[8154]加賀電子
[03月26日更新]

加賀電子は上値試す、25年3月期は成長軌道回帰

   加賀電子<8154>(東証プライム)は独立系の大手エレクトロニクス総合商社である。半導体・電子部品等の商社ビジネス、電装基板製造受託のEMSビジネスを展開し、成長に向けて収益力強化、経営基盤強化、新規事業創出、SDGs経営を推進している。24年3月期は減収減益予想としているが、第3四半期累計の進捗率が順調であることなどを勘案すれば通期会社予想に上振れの可能性がありそうだ。さらに25年3月期は成長軌道に回帰する見込みとしている。積極的な事業展開で収益拡大基調だろう。株価は1月の高値圏から反落したが、調整一巡して切り返しの動きを強めている。指標面の割安感も評価材料であり、利益確定売りをこなしながら上値を試す展開を期待したい。
 
■独立系の大手エレクトロニクス総合商社
 
 独立系の大手エレクトロニクス総合商社である。半導体・電子部品等の商社ビジネス、および電装基板製造受託サービスのEMSビジネスを展開している。
 
 19年1月に富士通エレクトロニクスを子会社化(20年12月に社名を加賀FEIに変更、22年1月に完全子会社化)し、その後19年10月にパイオニアの製造子会社である十和田パイオニアを子会社化して商号を加賀EMS十和田に変更、20年4月にエレクトロニクス商社のエクセルを子会社化、20年11月に旭東電気から新設分割された新:旭東電気を子会社化、21年10月に加賀EFIが太陽誘電<6976>よりBluetoothおよびWireless LANモジュールに関わる商圏、開発・製造技術ならびに知的財産権を承継して22年1月から小型無線モジュール事業に本格参入、23年5月に加賀EFIがセルシスよりUI/UX事業を譲受(オーストリアのカンデラの100%株式、および日本における商権・知的財産権等を取得)した。
 
 23年3月期のセグメント別売上高構成比は電子部品事業(半導体、電子部品、EMS)が89%、情報機器事業(パソコン・周辺機器、各種家電、写真・映像関連商品)が7%、ソフトウェア事業(CGアニメ映像制作、アミューズメント関連商品)が0%、その他事業(エレクトロニクス機器修理、アミューズメント機器製造販売、スポーツ用品販売など)が4%、営業利益構成比は電子部品事業が88%、情報機器事業が8%、ソフトウェア事業が1%、その他事業が3%、調整額が0%だった。
 
 中期経営計画に沿ったセグメント区分は電子部品事業、EMS事業、CSI事業(情報機器事業)、その他事業(ソフトウェア事業、その他)としている。23年3月期の売上構成比は電子部品事業が66%、EMS事業が25%、CSI事業が7%、その他事業が3%、営業利益構成比は電子部品事業が60%、EMS事業が30%、CSI事業が8%、その他事業が2%、調整額が0%だった。
 
■収益力強化や新規事業創出を推進
 
 中期経営計画2024では基本方針に、更なる収益力の強化、経営基盤の強化、新規事業の創出、SDGs経営の推進を掲げている。経営目標値(23年5月11日付で営業利益とROEを上方修正)については、25年3月期の売上高が7500億円(電子部品事業3800億円、EMS事業1500億円、CSI事業540億円、その他事業160億円、新規M&A等1500億円)、営業利益が300億円以上(前回予想は200億円)、ROEが安定的に10%以上(同、安定的に8.5%以上)としている。株主還元については連結配当性向の目安を25〜35%に置き、安定的かつ継続的に充実化する。
 
 重点アクションとして、さらなる収益力の強化では成長分野(モビリティ、通信、環境、産業機器、医療・ヘルスケア)への選択と集中、EMSビジネスおよび海外ビジネスの強化・拡大、経営基盤の強化ではコーポレートガバナンスの強化、効率的なグループ運営、人的資本への投資、新規事業の創出では新規分野への取り組み、ベンチャー投資によるオープンイノベーションの推進、非連続な成長を狙うM&Aへの挑戦を掲げている。
 
 23年8月にはメキシコにおけるEMS生産体制強化・拡充を発表した。米国市場向け四輪自動車用照明ユニット組立を中心とした生産活動を行っており、これら既存顧客からの受注増に加えて、米国市場向け空調機器用電装基盤組立の新規顧客獲得が見込まれるとしている。新工場は24年4月操業開始予定である。24年3月には子会社の加賀エアロシステムが米国RMCI社と同社製HUMSに関わる総販売代理店契約を締結した。
 
 SDGs経営については、サステナビリティ中長期経営計画(21年11月公表)に基づいて、持続可能な社会の実現と持続的なグループの成長の両立を目指すとしている。23年10月には、くすりの窓口およびツルハとの3社共同で国内初となる企業向け処方薬デリバリーサービスを開発し、第1号案件として本社ビル内に処方箋受付機と受取ロッカーを設置・運用開始した。成長分野の一つに掲げているヘルスケア分野において受取ロッカーの拡販を企図するとともに、従業員・取引先・近隣オフィスで働いている方などの健康を後押しすることにより地域・社会の発展にも貢献する。また23年10月には、生物多様性の保全活動に向けた取り組みとして、同社本社ビル屋上に「ビオトープ」を設置した。ビオトープとは「地域の野生生物が暮らす、あるまとまった空間」のことである。24年3月には、経済産業省と日本健康会議が進める健康経営優良法人認定制度において健康経営優良法人2024(大規模法人部門)の認定を受けた。23年に続き2年連続となる・
 
 24年1月には、資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応方針を決議・公表した。ROEについては、直近の実績が22年3月期15.7%、23年3月期19.6%となり、凡そ7〜8%と認識している株主資本コスト(22年3月期7.5%、23年3月期8.1%)を優に超える水準で推移している。今後も資本コストを上回る収益性でROEを持続的に向上させ、事業や成長性に対して株式市場から正当な評価を受けることでPBRを改善し続けるために、中期経営計画2024で定めた諸施策の着実な実行による事業成長と収益性の維持・向上、配当による株主還元や機動的・戦略的な自己株式取得などによる株主満足度の向上、サステナビリティ経営の推進、積極的なIR活動の維持・強化に取り組む方針としている。
 
■24年3月期減益予想だが上振れの可能性、25年3月期は成長軌道回帰
 
 24年3月期の連結業績予想は、売上高が23年3月期比9.5%減の5500億円、営業利益が22.5%減の250億円、経常利益が23.6%減の250億円、そして親会社株主帰属当期純利益が22.0%減の180億円としている。配当予想は23年3月期と同額の220円(第2四半期末110円、期末110円)としている。23年3月期には特別配当70円および創立55周年記念配当10円が含まれているため、普通配当ベースでは80円増配の形となる。予想配当性向は32.1%となる。
 
 3四半期累計は売上高が前年同期比10.1%減の4064億58百万円、営業利益が21.2%減の204億91百万円、経常利益が23.7%減の203億11百万円、親会社株主帰属四半期純利益が16.1%減の159億92百万円だった。
 
 電子部品事業における前期のスポット需要の反動、グループ会社での大口顧客との取引縮小、顧客の在庫調整などの影響で減収減益だった。ただし社内計画に対して売上高は約60億円、営業利益は約20億円、それぞれ上回る水準で着地した。なお営業外では持分法投資損益が悪化(前期は投資利益58百万円、当期は投資損失33百万円)、為替差損益が悪化(前期は為替差益3億75百万円、当期は為替差損6億86百万円)した。特別利益で投資有価証券売却益が7億29百万円増加、負ののれん発生益4億81百万円を計上、関係会社清算益4億80百万円を計上した。
 
 営業利益の前年比▲56億円の要因別分析は、販売数量・販売ミックスで▲36億円、スポット販売の反動で▲43億円、販管費で+21億円、為替影響(ネット)で+2億円だった。また営業利益の社内計画(185億円)比+19億円上振れの要因別分析は、販売数量・販売ミックスで+7億円、スポット販売の反動で+0百万円、販管費で+10億円、為替影響(ネット)で+2億円だった。
 
 電子部品事業は売上高が11.8%減の3577億94百万円で、セグメント利益(全社費用等調整前営業利益)が26.5%減の171億48百万円だった。減収減益だった。部品販売ビジネスでは前期のスポット需要の反動、グループ会社(エクセル)での大口顧客との取引縮小、顧客の在庫調整などが影響した。EMSビジネスでは車載向けが伸長したが、医療機器・産業機器関連の主要顧客における在庫調整が影響した。
 
 情報機器事業は売上高が3.9%増の302億66百万円、利益が28.1%増の19億21百万円だった。量販店向けパソコン販売が低調だったが、教育機関向けパソコン販売が好調に推移し、LED設置ビジネスの大口案件も寄与した。
 
 ソフトウェア事業は売上高が12.5%減の18億16百万円で利益が94.1%増の2億62百万円、その他事業(エレクトロニクス機器修理・サポート、アミューズメント機器製造・販売、スポーツ用品販売など)は売上高が7.7%増の165億81百万円で利益が9.0%増の10億59百万円だった。
 
 なお会社別の営業利益(連結調整前)は加賀電子が10.9%減の156億58百万円、加賀EFIが51.0%減の34億32百万円、エクセルが4.2%減の13億20百万円、中計セグメント別の営業利益(連結調整前)は電子部品が26.1%減の117億56百万円、EMSが25.0%減の59億41百万円、CSI(コンシューマー&システムインテグレーター)が28.1%増の19億21百万円、その他が24.4%増の7億72百万円だった。
 
 全社ベースの業績を四半期別に見ると、第1四半期は売上高が1376億94百万円で営業利益が69億94百万円、第2四半期は売上高が1373億50百万円で営業利益が68億82百万円、第3四半期は売上高が1314億14百万円で営業利益が66億15百万円だった。四半期ベースで特に大幅な変動は見られない。
 
 通期の連結業績予想は据え置いている。一時的な需要減退により減収減益予想としている。営業利益▲72億49百万円の要因別分析は、販売数量・販売ミックスで▲52億05百万円、スポット販売の反動で▲43億09百万円、販管費減少で+22億65百万円、為替影響で±0百万円の見込みとしている。
 
 セグメント別の計画は、電子部品事業の売上高が12.6%減の4715億円で利益(全社費用等調整前営業利益)が26.9%減の207億円、情報機器事業の売上高が3.0%増の450億円で利益が2.1%増の25億円、ソフトウェア事業の売上高が50.1%増の45億円で利益が4.6%増の3億円、その他事業の売上高が31.6%増の290億円で利益が36.1%増の15億円としている。
 
 ただし第3四半期累計の進捗率は売上高が74%、営業利益が82%、経常利益が81%、親会社株主帰属当期純利益が89%と順調だった。不透明感を考慮して通期予想を据え置いているが、第3四半期累計の進捗率が順調であることなどを勘案すれば、通期会社予想に上振れの可能性がありそうだ。また中期経営計画最終年度25年3月期の営業利益目標を、従来の「200億円」から「300億円以上」に大幅に引き上げている。24年3月期は一時的な需要減退の影響を受けるが、25年3月期は成長軌道に回帰するシナリオだ。積極的な事業展開で収益拡大基調だろう。
 
■株価は上値試す
 
 なお23年8月には、JPX総研および日本経済新聞社が共同で算出する「JPX日経インデックス400」の構成銘柄として新規選定された。
 
 株価は1月の高値圏から反落したが、調整一巡して切り返しの動きを強めている。指標面の割安感も評価材料であり、利益確定売りをこなしながら上値を試す展開を期待したい。3月25日の終値は6480円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS685円42銭で算出)は約9倍、今期予想配当利回り(会社予想の220円で算出)は約3.4%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS4935円36銭で算出)は約1.3倍、そして時価総額は約1860億円である。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media−IR
 
[03月04日更新]

加賀電子は上値試す、24年3月期は上振れの可能性、25年3月期は成長軌道回帰

 加賀電子<8154>(東証プライム)は独立系の大手エレクトロニクス総合商社である。半導体・電子部品等の商社ビジネス、電装基板製造受託のEMSビジネスを展開し、成長に向けて収益力強化、経営基盤強化、新規事業創出、SDGs経営を推進している。24年3月期は一時的な需要減退により減収減益予想としているが、第3四半期累計の進捗率が順調であることなどを勘案すれば通期会社予想に上振れの可能性がありそうだ。さらに25年3月期は成長軌道に回帰する見込みとしている。積極的な事業展開で収益拡大基調だろう。株価は1月の高値圏から反落したが切り返しの動きを強めている。利益確定売りをこなしながら上値を試す展開を期待したい。
 
■独立系の大手エレクトロニクス総合商社
 
 独立系の大手エレクトロニクス総合商社である。半導体・電子部品等の商社ビジネス、および電装基板製造受託サービスのEMSビジネスを展開している。
 
 19年1月に富士通エレクトロニクスを子会社化(20年12月に社名を加賀FEIに変更、22年1月に完全子会社化)し、その後19年10月にパイオニアの製造子会社である十和田パイオニアを子会社化して商号を加賀EMS十和田に変更、20年4月にエレクトロニクス商社のエクセルを子会社化、20年11月に旭東電気から新設分割された新:旭東電気を子会社化、21年10月に加賀EFIが太陽誘電<6976>よりBluetoothおよびWireless LANモジュールに関わる商圏、開発・製造技術ならびに知的財産権を承継して22年1月から小型無線モジュール事業に本格参入、23年5月に加賀EFIがセルシスよりUI/UX事業を譲受(オーストリアのカンデラの100%株式、および日本における商権・知的財産権等を取得)した。
 
 23年3月期のセグメント別売上高構成比は電子部品事業(半導体、電子部品、EMS)が89%、情報機器事業(パソコン・周辺機器、各種家電、写真・映像関連商品)が7%、ソフトウェア事業(CGアニメ映像制作、アミューズメント関連商品)が0%、その他事業(エレクトロニクス機器修理、アミューズメント機器製造販売、スポーツ用品販売など)が4%、営業利益構成比は電子部品事業が88%、情報機器事業が8%、ソフトウェア事業が1%、その他事業が3%、調整額が0%だった。
 
 中期経営計画に沿ったセグメント区分は電子部品事業、EMS事業、CSI事業(情報機器事業)、その他事業(ソフトウェア事業、その他)としている。23年3月期の売上構成比は電子部品事業が66%、EMS事業が25%、CSI事業が7%、その他事業が3%、営業利益構成比は電子部品事業が60%、EMS事業が30%、CSI事業が8%、その他事業が2%、調整額が0%だった。
 
■収益力強化や新規事業創出を推進
 
 中期経営計画2024では基本方針に、更なる収益力の強化、経営基盤の強化、新規事業の創出、SDGs経営の推進を掲げている。経営目標値(23年5月11日付で営業利益とROEを上方修正)については、25年3月期の売上高が7500億円(電子部品事業3800億円、EMS事業1500億円、CSI事業540億円、その他事業160億円、新規M&A等1500億円)、営業利益が300億円以上(前回予想は200億円)、ROEが安定的に10%以上(同、安定的に8.5%以上)としている。株主還元については連結配当性向の目安を25〜35%に置き、安定的かつ継続的に充実化する。
 
 重点アクションとして、さらなる収益力の強化では成長分野(モビリティ、通信、環境、産業機器、医療・ヘルスケア)への選択と集中、EMSビジネスおよび海外ビジネスの強化・拡大、経営基盤の強化ではコーポレートガバナンスの強化、効率的なグループ運営、人的資本への投資、新規事業の創出では新規分野への取り組み、ベンチャー投資によるオープンイノベーションの推進、非連続な成長を狙うM&Aへの挑戦を掲げている。23年8月にはメキシコにおけるEMS生産体制強化・拡充を発表した。米国市場向け四輪自動車用照明ユニット組立を中心とした生産活動を行っており、これら既存顧客からの受注増に加えて、米国市場向け空調機器用電装基盤組立の新規顧客獲得が見込まれるとしている。新工場は24年4月操業開始予定である。
 
 SDGs経営については、サステナビリティ中長期経営計画(21年11月公表)に基づいて、持続可能な社会の実現と持続的なグループの成長の両立を目指すとしている。
 
 23年3月には、経済産業省と日本健康会議が進める健康経営優良法人認定制度において「健康経営優良法人2023」の認定を受けた。23年10月には、くすりの窓口およびツルハとの3社共同で国内初となる企業向け処方薬デリバリーサービスを開発し、第1号案件として本社ビル内に処方箋受付機と受取ロッカーを設置・運用開始した。成長分野の一つに掲げているヘルスケア分野において受取ロッカーの拡販を企図するとともに、従業員・取引先・近隣オフィスで働いている方などの健康を後押しすることにより地域・社会の発展にも貢献する。また23年10月には、生物多様性の保全活動に向けた取り組みとして、同社本社ビル屋上に「ビオトープ」を設置した。ビオトープとは「地域の野生生物が暮らす、あるまとまった空間」のことである。
 
 24年1月には、資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応方針を決議・公表した。ROEについては、直近の実績が22年3月期15.7%、23年3月期19.6%となり、凡そ7〜8%と認識している株主資本コスト(22年3月期7.5%、23年3月期8.1%)を優に超える水準で推移している。今後も資本コストを上回る収益性でROEを持続的に向上させ、事業や成長性に対して株式市場から正当な評価を受けることでPBRを改善し続けるために、中期経営計画2024で定めた諸施策の着実な実行による事業成長と収益性の維持・向上、配当による株主還元や機動的・戦略的な自己株式取得などによる株主満足度の向上、サステナビリティ経営の推進、積極的なIR活動の維持・強化に取り組む方針としている。
 
■24年3月期減益予想だが上振れの可能性、25年3月期は成長軌道回帰
 
 24年3月期の連結業績予想は、売上高が23年3月期比9.5%減の5500億円、営業利益が22.5%減の250億円、経常利益が23.6%減の250億円、そして親会社株主帰属当期純利益が22.0%減の180億円としている。配当予想は23年3月期と同額の220円(第2四半期末110円、期末110円)としている。23年3月期には特別配当70円および創立55周年記念配当10円が含まれているため、普通配当ベースでは80円増配の形となる。予想配当性向は32.1%となる。
 
 3四半期累計は売上高が前年同期比10.1%減の4064億58百万円、営業利益が21.2%減の204億91百万円、経常利益が23.7%減の203億11百万円、親会社株主帰属四半期純利益が16.1%減の159億92百万円だった。
 
 電子部品事業における前期のスポット需要の反動、グループ会社での大口顧客との取引縮小、顧客の在庫調整などの影響で減収減益だった。ただし社内計画に対して売上高は約60億円、営業利益は約20億円、それぞれ上回る水準で着地した。なお営業外では持分法投資損益が悪化(前期は投資利益58百万円、当期は投資損失33百万円)、為替差損益が悪化(前期は為替差益3億75百万円、当期は為替差損6億86百万円)した。特別利益で投資有価証券売却益が7億29百万円増加、負ののれん発生益4億81百万円を計上、関係会社清算益4億80百万円を計上した。
 
 営業利益の前年比▲56億円の要因別分析は、販売数量・販売ミックスで▲36億円、スポット販売の反動で▲43億円、販管費で+21億円、為替影響(ネット)で+2億円だった。また営業利益の社内計画(185億円)比+19億円上振れの要因別分析は、販売数量・販売ミックスで+7億円、スポット販売の反動で+0百万円、販管費で+10億円、為替影響(ネット)で+2億円だった。
 
 電子部品事業は売上高が11.8%減の3577億94百万円で、セグメント利益(全社費用等調整前営業利益)が26.5%減の171億48百万円だった。減収減益だった。部品販売ビジネスでは前期のスポット需要の反動、グループ会社(エクセル)での大口顧客との取引縮小、顧客の在庫調整などが影響した。EMSビジネスでは車載向けが伸長したが、医療機器・産業機器関連の主要顧客における在庫調整が影響した。
 
 情報機器事業は売上高が3.9%増の302億66百万円、利益が28.1%増の19億21百万円だった。量販店向けパソコン販売が低調だったが、教育機関向けパソコン販売が好調に推移し、LED設置ビジネスの大口案件も寄与した。
 
 ソフトウェア事業は売上高が12.5%減の18億16百万円で利益が94.1%増の2億62百万円、その他事業(エレクトロニクス機器修理・サポート、アミューズメント機器製造・販売、スポーツ用品販売など)は売上高が7.7%増の165億81百万円で利益が9.0%増の10億59百万円だった。
 
 なお会社別の営業利益(連結調整前)は加賀電子が10.9%減の156億58百万円、加賀EFIが51.0%減の34億32百万円、エクセルが4.2%減の13億20百万円、中計セグメント別の営業利益(連結調整前)は電子部品が26.1%減の117億56百万円、EMSが25.0%減の59億41百万円、CSI(コンシューマー&システムインテグレーター)が28.1%増の19億21百万円、その他が24.4%増の7億72百万円だった。
 
 全社ベースの業績を四半期別に見ると、第1四半期は売上高が1376億94百万円で営業利益が69億94百万円、第2四半期は売上高が1373億50百万円で営業利益が68億82百万円、第3四半期は売上高が1314億14百万円で営業利益が66億15百万円だった。四半期ベースで特に大幅な変動は見られない。
 
 通期の連結業績予想は据え置いている。一時的な需要減退により減収減益予想としている。営業利益▲72億49百万円の要因別分析は、販売数量・販売ミックスで▲52億05百万円、スポット販売の反動で▲43億09百万円、販管費減少で+22億65百万円、為替影響で±0百万円の見込みとしている。
 
 セグメント別の計画は、電子部品事業の売上高が12.6%減の4715億円で利益(全社費用等調整前営業利益)が26.9%減の207億円、情報機器事業の売上高が3.0%増の450億円で利益が2.1%増の25億円、ソフトウェア事業の売上高が50.1%増の45億円で利益が4.6%増の3億円、その他事業の売上高が31.6%増の290億円で利益が36.1%増の15億円としている。
 
 ただし第3四半期累計の進捗率は売上高が74%、営業利益が82%、経常利益が81%、親会社株主帰属当期純利益が89%と順調だった。不透明感を考慮して通期予想を据え置いているが、第3四半期累計の進捗率が順調であることなどを勘案すれば、通期会社予想に上振れの可能性がありそうだ。また中期経営計画最終年度25年3月期の営業利益目標を、従来の「200億円」から「300億円以上」に大幅に引き上げている。24年3月期は一時的な需要減退の影響を受けるが、25年3月期は成長軌道に回帰するシナリオだ。積極的な事業展開で収益拡大基調だろう。
 
■株価は上値試す
 
 なお23年8月には、JPX総研および日本経済新聞社が共同で算出する「JPX日経インデックス400」の構成銘柄として新規選定された。
 
 株価は1月の高値圏から反落したが切り返しの動きを強めている。利益確定売りをこなしながら上値を試す展開を期待したい。3月1日の終値は6700円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS685円42銭で算出)は約10倍、今期予想配当利回り(会社予想の220円で算出)は約3.3%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS4935円36銭で算出)は約1.4倍、時価総額は約1923億円である。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media−IR
 
[02月06日更新]

加賀電子は上値試す、25年3月期は成長軌道回帰シナリオ

 加賀電子<8154>(東証プライム)は独立系の大手エレクトロニクス総合商社である。半導体・電子部品等の商社ビジネス、電装基板製造受託のEMSビジネスを展開し、成長に向けて収益力強化、経営基盤強化、新規事業創出、SDGs経営を推進している。24年1月には資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応方針を決議・公表した。24年3月期は一時的な需要減退により減収減益予想としているが上振れの可能性が高いだろう。さらに25年3月期は成長軌道に回帰するシナリオとしている。積極的な事業展開で収益拡大基調だろう。株価は水準を切り上げて最高値を更新する場面があった。利益確定売りをこなしながら上値を試す展開を期待したい。なお2月7日に24年3月期第3四半期決算発表を予定している。

■独立系の大手エレクトロニクス総合商社

 独立系の大手エレクトロニクス総合商社である。半導体・電子部品等の商社ビジネス、および電装基板製造受託サービスのEMSビジネスを展開している。

 19年1月に富士通エレクトロニクスを子会社化(20年12月に社名を加賀FEIに変更、22年1月に完全子会社化)し、その後19年10月にパイオニアの製造子会社である十和田パイオニアを子会社化して商号を加賀EMS十和田に変更、20年4月にエレクトロニクス商社のエクセルを子会社化、20年11月に旭東電気から新設分割された新:旭東電気を子会社化、21年10月に加賀EFIが太陽誘電<6976>よりBluetoothおよびWireless LANモジュールに関わる商圏、開発・製造技術ならびに知的財産権を承継して22年1月から小型無線モジュール事業に本格参入、23年5月に加賀EFIがセルシスよりUI/UX事業を譲受(オーストリアのカンデラの100%株式、および日本における商権・知的財産権等を取得)した。

 23年3月期のセグメント別売上高構成比は電子部品事業(半導体、電子部品、EMS)が89%、情報機器事業(パソコン・周辺機器、各種家電、写真・映像関連商品)が7%、ソフトウェア事業(CGアニメ映像制作、アミューズメント関連商品)が0%、その他事業(エレクトロニクス機器修理、アミューズメント機器製造販売、スポーツ用品販売など)が4%、営業利益構成比は電子部品事業が88%、情報機器事業が8%、ソフトウェア事業が1%、その他事業が3%、調整額が0%だった。

 中期経営計画に沿ったセグメント区分は電子部品事業、EMS事業、CSI事業(情報機器事業)、その他事業(ソフトウェア事業、その他)としている。23年3月期の売上構成比は電子部品事業が66%、EMS事業が25%、CSI事業が7%、その他事業が3%、営業利益構成比は電子部品事業が60%、EMS事業が30%、CSI事業が8%、その他事業が2%、調整額が0%だった。

■収益力強化や新規事業創出を推進

 中期経営計画2024では基本方針に、更なる収益力の強化、経営基盤の強化、新規事業の創出、SDGs経営の推進を掲げている。経営目標値(23年5月11日付で営業利益とROEを上方修正)については、25年3月期の売上高が7500億円(電子部品事業3800億円、EMS事業1500億円、CSI事業540億円、その他事業160億円、新規M&A等1500億円)、営業利益が300億円以上(前回予想は200億円)、ROEが安定的に10%以上(同、安定的に8.5%以上)としている。株主還元については連結配当性向の目安を25〜35%に置き、安定的かつ継続的に充実化する。

 重点アクションとして、さらなる収益力の強化では成長分野(モビリティ、通信、環境、産業機器、医療・ヘルスケア)への選択と集中、EMSビジネスおよび海外ビジネスの強化・拡大、経営基盤の強化ではコーポレートガバナンスの強化、効率的なグループ運営、人的資本への投資、新規事業の創出では新規分野への取り組み、ベンチャー投資によるオープンイノベーションの推進、非連続な成長を狙うM&Aへの挑戦を掲げている。23年8月にはメキシコにおけるEMS生産体制強化・拡充を発表した。米国市場向け四輪自動車用照明ユニット組立を中心とした生産活動を行っており、これら既存顧客からの受注増に加えて、米国市場向け空調機器用電装基盤組立の新規顧客獲得が見込まれるとしている。新工場は24年4月操業開始予定である。

 SDGs経営については、サステナビリティ中長期経営計画(21年11月公表)に基づいて、持続可能な社会の実現と持続的なグループの成長の両立を目指すとしている。

 23年3月には、経済産業省と日本健康会議が進める健康経営優良法人認定制度において「健康経営優良法人2023」の認定を受けた。23年9月には社員の福利厚生および健康増進を目的に、日本初導入の最新AIフィットネスマシン(ドイツのフィットネス機器メーカーEGYM製)を設置した従業員向けトレーニングルームを本社ビル内に開設した。

 23年10月には、くすりの窓口およびツルハとの3社共同で国内初となる企業向け処方薬デリバリーサービスを開発し、第1号案件として本社ビル内に処方箋受付機と受取ロッカーを設置・運用開始した。成長分野の一つに掲げているヘルスケア分野において受取ロッカーの拡販を企図するとともに、従業員・取引先・近隣オフィスで働いている方などの健康を後押しすることにより地域・社会の発展にも貢献する。また23年10月には、生物多様性の保全活動に向けた取り組みとして、同社本社ビル屋上に「ビオトープ」を設置した。ビオトープとは「地域の野生生物が暮らす、あるまとまった空間」のことである。

 なお、上場企業を対象とした主要なIRサイト評価機関(大和インベスター・リレーションズ、日興アイ・アール、ブロードバンドセキュリティ)において、23年度も各種の表彰を受けている。

 24年1月には、資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応方針を決議・公表した。ROEについては、直近の実績が22年3月期15.7%、23年3月期19.6%となり、凡そ7〜8%と認識している株主資本コスト(22年3月期7.5%、23年3月期8.1%)を優に超える水準で推移している。今後も資本コストを上回る収益性でROEを持続的に向上させ、事業や成長性に対して株式市場から正当な評価を受けることでPBRを改善し続けるために、中期経営計画2024で定めた諸施策の着実な実行による事業成長と収益性の維持・向上、配当による株主還元や機動的・戦略的な自己株式取得などによる株主満足度の向上、サステナビリティ経営の推進、積極的なIR活動の維持・強化に取り組む方針としている。

■24年3月期減益予想だが上振れの可能性、25年3月期は成長軌道回帰

 24年3月期の連結業績予想は、売上高が23年3月期比9.5%減の5500億円、営業利益が22.5%減の250億円、経常利益が23.6%減の250億円、そして親会社株主帰属当期純利益が22.0%減の180億円としている。配当予想は23年3月期と同額の220円(第2四半期末110円、期末110円)としている。23年3月期には特別配当70円および創立55周年記念配当10円が含まれているため、普通配当ベースでは80円増配の形となる。予想配当性向は32.1%となる。

 第2四半期累計は売上高が前年同期比7.9%減の2750億44百万円、営業利益が24.4%減の138億76百万円、経常利益が26.3%減の139億45百万円、親会社株主帰属四半期純利益が15.0%減の114億04百万円だった。

 電子部品事業における前期のスポット需要の反動、顧客の在庫調整、第1四半期に計上した特定取引先の民事再生申請に伴う貸倒引当などの影響で減収減益だった。ただし社内計画を大幅に上回る水準(売上高は約150億円、営業利益は約38億円、それぞれ上振れ)で着地した。営業外では為替差損益が悪化(前年同期は為替差益3億59百万円、当期は為替差損2億91百万円)した。特別利益には投資有価証券売却益10億74百万円、負ののれん発生益4億81百万円、関係会社清算益4億80百万円を計上した。

 営業利益の前年比44億85百万円減益の要因分析は、販売数量・販売ミックスで▲12億47百万円、スポット販売解消で▲35億92百万円、販管費で+3億54百万円、為替影響(ネット)で+1億94百万円だった。また、営業利益の社内計画(100億円)比38億76百万円上振れの要因分析は、販売数量・販売ミックスで+31億61百万円、スポット販売解消で+0百万円、販管費で+7億15百万円、為替影響(ネット)で72百万円だった。

 電子部品事業は売上高が9.6%減の2425億64百万円、セグメント利益(全社費用等調整前営業利益)が29.1%減の117億85百万円だった。減収減益だった。部品販売ビジネスでは前期のスポット需要解消、顧客全般における在庫調整顕在化、貸倒引当、EMSビジネスでは医療機器・産業機器関連の顧客における在庫調整顕在化などが影響した。

 情報機器事業は売上高が5.7%増の207億15百万円、利益が32.7%増の12億80百万円だった。教育機関向けパソコン販売が好調に推移し、LED設置ビジネスの大口案件も寄与した。

 ソフトウェア事業は売上高が6.3%減の12億25百万円で利益が18.2%増の1億12百万円、その他事業(エレクトロニクス機器修理・サポート、アミューズメント機器製造・販売、スポーツ用品販売など)は売上高が12.2%増の105億39百万円で利益が5.3%減の6億23百万円だった。

 なお会社別の営業利益(連結調整前)は加賀電子が13.6%減の105億68百万円、加賀EFIが53.5%減の24億22百万円、エクセルが0.1%減の8億65百万円で、中計セグメント別の営業利益(連結調整前)は電子部品が31.5%減の80億02百万円、EMSが22.0%減の41億43百万円、CSI(コンシューマー&システムインテグレーター)が32.7%増の12億80百万円、その他が1.6%増の3億75百万円だった。

 全社ベースの業績を四半期別に見ると、第1四半期は売上高が1376億94百万円で営業利益が69億94百万円、第2四半期は売上高が1373億50百万円で営業利益が68億82百万円だった。

 通期の連結業績予想は据え置いている。一時的な需要減退により減収減益予想としている。営業利益72億49百万円減益の要因分析は、販売数量・販売ミックスで▲52億05百万円、スポット販売解消で▲43億09百万円、販管費減少で+22億65百万円、為替影響で±0百万円の見込みとしている。

 セグメント別の計画は、電子部品事業の売上高が12.6%減の4715億円で利益(全社費用等調整前営業利益)が26.9%減の207億円、情報機器事業の売上高が3.0%増の450億円で利益が2.1%増の25億円、ソフトウェア事業の売上高が50.1%増の45億円で利益が4.6%増の3億円、その他事業の売上高が31.6%増の290億円で利益が36.1%増の15億円としている。

 第2四半期累計の進捗率は売上高50%、営業利益56%、経常利益56%、親会社株主帰属当期純利益が63%と順調だった。不透明感を考慮して通期会社予想を据え置いているが、第2四半期累計が社内計画を大幅に上回る水準で着地したことなどを勘案すれば、通期会社予想は上振れの可能性が高いだろう。さらに25年3月期は成長軌道に回帰するシナリオとしている。積極的な事業展開で収益拡大基調だろう。

■株価は上値試す

 なお23年8月には、JPX総研および日本経済新聞社が共同で算出する「JPX日経インデックス400」の構成銘柄として新規選定された。

 株価は水準を切り上げて最高値を更新する場面があった。利益確定売りをこなしながら上値を試す展開を期待したい。2月2日の終値は6760円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS685円42銭で算出)は約10倍、今期予想配当利回り(会社予想の220円で算出)は約3.3%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS4935円36銭で算出)は約1.4倍、そして時価総額は約1940億円である。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media−IR
[01月16日更新]

加賀電子は上値試す、25年3月期は成長軌道回帰シナリオ

 加賀電子<8154>(東証プライム)は独立系の大手エレクトロニクス総合商社である。半導体・電子部品等の商社ビジネス、電装基板製造受託のEMSビジネスを展開し、成長に向けて収益力強化、経営基盤強化、新規事業創出、SDGs経営を推進している。24年3月期は一時的な需要減退により減収減益予想としているが、第2四半期累計が社内計画を大幅に上回る水準で着地したことなどを勘案すれば、通期会社予想は上振れの可能性が高いだろう。さらに25年3月期は成長軌道に回帰するシナリオとしている。積極的な事業展開で収益拡大基調だろう。株価は日柄調整が完了して23年9月の高値に接近している。上値を試す展開を期待したい。なお2月7日に24年3月期第3四半期決算発表を予定している。

■独立系の大手エレクトロニクス総合商社

 独立系の大手エレクトロニクス総合商社である。半導体・電子部品等の商社ビジネス、および電装基板製造受託サービスのEMSビジネスを展開している。

 19年1月に富士通エレクトロニクスを子会社化(20年12月に社名を加賀FEIに変更、22年1月に完全子会社化)し、その後19年10月にパイオニアの製造子会社である十和田パイオニアを子会社化して商号を加賀EMS十和田に変更、20年4月にエレクトロニクス商社のエクセルを子会社化、20年11月に旭東電気から新設分割された新:旭東電気を子会社化、21年10月に加賀EFIが太陽誘電<6976>よりBluetoothおよびWireless LANモジュールに関わる商圏、開発・製造技術ならびに知的財産権を承継して22年1月から小型無線モジュール事業に本格参入、23年5月に加賀EFIがセルシスよりUI/UX事業を譲受(オーストリアのカンデラの100%株式、および日本における商権・知的財産権等を取得)した。

 23年3月期のセグメント別売上高構成比は電子部品事業(半導体、電子部品、EMS)が89%、情報機器事業(パソコン・周辺機器、各種家電、写真・映像関連商品)が7%、ソフトウェア事業(CGアニメ映像制作、アミューズメント関連商品)が0%、その他事業(エレクトロニクス機器修理、アミューズメント機器製造販売、スポーツ用品販売など)が4%、営業利益構成比は電子部品事業が88%、情報機器事業が8%、ソフトウェア事業が1%、その他事業が3%、調整額が0%だった。

 中期経営計画に沿ったセグメント区分は電子部品事業、EMS事業、CSI事業(情報機器事業)、その他事業(ソフトウェア事業、その他)としている。23年3月期の売上構成比は電子部品事業が66%、EMS事業が25%、CSI事業が7%、その他事業が3%、営業利益構成比は電子部品事業が60%、EMS事業が30%、CSI事業が8%、その他事業が2%、調整額が0%だった。

■収益力強化や新規事業創出を推進

 中期経営計画2024では基本方針に、更なる収益力の強化、経営基盤の強化、新規事業の創出、SDGs経営の推進を掲げている。経営目標値(23年5月11日付で営業利益とROEを上方修正)については、25年3月期の売上高が7500億円(電子部品事業3800億円、EMS事業1500億円、CSI事業540億円、その他事業160億円、新規M&A等1500億円)、営業利益が300億円以上(前回予想は200億円)、ROEが安定的に10%以上(同、安定的に8.5%以上)としている。株主還元については連結配当性向の目安を25〜35%に置き、安定的かつ継続的に充実化する。

 重点アクションとして、さらなる収益力の強化では成長分野(モビリティ、通信、環境、産業機器、医療・ヘルスケア)への選択と集中、EMSビジネスおよび海外ビジネスの強化・拡大、経営基盤の強化ではコーポレートガバナンスの強化、効率的なグループ運営、人的資本への投資、新規事業の創出では新規分野への取り組み、ベンチャー投資によるオープンイノベーションの推進、非連続な成長を狙うM&Aへの挑戦を掲げている。23年8月にはメキシコにおけるEMS生産体制強化・拡充を発表した。米国市場向け四輪自動車用照明ユニット組立を中心とした生産活動を行っており、これら既存顧客からの受注増に加えて、米国市場向け空調機器用電装基盤組立の新規顧客獲得が見込まれるとしている。新工場は24年4月操業開始予定である。

 SDGs経営については、サステナビリティ中長期経営計画(21年11月公表)に基づいて、持続可能な社会の実現と持続的なグループの成長の両立を目指すとしている。

 23年3月には、経済産業省と日本健康会議が進める健康経営優良法人認定制度において「健康経営優良法人2023」の認定を受けた。23年9月には社員の福利厚生および健康増進を目的に、日本初導入の最新AIフィットネスマシン(ドイツのフィットネス機器メーカーEGYM製)を設置した従業員向けトレーニングルームを本社ビル内に開設した。

 23年10月には、くすりの窓口およびツルハとの3社共同で国内初となる企業向け処方薬デリバリーサービスを開発し、第1号案件として本社ビル内に処方箋受付機と受取ロッカーを設置・運用開始した。成長分野の一つに掲げているヘルスケア分野において受取ロッカーの拡販を企図するとともに、従業員・取引先・近隣オフィスで働いている方などの健康を後押しすることにより地域・社会の発展にも貢献する。また23年10月には、生物多様性の保全活動に向けた取り組みとして、同社本社ビル屋上に「ビオトープ」を設置した。ビオトープとは「地域の野生生物が暮らす、あるまとまった空間」のことである。

 なお、上場企業を対象とした主要なIRサイト評価機関(大和インベスター・リレーションズ、日興アイ・アール、ブロードバンドセキュリティ)において、23年度も各種の表彰を受けている。

■24年3月期減益予想だが上振れの可能性

 24年3月期の連結業績予想は、売上高が23年3月期比9.5%減の5500億円、営業利益が22.5%減の250億円、経常利益が23.6%減の250億円、そして親会社株主帰属当期純利益が22.0%減の180億円としている。配当予想は23年3月期と同額の220円(第2四半期末110円、期末110円)としている。23年3月期には特別配当70円および創立55周年記念配当10円が含まれているため、普通配当ベースでは80円増配の形となる。予想配当性向は32.1%となる。

 第2四半期累計は売上高が前年同期比7.9%減の2750億44百万円、営業利益が24.4%減の138億76百万円、経常利益が26.3%減の139億45百万円、親会社株主帰属四半期純利益が15.0%減の114億04百万円だった。

 電子部品事業における前期のスポット需要の反動、顧客の在庫調整、第1四半期に計上した特定取引先の民事再生申請に伴う貸倒引当などの影響で減収減益だった。ただし社内計画を大幅に上回る水準(売上高は約150億円、営業利益は約38億円、それぞれ上振れ)で着地した。営業外では為替差損益が悪化(前年同期は為替差益3億59百万円、当期は為替差損2億91百万円)した。特別利益には投資有価証券売却益10億74百万円、負ののれん発生益4億81百万円、関係会社清算益4億80百万円を計上した。

 営業利益の前年比44億85百万円減益の要因分析は、販売数量・販売ミックスで▲12億47百万円、スポット販売解消で▲35億92百万円、販管費で+3億54百万円、為替影響(ネット)で+1億94百万円だった。また、営業利益の社内計画(100億円)比38億76百万円上振れの要因分析は、販売数量・販売ミックスで+31億61百万円、スポット販売解消で+0百万円、販管費で+7億15百万円、為替影響(ネット)で72百万円だった。

 電子部品事業は売上高が9.6%減の2425億64百万円、セグメント利益(全社費用等調整前営業利益)が29.1%減の117億85百万円だった。減収減益だった。部品販売ビジネスでは前期のスポット需要解消、顧客全般における在庫調整顕在化、貸倒引当、EMSビジネスでは医療機器・産業機器関連の顧客における在庫調整顕在化などが影響した。

 情報機器事業は売上高が5.7%増の207億15百万円、利益が32.7%増の12億80百万円だった。教育機関向けパソコン販売が好調に推移し、LED設置ビジネスの大口案件も寄与した。

 ソフトウェア事業は売上高が6.3%減の12億25百万円で利益が18.2%増の1億12百万円、その他事業(エレクトロニクス機器修理・サポート、アミューズメント機器製造・販売、スポーツ用品販売など)は売上高が12.2%増の105億39百万円で利益が5.3%減の6億23百万円だった。

 なお会社別の営業利益(連結調整前)は加賀電子が13.6%減の105億68百万円、加賀EFIが53.5%減の24億22百万円、エクセルが0.1%減の8億65百万円で、中計セグメント別の営業利益(連結調整前)は電子部品が31.5%減の80億02百万円、EMSが22.0%減の41億43百万円、CSI(コンシューマー&システムインテグレーター)が32.7%増の12億80百万円、その他が1.6%増の3億75百万円だった。

 四半期別に見ると、第1四半期は売上高が1376億94百万円で営業利益が69億94百万円、第2四半期は売上高が1373億50百万円で営業利益が68億82百万円だった。

 通期の連結業績予想は据え置いている。一時的な需要減退により減収減益予想としている。営業利益72億49百万円減益の要因分析は、販売数量・販売ミックスで▲52億05百万円、スポット販売解消で▲43億09百万円、販管費減少で+22億65百万円、為替影響で±0百万円の見込みとしている。

 セグメント別の計画は、電子部品事業の売上高が12.6%減の4715億円で利益(全社費用等調整前営業利益)が26.9%減の207億円、情報機器事業の売上高が3.0%増の450億円で利益が2.1%増の25億円、ソフトウェア事業の売上高が50.1%増の45億円で利益が4.6%増の3億円、その他事業の売上高が31.6%増の290億円で利益が36.1%増の15億円としている。

 第2四半期累計の進捗率は売上高50%、営業利益56%、経常利益56%、親会社株主帰属当期純利益が63%と順調だった。不透明感を考慮して通期会社予想を据え置いているが、第2四半期累計が社内計画を大幅に上回る水準で着地したことなどを勘案すれば、通期会社予想は上振れの可能性が高いだろう。さらに25年3月期は成長軌道に回帰するシナリオとしている。積極的な事業展開で収益拡大基調だろう。

■株価は上値試す

 なお23年8月には、JPX総研および日本経済新聞社が共同で算出する「JPX日経インデックス400」の構成銘柄として新規選定された。

 株価は日柄調整が完了して23年9月の高値に接近している。上値を試す展開を期待したい。1月15日の終値は6760円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS685円42銭で算出)は約10倍、今期予想配当利回り(会社予想の220円で算出)は約3.3%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS4935円36銭で算出)は約1.4倍、そして時価総額は約1940億円である。情報提供:日本インタビュ新聞社=Media−IR
[12月21日更新]

加賀電子は上値試す、24年3月期減益予想だが上振れの可能性、25年3月期は成長軌道回帰シナリオ

 加賀電子<8154>(東証プライム)は独立系の大手エレクトロニクス総合商社である。半導体・電子部品等の商社ビジネス、電装基板製造受託のEMSビジネスを展開し、成長に向けて収益力強化、経営基盤強化、新規事業創出、SDGs経営を推進している。24年3月期は一時的な需要減退により減収減益予想としている。ただし第2四半期累計が社内計画を大幅に上回る水準で着地したことなどを勘案すれば、通期会社予想は上振れの可能性が高いだろう。さらに25年3月期は成長軌道に回帰するシナリオとしている。積極的な事業展開で収益拡大基調を期待したい。株価は戻り高値圏から反落して上げ一服の形となったが、目先的な利益確定売りが一巡して上値を試す展開を期待したい。

■独立系の大手エレクトロニクス総合商社

 独立系の大手エレクトロニクス総合商社である。半導体・電子部品等の商社ビジネス、および電装基板製造受託サービスのEMSビジネスを展開している。

 19年1月に富士通エレクトロニクスを子会社化(20年12月に社名を加賀FEIに変更、22年1月に完全子会社化)し、その後19年10月にパイオニアの製造子会社である十和田パイオニアを子会社化して商号を加賀EMS十和田に変更、20年4月にエレクトロニクス商社のエクセルを子会社化、20年11月に旭東電気から新設分割された新:旭東電気を子会社化、21年10月に加賀EFIが太陽誘電<6976>よりBluetoothおよびWireless LANモジュールに関わる商圏、開発・製造技術ならびに知的財産権を承継して22年1月から小型無線モジュール事業に本格参入、23年5月に加賀EFIがセルシスよりUI/UX事業を譲受(オーストリアのカンデラの100%株式、および日本における商権・知的財産権等を取得)した。

 23年3月期のセグメント別売上高構成比は電子部品事業(半導体、電子部品、EMS)が89%、情報機器事業(パソコン・周辺機器、各種家電、写真・映像関連商品)が7%、ソフトウェア事業(CGアニメ映像制作、アミューズメント関連商品)が0%、その他事業(エレクトロニクス機器修理、アミューズメント機器製造販売、スポーツ用品販売など)が4%、営業利益構成比は電子部品事業が88%、情報機器事業が8%、ソフトウェア事業が1%、その他事業が3%、調整額が0%だった。

 中期経営計画に沿ったセグメント区分は電子部品事業、EMS事業、CSI事業(情報機器事業)、その他事業(ソフトウェア事業、その他)としている。23年3月期の売上構成比は電子部品事業が66%、EMS事業が25%、CSI事業が7%、その他事業が3%、営業利益構成比は電子部品事業が60%、EMS事業が30%、CSI事業が8%、その他事業が2%、調整額が0%だった。

■収益力強化や新規事業創出を推進

 中期経営計画2024では基本方針に、更なる収益力の強化、経営基盤の強化、新規事業の創出、SDGs経営の推進を掲げている。経営目標値(23年5月11日付で営業利益とROEを上方修正)については、25年3月期の売上高が7500億円(電子部品事業3800億円、EMS事業1500億円、CSI事業540億円、その他事業160億円、新規M&A等1500億円)、営業利益が300億円以上(前回予想は200億円)、ROEが安定的に10%以上(同、安定的に8.5%以上)としている。株主還元については連結配当性向の目安を25〜35%に置き、安定的かつ継続的に充実化する。

 重点アクションとして、さらなる収益力の強化では成長分野(モビリティ、通信、環境、産業機器、医療・ヘルスケア)への選択と集中、EMSビジネスおよび海外ビジネスの強化・拡大、経営基盤の強化ではコーポレートガバナンスの強化、効率的なグループ運営、人的資本への投資、新規事業の創出では新規分野への取り組み、ベンチャー投資によるオープンイノベーションの推進、非連続な成長を狙うM&Aへの挑戦を掲げている。SDGs経営の推進については、サステナビリティ中長期経営計画(21年11月公表)に基づいて、持続可能な社会の実現と持続的なグループの成長の両立を目指す。

 23年1月には、トラース・オン・プロダクト<6696>が開発したAIによる電力コスト削減システム「AIrux8(エーアイラックス エイト)」について、日本における代理店1号として販売開始した。

 23年2月には、子会社のエクセルがEVバスの輸出入を展開するアルファバスジャパンと共同で、しずてつジャストライン(静岡県静岡市)に中国ALFA社製のEVバスを納入し、静岡県内初となる大型EV路線バスとして静岡市内の路線で運行開始した。23年3月には越後交通(新潟県長岡市)に中国ALFA社製のEVバスを納入し、新潟県内初となる大型EV路線バスとして長岡市内の路線で運行開始した。

 23年8月にはメキシコにおけるEMS生産体制強化・拡充を発表した。米国市場向け四輪自動車用照明ユニット組立を中心とした生産活動を行っており、これら既存顧客からの受注増に加えて、米国市場向け空調機器用電装基盤組立の新規顧客獲得が見込まれるとしている。新工場は24年4月操業開始予定である。

 なお23年3月には、経済産業省と日本健康会議が進める健康経営優良法人認定制度において「健康経営優良法人2023」の認定を受けた。23年9月には社員の福利厚生および健康増進を目的に、日本初導入の最新AIフィットネスマシン(ドイツのフィットネス機器メーカーEGYM製)を設置した従業員向けトレーニングルームを本社ビル内に開設した。

 23年10月には、くすりの窓口およびツルハとの3社共同で国内初となる企業向け処方薬デリバリーサービスを開発し、第1号案件として本社ビル内に処方箋受付機と受取ロッカーを設置・運用開始した。成長分野の一つに掲げているヘルスケア分野において受取ロッカーの拡販を企図するとともに、従業員・取引先・近隣オフィスで働いている方などの健康を後押しすることにより地域・社会の発展にも貢献する。また23年10月には、生物多様性の保全活動に向けた取り組みとして、同社本社ビル屋上に「ビオトープ」を設置した。ビオトープとは「地域の野生生物が暮らす、あるまとまった空間」のことである。

 12月8日には、大和IR「2023年インターネットIR表彰」において、3年連続で「最優秀賞」を受賞したとリリースしている。

■24年3月期減益予想だが上振れの可能性

 24年3月期の連結業績予想は、売上高が23年3月期比9.5%減の5500億円、営業利益が22.5%減の250億円、経常利益が23.6%減の250億円、そして親会社株主帰属当期純利益が22.0%減の180億円としている。配当予想は23年3月期と同額の220円(第2四半期末110円、期末110円)としている。23年3月期には特別配当70円および創立55周年記念配当10円が含まれているため、普通配当ベースでは80円増配の形となる。予想配当性向は32.1%となる。

 第2四半期累計は売上高が前年同期比7.9%減の2750億44百万円、営業利益が24.4%減の138億76百万円、経常利益が26.3%減の139億45百万円、親会社株主帰属四半期純利益が15.0%減の114億04百万円だった。

 電子部品事業における前期のスポット需要の反動、顧客の在庫調整、第1四半期に計上した特定取引先の民事再生申請に伴う貸倒引当などの影響で減収減益だった。ただし社内計画を大幅に上回る水準(売上高は約150億円、営業利益は約38億円、それぞれ上振れ)で着地した。営業外では為替差損益が悪化(前年同期は為替差益3億59百万円、当期は為替差損2億91百万円)した。特別利益には投資有価証券売却益10億74百万円、負ののれん発生益4億81百万円、関係会社清算益4億80百万円を計上した。

 営業利益の前年比44億85百万円減益の要因分析は、販売数量・販売ミックスで▲12億47百万円、スポット販売解消で▲35億92百万円、販管費で+3億54百万円、為替影響(ネット)で+1億94百万円だった。また、営業利益の社内計画(100億円)比38億76百万円上振れの要因分析は、販売数量・販売ミックスで+31億61百万円、スポット販売解消で+0百万円、販管費で+7億15百万円、為替影響(ネット)で72百万円だった。

 電子部品事業は売上高が9.6%減の2425億64百万円、セグメント利益(全社費用等調整前営業利益)が29.1%減の117億85百万円だった。減収減益だった。部品販売ビジネスでは前期のスポット需要解消、顧客全般における在庫調整顕在化、貸倒引当、EMSビジネスでは医療機器・産業機器関連の顧客における在庫調整顕在化などが影響した。

 情報機器事業は売上高が5.7%増の207億15百万円、利益が32.7%増の12億80百万円だった。教育機関向けパソコン販売が好調に推移し、LED設置ビジネスの大口案件も寄与した。

 ソフトウェア事業は売上高が6.3%減の12億25百万円で利益が18.2%増の1億12百万円、その他事業(エレクトロニクス機器修理・サポート、アミューズメント機器製造・販売、スポーツ用品販売など)は売上高が12.2%増の105億39百万円で利益が5.3%減の6億23百万円だった。

 なお会社別の営業利益(連結調整前)は加賀電子が13.6%減の105億68百万円、加賀EFIが53.5%減の24億22百万円、エクセルが0.1%減の8億65百万円で、中計セグメント別の営業利益(連結調整前)は電子部品が31.5%減の80億02百万円、EMSが22.0%減の41億43百万円、CSI(コンシューマー&システムインテグレーター)が32.7%増の12億80百万円、その他が1.6%増の3億75百万円だった。

 四半期別に見ると、第1四半期は売上高が1376億94百万円で営業利益が69億94百万円、第2四半期は売上高が1373億50百万円で営業利益が68億82百万円だった。

 通期の連結業績予想は据え置いている。一時的な需要減退により減収減益予想としている。営業利益72億49百万円減益の要因分析は、販売数量・販売ミックスで▲52億05百万円、スポット販売解消で▲43億09百万円、販管費減少で+22億65百万円、為替影響で±0百万円の見込みとしている。

 セグメント別の計画は、電子部品事業の売上高が12.6%減の4715億円で利益(全社費用等調整前営業利益)が26.9%減の207億円、情報機器事業の売上高が3.0%増の450億円で利益が2.1%増の25億円、ソフトウェア事業の売上高が50.1%増の45億円で利益が4.6%増の3億円、その他事業の売上高が31.6%増の290億円で利益が36.1%増の15億円としている。

 ただし第2四半期累計の進捗率は売上高が50.0%、営業利益が55.5%、経常利益が55.8%、親会社株主帰属当期純利益が63.4%と順調だった。不透明感を考慮して通期会社予想を据え置いているが、第2四半期累計が社内計画を大幅に上回る水準で着地したことなどを勘案すれば、通期会社予想は上振れの可能性が高いだろう。さらに25年3月期は成長軌道に回帰するシナリオとしている。積極的な事業展開で収益拡大基調を期待したい。

■株価は上値試す

 なお23年8月には、JPX総研および日本経済新聞社が共同で算出する「JPX日経インデックス400」の構成銘柄として新規選定された。

 株価は戻り高値圏から反落して上げ一服の形となったが、目先的な利益確定売りが一巡して上値を試す展開を期待したい。12月20日の終値は6270円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS685円42銭で算出)は約9倍、今期予想配当利回り(会社予想の220円で算出)は約3.5%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS4935円36銭で算出)は約1.3倍、そして時価総額は約1800億円である。情報提供:日本インタビュ新聞社=Media−IR
[11月30日更新]

加賀電子は上値試す、24年3月期2Q累計減益だが社内計画を上回る水準で着地、通期上振れ余地

 加賀電子<8154>(東証プライム)は独立系の大手エレクトロニクス総合商社である。半導体・電子部品等の商社ビジネス、電装基板製造受託のEMSビジネスを展開し、成長に向けて収益力強化、経営基盤強化、新規事業創出、SDGs経営を推進している。24年3月期第2四半期累計は、電子部品事業における前期のスポット需要の反動や顧客の在庫調整などの影響で減収減益だった。ただし社内計画を大幅に上回る水準で着地した。通期は一時的な需要減退により減収減益予想としている。不透明感を考慮して通期予想を据え置いているが、第2四半期累計の進捗率が順調であることなどを勘案すれば、通期会社予想に上振れ余地がありそうだ。さらに25年3月期は成長軌道に回帰するシナリオとしている。積極的な事業展開で収益拡大基調を期待したい。株価は目先的な利益確定売りが一巡して急反発し、9月の上場来高値に接近している。上値を試す展開を期待したい。

■独立系の大手エレクトロニクス総合商社

 独立系の大手エレクトロニクス総合商社である。半導体・電子部品等の商社ビジネス、および電装基板製造受託サービスのEMSビジネスを展開している。

 19年1月に富士通エレクトロニクスを子会社化(20年12月に社名を加賀FEIに変更、22年1月に完全子会社化)し、その後19年10月にパイオニアの製造子会社である十和田パイオニアを子会社化して商号を加賀EMS十和田に変更、20年4月にエレクトロニクス商社のエクセルを子会社化、20年11月に旭東電気から新設分割された新:旭東電気を子会社化、21年10月に加賀EFIが太陽誘電<6976>よりBluetoothおよびWireless LANモジュールに関わる商圏、開発・製造技術ならびに知的財産権を承継して22年1月から小型無線モジュール事業に本格参入、23年5月に加賀EFIがセルシスよりUI/UX事業を譲受(オーストリアのカンデラの100%株式、および日本における商権・知的財産権等を取得)した。

 23年3月期のセグメント別売上高構成比は電子部品事業(半導体、電子部品、EMS)が89%、情報機器事業(パソコン・周辺機器、各種家電、写真・映像関連商品)が7%、ソフトウェア事業(CGアニメ映像制作、アミューズメント関連商品)が0%、その他事業(エレクトロニクス機器修理、アミューズメント機器製造販売、スポーツ用品販売など)が4%、営業利益構成比は電子部品事業が88%、情報機器事業が8%、ソフトウェア事業が1%、その他事業が3%、調整額が0%だった。

 中期経営計画に沿ったセグメント区分は電子部品事業、EMS事業、CSI事業(情報機器事業)、その他事業(ソフトウェア事業、その他)としている。23年3月期の売上構成比は電子部品事業が66%、EMS事業が25%、CSI事業が7%、その他事業が3%、営業利益構成比は電子部品事業が60%、EMS事業が30%、CSI事業が8%、その他事業が2%、調整額が0%だった。

■収益力強化や新規事業創出を推進

 中期経営計画2024では基本方針に、更なる収益力の強化、経営基盤の強化、新規事業の創出、SDGs経営の推進を掲げている。経営目標値(23年5月11日付で営業利益とROEを上方修正)については、25年3月期の売上高が7500億円(電子部品事業3800億円、EMS事業1500億円、CSI事業540億円、その他事業160億円、新規M&A等1500億円)、営業利益が300億円以上(前回予想は200億円)、ROEが安定的に10%以上(同、安定的に8.5%以上)としている。株主還元については連結配当性向の目安を25〜35%に置き、安定的かつ継続的に充実化する。

 重点アクションとして、さらなる収益力の強化では成長分野(モビリティ、通信、環境、産業機器、医療・ヘルスケア)への選択と集中、EMSビジネスおよび海外ビジネスの強化・拡大、経営基盤の強化ではコーポレートガバナンスの強化、効率的なグループ運営、人的資本への投資、新規事業の創出では新規分野への取り組み、ベンチャー投資によるオープンイノベーションの推進、非連続な成長を狙うM&Aへの挑戦を掲げている。SDGs経営の推進については、サステナビリティ中長期経営計画(21年11月公表)に基づいて、持続可能な社会の実現と持続的なグループの成長の両立を目指す。

 23年1月には、トラース・オン・プロダクト<6696>が開発したAIによる電力コスト削減システム「AIrux8(エーアイラックス エイト)」について、日本における代理店1号として販売開始した。

 23年2月には、子会社のエクセルがEVバスの輸出入を展開するアルファバスジャパンと共同で、しずてつジャストライン(静岡県静岡市)に中国ALFA社製のEVバスを納入し、静岡県内初となる大型EV路線バスとして静岡市内の路線で運行開始した。23年3月には越後交通(新潟県長岡市)に中国ALFA社製のEVバスを納入し、新潟県内初となる大型EV路線バスとして長岡市内の路線で運行開始した。

 23年8月にはメキシコにおけるEMS生産体制強化・拡充を発表した。米国市場向け四輪自動車用照明ユニット組立を中心とした生産活動を行っており、これら既存顧客からの受注増に加えて、米国市場向け空調機器用電装基盤組立の新規顧客獲得が見込まれるとしている。新工場は24年4月操業開始予定である。

 なお23年3月には、経済産業省と日本健康会議が進める健康経営優良法人認定制度において「健康経営優良法人2023」の認定を受けた。23年9月には社員の福利厚生および健康増進を目的に、日本初導入の最新AIフィットネスマシン(ドイツのフィットネス機器メーカーEGYM製)を設置した従業員向けトレーニングルームを本社ビル内に開設した。

 23年10月には、くすりの窓口およびツルハとの3社共同で国内初となる企業向け処方薬デリバリーサービスを開発し、第1号案件として本社ビル内に処方箋受付機と受取ロッカーを設置・運用開始した。成長分野の一つに掲げているヘルスケア分野において受取ロッカーの拡販を企図するとともに、従業員・取引先・近隣オフィスで働いている方などの健康を後押しすることにより地域・社会の発展にも貢献する。

 また23年10月には、生物多様性の保全活動に向けた取り組みとして、同社本社ビル屋上に「ビオトープ」を設置した。ビオトープとは「地域の野生生物が暮らす、あるまとまった空間」のことである。

■24年3月期減益予想だが上振れ余地、25年3月期成長回復シナリオ

 24年3月期の連結業績予想は、売上高が23年3月期比9.5%減の5500億円、営業利益が22.5%減の250億円、経常利益が23.6%減の250億円、そして親会社株主帰属当期純利益が22.0%減の180億円としている。配当予想は23年3月期と同額の220円(第2四半期末110円、期末110円)としている。23年3月期には特別配当70円および創立55周年記念配当10円が含まれているため、普通配当ベースでは80円増配の形となる。予想配当性向は32.1%となる。

 第2四半期累計は売上高が前年同期比7.9%減の2750億44百万円、営業利益が24.4%減の138億76百万円、経常利益が26.3%減の139億45百万円、親会社株主帰属四半期純利益が15.0%減の114億04百万円だった。

 電子部品事業における前期のスポット需要の反動、顧客の在庫調整、第1四半期に計上した特定取引先の民事再生申請に伴う貸倒引当などの影響で減収減益だった。ただし社内計画を大幅に上回る水準(売上高は約150億円、営業利益は約38億円、それぞれ上振れ)で着地した。営業外では為替差損益が悪化(前年同期は為替差益3億59百万円、当期は為替差損2億91百万円)した。特別利益には投資有価証券売却益10億74百万円、負ののれん発生益4億81百万円、関係会社清算益4億80百万円を計上した。

 営業利益の前年比44億85百万円減益の要因分析は、販売数量・販売ミックスで▲12億47百万円、スポット販売解消で▲35億92百万円、販管費で+3億54百万円、為替影響(ネット)で+1億94百万円だった。また、営業利益の社内計画(100億円)比38億76百万円上振れの要因分析は、販売数量・販売ミックスで+31億61百万円、スポット販売解消で+0百万円、販管費で+7億15百万円、為替影響(ネット)で72百万円だった。

 電子部品事業は売上高が9.6%減の2425億64百万円、セグメント利益(全社費用等調整前営業利益)が29.1%減の117億85百万円だった。減収減益だった。部品販売ビジネスでは前期のスポット需要解消、顧客全般における在庫調整顕在化、貸倒引当、EMSビジネスでは医療機器・産業機器関連の顧客における在庫調整顕在化などが影響した。

 情報機器事業は売上高が5.7%増の207億15百万円、利益が32.7%増の12億80百万円だった。教育機関向けパソコン販売が好調に推移し、LED設置ビジネスの大口案件も寄与した。

 ソフトウェア事業は売上高が6.3%減の12億25百万円で利益が18.2%増の1億12百万円、その他事業(エレクトロニクス機器修理・サポート、アミューズメント機器製造・販売、スポーツ用品販売など)は売上高が12.2%増の105億39百万円で利益が5.3%減の6億23百万円だった。

 なお会社別の営業利益(連結調整前)は加賀電子が13.6%減の105億68百万円、加賀EFIが53.5%減の24億22百万円、エクセルが0.1%減の8億65百万円で、中計セグメント別の営業利益(連結調整前)は電子部品が31.5%減の80億02百万円、EMSが22.0%減の41億43百万円、CSI(コンシューマー&システムインテグレーター)が32.7%増の12億80百万円、その他が1.6%増の3億75百万円だった。

 四半期別に見ると、第1四半期は売上高が1376億94百万円で営業利益が69億94百万円、第2四半期は売上高が1373億50百万円で営業利益が68億82百万円だった。

 通期の連結業績予想は据え置いている。一時的な需要減退により減収減益予想としている。営業利益72億49百万円減益の要因分析は、販売数量・販売ミックスで▲52億05百万円、スポット販売解消で▲43億09百万円、販管費減少で+22億65百万円、為替影響で±0百万円の見込みとしている。

 セグメント別の計画は、電子部品事業の売上高が12.6%減の4715億円で利益(全社費用等調整前営業利益)が26.9%減の207億円、情報機器事業の売上高が3.0%増の450億円で利益が2.1%増の25億円、ソフトウェア事業の売上高が50.1%増の45億円で利益が4.6%増の3億円、その他事業の売上高が31.6%増の290億円で利益が36.1%増の15億円としている。

 ただし第2四半期累計の進捗率は売上高50.0%、営業利益55.5%、経常利益55.8%、親会社株主帰属当期純利益63.4%と順調だった。不透明感を考慮して通期会社予想を据え置いているが、第2四半期累計の進捗率が順調であることなどを勘案すれば、通期会社予想に上振れ余地がありそうだ。また中期経営計画最終年度25年3月期の営業利益目標を、従来の「200億円」から「300億円以上」に大幅に引き上げている。24年3月期は一時的な需要減退の影響を受けるが、25年3月期は成長軌道に回帰するシナリオとしている。積極的な事業展開で収益拡大基調を期待したい。

■株価は上値試す

 なお23年8月には、JPX総研および日本経済新聞社が共同で算出する「JPX日経インデックス400」の構成銘柄として新規選定された。

 株価は目先的な利益確定売りが一巡して急反発し、9月の上場来高値に接近している。上値を試す展開を期待したい。11月29日の終値は6480円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS685円42銭で算出)は約9倍、今期予想配当利回り(会社予想の220円で算出)は約3.4%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS4935円36銭で算出)は約1.3倍、そして時価総額は約1860億円である。情報提供:日本インタビュ新聞社=Media−IR
[10月26日更新]

加賀電子は利益確定売り一巡、24年3月期減益予想だが上振れ余地

 加賀電子<8154>(東証プライム)は独立系の大手エレクトロニクス総合商社である。半導体・電子部品等の商社ビジネス、電装基板製造受託のEMSビジネスを展開し、成長に向けて収益力強化、経営基盤強化、新規事業創出、SDGs経営を推進している。24年3月期は一時的な需要減退により減収減益予想としている。ただし第1四半期の営業利益が社内計画を大幅に上回る水準で着地し、営業利益進捗率も順調だったことを勘案すれば、通期会社予想に上振れ余地がありそうだ。さらに25年3月期は成長軌道に回帰する見込みとしている。積極的な事業展開で収益拡大基調だろう。株価は地合い悪化の影響で上場来高値圏から反落の形となったが、指標面に割高感はなく、利益確定売りが一巡して上値を試す展開を期待したい。なお11月8日に24年3月期第2四半期決算発表を予定している。

■独立系の大手エレクトロニクス総合商社

 独立系の大手エレクトロニクス総合商社である。半導体・電子部品等の商社ビジネス、および電装基板製造受託サービスのEMSビジネスを展開している。

 19年1月に富士通エレクトロニクスを子会社化(20年12月に社名を加賀FEIに変更、22年1月に完全子会社化)し、その後19年10月にパイオニアの製造子会社である十和田パイオニアを子会社化して商号を加賀EMS十和田に変更、20年4月にエレクトロニクス商社のエクセルを子会社化、20年11月に旭東電気から新設分割された新:旭東電気を子会社化、21年10月に加賀EFIが太陽誘電<6976>よりBluetoothおよびWireless LANモジュールに関わる商圏、開発・製造技術ならびに知的財産権を承継して22年1月から小型無線モジュール事業に本格参入、23年5月に加賀EFIがセルシスよりUI/UX事業を譲受(オーストリアのカンデラの100%株式、および日本における商権・知的財産権等を取得)した。

 23年3月期のセグメント別売上高構成比は電子部品事業(半導体、電子部品、EMS)が89%、情報機器事業(パソコン・周辺機器、各種家電、写真・映像関連商品)が7%、ソフトウェア事業(CGアニメ映像制作、アミューズメント関連商品)が0%、その他事業(エレクトロニクス機器修理、アミューズメント機器製造販売、スポーツ用品販売など)が4%、営業利益構成比は電子部品事業が88%、情報機器事業が8%、ソフトウェア事業が1%、その他事業が3%、調整額が0%だった。

 中期経営計画に沿ったセグメント区分は電子部品事業、EMS事業、CSI事業(情報機器事業)、その他事業(ソフトウェア事業、その他)としている。23年3月期の売上構成比は電子部品事業が66%、EMS事業が25%、CSI事業が7%、その他事業が3%、営業利益構成比は電子部品事業が60%、EMS事業が30%、CSI事業が8%、その他事業が2%、調整額が0%だった。

■収益力強化や新規事業創出を推進

 中期経営計画2024では基本方針に、更なる収益力の強化、経営基盤の強化、新規事業の創出、SDGs経営の推進を掲げている。経営目標値(23年5月11日付で営業利益とROEを上方修正)については、25年3月期の売上高が7500億円(電子部品事業3800億円、EMS事業1500億円、CSI事業540億円、その他事業160億円、新規M&A等1500億円)、営業利益が300億円以上(前回予想は200億円)、ROEが安定的に10%以上(同、安定的に8.5%以上)としている。株主還元については連結配当性向の目安を25〜35%に置き、安定的かつ継続的に充実化する。

 重点アクションとして、さらなる収益力の強化では成長分野(モビリティ、通信、環境、産業機器、医療・ヘルスケア)への選択と集中、EMSビジネスおよび海外ビジネスの強化・拡大、経営基盤の強化ではコーポレートガバナンスの強化、効率的なグループ運営、人的資本への投資、新規事業の創出では新規分野への取り組み、ベンチャー投資によるオープンイノベーションの推進、非連続な成長を狙うM&Aへの挑戦を掲げている。SDGs経営の推進については、サステナビリティ中長期経営計画(21年11月公表)に基づいて、持続可能な社会の実現と持続的なグループの成長の両立を目指す。

 23年1月には、トラース・オン・プロダクト<6696>が開発したAIによる電力コスト削減システム「AIrux8(エーアイラックス エイト)」について、日本における代理店1号として販売開始した。

 23年2月には、子会社のエクセルがEVバスの輸出入を展開するアルファバスジャパンと共同で、しずてつジャストライン(静岡県静岡市)に中国ALFA社製のEVバスを納入し、静岡県内初となる大型EV路線バスとして静岡市内の路線で運行開始した。23年3月には越後交通(新潟県長岡市)に中国ALFA社製のEVバスを納入し、新潟県内初となる大型EV路線バスとして長岡市内の路線で運行開始した。

 23年8月にはメキシコにおけるEMS生産体制強化・拡充を発表した。米国市場向け四輪自動車用照明ユニット組立を中心とした生産活動を行っており、これら既存顧客からの受注増に加えて、米国市場向け空調機器用電装基盤組立の新規顧客獲得が見込まれるとしている。新工場は24年4月操業開始予定である。

 なお23年3月には、経済産業省と日本健康会議が進める健康経営優良法人認定制度において「健康経営優良法人2023」の認定を受けた。23年9月には社員の福利厚生および健康増進を目的に、日本初導入の最新AIフィットネスマシン(ドイツのフィットネス機器メーカーEGYM製)を設置した従業員向けトレーニングルームを本社ビル内に開設した。

 10月23日には、くすりの窓口およびツルハとの3社共同で国内初となる企業向け処方薬デリバリーサービスを開発し、第1号案件として本社ビル内に処方箋受付機と受取ロッカーを設置・運用開始したと発表している。成長分野の一つに掲げているヘルスケア分野において受取ロッカーの拡販を企図するとともに、従業員・取引先・近隣オフィスで働いている方などの健康を後押しすることにより地域・社会の発展にも貢献する。

■24年3月期減益予想だが上振れ余地、25年3月期成長回復シナリオ

 24年3月期の連結業績予想は、売上高が23年3月期比9.5%減の5500億円、営業利益が22.5%減の250億円、経常利益が23.6%減の250億円、そして親会社株主帰属当期純利益が22.0%減の180億円としている。配当予想は23年3月期と同額の220円(第2四半期末110円、期末110円)としている。23年3月期には特別配当70円および創立55周年記念配当10円が含まれているため、普通配当ベースでは80円増配の形となる。予想配当性向は32.1%となる。

 第1四半期は、売上高が前年同期比7.8%減の1376億94百万円、営業利益が28.8%減の69億94百万円、経常利益が29.9%減の69億09百万円、親会社株主帰属四半期純利益が17.4%減の57億67百万円だった。

 電子部品事業における前期のスポット需要の解消などで減収減益だったが、営業利益は社内計画(49億円)を大幅に上回る水準で着地した。また前年同期比で営業利益は28億26百万円減益だったが、スポット需要の解消(営業利益23億13百万円減益要因)や、特定取引先の民事再生申請に伴う損失引当(同4億12百万円減益要因)を除けば、実質的に前年並みの利益水準だったとしている。営業外費用では為替差損が2億15百万円増加、特別利益では投資有価証券売却益10億65百万円を計上した。

 電子部品事業は、売上高が10.1%減の1200億15百万円、セグメント利益(全社費用等調整前営業利益)が34.3%減の59億22百万円だった。部品販売ビジネスにおいて、前期のスポット需要が解消したことに加えて、顧客全般における在庫調整の顕在化も影響した。EMSビジネスは車載関連が伸長したが、医療機器関連や産業機器関連が顧客の在庫調整の影響などで減少した。

 情報機器事業は売上高が8.1%増の120億50百万円、利益が32.2%増の7億46百万円だった。教育機関向けパソコン販売が好調に推移し、LED設置ビジネスの大口案件も寄与した。

 ソフトウェア事業は売上高が15.8%増の5億77百万円、利益が4百万円の損失(前年同期は33百万円の損失)だった。スマホ向けゲーム制作やCG制作における大型案件や新規案件の受注が寄与して損失縮小した。

 その他事業は売上高が20.9%増の50億50百万円、利益が17.0%増の2億91百万円だった。PC製品・周辺機器のリサイクルビジネスが好調に推移し、アミューズメント業界向けアーケードゲーム機器も伸長した。

 会社別の営業利益(連結調整前)は加賀電子が9.4%減の56億63百万円、加賀EFIが73.8%減の7億97百万円、エクセルが5.0%増の4億85百万円だった。中計セグメント別の営業利益(連結調整前)は電子部品事業が43.5%減の36億95百万円、EMS事業が6.8%減の24億33百万円、CSI(コンシューマー&システムインテグレーター)事業が32.2%増の7億46百万円、その他事業が1.5%増の81百万円だった。

 通期連結業績予想は据え置いている。コロナ禍における需要増からの反動や顧客の在庫調整の影響など一時的な需要減退により減収減益予想としている。営業利益72億49百万円減益の要因分析は販売数量・販売ミックスで▲52億05百万円、スポット販売減少で▲43億09百万円、販管費減少で+22億65百万円、為替影響で±0百万円の見込みとしている。

 セグメント別の計画は、電子部品事業の売上高が12.6%減の4715億円で利益(全社費用等調整前営業利益)が26.9%減の207億円、情報機器事業の売上高が3.0%増の450億円で利益が2.1%増の25億円、ソフトウェア事業の売上高が50.1%増の45億円で利益が4.6%増の3億円、その他事業の売上高が31.6%増の290億円で利益が36.1%増の15億円としている。

 24年3月期は一時的な需要減退により減収減益予想だが、第1四半期の営業利益が社内計画を大幅に上回る水準で着地し、営業利益進捗率も28%と順調だったことを勘案すれば、通期会社予想に上振れ余地がありそうだ。また、中期経営計画最終年度25年3月期の営業利益目標を従来の「200億円」から「300億円以上」に大幅に引き上げている。24年3月期は一時的な需要減退の影響を受けるが、25年3月期は成長軌道に回帰する見込みとしている。積極的な事業展開で収益拡大基調だろう。

■株価は利益確定売り一巡

 なお23年8月には、JPX総研および日本経済新聞社が共同で算出する「JPX日経インデックス400」の構成銘柄として新規選定された。

 株価は地合い悪化の影響で上場来高値圏から反落の形となったが、指標面に割高感はなく、利益確定売りが一巡して上値を試す展開を期待したい。10月25日の終値は6010円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS685円42銭で算出)は約9倍、今期予想配当利回り(会社予想の220円で算出)は約3.7%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS4935円36銭で算出)は約1.2倍、そして時価総額は約1725億円である。情報提供:日本インタビュ新聞社=Media−IR
[09月28日更新]

加賀電子は上値試す、24年3月期減益予想だが上振れ余地

 加賀電子<8154>(東証プライム)は独立系の大手エレクトロニクス総合商社である。半導体・電子部品等の商社ビジネス、電装基板製造受託のEMSビジネスを展開し、成長に向けて収益力強化、経営基盤強化、新規事業創出、SDGs経営を推進している。24年3月期は一時的な需要減退により減収減益予想としている。ただし第1四半期の営業利益が社内計画を大幅に上回る水準で着地し、営業利益進捗率も順調だったことを勘案すれば、通期会社予想に上振れ余地がありそうだ。さらに25年3月期は成長軌道に回帰する見込みとしている。積極的な事業展開で収益拡大基調だろう。株価は上場来高値圏で堅調だ。目先的には上げ一服の形だが、自律調整を交えながら上値を試す展開を期待したい。なお11月8日に24年3月期第2四半期決算発表を予定している。

■独立系の大手エレクトロニクス総合商社

 独立系の大手エレクトロニクス総合商社である。半導体・電子部品等の商社ビジネス、および電装基板製造受託サービスのEMSビジネスを展開している。

 19年1月に富士通エレクトロニクスを子会社化(20年12月に社名を加賀FEIに変更、22年1月に完全子会社化)し、その後19年10月にパイオニアの製造子会社である十和田パイオニアを子会社化して商号を加賀EMS十和田に変更、20年4月にエレクトロニクス商社のエクセルを子会社化、20年11月に旭東電気から新設分割された新:旭東電気を子会社化、21年10月に加賀EFIが太陽誘電<6976>よりBluetoothおよびWireless LANモジュールに関わる商圏、開発・製造技術ならびに知的財産権を承継して22年1月から小型無線モジュール事業に本格参入、23年5月に加賀EFIがセルシスよりUI/UX事業を譲受(オーストリアのカンデラの100%株式、および日本における商権・知的財産権等を取得)した。

 23年3月期のセグメント別売上高構成比は電子部品事業(半導体、電子部品、EMS)が89%、情報機器事業(パソコン・周辺機器、各種家電、写真・映像関連商品)が7%、ソフトウェア事業(CGアニメ映像制作、アミューズメント関連商品)が0%、その他事業(エレクトロニクス機器修理、アミューズメント機器製造販売、スポーツ用品販売など)が4%、営業利益構成比は電子部品事業が88%、情報機器事業が8%、ソフトウェア事業が1%、その他事業が3%、調整額が0%だった。

 中期経営計画に沿ったセグメント区分は電子部品事業、EMS事業、CSI事業(情報機器事業)、その他事業(ソフトウェア事業、その他)としている。23年3月期の売上構成比は電子部品事業が66%、EMS事業が25%、CSI事業が7%、その他事業が3%、営業利益構成比は電子部品事業が60%、EMS事業が30%、CSI事業が8%、その他事業が2%、調整額が0%だった。

■収益力強化や新規事業創出を推進

 中期経営計画2024では基本方針に、更なる収益力の強化、経営基盤の強化、新規事業の創出、SDGs経営の推進を掲げている。経営目標値(23年5月11日付で営業利益とROEを上方修正)については、25年3月期の売上高が7500億円(電子部品事業3800億円、EMS事業1500億円、CSI事業540億円、その他事業160億円、新規M&A等1500億円)、営業利益が300億円以上(前回予想は200億円)、ROEが安定的に10%以上(同、安定的に8.5%以上)としている。株主還元については連結配当性向の目安を25〜35%に置き、安定的かつ継続的に充実化する。

 重点アクションとして、さらなる収益力の強化では成長分野(モビリティ、通信、環境、産業機器、医療・ヘルスケア)への選択と集中、EMSビジネスおよび海外ビジネスの強化・拡大、経営基盤の強化ではコーポレートガバナンスの強化、効率的なグループ運営、人的資本への投資、新規事業の創出では新規分野への取り組み、ベンチャー投資によるオープンイノベーションの推進、非連続な成長を狙うM&Aへの挑戦を掲げている。SDGs経営の推進については、サステナビリティ中長期経営計画(21年11月公表)に基づいて、持続可能な社会の実現と持続的なグループの成長の両立を目指す。

 23年1月には、トラース・オン・プロダクト<6696>が開発したAIによる電力コスト削減システム「AIrux8(エーアイラックス エイト)」について、日本における代理店1号として販売開始した。

 23年2月には、子会社のエクセルがEVバスの輸出入を展開するアルファバスジャパンと共同で、しずてつジャストライン(静岡県静岡市)に中国ALFA社製のEVバスを納入し、静岡県内初となる大型EV路線バスとして静岡市内の路線で運行開始した。23年3月には越後交通(新潟県長岡市)に中国ALFA社製のEVバスを納入し、新潟県内初となる大型EV路線バスとして長岡市内の路線で運行開始した。

 23年8月にはメキシコにおけるEMS生産体制強化・拡充を発表した。米国市場向け四輪自動車用照明ユニット組立を中心とした生産活動を行っており、これら既存顧客からの受注増に加えて、米国市場向け空調機器用電装基盤組立の新規顧客獲得が見込まれるとしている。新工場は24年4月操業開始予定である。

 なお23年3月には、経済産業省と日本健康会議が進める健康経営優良法人認定制度において「健康経営優良法人2023」の認定を受けた。また23年9月には社員の福利厚生および健康増進を目的に、日本初導入の最新AIフィットネスマシン(ドイツのフィットネス機器メーカーEGYM製)を設置した従業員向けトレーニングルームを本社ビル内に開設した。

■24年3月期減益予想だが上振れ余地、25年3月期成長回復シナリオ

 24年3月期の連結業績予想は、売上高が23年3月期比9.5%減の5500億円、営業利益が22.5%減の250億円、経常利益が23.6%減の250億円、そして親会社株主帰属当期純利益が22.0%減の180億円としている。配当予想は23年3月期と同額の220円(第2四半期末110円、期末110円)としている。23年3月期には特別配当70円および創立55周年記念配当10円が含まれているため、普通配当ベースでは80円増配の形となる。予想配当性向は32.1%となる。

 第1四半期は、売上高が前年同期比7.8%減の1376億94百万円、営業利益が28.8%減の69億94百万円、経常利益が29.9%減の69億09百万円、親会社株主帰属四半期純利益が17.4%減の57億67百万円だった。

 電子部品事業における前期のスポット需要の解消などで減収減益だったが、営業利益は社内計画(49億円)を大幅に上回る水準で着地した。また前年同期比で営業利益は28億26百万円減益だったが、スポット需要の解消(営業利益23億13百万円減益要因)や、特定取引先の民事再生申請に伴う損失引当(同4億12百万円減益要因)を除けば、実質的に前年並みの利益水準だったとしている。営業外費用では為替差損が2億15百万円増加、特別利益では投資有価証券売却益10億65百万円を計上した。

 電子部品事業は、売上高が10.1%減の1200億15百万円、セグメント利益(全社費用等調整前営業利益)が34.3%減の59億22百万円だった。部品販売ビジネスにおいて、前期のスポット需要が解消したことに加えて、顧客全般における在庫調整の顕在化も影響した。EMSビジネスは車載関連が伸長したが、医療機器関連や産業機器関連が顧客の在庫調整の影響などで減少した。

 情報機器事業は売上高が8.1%増の120億50百万円、利益が32.2%増の7億46百万円だった。教育機関向けパソコン販売が好調に推移し、LED設置ビジネスの大口案件も寄与した。

 ソフトウェア事業は売上高が15.8%増の5億77百万円、利益が4百万円の損失(前年同期は33百万円の損失)だった。スマホ向けゲーム制作やCG制作における大型案件や新規案件の受注が寄与して損失縮小した。

 その他事業は売上高が20.9%増の50億50百万円、利益が17.0%増の2億91百万円だった。PC製品・周辺機器のリサイクルビジネスが好調に推移し、アミューズメント業界向けアーケードゲーム機器も伸長した。

 会社別の営業利益(連結調整前)は加賀電子が9.4%減の56億63百万円、加賀EFIが73.8%減の7億97百万円、エクセルが5.0%増の4億85百万円だった。中計セグメント別の営業利益(連結調整前)は電子部品事業が43.5%減の36億95百万円、EMS事業が6.8%減の24億33百万円、CSI(コンシューマー&システムインテグレーター)事業が32.2%増の7億46百万円、その他事業が1.5%増の81百万円だった。

 通期連結業績予想は据え置いている。コロナ禍における需要増からの反動や顧客の在庫調整の影響など一時的な需要減退により減収減益予想としている。営業利益72億49百万円減益の要因分析は販売数量・販売ミックスで▲52億05百万円、スポット販売減少で▲43億09百万円、販管費減少で+22億65百万円、為替影響で±0百万円の見込みとしている。

 セグメント別の計画は、電子部品事業の売上高が12.6%減の4715億円で利益(全社費用等調整前営業利益)が26.9%減の207億円、情報機器事業の売上高が3.0%増の450億円で利益が2.1%増の25億円、ソフトウェア事業の売上高が50.1%増の45億円で利益が4.6%増の3億円、その他事業の売上高が31.6%増の290億円で利益が36.1%増の15億円としている。

 24年3月期は一時的な需要減退により減収減益予想だが、第1四半期の営業利益が社内計画を大幅に上回る水準で着地し、営業利益進捗率も28%と順調だったことを勘案すれば、通期会社予想に上振れ余地がありそうだ。また、中期経営計画最終年度25年3月期の営業利益目標を従来の「200億円」から「300億円以上」に大幅に引き上げている。24年3月期は一時的な需要減退の影響を受けるが、25年3月期は成長軌道に回帰する見込みとしている。積極的な事業展開で収益拡大基調だろう。

■株価は上値試す

 なお23年8月には、JPX総研および日本経済新聞社が共同で算出する「JPX日経インデックス400」の構成銘柄として新規選定された。

 株価は上場来高値圏で堅調だ。目先的には上げ一服の形だが、自律調整を交えながら上値を試す展開を期待したい。9月27日の終値は6610円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS685円42銭で算出)は約10倍、今期予想配当利回り(会社予想の220円で算出)は約3.3%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS4935円36銭で算出)は約1.3倍、そして時価総額は約1897億円である。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media−IR
[09月07日更新]

加賀電子は高値更新の展開、24年3月期減益予想だが上振れ余地
 
  加賀電子<8154>(東証プライム)は独立系の大手エレクトロニクス総合商社である。半導体・電子部品等の商社ビジネス、電装基板製造受託のEMSビジネスを展開し、成長に向けて収益力強化、経営基盤強化、新規事業創出、SDGs経営を推進している。9月5日には社員の福利厚生および健康増進を目的に、日本初導入のAIフィットネスマシンを設置した従業員向けトレーニングルームを本社ビル内に開設したと発表している。24年3月期はコロナ禍における需要増からの反動や顧客の在庫調整の影響など一時的な需要減退により減収減益予想としている。ただし第1四半期の営業利益が社内計画を大幅に上回る水準で着地し、営業利益進捗率も28%と順調だったことを勘案すれば、通期会社予想に上振れ余地がありそうだ。さらに25年3月期は成長軌道に回帰する見込みとしている。積極的な事業展開で収益拡大基調だろう。株価は日柄調整が完了して上場来高値更新の展開となった。指標面の割安感も評価材料であり、自律調整を交えながら上値を試す展開を期待したい。
 
■独立系の大手エレクトロニクス総合商社
 
 独立系の大手エレクトロニクス総合商社である。半導体・電子部品等の商社ビジネス、および電装基板製造受託サービスのEMSビジネスを展開している。
 
 19年1月に富士通エレクトロニクスを子会社化(20年12月に社名を加賀FEIに変更、22年1月に完全子会社化)した。19年10月にはパイオニアの製造子会社である十和田パイオニアを子会社化して商号を加賀EMS十和田に変更、20年4月にはエレクトロニクス商社のエクセルを子会社化、20年11月には旭東電気から新設分割された新:旭東電気を子会社化した。21年10月には加賀EFIが、太陽誘電<6976>からBluetoothおよびWireless LANモジュールに関わる商圏、開発・製造技術ならびに知的財産権を承継し、22年1月から小型無線モジュール事業に本格参入した。23年5月には加賀EFIが、セルシスよりUI/UX事業を譲受(オーストリアのカンデラの100%株式、および日本における商権・知的財産権等を取得)した。
 
 23年3月期のセグメント別売上高構成比は電子部品事業(半導体、電子部品、EMS)が89%、情報機器事業(パソコン・周辺機器、各種家電、写真・映像関連商品)が7%、ソフトウェア事業(CGアニメ映像制作、アミューズメント関連商品)が0%、その他事業(エレクトロニクス機器修理、アミューズメント機器製造販売、スポーツ用品販売など)が4%、営業利益構成比は電子部品事業が88%、情報機器事業が8%、ソフトウェア事業が1%、その他事業が3%、調整額が0%だった。
 
 中期経営計画に沿ったセグメント区分は電子部品事業、EMS事業、CSI事業(情報機器事業)、その他事業(ソフトウェア事業、その他)としている。23年3月期の売上構成比は電子部品事業が66%、EMS事業が25%、CSI事業が7%、その他事業が3%、営業利益構成比は電子部品事業が60%、EMS事業が30%、CSI事業が8%、その他事業が2%、調整額が0%だった。
 
■収益力強化や新規事業創出を推進
 
 中期経営計画2024では基本方針に、更なる収益力の強化、経営基盤の強化、新規事業の創出、SDGs経営の推進を掲げている。経営目標値(23年5月11日付で営業利益とROEを上方修正)については、25年3月期の売上高が7500億円(電子部品事業3800億円、EMS事業1500億円、CSI事業540億円、その他事業160億円、新規M&A等1500億円)、営業利益が300億円以上(前回予想は200億円)、ROEが安定的に10%以上(同、安定的に8.5%以上)としている。株主還元については連結配当性向の目安を25〜35%に置き、安定的かつ継続的に充実化する。
 
 重点アクションとして、さらなる収益力の強化では成長分野(モビリティ、通信、環境、産業機器、医療・ヘルスケア)への選択と集中、EMSビジネスおよび海外ビジネスの強化・拡大、経営基盤の強化ではコーポレートガバナンスの強化、効率的なグループ運営、人的資本への投資、新規事業の創出では新規分野への取り組み、ベンチャー投資によるオープンイノベーションの推進、非連続な成長を狙うM&Aへの挑戦を掲げている。SDGs経営の推進については、サステナビリティ中長期経営計画(21年11月公表)に基づいて、持続可能な社会の実現と持続的なグループの成長の両立を目指す。
 
 23年1月には、トラース・オン・プロダクト<6696>が開発したAIによる電力コスト削減システム「AIrux8(エーアイラックス エイト)」について、日本における代理店1号として販売開始した。
 
 23年2月には、子会社のエクセルがEVバスの輸出入を展開するアルファバスジャパンと共同で、しずてつジャストライン(静岡県静岡市)に中国ALFA社製のEVバスを納入し、静岡県内初となる大型EV路線バスとして静岡市内の路線で運行開始した。23年3月には越後交通(新潟県長岡市)に中国ALFA社製のEVバスを納入し、新潟県内初となる大型EV路線バスとして長岡市内の路線で運行開始した。
 
 23年8月にはメキシコにおけるEMS生産体制強化・拡充を発表した。米国市場向け四輪自動車用照明ユニット組立を中心とした生産活動を行っており、これら既存顧客からの受注増に加えて、米国市場向け空調機器用電装基盤組立の新規顧客獲得が見込まれるとしている。新工場は24年4月操業開始予定である。
 
 なお23年3月には、経済産業省と日本健康会議が進める健康経営優良法人認定制度において「健康経営優良法人2023」の認定を受けた。また9月5日には社員の福利厚生および健康増進を目的に、日本初導入の最新AIフィットネスマシン(ドイツのフィットネス機器メーカーEGYM製)を設置した従業員向けトレーニングルームを本社ビル内に開設したとリリースしている。
 
■24年3月期減益予想だが上振れ余地、25年3月期成長回復シナリオ
 
 24年3月期の連結業績予想は、売上高が23年3月期比9.5%減の5500億円、営業利益が22.5%減の250億円、経常利益が23.6%減の250億円、そして親会社株主帰属当期純利益が22.0%減の180億円としている。配当予想は23年3月期と同額の220円(第2四半期末110円、期末110円)としている。23年3月期には特別配当70円および創立55周年記念配当10円が含まれているため、普通配当ベースでは80円増配の形となる。予想配当性向は32.1%となる。
 
 第1四半期は、売上高が前年同期比7.8%減の1376億94百万円、営業利益が28.8%減の69億94百万円、経常利益が29.9%減の69億09百万円、親会社株主帰属四半期純利益が17.4%減の57億67百万円だった。
 
 電子部品事業における前期のスポット需要の解消などで減収減益だったが、営業利益は社内計画(49億円)を大幅に上回る水準で着地した。また前年同期比で営業利益は28億26百万円減益だったが、スポット需要の解消(営業利益23億13百万円減益要因)や、特定取引先の民事再生申請に伴う損失引当(同4億12百万円減益要因)を除けば、実質的に前年並みの利益水準だったとしている。営業外費用では為替差損が2億15百万円増加、特別利益では投資有価証券売却益10億65百万円を計上した。
 
 電子部品事業は、売上高が10.1%減の1200億15百万円、セグメント利益(全社費用等調整前営業利益)が34.3%減の59億22百万円だった。部品販売ビジネスにおいて、前期のスポット需要が解消したことに加えて、顧客全般における在庫調整の顕在化も影響した。EMSビジネスは車載関連が伸長したが、医療機器関連や産業機器関連が顧客の在庫調整の影響などで減少した。
 
 情報機器事業は売上高が8.1%増の120億50百万円、利益が32.2%増の7億46百万円だった。教育機関向けパソコン販売が好調に推移し、LED設置ビジネスの大口案件も寄与した。
 
 ソフトウェア事業は売上高が15.8%増の5億77百万円、利益が4百万円の損失(前年同期は33百万円の損失)だった。スマホ向けゲーム制作やCG制作における大型案件や新規案件の受注が寄与して損失縮小した。
 
 その他事業は売上高が20.9%増の50億50百万円、利益が17.0%増の2億91百万円だった。PC製品・周辺機器のリサイクルビジネスが好調に推移し、アミューズメント業界向けアーケードゲーム機器も伸長した。
 
 会社別の営業利益(連結調整前)は加賀電子が9.4%減の56億63百万円、加賀EFIが73.8%減の7億97百万円、エクセルが5.0%増の4億85百万円だった。中計セグメント別の営業利益(連結調整前)は電子部品事業が43.5%減の36億95百万円、EMS事業が6.8%減の24億33百万円、CSI(コンシューマー&システムインテグレーター)事業が32.2%増の7億46百万円、その他事業が1.5%増の81百万円だった。
 
 通期連結業績予想は据え置いている。コロナ禍における需要増からの反動や顧客の在庫調整の影響など一時的な需要減退により減収減益予想としている。営業利益72億49百万円減益の要因分析は販売数量・販売ミックスで▲52億05百万円、スポット販売減少で▲43億09百万円、販管費減少で+22億65百万円、為替影響で±0百万円の見込みとしている。
 
 セグメント別の計画は、電子部品事業の売上高が12.6%減の4715億円で利益(全社費用等調整前営業利益)が26.9%減の207億円、情報機器事業の売上高が3.0%増の450億円で利益が2.1%増の25億円、ソフトウェア事業の売上高が50.1%増の45億円で利益が4.6%増の3億円、その他事業の売上高が31.6%増の290億円で利益が36.1%増の15億円としている。
 
 ただし第1四半期の営業利益が社内計画を大幅に上回る水準で着地し、営業利益進捗率も28%と順調だったことを勘案すれば、通期会社予想に上振れ余地がありそうだ。また、中期経営計画最終年度25年3月期の営業利益目標を、従来の「200億円」から「300億円以上」に大幅に引き上げている。24年3月期は一時的な需要減退の影響を受けるが、25年3月期は成長軌道に回帰する見込みとしている。積極的な事業展開で収益拡大基調だろう。
 
■株価は高値更新の展開
 
 なお23年8月には、JPX総研および日本経済新聞社が共同で算出する「JPX日経インデックス400」の構成銘柄として新規選定された。
 
 株価は日柄調整が完了して上場来高値更新の展開となった。指標面の割安感も評価材料であり、自律調整を交えながら上値を試す展開を期待したい。9月6日の終値は6820円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS685円42銭で算出)は約10倍、今期予想配当利回り(会社予想の220円で算出)は約3.2%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS4935円36銭で算出)は約1.4倍、そして時価総額は約1957億円である。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media−IR

[08月23日更新]

加賀電子は上値試す、24年3月期1Q減益だが計画超で通期上振れ余地

 加賀電子<8154>(東証プライム)は独立系の大手エレクトロニクス総合商社である。半導体・電子部品等の商社ビジネス、電装基板製造受託のEMSビジネスを展開し、成長に向けて収益力強化、経営基盤強化、新規事業創出、SDGs経営を推進している。8月16日にはメキシコにおけるEMS生産体制強化・拡充をリリースした。24年3月期第1四半期は電子部品事業における前期のスポット需要の解消などで減収減益だったが、営業利益は社内計画を大幅に上回る水準で着地した。通期予想は据え置いて、コロナ禍における需要増からの反動や顧客の在庫調整の影響など一時的な需要減退により減収減益予想としている。ただし第1四半期の営業利益進捗率は28%と順調だったため、通期会社予想に上振れ余地がありそうだ。さらに25年3月期は成長軌道に回帰する見込みとしている。積極的な事業展開で収益拡大基調を期待したい。株価は上場来高値圏で堅調だ。指標面の割安感も評価材料であり、日柄調整が完了して上値を試す展開を期待したい。

■独立系の大手エレクトロニクス総合商社

 独立系の大手エレクトロニクス総合商社である。半導体・電子部品等の商社ビジネス、および電装基板製造受託サービスのEMSビジネスを展開している。

 19年1月に富士通エレクトロニクスを子会社化(20年12月に社名を加賀FEIに変更、22年1月に完全子会社化)した。19年10月にはパイオニアの製造子会社である十和田パイオニアを子会社化して商号を加賀EMS十和田に変更、20年4月にはエレクトロニクス商社のエクセルを子会社化、20年11月には旭東電気から新設分割された新:旭東電気を子会社化した。21年10月には加賀EFIが、太陽誘電<6976>からBluetoothおよびWireless LANモジュールに関わる商圏、開発・製造技術ならびに知的財産権を承継し、22年1月から小型無線モジュール事業に本格参入した。23年5月には加賀EFIが、セルシスよりUI/UX事業を譲受(オーストリアのカンデラの100%株式、および日本における商権・知的財産権等を取得)した。

 23年3月期のセグメント別売上高構成比は電子部品事業(半導体、電子部品、EMS)が89%、情報機器事業(パソコン・周辺機器、各種家電、写真・映像関連商品)が7%、ソフトウェア事業(CGアニメ映像制作、アミューズメント関連商品)が0%、その他事業(エレクトロニクス機器修理、アミューズメント機器製造販売、スポーツ用品販売など)が4%、営業利益構成比は電子部品事業が88%、情報機器事業が8%、ソフトウェア事業が1%、その他事業が3%、調整額が0%だった。

