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《Eimei「みちしるべ」》
(7月17日から7月20日の週)

週足では4週ぶりの陽線。
SQ値22452円35銭を終値で大きく上回った。
前々週516円下げて前週は約809円上昇。
日経平均は25日移動平均を回復。
5月高値から7月安値にかけての下落幅の半値戻りも達成した。
75日線や、26週線、13週線など、主要な節目を上抜けた。
一目均衡表では日足、週足ともに雲の中から上に浮上。
形は悪くない。

「リスクオン12日」という言葉が出てきた。
野村のクオンツの調べでは今年2月以降の世界の株式市場はリスクオフが17日。
リスクオンが12日というパターン」だという。
6日に始まった株価の戻りはころを当てはめると今週末あるいは遅くても来週前半までとなる。
そんなに機械的に行くものなのだろうか。
早くもリスクオンはリスクオフの動き。
6月13日→7月5日までの下落は非鉄▲11%、鉄鋼▲10%、銀行▲9%。
これが昨日は上昇ランキング上位に並んでいた。
アンワインドかと思わせて・・・。
そんな感じだ。

日経平均想定レンジ

下限22452円(7月SQ値)〜上限23274円(2月2日マド明け水準)

火曜の日経で気になったのはハーバード大学教授のケネス・ロゴフ氏のインタビュー。
「巨額の貿易黒字で中国が米国から搾取しているという理論は強烈な無知だ。
本当に対中貿易赤字を消すには大恐慌で米消費を激減させるしか方法はない。
中国製品の対米輸出200億ドル分に関税をかければ米成長率は0.3〜0.5%程度悪化する。
大統領は政策の成功を認めてもらいたいのだ。
世界経済の崩壊は望んでいないはずだ。
私は貿易戦争よりもFRBの独立性が揺らぐ事態をより懸念する。
大統領は利上げを好まないはず。
2020年頃にツイッターでFRB攻撃を始めればインフレ急伸や相場の急落を招く」。
至極最もな意見だった。

同時に響く二つ以上の音が協和融合しない状態にある和音を不協和音という。
7世紀以降の西洋音楽で登場した言葉だ。
和音の3つ以上の楽音に1つでも他の楽音と不協和音程の関係にある楽音があること。
あるいはモーツァルトの弦楽四重奏曲第19番ハ長調の通称。
「ハイドン四重奏曲」中の第6作。
通称は第1楽章の冒頭で用いられる不協和音に由来するという。
要は耳に心地良くなく、あまり聞きたくない和音ということ。
だから不調和な関係のたとえにも使われる。
今の米中関係などまさに不協和音だろう。

しかし・・・。
思考を転じると不協和音というのは耳に残る。
以前広報担当をしていたとき。
代理店が持ってきたCM局候補が3つあった。
一つはきれいなピアノの旋律。
一つは美しいソプラノの合唱。
そしてもう一つは不協和音の塊のような男性のテノール。
多くの担当者はピアノの旋律を支持した。
しかし採用になったのは不協和音の塊。
実際にTVで流れてみると、心には染みないが旋律は妙に脳裏に残った。
「イヤなもの」は「イイもの」よりも心に残るのである。
だから、相場でも誰が見てもきれいな銘柄よりもどこか瑕疵がありそうな銘柄に人気が集まる。
優等生よりは不良の方がどうも人気がある。
とてもおもしろい現象だ。
バブルだって主力銘柄が醸成したわけではなくどこか怪しげな銘柄が主役だった。
そう考えると不協和音こそ美しい。
そして不協和音満載の今は最高の一時なのかも知れない。
「欅坂46」の「不協和音」という曲の歌詞。
「不協和音を僕は恐れたりしない。
嫌われたって僕には僕の正義があるんだ。
殴ればいいさ。
一度妥協したら死んだも同然。
支配したいなら僕を倒してから行けよ」。
僕=トランプ大統領に見えてきてならない。
そして「不協和音で既成概念を壊せ。
同じ意見だけではおかしいだろう。
意思を貫け。
ここで主張を曲げたら生きている価値がない」。
結構意味深だ。
傷を舐めあって調和して「赤信号みんなで渡れば怖くない」といって損を重ねてきたバブル崩壊以降。
そんな経験則はもう失われてしまったのだろうか。

トヨタが97年以来21年ぶりにドル建て社債を発行するとの報道。
総額20億ドル(2200億円)という大きさだ。
世界規模で膨らむ資金需要への対応が背景というのは理解できる。
電気自動車、自動運転、シェアリングなど資金需要が旺盛なのもわかる。
資金調達の多様化も理解できる。
不可解なのは「水素エンジン」という言葉が見当たらないこと。
いつの間にか水素自動車は影を潜めてしまった印象だ。
ということは、電気自動車の傾斜して全固体電池に執着するのだろうか。
あるいは、全固体とリチウム電池の併用などが考えられているのだろう。
いつの間にかハイブリッドという言葉も消えてきた。
未来はエンジンではなく電池と自動運転。
いずれ答えは出てくるのだろうが・・・。

(兜町カタリスト 櫻井英明)
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