒト患者治療における基本的な安全性・有効性を示唆する科学的エビデンスが示されている。これまで治療が難しかった病気の症状改善、機能回復、治癒が期待され、新たな再生医療技術として注目されている。
 
■細胞シート再生医療事業および再生医療支援事業を展開
 
 事業区分は細胞シート再生医療事業および再生医療支援事業としている。細胞シート再生医療事業は、細胞シート再生医療製品および応用製品の研究開発・製造・販売を通じて細胞シート再生医療の普及を推進する。再生医療支援事業は、細胞シート再生医療の基盤ツールである温度応答性細胞培養器材および応用製品の研究開発・製造・販売を通じて再生医療の研究開発を支援する。
 
 子会社のCellSeed Sweden AB(スウェーデン)は、欧州で細胞シート再生医療製品の研究開発を行っている。
 
■食道再生上皮シートと軟骨再生シートの承認取得・事業化目指す
 
 細胞シート再生医療事業では、優先的に自社開発を推進するパイプラインとして、食道再生上皮シートおよび軟骨再生シートを設定し、当社における細胞シート再生医療第1号製品としての早期承認取得・事業化を目指して研究開発を推進している。
 
 なお事業化・収益化に向けた基本方針は、まず国内での細胞シート再生医療パイプラインの開発を自社主体で推進し、製造販売承認取得を目指すとしている。そして細胞シート再生医療の世界普及を推進するため、製造・販売のサプライチェーン体制を構築して事業化を前進させつつ、海外展開は他社との提携も視野に入れて細胞シート再生医療事業の拡大を目指す方針だ。
 
■食道再生上皮シートは19年承認取得目指す
 
 食道再生上皮シートは、食道がん再生治療法(食道創傷治癒・狭窄予防)として、東京女子医科大学先端生命医科学研究所が開発した治療法である。患者の口腔粘膜から採取した細胞を、温度応答性細胞培養皿を用いて細胞シートを作製し、食道がん切除内視鏡手術後の食道潰瘍面に移植する。
 
 東京女子医科大学と食道再生上皮細胞シート開発基本合意書を締結し、16年8月国立がん研究センター中央病院、国立がん研究センター東病院、東京女子医科大学病院において治験を開始した。そして17年2月には厚生労働省から再生医療等製品の先駆け審査指定制度の対象品目指定を受けた。
 
 今後の計画として、日本で17年は治験進行、18年第4四半期〜19年第1四半期に製造販売承認申請、19年に製造販売承認取得および販売開始、20年に販売本格化を目指している。
 
 なお欧州では子会社のCellSeed Sweden AB(スウェーデン)が、16年に欧州医薬品庁(EMA)と事前相談して治験準備中だが、今後は次期開発品目の候補品目の一つとして開発優先順位を検討する。
 
 食道再生上皮シート移植用デバイスも同時開発している。細胞シートと組み合わせて治験を実施し、欧州での治験でも使用できるように医療機器としての承認を取得する方針だ。
 
 17年10月には、食道再生上皮シートに用いる細胞シート移植用デバイスについて、欧州に本デバイスを医療機器として輸出可能なCEマークの表示が可能となり、合わせて医療機器に特化した品質マネジメントシステムに関する国際規格「ISO13485」の認証を含む、本デバイスの欧州医療機器指令への適合のEC認証を取得した。
 
■軟骨再生シートは17年第4四半期に治験開始予定
 
 軟骨再生シートは東海大学と、軟骨欠損および変形性膝関節症を適応症として共同研究を進めている。
 
 変形性膝関節症は、緩徐に進行する難治性の関節軟骨変性で、国内における患者数(40歳以上)は2530万人、そのうち有症病者は800万人と推定(東京大学医学部附属病院22世紀医療センター調査)されている。高齢化により患者数の増加が予想され、国民健康寿命・介護費・医療費の観点から喫緊に対処すべき疾患である。
 
 細胞シートを積層化した3次元複合体の積層化軟骨細胞シートを患部に移植し、軟骨の修復・再生に寄与する。17年2月には東海大学整形学科の佐藤正人教授が、世界初の同種軟骨細胞シートの移植手術(多指症患者軟骨組織を採取し、同種細胞シートとして移植)を実施した。
 
 17年2月東海大学と、軟骨再生シート臨床研究の実用化開発、治験、製造販売承認申請に向けて協力体制を推進することを目的とした基本合意書を締結した。細胞シートの製造は当社で実施する。
 
 今後の計画は、自己細胞について18年前半に共同研究先の東海大学が先進医療を申請予定である。先進医療の状況を見据えて企業治験を実施する。同種細胞は18年〜19年に東海大学で臨床研究を実施中である。それに対応してレギュラトリーサイエンス戦略相談・レギュラトリーサイエンス総合相談および治験準備を実施する。そして20年に企業治験を開始する方針だ。
 
 17年6月には、日本医療研究開発機構(AMED)が公募した平成29年度「再生医療の産業化に向けた評価基盤技術開発事業(再生医療等の産業化に向けた評価手法等の開発)」に、当社を代表機関として、東海大学およびDNAチップ研究所<2397>を分担機関とする研究開発項目が採択を受けた。事業課題名は「同種軟骨細胞シートのための有効性品質評価手法の開発」である。
 
■海外は台湾で事業提携
 
 海外展開は台湾MetaTech社と、台湾における細胞シート再生医療事業(食道再生上皮シートおよび軟骨再生シート)の事業提携契約を締結(17年4月契約調印式)し、独占的開発・製造・販売権を付与した。開発進捗に応じてマイルストーン収入、開発製造関連データ料、開発サポート料を最大12億50百万円受領予定である。また上市(販売)時には売上高に応じたロイヤルティ収入を得る。
 
■次期品目の開発に着手
 
 今後の戦略としては、パイプライン充実に向けて、食道再生上皮シートおよび軟骨再生シートに続く次期品目の開発に着手する方針だ。また細胞シート再生医療事業の海外展開につながる事業提携案件にも積極的に取り組む方針だ。
 
■再生医療支援事業ではテルモに特別仕様製品を供給
 
 再生医療支援事業は、主要顧客である大学・研究機関向けなどに、細胞シート回収用温度応答性細胞培養器材UpCellを中心とした器材を開発・販売している。
 
 14年4月大日本印刷<7912>と細胞培養器材製造委託基本契約を締結し、市販製品(研究開発用途に限定)について大日本印刷に製造を委託している。また16年3月にはテルモ<4543>と細胞培養器材に関する取引基本契約を締結した。テルモが再生医療等製品に係る保険適用決定を受けた「ハートシート」に含まれる当社製品(温度応答性細胞培養器材)について、市販製品とは異なる特別仕様製品を供給する。
 
 17年12月には超低付着性細胞培養器材「HydroCell」の新製品としてフラスコタイプの販売を開始した。
 
 今後の戦略としては、研究用器材の新製品開発や臨床応用用途の製品開発など顧客ニーズに対応した製品ラインナップ拡充、新規販売代理店開拓などによる国内外の販売網強化、さらに製造コストの引き下げなどを推進する方針だ。
 
■18年12月期黒字化予想、20年以降の収益拡大本格化期待
 
 中期経営計画(18年〜20年)では事業展開として、食道再生上皮シートの日本での19年承認取得・販売開始、同種軟骨再生シートの開発加速、次期品目の開発着手、細胞シート再生医療および支援製品のサプライチェーン体制構築、再生医療支援製品の新製品開発推進・収益機会獲得、日本発細胞シート工学の世界展開のための事業提携の積極推進、収益の拡大・黒字化を掲げている。
 
 目標数値は、18年12月期の売上高11億70百万円、営業利益20百万円、経常利益40百万円、純利益40百万円、19年12月期の売上高12億50百万円、営業利益20百万円、経常利益50百万円、純利益40百万円、そして20年12月期の売上高14億50百万円、営業利益1億10百万円、経常利益1億10百万円、純利益1億円としている。
 
 18年12月期は再生医療支援事業におけるサービス拡張、細胞シート再生医療事業における台湾MetaTech社からの収入(複数年にわたり最大12億50百万円)で、黒字化予想としている。細胞シート再生医療第1号製品となる見込みの食道再生上皮シートは19年製造販売承認取得を目指し、20年12月期以降の収益拡大本格化が期待される。
 
■株価は18年12月期黒字化予想を好感して急動意
 
 株価は18年12月期黒字化予想を好感して急動意の展開となった。2月23日には879円まで上伸した。15年2月来の高値圏だ。3月1日の終値は750円、時価総額は約86億円である。
 
 週足チャートで見ると13週移動平均線が26週移動平均線を上抜いて先高観を強めている。目先的には乱高下の可能性があるが、基調転換して上値を試す展開が期待される。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media−IR)
[1月19日更新]

セルシードは急伸して底放れ、食道再生上皮シートの19年承認取得・販売開始目指す

 セルシード<7776>(JQ)は、細胞シート再生医療製品の開発・事業化、および世界普及を目指すバイオベンチャーである。19年に食道がん再生治療の食道再生上皮シートの承認取得および販売開始を目指している。販売が本格化する見込みの20年12月期以降の収益化が期待される。株価は急伸して底放れの形となった。出直りが期待される。
 