 中期経営計画に沿ったセグメント区分は電子部品事業、EMS事業、CSI事業(情報機器事業)、その他事業(ソフトウェア事業、その他)としている。23年3月期の売上構成比は電子部品事業が66%、EMS事業が25%、CSI事業が7%、その他事業が3%、営業利益構成比は電子部品事業が60%、EMS事業が30%、CSI事業が8%、その他事業が2%、調整額が0%だった。

■収益力強化や新規事業創出を推進

 中期経営計画2024では基本方針に、更なる収益力の強化、経営基盤の強化、新規事業の創出、SDGs経営の推進を掲げている。経営目標値(23年5月11日付で営業利益とROEを上方修正)については、25年3月期の売上高が7500億円(電子部品事業3800億円、EMS事業1500億円、CSI事業540億円、その他事業160億円、新規M&A等1500億円)、営業利益が300億円以上(前回予想は200億円)、ROEが安定的に10%以上(同、安定的に8.5%以上)としている。株主還元については連結配当性向の目安を25〜35%に置き、安定的かつ継続的に充実化する。

 重点アクションとして、さらなる収益力の強化では成長分野(モビリティ、通信、環境、産業機器、医療・ヘルスケア)への選択と集中、EMSビジネスおよび海外ビジネスの強化・拡大、経営基盤の強化ではコーポレートガバナンスの強化、効率的なグループ運営、人的資本への投資、新規事業の創出では新規分野への取り組み、ベンチャー投資によるオープンイノベーションの推進、非連続な成長を狙うM&Aへの挑戦を掲げている。SDGs経営の推進については、サステナビリティ中長期経営計画(21年11月公表)に基づいて、持続可能な社会の実現と持続的なグループの成長の両立を目指す。

 23年1月には、トラース・オン・プロダクト<6696>が開発したAIによる電力コスト削減システム「AIrux8(エーアイラックス エイト)」について、日本における代理店1号として販売開始した。

 23年2月には、子会社のエクセルがEVバスの輸出入を展開するアルファバスジャパンと共同で、しずてつジャストライン(静岡県静岡市)に中国ALFA社製のEVバスを納入し、静岡県内初となる大型EV路線バスとして静岡市内の路線で運行開始した。23年3月には越後交通(新潟県長岡市)に中国ALFA社製のEVバスを納入し、新潟県内初となる大型EV路線バスとして長岡市内の路線で運行開始した。

 23年3月には、経済産業省と日本健康会議が進める健康経営優良法人認定制度において「健康経営優良法人2023」の認定を受けた。

 8月16日にはメキシコにおけるEMS生産体制強化・拡充をリリースした。米国市場向け四輪自動車用照明ユニット組立を中心とした生産活動を行っており、これら既存顧客からの受注増に加えて、米国市場向け空調機器用電装基盤組立の新規顧客獲得が見込まれるとしている。新工場は24年4月操業開始予定である。

■24年3月期減益予想だが上振れ余地、25年3月期成長回復シナリオ

 24年3月期の連結業績予想は、売上高が23年3月期比9.5%減の5500億円、営業利益が22.5%減の250億円、経常利益が23.6%減の250億円、そして親会社株主帰属当期純利益が22.0%減の180億円としている。配当予想は23年3月期と同額の220円(第2四半期末110円、期末110円)としている。23年3月期には特別配当70円および創立55周年記念配当10円が含まれているため、普通配当ベースでは80円増配の形となる。予想配当性向は32.1%となる。

 第1四半期は、売上高が前年同期比7.8%減の1376億94百万円、営業利益が28.8%減の69億94百万円、経常利益が29.9%減の69億09百万円、親会社株主帰属四半期純利益が17.4%減の57億67百万円だった。

 電子部品事業における前期のスポット需要の解消などで減収減益だったが、営業利益は社内計画(49億円)を大幅に上回る水準で着地した。また前年同期比で営業利益は28億26百万円減益だったが、スポット需要の解消(営業利益23億13百万円減益要因)や、特定取引先の民事再生申請に伴う損失引当(同4億12百万円減益要因)を除けば、実質的に前年並みの利益水準だったとしている。営業外費用では為替差損が2億15百万円増加、特別利益では投資有価証券売却益10億65百万円を計上した。

 電子部品事業は、売上高が10.1%減の1200億15百万円、セグメント利益(全社費用等調整前営業利益)が34.3%減の59億22百万円だった。部品販売ビジネスにおいて、前期のスポット需要が解消したことに加えて、顧客全般における在庫調整の顕在化も影響した。EMSビジネスは車載関連が伸長したが、医療機器関連や産業機器関連が顧客の在庫調整の影響などで減少した。

 情報機器事業は売上高が8.1%増の120億50百万円、利益が32.2%増の7億46百万円だった。教育機関向けパソコン販売が好調に推移し、LED設置ビジネスの大口案件も寄与した。

 ソフトウェア事業は売上高が15.8%増の5億77百万円、利益が4百万円の損失(前年同期は33百万円の損失)だった。スマホ向けゲーム制作やCG制作における大型案件や新規案件の受注が寄与して損失縮小した。

 その他事業は売上高が20.9%増の50億50百万円、利益が17.0%増の2億91百万円だった。PC製品・周辺機器のリサイクルビジネスが好調に推移し、アミューズメント業界向けアーケードゲーム機器も伸長した。

 会社別の営業利益(連結調整前)は加賀電子が9.4%減の56億63百万円、加賀EFIが73.8%減の7億97百万円、エクセルが5.0%増の4億85百万円だった。中計セグメント別の営業利益(連結調整前)は電子部品事業が43.5%減の36億95百万円、EMS事業が6.8%減の24億33百万円、CSI(コンシューマー&システムインテグレーター)事業が32.2%増の7億46百万円、その他事業が1.5%増の81百万円だった。

 通期連結業績予想は据え置いている。コロナ禍における需要増からの反動や顧客の在庫調整の影響など一時的な需要減退により減収減益予想としている。営業利益72億49百万円減益の要因分析は販売数量・販売ミックスで▲52億05百万円、スポット販売減少で▲43億09百万円、販管費減少で+22億65百万円、為替影響で±0百万円の見込みとしている。

 セグメント別の計画は、電子部品事業の売上高が12.6%減の4715億円で利益(全社費用等調整前営業利益)が26.9%減の207億円、情報機器事業の売上高が3.0%増の450億円で利益が2.1%増の25億円、ソフトウェア事業の売上高が50.1%増の45億円で利益が4.6%増の3億円、その他事業の売上高が31.6%増の290億円で利益が36.1%増の15億円としている。

 ただし第1四半期の営業利益進捗率は28%と順調だったため、通期会社予想に上振れ余地がありそうだ。また中期経営計画最終年度25年3月期の営業利益目標を、従来の「200億円」から「300億円以上」に大幅に引き上げている。24年3月期は一時的な需要減退の影響を受けるが、25年3月期は成長軌道に回帰する見込みとしている。積極的な事業展開で収益拡大基調を期待したい。

■株価は上値試す

 なお23年8月には、JPX総研および日本経済新聞社が共同で算出する「JPX日経インデックス400」の構成銘柄として新規選定された。

 株価は上場来高値圏で堅調だ。指標面の割安感も評価材料であり、日柄調整が完了して上値を試す展開を期待したい。8月22日の終値は6430円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS685円42銭で算出)は約9倍、今期予想配当利回り(会社予想の220円で算出)は約3.4%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS4935円36銭で算出)は約1.3倍、そして時価総額は約1846億円である。 (情報提供:日本インタビュ新聞社=Media−IR
[08月04日更新]

加賀電子は24年3月期1Q減益だが社内計画を上回る水準、通期上振れ余地

 加賀電子<8154>(東証プライム)は8月3日の取引時間終了後に24年3月期第1四半期連結業績を発表した。電子部品事業における前期のスポット需要の解消などで減収減益だったが、営業利益は社内計画を大幅に上回る水準で着地した。通期予想は据え置いて、コロナ禍における需要増からの反動や顧客の在庫調整の影響など一時的な需要減退により減収減益予想としている。ただし第1四半期の営業利益進捗率は28%と順調だったため、通期会社予想に上振れ余地がありそうだ。積極的な事業展開で収益拡大基調を期待したい。株価は上場来高値圏だ。目先的には第1四半期の減益を嫌気する動きが優勢になる可能性もあるが、指標面の割安感も評価材料であり、目先的な利益確定売りをこなしながら上値を試す展開を期待したい。

■24年3月1Q減益だが社内計画を上回る水準で着地

 24年3月期第1四半期の連結業績は売上高が前年同期比7.8%減の1376億94百万円、営業利益が28.8%減の69億94百万円、経常利益が29.9%減の69億09百万円、親会社株主帰属四半期純利益が17.4%減の57億67百万円だった。

 電子部品事業における前期のスポット需要の解消などで減収減益だったが、営業利益は社内計画(49億円)を大幅に上回る水準で着地した。また前年同期比で営業利益は28億26百万円減益だったが、スポット需要の解消(営業利益23億13百万円減益要因)や、特定取引先の民事再生申請に伴う損失引当(同4億12百万円減益要因)を除けば、実質的に前年並みの利益水準だったとしている。営業外費用では為替差損が2億15百万円増加、特別利益では投資有価証券売却益10億65百万円を計上した。

 電子部品事業は、売上高が10.1%減の1200億15百万円、セグメント利益(全社費用等調整前営業利益)が34.3%減の59億22百万円だった。部品販売ビジネスにおいて、前期のスポット需要が解消したことに加えて、顧客全般における在庫調整の顕在化も影響した。EMSビジネスは車載関連が伸長したが、医療機器関連や産業機器関連が顧客の在庫調整の影響などで減少した。

 情報機器事業は売上高が8.1%増の120億50百万円、利益が32.2%増の7億46百万円だった。教育機関向けパソコン販売が好調に推移し、LED設置ビジネスの大口案件も寄与した。

 ソフトウェア事業は売上高が15.8%増の5億77百万円、利益が4百万円の損失(前年同期は33百万円の損失)だった。スマホ向けゲーム制作やCG制作における大型案件や新規案件の受注が寄与して損失縮小した。

 その他事業は売上高が20.9%増の50億50百万円、利益が17.0%増の2億91百万円だった。PC製品・周辺機器のリサイクルビジネスが好調に推移し、アミューズメント業界向けアーケードゲーム機器も伸長した。

 会社別の営業利益(連結調整前)は加賀電子が9.4%減の56億63百万円、加賀EFIが73.8%減の7億97百万円、エクセルが5.0%増の4億85百万円だった。中計セグメント別の営業利益(連結調整前)は電子部品事業が43.5%減の36億95百万円、EMS事業が6.8%減の24億33百万円、CSI(コンシューマー&システムインテグレーター)事業が32.2%増の7億46百万円、その他事業が1.5%増の81百万円だった。

 通期連結業績予想は据え置いて、売上高が23年3月期比9.5%減の5500億円、営業利益が22.5%減の250億円、経常利益が23.6%減の250億円、親会社株主帰属当期純利益が22.0%減の180億円としている。配当予想は23年3月期と同額の220円(第2四半期末110円、期末110円)としている。普通配当ベースでは増配の形となる。予想配当性向は32.1%である。

 コロナ禍における需要増からの反動や顧客の在庫調整の影響など一時的な需要減退により減収減益予想としている。営業利益72億49百万円減益の要因分析は販売数量・販売ミックスで▲52億05百万円、スポット販売減少で▲43億09百万円、販管費減少で+22億65百万円、為替影響で±0百万円の見込みとしている。

 セグメント別の計画は、電子部品事業の売上高が12.6%減の4715億円で利益(全社費用等調整前営業利益)が26.9%減の207億円、情報機器事業の売上高が3.0%増の450億円で利益が2.1%増の25億円、ソフトウェア事業の売上高が50.1%増の45億円で利益が4.6%増の3億円、その他事業の売上高が31.6%増の290億円で利益が36.1%増の15億円としている。

 ただし第1四半期の営業利益進捗率は28%と順調だったため、通期会社予想に上振れ余地がありそうだ。また中期経営計画最終年度25年3月期の営業利益目標を、従来の「200億円」から「300億円以上」に大幅に引き上げている。24年3月期は一時的な需要減退の影響を受けるが、25年3月期は成長に戻るシナリオだ。積極的な事業展開で収益拡大基調を期待したい。

■株価は上値試す

 株価は上場来高値圏だ。目先的には第1四半期の減益を嫌気する動きが優勢になる可能性もあるが、指標面の割安感も評価材料であり、目先的な利益確定売りをこなしながら上値を試す展開を期待したい。8月3日の終値は6100円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS685円42銭で算出)は約9倍、今期予想配当利回り(会社予想の220円で算出)は約3.6%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS4935円36銭で算出)は約1.2倍、そして時価総額は約1751億円である。 (情報提供:日本インタビュ新聞社=Media−IR
[07月26日更新]

加賀電子は上値試す、24年3月期減益予想だが25年3月期成長軌道回復

 加賀電子<8154>(東証プライム)は独立系の大手エレクトロニクス総合商社である。半導体・電子部品等の商社ビジネス、および電装基板製造受託のEMSビジネスを展開し、成長に向けて収益力の強化、経営基盤の強化、新規事業の創出、SDGs経営を推進している。24年3月期はコロナ禍における需要増からの反動や顧客の在庫調整の影響など、一時的な需要減退で減収減益予想としている。ただし中期経営計画の最終年度25年3月期営業利益目標を大幅に引き上げている。25年3月期は成長軌道に回復するシナリオだ。積極的な事業展開で収益拡大基調だろう。株価は上場来高値圏で堅調だ。依然として指標面の割安感も強い。自律調整を交えながら上値を試す展開を期待したい。なお8月3日に24年3月期第1四半期決算発表を予定している。

■独立系の大手エレクトロニクス総合商社

 独立系の大手エレクトロニクス総合商社である。半導体・電子部品等の商社ビジネス、および電装基板製造受託サービスのEMSビジネスを展開している。

 19年1月に富士通エレクトロニクスを子会社化(20年12月に社名を加賀FEIに変更、22年1月に完全子会社化)した。19年10月にはパイオニアの製造子会社である十和田パイオニアを子会社化して商号を加賀EMS十和田に変更、20年4月にはエレクトロニクス商社のエクセルを子会社化、20年11月には旭東電気から新設分割された新:旭東電気を子会社化した。21年10月には加賀EFIが、太陽誘電<6976>からBluetoothおよびWireless LANモジュールに関わる商圏、開発・製造技術ならびに知的財産権を承継し、22年1月から小型無線モジュール事業に本格参入した。23年5月には加賀EFIが、セルシスよりUI/UX事業を譲受(オーストリアのカンデラの100%株式、および日本における商権・知的財産権等を取得)した。

 23年3月期のセグメント別売上高構成比は電子部品事業(半導体、電子部品、EMS)が89%、情報機器事業(パソコン・周辺機器、各種家電、写真・映像関連商品)が7%、ソフトウェア事業(CGアニメ映像制作、アミューズメント関連商品)が0%、その他事業(エレクトロニクス機器修理、アミューズメント機器製造販売、スポーツ用品販売など)が4%、営業利益構成比は電子部品事業が88%、情報機器事業が8%、ソフトウェア事業が1%、その他事業が3%、調整額が0%だった。

 中期経営計画に沿ったセグメント区分は電子部品事業、EMS事業、CSI事業(情報機器事業)、その他事業(ソフトウェア事業、その他)としている。23年3月期の売上構成比は電子部品事業が66%、EMS事業が25%、CSI事業が7%、その他事業が3%、営業利益構成比は電子部品事業が60%、EMS事業が30%、CSI事業が8%、その他事業が2%、調整額が0%だった。

■収益力強化や新規事業創出を推進

 中期経営計画2024では基本方針に、更なる収益力の強化、経営基盤の強化、新規事業の創出、SDGs経営の推進を掲げている。経営目標値(23年5月11日付で営業利益とROEを上方修正)については、25年3月期の売上高が7500億円(電子部品事業3800億円、EMS事業1500億円、CSI事業540億円、その他事業160億円、新規M&A等1500億円)、営業利益が300億円以上(前回予想は200億円)、ROEが安定的に10%以上(同、安定的に8.5%以上)としている。株主還元については連結配当性向の目安を25〜35%に置き、安定的かつ継続的に充実化する。

 重点アクションとして、さらなる収益力の強化では成長分野(モビリティ、通信、環境、産業機器、医療・ヘルスケア)への選択と集中、EMSビジネスおよび海外ビジネスの強化・拡大、経営基盤の強化ではコーポレートガバナンスの強化、効率的なグループ運営、人的資本への投資、新規事業の創出では新規分野への取り組み、ベンチャー投資によるオープンイノベーションの推進、非連続な成長を狙うM&Aへの挑戦を掲げている。SDGs経営の推進については、サステナビリティ中長期経営計画(21年11月公表)に基づいて、持続可能な社会の実現と持続的なグループの成長の両立を目指す。

 23年1月には、トラース・オン・プロダクト<6696>が開発したAIによる電力コスト削減システム「AIrux8(エーアイラックス エイト)」について、日本における代理店1号として販売開始した。

 23年2月には、子会社のエクセルがEVバスの輸出入を展開するアルファバスジャパンと共同で、しずてつジャストライン(静岡県静岡市)に中国ALFA社製のEVバスを納入し、静岡県内初となる大型EV路線バスとして静岡市内の路線で運行開始した。23年3月には越後交通(新潟県長岡市)に中国ALFA社製のEVバスを納入し、新潟県内初となる大型EV路線バスとして長岡市内の路線で運行開始した。

 23年3月には、経済産業省と日本健康会議が進める健康経営優良法人認定制度において「健康経営優良法人2023」の認定を受けた。

■24年3月期減益予想だが25年3月期成長回復シナリオ

 24年3月期の連結業績予想は、売上高が23年3月期比9.5%減の5500億円、営業利益が22.5%減の250億円、経常利益が23.6%減の250億円、そして親会社株主帰属当期純利益が22.0%減の180億円としている。配当予想は23年3月期と同額の220円(第2四半期末110円、期末110円)としている。23年3月期には特別配当70円および創立55周年記念配当10円が含まれているため、普通配当ベースでは80円増配の形となる。予想配当性向は32.1%となる。

 24年3月期はコロナ禍における需要増からの反動や顧客の在庫調整の影響など、一時的な需要減退で減収減益予想としている。営業利益72億49百万円減益の要因分析は販売数量・販売ミックスで▲48億83百万円、スポット販売減少で▲46億31百万円、販管費減少で+22億65百万円、為替影響で±0百万円の見込みとしている。

 セグメント別の計画は、電子部品事業の売上高が12.6%減の4715億円で利益(全社費用等調整前営業利益)が26.9%減の207億円、情報機器事業の売上高が3.0%増の450億円で利益が2.1%増の25億円、ソフトウェア事業の売上高が50.1%増の45億円で利益が4.6%増の3億円、その他事業の売上高が31.6%増の290億円で利益が36.1%増の15億円としている。

 ただし中期経営計画の最終年度25年3月期営業利益目標を従来の「200億円」から、今回の「300億円以上」に大幅に引き上げている。24年3月期は一時的な需要減退の影響を受けるが、25年3月期は成長軌道に回復するシナリオだ。積極的な事業展開で収益拡大基調だろう。

■株価は上値試す

 なお22年8月には、JPX総研および日本経済新聞社が共同して算出する「JPX日経中小型株指数」の2022年度構成銘柄として、昨年度に続いて選定された。

 23年1月には3つの主要なIRサイト評価機関において22年度も高い評価を得たとリリースしている。具体的には大和インベスター・リレーションズの2022年インターネットIR表彰で最優秀賞、日興アイ・アールの2022年度全上場企業ホームページ充実度ランキング調査で総合部門・最優秀サイト、ブロードバンドセキュリティのGomez IRサイトランキング2022で優秀企業・銅賞を獲得した。

 株価は上場来高値圏で堅調だ。依然として指標面の割安感も強い。自律調整を交えながら上値を試す展開を期待したい。7月25日の終値は6310円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS685円42銭で算出)は約9倍、今期予想配当利回り(会社予想の220円で算出)は約3.5%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS4935円36銭で算出)は約1.3倍、そして時価総額は約1811億円である。 (情報提供:日本インタビュ新聞社=Media−IR
[06月29日更新]

加賀電子は上値試す、24年3月期減益予想だが25年3月期成長回復シナリオ

 加賀電子<8154>(東証プライム)は独立系の大手エレクトロニクス総合商社である。半導体・電子部品・情報機器等の商社ビジネス、および電装基板製造受託のEMSビジネスを展開し、成長に向けて収益力の強化、経営基盤の強化、新規事業の創出、SDGs経営を推進している。24年3月期は減収減益予想としている。コロナ禍における需要増からの反動や顧客の在庫調整の影響で一時的な需要減退を見込んでいる。ただし中期経営計画最終年度25年3月期営業利益目標を大幅に引き上げている。25年3月期は成長軌道に回復するシナリオだ。積極的な事業展開で収益拡大基調だろう。株価は急伸して高値更新の展開だ。目先的には利益確定売りが優勢になる可能性もあるが、週足チャートで見ると13週移動平均線がサポートラインの形であり、依然として指標面の割安感も強い。自律調整を交えながら上値を試す展開を期待したい。

■独立系の大手エレクトロニクス総合商社

 独立系の大手エレクトロニクス総合商社である。M&Aも積極活用して半導体・電子部品・情報機器等の商社ビジネス、および電装基板製造受託サービスのEMSビジネスを展開している。

 19年1月に富士通エレクトロニクスを子会社化(20年12月に社名を加賀FEIに変更、22年1月に完全子会社化)した。19年10月にはパイオニアの製造子会社である十和田パイオニアを子会社化して商号を加賀EMS十和田に変更、20年4月にはエレクトロニクス商社のエクセルを子会社化、20年11月には旭東電気から新設分割された新:旭東電気を子会社化した。21年10月には加賀EFIが、太陽誘電<6976>からBluetoothおよびWireless LANモジュールに関わる商圏、開発・製造技術ならびに知的財産権を承継し、22年1月から小型無線モジュール事業に本格参入した。

 23年3月期のセグメント別売上高構成比は電子部品事業(半導体、電子部品、EMS)が89%、情報機器事業(パソコン・周辺機器、各種家電、写真・映像関連商品)が7%、ソフトウェア事業(CGアニメ映像制作、アミューズメント関連商品)が0%、その他事業(エレクトロニクス機器修理、アミューズメント機器製造販売、スポーツ用品販売など)が4%、営業利益構成比は電子部品事業が88%、情報機器事業が8%、ソフトウェア事業が1%、その他事業が3%、調整額が0%だった。

 中期経営計画に沿ったセグメント区分は電子部品事業、EMS事業、CSI事業(情報機器事業)、その他事業(ソフトウェア事業、その他)としている。23年3月期の売上構成比は電子部品事業が66%、EMS事業が25%、CSI事業が7%、その他事業が3%、営業利益構成比は電子部品事業が60%、EMS事業が30%、CSI事業が8%、その他事業が2%、調整額が0%だった。

■収益力強化や新規事業創出を推進

 中期経営計画2024では基本方針に、更なる収益力の強化、経営基盤の強化、新規事業の創出、SDGs経営の推進を掲げている。経営目標値(23年5月11日付で営業利益とROEを上方修正)については、25年3月期の売上高が7500億円(電子部品事業3800億円、EMS事業1500億円、CSI事業540億円、その他事業160億円、新規M&A等1500億円)、営業利益が300億円以上(前回予想は200億円)、ROEが安定的に10%以上(同、安定的に8.5%以上)としている。株主還元については連結配当性向の目安を25〜35%に置き、安定的かつ継続的に充実化する。

 重点アクションとして、さらなる収益力の強化では成長分野(モビリティ、通信、環境、産業機器、医療・ヘルスケア)への選択と集中、EMSビジネスおよび海外ビジネスの強化・拡大、経営基盤の強化ではコーポレートガバナンスの強化、効率的なグループ運営、人的資本への投資、新規事業の創出では新規分野への取り組み、ベンチャー投資によるオープンイノベーションの推進、非連続な成長を狙うM&Aへの挑戦を掲げている。SDGs経営の推進については、サステナビリティ中長期経営計画(21年11月公表)に基づいて、持続可能な社会の実現と持続的なグループの成長の両立を目指す。

 23年1月には、トラース・オン・プロダクト<6696>が開発したAIによる電力コスト削減システム「AIrux8(エーアイラックス エイト)」について、日本における代理店1号として販売開始した。

 23年2月には、子会社のエクセルがEVバスの輸出入を展開するアルファバスジャパンと共同で、しずてつジャストライン(静岡県静岡市)に中国ALFA社製のEVバスを納入し、静岡県内初となる大型EV路線バスとして静岡市内の路線で運行開始した。23年3月には越後交通(新潟県長岡市)に中国ALFA社製のEVバスを納入し、新潟県内初となる大型EV路線バスとして長岡市内の路線で運行開始した。

 23年3月には、経済産業省と日本健康会議が進める健康経営優良法人認定制度において「健康経営優良法人2023」の認定を受けた。

■24年3月期減益予想だが25年3月期成長回復シナリオ

 24年3月期の連結業績予想は、売上高が23年3月期比9.5%減の5500億円、営業利益が22.5%減の250億円、経常利益が23.6%減の250億円、そして親会社株主帰属当期純利益が22.0%減の180億円としている。配当予想は23年3月期と同額の220円(第2四半期末110円、期末110円)としている。23年3月期には特別配当70円および創立55周年記念配当10円が含まれているため、普通配当ベースでは80円増配の形となる。予想配当性向は32.1%となる。

 24年3月期は減収減益予想としている。コロナ禍における需要増からの反動や顧客の在庫調整の影響で一時的な需要減退を見込んでいる。営業利益72億49百万円減益の要因分析は販売数量・販売ミックスで▲48億83百万円、スポット販売減少で▲46億31百万円、販管費減少で+22億65百万円、為替影響で±0百万円の見込みとしている。

 セグメント別の計画は、電子部品事業の売上高が12.6%減の4715億円で利益(全社費用等調整前営業利益)が26.9%減の207億円、情報機器事業の売上高が3.0%増の450億円で利益が2.1%増の25億円、ソフトウェア事業の売上高が50.1%増の45億円で利益が4.6%増の3億円、その他事業の売上高が31.6%増の290億円で利益が36.1%増の15億円としている。

 ただし中期経営計画の最終年度25年3月期営業利益目標を従来の「200億円」から、今回の「300億円以上」に大幅に引き上げている。24年3月期は一時的な需要減退の影響を受けるが、25年3月期は成長軌道に回復するシナリオだ。積極的な事業展開で収益拡大基調だろう。

■株価は上値試す

 なお22年8月には、JPX総研および日本経済新聞社が共同して算出する「JPX日経中小型株指数」の2022年度構成銘柄として、昨年度に続いて選定された。

 23年1月には3つの主要なIRサイト評価機関において22年度も高い評価を得たとリリースしている。具体的には大和インベスター・リレーションズの2022年インターネットIR表彰で最優秀賞、日興アイ・アールの2022年度全上場企業ホームページ充実度ランキング調査で総合部門・最優秀サイト、ブロードバンドセキュリティのGomez IRサイトランキング2022で優秀企業・銅賞を獲得した。

 株価は急伸して高値更新の展開だ。目先的には利益確定売りが優勢になる可能性もあるが、週足チャートで見ると13週移動平均線がサポートラインの形であり、依然として指標面の割安感も強い。自律調整を交えながら上値を試す展開を期待したい。6月28日の終値は6240円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS685円42銭で算出)は約9倍、今期予想配当利回り(会社予想の220円で算出)は約3.5%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS4935円36銭で算出)は約1.3倍、そして時価総額は約1791億円である。 (情報提供:日本インタビュ新聞社=Media−IR
[06月15日更新]

加賀電子は上場来高値更新の展開、24年3月期減益予想だが25年3月期成長回復シナリオ

 加賀電子<8154>(東証プライム)は独立系の大手エレクトロニクス総合商社である。半導体・電子部品・情報機器等の商社ビジネス、および電装基板製造受託のEMSビジネスを展開し、成長に向けて収益力の強化、経営基盤の強化、新規事業の創出、SDGs経営を推進している。24年3月期は減収減益予想としている。コロナ禍における需要増からの反動や顧客の在庫調整の影響で一時的な需要減退を見込んでいる。ただし中期経営計画最終年度25年3月期営業利益目標を大幅に引き上げている。25年3月期は成長軌道に回復するシナリオだ。積極的な事業展開で収益拡大基調だろう。株価は上場来高値更新の展開だ。利益確定売りをこなしながら上値を試す展開を期待したい。

■独立系の大手エレクトロニクス総合商社

 独立系の大手エレクトロニクス総合商社である。M&Aも積極活用して半導体・電子部品・情報機器等の商社ビジネス、および電装基板製造受託サービスのEMSビジネスを展開している。

 19年1月に富士通エレクトロニクスを子会社化(20年12月に社名を加賀FEIに変更、22年1月に完全子会社化)した。19年10月にはパイオニアの製造子会社である十和田パイオニアを子会社化して商号を加賀EMS十和田に変更、20年4月にはエレクトロニクス商社のエクセルを子会社化、20年11月には旭東電気から新設分割された新:旭東電気を子会社化した。21年10月には加賀EFIが、太陽誘電<6976>からBluetoothおよびWireless LANモジュールに関わる商圏、開発・製造技術ならびに知的財産権を承継し、22年1月から小型無線モジュール事業に本格参入した。22年12月には加賀エアロシステムがユーロテックジャパンの事業を譲り受けて、回転翼航空機(ヘリコプター)事業を開始した。

 また23年8月(予定)には、加賀EFIがセルシスより、UI/UX事業(セルシスが保有するオーストリアCandera GmbH(カンデラ)の100%株式および日本における商圏・知的財産権)を譲り受ける。グループの車載向けソフトウェア事業に、カンデラのCandera Studio、CGI studioが加わり、幅広い提案が可能となる。

 23年3月期のセグメント別売上高構成比は電子部品事業(半導体、電子部品、EMS)が89%、情報機器事業(パソコン・周辺機器、各種家電、写真・映像関連商品)が7%、ソフトウェア事業(CGアニメ映像制作、アミューズメント関連商品)が0%、その他事業(エレクトロニクス機器修理、アミューズメント機器製造販売、スポーツ用品販売など)が4%、営業利益構成比は電子部品事業が88%、情報機器事業が8%、ソフトウェア事業が1%、その他事業が3%、調整額が0%だった。

 中期経営計画に沿ったセグメント区分は電子部品事業、EMS事業、CSI事業(情報機器事業)、その他事業(ソフトウェア事業、その他)としている。23年3月期の売上構成比は電子部品事業が66%、EMS事業が25%、CSI事業が7%、その他事業が3%、営業利益構成比は電子部品事業が60%、EMS事業が30%、CSI事業が8%、その他事業が2%、調整額が0%だった。

■収益力強化や新規事業創出を推進

 中期経営計画2024では基本方針に、更なる収益力の強化、経営基盤の強化、新規事業の創出、SDGs経営の推進を掲げている。経営目標値(23年5月11日付で営業利益とROEを上方修正)については、25年3月期の売上高が7500億円(電子部品事業3800億円、EMS事業1500億円、CSI事業540億円、その他事業160億円、新規M&A等1500億円)、営業利益が300億円以上(前回予想は200億円)、ROEが安定的に10%以上(同、安定的に8.5%以上)としている。株主還元については連結配当性向の目安を25〜35%に置き、安定的かつ継続的に充実化する。

 重点アクションとして、さらなる収益力の強化では成長分野(モビリティ、通信、環境、産業機器、医療・ヘルスケア)への選択と集中、EMSビジネスおよび海外ビジネスの強化・拡大、経営基盤の強化ではコーポレートガバナンスの強化、効率的なグループ運営、人的資本への投資、新規事業の創出では新規分野への取り組み、ベンチャー投資によるオープンイノベーションの推進、非連続な成長を狙うM&Aへの挑戦を掲げている。SDGs経営の推進については、サステナビリティ中長期経営計画(21年11月公表)に基づいて、持続可能な社会の実現と持続的なグループの成長の両立を目指す。

 21年7月には、ソフトバンクが設立したソフトバンク5Gコンソーシアムの5G関連パートナーとして参画した。5G関連通信設備・機器の提供などを通じて、5G普及促進とともに、事業を通じた社会貢献を追求するとしている。22年4月には社長直下にSDGs推進室を新設した。SDGsの取り組みに関するグループ全体の連携を強化し、サステナビリティ経営を推進する。

 23年1月には、トラース・オン・プロダクト<6696>が開発したAIによる電力コスト削減システム「AIrux8(エーアイラックス エイト)」について、日本における代理店1号として販売開始した。

 23年2月には、子会社のエクセルがEVバスの輸出入を展開するアルファバスジャパンと共同で、しずてつジャストライン(静岡県静岡市)に中国ALFA社製のEVバスを納入し、静岡県内初となる大型EV路線バスとして静岡市内の路線で運行開始した。23年3月には越後交通(新潟県長岡市)に中国ALFA社製のEVバスを納入し、新潟県内初となる大型EV路線バスとして長岡市内の路線で運行開始した。

 なお23年2月には、諸物価高騰に対応して特別賞与(一時金)を支給(対象者数は国内子会社を含めて正社員、嘱託社員ならびに契約社員で約2800人、支給日3月3日)すると発表した。また23年3月には経済産業省と日本健康会議が進める健康経営優良法人認定制度において「健康経営優良法人2023」の認定を受けた。

■ベンチャー投資でイノベーション創出を支援

 創立50周年を記念して設立した「50億円ファンド」を通じてベンチャー投資を行い、イノベーション創出を支援している。

 出資実績としては、ウェアラブルコミュニケーションデバイス開発のBONX、前立腺癌生検および治療用システム開発の米HARMONUS、スマートセキュリティサービスのSecual、ソフトバンクグループで保育クラウドサービスを展開するhugmo、AIソフトウェア開発のハカルス、次世代蓄電デバイス「グリーンキャパシタTM」開発のスペースリンク、動画CM配信プラットフォーム事業やデジタルサイネージ事業CMerTVを展開するSun Asterisk、アジア圏を中心にライブ配信アプリ「17Live」などソーシャルメディアを展開する台湾のM17、医療機器開発ベンチャーのニューロシューティカルズ、シェアリングプラットフォーム「Alice.style」を運営するレンタルサービスベンチャーのピーステックラボなどがある。

 20年10月には、独自開発の光触媒技術を活用して各種環境製品を展開するカルテック(子会社化したエクセルがスタートアップ資金を出資)と、光触媒除菌脱臭機「TURNED K」の販売および製造に関わる部品調達で協業した。20年12月には、オンライン診療システム「D―CUBE」などオンライン健康支援事業を展開するリンケージに出資した。

 21年5月には株式投資型クラウドファンディング事業者の日本クラウドキャピタルに出資、21年6月にはAI関連技術を開発するカタリナに出資、21年10月にはドローン等無人航空機の企画・製造・販売を行うVFR(PCメーカーのVAIOの子会社)に出資、21年11月には堆肥化装置や脱臭装置等を開発・販売するミライエに出資、21年12月には独自AI技術でエナジーインフォマティックス事業を展開するインフォメティスに出資した。

 22年12月には電動バイク製造・販売を行うaidea(アイディア)に出資した。23年3月には次世代蓄電システムの開発を行うスタートアップ企業であるCONNEXX SYSTEMSに出資した。

■24年3月期減益予想だが25年3月期成長回復シナリオ

 24年3月期の連結業績予想は、売上高が23年3月期比9.5%減の5500億円、営業利益が22.5%減の250億円、経常利益が23.6%減の250億円、そして親会社株主帰属当期純利益が22.0%減の180億円としている。配当予想は23年3月期と同額の220円(第2四半期末110円、期末110円)としている。23年3月期には特別配当70円および創立55周年記念配当10円が含まれているため、普通配当ベースでは80円増配の形となる。予想配当性向は32.1%となる。

 24年3月期は減収減益予想としている。コロナ禍における需要増からの反動や顧客の在庫調整の影響で一時的な需要減退を見込んでいる。営業利益72億49百万円減益の要因分析は販売数量・販売ミックスで▲48億83百万円、スポット販売減少で▲46億31百万円、販管費減少で+22億65百万円、為替影響で±0百万円の見込みとしている。

 セグメント別の計画は、電子部品事業の売上高が12.6%減の4715億円で利益(全社費用等調整前営業利益)が26.9%減の207億円、情報機器事業の売上高が3.0%増の450億円で利益が2.1%増の25億円、ソフトウェア事業の売上高が50.1%増の45億円で利益が4.6%増の3億円、その他事業の売上高が31.6%増の290億円で利益が36.1%増の15億円としている。

 ただし中期経営計画最終年度25年3月期営業利益目標を従来の「200億円」から今回の「300億円以上」に大幅に引き上げている。24年3月期は一時的な需要減退の影響を受けるが、25年3月期は成長軌道に回復するシナリオだ。積極的な事業展開で収益拡大基調だろう。

■株価は上場来高値更新の展開

 なお22年8月には、JPX総研および日本経済新聞社が共同して算出する「JPX日経中小型株指数」の2022年度構成銘柄として、昨年度に続いて選定された。

 23年1月には3つの主要なIRサイト評価機関において22年度も高い評価を得たとリリースしている。具体的には大和インベスター・リレーションズの2022年インターネットIR表彰で最優秀賞、日興アイ・アールの2022年度全上場企業ホームページ充実度ランキング調査で総合部門・最優秀サイト、ブロードバンドセキュリティのGomez IRサイトランキング2022で優秀企業・銅賞を獲得した。

 株価は上場来高値更新の展開だ。利益確定売りをこなしながら上値を試す展開を期待したい。6月14日の終値は5890円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS685円42銭で算出)は約9倍、今期予想配当利回り(会社予想の220円で算出)は約3.7%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS4935円36銭で算出)は約1.2倍、時価総額は約1691億円である。 (情報提供:日本インタビュ新聞社=Media−IR
[05月30日更新]

加賀電子は上場来高値圏、24年3月期減益予想だが25年3月期成長回復シナリオ

 加賀電子<8154>(東証プライム)は独立系の大手エレクトロニクス総合商社である。半導体・電子部品・情報機器等の商社ビジネス、および電装基板製造受託のEMSビジネスを展開し、さらなる成長に向けて収益力の強化、経営基盤の強化、新規事業の創出、SDGs経営を推進している。23年3月期は大幅増収増益で過去最高業績だった。電子部品事業において部品販売、EMSとも大幅伸長した。24年3月期は減収減益予想としている。コロナ禍における需要増からの反動や顧客の在庫調整の影響で一時的な需要減退を見込んでいる。ただし、中期経営計画最終年度25年3月期の営業利益目標を大幅に引き上げている。25年3月期は成長に戻るシナリオだ。積極的な事業展開で収益拡大基調を期待したい。株価は上場来高値圏だ。依然として指標面の割安感も評価材料であり、利益確定売りをこなしながら上値を試す展開を期待したい。

■独立系の大手エレクトロニクス総合商社

 独立系の大手エレクトロニクス総合商社である。M&Aも積極活用して半導体・電子部品・情報機器等の商社ビジネス、および電装基板製造受託サービスのEMSビジネスを展開している。

 19年1月に富士通エレクトロニクスを子会社化(20年12月に社名を加賀FEIに変更、22年1月に完全子会社化)した。19年10月にはパイオニアの製造子会社である十和田パイオニアを子会社化して商号を加賀EMS十和田に変更、20年4月にはエレクトロニクス商社のエクセルを子会社化、20年11月には旭東電気から新設分割された新:旭東電気を子会社化した。21年10月には加賀EFIが、太陽誘電<6976>からBluetoothおよびWireless LANモジュールに関わる商圏、開発・製造技術ならびに知的財産権を承継し、22年1月から小型無線モジュール事業に本格参入した。22年12月には加賀エアロシステムがユーロテックジャパンの事業を譲り受けて、回転翼航空機(ヘリコプター)事業を開始した。

 また23年8月(予定)には、加賀EFIがセルシスより、UI/UX事業(セルシスが保有するオーストリアCandera GmbH(カンデラ)の100%株式および日本における商圏・知的財産権)を譲り受ける。グループの車載向けソフトウェア事業に、カンデラのCandera Studio、CGI studioが加わり、幅広い提案が可能となる。

 23年3月期のセグメント別売上高構成比は電子部品事業(半導体、電子部品、EMS)が89%、情報機器事業(パソコン・周辺機器、各種家電、写真・映像関連商品)が7%、ソフトウェア事業(CGアニメ映像制作、アミューズメント関連商品)が0%、その他事業(エレクトロニクス機器修理、アミューズメント機器製造販売、スポーツ用品販売など)が4%、営業利益構成比は電子部品事業が88%、情報機器事業が8%、ソフトウェア事業が1%、その他事業が3%、調整額が0%だった。

 中期経営計画に沿ったセグメント区分は電子部品事業、EMS事業、CSI事業(情報機器事業)、その他事業(ソフトウェア事業、その他)としている。23年3月期の売上構成比は電子部品事業が66%、EMS事業が25%、CSI事業が7%、その他事業が3%、営業利益構成比は電子部品事業が60%、EMS事業が30%、CSI事業が8%、その他事業が2%、調整額が0%だった。

■収益力強化や新規事業創出を推進

 中期経営計画2024では基本方針に、更なる収益力の強化、経営基盤の強化、新規事業の創出、SDGs経営の推進を掲げている。経営目標値(23年5月11日付で営業利益とROEを上方修正)については、25年3月期の売上高が7500億円(電子部品事業3800億円、EMS事業1500億円、CSI事業540億円、その他事業160億円、新規M&A等1500億円)、営業利益が300億円以上(前回予想は200億円)、ROEが安定的に10%以上(同、安定的に8.5%以上)としている。株主還元については連結配当性向の目安を25〜35%に置き、安定的かつ継続的に充実化する。

 重点アクションとして、さらなる収益力の強化では成長分野(モビリティ、通信、環境、産業機器、医療・ヘルスケア)への選択と集中、EMSビジネスおよび海外ビジネスの強化・拡大、経営基盤の強化ではコーポレートガバナンスの強化、効率的なグループ運営、人的資本への投資、新規事業の創出では新規分野への取り組み、ベンチャー投資によるオープンイノベーションの推進、非連続な成長を狙うM&Aへの挑戦を掲げている。SDGs経営の推進については、サステナビリティ中長期経営計画(21年11月公表)に基づいて、持続可能な社会の実現と持続的なグループの成長の両立を目指す。

 21年7月には、ソフトバンクが設立したソフトバンク5Gコンソーシアムの5G関連パートナーとして参画した。5G関連通信設備・機器の提供などを通じて、5G普及促進とともに、事業を通じた社会貢献を追求するとしている。22年4月には社長直下にSDGs推進室を新設した。SDGsの取り組みに関するグループ全体の連携を強化し、サステナビリティ経営を推進する。

 23年1月には、トラース・オン・プロダクト<6696>が開発したAIによる電力コスト削減システム「AIrux8(エーアイラックス エイト)」について、日本における代理店1号として販売開始した。

 23年2月には、子会社のエクセルがEVバスの輸出入を展開するアルファバスジャパンと共同で、しずてつジャストライン(静岡県静岡市)に中国ALFA社製のEVバスを納入し、静岡県内初となる大型EV路線バスとして静岡市内の路線で運行開始した。23年3月には越後交通(新潟県長岡市)に中国ALFA社製のEVバスを納入し、新潟県内初となる大型EV路線バスとして長岡市内の路線で運行開始した。

 なお23年2月には、諸物価高騰に対応して特別賞与(一時金)を支給(対象者数は国内子会社を含めて正社員、嘱託社員ならびに契約社員で約2800人、支給日3月3日)すると発表した。また23年3月には経済産業省と日本健康会議が進める健康経営優良法人認定制度において「健康経営優良法人2023」の認定を受けた。

■ベンチャー投資でイノベーション創出を支援

 創立50周年を記念して設立した「50億円ファンド」を通じてベンチャー投資を行い、イノベーション創出を支援している。

 出資実績としては、ウェアラブルコミュニケーションデバイス開発のBONX、前立腺癌生検および治療用システム開発の米HARMONUS、スマートセキュリティサービスのSecual、ソフトバンクグループで保育クラウドサービスを展開するhugmo、AIソフトウェア開発のハカルス、次世代蓄電デバイス「グリーンキャパシタTM」開発のスペースリンク、動画CM配信プラットフォーム事業やデジタルサイネージ事業CMerTVを展開するSun Asterisk、アジア圏を中心にライブ配信アプリ「17Live」などソーシャルメディアを展開する台湾のM17、医療機器開発ベンチャーのニューロシューティカルズ、シェアリングプラットフォーム「Alice.style」を運営するレンタルサービスベンチャーのピーステックラボなどがある。

 20年10月には、独自開発の光触媒技術を活用して各種環境製品を展開するカルテック(子会社化したエクセルがスタートアップ資金を出資)と、光触媒除菌脱臭機「TURNED K」の販売および製造に関わる部品調達で協業した。20年12月には、オンライン診療システム「D―CUBE」などオンライン健康支援事業を展開するリンケージに出資した。

 21年5月には株式投資型クラウドファンディング事業者の日本クラウドキャピタルに出資、21年6月にはAI関連技術を開発するカタリナに出資、21年10月にはドローン等無人航空機の企画・製造・販売を行うVFR(PCメーカーのVAIOの子会社)に出資、21年11月には堆肥化装置や脱臭装置等を開発・販売するミライエに出資、21年12月には独自AI技術でエナジーインフォマティックス事業を展開するインフォメティスに出資した。

 22年12月には電動バイク製造・販売を行うaidea(アイディア)に出資した。23年3月には次世代蓄電システムの開発を行うスタートアップ企業であるCONNEXX SYSTEMSに出資した。

■24年3月期減益予想だが25年3月期成長回復シナリオ

 23年3月期の連結業績は売上高が22年3月期比22.6%増の6080億64百万円、営業利益が54.2%増の322億49百万円、経常利益が52.6%増の327億39百万円、親会社株主帰属当期純利益が49.8%増の230億70百万円だった。配当は22年3月期比100円増配の220円(第2四半期末100円=普通配当70円+特別配当30円、期末120円=普通配当70円+創立55周年記念配当10円+特別配当40円)とした。配当性向は25.0%となる。

 前回予想を上回る大幅増収増益で過去最高業績だった。電子部品事業において部品販売、EMSとも大幅伸長した。広範な産業向けに高水準で推移した。売上総利益率は12.9%で0.7ポイント上昇し、販管費比率は7.6%で0.4ポイント低下した。営業利益113億34百万円増益の要因分析は、販売数量・販売ミックスで+139億28百万円、スポット販売で+4億29百万円、販管費増加で▲48億05百万円、為替影響(ネット)で+17億82百万円だった。

 営業外では持分法投資損益が改善(22年3月期は損失4億72百万円、23年3月期は利益97百万円)した。特別利益では投資有価証券売却益が増加(22年3月期は3億63百万円、23年3月期は6億26百万円)した。特別損失では減損損失が増加(22年3月期は93百万円、23年3月期は6億44百万円)した。

 電子部品事業は、売上高が24.3%増の5393億42百万円、セグメント利益(全社費用等調整前営業利益)が56.4%増の283億14百万円だった。部品販売ビジネスは広範な業界向けに販売が高水準に推移した。車載向けは一部製品で供給不足が続いたが、独立系商社としての調達力の強みを活かして販売物量を確保した。EMSビジネスも車載関連、医療機器関連、事務機器関連など主要顧客向けが好調だった。

 情報機器事業は売上高が10.3%増の436億80百万円、利益が17.4%増の24億49百万円だった。法人向けおよび教育機関向けパソコン販売は、台数ベースでは伸び悩んだが、高価格帯製品の好調で金額ベースでは好調だった。また、資材不足で遅延していたLED設置ビジネスは、全国規模の大型案件の施工が進捗した。

 ソフトウェア事業は売上高が8.3%増の29億98百万円、利益が2億86百万円の黒字(22年3月期は26百万円の赤字)だった。スマホ向けゲーム制作やCG制作における大型案件や新規案件の受注が回復し、コスト削減も寄与した。

 その他事業は売上高が12.5%増の220億44百万円、利益が76.0%増の11億01百万円だった。PC製品・周辺機器のリサイクルビジネスが好調に推移した。アミューズメント業界向けアーケードゲーム機器やゴルフ商品も回復した。

 会社別の営業利益(連結調整前)は、加賀電子が41.6%増の218億99百万円、加賀EFIが121.8%増の81億03百万円、エクセルが7.0%増の20億72百万円だった。また中計セグメント別営業利益(連結調整前)は、電子部品事業が75.5%増の194億75百万円、EMS事業が30.0%増の95億63百万円、CSI(コンシューマー&システムインテグレーター)事業が17.4%増の24億49百万円、その他事業が159.4%増の6億63百万円だった。

 なお四半期別に見ると、第1四半期は売上高が1493億02百万円で営業利益が98億20百万円、第2四半期は売上高が1494億58百万円で営業利益が85億41百万円、第3四半期は売上高が1534億60百万円で営業利益が76億45百万円、第4四半期は売上高が1558億43百万円で営業利益が62億43百万円だった。

 24年3月期の連結業績予想は、売上高が23年3月期比9.5%減の5500億円、営業利益が22.5%減の250億円、経常利益が23.6%減の250億円、親会社株主帰属当期純利益が22.0%減の180億円としている。配当予想は23年3月期と同額の220円(第2四半期末110円、期末110円)としている。普通配当ベースでは増配の形となる。予想配当性向は32.1%となる。

 24年3月期は減収減益予想としている。コロナ禍における需要増からの反動や顧客の在庫調整の影響で一時的な需要減退を見込んでいる。営業利益72億49百万円減益の要因分析は販売数量・販売ミックスで▲48億83百万円、スポット販売減少で▲46億31百万円、販管費減少で+22億65百万円、為替影響で±0百万円の見込みとしている。

 セグメント別の計画は、電子部品事業の売上高が12.6%減の4715億円で利益(全社費用等調整前営業利益)が26.9%減の207億円、情報機器事業の売上高が3.0%増の450億円で利益が2.1%増の25億円、ソフトウェア事業の売上高が50.1%増の45億円で利益が4.6%増の3億円、その他事業の売上高が31.6%増の290億円で利益が36.1%増の15億円としている。

 なお中期経営計画最終年度25年3月期の営業利益目標を従来の「200億円」から今回の「300億円以上」に大幅に引き上げている。24年3月期は一時的な需要減退の影響を受けるが、25年3月期は成長に戻るシナリオだ。積極的な事業展開で収益拡大基調を期待したい。

■株価は上場来高値更新

 なお22年8月には、JPX総研および日本経済新聞社が共同して算出する「JPX日経中小型株指数」の2022年度構成銘柄として、昨年度に続いて選定された。

 23年1月には3つの主要なIRサイト評価機関において22年度も高い評価を得たとリリースしている。具体的には大和インベスター・リレーションズの2022年インターネットIR表彰で最優秀賞、日興アイ・アールの2022年度全上場企業ホームページ充実度ランキング調査で総合部門・最優秀サイト、ブロードバンドセキュリティのGomez IRサイトランキング2022で優秀企業・銅賞を獲得した。

 株価は上場来高値圏だ。依然として指標面の割安感も評価材料であり、利益確定売りをこなしながら上値を試す展開を期待したい。5月29日の終値は5240円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS685円42銭で算出)は約8倍、今期予想配当利回り(会社予想の220円で算出)は約4.2%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS4935円36銭で算出)は約1.1倍、時価総額は約1504億円である。 (情報提供:日本インタビュ新聞社=Media−IR
[05月15日更新]

加賀電子は24年3月期減益予想だが25年3月期回復シナリオ

 加賀電子<8154>(東証プライム)は5月11日の取引時間終了後に23年3月期連結業績を発表した。前回予想を上回る大幅増収増益で過去最高業績だった。電子部品事業において部品販売、EMSとも大幅伸長した。24年3月期は減収減益予想としている。コロナ禍における需要増からの反動や顧客の在庫調整の影響で一時的な需要減退を見込んでいる。なお中期経営計画最終年度25年3月期の営業利益目標を大幅に引き上げている。25年3月期は成長に戻るシナリオだ。積極的な事業展開で収益拡大基調を期待したい。株価は高値圏だ。24年3月期減収減益予想に対するネガティブ反応も限定的だった。指標面の割安感も評価材料であり、利益確定売りをこなしながら上値を試す展開を期待したい。

■23年3月期大幅増収増益、24年3月期減益予想だが25年3月期回復

 23年3月期の連結業績は売上高が22年3月期比22.6%増の6080億64百万円、営業利益が54.2%増の322億49百万円、経常利益が52.6%増の327億39百万円、親会社株主帰属当期純利益が49.8%増の230億70百万円だった。配当は22年3月期比100円増配の220円(第2四半期末100円=普通配当70円+特別配当30円、期末120円=普通配当70円+創立55周年記念配当10円+特別配当40円)とした。配当性向は25.0%となる。

 前回予想を上回る大幅増収増益で過去最高業績だった。電子部品事業において部品販売、EMSとも大幅伸長した。広範な産業向けに高水準で推移した。売上総利益率は12.9%で0.7ポイント上昇し、販管費比率は7.6%で0.4ポイント低下した。営業利益113億34百万円増益の要因分析は、販売数量・販売ミックス(為替影響、スポット販売含む)で+179億67百万円、販管費増加(インフレ手当・一時金、為替影響含む)で▲66億33百万円、為替影響(ネット)で+17億82百万円だったとしている。

 営業外では持分法投資損益が改善(22年3月期は損失4億72百万円、23年3月期は利益97百万円)した。特別利益では投資有価証券売却益が増加(22年3月期は3億63百万円、23年3月期は6億26百万円)した。特別損失では減損損失が増加(22年3月期は93百万円、23年3月期は6億44百万円)した。

 電子部品事業は、売上高が24.3%増の5393億42百万円、セグメント利益(全社費用等調整前営業利益)が56.4%増の283億14百万円だった。部品販売ビジネスは広範な業界向けに販売が高水準に推移した。車載向けは一部製品で供給不足が続いたが、独立系商社としての調達力の強みを活かして販売物量を確保した。EMSビジネスも車載関連、医療機器関連、事務機器関連など主要顧客向けが好調だった。

 情報機器事業は売上高が10.3%増の436億80百万円、利益が17.4%増の24億49百万円だった。法人向けおよび教育機関向けパソコン販売は、台数ベースでは伸び悩んだが、高価格帯製品の好調で金額ベースでは好調だった。また、資材不足で遅延していたLED設置ビジネスは、全国規模の大型案件の施工が進捗した。

 ソフトウェア事業は売上高が8.3%増の29億98百万円、利益が2億86百万円の黒字(22年3月期は26百万円の赤字)だった。スマホ向けゲーム制作やCG制作における大型案件や新規案件の受注が回復し、コスト削減も寄与した。

 その他事業は売上高が12.5%増の220億44百万円、利益が76.0%増の11億01百万円だった。PC製品・周辺機器のリサイクルビジネスが好調に推移した。アミューズメント業界向けアーケードゲーム機器やゴルフ商品も回復した。

 会社別の営業利益(連結調整前)は、加賀電子が41.6%増の218億99百万円、加賀EFIが121.8%増の81億03百万円、エクセルが7.0%増の20億72百万円だった。また中計セグメント別営業利益(連結調整前)は、電子部品事業が75.5%増の194億75百万円、EMS事業が30.0%増の95億63百万円、CSI(コンシューマー&システムインテグレーター)事業が17.4%増の24億49百万円、その他事業が159.4%増の6億63百万円だった。

 なお四半期別に見ると、第1四半期は売上高が1493億02百万円で営業利益が98億20百万円、第2四半期は売上高が1494億58百万円で営業利益が85億41百万円、第3四半期は売上高が1534億60百万円で営業利益が76億45百万円、第4四半期は売上高が1558億43百万円で営業利益が62億43百万円だった。

 24年3月期の連結業績予想は、売上高が23年3月期比9.5%減の5500億円、営業利益が22.5%減の250億円、経常利益が23.6%減の250億円、親会社株主帰属当期純利益が22.0%減の180億円としている。配当予想は23年3月期と同額の220円(第2四半期末110円、期末110円)としている。普通配当ベースでは増配の形となる。予想配当性向は32.1%となる。

 減収減益予想としている。コロナ禍における需要増からの反動や顧客の在庫調整の影響で一時的な需要減退を見込んでいる。営業利益72億49百万円減益の要因分析は販売数量・販売ミックスで▲52億05百万円、スポット販売減少で▲43億09百万円、販管費減少で+22億65百万円、為替影響で±0百万円の見込みとしている。

 セグメント別の計画は、電子部品事業の売上高が12.6%減の4715億円で利益(全社費用等調整前営業利益)が26.9%減の207億円、情報機器事業の売上高が3.0%増の450億円で利益が2.1%増の25億円、ソフトウェア事業の売上高が50.1%増の45億円で利益が4.6%増の3億円、その他事業の売上高が31.6%増の290億円で利益が36.1%増の15億円としている。

 なお中期経営計画最終年度25年3月期の営業利益目標を従来の「200億円」から今回の「300億円以上」に大幅に引き上げている。24年3月期は一時的な需要減退の影響を受けるが、25年3月期は成長に戻るシナリオだ。積極的な事業展開で収益拡大基調を期待したい。

■株価は上値試す

 株価高値圏だ。24年3月期減収減益予想に対するネガティブ反応も限定的だった。指標面の割安感も評価材料であり、利益確定売りをこなしながら上値を試す展開を期待したい。5月12日の終値は4950円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS685円42銭で算出)は約7倍、今期予想配当利回り(会社予想の220円で算出)は約4.4%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS4935円36銭で算出)は約1.0倍、そして時価総額は約1421億円である。 (情報提供:日本インタビュ新聞社=Media−IR
[05月01日更新]

加賀電子は上値試す、24年3月期も収益拡大基調

 加賀電子<8154>(東証プライム)は独立系の大手エレクトロニクス総合商社である。半導体・電子部品・情報機器等の商社ビジネス、および電装基板製造受託のEMSビジネスを展開し、さらなる成長に向けて収益力の強化、経営基盤の強化、新規事業の創出、SDGs経営を推進している。23年3月期は大幅増収増益・増配予想としている。主力の電子部品事業が伸長し、販売ミックス良化に伴う売上総利益率向上なども寄与する見込みだ。積極的な事業展開で24年3月期も収益拡大基調だろう。株価は3月の上場来高値圏から反落したが、利益確定売りが一巡して切り返しの動きを強めている。指標面の割安感も評価して上値を試す展開を期待したい。なお5月11日に23年3月期決算発表を予定している。

■独立系の大手エレクトロニクス総合商社

 独立系の大手エレクトロニクス総合商社である。M&Aも積極活用して半導体・電子部品・情報機器等の商社ビジネス、および電装基板製造受託サービスのEMSビジネスを展開している。

 19年1月に富士通エレクトロニクスを子会社化(20年12月に社名を加賀FEIに変更、22年1月に完全子会社化)した。19年10月にはパイオニアの製造子会社である十和田パイオニアを子会社化して商号を加賀EMS十和田に変更、20年4月にはエレクトロニクス商社のエクセルを子会社化、20年11月には旭東電気から新設分割された新:旭東電気を子会社化した。21年10月には加賀EFIが、太陽誘電<6976>からBluetoothおよびWireless LANモジュールに関わる商圏、開発・製造技術ならびに知的財産権を承継し、22年1月から小型無線モジュール事業に本格参入した。22年12月には加賀エアロシステムがユーロテックジャパンの事業を譲り受けて、回転翼航空機(ヘリコプター)事業を開始した。

 22年3月期のセグメント別売上高構成比は電子部品事業(半導体、電子部品、EMS)が88%、情報機器事業(パソコン・周辺機器、各種家電、写真・映像関連商品)が8%、ソフトウェア事業(CGアニメ映像制作、アミューズメント関連商品)が1%、その他事業(エレクトロニクス機器修理、アミューズメント機器製造販売、スポーツ用品販売など)が4%で、営業利益構成比は電子部品事業が87%、情報機器事業が10%、ソフトウェア事業が▲0%、その他事業が3%、調整額が1%だった。

 中期経営計画に沿ったセグメント区分は電子部品事業、EMS事業、CSI事業(情報機器事業)、その他事業(ソフトウェア事業、その他)としている。22年3月期の売上構成比は電子部品事業が66%、EMS事業が24%、CSI事業が8%、その他事業が3%、営業利益構成比は電子部品事業が53%、EMS事業が35%、CSI事業が10%、その他事業が1%、調整額が▲1%だった。

■収益力強化や新規事業創出を推進

 中期経営計画2024では基本方針に、更なる収益力の強化、経営基盤の強化、新規事業の創出、SDGs経営の推進を掲げている。経営目標値は、25年3月期売上高7500億円(電子部品事業3800億円、EMS事業1500億円、CSI事業540億円、その他事業160億円、新規M&A等1500億円)、営業利益200億円、ROE8.5%以上(安定的に)としている。株主還元については連結配当性向の目安を25〜35%に置き、安定的かつ継続的に充実化する。

 重点アクションとして、さらなる収益力の強化では成長分野(モビリティ、通信、環境、産業機器、医療・ヘルスケア)への選択と集中、EMSビジネスおよび海外ビジネスの強化・拡大、経営基盤の強化ではコーポレートガバナンスの強化、効率的なグループ運営、人的資本への投資、新規事業の創出では新規分野への取り組み、ベンチャー投資によるオープンイノベーションの推進、非連続な成長を狙うM&Aへの挑戦を掲げている。SDGs経営の推進については、サステナビリティ中長期経営計画(21年11月公表)に基づいて、持続可能な社会の実現と持続的なグループの成長の両立を目指す。

 21年7月には、ソフトバンクが設立したソフトバンク5Gコンソーシアムの5G関連パートナーとして参画した。5G関連通信設備・機器の提供などを通じて、5G普及促進とともに、事業を通じた社会貢献を追求するとしている。22年4月には社長直下にSDGs推進室を新設した。SDGsの取り組みに関するグループ全体の連携を強化し、サステナビリティ経営を推進する。

 23年1月には、トラース・オン・プロダクト<6696>が開発したAIによる電力コスト削減システム「AIrux8(エーアイラックス エイト)」について、日本における代理店1号として販売開始した。

 23年2月には、子会社のエクセルがEVバスの輸出入を展開するアルファバスジャパンと共同で、しずてつジャストライン(静岡県静岡市)に中国ALFA社製のEVバスを納入し、静岡県内初となる大型EV路線バスとして静岡市内の路線で運行開始した。23年3月には越後交通(新潟県長岡市)に中国ALFA社製のEVバスを納入し、新潟県内初となる大型EV路線バスとして長岡市内の路線で運行開始した。

 なお23年2月には、諸物価高騰に対応して特別賞与(一時金)を支給(対象者数は国内子会社を含めて正社員、嘱託社員ならびに契約社員で約2800人、支給日3月3日)すると発表した。また23年3月には経済産業省と日本健康会議が進める健康経営優良法人認定制度において「健康経営優良法人2023」の認定を受けた。

■ベンチャー投資でイノベーション創出を支援

 創立50周年を記念して設立した「50億円ファンド」を通じてベンチャー投資を行い、イノベーション創出を支援している。

 出資実績としては、ウェアラブルコミュニケーションデバイス開発のBONX、前立腺癌生検および治療用システム開発の米HARMONUS、スマートセキュリティサービスのSecual、ソフトバンクグループで保育クラウドサービスを展開するhugmo、AIソフトウェア開発のハカルス、次世代蓄電デバイス「グリーンキャパシタTM」開発のスペースリンク、動画CM配信プラットフォーム事業やデジタルサイネージ事業CMerTVを展開するSun Asterisk、アジア圏を中心にライブ配信アプリ「17Live」などソーシャルメディアを展開する台湾のM17、医療機器開発ベンチャーのニューロシューティカルズ、シェアリングプラットフォーム「Alice.style」を運営するレンタルサービスベンチャーのピーステックラボなどがある。

 20年10月には、独自開発の光触媒技術を活用して各種環境製品を展開するカルテック(子会社化したエクセルがスタートアップ資金を出資)と、光触媒除菌脱臭機「TURNED K」の販売および製造に関わる部品調達で協業した。20年12月には、オンライン診療システム「D―CUBE」などオンライン健康支援事業を展開するリンケージに出資した。

 21年5月には株式投資型クラウドファンディング事業者の日本クラウドキャピタルに出資、21年6月にはAI関連技術を開発するカタリナに出資、21年10月にはドローン等無人航空機の企画・製造・販売を行うVFR(PCメーカーのVAIOの子会社)に出資、21年11月には堆肥化装置や脱臭装置等を開発・販売するミライエに出資、21年12月には独自AI技術でエナジーインフォマティックス事業を展開するインフォメティスに出資した。

 22年12月には電動バイク製造・販売を行うaidea(アイディア)に出資した。23年3月には次世代蓄電システムの開発を行うスタートアップ企業であるCONNEXX SYSTEMSに出資した。

■23年3月期大幅増収増益予想、24年3月期も収益拡大基調

 23年3月期の連結業績予想(22年8月4日付で上方修正、22年11月8日付で2回目の上方修正、23年2月7日付で3回目の上方修正)は、売上高が22年3月期比18.0%増の5850億円、営業利益が41.0%増の295億円、経常利益が39.8%増の300億円、親会社株主帰属当期純利益が36.3%増の210億円としている。配当予想(22年11月8日付で第2四半期末特別配当30円、期末特別配当20円、合計特別配当50円上方修正、23年2月7日付で期末特別配当20円上方修正)は、22年3月期比100円増配の220円(第2四半期末100円=普通配当70円+特別配当30円、期末120円=普通配当70円+創立55周年記念配当10円+特別配当40円)としている。

 第3四半期累計は売上高が前年同期比28.2%増の4522億21百万円、営業利益が77.4%増の260億06百万円、経常利益が78.8%増の266億18百万円、親会社株主帰属四半期純利益が82.9%増の190億53百万円だった。

 第3四半期累計として過去最高業績だった。売上面は主力の電子部品事業が半導体・電子部品の需給緩和も背景として、広範な産業向けに伸長して大幅増収だった。利益面は大幅増収効果に加えて、販売ミックス良化に伴う売上総利益率向上(1.1ポイント上昇して13.2%)も寄与して大幅増益だった。販管費は20.5%増加したが、販管費比率は0.5ポイント低下して7.5%となった。営業外では持分法投資損益が改善(前年同期は損失4億99百万円、今期は利益58百万円)した。特別利益では投資有価証券売却益が増加(前年同期は1億18百万円、今期は6億26百万円)した。

 電子部品事業は、売上高が30.2%増の4056億08百万円、セグメント利益(全社費用等調整前営業利益)が79.5%増の233億41百万円だった。部品販売ビジネスでは、半導体・電子部品の需給緩和も背景として広範な業界向けに販売が高水準に推移した。車載向けは供給不足が続いたが、独立系商社としての調達力の強みを活かして販売物量を確保した。EMSビジネスも車載関連や医療機器関連を中心に好調だった。

 情報機器事業は売上高が10.8%増の291億39百万円、利益が23.3%増の14億99百万円だった。法人向けおよび教育機関向けパソコン販売が高価格製品を中心に堅調だった。資材不足で遅延していたLED設置ビジネスの大口工事の進捗も寄与した。

 ソフトウェア事業は売上高が12.8%増の20億76百万円、利益が1億35百万円の黒字(前年同期は1億09百万円の赤字)だった。スマホ向けゲーム制作やCG制作における大型案件や新規案件の受注が回復した。

 その他事業は売上高が17.3%増の153億97百万円、利益が105.3%増の9億71百万円だった。PC製品・周辺機器のリサイクルビジネスが好調に推移した。アミューズメント業界向けアーケードゲーム機器やゴルフ商品も伸長した。

 会社別の営業利益(連結調整前)は、加賀電子が58.3%増の175億78百万円、加賀EFIが189.8%増の70億10百万円、エクセルが8.1%増の13億77百万円だった。また中計セグメント別営業利益(連結調整前)は、電子部品事業が104.6%増の159億01百万円、EMS事業が45.1%増の79億26百万円、CSI(コンシューマー&システムインテグレーター)事業が23.3%増の14億99百万円、その他事業が380.2%増の6億20百万円だった。

 なお四半期別に見ると、第1四半期は売上高が1493億02百万円で営業利益が98億20百万円、第2四半期は売上高が1494億58百万円で営業利益が85億41百万円、第3四半期は売上高が1534億60百万円で営業利益が76億45百万円だった。第3四半期の営業利益は販管費でインフレ手当を含めた特別一時金17億円を引き当てたため、第2四半期比で減益の形となっている。

 通期の連結業績予想は前回予想に対して、売上高を150億円、営業利益を15億円、経常利益を10億円、親会社株主帰属当期純利益を10億円、それぞれ上方修正した。半導体・電子部品の需給動向や為替変動などの不透明感を考慮して、第3四半期累計時点の上振れ分(社内計画に対して売上高182億円、営業利益15億円それぞれ上振れ)を反映させた。

 修正後セグメント別計画は、電子部品事業の売上高が20.5%増の5230億円(前回予想は5070億円)で利益が42.5%増の258億円(同248億円)、情報機器事業の売上高が1.6%減の390億円で利益が4.1%減の20億円、ソフトウェア事業の売上高が8.4%増の30億円(同40億円)で利益が2億円の黒字(22年3月期は26百万円の赤字)、その他事業の売上高が2.1%増の200億円で利益が139.6%増の15億円(同10億円)としている。

 修正後の通期予想に対する第3四半期累計の進捗率は売上高が77.3%、営業利益が88.2%、経常利益が88.7%、親会社株主帰属当期純利益が90.7%となる。第3四半期累計の上振れ分を上方修正して第4四半期の計画を据え置いた形であることを勘案すれば、23年3月期予想はさらなる上振れの可能性が高く、さらに積極的な事業展開で24年3月期も収益拡大基調だろう。

■株価は上値試す

 なお22年8月には、JPX総研および日本経済新聞社が共同して算出する「JPX日経中小型株指数」の2022年度構成銘柄として、昨年度に続いて選定された。

 23年1月には3つの主要なIRサイト評価機関において22年度も高い評価を得たとリリースしている。具体的には大和インベスター・リレーションズの2022年インターネットIR表彰で最優秀賞、日興アイ・アールの2022年度全上場企業ホームページ充実度ランキング調査で総合部門・最優秀サイト、ブロードバンドセキュリティのGomez IRサイトランキング2022で優秀企業・銅賞を獲得した。

 株価は3月の上場来高値圏から反落したが、利益確定売り一巡して反発の動きを強めている。指標面の割安感も評価して上値を試す展開を期待したい。4月28日の終値は4800円、前期推定連結PER(会社予想連結EPS799円78銭で算出)は約6倍、前期推定配当利回り(会社予想220円で算出)は約4.6%、前々期実績連結PBR(前々期実績連結BPS4026円22銭で算出)は約1.2倍、そして時価総額は約1378億円である。 (情報提供:日本インタビュ新聞社=Media−IR
[04月11日更新]

加賀電子は利益確定売り一巡、24年3月期も収益拡大基調

 加賀電子<8154>(東証プライム)は独立系の大手エレクトロニクス総合商社である。半導体・電子部品・情報機器等の商社ビジネス、および電装基板製造受託のEMSビジネスを展開し、さらなる成長に向けて収益力の強化、経営基盤の強化、新規事業の創出、SDGs経営を推進している。23年3月期は大幅増収増益・増配予想としている。主力の電子部品事業が伸長し、販売ミックス良化に伴う売上総利益率向上なども寄与する見込みだ。さらに積極的な事業展開で24年3月期も収益拡大基調だろう。株価は地合い悪化も影響して3月の上場来高値圏から反落したが、指標面の割安感も評価材料であり、利益確定売り一巡して上値を試す展開を期待したい。なお5月11日に23年3月期決算発表を予定している。

■独立系の大手エレクトロニクス総合商社

 独立系の大手エレクトロニクス総合商社である。M&Aも積極活用して半導体・電子部品・情報機器等の商社ビジネス、および電装基板製造受託サービスのEMSビジネスを展開している。

 富士通エレクトロニクスを19年1月に子会社化(富士通セミコンダクターから株式70%取得、20年12月28日付で社名を加賀FEIに変更、22年1月1日付で完全子会社化)した。また19年10月にパイオニアの製造子会社である十和田パイオニアを子会社化して商号を加賀EMS十和田に変更、20年4月にエレクトロニクス商社のエクセルを子会社化、20年11月に旭東電気(20年4月民事再生法適用申請)から新設分割された新:旭東電気を子会社化した。

 21年10月には加賀EFIが、太陽誘電<6976>からBluetoothおよびWireless LANモジュールに関わる商圏、開発・製造技術ならびに知的財産権を承継し、22年1月から小型無線モジュール事業に本格参入した。22年6月には加賀デバイスが米国の半導体企業エフィニックス社と販売代理店契約を締結した。22年12月には加賀エアロシステムがユーロテックジャパンの事業を譲り受けて、回転翼航空機(ヘリコプター)事業を開始した。

 22年3月期のセグメント別売上高構成比は電子部品事業(半導体、電子部品、EMS)が88%、情報機器事業(パソコン・周辺機器、各種家電、写真・映像関連商品)が8%、ソフトウェア事業(CGアニメ映像制作、アミューズメント関連商品)が1%、その他事業(エレクトロニクス機器修理、アミューズメント機器製造販売、スポーツ用品販売など)が4%で、営業利益構成比は電子部品事業が87%、情報機器事業が10%、ソフトウェア事業が▲0%、その他事業が3%、調整額が1%だった。

 中期経営計画に沿ったセグメント区分は電子部品事業、EMS事業、CSI事業(情報機器事業)、その他事業(ソフトウェア事業、その他)としている。22年3月期の売上構成比は電子部品事業が66%、EMS事業が24%、CSI事業が8%、その他事業が3%、営業利益構成比は電子部品事業が53%、EMS事業が35%、CSI事業が10%、その他事業が1%、調整額が▲1%だった。

■収益力強化や新規事業創出を推進

 中期経営計画2024では基本方針に、更なる収益力の強化、経営基盤の強化、新規事業の創出、SDGs経営の推進を掲げている。経営目標値は、25年3月期売上高7500億円(電子部品事業3800億円、EMS事業1500億円、CSI事業540億円、その他事業160億円、新規M&A等1500億円)、営業利益200億円、ROE8.5%以上(安定的に)としている。株主還元については連結配当性向の目安を25〜35%に置き、安定的かつ継続的に充実化する。

 重点アクションとして、さらなる収益力の強化では成長分野(モビリティ、通信、環境、産業機器、医療・ヘルスケア)への選択と集中、EMSビジネスおよび海外ビジネスの強化・拡大、経営基盤の強化ではコーポレートガバナンスの強化、効率的なグループ運営、人的資本への投資、新規事業の創出では新規分野への取り組み、ベンチャー投資によるオープンイノベーションの推進、非連続な成長を狙うM&Aへの挑戦を掲げている。SDGs経営の推進については、サステナビリティ中長期経営計画(21年11月公表)に基づいて、持続可能な社会の実現と持続的なグループの成長の両立を目指す。

 21年7月には、ソフトバンクが設立したソフトバンク5Gコンソーシアムの5G関連パートナーとして参画した。5G関連通信設備・機器の提供などを通じて、5G普及促進とともに、事業を通じた社会貢献を追求するとしている。22年4月には社長直下にSDGs推進室を新設した。SDGsの取り組みに関するグループ全体の連携を強化し、サステナビリティ経営を推進する。

 23年1月には、トラース・オン・プロダクト<6696>が開発したAIによる電力コスト削減システム「AIrux8(エーアイラックス エイト)」について、日本における代理店1号として販売開始するとリリースしている。社会課題を解決する「AIrux8」の販売を通じて持続可能な社会の実現に貢献する。

 23年2月には子会社のエクセルがEVバスの輸出入を展開するアルファバスジャパンと共同で、しずてつジャストライン(静岡県静岡市)に中国ALFA社製のEVバスを納入した。静岡県内初となる大型EV路線バスとして静岡市内の路線で運行開始した。23年3月には越後交通(新潟県長岡市)に中国ALFA社製のEVバス2台を納入し、新潟県内初となる大型EV路線バスとして長岡市内の路線で運行開始した。

 なお23年2月には、諸物価高騰に対応して特別賞与(一時金)を支給(対象者数は国内子会社を含めて正社員、嘱託社員ならびに契約社員で約2800人、支給日3月3日)すると発表した。また23年3月には経済産業省と日本健康会議が進める健康経営優良法人認定制度において「健康経営優良法人2023」の認定を受けた。

■ベンチャー投資でイノベーション創出を支援

 創立50周年を記念して設立した「50億円ファンド」を通じてベンチャー投資を行い、イノベーション創出を支援している。

 出資実績としては、ウェアラブルコミュニケーションデバイス開発のBONX、前立腺癌生検および治療用システム開発の米HARMONUS、スマートセキュリティサービスのSecual、ソフトバンクグループで保育クラウドサービスを展開するhugmo、AIソフトウェア開発のハカルス、次世代蓄電デバイス「グリーンキャパシタTM」開発のスペースリンク、動画CM配信プラットフォーム事業やデジタルサイネージ事業CMerTVを展開するSun Asterisk、アジア圏を中心にライブ配信アプリ「17Live」などソーシャルメディアを展開する台湾のM17、医療機器開発ベンチャーのニューロシューティカルズ、シェアリングプラットフォーム「Alice.style」を運営するレンタルサービスベンチャーのピーステックラボなどがある。

 20年10月には、独自開発の光触媒技術を活用して各種環境製品を展開するカルテック(子会社化したエクセルがスタートアップ資金を出資)と、光触媒除菌脱臭機「TURNED K」の販売および製造に関わる部品調達で協業した。20年12月には、オンライン診療システム「D―CUBE」などオンライン健康支援事業を展開するリンケージに出資した。

 21年5月には株式投資型クラウドファンディング事業者の日本クラウドキャピタルに出資、21年6月にはAI関連技術を開発するカタリナに出資、21年10月にはドローン等無人航空機の企画・製造・販売を行うVFR(PCメーカーのVAIOの子会社)に出資、21年11月には堆肥化装置や脱臭装置等を開発・販売するミライエに出資、21年12月には独自AI技術でエナジーインフォマティックス事業を展開するインフォメティスに出資した。

 22年12月には電動バイク製造・販売を行うaidea(アイディア)に出資した。23年3月には次世代蓄電システムの開発を行うスタートアップ企業であるCONNEXX SYSTEMSに出資した。

■23年3月期大幅増収増益予想、24年3月期も収益拡大基調

 23年3月期の連結業績予想(22年8月4日付で上方修正、22年11月8日付で2回目の上方修正、23年2月7日付で3回目の上方修正)は、売上高が22年3月期比18.0%増の5850億円、営業利益が41.0%増の295億円、経常利益が39.8%増の300億円、親会社株主帰属当期純利益が36.3%増の210億円としている。配当予想(22年11月8日付で第2四半期末特別配当30円、期末特別配当20円、合計特別配当50円上方修正、23年2月7日付で期末特別配当20円上方修正)は、22年3月期比100円増配の220円(第2四半期末100円=普通配当70円+特別配当30円、期末120円=普通配当70円+創立55周年記念配当10円+特別配当40円)としている。

 第3四半期累計は売上高が前年同期比28.2%増の4522億21百万円、営業利益が77.4%増の260億06百万円、経常利益が78.8%増の266億18百万円、親会社株主帰属四半期純利益が82.9%増の190億53百万円だった。

 第3四半期累計として過去最高業績だった。売上面は主力の電子部品事業が半導体・電子部品の需給緩和も背景として、広範な産業向けに伸長して大幅増収だった。利益面は大幅増収効果に加えて、販売ミックス良化に伴う売上総利益率向上(1.1ポイント上昇して13.2%)も寄与して大幅増益だった。販管費は20.5%増加したが、販管費比率は0.5ポイント低下して7.5%となった。営業外では持分法投資損益が改善(前年同期は損失4億99百万円、今期は利益58百万円)した。特別利益では投資有価証券売却益が増加(前年同期は1億18百万円、今期は6億26百万円)した。

 電子部品事業は、売上高が30.2%増の4056億08百万円、セグメント利益(全社費用等調整前営業利益)が79.5%増の233億41百万円だった。部品販売ビジネスでは、半導体・電子部品の需給緩和も背景として広範な業界向けに販売が高水準に推移した。車載向けは供給不足が続いたが、独立系商社としての調達力の強みを活かして販売物量を確保した。EMSビジネスも車載関連や医療機器関連を中心に好調だった。

 情報機器事業は売上高が10.8%増の291億39百万円、利益が23.3%増の14億99百万円だった。法人向けおよび教育機関向けパソコン販売が高価格製品を中心に堅調だった。資材不足で遅延していたLED設置ビジネスの大口工事の進捗も寄与した。

 ソフトウェア事業は売上高が12.8%増の20億76百万円、利益が1億35百万円の黒字(前年同期は1億09百万円の赤字)だった。スマホ向けゲーム制作やCG制作における大型案件や新規案件の受注が回復した。

 その他事業は売上高が17.3%増の153億97百万円、利益が105.3%増の9億71百万円だった。PC製品・周辺機器のリサイクルビジネスが好調に推移した。アミューズメント業界向けアーケードゲーム機器やゴルフ商品も伸長した。

 会社別の営業利益(連結調整前)は、加賀電子が58.3%増の175億78百万円、加賀EFIが189.8%増の70億10百万円、エクセルが8.1%増の13億77百万円だった。また中計セグメント別営業利益(連結調整前)は、電子部品事業が104.6%増の159億01百万円、EMS事業が45.1%増の79億26百万円、CSI(コンシューマー&システムインテグレーター)事業が23.3%増の14億99百万円、その他事業が380.2%増の6億20百万円だった。

 なお四半期別に見ると、第1四半期は売上高が1493億02百万円で営業利益が98億20百万円、第2四半期は売上高が1494億58百万円で営業利益が85億41百万円、第3四半期は売上高が1534億60百万円で営業利益が76億45百万円だった。第3四半期の営業利益は販管費でインフレ手当を含めた特別一時金17億円を引き当てたため、第2四半期比で減益の形となっている。

 通期の連結業績予想は前回予想に対して、売上高を150億円、営業利益を15億円、経常利益を10億円、親会社株主帰属当期純利益を10億円、それぞれ上方修正した。半導体・電子部品の需給動向や為替変動などの不透明感を考慮して、第3四半期累計時点の上振れ分(社内計画に対して売上高182億円、営業利益15億円それぞれ上振れ)を反映させた。

 修正後セグメント別計画は、電子部品事業の売上高が20.5%増の5230億円(前回予想は5070億円)で利益が42.5%増の258億円(同248億円)、情報機器事業の売上高が1.6%減の390億円で利益が4.1%減の20億円、ソフトウェア事業の売上高が8.4%増の30億円(同40億円)で利益が2億円の黒字(22年3月期は26百万円の赤字)、その他事業の売上高が2.1%増の200億円で利益が139.6%増の15億円(同10億円)としている。

 修正後の通期予想に対する第3四半期累計の進捗率は売上高が77.3%、営業利益が88.2%、経常利益が88.7%、親会社株主帰属当期純利益が90.7%となる。第3四半期累計の上振れ分を上方修正して第4四半期の計画を据え置いた形であることを勘案すれば、23年3月期予想はさらなる上振れの可能性が高く、さらに積極的な事業展開で24年3月期も収益拡大基調だろう。

■株価は上値試す

 なお22年8月には、JPX総研および日本経済新聞社が共同して算出する「JPX日経中小型株指数」の2022年度構成銘柄として、昨年度に続いて選定された。

 23年1月には3つの主要なIRサイト評価機関において22年度も高い評価を得たとリリースしている。具体的には大和インベスター・リレーションズの2022年インターネットIR表彰で最優秀賞、日興アイ・アールの2022年度全上場企業ホームページ充実度ランキング調査で総合部門・最優秀サイト、ブロードバンドセキュリティのGomez IRサイトランキング2022で優秀企業・銅賞を獲得した。

 株価は地合い悪化も影響して3月の上場来高値圏から反落したが、指標面の割安感も評価材料であり、利益確定売り一巡して上値を試す展開を期待したい。4月10日の終値は4645円、前期推定連結PER(会社予想連結EPS799円78銭で算出)は約6倍、前期推定配当利回り(会社予想220円で算出)は約4.7%、前々期実績連結PBR(前々期実績連結BPS4026円22銭で算出)は約1.2倍、時価総額は約1333億円である。 (情報提供:日本インタビュ新聞社=Media−IR
[03月22日更新]

加賀電子は上値試す、23年3月期大幅増収増益予想、24年3月期も収益拡大基調

 加賀電子<8154>(東証プライム)は独立系の大手エレクトロニクス総合商社である。半導体・電子部品・情報機器等の商社ビジネス、および電装基板製造受託のEMSビジネスを展開し、さらなる成長に向けて収益力の強化、経営基盤の強化、新規事業の創出、SDGs経営を推進している。なお3月9日には「健康経営優良法人2023」の認定を受けたと発表している。23年3月期は大幅増収増益・増配予想(2月7日付で連結業績予想を3回目の上方修正、配当予想を2回目の上方修正)としている。主力の電子部品事業が伸長し、販売ミックス良化に伴う売上総利益率向上も寄与する見込みだ。23年3月期予想はさらなる上振れの可能性が高く、さらに積極的な事業展開で24年3月期も収益拡大基調だろう。株価は上場来高値圏だ。地合い悪化の影響で上げ一服の形となったが、指標面の割安感も評価材料であり、利益確定売りをこなしながら上値を試す展開を期待したい。

■独立系の大手エレクトロニクス総合商社

 独立系の大手エレクトロニクス総合商社である。M&Aも積極活用して半導体・電子部品・情報機器等の商社ビジネス、および電装基板製造受託サービスのEMSビジネスを展開している。

 富士通エレクトロニクスを19年1月に子会社化(富士通セミコンダクターから株式70%取得、20年12月28日付で社名を加賀FEIに変更、22年1月1日付で完全子会社化)した。また19年10月にパイオニアの製造子会社である十和田パイオニアを子会社化して商号を加賀EMS十和田に変更、20年4月にエレクトロニクス商社のエクセルを子会社化、20年11月に旭東電気(20年4月民事再生法適用申請)から新設分割された新:旭東電気を子会社化した。

 21年10月には加賀EFIが、太陽誘電<6976>からBluetoothおよびWireless LANモジュールに関わる商圏、開発・製造技術ならびに知的財産権を承継し、22年1月から小型無線モジュール事業に本格参入した。22年6月には加賀デバイスが米国の半導体企業エフィニックス社と販売代理店契約を締結した。22年12月には加賀エアロシステムがユーロテックジャパンの事業を譲り受けて、回転翼航空機(ヘリコプター)事業を開始した。

 22年3月期のセグメント別売上高構成比は電子部品事業(半導体、電子部品、EMS)が88%、情報機器事業(パソコン・周辺機器、各種家電、写真・映像関連商品)が8%、ソフトウェア事業(CGアニメ映像制作、アミューズメント関連商品)が1%、その他事業(エレクトロニクス機器修理、アミューズメント機器製造販売、スポーツ用品販売など)が4%で、営業利益構成比は電子部品事業が87%、情報機器事業が10%、ソフトウェア事業が▲0%、その他事業が3%、調整額が1%だった。

 中期経営計画に沿ったセグメント区分は電子部品事業、EMS事業、CSI事業(情報機器事業)、その他事業(ソフトウェア事業、その他)としている。22年3月期の売上構成比は電子部品事業が66%、EMS事業が24%、CSI事業が8%、その他事業が3%、営業利益構成比は電子部品事業が53%、EMS事業が35%、CSI事業が10%、その他事業が1%、調整額が▲1%だった。

■収益力強化や新規事業創出を推進

 中期経営計画2024では基本方針に、更なる収益力の強化、経営基盤の強化、新規事業の創出、SDGs経営の推進を掲げている。経営目標値は、25年3月期売上高7500億円(電子部品事業3800億円、EMS事業1500億円、CSI事業540億円、その他事業160億円、新規M&A等1500億円)、営業利益200億円、ROE8.5%以上(安定的に)としている。株主還元については連結配当性向の目安を25〜35%に置き、安定的かつ継続的に充実化する。

 重点アクションとして、さらなる収益力の強化では成長分野(モビリティ、通信、環境、産業機器、医療・ヘルスケア)への選択と集中、EMSビジネスおよび海外ビジネスの強化・拡大、経営基盤の強化ではコーポレートガバナンスの強化、効率的なグループ運営、人的資本への投資、新規事業の創出では新規分野への取り組み、ベンチャー投資によるオープンイノベーションの推進、非連続な成長を狙うM&Aへの挑戦を掲げている。SDGs経営の推進については、サステナビリティ中長期経営計画(21年11月公表)に基づいて、持続可能な社会の実現と持続的なグループの成長の両立を目指す。

 21年7月には、ソフトバンクが設立したソフトバンク5Gコンソーシアムの5G関連パートナーとして参画した。5G関連通信設備・機器の提供などを通じて、5G普及促進とともに、事業を通じた社会貢献を追求するとしている。22年4月には社長直下にSDGs推進室を新設した。SDGsの取り組みに関するグループ全体の連携を強化し、サステナビリティ経営を推進する。

 23年1月には、トラース・オン・プロダクト<6696>が開発したAIによる電力コスト削減システム「AIrux8(エーアイラックス エイト)」について、日本における代理店1号として販売開始するとリリースしている。社会課題を解決する「AIrux8」の販売を通じて持続可能な社会の実現に貢献する。

 23年2月には子会社のエクセルがEVバスの輸出入を展開するアルファバスジャパンと共同で、しずてつジャストライン(静岡県静岡市)に中国ALFA社製のEVバスを納入した。静岡県内では初となる大型EV路線バスとして静岡市内の路線で運行開始した。

 なお23年2月には、諸物価高騰に対応して特別賞与(一時金)を支給(対象者数は国内子会社を含めて正社員、嘱託社員ならびに契約社員で約2800人、支給日3月3日)すると発表した。また3月9日には経済産業省と日本健康会議が進める健康経営優良法人認定制度において「健康経営優良法人2023」の認定を受けたと発表している。

■ベンチャー投資でイノベーション創出を支援

 創立50周年を記念して設立した「50億円ファンド」を通じてベンチャー投資を行い、イノベーション創出を支援している。

 出資実績としては、ウェアラブルコミュニケーションデバイス開発のBONX、前立腺癌生検および治療用システム開発の米HARMONUS、スマートセキュリティサービスのSecual、ソフトバンクグループで保育クラウドサービスを展開するhugmo、AIソフトウェア開発のハカルス、次世代蓄電デバイス「グリーンキャパシタTM」開発のスペースリンク、動画CM配信プラットフォーム事業やデジタルサイネージ事業CMerTVを展開するSun Asterisk、アジア圏を中心にライブ配信アプリ「17Live」などソーシャルメディアを展開する台湾のM17、医療機器開発ベンチャーのニューロシューティカルズ、シェアリングプラットフォーム「Alice.style」を運営するレンタルサービスベンチャーのピーステックラボなどがある。

 20年10月には、独自開発の光触媒技術を活用して各種環境製品を展開するカルテック(子会社化したエクセルがスタートアップ資金を出資)と、光触媒除菌脱臭機「TURNED K」の販売および製造に関わる部品調達で協業した。20年12月には、オンライン診療システム「D―CUBE」などオンライン健康支援事業を展開するリンケージに出資した。

 21年5月には株式投資型クラウドファンディング事業者の日本クラウドキャピタルに出資、21年6月にはAI関連技術を開発するカタリナに出資、21年10月にはドローン等無人航空機の企画・製造・販売を行うVFR(PCメーカーのVAIOの子会社)に出資、21年11月には堆肥化装置や脱臭装置等を開発・販売するミライエに出資、21年12月には独自AI技術でエナジーインフォマティックス事業を展開するインフォメティスに出資した。

 22年12月には電動バイク製造・販売を行うaidea(アイディア)に出資した。電動バイクの普及により、環境負荷の少ない社会の実現を目指すとしている。

■23年3月期大幅増収増益予想、さらなる上振れの可能性

 23年3月期の連結業績予想(22年8月4日付で上方修正、22年11月8日付で2回目の上方修正、23年2月7日付で3回目の上方修正)は、売上高が22年3月期比18.0%増の5850億円、営業利益が41.0%増の295億円、経常利益が39.8%増の300億円、親会社株主帰属当期純利益が36.3%増の210億円としている。配当予想(22年11月8日付で第2四半期末特別配当30円、期末特別配当20円、合計特別配当50円上方修正、23年2月7日付で期末特別配当20円上方修正)は、22年3月期比100円増配の220円(第2四半期末100円=普通配当70円+特別配当30円、期末120円=普通配当70円+創立55周年記念配当10円+特別配当40円)としている。

 第3四半期累計は売上高が前年同期比28.2%増の4522億21百万円、営業利益が77.4%増の260億06百万円、経常利益が78.8%増の266億18百万円、親会社株主帰属四半期純利益が82.9%増の190億53百万円だった。

 第3四半期累計として過去最高業績だった。売上面は主力の電子部品事業が半導体・電子部品の需給緩和も背景として、広範な産業向けに伸長して大幅増収だった。利益面は大幅増収効果に加えて、販売ミックス良化に伴う売上総利益率向上(1.1ポイント上昇して13.2%)も寄与して大幅増益だった。販管費は20.5%増加したが、販管費比率は0.5ポイント低下して7.5%となった。営業外では持分法投資損益が改善(前年同期は損失4億99百万円、今期は利益58百万円)した。特別利益では投資有価証券売却益が増加(前年同期は1億18百万円、今期は6億26百万円)した。

 電子部品事業は、売上高が30.2%増の4056億08百万円、セグメント利益(全社費用等調整前営業利益)が79.5%増の233億41百万円だった。部品販売ビジネスでは、半導体・電子部品の需給緩和も背景として広範な業界向けに販売が高水準に推移した。車載向けは供給不足が続いたが、独立系商社としての調達力の強みを活かして販売物量を確保した。EMSビジネスも車載関連や医療機器関連を中心に好調だった。

 情報機器事業は売上高が10.8%増の291億39百万円、利益が23.3%増の14億99百万円だった。法人向けおよび教育機関向けパソコン販売が高価格製品を中心に堅調だった。資材不足で遅延していたLED設置ビジネスの大口工事の進捗も寄与した。

 ソフトウェア事業は売上高が12.8%増の20億76百万円、利益が1億35百万円の黒字(前年同期は1億09百万円の赤字)だった。スマホ向けゲーム制作やCG制作における大型案件や新規案件の受注が回復した。

 その他事業は売上高が17.3%増の153億97百万円、利益が105.3%増の9億71百万円だった。PC製品・周辺機器のリサイクルビジネスが好調に推移した。アミューズメント業界向けアーケードゲーム機器やゴルフ商品も伸長した。

 会社別の営業利益(連結調整前)は、加賀電子が58.3%増の175億78百万円、加賀EFIが189.8%増の70億10百万円、エクセルが8.1%増の13億77百万円だった。また中計セグメント別営業利益(連結調整前)は、電子部品事業が104.6%増の159億01百万円、EMS事業が45.1%増の79億26百万円、CSI(コンシューマー&システムインテグレーター)事業が23.3%増の14億99百万円、その他事業が380.2%増の6億20百万円だった。

 なお四半期別に見ると、第1四半期は売上高が1493億02百万円で営業利益が98億20百万円、第2四半期は売上高が1494億58百万円で営業利益が85億41百万円、第3四半期は売上高が1534億60百万円で営業利益が76億45百万円だった。第3四半期の営業利益は販管費でインフレ手当を含めた特別一時金17億円を引き当てたため、第2四半期比で減益の形となっている。

 通期の連結業績予想は前回予想に対して、売上高を150億円、営業利益を15億円、経常利益を10億円、親会社株主帰属当期純利益を10億円、それぞれ上方修正した。半導体・電子部品の需給動向や為替変動などの不透明感を考慮して、第3四半期累計時点の上振れ分(社内計画に対して売上高182億円、営業利益15億円それぞれ上振れ)を反映させた。

 修正後セグメント別計画は、電子部品事業の売上高が20.5%増の5230億円(前回予想は5070億円)で利益が42.5%増の258億円(同248億円)、情報機器事業の売上高が1.6%減の390億円で利益が4.1%減の20億円、ソフトウェア事業の売上高が8.4%増の30億円(同40億円)で利益が2億円の黒字(22年3月期は26百万円の赤字)、その他事業の売上高が2.1%増の200億円で利益が139.6%増の15億円(同10億円)としている。

 修正後の通期予想に対する第3四半期累計の進捗率は売上高が77.3%、営業利益が88.2%、経常利益が88.7%、親会社株主帰属当期純利益が90.7%となる。第3四半期累計の上振れ分を上方修正して第4四半期の計画を据え置いた形であることを勘案すれば、23年3月期予想はさらなる上振れの可能性が高く、さらに積極的な事業展開で24年3月期も収益拡大基調だろう。

■株価は上値試す

 なお22年8月には、JPX総研および日本経済新聞社が共同して算出する「JPX日経中小型株指数」の2022年度構成銘柄として、昨年度に続いて選定された。

 23年1月には3つの主要なIRサイト評価機関において22年度も高い評価を得たとリリースしている。具体的には大和インベスター・リレーションズの2022年インターネットIR表彰で最優秀賞、日興アイ・アールの2022年度全上場企業ホームページ充実度ランキング調査で総合部門・最優秀サイト、ブロードバンドセキュリティのGomez IRサイトランキング2022で優秀企業・銅賞を獲得した。

 株価は上場来高値圏だ。地合い悪化の影響で上げ一服の形となったが、指標面の割安感も評価材料であり、利益確定売りをこなしながら上値を試す展開を期待したい。3月20日の終値は4790円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS799円78銭で算出)は約6倍、今期予想配当利回り(会社予想の220円で算出)は約4.6%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS4026円22銭で算出)は約1.2倍、そして時価総額は約1375億円である。 (情報提供:日本インタビュ新聞社=Media−IR
[02月28日更新]

加賀電子は上場来高値更新の展開、23年3月期大幅増収増益予想、さらに上振れの可能性

 加賀電子<8154>(東証プライム)は独立系の大手エレクトロニクス総合商社である。半導体・電子部品・情報機器等の商社ビジネス、および電装基板製造受託のEMSビジネスを展開し、さらなる成長に向けて収益力の強化、経営基盤の強化、新規事業の創出、SDGs経営を推進している。23年3月期第3四半期累計は過去最高業績だった。主力の電子部品事業が伸長し、販売ミックス良化に伴う売上総利益率向上も寄与した。そして通期連結業績予想を3回目の上方修正、配当予想を2回目の上方修正とした。第3四半期累計の上振れ分を上方修正して第4四半期の計画を据え置いた形であることを勘案すれば、通期会社予想はさらなる上振れの可能性が高く、積極的な事業展開で収益拡大基調だろう。なお2月22日に、諸物価高騰に対応した特別賞与の支給(インフラ手当を含めた特別一時金、対象者約2800人、23年3月期業績予想に織り込み済み)を発表している。株価は順調に水準を切り上げて上場来高値更新の展開だ。依然として指標面の割安感も評価材料であり、利益確定売りをこなしながら上値を試す展開を期待したい。

■独立系の大手エレクトロニクス総合商社

 独立系の大手エレクトロニクス総合商社である。M&Aも積極活用して半導体・電子部品・情報機器等の商社ビジネス、および電装基板製造受託サービスのEMSビジネスを展開している。

 富士通エレクトロニクスを19年1月に子会社化(富士通セミコンダクターから株式70%取得、20年12月28日付で社名を加賀FEIに変更、22年1月1日付で完全子会社化)した。また19年10月にパイオニアの製造子会社である十和田パイオニアを子会社化して商号を加賀EMS十和田に変更、20年4月にエレクトロニクス商社のエクセルを子会社化、20年11月に旭東電気(20年4月民事再生法適用申請)から新設分割された新:旭東電気を子会社化した。

 21年10月には加賀EFIが、太陽誘電<6976>からBluetoothおよびWireless LANモジュールに関わる商圏、開発・製造技術ならびに知的財産権を承継し、22年1月から小型無線モジュール事業に本格参入した。22年6月には加賀デバイスが米国の半導体企業エフィニックス社と販売代理店契約を締結した。22年12月には加賀エアロシステムがユーロテックジャパンの事業を譲り受けて、回転翼航空機(ヘリコプター)事業を開始した。

