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《Eimei「みちしるべ」》

(3月12日から3月16日の週)

土曜の日経では「主要企業、経常益伸び鈍化」の見出し。
大手証券の2018年度の企業業績見通しでは主要企業の経常益は前期比8〜10%増。
電気・機械などの伸びが全体をけん引との見通しだ。
「円高進行が懸念で増益率は2ケタの17年度からは鈍化」。
鈍化をどう捉えるかの問題だろう。
鈍化とはいえ減益ではなく、伸び率が鈍化するだけのこと。
増益基調に変わりはない。
活字の綾に誤魔化されないようにすることが肝要だろう。

結局1月第2週に3.4兆円まで積み上がった裁定買い残が2兆円減少しただけのこと。
昨年9月メジャーSQ前の1.4兆円まで裁定買い残は減少。
「そして何もなかったの如く」というような印象。
サヤ取りの裁定取引だけに、この間の株価変動に材料の有無強弱や相場勘などほとんど関係ない。
裁定買い残が減れば次は増えるしかない。
どうしてもそう見たくなる。
木曜日経朝刊では「信用評価損率が悪化」の見出し。
前週比0.94%低下しマイナス8.86%。
「相場急落が響いた」との解釈だが1%以下の悪化に過ぎない。
あるいは、水準自体がマイナス10%に届いていない。
2月9日はマイナス10,10%だったのである。
確かに「悪化は悪化」だが、そう見せたい意図なのだろうか。
でも前日水曜は「株、売られすぎのサイン」と同じページでの見出しだった。
上がれば強気の見出し、下がれば弱気の見出し。
その日暮らしの締め切りに追われる記事に翻弄されていると相場の本質は見えなくなる気がする。

日経平均想定レンジ
下限21575円(3月メジャーSQ値)〜上限22659円(2月5日マドあけ水準)

経済指標のスケジュールと罫線をなしにして為替の説明をするとどうなるのだろうか。
加えて、カタカナを使わないということにすると・・・。
「そんな説明聞いたことありません」とその方面の市場関係者。
しかし、金利が上昇して下げていた株価はさらに金利が上昇しても下げない。
雇用統計で非農業部門雇用者数が増加しても、給与の伸び率の鈍化で株価は上昇。
通常の延長線上でしか、物事を考えないクセがつくとしばしば見間違えることになる。
経済指標と罫線を排除して説明することに相場の主役がいるように思えてならない。
「だから何?」という疑う精神がなければいけないということ。
相場は驚きと気付きの向こう側で進歩しているのである。
今朝の日経朝刊。
大半の方が見ない文化面。
連載されている「江戸の雪景色十選」。
歌川広重の「東都名所雪の三景 隅田川のはつゆき」。
「因みにこの浮世絵、四隅が欠け、下にも余白がある。
これらの部分を切り抜いて団扇に貼り付けるために作られた団扇絵である。
したがって、この作品が鑑賞されていたのは冬ではなく夏。
江戸っ子たちは団扇をあおぎながら少しでも暑さをしのごうと、
この絵の雪景色を羨ましく眺めていたことだろう」。
この驚きみたいなものが、市場には欲しい。
そして、雪は冬というような常識の向こう側にある歴史的本質を掴むことは重要なのである。

(兜町カタリスト 櫻井英明)


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