■細胞シート再生医療製品の事業化、世界普及を目指すバイオベンチャー
 
 温度応答性ポリマーを用いた細胞シート工学という日本発の革新的再生医療技術を基盤技術として、この技術に基づいて作製される細胞シート再生医療製品の開発・事業化を目指すバイオベンチャーである。これまで治療が難しかった疾患や障害を治癒する治療法として、細胞シート再生医療の世界普及を目指している。
 
 中期経営計画(17年〜19年)では事業展開として、食道再生上皮シートの承認取得・販売開始、同種軟骨再生シートの開発加速、次期品目の開発着手、サプライチェーン体制の構築、再生医療支援製品の新製品開発・収益機会獲得、海外企業との事業提携推進を掲げている。
 
■細胞シート再生医療とは
 
 細胞シートは患者自身の組織から採取した細胞をシート状に培養したものである。細胞シート工学は、生体組織・臓器の基本単位となる細胞シートを生体外で人工的に作製する再生医療基盤技術で、東京女子医科大学先端生命医科学研究所の岡野光夫氏が世界で初めて創唱した。
 
 温度応答性ポリマーで表面加工した細胞培養皿を用いて、患者自身の組織から採取した細胞をシート状に培養する。温度応答性ポリマーは37℃付近以上で疎水性に、それ以下の温度で親水性となる特性があるため、37℃で培養し、培養後に温度を室温程度(20℃〜25℃)に変えるだけで、細胞外マトリックスを保持したまま有機的に結合した細胞シートを培養皿から回収できる。
 
 細胞シート作製に必要な培養期間は、細胞の種類などによって異なるが概ね1〜2週間程度で、細胞シートのサイズも自由に設定できる。複数の細胞シートを積層させて、細胞シート同士を接着させることもできる。
 
 培養した細胞シートを患部に貼る(移植する)だけで、細胞が生着(移植した細胞が患部に定着)し、細胞シートから分泌されたサイトカイン(細胞から放出されて細胞増殖や分化に影響する特定のたんぱく質の総称)が、患部の弱った細胞を活性化させると考えられている。
 
 また細胞シート再生医療には、患者自身の細胞を用いるため免疫拒絶反応が起こらない、身体のどの部位の細胞からも作製できる、施術としては比較的簡単な治療法である、細胞が生体組織に速やかに生着する、残存機能を損なわずに根治を目指すことも可能である、などのメリットがある。
 
 細胞シート再生医療は既に、さまざまな組織の再生に関する臨床研究が実施され、ヒト患者治療における基本的な安全性・有効性を示唆する科学的エビデンスが示されている。これまで治療が難しかった病気の症状改善、機能回復、治癒が期待され、新たな再生医療技術として注目されている。
 
■細胞シート再生医療事業および再生医療支援事業を展開
 
 事業区分は細胞シート再生医療事業および再生医療支援事業としている。細胞シート再生医療事業は、細胞シート再生医療製品および応用製品の研究開発・製造・販売を通じて細胞シート再生医療の普及を推進する。再生医療支援事業は、細胞シート再生医療の基盤ツールである温度応答性細胞培養器材および応用製品の研究開発・製造・販売を通じて再生医療の研究開発を支援する。
 
 子会社のCellSeed Sweden AB(スウェーデン)は、欧州で細胞シート再生医療製品の研究開発を行っている。
 
■食道再生上皮シートと軟骨再生シートの承認取得・事業化目指す
 
 細胞シート再生医療事業では、優先的に自社開発を推進するパイプラインとして、食道再生上皮シートおよび軟骨再生シートを設定し、当社における細胞シート再生医療第1号製品としての早期承認取得・事業化を目指して研究開発を推進している。
 
 なお事業化・収益化に向けた基本方針は、まず国内での細胞シート再生医療パイプラインの開発を自社主体で推進し、製造販売承認取得を目指すとしている。そして細胞シート再生医療の世界普及を推進するため、製造・販売のサプライチェーン体制を構築して事業化を前進させつつ、海外展開は他社との提携も視野に入れて細胞シート再生医療事業の拡大を目指す方針だ。
 
■食道再生上皮シートは19年承認取得目指す
 
 食道再生上皮シートは、食道がん再生治療法(食道創傷治癒・狭窄予防)として、東京女子医科大学先端生命医科学研究所が開発した治療法である。患者の口腔粘膜から採取した細胞を、温度応答性細胞培養皿を用いて細胞シートを作製し、食道がん切除内視鏡手術後の食道潰瘍面に移植する。
 
 東京女子医科大学と食道再生上皮細胞シート開発基本合意書を締結し、16年8月国立がん研究センター中央病院、国立がん研究センター東病院、東京女子医科大学病院において治験を開始した。そして17年2月には厚生労働省から再生医療等製品の先駆け審査指定制度の対象品目指定を受けた。
 
 今後の計画として、日本で17年は治験進行、18年に製造販売承認申請、19年に製造販売承認取得および販売開始を目指している。欧州では子会社のCellSeed Sweden AB(スウェーデン)が、16年に欧州医薬品庁(EMA)と事前相談し、治験準備中である。
 
 食道再生上皮シート移植用デバイスも同時開発している。細胞シートと組み合わせて治験を実施し、欧州での治験でも使用できるように医療機器としての承認を取得する方針だ。
 
 17年10月には、食道再生上皮シートに用いる細胞シート移植用デバイスについて、欧州に本デバイスを医療機器として輸出可能なCEマークの表示が可能となり、合わせて医療機器に特化した品質マネジメントシステムに関する国際規格「ISO13485」の認証を含む、本デバイスの欧州医療機器指令への適合のEC認証を取得した。
 
■軟骨再生シートは17年第4四半期に治験開始予定
 
 軟骨再生シートは東海大学と、軟骨欠損および変形性膝関節症を適応症として共同研究を進めている。
 
 変形性膝関節症は、緩徐に進行する難治性の関節軟骨変性で、国内における患者数(40歳以上)は2530万人、そのうち有症病者は800万人と推定(東京大学医学部附属病院22世紀医療センター調査)されている。高齢化により患者数の増加が予想され、国民健康寿命・介護費・医療費の観点から喫緊に対処すべき疾患である。
 
 細胞シートを積層化した3次元複合体の積層化軟骨細胞シートを患部に移植し、軟骨の修復・再生に寄与する。17年2月には東海大学整形学科の佐藤正人教授が、世界初の同種軟骨細胞シートの移植手術(多指症患者軟骨組織を採取し、同種細胞シートとして移植)を実施した。
 
 17年2月東海大学と、軟骨再生シート臨床研究の実用化開発、治験、製造販売承認申請に向けて協力体制を推進することを目的とした基本合意書を締結した。細胞シートの製造は当社で実施する。今後の計画は17年第4四半期(10月〜12月)頃に治験開始、18年〜19年は治験進行としている。
 
 17年6月には、日本医療研究開発機構(AMED)が公募した平成29年度「再生医療の産業化に向けた評価基盤技術開発事業(再生医療等の産業化に向けた評価手法等の開発)」に、当社を代表機関として、東海大学およびDNAチップ研究所<2397>を分担機関とする研究開発項目が採択を受けた。事業課題名は「同種軟骨細胞シートのための有効性品質評価手法の開発」である。
 
■海外は台湾で事業提携
 
 海外展開は台湾MetaTech社と、台湾における細胞シート再生医療事業(食道再生上皮シートおよび軟骨再生シート)の事業提携契約を締結(17年4月契約調印式)し、独占的開発・製造・販売権を付与した。開発進捗に応じてマイルストーン収入、開発製造関連データ料、開発サポート料を最大12億50百万円程度受領予定である。また上市(販売)時には売上高に応じたロイヤルティ収入を得る。
 
 17年9月には台湾MetaTech社から、最初のパッケージデータ「当社製造関連データ」を提供開始したことに伴い、契約の定めに従って60百万円を入金したと発表している。売上高の計上は本パッケージデータの提供完了時(別途40百万円を受領予定)の来期(18年12月期)の予定である。
 
■次期品目の開発に着手
 
 今後の戦略としては、パイプライン充実に向けて、食道再生上皮シートおよび軟骨再生シートに続く次期品目の開発に着手する方針だ。また細胞シート再生医療事業の海外展開につながる事業提携案件にも積極的に取り組む方針だ。
 
■再生医療支援事業ではテルモに特別仕様製品を供給
 
 再生医療支援事業は、主要顧客である大学・研究機関向けなどに、細胞シート回収用温度応答性細胞培養器材UpCellを中心とした器材を開発・販売している。
 
 14年4月大日本印刷<7912>と細胞培養器材製造委託基本契約を締結し、市販製品(研究開発用途に限定)について大日本印刷に製造を委託している。また16年3月にはテルモ<4543>と細胞培養器材に関する取引基本契約を締結した。テルモが再生医療等製品に係る保険適用決定を受けた「ハートシート」に含まれる当社製品(温度応答性細胞培養器材)について、市販製品とは異なる特別仕様製品を供給する。
 
 17年12月には超低付着性細胞培養器材「HydroCell」の新製品としてフラスコタイプの販売を開始した。
 
 今後の戦略としては、研究用器材の新製品開発や臨床応用用途の製品開発など顧客ニーズに対応した製品ラインナップ拡充、新規販売代理店開拓などによる国内外の販売網強化、さらに製造コストの引き下げなどを推進する方針だ。
 