 22年3月期のセグメント別売上高構成比は電子部品事業(半導体、電子部品、EMS)が88%、情報機器事業(パソコン・周辺機器、各種家電、写真・映像関連商品)が8%、ソフトウェア事業(CGアニメ映像制作、アミューズメント関連商品)が1%、その他事業(エレクトロニクス機器修理、アミューズメント機器製造販売、スポーツ用品販売など)が4%で、営業利益構成比は電子部品事業が87%、情報機器事業が10%、ソフトウェア事業が▲0%、その他事業が3%、調整額が1%だった。

 中期経営計画に沿ったセグメント区分は電子部品事業、EMS事業、CSI事業(情報機器事業)、その他事業(ソフトウェア事業、その他)としている。22年3月期の売上構成比は電子部品事業が66%、EMS事業が24%、CSI事業が8%、その他事業が3%、営業利益構成比は電子部品事業が53%、EMS事業が35%、CSI事業が10%、その他事業が1%、調整額が▲1%だった。

■収益力強化や新規事業創出を推進

 中期経営計画2024では基本方針に、更なる収益力の強化、経営基盤の強化、新規事業の創出、SDGs経営の推進を掲げている。経営目標値は、25年3月期売上高7500億円(電子部品事業3800億円、EMS事業1500億円、CSI事業540億円、その他事業160億円、新規M&A等1500億円)、営業利益200億円、ROE8.5%以上(安定的に)としている。株主還元については連結配当性向の目安を25〜35%に置き、安定的かつ継続的に充実化する。

 重点アクションとして、さらなる収益力の強化では成長分野(モビリティ、通信、環境、産業機器、医療・ヘルスケア)への選択と集中、EMSビジネスおよび海外ビジネスの強化・拡大、経営基盤の強化ではコーポレートガバナンスの強化、効率的なグループ運営、人的資本への投資、新規事業の創出では新規分野への取り組み、ベンチャー投資によるオープンイノベーションの推進、非連続な成長を狙うM&Aへの挑戦を掲げている。SDGs経営の推進については、サステナビリティ中長期経営計画(21年11月公表)に基づいて、持続可能な社会の実現と持続的なグループの成長の両立を目指す。

 21年7月には、ソフトバンクが設立したソフトバンク5Gコンソーシアムの5G関連パートナーとして参画した。5G関連通信設備・機器の提供などを通じて、5G普及促進とともに、事業を通じた社会貢献を追求するとしている。22年4月には社長直下にSDGs推進室を新設した。SDGsの取り組みに関するグループ全体の連携を強化し、サステナビリティ経営を推進する。

 23年1月には、トラース・オン・プロダクト<6696>が開発したAIによる電力コスト削減システム「AIrux8(エーアイラックス エイト)」について、日本における代理店1号として販売開始するとリリースしている。社会課題を解決する「AIrux8」の販売を通じて持続可能な社会の実現に貢献する。

 2月16日には子会社のエクセルが、EVバスの輸出入を展開するアルファバスジャパンと共同で、しずてつジャストライン(静岡県静岡市)に中国ALFA社製のEVバスを納入したと発表している。静岡県内では初となる大型EV路線バスとして2月13日より静岡市内の路線で運行開始した。

■ベンチャー投資でイノベーション創出を支援

 創立50周年を記念して設立した「50億円ファンド」を通じてベンチャー投資を行い、イノベーション創出を支援している。

 出資実績としては、ウェアラブルコミュニケーションデバイス開発のBONX、前立腺癌生検および治療用システム開発の米HARMONUS、スマートセキュリティサービスのSecual、ソフトバンクグループで保育クラウドサービスを展開するhugmo、AIソフトウェア開発のハカルス、次世代蓄電デバイス「グリーンキャパシタTM」開発のスペースリンク、動画CM配信プラットフォーム事業やデジタルサイネージ事業CMerTVを展開するSun Asterisk、アジア圏を中心にライブ配信アプリ「17Live」などソーシャルメディアを展開する台湾のM17、医療機器開発ベンチャーのニューロシューティカルズ、シェアリングプラットフォーム「Alice.style」を運営するレンタルサービスベンチャーのピーステックラボなどがある。

 20年10月には、独自開発の光触媒技術を活用して各種環境製品を展開するカルテック(子会社化したエクセルがスタートアップ資金を出資)と、光触媒除菌脱臭機「TURNED K」の販売および製造に関わる部品調達で協業した。20年12月には、オンライン診療システム「D―CUBE」などオンライン健康支援事業を展開するリンケージに出資した。

 21年5月には株式投資型クラウドファンディング事業者の日本クラウドキャピタルに出資、21年6月にはAI関連技術を開発するカタリナに出資、21年10月にはドローン等無人航空機の企画・製造・販売を行うVFR(PCメーカーのVAIOの子会社)に出資、21年11月には堆肥化装置や脱臭装置等を開発・販売するミライエに出資、21年12月には独自AI技術でエナジーインフォマティックス事業を展開するインフォメティスに出資した。

 22年12月には電動バイク製造・販売を行うaidea(アイディア)に出資した。電動バイクの普及により、環境負荷の少ない社会の実現を目指すとしている。

■23年3月期通期業績予想を3回目の上方修正、さらなる上振れの可能性

 23年3月期の連結業績予想(22年8月4日付で上方修正、22年11月8日付で2回目の上方修正、23年2月7日付で3回目の上方修正)は、売上高が22年3月期比18.0%増の5850億円、営業利益が41.0%増の295億円、経常利益が39.8%増の300億円、親会社株主帰属当期純利益が36.3%増の210億円としている。配当予想(22年11月8日付で第2四半期末特別配当30円、期末特別配当20円、合計特別配当50円上方修正、23年2月7日付で期末特別配当20円上方修正)は、22年3月期比100円増配の220円(第2四半期末100円=普通配当70円+特別配当30円、期末120円=普通配当70円+創立55周年記念配当10円+特別配当40円)としている。

 第3四半期累計は売上高が前年同期比28.2%増の4522億21百万円、営業利益が77.4%増の260億06百万円、経常利益が78.8%増の266億18百万円、親会社株主帰属四半期純利益が82.9%増の190億53百万円だった。

 第3四半期累計として過去最高業績だった。売上面は主力の電子部品事業が半導体・電子部品の需給緩和も背景として、広範な産業向けに伸長して大幅増収だった。利益面は大幅増収効果に加えて、販売ミックス良化に伴う売上総利益率向上(1.1ポイント上昇して13.2%)も寄与して大幅増益だった。販管費は20.5%増加したが、販管費比率は0.5ポイント低下して7.5%となった。営業外では持分法投資損益が改善(前年同期は損失4億99百万円、今期は利益58百万円)した。特別利益では投資有価証券売却益が増加(前年同期は1億18百万円、今期は6億26百万円)した。

 電子部品事業は、売上高が30.2%増の4056億08百万円、セグメント利益(全社費用等調整前営業利益)が79.5%増の233億41百万円だった。部品販売ビジネスでは、半導体・電子部品の需給緩和も背景として広範な業界向けに販売が高水準に推移した。車載向けは供給不足が続いたが、独立系商社としての調達力の強みを活かして販売物量を確保した。EMSビジネスも車載関連や医療機器関連を中心に好調だった。

 情報機器事業は売上高が10.8%増の291億39百万円、利益が23.3%増の14億99百万円だった。法人向けおよび教育機関向けパソコン販売が高価格製品を中心に堅調だった。資材不足で遅延していたLED設置ビジネスの大口工事の進捗も寄与した。

 ソフトウェア事業は売上高が12.8%増の20億76百万円、利益が1億35百万円の黒字(前年同期は1億09百万円の赤字)だった。スマホ向けゲーム制作やCG制作における大型案件や新規案件の受注が回復した。

 その他事業は売上高が17.3%増の153億97百万円、利益が105.3%増の9億71百万円だった。PC製品・周辺機器のリサイクルビジネスが好調に推移した。アミューズメント業界向けアーケードゲーム機器やゴルフ商品も伸長した。

 会社別の営業利益(連結調整前)は、加賀電子が58.3%増の175億78百万円、加賀EFIが189.8%増の70億10百万円、エクセルが8.1%増の13億77百万円だった。また中計セグメント別営業利益(連結調整前)は、電子部品事業が104.6%増の159億01百万円、EMS事業が45.1%増の79億26百万円、CSI(コンシューマー&システムインテグレーター)事業が23.3%増の14億99百万円、その他事業が380.2%増の6億20百万円だった。

 なお四半期別に見ると、第1四半期は売上高が1493億02百万円で営業利益が98億20百万円、第2四半期は売上高が1494億58百万円で営業利益が85億41百万円、第3四半期は売上高が1534億60百万円で営業利益が76億45百万円だった。第3四半期の営業利益は販管費でインフレ手当を含めた特別一時金17億円を引き当てたため、第2四半期比で減益の形となっている。

 通期の連結業績予想は前回予想に対して、売上高を150億円、営業利益を15億円、経常利益を10億円、親会社株主帰属当期純利益を10億円、それぞれ上方修正した。半導体・電子部品の需給動向や為替変動などの不透明感を考慮して、第3四半期累計時点の上振れ分(社内計画に対して売上高182億円、営業利益15億円それぞれ上振れ)を反映させた。

 修正後セグメント別計画は、電子部品事業の売上高が20.5%増の5230億円(前回予想は5070億円)で利益が42.5%増の258億円(同248億円)、情報機器事業の売上高が1.6%減の390億円で利益が4.1%減の20億円、ソフトウェア事業の売上高が8.4%増の30億円(同40億円)で利益が2億円の黒字(22年3月期は26百万円の赤字)、その他事業の売上高が2.1%増の200億円で利益が139.6%増の15億円(同10億円)としている。

 修正後の通期予想に対する第3四半期累計の進捗率は売上高が77.3%、営業利益が88.2%、経常利益が88.7%、親会社株主帰属当期純利益が90.7%となる。第3四半期累計の上振れ分を上方修正して第4四半期の計画を据え置いた形であることを勘案すれば、通期会社予想はさらなる上振れの可能性が高く、積極的な事業展開で収益拡大基調だろう。

■株価は上場来高値更新の展開

 なお22年8月には、JPX総研および日本経済新聞社が共同して算出する「JPX日経中小型株指数」の2022年度構成銘柄として、昨年度に続いて選定された。

 23年1月には3つの主要なIRサイト評価機関において22年度も高い評価を得たとリリースしている。具体的には大和インベスター・リレーションズの2022年インターネットIR表彰で最優秀賞、日興アイ・アールの2022年度全上場企業ホームページ充実度ランキング調査で総合部門・最優秀サイト、ブロードバンドセキュリティのGomez IRサイトランキング2022で優秀企業・銅賞を獲得した。

 株価は順調に水準を切り上げて上場来高値更新の展開だ。目先的には日柄調整の可能性もあるが、依然として指標面の割安感も評価材料であり、利益確定売りをこなしながら上値を試す展開を期待したい。2月27日の終値は4875円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS799円78銭で算出)は約6倍、今期予想配当利回り(会社予想の220円で算出)は約4.5%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS4026円22銭で算出)は約1.2倍、そして時価総額は約1399億円である。 (情報提供:日本インタビュ新聞社=Media−IR)
[01月30日更新]

加賀電子は上値試す、23年3月期は3回目の上振れの可能性

 加賀電子<8154>(東証プライム)は独立系の大手エレクトロニクス総合商社である。半導体・電子部品・情報機器等の商社ビジネス、および電装基板製造受託のEMSビジネスを展開し、さらなる成長に向けて収益力の強化、経営基盤の強化、新規事業の創出、SDGs経営を推進している。1月26日にはAIによる電力コスト削減システムの販売開始をリリースしている。23年3月期は電子部品事業が伸長して大幅増収増益予想(22年11月8日付で2回目の上方修正)としている。第2四半期累計の好調を勘案すれば通期業績予想は3回目の上振れの可能性が高く、積極的な事業展開で収益拡大基調だろう。株価は22年11月の上場来高値圏から一旦反落したが、利益確定売りが一巡して切り返しの動きを強めている。指標面の割安感も評価材料であり、上値を試す展開を期待したい。なお2月7日に23年3月期第3四半期決算発表を予定している。

■独立系の大手エレクトロニクス総合商社

 独立系の大手エレクトロニクス総合商社である。M&Aも積極活用して半導体・電子部品・情報機器等の商社ビジネス、および電装基板製造受託サービスのEMSビジネスを展開している。

 富士通エレクトロニクスを19年1月に子会社化(富士通セミコンダクターから株式70%取得、20年12月28日付で社名を加賀FEIに変更、22年1月1日付で完全子会社化)した。また19年10月にパイオニアの製造子会社である十和田パイオニアを子会社化して商号を加賀EMS十和田に変更、20年4月にエレクトロニクス商社のエクセルを子会社化、20年11月に旭東電気(20年4月民事再生法適用申請)から新設分割された新:旭東電気を子会社化した。

 21年10月には加賀EFIが、太陽誘電<6976>からBluetoothおよびWireless LANモジュールに関わる商圏、開発・製造技術ならびに知的財産権を承継し、22年1月から小型無線モジュール事業に本格参入した。22年6月には加賀デバイスが米国の半導体企業エフィニックス社と販売代理店契約を締結した。22年12月には加賀エアロシステムがユーロテックジャパンの事業を譲り受けて、回転翼航空機(ヘリコプター)事業を開始した。

 22年3月期のセグメント別売上高構成比は電子部品事業(半導体、電子部品、EMS)が88%、情報機器事業(パソコン・周辺機器、各種家電、写真・映像関連商品)が8%、ソフトウェア事業(CGアニメ映像制作、アミューズメント関連商品)が1%、その他事業(エレクトロニクス機器修理、アミューズメント機器製造販売、スポーツ用品販売など)が4%で、営業利益構成比は電子部品事業が87%、情報機器事業が10%、ソフトウェア事業が▲0%、その他事業が3%、調整額が1%だった。

 中期経営計画に沿ったセグメント区分は電子部品事業、EMS事業、CSI事業(情報機器事業)、その他事業(ソフトウェア事業、その他)としている。22年3月期の売上構成比は電子部品事業が66%、EMS事業が24%、CSI事業が8%、その他事業が3%、営業利益構成比は電子部品事業が53%、EMS事業が35%、CSI事業が10%、その他事業が1%、調整額が▲1%だった。

■収益力強化や新規事業創出を推進

 中期経営計画2024では基本方針に、更なる収益力の強化、経営基盤の強化、新規事業の創出、SDGs経営の推進を掲げている。経営目標値は、25年3月期売上高7500億円(電子部品事業3800億円、EMS事業1500億円、CSI事業540億円、その他事業160億円、新規M&A等1500億円)、営業利益200億円、ROE8.5%以上(安定的に)としている。株主還元については連結配当性向の目安を25〜35%に置き、安定的かつ継続的に充実化する。

 重点アクションとして、さらなる収益力の強化では成長分野(モビリティ、通信、環境、産業機器、医療・ヘルスケア)への選択と集中、EMSビジネスおよび海外ビジネスの強化・拡大、経営基盤の強化ではコーポレートガバナンスの強化、効率的なグループ運営、人的資本への投資、新規事業の創出では新規分野への取り組み、ベンチャー投資によるオープンイノベーションの推進、非連続な成長を狙うM&Aへの挑戦を掲げている。SDGs経営の推進については、サステナビリティ中長期経営計画(21年11月公表)に基づいて、持続可能な社会の実現と持続的なグループの成長の両立を目指す。

 21年7月には、ソフトバンクが設立したソフトバンク5Gコンソーシアムの5G関連パートナーとして参画した。5G関連通信設備・機器の提供などを通じて、5G普及促進とともに、事業を通じた社会貢献を追求するとしている。22年4月には社長直下にSDGs推進室を新設した。SDGsの取り組みに関するグループ全体の連携を強化し、サステナビリティ経営を推進する。

 1月26日には、トラース・オン・プロダクト<6696>が開発したAIによる電力コスト削減システム「AIrux8(エーアイラックス エイト)」について、日本における代理店1号として販売開始するとリリースしている。社会課題を解決する「AIrux8」の販売を通じて持続可能な社会の実現に貢献する。

■ベンチャー投資でイノベーション創出を支援

 創立50周年を記念して設立した「50億円ファンド」を通じてベンチャー投資を行い、イノベーション創出を支援している。

 出資実績としては、ウェアラブルコミュニケーションデバイス開発のBONX、前立腺癌生検および治療用システム開発の米HARMONUS、スマートセキュリティサービスのSecual、ソフトバンクグループで保育クラウドサービスを展開するhugmo、AIソフトウェア開発のハカルス、次世代蓄電デバイス「グリーンキャパシタTM」開発のスペースリンク、動画CM配信プラットフォーム事業やデジタルサイネージ事業CMerTVを展開するSun Asterisk、アジア圏を中心にライブ配信アプリ「17Live」などソーシャルメディアを展開する台湾のM17、医療機器開発ベンチャーのニューロシューティカルズ、シェアリングプラットフォーム「Alice.style」を運営するレンタルサービスベンチャーのピーステックラボなどがある。

 20年10月には、独自開発の光触媒技術を活用して各種環境製品を展開するカルテック(子会社化したエクセルがスタートアップ資金を出資)と、光触媒除菌脱臭機「TURNED K」の販売および製造に関わる部品調達で協業した。20年12月には、オンライン診療システム「D―CUBE」などオンライン健康支援事業を展開するリンケージに出資した。

 21年5月には株式投資型クラウドファンディング事業者の日本クラウドキャピタルに出資、21年6月にはAI関連技術を開発するカタリナに出資、21年10月にはドローン等無人航空機の企画・製造・販売を行うVFR(PCメーカーのVAIOの子会社)に出資、21年11月には堆肥化装置や脱臭装置等を開発・販売するミライエに出資、21年12月には独自AI技術でエナジーインフォマティックス事業を展開するインフォメティスに出資した。

 22年12月には電動バイク製造・販売を行うaidea(アイディア)に出資した。電動バイクの普及により、環境負荷の少ない社会の実現を目指すとしている。

■23年3月期は3回目の上振れの可能性

 23年3月期連結業績予想(22年8月4日付で上方修正、22年11月8日付で2回目の上方修正)は、売上高が22年3月期比15.0%増の5700億円、営業利益が33.9%増の280億円、経常利益が35.2%増の290億円、親会社株主帰属当期純利益が29.9%増の200億円としている。配当予想(22年11月8日付で第2四半期末30円、期末20円、合計50円上方修正)については、22年3月期比80円増配の200円(第2四半期末100円=普通配当70円+特別配当30円、期末100円=普通配当70円+創立55周年記念配当10円+特別配当20円)としている。

 前回予想(22年8月4日付上方修正値)に対して売上高を300億円、営業利益を40億円、経常利益を45億円、親会社株主帰属当期純利益を40億円、それぞれ上方修正した。半導体市況、新型コロナ、ウクライナ情勢、為替変動などの不透明感を考慮して、第2四半期累計時点の上振れ分を反映させ、第3四半期以降の見通しは据え置いた。

 修正後セグメント別計画は、電子部品事業の売上高が16.9%増の5070億円(前回予想は4770億円)で利益が37.0%増の248億円(同213億円)、情報機器事業の売上高が1.6%減の390億円で利益が4.1%減の20億円、ソフトウェア事業の売上高が44.5%増の40億円で利益が2億円の黒字(同1億円の黒字、22年3月期は26百万円の赤字)、その他の売上高が2.1%増の200億円で利益が59.7%増の10億円(同6億円)としている。

 第2四半期累計は売上高が前年同期比34.0%増の2987億60百万円、営業利益が2.2倍の183億61百万円、経常利益が2.2倍の189億32百万円、親会社株主帰属四半期純利益が2.4倍の134億12百万円だった。売上高、各利益とも第2四半期累計として過去最高だった。社内計画に対しては売上高が237億円、営業利益が48億円上振れて着地したとしている。

 売上面は、電子部品事業が自動車や産業機器関連を中心に広範な分野で伸長して大幅増収となった。独立系商社としての調達力を活かして旺盛な需要を取り込んだ。利益面は、大幅増収効果に加えて、販売ミックス良化に伴う売上総利益率向上(1.2ポイント上昇)も寄与して大幅増益だった。販管費比率は7.2%で1.2ポイント低下した。営業利益100億61百万円増益の要因分析は、販売数量・販売ミックスで+99億57百万円、スポット販売で+29億11百万円、販管費増加で▲28億07百万円としている。

 電子部品事業は、売上高が38.1%増の2684億64百万円、セグメント利益(全社費用等調整前営業利益)が2.3倍の166億17百万円だった。部品販売ビジネスでは、独立系商社としての調達力の強みを活かし、広範な業界からの旺盛な需要に対応した。子会社の加賀FEIやエクセルにおいてもPMI(企業買収後の統合プロセス)が進捗して貢献した。EMSビジネスでは、車載関連や医療機器関連を中心に主要顧客向け販売が伸長した。

 情報機器事業は売上高が4.7%増の195億97百万円、利益が6.0%増の9億65百万円だった。法人向けおよび教育機関向けパソコン販売が高価格製品を中心に堅調に推移し、資材不足で遅延していたLED設置ビジネスの大口工事の再開も寄与した。ソフトウェア事業は売上高が5.6%増の13億07百万円、利益が95百万円の黒字(前年同期は1億09百万円の赤字)だった。ゲーム制作やCG制作の新規案件の受注が増加した。その他事業は売上高が8.6%増の93億92百万円、利益が2.1倍の6億58百万円だった。リサイクルビジネスが好調に推移し、アミューズメント業界向けアーケードゲーム機器やゴルフ商品も伸長した。

 中計セグメント別業績は、電子部品事業の売上高が40.1%増の2028億67百万円で利益が3.0倍の116億89百万円、EMS事業の売上高が30.0%増の694億86百万円で利益が59.9%増の53億11百万円、CSI事業の売上高が4.7%増の195億97百万円で利益が6.0%増の9億65百万円、その他事業の売上高が12.5%増の68億09百万円で利益が5.8倍の3億69百万円だった。

 四半期別に見ると、第1四半期は売上高が1493億02百万円で営業利益が98億20百万円、第2四半期は売上高が1494億58百万円で営業利益が85億41百万円だった。

 修正後の通期予想に対する第2四半期累計の進捗率は売上高が52.4%、営業利益が65.6%、経常利益が65.3%、親会社株主帰属当期純利益が67.1%となる。第2四半期累計時点の上振れ分を反映させ、第3四半期以降の見通しは据え置いた形だが、第2四半期累計の好調を勘案すれば通期業績予想は3回目の上振れの可能性が高く、積極的な事業展開で収益拡大基調だろう。

■株価は上値試す

 なお22年8月には、JPX総研および日本経済新聞社が共同して算出する「JPX日経中小型株指数」の2022年度構成銘柄として、昨年度に続いて選定された。

 1月5日には3つの主要なIRサイト評価機関において22年度も高い評価を得たとリリースしている。具体的には大和インベスター・リレーションズの2022年インターネットIR表彰で最優秀賞、日興アイ・アールの2022年度全上場企業ホームページ充実度ランキング調査で総合部門・最優秀サイト、ブロードバンドセキュリティのGomez IRサイトランキング2022で優秀企業・銅賞を獲得した。

 株価は22年11月の上場来高値圏から一旦反落したが、利益確定売りが一巡して切り返しの動きを強めている。指標面の割安感も評価材料であり、上値を試す展開を期待したい。1月27日の終値は4275円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS761円70銭で算出)は約6倍、今期予想配当利回り(会社予想の200円で算出)は約4.7%、前期実績連結PBR(前期実績連結BPS4026円22銭で算出)は約1.1倍、そして時価総額は約1227億円である。(情報提供:日 本インタビュ新聞社=Media−IR)
[01月12日更新]

加賀電子は調整一巡して反発の動き、23年3月期は3回目の上振れの可能性

 加賀電子<8154>(東証プライム)は独立系の大手エレクトロニクス総合商社である。半導体・電子部品・情報機器等の商社ビジネス、および電装基板製造受託サービスのEMSビジネスを展開し、さらなる成長に向けて収益力の強化、経営基盤の強化、新規事業の創出、SDGs経営を推進している。23年3月期は電子部品事業が伸長して大幅増収増益予想(11月8日付で2回目の上方修正)としている。第2四半期累計の好調を勘案すれば、通期業績予想はさらに3回目の上振れの可能性が高く、積極的な事業展開で収益拡大基調だろう。株価は22年11月の上場来高値圏から利益確定売りで反落し、その後の地合い悪化も影響して水準を切り下げる形だったが、調整一巡して反発の動きを強めている。指標面の割安感も評価材料であり、上値を試す展開を期待したい。なお2月7日に23年3月期第3四半期決算発表を予定している。

■独立系の大手エレクトロニクス総合商社

 独立系の大手エレクトロニクス総合商社である。M&Aも積極活用して半導体・電子部品・情報機器等の商社ビジネス、および電装基板製造受託サービスのEMSビジネスを展開している。

 富士通エレクトロニクスを19年1月に子会社化(富士通セミコンダクターから株式70%取得、20年12月28日付で社名を加賀FEIに変更、22年1月1日付で完全子会社化)した。また19年10月にパイオニアの製造子会社である十和田パイオニアを子会社化して商号を加賀EMS十和田に変更、20年4月にエレクトロニクス商社のエクセルを子会社化、20年11月に旭東電気(20年4月民事再生法適用申請)から新設分割された新:旭東電気を子会社化した。

 21年10月には加賀EFIが、太陽誘電<6976>からBluetoothおよびWireless LANモジュールに関わる商圏、開発・製造技術ならびに知的財産権を承継し、22年1月から小型無線モジュール事業に本格参入した。22年6月には加賀デバイスが米国の半導体企業エフィニックス社と販売代理店契約を締結した。22年12月には加賀エアロシステムがユーロテックジャパンの事業を譲り受けて、回転翼航空機(ヘリコプター)事業を開始した。

 22年3月期のセグメント別売上高構成比は電子部品事業(半導体、電子部品、EMS)が88%、情報機器事業(パソコン・周辺機器、各種家電、写真・映像関連商品)が8%、ソフトウェア事業(CGアニメ映像制作、アミューズメント関連商品)が1%、その他事業(エレクトロニクス機器修理、アミューズメント機器製造販売、スポーツ用品販売など)が4%で、営業利益構成比は電子部品事業が87%、情報機器事業が10%、ソフトウェア事業が▲0%、その他事業が3%、調整額が1%だった。

 中期経営計画に沿ったセグメント区分は電子部品事業、EMS事業、CSI事業(情報機器事業)、その他事業(ソフトウェア事業、その他)としている。22年3月期の売上構成比は電子部品事業が66%、EMS事業が24%、CSI事業が8%、その他事業が3%、営業利益構成比は電子部品事業が53%、EMS事業が35%、CSI事業が10%、その他事業が1%、調整額が▲1%だった。

■収益力強化や新規事業創出を推進

 中期経営計画2024では基本方針に、更なる収益力の強化、経営基盤の強化、新規事業の創出、SDGs経営の推進を掲げている。経営目標値は、25年3月期売上高7500億円(電子部品事業3800億円、EMS事業1500億円、CSI事業540億円、その他事業160億円、新規M&A等1500億円)、営業利益200億円、ROE8.5%以上(安定的に)としている。株主還元については連結配当性向の目安を25〜35%に置き、安定的かつ継続的に充実化する。

 重点アクションとして、さらなる収益力の強化では成長分野(モビリティ、通信、環境、産業機器、医療・ヘルスケア)への選択と集中、EMSビジネスおよび海外ビジネスの強化・拡大、経営基盤の強化ではコーポレートガバナンスの強化、効率的なグループ運営、人的資本への投資、新規事業の創出では新規分野への取り組み、ベンチャー投資によるオープンイノベーションの推進、非連続な成長を狙うM&Aへの挑戦を掲げている。SDGs経営の推進については、サステナビリティ中長期経営計画(21年11月公表)に基づいて、持続可能な社会の実現と持続的なグループの成長の両立を目指す。

 21年7月には、ソフトバンクが設立したソフトバンク5Gコンソーシアムの5G関連パートナーとして参画した。5G関連通信設備・機器の提供などを通じて、5G普及促進とともに、事業を通じた社会貢献を追求するとしている。22年4月には社長直下にSDGs推進室を新設した。SDGsの取り組みに関するグループ全体の連携を強化し、サステナビリティ経営を推進する。

■ベンチャー投資でイノベーション創出を支援

 創立50周年を記念して設立した「50億円ファンド」を通じてベンチャー投資を行い、イノベーション創出を支援している。

 出資実績としては、ウェアラブルコミュニケーションデバイス開発のBONX、前立腺癌生検および治療用システム開発の米HARMONUS、スマートセキュリティサービスのSecual、ソフトバンクグループで保育クラウドサービスを展開するhugmo、AIソフトウェア開発のハカルス、次世代蓄電デバイス「グリーンキャパシタTM」開発のスペースリンク、動画CM配信プラットフォーム事業やデジタルサイネージ事業CMerTVを展開するSun Asterisk、アジア圏を中心にライブ配信アプリ「17Live」などソーシャルメディアを展開する台湾のM17、医療機器開発ベンチャーのニューロシューティカルズ、シェアリングプラットフォーム「Alice.style」を運営するレンタルサービスベンチャーのピーステックラボなどがある。

 20年10月には、独自開発の光触媒技術を活用して各種環境製品を展開するカルテック(子会社化したエクセルがスタートアップ資金を出資)と、光触媒除菌脱臭機「TURNED K」の販売および製造に関わる部品調達で協業した。20年12月には、オンライン診療システム「D―CUBE」などオンライン健康支援事業を展開するリンケージに出資した。

 21年5月には株式投資型クラウドファンディング事業者の日本クラウドキャピタルに出資、21年6月にはAI関連技術を開発するカタリナに出資、21年10月にはドローン等無人航空機の企画・製造・販売を行うVFR(PCメーカーのVAIOの子会社)に出資、21年11月には堆肥化装置や脱臭装置等を開発・販売するミライエに出資、21年12月には独自AI技術でエナジーインフォマティックス事業を展開するインフォメティスに出資した。

 22年12月には電動バイク製造・販売を行うaidea(アイディア)に出資した。電動バイクの普及により、環境負荷の少ない社会の実現を目指すとしている。

■23年3月期は3回目の上振れの可能性

 23年3月期連結業績予想(22年8月4日付で上方修正、11月8日付で2回目の上方修正)は、売上高が22年3月期比15.0%増の5700億円、営業利益が33.9%増の280億円、経常利益が35.2%増の290億円、親会社株主帰属当期純利益が29.9%増の200億円としている。配当予想(11月8日付で第2四半期末30円、期末20円、合計50円上方修正)は、22年3月期比80円増配の200円(第2四半期末100円=普通配当70円+特別配当30円、期末100円=普通配当70円+創立55周年記念配当10円+特別配当20円)としている。

 前回予想(8月4日付上方修正値)に対して売上高を300億円、営業利益を40億円、経常利益を45億円、親会社株主帰属当期純利益を40億円、それぞれ上方修正した。半導体市況、新型コロナ、ウクライナ情勢、為替変動などの不透明感を考慮して、第2四半期累計時点の上振れ分を反映させ、第3四半期以降の見通しは据え置いた。

 修正後セグメント別計画は、電子部品事業の売上高が16.9%増の5070億円(前回予想は4770億円)で利益が37.0%増の248億円(同213億円)、情報機器事業の売上高が1.6%減の390億円で利益が4.1%減の20億円、ソフトウェア事業の売上高が44.5%増の40億円で利益が2億円の黒字(同1億円の黒字、22年3月期は26百万円の赤字)、その他の売上高が2.1%増の200億円で利益が59.7%増の10億円(同6億円)としている。

 第2四半期累計は売上高が前年同期比34.0%増の2987億60百万円、営業利益が2.2倍の183億61百万円、経常利益が2.2倍の189億32百万円、親会社株主帰属四半期純利益が2.4倍の134億12百万円だった。売上高、各利益とも第2四半期累計として過去最高だった。社内計画に対しては売上高が237億円、営業利益が48億円上振れて着地したとしている。

 売上面は、電子部品事業が自動車や産業機器関連を中心に広範な分野で伸長して大幅増収となった。独立系商社としての調達力を活かして旺盛な需要を取り込んだ。利益面は、大幅増収効果に加えて、販売ミックス良化に伴う売上総利益率向上(1.2ポイント上昇)も寄与して大幅増益だった。販管費比率は7.2%で1.2ポイント低下した。営業利益100億61百万円増益の要因分析は、販売数量・販売ミックスで+99億57百万円、スポット販売で+29億11百万円、販管費増加で▲28億07百万円としている。

 電子部品事業は、売上高が38.1%増の2684億64百万円、セグメント利益(全社費用等調整前営業利益)が2.3倍の166億17百万円だった。部品販売ビジネスでは、独立系商社としての調達力の強みを活かし、広範な業界からの旺盛な需要に対応した。子会社の加賀FEIやエクセルにおいてもPMI(企業買収後の統合プロセス)が進捗して貢献した。EMSビジネスでは、車載関連や医療機器関連を中心に主要顧客向け販売が伸長した。

 情報機器事業は売上高が4.7%増の195億97百万円、利益が6.0%増の9億65百万円だった。法人向けおよび教育機関向けパソコン販売が高価格製品を中心に堅調に推移し、資材不足で遅延していたLED設置ビジネスの大口工事の再開も寄与した。ソフトウェア事業は売上高が5.6%増の13億07百万円、利益が95百万円の黒字(前年同期は1億09百万円の赤字)だった。ゲーム制作やCG制作の新規案件の受注が増加した。その他事業は売上高が8.6%増の93億92百万円、利益が2.1倍の6億58百万円だった。リサイクルビジネスが好調に推移し、アミューズメント業界向けアーケードゲーム機器やゴルフ商品も伸長した。

 中計セグメント別業績は、電子部品事業の売上高が40.1%増の2028億67百万円で利益が3.0倍の116億89百万円、EMS事業の売上高が30.0%増の694億86百万円で利益が59.9%増の53億11百万円、CSI事業の売上高が4.7%増の195億97百万円で利益が6.0%増の9億65百万円、その他事業の売上高が12.5%増の68億09百万円で利益が5.8倍の3億69百万円だった。

 四半期別に見ると、第1四半期は売上高が1493億02百万円で営業利益が98億20百万円、第2四半期は売上高が1494億58百万円で営業利益が85億41百万円だった。

 修正後の通期予想に対する第2四半期累計の進捗率は売上高が52.4%、営業利益が65.6%、経常利益が65.3%、親会社株主帰属当期純利益が67.1%となる。第2四半期累計時点の上振れ分を反映させ、第3四半期以降の見通しは据え置いた形だが、第2四半期累計の好調を勘案すれば、通期業績予想はさらに3回目の上振れの可能性が高く、積極的な事業展開で収益拡大基調だろう。

■株価は上値試す

 なお22年8月には、JPX総研および日本経済新聞社が共同して算出する「JPX日経中小型株指数」の2022年度構成銘柄として、昨年度に続いて選定された。

 1月5日には3つの主要なIRサイト評価機関において22年度も高い評価を得たとリリースしている。具体的には大和インベスター・リレーションズの2022年インターネットIR表彰で最優秀賞、日興アイ・アールの2022年度全上場企業ホームページ充実度ランキング調査で総合部門・最優秀サイト、ブロードバンドセキュリティのGomez IRサイトランキング2022で優秀企業・銅賞を獲得した。

 株価は22年11月の上場来高値圏から利益確定売りで反落し、その後の地合い悪化も影響して水準を切り下げる形だったが、調整一巡して反発の動きを強めている。週足チャートで見ると、26週移動平均線近辺から切り返す形となった。サポートラインを確認した形だろう。指標面の割安感も評価材料であり、上値を試す展開を期待したい。1月11日の終値は4140円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS761円70銭で算出)は約5倍、今期予想配当利回り(会社予想の200円で算出)は約4.8%、前期実績連結PBR(前期実績連結BPS4026円22銭で算出)は約1.0倍、そして時価総額は約1188億円である。(情報提供:日 本インタビュ新聞社=Media−IR)
[12月22日更新]

加賀電子は上値試す、23年3月期は3回目の上振れの可能性

 加賀電子<8154>(東証プライム)は独立系の大手エレクトロニクス総合商社である。M&Aも積極活用して半導体・電子部品・情報機器等の商社ビジネス、および電装基板製造受託サービスのEMSビジネスを展開している。さらに中期経営計画では基本方針に収益力の強化、経営基盤の強化、新規事業の創出、SDGs経営の推進を掲げている。23年3月期は電子部品事業が伸長して大幅増収増益予想(11月8日付で2回目の上方修正)としている。第2四半期累計の好調を勘案すれば、通期業績予想はさらに3回目の上振れの可能性が高く、積極的な事業展開で収益拡大基調だろう。株価は利益確定売りで11月の上場来高値圏から反落し、さらにその後の地合い悪化も影響して水準を切り下げる形となったが、調整一巡して上値を試す展開を期待したい。

■独立系の大手エレクトロニクス総合商社

 独立系の大手エレクトロニクス総合商社である。M&Aも積極活用して半導体・電子部品・情報機器等の商社ビジネス、および電装基板製造受託サービスのEMSビジネスを展開している。

 富士通エレクトロニクスを19年1月に子会社化(富士通セミコンダクターから株式70%取得、20年12月28日付で社名を加賀FEIに変更、22年1月1日付で完全子会社化)した。また19年10月にパイオニアの製造子会社である十和田パイオニアを子会社化して商号を加賀EMS十和田に変更、20年4月にエレクトロニクス商社のエクセルを子会社化、20年11月に旭東電気(20年4月民事再生法適用申請)から新設分割された新:旭東電気を子会社化した。

 21年10月には加賀EFIが、太陽誘電<6976>からBluetoothおよびWireless LANモジュールに関わる商圏、開発・製造技術ならびに知的財産権を承継し、22年1月から小型無線モジュール事業に本格参入した。

 22年6月には子会社の加賀デバイスが米国の半導体企業エフィニックス社と販売代理店契約を締結した。12月1日には子会社の加賀エアロシステムがユーロテックジャパンの事業を譲り受けて、回転翼航空機(ヘリコプター)事業を開始した。

 22年3月期のセグメント別売上高構成比は電子部品事業(半導体、電子部品、EMS)が88%、情報機器事業(パソコン・周辺機器、各種家電、写真・映像関連商品)が8%、ソフトウェア事業(CGアニメ映像制作、アミューズメント関連商品)が1%、その他事業(エレクトロニクス機器修理、アミューズメント機器製造販売、スポーツ用品販売など)が4%で、営業利益構成比は電子部品事業が87%、情報機器事業が10%、ソフトウェア事業が▲0%、その他事業が3%、調整額が1%だった。

 中期経営計画に沿ったセグメント区分は電子部品事業、EMS事業、CSI事業(情報機器事業)、その他事業(ソフトウェア事業、その他)としている。22年3月期の売上構成比は電子部品事業が66%、EMS事業が24%、CSI事業が8%、その他事業が3%、営業利益構成比は電子部品事業が53%、EMS事業が35%、CSI事業が10%、その他事業が1%、調整額が▲1%だった。

■収益力強化や新規事業創出を推進

 中期経営計画2024では基本方針に、更なる収益力の強化、経営基盤の強化、新規事業の創出、SDGs経営の推進を掲げている。経営目標値は、25年3月期売上高7500億円(電子部品事業3800億円、EMS事業1500億円、CSI事業540億円、その他事業160億円、新規M&A等1500億円)、営業利益200億円、ROE8.5%以上(安定的に)としている。株主還元については連結配当性向の目安を25〜35%に置き、安定的かつ継続的に充実化する。

 重点アクションとして、さらなる収益力の強化では成長分野(モビリティ、通信、環境、産業機器、医療・ヘルスケア)への選択と集中、EMSビジネスおよび海外ビジネスの強化・拡大、経営基盤の強化ではコーポレートガバナンスの強化、効率的なグループ運営、人的資本への投資、新規事業の創出では新規分野への取り組み、ベンチャー投資によるオープンイノベーションの推進、非連続な成長を狙うM&Aへの挑戦を掲げている。SDGs経営の推進については、サステナビリティ中長期経営計画(21年11月公表)に基づいて、持続可能な社会の実現と持続的なグループの成長の両立を目指す。

 21年7月には、ソフトバンクが設立したソフトバンク5Gコンソーシアムの5G関連パートナーとして参画した。5G関連通信設備・機器の提供などを通じて、5G普及促進とともに、事業を通じた社会貢献を追求するとしている。22年4月には社長直下にSDGs推進室を新設した。SDGsの取り組みに関するグループ全体の連携を強化し、サステナビリティ経営を推進する。

■ベンチャー投資でイノベーション創出を支援

 創立50周年を記念して設立した「50億円ファンド」を通じてベンチャー投資を行い、イノベーション創出を支援している。

 出資実績としては、ウェアラブルコミュニケーションデバイス開発のBONX、前立腺癌生検および治療用システム開発の米HARMONUS、スマートセキュリティサービスのSecual、ソフトバンクグループで保育クラウドサービスを展開するhugmo、AIソフトウェア開発のハカルス、次世代蓄電デバイス「グリーンキャパシタTM」開発のスペースリンク、動画CM配信プラットフォーム事業やデジタルサイネージ事業CMerTVを展開するSun Asterisk、アジア圏を中心にライブ配信アプリ「17Live」などソーシャルメディアを展開する台湾のM17、医療機器開発ベンチャーのニューロシューティカルズ、シェアリングプラットフォーム「Alice.style」を運営するレンタルサービスベンチャーのピーステックラボなどがある。

 20年10月には、独自開発の光触媒技術を活用して各種環境製品を展開するカルテック(子会社化したエクセルがスタートアップ資金を出資)と、光触媒除菌脱臭機「TURNED K」の販売および製造に関わる部品調達で協業した。20年12月には、オンライン診療システム「D―CUBE」などオンライン健康支援事業を展開するリンケージに出資した。

 21年5月には株式投資型クラウドファンディング事業者の日本クラウドキャピタルに出資、21年6月にはAI関連技術を開発するカタリナに出資、21年10月にはドローン等無人航空機の企画・製造・販売を行うVFR(PCメーカーのVAIOの子会社)に出資、21年11月には堆肥化装置や脱臭装置等を開発・販売するミライエに出資、21年12月には独自AI技術でエナジーインフォマティックス事業を展開するインフォメティスに出資した。

■23年3月期は3回目の上振れの可能性

 23年3月期連結業績予想(22年8月4日付で上方修正、11月8日付で2回目の上方修正)は、売上高が22年3月期比15.0%増の5700億円、営業利益が33.9%増の280億円、経常利益が35.2%増の290億円、親会社株主帰属当期純利益が29.9%増の200億円としている。配当予想(11月8日付で第2四半期末30円、期末20円、合計50円上方修正)は、22年3月期比80円増配の200円(第2四半期末100円=普通配当70円+特別配当30円、期末100円=普通配当70円+創立55周年記念配当10円+特別配当20円)としている。

 前回予想(8月4日付上方修正値)に対して売上高を300億円、営業利益を40億円、経常利益を45億円、親会社株主帰属当期純利益を40億円、それぞれ上方修正した。半導体市況、新型コロナ、ウクライナ情勢、為替変動などの不透明感を考慮して、第2四半期累計時点の上振れ分を反映させ、第3四半期以降の見通しは据え置いた。

 修正後セグメント別計画は、電子部品事業の売上高が16.9%増の5070億円(前回予想は4770億円)で利益が37.0%増の248億円(同213億円)、情報機器事業の売上高が1.6%減の390億円で利益が4.1%減の20億円、ソフトウェア事業の売上高が44.5%増の40億円で利益が2億円の黒字(同1億円の黒字、22年3月期は26百万円の赤字)、その他の売上高が2.1%増の200億円で利益が59.7%増の10億円(同6億円)としている。

 第2四半期累計は売上高が前年同期比34.0%増の2987億60百万円、営業利益が2.2倍の183億61百万円、経常利益が2.2倍の189億32百万円、親会社株主帰属四半期純利益が2.4倍の134億12百万円だった。売上高、各利益とも第2四半期累計として過去最高だった。社内計画に対しては売上高が237億円、営業利益が48億円上振れて着地したとしている。

 売上面は、電子部品事業が自動車や産業機器関連を中心に広範な分野で伸長して大幅増収となった。独立系商社としての調達力を活かして旺盛な需要を取り込んだ。利益面は、大幅増収効果に加えて、販売ミックス良化に伴う売上総利益率向上(1.2ポイント上昇)も寄与して大幅増益だった。販管費比率は7.2%で1.2ポイント低下した。営業利益100億61百万円増益の要因分析は、販売数量・販売ミックスで+99億57百万円、スポット販売で+29億11百万円、販管費増加で▲28億07百万円としている。

 電子部品事業は、売上高が38.1%増の2684億64百万円、セグメント利益(全社費用等調整前営業利益)が2.3倍の166億17百万円だった。部品販売ビジネスでは、独立系商社としての調達力の強みを活かし、広範な業界からの旺盛な需要に対応した。子会社の加賀FEIやエクセルにおいてもPMI(企業買収後の統合プロセス)が進捗して貢献した。EMSビジネスでは、車載関連や医療機器関連を中心に主要顧客向け販売が伸長した。

 情報機器事業は売上高が4.7%増の195億97百万円、利益が6.0%増の9億65百万円だった。法人向けおよび教育機関向けパソコン販売が高価格製品を中心に堅調に推移し、資材不足で遅延していたLED設置ビジネスの大口工事の再開も寄与した。ソフトウェア事業は売上高が5.6%増の13億07百万円、利益が95百万円の黒字(前年同期は1億09百万円の赤字)だった。ゲーム制作やCG制作の新規案件の受注が増加した。その他事業は売上高が8.6%増の93億92百万円、利益が2.1倍の6億58百万円だった。リサイクルビジネスが好調に推移し、アミューズメント業界向けアーケードゲーム機器やゴルフ商品も伸長した。

 中計セグメント別業績は、電子部品事業の売上高が40.1%増の2028億67百万円で利益が3.0倍の116億89百万円、EMS事業の売上高が30.0%増の694億86百万円で利益が59.9%増の53億11百万円、CSI事業の売上高が4.7%増の195億97百万円で利益が6.0%増の9億65百万円、その他事業の売上高が12.5%増の68億09百万円で利益が5.8倍の3億69百万円だった。

 四半期別に見ると、第1四半期は売上高が1493億02百万円で営業利益が98億20百万円、第2四半期は売上高が1494億58百万円で営業利益が85億41百万円だった。

 修正後の通期予想に対する第2四半期累計の進捗率は売上高が52.4%、営業利益が65.6%、経常利益が65.3%、親会社株主帰属当期純利益が67.1%となる。第2四半期累計時点の上振れ分を反映させ、第3四半期以降の見通しは据え置いた形だが、第2四半期累計の好調を勘案すれば、通期業績予想はさらに3回目の上振れの可能性が高く、積極的な事業展開で収益拡大基調だろう。

■株価は上値試す

 なお22年8月には、JPX総研および日本経済新聞社が共同して算出する「JPX日経中小型株指数」の2022年度構成銘柄として、昨年度に続いて選定された。また12月9日には、大和IRが選定する「2022年インターネットIR表彰」において、2年連続で「最優秀賞」を受賞したと発表している。

 株価は利益確定売りで11月の上場来高値圏から反落し、さらにその後の地合い悪化も影響して水準を切り下げる形となったが、調整一巡して上値を試す展開を期待したい。12月21日の終値は4000円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS761円70銭で算出)は約5倍、今期予想配当利回り(会社予想の200円で算出)は約5.0%、前期実績連結PBR(前期実績連結BPS4026円22銭で算出)は約1.0倍、そして時価総額は約1148億円である。(情報提供:日 本インタビュ新聞社=Media−IR)
[11月28日更新]

加賀電子は上値試す、23年3月期通期予想を2回目の上方修正、さらに3回目の上振れの可能性

 加賀電子<8154>(東証プライム)は独立系の大手エレクトロニクス総合商社である。中期経営計画では基本方針に収益力の強化、経営基盤の強化、新規事業の創出、SDGs経営の推進を掲げている。23年3月期第2四半期累計は主力の電子部品事業が伸長して大幅増収となり、販売ミックス良化に伴う売上総利益率向上も寄与して大幅増益だった。そして通期業績予想を上方修正(2回目)し、配当予想も上方修正した。第2四半期累計の好調を勘案すれば、通期業績予想はさらに3回目の上振れの可能性が高く、積極的な事業展開で収益拡大基調だろう。株価は好業績を評価して上場来高値更新の展開だ。指標面の割安感は依然として強い。利益確定売りをこなしながら上値を試す展開を期待したい。

■独立系の大手エレクトロニクス総合商社

 独立系の大手エレクトロニクス総合商社である。M&Aも積極活用して、半導体・電子部品・情報機器等の商社ビジネス、および電装基板製造受託サービスのEMSビジネスを展開している。

 富士通エレクトロニクスを19年1月に子会社化(富士通セミコンダクターから株式70%取得、20年12月28日付で社名を加賀FEIに変更、22年1月1日付で完全子会社化)した。また19年10月にパイオニアの製造子会社である十和田パイオニアを子会社化して商号を加賀EMS十和田に変更、20年4月にエレクトロニクス商社のエクセルを子会社化、20年11月に旭東電気(20年4月民事再生法適用申請)から新設分割された新:旭東電気を子会社化した。

 21年10月には加賀EFIが、太陽誘電<6976>からBluetoothおよびWireless LANモジュールに関わる商圏、開発・製造技術ならびに知的財産権を承継し、22年1月から小型無線モジュール事業に本格参入した。22年6月には子会社の加賀デバイスが米国の半導体企業エフィニックス社と販売代理店契約を締結した。

 22年3月期のセグメント別売上高構成比は電子部品事業(半導体、電子部品、EMS)が88%、情報機器事業(パソコン・周辺機器、各種家電、写真・映像関連商品)が8%、ソフトウェア事業(CGアニメ映像制作、アミューズメント関連商品)が1%、その他事業(エレクトロニクス機器修理、アミューズメント機器製造販売、スポーツ用品販売など)が4%で、営業利益構成比は電子部品事業が87%、情報機器事業が10%、ソフトウェア事業が▲0%、その他事業が3%、調整額が1%だった。

 中期経営計画に沿ったセグメント区分は電子部品事業、EMS事業、CSI事業(情報機器事業)、その他事業(ソフトウェア事業、その他)としている。22年3月期の売上構成比は電子部品事業が66%、EMS事業が24%、CSI事業が8%、その他事業が3%、営業利益構成比は電子部品事業が53%、EMS事業が35%、CSI事業が10%、その他事業が1%、調整額が▲1%だった。

■収益力強化や新規事業創出を推進

 中期経営計画2024では基本方針に、更なる収益力の強化、経営基盤の強化、新規事業の創出、SDGs経営の推進を掲げている。経営目標値は、25年3月期売上高7500億円(電子部品事業3800億円、EMS事業1500億円、CSI事業540億円、その他事業160億円、新規M&A等1500億円)、営業利益200億円、ROE8.5%以上(安定的に)としている。株主還元については連結配当性向の目安を25〜35%に置き、安定的かつ継続的に充実化する。

 重点アクションとして、さらなる収益力の強化では成長分野(モビリティ、通信、環境、産業機器、医療・ヘルスケア)への選択と集中、EMSビジネスおよび海外ビジネスの強化・拡大、経営基盤の強化ではコーポレートガバナンスの強化、効率的なグループ運営、人的資本への投資、新規事業の創出では新規分野への取り組み、ベンチャー投資によるオープンイノベーションの推進、非連続な成長を狙うM&Aへの挑戦を掲げている。SDGs経営の推進については、サステナビリティ中長期経営計画(21年11月公表)に基づいて、持続可能な社会の実現と持続的なグループの成長の両立を目指す。

 21年7月には、ソフトバンクが設立したソフトバンク5Gコンソーシアムの5G関連パートナーとして参画した。5G関連通信設備・機器の提供などを通じて、5G普及促進とともに、事業を通じた社会貢献を追求するとしている。22年4月には社長直下にSDGs推進室を新設した。SDGsの取り組みに関するグループ全体の連携を強化し、サステナビリティ経営を推進する。

■ベンチャー投資でイノベーション創出を支援

 創立50周年を記念して設立した「50億円ファンド」を通じてベンチャー投資を行い、イノベーション創出を支援している。

 出資実績としては、ウェアラブルコミュニケーションデバイス開発のBONX、前立腺癌生検および治療用システム開発の米HARMONUS、スマートセキュリティサービスのSecual、ソフトバンクグループで保育クラウドサービスを展開するhugmo、AIソフトウェア開発のハカルス、次世代蓄電デバイス「グリーンキャパシタTM」開発のスペースリンク、動画CM配信プラットフォーム事業やデジタルサイネージ事業CMerTVを展開するSun Asterisk、アジア圏を中心にライブ配信アプリ「17Live」などソーシャルメディアを展開する台湾のM17、医療機器開発ベンチャーのニューロシューティカルズ、シェアリングプラットフォーム「Alice.style」を運営するレンタルサービスベンチャーのピーステックラボなどがある。

 20年10月には、独自開発の光触媒技術を活用して各種環境製品を展開するカルテック(子会社化したエクセルがスタートアップ資金を出資)と、光触媒除菌脱臭機「TURNED K」の販売および製造に関わる部品調達で協業した。20年12月には、オンライン診療システム「D―CUBE」などオンライン健康支援事業を展開するリンケージに出資した。

 21年5月には株式投資型クラウドファンディング事業者の日本クラウドキャピタルに出資、21年6月にはAI関連技術を開発するカタリナに出資、21年10月にはドローン等無人航空機の企画・製造・販売を行うVFR(PCメーカーのVAIOの子会社)に出資、21年11月には堆肥化装置や脱臭装置等を開発・販売するミライエに出資、21年12月には独自AI技術でエナジーインフォマティックス事業を展開するインフォメティスに出資した。

■23年3月期通期予想を2回目の上方修正、さらに3回目の上振れの可能性

 23年3月期連結業績予想(22年8月4日付で上方修正、11月8日付で2回目の上方修正)は、売上高が22年3月期比15.0%増の5700億円、営業利益が33.9%増の280億円、経常利益が35.2%増の290億円、親会社株主帰属当期純利益が29.9%増の200億円としている。配当予想(11月8日付で第2四半期末30円、期末20円、合計50円上方修正)は、22年3月期比80円増配の200円(第2四半期末100円=普通配当70円+特別配当30円、期末100円=普通配当70円+創立55周年記念配当10円+特別配当20円)としている。

 前回予想(8月4日付上方修正値)に対して売上高を300億円、営業利益を40億円、経常利益を45億円、親会社株主帰属当期純利益を40億円、それぞれ上方修正した。半導体市況、新型コロナ、ウクライナ情勢、為替変動などの不透明感を考慮して、第2四半期累計時点の上振れ分を反映させ、第3四半期以降の見通しは据え置いた。

 修正後セグメント別計画は、電子部品事業の売上高が16.9%増の5070億円(前回予想は4770億円)で利益が37.0%増の248億円(同213億円)、情報機器事業の売上高が1.6%減の390億円で利益が4.1%減の20億円、ソフトウェア事業の売上高が44.5%増の40億円で利益が2億円の黒字(同1億円の黒字、22年3月期は26百万円の赤字)、その他の売上高が2.1%増の200億円で利益が59.7%増の10億円(同6億円)としている。

 第2四半期累計は売上高が前年同期比34.0%増の2987億60百万円、営業利益が2.2倍の183億61百万円、経常利益が2.2倍の189億32百万円、親会社株主帰属四半期純利益が2.4倍の134億12百万円だった。売上高、各利益とも第2四半期累計として過去最高だった。社内計画に対しては売上高が237億円、営業利益が48億円上振れて着地したとしている。

 売上面は、電子部品事業が自動車や産業機器関連を中心に広範な分野で伸長して大幅増収となった。独立系商社としての調達力を活かして旺盛な需要を取り込んだ。利益面は、大幅増収効果に加えて、販売ミックス良化に伴う売上総利益率向上(1.2ポイント上昇)も寄与して大幅増益だった。販管費比率は7.2%で1.2ポイント低下した。営業利益100億61百万円増益の要因分析は、販売数量・販売ミックスで+99億57百万円、スポット販売で+29億11百万円、販管費増加で▲28億07百万円としている。

 電子部品事業は、売上高が38.1%増の2684億64百万円、セグメント利益(全社費用等調整前営業利益)が2.3倍の166億17百万円だった。部品販売ビジネスでは、独立系商社としての調達力の強みを活かし、広範な業界からの旺盛な需要に対応した。子会社の加賀FEIやエクセルにおいてもPMI(企業買収後の統合プロセス)が進捗して貢献した。EMSビジネスでは、車載関連や医療機器関連を中心に主要顧客向け販売が伸長した。

 情報機器事業は売上高が4.7%増の195億97百万円、利益が6.0%増の9億65百万円だった。法人向けおよび教育機関向けパソコン販売が高価格製品を中心に堅調に推移し、資材不足で遅延していたLED設置ビジネスの大口工事の再開も寄与した。ソフトウェア事業は売上高が5.6%増の13億07百万円、利益が95百万円の黒字(前年同期は1億09百万円の赤字)だった。ゲーム制作やCG制作の新規案件の受注が増加した。その他事業は売上高が8.6%増の93億92百万円、利益が2.1倍の6億58百万円だった。リサイクルビジネスが好調に推移し、アミューズメント業界向けアーケードゲーム機器やゴルフ商品も伸長した。

 中計セグメント別業績は、電子部品事業の売上高が40.1%増の2028億67百万円で利益が3.0倍の116億89百万円、EMS事業の売上高が30.0%増の694億86百万円で利益が59.9%増の53億11百万円、CSI事業の売上高が4.7%増の195億97百万円で利益が6.0%増の9億65百万円、その他事業の売上高が12.5%増の68億09百万円で利益が5.8倍の3億69百万円だった。

 四半期別に見ると、第1四半期は売上高が1493億02百万円で営業利益が98億20百万円、第2四半期は売上高が1494億58百万円で営業利益が85億41百万円だった。

 修正後の通期予想に対する第2四半期累計の進捗率は売上高が52.4%、営業利益が65.6%、経常利益が65.3%、親会社株主帰属当期純利益が67.1%となる。第2四半期累計の好調を勘案すれば、通期業績予想はさらに3回目の上振れの可能性が高く、積極的な事業展開で収益拡大基調だろう。

■株価は上値試す

 なお22年8月には、JPX総研および日本経済新聞社が共同して算出する「JPX日経中小型株指数」の2022年度構成銘柄として、昨年度に続いて選定された。

 株価は好業績を評価して上場来高値更新の展開だ。指標面の割安感は依然として強い。利益確定売りをこなしながら上値を試す展開を期待したい。11月25日の終値は4440円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS761円70銭で算出)は約6倍、今期予想配当利回り(会社予想の200円で算出)は約4.5%、前期実績連結PBR(前期実績連結BPS4026円22銭で算出)は約1.1倍、時価総額は約1274億円である。(情報提供:日 本インタビュ新聞社=Media−IR)
[11月09日更新]

加賀電子は23年3月期通期業績予想を上方修正(2回目)して配当予想も上方修正、通期業績予想は3回目の上振れの可能性

 加賀電子<8154>(東証プライム)は11月8日の取引時間終了後に23年3月期第2四半期累計連結業績を発表した。主力の電子部品事業が伸長して大幅増収となり、販売ミックス良化に伴う売上総利益率向上も寄与して大幅増益だった。そして通期業績予想を上方修正(2回目)し、配当予想も上方修正した。第2四半期累計の好調を勘案すれば、通期業績予想はさらに3回目の上振れの可能性が高く、積極的な事業展開で収益拡大基調だろう。株価は上場来高値更新の展開だ。指標面の割安感は依然として強い。利益確定売りをこなしながら上値を試す展開を期待したい。

■23年3月期通期業績予想を上方修正(2回目)して配当予想も上方修正

 11月8日発表した23年3月期第2四半期累計(4〜9月)の連結業績は、売上高が前年同期比34.0%増の2987億60百万円、営業利益が2.2倍の183億61百万円、経常利益が2.2倍の189億32百万円、親会社株主帰属四半期純利益が2.4倍の134億12百万円だった。

 売上面は、電子部品事業が自動車や産業機器関連を中心に広範な分野で伸長して大幅増収となった。独立系商社としての調達力を活かして旺盛な需要を取り込んだ。利益面は、大幅増収効果に加えて、販売ミックス良化に伴う売上総利益率向上(1.2ポイント上昇)も寄与して大幅増益だった。売上高、各利益とも第2四半期累計として過去最高だった。なお社内計画に対して売上高は237億円、営業利益は48億円上振れて着地したとしている。

 電子部品事業は、売上高が38.1%増の2684億64百万円、セグメント利益(全社費用等調整前営業利益)が2.3倍の166億17百万円だった。部品販売ビジネスでは、独立系商社としての調達力の強みを活かし、広範な業界からの旺盛な需要に対応した。子会社の加賀FEIやエクセルにおいても、PMI(企業買収後の統合プロセス)が進捗して貢献した。EMSビジネスでは、車載関連や医療機器関連を中心に主要顧客向け販売が伸長した。

 情報機器事業は売上高が4.7%増の195億97百万円、利益が6.0%増の9億65百万円だった。法人向けおよび教育機関向けパソコン販売が高価格製品を中心に堅調に推移し、資材不足で遅延していたLED設置ビジネスの大口工事の再開も寄与した。ソフトウェア事業は売上高が5.6%増の13億07百万円、利益が95百万円の黒字(前年同期は1億09百万円の赤字)だった。ゲーム制作やCG制作の新規案件の受注が増加した。その他事業は売上高が8.6%増の93億92百万円、利益が2.1倍の6億58百万円だった。リサイクルビジネスが好調に推移し、アミューズメント業界向けアーケードゲーム機器やゴルフ商品も伸長した。

 なお四半期別に見ると、第1四半期は売上高が1493億02百万円で営業利益が98億20百万円、第2四半期は売上高が1494億58百万円で営業利益が85億41百万円だった。

 通期の連結業績予想は、11月8日付で上方修正(8月4日付に続いて2回目)して、売上高が22年3月期比15.0%増の5700億円、営業利益が33.9%増の280億円、経常利益が35.2%増の290億円、親会社株主帰属当期純利益が29.9%増の200億円とした。配当予想は11月8日付で第2四半期末30円、期末20円、合計50円上方修正して、22年3月期比80円増配の200円(第2四半期末100円=普通配当70円+特別配当30円、期末100円=普通配当70円+創立55周年記念配当10円+特別配当20円)とした。

 通期連結業績予想は前回予想(8月4日付上方修正値)に対して、売上高を300億円、営業利益を40億円、経常利益を45億円、親会社株主帰属当期純利益を40億円、それぞれ上方修正した。半導体市況、新型コロナ、ウクライナ情勢、為替変動などの不透明感を考慮して、第2四半期累計時点の上振れを反映させ、第3四半期以降の見通しは据え置いた。

 修正後セグメント別計画は、電子部品事業の売上高が16.9%増の5070億円(前回予想は4770億円)で利益が37.0%増の248億円(同213億円)、情報機器事業の売上高が1.6%減の390億円で利益が4.1%減の20億円、ソフトウェア事業の売上高が44.5%増の40億円で利益が2億円の黒字(同1億円の黒字、22年3月期は26百万円の赤字)、その他の売上高が2.1%増の200億円で利益が59.7%増の10億円(同6億円)としている。

 修正後の通期予想に対する第2四半期累計の進捗率は売上高が52.4%、営業利益が65.6%、経常利益が65.3%、親会社株主帰属当期純利益が67.1%となる。第2四半期累計の好調を勘案すれば、通期業績予想はさらに3回目の上振れの可能性が高く、積極的な事業展開で収益拡大基調だろう。

■株価は上値試す

 株価は上場来高値更新の展開だ。指標面の割安感は依然として強い。利益確定売りをこなしながら上値を試す展開を期待したい。11月8日の終値は4525円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS761円70銭で算出)は約6倍、今期予想配当利回り(会社予想の200円で算出)は約4.4%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS4026円22銭で算出)は約1.1倍、時価総額は約1299億円である。 (情報提供:日本インタビュ新聞社=Media−IR
[10月31日更新]

加賀電子は上値試す、23年3月期は再上振れの可能性

 加賀電子<8154>(東証プライム)は独立系の大手エレクトロニクス総合商社である。中期経営計画では基本方針に収益力の強化、経営基盤の強化、新規事業の創出、SDGs経営の推進を掲げている。23年3月期は上方修正して2桁営業・経常増益予想としている。独立系商社としての調達力を活かして旺盛な需要を取り込む見込みだ。第1四半期の好調を勘案すれば通期予想は再上振れの可能性が高く、積極的な事業展開で収益拡大基調だろう。株価は上げ一服となって日柄調整局面の形だが、地合いが悪化する中でも高値圏で堅調に推移している。好業績や指標面の割安感が評価材料であり、利益確定売りをこなしながら上値を試す展開を期待したい。なお11月8日に23年3月期第2四半期決算発表を予定している。

■独立系の大手エレクトロニクス総合商社

 独立系の大手エレクトロニクス総合商社である。M&Aも積極活用して、半導体・電子部品・情報機器等の商社ビジネス、および電装基板製造受託サービスのEMSビジネスを展開している。

 富士通エレクトロニクスを19年1月に子会社化(富士通セミコンダクターから株式70%取得、20年12月28日付で社名を加賀FEIに変更、22年1月1日付で完全子会社化)した。また19年10月にパイオニアの製造子会社である十和田パイオニアを子会社化して商号を加賀EMS十和田に変更、20年4月にエレクトロニクス商社のエクセルを子会社化、20年11月に旭東電気(20年4月民事再生法適用申請)から新設分割された新:旭東電気を子会社化した。

 21年10月には加賀EFIが、太陽誘電<6976>からBluetoothおよびWireless LANモジュールに関わる商圏、開発・製造技術ならびに知的財産権を承継し、22年1月から小型無線モジュール事業に本格参入した。22年6月には子会社の加賀デバイスが米国の半導体企業エフィニックス社と販売代理店契約を締結した。

 22年3月期のセグメント別売上高構成比は電子部品事業(半導体、電子部品、EMS)が88%、情報機器事業(パソコン・周辺機器、各種家電、写真・映像関連商品)が8%、ソフトウェア事業(CGアニメ映像制作、アミューズメント関連商品)が1%、その他事業(エレクトロニクス機器修理、アミューズメント機器製造販売、スポーツ用品販売など)が4%で、営業利益構成比は電子部品事業が87%、情報機器事業が10%、ソフトウェア事業が▲0%、その他事業が3%、調整額が1%だった。

 中期経営計画に沿ったセグメント区分は電子部品事業、EMS事業、CSI事業(情報機器事業)、その他事業(ソフトウェア事業、その他)としている。22年3月期の売上構成比は電子部品事業が66%、EMS事業が24%、CSI事業が8%、その他事業が3%、営業利益構成比は電子部品事業が53%、EMS事業が35%、CSI事業が10%、その他事業が1%、調整額が▲1%だった。

■収益力強化や新規事業創出を推進

 中期経営計画2024では基本方針に、更なる収益力の強化、経営基盤の強化、新規事業の創出、SDGs経営の推進を掲げている。経営目標値は、25年3月期売上高7500億円(電子部品事業3800億円、EMS事業1500億円、CSI事業540億円、その他事業160億円、新規M&A等1500億円)、営業利益200億円、ROE8.5%以上(安定的に)としている。株主還元については連結配当性向の目安を25〜35%に置き、安定的かつ継続的に充実化する。

 重点アクションとして、さらなる収益力の強化では成長分野(モビリティ、通信、環境、産業機器、医療・ヘルスケア)への選択と集中、EMSビジネスおよび海外ビジネスの強化・拡大、経営基盤の強化ではコーポレートガバナンスの強化、効率的なグループ運営、人的資本への投資、新規事業の創出では新規分野への取り組み、ベンチャー投資によるオープンイノベーションの推進、非連続な成長を狙うM&Aへの挑戦を掲げている。SDGs経営の推進については、サステナビリティ中長期経営計画(21年11月公表)に基づいて、持続可能な社会の実現と持続的なグループの成長の両立を目指す。

 21年7月には、ソフトバンクが設立したソフトバンク5Gコンソーシアムの5G関連パートナーとして参画した。5G関連通信設備・機器の提供などを通じて、5G普及促進とともに、事業を通じた社会貢献を追求するとしている。22年4月には社長直下にSDGs推進室を新設した。SDGsの取り組みに関するグループ全体の連携を強化し、サステナビリティ経営を推進する。

■ベンチャー投資でイノベーション創出を支援

 創立50周年を記念して設立した「50億円ファンド」を通じてベンチャー投資を行い、イノベーション創出を支援している。

 出資実績としては、ウェアラブルコミュニケーションデバイス開発のBONX、前立腺癌生検および治療用システム開発の米HARMONUS、スマートセキュリティサービスのSecual、ソフトバンクグループで保育クラウドサービスを展開するhugmo、AIソフトウェア開発のハカルス、次世代蓄電デバイス「グリーンキャパシタTM」開発のスペースリンク、動画CM配信プラットフォーム事業やデジタルサイネージ事業CMerTVを展開するSun Asterisk、アジア圏を中心にライブ配信アプリ「17Live」などソーシャルメディアを展開する台湾のM17、医療機器開発ベンチャーのニューロシューティカルズ、シェアリングプラットフォーム「Alice.style」を運営するレンタルサービスベンチャーのピーステックラボなどがある。

 20年10月には、独自開発の光触媒技術を活用して各種環境製品を展開するカルテック(子会社化したエクセルがスタートアップ資金を出資)と、光触媒除菌脱臭機「TURNED K」の販売および製造に関わる部品調達で協業した。20年12月には、オンライン診療システム「D―CUBE」などオンライン健康支援事業を展開するリンケージに出資した。

 21年5月には株式投資型クラウドファンディング事業者の日本クラウドキャピタルに出資、21年6月にはAI関連技術を開発するカタリナに出資、21年10月にはドローン等無人航空機の企画・製造・販売を行うVFR(PCメーカーのVAIOの子会社)に出資、21年11月には堆肥化装置や脱臭装置等を開発・販売するミライエに出資、21年12月には独自AI技術でエナジーインフォマティックス事業を展開するインフォメティスに出資した。

■23年3月期2桁営業・経常増益予想、さらに再上振れの可能性

 23年3月期の連結業績予想(22年8月4日付で上方修正)は、売上高が22年3月期比8.9%増の5400億円、営業利益が14.7%増の240億円、経常利益が14.2%増の245億円、親会社株主帰属当期純利益が3.9%増の160億円としている。配当予想は22年3月期比30円増配の150円(第2四半期末70円=普通配当70円、期末80円=普通配当70円+創立55周年記念配当10円)としている。連続増配予想である。

 第1四半期の上振れを勘案し、従来予想に比べて売上高を300億円、営業利益を28億円、経常利益を33億円、親会社株主帰属当期純利益を15億円それぞれ上方修正し、経常利益と親会社株主帰属当期純利益は従来の減益予想から増益予想に転じた。なお第2四半期累計予想は据え置いている。

 修正後のセグメント別計画は、電子部品事業の売上高が9.9%増の4770億円でセグメント利益が17.6%増の213億円、情報機器事業の売上高が1.6%減の390億円で利益が4.1%減の20億円、ソフトウェア事業の売上高が44.5%増の40億円で利益が1億円の黒字(22年3月期は26百万円の赤字)、その他事業の売上高が2.1%増の200億円で利益が4.2%減の6億円としている。電子部品事業の売上高と利益を上方修正した。

 第1四半期は売上高が前年同期比40.9%増の1493億02百万円、営業利益が2.2倍の98億20百万円、経常利益が2.2倍の98億58百万円、親会社株主帰属四半期純利益が2.4倍の69億84百万円だった。大幅増収増益で売上高、営業利益、経常利益は第1四半期として過去最高だった。社内計画に対して売上高は約270億円、営業利益は約46億円上振れて着地した。一部の半導体や電子部品において供給不足が継続したが、独立系商社としての調達力を活かして旺盛な需要を取り込み、さらに販売ミックス変化による売上総利益率向上(0.5ポイント上昇)なども寄与した。

 電子部品事業は、売上高が47.3%増の1334億77百万円、セグメント利益(全社費用等調整前営業利益)が2.4倍の90億18百万円だった。部品販売ビジネスでは、独立系商社としての調達力の強みを活かして、広範な業界からの旺盛な需要に対応した。子会社の加賀FEIやエクセルではスポット販売が想定以上だった。EMSビジネスでは車載関連や医療機器関連が好調に推移した。中国・上海ではロックダウンの影響を最小限に抑えた。

 情報機器事業は売上高が4.8%増の111億47百万円で、利益が0.6%減の5億64百万円だった。売上面では法人向けパソコンおよび教育機関向けパソコンの販売が堅調に推移し、LED設置ビジネスの大口工事の再開も寄与した。ソフトウェア事業は売上高が12.3%減の4億98百万円、利益が33百万円の赤字(前年同期は67百万円の赤字)だった。その他事業は売上高が1.4%増の41億78百万円、利益が14.7%増の2億49百万円だった。リサイクルビジネスが好調だった。

 中期経営計画に沿ったセグメント別業績は、電子部品事業の売上高が53.4%増の1014億44百万円で利益が3.7倍の65億41百万円、EMS事業の売上高が28.6%増の338億67百万円で利益が26.8%増の26億12百万円、CSI事業の売上高が4.8%増の111億47百万円で利益が0.6%減の5億64百万円、その他の売上高が0.4%減の28億42百万円で利益が5.5倍の79百万円だった。

 修正後の通期予想に対する第1四半期の進捗率は、売上高が27.6%、営業利益が40.9%、経常利益が40.2%、親会社株主帰属当期純利益が43.7%となる。第2四半期以降の不透明感を考慮しているが、第1四半期の好調を勘案すれば通期予想は再上振れの可能性が高く、積極的な事業展開で収益拡大基調だろう。

■株価は上値試す

 なお22年8月には、JPX総研および日本経済新聞社が共同して算出する「JPX日経中小型株指数」の2022年度構成銘柄として、昨年度に続いて選定された。

 株価は上げ一服となって日柄調整局面の形だが、地合いが悪化する中でも高値圏で堅調に推移している。好業績や指標面の割安感が評価材料であり、利益確定売りをこなしながら上値を試す展開を期待したい。10月28日の終値は4195円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS609円58銭で算出)は約7倍、今期予想配当利回り(会社予想の150円で算出)は約3.6%、前期実績連結PBR(前期実績連結BPS4026円22銭で算出)は約1.0倍、時価総額は約1204億円である。(情報提供:日 本インタビュ新聞社=Media−IR)
[10月18日更新]

加賀電子は上値試す、23年3月期2桁営業・経常増益予想、さらに再上振れの可能性

 加賀電子<8154>(東証プライム)は独立系の大手エレクトロニクス総合商社である。中期経営計画では基本方針に収益力の強化、経営基盤の強化、新規事業の創出、SDGs経営の推進を掲げている。23年3月期は上方修正して2桁営業・経常増益予想としている。独立系商社としての調達力を活かして旺盛な需要を取り込む見込みだ。第1四半期の好調を勘案すれば通期予想は再上振れの可能性が高く、積極的な事業展開で収益拡大基調だろう。株価は地合い悪化も影響して上げ一服の形となったが、大きく調整する動きも見られない。好業績や指標面の割安感を評価し、利益確定売りをこなしながら上値を試す展開を期待したい。なお11月8日に23年3月期第2四半期決算発表を予定している。

■独立系の大手エレクトロニクス総合商社

 独立系の大手エレクトロニクス総合商社である。M&Aも積極活用して、半導体・電子部品・情報機器等の商社ビジネス、および電装基板製造受託サービスのEMSビジネスを展開している。

 富士通エレクトロニクスを19年1月に子会社化(富士通セミコンダクターから株式70%取得、20年12月28日付で社名を加賀FEIに変更、22年1月1日付で完全子会社化)した。また19年10月にパイオニアの製造子会社である十和田パイオニアを子会社化して商号を加賀EMS十和田に変更、20年4月にエレクトロニクス商社のエクセルを子会社化、20年11月に旭東電気(20年4月民事再生法適用申請)から新設分割された新:旭東電気を子会社化した。

 21年10月には加賀EFIが、太陽誘電<6976>からBluetoothおよびWireless LANモジュールに関わる商圏、開発・製造技術ならびに知的財産権を承継し、22年1月から小型無線モジュール事業に本格参入した。22年6月には子会社の加賀デバイスが米国の半導体企業エフィニックス社と販売代理店契約を締結した。

 22年3月期のセグメント別売上高構成比は電子部品事業(半導体、電子部品、EMS)が88%、情報機器事業(パソコン・周辺機器、各種家電、写真・映像関連商品)が8%、ソフトウェア事業(CGアニメ映像制作、アミューズメント関連商品)が1%、その他事業(エレクトロニクス機器修理、アミューズメント機器製造販売、スポーツ用品販売など)が4%で、営業利益構成比は電子部品事業が87%、情報機器事業が10%、ソフトウェア事業が▲0%、その他事業が3%、調整額が1%だった。

 中期経営計画に沿ったセグメント区分は電子部品事業、EMS事業、CSI事業(情報機器事業)、その他事業(ソフトウェア事業、その他)としている。22年3月期の売上構成比は電子部品事業が66%、EMS事業が24%、CSI事業が8%、その他事業が3%、営業利益構成比は電子部品事業が53%、EMS事業が35%、CSI事業が10%、その他事業が1%、調整額が▲1%だった。

■収益力強化や新規事業創出を推進

 中期経営計画2024では基本方針に、更なる収益力の強化、経営基盤の強化、新規事業の創出、SDGs経営の推進を掲げている。経営目標値は、25年3月期売上高7500億円(電子部品事業3800億円、EMS事業1500億円、CSI事業540億円、その他事業160億円、新規M&A等1500億円)、営業利益200億円、ROE8.5%以上(安定的に)としている。株主還元については連結配当性向の目安を25〜35%に置き、安定的かつ継続的に充実化する。

 重点アクションとして、さらなる収益力の強化では成長分野(モビリティ、通信、環境、産業機器、医療・ヘルスケア)への選択と集中、EMSビジネスおよび海外ビジネスの強化・拡大、経営基盤の強化ではコーポレートガバナンスの強化、効率的なグループ運営、人的資本への投資、新規事業の創出では新規分野への取り組み、ベンチャー投資によるオープンイノベーションの推進、非連続な成長を狙うM&Aへの挑戦を掲げている。SDGs経営の推進については、サステナビリティ中長期経営計画(21年11月公表)に基づいて、持続可能な社会の実現と持続的なグループの成長の両立を目指す。

 21年7月には、ソフトバンクが設立したソフトバンク5Gコンソーシアムの5G関連パートナーとして参画した。5G関連通信設備・機器の提供などを通じて、5G普及促進とともに、事業を通じた社会貢献を追求するとしている。22年4月には社長直下にSDGs推進室を新設した。SDGsの取り組みに関するグループ全体の連携を強化し、サステナビリティ経営を推進する。

■ベンチャー投資でイノベーション創出を支援

 創立50周年を記念して設立した「50億円ファンド」を通じてベンチャー投資を行い、イノベーション創出を支援している。

 出資実績としては、ウェアラブルコミュニケーションデバイス開発のBONX、前立腺癌生検および治療用システム開発の米HARMONUS、スマートセキュリティサービスのSecual、ソフトバンクグループで保育クラウドサービスを展開するhugmo、AIソフトウェア開発のハカルス、次世代蓄電デバイス「グリーンキャパシタTM」開発のスペースリンク、動画CM配信プラットフォーム事業やデジタルサイネージ事業CMerTVを展開するSun Asterisk、アジア圏を中心にライブ配信アプリ「17Live」などソーシャルメディアを展開する台湾のM17、医療機器開発ベンチャーのニューロシューティカルズ、シェアリングプラットフォーム「Alice.style」を運営するレンタルサービスベンチャーのピーステックラボなどがある。

 20年10月には、独自開発の光触媒技術を活用して各種環境製品を展開するカルテック(子会社化したエクセルがスタートアップ資金を出資)と、光触媒除菌脱臭機「TURNED K」の販売および製造に関わる部品調達で協業した。20年12月には、オンライン診療システム「D―CUBE」などオンライン健康支援事業を展開するリンケージに出資した。

 21年5月には株式投資型クラウドファンディング事業者の日本クラウドキャピタルに出資、21年6月にはAI関連技術を開発するカタリナに出資した。21年10月にはドローン等無人航空機の企画・製造・販売を行うVFR(PCメーカーのVAIOの子会社)に出資、21年11月には堆肥化装置や脱臭装置等を開発・販売するミライエに出資した。21年12月には独自AI技術でエナジーインフォマティックス事業を展開するインフォメティスに出資した。

■23年3月期2桁営業・経常増益予想、さらに再上振れの可能性

 23年3月期の連結業績予想(22年8月4日付で上方修正)は、売上高が22年3月期比8.9%増の5400億円、営業利益が14.7%増の240億円、経常利益が14.2%増の245億円、親会社株主帰属当期純利益が3.9%増の160億円としている。配当予想は22年3月期比30円増配の150円(第2四半期末70円=普通配当70円、期末80円=普通配当70円+創立55周年記念配当10円)としている。連続増配予想である。

 第1四半期の上振れを勘案し、従来予想に比べて売上高を300億円、営業利益を28億円、経常利益を33億円、親会社株主帰属当期純利益を15億円それぞれ上方修正し、経常利益と親会社株主帰属当期純利益は従来の減益予想から増益予想に転じた。なお第2四半期累計予想は据え置いている。

 修正後のセグメント別計画は、電子部品事業の売上高が9.9%増の4770億円でセグメント利益が17.6%増の213億円、情報機器事業の売上高が1.6%減の390億円で利益が4.1%減の20億円、ソフトウェア事業の売上高が44.5%増の40億円で利益が1億円の黒字(22年3月期は26百万円の赤字)、その他事業の売上高が2.1%増の200億円で利益が4.2%減の6億円としている。電子部品事業の売上高と利益を上方修正した。

 第1四半期は売上高が前年同期比40.9%増の1493億02百万円、営業利益が2.2倍の98億20百万円、経常利益が2.2倍の98億58百万円、親会社株主帰属四半期純利益が2.4倍の69億84百万円だった。大幅増収増益で売上高、営業利益、経常利益は第1四半期として過去最高だった。社内計画に対して売上高は約270億円、営業利益は約46億円上振れて着地した。一部の半導体や電子部品において供給不足が継続したが、独立系商社としての調達力を活かして旺盛な需要を取り込み、さらに販売ミックス変化による売上総利益率向上(0.5ポイント上昇)なども寄与した。

 電子部品事業は、売上高が47.3%増の1334億77百万円、セグメント利益(全社費用等調整前営業利益)が2.4倍の90億18百万円だった。部品販売ビジネスでは、独立系商社としての調達力の強みを活かして、広範な業界からの旺盛な需要に対応した。子会社の加賀FEIやエクセルではスポット販売が想定以上だった。EMSビジネスでは車載関連や医療機器関連が好調に推移した。中国・上海ではロックダウンの影響を最小限に抑えた。

 情報機器事業は売上高が4.8%増の111億47百万円で、利益が0.6%減の5億64百万円だった。売上面では法人向けパソコンおよび教育機関向けパソコンの販売が堅調に推移し、LED設置ビジネスの大口工事の再開も寄与した。ソフトウェア事業は売上高が12.3%減の4億98百万円、利益が33百万円の赤字(前年同期は67百万円の赤字)だった。その他事業は売上高が1.4%増の41億78百万円、利益が14.7%増の2億49百万円だった。リサイクルビジネスが好調だった。

 中期経営計画に沿ったセグメント別業績は、電子部品事業の売上高が53.4%増の1014億44百万円で利益が3.7倍の65億41百万円、EMS事業の売上高が28.6%増の338億67百万円で利益が26.8%増の26億12百万円、CSI事業の売上高が4.8%増の111億47百万円で利益が0.6%減の5億64百万円、その他の売上高が0.4%減の28億42百万円で利益が5.5倍の79百万円だった。

 修正後の通期予想に対する第1四半期の進捗率は、売上高が27.6%、営業利益が40.9%、経常利益が40.2%、親会社株主帰属当期純利益が43.7%となる。第2四半期以降の不透明感を考慮しているが、第1四半期の好調を勘案すれば、さらに再上振れの可能性が高く、積極的な事業展開で収益拡大基調だろう。

■株価は上値試す

 なお22年8月には、JPX総研および日本経済新聞社が共同して算出する「JPX日経中小型株指数」の2022年度構成銘柄として、昨年度に続いて選定された。

 株価は地合い悪化も影響して上げ一服の形となったが、大きく調整する動きも見られない。好業績や指標面の割安感を評価し、利益確定売りをこなしながら上値を試す展開を期待したい。10月17日の終値は4005円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS609円58銭で算出)は約7倍、今期予想配当利回り(会社予想の150円で算出)は約3.7%、前期実績連結PBR(前期実績連結BPS4026円22銭で算出)は約1.0倍、そして時価総額は約1150億円である。(情報提供:日 本インタビュ新聞社=Media−IR)
[09月27日更新]

加賀電子は上値試す、23年3月期2桁営業・経常増益予想、さらに再上振れの可能性

 加賀電子<8154>(東証プライム)は独立系の大手エレクトロニクス総合商社である。中期経営計画では基本方針として更なる収益力の強化、経営基盤の強化、新規事業の創出、SDGs経営の推進を掲げている。23年3月期は上方修正して2桁営業・経常増益予想としている。独立系商社としての調達力を活かして旺盛な需要を取り込む見込みだ。第1四半期の好調を勘案すれば通期予想は再上振れの可能性が高く、積極的な事業展開で収益拡大基調だろう。株価は地合い悪化の影響で上げ一服の形となったが、好業績を評価して利益確定売りをこなしながら上値を試す展開を期待したい。なお11月8日に23年3月期第2四半期決算発表を予定している。

■独立系の大手エレクトロニクス総合商社

 独立系の大手エレクトロニクス総合商社である。M&Aも積極活用して、半導体・電子部品・情報機器等の商社ビジネス、および電装基板製造受託サービスのEMSビジネスを展開している。

 富士通エレクトロニクスを19年1月に子会社化(富士通セミコンダクターから株式70%取得、20年12月28日付で社名を加賀FEIに変更、22年1月1日付で完全子会社化)した。また19年10月にパイオニアの製造子会社である十和田パイオニアを子会社化して商号を加賀EMS十和田に変更、20年4月にエレクトロニクス商社のエクセルを子会社化、20年11月に旭東電気(20年4月民事再生法適用申請)から新設分割された新:旭東電気を子会社化した。

 21年10月には加賀EFIが、太陽誘電<6976>からBluetoothおよびWireless LANモジュールに関わる商圏、開発・製造技術ならびに知的財産権を承継し、22年1月から小型無線モジュール事業に本格参入した。22年6月には子会社の加賀デバイスが米国の半導体企業エフィニックス社と販売代理店契約を締結した。

 22年3月期のセグメント別売上高構成比は電子部品事業(半導体、電子部品、EMS)が88%、情報機器事業(パソコン・周辺機器、各種家電、写真・映像関連商品)が8%、ソフトウェア事業(CGアニメ映像制作、アミューズメント関連商品)が1%、その他事業(エレクトロニクス機器修理、アミューズメント機器製造販売、スポーツ用品販売など)が4%で、営業利益構成比は電子部品事業が87%、情報機器事業が10%、ソフトウェア事業が▲0%、その他事業が3%、調整額が1%だった。

 中期経営計画に沿ったセグメント区分は電子部品事業、EMS事業、CSI事業(情報機器事業)、その他事業(ソフトウェア事業、その他)としている。22年3月期の売上構成比は電子部品事業が66%、EMS事業が24%、CSI事業が8%、その他事業が3%、営業利益構成比は電子部品事業が53%、EMS事業が35%、CSI事業が10%、その他事業が1%、調整額が▲1%だった。

■収益力強化や新規事業創出を推進

 中期経営計画2024では基本方針に、更なる収益力の強化、経営基盤の強化、新規事業の創出、SDGs経営の推進を掲げている。経営目標値は、25年3月期売上高7500億円(電子部品事業3800億円、EMS事業1500億円、CSI事業540億円、その他事業160億円、新規M&A等1500億円)、営業利益200億円、ROE8.5%以上(安定的に)としている。株主還元については連結配当性向の目安を25〜35%に置き、安定的かつ継続的に充実化する。

 重点アクションとして、さらなる収益力の強化では成長分野(モビリティ、通信、環境、産業機器、医療・ヘルスケア)への選択と集中、EMSビジネスおよび海外ビジネスの強化・拡大、経営基盤の強化ではコーポレートガバナンスの強化、効率的なグループ運営、人的資本への投資、新規事業の創出では新規分野への取り組み、ベンチャー投資によるオープンイノベーションの推進、非連続な成長を狙うM&Aへの挑戦を掲げている。SDGs経営の推進については、サステナビリティ中長期経営計画(21年11月公表)に基づいて、持続可能な社会の実現と持続的なグループの成長の両立を目指す。

 21年7月には、ソフトバンクが設立したソフトバンク5Gコンソーシアムの5G関連パートナーとして参画した。5G関連通信設備・機器の提供などを通じて、5G普及促進とともに、事業を通じた社会貢献を追求するとしている。22年4月には社長直下にSDGs推進室を新設した。SDGsの取り組みに関するグループ全体の連携を強化し、サステナビリティ経営を推進する。

■ベンチャー投資でイノベーション創出を支援

 創立50周年を記念して設立した「50億円ファンド」を通じてベンチャー投資を行い、イノベーション創出を支援している。

 出資実績としては、ウェアラブルコミュニケーションデバイス開発のBONX、前立腺癌生検および治療用システム開発の米HARMONUS、スマートセキュリティサービスのSecual、ソフトバンクグループで保育クラウドサービスを展開するhugmo、AIソフトウェア開発のハカルス、次世代蓄電デバイス「グリーンキャパシタTM」開発のスペースリンク、動画CM配信プラットフォーム事業やデジタルサイネージ事業CMerTVを展開するSun Asterisk、アジア圏を中心にライブ配信アプリ「17Live」などソーシャルメディアを展開する台湾のM17、医療機器開発ベンチャーのニューロシューティカルズ、シェアリングプラットフォーム「Alice.style」を運営するレンタルサービスベンチャーのピーステックラボなどがある。

 20年10月には、独自開発の光触媒技術を活用して各種環境製品を展開するカルテック(子会社化したエクセルがスタートアップ資金を出資)と、光触媒除菌脱臭機「TURNED K」の販売および製造に関わる部品調達で協業した。20年12月には、オンライン診療システム「D―CUBE」などオンライン健康支援事業を展開するリンケージに出資した。

 21年5月には株式投資型クラウドファンディング事業者の日本クラウドキャピタルに出資、21年6月にはAI関連技術を開発するカタリナに出資した。21年10月にはドローン等無人航空機の企画・製造・販売を行うVFR(PCメーカーのVAIOの子会社)に出資、21年11月には堆肥化装置や脱臭装置等を開発・販売するミライエに出資した。21年12月には独自AI技術でエナジーインフォマティックス事業を展開するインフォメティスに出資した。

■23年3月期2桁営業・経常増益予想、さらに再上振れの可能性

 23年3月期の連結業績予想(22年8月4日付で上方修正)は、売上高が22年3月期比8.9%増の5400億円、営業利益が14.7%増の240億円、経常利益が14.2%増の245億円、親会社株主帰属当期純利益が3.9%増の160億円としている。配当予想は据え置いて22年3月期比30円増配の150円(第2四半期末70円=普通配当70円、期末80円=普通配当70円+創立55周年記念配当10円)としている。連続増配予想である。

 第1四半期の上振れを勘案し、従来予想に比べて売上高を300億円、営業利益を28億円、経常利益を33億円、親会社株主帰属当期純利益を15億円それぞれ上方修正し、経常利益と親会社株主帰属当期純利益は従来の減益予想から増益予想に転じた。なお第2四半期累計予想は据え置いている。

 修正後のセグメント別計画は、電子部品事業の売上高が9.9%増の4770億円でセグメント利益が17.6%増の213億円、情報機器事業の売上高が1.6%減の390億円で利益が4.1%減の20億円、ソフトウェア事業の売上高が44.5%増の40億円で利益が1億円の黒字(22年3月期は26百万円の赤字)、その他事業の売上高が2.1%増の200億円で利益が4.2%減の6億円としている。電子部品事業の売上高と利益を上方修正した。

 第1四半期は売上高が前年同期比40.9%増の1493億02百万円、営業利益が2.2倍の98億20百万円、経常利益が2.2倍の98億58百万円、親会社株主帰属四半期純利益が2.4倍の69億84百万円だった。大幅増収増益で売上高、営業利益、経常利益は第1四半期として過去最高だった。社内計画に対して売上高は約270億円、営業利益は約46億円上振れて着地した。一部の半導体や電子部品において供給不足が継続したが、独立系商社としての調達力を活かして旺盛な需要を取り込み、さらに販売ミックス変化による売上総利益率向上(0.5ポイント上昇)なども寄与した。

 電子部品事業は、売上高が47.3%増の1334億77百万円、セグメント利益(全社費用等調整前営業利益)が2.4倍の90億18百万円だった。部品販売ビジネスでは、独立系商社としての調達力の強みを活かして、広範な業界からの旺盛な需要に対応した。子会社の加賀FEIやエクセルではスポット販売が想定以上だった。EMSビジネスでは車載関連や医療機器関連が好調に推移した。中国・上海ではロックダウンの影響を最小限に抑えた。

 情報機器事業は売上高が4.8%増の111億47百万円で、利益が0.6%減の5億64百万円だった。売上面では法人向けパソコンおよび教育機関向けパソコンの販売が堅調に推移し、LED設置ビジネスの大口工事の再開も寄与した。ソフトウェア事業は売上高が12.3%減の4億98百万円、利益が33百万円の赤字(前年同期は67百万円の赤字)だった。その他事業は売上高が1.4%増の41億78百万円、利益が14.7%増の2億49百万円だった。リサイクルビジネスが好調だった。

 中期経営計画に沿ったセグメント別業績は、電子部品事業の売上高が53.4%増の1014億44百万円で利益が3.7倍の65億41百万円、EMS事業の売上高が28.6%増の338億67百万円で利益が26.8%増の26億12百万円、CSI事業の売上高が4.8%増の111億47百万円で利益が0.6%減の5億64百万円、その他の売上高が0.4%減の28億42百万円で利益が5.5倍の79百万円だった。

 修正後の通期予想に対する第1四半期の進捗率は、売上高が27.6%、営業利益が40.9%、経常利益が40.2%、親会社株主帰属当期純利益が43.7%となる。第2四半期以降の不透明感を考慮しているが、第1四半期の好調を勘案すれば、さらに再上振れの可能性が高く、積極的な事業展開で収益拡大基調だろう。

■株価は上値試す

 なお8月25日には、JPX総研および日本経済新聞社が共同して算出する「JPX日経中小型株指数」の2022年度構成銘柄として、昨年度に続いて選定されたと発表している。

 株価は地合い悪化の影響で上げ一服の形となったが、好業績を評価して利益確定売りをこなしながら上値を試す展開を期待したい。9月26日の終値は3975円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS609円58銭で算出)は約7倍、今期予想配当利回り(会社予想の150円で算出)は約3.8%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS4026円22銭で算出)は約1.0倍、時価総額は約1141億円である。(情報提供:日 本インタビュ新聞社=Media−IR)
[08月31日更新]

加賀電子は上値試す、23年3月期予想を上方修正、さらに再上振れの可能性

 加賀電子<8154>(東証プライム)は独立系の大手エレクトロニクス総合商社である。中期経営計画では基本方針に、更なる収益力の強化、経営基盤の強化、新規事業の創出、SDGs経営の推進を掲げている。23年3月期第1四半期は大幅増収増益だった。一部の半導体や電子部品において供給不足が継続したが、独立系商社としての調達力を活かして旺盛な需要を取り込んだ。そして通期予想を上方修正した。第1四半期の好調を勘案すれば、さらに再上振れの可能性が高く、積極的な事業展開で収益拡大基調だろう。株価は急伸して17年の高値を突破した。そして1990年の上場来高値に接近している。好業績を評価して、利益確定売りをこなしながら上値を試す展開を期待したい。

■独立系の大手エレクトロニクス総合商社

 独立系の大手エレクトロニクス総合商社である。M&Aも積極活用して、半導体・電子部品・情報機器等の商社ビジネス、および電装基板製造受託サービスのEMSビジネスを展開している。

 富士通エレクトロニクスを19年1月に子会社化(富士通セミコンダクターから株式70%取得、20年12月28日付で社名を加賀FEIに変更、22年1月1日付で完全子会社化)した。また19年10月にパイオニアの製造子会社である十和田パイオニアを子会社化して商号を加賀EMS十和田に変更、20年4月にエレクトロニクス商社のエクセルを子会社化、20年11月に旭東電気(20年4月民事再生法適用申請)から新設分割された新:旭東電気を子会社化した。

 21年10月には加賀EFIが、太陽誘電<6976>からBluetoothおよびWireless LANモジュールに関わる商圏、開発・製造技術ならびに知的財産権を承継し、22年1月から小型無線モジュール事業に本格参入した。22年6月には子会社の加賀デバイスが米国の半導体企業エフィニックス社と販売代理店契約を締結した。

 22年3月期のセグメント別売上高構成比は電子部品事業(半導体、電子部品、EMS)が88%、情報機器事業(パソコン・周辺機器、各種家電、写真・映像関連商品)が8%、ソフトウェア事業(CGアニメ映像制作、アミューズメント関連商品)が1%、その他事業(エレクトロニクス機器修理、アミューズメント機器製造販売、スポーツ用品販売など)が4%で、営業利益構成比は電子部品事業が87%、情報機器事業が10%、ソフトウェア事業が▲0%、その他事業が3%、調整額が1%だった。

 中期経営計画に沿ったセグメント区分は電子部品事業、EMS事業、CSI事業(情報機器事業)、その他事業(ソフトウェア事業、その他)としている。22年3月期の売上構成比は電子部品事業が66%、EMS事業が24%、CSI事業が8%、その他事業が3%、営業利益構成比は電子部品事業が53%、EMS事業が35%、CSI事業が10%、その他事業が1%、調整額が▲1%だった。

■収益力強化や新規事業創出を推進

 中期経営計画2024では基本方針に、更なる収益力の強化、経営基盤の強化、新規事業の創出、SDGs経営の推進を掲げている。経営目標値は、25年3月期売上高7500億円(電子部品事業3800億円、EMS事業1500億円、CSI事業540億円、その他事業160億円、新規M&A等1500億円)、営業利益200億円、ROE8.5%以上(安定的に)としている。株主還元については連結配当性向の目安を25〜35%に置き、安定的かつ継続的に充実化する。

 重点アクションとして、さらなる収益力の強化では成長分野(モビリティ、通信、環境、産業機器、医療・ヘルスケア)への選択と集中、EMSビジネスおよび海外ビジネスの強化・拡大、経営基盤の強化ではコーポレートガバナンスの強化、効率的なグループ運営、人的資本への投資、新規事業の創出では新規分野への取り組み、ベンチャー投資によるオープンイノベーションの推進、非連続な成長を狙うM&Aへの挑戦を掲げている。SDGs経営の推進については、サステナビリティ中長期経営計画(21年11月公表)に基づいて、持続可能な社会の実現と持続的なグループの成長の両立を目指す。

 21年7月には、ソフトバンクが設立したソフトバンク5Gコンソーシアムの5G関連パートナーとして参画した。5G関連通信設備・機器の提供などを通じて、5G普及促進とともに、事業を通じた社会貢献を追求するとしている。22年4月には社長直下にSDGs推進室を新設した。SDGsの取り組みに関するグループ全体の連携を強化し、サステナビリティ経営を推進する。

■ベンチャー投資でイノベーション創出を支援

 創立50周年を記念して設立した「50億円ファンド」を通じてベンチャー投資を行い、イノベーション創出を支援している。

 出資実績としては、ウェアラブルコミュニケーションデバイス開発のBONX、前立腺癌生検および治療用システム開発の米HARMONUS、スマートセキュリティサービスのSecual、ソフトバンクグループで保育クラウドサービスを展開するhugmo、AIソフトウェア開発のハカルス、次世代蓄電デバイス「グリーンキャパシタTM」開発のスペースリンク、動画CM配信プラットフォーム事業やデジタルサイネージ事業CMerTVを展開するSun Asterisk、アジア圏を中心にライブ配信アプリ「17Live」などソーシャルメディアを展開する台湾のM17、医療機器開発ベンチャーのニューロシューティカルズ、シェアリングプラットフォーム「Alice.style」を運営するレンタルサービスベンチャーのピーステックラボなどがある。

