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《Eimei「みちしるべ」》

(2月13日から2月16日の週)

NYダウが1000ドル超の下落に2度遭遇した先週。
日経平均は5日に592円安、6日に1071円安、そして金曜に502円安。
週に3回の500円超の下落となった。
週間では約1891円の下落。
週足で5週連続で陰線。

25日線からは8.3%のマイナス乖離。
200日線からは1.8%のプラス乖離。
サイコロは3勝9敗で25.0%。
松井証券信用評価損益率速報で売り方は▲14.567%。買い方▲9.113%。
マザーズ銘柄ネットストック信用評価損益率は売り方▲5.67%。
買い方▲12.49%。空売り比率は46.1%(前日45.7%)
(2016/6/9:47.0%、2018年2/8:45.7% 、2017/4/6、9/5 :45.2%)。

日経平均採用銘柄のEPSは1634.76円 (前日1621.55円)でPERは13.08倍。
「黒田日銀総裁続騰」の報道は「金融緩和継続の姿勢」として高評価につながる可能性がある。
というよりは「火消しのための発表」と見られなくもない。

日経平均想定レンジ

下限21190円(2月SQ値)〜上限22794円(75日移動平均水準)

今回の下落は「VI暴落」と呼べば良いのかも知れない。
今のファンダメンタルは良好。
円高が来期業績を圧迫する可能性なんて知的な指摘もあるが現場を見ればそんなことはなかろう。
4〜12月期決算の集計状況では7割の企業が増益。
罫線はもともと後付けの存在だからアテにはならない。
需給的には確かに信用買い残も膨らんではいる。
NY市場は月曜にお3分で600ドルも下落したから、これは間違いなくフラッシュ・クラッシュ。
日経朝刊でいう「自動取引、株安を増幅」の世界だ。
あるいは過去の言葉で言えば「プログラム売買」だろう。
加えて材料視されたのはボラティリティ。
日経では「株や債券など金融商品の値動きの大きさを数値化して投資先を決めるファンドの存在だ」。
「火薬庫」とも表現されている。
変動率が高まったから売るというスピーディで無機質な行為の横行。
だから下落幅は大きく「売りが売りを呼んだ」ことになる。
VIを相手にしたETFの早期償還が相次いだのも火曜のことだった。
厄介なのはこのボラというもの。

もともとは個別株がある。
その集合体が日経平均株価という指数。
この日経平均を原資産として派生しているのがコールプットのオプション取引。
このオプション取引の動きを基に形成されているのがボラティリティということだ。
個別株を親とすれば、ボラティリティはひ孫みたいな存在だ。
ひ孫が暴れて曽祖父が借金をするという奇妙な構図が現実なのである。
指数化というのは金融デリバの世界での有効な手段だし何でも指数化してデリバ化できる。
しかし江戸の敵を長崎で撃つみたいなかけ離れた世界というのはいかがなものだろう。

「防衛省は米国基準の包括的なサイバー攻撃策を取引企業に義務付ける調整に入った」との報。
米国防総省が採用する情報へのアクセス制限や通信の監視、
事故発生後の対応など1000項目超の対策を盛り込んだ基準導入へ。
米国では防衛産業にとどまらず高度な対策求める動きが拡大。
新たな基準の導入は早ければ年内にも決定。
数年かけて企業に導入するよう義務付ける方向。
日本の防衛産業は約2兆円規模。
関連企業は戦闘機と戦車がそれぞれ1000社、護衛艦は約7000社。
脳裏をかすめるのはLTEなのだが・・・。

「ドル安、債券安(金利上昇)、株安」。
いつか来た道ではある。
過去のケースが3回紹介されていた。

(1)70年台後半
物価上昇と景気悪化が同時進行する「スタグフレーション」の進行。
株価は長期低迷。
「アメリカ株は死んだ」とさえ言われた。

(2)87年=ブラック・マンデー
貿易と財政の「双子の赤字」の塗炭の苦しみ。
製造業の競争力低下が課題だった。
ドルは歴史的低水準だったので下値がなくインフレ不安は小さかった。
GDP成長率は4%と底堅く一時的株価下落で通過。

(94年)
IT革命の勃興期。
新たな担い手が経済を支えた。
ダウの下落率は4%程度。
ただ金利上昇→新興国から米国へのマネー還流→最終的にはメキシコ通貨危機に。

4〜12月期決算集計状況(全体の86.6%が通過)。
第3四半期売上高9.5%増、同経常利益19.7%増、同純利益32.4%増。
通期売上高7.6%増、同経常利益14.1%増、同純利益21.6%増。

(兜町カタリスト 櫻井英明)

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