■20年12月期以降の収益化期待
 
 中期経営計画での損益目標数値は、17年12月期の売上高1億円、純利益12億30百万円の赤字、18年12月期の売上高2億50百万円、純利益9億30百万円の赤字、19年12月期の売上高3億50百万円、純利益8億80百万円の赤字としている。
 
 細胞シート再生医療第1号製品となる見込みの食道再生上皮シートは、17年治験進行、18年製造販売承認申請、19年製造販売承認取得を目指しているため、19年12月期までは赤字が継続する見込みだ。なお台湾MetaTech社との台湾事業提携による収入(最大12億50百万円程度)など、事業提携関連の売上は織り込んでいない。食道再生上皮シートの販売が本格化する見込みの20年12月期以降の収益化が期待される。
 
■株価は急伸して底放れ
 
 株価は安値圏480円〜490円近辺でモミ合う形だったが、12月26日に上場来安値436円まで下押した直後に急動意となり、1月16日の606円まで急伸した。1月18日の終値は531円、時価総額は約61億円である。
 
 週足チャートで見ると急伸して底放れの形となった。13週移動平均線、26週移動平均線、そして52週移動平均線を一気に突破した。基調転換して出直りが期待される。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media−IR)
[11月28日更新]

セルシードは底固め完了感、食道再生上皮シートの19年承認取得・販売開始目指す      
 セルシード<7776>(JQ)は、細胞シート再生医療製品の開発・事業化、および世界普及を目指すバイオベンチャーである。19年に食道がん再生治療の食道再生上皮シートの承認取得および販売開始を目指している。なお11月29日〜12月1日開催の日本薬物動態学会に出展する。株価は底固め完了感を強めている。
 
■細胞シート再生医療製品の事業化、世界普及を目指すバイオベンチャー
 
 温度応答性ポリマーを用いた細胞シート工学という日本発の革新的再生医療技術を基盤技術として、この技術に基づいて作製される細胞シート再生医療製品の開発・事業化を目指すバイオベンチャーである。これまで治療が難しかった疾患や障害を治癒する治療法として、細胞シート再生医療の世界普及を目指している。
 
 中期経営計画(17年〜19年)では事業展開として、食道再生上皮シートの承認取得・販売開始、同種軟骨再生シートの開発加速、次期品目の開発着手、サプライチェーン体制の構築、再生医療支援製品の新製品開発・収益機会獲得、海外企業との事業提携推進を掲げている。
■細胞シート再生医療とは
 
 細胞シートは患者自身の組織から採取した細胞をシート状に培養したものである。細胞シート工学は、生体組織・臓器の基本単位となる細胞シートを生体外で人工的に作製する再生医療基盤技術で、東京女子医科大学先端生命医科学研究所の岡野光夫氏が世界で初めて創唱した。
 
 温度応答性ポリマーで表面加工した細胞培養皿を用いて、患者自身の組織から採取した細胞をシート状に培養する。温度応答性ポリマーは37℃付近以上で疎水性に、それ以下の温度で親水性となる特性があるため、37℃で培養し、培養後に温度を室温程度(20℃〜25℃)に変えるだけで、細胞外マトリックスを保持したまま有機的に結合した細胞シートを培養皿から回収できる。
 
 細胞シート作製に必要な培養期間は、細胞の種類などによって異なるが概ね1〜2週間程度で、細胞シートのサイズも自由に設定できる。複数の細胞シートを積層させて、細胞シート同士を接着させることもできる。
 
 培養した細胞シートを患部に貼る(移植する)だけで、細胞が生着(移植した細胞が患部に定着)し、細胞シートから分泌されたサイトカイン(細胞から放出されて細胞増殖や分化に影響する特定のたんぱく質の総称)が、患部の弱った細胞を活性化させると考えられている。
 
 また細胞シート再生医療には、患者自身の細胞を用いるため免疫拒絶反応が起こらない、身体のどの部位の細胞からも作製できる、施術としては比較的簡単な治療法である、細胞が生体組織に速やかに生着する、残存機能を損なわずに根治を目指すことも可能である、などのメリットがある。
 
 細胞シート再生医療は既に、さまざまな組織の再生に関する臨床研究が実施され、ヒト患者治療における基本的な安全性・有効性を示唆する科学的エビデンスが示されている。これまで治療が難しかった病気の症状改善、機能回復、治癒が期待され、新たな再生医療技術として注目されている。
 
■細胞シート再生医療事業および再生医療支援事業を展開
 
 事業区分は細胞シート再生医療事業および再生医療支援事業としている。細胞シート再生医療事業は、細胞シート再生医療製品および応用製品の研究開発・製造・販売を通じて細胞シート再生医療の普及を推進する。再生医療支援事業は、細胞シート再生医療の基盤ツールである温度応答性細胞培養器材および応用製品の研究開発・製造・販売を通じて再生医療の研究開発を支援する。
 
 子会社のCellSeed Sweden AB(スウェーデン)は、欧州で細胞シート再生医療製品の研究開発を行っている。
 
■食道再生上皮シートと軟骨再生シートの承認取得・事業化目指す
 
 細胞シート再生医療事業では、優先的に自社開発を推進するパイプラインとして、食道再生上皮シートおよび軟骨再生シートを設定し、当社における細胞シート再生医療第1号製品としての早期承認取得・事業化を目指して研究開発を推進している。
 
 なお事業化・収益化に向けた基本方針は、まず国内での細胞シート再生医療パイプラインの開発を自社主体で推進し、製造販売承認取得を目指すとしている。そして細胞シート再生医療の世界普及を推進するため、製造・販売のサプライチェーン体制を構築して事業化を前進させつつ、海外展開は他社との提携も視野に入れて細胞シート再生医療事業の拡大を目指す方針だ。
 
■食道再生上皮シートは19年承認取得目指す
 
 食道再生上皮シートは、食道がん再生治療法(食道創傷治癒・狭窄予防)として、東京女子医科大学先端生命医科学研究所が開発した治療法である。患者の口腔粘膜から採取した細胞を、温度応答性細胞培養皿を用いて細胞シートを作製し、食道がん切除内視鏡手術後の食道潰瘍面に移植する。
 
 東京女子医科大学と食道再生上皮細胞シート開発基本合意書を締結し、16年8月国立がん研究センター中央病院、国立がん研究センター東病院、東京女子医科大学病院において治験を開始した。そして17年2月には厚生労働省から再生医療等製品の先駆け審査指定制度の対象品目指定を受けた。
 
 今後の計画として、日本で17年は治験進行、18年に製造販売承認申請、19年に製造販売承認取得および販売開始を目指している。欧州では子会社のCellSeed Sweden AB(スウェーデン)が、16年に欧州医薬品庁(EMA)と事前相談し、治験準備中である。
 
 食道再生上皮シート移植用デバイスも同時開発している。細胞シートと組み合わせて治験を実施し、欧州での治験でも使用できるように医療機器としての承認を取得する方針だ。
 
 17年10月には、食道再生上皮シートに用いる細胞シート移植用デバイスについて、欧州に本デバイスを医療機器として輸出可能なCEマークの表示が可能となり、合わせて医療機器に特化した品質マネジメントシステムに関する国際規格「ISO13485」の認証を含む、本デバイスの欧州医療機器指令への適合のEC認証を取得した。
 
■軟骨再生シートは17年第4四半期に治験開始予定
 
 軟骨再生シートは東海大学と、軟骨欠損および変形性膝関節症を適応症として共同研究を進めている。
 
 変形性膝関節症は、緩徐に進行する難治性の関節軟骨変性で、国内における患者数(40歳以上)は2530万人、そのうち有症病者は800万人と推定(東京大学医学部附属病院22世紀医療センター調査)されている。高齢化により患者数の増加が予想され、国民健康寿命・介護費・医療費の観点から喫緊に対処すべき疾患である。
 
 細胞シートを積層化した3次元複合体の積層化軟骨細胞シートを患部に移植し、軟骨の修復・再生に寄与する。17年2月には東海大学整形学科の佐藤正人教授が、世界初の同種軟骨細胞シートの移植手術(多指症患者軟骨組織を採取し、同種細胞シートとして移植)を実施した。
 
 17年2月東海大学と、軟骨再生シート臨床研究の実用化開発、治験、製造販売承認申請に向けて協力体制を推進することを目的とした基本合意書を締結した。細胞シートの製造は当社で実施する。今後の計画は17年第4四半期(10月〜12月)頃に治験開始、18年〜19年は治験進行としている。
 
 17年6月には、日本医療研究開発機構(AMED)が公募した平成29年度「再生医療の産業化に向けた評価基盤技術開発事業(再生医療等の産業化に向けた評価手法等の開発)」に、当社を代表機関として、東海大学およびDNAチップ研究所<2397>を分担機関とする研究開発項目が採択を受けた。事業課題名は「同種軟骨細胞シートのための有効性品質評価手法の開発」である。
 