 20年10月には、独自開発の光触媒技術を活用して各種環境製品を展開するカルテック(子会社化したエクセルがスタートアップ資金を出資)と、光触媒除菌脱臭機「TURNED K」の販売および製造に関わる部品調達で協業した。20年12月には、オンライン診療システム「D―CUBE」などオンライン健康支援事業を展開するリンケージに出資した。

 21年5月には株式投資型クラウドファンディング事業者の日本クラウドキャピタルに出資、21年6月にはAI関連技術を開発するカタリナに出資した。21年10月にはドローン等無人航空機の企画・製造・販売を行うVFR(PCメーカーのVAIOの子会社)に出資、21年11月には堆肥化装置や脱臭装置等を開発・販売するミライエに出資した。21年12月には独自AI技術でエナジーインフォマティックス事業を展開するインフォメティスに出資した。

■23年3月期1Q大幅増益で通期上方修正、さらに再上振れの可能性

 23年3月期の連結業績予想は22年8月4日付で上方修正して、売上高が22年3月期比8.9%増の5400億円、営業利益が14.7%増の240億円、経常利益が14.2%増の245億円、親会社株主帰属当期純利益が3.9%増の160億円としている。配当予想は据え置いて22年3月期比30円増配の150円(第2四半期末70円=普通配当70円、期末80円=普通配当70円+創立55周年記念配当10円)としている。連続増配予想である。

 第1四半期の上振れを勘案し、従来予想に比べて売上高を300億円、営業利益を28億円、経常利益を33億円、親会社株主帰属当期純利益を15億円それぞれ上方修正し、経常利益と親会社株主帰属当期純利益は従来の減益予想から増益予想に転じた。なお第2四半期累計予想は据え置いている。

 修正後のセグメント別計画は、電子部品事業の売上高が9.9%増の4770億円でセグメント利益が17.6%増の213億円、情報機器事業の売上高が1.6%減の390億円で利益が4.1%減の20億円、ソフトウェア事業の売上高が44.5%増の40億円で利益が1億円の黒字(22年3月期は26百万円の赤字)、その他事業の売上高が2.1%増の200億円で利益が4.2%減の6億円としている。電子部品事業の売上高と利益を上方修正した。

 第1四半期は売上高が前年同期比40.9%増の1493億02百万円、営業利益が2.2倍の98億20百万円、経常利益が2.2倍の98億58百万円、親会社株主帰属四半期純利益が2.4倍の69億84百万円だった。大幅増収増益で売上高、営業利益、経常利益は第1四半期として過去最高だった。社内計画に対して売上高は約270億円、営業利益は約46億円上振れて着地した。一部の半導体や電子部品において供給不足が継続したが、独立系商社としての調達力を活かして旺盛な需要を取り込み、さらに販売ミックス変化による売上総利益率向上(0.5ポイント上昇)なども寄与した。

 電子部品事業は、売上高が47.3%増の1334億77百万円、セグメント利益(全社費用等調整前営業利益)が2.4倍の90億18百万円だった。部品販売ビジネスでは、独立系商社としての調達力の強みを活かして、広範な業界からの旺盛な需要に対応した。子会社の加賀FEIやエクセルではスポット販売が想定以上だった。EMSビジネスでは車載関連や医療機器関連が好調に推移した。中国・上海ではロックダウンの影響を最小限に抑えた。

 情報機器事業は売上高が4.8%増の111億47百万円で、利益が0.6%減の5億64百万円だった。売上面では法人向けパソコンおよび教育機関向けパソコンの販売が堅調に推移し、LED設置ビジネスの大口工事の再開も寄与した。ソフトウェア事業は売上高が12.3%減の4億98百万円、利益が33百万円の赤字(前年同期は67百万円の赤字)だった。その他事業は売上高が1.4%増の41億78百万円、利益が14.7%増の2億49百万円だった。リサイクルビジネスが好調だった。

 中期経営計画に沿ったセグメント別業績は、電子部品事業の売上高が53.4%増の1014億44百万円で利益が3.7倍の65億41百万円、EMS事業の売上高が28.6%増の338億67百万円で利益が26.8%増の26億12百万円、CSI事業の売上高が4.8%増の111億47百万円で利益が0.6%減の5億64百万円、その他の売上高が0.4%減の28億42百万円で利益が5.5倍の79百万円だった。

 修正後の通期予想に対する第1四半期の進捗率は、売上高が27.6%、営業利益が40.9%、経常利益が40.2%、親会社株主帰属当期純利益が43.7%となる。第2四半期以降の不透明感を考慮しているが、第1四半期の好調を勘案すれば、さらに再上振れの可能性が高く、積極的な事業展開で収益拡大基調だろう。

■株価は上値試す

 なお8月25日には、JPX総研および日本経済新聞社が共同して算出する「JPX日経中小型株指数」の2022年度構成銘柄として、昨年度に続いて選定されたと発表している。

 株価は急伸して17年の高値を突破した。そして1990年の上場来高値に接近している。依然として指標面に割安感があり、好業績を評価して利益確定売りをこなしながら上値を試す展開を期待したい。8月30日の終値は4130円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS609円58銭で算出)は約7倍、今期予想配当利回り(会社予想の150円で算出)は約3.6%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS4026円22銭で算出)は約1.0倍、そして時価総額は約1185億円である。(情報提供:日 本インタビュ新聞社=Media−IR)
[08月05日更新]

加賀電子は23年3月期1Q大幅増益で通期予想を上方修正、さらに再上振れの可能性

 加賀電子<8154>(東証プライム)は8月4日の取引時間終了後に23年3月期第1四半期連結業績を発表した。大幅増収増益だった。一部の半導体や電子部品において供給不足が継続したが、独立系商社としての調達力を活かして旺盛な需要を取り込んだ。そして通期予想を上方修正した。第1四半期の好調を勘案すれば、さらに再上振れの可能性が高く、積極的な事業展開で収益拡大基調だろう。株価は水準を切り上げて2月の年初来高値に接近している。通期予想の上方修正を評価して上値を試す展開を期待したい。

■23年3月期1Q大幅増益で通期上方修正、さらに再上振れの可能性

 23年3月期第1四半期連結業績は、売上高が前年同期比40.9%増の1493億02百万円、営業利益が2.2倍の98億20百万円、経常利益が2.2倍の98億58百万円、親会社株主帰属四半期純利益が2.4倍の69億84百万円だった。

 大幅増収増益だった。売上高、営業利益、経常利益は第1四半期として過去最高だった。社内計画に対して売上高は約270億円、営業利益は約46億円上振れて着地した。一部の半導体や電子部品において供給不足が継続したが、独立系商社としての調達力を活かして旺盛な需要を取り込み、さらに販売ミックス変化による売上総利益率向上(0.5ポイント上昇)なども寄与した。

 電子部品事業は、売上高が47.3%増の1334億77百万円、セグメント利益(全社費用等調整前営業利益)が2.4倍の90億18百万円だった。部品販売ビジネスでは、独立系商社としての調達力の強みを活かして、広範な業界からの旺盛な需要に対応した。子会社の加賀FEIやエクセルではスポット販売が想定以上だった。EMSビジネスでは車載関連や医療機器関連が好調に推移した。中国・上海ではロックダウンの影響を最小限に抑えた。

 情報機器事業は売上高が4.8%増の111億47百万円で、利益が0.6%減の5億64百万円だった。売上面では法人向けパソコンおよび教育機関向けパソコンの販売が堅調に推移し、LED設置ビジネスの大口工事の再開も寄与した。ソフトウェア事業は売上高が12.3%減の4億98百万円、利益が33百万円の赤字(前年同期は67百万円の赤字)だった。その他事業は売上高が1.4%増の41億78百万円、利益が14.7%増の2億49百万円だった。リサイクルビジネスが好調だった。

 通期連結業績予想は8月4日付で上方修正して、売上高が22年3月期比8.9%増の5400億円、営業利益が14.7%増の240億円、経常利益が14.2%増の245億円、親会社株主帰属当期純利益が3.9%増の160億円としている。配当予想は据え置いて22年3月期比30円増配の150円(第2四半期末70円=普通配当70円、期末80円=普通配当70円+創立55周年記念配当10円)としている。連続増配予想である。

 第1四半期の上振れを勘案し、従来予想に比べて売上高を300億円、営業利益を28億円、経常利益を33億円、親会社株主帰属当期純利益を15億円それぞれ上方修正し、経常利益と親会社株主帰属当期純利益は従来の減益予想から増益予想に転じた。なお第2四半期累計予想は据え置いている。

 通期セグメント別計画(8月4日付修正後)は、電子部品事業の売上高が9.9%増の4770億円でセグメント利益が17.6%増の213億円、情報機器事業の売上高が1.6%減の390億円で利益が4.1%減の20億円、ソフトウェア事業の売上高が44.5%増の40億円で利益が1億円の黒字(22年3月期は26百万円の赤字)、その他事業の売上高が2.1%増の200億円で利益が4.2%減の6億円としている。電子部品事業の売上高と利益を上方修正した。

 修正後の通期予想に対する第1四半期の進捗率は、売上高が27.6%、営業利益が40.9%、経常利益が40.2%、親会社株主帰属当期純利益が43.7%となる。第2四半期以降の不透明感を考慮しているが、第1四半期の好調を勘案すれば、さらに再上振れの可能性が高く、積極的な事業展開で収益拡大基調だろう。

■株価は上値試す

 株価は水準を切り上げて2月の年初来高値に接近している。通期予想の上方修正を評価して上値を試す展開を期待したい。8月4日の終値は3315円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS609円58銭で算出)は約5倍、今期予想配当利回り(会社予想の150円で算出)は約4.5%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS4026円22銭で算出)は約0.8倍、そして時価総額は約951億円である。 (情報提供:日本インタビュ新聞社=Media−IR
[07月22日更新]

加賀電子は上値試す、23年3月期横ばい予想だが上振れの可能性

 加賀電子<8154>(東証プライム)は独立系の大手エレクトロニクス総合商社である。中期経営計画では基本方針に、更なる収益力の強化、経営基盤の強化、新規事業の創出、SDGs経営の推進を掲げている。23年3月期はスポット販売の減少や販管費の増加などで横ばい予想としている。ただし保守的な印象が強い。会社予想は上振れの可能性が高く、積極的な事業展開で収益拡大基調だろう。株価は2月の年初来高値圏から反落してモミ合う形だが、調整一巡してモミ合いから上放れの動きを強めている。指標面の割安感も評価材料であり、上値を試す展開を期待したい。なお8月4日に23年3月期第1四半期決算発表を予定している。

■独立系の大手エレクトロニクス総合商社

 独立系の大手エレクトロニクス総合商社である。M&Aも積極活用して、半導体・電子部品・情報機器等の商社ビジネス、および電装基板製造受託サービスのEMSビジネスを展開している。

 富士通エレクトロニクスを19年1月に子会社化(富士通セミコンダクターから株式70%取得、20年12月28日付で社名を加賀FEIに変更、22年1月1日付で完全子会社化)した。また19年10月にパイオニアの製造子会社である十和田パイオニアを子会社化して商号を加賀EMS十和田に変更、20年4月にエレクトロニクス商社のエクセルを子会社化、20年11月に旭東電気(20年4月民事再生法適用申請)から新設分割された新:旭東電気を子会社化した。

 21年10月には加賀EFIが、太陽誘電<6976>からBluetoothおよびWireless LANモジュールに関わる商圏、開発・製造技術ならびに知的財産権を承継し、22年1月から小型無線モジュール事業に本格参入した。22年6月には子会社の加賀デバイスが米国の半導体企業エフィニックス社と販売代理店契約を締結した。

 22年3月期のセグメント別売上高構成比は電子部品事業(半導体、電子部品、EMS)が88%、情報機器事業(パソコン・周辺機器、各種家電、写真・映像関連商品)が8%、ソフトウェア事業(CGアニメ映像制作、アミューズメント関連商品)が1%、その他事業(エレクトロニクス機器修理、アミューズメント機器製造販売、スポーツ用品販売など)が4%で、営業利益構成比は電子部品事業が87%、情報機器事業が10%、ソフトウェア事業が▲0%、その他事業が3%、調整額が1%だった。

 中期経営計画に沿ったセグメント区分は電子部品事業、EMS事業、CSI事業(情報機器事業)、その他事業(ソフトウェア事業、その他)としている。22年3月期の売上構成比は電子部品事業が66%、EMS事業が24%、CSI事業が8%、その他事業が3%、営業利益構成比は電子部品事業が53%、EMS事業が35%、CSI事業が10%、その他事業が1%、調整額が▲1%だった。

■収益力強化や新規事業創出を推進

 中期経営計画2024では基本方針に、更なる収益力の強化、経営基盤の強化、新規事業の創出、SDGs経営の推進を掲げている。経営目標値は、25年3月期売上高7500億円(電子部品事業3800億円、EMS事業1500億円、CSI事業540億円、その他事業160億円、新規M&A等1500億円)、営業利益200億円、ROE8.5%以上(安定的に)としている。株主還元については連結配当性向の目安を25〜35%に置き、安定的かつ継続的に充実化する。

 重点アクションとして、さらなる収益力の強化では成長分野(モビリティ、通信、環境、産業機器、医療・ヘルスケア)への選択と集中、EMSビジネスおよび海外ビジネスの強化・拡大、経営基盤の強化ではコーポレートガバナンスの強化、効率的なグループ運営、人的資本への投資、新規事業の創出では新規分野への取り組み、ベンチャー投資によるオープンイノベーションの推進、非連続な成長を狙うM&Aへの挑戦を掲げている。SDGs経営の推進については、サステナビリティ中長期経営計画(21年11月公表)に基づいて、持続可能な社会の実現と持続的なグループの成長の両立を目指す。

 21年7月には、ソフトバンクが設立したソフトバンク5Gコンソーシアムの5G関連パートナーとして参画した。5G関連通信設備・機器の提供などを通じて、5G普及促進とともに、事業を通じた社会貢献を追求するとしている。22年4月には社長直下にSDGs推進室を新設した。SDGsの取り組みに関するグループ全体の連携を強化し、サステナビリティ経営を推進する。

■ベンチャー投資でイノベーション創出を支援

 創立50周年を記念して設立した「50億円ファンド」を通じてベンチャー投資を行い、イノベーション創出を支援している。

 出資実績としては、ウェアラブルコミュニケーションデバイス開発のBONX、前立腺癌生検および治療用システム開発の米HARMONUS、スマートセキュリティサービスのSecual、ソフトバンクグループで保育クラウドサービスを展開するhugmo、AIソフトウェア開発のハカルス、次世代蓄電デバイス「グリーンキャパシタTM」開発のスペースリンク、動画CM配信プラットフォーム事業やデジタルサイネージ事業CMerTVを展開するSun Asterisk、アジア圏を中心にライブ配信アプリ「17Live」などソーシャルメディアを展開する台湾のM17、医療機器開発ベンチャーのニューロシューティカルズ、シェアリングプラットフォーム「Alice.style」を運営するレンタルサービスベンチャーのピーステックラボなどがある。

 20年10月には、独自開発の光触媒技術を活用して各種環境製品を展開するカルテック(子会社化したエクセルがスタートアップ資金を出資)と、光触媒除菌脱臭機「TURNED K」の販売および製造に関わる部品調達で協業した。20年12月には、オンライン診療システム「D―CUBE」などオンライン健康支援事業を展開するリンケージに出資した。

 21年5月には株式投資型クラウドファンディング事業者の日本クラウドキャピタルに出資、21年6月にはAI関連技術を開発するカタリナに出資した。21年10月にはドローン等無人航空機の企画・製造・販売を行うVFR(PCメーカーのVAIOの子会社)に出資、21年11月には堆肥化装置や脱臭装置等を開発・販売するミライエに出資した。21年12月には独自AI技術でエナジーインフォマティックス事業を展開するインフォメティスに出資した。

■23年3月期横ばい予想だが上振れの可能性

 23年3月期の連結業績予想は、売上高が22年3月期比2.9%増の5100億円、営業利益が1.4%増の212億円、経常利益が1.2%減の212億円、親会社株主帰属当期純利益が5.9%減の145億円としている。配当予想は22年3月期比30円増配の150円(第2四半期末70円=普通配当70円、期末80円=普通配当70円+創立55周年記念配当10円)としている。連続増配予想である。

 セグメント別の計画は、電子部品事業の売上高が3.0%増の4470億円でセグメント利益(調整前営業利益)が2.2%増の185億円、情報機器事業の売上高が1.6%減の390億円で利益が4.1%減の20億円、ソフトウェア事業の売上高が44.5%増の40億円で利益が1億円の黒字(22年3月期26百万円の赤字)、その他事業の売上高が2.1%増の200億円で利益が4.2%減の6億円としている。

 営業利益の要因別増減見込みは、販売数量増加で+47億53百万円、スポット販売減少で▲31億円、販管費増加で▲13億68百万円としている。半導体・電子部品の需要は拡大基調だが、スポット販売の減少や販管費の増加などで横ばい予想(配当は連続増配予想)としている。ただし保守的な印象が強い。会社予想は上振れの可能性が高く、積極的な事業展開で収益拡大基調だろう。

■株価は上値試す

 株価は2月の年初来高値圏から反落してモミ合う形だが、調整一巡してモミ合いから上放れの動きを強めている。指標面の割安感も評価材料であり、上値を試す展開を期待したい。7月21日の終値は3175円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS552円42銭で算出)は約6倍、今期予想配当利回り(会社予想の150円で算出)は約4.7%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS4026円22銭で算出)は約0.8倍、そして時価総額は約911億円である。(情報提供:日 本インタビュ新聞社=Media−IR
[06月28日更新]

加賀電子は上値試す、23年3月期横ばい予想だが保守的

 加賀電子<8154>(東証プライム)は独立系の大手エレクトロニクス総合商社である。中期経営計画2024では基本方針に、更なる収益力の強化、経営基盤の強化、新規事業の創出、SDGs経営の推進を掲げている。23年3月期はスポット販売の減少や販管費の増加などで横ばい予想(配当は連続増配予想)としている。ただし保守的な印象が強い。会社予想は上振れの可能性が高く、積極的な事業展開で収益拡大基調だろう。株価は2月の年初来高値圏から利益確定売りで反落して上値を切り下げる形となったが、一方では大きく下押す動きも見られない。指標面の割安感も評価材料であり、調整一巡して上値を試す展開を期待したい。

■独立系の大手エレクトロニクス総合商社

 独立系の大手エレクトロニクス総合商社である。M&Aも積極活用して、半導体・電子部品・情報機器等の商社ビジネス、および電装基板製造受託サービスのEMSビジネスを展開している。

 富士通エレクトロニクスを19年1月に子会社化(富士通セミコンダクターから株式70%取得、20年12月28日付で社名を加賀FEIに変更、22年1月1日付で完全子会社化)した。また19年10月にパイオニアの製造子会社である十和田パイオニアを子会社化して商号を加賀EMS十和田に変更、20年4月にエレクトロニクス商社のエクセルを子会社化、20年11月に旭東電気(20年4月民事再生法適用申請)から新設分割された新:旭東電気を子会社化した。

 21年10月には加賀EFIが、太陽誘電<6976>からBluetoothおよびWireless LANモジュールに関わる商圏、開発・製造技術ならびに知的財産権を承継し、22年1月から小型無線モジュール事業に本格参入した。22年6月には子会社の加賀デバイスが米国の半導体企業エフィニックス社と販売代理店契約を締結した。

 22年3月期のセグメント別売上高構成比は電子部品事業(半導体、電子部品、EMS)が88%、情報機器事業(パソコン・周辺機器、各種家電、写真・映像関連商品)が8%、ソフトウェア事業(CGアニメ映像制作、アミューズメント関連商品)が1%、その他事業(エレクトロニクス機器修理、アミューズメント機器製造販売、スポーツ用品販売など)が4%で、営業利益構成比は電子部品事業が87%、情報機器事業が10%、ソフトウェア事業が▲0%、その他事業が3%、調整額が1%だった。

 中期経営計画に沿ったセグメント区分は電子部品事業、EMS事業、CSI事業(情報機器事業)、その他事業(ソフトウェア事業、その他)としている。22年3月期の売上構成比は電子部品事業が66%、EMS事業が24%、CSI事業が8%、その他事業が3%、営業利益構成比は電子部品事業が53%、EMS事業が35%、CSI事業が10%、その他事業が1%、調整額が▲1%だった。

■収益力強化や新規事業創出を推進

 中期経営計画2024では基本方針に、更なる収益力の強化、経営基盤の強化、新規事業の創出、SDGs経営の推進を掲げている。経営目標値は、25年3月期売上高7500億円(電子部品事業3800億円、EMS事業1500億円、CSI事業540億円、その他事業160億円、新規M&A等1500億円)、営業利益200億円、ROE8.5%以上(安定的に)としている。株主還元については連結配当性向の目安を25〜35%に置き、安定的かつ継続的に充実化する。

 重点アクションとして、さらなる収益力の強化では成長分野(モビリティ、通信、環境、産業機器、医療・ヘルスケア)への選択と集中、EMSビジネスおよび海外ビジネスの強化・拡大、経営基盤の強化ではコーポレートガバナンスの強化、効率的なグループ運営、人的資本への投資、新規事業の創出では新規分野への取り組み、ベンチャー投資によるオープンイノベーションの推進、非連続な成長を狙うM&Aへの挑戦を掲げている。SDGs経営の推進については、サステナビリティ中長期経営計画(21年11月公表)に基づいて、持続可能な社会の実現と持続的なグループの成長の両立を目指す。

 21年7月には、ソフトバンクが設立したソフトバンク5Gコンソーシアムの5G関連パートナーとして参画した。5G関連通信設備・機器の提供などを通じて、5G普及促進とともに、事業を通じた社会貢献を追求するとしている。22年4月には社長直下にSDGs推進室を新設した。SDGsの取り組みに関するグループ全体の連携を強化し、サステナビリティ経営を推進する。

■ベンチャー投資でイノベーション創出を支援

 創立50周年を記念して設立した「50億円ファンド」を通じてベンチャー投資を行い、イノベーション創出を支援している。

 出資実績としては、ウェアラブルコミュニケーションデバイス開発のBONX、前立腺癌生検および治療用システム開発の米HARMONUS、スマートセキュリティサービスのSecual、ソフトバンクグループで保育クラウドサービスを展開するhugmo、AIソフトウェア開発のハカルス、次世代蓄電デバイス「グリーンキャパシタTM」開発のスペースリンク、動画CM配信プラットフォーム事業やデジタルサイネージ事業CMerTVを展開するSun Asterisk、アジア圏を中心にライブ配信アプリ「17Live」などソーシャルメディアを展開する台湾のM17、医療機器開発ベンチャーのニューロシューティカルズ、シェアリングプラットフォーム「Alice.style」を運営するレンタルサービスベンチャーのピーステックラボなどがある。

 20年10月には、独自開発の光触媒技術を活用して各種環境製品を展開するカルテック(子会社化したエクセルがスタートアップ資金を出資)と、光触媒除菌脱臭機「TURNED K」の販売および製造に関わる部品調達で協業した。20年12月には、オンライン診療システム「D―CUBE」などオンライン健康支援事業を展開するリンケージに出資した。

 21年5月には株式投資型クラウドファンディング事業者の日本クラウドキャピタルに出資、21年6月にはAI関連技術を開発するカタリナに出資した。21年10月にはドローン等無人航空機の企画・製造・販売を行うVFR(PCメーカーのVAIOの子会社)に出資、21年11月には堆肥化装置や脱臭装置等を開発・販売するミライエに出資した。21年12月には独自AI技術でエナジーインフォマティックス事業を展開するインフォメティスに出資した。

■23年3月期横ばい予想だが保守的

 23年3月期の連結業績予想は、売上高が22年3月期比2.9%増の5100億円、営業利益が1.4%増の212億円、経常利益が1.2%減の212億円、親会社株主帰属当期純利益が5.9%減の145億円としている。配当予想は22年3月期比30円増配の150円(第2四半期末70円=普通配当70円、期末80円=普通配当70円+創立55周年記念配当10円)としている。連続増配予想である。

 セグメント別の計画は、電子部品事業の売上高が3.0%増の4470億円でセグメント利益(調整前営業利益)が2.2%増の185億円、情報機器事業の売上高が1.6%減の390億円で利益が4.1%減の20億円、ソフトウェア事業の売上高が44.5%増の40億円で利益が1億円の黒字(22年3月期26百万円の赤字)、その他事業の売上高が2.1%増の200億円で利益が4.2%減の6億円としている。

 営業利益の要因別増減見込みは、販売数量増加で+47億53百万円、スポット販売減少で▲31億円、販管費増加で▲13億68百万円としている。半導体・電子部品の需要は拡大基調だが、スポット販売の減少や販管費の増加などで横ばい予想(配当は連続増配予想)としている。ただし保守的な印象が強い。会社予想は上振れの可能性が高く、積極的な事業展開で収益拡大基調だろう。

■株価は上値試す

 株価は2月の年初来高値圏から利益確定売りで反落して上値を切り下げる形となったが、一方では大きく下押す動きも見られない。指標面の割安感も評価材料であり、調整一巡して上値を試す展開を期待したい。6月27日の終値は3075円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS552円42銭で算出)は約6倍、今期予想配当利回り(会社予想の150円で算出)は約4.9%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS4026円22銭で算出)は約0.8倍、そして時価総額は約883億円である。(情報提供:日 本インタビュ新聞社=Media−IR
[06月07日更新]

加賀電子は調整一巡、23年3月期横ばい予想だが保守的

 加賀電子<8154>(東証プライム)は独立系の大手エレクトロニクス総合商社である。成長戦略として更なる収益力の強化、経営基盤の強化、新規事業の創出、SDGs経営の推進を掲げている。23年3月期はスポット販売の減少や販管費の増加などで横ばい予想(配当は連続増配予想)としている。ただし保守的な印象が強い。会社予想は上振れの可能性が高く、積極的な事業展開で収益拡大基調だろう。株価は2月の年初来高値圏から反落して上値を切り下げる形だが、一方では下値を切り上げている。指標面の割安感も評価材料であり、調整一巡して上値を試す展開を期待したい。

■独立系の大手エレクトロニクス総合商社

 独立系の大手エレクトロニクス総合商社である。M&Aも積極活用して、半導体・電子部品・情報機器等の商社ビジネス、および電装基板製造受託サービスのEMSビジネスを展開している。

 富士通エレクトロニクスを19年1月に子会社化(富士通セミコンダクターから株式70%取得、20年12月28日付で社名を加賀FEIに変更、22年1月1日付で完全子会社化)した。また19年10月にパイオニアの製造子会社である十和田パイオニアを子会社化して商号を加賀EMS十和田に変更、20年4月にエレクトロニクス商社のエクセルを子会社化、20年11月に旭東電気(20年4月民事再生法適用申請)から新設分割された新:旭東電気を子会社化した。

 21年10月には加賀EFIが、太陽誘電<6976>からBluetoothおよびWireless LANモジュールに関わる商圏、開発・製造技術ならびに知的財産権を承継し、22年1月から小型無線モジュール事業に本格参入した。

 22年3月期のセグメント別売上高構成比は電子部品事業(半導体、電子部品、EMS)が88%、情報機器事業(パソコン・周辺機器、各種家電、写真・映像関連商品)が8%、ソフトウェア事業(CGアニメ映像制作、アミューズメント関連商品)が1%、その他事業(エレクトロニクス機器修理、アミューズメント機器製造販売、スポーツ用品販売など)が4%で、営業利益構成比は電子部品事業が87%、情報機器事業が10%、ソフトウェア事業が▲0%、その他事業が3%、調整額が1%だった。

 中期経営計画に沿ったセグメント区分は電子部品事業、EMS事業、CSI事業(情報機器事業)、その他事業(ソフトウェア事業、その他)としている。22年3月期の売上構成比は電子部品事業が66%、EMS事業が24%、CSI事業が8%、その他事業が3%、営業利益構成比は電子部品事業が53%、EMS事業が35%、CSI事業が10%、その他事業が1%、調整額が▲1%だった。

■収益力強化や新規事業創出を推進

 中期経営計画2024では基本方針にさらなる収益力の強化、経営基盤の強化、新規事業の創出、SDGs経営の推進を掲げている。経営目標値は、25年3月期売上高7500億円(電子部品事業3800億円、EMS事業1500億円、CSI事業540億円、その他事業160億円、新規M&A等1500億円)、営業利益200億円、ROE8.5%以上(安定的に)としている。株主還元については連結配当性向の目安を25〜35%に置き、安定的かつ継続的に充実化する。

 重点アクションとして、さらなる収益力の強化では成長分野(モビリティ、通信、環境、産業機器、医療・ヘルスケア)への選択と集中、EMSビジネスおよび海外ビジネスの強化・拡大、経営基盤の強化ではコーポレートガバナンスの強化、効率的なグループ運営、人的資本への投資、新規事業の創出では新規分野への取り組み、ベンチャー投資によるオープンイノベーションの推進、非連続な成長を狙うM&Aへの挑戦を掲げている。SDGs経営の推進については、サステナビリティ中長期経営計画(21年11月公表)に基づいて、持続可能な社会の実現と持続的なグループの成長の両立を目指す。

 21年7月には、ソフトバンクが設立したソフトバンク5Gコンソーシアムの5G関連パートナーとして参画した。5G関連通信設備・機器の提供などを通じて、5G普及促進とともに、事業を通じた社会貢献を追求するとしている。22年4月には社長直下にSDGs推進室を新設した。SDGsの取り組みに関するグループ全体の連携を強化し、サステナビリティ経営を推進する。

■ベンチャー投資でイノベーション創出を支援

 創立50周年を記念して設立した「50億円ファンド」を通じてベンチャー投資を行い、イノベーション創出を支援している。

 出資実績としては、ウェアラブルコミュニケーションデバイス開発のBONX、前立腺癌生検および治療用システム開発の米HARMONUS、スマートセキュリティサービスのSecual、ソフトバンクグループで保育クラウドサービスを展開するhugmo、AIソフトウェア開発のハカルス、次世代蓄電デバイス「グリーンキャパシタTM」開発のスペースリンク、動画CM配信プラットフォーム事業やデジタルサイネージ事業CMerTVを展開するSun Asterisk、アジア圏を中心にライブ配信アプリ「17Live」などソーシャルメディアを展開する台湾のM17、医療機器開発ベンチャーのニューロシューティカルズ、シェアリングプラットフォーム「Alice.style」を運営するレンタルサービスベンチャーのピーステックラボなどがある。

 20年10月には、独自開発の光触媒技術を活用して各種環境製品を展開するカルテック(子会社化したエクセルがスタートアップ資金を出資)と、光触媒除菌脱臭機「TURNED K」の販売および製造に関わる部品調達で協業した。20年12月には、オンライン診療システム「D―CUBE」などオンライン健康支援事業を展開するリンケージに出資した。

 21年5月には株式投資型クラウドファンディング事業者の日本クラウドキャピタルに出資、21年6月にはAI関連技術を開発するカタリナに出資した。21年10月にはドローン等無人航空機の企画・製造・販売を行うVFR(PCメーカーのVAIOの子会社)に出資、21年11月には堆肥化装置や脱臭装置等を開発・販売するミライエに出資した。21年12月には独自AI技術でエナジーインフォマティックス事業を展開するインフォメティスに出資した。

■23年3月期横ばい予想だが保守的

 22年3月期連結業績(収益認識会計基準適用だが利益への影響軽微、5月9日付で利益を3回目の上方修正)は、売上高が21年3月期比17.4%増の4958億27百万円、営業利益が82.4%増の209億15百万円、経常利益が90.9%増の214億56百万円、親会社株主帰属当期純利益が35.1%増の154億01百万円だった。

 電子部品需要が拡大して大幅増益だった。特別利益では前期計上の負ののれん発生益79億63百万円が剥落し、特別損失では減損損失、投資有価証券評価損、貸倒引当金繰入額などが減少した。なお収益認識会計基準適用の影響額として、従来方法に比べて売上高が60億60百万円減少したが、利益への影響は軽微である。

 配当(5月9日付で期末特別配当10円上方修正、3回目の上方修正)は、21年3月期比40円増配の120円(第2四半期末45円=普通配当40円+特別配当5円、期末75円=普通配当40円+特別配当35円)とした。

 電子部品事業は、売上高が22.7%増の4338億52百万円、セグメント利益(全社費用等調整前営業利益)が122.1%増の181億07百万円だった。一部の半導体や電子部品の供給難が長期化する中、独立系商社としての調達力の強みを活かして広範な業界からの旺盛な需要に対応した。EMSビジネスは車載関連、産業機器関連、医療関連が好調に推移した。M&Aで子会社化した加賀EFIとエクセルの収益も大幅伸長した。

 情報機器事業は売上高が18.1%減の396億16百万円、利益が16.0%減の20億85百万円だった。パソコン販売において法人向けリモートワーク需要が一巡し、LED照明機器やネットワーク機器などの設備設置ビジネスが設備・機器・資材の調達難や工期延伸の影響を受けた。

 ソフトウェア事業は売上高が5.6%減の27億67百万円、利益が26百万円の赤字(21年3月期は2億63百万円の黒字)だった。納期対応に伴う開発費増加などで採算が悪化した。その他事業は売上高が11.4%増の195億90百万円、利益が32.0%増の6億26百万円だった。リサイクルビジネスが好調だった。

 なお四半期別に見ると、第1四半期は売上高が1059億49百万円で営業利益が44億52百万円、第2四半期は売上高が1170億60百万円で営業利益が38億48百万円、第3四半期は売上高が1296億75百万円で営業利益が63億58百万円、第4四半期は売上高が1431億43百万円で営業利益が62億57百万円だった。

 23年3月期の連結業績予想は、売上高が22年3月期比2.9%増の5100億円、営業利益が1.4%増の212億円、経常利益が1.2%減の212億円、親会社株主帰属当期純利益が5.9%減の145億円としている。配当予想は22年3月期比30円増配の150円(第2四半期末70円=普通配当70円、期末80円=普通配当70円+創立55周年記念配当10円)としている。連続増配予想である。

 セグメント別の計画は、電子部品事業の売上高が3.0%増の4470億円でセグメント利益(調整前営業利益)が2.2%増の185億円、情報機器事業の売上高が1.6%減の390億円で利益が4.1%減の20億円、ソフトウェア事業の売上高が44.5%増の40億円で利益が1億円の黒字(22年3月期26百万円の赤字)、その他事業の売上高が2.1%増の200億円で利益が4.2%減の6億円としている。

 営業利益の要因別増減見込みは、販売数量増加で+47億53百万円、スポット販売減少で▲31億円、販管費増加で▲13億68百万円としている。半導体・電子部品の需要は拡大基調だが、スポット販売の減少や販管費の増加などで横ばい予想(配当は連続増配予想)としている。ただし保守的な印象が強い。会社予想は上振れの可能性が高く、積極的な事業展開で収益拡大基調だろう。

■株価は調整一巡

 株価は2月の年初来高値圏から反落して上値を切り下げる形だが、一方では下値を切り上げている。指標面の割安感も評価材料であり、調整一巡して上値を試す展開を期待したい。6月6日の終値は3140円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS552円42銭で算出)は約6倍、今期予想配当利回り(会社予想の150円で算出)は約4.8%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS4026円22銭で算出)は約0.8倍、そして時価総額は約901億円である。(情報提供:日 本インタビュ新聞社=Media−IR
[04月27日更新]

加賀電子は調整一巡、積極的な事業展開で23年3月期も収益拡大基調

 加賀電子<8154>(東証プライム)は独立系の大手エレクトロニクス総合商社である。中期経営計画では更なる収益力の強化、経営基盤の強化、新規事業の創出、SDGs経営の推進を掲げている。22年3月期は需要が高水準に推移して大幅増益・増配予想としている。さらに23年3月期も積極的な事業展開、商社ビジネスとEMSビジネスのシナジー効果で収益拡大基調だろう。株価は地合い悪化も影響して3月の戻り高値圏から反落の形となったが、調整一巡して上値を試す展開を期待したい。なお5月12日に22年3月期決算発表を予定している。

■独立系の大手エレクトロニクス総合商社

 独立系の大手エレクトロニクス総合商社である。M&Aも積極活用して、半導体・電子部品・情報機器等の商社ビジネス、および電装基板製造受託サービスのEMSビジネスを展開している。

 富士通エレクトロニクスを19年1月に子会社化(富士通セミコンダクターから株式70%取得、20年12月28日付で社名を加賀FEIに変更、22年1月1日付で完全子会社化)した。また19年10月にパイオニアの製造子会社である十和田パイオニアを子会社化して商号を加賀EMS十和田に変更、20年4月にエレクトロニクス商社のエクセルを子会社化、20年11月に旭東電気(20年4月民事再生法適用申請)から新設分割された新:旭東電気を子会社化した。

 21年10月には加賀EFIが、太陽誘電<6976>からBluetoothおよびWireless LANモジュールに関わる商圏、開発・製造技術ならびに知的財産権を承継し、22年1月から小型無線モジュール事業に本格参入した。

 21年3月期のセグメント別売上高構成比は、電子部品事業(半導体、電子部品、EMS)84%、情報機器事業(パソコン・周辺機器、各種家電、写真・映像関連商品)11%、ソフトウェア事業(CGアニメ映像制作、アミューズメント関連商品)1%、その他事業(エレクトロニクス機器修理、アミューズメント機器製造販売、スポーツ用品販売など)4%、営業利益(調整前)構成比は電子部品事業72%、情報機器事業22%、ソフトウェア事業2%、その他事業4%だった。

 中期経営計画に沿ったセグメント区分は電子部品事業、EMS事業、CSI事業(情報機器事業)、その他事業(ソフトウェア事業、その他事業)とする。21年3月期売上構成比は電子部品事業が62%、EMS事業が24%、CSI事業が11%、その他事業が3%、営業利益構成比は電子部品事業が26%、EMS事業が48%、CSI事業が22%、その他事業が3%だった。

■収益力強化や新規事業創出を推進

 中期経営計画2024では基本方針にさらなる収益力の強化、経営基盤の強化、新規事業の創出、SDGs経営の推進を掲げている。経営目標値は、25年3月期売上高7500億円(電子部品事業3800億円、EMS事業1500億円、CSI事業540億円、その他事業160億円、新規M&A等1500億円)、営業利益200億円、ROE8.5%以上(安定的に)としている。株主還元については連結配当性向の目安を25〜35%に置き、安定的かつ継続的に充実化する。

 重点アクションとして、さらなる収益力の強化では成長分野(モビリティ、通信、環境、産業機器、医療・ヘルスケア)への選択と集中、EMSビジネスおよび海外ビジネスの強化・拡大、経営基盤の強化ではコーポレートガバナンスの強化、効率的なグループ運営、人的資本への投資、新規事業の創出では新規分野への取り組み、ベンチャー投資によるオープンイノベーションの推進、非連続な成長を狙うM&Aへの挑戦を掲げている。SDGs経営の推進については、サステナビリティ中長期経営計画(21年11月公表)に基づいて、持続可能な社会の実現と持続的なグループの成長の両立を目指す。

 21年7月には、ソフトバンクが設立したソフトバンク5Gコンソーシアムの5G関連パートナーとして参画した。5G関連通信設備・機器の提供などを通じて、5G普及促進とともに、事業を通じた社会貢献を追求するとしている。

 22年4月には社長直下にSDGs推進室を新設した。SDGsの取り組みに関するグループ全体の連携を強化し、サステナビリティ経営を推進する。

■ベンチャー投資でイノベーション創出を支援

 創立50周年を記念して設立した「50億円ファンド」を通じてベンチャー投資を行い、イノベーション創出を支援している。

 出資実績としては、ウェアラブルコミュニケーションデバイス開発のBONX、前立腺癌生検および治療用システム開発の米HARMONUS、スマートセキュリティサービスのSecual、ソフトバンクグループで保育クラウドサービスを展開するhugmo、AIソフトウェア開発のハカルス、次世代蓄電デバイス「グリーンキャパシタTM」開発のスペースリンク、動画CM配信プラットフォーム事業やデジタルサイネージ事業CMerTVを展開するSun Asterisk、アジア圏を中心にライブ配信アプリ「17Live」などソーシャルメディアを展開する台湾のM17、医療機器開発ベンチャーのニューロシューティカルズ、シェアリングプラットフォーム「Alice.style」を運営するレンタルサービスベンチャーのピーステックラボなどがある。

 20年10月には、独自開発の光触媒技術を活用して各種環境製品を展開するカルテック(子会社化したエクセルがスタートアップ資金を出資)と、光触媒除菌脱臭機「TURNED K」の販売および製造に関わる部品調達で協業した。20年12月には、オンライン診療システム「D―CUBE」などオンライン健康支援事業を展開するリンケージに出資した。

 21年5月には株式投資型クラウドファンディング事業者の日本クラウドキャピタルに出資、21年6月にはAI関連技術を開発するカタリナに出資した。21年10月にはドローン等無人航空機の企画・製造・販売を行うVFR(PCメーカーのVAIOの子会社)に出資、21年11月には堆肥化装置や脱臭装置等を開発・販売するミライエに出資した。21年12月には独自AI技術でエナジーインフォマティックス事業を展開するインフォメティスに出資した。

■22年3月期大幅増益・増配予想、23年3月期も収益拡大基調

 22年3月期の連結業績予想(収益認識会計基準適用だが利益への影響軽微、21年11月4日に利益を上方修正、2月3日に売上高・利益とも上方修正)は、売上高が21年3月期比12.5%増の4750億円、営業利益が52.6%増の175億円、経常利益が60.1%増の180億円、親会社株主帰属当期純利益が5.3%増の120億円としている。

 配当予想(21年11月4日に特別配当で第2四半期末5円、期末5円、合計10円上方修正、2月3日に特別配当で期末20円上方修正)は、21年3月期比30円増配の110円(第2四半期末45円=普通配当40円+特別配当5円、期末65円=普通配当40円+特別配当25円)としている。

 電子部品やEMSの需要が好調に推移し、売上総利益率の改善や経費の抑制も寄与する。営業利益は中期経営計画の目標値(130億円)を超過達成する見込みだ。修正後のセグメント別利益計画は、電子部品事業が81.6%増の148億円、情報機器事業が19.4%減の20億円、ソフトウェア事業が24.1%減の2億円、その他が5.4%増の5億円としている。親会社株主帰属当期純利益は前期計上の負ののれん発生益の剥落で減益予想だったが、一転して増益に転じる見込みとした。

 第3四半期累計は、売上高が前年同期比19.9%増の3526億84百万円、営業利益が95.0%増の146億58百万円、経常利益が105.9%増の148億86百万円だった。親会社株主帰属四半期純利益は前期計上の負ののれん発生益が剥落して18.2%減の104億14百万円だった。収益認識会計基準適用の影響額として、従来方法に比べて売上高が37億23百万円減少したが、利益への影響は軽微である。

 電子部品事業は売上高が26.2%増の3114億12百万円で、セグメント利益(全社費用等調整前営業利益)が140.0%増の130億02百万円だった。半導体や電子部品の需給逼迫が続く中、独立系商社としての調達力の強みを活かし、広範な業界からの旺盛な需要に対応した。EMSビジネスは車載関連、産業機器関連、医療関連が好調だった。M&Aで子会社化した加賀EFIとエクセルも増収効果で営業黒字転換した。

 情報機器事業は、パソコン販売における法人向けリモートワーク需要一巡、LED照明機器やネットワーク機器など設備設置ビジネスにおける部品不足による製品供給難の影響などで、売上高が22.5%減の263億01百万円、利益が30.6%減の12億16百万円だった。

 ソフトウェア事業は、売上高が8.2%減の18億41百万円で、営業利益が1億09百万円の赤字(前年同期は1億06百万円の黒字)だった。納期対応等で費用が増加した。その他事業は、売上高が13.0%増の131億29百万円で、営業利益が3.2倍の4億73百万円だった。リサイクルビジネスが好調だった。

 四半期別に見ると、第1四半期は売上高が1059億49百万円で営業利益が44億52百万円、第2四半期は売上高が1170億60百万円で営業利益が38億48百万円、第3四半期は売上高が1296億75百万円で営業利益が63億58百万円だった。

 修正後の通期予想に対する第3四半期累計の進捗率は売上高が74.2%、営業利益が83.8%、経常利益が82.7%、親会社株主帰属当期純利益が86.8%と順調だった。なお21年9月1日付でリリースした「ユーロテックジャパンに対する債権取立不能のおそれ」に関しては、当該棚卸資産や仕掛装備品の評価見直しを行い、その金額を合理的且つ保守的に織り込んでいる。

 さらに23年3月期も積極的な事業展開、商社ビジネスとEMSビジネスのシナジー効果で収益拡大基調だろう。

■株価は調整一巡

 株価は地合い悪化も影響して3月の戻り高値圏から反落の形となったが、調整一巡して上値を試す展開を期待したい。4月26日の終値は2960円、前期推定連結PER(会社予想の連結EPS449円13銭で算出)は約7倍、前期推定配当利回り(会社予想の110円で算出)は約3.7%、前々期実績連結PBR(前々期実績の連結BPS3311円24銭で算出)は約0.9倍、そして時価総額は約850億円である。(情報提供:日 本インタビュ新聞社=Media−IR
[03月31日更新]

加賀電子は上値試す、23年3月期も収益拡大基調

 加賀電子<8154>(東1、新市場区分プライム)は独立系の大手エレクトロニクス総合商社である。中期経営計画では更なる収益力の強化、経営基盤の強化、新規事業の創出、SDGs経営の推進を掲げている。なお3月30日に「EMS事業説明会+バーチャル工場見学会」を実施した。また4月1日付でSDGs推進室を新設する。22年3月期大幅増益・増配予想(2月3日に2回目の上方修正)としている。さらに3回目の上振れの可能性もありそうだ。積極的な事業展開、商社ビジネスとEMSビジネスのシナジー効果で23年3月期も収益拡大基調だろう。株価は戻り高値圏だ。利益確定売りをこなしながら上値を試す展開を期待したい。

■独立系の大手エレクトロニクス総合商社

 独立系の大手エレクトロニクス総合商社である。M&Aも積極活用して、半導体・電子部品・情報機器等の商社ビジネス、および電装基板製造受託サービスのEMSビジネスを展開している。

 富士通エレクトロニクスを19年1月に子会社化(富士通セミコンダクターから株式70%取得、20年12月28日付で社名を加賀FEIに変更、22年1月1日付で完全子会社化)した。また19年10月にパイオニアの製造子会社である十和田パイオニアを子会社化して商号を加賀EMS十和田に変更、20年4月にエレクトロニクス商社のエクセルを子会社化、20年11月に旭東電気(20年4月民事再生法適用申請)から新設分割された新:旭東電気を子会社化した。

 21年10月には加賀EFIが、太陽誘電<6976>からBluetoothおよびWireless LANモジュールに関わる商圏、開発・製造技術ならびに知的財産権を承継した。22年1月から小型無線モジュール事業に本格参入する。

 21年3月期のセグメント別売上高構成比は、電子部品事業(半導体、電子部品、EMS)84%、情報機器事業(パソコン・周辺機器、各種家電、写真・映像関連商品)11%、ソフトウェア事業(CGアニメ映像制作、アミューズメント関連商品)1%、その他事業(エレクトロニクス機器修理、アミューズメント機器製造販売、スポーツ用品販売など)4%、営業利益(調整前)構成比は電子部品事業72%、情報機器事業22%、ソフトウェア事業2%、その他事業4%だった。

 中期経営計画に沿ったセグメント区分は電子部品事業、EMS事業、CSI事業(情報機器事業)、その他事業(ソフトウェア事業、その他事業)とする。21年3月期売上構成比は電子部品事業が62%、EMS事業が24%、CSI事業が11%、その他事業が3%、営業利益構成比は電子部品事業が26%、EMS事業が48%、CSI事業が22%、その他事業が3%だった。

■収益力強化や新規事業創出を推進

 中期経営計画2024では基本方針にさらなる収益力の強化、経営基盤の強化、新規事業の創出、SDGs経営の推進を掲げている。経営目標値は、25年3月期売上高7500億円(電子部品事業3800億円、EMS事業1500億円、CSI事業540億円、その他事業160億円、新規M&A等1500億円)、営業利益200億円、ROE8.5%以上(安定的に)としている。株主還元については連結配当性向の目安を25〜35%に置き、安定的かつ継続的に充実化する。

 重点アクションとして、さらなる収益力の強化では成長分野(モビリティ、通信、環境、産業機器、医療・ヘルスケア)への選択と集中、EMSビジネスおよび海外ビジネスの強化・拡大、経営基盤の強化ではコーポレートガバナンスの強化、効率的なグループ運営、人的資本への投資、新規事業の創出では新規分野への取り組み、ベンチャー投資によるオープンイノベーションの推進、非連続な成長を狙うM&Aへの挑戦を掲げている。SDGs経営の推進については、サステナビリティ中長期経営計画(21年11月公表)に基づいて、持続可能な社会の実現と持続的なグループの成長の両立を目指す。

 21年7月には、ソフトバンクが設立したソフトバンク5Gコンソーシアムの5G関連パートナーとして参画した。5G関連通信設備・機器の提供などを通じて、5G普及促進とともに、事業を通じた社会貢献を追求するとしている。

 22年2月には女子プロゴルファーの内田ことこプロと所属契約を締結した。また上場企業を対象とした3つの主要なIRサイト評価機関において、2021年度も高い評価(大和インベスター・リレーションズの最優秀賞、日興アイ・アールの総合・最優秀サイト、モーニングスターの優秀企業賞・銅賞)を受けた。

 また4月1日付で社長直下にSDGs推進室を新設する。SDGsの取り組みに関するグループ全体の連携を強化し、サステナビリティ経営を推進する。

■ベンチャー投資でイノベーション創出を支援

 創立50周年を記念して設立した「50億円ファンド」を通じてベンチャー投資を行い、イノベーション創出を支援している。

 出資実績としては、ウェアラブルコミュニケーションデバイス開発のBONX、前立腺癌生検および治療用システム開発の米HARMONUS、スマートセキュリティサービスのSecual、ソフトバンクグループで保育クラウドサービスを展開するhugmo、AIソフトウェア開発のハカルス、次世代蓄電デバイス「グリーンキャパシタTM」開発のスペースリンク、動画CM配信プラットフォーム事業やデジタルサイネージ事業CMerTVを展開するSun Asterisk、アジア圏を中心にライブ配信アプリ「17Live」などソーシャルメディアを展開する台湾のM17、医療機器開発ベンチャーのニューロシューティカルズ、シェアリングプラットフォーム「Alice.style」を運営するレンタルサービスベンチャーのピーステックラボなどがある。

 20年10月には、独自開発の光触媒技術を活用して各種環境製品を展開するカルテック(子会社化したエクセルがスタートアップ資金を出資)と、光触媒除菌脱臭機「TURNED K」の販売および製造に関わる部品調達で協業した。20年12月には、オンライン診療システム「D―CUBE」などオンライン健康支援事業を展開するリンケージに出資した。

 21年5月には株式投資型クラウドファンディング事業者の日本クラウドキャピタルに出資、21年6月にはAI関連技術を開発するカタリナに出資した。21年10月にはドローン等無人航空機の企画・製造・販売を行うVFR(PCメーカーのVAIOの子会社)に出資、21年11月には堆肥化装置や脱臭装置等を開発・販売するミライエに出資した。21年12月には独自AI技術でエナジーインフォマティックス事業を展開するインフォメティスに出資した。

■22年3月期大幅増益・増配予想、23年3月期も収益拡大基調

 22年3月期の連結業績予想(収益認識会計基準適用だが利益への影響軽微、21年11月4日に利益を上方修正、2月3日に売上高・利益とも上方修正)は、売上高が21年3月期比12.5%増の4750億円、営業利益が52.6%増の175億円、経常利益が60.1%増の180億円、親会社株主帰属当期純利益が5.3%増の120億円としている。

 配当予想(21年11月4日に特別配当で第2四半期末5円、期末5円、合計10円上方修正、2月3日に特別配当で期末20円上方修正)は、21年3月期比30円増配の110円(第2四半期末45円=普通配当40円+特別配当5円、期末65円=普通配当40円+特別配当25円)としている。

 電子部品やEMSの需要が好調に推移し、売上総利益率の改善や経費の抑制も寄与する。営業利益は中期経営計画の目標値(130億円)を超過達成する見込みだ。修正後のセグメント別利益計画は、電子部品事業が81.6%増の148億円、情報機器事業が19.4%減の20億円、ソフトウェア事業が24.1%減の2億円、その他が5.4%増の5億円としている。親会社株主帰属当期純利益は前期計上の負ののれん発生益の剥落で減益予想だったが、一転して増益に転じる見込みとした。

 第3四半期累計は、売上高が前年同期比19.9%増の3526億84百万円、営業利益が95.0%増の146億58百万円、経常利益が105.9%増の148億86百万円だった。親会社株主帰属四半期純利益は前期計上の負ののれん発生益が剥落して18.2%減の104億14百万円だった。収益認識会計基準適用の影響額として、従来方法に比べて売上高が37億23百万円減少したが、利益への影響は軽微である。

 電子部品事業は売上高が26.2%増の3114億12百万円で、セグメント利益(全社費用等調整前営業利益)が140.0%増の130億02百万円だった。半導体や電子部品の需給逼迫が続く中、独立系商社としての調達力の強みを活かし、広範な業界からの旺盛な需要に対応した。EMSビジネスは車載関連、産業機器関連、医療関連が好調だった。M&Aで子会社化した加賀EFIとエクセルも増収効果で営業黒字転換した。

 情報機器事業は、パソコン販売における法人向けリモートワーク需要一巡、LED照明機器やネットワーク機器など設備設置ビジネスにおける部品不足による製品供給難の影響などで、売上高が22.5%減の263億01百万円、利益が30.6%減の12億16百万円だった。

 ソフトウェア事業は、売上高が8.2%減の18億41百万円で、営業利益が1億09百万円の赤字(前年同期は1億06百万円の黒字)だった。納期対応等で費用が増加した。その他事業は、売上高が13.0%増の131億29百万円で、営業利益が3.2倍の4億73百万円だった。リサイクルビジネスが好調だった。

 四半期別に見ると、第1四半期は売上高が1059億49百万円で営業利益が44億52百万円、第2四半期は売上高が1170億60百万円で営業利益が38億48百万円、第3四半期は売上高が1296億75百万円で営業利益が63億58百万円だった。

 修正後の通期予想に対する第3四半期累計の進捗率は売上高が74.2%、営業利益が83.8%、経常利益が82.7%、親会社株主帰属当期純利益が86.8%である。利益進捗率が高水準であり、さらに3回目の上振れの可能性もありそうだ。なお21年9月1日付でリリースした「ユーロテックジャパンに対する債権取立不能のおそれ」に関しては、当該棚卸資産や仕掛装備品の評価見直しを行い、その金額を合理的且つ保守的に織り込んでいる。積極的な事業展開、商社ビジネスとEMSビジネスのシナジー効果で23年3月期も収益拡大基調だろう。

■株価は上値試す

 株価は戻り高値圏だ。利益確定売りをこなしながら上値を試す展開を期待したい。3月30日の終値は3215円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS449円13銭で算出)は約7倍、今期予想配当利回り(会社予想の110円で算出)は約3.4%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS3311円24銭で算出)は約1.0倍、そして時価総額は約923億円である。(情報提供:日 本インタビュ新聞社=Media−IR
[03月17日更新]

加賀電子は利益確定売り一巡、22年3月期大幅増益・増配予想

 加賀電子<8154>(東1、新市場区分プライム)は独立系の大手エレクトロニクス総合商社である。中期経営計画2024では更なる収益力の強化、経営基盤の強化、新規事業の創出、SDGs経営の推進を掲げている。22年3月期は大幅増益・増配予想(2月3日に2回目の上方修正)としている。さらに3回目の上振れの可能性もありそうだ。積極的な事業展開、商社ビジネスとEMSビジネスのシナジー効果で収益拡大基調だろう。株価は地合い悪化の影響で急落する場面があったが、利益確定売り一巡して反発の動きを強めている。戻りを試す展開を期待したい。

■独立系の大手エレクトロニクス総合商社

 独立系の大手エレクトロニクス総合商社である。M&Aも積極活用して、半導体・電子部品・情報機器等の商社ビジネス、および電装基板製造受託サービスのEMSビジネスを展開している。

 富士通エレクトロニクスを19年1月に子会社化(富士通セミコンダクターから株式70%取得、20年12月28日付で社名を加賀FEIに変更、22年1月1日付で完全子会社化)した。また19年10月にパイオニアの製造子会社である十和田パイオニアを子会社化して商号を加賀EMS十和田に変更、20年4月にエレクトロニクス商社のエクセルを子会社化、20年11月に旭東電気(20年4月民事再生法適用申請)から新設分割された新:旭東電気を子会社化した。

 21年10月には加賀EFIが、太陽誘電<6976>からBluetoothおよびWireless LANモジュールに関わる商圏、開発・製造技術ならびに知的財産権を承継した。22年1月から小型無線モジュール事業に本格参入する。

 21年3月期のセグメント別売上高構成比は、電子部品事業(半導体、電子部品、EMS)84%、情報機器事業(パソコン・周辺機器、各種家電、写真・映像関連商品)11%、ソフトウェア事業(CGアニメ映像制作、アミューズメント関連商品)1%、その他事業(エレクトロニクス機器修理、アミューズメント機器製造販売、スポーツ用品販売など)4%、営業利益(調整前)構成比は電子部品事業72%、情報機器事業22%、ソフトウェア事業2%、その他事業4%だった。

 中期経営計画に沿ったセグメント区分は電子部品事業、EMS事業、CSI事業(情報機器事業)、その他事業(ソフトウェア事業、その他事業)とする。21年3月期売上構成比は電子部品事業が62%、EMS事業が24%、CSI事業が11%、その他事業が3%、営業利益構成比は電子部品事業が26%、EMS事業が48%、CSI事業が22%、その他事業が3%だった。

■収益力強化や新規事業創出を推進

 中期経営計画2024では基本方針にさらなる収益力の強化、経営基盤の強化、新規事業の創出、SDGs経営の推進を掲げている。経営目標値は、25年3月期売上高7500億円(電子部品事業3800億円、EMS事業1500億円、CSI事業540億円、その他事業160億円、新規M&A等1500億円)、営業利益200億円、ROE8.5%以上(安定的に)としている。株主還元については連結配当性向の目安を25〜35%に置き、安定的かつ継続的に充実化する。

 重点アクションとして、さらなる収益力の強化では成長分野(モビリティ、通信、環境、産業機器、医療・ヘルスケア)への選択と集中、EMSビジネスおよび海外ビジネスの強化・拡大、経営基盤の強化ではコーポレートガバナンスの強化、効率的なグループ運営、人的資本への投資、新規事業の創出では新規分野への取り組み、ベンチャー投資によるオープンイノベーションの推進、非連続な成長を狙うM&Aへの挑戦を掲げている。SDGs経営の推進については、サステナビリティ中長期経営計画(21年11月公表)に基づいて、持続可能な社会の実現と持続的なグループの成長の両立を目指す。

 21年7月には、ソフトバンクが設立したソフトバンク5Gコンソーシアムの5G関連パートナーとして参画した。5G関連通信設備・機器の提供などを通じて、5G普及促進とともに、事業を通じた社会貢献を追求するとしている。

 なお22年2月には女子プロゴルファーの内田ことこプロと所属契約を締結したと発表している。また、上場企業を対象とした3つの主要なIRサイト評価機関において、2021年度も高い評価(大和インベスター・リレーションズの最優秀賞、日興アイ・アールの総合・最優秀サイト、モーニングスターの優秀企業賞・銅賞)を受けたと発表している。

■ベンチャー投資でイノベーション創出を支援

 創立50周年を記念して設立した「50億円ファンド」を通じてベンチャー投資を行い、イノベーション創出を支援している。

 出資実績としては、ウェアラブルコミュニケーションデバイス開発のBONX、前立腺癌生検および治療用システム開発の米HARMONUS、スマートセキュリティサービスのSecual、ソフトバンクグループで保育クラウドサービスを展開するhugmo、AIソフトウェア開発のハカルス、次世代蓄電デバイス「グリーンキャパシタTM」開発のスペースリンク、動画CM配信プラットフォーム事業やデジタルサイネージ事業CMerTVを展開するSun Asterisk、アジア圏を中心にライブ配信アプリ「17Live」などソーシャルメディアを展開する台湾のM17、医療機器開発ベンチャーのニューロシューティカルズ、シェアリングプラットフォーム「Alice.style」を運営するレンタルサービスベンチャーのピーステックラボなどがある。

 20年10月には、独自開発の光触媒技術を活用して各種環境製品を展開するカルテック(子会社化したエクセルがスタートアップ資金を出資)と、光触媒除菌脱臭機「TURNED K」の販売および製造に関わる部品調達で協業した。20年12月には、オンライン診療システム「D―CUBE」などオンライン健康支援事業を展開するリンケージに出資した。

 21年5月には株式投資型クラウドファンディング事業者の日本クラウドキャピタルに出資、21年6月にはAI関連技術を開発するカタリナに出資した。21年10月にはドローン等無人航空機の企画・製造・販売を行うVFR(PCメーカーのVAIOの子会社)に出資、21年11月には堆肥化装置や脱臭装置等を開発・販売するミライエに出資した。21年12月には独自AI技術でエナジーインフォマティックス事業を展開するインフォメティスに出資した。

■22年3月期は大幅増益・増配予想

 22年3月期の連結業績予想(収益認識会計基準適用だが利益への影響軽微、21年11月4日に利益を上方修正、2月3日に売上高・利益とも上方修正)は、売上高が21年3月期比12.5%増の4750億円、営業利益が52.6%増の175億円、経常利益が60.1%増の180億円、親会社株主帰属当期純利益が5.3%増の120億円としている。

 配当予想(21年11月4日に特別配当で第2四半期末5円、期末5円、合計10円上方修正、2月3日に特別配当で期末20円上方修正)は、21年3月期比30円増配の110円(第2四半期末45円=普通配当40円+特別配当5円、期末65円=普通配当40円+特別配当25円)としている。

 前回予想に対して売上高を50億円、営業利益を25億円、経常利益を35億円、親会社株主帰属当期純利益を30億円、それぞれ上方修正した。前回予想に比べて営業・経常増益幅が拡大する見込みだ。電子部品やEMSの需要が好調に推移し、売上総利益率の改善や経費の抑制も寄与する。営業利益は中期経営計画の目標値(130億円)を超過達成する見込みだ。修正後のセグメント別利益計画は、電子部品事業が81.6%増の148億円、情報機器事業が19.4%減の20億円、ソフトウェア事業が24.1%減の2億円、その他が5.4%増の5億円としている。親会社株主帰属当期純利益は前期計上の負ののれん発生益の剥落で減益予想だったが、一転して増益に転じる見込みとした。

 第3四半期累計は、売上高が前年同期比19.9%増の3526億84百万円、営業利益が95.0%増の146億58百万円、経常利益が105.9%増の148億86百万円だった。親会社株主帰属四半期純利益は前期計上の負ののれん発生益が剥落して18.2%減の104億14百万円だった。なお収益認識会計基準適用の影響額として、従来方法に比べて売上高が37億23百万円減少したが、利益への影響は軽微である。

 電子部品事業は売上高が26.2%増の3114億12百万円で、セグメント利益(全社費用等調整前営業利益)が140.0%増の130億02百万円だった。半導体や電子部品の需給逼迫が続く中、独立系商社としての調達力の強みを活かし、広範な業界からの旺盛な需要に対応した。EMSビジネスは車載関連、産業機器関連、医療関連が好調だった。M&Aで子会社化した加賀EFIとエクセルも増収効果で営業黒字転換した。

 情報機器事業は、パソコン販売における法人向けリモートワーク需要一巡、LED照明機器やネットワーク機器など設備設置ビジネスにおける部品不足による製品供給難の影響などで、売上高が22.5%減の263億01百万円、利益が30.6%減の12億16百万円だった。

 ソフトウェア事業は、売上高が8.2%減の18億41百万円で、営業利益が1億09百万円の赤字(前年同期は1億06百万円の黒字)だった。納期対応等で費用が増加した。その他事業は、売上高が13.0%増の131億29百万円で、営業利益が3.2倍の4億73百万円だった。リサイクルビジネスが好調だった。

 なお四半期別に見ると、第1四半期は売上高が1059億49百万円で営業利益が44億52百万円、第2四半期は売上高が1170億60百万円で営業利益が38億48百万円、第3四半期は売上高が1296億75百万円で営業利益が63億58百万円だった。

 修正後の通期予想に対する第3四半期累計の進捗率は売上高が74.2%、営業利益が83.8%、経常利益が82.7%、親会社株主帰属当期純利益が86.8%である。利益進捗率が高水準であり、さらに3回目の上振れの可能性もありそうだ。なお21年9月1日付でリリースした「ユーロテックジャパンに対する債権取立不能のおそれ」に関しては、当該棚卸資産や仕掛装備品の評価見直しを行い、その金額を合理的且つ保守的に織り込んでいる。積極的な事業展開、商社ビジネスとEMSビジネスのシナジー効果で収益拡大基調だろう。

■株価は利益確定売り一巡

 株価は地合い悪化の影響で急落する場面があったが、利益確定売り一巡して反発の動きを強めている。戻りを試す展開を期待したい。3月16日の終値は2957円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS449円13銭で算出)は約7倍、今期予想配当利回り(会社予想の110円で算出)は約3.7%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS3311円24銭で算出)は約0.9倍、時価総額は約849億円である。(情報提供:日 本インタビュ新聞社=Media−IR
[02月22日更新]

加賀電子は17年高値目指す、22年3月期は2回目の上方修正で大幅増益・増配予想

 加賀電子<8154>(東1、新市場区分プライム)は独立系の大手エレクトロニクス総合商社である。中期経営計画2024では更なる収益力の強化、経営基盤の強化、新規事業の創出、SDGs経営の推進を掲げている。22年3月期は利益と配当を2回目の上方修正で大幅増益・増配予想としている。さらに3回目の上振れの可能性もありそうだ。積極的な事業展開、商社ビジネスとEMSビジネスのシナジー効果で収益拡大基調だろう。株価は地合いが悪化する中でも、上方修正を好感して昨年来高値を更新する場面があった。その後は利益確定売りが優勢になったが、自律調整を交えながら17年の高値を目指す展開を期待したい。

■独立系の大手エレクトロニクス総合商社

 独立系の大手エレクトロニクス総合商社で、半導体・電子部品・情報機器等の商社ビジネス、および電装基板製造受託サービスのEMSビジネスを展開している。

 富士通エレクトロニクスを19年1月に子会社化(富士通セミコンダクターから株式70%取得、20年12月28日付で社名を加賀FEIに変更、22年1月1日付で完全子会社化)した。また19年10月にパイオニアの製造子会社である十和田パイオニアを子会社化して商号を加賀EMS十和田に変更、20年4月にエレクトロニクス商社のエクセルを子会社化、20年11月に旭東電気(20年4月民事再生法適用申請)から新設分割された新:旭東電気を子会社化した。

 21年10月には加賀EFIが、太陽誘電<6976>からBluetoothおよびWireless LANモジュールに関わる商圏、開発・製造技術ならびに知的財産権を承継した。22年1月から小型無線モジュール事業に本格参入する。

 21年3月期のセグメント別売上高構成比は、電子部品事業(半導体、電子部品、EMS)84%、情報機器事業(パソコン・周辺機器、各種家電、写真・映像関連商品)11%、ソフトウェア事業(CGアニメ映像制作、アミューズメント関連商品)1%、その他事業(エレクトロニクス機器修理、アミューズメント機器製造販売、スポーツ用品販売など)4%、営業利益(調整前)構成比は電子部品事業72%、情報機器事業22%、ソフトウェア事業2%、その他事業4%だった。

 中期経営計画に沿ったセグメント区分は電子部品事業、EMS事業、CSI事業(情報機器事業)、その他事業(ソフトウェア事業、その他事業)とする。21年3月期売上構成比は電子部品事業が62%、EMS事業が24%、CSI事業が11%、その他事業が3%、営業利益構成比は電子部品事業が26%、EMS事業が48%、CSI事業が22%、その他事業が3%だった。

■収益力強化や新規事業創出を推進

 中期経営計画2024では基本方針にさらなる収益力の強化、経営基盤の強化、新規事業の創出、SDGs経営の推進を掲げている。経営目標値は、25年3月期売上高7500億円(電子部品事業3800億円、EMS事業1500億円、CSI事業540億円、その他事業160億円、新規M&A等1500億円)、営業利益200億円、ROE8.5%以上(安定的に)としている。株主還元については連結配当性向の目安を25〜35%に置き、安定的かつ継続的に充実化する。

 重点アクションとして、さらなる収益力の強化では成長分野(モビリティ、通信、環境、産業機器、医療・ヘルスケア)への選択と集中、EMSビジネスおよび海外ビジネスの強化・拡大、経営基盤の強化ではコーポレートガバナンスの強化、効率的なグループ運営、人的資本への投資、新規事業の創出では新規分野への取り組み、ベンチャー投資によるオープンイノベーションの推進、非連続な成長を狙うM&Aへの挑戦を掲げている。SDGs経営の推進については、サステナビリティ中長期経営計画(21年11月公表)に基づいて、持続可能な社会の実現と持続的なグループの成長の両立を目指す。

 21年7月には、ソフトバンクが設立したソフトバンク5Gコンソーシアムの5G関連パートナーとして参画した。5G関連通信設備・機器の提供などを通じて、5G普及促進とともに、事業を通じた社会貢献を追求するとしている。

 なお2月18日には女子プロゴルファーの内田ことこプロと所属契約を締結したと発表している。上場企業を対象とした3つの主要なIRサイト評価機関において2021年度も高い評価(大和インベスター・リレーションズの最優秀賞、日興アイ・アールの総合・最優秀サイト、モーニングスターの優秀企業賞・銅賞)を受けたと発表している。

■ベンチャー投資でイノベーション創出を支援

 創立50周年を記念して設立した「50億円ファンド」を通じてベンチャー投資を行い、イノベーション創出を支援している。

 出資実績としては、ウェアラブルコミュニケーションデバイス開発のBONX、前立腺癌生検および治療用システム開発の米HARMONUS、スマートセキュリティサービスのSecual、ソフトバンクグループで保育クラウドサービスを展開するhugmo、AIソフトウェア開発のハカルス、次世代蓄電デバイス「グリーンキャパシタTM」開発のスペースリンク、動画CM配信プラットフォーム事業やデジタルサイネージ事業CMerTVを展開するSun Asterisk、アジア圏を中心にライブ配信アプリ「17Live」などソーシャルメディアを展開する台湾のM17、医療機器開発ベンチャーのニューロシューティカルズ、シェアリングプラットフォーム「Alice.style」を運営するレンタルサービスベンチャーのピーステックラボなどがある。

 20年10月には、独自開発の光触媒技術を活用して各種環境製品を展開するカルテック(子会社化したエクセルがスタートアップ資金を出資)と、光触媒除菌脱臭機「TURNED K」の販売および製造に関わる部品調達で協業した。20年12月には、オンライン診療システム「D―CUBE」などオンライン健康支援事業を展開するリンケージに出資した。

 21年5月には株式投資型クラウドファンディング事業者の日本クラウドキャピタルに出資、21年6月にはAI関連技術を開発するカタリナに出資した。21年10月にはドローン等無人航空機の企画・製造・販売を行うVFR(PCメーカーのVAIOの子会社)に出資、21年11月には堆肥化装置や脱臭装置等を開発・販売するミライエに出資した。21年12月には独自AI技術でエナジーインフォマティックス事業を展開するインフォメティスに出資した。

■22年3月期は2回目の上方修正で大幅増益・増配予想

 22年3月期連結業績予想(収益認識会計基準適用だが利益への影響軽微、21年11月4日に利益を上方修正)は、2月3日に売上高・利益とも上方修正して、売上高が21年3月期比12.5%増の4750億円、営業利益が52.6%増の175億円、経常利益が60.1%増の180億円、親会社株主帰属当期純利益が5.3%増の120億円としている。

 配当予想(21年11月4日に特別配当で第2四半期末5円、期末5円、合計10円上方修正)は、2月3日に期末20円(特別配当)上方修正して、21年3月期比では30円増配の110円(第2四半期末45円=普通配当40円+特別配当5円、期末65円=普通配当40円+特別配当25円)としている。

 前回予想に対して売上高を50億円、営業利益を25億円、経常利益を35億円、親会社株主帰属当期純利益を30億円、それぞれ上方修正した。前回予想に比べて営業・経常増益幅が拡大する見込みだ。電子部品やEMSの需要が好調に推移し、売上総利益率の改善や経費の抑制も寄与する。営業利益は中期経営計画の目標値(130億円)を超過達成する見込みだ。修正後のセグメント別利益計画は、電子部品事業が81.6%増の148億円、情報機器事業が19.4%減の20億円、ソフトウェア事業が24.1%減の2億円、その他が5.4%増の5億円としている。親会社株主帰属当期純利益は前期計上の負ののれん発生益の剥落で減益予想だったが、一転して増益に転じる見込みとした。

 第3四半期累計は、売上高が前年同期比19.9%増の3526億84百万円、営業利益が95.0%増の146億58百万円、経常利益が105.9%増の148億86百万円だった。親会社株主帰属四半期純利益は前期計上の負ののれん発生益が剥落して18.2%減の104億14百万円だった。なお収益認識会計基準適用の影響額として、従来方法に比べて売上高が37億23百万円減少したが、利益への影響は軽微である。

 電子部品事業は売上高が26.2%増の3114億12百万円で、セグメント利益(全社費用等調整前営業利益)が140.0%増の130億02百万円だった。半導体や電子部品の需給逼迫が続く中、独立系商社としての調達力の強みを活かし、広範な業界からの旺盛な需要に対応した。EMSビジネスは車載関連、産業機器関連、医療関連が好調だった。M&Aで子会社化した加賀EFIとエクセルも増収効果で営業黒字転換した。

 情報機器事業は、パソコン販売における法人向けリモートワーク需要一巡、LED照明機器やネットワーク機器など設備設置ビジネスにおける部品不足による製品供給難の影響などで、売上高が22.5%減の263億01百万円、利益が30.6%減の12億16百万円だった。

 ソフトウェア事業は、売上高が8.2%減の18億41百万円で、営業利益が1億09百万円の赤字(前年同期は1億06百万円の黒字)だった。納期対応等で費用が増加した。その他事業は、売上高が13.0%増の131億29百万円で、営業利益が3.2倍の4億73百万円だった。リサイクルビジネスが好調だった。

 なお四半期別に見ると、第1四半期は売上高が1059億49百万円で営業利益が44億52百万円、第2四半期は売上高が1170億60百万円で営業利益が38億48百万円、第3四半期は売上高が1296億75百万円で営業利益が63億58百万円だった。

 修正後の通期予想に対する第3四半期累計の進捗率は売上高が74.2%、営業利益が83.8%、経常利益が82.7%、親会社株主帰属当期純利益が86.8%である。利益進捗率が高水準であり、さらに3回目の上振れの可能性もありそうだ。積極的な事業展開、商社ビジネスとEMSビジネスのシナジー効果で収益拡大基調だろう。なお21年9月1日付でリリースした「ユーロテックジャパンに対する債権取立不能のおそれ」に関しては、当該棚卸資産や仕掛装備品の評価見直しを行い、その金額を合理的且つ保守的に織り込んでいる。

■株価は17年高値目指す

 株価は地合いが悪化する中でも、上方修正を好感して昨年来高値を更新する場面があった。その後は利益確定売りが優勢になったが、自律調整を交えながら17年の高値を目指す展開を期待したい。2月21日の終値は3145円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS449円13銭で算出)は約7倍、今期予想配当利回り(会社予想の110円で算出)は約3.5%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS3311円24銭で算出)は約0.9倍、時価総額は約903億円である。(情報提供:日 本インタビュ新聞社=Media−IR)
[02月04日更新]

加賀電子は22年3月期3Q累計大幅営業・経常増益、通期利益・配当予想を2回目の上方修正

 加賀電子<8154>(東1、新市場区分プライム)は2月3日の取引時間終了後に22年3月期第3四半期累計連結業績を発表した。電子部品需要が拡大して大幅増収、大幅営業・経常増益だった。そして通期連結業績・配当予想を上方修正(利益と配当は2回目の上方修正)した。さらに3回目の上振れの可能性もありそうだ。収益拡大基調だろう。株価は地合い悪化の影響で戻り高値圏から一旦反落したが、素早く切り返しの動きを強めている。上方修正を評価して上値を試す展開を期待したい。

■22年3月期利益・配当予想を2回目の上方修正

 22年3月期第3四半期累計の連結業績(収益認識基準適用だが影響軽微)は、売上高が前年同期比19.9%増の3526億84百万円、営業利益が95.0%増の146億58百万円、経常利益が105.9%増の148億86百万円、親会社株主帰属四半期純利益は前期計上の負ののれん発生益が剥落して18.2%減の104億14百万円だった。なお収益認識基準適用の影響額として売上高が37億23百万円減少したが、利益への影響は軽微である。

 電子部品事業は売上高が26.2%増の3114億12百万円で、セグメント利益(全社費用等調整前営業利益)が140.0%増の130億02百万円だった。半導体や電子部品の需給逼迫が続く中、独立系商社としての調達力の強みを活かし、広範な業界からの旺盛な需要に対応した。EMSビジネスは車載関連、産業機器関連、医療関連が好調だった。M&Aで子会社化した加賀EFIとエクセルも増収効果で営業黒字転換した。

 情報機器事業は、パソコン販売における法人向けリモートワーク需要一巡、LED照明機器やネットワーク機器など設備設置ビジネスにおける部品不足による製品供給難の影響などで、売上高が22.5%減の263億01百万円、利益が30.6%減の12億16百万円だった。

 ソフトウェア事業は、売上高が8.2%減の18億41百万円で、営業利益が1億09百万円の赤字(前年同期は1億06百万円の黒字)だった。納期対応等で費用が増加した。その他事業は、売上高が13.0%増の131億29百万円で、営業利益が3.2倍の4億73百万円だった。リサイクルビジネスが好調だった。

 なお四半期別に見ると、第1四半期は売上高が1059億49百万円で営業利益が44億52百万円、第2四半期は売上高が1170億60百万円で営業利益が38億48百万円、第3四半期は売上高が1296億75百万円で営業利益が63億58百万円だった。

 通期連結業績・配当予想を上方修正(利益と配当は21年11月4日に続いて2回目の上方修正)した。

 修正後の通期連結業績予想は、売上高が21年3月期比12.5%増の4750億円、営業利益が52.6%増の175億円、経常利益が60.1%増の180億円、親会社株主帰属当期純利益が5.3%増の120億円としている。従来予想に対して売上高を50億円、営業利益を25億円、経常利益を35億円、親会社株主帰属当期純利益を30億円、それぞれ上方修正した。
 
 配当予想は従来予想に対して期末20円(特別配当)上方修正して、21年3月期比30円増配の110円(第2四半期末45円=普通配当40円+特別配当5円、期末65円=普通配当40円+特別配当25円)とした。

 従来予想に対して営業・経常増益幅が拡大する見込みだ。電子部品やEMSの需要が好調に推移し、売上総利益率改善や経費抑制も寄与する。営業利益は中期経営計画の目標値(130億円)を超過達成する見込みだ。親会社株主帰属当期純利益は前期計上の負ののれん発生益の剥落で減益予想だったが、一転して増益に転じる見込みとした。なお21年9月1日付でリリースした「ユーロテックジャパンに対する債権取立不能のおそれ」に関しては、当該棚卸資産や仕掛装備品の評価見直しを行い、その金額を合理的且つ保守的に織り込んでいる。

 修正後のセグメント別利益の計画は電子部品事業が81.6%増の148億円、情報機器事業が19.4%減の20億円、ソフトウェア事業が24.1%減の2億円、その他が5.4%増の5億円としている。

 修正後の通期予想に対する第3四半期累計の進捗率は売上高が74.2%、営業利益が83.8%、経常利益が82.7%、親会社株主帰属当期純利益が86.8%である。さらに3回目の上振れの可能性もありそうだ。収益拡大基調だろう。
情報提供:日本インタビュ新聞社=Media−IR
[01月26日更新]

加賀電子は商社ビジネスとEMSビジネスのシナジー効果で収益拡大基調

 加賀電子<8154>(東1、新市場区分プライム)は独立系の大手エレクトロニクス総合商社である。中期経営計画2024では、さらなる収益力の強化、経営基盤の強化、新規事業の創出、SDGs経営の推進を掲げている。22年3月期は電子部品やEMSの需要が回復基調で大幅営業・経常増益予想としている。さらに再上振れの可能性がありそうだ。商社ビジネスとEMSビジネスのシナジー効果で収益拡大基調だろう。4月4日移行予定の新市場区分についてはプライム市場に移行する。株価は地合い悪化の影響で戻り高値圏から反落したが、利益確定売り一巡して出直りを期待したい。なお2月3日に22年3月期第3四半期決算発表を予定している。

■独立系の大手エレクトロニクス総合商社

 独立系の大手エレクトロニクス総合商社で、半導体・電子部品・情報機器等の商社ビジネス、および電装基板製造受託サービスのEMSビジネスを展開している。

 富士通エレクトロニクスを19年1月に子会社化(富士通セミコンダクターから株式70%取得、20年12月28日付で社名を加賀FEIに変更、22年1月1日付で完全子会社化)した。また19年10月にパイオニアの製造子会社である十和田パイオニアを子会社化して商号を加賀EMS十和田に変更、20年4月にエレクトロニクス商社のエクセルを子会社化、20年11月に旭東電気(20年4月民事再生法適用申請)から新設分割された新:旭東電気を子会社化した。

 21年10月には加賀EFIが、太陽誘電<6976>からBluetoothおよびWireless LANモジュールに関わる商圏、開発・製造技術ならびに知的財産権を承継した。22年1月から小型無線モジュール事業に本格参入する。

 21年3月期のセグメント別売上高構成比は、電子部品事業(半導体、電子部品、EMS)84%、情報機器事業(パソコン・周辺機器、各種家電、写真・映像関連商品)11%、ソフトウェア事業(CGアニメ映像制作、アミューズメント関連商品)1%、その他事業(エレクトロニクス機器修理、アミューズメント機器製造販売、スポーツ用品販売など)4%、営業利益(調整前)構成比は電子部品事業72%、情報機器事業22%、ソフトウェア事業2%、その他事業4%だった。

 中期経営計画に沿ったセグメント区分は電子部品事業、EMS事業、CSI事業(情報機器事業)、その他事業(ソフトウェア事業、その他事業)とする。21年3月期売上構成比は電子部品事業が62%、EMS事業が24%、CSI事業が11%、その他事業が3%、営業利益構成比は電子部品事業が26%、EMS事業が48%、CSI事業が22%、その他事業が3%だった。

■収益力強化や新規事業創出を推進

 中期経営計画2024では基本方針にさらなる収益力の強化、経営基盤の強化、新規事業の創出、SDGs経営の推進を掲げている。経営目標値は、25年3月期売上高7500億円(電子部品事業3800億円、EMS事業1500億円、CSI事業540億円、その他事業160億円、新規M&A等1500億円)、営業利益200億円、ROE8.5%以上(安定的に)としている。株主還元については連結配当性向の目安を25〜35%に置き、安定的かつ継続的に充実化する。

 重点アクションとして、さらなる収益力の強化では成長分野(モビリティ、通信、環境、産業機器、医療・ヘルスケア)への選択と集中、EMSビジネスおよび海外ビジネスの強化・拡大、経営基盤の強化ではコーポレートガバナンスの強化、効率的なグループ運営、人的資本への投資、新規事業の創出では新規分野への取り組み、ベンチャー投資によるオープンイノベーションの推進、非連続な成長を狙うM&Aへの挑戦を掲げている。SDGs経営の推進については、サステナビリティ中長期経営計画(21年11月公表)に基づいて、持続可能な社会の実現と持続的なグループの成長の両立を目指す。

 21年7月には、ソフトバンクが設立したソフトバンク5Gコンソーシアムの5G関連パートナーとして参画した。5G関連通信設備・機器の提供などを通じて、5G普及促進とともに、事業を通じた社会貢献を追求するとしている。

 なお1月14日には、上場企業を対象とした3つの主要なIRサイト評価機関において2021年度も高い評価(大和インベスター・リレーションズの最優秀賞、日興アイ・アールの総合・最優秀サイト、モーニングスターの優秀企業賞・銅賞)を受けたと発表している。

■ベンチャー投資でイノベーション創出を支援

 創立50周年を記念して設立した「50億円ファンド」を通じてベンチャー投資を行い、イノベーション創出を支援している。

 出資実績としては、ウェアラブルコミュニケーションデバイス開発のBONX、前立腺癌生検および治療用システム開発の米HARMONUS、スマートセキュリティサービスのSecual、ソフトバンクグループで保育クラウドサービスを展開するhugmo、AIソフトウェア開発のハカルス、次世代蓄電デバイス「グリーンキャパシタTM」開発のスペースリンク、動画CM配信プラットフォーム事業やデジタルサイネージ事業CMerTVを展開するSun Asterisk、アジア圏を中心にライブ配信アプリ「17Live」などソーシャルメディアを展開する台湾のM17、医療機器開発ベンチャーのニューロシューティカルズ、シェアリングプラットフォーム「Akice.style」を運営するレンタルサービスベンチャーのピーステックラボなどがある。

 20年10月には、独自開発の光触媒技術を活用して各種環境製品を展開するカルテック(子会社化したエクセルがスタートアップ資金を出資)と、光触媒除菌脱臭機「TURNED K」の販売および製造に関わる部品調達で協業した。20年12月には、オンライン診療システム「D―CUBE」などオンライン健康支援事業を展開するリンケージに出資した。

 21年5月には株式投資型クラウドファンディング事業者の日本クラウドキャピタルに出資、21年6月にはAI関連技術を開発するカタリナに出資した。21年10月にはドローン等無人航空機の企画・製造・販売を行うVFR(PCメーカーのVAIOの子会社)に出資、21年11月には堆肥化装置や脱臭装置等を開発・販売するミライエに出資した。21年12月には独自AI技術でエナジーインフォマティックス事業を展開するインフォマティックスに出資した。

■22年3月期は再上振れの可能性、収益拡大基調

 22年3月期連結業績予想(収益認識基準適用だが利益への影響軽微、11月4日に利益を上方修正)は、売上高が21年3月期比11.3%増の4700億円、営業利益が30.8%増の150億円、経常利益が29.0%増の145億円、親会社株主帰属当期純利益が21.1%減の90億円としている。従来予想に対して営業利益を20億円、経常利益を25億円、親会社株主帰属当期純利益を10億円、それぞれ上方修正した。

 配当予想(11月4日に第2四半期末5円、期末5円、合計10円上方修正)は、21年3月期比10円増配の90円(第2四半期末45円、期末45円で、特別配当10円を含む)とした。

 親会社株主帰属当期純利益は前期計上の負ののれん発生益が剥落して減益だが、電子部品やEMSの需要が回復して大幅営業・経常増益予想としている。修正後のセグメント別の利益(調整前営業利益)計画は、電子部品事業が50.9%増の123億円、情報機器事業が19.4%減の20億円、ソフトウェア事業が24.0%減の2億円、その他事業が5.5%増の5億円としている。

 第2四半期累計は、売上高が前年同期比18.1%増の2230億09百万円、営業利益が87.2%増の83億円、経常利益が94.8%増の84億52百万円だった。親会社株主帰属四半期純利益は前期計上の負ののれん発生益が剥落して47.8%減の56億24百万円だった。なお収益認識基準適用の影響で売上高が23億58百万円減少したが、利益への影響は軽微である。

 電子部品事業は、売上高が23.9%増の1944億06百万円で、営業利益(調整前)が131.1%増の71億23百万円だった。半導体や電子部品の需給逼迫が続くなか、独立系商社としての強みを活かし、広範な業界からの旺盛な需要に対応した。EMSビジネスも車載関連や産業機械関連などが好調だった。M&Aで子会社化した加賀EFIとエクセルも大幅営業黒字に転換した。

 情報機器事業は、パソコン販売におけるリモートワーク需要の一巡、電子部品不足による製品供給難、設備設置ビジネスにおける工程延伸などで、売上高が19.3%減の187億13百万円、営業利益が21.6%減の9億10百万円だった。ソフトウェア事業は売上高が2.9%減の12億37百万円で、営業利益が1億09百万円の赤字(前年同期は86百万円の黒字)だった。開発費が増加した。その他事業は売上高が15.3%増の86億51百万円で、営業利益が3億20百万円(同36百万円)だった。パソコンリサイクルビジネスが好調だった。

 四半期別に見ると、第1四半期は売上高が1059億49百万円で営業利益が44億52百万円、第2四半期は売上高が1170億60百万円で営業利益が38億48百万円だった。

 修正後の通期予想に対する第2四半期累計の進捗率は売上高が47.4%、営業利益が55.3%、経常利益が58.3%、親会社株主帰属当期純利益が62.5%と順調である。第3四半期以降に電子部品需給逼迫による機会損失リスクや、物流費高騰の影響などを見込んでいるが、さらに再上振れの可能性がありそうだ。商社ビジネスとEMSビジネスのシナジー効果で収益拡大基調だろう。

 なおユーロテックジャパンが8月31日付で大阪地方裁判所に民事再生手続開始の申し立てを行ったことに伴い、9月1日に債権取立不能のおそれが生じたとリリースしている。8月30日現在の債権の種類および金額は貸付金等約19億円、棚卸資産約39億円(今後同社への販売により売掛債権が約42億円発生する予定)としている。今後、支援の条件やスキームについて同社と折衝を進め、所定の手続を経ることを条件に支援検討を進める方針としている。業績への影響は精査中(貸付金等に関しては21年3月期および22年3月期第1四半期に引当計上済み)としている。

■株価は利益確定売り一巡

 株価は地合い悪化の影響で戻り高値圏から反落したが、利益確定売り売り一巡して出直りを期待したい。1月25日の終値は2891円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS336円84銭で算出)は約9倍、今期予想配当利回り(会社予想の90円で算出)は約3.1%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS3311円24銭で算出)は約0.9倍、時価総額は約830億円である。(情報提供:日 本インタビュ新聞社=Media−IR
[12月27日更新]

加賀電子は上値試す、22年3月期は需要回復基調で再上振れの可能性

 加賀電子<8154>(東1)は独立系の大手エレクトロニクス総合商社である。中期経営計画2024では、基本方針にさらなる収益力の強化、経営基盤の強化、新規事業の創出、SDGs経営の推進を掲げている。22年3月期は電子部品やEMSの需要が回復基調で大幅営業・経常増益予想としている。さらに再上振れの可能性もありそうだ。商社ビジネスとEMSビジネスのシナジー効果で収益拡大基調を期待したい。株価は11月の年初来高値圏から反落したが、利益確定売り一巡して切り返しの動きを強めている。上値を試す展開を期待したい。

■独立系の大手エレクトロニクス総合商社

 独立系の大手エレクトロニクス総合商社で、半導体・電子部品・情報機器等の商社ビジネス、および電装基板製造受託サービスのEMSビジネスを展開している。

 富士通エレクトロニクスを19年1月に子会社化(富士通セミコンダクターから株式70%取得、20年12月28日付で社名を加賀FEIに変更)した。なお株式を段階的に追加取得して22年1月に完全子会社化予定としていたが、スキームを一部変更し、簡易株式交換の方法によって22年1月1日付で完全子会社化する。

 また19年10月にパイオニアの製造子会社である十和田パイオニアを子会社化して商号を加賀EMS十和田に変更、20年4月にエレクトロニクス商社のエクセルを子会社化、20年11月に旭東電気(20年4月民事再生法適用申請)から新設分割された新:旭東電気を子会社化した。

 21年3月期のセグメント別売上高構成比は、電子部品事業(半導体、電子部品、EMS)84%、情報機器事業(パソコン・周辺機器、各種家電、写真・映像関連商品)11%、ソフトウェア事業(CGアニメ映像制作、アミューズメント関連商品)1%、その他事業(エレクトロニクス機器修理、アミューズメント機器製造販売、スポーツ用品販売など)4%、営業利益(調整前)構成比は電子部品事業72%、情報機器事業22%、ソフトウェア事業2%、その他事業4%だった。

 中期経営計画に沿ったセグメント区分は電子部品事業、EMS事業、CSI事業(情報機器事業)、その他事業(ソフトウェア事業、その他事業)とする。21年3月期売上構成比は電子部品事業が62%、EMS事業が24%、CSI事業が11%、その他事業が3%、営業利益構成比は電子部品事業が26%、EMS事業が48%、CSI事業が22%、その他事業が3%だった。

■収益力強化や新規事業創出を推進

 21年11月発表した中期経営計画2024では、基本方針にさらなる収益力の強化、経営基盤の強化、新規事業の創出、SDGs経営の推進、経営目標値に25年3月期の売上高7500億円(電子部品事業3800億円、EMS事業1500億円、CSI事業540億円、その他事業160億円、新規M&A等1500億円)、営業利益200億円、ROE8.5%以上(安定的に)を掲げている。株主還元については連結配当性向の目安を25〜35%に置き、安定的かつ継続的に充実化する。

 重点アクションとして、さらなる収益力の強化では成長分野(モビリティ、通信、環境、産業機器、医療・ヘルスケア)への選択と集中、EMSビジネスおよび海外ビジネスの強化・拡大、経営基盤の強化ではコーポレートガバナンスの強化、効率的なグループ運営、人的資本への投資、新規事業の創出では新規分野への取り組み、ベンチャー投資によるオープンイノベーションの推進、非連続な成長を狙うM&Aへの挑戦を掲げている。SDGs経営の推進については、サステナビリティ中長期経営計画(21年11月公表)に基づいて、持続可能な社会の実現と持続的なグループの成長の両立を目指す。

 M&Aでは、21年10月に加賀EFIが太陽誘電<6976>からBluetoothおよびWireless LANモジュールに関わる商圏、開発・製造技術ならびに知的財産権を承継した。22年1月から小型無線モジュール事業に本格参入する。

 また21年7月には、ソフトバンクが設立したソフトバンク5Gコンソーシアムの5G関連パートナーとして参画した。5G関連通信設備・機器の提供などを通じて、5G普及促進とともに、事業を通じた社会貢献を追求するとしている。

 12月13日には、大和インベスター・リレーションズが選定する2021年インターネットIR表彰において最優秀賞を受賞したとリリースしている。

■ベンチャー投資でイノベーション創出を支援

 創立50周年を記念して設立した「50億円ファンド」を通じてベンチャー投資を行い、イノベーション創出を支援している。

 出資実績としては、ウェアラブルコミュニケーションデバイス開発のBONX、前立腺癌生検および治療用システム開発の米HARMONUS、スマートセキュリティサービスのSecual、ソフトバンクグループで保育クラウドサービスを展開するhugmo、AIソフトウェア開発のハカルス、次世代蓄電デバイス「グリーンキャパシタTM」開発のスペースリンク、動画CM配信プラットフォーム事業やデジタルサイネージ事業CMerTVを展開するSun Asterisk、アジア圏を中心にライブ配信アプリ「17Live」などソーシャルメディアを展開する台湾のM17、医療機器開発ベンチャーのニューロシューティカルズ、シェアリングプラットフォーム「Akice.style」を運営するレンタルサービスベンチャーのピーステックラボなどがある。

 20年10月には、独自開発の光触媒技術を活用して各種環境製品を展開するカルテック(子会社化したエクセルがスタートアップ資金を出資)と、光触媒除菌脱臭機「TURNED K」の販売および製造に関わる部品調達で協業した。20年12月には、オンライン診療システム「D―CUBE」などオンライン健康支援事業を展開するリンケージに出資した。

 21年5月には株式投資型クラウドファンディング事業者の日本クラウドキャピタルに出資、21年6月にはAI関連技術を開発するカタリナに出資した。21年10月にはドローン等無人航空機の企画・製造・販売を行うVFR(PCメーカーのVAIOの子会社)に出資、21年11月には堆肥化装置や脱臭装置等を開発・販売するミライエに出資した。12月8日には独自AI技術でエナジーインフォマティックス事業を展開するインフォマティックスに出資した。

■22年3月期は再上振れの可能性

 22年3月期連結業績予想(収益認識基準適用だが利益への影響は軽微、11月4日に利益を上方修正)は、売上高が21年3月期比11.3%増の4700億円、営業利益が30.8%増の150億円、経常利益が29.0%増の145億円、親会社株主帰属当期純利益が21.1%減の90億円としている。従来予想に対して営業利益を20億円、経常利益を25億円、親会社株主帰属当期純利益を10億円、それぞれ上方修正した。

 配当予想(11月4日に第2四半期末5円、期末5円、合計10円上方修正)は、21年3月期比10円増配の90円(第2四半期末45円、期末45円、特別配当10円含む)とした。

 親会社株主帰属当期純利益は前期計上の負ののれん発生益が剥落して減益だが、電子部品やEMSの需要が回復して大幅営業・経常増益予想としている。修正後のセグメント別の利益(調整前営業利益)計画は、電子部品事業が50.9%増の123億円、情報機器事業が19.4%減の20億円、ソフトウェア事業が24.0%減の2億円、その他事業が5.5%増の5億円としている。

 第2四半期累計は、売上高が前年同期比18.1%増の2230億09百万円、営業利益が87.2%増の83億円、経常利益が94.8%増の84億52百万円だった。親会社株主帰属四半期純利益は前期計上の負ののれん発生益が剥落して47.8%減の56億24百万円だった。なお収益認識基準適用の影響で売上高が23億58百万円減少したが、利益への影響は軽微である。

 電子部品事業は、売上高が23.9%増の1944億06百万円で、営業利益(調整前)が131.1%増の71億23百万円だった。半導体や電子部品の需給逼迫が続くなか、独立系商社としての強みを活かし、広範な業界からの旺盛な需要に対応した。EMSビジネスも車載関連や産業機械関連などが好調だった。M&Aで子会社化した加賀EFIとエクセルも大幅営業黒字に転換した。

 情報機器事業は、パソコン販売におけるリモートワーク需要の一巡、電子部品不足による製品供給難、設備設置ビジネスにおける工程延伸などで、売上高が19.3%減の187億13百万円、営業利益が21.6%減の9億10百万円だった。ソフトウェア事業は売上高が2.9%減の12億37百万円で、営業利益が1億09百万円の赤字(前年同期は86百万円の黒字)だった。開発費が増加した。その他事業は売上高が15.3%増の86億51百万円で、営業利益が3億20百万円(同36百万円)だった。パソコンリサイクルビジネスが好調だった。

 四半期別に見ると、第1四半期は売上高が1059億49百万円で営業利益が44億52百万円、第2四半期は売上高が1170億60百万円で営業利益が38億48百万円だった。

 修正後の通期予想に対する第2四半期累計の進捗率は売上高が47.4%、営業利益が55.3%、経常利益が58.3%、親会社株主帰属当期純利益が62.5%と順調である。第3四半期以降に、電子部品需給逼迫による機会損失リスクや、物流費高騰の影響などを見込んでいるが、さらに再上振れの可能性もありそうだ。商社ビジネスとEMSビジネスのシナジー効果で収益拡大基調を期待したい。

 なおユーロテックジャパンが8月31日付で大阪地方裁判所に民事再生手続開始の申し立てを行ったことに伴い、9月1日に債権取立不能のおそれが生じたとリリースしている。8月30日現在の債権の種類および金額は貸付金等約19億円、棚卸資産約39億円(今後同社への販売により売掛債権が約42億円発生する予定)としている。今後、支援の条件やスキームについて同社と折衝を進め、所定の手続を経ることを条件に支援検討を進める方針としている。業績への影響は精査中(貸付金等に関しては21年3月期および22年3月期第1四半期に引当計上済み)としている。

■株価は上値試す

 22年4月移行予定の新市場区分については、新市場区分における上場維持基準に関する一次判定結果としてプライム市場適合を確認し、21年8月26日開催の取締役会においてプライム市場選択を決議した。東京証券取引所の定めるスケジュールに基づいて新市場区分選択申請に係る所定の手続きを進める。

 株価は11月の年初来高値圏から反落したが、利益確定売り一巡して切り返しの動きを強めている。上値を試す展開を期待したい。12月24日の終値は3140円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS336円84銭で算出)は約9倍、今期予想配当利回り(会社予想の90円で算出)は約2.9%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS3311円24銭で算出)は約0.9倍、時価総額は約901億円である。(情報提供:日 本インタビュ新聞社=Media−IR
[11月30日更新]

