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《Eimei「みちしるべ」》

(1月30日から2月3日の週)

相場はフツーの常識で考えるのが鉄則。
例えば消費増税について多くの市場関係者は「消費増税しなければ株安」と唱えた。
しかしフツーに考えれば、増税ならば消費意欲減退。
景気が良くなる訳はない。
あるいは「マイナス金利の深掘り」。
今日より明日の方が安くなるのであれば消費は先延ばし。
これも景気が良くなる訳がない。
それでもついこの間まで「マイナス金利の深掘り→株高」という市場関係者ばかり。
金利が上昇して米金融セクターは上昇したし、日銀がマイナス金利をゼロ目標の変更したら日本株は上昇。
多少専門的に言えば、今日より未来の方がモノが安いなら裁定取引の機会は逸失。
日経平均への寄与度が高い裁定取引が減少すれば当然株価は上昇しない。
だから裁定買い残が5000億円を割れたら日経平均は15000円を割れた。
2兆円でほぼ2万円まで回復した。
このフツーの原理がなかなか市場には理解されず、正解でない解が正論として横行する。
おそらくエコノミストや市場関係者というのは正解の決まったパーパーテストの勝者。
そういう問題では優秀さを発揮するのだろう。
しかし市場と言うのはいくつもある場所。
マーケットは複数の解を絞り込む場所でもある。
つまり可変であり、結果が正解となるところ。
そこで時間軸を変化させながら解を絞り込む作業。
歴史が正解を出すのではなく、正解が歴史になる場所であるとも言える。
公理や定理などほとんどない場所での作業。
これはペーパーテストに抜きん出た人たちには理解不能なところもあるだろう。
だから「自分の解釈やシナリオが間違ったのではなくマーケットが間違った」なんていう解釈も登場する。
他人のシナリオに右顧左眄する無意味さはココにあるのかも知れない。
しかも一部を除いて多くの市場関係者は銭ゲバか営業力が強いか、あるいは声が大きい人。
この誘蛾灯に振り回されないようにするのは結構至難の業となる。
そんな場所で通用するのはあくまでも自分のシナリオ。
投資家さん自身のシナリオだ。
「二本の足で地球に立ってますか?」。
ゴルフだけに通用する助言ではなかろう。
加えれば・・・。
執念と感性というのも必要かも知れない。

「朝のNY動向に一喜一憂しないことが肝要。
今日は下げたが明日は上げる、みたいなリズムと今は考えるべきだ。
下値限定的な値動きと読みたい。
今年の水曜日は3連勝。
明日は勝手雲の黒いねじれとの綱引きだがその先に期待だろう」。
この今日の動きの中に明日を見出す作業というのが結構重要になる。

日経平均想定レンジ

下限19114円(大納会終値)〜上限20018円(25日線のプラス4%水準)

まずは12月20日終値19494円、そして1月4日終値ベースの19594円。
1月5日のザラバ高値19615円を消しに行って欲しい日。
東証1部単純平均株価は2774.77円。
2016年末の2763.27円を上抜いたのが心理的強気につながろうか。

NYダウの2万ドルは海の向こうの話。
しかし萌芽というのがあちこちに登場し始めた。
「ジャスダック、11年ぶり高値」。
7日続伸で2006年1月以来11年ぶりに高値を更新した。
「1月のジャスダック高」というアノマリーはあるが、主力株の割高感と好業績が背景。
そして東証2部指数も11年ぶりの高値。
「中小型株に春の気配」なんて見出しもある。
かと思えば「ドル建て日経平均上昇」。
昨日は170.87ドルと2000年4月のあのITバブル以来16年ぶりの水準まで戻った。
こちらは「世界でも割安な水準にある金融株に再び目を向けた」との解釈。
予想益まわり5.80%の株の世界に対して10年国債利回りは上昇したとはいえ0.085%。
どちらに分があるかは鳥でもわかる筈。

★1月〜3月のスケジュール。

【1月】

27日(金)中国春節休み(〜2/3頃)、変化日
29日(日)株高の日L
30日(月) 株安の日L、日銀金融政策決定会合・経済物価展望レポート(〜31日)
31日米FOMC(〜1日)
1月中
関空にLCCターミナルビル開業
東証REIT指数の算出を浮動株時価総額重視型へ段階的移行
個人確定拠出年金の加入範囲が拡大、主婦・公務員も
改正育児・介護休業法スタート
セルフメデュケーション税制(医療費控除の特例)スタート