■海外は台湾で事業提携
 
 海外展開は台湾MetaTech社と、台湾における細胞シート再生医療事業(食道再生上皮シートおよび軟骨再生シート)の事業提携契約を締結(17年4月契約調印式)し、独占的開発・製造・販売権を付与した。開発進捗に応じてマイルストーン収入、開発製造関連データ料、開発サポート料を最大12億50百万円程度受領予定である。また上市(販売)時には売上高に応じたロイヤルティ収入を得る。
 
 17年9月には台湾MetaTech社から、最初のパッケージデータ「当社製造関連データ」を提供開始したことに伴い、契約の定めに従って60百万円を入金したと発表している。売上高の計上は本パッケージデータの提供完了時(別途40百万円を受領予定)の来期(18年12月期)の予定である。
 
■次期品目の開発に着手
 
 今後の戦略としては、パイプライン充実に向けて、食道再生上皮シートおよび軟骨再生シートに続く次期品目の開発に着手する方針だ。また細胞シート再生医療事業の海外展開につながる事業提携案件にも積極的に取り組む方針だ。
 
■再生医療支援事業ではテルモに特別仕様製品を供給
 
 再生医療支援事業は、主要顧客である大学・研究機関向けなどに、細胞シート回収用温度応答性細胞培養器材UpCellを中心とした器材を開発・販売している。
 
 14年4月大日本印刷<7912>と細胞培養器材製造委託基本契約を締結し、市販製品(研究開発用途に限定)について大日本印刷に製造を委託している。また16年3月にはテルモ<4543>と細胞培養器材に関する取引基本契約を締結した。テルモが再生医療等製品に係る保険適用決定を受けた「ハートシート」に含まれる当社製品(温度応答性細胞培養器材)について、市販製品とは異なる特別仕様製品を供給する。
 
 今後の戦略としては、研究用器材の新製品開発や臨床応用用途の製品開発など顧客ニーズに対応した製品ラインナップ拡充、新規販売代理店開拓などによる国内外の販売網強化、さらに製造コストの引き下げなどを推進する方針だ。
 
■20年12月期以降の収益化期待
 
 中期経営計画での損益目標数値は、17年12月期の売上高1億円、純利益12億30百万円の赤字、18年12月期の売上高2億50百万円、純利益9億30百万円の赤字、19年12月期の売上高3億50百万円、純利益8億80百万円の赤字としている。
 
 細胞シート再生医療第1号製品となる見込みの食道再生上皮シートは、17年治験進行、18年製造販売承認申請、19年製造販売承認取得を目指しているため、19年12月期までは赤字が継続する見込みだ。なお台湾MetaTech社との台湾事業提携による収入(最大12億50百万円程度)など、事業提携関連の売上は織り込んでいない。食道再生上皮シートの販売が本格化する見込みの20年12月期以降の収益化が期待される。
 
■株価は底固め完了感
 
 株価は安値圏480円〜500円近辺でモミ合う形だが、9月の上場来安値477円を割り込むことなく底固め完了感を強めている。11月27日の終値は491円、時価総額は約54億円である。週足チャートで見ると13週移動平均線突破の動きを強めている。底固め完了して反発が期待される。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media−IR)
[10月26日更新]

セルシードは底固め完了感、食道再生上皮シートの19年承認取得・販売開始目指す

 セルシード<7776>(JQ)は、細胞シート再生医療製品の開発・事業化、および世界普及を目指すバイオベンチャーである。19年に食道がん再生治療の食道再生上皮シートの承認取得および販売開始を目指している。株価は底固め完了感を強めている。
 
■細胞シート再生医療製品の事業化、世界普及を目指すバイオベンチャー
 
 温度応答性ポリマーを用いた細胞シート工学という日本発の革新的再生医療技術を基盤技術として、この技術に基づいて作製される細胞シート再生医療製品の開発・事業化を目指すバイオベンチャーである。これまで治療が難しかった疾患や障害を治癒する治療法として、細胞シート再生医療の世界普及を目指している。
 
 中期経営計画(17年〜19年)では事業展開として、食道再生上皮シートの承認取得・販売開始、同種軟骨再生シートの開発加速、次期品目の開発着手、サプライチェーン体制の構築、再生医療支援製品の新製品開発・収益機会獲得、海外企業との事業提携推進を掲げている。
 
■細胞シート再生医療とは
 
 細胞シートは患者自身の組織から採取した細胞をシート状に培養したものである。細胞シート工学は、生体組織・臓器の基本単位となる細胞シートを生体外で人工的に作製する再生医療基盤技術で、東京女子医科大学先端生命医科学研究所の岡野光夫氏が世界で初めて創唱した。
 
 温度応答性ポリマーで表面加工した細胞培養皿を用いて、患者自身の組織から採取した細胞をシート状に培養する。温度応答性ポリマーは37℃付近以上で疎水性に、それ以下の温度で親水性となる特性があるため、37℃で培養し、培養後に温度を室温程度(20℃〜25℃)に変えるだけで、細胞外マトリックスを保持したまま有機的に結合した細胞シートを培養皿から回収できる。
 
 細胞シート作製に必要な培養期間は、細胞の種類などによって異なるが概ね1〜2週間程度で、細胞シートのサイズも自由に設定できる。複数の細胞シートを積層させて、細胞シート同士を接着させることもできる。
 
 培養した細胞シートを患部に貼る(移植する)だけで、細胞が生着(移植した細胞が患部に定着)し、細胞シートから分泌されたサイトカイン(細胞から放出されて細胞増殖や分化に影響する特定のたんぱく質の総称)が、患部の弱った細胞を活性化させると考えられている。
 
 また細胞シート再生医療には、患者自身の細胞を用いるため免疫拒絶反応が起こらない、身体のどの部位の細胞からも作製できる、施術としては比較的簡単な治療法である、細胞が生体組織に速やかに生着する、残存機能を損なわずに根治を目指すことも可能である、などのメリットがある。
 
 細胞シート再生医療は既に、さまざまな組織の再生に関する臨床研究が実施され、ヒト患者治療における基本的な安全性・有効性を示唆する科学的エビデンスが示されている。これまで治療が難しかった病気の症状改善、機能回復、治癒が期待され、新たな再生医療技術として注目されている。
 
■細胞シート再生医療事業および再生医療支援事業を展開
 
 事業区分は細胞シート再生医療事業および再生医療支援事業としている。細胞シート再生医療事業は、細胞シート再生医療製品および応用製品の研究開発・製造・販売を通じて細胞シート再生医療の普及を推進する。再生医療支援事業は、細胞シート再生医療の基盤ツールである温度応答性細胞培養器材および応用製品の研究開発・製造・販売を通じて再生医療の研究開発を支援する。
 
 なお子会社のCellSeed Sweden AB(スウェーデン)は、欧州で細胞シート再生医療製品の研究開発を行っている。
 
■食道再生上皮シートと軟骨再生シートの承認取得・事業化目指す
 
 細胞シート再生医療事業では、優先的に自社開発を推進するパイプラインとして、食道再生上皮シートおよび軟骨再生シートを設定し、当社における細胞シート再生医療第1号製品としての早期承認取得・事業化を目指して研究開発を推進している。
 
 なお事業化・収益化に向けた基本方針は、まず国内での細胞シート再生医療パイプラインの開発を自社主体で推進し、製造販売承認取得を目指すとしている。そして細胞シート再生医療の世界普及を推進するため、製造・販売のサプライチェーン体制を構築して事業化を前進させつつ、海外展開は他社との提携も視野に入れて細胞シート再生医療事業の拡大を目指す方針だ。
 
■食道再生上皮シートは19年承認取得目指す
 
 食道再生上皮シートは、食道がん再生治療法(食道創傷治癒・狭窄予防)として、東京女子医科大学先端生命医科学研究所が開発した治療法である。患者の口腔粘膜から採取した細胞を、温度応答性細胞培養皿を用いて細胞シートを作製し、食道がん切除内視鏡手術後の食道潰瘍面に移植する。
 
 東京女子医科大学と食道再生上皮細胞シート開発基本合意書を締結し、16年8月国立がん研究センター中央病院、国立がん研究センター東病院、東京女子医科大学病院において治験を開始した。そして17年2月には厚生労働省から再生医療等製品の先駆け審査指定制度の対象品目指定を受けた。
 
 今後の計画として、日本で17年は治験進行、18年に製造販売承認申請、19年に製造販売承認取得および販売開始を目指している。欧州では子会社のCellSeed Sweden AB(スウェーデン)が、16年に欧州医薬品庁(EMA)と事前相談し、治験準備中である。
 
 なお食道再生上皮シート移植用デバイスも同時開発している。細胞シートと組み合わせて治験を実施し、欧州での治験でも使用できるように医療機器としての承認を取得する方針だ。
 
 そして10月2日には、食道再生上皮シートに用いる細胞シート移植用デバイスについて、欧州に本デバイスを医療機器として輸出可能なCEマークの表示が可能となり、合わせて医療機器に特化した品質マネジメントシステムに関する国際規格「ISO13485」の認証を含む、本デバイスの欧州医療機器指令への適合のEC認証を取得したと発表している。
 