加賀電子は上値試す、22年3月期は再上振れの可能性で収益拡大基調

 加賀電子<8154>(東1)は独立系の大手エレクトロニクス総合商社である。M&Aも積極活用して規模拡大と高収益化を推進している。22年3月期第2四半期累計は計画を上回る大幅営業・経常増益だった。そして通期利益・配当予想を上方修正した。さらに再上振れの可能性もありそうだ。11月25日には中期経営計画およびサステナビリティ中長期経営計画を発表した。商社ビジネスとEMSビジネスのシナジー効果で収益拡大基調を期待したい。株価は年初来高値圏から反落したが、利益確定売りが一巡して上値を試す展開を期待したい。

■独立系の大手エレクトロニクス総合商社

 独立系の大手エレクトロニクス総合商社で、半導体・電子部品・情報機器等の商社ビジネス、および電装基板製造受託サービスのEMSビジネスを展開している。

 富士通エレクトロニクスを19年1月に子会社化(富士通セミコンダクターから株式70%取得、20年12月28日付で社名を加賀FEIに変更)した。なお株式を段階的に追加取得して22年1月に完全子会社化予定としていたが、スキームを一部変更し、簡易株式交換の方法によって22年1月1日付で完全子会社化する。

 また19年10月にパイオニアの製造子会社である十和田パイオニアを子会社化して商号を加賀EMS十和田に変更、20年4月にエレクトロニクス商社のエクセルを子会社化、20年11月に旭東電気(20年4月民事再生法適用申請)から新設分割された新:旭東電気を子会社化した。

 21年3月期のセグメント別売上高構成比は、電子部品事業(半導体、電子部品、EMS)84%、情報機器事業(パソコン・周辺機器、各種家電、写真・映像関連商品)11%、ソフトウェア事業(CGアニメ映像制作、アミューズメント関連商品)1%、その他事業(エレクトロニクス機器修理、アミューズメント機器製造販売、スポーツ用品販売など)4%、営業利益(調整前)構成比は電子部品事業72%、情報機器事業22%、ソフトウェア事業2%、その他事業4%だった。

 中期経営計画に沿ったセグメント区分は電子部品事業、EMS事業、CSI事業(情報機器事業)、その他事業(ソフトウェア事業、その他事業)とする。21年3月期売上構成比は電子部品事業が62%、EMS事業が24%、CSI事業が11%、その他事業が3%、営業利益構成比は電子部品事業が26%、EMS事業が48%、CSI事業が22%、その他事業が3%だった。

■商社ビジネスとEMSビジネスのシナジーで収益性向上目指す

 11月25日発表した中期経営計画2024では、基本方針にさらなる収益力の強化、経営基盤の強化、新規事業の創出、SDGs経営の推進、経営目標値に25年3月期の売上高7500億円(電子部品事業3800億円、EMS事業1500億円、CSI事業540億円、その他事業160億円、新規M&A等1500億円)、営業利益200億円、ROE8.5%以上(安定的に)を掲げている。株主還元については連結配当性向の目安を25〜35%に置き、安定的かつ継続的に充実化する。

 重点アクションとして、さらなる収益力の強化では成長分野(モビリティ、通信、環境、産業機器、医療・ヘルスケア)への選択と集中、EMSビジネスおよび海外ビジネスの強化・拡大、経営基盤の強化ではコーポレートガバナンスの強化、効率的なグループ運営、人的資本への投資、新規事業の創出では新規分野への取り組み、ベンチャー投資によるオープンイノベーションの推進、非連続な成長を狙うM&Aへの挑戦を掲げている。SDGs経営の推進については、サステナビリティ中長期経営計画(21年11月25日公表)に基づいて、持続可能な社会の実現と持続的なグループの成長の両立を目指す。

 M&Aでは、21年10月に加賀EFIが太陽誘電<6976>からBluetoothおよびWireless LANモジュールに関わる商圏、開発・製造技術ならびに知的財産権を承継した。22年1月から小型無線モジュール事業に本格参入する。

 また21年7月には、ソフトバンクが設立したソフトバンク5Gコンソーシアムの5G関連パートナーとして参画した。5G関連通信設備・機器の提供などを通じて、5G普及促進とともに、事業を通じた社会貢献を追求するとしている。

■ベンチャー投資でイノベーション創出を支援

 創立50周年を記念して設立した「50億円ファンド」を通じてベンチャー投資を行い、イノベーション創出を支援している。

 出資実績としては、ウェアラブルコミュニケーションデバイス開発のBONX、前立腺癌生検および治療用システム開発の米HARMONUS、スマートセキュリティサービスのSecual、ソフトバンクグループで保育クラウドサービスを展開するhugmo、AIソフトウェア開発のハカルス、次世代蓄電デバイス「グリーンキャパシタTM」開発のスペースリンク、動画CM配信プラットフォーム事業やデジタルサイネージ事業CMerTVを展開するSun Asterisk、アジア圏を中心にライブ配信アプリ「17Live」などソーシャルメディアを展開する台湾のM17、医療機器開発ベンチャーのニューロシューティカルズ、シェアリングプラットフォーム「Akice.style」を運営するレンタルサービスベンチャーのピーステックラボなどがある。

 20年10月には、独自開発の光触媒技術を活用して各種環境製品を展開するカルテック(子会社化したエクセルがスタートアップ資金を出資)と、光触媒除菌脱臭機「TURNED K」の販売および製造に関わる部品調達で協業した。20年12月には、オンライン診療システム「D―CUBE」などオンライン健康支援事業を展開するリンケージに出資した。

 21年5月には株式投資型クラウドファンディング事業者の日本クラウドキャピタルに出資、21年6月にはAI関連技術を開発するカタリナに出資した。10月5日にはドローン等無人航空機の企画・製造・販売を行うVFR(PCメーカーのVAIOの子会社)に出資した。21年11月には堆肥化装置や脱臭装置等を開発・販売するミライエに出資した。

■22年3月期通期利益・配当予想を上方修正、さらに再上振れの可能性

 22年3月期の連結業績予想(収益認識基準適用だが利益への影響は軽微、11月4日に利益を上方修正)は、売上高が21年3月期比11.3%増の4700億円、営業利益が30.8%増の150億円、経常利益が29.0%増の145億円、親会社株主帰属当期純利益が21.1%減の90億円としている。従来予想に対して営業利益を20億円、経常利益を25億円、親会社株主帰属当期純利益を10億円、それぞれ上方修正した。

 配当予想(11月4日に第2四半期末5円、期末5円、合計10円上方修正)は、21年3月期比10円増配の90円(第2四半期末45円、期末45円、特別配当10円含む)とした。

 親会社株主帰属当期純利益は前期計上の負ののれん発生益が剥落して減益だが、電子部品やEMSの需要が回復して大幅営業・経常増益予想としている。修正後のセグメント別の利益(調整前営業利益)計画は、電子部品事業が50.9%増の123億円、情報機器事業が19.4%減の20億円、ソフトウェア事業が24.0%減の2億円、その他事業が5.5%増の5億円としている。

 第2四半期累計は、売上高が前年同期比18.1%増の2230億09百万円、営業利益が87.2%増の83億円、経常利益が94.8%増の84億52百万円だった。親会社株主帰属四半期純利益は前期計上の負ののれん発生益が剥落して47.8%減の56億24百万円だった。なお収益認識基準適用の影響で売上高が23億58百万円減少したが、利益への影響は軽微である。

 電子部品事業は、売上高が23.9%増の1944億06百万円で、営業利益(調整前)が131.1%増の71億23百万円だった。半導体や電子部品の需給逼迫が続くなか、独立系商社としての強みを活かし、広範な業界からの旺盛な需要に対応した。EMSビジネスも車載関連や産業機械関連などが好調だった。M&Aで子会社化した加賀EFIとエクセルも大幅営業黒字に転換した。

 情報機器事業は、パソコン販売におけるリモートワーク需要の一巡、電子部品不足による製品供給難、設備設置ビジネスにおける工程延伸などで、売上高が19.3%減の187億13百万円、営業利益が21.6%減の9億10百万円だった。ソフトウェア事業は売上高が2.9%減の12億37百万円で、営業利益が1億09百万円の赤字(前年同期は86百万円の黒字)だった。開発費が増加した。その他事業は売上高が15.3%増の86億51百万円で、営業利益が3億20百万円(同36百万円)だった。パソコンリサイクルビジネスが好調だった。

 なお四半期別に見ると、第1四半期は売上高が1059億49百万円で営業利益が44億52百万円、第2四半期は売上高が1170億60百万円で営業利益が38億48百万円だった。

 修正後の通期予想に対する第2四半期累計の進捗率は売上高が47.4%、営業利益が55.3%、経常利益が58.3%、親会社株主帰属当期純利益が62.5%と順調である。第3四半期以降に、電子部品需給逼迫による機会損失リスクや、物流費高騰の影響などを見込んでいるが、さらに再上振れの可能性もありそうだ。商社ビジネスとEMSビジネスのシナジー効果で収益拡大基調を期待したい。

 なおユーロテックジャパンが8月31日付で大阪地方裁判所に民事再生手続開始の申し立てを行ったことに伴い、9月1日に債権取立不能のおそれが生じたとリリースしている。8月30日現在の債権の種類および金額は貸付金等約19億円、棚卸資産約39億円(今後同社への販売により売掛債権が約42億円発生する予定)としている。今後、支援の条件やスキームについて同社と折衝を進め、所定の手続を経ることを条件に支援検討を進める方針としている。業績への影響は精査中(貸付金等に関しては21年3月期および22年3月期第1四半期に引当計上済み)としている。

■株価は上値試す

 22年4月移行予定の新市場区分については、新市場区分における上場維持基準に関する一次判定結果としてプライム市場適合を確認し、21年8月26日開催の取締役会においてプライム市場選択を決議した。東京証券取引所の定めるスケジュールに基づいて新市場区分選択申請に係る所定の手続きを進める。

 株価は年初来高値圏から反落したが、利益確定売りが一巡して上値を試す展開を期待したい。11月29日の終値は2954円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS336円84銭で算出)は約9倍、今期予想配当利回り(会社予想の90円で算出)は約3.0%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS3311円24銭で算出)は約0.9倍、時価総額は約848億円である。(情報提供:日 本インタビュ新聞社=Media−IR
[11月05日更新]

加賀電子は22年3月期利益・配当予想を上方修正、さらに再上振れの可能性

 加賀電子<8154>(東1)は11月4日の取引時間終了後に22年3月期第2四半期累計連結業績を発表した。電子部品需要が回復して計画を上回る大幅営業・経常増益だった。そして通期利益・配当予想を上方修正した。さらに再上振れの可能性もありそうだ。収益拡大基調を期待したい。なお加賀EFI(旧富士通エレクトロニクス)の完全子会社化(22年1月予定)に関して、残り15%分の株式取得方法を株式交換に変更する。株価は年初来高値を更新して17年10月の高値に接近している。好業績を評価して上値を試す展開を期待したい。

■22年3月期2Q累計大幅営業・経常増益で通期利益・配当予想を上方修正

 22年3月期第2四半期累計連結業績(収益認識基準適用)は、売上高が前年同期比18.1%増の2230億09百万円、営業利益が87.2%増の83億円、経常利益が94.8%増の84億52百万円だった。親会社株主帰属四半期純利益は前期計上の負ののれん発生益が剥落して47.8%減の56億24百万円だった。なお収益認識基準適用の影響で売上高が23億58百万円減少したが、利益への影響は軽微である。

 電子部品事業は売上高が23.9%増の1944億06百万円で、営業利益(調整前)が131.1%増の71億23百万円だった。半導体や電子部品の需給逼迫が続く中、独立系商社としての強みを活かし、広範な業界からの旺盛な需要に対応した。EMSビジネスも車載関連や産業機械関連などが好調だった。M&Aで子会社化した加賀EFIとエクセルも大幅営業黒字に転換した。

 情報機器事業は、パソコン販売におけるリモートワーク需要の一巡、電子部品不足による製品供給難、設備設置ビジネスにおける工程延伸などで、売上高が19.3%減の187億13百万円、営業利益が21.6%減の9億10百万円だった。ソフトウェア事業は売上高が2.9%減の12億37百万円で、営業利益が1億09百万円の赤字(前年同期は86百万円の黒字)だった。開発費が増加した。その他事業は売上高が15.3%増の86億51百万円で、営業利益が3億20百万円(同36百万円)だった。パソコンリサイクルビジネスが好調だった。

 なお四半期別に見ると、第1四半期は売上高が1059億49百万円で営業利益が44億52百万円、第2四半期は売上高が1170億60百万円で営業利益が38億48百万円だった。

 通期は利益予想を上方修正し、売上高が21年3月期比11.3%増の4700億円、営業利益が30.8%増の150億円、経常利益が29.0%増の145億円、親会社株主帰属当期純利益が21.1%減の90億円とした。従来予想に対して営業利益を20億円、経常利益を25億円、親会社株主帰属当期純利益を10億円、それぞれ上方修正した。配当予想は第2四半期末5円、期末5円、合計10円上方修正して、21年3月期比では10円増配の90円(第2四半期末45円、期末45円)とした。

 電子部品やEMSの需要が回復基調であり、売上総利益率の改善や経費の縮減・抑制も寄与して、従来予想に対して営業・経常増益幅が拡大する見込みだ。親会社株主帰属当期純利益は前期計上の負ののれん発生益が剥落して減益だが、従来予想に対して減益幅が縮小する。

 修正後の通期予想に対する第2四半期累計の進捗率は売上高が47.4%、営業利益が55.3%、経常利益が58.3%、親会社株主帰属当期純利益が62.5%と順調である。第3四半期以降に、電子部品需給逼迫による機会損失リスクや、物流費高騰の影響などを見込んでいるが、さらに再上振れの可能性もありそうだ。収益拡大基調を期待したい。

■株価は上値試す

 株価は年初来高値を更新して17年10月の高値に接近している。好業績を評価して上値を試す展開を期待したい。11月4日の終値は3385円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS336円84銭で算出)は約10倍、時価総額は約972億円である。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media−IR
[10月19日更新]

加賀電子は上値試す、22年3月期営業・経常増益予想で収益拡大基調

 加賀電子<8154>(東1)は独立系の大手エレクトロニクス総合商社である。M&Aも積極活用して規模拡大と高収益化を推進している。10月14日には22年1月から小型無線モジュール事業に本格参入すると発表した。22年3月期は電子部品やEMSの需要が回復して営業・経常増益予想としている。商社ビジネスとEMSビジネスのシナジー効果で収益拡大基調を期待したい。株価は9月の年初来高値圏から反落したが、利益確定売りが一巡して切り返しの動きを強めている。自律調整を交えながら上値を試す展開を期待したい。なお11月4日に22年3月期第2四半期決算発表を予定している。

■独立系の大手エレクトロニクス総合商社

 独立系の大手エレクトロニクス総合商社で、半導体・電子部品・情報機器等の商社ビジネス、および電装基板製造受託サービスのEMSビジネスを展開している。

 富士通エレクトロニクスを19年1月に子会社化(富士通セミコンダクターから株式70%取得、20年12月28日付で社名を加賀FEIに変更)した。株式を段階的に追加取得して、22年1月に完全子会社化予定である。

 21年3月期のセグメント別売上高構成比は、電子部品事業(半導体、電子部品、EMS)84%、情報機器事業(パソコン・周辺機器、各種家電、写真・映像関連商品)11%、ソフトウェア事業(CGアニメ映像制作、アミューズメント関連商品)1%、その他事業(エレクトロニクス機器修理、アミューズメント機器製造販売、スポーツ用品販売など)4%、営業利益(調整前)構成比は電子部品事業72%、情報機器事業22%、ソフトウェア事業2%、その他事業4%だった。

■商社ビジネスとEMSビジネスのシナジーで収益性向上目指す

 中期経営計画2021では、基本方針に収益基盤強化、経営基盤安定化、新規事業創出、経営目標値に22年3月期(為替前提1米ドル=110円)の売上高5000億円、営業利益130億円、ROE8%以上を掲げている。株主還元は連結配当性向25〜35%を確保しつつ安定的な配当を実施する方針だ。

 中計に沿ったセグメント区分を電子部品事業、EMS事業、CSI事業(情報機器事業)、その他事業(ソフトウェア事業、その他事業)とする。21年3月期売上構成比は電子部品事業62%、EMS事業24%、CSI事業11%、その他事業3%、営業利益構成比は電子部品事業26%、EMS事業48%、CSI事業22%、その他事業3%だった。

 加賀FEI(旧:富士通エレクトロニクス)を子会社化し、商材の拡大や顧客基盤の共有によって、電子部品事業における業界NO.1規模を目指している。短期的な目標は商社ビジネスの量的拡大だが、中期的な目標として商社ビジネスとEMSビジネスのシナジーによる収益性向上(利益額の拡大と利益率の向上)を目指す。

 収益基盤強化では、成長分野(車載、通信、環境、産業機器、医療・ヘルスケア)への取り組み、EMSビジネスおよび海外ビジネスの強化・拡大を推進する。経営基盤安定化では、加賀EFIをグループ化した後の効率性および財務健全性の早期改善に向けて、グループ横断的なコスト削減、組織体制整備によるグループ経営効率化、コーポレートガバナンス強化を推進する。新規事業創出ではM&Aも積極活用して、保育・福祉・介護等の社会課題ビジネスや素材ビジネスへの取り組み、ベンチャー投資によるオープンイノベーションを推進する。

 EMSビジネスでは18年以降に稼働した新拠点のメキシコ、ベトナム、トルコ、インド、福島新工場、タイ第2工場が順次、収益寄与している。20年12月には中国内陸部におけるEMS事業の生産能力強化に向けて、湖北省孝感市に新工場(湖北加賀電子有限公司孝感工場)を竣工した。今後は車載、産業機械、空調、医療・ヘルスケア分野を成長ドライバーとして事業拡大を推進する。

 さらに「グローバル競争に勝ち残る企業」を目指してM&A戦略を加速している。19年10月パイオニアの製造子会社である十和田パイオニアを子会社化して商号を加賀EMS十和田に変更、20年4月エレクトロニクス商社のエクセルを子会社化、20年11月旭東電気(20年4月民事再生法適用申請)から新設分割された新:旭東電気を子会社化した。
 
 10月14日には、加賀EFIが太陽誘電<6976>からBluetoothおよびWireless LANモジュールに関わる商圏、開発・製造技術ならびに知的財産権を承継し、22年1月から小型無線モジュール事業に本格参入すると発表した。

 21年4月にはSDGs委員会を設置した。従前より取り組んできたCSRならびにESGへの対応を深化させ、グループ全体で横断的にサステナビリティ経営を推進する。21年7月には、ソフトバンクが設立したソフトバンク5Gコンソーシアムの5G関連パートナーとして参画した。5G関連通信設備・機器の提供などを通じて、5G普及促進とともに、事業を通じた社会貢献を追求するとしている。

■ベンチャー投資でイノベーション創出を支援

 創立50周年を記念して設立した「50億円ファンド」を通じてベンチャー投資を行い、イノベーション創出を支援している。

 出資実績としては、ウェアラブルコミュニケーションデバイス開発のBONX、前立腺癌生検および治療用システム開発の米HARMONUS、スマートセキュリティサービスのSecual、ソフトバンクグループで保育クラウドサービスを展開するhugmo、AIソフトウェア開発のハカルス、次世代蓄電デバイス「グリーンキャパシタTM」開発のスペースリンク、動画CM配信プラットフォーム事業やデジタルサイネージ事業CMerTVを展開するSun Asterisk、アジア圏を中心にライブ配信アプリ「17Live」などソーシャルメディアを展開する台湾のM17、医療機器開発ベンチャーのニューロシューティカルズ、シェアリングプラットフォーム「Akice.style」を運営するレンタルサービスベンチャーのピーステックラボなどがある。

 20年10月には、独自開発の光触媒技術を活用して各種環境製品を展開するカルテック(子会社化したエクセルがスタートアップ資金を出資)と、光触媒除菌脱臭機「TURNED K」の販売および製造に関わる部品調達で協業した。20年12月には、オンライン診療システム「D―CUBE」などオンライン健康支援事業を展開するリンケージに出資した。

 21年5月には株式投資型クラウドファンディング事業者の日本クラウドキャピタルに出資、21年6月にはAI関連技術を開発するカタリナに出資した。10月5日にはドローン等無人航空機の企画・製造・販売を行うVFR(PCメーカーのVAIOの子会社)に出資した。

■22年3月期営業・経常増益予想で収益拡大基調

 22年3月期の連結業績予想は、売上高が21年3月期比11.3%増の4700億円、営業利益が13.4%増の130億円、経常利益が6.7%増の120億円、親会社株主帰属当期純利益が29.8%減の80億円としている。配当予想は21年3月期と同額の80円(第2四半期末40円、期末40円)である。

 親会社株主帰属当期純利益は前期計上の負ののれん発生益が剥落して減益だが、電子部品やEMSの需要が回復して営業・経常増益予想としている。セグメント別の利益計画は、電子部品事業が21.5%増益、情報機器事業が7.3%減益、ソフトウェア事業が13.9%増益、その他事業が5.4%増益としている。

 第1四半期(収益認識に関する企業会計基準第29号適用で売上高が15億77百万円減少、利益への影響は軽微)は、売上高が前年同期比25.9%増の1059億49百万円、営業利益が2.7倍の44億52百万円、経常利益が3.0倍の45億66百万円だった。第1四半期として過去最高の営業・経常利益だった。親会社株主帰属四半期純利益は前期計上の負ののれん発生益の剥落で66.0%減の28億72百万円だった。

 電子部品事業が32.9%増収、3.2倍増益と大幅伸長して牽引した。半導体を中心に電子部品需要が回復し、EMSも好調だった。単体ベースで98.8%営業増益と大幅伸長し、子会社化の加賀EFIとエクセルも大幅営業黒字に転換した。

 情報機器事業はリモートワーク向けパソコン販売の反動減や、LED設置ビジネスでの顧客都合による工程延伸などで15.2%減収、2.6%減益だった。ソフトウェア事業はゲーム制作が堅調で15.5%増収だが、開発費の増加で赤字拡大した。その他事業はパソコンリサイクルビジネスの好調などで41.9%増収となり、黒字転換した。

 通期も電子部品やEMSの需要回復で増収、営業・経常増益予想としている。第1四半期の進捗率は売上高22.5%、営業利益34.2%、経常利益38.1%と順調だった。

 なおユーロテックジャパンが8月31日付で大阪地方裁判所に民事再生手続開始の申し立てを行ったことに伴い、9月1日に債権取立不能のおそれが生じたとリリースしている。8月30日現在の債権の種類および金額は貸付金等約19億円、棚卸資産約39億円(今後同社への販売により売掛債権が約42億円発生する予定)としている。今後、支援の条件やスキームについて同社と折衝を進め、所定の手続を経ることを条件に支援検討を進める方針としている。業績への影響は精査中(貸付金等に関しては21年3月期および22年3月期第1四半期に引当計上済み)としている。

 商社ビジネスとEMSビジネスのシナジー効果で収益拡大基調を期待したい。

■株価は上値試す

 22年4月移行予定の新市場区分については、新市場区分における上場維持基準に関する一次判定結果としてプライム市場適合を確認し、21年8月26日開催の取締役会においてプライム市場選択を決議した。東京証券取引所の定めるスケジュールに基づいて新市場区分選択申請に係る所定の手続きを進める。

 株価は9月の年初来高値圏から反落したが、利益確定売りが一巡して切り返しの動きを強めている。自律調整を交えながら上値を試す展開を期待したい。10月18日の終値は2960円、今期予想連結PER(会社予想連結EPS291円20銭で算出)は約10倍、今期予想配当利回り(会社予想80円で算出)は約2.7%、前期実績連結PBR(前期実績連結BPS3311円24銭で算出)は約0.9倍、時価総額は約850億円である。(情報提供:日 本インタビュ新聞社=Media−IR
[09月27日更新]

加賀電子は17年の高値目指す、22年3月期営業・経常増益予想

 加賀電子<8154>(東1)は独立系の大手エレクトロニクス総合商社である。M&Aも積極活用して規模拡大と高収益化を推進している。22年3月期は電子部品やEMSの需要が回復して営業・経常増益予想としている。商社ビジネスとEMSビジネスのシナジー効果で収益拡大基調を期待したい。株価は急伸して年初来高値を更新している。自律調整を交えながら17年の高値を目指す展開を期待したい。

■独立系の大手エレクトロニクス総合商社

 独立系の大手エレクトロニクス総合商社で、半導体・電子部品・情報機器等の商社ビジネス、および電装基板製造受託サービスのEMSビジネスを展開している。

 富士通エレクトロニクスを19年1月に子会社化(富士通セミコンダクターから株式70%取得、20年12月28日付で社名を加賀FEIに変更)した。株式を段階的に追加取得して、22年1月に完全子会社化予定である。

 21年3月期のセグメント別売上高構成比は、電子部品事業(半導体、電子部品、EMS)84%、情報機器事業(パソコン・周辺機器、各種家電、写真・映像関連商品)11%、ソフトウェア事業(CGアニメ映像制作、アミューズメント関連商品)1%、その他事業(エレクトロニクス機器修理、アミューズメント機器製造販売、スポーツ用品販売など)4%、営業利益(調整前)構成比は電子部品事業72%、情報機器事業22%、ソフトウェア事業2%、その他事業4%だった。

■商社ビジネスとEMSビジネスのシナジーで収益性向上目指す

 中期経営計画2021では、基本方針に収益基盤強化、経営基盤安定化、新規事業創出、経営目標値に22年3月期(為替前提1米ドル=110円)の売上高5000億円、営業利益130億円、ROE8%以上を掲げている。株主還元は連結配当性向25〜35%を確保しつつ安定的な配当を実施する方針だ。

 中計に沿ったセグメント区分を電子部品事業、EMS事業、CSI事業(情報機器事業)、その他事業(ソフトウェア事業、その他事業)とする。21年3月期売上構成比は電子部品事業62%、EMS事業24%、CSI事業11%、その他事業3%、営業利益構成比は電子部品事業26%、EMS事業48%、CSI事業22%、その他事業3%だった。

 加賀FEI(旧:富士通エレクトロニクス)を子会社化し、商材の拡大や顧客基盤の共有によって、電子部品事業における業界NO.1規模を目指している。短期的な目標は商社ビジネスの量的拡大だが、中期的な目標として商社ビジネスとEMSビジネスのシナジーによる収益性向上(利益額の拡大と利益率の向上)を目指す。

 収益基盤強化では、成長分野(車載、通信、環境、産業機器、医療・ヘルスケア)への取り組み、EMSビジネスおよび海外ビジネスの強化・拡大を推進する。経営基盤安定化では、加賀EFIをグループ化した後の効率性および財務健全性の早期改善に向けて、グループ横断的なコスト削減、組織体制整備によるグループ経営効率化、コーポレートガバナンス強化を推進する。新規事業創出ではM&Aも積極活用して、保育・福祉・介護等の社会課題ビジネスや素材ビジネスへの取り組み、ベンチャー投資によるオープンイノベーションを推進する。

 EMSビジネスでは18年以降に稼働した新拠点のメキシコ、ベトナム、トルコ、インド、福島新工場、タイ第2工場が順次、収益寄与している。20年12月には中国内陸部におけるEMS事業の生産能力強化に向けて、湖北省孝感市に新工場(湖北加賀電子有限公司孝感工場)を竣工した。今後は車載、産業機械、空調、医療・ヘルスケア分野を成長ドライバーとして事業拡大を推進する。

 さらに「グローバル競争に勝ち残る企業」を目指してM&A戦略を加速している。19年10月パイオニアの製造子会社である十和田パイオニアを子会社化して商号を加賀EMS十和田に変更、20年4月エレクトロニクス商社のエクセルを子会社化、20年11月旭東電気(20年4月民事再生法適用申請)から新設分割された新:旭東電気を子会社化した。

 なお21年4月にはSDGs委員会を設置した。従前より取り組んできたCSRならびにESGへの対応を深化させ、グループ全体で横断的にサステナビリティ経営を推進する。21年7月には、ソフトバンクが設立したソフトバンク5Gコンソーシアムの5G関連パートナーとして参画した。5G関連通信設備・機器の提供などを通じて、5G普及促進とともに、事業を通じた社会貢献を追求するとしている。

■ベンチャー投資でイノベーション創出を支援

 創立50周年を記念して設立した「50億円ファンド」を通じてベンチャー投資を行い、イノベーション創出を支援している。

 出資実績としては、ウェアラブルコミュニケーションデバイス開発のBONX、前立腺癌生検および治療用システム開発の米HARMONUS、スマートセキュリティサービスのSecual、ソフトバンクグループで保育クラウドサービスを展開するhugmo、AIソフトウェア開発のハカルス、次世代蓄電デバイス「グリーンキャパシタTM」開発のスペースリンク、動画CM配信プラットフォーム事業やデジタルサイネージ事業のCMerTV、DX(デジタルトランスフォーメーション)に向けたソリューション事業を展開するSun Asteriskなどがある。

 20年5月にはライブ配信アプリ「17Live」などアジア圏中心にソーシャルメディアを展開する台湾のM17に出資、20年6月には医療機器開発ベンチャーのニューロシューティカルズ(NCI)に出資、20年8月にはシェアリングプラットフォーム「Akice.style」を運営するレンタルサービスベンチャーのピーステックラボ(PTL)に出資した。

 20年10月には、独自開発の光触媒技術を活用して各種環境製品を展開するカルテック(子会社化したエクセルがスタートアップ資金を出資)と、光触媒除菌脱臭機「TURNED K」の販売および製造に関わる部品調達で協業した。20年12月には、オンライン診療システム「D―CUBE」などオンライン健康支援事業を展開するリンケージに出資した。

 21年5月には株式投資型クラウドファンディング事業者の日本クラウドキャピタルに出資、21年6月にはAI関連技術を開発するカタリナに出資した。

■22年3月期営業・経常増益予想

 22年3月期の連結業績予想は、売上高が21年3月期比11.3%増の4700億円、営業利益が13.4%増の130億円、経常利益が6.7%増の120億円、親会社株主帰属当期純利益が29.8%減の80億円としている。配当予想は21年3月期と同額の80円(第2四半期末40円、期末40円)である。

 当期純利益は負ののれん発生益が剥落して減益だが、電子部品やEMSの需要が回復して営業・経常増益予想としている。セグメント別の利益計画は、電子部品事業が21.5%増益、情報機器事業が7.3%減益、ソフトウェア事業が13.9%増益、その他事業が5.4%増益としている。

 第1四半期(収益認識に関する企業会計基準第29号適用で売上高が15億77百万円減少、利益への影響は軽微)は、売上高が前年同期比25.9%増の1059億49百万円、営業利益が2.7倍の44億52百万円、経常利益が3.0倍の45億66百万円だった。第1四半期として過去最高の営業・経常利益だった。親会社株主帰属四半期純利益は前期計上の負ののれん発生益の剥落で66.0%減の28億72百万円だった。

 電子部品事業が32.9%増収、3.2倍増益と大幅伸長して牽引した。半導体を中心に電子部品需要が回復し、EMSも好調だった。単体ベースで98.8%営業増益と大幅伸長し、M&Aで子会社化した加賀EFI(旧富士通エレクトロニクス)とエクセルも大幅営業黒字に転換した。

 情報機器事業はリモートワーク向けパソコン販売の反動減や、LED設置ビジネスでの顧客都合による工程延伸などで15.2%減収、2.6%減益だった。ソフトウェア事業はゲーム制作が堅調で15.5%増収だが、開発費の増加で赤字拡大した。その他事業はパソコンリサイクルビジネスの好調などで41.9%増収となり、黒字転換した。

 通期も、当期純利益は負ののれん発生益が剥落して減益だが、電子部品やEMSの需要が回復基調であり、増収、営業・経常増益予想としている。第1四半期の進捗率は売上高22.5%、営業利益34.2%、経常利益38.1%と順調だった。

 なおユーロテックジャパンが8月31日付で大阪地方裁判所に民事再生手続開始の申し立てを行ったことに伴い、9月1日に債権取立不能のおそれが生じたとリリースしている。8月30日現在の債権の種類および金額は貸付金等約19億円、棚卸資産約39億円(今後同社への販売により売掛債権が約42億円発生する予定)としている。今後、支援の条件やスキームについて同社と折衝を進め、所定の手続を経ることを条件に支援検討を進める方針としている。業績への影響は精査中(貸付金等に関しては21年3月期および22年3月期第1四半期に引当計上済み)としている。

 商社ビジネスとEMSビジネスのシナジー効果で収益拡大基調を期待したい。

■株価は17年の高値目指す

 22年4月予定の新市場区分については、新市場区分における上場維持基準に関する一次判定結果としてプライム市場の上場維持基準適合を確認し、8月26日開催の取締役会においてプライム市場選択を決議した。東京証券取引所の定めるスケジュールに基づいて新市場区分選択申請に係る所定の手続きを進める。

 株価は急伸して年初来高値を更新している。自律調整を交えながら17年の高値を目指す展開を期待したい。9月24日の終値は3265円、今期予想連結PER(会社予想連結EPS291円20銭で算出)は約11倍、今期予想配当利回り(会社予想80円で算出)は約2.5%、前期実績連結PBR(前期実績連結BPS3311円24銭で算出)は約1.0倍、時価総額は約937億円である。(情報提供:日 本インタビュ新聞社=Media−IR
[08月26日更新]

加賀電子は上値試す、22年3月期1Q順調で通期上振れの可能性

 加賀電子<8154>(東1)は独立系の大手エレクトロニクス商社である。M&Aも積極活用して規模拡大と高収益化を推進している。22年3月期第1四半期は電子部品やEMSの需要が回復して大幅営業・経常増益と順調だった。通期予想を据え置いたが上振れの可能性が高いだろう。商社ビジネスとEMSビジネスのシナジー効果で収益拡大基調を期待したい。株価は年初来高値を更新した直後に一転して急反落の形となったが、利益確定売り一巡して切り返しの動きを強めている。上値を試す展開を期待したい。

■独立系の大手エレクトロニクス商社

 独立系の大手エレクトロニクス商社で、半導体・電子部品・情報機器等の商社ビジネス、および電装基板製造受託サービスのEMSビジネスを展開している。

 富士通エレクトロニクスを19年1月に子会社化(富士通セミコンダクターから株式70%取得、20年12月28日付で社名を加賀FEIに変更)した。さらに20年12月に15%、21年12月に15%を段階的に追加取得して、22年1月に完全子会社化予定である。

 21年3月期のセグメント別売上高構成比は、電子部品事業(半導体、電子部品、EMS)84%、情報機器事業(パソコン・周辺機器、各種家電、写真・映像関連商品)11%、ソフトウェア事業(CGアニメ映像制作、アミューズメント関連商品)1%、その他事業(エレクトロニクス機器修理、アミューズメント機器製造販売、スポーツ用品販売など)4%、営業利益(調整前)構成比は電子部品事業72%、情報機器事業22%、ソフトウェア事業2%、その他事業4%だった。

■商社ビジネスとEMSビジネスのシナジーで収益性向上目指す

 中期経営計画2021では、基本方針に収益基盤強化、経営基盤安定化、新規事業創出、経営目標値に22年3月期(為替前提1米ドル=110円)の売上高5000億円、営業利益130億円、ROE8%以上を掲げている。株主還元は連結配当性向25〜35%を確保しつつ安定的な配当を実施する方針だ。

 中計に沿ったセグメント区分を電子部品事業、EMS事業、CSI事業(情報機器事業)、その他事業(ソフトウェア事業、その他事業)とする。21年3月期売上構成比は電子部品事業62%、EMS事業24%、CSI事業11%、その他事業3%、営業利益構成比は電子部品事業26%、EMS事業48%、CSI事業22%、その他事業3%だった。

 加賀FEI(旧:富士通エレクトロニクス)を子会社化し、商材の拡大や顧客基盤の共有によって、電子部品事業における業界NO.1規模を目指している。短期的な目標は商社ビジネスの量的拡大だが、中期的な目標として商社ビジネスとEMSビジネスのシナジーによる収益性向上(利益額の拡大と利益率の向上)を目指す。

 収益基盤強化では、成長分野(車載、通信、環境、産業機器、医療・ヘルスケア)への取り組み、EMSビジネスおよび海外ビジネスの強化・拡大を推進する。経営基盤安定化では、加賀EFIをグループ化した後の効率性および財務健全性の早期改善に向けて、グループ横断的なコスト削減、組織体制整備によるグループ経営効率化、コーポレートガバナンス強化を推進する。新規事業創出ではM&Aも積極活用して、保育・福祉・介護等の社会課題ビジネスや素材ビジネスへの取り組み、ベンチャー投資によるオープンイノベーションを推進する。

 EMSビジネスでは18年以降に稼働した新拠点のメキシコ、ベトナム、トルコ、インド、福島新工場、タイ第2工場が順次、収益寄与している。20年12月には中国内陸部におけるEMS事業の生産能力強化に向けて、湖北省孝感市に新工場(湖北加賀電子有限公司孝感工場)を竣工した。今後は車載、産業機械、空調、医療・ヘルスケア分野を成長ドライバーとして事業拡大を推進する。

 さらに「グローバル競争に勝ち残る企業」を目指してM&A戦略を加速している。19年10月パイオニアの製造子会社である十和田パイオニアを子会社化して商号を加賀EMS十和田に変更、20年4月エレクトロニクス商社のエクセルを子会社化、20年11月旭東電気(20年4月民事再生法適用申請)から新設分割された新:旭東電気を子会社化した。

 なお21年4月1日付でSDGs委員会を設置した。従前より取り組んできたCSRならびにESGへの対応を深化させ、グループ全体で横断的にサステナビリティ経営を推進する。21年7月には、ソフトバンクが設立したソフトバンク5Gコンソーシアムの5G関連パートナーとして参画した。5G関連通信設備・機器の提供などを通じて、5G普及促進とともに、事業を通じた社会貢献を追求するとしている。

■ベンチャー投資でイノベーション創出を支援

 創立50周年を記念して設立した「50億円ファンド」を通じてベンチャー投資を行い、イノベーション創出を支援している。

 出資実績としては、ウェアラブルコミュニケーションデバイス開発のBONX、前立腺癌生検および治療用システム開発の米HARMONUS、スマートセキュリティサービスのSecual、ソフトバンクグループで保育クラウドサービスを展開するhugmo、AIソフトウェア開発のハカルス、次世代蓄電デバイス「グリーンキャパシタTM」開発のスペースリンク、動画CM配信プラットフォーム事業やデジタルサイネージ事業のCMerTV、DX(デジタルトランスフォーメーション)に向けたソリューション事業を展開するSun Asteriskなどがある。

 20年5月にはライブ配信アプリ「17Live」などアジア圏中心にソーシャルメディアを展開する台湾のM17に出資、20年6月には医療機器開発ベンチャーのニューロシューティカルズ(NCI)に出資、20年8月にはシェアリングプラットフォーム「Akice.style」を運営するレンタルサービスベンチャーのピーステックラボ(PTL)に出資した。

 20年10月には、独自開発の光触媒技術を活用して各種環境製品を展開するカルテック(子会社化したエクセルがスタートアップ資金を出資)と、光触媒除菌脱臭機「TURNED K」の販売および製造に関わる部品調達で協業した。20年12月には、オンライン診療システム「D―CUBE」などオンライン健康支援事業を展開するリンケージに出資した。

 21年5月には株式投資型クラウドファンディング事業者の日本クラウドキャピタルに出資、21年6月にはAI関連技術を開発するカタリナに出資した。

■22年3月期営業・経常増益予想、1Q順調で通期上振れの可能性

 22年3月期の連結業績予想は、売上高が21年3月期比11.3%増の4700億円、営業利益が13.4%増の130億円、経常利益が6.7%増の120億円、親会社株主帰属当期純利益が29.8%減の80億円としている。配当予想は21年3月期と同額の80円(第2四半期末40円、期末40円)である。

 当期純利益は負ののれん発生益が剥落して減益だが、電子部品やEMSの需要が回復して営業・経常増益予想としている。セグメント別の利益計画は、電子部品事業が21.5%増益、情報機器事業が7.3%減益、ソフトウェア事業が13.9%増益、その他事業が5.4%増益としている。
 
 第1四半期(収益認識に関する企業会計基準第29号適用で売上高が15億77百万円減少、利益への影響は軽微)は、売上高が前年同期比25.9%増の1059億49百万円、営業利益が2.7倍の44億52百万円、経常利益が3.0倍の45億66百万円だった。第1四半期として過去最高の営業・経常利益だった。親会社株主帰属四半期純利益は前期計上の負ののれん発生益の剥落で66.0%減の28億72百万円だった。

 電子部品事業が32.9%増収、3.2倍増益と大幅伸長して牽引した。半導体を中心に電子部品需要が回復し、EMSも好調だった。単体ベースで98.8%営業増益と大幅伸長し、M&Aで子会社化した加賀EFI(旧富士通エレクトロニクス)とエクセルも大幅営業黒字に転換した。

 情報機器事業はリモートワーク向けパソコン販売の反動減や、LED設置ビジネスでの顧客都合による工程延伸などで15.2%減収、2.6%減益だった。ソフトウェア事業はゲーム制作が堅調で15.5%増収だが、開発費の増加で赤字拡大した。その他事業はパソコンリサイクルビジネスの好調などで41.9%増収となり、黒字転換した。

 通期も、当期純利益は負ののれん発生益が剥落して減益だが、電子部品やEMSの需要が回復基調であり、増収、営業・経常増益予想としている。第1四半期の進捗率は売上高22.5%、営業利益34.2%、経常利益38.1%と順調だった。新型コロナ感染再拡大や半導体供給不足の影響などの不透明感を考慮して通期予想を据え置いたが、上振れの可能性が高いだろう。商社ビジネスとEMSビジネスのシナジー効果で収益拡大基調を期待したい。

■株価は上値試す

 株価は年初来高値を更新した直後に一転して急反落の形となったが、利益確定売り一巡して切り返しの動きを強めている。上値を試す展開を期待したい。8月25日の終値は2834円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS291円20銭で算出)は約10倍、今期予想配当利回り(会社予想の80円で算出)は約2.8%、前期実績連結PBR(前期実績連結BPS3311円24銭で算出)は約0.9倍、時価総額は約813億円である。(情報提供:日 本インタビュ新聞社=Media−IR
[07月19日更新]

加賀電子は上値試す、22年3月期営業・経常増益予想

 加賀電子<8154>(東1)は独立系の大手エレクトロニクス商社である。M&Aも積極活用して規模拡大と高収益化を推進している。電子部品やEMSの需要が回復して22年3月期営業・経常増益予想としている。商社ビジネスとEMSビジネスのシナジー効果で収益拡大基調を期待したい。株価は6月の年初来高値圏から利益確定売りで一旦反落したが、素早く切り返しの動きを強めている。自律調整を交えながら上値を試す展開を期待したい。なお8月5日に22年3月期第1四半期決算発表を予定している。

■独立系の大手エレクトロニクス商社

 独立系の大手エレクトロニクス商社で、半導体・電子部品・情報機器等の商社ビジネス、および電装基板製造受託サービスのEMSビジネスを展開している。

 富士通エレクトロニクスを19年1月に子会社化(富士通セミコンダクターから株式70%取得、20年12月28日付で社名を加賀FEIに変更)した。さらに20年12月に15%、21年12月に15%を段階的に追加取得して、22年1月に完全子会社化予定である。

 21年3月期のセグメント別売上高構成比は、電子部品事業(半導体、電子部品、EMS)84%、情報機器事業(パソコン・周辺機器、各種家電、写真・映像関連商品)11%、ソフトウェア事業(CGアニメ映像制作、アミューズメント関連商品)1%、その他事業(エレクトロニクス機器修理、アミューズメント機器製造販売、スポーツ用品販売など)4%、営業利益(調整前)構成比は電子部品事業72%、情報機器事業22%、ソフトウェア事業2%、その他事業4%だった。

■商社ビジネスとEMSビジネスのシナジーで収益性向上目指す

 中期経営計画2021では、基本方針に収益基盤強化、経営基盤安定化、新規事業創出、経営目標値に22年3月期(為替前提1米ドル=110円)の売上高5000億円、営業利益130億円、ROE8%以上を掲げている。株主還元は連結配当性向25〜35%を確保しつつ安定的な配当を実施する方針だ。

 中計に沿ったセグメント区分を電子部品事業、EMS事業、CSI事業(情報機器事業)、その他事業(ソフトウェア事業、その他事業)とする。21年3月期売上構成比は電子部品事業62%、EMS事業24%、CSI事業11%、その他事業3%、営業利益構成比は電子部品事業26%、EMS事業48%、CSI事業22%、その他事業3%だった。

 加賀FEI(旧:富士通エレクトロニクス)を子会社化し、商材の拡大や顧客基盤の共有によって、電子部品事業における業界NO.1規模を目指している。短期的な目標は商社ビジネスの量的拡大だが、中期的な目標として商社ビジネスとEMSビジネスのシナジーによる収益性向上(利益額の拡大と利益率の向上)を目指す。

 収益基盤強化では、成長分野(車載、通信、環境、産業機器、医療・ヘルスケア)への取り組み、EMSビジネスおよび海外ビジネスの強化・拡大を推進する。経営基盤安定化では、加賀EFIをグループ化した後の効率性および財務健全性の早期改善に向けて、グループ横断的なコスト削減、組織体制整備によるグループ経営効率化、コーポレートガバナンス強化を推進する。新規事業創出ではM&Aも積極活用して、保育・福祉・介護等の社会課題ビジネスや素材ビジネスへの取り組み、ベンチャー投資によるオープンイノベーションを推進する。

 EMSビジネスでは18年以降に稼働した新拠点のメキシコ、ベトナム、トルコ、インド、福島新工場、タイ第2工場が順次、収益寄与している。20年12月には中国内陸部におけるEMS事業の生産能力強化に向けて、湖北省孝感市に新工場(湖北加賀電子有限公司孝感工場)を竣工した。今後は車載、産業機械、空調、医療・ヘルスケア分野を成長ドライバーとして事業拡大を推進する。

 さらに「グローバル競争に勝ち残る企業」を目指してM&A戦略を加速している。19年10月パイオニアの製造子会社である十和田パイオニアを子会社化して商号を加賀EMS十和田に変更、20年4月エレクトロニクス商社のエクセルを子会社化、20年11月旭東電気(20年4月民事再生法適用申請)から新設分割された新:旭東電気を子会社化した。

 なお21年4月1日付でSDGs委員会を設置した。従前より取り組んできたCSRならびにESGへの対応を深化させ、グループ全体で横断的にサステナビリティ経営を推進する。21年7月には、ソフトバンクが設立したソフトバンク5Gコンソーシアムの5G関連パートナーとして参画した。5G関連通信設備・機器の提供などを通じて、5G普及促進とともに、事業を通じた社会貢献を追求するとしている。

■ベンチャー投資でイノベーション創出を支援

 創立50周年を記念して設立した「50億円ファンド」を通じてベンチャー投資を行い、イノベーション創出を支援している。

 出資実績としては、ウェアラブルコミュニケーションデバイス開発のBONX、前立腺癌生検および治療用システム開発の米HARMONUS、スマートセキュリティサービスのSecual、ソフトバンクグループで保育クラウドサービスを展開するhugmo、AIソフトウェア開発のハカルス、次世代蓄電デバイス「グリーンキャパシタTM」開発のスペースリンク、動画CM配信プラットフォーム事業やデジタルサイネージ事業のCMerTV、DX(デジタルトランスフォーメーション)に向けたソリューション事業を展開するSun Asteriskなどがある。

 20年5月にはライブ配信アプリ「17Live」などアジア圏中心にソーシャルメディアを展開する台湾のM17に出資、20年6月には医療機器開発ベンチャーのニューロシューティカルズ(NCI)に出資、20年8月にはシェアリングプラットフォーム「Akice.style」を運営するレンタルサービスベンチャーのピーステックラボ(PTL)に出資した。

 20年10月には、独自開発の光触媒技術を活用して各種環境製品を展開するカルテック(子会社化したエクセルがスタートアップ資金を出資)と、光触媒除菌脱臭機「TURNED K」の販売および製造に関わる部品調達で協業した。20年12月には、オンライン診療システム「D―CUBE」などオンライン健康支援事業を展開するリンケージに出資した。

 さらに、21年5月には株式投資型クラウドファンディング事業者の日本クラウドキャピタルに出資、21年6月にはAI関連技術を開発するカタリナに出資した。

 なお21年7月には新型コロナウイルス感染拡大の第5波に備えて、出資先であるカルテック社製の首掛けタイプパーソナル空間除菌・脱臭機「MY AIR」を、国内営業・管理部門を中心としたグループ社員約3000人に配布した。

■22年3月期営業・経常増益予想

 22年3月期の連結業績予想は、売上高が21年3月期比11.3%増の4700億円、営業利益が13.4%増の130億円、経常利益が6.7%増の120億円、親会社株主帰属当期純利益が29.8%減の80億円としている。配当予想は21年3月期と同額の80円(第2四半期末40円、期末40円)である。

 当期純利益は負ののれん発生益が剥落して減益だが、電子部品やEMSの需要が回復して営業・経常増益予想としている。セグメント別の利益計画は、電子部品事業が21.5%増益、情報機器事業が7.3%減益、ソフトウェア事業が13.9%増益、その他事業が5.4%増益としている。商社ビジネスとEMSビジネスのシナジー効果で収益拡大基調を期待したい。

■株価は上値試す

 株価は6月の年初来高値圏から利益確定売りで一旦反落したが、素早く切り返しの動きを強めている。自律調整を交えながら上値を試す展開を期待したい。7月16日の終値は2951円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS291円20銭で算出)は約10倍、今期予想配当利回り(会社予想の80円で算出)は約2.7%、前期実績連結PBR(前期実績連結BPS3311円24銭で算出)は約0.9倍、時価総額は約847億円である。
(情報提供:日 本インタビュ新聞社=Media−IR)
http://media-ir.com/news/
[06月30日更新]

加賀電子は上値試す、22年3月期営業・経常増益予想

 加賀電子<8154>(東1)は独立系の大手エレクトロニクス商社である。M&Aも積極活用して規模拡大と高収益化を推進している。電子部品やEMSの需要が回復基調であり、22年3月期も営業・経常増益予想としている。商社ビジネスとEMSビジネスのシナジー効果で収益拡大基調を期待したい。株価は急伸した年初来高値圏から利益確定売りで一旦反落したが、自律調整を交えながら上値を試す展開を期待したい。

■独立系の大手エレクトロニクス商社

 独立系の大手エレクトロニクス商社で、半導体・電子部品・情報機器等の商社ビジネス、および電装基板製造受託サービスのEMSビジネスを展開している。

 富士通エレクトロニクスを19年1月に子会社化(富士通セミコンダクターから株式70%取得、20年12月28日付で社名を加賀FEIに変更)した。さらに20年12月に15%、21年12月に15%を段階的に追加取得して、22年1月に完全子会社化予定である。

 21年3月期のセグメント別売上高構成比は、電子部品事業(半導体、電子部品、EMS)84%、情報機器事業(パソコン・周辺機器、各種家電、写真・映像関連商品)11%、ソフトウェア事業(CGアニメ映像制作、アミューズメント関連商品)1%、その他事業(エレクトロニクス機器修理、アミューズメント機器製造販売、スポーツ用品販売など)4%、営業利益(調整前)構成比は電子部品事業72%、情報機器事業22%、ソフトウェア事業2%、その他事業4%だった。

■商社ビジネスとEMSビジネスのシナジーで収益性向上目指す

 中期経営計画2021では、基本方針に収益基盤強化、経営基盤安定化、新規事業創出、経営目標値に22年3月期(為替前提1米ドル=110円)の売上高5000億円、営業利益130億円、ROE8%以上を掲げている。株主還元は連結配当性向25〜35%を確保しつつ安定的な配当を実施する方針だ。

 中計に沿ったセグメント区分を電子部品事業、EMS事業、CSI事業(情報機器事業)、その他事業(ソフトウェア事業、その他事業)とする。21年3月期売上構成比は電子部品事業62%、EMS事業24%、CSI事業11%、その他事業3%、営業利益構成比は電子部品事業26%、EMS事業48%、CSI事業22%、その他事業3%だった。

 加賀FEI(旧:富士通エレクトロニクス)を子会社化し、商材の拡大や顧客基盤の共有によって、電子部品事業における業界NO.1規模を目指している。短期的な目標は商社ビジネスの量的拡大だが、中期的な目標として商社ビジネスとEMSビジネスのシナジーによる収益性向上(利益額の拡大と利益率の向上)を目指す。

 収益基盤強化では、成長分野(車載、通信、環境、産業機器、医療・ヘルスケア)への取り組み、EMSビジネスおよび海外ビジネスの強化・拡大を推進する。経営基盤安定化では、加賀EFIをグループ化した後の効率性および財務健全性の早期改善に向けて、グループ横断的なコスト削減、組織体制整備によるグループ経営効率化、コーポレートガバナンス強化を推進する。新規事業創出ではM&Aも積極活用して、保育・福祉・介護等の社会課題ビジネスや素材ビジネスへの取り組み、ベンチャー投資によるオープンイノベーションを推進する。

 EMSビジネスでは18年以降に稼働した新拠点のメキシコ、ベトナム、トルコ、インド、福島新工場、タイ第2工場が順次、収益寄与している。20年12月には中国内陸部におけるEMS事業の生産能力強化に向けて、湖北省孝感市に新工場(湖北加賀電子有限公司孝感工場)を竣工した。今後は車載、産業機械、空調、医療・ヘルスケア分野を成長ドライバーとして事業拡大を推進する。

 さらに「グローバル競争に勝ち残る企業」を目指してM&A戦略を加速している。19年10月パイオニアの製造子会社である十和田パイオニアを子会社化して商号を加賀EMS十和田に変更、20年4月エレクトロニクス商社のエクセルを子会社化、20年11月旭東電気(20年4月民事再生法適用申請)から新設分割された新:旭東電気を子会社化した。

 なお21年4月1日付でSDGs委員会を設置した。従前より取り組んできたCSRならびにESGへの対応を深化させ、グループ全体で横断的にサステナビリティ経営を推進する。

■ベンチャー投資でイノベーション創出を支援

 創立50周年を記念して設立した「50億円ファンド」を通じてベンチャー投資を行い、イノベーション創出を支援している。

 出資実績としては、ウェアラブルコミュニケーションデバイス開発のBONX、前立腺癌生検および治療用システム開発の米HARMONUS、スマートセキュリティサービスのSecual、ソフトバンクグループで保育クラウドサービスを展開するhugmo、AIソフトウェア開発のハカルス、次世代蓄電デバイス「グリーンキャパシタTM」開発のスペースリンク、動画CM配信プラットフォーム事業やデジタルサイネージ事業のCMerTV、DX(デジタルトランスフォーメーション)に向けたソリューション事業を展開するSun Asteriskなどがある。

 20年5月にはライブ配信アプリ「17Live」などアジア圏中心にソーシャルメディアを展開する台湾のM17に出資、20年6月には医療機器開発ベンチャーのニューロシューティカルズ(NCI)に出資、20年8月にはシェアリングプラットフォーム「Akice.style」を運営するレンタルサービスベンチャーのピーステックラボ(PTL)に出資した。

 20年10月には、独自開発の光触媒技術を活用して各種環境製品を展開するカルテック(子会社化したエクセルがスタートアップ資金を出資)と、光触媒除菌脱臭機「TURNED K」の販売および製造に関わる部品調達で協業した。20年12月には、オンライン診療システム「D―CUBE」などオンライン健康支援事業を展開するリンケージに出資した。

 さらに、21年5月には株式投資型クラウドファンディング事業者の日本クラウドキャピタルに出資、21年6月にはAI関連技術を開発するカタリナに出資した。

■22年3月期も営業・経常増益予想

 22年3月期の連結業績予想は、売上高が21年3月期比11.3%増の4700億円、営業利益が13.4%増の130億円、経常利益が6.7%増の120億円、親会社株主帰属当期純利益が29.8%減の80億円としている。配当予想は21年3月期と同額の80円(第2四半期末40円、期末40円)である。

 当期純利益は負ののれん発生益が剥落して減益だが、電子部品やEMSの需要が回復基調であり、増収、営業・経常増益予想としている。セグメント別の利益計画は、電子部品事業が21.5%増益、情報機器事業が7.3%減益、ソフトウェア事業が13.9%増益、その他事業が5.4%増益としている。商社ビジネスとEMSビジネスのシナジー効果で収益拡大基調を期待したい。

■株価は上値試す

 株価は急伸した年初来高値圏から利益確定売りで一旦反落したが、自律調整を交えながら上値を試す展開を期待したい。6月29日の終値は2919円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS291円20銭で算出)は約10倍、今期予想配当利回り(会社予想の80円で算出)は約2.7%、前期実績連結PBR(前期実績連結BPS3311円24銭で算出)は約0.9倍、時価総額は約838億円である。
(情報提供:日 本インタビュ新聞社=Media−IR)
http://media-ir.com/news/
[05月31日更新]

加賀電子は上値試す、22年3月期も営業・経常増益予想

 加賀電子<8154>(東1)は独立系の大手エレクトロニクス商社である。M&Aも積極活用して規模拡大と高収益化を推進している。21年3月期は電子部品需要が想定以上に回復し、従来の営業・経常減益予想から一転して2桁営業・経常増益で着地した。配当も上方修正して増配とした。さらに22年3月期も営業・経常増益予想としている。収益拡大を期待したい。株価は急伸して年初来高値更新の展開だ。目先的には過熱感で利益確定売りが優勢になる可能性もあるが、自律調整を交えながら上値を試す展開を期待したい。

■独立系の大手エレクトロニクス商社

 独立系の大手エレクトロニクス商社で、半導体・電子部品・情報機器等の商社ビジネス、および電装基板製造受託サービスのEMSビジネスを展開している。

 富士通エレクトロニクスを19年1月に子会社化(富士通セミコンダクターから株式70%取得、20年12月28日付で社名を加賀FEIに変更)した。さらに20年12月に15%、21年12月に15%を段階的に追加取得して、22年1月に完全子会社化予定である。

 21年3月期のセグメント別売上高構成比は、電子部品事業(半導体、電子部品、EMS)84%、情報機器事業(パソコン・周辺機器、各種家電、写真・映像関連商品)11%、ソフトウェア事業(CGアニメ映像制作、アミューズメント関連商品)1%、その他事業(エレクトロニクス機器修理、アミューズメント機器製造販売、スポーツ用品販売など)4%、営業利益(調整前)構成比は電子部品事業72%、情報機器事業22%、ソフトウェア事業2%、その他事業4%だった。

■商社ビジネスとEMSビジネスのシナジーで収益性向上目指す

 中期経営計画2021では、基本方針に収益基盤強化、経営基盤安定化、新規事業創出、経営目標値に22年3月期(為替前提1米ドル=110円)の売上高5000億円、営業利益130億円、ROE8%以上を掲げている。株主還元は連結配当性向25〜35%を確保しつつ安定的な配当を実施する方針だ。

 中計に沿ったセグメント区分を電子部品事業、EMS事業、CSI事業(情報機器事業)、その他事業(ソフトウェア事業、その他事業)とする。21年3月期売上構成比は電子部品事業62%、EMS事業24%、CSI事業11%、その他事業3%、営業利益構成比は電子部品事業26%、EMS事業48%、CSI事業22%、その他事業3%だった。

 加賀FEI(旧:富士通エレクトロニクス)を子会社化し、商材の拡大や顧客基盤の共有によって、電子部品事業における業界NO.1規模を目指している。現状は加賀FEIの利益水準が低いため、短期的な目標は商社ビジネスの量的拡大だが、中期的な目標として、商社ビジネスとEMSビジネスのシナジーによる収益性向上(利益額の拡大と利益率の向上)を目指す。

 収益基盤強化では、成長分野(車載、通信、環境、産業機器、医療・ヘルスケア)への取り組み、EMSビジネスおよび海外ビジネスの強化・拡大を推進する。経営基盤安定化では、加賀EFIをグループ化した後の効率性および財務健全性の早期改善に向けて、グループ横断的なコスト削減、組織体制整備によるグループ経営効率化、コーポレートガバナンス強化を推進する。新規事業創出ではM&Aも積極活用して、保育・福祉・介護等の社会課題ビジネスや素材ビジネスへの取り組み、ベンチャー投資によるオープンイノベーションを推進する。

 EMSビジネスでは18年以降に稼働した新拠点のメキシコ、ベトナム、トルコ、インド、福島新工場、タイ第2工場が順次、収益寄与している。20年12月には中国内陸部におけるEMS事業の生産能力強化に向けて、湖北省孝感市に新工場(湖北加賀電子有限公司孝感工場)を竣工した。今後は車載、産業機械、空調、医療・ヘルスケア分野を成長ドライバーとして事業拡大を推進する。

 さらに「グローバル競争に勝ち残る企業」を目指してM&A戦略を加速している。19年10月パイオニアの製造子会社である十和田パイオニアを子会社化して商号を加賀EMS十和田に変更、20年4月エレクトロニクス商社のエクセルを子会社化、20年11月旭東電気(20年4月民事再生法適用申請)から新設分割された新:旭東電気を子会社化した。

 ベンチャー投資としては、ウェアラブルコミュニケーションデバイス開発のBONX、前立腺癌生検および治療用システム開発の米HARMONUS、スマートセキュリティサービスのSecual、ソフトバンクグループで保育クラウドサービスを展開するhugmo、AIソフトウェア開発のハカルス、次世代蓄電デバイス「グリーンキャパシタTM」開発のスペースリンク、動画CM配信プラットフォーム事業やデジタルサイネージ事業のCMerTV、DX(デジタルトランスフォーメーション)に向けたソリューション事業を展開するSun Asteriskなどに出資している。

 20年5月にはライブ配信アプリ「17Live」などアジア圏中心にソーシャルメディアを展開する台湾のM17に出資、20年6月には医療機器開発ベンチャーのニューロシューティカルズ(NCI)に出資、20年8月にはシェアリングプラットフォーム「Akice.style」を運営するレンタルサービスベンチャーのピーステックラボ(PTL)に出資した。

 20年10月には、独自開発の光触媒技術を活用して各種環境製品を展開するスタートアップ企業のカルテック(子会社化したエクセルがスタートアップ資金を出資)と、光触媒除菌脱臭機「TURNED K」の販売および製造に関わる部品調達で協業した。20年12月には、オンライン診療システム「D―CUBE」などオンライン健康支援事業を展開するリンケージに出資した。

 なお21年4月1日付でSDGs委員会を設置した。従前より取り組んできたCSRならびにESGへの対応を深化させ、グループ全体で横断的にサステナビリティ経営を推進する。

■21年3月期2桁営業・経常増益着地、22年3月期も営業・経常増益予想

 21年3月期の連結業績は、売上高が20年3月期比4.8%減の4223億65百万円、営業利益が14.5%増の114億67百万円、経常利益が10.9%増の112億41百万円、親会社株主帰属当期純利益が94.8%増の113億99百万円だった。配当は10円増配の80円(第2四半期末30円、期末50円=普通配当30円+特別配当20円)とした。

 売上高は主要取引先との代理店契約解消の影響が残り減収だが、電子部品需要が想定以上に回復し、従来の営業・経常減益予想から一転して2桁営業・経常増益で着地した。セグメント別利益は電子部品事業が8.6%増益、情報機器事業が45.3%増益、ソフトウェア事業が11.4%増益、その他事業が4.9%増益だった。特別利益には負ののれん発生益79億63百万円を計上した。

 四半期別に見ると、第1四半期は売上高841億30百万円で営業利益16億56百万円、第2四半期は売上高1047億29百万円で営業利益27億78百万円、第3四半期は売上高1054億07百万円で営業利益30億83百万円、第4四半期は売上高1280億99百万円で営業利益39億50百万円だった。回復ペースが加速している。

 22年3月期の連結業績予想は、売上高が21年3月期比11.3%増の4700億円、営業利益が13.4%増の130億円、経常利益が6.7%増の120億円、親会社株主帰属当期純利益が29.8%減の80億円としている。配当予想は21年3月期と同額の80円(第2四半期末40円、期末40円)である。

 当期純利益は負ののれん発生益が剥落して減益だが、電子部品やEMSの需要が回復基調であり、増収、営業・経常増益予想としている。セグメント別の利益計画は、電子部品事業が21.5%増益、情報機器事業が7.3%減益、ソフトウェア事業が13.9%増益、その他事業が5.4%増益としている。収益拡大を期待したい。

■株価は上値試す

 株価は好業績を評価する形で急伸して年初来高値更新の展開だ。目先的には過熱感で利益確定売りが優勢になる可能性もあるが、自律調整を交えながら上値を試す展開を期待したい。5月28日の終値は2872円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS291円20銭で算出)は約10倍、今期予想配当利回り(会社予想の80円で算出)は約2.8%、前期実績連結PBR(前期実績連結BPS3311円24銭で算出)は約0.9倍、時価総額は約824億円である。(情報提供:日 本インタビュ新聞社=Media−IR)
[04月19日更新]

加賀電子は切り返しの動き、22年3月期収益拡大期待

 加賀電子<8154>(東1)は独立系の大手エレクトロニクス商社である。M&Aも積極活用して規模拡大と高収益化を推進している。また4月1日にはSDGs委員会を設置した。グループ全体でサステナビリティ経営を推進する。21年3月期は営業・経常減益予想だが、需要が回復基調であり、3回目の上方修正の可能性が高いだろう。さらに22年3月期の収益拡大を期待したい。株価は3月の年初来高値圏から反落したが切り返しの動きを強めている。自律調整を交えながら上値を試す展開を期待したい。

■独立系の大手エレクトロニクス商社

 独立系の大手エレクトロニクス商社で、半導体・電子部品・情報機器等の商社ビジネス、および電装基板製造受託サービスのEMSビジネスを展開している。

 富士通エレクトロニクスを19年1月に子会社化(富士通セミコンダクターから株式70%取得、20年12月28日付で社名を加賀FEIに変更)した。さらに20年12月に15%、21年12月に15%を段階的に追加取得して、22年1月に完全子会社化予定である。

 20年3月期のセグメント別売上高構成比は、電子部品事業(半導体、電子部品、EMS)85%、情報機器事業(パソコン・周辺機器、各種家電、写真・映像関連商品)10%、ソフトウェア事業(CGアニメ映像制作、アミューズメント関連商品)1%、その他事業(エレクトロニクス機器修理、アミューズメント機器製造販売、スポーツ用品販売など)4%、営業利益(調整前)構成比は電子部品事業76%、情報機器事業17%、ソフトウェア事業2%、その他事業5%だった。

■商社ビジネスとEMSビジネスのシナジーで収益性向上目指す

 中期経営計画2021では、基本方針に収益基盤強化、経営基盤安定化、新規事業創出、経営目標値に22年3月期(為替前提1米ドル=110円)の売上高5000億円、営業利益130億円、ROE8%以上を掲げている。株主還元は連結配当性向25〜35%を確保しつつ安定的な配当を実施する方針だ。

 なお中計に沿ったセグメント区分を電子部品事業、EMS事業、CSI事業(情報機器事業)、その他事業(ソフトウェア事業、その他事業)とする。20年3月期の売上構成比は電子部品事業66%、EMS事業21%、CSI事業10%、その他事業3%となる。22年3月期目標売上高5000億円の構成比は電子部品60%、EMS28%、CSI10%、その他2%としている。

 加賀FEI(旧:富士通エレクトロニクス)を子会社化し、商材の拡大や顧客基盤の共有によって、電子部品事業における業界NO.1規模を目指している。現状は加賀FEIの利益水準が低いため、短期的な目標は商社ビジネスの量的拡大だが、中期的な目標として、商社ビジネスとEMSビジネスのシナジーによる収益性向上(利益額の拡大と利益率の向上)を目指す。

 収益基盤強化では、成長分野(車載、通信、環境、産業機器、医療・ヘルスケア)への取り組み、EMSビジネスおよび海外ビジネスの強化・拡大を推進する。経営基盤安定化では、加賀EFIをグループ化した後の効率性および財務健全性の早期改善に向けて、グループ横断的なコスト削減、組織体制整備によるグループ経営効率化、コーポレートガバナンス強化を推進する。新規事業創出ではM&Aも積極活用して、保育・福祉・介護等の社会課題ビジネスや素材ビジネスへの取り組み、ベンチャー投資によるオープンイノベーションを推進する。

 EMSビジネスでは18年以降に稼働した新拠点のメキシコ、ベトナム、トルコ、インド、福島新工場、タイ第2工場が順次、収益寄与している。20年12月には中国内陸部におけるEMS事業の生産能力強化に向けて、湖北省孝感市に新工場(湖北加賀電子有限公司孝感工場)を竣工した。今後は車載、産業機械、空調、医療・ヘルスケア分野を成長ドライバーとして事業拡大を推進する。

 さらに「グローバル競争に勝ち残る企業」を目指してM&A戦略を加速している。19年10月パイオニアの製造子会社である十和田パイオニアを子会社化して商号を加賀EMS十和田に変更、20年4月エレクトロニクス商社のエクセルを子会社化、20年11月旭東電気(20年4月民事再生法適用申請)から新設分割された新:旭東電気を子会社化した。

 ベンチャー投資としては、ウェアラブルコミュニケーションデバイス開発のBONX、前立腺癌生検および治療用システム開発の米HARMONUS、スマートセキュリティサービスのSecual、ソフトバンクグループで保育クラウドサービスを展開するhugmo、AIソフトウェア開発のハカルス、次世代蓄電デバイス「グリーンキャパシタTM」開発のスペースリンク、動画CM配信プラットフォーム事業やデジタルサイネージ事業のCMerTV、DX(デジタルトランスフォーメーション)に向けたソリューション事業を展開するSun Asteriskなどに出資している。

 20年5月にはライブ配信アプリ「17Live」などアジア圏中心にソーシャルメディアを展開する台湾のM17に出資、20年6月には医療機器開発ベンチャーのニューロシューティカルズ(NCI)に出資、20年8月にはシェアリングプラットフォーム「Akice.style」を運営するレンタルサービスベンチャーのピーステックラボ(PTL)に出資した。

 20年10月には、独自開発の光触媒技術を活用して各種環境製品を展開するスタートアップ企業のカルテック(子会社化したエクセルがスタートアップ資金を出資)と、光触媒除菌脱臭機「TURNED K」の販売および製造に関わる部品調達で協業した。20年12月には、オンライン診療システム「D―CUBE」などオンライン健康支援事業を展開するリンケージに出資した。

 なお21年4月1日付でSDGs委員会を設置した。従前より取り組んできたCSRならびにESGへの対応を深化させ、グループ全体で横断的にサステナビリティ経営を推進する。

■21年3月期は3回目の上方修正の可能性、22年3月期収益拡大期待

 21年3月期連結業績予想(期初時点では未定、8月6日公表、11月5日に売上高・営業利益・経常利益を上方修正、2月4日に売上高・各利益を上方修正)は、売上高が20年3月期比6.5%減の4150億円、営業利益が10.1%減の90億円、経常利益が16.1%減の85億円、親会社株主帰属当期純利益が79.4%増の105億円としている。配当予想(2月4日に期末10円上方修正)は20年3月期と同額の70円(第2四半期末30円、期末30円)である。

 第3四半期累計は、売上高が前年比13.1%減の2942億66百万円、営業利益が2.8%減の75億17百万円、経常利益が9.3%減の72億30百万円だった。売上総利益率は11.4%で1.0ポイント上昇した。四半期純利益はエクセル買収に伴う負ののれん益79億63百万円を計上して2.6倍の127億28百万円だった。

 電子部品事業は16.0%減収で15.6%減益だった。エクセルの新規連結が寄与したが、加賀FEIにおける大口商権(Cypress社代理店契約)の解消、新型コロナウイルス影響によるEMSビジネス需要減少で減収減益だった。情報機器事業は13.9%増収で2.1倍増益だった。テレワークやオンライン教育でPC・PC周辺機器・セキュリティソフトの需要が拡大した。ソフトウェア事業は12.1%増収で12倍増益だった。巣ごもり消費でゲームソフトなどの開発受注が増加した。

 中計セグメント別の業績は、電子部品が20.5%減収で43.6%減益、EMSが0.7%減収で12.6%増益、CSIが13.9%増収で2.1倍増益、その他が14.6%減収で68.2%減益だった。

 なお四半期別に見ると、第1四半期は売上高841億30百万円で営業利益が16億56百万円、第2四半期は売上高1047億29百万円で営業利益27億78百万円、第3四半期は売上高1054億06百万円で営業利益30億82百万円だった。

 第2四半期から需要が回復傾向となり、販売ミックス良化による粗利益率改善も寄与して、第3四半期は前年第3四半期(売上高1081億71百万円で営業利益24億93百万円)に対して営業増益(23.7%増益)に転じた。

 通期の連結業績予想は、第3四半期累計が社内計画に対して上振れた分を上乗せして、売上高・各利益を上方修正している。売上高・営業利益・経常利益は2回目の上方修正で、従来予想に比べて営業・経常減益幅が縮小する見込みとしている。

 修正後の通期予想に対する第3四半期累計の進捗率は売上高が70.9%、営業利益が83.5%、経常利益が85.1%、純利益が121.2%である。需要が回復基調であり、通期予想は3回目の上方修正の可能性が高いだろう。さらに22年3月期の収益拡大を期待したい。

 なお3月19日に米国子会社における資金流出事案(事案発生日21年2月、損失見込額最大約5億円)を公表している。犯罪に巻き込まれた可能性が高いと判断し、流出した資金の保全・回収手続きに全力を尽くすとしている。

■株価は切り返しの動き

 株価は3月の年初来高値圏から反落したが切り返しの動きを強めている。自律調整を交えながら上値を試す展開を期待したい。4月16日の終値は2538円、前期推定連結PER(会社予想の連結EPS382円30銭で算出)は約7倍、前期推定配当利回り(会社予想の70円で算出)は約2.8%、前々期実績連結PBR(前々期実績の連結BPS2850円99銭で算出)は約0.9倍、時価総額は約728億円である。(情報提供:日 本インタビュ新聞社=Media−IR)
[03月16日更新]

加賀電子は昨年来高値を更新、21年3月期は3回目の上方修正の可能性

 加賀電子<8154>(東1)は独立系の大手エレクトロニクス商社である。M&Aも積極活用して規模拡大と高収益化を推進している。21年3月期は営業・経常減益予想だが、第3四半期が営業増益に転じ、通期営業・経常利益予想を上方修正(2回目)している。需要が回復基調であり、通期予想は3回目の上方修正の可能性が高いだろう。株価は急伸して昨年来高値を更新した。自律調整を交えながら上値を試す展開を期待したい。

■独立系の大手エレクトロニクス商社

 独立系の大手エレクトロニクス商社で、半導体・電子部品・情報機器等の商社ビジネス、および電装基板製造受託サービスのEMSビジネスを展開している。

 富士通エレクトロニクスを19年1月に子会社化(富士通セミコンダクターから株式70%取得、20年12月28日付で社名を加賀FEIに変更)した。さらに20年12月に15%、21年12月に15%を段階的に追加取得して、22年1月に完全子会社化予定である。

 20年3月期のセグメント別売上高構成比は、電子部品事業(半導体、電子部品、EMS)85%、情報機器事業(パソコン・周辺機器、各種家電、写真・映像関連商品)10%、ソフトウェア事業(CGアニメ映像制作、アミューズメント関連商品)1%、その他事業(エレクトロニクス機器修理、アミューズメント機器製造販売、スポーツ用品販売など)4%、営業利益(調整前)構成比は電子部品事業76%、情報機器事業17%、ソフトウェア事業2%、その他事業5%だった。

■商社ビジネスとEMSビジネスのシナジーで収益性向上目指す

 中期経営計画2021では、基本方針に収益基盤強化、経営基盤安定化、新規事業創出、経営目標値に22年3月期(為替前提1米ドル=110円)の売上高5000億円、営業利益130億円、ROE8%以上を掲げている。株主還元は連結配当性向25〜35%を確保しつつ安定的な配当を実施する方針だ。

 なお中計に沿ったセグメント区分を電子部品事業、EMS事業、CSI事業(情報機器事業)、その他事業(ソフトウェア事業、その他事業)とする。20年3月期の売上構成比は電子部品事業66%、EMS事業21%、CSI事業10%、その他事業3%となる。22年3月期目標売上高5000億円の構成比は電子部品60%、EMS28%、CSI10%、その他2%としている。

 加賀FEI(旧:富士通エレクトロニクス)を子会社化し、商材の拡大や顧客基盤の共有によって、電子部品事業における業界NO.1規模を目指している。現状は加賀FEIの利益水準が低いため、短期的な目標は商社ビジネスの量的拡大だが、中期的な目標として、商社ビジネスとEMSビジネスのシナジーによる収益性向上(利益額の拡大と利益率の向上)を目指す。

 収益基盤強化では、成長分野(車載、通信、環境、産業機器、医療・ヘルスケア)への取り組み、EMSビジネスおよび海外ビジネスの強化・拡大を推進する。経営基盤安定化では、加賀EFIをグループ化した後の効率性および財務健全性の早期改善に向けて、グループ横断的なコスト削減、組織体制整備によるグループ経営効率化、コーポレートガバナンス強化を推進する。新規事業創出ではM&Aも積極活用して、保育・福祉・介護等の社会課題ビジネスや素材ビジネスへの取り組み、ベンチャー投資によるオープンイノベーションを推進する。

 EMSビジネスでは18年以降に稼働した新拠点のメキシコ、ベトナム、トルコ、インド、福島新工場、タイ第2工場が順次、収益寄与している。20年12月には中国内陸部におけるEMS事業の生産能力強化に向けて、湖北省孝感市に新工場(湖北加賀電子有限公司孝感工場)を竣工した。今後は車載、産業機械、空調、医療・ヘルスケア分野を成長ドライバーとして事業拡大を推進する。

 さらに「グローバル競争に勝ち残る企業」を目指してM&A戦略を加速している。19年10月にはパイオニアの製造子会社である十和田パイオニアを子会社化(商号を加賀EMS十和田に変更)した。20年4月にはエレクトロニクス商社のエクセルを子会社化した。20年11月には旭東電気(20年4月民事再生法適用申請)から新設分割された新:旭東電気を子会社化した。

 ベンチャー投資としては、ウェアラブルコミュニケーションデバイス開発のBONX、前立腺癌生検および治療用システム開発の米HARMONUS、スマートセキュリティサービスのSecual、ソフトバンクグループで保育クラウドサービスを展開するhugmo、AIソフトウェア開発のハカルス、次世代蓄電デバイス「グリーンキャパシタTM」開発のスペースリンク、動画CM配信プラットフォーム事業やデジタルサイネージ事業のCMerTV、DX(デジタルトランスフォーメーション)に向けたソリューション事業を展開するSun Asteriskなどに出資している。

 20年5月にはライブ配信アプリ「17Live」などアジア圏中心にソーシャルメディアを展開する台湾のM17に出資、20年6月には医療機器開発ベンチャーのニューロシューティカルズ(NCI)に出資、20年8月にはシェアリングプラットフォーム「Akice.style」を運営するレンタルサービスベンチャーのピーステックラボ(PTL)に出資した。

 20年10月には、独自開発の光触媒技術を活用して各種環境製品を展開するスタートアップ企業のカルテック(子会社化したエクセルがスタートアップ資金を出資)と、光触媒除菌脱臭機「TURNED K」の販売および製造に関わる部品調達で協業した。20年12月には、オンライン診療システム「D―CUBE」などオンライン健康支援事業を展開するリンケージに出資した。

■21年3月期連結業績予想は3回目の上方修正の可能性

 21年3月期連結業績予想(期初時点では未定、8月6日公表、11月5日に売上高・営業利益・経常利益を上方修正、2月4日に売上高・各利益を上方修正)は、売上高が20年3月期比6.5%減の4150億円、営業利益が10.1%減の90億円、経常利益が16.1%減の85億円、当期純利益が79.4%増の105億円、配当予想(2月4日に期末10円上方修正)は20年3月期と同額の70円(第2四半期末30円、期末30円)としている。

 第3四半期累計は、売上高が前年比13.1%減の2942億66百万円、営業利益が2.8%減の75億17百万円、経常利益が9.3%減の72億30百万円だった。売上総利益率は11.4%で1.0ポイント上昇した。四半期純利益はエクセル買収に伴う負ののれん益79億63百万円を計上して2.6倍の127億28百万円だった。

 電子部品事業は16.0%減収で15.6%減益だった。エクセルの新規連結が寄与したが、加賀FEIにおける大口商権(Cypress社代理店契約)の解消、新型コロナウイルス影響によるEMSビジネス需要減少で減収減益だった。情報機器事業は13.9%増収で2.1倍増益だった。テレワークやオンライン教育でPC・PC周辺機器・セキュリティソフトの需要が拡大した。ソフトウェア事業は12.1%増収で12倍増益だった。巣ごもり消費でゲームソフトなどの開発受注が増加した。

 中計セグメント別の業績は、電子部品が20.5%減収で43.6%減益、EMSが0.7%減収で12.6%増益、CSIが13.9%増収で2.1倍増益、その他が14.6%減収で68.2%減益だった。

 なお四半期別に見ると、第1四半期は売上高841億30百万円で営業利益が16億56百万円、第2四半期は売上高1047億29百万円で営業利益27億78百万円、第3四半期は売上高1054億06百万円で営業利益30億82百万円だった。

 第2四半期から需要が回復傾向となり、販売ミックス良化による粗利益率改善も寄与して、第3四半期は前年第3四半期(売上高1081億71百万円で営業利益24億93百万円)に対して営業増益(23.7%増益)に転じた。

 通期の連結業績予想は、第3四半期累計が社内計画に対して上振れた分を上乗せして、売上高・各利益を上方修正している。売上高・営業利益・経常利益は2回目の上方修正で、従来予想に比べて営業・経常減益幅が縮小する見込みとしている。

 修正後の通期予想に対する第3四半期累計の進捗率は売上高が70.9%、営業利益が83.5%、経常利益が85.1%、純利益が121.2%である。需要が回復基調であり、通期予想は3回目の上方修正の可能性が高いだろう。

■株価は昨年来高値を更新

 株価は急伸して昨年来高値を更新した。自律調整を交えながら上値を試す展開を期待したい。3月15日の終値は2653円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS382円30銭で算出)は約7倍、今期予想配当利回り(会社予想の70円で算出)は約2.6%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS2850円99銭で算出)は約0.9倍、時価総額は約761億円である。(情報提供:日 本インタビュ新聞社=Media−IR)
[02月24日更新]

加賀電子は上値試す、21年3月期は3回目の上方修正の可能性

 加賀電子<8154>(東1)は独立系の大手エレクトロニクス商社である。M&Aも積極活用して規模拡大と高収益化を推進している。21年3月期第3四半期が営業増益に転じ、通期連結業績予想と配当予想を上方修正した。売上高・営業利益・経常利益は2回目の上方修正である。需要が回復基調であり、通期3回目の上方修正の可能性が高いだろう。株価は戻り高値圏から一旦反落したが、自律調整を交えながら上値を試す展開を期待したい。

■独立系の大手エレクトロニクス商社

 独立系の大手エレクトロニクス商社で、半導体・電子部品・情報機器等の商社ビジネス、および電装基板製造受託サービスのEMSビジネスを展開している。

 富士通エレクトロニクスを19年1月に子会社化(富士通セミコンダクターから株式70%取得)した。さらに20年12月15%、21年12月15%を段階的に追加取得し、22年1月完全子会社化予定である。なお20年12月28日付で富士通エレクトロニクスの社名を加賀FEIに変更した。

 20年3月期のセグメント別売上高構成比は、電子部品事業(半導体、電子部品、EMS)85%、情報機器事業(パソコン・周辺機器、各種家電、写真・映像関連商品)10%、ソフトウェア事業(CGアニメ映像制作、アミューズメント関連商品)1%、その他事業(エレクトロニクス機器修理、アミューズメント機器製造販売、スポーツ用品販売など)4%、営業利益(調整前)構成比は電子部品事業76%、情報機器事業17%、ソフトウェア事業2%、その他事業5%だった。

■商社ビジネスとEMSビジネスのシナジーで収益性向上目指す

 中期経営計画2021では、基本方針に収益基盤強化、経営基盤安定化、新規事業創出、経営目標値に22年3月期(為替前提1米ドル=110円)の売上高5000億円、営業利益130億円、ROE8%以上を掲げている。株主還元は連結配当性向25〜35%を確保しつつ安定的な配当を実施する方針だ。

 なお中計に沿ったセグメント区分を電子部品事業、EMS事業、CSI事業(情報機器事業)、その他事業(ソフトウェア事業、その他事業)とする。20年3月期の売上構成比は電子部品事業66%、EMS事業21%、CSI事業10%、その他事業3%となる。22年3月期目標売上高5000億円の構成比は電子部品60%、EMS28%、CSI10%、その他2%としている。

 加賀FEI(旧:富士通エレクトロニクス)を子会社化し、商材の拡大や顧客基盤の共有によって、電子部品事業における業界NO.1規模を目指している。現状は加賀FEIの利益水準が低いため、短期的な目標は商社ビジネスの量的拡大だが、中期的な目標として、商社ビジネスとEMSビジネスのシナジーによる収益性向上(利益額の拡大と利益率の向上)を目指す。

 収益基盤強化では、成長分野(車載、通信、環境、産業機器、医療・ヘルスケア)への取り組み、EMSビジネスおよび海外ビジネスの強化・拡大を推進する。経営基盤安定化では、加賀EFIをグループ化した後の効率性および財務健全性の早期改善に向けて、グループ横断的なコスト削減、組織体制整備によるグループ経営効率化、コーポレートガバナンス強化を推進する。新規事業創出ではM&Aも積極活用して、保育・福祉・介護等の社会課題ビジネスや素材ビジネスへの取り組み、ベンチャー投資によるオープンイノベーションを推進する。

 EMSビジネスでは18年以降に稼働した新拠点のメキシコ、ベトナム、トルコ、インド、福島新工場、タイ第2工場が順次、収益寄与している。20年12月には中国内陸部におけるEMS事業の生産能力強化に向けて、湖北省孝感市に新工場(湖北加賀電子有限公司孝感工場)を竣工した。今後は車載、産業機械、空調、医療・ヘルスケア分野を成長ドライバーとして事業拡大を推進する。

 さらに「グローバル競争に勝ち残る企業」を目指してM&A戦略を加速している。19年10月にはパイオニアの製造子会社である十和田パイオニアを子会社化(商号を加賀EMS十和田に変更)した。20年4月にはエレクトロニクス商社のエクセルを子会社化した。20年11月には旭東電気(20年4月民事再生法適用申請)から新設分割された新:旭東電気を子会社化した。

 ベンチャー投資としては、ウェアラブルコミュニケーションデバイス開発のBONX、前立腺癌生検および治療用システム開発の米HARMONUS、スマートセキュリティサービスのSecual、ソフトバンクグループで保育クラウドサービスを展開するhugmo、AIソフトウェア開発のハカルス、次世代蓄電デバイス「グリーンキャパシタTM」開発のスペースリンク、動画CM配信プラットフォーム事業やデジタルサイネージ事業のCMerTV、DX(デジタルトランスフォーメーション)に向けたソリューション事業を展開するSun Asteriskなどに出資している。

 20年5月にはライブ配信アプリ「17Live」などアジア圏中心にソーシャルメディアを展開する台湾のM17に出資、20年6月には医療機器開発ベンチャーのニューロシューティカルズ(NCI)に出資、20年8月にはシェアリングプラットフォーム「Akice.style」を運営するレンタルサービスベンチャーのピーステックラボ(PTL)に出資した。

 20年10月には、独自開発の光触媒技術を活用して各種環境製品を展開するスタートアップ企業のカルテック(子会社化したエクセルがスタートアップ資金を出資)と、光触媒除菌脱臭機「TURNED K」の販売および製造に関わる部品調達で協業した。20年12月には、オンライン診療システム「D―CUBE」などオンライン健康支援事業を展開するリンケージに出資した。

■21年3月期連結業績予想は3回目の上方修正の可能性

 21年3月期連結業績予想(期初時点では未定、8月6日公表、11月5日に売上高・営業利益・経常利益を上方修正、2月4日に売上高・各利益を上方修正)は、売上高が20年3月期比6.5%減の4150億円、営業利益が10.1%減の90億円、経常利益が16.1%減の85億円、当期純利益が79.4%増の105億円としている。配当予想(2月4日に期末10円上方修正)は20年3月期と同額の70円(第2四半期末30円、期末30円)とした。

 第3四半期累計は、売上高が前年比13.1%減の2942億66百万円、営業利益が2.8%減の75億17百万円、経常利益が9.3%減の72億30百万円だった。売上総利益率は11.4%で1.0ポイント上昇した。四半期純利益はエクセル買収に伴う負ののれん益79億63百万円を計上して2.6倍の127億28百万円だった。

 電子部品事業は16.0%減収で15.6%減益だった。エクセルの新規連結が寄与したが、加賀FEIにおける大口商権(Cypress社代理店契約)の解消、新型コロナウイルス影響によるEMSビジネス需要減少で減収減益だった。情報機器事業は13.9%増収で2.1倍増益だった。テレワークやオンライン教育でPC・PC周辺機器・セキュリティソフトの需要が拡大した。ソフトウェア事業は12.1%増収で12倍増益だった。巣ごもり消費でゲームソフトなどの開発受注が増加した。

 中計セグメント別の業績は、電子部品が20.5%減収で43.6%減益、EMSが0.7%減収で12.6%増益、CSIが13.9%増収で2.1倍増益、その他が14.6%減収で68.2%減益だった。

 なお四半期別に見ると、第1四半期は売上高841億30百万円で営業利益が16億56百万円、第2四半期は売上高1047億29百万円で営業利益27億78百万円、第3四半期は売上高1054億06百万円で営業利益30億82百万円だった。

 第2四半期から需要が回復傾向となり、販売ミックス良化による粗利益率改善も寄与して、第3四半期は前年第3四半期(売上高1081億71百万円で営業利益24億93百万円)に対して営業増益(23.7%増益)に転じた。

 通期の連結業績予想は、第3四半期累計が社内計画に対して上振れた分を上乗せして、売上高・各利益を上方修正した。売上高・営業利益・経常利益は2回目の上方修正で、従来予想に比べて営業・経常減益幅が縮小する見込みとしている。

 修正後の通期予想に対する第3四半期累計の進捗率は売上高が70.9%、営業利益が83.5%、経常利益が85.1%、純利益が121.2%である。需要が回復基調であり、通期3回目の上方修正の可能性が高いだろう。

■株価は上値試す

 株価は戻り高値圏から一旦反落したが、自律調整を交えながら上値を試す展開を期待したい。2月22日の終値は2388円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS382円30銭で算出)は約6倍、今期予想配当利回り(会社予想の70円で算出)は約2.9%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS2850円99銭で算出)は約0.8倍、時価総額は約685億円である。(情報提供:日 本インタビュ新聞社=Media−IR)
[01月25日更新]

加賀電子は上値試す、21年3月期連結業績予想は再上振れの可能性

 加賀電子<8154>(東1)は独立系の大手エレクトロニクス商社である。M&Aも積極活用して規模拡大と高収益化を推進している。21年3月期は営業・経常減益予想だが下期を保守的な予想としている。半導体需要が拡大基調であり、車載関連も回復傾向だ。通期予想は再上振れの可能性が高いだろう。株価は戻り高値を更新する場面があった。自律調整を交えながら上値を試す展開を期待したい。なお2月4日に21年3月期第3四半期決算発表を予定している。

■独立系の大手エレクトロニクス商社

 独立系の大手エレクトロニクス商社で、半導体・電子部品・情報機器等の商社ビジネス、および電装基板製造受託サービスのEMSビジネスを展開している。

 富士通エレクトロニクスを19年1月に子会社化(富士通セミコンダクターから株式70%取得)した。さらに20年12月15%、21年12月15%を段階的に追加取得し、22年1月完全子会社化予定である。なお20年12月28日付で富士通エレクトロニクスの社名を加賀FEIに変更した。

 20年3月期のセグメント別売上高構成比は、電子部品事業(半導体、電子部品、EMS)85%、情報機器事業(パソコン・周辺機器、各種家電、写真・映像関連商品)10%、ソフトウェア事業(CGアニメ映像制作、アミューズメント関連商品)1%、その他事業(エレクトロニクス機器修理、アミューズメント機器製造販売、スポーツ用品販売など)4%、営業利益(調整前)構成比は電子部品事業76%、情報機器事業17%、ソフトウェア事業2%、その他事業5%だった。

 20年10月には子会社のデジタル・メディア・ラボが映像制作・ゲーム開発のクリエイターに特化した人材派遣・紹介サービスを開始した。また1月18日には非接触ソリューションの需要に対応した3Dタッチレスディスプレイソリューションの発売を開始した。

 なお大和インベスター・リレーションズ「2020年インターネットIR表彰」において優秀賞を受賞、日興アイ・アール「2020年度全上場企業ホームページ充実度ランキング調査」において2年連続で最優秀サイトに選出された。

■商社ビジネスとEMSビジネスのシナジーで収益性向上目指す

 中期経営計画2021では、基本方針に収益基盤強化、経営基盤安定化、新規事業創出、経営目標値に22年3月期(為替前提1米ドル=110円)の売上高5000億円、営業利益130億円、ROE8%以上を掲げている。株主還元は連結配当性向25〜35%を確保しつつ安定的な配当を実施する方針だ。

 なお中計に沿ったセグメント区分を電子部品事業、EMS事業、CSI事業(情報機器事業)、その他事業(ソフトウェア事業、その他事業)とする。20年3月期の売上構成比は電子部品事業66%、EMS事業21%、CSI事業10%、その他事業3%となる。22年3月期目標売上高5000億円の構成比は電子部品60%、EMS28%、CSI10%、その他2%としている。

 加賀FEI(旧:富士通エレクトロニクス)を子会社化し、商材の拡大や顧客基盤の共有によって、電子部品事業における業界NO.1規模を目指す。現状は加賀FEIの利益水準が低いため、短期的な目標は商社ビジネスの量的拡大だが、中期的な目標として、商社ビジネスとEMSビジネスのシナジーによる収益性向上(利益額の拡大と利益率の向上)を目指す。

 収益基盤強化では、成長分野(車載、通信、環境、産業機器、医療・ヘルスケア)への取り組み、EMSビジネスおよび海外ビジネスの強化・拡大を推進する。経営基盤安定化では、加賀EFIをグループ化した後の効率性および財務健全性の早期改善に向けて、グループ横断的なコスト削減、組織体制整備によるグループ経営効率化、コーポレートガバナンス強化を推進する。新規事業創出ではM&Aも積極活用して、保育・福祉・介護等の社会課題ビジネスや素材ビジネスへの取り組み、ベンチャー投資によるオープンイノベーションを推進する。

 EMSビジネスでは18年以降に稼働した新拠点のメキシコ、ベトナム、トルコ、インドが順次、収益寄与している。19年10月には福島新工場が稼働、19年12月にはタイ第2工場が稼働した。今後は車載、産業機械、空調、医療・ヘルスケア分野を成長ドライバーとして事業拡大を推進する。20年12月には、中国内陸部におけるEMS事業の生産能力強化に向けて、湖北省孝感市に新工場(湖北加賀電子有限公司孝感工場)を竣工した。

 さらに「グローバル競争に勝ち残る企業」を目指してM&A戦略を加速している。19年10月にはパイオニアの製造子会社である十和田パイオニアを子会社化(商号を加賀EMS十和田に変更)した。20年4月にはエレクトロニクス商社のエクセルを子会社化した。20年11月には旭東電気(20年4月民事再生法適用申請)から新設分割された新:旭東電気を子会社化した。

 ベンチャー投資としては、ウェアラブルコミュニケーションデバイス開発のBONX、前立腺癌生検および治療用システム開発の米HARMONUS、スマートセキュリティサービスのSecual、ソフトバンクグループで保育クラウドサービスを展開するhugmo、AIソフトウェア開発のハカルス、次世代蓄電デバイス「グリーンキャパシタTM」開発のスペースリンク、動画CM配信プラットフォーム事業やデジタルサイネージ事業のCMerTV、DX(デジタルトランスフォーメーション)に向けたソリューション事業を展開するSun Asteriskなどに出資している。

 20年5月にはライブ配信アプリ「17Live」などアジア圏中心にソーシャルメディアを展開する台湾のM17に出資、20年6月には医療機器開発ベンチャーのニューロシューティカルズ(NCI)に出資、20年8月にはシェアリングプラットフォーム「Akice.style」を運営するレンタルサービスベンチャーのピーステックラボ(PTL)に出資した。

 20年10月には、独自開発の光触媒技術を活用して各種環境製品を展開するスタートアップ企業のカルテック(子会社化したエクセルがスタートアップ資金を出資)と、光触媒除菌脱臭機「TURNED K」の販売および製造に関わる部品調達で協業した。20年12月には、オンライン診療システム「D―CUBE」などオンライン健康支援事業を展開するリンケージに出資した。

■21年3月期連結業績は再上振れの可能性

 21年3月期の連結業績予想(期初時点では未定、8月6日に公表、11月5日に売上高・営業利益・経常利益を上方修正、純利益は据え置き)は、売上高が20年3月期比7.6%減の4100億円、営業利益が25.1%減の75億円、経常利益が26.0%減の75億円、純利益が70.9%増の100億円としている。配当予想は10円減配の60円(第2四半期末30円、期末30円)としている。20年3月期の配当70円には特別配当10円が含まれているため、普通配当は同額で、特別配当を落とした形となる。

 第2四半期累計は売上高が前年比18.1%減の1888億59百万円、営業利益が15.4%減の44億34百万円、経常利益が21.8%減の43億38百万円、純利益が3.1倍の107億72百万円だった。純利益はエクセル買収に伴う負ののれん発生益(79億63百万円)計上で大幅増益だった。

 情報機器事業がテレワーク需要などで16.1%増収・87.8%増益と大幅伸長したが、電子部品事業が21.5%減収・27.3%減益だった。エクセル連結が寄与したが、加賀EFIにおける大口商権(Cypress社代理店権)の解消に加えて、EMSビジネスにおいて新型コロナウイルス影響で車載関連や空調関連が減少した。

 ただし第2四半期から需要が徐々に回復し、販売ミックス良化による粗利益率改善も寄与して、第2四半期累計ベースで社内計画に対して上振れた。四半期別の営業利益を見ると、第1四半期の16億56百万円に対して、第2四半期は27億78百万円と回復傾向を強めている。

 なお中計セグメント別には、電子部品が25.2%減収で60.0%減益、EMSが8.5%減収で7.9%増益、CSIが16.1%増収で87.8%増益、その他が21.3%減収で72.2%減益だった。

 通期の連結業績予想は、第2四半期累計が社内計画に対して上振れたことを踏まえて、売上高・営業利益・経常利益を上方修正した。従来予想に比べて新型コロナウイルス影響による減収・減益リスクが和らぎ、営業・経常減益幅が縮小する見込みとしている。純利益は構造改革、リスク引当、法人税等の増加を考慮して、従来予想を据え置いた。

 修正後の通期予想に対する第2四半期累計の進捗率は売上高が46.1%、営業利益が59.1%、経常利益が57.8%、純利益が107.7%である。下期を引き続き保守的な予想としているが、テレワーク需要などで情報機器関連が順調であり、電子部品・EMSでは車載関連も回復基調が予想される。通期予想は再上振れの可能性が高いだろう。

■株価は上値試す

 株価は戻り高値を更新する場面があった。自律調整を交えながら上値を試す展開を期待したい。1月22日の終値は2328円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS364円18銭で算出)は約6倍、今期予想配当利回り(会社予想の60円で算出)は約2.6%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS2850円99銭で算出)は約0.8倍、時価総額は約668億円である。(情報提供:日 本インタビュ新聞社=Media−IR)
[12月22日更新]

加賀電子は上値試す、21年3月期連結業績予想は再上振れの可能性

 加賀電子<8154>(東1)は独立系の大手エレクトロニクス商社である。M&Aも積極活用して規模拡大と高収益化を推進している。21年3月期連結業績(11月5日に売上高・営業利益・経常利益を上方修正)は営業・経常減益予想である。ただし下期を保守的な予想としている。通期再上振れの可能性が高いだろう。株価は水準を切り上げて戻り高値圏だ。上値を試す展開を期待したい。

■独立系の大手エレクトロニクス商社

 独立系の大手エレクトロニクス商社で、半導体・電子部品・情報機器等の商社ビジネス、および電装基板製造受託サービスのEMSビジネスを展開している。

 19年1月富士通エレクトロニクスを子会社化(富士通セミコンダクターから株式70%取得)した。この後20年12月15%、21年12月15%を段階的に追加取得し、22年1月完全子会社化予定である。なお20年12月28日付で富士通エレクトロニクスの社名を加賀FEIに変更する。