【2月】
T日(水)変化日
5日(日)NFLスーパーボウル(ヒューストン)
7日(火)変化日
8日(水)木星逆行開始
10日(金)SQ
11日(土)満月
12日(日)ドイツ大統領選
13日(月)10〜12月GDP速報値、変化日
19日(日)冬季アジア大会(札幌)、エクアドル大統領選、
20日(月)NYプレジデンツデーで休場、変化日
23日(木)月内最終
24日(金)「プレミアフライデー」開始
26日(日)金環日食、新月、圏央道茨城区間開通、東京マラソン
27日(火)変化日

2月中
インドネシアのジャカルタ州知事選挙
FRB議長半期議会証言

【3月】

5日自民党党大会
9日ECB理事会、EU首脳会議
10日メジャーSQ
14日米FOMC(〜15日)
15日日銀金融政策決定会合(〜16日)
16日米連邦債務上限適用再開
26日香港特別行政区長官選挙
28日3月権利付き最終日
3月中
英国は3月末までのEUへ離脱通告
広島空港民営化基本方針策定
任天堂の「ニンテンドースイッチ」発売
野球のWBC開幕
360度シアター「IHIステージアラウンド東京」が豊洲に開業
英国の客船クイーン・エリザベスが神戸発着ツアー開催
銀座ソニービルが閉館予定
オランダ議会選挙(15日まで)

どうも市場の話題の順番は商品→為替→株の構図のような気がする。
株から世界を見ていると見えないものが原油や金を通して見ると少し変化がある。
要は株の売り買いで儲かるかという観測よりも原油や金の売買で儲けるシナリオ。
立場を換えてみると、日本地図は地球地図に変わるのかも知れない。
ローカルキャピタリズムはワールドインベスターに変身みたいなものだろうか。
情報とかシナリオの伝わり方はマーケットによって時間差があるような気がする。
個人的に考えてみると、一番早いのは商品先物の世界。
次がFXの世界。
そして最後が株式の世界。
これは各業界のレベルの違いと言う訳ではなかろう。
扱う対象の違いが背景にあるような気がする。
世界最古のヘッジファンドとされるのはイギリスのマン・グループ。
1783年にフレデリックマンとエドワード・マンにより農産物を扱う商社として創業。
1784年に英国海軍とラム酒の独占的供給契約を締結。
1970年に世界最大級の商社へと発展。
先物取引などの金融関連事業に進出したのが歴史。
そういう影響も多少はあろう。
つまり初めに商品ヘッジがあったということ。
ヘッジファンドは株や債券、通貨ではなく農産物が発祥だった。
今の世の中からすると少し奇異な気がするが歴史は嘘をつかない。
商品先物の扱うものはグローバルかつワンプライスだ。
金はどこへ行っても金だし、原油も同様。
だから、逆説的になるが、どうしてもグローバルな投資環境分析が必要になる。
扱う商品の性質の問題から発生している。
つまり世界を俯瞰しシナリオを構築する必然性があったし、あるということになる。
でもFXの為替だってグローバルという意見もあろう。
しかし「円ドル」や「円ユーロ」なんて所詮ローカルカレンシーの集合体。
ローカルな部分がグローバルな商品のシナリオを頂戴している構図にも映る。
その証拠にFX関係者のコメントはスケジュール重視型。
いつ何が予定されているかにはめっぽう詳しいが「それが何を意味しているかの分析は少ない」。
そう揶揄されることもある。
所詮二番手の世界とも言える。
そして株式市場。
多くのシナリオが跋扈しているように見えるが所詮でがらしのシナリオみたいなもの。
その証拠に商品先物の世界と2週間程度の時差が生じているように思えてならない。
これも東京株式市場という超ローカルでスモールな世界だからこその状況なのだろう。
その意味では商品の世界で何が予測されているかを知ることは時間差攻撃の第一歩になろうか。
「金」が下がっていれば悲観シナリオで上昇を誘う。
「金」が上がっていれば楽観シナリオで下落を誘う。
そんな構図がもしあるとすれば、相場のリズム観測の一部となろうか。
残念ながら、東京発のシナリオというのは滅多にお目にかからない。
たぶんグローバルなコモデティの世界からのシナリオの翻訳が多いように見える。
それでも世界の方向を知る上では結構重要なこと。
金や原油やましてや大豆やトウモロコシに投資する人は少ない。
それでもその相場観測が意味を持っていることに気がつくことは重要である。


(兜町カタリスト 櫻井英明)

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