■軟骨再生シートは17年第4四半期に治験開始予定
 
 軟骨再生シートは東海大学と、軟骨欠損および変形性膝関節症を適応症として共同研究を進めている。
 
 変形性膝関節症は、緩徐に進行する難治性の関節軟骨変性で、国内における患者数(40歳以上)は2530万人、そのうち有症病者は800万人と推定(東京大学医学部附属病院22世紀医療センター調査)されている。高齢化により患者数の増加が予想され、国民健康寿命・介護費・医療費の観点から喫緊に対処すべき疾患である。
 
 細胞シートを積層化した3次元複合体の積層化軟骨細胞シートを患部に移植し、軟骨の修復・再生に寄与する。17年2月には東海大学整形学科の佐藤正人教授が、世界初の同種軟骨細胞シートの移植手術(多指症患者軟骨組織を採取し、同種細胞シートとして移植)を実施した。
 
 17年2月東海大学と、軟骨再生シート臨床研究の実用化開発、治験、製造販売承認申請に向けて協力体制を推進することを目的とした基本合意書を締結した。細胞シートの製造は当社で実施する。今後の計画は17年第4四半期(10月〜12月)頃に治験開始、18年〜19年は治験進行としている。
 
 17年6月には、日本医療研究開発機構(AMED)が公募した平成29年度「再生医療の産業化に向けた評価基盤技術開発事業(再生医療等の産業化に向けた評価手法等の開発)」に、当社を代表機関として、東海大学およびDNAチップ研究所<2397>を分担機関とする研究開発項目が採択を受けた。事業課題名は「同種軟骨細胞シートのための有効性品質評価手法の開発」である。
 
■海外は台湾で事業提携
 
 海外展開は台湾MetaTech社と、台湾における細胞シート再生医療事業(食道再生上皮シートおよび軟骨再生シート)の事業提携契約を締結(17年4月契約調印式)し、独占的開発・製造・販売権を付与した。開発進捗に応じてマイルストーン収入、開発製造関連データ料、開発サポート料を最大12億50百万円程度受領予定である。また上市(販売)時には売上高に応じたロイヤルティ収入を得る。
 
 17年9月には台湾MetaTech社から、最初のパッケージデータ「当社製造関連データ」を提供開始したことに伴い、契約の定めに従って60百万円を入金したと発表している。売上高の計上は本パッケージデータの提供完了時(別途40百万円を受領予定)の来期(18年12月期)の予定である。
 
■次期品目の開発に着手
 
 今後の戦略としては、パイプライン充実に向けて、食道再生上皮シートおよび軟骨再生シートに続く次期品目の開発に着手する方針だ。また細胞シート再生医療事業の海外展開につながる事業提携案件にも積極的に取り組む方針だ。
 
■再生医療支援事業ではテルモに特別仕様製品を供給
 
 再生医療支援事業は、主要顧客である大学・研究機関向けなどに、細胞シート回収用温度応答性細胞培養器材UpCellを中心とした器材を開発・販売している。
 
 14年4月大日本印刷<7912>と細胞培養器材製造委託基本契約を締結し、市販製品(研究開発用途に限定)について大日本印刷に製造を委託している。また16年3月にはテルモ<4543>と細胞培養器材に関する取引基本契約を締結した。テルモが再生医療等製品に係る保険適用決定を受けた「ハートシート」に含まれる当社製品(温度応答性細胞培養器材)について、市販製品とは異なる特別仕様製品を供給する。
 
 今後の戦略としては、研究用器材の新製品開発や臨床応用用途の製品開発など顧客ニーズに対応した製品ラインナップ拡充、新規販売代理店開拓などによる国内外の販売網強化、さらに製造コストの引き下げなどを推進する方針だ。
 
■20年12月期以降の収益化期待
 
 中期経営計画での損益目標数値は、17年12月期の売上高1億円、純利益12億30百万円の赤字、18年12月期の売上高2億50百万円、純利益9億30百万円の赤字、19年12月期の売上高3億50百万円、純利益8億80百万円の赤字としている。
 
 細胞シート再生医療第1号製品となる見込みの食道再生上皮シートは、17年治験進行、18年製造販売承認申請、19年製造販売承認取得を目指しているため、19年12月期までは赤字が継続する見込みだ。なお台湾MetaTech社との台湾事業提携による収入(最大12億50百万円程度)など、事業提携関連の売上は織り込んでいない。食道再生上皮シートの販売が本格化する見込みの20年12月期以降の収益化が期待される。
 
■株価は底固め完了感
 
 17年3月発行したEvolution Biotech Fundを割当先とする第16回新株予約権(行使価額修正条項付/コミット・イシュー、総数220万個=220万株)については、10月3日時点で全ての行使が完了した。
 
 株価は9月20日に上場来安値477円まで調整したが、10月3日には522円まで上伸する場面があり、底固め完了感を強めている。10月23日の終値は487円、時価総額は約53億円である。底固め完了して反発が期待される。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media−IR)
[09月27日更新]

セルシードは食道再生上皮シートの19年承認取得・販売開始目指す
 
 セルシード<7776>(JQ)は、細胞シート再生医療製品の開発・事業化、および世界普及を目指すバイオベンチャーである。19年に食道がん再生治療の食道再生上皮シートの承認取得および販売開始を目指している。なお9月28日〜30日開催の第76回日本癌学会学術総会付設展示会、10月11日〜13日開催の再生医療Japan2017、10月27日〜29日開催の第8回アジア細胞治療学会学術集会(ACTO)に出展する。株価はほぼ底値圏だろう。
 
■細胞シート再生医療製品の事業化、世界普及を目指すバイオベンチャー
 
 温度応答性ポリマーを用いた細胞シート工学という日本発の革新的再生医療技術を基盤技術として、この技術に基づいて作製される細胞シート再生医療製品の開発・事業化を目指すバイオベンチャーである。これまで治療が難しかった疾患や障害を治癒する治療法として、細胞シート再生医療の世界普及を目指している。
 
 なお日本では14年11月施行の「医薬品医療機器等法」および「再生医療等の安全性の確保等に関する法律」によって、遺伝子治療を含む再生医療等製品に対する早期承認制度が導入されている。
 
 中期経営計画(17年〜19年)では事業展開として、食道再生上皮シートの承認取得・販売開始、同種軟骨再生シートの開発加速、次期品目の開発着手、サプライチェーン体制の構築、再生医療支援製品の新製品開発・収益機会獲得、海外企業との事業提携推進を掲げている。
 
■細胞シート再生医療とは
 
 細胞シートは患者自身の組織から採取した細胞をシート状に培養したものである。細胞シート工学は、生体組織・臓器の基本単位となる細胞シートを生体外で人工的に作製する再生医療基盤技術で、東京女子医科大学先端生命医科学研究所の岡野光夫氏が世界で初めて創唱した。
 
 温度応答性ポリマーで表面加工した細胞培養皿を用いて、患者自身の組織から採取した細胞をシート状に培養する。温度応答性ポリマーは37℃付近以上で疎水性に、それ以下の温度で親水性となる特性があるため、37℃で培養し、培養後に温度を室温程度(20℃〜25℃)に変えるだけで、細胞外マトリックスを保持したまま有機的に結合した細胞シートを培養皿から回収できる。
 
 細胞シート作製に必要な培養期間は、細胞の種類などによって異なるが概ね1〜2週間程度で、細胞シートのサイズも自由に設定できる。複数の細胞シートを積層させて、細胞シート同士を接着させることもできる。
 
 培養した細胞シートを患部に貼る(移植する)だけで、細胞が生着(移植した細胞が患部に定着)し、細胞シートから分泌されたサイトカイン(細胞から放出されて細胞増殖や分化に影響する特定のたんぱく質の総称)が、患部の弱った細胞を活性化させると考えられている。
 
 また細胞シート再生医療には、患者自身の細胞を用いるため免疫拒絶反応が起こらない、身体のどの部位の細胞からも作製できる、施術としては比較的簡単な治療法である、細胞が生体組織に速やかに生着する、残存機能を損なわずに根治を目指すことも可能である、などのメリットがある。
 
 細胞シート再生医療は既に、さまざまな組織の再生に関する臨床研究が実施され、ヒト患者治療における基本的な安全性・有効性を示唆する科学的エビデンスが示されている。これまで治療が難しかった病気の症状改善、機能回復、治癒が期待され、新たな再生医療技術として注目されている。
 
■細胞シート再生医療事業および再生医療支援事業を展開
 
 事業区分は細胞シート再生医療事業および再生医療支援事業としている。細胞シート再生医療事業は、細胞シート再生医療製品および応用製品の研究開発・製造・販売を通じて細胞シート再生医療の普及を推進する。再生医療支援事業は、細胞シート再生医療の基盤ツールである温度応答性細胞培養器材および応用製品の研究開発・製造・販売を通じて再生医療の研究開発を支援する。
 
 なお子会社のCellSeed Sweden AB(スウェーデン)は、欧州で細胞シート再生医療製品の研究開発を行っている。
 
■食道再生上皮シートと軟骨再生シートの承認取得・事業化目指す
 
 細胞シート再生医療事業では、優先的に自社開発を推進するパイプラインとして、食道再生上皮シートおよび軟骨再生シートを設定し、当社における細胞シート再生医療第1号製品としての早期承認取得・事業化を目指して研究開発を推進している。
 