 20年3月期のセグメント別売上高構成比は、電子部品事業(半導体、電子部品、EMS)85%、情報機器事業(パソコン・周辺機器、各種家電、写真・映像関連商品)10%、ソフトウェア事業(CGアニメ映像制作、アミューズメント関連商品)1%、その他事業(エレクトロニクス機器修理、アミューズメント機器製造販売、スポーツ用品販売など)4%、営業利益(調整前)構成比は電子部品事業76%、情報機器事業17%、ソフトウェア事業2%、その他事業5%だった。

 20年10月には子会社のデジタル・メディア・ラボが、映像制作・ゲーム開発のクリエイターに特化した人材派遣・紹介サービスを開始した。

 なお大和インベスター・リレーションズの「2020年インターネットIR表彰」において優秀賞を受賞した。

■商社ビジネスとEMSビジネスのシナジーで収益性向上目指す

 中期経営計画2021では、基本方針に収益基盤強化、経営基盤安定化、新規事業創出、経営目標値に22年3月期(為替前提1米ドル=110円)の売上高5000億円、営業利益130億円、ROE8%以上を掲げている。株主還元は連結配当性向25〜35%を確保しつつ安定的な配当を実施する方針だ。

 なお中計に沿ったセグメント区分を電子部品事業、EMS事業、CSI事業(情報機器事業)、その他事業(ソフトウェア事業、その他事業)とする。20年3月期の売上構成比は電子部品事業66%、EMS事業21%、CSI事業10%、その他事業3%となる。22年3月期目標売上高5000億円の構成比は電子部品60%、EMS28%、CSI10%、その他2%としている。

 富士通エレクトロニクスを子会社化し、商材の拡大や顧客基盤の共有によって、電子部品事業における業界NO.1規模を目指す。現状は富士通エレクトロニクスの利益水準が低いため、短期的な目標は商社ビジネスの量的拡大だが、中期的な目標として、商社ビジネスとEMSビジネスのシナジーによる収益性向上(利益額の拡大と利益率の向上)を目指す。

 収益基盤強化では、成長分野(車載、通信、環境、産業機器、医療・ヘルスケア)への取り組み、EMSビジネスおよび海外ビジネスの強化・拡大を推進する。経営基盤安定化では、富士通エレクトロニクスをグループ化した後の効率性・財務健全性の早期改善に向けて、グループ横断的なコスト削減、組織体制整備によるグループ経営効率化、コーポレートガバナンス強化を推進する。新規事業創出ではM&Aも積極活用して、保育・福祉・介護等の社会課題ビジネスや素材ビジネスへの取り組み、ベンチャー投資によるオープンイノベーションを推進する。

 EMSビジネスでは18年以降に稼働した新拠点のメキシコ、ベトナム、トルコ、インドが順次、収益寄与している。また19年10月には福島新工場が稼働、19年12月にはタイ第2工場が稼働した。今後は車載、産業機械、空調、医療・ヘルスケア分野を成長ドライバーとして事業拡大を推進する。

 さらに「グローバル競争に勝ち残る企業」を目指してM&A戦略を加速している。19年10月にはパイオニアの製造子会社である十和田パイオニアを子会社化(商号を加賀EMS十和田に変更)した。20年4月にはエレクトロニクス商社のエクセルを子会社化した。20年11月には旭東電気(20年4月民事再生法適用申請)から新設分割された新:旭東電気を子会社化した。

 ベンチャー投資としては、ウェアラブルコミュニケーションデバイス開発のBONX、前立腺癌生検および治療用システム開発の米HARMONUS、スマートセキュリティサービスのSecual、ソフトバンクグループで保育クラウドサービスを展開するhugmo、AIソフトウェア開発のハカルス、次世代蓄電デバイス「グリーンキャパシタTM」開発のスペースリンク、動画CM配信プラットフォーム事業やデジタルサイネージ事業のCMerTV、DX(デジタルトランスフォーメーション)に向けたソリューション事業を展開するSun Asteriskなどに出資している。

 20年5月にはライブ配信アプリ「17Live」などアジア圏中心にソーシャルメディアを展開する台湾のM17に出資、20年6月には医療機器開発ベンチャーのニューロシューティカルズ(NCI)に出資、20年8月にはシェアリングプラットフォーム「Akice.style」を運営するレンタルサービスベンチャーのピーステックラボ(PTL)に出資した。

 20年10月には、独自開発の光触媒技術を活用して各種環境製品を展開するスタートアップ企業のカルテック(子会社化したエクセルがスタートアップ資金を出資)と、光触媒除菌脱臭機「TURNED K」の販売および製造に関わる部品調達で協業した。20年12月には、オンライン診療システム「D―CUBE」などオンライン健康支援事業を展開するリンケージに出資した。

■21年3月期連結業績は再上振れの可能性

 21年3月期の連結業績予想(期初時点では未定、8月6日に公表、11月5日に売上高・営業利益・経常利益を上方修正、純利益は据え置き)は、売上高が20年3月期比7.6%減の4100億円、営業利益が25.1%減の75億円、経常利益が26.0%減の75億円、純利益が70.9%増の100億円としている。配当予想は10円減配の60円(第2四半期末30円、期末30円)としている。20年3月期の配当70円には特別配当10円が含まれているため、普通配当は同額で、特別配当を落とした形となる。

 第2四半期累計は売上高が前年比18.1%減の1888億59百万円、営業利益が15.4%減の44億34百万円、経常利益が21.8%減の43億38百万円、純利益が3.1倍の107億72百万円だった。純利益はエクセル買収に伴う負ののれん発生益(79億63百万円)計上で大幅増益だった。

 情報機器事業がテレワーク需要などで16.1%増収・87.8%増益と大幅伸長したが、電子部品事業が21.5%減収・27.3%減益だった。エクセル連結が寄与したが、富士通エレクトロニクスにおける大口商権(Cypress社代理店権)解消に加えて、EMSビジネスにおいて新型コロナウイルス影響で車載関連や空調関連が減少した。

 ただし第2四半期から需要が徐々に回復し、販売ミックス良化による粗利益率改善も寄与して、第2四半期累計ベースで社内計画に対して上振れた。四半期別の営業利益を見ると、第1四半期の16億56百万円に対して、第2四半期は27億78百万円と回復傾向を強めている。

 なお中計セグメント別には、電子部品が25.2%減収で60.0%減益、EMSが8.5%減収で7.9%増益、CSIが16.1%増収で87.8%増益、その他が21.3%減収で72.2%減益だった。

 通期の連結業績予想は、第2四半期累計が社内計画に対して上振れたことを踏まえて、売上高・営業利益・経常利益を上方修正した。従来予想に比べて新型コロナウイルス影響による減収・減益リスクが和らぎ、営業・経常減益幅が縮小する見込みとしている。純利益は構造改革、リスク引当、法人税等の増加を考慮して、従来予想を据え置いた。

 修正後の通期予想に対する第2四半期累計の進捗率は売上高が46.1%、営業利益が59.1%、経常利益が57.8%、純利益が107.7%である。下期を引き続き保守的な予想としているが、テレワーク需要などで情報機器関連が順調であり、電子部品・EMSでは車載関連も回復基調が予想される。通期予想は再上振れの可能性が高いだろう。

■株価は上値試す

 株価は水準を切り上げて戻り高値圏だ。自律調整を交えながら上値を試す展開を期待したい。12月21日の終値は2368円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS364円18銭で算出)は約7倍、今期予想配当利回り(会社予想の60円で算出)は約2.5%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS2850円99銭で算出)は約0.8倍、時価総額は約680億円である。(情報提供:日 本インタビュ新聞社=Media−IR)
[11月30日更新]

加賀電子はボックス上放れ期待、21年3月期は再上振れの可能性

 加賀電子<8154>(東1)は独立系の大手エレクトロニクス商社である。M&Aも積極活用して規模拡大と高収益化を推進している。21年3月期第2四半期累計は新型コロナウイルスの影響などで減収、営業・経常減益だったが、社内計画に対して上振れた。そして通期の売上高と営業・経常利益予想を上方修正した。従来予想に比べて営業・経常減益幅が縮小する見込みだ。下期を保守的な予想としており、通期予想は再上振れの可能性が高いだろう。株価はボックス展開の形だが下値を切り上げている。調整一巡して上放れを期待したい。

■独立系の大手エレクトロニクス商社

 独立系の大手エレクトロニクス商社で、半導体・電子部品・情報機器等の商社ビジネス、および電装基板製造受託サービスのEMSビジネスを展開している。

 19年1月富士通エレクトロニクスを子会社化(富士通セミコンダクターから株式70%取得)した。この後20年12月15%、21年12月15%を段階的に追加取得し、22年1月完全子会社化予定である。なお20年12月28日付で富士通エレクトロニクスの社名を加賀FEIに変更する。

 20年3月期のセグメント別売上高構成比は、電子部品事業(半導体、電子部品、EMS)85%、情報機器事業(パソコン・周辺機器、各種家電、写真・映像関連商品)10%、ソフトウェア事業(CGアニメ映像制作、アミューズメント関連商品)1%、その他事業(エレクトロニクス機器修理、アミューズメント機器製造販売、スポーツ用品販売など)4%、営業利益(調整前)構成比は電子部品事業76%、情報機器事業17%、ソフトウェア事業2%、その他事業5%だった。

 20年10月には子会社のデジタル・メディア・ラボが映像制作・ゲーム開発のクリエイターに特化した人材派遣・紹介サービスを開始した。また子会社の加賀スポーツがヨドバシカメラマルチメディアAkiba9階に、インドア会員制ゴルフスタジオ「Akiba Golf Studio」を開設した。

■商社ビジネスとEMSビジネスのシナジーで収益性向上目指す

 中期経営計画2021では、基本方針に収益基盤強化、経営基盤安定化、新規事業創出、経営目標値に22年3月期(為替前提1米ドル=110円)の売上高5000億円、営業利益130億円、ROE8%以上を掲げている。株主還元は連結配当性向25〜35%を確保しつつ安定的な配当を実施する方針だ。

 なお中計に沿ったセグメント区分を電子部品事業、EMS事業、CSI事業(情報機器事業)、その他事業(ソフトウェア事業、その他事業)とする。20年3月期の売上構成比は電子部品事業66%、EMS事業21%、CSI事業10%、その他事業3%となる。22年3月期目標売上高5000億円の構成比は電子部品60%、EMS28%、CSI10%、その他2%としている。

 富士通エレクトロニクスを子会社化して、売上高5000億円級の企業グループとなった。今後は商材の拡大や顧客基盤の共有によって、電子部品事業における業界NO.1規模を目指す。現状は富士通エレクトロニクスの利益水準が低いため、短期的な目標は商社ビジネスの量的拡大だが、中期的な目標として、商社ビジネスとEMSビジネスのシナジーによる収益性向上(利益額の拡大と利益率の向上)を目指す。

 収益基盤強化では、成長分野(車載、通信、環境、産業機器、医療・ヘルスケア)への取り組み、EMSビジネスおよび海外ビジネスの強化・拡大を推進する。経営基盤安定化では、富士通エレクトロニクスをグループ化した後の効率性・財務健全性の早期改善に向けて、グループ横断的なコスト削減、組織体制整備によるグループ経営効率化、コーポレートガバナンス強化を推進する。新規事業創出ではM&Aも積極活用して、保育・福祉・介護等の社会課題ビジネスや素材ビジネスへの取り組み、ベンチャー投資によるオープンイノベーションを推進する。

 EMSビジネスでは18年以降に稼働した新拠点のメキシコ、ベトナム、トルコ、インドが順次、収益寄与している。また19年10月には福島新工場が稼働、19年12月にはタイ第2工場が稼働した。今後は車載、産業機械、空調、医療・ヘルスケア分野を成長ドライバーとして事業拡大を推進する。

 さらに「グローバル競争に勝ち残る企業」を目指してM&A戦略を加速している。19年10月にはパイオニアの製造子会社である十和田パイオニアの株式を取得(商号を加賀EMS十和田に変更)した。20年4月にはエレクトロニクス商社のエクセル<7591>を完全子会社化した。20年11月には旭東電気(20年4月民事再生法適用申請)から新設分割された新:旭東電気の株式100%取得して連結子会社化した。

 ベンチャー投資としては、ウェアラブルコミュニケーションデバイス開発のBONX、前立腺癌生検および治療用システム開発の米HARMONUS、スマートセキュリティサービスのSecual、ソフトバンクグループで保育クラウドサービスを展開するhugmo、AIソフトウェア開発のハカルス、次世代蓄電デバイス「グリーンキャパシタTM」開発のスペースリンク、動画CM配信プラットフォーム事業やデジタルサイネージ事業のCMerTV、DX(デジタルトランスフォーメーション)に向けたソリューション事業を展開するSun Asteriskなどに出資している。

 20年5月にはライブ配信アプリ「17Live」などアジア圏中心にソーシャルメディアを展開する台湾のM17に出資、20年6月には医療機器開発ベンチャーのニューロシューティカルズ(NCI)に出資、20年8月にはシェアリングプラットフォーム「Akice.style」を運営するレンタルサービスベンチャーのピーステックラボ(PTL)に出資した。

 20年10月には、独自開発の光触媒技術を活用して各種環境製品を展開するスタートアップ企業のカルテック(子会社化したエクセルがスタートアップ資金を出資)と、光触媒除菌脱臭機「TURNED K」の販売および製造に関わる部品調達で協業すると発表した。世界トップクラスの除菌・脱臭性を有し、新型コロナウイルスを99.9%分解するという試験結果が得られている。

■21年3月期は再上振れの可能性

 21年3月期の連結業績予想(期初時点では未定、8月6日に公表、11月5日に売上高・営業利益・経常利益を上方修正、純利益は据え置き)は、売上高が20年3月期比7.6%減の4100億円、営業利益が25.1%減の75億円、経常利益が26.0%減の75億円、純利益が70.9%増の100億円としている。従来予想に比べて営業・経常減益幅が縮小する見込みだ。

 配当予想は据え置いて10円減配の60円(第2四半期末30円、期末30円)としている。20年3月期の配当70円には特別配当10円が含まれているため、普通配当は同額で、特別配当を落とした形となる。

 第2四半期累計は売上高が前年比18.1%減の1888億59百万円、営業利益が15.4%減の44億34百万円、経常利益が21.8%減の43億38百万円、純利益が3.1倍の107億72百万円だった。純利益はエクセル買収に伴う負ののれん発生益(79億63百万円)計上で大幅増益だった。

 情報機器事業はテレワーク需要などで16.1%増収・87.8%増益と大幅伸長したが、電子部品事業が21.5%減収・27.3%減益だった。エクセル連結が寄与したが、富士通エレクトロニクスにおける大口商権(Cypress社代理店権)解消に加えて、EMSビジネスでは新型コロナウイルスの影響で車載関連や空調関連が減少した。

 ただし第2四半期から需要が徐々に回復し、販売ミックス良化による粗利益率改善も寄与して、第2四半期累計ベースで社内計画に対して上振れた。営業利益は第1四半期16億56百万円に対して、第2四半期27億78百万円と回復傾向を強めている。

 なお中計セグメント別には、電子部品が25.2%減収で60.0%減益、EMSが8.5%減収で7.9%増益、CSIが16.1%増収で87.8%増益、その他が21.3%減収で72.2%減益だった。

 通期の連結業績予想は、第2四半期累計が社内計画に対して上振れたことを踏まえて、売上高・営業利益・経常利益を上方修正した。従来予想に比べて新型コロナウイルス影響による減収・減益リスクが和らぎ、営業・経常減益幅が縮小する見込みだ。なお純利益は構造改革、リスク引当、法人税等の増加を考慮して、従来予想を据え置いた。

 修正後の通期予想に対する第2四半期累計の進捗率は売上高が46.1%、営業利益が59.1%、経常利益が57.8%、純利益が107.7%である。下期を引き続き保守的な予想としているが、テレワーク化などで情報機器関連が順調であり、電子部品・EMSでは車載関連も回復基調が予想される。通期予想は再上振れの可能性が高いだろう。

■株価はボックス上放れ期待

 株価はボックス展開の形だが、下値を切り上げて反発の動きを強めている。調整一巡して上放れを期待したい。11月27日の終値は2222円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS364円18銭で算出)は約6倍、今期予想配当利回り(会社予想の60円で算出)は約2.7%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS2850円99銭で算出)は約0.8倍、時価総額は約638億円である。(情報提供:日 本インタビュ新聞社=Media−IR)
[10月28日更新]

加賀電子は調整一巡、21年3月期予想は上振れの可能性

 加賀電子<8154>(東1)は独立系の大手エレクトロニクス商社である。M&Aも積極活用して規模拡大と高収益化を推進している。21年3月期は新型コロナウイルスの影響などで営業・経常減益予想としているが、後半の回復も考慮すれば通期上振れの可能性が高いだろう。株価は戻り高値圏から反落したが調整一巡して出直りを期待したい。なお11月5日に第2四半期決算発表を予定している。

■独立系の大手エレクトロニクス商社

 独立系の大手エレクトロニクス商社で、半導体・電子部品・情報機器等の商社ビジネス、および電装基板製造受託サービスのEMSビジネスを展開している。

 19年1月富士通エレクトロニクスを子会社化(富士通セミコンダクターから株式70%取得)した。この後20年12月15%、21年12月15%を段階的に追加取得し、22年1月完全子会社化予定である。なお20年12月28日付で富士通エレクトロニクスの社名を加賀FEIに変更する。

 20年3月期のセグメント別売上高構成比は、電子部品事業(半導体、電子部品、EMS)85%、情報機器事業(パソコン・周辺機器、各種家電、写真・映像関連商品)10%、ソフトウェア事業(CGアニメ映像制作、アミューズメント関連商品)1%、その他事業(エレクトロニクス機器修理、アミューズメント機器製造販売、スポーツ用品販売など)4%、営業利益(調整前)構成比は電子部品事業76%、情報機器事業17%、ソフトウェア事業2%、その他事業5%だった。

 20年10月には子会社のデジタル・メディア・ラボが映像制作・ゲーム開発のクリエイターに特化した人材派遣・紹介サービスを開始した。また子会社の加賀スポーツがヨドバシカメラマルチメディアAkiba9階に、インドア会員制ゴルフスタジオ「Akiba Golf Studio」を開設した。

■商社ビジネスとEMSビジネスのシナジーで収益性向上目指す

 中期経営計画2021では、基本方針に収益基盤強化、経営基盤安定化、新規事業創出、経営目標値に22年3月期(為替前提1米ドル=110円)の売上高5000億円、営業利益130億円、ROE8%以上を掲げている。株主還元は連結配当性向25〜35%を確保しつつ安定的な配当を実施する方針だ。

 なお中計に沿ったセグメント区分を電子部品事業、EMS事業、CSI事業(情報機器事業)、その他事業(ソフトウェア事業、その他事業)とする。20年3月期の売上構成比は電子部品事業66%、EMS事業21%、CSI事業10%、その他事業3%となる。22年3月期目標売上高5000億円の構成比は電子部品60%、EMS28%、CSI10%、その他2%としている。

 富士通エレクトロニクスを子会社化して、売上高5000億円級の企業グループとなった。今後は商材の拡大や顧客基盤の共有によって、電子部品事業における業界NO.1規模を目指す。現状は富士通エレクトロニクスの利益水準が低いため、短期的な目標は商社ビジネスの量的拡大だが、中期的な目標として、商社ビジネスとEMSビジネスのシナジーによる収益性向上(利益額の拡大と利益率の向上)を目指す。

 収益基盤強化では、成長分野(車載、通信、環境、産業機器、医療・ヘルスケア)への取り組み、EMSビジネスおよび海外ビジネスの強化・拡大を推進する。経営基盤安定化では、富士通エレクトロニクスをグループ化した後の効率性・財務健全性の早期改善に向けて、グループ横断的なコスト削減、組織体制整備によるグループ経営効率化、コーポレートガバナンス強化を推進する。新規事業創出ではM&Aも積極活用して、保育・福祉・介護等の社会課題ビジネスや素材ビジネスへの取り組み、ベンチャー投資によるオープンイノベーションを推進する。

 EMSビジネスでは18年以降に稼働した新拠点のメキシコ、ベトナム、トルコ、インドが順次、収益寄与している。また19年10月には福島新工場が稼働、19年12月にはタイ第2工場が稼働した。今後は車載、産業機械、空調、医療・ヘルスケア分野を成長ドライバーとして事業拡大を推進する。

 さらに「グローバル競争に勝ち残る企業」を目指してM&A戦略を加速している。19年10月にはパイオニアの製造子会社である十和田パイオニアの株式を取得(商号を加賀EMS十和田に変更)した。20年4月にはエレクトロニクス商社のエクセル<7591>を完全子会社化した。

 20年8月には旭東電気(20年4月に民事再生法適用申請)と民事再生支援スポンサー契約を締結した。旭東電気から新設分割された新規設立会社(譲受会社)に事業承継(EMS事業など)し、譲受会社の株式を100%取得(20年11月1日予定)する形で支援する。

 ベンチャー投資としては、ウェアラブルコミュニケーションデバイス開発のBONX、前立腺癌生検および治療用システム開発の米HARMONUS、スマートセキュリティサービスのSecual、ソフトバンクグループで保育クラウドサービスを展開するhugmo、AIソフトウェア開発のハカルス、次世代蓄電デバイス「グリーンキャパシタTM」開発のスペースリンク、動画CM配信プラットフォーム事業やデジタルサイネージ事業のCMerTV、DX(デジタルトランスフォーメーション)に向けたソリューション事業を展開するSun Asteriskなどに出資している。

 20年5月にはライブ配信アプリ「17Live」などアジア圏中心にソーシャルメディアを展開する台湾のM17に出資、20年6月には医療機器開発ベンチャーのニューロシューティカルズ(NCI)に出資、20年8月にはシェアリングプラットフォーム「Akice.style」を運営するレンタルサービスベンチャーのピーステックラボ(PTL)に出資した。

 10月21日にはグループ会社を通じて、独自開発の光触媒技術を活用して各種環境製品を展開するスタートアップ企業のカルテック(子会社化したエクセルがスタートアップ資金を出資)と、光触媒除菌脱臭機「TURNED K」の販売および製造に関わる部品調達で協業すると発表した。世界トップクラスの除菌・脱臭性を有し、新型コロナウイルスを99.9%分解するという試験結果が得られている。

■21年3月期予想は上振れの可能性

 21年3月期連結業績予想(期初時点では未定、8月6日公表)は、売上高が20年3月期比9.8%減の4000億円、営業利益が50.1%減の50億円、経常利益が55.6%減の45億円、純利益が70.9%増の100億円としている。配当予想は10円減配の60円(第2四半期末30円、期末30円)である。なお20年3月期の配当70円には特別配当10円が含まれているため、普通配当は同額で、特別配当を落とした形となる。

 第1四半期は、売上高が前年同期比23.2%減の841億30百万円、営業利益が10.5%減の16億56百万円、経常利益が25.0%減の15億33百万円、純利益が6.4倍の86億43百万円だった。

 リモートワーク需要でPC販売が好調だったが、EMSビジネスは新型コロナウイルスによる経済収縮の影響、部品販売ビジネスは富士通エレクトロニクスにおけるCypress社販売代理店契約解消などで減収となり、業務効率化や販管費削減でカバーできず営業・経常減益だった。純利益はエクセル買収に伴う負ののれん益を特別利益に計上(第1四半期末においては取得原価の配分が完了していないため暫定的に80億07百万円を計上)して大幅増益だった。

 なお中計セグメント別には、電子部品が31.0%減収で90.6%減益、EMSが19.2%減収で14.7%減益、CSIが23.8%増収で3.1倍増益、その他が27.8%減収で赤字縮小だった。

 通期ベースでも、PC・タブレット端末などIT関連需要の増加を見込むが、新型コロナウイルスの影響や大口商権解消の影響で減収、営業・経常減益予想(負ののれん発生益計上で最終増益予想)としている。

 なお新型コロナウイルスの影響によるマイナス要因として売上高で約500億円減収、営業利益で約35億円減益(減収に伴う売上総利益減少で約50億円減益、業務効率化など利益回復施策で約15億円増益)を織り込んでいる。また特別利益には負ののれん発生益約80億円、特別損失には構造改革やリスク引当などで約10億円の計上も見込んでいる。

 当面は経済収縮の影響を受けるが、会社予想は保守的としている。第1四半期の利益進捗率は営業利益33.1%、経常利益34.1%と高水準だった。後半の回復も考慮すれば通期予想は上振れの可能性が高いだろう。

■株価は調整一巡

 株価は戻り高値圏から反落したが調整一巡して出直りを期待したい。10月27日の終値は2146円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS364円18銭で算出)は約6倍、今期予想配当利回り(会社予想の60円で算出)は約2.8%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS2850円99銭で算出)は約0.8倍、時価総額は約616億円である。(情報提供:日 本インタビュ新聞社=Media−IR)
[09月28日更新]

加賀電子は戻り歩調、21年3月期予想は上振れの可能性

 加賀電子<8154>(東1)は独立系の大手エレクトロニクス商社である。M&Aも積極活用して規模拡大と高収益化を推進している。21年3月期は新型コロナウイルスの影響などで営業・経常減益予想だが、第1四半期の利益進捗率が高水準であり、後半の緩やかな経済回復も考慮すれば通期上振れの可能性がありそうだ。株価は7月の直近安値圏から切り返して戻り歩調だ。自律調整を交えながら上値を試す展開を期待したい。

■独立系の大手エレクトロニクス商社

 独立系の大手エレクトロニクス商社で、半導体・電子部品・情報機器等の商社ビジネス、および電装基板製造受託サービスのEMSビジネスを展開している。

 19年1月富士通エレクトロニクスを子会社化(富士通セミコンダクターから株式70%取得)した。この後20年12月15%、21年12月15%を段階的に追加取得し、22年1月完全子会社化予定である。なお20年12月28日付で富士通エレクトロニクスの社名を加賀FEIに変更する。

 20年3月期のセグメント別売上高構成比は、電子部品事業(半導体、電子部品、EMS)85%、情報機器事業(パソコン・周辺機器、各種家電、写真・映像関連商品)10%、ソフトウェア事業(CGアニメ映像制作、アミューズメント関連商品)1%、その他事業(エレクトロニクス機器修理、アミューズメント機器製造販売、スポーツ用品販売など)4%、営業利益(調整前)構成比は電子部品事業76%、情報機器事業17%、ソフトウェア事業2%、その他事業5%だった。

■商社ビジネスとEMSビジネスのシナジーで収益性向上目指す

 中期経営計画2021では、基本方針に収益基盤強化、経営基盤安定化、新規事業創出、経営目標値に22年3月期売上高5000億円、営業利益130億円、ROE8%以上を掲げている。為替の前提は1米ドル=110円である。株主還元は連結配当性向25〜35%を確保しつつ安定的な配当を実施する方針だ。

 なお中計に沿ったセグメント区分を電子部品事業、EMS事業、CSI事業(情報機器事業)、その他事業(ソフトウェア事業、その他事業)とする。20年3月期の売上構成比は電子部品事業66%、EMS事業21%、CSI事業10%、その他事業3%となる。22年3月期目標売上高5000億円の構成比は電子部品60%、EMS28%、CSI10%、その他2%としている。

 富士通エレクトロニクスを子会社化して、売上高5000億円級の企業グループとなった。今後は商材の拡大や顧客基盤の共有によって、電子部品事業における業界NO.1規模を目指す。現状は富士通エレクトロニクスの利益水準が低いため、短期的な目標は商社ビジネスの量的拡大だが、中期的な目標として、商社ビジネスとEMSビジネスのシナジーによる収益性向上(利益額の拡大と利益率の向上)を目指す。

 収益基盤強化では、成長分野(車載、通信、環境、産業機器、医療・ヘルスケア)への取り組み、EMSビジネスおよび海外ビジネスの強化・拡大を推進する。経営基盤安定化では、富士通エレクトロニクスをグループ化した後の効率性・財務健全性の早期改善に向けて、グループ横断的なコスト削減、組織体制整備によるグループ経営効率化、コーポレートガバナンス強化を推進する。新規事業創出ではM&Aも積極活用して、保育・福祉・介護等の社会課題ビジネスや素材ビジネスへの取り組み、ベンチャー投資によるオープンイノベーションを推進する。

 EMSビジネスでは18年以降に稼働した新拠点のメキシコ、ベトナム、トルコ、インドが順次、収益寄与している。また19年10月には福島新工場が稼働、19年12月にはタイ第2工場が稼働した。今後は車載、産業機械、空調、医療・ヘルスケア分野を成長ドライバーとして事業拡大を推進する。

 さらに「グローバル競争に勝ち残る企業」を目指してM&A戦略を加速している。19年10月にはパイオニアの製造子会社である十和田パイオニアの株式を取得(商号を加賀EMS十和田に変更)した。20年4月にはエレクトロニクス商社のエクセル<7591>を完全子会社化した。

 20年8月には旭東電気(20年4月に民事再生法適用申請)と民事再生支援スポンサー契約を締結した。旭東電気から新設分割された新規設立会社(譲受会社)に事業承継(EMS事業など)し、譲受会社の株式を100%取得(20年11月1日予定)する形で支援する。

 ベンチャー投資としては、ウェアラブルコミュニケーションデバイス開発のBONX、前立腺癌生検および治療用システム開発の米HARMONUS、スマートセキュリティサービスのSecual、ソフトバンクグループで保育クラウドサービスを展開するhugmo、AIソフトウェア開発のハカルス、次世代蓄電デバイス「グリーンキャパシタTM」開発のスペースリンク、動画CM配信プラットフォーム事業やデジタルサイネージ事業のCMerTV、DX(デジタルトランスフォーメーション)に向けたソリューション事業を展開するSun Asteriskなどに出資している。

 20年5月にはライブ配信アプリ「17Live」などアジア圏中心にソーシャルメディアを展開する台湾のM17に出資、20年6月には医療機器開発ベンチャーのニューロシューティカルズ(NCI)に出資、20年8月にはシェアリングプラットフォーム「Akice.style」を運営するレンタルサービスベンチャーのピーステックラボ(PTL)に出資した。

■21年3月期予想は上振れの可能性

 21年3月期連結業績予想(期初時点では未定、8月6日公表)は、売上高が20年3月期比9.8%減の4000億円、営業利益が50.1%減の50億円、経常利益が55.6%減の45億円、純利益が70.9%増の100億円としている。配当予想は10円減配の60円(第2四半期末30円、期末30円)である。なお20年3月期の配当70円には特別配当10円が含まれているため、普通配当は同額で、特別配当を落とした形となる。

 第1四半期は、売上高が前年同期比23.2%減の841億30百万円、営業利益が10.5%減の16億56百万円、経常利益が25.0%減の15億33百万円、純利益が6.4倍の86億43百万円だった。

 リモートワーク・オンライン授業需要でPC販売が好調だったが、EMSビジネスは新型コロナウイルスによる経済収縮の影響、部品販売ビジネスは富士通エレクトロニクスにおけるCypress社販売代理店契約解消などで減収となり、業務効率化や販管費削減でカバーできず営業・経常減益だった。純利益はエクセル買収に伴う負ののれん益を特別利益に計上(第1四半期末においては取得原価の配分が完了していないため暫定的に80億07百万円を計上)して大幅増益だった。

 なお中計セグメント別には、電子部品が31.0%減収で90.6%減益、EMSが19.2%減収で14.7%減益、CSIが23.8%増収で3.1倍増益、その他が27.8%減収で赤字縮小だった。

 通期ベースでも、PC・タブレット端末などIT関連需要の増加を見込むが、新型コロナウイルスの影響や大口商権解消の影響で減収、営業・経常減益予想(負ののれん発生益計上で最終増益予想)としている。

 なお新型コロナウイルスの影響によるマイナス要因として売上高で約500億円減収、営業利益で約35億円減益(減収に伴う売上総利益減少で約50億円減益、業務効率化など利益回復施策で約15億円増益)を織り込んでいる。また特別利益には負ののれん発生益約80億円、特別損失には構造改革やリスク引当などで約10億円の計上も見込んでいる。

 当面は経済収縮の影響を受けるが、会社予想は保守的としている。第1四半期の利益進捗率は営業利益33.1%、経常利益34.1%と高水準だった。後半の緩やかな経済回復も考慮すれば通期上振れの可能性がありそうだ。

■株価は戻り歩調

 株価は7月の直近安値圏から反発して水準を切り上げている。戻り歩調だ。自律調整を交えながら上値を試す展開を期待したい。9月25日の終値は2250円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS364円18銭で算出)は約6倍、今期予想配当利回り(会社予想の60円で算出)は約2.7%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS2850円99銭で算出)は約0.8倍、時価総額は約646億円である。(情報提供:日 本インタビュ新聞社=Media−IR)
[08月27日更新]

加賀電子は戻り試す、21年3月期は新型コロナ影響だが1Q進捗率高水準で通期上振れ余地

 加賀電子<8154>(東1)は独立系の大手エレクトロニクス商社である。M&Aも積極活用して規模拡大と高収益化を推進している。21年3月期は新型コロナウイルスによる経済収縮の影響などで営業・経常減益予想(負ののれん発生益計上で最終増益予想)だが、第1四半期の営業利益進捗率は高水準だった。期後半からの緩やかな回復も考慮すれば通期上振れ余地がありそうだ。株価は7月の直近安値圏から反発して下値を切り上げている。戻りを試す展開を期待したい。

■独立系の大手エレクトロニクス商社

 独立系の大手エレクトロニクス商社で、半導体・電子部品・情報機器等の商社ビジネス、および電装基板製造受託サービスのEMSビジネスを展開している。

 19年1月富士通エレクトロニクスを子会社化(富士通セミコンダクターから株式70%取得)した。この後20年12月15%、21年12月15%を段階的に追加取得し、22年1月完全子会社化予定である。なお20年12月28日付で富士通エレクトロニクスの社名を加賀FEIに変更する。

 20年3月期のセグメント別売上高構成比は、電子部品事業(半導体、電子部品、EMS)85%、情報機器事業(パソコン・周辺機器、各種家電、写真・映像関連商品)10%、ソフトウェア事業(CGアニメ映像制作、アミューズメント関連商品)1%、その他事業(エレクトロニクス機器修理、アミューズメント機器製造販売、スポーツ用品販売など)4%、営業利益(調整前)構成比は電子部品事業76%、情報機器事業17%、ソフトウェア事業2%、その他事業5%だった。

■22年3月期営業利益130億円目指す

 中期経営計画2021では、基本方針に収益基盤強化、経営基盤安定化、新規事業創出、経営目標値に22年3月期売上高5000億円、営業利益130億円、ROE8%以上を掲げている。為替の前提は1米ドル=110円である。株主還元は連結配当性向25〜35%を確保しつつ安定的な配当を実施する方針だ。

 なお中計に沿ったセグメント区分を電子部品事業、EMS事業、CSI事業(情報機器事業)、その他事業(ソフトウェア事業、その他事業)とする。20年3月期の売上構成比は電子部品事業66%、EMS事業21%、CSI事業10%、その他事業3%となる。22年3月期目標売上高5000億円の構成比は電子部品60%、EMS28%、CSI10%、その他2%としている。

 富士通エレクトロニクスを子会社化して、売上高5000億円級の企業グループとなった。今後は商材の拡大や顧客基盤の共有によって、電子部品事業における業界NO.1規模を目指す。現状は富士通エレクトロニクスの利益水準が低いため、短期的な目標は商社ビジネスの量的拡大だが、中期的な目標として、商社ビジネスとEMSビジネスのシナジーによる収益性向上(利益額の拡大と利益率の向上)を目指す。

 収益基盤強化では、成長分野(車載、通信、環境、産業機器、医療・ヘルスケア)への取り組み、EMSビジネスおよび海外ビジネスの強化・拡大を推進する。経営基盤安定化では、富士通エレクトロニクスをグループ化した後の効率性・財務健全性の早期改善に向けて、グループ横断的なコスト削減、組織体制整備によるグループ経営効率化、コーポレートガバナンス強化を推進する。新規事業創出ではM&Aも積極活用して、保育・福祉・介護等の社会課題ビジネスや素材ビジネスへの取り組み、ベンチャー投資によるオープンイノベーションを推進する。

 EMSビジネスでは18年以降に稼働した新拠点のメキシコ、ベトナム、トルコ、インドが順次、収益寄与している。また19年10月には福島新工場が稼働、19年12月にはタイ第2工場が稼働した。今後は車載、産業機械、空調、医療・ヘルスケア分野を成長ドライバーとして事業拡大を推進する。

 さらに「グローバル競争に勝ち残る企業」を目指してM&A戦略を加速している。19年10月にはパイオニアの製造子会社である十和田パイオニアの株式を取得(商号を加賀EMS十和田に変更)した。20年4月にはエレクトロニクス商社のエクセル<7591>を完全子会社化した。20年6月には4月に民事再生法適用申請した旭東電気の民事再生スポンサーに関する基本合意書を締結した。

 またベンチャー投資としては、ウェアラブルコミュニケーションデバイス開発のBONX、前立腺癌生検および治療用システム開発の米HARMONUS、スマートセキュリティサービスのSecual、ソフトバンクグループで保育クラウドサービスを展開するhugmo、AIソフトウェア開発のハカルス、次世代蓄電デバイス「グリーンキャパシタTM」開発のスペースリンク、動画CM配信プラットフォーム事業やデジタルサイネージ事業のCMerTV、DX(デジタルトランスフォーメーション)に向けたソリューション事業を展開するSun Asteriskなどに出資している。

 20年5月にはライブ配信アプリ「17Live」などアジア圏中心にソーシャルメディアを展開する台湾のM17に出資、20年6月には医療機器開発ベンチャーのニューロシューティカルズ(NCI)に出資した。

■21年3月期は新型コロナ影響だが1Q進捗率高水準で通期上振れ余地

 21年3月期連結業績予想(期初時点では未定としていたが8月6日に公表)は、売上高が20年3月期比9.8%減の4000億円、営業利益が50.1%減の50億円、経常利益が55.6%減の45億円、純利益が70.9%増の100億円とした。配当予想は10円減配の60円(第2四半期末30円、期末30円)とした。なお20年3月期の配当70円には特別配当10円が含まれているため、普通配当は同額で、特別配当を落とした形となる。

 第1四半期は、売上高が前年同期比23.2%減の841億30百万円、営業利益が10.5%減の16億56百万円、経常利益が25.0%減の15億33百万円、純利益が6.4倍の86億43百万円だった。

 リモートワーク・オンライン授業需要でPC販売が好調だったが、EMSビジネスは新型コロナウイルスによる経済収縮の影響、部品販売ビジネスは富士通エレクトロニクスにおけるCypress社販売代理店契約解消などで減収となり、業務効率化や販管費削減でカバーできず営業・経常減益だった。純利益はエクセル買収に伴う負ののれん益を特別利益に計上(第1四半期末においては取得原価の配分が完了していないため暫定的に80億07百万円を計上)して大幅増益だった。

 なお中計セグメント別には、電子部品が31.0%減益で90.6%減益、EMSが19.2%減益で14.7%減益、CSIが23.8%増収で3.1倍増益、その他が27.8%減収で赤字縮小だった。

 通期ベースでも、PC・タブレット端末などIT関連需要の増加を見込むが、新型コロナウイルスの影響や大口商権解消の影響で減収、営業・経常減益予想(負ののれん発生益計上で最終増益予想)としている。

 なお新型コロナウイルスの影響によるマイナス要因として売上高で約500億円、営業利益で約35億円(減収に伴う売上総利益減少で約50億円、業務効率化など利益回復施策で約15億円)を織り込んでいる。また特別利益には負ののれん発生益約80億円、特別損失には構造改革やリスク引当などで約10億円の計上も見込んでいる。

 当面は経済収縮の影響が意識されるが、会社予想は保守的としている。第1四半期の営業利益進捗率は33.1%と高水準だった。期後半からの緩やかな回復も考慮すれば通期上振れ余地がありそうだ。

■株価は戻り試す

 株価は7月の直近安値圏から反発して下値を切り上げている。戻りを試す展開を期待したい。8月26日の終値は2161円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS364円18銭で算出)は約6倍、今期予想配当利回り(会社予想の60円で算出)は約2.8%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS2850円99銭で算出)は約0.8倍、時価総額は約620億円である。(情報提供:日 本インタビュ新聞社=Media−IR)
[07月20日更新]

加賀電子は規模拡大と高収益化を推進

 加賀電子<8154>(東1)は独立系の大手エレクトロニクス商社である。M&Aも積極活用して規模拡大と高収益化を推進している。21年3月期予想は新型コロナウイルスの影響を考慮して未定としている。当面は世界的な経済収縮の影響が意識されるが、中期的に収益拡大を期待したい。株価は反発の動きを強めている。調整一巡して出直りを期待したい。なお8月6日に第1四半期決算発表を予定している。

■独立系の大手エレクトロニクス商社

 独立系の大手エレクトロニクス商社で、半導体・電子部品・情報機器等の商社ビジネス、および電装基板製造受託サービスのEMSビジネスを展開している。

 19年1月富士通エレクトロニクスを子会社化(富士通セミコンダクターから株式70%取得)した。この後20年12月15%、21年12月15%を段階的に追加取得し、22年1月完全子会社化予定である。なお20年12月28日付で富士通エレクトロニクスの社名を加賀FEIに変更する。

 20年3月期のセグメント別売上高構成比は、電子部品事業(半導体、電子部品、EMS)85%、情報機器事業(パソコン・周辺機器、各種家電、写真・映像関連商品)10%、ソフトウェア事業(CGアニメ映像制作、アミューズメント関連商品)1%、その他事業(エレクトロニクス機器修理、アミューズメント機器製造販売、スポーツ用品販売など)4%、営業利益(調整前)構成比は電子部品事業76%、情報機器事業17%、ソフトウェア事業2%、その他事業5%だった。

■22年3月期営業利益130億円目指す

 中期経営計画2021では、基本方針に収益基盤強化、経営基盤安定化、新規事業創出、経営目標値に22年3月期売上高5000億円、営業利益130億円、ROE8%以上を掲げている。為替の前提は1米ドル=110円である。株主還元は連結配当性向25〜35%を確保しつつ安定的な配当を実施する方針だ。

 なお中計に沿ったセグメント区分を電子部品事業、EMS事業、CSI事業(情報機器事業)、その他事業(ソフトウェア事業、その他事業)とする。20年3月期の売上構成比は電子部品事業66%、EMS事業21%、CSI事業10%、その他事業3%である。22年3月期目標売上高5000億円の構成比は電子部品60%、EMS28%、CSI10%、その他2%としている。

 富士通エレクトロニクスを子会社化して、売上高5000億円級の企業グループとなった。商材の拡大や顧客基盤の共有によって電子部品事業における業界NO.1規模を目指す。現状は富士通エレクトロニクスの利益水準が低いため短期的な目標は商社ビジネスの量的拡大だが、中期的な目標として商社ビジネスとEMSビジネスのシナジーによる収益性向上(利益額の拡大と利益率の向上)を目指す。

 収益基盤強化では、成長分野(車載、通信、環境、産業機器、医療・ヘルスケア)への取り組み、EMSビジネスおよび海外ビジネスの強化・拡大を推進する。経営基盤安定化では、富士通エレクトロニクスをグループ化した後の効率性・財務健全性の早期改善に向けて、グループ横断的なコスト削減、組織体制整備によるグループ経営効率化、コーポレートガバナンス強化を推進する。新規事業創出ではM&Aも積極活用して、保育・福祉・介護等の社会課題ビジネスや素材ビジネスへの取り組み、ベンチャー投資によるオープンイノベーションを推進する。

 EMSビジネスでは18年以降に稼働した新拠点のメキシコ、ベトナム、トルコ、インドが順次、収益寄与している。また19年10月には福島新工場が稼働、19年12月にはタイ第2工場が稼働した。今後は車載、産業機械、空調、医療・ヘルスケア分野を成長ドライバーとして事業拡大を推進する。

 さらに「グローバル競争に勝ち残る企業」を目指してM&A戦略を加速している。19年10月にはパイオニアの製造子会社である十和田パイオニアの株式を取得(商号を加賀EMS十和田に変更)した。20年4月にはエレクトロニクス商社のエクセル<7591>を完全子会社化した。20年6月には4月に民事再生法適用申請した旭東電気の民事再生スポンサーに関する基本合意書を締結した。

 またベンチャー投資としては、ウェアラブルコミュニケーションデバイス開発のBONX、前立腺癌生検および治療用システム開発の米HARMONUS、スマートセキュリティサービスのSecual、ソフトバンクグループで保育クラウドサービスを展開するhugmo、AIソフトウェア開発のハカルス、次世代蓄電デバイス「グリーンキャパシタTM」開発のスペースリンク、動画CM配信プラットフォーム事業やデジタルサイネージ事業のCMerTV、DX(デジタルトランスフォーメーション)に向けたソリューション事業を展開するSun Asteriskなどに出資している。

 20年5月にはライブ配信アプリ「17Live」などアジア圏中心にソーシャルメディアを展開する台湾のM17に出資、20年6月には医療機器開発ベンチャーのニューロシューティカルズ(NCI)に出資した。

■21年3月期予想は新型コロナウイルスの影響で未定

 21年3月期連結業績・配当予想は新型コロナウイルスの影響を考慮して未定としている。当面は世界的な経済収縮の影響が意識されるが、中期的に収益拡大を期待したい。

■株価は反発の動き

 株価は5月の戻り高値圏から反落したが、調整一巡して反発の動きを強めている。出直りを期待したい。7月17日の終値は2124円、前期実績連結PBR(前期実績連結BPS2850円99銭で算出)は約0.7倍、時価総額は約610億円である。(情報提供:日 本インタビュ新聞社=Media−IR)
[06月22日更新]

加賀電子は調整一巡

 加賀電子<8154>(東1)は独立系の大手エレクトロニクス商社である。M&Aも積極活用して業界NO.1規模、そして高収益化を目指している。21年3月期連結予想は新型コロナウイルスの影響を考慮して未定としている。当面は世界的な経済収縮の影響が意識されるが、中期的に収益拡大を期待したい。株価は戻り高値圏から反落したが、調整一巡して出直りを期待したい。

■独立系の大手エレクトロニクス商社

 独立系の大手エレクトロニクス商社で、半導体・電子部品・情報機器等の商社ビジネス、および電装基板製造受託サービスのEMSビジネスを展開している。

 19年1月富士通エレクトロニクスを子会社化(富士通セミコンダクターから株式70%取得)した。この後20年12月15%、21年12月15%を段階的に追加取得し、22年1月完全子会社化予定である。なお20年12月28日付で富士通エレクトロニクスの社名を加賀FEIに変更する。

 20年3月期のセグメント別売上高構成比は、電子部品事業(半導体、電子部品、EMS)85%、情報機器事業(パソコン・周辺機器、各種家電、写真・映像関連商品)10%、ソフトウェア事業(CGアニメ映像制作、アミューズメント関連商品)1%、その他事業(エレクトロニクス機器修理、アミューズメント機器製造販売、スポーツ用品販売など)4%、営業利益(調整前)構成比は電子部品事業76%、情報機器事業17%、ソフトウェア事業2%、その他事業5%だった。

■22年3月期営業利益130億円目指す

 中期経営計画2021では、基本方針に収益基盤強化、経営基盤安定化、新規事業創出、経営目標値に22年3月期売上高5000億円、営業利益130億円、ROE8%以上を掲げている。為替の前提は1米ドル=110円である。株主還元は連結配当性向25〜35%を確保しつつ安定的な配当を実施する方針だ。

 なお中計に沿ったセグメント区分を電子部品事業、EMS事業、CSI事業(情報機器事業)、その他事業(ソフトウェア事業、その他事業)とする。20年3月期の売上構成比は電子部品事業66%、EMS事業21%、CSI事業10%、その他事業3%である。22年3月期目標売上高5000億円の構成比は電子部品60%、EMS28%、CSI10%、その他2%としている。

 富士通エレクトロニクスを子会社化して、売上高5000億円級の企業グループとなった。商材の拡大や顧客基盤の共有によって電子部品事業における業界NO.1規模を目指す。現状は富士通エレクトロニクスの利益水準が低いため短期的な目標は商社ビジネスの量的拡大だが、中期的な目標として商社ビジネスとEMSビジネスのシナジーによる収益性向上(利益額の拡大と利益率の向上)を目指す。

 収益基盤強化では、成長分野(車載、通信、環境、産業機器、医療・ヘルスケア)への取り組み、EMSビジネスおよび海外ビジネスの強化・拡大を推進する。経営基盤安定化では、富士通エレクトロニクスをグループ化した後の効率性・財務健全性の早期改善に向けて、グループ横断的なコスト削減、組織体制整備によるグループ経営効率化、コーポレートガバナンス強化を推進する。新規事業創出ではM&Aも積極活用して、保育・福祉・介護等の社会課題ビジネスや素材ビジネスへの取り組み、ベンチャー投資によるオープンイノベーションを推進する。

 EMSビジネスでは18年以降に稼働した新拠点のメキシコ、ベトナム、トルコ、インドが順次、収益寄与している。また19年10月には福島新工場が稼働、19年12月にはタイ第2工場が稼働した。今後は車載、産業機械、空調、医療・ヘルスケア分野を成長ドライバーとして事業拡大を推進する。

 さらに「グローバル競争に勝ち残る企業」を目指してM&A戦略を加速している。19年10月にはパイオニアの製造子会社である十和田パイオニアの株式を取得(商号を加賀EMS十和田に変更)した。20年4月にはエレクトロニクス商社のエクセル<7591>を完全子会社化した。

 またベンチャー投資としては、ウェアラブルコミュニケーションデバイス開発のBONX、前立腺癌生検および治療用システム開発の米HARMONUS、スマートセキュリティサービスのSecual、ソフトバンクグループで保育クラウドサービスを展開するhugmo、AIソフトウェア開発のハカルス、次世代蓄電デバイス「グリーンキャパシタTM」開発のスペースリンク、動画CM配信プラットフォーム事業やデジタルサイネージ事業のCMerTV、DX(デジタルトランスフォーメーション)に向けたソリューション事業を展開するSun Asteriskなどに出資している。

■21年3月期予想は新型コロナウイルスの影響で未定

 21年3月期連結業績・配当予想は新型コロナウイルスの影響を考慮して未定としている。当面は世界的な経済収縮の影響が意識されるが、中期的に収益拡大を期待したい。

■株価は調整一巡

 株価は戻り高値圏から反落の形となったが、調整一巡して出直りを期待したい。6月19日の終値は2000円、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS2850円99銭で算出)は約0.7倍、時価総額は約574億円である。(情報提供:日 本インタビュ新聞社=Media−IR)
[05月28日更新]

加賀電子は上値試す

 加賀電子<8154>(東1)は独立系の大手エレクトロニクス商社である。M&Aも積極活用して業界NO.1規模、そして高収益化を目指している。21年3月期連結業績・配当予想は新型コロナウイルスの影響を考慮して未定としている。当面は世界的な経済収縮の影響が懸念材料として意識されるが、中期的に収益拡大を期待したい。株価は急伸して戻り歩調だ。自律調整を交えながら上値を試す展開を期待したい。

■独立系の大手エレクトロニクス商社

 独立系の大手エレクトロニクス商社で、半導体・電子部品・情報機器等の商社ビジネス、および電装基板製造受託サービスのEMSビジネスを展開している。

 19年1月富士通エレクトロニクスを子会社化(富士通セミコンダクターから株式70%取得)した。この後20年12月15%、21年12月15%を段階的に追加取得し、22年1月完全子会社化予定である。なお20年12月28日付で富士通エレクトロニクスの社名を加賀FEIに変更する。

 20年3月期のセグメント別売上高構成比は、電子部品事業(半導体、電子部品、EMS)85%、情報機器事業(パソコン・周辺機器、各種家電、写真・映像関連商品)10%、ソフトウェア事業(CGアニメ映像制作、アミューズメント関連商品)1%、その他事業(エレクトロニクス機器修理、アミューズメント機器製造販売、スポーツ用品販売など)4%、営業利益(調整前)構成比は電子部品事業76%、情報機器事業17%、ソフトウェア事業2%、その他事業5%だった。

■22年3月期営業利益130億円目指す

 中期経営計画2021では、基本方針に収益基盤強化、経営基盤安定化、新規事業創出、経営目標値に22年3月期売上高5000億円、営業利益130億円、ROE8%以上を掲げている。為替の前提は1米ドル=110円である。株主還元は連結配当性向25〜35%を確保しつつ安定的な配当を実施する方針だ。

 なお中計に沿ったセグメント区分を電子部品事業、EMS事業、CSI事業(情報機器事業)、その他事業(ソフトウェア事業、その他事業)とする。20年3月期の売上構成比は電子部品事業66%、EMS事業21%、CSI事業10%、その他事業3%である。22年3月期目標売上高5000億円の構成比は電子部品60%、EMS28%、CSI10%、その他2%としている。

 富士通エレクトロニクスを子会社化して、売上高5000億円級の企業グループとなった。商材の拡大や顧客基盤の共有によって電子部品事業における業界NO.1規模を目指す。現状は富士通エレクトロニクスの利益水準が低いため短期的な目標は商社ビジネスの量的拡大だが、中期的な目標として商社ビジネスとEMSビジネスのシナジーによる収益性向上(利益額の拡大と利益率の向上)を目指す。

 収益基盤強化では、成長分野(車載、通信、環境、産業機器、医療・ヘルスケア)への取り組み、EMSビジネスおよび海外ビジネスの強化・拡大を推進する。経営基盤安定化では、富士通エレクトロニクスをグループ化した後の効率性・財務健全性の早期改善に向けて、グループ横断的なコスト削減、組織体制整備によるグループ経営効率化、コーポレートガバナンス強化を推進する。新規事業創出ではM&Aも積極活用して、保育・福祉・介護等の社会課題ビジネスや素材ビジネスへの取り組み、ベンチャー投資によるオープンイノベーションを推進する。

 EMSビジネスでは18年以降に稼働した新拠点のメキシコ、ベトナム、トルコ、インドが順次、収益寄与している。また19年10月には福島新工場が稼働、19年12月にはタイ第2工場が稼働した。今後は車載、産業機械、空調、医療・ヘルスケア分野を成長ドライバーとして事業拡大を推進する。

 さらに「グローバル競争に勝ち残る企業」を目指してM&A戦略を加速している。19年10月にはパイオニアの製造子会社である十和田パイオニアの株式を取得(商号を加賀EMS十和田に変更)した。20年4月にはエレクトロニクス商社のエクセル<7591>を完全子会社化した。

 またベンチャー投資として、ウェアラブルコミュニケーションデバイス開発のBONX、前立腺癌生検および治療用システム開発の米HARMONUS、スマートセキュリティサービスのSecual、ソフトバンクグループで保育クラウドサービスを展開するhugmo、AIソフトウェア開発のハカルス、次世代蓄電デバイス「グリーンキャパシタTM」開発のスペースリンク、動画CM配信プラットフォーム事業やデジタルサイネージ事業のCMerTVなどに出資している。

 20年3月にはDX(デジタルトランスフォーメーション)に向けたソリューション事業などを展開するSun Asteriskに出資した。

■21年3月期予想は新型コロナウイルスの影響で未定

 20年3月期連結業績は、売上高が19年3月期比51.5%増の4436億15百万円、営業利益が32.3%増の100億14百万円、経常利益が29.0%増の101億37百万円だった。純利益は19年3月期計上の負ののれん益が剥落したため27.0%減の58億52百万円だった。配当は10円減配の70円(第2四半期末30円、期末40円)とした。

 電子部品事業(67.4増収、57.6%増益)が牽引した。EMSビジネスが医療・車載関連を中心に順調に推移した。部品販売ビジネスでは富士通エレクトロニクスの主要仕入先だった米国Cypress社との販売代理店契約終了に伴う一過性収益も寄与した。第4四半期に新型コロナウイルスの影響で、中国など一部工場で生産を一時休止したが、影響の最小化に努めた。営業利益と経常利益は計画超の大幅増益で過去最高を更新した。

 21年3月期連結業績・配当予想は新型コロナウイルスの影響を考慮して未定としている。当面は世界的な経済収縮の影響が懸念材料として意識されるが、中期的に収益拡大を期待したい。

■株価は上値試す

 株価は急伸して戻り歩調だ。自律調整を交えながら上値を試す展開を期待したい。5月27日の終値は2335円、前期実績連結PBR(前期実績連結BPS2850円99銭で算出)は約0.8倍、時価総額は約670億円である。(情報提供:日 本インタビュ新聞社=Media−IR)
[04月17日更新]

加賀電子は反発の動き

 加賀電子<8154>(東1)は独立系の大手エレクトロニクス商社である。M&Aも積極活用して業界NO.1規模、そして高収益化を目指している。当面は新型コロナウイルス感染症拡大による世界的な経済収縮の影響が懸念材料となるが、中期的に収益拡大を期待したい。株価は下値を切り上げて反発の動きを強めている。出直りを期待したい。

■独立系の大手エレクトロニクス商社

 独立系の大手エレクトロニクス商社で、半導体・電子部品・情報機器等の商社ビジネス、および電装基板製造受託サービスのEMSビジネスを展開している。

 19年1月富士通エレクトロニクスを子会社化(富士通セミコンダクターから株式70%取得)した。この後20年12月15%、21年12月15%を段階的に追加取得し、22年1月完全子会社化予定である。なお20年12月28日付で富士通エレクトロニクスの社名を加賀FEIに変更する。

 19年3月期(第4四半期から富士通エレクトロニクスを新規連結)のセグメント別売上高構成比は、電子部品事業(半導体、電子部品、EMS)77%、情報機器事業(パソコン・周辺機器、各種家電、写真・映像関連商品)15%、ソフトウェア事業(CGアニメ映像制作、アミューズメント関連商品)1%、その他事業(エレクトロニクス機器修理、アミューズメント機器製造販売、スポーツ用品販売など)7%、営業利益(連結調整前)構成比は電子部品事業64%、情報機器事業26%、ソフトウェア事業3%、その他事業7%だった。

 なお20年3月期からセグメント区分を、電子部品事業、EMS事業、CSI事業(情報機器事業)、その他事業(ソフトウェア事業、その他事業)とした。

■22年3月期営業利益130億円目指す

 中期経営計画2021では、基本方針に収益基盤強化、経営基盤安定化、新規事業創出、経営目標値に22年3月期売上高5000億円、営業利益130億円、ROE8%以上を掲げている。為替の前提は1米ドル=110円、売上高構成比は電子部品60%、EMS28%、CSI10%、その他2%である。株主還元は連結配当性向25〜35%を確保しつつ安定的な配当を実施する方針だ。

 富士通エレクトロニクスを子会社化して、売上高5000億円級の企業グループとなった。商材の拡大や顧客基盤の共有によって電子部品事業における業界NO.1規模を目指す。現状は富士通エレクトロニクスの利益水準が低いため短期的な目標は商社ビジネスの量的拡大だが、中期的な目標として商社ビジネスとEMSビジネスのシナジーによる収益性向上(利益額の拡大と利益率の向上)を目指す。

 収益基盤強化では、成長分野(車載、通信、環境、産業機器、医療・ヘルスケア)への取り組み、EMSビジネスおよび海外ビジネスの強化・拡大を推進する。経営基盤安定化では、富士通エレクトロニクスをグループ化した後の効率性・財務健全性の早期改善に向けて、グループ横断的なコスト削減、組織体制整備によるグループ経営効率化、コーポレートガバナンス強化を推進する。新規事業創出ではM&Aも積極活用して、保育・福祉・介護等の社会課題ビジネスや素材ビジネスへの取り組み、ベンチャー投資によるオープンイノベーションを推進する。

 EMSビジネスでは18年以降に稼働した新拠点のメキシコ、ベトナム、トルコ、インドが順次、収益寄与している。また19年10月には福島新工場が稼働、19年12月にはタイ第2工場が稼働した。今後は車載、産業機械、空調、医療・ヘルスケア分野を成長ドライバーとして事業拡大を推進する。

 さらに「グローバル競争に勝ち残る企業」を目指してM&A戦略を加速している。19年10月にはパイオニアの製造子会社である十和田パイオニアの株式を取得(商号を加賀EMS十和田に変更)した。20年4月にはエレクトロニクス商社のエクセル<7591>を完全子会社化した。

 またベンチャー投資として、ウェアラブルコミュニケーションデバイス開発のBONX、前立腺癌生検および治療用システム開発の米HARMONUS、スマートセキュリティサービスのSecual、ソフトバンクグループで保育クラウドサービスを展開するhugmo、AIソフトウェア開発のハカルス、次世代蓄電デバイス「グリーンキャパシタTM」開発のスペースリンク、動画CM配信プラットフォーム事業やデジタルサイネージ事業のCMerTVなどに出資している。

 20年3月にはDX(デジタルトランスフォーメーション)に向けたソリューション事業などを展開するSun Asteriskに出資した。

■20年3月期営業・経常増益予想

 20年3月期連結業績予想(2月6日に売上高、営業利益、経常利益を上方修正、純利益を据え置き)は、売上高が19年3月期比51.0%増の4420億円、営業利益が18.9%増の90億円、経常利益が14.5%増の90億円としている。純利益は構造改革関連費用を特別損失に見込んでいるため37.6%減の50億円である。配当予想は20円減配の60円(第2四半期末30円、期末30円)である。

 第3四半期累計は売上高が前年同期比95.0%増の3388億01百万円、営業利益が34.5%増の77億32百万円、経常利益が32.9%増の79億75百万円、純利益が1.0%増の49億24百万円だった。電子部品事業が2.4倍増収、69.8%増益となり、全体を牽引した。EMSビジネスが医療機器・車載関連を中心に順調に推移し、部品販売では富士通エレクトロニクスによる新たな収益も寄与した。

 当面は新型コロナウイルス感染症拡大による世界的な経済収縮の影響が懸念材料となるが、中期的に収益拡大を期待したい。なお20年4月にエクセルを完全子会社化することに伴い、21年3月期に特別利益(負ののれん発生益)約82億円を計上見込みである。

■株価は反発の動き

 株価は下値を切り上げて反発の動きを強めている。出直りを期待したい。4月16日の終値は1783円、前期推定連結PER(会社予想連結EPS182円17銭で算出)は約10倍、前期推定配当利回り(会社予想の60円で算出)は約3.4%、前々期実績連結PBR(前々期実績連結BPS2790円97銭で算出)は約0.6倍、時価総額は約512億円である。(情報提供:日 本インタビュ新聞社=Media−IR)
[03月23日更新]

加賀電子は売られ過ぎ感、20年3月期営業・経常増益予想

 加賀電子<8154>(東1)は独立系の大手エレクトロニクス商社である。M&Aも積極活用して業界NO.1規模、そして高収益化を目指している。20年3月期第営業・経常増益予想である。第4四半期には新型ウイルス感染拡大による経済収縮の影響が警戒されるが、中期収益拡大を期待したい。株価は地合い悪化で急落して昨年来安値に接近しているが、売られ過ぎ感を強めている。出直りを期待したい。

■独立系の大手エレクトロニクス商社

 独立系の大手エレクトロニクス商社で、半導体・電子部品・情報機器等の商社ビジネス、および電装基板製造受託サービスのEMSビジネスを展開している。

 19年1月富士通エレクトロニクスを子会社化(富士通セミコンダクターから株式70%取得)した。この後20年12月15%、21年12月15%を段階的に追加取得し、22年1月完全子会社化予定である。

 19年3月期(第4四半期から富士通エレクトロニクスを新規連結)のセグメント別売上高構成比は、電子部品事業(半導体、電子部品、EMS)77%、情報機器事業(パソコン・周辺機器、各種家電、写真・映像関連商品)15%、ソフトウェア事業(CGアニメ映像制作、アミューズメント関連商品)1%、その他事業(エレクトロニクス機器修理、アミューズメント機器製造販売、スポーツ用品販売など)7%、営業利益(連結調整前)構成比は電子部品事業64%、情報機器事業26%、ソフトウェア事業3%、その他事業7%だった。

 なお20年3月期からセグメント区分を、電子部品事業、EMS事業、CSI事業(情報機器事業)、その他事業(ソフトウェア事業、その他事業)とした。

■22年3月期営業利益130億円目指す

 中期経営計画2021では、基本方針に収益基盤強化、経営基盤安定化、新規事業創出、経営目標値に22年3月期売上高5000億円、営業利益130億円、ROE8%以上を掲げている。為替の前提は1米ドル=110円、売上高構成比は電子部品60%、EMS28%、CSI10%、その他2%である。株主還元は連結配当性向25〜35%を確保しつつ安定的な配当を実施する方針だ。

 富士通エレクトロニクスを子会社化して、売上高5000億円級の企業グループとなった。商材の拡大や顧客基盤の共有によって電子部品事業における業界NO.1規模を目指す。現状は富士通エレクトロニクスの利益水準が低いため短期的な目標は商社ビジネスの量的拡大だが、中期的な目標として商社ビジネスとEMSビジネスのシナジーによる収益性向上(利益額の拡大と利益率の向上)を目指す。

 収益基盤強化では、成長分野(車載、通信、環境、産業機器、医療・ヘルスケア)への取り組み、EMSビジネスおよび海外ビジネスの強化・拡大を推進する。経営基盤安定化では、富士通エレクトロニクスをグループ化した後の効率性・財務健全性の早期改善に向けて、グループ横断的なコスト削減、組織体制整備によるグループ経営効率化、コーポレートガバナンス強化を推進する。新規事業創出ではM&Aも積極活用して、保育・福祉・介護等の社会課題ビジネスや素材ビジネスへの取り組み、ベンチャー投資によるオープンイノベーションを推進する。

 EMSビジネスでは18年以降に稼働した新拠点のメキシコ、ベトナム、トルコ、インドが順次、収益寄与している。また19年10月には福島新工場が稼働、19年12月にはタイ第2工場が稼働した。今後は車載、産業機械、空調、医療・ヘルスケア分野を成長ドライバーとして事業拡大を推進する。

 さらに「グローバル競争に勝ち残る企業」を目指してM&A戦略を加速している。19年10月にはパイオニアの製造子会社である十和田パイオニアの株式を取得(商号を加賀EMS十和田に変更)した。20年4月にはエレクトロニクス商社のエクセル<7591>を完全子会社化予定である。

 またベンチャー投資として、ウェアラブルコミュニケーションデバイス開発のBONX、前立腺癌生検および治療用システム開発の米HARMONUS、スマートセキュリティサービスのSecual、ソフトバンクグループで保育クラウドサービスを展開するhugmo、AIソフトウェア開発のハカルス、次世代蓄電デバイス「グリーンキャパシタTM」開発のスペースリンクなどに出資している。20年1月には動画CM配信プラットフォーム事業やデジタルサイネージ事業を展開するCMerTVに資本参加した。

■20年3月期営業・経常増益予想

 20年3月期連結業績予想(2月6日に売上高、営業利益、経常利益を上方修正、純利益を据え置き)は、売上高が19年3月期比51.0%増の4420億円、営業利益が18.9%増の90億円、経常利益が14.5%増の90億円としている。純利益は構造改革関連費用を特別損失に見込んでいるため37.6%減の50億円である。配当予想は20円減配の60円(第2四半期末30円、期末30円)である。

 第3四半期累計は売上高が前年同期比95.0%増の3388億01百万円、営業利益が34.5%増の77億32百万円、経常利益が32.9%増の79億75百万円、純利益が1.0%増の49億24百万円だった。情報機器事業やソフトウェア事業は低調だったが、主力の電子部品事業が2.4倍増収、69.8%増益となり、全体を牽引した。EMSビジネスが医療機器・車載関連を中心に順調に推移し、部品販売では富士通エレクトロニクスによる新たな収益も寄与した。

 通期は電子部品事業が車載向けを中心に好調に推移し、利益面では人員減に伴う人件費の減少や経費抑制も寄与する。第3四半期累計の進捗率は売上高76.7%、営業利益が85.9%である。第4四半期には新型ウイルス感染拡大による経済収縮の影響が警戒されるが、中期収益拡大を期待したい。なお20年4月にエクセルを完全子会社化することに伴い、21年3月期に特別利益(負ののれん発生益)約82億円を計上見込みである。

■株価は売られ過ぎ感

 株価は地合い悪化で急落して昨年来安値に接近しているが、売られ過ぎ感を強めている。出直りを期待したい。3月19日の終値は1497円、今期予想連結PER(会社予想連結EPS182円17銭で算出)は約8倍、今期予想配当利回り(会社予想60円で算出)は約4.0%、前期実績連結PBR(前期実績連結BPS2790円97銭で算出)は約0.5倍、時価総額は約430億円である。(情報提供:日 本インタビュ新聞社=Media−IR)
[02月20日更新]

加賀電子は調整一巡、20年3月期は上方修正して2桁営業増益予想

 加賀電子<8154>(東1)は独立系の大手エレクトロニクス商社である。M&Aも積極活用して業界NO.1規模、そして高収益化を目指している。20年3月期第3四半期累計は大幅営業増益だった。通期は上方修正し、従来の営業減益予想から一転して2桁営業増益予想となった。収益拡大を期待したい。株価は12月の昨年来高値圏から反落して水準を切り下げたが、調整一巡して出直りを期待したい。

■独立系の大手エレクトロニクス商社

 独立系の大手エレクトロニクス商社で、半導体・電子部品・情報機器等の商社ビジネス、および電装基板製造受託サービスのEMSビジネスを展開している。

 19年1月富士通エレクトロニクスを子会社化(富士通セミコンダクターから株式70%取得)した。この後20年12月15%、21年12月15%を段階的に追加取得し、22年1月完全子会社化予定である。

 19年3月期(第4四半期から富士通エレクトロニクスを新規連結)のセグメント別売上高構成比は、電子部品事業(半導体、電子部品、EMS)77%、情報機器事業(パソコン・周辺機器、各種家電、写真・映像関連商品)15%、ソフトウェア事業(CGアニメ映像制作、アミューズメント関連商品)1%、その他事業(エレクトロニクス機器修理、アミューズメント機器製造販売、スポーツ用品販売など)7%、営業利益(連結調整前)構成比は電子部品事業64%、情報機器事業26%、ソフトウェア事業3%、その他事業7%だった。

 なお20年3月期からセグメント区分を、電子部品事業、EMS事業、CSI事業(情報機器事業)、その他事業(ソフトウェア事業、その他事業)とした。

■22年3月期営業利益130億円目指す

 中期経営計画2021では、基本方針に収益基盤強化、経営基盤安定化、新規事業創出、経営目標値に22年3月期売上高5000億円、営業利益130億円、ROE8%以上を掲げている。為替の前提は1米ドル=110円、売上高構成比は電子部品60%、EMS28%、CSI10%、その他2%である。株主還元は連結配当性向25〜35%を確保しつつ安定的な配当を実施する方針だ。

 富士通エレクトロニクスを子会社化して、売上高5000億円級の企業グループとなった。商材の拡大や顧客基盤の共有によって電子部品事業における業界NO.1規模を目指す。現状は富士通エレクトロニクスの利益水準が低いため短期的な目標は商社ビジネスの量的拡大だが、中期的な目標として商社ビジネスとEMSビジネスのシナジーによる収益性向上(利益額の拡大と利益率の向上)を目指す。

 収益基盤強化では、成長分野(車載、通信、環境、産業機器、医療・ヘルスケア)への取り組み、EMSビジネスおよび海外ビジネスの強化・拡大を推進する。経営基盤安定化では、富士通エレクトロニクスをグループ化した後の効率性・財務健全性の早期改善に向けて、グループ横断的なコスト削減、組織体制整備によるグループ経営効率化、コーポレートガバナンス強化を推進する。新規事業創出ではM&Aも積極活用して、保育・福祉・介護等の社会課題ビジネスや素材ビジネスへの取り組み、ベンチャー投資によるオープンイノベーションを推進する。

 EMSビジネスでは18年以降に稼働した新拠点のメキシコ、ベトナム、トルコ、インドが順次、収益寄与している。また19年10月には福島新工場が稼働、19年12月にはタイ第2工場が稼働した。今後は車載、産業機械、空調、医療・ヘルスケア分野を成長ドライバーとして事業拡大を推進する。

 さらに「グローバル競争に勝ち残る企業」を目指してM&A戦略を加速している。19年10月にはパイオニアの製造子会社である十和田パイオニアの株式を取得(商号を加賀EMS十和田に変更)した。20年4月にはエレクトロニクス商社のエクセル<7591>を完全子会社化予定である。

 またベンチャー投資として、ウェアラブルコミュニケーションデバイス開発のBONX、前立腺癌生検および治療用システム開発の米HARMONUS、スマートセキュリティサービスのSecual、ソフトバンクグループで保育クラウドサービスを展開するhugmo、AIソフトウェア開発のハカルス、次世代蓄電デバイス「グリーンキャパシタTM」開発のスペースリンクなどに出資している。20年1月には動画CM配信プラットフォーム事業やデジタルサイネージ事業を展開するCMerTVに資本参加した。

■20年3月期は上方修正して営業増益予想

 20年3月期連結業績予想(2月6日に売上高、営業利益、経常利益を上方修正、純利益据え置き)は、売上高が19年3月期比51.0%増の4420億円、営業利益が18.9%増の億円、経常利益が14.5%増の90億円、純利益が37.6%減の50億円としている。配当予想は20円減配の60円(第2四半期末30円、期末30円)である。

 従来の営業減益予想から一転して2桁営業増益予想となった。電子部品事業の売上高が車載向けを中心に好調に推移して想定を上回る見込みとなり、利益面では人員減に伴う人件費の減少や経費抑制も寄与する。なお構造改革関連費用を特別損失に見込んでいるため、純利益は据え置いた。

 第3四半期累計は売上高が前年同期比95.0%増の3388億01百万円、営業利益が34.5%増の77億32百万円、経常利益が32.9%増の79億75百万円、純利益が1.0%増の49億24百万円だった。情報機器事業やソフトウェア事業は低調だったが、主力の電子部品事業が2.4倍増収、69.8%増益となり、全体を牽引した。EMSビジネスが医療機器・車載関連を中心に順調に推移し、部品販売では富士通エレクトロニクスによる新たな収益も寄与した。

 修正後の通期予想に対する第3四半期累計の進捗率は売上高が76.7%、営業利益が85.9%となる。第4四半期は新型肺炎感染拡大による影響が警戒されるが、通期利益再上振れ余地もありそうだ。収益拡大を期待したい。なお20年4月にエクセルを完全子会社化することに伴い、21年3月期に特別利益(負ののれん発生益)約82億円を計上見込みである。

■株価は調整一巡

 株価は12月の昨年来高値圏から反落して水準を切り下げたが、調整一巡して出直りを期待したい。2月19日の終値は2281円、今期予想連結PER(会社予想連結EPS182円17銭で算出)は約13倍、今期予想配当利回り(会社予想60円で算出)は約2.6%、前期実績連結PBR(前期実績連結BPS2790円97銭で算出)は約0.8倍、時価総額は約655億円である。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media−IR)
[01月17日更新]

加賀電子は上値試す、20年3月期上振れの可能性

 加賀電子<8154>(東1)は独立系の大手エレクトロニクス商社である。M&Aも積極活用して業界NO.1規模、そして高収益化を目指している。20年3月期は減益予想だが上振れの可能性が高いだろう。中期的にも収益拡大を期待したい。株価は12月の昨年来高値圏から反落したが、自律調整を交えながら上値を試す展開を期待したい。なお2月6日に第3四半期決算発表を予定している。

■独立系の大手エレクトロニクス商社

 独立系の大手エレクトロニクス商社で、半導体・電子部品・情報機器等の商社ビジネス、および電装基板製造受託サービスのEMSビジネスを展開している。

 19年1月富士通エレクトロニクスを子会社化(富士通セミコンダクターから株式70%取得)した。この後20年12月15%、21年12月15%を段階的に追加取得し、22年1月完全子会社化予定である。

 19年3月期(第4四半期から富士通エレクトロニクスを新規連結)のセグメント別売上高構成比は、電子部品事業(半導体、電子部品、EMS)77%、情報機器事業(パソコン・周辺機器、各種家電、写真・映像関連商品)15%、ソフトウェア事業(CGアニメ映像制作、アミューズメント関連商品)1%、その他事業(エレクトロニクス機器修理、アミューズメント機器製造販売、スポーツ用品販売など)7%、営業利益(連結調整前)構成比は電子部品事業64%、情報機器事業26%、ソフトウェア事業3%、その他事業7%だった。

 なお20年3月期からセグメント区分を、電子部品事業、EMS事業、CSI事業(情報機器事業)、その他事業(ソフトウェア事業、その他事業)とした。

■22年3月期営業利益130億円目指す

 中期経営計画2021では、基本方針に収益基盤強化、経営基盤安定化、新規事業創出、経営目標値に22年3月期売上高5000億円、営業利益130億円、ROE8%以上を掲げている。為替の前提は1米ドル=110円、売上高構成比は電子部品60%、EMS28%、CSI10%、その他2%である。株主還元は連結配当性向25〜35%を確保しつつ安定的な配当を実施する方針だ。

 富士通エレクトロニクスを子会社化して、売上高5000億円級の企業グループとなった。商材の拡大や顧客基盤の共有によって電子部品事業における業界NO.1規模を目指す。現状は富士通エレクトロニクスの利益水準が低いため短期的な目標は商社ビジネスの量的拡大だが、中期的な目標として商社ビジネスとEMSビジネスのシナジーによる収益性向上(利益額の拡大と利益率の向上)を目指す。

 収益基盤強化では、成長分野(車載、通信、環境、産業機器、医療・ヘルスケア)への取り組み、EMSビジネスおよび海外ビジネスの強化・拡大を推進する。経営基盤安定化では、富士通エレクトロニクスをグループ化した後の効率性・財務健全性の早期改善に向けて、グループ横断的なコスト削減、組織体制整備によるグループ経営効率化、コーポレートガバナンス強化を推進する。新規事業創出ではM&Aも積極活用して、保育・福祉・介護等の社会課題ビジネスや素材ビジネスへの取り組み、ベンチャー投資によるオープンイノベーションを推進する。

 EMSビジネスでは18年以降に稼働した新拠点のメキシコ、ベトナム、トルコ、インドが順次、収益寄与本格化する。また19年10月には福島新工場が稼働、19年12月にはタイ第2工場が稼働した。今後は車載、産業機械、空調、医療・ヘルスケア分野を成長ドライバーとして事業拡大を推進する。

 さらに「グローバル競争に勝ち残る企業」を目指してM&A戦略を加速している。19年10月にはパイオニアの製造子会社である十和田パイオニアの株式を取得(商号を加賀EMS十和田に変更)した。20年4月にはエレクトロニクス商社のエクセル<7591>を完全子会社化予定である。

 またベンチャー投資として、ウェアラブルコミュニケーションデバイス開発のBONX、前立腺癌生検および治療用システム開発の米HARMONUS、スマートセキュリティサービスのSecual、ソフトバンクグループで保育クラウドサービスを展開するhugmo、AIソフトウェア開発のハカルス、次世代蓄電デバイス「グリーンキャパシタTM」開発のスペースリンクなどに出資している。

 20年1月には、動画CM配信プラットフォーム事業やデジタルサイネージ事業を展開するCMerTVの株式を、VOYAGE GROUPから譲り受けて資本参加した。

■20年3月期減益予想だが上振れの可能性

 20年3月期の連結業績予想は、売上高が19年3月期比46.9%増の4300億円、営業利益が7.5%減の70億円、経常利益が10.9%減の70億円、純利益が37.6%減の50億円としている。配当予想は20円減配の60円(第2四半期末30円、期末30円)である。

 富士通エレクトロニクスが通期寄与(売上高1950億円、営業利益5億円)するが、グループ全体として先行き不透明な内外情勢を慎重に織り込み、従来の加賀電子分(売上高が0.3%減の2350億円、営業利益が11.3%減の65億円)において減益を見込んでいる。また富士通エレクトロニクス分についても、大口商権解消リスク(19年10月に米国Cypress社との販売代理店契約終了および取引停止を発表)を織り込んで減収減益見込みとしている。純利益は負ののれん代一巡なども影響する。

 セグメント別営業利益(連結調整前)計画は、電子部品が3.4%減の22億円、EMSが5.0%増の28億円、CSIが21.3%減の15億円、その他が9.7%減の5億円としている。

 第2四半期累計は売上高が前年同期比99.9%増の2306億30百万円、営業利益が38.9%増の52億39百万円、経常利益が37.0%増の55億46百万円、純利益が27.4%増の35億02百万円だった。富士通エレクトロニクスの寄与やEMSビジネスの堅調推移で、主力の電子部品事業が2.4倍増収、71.3%増益と牽引した。情報機器事業は5.6%減収で28.5%減益、ソフトウェア事業は5.1%減収で67.2%減益、その他事業は1.4%増収で19.6%増益だった。

 第2四半期累計の進捗率は売上高営業利益53.6%、営業利益74.8%、経常利益79.2%、純利益70.0%と高水準である。通期上振れの可能性が高いだろう。収益拡大を期待したい。

 なおエクセルを完全子会社化することに伴い、21年3月期に特別利益(負ののれん発生益)約82億円を計上見込みである。

■株価は上値試す

 株価は12月の昨年来高値圏から反落したが、自律調整を交えながら上値を試す展開を期待したい。1月16日の終値は2455円、今期予想連結PER(会社予想連結EPS182円17銭で算出)は約13倍、今期予想配当利回り(会社予想60円で算出)は約2.4%、前期実績連結PBR(前期実績連結BPS2790円97銭で算出)は約0.9倍、時価総額は約705億円である。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media−IR)
[12月30日更新]

加賀電子は急伸、20年3月期2Q累計大幅増益で通期上振れの可能性

 加賀電子<8154>(東1)は独立系の大手エレクトロニクス商社である。20年3月期減益予想だが、第2四半期累計が大幅増益だった。通期は上振れの可能性が高いだろう。収益拡大を期待したい。株価は急伸して年初来高値を更新している。自律調整を交えながら上値を試す展開を期待したい。

■独立系の大手エレクトロニクス商社

 独立系の大手エレクトロニクス商社で、半導体・電子部品・情報機器等の商社ビジネス、および電装基板製造受託サービスのEMSビジネスを展開している。

 19年1月富士通エレクトロニクスを子会社化(富士通セミコンダクターから株式70%取得)した。この後20年12月15%、21年12月15%を段階的に追加取得し、22年1月完全子会社化予定である。

 この買収によって売上高5000億円級の企業グループとなった。取り扱い商材の拡大や顧客基盤の共有によって電子部品事業における業界NO.1規模を目指す。現状は富士通エレクトロニクスの利益水準が低いため短期的な目標は商社ビジネスの量的拡大だが、中期的な目標として商社ビジネスとEMSビジネスのシナジーによる収益性向上(利益額の拡大と利益率の向上)を目指す。さらにグローバル競争に勝ち残るため「世界に通用する企業」を目指す方針だ。

 19年3月期(第4四半期から富士通エレクトロニクスを新規連結)のセグメント別売上高構成比は、電子部品事業(半導体、電子部品、EMS)77%、情報機器事業(パソコン・周辺機器、各種家電、写真・映像関連商品)15%、ソフトウェア事業(CGアニメ映像制作、アミューズメント関連商品)1%、その他事業(エレクトロニクス機器修理、アミューズメント機器製造販売、スポーツ用品販売など)7%、営業利益(連結調整前)構成比は電子部品事業64%、情報機器事業26%、ソフトウェア事業3%、その他事業7%だった。

 20年3月期からセグメント区分を電子部品事業、EMS事業、CSI事業(従来の情報機器事業)、その他事業(従来のソフトウェア事業、その他事業)とする。

 またベンチャー投資として、ウェアラブルコミュニケーションデバイス開発のBONX、前立腺癌生検および治療用システム開発の米HARMONUS、スマートセキュリティサービスのSecual、ソフトバンクグループで保育クラウドサービスを展開するhugmo、AIソフトウェア開発のハカルス、次世代蓄電デバイス「グリーンキャパシタTM」開発のスペースリンクなどに出資している。

■20年3月期2Q累計大幅増益で通期上振れの可能性

 20年3月期の連結業績予想は、売上高が19年3月期比46.9%増の4300億円、営業利益が7.5%減の70億円、経常利益が10.9%減の70億円、純利益が37.6%減の50億円としている。配当予想は20円減配の60円(第2四半期末30円、期末30円)である。

 富士通エレクトロニクスが通期寄与(売上高1950億円、営業利益5億円)するが、グループ全体として先行き不透明な内外情勢を慎重に織り込み、従来の加賀電子分(売上高が0.3%減の2350億円、営業利益が11.3%減の65億円)において減益を見込んでいる。また富士通エレクトロニクス分についても、大口商権解消リスク(19年10月に米国Cypress社との販売代理店契約終了および取引停止を発表)を織り込んで減収減益見込みとしている。純利益は負ののれん代一巡なども影響する。

 セグメント別営業利益(連結調整前)計画は、電子部品が3.4%減の22億円、EMSが5.0%増の28億円、CSIが21.3%減の15億円、その他が9.7%減の5億円としている。

 第2四半期累計は売上高が前年同期比99.9%増の2306億30百万円、営業利益が38.9%増の52億39百万円、経常利益が37.0%増の55億46百万円、純利益が27.4%増の35億02百万円だった。富士通エレクトロニクスの寄与やEMSビジネスの堅調推移で、主力の電子部品事業が2.4倍増収、71.3%増益と牽引した。情報機器事業は5.6%減収で28.5%減益、ソフトウェア事業は5.1%減収で67.2%減益、その他事業は1.4%増収で19.6%増益だった。

 通期予想は据え置いたが、第2四半期累計の進捗率は売上高営業利益53.6%、営業利益74.8%、経常利益79.2%、純利益70.0%と高水準である。通期は上振れの可能性が高いだろう。収益拡大を期待したい。

■22年3月期営業利益130億円目指す

 中期経営計画2021では、基本方針に収益基盤強化、経営基盤安定化、新規事業創出、経営目標値に22年3月期売上高5000億円、営業利益130億円、ROE8%以上を掲げている。為替の前提は1米ドル=110円、売上高構成比は電子部品60%、EMS28%、CSI10%、その他2%である。株主還元は連結配当性向25〜35%を確保しつつ安定的な配当を実施する方針だ。

 収益基盤強化では、成長分野(車載、通信、環境、産業機器、医療・ヘルスケア)への取り組み、EMSビジネスおよび海外ビジネスの強化・拡大を推進する。経営基盤安定化では、富士通エレクトロニクスをグループ化した後の効率性・財務健全性の早期改善に向けて、グループ横断的なコスト削減、組織体制整備によるグループ経営効率化、コーポレートガバナンス強化を推進する。新規事業創出ではM&Aも積極活用して、保育・福祉・介護等の社会課題ビジネスや素材ビジネスへの取り組み、ベンチャー投資によるオープンイノベーションを推進する。

 EMSビジネスの成長シナリオは、オーガニック成長として、既存の中国、アセアン、欧州の生産拠点に加えて、新拠点で18年1月稼働のメキシコ、18年3月稼働のベトナム、18年10月稼働のトルコ、19年春稼働のインドが順次、収益寄与本格化する。

 今後は車載、産業機械、空調、医療・ヘルスケア分野を成長ドライバーとして事業拡大を推進する。また富士通エレクトロニクスが持つ有力顧客に対して「キーデバイス+EMS」のアプローチを展開してシナジー効果を目指す。19年10月には福島新工場が稼働した。19年12月にはタイ第2工場が稼働予定である。

 さらにEMSビジネス拡大に向けて新たなM&A機会に挑戦するとしている。19年10月には、パイオニアの製造子会社である十和田パイオニアの株式を取得(商号を加賀EMS十和田に変更)した。車載機器、医療機器向けにEMS事業の競争力強化を目指す。

■株価は上値試す

 株価は急伸して年初来高値を更新している。自律調整を交えながら上値を試す展開を期待したい。11月8日の終値は2511円、今期予想連結PER(会社予想連結EPS182円17銭で算出)は約14倍、今期予想配当利回り(会社予想60円で算出)は約2.4%、前期実績連結PBR(前期実績連結BPS2790円97銭で算出)は約0.9倍、時価総額は約721億円である。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media−IR)
[12月20日更新]

加賀電子は17年高値目指す、20年3月期上振れの可能性でM&A戦略も加速

 加賀電子<8154>(東1)は独立系の大手エレクトロニクス商社である。富士通エレクトロニクスを子会社化して業界NO.1規模を目指している。20年3月期は減益予想だが上振れの可能性が高いだろう。さらにM&A戦略を加速し、20年4月にはエクセルを完全子会社化予定である。中期的に収益拡大を期待したい。株価は年初来高値更新の展開だ。自律調整を交えながら17年10月の高値を目指す展開を期待したい。

■独立系の大手エレクトロニクス商社

 独立系の大手エレクトロニクス商社で、半導体・電子部品・情報機器等の商社ビジネス、および電装基板製造受託サービスのEMSビジネスを展開している。

 19年1月富士通エレクトロニクスを子会社化(富士通セミコンダクターから株式70%取得)した。この後20年12月15%、21年12月15%を段階的に追加取得し、22年1月完全子会社化予定である。

 19年3月期(第4四半期から富士通エレクトロニクスを新規連結)のセグメント別売上高構成比は、電子部品事業(半導体、電子部品、EMS)77%、情報機器事業(パソコン・周辺機器、各種家電、写真・映像関連商品)15%、ソフトウェア事業(CGアニメ映像制作、アミューズメント関連商品)1%、その他事業(エレクトロニクス機器修理、アミューズメント機器製造販売、スポーツ用品販売など)7%、営業利益(連結調整前)構成比は電子部品事業64%、情報機器事業26%、ソフトウェア事業3%、その他事業7%だった。

 なお20年3月期からセグメント区分を、電子部品事業、EMS事業、CSI事業(従来の情報機器事業)、その他事業(従来のソフトウェア事業、その他事業)とする。

■22年3月期営業利益130億円目指す

 中期経営計画2021では、基本方針に収益基盤強化、経営基盤安定化、新規事業創出、経営目標値に22年3月期売上高5000億円、営業利益130億円、ROE8%以上を掲げている。為替の前提は1米ドル=110円、売上高構成比は電子部品60%、EMS28%、CSI10%、その他2%である。株主還元は連結配当性向25〜35%を確保しつつ安定的な配当を実施する方針だ。

 富士通エレクトロニクスを子会社化して、売上高5000億円級の企業グループとなった。商材の拡大や顧客基盤の共有によって電子部品事業における業界NO.1規模を目指す。現状は富士通エレクトロニクスの利益水準が低いため短期的な目標は商社ビジネスの量的拡大だが、中期的な目標として商社ビジネスとEMSビジネスのシナジーによる収益性向上(利益額の拡大と利益率の向上)を目指す。

 収益基盤強化では、成長分野(車載、通信、環境、産業機器、医療・ヘルスケア)への取り組み、EMSビジネスおよび海外ビジネスの強化・拡大を推進する。経営基盤安定化では、富士通エレクトロニクスをグループ化した後の効率性・財務健全性の早期改善に向けて、グループ横断的なコスト削減、組織体制整備によるグループ経営効率化、コーポレートガバナンス強化を推進する。新規事業創出ではM&Aも積極活用して、保育・福祉・介護等の社会課題ビジネスや素材ビジネスへの取り組み、ベンチャー投資によるオープンイノベーションを推進する。

 EMSビジネスでは18年以降に稼働した新拠点のメキシコ、ベトナム、トルコ、インドが順次、収益寄与本格化する。また19年10月には福島新工場が稼働、19年12月にはタイ第2工場が稼働した。今後は車載、産業機械、空調、医療・ヘルスケア分野を成長ドライバーとして事業拡大を推進する。

 さらに「グローバル競争に勝ち残る企業」を目指してM&A戦略を加速している。19年10月にはパイオニアの製造子会社である十和田パイオニアの株式を取得(商号を加賀EMS十和田に変更)した。20年4月には、エレクトロニクス商社のエクセル<7591>を完全子会社化予定である。

 またベンチャー投資として、ウェアラブルコミュニケーションデバイス開発のBONX、前立腺癌生検および治療用システム開発の米HARMONUS、スマートセキュリティサービスのSecual、ソフトバンクグループで保育クラウドサービスを展開するhugmo、AIソフトウェア開発のハカルス、次世代蓄電デバイス「グリーンキャパシタTM」開発のスペースリンクなどに出資している。

 20年1月には、動画CM配信プラットフォーム事業やデジタルサイネージ事業を展開するCMerTVの株式を、VOYAGE GROUPから譲り受けて資本参加予定である。

■20年3月期減益予想だが上振れの可能性

 20年3月期の連結業績予想は、売上高が19年3月期比46.9%増の4300億円、営業利益が7.5%減の70億円、経常利益が10.9%減の70億円、純利益が37.6%減の50億円としている。配当予想は20円減配の60円(第2四半期末30円、期末30円)である。

 富士通エレクトロニクスが通期寄与(売上高1950億円、営業利益5億円)するが、グループ全体として先行き不透明な内外情勢を慎重に織り込み、従来の加賀電子分(売上高が0.3%減の2350億円、営業利益が11.3%減の65億円)において減益を見込んでいる。また富士通エレクトロニクス分についても、大口商権解消リスク(19年10月に米国Cypress社との販売代理店契約終了および取引停止を発表)を織り込んで減収減益見込みとしている。純利益は負ののれん代一巡なども影響する。

 セグメント別営業利益(連結調整前)計画は、電子部品が3.4%減の22億円、EMSが5.0%増の28億円、CSIが21.3%減の15億円、その他が9.7%減の5億円としている。

 第2四半期累計は売上高が前年同期比99.9%増の2306億30百万円、営業利益が38.9%増の52億39百万円、経常利益が37.0%増の55億46百万円、純利益が27.4%増の35億02百万円だった。富士通エレクトロニクスの寄与やEMSビジネスの堅調推移で、主力の電子部品事業が2.4倍増収、71.3%増益と牽引した。情報機器事業は5.6%減収で28.5%減益、ソフトウェア事業は5.1%減収で67.2%減益、その他事業は1.4%増収で19.6%増益だった。

 第2四半期累計の進捗率は売上高営業利益53.6%、営業利益74.8%、経常利益79.2%、純利益70.0%と高水準である。通期上振れの可能性が高いだろう。収益拡大を期待したい。

 なおエクセルを完全子会社化することに伴い、21年3月期に特別利益(負ののれん発生益)約82億円を計上見込みである。

■株価は17年高値目指す

 株価は年初来高値更新の展開だ。自律調整を交えながら17年10月の高値を目指す展開を期待したい。12月19日の終値は2666円、今期予想連結PER(会社予想連結EPS182円17銭で算出)は約15倍、今期予想配当利回り(会社予想60円で算出)は約2.3%、前期実績連結PBR(前期実績連結BPS2790円97銭で算出)は約1.0倍、時価総額は約765億円である。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media−IR)
[11月11日更新]

加賀電子は急伸、20年3月期2Q累計大幅増益で通期上振れの可能性

 加賀電子<8154>(東1)は独立系の大手エレクトロニクス商社である。20年3月期減益予想だが、第2四半期累計が大幅増益だった。通期は上振れの可能性が高いだろう。収益拡大を期待したい。株価は急伸して年初来高値を更新している。自律調整を交えながら上値を試す展開を期待したい。

■独立系の大手エレクトロニクス商社

 独立系の大手エレクトロニクス商社で、半導体・電子部品・情報機器等の商社ビジネス、および電装基板製造受託サービスのEMSビジネスを展開している。

 19年1月富士通エレクトロニクスを子会社化(富士通セミコンダクターから株式70%取得)した。この後20年12月15%、21年12月15%を段階的に追加取得し、22年1月完全子会社化予定である。

 この買収によって売上高5000億円級の企業グループとなった。取り扱い商材の拡大や顧客基盤の共有によって電子部品事業における業界NO.1規模を目指す。現状は富士通エレクトロニクスの利益水準が低いため短期的な目標は商社ビジネスの量的拡大だが、中期的な目標として商社ビジネスとEMSビジネスのシナジーによる収益性向上(利益額の拡大と利益率の向上)を目指す。さらにグローバル競争に勝ち残るため「世界に通用する企業」を目指す方針だ。

 19年3月期(第4四半期から富士通エレクトロニクスを新規連結)のセグメント別売上高構成比は、電子部品事業(半導体、電子部品、EMS)77%、情報機器事業(パソコン・周辺機器、各種家電、写真・映像関連商品)15%、ソフトウェア事業(CGアニメ映像制作、アミューズメント関連商品)1%、その他事業(エレクトロニクス機器修理、アミューズメント機器製造販売、スポーツ用品販売など)7%、営業利益(連結調整前)構成比は電子部品事業64%、情報機器事業26%、ソフトウェア事業3%、その他事業7%だった。

 20年3月期からセグメント区分を電子部品事業、EMS事業、CSI事業(従来の情報機器事業)、その他事業(従来のソフトウェア事業、その他事業)とする。

 またベンチャー投資として、ウェアラブルコミュニケーションデバイス開発のBONX、前立腺癌生検および治療用システム開発の米HARMONUS、スマートセキュリティサービスのSecual、ソフトバンクグループで保育クラウドサービスを展開するhugmo、AIソフトウェア開発のハカルス、次世代蓄電デバイス「グリーンキャパシタTM」開発のスペースリンクなどに出資している。

■20年3月期2Q累計大幅増益で通期上振れの可能性

 20年3月期の連結業績予想は、売上高が19年3月期比46.9%増の4300億円、営業利益が7.5%減の70億円、経常利益が10.9%減の70億円、純利益が37.6%減の50億円としている。配当予想は20円減配の60円(第2四半期末30円、期末30円)である。

 富士通エレクトロニクスが通期寄与(売上高1950億円、営業利益5億円)するが、グループ全体として先行き不透明な内外情勢を慎重に織り込み、従来の加賀電子分(売上高が0.3%減の2350億円、営業利益が11.3%減の65億円)において減益を見込んでいる。また富士通エレクトロニクス分についても、大口商権解消リスク(19年10月に米国Cypress社との販売代理店契約終了および取引停止を発表)を織り込んで減収減益見込みとしている。純利益は負ののれん代一巡なども影響する。

 セグメント別営業利益(連結調整前)計画は、電子部品が3.4%減の22億円、EMSが5.0%増の28億円、CSIが21.3%減の15億円、その他が9.7%減の5億円としている。

 第2四半期累計は売上高が前年同期比99.9%増の2306億30百万円、営業利益が38.9%増の52億39百万円、経常利益が37.0%増の55億46百万円、純利益が27.4%増の35億02百万円だった。富士通エレクトロニクスの寄与やEMSビジネスの堅調推移で、主力の電子部品事業が2.4倍増収、71.3%増益と牽引した。情報機器事業は5.6%減収で28.5%減益、ソフトウェア事業は5.1%減収で67.2%減益、その他事業は1.4%増収で19.6%増益だった。

 通期予想は据え置いたが、第2四半期累計の進捗率は売上高営業利益53.6%、営業利益74.8%、経常利益79.2%、純利益70.0%と高水準である。通期は上振れの可能性が高いだろう。収益拡大を期待したい。

■22年3月期営業利益130億円目指す

 中期経営計画2021では、基本方針に収益基盤強化、経営基盤安定化、新規事業創出、経営目標値に22年3月期売上高5000億円、営業利益130億円、ROE8%以上を掲げている。為替の前提は1米ドル=110円、売上高構成比は電子部品60%、EMS28%、CSI10%、その他2%である。株主還元は連結配当性向25〜35%を確保しつつ安定的な配当を実施する方針だ。

 収益基盤強化では、成長分野(車載、通信、環境、産業機器、医療・ヘルスケア)への取り組み、EMSビジネスおよび海外ビジネスの強化・拡大を推進する。経営基盤安定化では、富士通エレクトロニクスをグループ化した後の効率性・財務健全性の早期改善に向けて、グループ横断的なコスト削減、組織体制整備によるグループ経営効率化、コーポレートガバナンス強化を推進する。新規事業創出ではM&Aも積極活用して、保育・福祉・介護等の社会課題ビジネスや素材ビジネスへの取り組み、ベンチャー投資によるオープンイノベーションを推進する。

 EMSビジネスの成長シナリオは、オーガニック成長として、既存の中国、アセアン、欧州の生産拠点に加えて、新拠点で18年1月稼働のメキシコ、18年3月稼働のベトナム、18年10月稼働のトルコ、19年春稼働のインドが順次、収益寄与本格化する。

 今後は車載、産業機械、空調、医療・ヘルスケア分野を成長ドライバーとして事業拡大を推進する。また富士通エレクトロニクスが持つ有力顧客に対して「キーデバイス+EMS」のアプローチを展開してシナジー効果を目指す。19年10月には福島新工場が稼働した。19年12月にはタイ第2工場が稼働予定である。