 なお事業化・収益化に向けた基本方針は、まず国内での細胞シート再生医療パイプラインの開発を自社主体で推進し、製造販売承認取得を目指すとしている。そして細胞シート再生医療の世界普及を推進するため、製造・販売のサプライチェーン体制を構築して事業化を前進させつつ、海外展開は他社との提携も視野に入れて細胞シート再生医療事業の拡大を目指す方針だ。
 
■食道再生上皮シートは19年承認取得目指す
 
 食道再生上皮シートは、食道がん再生治療法(食道創傷治癒・狭窄予防)として、東京女子医科大学先端生命医科学研究所が開発した治療法である。患者の口腔粘膜から採取した細胞を、温度応答性細胞培養皿を用いて細胞シートを作製し、食道がん切除内視鏡手術後の食道潰瘍面に移植する。
 
 東京女子医科大学と食道再生上皮細胞シート開発基本合意書を締結し、16年8月国立がん研究センター中央病院、国立がん研究センター東病院、東京女子医科大学病院において治験を開始した。そして17年2月には厚生労働省から再生医療等製品の先駆け審査指定制度の対象品目指定を受けた。
 
 今後の計画として、日本で17年は治験進行、18年に製造販売承認申請、19年に製造販売承認取得および販売開始を目指している。欧州では子会社のCellSeed Sweden AB(スウェーデン)が、16年に欧州医薬品庁(EMA)と事前相談し、治験準備中である。
 
 なお食道再生上皮シート移植用デバイスも同時開発している。細胞シートと組み合わせて治験を実施し、欧州での治験でも使用できるように医療機器としての承認を取得する方針だ。
 
■軟骨再生シートは17年第4四半期に治験開始予定
 
 軟骨再生シートは東海大学と、軟骨欠損および変形性膝関節症を適応症として共同研究を進めている。
 
 変形性膝関節症は、緩徐に進行する難治性の関節軟骨変性で、国内における患者数(40歳以上)は2530万人、そのうち有症病者は800万人と推定(東京大学医学部附属病院22世紀医療センター調査)されている。高齢化により患者数の増加が予想され、国民健康寿命・介護費・医療費の観点から喫緊に対処すべき疾患である。
 
 細胞シートを積層化した3次元複合体の積層化軟骨細胞シートを患部に移植し、軟骨の修復・再生に寄与する。17年2月には東海大学整形学科の佐藤正人教授が、世界初の同種軟骨細胞シートの移植手術(多指症患者軟骨組織を採取し、同種細胞シートとして移植)を実施した。
 
 17年2月東海大学と、軟骨再生シート臨床研究の実用化開発、治験、製造販売承認申請に向けて協力体制を推進することを目的とした基本合意書を締結した。細胞シートの製造は当社で実施する。今後の計画は17年第4四半期(10月〜12月)頃に治験開始、18年〜19年は治験進行としている。
 
 なお「NHK World TV」で17年4月に紹介された東海大学「自己および同種細胞シートによる軟骨再生医療」の動画が、東海大学のWEBサイトにアップされている。
 
 17年6月には、日本医療研究開発機構(AMED)が公募した平成29年度「再生医療の産業化に向けた評価基盤技術開発事業(再生医療等の産業化に向けた評価手法等の開発)」に、当社を代表機関として、東海大学およびDNAチップ研究所<2397>を分担機関とする研究開発項目が採択を受けた。事業課題名は「同種軟骨細胞シートのための有効性品質評価手法の開発」である。
 
■海外は台湾で事業提携
 
 海外展開は台湾MetaTech社と、台湾における細胞シート再生医療事業(食道再生上皮シートおよび軟骨再生シート)の事業提携契約を締結(17年4月契約調印式)し、独占的開発・製造・販売権を付与した。開発進捗に応じてマイルストーン収入、開発製造関連データ料、開発サポート料を最大12億50百万円程度受領予定である。また上市(販売)時には売上高に応じたロイヤルティ収入を得る。
 
 9月19日には台湾MetaTech社から、最初のパッケージデータ「当社製造関連データ」を提供開始したことに伴い、契約の定めに従って60百万円を入金したと発表している。売上高の計上は本パッケージデータの提供完了時(別途40百万円を受領予定)の来期(18年12月期)の予定である。
 
■次期品目の開発に着手
 
 今後の戦略としては、パイプライン充実に向けて、食道再生上皮シートおよび軟骨再生シートに続く次期品目の開発に着手する方針だ。また細胞シート再生医療事業の海外展開につながる事業提携案件にも積極的に取り組む方針だ。
 
■再生医療支援事業ではテルモに特別仕様製品を供給
 
 再生医療支援事業は、主要顧客である大学・研究機関向けなどに、細胞シート回収用温度応答性細胞培養器材UpCellを中心とした器材を開発・販売している。
 
 14年4月大日本印刷<7912>と細胞培養器材製造委託基本契約を締結し、市販製品(研究開発用途に限定)について大日本印刷に製造を委託している。また16年3月にはテルモ<4543>と細胞培養器材に関する取引基本契約を締結した。テルモが再生医療等製品に係る保険適用決定を受けた「ハートシート」に含まれる当社製品(温度応答性細胞培養器材)について、市販製品とは異なる特別仕様製品を供給する。
 
 今後の戦略としては、研究用器材の新製品開発や臨床応用用途の製品開発など顧客ニーズに対応した製品ラインナップ拡充、新規販売代理店開拓などによる国内外の販売網強化、さらに製造コストの引き下げなどを推進する方針だ。
 
■20年12月期以降の収益化期待
 
 今期(17年12月期)第2四半期累計(1〜6月)の連結業績は、売上高が26百万円、営業利益が4億57百万円の赤字、経常利益が3億90百万円の赤字、純利益が3億90百万円の赤字だった。再生医療支援事業において売上計上が下期にずれ込んだが、細胞シート再生医療事業における細胞培養施設維持費の削減効果などで、赤字額が期初計画に対して縮小した。
 
 中期経営計画での損益目標数値は、17年12月期の売上高1億円、純利益12億30百万円の赤字、18年12月期の売上高2億50百万円、純利益9億30百万円の赤字、19年12月期の売上高3億50百万円、純利益8億80百万円の赤字としている。
 
 細胞シート再生医療第1号製品となる見込みの食道再生上皮シートは、17年治験進行、18年製造販売承認申請、19年製造販売承認取得を目指しているため、19年12月期までは赤字が継続する見込みだ。なお台湾MetaTech社との台湾事業提携による収入(最大12億50百万円程度)など、事業提携関連の売上は織り込んでいない。食道再生上皮シートの販売が本格化する見込みの20年12月期以降の収益化が期待される。
 
■株価はほぼ底値圏
 
 なお17年3月発行したEvolution Biotech Fundを割当先とする第16回新株予約権(行使価額修正条項付/コミット・イシュー、総数220万個=220万株)について、17年8月末時点で160万個(160万株)の行使が完了し、未行使新株予約権数は60万個(60万株)となった。
 
 株価は9月20日に上場来安値となる477円まで調整した。9月26日の終値は481円で、時価総額は約51億円である。週足チャートで見ると500円近辺の支持線を割り込んだ形だが、ほぼ底値圏だろう。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media−IR)
[07月26日更新]

セルシードは基調転換して底放れ期待、食道がん再生治療の細胞シート再生医療製品の19年承認取得目指す

 セルシード<7776>(JQ)は、細胞シート再生医療製品の開発・事業化、および世界普及を目指すバイオベンチャーである。19年に食道がん再生治療の食道再生上皮シートの製造販売承認取得を目指している。株価は徐々に下値を切り上げて基調転換の動きを強めている。底放れの展開が期待される。

■細胞シート再生医療製品の事業化、世界普及を目指すバイオベンチャー

 温度応答性ポリマーを用いた細胞シート工学という日本発の革新的再生医療技術を基盤技術として、この技術に基づいて作製される細胞シート再生医療製品の開発・事業化を目指すバイオベンチャーである。これまで治療が難しかった疾患や障害を治癒する治療法として、細胞シート再生医療の世界普及を目指している。

 なお日本では14年11月施行の「医薬品医療機器等法」および「再生医療等の安全性の確保等に関する法律」によって、遺伝子治療を含む再生医療等製品に対する早期承認制度が導入されている。

■細胞シート再生医療とは

 細胞シートは患者自身の組織から採取した細胞をシート状に培養したものである。そして細胞シート工学は、生体組織・臓器の基本単位となる細胞シートを生体外で人工的に作製する再生医療基盤技術で、東京女子医科大学先端生命医科学研究所の岡野光夫氏が世界で初めて創唱した。

 温度応答性ポリマーで表面加工した細胞培養皿を用いて、患者自身の組織から採取した細胞をシート状に培養する。温度応答性ポリマーは37℃付近以上で疎水性に、それ以下の温度で親水性となる特性があるため、37℃で培養し、培養後に温度を室温程度(20℃〜25℃)に変えるだけで、細胞外マトリックスを保持したまま有機的に結合した細胞シートを培養皿から回収できる。

 細胞シート作製に必要な培養期間は、細胞の種類などによって異なるが概ね1〜2週間程度で、細胞シートのサイズも自由に設定できる。複数の細胞シートを積層させて、細胞シート同士を接着させることもできる。

 培養した細胞シートを患部に貼る(移植する)だけで、細胞が生着(移植した細胞が患部に定着)し、細胞シートから分泌されたサイトカイン(細胞から放出されて細胞増殖や分化に影響する特定のたんぱく質の総称)が、患部の弱った細胞を活性化させると考えられている。

 また細胞シート再生医療には、患者自身の細胞を用いるため免疫拒絶反応が起こらない、身体のどの部位の細胞からも作製できる、施術としては比較的簡単な治療法である、細胞が生体組織に速やかに生着する、残存機能を損なわずに根治を目指すことも可能である、などのメリットがある。

 細胞シート再生医療は既に、さまざまな組織の再生に関する臨床研究が実施され、ヒト患者治療における基本的な安全性・有効性を示唆する科学的エビデンスが示されている。これまで治療が難しかった病気の症状改善、機能回復、治癒が期待され、新たな再生医療技術として注目されている。

■細胞シート再生医療事業および再生医療支援事業を展開

 事業区分は細胞シート再生医療事業および再生医療支援事業としている。細胞シート再生医療事業は、細胞シート再生医療製品および応用製品の研究開発・製造・販売を通じて細胞シート再生医療の普及を推進する。再生医療支援事業は、細胞シート再生医療の基盤ツールである温度応答性細胞培養器材および応用製品の研究開発・製造・販売を通じて再生医療の研究開発を支援する。

 なお子会社のCellSeed Sweden AB(スウェーデン)は、欧州で細胞シート再生医療製品の研究開発を行っている。

■食道再生上皮シートと軟骨再生シートの承認取得・事業化目指す

 細胞シート再生医療事業では、優先的に自社開発を推進するパイプラインとして、食道再生上皮シートおよび軟骨再生シートを設定し、当社における細胞シート再生医療第1号製品としての早期承認取得・事業化を目指して研究開発を推進している。

 なお事業化・収益化に向けた基本方針は、まず国内での細胞シート再生医療パイプラインの開発を自社主体で推進し、製造販売承認取得を目指すとしている。そして細胞シート再生医療の世界普及を推進するため、製造・販売のサプライチェーン体制を構築して事業化を前進させつつ、海外展開は他社との提携も視野に入れて細胞シート再生医療事業の拡大を目指す方針だ。

■食道再生上皮シートは19年承認取得目指す

 食道再生上皮シートは、食道がん再生治療法(食道創傷治癒・狭窄予防)として、東京女子医科大学先端生命医科学研究所が開発した治療法である。患者の口腔粘膜から採取した細胞を、温度応答性細胞培養皿を用いて細胞シートを作製し、食道がん切除内視鏡手術後の食道潰瘍面に移植する。

 東京女子医科大学と食道再生上皮細胞シート開発基本合意書を締結し、16年8月から国立がん研究センター中央病院、国立がん研究センター東病院、東京女子医科大学病院において治験を開始した。そして17年2月には厚生労働省から再生医療等製品の先駆け審査指定制度の対象品目指定を受けた。

 今後の計画として、日本で17年は治験進行、18年に製造販売承認申請、そして19年に製造販売承認取得および販売開始を目指している。欧州では子会社のCellSeed Sweden AB(スウェーデン)が、16年に欧州医薬品庁(EMA)と事前相談し、治験準備中である。

 なお食道再生上皮シート移植用デバイスも同時開発している。細胞シートと組み合わせて治験を実施し、欧州での治験でも使用できるように医療機器としての承認を取得する方針だ。

■軟骨再生シートは17年第4四半期に治験開始予定

 軟骨再生シートは東海大学と、軟骨欠損および変形性膝関節症を適応症として共同研究を進めている。細胞シートを積層化した3次元複合体の積層化軟骨細胞シートを患部に移植し、軟骨の修復・再生に寄与する。17年2月には東海大学整形学科の佐藤正人教授が、世界初の同種軟骨細胞シートの移植手術(多指症患者軟骨組織を採取し、同種細胞シートとして移植)を実施した。

 そして17年2月東海大学と、軟骨再生シート臨床研究の実用化開発、治験、製造販売承認申請に向けて協力体制を推進することを目的とした基本合意書を締結し、開発を加速している。今後の計画は、17年第4四半期(10月〜12月)頃に治験開始、18年〜19年は治験進行としている。

 なお「NHK World TV」で17年4月に紹介された東海大学「自己および同種細胞シートによる軟骨再生医療」の動画が、東海大学のWEBサイトにアップされている。

 17年6月には、日本医療研究開発機構(AMED)が公募した平成29年度「再生医療の産業化に向けた評価基盤技術開発事業(再生医療等の産業化に向けた評価手法等の開発)」に、当社を代表機関として、東海大学およびDNAチップ研究所<2397>を分担機関とする研究開発項目が採択を受けた。事業課題名は「同種軟骨細胞シートのための有効性品質評価手法の開発」である。

■海外は台湾で事業提携

 海外展開は、17年3月台湾MetaTech社と、細胞シート再生医療事業(食道再生上皮シートおよび軟骨再生シート)の台湾での事業提携契約を締結し、独占的開発・製造・販売権を付与した。開発進捗に応じてマイルストーン収入、開発製造関連データ料、開発サポート料を最大12億5000万円程度受領予定である。また上市(販売)時には売上高に応じたロイヤルティ収入を得る。

■次期品目の開発に着手

 細胞シート製造を安定的かつ迅速に推進することを目的として、16年細胞培養施設(CPC=Cell Processing Center)を設置し、17年3月厚生労働省から特定細胞加工物製造許可を取得した。

 今後の戦略としては、パイプライン充実に向けて、食道再生上皮シートおよび軟骨再生シートに続く次期品目の開発に着手する方針だ。また細胞シート再生医療事業の海外展開につながる事業提携案件にも積極的に取り組む方針だ。

■再生医療支援事業ではテルモに特別仕様製品を供給

 再生医療支援事業は、主要顧客である大学・研究機関向けなどに、細胞シート回収用温度応答性細胞培養器材UpCellを中心とした器材を開発・販売している。

 14年4月大日本印刷<7912>と細胞培養器材製造委託基本契約を締結し、市販製品(研究開発用途に限定)について大日本印刷に製造を委託している。また16年3月にはテルモ<4543>と細胞培養器材に関する取引基本契約を締結した。テルモが再生医療等製品に係る保険適用決定を受けた「ハートシート」に含まれる当社製品(温度応答性細胞培養器材)について、市販製品とは異なる特別仕様製品を供給する。

 今後の戦略としては、研究用器材の新製品開発や臨床応用用途の製品開発など顧客ニーズに対応した製品ラインナップ拡充、新規販売代理店開拓などによる国内外の販売網強化、さらに製造コストの引き下げなどを推進する方針だ。

■20年12月期以降の収益化期待

 中期経営計画による損益目標数値は、17年12月期売上高1億円、純利益12億30百万円の赤字、18年12月期売上高2億50百万円、純利益9億30百万円の赤字、19年12月期売上高3億50百万円、純利益8億80百万円の赤字としている。

 細胞シート再生医療第1号製品となる見込みの食道再生上皮シートは、17年治験進行、18年製造販売承認申請、19年製造販売承認取得を目指しているため、19年12月期までは赤字が継続する見込みだ。なお台湾MetaTech社との台湾事業提携による収入(最大12億50百万円程度)など、事業提携関連の売上は織り込んでいない。食道再生上皮シートの販売が本格化する20年12月期以降の収益化が期待される。

■株価は基調転換して底放れ期待

 なお17年3月発行したEvolution Biotech Fundを割当先とする第16回新株予約権(行使価額修正条項付/コミット・イシュー、当初行使価額510円、総数220万個=220万株)について、6月末時点における未行使個数は100万個(100万株)となっている。

 株価は安値圏500円台でモミ合う形だが、徐々に下値を切り上げて基調転換の動きを強めている。7月24日の終値は546円で、時価総額は約55億円である。

 日足チャートで見ると25日移動平均線が上向きに転じてサポートラインの形となった。また週足チャートで見ると13週移動平均線に続いて26週移動平均線突破の動きを強めている。基調転換して底放れの展開が期待される。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media−IR)
[06月30日更新]

セルシードは食道がん再生治療の細胞シート再生医療製品の19年承認取得目指す

 セルシード<7776>(JQ)は細胞シート再生医療製品の開発、事業化、世界普及を目指すバイオベンチャーである。19年に食道がん再生治療の食道再生上皮シートの製造販売承認取得を目指している。株価は安値圏だが、第16回新株予約権の行使も進展し、基調転換して底放れの展開が期待される。

■細胞シート再生医療製品の事業化、世界普及を目指すバイオベンチャー

 細胞シート工学を基盤技術として、再生医療製品および再生医療支援製品を研究開発し、細胞シート再生医療の世界普及を目指すバイオベンチャーである。01年5月設立で、10年3月JASDAQ NEO(現JASDAQグロース)に新規上場した。

 温度応答性ポリマーを用いた細胞シート工学という日本発の革新的再生医療技術を基盤として、この技術に基づいて作製される細胞シート再生医療製品の開発・事業化を目指している。さらに、これまで治療が難しかった疾患や障害を治癒する治療法として、細胞シート再生医療の世界普及を目指している。