 さらにEMSビジネス拡大に向けて新たなM&A機会に挑戦するとしている。19年10月には、パイオニアの製造子会社である十和田パイオニアの株式を取得(商号を加賀EMS十和田に変更)した。車載機器、医療機器向けにEMS事業の競争力強化を目指す。

■株価は上値試す

 株価は急伸して年初来高値を更新している。自律調整を交えながら上値を試す展開を期待したい。11月8日の終値は2511円、今期予想連結PER(会社予想連結EPS182円17銭で算出)は約14倍、今期予想配当利回り(会社予想60円で算出)は約2.4%、前期実績連結PBR(前期実績連結BPS2790円97銭で算出)は約0.9倍、時価総額は約721億円である。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media−IR)
[10月16日更新]

加賀電子は戻り試す、20年3月期減益予想だが上振れ余地

 加賀電子<8154>(東1)は独立系の大手エレクトロニクス商社である。20年3月期は世界経済減速を考慮して減益予想だが、上振れ余地がありそうだ。中期的には富士通エレクトロニクス(19年1月子会社化、段階的に株式取得して22年1月完全子会社化予定)とのシナジー効果で、収益性向上を期待したい。株価は8月〜9月の年初来安値圏から急反発している。基調転換を確認して戻りを試す展開を期待したい。なお11月7日に第2四半期決算発表を予定している。

■独立系の大手エレクトロニクス商社でEMSビジネスも展開

 独立系の大手エレクトロニクス商社で、半導体・電子部品・情報機器等の商社ビジネス、および電装基板製造受託サービスのEMSビジネスを展開している。

 19年1月富士通エレクトロニクスを子会社化(富士通セミコンダクターから株式70%取得)した。この後20年12月15%、21年12月15%を段階的に追加取得し、22年1月完全子会社化予定である。

 この買収によって売上高5000億円級の企業グループとなった。取り扱い商材の拡大や顧客基盤の共有によって電子部品事業における業界NO.1規模を目指す。現状は富士通エレクトロニクスの利益水準が低いため短期的な目標は商社ビジネスの量的拡大だが、中期的な目標として商社ビジネスとEMSビジネスのシナジーによる収益性向上(利益額の拡大と利益率の向上)を目指す。さらにグローバル競争に勝ち残るため「世界に通用する企業」を目指す方針だ。

 19年3月期(第4四半期から富士通エレクトロニクスを新規連結)のセグメント別売上高構成比は、電子部品事業(半導体、電子部品、EMS)77%、情報機器事業(パソコン・周辺機器、各種家電、写真・映像関連商品)15%、ソフトウェア事業(CGアニメ映像制作、アミューズメント関連商品)1%、その他事業(エレクトロニクス機器修理、アミューズメント機器製造販売、スポーツ用品販売など)7%、営業利益(連結調整前)構成比は電子部品事業64%、情報機器事業26%、ソフトウェア事業3%、その他事業7%だった。

 20年3月期からセグメント区分を電子部品事業、EMS事業、CSI事業(従来の情報機器事業)、その他事業(従来のソフトウェア事業、その他事業)とする。

 またベンチャー投資として、ウェアラブルコミュニケーションデバイス開発のBONX、前立腺癌生検および治療用システム開発の米HARMONUS、スマートセキュリティサービスのSecual、ソフトバンクグループで保育クラウドサービスを展開するhugmo、AIソフトウェア開発のハカルス、次世代蓄電デバイス「グリーンキャパシタTM」開発のスペースリンクなどに出資している。

■20年3月期減益予想だが上振れ余地

 20年3月期の連結業績予想は、売上高が19年3月期比46.9%増の4300億円、営業利益が7.5%減の70億円、経常利益が10.9%減の70億円、純利益が37.6%減の50億円としている。配当予想は20円減配の年間60円(第2四半期末30円、期末30円)で、予想配当性向は32.9%となる。

 富士通エレクトロニクスが通期寄与(売上高1950億円、営業利益5億円)するが、グループ全体として先行き不透明な内外情勢を慎重に織り込み、従来の加賀電子分(売上高が0.3%減の2350億円、営業利益が11.3%減の65億円)において減益を見込んでいる。また富士通エレクトロニクス分についても、大口商権解消リスク(10月10日に米国Cypress社との販売代理店契約終了および取引停止を発表)を織り込んで減収減益見込みとしている。純利益は負ののれん代一巡なども影響する。

 セグメント別営業利益(連結調整前)計画は、電子部品が3.4%減の22億円、EMSが5.0%増の28億円、CSIが21.3%減の15億円、その他が9.7%減の5億円としている。

 第1四半期は売上高が前年同期比97.4%増の1095億64百万円、営業利益が24.2%増の18億50百万円、経常利益が21.8%増の20億45百万円、純利益が17.6%増の13億50百万円だった。富士通エレクトロニクスの寄与、EMSビジネスの堅調推移で、主力の電子部品事業が2.3倍増収、51.3%増益と牽引し、全体としても大幅増収増益だった。

 第1四半期の利益進捗率は営業利益26.4%、経常利益29.2%、そして純利益27.0%と順調である。通期上振れ余地がありそうだ。

■22年3月期営業利益130億円目指す

 中期経営計画2021では、基本方針に収益基盤強化、経営基盤安定化、新規事業創出、経営目標値に22年3月期売上高5000億円、営業利益130億円、ROE8%以上を掲げている。為替の前提は1米ドル=110円、売上高構成比は電子部品60%、EMS28%、CSI10%、その他2%である。株主還元は連結配当性向25〜35%を確保しつつ安定的な配当を実施する方針だ。

 収益基盤強化では、成長分野(車載、通信、環境、産業機器、医療・ヘルスケア)への取り組み、EMSビジネスおよび海外ビジネスの強化・拡大を推進する。経営基盤安定化では、富士通エレクトロニクスをグループ化した後の効率性・財務健全性の早期改善に向けて、グループ横断的なコスト削減、組織体制整備によるグループ経営効率化、コーポレートガバナンス強化を推進する。新規事業創出ではM&Aも積極活用して、保育・福祉・介護等の社会課題ビジネスや素材ビジネスへの取り組み、ベンチャー投資によるオープンイノベーションを推進する。

 EMSビジネスの成長シナリオは、オーガニック成長として、既存の中国、アセアン、欧州の生産拠点に加えて、新拠点で18年1月稼働のメキシコ、18年3月稼働のベトナム、18年10月稼働のトルコ、19年春稼働予定のインドが順次、収益寄与本格化する。

 今後は車載、産業機械、空調、医療・ヘルスケア分野を成長ドライバーとして事業拡大を推進する。また富士通エレクトロニクスが持つ有力顧客に対して「キーデバイス+EMS」のアプローチを展開してシナジー効果を目指す。19年10月には福島新工場が稼働した。19年12月にはタイ第2工場が稼働予定である。

 さらにEMSビジネス拡大に向けて新たなM&A機会に挑戦するとしている。19年10月には、パイオニアの製造子会社である十和田パイオニアの株式を取得(商号を加賀EMS十和田に変更)した。車載機器、医療機器向けにEMS事業の競争力強化を目指す。

■株価は戻り試す

 株価は8月〜9月の年初来安値圏から急反発している。基調転換を確認して戻りを試す展開を期待したい。10月15日の終値は2046円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS182円17銭で算出)は約11倍、今期予想配当利回り(会社予想の年間60円で算出)は約2.9%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS2790円97銭で算出)は約0.7倍、時価総額は約587億円である。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media−IR)
[09月17日更新]

加賀電子は反発の動き、20年3月期減益予想だが上振れ期待

 加賀電子<8154>(東1)は独立系の大手エレクトロニクス商社である。20年3月期は世界経済減速を考慮して減益予想だが、第1四半期が大幅増益となり、通期の上振れが期待される。また中期的に富士通エレクトロニクス(19年1月子会社化、段階的に株式取得して22年1月完全子会社化予定)とのシナジー効果で、収益性向上を期待したい。株価は下値固め完了して反発の動きを強めている。出直り本格化を期待したい。

■独立系の大手エレクトロニクス商社でEMSビジネスも展開

 独立系の大手エレクトロニクス商社で、半導体・電子部品・情報機器等の商社ビジネス、および電装基板製造受託サービスのEMSビジネスを展開している。

 19年1月富士通エレクトロニクスを子会社化(富士通セミコンダクターから株式70%取得)した。この後20年12月15%、21年12月15%を段階的に追加取得し、22年1月完全子会社化予定である。

 この買収によって売上高5000億円級の企業グループとなった。取り扱い商材の拡大や顧客基盤の共有によって電子部品事業における業界NO.1規模を目指す。現状は富士通エレクトロニクスの利益水準が低いため短期的な目標は商社ビジネスの量的拡大だが、中期的な目標として商社ビジネスとEMSビジネスのシナジーによる収益性向上(利益額の拡大と利益率の向上)を目指す。さらにグローバル競争に勝ち残るため「世界に通用する企業」を目指す方針だ。

 19年3月期(第4四半期から富士通エレクトロニクスを新規連結)のセグメント別売上高構成比は、電子部品事業(半導体、電子部品、EMS)77%、情報機器事業(パソコン・周辺機器、各種家電、写真・映像関連商品)15%、ソフトウェア事業(CGアニメ映像制作、アミューズメント関連商品)1%、その他事業(エレクトロニクス機器修理、アミューズメント機器製造販売、スポーツ用品販売など)7%、営業利益(連結調整前)構成比は電子部品事業64%、情報機器事業26%、ソフトウェア事業3%、その他事業7%だった。

 20年3月期からセグメント区分を電子部品事業、EMS事業、CSI事業(従来の情報機器事業)、その他事業(従来のソフトウェア事業、その他事業)とする。

 なお19年10月には、パイオニアの製造子会社である十和田パイオニアの株式を取得予定(商号を加賀EMS十和田に変更予定)である。車載機器、医療機器向けにEMS事業の競争力強化を目指す。またベンチャー投資として、ウェアラブルコミュニケーションデバイス開発のBONX、前立腺癌生検および治療用システム開発の米HARMONUS、スマートセキュリティサービスのSecual、ソフトバンクグループで保育クラウドサービスを展開するhugmo、AIソフトウェア開発のハカルス、次世代蓄電デバイス「グリーンキャパシタTM」開発のスペースリンクなどに出資している。

■20年3月期減益予想だが1Q大幅増益で通期上振れ期待

 20年3月期の連結業績予想は、売上高が19年3月期比46.9%増の4300億円、営業利益が7.5%減の70億円、経常利益が10.9%減の70億円、純利益が37.6%減の50億円としている。配当予想は20円減配の年間60円(第2四半期末30円、期末30円)で、予想配当性向は32.9%となる。

 富士通エレクトロニクスが通期寄与(売上高1950億円、営業利益5億円)するが、グループ全体として先行き不透明な内外情勢を慎重に織り込み、従来の加賀電子分(売上高が0.3%減の2350億円、営業利益が11.3%減の65億円)において減益を見込んでいる。また富士通エレクトロニクス分についても、大口商権解消リスクを織り込んで減収減益見込みとしている。純利益は負ののれん代一巡なども影響する。

 セグメント別営業利益(連結調整前)計画は、電子部品が3.4%減の22億円、EMSが5.0%増の28億円、CSIが21.3%減の15億円、その他が9.7%減の5億円としている。

 第1四半期は売上高が前年同期比97.4%増の1095億64百万円、営業利益が24.2%増の18億50百万円、経常利益が21.8%増の20億45百万円、純利益が17.6%増の13億50百万円だった。富士通エレクトロニクスの寄与、EMSビジネスの堅調推移で、主力の電子部品事業が2.3倍増収、51.3%増益と牽引し、全体としても大幅増収増益だった。

 第1四半期の利益進捗率は営業利益26.4%、経常利益29.2%、そして純利益27.0%と順調である。第1四半期が大幅増益となり、通期の上振れが期待される。

■22年3月期営業利益130億円目指す

 中期経営計画2021では、基本方針に収益基盤強化、経営基盤安定化、新規事業創出、経営目標値に22年3月期売上高5000億円、営業利益130億円、ROE8%以上を掲げている。為替の前提は1米ドル=110円、売上高構成比は電子部品60%、EMS28%、CSI10%、その他2%である。株主還元は連結配当性向25〜35%を確保しつつ安定的な配当を実施する方針だ。

 収益基盤強化では、成長分野(車載、通信、環境、産業機器、医療・ヘルスケア)への取り組み、EMSビジネスおよび海外ビジネスの強化・拡大を推進する。経営基盤安定化では、富士通エレクトロニクスをグループ化した後の効率性・財務健全性の早期改善に向けて、グループ横断的なコスト削減、組織体制整備によるグループ経営効率化、コーポレートガバナンス強化を推進する。新規事業創出ではM&Aも積極活用して、保育・福祉・介護等の社会課題ビジネスや素材ビジネスへの取り組み、ベンチャー投資によるオープンイノベーションを推進する。

 EMSビジネスの成長シナリオは、オーガニック成長として、既存の中国、アセアン、欧州の生産拠点に加えて、新拠点で18年1月稼働のメキシコ、18年3月稼働のベトナム、18年10月稼働のトルコ、19年春稼働予定のインドが順次、収益寄与本格化する。そして今後は車載、産業機械、空調、医療・ヘルスケア分野を成長ドライバーとして事業拡大を推進する。また富士通エレクトロニクスが持つ有力顧客に対して「キーデバイス+EMS」のアプローチを展開してシナジー効果を目指す。さらにEMSビジネス拡大に向けて新たなM&A機会に挑戦するとしている。

■株価は反発の動き

 株価は下値固め完了して反発の動きを強めている。出直り本格化を期待したい。9月13日の終値は1850円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS182円17銭で算出)は約10倍、今期予想配当利回り(会社予想の年間60円で算出)は約3.2%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS2790円97銭で算出)は約0.7倍、時価総額は約531億円である。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media−IR)
[08月19日更新]

加賀電子は下値固め完了、20年3月期減益予想だが1Q大幅増益

 加賀電子<8154>(東1)は独立系の大手エレクトロニクス商社である。20年3月期は世界経済減速も考慮して減益予想だが、第1四半期は大幅増益だった。通期も収益拡大を期待したい。また中期的に富士通エレクトロニクス(19年1月子会社化、段階的に株式取得して22年1月完全子会社化予定)とのシナジー効果で収益性向上を期待したい。株価は下値固め完了して出直りを期待したい。

■独立系の大手エレクトロニクス商社でEMSビジネスも展開

 独立系の大手エレクトロニクス商社で、半導体・電子部品・情報機器等の商社ビジネス、および電装基板製造受託サービスのEMSビジネスを展開している。

 19年1月富士通エレクトロニクスを子会社化(富士通セミコンダクターから株式70%取得)した。この後20年12月15%、21年12月15%を段階的に追加取得し、22年1月完全子会社化予定である。

 この買収によって売上高5000億円級の企業グループとなった。取り扱い商材の拡大や顧客基盤の共有によって電子部品事業における業界NO.1規模を目指す。現状は富士通エレクトロニクスの利益水準が低いため短期的な目標は商社ビジネスの量的拡大だが、中期的な目標として商社ビジネスとEMSビジネスのシナジーによる収益性向上(利益額の拡大と利益率の向上)を目指す。さらにグローバル競争に勝ち残るため「世界に通用する企業」を目指す方針だ。

 また19年10月には、パイオニアの製造子会社である十和田パイオニアの株式を取得予定(商号を加賀EMS十和田に変更予定)である。車載機器、医療機器向けにEMS事業の競争力強化を目指す。

 19年3月期(第4四半期から富士通エレクトロニクスを新規連結)のセグメント別売上高構成比は、電子部品事業(半導体、電子部品、EMS)77%、情報機器事業(パソコン・周辺機器、各種家電、写真・映像関連商品)15%、ソフトウェア事業(CGアニメ映像制作、アミューズメント関連商品)1%、その他事業(エレクトロニクス機器修理、アミューズメント機器製造販売、スポーツ用品販売など)7%、営業利益(連結調整前)構成比は電子部品事業64%、情報機器事業26%、ソフトウェア事業3%、その他事業7%だった。

 20年3月期からセグメント区分を電子部品事業、EMS事業、CSI事業(従来の情報機器事業)、その他事業(従来のソフトウェア事業、その他事業)とする。

 なおベンチャー投資として、ウェアラブルコミュニケーションデバイス開発のBONX、前立腺癌生検および治療用システム開発の米HARMONUS、スマートセキュリティサービスのSecual、ソフトバンクグループで保育クラウドサービスを展開するhugmo、AIソフトウェア開発のハカルス、次世代蓄電デバイス「グリーンキャパシタTM」開発のスペースリンクなどに出資している。

■20年3月期減益予想だが1Q大幅増益

 20年3月期の連結業績予想は、売上高が19年3月期比46.9%増の4300億円、営業利益が7.5%減の70億円、経常利益が10.9%減の70億円、純利益が37.6%減の50億円としている。配当予想は20円減配の年間60円(第2四半期末30円、期末30円)で、予想配当性向は32.9%となる。

 富士通エレクトロニクスが通期寄与(売上高1950億円、営業利益5億円)するが、グループ全体として先行き不透明な内外情勢を慎重に織り込み、従来の加賀電子分(売上高が0.3%減の2350億円、営業利益が11.3%減の65億円)において減益を見込んでいる。また富士通エレクトロニクス分についても、大口商権解消リスクを織り込んで減収減益見込みとしている。純利益は負ののれん代一巡なども影響する。

 セグメント別営業利益(連結調整前)計画は、電子部品が3.4%減の22億円、EMSが5.0%増の28億円、CSIが21.3%減の15億円、その他が9.7%減の5億円としている。

 第1四半期は売上高が前年同期比97.4%増の1095億64百万円、営業利益が24.2%増の18億50百万円、経常利益が21.8%増の20億45百万円、純利益が17.6%増の13億50百万円だった。富士通エレクトロニクスの寄与、EMSビジネスの堅調推移で、主力の電子部品事業が2.3倍増収、51.3%増益と牽引し、全体としても大幅増収増益だった。

 第1四半期の利益進捗率は営業利益26.4%、経常利益29.2%、そして純利益27.0%と順調である。通期も収益拡大を期待したい。

■22年3月期営業利益130億円目指す

 中期経営計画2021では、基本方針に収益基盤強化、経営基盤安定化、新規事業創出、経営目標値に22年3月期売上高5000億円、営業利益130億円、ROE8%以上を掲げている。為替の前提は1米ドル=110円、売上高構成比は電子部品60%、EMS28%、CSI10%、その他2%である。株主還元は連結配当性向25〜35%を確保しつつ安定的な配当を実施する方針だ。

 収益基盤強化では、成長分野(車載、通信、環境、産業機器、医療・ヘルスケア)への取り組み、EMSビジネスおよび海外ビジネスの強化・拡大を推進する。経営基盤安定化では、富士通エレクトロニクスをグループ化した後の効率性・財務健全性の早期改善に向けて、グループ横断的なコスト削減、組織体制整備によるグループ経営効率化、コーポレートガバナンス強化を推進する。新規事業創出ではM&Aも積極活用して、保育・福祉・介護等の社会課題ビジネスや素材ビジネスへの取り組み、ベンチャー投資によるオープンイノベーションを推進する。

 EMSビジネスの成長シナリオは、オーガニック成長として、既存の中国、アセアン、欧州の生産拠点に加えて、新拠点で18年1月稼働のメキシコ、18年3月稼働のベトナム、18年10月稼働のトルコ、19年春稼働予定のインドが順次、収益寄与本格化する。そして今後は車載、産業機械、空調、医療・ヘルスケア分野を成長ドライバーとして事業拡大を推進する。また富士通エレクトロニクスが持つ有力顧客に対して「キーデバイス+EMS」のアプローチを展開してシナジー効果を目指す。さらにEMSビジネス拡大に向けて新たなM&A機会に挑戦するとしている。

■株価は下値固め完了

 株価は反発力の鈍い展開だが、下値固め完了して出直りを期待したい。8月16日の終値は1625円、今期予想連結PER(会社予想連結EPS182円17銭で算出)は約9倍、今期予想配当利回り(会社予想の年間60円で算出)は約3.7%、前期実績連結PBR(前期実績連結BPS2790円97銭で算出)は約0.6倍、時価総額は約466億円である。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media−IR)
[07月19日更新]

加賀電子は反発の動き、20年3月期減益予想だが中期的に収益性向上期待

 加賀電子<8154>(東1)は独立系の大手エレクトロニクス商社である。富士通エレクトロニクスを19年1月子会社化(段階的に株式取得して22年1月完全子会社化予定)した。20年3月期は世界経済減速も考慮して減益予想だが、中期的に富士通エレクトロニクスとのシナジー効果で収益性向上を期待したい。株価は6月の安値から反発の動きを強めている。調整一巡して出直りを期待したい。なお8月7日に第1四半期決算発表を予定している。

■独立系の大手エレクトロニクス商社でEMSビジネスも展開

 独立系の大手エレクトロニクス商社で、半導体・電子部品・情報機器等の商社ビジネス、および電装基板製造受託サービスのEMSビジネスを展開している。

 19年1月富士通エレクトロニクスを子会社化(富士通セミコンダクターから株式70%取得)した。この後20年12月15%、21年12月15%を段階的に追加取得し、22年1月完全子会社化予定である。

 この買収によって売上高5000億円級の企業グループとなった。取り扱い商材の拡大や顧客基盤の共有によって電子部品事業における業界NO.1規模を目指す。現状は富士通エレクトロニクスの利益水準が低いため短期的な目標は商社ビジネスの量的拡大だが、中期的な目標として商社ビジネスとEMSビジネスのシナジーによる収益性向上(利益額の拡大と利益率の向上)を目指す。さらにグローバル競争に勝ち残るため「世界に通用する企業」を目指す方針だ。

 19年3月期(第4四半期から富士通エレクトロニクスを新規連結)のセグメント別売上高構成比は、電子部品事業(半導体、電子部品、EMS)77%、情報機器事業(パソコン・周辺機器、各種家電、写真・映像関連商品)15%、ソフトウェア事業(CGアニメ映像制作、アミューズメント関連商品)1%、その他事業(エレクトロニクス機器修理、アミューズメント機器製造販売、スポーツ用品販売など)7%、営業利益(連結調整前)構成比は電子部品事業64%、情報機器事業26%、ソフトウェア事業3%、その他事業7%だった。

 20年3月期からセグメント区分を電子部品事業、EMS事業、CSI事業(従来の情報機器事業)、その他事業(従来のソフトウェア事業、その他事業)とする。

 なおベンチャー投資として、ウェアラブルコミュニケーションデバイス開発のBONX、前立腺癌生検および治療用システム開発の米HARMONUS、スマートセキュリティサービスのSecual、ソフトバンクグループで保育クラウドサービスを展開するhugmo、AIソフトウェア開発のハカルス、次世代蓄電デバイス「グリーンキャパシタTM」開発のスペースリンクなどに出資している。

■20年3月期減益予想だが中期的に収益性向上期待

 20年3月期の連結業績予想は、売上高が19年3月期比46.9%増の4300億円、営業利益が7.5%減の70億円、経常利益が10.9%減の70億円、純利益が37.6%減の50億円としている。配当予想は20円減配の年間60円(第2四半期末30円、期末30円)で、予想配当性向は32.9%となる。

 富士通エレクトロニクスが通期寄与(売上高1950億円、営業利益5億円)するが、グループ全体として先行き不透明な内外情勢を慎重に織り込み、従来の加賀電子分(売上高が0.3%減の2350億円、営業利益が11.3%減の65億円)において減益を見込んでいる。また富士通エレクトロニクス分についても、大口商権解消リスクを織り込んで減収減益見込みとしている。純利益は負ののれん代一巡なども影響する。

 セグメント別営業利益(連結調整前)計画は、電子部品が3.4%減の22億円、EMSが5.0%増の28億円、CSIが21.3%減の15億円、その他が9.7%減の5億円としている。現状は富士通エレクトロニクスの利益寄与が小さく、世界経済減速の影響も考慮して20年3月期減益予想だが、中期的に収益性向上を期待したい。

■22年3月期営業利益130億円目指す

 中期経営計画2021では、基本方針に収益基盤強化、経営基盤安定化、新規事業創出、経営目標値に22年3月期売上高5000億円、営業利益130億円、ROE8%以上を掲げている。為替の前提は1米ドル=110円、売上高構成比は電子部品60%、EMS28%、CSI10%、その他2%である。株主還元は連結配当性向25〜35%を確保しつつ安定的な配当を実施する方針だ。

 収益基盤強化では、成長分野(車載、通信、環境、産業機器、医療・ヘルスケア)への取り組み、EMSビジネスおよび海外ビジネスの強化・拡大を推進する。経営基盤安定化では、富士通エレクトロニクスをグループ化した後の効率性・財務健全性の早期改善に向けて、グループ横断的なコスト削減、組織体制整備によるグループ経営効率化、コーポレートガバナンス強化を推進する。新規事業創出ではM&Aも積極活用して、保育・福祉・介護等の社会課題ビジネスや素材ビジネスへの取り組み、ベンチャー投資によるオープンイノベーションを推進する。

 EMSビジネスの成長シナリオは、オーガニック成長として、既存の中国、アセアン、欧州の生産拠点に加えて、新拠点で18年1月稼働のメキシコ、18年3月稼働のベトナム、18年10月稼働のトルコ、19年春稼働予定のインドが順次、収益寄与本格化する。そして今後は車載、産業機械、空調、医療・ヘルスケア分野を成長ドライバーとして事業拡大を推進する。また富士通エレクトロニクスが持つ有力顧客に対して「キーデバイス+EMS」のアプローチを展開してシナジー効果を目指す。さらにEMSビジネス拡大に向けて新たなM&A機会に挑戦するとしている。

■株価は反発の動き

 株価は6月の安値1503円から反発の動きを強めている。調整一巡して出直りを期待したい。7月18日の終値は1596円、今期予想連結PER(会社予想連結EPS182円17銭で算出)は約9倍、今期予想配当利回り(会社予想の年間60円で算出)は約3.8%、前期実績連結PBR(前期実績連結BPS2790円97銭で算出)は約0.6倍、時価総額は約458億円である。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media−IR)
[06月26日更新]

加賀電子は売り一巡、20年3月期減益予想だが中期的に収益性向上期待

 加賀電子<8154>(東1)は独立系の大手エレクトロニクス商社である。富士通エレクトロニクスを19年1月子会社化(段階的に株式取得して22年1月完全子会社化予定)した。20年3月期は世界経済減速も考慮して減益予想だが、中期的に富士通エレクトロニクスとのシナジー効果で収益性向上を期待したい。株価は16年以来の安値圏だが、売り一巡して反発を期待したい。

■独立系の大手エレクトロニクス商社でEMSビジネスも展開

 独立系の大手エレクトロニクス商社で、半導体・電子部品・情報機器等の商社ビジネス、および電装基板製造受託サービスのEMSビジネスを展開している。

 19年1月富士通エレクトロニクスを子会社化(富士通セミコンダクターから株式70%取得)した。この後20年12月15%、21年12月15%を段階的に追加取得し、22年1月完全子会社化予定である。

 この買収によって売上高5000億円級の企業グループとなる。取り扱い商材の拡大や顧客基盤の共有によって電子部品事業における業界NO.1規模を目指す。現状は富士通エレクトロニクスの利益水準が低いため短期的な目標は商社ビジネスの量的拡大だが、中期的な目標として商社ビジネスとEMSビジネスのシナジーによる収益性向上(利益額の拡大と利益率の向上)を目指す。さらにグローバル競争に勝ち残るため「世界に通用する企業」を目指す方針だ。

 19年3月期(第4四半期から富士通エレクトロニクスを新規連結)のセグメント別売上高構成比は、電子部品事業(半導体、電子部品、EMS)77%、情報機器事業(パソコン・周辺機器、各種家電、写真・映像関連商品)15%、ソフトウェア事業(CGアニメ映像制作、アミューズメント関連商品)1%、その他事業(エレクトロニクス機器修理、アミューズメント機器製造販売、スポーツ用品販売など)7%、営業利益(連結調整前)構成比は電子部品事業64%、情報機器事業26%、ソフトウェア事業3%、その他事業7%だった。

 20年3月期からセグメント区分を電子部品事業、EMS事業、CSI事業(従来の情報機器事業)、その他事業(従来のソフトウェア事業、その他事業)とする。

 なおベンチャー投資として、ウェアラブルコミュニケーションデバイス開発のBONX、前立腺癌生検および治療用システム開発の米HARMONUS、スマートセキュリティサービスのSecual、ソフトバンクグループで保育クラウドサービスを展開するhugmo、AIソフトウェア開発のハカルス、次世代蓄電デバイス「グリーンキャパシタTM」開発のスペースリンクなどに出資している。

■20年3月期減益予想だが中期的に収益性向上期待

 20年3月期の連結業績予想は、売上高が19年3月期比46.9%増の4300億円、営業利益が7.5%減の70億円、経常利益が10.9%減の70億円、純利益が37.6%減の50億円としている。配当予想は20円減配の年間60円(第2四半期末30円、期末30円)で、予想配当性向は32.9%となる。

 富士通エレクトロニクスが通期寄与(売上高1950億円、営業利益5億円)するが、グループ全体として先行き不透明な内外情勢を慎重に織り込み、従来の加賀電子分(売上高が0.3%減の2350億円、営業利益が11.3%減の65億円)において減益を見込んでいる。また富士通エレクトロニクス分についても、大口商権解消リスクを織り込んで減収減益見込みとしている。純利益は負ののれん代一巡なども影響する。

 セグメント別営業利益(連結調整前)計画は、電子部品が3.4%減の22億円、EMSが5.0%増の28億円、CSIが21.3%減の15億円、その他が9.7%減の5億円としている。現状は富士通エレクトロニクスの利益寄与が小さく、世界経済減速の影響も考慮して20年3月期減益予想だが、中期的に収益性向上を期待したい。

■22年3月期営業利益130億円目指す

 中期経営計画2021では、基本方針に収益基盤強化、経営基盤安定化、新規事業創出、経営目標値に22年3月期売上高5000億円、営業利益130億円、ROE8%以上を掲げている。為替の前提は1米ドル=110円、売上高構成比は電子部品60%、EMS28%、CSI10%、その他2%である。株主還元は連結配当性向25〜35%を確保しつつ安定的な配当を実施する方針だ。

 収益基盤強化では、成長分野(車載、通信、環境、産業機器、医療・ヘルスケア)への取り組み、EMSビジネスおよび海外ビジネスの強化・拡大を推進する。経営基盤安定化では、富士通エレクトロニクスをグループ化した後の効率性・財務健全性の早期改善に向けて、グループ横断的なコスト削減、組織体制整備によるグループ経営効率化、コーポレートガバナンス強化を推進する。新規事業創出ではM&Aも積極活用して、保育・福祉・介護等の社会課題ビジネスや素材ビジネスへの取り組み、ベンチャー投資によるオープンイノベーションを推進する。

 EMSビジネスの成長シナリオは、オーガニック成長として、既存の中国、アセアン、欧州の生産拠点に加えて、新拠点で18年1月稼働のメキシコ、18年3月稼働のベトナム、18年10月稼働のトルコ、19年春稼働予定のインドが順次、収益寄与が本格化する。そして今後は車載、産業機械、空調、医療・ヘルスケア分野を成長ドライバーとして事業拡大を推進する。また富士通エレクトロニクスが持つ有力顧客に対して「キーデバイス+EMS」のアプローチを展開してシナジー効果を目指す。さらにEMSビジネス拡大に向けて新たなM&A機会に挑戦するとしている。

■株価は売り一巡

 株価は16年以来の安値圏だが、売り一巡して反発を期待したい。6月25日の終値は1516円、今期予想連結PER(会社予想連結EPS182円17銭で算出)は約8倍、今期予想配当利回り(会社予想の年間60円で算出)は約4.0%、前期実績連結PBR(前期実績連結BPS2790円97銭で算出)は約0.5倍、時価総額は約435億円である。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media−IR)
[06月03日更新]

加賀電子は売り一巡して反発期待、20年3月期減益予想だが中期的には収益性向上期待

 加賀電子<8154>(東1)は独立系の大手エレクトロニクス商社である。富士通エレクトロニクスを19年1月子会社化(段階的に株式取得して22年1月完全子会社化予定)した。19年3月期は営業・経常減益(純利益は負ののれん代計上して増益)だった。現状は富士通エレクトロニクスの利益寄与が小さく、世界経済減速の影響も考慮して20年3月期減益予想だが、中期的には収益性向上を期待したい。株価は水準を切り下げて16年以来の安値圏だが、売り一巡して反発を期待したい。

■独立系の大手エレクトロニクス商社でEMSビジネスも展開

 独立系の大手エレクトロニクス商社で、半導体・電子部品・情報機器等の商社ビジネス、および電装基板製造受託サービスのEMSビジネスを展開している。

 19年1月富士通エレクトロニクスを子会社化(富士通セミコンダクターから株式70%取得)した。この後20年12月15%、21年12月15%を段階的に追加取得し、22年1月完全子会社化予定である。

 この買収によって売上高5000億円級の企業グループとなる。取り扱い商材の拡大や顧客基盤の共有によって電子部品事業における業界NO.1規模を目指す。現状は富士通エレクトロニクスの利益水準が低いため短期的な目標は商社ビジネスの量的拡大だが、中期的な目標として商社ビジネスとEMSビジネスのシナジーによる収益性向上(利益額の拡大と利益率の向上)を目指す。さらにグローバル競争に勝ち残るため「世界に通用する企業」を目指す方針だ。

 19年3月期(第4四半期から富士通エレクトロニクスを新規連結)のセグメント別売上高構成比は、電子部品事業(半導体、電子部品、EMS)77%、情報機器事業(パソコン・周辺機器、各種家電、写真・映像関連商品)15%、ソフトウェア事業(CGアニメ映像制作、アミューズメント関連商品)1%、その他事業(エレクトロニクス機器修理、アミューズメント機器製造販売、スポーツ用品販売など)7%、営業利益(連結調整前)構成比は電子部品事業64%、情報機器事業26%、ソフトウェア事業3%、その他事業7%だった。

 20年3月期からセグメント区分を電子部品事業、EMS事業、CSI事業(従来の情報機器事業)、その他事業(従来のソフトウェア事業、その他事業)とする。

 なおベンチャー投資として、ウェアラブルコミュニケーションデバイス開発のBONX、前立腺癌生検および治療用システム開発の米HARMONUS、スマートセキュリティサービスのSecual、ソフトバンクグループで保育クラウドサービスを展開するhugmo、AIソフトウェア開発のハカルス、次世代蓄電デバイス「グリーンキャパシタTM」開発のスペースリンクなどに出資している。

■20年3月期減益予想だが中期的には収益性向上期待

 19年3月期連結業績(第4四半期から富士通エレクトロニクスを新規連結)は、売上高が18年3月期比24.1%増の2927億79百万円、営業利益が6.8%減の75億70百万円、経常利益が10.1%減の78億59百万円、そして純利益が23.5%増の80億14百万円だった。純利益は負ののれん代21億64百万円を計上して13期ぶりに最高更新した。配当は創立50周年記念配当5円と特別配当5円を含めて、19年3月期比10円増配の年間80円(第2四半期末35円、期末45円)とした。配当性向は27.4%である。

 富士通エレクトロニクスを第4四半期から新規連結(売上高570億90百万円、営業利益2億42百万円の寄与)して大幅増収だが、従来の加賀電子分が0.1%減収、9.7%営業減益だった。電子部品事業において、EMSは車載向けや空調向けが順調だったが、部品販売が家電製品分野の主要顧客における生産調整などで低調だった。情報機器では商業施設向けLED設置が順調だったが、住宅向け家電販売が販売先の納期調整で低調だった。

 セグメント別営業利益(連結調整前)は、電子部品が10.4%減の47億61百万円、情報機器が13.4%減の19億06百万円、ソフトウェアが43.6%増の2億47百万円、その他が59.1%増の4億90百万円だった。

 20年3月期の連結業績予想は、売上高が19年3月期比46.9%増の4300億円、営業利益が7.5%減の70億円、経常利益が10.9%減の70億円、純利益が37.6%増の50億円としている。配当予想は20円減配の年間60円(第2四半期末30円、期末30円)で、予想配当性向は32.9%となる。

 富士通エレクトロニクスが通期寄与(売上高1950億円、営業利益5億円)して大幅増収だが、グループ全体として先行き不透明な内外情勢を慎重に織り込み、従来の加賀電子分(売上高が0.3%減の2350億円、営業利益が11.3%減の65億円)において減益を見込んでいる。また富士通エレクトロニクス分についても、大口商権解消リスクを織り込んで減収減益見込みとしている。純利益は負ののれん代一巡なども影響する。

 セグメント区分変更後の営業利益(連結調整前)計画は、電子部品が3.4%減の22億円、EMSが5.0%増の28億円、CSIが21.3%減の15億円、その他が9.7%減の5億円としている。

 現状は富士通エレクトロニクスの利益寄与が小さく、世界経済減速の影響も考慮して20年3月期減益予想だが、中期的には収益性向上を期待したい。

■22年3月期営業利益130億円目指す

 中期経営計画2021では、基本方針に収益基盤強化、経営基盤安定化、新規事業創出、経営目標値に22年3月期売上高5000億円、営業利益130億円、ROE8%以上を掲げている。為替の前提は1米ドル=110円、売上高構成比は電子部品60%、EMS28%、CSI10%、その他2%である。株主還元は連結配当性向25〜35%を確保しつつ安定的な配当を実施する方針だ。

 収益基盤強化では、成長分野(車載、通信、環境、産業機器、医療・ヘルスケア)への取り組み、EMSビジネスおよび海外ビジネスの強化・拡大を推進する。経営基盤安定化では、富士通エレクトロニクスをグループ化した後の効率性・財務健全性の早期改善に向けて、グループ横断的なコスト削減、組織体制整備によるグループ経営効率化、コーポレートガバナンス強化を推進する。新規事業創出ではM&Aも積極活用して、保育・福祉・介護等の社会課題ビジネスや素材ビジネスへの取り組み、ベンチャー投資によるオープンイノベーションを推進する。

 EMSビジネスの成長シナリオは、オーガニック成長として、既存の中国、アセアン、欧州の生産拠点に加えて、新拠点で18年1月稼働のメキシコ、18年3月稼働のベトナム、18年10月稼働のトルコ、19年春稼働予定のインドが順次、収益寄与が本格化する。そして今後は車載、産業機械、空調、医療・ヘルスケア分野を成長ドライバーとして事業拡大を推進する。また富士通エレクトロニクスが持つ有力顧客に対して「キーデバイス+EMS」のアプローチを展開してシナジー効果を目指す。さらにEMSビジネス拡大に向けて新たなM&A機会に挑戦するとしている。

■株価は売り一巡期待

 株価は5月31日に1584円まで下押した。水準を切り下げて16年11月以来の安値圏だが、売り一巡して反発を期待したい。5月31日の終値は1586円、今期予想連結PER(会社予想連結EPS182円17銭で算出)は約9倍、今期予想配当利回り(会社予想の年間60円で算出)は約3.8%、前期実績連結PBR(前期実績連結BPS2790円97銭で算出)は約0.6倍、時価総額は約455億円である。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media−IR)
[04月22日更新]

加賀電子は下値切り上げ、20年3月期からの収益性向上期待

 加賀電子<8154>(東1)は独立系の大手エレクトロニクス商社である。富士通エレクトロニクスを19年1月子会社化(19年3月期第4四半期から新規連結、段階的に株式取得して22年1月完全子会社化予定)し、中期目標に22年3月期営業利益130億円(19年3月期予想77億円)を掲げている。19年3月期営業・経常減益予想(純利益は負ののれん代が寄与して過去最高予想)だが、20年3月期からの収益性向上を期待したい。株価は反発力の鈍い形だが下値を着実に切り上げている。出直りを期待したい。

■独立系の大手エレクトロニクス商社でEMSビジネスも展開

 独立系の大手エレクトロニクス商社で、半導体・電子部品・情報機器等の商社ビジネス、および電装基板製造受託サービスのEMSビジネスを展開している。

 18年3月期のセグメント別売上高構成比は、電子部品事業(半導体・電子部品、EMS)73%、情報機器事業(パソコン・周辺機器、家電・照明器具、写真・映像関連商品)20%、ソフトウェア事業(CGアニメ映像制作、アミューズメント関連商品)1%、その他事業(エレクトロニクス機器修理、アミューズメント機器製造販売、スポーツ用品販売など)6%だった。

 17年10月託児機能付ワーキングスペース運営のママスクエア、AI・IoTワンストップサービスのスカイディスク、産業用ドローン開発のスカイロボットに出資した。また住友金属鉱山<5713>とSiC(シリコンカーバイド)基板開発の子会社サイコックスの株式51%譲渡契約および合弁契約を締結した。

 18年2月ウェアラブルコミュニケーションデバイス開発のBONXに出資、18年3月出資先の米HARMONUS(ハーモナス)社の前立腺癌生検および治療用システム「ProBx」が米国食品医薬品局(FDA)から承認を取得、18年6月スマートセキュリティサービスのSecualに出資、18年8月ソフトバンクグループで保育クラウドサービスを展開するhugmoに出資、18年10月AIソフトウェア開発のハカルスに出資、19年2月次世代蓄電デバイス「グリーンキャパシタTM」開発のスペースリンクに出資した。

 なお前中期経営計画2018で掲げたベンチャー投資(3年間で50億円)では、18年10月現在、合計21社を対象に10.9億円の出資を実行している。

■富士通エレクトロニクスを子会社化してシナジー目指す

 19年1月富士通エレクトロニクスを子会社化(富士通セミコンダクターから株式70%取得完了、19年3月期第4四半期から新規連結)した。この後20年12月15%、21年12月15%を段階的に追加取得し、22年1月完全子会社化予定である。

 この買収によって売上高5000億円級の企業グループとなる。取り扱い商材の拡大や顧客基盤の共有によって電子部品事業における業界NO.1規模を目指す。現状は富士通エレクトロニクスの利益水準が低いため短期的な目標は商社ビジネスの量的拡大だが、中期的な目標として商社ビジネスとEMSビジネスのシナジーによる収益性向上(利益額の拡大と利益率の向上)を目指す。さらにグローバル競争に勝ち残るため「世界に通用する企業」を目指す方針だ。

■19年3月期第4四半期から富士通エレクトロニクスを新規連結

 19年3月期連結業績予想は、第4四半期から富士通エレクトロニクスを新規連結し、売上高が18年3月期比22.9%増の2900億円、営業利益が5.2%減の77億円、経常利益が8.5%減の80億円、純利益が12.5%増の73億円としている。純利益は負ののれん代が寄与して14期ぶりに最高を更新する見込みだ。
 
 富士通エレクトロニクスについては、当面の利益寄与は限定的だが、第4四半期の売上寄与580億円、および子会社化に伴う負ののれん代21億円を織り込んだ。また大口顧客倒産に伴う損失引当も織り込んだ。セグメント別営業利益(連結調整前)計画は、電子部品が2%減の52億円、情報機器が23%減の17億円、ソフトウェアが74%増の3億円、その他が62%増の5億円としている。

 配当予想(11月6日に上方修正、第2四半期末に創立50周年記念配当5円を増額)し、年間75円(第2四半期末35円、期末40円)としている。18年3月期の年間70円(特別配当10円含む)との比較で5円増配となる。

 なお第3四半期累計は売上高が前年同期比0.2%減の1737億82百万円、営業利益が13.1%減の57億48百万円、経常利益が15.4%減の60億円、純利益が11.5%減の48億75百万円だった。19年3月期は営業・経常減益予想(純利益は負ののれん代が寄与して過去最高予想)だが、20年3月期からの収益性向上を期待したい。

■22年3月期営業利益130億円目指す

 中期経営計画2021では、基本方針に収益基盤強化、経営基盤安定化、新規事業創出、経営目標値に22年3月期売上高5000億円、営業利益130億円、ROE8%以上を掲げている。為替前提は1米ドル=110円、売上高構成比(20年3月期からセグメント変更)は電子部品60%、EMS28%、CSI(コンシューマ&システムインテグレータ)10%、その他2%である。株主還元は連結配当性向25〜35%を確保しつつ安定的な配当を実施する方針だ。

 収益基盤強化では、成長分野(車載、通信、環境、産業機器、医療・ヘルスケア)への取り組み、EMSビジネスおよび海外ビジネスの強化・拡大を推進する。経営基盤安定化では、富士通エレクトロニクスをグループ化した後の効率性・財務健全性の早期改善に向けて、グループ横断的なコスト削減、組織体制整備によるグループ経営効率化、コーポレートガバナンス強化を推進する。新規事業創出ではM&Aも積極活用して、保育・福祉・介護等の社会課題ビジネスや素材ビジネスへの取り組み、ベンチャー投資によるオープンイノベーションを推進する。

 EMSビジネスの成長シナリオは、オーガニック成長として、既存の中国、アセアン、欧州の生産拠点に加えて、新拠点で18年1月稼働のメキシコ、18年3月稼働のベトナム、18年10月稼働のトルコ、19年春稼働予定のインドが順次、収益寄与が本格化する。そして今後は車載、産業機械、空調、医療・ヘルスケア分野を成長ドライバーとして事業拡大を推進する。また富士通エレクトロニクスが持つ有力顧客に対して「キーデバイス+EMS」のアプローチを展開してシナジー効果を目指す。さらにEMSビジネス拡大に向けて新たなM&A機会に挑戦するとしている。

■株価は下値切り上げ

 株価は反発力の鈍い形だが下値を着実に切り上げている。出直りを期待したい。4月19日の終値は2170円、前期推定連結PER(会社予想の連結EPS266円04銭で算出)は約8倍、前期推定配当利回り(会社予想の年間75円で算出)は約3.5%、前々期実績連結PBR(前々期実績連結BPS2571円79銭で算出)は約0.8倍、時価総額は約623億円である。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media−IR)
[03月26日更新]

加賀電子は下値切り上げて戻り歩調、20年3月期からの収益性向上期待

 加賀電子<8154>(東1)は独立系の大手エレクトロニクス商社である。富士通エレクトロニクスを19年1月子会社化(19年3月期第4四半期から新規連結、段階的に株式取得して22年1月完全子会社化予定)した。中期目標には22年3月期営業利益130億円(19年3月期予想77億円)を掲げている。19年3月期は営業・経常減益予想(純利益は負ののれん代が寄与して14期ぶりに過去最高予想)だが、20年3月期からの収益性向上を期待したい。株価は下値を切り上げて戻り歩調だ。出直りを期待したい。

■独立系の大手エレクトロニクス商社でEMSビジネスも展開

 独立系の大手エレクトロニクス商社で、半導体・電子部品・情報機器等の商社ビジネス、および電装基板製造受託サービスのEMSビジネスを展開している。

 18年3月期のセグメント別売上高構成比は、電子部品事業(半導体・電子部品、EMS)73%、情報機器事業(パソコン・周辺機器、家電・照明器具、写真・映像関連商品)20%、ソフトウェア事業(CGアニメ映像制作、アミューズメント関連商品)1%、その他事業(エレクトロニクス機器修理、アミューズメント機器製造販売、スポーツ用品販売など)6%だった。

 17年10月託児機能付ワーキングスペース運営のママスクエア、AI・IoTワンストップサービスのスカイディスク、産業用ドローン開発のスカイロボットに出資した。また住友金属鉱山<5713>とSiC(シリコンカーバイド)基板開発の子会社サイコックスの株式51%譲渡契約および合弁契約を締結した。

 18年2月ウェアラブルコミュニケーションデバイス開発のBONXに出資、18年3月出資先の米HARMONUS(ハーモナス)社の前立腺癌生検および治療用システム「ProBx」が米国食品医薬品局(FDA)から承認を取得、18年6月スマートセキュリティサービスのSecualに出資、18年8月ソフトバンクグループで保育クラウドサービスを展開するhugmoに出資、18年10月AIソフトウェア開発のハカルスに出資、19年2月次世代蓄電デバイス「グリーンキャパシタTM」開発のスペースリンクに出資した。

 なお前中期経営計画2018で掲げたベンチャー投資(3年間で50億円)では、18年10月現在、合計21社を対象に10.9億円の出資を実行している。

■富士通エレクトロニクスを子会社化してシナジー目指す

 19年1月富士通エレクトロニクスを子会社化(富士通セミコンダクターから株式70%取得完了、19年3月期第4四半期から新規連結)した。この後20年12月15%、21年12月15%を段階的に追加取得し、22年1月完全子会社化予定である。買収総額は205億円(アドバイザリー費用等含む)の見込みで、金融機関4社から合計230憶円の借入を行い、1年以内に中長期資金への借り換えを実施予定としている。

 この買収によって売上高5000億円級の企業グループとなる。取り扱い商材の拡大や顧客基盤の共有によって電子部品事業における業界NO.1規模を目指す。現状は富士通エレクトロニクスの利益水準が低いため短期的な目標は商社ビジネスの量的拡大だが、中期的な目標として商社ビジネスとEMSビジネスのシナジーによる収益性向上(利益額の拡大と利益率の向上)を目指す。さらにグローバル競争に勝ち残るため「世界に通用する企業」を目指す方針だ。

■19年3月期第4四半期から富士通エレクトロニクスを新規連結

 19年3月期連結業績予想は、第4四半期から富士通エレクトロニクスを新規連結し、売上高が18年3月期比22.9%増の2900億円、営業利益が5.2%減の77億円、経常利益が8.5%減の80億円、純利益が12.5%増の73億円としている。純利益は負ののれん代が寄与して14期ぶりに最高を更新する見込みだ。
 
 富士通エレクトロニクスについては、当面の利益寄与は限定的だが、第4四半期の売上寄与580億円、および子会社化に伴う負ののれん代21億円を織り込んだ。また大口顧客倒産に伴う損失引当も織り込んだ。セグメント別営業利益(連結調整前)計画は、電子部品が2%減の52億円、情報機器が23%減の17億円、ソフトウェアが74%増の3億円、その他が62%増の5億円としている。

 配当予想(11月6日に上方修正、第2四半期末に創立50周年記念配当5円を増額)し、年間75円(第2四半期末35円、期末40円)としている。18年3月期の年間70円(特別配当10円含む)との比較で5円増配となる。

 なお第3四半期累計は売上高が前年同期比0.2%減の1737億82百万円、営業利益が13.1%減の57億48百万円、経常利益が15.4%減の60億円、純利益が11.5%減の48億75百万円だった。売上高はEMSビジネスの車載向けや空調向けが順調に推移して概ね前年並みだったが、EMSビジネスにおける主要顧客の製品切り替えに伴う生産調整や、立ち上げ期の海外EMS新拠点の費用先行などで減益だった。ただし計画水準としている。

 19年3月期は営業・経常減益予想(純利益は負ののれん代が寄与して過去最高予想)だが、20年3月期からの収益性向上を期待したい。

■22年3月期営業利益130億円目指す

 中期経営計画2021では、基本方針に収益基盤強化、経営基盤安定化、新規事業創出、経営目標値に22年3月期売上高5000億円、営業利益130億円、ROE8%以上を掲げている。為替前提は1米ドル=110円、売上高構成比(20年3月期からセグメント変更)は電子部品60%、EMS28%、CSI(コンシューマ&システムインテグレータ)10%、その他2%である。株主還元は連結配当性向25〜35%を確保しつつ安定的な配当を実施する方針だ。

 収益基盤強化では、成長分野(車載、通信、環境、産業機器、医療・ヘルスケア)への取り組み、EMSビジネスおよび海外ビジネスの強化・拡大を推進する。経営基盤安定化では、富士通エレクトロニクスをグループ化した後の効率性・財務健全性の早期改善に向けて、グループ横断的なコスト削減、組織体制整備によるグループ経営効率化、コーポレートガバナンス強化を推進する。新規事業創出ではM&Aも積極活用して、保育・福祉・介護等の社会課題ビジネスや素材ビジネスへの取り組み、ベンチャー投資によるオープンイノベーションを推進する。

 EMSビジネスの成長シナリオは、オーガニック成長として、既存の中国、アセアン、欧州の生産拠点に加えて、新拠点で18年1月稼働のメキシコ、18年3月稼働のベトナム、18年10月稼働のトルコ、19年春稼働予定のインドが順次、収益寄与が本格化する。そして今後は車載、産業機械、空調、医療・ヘルスケア分野を成長ドライバーとして事業拡大を推進する。また富士通エレクトロニクスが持つ有力顧客に対して「キーデバイス+EMS」のアプローチを展開してシナジー効果を目指す。さらにEMSビジネス拡大に向けて新たなM&A機会に挑戦するとしている。

■株価は下値切り上げて戻り歩調

 株価は12月の安値1726円から下値を切り上げて戻り歩調だ。出直りを期待したい。3月25日の終値は2063円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS266円04銭で算出)は約8倍、今期予想配当利回り(会社予想の年間75円で算出)は約3.6%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS2571円79銭で算出)は約0.8倍、時価総額は約592億円である。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media−IR)
[02月22日更新]

加賀電子は戻り歩調、20年3月期からの収益性向上期待

 加賀電子<8154>(東1)は独立系の大手エレクトロニクス商社である。富士通エレクトロニクスを19年1月子会社化(19年3月期第4四半期から新規連結、段階的に株式取得して22年1月完全子会社化予定)した。中期目標には22年3月期営業利益130億円(19年3月期予想77億円)を掲げている。19年3月期は営業・経常減益予想(純利益は負ののれん代が寄与して14期ぶりに過去最高予想)だが、20年3月期からの収益性向上を期待したい。株価は12月安値から切り返して戻り歩調だ。出直りを期待したい。

■独立系の大手エレクトロニクス商社でEMSビジネスも展開

 独立系の大手エレクトロニクス商社で、半導体・電子部品・情報機器等の商社ビジネス、および電装基板製造受託サービスのEMSビジネスを展開している。

 18年3月期のセグメント別売上高構成比は、電子部品事業(半導体・電子部品、EMS)73%、情報機器事業(パソコン・周辺機器、家電・照明器具、写真・映像関連商品)20%、ソフトウェア事業(CGアニメ映像制作、アミューズメント関連商品)1%、その他事業(エレクトロニクス機器修理、アミューズメント機器製造販売、スポーツ用品販売など)6%だった。

 17年10月託児機能付ワーキングスペース運営のママスクエア、AI・IoTワンストップサービスのスカイディスク、産業用ドローン開発のスカイロボットに出資した。また住友金属鉱山<5713>とSiC(シリコンカーバイド)基板開発の子会社サイコックスの株式51%譲渡契約および合弁契約を締結した。

 18年2月ウェアラブルコミュニケーションデバイス開発のBONXに出資、18年3月出資先の米HARMONUS(ハーモナス)社の前立腺癌生検および治療用システム「ProBx」が米国食品医薬品局(FDA)から承認を取得、18年6月スマートセキュリティサービスのSecualに出資、18年8月ソフトバンクグループで保育クラウドサービスを展開するhugmoに出資、18年10月AIソフトウェア開発のハカルスに出資した。

 なお前中期経営計画2018で掲げたベンチャー投資(3年間で50億円)では、18年10月現在、合計21社を対象に10.9億円の出資を実行している。

■富士通エレクトロニクスを子会社化してシナジー効果目指す

 19年1月富士通エレクトロニクスを子会社化(富士通セミコンダクターから株式70%取得完了、19年3月期第4四半期から新規連結)した。この後20年12月15%、21年12月15%を段階的に追加取得し、22年1月完全子会社化予定である。買収総額は205億円(アドバイザリー費用等含む)の見込みで、18年12月には金融機関4社から合計230憶円の借入を行うと発表した。1年以内に中長期資金への借り換えを実施予定としている。

 この買収によって売上高5000億円級の企業グループとなる。取り扱い商材の拡大や顧客基盤の共有によって電子部品事業における業界NO.1規模を目指す。現状は富士通エレクトロニクスの利益水準が低いため短期的な目標は商社ビジネスの量的拡大だが、中期的な目標として商社ビジネスとEMSビジネスのシナジー効果による収益性向上(利益額の拡大と利益率の向上)を目指す。さらにグローバル競争に勝ち残るため「世界に通用する企業」を目指す方針だ。

■19年3月期第4四半期から富士通エレクトロニクスを新規連結

 19年3月期連結業績予想は、第4四半期から富士通エレクトロニクスを新規連結し、売上高が18年3月期比22.9%増の2900億円、営業利益が5.2%減の77億円、経常利益が8.5%減の80億円、純利益が12.5%増の73億円としている。純利益は負ののれん代が寄与して14期ぶりに最高を更新する見込みだ。
 
 富士通エレクトロニクスについては、当面の利益寄与は限定的だが、第4四半期の売上寄与580億円、および子会社化に伴う負ののれん代21億円を織り込んだ。また大口顧客倒産に伴う損失引当も織り込んだ。セグメント別営業利益(連結調整前)計画は、電子部品が2%減の52億円、情報機器が23%減の17億円、ソフトウェアが74%増の3億円、その他が62%増の5億円としている。

 配当予想(11月6日に上方修正、第2四半期末に創立50周年記念配当5円を増額)し、年間75円(第2四半期末35円、期末40円)としている。18年3月期の年間70円(特別配当10円含む)との比較で5円増配となる。

 なお第3四半期累計は売上高が前年同期比0.2%減の1737億82百万円、営業利益が13.1%減の57億48百万円、経常利益が15.4%減の60億円、純利益が11.5%減の48億75百万円だった。売上高はEMSビジネスの車載向けや空調向けが順調に推移して概ね前年並みだったが、EMSビジネスにおける主要顧客の製品切り替えに伴う生産調整や、立ち上げ期の海外EMS新拠点の費用先行などで減益だった。ただし計画水準としている。

 19年3月期は営業・経常減益予想(純利益は負ののれん代が寄与して過去最高予想)だが、20年3月期からの収益性向上を期待したい。

■22年3月期営業利益130億円目指す

 18年11月発表した中期経営計画2021では、基本方針に収益基盤強化、経営基盤安定化、新規事業創出、経営目標値に22年3月期売上高5000億円、営業利益130億円、ROE8%以上を掲げている。為替前提は1米ドル=110円、売上高構成比(20年3月期からセグメント変更)は電子部品60%、EMS28%、CSI(コンシューマ&システムインテグレータ)10%、その他2%である。株主還元は連結配当性向25〜35%を確保しつつ安定的な配当を実施する方針だ。

 収益基盤強化では、成長分野(車載、通信、環境、産業機器、医療・ヘルスケア)への取り組み、EMSビジネスおよび海外ビジネスの強化・拡大を推進する。経営基盤安定化では、富士通エレクトロニクスをグループ化した後の効率性・財務健全性の早期改善に向けて、グループ横断的なコスト削減、組織体制整備によるグループ経営効率化、コーポレートガバナンス強化を推進する。新規事業創出ではM&Aも積極活用して、保育・福祉・介護等の社会課題ビジネスや素材ビジネスへの取り組み、ベンチャー投資によるオープンイノベーションを推進する。

 EMSビジネスの成長シナリオは、オーガニック成長として、既存の中国、アセアン、欧州の生産拠点に加えて、新拠点で18年1月稼働のメキシコ、18年3月稼働のベトナム、18年10月稼働のトルコ、19年春稼働予定のインドが順次、収益寄与が本格化する。そして今後は車載、産業機械、空調、医療・ヘルスケア分野を成長ドライバーとして事業拡大を推進する。また富士通エレクトロニクスが持つ有力顧客に対して「キーデバイス+EMS」のアプローチを展開してシナジー効果を目指す。さらにEMSビジネス拡大に向けて新たなM&A機会に挑戦するとしている。

■株価は戻り歩調

 株価は12月安値1726円から切り返して戻り歩調だ。2月19日には2170円まで上伸した。出直りを期待したい。2月21日の終値は2122円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS266円04銭で算出)は約8倍、今期予想配当利回り(会社予想の年間75円で算出)は約3.5%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS2571円79銭で算出)は約0.8倍、時価総額は約609億円である。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media−IR)
[01月24日更新]

加賀電子は出直り期待、商社ビジネスとEMSビジネスのシナジー効果で収益性向上目指す

 加賀電子<8154>(東1)は独立系の大手エレクトロニクス商社である。富士通エレクトロニクスを19年1月子会社化(19年3月期第4四半期から連結、段階的に株式取得して22年1月完全子会社化予定)し、商社ビジネスとEMSビジネスのシナジー効果による収益性向上を目指す。中期経営計画では目標に22年3月期営業利益130億円(19年3月期予想77億円)を掲げている。株価は地合い悪が影響した12月安値から切り返している。調整一巡して出直りを期待したい。なお2月6日に第3四半期決算発表を予定している。

■独立系の大手エレクトロニクス商社でEMSビジネスも展開

 独立系の大手エレクトロニクス商社で、半導体・電子部品・情報機器等の商社ビジネス、および電装基板製造受託サービスのEMSビジネスを展開している。

 18年3月期のセグメント別売上高構成比は、電子部品事業(半導体・電子部品、EMS)73%、情報機器事業(パソコン・周辺機器、家電・照明器具、写真・映像関連商品)20%、ソフトウェア事業(CGアニメ映像制作、アミューズメント関連商品)1%、その他事業(エレクトロニクス機器修理、アミューズメント機器製造販売、スポーツ用品販売など)6%だった。

 17年10月託児機能付ワーキングスペース運営のママスクエア、AI・IoTワンストップサービスのスカイディスク、産業用ドローン開発のスカイロボットに出資した。また住友金属鉱山<5713>とSiC(シリコンカーバイド)基板開発の子会社サイコックスの株式51%譲渡契約および合弁契約を締結した。

 18年2月ウェアラブルコミュニケーションデバイス開発のBONXに出資、18年3月出資先の米HARMONUS(ハーモナス)社の前立腺癌生検および治療用システム「ProBx」が米国食品医薬品局(FDA)から承認を取得、18年6月スマートセキュリティサービスのSecualに出資、18年8月ソフトバンクグループで保育クラウドサービスを展開するhugmoに出資、18年10月AIソフトウェア開発のハカルスに出資した。

 なお前中期経営計画2018で掲げたベンチャー投資(3年間で50億円)では、18年10月現在、合計21社を対象に10.9億円の出資を実行している。

■富士通エレクトロニクスを子会社化

 19年1月富士通エレクトロニクスを子会社化した。富士通セミコンダクターからの株式70%取得が完了し、19年3月期第4四半期から新規連結する。この後20年12月に15%、21年12月に15%を段階的に取得し、22年1月に完全子会社化予定である。買収総額は205億円(アドバイザリー費用等含む)の見込みで、18年12月には金融機関4社から合計230憶円の借入を行うと発表した。1年以内に中長期資金への借り換えを実施予定としている。

 この買収によって売上高5000億円級の企業グループとなる。取り扱い商材の拡大や顧客基盤の共有によって電子部品事業における業界NO.1規模を目指す。現状は富士通エレクトロニクスの利益水準が低いため短期的な目標は商社ビジネスの量的拡大だが、中期的な目標として商社ビジネスとEMSビジネスのシナジー効果による収益性向上(利益額の拡大と利益率の向上)を目指す。さらにグローバル競争に勝ち残るため「世界に通用する企業」を目指す方針だ。

■19年3月期第4四半期から富士通エレクトロニクスを新規連結

 19年3月期連結業績予想(11月6日公表)は、第4四半期から富士通エレクトロニクスを新規連結し、売上高が18年3月期比22.9%増の2900億円、営業利益が5.2%減の77億円、経常利益が8.5%減の80億円、純利益が12.5%増の73億円としている。

 純利益は14期ぶりに最高を更新する見込みだ。富士通エレクトロニクスについては、当面の利益寄与は限定的だが、第4四半期の売上寄与580億円を見込み、子会社化に伴う負ののれん代21億円を織り込んだ。また大口顧客倒産に伴う損失引当も織り込んだ。セグメント別営業利益(連結調整前)計画は、電子部品が2%減の52億円、情報機器が23%減の17億円、ソフトウェアが74%増の3億円、その他が62%増の5億円としている。

 配当予想(11月6日に上方修正、第2四半期末に創立50周年記念配当5円を増額)し、年間75円(第2四半期末35円、期末40円)としている。18年3月期の年間70円(特別配当10円含む)との比較で5円増配となる。

 なお第2四半期累計は売上高が前年同期比1.0%減の1153億83百万円、営業利益が14.2%減の37億72百万円、経常利益が13.9%減の40億49百万円、純利益が21.8%減の27億50百万円だった。売上高はEMSビジネスの車載向けや空調向けが順調に推移して概ね前年並みを確保したが、主要顧客の製品切り替えに伴う生産調整の影響や海外EMS新拠点の費用先行を主因に減益だった。

■22年3月期営業利益130億円目指す

 18年11月発表した中期経営計画2021では、基本方針に収益基盤強化、経営基盤安定化、新規事業創出、経営目標値に22年3月期売上高5000億円、営業利益130億円、ROE8%以上を掲げている。為替前提は1米ドル=110円、売上高構成比(20年3月期からセグメント変更)は電子部品60%、EMS28%、CSI(コンシューマ&システムインテグレータ)10%、その他2%である。株主還元は連結配当性向25〜35%を確保しつつ安定的な配当を実施する方針だ。

 収益基盤強化では、成長分野(車載、通信、環境、産業機器、医療・ヘルスケア)への取り組み、EMSビジネスおよび海外ビジネスの強化・拡大を推進する。経営基盤安定化では、富士通エレクトロニクスをグループ化した後の効率性・財務健全性の早期改善に向けて、グループ横断的なコスト削減、組織体制整備によるグループ経営効率化、コーポレートガバナンス強化を推進する。新規事業創出ではM&Aも積極活用して、保育・福祉・介護等の社会課題ビジネスや素材ビジネスへの取り組み、ベンチャー投資によるオープンイノベーションを推進する。

 EMSビジネスの成長シナリオは、オーガニック成長として、既存の中国、アセアン、欧州の生産拠点に加えて、新拠点で18年1月稼働のメキシコ、18年3月稼働のベトナム、18年10月稼働のトルコ、19年春稼働予定のインドが順次、収益寄与が本格化する。そして今後は車載、産業機械、空調、医療・ヘルスケア分野を成長ドライバーとして事業拡大を推進する。また富士通エレクトロニクスが持つ有力顧客に対して「キーデバイス+EMS」のアプローチを展開してシナジー効果を目指す。さらにEMSビジネス拡大に向けて新たなM&A機会に挑戦するとしている。

■株価は調整一巡して出直り期待

 株価は地合い悪が影響した12月25日安値1726円から切り返している。1月21日には2134円まで上伸した。調整一巡して出直りを期待したい。1月23日の終値は2044円、今期予想連結PER(会社予想連結EPS266円04銭で算出)は約8倍、今期予想配当利回り(会社予想の年間75円で算出)は約3.7%、前期実績連結PBR(前期実績連結BPS2571円79銭で算出)は約0.8倍、時価総額は約587億円である。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media−IR)
[12月26日更新]

加賀電子は売られ過ぎ感、商社ビジネスとEMSビジネスのシナジー効果で収益性向上目指す

 加賀電子<8154>(東1)は独立系の大手エレクトロニクス商社である。富士通エレクトロニクスを19年1月子会社化(19年3月期第4四半期から連結、段階的に株式取得して22年1月完全子会社化予定)し、商社ビジネスとEMSビジネスのシナジー効果による収益性向上を目指す。中期経営計画では目標に22年3月期営業利益130億円(19年3月期予想77億円)を掲げている。株価は地合い悪の影響で急落し、年初来安値を更新する展開だが、売られ過ぎ感を強めている。売り一巡して出直りを期待したい。

■独立系の大手エレクトロニクス商社でEMSビジネスも展開

 独立系の大手エレクトロニクス商社で、半導体・電子部品・情報機器等の商社ビジネス、および電装基板製造受託サービスのEMSビジネスを展開している。

 18年3月期のセグメント別売上高構成比は、電子部品事業(半導体・電子部品、EMS)73%、情報機器事業(パソコン・周辺機器、家電・照明器具、写真・映像関連商品)20%、ソフトウェア事業(CGアニメ映像制作、アミューズメント関連商品)1%、その他事業(エレクトロニクス機器修理、アミューズメント機器製造販売、スポーツ用品販売など)6%だった。

 17年10月託児機能付ワーキングスペース運営のママスクエア、AI・IoTワンストップサービスのスカイディスク、産業用ドローン開発のスカイロボットに出資した。また住友金属鉱山<5713>とSiC(シリコンカーバイド)基板開発の子会社サイコックスの株式51%譲渡契約および合弁契約を締結した。

 18年2月ウェアラブルコミュニケーションデバイス開発のBONXに出資、18年3月出資先の米HARMONUS(ハーモナス)社の前立腺癌生検および治療用システム「ProBx」が米国食品医薬品局(FDA)から承認を取得、18年6月スマートセキュリティサービスのSecualに出資、18年8月ソフトバンクグループで保育クラウドサービスを展開するhugmoに出資、18年10月AIソフトウェア開発のハカルスに出資した。

 なお前中期経営計画2018で掲げたベンチャー投資(3年間で50億円)では、18年10月現在、合計21社を対象に10.9億円の出資を実行している。

■富士通エレクトロニクスを子会社化

 18年9月、富士通エレクトロニクスを子会社化すると発表した。富士通セミコンダクターから、19年1月に株式70%取得して子会社化(19年3月期第4四半期から連結)し、その後20年12月に15%、21年12月に15%を段階的に取得して22年1月に完全子会社化予定である。なお国内外における競争法に基づく関係当局の承認等を条件としている。

 買収総額は205億円(アドバイザリー費用等含む)の見込みで、12月20日には金融機関4社から合計230憶円の借入を行うと発表した。なお今後1年以内に中長期資金への借り換えを実施予定としている。

 この買収によって売上高5000億円級の企業グループとなる。取り扱い商材の拡大や顧客基盤の共有によって電子部品事業における業界NO.1規模を目指す。現状は富士通エレクトロニクスの利益水準が低いため短期的な目標は商社ビジネスの量的拡大だが、中期的な目標として商社ビジネスとEMSビジネスのシナジー効果による収益性向上(利益額の拡大と利益率の向上)を目指す。さらにグローバル競争に勝ち残るため「世界に通用する企業」を目指す方針だ。

■19年3月期第4四半期から富士通エレクトロニクスを新規連結

 19年3月期連結業績予想(11月6日公表)は、第4四半期から富士通エレクトロニクスを新規連結し、売上高が18年3月期比22.9%増の2900億円、営業利益が5.2%減の77億円、経常利益が8.5%減の80億円、純利益が12.5%増の73億円としている。

 純利益は14期ぶりに最高を更新する見込みだ。富士通エレクトロニクスについては、当面の利益寄与は限定的だが、第4四半期の売上寄与580億円を見込み、子会社化に伴う負ののれん代21億円を織り込んだ。また大口顧客倒産に伴う損失引当も織り込んだ。セグメント別営業利益(連結調整前)計画は、電子部品が2%減の52億円、情報機器が23%減の17億円、ソフトウェアが74%増の3億円、その他が62%増の5億円としている。

 配当予想(11月6日に上方修正、第2四半期末に創立50周年記念配当5円を増額)し、年間75円(第2四半期末35円、期末40円)としている。18年3月期の年間70円(特別配当10円含む)との比較で5円増配となる。

 なお第2四半期累計は売上高が前年同期比1.0%減の1153億83百万円、営業利益が14.2%減の37億72百万円、経常利益が13.9%減の40億49百万円、純利益が21.8%減の27億50百万円だった。売上高はEMSビジネスの車載向けや空調向けが順調に推移して概ね前年並みを確保したが、主要顧客の製品切り替えに伴う生産調整の影響や海外EMS新拠点の費用先行を主因に減益だった。

■22年3月期営業利益130億円目指す

 18年11月発表した中期経営計画2021では、基本方針に収益基盤強化、経営基盤安定化、新規事業創出、経営目標値に22年3月期売上高5000億円、営業利益130億円、ROE8%以上を掲げている。為替前提は1米ドル=110円、売上高構成比(20年3月期からセグメント変更)は電子部品60%、EMS28%、CSI(コンシューマ&システムインテグレータ)10%、その他2%である。株主還元は連結配当性向25〜35%を確保しつつ安定的な配当を実施する方針だ。

 収益基盤強化では、成長分野(車載、通信、環境、産業機器、医療・ヘルスケア)への取り組み、EMSビジネスおよび海外ビジネスの強化・拡大を推進する。経営基盤安定化では、富士通エレクトロニクスをグループ化した後の効率性・財務健全性の早期改善に向けて、グループ横断的なコスト削減、組織体制整備によるグループ経営効率化、コーポレートガバナンス強化を推進する。新規事業創出ではM&Aも積極活用して、保育・福祉・介護等の社会課題ビジネスや素材ビジネスへの取り組み、ベンチャー投資によるオープンイノベーションを推進する。

 EMSビジネスの成長シナリオは、オーガニック成長として、既存の中国、アセアン、欧州の生産拠点に加えて、新拠点で18年1月稼働のメキシコ、18年3月稼働のベトナム、18年10月稼働のトルコ、19年春稼働予定のインドが順次、収益寄与が本格化する。そして今後は車載、産業機械、空調、医療・ヘルスケア分野を成長ドライバーとして事業拡大を推進する。また富士通エレクトロニクスが持つ有力顧客に対して「キーデバイス+EMS」のアプローチを展開してシナジー効果を目指す。さらにEMSビジネス拡大に向けて新たなM&A機会に挑戦するとしている。

■株価は売られ過ぎ感

 株価は12月25日に1726円まで下押した。地合い悪の影響で急落し、年初来安値を更新する展開だが、25日移動平均線に対するマイナス乖離率が約20%に拡大して売られ過ぎ感を強めている。売り一巡して出直りを期待したい。12月25日の終値は1742円、今期予想連結PER(会社予想連結EPS266円04銭で算出)は7倍、今期予想配当利回り(会社予想の年間75円で算出)は約4.3%、前期実績連結PBR(前期実績連結BPS2571円79銭で算出)は約0.7倍、時価総額は約500億円である。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media−IR)
[11月30日更新]

加賀電子は商社ビジネスとEMSビジネスのシナジー効果で収益性向上目指す

 加賀電子<8154>(東1)は独立系の大手エレクトロニクス商社である。富士通エレクトロニクスを19年1月子会社化(19年3月期第4四半期から連結、段階的に株式取得して22年1月完全子会社化予定)し、商社ビジネスとEMSビジネスのシナジー効果による収益性向上を目指す。新中期経営計画では22年3月期の目標営業利益130億円(19年3月期予想77億円)を掲げた。株価は調整一巡感を強めている。出直りを期待したい。

■独立系の大手エレクトロニクス商社でEMSビジネスも展開

 独立系の大手エレクトロニクス商社で、半導体・電子部品・情報機器等の商社ビジネス、および電装基板製造受託サービスのEMSビジネスを展開している。

 18年3月期のセグメント別売上高構成比は、電子部品事業(半導体・電子部品、EMS)73%、情報機器事業(パソコン・周辺機器、家電・照明器具、写真・映像関連商品)20%、ソフトウェア事業(CGアニメ映像制作、アミューズメント関連商品)1%、その他事業(エレクトロニクス機器修理、アミューズメント機器製造販売、スポーツ用品販売など)6%だった。

 17年10月託児機能付ワーキングスペース運営のママスクエア、AI・IoTワンストップサービスのスカイディスク、産業用ドローン開発のスカイロボットに出資した。また住友金属鉱山<5713>とSiC(シリコンカーバイド)基板開発の子会社サイコックスの株式51%譲渡契約および合弁契約を締結した。
 
 18年2月ウェアラブルコミュニケーションデバイス開発のBONXに出資、18年3月出資先の米HARMONUS(ハーモナス)社の前立腺癌生検および治療用システム「ProBx」が米国食品医薬品局(FDA)から承認を取得、18年6月スマートセキュリティサービスのSecualに出資、18年8月ソフトバンクグループで保育クラウドサービスを展開するhugmoに出資、18年10月AIソフトウェア開発のハカルスに出資した。

 なお前中期経営計画2018で掲げたベンチャー投資(3年間で50億円)では、18年10月現在、合計21社を対象に10.9億円の出資を実行している。

■富士通エレクトロニクスを子会社化

 18年9月、富士通エレクトロニクスを子会社化すると発表した。富士通セミコンダクターから、19年1月に株式70%取得して子会社化(19年3月期第4四半期から連結)し、その後20年12月に15%、21年12月に15%を段階的に取得して22年1月に完全子会社化予定としている。

 なお国内外における競争法に基づく関係当局の承認等を条件としている。また買収総額205億円(アドバイザリー費用等含む)の見込みで、買収資金は自己資金および新規ブリッジローンによって調達予定としている。ブリッジローンは今後、様々な長期資金調達への切り替えを検討する。

 この買収によって売上高5000億円級の企業グループとなる。取り扱い商材の拡大や顧客基盤の共有によって電子部品事業における業界NO.1規模を目指す。現状は富士通エレクトロニクスの利益水準が低いため短期的な目標は商社ビジネスの量的拡大だが、中期的な目標として商社ビジネスとEMSビジネスのシナジー効果による収益性向上(利益額の拡大と利益率の向上)を目指す。さらにグローバル競争に勝ち残るため「世界に通用する企業」を目指す方針だ。

■19年3月期は第4四半期から富士通エレクトロニクスを連結

 19年3月期連結業績予想(11月6日公表)は、第4四半期から富士通エレクトロニクスを新規連結し、売上高が18年3月期比22.9%増の2900億円、営業利益が5.2%減の77億円、経常利益が8.5%減の80億円、純利益が12.5%増の73億円としている。

 純利益は14期ぶりに最高を更新する見込みだ。富士通エレクトロニクスについては、当面の利益寄与は限定的だが、第4四半期の売上寄与580億円を見込み、子会社化に伴う負ののれん代21億円を織り込んだ。また大口顧客倒産に伴う損失引当も織り込んだ。セグメント別営業利益(連結調整前)計画は、電子部品が2%減の52億円、情報機器が23%減の17億円、ソフトウェアが74%増の3億円、その他が62%増の5億円としている。

 配当予想は11月6日に上方修正(第2四半期末に創立50周年記念配当5円を増額)し、年間75円(第2四半期末35円、期末40円)とした。18年3月期70円(特別配当10円含む)との比較では5円増配となる。

 なお第2四半期累計は売上高が前年同期比1.0%減の1153億83百万円、営業利益が14.2%減の37億72百万円、経常利益が13.9%減の40億49百万円、純利益が21.8%減の27億50百万円だった。売上高はEMSビジネスの車載向けや空調向けが順調に推移して概ね前年並みを確保したが、主要顧客の製品切り替えに伴う生産調整の影響や海外EMS新拠点の費用先行を主因に減益だった。

■21年3月期営業利益130億円目指す

 11月6日発表した新中期経営計画2021では、基本方針に収益基盤強化、経営基盤安定化、新規事業創出、経営目標値に22年3月期の売上高5000億円、営業利益130億円、ROE8%以上を掲げた。為替前提は1米ドル=110円、売上高構成比(20年3月期からセグメント変更)は電子部品60%、EMS28%、CSI(コンシューマ&システムインテグレータ)10%、その他2%である。株主還元の基本方針は、連結配当性向25〜35%を確保しつつ安定的な配当を実施するとしている。

 収益基盤強化では、成長分野(車載、通信、環境、産業機器、医療・ヘルスケア)への取り組み、EMSビジネスおよび海外ビジネスの強化・拡大を推進する。経営基盤安定化では、富士通エレクトロニクスをグループ化した後の効率性・財務健全性の早期改善に向けて、グループ横断的なコスト削減、組織体制整備によるグループ経営効率化、コーポレートガバナンス強化を推進する。新規事業創出ではM&Aも積極活用して、保育・福祉・介護等の社会課題ビジネスや素材ビジネスへの取り組み、ベンチャー投資によるオープンイノベーションを推進する。

 EMSビジネスの成長シナリオは、オーガニック成長として、既存の中国、アセアン、欧州の生産拠点に加えて、新拠点で18年1月稼働のメキシコ、18年3月稼働のベトナム、18年10月稼働のトルコ、19年春稼働予定のインドが順次、収益寄与が本格化する。そして今後は車載、産業機械、空調、医療・ヘルスケア分野を成長ドライバーとして事業拡大を推進する。また富士通エレクトロニクスが持つ有力顧客に対して「キーデバイス+EMS」のアプローチを展開してシナジー効果を目指す。さらにEMSビジネス拡大に向けて新たなM&A機会に挑戦するとしている。

■株価は調整一巡して出直り期待

 株価は10月の戻り高値2660円から反落したが8月の年初来安値1967円まで下押すことなく、11月21日の直近安値2107円から切り返して調整一巡感を強めている。11月29日の終値は2385円、今期予想連結PER(会社予想連結EPS266円04銭で算出)は9倍、今期予想配当利回り(会社予想の年間75円で算出)は約3.1%、前期実績連結PBR(前期実績連結BPS2571円79銭で算出)は約0.9倍、時価総額は約685億円である。週足チャートで見ると26週移動平均線突破の動きを強めている。出直りを期待したい。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media−IR)
[10月23日更新]

加賀電子は戻り歩調、商社ビジネス拡大とEMSビジネス成長で収益性向上目指す

 加賀電子<8154>(東1)は独立系エレクトロニクス商社で、半導体・電子部品・情報機器を販売する商社ビジネス、および電装基板製造受託サービスのEMSビジネスを主力としている。富士通エレクトロニクスを19年1月子会社化し、商社ビジネス拡大とEMSビジネス成長による収益性向上を目指す。株価は下値を切り上げて戻り歩調だ。上値を試す展開が期待される。なお11月6日に第2四半期決算発表を予定している。

■独立系エレクトロニクス商社でEMSビジネスも展開

 独立系エレクトロニクス商社で、半導体・電子部品・情報機器を販売する商社ビジネス、および電装基板製造受託サービスのEMSビジネスを主力としている。

 18年3月期のセグメント別売上高構成比は、電子部品事業(半導体、一般電子部品、EMSなどの開発・製造・販売)73%、情報機器事業(パソコン・周辺機器、家電、写真・映像関連商品などの販売)20%、ソフトウェア事業(CG映像制作、アミューズメント関連商品の企画・開発)1%、その他事業(エレクトロニクス機器の修理・サポート、アミューズメント機器の製造・販売、スポーツ用品の販売など)6%だった。
■中期計画で19年3月期経常利益100億円目標

 中期経営計画2018は、利益重視経営の確立と「次世代の加賀電子」として飛躍するための準備期間と位置付け、目標値に19年3月期売上高2900億円、経常利益100億円、ROE8%以上を掲げている。利益配分に関する基本方針は、連結配当性向25〜35%を確保しつつ安定的な配当を実施するとしている。

 成長戦略には「5つの重点テーマ」として、EMSビジネスの事業規模拡大に向けた海外拠点拡充、車載関連分野(ADAS、DMS、ハイブリッド車、電気自動車など)における市場ニーズへの対応、IoT分野(LPWA市場開拓やAIを活用したクラウドビジネス)への展開強化、M&A活用によるグループ経営基盤・収益基盤の強化、ベンチャー企業・事業への投資(3年間で50億円)を掲げている。

 17年10月には託児機能付ワーキングスペース運営のママスクエア、AI・IoTワンストップサービスのスカイディスク、産業用ドローン開発のスカイロボットへ出資した。また住友金属鉱山<5713>とSiC(シリコンカーバイド)基板開発の子会社サイコックスの株式51%譲渡契約および合弁契約を締結した。18年2月にはウェアラブルコミュニケーションデバイス開発のBONXに出資した。

 18年3月には、出資先の米HARMONUS(ハーモナス)社の前立腺癌生検および治療用システム「ProBx」が、米国食品医薬品局(FDA)から承認を取得した。日本での販売は19年前半を予定している。18年6月には、IoTを活用したスマート・セキュリティ・サービス「Secual」を展開するSecualに出資した。

 18年8月にはソフトバンクグループで保育クラウドサービス「hugmo」を展開するhugmoに出資し、18年10月にはAIソフトウェア開発のハカルスに出資した。

■富士通エレクトロニクスを子会社化して収益性向上目指す

 18年9月には富士通エレクトロニクスを子会社化すると発表した。富士通セミコンダクターから2019年1月に株式70%を取得して子会社化し、その後2020年12月に15%、2021年12月に15%を段階的に取得して2022年1月に完全子会社化する。なお国内外における競争法に基づく関係当局の承認等を条件としている。

 本件買収によって売上高5000億円級の企業グループとなる。取り扱い商材の拡大や顧客基盤の共有により、電子部品事業における業界NO.1規模を目指す。

 短期的な目標は商社ビジネスの量的拡大だが、商社ビジネス拡大とEMSビジネス成長により、中期的に収益性向上(利益額の拡大と利益率の向上)を目指す。さらにグローバル競争に勝ち残るため「世界に通用する企業」を目指す方針だ。

■19年3月期は中期計画目標値の達成目指す

 19年3月期連結業績予想は、第2四半期決算時に次期中期経営計画と併せて公表予定としている。電子部品事業を中心に受注環境が良好であり、中期経営計画最終年度の目標値(売上高2900億円、経常利益100億円、ROE8.0%以上)の達成を目指すとしている。

 配当予想は年間70円(第2四半期末30円、期末40円)としている。18年3月期と同額だが、18年3月期は特別配当10円(第2四半期末5円、期末5円)を含んでいるため、普通配当ベースでは増配となる。

 なお富士通エレクトロニクスの子会社化が19年3月期連結業績に与える影響については確定後に公表するとしている。買収価額は総額205億円の見込みで、買収資金は自己資金および新規ブリッジローンによって調達予定としている。そしてブリッジローンは今後、様々な長期資金調達への切り替えを検討する。のれん計上額や無形固定資産償却等は買収完了後に公表予定だが、買収価額と純資産が概ねイコールのため影響額は軽微の見込みとしている。

■株価は下値切り上げて戻り歩調

 株価は8月の年初来安値1967円から下値を切り上げて戻り歩調だ。地合い悪化の影響は限定的だ。10月22日の終値は2473円、今期予想配当利回り(会社予想の年間70円で算出)は約2.8%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS2571円79銭で算出)は約1.0倍、時価総額は約710億円である。

 週足チャートで見ると26週移動平均線突破の動きを強めている。上値を試す展開が期待される。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media−IR)
[09月25日更新]

加賀電子は富士通エレクトロニクスを19年1月子会社化、業界NO.1企業と収益性向上を目指す

 加賀電子<8154>(東1)は独立系エレクトロニクス商社で、半導体・電子部品・情報機器を販売する商社ビジネス、および電装基板製造受託サービスのEMSビジネスを主力としている。富士通エレクトロニクスを19年1月子会社化する。電子部品事業の規模拡大で業界NO.1企業を目指し、さらに中期的にはEMSビジネス拡大による収益性向上を目指す方針だ。株価は急反発している。戻りを試す展開が期待される。

■独立系エレクトロニクス商社でEMSビジネスも展開

 独立系エレクトロニクス商社で、半導体・電子部品・情報機器を販売する商社ビジネス、および電装基板製造受託サービスのEMSビジネスを主力としている。

 18年3月期のセグメント別売上高構成比は、電子部品事業(半導体、一般電子部品、EMSなどの開発・製造・販売)73%、情報機器事業(パソコン・周辺機器、家電、写真・映像関連商品などの販売)20%、ソフトウェア事業(CG映像制作、アミューズメント関連商品の企画・開発)1%、その他事業(エレクトロニクス機器の修理・サポート、アミューズメント機器の製造・販売、スポーツ用品の販売など)6%だった。

■中期計画で19年3月期経常利益100億円目標

 中期経営計画2018は、利益重視経営の確立と「次世代の加賀電子」として飛躍するための準備期間と位置付け、目標値に19年3月期売上高2900億円、経常利益100億円、ROE8%以上を掲げている。利益配分に関する基本方針は、連結配当性向25〜35%を確保しつつ安定的な配当を実施するとしている。

 成長戦略には「5つの重点テーマ」として、EMSビジネスの事業規模拡大に向けた海外拠点拡充、車載関連分野(ADAS、DMS、ハイブリッド車、電気自動車など)における市場ニーズへの対応、IoT分野(LPWA市場開拓やAIを活用したクラウドビジネス)への展開強化、M&A活用によるグループ経営基盤・収益基盤の強化、ベンチャー企業・事業への投資(3年間で50億円)を掲げている。

 17年10月には託児機能付ワーキングスペース運営のママスクエア、AI・IoTワンストップサービスのスカイディスク、産業用ドローン開発のスカイロボットへ出資した。また住友金属鉱山<5713>とSiC(シリコンカーバイド)基板開発の子会社サイコックスの株式51%譲渡契約および合弁契約を締結した。18年2月にはウェアラブルコミュニケーションデバイス開発のBONXに出資した。

 18年3月には、出資先の米HARMONUS(ハーモナス)社の前立腺癌生検および治療用システム「ProBx」が、米国食品医薬品局(FDA)から承認を取得した。日本での販売は19年前半を予定している。18年6月には、IoTを活用したスマート・セキュリティ・サービス「Secual」を展開するSecualに出資した。

 18年8月には、ソフトバンクグループで保育クラウドサービス「hugmo」を展開するhugmoに出資した。そして9月19日には、hugmoとバイオシルバーが開発した園児向けマット型IoTセンサーを、総販売店として10月1日から販売開始すると発表した。

■富士通エレクトロニクスを子会社化

 9月10日に富士通エレクトロニクスを子会社化すると発表した。富士通セミコンダクターから2019年1月に富士通エレクトロニクス株式70%を取得して子会社化し、その後2020年12月に15%、2021年12月に15%を段階的に取得して2022年1月に完全子会社化する。なお国内外における競争法に基づく関係当局の承認等を条件としている。

 本件買収によって売上高5000億円級の企業グループとなる。そして取り扱い商材の拡大や顧客基盤の共有により、電子部品事業の規模を拡大して「業界NO.1企業」を目指す。

 また短期的な目標は商社ビジネスの量的拡大だが、商社ビジネスの拡大をEMSビジネスの成長につなげることで、中期目標としてEMSビジネス拡大による収益性向上(利益額の拡大と利益率の向上)を実現し、さらにグローバル競争に勝ち残るため「世界に通用する企業」を目指す方針だ。

■19年3月期は中期計画目標値の達成目指す

 19年3月期連結業績予想は、第2四半期決算時に次期中期経営計画と併せて公表予定としているが、電子部品事業を中心に受注環境が良好であり、中期経営計画最終年度の目標値(売上高2900億円、経常利益100億円、ROE8.0%以上)の達成を目指すとしている。

 配当予想は年間70円(第2四半期末30円、期末40円)としている。18年3月期と同額だが、18年3月期は特別配当10円(第2四半期末5円、期末5円)を含んでいるため、普通配当ベースでは増配となる。

 なお富士通エレクトロニクスの子会社化が19年3月期連結業績に与える影響については確定後に公表するとしている。買収価額は総額205億円の見込みで、買収資金は自己資金および新規ブリッジローンによって調達予定としている。そしてブリッジローンは今後、様々な長期資金調達への切り替えを検討する。のれん計上額や無形固定資産償却等は買収完了後に公表予定だが、買収価額と純資産が概ねイコールのため影響額は軽微の見込みとしている。

■株価は急反発

 株価は8月21日の年初来安値1967円で売り一巡し、富士通エレクトロニクス子会社化も好感して急反発している。9月21日には2418円まで上伸した。

 9月21日の終値は2417円、今期予想配当利回り(会社予想の年間70円で算出)は約2.9%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS2571円79銭で算出)は約0.9倍、時価総額は約694億円である。

 週足チャートで見ると13週移動平均線を突破して先高観を強めている。戻りを試す展開が期待される。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media−IR)
[08月21日更新]

加賀電子は売られ過ぎ感、19年3月期1Q減益だが通期は中期計画目標達成目指す

 加賀電子<8154>(東1)は半導体・電子部品・情報機器の販売、EMS(電子機器の受託開発製造サービス)などを展開する独立系のエレクトロニクス商社である。19年3月期第1四半期は減収減益だった。通期予想は第2四半期決算時に次期中期経営計画と併せて公表予定だが、中期計画最終年度の目標達成を目指すとしている。株価は売られ過ぎ感を強めている。売り一巡して反発を期待したい。

■独立系エレクトロニクス商社でEMSも展開

 半導体・電子部品・情報機器の販売、およびEMS(電子機器の受託開発製造サービス)などを展開する独立系のエレクトロニクス商社である。

 18年3月期のセグメント別売上高構成比は、電子部品事業(半導体、一般電子部品、EMSなどの開発・製造・販売)73%、情報機器事業(パソコン・周辺機器、家電、写真・映像関連商品などの販売)20%、ソフトウェア事業(CG映像制作、アミューズメント関連商品の企画・開発)1%、その他事業(エレクトロニクス機器の修理・サポート、アミューズメント機器の製造・販売、スポーツ用品の販売など)6%だった。

■中期計画で19年3月期経常利益100億円目標

 中期経営計画2018では、16年3月期〜19年3月期を利益重視経営の確立と「次世代の加賀電子」として飛躍するための準備期間と位置付けている。そして18年9月の会社設立50周年に向けた総決算として、経営目標値に19年3月期売上高2900億円、経常利益100億円、ROE8%以上を掲げている。

 利益配分に関する基本方針は、連結配当性向25〜35%を確保しつつ安定的な配当を実施するとしている。自己株式取得は市場環境や資本効率を鑑みながら適宜検討するとしている。

 17年10月には託児機能付ワーキングスペース運営のママスクエア、AI・IoTワンストップサービスのスカイディスク、産業用ドローン開発のスカイロボットへ出資した。また住友金属鉱山<5713>とSiC(シリコンカーバイド)基板開発の子会社サイコックスの株式51%譲渡契約および合弁契約を締結した。

 18年2月にはウェアラブルコミュニケーションデバイス開発・販売のBONXに出資、18年3月には、出資先の米HARMONUS(ハーモナス)社の前立腺癌生検および治療用システム「ProBx」が米国食品医薬品局(FDA)から承認を取得した。米国での販売は18年7月、日本での販売は19年前半を予定している。

 18年5月には子会社の加賀マイクロソリューションが、国内生産機能強化に向けて福島県須賀川市に新工場を建設すると発表した。18年6月にはIoTを活用したスマート・セキュリティ・サービス「Secual」を展開するSecualへの出資を発表した。

 なお連結子会社の加賀コンポーネントについては18年10月特別清算結了予定である。連結業績への影響は軽微である。

■19年3月期1Q減益だが、通期は中期計画目標値の達成目指す

 19年3月期第1四半期の連結業績は、売上高が前年同期比1.2%減の554億93百万円、営業利益が28.7%減の14億89百万円、経常利益が23.8%減の16億79百万円、純利益が34.4%減の11億48百万円だった。

 EMSビジネスにおける医療機器関連の主要顧客の製品切り替えに伴う生産調整の影響、部品販売ビジネスにおける家電製品関連の主要顧客の生産調整の影響、PC・周辺機器販売ビジネスにおける市場低迷の影響、EMSビジネスで立ち上げ期にある海外新工場における費用の先行などで減益だった。ただし計画水準としている。

 通期の連結業績予想は、不確定要素が大きく現時点では業績予想を算定することが困難な状況にあるため、第2四半期決算時に次期中期経営計画と併せて公表予定としているが、電子部品事業を中心に受注環境が良好であり、中期経営計画最終年度の目標値(売上高2900億円、経常利益100億円、ROE8.0%以上)の達成を目指すとしている。第2四半期以降の挽回を期待したい。

 配当予想は年間70円(第2四半期末30円、期末40円)としている。18年3月期と同額だが、18年3月期の年間70円(第2四半期末30円、期末40円)には特別配当10円(第2四半期末5円、期末5円)を含んでいるため、普通配当ベースでは増配となる。

■株価は売られ過ぎ感

 株価は第1四半期業績を嫌気する形で急落し、2500円近辺でのモミ合いから下放れの形となった。8月16日には年初来安値となる2002円まで下押した。ただし日足チャートで見ると25日移動平均線に対するマイナス乖離率が10%を超えて売られ過ぎ感を強めている。

 8月20日の終値は2032円、今期予想配当利回り(会社予想の年間70円で算出)は約3.4%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS2571円79銭で算出)は約0.8倍、時価総額は約583億円である。売り一巡して反発を期待したい。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media−IR)
[07月10日更新]

加賀電子は下値固め完了して反発期待、19年3月期は中期計画最終年度の目標達成目指す

 加賀電子<8154>(東1)は半導体・電子部品・情報機器の販売、EMS(電子機器の受託開発製造サービス)などを展開する独立系のエレクトロニクス商社である。19年3月期業績予想は非開示だが、中期計画最終年度の目標達成を目指すとしている。株価は下値固め完了感を強めている。反発を期待したい。なお8月7日に第1四半期決算発表を予定している。

■独立系エレクトロニクス商社でEMSも展開

 半導体・電子部品・情報機器の販売、およびEMS(電子機器の受託開発製造サービス)などを展開する独立系のエレクトロニクス商社である。

 18年3月期のセグメント別売上高構成比は、電子部品事業(半導体、一般電子部品、EMSなどの開発・製造・販売)73%、情報機器事業(パソコン・周辺機器、家電、写真・映像関連商品などの販売)20%、ソフトウェア事業(CG映像制作、アミューズメント関連商品の企画・開発)1%、その他事業(エレクトロニクス機器の修理・サポート、アミューズメント機器の製造・販売、スポーツ用品の販売など)6%だった。

■中期計画で19年3月期経常利益100億円目標

 中期経営計画2018では、16年3月期〜19年3月期を利益重視経営の確立と「次世代の加賀電子」として飛躍するための準備期間と位置付けている。そして18年9月の会社設立50周年に向けた総決算として、経営目標値に19年3月期売上高2900億円、経常利益100億円、ROE8%以上を掲げている。

 利益配分に関する基本方針は、連結配当性向25〜35%を確保しつつ安定的な配当を実施するとしている。自己株式取得は市場環境や資本効率を鑑みながら適宜検討するとしている。

 17年10月には託児機能付ワーキングスペース運営のママスクエア、AI・IoTワンストップサービスのスカイディスク、産業用ドローン開発のスカイロボットへ出資した。また住友金属鉱山<5713>とSiC(シリコンカーバイド)基板開発の子会社サイコックスの株式51%譲渡契約および合弁契約を締結した。

 18年2月にはウェアラブルコミュニケーションデバイス開発・販売のBONXに出資、18年3月には、出資先の米HARMONUS(ハーモナス)社の前立腺癌生検および治療用システム「ProBx」が米国食品医薬品局(FDA)から承認を取得した。米国での販売は18年7月、日本での販売は19年前半を予定している。
 
 18年5月には子会社の加賀マイクロソリューションが、国内生産機能強化に向けて福島県須賀川市に新工場を建設すると発表した。18年6月にはIoTを活用したスマート・セキュリティ・サービス「Secual」を展開するSecualへの出資を発表した。

 なお連結子会社の加賀コンポーネントについては6月28日付で解散を決議した。18年10月特別清算結了予定である。連結業績への影響は軽微である。

■19年3月期は中期計画最終年度目標値の達成目指す

 19年3月期連結業績予想は不確定要素が大きく現時点では業績予想を算定することが困難な状況にあるため非開示としているが、電子部品事業を中心に受注環境が良好であり、中期経営計画最終年度の目標値(売上高2900億円、経常利益100億円、ROE8.0%以上)の達成を目指すとしている。

 配当予想は年間70円(第2四半期末30円、期末40円)としている。18年3月期と同額だが、18年3月期の年間70円(第2四半期末30円、期末40円)には特別配当10円(第2四半期末5円、期末5円)を含んでいるため、普通配当ベースでは増配となる。

■株価は下値固め完了して反発期待

 株価は戻りの鈍い展開だが、2500円近辺で下値固め完了感を強めている。7月9日の終値は2573円、今期予想配当利回り(会社予想の年間70円で算出)は約2.7%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS2571円79銭で算出)は約1.0倍である。時価総額は約739億円である。

 週足チャートで見ると2500円近辺が下値支持線の形だ。下値固め完了して反発を期待したい。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media−IR)
[6月20日更新]

加賀電子は調整一巡して反発期待、19年3月期は中期計画最終年度の目標達成目指す

 加賀電子<8154>(東1)は半導体・電子部品・情報機器の販売、EMS(電子機器の受託開発製造サービス)などを展開する独立系のエレクトロニクス商社である。19年3月期業績予想は非開示だが、中期計画最終年度の目標達成を目指すとしている。株価は調整一巡して反発を期待したい。