 なお日本では14年11月施行の「医薬品医療機器等法」および「再生医療等の安全性の確保等に関する法律」によって、遺伝子治療を含む再生医療等製品に対する早期承認制度が導入されている。

■細胞シート再生医療とは

 細胞シートは患者自身の組織から採取した細胞をシート状に培養したものである。そして細胞シート工学は、生体組織・臓器の基本単位となる細胞シートを生体外で人工的に作製する再生医療基盤技術で、東京女子医科大学先端生命医科学研究所の岡野光夫氏が世界で初めて創唱した。

 温度応答性ポリマーで表面加工した細胞培養皿を用いて、患者自身の組織から採取した細胞をシート状に培養する。温度応答性ポリマーは37℃付近以上で疎水性に、それ以下の温度で親水性となる特性があるため、37℃で培養し、培養後に温度を室温程度(20℃〜25℃)に変えるだけで、細胞外マトリックスを保持したまま有機的に結合した細胞シートを培養皿から回収できる。

 細胞シート作製に必要な培養期間は、細胞の種類などによって異なるが概ね1〜2週間程度で、細胞シートのサイズも自由に設定できる。複数の細胞シートを積層させて、細胞シート同士を接着させることもできる。

 培養した細胞シートを患部に貼る(移植する)だけで、細胞が生着(移植した細胞が患部に定着)し、細胞シートから分泌されたサイトカイン(細胞から放出されて細胞増殖や分化に影響する特定のたんぱく質の総称)が、患部の弱った細胞を活性化させると考えられている。

 また細胞シート再生医療には、患者自身の細胞を用いるため免疫拒絶反応が起こらない、身体のどの部位の細胞からも作製できる、施術としては比較的簡単な治療法である、細胞が生体組織に速やかに生着する、残存機能を損なわずに根治を目指すことも可能である、などのメリットがある。

 細胞シート再生医療は既に、さまざまな組織の再生に関する臨床研究が実施され、ヒト患者治療における基本的な安全性・有効性を示唆する科学的エビデンスが示されている。これまで治療が難しかった病気の症状改善、機能回復、治癒が期待され、新たな再生医療技術として注目されている。

■細胞シート再生医療事業および再生医療支援事業を展開

 事業区分は細胞シート再生医療事業および再生医療支援事業としている。細胞シート再生医療事業は、細胞シート再生医療製品および応用製品の研究開発・製造・販売を通じて細胞シート再生医療の普及を推進する。再生医療支援事業は、細胞シート再生医療の基盤ツールである温度応答性細胞培養器材および応用製品の研究開発・製造・販売を通じて再生医療の研究開発を支援する。

 なお子会社のCellSeed Sweden AB(スウェーデン)は、欧州で細胞シート再生医療製品の研究開発を行っている。

■食道再生上皮シートと軟骨再生シートの承認取得・事業化目指す

 細胞シート再生医療事業では、優先的に自社開発を推進するパイプラインとして、食道再生上皮シートおよび軟骨再生シートを設定し、当社における細胞シート再生医療第1号製品としての早期承認取得・事業化を目指して研究開発を推進している。

 なお事業化・収益化に向けた基本方針は、まず国内での細胞シート再生医療パイプラインの開発を自社主体で推進し、製造販売承認取得を目指すとしている。そして細胞シート再生医療の世界普及を推進するため、製造・販売のサプライチェーン体制を構築して事業化を前進させつつ、海外展開は他社との提携も視野に入れて細胞シート再生医療事業の拡大を目指す方針だ。

■食道再生上皮シートは19年承認取得目指す

 食道再生上皮シートは、食道がん再生治療法(食道創傷治癒・狭窄予防)として、東京女子医科大学先端生命医科学研究所が開発した治療法である。患者の口腔粘膜から採取した細胞を、温度応答性細胞培養皿を用いて細胞シートを作製し、食道がん切除内視鏡手術後の食道潰瘍面に移植する。

 東京女子医科大学と食道再生上皮細胞シート開発基本合意書を締結し、16年8月から国立がん研究センター中央病院、国立がん研究センター東病院、東京女子医科大学病院において治験を開始した。そして17年2月には厚生労働省から再生医療等製品の先駆け審査指定制度の対象品目指定を受けた。

 今後の計画として、日本で17年は治験進行、18年に製造販売承認申請、そして19年に製造販売承認取得および販売開始を目指している。欧州では子会社のCellSeed Sweden AB(スウェーデン)が、16年に欧州医薬品庁(EMA)と事前相談し、治験準備中である。

 なお食道再生上皮シート移植用デバイスも同時開発している。細胞シートと組み合わせて治験を実施し、欧州での治験でも使用できるように医療機器としての承認を取得する方針だ。

■軟骨再生シートは17年第4四半期に治験開始予定

 軟骨再生シートは東海大学と、軟骨欠損および変形性膝関節症を適応症として共同研究を進めている。細胞シートを積層化した3次元複合体の積層化軟骨細胞シートを患部に移植し、軟骨の修復・再生に寄与する。17年2月には東海大学整形学科の佐藤正人教授が、世界初の同種軟骨細胞シートの移植手術(多指症患者軟骨組織を採取し、同種細胞シートとして移植)を実施した。

 そして17年2月東海大学と、軟骨再生シート臨床研究の実用化開発、治験、製造販売承認申請に向けて協力体制を推進することを目的とした基本合意書を締結し、開発を加速している。今後の計画は、17年第4四半期(10月〜12月)頃に治験開始、18年〜19年は治験進行としている。

 なお6月19日には、日本医療研究開発機構(AMED)が公募した平成29年度「再生医療の産業化に向けた評価基盤技術開発事業(再生医療等の産業化に向けた評価手法等の開発)」に、当社を代表機関として、東海大学およびDNAチップ研究所<2397>を分担機関とする研究開発項目が採択を受けたと発表している。事業課題名は「同種軟骨細胞シートのための有効性品質評価手法の開発」である。

■海外は台湾で事業提携

 海外展開は、17年3月台湾MetaTech社と、細胞シート再生医療事業(食道再生上皮シートおよび軟骨再生シート)の台湾での事業提携契約を締結し、独占的開発・製造・販売権を付与した。開発進捗に応じてマイルストーン収入、開発製造関連データ料、開発サポート料を最大12億5000万円程度受領予定である。また上市(販売)時には売上高に応じたロイヤルティ収入を得る。

■次期品目の開発に着手

 細胞シート製造を安定的かつ迅速に推進することを目的として、16年細胞培養施設(CPC=Cell Processing Center)を設置し、17年3月厚生労働省から特定細胞加工物製造許可を取得した。

 今後の戦略としては、パイプライン充実に向けて、食道再生上皮シートおよび軟骨再生シートに続く次期品目の開発に着手する方針だ。また細胞シート再生医療事業の海外展開につながる事業提携案件にも積極的に取り組む方針だ。

■再生医療支援事業ではテルモに特別仕様製品を供給

 再生医療支援事業は、主要顧客である大学・研究機関向けなどに、細胞シート回収用温度応答性細胞培養器材UpCellを中心とした器材を開発・販売している。

 14年4月大日本印刷<7912>と細胞培養器材製造委託基本契約を締結し、市販製品(研究開発用途に限定)について大日本印刷に製造を委託している。また16年3月にはテルモ<4543>と細胞培養器材に関する取引基本契約を締結した。テルモが再生医療等製品に係る保険適用決定を受けた「ハートシート」に含まれる当社製品(温度応答性細胞培養器材)について、市販製品とは異なる特別仕様製品を供給する。

 今後の戦略としては、研究用器材の新製品開発や臨床応用用途の製品開発など顧客ニーズに対応した製品ラインナップ拡充、新規販売代理店開拓などによる国内外の販売網強化、さらに製造コストの引き下げなどを推進する方針だ。

■20年12月期以降の収益化期待

 中期経営計画による損益目標数値は、17年12月期売上高1億円、純利益12億30百万円の赤字、18年12月期売上高2億50百万円、純利益9億30百万円の赤字、19年12月期売上高3億50百万円、純利益8億80百万円の赤字としている。

 細胞シート再生医療第1号製品となる見込みの食道再生上皮シートは、17年治験進行、18年製造販売承認申請、19年製造販売承認取得を目指しているため、19年12月期までは赤字が継続する見込みだ。なお台湾MetaTech社との台湾事業提携による収入(最大12億50百万円程度)など、事業提携関連の売上は織り込んでいない。食道再生上皮シートの販売が本格化する20年12月期以降の収益化が期待される。

■株価は基調転換して底放れ期待

 なお17年3月発行したEvolution Biotech Fundを割当先とする第16回新株予約権(行使価額修正条項付/コミット・イシュー、当初行使価額510円、総数220万個=220万株)について、6月21日付リリース「大量行使に関するお知らせ」によると、6月21日時点における未行使個数は110万個(110万株)となった。

 株価の動きを見ると、安値圏520円〜530円近辺でモミ合う形だが、6月20日には動意づいて606円まで急伸する場面があった。そして底放れの動きを強めている。6月29日の終値は537円で、時価総額は約53億円である。

 日足チャートで見ると25日移動平均線、週足チャートで見ると13週移動平均線を突破した。第16回新株予約権の行使も進展し、基調転換して底放れの展開が期待される。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media−IR)

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