■独立系エレクトロニクス商社でEMSも展開

 半導体・電子部品・情報機器の販売、およびEMS(電子機器の受託開発製造サービス)などを展開する独立系のエレクトロニクス商社である。

 18年3月期のセグメント別売上高構成比は、電子部品事業(半導体、一般電子部品、EMSなどの開発・製造・販売)73%、情報機器事業(パソコン・周辺機器、家電、写真・映像関連商品などの販売)20%、ソフトウェア事業(CG映像制作、アミューズメント関連商品の企画・開発)1%、その他事業(エレクトロニクス機器の修理・サポート、アミューズメント機器の製造・販売、スポーツ用品の販売など)6%だった。

■中期計画で19年3月期経常利益100億円目標

 中期経営計画2018では、16年3月期〜19年3月期を利益重視経営の確立と「次世代の加賀電子」として飛躍するための準備期間と位置付けている。そして18年9月の会社設立50周年に向けた総決算として、経営目標値に19年3月期売上高2900億円、経常利益100億円、ROE8%以上を掲げている。

 利益配分に関する基本方針は、連結配当性向25〜35%を確保しつつ安定的な配当を実施するとしている。自己株式取得は市場環境や資本効率を鑑みながら適宜検討するとしている。

 17年10月には託児機能付ワーキングスペース運営のママスクエア、AI・IoTワンストップサービスのスカイディスク、産業用ドローン開発のスカイロボットへ出資した。また住友金属鉱山<5713>とSiC(シリコンカーバイド)基板開発の子会社サイコックスの株式51%譲渡契約および合弁契約を締結した。

 18年2月にはウェアラブルコミュニケーションデバイス開発・販売のBONXに出資、18年3月には、出資先の米HARMONUS(ハーモナス)社の前立腺癌生検および治療用システム「ProBx」が米国食品医薬品局(FDA)から承認を取得した。米国での販売は18年7月、日本での販売は19年前半を予定している。
 
 18年5月には子会社の加賀マイクロソリューションが、国内生産機能強化に向けて福島県須賀川市に新工場を建設すると発表した。6月4日にはIoTを活用したスマート・セキュリティ・サービス「Secual」を展開するSecualへの出資を発表した。

■19年3月期は中期計画最終年度目標値の達成目指す

 19年3月期連結業績予想は不確定要素が大きく現時点では業績予想を算定することが困難な状況にあるため非開示としているが、電子部品事業を中心に受注環境が良好であり、中期経営計画最終年度の目標値(売上高2900億円、経常利益100億円、ROE8.0%以上)の達成を目指すとしている。

 なお19年3月期の配当予想は年間70円(第2四半期末30円、期末40円)としている。18年3月期と同額だが、18年3月期の年間70円(第2四半期末30円、期末40円)には特別配当10円(第2四半期末5円、期末5円)を含んでいるため、普通配当ベースでは増配となる。

■株価は調整一巡して反発期待

 株価は5月の戻り高値圏3000円近辺から反落し、6月19日には2617円まで調整した。6月19日の終値は2632円、今期予想配当利回り(会社予想の年間70円で算出)は約2.7%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS2571円79銭で算出)は約1.0倍である。時価総額は約755億円である。

 週足チャートで見ると26週移動平均線が戻りを押さえる形となったが、調整一巡して反発を期待したい。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media−IR)
[5月15日更新]

加賀電子は下値固め完了して戻り歩調、19年3月期も収益拡大期待

 加賀電子<8154>(東1)は半導体・電子部品・情報機器の販売、EMS(電子機器の受託開発製造サービス)などを展開する独立系のエレクトロニクス商社である。18年3月期は2桁営業増益で増配だった。19年3月期業績予想は非開示だが収益拡大を期待したい。株価は下値固め完了して戻り歩調だ。

■独立系エレクトロニクス商社でEMSも展開

 半導体・電子部品・情報機器の販売、およびEMS(電子機器の受託開発製造サービス)などを展開する独立系のエレクトロニクス商社である。

 18年3月期のセグメント別売上高構成比は、電子部品事業(半導体、一般電子部品、EMSなどの開発・製造・販売)73%、情報機器事業(パソコン・周辺機器、家電、写真・映像関連商品などの販売)20%、ソフトウェア事業(CG映像制作、アミューズメント関連商品の企画・開発)1%、その他事業(エレクトロニクス機器の修理・サポート、アミューズメント機器の製造・販売、スポーツ用品の販売など)6%だった。

 17年10月には、託児機能付ワーキングスペース運営のママスクエア、AI・IoTワンストップサービスのスカイディスク、産業用ドローン開発のスカイロボットへ出資した。また住友金属鉱山<5713>とSiC(シリコンカーバイド)基板開発の子会社サイコックスの株式51%譲渡契約および合弁契約を締結した。サイコックスのSiC基板製造技術と住友金属鉱山の基板生産技術を融合させ、SiC基板の量産検証を促進する。

 18年2月にはウェアラブルコミュニケーションデバイスを開発・販売するBONX(東京都)へ出資した。ベンチャー企業への投資活動を活発化させ、新たなイノベーションを創出する。

 18年3月には、出資先の米HARMONUS(ハーモナス)社が自社開発した前立腺癌の生検および治療用システム「ProBx」について、米国食品医薬品局(FDA)から承認を取得した。米国での販売は18年7月、日本での販売は19年前半を予定している。

 中期経営計画2018では、16年3月期〜19年3月期を利益重視経営の確立と「次世代の加賀電子」として飛躍するための準備期間と位置付けている。そして18年9月の会社設立50周年に向けた総決算として、経営目標値に19年3月期売上高2900億円、経常利益100億円、ROE8%以上を掲げている。

 利益配分に関する基本方針は、連結配当性向25〜35%を確保しつつ安定的な配当を実施するとしている。自己株式取得は市場環境や資本効率を鑑みながら適宜検討するとしている。

■18年3月期2桁営業増益・増配、19年3月期も収益拡大期待

 18年3月期の連結業績は、売上高が17年3月期比3.8%増の2359億21百万円、営業利益が18.0%増の81億19百万円、経常利益が19.0%増の87億40百万円、純利益が7.0%減の64億90百万円だった。2月6日の修正値(利益を2回目の増額修正)を上回って着地した。

 純利益はグループ再編に伴う法人税等調整額減少が一巡して減益だが、電子部品事業で電子機器向けEMSビジネス、半導体、情報機器事業で住宅・商業施設向け関連商材が好調に推移した。売上総利益率は13.8%で0.1ポイント上昇、販管費比率は10.3%で横ばいだった。なお特別利益では投資有価証券売却益5億91百万円、子会社株式売却益4億67百万円を計上した。

 主力の電子部品事業は0.6%増収で8.0%増益、情報機器事業は11.8%増収で47.7%増益、ソフトウェア事業は18.7%減収で67.4%減益、その他事業は31.6%増収で黒字化した。

 19年3月期連結業績予想は非開示としているが、中期経営計画最終年度の目標値である売上高2900億円、経常利益100億円、ROE8.0%以上の達成を目指すとしている。収益拡大を期待したい。

 18年3月期の配当は特別配当10円を含めて、17年3月期(特別配当20円含む)比10円増配の年間70円(第2四半期末30円、期末40円)とした。配当性向は29.6%だった。19年3月期の配当予想は18年3月期と同額の年間70円(第2四半期末30円、期末40円)としている。

■株価は下値固め完了して戻り歩調

 株価は直近安値圏2500円近辺から切り返している。下値固め完了して戻り歩調だ。5月14日の終値は2822円、時価総額は約810億円である。週足チャートで見ると13週移動平均線を突破した。そして26週移動平均線突破の動きを強めている。出直りを期待したい。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media−IR)
[04月09日更新]

加賀電子は下値固め完了感、18年3月期2桁営業増益予想で19年3月期も収益拡大期待

 加賀電子<8154>(東1)は半導体・電子部品・情報機器の販売、EMS(電子機器の受託開発製造サービス)などを展開する独立系のエレクトロニクス商社である。18年3月期は2桁営業増益・増配予想である。利益予想は3回目の増額余地がありそうだ。そして19年3月期も収益拡大を期待したい。株価は下値固め完了感を強めている。なお5月9日に18年3月期決算発表を予定している。

■独立系エレクトロニクス商社でEMSも展開

 半導体・電子部品・情報機器の販売、およびEMS(電子機器の受託開発製造サービス)などを展開する独立系のエレクトロニクス商社である。

 17年3月期のセグメント別売上高構成比は、電子部品事業(半導体、一般電子部品、EMSなどの開発・製造・販売)75%、情報機器事業(パソコン・周辺機器、家電、写真・映像関連商品などの販売)19%、ソフトウェア事業(CG映像制作、アミューズメント関連商品の企画・開発)1%、その他事業(エレクトロニクス機器の修理・サポート、アミューズメント機器の製造・販売、スポーツ用品の販売など)5%だった。

 17年10月には、託児機能付ワーキングスペース運営のママスクエア、AI・IoTワンストップサービスのスカイディスク、産業用ドローン開発のスカイロボットへ出資した。また住友金属鉱山<5713>とSiC(シリコンカーバイド)基板開発の子会社サイコックスの株式51%譲渡契約および合弁契約を締結した。サイコックスのSiC基板製造技術と住友金属鉱山の基板生産技術を融合させ、SiC基板の量産検証を促進する。

 18年2月にはウェアラブルコミュニケーションデバイスを開発・販売するBONX(東京都)への出資を発表した。ベンチャー企業への投資活動を活発化させ、新たなイノベーションを創出する。
 
 18年3月には、出資先の米HARMONUS(ハーモナス)社が自社開発した前立腺癌の生検および治療用システム「ProBx」について、米国食品医薬品局(FDA)から承認を取得したと発表している。米国での販売は18年7月、日本での販売は19年前半を予定している。

 中期経営計画2018では、16年3月期〜19年3月期を利益重視経営の確立と「次世代の加賀電子」として飛躍するための準備期間と位置付けている。そして18年9月の会社設立50周年に向けた総決算として、経営目標値に19年3月期売上高2900億円、経常利益100億円、ROE8%以上を掲げている。

 利益配分に関する基本方針は、連結配当性向25〜35%を確保しつつ安定的な配当を実施するとしている。自己株式取得は市場環境や資本効率を鑑みながら適宜検討するとしている。

■18年3月期2桁営業増益・増配予想、利益は3回目の増額余地

 18年3月期の連結業績予想(2月6日に利益を2回目の増額修正)は、売上高が17年3月期比2.1%増の2320億円、営業利益が16.3%増の80億円、経常利益が18.5%増の87億円、純利益が7.5%減の64億50百万円としている。

 純利益はグループ再編に伴う法人税等調整額減少が一巡して減益予想だが、主力の電子機器向けEMSビジネス、半導体・電子部品、住宅向け関連商材が好調に推移して2桁営業増益・経常増益予想である。

 配当予想(2月6日に2回目の増額修正)は、特別配当10円を含めて年間70円(第2四半期末30円、期末40円)としている。17年3月期の年間60円(特別配当20円含む)との比較で10円増配となる。予想配当性向は29.8%となる。

 第3四半期累計は、売上高が前年同期比3.9%増の1740億47百万円、営業利益が27.7%増の66億13百万円、経常利益が29.0%増の70億93百万円、純利益が13.3%増の55億10百万だった。

 電子部品・情報機器事業が牽引して大幅増益だった。売上総利益率は13.9%で0.1ポイント上昇、販管費比率は10.1%で0,6ポイント低下した。特別利益では投資有価証券売却益5億91百万円、子会社株式売却益4億67百万円を計上した。

 電子部品事業は電子機器向けEMSビジネスや半導体の好調で11.0%増益、情報機器事業は住宅向けおよび商業施設向け関連商材の好調で96.5%増益、ソフトウェア事業はCGアニメーション制作などの受注低迷で69.5%減益、その他事業は国内アミューズメント業界向けゲーム機器事業などが堅調に推移して黒字化した。

 通期会社予想に対する第3四半期累計の進捗率は売上高が75.0%、営業利益が82.7%、経常利益が81.5%、純利益が85.4%と高水準である。利益予想は3回目の増額余地がありそうだ。そして19年3月期も収益拡大を期待したい。

■株価は下値固め完了感

 株価は17年10月高値から反落して上値を切り下げたが、直近安値圏2500円近辺で下値固め完了感を強めている。

 4月6日の終値2646円を指標面で見ると、前期推定連結PER(会社予想の連結EPS235円10銭で算出)は約11倍、前期推定配当利回り(会社予想の年間70円で算出)は約2.6%、そして前々期実績連結PBR(前々期実績連結BPS2401円00銭で算出)は約1.1倍である。時価総額は約759億円である。

 週足チャートで見ると2500円近辺が下値支持線となり、13週移動平均線突破の動きを強めている。出直りを期待したい。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media−IR)
[03月16日更新]

加賀電子は調整一巡感、18年3月期2桁営業増益・増配予想、利益予想は3回目の増額余地

 加賀電子<8154>(東1)は半導体・電子部品・情報機器の販売、EMS(電子機器の受託開発製造サービス)などを展開する独立系のエレクトロニクス商社である。18年3月期は2桁営業増益・増配予想である。利益予想は3回目の増額余地がありそうだ。株価は上値を切り下げる形だが、調整一巡感を強めている。
 
■独立系エレクトロニクス商社でEMSも展開
 
 半導体・電子部品・情報機器の販売、およびEMS(電子機器の受託開発製造サービス)などを展開する独立系のエレクトロニクス商社である。
 
 17年3月期のセグメント別売上高構成比は、電子部品事業(半導体、一般電子部品、EMSなどの開発・製造・販売)75%、情報機器事業(パソコン・周辺機器、家電、写真・映像関連商品などの販売)19%、ソフトウェア事業(CG映像制作、アミューズメント関連商品の企画・開発)1%、その他事業(エレクトロニクス機器の修理・サポート、アミューズメント機器の製造・販売、スポーツ用品の販売など)5%だった。
 
 17年10月には、託児機能付ワーキングスペース運営のママスクエア、AI・IoTワンストップサービスのスカイディスク、産業用ドローン開発のスカイロボットへ出資した。また住友金属鉱山<5713>とSiC(シリコンカーバイド)基板開発の子会社サイコックスの株式51%譲渡契約および合弁契約を締結した。サイコックスのSiC基板製造技術と住友金属鉱山の基板生産技術を融合させ、SiC基板の量産検証を促進する。
 
 18年2月にはウェアラブルコミュニケーションデバイスを開発・販売するBONX(東京都)への出資を発表した。ベンチャー企業への投資活動を活発化させ、新たなイノベーションを創出する。
 
 中期経営計画2018では、16年3月期〜19年3月期を利益重視経営の確立と「次世代の加賀電子」として飛躍するための準備期間と位置付けている。そして18年9月の会社設立50周年に向けた総決算として、経営目標値に19年3月期売上高2900億円、経常利益100億円、ROE8%以上を掲げている。
 
 利益配分に関する基本方針は、連結配当性向25〜35%を確保しつつ安定的な配当を実施するとしている。自己株式取得は市場環境や資本効率を鑑みながら適宜検討するとしている。
 
■18年3月期2桁営業増益・増配予想、利益は3回目の増額余地
 
 18年3月期の連結業績予想(2月6日に利益を2回目の増額修正)は、売上高が17年3月期比2.1%増の2320億円、営業利益が16.3%増の80億円、経常利益が18.5%増の87億円、純利益が7.5%減の64億50百万円としている。
 
 純利益はグループ再編に伴う法人税等調整額減少が一巡して減益予想だが、主力の電子機器向けEMSビジネス、半導体・電子部品、住宅向け関連商材が好調に推移して2桁営業増益・経常増益予想である。
 
 配当予想(2月6日に2回目の増額修正)は、特別配当10円を含めて年間70円(第2四半期末30円、期末40円)としている。17年3月期の年間60円(特別配当20円含む)との比較で10円増配となる。予想配当性向は29.8%となる。
 
 第3四半期累計は、売上高が前年同期比3.9%増の1740億47百万円、営業利益が27.7%増の66億13百万円、経常利益が29.0%増の70億93百万円、純利益が13.3%増の55億10百万だった。
 
 電子部品・情報機器事業が牽引して大幅増益だった。売上総利益率は13.9%で0.1ポイント上昇、販管費比率は10.1%で0,6ポイント低下した。特別利益では投資有価証券売却益5億91百万円、子会社株式売却益4億67百万円を計上した。
 
 電子部品事業は電子機器向けEMSビジネスや半導体の好調で11.0%増益、情報機器事業は住宅向けおよび商業施設向け関連商材の好調で96.5%増益、ソフトウェア事業はCGアニメーション制作などの受注低迷で69.5%減益、その他事業は国内アミューズメント業界向けゲーム機器事業などが堅調に推移して黒字化した。
 
 通期会社予想に対する第3四半期累計の進捗率は売上高が75.0%、営業利益が82.7%、経常利益が81.5%、純利益が85.4%と高水準である。利益予想は3回目の増額余地がありそうだ。
 
■株価は調整一巡感
 
 株価は17年10月高値から反落して上値を切り下げる形となったが、直近安値圏2600円近辺で調整一巡感を強めている。
 
 3月15日の終値2703円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS235円10銭で算出)は11〜12倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間70円で算出)は2.6%近辺、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS2401円00銭で算出)は1.1倍近辺である。時価総額は約776億円である。
 
 週足チャートで見ると52週移動平均線近辺で下げ渋る形だ。調整一巡して出直りが期待される。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media−IR)
[02月27日更新]

加賀電子は調整一巡感、18年3月期予想は利益と配当を2回目の増額修正、利益は3回目の増額余地

 加賀電子<8154>(東1)は半導体・電子部品・情報機器の販売、EMS(電子機器の受託開発製造サービス)などを展開する独立系のエレクトロニクス商社である。18年3月期第3四半期累計は大幅増益だった。通期は利益と配当を増額修正した。いずれも2回目の増額修正である。利益予想は3回目の増額余地がありそうだ。株価は水準を切り下げたが調整一巡感を強めている。
 
■独立系エレクトロニクス商社でEMSも展開
 
 半導体・電子部品・情報機器の販売、およびEMS(電子機器の受託開発製造サービス)などを展開する独立系のエレクトロニクス商社である。
 
 17年3月期のセグメント別売上高構成比は、電子部品事業(半導体、一般電子部品、EMSなどの開発・製造・販売)75%、情報機器事業(パソコン・周辺機器、家電、写真・映像関連商品などの販売)19%、ソフトウェア事業(CG映像制作、アミューズメント関連商品の企画・開発)1%、その他事業(エレクトロニクス機器の修理・サポート、アミューズメント機器の製造・販売、スポーツ用品の販売など)5%だった。
 
 17年10月には、託児機能付ワーキングスペース運営のママスクエア、AI・IoTワンストップサービスのスカイディスク、産業用ドローン開発のスカイロボットへ出資した。また住友金属鉱山<5713>とSiC(シリコンカーバイド)基板開発の子会社サイコックスの株式51%譲渡契約および合弁契約を締結した。サイコックスのSiC基板製造技術と住友金属鉱山の基板生産技術を融合させ、SiC基板の量産検証を促進する。
 
 中期経営計画2018では、16年3月期〜19年3月期を利益重視経営の確立と「次世代の加賀電子」として飛躍するための準備期間と位置付けている。そして18年9月の会社設立50周年に向けた総決算として、経営目標値に19年3月期売上高2900億円、経常利益100億円、ROE8%以上を掲げている。
 
 利益配分に関する基本方針は、連結配当性向25〜35%を確保しつつ安定的な配当を実施するとしている。自己株式取得は市場環境や資本効率を鑑みながら適宜検討するとしている。
 
■18年3月期は利益と配当を増額、利益は3回目の増額余地
 
 今期(18年3月期)連結業績予想(2月6日に利益を増額、10月25日に続いて2回目の増額修正)は、売上高が前期(17年3月期)比2.1%増の2320億円、営業利益が16.3%増の80億円、経常利益が18.5%増の87億円、純利益が7.5%減の64億50百万円としている。
 
 遊戯機器関連市場が依然として低調だが、主力の電子機器向けEMSビジネス、半導体・電子部品、住宅向け関連商材が好調に推移している。純利益はグループ再編に伴う法人税等調整額減少が一巡して減益予想である。
 
 配当予想(2月6日に期末特別配当5円を増額、11月8日に続いて2回目の増額修正)は、特別配当10円を含めて年間70円(第2四半期末30円、期末40円)としている。前期の年間60円(特別配当20円含む)との比較では10円増配となる。予想配当性向は29.8%となる。
 
 第3四半期累計は、売上高が前年同期比3.9%増の1740億47百万円、営業利益が27.7%増の66億13百万円、経常利益が29.0%増の70億93百万円、純利益が13.3%増の55億10百万だった。
 
 電子部品・情報機器事業が牽引して大幅増益だった。売上総利益率は13.9%で0.1ポイント上昇、販管費比率は10.1%で0,6ポイント低下した。特別利益では投資有価証券売却益5億91百万円、子会社株式売却益4億67百万円を計上した。
 
 電子部品事業は電子機器向けEMSビジネスや半導体の好調で11.0%増益、情報機器事業は住宅向けおよび商業施設向け関連商材の好調で96.5%増益、ソフトウェア事業はCGアニメーション制作などの受注低迷で69.5%減益、その他事業は国内アミューズメント業界向けゲーム機器事業などが堅調に推移して黒字化した。
 
 通期会社予想に対する第3四半期累計の進捗率は売上高が75.0%、営業利益が82.7%、経常利益が81.5%、純利益が85.4%と高水準である。利益予想は3回目の増額余地がありそうだ。
 
■株価は調整一巡感
 
 株価は水準を切り下げたが、地合い悪化も影響した2月14日の直近安値2539円から切り返して調整一巡感を強めている。
 
 2月26日の終値2753円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS235円10銭で算出)は11〜12倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間70円で算出)は2.5%近辺、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS2401円00銭で算出)は1.1倍近辺である。時価総額は約790億円である。
 
 週足チャートで見ると52週移動平均線近辺で下げ渋る形だ。調整一巡して戻りを試す展開が期待される。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media−IR)
[1月24日更新]

加賀電子は調整一巡して戻り試す、18年3月期予想は再増額の可能性

 加賀電子<8154>(東1)は半導体・電子部品・情報機器の販売、EMS(電子機器の受託開発製造サービス)などを展開する独立系のエレクトロニクス商社である。18年3月期営業・経常増益予想である。そして再増額の可能性が高いだろう。株価は調整一巡して戻りを試す展開が期待される。なお2月6日に第3四半期決算発表を予定している。
 
■独立系エレクトロニクス商社でEMSも展開
 
 半導体・電子部品・情報機器の販売、およびEMS(電子機器の受託開発製造サービス)などを展開する独立系のエレクトロニクス商社である。
 
 17年3月期のセグメント別売上高構成比は、電子部品事業(半導体、一般電子部品、EMSなどの開発・製造・販売)75%、情報機器事業(パソコン・周辺機器、家電、写真・映像関連商品などの販売)19%、ソフトウェア事業(CG映像制作、アミューズメント関連商品の企画・開発)1%、その他事業(エレクトロニクス機器の修理・サポート、アミューズメント機器の製造・販売、スポーツ用品の販売など)5%だった。
 
 17年10月には、託児機能付ワーキングスペース運営のママスクエア、AI・IoTワンストップサービスのスカイディスク、産業用ドローン開発のスカイロボットへ出資した。また住友金属鉱山<5713>とSiC(シリコンカーバイド)基板開発の子会社サイコックスの株式51%譲渡契約および合弁契約を締結した。サイコックスのSiC基板製造技術と住友金属鉱山の基板生産技術を融合させ、SiC基板の量産検証を促進する。
 
 中期経営計画2018では、16年3月期〜19年3月期を利益重視経営の確立と「次世代の加賀電子」として飛躍するための準備期間と位置付けている。そして18年9月の会社設立50周年に向けた総決算として、経営目標値に19年3月期売上高2900億円、経常利益100億円、ROE8%以上を掲げている。
 
 利益配分に関する基本方針は、連結配当性向25〜35%を確保しつつ安定的な配当を実施するとしている。自己株式取得は市場環境や資本効率を鑑みながら適宜検討するとしている。
 
■18年3月期営業・経常増益予想、さらに再増額の可能性
 
 今期(18年3月期)連結業績予想(10月25日に増額修正)は、売上高が前期(17年3月期)比2.1%増の2320億円、営業利益が9.0%増の75億円、経常利益が11.7%増の82億円、純利益が9.7%減の63億円としている。
 
 遊戯機器関係の法改正に伴う影響を慎重に織り込んだが、電子部品・情報機器事業が牽引して営業・経常増益予想である。純利益はグループ再編に伴う法人税等調整額減少が一巡して減益予想である。
 
 配当予想(11月8日に増額修正)は、5円増配の年間65円(第2四半期末30円、期末35円)としている。予想配当性向は28.3%となる。
 
 第2四半期累計は、売上高が前年同期比6.3%増の1165億82百万円、営業利益が36.8%増の43億94百万円、経常利益が54.4%増の47億03百万円、純利益が13.0%増の35億16百万だった。
 
 計画超の増収増益だった。売上総利益率は13.9%で0.1ポイント上昇、販管費比率は10.1%で0.8ポイント低下した。営業外では為替差損益が改善した。特別利益では投資有価証券売却益、特別損失では投資有価証券評価損や減損損失を計上した。
 
 電子部品事業は電子機器向けEMSビジネスや半導体の好調で22.2%増益、情報機器事業は住宅関連商材の好調やパソコンの回復で2.1倍増益、ソフトウェア事業はCGアニメーション制作などの受注減少で63.6%減益、その他事業は国内アミューズメント業界向けゲーム機器事業などが堅調に推移して黒字化した。
 
 通期会社予想に対する第2四半期累計の進捗率は売上高が50.3%、営業利益が58.6%、経常利益が57.4%、純利益が55.8%と高水準である。通期予想は再増額の可能性が高いだろう。
 
■株価は調整一巡して戻り試す
 
 株価は17年10月高値3780円から反落して上値を切り下げたが、3000円近辺で下げ渋り調整一巡感を強めている。
 
 1月23日の終値3070円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS229円63銭で算出)は13〜14倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間65円で算出)は2.1%近辺、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS2401円00銭で算出)は1.3倍近辺である。時価総額は約881億円である。
 
 週足チャートで見ると26週移動平均線近辺で下げ渋る形だ。調整一巡して戻りを試す展開が期待される。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media−IR)
[12月19日更新]

加賀電子は自律調整一巡感、18年3月期営業・経常増益予想で再増額の可能性

 加賀電子<8154>(東1)は半導体・電子部品・情報機器の販売、EMS(電子機器の受託開発製造サービス)などを展開する独立系のエレクトロニクス商社である。18年3月期営業・経常増益予想である。そして再増額の可能性が高いだろう。株価は10月の高値圏から反落したが、自律調整一巡感を強めている。
 
■独立系エレクトロニクス商社でEMSも展開
 
 半導体・電子部品・情報機器の販売、およびEMS(電子機器の受託開発製造サービス)などを展開する独立系のエレクトロニクス商社である。
 
 17年3月期のセグメント別売上高構成比は、電子部品事業(半導体、一般電子部品、EMSなどの開発・製造・販売)75%、情報機器事業(パソコン・周辺機器、家電、写真・映像関連商品などの販売)19%、ソフトウェア事業(CG映像制作、アミューズメント関連商品の企画・開発)1%、その他事業(エレクトロニクス機器の修理・サポート、アミューズメント機器の製造・販売、スポーツ用品の販売など)5%だった。
 
 17年10月には、託児機能付ワーキングスペース運営のママスクエア、AI・IoTワンストップサービスのスカイディスク、産業用ドローン開発のスカイロボットへ出資した。また住友金属鉱山<5713>とSiC(シリコンカーバイド)基板開発の子会社サイコックスの株式51%譲渡契約および合弁契約を締結した。サイコックスのSiC基板製造技術と住友金属鉱山の基板生産技術を融合させ、SiC基板の量産検証を促進する。
 
 中期経営計画2018では、16年3月期〜19年3月期を利益重視経営の確立と「次世代の加賀電子」として飛躍するための準備期間と位置付けている。そして18年9月の会社設立50周年に向けた総決算として、経営目標値に19年3月期売上高2900億円、経常利益100億円、ROE8%以上を掲げている。
 
 利益配分に関する基本方針は、連結配当性向25〜35%を確保しつつ安定的な配当を実施するとしている。自己株式取得は市場環境や資本効率を鑑みながら適宜検討するとしている。
 
■18年3月期営業・経常増益予想、さらに再増額の可能性
 
 今期(18年3月期)連結業績予想(10月25日に増額修正)は、売上高が前期(17年3月期)比2.1%増の2320億円、営業利益が9.0%増の75億円、経常利益が11.7%増の82億円、純利益が9.7%減の63億円としている。
 
 遊戯機器関係の法改正に伴う影響を慎重に織り込んだが、電子部品・情報機器事業が牽引して営業・経常増益予想である。純利益はグループ再編に伴う法人税等調整額減少が一巡して減益予想である。
 
 配当予想(11月8日に増額修正)は、5円増配の年間65円(第2四半期末30円、期末35円)としている。予想配当性向は28.3%となる。
 
 第2四半期累計は、売上高が前年同期比6.3%増の1165億82百万円、営業利益が36.8%増の43億94百万円、経常利益が54.4%増の47億03百万円、純利益が13.0%増の35億16百万だった。
 
 計画超の増収増益だった。売上総利益率は13.9%で0.1ポイント上昇、販管費比率は10.1%で0.8ポイント低下した。営業外では為替差損益が改善した。特別利益では投資有価証券売却益、特別損失では投資有価証券評価損や減損損失を計上した。
 
 電子部品事業は電子機器向けEMSビジネスや半導体の好調で22.2%増益、情報機器事業は住宅関連商材の好調やパソコンの回復で2.1倍増益、ソフトウェア事業はCGアニメーション制作などの受注減少で63.6%減益、その他事業は国内アミューズメント業界向けゲーム機器事業などが堅調に推移して黒字化した。
 
 通期会社予想に対する第2四半期累計の進捗率は売上高が50.3%、営業利益が58.6%、経常利益が57.4%、純利益が55.8%と高水準である。通期予想は再増額の可能性が高いだろう。
 
■株価は自律調整一巡感
 
 株価は10月高値3780円から反落したが、3000円〜3300円近辺で推移して自律調整一巡感を強めている。
 
 12月18日の終値3190円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS229円63銭で算出)は13〜14倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間65円で算出)は2.0%近辺、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS2401円00銭で算出)は1.3倍近辺である。時価総額は約916億円である。
 
 週足チャートで見ると26週移動平均線が接近してきた。自律調整一巡して上値を試す展開が期待される。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media−IR)
[10月06日更新]

加賀電子は06年高値に接近、18年3月期予想は増額の可能性  
 加賀電子<8154>(東1)は半導体・電子部品・情報機器の販売、EMS(電子機器の受託開発製造サービス)などを展開する独立系のエレクトロニクス商社である。18年3月期は第1四半期の進捗率が高水準で増額の可能性が高いだろう。株価は06年高値に接近している。好業績を評価して上値を試す展開が期待される。なお11月8日に第2四半期決算発表を予定している。
 
■独立系エレクトロニクス商社でEMSも展開
 
 半導体・電子部品・情報機器の販売、およびEMS(電子機器の受託開発製造サービス)などを展開する独立系のエレクトロニクス商社である。
 
 17年3月期のセグメント別売上高構成比は、電子部品事業(半導体、一般電子部品、EMSなどの開発・製造・販売)75%、情報機器事業(パソコン・周辺機器、家電、写真・映像関連商品などの販売)19%、ソフトウェア事業(CG映像制作、アミューズメント関連商品の企画・開発)1%、その他事業(エレクトロニクス機器の修理・サポート、アミューズメント機器の製造・販売、スポーツ用品の販売など)5%だった。
 
 10月3日には住友金属鉱山<5713>と、SiC(シリコンカーバイド)基板開発の子会社サイコックスの株式51%譲渡契約および合弁契約の締結を発表した。サイコックスのSiC基板製造技術と住友金属鉱山の基板生産技術を融合させ、SiC基板の量産検証を促進する。
 
 また10月3日には託児機能付ワーキングスペース運営のママスクエア(東京都)への出資、10月4日にはAI・IoTワンストップサービスを提供するスカイディスク(福岡県福岡市)への出資を発表した。
 
 中期経営計画2018では、16年3月期〜19年3月期を利益重視経営の確立と「次世代の加賀電子」として飛躍するための準備期間と位置付けている。そして18年9月の会社設立50周年に向けた総決算として、経営目標値に19年3月期売上高2900億円、経常利益100億円、ROE8%以上を掲げている。
 
 利益配分に関する基本方針は、連結配当性向25〜35%を確保しつつ安定的な配当を実施するとしている。自己株式取得は市場環境や資本効率を鑑みながら適宜検討するとしている。
 
■18年3月期予想は増額の可能性
 
 今期(18年3月期)連結業績予想(5月10日公表)は、売上高が前期(17年3月期)比1.2%増の2300億円、営業利益が1.8%増の70億円、経常利益が2.1%増の75億円、純利益が21.2%減の55億円としている。純利益はグループ再編に伴う法人税等調整額減少が一巡して減益予想である。配当予想は前期と同額の年間60円である。前期の年間60円には特別配当20円を含んでいるため普通配当ベースでは20円増配の形となる。予想配当性向は29.9%となる。
 
 第1四半期(4〜6月)連結業績は売上高が前年同期比7.6%増収、営業利益が2.7倍増益、経常利益が3.6倍増益、純利益が25.3%増益だった。国内外における電子機器向けEMSビジネスや、国内のアミューズメント業界向け機器などが好調に推移して大幅増益だった。営業外費用では為替差損が減少した。
 
 通期予想に対する第1四半期の進捗率は売上高24.4%、営業利益29.8%、経常利益29.4%、純利益31.8%と高水準である。需要回復して通期予想は増額の可能性が高いだろう。
 
■株価は06年高値に接近、好業績評価して上値試す
 
 株価は10月3日に3450円まで上伸した。そして06年高値3660円に接近している。
 
 10月5日の終値3345円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想連結EPS200円47銭で算出)は16〜17倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間60円で算出)は1.8%近辺、前期実績連結PBR(前期実績連結BPS2401円00銭で算出)は1.4倍近辺である。時価総額は約960億円である。
 
 週足チャートで見ると13週移動平均線がサポートラインの形だ。好業績を評価して上値を試す展開が期待される。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media−IR)
[09月12日更新]

加賀電子は06年高値に接近、18年3月期@Q大幅増益で通期予想は増額の可能性

 加賀電子<8154>(東1)は半導体・電子部品・情報機器の販売、EMS(電子機器の受託開発製造サービス)などを展開する独立系のエレクトロニクス商社である。18年3月期は営業微増益予想だが、第1四半期が大幅増益であり、通期予想は増額の可能性が高いだろう。株価は水準を切り上げて06年高値に接近している。好業績を評価して上値を試す展開が期待される。
 
■独立系エレクトロニクス商社でEMSも展開
 
 半導体・電子部品・情報機器の販売、およびEMS(電子機器の受託開発製造サービス)などを展開する独立系のエレクトロニクス商社である。
 
 17年3月期のセグメント別売上高構成比は、電子部品事業(半導体、一般電子部品、EMSなどの開発・製造・販売)75%、情報機器事業(パソコン・周辺機器、家電、写真・映像関連商品などの販売)19%、ソフトウェア事業(CG映像制作、アミューズメント関連商品の企画・開発)1%、その他事業(エレクトロニクス機器の修理・サポート、アミューズメント機器の製造・販売、スポーツ用品の販売など)5%だった。
 
 中期経営計画2018では、16年3月期〜19年3月期を利益重視経営の確立と「次世代の加賀電子」として飛躍するための準備期間と位置付けている。そして18年9月の会社設立50周年に向けた総決算として、経営目標値に19年3月期売上高2900億円、経常利益100億円、ROE8%以上を掲げている。
 
 利益配分に関する基本方針は、連結配当性向25〜35%を確保しつつ安定的な配当を実施するとしている。自己株式取得は市場環境や資本効率を鑑みながら適宜検討するとしている。
 
■18年3月期営業微増益予想だが増額の可能性
 
 今期(18年3月期)連結業績予想(5月10日公表)は、売上高が前期(17年3月期)比1.2%増の2300億円、営業利益が1.8%増の70億円、経常利益が2.1%増の75億円、純利益が21.2%減の55億円としている。純利益はグループ再編に伴う法人税等調整額減少が一巡して減益予想である。配当予想は前期と同額の年間60円である。前期の年間60円には特別配当20円を含んでいるため普通配当ベースでは20円増配の形となる。予想配当性向は29.9%となる。
 
 第1四半期(4〜6月)連結業績は売上高が前年同期比7.6%増収、営業利益が2.7倍増益、経常利益が3.6倍増益、純利益が25.3%増益だった。国内外における電子機器向けEMSビジネスや、国内のアミューズメント業界向け機器などが好調に推移して大幅増益だった。営業外費用では為替差損が減少した。
 
 通期予想に対する第1四半期の進捗率は売上高24.4%、営業利益29.8%、経常利益29.4%、純利益31.8%と高水準である。需要回復して通期予想は増額の可能性が高いだろう。
 
■株価は06年高値に接近、好業績評価して上値試す
 
 株価は9月11日に年初来高値となる3045円まで上伸した。そして06年高値3660円に接近している。
 
 9月11日の終値2989円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想連結EPS200円47銭で算出)は14〜15倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間60円で算出)は2.0%近辺、前期実績連結PBR(前期実績連結BPS2401円00銭で算出)は1.2倍近辺である。時価総額は約858億円である。
 
 週足チャートで見ると13週移動平均線がサポートラインの形だ。好業績を評価して上値を試す展開が期待される。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media−IR)
[08月23日更新]

加賀電子は06年来の高値圏、18年3月期1Q大幅増益で通期予想は増額の可能性  
 加賀電子<8154>(東1)は半導体・電子部品・情報機器の販売、EMS(電子機器の受託開発製造サービス)などを展開する独立系のエレクトロニクス商社である。18年3月期第1四半期は大幅増益だった。需要回復して通期予想は増額の可能性が高いだろう。株価は水準を切り上げて06年来の高値圏だ。好業績を評価して上値を試す展開が期待される。
 
■独立系エレクトロニクス商社でEMSも展開
 
 半導体・電子部品・情報機器の販売、およびEMS(電子機器の受託開発製造サービス)などを展開する独立系のエレクトロニクス商社である。
 
 17年3月期のセグメント別売上高構成比は、電子部品事業(半導体、一般電子部品、EMSなどの開発・製造・販売)75%、情報機器事業(パソコン・周辺機器、家電、写真・映像関連商品などの販売)19%、ソフトウェア事業(CG映像制作、アミューズメント関連商品の企画・開発)1%、その他事業(エレクトロニクス機器の修理・サポート、アミューズメント機器の製造・販売、スポーツ用品の販売など)5%だった。
 
■中期経営計画で19年3月期経常利益100億円目指す
 
 中期経営計画2018では、16年3月期〜19年3月期を利益重視経営の確立と「次世代の加賀電子」として飛躍するための準備期間と位置付けている。そして18年9月の会社設立50周年に向けた総決算として、経営目標値に19年3月期売上高2900億円、経常利益100億円、ROE8%以上を掲げている。
 
 収益基盤強化に向けて重点市場の深堀(車載、環境、通信、産業機器、アミューズメント)、重点客先の関係強化、海外ビジネスの拡大、新規事業の創出(医療・ヘルスケア、素材)を推進する。また経営基盤強化に向けて販管費削減、グループ再編、コーポレートガバナンス体制強化、コンプライアンス遵守を推進する。
 
 重点市場と位置付けるIoT分野では、屋内・屋外に対応した自社開発のマルチGNSS(全地球衛星測位システム)端末、ユビキタスと共同開発した高機能HEMSゲートウェイ機器などを拡販する。また京セラコミュニケーションズが国内で敷設するIoT専用通信網に対応した端末を提供することが決定した。AR(拡張現実)の分野では16年8月、浅草花やしきでアイウェア型ウェアラブルデバイス「Telepathy Walker」を装着するAR遊園地が稼働した。
 
 海外は、北米・中南米地域でのビジネス拡大を目指して16年12月メキシコに北米向けEMSの生産拠点となる子会社を設立した。またインドおよびベトナムでのビジネス展開を目指し、17年7月連結子会社KAGA ELECTRONICSが、東南アジア地域におけるEMS生産拠点の拡充を目的として、ベトナムに現地法人を設立した。欧州ではチェコ工場での基板実装を増設し、欧州地域での顧客獲得を目指す。
 
 利益配分に関する基本方針は、連結配当性向25〜35%を確保しつつ安定的な配当を実施するとしている。自己株式取得は市場環境や資本効率を鑑みながら適宜検討するとしている。
 
 17年5月には成長戦略の一環としてベンチャー投資を本格化すると発表した。重点市場において約3年間で総額50億円をベンチャー企業・事業に投資する。そして17年7月空気清浄機や加湿器等を製造販売するカドー(東京都)に出資、IT人材事業・ゲーム事業・動画事業・インターネット事業を展開するギークス(東京都)に出資、無線多段中継技術とクラウド監視・制御システム開発を行うPicoCELA(福岡県)に出資した。
 
■18年3月期1Qは大幅増益
 
 今期(18年3月期)第1四半期(4月〜6月)の連結業績は、売上高が前年同期比7.6%増の561億74百万円、営業利益が2.7倍の20億88百万円、経常利益が3.6倍の22億05百万円、純利益が25.3%増の17億50百万円だった。
 
 国内外における電子機器向けEMSビジネスや、国内のアミューズメント業界向け機器などが好調に推移して大幅増益だった。売上総利益は16.0%増加し、売上総利益率は14.0%で1.0ポイント上昇した。販管費は3.9%減少し、販管費比率は10.3%で1.2ポイント低下した。営業外費用では為替差損が減少(前期2億93百万円、今期19百万円)した。
 
 電子部品事業は売上高が6.3%増の417億21百万円で、営業利益(連結調整前)が2.5倍の15億39百万円だった。国内外における電子機器向けEMSビジネスが好調だった。情報機器事業は売上高が10.0%増の111億32百万円で、営業利益が3.4倍の3億58百万円だった。パソコンなどコンシューマ向けが減少したが、住宅向け関連商材が好調だった。
 
 ソフトウェア事業は売上高が6.1%減の4億48百万円で、営業利益が0百万円の赤字(前年同期は75百万円の黒字)だった。その他事業は売上高が20.1%増の28億72百万円で、営業利益が1億52百万円(同70百万円の赤字)だった。国内のアミューズメント業界向け機器などが好調だった。
 
■18年3月期営業微増益予想だが増額の可能性
 
 今期(18年3月期)連結業績予想(5月10日公表)は、売上高が前期(17年3月期)比1.2%増の2300億円、営業利益が1.8%増の70億円、経常利益が2.1%増の75億円、純利益が21.2%減の55億円としている。
 
 売上総利益率は横ばいの13.7%、販管費比率は横ばいの10.7%を想定し、純利益はグループ再編に伴う法人税等調整額減少が一巡して減益予想である。配当予想は前期と同額の年間60円である。前期の年間60円には特別配当20円を含んでいるため普通配当ベースでは20円増配の形となる。予想配当性向は29.9%となる。
 
 セグメント別には、電子部品事業の売上高が2.2%増の1750億円で営業利益(連結調整前)が8.8%増の53億50百万円、情報機器事業の売上高が1.3%減の420億円で営業利益が6.1%減の14億円としている。ソフトウェア事業は売上高が5.0%減の30億円で営業利益が14.8%減の4億50百万円、その他事業は売上高が2.7%減の100億円で営業利益が2億円の赤字(前期は2億12百万円の赤字)としている。
 
 通期予想に対する第1四半期の進捗率は売上高24.4%、営業利益29.8%、経常利益29.4%、純利益31.8%と高水準である。需要回復して通期予想は増額の可能性が高いだろう。
 
■株価は06年来の高値圏、好業績評価して上値試す
 
 株価は水準を切り上げて8月9日に2956円まで上伸した。06年来の高値圏である。
 
 8月22日の終値2775円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS200円47銭で算出)は13〜14倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間60円で算出)は2.2%近辺、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS2401円00銭で算出)は1.2倍近辺である。時価総額は約796億円である。
 
週足チャートで見ると13週移動平均線がサポートラインの形だ。好業績を評価して上値を試す展開が期待される。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media−IR)
[07月31日更新]
 
加賀電子は06年来の高値圏、18年3月期営業増益予想で上振れ余地
 
加賀電子<8154>(東1)は半導体・電子部品・情報機器の販売、およびEMSなどを展開する独立系のエレクトロニクス商社である。18年3月期は需要回復して営業増益予想である。株価は水準を切り上げて06年来の高値圏だ。上値を試す展開が期待される。なお8月8日に第1四半期決算発表を予定している。
 
■独立系エレクトロニクス商社でEMSも展開
 
半導体・電子部品・情報機器・ソフトウェアなどの販売、およびEMS(電子機器の受託開発製造サービス)などを展開する独立系のエレクトロニクス商社である。
 
中期経営計画2018では18年9月の会社設立50周年に向けた総決算として、経営目標値に19年3月期売上高2900億円、経常利益100億円、ROE8%以上を掲げている。
 
収益基盤強化に向けて重点市場の深堀(車載、環境、通信、産業機器、アミューズメント)、重点客先の関係強化、海外ビジネスの拡大、新規事業の創出(医療・ヘルスケア、素材)を推進する。また経営基盤強化に向けて販管費削減、グループ再編、コーポレートガバナンス体制強化、コンプライアンス遵守を推進する。
 
IoT分野では、自社開発のマルチGNSS(全地球衛星測位システム)端末、ユビキタスと共同開発した高機能HEMSゲートウェイ機器などを拡販する。AR(拡張現実)の分野では16年8月、浅草花やしきでアイウェア型ウェアラブルデバイス「Telepathy Walker」を装着するAR遊園地が稼働した。17年5月にはベンチャー投資を本格化すると発表した。約3年間で総額50億円をベンチャー企業・事業に投資する。
 
■18年3月期営業増益予想、半導体需要高水準で上振れ余地
 
今期(18年3月期)連結業績予想(5月10日公表)は、売上高が前期(17年3月期)比1.2%増の2300億円、営業利益が同1.8%増の70億円、経常利益が同2.1%増の75億円、純利益が同21.2%減の55億円としている。
 
純利益はグループ再編に伴う法人税等調整額減少が一巡して減益予想だが、需要回復などで営業増益予想である。半導体需要が高水準のため通期予想に上振れ余地があるだろう。配当予想は前期と同額の年間60円である。前期の年間60円には特別配当20円を含んでいるため普通配当ベースでは20円増配となる。
 
■株価は水準切り上げて06年来の高値圏
 
株価は水準を切り上げる展開で7月26日には2497円まで上伸した。06年来の高値圏である。
 
7月27日の終値2441円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想連結EPS200円47銭で算出)は12〜13倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間60円で算出)は2.5%近辺、前期実績連結PBR(前期実績連結BPS2401円00銭で算出)は1.0倍近辺である。時価総額は約701億円である。
 
週足チャートで見ると13週移動平均線がサポートラインの形だ。上値を試す展開が期待される。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media−IR)
[06月26日更新]

加賀電子は06年来の高値圏、18年3月期営業増益予想で依然として割安感

 加賀電子<8154>(東1)は半導体・電子部品・情報機器の販売、EMS(電子機器の受託開発製造サービス)などを展開する独立系のエレクトロニクス商社である。18年3月期は法人税等調整額減少が一巡して最終減益予想だが、需要回復して営業増益予想である。株価は水準を切り上げて06年来の高値圏だ。指標面に依然として割安感があり、上値を試す展開が期待される。

■独立系エレクトロニクス商社でEMSも展開

 半導体・電子部品・情報機器の販売、およびEMS(電子機器の受託開発製造サービス)などを展開する独立系のエレクトロニクス商社である。

 17年3月期のセグメント別売上高構成比は、電子部品事業(半導体、一般電子部品、EMSなどの開発・製造・販売)75%、情報機器事業(パソコン・周辺機器、家電、写真・映像関連商品などの販売)19%、ソフトウェア事業(CG映像制作、アミューズメント関連商品の企画・開発)1%、その他事業(エレクトロニクス機器の修理・サポート、アミューズメント機器の製造・販売、スポーツ用品の販売など)5%、地域別売上高構成比は日本68%、北米2%、欧州1%、東アジア28%である。

 16年10月ユビキタス<3858>と高機能HEMSゲートウェイ機器を共同開発、16年11月高機能ディスプレイコントローラ用半導体の設計・開発・製造および販売を行うセレブレクス(大阪市)に出資した。

■中期経営計画で19年3月期経常利益100億円目指す

 「中期経営計画2018」では、16年3月期〜19年3月期を利益重視経営の確立と「次世代の加賀電子」として飛躍するための準備期間と位置付けている。そして18年9月の会社設立50周年に向けた総決算として、経営目標値に19年3月期売上高2900億円、経常利益100億円、ROE8%以上を掲げている。

 収益基盤強化に向けて重点市場の深堀(車載、環境、通信、産業機器、アミューズメント)、重点客先の関係強化、海外ビジネスの拡大、新規事業の創出(医療・ヘルスケア、素材)を推進する。また経営基盤強化に向けて販管費削減、グループ再編、コーポレートガバナンス体制強化、コンプライアンス遵守を推進する。

 重点市場と位置付けるIoT分野では、屋内・屋外に対応した自社開発のマルチGNSS(全地球衛星測位システム)端末、ユビキタスと共同開発した高機能HEMSゲートウェイ機器などを拡販する。また京セラコミュニケーションズが国内で敷設するIoT専用通信網に対応した端末を提供することが決定した。AR(拡張現実)の分野では16年8月、浅草花やしきでアイウェア型ウェアラブルデバイス「Telepathy Walker」を装着するAR遊園地が稼働した。

 海外は北米・中南米地域でのビジネス拡大を目指し、16年12月メキシコに北米向けEMSの生産拠点となる子会社を設立した。またインドおよびベトナムでのビジネス展開を検討する。欧州ではチェコ工場での基板実装を増設し、欧州地域での顧客獲得を目指す。
  
 利益配分に関する基本方針は、連結配当性向25〜35%を確保しつつ安定的な配当を実施するとしている。自己株式取得は市場環境や資本効率を鑑みながら適宜検討するとしている。

 17年5月には成長戦略の一環としてベンチャー投資を本格化すると発表した。重点市場において約3年間で総額50億円をベンチャー企業・事業に投資する。

■17年3月期は減収・営業減益・経常減益だが、純利益は増益

 前期(17年3月期)連結業績は、売上高が前々期(16年3月期)比7.4%減の2272億09百万円、営業利益が同11.7%減の68億79百万円、経常利益が同7.1%減の73億43百万円だが、純利益は同28.3%増の48億63百万円だった。

 エレクトロニクス業界全体が全体として厳しい状況で推移し、減収・営業減益・経常減益だった。売上総利益は同7.2%減少したが、売上総利益率は13.7%で同横ばいだった。販管費は5.9%減少したが、販管費比率は10.7%で同0.2ポイント上昇した。営業外費用では為替差損が減少(前々期4億77百万円、前期88百万円)した。純利益はグループ再編に伴う法人税等調整額の減少が寄与して増益だった。

 ROEは10.9%で同1.9ポイント上昇した。自己資本比率は52.4%で同2.7ポイント上昇した。配当は同5円増配の年間60円(第2四半期末25円、期末35円)とした。配当性向は24.1%である。

 セグメント別の動向を見ると、電子部品事業は売上高が同9.6%減の1712億27百万円で営業利益(連結調整前)が同24.5%減の49億17百万円、情報機器事業は売上高が同4.1%増の425億47百万円で営業利益が同83.8%増の14億91百万円、ソフトウェア事業は売上高が同9.0%増の31億59百万円で営業利益が同24.0%減の5億28百万円、その他は売上高が同15.3%減の102億74百万円で営業利益が2億12百万円の赤字(前々期は3億43百万円の赤字)だった。

 電子部品事業は国内外における主要顧客の生産調整、遊戯機器ビジネスの低迷、半導体メーカーの代理店政策変更などで半導体取扱高が減少した。情報機器事業は住宅向け関連商材が好調に推移し、パソコンなどコンシューマ向け商品の取扱高も増加した。グループ再編による効率化も寄与した。ソフトウェアはアニメーションCG制作に注力したが利益率が低下した。その他は国内アミューズメント業界向けゲーム機器やゴルフ用品販売が低迷した。

 四半期別業績推移を見ると、売上高は第1四半期522億21百万円、第2四半期574億38百万円、第3四半期578億27百万円、第4四半期597億23百万円、営業利益は7億65百万円、24億47百万円、19億66百万円、17億01百万円だった。

■18年3月期営業微増益予想

 今期(18年3月期)連結業績予想(5月10日公表)は、売上高が前期(17年3月期)比1.2%増の2300億円、営業利益が同1.8%増の70億円、経常利益が同2.1%増の75億円、純利益が同21.2%減の55億円としている。

 需要回復などで営業微増益予想である。売上総利益率は同横ばいの13.7%、販管費比率は同横ばいの10.7%を想定している。純利益はグループ再編に伴う法人税等調整額減少が一巡して減益予想である。配当予想は前期と同額の年間60円である。前期の年間60円には特別配当20円を含んでいるため普通配当ベースでは20円増配の形となる。予想配当性向は29.9%となる。

 セグメント別の計画は、電子部品事業の売上高が同2.2%増の1750億円で営業利益(連結調整前)が同8.8%増の53億50百万円、情報機器事業の売上高が同1.3%減の420億円で営業利益が同6.1%減の14億円、ソフトウェア事業の売上高が同5.0%減の30億円で営業利益が同14.8%減の4億50百万円、その他事業の売上高が同2.7%減の100億円で営業利益が2億円の赤字(前期は2億12百万円の赤字)としている。半導体需要が高水準であり、通期会社予想に上振れ余地があるだろう。

■株価は06年来の高値圏、指標面に依然として割安感

 株価の動きを見ると、水準を切り上げる展開で6月21日には2332円まで上伸した。06年9月来の高値圏である。

 6月23日の終値2293円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS200円47銭で算出)は11〜12倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間60円で算出)は2.6%近辺、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS2401円00銭で算出)は1.0倍近辺である。時価総額は約658億円である。

 週足チャートで見ると上向きに転じた13週移動平均線がサポートラインの形だ。指標面に依然として割安感があり、上値を試す展開が期待される。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media−IR)
[05月29日更新]

加賀電子は07年来の高値圏、18年3月期営業増益予想

 加賀電子<8154>(東1)は半導体・電子部品・情報機器の販売、EMS(電子機器の受託開発製造サービス)などを展開する独立系のエレクトロニクス商社である。18年3月期は法人税等調整額減少が一巡して最終減益予想だが、需要回復して営業微増益予想である。株価は07年来の高値圏だ。中段保ち合いから上放れの形であり、指標面の割安感も見直して上値を試す展開が期待される。

■独立系エレクトロニクス商社でEMSも展開

 半導体・電子部品・情報機器の販売、およびEMS(電子機器の受託開発製造サービス)などを展開する独立系のエレクトロニクス商社である。

 17年3月期のセグメント別売上高構成比は、電子部品事業(半導体、一般電子部品、EMSなどの開発・製造・販売)75%、情報機器事業(パソコン・周辺機器、家電、写真・映像関連商品などの販売)19%、ソフトウェア事業(CG映像制作、アミューズメント関連商品の企画・開発)1%、その他事業(エレクトロニクス機器の修理・サポート、アミューズメント機器の製造・販売、スポーツ用品の販売など)5%、地域別売上高構成比は日本68%、北米2%、欧州1%、東アジア28%である。
 16年10月ユビキタス<3858>と高機能HEMSゲートウェイ機器を共同開発、16年11月高機能ディスプレイコントローラ用半導体の設計・開発・製造および販売を行うセレブレクス(大阪市)に出資した。

■中期経営計画で19年3月期経常利益100億円目指す

 「中期経営計画2018」では、16年3月期〜19年3月期を利益重視経営の確立と「次世代の加賀電子」として飛躍するための準備期間と位置付けている。そして18年9月の会社設立50周年に向けた総決算として、経営目標値に19年3月期売上高2900億円、経常利益100億円、ROE8%以上を掲げている。

 収益基盤強化に向けて重点市場の深堀(車載、環境、通信、産業機器、アミューズメント)、重点客先の関係強化、海外ビジネスの拡大、新規事業の創出(医療・ヘルスケア、素材)を推進する。また経営基盤強化に向けて販管費削減、グループ再編、コーポレートガバナンス体制強化、コンプライアンス遵守を推進する。

 重点市場と位置付けるIoT分野では、屋内・屋外に対応した自社開発のマルチGNSS(全地球衛星測位システム)端末、ユビキタスと共同開発した高機能HEMSゲートウェイ機器などを拡販する。また京セラコミュニケーションズが国内で敷設するIoT専用通信網に対応した端末を提供することが決定した。AR(拡張現実)の分野では16年8月、浅草花やしきでアイウェア型ウェアラブルデバイス「Telepathy Walker」を装着するAR遊園地が稼働した。

 海外は北米・中南米地域でのビジネス拡大を目指し、16年12月メキシコに北米向けEMSの生産拠点となる子会社を設立した。またインドおよびベトナムでのビジネス展開を検討する。欧州ではチェコ工場での基板実装を増設し、欧州地域での顧客獲得を目指す。
  
 利益配分に関する基本方針は、連結配当性向25〜35%を確保しつつ安定的な配当を実施するとしている。自己株式取得は市場環境や資本効率を鑑みながら適宜検討するとしている。

 なお5月25日には成長戦略の一環として、ベンチャー投資を本格化すると発表した。重点市場において約3年間で総額50億円をベンチャー企業・事業に投資する。

■17年3月期は減収・営業減益・経常減益だが、純利益は増益

 5月10日発表した前期(17年3月期)連結業績は売上高が前々期(16年3月期)比7.4%減の2272億09百万円、営業利益が同11.7%減の68億79百万円、経常利益が同7.1%減の73億43百万円だが、純利益は同28.3%増の48億63百万円だった。

 エレクトロニクス業界全体が全体として厳しい状況で推移し、減収・営業減益・経常減益だった。売上総利益は同7.2%減少したが、売上総利益率は13.7%で同横ばいだった。販管費は5.9%減少したが、販管費比率は10.7%で同0.2ポイント上昇した。営業外費用では為替差損が減少(前々期4億77百万円、前期88百万円)した。純利益はグループ再編に伴う法人税等調整額の減少が寄与して増益だった。

 ROEは10.9%で同1.9ポイント上昇した。自己資本比率は52.4%で同2.7ポイント上昇した。配当は同5円増配の年間60円(第2四半期末25円、期末35円)とした。配当性向は24.1%である。

 セグメント別の動向を見ると、電子部品事業は売上高が同9.6%減の1712億27百万円で営業利益(連結調整前)が同24.5%減の49億17百万円、情報機器事業は売上高が同4.1%増の425億47百万円で営業利益が同83.8%増の14億91百万円、ソフトウェア事業は売上高が同9.0%増の31億59百万円で営業利益が同24.0%減の5億28百万円、その他は売上高が同15.3%減の102億74百万円で営業利益が2億12百万円の赤字(前々期は3億43百万円の赤字)だった。

 電子部品事業は、国内外における主要顧客の生産調整、遊戯機器ビジネスの低迷、半導体メーカーの代理店政策変更などで半導体取扱高が減少し、計画を下回った。情報機器事業は住宅向け関連商材が好調に推移し、パソコンなどコンシューマ向け商品の取扱高も増加した。またグループ再編による効率化も寄与した。ソフトウェアはアニメーションCG制作に注力したが利益率が低下した。その他は国内アミューズメント業界向けゲーム機器やゴルフ用品販売が低迷した。

 四半期別業績推移を見ると、売上高は第1四半期522億21百万円、第2四半期574億38百万円、第3四半期578億27百万円、第4四半期597億23百万円、営業利益は7億65百万円、24億47百万円、19億66百万円、17億01百万円だった。

■18年3月期営業微増益予想

 今期(18年3月期)連結業績予想(5月10日公表)は、売上高が前期(17年3月期)比1.2%増の2300億円、営業利益が同1.8%増の70億円、経常利益が同2.1%増の75億円、純利益が同21.2%減の55億円としている。

 需要回復などで営業微増益予想である。売上総利益率は同横ばいの13.7%、販管費比率は同横ばいの10.7%を想定している。純利益はグループ再編に伴う法人税等調整額減少が一巡して減益予想である。配当予想は前期と同額の年間60円である。前期の年間60円には特別配当20円を含んでいるため普通配当ベースでは20円増配の形となる。予想配当性向は29.9%となる。

 セグメント別の計画は、電子部品事業の売上高が同2.2%増の1750億円で営業利益(連結調整前)が同8.8%増の53億50百万円、情報機器事業の売上高が同1.3%減の420億円で営業利益が同6.1%減の14億円、ソフトウェア事業の売上高が同5.0%減の30億円で営業利益が同14.8%減の4億50百万円、その他事業の売上高が同2.7%減の100億円で営業利益が2億円の赤字(前期は2億12百万円の赤字)としている。

 半導体需要が高水準であり、通期会社予想に上振れ余地があるだろう。

■株価は07年来の高値圏

 株価の動きを見ると、4月17日の直近安値1800円から切り返し、年初来高値を更新して5月24日の2178円まで上伸した。07年来の高値圏である。

 5月26日の終値2108円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS200円47銭で算出)は10〜11倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間60円で算出)は2.8%近辺、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS2401円00銭で算出)は0.9倍近辺である。時価総額は約605億円である。

 週足チャートで見ると26週移動平均線から切り返して13週移動平均線を回復した。そして中段保ち合いから上放れる動きだ。指標面の割安感も見直して上値を試す展開が期待される。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media−IR)
[04月12日更新]

加賀電子は自律調整一巡して上値試す、18年3月期は収益拡大期待

 加賀電子<8154>(東1)は半導体・電子部品・情報機器の販売のほか、EMS(電子機器の受託開発製造サービス)やニュービジネスも展開する独立系のエレクトロニクス商社である。17年3月期営業減益予想だが、18年3月期は需要回復して収益拡大が期待される。株価は07年来の高値圏でモミ合う形だが、指標面の割安感も見直して上放れの展開が期待される。中段保ち合い上放れの形になれば上げ足を速める可能性があるだろう。

■独立系エレクトロニクス商社、EMSも展開

 半導体・電子部品・情報機器の販売およびEMS(電子機器の受託開発製造サービス)などを展開する独立系のエレクトロニクス商社である。独立系のメリットを活かしながらグループ各社の総合力を駆使し、日本一のエレクトロニクス総合商社を目指している。

 16年3月期のセグメント別売上高構成比は電子部品事業(半導体、一般電子部品、EMSなどの開発・製造・販売)77%、情報機器事業(パソコン・周辺機器、家電、写真・映像関連商品などの販売)17%、ソフトウェア事業(CG映像制作、アミューズメント関連商品の企画・開発)1%、その他事業(エレクトロニクス機器の修理・サポート、アミューズメント機器の製造・販売、スポーツ用品の販売など)5%で、地域別売上高構成比は日本69%、北米2%、欧州1%、東アジア28%だった。

 16年10月にはユビキタス<3858>と高機能HEMSゲートウェイ機器を共同開発した。16年11月には高機能ディスプレイコントローラ用半導体の設計・開発・製造および販売を行うセレブレクス(大阪市)に出資した。

■中期経営計画で19年3月期経常利益100億円目指す

 16年3月期〜19年3月期の「中期経営計画2018」では、利益重視経営の確立と「次世代の加賀電子」として飛躍するための準備期間と位置付けるとともに、18年9月の会社設立50周年に向けた総決算として、経営目標値に19年3月期売上高2900億円、経常利益100億円、ROE8%以上を掲げている。

 収益基盤強化に向けて重点市場の深堀(車載、環境、通信、産業機器、アミューズメント)、重点客先の関係強化、海外ビジネスの拡大、新規事業の創出(医療・ヘルスケア、素材)を推進する。また経営基盤強化に向けて販管費削減、グループ再編、コーポレートガバナンス体制強化、コンプライアンス遵守を推進する。

 重点市場と位置付けるIoT分野では、屋内・屋外に対応した自社開発のマルチGNSS(全地球衛星測位システム)端末、ユビキタスと共同開発した高機能HEMSゲートウェイ機器などを拡販する。また京セラコミュニケーションズが国内で敷設するIoT専用通信網に対応した端末を提供することが決定した。AR(拡張現実)の分野では16年8月、浅草花やしきでアイウェア型ウェアラブルデバイス「Telepathy Walker」を装着するAR遊園地が稼働した。

 海外は16年12月メキシコに北米向けEMSの生産拠点となる子会社を設立した。北米・中南米地域でのビジネス拡大を目指す。またインドおよびベトナムでのビジネス展開を検討する。欧州ではチェコ工場での基板実装を増設し、欧州地域での顧客獲得を目指す。

 利益配分に関する基本方針は、連結配当性向25〜35%を確保しつつ、安定的な配当を実施していく。自己株式取得は市場環境や資本効率を鑑みながら適宜検討する。内部留保は企業価値向上に資する事業投資、設備投資、M&Aにも活用する方針としている。

■電子部品の売上総利益率上昇

 四半期別業績推移を見ると、16年3月期は売上高が第1四半期583億49百万円、第2四半期646億26百万円、第3四半期592億30百万円、第4四半期631億82百万円、営業利益が15億98百万円、25億97百万円、19億50百万円、16億43百万円だった。

 16年3月期は下期に急減速して15年3月期比減収だったが、売上総利益率が改善して各利益は増益を確保した。売上総利益は同2.8%増加し、売上総利益率は13.7%で同0.9ポイント上昇した。販管費は同2.0%減少したが、販管費比率は10.5%で同0.2ポイント上昇した。営業外では為替差損益が悪化した。ROEは9.0%で同1.2ポイント上昇、自己資本比率は49.7%で同3.1ポイント上昇した。

 配当は15年3月期比15円増配の年間55円(第2四半期末20円、期末35円=普通配当20円+特別配当15円)で、配当性向は28.6%だった。配当については、中期経営計画2018において「連結配当性向25%〜35%を確保しつつ安定的な配当を実施していく」を目標に掲げている。

 セグメント別に見ると、電子部品事業は売上高が同3.9%減の1894億86百万円で営業利益(連結調整前)が同34.3%増の65億15百万円、情報機器事業は売上高が同2.7%減の408億80百万円で営業利益が同14.7%増の8億11百万円、ソフトウェア事業は売上高が同0.3%増の28億97百万円で営業利益が同57.2%増の6億95百万円、その他事業は売上高が同7.0%減の121億23百万円で営業利益が3億43百万円の赤字(15年3月期は1億69百万円の黒字)だった。

 電子部品は国内遊戯機器向け電子部品・半導体などが減少したが、売上総利益率が上昇した。情報機器はコンシューマ市場の販売戦略見直しなど事業再編効果で収益改善した。ソフトウェアはアニメーションCG制作やゲームソフト開発に注力し、不採算事業再編効果で収益改善した。その他はアミューズメント業界向けゲーム機器事業が不振だった。

■17年3月期第3四半期累計は減収・営業減益だが、純利益は増益

 前期(17年3月期)第3四半期累計(4〜12月)連結業績は、売上高が前年同期比8.1%減の1674億86百万円、営業利益が同15.7%減の51億78百万円、経常利益が同14.6%減の55億円だった。純利益はグループ再編に伴う法人税等調整額の減少が寄与して同11.2%増の48億63百万円だった。

 エレクトロニクス業界全体が厳しい状況で推移し、主要顧客の生産調整や取扱商品の商流変更の影響などを受けて減収、営業減益、経常減益だった。売上総利益は同8.6%減少したが、売上総利益率は13.8%で同横ばいだった。販管費は6.2%減少したが、販管費比率は10.7%で同0.2ポイント上昇した。また営業外費用では為替差損が減少(前期1億14百万円、今期25百万円)した。純利益は増益だった。

 セグメント別動向を見ると、電子部品事業は売上高が同10.4%減の1272億68百万円で営業利益(連結調整前)が同25.9%減の40億61百万円、情報機器事業は売上高が同3.5%増の306億47百万円で営業利益が同2.6倍の8億44百万円、ソフトウェア事業は売上高が同15.2%増の19億92百万円で営業利益が同32.1%減の3億円、その他は売上高が同14.9%減の75億77百万円で営業利益が1億44百万円の赤字(前年同期は1億66百万円の赤字)だった。

 電子部品は国内外の主要顧客の生産調整、遊戯機器向けビジネスの低迷、半導体メーカーの代理店政策変更で、半導体取扱高が減少した。情報機器はコンシューマ向け商品の取扱高が増加し、住宅向け関連商材も好調だった。その他は国内アミューズメント業界向けゲーム機器事業やゴルフ用品販売事業が低迷した。

 四半期別の業績推移を見ると、売上高は第1四半期522億21百万円、第2四半期574億38百万円、第3四半期578億27百万円、営業利益は7億65百万円、24億47百万円、19億66百万円だった。

■17年3月期通期減収・営業減益予想だが配当増額、18年3月期収益拡大

 前期(17年3月期)通期の連結業績予想(10月24日に純利益を11億円増額修正)は、売上高が前々期(16年3月期)比6.3%減の2300億円、営業利益が同26.8%減の57億円、経常利益が同19.1%減の64億円、純利益が同6.7%増の58億円としている。売上総利益率は同横ばいの13.7%、販管費比率は同0.7ポイント上昇の11.2%程度を想定している。純利益はグループ再編に伴う法人税等調整額の減少が寄与する。

 セグメント別計画は、電子部品事業の売上高が同7.1%減の1760億円で営業利益(連結調整前)が同33.2%減の43億50百万円、情報機器事業の売上高が同0.3%増の410億円で営業利益が同11.0%増の9億円、ソフトウェア事業の売上高が同3.6%増の30億円で営業利益が同9.4%減の6億30百万円、その他事業の売上高が同17.5%減の100億円で営業利益が1億80百万円の赤字(前期は3億43百万円の赤字)としている。

 通期会社予想に対する第3四半期累計の進捗率は売上高が72.8%、営業利益が90.8%、経常利益が85.9%、純利益が83.8%と高水準である。ドル高・円安進行や売上総利益率上昇などで通期予想に増額余地がありそうだ。

 配当予想は3月21日に2回目の増額修正を発表した。期末10円増額して年間60円(第2四半期末25円=普通配当20円+特別配当5円、期末35円=普通配当20円+特別配当15円)とした。16年3月期の年間55円(第2四半期末20円=普通配当20円、期末35円=普通配当20円+特別配当15円)との比較では5円増配となる。推定配当性向は28.9%となる。

■株価は自律調整一巡して上値試す

 株価の動きを見ると07年来の高値圏2000円近辺でモミ合う形だったが、4月に入り地合い悪化も影響してやや水準を切り下げた。4月6日には1867円まで調整した。ただし自律調整の範囲だろう。

 4月11日の終値1873円を指標面で見ると、前期推定連結PER(会社予想の連結EPS207円38銭で算出)は9倍近辺、前期推定配当利回り(会社予想の年間50円で算出)は2.7%近辺、前々期実績連結PBR(前々期実績の連結BPS2185円94銭で算出)は0.9倍近辺である。時価総額は約538億円である。

 週足チャートで見ると13週移動平均線を割り込んだ。ただし26週移動平均線が接近してサポートラインとなりそうだ。指標面の割安感も見直して上値を試す展開が期待される。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media−IR)
[03月13日更新]

加賀電子は07年来高値圏モミ合いから上放れ期待、17年3月期営業減益予想だが増額余地

 加賀電子<8154>(東1)は半導体・電子部品・情報機器の販売のほか、EMS(電子機器の受託開発製造サービス)やニュービジネスも展開する独立系のエレクトロニクス商社である。17年3月期営業減益予想だが、第3四半期累計の進捗率が高水準であり、通期予想に増額余地がありそうだ。株価は07年来の高値圏でモミ合う形だが、指標面の割安感も見直して上放れの展開が期待される。中段保ち合い上放れの形になれば上げ足を速める可能性があるだろう。

■独立系エレクトロニクス商社、EMSも展開

 半導体・電子部品・情報機器の販売およびEMS(電子機器の受託開発製造サービス)などを展開する独立系のエレクトロニクス商社である。独立系のメリットを活かしながらグループ各社の総合力を駆使し、日本一のエレクトロニクス総合商社を目指している。

 16年3月期のセグメント別売上高構成比は電子部品事業(半導体、一般電子部品、EMSなどの開発・製造・販売)77%、情報機器事業(パソコン・周辺機器、家電、写真・映像関連商品などの販売)17%、ソフトウェア事業(CG映像制作、アミューズメント関連商品の企画・開発)1%、その他事業(エレクトロニクス機器の修理・サポート、アミューズメント機器の製造・販売、スポーツ用品の販売など)5%で、地域別売上高構成比は日本69%、北米2%、欧州1%、東アジア28%だった。

 16年10月にはユビキタス<3858>と高機能HEMSゲートウェイ機器を共同開発した。16年11月には高機能ディスプレイコントローラ用半導体の設計・開発・製造および販売を行うセレブレクス(大阪市)に出資した。

■中期経営計画で19年3月期経常利益100億円目指す

 16年3月期〜19年3月期の「中期経営計画2018」では、利益重視経営の確立と「次世代の加賀電子」として飛躍するための準備期間と位置付けるとともに、18年9月の会社設立50周年に向けた総決算として、経営目標値に19年3月期売上高2900億円、経常利益100億円、ROE8%以上を掲げている。

 収益基盤強化に向けて重点市場の深堀(車載、環境、通信、産業機器、アミューズメント)、重点客先の関係強化、海外ビジネスの拡大、新規事業の創出(医療・ヘルスケア、素材)を推進する。また経営基盤強化に向けて販管費削減、グループ再編、コーポレートガバナンス体制強化、コンプライアンス遵守を推進する。

 重点市場と位置付けるIoT分野では、屋内・屋外に対応した自社開発のマルチGNSS(全地球衛星測位システム)端末、ユビキタスと共同開発した高機能HEMSゲートウェイ機器などを拡販する。また京セラコミュニケーションズが国内で敷設するIoT専用通信網に対応した端末を提供することが決定した。AR(拡張現実)の分野では16年8月、浅草花やしきでアイウェア型ウェアラブルデバイス「Telepathy Walker」を装着するAR遊園地が稼働した。

 海外は16年12月メキシコに北米向けEMSの生産拠点となる子会社を設立した。北米・中南米地域でのビジネス拡大を目指す。またインドおよびベトナムでのビジネス展開を検討する。欧州ではチェコ工場での基板実装を増設し、欧州地域での顧客獲得を目指す。

 利益配分に関する基本方針は、連結配当性向25〜35%を確保しつつ、安定的な配当を実施していく。自己株式取得は市場環境や資本効率を鑑みながら適宜検討する。内部留保は企業価値向上に資する事業投資、設備投資、M&Aにも活用する方針としている。

■電子部品の売上総利益率上昇

 四半期別業績推移を見ると、16年3月期は売上高が第1四半期583億49百万円、第2四半期646億26百万円、第3四半期592億30百万円、第4四半期631億82百万円、営業利益が15億98百万円、25億97百万円、19億50百万円、16億43百万円だった。

 16年3月期は下期に急減速して15年3月期比減収だったが、売上総利益率が改善して各利益は増益を確保した。売上総利益は同2.8%増加し、売上総利益率は13.7%で同0.9ポイント上昇した。販管費は同2.0%減少したが、販管費比率は10.5%で同0.2ポイント上昇した。営業外では為替差損益が悪化した。ROEは9.0%で同1.2ポイント上昇、自己資本比率は49.7%で同3.1ポイント上昇した。

 配当は15年3月期比15円増配の年間55円(第2四半期末20円、期末35円=普通配当20円+特別配当15円)で、配当性向は28.6%だった。配当については、中期経営計画2018において「連結配当性向25%〜35%を確保しつつ安定的な配当を実施していく」を目標に掲げている。

 セグメント別に見ると、電子部品事業は売上高が同3.9%減の1894億86百万円で営業利益(連結調整前)が同34.3%増の65億15百万円、情報機器事業は売上高が同2.7%減の408億80百万円で営業利益が同14.7%増の8億11百万円、ソフトウェア事業は売上高が同0.3%増の28億97百万円で営業利益が同57.2%増の6億95百万円、その他事業は売上高が同7.0%減の121億23百万円で営業利益が3億43百万円の赤字(15年3月期は1億69百万円の黒字)だった。

 電子部品は国内遊戯機器向け電子部品・半導体などが減少したが、売上総利益率が上昇した。情報機器はコンシューマ市場の販売戦略見直しなど事業再編効果で収益改善した。ソフトウェアはアニメーションCG制作やゲームソフト開発に注力し、不採算事業再編効果で収益改善した。その他はアミューズメント業界向けゲーム機器事業が不振だった。

■17年3月期第3四半期累計は減収・営業減益だが、純利益は増益

 今期(17年3月期)第3四半期累計(4〜12月)連結業績は、売上高が前年同期比8.1%減の1674億86百万円、営業利益が同15.7%減の51億78百万円、経常利益が同14.6%減の55億円だった。純利益はグループ再編に伴う法人税等調整額の減少が寄与して同11.2%増の48億63百万円だった。

 エレクトロニクス業界全体が厳しい状況で推移し、主要顧客の生産調整や取扱商品の商流変更の影響などを受けて減収、営業減益、経常減益だった。売上総利益は同8.6%減少したが、売上総利益率は13.8%で同横ばいだった。販管費は6.2%減少したが、販管費比率は10.7%で同0.2ポイント上昇した。また営業外費用では為替差損が減少(前期1億14百万円、今期25百万円)した。純利益は増益だった。

 セグメント別動向を見ると、電子部品事業は売上高が同10.4%減の1272億68百万円で営業利益(連結調整前)が同25.9%減の40億61百万円、情報機器事業は売上高が同3.5%増の306億47百万円で営業利益が同2.6倍の8億44百万円、ソフトウェア事業は売上高が同15.2%増の19億92百万円で営業利益が同32.1%減の3億円、その他は売上高が同14.9%減の75億77百万円で営業利益が1億44百万円の赤字(前年同期は1億66百万円の赤字)だった。

 電子部品は国内外の主要顧客の生産調整、遊戯機器向けビジネスの低迷、半導体メーカーの代理店政策変更で、半導体取扱高が減少した。情報機器はコンシューマ向け商品の取扱高が増加し、住宅向け関連商材も好調だった。その他は国内アミューズメント業界向けゲーム機器事業やゴルフ用品販売事業が低迷した。

 四半期別の業績推移を見ると、売上高は第1四半期522億21百万円、第2四半期574億38百万円、第3四半期578億27百万円、営業利益は7億65百万円、24億47百万円、19億66百万円だった。

■17年3月期通期減収・営業減益予想だが増額余地

 今期(17年3月期)通期の連結業績予想(10月24日に純利益を11億円増額修正)は、売上高が前期(16年3月期)比6.3%減の2300億円、営業利益が同26.8%減の57億円、経常利益が同19.1%減の64億円、そして純利益が同6.7%増の58億円としている。売上総利益率は同横ばいの13.7%、販管費比率は同0.7ポイント上昇の11.2%程度を想定している。純利益はグループ再編に伴う法人税等調整額の減少が寄与する。

 セグメント別計画は、電子部品事業の売上高が同7.1%減の1760億円で営業利益(連結調整前)が同33.2%減の43億50百万円、情報機器事業の売上高が同0.3%増の410億円で営業利益が同11.0%増の9億円、ソフトウェア事業の売上高が同3.6%増の30億円で営業利益が同9.4%減の6億30百万円、その他事業の売上高が同17.5%減の100億円で営業利益が1億80百万円の赤字(前期は3億43百万円の赤字)としている。

 通期会社予想に対する第3四半期累計の進捗率は売上高が72.8%、営業利益が90.8%、経常利益が85.9%、純利益が83.8%と高水準である。ドル高・円安進行や売上総利益率上昇などで通期予想に増額余地がありそうだ。

 配当予想(10月24日に増額修正)は年間50円(第2四半期末25円=普通配当20円+特別配当5円、期末25円=普通配当20円+特別配当5円)としている。16年3月期の年間55円(第2四半期末20円=普通配当20円、期末35円=普通配当20円+特別配当15円)との比較では5円減配の形だが、普通配当ベースでは同額である。予想配当性向は24.1%となる。

■株価は07年来高値圏モミ合いから上放れ期待

 株価の動きを見ると2月16日に2137円まで上伸する場面があったが、07年来の高値圏2000円近辺でモミ合う形だ。

 3月10日の終値2040円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS207円38銭で算出)は9〜10倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間50円で算出)は2.5%近辺、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS2185円94銭で算出)は0.9倍近辺である。時価総額は約586億円である。

 週足チャートで見ると13週移動平均線が接近してモミ合い煮詰まり感を強めている。指標面の割安感も見直して上値を試す展開が期待される。中段保ち合い上放れの形になれば上げ足を速める可能性があるだろう。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media−IR)
[02月21日更新]

加賀電子は07年来の高値圏、17年3月期営業減益予想だが増額余地

 加賀電子 <8154> は半導体・電子部品・情報機器の販売のほか、EMS(電子機器の受託開発製造サービス>やニュービジネスも展開する独立系のエレクトロニクス商社である。17年3月期は減収・営業減益予想だが、第3四半期累計の進捗率が高水準であり、通期予想に増額余地がありそうだ。株価は07年来の高値圏である。指標面の割安感も見直して上値を試す展開が期待される。

■独立系エレクトロニクス商社、EMSも展開

 半導体・電子部品・情報機器の販売およびEMS(電子機器の受託開発製造サービス)などを展開する独立系のエレクトロニクス商社である。独立系のメリットを活かしながらグループ各社の総合力を駆使し、日本一のエレクトロニクス総合商社を目指している。

 16年3月期のセグメント別売上高構成比は電子部品事業(半導体、一般電子部品、EMSなどの開発・製造・販売)77%、情報機器事業(パソコン・周辺機器、家電、写真・映像関連商品などの販売)17%、ソフトウェア事業(CG映像制作、アミューズメント関連商品の企画・開発)1%、その他事業(エレクトロニクス機器の修理・サポート、アミューズメント機器の製造・販売、スポーツ用品の販売など)5%で、地域別売上高構成比は日本69%、北米2%、欧州1%、東アジア28%だった。

 16年10月にはユビキタス <3858> と高機能HEMSゲートウェイ機器を共同開発した。16年11月には高機能ディスプレイコントローラ用半導体の設計・開発・製造および販売を行うセレブレクス(大阪市)に出資した。

■中期経営計画で19年3月期経常利益100億円目指す

 16年3月期〜19年3月期の「中期経営計画2018」では、利益重視経営の確立と「次世代の加賀電子」として飛躍するための準備期間と位置付けるとともに、18年9月の会社設立50周年に向けた総決算として、経営目標値に19年3月期売上高2900億円、経常利益100億円、ROE8%以上を掲げている。

 収益基盤強化に向けて重点市場の深堀(車載、環境、通信、産業機器、アミューズメント)、重点客先の関係強化、海外ビジネスの拡大、新規事業の創出(医療・ヘルスケア、素材)を推進する。また経営基盤強化に向けて販管費削減、グループ再編、コーポレートガバナンス体制強化、コンプライアンス遵守を推進する。

 重点市場と位置付けるIoT分野では、屋内・屋外に対応した自社開発のマルチGNSS(全地球衛星測位システム)端末、ユビキタスと共同開発した高機能HEMSゲートウェイ機器などを拡販する。また京セラコミュニケーションズが国内で敷設するIoT専用通信網に対応した端末を提供することが決定した。AR(拡張現実)の分野では16年8月、浅草花やしきでアイウェア型ウェアラブルデバイス「Telepathy Walker」を装着するAR遊園地が稼働した。

 海外は16年12月メキシコに北米向けEMSの生産拠点となる子会社を設立した。北米・中南米地域でのビジネス拡大を目指す。またインドおよびベトナムでのビジネス展開を検討する。欧州ではチェコ工場での基板実装を増設し、欧州地域での顧客獲得を目指す。

 利益配分に関する基本方針は、連結配当性向25〜35%を確保しつつ、安定的な配当を実施していく。自己株式取得は市場環境や資本効率を鑑みながら適宜検討する。内部留保は企業価値向上に資する事業投資、設備投資、M&Aにも活用する方針としている。

■電子部品の売上総利益率上昇

 四半期別業績推移を見ると、16年3月期は売上高が第1四半期583億49百万円、第2四半期646億26百万円、第3四半期592億30百万円、第4四半期631億82百万円、営業利益が15億98百万円、25億97百万円、19億50百万円、16億43百万円だった。

 16年3月期は下期に急減速して15年3月期比減収だったが、売上総利益率が改善して各利益は増益を確保した。売上総利益は同2.8%増加し、売上総利益率は13.7%で同0.9ポイント上昇した。販管費は同2.0%減少したが、販管費比率は10.5%で同0.2ポイント上昇した。営業外では為替差損益が悪化した。ROEは9.0%で同1.2ポイント上昇、自己資本比率は49.7%で同3.1ポイント上昇した。

 配当は15年3月期比15円増配の年間55円(第2四半期末20円、期末35円=普通配当20円+特別配当15円)で、配当性向は28.6%だった。配当については、中期経営計画2018において「連結配当性向25%〜35%を確保しつつ安定的な配当を実施していく」を目標に掲げている。

 セグメント別に見ると、電子部品事業は売上高が同3.9%減の1894億86百万円で営業利益(連結調整前)が同34.3%増の65億15百万円、情報機器事業は売上高が同2.7%減の408億80百万円で営業利益が同14.7%増の8億11百万円、ソフトウェア事業は売上高が同0.3%増の28億97百万円で営業利益が同57.2%増の6億95百万円、その他事業は売上高が同7.0%減の121億23百万円で営業利益が3億43百万円の赤字(15年3月期は1億69百万円の黒字)だった。

 電子部品は国内遊戯機器向け電子部品・半導体などが減少したが、売上総利益率が上昇した。情報機器はコンシューマ市場の販売戦略見直しなど事業再編効果で収益改善した。ソフトウェアはアニメーションCG制作やゲームソフト開発に注力し、不採算事業再編効果で収益改善した。その他はアミューズメント業界向けゲーム機器事業が不振だった。

■17年3月期第3四半期累計は減収・営業減益だが、純利益は増益

 2月2日発表した今期(17年3月期)第3四半期累計(4〜12月)連結業績は売上高が前年同期比8.1%減の1674億86百万円、営業利益が同15.7%減の51億78百万円、経常利益が同14.6%減の55億円だった。純利益はグループ再編に伴う法人税等調整額の減少が寄与して同11.2%増の48億63百万円だった。

 エレクトロニクス業界全体が厳しい状況で推移し、主要顧客の生産調整や取扱商品の商流変更の影響などを受けて減収、営業減益、経常減益だった。売上総利益は同8.6%減少したが、売上総利益率は13.8%で同横ばいだった。販管費は6.2%減少したが、販管費比率は10.7%で同0.2ポイント上昇した。また営業外費用では為替差損が減少(前期1億14百万円、今期25百万円)した。純利益は増益だった。

 セグメント別動向を見ると、電子部品事業は売上高が同10.4%減の1272億68百万円で営業利益(連結調整前)が同25.9%減の40億61百万円、情報機器事業は売上高が同3.5%増の306億47百万円で営業利益が同2.6倍の8億44百万円、ソフトウェア事業は売上高が同15.2%増の19億92百万円で営業利益が同32.1%減の3億円、その他は売上高が同14.9%減の75億77百万円で営業利益が1億44百万円の赤字(前年同期は1億66百万円の赤字)だった。

 電子部品は国内外の主要顧客の生産調整、遊戯機器向けビジネスの低迷、半導体メーカーの代理店政策変更で、半導体取扱高が減少した。情報機器はコンシューマ向け商品の取扱高が増加し、住宅向け関連商材も好調だった。その他は国内アミューズメント業界向けゲーム機器事業やゴルフ用品販売事業が低迷した。

 四半期別の業績推移を見ると、売上高は第1四半期522億21百万円、第2四半期574億38百万円、第3四半期578億27百万円、営業利益は7億65百万円、24億47百万円、19億66百万円だった。

■17年3月期通期減収・営業減益予想だが増額余地

 今期(17年3月期)通期の連結業績予想は、前回予想(10月24日に純利益を11億円増額修正)を据え置いて、売上高が前期(16年3月期)比6.3%減の2300億円、営業利益が同26.8%減の57億円、経常利益が同19.1%減の64億円、純利益が同6.7%増の58億円としている。売上総利益率は同横ばいの13.7%、販管費比率は同0.7ポイント上昇の11.2%程度を想定している。純利益はグループ再編に伴う法人税等調整額の減少が寄与する。

 セグメント別計画は、電子部品事業の売上高が同7.1%減の1760億円で営業利益(連結調整前)が同33.2%減の43億50百万円、情報機器事業の売上高が同0.3%増の410億円で営業利益が同11.0%増の9億円、ソフトウェア事業の売上高が同3.6%増の30億円で営業利益が同9.4%減の6億30百万円、その他事業の売上高が同17.5%減の100億円で営業利益が1億80百万円の赤字(前期は3億43百万円の赤字)としている。

 通期会社予想に対する第3四半期累計の進捗率は売上高が72.8%、営業利益が90.8%、経常利益が85.9%、純利益が83.8%と高水準である。ドル高・円安進行や売上総利益率上昇などで通期予想に増額余地がありそうだ。

 配当予想(10月24日に増額修正)は年間50円(第2四半期末25円=普通配当20円+特別配当5円、期末25円=普通配当20円+特別配当5円)としている。16年3月期の年間55円(第2四半期末20円=普通配当20円、期末35円=普通配当20円+特別配当15円)との比較では5円減配の形だが、普通配当ベースでは同額である。予想配当性向は24.1%となる。

■株価は07年来の高値圏、割安感も見直して上値試す

 株価の動きを見ると、昨年来高値更新の展開となり、2月16日には2137円まで上伸した。07年来の高値圏である。

 2月20日の終値2042円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS207円38銭で算出)は9〜10倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間50円で算出)は2.4%近辺、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS2185円94銭で算出)は0.9倍近辺である。時価総額は約586億円である。

 週足チャートで見ると13週移動平均線が接近して過熱感が解消した。そして中段保ち合いから上放れの動きを強めている。指標面の割安感も見直して上値を試す展開が期待される。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media−IR)
[01月16日更新]

加賀電子は昨年来高値更新の展開、独立系のエレクトロニクス商社

 加賀電子<8154>(東1)は半導体・電子部品・情報機器の販売のほか、EMS(電子機器の受託開発製造サービス>やニュービジネスも展開する独立系のエレクトロニクス商社である。17年3月期は減収・営業減益予想だが、第2四半期累計が計画超となり、通期も計画比で営業減益幅縮小が期待される。株価は昨年来高値更新の展開となった。指標面の割安感も見直して上値を試す展開が期待される。

■独立系エレクトロニクス商社、EMSも展開

 半導体・電子部品・情報機器の販売およびEMS(電子機器の受託開発製造サービス)などを展開する独立系のエレクトロニクス商社である。独立系のメリットを活かしながらグループ各社の総合力を駆使し、日本一のエレクトロニクス総合商社を目指している。

 16年3月期のセグメント別売上高構成比は電子部品事業(半導体、一般電子部品、EMSなどの開発・製造・販売)77%、情報機器事業(パソコン・周辺機器、家電、写真・映像関連商品などの販売)17%、ソフトウェア事業(CG映像制作、アミューズメント関連商品の企画・開発)1%、その他事業(エレクトロニクス機器の修理・サポート、アミューズメント機器の製造・販売、スポーツ用品の販売など)5%で、地域別売上高構成比は日本69%、北米2%、欧州1%、東アジア28%だった。

 16年10月にはユビキタス<3858>と高機能HEMSゲートウェイ機器を共同開発した。16年11月には高機能ディスプレイコントローラ用半導体の設計・開発・製造および販売を行うセレブレクス(大阪市)に出資した。

■中期経営計画で19年3月期経常利益100億円目指す

 16年3月期〜19年3月期の「中期経営計画2018」では、利益重視経営の確立と「次世代の加賀電子」として飛躍するための準備期間と位置付けるとともに、18年9月の会社設立50周年に向けた総決算として、経営目標値に19年3月期売上高2900億円、経常利益100億円、ROE8%以上を掲げている。

 収益基盤強化に向けて重点市場の深堀(車載、環境、通信、産業機器、アミューズメント)、重点客先の関係強化、海外ビジネスの拡大、新規事業の創出(医療・ヘルスケア、素材)を推進する。また経営基盤強化に向けて販管費削減、グループ再編、コーポレートガバナンス体制強化、コンプライアンス遵守を推進する。

 重点市場と位置付けるIoT分野では、屋内・屋外に対応した自社開発のマルチGNSS(全地球衛星測位システム)端末、ユビキタスと共同開発した高機能HEMSゲートウェイ機器などを拡販する。また京セラコミュニケーションズが国内で敷設するIoT専用通信網に対応した端末を提供することが決定した。AR(拡張現実)の分野では16年8月、浅草花やしきでアイウェア型ウェアラブルデバイス「Telepathy Walker」を装着するAR遊園地が稼働した。

 海外は16年12月メキシコに北米向けEMSの生産拠点となる子会社を設立した。北米・中南米地域でのビジネス拡大を目指す。またインドおよびベトナムでのビジネス展開を検討する。欧州ではチェコ工場での基板実装を増設し、欧州地域での顧客獲得を目指す。

 利益配分に関する基本方針は、連結配当性向25〜35%を確保しつつ、安定的な配当を実施していく。自己株式取得は市場環境や資本効率を鑑みながら適宜検討する。内部留保は企業価値向上に資する事業投資、設備投資、M&Aにも活用する方針としている。

■電子部品の売上総利益率上昇

 四半期別業績推移を見ると、16年3月期は売上高が第1四半期583億49百万円、第2四半期646億26百万円、第3四半期592億30百万円、第4四半期631億82百万円、営業利益が15億98百万円、25億97百万円、19億50百万円、16億43百万円だった。

 16年3月期は下期に急減速して15年3月期比減収だったが、売上総利益率が改善して各利益は増益を確保した。売上総利益は同2.8%増加し、売上総利益率は13.7%で同0.9ポイント上昇した。販管費は同2.0%減少したが、販管費比率は10.5%で同0.2ポイント上昇した。営業外では為替差損益が悪化した。ROEは9.0%で同1.2ポイント上昇、自己資本比率は49.7%で同3.1ポイント上昇した。

 配当は15年3月期比15円増配の年間55円(第2四半期末20円、期末35円=普通配当20円+特別配当15円)で、配当性向は28.6%だった。配当については、中期経営計画2018において「連結配当性向25%〜35%を確保しつつ安定的な配当を実施していく」を目標に掲げている。

 セグメント別に見ると、電子部品事業は売上高が同3.9%減の1894億86百万円で営業利益(連結調整前)が同34.3%増の65億15百万円、情報機器事業は売上高が同2.7%減の408億80百万円で営業利益が同14.7%増の8億11百万円、ソフトウェア事業は売上高が同0.3%増の28億97百万円で営業利益が同57.2%増の6億95百万円、その他事業は売上高が同7.0%減の121億23百万円で営業利益が3億43百万円の赤字(15年3月期は1億69百万円の黒字)だった。

 電子部品は国内遊戯機器向け電子部品・半導体などが減少したが、売上総利益率が上昇した。情報機器はコンシューマ市場の販売戦略見直しなど事業再編効果で収益改善した。ソフトウェアはアニメーションCG制作やゲームソフト開発に注力し、不採算事業再編効果で収益改善した。その他はアミューズメント業界向けゲーム機器事業が不振だった。

■17年3月期第2四半期累計は計画比で減収減益幅縮小

 今期(17年3月期)第2四半期累計(4〜9月)連結業績(8月2日と10月24日に増額修正)は、売上高が前年同期比10.8%減の1096億59百万円、営業利益が同23.4%減の32億12百万円、経常利益が同31.2%減の30億45百万円、そして純利益が同5.7%増の31億11百万円だった。

 エレクトロニクス業界全体が厳しい状況で減収、営業減益、経常減益だったが、計画比では減収減益幅が縮小した。売上高は国内外におけるEMSビジネス、および住宅向け関連商材の販売が想定超となり、下期に予定していた一部案件の前倒しも寄与した。グループ内の事業統合・再編による経営効率化も寄与した。

 売上総利益は同10.7%減少したが、売上総利益は13.8%で同横ばいだった。販管費は6.6%減少したが、販管費比率は10.9%で同0.5ポイント上昇した。また営業外費用では為替差損が増加(前期44百万円、今期4億15百万円)した。純利益はグループ再編に伴う法人税等調整額の減少が寄与して増益だった。

 セグメント別に見ると、電子部品事業は売上高が同13.6%減の827億84百万円で営業利益(連結調整前)が同37.0%減の23億66百万円、情報機器事業は売上高が同2.0%増の205億24百万円で営業利益が同2.4倍の5億39百万円、ソフトウェア事業は売上高が同26.9%増の14億42百万円で営業利益が同6.6%増の3億07百万円、その他は売上高が同16.8%減の49億09百万円で営業利益が57百万円の赤字(前年同期は1億02百万円の赤字)だった。

 電子部品は国内外の主要顧客の生産調整、国内遊戯機器向けビジネスの低迷、半導体メーカーの代理店政策変更による国内半導体取扱高の減少が影響した。情報機器はコンシューマ向け商品の取扱高が増加し、住宅向け関連商材の取扱高も増加した。ソフトウェアはアニメーションCG制作やゲームソフト開発に注力し、不採算事業再編効果で収益が改善した。その他はアミューズメント業界向けゲーム機器事業やゴルフ用品販売事業が低迷した。

 四半期別の業績推移を見ると、売上高は第1四半期522億21百万円、第2四半期574億38百万円、営業利益は7億65百万円、24億47百万円だった。

■17年3月期通期減益予想だが増額余地

 今期(17年3月期)通期の連結業績予想(10月24日に純利益を11億円増額修正)は、売上高が前期(16年3月期)比6.3%減の2300億円、営業利益が同26.8%減の57億円、経常利益が同19.1%減の64億円、そして純利益が同6.7%増の58億円としている。売上総利益率は同横ばいの13.7%、販管費比率は同0.7ポイント上昇の11.2%程度を想定している。純利益はグループ再編に伴う法人税等調整額の減少が寄与する。

 セグメント別計画は、電子部品事業の売上高が同7.1%減の1760億円で営業利益(連結調整前)が同33.2%減の43億50百万円、情報機器事業の売上高が同0.3%増の410億円で営業利益が同11.0%増の9億円、ソフトウェア事業の売上高が同3.6%増の30億円で営業利益が同9.4%減の6億30百万円、その他事業の売上高が同17.5%減の100億円で営業利益が1億80百万円の赤字(前期は3億43百万円の赤字)としている。

 通期会社予想に対する第2四半期累計の進捗率は売上高が47.7%、営業利益が56.4%、経常利益が47.6%、純利益が53.6%である。第2四半期累計が計画超だったことに加えて、ドル高・円安進行や売上総利益率上昇などで増額余地がありそうだ。

 配当予想(10月24日に増額修正)は年間50円(第2四半期末25円=普通配当20円+特別配当5円、期末25円=普通配当20円+特別配当5円)としている。16年3月期の年間55円(第2四半期末20円=普通配当20円、期末35円=普通配当20円+特別配当15円)との比較では5円減配の形だが、普通配当ベースでは同額である。予想配当性向は24.4%となる。

■株価は昨年来高値更新の展開

 なお16年11月発表した自己株式取得(取得株式総数の上限100万株、取得価額総額の上限15億円、取得期間16年11月8日〜17年3月30日)については、16年12月20日時点の累計で取得株式総数81万8900株、取得価額総額14億9993万9400円となって終了した。

 株価の動きを見ると、安値圏1200円近辺でのモミ合いから上放れて急伸し、一気に昨年来高値更新の展開となった。そして1月6日には2065円まで上伸している。

 1月13日の終値2008円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS205円37銭で算出)は9〜10倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間50円で算出)は2.5%近辺、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS2185円94銭で算出)は0.9倍近辺である。時価総額は約576億円である。

 週足チャートで見ると13週移動平均線が接近し、中段保ち合いから上放れの動きを強めている。指標面の割安感も見直して上値を試す展開が期待される。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media−IR)

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